Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

無人配達スタートアップのNuro(ニューロ)は、カリフォルニア州車両管理局(DMV)から認可を受け、同州の公道で無人配達サービス事業の開始が許可されることになった。同社はこのハードルをクリアした最初の企業となる。

Google(グーグル)出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって2016年6月に設立されたNuroは、2021年早々に商用配達業務を開始する予定だ。いわゆる「Autonomous Vehicle Deployment(自動運転車両展開)」許可を取得することで、Nuroはサンマテオ郡とサンタクララ郡で商業的なサービスを運営することができるようになる。つまり配達料を請求できるようになるということだ。同社は2021年の早い時期に、1つのパートナーと1つの都市で、トヨタ・プリウスの自動運転車を使ってサービス開始を目指すと、同社の最高法務・政策責任者を務めるDavid Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はいう。最終的には、無人配達専用車両として開発された「R2」と呼ばれるデリバリーボットに移行し、さらに多くのパートナーを追加して、地理的に拡大していく計画だ。

Nuroはパートナーや都市の名前を特定していないが、同社がマウンテンビューに本社を置き、以前から本社の近くで事業を開始する意向を表明していたことは注目に値する。

「初の展開許可証の発行は、カリフォルニア州における自動運転車の進化において、重大なマイルストーンです」と、車両管理局のSteve Gordon(スティーブ・ゴードン)局長は現地時間12月23日に発行されたプレスリリースで述べている。「この技術が発展していく中で、我々は引き続き公道の安全を念頭に置いていきます」。

この展開許可証はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンロパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベール、ウッドサイドといった各都市を含むサンタクララ郡とサンマテオ郡の指定された区域の路上において、商業配達サービスで小型の無人運転車両の一群を使用する許可をNuroに付与するものだ。DMVによると、この車両の最高速度は時速25マイル(約40km/h)で、晴天時に制限速度が時速35マイル(約58km/h)以下の道路でのみ、運行が認められているという。

今回の発表は、米国時間12月23日に自動運転トラックのスタートアップ企業Ike(アイク)を買収したことを発表したNuroにとって、節目の年を締め括ることになった。

さらにNuroは5億ドル(約518億円)を調達し、資金調達後の評価額を50億ドル(約5180億円)に押し上げ、州や連邦政府の規制において重要な勝利をいくつか確保した。

この展開許可証を獲得するために、Nuroはこれまで長く曲がりくねった道のりをたどってきた。2017年、カリフォルニア州で自動運転車を規制する機関である同州のDMVは、運転席に人間のドライバーが乗車することを義務づけた自動運転車試験許可証をNuroに発行した。同社は当初、改造したトヨタ・プリウスをこの公道テストで使用し、同時にアリゾナ州とテキサス州では試験的な食料品の配達を行った。

2018年12月に同社は、テスト車両を荷物配達用に設計された車両の第一歩となる「R1」に移行させた。その第2世代にあたるR2と呼ばれる車両は2020年2月に発表された。ミシガン州に拠点を置くRoush Enterprises(ラウシュ・エンタープライゼス)との提携により、米国で設計・組み立てが行われたR2はLiDAR、レーダー、カメラを搭載し、「ドライバー」に周囲360度の視界を与える。重要なことに、NuroはR2の車両について米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から無人運転車の安全規定免除を受けた。この免除により、R2はサイドミラー、フロントガラス、前方走行時にシャットオフされるバックカメラを装備しなくても運用が可能になった。

Nuroは2020年4月に、カリフォルニア州DMVから無人運転車両をテストするための許可証を取得したが、これはついに同社が、R2デリバリーボットを公道で走らせることができるようになったということを意味していた。数十社もの企業がカリフォルニア州DMVから、安全のために人間の運転手を乗せた自律走行車のテストを行う許可を積極的に取得しているが、カリフォルニア州の公道で無人運転車をテストすることを許可されている(カリフォルニア州DMVサイト)のは、AutoX(オートエックス)、Cruise(クルーズ)、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)だけだ。

それでも、Nuroは12月23日に発行された展開許可証を受け取るまで、配達料を請求することができなかった。

無人運転タクシーで人を運ぶことを目指している自動運転の企業に比べると、Nuroの場合は商業運営の実現に向かう道がまだ少しだけ平坦だ。無人運転車を使う商用ライドシェアリングサービスは、乗客を運ぶためには、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)からも認可を取得しなければならない。また、乗車料金を請求するためには、CPUCによる追加の許可が必要となる。

乗客から運賃を徴収するための許可を得ることは、先月までは可能ですらなかった。CPUCは11月に、認可を受けた企業に自動運転車によるライドシェアの提供と課金を許可する2つの新しいプログラムを承認した。自動運転車技術業界は、運用者による運賃の請求と無人運転車両を使ったライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討してもらうために、何カ月もCPUCに働きかけてきた。この決定は広く喝采を浴びたが、業界の一部では、この承認プロセスが商業的な自動運転タクシーの運用をさらに遅らせる可能性があると警告している。

自動運転タクシー事業者になる可能性のある企業は、CPUCとカリフォルニア州陸運局から適切な許可を受け、いくつかの報告要件を満たさなければならない。また、このプログラムに参加する企業は、安全計画と四半期報告書のほか、個々の運用区間における乗車場所と降車場所、車いす乗車可能な車両の有無と数、恵まれないコミュニティへのサービスレベル、そして車両が使用した燃料の種類、走行距離、乗客の移送距離などのデータを集計し匿名化した情報を、CPUCに提出する必要がある。

関連記事
Nuro、非常用ドライバーのいない完全無人運転車を運用開始
Nuroの新型配達ロボに米政府は無人運転車として初の安全基準の適用除外を認定

カテゴリー:モビリティ
タグ:Nuro自動運転カリフォルニア

画像クレジット:Nuro

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

米国の追加経済刺激策に違法ストリーミングを「重罪」にする法案

米国時間12月21日に米議会が承認した新型コロナウイルス流行に対する追加経済刺激策について、TechCrunchではすでにいくつか記事を掲載してきた。その中には、ブロードバンドアクセスを増やすための資金や、新エネルギーへの取り組みのための資金(未訳記事)も含まれる。

だが、テクノロジーやメディアの世界に深刻な影響を及ぼす可能性のある項目が他にもある。その1つが、利益目的の違法なストリーミングを懲役10年以下の重罪(The Hollywoodr Reporter記事)とする軽犯罪ではなく)という、Thom Tillis(トム・ティリス)上院議員(ノースカロライナ州選出の共和党員) からの提案を含む法案だ。

ティリス議員が2020年12月初めにこの提案の草稿を発表したとき、インターネットのオープン標準 / 知的財産に関与する非営利団体Public Knowledge(パブリック・ナレッジ)は声明を発表し、「著作権侵害のための更なる刑事罰」の必要性はないと主張したものの、この法案は「狭く仕立てられており、ユーザーを犯罪化することは避けている」、そして「無認可の作品をストリーミングに含む可能性があるストリーマーを犯罪化しない」ともいっている。そうではなく、その目的は商業的利益のために海賊行為を行う人々を対象としている。

そしてもう1つは、CASE法(少額賠償における著作権代替執行法)案だ。これは米国著作権局内に新たな著作権主張委員会を設け、少額裁判所に代わって著作権の請求を裁き、最高3万ドル(約310万円)までの支払いを命じることができるようにするというものだ。

2019年、米国下院でこのCASE法が議論されていた(The Verge記事)際、賛成派は独立系アーティストが著作権侵害の申し立てを簡単に行えるようになると擁護したが、一方でアメリカ自由人権協会や電子フロンティア財団などの団体は、個人のインターネットユーザーに悪影響を与える可能性があると述べている。

Techdirt(テックダート)のMike Masnick(マイク・マスニック)氏は米国時間12月21日、この法律は「トロール(荒し行為)を減らすために法律を修正する必要があるときに、まさに著作権トロール(金儲けを目当てに著作権侵害の疑いを探し回る人々)を急増させる」と主張した(Techdirt記事)。

下院と上院が承認した現在、この法案はドナルド・トランプ大統領の署名に向けて送られようとしている。全文は米国時間12月21日に発表されたばかりなので、今後数週間から数カ月の間に、その影響について多くの議論が交わされることを期待したい。

【更新】ティリス上院議員もリリース(ティリス議員公式サイト)を発表。この法案はPatrick Leahy(パトリック・リーヒ)上院議員(バーモント州選出の民主党員)が共同で主導したものであると指摘し、「営利目的の商業的な海賊ストリーミングサービス」のみに適用されることを強調している。

「オンラインによるストリーミングコンテンツへの移行は、著作権で保護された素材を違法に配信する犯罪的なストリーミングサービスを生み出し、毎年300億ドル(約3兆1000億円)近くの損失を米国経済に与え、米国人が楽しむ創造的なコンテンツの制作を阻害しています」と、ティリス氏は声明で述べている。「私はクリエイター、ユーザーグループ、およびテクノロジー企業の意見を取り入れて起草されたこの常識的な法案が法律になることを誇りに思っています。これは犯罪組織を標的にしたものであり、個人的なストリーマーが起訴の恐れを心配する必要がないことを保証できます」。

関連記事:米国の新型コロナ追加経済対策にファーウェイとZTEの機器排除費1965億円が含まれる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:アメリカ音楽ストリーミング動画配信著作権

画像クレジット:Patrick Foto / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

ニューヨーク・タイムズが拡張現実を使ったクロスワードパズルをInstagramで公開

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が、名物のクロスワードゲームを拡張現実(AR)に持ち込んだ。同メディア会社は米国時間12月22日朝、AR対応の新しいゲーム「Shattered Crosswords」をInstagramで発表。プレイヤーは回転する砕けたクロスワードの破片をARで見つけて、手がかりを解くことができる。正しい視点に到達すると、プレイヤーはパズルの上にある破片の中に隠された単語を見つけることができる。

このコンセプトは「Polysphere」のような他の3Dパズルに見られるものと似ている。Polysphereは、表示されている破片をスワイプして回転させ、1つの絵を完成させるというものだ。しかし、ニューヨーク・タイムズの場合は、ゲーム体験全体を拡張現実で見ることができる。

この新しいゲームは、Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark」の技術を使って開発されており、ニューヨーク・タイムズがARゲーム体験を作るのはこれが初めてだと同社は述べている。

しかし、ニューヨーク・タイムズがAR技術を使うのはこれが初めてではない。

今秋、ニューヨーク・タイムズはFacebookとの複数年にわたる提携を結び、Instagram上でARを活用した一連のリポートを公開することに注力する(The New York Timesリリース)と発表した。このレポートは、AR技術を使って、よりビジュアルでインタラクティブな方法でストーリーを伝えるものだ。この新しい取り組みをサポートするために、ニューヨーク・タイムズは独自のARラボを設立。その十数人のスタッフがニュースルームの専任チームと協力して、ARジャーナリズムのコンテンツを開発している。

このARラボはこれまでに、女性参政権100周年フェイスマスクの有効性の裏にある科学カリフォルニアの山火事の報道などに関連したビジュアルストーリーの制作を支援してきた。

Facebookとの提携とは別に、ニューヨーク・タイムズは以前にもARを使った実験を始めている。たとえば2018年には、独自のiOSとAndroid向けアプリで、ストーリーを語るために拡張現実を使い始める(The New York Timesリリース)と発表した。

これまでニューヨーク・タイムズは、ソーシャルメディア上でプレイヤーを惹き付けるための方法として、Twitter(ツイッター)やFacebookなどのSNSプラットフォームで、クロスワードの「ライブ解答」を行ってきた。しかし、これらは独立したゲームでも、AR技術を使って作られたものでもなく、単なる視聴体験(Twitter投稿)に過ぎなかった。

とはいえ、この新しいゲーム自体には、ニューヨーク・タイムズによる興味深いARのデモということ以上の魅力は、限られているかもしれない。

パズルは小さくて単純すぎて、本格的なクロスワードファンにはアピールできないし、破片の中からヒントを見つけるにはジェスチャーや動きが必要で、時間が経つとイライラしてくる。また、Polysphereのようにスムーズに動かないことも気になった。

従来のモバイルゲームや一般的なクロスワードパズルと比較して、この手のパズルを度々楽しみたいという人がどれだけいるかはわからない。

この「Shattered Crosswords」ゲームは、Instagramアプリでニューヨーク・タイムズ(@nytimes)のプロフィールページを見ると、同社の他のARリポートと並んで「Effects」タブの下にある。iOSとAndroidの両プラットフォームで動作する。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:The New York Times拡張現実ゲームFacebookSpark ARInstagram

画像クレジット:The New York Times

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

TwitterがAPI機能を拡張、開発者は公開された会話の追跡が可能に

Twitter(ツイッター)は、最近設計を見直したTwitter APIのアップデートにより、開発者コミュニティに新機能を提供している。拡張されたAPI v2エンドポイントのコレクションに新たに加わった機能では、自分のツイートに誰が返信できるかを指定できるなど、これまで以上にTwittterの新しい会話コントロールをアプリ開発者がサポートできるようになった。他にも開発者が、特定のアカウントのツイートやあるアカウントにメンションしたツイートを追跡したり、特定のユーザーをフォローしているアカウントのリストを取得したりできるエンドポイントが追加された。

これらの新しいエンドポイントは、2020年6月に最初に導入された(未訳記事)開発者向けAPIのバージョン2で、Twitterが行っている改良に続くものだ。このAPIは2012年以来初めて見直されたが、その目的は投票、固定ツイート表示、スパムフィルタリングなど、以前のバージョンに欠けていた機能を含めることであり、同時に検索やストリームフィルタリングなどの分野にも改善が施されている。

しかし、TwitterのAPIに関する作業はまだ進行中であり、エンドポイントの追加や階層化されたアクセスプランのさらなる細分化が行われている。

今回のリリースでは、Twitterは2020年初めに導入された新しい会話への参加方法に向けたサポートを追加した。この機能は、ユーザーが自分のツイートに返信できる人を選択できる(未訳記事)ようにするものだ。Twitterでは、ユーザーは全員に返信を許可するか、フォローしている人だけに返信を制限するか、「@アカウント」で指定した人だけに返信を制限するかを選ぶことができる。この会話コントロールが、新しいAPIでは「reply_settings」と呼ばれるTweetオブジェクトのフィールドを介して、部分的にサポートされることになった。この追加により、開発者は会話の返信設定がツイートに設定されているかどうか、設定されていれば誰が返信できるかを知ることができるようになる。しかし、Twitterはまだこれらのフィールドのサポートを記述していない。「将来的に」そうなると述べているだけだ。

最終的には、このような機能によってサードパーティ製アプリが、Twitter.comやTwitter自身のネイティブアプリによるファーストパーティのユーザー体験に近づくことができるかもしれない。それはまた、ソーシャルメディアマネージャーが返信できるツイートのみを取得するソーシャルリスニングアプリを開発するのに役立つかもしれない、とSocialOpinionsの開発者であるJamie Maguire(ジェイミー・マグワイア)氏はTwitterの投稿で指摘している。Twitterはまた、それが●公共の会話で何が起こっているかを調べている学術研究者の役に立つ可能性があることを示唆している。

この機能はv2で完全に導入されるとTwitterは述べている。

エンドポイントのもう1つのセットである、ユーザーのツイートタイムラインとユーザーのメンションタイムラインは、特定のTwitterユーザーによって投稿された、または特定のTwitterユーザーにメンションした一連のツイートを返す。これらのエンドポイントは、start_timeとend_timeのパラメーターを指定し、特定の時間帯のツイートを収集するために使用することができる。これにより、開発者や研究者が特定のアカウントを分析することが容易になるとTwitterは述べている。

Twitterの指摘によると、これらのエンドポイントは、カスタマーサポートやブランド分析、Twitterユーザーの感情を時間の経過とともに測定するツールなどの分野で利用できるため、このAPIの最初のバージョンでは最も多く利用されたエンドポイントの2つだったという。

開始時には、開発者は1回につき最大100ツイートまでリクエストすることができる。ユーザーのツイートタイムラインのエンドポイントは直近のツイート3200件に制限され、ユーザーのメンションタイムラインは直近のツイート800件に制限される。どちらも「スタンダード・ベーシック」アクセスの月間ツイート数の上限50万件にカウントされる。この制限は恒久的なものではない。Twitterは、2021年の早い時期にTwitter API v2でスタンダードのプロダクトトラックに、より高度な「Elevated」アクセスを提供する予定だと以前に述べており(Twitterブログ)、企業はここで無料のベータ版にサインアップすることができる。

これらは、Twitter API v2のアーリーアクセスで利用可能だ。

またTwitterは今週、開発者が特定の人物をフォローしているアカウントのリストを取得したり、誰かがフォローしているアカウントのリストを取得したりできる2つの新しい「フォローズルックアップ」エンドポイントをアーリーアクセスで導入した。これらは、ネットワーク分析の目的や、情報や誤報の拡散を調べるために、Twitter上のアカウントがどのようにリンクされているかを理解したい開発者がよく利用するものだ。

開発者たちは、アカウントデータを調べるために、追加の呼び出しをしなくても、アカウントの関係性に関する豊富な情報を引き出せるようにしたいとTwitterに要請してきた。これらのエンドポイントを使用することで、開発者は以前のバージョンのTwitter APIのように何度も呼び出す必要がなく、1回のリクエストでアカウントのフォローに関するプロフィール情報を取得できるようになる。

これらのエンドポイントは、アカウントのフォローやアンフォロー、アカウントのブロックやミュートを可能にするエンドポイントと一緒に使用されることが多い。しかし、この機能はまだ利用できない。

Twitterは今回、APIの変更や更新についてより透明性を高めることを約束しているが、過去のことを思えば、開発者はこのプラットフォーム上で構築することについてまだ警戒しているかもしれない。Twitterは過去数年の間に、何度もTwitterアプリを作っている開発者の支援を突然打ち切ったり(未訳記事)、パートナーへのアクセスを遮断したり(未訳記事)、開発者会議をキャンセルすることもあった。これらの動きは簡単には忘れられない。

Twitterは先週末、ツイートフォーラムでAPIの変更を発表していた。同社の長期的な開発者向けプラットフォームのロードマップはこちらでも公開されている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterAPI

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

不動産管理プラットフォームのRealPageをプライベートエクイティのThoma Bravoが約1兆550億円で買収

M&Aの多忙な1年は今週末も続いている。プライベートエクイティ企業のThoma Bravo(トーマ・ブラボ)社が、RealPage(リアルページ)社を102億ドル(約1兆550億円)で買収すると発表した。

Thoma Bravoはこの買収によって、ビルや不動産所有者向けの賃借人ポータル、サイト管理、経費管理、財務分析などのフルサービスを提供するRealPageの不動産管理プラットフォームを手に入れることになる。

Thoma Bravoの創設者でありマネージングパートナーでもあるOrlando Bravo(オーランド・ブラボ)氏は、これまでの実績を元にして、RealPageが一緒に仕事をやっていける会社だと考えている。

「RealPage社の業界をリードするプラットフォームは、不動産エコシステムにとって非常に重要であり、今後も大きな可能性を秘めています」とブラボ氏は声明の中で述べている。

RealPage側としては、今後も会社に残る予定のSteve Winn(スティーブ・ウィン)最高経営責任者が、今回の買収は株主にとって大きな勝利であると同時に、株主は製品への投資を継続できるとしている。「これにより、我々は長期的な戦略の実行に集中し、顧客やパートナーにより良い製品やサービスを提供することができるようになるでしょう」とウィン氏は声明の中で述べている。

1998年に設立され、2010年に株式を公開したRealPageは、Thoma Bravoのようなプライベートエクイティ企業を惹き付ける典型的な成長したプラットフォームだ。同社は1万2000人以上の顧客を抱える強力な顧客基盤を持ち、収益もそれなりのペースで成長している。直近の収益報告書では、同社は前年比17%増となる2億9810万ドル(約308億円)の収益を発表した。これはランレートが10億ドル(約1034億円)を超えることを示している。

今回の買収条件では、Thoma BravoはRealPageの株主に1株当たり88.75ドル(約9180円)の現金を支払うことになっている。これは米国時間12月18日の終値67.83ドル(約7016円)から30%以上のプレミアムとなる。この取引は標準的な規制当局の審査を経て行われ、RealPageの取締役会は45日間のGo-Shop期間を設けて、より良い買収提案を見つけることができないかを確認することになっている。今回の取引のプレミアム価格を考えると、その可能性はありそうもないが、試す機会は設けられる。

関連記事:不動産管理のRealPageがIoTのStratisを買収して建物管理を強化

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Thoma BravoRealPage買収不動産テック

画像クレジット:Busà Photography / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

中南米のフィンテック投資ブームに乗りブラジルのオンライン金融会社Creditasが264億円調達

中南米全域で金融サービスのスタートアップが巨額の資金を集め続ける中、ブラジルでオンライン融資事業を展開するCreditas(クレディタス)は、新たに2億5500万ドル(約264億1000万円)の資金調達を行った。

同社の与信ポートフォリオは10億レアル(約203億円)を超え、これまで5回のラウンドで5億7000万ドル(約590億5000万円)の外部資金調達を行っているため、新たなラウンドでは17億5000万ドル(約1812億8000万円)の企業価値になる。

Creditasは、中南米全域における金融サービス系スタートアップ投資ブームの恩恵を受けた最新の企業だ。CB Insightsのレポートによると、2020年になってから、ラテンアメリカにおけるフィンテック系スタートアップへのベンチャー投資は、2014年の5000万ドル(約51億8000万円)から2020年には139件で21億ドル(約2175億3000万円)を超えるまでに成長しているという。

今回のラウンドの投資家にはLGT Lightstone、Tarsadia Capital、Wellington Management、e.venturesAdvent Internationalの関連会社であるSunley House Capitalなどの新規投資家が含まれている。これまでに出資していたSoftBank Vision Fund 1、SoftBank Latin America DFund、VEF、Kaszek、Amadeus Capital Partnersもまた、同社にさらなる資金を投入するために戻ってきた。

「Creditasは、ブラジルとメキシコの巨大な未開拓の有担保融資市場に参入するための初期段階にあるところです」と、SoftBank Latin America DFundのマネージング・パートナーであるPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏は声明で述べている。

同社の成長は、ラテンアメリカ全域における新しい金融商品のニーズと、ラテンアメリカの金融サービスに取り組むスタートアップへの投資で大きな勝利を収めてきたKaszek Venturesのような投資家の洞察力の両方を証明するものだ。

「シリーズAでの投資以来、我々の道のりは本当に素晴らしいものでした。チームはビジョンを実行し、Creditasは顧客の生涯にわたる主要な金融ニーズに応えるアセットライトなエコシステムへと進化しました」と、Kaszek Venturesのマネージング・パートナーであるNicolas Szekasy(ニコラス・セカシ)氏は声明の中で述べている。

レッドポイントのe.venturesファンドも、ここ数年ラテンアメリカへの投資に注力し、成功を収めてきた。

「Creditasは、ブラジル人がリーズナブルなレートで金融ニーズをコントロールできるようにすることで、顧客や投資家に大きな価値をもたらす、愛される消費者向け商品を生み出しています。レッドポイントであるe.venturesを通じてシード段階から関与してきた私たちは、ブラジルのフィンテック業界に変革をもたらすCreditasを、我々のグローバル成長ファンドでサポートできることに興奮を感じています」と、e.venturesの共同設立者でありマネージングパートナーであるMathias Schilling(マティアス・シリング)氏は述べている。

Creditasはこの資金を利用して、住宅ローンや自動車ローンのほか、顧客の給料を担保にするベイデイローンや小売オプションとしての後払いローンなど、サービスの拡大を計画している。

同社は他の市場への進出も視野に入れており、その足がかりとしてメキシコ市場に目を向けている。

2012年にサンパウロのベリーニ通りにある5平方メートルのオフィスで創業したCreditasは、現在では数百人の従業員を擁し、担保付き融資のマーケットプレイスと独立した住宅・自動車融資事業を基盤とした強固な事業を展開している。

また、同社は初めて四半期決算を発表し、前年同期の7,490万ブラジル・レアル(約15億2000万円)から4050万レアル(約8億2000万円)に損失が縮小していることを示した。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Creditasラテンアメリカ資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Getty Images under a license

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンがマイクロソフトが獲得した1兆円超の米国防総省JEDI契約の差し止めを裁判所に要請

米国防総省が米軍に技術近代化の道筋を提供するとされていた100億ドル(約1兆300億円)、10年におよぶJEDIクラウドの契約を発表してから2年以上が経過した。Microsoft(マイクロソフト)が2019年10月に契約を獲得した一方で、Amazon(アマゾン)はその決定に抗議するために裁判所に訴え、それ以来、法的には中途半端な状態が続いている。

米国時間12月15日にはアマゾンが、マイクロソフトを選ぶという決定を差し止めるように、裁判官に求める最新の一手を法廷闘争で打ったとき、この政府調達を巡る長い物語に新たな変化が生じた。アマゾンの主張は以前にも行ったものと似ているが、今回は国防総省の再評価プロセスを狙ったものだ。この再評価時に、国防総省は契約と選定プロセスを見直した結果、マイクロソフトという決定に変わりはないと2020年9月に発表していた。

アマゾンは、この再評価に大きな欠陥があり、大統領からの不当な影響や偏見、圧力を受けていたと考えている。これを踏まえてアマゾンは、マイクロソフトが選ばれた契約の決定を差し止めるよう裁判所に求めている。

JEDIの再評価と再決定は、政治的な理由で官僚の誠実な分析と論理的思考を抑圧する政権の犠牲となり、最終的には国家安全保障と効率的で合法的な税金の使用を損なうことになる。国防総省はこの調達を客観的かつ誠実に実施していないことを改めて露わにしている。再決定は差し止められるべきである。

想像の通り、マイクロソフトのコミュニケーション担当本社副社長であるFrank X. Shaw(フランク・X・ショー)氏は、このアマゾンの主張に同意せず、自分の会社がベストプライスで落札したと信じている。

「入札で負けたアマゾンは、当社の価格設定を知らされ、当初の価格が高すぎたことに気づきました。その後、彼らは価格を下げるために入札を修正しました。しかし、すべての基準を同時に見渡したとき、国防総省のキャリア調達担当者は、優れた技術的優位性と全体的な価値を考えると、当社が最良のソリューションを提供し続けると判断したのです」と、ショー氏はTechCrunchに共有した声明の中で述べている。

アマゾンの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、「我々は単に、この契約先決定に露骨に影響を与えた技術的な誤り、偏見、政治的な干渉に関して、裁判所による公正で客観的な見直しを求めているだけです」とのことだ。

両者の立場からすれば、いい分はそうなるだろう。

国防総省は2018年に、JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)と名付けられた100億ドル、10年に渡る契約のために入札を行うと発表した。一般的な政府の契約に比べて、はるかに大規模なその金額と領域は広く注目を集め、その調達プロセスは最初から議論の的となっていた。この入札プロセスがアマゾンに有利になるように構成されていると不公正を主張する声が、特にオラクルから上がっていたからだ。

最初の発表から2年以上が経過し、マイクロソフトが当初の契約を勝ち取ってから1年以上が経過した。しかし、いまだに大手テック企業2社が互いに批判し合う法廷闘争では膠着状態が続いている(未訳記事)。どちらも譲歩しそうにないため、最終的な判断は裁判所に委ねられることになる。おそらくこれで長い戦いの物語に終止符が打たれることだろう。

【注記】国防総省はコメントを求める我々の要求に答えていない。状況に変化があればこの記事を更新する予定だ。

関連記事
ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウド企業たちを悩ます理由
AWSがマイクロソフトによるJEDI契約獲得へ異議を提出
米国防総省はMSがJEDIクラウド契約を獲得したことを再確認したがアマゾンとの戦いは終わらない
オラクルが再び敗訴、米連邦高裁は国防省の1兆円のJEDIクラウド契約は合法と判決

カテゴリー:ネットサービス
タグ:米国防総省AmazonAWSMicrosoftJEDI裁判

画像クレジット:The Washington Post / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

株取引アプリRobinhoodが過去に「劣悪な価格」で顧客の注文を実行したというSECの告発で約67.2億円支払う

米国時間12月17日、米国の証券監視機関であるSECは、近年急速に成長している(未訳記事)手数料無料の株取引ブローカーのRobinhood(ロビンフッド)が、その歴史的なビジネス慣行の一部に対する告発を解決するために、6500万ドル(約67億2000万円)の罰金(SECサイト)を支払ったと発表した。問題の行動は2015年から2018年の間に発生したもので、SECは同社が「その最大の収益源」をどのように生成するかについて「顧客とのコミュニケーションで誤解を招くような記述や省略をした」と主張している。具体的には「ペイメント・フォー・オーダーフロー」と呼ばれるものについてだ。

SECはまた、この資金力豊富なユニコーンであるロビンフッドが、「2018年10月から2019年6月の間にウェブサイトのFAQで、その実行品質が競合他社と同等または勝っていると虚偽の主張をしていた」と述べている。実際に同社は「手数料を支払わないことによる節約を考慮した上でさえ、顧客から3410万ドル(約35億2000万円)を奪った劣悪な取引価格」で、顧客の取引を実行していたと、SECは主張している。

ロビンフッドはSECの告発を認めも否定もしなかった。

コメントを求められたロビンフッドの最高法務責任者Dan Gallagher(ダン・ギャラガー)氏は、6500万ドルの和解が「今日のロビンフッドを反映していない歴史的な慣行に関することだ」と電子メールで述べた。同社は、やや珍しい記事用発言で「最良の実行プロセスを大幅に改善し、実行品質を向上させるために追加のマーケットメーカーとの関係を確立した」と付け加えた。

ロビンフッドは、最新のペイメント・フォー・オーダーフローの書類で5つの取引企業をリストアップした。

TechCrunchは、最近の四半期にロビンフッドのペイメント・フォー・オーダーフローが、どれだけの利益を生み出したか追ってきた。同社はユーザーベースと取引量の両方を拡大し、顧客の注文をどのように実行するかによって成長する利益を上げてきた。

たとえば(未訳記事)、2020年第2四半期には、ロビンフッドのペイメント・フォー・オーダーフローによる収入は約1億8000万ドル(約186億2000万円)と、2020年第1四半期の約9000万ドル(約93億1000万円)から倍増している。もちろん、これらの数字は、和解の発表に記された時期より数年後のものだ。

【更新】このSECのニュースが発表されたのは、マサチューセッツ州証券部がロビンフッドに対して告訴状を提出してから1日も経っていないことは注目に値する。同州証券部はロビンフッドが「顧客の最善の利益を無視して積極的にマサチューセッツ州の投資家に自らを売り込み、急速に成長する顧客基盤の需要を満たすために必要なインフラと手続きを維持することを怠り、法と規則に違反する行為と慣行に関わった」と主張している。

マサチューセッツ州はロビンフッドの問責、その企業運営の改善とともに、金銭的賠償およびその他の金融罰則を求めている。マサチューセッツ州の訴状はここで読むことができる。

【更新2】ロビンフッドはマサチューセッツ州の状況について、「(同社は)マサチューセッツ州証券部による訴状の申し立てに同意しません。積極的に(同社自身を)守るつもりです」とコメント。同社は投資アドバイスを提供しておらず、「システムの規模を確保するために熱心に取り組み」、この数カ月の間にオプションサービスを改善してきたと付け加えた。

影響

ロビンフッドにはこれまで、特にこの不安定な年には一触即発の出来事があった。重要な市場の瞬間にシステムがダウン(未訳記事)したり、利用者の自殺をきっかけにオプション取引サービスの改革(未訳記事)を余儀なくされた。オーダーフローからの収入による成長が鈍化(未訳記事)しているのも見てきた。

しかし、それらの問題にもかかわらず、同社の2020年の軌道はほとんど印象的といってよい。その急速な収益により、同社は今年、拡大する評価で数億ドル(数百億円)を調達(未訳記事)し、2021年のIPO候補になった。

今回のニュースがロビンフッドの成長を完全に脱線させるとは想像しにくいが、告発が現在に近い過去の期間を対象とした場合、おそらく影響はより大きいだろう。ロビンフッドの競合他社で、先日6500万ドル(約67億2000万円)を調達したPublic.com(未訳記事)は、今回のニュースを利用することができるかもしれない。

カテゴリー:フィンテック
タグ:RobinhoodSEC裁判

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Twitterボットと追悼ユーザーが2021年に「新しいアカウントタイプ」に

Twitter(ツイッター)は、一般からのフィードバック募集を経て、2021年に導入が予定されている新しい認証プログラムの計画にいくつか調整を施した。同社は2017年に認証プログラムを一時休止(未訳記事)し、それ以来プラットフォームがユーザーに示すべき情報や、青い認証バッジ、さらに今後について、いくつかの側面を再考していたようだ。

間もなく導入される認証プログラムの大きな変更の1つとして、Twitterはボットやその他の自動化されたアカウントを区別する方法を追加する計画だ。

「自動アカウントであることが明確にされていないと人々に混乱をきたす可能性があります」と、同社はブログ記事で書いている。「2021年には、何がボットで何がボットではないのかを人々にわかりやすくするために、自動化されたアカウントと人間が実行しているアカウントを区別するための新しいアカウントタイプを構築する予定です」。

もちろん、すべてのボットが良いボットというわけではない(CU Boulder Today記事)が、自動化されたアカウントはTwitter初期の頃からプラットフォーム上で繁栄しており、いくつかのボットは最も便利で、奇抜で、そうでなくても愛されるツイートの発信源となっている。

また、Twitterは亡くなったユーザーのアカウントの扱い方についても改善に取り組んでおり、2021年には追悼アカウントの導入を計画しているという。同社によると、追悼アカウントは、ボットと同様、通常のユーザーとは異なる「新しいアカウントタイプ」になるという。このアイデアは、Twitteの政治家ラベルと同じ精神から生まれたもので、ユーザーについてひと目でわかる文脈情報を提供しようするものだ。

新しい認証プログラムに関する2万2000件以上のフィードバックを考慮に入れた結果、Twitterは、以前の考え方を「厳しすぎる」として、プロフィールの自己紹介やバナー画像の表示を要件から外すことにした。また、認証の対象となるカテゴリーのいくつかを再定義し、「スポーツ」のカテゴリーを拡大して「eスポーツ」を含むようにしたり、「エンターテインメント」のカテゴリーにデジタルコンテンツ制作者を明確に含めるための言及を加えたりした。

Twitteはまた科学者、学者、宗教家のための認証カテゴリーの追加を求める多くの提案を受けたようだ。現在これらの認証ユーザーは「活動家、主催者、その他の影響力のある個人」というカテゴリーで一緒にされている。

認証申請者は、特定のカテゴリーを選択し、参照リンクやその他の申請を裏付ける資料を提供する必要がある。また、新たにウェブやアプリのアカウント設定ページから、自分で申請が行えるようになる。

Twitteは、認証プログラムが凍結されてから3年を経た2021年1月20日より、新しい認証ポリシーの施行を開始する予定だ。一般からの認証申し込みの受け付けがいつ再開されるのか、同社は明言していないものの、それほど長く待たされることはないようで、近日中にさらなる詳細を共有する予定だという。また、同日よりツイッターは運用の痕跡がない認証アカウントや、新しい基準を満たしていない「不完全なアカウント」の一掃を開始する予定だ。

この調整が施されたポリシーにおいては、完全な認証アカウントおよび認証の資格があるアカウントは、確認済みの電子メールアドレスもしくは電話番号が入力されており、プロフィール画像とプロフィール名が表示されていなければならない。現在は認証済みでもこれらの基準を満たしていないユーザーには、必要な変更の通知が送られ、1月20日までに変更する必要がある。

Twitteの新しいポリシーはまた、プラットフォームのルールに「深刻なまたは度重なる違反行為」があった場合、アカウントの認証を剥奪する同社の権利も提示している。

新しいポリシーは、会社がルールを破るユーザーに対して明確な道筋を築くことができることを示しているように聞こえるが、それは最終的にはポリシーの明文化ではなく、強制執行というかたちで施行されるだろう。

「違反行為による認証済みバッジのはく奪は、今後も引き続き、個別のケースごとに審査します。ルール違反による強制措置と認証との関係性については、2021年中に改善を図る予定です」とTwitterはブログの投稿に書いている。

Twitterは2017年11月、Jason Kessler(ジェイソン・ケスラー)の認証(Daily Beast記事)を決定したことに対する世間の反発を受けて、認証プログラムを一時停止した(Twitter投稿)。ケスラーはバージニア州シャーロッツビルで、ネオナチと白人至上主義者を集めた悪名高い「Unite the Right (ユナイト・ザ・ライト)」イベントを組織し、最終的には平和的なデモ抗議者を1人死亡させた。同社は2020年の米国大統領選挙に関する会話の清廉さを保つことに、より多くのリソースを向けることを決定したため、認証プログラムの休止は翌年まで延長された。

中間選挙と米国大統領選挙が終わり、Twitteは認証プロセスとそれがプラットフォーム上のユーザーにとって何を象徴するのかを再考する努力に戻ってきた。同社はまた、嫌がらせ、暴言、誤報を抑えられる可能性がある新機能の実験も進めている。

Twitterは最近、誤報の拡散を遅らせるための努力として、リツイートする際のプロセスに摩擦を加えたが、大統領選の後で元に戻した(Twitter投稿)。Twitterが行っている最新のテストは、ユーザーがフォローしていない人に返信すると、共通する関心事やプロフィールの自己紹介が表示されるというもの。

関連記事
Twitter、2018年米国中間選挙の候補者に専用ラベルを付与
Twitterが大統領選挙に備えて選挙関連の誤報の急速な拡散を防ぐためにリツイートの仕様と規則を変更

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

グーグルがARを使ったバーチャルメイクやインフルエンサー動画導入でショッピング機能を強化

Snapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)のフィルターを使ったことがある人なら、AR(拡張現実)で人気のある利用例の1つは、たとえば口紅やアイシャドウの色合いを変えるなど、バーチャルメイクで自分の外見を変えてみることだと知っているだろう。Google(グーグル)は米国時間12月17日、この分野への参入を発表し、Google検索上でARを利用した化粧品の試用体験を開始した(Googleブログ)。同社はL’Oréal(ロレアル)、Estée Lauder(エスティ ローダー)、MAC Cosmetics(マック・コスメティクス)、Black Opal(ブラックオパール)、Charlotte Tilbury(シャーロット・ティルブリー)などのトップブランドと提携しており、消費者が様々な肌色のモデルや、スマートフォンのフロントカメラを使って自分自身のメイクアップを試せるようにしている。

グーグルは、美容ブランドにAR技術を提供しているデータパートナーのModiFaceや、人気の高い「YouCam メイク」アプリなどのAR美容技術を手がけるPerfect Corpの協力を得て、この新機能を作成した。

画像クレジット:Google

現在、消費者がGoogle検索で、特定の口紅やアイシャドウ製品、たとえば「L’Oréal’s Infallible Paints Metallic Eyeshadow(ロレアル インファリール ペインツ メタリック アイシャドウ)」などと検索すると、検索結果の上部にバーチャルな試用体験が表示されるようになっている。ここから、様々な肌色のモデルの写真をクリックして、化粧品の色合いを比較し、自分にぴったりの製品を見つけることができる。

あるいは、自分自身でその製品を使った時にどうなるかを見てみるために、スマートフォンのカメラを使うこともできる。画面にはカメラの映像の下に様々な色が表示されるので、タップしてその中から1つを選ぶと、カメラが捉えている自分の顔に適用される。ソーシャルメディアに用意されているフィルター機能と似たような仕組みで、2019年に導入されたYouTubeのARメイク機能とそっくりだ。

画像クレジット:Google

ただしグーグルの機能は、ソーシャルメディアで共有するために自分のイメージを美化しようとするためのものではない。グーグルの目的は、消費者とブランドを結びつけて売上を伸ばすことにあり、オンラインショッピング全体に向けた投資の、そしてもちろん、オンライン広告事業をさらに拡大するための一環だ。

しかし、グーグルによれば、このARを使った試用体験自体は広告フォーマットとは見なされず、ブランドはこの機能に参加するためにグーグルにお金を払っているわけではないという。広告ではなく、これはグーグルがGoogleショッピングの検索結果をより多くの小売業者に開放しようとしている動きの続きだ。過去数年間、Google検索の「ショッピング」タブは有料の商品リストに限定されていた。しかし2020年6月、グーグルはショッピングタブの小売店リストの大半(未訳記事)を無料にすると発表した(Googleブログ)。

この動きは、新型コロナウイルス感染拡大によって物理的な店舗の閉鎖を余儀なくされ、事業に大きな影響を受けていた小売業者の危機的時期に行われた。しかし、グーグルは利他的な理由でこの変更を行ったわけではない。現実は、ショッピングタブを有料広告に限定したために、ショッピングの検索結果も限定されてしまっていたからだ。しばしば在庫切れ商品にユーザーを案内するなど、データの品質にも問題を抱えていた。一方、アマゾンが広告事業に大々的に力を入れてきたことは、グーグルの広告収入を削り取る脅威となっていた。

さらに、最近の若い消費者の多くは、グーグルで買い物をすることはまったくない。彼らはソーシャルメディアで商品を知り、そのあと小売店への直接リンクをクリックして購入したり、あるいはFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)などのソーシャルプラットフォーム上で、アプリから離れることなく、直接買い物しているのだ。

グーグルもこのインフルエンサー主導のショッピング市場に参入しようしている。

前述のARメイクに加え、Google検索は美容、アパレル、インテリアやガーデニングの愛好家や専門家からのおすすめ商品を表示するようになる。Googleショッピングで観られる動画では、彼らがお気に入りの商品について語ってくれる。たとえばプロのメイクアップアーティストのJonetからメイクの見せ方について話を聞いたり、Homesick Candlesからホリデーギフトについて聞くことができる。

この機能は、グーグルの社内インキュベーターであるArea 120(エリア・ワントゥエンティー)から生まれたShoploopを使ったもので、フェイスブックやインスタグラム、そしてより最近では、TikTok(ティックトック)によるビデオベースのショッピング施策と競合することになる。

現在、美容ブランドの売り上げは新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んでいる(WSJ記事)。その原因は、実店舗が閉鎖されたり、人々が自宅で仕事をするようになったからだけではない。顔の半分がマスクで隠れてしまうことで、化粧に力を入れる意味も半減してしまったからだ。

そんな時期に導入されるグーグルのARメイク機能とインフルエンサー動画は、iOSとAndroidのGoogleアプリで利用できる。

関連記事
YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる
グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleネットショッピングARメイクアップ

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

ペプシコがM13の客員起業プログラムを支援、健康に関するスタートアップ立ち上げへ

M13内に作られた新しいベンチャースタジオが、その最初の新しい企業パートナーとして、PepsiCo(ペプシコ)と契約した。

この契約によりペプシコは、ニューヨークとロサンゼルスを拠点とするこのベンチャーファーム初のファウンダー・イン・レジデンス(客員起業家)プログラムを支援することに合意。M13は元Techstars Los Angeles(テックスターズ・ロサンゼルス)のマネージング・ディレクター、Anna Barber(アンナ・バーバー)氏(未訳記事)を新しいイニシアチブのリーダーに抜擢した。

このM13 Launchpad(ローンチパッド)プログラムでは、まずペプシコの役員やアドバイザーを活用して客員起業を行い、12週間のプログラムで健康とウェルネスに焦点を当てたスタートアップのアイデアを考え、立ち上げる予定だ。

「現在、消費者は自分の健康について豊富なデータを入手することができ、自宅で検査しようとする人が増えていることから、ますますその健康データの重要性が高まっています。これは、一貫した総合的な健康とウェルネスのソースとして、人々に栄養をより効果的に利用してもらう絶好の機会を生み出します」と、バーバー氏は電子メールで書いている。「この春、私たちはスナック菓子や、食事代替食品、飲料、サプリメントから、栄養を最適化するためのソフトウェアプラットフォーム、データを収集・管理するための接続デバイスまで、あらゆるものに目を向けていく予定です」。

この契約は、M13がすでにProcter & Gamble Venturesのような企業パートナーと一緒に行っている仕事を補完するものだ。そこではプレミアム美容技術のOPTEKindraの更年期製品、敏感肌ケアのためのBodewellなどの企業の開発に貢献している。

このLaunchpadプログラムは独立し、Target(ターゲット)、Anthropologie(アンソロポロジー)、Urban Outfitters(アーバン・アウトフィッターズ)で手ごろな価格の女性用ウェルネス製品を販売しているRaeを設立することができた。

12週間のバーチャルLaunchpadプログラムでは、起業家に毎月1万ドル(約103万円)の奨学金と、卒業時に製品の市場適合性をテストするための十分な現金が支給される。プログラムを卒業すると、各企業にはビジネスを継続的に成長させるための少額のシードラウンドも提供されると、M13は述べている。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:PepsiCo健康

画像クレジット:Tim Boyle / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

英国のEU離脱を受けFacebookが同国の個人データをEU個人情報保護法の管轄外へ移転

英国の欧州連合(EU)離脱による取引条件の変更が迫る中、Facebook(フェイスブック)は、先行したGoogle(グーグル)に倣って(未訳記事)、英国の数千万人にのぼるユーザーの個人データを、EUの個人情報保護法の管轄外となる米国(そのような包括的な個人情報保護の枠組みを持たない)に2021年に移動させることになっていると、米国時間12月15日にReuters(ロイター)が報じた

この切り替えを認めたフェイスブックは、ロイターに次のように述べている。「他の企業と同様に、フェイスブックはBrexit(英国のEU離脱)に対応するための変更を行う必要があったので、フェイスブックアイルランドから(米国の)Facebook Inc.(フェイスブック・インク)に、英国のユーザーのための法的責任と義務を移転することになります」。

「プライバシー管理やフェイスブックが英国の人々に提供するサービスに変更はありません」とフェイスブックは付け加え、EUから米国への移行は、データとプライバシーの法的保護において大幅な格下げを必然的に伴うという事実を無視した表現を用いている。

ロイターによると、フェイスブックは今後6カ月以内にこの切り替えについてユーザーに通知するという。この法的な変更に不満がある場合、ユーザーはInstagram(インスタグラム)やWhatsApp(ワッツアップ)も含むフェイスブックが提供するサービスの使用を停止する「選択肢」が与えられる。

グーグルが2月に(未訳記事)英国のユーザーに関して同様の法的移行を発表したときにお伝えしたように、EU子会社から米国に移動させるという動きは、EUの基準から離れることを決めた英国の国民投票の結果を受けてのものだ。そのEUの基準の中には、長年維持されてきたデータ保護の枠組みも含まれる。

Brexit移行期間の終了まであと数日となった現在、英国がEUとの貿易協定を得るのか、それとも協定なしで離脱するのかはまだ不明だ。後者の場合、英国はEUからデータの適切性に関する協定も得られない可能性が高まり、データ保護基準に関する将来の乖離が生じやすくなる(EU・英国間における摩擦のないデータフローの維持に向け、継続的な協力を行うための「ニンジン」がないため)。

英国はまた、データを活用した経済復興を望んでいることを明らかにし、9月に(未訳記事)「国家データ戦略」を発表した。これは新型コロナウイルス感染拡大時におけるデータ共有を、復興後の新たな基準とするものだ。

この文書で、英国政府は「国内のベストプラクティスを推進し、国際的なパートナーと協力して、データが国境や分断された規制体制によって不適切な制約を受けないようにして、その潜在能力を最大限に活用できるようにする」ことを計画していると述べている。これはデータ保護の概念全体に影を落とすものだ。

それ以来、プライバシーの専門家たちは、(EU離脱後の)日英貿易協定が英国の既存のデータ保護体制(これはいまのところ、転換されたEUの規定に基づいている)を弱体化させており、Open Rights Group(オープン・ライツ・グループ)が2020年11月に警告した(Open Rights Groupブログ)ように、「データ保護の取り決めが弱い、または自主的に行っている」国への個人データの流出を可能にするおそれがあると、懸念を表明している(Open Rights Groupブログ)。

米国は、データ保護のための包括的な枠組みを欠いている国の1つだ。カリフォルニア州は独自の消費者プライバシー法を可決し、11月には住民投票でこの制度を強化することを決めている。しかし、連邦レベルではGDPR(EU一般データ保護規則)に相当するものはまだない。

英国のEU離脱後の基準がどこに向かっているのかという不確実性が非常に強いため、グーグルやフェイスブックのような大手テック企業が、EUのプライバシー規則の下における責任を軽減する機会を得ようとしていることは不思議ではない。フェイスブックの場合、ダブリンにある子会社の管轄から4500万以上の英国ユーザーを削除することになる。

ヨーロッパの最高裁判所が下した最近の「シュレムスII」判決(未訳記事)もまた、個人データをEUから米国へ転送することに関する法的リスクと不確実性を増大(未訳記事)させており、フェイスブックにその英国における契約条件を再構築するためのもう1つの潜在的な理由を与えている。

もちろん、英国のユーザーが失うプライバシー保護を考えれば、これはあまり良いことではない。

しかし、今回問題なのは、巨大テック企業ではなくBrexitの方だ。Brexitはこの場合、英国のユーザーは2021年から、自分たちの政府が米国のような国と貿易取引を結ぶために、国家のプライバシー基準を廃棄すると決めないように祈らなければならないことを意味する。フェイスブックが自分たちのプライバシーの利益に気を配ってくれると信じつつ(未訳紀伊J)。

そう、英国のデータ保護法は適用され続ける。幸運(未訳記事)にも英国個人情報保護監督機関(未訳記事)があなたの権利のために立ち上がってくれたらだが。

しかし、EUの法律によって定められている包括的な保証は2021年に消え失せる。

2018年に成立した米国のクラウド法(未訳記事)では、すでにインターネットサービスの利用者に関するデータを、捜査目的などで英米の機関が容易にやり取りできるようになっている。

その一方で英国政府には、監視社会(未訳記事)や暗号化への攻撃(未訳記事)に対する憂慮を巻き起こした実績もある。

英国が新たに打ち出した、インターネットサービスを規制する「子供の安全に焦点を当てた(未訳記事)」計画では、コンテンツ監視やIDチェックを義務づけるため、強力な暗号化を使用しないようにデジタルサービスに圧力をかけているようにも見える。

つまり、Brexitとは、簡単にいえば、英国人のプライバシーとオンラインの自由を速やかに減らし、データの分野におけるコントロールを取り戻すことの反対を意味するようになっているということだ。

関連記事
カリフォルニア州消費者プライバシー法が1月1日に発効
英国のデータ保護監視当局がアドテック業界に「冷静に法を守る」よう要請

カテゴリー:ネットサービス
タグ:イギリスEUFacebookGoogleプライバシー個人情報GDRPBrexit

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

動画ライブ配信アプリ「Periscope」の2021年3月末終了をTwitterが発表

先日の報道を受け、Periscope(ペリスコープ)は2021年3月に単体アプリとしての運営を終了することが、米国時間12月15日に発表された。Twitter(ツイッター)に属する同社は、同日投稿された公開書簡(Periscopeリリース)の中で、現在の運営を「持続不可能」と言及。近年の利用率の低下をその要因として挙げている。

「現在の状態のままにしておくことは、現および旧Periscopeコミュニティやツイッターにとって、正しいことではない」 と、同社では指摘している。

2015年にこのライブストリーミングアプリを買収したツイッターは、ここ数カ月の間に独自の動画配信機能を構築してきた。これによって単体アプリとしてのPeriscopeの機能は不必要なものになっていた。先週、ツイッターアプリのコードから見つかったある行は、最終的にPeriscopeが閉鎖されることを示唆しているように思われた。しかし当時、ツイッターはこれに関するコメントを拒否していた。

Periscopeはまだ創業間もない頃、ツイッターが競合他社であるMeerkat(ミーアキャト)の急速な成長に対処の必要性を感じて買収した。もちろん、ライブ動画の分野は近年飛躍的に進化しており、最終的にそのような機能を直接ツイッターのネイティブなアプリに組み込むことは最も理にかなっている。しかし、ライブストリーミングが成長しても、Periscopeのスタンドアロンアプリとしての地位は数年前から低下していたと同社は指摘している。

このようなことはもっと早くに起こっていたかもしれなかったと、同社では付け加えているが、最悪の年は彼らの計画を狂わせた。「2020年の出来事のためにプロジェクトの優先順位の変更を余儀なくされていなかったら、おそらくもっと早くこの決断をしていたでしょう」とツイッターは説明している。

モバイルアプリ関連調査会社のSensor Towerによれば、PeriscopeはApp StoreとGoogle Playを含め、これまでに約1億100万件のインストール数を記録しているという。また「2019年1月から12月14日までの1年間で、Periscopeは世界的に約680万件のインストールを記録しており、前年同期の約730万件から7%減となっている」ことも、同調査会社はTechCrunchに語った。

Periscopeは2021年3月に各アプリストアから削除され、次のソフトウェアアップデートで新しいアカウントを作成する機能が無効になる。ツイッターでシェアされた既存のブロードキャストは、リプレイとしてそのアプリ上に残る。また、同社は3月にすべてがなくなる前に、ユーザーにコンテンツのアーカイブをダウンロードする機能を提供している。

関連記事:Twitterアプリのコード内からライブ配信アプリPeriscopeの閉鎖案内を発見

カテゴリー:ネットサービス
タグ:PeriscopeTwitterライブ配信

画像クレジット:20th Century Fox

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

フォードの新型EV「マスタング・マックE」に初試乗、第一印象はがっかり

これは2021年型Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)スポーツSUVのレビューではない

数週間前、私はこのフォードが間もなく発売するEVに、2時間という短い時間のみ乗ることができた。わずか数時間ほど運転しただけで結論を出すのは気が引ける。マックEにはもっと時間が必要だし、フォードがこの記事を読んだ後、私はおそらく長期テストの列の最後に並ぶことになるだろう。

私がマックEと短い時間を過ごしている間に、1つのことが明らかになった。マックEはマスタングと呼ばれるべきではないし、SUVと呼ばれるべきではない。

マックEをマスタングのSUVと呼ぶことで、フォードは実体のない体験を顧客に売り込もうとしている。これは意味論による議論ではない。マックEは、伝統的な作法に則ったスポーティSUVではない。それはAudi E-Tron Sportback(アウディ・イートロン・スポーツバック)やTesla Model X(テスラ・モデルX)を見ればわかるだろう。これらはマックEに欠落しているいくつかの重要な特性を備えている。マックEが小さく、ゆるく、締まりがなく感じるのに対し、これらのSUVは頑丈で、骨太で、パワフルだ。

気になる点はいくつかある。私はヴィークルダイナミクス(車両の運動性能)に疑問を感じた。スロットルは不快感を覚えるし、リアエンドはトラクションを維持するのに苦労している。航続距離(一度の満充電で走れる距離)はライバル車に比べて劣っており、AWD(4輪駆動)バージョンはテスラの競合モデルより80kmも短い。電気自動車において、運動性能や航続距離よりも重要なことが他にあるだろうか?

  1. Ford-Mustang-Mach-E-2021-06

  2. Ford-Mustang-Mach-E-2021-07

  3. Ford-Mustang-Mach-E-2021-11

  4. Ford-Mustang-Mach-E-2021-01

  5. Ford-Mustang-Mach-E-2021-09

  6. Ford-Mustang-Mach-E-2021-08

  7. Ford-Mustang-Mach-E-2021-05

  8. Ford-Mustang-Mach-E-2021-03

  9. Ford-Mustang-Mach-E-2021-04

  10. Ford-Mustang-Mach-E-2021-10

初期の印象

数週間前、私は2021年式マスタング・マックE AWDに乗って、ミシガン州南部の慣れ親しんだルートを回った。自動車ジャーナリストなら、誰もがこの地域をミシガン州の地獄と呼ぶことを知っている。だが、そんな名前とは裏腹に、原生林の広葉樹が並び、クルマが息を吹き返すような緩やかなワインディングロードが続く素敵なエリアだ。幹線道路を降りて、砂利道でちょっとしたスリルを味わうのも楽しい。しかし、このエリアはマックEには優しくなかった。

短時間のテストだったが、いくつかの印象が残っている。

マックEは、安物のクロスオーバーのようにガタガタと走る。乗り心地やハンドリングに自信も安心も感じられない。「マスタング」という名前がついていても、マックEはマスタングのようには走らない(冗談は置いといて、最新型のマスタングは素晴らしいクルマだ)。マックEは、コーナーに飛び込んで安全に立ち上がることを期待できるようなクルマではない。ボディは大きく傾き、後輪はだらしなく滑り、マスタングという名前に対する敬意は失われてしまう。

アクセルは過敏で微妙な調整がやりづらい。ペダルに足を乗せるだけで、マックEは前方に飛び出す。アクセルペダルを戻すと積極的に作動する回生ブレーキと相まって、マックEの運転には慣れが必要だ。パワートレインは気力が感じられない。電気自動車には洗練させるための修練が必要だ。電気モーターは滑らかに、そしてドライバーの予想どおりにパワーを供給する必要がある。威圧することなく、ドライバーに興奮と自信を感じさせなければならない。難しい公式であり、最初から正解を導き出せる自動車メーカーはほとんどない。

運転してすぐに、AWDのマックEのハンドリングの酷さに困惑させられた。最近のEVは、運転しても安定しているが退屈なものが多い。しかしマックEは違う。リアエンドは乗用車にしては元気が良すぎる。かといってスポーティな性格というわけでもない。これでは単に粗雑で無頓着なだけだ。普通の交差点を曲がるだけで簡単にタイヤが滑ってしまう。アクセルペダルを踏み込んで車輪を回転させようとすると、後輪が空転しないように頻繁にトラクションコントロールが作動する。

マックEをスポーティなクルマと言い張ることで、フォードは自らの技術力以上のものを顧客に期待させようとしているのだ。だが、ドライバーがマックEの性能面に向き合うと、緩みが生じてしまう。私がマックEに試乗していた時、普通にコーナーを回っているのに後輪が予想外の挙動をしたり、車幅が広すぎると感じることが何度かあった。これはスピードが上がるとさらに誇張される。AWDシステムが雪や氷にどれだけ対応できるかも気がかりだ。私が試乗中に、砂利の上で何度か苦労したからだ。

試乗後、フォードのエンジニアにオーバーステアがあまりにも強いことについて尋ねると、彼は「ああ、そんな運転をした場合にはね」と答えた。それが引っかかったのは、私は自分のせいではないと思うからだ。私はミシガン州アナーバー周辺で、マックEを特にアグレッシブに走らせたわけではない。しかも路面は乾いていた。それなのに、私の短いドライブの間に、何度かトラクションコントロールが作動した。そんなことはあってはならないはずだ。

マックEは、真っ直ぐ走る分にはずっと良かった。加速は速い。アクセルペダルを床まで踏み込むと、マックEは後ろ足で路面を蹴り、勢いよく前方に飛び出す。テスラより速いかって?それはない。だが、それでもこの価格帯のクルマの中では一番速いし、信号が変わって発進する際に隣車線のクルマを置き去りにすることは容易だろう。

マックEには3つのドライブモードが用意されている。標準モードとエコノミーモードでは、粗雑で扱いにくい印象のあるパフォーマンスモードよりも、より洗練された秩序に基づいてパワーが供給される。どのモードでも、積極的に回生ブレーキを利用して、いわゆる「ワンペダル走行」(ブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの開閉だけで加減速をまかなう走り方)が可能だ。

航続距離もマックEで考慮すべき要素の1つだ。EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離は、テスラ Model Y(モデルY)のAWDバージョンが326マイル(約524.6km)であるのに対し、マックEのAWD仕様は最大270マイル(約434.5km)に過ぎない。

今回のような短いテストでは、マックEのバッテリーが現実の路上でどのくらいの距離を走れるかについて、判断を下すことはできない。それにはもっと長い時間、日常的にマックEと過ごし、街中と長距離の両方を含む様々な状況で実際に走らせる必要がある。私が報告できるのは、2時間のドライブの結果だけだ。その際に私は、1kWの電力で平均2.7マイル(約4.3km)の距離を走行した。クルマを返却した時、あと112マイル(約180.2km)の距離が走行可能と表示されており、バッテリー残量は56%だった。私が試乗したのは、容量88kWhのエクステンド・レンジ・バッテリー(標準バッテリーは68kWh)を搭載したAWDモデルだったが、EPAとフォードによると、このバージョンのマックEは1度の充電で270マイル(約434.5km)の距離を走行できるとされている。

マックEの価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)からと競争力がある。AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、オプションを付ければさらに高くなる。米国の購入者のほとんどは、7500ドル(約77.7万円)の税額控除を受けることができる。テスラ Model 3(モデル3)は3万7990ドル(約393.4万円)から。ロングレンジAWDのModel 3は4万6990ドル(約486.7万円)から、クロスオーバーのModel Y(モデルY)は4万9990ドル(約517.7万円)からだ。

競合他社にも不利な面がある。テスラのModel 3とModel Yは、クラストップの航続距離を誇る斬新なクルマだが、製造品質に疑問が残るなど、欠点がないわけではない。他にもPolestar 2(ポールスター2)のような素晴らしいクルマはあるが、航続距離が短く、価格も5万9900ドル(約620.4万円)からと高い。

  1. Mustang-Mach-E-6

  2. Mustang-Mach-E-7

  3. Mustang-Mach-E-5

  4. Mustang-Mach-E-4

  5. Mustang-Mach-E-2

マックEのインテリアは素晴らしい。だが、それで驚くことはなかった。フォードはそのクラスで最も美しいインテリアをいくつか作っているからだ。マックEの車内もとても素敵だ。

ほとんどのEVと同様に、フォードは伝統的な自動車の部品を現代的な同等品に置き換えるという大きなステップに踏み出した。メーターパネルの代わりに、小さな細長い液晶画面がドライバーの前に装備されている。高級感があり効率的だ。センタースタックには、メディアの再生や空調コントロール用の大型LCDスクリーンが設置されている。スクリーンの下部には回転するノブが取り付けられており、物理的な操作で音量調節が可能だ。私はこのボリュームノブがとても気に入った

シートも問題なさそうだ。私は2時間しか座っていないが。

車内は少し窮屈だが、小型クロスオーバーとしては許容範囲。ドライバーはコマンダーポジションと呼ばれる高い位置に座るので、これがこのSUVを選ぶ理由になるかもしれない。大人2人が座れる後部座席は、街中を巡る小旅行には最適だが、足元のスペースが不足しているので、長時間座っていたいとは思わない。

マックEの車内にはいくつかの楽しい装備も見られるが、私にはそれよりも運動性能に対する不満の方が大きかった。オーナーは自分のスマートフォンをクルマのキーとして使用でき、よくできたロードトリップマップのアプリを使ってドライブ前にナビゲーションルートを設定しておくことができる。ドアはボタン操作で開閉可能。それによってドアノブのないすっきりしたエクステリアを実現している。フォードはさらに、無線アップデートでハンズフリー運転機能も追加するという。しかし、これらの項目はほとんど重要ではない。残念な味のケーキを食べたとき、誰がその飾り付けを気にするだろうか?

長すぎて読む気がしない人へ

私はマックEに乗れることに興奮し、楽観的な気分で短い試乗に臨んだ。だが、私のこのクルマに対する第一印象は悪かった。私にとって、このフォード・マックEは、電気自動車の楽しさを、慣れ親しんだ車名と伝統ある自動車メーカーを通じて、大衆に届ける存在であるはずだった。私はミシガンに住んでいるフォードファンであり、地元の誇りを持ってマックEの開発を見てきた。それなのに、がっかりだ。

現時点では、私は自分の第一印象に基づき、消費者がフォード・マスタング・マックEを購入する前に、競合他車を試すように勧めすることしかできない。私はこのクルマがテスラよりも十分に買う価値があるとは思えない。

関連記事
新型EVフォードマスタングMach-Eを体験、まずはタッチスクリーンの「ボリュームノブ」に感心
フォードがオール電化SUVのMustang Mach-Eの価格を約30万円引き下げ、完全な競争力維持狙う

カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

SaaS購入・管理支援スタートアップのCledaraが約3.5億円の追加資金を調達

企業の膨大なソフトウェア・サブスクリプションの実行可能性を高め、その管理を支援するSaaS購入・管理プラットフォームのCledara(クレドラ)は、340万ドル(約3億5000万円)の追加資金調達を行った。

このラウンドはNauta Capitalが主導し、既存の投資家であるAnthemisが参加。その背景には、このスタートアップが2020年に20倍も収益を成長させていることがある。Cledaraは具体的な数字を公開していないが、2020年8月からだけで7倍も伸びている。

Cledaraは、2018年7月にCristina Vila(クリスティーナ・ヴィラ)氏が設立した会社で、企業がSaaSの利用状況や支出を追跡・管理できるようにするためのソフトウェアを開発しており、その中には資金が十分に使われているかどうかを理解するのに役立つ分析も含まれる。ヴィラ氏は、ロンドンのフィンテックであるDopayで働いていたときにSaaSの管理問題を直接経験した。また、彼女の共同創業者でCOOを務めるBrad van Leeuwen(ブラッド・ヴァン・ルーウェン)氏は以前、バンキングプラットフォームを展開するRailsbankの重役だった。RailsbankもCledaraの顧客の1つだ。

Cledaraのもう1つの特徴は、従業員や外部のチームが適切なSaaSを自由に購入できるようにするための無制限の仮想デビットカードを発行していることだ。これには、管理者が事前にすべての購入を承認し、全員が何を購入しているかリアルタイムで更新される情報にアクセスできるオプションが含まれる。Cledaraの収益の一部は、このカードの利用による交換手数料と、有料サブスクリプションによるSaaSモデルによって得られている。

Cledaraを利用している顧客は全部で100社を超え、その中にはFlorence.co.uk、Unmind.com、Butternut Boxなどが含まれる。Cledaraの顧客は、ソフトウェアの使用量を最大30%削減できる一方で、SaaSの請求書との格闘や簿記、「一般データ保護規則や決められたフィンテックに対するアウトソーシング規制への準拠」など、手作業で管理すれば膨大な時間が掛かる作業を毎月「何時間も」節約できると、同社は主張している。

画像クレジット:Cledara

Cledaraの製品は英国、フランス、アイルランド、ドイツ、スペインなど欧州20カ国以上で販売されている。今回の投資はその製品の成長を加速させ、米国への進出計画を含むさらなる国際的な拡大のために活用すると、同社では述べている。

「成長を加速し続けるためは、チームの成長が不可欠ですが、先月はいくつかのボトルネックのために、顧客のオンボーディングを遅らせなければなりませんでした」とヴァン・ルーウェン氏はいう。「 来年半ばまでにサポート、サクセス、プロダクト、エンジニアリング、コンプライアンス、マーケティング、セールスなど、ビジネスのあらゆる部分でチームを4倍に成長させる予定です。今回のラウンドでは、そのための資金を調達することができました」。

その新たな従業員の半分以上は、バルセロナで雇用することになるだろう。Cledaraは4カ月前にスペインオフィスを開設し、英国のEU離脱以後に英国以外の国からも人材を確保できるようにしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Cledara資金調達SaaS

画像クレジット:Cledara

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

人材紹介会社のiCIMSが求人用ビデオのスタートアップAltruを約62.5億円で買収

企業向け人材紹介企業のiCIMSは、Altruを買収したと発表した。

iCIMSは取引条件についてコメントを避けたが、両社に詳しい情報筋によると、買収額は現金と株式の組み合わせで、合計約6000万ドル(約62億5000万円)だという。

2000年に設立されたiCIMSは、4000社以上の企業が新入社員の募集や誘致と雇用および既存社員のキャリア開発を支援するために利用している「タレントクラウド」を提供している。

元Marketo(マルケト)の最高経営責任者であるSteve Lucas(スティーブ・ルーカス)氏は2020年2月にiCIMSのCEOに就任した(iCIMSリリース)が、彼は「リクルートの世界は再発明の時期を迎えている」と語っていた。結局のところ、どの企業も周りで最も優秀な人材を採用したいといっているのに「刺激的で、素晴らしい人間を求めているはずの仕事を、なぜこんなつまらない仕事内容にするのか?」と、彼は疑問に思っていたという。

ルーカス氏は、動画がそのソリューションの鍵になると捉えている。これによって企業は、堅苦しく官僚的になりがちなプロセスに「信憑性」を持たせることができるからだ。ちょうど1カ月ほど前、iCIMSはこの分野で別の買収を発表した。パリに拠点を置くEASYRECRUEの買収だ(EASYRECRUEリリース)。

ルーカス氏によると、EASYRECRUEはビデオインタビューを充実させるツールを開発しているが、Altruは採用プロセスの早い段階で、企業が最も有望な候補者とのつながりを維持し、可能性のある仕事で彼らを興奮させようとしているとき、最も役立つという。

CTOのVincent Polidoro(ヴィンセント・ポリドーロ)氏と一緒にAltruを創業したCEOのAlykhan Rehmatullah(アリカン・レフマトゥッラー)氏(2人とも上の写真)によると、同社は創立当初、求人用動画の撮影と共有に重点を置いていた(未訳記事)が、その非同期型動画は企業全体でより広く利用されるようになってきているという。特に今年はそれが顕著で、チームが自宅で仕事をするようになり、誰もがSlackより表現力のあるコミュニケーション方法を探している中、「カレンダーに30分のZoom会議を追加する必要がない」ことをレフマトゥッラー氏は例に挙げた。

実際、ルーカス氏は筆者と話す前、自分のチームに買収について説明するためにAltruで動画を録画していたといっていた。彼はこのプラットフォームの使いやすさを賞賛し、「私がこれを使えるなら、誰でも使える」と冗談をいっていた。

レフマトゥッラー氏によれば、Altruのチーム全体がiCIMSに加わり、同氏はコンテンツ戦略担当の副社長になるという。彼らの目標は、Altruをスタンドアローン製品として運用し続ける一方で、iCIMSプラットフォームに統合する新しい方法を見つけることだ。

Altruは以前、Birchmere Ventures、Active Capital、Techstarsから合計130万ドル(約1億3500万円)の資金調達を行っている。

カテゴリー:HRテック
タグ:iCIMSAltru買収

画像クレジット:Altru

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

インドの農家に収穫した農産物の保管・販売サービスと資金を提供するAryaが約21.8億円調達

インドの農家が生産した農産物のうち、大規模な市場に届くのは約3分の1に過ぎない。それらの農産物を生産している人々は、ポストハーベスト(収穫後)サービスを活用することができるが、それ以外のすべての農家はその恩恵を受けられていない。

このポストハーベストサービスの欠落を埋めるため、農家、食品加工業者、取引業者、金融機関など、すべての利害関係者と協力して活動を続けているインドのノイダを拠点とするスタートアップが、新たな資金を確保した。

創業7年のAryaは米国時間12月15日、シリーズBの資金調達ラウンドで2100万ドル(約21億8000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、新興市場のフィンテックに特化したベンチャー企業であるQuona Capital(クオナ・キャピタル)が主導し、従来から投資しているLGT Lightstone AspadaとOmnivoreも参加。一方、Aryaによれば、複数の名前が明かされていない貸金業者もこのスタートアップに追加のデットファイナンス(負債による資金調達)を提供しているという。

現在インドでは、ほぼすべてのポストハーベストの措置が、インド北部ラジャスタン州のコタや首都ニューデリーのアザドプル・マンディなどの主要な農業センターを中心に行われていると、Aryaの共同設立者であり最高経営責任者のPrasanna Rao(プラサナ・ラオ)氏は、TechCrunchによるインタビューで説明した。

この不均等な集中は、国内の何百万もの農家から、農産物を効率的に保管・販売するための合理的な選択肢や、キャッシュフローを維持するための資金調達の選択肢を奪っている、と同氏は述べている。

「私たちの信念は、現在十分なサービスを受けられていない市場の3分の2に対応すべきだということです。たとえばコーターのマンディ(市場)には、半径1km圏内に35の銀行支店があります。しかし、コーターから70~80km離れた場所に行くと、これが本当に減少します」と、以前は銀行で働いていたラオ氏はいう。

Aryaは前述の課題をすべて解決する。インドの20の州で1500以上の倉庫のネットワークを運営しており、そこでは総額10億ドル(約1040億円)以上の産物が保管されている。このネットワークにより、農家は自分たちの農場に近い場所に農産物を保管することができ、農産物の損失や大規模市場のような莫大な不動産コストを回避できる。融資面においては、Aryaは農家に3650万ドル(約38億円)以上の資金を提供しており、その協力銀行は9500万ドル(約99億円)以上を提供している。

「Aryaは、インドの農家という広大で十分なサービスを受けていない市場に対処しています。その半数は、これまでポストハーベストのための資金をほとんど得ることができませんでした」と、クオナ・キャピタルの共同設立者であるGanesh Rengaswamy(ガネーシュ・レンガスワミー)氏は声明の中で述べている。「小規模農家に金融を組み込んだフルサービスのデジタルプラットフォームと差別化された効率性を提供するAryaのユニークなアプローチは、インドの農業の未来を牽引するものと我々は確信しています」。

2020年初めにニューデリーが世界で最も厳しいロックダウンを実施(未訳記事)した際には、このスタートアップの提供するものが、新型コロナウイルス感染拡大の中、さらに有用であることが証明された。ロックダウンはサプライチェーンネットワークを破壊し、農産物の価格は20%以上も下落した。

この状況に対処するため、Aryaは独自のデジタルマーケットプレイス「a2zgodaam.com」を通じて、農家の青果物組織(FPO)とバイヤーを結びつけた。「即時流動性の必要から、これらの倉庫収入に対する借入れ需要が増加した。Aryaの信用ポートフォリオは前年比3倍に跳ね上がった」と、インドのAccelの共同創業者であるPrashanth Prakash(プラシャーント・プラカシュ)氏とOmnivoreの共同経営者であるMark Kahn(マーク・カーン)氏は先週の業界レポートで述べている(Seed To Scale記事)。

ラオ氏によると、Aryaはインド全土に倉庫ネットワークを拡大していくとともに、新たな資本を投入してそのフィンテックプラットフォームを「大々的に」拡大していく予定だという。さらにこのスタートアップは、未組織の倉庫を集約するa2zgodaam.comを活用し、金融機関や保険会社を独自に組み合わせ、農家が必要に応じて直接これらの倉庫を介して販売できるようにすることで、その成長を促進させる計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Aryaインド農業資金調達

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

MTGが「レベル・レーシング」などの人気モバイルレースゲーム開発元Hutch Gamesを約390億円で買収

スウェーデンのMTGが、モバイルゲーム業界で重要な買収を行う。同社は「Rebel Racing(レベル・レーシング)」「F1 Manager」「Top Drives」などの人気モバイルレースゲームを開発しているロンドンに拠点を置くゲームスタジオであるHutch Gamesを買収すると発表したのだ。

MTGはすぐに2億7500万ドル(約286億円)を支払い、さらに業績に応じて1億ドル(約104億円)を支払うことで合意したというから、この買収はMTGにとって重要なものとなるはずだ。

MTGをよく知らなくても、その投資先企業を知っている人は多いだろう。ここ数年、MTGはESLとDreamHack(ドリームハック)を買収してeSportsのリーダーになった。

MTGはまた、人気の高いウェブベースのゲームやモバイルゲームの開発で知られるInnoGamesとKongregate(コングリゲート)も買収した。近い将来、さらに企業を買収する計画があるというため、これで終わりではないようだ。

MTGは発表の中で、この買収が理に適っている理由を説明している。Hutch Gamesは単一のゲームに集中しているわけではなく、成功を収めた多くのゲームを擁しているため、将来的にさらなる成長が見込めるという。

また、Hutch GamesはF1などの有名ブランドのライセンスも取得している。そしてMTGは「Rebel Racing」「F1 Manager」「Top Drives」にはまだ大きく成長する可能性があると考えている。基本無料のモバイルゲームは、いわゆるGames as a Service(サービスとしてのゲーム)、つまり継続的にアップデートを行うサービスとして提供されるようになっているため、長期的な人気を維持したいと考えるのは当然だ。

長期的な可能性に関していえば、Hutch Gamesは2021年と2022年に向けて、さらに多くのゲームを準備しているという。おまけに従業員のほとんどが開発者であるため、費用対効果の高いスタジオといえる。

2020年1月から9月までの間に、Hutch Gamesは5630万ドル(約58億5000億円)の収益と1330万ドル(約13億8000万円)の利息および税金控除前利益(EBIT)を生み出した。Hutch Gamesの投資家にはBacked VC、Index Ventures、Initial Capital、エンジェル投資家のChris Lee(クリス・リー)氏が含まれている。

基本無料で遊べるゲームが儲かることは、ご存じの通りだ。だからこそ、将来的には何らかの統合が行われることになるだろう。一部の企業は、豊富な資金力や借入金を利用して、多数のタイトルを取り揃えたり、あなたのスマートフォンの画面を長時間占領するゲームを、次から次へと作り出そうとするだろう。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:MTG買収アプリモバイルゲーム

画像クレジット:Hutch Games

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

GoogleがChrome開発者向け新機能を発表、拡張機能の新たなプライバシー規則も

Google(グーグル)のChrome(クローム)チームは米国時間12月9日、オンラインで開催された開発者カンファレンス「Chrome Dev Summit」において、開発者向けの新機能や、拡張機能開発者向けのルール改訂、そしてブラウザ全体のパフォーマンスを向上させるための新たなステップを発表した。

Chromeチームは、拡張機能開発者向けの大きな変更も発表した。2021年には、ユーザーが拡張機能でアクセスできるサイトをより細かく制御できるようになる。さらに同年1月からすべての拡張機能はChromeウェブストアで「プライバシープラクティス」セクションが設けられ、その拡張機能がどのようなデータを収集するかが詳細に説明されるようになる。

画像クレジット:Google

また、Chromeチームは同日、「Chrome 88」がStableチャンネルとなる2021年1月中旬に「Manifest V3(マニフェスト・バージョン3)」を導入することも発表した。これは多くの拡張機能開発者、特に広告ブロッカーの開発者が心配していたことだ。マニフェスト V3では、拡張機能開発者がユーザーからの多くのデータにアクセスすることを防ぐ新しい制限が課せられるが、拡張機能がウェブページと相互作用する方法にも比較的厳しい制限が設けらている。グーグルは受け取ったフィードバックに基づき、V3にいくつかの変更を加えたというが、おそらくこれが最後ではないだろう。

しかし全体的には、もしあなたがChromeユーザーであるなら、この日のイベントで最も歓迎すべきニュースは、チームが2020年初めにいくつかのアップデートでブラウザーの全体的なメモリフットプリントの削減に取り組んだように、V8 JavaScriptエンジンに取り組み、そのメモリフットプリントも削減しているということかもしれない。さらにチームはV8を高速化し、サイトのJavaScriptファイルを並列にロードして、ページが実行したいと思った瞬間に使用できるようにすることで、解析の一時停止を排除する新しい方法を見つけた。

チームは、ブラウジング体験を高速化するための新しい方法にも引き続き取り組んでおり、Chromeのコンパイル方法を実際に変更することでこれを実現している。この変更は2020年の夏、Chromeのベータチャンネルに実装された時に初めて言及されたものだ。

「Chromeの利用パターンを見て、ユーザーが実際どのようにChromeを利用しているかを洞察した上で、Chrome自体をより効率的にコンパイルする方法で何かできることはないかと、我々は自問しました。答えはイエスであることがわかりました」と、グーグルのBen Galbraith(ベン・ギャルブレイス)氏は私に語ってくれた。「【略】私たちはこれをプロファイルガイド最適化と呼んでいますが、(特定の)シナリオでは、これらのタスク固有コンパイラの最適化によって、ページロードが最大10%速くなることがわかりました。ほとんどのシナリオは2〜5%の範囲ですが、現在ほとんどのブラウザエンジンがどれだけ成熟しているかを考えると、これは大きな違いです」。

チームは最近、タブのスロットリングを改善し、フォアグラウンドとバックグラウンドのタスクに効率的にリソースを割り当てる方法にも取り組んでいる。ギャルブレイス氏によれば、今後もこれらの作業をさらに進めていく予定だという。

開発者も、グーグルの「Web Vital(ウェブ バイタル)」イニシアチブの一環として、ウェブアプリのパフォーマンスを向上させるための新しいツールを手に入れることができるようになる。これは開発者に、ユーザーがそのウェブアプリをどのように体験しているかを理解するの役立つ、適切なパフォーマンスメトリクスを提供することが目的だ。

Google検索では、2021年5月からこれらのコアメトリクスの一部がランキングに使われる予定だ。グーグルはすでにChromeユーザーエクスペリエンスレポートやSearch Console(サーチコンソール)などでこのデータを強調しているが、今回のイベントではオープンソースのWeb Vitals Reportツールを発表。開発者がGoogleアナリティクスに送信したWeb Vitalsデータに基づいて、カスタマイズした可視化データを作成できるようになる。Googleアナリティクスは現在、Web Vitalsのコンテクストでこのデータを表出していないので、開発者はグーグル独自のホスティングツールを使用してこれらのレポートを実行したり、コードをフォークして独自のインフラストラクチャ上で実行することができる。

画像クレジット :Google

「さまざまなメトリクスがありますが、私たちは自分たちが最も理解しているものに焦点を当てています。読み込み時間、視覚的な安定性、そしてインタラクション、つまり何かをクリックすると実際に何かが起こるということです。これらのメトリクスのミッションは、ユーザー体験の質を本当に理解できるようにすることです」とグーグルのDion Almaer(ディオン・アルマー)氏は説明している。

それだけではない。プライバシーの面においてグーグルは「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」モデルの改良を続けている。そこには2つの新しい実験が追加された。クロスサイト識別子を使用せずに広告のコンバージョンを測定するClick Conversion Measurement API(クリックコンバージョンメジャーメントAPI)と(web.dev記事)、サイトが信頼するユーザーに暗号トークンを発行できるようにする新しいTrust Token API(トラストトークンAPI)だ(web.dev記事)。このトークンの背後にある考え方は、ブラウザが別のコンテクストでもこのトークンを使用することで、ユーザーが自分の言う通りの人物であり、悪意のあるボットや詐称者ではないと評価できるというもの。

さらに、PWAを書きたい開発者のための新機能や、開発者がChromeで支払いを受け付ける方法のアップデートなども発表された。

画像クレジット:Google

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Chrome

画像クレジット:Savusia Konstantin / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Pinterestが贈り物選びに役立つ「自分用メモ」やピンの並べ替えが簡単にできる新機能などを追加

Pinterest(ビンタレスト)は米国時間12月10日、「自分用メモ」「ボードのお気に入り」「ボードツールバー」を含むいくつかの新機能を追加した。ギフトのアイデアリストを作成するためにボードを使っている人や、アイテム数の多いボードを並べ替えたり目的のアイテムを探したりするのに苦労している人を手助けすることが、これらの新機能の目的だ。このソーシャルプラットフォームは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって人々が自宅にこもり、買い物や交流、計画をオンラインで行うようになったことで利用数が増え、その恩恵による増収から2020年の第3四半期には大きく株価を上げている(CNBC記事)。

Pinterestによると、過去6カ月に作成された月間のボード数は35%増加し、コラボレーションボードの数は30%増加したという。

新しく追加された「自分用メモ」機能は、ボードをこれからやることや、あるいはホリデーシーズンが始まったことで贈り物として購入する物を忘れないように、リマインダーとして活用している人には便利だろう。

これは、非公開のプライベートなボードのみならず、他の人と共有して公開しているボードにも、プライベートなメモを追加することができる。この機能は、Pinterestのプラットフォーム上で組織された、一緒にプロジェクトに取り組んでいる複数のグループ間における初歩的なコミュニケーションシステムとしても機能する可能性があり興味深い。

Pinterest

画像クレジット:Pinterest

Pinterestは最近、ユーザーとより多くのオーディエンスを結びつけるような施策を実験的に行っている。11月にお伝えしたように同社はオンラインイベント機能をテストしており、インフルエンサーやクリエイターがプラットフォームを使って講義を開催したり、講義の教材を整理したり、参加者とグループチャットをしたりといったことができるようになっていた。「自分用メモ」機能もこのテストの一部だった。

今回導入されたもう1つの新機能が、150以上のピンを持つアクティブなボードのために設計された「ボードツールバー」だ。このツールバーには、ボード上で実行可能なアクションが提供され、ユーザーはピンを簡単に並べ替えることができるようになる。また、ボードを整理したり、ToDoを追加したり、ピンに関連したさらに多くのアイディアを探したりする機能も用意されている。

画像クレジット:Pinterest

同じように、多くのピンを持つボードをユーザーが整理しやすくするための新機能として、「ボードのお気に入り」機能も追加された。これを使えば、多数のアイテムがリストされているボードの中から、ユーザーのお気に入りのピンを簡単に浮かび上がらせることが可能だ。とはいえ、特に大きなボードにだけ有効というわけではない。ピンをお気に入りとしてマークするためには、ボードのツールバーにある星のアイコンをタップするだけだ。

Pinterestによると、これらの機能はユーザーからのフィードバックをもとに構築されたもので、今回追加された機能はいずれも広告ターゲティングには使用されないという。3つの新機能はすべてグローバルで利用可能で、10日よりすべてのプラットフォームで順次展開されているという。

関連記事:Pinterestが「クラスコミュニティ」を含むオンラインイベント機能をテスト中

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinterest

画像クレジット:Pinterest

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)