Visaがアーティストやミュージシャンを対象としたNFTプログラムを開始

クレジットカード大手のVisa(ビザ)は、小規模事業者をデジタル経済に取り込むため、NFT(非代替性トークン)クリエイタープログラムを開始した。

Visaの暗号資産(暗号資産)部門責任者、Cuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏はTechCrunchに「過去1年間、NFTのエコシステムが急速に成長しているのを目の当たりにしました。NFTが新しい形のeコマースを表していると考えています」と語った。

小規模事業者の頭の中は、従来の「家族経営の実在店舗」から、デジタルに特化した企業を立ち上げ、NFTのような新しいツールを活用したいクリエイターや起業家による他の独立したビジネスへと進化していると、シェフィールド氏は述べた。

1年間の集中プログラムであるVisa Creator Programは、アーティスト、ミュージシャン、ファッションデザイナー、映画制作者などのクリエイターを集め、NFTを使ったビジネスを構築できるようにする。

シェフィールド氏は、初回のプログラムではクリエイターの数に上限はなく、すべてのメンバーがVisaの顧客やメンターの幅広いネットワークにアクセスできるようになる、と述べた。

「大規模な業者やブランドは、どうすれば参加できるかを毎日尋ねています」と同氏は語った。「我々にとってNFTが非常にエキサイティングなのは、人々がビジネスを構築し、オンラインで販売するための参入障壁を低くしてくれると考えているからです」。

従来の物理的な商品の販売方法は多くの物流をともなうため、中小企業や個人が競争し、規模を拡大するのは難しかった。「NFTは、クリエイティブな人、アーティスト、才能のある人が、デジタルな方法で完全に商品を生産することを可能にします」とシェフィールド氏は話す。

元メジャーリーガーで、現在はAkuのアーティストであるMicah Johnson(マイカ・ジョンソン)氏は、この初回プログラムの参加者の1人だ。Visaは2021年10月にパートナーシップを発表したが、その時はジョンソン氏がプログラムに参加していることは明かしていなかった。

ジョンソン氏のAku NFTは、同氏が甥から「黒人の宇宙飛行士ってあり?」という質問を聞いて作ったキャラクターをベースにしている。

同氏の10部構成のコレクションは、スパゲッティとミートボールに覆われたヘルメットから、シンプルでスマートな白いヘルメットまで、さまざまな要素を身につけた黒人男性の宇宙飛行士のポージングで構成されている。Aku NFTのウェブサイトによると、価格は1790〜3万7000ドル(約22万〜450万円)だ。

ジョンソン氏は「NFTがアーティストを可能にすることを身をもって体験しました」とTechCrunchに語った。「私はこのアイデアと使命感を持って、文字通り自宅のガレージで絵を描いていましたが、それを世界的な企業に成長させることができたのです。NFTがなければ、今の私の立場はないでしょう」。

Visaは暗号資産コミュニティと無縁ではなく、過去12カ月間、暗号資産の擁護者だった。2021年8月に人気のCryptoPunkのNFTを購入したことで話題になったが、シェフィールド氏はこの購入が同社の唯一のNFTにはならないだろうと述べた

NFTの収集以外にも、Visaは暗号資産チームを増強し、2021年12月には顧客やパートナーがこの分野への深入りを検討できるよう、暗号資産アドバイザリー業務を開始した。

「(NFTは)商取引を再構築し、新たな機会を創出することができる基本的な原始ツールだと考えています。しかし、どのように進化していくのかについては、まだ多くの疑問があります。どのブロックチェーンを使えばいいのか。どのようにして目立つのか。どのような方法で顧客にアプローチするのか。そして、クリエイターが我々から学ぶことができると思うのと同じくらい、我々は彼らから学びたいのです」とシェフィールド氏は話した。

同氏によると、Visaは今後、これらの暗号資産技術にどっぷりと浸かって商取引の未来を追いかけたいと考えている。「我々はNFTに非常に興奮しています。NFTが多くの異なるネットワークにまたがって存在すると考えているので、すべての(NFT)マーケットプレイスがVisaカードを受け入れることができるようにしたいのです」。

次のステップはどうなるか。Visaは、オンラインで何かを購入するのと同じくらいNFT購入を簡単にしたいと考えている、と同氏はいう。

「現在のNFT購入体験はかなりハードルが高く、取引所に行って暗号資産を買い、それを別のウォレットに移すという複数のステップが必要です。新しい消費者がこの分野に参入するのは非常に難しいのです」と同氏は指摘する。

このプログラム以外にも、クレジットカード会社は、消費者にとってNFTをより購入・アクセスしやすくするための方法を検討している。消費者がこの分野に参入しやすくするためにVisaが取り組んでいる「数々の取り組み」があるが、シェフィールド氏は今後同社がNFTに特化した製品やサービスを発売する時期については明かさなかった。

「小規模事業と商業は、世界中の町や近隣のコミュニティを構築する上で本当に重要な役割を担っています。地元の理容店やパン屋には、親しみやすい顔があります。そして今、私たちが目にしているのは、クリエイターが商業とNFTを利用して、共通の信念や理想を持つ人々が集う、志の高いコミュニティを世界中に築きつつあるということです」。

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Nariko Mizoguchi

Epic Gamesが楽曲販売プラットフォームBandcampを買収、音楽分野へ進出

ハッピーBandcamp(バンドキャンプ)ウェンズデイ。Fortnite(フォートナイト)開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)が、Bandcampを丸ごと買収することになった。音楽配信・販売プラットフォームを提供するBandcampは、米国時間3月2日のブログ記事で買収を発表し、共同創設者兼CEOのEthan Diamond(イーサン・ダイアモンド)氏が指揮をとる独立した組織として、今後も機能し続けることを付け加えた。

「我々は、世界で最もオープンでアーティストフレンドリーなエコシステムを構築するというビジョンを共有しており、ともにアーティストが作品に対して公正な報酬を得る機会をさらに増やすことができるでしょう」とダイヤモンド氏は投稿で述べている。

今回の買収では、Bandcampのマーケットプレイス、コミュニティ、エディトリアル製品であるThe Dailyは独立した組織として引き続き運営されるなど、業務は比較的いつもどおりに続くアプローチがとられている。また、同社が毎月第一金曜日に行ってきたBandcamp Friday(バンドキャンプ・フライデー)も予定通り継続するとしている。Bandcamp Fridayは、コロナ禍でコンサートツアーが中止され、多くのミュージシャンが生活を維持するのに苦労している中、購入額から通常Bandcampが差し引く手数料を受け取ることなく、その分もアーティストやレーベルに還元するという毎月恒例のイベントで、非常に人気がある。

「2008年の設立以来、当社は音楽が持つ癒しの力を広め、ファンからの直接的な支援によってアーティストが成功するコミュニティを構築するというミッションを追求してきました」とダイアモンド氏は続けた。「そのシンプルな発想が功を奏し、アーティストやレーベルへの支払いは10億ドル(約1155億円)に迫る勢いです」。

確かにテーマからすると奇妙な買収だ。しかし、Epicは近年、Fortniteの熱狂的な人気のおかげで、大量の資金を手に入れ、買収に明け暮れている。一方、パンデミックによって、多くのミュージシャンが自分の作品と、それを世に送り出すためのプラットフォームとの関係を見直す必要に迫られている。Bandcampは、Spotify(スポティファイ)のような巨大サービスに対して、はるかにミュージシャンフレンドリーなサービスと位置づけで、ストリーミングコンサートなどを提供サービスに追加している。

EpicのVPであるSteve Allison(スティーブ・アリソン)氏は、別のブログ投稿でこう述べている。「Epic GamesにBandcampのチームを迎えることができ、これ以上ないほどうれしく思っています。Bandcampは、新進気鋭のアーティストが、ファンの直接的なサポートによって成功できるようなすばらしいコミュニティとビジネスを構築しており、音楽界で最高レベルの収益モデルと条件を備えています。これは、あらゆるメディアでクリエイターを支援し、ファンと直接つながることを可能にするというEpicのアプローチと良く調和しています」。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

【コラム】所有の新しいかたち、P2Pファイル共有から音楽NFTまで

Outkast(アウトキャスト)の海賊版が販売されていた2003年に、そのMP3のコピーを所有することでロイヤリティー(著作物使用料)を得られる世界を想像できただろうか。

NFT(非代替性トークン)やWeb3への批判が高まる中、ヒップホップ界のレジェンドでありイノベーターであるNas(ナズ)は、自身のシングル2曲をNFTでリリースしている。ファンはこれを購入することにより、ストリーミングのロイヤリティを得ることができる。音楽NFTの人気の高まりにより、次のような非常に興味深い議論に注目が集まっている。ブロックチェーンは、トレントの自由でオープンであるという利点に相反するものだろうか。ブロックチェーンは、コンテンツの違法コピー製作者と同じように、ゲートキーパーを排除しようとしているのだろうか。

アーティストとファンの対立

デジタルエンターテインメントの歴史の中で最も対立が激しかったのは、Napster(ナップスター)が登場してきた時期と、2000年代、BitTorrent(ビットトレント)が広く普及した時期だ。この時期、音楽業界、映画業界が大きく変わり、アーティストとファンが対立した。2000年代の終わりには知的財産権の行使が急増し、同時に、Spotify(スポティファイ)、Netflix(ネットフリックス)、Apple Music(アップルミュージック)などに代表されるような、デジタル商品の消費者向けオプションが大幅に拡充した。

Web3への移行が始まり、デジタル所有権、知的財産マネジメント、クリエイターの権利といった概念に再び注目が集まっている。Web3を批判する人たちはトレントの特性と比較して否定することが多い。トレントは「知的財産権への革新を求める抵抗」の表れで、コンテンツがよりオープンで自由で利用しやすいインターネットを生み出したのに対し、ブロックチェーンはその逆のことを行っている、というのがその言い分だ。

これには的外れな点がある。まずユーザーがトレントを利用する理由として、金銭面の節約という人もいたが、多くの人にとっては公式の有料コンテンツに比べて利便性が圧倒的に高いからというものだった。トレントの動きは、急速な技術革新によって引き起こされた、時代遅れのビジネスモデルに対する消費者の反発と捉えると、非常にわかりやすい。その意味で、Web3はまさにトレント時代の精神を継承したと言える。

もう1つの問題は、Web3を批判する人たちが当時の実際の論点を忘れてしまっていることだ。哲学的な考えを持った当時の違法コピー製作者たちは、その行為の大義名分として、アーティストは中間業者のせいで不利益を被っていると指摘していた。

「アーティストはツアーで稼いでいるから問題ない」というのがその時の目立った主張で、大規模な音楽出版社はたいてい悪者とされた。実際には、トレントがレコードの売上に影響を与え、音楽出版社とアーティストの両方の利益が損なわれた可能性が高い。トレントの動きをWeb1.0支持者によるWeb2.0移行への反発としてのみ捉え直すのは、コンテンツの違法コピーにより不利益を被る人たちを無視する「バラ色のメガネ」をかけた楽観主義だ。

また、自らの権利を主張し、音楽出版社側に付いていたと思われる多くのミュージシャンもファンの反感を買ったが、これによりトレントの道徳的優位性が高まるということはなかった。

一方、Web3では、コンテンツへのアクセスだけでなく、そのコンテンツで何ができるかということも重要視されている。言い換えれば、コンテンツの実用性と価値、とりわけこの問題の中心であるクリエイターにとってのそれが重要になる。ゲートキーパーを排除しようとする点では、Web3の構築者とトレントのサービス提供者は多くの同じ目標を共有している。

しかしWeb3は、強力な希少性、透明性、完全な所有権、明確な出所など、トレントよりはるかに優れた武器をこの戦いのためにクリエイターやファンに提供する。アーティストが自分のコンテンツを直接所有し、自分のコミュニティとのつながりを維持することは、これまで以上に容易になってきている。Web3はある点ではトレントに敬意を表しつつ、アーティストとそのファンにとってより有意義で、彼らに経済的な力を与えることのできるインフラを提供している。

ゲートキーパーの排除

トレントとブロックチェーンは、どちらもピア・ツー・ピアの分散型テクノロジーであるという点で類似している。また、NFT人気の高まりにより、ブロックチェーンはコンテンツを配信するためのより一般的な方法になりつつある。コンテンツ配信はビットトレントが手がけるサービスでもある。これらのテクノロジーの大きな違いの1つは、知的財産権に対するそれぞれのユーザーのアプローチだ。

トレント時代、Web3時代のどちらにおいても常に認識されているのは、創作活動は難しく、楽しく、利益や称賛に値するという事実だ。知的財産権は、このような創作活動が継続的に行われることを保証する1つの方法である。これまでの知的財産権の制度では、創造活動の価値は、ゲートキーパー、レントシーカー(既得権者)、中間業者によって圧倒的に掌握されていた。こうした枠組みでは、中間業者は価値を「発掘」するための手段に過ぎないということが見逃されている。

私と同じようにシャワーを浴びながら好きなように歌う人たちには好感しかないが、アーティストが何もない部屋に閉じこもって創作活動をしても、家賃を支払う助けにはならない。そのために、音楽出版社、レーベル、管理会社、代理店などが登場してきたのだ。賛否両論あるものの、こういった中間業者は、テクノロジーや配信手段の特質を考えると、非常に長い間、信じられないほどの成功を収めてきた。それでも、決して価値の発掘が大きな問題としてなくなったわけではない。もっと詳しいことが知りたい方には「shill on Twitter(Twitter上のサクラ)」の部屋がある私のNFT Discord(ディスコード)を紹介したい。

ともあれ、トレント時代に激しい対立が生まれた要因は、これらの中間業者が、支援するべき才能あるクリエイターが手にするよりはるかに大きな力と価値を持つようになったと考えられたことにある。とりわけ急速に技術革新が進む時代にありながらである。

Web3の大きなゴールは、トレントのサービス提供者が追い込んできたゲートキーパーを根本的に排除することだ。Web3に問題があるとすれば、その1つは、ゲートキーパーが数多く存在するということだ。このような透明で分散化されたツールを使えば、自分が苦労して稼いだお金が支援したいクリエイターやプロジェクトに直接使われているのを実感できることが増えていく。

オープン台帳やスマートコントラクト、ホワイトペーパーは、かつてクリエイターが強制的に結ばされていた不可解で機密性の高い契約とは際立って対照的だ。これまでは知的財産権がクリエイターを保護してきたが、これからは新しいメカニズムがその役割りを果たすことが期待されており、利益を得るのはクリエイター自身であると確信できるようになった。あるアーティストの言葉を借りれば、このテクノロジーによって「クリエイターを増やし、音楽を増やし、そして人間としての体験を増やしていく」ことが可能になるのだ。これを「昔は知的財産権は悪だったが、今は知的財産権は善だ」とまとめては、両者の動きの核心を完全に理解していないことになる。

権利を求める戦い

NFTは、アルバムや物理的なアートと完全に置き換わるものではない。音楽を聴いたり美しいものを集めたりするのに、暗号資産ウォレットは(おそらく)必要ないだろう。NFTはファンに新しい体験を提供すると同時に、権利設定とクリエイターの自活能力の両方に大きな影響を与える。

私は4年以上かけてTwitch(ツイッチ)の音楽サービスを構築し、そのうちのかなりの時間をDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の調査に費やしたため、米国のデジタル知的財産権の行使には頭痛がともなうをことをよく知っている。

NFTは、それよりはるかに明確で、透明性が高く、相互運用性があり、効率的なビジネス手法だ。すべての所有権の詳細は法律用語に埋め尽くされることなく、単純なコンピューターでも理解できる言葉で書かれている。さらにこれらの契約がシンプルであれば、ライセンスの利用が大幅に促進される。これは、購入しやすいMP3への移行が音楽ストリーミング産業の始まりとなった流れと同様だ。人々はやるべきことをしたいと考えており、それを容易にかなえられる製品があれば、それを実行に移す。

つまり、NFTはコラボレーションへの障壁を下げ、ファン自らもクリエイターを志せるきっかけなるということだ。ファンがアルバムを所有すれば、そのアルバムを使ってリミックスやサンプリングができるようになるだけでなく、ストリーミングしたり、バーで流したり、映画やポッドキャストのサウンドトラックに入れたりする権利も得られるというのであれば、それはとてもすばらしいことだ。

当然のことながら、NFTの利用に際して譲渡される権利はアーティストが所有しているか、権利者により譲渡される必要がある。これが独立系アーティストがこの領域でのイノベーションと早期導入を後押しする理由だ。彼らは自分たちのために公正な権利プロファイルを保持しており、そのおかげで活動の余地がさらに広がる。

契約を結んでいるアーティストにも参加のチャンスはある。自分の肖像や制作したアートをベースにしたアートやコレクター向けのNFTを発行することができるだろう。私は、クリエイターがNFTをメリットバッジやコンサートなどのライブイベントへのアクセスパスとして活用しているを見るのが好きだ。多くのミュージシャンがこのような新しい手法を使い、自分たちのファンクラブを変えることに成功している。そこでは、完全な所有権と、一緒にコミュニティを構築する機会を得られる。

訴訟ではなく、コラボレーション

ブロックチェーンのテクノロジーは、自分のファンを把握する、中間業者を介さずにファンに物を贈ったり売ったりする、共有されたアーティファクトやシグナルでコミュニティを形成することなどを可能にして、アーティストがファンとのコミュニティを構築するための直接的な方法を提供する。

こういった活動を組み合わせることで、アーティストは20年前(特にファンを訴えていたころ)をはるかにしのぐコミュニティ形成力が得られる。そしてこれらのことはすべて、かつて消費者へのアクセスを管理していた中間業者を介さなくとも実行可能だ。

さあ、一息ついて、クリエイターたちにこの新しい領域を開拓する余地を与えよう。そして、これから構築される新しい物事を保護するために知的財産法が役立つのであれば、それを称えよう。私たちは、近年の技術的な動きにおいて最も重要な原則が、いまだ有効であることを喜び、そして理解することができる。その原則とは次のようなものである。「作品を生み出すというのはたいへんなことであり、クリエイターとその作品は保護されるに値する」。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Chris Fortier、翻訳:Dragonfly)

アーティストに大きなチャンスをもたらすはずだったWeb3、蔓延する作品の盗難や肖像権の侵害で評価に傷

Jillian C. York(ジリアン・C・ヨーク)氏はNFT(非代替性トークン)にはなりたくなかった。

ベルリン在住の作家で活動家ヨーク氏は、電子フロンティア財団のInternational Freedom of Expression(言論の自由を守り促進することを目的とするNGO)でも中核を担っている。どういうわけか、彼女の名前はいわゆるCypherpunk(サイファーパンク)の1人としてウィキペディアにも掲載されている。Cypherpunkはセキュリティ、暗号技術、プライバシーを推奨する活動家だ。ヨーク氏はこの3つを支持してるが、それらを自身の最も重要な関心事としたことはない。

「もちろん、ウィキペディアのリストから自分を削除することはできません。ですが私は、暗号技術を支持してはいますが、自分をCypherpunkだと思ったことはありません」と同氏はいう。同氏はウィキペディアの編集ルールを尊重しているため、自身が参加したくもないグループに強制的に参加させられてしまったわけだ。

ところが、2021年のクリスマスイブに、ウィキペディアに掲載されているヨーク氏と多数のセキュリティ賛同者およびCypherpunkたちがトークンマーケットOpenSea(オープンシー)にNFTとして登場したのだ。これらのトークンには、そのCypherpunkの想像画が含まれている。ヨーク氏のトレーディングカードには、回路や指紋とおぼしき背景から彼女の署名のトレードマークである坊主頭がちらっとのぞいている。またヨーク氏は、自分が参加したくないもう1つのグループにも属してしまっている。自分のアートや作品を盗まれてNFTを作成されてしまった人たちのグループだ。同氏は激怒している。理由は2つある。1つは、クリエイターが使用した写真は著作権保護されており、実は彼女の資産ではなかったこと。

もう1つは、名前のスペルが間違っていたことだ。

トレーディングカードはプロの写真家が撮影した写真をもとにしたもので、Jillion Yorkという名前が入っていた。また、こうしたNFTコレクションには、ヨーク氏と同氏の仲間たちに加えて、セキュリティ界隈ではすでに忘れ去られたRichard Stallman(リチャード・ストールマン)やJacob Appelbaum(ジェイコブ・アッペルバウム)などの名前もあった。トレーディングカードに描かれたヨーク氏と数人の人たちは、そうした人たちと一切関わりたくないという考えだった。

「私はこうしたものを一切認めていませんし、削除して欲しいと思っています」とヨーク氏は12月26日にツイートしている。他の多くの支持者や被害者も同様のコメントを寄せている。OpenSeaとNFTクリエーターの間で何度もやり取りが行われた末、ItsBlockchain(イッツブロックチェイン)という会社が要求に応え、すべてのNFTを削除した。

分散化資産を破壊するために中央の管理会社にアクセスする必要があるという現実を多くの人達が皮肉だと感じている。

「まったくばかげているし、疲れます。Web3のデジタル資産という新たな領域では、他人のアイデンティティーをその人の許可なくトークン化し、取引可能な商品として営利目的で販売できるというのですから」とNew Republic(ニュー・リパブリック)の編集者Jacob Silverman(ジェイコブ・シルバーマン)は書いている

ヨーク氏の試練は始まるのとほぼ同時に終わった。NFTのクリエーターHitesh Malviya(ヒテシュ・マルビヤ)氏がヨーク氏や他の被害者たちと連絡を取り、NFT画像を取り下げることに同意したのだ。数日後、これらの画像は削除され、代わりにMedium(ミディアム)の投稿が掲載された。この投稿でマルビヤ氏は次のように述べている。「我々のチームは暗号技術に関する若者達のコミュニティに、Cypherpunkという存在が、今日までにブロックチェーンテクノロジーの発展において果たした重要な役割について知ってほしかったのです」。

「残念ながら、多くのCypherpunkたちがこの考えに反対し、どのような形であれ参加を拒否しました。ですから我々はすべてのCypherpunkたちに、彼らに無許可でNFTを作成したことを謝罪しました」と同氏は説明した。

筆者がNFTについて、また個人の写真と情報、とりわけ他人のアートを金もうけに使うことができると思った理由を尋ねると、マルビヤ氏は不機嫌そうに次のように語った。

「我々はNFTにおける肖像権保護法については認識していませんでした。市場は規制されていないからです」と同氏は直接のメッセージで語った。「我々は3カ月間、人手と時間をかけて教育用のシリーズとこのNFTコレクションを作成しました。今回のことはいい教訓になりました。質問の答えになっていれば幸いです。コメントは以上です」。

今回の事態とそれに関するさまざまなコメントは、拡大しつつも混乱を招いているWeb3の一側面を表している。すべてのものが許可を必要としないなら、誰かの肖像、アート、データを使う際に許可を必要とするのは一体どのような場合だろうか?何より、Tシャツのデザインから裸体まで、何でもNFTに変えようとする輩に歯止めをかけるにはどうすればよいのだろうか?

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残念ながら、ヨーク氏のようなケースは決して今始まったことではなく、クリエーターを一攫千金狙いのNFTクリエーターから守ることを目的とするまったく新しい産業とツールチェーンが作成されている。

2021年4月、NFTを使った別の大規模な窃盗事件が発生した。アーティストQing Han(ここではQuinni[クイニー])の作品が盗まれ、ヨーク氏のケースと同じプラットフォーム、OpenSeaに再投稿されたのだ。クイニーは健康と慢性病に対する芸術的な見方でファンから愛されていたが、2020年2月にがんで亡くなった。クイニーの死後も、彼女の兄と仲間のアーティストZe Han(ツェ・ハン)氏がクイニーのソーシャルメディアアカウントを維持し、彼女の作品を投稿した。

1年後、泥棒たちがクイニーの作品を匿名で投稿した。ファンからの激しい抗議の後、作品はOpenSeaを含むさまざまなNFTをサイトから取り下げられ、表面上はすべての作品がブロックチェーンから削除された。クイニーの兄はこの件の後、NFTサイトへの参加を拒否している。

「今回の件では、クイニーのアート作品が無許可で販売されていたことを確認のため申し上げておきます」とハン氏はTwitterに書いている。「クイニーのアートが販売されている合法的な場所はありません」(これは今後変わるかもしれないが)。

今回の件で、多くのクリエーターたちがNFTに関して教訓を学んだ。デベロッパーたちは暗号資産にまったく興味のない多くのクリエーター向けにたくさんのツールを作成した。こうしたツールは、彼らが盗まれたアートに気づけるように、窃盗が発生していることを強調するTwitterのフィードをポップアップ表示する

オンライン共有コミュニティDeviantArt(デヴィアントアート)のある重要人物は、大規模なアート盗難に詳しい。

「当社はこのプラットフォーム上で5億点を超えるアートをホスティングしています」とDeviantArtのCMOであるLiat Karpel Gurwicz(カーペル・ガーイッジュ)氏はいう。「当社は何年にも渡って、盗難事件を扱ってきました。別に今始まったことではありません。実際の規制がかけられる前から、オンラインアートコミュニティとして、盗難には常に対処してきました」。

最近同社はブロックチェーン上のユーザーアートを検索するボットを開発した。このボットは、OpenSeaなどの人気のNFTサイトに掲載されているアートを、登録済みユーザーの画像と比較する。また、機械学習を使用して、DeviantArtのサーバーにすでに投稿されているアートに似たアートを見つける。さらには、アーティストにOpenSeaやその他のプロバイダーへの連絡方法を表示することで、削除プロセスも簡素化する。

DeviantArtのCOOであるMoti Levy(モティ・レビー)氏によると、このシステムはまだ、正規所有者によって投稿されたアートと窃盗犯によって投稿されたアートを識別しないという。

「ほぼ完全に一致するアートを見つけた場合は、ユーザーに最新情報を伝えます」と同氏はいう。「そのアートが、そのユーザーのNFTである場合もあります。誰が作成したのかはわかりません」。

このDeviantArt Protect(デヴィアントアートプロテクト)というツールは成功しつつある。すでに8万件の著作権侵害ケースを見つけており、2021年11月から12月半ばまでに送信された通知は4倍増となっている。DeviantArtは、NFTクリエーターたちがすべてのアートをまとめて盗むことができないようにボット対策ツールも追加した。

皮肉にも、NFTを販売している分散化市場は1つまたは2つのプロバイダーの周りに集約され始めている。最も人気のあるプロバイダーOpenSeaでは、ヨーク氏やクイニーのようなケースに専念する完全削除チームを設置した。

DeviantArtは、2022年1月初めの3億ドル(約346億円)のラウンドの後、評価額が130億ドル(約1兆5592億円)に達し、軌道に乗った。同社はNFT市場では並外れた最大のプレイヤーで、アクティブユーザー数は推計126万人、NFTの数は8000万点を超える。DappRadar(ダップレーダー)によると、DeviantArtで過去30日間に行われた取引の総額は32億7000万ドル(約3776億7000万円)、取引件数は2億3300万件に達する。ライバル会社Rarible(ラリブル)の同期間の取引総額は1492万ドル(約17億2000万円)だった。

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OpenSeaはエコシステムにおける自社の立場をオープンにしており、アーティストからの取り下げ要求にもできる限り迅速に対応していると主張している。

「他人のパブリシティー権を侵害するNFTを販売するのは、当社のポリシーに反しています」とOpenSeaの広報担当者はいう。「当社は、肖像権の侵害であるという通知を受けた場合にアカウントを停止したり使用禁止にするなど、こうした違法行為に対して定期的に複数の方法で対応してきました」。

興味深いことに、OpenSeaはディープフェイクについても断固たる措置を取っているようだ。同社はディープフェイクを同意なしの私的画像(NCII、non-consensual intimate imagery)と呼んでいる。この問題はまだ広く表面化していないが、インフルエンサーやメディア界のスターにとっては有害なものになる可能性がある。

「当社はNCIIに対しては一切容認しない方針で対処しています」と同社はいう。「NCIIまたはその類の画像(ある人物に故意に似せて修正された画像も含む)を使用したNFTは禁止しています。またそうした作品を投稿したアカウントは迅速に使用禁止にしています。当社は顧客サポート、信頼性、安全性、サイト保全性を維持するための取り組みを積極的に拡充し、コミュニティとクリエーターを保護し支援できるように迅速に対応しています」。

しかし、こうしたOpenSeaの取り組みに対し、多くのアーティストたちは満足していない。アーティストたちの多くは、自分たちの作品や仲間の作品がNFTプラットフォーム上で盗まれる事態になる前から、NFTに対して懐疑的だった。多くのユーザーたちが依然としてOpenSea上に自分たちの作品を見つけており、これに対して公に苦情を申し立てると、OpenSeaなどのプラットフォームの正式な窓口担当者と称するサポート詐欺師たちが押し寄せてくるという。

こうした混乱のため、DeviantArtのレビー氏によると、同社はNFTを探索してはいるものの提供するのは断っているという。実際、同氏はユーザーはNFTを欲しがっているとは思わないと考えている。

「長期的には、Web3は興味深いですし可能性もあると思いますが、アーティストを保護し支持するようなもっと良い方法で展開すべきです。アーティストを危険にさらすような方法には絶対に賛成できません」。

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(文:John Biggs、翻訳:Dragonfly)

「クリエイターファンド」はそれほど褒められたものじゃない

2020年の夏、TikTok(ティックトック)は「クリエイターファンド」と称して、米国内のクリエイターに贈与するための2億ドル(約229億3500万円)を用意した。これは当時としてはまだ珍しい手法である。より成熟したプラットフォームのYouTube(ユーチューブ)は、クリエイターの投稿動画で再生される広告の収益をシェアできるようにする、2007年に設立されたパートナープログラムを通じて資金を分配することでクリエイターに報酬を支払ってきた。しかしここ数年、TikTokの人気上昇に対抗するため、各ソーシャルメディア企業が独自のクリエイタープログラムを立ち上げている。YouTubeはショートのために1億ドル(約114億6500万円)のクリエイターファンドを設立し、Snapchat(スナップチャット)はSpotlight(スポットライト)チャレンジへの投稿に賞金を提供、Instagram(インスタグラム)はReels(リール)のクリエイターにゲーム化されたキャッシュボーナスを配布している。

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客観的に見て、大手テック企業が大金を放出しているというのはクリエイターにとって良いことのはずだ。しかし、長年ユーチューバーとして活躍し、最近ではTikTokのスターとなったVidCon(ビッドコン)の創設者であるHank Green(ハンク・グリーン)氏が最近のビデオエッセイで指摘しているように、クリエイターファンドは特段称賛されるべきものではないのかもしれない。こういったファンドはクリエイターの収益を配慮してのものではなく、「独立系アーティストにお金を払っています!」という企業のアピールに過ぎないという可能性もある。

TikTokのようなクリエイターファンドでは決まった一定の資金から支払いが行われているのに対し、YouTubeパートナープログラムでは広告収入のパーセンテージがクリエイターに分配される仕組みとなっている。つまりYouTubeが成長すればするほど、クリエイターに支払われるお金の総額も増えていくということになり、過去3年間でYouTubeはクリエイターに300億ドル(約3兆4374億円)を支払っている(YouTubeのパートナープログラムを通じて、クリエイターは自分の動画に掲載された広告から得られる収益の55%を得ることができる)。一方で、TikTokが成長してもクリエイターファンドの規模が変わることはない。

TikTokのプラットフォームは急速に成長しているのにも関わらず、その結果としてTikTokのクリエイターの収入はむしろ減っているとグリーン氏は主張している。ユーザーが良いコンテンツを投稿しているからこそ、このプラットフォームは成長できているのだという人もいるだろう。こういった巨大なテック企業にユーザーがもたらした価値に対して、これらのユーザーは適切な報酬を得ていないのである。

TikTokの広報担当者はTechCrunchの取材に対し「クリエイターファンドは、クリエイターがTikTokでお金を稼ぐための方法の1つに過ぎません」と答えている。

ブランドとコンテンツ制作者が簡単につながることができる「TikTok Creator Marketplace」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイス)や、ライブ配信中だけでなくいつでもクリエイターがチップを受け取れるようにした機能が2021年1月から開始するなど、新たな取り組みを数多く進めていると同社は主張しているが、当然このようなマネタイズ機能はYouTubeにもある。

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「クリエイターコミュニティの声に耳を傾け、フィードバックを得て、プログラムに参加している方々の体験を向上させるために機能を進化させ続けていきます」と同社はTechCrunchの取材に対して答えている。

TikTokの収益を1年以上にわたって綿密に追跡してきたグリーン氏によると、以前は1000回の再生で5セント(約5.7円)を稼いでいたものの、ここ数カ月は1000回の再生で2セント(約2.3円)になっているという。これはTikTokが成長しているために再生回数が増え、それにともないクリエイターへの報酬が減っているからだと同氏は主張している。

確かにTikTokは、フルタイムのクリエイタービジネス全体に資金を提供するためにこれらのプログラムを作ったわけではない。しかしこの支払い額は、ソーシャルプラットフォームへのクリエイターの貢献度を過小評価しすぎているのではないだろうか。クリエイターファンドがTikTokの長期的なクリエイター向け収益化計画であるかどうかは不明であり、またInstagram、YouTube、Snapchatの場合、これらの報酬はクリエイターに自分たちのプラットフォームを使ってもらうためのインセンティブに過ぎないが、クリエイターは短編動画をめぐる競争において少々疲弊気味のようだ。

他のフルタイムクリエイターもグリーン氏の意見に同意している。英国のテック系ユーチューバーであるSafwan AhmedMia(サフワン・アメッドミア)氏は、2021年4月からTikTokで2500万回以上の再生回数を集めたにも関わらず、112.04ポンド(約1万7000円)しか稼げなかったとツイートしている。YouTubeの米国トップクリエイターであるMrBeast(ミスター・ビースト)もこのツイートに返答し「10億回以上の再生回数」で1万4910.92ドル(約171万円)稼いだと答えている。TikTokは総再生回数を表示しないため、手動で数えない限りわからないようになっており、彼らの計算はグリーン氏の計算よりも正確ではないが、それでも彼らの試算によると、ミスター・ビーストとアメッドミア氏の2人は、再生回数1000回につき2セント(約2.3円)以下の収入しか得ていないことになる。

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クリエイターにとっては一般的に、YouTube、TikTok、Snapchatなどの動画のインプレッション数よりも、ブランドとの契約による収益の方が大きいといわれているが、それでもクリエイターは自分がプラットフォームにもたらす価値に見合った対価を支払って欲しいと願っている。

「TikTokの収益が上がれば、クリエイターの収益は下がる、というスローガンが作れるほどです。あらかじめ決まった額からの捻出ではなく、収益の一定割合を報酬として支払うというのはTikTokにとっては非常に悪いことですが、クリエイターにとっては非常に良いことです。TikTokはPRNewswireなんかで『今後3年間で10億ドル(約1155億円)をクリエイターに支払います』などと発表し、あたかもこれが莫大な金額かのようにして話していますが、実際のところ支払い額は完全にコントロールされており、参加するクリエイターが増えてアプリが成功すればするほどクリエイターの1ビューあたりの収入は減っていくのです」。

TikTokアプリ自体がどれだけの収益を上げているのかは不明だが、親会社のByteDance(バイトダンス)は2021年580億ドル(約6兆6500億円)の収益を上げており、この数字を見ると約2年前に開始した2億ドル(約229億3500万円)のクリエイターファンドがあまりにも小さな数字に感じてしまう。

それでもTikTokとYouTubeを比較するというのは、リンゴとオレンジを比較するようなものである。30秒のTikTokが、20分のYouTube動画の支払い額よりも少ないのは当然だ。YouTubeにはプレロール、ミッドロール、エンドロール広告があるが、TikTokの広告は動画と動画の間に表示される(広告主も日に日に賢くなっており、人気トレンドをみんなと同じように繰り返して普通のTikTok動画のように見せてくるため、ユーザーはしばらくして突然動画が洗顔料か何かを売ろうとしていることに気づくのである)。TikTokの途中で広告が再生されることはなく、あまり煩わしくないユーザー体験を提供している。これに対してYouTubeは広告なしのYouTube Premiumプランを月額11.99ドル(1180円)で提供している。

TikTokもYouTubeに倣ってより多くの広告を挿入して収益を上げ、クリエイターへの報酬を増やすことができるだろう。しかしそれはかなり迷惑な話であり、またTikTokがお金に困っているとも思えない。もう一度いうが、ByteDanceは2021年に580億ドル(約6兆6500億円)を稼いだのである。TikTokのクリエイターファンドは2億ドル。これはTikTokの親会社の収益の0.3%にあたり、その0.3%が複数年にまたがってクリエイターファンドに費やされているのである。

TikTokがクリエイター経済に革命を起こしているというが、実際はクリエイターたちがプラットフォーム上で寄せ集めたオーディエンスを構築し、活用しているというところが正確だ。ただし数字を見ると、TikTokは実際にクリエイターを支援するために十分な資金を一切投入していないのである。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

史上最高のQBトム・ブレイディ氏のセレブNFTスタートアップ「Autograph」がトップ暗号資産投資家から193.5億円調達

著名アメフトプレイヤーのTom Brady(トム・ブレイディ)氏が共同創業に参加したNFT代理店のAutograph(オートグラフ)は、特にスターパワーの宝庫だ。同社はこのたび、このプラットフォームによって新世代のセレブリティとそのファンを、暗号資産コレクションの世界に引き込むことができると期待する暗号資産投資家たちから新たな資金を調達した。

スタートアップがクローズしたのはAndreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)とKleiner Perkins (クライナー・パーキンス)が主導した1億7000万ドル(約193億5000万円)のシリーズBだ。ラウンドにはKatie Haun(ケイティ・ホーン)氏の新しいファンドとLightspeed(ライトスピード)のパートナーであるNicole Quinn(ニコル・クイン)氏も参加している。これは、01AとVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャー)が共同で主導し、2021年7月にクローズしたシリーズAラウンドに続くものだ。今回の調達により、ホーン氏、a16zのArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏、Kleiner PerkinsのIlya Fushman(イリヤ・フッシュマン)氏の3名が新たに取締役会に加わった。

彼らは、ブレイディ氏、Apple(アップル)のEddy Cue(エディー・キュー)氏、FTXのSam Bankman-Fried(サム・バンクマン=フライド)氏、The Weekndとして知られるアーティストのAbel Tesfaye(エイベル・テスファイ)氏などの有名人を擁する多彩な取締役会に加わることになる。

Autographは、恐ろしく騒がしいNFTの世界で、個人的な存在感を発揮したいと考えているセレブリティアスリートやエンターテイナーを仲介する代理店のような存在だ。有名人のNFTは、2021年初めに暗号化されたコレクターアイテムが人気を博して以来、さまざまな結果を見せている。ファンに報いるために考え抜かれたプロジェクトとともにこの世界に入ってきた人たちがいる一方で、多くの人に嘲笑されるような金儲けのためのプロジェクトも多数あったのだ。

これまで一般に暗号資産は、目の肥えた有名人が自身の評判(という資産)を失うことなく、世間に影響を与えたり利益を得るのは難しいとされていた。たとえばマット・デイモン氏は、2022年1月、つまらない暗号広告キャンペーンに出演したことで、かなりの嘲笑を浴びることとなった。今週初めには、キム・カーダシアン氏とフロイド・メイウェザー氏が、過去に2人が承認したトークンに対して投資した投資家から訴訟を起こされている。

他のNFTユニコーンであるDapper Labs(ダッパー・ラボ)は、NFL Players Association(NFL選手協会)やNBA Player Association(NBA選手協会)をはじめとする、米国の包括的なスポーツリーグの選手協会とパートナーシップを結んでいるが、これに対してAutographは、個々のアスリートと、彼らがプレーするチームや彼らが所属するリーグの文脈の外で、彼らをとりまく個人的な魅力に焦点を当てているようだ。Autographの初期のパートナーは主にスポーツ界だが、ブレイディ氏、タイガー・ウッズ氏、シモーネ・バイルズ氏、デレク・ジーター氏、大坂なおみ氏、ウサイン・ボルト氏、ウェイン・グレツキー氏、トニー・ホーク氏など、それぞれのスポーツ界で最も有名なアスリートたちが名を連ねている。

Autographの目的は、最高レベルの顧客が、より厳選された環境下で、暗号資産の世界へ関わることができる入口を用意することにあるようだ。

Autographは先の7月にDraftKings(ドラフトキングス)との提携を発表したが、同社はすでに多くのマーケットプレイスと提携してきたという。Autographは主に、Ethereum(イーサリアム)のインフラストラクチャを利用するPolygon(ポリゴン)ブロックチェーン上でNFTを提供してきたが、トランザクションあたりのエネルギー消費量はかなり少ない。これは、ブロックチェーン技術に対する環境批判に晒されることを警戒している有名人にとっては重要な要素だろう。

またスポーツ界以外では、The WeekndやSlam Magazine(スラム・マガジン)、ホラーシリーズのSaw(ソウ)の公式NFTなどを手がけている。

関連記事:NFTコレクターズマーケットプレイスの立ち上げ計画をDraftKingsが発表

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

息を呑むような没入型バーチャルコンサートの未来を切り開くAmazeVRが約17億円調達

コンテンツ生成ツールでお気に入りのアーティストのVRコンサートを体験できるバーチャルリアリティコンサートプラットフォームAmazeVR(アメイズVR)は、1500万ドル(約17億円)を調達した発表した。このラウンドでは、3週間で募集枠を超える申し込みがあった。

Partners InvestmentMurex Partnersがこの資金調達ラウンドを共同でリードし、Smilegate Investment、Quantum Ventures KoreaABC Partners、Everrich Group、GS Groupのコーポレートベンチャーキャピタル部門のGS Futures、We Ventures、Base Investment、Dunamu&Partners、そして既存投資家のMirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital、Partners Investment、Timewise Investmentが参加した。

AmazeVRは2015年の創業以来、合計3080万ドル(約35億円)を調達しており、急成長を推進するために2022年初めにシリーズBを調達する計画だという。同社の共同CEOであるErnest Lee(アーネスト・リー)氏はTechCrunchに対し、新たな資金をさらなる従業員の採用に充てる予定だと語った。リー氏によると、AmazeVRは2021年を12人の従業員でスタートしたが、現在はハリウッドとソウルに3倍の41人を抱えている。

「当社は、関わっている(音楽、エンターテインメント、テック、ゲーム)業界から、優秀な人材を集めることができました」と同氏は話した。「これにより、VRとメタバースの人気の高まりを最大限に活用し、主要アーティストの息を呑むようなVRコンサートを、まず映画館に、そして世界中の家庭に届けるのに理想的な位置につけています」 。

ソーシャルメディアの登場で、ファンはお気に入りのアーティストにかつてないほどアクセスできるようになったが、それでもスクリーンで隔てられているのが現状だ。AmazeVRによるVRコンサートは、ファンをスクリーンの向こう側に連れて行き、お気に入りのアーティストと対面させることで人間的なつながりを生み出す、とリー氏は語る。ユーザーはアバターとして参加し、他のユーザーとぶらついたり、一緒にVRコンサートを体験したりする。

「ファンの記憶に残るのは、すばらしいVR体験ではなく、幻想的な没入感の中で好きなアーティストと実際に対面し、現実との境界線を曖昧にする、目に見えないような優れた技術を構築することが当社のゴールです」とリー氏はTechCrunchのインタビューで述べた。

ロサンゼルスに本社を置き、ソウルにオフィスを構えるAmazeVRは、JB Lee(JB・リー)氏、Steve Lee(スティーブ・リー)氏、Jeremy Nam(ジェレミー・ナム)氏、Steven Koo(スティーブン・クー)氏という、韓国のメッセージングアプリKakao(カカオ)の元幹部が設立した会社だ。Kakaoの株式市場デビュー後、グローバルなインパクトを持つ企業の設立に再挑戦しようと考えた共同創業者4人は、ソウルを離れ、VRで未来を切り開くためにシリコンバレーに移住した。

リー氏によると、AmazeVRは2015年からVR技術を開発していて、2019年末にVRコンサートに完全に方向転換したという。

同社はパンデミック以前から、VRコンサートを通じたより没入感のある音楽体験の必要性を信じていた。しかし、音楽業界は少し距離を感じ、懐疑的だった。その主な理由は、最も収益性の高い収入源であるライブコンサートのカニバリゼーション(共食い現象)に対する懸念だったとリー氏はいう。

最近では、新型コロナウイルスの大流行によって市場での採用が加速し、AmazeVRは製品とマーケットの適合性を迅速に見つけられるようになっている。音楽業界も新しい技術に対して考え方が柔軟になり、そしてVRコンサートがライブコンサートではなく、新しいカテゴリーのエンターテインメントであることに人々が気づき始めたと、リー氏は続けた。

「音楽業界はパラダイムシフトを迎え、多くの企業が次の大きなものを取り入れようとしています。ライブストリームからバーチャルコンサート、Fortnite(フォートナイト)のショーまで多くの試みを目にしました。パンデミックはこのシフトを加速させただけです」とリー氏は語った。「これらの他のすべてのソリューションは、すでに存在するものから増分価値を提供するだけであり、他のソリューションはファンにとってカバーする価値、すなわち人間的なつながりを真に捉えていません」

AmazeVRは2022年春、グラミー賞を3回受賞しているMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオ)氏とともに、米国内の一部のAMCシアターを巡演する初の商業VRコンサートを展開する。AmazeVRはすでに2人目のアーティストとして世界的な一流アーティストを確保し、3人目のアーティストを最終決定しているとリー氏は語った。同社初のVRコンサートツアーは、長年の研究開発の結果、独自の9Kカメラと、複雑なUnreal EngineベースのVRコンサート視覚効果(VFX)モジュールを自動化し、一度に100台以上のヘッドセットを駆動できるソフトウェアによるものだ。同社は、コンテンツ制作の規模を拡大し、2024年までに新しいVRコンサートをシアター内と自宅の視聴者の両方に毎週リリースする予定だ。

「VRコンサートがいかにインパクトがあるかは、実際に体験してみないとわかりません。VRはついに2Dの体験をすべて吹き飛ばすことができるのです。当社の技術のおかげで、スクリーンからは得られないリアルな臨場感、お気に入りのアーティストがすぐそばにいて、あなたと向かい合っているような感覚を呼び起こすことができます」とリー氏は話した。「これは音楽の新しい次元を切り開くもので、録音が登場して以来、アーティストとファンがつながる初の新しい方法の1つです。投資家がこのことを理解し、当社の革新と成長を支援してくれることに感激しています」。

画像クレジット:AmazeVR

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

ストリーミングに対する公正な支払い実現のために、Tidalがミュージシャンへの直接支払いシステムを構築

先に、Tidal(タイダル)と人気の独立系音楽ディストリビューターであるDistroKid(ディストロキッド)連携し、アーティストへの直接支払いシステムを発表した。Tidalによる今後のより大規模なシフトを予感させる今回のパートナーシップは、1日に何百万ものストリームを得ることのできない世のミュージシャン(要はテイラー・スウィフトやリル・ナズ・Xではない全ミュージシャンである)に資金をより公平に分配できるとされるストリーミングの支払いモデルを実験するためのものである。

Tidalの月額19.99ドル(約2300円)のHiFi Plusプランに加入している場合、月額利用料の最大10%、約2ドル(約230円)が最もよく聴いているアーティストに分配されるシステムで(そのアーティストがDistroKidを利用している場合に限定される)、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)のアプリストアのように、仲介金を取るサービスを通じてサブスクリプション料を支払っている場合この割合は減少する。CD Baby(シーディー・ベイビー)、Equity Distribution(エクイティ・ディストリビューション)、Stem(ステム)、Symphonic(シンフォニック)、Tunecore(チューンコア)、Vydia(ヴィディア)などの独立系ディストリビューターとも同様の契約を結んだとTidalはTechCrunchに対して話している。

このモデルは、一般的にアーティストに支持されているユーザー中心型決済システム(UCPS)の一例だ。UCPSを採用しているストリーミングサービスDeezer(ディーザー)によると、このシステムではファンのストリーミングに基づいてアーティストにサブスクリプション料金が分配されるため、個々のファンが好きなアーティストをより直接的かつ透明性をもってサポートすることができるという。Apple Music(アップルミュージック)のような1ストリームあたり約1セント(約1.1円)が支払われるプラットフォームで10曲入りのアルバムを1回聴いたとすると、そのアーティストは10セント(約11 .4円)の収入を得ることになる(ただしこれはディストリビューターやパブリッシャーが取り分を得る前の価格である)。しかし、DeezerやSoundCloud(サウンドクラウド)のようにUCPSを採用したプラットフォームでは、あるユーザーが1カ月に10人のアーティストの10枚のアルバムを聴いたとすると、そのユーザーの月額利用料の一部がその10人のアーティストに分配されることになり、各アーティストは10セント以上の報酬を得ることができる。つまりCDを買うのと同じ原理で、そのCDをどれだけ頻繁に聴くかではなく、そもそも買ったという事実が考慮されるということだ。

TidalがTechCrunchに話してくれたところによると、独立系ディストリビューターとの契約に加え、2022年1月からはHiFi Plusのレイヤーにもある種のUCPSが導入されるという。Tidalはメジャーレーベルとインディーズレーベルを含む100以上のレーベルと協力して、同社が「ファン中心型ロイヤリティプログラム」と呼ぶシステムを開発したと話している。

画像クレジット:Deezer

現在、Apple MusicやSpotify(スポティファイ)などの主要ストリーミングプラットフォームは、総ストリーミング数に応じて金額を分割するプロラタ方式で支払われている。しかし、音楽著作権侵害の危機に対する答えとして始まった音楽ストリーミングサービスの成長は、全体的に見るとミュージシャンにとってあまり有益なものではなかった。現代ミュージシャンの主な収入源はツアーのため、パンデミックの影響で多くのコンサートが中止になった今、ストリーミング配信の支払いの不公平さがより顕著になったのである。

Union of Musicians and Allied Workers(UMAW)は2020年「Justice at Spotify」というキャンペーンを開始した。このキャンペーンではストリーミング大手のSpotifyに対し、UCPSの採用、支払いに関する透明性の向上、1ストリームあたり最低0.01ドル(約1円)の支払いを要求している。UMAWによると、現状では同プラットフォームは1ストリームあたり平均0.0038ドル(約0.4円)を支払っていると推定されているが、Spotify自身はストリームあたりの支払いが意味のある分析値ではないとして、この値を開示していない。

Joey DeFrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)氏はUMAWを代表して、TechCrunchに次のように伝えている。「Tidalのユーザー中心型決済システム採用に向けた取り組みは称賛すべきものです。これは2020年に「Justice at Spotify」キャンペーンを開始して以来、私たちが要求してきたシフトであり、DeezerやSoundCloud(サウンドクラウド)ではすでに採用されています。ユーザー中心型は特効薬ではなく、ストリーミングロイヤルティにはより根本的な変化が必要ですが、それでも正しい方向への一歩と言えるでしょう」。

一方Apple Musicは、2021年初めに流出した社内メモによると、1ストリームあたり平均0.01ドル(約1円)を支払っている。Tidalも同様の額を支払っているといわれているが、同社自身は正確な数字を明かしていない。そしてストリーミングリーダー3社の中で最も多くの加入者を抱えるSpotifyは、最も低い金額を支払っている。

Spotifyのユーザーは競合他社のプラットフォームのユーザーよりも多くの音楽をストリーミングしているため、競合他社と比較して1ストリームあたりの支払額が少ないように見えるだけだとSpotifyは指摘している。また、Apple MusicやTidalとは違い、Spotifyは広告で補助された無料版を提供しており、これがストリームあたりの支払額の指標を歪めている可能性があるとしている。

ストリーミング配信の収益はアーティストに直接届くわけではなく、まずアーティストの所属するレコードレーベルやパブリッシャーに分配される。アーティストが1ストリーミングあたりに得られる金額は業界内の契約によって異なるが、UMAWによると、独立系アーティストが米国の国民中央値である1078ドル(約12万3000円)の月額家賃を支払うためには、毎月28万3684回のSpotifyストリームを達成する必要がある。

Spotifyは2018年にDistroKidの少数株を取得しているが、つい数週間前発表された四半期ごとのSECファイリングによると、DistroKidの持分の3分の2を約1億6300万ドル(約185億4000円)で売却したことが明らかになっている。このタイミングでDistroKidが、よりミュージシャンに優しいサービスであるTidalとすぐに契約を結び、UMAWがSpotifyに要求しているポリシーを実行に移したというのは実に興味深い。

しかしSpotifyは、ユーザー中心型決済システムが実際にどれだけアーティストの利益になるのか懐疑的だ。フランスの国立音楽センターの調査によると、上位1万以外のアーティストの場合、年間の支払い額は「せいぜい数ユーロ」しか変わらないという。

Spotifyのウェブサイトには次のように記載されている。「アーティスト、ソングライター、権利者が望むのであれば、我々はユーザー中心モデルへの転換を喜んで行います。しかし、Spotifyが単独でこの決定を下すことはできません。この変更を実行するには、業界の幅広い連携が必要不可欠です」。

UCPSの1バリエーションであるTidalの独立系ディストリビューターとの取引モデルは、確かにアーティストにとってはより有益なものになる可能性があり、最も多くストリーミングされたアーティストに対してユーザー1人あたり毎月2ドルのボーナスを支給すれば、それなりの効果が期待できる。しかし、どのようにしたらストリーミングプラットフォームがビジネスを運営しながらミュージシャンに対して正当な対価を支払うことができ、業界全体に変化をもたらすことができるかは、試行錯誤を繰り返さなければ見極めることができないだろう。

「ストリーミングのサブスクリプションコストが、実際に配信されているアーティストを直接サポートするというのは、正しい方向性への第一歩であり、私自身もTidalユーザーとしてうれしく感じています。とはいえ、月2ドルのボーナスは、1ユーザーにつき1アーティストにしか与えられず、独立したディストリビューター経由で契約したアーティストに対してのみのため、多くのミュージシャンにとって納得できるものではなく、形式的にも感じられます」とUMAWのメンバーであるSadie Dupuis(セイディー・デュピュイ)氏はTechCrunchに話している。デュピュイ氏はSpeedy Ortiz(スピーディ・オーティス)やSad13(サッドサーティーン)といったバンドのフロントを務めている。「一般的に、どの程度の自己配信型アーティストが、月間最もストリーミングされたアーティストの1位になれるのか知りたいところです。また、レーベルから配信されているアーティストは除外されています。彼らも公正なストリーミングロイヤルティを必要としていますし、特にそのロイヤルティの50%以上をレーベルと分割している場合はなおさらです。彼らの楽曲がどう配信されているかに関わらず、このサブスクリプションコスがより多くの音楽関係者に比例して分配されるようになればどんなにすばらしいかと思います」。

画像クレジット:DistroKid

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

ウータン・クランの幻のアルバムを手に入れたNFT投資家グループをアンドリーセン・ホロウィッツが支援

Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のアルバム「Once Upon a Time in Shaolin」や、Doge(ドージ)のオリジナル写真データのNFT(非代替性トークン)を購入した暗号資産集団に新しいメンバーが加わった。ベンチャーキャピタル会社のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)だ。

同社はTechCrunchに、PleasrDAOへの投資を行ったと述べている。PleasrDAOは、ブロックチェーンで連合したグループで、数十人の暗号資産投資家がチームを組み、ここ数カ月で高額なNFTを次々と購入している。このグループが購入したものには、4億円以上(正確には1696.9ETH)で落札した後、後に細分化して暗号コミュニティに販売した有名なDoge画像がある(現在の時価総額は100億円以上と見られている)。また、このDAOはEdward Snowden(エドワード・スノーデン)の作品に約5億5000万円(2224ETH)、ウータン・クランのアルバムに400万ドル(約4億5000万円)を払っている。

DAO(decentralized autonomous organization、自律分散型組織)とは、基本的にブロックチェーンの投票メカニズムを中心に形式的に組織されたグループで、意思決定や資本投資を行うというものだ。

A16z Crypto(アンドリーセン・ホロウィッツの暗号資産投資部門)によるPleasrDAOへの投資は、彼らが公に発表した組織タイプへの最初の投資というわけではない。

同社は10月、Friends With Benefits(FWB、フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)というDAOに投資を行い、これを1億ドル(約114億円)と評価している。Andreessen Horowitzは、PleasrDAOへの投資規模を明らかにしなかったが、評議員のSantiago Santos(サンティアゴ・サントス)氏は、このDAOの管理トークンに対する彼らの全体的な出資額が「5%未満」だと明言している。

他の多くの暗号資産グループと同様に、PleasrDAOはそれが形成されたとき、非常に特異な野心を持っていた。それは、デジタルアーティストによる作品に入札すること。この場合はpplpleasrの作品だ。この作品は、分散型取引所プラットフォーム「Uniswap(ユニスワップ)」のアニメーションビデオ広告だった。このグループは、暗号資産創設者のLeighton Cusack(レイトン・キューザック)氏がオークションへのリンクをツイートし「誰かこれに入札するクイックDAOを作りたい人はいませんか?」と尋ねたことをきっかけに、3月に結成された。同グループは最終的に310ETH(当時約5800万円)で落札し、購入代金はすべてチャリティーに充てられた。

「DeFiの最も賢い頭脳の多くがここにいる、これを本当におもしろい方向に持っていく機会がある、と私たちはすぐに考えました」。サントス氏はTechCrunchにそう語った。「時間が経つにつれて、もっと構造と階層が必要だと感じられるところまで、このDAOは成長したと私は思います」。

このグループはその後も投資を続け、ポートフォリオを充実させるとともに、支援できる新しいアーティストの発掘を目指している。サントス氏は、このグループがNFTの「メディチ家」になることを目指していると語る。それは「多くのデジタルネイティブアーティストが集まり、参加や発見ができる場所」だという。

「DAOはWeb3と暗号資産の最も純粋に近い現れ方です」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤーヤ)氏はTechCrunchに語った。

a16zは早くから暗号資産に取り組んできたが、この分野の創業者や開発者ネットワークの近くで活動するいわゆる「暗号ネイティブ」な投資ファンドの台頭により、a16zのような従来型の企業にはDAOのような新しいグループをより大胆に支援する必要性が生じてきた。Andreessen Horowitzは、方針や規制に関する懸念など、PleasrDAOを支援できる領域がたくさんあると見ている。DAOは現在、プールされた資本の規制されていない投資ファンドとしてグレーゾーンで運用されているように見えるからだ。

A16zのこのグループへの賭けは、多くの意味で、同グループがすでに大きく賭けているNFTへのレバレッジ賭けである。

A16zは2021年、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)や、大手NFTゲーム起業のSky Mavis(スカイメイビス)、NFT音楽プラットフォームのRoyal(ロイヤル)などに出資した。また、高価なNFTの買い取りに特化した1億ドルのベンチャーファンド「Meta4」にも参加している。これらの投資は、同社が2021年の夏に起ち上げた22億ドル(約2500億円)の巨大な暗号資産特化ファンドから行われている。

「NFTの可能性を過小評価することは簡単です」と、ヤーヤ氏はいう。「NFTが巨大化し、将来的にすべてのNFTの時価総額の合計が、代替可能トークンの時価総額よりも大きくなる可能性は十分にあります」。

関連記事:JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

画像クレジット:PleasrDAO

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SpotifyがShopifyと提携、アーティストのプロフィールに商品販売セクションを追加

Spotify(スポティファイ)は米国時間10月20日朝、電子商取引プラットフォームを提供するShopify(ショッピファイ)との新たな提携を発表した。これにより、Spotifyのサービスを利用しているアーティストは、SpotifyのプロフィールとShopifyのストアを結びつけることができ、Spotifyのアプリを通じてファンに直接商品を販売することが可能になる。アーティストは、Spotify for ArtistのアカウントとShopifyのオンラインストアを連携させることで、商品カタログをSpotifyに同期させ、音楽ストリーミングアプリ内のプロフィールに任意の商品を表示することができる。

ファンはそこから商品を閲覧し、購入することができるようになる。この統合により、アーティストの既存のShopifyストアへのアクセスが容易になるだけでなく、まだ商品サイトを開設していないアーティストにとっては新たな収益源となり、すでに他の場所でウェブサイトを開設しているアーティストにとっては、Shopifyのプラットフォームに切り替えるよい理由となるだろう。

Shopifyによると、すでに何千ものアーティストのウェブサイトが運営されており、音楽だけでなく、彼らが「完全に認知される」ブランドを構築するためにビジネスを拡大している。

「今日のアーティストは起業家のようです。彼らは多面的なブランドやビジネスを構築しており、私たちは彼らがファンと出会うことを容易にしています。Spotifyに起業家精神をもたらすことで、アーティストが従来の商品モデルを超えて、収益化のための新しい方法を考えたり、コマースを通じてブランドを試したりすることを可能にしています」と、ShopifyのプロダクトディレクターであるAmir Kabbara(アミール・カバラ)氏は述べている。

画像クレジット:Spotify

また、Shopifyは、アプリのエコシステムが充実していることから、アーティストがオンデマンド印刷や商品発見ツールのような新しいサービスを実現するのにも役立つとしている。Shopifyのインフラは、多くのフォロワーを持つアーティストが新製品を発表したときなどに、大量のトラフィックを管理することもできる。

今回のShopifyとの提携は大きな意味を持つが、Spotifyが他社と提携し、アーティストがアプリを通じて商品を販売できるようにするのは初めてのことではない。Spotifyは、長年にわたり、アーティストのプロフィールを他の商品サービスプロバイダーと統合して提供してきた。現在は、Merchbar(マーチバー)との契約が行われているが、過去にはBandPage(バンドページ)Topspin(トップスピン)との提携もあった。

Merchbarでは、アーティストが自分のプロフィールに掲載する商品を3つ選ぶことができる。今回、Shopifyを利用しているアーティストも同様のことができるようになる。

アーティストは、まずデスクトップでSpotify for Artistの管理画面にログインし「プロフィール」タブを開き「マーチ」をクリックする。そこから、Shopifyのストアから3つのアイテムを選んでプロフィールに掲載する。現在、アーティストは1人のアーティストにつき1つのShopifyストアしか接続することができないようになっている。

Shopifyは、登録を促進するために、Spotifyアーティストが初めて登録した場合、90日間の無料トライアルを提供している。

ただし、Spotifyによると、この機能は現在「ベータ版」だという。世界中のすべてのアーティストがShopifyストアにリンクすることができるが、当面はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国のリスナーにのみ商品が表示される仕様になっている。

画像クレジット:Spotify

ShopifyとSpotifyは、新しいクリエイターエコノミーを実現するという点で共通しているが、両者の重点分野は異なる。Shopifyは、自社のeコマースプラットフォームをあらゆる種類のクリエイタービジネスを補足する存在だと考えているのに対し、Spotifyの関心は、アーティスト(現在はポッドキャストクリエイターも含む)の方だ。Spotifyはこれまで、アーティストのビジネス拡大を支援するために、チケット販売チップスーパーファン限定メールなど、クリエイター向けのツールを数多く展開してきた。

2021年初め、SpotifyのCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏とShopifyのCEOであるTobi Lütke(トバイアス・トビ・ルーク)氏は、Clubhouse(クラブハウス)のセッションに参加し、今日のクリエイターがマネタイズ戦略を多様化するさまざまな方法について語った。

その際、エク氏は、多くのアーティストがShopifyのプラットフォームを利用していることに触れ、Shopifyとの連携の可能性を示唆していた。

「今、成功しているほとんどのクリエイターは、オムニタレント(万能型のタレント)であり、オムニチャネルである」と彼は当時語っている。「つまり、YouTubeで動画をアップしたり、Instagramを利用したりしているのです。おそらく、ブランドをまとめてShopifyにアップしているでしょうが、音楽や商品もShopifyにアップし、音楽はもちろんSpotifyにアップして、ツアーもしているでしょう。このように、彼らはさまざまなことをして、さまざまなプラットフォームでファンとつながっているのです」とエク氏は語った。

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)a

大ヒットのきっかけをつくる、インフルエンサーと若手ミュージシャンをつなぐ音楽アプリBreakrが4.6億円調達

音楽アプリのBreakrは2021年7月中旬、Slow Venturesが率いる420万ドル(約4億6000万円)のシードラウンドを調達したと発表した。Andreessen HorowitzのTxOファンドによる70万ドル(約7700万円)の資金調達は、このサービスの開発者がアイデアを実現するための概念実証のようなものだと考えられていたが、今回の資金調達はそれに続くものである。

Breakrのサービスが投資家にとって魅力的な理由は明白である。新進気鋭のミュージシャンとソーシャルメディアのインフルエンサーを結びつける手段として機能する同プロダクト。ミュージシャンはメディアへの露出を高めることができ、インフルエンサーは業務時間中にリスニングセッションを効果的にホストすることで報酬を得る。そしてBreakrは収益の10%を得るという仕組みである。

画像クレジット:Breakr

このサービスは、飽和状態となった音楽市場においてとてもユニークなアプローチを用いたものだ。音楽を発掘すること、発掘されることはともに困難であると誰もがわかっているが、音楽を聴く人のためにアルゴリズムを調整するのではなく、発掘されていない音楽を適切なリスナーの耳に届けるということに焦点をあてているのである。同スタートアップは6人の創業者によって設立されているが、そのうちの2人に話を聞いた際、ラッパーたちがレコード店の前に立ち、ミックステープのCD-Rを1枚5ドルで売ろうとしていた時代のことを思い出した。以来、さまざまなことが進化を遂げてきたが、音楽の発掘に関する問題はまだ誰も完璧に解くことができていない。

「Breakrはアーティスト、インフルエンサー、ブランドを効率的につなげるために必要不可欠なツールです。私自身の経験からいうと、多様なインフルエンサーを見つけるだけでなく、彼らを効果的に動かし、このプロセスを手動で行うというのは非常に手間がかかる作業です」とAMP TechnologiesのMarc Byers(マーク・バイヤーズ)氏はリリース中で述べている。「インフルエンサー・モールと私は呼んでいますが、同社のサービスを活用すれば、キャンペーンが必要とするテイストに最適な才能を購入するだけで良いのです」。

媒体がソーシャルメディアに変わっても、苦労の大きさや無益感は変わっていない。Def Jam(デフ・ジャム)のオフィスから出てきたラッパーのQ-Tipがその場で数小節聞いてくれたという、モブ・ディープの成功話はどこでも起き得る話ではない。もちろん、一般論として世界にはもっと多くのQ-Tipが必要であることは間違いない。しかし人間のクローンを作る技術はまだ存在しないため、Breakrは金銭的なインセンティブを加えて、その体験に近いものを提供したいと考えている。

「世界的に有名なDJやメジャーレーベルのA&RのメールやDMSには、彼らの気を引こうとするアーティストからのメッセージで溢れかえっています」。金融大手のGoldman Sachsに勤務していたこともあるCEOのTony Brown(トニー・ブラウン)氏はそう話す。「私たちは彼らに固有のURLを渡し、彼らはそのURLを送信して『おい、俺のDMSには近づくな、ここで会おう。価格はこうで、あとは話し合おう』という感じになるわけです」。

インフルエンサーがアーティストに対して課金する価格はフォロワー数に応じて高くなる。Breakrによると、約1万2000人のユーザーがインフルエンサーアカウントに登録しており、現在審査が行われているが、すでに3000〜4000のアカウントが承認されている。

「WarnerやSonyのような大企業から、SoundCloud上のラッパーのような無名アーティストまで、あらゆる企業や人々と仕事をしてきました」と、元Adobe勤務の創案者兼製品責任者のAmeer Brown(アミール・ブラウン)氏は付け加える。

ラッパーおよびインフルエンサーであり、長年の友人でもあるTobe Nwigwe(トビー・ノウィーグェ)氏も共同設立者に名を連ねており、自らリスニングセッションを開催するなど、ソーシャルメディアを通じてブランドの普及に積極的に貢献している。

「Breakrチームが構築しようとしていた、インフルエンサーとアーティスト間の技術的な仲介役としてのビジョンを見た瞬間、Breakrこそが未来だとすぐに感じました」とノウィーグェ氏は振り返る。「エリカ・バドゥやデイブ・シャペルのような文化的アイコンが私の音楽を後押ししてくれて、彼らのプラットフォームで私を徐々に広げてくれたことが私にとって非常に大きなチャンスでした。今後はBreakrで、あらゆるレベルのアーティストやインフルエンサーに対してこういったことができるのです」。

文化的アイコンとしては、ラッパーのNasも注目すべき投資家の1人である。TechCrunchに寄せられたコメントによると「つながりを知る前から同社のことは気に入っていましたが、この偶然がこの取引をさらに特別なものにしてくれました」とNasは話している。

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画像クレジット:Breakr

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

プレミアムデジタルアート・NFTプラットフォームNiioが約16.4億円調達、サムスンとの戦略的パートナーシップ締結受け

テルアビブを拠点とするデジタルアートプラットフォーム「Niio」は、先週発表されたSamsung Display(サムスン・ディスプレイ)との戦略的パートナーシップにともない、1500万ドル(約16億4000万円)のシリーズAラウンドを調達したことを発表した。

このラウンドは、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とCatterto(キャタルトン)のジョイントベンチャーであるL Catterton(Lキャタルトン)、Entrée Capital、Pico Venture Partnersが共同で主導したもの。さらに、Saga VCをはじめ、一流のアーティスト、アートコレクター、美術館、ギャラリスト、MoMA(ニューヨーク近代美術館)やGuggenheim(グッゲンハイム美術館)などの機関の評議会委員、オンラインギャンブル起業家であり、NFTにも投資しているShalom McKenzie(シャロム・マッケンジー)氏などが参加した。シリーズAの前に、Niioは最初に戦略的エンジェルから800万ドル(約8億7000万円)を調達し、続いて2017年に機関投資家からシードラウンドを行っていた。

Niioは今回の資金を、アーティストコミュニティの拡大と、アプリ対応のサブスクリプション・購入プラットフォームの拡張に使用するとのこと。ブロックチェーンベースのこのプラットフォームには、NFTやその他のデジタルアート資産の取引が可能なマーケットプレイスが含まれる予定だ。

Niioの共同創業者兼CEOであるRob Anders(ロブ・アンダース)氏は、次のように述べた。「デジタルアートは、NFTの爆発的な成長により市場が加速し、主流のメディアとして受け入れられるようになりました。人々がいま経験している変化は、文化にとってここ数十年で最も社会的に重要な瞬間であり、これまでにない方法で新しい種類のアートにアクセスし、スクリーン上で体験できるようになっています」。

Niioの技術は、ユーザーがデジタルアート作品をあらゆるデジタルスクリーン上でストリーミングすることを可能にし、音楽やエンターテインメントのストリーミングサービスがアルバムや映画に対して行ってきたのと同様に、アートとプラットフォーム構築との間のギャップを埋めるものだ。

前出のアンダース氏とOren Moshe(オレン・モシェ)氏によって2014年に設立されたNiioは、アクセシブルなストリーミング配信サービスと、公開マーケットプレイスや個人間取引を通じて、アーティストやギャラリー、コンテンツ所有者から直接、エディション化されたNFTアートワークを購入できる機能を組み合わせています、とアンダース氏はTechCrunchに語った。

Niioは、2021年末にサブスクリプションサービスを開始し、続いてNFTマーケットプレイスを開設する予定だ。これにより、アートの専門家からなるグローバルコミュニティに支えられたNiioは、デジタルアートメディアのための最も包括的なエンド・ツー・エンドのソリューションとなり、プレミアムデジタルアートに誰もがいかなるスクリーンからでも簡単にアクセスできるようになる。

約6000のギャラリー、機関、アーティストからなるグローバルコミュニティにNiioのツールを提供することで、Niioのプラットフォームとブロックチェーンは、アーティストが自分の作品を配信、管理、収益化、保存することを可能にする。

Niioは、クリエイティブコミュニティとアーティストがライフワークを公開、管理、保護する能力を尊重し、サポートするために、すべてのアーティストが同社のツールを永遠に無料で利用できるとしている。

Niioの共同創業者であるモシェ氏はこう述べている。「当社は、何よりもまずアーティストに力を与え、彼らの作品をデジタルで体験し、世界中で入手できるようにするというプラットフォームのビジョンを実現しました。6000人以上のアーティストが、ライフワークの公開、管理、保護、収益化を可能にする当社に信頼を寄せてくれていることに感謝しています」。

アンダース氏によれば、過去2〜3年の間に、約1万社のグローバル企業がNiioのプラットフォームを利用しているという。それらの顧客はギャラリー、美術館、スタジオ、アートスクールなどのアート関係者から、ラグジュアリーブランド、ホテルチェーン、不動産デベロッパーなど多岐にわたっており、プラットフォーム上で提供されている1万5000点のプレミアム作品から厳選されたアートストリームを、30カ国以上の公共スペースや場所で数百万人に向けて配信していると同氏は述べている。

アンダース氏は「スマートテレビは10億台以上の市場があり、当社のパートナーであるサムスンは市場の30~40%を占めているため、当社は『ラストマイル』提案をすることができます」とも語った。

デジタルアートの市場規模は、2025年には約500億~1000億ドル(約5兆4600億〜約10兆9200億円)になると予測されている。

L Catterton Growth FundのマネージングパートナーであるMichael Farello(マイケル・ファレロ)氏はこう述べている。「デジタルアートは、L Cattertonが長年注目してきた分野です。当社はデジタルアートの将来性に非常に期待しており、この分野を継続的に評価した結果、Niioにたどり着きました。サブスクリプションとNFTの両方を提供する彼らのプラットフォームアプローチと、批評家とアーティストのコミュニティで築かれた評判、そしてサムスンとのパートナーシップによる評価が相まって、彼らを市場のリーダーにすることを確信しています」。

画像クレジット:After Indifference by Siebren Versteeg, Commissioned by Niio

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

アーティストが私生活について語るオーディオ共有プラットフォーム「Mindset」が間もなく正式版をリリース

Mindset(マインドセット)は、レコーディングアーティストの個人的なストーリーを集めたプラットフォームだ。同社は米国時間8月25日、シード資金として870万ドル(約9億5500万円)を調達したと発表した。

K-POPに特化したポッドキャスト制作会社であるDIVE Studios(ダイブ・スタジオズ)の共同設立者として、Brian Nam(ブライアン・ナム)氏、Eric Nam(エリック・ナム)氏、Eddie Nam(エディ・ナム)の3兄弟は、スターが私生活における悩みをどのように処理しているかを語るポッドキャストのエピソードが、同スタジオで最もパフォーマンスの高いコンテンツであることに気づいた。そこでナム兄弟は、DIVE Studiosから派生したMindsetの着想を得た。

「私たちはこのようなコンテンツが、まさに人々からより多く求められているユニークなセールスポイントであることに気づきました。そこで私たちは、この点をさらに強化する方法を考え始めたのです」と、CEOのブライアン・ナム氏は語る。「この価値あるコンテンツを、Z世代やミレニアル世代の若い視聴者にもっと提供するにはどうしたらいいか。私たちは、この種のストーリーテリングに最適なプラットフォームが存在していないと判断し、これらのストーリーをオーディオ形式で共有するための独自のモバイルプラットフォームを開発することに決めたのです」。

画像クレジット:Mindset

Mindsetは現在、Jae(ジェイ)、Tablo(タブロ)、BM、そしてMindsetの共同設立者であり自身もK-POPスターであるエリック・ナムという4人のアーティストによるオーディオコレクションを提供している。それぞれのコレクションには10本のエピソードが揃っており、各エピソードの時間は10分から20分ほど。最初のエピソードは無料だが、各アーティストの残りのエピソードを聴くためには24.99ドル(約2700円)を支払う必要がある。このアプリには無料の「Boosters(ブースターズ)」も用意されている。これは就寝時に聴くための物語や、やる気を起こさせるマントラなど、瞑想アプリ「Calm(カーム)」に似た5分間ほどのクリップだ。

関連記事:新型コロナを追い風に瞑想アプリのCalmが2080億円のバリュエーションで78億円調達

「これまでミュージシャンにとっての主な収入源は、ツアー、音楽配信、そしてエンドースメント契約でしたが、私たちは4つ目の収入源となるストーリーの収益化を実現することができます」と、ナム氏は述べている。「その価格設定は、チケットの価格設定や商品の販売方法に似ています」。

Mindsetはセラピーアプリではない。「私たちはセラピストの資格を持っているわけではありませんし、そのように振る舞おうともしていません」と、ナム氏はいう。それよりもむしろ、アーティストがファンとより親密な体験を共有することで、音楽の背後にある彼らもまた人間であることを示すための方法なのだという。

Mindsetは、2021年2月にMVP(minimum viable product、必要最小限の機能のみを備えたプロダクト)バージョンとして発表された。そのアクティブユーザー数や売上高については、ナム氏は明らかにしなかったものの、このアプリが十分な人気を獲得できたため、5月にはベンチャー資金を調達したと語っている。今回の870万ドルの資金調達は、Union Square Ventures(ユニオン・スクエア・ベンチャーズ)が主導し、先ごろTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の原盤権問題で注目を集めたレコード会社の重役であるScooter Braun(スクーター・ブラウン)氏などが戦略的投資を行った。ブラウン氏はベンチャー投資会社のTQ Ventures(TQベンチャーズ)の共同創立者でもある。その他の出資者には、Twitch(ツイッチ)の共同創業者であるKevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Opendoor(オープンドア)の共同創業者であるEric Wu(エリック・ウー)氏などが含まれている。

「スクーター・ブラウン氏は戦略的投資家でした」と、ナム氏はTechCrunchに語った。

ブラウン氏は、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Demi Lovato(デミ・ロヴァート)などのアーティストとも仕事をしている。

「ブラウン氏のおかげで、私たちが伝統的なK-POPの世界からハリウッドや欧米に進出するための多くの扉が開かれました」と、ナム氏は付け加えた。

Mindsetは今回調達したシード資金を、コンテンツの制作、雇用、製品開発に充てるという。このアプリは現在、iOSAndroid向けに提供されているが、9月14日には正式版がリリースされる予定だ。その後は2週間ごとに、他のアーティストや俳優のオーディオコレクションが、追加されることになっている。これらのアーティストが誰になるのか、ナム氏は具体的な名前を明かすことは避けた。

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画像クレジット:Mindset

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Robloxがソニーミュージックと提携、アーティストとメタバースでの収益活動を結びつける

ビデオゲームプラットフォームのRoblox(ロブロックス)は、米国7月6日朝、Sony Music Entertainment(ソニー・ミュージックエンタテインメント、SME)と提携したことを発表した。この提携により、両社はRobloxコミュニティのための音楽体験を共同で創出し、ソニーミュージックのアーティストが新たなオーディエンスにリーチして収益を上げる方法を提供することになる。

今回の発表は、2021年6月に音楽出版社のグループが、Robloxがクリエイターにゲーム内でバーチャルブームボックスを作ることを許し、それらがアーティストの許可や支払いなしに著作権のある音楽をストリーミングしていたと主張し、2億ドル(約221億円)の訴訟を起こした後でのことだ。

訴訟に含まれていた音楽出版社は、Universal Music Publishing(ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング)、Big Machine Records、Concord Music Group、Downtown Music Publishing、Kobalt Music Group、Hipgnosis Songs Fundなどだ。Robloxはこの訴訟に対し「Robloxプラットフォームの運営方法に関する根本的な誤解」を表しているとして「驚き、失望した」と述べていた

Robloxは、同社は著作権侵害を容認しておらず、フィルタリング技術を用いて不正な楽曲を禁止していると主張している。また、デジタルミレニアム著作権法(DMCA、Digital Millennium Copyright Act)に基づく正当なテイクダウン要求に対しては、侵害コンテンツを削除することで対応していると同社は述べた。

しかし、今回のソニーミュージックとの契約は、Robloxが音楽会社とより公式な立場で提携することの価値を認識していることを示している。

Robloxは、ソニーミュージックのアーティストやそのファンに対してどのような「商業活動」を考えているのか詳細は明らかにしなかったが、同社は過去には、2020年11月のLil Nas X(リル・ナズ・X)による初のバーチャルコンサートや、2021年5月のZara Larsson(ザラ・ラーソン)ローンチパーティーのバーチャルイベントなどで、音楽会社と協力していた。そのコンサートには3600万人以上のプレイヤーが参加し、ローンチパーティーには400万以上のアクセスがあり、これまでのRobloxのローンチパーティーの中で最高のアクセス数を記録した。

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Robloxのプラットフォームでは一般的に、アーティストはバーチャルコンサート、グッズ販売、その他の統合されたゲーム内アクティビティなど、さまざまな活動を通じてファンにリーチできる。ただし今回の契約には、ソニー・ミュージックエンタテインメントのアーティストの音楽へのアクセスは含まれていないとのこと。

SMEのグローバルデジタルビジネスおよび米国セールス担当プレジデントのDennis Kooker(デニス・クーカー)氏は、声明の中で次のように述べた。「ソニーミュージックのアーティストは、Lil Nas Xがプラットフォーム上で行った業界初のバーチャルパフォーマンスや、Zara Larssonによる最近のリスニングパーティーイベントのような先進的な取り組みを行い、Robloxの巨大なユーザーコミュニティにいる何百万人もの音楽ファンを魅了してきました。今回の新たな契約により、Robloxチームとの成功しているパートナーシップを拡大し、音楽とゲームの接点における商業機会をさらに広げていきたいと思います。没入型のオンライン環境は、バーチャルコミュニティを利用して音楽体験を共有したいと考えている多くのファンにリーチするための重要な機会となります」。

この契約は、Robloxのユーザー層の年齢が上がってきている中で成立した。同社は2021年第1四半期の決算において、13歳以上のユーザーのエンゲージメントが128%増加したことを報告している。この年齢層は、若者にとって音楽が生活の中でより重要な役割を果たし、好きなアーティストとより直接的につながりたいと考える時期だ。また、同じ四半期にDAU(デイリーアクティブユーザー数)は79%増の4210万人に達し、売上高は140%増の3億8700万ドル(約428億円)となった。

RobloxのVP兼音楽部門グローバルヘッドのJon Vlassopulos(ジョン・ヴラソプロス)氏はこう述べた。「ソニーミュージックはすばらしいパートナーであり、両社の関係がさらに深まり、長くなることをうれしく思います。SMEはメタバースがアーティストにもたらす巨大な機会を真に理解しており、当社はアーティストたちがRobloxで新たなクリエイティブそして商業的な機会を得られるよう支援することを約束します」。

Robloxが音楽レーベルと提携するのは、これが初めてではない。2021年6月、RobloxはBMGとの同様の契約を発表したが、これも将来的なコラボレーションとアーティストやソングライターの収益を上げる機会に焦点を当てたものだった。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Robloxソニーミュージックアーティストメタバース

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】3億円のNFTを買っても著作権は手に入らない

編集部注:本稿の著者Harrison Jordan(ハリソン・ジョーダン)氏は、HP.LIFEの創設者兼CEO。

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現代アーティストにとって、作品を非代替性トークン(NFT)という形でブロックチェーンに紐づけることは、アートをオンラインで販売するための安全で検証可能な方法のように思えるかもしれない。

いくつかの点では、それは正しい。ブロックチェーンは本質的に、すべてのトランザクションについてタイムスタンプ付きのデータを記録し、分散型台帳上で所有権を永続的に示すものだ。ブロックチェーンのトランザクションを見れば、NFTがいつ取引されたのか、誰がその取引に関わったのか、いくら使われたのかを知るのに、必要な情報がすべて得られる。

しかし、NFTのオーナーシップの実態は、想像以上に複雑だ。新しい暗号資産クラスであるNFTは、現行の規制システムにほとんど縛られずに存在しているように見える。しかしアートと組み合わせた場合、考慮すべきオーバーラップがある。現代のNFTエコシステムの法的落とし穴を理解することが、その可能性を引き出すための最初のステップとなるだろう。

ブロックチェーンに著作権は存在するのか?

NFTが著作権の代替となる可能性に大きな期待が寄せられており、NFTが著作権そのものであると信じている人も多い。額面通りに見れば、その混乱は容易に理解できる。

実際には、NFTは資産を表すトークンに過ぎず、資産そのものとはまったく別物だ。すべてのNFTは唯一無二の資産であるため、オリジナルと同じ価値を維持したまま複製することはできない。多くの人はこの独占的な所有権を作品そのものの所有権と同一視しているが、その違いを強調しておく必要がある。

この誤解はさらに奥深くなる。NFTになり得るものの範囲は、著作権の対象となる作品と驚くほどよく一致している。「著作物」の定義は各国・地域で異なるが、本質から大きく外れることはない。例えばカナダでは、著作権の保護は、文学的、芸術的、演劇的または音楽的な作品に加えて、演奏、録音、その他の関連作品にまで及ぶ。創作者がこれらの保護を申請する必要はなく、作品の創作時に国が本質的に提供するようになっている。

もちろんこの保護は、NFT化されるオリジナル作品に対しても保証されている。アート作品が制作され、NFTマーケットプレイスでオークションに出品された場合、その著作権はアーティストに帰属し、対面での取引とほぼ同様に機能する。国際法に準拠した著作権取引のインフラが整っていないため、現在のプラットフォームでNFTの著作権をやりとりすることは不可能だ。

つまり、アーティストと購入者の間で外部契約が交わされない限り、NFTのさまざまな著作権はオリジナルアーティストに帰属することになる。NFTの購入者が所有するのは、ブロックチェーン上のユニークなハッシュと、トランザクション記録、作品ファイルへのハイパーリンクだけだ。

法的パラメータがなければ、不正行為は避けられない

盗難や詐欺の可能性を考えると、NFTの著作権追跡の問題はさらに厄介なものになる。NFTがブロックチェーンに追加されるためには、アップロードした者が「署名」する必要がある。画家が自分の絵にサインするのと同様に、この機能はNFTとその作成者を結びつけることを目的としている。しかし、トークン鋳造者が自分の身元を偽った場合には問題が起こる可能性もある。多くのNFTプラットフォームでは、これは珍しいことではない

この問題は、NFT市場に強力な法的枠組みがないことに起因する。プラットフォームによっては、作成者本人でなくてもツイートやアート作品、ニャンキャットのgif画像でさえもNFT化することができる。その結果多くのアーティストが、自分の作品が盗用され、同意なしにNFTの形で販売されていると報告している。従来のアート市場であれば、明らかに著作権侵害となるところだ。

この問題は、特にNFTツイートのやり取りの中で広まっている。2021年初めには、@tokenizedtweetsと呼ばれるTwitterボットが大量にNFT鋳造を行い、Twitter(ツイッター)とNFTコミュニティに衝撃を与えた。このボットは、作者の同意や通知なしにバイラルツイートからNFTを作成するという方針をとったため、俳優やアーティストなどのクリエイターから反発を買った。「スタートレック」で知られる俳優のWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏は「@tokenizedtweetsがコンテンツを盗み、私がアップロードした画像や私のツイートなど、すべて私の著作権のもとにあるものが無断でトークン化され、販売されている」と懸念を表明した。

強力な法的インフラを持たないプラットフォームでは、盗難や詐欺は当然の結果だ。現在Twitterの利用を禁止されている@tokenizedtweetsの行為は、この問題をよく表している。

何が足りないのか?国際的なコンプライアンス

これまでのところNFTプラットフォームは、NFT販売が表すアートの著作権について、国際的なコンプライアンスの領域に踏み込んでいない。それが起これば、NFTのエコシステムにとって非常に大きな飛躍となるだろう。著作権の行使を強化することで不正行為を最小限に抑えるだけでなく、国際的なコンプライアンスを実現することにより、ブロックチェーン上でのトークンによる著作権交換が可能になるからだ。

1886年に締結されたベルヌ条約は、179の加盟国において著作物が創作された時点で標準的な著作権保護を保証する国際協定であり、そのおかげですでに下地はできている。例えば2014年にはシンガーソングライターのTom Petty(トム・ペティ)が、Sam Smith(サム・スミス)のヒット曲「Stay With Me」が自身の「I Won’t Back Down」とメロディがほぼ同じであるとしてサム・スミスを著作権侵害で訴え、この条約が試された。この訴訟と、トム・ペティの財産へのロイヤルティ支払いを含む和解は、ベルヌ条約の継続的な機能を証明している。

1996年のWIPO著作権条約により、デジタルアートの領域にベルヌ条約の原則が正式に導入されたが、ベルヌ条約加盟国の多くはこの条約に署名しなかった。新たな条約の目途が立たない中、世界政府が残した不足を民間セクターが補わなければならないかもしれない。

国際条約で統一が図られているにもかかわらず、NFTの世界では世界各地の著作権法の多様性に対応できていないのが現状だ。業界を投機的なものからグローバルな機能性へと移行させるためには、国際的な著作権コンプライアンスをこの新興エコシステムに組み込む必要がある。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:コラムNFTアート著作権アーティスト

画像クレジット:John M Lund Photography Inc / Getty Images

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(文:Harrison Jordan、翻訳:Aya Nakazato)