2019年版TechCrunchのお気に入り

毎年年末にはTechCrunchのスタッフが集まって、その年の「お気に入りのもの」の長いリストを作るのが恒例だ。

まあいつものように、「もの」の定義は非常に…オープンなものだ。手で触れるものもあれば、見たり、聞いたりするものもあるかもしれない。思考、ジャンル、あるいは流行であったりもするだろう。まあそうした区別についてはあまり気にしていない。年末を迎えて、諸々の中から、自分たちにとって際立っていたものを選んだリストなのだ。

では2019年のリストをご紹介しよう。

Greg Kumparak(編集者)

Parasite

この映画。ああ、なんと言えばいいのか。ネタバレせずにいろいろ書くことは難しい。そして読者もきっとあまり予備知識なしに見たかったと思う筈だ。なのでできたら予告編もスキップした方が良いだろう。Bong Joon-ho(ポン・ジュノ()監督(「グエムル-漢江の怪物-」「スノーピアサー」などで有名)は、本作品を本当に自在に作っている。プロットが進むにつれて、映画のジャンルを徐々に変えて行くことで、その映画的熟練の腕を示しているのだ。ときどき残酷な場面が混ざることに注意してほしい。この映画を特定のジャンルに押し込むことは難しいが、少なくとも「ファミリー向け映画」ではない。

「The Office」レディースポッドキャスト

私はテレビドラマ「The Office」(最初英国で放映され、後に米国でリメイクされたコメディドラマ)を自宅で年中見ている。なのでこの番組について知るべきことは、すべて熟知していると思ってた。放映が終了して10年経ち、その出演者だったパム役のJenna Fischer(ジェナ・フィッシャー)とアンジェラ役だったAngela Kinsey(アンジェラ・キンゼイ)は、もう一度ドラマ全体を視聴して、毎週1つのエピソードについておしゃべりすることにした。その結果は興味深い裏話であふれることになった。

取り上げるエピソードによっては「The Office」の他の出演者がサプライズで登場する楽しみもあるが、本当に面白い話が飛び出すのは、彼らが制作スタッフに電話をかけたときだ。例えば、番組の小道具責任者のであるPhil Shea(フィル・シェイ()が、一見簡単なものに見える小道具、例えば、出演者のドワイト(Dwight)が隠れる大きな段ボール箱などに1日がかりで取り組んだ話などを聞くことができるのだ。

マンダロリアン

私はThe Mandalorian(マンダロリアン)の開始に興奮したが、ちょっと心配もしていた。スターウォーズを実写TVシリーズとして制作したとして、うまくいくだろうか?だが結果的に、それは疑いようもなくうまく行った。

これは、この何十年かの中で、最も「スターウォーズらしさ」を感じさせた、新しいスターウォーズ的作品だ。脚本家のJon Favreau(ジョン・ファブロー()よ、我らにもっとスターウォーズを与え給え。お願いだ。シーズン全体を一度に鑑賞できるようにするのではなく、毎週リリースしていったとしても構わないから!正直に言うと、私は…そちらの方が好きだ。

Anthony Ha (ライター)

The Criterion Channel

Criterion Channel

The Criterion Channelがこの世にあることを信じることは難しいかも知れない。大手メディア企業は数十億ドルを投じて最近のヒット作を獲得し、新しい番組や映画を無限に生み出しているが、それに対してThe Criterion Channelはより謙虚でより価値があるものに感じられる。これは映画の最も素晴らしい作品を月に9.99ドル(約1100円)で鑑賞できるストリーミングサービスだ。ある意味、Criterionのメンバーシップを得ることで、Netflixで身についた悪習慣を穏やかに反省させられるような心持ちにもなり得る。素晴らしい監督の作品たちを見ることができるというのに、どうして私はくだらないリアリティ番組に何時間も費やしていたのだろうか。もしこうした説明が鼻持ちならない芸術家気取りのように聞こえるなら、このサービスの中には、映画をより気軽に楽しめるようにデザインされた、楽しくスマートなプログラム(2本立て企画や、現在の映画製作者たちとのインタビューなど)も含まれているということもお知らせしておこう。

The Void

1月に、私が友人と一緒にThe Voidのマレーシアオフィスを訪問したときには、私は何であれVRに関係するものについてかなり懐疑的だった。もちろん、私はすでにいくつかの興味深く有望な体験をしていたが、VRが未来であると確信している人が存在する理由を本当に理解できていたとは言えなかった。だが、「Secrets of the Empire」(帝国の秘密)にサインアップしてみた私は、終わるまでにはすっかり信者になっていたのだ。

The Voidが提供するVRと物理的環境の組み合わせのおかげで、実際にスターウォーズの世界に入って、帝国の基地に潜入しつつ、ストームトルーパーのレーザーブラストをかわそうとしている気分になれた。当然ながら、The Voidがニューヨークでポップアップストアを開き、その最新タイトル「Avengers:Damage Control」(アベンジャーズ/ダメージ・コントロール)のチケットを販売していると聞いたときには、もう一度試さないわけにはいかなかった。目新しさは少々失われてはいたものの、その体験は変わらず素晴らしいままだった。The Voidは私を再び別世界へ連れて行くことに成功したのだ。

Bryce Durbin(イラストレーター)

Steven Universe

 

このカートゥーンネットワークシリーズの初演は2013年だったが、子供たちと私が5つのシーズンすべてを夢中になって観たのはこの夏が初めてだった。おかげで秋に公開された「Steven Universe: The Movie」をジリジリした気持ちで待つ羽目になった。

このシリーズは、クリスタルジェムとして知られる超能力を持つ異星人家族についての物語で(タイトルになっているキャラクターも登場する)、ユーモア、アクション、ペーソス、そして不可思議に満ちた世界を、アイデンティティ、道徳的義務、そして家族の絆を探りながら描いた作品だ。それに、Tom Scharpling(トム・シャープリング)、Charlyne Yi(チャーリン・イー)、そしてJoel Hodgson(ジョエル・ホジソン)といったおなじみの声優たちを採用したアニメーションは皆いいものだ、そうだろ?Steven Universeの未来編である、新しい「最終シリーズ」が、今月初めに始まっている。

Nintendo Labo VR

4月に私は、任天堂のVRへの進出をレビューした。それは楽しくお手ごろなVRゲーム入門で、その楽しさの一部は、SwitchのJoy-Conコントローラーを中に仕込む斬新な段ボール製のおもちゃを作ることにある。ゲームは奇抜で親しみやすい、おなじみの任天堂スタイルだ。正直なところ、私は今年の後半にはほとんどプレーしていなかったが、それについて考えることをやめなかったくらい、記憶に残る体験だった。

Untitled Goose Game

自分の楽しみのために、小さな町の人たちを困らせることだけを目的にするガチョウを、操作するゲームだ。まあ、それだけ。

Brian Heater(ハードウェア担当編集者)

Weyes Blood – Titanic Rising

 

Weyes Bloodの名でリリースされている、Natalie Mering(ナタリー・メリング)のリッチでゴージャスで忘れがたい4枚目のアルバムは、その片足を70年代のLaurel Canyonの曲がりくねった道にしっかりと置き、もう片足を流行とは離れた場所に置いている。Titanic Risingの最大の欠点は、アルバム再生時間が40分と短すぎることだ。しかし、その簡潔さは、この南カリフォルニアのミュージシャンが、その10個のトラックのそれぞれに、どれだけのものを詰め込んでいるかを強調することに役立つだけの話である。

AirPods Pro

Airpods Pro

ガジェットの推薦には用心深い性格だ。だがときおり、質問してくる人ほぼ全員に安心してお勧めしたいデバイスも登場する。それが既に初代AirPodsを持っている人だったとしてもだ。

Appleの第1世代は、完全ワイヤレスのイヤホン向けに、コードを無くした。第2世代はそうした経験を少しだけ改善した。だがこの高価なデバイスの追加によって、製品ファミリーは完璧なものになった。最初に手に取って以来、AirPods Proは私の側を離れていない。

Succession

現在のところ、完璧なテレビシリーズだ。ドラマで描かれるロイ家は、現実世界のマードック家やトランプ家、コッホ家やレッドストーン家、そしてクシュナー家の写し鏡なのだ。ドラマの彼らは、冷酷な億万長者であり、メディア企業であり、後期資本主義のあえぎの中で受け継がれた、できの悪い息子たちの一群である。億万長者の家族は時折わずかな好感度を垣間見せるが、それはマキャベリアンくささや下手な意思決定のルールの中では遥かに例外的なケースだ。もしそれら全てが一貫して笑えるものでないとしたら、見るに耐えないものとなるだろう。もし、The Righteous Gemstone(米国のコメディドラマ)で「ピクルスを口に入れて家の中を走り回ったら」と歌われてから1週間後に、世界がKendall Roy(ケンドール・ロイ)のラップ「L to the O.G.」を耳にしたという事実が、私たちがテレビの黄金時代に生きていると思わせないのなら、私からはもう何を説明したらいいかわからない。

On Cinema At the Cinema

これは最高の長編コメディだ。ポッドキャストで広がり、(これまで)シーズン11まで来たアダルトスイムシリーズ(大人向け編成番組)が制作され、4回の模擬裁判シリーズと、今年は長編映画「Mister America」も生まれた。これはOn Cinemaの世界の豊かで深い設定が、私たちの時代のコメディを決定付けている証拠だ。

Natasha Lomas(ライター)

Twelve South CurveのMacBookスタンド

不評だったMacBook Proのキーボードには、今年プラスの影響が1つあった。(信頼性の高い)外付けキーボードへの切り替えを余儀なくされて、それがこれまでなかなか踏み切れなかった、ラップトップスタンドを使った作業用のスクリーンの高さ調整を行う決心をさせたのだ。しかし、どれを買うべきだろうか?私は、あえて言うならば「とにかく使える」単純なものを望んでいた。

しかしわかったことは、ファンシーで細かい調整が可能な製品を探している人を納得させようと、過剰なデザインが施された製品がたくさんあるということだった。だから、Twelve SouthのCurveが提供する、エレガントなワンピースデザインに出会ったとき、私はとてもうれしかった。それは、ラップトップ載せるための小さなゴムパッドが装着された、曲げられた金属の棒だ。あとは重力がよろしくやってくれる。スタンドの高さは調整できないが、必要なら本の上に載せればいいだろうと思う(私はそうしていないが)。相対的に金属の少ないデザインには大きな利点がある。持続可能性の観点からはより少ない方がより優れているからだ。とはいえラップトップの周りの空気の流れを自由に調整できるので、優れたデザインでもある。つまり夏にはマシンを涼しく保ちやすいということだ。さらに言えば、ラップトップの下の机の上にきちんとスペースを確保できるので、見栄えの悪いガラクタはそこに詰め込んでしまうことができる。いい事ずくめだ。

The Irishman

Screen Shot 2019 07 31 at 11.02.45 AM

若返り技術の導入によって、マーティン・スコセッシは、「The Irishman」での時間泥棒が可能となり、ロバート・デ・ニーロの別の顔、アル・パチーノの側面、そしてジョー・ペシのすべてを私たちに見せてくれる。非公式ながら引退していたペシは呼び戻されてフィラデルフィアの犯罪一家の長として、彼に忠実なヒットマンと共に、209分のギャング映画に出演することになった(本映画では特殊技術によって役者を若く見せることで、同じ役者が若いころから年老いたころまでを演じられるようにしている)。

わたしはこのフィルムを映画館で観たのだが、ややぼんやりとしたスクリーンへの映写によって、若返り技術の効果が助けられていたことは間違いない。このようなゆったりとした環境では、映画が進んで行く中で、虚構を楽しむのは簡単だった。だが、映画の配給元であるNetflix上で視聴する場合には、必然的に「不気味の谷」に、より気が付きやすくなる。(より)小さい画面、はっきりとしたディテール、色飽和した画像(テレビによって異なる)は、少なくとも私がみたクリップに関しては、病的で現実感の薄い若返り顔を見せることになる。しかし、たとえ映画館の大画面であっても、若い顔が年配の男性の体の硬さとは正確に一致していないことを脳が認識してしまうと、虚構が崩れてしまう瞬間があった。しかし、スコセッシの選択したペースに沿って展開する見事な物語の中では、それはほんの些細なことだ。

Roborock S6

(良い)ロボット掃除機の使用前、使用後の家庭生活には差が出る。Roborock S6を約半年使った経ったいま、それを手放すのはかなり難しいだろう。デバイスがすべての掃除を行えるというわけではないし、それどころかその通り道にあるものを片付けておくことになるので新しい仕事が増えていることになる。だが床に関してはとてもよくやってくれるので、家の中でそれ以外のごちゃごちゃを片付ける時間を買ったのだと思うことができる。また、もしペットを飼っている場合には、ペットが掃除機を待ち伏せをして戦おうとする光景を、追加で楽しむこともできる。

Zack Whittaker(セキュリティ担当編集者)

平和と静寂/邪魔しないで下さいモード

平和と静寂。この時代には手に入りにくい代物だ。使っている携帯電話には常に通知が届いている。ソーシャルメディアであなたが嫌っている人間は結婚する。ニュース速報、トランプがやらかした。このゲームで遊ぼう、フライトにチェックインしよう、あれや、これや。不安を引き起こす、終わりのない通知の流れが続いている。しかし、それらすべてをオフにできることを知れば、慰めになる。「Do not disturb」モードは、マナーモードよりもさらに携帯電話を静かなものにする。

それは至福だ。あなたが切望する平和と静寂なのだ。だがちょっと待て。何かを見逃してしまったらどうなる?見逃すことへの恐怖は、継続的な通知よりも質が悪い。恐れるな。Do not disturbは、外の世界から煩わされることなく、あなたの携帯電話、つまり現代のライフラインとはつながったままにする。落ち着いた雰囲気を楽しんだり、息を吸ったり、リラックスしたりして、再び世界を見る準備ができたら、モードを抜けて世界に戻ることができる。

Jake Bright(ライター)

ハーレーダビッドソンのLiveWire

ハーレーダビッドソンLiveWire

ハーレーは、2019年に105馬力の全電動デジタル制御のLiveWireをリリースした。これにより、アメリカの最も古いオートバイ会社は、米国で最初に商用電動バイクを米国で売る最初の大きなガソリン車メーカーとなった。これにより、ハーレーは(Zeroなどの)EVスタートアップと競争力を持つようになり、デジタルそして電動で排ガスに無縁のバイクを近いうちに作り、競合他社に先行できる立場になった。

Devin Coldewey(ライター)

GrovemadeのTask Knife

パッケージを開いたり、ラベルを切り取ったりする必要があるときには、ハサミや信頼できるカッターナイフ、あるいは何か本当に尖っているものに手を伸ばしていた。だがGrovemadeはそれらすべてを、この美しくエレガントな小さなオブジェクトで置き換えた。彼らが言うように、それは「必要十分なナイフ」であり、満足のいく重さとグリップを備えた金属板で、ただ置かれているのを見るだけでも目を楽しませることができる。

ワックスキャンバスバッグをいくつか

ワックスメッセンジャー

Bag Week 2019に向けて、私はいくつかの優れたワックスキャンバスバッグをレビューした。しかも、ああ、その中には私よりも長生きしそうなものもある。

Death Stranding

このゲームはいくつかの点で非常に優れているが、いくつかの点では非常に劣っている。だが最も重要なことは、完全にユニークだということと、ゲームというジャンルの中で、真に奇妙で真剣なアートを生み出そうとしているますが、最も重要なことは、ゲームのジャンルでまったくユニークだということと、真に奇妙で真面目なアートを作成しようとしている点だ。成功できるかどうかには議論の余地があるものの、少なくとも似たものは他には存在していない。

Catherine Shu(ライター)

OtterBoxのPopSocketケース

PopSocketsは優れたアクセサリーだ。だが住んでいる場所の湿度が高いので、iPhoneにずっとくっつけておくのは難しい(それに私が携帯をしばしばハンドスピナー代わりにしてしまうせいでもある)。OtterBoxのPopSocket対応ケースは基本的に壊れない。なので安心して携帯を手荒く扱い続けることができる。

Two Dots

これは私の携帯電話に入っている唯一のゲームだ。これで遊ぶ理由は、視覚的な癒やしを得られるし、開発者が絶えずクールな新しいゲームの仕組みをリリースしてくるからだ。また、ドット同士を接続するときに発生する音も好きだ。それはプチプチを潰す感覚に似ているが、環境負荷は低い。

ジェニー・ルイスの”Heads Gonna Roll”

音楽について書くのはあまり得意ではない。この曲が、なぜこれほどまでに私に訴えかけるのかを正確に把握するのは難しい。しかし、私はこの1年間、ほぼ毎日繰り返し聴いて来たにも関わらず、いまだに聴くたびに初めてのような気持ちになる。

デリー・ガールズ

Derry Girls(デリー・ガールズ)のダークで(とても)間抜けなユーモアは、適度な優しさとともに散りばめられている。これはトラブル続きの北アイルランドで育つ、ティーンエイジャーたちを描く番組だ。彼らは非日常的で破壊的な時代に普通のティーンとして過ごそうと苦労している。私は(字幕をオンにして)アイルランド語のスラングとばかげた犬のジョークを楽しんでいるが、私が1と2両方のシーズンをそれぞれ2回見たのは、登場する子供たちが、自分たちが始めたわけでもなくそしておそらく完全に理解もしていない動乱の中で、恋や厳しい教師たちや、スクールバスでの反目などを経験していくからだ。そのエピソードのいくつかには、まだ共感しているし、いまではさらに強くなっているものもある。

Jon Shieber(編集者)

The Watchmen

原作に忠実でありながらもオリジナルな仕上がりだ。すべての優れた神話のように、物語は現在の社会を鏡として映し出し、それがどれほどひび割れているかを示す。物語は、20世紀に国内で行われた最も恐ろしい人種間暴力行為の1つを暴き、その余波の中でスーパーヒーローの神話創造を行う企業を描く。ポップカルチャーとハイアートの融合であり、コミックブックフィルムには欠けていた「啓示、ミステリー、または純粋な感情的危険」を抱えていると、マーティン・スコセッシは語っている。

The New Yorker

仕事のために一度に何時間もコンピューターの画面を見つめて読み書きを行ったとしても、私の読書欲が減退することはない(特にテレビが黄金時代を迎えている現在は)。そして、The New Yorkerのハードコピーを毎週(まあ、ほぼ毎週だが)読むことは、デジタルの世界からの楽しい逃避だ。それは、英語で書かれた長編ノンフィクション、短編小説、そして詩が掲載された、無二の週刊ベストコレクションだ。

Hauser&Wirthでのデイヴィッド・ハモンズの展覧会

アートギャラリーに行くことは、仕事の疲れをリセットできるまた別のチャンスだ。今年私が見たものの中では、ロサンゼルスのHauser & Wirthで行われたDavid Hammons(デイヴィッド・ハモンズ)の展覧会が最も印象的だった。ハモンズのインスタレーションと個々の作品は、美しく刺激的だ。そしていくつかの作品(例えば、ギャラリーの庭の中庭をテントで埋めて、手入れの行き届いた庭や賑やかなレストランからわずか数ブロックの場所に住むホームレスの人々に注意を向けさせるなど)は、都市と国家が直面している収入格差を強く思い起こさせるものだった。

Lil Nas Xによる「Old Town Road」

 

これは耳にこびりついて離れない歌だった。また、音楽を作成および配信するためにクリエイターが自由に使用できる、あらゆるデジタルツールの力を集約し強調した最初のヒットでもある。そして、Nine Inch Nailsのアルバムからのサンプリングも使われている。

Steve O’Hear(ライター)

Eurorackモジュラーシンセサイザー

パーティーに遅れること20年近く。2019年は、Dieter Döpfer(ディーター・デプファー)が1995年に始めた「Eurorack」規格に基づくモジュラーシンセサイザーに本当に出会った年だった。過去12か月間、私は自分自身でモジュラーシンセサイザーを組み立てて来た。そのモジュールの多くを、主にReverbやEtsyのような独立eコマースストアやオンラインマーケットプレイスで販売を行っている、ブティックメーカーや個人店から買い揃えた。

ハードウェア自体はメーカーコミュニティが盛んであることを示す例だが、そうしたコミュニティはインターネットなしでは存在することが難しいだろう。私は、仕事の後、自分のEurorackシンセで奇妙で素晴らしいサウンド(そして時には音楽)を作るのが大好きだ。そして今年は、私の名前がついたEurorackモジュールがリリースされて終わりを迎えることになった。

MyVolts Ripcord

なんでも「そろえている」会社に出会うことがある。ダブリンを拠点とするMyVoltsはそのような例の1つだ。同社は実質的にあらゆる種類のAC電源アダプターを販売しており、正しい製品を正しい電源アダプタに一致させるための検索可能な製品データベースを提供している。

そのMyVoltsが、最近オリジナル製品に参入した。その中の1つが、ギターエフェクター、ドラムマシン、シンセサイザーなどのデバイスに、USBを介して電力を供給するRipcordだ。片方にUSBバッテリーを接続すれば、音楽デバイスをポータブルにすることができる。この小さな会社は、Ripcord用の特殊なアダプタも販売している。このおかげで、1970年代に手に入れたStylophoneに、(元々の9Vの内蔵バッテリーの代わりに)USBから給電することができるようになった。

Romain Dillet(ライター)

UniFi Dream Machine

一体どのくらいあれば、インターネットが十分になるのだろう?もしその答えが、インターネットはまったく足りていないというものなら、UniFi Dream Machineはあなたを次のレベルに連れて行く小さな箱だ。これはルーター、スイッチ、堅牢なWi-Fiアクセスポイントを組み合わせたものだ。しかし、最も優れている点は、すべてが設定可能だということだ。もし最高のパフォーマンスと最適なセキュリティのためにローカルネットワークを最適化する作業が、素晴らしい週末プロジェクトのように思える場合には、このデバイスは素晴らしくかつ怖ろしい存在となる。

Raspberry Pi 4

Raspberry Piは、いじくり回し用のシンプルなポケットサイズのコンピューターとして始まった。しかし、時間の経過とともに、それは途轍もない成長を遂げた。この第4版は、ホームサーバーを簡単に置き換えることができる、強力でエネルギー効率の高いARMベースのコンピューターだ。ファイルサーバーとして、常時バックアップサーバーとして、DNSベースの広告ブロッカーとして、あるいはメディアエンターテイメントマシンとして利用することができる。VPNを実行したり、ウェブサービスをホストしたり、ビデオゲームエミュレーションコンソールに変身させたりすることもできる。そうした普通の用途以上に、私はSSHを使ってマシンとやり取りを行ったり、Dockerコンテナを送り込んで起動したり、コンピューターの動作を学ぶことが大好きだ。

地元のカフェ/ビストロ/バー

地元のカフェ/ビストロ/バー(といった、その手のお店)に行くのは楽しい。もちろん、私はそこでスタートアップの創業者たちと会い、昼食をとり、少々働き、本を読み、そして友人たちと遅くまで飲むことができる。しかし、素晴らしいのは、他の人がうれしかったり悲しかったりする時間を過ごしているのを見ることができることだ。またボードゲームのテーブルにまったく見知らぬ人を招待することもできるし、徐々に慣れ親しんでいくスタッフと冗談を言うこともできる。これはインターネット上ではめったに起こらない何か、つまり偶然の人間関係を見つけることができる、日常の場なのだ。

Darrel Etherington(ライター)

Weiss 38mm Standard Issue Field Watch

この手巻き時計は今年の自分自身への贈り物だ、これはApple Watchをフルタイムで着用していた何年もの時間からの解放感を与えてくれた。ワークアウトの記録のためにはApple Watchを使っているが、それ以外のほとんどの時間はWeissが私の手首に巻かれている。1日を通して時々手巻きを行う行為には強い満足感と、ほんの僅かな静寂の瞬間が伴う。

Sony A7RIV

sony alpha a7riv

今年ソニーのA7RIVが登場したが、私はそれが優れたものになるという直感に従って事前注文を行っていた。そして実際それは優れていた。私はこれまで長年キヤノンを愛用してきたが、数ヶ月の間A7RIVを個人的にそして仕事用に使ってみた結果、私は最高級のソニーのレンズに投資するために、古い機材を全て売却した。その新しいレンズは驚くべき解像度を見せつけている。

サムスンのFrame TV

サムスンのThe Frame QLED TVは最高のパネルを備えておらず、価格的に見合う最高の価値を提供してもいないが、セットの壁掛け器具は、テレビを壁と真に水平になるように極めて簡単に取り付けることができる。私はこれを、大きくて高価なデジタル写真フレームとして利用しているが、上で紹介したカメラで撮影した写真を披露するには、4K解像度とQLEDカラーが理想的なのだ。

ジェニー・ルイスの「On The Line」

 

同僚のCatherine Shuがすでに同じアルバムから「Heads Gonna Roll」を取り上げているが、「On The Line」は私にとっても今年のお気に入りで、すでに個人的な殿堂入りを果たしている。ジェニー・ルイスのアルバムには、ライロ・カイリー時代を含んで、欠点を見つけることは難しいが、このアルバムは本当に際立っている。

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(翻訳:sako)

GoogleのCES 2019発表まとめ――すべてスマートアシスタントが関係

今朝(米国時間1/8)、、ラスベガスで開幕したCESでGoogleはコンシューマー向けプロダクトを多数発表した。いちいち詳しく調べているヒマがなくても心配無用だ。以下にまとめを用意した。

  • Googleは「音声対話型アシスタントが今月末までに10億台のデバイスに搭載される」と発表。
  • Googleは今日からiOSとAndroidの双方でGoogleマップでアシスタントが使えるアップデートを配信開始。Google自身でモバイルOSとの連携を最適化できるためAndoroid版の方がやや機能が豊富だ。しかしどちらのバージョンでも非常に便利な機能だ。
  • 近くアシスタンからSonosスピーカーを制御できると発表。これは1年前から予告されていたが、いよいよ実際にリリースされるのだろう。新しいSonos OneとSonos Beamの場合、マイクがビルトインされるようだが、最終的にはマイク内蔵でないSonosでもGoogle
    Home経由でも操作できるようになる。
  • 2019版Samsung TVはGoogleアシスタント互換となる。実現するのは今年後半。ユーザーがGoogle Homeまたはこの種のデバイスを持っていれば、 Samsung TVとペアリングし、電源のオン・オフ、音量調整、チャネル選択などの操作を音声でできるようになる。
  • 衛星放送のDishがアシスタントを導入する。 ng yDishが提供する音声対応リモコンからHopperセットトップボックスが操作できるようになる。
  • アシスタントからフライトのチェックインとホテルの予約ができるようになる。今日はUAのみだが、他のキャリヤにも順次対応する。コマンドは“Hey Google, check into my flight”だ。
  • Lenovoは 価格80ドルのアシスタント内蔵置き時計を開発。ベッドの枕元に好適。
  • アシスタントに新しく通訳モードが追加される。72カ国語でリアルタイム音声通訳が可能。
  • GoogleはAssistant Connectプログラムをスタート。デバイスなどのメーカーが既存のGoogle Homeデバイスとの連携し、その能力を簡単に利用できるようになる。 大きな処理能力を必要とする力技はGoogle Homeデバイスが受け持つ。 eインクの電子書籍リーダーが天気予報やカレンダーなどの情報を表示できるところがデモされた。デバイス自身はネットに接続していないが、Google Homeに接続させることで必要な情報を取得、表示することが可能になっていた。
  • GoogleはバッテリーのAnkerと提携した。Roav Boltシステムは自動車の12V電源(昔はシガーライターと呼ばれていたソケット)で利用でき、車内でのアシスタントの利用が容易になる。BluetoothまたはAUXで接続される。またGoogleはハイエンド・オーディオのJBLとも提携、スピーカーにノイズキャンセル機能が組み込まれ、エンジン音やロードノイズを低減する。またいちいちスマーフォンをアンロックせずに車内でアシスタントが利用できる。

Google Assistant

お気づきのように、今年のCESでGoogleはスマートアシスタントにもっとも力を入れている。発表のすべてになんらかの形でアシスタントが関わっていた。Googleはコンベンションセンターの会場の正面に2階建てのビルを建てたが、全館がアシスタントのショーケースだ。Googleがアシスタントを検索の次にくるエボリューションとみていることが明らかになった。

すくなくとも今後Googleの一般ユーザー向けサービス、プロダクトにはアシスタントが重要な役割を果たすことになるのは間違いない。

CES 2019 coverage - TechCrunch

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滑川海彦@Facebook Google+

Google I/O:1日目キーノート重要発表まとめ

Google I/Oデベロッパー・カンファレンスがGoogle本社に隣接するマウンテンビューのShoreline Amphitheatreで開幕した。1日めのキーノートで発表された重要事項をまとめてみた。〔詳細は上記ビデオ、原文、個別記事を参照。以下は要約〕

GoogleはI/O開催に先立って組織を改変――Google AI事業部新設
Google goes all in on artificial intelligence, rebranding its research division to Google AI

Googleアシスタント改良――いちいちOK、Googleと言わなくても会話を続けられる
Google makes talking to the Assistant more natural with “continued conversation”

GoogleアシスタントにPretty Please機能
子供たちに「言葉遣い」も教えるGoogleアシスタント

GoogleフォトにAI適用――モノクロ写真のカラー化ができる
Google Photos gets an AI boost

GoogleアシスタントとYouTubeにスマート・ディスプレイ
Google Assistant and YouTube are coming to Smart Displays

Googleアシスタントがマップにやってくる
Google Assistant is coming to Google Maps

機械学習ハードウェア発表
Google announces a new generation for its TPU machine learning hardware

Googleニュースにも機械学習を適用
Google News gets an AI-powered redesign

モバイルアプリに機械学習モジュールを組み込める
Google I/O: モバイルアプリ向け機械学習モデル登場――iOS、Android開発にML Kit

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2016年Crunch Reportビデオの「つかみ」映像131本一挙公開


Crunch Reportの冒頭には短い「つかみ」映像を入れている。私(Tito Hamze)は映像作家としてこの「つかみ」映像を作るのが楽しい。無味乾燥になりがちなテクノロジー・レポートを視聴者に親密なものにする効果があると思う。今年の「つかみ」映像131本を一挙公開したのでお楽しみください。では良いお年を!

〔日本版〕番組やビデオクリップの冒頭にはいる「つかみ」映像を英語ではswoopというらしい。タカやワシがさっと舞い降りて獲物を襲うという意味で、転じて「ひったくる、注意を集める」場合にも用いられるようになった。Crunch Reportは制作のTito Hamzeと出演レポーターのFrederic Lardinois記者の体当たりが成功の原因だろう。Lardinois記者は(巨体にもかかわず)身軽で、最近ではBoston Dynamicsのミニロボットと腕立て伏せ競争をしていた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2016年のプログラミングのトレンドを振り返る

Aerial view of container terminal

編集部:この記事はCrunch Networkのメンバー、 Martin Puryearの投稿。Puryearは14週間でフルスタックエンジニアを養成するブートキャンプ、 Coding Dojoのカリキュラムとテクノロジーの責任者。

今年の1月、私はTechCrunchへの寄稿で2016年の主なプログラミング上のトレンドを予測した。

ソフトウェアの開発というのは非常に変化の速い分野だ。ぴかぴかの新しい開発言語、フレームワーク、ツールについての議論は賑やかだが、上位レベルのプログラミングのトレンドを正確に予測するのはたいへん難しい。まず私の2016年の予測がどの程度当たったおさらいしてみよう。

最新のJavaScriptが急成長する

JavaScript/ECMAScript version 6(通常ECMAScript 2015あるいはES6)は2015年の6月にリリースされた。私は2016年にはこの言語が広く採用され、デベロッパーが新しいバージョンに慣れるにしたがって新たサポートされた機能がウェブに普及するだろうと予測した。この予測は概ね当たった。

主要なブラウザすべてとNode.js(オープンソースのJavaScriptランタイム)の90%はES6準拠となった。この頃では、ES6は実験的、実験的な小さなシステムや内部利用に限られるツールに埋め込まれているだけでなく、さまざまな製品や主要顧客が直接触れるようなインターフェイスにも採用されている。既存のプログラミング遺産に縛られないユーザー、AirbnbGoogleなどはES6のシンタックスを社内のプログラミングのスタイルガイドとして利用している。

ただしES6は普遍的、全面的に採用されたわけではない。一部のシステムは旧バージョンのJavaScriptをレガシーとしてサポートし続ける必要がある。デベロッパーはの多くはES6の記法を使いたくても、レガシー・ブラウザを使うユーザーを置き去りにするわけにはいかない。そのためtranspilerpolyfillsといった新しいES6で書かれたコードを古いJavaScript向けにコンバートするツールが利用されている。

ただしES6の新しい機能をすべてのJavaScript環境がサポートするには至っていない。たとえば多くの環境で末尾呼び出し最適化がサポートされていない(Safari 10と iOS 10はありがたいことに例外だ)。この表はどのコンパイラやブラウザがES6のどのシンタックスをサポートしているかの一覧でたいへん便利だ。JavaScriptの旧バージョンは一夜にして消えはしない。しかし2016年を通してES6は急速に普及を続けた。新年にリニューアルされたサイトはほとんどがES6互換の環境に移行しているだろうと予想する。というわけでES6に関する予想は十分正確だったと思う。

BaaS―バックエンド・アズ・ア・サービス

BaaSつまりBackend as a serviceも予測どおり2016年のシステム開発の主要なトレンドになった。BaaSはクラウドストレージやノーティフィケーションなどプロジェクトの中で繰り返し行われる定型的処理の実行にサードパーティーのサービスを使う手法だ。BaaSを利用することによってデベロッパーは自分の得意分野に開発、運用の努力を集中することができる。バックエンドAPIの利用が盛んになっているのはフロントエンドのフレームワークがこうしたBaaSに接続しやすい形に変化してきたからだ。

デベロッパーはコンポジションと呼ばれるテクニックを多用するようになってきた。コンポジション方式の場合、システムいくつかの小さな部品(アプリケーション)から組み立てられる。このような構成の場合、小さな部品は容易にサードパーティーから入手できる。

私は特に今後ブログラミングのパラダイムがどう変化するかに興味を持っている

注意:前回の投稿で私は人気のあるBaaSの例としてParseを挙げた。記事が発表されたすぐ後にParseの所有者のFacebookはBaaSとしてのParseの運用を近く中止すると発表した。Parseを使い続けるつもりなら、ユーザーはそれぞれ独自にParseサーバーを構築し、 2017年1月28までにそちらに移行する必要がある。

イメージ管理と配布管理

2016年にはDockerPackerなどが予想どおりデベロッパーの主要なツールとなった。 これらのサービスは デベロッパーはコンテナと呼ばれるマシン・イメージを簡単かつ素早く生成ないし複製することがができる。コンテナはソフトウェア、そのランタイム、システム・ツール、言語ライブラリーなどがバンドルされどんなプラットフォーム上であれ実行するのに必要な要素をすべて備えている。デベロッパーは軽快なバーチャルマシンの上で素早くプロトタイプを作ることができる。ここにはバージョン管理機能がビルトインされているので、複数のサーバー環境であっても矛盾のないアップデートが可能だ。マニュアルでサーバーのプロビジョニングをするというのは本質的に時間がかかり間違いが起きやすい作業となる。そこでこうした面倒な作業を自動化するBaaSが急速に普及したのは当然だろう。

これに関連してVagrant(開発環境の設定の自動化)、 PuppetChefAnsible(コンフィグレーション管理)などのツールにも人気が出た。コンテナ・ベースの開発はますますデベロッパーにとってますます標準的なものとなりつつある。この傾向が今後原則するとは考えられない。

関数型プログラミング言語への依存が強まる

Haskell、Clojure、Scalaのような関数型プログラミング言語は2016年を通して普及を続けた。こうしたサーバーサイド言語を採用するプロジェクトが増えたのはスマートフォンやIoTデバイスの爆発的な増大によるものだ。コンピューター、タブレット、スマートフォン、IoTガジェットの数が増え、ますます強力になるにつれてサーバーの処理能力がシステムのボトルネックとなってきた。大量の「つながったデバイス」からのリクエストを処理するためにはサーバーの能力をアップする必要がある。処理能力の不足は反応の遅れをもたらし、ユーザー体験を著しく下げる。

関数型プログラミング・モデルは基本的にステートレスだ。 ソフトウェアの各部分を複雑な同期処理なしに多数の異なるCPUないしマシン上で効率的かつ容易に並行動作させることができるようになる。オブジェクト志向言語に比べて関数型言語のパラダイムが本質的に優位なのはウェブからのリクエストのような並列処理の場合だ。

マテリアル・デザインと共通パターンへのシフト

2016年にはビジュアル・デザインの分野でも興味ある進展があった。 予期されたことだが、Googleはすべての分野でビジュアル要素としてマテリアル・デザインを採用したプロダクトの数を増やしている。システム(ChromeOS、Android)、アプリケーション(Chrome、Drive、Google Play Music)、ウェブサイト(YouTube,、AdSense)、それにウェブ検索もマテリアル・デザインになった。サードパーティーのAndroidアプリ、Slack、Twitter、Spotify、Airbnb、Wikipediaがマテリアル・デザインを採用しており、AsanaからGeekbenchに至る多数のウェブサイトもビジュアルをマテリアル・デザインに準拠している。

ただし他のプラットフォーム((iOS、Tizen、Windows、MacOSなど)ではマテリアル・デザイン採用の動きは見られない(Ubuntuには多少の影響がある)。他のプラットフォームのデベロッパーは独自のデザイン・ポリシーを推進している。

デザイン分野での私の予測が当たったのは一部に限られるようだ。改めて2017年を予測するなら、サービスやアプリケーションにおける伝統的な視覚的デザインの役割は減少し、非視覚的なインターフェイス(Amazon Alexa、Siri、Cortana、Google Home)や別の視覚的要素(仮想現実、拡張現実)を利用したインターフェイスが普及期を迎えると思う。

結論

2016年のソフツには数々の興味ある進展があった。2017年にはさらなる発展が期待される。これにはコンテナや関数型言語の一層の普及、JavaScriptがアプリ開発に占める役割のさらなる増大などが含まれるだろう。私は特に今後ブログラミングのパラダイムがどう変化するかに興味を持っている。デベロッパー諸氏の考えを聞きたいところだ。

画像: Bernhard Lang/The Image Bank/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2016年のTCニュースビデオ、ベスト10一挙紹介―Tesla、ロボット、あのイアホン、あの靴など

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ロボット、自動的に締まる靴紐、爆発するロケット他、2016年のTechCrunchを賑わしたニュースビデオのトップ10を一挙ご紹介〔関連記事はすべてTechCrunch Japanで翻訳ずみ〕。

1. Apple Airpods

この秋、Appleがまったく予期されていなかった新製品を発表した。

Airpodsには多様な新機能が盛り込まれている。TechCrunchスタッフも実機をテストするチャンスに恵まれ、それぞれに好感を抱いた。Matthew Panzarino編集長はAirpodsを2016年のお気に入りベスト10の一つに挙げているくらいだ。3ヶ月待たされた後、12月12日から一般に販売されるようになったので、読者は自分で試すことができる。

2. Tesla Model 3

3万5000ドルという「お求めやすい」価格になって新しい全電気駆動のスポーツカーが登場した。Tesla Model 3はAudiやBMWのエントリーモデルのライバルになるだろう。0-60加速が6秒以下、ベースモデルからオートパイロット運転システム搭載、フロントにもリアにもトランク、その他機能満載だ。もちろん月、太陽、空、望みのままに感じることができる一枚ガラスの天井も装備される。

3. Nike Hyperadapt

自動靴紐結び機能搭載といえば説明は十分だろう。このHyperadapt 1.0を搭載したNike Magが今月一般向けに出荷された『バックトゥーザフューチャー』のガジェットを実現させてしまったテクノロジーはすごい。

4. SpaceX、垂直着陸に失敗して爆発

今年に入ってSpaceXは主力である大型衛星打ち上げロケット、Falcon 9の一段目を垂直着陸で回収する実験を開始した。4月になって、4回の失敗の後、洋上を航行するドローン艀へのFacon 9ブースターの垂直着陸という偉業を成功させた。しかし数ヶ月後、またもや大爆発に見舞われた。最新ニュースによればSpaceXでは実験を再開する計画だという。SpaceXについてはこちらから

5. 任天堂からニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュー

ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュー(NES Classic exceeded)への需要は任天堂の予想あまりに大きく上回っており、現在アメリカの一般ユーザーが手にすることは不可能に近い。このプロダクトは有名な任天堂ファミコンのミニ版で 懐かしい人気ゲームが30種類プレインストールされている。これで価格は60ドルなのだから人気が出なければおかしい。

6. Viv AIアシスタント

VivはSiriの開発メンバーによる次世代AIシステムで、TechCrunch Disrupt NYカンファレンスで初の公開デモが行われた。VivはSiriのように簡単な質問に受け答えができるだけでない。高度なAIを利用して状況を学習し、自ら実行コードを書く。これによって新たな機能を獲得することができるという。AppleのSiriやGoogle Assistantの強力なライバルになる可能性がある。Vivは10月にSamsungに買収された。

7. Microsoft Surface Studio

10月のイベントでMicrosoftは28インチの美しいPixelSensディスプレイを備えたオールインワンのWindowsパソコン、Surface Studioを公開した。Microsoftによればこのサイズとして最薄のディスプレイであり、巧妙なメカニズムによって自由に角度を変えられる

8. BostonDynamicsの最新ロボット、Spot Mini

Spot MiniもTC Disruptのステージに登場した。オリジナルのSpotよりだいぶ小型で、威圧感も少なくかわいらしい。見たところは大型犬のようで階段を上ったり、ドアを開けたり、その場で足踏みしたり多芸だ。

9. GoPro Karma

このカメラ搭載クアドコプター・ドローン は大評判になった。出荷後わずか16日でGoProがリコールせざる得なかったのは残念だ。

10. Tesla Solar Roof

イーロン・マスクは Teslaから新しい太陽光発電システムを発表した。普通の屋根に見えるが太陽光発電能力がある。専用の大型太陽光発電パネルを設置するのではなく、Solar Roofは通常の屋根材に近似した高効率のガラスタイルだという。まだ詳細は明らかになっていないが大いに期待できそうだ

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これがトランプ政権が掲げるテクノロジー政策だ

NEW YORK, NY - NOVEMBER 09:  Republican president-elect Donald Trump acknowledges the crowd during his election night event at the New York Hilton Midtown in the early morning hours of November 9, 2016 in New York City. Donald Trump defeated Democratic presidential nominee Hillary Clinton to become the 45th president of the United States.  (Photo by Joe Raedle/Getty Images)

ドナルド・トランプはテクノロジーに詳しくない。私たちが彼について知っているのはそれくらいだ。彼は携帯電話やEメールをあまり利用しないことで知られている。Anderson Cooperがモデレーターを務めたCNN主催のタウンホール・ミーティングでは、トランプ流のツイートの仕方が説明されている。「そばにいる若くて素晴らしい女性たちの1人に、ツイートしてほしい内容を叫ぶだけだ。私がやることは叫ぶことだけで、あとは彼女らがやってくれる」。

しかし、たとえ彼がアーリーアダプターではないにしろ(そして、コンピューターを生涯使わないかもしれないにしろ)、大統領選挙に当選した彼の政策はテクノロジー業界に大きな影響を与えることになる。そして、最終的には私たちの生活にも大きく関わってくる。

テクノロジーが彼の政策の中心的な要素となっているわけではないが、インタビューやスピーチ、ディベートの中には彼がテクノロジーについて語っている部分がある。そこから、トランプ大統領のテクノロジーに関する政策を予測してみよう。

Apple製品はアメリカ国内で製造させる:トランプはこれまでもAppleに対して強い態度を取ってきた。サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の犯人から押収したiPhoneのロック解除をAppleが拒絶した問題に対してトランプは、バレンタイデーの5日後にApple製品のボイコットを訴える発言をしている。

その1ヶ月前には、彼は中国に対する不信感を利用するように、Apple製品はアメリカ国内で製造させると発言している。バージニア大学に集まった聴衆に対してトランプは、「Apple製のコンピューターは他のどこでもなく、アメリカ国内で製造させる」と話した。彼はまた、Ford製のクルマやOreoのクッキーについても同様の発言をしている。

温暖化対策の予算を削減する:彼はインタビューの中で地球温暖化問題について大いに語っている。そのほとんどは、地球温暖化という問題が存在している事すら信じていないという主張だ。または、それを引き起こしたのは人間ではないという主張である。地球温暖化は中国のでっちあげだと主張する時もあった。9月のCNNとの対談で彼は、「きれいな空気や、清潔さというものは信じているが、地球温暖化は信じていない」と話している

2012年のツイートを見てみると、「地球温暖化のコンセプトは、アメリカの製造業の競争力を落とすことを狙う中国によって作り上げられたものだ」と彼は述べている。彼は「ジョーク」だと言うかもしれないが、その数年後にはもう一度、地球温暖化はでまかせであり、アメリカはその対策にお金を費やすべきではないと述べている。

2015年12月に開かれた集会では以下のように述べる場面もあった。「オバマはこのことを地球温暖化と関連付けて話しているが、(中略)その多くはでまかせだ。でまかせなんだ。つまり、地球温暖化は金になるんだ。いいかい?それはでまかせなんだ、そのほとんどはね」。彼の主張は明らかだろう。また、寒い日が来ると彼は、これこそが自身の「でまかせだ」という主張を裏付けていると述べることもあった。

Jeff Bezosには悪い知らせ:「もし私が大統領になったとしたら、彼らに何か問題があるだろうか」。これは、今年2月にトランプがJeff BezosとAmazonを指して言った言葉だ。「大いに問題だろう」。その時トランプは、Jeff BezosによるThe Washington Postの買収について話していたところだった。Jeff Bezosが「クリントンびいき」のThe Washington Postを、税金逃れの手段、そしてAmazonに有利となるような政治的な影響力を振りかざすための手段として利用しているという主張だ。

それに対する返答としてBesozがトランプに用意したのは、彼が開発するBlue Originロケットの乗車券だった(これは片道チケットだと推測する人もいる)。

NASAは低軌道を離脱して、地球の調査をやめるべきだ:トランプはアメリカの宇宙開発プロジェクトを大きくしたいと考えている。NASAの本拠地があるフロリダに集まった聴衆に彼は、「地球低軌道の物流業者という役割からNASAを開放する。その代わりに、私たちは宇宙のさらなる探検に注力する。トランプ政権になったあと、宇宙開発の主導権を握るのはアメリカとフロリダなのだ」と述べた

だが、トランプが無限の彼方に興味があることを示す一方で、彼のNASA計画には内省の意味が込められているとは言いがたい。つまり、彼の政権は地球上の生命には興味がないということだ。

先月公開されたSpace Newsの論説では、2人の専門家が「NASAは地球中心の活動よりも、深宇宙での活動に専念すべきだ」と述べている。おそらくこの見解は、トランプが人間が引き起こしたものではないと主張する、地球上の気候変動のことを考慮したものではないだろう。
まあ、居住可能な新しい惑星を地球が完全に破壊される前に見つけることができれば、万事うまく収まるというわけか。

ネットワーク中立性は支持しない:トランプがネットワーク中立性について不平を言う理由は、彼がこのコンセプトを検閲とイコールで考えているのが理由のようだ。彼はネットワーク中立性のことを「トップダウン型の権力掌握術」だと呼び、それはFCC(連邦通信委員会)の公平原則と同じようなものだと加えた。公平原則とは、ある問題のすべての側面に対して均等な時間を割いて取材をし、その問題を公平に伝えることをニュースの報道者に求めたものだ。今後予定されている、反規制を掲げる運動家のJeffrey Eisenachとトランプとの会見は、ネットワーク中立性の支持者にとって悪いニュースだと考えられている。

サイバー攻撃には厳罰を:ヒラリー・クリントンとの最初のディベートで明らかとなった、トランプのサイバーセキュリティに関する政策は、、、とても分かりづらかった。モデレーターのLester Holtにサイバー攻撃について聞かれると、彼はこう語った。

私たちはサイバー攻撃やサイバー戦争に対して厳しい態度で望む必要があります。これは大きな問題なのです。私には10歳になる息子がいて、彼はコンピューターを持っています。それを彼は非常にうまく扱うので驚きです。インターネットのセキュリティというものは、とても、とても難しい。もしかすると、それは達成不可能なものなのかもしれません。しかし私が言いたいのは、私たちはやるべき事をやっていないということです。

トランプのWebサイトでは、彼がこのコメントで言いたかったことをもう少し明確に伝えている(このコメントよりも何かを明確に伝えることは、そう難しいことではないことは明らかだが)。そこではヒラリー・クリントンのEメール問題が何度も言及されているのに加えて、ハッキング被害を伝える過去数年分の記事の引用、そして、アメリカのインターネットがもつ脆弱性に対して彼がどのように行動していくかということが列記されている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Facebookのニュースフィードは、どのように選ばれているのか

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この記事は、Facebookがあなたのニュースフィード(タイムライン)に表示するものをどのように選択しているかを説明し、どうすればあなたのコンテンツがより多くの人々によって見てもらえるようになるかに関しての究極のガイドである。

アルゴリズムは常に変化しているので、ニュースフィードがどのように機能するかを理解することは難しい。そこでTechCrunchは、ニュースフィード10周年を記念してこのリサーチプロジェクトを立ち上げ、Facebookのチームメンバーにインタビューを行い、同社の発表を編集し、これまでの10年分の私たちの報道を見直した。その結果がこの役に立つ解説だ。いつでも正確であるように、私たちは新しい変更が行われるたびに更新していくつもりだ【訳注:日本語版の更新は未定】。

ニュースフィードの目標

Facebookの目標は、ニュースフィードに表示するための、最も関連性が高く魅力的なストーリーを選択することだ。それは、毎日あなたのニュースフィードに表示される可能性がある数千ものストーリーの中から最高のコンテンツを選択して、あなたが実際に拾い読む最初の数十の場所の中にそれらを置くことを狙っている。

これらのストーリーはランク付けされ、重要さの順に表示される。あなたの兄弟姉妹が結婚したとか、10人以上の友人がシェアしたような大きなニュースから、ウェブサイトへの平凡なリンクや、あまり親しくない知人によるイベントへの招待まで。

Facebookはあなたがストーリーに対して優先度をつける。それらに対してあなたが「いいね!」をし、コメントをし、シェアし、クリックし、読むのに時間を費やすように(こうしたユーザーの反応を、私たちはここでは「エンゲージメント」と呼ぶことにする)。Facebookはまた、人々がどんなストーリーが表示されるべきと考えているのかのフィードバックを集めるために、オンラインサーベイや、オフラインの特別グループを運営している。

魅力的なコンテンツが増えれば増えるほど、ユーザーは頻繁にFacebookへ戻って来るようになり、そうすれば、(ニュースフィードに現れる広告から収入も得ながら)人々をつなげるというFacebookの使命をよりよく達成できるのだ。

Facebookのニュースフィード方程式

リーチの自然減少

時間が経つにつれて、より多くの人々とページがFacebookに参加して、それぞれがより多くのコンテンツをシェアすると、ニュースフィード中の限られたスペースの中でより多くの競争が起きることになる。過去10年の間に、人々がニュースフィードに費やす時間は増えたものの、視聴率はシェアされるストーリーの増える量には追いついていない。

これは、ニュースフィードに投稿されたものに対するリーチの、自然減少を引き起こす。そのストーリーを見せるのに相応しい全ての相手の中で実際に見る人の比率が減少するという意味だ。これが、Facebookページのフォロワーがページの内容を読む比率が徐々に減少していく理由だ。これは広告を見せようと躍起なFacebookの陰謀というよりも、より大量に人々がシェアを行うことによる避けられない結果なのだ。

あなた自身のコンテンツに対する、このリーチの減少に対処する最良の方法は、Facebookのアルゴリズムの好むものを学ぶことだ。

あなたの目の前に並ぶものの決定に影響を与える主要因

それでは、Facebookのアルゴリズムは、何をどの順番で表示するかを、一体どのように選んでいるのだろう?アルゴリズムは各ストーリーに個人別の関連性スコアを割り当てる、これはその記事をみる個々人に対して異なる値となる、そして見る個人に対してもっとも関連性の高いストーリーを最初に表示するのだ。このアルゴリズムは、何千もの異なる入力を考慮にいれて動作する。しかし、ここではストーリーのパーソナライズされた関連性スコアを決定するための(すなわちユーザーの見え方に影響する)4つの主な要因を示そう。

Facebookのニュースフィードアルゴリズム

誰がそれを投稿したか – ある投稿の著者と過去沢山「やりとり」をしているほど、その著者の投稿にこれからも興味があるだろうとFacebookは判断する。この「やりとり」と解釈されるものは、いいね!やコメントといったエンゲージメントだけでなく、クリックし時間をかけて著者の投稿を読んだり、著者のFacebookページやプロファイルを見たり、投稿や写真に一緒にタグ付けしたりされたり、その沢山のFacebook上でのアクションも「やりとり」に含まれる。これが、数年やりとりのない、古い友人やFacebookページの投稿を目にしない理由だ。

他の人たちがその投稿にどれくらい惹きつけられているか – ある投稿に惹きつけられている人の数が多いほど、Facebookがその投稿をあなたの前に差し出す可能性は高くなる。時には、あまりやりとりの発生しない退屈なものが投稿されることもある。そうしたときにはFacebookはそれらを目立たないように沈めてしまうのだ。しかし、最初に投稿をみた人たちのうちの高い割合が反応した(エンゲージした)場合には、Facebookはそれが面白いものであると判断して、より多くの人に見せようとする。

それはどのようなタイプの投稿か – あるタイプ(状況報告、リンク、写真、ビデオ、イベント、転職、他のアプリからのコンテンツ)の投稿により多く反応すればするほど、Facebookはあなたにそのタイプの記事を表示するようになる。それぞれの人が好むポストのタイプは、ひとそれぞれである。私はニュース記事を読むことが大好きかもしれないし、あなたはビデオを観るのが好きかもしれない。Facebookは投稿のタイプによって人をマッチングするので、もしあなたがビデオを決して見ないなら、多くは表示されないことになる。

それはいつ投稿されたものか – 最近投稿されたストーリーであるほど、あなたがそれを目にする可能性は高くなる。しかし、Facebookはまた、あなたが最後にニュースフィードをチェックした時間を知っていて、あなたが最後にログインした時間以降に投稿されて見逃された、古くても良い投稿に高いランクをつけてくる。数分ごと、数時間ごとにチェックをして、Facebookは直近の投稿の優先度を決めていくのだ。1週間のオフラインのあとでアクセスした際には、Facebookはあなたの親友に子供が生まれたというビッグなストーリーを、たとえそれが5日前に投稿されたものだとしても提示してくる可能性がある。

Facebookのニュースフィードスコア

これらの要因を組み合わせることが、ある投稿がニュースフィードの中でどのように上がってくるかに大きな影響力を持っている。あなたがニュースフィードでのやりとりに時間をかけている間、Facebookはあなたが何を気にしているかを学習し、あなたの行動が変化した場合にはその理解を進化させていく。

その他にも、ニュースフィードであなたが目にするものを決定するための、いくつかの大事な要因があるが、上記のものほどは重要なものではない。

どれほど多くの人が同じことについて投稿を行っているか – 多くの友人やFacebookページが同じことを投稿しているとき、Facebookは投稿の高ランクアグリゲーション(まとめ)を作成する。もし沢山の友人が同じニュース記事やビデオを投稿している場合には、Facebookはそれを重大事と仮定し「Josh Constine、他2人がリンクをシェアしました」といったストーリーをニュースフィードに優先的に表示する。

Facebookの新しいプロダクト – Facebookがライブ動画配信や、スライドショーなどの新しいプロダクトをリリースした際には、どれくらい多くの人がそれを使いたがるかを試してみなければならない。適切な見せ方のレベルを学習できるだけの十分なフィードバックを受け取るまでは、プロダクトに関するストーリーの初期段階での現れ方は、多すぎたり少なすぎたりする。

Facebookのニュースフィードアルゴリズム

広告はどのように挿入されるのか

Facebookはまた、ニュースフィードに広告を挿入する。これらは、自然に流れてくる投稿を置き換えてしまうことはしないが、その代わりそれらの間に挿入される。次に表示されるものを1つ押し下げて割り込むのだ。

FacebookはあなたがFavebookページに興味があるのか、ビジネスの広告に興味がある可能性が高いのかを決定するために、類似のしかし別個のランキングアルゴリズムを使用している。Facebookは、あなたが見る広告の数を制限している、したがって、見せるものをあなたがクリックする可能性を最大化したいと思っている、なぜならクリックが収益につながるからだ。

あなたについてFacebookが知れば知るほど、より関連性の高い広告が提示されるようになる。プロフィールを記入して、気になる物のFacebookページをクリックすれば、Facebookの広告はよりパーソナライズされ関連性が高くなり、プロダクト、アプリ、イベント、その他の、あなたが本当に興味を持っている事について教えてくれる。

ニュースフィードを制御する

Facebookはあなたが見たいものをニュースフィードを教えるための、暗黙的および明示的な方法を提供している。

暗黙的な入力は、Facebook上での普段の操作から取り込まれる。もし特定の友人のストーリーに、または特定のトピックについていいね!をし続けた場合、それらをより多く目にするようになる、あなたがいつも誰かの投稿を読み飛ばしていたり、Facebookページにシェアされるストーリーをクリックしなかった場合には、それらを目にする頻度は低いものとなる。そして、これこそが本当に好きなものだけを「いいね!」することが大事であり、単に親切心を示そうと全く関心の無いものに対して同情「いいね!」をするべきではない理由である。

Facebookのニュースフィード・コントロール

Facebookはまた、あなたが直接ニュースフィードに対して、指示をしたり見たくないものを伝えるための明示的なツールを提供している。全てのストーリーの右上には小さなドロップダウン矢印があって、そこから以下のような操作を行うことができる:

  • 投稿を保存:後で読み返すために投稿を保存する、このことでFacebookにより似通った投稿を提示するように指示する。
  • 投稿を非表示:その投稿が表示されないようにして、似たようなストーリーの表示も減らす。
  • フォローをやめる;その著者の投稿を二度と見ないようにする。
  • 投稿を報告:投稿に問題があることを運営側に報告する。
  • この投稿に関するお知らせをオンにする:この投稿にコメントなどがつくと通知されるようにする。

ニュースフィードの設定には、「トップに表示」というオプションもある。これは、あなたがいつもニュースフィードのトップでその投稿を見たい人やFacebookページを選ばせる。これは愛する人、親友、好きなブランドまたは自分のビジネスなどについて、情報をいつでも知っておきたいときに便利な機能だ。

ニュースフィードのアルゴリズム変更に関する最新リスト

Facebookは、常にニュースフィードを微調整している。それはシステムに対する悪用や不正への対処や、新しいメディアタイプの取り込み、そしてユーザーが関心のないものを見せられてしまう欠陥の修正などである。FacebookはNews Feed FYI(ニュースフィードに関するお知らせ)ブログの投稿で、変更についての透明性を確保している。

フィードの好み設定

この記事も同じように適応する。Facebookがより多くのFYI(For Your Information:お知らせ)を投稿するにしたがって、私たちはそれらをこのリストに、それぞれどのような意味を持っているかの短いまとめと共に追加していく。この記事を参照し続けて、ニュースフィードがどのように機能するかを理解していない友人や同僚たちと共有することができる【訳注:以上の追加更新は日本版記事では未定】。以下に、これまで行われたすべてのニュースフィード変更のお知らせを示す。

Facebookページの高品質な投稿 – タイムリーなもの、関連性が高いもの、あなたが信頼するソースからの投稿、シェアしたりお勧めしたくなるもの、純粋に興味深くニュースフィードを悪用していないもの、低品質だったりスパムだったりしないもの、愚痴ではないもの、隠された部分のない完全なページプロファイル、他の高品質なFacebookページとファンが重なっているもの。

より関連性の高い広告 – 他の人たちが非表示にした広告を少なく、他の人たちが既に非表示にしたものと類似の広告も少なく。

品質の高いニュース – 高品質の記事へのより多いリンク、スパム写真へのより少ないリンク、あなたがクリックしたものに関連した記事、新しいコメントのついたストーリーを強調。

友人からの状況更新をより多く – 友人からのより多くのテキストによる状況更新、Facebookページからのテキスト状況更新はより少なく、ページからのシェアされたストーリーへのリンクはより多く、ページに埋め込まれたリンクに付随するテキストの更新は少なめに。

あなたが好きなトピックスについて、より多くのストーリーを – 他のページをタグつけているページでの投稿は、そのタグつけられたページのフォロワーにも表示される。

ニュースフィードスパムを撃退 – あからさまに、いいね!、コメント、シェアを要求するページの投稿をより少なく。すでに、そのページによってシェアされているページ投稿をより少なく、不正確な言葉や人のミスクリックを誘うようなトリックの書かれたスパム的リンクをより少なく。

明示的にシェアされたストーリーに焦点を当てる – サードパーティアプリケーションからの明示的にシェアされたストーリーをより多く、非明示的もしくは自動的にシェアされたストーリーはより少なく。

より良いビデオを表示 – より多くの人たちが観て、長時間視聴していた動画を多めに、ビデオを見るひとへより多くのビデオを、ビデオをスキップするひとにはビデオを少な目に。

クリックベイトとの戦い – 何をクリックしようとしているかをあまり伝えてくれないリンクを少なく、移動してもあまり時間を使わずすぐにFacebookへ戻ってくるひとが多いウェブページへのリンクを少なく、移動して長い時間を過ごすウェブページへのリンクを多く、訪問した後にが話題にしているウェブページへのリンクを多く、訪問した後話題にするひとがいないウェブページへのリンクは少なく、リンク形式でシェアされているストーリーをより多く、写真や動画の説明やキャプションと共にリンクが張られているストーリーをより少なく。

広告についてのフィードバックを取り込む – 人々が広告を非表示にした理由を調査し、自分にとって関連性が薄いので隠したと答えたひとには類似のリンクを少なく、人々が失礼だという理由で非表示にした広告は誰に対しても少なく、日頃広告を非表示にしないひとのフィードバックを重く取り扱う。

よりタイムリーなストーリー – 現在のトレンドトピックを参照しているストーリーをより多く、投稿した直後にいいね!がつけられている投稿を、投稿後あまり時間が経過していないうちにより多く表示。

あなたが見るものをより詳細に制御 – もし誰かのストーリーを非表示にした場合、そのひとを完全にアンフォローしなくても将来の投稿を見る機会を減らすことができる。

プロモーションページの投稿を削減 – ただ人々にプロダクトの購入やアプリのインストール、クジの購入を迫ったり、あるいは広告の内容を単に繰り返しただけの投稿を少なく。

デマの最小化 -人々が通報したり、あるいは詐欺または故意の虚偽ニュースとして投稿後に非表示にしたものをより少なく。

友達からのコンテンツをより多く表示 – ページではなく友達の投稿をより多く、ある投稿に友達がいいね!やコメントをしたというストーリーはより少なく、まだニュースフィードにあまりコンテンツのない新しいユーザーには同じソースからの投稿をより多く。

長い時間読まれているストーリーを多く – 他の人たちが他のストーリーに比べて、ニュースフィード内でかなり多くの時間を費やしているストーリーより多く。

「トップに表示」機能 – 新機能を使用すると、そのストーリーを最初に見たい友人やページのストーリーをニュースフィードのトップに表示する。

人々がストーリーを非表示にする方法の違いを考慮する ‐ 自分がいいね!をしたりコメントをしたストーリーも含んで、あまりにも多くのストーリーを非表示にしたユーザーに対しては、その非表示を軽く取り扱う。

ビデオに対してとられたアクションを考慮する -人々が音声をオンにした、フルスクリーンで観た、あるいは高解像度で観たビデオをより多く。

低速接続のためのニュースフィード改善 ‐ インターネットに低速で接続している場合には、ビデオをより少なく、そして状況やリンクをより多く表示する。もしインターネット接続がない場合には既にロードされているストーリーをもう一度表示する。

リアクションを考慮する – あなたが(いいね!などで)反応したものに類似したストーリーをより多く。

低品質のバイラルストーリーを減らすために調査を行う – サーベイを通して人々があまり見たくないと言っているものをより少なく。

オフラインニュースフィード – 接続速度が遅い場合、Facebookはそれまでにダウンロードされたストーリーを関連性で再ランクを行い、ローディング表示の代わりにそれらのストーリーを表示する。

定性的フィードバックを考慮する ‐ サーベイと定性的調査によって、人々が高く評価しエンゲージする可能性が高いとされたものをより多く。

リアクションとストーリーをマッチング – Facebookは人々が何らかの形でリアクション(最近増えた「いいね!」以外のリアクションも含む)したものに類似したものを、長期的には人々に見せたいと思っている、したがって頻繁に「うけるね」リアクションを使うひとは、面白いストーリーをより多く目にすることになる。

ライブ配信をライブのうちに – 現在ライブ配信されているライブビデオをより多く。

時間をかけて読まれているサイトを考慮する ‐人々がより時間をかけて読んでいる「インスタント記事」やFacebookに取り込まれたモバイルウェブページをより多く、同じページからの連続した記事はより少なく。

友人や家族に対してFacebookページ以上の優先順位を付ける ‐ あなたが大切にしている人間のストーリーをより多く、ビジネスやニュースサイトからのストーリーはより少なく。

誤解させるあるいは何の情報もないクリックベイトの扱いを低く – 意図的に記事の核心の詳細を省略したり、誇張したりして人々をだましクリックに誘うニュースストーリーをより少なく。

個人的に有益なストーリーの有精度を高く

News Feed FYIが更新されるたびに、このリストを最新にするための更新を行うつもりだ【訳注:日本語版では未定】。

ニュースフィード戦略

ニュースフィードの中で目立つように表示されるための最良な戦術は、結局とてもストレートなやり方だ、すなわち、面白くて、本物で、読み手の興味と共鳴するものを共有することだ。それは一般的に、視覚的に説得力のあるメディア、面白いまたは感情に訴えるコンテンツ、幅広い視聴者を惹きつける重要なニュース、であることを意味する。

過度に自己宣伝の強いスパム、無味乾燥で長ったらしいコンテンツ、そして一部読み手だけにアピールする見かけの退屈なメディアは避けるべきだ。

だから、投稿する前には、自問して欲しい。これは本当に興味深くて他の人たちを楽しませるものなのか?それとも、ただ無駄にあなたの生活自慢をしたり、貪欲なビジネスマーケティングを行ったりしているだけなのか?

Facebookのニュースフィードのアルゴリズムは複雑だが、それが奉仕する人間側はまだかなり単純だ。私たちは皆ただ刺激を求めている。だからそうすれば、あとはFacebookがあなたが言わなければならないことをシェアしてくれる。

ニュースフィードのストーリー

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(翻訳:Sako)

Y Combinatorデモ・デー2日目―2016年夏の48スタートアップ紹介

ycombinator

世界でもっとも権威あるスタートアップ・スクールの2016年夏学期デモ・デーの2日目に発表を行った48チームを一挙に紹介する。2日目のジャンルはナノ粒子アナリティクス、配送ロボット、B2B、バイオテック、エンタープライズ、エドテック、フィンテック、ハードウェアだ。昨日のデモ・デイ1日目で発表が行われた44のスタートアップについてはこちらの記事を参照いただきたい。またこちらはTechCrunchが選んだトップ7社という記事だ。今日(米国時間8/23)のスタートアップは以下のとおり。

主催者:YC International

デモ・デーに登場したあれこれのスタートアップだけからトレンドを読み取ろうするなら徒労に終わるだろう。真の勝者はトレンドに先んじているものだ。たとえばTechCrunchは2013年に発表されたAirwareのドローンOSは時代より早すぎるのではないかと思った。しかしAirwaveは早すぎはしなかった。今やYCには多数のドローンのスタートアップがひしめき合っており、7000万ドルの資金調達に成功したAirwareの後を追って激しい競争をしている。

Justin Kan, of The Drop, Twitch, Exec, and Y Combinator

Justin Kan、Twitchの共同ファウンダー、 Y Combinatorのパートナー

Y Combinatorのプレジデント、Sam Altmanは「あるデモ・デーで最高のスタートアップはデモ・デーが望む最高の会社というわけではない。2019年の環境に最高にフィットする会社こそデモ・デーが望む最高のスタートアップだ」と説明する。

Altmanはアラン・ケイの有名な言葉、「未来を予言するために一番良い方法はそれを発明することだ」を引用して次のように付け加える。「私はこの言葉に多少の異議がある。未来は本質的に予言できないものだと感じている。しかしYCのスタートアップで私が好きなのは、未来について考えるのではく、自然にそれを発明している点だ」

今回のクラスについてこれまでと違っているのは、30%がアメリカ以外の国から来ている点だ。 これは過去最高の割合だった。

YCのパートナー、Justin Kanは「われわれのプログラムは長い間続いてきたので世界のあらゆる国々の優秀なスタートアップを援助してきた。ファウンダーたちは『YCはインドネシアの、あるいはタイのスタートアップも援助するのか?』と尋ねてきた。しかし今では世界各地にわれわれが援助して成功した数多くのスタートアップが存在し、ファウンダーたちのロールモデルとなっている」と説明する。

「スタートアップのマインドセットはシリコンバレー以外の土地にも浸透した。スタートアップが世界的現象となりつつあるのが真に驚くべき点だろう」とAltmanは言う。ただし、世界でもっとも価値が高い企業のトップ5社のうち4社はアメリカ西海岸のテクノロジー企業だ。しかしAltmanはいつまでもそうであるとは限らないと考えている。だからこそYCは世界のスタートアップを援助するわけだ。

というわけで以下は Y Combinatorの2016年夏学期のデモ・デー2日目で発表を行った48のスタートアップのすべてだ。

ApolloShield – 脅威を与えるドローンを安全に着陸させるシステム

ドローンはセキュリティーにとって深刻な脅威となっている。毎年、違法物質の密輸から旅客機とのニアミスまでドローンが関係する何千件ものセキュリティー侵害が発生している。ApolloShieldはセキュリティー上の脅威となる可能性のあるドローンをコントロールするデバイスだ。これはドローンと操縦者との接続を切断し、ドローンを安全に着陸させることができる。現在のところ、このハードウェアは市場にあるドローンの約半分に効果があった。チームでは法執行機関は平均してデバイス5台を必要とするとしている。年間コストは1台3万ドル程度という。

ApolloShieldについてのTechCrunch記事

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Ohmygreen B2Bのウェルネス・サービス

オフィスで消費されるスナックだけで年商十億ドルの市場だということはあまり知られていない。Ohmygreenの狙いはここにある。このスタートアップはオフィスに健康的なスナックを提供しようと考えている。同社はすでにLyftやAmazonなどの大企業を顧客に持ち、55%の粗利益を上げている。Ohmygreenへの反復注文は月間80万ドルだ。同社は毎月平均700件以上の配送を行っている。しかし「われわれの本質はロジスティクスだ」とCEOのMichael Heinrichは言う。 同社は注文のスナックに応じて配送ネットワークとサプライチェーンを最適化している。「このためわれわれは非常に高い粗利益率が可能になっている。55%という利益率は業界標準の3倍から5倍で、クラウド通信企業のTwilioと等しい」とHeinrichは述べた。

ohmygreen y combinator

Emote – 生徒の行動分析

生徒の成績は学習の成果であると同時に心身の健康状態にも大きく影響される。 Emoteは生徒が教室に入ってくる前の段階からですら、教師に詳細な行動分析を提供することを目標としている。同社によれば、毎日30万人の生徒が助力を必要とする問題を抱えてるという。Emoteでは行動分析により教師が生徒を助け、脱落を防ぐたための計画を立てることを援助する。9月末までにEmoteは33校、来年1月までに135校での採用を目指している。Emoteによれば、わずか3週間のビジネスですでに130万ドルに相当する売上の計上が可能だったとしている。

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Flutterwave – アフリカにおける支払処理サービス

アフリカにおける支払処理は非常に細かく断片化されている。アフリカでは 276もの支払ウォレットがあり、500行の銀行、7種類のクレジットカード網が参加している。Flutterwaveは支払処理の共通APIを提供することによりウォレットの相互運用性を高め、市場の効率化を図ろうとしている。同社はすでに過去3カ月で2000万ドルの支払を処理しており、0.3%の手数料収入を得ているという。先月だけでFlutterwaveは処理額を倍増させている。アフリカのモバイル支払サービス市場は年額3600億ドルにも上る。現在ナイジェリアとガーナでサービスが提供されているが、今年末までにさらに9カ国が追加される予定だ。

Instrumentl科学助成金申請を簡単に

科学者にとって助成金の申請は重荷だ。この惑星で最も教育を身につけている人々が、書式に書き込み、そして助成金の供給源を捜して時間を過ごすことはただ無意味である。Instrumentlは大学と研究協会へ、連邦、州、そして企業からの助成金データベースへのアクセスを提供する − 費用は1プロジェクトあたり月35ドルだ。けれどもInstrumentlはただのデータベースではない。適用可能な研究に対して適切な交付金を識別し、推薦してくれる機械学習アルゴリズムに力を入れている。科学者が、ただプラットホームを使ってプロジェクト説明を記入すれば、プラットホームが残りの面倒をみる。ハーバード大、エール大そしてテキサスA&M大がすでにプラットホームを使っていて、同社は年間20万ドルの経常収益を上げている。

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People.aiセールスチーム分析

People.aiを率いるOleg Rogynskyyと彼のチームは、販売チームが日単位で何をしているのかを、企業が理解するのを手助けしたいと考えている。People.aiはカレンダー、電話、電子メールを統合し、そして商談をまとめるに至ったセールス活動を記録する。セールスチームがトッププレイヤーのベストプラクティスを知ることで、もっと多くの商談をまとめることができるようになるというのが、背後にあるアイデアだ。100以上の会社が過去4カ月の間に、1アカウント1カ月50ドルの提携をPeople.aiと結んでいる。

TechCrunchによるPeople.ai関連記事

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Revloライブストリームを行うゲーマーのための聴衆マネジメント

ビデオゲームセッションのライブストリーミングは夢のような職業のように見えるかもしれないが、興味のある視聴者に働きかけるためには多大な努力が必要だ。Revloはストリーマーのための聴衆マネージメントプラットホームだ。初期のユーザーでは、視聴時間が40%伸び、新しい視聴者の残留率が2倍に増えている。現在1万6000人のアクティブストリーマーがプラットフォームにいて、そのチャットボット、ハイスコア管理そして利用者を増やすための仮想通貨を使うために、月に10ドルを支払っている。

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Queroの教育ブラジルの大学での空き講義を埋める

Quero Educationはブラジル発のエデュテックである。ブラジル内の大学の講義に対する学生の登録不足問題を解消することを狙っている。日々教官と寄宿舎の不足に悩まされていた学校を経験してきた私たちの大部分が思うだろうことに反して、ブラジルの学校では利用可能な講義の定員を埋めるために2倍の登録が必要である。同社のプラットフォームは、大学をまたがる情報を提供すると同時に、ブラジルの3分の1以上の学校が提供するディスカウントを提供する。Queroは国で平均して1年に3000ドルである授業料の12%を得て、年5倍の成長率で700万ドルの収入を生み出した。

TechCrunchによるQuero Educationの記事

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Fellow – 運転資金調達のためのAPI

多くの企業が、最も需要が高まる際の運転資金の確保に苦労している ‐ 月末になって従業員や契約先に支払いをしなくてはならなくなる時などだ。Fellowは企業の負担を取り除くインボイス融資のためのAPIだ。APIはインボイスに対し、保証と融資を行う。3週間で4つの会社がFellowを使ってスタートし、およそ12万ドルが運転資金として融資されている。これまでは、銀行から融資枠を貰うためには、莫大な収入があるか、何カ月もの事務と審査をこなさなければならなかったのだ。

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HiOperatorサービスとしてのカスタマーサービス

HiOperatorの目的は、規模に関わらずカスタマーサービスを欲している企業を助けることである。同社は電話、電子メール、そしてチャットサポートを、システムに組み込みやすい使っただけの料金モデルで提供する。既存のサービスが多額の契約金を必要とするのとは対照的だ。10社が既にHiOperatorを使っており、月に1万1000ドルの経常収益を挙げている。HiOperatorのサービスは主要なカスタマーサービスプラットフォームに統合し、全ての情報を1つのプラットフォームに集中化することができる。

HiOperator


Innov8 – インドのコワーキング・スペース

Innov8はインドにコワーキング・スペースを大規模に普及させようとしている。このグループはすでにインド国内に2つのセンターを開設しており、入居率は100%で、さらに200人が待機リストに載っているという。運営されているスペースはデザイン、設備に十分な注意が払われており、入居者に対してかなりの月額料金を納得させるものとなっている。信頼できるインフラを備え、個別に賃貸契約するより安上がりなコワーキング・スペースはインドで急成長中だ。 Innov8は入居者に平均月額150ドルを課金するが、これは個別契約にくらべて約半額だ。

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Vidcode – 生徒が教室で楽しくコンピュータ科学を学べるオンライン・サービス

CodeAcademyのようなオンライン学習サービスが数年前から大人気だ。Vidcodeは教室で生徒にコンピューターを学んでもらうのが目的だ。コース内容は高校生以下の若い層をターゲットにしている。Vidcodeはソーシャル写真共有サイトのSnapchatと提携し、生徒にSnapchat向けフィルターを作らせる。生徒はJavaでポケモンやインターネット・ミームをゼロをから自作することができる。このスタートアップはニューヨーク市の公立学校と大規模な契約を結ぼうと努力している。ローンチ以来、Vidcodeは毎月40%の成長を続けてきた。ビジネスの対象は学校区や個別学校でプラットフォームを利用する生徒1人あたりの料金は50ドルだ。

VidcodeについてのTechCrunch記事

vidcode y combinator

Polymail – プラグインなしのオフィスで利用できるメール

現在ではメールの生産性を決めるのはメール・クライアントそのものより、後からインストールされるプラグインの能力になってしまった。レシートの数字を読んだり、スケジュールを書き込んだり、コンテンツを管理したりするのはすべてプラグインだ。Polymailはこうした機能をすべてメールサービス本体の中に組み込でんでいる。コミュニケーションをOutlookのような伝統的メール・クライアントに全面的に依存している企業がこのチームのターゲットだ。デザインは優秀で、1日あたりのアクティブ・ユーザーはすでに7300人に上り、2000社がテスト利用している。Slackの先例にならって、このサービスも当面無料だ。今後のアップグレードおよび顧客管理機能の追加などに伴って課金していく計画。

Polymail y combinator

Vetcove – 動物クリニックのサプライ

動物病院では毎週大量の資材を何十社ものベンダーから購入しなければならない。Amazonは多様な品目を一括購入できるサービスを20年前からスタートしているが、Vetcoveでは必要とする資材を獣医師が間違いなく購入できるようにする計画だ。資材ベンダーと提携することによりVetcoveは利益率の向上を図っている。動物医療に必要な資材に関するビジネスに長らく携わってきたため、ファウンダーたちはきわめて広汎なコネを持っており、昨年はこのサービスに1600箇所の動物病院を組織することに成功している。これはアメリカ全土の動物病院の7%に上る。Vetcoveでは先週86万ドルの資材購入を必要とするほど顧客ベースが拡大している。

VetCove

Whyd – 音声操作可能なスピーカー

音楽関係のオンライン・サービスは専門化が著しい。楽曲再生ならSpotify、保管はコンピューターとスマートフォン、ストリーミングするにはbluetooth、音声で再生コマンドを入力するならEchoのAlexaという具合だ。
Sonosのようなメーカーはストリーミングを楽しむ世代にスピーカーの機能を一歩進めた。ここで紹介するWhydは音声認識をスピーカーそのものに組み込むことでさらにその先を行こうとしている。Whydはオーディオ機器の有力メーカー、JBLやHarman Kardonと提携して開発を行っている。今週だけでWhydのテクノロジーを組み込んだスピーカーが5万台も売れたという。

WhydのTechCrunch記事

Whyd

Meesho – インドの企業向けソーシャル通販

インドの通販ビジネスは主としてWeChatのようなモバイル・プラットフォームを原動力として発達している。WeChatには5000万のスモールビジネスが出店している。Meeshoはインドのスモール・ビジネス向けeコマースのプラットフォームだ。おそらくWeChatからヒントを得ているだろう。出店しているショップは購入希望者と直接にチャットができる。Meeshoを利用したビジネスは1月以内に売上を30%も伸ばしているという。このスタートアップはインドにおけるチャット機能を利用するモバイル通販の急成長といいうトレンドに乗っているが、インドの通販全体のデジタル化も急速だ。インドのeコマースはは向こう4年で10倍に成長することが期待されている。

Read more about Meesho on TechCrunch.

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RoseRocket – トラック運送会社間の協調作業プラットフォーム

RoseRocketはトラック運送会社同士が協調するためのシステムだ。開発チームによれば、トラック会社向けサービスは数多く存在するが、いずれも互いに敵対的な競争をしているという誤った前提に立っているという。しかし実際には配送会社同士は緊密に協力しており、荷物は複数の配送会社のネットワーク間をリレーされて目的地に到着するのが普通だ。アメリカでは常の300万台のトラックが動いており、配送の50%はいずれかの時点で受注者以外の運送会社にアウトソースされる。RoseRocketのソフトウェアの利用料金はトラック配送会社1社1カ月あたり1万ドルだ。同社では月額利用料に加えてメンバー運送会社ごとに平均5万ドルの手数料収入があるという。

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Proxy – スマートフォンがアクセスカードになる

割引きセールのクーポン利用やモバイル支払機能はスマートフォンで可能になった。それなのにわれわれは今だに勤務先オフィスへの入退室管理に使うアクセスカードを持ち歩かねばならない。ProxyはこのRFIDカードをスマーフォンで置き換えようとしている。Proxyはスマーフォンに接続できるドア用センサーを開発した。このシステムのセンサーはスマーフォンそのもののを認証に用いる。アプリの操作は一切必要とせず、スマートフォンを携帯しているだけでスムーズに建物に出入りできる。社員にとって便利であるだけでなく、システムオフィス内にいる社員数や滞留時間などの貴重なを情報も収集できる。

ProxyのTechCrunch記事

Proxy's app could make card keys obsolete.

Seneca Systems – 地方自治体向けソフトウェア

地方自治体は時代遅れの電話機やスプレッドシートやメールを使って、ごみ収集、警察の指令、交通信号等々全米で年間1.1兆ドル以上の予算を管理している。Seneca Systemsは、地方自治体のあらゆる部門を結びつけるソフトウェアシステムを提供し、住民や職員からの要望に適切な対応ができるようにする。既にヒューストン、シカゴ、サンノゼ、ボストンといった大都市と契約を結び、職員1人当たり60ドルでSaaSを提供しており、月々の売上は毎月100%のペースで伸びている。全米には地方自治体職員が1050万人おり、西海岸の47都市が既にSeneca Systemsのネットワークに入っている。つまりSeneca Systemsの前には巨大な市場が開かれている。もし地方自治体システムの基盤を支配できれば、さらに多くのITサービスを提供できるようになるだろう。

seneca systems y combinator

Legalist — アルゴリズムを利用した訴訟費用支援

投資家にとって新しい資産区分がある ― それは訴訟だ。投資家は配当の見返りに訴訟費用を負担する。2016年にはこれが30億ドル市場になると、LegalistのCEO Eva Shengは言う。アルゴリズムによるリスク評価のスタートアップ、Legalistが狙うのはそこだ。Legalistは1989年に遡って裁判データを収集し、裁判結果に関連づけられた58種類の変数を分析して、個別の訴訟についてリスクや裁判期間等を推定する。これは基本的に裁判結果の定量分析であるが、「ピーター・ティールがハルク・ホーガンの訴訟費用を負担する話とは違う」とShengは言った。

Legalist

CoinTent – アドブロッカーで失った収益を取り戻す

昨年ウェブパブリッシャーは、広告ブロックのために2200万ドルを失った。米国ユーザーの22%がアドブロッカーを使っており、利用者は毎年50%増えている。CoinTentを使うと、パブリッシャーはアドブロッカーを使っているユーザーを検出し、アクセスを拒否するか、1ドル払って広告なしでアクセスさせることがてきる。CoinTentは、失った収益の平均25%を取り戻し、取り戻した金額の30%を受け取る。最終的には、広告なしブラウジングのためのウェブ横断購読サービスを構築したいと考えている。アドブロッキングが急速に普及する中、パブリッシャーはソリューションを必要としており、CoinTentはそれに答えようとしている。

cointent y combinator

Amberbox — 銃撃犯を検知する安全センサー

火災報知器はどこにでもあるが、その先に大きなチャンスがあるとJames Popperは言う。Amberboxのゴールはそこにある。Amberboxは火事だけでなく、銃撃検知システムを使って狙撃者を見つけることができる。既存の市場だけでも260億ドル規模だが、Amberboxは新たな定期購読モデルを目指す。デバイスを互いに接続し、大きいシステムを構成することで管理者や警察にすばやく通報して施設全体を封鎖することもできる。装置の利用料金は月間50ドルで、3階建てのビルで1250ドル程度。3カ月ほどで装置の費用が回収できるとPopperは言っている。

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Robby – 自動運転配達ロボット

米国では毎年120億個の食料やパッケージが配達されている。しかし、料理・食料品のオンデマンド配達業界は配達員のコスト高のために停滞している。Robbyは歩道を通って戸口まで無人で運ぶ、自動運転ロボットを作った。1件当たり5~10ドルの配達コストが1~2ドルに下がる。MITのPhDが作ったこのロボットたちは、既に50件の配達を済ませており、Instacartと協同でパイロットプログラムを始めるところだ。もしRobbyが消費者にとっての配達コストを下げることができれは、オンデマンド経済の成長に大きく貢献するだろう。

robby y combinator

EventgeekイベントのROIや物流のトラッキング

ほとんどの企業が、適当な時期にイベント開催を企画する。それが従業員の結束を高めるためのものであろうと、新しい顧客を惹きつけるためのものであろうと、いずれにせよ企業にとっては多額の出費である。そしてこうしたイベントの直接的な成果を管理する強力なツール群が存在していなかったため、イベントの成果は必ずしも明らかというわけではなかった。それこそがEventgeekが解決しようとしている課題である。新しいフォロワーやセールス情報を追跡するために、SalesforceやTwitterなどの複数のチャンネルにプラグインを行う。CEOのAlex Patriquinによれば、年間1万ドルをチャージする同社には、25万社を対象とする市場に25億ドルの可能性があるということだ。同社は、対前月比で48%成長した。

Eventgeek

RocketLit適応型学習プラットフォーム

米国の8年生の66%が、その学年レベルで期待される読解力を持っていない。それが意味するのは、彼らが勉強するためのテキストを読めないということであり、したがって遅れてしまうのだ。RocketLitは7つの異なる読みレベルで教科書を書き直し、生徒に適切なバージョンを提供する。パイロット版では、低成績の生徒が理科の試験で9割を得点し、すべての生徒が1年で2段階の読みレベル上昇を果たした。RocketLitはパイロット版のセットアップに100万ドルを費やし、140億ドルの教科書市場に波乱を起こそうとしている。オンラインのすべてがユーザーに適応するなら、教育もそうあるべきだ。

rocketlit Yコンビネータ

Jumpcutまるで映画のようなオンラインコース

昨年LinkedInは、オンライン学習プラットフォームLynda.comに15億ドルを費やした 。オンライン教育自体が巨大な市場となっている。しかし、JumpcutのCEOであるKong Phamによれば、コースの修了率と残留率はとても低いようだ – なぜなら単純に講義があまりにも退屈だからだ。彼が狙っているのは、どのようにネットワークを使い、ソーシャルメディアを使いこなすかを学ぶといった、プロフェッショナルネットワーキングビデオの提供から始めて、「スピルバーグのような 」オンラインコースに基づく会社になることだ。同社は、月に8万5000ドルの収入を上げており、月額17ドルのサブスクリプションモデルで対前月比の倍増を果たしている。確かにこれは挑戦である:コンピュータ科学や数学のようなタフなテーマに対する、高度な映画的ビデオを作る方法を見つけ出すのは難しいことだろう。しかし、以前バイラル動画の会社を設立したPhamと彼のチームは、市場に切り込むことができると期待している。

CrowdAI

CrowdAIスマートな画像認識

企業が画像をCrowdAIに送信する、すると同社は顧客にその画像の中に何があるかを正確に回答する。農地、工場、石油掘削装置、その他沢山のものを認識することができる。ある会社は、港の衛星写真で輸送コンテナの数を検出するためにそれを使用し、そのデータをヘッジファンドへ売った。大企業は人間による正確なタグ付けに大金をはたく一方で、小さな企業は不正確かもしれないコンピューターに依存している。CrowdAIは正確かつ安価な画像認識を提供するために、人間と機械の画像スキャンをブレンドしている。CrowdAIはすでにPlanet Labsならびに、自動運転車企業Cruiseと提携している。共同設立者の技術チームと共に、CrowdAIは医療用画像や軍事産業などの支援で成長する可能性がある。

CrowdAI

OneChronos次世代金融取引所

株式市場での取引は、最速の賢いアルゴリズムを構築する軍拡競争となっている。OneChronosは、そうした軍拡競争をより健全な取引システムへと導く、オンライントレーディングのための新しい取引メカニズムを持ち込むことによって、市場に乗り出そうと考えている。同社はネット越しの競争の必要性を取り除くために原子時計と同期し、トレーダーが公正な価格でより多くの取引を行うためのツールを構築している。そしてまた、金融機関に対するコストの削減に加えて、このシステムは顧客に自身のコードを直接取引所内で実行させる。CEOのKelly Littlepageは、既に6つの趣意書にサインしたという ‐ 収益の可能性は700万ドルに及ぶ – しかしSECへの申請も含め来年の発足に向けての障害は多い。しかしもし上手く行けばOneChronosは新しい次世代NASDAQ交換所となるだろう。

OneChronos Yコンビネータ

Validereハンドヘルド産業用検査機器

石油、ガス、化学企業は原料の検査を行うために、結果が出るのが遅くて高価なラボにサンプルを送る必要がある。Validereが作っているのは、訓練を受けた技術者なしに、より安くより速く結果を得られるハンドヘルドデバイスだ。Validereが提供する1回につき50ドルのテストは、ラボに比べて5分の1の価格である。これは液体の性質指標を、コンピュータービジョンアルゴリズムおよび化学的性質の公開データベースと組み合わせて利用しているおかげだ。Validereはパイロットプログラムで既に75万ドルの収入を挙げ、220億ドル企業を目指している。ハーバードやその他のエリート校から集まったスタートアップチームは、単にラボ機器を縮小することで問題を解決しているだけではなく、トラック運転手にも容易に使えるようにしているのだ。

validere yをコンビネータ

OOHLALA大学のためのモバイルOS

キャンパスライフで必要になるすべてのことを把握することは難しい、それがお互いに電話番号を知っているかもしれない新しい学生の知り合い間のメッセージにせよ、あるいは学校の提供するリソースへの支払い方法にせよ。OOHLALAは、同社CEOのDaniel Jameelが言うところの「学校のためのモバイルOS」提供し、学生がキャンパスライフに必要とするツールの完全なリソースを構築しようとしている。これはかなり広い範囲をカバーするものに聞こえるかもしれないが、それを適用する大学も増え始めているようだ。同社は、年間経常収益で約150万ドルを上げており、1年で3倍の成長を遂げている。全部で6万校にアクセス可能な市場で、OOHLALAは各校に対して5万ドルをチャージしている。潜在的には30億ドルのマーケットである。Jameelによれば、同社は現在7カ国に150校の顧客を抱えている。

OOHLALAモバイルYコンビネータ

Opsolutely – ソフトウェア開発チームのためのディプロイ自動化ツール

ディベロッパーはコードを書くのにGitHubを使い、サーバーはAWSを利用し、モニタリングにはNew Relicを使っているが、未だ書いたコードをディプロイする際のツールを必要としている。Opsolutelyは、お金がかかり、汎用性に乏しく、間違いが起きやすい社内のスクリプトやHerokuの代わりに、開発者がコードを詳細にインフラ上に反映できるような専用のソフトを開発している。GitHubやEeroは既に同社の有料サービスを利用しており、料金は月々ウェブサービスひとつ当たり100ドルに設定されている。企業によっては何百から何千という数の社内向けウェブサービスを運営しており、Opsoutelyはそのような企業をターゲットとして30億ドル規模の市場に参入しようとしている。

Opsolutely

Livement – スタジアムのチケット・売店サービス

南米でチケットを購入しようとすると、Ticketmasterなどのチケットサービスを利用する以外にも追加での作業が発生する。Livement CEOのRoberto Noveloは、イベントによってはTicketmasterの利用者が実際に店舗を訪れて紙のチケットを受け取らなければならない場合もあると語っていた。Livementを使えば、オンラインでチケットを購入できるだけでなく、スタジアムの売店で売っているものをアプリ経由で購入することができる。購入時にはチケット代金に加えて7%の取引手数料とチケット1枚あたり25セントの料金がかかり、Noveloによれば同社は月に合計50万ドル分のチケットを販売している。現在Livementは6つのチームと契約を結んでおり、南米の消費者が感じている不満を解決するところからビジネスを展開していこうとしている。

Livement

SmartPath – 一般家庭向けのフィナンシャル・アドバイザー

人間や機械のフィナンシャル・アドバイザーがアメリカ市民の15%を占める富裕層の懐事情の面倒を見ている一方、1億人におよぶ一般家庭はそのようなサービスを利用できないでいる。しかしSmartPathを使えば、支出管理やお金に関するオンライントレーニングの受講、さらには報酬を受け取ることができるのだ。現状、利用者はオンライントレーニングを受講することでギフトカードを受け取ることができるが、Smartpathは最終的にローン利率の低減を報酬にしたいと考えている。サービス内容は退屈に感じるかもしれないが、利用者の67%が同サービスを利用し続けており、ユーザーベースは月に30%のペースで拡大している。また、SmartPathは雇用主に対して従業員ひとり当たり月々1〜5ドルの料金をチャージしている。雇用主をターゲットとしているのには、従業員の生活を安定させて生産性を向上させるために、彼らが既に8億ドルものお金を使っていることが背景にある。

SmartPathのTechCrunch記事
SmartPath y combinator

PatientBank – 医療データの収集・共有プラットフォーム

次回の通院のために30ドルで自分のメディカルレコードが入手できるとしたら購入するだろうか?これがまさにPatienBankのやろうとしていることで、旧来のプロセスではメディカルレコードを手に入れるには実際に病院を訪れたり、電話して取り寄せる必要があった。このモデルを利用して、PatientBankは既に2300軒もの病院から1万人分のレコードを取り寄せ、ローンチから2カ月で約4000ドルの週間売上を記録した。アメリカ国民は毎年合計で10億回以上も病院を訪れていることから、メディカルレコードをまとめて管理することの重要性が高まってはきているものの、医療従事者間での情報共有は困難を極める。PatientBankはもっと患者中心のアプローチをとっているようで、今後このモデルが成功を収めるか見守っていきたい。
PatientBank

Saleswhale – アジアをターゲットにした営業チーム養成ボット

営業社員はメールをパーソナライズしたり、ディシジョンメーカーを判別して連絡をとるのが下手な場合が多く、メールの返信率は平均3%以下と言われている。Saleswhaleはそんな企業のメールを分析し、日頃の業務に反映可能な改善策を提案するサービスを提供しており、ある企業で行われたパイロットテストでは、メールの返信率が6%から31%にまで上昇した。同社はGrabなどアジアの大企業と既に取引を開始しており、料金は月々営業社員1人あたりで75ドルに設定されている。現在のところSaleswhaleはセールステック業界がアメリカに比べて5年遅れていると言われているアジアにフォーカスしながら、世の中にいる多くの営業社員を即座にスマートにしようとしているのだ。

SaleswhaleのTechCrunch記事

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Selfycart – セルフチェックアウト用モバイルアプリ

買い物をしていて1番面倒なのが支払のプロセスだ。セルフチェックアウトの機械は複雑で代替手段といえばレジ担当者を置くくらいしかなく、これまではこの2択から選ぶしかなかった。Selfycartはそこに携帯電話での会計という3つ目のオプションを追加しようとしている。 同社のアプリは商品をスキャンして、アプリを通じて支払いをするという極めてシンプルなものだ。小売店は大規模な会計オペレーションにかかる費用を支払う代わりにSelftycartへ2%の手数料を支払うだけでよく、チェックアウトマシーンの代わりに支払いを認証する店員を1人おくだけで済む。SelfycartのユーザーはApple Payのほか、クレジットカードやPayPalを使って支払いができる。

SelfycartのTechCrunch記事

selfycart

Lendsnap – 借入書類作成自動化サービス

ローン申請には500ページに及ぶ書類をまとめる必要があることから、利用者の80%がひとつめにみつけた会社から借り入れを行っており、彼らは最適な利率でお金を借りることができていない。Lendsnapは、ローン利用者のオンラインアカウントを通じて銀行のステートメントや税申告書類の情報を入手し、30種類におよぶ書類の作成のサポートをしている。利用料金はローン一本あたり100ドルに設定されており、同社は18億ドル規模の市場でビジネスを展開している。Lendsnapは最終的にユーザーの情報を文書に仮まとめすることで、ローンマーケットプレイスをつくろうとしているのだ。一般の消費者にとってはそもそも近寄りがたい存在であるローンだが、Lendsnapは少なくともそのプロセスを簡素化しようとしている。

LendSnap

BulldozAIR – 建設プロジェクト用のタスクマネジメントソフト

様々な建設現場で、プロジェクトの問題点のトラッキングが悩みの種になっている。BulldozAIRは、モバイル端末を使って作業員が完了したタスクを視覚的に確認できるようなツールを開発しようとしている。ユーザーが配線など問題が発生している箇所の写真を撮り、技術的な情報をアプリに入力すると、その情報がネットワーク全体に共有されることとなる。作業員1人当たり年290ドルの料金からBulldozAIRは今月2万ドルの月間経常収益を計上しており、来月にはこの数字を3万6000ドルに伸ばそうとしている。現在同社はヨーロッパのみをターゲットとしているが、CEOのAli El Haririによればその市場規模は37億ドルに及ぶ。

BulldozAIR

Nova Credit – グローバル信用情報レポート

経済の健全性を担保する上でもっとも重要な点のひとつが、信用取引やお金を借りてモノを購入できるようにするということだ。しかし、アメリカにやってきた移民は国内でのクレジットヒストリーがないことから、信用取引を行うことができないことがある。そこに目をつけたNova Creditは、移民が国外に保有しているクレジットヒストリーのデータをアメリカの債権者に提供し、借越枠を設定できるかどうかの判断を手助けすることで、両者のギャップを埋めようとしているのだ。クレジットヒストリーは、アパートを借りたりローンを利用したりする際にも同じくらい重要になってくる。1回当たりの情報取得料は30ドルに設定されており、アメリカ国内には1000万人の移民が生活していることを考慮すると、既にそこには数十億ドル規模の市場が存在するとNova Credits CEOのMisha Esipovは言う。これから2カ月の間に同社はインド、カナダ、ドイツの企業と提携しようとしており、1年間でアメリカにいる移民の90%をカバーする予定だ。

Nova CreditのTechCrunch記事

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NeoWize – ECサイトのパーソナライズ

ECサイトのほとんどが新商品やお値打ち品、人気商品などを目立つ箇所に表示しているが、NeoWizeはクリックやマウスオーバー、スクロールなどユーザーの行動を解析し、表示される商品をパーソナライズしている。パイロットテストでは、この仕組みの効果で10〜30%の売上増加が確認されている。今ではNeoWizeの機能がAbanteCartに組み込まれており、スケールのためにひとつひとつの店舗ではなく他のECプラットフォームをターゲットとしている。同社は毎週70%のペースで拡大を続けており、現在1300ものオンラインストアで利用されている。パーソナライズされたサイトでなければ消費者はバウンスしてしまうことから、NeoWizeは彼らが本当に欲しいものをブラウザ上に表示しようとしているのだ。

NeoWize

YesGraph – アプリの普及を支えるソーシャルグラフAPI

友人に新たなプロダクトを試してもらおうとすると、そのプロセスはどうしても不恰好なものになってしまうだろう。お願いするにふさわしい人を連絡先のリストから探し出す必要があり、もしも宣伝したいプロダクトがアプリであれば、なかなか質の高いユーザーをみつけるのは難しい。2年間に渡ってDropboxの成長に貢献していたIvan Kiriginは、新たなアプリやプロダクトを紹介するに最適な人を選び出すため、機械学習の技術を利用して各人のソーシャルグラフ(連絡先やメール情報を含む)を作成しようとしている。まずはB2B企業を対象にサービスを提供し、YesGraphはメールアドレスのドメインや役職、位置情報のほか様々なデータを使って、新製品に関する連絡をすべき相手をランク付けしようとしている。YesGraphが(ひそかに)集める利用者のソーシャルグラフや行動に関するデータ量が増えるほど、全てのデータポイントに基づいたターゲティングの精度が向上し、ほかの利用者にとっても顧客獲得に向けた解析結果の質が向上することになる。

YesGraphのTechCrunch記事

YesGraph

TL Biolabs – より良い家畜管理のためのゲノム情報分析サービス

もしも農家の人が、生まれてすぐの牛の病気に対する耐性や必要な食料の量など、個体に関する情報が分かるとすれば家畜の管理が楽になる。しかしTL Biolabs CEOのFred Turnerによれば、Illuminaといった企業にそのような検査を依頼すると、100ドル近い料金がかかってしまい利幅に影響を与えてしまう。そこでTL Biolabsは独自の技術を使い、検査コストを(15ドルへ)下げようとしているのだ。彼らのプロジェクトが成功すれば、農家は自分たちが保有する牛をベストな状態に保てるよう日々の作業を最適化することができる。現在同社はスコットランド政府の協力のもとパイロットテストを行っており、今年生まれた牛の20%(100万ドル規模)が対象になっているとTurnerは語っていた。

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Sway – 自動記帳ツール

アメリカ企業は年に610億ドルもの資金を人間による記帳作業に費やしているが、コンピューターの方が同じ作業をもっと上手く、早く、そして安く行うことができる。Swayが開発した自動記帳ツールは、StripeやPayPalなどのインフラシステムに接続して必要なデータを抽出することができるのだ。スプレッドシート上に人が10時間かけて手作業でデータを入力する代わりに、Swayは同じ作業を10分でこなすことができる。月額99ドルのサービスで、Swayは50万社もの企業の記帳作業を簡略化しようとしている。記帳という仕事は今後10年間でなくなってしまうと考えられており、Swayがその変化のスピードを加速させようとしているのだ。

Sway Finance y combinator

Elemeno Health – 病院向けチェックリスト

医療ミスはアメリカにおける死因の第3位とされており、その一部は治療法の一貫性のなさが原因となっている。つまり、医者や看護師が医療行為の一部を忘れてしまうことがあるのだ。Elemeno Healthは、病院でのベストプラクティスをもとにチェックリストを作り上げ、医療従事者がどの作業も忘れていないか確認できるようなツールを提供している。UCSFで行われたパイロットテストでは、300営業日で3人の命を救い、110万ドルのコスト低減を行うことができた。Elemenoの共同設立者は、情報収集のために医療現場の前線で働き、そこから培った確かなプロセスを全国の医療従事者へ提供しようとしている。

Elemeno Health

UtilityScore – 公共料金データのAPI

家を購入するとき、いつも住宅ローンと並んで大きなコスト要因となるのが公共料金だ。しかし、特にZillowなどを使って家探しをしていても公共料金を見積もるのはなかなか難しい。UtilityScoreは、8200万世帯におよぶ単一家族向け住宅の概算公共料金を備えたバックエンドツールを、住宅販売関連企業向けに開発しており、家の購入を検討している人は実際に購入に関する決断をするときに今よりも多くの情報を考慮することができる。設立者のBrian Gittによれば、同社が提供する情報は7000ものソースをもとにしており、例えばソーラーパネルを販売している会社が、見込み顧客に対して商品を利用することでどのくらい節約できるかを可視化し、営業に役立てることができる。これはそのほかの修繕業者や公共料金の低減を売りにしている企業にとっても便利なサービスだと言える。市場規模は合計で15億ドルに達し、UtilityScoreのライセンス料は年間9万5000ドル程に設定される予定だ。

Utility Score

WorkRamp – 企業向けトレーニングソフト

リクルート活動は高くつくものの、最適な人材の採用は企業の成功に絶対的に欠かすことのできない要素である。しかしつい見過ごされがちなのが、既に雇われた人も時間をかけて学習を続けることで企業内での自分の価値を高めることができるということだ。WorkRampはPayPalやSquareといった企業を相手にし、従業員のトレーニングをサポートすることで、彼らの社内での影響力を時間と共に高めようとしている。営業社員を例にとれば、彼らはWorkRamp上で自分のプレゼン内容を録画することで、同僚や上司から受け取ったフィードバックをプレゼンの改善に繋げることができる。これは単なる一例に過ぎず、トレーニングは各企業のニーズに合わせてパーソナライズすることができる。WorkRampはそのような企業から既に12万ドルにおよぶ年間経常収益を計上している。

WorkRamp

RigPlenish – 救急車発出時の書類作成ツール

救急車が到着するまでにかかる時間の3分の1が書類作成に使われてしまっているという。しかしRigPlenishによれば、同社のサービスを使うことで救急車1台あたりにかかる40分におよぶ書類作成時間を4分にまで短縮することができる。RigPlenishに月々2000ドルの利用料を支払うことで、チェックリストやコンプライアンス関連書類の作成が自動化でき、さらには救急車のハブと病院間のやりとりも改善することができる。同社は既に1社と契約を結んでいるほか、さらに2社と基本合意書を交わしており、3社合計で年間440万回も救急車を出動させている。アメリカ全体で5万5000台の救急車が存在する中、RigPlenishは13億ドル市場に参入しようとしている。同社は次にバックエンドソフトを改良することで、消防車やパトカーにも対応しようとしている。これによって各隊員は書類作成ではなく、人命救助に時間を使うことができるのだ。

RigPlenish

GTrack Technologies – ナノ粒子を用いた油井・ガス井分析サービス

GTrackは、油井やガス井に注ぎこんだナノ粒子を分析することで、採掘可能な油量やガス量を調べることができる。同社のサービスを利用すれば、オイル・ガス企業は採掘場所についての示唆が得られることとなる。パイロットテスト内で、ある企業はGTrackを2万ドルで利用してすぐに50万ドルにおよぶ清掃作業を行わなくてよいことがわかった。GTrackのチームは、7年間に渡ってナノマテリアルの研究を行い、3つの特許を保有している。オイル・ガス企業は既に1年あたり125億ドルを生産量の分析に使っており、GTrackは次のターゲットとして地熱、鉱業、地下水浄化、汚染水浄化を行う企業を考えている。どんな液体の流れでもGTrackのナノ粒子を使うことでトレースでき、地下で何が起きているか分析することができるのだ。

GTrack Technologies

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(翻訳:滑川海彦 / Sako / Nob Takahashi / Atsushi Yukutake)

マイクロバイオームが医療と食品に対する概念に革命をもたらす

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【編集部注:本稿の執筆者、Kobi GershoniはSignals Analyticsの共同設立者で主任研究官でAlexandra V. EberhardはSignals Analyticsのサイエンス担当VPでSignals Analytics Europeのゼネラルマネジャー】

ヒトのマイクロバイオームと言う時、それは人体内に住むすべての微生物の遺伝子のことを指す。ヒトのマイクロバイオームが今、オーダーメイド医療と食事療法のあり方を塗り替えようとしている。ヒトゲノムプロジェクトの完成後、テクノロジーの進歩により病気の診断とその治療の精度は極めて高いレベルにまで押し上げられた。

マイクロバイオームのことを「新規に見つかり、ほとんど調査されていない臓器」と呼ぶ科学者もいるくらい、マイクロバイオームは我々が直面しているもっとも深刻な病気の診断と治療の方法を革新する可能性を秘めている。それらの疾患にはクローン病、糖尿病、肥満や様々なガン、急性下痢、精神障害などが含まれる。

あたかも人体だけでは複雑さが足りないかのごとく、我々一人一人は独自の微生物環境を持っている。新薬の発見と栄養摂取という観点において、それぞれの人が独自の微生物環境を持つということは人それぞれがオーダーメイド治療や摂取した食品にどのように反応するのかという点で重要になってくるだろう。かつてオーダーメイド医療は、実際のテクノロジーが追いついていなかったため法外な費用がかかり、SF映画の中でのみ存在するコンセプトに感じられた。マイクロバイオームの夢はオーダーメイド医療と個人に最適化した栄養摂取を全ての人々の手の届くものにすることだ。

それでは、人の健康状態の維持・管理や栄養摂取を専門とする企業はこの新たなテクノロジーの進歩に対して、どのように対応するのだろうか。

人の腸内マイクロバイオームのおかげで我々が若々しく、より健康的な食事をして慢性疾患とはおさらばする日が来るのだろうか?

これからマイクロバイオームが人の健康に利用される機会がどんどん増え、オーダーメイド医療を一般の人々に浸透させるために今後より多くの投資がなされるのは疑う余地がない。製薬産業はマイクロバイオーム関連のプロジェクトの発掘を行ってきたが、その中でもとりわけプロバイオティクスとプレバイオティクスの分野の成長が顕著だ。体重管理の市場はアメリカだけでも600億ドルに近い規模であり、そのうちの半分以上がプロバイオティクス関連である。プロバイオティクス商品はすでに何年もの間市場に出回っているが、FDAは自身が栄養補助食品に関してはモニターしていないことを明言しており、栄養補助食品には十分注意するよう消費者に対し警告を発している。

プロバイオティクスとプレバイオティクスをめぐってはすでに大量の文献、特許及び臨床試験が存在するが、確かな結果を消費者にもたらす食製品を開発することは製薬市場の研究チームが今度解決して行かねばならない課題である。

例えば、ViThera Pharmaceuticalsはプロバイオティクな細菌株(一部は臨床試験済み)を使って慢性疾患の治療に役立てようとしている。しかしヨーグルトなどの食品に利用可能な菌株などはマーケティングがより困難だ。ダノンのActivaやDanActiveラインの製品は歴史的に見て消化を助けプロバイオティクス細菌を摂取するのに適した食品として売り出されている。

マイクロバイオームは我々が摂取するものをどのように変化させるだろうか。

マイクロバイオームの多くはヒトの腸に焦点を絞っている。腸には高密度の微生物が生存しており、多国籍企業はこれについてさらなる知見を得ようとしている。

今年度の初めに、ワイツマン科学研究所の二人の科学者がPersonalized Nutrition Projectの元で行った研究成果を発表した。その研究では、人それぞれが同じ食物に対してもいかに異なった反応を示すかを調べたもので、この反応の違いの一因は個々人のマイクロバイオームの違いに由来するものだ。その研究で明らかになったのは、食物の人に与える影響は人それぞれで、その影響は予想し難く、栄養摂取は個々人に対して最適化されるべきだということだ。

それでは、私にとって健康的なものがあなたにとって健康的でないとすれば、どのようにして我々はどの食物が自分に健康的だと判別すれば良いのだろうか。幅広い消費者層に対応している大企業の多くが既に気づいていることは、大衆の未来はカスタマイゼーションと共にあるということだ。それらの企業は、これまで伝統的に行われてきた人口分布に基づいた分析をやめ、マイクロバイオーム分析の理解を通じた顧客分析を開始した。

ワイツマンの研究結果がもし広く受け入れられるとすれば、その結果は我々の、健康・栄養関連製品およびそれらを製造する企業、に対する考え方に大きな影響を与えることになるだろう。これまで知られていたよりはるかに多くの病気が人とその人の体内にいる微生物との相互作用により引き起こされている可能性が次々と示されている。

マイクロバイオームを使った診断

ガンとの闘いでは早期診断が有効な治療に不可欠だ。医療会社はガンや他の疾患の診断を効率化するためマイクロバイオームを利用した新しい方法を開発している。

 Metabiomicsはマイクロバイオームをガン診断に応用している企業の一つで、分子レベルの初期診断を専門としている。Metabiomicsは特に、非侵襲的な検便をベースとしてヒトの腸内マイクロバイオームを分析することに焦点を絞っており、結腸内のポリープやガンをより早期に、かつ正確に発見することを目指している。Metabiomicsの技術革新の鍵は特許取得済みのMultiTag™ DNAシーケンス技術であり、この技術によりこれまで不可能であったやり方でマイクロバイオームを解析することが可能になった。

マイクロバイオームの研究は病気の予防とコントロールに向けた新しい道を切り開くかもしれない

オーダーメイド医療のもう一つの波として盛り上がりを見せているのが糞便移植(Fecal Microbiota Transplant)である。これは、テストを受けたドナーより糞便を採取しある種の腸疾患を治療しようというものだ。研究者はIBSやクローン病などの胃腸疾患の治療に糞便移植が使えるか、その可能性を模索している。マイクロバイオームをベースにした治療法を商品化するのはなかなか大変だが、バイオテクノロジー系のRebiotixなどの企業は糞便移植の商品化に取り組んでいる。それらのバクテリアや糞便中の微生物関連製品を使い、生きたヒトの微生物を患者の腸に送り込むことで疾患の治癒を目指す。

オーダーメイド医療の開発とヒトのマイクロバイオーム特有の性質の組み合わせにより製薬企業大手にとっては、近傍領域の産業が真似のできないような装置を開発する機会が到来している。

マイクロバイオーム系企業のEnteromeとEvolve Biosystems

微生物は体を病気から守り免疫力を増強するので、マイクロバイオームの技術革新と疾患予防分野はとてもよくマッチしている。疾患予防は医療会社にとっては巨大なマーケットであり、2020年までにプロバイオティクスの市場規模は500億ドルを超えるだろう

しかしながら、消化器系の健康のためのプロバイオティクスだけがマイクロバイオームを使った予防医療のアプリケーションという訳ではない。

マイクロバイオームの研究では治療と診断が鍵となるアプリケーションである。

現時点では商業化可能な製品はないかもしれないが、この領域での技術革新を推し進めている医療会社は依然多い。そう言った企業であるEnteromeEvolve Biosystemsは、マイクロバイオーム関連の疾病・疾患を治療、診断する目的でマイクロバイオームに目を向けている。 

Enteromeはパリを拠点する、ヒトの腸を専門に扱う企業である。同社は炎症性腸疾患や、糖尿病や肥満などの代謝性疾患の治療を目指している。Enteromeの中で最も開発の進んでいる治験薬であるEB 8018は、同社のメタゲノミクスプラットフォームの強みを生かし、腸内マイクロバイオームを標的にする。そのような腸内マイクロバイオームはクローン病の発症に重要な役割を果たしていることがわかっているからだ。

一方でEvolve Biosystemsが扱うのは妊娠である。幼児における呼吸器や胃腸の疾患、s過剰なアレルギー反応の発症と母親の腸内マイクロバイオームには高い相関があることが判ってきたからだ。同社の目標は、向こう半年の間に同社独自のプロバイオティクスに基づいた生物的治療システムを開発して幼児のマイクロバイオームの健康状態を改善することだ。

製薬市場の研究者は特許や臨床試験以外にも学術論文の重要性を認識して、その利用方法や競合他社の技術革新という点においてマイクロバイオーム市場がどこに向かっているのか見極める必要がある。

マイクロバイオームは製薬、医療、健康管理と栄養摂取の領域に渡って何度も登場するトレンドであり続けるだろう。また、この度のワイツマンの研究結果が示しているのは、我々は自分たちが摂取する食品や製品においてマイクロバイオームが果たしている役割について、まさに理解し始めたところだということだ。個人各々が自分の持つ微生物に基づいて個人に最適化した健康管理と栄養摂取プログラムを持つ日が来ることを想像して見て欲しい。我々各人が科学に基づき最適化され、新規薬物療法にどう反応するのか、摂取するものからどのような恩恵を得るのかを理解するようになるのだ。

マイクロバイオームの将来

イクロバイオームの研究は病気の予防とコントロールに向け、新しい道を切り開くかもしれない。健康な人たちや症状の無い患者は病気の予防に向けて行動を起こすことにそれほど乗り気ではなく、特に症状が進んでいない状態では、病気の進行を遅らす取り組みにも消極的である。ジョンソン&ジョンソンやダノンなどの企業はマイクロバイオームにおける市場を牽引しており、将来的にはもっと多くの会社がこの領域のイノベーションに参画してくるはずだ。マイクロバイオームは既に消費者の毎日の行動に影響を与え始めており多様な商品を通じて生活に浸透して来ている。

健康維持から本当の意味での病気の予防とその進行の阻止にその役割を移行してゆくことは簡単には行かないだろう。しかし現実においてはマイクロバイオームは我々の生活のあらゆる局面にインパクトを及ぼす可能性を秘めている。それは病気の診断や健康な体内微生物群の維持、もしくは直接・間接的な微生物関連の疾患を予防するための早期診断であるかもしれないが、マイクロバイオームは結果的に我々の平均寿命に影響を及ぼす可能性を秘めている。実際にはそれがどのように我々の生物学的寿命と進化に影響を及ぼすのかというのが大きな問題である。ヒトの腸内マイクロバイオームのおかげで、我々が単に長く生きるということを超えて、若々しくあり続け、健康的食生活を送り慢性疾患を克服する日が来るのだろうか。その答えはイエスである。
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(翻訳:Tsubouchi)

テクノロジーの分野で脚光を浴びる折り紙に注目!

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【編集部注:本稿の執筆者、Don Basileは起業家でテクノロジー、ヘルスケア、通信の分野で20年以上の管理職経験を持つベンチャーキャピタリスト】

3Dプリンターの出現よりはるか以前から、平らな紙を使って実物そっくりのモデルを作り出せる、折り紙と言う技術が存在した。折るということは構造を畳んだり、曲げたり、広げたりが思いのままにできるということだ。つまりこういった性質を利用すれば工学的に様々な局面での利用が考えられる。消化可能な折り紙でできた錠剤があれば侵襲的な外科手術を行わないで済むかもしれないし、ソーラーパネルに応用すれば、航空機で輸送する際は小さく畳んでおいて、打ち上げた後で広げてやれば良い。折り紙が現代において利用される要因は、折り紙の技術を使えば物の形を劇的に変化させることができるからだ。

折り紙自身、6世紀に仏教徒が中国から日本に紙を伝えて以来変化し続けている。紙は当時高級で広く普及はしていなかったため、最初の折り紙の利用法は宗教儀式においてであった。

もっとも初期に見られる形の1つは「紙垂(しで)」と呼ばれ、ジグザグに折って裁断された紙をいくつもロープや木に結わい付け、浄化の儀式を表すのに使われた。次に現れるのが「雌蝶」と「雄蝶」、つまりメスとオスの蝶の折り紙で、伝統的な神道の結婚式において日本酒の瓶に飾られた。17世紀までには折り紙は儀式の域を超えて一般的な娯楽として楽しまれるようになった。紙の大量生産が実現したおかげである。そして何百万という紙の折り鶴が作られることとなった。

それ以降、折り紙の様式自体に大きな変化がないまま月日は流れたが、1950年代に日本人の折り紙アーティストである吉澤章が現れ、その複雑かつ実物そっくりの動物の立体モデルは新しい世代の芸術家と科学者に強い印象を与えた。そして現れたのが物理学者のRobert Langである。彼はコンピュータ折り紙の発展において主導的役割を果たし、数学の公式と紙を折る技術を結びつけたのだ。Langは折り紙技術を実生活に応用する様々なアイディアを思いついたが、その中には自動車のエアバッグの安全性を向上させるものもある。

複数分野が交錯するこの領域では、現世に存在する種々の工学的問題を解決する可能性で満ちているが、このことは折り紙がコンプライアントメカニズムで作動するのが主な理由である。折り紙においては蝶番やベアリングではなく、曲げたりたわましたりすることで動きをつけ、そういった動きは紙自身の柔軟性に依存する。もしこういった強さや柔軟性の原則を紙よりも丈夫な素材に適用すれば、その可能性は無限大だ。

折り紙の「極小の」可能性

昨年スウェーデンのカロリンスカ研究所の科学者たちが示したのは、何重にも折りたたんだDNAは優れたドラッグ・デリバリーの手段と成り得るということだ。何度も巧妙にDNAを畳むことにより、コンピュータでデザインした、例えばウサギのような複雑な形も、合成DNAを使って組み上げることが出来る。

形状が多次元の場合、折り紙構造の全てのでDNA鎖は広がることになる。この方法はオイラー閉路と呼ばれる数学の方程式を利用したもので、環状のDNA分子を、その柔軟性を保ったまま簡単に折りたたむことができる。「この成果により、生理的塩濃度の環境下でも折りたたまれ、形が崩れないDNA折り紙をデザインすることが可能になりました。このことはDNAのナノ構造を生物学的に応用する上で非常に重要なことです」と、この研究をリードしたBjörn Högbergは述べた。この画期的方法により、既にこれまでより高効率でガン腫瘍に到達するドラッグ・デリバリー・システムが開発された。

一方で、MITの研究者は子供の間でしばしば見られる、バッテリーの誤飲問題に対して、新たな解決方法を見つけ出した。それはざっと以下の通りだ。小さな折り紙で出来た錠剤を飲めば、それが胃の中で開いて、さらに磁石と併用することでバッテリーを体外にすくい出してしまう。これまでのところ、この方法は豚の胃を使った実験で成功を収めているが、人間ではまだ試していない。こういった、麻酔も必要としない非侵襲的なアプローチは大きな可能性を秘めている。

MITは世界最小の(且つ最も気持ち悪い)、自己組み立て型ロボットも開発した。このロボットは歩いたり、掘ったり、泳いだりでき、終いには溶けてなくなってしまう。

このロボットはたったの1.7センチの大きさで、磁石とPVCがレーザー裁断された紙かポリスチレンの層に挟み込まれた素材で出来ている。加熱素子で加熱することでPVCは収縮し、あらかじめ切れ込みを入れておいた箇所が折れ曲がる。それが下面に設置した電磁コイルと協働し、ロボットが折れ曲がって動く為の動力源となる。

さらに研究を進めることでもっと小さな、より多くのセンサーを積んだ自律型ロボットの開発が期待される。これらのロボットは完全に溶けてしまう様にデザインされているので、がん細胞の退治や動脈詰まりの解消といった用途が想定される。

巨大折り紙も活躍中

折り紙が宇宙研究の分野に貢献できる可能性は極めて大きい。折り紙技術によって物体を折り畳めれば収納が簡単になり、いったん目的地に着いて展開すれば元通りにできる。ソーラーパネルを軌道に乗せ、宇宙空間からエネルギーを地球に向け照射する場合を考えてみれば良い。

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 ソーラーパネルの効率はその巨大なパネルサイズに依存しており、その様な大きなものを如何に宇宙に持ち出すかが常に問題だった。それに対する答えが、賢くたたみ込むことだ。この理屈に基づきNASAはソーラーアレイのプロトタイプの開発に取り組んでいる。このソーラーアレイは宇宙船に積み込むことができ、収納時は差し渡し8.9フィートにしかならないが、いったん設置すると直径82フィートもの大きさにまで広がる。

さらにNASAは新しいプロジェクトであるBigelow Expandable Activity Model (BEAM)を立ち上げたが、これは巨大なエアーバッグ状の物体で、膨らますことでスペースステーションの居住空間を拡張することができる。宇宙ステーションに拡張可能な居住空間が設置されるのは初めての試みであり、これから2年間に渡りISSで行われるテストがうまくいけば大きなブレークスルーとなるだろう。

もし人類の火星旅行を実現させようとするならばスペースシャトルの今のサイズでは不十分で、そのサイズを拡張することが必要になるだろう。それでは、この太古の技術である折り紙が未来の宇宙探査にできることとはなんだろうか。それについては、NASAが用意したorigaBEAMiを自分で作って確認してほしい。「乗組員による手順の説明」にしっかりと従うように。「しっかり正確に折らないと居住モジュールの空気が漏れ出す危険があります。安全第一を心がけましょう」

折り紙は何世紀もの歴史があるが、我々は世界を変えうる程の折り紙の潜在能力にやっと気づき始めたに過ぎない。あたかもドラッグ・デリバリーロボットやスペースステーションの拡張では十分でないかのように、折り紙はそれ以外にも建築、医学、ロボット工学などの分野での革新に貢献している。折り紙が工学の分野でこれ程までに新しいフロンティアを切り開くとは誰が予想できただろうか。

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(翻訳:Tsubouchi)

ヒトが車の運転をやめる日

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【編集部注:本稿の執筆者、Mario Hergerはコンサルティング会社Enterprise GarageのCEO】

この子はLiam, 最近ちょうど1歳の誕生日をお祝いしたばかりだ。可愛いだけじゃなくて、彼で人が運転免許を取るは最後になるんだ。

それはないって?我々が生きているうちはまだ無理?

そうだね。Liamが運転免許を取る最後の人になるかは実際分からない。SophiaかもしれないしEthanかもしれない。その人はあなたの近所の曲がり角に住んでいるかもしれない。しかし確かなことがひとつある。最後の運転免許を受け取る人は既に生まれている。テクノロジーの発展速度と最近の幾つかの発表からその点は確実だ。

デジタル系企業からの参入

カリフォルニアのDMVだけでも自律走行技術の実走試験のライセンスを既に13社に発行した。グーグルのみで全米に渡り58台の試験車を保有しており、それは全登録車両の80%になる。グーグルの自律走行試験車はこれまでになんと通算160万マイルの走行距離をこなしており、その距離は毎週1万から1万5000マイルずつ上積みされている。全てを合わせると、この数字はカリフォルニアにおける総テストマイルの90%にもなる。グーグルの1月のレポートによれば、その数字にはさらに毎日のシミュレーション走行でこなす3万マイルが加わるということだ。

一方でテスラは、昨年10月の自動操縦モード発表以来自社の乗用車が延べ1億マイルもの距離を自動で走行したことを明らかにした。そしてイーロン・マスクが最近発表したところによるとテスラは2年以内に完全な自律走行車を完成させるらしい。さらにデジタル系企業からはUberBaiduが自律走行車の開発を手がけている。

そして、テクノロジー自体も急速に進歩している。これまでの総走行距離と事故総数から判断すると自律走行車は既に人間の運転する車と同等の安全性を達成している。グーグルに関して言えば、これまでの160万マイルの路上試験走行で発生した事故は12件で、そのうち自律走行車側に非があるものはたったの2件だけだ。つまり事故の頻度は13万3000マイルに1件で、これは報告と非報告分を合わた、物損を伴う人的事故の発生頻度と同率である。

自動車会社の挑戦

従来型自動車会社は暫くの間自律走行車開発への歩みを止めていたかのようであったが、ここに来てデジタル系企業の送り出す新型車に追いつくべく本腰をいれつつある。ホンダ、メルセデス、アウディ、フォード、GMは全て試験車を開発し、必死になってテクノロジーを習得し、GMフィアットのように協力関係を結んでいる。供給会社であるボッシュでさえテストライセンスを取得しているほどだ。さらにBMWの発表によれば、同社のiシリーズはその重点を自律走行車にシフトしていく予定で、一般販売は2021年を見込んでいる。

シンギュラリティ効果

Ray Kurzweilのシンギュラリティに関する発言によれば、自律走行車のAIにおいて必要となるデジタルパワーと知性の発展は指数関数的にもたらされるという。保守的アプローチに則り過去の経験から線形的に将来を予想したとすれば、実際の変化はその指数的要素により予想を上回る速さでもたらされるといったことになりかねない。

その他の参入者

AUTOSARは車載電気制御ユニット標準化のためのシステムアーキテクチャーだが、2018年にはバージョン4.4のリリースが予定されており、そこでは自律走行に必要なものすべてが盛り込まれるはずだ。このシステムはパートナー企業の開発する車に2020年までに標準装備されることになっており、そこにはBMW、フォード、GM、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボなどが名を連ねる。

センサーテクノロジーも急速な進化を遂げており、その価格は急速に下落している。現在の車には何百ものセンサーが搭載されており、その中にはレーダー、カメラ、GPS、加速度計などが含まれる。さらに必要となるLidarなども今後数年内に数百ドル位で手に入るようになると考えられる。

技術調査会社であるVision Systems Intelligenceが自律走行へのソリューションや技術の推進に関わる全ての企業のリストを作成したが、その数は注目に値する。なんと200以上の企業が自律走行テクノロジーの開発に取り組んでおり、他のホットな業界の例になぞらえれば、さらに多くの企業が参入してくるだろう。

人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない

安全な自律走行車の実現を可能にする技術的側面は重要だが、保険会社と規制機関が迅速な普及を推進する可能性がある。94%の事故が人的過失によるという事実を鑑みて、自律走行車の事故発生率は低くなることが予想される。結果として人の運転する車に対する保険料は法外なものになる可能性がある。今日、自動車を運転している人の大半はまだ機械に車のコントロールを明け渡すということについて懐疑的だが、実際に自分自身で自律走行車を体験し、人間の運転する車に対する保険料の上昇を目の当たりにすれば、その考えは急速に改まるだろう。次に来るのが法的規制だ。人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない。

最後のドライバー

このように有力な企業が共同で労力と資産をつぎ込んだ取り組みを見せている中、Liam、あるいはSophiaかEthanかもしれないが、この子たちが2031年に16歳の誕生日を迎えた際、運転免許を取る必要はないし、場合によっては免許の取得は許されないかもしれない。特にその年代の子供の運転履歴の悪さを考慮すれば尚更だ。彼らの方でも取り立てて免許を欲しいとは思わないかもしれない。運輸省によれば10代の間で免許取得者の割合は減少傾向にあり、これは他の国でも見られる傾向だ。

これらの技術的進展を前にして我々は再び問うことになる。車の本当の役割とはなんだろうか?車メーカーの言っているような「運転することの喜び」とか「自由」とかではなく、移動や交通問題を解決するわけでもない。車はいわばコネクターだ。車は我々が他の人や場所、物と結びつく手助けをしてくれる。しかしながら、そのコネクターとしての役割において車と競合関係にあるものがポケットの中に存在する。そう、スマートフォンだ。

昔の10代の子供は競って車の運転をしたがったが、今では運転を人に押し付けたがる。同乗者はスマホを使って他のみんなと繋がっているが、運転に集中しなくてはいけないドライバーだとそうはいかない。自律走行車ならば、現実、仮想を問わず皆があらゆるモードで繋がっていられる。

そして、これがLiam(もしくはSophiaやEthan)が運転免許にそれほど魅力を感じず、DMVでテストを受ける最後の人になる理由だ。

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

Facebook「F8」開発者カンファレンスの発表まとめ

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Facebookは4月12日から13日にかけ、年に一度の「F8開発者カンファレンス」をサンフランシスコで開催している。初日の主なトピックは、チャットボット、VRカメラ、インスタント記事などだ。

チャットボットプラットフォーム

FacebookはMessengerのチャットボットプラットフォーム「bots on Messenger」を発表した。このプラットフォームのSend/Receive APIでは、ボットは単純な文字列だけでなく画像、リンク、行動を起こすボタンを含むstructured messages〔構造化メッセージ〕をユーザーとやりとりできる。つまり、見込み顧客の質問へのの回答、カスタマー・サポート、eコマースの手続き説明など、あらゆる対話的なリアルタイム・コミュニケーションが可能となる。コールセンターや営業部隊と同じような機能を果たすが、ボットははるかにスケールしやすく、コストも低い。セールスやサポートに関する企業活動が一変する可能性があるだろう。

詳細:F8カンファレンス:FacebookがMessengerのチャットボットのプラットフォームを発表

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VR撮影カメラ「Surround 360」

Facebookは夏頃、オープンソースでVR撮影カメラを提供すると発表した。棒の先端にUFOがくっついたような形をしたこのカメラは、17個の4メガピクセルのレンズを備え、4K、6K、さらには8K動画を撮影できる。上に1つ、下に2つ付けられた魚眼レンズで、撮影者の足元まで撮影し、動画の中に盲点はなくなる。カメラを支えるポールも動画から消える。耐久性、ポータビリティーに優れ、他のVR撮影と違ってポストプロダクションの手間もほとんどかからないという。パーツは全てオンラインから3万ドルで購入できる。

詳細:Facebookが手掛けるVR撮影用カメラ「Surround 360」はオープンソースで提供

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インスタント記事の解放

Facebookは全ての出版元にインスタント記事を今日から解放する。制限はあるが、記事内に広告を表示することもでき、ページビューはAdobe Analytics、Chartbeat、comScoreなどで計測することが可能だ。WordPressや他のDrupalといったCMSで利用できるプラグインもすでに存在するので、今日からすぐにでもインスタント記事を制作して発行できる。

詳細:今日からどの出版元もFacebookでインスタント記事が発行できる

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新デベロッパーツールを発表

Facebookはデベロッパーがアプリを開発し、成長させ、そして収益化する手助けする一連のツールを発表した。アプリ用の新しいプラグイン「アカウントキット」では、ユーザーはFacebookアカウントだけでなく、電話番号またはメールアドレスを使ってサインアップできるようになる。モバイルサイト向けの新しいプラグインでシェアやエンゲージを促す、引用付きシェアやハッシュタグシェアが利用可能だ。また、これまでFacebook内で使用できた「保存ボタン」を外部サイトでも使用できるようになった。日本国内のローンチパートナーにはメルカリや楽天が参画している。

詳細:Facebook、新しいデベロッパーツールを発表。アカウントキット、プッシュ、引用シェア等

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F8関連記事

 

Apple WWDC 2015キーノートのまとめ

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昨日(米国時間9/8)のAppleのWWDCの2時間に及ぶキーノートではたくさんの重要な発表があった。上にこれを90秒のビデオにまとめてみた。下に個々の記事へのリンクも張っておいたので参考にしていただきたい。〔日本版:最後のConnectの記事以外、すべて翻訳ずみ〕

キーノートの冒頭でAppleはMac OS X 10.11 El Capitanを発表した。 昨年のYosemiteのようにビジュアルが一新されるものではなかったが、ジェスチャー操作のサポート強化、ウィンドウの整列、Spotlightの自然言語検索などの新機能が盛り込まれた。 MacとiOSに新しいMetal APIが採用され、デベロッパーは同一のハードウェアでグラフィックスのパフォーマンスの大幅な改善が可能になった。ゲーマーには朗報だ。デベロッパー向けベータ版は即日公開された。

iOS 9では新しいパーソナル・アシスタント、Proactiveが紹介された。これはGoogle Nowによく似ており、ユーザーの本日の予定などを教えてくれる。Google Nowと異なるのは、クラウドではなく、デバイス内に存在する情報をベースにして処理することだ。プライバシーに敏感なユーザーにアピールする点だろう。

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iPadでは、本格的なマルチタスクがサポートされた。ユーザーは画面を左右に分割して2つのアプリを同時に作動させることができるようになった。このスプリットビュー・モードをサポートするのは最新のiPad Air 2のみだが、既存のiPadの大部分にも2つのアプリを簡単に往復できるスライドオーバーと呼ばれる簡易版が導入された。またカーソルを自由に動かせる新しいソフト・キーボードも発表された。

Apple Watchについても発表があり、新しいネーティブ・アプリのSDKが公開された。デベロッパーはこのSDKを使って、ペアとなるiPhone上ではなく、Watchそのものの上で作動するアプリが開発できる。デベロッパーはビデオ再生、心拍モニター、マイク、デジタル竜頭、振動インターフェイスを管理するTaptic Engineなどの機能にアクセスが可能になった。これによりApple Watchがローンチされた当初のもののよりずっと複雑、高機能のアプリが続々登場することになるだろう。

Appleはキーノートの締めくくりにAppleミュージックをお披露目した。SpotifyやRdioのライバルとなる音楽ストリーミング・サービスは個人が月額9.99ドル、家族が月額14.99ドルで、ユーザーはAppleの膨大な楽曲が聞き放題となる。加えてBeats1インターネット・ラジオ 、新しい音楽ソーシャル・ツールのApple Connectが利用できる。Apple Musicは6月30日にサービスがスタートする。当面はiOS、Mac、Windowsがサポートされるが、この秋にはAndroid版が出るという。〔ミュージックはApple Japanのサイトでもサービスのスタートが予告されている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HAXLR8Rのレポートに見る、ハードウェアスタートアップのトレンドと予想

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深圳市(中国)に拠点をもつハードウェアスタートアップをインキュベートするHAXLR8Rが、興味深いレポート「Hardware Trend 2015」を2月末にリリースした。少し時間が経っているが、2015年のハードウェアスタートアップのトレンドを知るには非常に有用な資料だから、その要点と、目を引いたプロダクトをいくつかTechCrunch Japanでも紹介しよう。

ちなみに、HAXLR8Rは去年、本家TechCrunch「Lean Hardware」というハードウェアスタートアップ関連の連載をしてきた(日本語には未訳)。HAXLR8Rを含む中国語圏の動向を伝える記事としては、「米西海岸と急接近、中国深圳や香港、台湾に根付くハードウェアスタートアップの今」も参考にしてほしい。

さてレポートだが、以下の構成となっている。

1. Hardwear Trends
2. Fundings & Exits
3. Ecosystem Growth
4. Lifestyle
5. Personal Health
6. 3D Printing
7. Smart Home
8. AR/VR
9. Drones
10. Robotics
11. Twelve wares to avoid
12. Prototyping
13. Manufacturing
14. China Rising

HAXLR8Rのジェネラル・パートナーであるBenjamin Joffeによると、レポートの要旨は以下の通りだ。

  • レポートではハードウェアスタートアップへの投資とイグジットをピックアップしている。2014年には多くのハードウェアスタートアップに投資され、Oculus VR、Beats Electronics、Nest Labsんどがその地歩を固めた。
  • ハードウェアスタートアップのエコシステムは、ハッカースペース、メーカーズフェア、インキュベーター等により急成長している。
  • ウェアラブル、トラッキングデバイスのマーケットは活況となってきている。トラッキングデバイス、新センサーは、ヘルスケアや身体能力強化にフォーカスしてきている。
  • 3Dプリントは商品として認知されてきている。
  • スマートデバイスはドア鍵、ドアベル、セキュリティカメラ、サーモスタットから家庭内に浸透してきている。
  • AR、VRは消費者へのリーチ寸前で2015年クリスマスにはヒットすると予測している。
  • ドローンとロボットは拡大している。ロボットはワークショップ、ラボや家庭に入ってきている。清掃、調理、サービス、庭掃除、保管、ピンポンで遊んでくれるなど多岐ににわたる。
  • プロトタイプ製作は以前より安価、簡単、迅速になったプラットフォームがでてきている。電子回路をプリントできるものまで出てきている。
  • 深圳がハードウェアスタートアップのプロトタイプ製作、製品製造の拠点となってきている。
  • 中国と深圳はグローバルスタートアップに目を向けている。
  • これからは構造がシンプルな製品はみな”Xiaomization”されるリスクにさらされる(Xiaomi(小米)の新しい流通モデルに破壊されるリスク)。Xiaomi は既にSamsung、GoPro、Dropcamなど多くと競合関係になっている。

レポートの中にあることだが、大きなトレンドとして「深圳がハードウェアのシリコンバレー化してきた」ということがある。かつては中国といえば低レベルな製品を安価に製造するだけの工場と思われていたのが、現在は様変わりしている。深圳ではその地域一帯が工場で埋め尽くされており、しかもユニークなプロトタイプ製作と量産のエコシステムを形成しているのである。深圳、香港、台湾では以前よりもプロトタイプ製作が容易になってきているようだ。

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深圳の電子部品マーケットは数十の高層ビルにわたって展開されている。これは一見秋葉原と同じようなマーケットに見えるが、深圳のマーケット店舗は周辺の工場と直結しており、単品〜1000個のパーツまで柔軟に供給できるようになっているのが異なる点であろう。

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さて、レポートは192ページにわたるスライドになっているが、この中から興味深かったプロダクトを搔いつまんで紹介しよう。

Shot Stats Challenger

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KickStarterプロジェクト。 テニスをする人はすぐにわかると思うが、打球時の衝撃を和らげるゴム製品と同様な、ガットとガットの間に装着するタイプのもので、Bluetoothでスマートフォンと通信し、ラケットスイングのスピードを測定したり、ガットの衝撃からラケットのどの部分でボールを捉えているかチェックできる。

Roadie

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ライブ中にMCをしながらギターのチューンを変えるのは結構大変な作業だ。MCに集中するとチューンができない、チューニングに集中するとMCがとまってしまう、というジレンマに遭遇する。多勢のオーディエンスの前で無言でペグをまわしているときほど気まずい瞬間はない。しかも、あわててしまうとチューンがぴったり合わなかったりする。そんなギタリストの救世主がRoadieかもしれない。従来はチューナーのメーターを見ながら手動でギターのペグをまわしていたのを、チューナーとモータが一体化してペグまで自動でまわしてチューンしてくれる。これならMCで談笑しながらチューンも自動で完了させることが可能となる。

Giant 3D Printer

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3Dプリンタは色々なバリエーションが出てきて、プリントできるサイズも大きなものが可能となってきている。中国の巨大な3Dプリンタは1日で10棟の家を建てることが出来る。しかも1棟50万円程度と安価である。荒天や極寒においてもほぼ自動で短時間に家が建つのであれば、災害時の仮設住宅建設などに最適かもしれない。

Beddit

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薄いシーツ型センサーを布団に敷いて睡眠をモニタし、スマートフォンアプリにデータを送信。睡眠が浅いときに目覚まし機能がはたらく。いろんな睡眠時の情報をモニタしてくれる。

Mousr

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ネコを家の中だけで飼っている家庭が増えてきた。しかし、ネコは元々は野生動物。家の中の環境に慣れているはずがない。ネコは本来1日20回狩りをするという。家の中で飼われてそんないつもの行動が制限されてしまってはネコにとって大きなストレスとなる。ストレスが溜まったばかりに飼い主に面倒を起こしたりする。そこで、Mousrは、ロボットネズミとしてネコから逃げ回り、ネコの狩猟行動をシミュレートしてあげる優れものだ。これで家庭内も円満に。

Copenhagen Wheel

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米国発のスタートアップSuperpedestrian社が開発した、自転車の後輪ホイールを交換するだけで電動アシスト自転車にすることができるCopenhagen Wheel。製品名のCopenhagenは自転車大国デンマークの首都名が由来。ホイールの赤い円盤内にモーター、バッテリー、ジャイロなどを搭載。

HUVr

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ハードウェアスタートアップの中には駄目なものも出てきている。例えばHUVrだ。これはホバーボードをうたっていたが全くのフェイクだった。あったらいいなと誰もが夢想するものだが、現実はあまくはなかった。反重力でも何でもいいから実現されることを願っている。

Hendo

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ところがカリフォルニアのスタートアップHendo Hoverは、レンツの法則を応用して強力な地場を発生させ浮上させるホバーボードをKickstarterで資金調達完了してしまった。1台約100万円だが既にKickstarterでの予約は完売状態。HUVrのフェイク動画から考えたら夢のようだし、夢を実現してしまうところがまたすばらしい。

OTTO hackable Camera

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オークランドに拠点を置くの Next Thing Co.がつくったスマホアプリと連動するGIF動画を簡単に制作できるデバイス(カメラ)だ。カメラのクランクをひっぱってまわすだけでGIF動画が撮影でき、画像エフェクトもかけられる。Wifiでスマホアプリと同期して、アプリ上で撮ったGIF動画を友人と共有したりできる。

以上スライドの中からいくつか紹介したがこれ以外にも192ページにわたってスライドレポートになっているので2015年ハードウェアトレンドを占うのに参考にしてみてはどうだろうか。

Hiroki Takeuchi / POYNTER CEO Ph.D)

AppStore上位常連アプリが実践する、9つの継続率向上テクニック

この原稿は、アプリ開発者向けのプッシュ通知解析ツール「GrowthPush」を手がける、シロクの萱嶋卓氏による寄稿である。GrowthPushは、プッシュ通知のセグメント配信やユーザーの行動を解析し、アプリの利用継続率を高めるのが特徴。現在、5000アプリ以上が導入し、1億以上のデバイスにGworthPush経由でプッシュ通知を配信している。

App Storeランキング上位常連のアプリの多くは、「継続率」を向上させるテクニックを駆使している。ここで言う継続率とは、1)どうすれば会員登録を突破できるのか、2)どうすればアクティブユーザーになってくれるのか、3)どうすれば非アクティブユーザーを呼び戻せるのか――という3つの要素に集約される。実際に、日米でランキング上位を維持しているアプリは、どんな施策を取っているのか? AirbnbやiQON、Vineなど、TechCrunchでもお馴染みのアプリの施策を事例ベースでまとめた。

どうすれば会員登録を突破できるのか?

会員登録導線とチュートリアルを同時に見せる(Airbnb)

Airbnbでは初回起動時に表示されるチュートリアル画面に、会員登録の導線を配置している。すべてのチュートリアル画面に会員登録導線を配置することにより、ユーザーのタイミングで会員登録に進むことができる。画面右上に設置してあるxボタンを押せば、会員登録せずにサービスを利用することもできる。



ユーザー名の自動生成(iQON)

コーディネートアプリ「iQON」は初回起動時、ユーザー名が自動生成されるのが特徴。会員登録不要でいろんな人のコーディネートを見ることができる。初回起動時の会員登録フローなくしたことにより、初期ユーザーの離脱ポイントを減らしている。自動生成されたユーザー名については、後から変更することができる。

どうすればアクティブユーザーになってくれるか?

アクセス許可への不信感を取り除く(Scannable)

Evernoteのスキャンアプリ「Scannable」は、カメラへのアクセスを求める前に、「書類をスキャンするため」というアクセスの目的を伝えることで、ユーザーに高確率で許可をしてもらうことができる。一度“許可をしない”を押してしまったユーザーは、メインのスキャン機能が使えずに離脱してしまうリスクがある。



チュートリアルでメインとなるアクションをさせる(Trivia Crack)

アメリカで大人気のトリビアクイズゲーム「Trivia Crack」は、チュートリアルでゲームループ(一連の流れ)を体験してもらうことで、ユーザーに何をするアプリなのかを伝えている。また、ゲームの中で自分のターンになるとプッシュ通知で教えるなど、ゲームループを体験させる工夫をしている。


デフォルトでフィードを埋める(Vine)

Twitterで初回登録時に5人フォローするように導線を設計したところ、MAU(月間アクティブユーザー数)が4倍になったというのは有名な話。一方、Vineではフォローする必要はなく、Vineスタッフおすすめユーザーのポストでフィードが埋まっている。サイトやアプリを使い始めてすぐ何もないフィードに飛ばされてしまうと、ユーザーは何をしたらよいかわからないので、最初に何を表示させるかは非常に重要である。



ログインにインセンティブを与える(Pairs)

累計180万人が利用する人気出会い系アプリ「Pairs」は、連続でログインすることで、アプリ内で利用可能なポイントが得られる。連続ログイン日数が多いほど獲得できるポイントも高くなるため、ログインするモチベーションを形成している。


どうすれば非アクティブユーザーを呼び戻せるか?

プッシュ通知の最適化(Simplog)

弊社が支援しているブログサービス「Simplog」は、プッシュ通知を最適化することにより継続率が10パーセント上がった。プッシュ通知の文言や内容だけでなく、バッジやサウンドの有無、時間帯、配信間隔、曜日、OSの出し分けなど、細かくABテストを行うことでプッシュ通知の開封率を向上させた。

メルマガ(Fancy)

ソーシャルコマースサービス「Fancy」では、その週の人気コンテンツをまとめて、メルマガを送っている。画像をタップするとアプリが立ちあがり、その画像のページにすぐ移動できる。

カムバックメール(ガールフレンド(仮))

学園恋愛ゲーム「ガールフレンド(仮)」は、運営会社が呼び戻しメールを送るのではなく、ユーザー自身がゲーム内で繋がっている離脱したユーザーを呼び戻す仕組みを作っている。豪華アイテムというインセンティブを与えることで、1人が数百人にカムバックメールを送った例もあり、非常に上手くいった呼び戻し施策の1つである。



あなたはこれらの継続率向上施策を全て知っていただろうか?

アプリでは、どうしても“獲得”が重要視されがちだが、サービスにおいて最初に重要視されるべきは継続率であると私は考えている。まずはサービスの中に“ハマる仕掛け”を作り、そしてその仕掛けを初回起動でひと通り体験できるような導線作りが必要だ。


2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


DeNAがキュレーション事業加速、MERYとiemoのノウハウ注入で「食」分野に進出

10月1日に女性向けファッションまとめサイト「MERY」と住まいに特化したまとめサイト「iemo」を運営する2社を約50億円で買収し、キュレーション事業に参入したディー・エヌ・エー(DeNA)。次なる展開は「食」をテーマとしたキュレーションサイトだ。

12月19日に正式公開した「CAFY(カフィー)」は自宅で手軽に作れるレシピなど、食に関するテーマの情報を紹介するサイト。レシピに加えて、「クリスマスの厳選スイーツ9選」や「ホームパーティーを華やかに演出するテーブルウェア7選」など、食卓に関するリスト記事が多い印象だ。

すでに掲載されているコンテンツの一部は、外部のライターが有償で執筆したもの。今後はMERYやiemoと同様に、一般ユーザーに無償で投稿してもらう。隙間時間にスマホで雑誌をめくるような感覚で見てもらうコンテンツを充実させていく方針だ。

「50億円効果」で買収から2カ月でローンチ

コンテンツ以外で特筆すべきは、サイト立ち上げの早さだろう。CAFYはMERYを運営するPeroli、iemo、DeNAの3社連携によるサービス。10月の買収直後からDeNAのメンバーを中心にチームを発足し、それからわずか2カ月あまりでサービス開始に至っている。

具体的な連携効果としては、CAFYのターゲットでもある主婦層向けの記事を手がけるiemoが、主婦に受けがいいコンテンツの編集方法を助言するとともに、人材面でもディレクターを派遣。Peroriはサイトの見せ方をアドバイスするなど、開発面で協力している。実際にCAFYはMERYのサイト構造を移植したかのようにも見える。

「iemoとMERYが1年かけて踏み固めてきたことを端的に注入している。iemoは1年で150万MAU(月間アクティブユーザー、9月時点)、MERYは1年半で1200万MAU(同)と急成長カーブを描いているが、両社のノウハウがあればさらに短期間で成長するのでは」(iemo代表取締役CEOの村田マリ)。ノウハウについては「企業秘密」とのことだが、これを獲得するためにDeNAは約50億円で両社を買収したと言えそうだ。

激戦区のグルメ分野キュレーション、勝算は?

DeNAはCAFYによって、読者層が大きい衣食住すべてのジャンルを網羅することになる。ただ、iemoとMERYの成長の背景には、圧倒的競合が不在たったことがあるのも事実だ。グルメ分野では食べログが「食べログまとめ」、ぐるなびが「メシこれ」、クックパッドが「クックパッドニュース」を展開するなど、すでにネット大手が参入済み。ほかにも堀江貴文プロデュースの「テリヤキ」「マカロニ」といったサービスもある。

食ジャンルのキュレーションは激戦区と言えそうだが、村田マリは勝算をこう語る。「食べログやぐるなび、クックパッドは自社サイトの集客のために事業をやっている。それに対してCAFYは、iemoとMERYが成長してきたように、メディアとして読者が求めるコンテンツを作る意識が強い。ユーザーの隙間時間を獲得できるメディアを目指している。」

左からPeroli中川綾太郎氏、DeNA牛尾正人氏、iemo村田マリ氏

外部コンテンツとの提携で著作権対策

ところで、キュレーションメディアで問題になりがちなのが著作権(パクリ)だ。実際、MERYは一部のコンテンツでは、外部サイトの画像や文章を無断転載した事例もあったりする。著作権的にグレーだとしても、上場企業であるDeNA傘下となると、これまで以上にコンプライアンスの風当たりが強くなってきそうだ。

この点について、DeNAでキュレーション事業を率いる牛尾正人は、「新しいサービスなので想定外のことが起きるかもしれないが、社会のコンセンサスを得ながら進めるしかない」と説明する。その一環として外部サービスと提携し、各社のコンテンツをMERYやiemo、CAFYの記事に「お墨付き」で利用できるようにする。第一弾としては「レシピブログ」「Snap dish」「ミイル」と提携する。

キュレーションサイトで国内最大級のアクセスを誇るNAVERまとめでも、サービスの成長に伴い、著作権侵害が指摘されるようになった。NAVERまとめは人的なチェックだけでなく、ゲッティイメージズやAmazon.co.jp、食べログなどと提携し、無許諾で各社が指定するコンテンツを記事に利用できるようにしてきたが、DeNAも同様にキュレーションの著作権対策を強化する動きを見せている。

「めちゃくちゃ美しいM&A」

DeNAが2社を買収した10月以降、各社の間では活発な交流が続いているという。買収当時、社員数が8人だったiemoは、DeNAからの出向で20人に拡大。Peroriも買収当時12人だった社員が倍増している。さらに、専属ではないが、広告営業や採用、マーケティング業務もDeNAが担当していることから、「一気に組織がスケールした」と村田マリは振り返る。

組織がスケールしたことで、iemoは「マネタイズの本丸」(村田マリ)でもある、建築家やリフォーム、インテリアメーカーなどの事業者とユーザーのマッチングを前倒しできると、DeNAとの相乗効果を語る。同様に、MERYも記事で紹介した商品を購入できるECによる収益化を早期に実現できるようになりそうだ。

「DeNAの出向社員は、配属の初日からスペシャリストとして働いてくれた。数億円を調達したスタートアップでも、こんな短期間でDeNAクオリティの人材はそうそう獲得できない。その恩返しとして、iemoとMERYのようなスタートアップからDeNAにノウハウを提供できたのは、めちゃくちゃ美しいこと。一般的に『M&Aはうまくいかない』と、うがった見方をされやすいが、うまくやってやろうって思う。」(村田マリ)


今週のまとめ ― iPadの売上成長率は鈍化し、タブレットは姿を消すのかどうか、あるいは懐かしのゲームグラフィックスなど

本稿では、先週の翻訳記事の中で注目の大きかったものや、さらなる動きが出てきそうな気になる記事などを紹介してみたい。まずはiPad(iPhone)関連のニュースを振り返ってみよう。

iPadの成長が鈍化?

電車の中でタブレットを使う人の姿を見かけることは多くなったが、どうやらタブレット市場にはある種の「逆風」が吹いているらしい。人気のiPadについても「iPad、初の年間出荷台数減少へ。タブレット市場全体の成長も鈍化(IDC調べ)」という記事が出ていた。

iPhone 6や6 Plusなど、画面が大型化する中でタブレットの存在意義が薄れていくのではないかという話もある。

たとえば、Pocketが行なったコンテンツ消費動向についての調査は面白い。「ビデオなどのコンテンツ閲覧はiPadからiPhone 6/6 Plusに大幅に移行という調査結果」という記事がそれで、iPadとiPhoneの双方を所有する人がPocketを利用する際にどちらのデバイスを使っているのかをまとめたものだ。確かにタブレットを必要とするシーンは減っているという結果にも読み取れる。

ただ、タブレットの必要性が消えていくという声ばかりでもない。たとえば「Windowsを無料にしたMicrosoftが定価100ドル未満の低価格タブレットで勝負」の記事では、タブレットとスマートフォンの買い替えサイクルの違いについて言及されている。そのような中、低価格タブレットが市場を活性化する可能性は十分あるとしている(そして高価格帯ではAppleが安住の地を見つけるという話だ)。

いずれにせよ、2015年初頭から、タブレットを巡ってはさらなる動きがありそうだ。それが小規模な生き残りへの抵抗に終わるのか、それとも新たな成長を目指すのか、観察していきたい。余談ながら筆者は電子新聞、電子雑誌、そして自炊本を眺めるのにタブレットが欠かせない生活を送っている。

Chrome向けNPAPIプラグイン停止やUIエディタが実装されたUnityなど

今週は開発者が大いに注目するニュースもあった。まず悲鳴も混じっていたようなのが「Google、いよいよ新年からChrome向けNPAPIプラグインを全面ブロックへ」の記事だ。

「見た目ほど影響は大きくなさそうだ」と記事にあるが、英文記事の方もかなりシェアされていて話題になっている様子だ。割合的には少なくとも、死活問題となる人も存在するのだろう。

と、こちらの方はどちらかと言えば「混乱」する話だった。もうひとつの「明るい話題」の方にも注目が集まっていた。記事は「朗報! ゲームのビジュアル開発環境、Unityに(ついに)UIエディタが追加」だ。

こちらには広く歓迎の声があがっている。ちなみにUnityのことはよく知らないという方は、日本語版の公式ページで概要を知ることができる。

ところで、完全に開発者向けというわけではないのだが「ゲーム・グラフィックスの歴史(1)―72年のPongから85年のスーパマリオまでをビデオで振り返る」を懐かしく眺めた技術者の人も多いのではなかろうか。

記事は「ゲーム・グラフィックスの歴史(1)―72年のPongから85年のスーパマリオまでをビデオで振り返る」だ。記事を読んでAsteroidsのスマートフォン版を探したり、あるいは「Bio_100%」を検索したりした人も多いのではなかろうか(参考までに、というか記事と直接の関係はないが、Super DepthにはAndroid版がある。「ろりろりろーりんぐはないのだろうか)。

さらに、「技術のソニー」発の新開発腕時計についての記事もあった。記事のタイトルは「Sonyの社内起業第一弾“eペーパーウォッチ”は社名を隠してクラウドファンディングに成功」だ。

eペーパーをテクノロジーとしてではなく、純粋に「素材」として捉えているのが面白い。おまけに、プロダクトについて、社名を隠してクラウドファンディングによる評価を求めたというのも興味深い。やりすぎは消費者の反感を招くこともあろうが、プロダクト評価を求めるひとつの方法として、確かにアリだ。意表をつくeペーパーの使い方がどのように広がっていくのか、注目しておきたい。

注目のクラウドファンディングと残念なクラウドファンディング

上の、ソニーデバイスもクラウドファンディングを利用したものだった。毎度ながら、他にもクラウドファンディングを利用した注目プロジェクトがあった。たとえば「スマートフォンの充電ができるXOO Belt。デザインは英国メジャーブランドのCasely-Hayford」だ。

これまでの「ウェアラブル」とは一線を画す存在だが、身に付けるのだからやはり「ウェアラブル」と呼ぶべきなのだろう。それにつけてもこうしたプロダクトとクラウドファンディングの親和性は相当に高いようだ。本プロジェクトも、かなりの日数を残して無事に目標を達成している。

ただし、クラウドファンディングが全能であるわけでもない。あまり目にしない「辞退」という結果にいたったプロジェクトもあった。個人的には面白く感じたのだが、残念な結果になったのは「iPhone(スマホ)本体に触らずにマルチタッチやジェスチャをサポートするFuffrの赤外線ケース」だ。

ビデオを見ると「これでAngry Birdsをクリアできるのではないか!」という、生産性のない盛り上がりを感じたりもする。タッチ操作をするために画面を指でさわり、それがために画面が見えなくなる不便を感じた人は多いはずだ。このキャンペーンはきっと成功するものだろうと思った人も多いに違いない。しかしこのプロジェクトは大失敗に終わった。最終的に「Funding Canceled ― Funding for this project was canceled by the project creator 3 days ago」とあるように、主催者からのキャンセル要請でプロジェクトは中止になったそうだ。意外に(?)冷静な出資者が多いことを示したと見ることもできる。

Maeda, H


先週のUS注目記事 ― 「Twitter Offer」はクーポン体験を激変させるのか、および待望されつつある(?)「リトルブラザー」など

本稿では、先週の記事の中から日本語記事では紹介していないものの、注目に値すると思われる記事を紹介したい。まずは「Twitter Offer」。日本での実現可能性はわからないものの、とても面白そうなサービスだ。

Twitter、新しいクーポンシステムを実現するTwitter Offerを提供開始

ネットコマースが普及し始めた2000年頃から、「クーポン」の仕組みを効率的に取り込みたいとするサービスがあちこちから提供されてきた。「クーポンマーケット」上でクーポン交換をシステム化しようとする試みなどがあったが、結局はネットコマース以前の仕組みを踏襲することになっているというのが現状だと言えるだろう。

そこに新たな動きをもたらすかもしれないのが「Twitter Offer」だ。「Twitter Offer」を通じて提供されるクーポンは、店舗で提示する必要がない。すなわち、小売店舗側はオペレーション変更の必要が一切ないのだ。

英文記事:Twitter Expands Its Commerce Lineup With Twitter Offers, Which Link To Your Credit Or Debit Card

クーポンは利用者のクレジットカードないしデビットカードとひも付けされる。利用者がそのカードを用いて決済すると、消費者・小売店の購買・販売行動に何の変化もないにも関わらず、クーポンによる割引が適用される。

会員カードや割引チケットについては、「わざわざ提示する」という手間や、「クーポンの種類に応じたオペレーションが必要となる」という面倒があった。そうした手間を一切無くすことにより、消費行動に「大きな変化」をもたらすことも考えられる。

現在のところ、アメリカ限定の、試験運用ではある。しかしこれは、Twitterの収益性を巡る議論に大きな変化をもたらすサービスとして成長するかもしれない。

政府のビッグブラザーに対抗するリトルブラザー

話は全く変わる。「マイケル・ブラウン射殺事件」については、日本でも広く報道されている。

この事件を巡っては「リトルブラザー待望論」とでもいうようなムーブメントがあるのが興味深い。TechCrunchの記事にも「Grab Your Cameras, We Are Little Brother」(仮題:ウェアラブルカメラでリトルブラザー化して自分を守ろう)という記事が掲載されていた。

記録装置(カメラ)が安価に、かつ身近になることで、法的不利益を生じさせない対策が可能だろうとしている。さらに、日本のメディアでも報じているが、警官には常にウェアラブルカメラを装着させるべきだという運動も広がっているらしい。

日本でも、警察官の取り調べをICレコーダーで録音しておいたことがきっかけで、警官側の対応が問題視されるような事案もあった。警官のウェアラブルカメラ義務化は、問題発生を回避する素晴らしいプランとしての面もある。ただし、「権力」が常に情報を記録し続けることを問題視する動きもある。

ジョージ・オーウェルが想像していたテクノロジーは確かに現実化した。ただし、それは公権力側においてのみではなく、市民の側においても利用可能なものとなりつつある。

権力と市民とテクノロジーの関係については、「権力+テクノロジー=悪」という形ではない、新たな考察が必要な時期になっているのかもしれない。

恒例のギフトガイド

過去のホリデーギフトガイドを見てみると、意外に記事に影響されて購入しているものがあることに気づいた。たとえば2012年にはダイソンの掃除機を購入した。

他にもたとえば「Mujjoのタッチスクリーン操作が作可能な手袋」なども購入している。

今年は今のところ物欲はおさえられているけれど、やはりいろいろなギフトガイド記事が登場している。「A Gift Guide For Watch Lovers, The Guy’s Edition」や「A Gift Guide For Watch-Loving Ladies」といった腕時計リストは、来年にはスマートウォッチに置き換わるのだろうか。

少し物欲刺激力が強いと感じたのは子供向けのギフトガイドである「A Gift Guide For The Childless Who Have To Buy Gifts For Children」と、スマートホーム・スターターキットの「A Gift Guide For The Starter Smart Home」だ。

たとえば子供用ガイドの方には「LittleBits」も掲載されている。

LittleBitsについては、これまでもいくつもの記事を翻訳で紹介している。たとえば「電子版レゴブロックのlittleBitsとNASAが連携。宇宙を身近にする“Space Kit”を発売」などは多くの人に関心をもってもらえたようだった。

LittleBitsが公式にリリースされたのは2011年のことだった。これまでにTrue Ventures、Khosla Ventures、Foundry Group、伊藤穰一、ニコラス・ネグロポンテ、Joanne Wilsonなどから1560万ドルの資金を調達している。元々は音と光を組み合わせて遊ぶツールだった。

という説明だけでも、ちょっと欲しくなってしまう。

子供用タブレットというのも面白そうだ。

年末商戦の勢いはいかに?

と、いうわけで一年もそろそろ終わりだ。プレゼントを贈る人は準備に大忙しだろう。それともネットで用意できるようになって忙しさは軽減されただろうか。だんだんと日本にも普及させようとする動きもあるらしいブラックフライデーから米国の年末商戦も本格化している。

最後はその記事で結ぼう。「Black Friday Online Sales Up 8.5% Over Last Year, 20% Of Sales Came From iOS」(ブラックフライデーのオンラインセールスは前年比8.5%増、トラフィックの20%はiOSより)の記事だ。

オンラインセールスに占めるモバイル比率が大いに高まりつつあるようだ。記事によれば、感謝祭の日におけるオンラインセールスでは、モバイル比率がついに半数を超え、ブラックフライデーでも46.7%を占めたのだそうだ。これは昨年比で24.2%増となるのだとのこと。

モバイルの普及とともに、オンラインで購入できる商品幅が広がっていることも影響しているのだろう。

Maeda, H