米司法省がテック企業Kaseyaを攻撃したハッカーを起訴、別件の身代金6.9億円も押収

米司法省は、米テクノロジー企業Kaseya(カセヤ)に対する7月のランサムウェア攻撃を指揮した容疑で、ランサムウェアREvilのギャングに関係する22歳のウクライナ人を起訴した。また、悪名高いランサムウェアグループの別のメンバーに絡む600万ドル(約6億8000万円)超の身代金を押収した。

Merrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官は11月8日の記者会見で、Yaroslav Vasinskyi(ヤロスラフ・ヴァシンスキー)容疑者が10月に米政府の要請を受けてポーランドで逮捕され、現在、米国への身柄引き渡し手続きの最中だと発表した。ヴァシンスキー容疑者は見つからないようネット上で別名を使用していたが、今はなきランサムウェアREvilの長年関与しており、世界中の企業に対する2500件の攻撃を展開したとして告発されている。

身代金要求額が7億6700万ドル(約868億円)に上るとされるヴァシンスキー容疑者は中でも、米企業1500社超に影響を与え、身代金7000万ドル(約79億円)を要求したKaseyaへの攻撃に関与したとされていることで有名だ。

また、別のREvilアフィリエイトであるロシア人のYevgeniy Polyanin(エフゲニー・ポリアニン)容疑者は、3000件のランサムウェア攻撃を行い、被害者から約1300万ドル(約14億円)を脅し取った容疑で告発されており、米当局はこのハッキングに関連する610万ドル(約6億9000万円)を押収した。ヴァシンスキー容疑者とポリアニン容疑者は、マネーロンダリング、詐欺、保護されたコンピュータへの意図的損害の容疑で起訴されている。

「司法省は、ランサムウェアを使って米国を攻撃した者を特定し、裁くためにあらゆる手段を講じています」とガーランド氏は述べた。

米政府が狙っているのはハッカーだけではない。財務省は11月8日、身代金の取引を促進したとして、暗号資産取引所のChatexに対する制裁を発表した。

さらに、国務省は「Sodinokibi / REvilランサムウェア亜種の多国籍組織犯罪グループで重要な指導的立場にある個人の特定または居場所の特定につながる情報」に対して最大1000万ドル(約11億円)の報奨金を、またREvil亜種のランサムウェア事件に参加した個人の逮捕または有罪判決につながる情報に対して最大500万ドル(約5億6000万円)の報奨金を発表した。

先週は、5月に米国の大手燃料プロバイダーColonial Pipeline(コロニアル・パイプライン)を数日間にわたって操業停止に追い込んだ、いわゆるDarkSideランサムウェアの背後にいるハッカーに関する重要な情報に対して、同様の報奨金を発表した。この前に米国は、Colonial Pipelineがランサムウェアギャングに支払った身代金のうち230万ドル(約2億6000万円)を回収している。

司法省の取り組みにより、過去5カ月でREvilのアフィリエイト7人が逮捕された。欧州の法執行機関であるEuropol(欧州刑事警察機構)は11月8日、REvilランサムウェアを使って5000人を感染させ、恐喝しようとしたハッカー2人がルーマニアで逮捕されたことを発表した。Europolによると、身代金支払いで50万ユーロ(約6500万円)を懐に入れた氏名非公表の2人は11月4日に逮捕された。同日、クウェート当局もランサムウェアREvilの3人目のアフィリエイトを逮捕した。

10月に母国からポーランドに入国しようとして逮捕されたヴァシンスキー容疑者の他にも、2月と4月に韓国でREvilのアフィリエイトと思われる2人の人物が逮捕されたことを当局が11月8日に初めて明らかにした。

Europolは「2021年2月以降、この2つのランサムウェア・ファミリーに関連する計7人の容疑者が逮捕されました。容疑者らは合計で約7000人を攻撃した疑いがあります」と説明した。

今回の逮捕は、17カ国の法執行機関、Europol、Eurojust(欧州司法機構)、Interpol(国際刑事警察機構)が参加した「Operation GoldDust」の成果だ。この作戦には、Bitdefender、KPN、McAfeeなどサイバーセキュリティ業界からの支援もあった。Bitdefenderの研究者は、捜査を通じて技術的な見解を提供するとともに、ランサムウェア攻撃の被害者が身代金を払わずにファイルを復元できるよう、復号化ツールを提供した。

Europolによると、REvil復号化ツールは、ランサムウェア攻撃を受けた1400超の企業のネットワークの復号化を支援し、サイバー犯罪者への支払いを4億7500万ユーロ(約623億円)以上減らした。米当局によると、ランサムウェアREvil全体では、活動を開始してから2億ドル(約226億円)以上を回収した。

今回の逮捕は、ランサムウェア活動を標的とした法執行機関の一連の活動の中で最新のものだ。Europolが10月に主導した作戦では、LockerGoga、MegaCortex、Dharmaなどのランサムウェア攻撃の背後にいると考えられていたウクライナとスイスの容疑者12人が逮捕された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

暗号資産取引所の新グローバル規制対応を支援するNotabeneが約11億円を調達

米ニューヨーク市を拠点とする暗号資産コンプライアンスSaaSスタートアップのNotabene(ノタベネ)は、F-Prime CapitalとJump Capitalが共同でリードしたシリーズAラウンドで1020万ドル(約11億円)を調達した。今回の資金調達により、Notabeneの評価額は4500万ドル(約51億円)となった。

新たな投資家には、資金調達前にNotabeneの顧客であった暗号資産取引所のLunoBitsoの他、BlockfiとGemini Frontier Fundのベンチャーキャピタル部門が含まれる。また、シリーズAではIlluminate Financial、CMT Digital、Fenbushi Capital、ComplyAdvantageのCEOであるCharlie Delingpole(チャーリー・デリングポール)氏も新規投資家として、Castle Island VenturesやGreen Visor Capitalなど既存投資家の輪に加わった。Notabeneは、会社設立から半年後の2020年10月に176万ドル(約2億円)のシードラウンドを実施した。

Notabeneのソフトウェアは、その多くが暗号資産取引所である50社以上の顧客が、2019年に課せられた金融活動作業部会(FATF)の「トラベルルール」を遵守するのをサポートしている。トラベルルールは、FATF加盟国の暗号資産取引所に対し、本人確認(KYC)やマネーロンダリング防止(AML)の規制を確実に守るよう、1000ドル(約11万円)以上の送金について顧客を特定する情報を交換することを求めている。FATFは10月にトラベルルールに関する新たなガイダンスを発表し、取引所がルールを遵守するために必要な事項を明確にした。

Notabeneは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、取引当事者間での情報伝達を可能にする技術を求める取引所のニーズに応えている。識別検証プロセスでは、ブロックチェーン上の匿名のウォレットアドレスを実際の顧客とリンクさせる必要がある。NotabeneのCEOであるPelle Brændgaard(ペレ・ブランドガード)氏はTechCrunchに、取引の当事者とNotabeneだけがこの情報を見えるようにすることが重要だと話した。

また、Notabeneが提供する本人確認サービスは、コンプライアンスを確保するだけでなく、適切な相手との取引を確実に行い、詐欺のリスクを回避したいと考えている消費者の間で暗号資産取引の信頼を築くのにも役立つ、と同氏は付け加えた。

Notabeneは今回の資金調達で得た資金を新規顧客の増加に対応するための技術開発に充てる予定だ。

Notabeneの取締役会に加わるJump Capitalのパートナー、Peter Johnson(ピーター・ジョンソン)氏がTechCrunchに語ったところによると、投資家であるJump Capitalが実施した調査に回答した25の暗号資産取引所のうち、90%がトラベルルール遵守のためにNotabeneを利用する予定だ。ジョンソン氏は、Notabeneの製品が暗号資産業界の重要な問題を解決しているという「市場からの圧倒的なフィードバック」が、Jumpの投資の部分的な動機だったと述べた。

Notabeneの最大の競合相手は、コンプライアンスのための一元化されたプロトコルを導入している業界のワーキンググループだ。Fidelity InvestmentsやStandard Charteredなどの銀行がメンバーに名を連ねるTravel Rule Protocol(TRP)ワーキンググループは、その代表的なものの1つだ。このような一元化されたプロトコルにより、メンバーである機関や取引所はデータを共有し、ユーザーはコンプライアンスに則った取引を簡単に行うことができる。

これらのグループのメンバーは米国拠点の取引所に集中していることから、排除を助長する可能性がある、とブランドガード氏は話す。

「例えば、当社はナイジェリアを拠点とする会社をいくつか顧客に抱えていますが、ナイジェリアには暗号資産に関する規制の枠組みがありません。ですので、この分野のゲートキーパーがいて、『完全に規制に則った企業のみを対象とする』と言えば、顧客企業は自動的に排除されてしまいます」とブランドガード氏はTRPのようなグループについて述べた。

同氏によると、Notabeneの創業チームと初期従業員の多くは、分散型アイデンティティのスタートアップ企業UPortの出身だという。UPortでの経験を生かしたNotabeneの分散型フレームワークによって、会員数を制限することなく、取引所全体の信頼性を高めることを期待している、と同氏は述べた。

画像クレジット:Notabene Team

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

Riot Gamesの元同僚二人が設立した新しい投資会社Patronが約103億円確保

Axie Infinityからのワンシーン(画像クレジット:Yield Guild Games)

テック関連のニュースを追っている人なら、ブロックチェーンベースの「遊んで稼ぐ」トレンドに関する記事が増えていることにおそらくお気づきだろう。これは個人が暗号資産によるゲームをし、そのゲームの中で資産やトークンを稼ぎ、それを「現実」のお金に替えて生計を立てることができるものだ。

「Axie Infinity」と呼ばれるベトナムの会社が、この動きを推進している。同社は非常に人気があるため、フィリピンには「Axie Infinity」でゲームを始めたい人向けにお金を貸すためだけに存在しているスタートアップがあるほどである(ゲームを始めるにはまずデジタルクリーチャーを購入する必要がある)。このお金の貸し手も、ゲームの背後にある会社も、どちらも現在Andreessen Horowitzから資金援助を受けている。

このトレンドは一過性のものではないと、Patronと呼ばれるアーリーステージ専門の新しい投資会社を創設したある共同創設者2人はいう。彼らは「Axie」のようなゲームが分散型「Web 3」と呼ばれる時代の最大の消費者になると信じている。

私たちは、先にPatronの創設者たちにもっと詳しく話を聞くためにメールをした。彼らのうちの1人、Brian Cho(ブライアン・チャオ)氏は、過去7年間Riot Gamesで過ごし、ビジネスおよび企業開発のグローバル責任者を務めた(また、彼は2012年からアンドリーセンホロウィッツに2年間勤務している)。共同創設者であるJason Yeh(ジェイソン・イェ)氏は、過去4年間、ドイツのベルリンで自ら投資会社を立ち上げ運営していた。またそれ以前はEU Esportsの責任者としての業務も含め、8年間Riot Gamesで働いていた。

2人には多くの共通の知り合いがおり、そうした人々がPatronの新しい投資家層を形成している。その中には、Andreessen Horowitzのパートナー数人や、Union Square VenturesのFred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏、 Initialized CapitalのGarry Tan(ギャリー・タン)氏、GGV CapitalのHans Tung(ハンス・タング)氏などが含まれる。2人は、Patronの今度の道筋についても語ってくれた。

TC:お2人はRiot Gamesで知り合ったのですよね。ご自身の会社を立ち上げるために、いつ頃独立する決心したのですか?

BC:私たちはRiot Gamesで同僚として知り合い、過去10年ほどにわたってさまざまな取引に共同で投資する中で、次第に関係を深めて行きました。Patronのコンセプト自体は長い間温めてきたのですが、ごく最近になるまで、私たちがもともと思い描いていた種類の会社を作ることができるようなマーケットニーズがありませんでした。

TC:Patronには著名な多くのVCが投資していますね。最初に投資してくれたのはどこですか?

BC:私たちは、ゲームに個人的に関与し、私たちの会社がシリーズAを順調に達成できるよう支援したいと考えてくれている投資家を引き入れることに意図的に力を入れました。また、これは予期していなかったのですが、私たちの初期のLPが、全体的な資金調達と市場で最も競争力のあるシード取引を勝ち取ることに非常に大きな影響を及ぼしたようです。結果的に 4カ月で9000万ドル(約103億円)を集めることができました。

LPの多くは、過去10年ほ多くの期間、同僚や共同投資家として親しい関係にあった人々です。したがって彼らに最初に関わってもらうという判断は理にかなったものでした。最初に資金提供してくれたのは、私たちのボスでメンターだったa16zのChris Dixon(クリス・ディクソン)氏やMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏、FirstMarkのRick  Heitzmann(リック・ヘイツマン)氏やAmish Jani(アミッシュ・ジャニ)氏といった人々、そしてRiot Gamesの創設者です。個人からの資金提供額平均は40万ドル(約4600万円)を超えており、多くの方々が個人的に多額の資金援助をしてくれました。

TC:機関投資家は関与していないのですか?Riot Gamesはどうでしょう?

JY:Horsley Bridge PartnersとInvesco が当社の最も重要な機関投資家です。Riot Gamesは当社には出資していません。というのも、私たちは資金を提供するための戦略よりも個人や機関を優先したいと考えていたからです。

TC:「遊んで稼ぐ」は「Axie」のおかげで今突如としてトレンドになっていますね。お2人はこのトレンドにどれくらいの期間注目してきたのですか?そして興味深いスタートアップは他にもありますか?そしてそれはなぜですか?

BC:私は約4年前にRiot Gamesを退社して、Cryptokittiesの発売に合わせてNFTゲーム関連の会社を立ち上げました。残念なことに、当時は消費者や投資家の関心が高くなかったので、タイミングがよくありませんでした。2018年に市場の景気は底を打った後は特にです。それでも、過去1年間で私たちにとって最も重要なシグナルだったのは「AxieInfinity」や「 NBATop Shot」など非暗号ユーザーをプラットフォームにオンボーディングできる製品に関するものでした。

さらに、BAYCやPunksといった暗号資産ベースの製品がメインストリームになってきました。Coinbase NFTマーケットプレイスでの230万件のウェイティングリストと、AAAおよびWeb 2ゲーム開発者がこの分野で会社を立ち上げるために現在の勤め先を退社するという流れは、すべてすばらしい兆候でした。

TC:現在までにいくつ投資を行いましたか?

JY:発表はまだされていませんが、いままでのところ4つの投資を行いました。

TC:トークンや株式を買うために資金を使う予定ですか?これらの異なる投資のモードについてどうお考えですか、そしてこれについて御社のLPはどのように考えているのでしょうか?

JY:はい、その予定です。私たちの最初の取引の1つは純粋なトークン取引です。私たちはこれらを1つ1つ評価しています。またこのトークン取引が、創設者が構築しようとしているスタートアップや製品のタイプに適した配慮の行き届いたものであるべきだ、と考えています。私たちはLPに対し、ゲームとWeb 3の強力な融合を考えると、Web 3やトークンに資金の相当な部分を使うことになると伝えてあります。それが、彼らがPatronでの投資活動に興奮している理由の1つです。

TC:投資の対象を考えたとき、ロサンゼルスに拠点があるということは、なにか特別な利点があると思われますか?

JY:はい。ロサンゼルスには現在アート、創作、ゲーム、エンターテインメント、暗号資産が色濃く交差しています。そうはいっても、私たちは仮想的な性質をもった会社であり、ロサンゼルスやシリコンバレーで存在感を発揮する一方、サービス提供は国際的なものになるでしょうし、取引の約半分はアメリカ国外のものになると予想しています。

私は過去10年間のほとんどをベルリンで過ごし、最近ロサンゼルスに戻ってきたところです。そしてブライアンも私もRiot Gamesでは、東アジアや東南アジアにおけるビジネスチャンスのために働いていました。私たちは、こうした地域のどこからでも世界的な消費者ビジネスを構築できると信じています

TC:出資の額面についてですが、あなたが投資する際の最低出資額、そして上限については、どのようにお考えですか?

JY:私たちは高い信念と集中型ポートフォリオモデルを持っています。つまり、私たちは量よりも質を重視し、シードステージでの機会を主導または、共同で主導することを目指しています。これは、私たちが活動するステージにおいて、主要投資家として早い時期に高い割合でオーナーシップを持つことを目標に100万ドルから400万ドル(約1億円から4億6000万円)の間で投資することを意味しています。

TC:興味深いプロジェクトをどこで見出すのですか?

JY:私たちのLPは私たちの取引の流れ、そして競争の厳しい取引を勝ち取るための最善のソースです。また、もちろん、TwitterやDiscordが私たちにとって創設者たちと繋がるのに自然な場所になるでしょう。また私たちはDAOsや緊密に結びついたエンジェルシンジケート(私たちもその一部ですが)といった新しい領域が私たちの取引の流れの重要なソースになることを期待しています。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

中央銀行は世界中で通貨の流通と供給を統制しているが、暗号資産の驚異的な増加により、その権威、統制、権力が脅かされている。

そのため世界各国の中央銀行は現在、独自のデジタル通貨を生み出している。現地の活動や暗号資産への関心(米国に次いで2番目に大きな暗号取引市場)に支えられたアフリカ大陸の革新的な動きとして、ナイジェリアが2021年10月下旬、そのリストに名を連ねた。

ナイジェリアの中央銀行は過去3年間の開発段階を経て、現在アフリカ初のデジタル通貨の試験運用を行っているところだ。

これまでに中国、スウェーデン、韓国など14カ国が独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の試験段階に入っており、合計81カ国がその他の段階でCBDCを模索中である。

バハマ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、アンティグア・バーブーダ、セントルシアの5カ国のみが正式にローンチしている。

eNaira(eナイラ)と呼ばれるこのデジタル通貨は、ナイジェリア中央銀行(CBN:Central Bank of Nigeria)が支援・発行する。ほとんどの政府と同様、ナイジェリアがデジタル通貨を導入する理由は、物理的な現金よりもコスト効率が高く、銀行口座を持たない人々の金銭へのアクセスを容易にし、違法行為をある程度制限できることにある。

しかし、中央銀行が発行するデジタル通貨には利点がある一方で、市民に対する監督を行ってきた、あるいは監督を試みてきた実績のある政府によってそれがどのように利用されるのかという懸念が存在する。

eNairaについてこれまでにわかっていること

この試験的なローンチに向けて、CBNは8月、デジタル通貨の開発と展開のための事業者としてバルバドスを拠点とするBitt Inc.(ビット・インク)を選定した。

同社は、東カリブ海諸国通貨同盟(ECCU:Eastern Caribbean Currency Union)に協力し、デジタル通貨DCash(Dキャッシュ)の設計とローンチを支援してきた実績を持つ。DCashは独自のCBDCを完全にローンチした5カ国のうちの4カ国、アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシアで使用されている。

9月27日、CBNはeNairaのウェブサイトを立ち上げ、ナイジェリア人がどのように同国のデジタル通貨にアクセスし、利用できるかについて必要な情報を提供した。

ナイジェリア人は最初にeNairaモバイルアプリをApple StoreかPlay Storeでダウンロードする必要がある。サイト上のQRコードをスキャンしてサービスにアクセスすることも可能だ。

ユーザー登録後、お金の保管や送受信を行うためのSpeed Walletと呼ばれるウォレットを登録・作成する。プラットフォーム上では、銀行口座を持つ、あるいは持たない、さまざまなIDレベルのユーザーに対応するために、複数層のウォレットが用意されている。

ウェブサイトには、eNairaの4つの主要機能が掲載されている。顧客がeNairaウォレットからお金を移動できる統一決済システム、ユーザーが残高や取引履歴を確認できる銀行口座管理機能、QRコードを読み取って店頭で支払いができる非接触型決済サービス、そしてユーザー同士がリンクされた銀行口座やカードを介して送金を行うP2P決済だ。

暗号資産がCBDCに移行

ビットコインのような暗号資産は、従来のグローバルな銀行システムの枠を超えて生み出されたにもかかわらず、お金のデジタルな未来についてのポテンシャルを際立たせている。そしてその普及率の急激な上昇は、お金の将来を決定づけることにおいて、伝統的な機関との衝突につながっている。

暗号資産に対する議論は、一般的には詐欺やボラティリティに関する懸念に焦点が当てられてきた。それでも、エルサルバドルのような一部の国では、ビットコインを法定通貨として使うことをやめていない。ビットコインや暗号資産を自国の銀行や金融システムへの脅威と考える他の国々にとって、CBDCは、法定通貨以外のものへの関心の高まりに直接代わるものとして機能する。

Blockchain Nigeria User Group(ブロックチェーン・ナイジェリア・ユーザー・グループ)の創設者でコーディネーターを務めるChimezie Chuta(チメジー・チュタ)氏は、TechCrunchの取材に対して次のように述べている。「CBDCの概念は、中央銀行にとって不可欠なものとなっています。お金は人々を統制するためのツールです。ビットコインやイーサリアムのような非公開で発行された暗号資産の流入は、世界中の中央銀行の権威に対する直接的な挑戦であり、中央銀行は主要な統制ツールが損なわれるのを許容することはできないと考えています。CBDCは、弱いながらもその対抗策として浮上してきたのです」。

暗号資産はかなり独立性がある一方、デジタル通貨は紙の通貨と同じ価値を有している。ナイジェリアの場合、eNairaはナイラに連動しており、ナイラと同様に米ドルに対して変動する。

CBDCと暗号資産のもう1つの重要な違いは、前者が規制と統制にさらされていることにある。これは中国とナイジェリアの政府の核心にある共通のテーマだ。

2014年以降、中国は中央銀行である中国人民銀行(PBOC:People’s Bank of China)が支援する国家デジタル通貨(デジタル人民元)の開発に取り組んできた。その前年に、中国政府は銀行や決済企業がビットコインなどの暗号資産関連サービスを提供することを禁止している。

2017年には、中国はマイニング、イニシャル・コイン・オファリング(ICO:Initial Coin Offering)、および暗号資産取引プラットフォームが法定通貨を暗号資産に変換することを禁止した。

しかしこの禁止にもかかわらず、ビットコインや他の暗号資産はそれ以降もこのアジアの国で大きな牽引力を得てきた。そのため、2021年5月には、フィンテック企業が暗号化プラットフォームに口座開設、登録、取引、清算、決済に関するサービスを提供することを禁止する、より厳格な法律を制定した。

これまで中国は、地元の暗号資産プラットフォームのみをターゲットにしており、個人がオフショア取引所で暗号資産を保有することは禁止していなかった。

しかし2021年9月、中国政府が暗号資産取引(マイニングを含む)に関するすべての取引を違法であると宣言したことで状況は変わった。同政府はまた、Binance(バイナンス)のような海外の暗号資産取引所が中国本土の人々にサービスを提供することも違法であるとしている。

「中国は過去に何度も暗号資産にまつわる『禁止』措置を取ってきましたので、驚くに値しませんが、今回は曖昧さがありません」とPwCの暗号資産リーダー、Henri Arslanian(ヘンリ・アルスラニアン)氏はツイートした。「中国では、あらゆる種類の暗号資産取引と暗号資産関連サービスが禁止されています。議論の余地はありません。グレーの領域は存在しません」。

一部のアナリストは、中国によるこれらの禁止や制限は、2022年にこのアジアの国が完全にデジタル人民元をリリースすることを目的としていると述べているが、その見方は妥当であろう。WeChat(ウィーチャット)とAlipay(アリペイ)が5回に4回のデジタル決済を行っているこの国で、流通している現金の一部を置き換えるためにデジタル人民元をローンチしたと中国政府は主張している。

暗号資産に対するさらなる取り締まりや監督の可能性

PBOCは政府の支援を受けて、上海、成都、北京で2020年4月から試験運用が開始されたデジタル人民元により、オンライン決済の市場シェアをAlipayとWeChatによる複占から取り戻そうとしているのかもしれない。

eNairaと同様に、ユーザーは中央銀行が開発・管理するモバイルアプリをダウンロードすることによってのみ、デジタル人民元にアクセスできる。これまでのところ、700万以上の個人のデジタルウォレットと100万以上の企業のウォレットがデジタル人民元を使用している。Business Insider(ビジネスインサイダー)によると、これらのトライアルから合計53億ドル(約6050億円)の取引が行われたという。

ナイジェリアは暗号資産マイニングの国ではないものの、国民は暗号資産のヘビーユーザーだ。Paxful(パックスフル)によると、多くのナイジェリア人がナイラの下落から自身の貯蓄を守るために暗号資産を利用しており、この西アフリカの国はビットコイン取引で米国に次ぐ2位に位置している。

Chainalysis(チェイナリシス)のデータに基づくと、ナイジェリア人は5月に24億ドル(約2700億円)相当の追跡可能な暗号資産を取引している。2月にナイジェリア政府がCBN経由で暗号資産取引の禁止やそのような取引への銀行の参加を制限し、暗号資産を使用するナイジェリア人の口座を閉鎖するよう銀行に命じたことを考えると、これは驚くべき数字である。

そして、中国と同様に、ナイジェリアのその後の行動は自国のデジタル通貨を試験導入する方向に傾いた。しかし中国とは異なり、ナイジェリアは現金中心の社会だ。バハマのような小国がデジタル通貨を導入した主な理由(金融包摂性の改善の可能性を含む)の1つがここにある。こうした目的に照らしてみると、ナイジェリアでのデジタル通貨の導入は紙面上では理に適っている。

しかし、それが暗号資産を使用したい人々へのインセンティブを減らすための政府の策略であることを理解する人がいる一方で、多くのナイジェリア人はその有用性に疑問を抱いている。だが、懸念すべき微妙な要素は他にもある。同国における暗号資産活動の監督や全面的な取り締まりに対するものだ。

典型的には、政府は金融取引を監視し、疑わしい、あるいは異常な金銭活動に関する情報を収集するために、金融インテリジェンスユニットを使用する。しかし、CBDCは事態を1段階引き上げるかもしれない。

複数の出版物が、中国政府はデジタル人民元を使って国民に対する監督を進める可能性があるとほのめかしている。中央銀行であるPBOCの説明では、デジタル人民元サービスを運営している機関は「非同期伝送によって中央銀行に取引データを適時に提出」することが期待され、それにより中央銀行は「データを追跡し、マネーロンダリングと犯罪の取り締まり」ができるようになるとされている。

CBNも同様の目的を持っており、eNairaは「各eNairaの追跡可能な固有ID」により詐欺行為やマネーロンダリングを最小化する、と以前に述べている。

「銀行や通信会社はすでに検証プロセスを通じて必要な情報を持っています」とチュタ氏はいう。「しかし、CBDCは監視と監督を強化するでしょう。なぜなら、デジタル環境で実際にお金の流れを追跡することができ、配備している台帳上で各ユーザーの取引に対するフォレンジック分析を行えるからです」。

6月に現地メディアが報じたところでは、ナイジェリアはインターネットファイアウォールを構築するために中国と協議中のようだ。同報道によると、中国の「グレート・ファイアウォール」は政府のオンライン検閲と監督の中枢になっているという。ナイジェリアにはこうした監督用のファイアーウォールを構築するリソースがないが、eNairaは規模こそ小さいものの、同じ目的のために設計されたのではないかと考える向きもある。

「CBDCは追跡可能であり、政府が不当な監督を行うことを決定した場合に有用になると思います」と匿名を希望する暗号資産ユーザーはTechCrunchに語った。

また、中国のケースと同様に、eNairaの採用が計画通りに進まない場合や、政府がeNairaを国内で取引される唯一のデジタル通貨として強制する場合には、暗号資産の取り締まりがさらに強化される可能性がある。

その典型的な例が、中国の新たな命令により、世界最大の暗号取引所であるHuobi(フォビ)とBinanceの2カ所でユーザーの新規登録が停止されたことだ。Huobiは年末までに現在のアカウントを廃止することを明らかにしている。

ナイジェリア政府がこのような権限を行使できるかどうかは定かではない。それでも、ナイジェリア人に対するサービス提供や雇用をオフショア暗号プラットフォームから禁止し、成功した場合、ピア・ツー・ピアの活動(ナイジェリアで暗号資産を繁栄させてきた)は深刻な打撃を受けるだろう。

「政府は概して、暗号資産に脅威を与えています。現実世界の権力をつ人がいるような状況では、暗号資産の取引で投獄される可能性があります」とナイジェリアの暗号資産交換プラットフォームで成長リードを務める人物は述べている。「政府が本当に自国内での暗号資産の使用を禁止することを決定した場合、暗号資産は抑圧され、ある時点でそれを使用する価値がなくなる恐れがあります」。

しかし現時点では、ナイジェリアと同国の頂点にある銀行は、eNairaに対して高潔な意図を持っているようだ。CBNのGodwin Emefiele(ゴッドウィン・エメフィーレ)総裁は、eNairaはより安価で迅速な送金流入と国境を越えた貿易の増加につながると述べている。

送金に関しては、eNairaは国外にいるナイジェリア人が故郷に送金するためのより良い代替手段を提供すると思われ、長期的にはナイジェリアへの送金が増加傾向にあり、2020年は170億ドル(約1兆9400億円)に達している。

中国の銀行がナイジェリアでの業務を拡大しているとのニュースが2021年9月に広まったが、この事実は、両国間のクロスボーダー貿易の有効性に対する極めて重要な要素を示しているのかもしれない。中国はナイジェリアの最大の貿易相手国で、両国間の2021年の貿易額は200億ドル(約2兆2800億円)を超え、2020年の192億ドル(約2兆1900億円)から増加している。3年前、両国はより良い貿易を目指して通貨スワップ協定を試みたが、何も具体化しなかった。しかしチュタ氏は、両国のデジタル通貨は完全な代替物として機能できると主張する。

「両国にとって有益な相互運用性があると思います。ナイジェリアから中国に送金したい場合、少なくとも4つの異なる手続きを踏まなければなりません。それには3、4日かかります」とチュタ氏。「ですが、中国とナイジェリアのCBDCが相互運用することを想定してみましょう。中国のサプライヤーに送金したい場合、アプリ上の簡単な操作でeNairaを中国人民元に交換してサプライヤーに送信すれば、サプライヤーは従来の送金機関で通常行う手続きに比べてごくわずかな時間で支払いを受けることができます」。

ナイジェリアの中央銀行は、eNairaは「支払い効率、歳入と税徴収、そして対象を絞った社会的介入」の改善にもつながるだろうと述べている。

ナイジェリアの頂点に立つ銀行は、これらすべてを達成できるだろうか?パイロットモードでも完全にローンチされたモードでも、大規模な成功を収めた国はまだ存在しないため、断言するには時期尚早である。eNairaはポートハーコート、アブジャ、カノ、ラゴスの4都市で段階的に展開される予定だ。しかし、政府主導の同様の取り組みが過去にどのように行われてきたかを考えると、本格的な展開が実現する見込みはほんのわずかしかない。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が最初の3回の給与をビットコインで受け取ると表明、マイアミ市長に対抗か

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が最初の3回の給与をビットコインで受け取ると表明、マイアミ市長に対抗か

ThaiMyNguyen via Getty Images

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が、Twitterで市長としての最初の3回の給与をBitcoinで受け取りたいと発言しました。これはおそらく、11月2日にマイアミ市長のフランシス・スアレス氏が次の給与はBitcoinで受け取ると述べたことに対して「ならば自分は向こう3か月分を」とばかりに意気込んだ発言と考えられます。

なぜ両市長がこれほどまでにBitcoin推しなのかといえば、両市はいま、米国における暗号資産のメッカとしての地位を得ようとしているから。

マイアミ市は今年8月、米国の市として初の独自暗号資産「MiamiCoin」を創設しました。MiamiCoinは採掘されるとその70%が採掘者に、30%がマイアミ市に収められるしくみで、Washington Postによればマイアミ市はこれまでに710万ドル(約8億円)を超える金額をMiamiCoin採掘から得たとされます。

また今年はじめには、スアレス市長がBitcoinでの税金の支払いや、暗号資産による市職員の給与引き出しを推進する計画を発表、さらに暗号資産に関するカンファレンス「Bitcoin 2021」を開催するなどして業界の注目を集めており、こうした動きに対する期待感からか、暗号資産取引所やスタートアップ/ベンチャー企業のいくつかがマイアミにオフィスを構えたり移転をし始めています。

一方、ニューヨーク市はといえば、これまではBitcoinや暗号資産に対しては消極的な姿勢を示していました。今年はじめの段階では、ニューヨークは市内でのBitcoin採掘を3年間禁止することで温室効果ガス排出の変化を確認する環境アセスメント実施法案を議会で揉んでいたほどです。

しかしこのほど次期ニューヨーク市長に選出されたアダムス氏は、6月に市長選における民主党からの指名を得たときには、ニューヨーク市を「Bitcoinの中心」、また「すべての技術の中心」にしたいと抱負を語り、新たなビジネスの育成を公約に掲げました。そしてBitcoinや暗号資産への政策についてもマイアミを追撃したいとの考えを述べています。

ただ、世界最大の金融都市として知られるニューヨーク市とはいえ、暗号資産でその覇権を握るには先行しているマイアミ市よりも強力に暗号資産の推進をしていく必要があります。アダムズ氏はBloomberg Radioでスアレス氏とともに「切磋琢磨」して行きたいと述べたものの、市長が3回分の給与をBitcoinで受け取ったところで、それほど大きな影響を及ぼすとは考え難そう。またニューヨークに帝国(エンパイアステート)を築いてきた金融企業たちとも、どのように折り合っていくのかが気になるところです。

ちなみに、米国以外では、たとえばエルサルバドルなどはすでにBitcoinを法定通貨として定めています。また中国は国家として独自の暗号資産「デジタル人民元」を推進するためか、全てのBitcoin取り引きを違法とする措置を講じています。

(Source:CNBC。Via The VergeEngadget日本版より転載)

【コラム】イーサリアムはプライバシーの基準も変える

イーサリアムは世界で最も人気のあるデジタル契約コンパイラーで、多くの人によって管理されているものの、誰かが所有しているわけではない。イーサリアムが普及している要因の1つで最も興味深いのは、おそらくイーサリアムが描く未来だろう。イーサリアムは、今後所有権、価値の創造、そしてこれが最も重要であるが、プライバシーに関する現在のインターネットの基準を変えていくだろうと思われる。

どのような変化が今後起こるのだろうか?

イーサリアムでは、アプリを開発できるだけでなく、写真、音楽ファイル、ビデオ、お母さんのお気に入りのかぼちゃパイのレシピ(他にも日々生み出されるさまざまな可能性があるが)など、デジタルなものなら何でも一意に有償で所有、交換、保管できる。

多くの人々がインターネットはさまざまな保護によって階層化されると予想してきたが、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ-リー)氏の言葉の言い換えになるが、結局は基盤となるテクノロジーを誰もが利用できるようにすることで、その受容と有用性が大幅に向上することがわかった。

イーサリアムとWeb 3.0の出現によって、インターネットが単にプライベートであるというだけでなく、オープンで透明性のあるものである、という概念が生まれ、状況が変化しつつある。

イーサリアムのこれまで

2013年、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、イーサリアムのアイディアを思いつき、イーサリアムは2年後に開発されサービスの提供を始めた。このプラットフォームは、インターネットにアクセスできる世界中のだれもが、永続的なアプリケーション(分散型アプリ、またはdAppsとして知られる)を開発できるように設計された。この分散型アプリは誰もが使えるが変更はできないもので、厳密な整合性を備えたオープンソースソフトウェアである。これらのアプリの基本機能はスマートコントラクトと呼ばれ、デジタル契約を可能にする。

つまり、言い換えると、もはや仲介者を通して財務サービスや法務サービスを行う必要がないということである。イーサリアムは基本的に証書保管代理人、公証人、IDをチェックする銀行の出納係、または住宅ローンの原資産所有者を必要とせず、それらを一瞬のデジタル取引に置き換えてしまう。

この非常に貴重な機能によりイーサリアムは、現在多くの競争者の先を行く最も有名な暗号資産そしてブロックチェーンの1つとなった。ビットコインの価格は最近史上最高値を記録し、イーサリアムの周辺は大いに沸き立っている。

これに関連する概念であるWeb 3.0は、これらのピアツーピアのブロックチェーンを用い、ユーザーが仲介者なしに、データを取り扱い、価値を保存し、エンティティとやりとりする、といったことを可能にする、未来のインターネットと目されている。

イーサリアムの現在

イーサリアムが法務、財務、契約締結などの基本インフラになるにつれ、その強みや弱みを理解することが財産の所有と譲渡の基本的な性質になるだろう。

Stephen Hawking(ステファン・ホーキング)氏の「基礎的コンピュータープログラミングは学ばなければならない必須のスキルである」という言葉をこの状況に即して言い換えれば、イーサリアムでのスマートコントラクトの基礎を学ぶことは、基本的な法務スキルや財務スキルになるだろう。

現在イーサリアムで最も注目を集めているアプリケーションはNFT(non-fungible tokens:代替不可能なトークン)である。NFTは比較的新しいものであるが、価値の保存だけでなくデジタルな一意の所有権を主張するものとして、消費者、アーティスト、投資家に人気である。

NFTは、操作、変更、複製ができない、つまり代替不可能であるため、インターネット上であらゆるデジタル(ファイル)を所有または取引することができる。Ape、Kitty、Punkを巡りソーシャルメディア上で騒ぎが起こっているが、それらはすべて、高価なデジタルアートにファンが群がる急成長中の現象に関連している。

このテクノロジーの1つの使用例として予測されるのが、惑星間のマイニングである。地球を本拠地にしている企業は、社員が実際に訪れることがほとんどない小惑星の鉱業権を売買する必要がでてくるだろう。

他に予想される使用例としては住宅ローン、不動産購入、イベントチケット販売、音楽祭、ファイルストレージ、ゲーム(例えばAxie InfinityはプレイヤーがNFTに基づくゲーム世界でしっかり生計をたてることができるという証拠である)などがある。

可能性は無限であり、日々好奇心がありエネルギーに溢れたコミュニティによってアイディアが生み出されている。

今後のイーサリアムの課題

この基盤となるテクノロジーに規制が追いついてきている現在、多くの人がそれを制御する試みを目にすることになるのか確信を持てないでいる。暗号戦争で長年たたかわされてきた議論には暗号化を抑制または損なう要求がともなっていたが、それと同様に、イーサリアムの「変化しない性質」に変更を加えると、その重要な特性である「永続的整合性」が損なわれる可能性がある。

イーサリアムの不変性とそれが広く受容されている状況との間には、潜在的な対立が存在する可能性がある。つまり金融規制当局が何らかの形でその展開に対して所有権を得たりまたは管理しようとするかもしれないということである。これらの規制当局が「広くつながったノードの領域を、その真の価値である分散性自体を損なうことなく慎重に管理するにはどうしたらよいか」という疑問にどう答えるか大変興味深い。

このテクノロジーが直面するその他の課題や限界はと言えば、パフォーマンスの持続可能性ではないかと思われる。イーサリアム上にアプリなどを作成する際、ガス代といわれる料金が必要になるが、近年この料金が上昇しており、プラットフォームの処理時間が遅くなっていることが知られている。イーサリアム2.0は非効率性を解消できると考えられているが、すべての取引を保存し計算するために最適化されたブロックチェーンにおいて、スピードを維持し続けるにはどうしたらよいのだろうか?

セキュリティも課題の1つであり、広く悪用されているわけではないもののイーサリアムには脆弱性の問題があることが知られている。Poly Networkは「契約呼び出し間の脆弱性」に起因するハッキングがあったことを2021年報告している。

スマートコントラクトは作成するには複雑な機能であるため、ネットワークに展開する前に十分な監査が必要である。イーサリアムのセキュリティもパスワードを必要としない、非対称暗号化に基づいて構築されている。量子コンピューティングが最終的に非対称暗号化標準を混乱させる可能性は多いにある。

私たちは、イーサリアムやブロックチェーンがいかに存続し続け、それを私たちがメタバースへ、そしてそれを超えて維持していけるのかに興味がある。

編集部注:本稿でAshley Tolbert(アシュリー・トルバート)氏とTarah Wheeler(タラ・ウィーラー)氏によって述べられた見解は両氏の個人的見解であり、両氏が関係する団体の見解ではありません。アシュリー・トルバート氏は、情報セキュリティの研究者およびエンジニア。タラ・ウィーラー氏はハーバード大学ケネディスクールオブガバメントのベルファーセンターサイバープロジェクトフェローで、情報セキュリティ研究者。

画像クレジット:Prostock Studio / Getty Images

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(文:Ashley Tolbert、Tarah Wheeler、翻訳:Dragonfly)

BTSがNFT市場に参入、韓国の暗号資産取引所Upbitとの合弁で

K-POPのメガスターBTSを擁する韓国のエージェンシーHybeは、韓国の暗号取引所Upbitと合弁会社を設立し、NFT事業に参入する予定であることを発表しました。

Hybeは、暗号資産取引所Upbitを運営するブロックチェーンベースのフィンテックスタートアップDunamuの株式2.5%を5000億ウォン(約482億円)で購入する。同時にDunamuは、ソウルに本社を置く音楽エージェンシーの新たに発行されたHybe株(5.6%の株式)を5億9240万ドルで取得すると規制当局に申請している。

合弁会社はNFTフォトカードを作成し、グローバルなHybeのファンとアーティストのコミュニケーションアプリ「Weverse」で取引される予定だ。HybeのCEOであるSi-Hyuk Bang(パン・シヒョク)氏とDunamuの会長であるChi-Hyung Song(チ・ヒョンソン)氏は、現地時間11月4日の説明会で共同声明を行った。

HybeのBTS NFTには、動画やアーティストの声などが含まれているとパン氏はいう。それに加えて、世界中のファンがデジタルフォトカードを仮想空間で交換することができるようになる、チ氏は述べた。

Hybeとその子会社は、BTSブランドをデジタル領域でより深く拡張するためのさらなる計画も発表した。NFT JVに加えて、BTSのビデオゲーム、そして「ウェブトゥーン」ビジネスが予定される。

Hybeは現在、ポップバンドを生み出す企業の中で最も成功している企業の1つであり、彼らはその波に乗っています。説明会では、Hybe AmericaのCEOであるLenzo Yoon(ユン・ソクジュン)氏が「HybeとUniversal Music Groupは、グローバルなガールズグループのデビューを披露する準備もしています。これとは別に、Hybe Japanは日本でボーイズバンドを発表する予定だと、CEOのHyunrock Han(ハン・ヒョンロク)氏は述べている。

韓国のK-POP大手は、既存のIPをデジタル資産に変えることで収益の可能性を広げるため、NFTに備えている。

韓国の4大エンターテインメント企業であるHybe、JYP、SM、YGは、この新しい技術を利用しようと競い合っている。JYP Entertainmentは7月にDunamuと提携してK-POPベースのNFTプラットフォームを立ち上げ、SMは2019年に暗号資産とブロックチェーンのプラットフォームを構築を発表している。

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(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

CoinbaseがAI駆動型カスタマーサポートの印Agaraを約45億円超で買収へ

Coinbase(コインベース)は、AI駆動のカスタマーサポートプラットフォームを運営するスタートアップAgara(アガラ)を買収する。両社が米国時間11月2日に発表した。暗号資産(仮想通貨)取引所であるCoinbaseは、ユーザーがサービスを利用したりサポートを求めたりしやすくしようとしているようだ。

両社は買収に関する財務面での詳細を明らかにしなかったが、取引の規模は4000万〜5000万ドル(約45億〜56億円)の間だとこの件に詳しい2人が筆者に語った。Coinbaseの広報担当者はコメントを控えた。また、Agaraの共同創業者で最高経営責任者のAbhimanyu(アビマニユ)氏も、守秘義務契約を理由に取引規模についてのコメントを却下した。

データインテリジェンスプラットフォームのTracxnによると、インドで創業して4年目のAgaraは、今回の買収前にBlume Ventures、RTP Global、UTEC Japan(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)、Kleiner Perkinsから約700万ドル(約8億円)を調達していた。

Agaraは機械学習と自然言語処理に関する深い専門知識を構築し、それをユーザー体験の向上に役立てている。40人以上の従業員を擁する同社は、世界中に複数の大口顧客を抱え、Salesforce、Shopify、Twilioなど多くの人気サービスに統合されている。買収後、AgaraはCoinbaseにフォーカスを移すとアビマニユ氏はTechCrunchとのインタビューで答えた。

「我々は、大きく分けて2つのことに注目して会社を立ち上げました。1つはカスタマーエクスペリエンスとサポート。2つ目は機械学習です。MLテックスタックを作り、それをカスタマーケアに応用するという考えでした」とアビマニユ氏は話す。「我々が行っている複雑な業務の中には、電話での問い合わせがあります。電話によるサポートのすべてではないにしても、その多くを自動化することに取り組んできました」と述べた。

同氏によると、Agaraのテックチームは、その大部分がインドで勤務しており、買収の一環としてCoinbaseに加わる。両社は年内に取引を完了する予定だ。今回の動きの数カ月前に、Coinbaseはインドにテックハブを構築する戦略を打ち出し、Google Payの元幹部であるPancaj Gupta(パンカジ・グプタ)氏を採用していた。

「Agaraの強力な技術を活用して、当社のカスタマーエクスペリエンス(CX)ツールを自動化し、強化する計画です。ここ数カ月でサポートスタッフの人数を5倍に増やし、年末までに24時間365日の電話サポートとライブメッセージを提供することを発表しました。今回の買収により、パーソナライズされたインテリジェントでリアルタイムなサポートオプションを顧客に提供することができるようになります」とCoinbaseのエンジニアリング担当EVPであるManish Gupta(マニッシュ・グプタ)氏は声明で述べた。

画像クレジット:TechCrunch / Flickr

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ワンクリックで暗号資産の空売りが可能な「Beta Finance」

あらゆる暗号資産(仮想通貨)の貸し借りと空売りをワンクリックで行うソリューションを開発した分散型金融プロトコルのBeta Finance(ベータファイナンス)は米国時間10月29日、プライベートおよびパブリックのローンチパッド投資ラウンドで575万ドル(約6億6000万円)を調達したと発表した。

プライベート投資ラウンドでは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導し、ParaFi Capital(パラフィ・キャピタル)、DeFiance Capital(デファイアンス・キャピタル)、Spartan Group(スパルタン・グループ)、GSR、Delphi Digital(デルファイ・デジタル)、Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)も参加した。

Allen Lee(アレン・リー)氏が設立したBeta Financeは、ユーザーがより簡単に暗号資産をショート(空売り)して価格変動に対抗できるようにし、またリスクヘッジのための別の手段を提供しようとするスタートアップだ。

既存のDeFi(分散型金融)プロトコルは、ごく限られた成熟した暗号資産の借り入れと空売りにしか対応しておらず、大多数のトークンはユーザーがアクセスできないようになっている。

Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーン上に構築されているBeta Financeは、この非効率性を解消するために、より幅広い選択肢と機能性を提供する初のユーザーフレンドリーなプロトコルであると自らを称している。

そのワンクリックソリューションによって、技術的なノウハウを持たないトレーダーでも、あらゆるトークンのショートポジションを管理・更新することが可能になる。関連するすべてのトークンの情報がインターフェイス上で直接入手でき、それを判断材料とすることができる。

「ユーザーは、既存の金融市場で無視されている、最もボラティリティ(価格変動性)が高い資産の多くをショートすることができるため、ボラティリティを相殺してリスクをヘッジし、より健全なリターンを得ることができます」と、Beta Financeは述べている。

「空売りは、DeFiプロトコルに欠けていた金融インフラの重要な部分であると考えています」と、リー氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「DeFiが伝統的な金融に取って代わるためには、空売りのようなツールを構築することが必要であると、私たちは確信しています」。

自社で発行した仮想コイン「BETA」がBinance(バイナンス)で取引されているBeta Financeは「カテゴリーを定義するプロトコルになる可能性を秘めている」と、Sequoia IndiaのプリンシパルであるPieter Kemps(ピーター・ケンプス)氏は声明で述べている。

Beta Financeによると、同プラットフォームの立ち上げから最初の1カ月の内に、1万人以上のユニークアドレスに対して、1万件以上の入金、1000件の借り入れ、500件のショートポジションを処理したとのこと。このプロトコルはロックされている総額の平均が1億9500万ドル(約223億円)を超えたと、同社では述べている。

「Betaは、ワンクリックショートの先駆者であることに加えて、プロトコルをローンチしてからわずか1週間後には、NFDトークンの空売りを可能にしてNFT(非代替性トークン)をショートした最初のプロトコルとなるなど、安全性を保ちながら多様な資産(ボラティリティの高いものを含む)に対応できる能力をすでに証明しています。DeFiエコシステムの今後において、Betaは重要なステークホルダーになることを、私たちは楽観視しています」と、ケンプス氏は述べている。

Beta Financeは、今回調達した資金を、製品提供の幅を広げ、より多くの人材を雇用するために活用すると、リー氏は述べている。

画像クレジット:Beta Finance

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「日本のスタートアップも積極検討」暗号資産取引所クラーケンCVCが狙う投資領域

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

9月22日、ソフトバンクのビジョン・ファンド2が主導する資金調達ラウンドで、ブロックチェーンのインフラ企業ブロックデーモン(Blockdaemon)が1億5500万ドル(約170億円)の資金調達を行いました。ブロックデーモンは、暗号資産の新たな運用方法であるステーキングなどに必要なインフラを機関投資家向けに整備する企業です。出資者は、ソフトバンクの他、ゴールドマンサックスやボールドスタート・ベンチャーズなどの大手金融やハイテク企業が名を連ねており、暗号資産業界からは取引所のクラーケンが入っています。

本稿では、なぜ暗号資産取引所のクラーケンが、クラーケン・ベンチャーズというCVCを擁しているのか?どんな分野を投資先として注目しているのか?クラーケン・ベンチャーズ代表であるブランドン・ガスのコメントとともに解説します。

クラーケン・ベンチャーズ

クラーケン・ベンチャーズは、暗号資産とフィンテック領域におけるスタートアップ企業やプロトコルを対象にした独立した投資ファンドです。投資先には、フィンテックや暗号資産企業・プロトコル、分散型金融(DeFi)、AIや機械学習・ディープラーニング、レグテック(RegTech。Regulation+Technology)、サイバーセキュリティーが含まれます。

テキサス州のオースティンやベルリン、香港、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコに拠点を構え、暗号資産業界における次のイノベーションを支えるために開発者などに対して必要なリソースや専門知識の提供を行います。

投資額は、25万ドル~300万ドル(約2750万円~約3億3000万円)の範囲です。加えて、暗号資産とフィンテック業界での数十年にわたる経験を持つクラーケンのチームによってコンサルティングとリソース提供を行なっています。この中には、企業がプロジェクトに代わり宣伝広告を行ったり顧客や投資家を紹介したりすることも含まれます。また、クラーケンの既存サービスとコラボすることもあります。例えば、後述するロケット・ダラーの顧客は、クラーケンの口座を使って暗号資産を購入し、ロケット・ダラーの年金口座で資産形成が行えます。

ブランドン・ガスは、今後の投資テーマとして、「フィンテックと暗号資産の領域が融合し始めている」という見解を示し、以下のように述べました。

「人々は暗号資産業界におけるエンジニアリングとプロダクトイノベーションの凄さを過小評価しています。そして、それがすべての金融サービス分野に波及することを十分理解していません」

これまでの投資先

クラーケン・ベンチャーズのこれまでの投資先は、ブロックチェーン分析企業のメサーリ、退職後の資金積み立てプラットフォームを手がけるロケット・ダラー、そしてブロックデーモンです。

メサーリ(Messari)

8月5日、メサーリは、ポイント72ベンチャーズが率いたシリーズAの資金調達ラウンドで2100万ドル(約23億円)を調達したと発表しました。ポイント72ベンチャーズは、著名投資家スティーブ・コーエン氏率いるヘッジファンド運営会社ポイント72アセット・マネジメントのベンチャーキャピタル部門です。メサーリは、調達した資金をプロダクトのグローバル展開や人員拡大に充てる予定です。

メサーリは、暗号資産市場に関するデータ分析やコラム執筆で有名な企業です。また創業者のライアン・セルキス氏は、ブロックチェーン関連投資で有名なデジタル・カレンシー・グループの創業メンバーであり、米国仮想通貨メディア「コインデスク」が手がけるカンファレンス「コンセンサス」を立ち上げた人物です。最近では米国の規制強化方針に反発し、2024年の米議会上院の選挙に出馬して政治家として暗号資産業界の規制方針に対抗する構えをみせるなど、精力的に動いています。

メサーリは、暗号資産の分野に特化した企業です。このため、クラーケンの他、コインベースやFTX、ジェミナイなど、クラーケン・ベンチャーズ同様の暗号資産取引所系CVCの名前が目立ちます。ブランドン・ガスは、出資を決めた理由として「メサーリのチームを長年知っていたこと」に加えて、DeFi(分散型金融)関連のデータ分析ツールやリサーチに「感心した」ことを挙げています。

ロケット・ダラー(Rocket Dollar)

9月9日、ロケット・ダラーは、パーク・ウエスト・アセット・マネジメントが率いる資金調達ラウンドで800万ドル(約8億8000万円)を調達したと発表しました。ロケット・ダラーは、メサーリと異なり金融系の新興企業です。個人退職勘定(IRA)や個人向けの確定拠出年金(ソロ401K)といった年金制度において、暗号資産など、株や債券など伝統的な資産以外のオールターナティブ・インベストメントを支援するサービスを手がけています。

ブランドン・ガスは、ロケット・ダラーについて以下のようにコメントしています。

「伝統的な年金、とりわけ雇用主が設定する年金口座は、投資オプションが限定的で掛金が低いのが一般的です。しかしミレニアル世代やZ世代は、暗号資産や不動産、未上場企業など幅広い資産への投資に高い関心を持っています。さまざま資産クラスに投資してベストなリターンを獲得する機会を提供するロケットダラーは、個人の自由と選ぶ権利に貢献しているという点で魅力的です」

ブロックデーモン(Blockdaemon)

9月22日、ブロックデーモンは、ソフトバンクグループのビジョン・ファンド2が主導したシリーズBの資金調達ラウンドで1億5500万ドル(約170億円)を集め、企業価値が10億ドルを超えるユニコーン企業と評価されました。

ブロックデーモンは先述の通り、仮想通貨のインフラ企業です。次世代イーサリアム(イーサリアム2.0)やビットコイン、ソラナ、テラ、カルダノ、ポルカドット、ライトニング・ネットワークを含む40余りのブロックチェーン(分散型デジタル台帳)ネットワークをサポートしています。

日本のスタートアップも出資対象

クラーケン・ベンチャーズは、北米、アジア、ヨーロッパのスタートアップ企業を投資対象にしており、日本のスタートアップにも大きな期待を寄せています。ブランドン・ガスは「日本から素晴らしい企業がたくさん出てきているのを知っている」とし、「日本企業への出資も積極的に検討する」と述べました。

ブランドン・ガスによると、投資先の選定基準として「プロダクトに関する知識と経験」「技術的な優位性」「そしてスケール可能性が高いビジネスモデル」を挙げています。本質的に重要なのは、結局のところ「3つのP(People、Product、Potential)」であるという見方です。

クラーケン・ベンチャーズによる出資に興味がある企業やプロジェクトは、以下の連絡先からお問い合わせください。

https://www.krakenventures.com/contact-us


画像クレジット: Markus Winkler on Unsplash

クリエイターが稼ぐ方法としてPatreonは暗号資産を検討

Patreon(パトロン)の共同創業者でCEOのJack Conte(ジャック・コンテ)氏と最高プロダクト責任者のJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏は、現地時間10月28日に開催されたThe Informationの2021 Creator Economy Summitのパネルに登壇し、同社の会員制プラットフォームの暗号資産に関する計画について質問を受けた。

「暗号資産とNFTの分野で、明らかに壮大なイノベーションが起きています」とガットマン氏は話した。「私たちが目にするアート市場や貴重品市場では、狂気じみた価格がつきます。それがクリエイターエコノミー全体で持続可能なのか、明らかではありません。しかし、には、基本的な技術的要素というものがあり、オーディエンスに価値を売る方法として機能しています。クリエイターの活動が世の中で重要性を増すと、二次販売によってその価値を継続して享受することができます」。

Patreonは9月、四半期ごとのCreator Policy Engagement Programのライブストリームに先立ち、クリエイターコミュニティに対し、クリエイターコインのアイデアを提示した。このライブストリームでは、クリエイターがプラットフォームのポリシー変更について意見を述べることができる。だが同社は、このテーマについてクリエイターと深く話し合うことができなかった。Mastercardのアダルトコンテンツに関する新基準に関連した、より緊急性の高い問題と一緒に提示されたためだ。

Patreonのポリシー責任者であるLaurent Crenshaw(ローレント・クレンショー)氏はPatreon Connectのライブストリームで「私たちは今、いかなるタイプのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の創設についても検討していません。明らかに、Patreonの現在のガイドラインでは認められていません」と話した。「しかし、多くのクリエイターから、彼らの支援者に対し、コインやトークンなどにより、限定的なメンバーシップや特典を提供することに興味があるという声を耳にしてきました。そうしたデジタルアイテムは、クリエイターのファンクラブの一員であることを示し、持ち続けることができます。そこで私たちは、少なくとも、そのような方法をガイドラインが認める可能性を探れるのではないかと考えました」。

Patreonでは、クリエイターが個人的な投資話やアドバイスをすることはできるが、現在のガイドラインでは、クリエイターやその支援者の直接的な金銭的利益を目的としたコインや、投資スキームの一部として提供されるコイン、暗号資産の購入や入手を促す明示的なインセンティブなどは禁止されている。しかし、クリエイターがクリエイターコインの提供に興味を示すなら、Patreonはポリシー変更を検討するという。

クリエイターコインとは、暗号ベースのソーシャル通貨の一種で、基本的には、ファンがクリエイターの成功に投資できるような仕組みだ。BitCloutRollRallyなどの企業が個別のトークン作成に取り組んでいる。クリエイターのトークンを早期に購入し、その人がスーパースターになれば、自分も利益を得ることができる。

「Patreonが常に心がけていることの1つは、クリエイターにとって持続可能で長期的な道筋を作っていくことです。収益化が爆発的に進むことではありません」とガットマン氏はThe Informationのサミットで述べた。「ですから、NFTやその基盤となる技術が、クリエイターにとって持続可能で長期的な収益を生み出すためにどう役立つのかを検討し、理解することに興味があります。しかし、個々のアセットの販売を伸ばすことに関していえば、クリエイターにとって価値があると思えるなら、クリエイターが提供できる幅広いポートフォリオの一部として、クリエイターコインの提供を考えないわけではありません。しかし、私たちとしては、クリエイターにとって持続可能で継続する未来を築くにはどうすればよいかを真剣に考えているがために、暗号資産についても広く検討しているわけです」。

クリエイターに作品の所有権を与えることを目的とする暗号資産の取り組みもある。例えば、アーティストはNFTを販売するたびにロイヤルティを得ることができるが、通常のファインアーティストに同じことは当てはまらない。

「暗号資産やNFTに関する一般論として、私はクリエイターが自分のメディアやコンテンツを所有するという考えがとても気に入っています。クリエイターがレバレッジを効かせてコントロールするという考え方が好きなのです。プラットフォームではなく、クリエイターがオーディエンスのデータを所有するという考え方も好きです。基盤となる多くのインフラが、クリエイターに自立の力を与えてくれるというのはすばらしいことだと思います。権力を組織から個々のクリエイターに移すという考え方が好きです」とコンテ氏はイベントで語った。「私は、このテクノロジーの多くが目指しているのはそういうことだと思いますし、それが本当に深くエキサイティングなことだと思っています」。

しかし、Patreonが先月提案した、クリエイターが暗号資産に手を出せるようにするというPatreonのアイデアには、多くのクリエイターが抵抗を感じていた。ほとんどは環境コストが理由だ。

「暗号資産を加えるというアイデアは心配です。アーティストのコミュニティにおける暗号資産の評判は絶対的に悪いからです。表面的には有益であってもです。クリエイターの支援者がプラットフォームへの暗号資産導入に賛成しないことで、支援者を失ってしまうのではないかと心配しています」と、あるクリエイターはライブストリームの公開チャットに書き込んだ。

パネルの司会を務めたThe InformationのLaura Mandaro(ローラ・マンダーロ)氏は、コンテ氏に対し、Patreonには暗号資産に取り組むフルタイムの従業員がいるのかと尋ねた。

「それについてはノーコメントですが、検討はしています」とコンテ氏は答えた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

眼球スキャンと引き換えにさまざまな人に暗号資産を提供するWorldcoin、OpenAIのCEOらが立ち上げ

暗号資産への関心の高まりに乗じて投資家が競い合う中、さまざまなスタートアップ企業が世代をまたいだ多くのユーザーに暗号資産ウォレットを所有してもらうための工夫をしている。

OpenAI(オープンエーアイ)のCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏、およびAlex Blania(アレックス・ブラニア)氏が設立したWorldcoin(ワールドコイン)は、世界に自社の暗号資産を受け入れてもらうために、最も大胆な試みを行っているスタートアップの1つといえるだろう。同社は、あらゆる人にスマートフォン上の暗号資産ウォレット(および暗号資産の一部)を持ってもらおうとしているが、そのためには、ユーザーがそのユーザー本人であることを判断できる方法を構築しなければならない。Worldcoinは、可能な限り理想的な方法で本人を証明するネットワークを作ることを目指しているが、そのためには、何十億もの眼球を「Orb(オーブ、球体を意味する)」という約2kgの虹彩スキャン装置でスキャンすることが必要だ。

アレックス・ブラニア氏(左)、サム・アルトマン氏(右)(画像クレジット:Marc Olivier Le Blanc)

インターネットは、まったく形の定まらないユーザーネットワークを形成して発展してきた。ボットネット(悪質なソフトウェアに感染したコンピュータのネットワーク)には、自分のID(アイデンティティ)を使う実在のユーザーと、実存する別の人物になりすましたユーザーと、偽名を使うユーザーの3種類のユーザーが存在する。これは(現在のソーシャルメディアプラットフォームがそうであるように、)ユーザーに与えられるインセンティブが不平等になる原因となるが、金融に関連する場合は不平等のみならず詐欺の原因にもなる。Worldcoinは、地球上のすべての人が、ネットワーク上の1つのウォレットだけにサインアップするようにして、このような事態を回避しつつ、暗号資産の公平な分配を実現したいと考えている。

WorldcoinのCEOであるアレックス・ブラニア氏はTechCrunchの取材に応じ、同社の暗号資産Worldcoinは、十数年前に始まった暗号資産が実現することのできなかった、インターネット経済によるより統一された公平なグローバル経済を推進するための、さらに大きな取り組みの一環であると話す。

「Worldcoinの構想は、ベーシックインカムが世界にとって非常に重要なものになるのは確実であり、インターネット経済へのアクセスは、現時点で判明しているよりもはるかに重要になるだろう、という議論がきっかけです」とブラニア氏。

Worldcoinは、イーサリアム(ETH)をベースにした「レイヤー2」の暗号資産で、イーサリアムのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、独自の経済を実現する。ブラニア氏によると、Worldcoinをイーサリアムの上に構築することにしたのは、主にイーサリアムの開発者ネットワークが理由で、同氏はネットワークにWorldcoinも採用してもらいたいと考えている。最初はビットコインから暗号資産を始めて欲しいと考える暗号資産推進派も多いが、ブラニア氏は、イーサリアムのレイヤー2と比較してビットコインにはスケーラビリティの問題が多すぎる、と考えている。

ブラニア氏は「ビットコインは、何十億人ものユーザーには対応できません」「ご存じのとおり、トランザクションに時間がかかるので非常に高価です」と話す。

6月にはBloombergがWorldcoinの設立初期の詳細を報じたが、ブラニア氏は「(記事には)かなり悩まされた」とし、Worldcoinが行っていることは複雑なプロセスであり、さまざまな情報が錯綜していることを認めつつも、Worldcoinのローンチに向けて、世界中のユーザーにプロセスを知ってもらうことができると確信していると話した。

そういえば……オーブとは?

Worldcoinは非常に厳格なユーザー獲得フローを採用している。Orbカメラのライセンスを世界中のライセンス事業者に供与し、あらゆる大陸、国、都市で、ネットワーク上の新規ユーザーを1人ひとり手作業で確認する、というものだ。

プロセスの基本形は、Orbで人の虹彩を撮影し、その画像をハッシュコードに変換する(Worldcoinによれば、変換プロセスは非可逆とのことだ)。その虹彩に紐づいたハッシュコードがまだアップロードされていないかどうかをデータベースで確認し、ハッシュコードが存在しないユニークのものであれば、ハッシュコードを新たに保存する。すると、ユーザーはアプリで暗号資産ウォレットを所有できるようになり、そこからOrbがQRコードをスキャンする、というものだ。(本名ではなく)仮名のウォレットコードに関連付けられた検証済みユーザーのネットワークと、実際の眼球写真ではなくハッシュコードが大量に保管されたデータベースを構築することで、ブラニア氏は、Worldcoinのユーザーが急増する中でも同社のプライバシーに関する取り組みを明確に伝えていきたいと考えている。

インドネシアで行われた利用者獲得のためのOrbのセッション(画像クレジット:Worldcoin)

ブラニア氏によると、南米、アジア、アフリカ、ヨーロッパの4大陸における最初のテストでは、ライセンス事業者はOrb 1台あたり、平均して1週間に700人を超えるユーザーを獲得することができた。現在、30台のOrbのプロトタイプが現場で稼働しているが、(すべてが計画通りに進めば)今後数カ月のうちに数百台を追加し、最終的には月に数千台のOrbを出荷する計画だという。米国のユーザーがWorldcoinとOrbを体験できるのは、しばらく先のことになりそうだ。

ブラニア氏は「(WorldcoinやOrbに関連する)米国の規制がもっと明確になるまで、米国での発売を遅らせることになるかもしれません」と指摘する。

すべてが根気のいるプロセスとはいえ、何百万、何千万ものユーザーに初めての暗号資産ウォレットを提供すると同時に、ブロックチェーンを使用して認証されたインターネットユーザーのネットワークを構築する、というのは、暗号化に投資してきた多くの投資家が、有り金をはたいてでも投資したいと思う内容だ。Worldcoinのローンチにともない、このサービスを利用する検証済みのユーザーにはWorldcoinの一部が割り当てられる(定額制かドルペッグ制かは未定だが、後者になるようだ)。全体では、Worldcoinの供給量のおよそ80%がユーザーに割り当てられ、10%はWorldcoinが留保し、残りの10%は投資家が受け取ることになる。

つまり、ユーザーは無料(ただ)でお金を手に入れるのだが、この大きな問題の1つは、ユーザーがお金を使ってしまうことである。ブラニア氏は、今後Worldcoinがネットワークやユーティリティーを拡大していく過程で、ユーザーが無料で受け取った暗号資産はすぐには清算できないような仕組みを作っていく、と話す。

投資家に関しては、WorldcoinはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導し、Coinbase(コインベース)、Reid Hoffman(リードホフマン)、Day One Ventures(デイワンベンチャーズ)、Multicoin(マルチコイン)、FTX(エフティーエックス)のSam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フリード)氏、Variant(バリアント)のJesse Walden(ジェシー・ウォルデン)氏などが参加したラウンドで、2500万ドル(約28億5000万円)を資金調達した。ラウンド前の評価額は10億ドル(約1140億円)であったが、ブラニア氏によると、Worldcoinとその知的財産権は最終的には財団に転換され、ユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業)という題目はここではほとんど意味をなさないという。Worldcoinに資金を提供する投資家たちは、Worldcoinの供給量の10%という投資家への割り当てを目的としている。

「会社自体の持ち分は、基本的にはまったく問題にならないはずです」とブラニア氏。

結局のところ、課題は新しい暗号資産に注目を集めることと、数十億、数千億のユーザーを獲得することである。独自のハードウェアが、利用者獲得の現場によって大幅に異なる環境で何十億、何千億もの眼を確実に解読できるようにすることも課題だ。Worldcoinには大きな課題がいくつもあるが、中には実際にOrbが流通するまで明らかにならないものもある。これらの課題のいくつかは絶え間なく流入する投資家の資金が解決するかもしれないが、この(かなり複雑な)プロセスすべてを理解してもらうという課題は残るだろう。

このことはWorldcoinのウェブサイトによく表現されている。「Nothing like this has ever been done before and the outcome is uncertain.(前例のないことで、結果は不確実です)」。

画像クレジット:Worldcoin

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

SFをテーマにしたNFTカードゲーム「Parallel」が急成長中、投資家の注目も高まり約570億円調達

Ethereum(イーサリアム)エコシステムの暗号資産投機家にとって、NFT(非代替性トークン)が保有資産を多様化するためのホットなスペースとなっていることは周知の事実である。これを、質の低い芸術作品を騙されやすい人に売り込む絶好の機会と考える人がいる一方で、NFTベースのゲームは一般に拡がる運命にあり、早い段階で仕組みを利用することができた製品が利権を得ると考える人もいる。

イーサリアムのブロックチェーンをベースにしたSFカードゲーム「Parallel(パラレル)」は、他の暗号資産プロジェクトよりも急激に成長を遂げている。投資家もそれに気づいており、このプラットフォームは、暗号資産専門VCのParadigm(パラダイム)から5億ドル(約570億円)の評価額を得て5000万ドル(約57億円)を調達したと、TechCrunchに語った。これまで同社には、YouTube(ユーチューブ)の共同創業者であるChad Hurley(チャド・ハーリー)氏、Focus Labs(フォーカス・ラボ)、OSS Capital(OSSキャピタル)、Yunt Capital(ユント・キャピタル)などが出資している。

「最高の暗号資産ゲームは、ファーストパーティのコンテンツを超えて、プレイヤーや開発者のコミュニティを刺激し、ゲームそのものを構築するものになるでしょう。我々は、Parallelのユニークなアプローチと初期の熱狂的なコミュニティに感銘を受け、彼らの次の成長段階を支援できることをうれしく思います」と、Paradigmの共同創業者であるMatt Huang(マット・ファン)氏はメールで語った。

Parallelは、世界的なエネルギー危機を解決しようとする終末論的な試みの後、人類が宇宙から脱出するというファンタジー系ストーリーをベースにしている。CryptoPunks(クリプトパンク)などの高い価値が付けられたドット絵的な他のNFTプロジェクトとは異なり、Parallelのアートスタイルはリアリズムを重視したものになっている。

Parallelが今後リリースする予定のNFT(画像クレジット:Parallel)

このSF NFTカードゲームは、NFTへの投機が急増した2021年8月に最初のパックをリリースすると、すぐに人気に火が着いた。暗号資産情報を追跡しているCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Parallelの取引量は1億500万ドル(約120億円)に迫るという。同タイトルに含まれる「Masterpiece(マスターピース)」カードの1つは、110万ドル(約1億2500万円)相当のイーサリアム暗号資産で販売された。9月の売上は1100万ドル(約12億5000万円)を超える程度で収まったものの、このように大きな金額が動いた月は、NFTプロジェクトの長期的な価値に大きな影響を与える可能性がある。というのも、その間に購入された希少な品を長期的に保有することで、オンチェーンで鋳造(発行)される新しい資産の価格基準を安定させることができるからだ。

何千人もの技術に精通した投機家が、大金持ちになるためにシステムを破壊しようとすることほど、システムのストレステストになるものはない。その結果、NFTの「ドロップ」は、ありとあらゆる悪夢のようなシナリオに悩まされてきた。独自のドロップシステムを構築してきたParallelにとって、今のところ順調に進んでいるものの、数日後に迫った次のドロップは、カードの潜在的な価値が高まっていることもあり、どれだけスムーズに進むかに人々の注目が集まっている。

このプロジェクトのゲーム要素は、実際にはまだ存在しておらず、初期の資金はそれを構築するために使われている。Parallelは、NFTの売上に対して10%のロイヤリティを徴収し、その半分がゲーム内の賞金として保持され、残りは会社の収益となる。これはコアプラットフォームにとって将来的により大きな収益をもたらす可能性があるが、ゲームのエントリーポイントが数千ドル(数十万円)に膨れ上がると、この「ゲーム」としての性質はまったく違ったものになってしまう。希少性で投資家を惹きつけつつ、新規ユーザーにも優しい市場のバランスをとることは、NFTゲームプロジェクトが取り組まなければならない大きな課題となっている。

画像クレジット:Parallel

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

2020年のNFT(非代替性トークン)狂乱は、アート、トレーディングカードゲーム、豪華アバター、デジタル・オブジェクトなどさまざまな分野に暗号資産がなだれ込むきっかけとなったが、今のところ、機関投資家はこうしたブロックチェーンベース商品を注意深く見守りながら、背後にいるプラットフォームに株式投資べく資産を準備しているようだ。

フロリダ州マイアミ拠点のMeta4 Capital(メタ4キャピタル)は、このトレンドに逆らい、集めた資金をプロジェクトそのものにつぎ込み、画素の粗いカエルやデジタルの馬や少々疲れたサルを買い占めている。これは多くの伝統的スタートアップが一蹴する大胆な判断だが、チームはすでに大きな後ろ盾を得ている。リードインベスターはベンチャーキャピタルおAndreessen Horowitz(a16z)だ。Meta4は最終的に、a16zが支える1億ドル(約114億円)のファンドをターゲットにしている。

共同ファンダーのBrandon Buchanan(ブランドン・ブキャナン)氏とNabyl Charania(ナビル・チャラニア)氏は、著名VCのファンドに支えられて、予測可能性がないことでよく知られている市場に新境地を開こうとしている。Meta4の関心事は、認められた優良NFTプロジェクトの希少品を買うことであり、数には注目していない。2021年同社は、100万ドル(約1億1000万円)のパイロットファンドを立ち上げ、その資金でNFTを31件だけ購入した。その中には1組のCryptoPunks(クリプトパンク)やCrypToadz(クリプトトーズ)の他、 Zed Run(ゼッド・ラン)の馬がいくつか入っている。彼らの投資は、ここ数カ月の市場回復を受けて、すでに価値総額が500~600%になっていると言われている。

関連記事:イーサリアムの「最古のNFTプロジェクト」CryptoPunksをめぐる驚くべき熱狂

2021年4月にBeeple(ピープル)のコラージュが6900万ドル(約78億6000万円)で売れた後、NFTが初めて多くの投資家の目に止まって以来、驚くばかりの資金がこのスペースに流入している。8月にはNFTプラットフォームのOpenSea(オープンシー)が取引高34億ドル(約3873億3000万円)の新記録を打ち立てた。劇的な投資急増のきっかけの1つとなったのが、ビジネスインフルエンサーのGary Vaynerchuk(ゲイリー・ベイナーチャック)氏が、稀少なCryptPunkサルを376万ドル(約4億3000万円)で買ったことだった。高額取引の勢いは続いた。今週、レアなBored Ape(ボアード・エイプ、退屈なサル)が270万ドル(実際には696.969ETH、約3億1000万円)で売れた。

「私は投資家に対し、『ツナミ』はまだきもいないと言っています。これは必要な代物、今すぐ必要な代物。エイリアンもサルも必要なのです」とブキャナン氏はTechCrunchのインタビューで語った。

NFTスペースに高まる興奮がある分、規制の明瞭性を欠いている。既存ルールの遵守も欠けている。規制当局はCoinbase(コインベース)などの主要取引所に焦点を宛てているようだが、暗号資産投資の世界に関わる前に証券弁護士だったブキャナン氏によると、人気のNFTプロジェクトは闇の領域に陥りつつあるという。多くのNFTプロジェクトが投資家資産のリターンに複雑なメカニズムを開発しており、ブキャナン氏が特に強調したのは、NFTオーナーに独自のトークンを与えるプロジェクトがいくつかあることで、そのふるまいは証券に酷似していると彼はいう。

「私たちがまだ買っていない商品があるのには理由があるのです」。

新しいプロジェクトが毎日出現し、資産の爆発はいくつもの急上昇ユニコーンNFTスタートアップを生み出した。その多くがMeta4を支えるa16zが支援しているもので、OpenSeaやトレーディングカードゲーム、NBA Top ShotのメーカーであるDapper Labs、Axie Infinityを作ったSky Mavisなどがいる。2021年の夏、a16zは22億ドル(約2506億5000万円)の暗号資産に特化したファンドを立ち上げた。Meta4によると、このファンドはアートやコレクションアイテムに焦点を絞り、NFTスタートアップへの株式投資は見合わすようだ。

「(a16zは)そちらはカバー済なのだと私は思っています」とブキャナン氏はいう。

画像クレジット:Meta4 Capital

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

スタートアップの世界では、デジタル資産が米国証券取引委員会にとって、いつ有価証券と見なされるか否かについて、山ほど不満が募っている。

多くの人々が規制の暗雲を感じる分野で、創業5年のニューヨーク拠点の投資プラットフォームであるRepublic (リパブリック)が機会を伺っている。多くの企業が特定のデジタル資産と距離を置くべきかどうか悩んでいる中、Republic(CEOのKendrick Ngyueyn[ケンドリック・グエン]氏はGoodwin Procterでの証券訴訟が最初の仕事だった)は「compliant tokenization(規則に準拠したトークン化)」とグエン氏が呼ぶものの第1人者になることを創業時から目指してきた。

そして今同社は、すでに構築したデジタル「証券」の購入と再販のためのコンプライアンスを重視したマーケットプレイスを拡大する大きな野望をほのめかしている。

関連記事:厳選されたスタートアップ投資機会を提供するRepublicのCEOケンドリック・グエン氏のTC Tokyo2021登壇決定

グエン氏は先週TechCrunchとの電話で「米国内の主要な取引所でデジタル証券トークンを扱っているところはありません」と語った。つまり、製品やサービスに利用できるユーティリティトークンではなく、その価値が不動産のような外部の取引可能な資産に連動しているトークンのことだ。

扱わない理由の1つは、SECが、Ripple Labs(リップル・ラブズ)が開発した暗号資産であるXRPを、(通貨ではなく)Coinbaseなどの取引所が販売していない「証券」とみなしていることを極めて明確に示したからだ。

グエン氏は、Republicは「有能で良いカスタマーサービスを提供し、米国で証券とデジタル証券の第二の活発な市場を可能にする」取引所があれば「今すぐ提携する」意志があると語った。しかし、そんな取引所は存在しないため「あと1年ソリューションが見つからなければ、Republicはデジタル証券の二次的取引所に投資するか関連会社を通じて直接設立するつもりだ」と語った。

これはRepublicが運営している中で最も野心的なサービスであり、100万人以上のユーザーを集め、大規模な資金調達も行っている。

本日、米国時間10月20日、同社は1億5000万ドル(約171億円)のシリーズBラウンドをValor Equity Partnersのリードで完了したことを発表した。これは2021年3月に発表したGalaxy Interactive、Motley Fool Ventures、HOF Capital、Tribe Capital、およびCoinFundらが参加した3600万ドル(約41億円)のシリーズAラウンドに続くものだ(なお、これらの既存投資家は今回も参加し、Pillar VC、Brevan Howard、Golden Tree、およびAtreidesが新たに加わった)。

現在Republicの従業員は200名で、最新ラウンドの前に、新株発行で5000万ドル(約57億円)以上を、トークンの販売で2000万ドル(約23億円)以上を調達している。

会社はさまざまな調整に忙しく動いている。Republicはすでにいくつかの事業部門からなっており、10ドル(約1140円)から始められる人気の個人投資プラットフォームや、10億ドル(約1141億円)近い資産を管理し、認定投資家をふるいにかけてスタートアップに紹介する民間資本部門から、技術、財務、流通、およびトークン化サービスを提供するブロックチェーンコンサルタント部門まである。

さらにRepubliには、現在スタートアップや暗号資産プロジェクトに資金を配分するクローズドエンド型投資ファンドが2件ある他、Republic Realm(リパブリック・レルム)の名前で運用しているメタバース(仮想空間)とNFT(非代替性トークン)に特化したデジタル投資部門もある。

Republicがどうやってすべてをコントロールしているのかを聞かれたグエン氏は「異なるプラットフォームがあるとは考えていません」として、関心事や預金残高に関わらずあらゆる人にサービスを提供できる会社と考えていると語った。「もし億万長者がRepublicにやっきてきて、100ドル投資するのに時間を使うより10万ドルを配分したいというなら、我々はその機会を提供します。もしあなたが20歳で、20ドルをビデオゲームか不動産か女性起業家に投資したいなら、そのための機会もあります」。

目指しているのは「全人口」の要求に応えることだと彼は述べ、Republicなら培った技術力を駆使して成功できると強く思っている。そこにはある基本理念がある。それは「DeFiとNFTを含めほとんどのトークンは証券である」というRepublicの強い信念だ。その結果「私たちはRepublicのやっていることのすべて、触れるものすべてをなんらかの証券として扱い、米国証券法の既存の枠組みに適合させています」と彼は言った。

他の投資プラットフォームがSECに抵抗したいのならもちろんそれは彼らの権利です。Republicとしては「自分たちの仕事をするために新しいルールや規制を求めません。私たちのやり方は既存の法律、強固な法的根拠に基づいています」。

画像クレジット:Kendrick Nguyen / Republic

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

Facebook(フェイスブック)が「Novi(ノヴィ)」と名づけた暗号資産ウォレットの小規模な試験運用を開始した。現時点では、米国とグアテマラの限られた人々のみが、Noviにサインアップして、使い始めることができる。

Facebookは、Diem(ディエム)協会の創設メンバーだ。しかし今のところ、Noviでは同協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上にある同協会のステーブルコイン(Diem)を活用するのではなく、代わりにFacebookはPaxos(パクソス)やCoinbase(コインベース)と提携。これによってユーザーは、Paxosの米ドルステーブルコイン「USDP」を送ったり受け取ったりでき、これらの暗号資産はCoinbaseが管理(カストディ)することになる。しかし、これはあくまでも中間段階であり、Facebookはいずれ、USDPをDiemに置き換えることを計画しているという。

Facebookは当初、暗号資産プロジェクトに対して大きな計画を立てていた。同社は「Libra Association(リブラ協会)」と呼ばれる暗号資産の運営コンソーシアムを設立し、これに参加する企業とと協力して、不換紙幣や国債のバスケットに連動するまったく新しいデジタル通貨「Libra(リブラ)」を発行する計画だった。本来であればLibraは、単一の現実世界の通貨ではなく、複数の通貨を混ぜ合わせたものがベースになるはずだった。

しかし、Facebookは多くの中央銀行から強い反対を受けることになった。彼らは、Libraが一部の国で準主権的な通貨になることを恐れたのだ。協会は2020年、その野心を抑えて、単一通貨のステーブルコインに注力することを発表した。

ステーブルコインとは、時間の経過によって変動することがない固定の価値を持つ暗号資産のことだ。例えば、Libra Associationが「LibraUSD」を発行するならば、1LibraUSDは常に1米ドルと同じ価値を持つことになる。

数カ月後、Libra Associationは再びいくつかの変更を発表、LibraはDiemに名称が変わり、協会名も「Diem Association(ディエム協会)」になった。同様に、Facebookのウォレットプロジェクトも
「Calibra(カリブラ)」からNoviにブランドが変更された。しかし、DiemもNoviも、まだ準備は整っていなかった。

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そして今、FacebookはNoviの試験を実際の一部ユーザーを使って始めようとしている。同社はまず、米国とグアテマラ間の送金に焦点を合わせることにした。送金したいNoviユーザーは、Noviアプリをダウンロードしてアカウントを作成し、デビットカードなどの支払い方法を使ってNoviに入金する。

入金された米ドルは、手数料なしでUSDPに変換される。Paxosが発行するUSDPは米ドルステーブルコインで、以前はパックスダラー(PAX)と呼ばれていたが、Paxosは最近、USDPにブランド名を変更した。

USDPはその価値を確保するために、現金および現金同等物によって担保されている。Noviユーザーの資金は、Coinbase Custody(コインベース・カストディ)によって管理される。つまり、CoinbaseがNoviのユーザーのためにUSDPの資金を保管するということだ。

Noviユーザーは、他のNoviユーザーにUSDPを送ることができる。繰り返しになるが、送金にかかる手数料は必要ない。しかし、お店での支払いや家賃の支払いにNoviを使うことはできない。そのためにユーザーは、現金の必要な場所では、Noviの残高を引き出したり、銀行口座に残高を送金したりできる。

しかし、NoviはUSDPをグアテマラ・ケツァルに変換する際に手数料がかかるかどうかについては言及していない。米ドルステーブルコインのUSDPをグアテマラの通貨単位に両替するには、為替レートを選択しなければならず、それにはスプレッド、流動性、その他のさまざまな変数が関わってくるからだ。

また、Noviは展開したいと考えるすべての市場で、フィアット / クリプトのオンランプおよびオフランプ(法定通貨と暗号資産の交換サービスを提供する場)を設けなければならない。

Facebookによれば、これはNoviの始まりに過ぎないという。それは第一に、まずはグアテマラと米国(アラスカ、ネバダ、ニューヨーク、米領ヴァージン諸島を除く)の一部のユーザーにのみ試験的に提供されるということ。そして第二に、FacebookとDiem Associationは、いずれ独自の暗号資産を立ち上げる計画を諦めていないということだ。

「我々のDiemに対するサポートに変更はなく、Diemが規制当局の承認を得て発行できるようになれば、NoviにDiemを導入して運用を開始するつもりであることを明確にしておきたい。私たちは相互運用性を重視しており、きちんと行いたいと考えています」と、NoviプロジェクトのリーダーであるDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏はTwitterで述べている。

Facebookが暗号資産Libraの発行計画を発表したのは、2019年6月のこと。それ以降、暗号資産のエコシステムは大きく変化した。特に、いくつかのステーブルコインが信じられないほどの人気を博しており、Tether(テザー)とUSD Coin(USDコイン)の流通量は現在、合わせて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えている。そんな中で、Diemが既存のステーブルコインに追いつき、新たなユースケースを開拓できるかどうか、興味深いことになりそうだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オンライン決済の巨人「Stripe」が暗号資産市場に再参入

決済大手のStripe(ストライプ)は「Web3決済の未来」をつくるために新たな暗号資産チームを結成すると発表した。米国時間10月12日にTwitter(ツイッター)に投稿された公開声明による。Stripeは、Bitcoin(ビットコイン)決済を最初にサポートした会社の1つだが、数年前に市場を撤退した後、復帰のタイミングを見計らっていた。しかし今回の計画がどう展開するのかはほとんどわかっていない。

コメントを求められたStripeは、その戦略の見解や詳細について語ることはなく、新たな公開声明と以前のブログ記事を示しただけだった。

2018年1月、StripeはBitcoin決済のサポートを4月に終了することを発表し、さまざまな理由により暗号資産が支払いが以前ほど有用ではなくなったと語った。

当時同社は、取引確認にかかる時間が長くなり失敗率が高くなっていることや手数料が大幅に増大したことを指摘した。しかし、Stripeは暗号資産全体についてはまだ「非常に楽観的」であり、Lightningなどの高速決済が可能なプロジェクトには特に期待しているとも語っていた。他にも同社はOmiseGOなどの出現にも言及し、Ethereumベースの高い可能性をもつプロジェクトがいくつか進行中であることも語った。

そして、待つこと数年、Stripeは暗号化分野に再入場する。

Stripeのユーザー対応チームのEdwin Wee(エドウィン・ウィー)氏の投稿によると、StripeはWeb3の技術者とデザイナーを雇って新しい暗号資産チームを強化しようとしている。Stripeは自社のビジョンについて説明しようとしなかったが、ウィー氏の投稿は会社が現在の市場をどう見ているかの見解を少しだけ明らかにした。

「暗号資産は決済を高速かつ安価にする可能性をもっています、特に未開拓市場では」と彼は書いた。

「2018年に当社は、Stripeは『将来暗号資産をサポートして顧客の役に立つ機会を伺っている』と言いました。今がその時です」とウィー氏は語った。

新しいチームはStripeのエンジニアリング責任者Guillaume Poncin(ギヨーム・ポンシン)氏が率い、同氏も求人に関する投稿をしている。現在提示されている暗号化エンジニア職はニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、およびリモートの計4名だが、全部で何人雇用するつもりかは発表されていない。

950億ドル(約10兆7850億円)企業が再び暗号化に手を出すことに問題はないが、Stripeの幅広い企業戦略にとってこの発表がどれほどの位置を占めるのかは現時点でわかっていない。

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しかし、暗号決済の市場はStripeが2018年に撤退して以来激化している。数々の暗号決済スタートアップがこの分野に進出し、大型ブランドや小売業で広く受け入れられているだけでなく、最近では決済の巨人であるPayPal(ペイパル)も暗号資産活用に本格的に乗り出している。

2020年11月、PayPalは米国の全ユーザーが同プラットフォーム上で暗号資産の購入、保有および売却が可能になったことを発表した。最近同社は海外市場へも拡大し、決済アプリのVenmo(ベンモ)でも利用できるようにした。さらに重要なのは、米国消費者がどこのPayPal対応店舗でも暗号資産を使ってチェックアウトできる機能を公開したことで、オンライン決済で暗号資産を使う可能性を著しく拡大した。

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他にも、暗号資産交換所のBinance(バイナンス)が、Eコマースの巨人Shopify(ショッピファイ)と暗号決済で提携し、Coinbase(コインベース)は、消費者の利用の伸びを受け、PayPal(ペイパル)やApple PayおよびGoogle Payの統合を通じて、暗号資産の購入や消費を使いやすくした。

ちなみに「恵まれない」市場における暗号資産の可能性を考えているのはStripeだけではない。2021年夏、Square(スクエア)は、投資する1億ドル(約113億6000万円)のうち2500万ドル(約28億4000万円)を少数コミュニティや恵まれないコミュニティに割当て、500万ドル(約5億7000万円)をSquare、Inc Bitcoin Endowmentに寄付することを発表した。

「信用履歴がないために銀行口座を開けない人々や銀行の利用が難しい地域に住む人々、歴史的に差別を受けてきた人々のために、Bitcoinは公平な場を作り、より包括的な未来を生み出す力になります」とSquareは語っていた。おそらくStripeも同じ意見だろう。

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

Coinbase(コインベース)は、OpenSea(オープンシー)など既存の主要プレイヤーに対抗するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの起ち上げを準備しており、年内に予定しているローンチに向け、早期アクセス用順番待ちリストへの登録が可能になったことを、米国時間10月12日に発表した。

Coinbaseは、近日中に提供を始めるこのプラットフォームについて、現時点では詳細を明らかにしていないものの、ブログ記事の中では、ソーシャルメディア機能をより深くプラットフォームに統合したいと述べている。「Coinbase NFTは、NFTの創作、購入、展示、発見をこれまで以上に簡単にします。複雑な仕組みは舞台裏に隠した直感的なインターフェースを構築することで、NFTをよりアクセスしやすいものにします。また、交流や発見のための新たな道を開くソーシャル機能を追加します」と、同社は書いている。

Bitcoin(ビットコイン)が、Coinbaseの直接上場時に記録した史上最高値に迫っているにもかかわらず、Coinbaseの株価は、この分野で最も人気のある暗号資産(暗号資産)の成長回復に追いつけず、4月の直接上場以来約27%の下落となっている。この暗号資産取引所は、同時に規制当局からも睨まれており、最近ではSEC(米国証券取引委員会)が「Lend(レンド)」という融資商品に関して同社を提訴すると圧力をかけ、発売を中止したこともあった。また、Robinhood(ロビンフッド)のような取引アプリが暗号資産への対応を強化したこともあり、Coinbaseはますます激しさを増す暗号資産売買業界の競争に対処を迫られている。

画像クレジット:Coinbase

NFTが高額なデジタルコレクションやアートを求める投資家の関心を集め続ければ、Coinbase NFTは上場会社となったCoinbaseに大きな収益源をもたらす可能性がある。2021年初めに急騰し、8月に再び盛り上がったNFT市場は、多くの人が予想していたよりも回復力を見せているが、すでに大きく変動している暗号資産の値段よりも、依然としてさらに激しい変動が見られる。OpenSeaは、8月に34億ドル(約3860億円)もの取引量を記録した。

CoinbaseはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのサポートを開始しており、そこでNFTの展開を始めるということはそれほど意外ではないが、Coinbase NFTの開始時には、レイヤー2のスケーリングネットワークとの統合は行わないとしている。つまり、Coinbase NFTのユーザーは、高額なガス代を支払い、Ethereumメインネットのスケーラビリティ問題の多くに対処しなければならない可能性があるということだ。

Coinbaseはブログで、いずれ「マルチチェーン」サポートを導入する予定と書いているが、Coinbase NFTのローンチ時にはEthereum標準のERC-721とERC-1155規格のみをサポートする。競合のOpenSeaは最近、Polygon(ポリゴン)ネットワークを活用した大幅に低コストな取引のサポートを開始している。

OpenSeaはこの分野で強大な勢力を持つが、Coinbaseが競合しなければならない唯一のプレイヤーというわけではない。ライバルであるBinance(バイナンス)やFTXも、最近NFT市場エコシステムへの参入を発表している。多くの暗号資産投資家がNFTの可能性はまだ表面に現れてきたばかりと見ているものの、Coinbaseは間もなく競合する他社よりも、かなり遅れて参入しようとしている。とはいえ、コンシューマー・クリプトの世界におけるCoinbaseの知名度を考えると、その参入は大きなものになりそうだ。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】暗号資産による送金は世界で最も弱い立場にある人々の生命線

アフガニスタンからの米国の突然の撤退により、Western Union(ウエスタンユニオン)が一時的に業務を停止し、国内の銀行も引き出しを厳しく制限するなか、暗号資産(仮想通貨)による送金がアフガニスタンの人々の生命線となっている。

米国や英国などの送金側の規制当局は暗号資産に目を向けている。彼らは、世界で最も弱い立場にある人々にとって、暗号資産がどれほど欠かせないものであるかを忘れてはならない。

アフガニスタンだけでなく他のどの国であっても、現地通貨が入手困難になり、価値の貯蔵手段としての信頼性が低下すると、暗号資産はますます不可欠なものとなる。紛争はインフレを招き、通貨の価値を下げ、時には無価値にしてしまう。

もし、国内の暗号資産タカ派をなだめるために暗号資産の送金を規制したら、この資産クラスを最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々やその他多くの人々に(再び)背を向けることになる危険性がある。

タリバン占領後、アフガニスタンの金融システムも凍結されてしまった。世界銀行によると、アフガニスタンのGDPの約4割を占める海外からの援助が止まった。同様に、アフガニスタン中央銀行の外貨準備も凍結された。その額は約90億ドル(約1兆円)

さらに、タリバンによる占領と欧米諸国による対外援助停止を受け、Western UnionやMoneyGram(マネーグラム)などの国際送金会社がサービスを停止した(今のところ再開しているケースもある)。そのため、一般のアフガニスタン人は世界の金融システムにアクセスできず、そしてここが重要だが、海外の親族からの送金を受け取れなくなった。

送金とは、豊かな国から「母国」にお金を送ることで、アフガニスタンのGDPの約4%を占める。現金に大きく依存する経済において、現地の金融インフラが突然崩壊することは、多くのアフガニスタン人にとって生死を分けることになり得る。

送金が生命線であり続けるためには、迅速でなければならない。お金が必要なときは、すぐに必要になることが多い。例えば、国内で避難生活を送る人々は、資金が決済されるまで3~5日も待つことはできない。彼らは今すぐにでも食料、燃料、医薬品を必要としている。

ビットコイン「過激主義者」は、暗号資産が世界の経済システムをいかに変えるかについて、目を輝かせて主張する。彼らを信じるかどうかは別にして、私たちの前で、暗号資産は不安定で紛争が絶えない場所での送金に、すでに革命を起こしている。アフガニスタンは、破綻した国家における暗号資産の教科書的な使用例を示している。

時として、切迫する必要性が新技術導入の強力な論拠となる。アフガニスタンは、ブロックチェーンのデータプラットフォームであるChainalysisのGlobal Crypto Adoption Indexで、154カ国中20位に位置している。ピア・ツー・ピアの取引(送金を含む)を加味すると7位だ。2020年には、アフガニスタンはリストにすら入っていなかった。

アフガニスタンだけではない。レバノン、トルコ、ベネズエラでは最近、暗号資産の使用率が急増した。人々は一攫千金を狙っているわけではない。海外の親族から資金を受け取り、高インフレ時に資産消滅を防ごうとしているだけだ。

ベネズエラを拠点とする暗号資産コンサルタントのJhonnatan Morales(ジョナタン・モラレス)氏は「多くの人々は、モノを手に入れるためではなく、ハイパーインフレから身を守るために暗号資産を採掘したり取引したりしています」と見ている

インフレ率が世界で最も高いベネズエラ(3000%に向かっている)では、経済が不安定になるにつれ、暗号資産の導入が進む。

レバノンもその一例だ。リラがその価値の80%を失う中、例えばビットコインウォレット「BlueWallet」のレバノン人によるダウンロード数は、2020年に前年比1781%増加した

だがアフガニスタンは、グローバルサウス(南半球の発展途上国)が暗号資産を必要とする理由を示す、最も緊急かつ悲劇的なケースかもしれない。現金が不足し、物価が高騰し、タリバンがこれまで頼りにしていた外国からの援助を失うと、すでに崩壊しているアフガニスタンの通貨はさらに弱くなる。アフガニスタンの人々が自らの富をビットコインで受け取り、保管し、使うことができるようになれば、破綻国家の最悪の影響から自分たちを守ることができるかもしれない。

そしてこれこそが、欧米で暗号資産を規制する際に忘れてはならないことだ。規制は投機家に影響を与えるだけでなく「母国」に送金したい人にも打撃を与える。最も失うものが大きいのは送金を受け取る人々だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長が、暗号資産規制の次の段階に関する報告書を発表する際には、暗号資産を最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々や、彼らのような世界中の何百万もの人々のことを忘れないで欲しいと思う。

欧米はアフガニスタンの人々に背を向けたのかもしれないが、私たちは自国の法律が彼らを暗闇に置き去りにしたままにすることがないようにしなければならない。暗号資産の規制は、重要な金融の生命線が失われないようにしなければならない。さもなければ、暗号資産を最も必要とする人々の希望の扉をまた1つ閉じてしまうことになる。

編集部注:本稿の執筆者Joshua Jahani(ジョシュア・ジャハニ)氏は、コーネル大学およびニューヨーク大学の講師であり、中東・アフリカを専門とする投資銀行Jahani and Associates(ジャハニ・アンド・アソシエイツ)のボードアドバイザー。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKY/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Joshua Jahani、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】暗号資産の流動性はクロスボーダー決済というランチを食べる準備ができている

伝統的な金融機関が暗号化戦略の策定を急ぐのを日常的に目にするが、その理由は明白だ。暗号は主流意識の転換点を過ぎており、クロスボーダー決済のようなユースケースは、サンドボックスの段階の域を確実に脱している。

クロスボーダー決済は、明らかな理由から、暗号資産の最も初期のユースケースの1つと言える。公的なブロックチェーンとそのネイティブな暗号資産は、本質的にグローバルであり、安全で検閲に強く、安価に取引できるように構築されている(トークンにもよるが)。そして(おそらく最も重要な点として)24時間365日即時決済が可能だ。

しかし、送金関連企業や大手銀行などの既存企業が独占してきた年間130兆ドル(約1京4430兆円)規模のこの業界で、暗号資産が大きな影響力を発揮するまでには数年を要した。例を挙げると、Western Union(ウエスタンユニオン)の収益の大部分は、クロスボーダー決済による個人取引手数料から来ている。

結局のところ、フィアット(法定通貨)やすぐに利用可能なオン / オフランプ(法定通貨との交換サービスを提供する場)と同じかそれ以上のレベルの世界的な流動性を、暗号資産が持つことが決め手となる。朗報として、どちらのラインもポジティブなトレンドを示している。

大手銀行を優遇する時代遅れのシステム

伝統的な外国為替(FX)の世界は何年もの間、かなり停滞している。決済は通常の銀行取引時間内にしか行われず、メッセージはSWIFT経由で送信されるが、実際には数日後まで決済されない。

この時代遅れのコルレス銀行システムでは、少なくとも2つの異なる段階を経なければならない。誰もが痛感しているように、取引は遅く、間違いを起こしやすく、コストがかかり、非効率的である。米国やメキシコなどの回廊ではより大きな決済の流れがあるが、消費者へのコストは依然として存在している。

G20以外の通貨に移行する際には、ある国から次の国へいつ送金されるかは誰にもわからないし、5%から10%の手数料を支払うことになる。このシステムは、長年にわたり数兆ドル(数百兆円)規模で流動性へのアクセスを独占してきたビッグマネー中心の銀行に、長らく貢献してきた。

2017年以前の数年間は、暗号資産の流動性はひと握りの取引所に限られており、全資産の取引高は数百万ドル(数億円)だった。それがここ数年で大きな変貌を遂げている。

画像クレジット:Asheesh Birla

Ripple(リップル)は早くから次のような主張に焦点を当てていた。1. 暗号資産が世界中で量的に成長し(取引所の流動性のレベルで測定)、2.それを使ってより多くの決済が可能になれば(オーダーブックのサイズで測定)、伝統的な法定通貨よりも暗号資産を使ったクロスボーダー決済のための流動性を調達する方が安くなる。2015年に崇高なビジョンであったものが、今では現実となっている。

暗号資産の流動性へのアクセスに必要なオンランプとオフランプ

クロスボーダー決済に暗号資産を使用するために必要なキーファクターは、法定通貨から暗号資産への移行とその逆の移行を提供し、暗号資産の流動性へのアクセスが得られる、スムーズなオンランプとオフランプだ。筆者はかつて、利用可能な方法を片手に数えることができたが、今日では、ステーブルコインや取引所など、暗号資産の出し入れを行うさまざまな場所が急速に拡大している。主要な送金会社やカードネットワークからグローバルな暗号資産取引所まで、あらゆる組織がトークン化を利用してこの最初のハードルに対処している。

法定通貨の裏づけのあるステーブルコインは、最もポピュラーなオン / オフランプの1つとして台頭してきた。決済の際の法定通貨への即時の換金を必要とせずに暗号資産へのアクセスを得る比較的簡単な方法を確保し、変換税の問題や暗号資産の高いボラティリティを排除するものとなっている。

このことは、ステーブルコインの時価総額が増加していることにも表れており、2019年の40億ドル(約4440億円)から2021年7月には1000億ドル(約11兆円)を大きく上回った。ステーブルコインは、暗号資産取引所、分散型金融プラットフォーム、流動性の低いフィアット・ツー・フィアットの回廊へのアクセスと流動性を提供しており、トークン化された資産ができることの力を示している。世界があらゆる種類の価値(フィアット、暗号資産、アイデンティティ、ローン、NFTなど)をトークン化しつつある中、1つの資産から次の資産への移行をサポートするシステム内の流動性が高まっている。

データを見る

ここで定量的な理由に目を向けると、暗号資産から流動性を調達する方が、時間の経過とともに費用対効果が高くなることがデータで示されている。根本的な疑問は、暗号資産からの調達が伝統的なフィアット外国為替(FX)よりも一貫して安くなるデータポイントはどこかという点だ。

下のグラフを見ると、より大規模な暗号資産市場のプロキシとなるBitstamp上の時価総額上位5つの暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ)を使用することで、流動性の指標である暗号資産のボリュームが過去5年間でどのように増加したかが確認できる。これらの資産の組み合わせは、2016年から2021年まで一貫してすべての暗号資産ボリューム(ステーブルコイン以外)の約85%を占めている。

画像クレジット:Asheesh Birla

具体的には、2016年4月から2021年6月までのUSDとEURのスポットとインプライドのFXレートの平均差、およびUSDとEURのオーダーブックのサイズと比較した、5つのトークンのUSDとEURの月次ボリュームが示されている。スポットレートは、その特定の時点における即時為替レートを示し、インプライドレートは、仲介者(暗号資産をブリッジとして使用するなど)を使用して、送信通貨から宛先通貨へのブリッジから達成されたFXレートを表す。

年数が経つにつれて、スポットレートとインプライドレートの差はゼロに近くなり、平均的なトレンドラインから明らかなように、暗号資産を介して決済の流れを行う方が、法定通貨を使用した場合よりも同等または安くなっている。

トレンドラインをさらに推定すると、今後2年間でトレンドラインが0を超えて負の差になることを予測できる(現在のレートで暗号ボリュームが2倍になり続ける場合)。PayPal(ペイパル)やWestern Unionのような決済プロバイダーは、法定通貨取引ごとに手数料を請求する(0.2%から1%のマージン)など、他のファクターが作用していることも注目に値する。

画像クレジット:Asheesh Birla

同じ期間で、上のグラフはオーダーブックのサイズが急速に増加していることを示している。つまり、2021年にこれら5つの暗号資産で合計400万ドル(約4億円)もの決済をサポートするのに十分な流動性があるということだ。

伝統的な取引ベースの決済収益は廃れていく

FX取引手数料から収益の大部分を得ているすべての送金関連企業にとって、このデータは警鐘を鳴らすものになるだろう。

企業がクロスボーダー決済に暗号資産を利用しようとしている理由はここにある。もはやブロックチェーンと暗号の特性だけではなく、グローバルな流動性が本当の意味で大規模な決済を支えている。消費者がより多くの選択肢を利用できるようになれば、従来型の企業は市場シェアを維持するために取引手数料を引き下げなければならなくなる。これにより問題はある程度は緩和されるだろう。

これまでPayPalなどを利用してクロスボーダー決済を行ってきたすべての消費者に向けて問いかけたい。暗号資産を利用することが、より安く、より迅速で、より安全ではないにしても、同等であるなら、それにこだわる必要があるだろうか?

これらの企業は、現在取引手数料に大きく依存している収益モデルを変更するか、さもなければ時代遅れになるリスクを負うことになる。一部は反対方向に向かっているが(例えば、PayPalはすでに欧州でのクロスボーダーのマーチャント決済の取引手数料を引き上げており、Western Unionは競合他社を回避するためにデジタル決済にさらに力を入れている)、この周知の波はすでに崩壊しつつある。これらの企業が提供する他のサービス(コンプライアンス、アドレッシングなど)は、いずれも企業を救うことにはつながらないだろう。多くの暗号資産企業はすでに、強力なマネーロンダリング対策を実装しており、顧客(AML/KYC)を把握している。

少数の回廊におけるBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)使用のデータは、市場全体のプロキシではあるが、トレンドラインは方向的に明らかである。今日の暗号資産の時価総額は2兆ドル(約220兆円)を超えている。5兆ドル(約550兆円)から10兆ドル(約1100兆円)になれば何が可能になるか想像して欲しい。

暗号流動性は、ゲームを変えつつある。「もしも」の段階を過ぎ、今や「いつ」の領域に入っている。

編集部注:本稿の執筆者Asheesh Birla(アッシュ・バーラ)氏は、RippleでRippleNetのGMを務める。

画像クレジット:Jonathan Knowles / Getty Images

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(文:Asheesh Birla、翻訳:Dragonfly)