野菜の栽培に最適な土壌を整えるー、農業IoT「ゼロアグリ」が4億円を調達

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美味しい野菜を多く収穫しようと思うなら、気温や湿度、土壌環境を知り尽くし、毎日作物に最適な水と肥料が行き渡るように調整しなければならない。水や肥料は多すぎても、少なすぎても品質の良い野菜は実らず、最適なバランスを習得するには何十年もの経験が必要だ。農家の負担を減らすため、ルートレック・ネットワークスはIoTとアルゴリズムで最適な水分と肥料を自動で計算し、農場への供給を可能にするシステム「ゼロアグリ」を開発している。本日ルートレック・ネットワークスはグロービス・キャピタル・パートナーズ、エッジキャピタル、テックアクセルベンチャーズ、オイシックスより総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。

「ゼロアグリ」は養液土耕栽培で用いることができる、かん水と施肥の自動化システムだ。養液土耕栽培とは、ビニールハウス内で地表か地面の中に点滴チューブを設置し、そこから必要な水と肥料を作物に与えて育てる方法を指す。

これまで農家は与える水と肥料の量を経験と勘に頼って決めていたとルートレック・ネットワークスの代表取締役、佐々木伸一氏は話す。「農家ではその日の温度や湿度、作物の育ち具合などを確かめ、与えるべき水や肥料の量を調整していました。彼らの体自体がセンサーになっているのです」。水やりの作業だけでも数時間かかるが、与える水の量を決めるために作物の状態を見て回ったり、外の気温や湿度を確かめる手間も多くかかっているという。

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ゼロアグリは、農地に設置する日射センサー、土壌センサー、温湿度センサー、そして農地に水と肥料を与える液肥タンクと連携している。ゼロアグリはセンサーのデータを元に自動で液肥タンクを制御するため、かん水と施肥作業を大幅に削減することができるという。タブレット端末でデータを確認し、そこから手動で水と肥料の量を調整することも可能だ。

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農業分野では就農人口が減少し、就農者の高齢化が進んでいると佐々木氏は話す。就農人口の平均年齢は67歳で、この人たちが引退してしまうと、彼らの持つ農業の経験や知見も失われてしまう。ゼロアグリは、農家が培っていた経験や勘を栽培アルゴリズムに反映することで、技術継承が途絶えることを防ぎたい考えだ。また、農業の経験が浅い人でもすぐに収益が上げられるよう栽培をサポートすることにもなると佐々木氏は話す。

佐々木氏は2005年にルートレック・ネットワークスを創業し、機器間の通信技術(M2M)を用いた燃料電池運用管理や車両運用管理システムなどを開発していた。農業が直面する様々な課題に対し、こうしたテクノロジーを活用できないかと考え、2010年から農業分野に参入した。

農業は特にICTの利活用に対して保守的と佐々木氏は言う。その一因について佐々木氏は「農業を営む人は経営者だからです。生産した作物が収入に直結します。堅いビジネスをしようと思うと、新しいものを取り入れづらくなります」と説明する。

当初手がけたサービスは農場に関するデータを可視化するものだったが、それだけでは農家には受け入れられなかったと佐々木氏は話す。取得したデータを示すだけでなく、それを活かして次のアクションに結びつけられるサービスでなければならないと感じたという。そのためには農学の知識が必要と考え、2011年から明治大学と栽培アルゴリズムの共同開発を始めた。ルートレック・ネットワークスは現在、明治大学黒川農場の実験ハウスでゼロアグリの開発を行っているという。

ゼロアグリの価格は基本システム120万円で運用費が年間12万円だ。これは農家が1年半から2年ほどで回収できる価格だそうだ。ゼロアグリはトマトやピーマン、キュウリ、ナスなどの果菜類を中心に21品目に対応している。

現在では50件以上の農家がゼロアグリを導入しているという。かん水作業の削減、使用する肥料や農薬の量の削減に加え、収穫量の増加、作物の品質の向上につながった実績が増えていると佐々木氏は話す。

今回調達した資金は「ゼロアグリ」のアルゴリズムのさらなる研究開発、そして営業力の強化に充てる計画だ。また、日本と気候が似ているアジア地域でも展開も進めていくと佐々木氏は話している。

係争中のクラウド会計「freee」が33.5億円を追加調達、佐々木CEOが競合提訴の背景も語る

freee創業者で代表取締役の佐々木大輔氏

freee創業者で代表取締役の佐々木大輔氏

クラウド会計サービスを提供する「freee」がシリーズDラウンドとして33.5億円の追加増資を今日発表した。第三者割当による資金調達で、引受先は未来創生ファンド、DCM Ventures、SBIインベストメント、Salesforce Ventures、日商エレクトロニクス、日本生命保険相互会社、Japan Co-Investのファンドおよび事業会社。今回の増資で2012年7月創業のfreeeの累計資金調達額は96億円となる。未来創生ファンドは2015年の設立。2016年11月現在、トヨタ、三井住友銀行など17社が出資していて、2016年5月末時点で運用額は216億円。

前回のfreeeの資金調達は2015年8月の35億円で、このときのバリュエーションは約300億円。今ラウンドのバリュエーションは約400億円。また今回新たにSBIインベストメントが出資者に加わっている。

調達資金の用途としては開発、マーケティング、営業と全ての面の強化というが、freee創業者で代表の佐々木大輔CEOはTechCrunch Japanの取材に対して3つの点でサービス拡充を進めると話す。

会計、税務、労務を統合して「クラウドERP」へ進化

1つは2016年5月に発表した中堅企業向け「クラウドERP」を推進すること。freeeは企業の財務会計クラウドサービスとして発展してきたが、2014年には「クラウド給与計算」をリリース。労務管理まで含めて50〜500人規模の中堅企業向けに、管理会計分野にまで適用領域を広げていく方向性だ。これまで大企業では生産管理まで含めた本格的ERPとしてオラクルやSAPといったアプリケーションが導入されてきた。「ERPという考え方は数十人規模でも使ったほうが圧倒的に効率化できます。ただ、SAPとかオラクルといったERPアプリケーションは(高価すぎて)1000人規模の企業でも導入していません。われわれfreeeは基本利用料4000円で1ユーザー当たり300円といった価格帯です」(佐々木CEO)

一方中小企業ではこれまで、弥生やOBIC、OBCといったベンダーの個別パッケージをWindowsサーバーに入れて組み合わせて使うとか、Excelで何とかするといったケースが多かっただろう。オンプレミスの部門サーバーがクラウド(SaaSアプリ)へ移行するタイミングで、業務パッケージや個別開発の市場をディスラプトしているのがfreeeという構図だ。

給与計算や労務管理もサポートできるようになると、「社員が勤怠情報を入れると、それがそのまま財務会計に入っていくような仕組みが実現できます」(佐々木CEO)という。弥生会計で入力した会計データをNTTデータの達人シリーズという申告アプリと繋ぐといったように異なるアプリ間でインポート作業が発生するといったこともなくなるという。

2017年の年明けには法人税申告も可能な「クラウド申告freee」をリリース予定であるなど、会計→税務→労務というようにfreeeはクラウド上で対象領域を広げている。従来のオンプレミスの会計ソフトと比較したとき、金融機関連携による情報量の差も大きいと佐々木CEOは指摘する。これまでパッケージソフトの世界ではデータを手入力していた情報が、freeeでは銀行振込の詳細データがそのままクラウドに入ってきて残る。「どこの会社に売掛金がいくらあるかぐらいは今までも分かりましたが、じゃあ、この数字は合ってるのかと確認するような作業、これがクラウド上の共同作業でできるようになるのです」(佐々木CEO)。

もともとfreeeは会計や税務のプロよりも、むしろ対象ユーザーは個人事業主や規模の小さな事業者にいる経営者だという言い方をしてきた。この点については「小さな会社のほうが変わりやすい。その突き上げで世の中が変わってくるものです」(佐々木CEO)とボトムアップによる変化の構図を指摘する。実際、最近では200人規模のグループ企業の事業再生で会計の見える化のためにfreeeを導入した事例などもあるという。freee自身も、社員数270人と規模が拡大しつつあるが、経費精算はクラウドで自動化されているため経理の専任は1名。煩雑な事務作業がなく「分析ばかりやっている」という。

サービス拡充の2つ目はボトムアップの構図とも関係するが、税理士・会計事務所向け機能と、サポート体制の強化。経営分析やリスク分析機能の開発を進めるほか、地方支社の増設と人員増強を進めるという。

資金調達による投資強化の3点目はAIを活用した経営分析、未来予測。そして経理業務における人間のミスの自動検知だ。作業漏れやダブリ、ミスといったものを正しく処理する提案機能を2018年末までにサービスに入れていくという。

マネーフォワード提訴は「独自技術への投資を促すため」

freeeといえば12月8日に同業のスタートアップ企業であるマネーフォワードに対して、「MFクラウド会計」の差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起した、と発表したことで業界を驚かせた。関係者が驚いた理由は2つある。

1つは、スタートアップ企業同士が問題を法廷へ持ち込むほど協議が不調に終わるというのが日本ではきわめて珍しいこと。この点について佐々木CEOの言い分は次の通りだ。

photo02「自動仕訳のコンセプトはfreeeの原点となるもので、プロダクトのリリース前から出願していたものです。われわれはゼロワンのイノベーションにフォーカスしてやってきています。ここはコストがかかるところです。そうやって出てきた良いものについてリスペクトするようお願いをしているということです。世の中の技術の発展を阻害しよういうつもりは全くなく、ライセンスを拒むものでもありません。囲い込みをしようとは思っていません」

ライセンスを拒まない、というのは、つまり正しくライセンスを受けるのであれば当該技術を使って構わないという意味だ。マネーフォワード側は権利侵害を否定しているが、もし仮に裁判で侵害が認められた場合には自動仕訳の特許についてマネーフォワードが対価を支払って利用するということになる、ということだ。

ただ、ソフトウェア産業で先行する米国では、むしろ特許は必要悪とみられる風潮が強い。特に近年、大手テック系企業の訴訟は減ってきている。むしろ特許は核兵器のように牽制力や抑止力として機能しているように見える。

佐々木CEOは「パテント・トロールが流行ったので悪いイメージがあるのかもしれません。でも米国の状況とは違います」と説明する。例えばGoogleが2011年にモトローラを125億ドルで買収したのは、膨大な量の特許を買うことが目的だったと言われている。独自技術に投資しているGoogleのような企業にしてみたら、抑止力として特許ポートフォリオを保持するために必要なものだった。ただ、その後Googleが濫訴しているわけではない。つまりシリコンバレーのネット系、モバイル系企業は独自技術を開発しつつ、クロスライセンスや牽制をするなどして均衡状態になっている。これは日本でも電機産業や自動車産業といったオールドエコノミーがやってきたことだが、現状の日本のスタートアップ業界はそんな状況になっていない。もっと日本のスタートアップ業界は独自技術をそれぞれが開発するべきだ、というのが佐々木CEOの主張だ。「独自技術にみんなが投資するようになればイノベーションは生まれていきます」。

佐々木CEOはゼロワンの技術開発に投資しやすい環境を作っていくのも重要だとしていて、「スタートアップ業界でもクロスライセンスが増えると良いのではないか」と話す。

産業史的な視点でみれば、佐々木CEOの言い分には説得力がある。一方、もう1つの論点については疑問の声が大きいのではないだろうか。それはfreeeの自動仕訳の特許が、そもそも特許が成立するほどの技術に思えないというソフトウェア・エンジニアたちの声だ。

freeeの特許にある「自動仕訳」とは、取引情報に含まれる文字列などから「対応テーブル」と「優先順位」に基いて仕訳項目を自動判別するというもの(参考リンク)。一方マネーフォワードが8月にアップデートした「勘定科目提案機能」は機械学習ベースのもの。つまり実装が異なる。freeeのようにルールベースのほうが実際的で精度が高い可能性もあるし、モデルと利用データの質・量次第では機械学習のほうが精度が良いのかもしれない。ここは実装次第の勝負なので両社ともに競うべきところのように思われる。

文字列をみて賢く自動仕訳する、というのはソフトウェア・エンジニアであれば誰でも思いつくことだろう。機械学習のライブラリは掃いて捨てるほどあり、やってみるだけならインターンの大学生の夏のプロジェクトレベルの話ですらある。2013年にさかのぼって考えてみれば、いまと事情が違うかもしれない。今ほど機械学習のことでネット系エンジニアたちは騒いでいなかったし、多くのライブラリは存在しなかった。であればなおさら、機械学習を適用した自動仕訳というマネーフォワードの実装に対して、2013年の権利を持ち出してfreeeが侵害を主張するのは無理があるのではないだろうか。

実際、マネーフォワード側は「当社技術は、本件特許とは全く異なるものと判断しており、フリー株式会社の主張は失当であり、特許侵害の事実は一切ないものと判断している」とのコメントを発表している

もっとも、この辺りは特許明細が主張する内容と、実際の技術詳細についての比較を行った上で法廷で議論すべきことだろう。freeeによる提訴は10月21日。12月8日には東京地裁で第1回弁論が行われ、1月20日には答弁が予定されている。今後2社の訴訟がどう推移するかは分からないが、1年から2年で何らかの結論がでるものと見られる。

bitFlyerがブロックチェーン技術Miyabiを発表、新アルゴリズムとスマートコントラクト搭載

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bitFlyerの代表取締役 加納裕三氏(右)と、取締役CTOの小宮山峰史氏(左)

bitFlyerは同社が独自開発したプライベートブロックチェーン技術「Miyabi」を発表した。3大メガバンク(みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ)とデロイトトーマツグループによる実証実験の報告書が11月30日に公開されているが(関連記事)、ここで用いたブロックチェーン技術がこのMiyabiであることも今回明らかにした。

bitFlyerの説明によれば、Miyabiはすでに製品と呼べる段階にある。すでに、前述の3大メガバンク以外のある大手企業の顧客での検証が進んでいるとのことである。ただし「とても問い合わせ全部には対応できないので大型案件を中心に取り組んでいる」(加納氏)。大型案件は時間がかかることから「事例として登場するのは、来年(2017年)ではまだ難しいだろう」(加納氏)というスケジュール感である。適用分野としては「複数の企業が参加する、ある程度大きなシステムに向いている」。いわゆるコンソーシアムチェーン向けの技術ということになる。つまり、従来は第三者機関が台帳管理を行っていた分野に適用することで、取引のコストや所要時間を大幅削減可能な技術としての使い方がスイートスポットになる。発表会では、銀行、証券会社、シェアリングエコノミー(空き家の活用、カーシェアリング)、食品トレーサビリティ、不動産登記、マイナンバー、電子政府などへの活用が可能であるとアピールした。

ビジネスモデルとしてはSI(システム構築)よりもプラットフォームを志向していると話しており、「今後1〜2年の間に、BaaS(Blockchain as a Service)の形でプラットフォームとしてMiyabiを提供することも考えている」とのことだ。BaaSはクラウドサービスとしてブロックチェーン技術を提供するもの。ブロックチェーンでは、トランザクションごとの電子署名を行うこと、ブロックチェーン上の記録も耐改ざん性が高いことから、クラウド上の情報システムであっても厳重な物理的セキュリティに守られた情報システムと同等以上に記録内容が信用できると考えられている。

Miyabiは、前述の3大メガバンクとデロイトトーマツによる実証実験では1500tps(トランザクション/秒)の性能を実証している。「ファイナリティを持たせた上で秒間1500件の処理性能を第三者が検証した例は他にない。世界最速だ」とbitFlyer代表取締役の加納裕三氏は話している。なお、1500tpsは全銀システムの処理性能をやや上回る数字だ。加納氏は「別の環境では1万tpsも達成可能だ」とも話している。

他社製品の例として、プライベートブロックチェーン技術mijinの次世代版が4000tpsの性能を記録している(関連記事)。これを見ると、最新のプライベートブロックチェーン技術の処理性能はほとんどの業務システムの要求に対応できる段階まで来ているようである。ただ、これらの数字は前提が異なるので比較する場合には注意が必要だ。

加納氏は「直線だけ速くて曲がれない車を作っても仕方ない」と話す。ブロックチェーン技術は使い方の幅が広く、自動車のように総合性能で見ないと速さを議論できないというのだ。プライベートブロックチェーンの性能は、地理分散をどう扱うか(例えば1地域内のノード群だけで合意して高速性を達成し、他の地域のノードはバックアップとして扱う設計もありうる)、アプリケーションの種類(銀行と電子マネーでは特性が異なる)など使い方に大きく左右される。ブロックチェーン技術の性能の比較可能な数字をどうするか、このあたりは今後課題となってくるだろう。

独自の新合意アルゴリズム、貨幣型、スマートコントラクトを組み込み

発表資料によれば、Miyabiの特徴は、次のようになる。

(1) 独自設計の合意アルゴリズムBFK2
ビットコインで用いているPoW(Proof of Work)の挙動が確率的(取引が覆る確率が時間とともに0に収束する)であるのと異なり、挙動が決定論的、つまりファイナリティ(決済の確定性)を確保している。また計算競争にエネルギーを消費するPoWと違い省エネルギーとのこと。PoWと違いノード数は既知であることが前提。n台のノードがあるとき、(n-1)/3台までのビザンチン故障(例えばノードが乗っ取られて不正をする可能性を含む)に耐え、(n-1)/2台までのハードウェア障害(ノードが不正をしない単純な故障)に耐える。例えば13ノード中4ノードのビザンチン故障に耐え、6ノードまでのハードウェア故障に耐える。
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このアルゴリズムの詳細は非開示だが、「ブロックの承認に使うこと、ファイナリティを持つことを前提とした合意アルゴリズムで、仕組みは(分散システム研究から生まれた合意のアルゴリズムの)Paxosに近い」(小宮山峰史CTO)とコメントしている。

なお、このアルゴリズムの前提はノード数が既知であることなので、不特定多数のノードが自由に参加/脱退する環境には適用できない。ただし、2種類のノード(合意ノードと参加ノード)を分けており、合意形成に参加するノードだけが既知のノードで、他のノードは不特定多数でもよい。「ビットコインのネットワークも、実質的な合意形成は一部のマイナーたちで実施しており多数派のノードは参加しているだけだ。それと似ている」(加納氏)。

(2)「貨幣型」を組み込み
ビットコインのデータ構造(UTXO)はコインを取引した結果の総額(入出力の合計)が一致するように設計されている。Miyabiでは、この考え方を参考に「総額の増減がない」など貨幣特有の制約条件を組み込んだ「貨幣型」を導入し、プログラム開発の負担を減らし、システムの信頼性を高めたとしている。具体的には、トランザクションごとに、電子署名の強制、総資産が一定の強制、残高が非負であることの強制が働き、不正やバグが発生しにくい仕組みとしている。
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(3) 独自のスマートコントラクト環境「理(ことわり)」
ここでいうスマートコントラクトは「ブロックチェーン上で動作するプログラム」のこと。特徴として、合意アルゴリズムと共に動作させることで外部のデータを取り込むときの決定性を保証する仕組みを備えている。例えば外部から金融商品の価格や利回りの情報を入手するとき、ノードごとに「時差」がある場合に時差に応じて数字が変わってしまうが、ここである一つの時点の数字を選び決定できるようにした。
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プログラミング環境として.NET Frameworkを用いており、C#などのプログラミング言語を使える。他の対応言語は検討中とのことだ。

このほか「キャンセル機能」もMiyabiが導入した新しい機能の一つだ。ブロックが承認される前であれば、トランザクションを取り下げ、ブロックの記録に含ませないようにできる。

「ビットコインの設計思想に影響された」

bitFlyer代表取締役の加納裕三氏は「自分たちはサトシ・ナカモトを尊敬している。Miyabiもビットコインの設計思想に影響を受けている」と語っている。bitFlyerではビットコイン取引所を開設するにあたり、独自実装のクライアントソフトを開発するなど自前技術にこだわってきたのだが、その過程で新たなブロックチェーン技術の開発に乗り出すことになった。発表会にゲストとして登壇したカレンシーポート代表取締役CEOの杉井靖典氏は「やはり、(ブロックチェーン技術を)作りたくなっちゃったんだなと思いました」と、“ブロックチェーン界隈”の雰囲気を伝えるようなコメントをしている。

今回の発表内容を見る限り、Miyabiはほとんどのエンタープライズシステムの要求に対応できる内容を備えている。処理性能、ファイナリティ、貨幣型、スマートコントラクトでロジックを組み込める性質は、エンタープライズシステムの要求にはマッチしそうだ。3大メガバンクが参加した実証実験で使われたという実績もある。発表会では技術の説明にかなり時間を割いたのだが、それでもユーザー企業が製品として検討するには技術情報の量はまだまだ乏しい。今後さらなる情報公開を期待したいところだ。

最後に、発表会のゲストの杉井氏の言葉を紹介したい。「日本が開発の中心になっているブロックチェーンはいくつかある。HyperledgerプロジェクトのIroha、mijin、Orb、Keychain、それに本日発表のMiyabi。これだけたくさんの基盤技術を日本のベンチャー企業がリスクを取ってやっている。失われた20年の中では珍しい動きではないか」。日本のスタートアップのブロックチェーン技術には、今後もまだまだ動きがありそうだ。

介護に新風、「パワード衣服」のSuperflexにグローバル・ブレインらが約10億円投資

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人間の筋力を拡張する外骨格ロボット(パワードスーツ)としてはサイバーダインの「HAL」が有名だ。身体にくっつく小型モビルスーツのような装置を着けると、筋肉を流れる電流を体表面から読み取って、その動きを補強する。介護や災害の現場で大きな力を発揮できる「サイボーグ」のようなハードウェアだ。

これに対してSRI Internationalからスピンオフした米スタートアップ企業のSuperflexが開発しているのは「パワードクロージング」(powered clothing)。SuperflexのCEOで、元SRIのロボティクス部門長であるRich Mahoney氏がTechCrunch Japanの取材に語ったところによれば、これは伸縮する人工筋繊維のような布を使って、人間の動き(筋力)を拡張することができるもの。着衣ができる「パワード衣服」というべきものだそうだ。

従来の外骨格ロボットに比べて格段に軽いのが特徴だ。布状なので関節部分の突起や構造物もなくシンプルに作れる。2018年の日米市場での一般向けリリースに向けてプロダクトは開発中というが、全体の重量は2kg前後となる見込み。

もともとSRI(スタンフォード研究所)のロボティクス部門で7年にわたって共同開発していたものを2016年春に部門ごとスピンオフしたのがSuperflexだ。アメリカ陸軍と一緒に開発していた「疲れない兵士」を生むためのウェラブルロボット技術を民間転用する、ということになる。

障害者やアスリートも対象だし、衣類に近いことからデザイナーやファッションブランドとの協業を考えているというが、大きなターゲット市場は介護だ。これまでのパワードスーツが被介護者を抱きかかえるときに健常者である介護者の力を増幅する利用形態が多かったのに対して、Superflexは自律して歩行や生活の基本動作ができなくなった高齢者が直接着衣して使うことを想定している。Mahoney氏によれば、どちらかといえば電動アシスト自転車に近いという。

日本のVCがリードを取った理由

このSuperflexがシリーズAラウンドとして9600百万ドル(約11.3億円)の資金調達を今日発表した。本ラウンドをリードしたのは先日200億円の第6号ファンド設立を発表したばかりの日本の独立系VC、グローバル・ブレイン。ほかにHorizons VenturesRoot VenturesSinovation Venturesによる協調投資となっている。米国発スタートアップに対するグローバルな協調投資で日本のVCがリードを取るのは「日本のVC業界としても画期的」(グローバル・ブレイン代表の百合本安彦氏)で「SRIとコネクションができたことも大きい」(同)という。SRIは1946年にスタンフォード大学によって設立された研究開発機関で、古くはマウスの発明や最近だとiPhoneに搭載されるSiriを産んだ機関として知られている(現在のSRIのプロジェクト一覧)。

Horizons VenturesはSkype、Siri、Facebook、Spotifyなどへの投資でも知られる香港の有力VCだ。Sinovation Venturesは中国のVC。 もともとインターネットやGPSを産んだDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)の支援の受けたプロジェクトとしてスタートしたことを考えると、米国軍需から民間転用の応用で、高齢化先進国の日本やアジア市場への足がかりを早くも付けた、ということになる。「もともとグローバル・ブレインは介護市場に強く、日本と東南アジアの市場を熟知している」(グローバル・ブレイン百合本氏)

今回の投資決定は「(市場に出ているパワードスーツなど)全部を試着した上での総合評価した結果」(百合本氏)という。従来のパワードスーツより大幅なコストダウンが可能であるほか、介護者ではなく、お年寄りが直接身につけることから重量的に考えてSuperflex以外に比べるべきものはなかった、という。軽量のため装着したまま電源を切ることができ、長時間動作も期待できるそうだ。

まだ1着あたりの価格がどの程度になるか、あるいは月額利用モデルとするかなどは未定だが、「コンシューマー市場で売る価格。これは従来とは全く異なるジャンルの家庭向け電化製品でもある」(Mahoney CEO)という。少なくとも産業用ロボット製品のような価格になることはなさそうだ。

ところで自力でなく、補助付きで高齢者が活動をするようになると、かえって筋力退化を早めるのではないかと思ったのだけど、Mahoney氏によれば逆の調査データも。健康維持は筋肉だけの話ではなく、心肺機能を維持するための物理的アクティビティも重要で「たくさん動けば、より健康」だそうだ。

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グローバル・ブレイン代表の百合本安彦氏(左)と、Superflex CEOのRich Mahoney氏(右)

ブロックチェーン技術mijinの次世代コアCatapultが秒間4142取引の処理性能を記録

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実験の構成図。「さくらのクラウド」1リージョンに4ノードを立て、ブロックチェーンを動かした。

さくらインターネット、テックビューロ、電子マネー事業を展開するアララの3社は協同でブロックチェーン技術mijinの次世代コア「Catapult」を電子マネーに応用する実験を実施し、最高4142取引の処理性能を確認した(発表資料)。2017年2月には詳細レポートを公開予定としている。またCatapultを含む次世代mijinもオープンソース化を予定している。まだ正式版ではない段階で平均して秒間3000取引ほどのスループットを出しているのだが、これはブロックチェーン技術の実システム適用の可能性を考える上で重要な実験といえる。

Catapultとは、ブロックチェーン技術mijinのコア部分を再構築し高速化を図ったものだ。従来バージョンのmijinを使った実証実験では、アララは秒間平均50取引の性能を確認していたが(関連記事)、今回はその約80倍の性能を確認できたことになる。

秒間4142取引がどれぐらいの性能かということだが、VISAカードのシステムはピーク性能が秒間5万6000取引(5万6000tps)と言われおり、平均スループット(処理性能)はその1/10前後と言われている。今回の実験の最高で秒間4142取引、平均して毎秒3000取引という数字は、「VISAカードの平均スループットにもうすぐ届く性能」といったところだ。ほとんどの業務システムのニーズをカバーする十分に大きな数字といえる。また、現状は正式版ではないので今後改善される可能性がある。

今回の実験は1リージョン内で実施したものだが、地理的に分散させた実験も今後予定している。地理分散により耐故障性のレベルは格段に上がるが、その一方でネットワーク遅延の発生が性能に影響するものと予想される。

実験では一部ノードを停止させても処理性能を落とさず続行できることも確認している。mijinを始め現行ブロックチェーン技術は処理の冗長化はしていても分散化はしていないので「性能が落ちない」とはノードの故障によるトラブルが起きないことを確認したという意味だ。

今回の実験はアララが事業として取り組む電子マネーのシステムを想定したもの。電子マネーは「1対N」の形の取引で、しかもNの数字が非常に大きい(今回の実験では1080万アカウント)ユースケースとなる。一方、銀行の勘定系などは「N対M」の取引ということになる。

プライベートブロックチェーン技術は「パラメータを自由にいじれる」

ブロックチェーン技術は、従来型のITと比較すると非常に分かりにくく見える。理由の一つは「性能を追求していない」ように見えることだ。例えばビットコインの処理性能は「約7tps(トランザクション/秒)」であると言われている。数字だけを見れば低い性能に見えるが、注意が必要なこととして、この値はビットコインの場合のブロックサイズ、トランザクションのサイズの平均値、ブロックタイムから算出しているので、いわば「フェルミ推定」のような数字だということだ。現実のビットコインの実効スループットはこの数字より下だと考えられるし、逆にパラメータが変われば数字は大きく上がる。例えば新技術「Segwit」はトランザクションのサイズを大幅に圧縮するし、ブロックサイズを変えるかどうかの議論も盛んだ。ただし、ビットコインは時価総額1兆4000億円以上(記事執筆時点)の価値を記録しているネットワークでもあり、ビットコイン開発者コミュニティは仕様変更にはきわめて慎重な態度を取っている。

mijinの場合、ビットコインのようなパブリックブロックチェーンではなく企業システムに閉じたプライベートブロックチェーン向けの技術なので「ブロックサイズ、ブロック承認時間のパラメータを自由に変えられる」(テックビューロの朝山氏)。つまり、もともと性能のチューニングをやりやすい構成となっている。さらにCatapultでは、性能面のネックとなっていた要素をコア再構築により取り払った。「C++により再構築した点、(ブロックチェーンの中核部の)チェーンサーバーとAPIサーバーを分けた点が性能に寄与している」(テックビューロ代表取締役社長の朝山貴生氏)。

もちろん、単にデータストアの処理性能だけを追求するならインメモリDBが一番いい。それに耐故障性とトランザクション処理性能だけを追求するなら、従来型の情報システム(OLTPシステム)の方がまだ性能は上だろう。今回の実験の意義は、ブロックチェーン技術が業務システムのトランザクション処理に耐える性能があることが確認できたところにある。従来型の情報システムと比べたブロックチェーン技術のいい所の一つは、耐改ざん性と耐故障性をソフトウェアのレイヤーで実現していることだ。今回の実験のようにクラウドサービスで動かしていても、内部不正や外部からの攻撃、故障に強い。この性質は業務システムの大幅な低コスト化に役立つと期待されている。mijinの場合は「内部にトークンの概念(Mosaic)を持っていることが、電子マネーへの適用に役立つ」(朝山氏)としており、アララでもこの点がシステム構築コストの圧縮に寄与すると期待している。

実験内容は、「さくらのクラウド」の1リージョンで実施。ブロックタイム15秒とし、1時間1080万人の利用を想定し、1080万アカウントを用意、1マイクロトークンから1080万マイクロトークンまでの異なる残高を与える。1080万アカウントから3ノードに対して残高全額を支払うリクエストを送信。なおかつ、この処理中に3ノードのうち2ノードを6分間停止、その後復旧と同期を行った。コンセンサスアルゴリズムは「mijin POS(Proof of Stake)」を使用している。

週末勉強する人は続かない―データから見えた外国語学習に成功する人の3つの特徴

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編集部注:この原稿は萩原正人( @mhagiwara )氏による寄稿である。 萩原氏はGoogle、Microsoft Research、バイドゥ、楽天技術研究所(ニューヨーク)にて、検索エンジンおよび自然言語処理の研究に携わった後、2015年2月からはDuolingo にてソフトウェアエンジニア、リサーチサイエンティストとして自然言語処理技術を活かした研究開発に従事している。2009年名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。著書に、翔泳社『自然言語処理の基本と技術』(2016)、訳書に、オライリー『入門 自然言語処理』(2010)、『入門 機械学習』(2012) がある。英語(TOEIC満点)および中国語(HSK口語上級)が堪能。

 

「英語を流暢に話せるようになりたい!」との思いで、週末など、週1回ほど英会話学校に通っている読者の方も多いのではないかと思う。残念なことに、データ解析によると、そのような方は学習を続けられずに脱落してしまう可能性が高い。では、どうすれば英語学習を続けることができるのだろうか。本記事でこれから述べる簡単な点に留意するだけで、英語など外国語の学習に成功できる可能性をぐっと上げることができるかもしれない。

巷には、「1週間でペラペラになれる!」「聞き流すだけで英会話をマスター」のようなタイトルの書籍や教材があふれている。そもそも、英語などの外国語をマスターしようと思ったら、どのぐらいの量を、どのように勉強したらよいかということはあまり知られていない。何時間も机に向って勉強するべきなのか、それとも、毎日10分でも効果があるのだろうか。

本記事では、私がDuolingoの大規模データを分析して分かった、外国語学習に成功する人に共通する特徴を紹介することによって、外国語の習得のためのヒントを提供できればと思っている。

外国語の習得に本当に必要なもの

残念ながら、全く予備知識のない人が、外国語を1週間でペラペラになるまで習得することはまず無理だ。これは多くの人の経験からも、これまでの科学的な知見からも明らかだ。それでは、外国語の習得に本当に必要なものは何なのだろうか。

「外国語の習得はダイエットと非常に似ている」というのが私の持論だ。両者の類似点から成功に必要な条件を書き出してみよう。

継続的な努力と時間

  • 残念ながら、日本人にとって英語は習得が難しい言語の1つであることは疑いない。文法や発音など、 言語学的も文化的にも英語は日本語とはとても異なる言語である。これは逆の例になるのだが、英語話者にとって日本語は世界のメジャーな言語のうち最も習得が難しい言語とみなされており、2200時間以上の学習が必要だという見積もりもある。日本語話者が英語を勉強する場合も、そのぐらいの勉強時間は少なくとも覚悟したほうがよさそうだ。
  • また、日本国内では、またまだ英語話者と接する機会が少なかったり、英語を仕事で直接使う必要性が少なかったりと、環境やモチベーションという要因も、外国語、特に英語を習得することを難しくしている。

総合的な練習

  • 人間がどのように外国語を獲得するか、そのためにどのようなメカニズムが絡んでいるかというのは、最新の科学でもよく分かっていない部分が多い。
  • ただ、これまでの膨大な第二言語習得の研究の積み重ねから1つだけ言えるのは、外国語は「聞き流すだけでマスター」できるような単純なものではないということだ。ダイエットでも、例えば、ある食品だけを食べる「◯◯ダイエット」などの極端に単純な方法が流行することがあるが、健康的なダイエットのためには、さまざまな食品や栄養素をバランス良く摂ることが重要であることを否定する人はあまりいないだろう。

正しい方法に関する知識

  • 「ダイエットに必要なもの」と聞くと「ジムに行って運動」などのようにまず「運動」を思い浮かべる人が多いかと思う。しかし、医学的な立場から見ると、ダイエットのためには運動よりも食事のほうがはるかに大切であることが分かっている。
  • 外国語習得でも、最初に触れた「どのぐらいの時間勉強すべきか」などの問題以外にも、例えば「文法はしっかり勉強したほうが良いのかどうか」など、長い間、専門家たちの間で研究調査がなされてきた。

「1日何時間勉強するべきか?」といった一見して非常に簡単な質問に対しても、自信を持って答えられる人は少ないのではないだろうか。そのような「正しい方法に関する知識」がなかなか広まらないのはなぜだろうか。

1つの理由は、外国語の習得は複雑かつ時間のかかるプロセスなので、大規模な対照実験(例えば「学生をたくさん集めて2つのグループに分け、片方のグループに教材Aを使ってもらい、もう片方のグループに別の教材Bを使ってもらう」など)を実施して異なる学習法の効果などを比較することが簡単にはできないからだ。

しかし、パソコンやスマートフォン上で外国語の学習をすることが一般的になるにつれ、これまででは考えられなかったような数の外国語学習者の学習パターンを自動的に分析し、そこから知見を得ることが可能になってきた。

本記事では、1億5000万の登録ユーザーを有する世界最大の外国語学習アプリである Duolingoの大規模データに基づき、どのような人が外国語学習に成功するのかを分析した。

具体的には、外国語の学習を継続できているユーザーと離脱してしまったユーザーをそれぞれ数千人ずつ無作為抽出し、分析(より専門的に言うと、さまざまな要因の影響を分解・統制して、結果を予測するロジスティクス回帰分析)することによって、さまざまな特徴の違いが見えてきた。

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成功する学習者の特徴1:継続的に学習する

データから分かった、成功する学習者の1つ目の特徴は、継続的に学習するということだ。

例えば、最後に学習してから経過した日数(グラフ1)を見ると、ほとんどの継続ユーザーが毎日、もしくは最低でも2〜3日ごとに学習しているのに対し、離脱ユーザーは5〜6日の間が空いてしまっている。また、1週間のレッスン・練習数(グラフ2)を見ても、継続ユーザーは離脱ユーザーと比較して圧倒的に多く学習している。

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特に、最初に触れたように、主に週末にしか勉強しない人は、脱落してしまう可能性が高いことがデータ解析によって分かった。

特にある外国語を習いたての時期には、記憶をフレッシュに保つために、できれば毎日、少なくとも2〜3日に一度は何らかの形でその外国語に触れる、勉強するようにした方が良いと言えるだろう。

ちなみに、学習する際に、レッスンを手早く終わらせるのではなく、よりゆっくり時間をかけて、学習内容をきちんと理解して進むユーザーの方が、継続できる可能性も高いことが分かった。これも、外国語に関する記憶をより強固なものにするために有効であると考えられる。

成功する学習者の特徴2:詰め込みをしない

p04データから分かった、成功する学習者の2つ目の特徴は、「詰め込みをしない」というものだ。グラフ3は、1日ごとのレッスン・練習量のばらつき(相対標準偏差)を示したものだが、離脱ユーザーの方が大きくなっている。これは、継続ユーザーは、毎日ほぼ一定の量を学習している傾向が高いのに対して、離脱ユーザーは、「ある日は何十分、何時間も勉強するのに、他の日はほとんど勉強しない」というような学習パターンを示す傾向が高いことを示している。前に述べた「週末にしか勉強しない人」もこのパターンに相当する。週末にしか勉強しないと、平日の分を取り戻そうという心理が働いてしまうのかもしれない。

たくさんの量を短時間で学習する「詰め込み」は、外国語の習得にかぎらず、長期的な学習にとっては効果が低いということが、心理学などの分野の多くの研究によって示されている。外国語を習得するには、少しずつでも良いので、ほぼ同じ量を毎日コンスタントに学習する方が良いと言えるだろう。

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成功する学習者の特徴3:復習をする

Duolingo には、新しい単語や文法規則を学習するための「レッスン」の他に、これまでに習った内容を復習できる「練習」という機能がある。

データから分かった「成功する学習者の特徴」の3つ目は、この「練習」を多くする人の方が、外国語学習を継続できる可能性が高いというものだ。

外国語を学習する際は、新しい単語や文法規則などを、読んだり聞いたりした時に意識的に考えなくても意味が分かったり、書いたり話したりする時に自然と出てきたりするぐらいのレベルまで、体に染み込ませる(これを、自動化と呼ぶ)ことが重要だ。このためには、習った内容をそのままにせず、練習を通じて記憶をより強固なものにすることが必要不可欠になる。

Duolingo などのアプリに限った話ではないが、スピーキング(実際に、ネイティブスピーカーなどとその外国語を使って会話をすること)はとても大切だ。会話は、単にスピーキングの練習になるというだけでなく、習ったことを総動員するので、記憶の定着、知識の自動化などにとても効果的だからだ。ネイティブスピーカーが近くにいない場合は、チャットボットなどを相手に練習するのも良いかもしれない。

逆に、教科書を読み返したり、大事な項目に下線を引いたりすることは、単純で多くの人が実践している学習法だと思うが、記憶の定着という意味では学習にとってほとんど効果がないことが心理学の研究によって分かっている。単語の意味を覚えているかどうか単語カードを使ってテストしたり、書いたり話したりする際に外国語の文をきちんと組み立てられるか練習したりといった、なるべく記憶に負担をかけるような練習が効果が高いとされている。

なお、復習の際には、単語や文法項目などを「ちょうど忘れかけたタイミング」に、「だんだんと練習間隔を伸ばして」復習するのが良いとされている。この手法は、心理学の分野で間隔反復と呼ばれており、外国語学習に限らず、さまざまな学習システムに応用されている。ただし、「ちょうど忘れかけたタイミング」というのは、個人の能力や、単語や文法項目、学習中の言語や母語など、さまざまな要因によって変わってくる。人間の脳の中を直接のぞけない以上、このタイミングを適切に推定するのはとても難しい。Duolingo では、大量のユーザーから毎日生み出される大規模データと機械学習を使い、この復習タイミングをさまざまなパラメーターから適切に推定することができる半減期回帰法という手法を開発した。このおかげで、ユーザーに対して適切なタイミングで、適切な単語・文法項目の練習をうながすことができる。

結局、毎日少しずつ練習をすること

「地道な継続が大切」という割と当たり前の結論に、がっかりした方もいるかもしれない。しかし、高価な教材を買ったり、英会話学校に入学しなくても、「詰め込みをせずに、毎日少しずつでも、地味に練習をする」ことによって、外国語の力は着実についていく。本記事が、そのための励みや道しるべになれば幸いである。

フォームの設置から顧客データの管理までワンストップで提供する「formrun」が正式リリース

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日本のスタートアップであるmixtape合同会社は本日、クラウド型のコンタクト管理サービス「formrun」をリリースしたと発表した。同サービスのオープンβ版は今年2月から公開されていたが、今回が正式版のリリースとなる。

フォームの設置から顧客情報の管理までワンストップで

mixtapeが展開するコンタクト管理サービスのformrunを利用すれば、専門知識が無くてもコンタクトフォームをWebサイトに簡単に設置することができる。それだけでなく、顧客情報を獲得するためのフォーム作成、入力された顧客情報の管理、そして顧客とのコミュニケーションをワンストップで行うことが可能になる。

同プロダクトには無料版を含む3段階のプランが用意されており、フリーミアム型のマネタイズ方式を採用している。作成できるフォームが無制限で、利用できるメンバー数が3名までの「STARTERプラン」は月額2980円、メンバー数が10名以上の企業向けには月額9800円の「PROFESSIONALプラン」が用意されている。

同プロダクトの主なターゲットとなるのは、少人数で経営されるショップや個人事業主、そして中小規模の企業だ。formrunのオープンβに参加したユーザーは500社で、そのうち法人と個人事業主の割合は5対5だった。

Webサイトの「トンマナ」に合わせてフォームをカスタマイズできる

正直なところ、コンタクトフォームの設置だけならGoogle Formsを使えばいい。Webサービスにある程度慣れた人であれば、フォームを作成するのも簡単だし、設置もHTMLの埋め込みタグを貼り付けるだけだ。ショップや企業のWebサイトの製作運営を担当するWebデザイナーやエンジニアにとっては、これほど簡単な作業はないだろう。

だが、mixtape共同創業者の堀辺憲氏によれば、formrunの必要性を一番強く感じているのは、そのWebデザイナーやエンジニアだという。その理由は大きく分けて2つある。

1つ目の理由は、デザインのカスタマイズ性が限られているGoogle Formsと違い、formrunではデザインを自由にカスタマイズすることが可能だという点だ。Google Formsでも数種類のデザイン・テンプレートは用意されているものの、一歩踏み込んだ高度なデザインカスタマイズをするのは難しい。デザインを完全にカスタマイズするためにゼロからフォームを構築しようにも、バリデーションや通知機能を整える必要があるフォームは、表はシンプルに見えるが、裏側の工数は意外に多い。

formrunの「クリエイター機能」には20種類以上のテンプレートが用意されていて、テキストを入力したり、入力が必須の項目とそうでない項目を分けたりするだけで簡単にフォームの作成が可能だ。設置から運用までにかかる時間は1時間ほどで、堀辺氏は「自分の母親でも簡単にフォームが作成できるようなサービスを目指した」と話す。HTMLやCSSを使ってデザインを自由に変更することもでき、設置はWebサイトにコードを貼り付けるだけで完了する。

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コンタクトフォームはWebサイトを構成する要素の1つでしかないが、だからこそ、フォームのトーン&マナーをWebサイトのデザインと合わせることは重要だ。堀辺氏は「formrunのオープンβに参加したコイニー株式会社は、以前からWebサイトに設置していたGoogle Formsのフォームからformrunに切り替えたところ、コンバージョン率が30%増加した」と話している。

フォームに入力された顧客情報をチームで管理

2つ目の理由は、formrunでは単なるフォーム作成だけでなく、フォームからインプットされた顧客情報をチームで管理ができるという点だ。これにより、Web開発者たちは「資料を問い合わせできるフォームを作ってほしい。それと、その見込み客の管理もしたい」というような、営業部門などの「非開発者サイド」からの要望にもすぐに対応できる。

formrunのフォームに入力された情報は自動的にデータベース化され、それを管理する「マネージャー機能」には2つのインターフェイスが用意されている。ボード管理とリスト管理だ。

ボード管理では、タスク管理ツールの「Trello」のように顧客をステータスごとに管理することができる。「顧客カード」としてまとめられた顧客情報を、「対応中」や「急いで対応」などのステータスごとに分けられたカラムに振り分けて管理するのだ。顧客情報がまとめられている顧客カードには「タイムライン」と呼ばれる機能も備えられており、社員が顧客について投稿したコメントや、メールのやり取りなどはチーム全体で共有される。
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一方のリスト管理はExcelに似たインターフェイスを持っており、データの並び替えをする時などに適している。ExcellやGoogleスプレッドシートなどと同じ感覚で操作できるのも特徴だ。

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フォームを利用して顧客とのリレーションを築く

「formrunが目指すのは、iPhoneにプリインストールされたアプリのようなもの。機能を省いたエッセンスのみを提供することで、最低限必要な機能に迷うことなくリーチできるようなサービスをつくりたかった」という堀辺氏の言葉の通り、formrunで提供されている顧客管理機能はごく基本的なものだ。機能だけを比べれば、高度な機能をもつSalesforce.comZendeskなどには到底及ばない。しかし、小規模の事業体は高いコストや導入までに時間のかかる高度なCRMサービスを導入できるリソースを持ちあわせていないことも多い。

それに、大規模なプロモーション活動を展開できる大企業とは違い、個人事業主、ショップ、中小企業がもつ顧客との「接点」は限られている。彼らにとってフォームとは、貴重な顧客情報を入手できる限られた方法の1つなのだ。そのため、顧客との接点である「お問い合わせフォーム」の情報がメールボックスに直接届くようなシステムでは、顧客とのリレーションを築くための貴重な機会をみすみす逃しかねない。

つまり、高度なCRMサービスとシンプルなフォーム作成サービスとの間に存在する空白地帯こそがformrunの事業領域である。そこでライトウェイトなCRMシステムを提供するという彼らのサービスで、ここには一定の需要がありそうだ。

同社は2017年度中に有料会員を1万社獲得することを目指している。来年の春には「どの顧客がどのキャンペーンに登録したのかなど、顧客と企業との関係値を可視化できる」機能を追加し(渡辺氏)、顧客管理機能の強化を進める予定だ。

“ペット系”スタートアップのシロップ、CAVやiSGSから資金調達——保護犬猫マッチングサービス強化

左からエウレカ共同創業者 取締役副社長COO兼CFOの西川順氏、シロップ共同創業者兼代表取締役の大久保泰介氏(と社員犬のコルク)、シロップ共同創業者兼CTOの市川俊介氏、iSGSインベストメントワークスの五嶋一人氏、サイバーエージェント・ベンチャーズの竹川祐也氏

左からエウレカ共同創業者で取締役副社長COO兼CFOの西川順氏、シロップ共同創業者兼代表取締役の大久保泰介氏(と社員犬のコルク)、シロップ共同創業者兼CTOの市川俊介氏、iSGSインベストメントワークス代表取締役 代表パートナーの五嶋一人氏、サイバーエージェント・ベンチャーズ シニア・ヴァイス・プレジデントの竹川祐也氏

ペットを軸にしたサービスを展開するスタートアップのシロップ。同社は12月15日、サイバーエージェント・ベンチャーズ、iSGSインベストメントワークス、エウレカ共同創業者で取締役副社長COO兼CFOのの西川順氏ほか個人投資家を割当先とした第三者割当増資を実施した。金額は非公開だが、関係者によると数千万円規模と見られる。

シロップは2015年3月の設立。同年7月にペットとの思い出を保存・管理するアルバムアプリ「HONEY」をリリース。12月からはペットの健康管理やしつけなどの情報を伝えるメディア「ペトこと」を公開している。また2016年11月には保護犬猫と飼いたい人を結ぶマッチングサービス「OMUSUBI(おむすび)」の提供を開始した。

OMUSUBIでは、シロップが独自の基準で認定した保護団体の保護する犬猫情報のみを掲載。サイトを見て飼いたいと思った犬猫がいれば、サイト上で申請を行うことができる。その後譲渡会や面談、トライアル飼育期間を経て正式に譲渡を行う。譲渡自体には団体が任意で設定した譲渡金(寄付)がかかるが、一般社団法人「つむぎ」(12月設立予定)と提携する動物病院やペットサロンのサービスを割引料金で受けることができるとしている。

同社では今回調達した資金をもとに、OMUSUBIのサービス改善、機能開発を進めることで、殺処分問題(2015年度で犬猫合わせて8万匹以上が殺処分されているのだそう)の解決とペットを保護犬猫から飼う文化の醸成につなげるとしている。ただ正直なところ、それだけではビジネスが回るかというと難しそうだ。同社ではOMUSUBIによってペットの殺処分問題解決や保護犬猫を飼うという文化を醸成していく一方、2017年以降はペットのヘルスケア領域の課題解決に取り組むことで本格的なマネタイズを進めるとしている。

具体的には、来年夏頃をめどにHONEYとペトことのアップデートを行うほか、ペットのライフログを集積し、最適なタイミングで最適な情報や物品を提供する「飼育のトータルサポートサービスを提供していく」(シロップ)としている。

好きなキャラと生活できる“バーチャルホームロボット”の「Gatebox」、期間限定の予約販売を開始

ウィンクル代表取締役の武地実氏(左)とプライマルキャピタルの佐々木浩史氏(右)

ウィンクル代表取締役の武地実氏(左)とプライマルキャピタルの佐々木浩史氏(右)

「好きなキャラクターと一緒に生活できる」——2015年2月にそのコンセプトを明らかにし、2016年1月にはプロトタイプも披露してくれたウィンクルのバーチャルホームロボット(当初はコミュニケーションロボットと呼んでいた)「Gatebox」。その販売がいよいよスタートする。ウィンクルは12月14日、公式サイトにてGateboxの限定予約販売を開始した。価格は税別29万8000円で、販売対象は日本および米国。販売期間は2017年1月31日まで。予約販売台数は300台程度を見込んでいる。なお発送は2017年12月以降と少し先の予定になっているている。

Gateboxは、そのボックス内のスクリーンにキャラクターの映像を投影。各種センサーと組み合わせることで、ユーザーとコミュニケーションを取ることができるロボットだ。例えば朝になればユーザーを起こし、さらに起きたかどうかを確認して「おはよう」とあいさつをし、その日の予定を教えてくれる。夜帰宅すれば、電気を付け、「おかえり」のあいさつをしてくれるといった具合だ。筐体のボタンをタッチしてから話しかけたり、iOSとAndroid向けに用意されるアプリを通じて、疑似的なチャットを行いコミュニケーションをとったりするほか、Googleカレンダーのスケジュールを共有するといったことも可能だ。まずは以下のコンセプト動画を見てもらったほうが分かりやすいと思う。

本体にはプロジェクターのほか、スピーカー、カメラ、マイク、タッチボタン、人感センサー、温湿度センサー、照度センサーを搭載。またWi-Fi、Bluetooth、赤外線での通信に対応している。HDMI端子も備えており、接続したPCからプロジェクターを操作することも可能だ。本体サイズは幅220mm×奥行き360mm×高さ520mm。

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ユーザーとのコミュニケーションを行うのは、オリジナルキャラクターの「逢妻ヒカリ(アヅマヒカリ)」。ゲーム「ときめきメモリアル」や「ラブプラス」などにも関わった箕星太朗氏がキャラクターデザインを務めた。なおこの逢妻ヒカリはあくまで“初期販売コンテンツ”という扱い。今後は別のキャラクターが登場することも検討中だという。ウィンクル代表取締役の武地実氏は「例えば違う国の言語に対応するのであれば、その言語専用のキャラクターがいてもいいと思っている」と語る。また同社はこれまでに初音ミクとのコラボレーションも行っている。今後IPモノのキャラクターが登場するような可能性もあるとしている。

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ユーザーは当初、この逢妻ヒカリと(1)アクティブ・コミュニケーション:ユーザーの動きや時間に合わせて自律的に話しかける(2)トーク・コミュニケーション:ユーザーの音声を認識し、その内容に合わせた返事をする(3)チャット・コミュニケーション:チャットアプリを通じてメッセージのやり取りをする——の3種類のコミュニケーションが可能だという。

今回の予約販売に先駆けて僕も製品版のGateboxのデモを見ることができたが、筐体のデザインもプロトタイプに比べてはるかにブラッシュアップされていた。製品版に合わせて逢妻ヒカリの3Dモデルも作り直したほか、モーションについても200以上用意したという。

ウィンクルでは今後、定期的にGateboxの予約販売を行いつつ、製品のブラッシュアップを進めるという。「イメージしているのはアップルのような会社。ソフトもハードも最高のものを自社で作っていきたい。当面はGateboxのバージョンアップを進めていくが、今後はより体験を拡張する製品を提供していきたい」(武地氏)

ウィンクルは2014年2月の設立。これまでインキュベイトファンド、プライマルキャピタル、iSGインベストメントワークスから合計約2億円の資金を調達している。

Android Payが日本でも可利用に、まず楽天とパートナー

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Android Payが継続している国際展開の一環として今日(米国時間12/12)は、日本でローンチした。それは、Appleのモバイル決済サービスが日本に上陸してからほぼ6週間後になる。

Googleは楽天とパートナーし、楽天のEdy決済システムでAndroid Payを動かす。そのシステムは、Family Mart, Lawson, McDonald’s, Dominosなど国内の47万箇所あまりで使える。また楽天のSuper Pointsをはじめ、ポイント・サービスもサポートされる。

Googleによると、同社の計画では今後、FeliCa Networks(SonyによるRFIDスマートカードシステム)との提携に努力し、さらにそのほかのeMoneyサービスや、従来型の決済企業(Visa, Mastercard, 三菱東京UFJ銀行など)のサポートも推進していく。

今Android Payが使える国は、アメリカ, イギリス, アイルランド, ポーランド, シンガポール, オーストラリア, 香港, 日本, そしてニュージーランドだ。サポートされるデバイスはAndroid Kitkat 4.4以上の機種、そこにモバイルのウォレットアプリをダウンロードできる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

1000億ドル目標のSoftBank VisionファンドにAppleも参加を検討

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Wall Street Journalの記事よれば、Appleは日本のSoftBankの1000億ドルのファンドに10億ドルを出資することを検討しているという。

総額1000億ドルの資金を集めることを目標としているSoftBank Vision FundにAppleも出資するとなれば、世界最大のテクノロジー・ファンドに世界最大のテクノロジー企業が参加するわけだ。SoftBank自身は250億ドルを出資し、サウジアラビア政府も450億ドルを出資する。

このファンドはドナルド・トランプ次期大統領が先週いくぶん不正確に自分の手柄として紹介したのと同じものだ。このファンドの組成は選挙戦以前に報じられていたが、トランプはSoftBankのCEO、孫正義氏と会談した後、SoftBankが500億ドルをアメリカに投資するとツイートしていた。

SoftBankのファンドは人工知能やIoTなどの新しいテクノロジーを中心に投資を行う。Appleも参加するのであれば、こうした分野のイノベーションに有力な知見が加わることになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

住宅ローン借換で浮いたお金を原資にリフォーム提案、日本のWhatzMoneyが新サービス開始

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住宅ローンの比較・検索サービス「WhatzMoney住宅ローン」を展開する日本のWhatzMoneyは本日、リフォーム会社比較サイトの「リショップナビ」を運営する株式会社アイアンドシー・クルーズ(以下、IACC)と業務提携をすると発表した。これにより同社は、住宅ローンの借り換え支援サービスの「ゼロカラリフォーム」をローンチする。

WhatzMoneyが展開中のWhatzMoney住宅ローンは、763社の金融機関が取り扱う1万7000件以上の住宅ローンを網羅するサービスだ。一方で、IACCが運営するリショップナビには1200社以上のリフォーム工務店が加盟しており、同サービスはこれまでに累計で3万人を超えるユーザーを獲得している。この2社が手を組んで新しくローンチするサービスが「ゼロカラリフォーム」だ。

WhatzMoneyは同サービスを通して、リショップナビに加盟するリフォーム工務店に、住宅ローンの借り換えシュミレーションやフォローアップサービスを提供する。工務店はゼロカラリフォームを利用してリフォーム希望者に住宅ローンの借り換えを促し、借り換えによって浮いた金利支払額の差を元に、リフォーム希望者の実質的な負担を抑えたリフォーム提案をすることが可能になる。

矢野経済研究所の調べによれば、2015年の日本の住宅リフォーム市場規模は約6.5兆円だった。既存の住宅を有効活用したいというニーズの増加を背景に、今後10年間でこのマーケットの市場規模は約7.4兆円まで拡大すると言われている。しかし、実際の現場におけるリフォームの受注には大きな壁がある。それは、高額なリフォーム費用だ。

平均的なキッチンまわりのリフォームでは100万円から150万円程の費用がかかり、より規模が大きなリフォームの住宅の増改築では、200万円から300万円程の高額な費用がかかることもある。実際のリフォーム受注の現場では、たとえ消費者にリフォームの希望があっても高額な費用を前に断念してしまうケースもあるようだ。

そこでゼロカラリフォームでは、消費者にローン借り換えによって得られるメリットを具体的に提示することで、実質的な負担を抑えたリフォーム提案を実現しているのだ。

ゼロカラリフォームではまず、IACCが運営するリショップナビによってリフォーム希望者とリフォーム工務店をマッチングする。消費者の住宅ローン情報を元に、工務店はWhatzMoneyに住宅ローン試算の申し込みをする。申し込みを受けたWhatzMoneyは、工務店に借り換えシュミレーションと住宅ローンプランについてのサポートを提供する。工務店はそのシュミレーション結果を利用して、借り換えによって得をする具体的な金額を消費者に提示し、それを原資にしたリフォーム提案を可能にするという仕組みだ。WhatzMoneyは借り換えを決断した消費者に対してフォローアップサポートも提供している。

WhatzMoney代表取締役社長の前田一人氏は、「不動産営業の方は、不動産の専門家であって、住宅ローンの専門家ではありません。そのため、多くの不動産営業の方が”どの住宅ローンがお客様に最適なのかわからない”などという課題を持っています。本サービスにより、不動産営業の方は住宅購入者に最適な住宅ローンの提案ができるようになります」と説明する。

同サービスにとって追い風となるのが、日本の金利水準だ。長期金利が継続的に低下を続ける日本では、住宅ローンの借り換えによるメリットが大きい。

10年以上の住宅ローンは、10年もの国債金利(長期金利)と連動する。過去10年間の長期金利を見てみると、2016年では1.5%を超す水準にあった長期金利はその後下落を続け、マイナス金利政策の導入が始まった今年は0%を切る水準で推移していた(11月中旬からは再び0%を上回る金利水準となっている)。

例として、借入残高が2000万円で、残りの借入期間が20年、金利1.5%の住宅ローンを組んでいる消費者を考えてみよう。工務店がゼロカラリフォームを利用して、その消費者に金利が0.5%の住宅ローンへの借り換えを提案できた場合、その消費者が手にする「借り換えによるメリット」は200万円となる。先ほども述べたように、平均的なキッチンのリフォームにかかる費用が100万円から150万円だということを考えれば、非常に魅力的な提案だと言えるだろう。

しかし、ここまでメリットの大きい住宅ローンの借り換えを検討していない消費者も多い。「住宅金融支援機構の調査によれば、およそ50%の住宅ローン利用者が自身の住宅ローンの内容を理解しておらず、日々の生活の中で、住宅ローンの見直しなどを行う機会がありません」とWhatzMoneyの前田氏は話す。そもそも借り換えによるメリットを消費者が理解していなかったり、知っていても面倒くさくて手がつけられない、というのが現状なのだ。

日本のスタートアップの中にも、MFS株式会社の「モゲチェック」など住宅ローンの借り換えを促すアプリやサービスなどはある。しかし、MFSが2つ目の有人店舗を11月にオープンしたことからも分かるように、消費者に借り換えのメリットを理解してもらうという点が各社にとって最大の課題となっているのだ。

その点、WhatzMoneyは今回の業務提携により、「この資金を利用すれば、このリフォームが可能になる」という具体的なメリットを消費者に提示することで、潜在的な借り換えのニーズを引き出す仕組みを構築したと言えるだろう。

日本の独立系VC「グローバル・ブレイン」が200億円規模の6号ファンドで投資開始へ

日本の独立系VCのグローバル・ブレインが200億円規模となる「グローバルブレイン6号投資事業有限責任組合」を設立し、12月末でファンド組成のファーストクローズをして運用額150億円で投資を開始すると発表した。ファンド組成のセカンドクローズを2017年6月末としており、最終的には上限に設定した200億円規模で、2026年までの10年間で運用することになる。この12月にも投資を開始し、年間50億円程度をスタートアップ企業に投資していく。

グローバル・ブレインはEC、ゲーム、メディア、教育、クラウド、広告、IoT、Fintechなど多ジャンルで国内を中心に幅広く投資してきた日本の独立系VCだ。2001年に森トラストグループをLP出資者として20億円の1号ファンドを組成したのを皮切りに、ニフティ、SBI証券、KDDI、産業革新機構などを出資者として、これまで5つのファンド、累計355億円を運用してきた。

これまでレアジョブ、5Rocks、nanapi、Luxaなどで9つのIPO、26のM&Aのエグジットの実績がある。現在成長中のスタートアップ企業としては、ラクスル、メルカリ、Baseなどがポートフォリオにある。グローバル・ブレインはKDDIや三井不動産など大手企業と協力してCVC運営も行っている。

VCとしての特徴は名前通り活動がグローバルであることと、研究者や技術者としてのバックグラウンドを持つ投資家を内部に持つことだという。特に最近はロボティクスやAIといった研究開発やハードウェアに近い領域での取り組みの比重が増えている。

米国や韓国、東南アジア、イスラエルなどとのVCと協調投資によりグローバルなネットワークを構築しつつあるという。米国スタートアップ企業への投資では、トップティアの海外VCと協調投資を行い、グローバル・ブレインが日本や東南アジア市場の経験、知見を活かした形で戦略的に技術ベンチャーのグローバル展開を支援する枠組みができつつある、としている。

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グローバル・ブレイン代表取締役社長の百合本安彦氏

グローバル・ブレインのLP出資者としては、今回クールジャパン機構、JTB、三井住友銀行も戦略的LPとして参加。クールジャパン機構は50億円を出資している。ほかLP出資者としては住友林業、電通国際情報サービス、KODENホールディングス、KDDI(KDDI Open Innovation Fund)のほかに大学、海外機関投資家なども含まれるという。グローバル・ブレイン代表取締役社長の百合本安彦氏は都内で開催した自社イベントで「海外機関投資家から出資を受けたのは日本のVCとしては初めて」といい、「官」からの資金に加えて、大学、産業界からの出資により、産官学連携を進めやすい枠組みができたと話した。

日本の大手有力企業をLP出資者として持っていることで、スタートアップ企業の持つ技術シードを社会課題へ素早く適用していく狙い。特にグローバル・ブレインが強調するのは2020年の東京オリンピックで、観光やインバウンド産業の競争力強化を目指すとしている。

スタートアップ企業への投資に回る資金であるファンドの資金は近年増えつつある。2008年のリーマンショック以降に極端に落ち込んでいた国内VCのファンド組成額は250〜300億円と低調だったが、日本ベンチャーキャピタル協会の調査によれば、2016年上半期の組成額はすでに2500〜2600億円と、今年は3500億円に達する見込みだ。事業シナジーを見込んだ大手企業によるCVC設立やLP出資が、この流れの背後にあり、ファンド組成のニュースが続いている。

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SFから現実世界へ広がるAI、その質を左右するのは?

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TechCrunch Tokyo 2016で11月17日の夜に行われたセッション「機械学習と音声UIのゆくえ、元Cortana開発者に聞く」では、人工知能が適切に学習していくために不可欠な、「適切なデータ」の提供に特化したスタートアップ企業、DefinedCrowdの共同創業者兼CEO、ダニエラ・ブラガ氏が登場し、AIや機械学習の動向を説明するとともに、新たなβプラットフォームを発表した。

SFから現実へ、多様化進むAIの姿

2001年宇宙の旅の「HAL 9000」、ナイトライダーの「K.I.T.T」、そしてエクス・マキナの「エヴァ」——古今東西、さまざまな小説や映画の世界では、人間と対話し、考え、自ら判断を下すAIの姿が描かれてきた。ブラガ氏は今、それらが「SFから現実になろうとしている」と述べた。

すでに世界中で多くの企業がAIとそれを搭載したロボットの開発に取り組んでいる。音声認識機能や自然言語処理機能を備えた家庭用AIロボット「Jibo」はその一例だ。Jiboのオフィシャルトレイラー動画では、人間とのやり取りを通じて学習し、命令に従って写真を撮影してくれたり、子どもと遊んだり、いろんな仕事をしてくれる様子が紹介されている。

ブラガ氏はこうした例を紹介し、AIやロボットには「Pepperのように人間型をしているものとそうでないもの、体を持たないソフトウェアだけのものとハードウェアを持つもの、そして(同氏が開発者の1人である)CortanaやWatsonのように音声で会話を行うものと、テキストチャットで意思疎通を図るものなどさまざまなものがある」と説明。市場規模はますます拡大するだろうと述べた。

さて、AIとはそもそも何なのだろうか。ブラガ氏は「人の振る舞いを真似て、認知し、会話し、考え、ビジョンを持つもの」と定義する。そして機械学習は、AIが学習していくための1つのテクニックという位置付けだ。AIはさまざまなアルゴリズムを使って機械学習を行い、より賢くなっていく。

データの質がAIの質を左右する

AIの機械学習にはデータが欠かせない。しかしそのデータの質が、時にAIそのものの質を左右することになる。かつてマイクロソフトでCortanaの開発に取り組んだ経験を持つブラガ氏が新たに起業した理由は、そこにあるという。

「今や人間は日々、2.5クィンティリオン(10の18乗)というとんでもない量のデータを生み出している。しかもその9割は、機械が処理できる構造化データではなく、非構造化データだ」(同氏)

photo02加えて、これまでのAI分野でのさまざまな経験も、起業の理由の1つになった。「マイクロソフトでCortanaを開発する際、学習のためのデータはアウトソーシングで集めてこなければならなかった。しかしそのデータのうち2割は質の悪いデータだった。もし質の悪いデータを受け取って学習されると、何が起こるかを紹介しよう」とブラガ氏は述べ、過去にメディアでも報道されたいくつかの残念な例を挙げた。

1つは、マイクロソフトがTwitterで公開したチャットボット「Tay」だ。Tayはユーザーとのやり取りから学ぶように作られていたが、数時間後には人種差別発言を繰り返すようになり、公開後わずか24時間で停止に追い込まれた。また、グーグルが2015年5月に公開したフォトアプリ「Google Photos」は、アップロードされた画像を解析し、自動的にタグを付ける人工知能機能を搭載していたが、2人の黒人が写った写真に「ゴリラ」とタグを付け、謝罪する事件も発生している。いずれも「Garbage in, garbage out」の典型例と言えるだろう。

「このように質の悪いデータを用いると、AIの機械学習にも影響が及んでしまう。AIは構造化され、かつクリーンなデータで学ばなければならない。そこにわれわれの役割がある」とブラガ氏。同氏らが設立したスタートアップ企業のDefinedCrowdは人工知能をトレーニングするためのデータを収集し、構造化し、機械学習に使えるプラットフォームを影響することが役割という。

自然言語処理技術とクラウドソーシングを組み合わせたプラットフォームを提供

同社のプラットフォームは、技術とクラウドコミュニティーを組み合わせて実現されている。入力データに対し、音声認識や自然言語処理といったパイプライン処理を加え、そのデータに対してさらに、世界53カ国、46の言語をカバーする約5000人のクラウドソーシング協力者(学生らが中心という)がタグ付けなどの処理を行う。そうした質の高いデータを用いて学ぶことによって、機械学習のクオリティを保つことができると同氏は説明し、人を介することによる品質の高さとスピード、そして世界の言語の9割をカバーする拡張性が、同社プラットフォームの特徴だとした。

DefinedCrowdはこの日、TechCrunch Tokyo 2016に合わせて、新たなプライベートベータ版を発表した。音声処理テンプレートの強化に加え、新たに画像処理用のデータ群ならびにデータパイプラインを追加したことが大きな特徴だ。イメージおよび動画のタグ機能や感情ラベリング、診断システムなども搭載されているという。

ブラガ氏によると既に、Fortune 500も含むいくつかの企業が同社のプラットフォームを利用し、AI開発に活用しているという。広告やメディア企業も含まれており、「例えば、インターネット上で自社ブランドに関してどんな会話が行われているかを知りたいというときには、プラットフォーム上でパイプラインを作るとクリーンなデータが構造化された形で流れ込み、傾向を把握できる」そうだ。フレッシュなデータを得てフィードバックできることも利点という。

最後にブラガ氏は、「AIはこれから5年で、コールセンター、クルマや公共交通機関、さらには小売店鋪や医療、音楽、教育(特に外国語学習)、高齢者の介護など、あらゆる領域に普及していくだろう。わたしのお気に入りだけれど、家事もその1つに入るだろう」と予想し、セッションを締めくくった。

freeeがマネーフォワードを提訴、勘定科目の自動仕訳特許侵害で

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注目を集めるFintech業界だが、スタートアップ企業が競合スタートアップ企業を提訴するというニュースが飛び込んできた。

クラウド会計を提供するfreeeが、同じく家計簿やクラウド会計を展開するマネーフォワードに対して特許権侵害を理由とした「MFクラウド会計」の差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起したとことが明らかになった。freeeはマネーフォワードと協議を行ったものの進展が見られなかったことから止むを得ず今回の提訴に至ったとしている。

ここで問題となっている特許はfreee創業者で代表取締役の佐々木大輔氏らが2013年10月に出願して2014年3月に登録(成立)された、勘定科目の自動仕訳に関する特許「第5503795号」だ(参考リンク)。

この特許は「会計処理装置、会計処理方法及び会計処理プログラム」と名付けられたもので請求範囲は広い。まず各種金融機関やクレジットカード会社などからスクレイピングしてきた取引情報について、そこに含まれる文字列などから対応テーブルに基いて仕訳項目を自動判別する機能が含まれる。ほかに、中小企業や個人利用者の利用実体に即した機能についても言及がある。具体的には、企業会計の原則である「発生主義」について、個人事業主などでは時期的制約が緩やかであるという実情に沿ったプログラムを提供するとしている。freeeは2016年に入ってからもAIを用いた精度の高い自動仕訳機能で特許を取得したとしていて、TechCrunch Japanでも6月に記事にしている。一方マネーフォワードは8月末に「機械学習を活用した勘定科目提案機能」を発表している。

freeeは「企業が多くの試行錯誤を経ながら取り組んだ技術開発の成果は正当に保護され、尊重されるべきであり、スタートアップ業界においても各社が独自技術の開発に注力し、ユーザー便益を最大化するサービ スが淀みなく生まれていく環境を整えていく必要」とコメントしている。

具体的にどの機能や、特許の請求範囲が侵害であるとしているのか現時点では不明だ。マネーフォワード側は「特許侵害の事実はないと考えています。裁判の手続きの中で明らかにしていきたい」としている。

freee、マネーフォワードともそれぞれ累計約約52億円、約48億円と大型資金調達をして急成長しているとはいえ訴訟はリソースを食う。クラウド会計サービス市場を牽引してきたスタートアップ企業2社による訴訟は業界で波紋を呼びそうだ。

【追記】2社で「協議を行った」というfreee側の主張について、マネーフォワード側は「協議の日程候補をご連絡いただきましたが直近であったため、別途当社から日程をお送りいたしました。弊社からの候補日を取り合っていただけず、その後訴状が届き本件訴訟へと至っております」とコメントしている。一方、TechCrunch Japanからfreeeに対して具体的な「協議」の時期や回数、方法、協議参加者について問い合わせたところ、「代理人を介しての協議となります」との回答を得た。

Niantic、「新しいポケモンがやって来る」と確認―週明けに新キャラ多数追加へ

Pokemon figures are seen at the International Tokyo Toy Show 2016 in Tokyo, Japan June 10, 2016. (Photo by Hitoshi Yamada/NurPhoto via Getty Images)

膨大なユーザーを抱えるスマートフォン・ゲーム、ポケモンGOを開発したNianticは来週月曜日に新しいゲーム・キャラクターが登場することを明らかにした。

「12月12日にはソーシャルメディアのニュースに注意を払うことをお勧めする。われわれはポケモンGOの新キャラクターを紹介することを予定している」と Nianticは声明に書いていてる

この拡張現実ゲームではユーザーは現実世界に隠れているポケモン・キャラを発見し、捕獲することがでる。7月に登場すると即座にiTunesで1位のアプリとなった。 その後、同じキャラばかり捕まえるのに少々飽きたかしてユーザー数は下降ぎみになっていた。新しいキャラクターのリリースはファンを喜ばせ、ゲームを再活性化させそうだ.

アメリカのキャリヤ、Sprintは水曜日に同社の1万500箇所のショップ等をポケストップとポケジムにするとを発表している。これによって多くのユーザーがSprintの店先に足を止めてくれることを狙っているようだ。このニュースを受けてSprintの株価は7%アップした。

カフェのStarbucksもポケモンと同様の提携を結ぶのではないかと話題になっっている。Starbucksはすでにポケモン提携のドリンクを販売している。

Nianticはハロウィンと感謝祭にもこうした休日にふさわしいテーマをあしらったプロモーションを大々的に展開した。われわれは新キャラのDitto〔メタモン〕の追加を紹介している。

ポケモンGOは今年のTechCrunchのCrunchies賞のファイナリストにも選ばれた。

情報開示:TechCrunchの親会社はVerizonでSprintとは競争関係にある。

画像: Hitoshi Yamada/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「心より深くおわび」WELQを契機にした“キュレーション問題”でDeNAが謝罪

左からDeNA執行役員経営企画本部長の小林賢治氏、代表取締役CEOの守安功氏、創業者で取締役会長の南場智子氏
左からDeNA執行役員経営企画本部長の小林賢治氏、代表取締役CEOの守安功氏、創業者で取締役会長の南場智子氏

左からDeNA執行役員経営企画本部長の小林賢治氏、代表取締役CEOの守安功氏、創業者で取締役会長の南場智子氏

ディー・エヌ・エー(DeNA)が手がけるキュレーションプラットフォーム「DeNA Palette」。中でも医療・ヘルスケア領域を対象にした「WELQ」の記事の信頼性に端を発した大騒動についてはTechCrunch Japanでもこれまで複数の記事でお伝えしてきた。

これを受けるかたちでDeNAは12月7日、東京・渋谷にてDeNA Paletteの全記事非公開化および第三者調査委員会の設置に関する記者会見を開催した。会見にはDeNA代表取締役CEOの守安功氏のほかDeNAの創業者であり取締役会長の南場智子氏、DeNA執行役員経営企画本部長の小林賢治氏の3人が出席(南場氏については、本日になって追加で出席する旨の案内があった)。これまでの経緯を説明したのち、来場したメディアとの質疑応答を行った。

会見の冒頭、守安氏は改めて一連の問題に対して、自社サービスのユーザー、インターネットユーザー、取引先や株主、投資家などの関係者にして、「多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを、心より深くおわび申し上げます。また、直接私からご説明する機会が遅くなってしまったことを、重ねてお詫び申し上げます」として謝罪した。

これまで本件について伝えてきた記事は以下の通り。

信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動

DeNA、ファッション系キュレーションメディアの「MERY」も12月7日より全記事非公開に

改めて今回の経緯を説明すると、DeNAは2014年9月にiemoおよびペロリを買収。加えて2015年4月にはFind Travelを買収。DeNA Paletteとして合計10のキュレーションメディアを立ち上げた(WELQに関しては2015年10月のローンチ)。

だがその後はリンクした記事にあるとおりで、WELQを中心にして医学の知識に乏しい・誤った内容や薬機法に抵触する、もしくはその可能性が高い内容の記事が掲載されているにも関わらず、専門家の監修がなかったことが発覚した。

さらにはDeNA側が既存コンテンツのリライトを指示するようなマニュアルを用意し、クラウドソーシングなどを用いて記事を発注しているといったことなどが報じられた。会見で小林氏は記事作成のプロセス(記事作成は社内のプロデューサーが指示し、実際は社外のディレクターが外部パートナーやライターには中していた)を説明した上で、その品質等について最終的な責任を負う機能が明確に存在してなかったと説明。さらに前述のマニュアルの存在についても明らかにした。

「DeNA Palette」の記事作成プロセス

「DeNA Palette」の記事作成プロセス

そこで11月29日にWELQの全記事を非公開化。12月1日にはそれに加えてMERYを除く8媒体の全記事を非公開化。MERYに関しても、12月7日をもって全記事を非公開化している。

今回の騒動を受けてDeNAでは、WELQを読んだ結果の健康被害や記事の出展などの相談を受け付ける窓口を開設。コーポレートサイトのトップページに掲載するとした。また既報の通り第三者調査委員会を設置。これと並行して社内でプロジェクトチームを発足し体制の健全化に努めるとした。

続いて南場氏が「批判が組織や企業風土のあり方にまで及んだ。取締役会長そして創業者として、責任のある立場にあり、直接おわびを申し上げたく参りました」と謝罪した。これに続き守安氏が冒頭と同じくユーザーや取引先、株主などに対する謝罪の言葉を述べた。このあと2時間以上の質疑応答が続いたが、その様子はのちほど紹介する。

ゲームインフラを”サーバレス”に―、名古屋のワンダープラネットがGS2に出資

gs2

日本のスタートアップ界隈にはゲームを作ったり配信するパブリッシャーは多いが、ゲーム開発に必要な開発ツールやインフラ系サービスを作ろうというスタートアップは珍しい。

2016年9月に名古屋で設立されたばかりのスタートアップ企業「Game Server Services」(GS2)は「サーバレス・アーキテクチャー」とか「FaaS」(Function as a Service)と呼ばれる設計思想に基づいたゲーム開発者向けインフラサービスを近日β版として提供予定という。そのGS2が今日、同じく名古屋でスマホ向けネイティブアプリ・ゲームを開発・運営するワンダープラネットから数百万円規模のシード出資を受けたことを明らかにした。

ワンダープラネット自身も2012年創設の名古屋拠点のスタートアップ企業で、これまでグローバル・ブレイン、ユナイテッド、ジャフコ、LINE Game Global Gateway、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、JAIC-ブリッジ、みずほキャピタルなどから12億円以上の投資を受けている。当然ワンダープラネットはゲームシステムの開発・運用を行っているが、今後は自社タイトルでもGS2を導入する予定があるといい、今回のGS2への投資では事業シナジーも見込んでいる。

GS2への出資と同時にワンダープラネットは、同じくスマホ向けゲーム開発プレイネクストジャパンの全株式を取得して100%子会社することも発表している。買収額は数億円前半とみられる。ワンダープラネットは2013年から2016年に社員数が8倍の63人になるなど急成長している。自社開発の新作として、LINEとの提携による大型タイトルをリリースも直前という。

サーバ→クラウド→コンテナ→サーバレスという時代の流れ

「サーバレス」は2015年夏頃から技術者たちが注目している比較的新しい技術アーキテクチャだ。もともとはAmazonがクラウドで始めたAWS Lambdaが発端となっている。当初オンプレミス(会社のサーバルームにサーバを置くこと。スタートアップなら机の下だ)やデータセンターに設置したサーバーを使って提供してきたサービスやアプリケーションは、徐々に仮想化という技術でクラウドやコンテナへ移行。物理サーバーと切り離された運用単位となってスケーリングやアプリのデプロイ(配備)が容易になってきた。とはいえ、クラウドのIaaSやコンテナを使っていると、サーバOSの保守、管理、運用というサーバ管理が必要となる。

それに対して、Amazon Lambdaでは、すでにクラウド上にあるデータなどに対して、ある操作を実行せよという「関数」のように実行できる。1つ1つの実行時間は短く、Amazon Lambdaでは5分以内に実行が終わることが前提となる。そこにはもはやサーバという概念はない。これがサーバレスという形容矛盾のような用語の由来だ。

そうすると何が良いか?

もはやサーバ(インスタンス)を意識する必要はないし、利用したいタイミングで利用した分だけ課金という柔軟なサービス利用が可能となる。ゲーム開発であれば、事前にヒット具合を予測してサイジングしたり、ヒットしたタイミングでインスタンスを増やすといったような運用管理が不要になる。GS2では、小さなゲームタイトルだとサーバエンジニアを雇わずにサービス継続が可能だとしている。

これはプログラミングでも同様だが、相互依存しない複数の関数を組み合わせてシステム全体を設計すると、個々の機能の独立性が高まることから並列実行することが可能となる。またシステム内部の相互依存部分が減ることで人間のエンジニアにとっても自明性が高まるというメリットがある。分散可能ということは関数はどこで実行しても良いので物理的分散によって耐障害性もグンと高まることが期待できる。

ゲームインフラに特化したサービス

GS2が提供するサービスはBaaSやmBaaSと似ているようにも見えるが、ユニークなのは、ゲーム専用にAPIとSDKを用意していることだ。SDKや詳細な技術ドキュメントはここにあるが、現時点で利用可能なサービスを以下に引用してみよう。

・GS2-Auth
GS2-Auth は GS2 のサービスを利用する上で必要となるアクセストークンを発行するサービスです。あらゆるサービスを利用する前に、GS2-Auth を利用してアクセストークンを取得し、そのアクセストークンを利用してサービスを利用することになります。

・GS2-Identifier
GS2-IdentifierはGS2内のサービスで利用される認証システムを提供します。GS2-IdentifierはクライアントIDとクライアントシークレットという2つのトークンを発行します。これら2つのトークンを合わせてGSIと呼びます。GSI毎にどのAPIにアクセスしてもいいか許可する設定をする機能も備わっています。

・GS2-Matchmaking
マルチプレイヤーゲームを実現するために必要なマッチメイキング機能を提供します。「誰とでも」「カスタムオート」「パスコード」「ルーム」の4種類のマッチメイキング方式を用意しており、様々なニーズに応えることができます。

・GS2-Realtime(Beta)
マルチプレイヤーゲームを実現する際に必要となる通信パケットの中継サーバ機能を提供します。これによりWebSocketを利用したリアルタイム性の高いマルチプレイヤーゲームを待ち受けポートのルーティングなどの問題を高度な技術を要すること無く回避し、実現することができます。

・GS2-Ranking
スコアやクリアタイムを競うようなゲームでのランキングを実現するための機能を提供します。プレイヤー数が数億人単位になったとしても、自分の順位の取得や、とあるスコアを取得したとしておおよその順位を予測する。といった高度な操作を高速に実行することができます。

・GS2-Inbox
メールボックス機能を実現するための機能を提供します。メッセージ開封時に指定したURLに通知する機能などがあるため、通知を受けた際にアイテムを付与することでプレゼントボックスとしてサービスを利用することもできます。

・GS2-Stamina
ゲームをプレイするために必要なポイントであるスタミナ値を管理する機能を提供します。マルチデバイスで同一アカウントを利用した際に、同時にスタミナの消費を行うことで不正に2回プレイする。というような不正行為が行えないよう衝突判定などが実装されています。

・GS2-Timer
指定した時刻に指定したURLにアクセスを発生させる機能を提供します。この機能を利用すれば指定した時刻にアカウントBANを解除するような実装をcronジョブのような原始的な方法を利用しなくても実現できます。

・GS2-Watch
GS2-WatchはGS2で提供しているアプリケーションのモニタリングサービスです。GS2-Watchを利用してメトリックを収集し、条件に従ってアラームを出すこともできます。

・GS2-Notification
GS2-NotificationはGS2で発生したイベントを予め指定したメールアドレスや、URLに通知するサービスです。GS2内のサービスの状況を確認できるGS2-Watchと組み合わせると、サービスの利用状況に応じてアラートを出すことができます。

ちなみに上記サービスは基本的にAWS上で動いているが、統計情報提供のバックエンドには一部GCPのBigQueryを採用するなど異なるクラウド・インフラを使っているそうだ。

かつてゲームエンジンをゲーム開発各社が独自に開発していた時代がある。それがやがて汎用ゲームエンジンを用いた開発にシフトしたように、サーバシステム開発でも、こうした汎用機能セットによって各社のインフラ管理運用を代替していく、というのがGS2の狙いだ。

GS2を創業した丹羽一智CEOはセガ、任天堂出身でゲーム開発、サーバ一ステムの設計・開発業務に従事していたが、サーバレスアーキテクチャに惚れ込んでGS2を創業。今後、家庭用ゲーム機向けの開発者たちもスマホ市場へなだれ込むと見ていて、そうした「一軍レベル」の開発者たちにないサーバ運用の知識を補完するようなサービスを提供していきたいと話している。

GS2のサービスは1時間で数円からという価格で提供を予定しているといい、12月中にもサービス公開するそうだ。

クラウド会計のA-SaaSがシリーズCで3億円を調達、システム刷新へ

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企業会計業務のクラウド化は着々として進行しているが、そこには大きく3つの動きがある。1つは旧来のパッケージ製品のクラウド化。もう1つはFreeeやマネーフォワードのMFクラウド会計のように、SMB市場をターゲットした新興勢力のスタートアップ企業の興隆。最後の1つが、最初から全国の税理士を巻き込んでプロダクトを作ったアカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS:エーサース)の動きだ。そのA-SaaSが新たにシリーズCとして3億円の資金調達を発表した。

A-SaaSは少し変わった創業の歴史を持っている。

2009年に大手会計システムベンダーのJDL出身のベテラン、森崎利直氏が業界関係者を集めて立ち上げたのがA-SaaSだ。当初全国約800の会計事務所を会員として、直接出資を募るという今で言えばクラウドファンディングのような手法で約8億円を調達。これを原資に開発したのがA-SaaSのクラウド型会計システムとなっている。参画した会計事務所はある意味ではプロダクト利用料を先払いしたような格好だ。

A-SaaSは2013年6月の6億2500万円のシリーズA、2014年11月に10億円のシリーズBと、これまで2度の増資を行っている。ただ、シリーズBラウンドと前後して2014年7月に創業者の森崎氏は退任し、後に代表となった佐野徹朗氏も約2年で退任。2016年11月からは新たにメリルリンチ出身の田中啓介氏が代表取締役社長に就任している。

その新社長就任とほぼ同タイミングの今日12月6日に、A-SaaSは追加資金調達と経営の刷新を明らかにしている。AGキャピタル、Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)、香港のArbor Venturesを引受先として総額3億円のシリーズCの資金調達をしたことをA-SaaSはTechCrunch Japanに明かした。Eight RoadsとArborは前回ラウンドから投資しているほか、シリーズAではセールスフォース・ドットコム、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルなどから投資を受けている。

新社長に就任してまだ1カ月の田中氏だが、今回調達した資金の使い道は、ずばり開発のやり直しだと話す。

「顧客(税理士や会計士)の声を聞くと、プロダクト的にまだまだだと言われてる。動作が遅いとか、固まるとか、操作性に難があるのを解消したい。開発陣と話し合った結果、システムをほぼ全面刷新することに決めた」(A-SaaS田中氏)

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A-SaaSの会計(仕訳入力)の画面

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A-SaaSの税務申告(法人税)の画面

現行のA-SaaS製品は「Adobe Air」という一昔前すぎてあまり覚えている人のいないであろうRIAプラットフォーム上で構築されている。マイクロソフトがSilverlightを打ち出し、GoogleがHTML5だと言って、PC向けネットアプリのフロントエンドとして3つの選択肢があった時期の話だ。振り返ってみるとモバイルでネイティブ・アプリが優勢となり、その脇でウェブでHTML5やJavaScriptを使った各種フレームワークが標準となっていったのだった。

現在のA-SaaSはバックエンドにJava、フロントエンドにAdobe Airを使っている。これを、それぞれScalaとExt JSというモダンなWeb開発スタックに置き換えることを計画しているという。2年後、3年後に開発のマイルストーンを設定しているものの、「5年計画だと思っている」(田中氏)というからじっくり取り組む構えのようだ。

現在A-SaaSを利用する税理士(もしくは事務所)のアカウント数は2100〜2200。これを月額2万9800円で提供している。その税理士が顧問などを務める企業数は9万7000社ほどになっているという。潜在利用者ともいえる税理士は全国に3万人ほどいる。「会計、給与、税務申告の3つを税理士向けにクラウドで提供しているのはA-SaaSだけ」(田中氏)といい、ときに中小企業向けの経営コンサルティング業も兼務するような層を取り込もうという方向性だ。

A-SaaSが目指したのは、JDLやTKCといった企業が提供する旧態依然としたオンプレミスのプロダクトをクラウドで刷新する、というものだった。これに賛同した全国の税理士や事務所がプロジェクトに加わった。

一方、自分たちの利用者は税理士ではなく、むしろ第一には中小企業やスタートアップの経営者だ、というのがクラウド会計のFreeeだった。FreeeはモダンなWebアプリとして使い勝手の良さからボトムアップで広がりを見せている。クラウド会計が中小企業と税理士の間に割って入っていき、徐々に税務業務など「上向き」にもサービス範囲を拡大していっている。税理士たちを巻き込んで上から攻めているA-SaaSに対して、使い勝手の良さからボトムアップに攻めているFreeeという構図がありそうだ。

ネットの歴史的に見れば最初はおもちゃだと言われながらもボトムアップによって多数のユーザーからの支持を得たプロダクトが勝っていくパターンが多い。この点についてA-SaaSの田中氏は「税務申告は税理士がやっています。顧問税理士がやっています。会社がやっているケースというのはありません」とアプローチ自体の優位性を指摘している。また上のスクリーンショットにある通り法人税の税務申告などが他社製品との特徴的な差別化だ、としている。

A-SaaSは現在社員数は55人。新たに調達した資金でエンジニア増員を計画している。

DeNA、ファッション系キュレーションメディアの「MERY」も12月7日より全記事非公開に

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先日のインタビューの内容とはどうも状況が異なるようだ。キュレーションメディア「WELQ」の記事公開停止に端を発したディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーションプラットフォーム「DeNA Palette」の公開停止騒動。DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏は残る8つのキュレーションメディアの記事公開停止と自身の役員報酬の減額などを発表していた。

経緯をまとめた記事はこちら

信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に

本件に関する守安氏のインタビューはこちら

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動

当初は子会社であるペロリが運営するファッション系キュレーションメディア「MERY」に関しては、運営体制も異なるため記事の非公開は行わないとしていたが、現時点ではかなりの割合の記事が非公開化されている状況だ。そして本日12月5日、DeNAはMERYに関しても12月7日に全記事非公開とすることを発表した。加えて取締役会の委嘱を受けた社外取締役を含む外部専門家による第三者調査委員会を設置し、事実関係の調査を行なうとしている。

TechCrunch Japanでは現在改めてDeNAへの取材を打診している。状況が確認でき次第、記事をアップデートする予定だ。