技術系スタートアップが在宅勤務のソフトウェア開発者を大切に扱うための5つのヒント

先に迎えた世界メンタルヘルスデーを目前に控え、私はテック業界がいかに精神的に良好な状態を保つのが難しい場所であるかを考えていた。特に、前例のない状況でのリモートワークは、困難な状況をさらに悪化させる可能性がある。10年以上にわたってテクノロジー業界でリモートワークをしてきた者として、今回はペースの速い技術系スタートアップ企業がソフトウェア開発の人材を大切に扱うためのヒントを紹介したい。

最高の状態でのソフトウェア開発は、創造的な試みとなる。開発者が質の高い仕事をするためには、ある程度の快適さが必要だ。退屈な作業、騒がしいオフィス、あまりに多い会議などは、生産性が最高の状態であっても影響を及ぼす。

しかし、健康はもっと基本的なものであり、ニーズの階層の中でもほぼ最下層に位置するもので、これには精神的な健康も含まれる。ソフトウェア開発者が仕事をするためには、脳の状態が良好でなければならない。物事がうまくいかないとき、本当の問題を知らなくても、同僚のコードを見ればわかることもある。

リモートで働くスタートアップチームの分散により、健康維持はより困難になっている。リモートで働いていると、チームのウェルビーイングをサポートするためのオフィスの機能が欠落してしまう。無料のフルーツやコーヒー、ビーズソファだけでなく、同僚がつらい思いをしていても気づきにくいこともある。同僚と同じ場所にいないと、誰が遅刻や早退するのか、あるいはやや活力がない感じがするのかを見分けるのが難しくなる。

また、井戸端会議がない場合、同僚がうまくやっているかどうかを確認するのが難しくなる。しかし、もし誰かのことが気になっていて、その人に聞くべきかどうか悩んでいるのであれば、私は常に連絡を取るようにアドバイスする。リモートチームにおいては、コミュニケーションを増やす必要がある。メンタルヘルスに関しては、誰かが1人で限界に達してしまうよりも、言葉を発して、その人が元気であること、何も心配する必要はなかったと知るほうがいい。

自主性を重んじる

私は10年以上にわたり、大企業から中小企業でも、さらには自分のフリーランスのコンサルタントでも、自分の意思でリモートワークを行ってきた。私が在宅勤務で最も重視しているのは、柔軟性だ。特に、ソフトウェア開発者としてメーカーのスケジュールに合わせて仕事をする場合には、柔軟性が重要になる。

私は、最高の仕事をより多く実現するために、一連のライフハックを発見した。例えば、早い時間にオフィスで仕事を始めた後、午前11時にジムでトレーニングをしたり、その日の最後のミーティングの前に夕食をオーブンに入れたりするのだ。このように、仕事と並行して「生活」を送ることができるのは、特に苦しいとき、自分自身の幸福感を高めるのに有効だ。

ダニエル・ピンクの著書『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』では、自律、成長、目的がモチベーションの主な原動力であることを取り上げている。ソフトウェア開発の仕事を成功させるには、モチベーション、承認、自信が重要だ。自分のスキルを使ってより大きな目標に向かって貢献する権限を与えられることは、非常にやりがいのあることであり、通常仕事の選択や優先順位の決定において自由度が高いスタートアップ企業の開発者にとっては、非常に満足のいくことだろう。

しかし、Haystackの調査によると、開発者の83%に燃え尽き症候群が報告されている。そのため、ソフトウェア開発者には現実的な期待を設定するよう注意して欲しい。物理的なオフィスがない場合、適切な時間に帰宅させるのは難しいので、そのような期待は慎重に設定する必要がある。特に、勤務時間がフレキシブルで、大きなプロジェクトを任されやすい場合には慎重になるべきだ。

教育は社員を大切にしているということ

開発者は生涯学習者だ。業界の変化が非常に速いため、開発者はそうならざるを得ない。彼らは常に自分自身、知識、スキルに投資している。

雇用者は、開発者を個人としても投資することができる。企業によっては手厚いトレーニング予算や休暇を提供するところもある。私はかつて小さなソフトウェア会社で働いていた。そこでは学習のための予算は提供されていなかったが、月に1日、学習のための日を予約することができ、そこで教科書を読んだり、新しいテーマについて誰かに1時間のチュートリアルを頼んだりすることができた。会社にとっては大したコストではなかったが、私の成功を願ってくれているように感じた。

働く自由

開発者に金銭的な報酬を与えても、モチベーションの向上にはつながらない。しかし時間を与え、開発者を信じて時間を直接的なプロダクトエンジニアリングの仕事以外に使ってもらうことは、大きな効果が得られる可能性がある。

Googleは、社員の時間の20%を「おもしろいと思ったことに使っていい」というアプローチをとったことで有名だ。それによって便利な製品も生まれたが、重要なのは開発者が仕事に関わっていると感じ、信頼されているということだ。Atlassianも同様のことを行っていることで有名だ。全社員が24時間、自分の好きなプロジェクトに取り組み、他の方法では決して出てこなかったかもしれない驚くべき革新や改善を生み出している。

多くの開発者は、自分の時間の多くをオープンソースプロジェクトに費やしている。このことを他の職業の人に説明しようと何度か試みたことがあるが、ハッカー文化は不可解だということが分かった。

しかし、開発者はこの世界に強く共感し、91%の開発者がオープンソースが自分の将来の道だと答えている。開発者にオープンソースへの貢献を許可することで、彼らはより自分たちが大事にされていると感じることができる。このようなオープンソースコミュニティは、開発者の社会的ネットワークやサポートネットワーク、さらにはアイデンティティの重要な一部となり、開発者のより広い意味での幸福のために欠かせないものとなる。

オープンソースの教訓

現代の職場では、他人がプロジェクトに参加できるという点でオープンソースから学ぶことがたくさんある。オープンソースのプロジェクトは真のリモートワークフローが機能している合理的なモデルとなっている。

ソフトウェアの世界の基礎的な構成要素のいくつかは、メーリングリストやIRCチャンネルでしかお互いを知ることができなかった人々によって作られたものだ。ソフトウェアは作られたが、おそらくそれ以上に重要なのは、強力なコネクションが作られたことだ。

今日のリモートソフトウェアチームは、自らの選択によるものであれ、状況によるものであれ、より優れたツールを利用することができる。ソース管理ツールやコラボレーションツールは、今やメーリングリスト以上のものであり、テキストチャット、オーディオコール、ビデオコールで常に連絡を取り合うことができる。画面共有やVSCode Live Shareのようなツールを使って、遠隔地でプログラムを組み合わせることも可能だ。

しかし、このような接続性の高さは、ストレスや通知疲れの原因となりうる。ソフトウェア開発者はそれぞれが異なる存在であり、ある人の作業スタイルが他の人のそれとまったく同じとはならないことを忘れてはならない。オープンソースのプロジェクトでは、全員の時間を尊重し、特定の時間に誰かがいるということをあまり期待せず、むしろ想定した時間枠内で作業を進める。

高度な技術を要する仕事をしているリモートチームでは、思考時間が長くなるようなミーティングをできるだけ少なくしたり、Slackのメッセージに期待される返信の時間を決めておくと、落ち着いた仕事環境の提供につながる。

ワークライフバランス

新型コロナウイルス感染症の影響で毎日の通勤ができなくなったとき、多くの人は作業環境が理想的ではなくなった。ソファやキッチンテーブルに座って、しかも家族が近くにいるという状況は、当然ながら多くの人にとって困難であり、燃え尽き症候群の増加が広く報告されている。

たとえ開発者が以前から自宅で仕事をしていたとしても、モニターのアップグレードや予備の電源、あるいは新しいキーボードが必要かどうかをチェックするのは良いことだ。現在、多くの企業が在宅勤務の予算を提供しているが、開発者が必要とするツールの確保は少しの予算でできる。

職場で一緒に交流する時間を持つ。恥ずかしいチームビルディングは過去のものとなっていることを願うが、簡単なオンラインゲームで場を明るくすることは可能だ。会社にEAP(従業員支援プログラム)がある場合は、従業員全員がプログラムについてと、アクセス方法を知っていることを確認したい。また、マネージャーには、彼らのチームメンバーだけでなく、マネージャーのためのプログラムもあることを伝えておくとよい。

メンタルヘルスに関して言えば、スタートアップは難しい場所かもしれない。スタートアップ企業はペースが速く、頻繁に変化があり、いくつもの仕事をこなさなければならない。私からの最良のアドバイスは、お互いに気を配ることだ。それは、上司が部下を気遣うだけではなく、私たち全員が他人を気遣い、自分自身を大切にすることで、少しでも貢献することができる。

燃え尽きる時は、その前に兆候が出ている。私たちは、仕事を長期的に持続させ、健康的な生活と並行して行う方法を見つけなければならない。「言うは易し行うは難し」ですが、多忙なスタートアップ企業は、従業員が重要な存在であることを再認識してもらうための時間を取らなくてはならない。

あなたやあなたの知り合いが、うつ病に悩まされていたり、自傷行為や自殺を考えたことがある場合、全米自殺防止ライフライン(1-800-273-8255)では、24時間年中無休で無料サポートを提供しています。また、専門家向けのベストプラクティスや、予防や危機的状況に役立つリソースも提供しています。

編集部注:Lorna Mitchell(ローナ・ミッチェル)氏は、最高のオープンソーステクノロジーとクラウドインフラを組み合わせたソフトウェア企業Aivenのデベロッパーリレーションズ担当責任者。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Lorna Mitchell、翻訳:Dragonfly)

PlanetScaleがエンタープライズデータベースサービスを一般公開、シリーズCで約57億円を調達

YouTubeに技術提供するVitess(ヴィッテス)オープンソースプロジェクトの共同クリエイターにより設立されたサーバーレスデータベース企業PlanetScale(プラネットスケール)は、2021年11月中旬、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)率いるシリーズCの資金調達ラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達したことを公表した。既存の投資会社a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)、SignalFire(シグナルファイア)、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)に加え、GitHub(ギットハブ)の前CEOで共同創設者のTom Preston-Werner(トム・プレストン=ワーナー)氏、Lattice(ラティス)のCEOで創設者の Jack Altman(ジャック・アルトマン)氏、Instacart(インスタカート)の共同設立者であるMax Mullen(マックス・マレン)氏もこのラウンドに参加した。これにより同社は2021年6月に発表したばかりのシリーズBの3000万ドル(約34億円)を含め、総額1億500万ドル(約120億円)を調達したことになる。

関連記事:データベースクラスタリングのPlanetScaleはシンプルで使いやすい開発者体験を実現

さらに、同社はそのホスト型エンタープライズプラットフォームを一般公開したことも発表した。2021年3月の立ち上げからプライベートベータ版のみ利用できていたサービスだが、同社にはすでにYouTube(ユーチューブ)、GitHub、New Relic(ニューレリック)、Slack(巣ラック)、MyFitnessPal(マイフィットネスパル)、Square(スクエア)、Affirm(アファーム)などの顧客がいる。「私達には主要な上位4000のウェブサイトがあり、それがPlanetScaleに移行し、現在PlanetScaleによりベータ版でホスティングされています」と、PlanetScaleのCEOであるSam Lambert(サム・ランバート)氏はいう。「人を寄せ付けずにはいられません。ベータ版もそれを止めませんでした」。

GitHubのエンジニアリング部門の前VP、ランバート氏は、PlanetScaleのチーフプロダクティブオフィサーを9カ月務めた後、7月にCEOの職に就いた。彼は、共同創設者でありチーフストラテジーオフィサーとなって引き続き同社の理事会メンバーを務めるJiten Vaidya(ジテン・ヴァイジャ)氏の後を継いだ。

ランバート氏は、PlanetScaleが急速に拡大し、従業員数が過去6カ月で3倍に増加した。「特にNetlify(ネトリファイ)Vercel(ヴァ―セル)のようなプラットフォームを使用している場合、当社はデフォルトのサーバーレスデータベースとして話題に上っています。サーバーレスは産業の1つとして成長していますが、あまり複雑でない分野で成長していました。【略】サーバーレスの世界でデータベースを組み立てた人が数人いました。しかし私達が現れて、完全に新しい物を持ち込んだのです。地球上で2番目に大きなウェブサイト、YouTube.comのバックエンドとなるデータベースを、サーバーレスの世界にもたらしました」と、ランバート氏は述べた。

Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)のパートナー、Bucky Moore(バッキー・ムーア)氏によると、PlanetScaleのようなトランザクションデータベースは「すべてのインフラストラクチャの中で特別な市場機会」だいう。大手のクラウドプロバイダはこれらのサービスにより何十億ドル(何千億円)も生み出しているが、投資家達は慎重な姿勢を崩さない。「多くの投資家が、率直にいって、この軸のクラウドプロバイダと競争することを躊躇してきました。それが彼らの心と戦略にとって身近で重要なビジネスだからです」とムーア氏はいう。「しかし、それに対する私の考え方はまったく違います。ウェブスケールでソフトウェアを世界のユーザー基盤に提供するにはこの2つのメガトレンドが必要で、もちろんパブリッククラウドがもっと簡単にします。しかし同時に、このデータベースの部分の解決方法についてはそれほど革新が行われていません。そしてもちろん、だからこそヴィッテスがそのような興味深いテクノロジーであり、大変多くの大企業が大規模にそれを運営しているのです」。

その一方で、ランバート氏が議論するのは、サーバーレスがついにクラウドの元の多くの約束を果たすポイントに到達していることである。「クラウドは最終的に、『もうサーバーの電源を差すことはない』段階に移行しました。しかし、企業には人々のチーム、AWSを管理する何百もの従業員がいて、『私達が行くべきところまで行かなかった』。私は、サーバーレスはそれを持ち上げ、それは加速していると思います。半端ないペースです。そしてそれは人類の進歩ももたらします。従業員5人の会社が何十億ドルもの価値を上回るという事実が生まれます。理由はサーバーレスツールを活用するだけ、これらをまとめるだけだからです」。

PlanetScaleはMySQL(マイ・エスキューエル)やVitess(ヴィテス)などのオープンソースプロジェクトの頂点に立つが、ランバート氏もムーア氏も、大手クラウドプロバイダがコードを使って独自の競合を立ち上げることを恐れていない。

「クラウドがクローンできないことの1つはセンスです」。ランバート氏は述べた(そして、ランバート氏ほど多くの熱意と情熱を持つ人はほとんど会ったことがないと書いておくべきであろう。)。「それは間違いなく真実ですよね。みなさんはライセンシングの議論を目にしています。現在のライセンシング戦争です。多くの企業と多くのデータベース企業がBSLライセンシングの陰に隠れています。なぜならクラウドがそのツールを拾い上げるとの恐れからです。人々が私達のセンスを真似ることができても、私達は恐れません。私は大企業がGitHubの競合を作っては閉店させている間、GitHubに留まっていました。そしてそれは、美とデザインと驚くべきセンスを通して人々と感情的に共鳴する、私達の驚くべき能力のおかげです。【略】私達はクラウドの試行を恐れません。なぜなら真に、私達が話にもたらす魔法が非常にユニークだからです」。

同社の将来計画に関しては、ランバート氏は伝えた。これまで、PlanetScaleじゃそのロードマップのために基礎を築いただけだった。彼の見解によると、同社はヴィッテスができることの約10%のみを示したが、チームはログインシステムや監査ロギングのような基本のみを、同社が次のステップでそれらの作業を行えるようになる前に投入する必要があった(しかしデータベースの分岐によって、すでに複数の高度に革新的な機能も立ち上げた)。PlanetScaleチームの見解では、データベースの世界の多数の作業がデータベース自体から作業を取り上げ、データベース外のデータを扱っている。しかし、もしヴィッテスのように堅牢で高度にスケーリング可能なシステムがあれば、アーキテクチャを簡素化し、時間の経過とともに、多くのデータベースシステム外で構築されたプリミティブをそれに戻すことができる。

今日のGAの立ち上げにより、同社はすでに新しいデータベースのインポート機能を提供している。それによりユーザーはたった数クリックで既存のMySQLデータベースをPlanetScaleに移行させることができる。これは新しいユーザーが完全な移行を行う前に独自のデータを用いてサービスをテストすることが簡単になるはずである。サービスは現在新しいPrisma Data Platform(プリズマ・データ・プラットフォーム)にも統合され、開発者がPrisma(プリズマ)でPlanetScaleのデータベースを作ることができる。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKYI / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

評価額が収益の実質「無限大」に

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

この記事を書いている今日(米国時間12月25日)はクリスマスなので、実際に読者が何人いるかはわからない。ということで家族を避けている7人のみなさん、こんにちは。

次回いつものように大勢の人向けの話に戻る前に、今回は2つほどすばやくお話ししておきたい。どうだろう?2021年の終わりにおもしろい話を。ともあれご愛読にお礼をお伝えしたい。感謝している。

さて今週(クリスマスで終わる週)の最高のストーリーは、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏がweb3をバカにしたことではなく、とある資金調達ラウンドだ。ラウンド自体はそれほど魅力的ではなかったが、Airbyte(エアバイト)のラウンドの背後にあるストーリーが魅力的だったのだ。

参考までに、Airbyteとは、顧客のデータ移動を支援するオープンソーススタートアップ(OSS)である。率直に言って、それは大きな市場だ。なぜなら、そこにはたくさんのデータがあるし、単にそこに置かれたままではないからだ。企業はそれをあちこちに移動したいと考えている。そして、それを行うことは一大事だ。必要がないので、読者に「ELT(抽出、変換、読み込み)」についてはとりたてて何かいうつもりはないが、それはAirbyteが競合する一般的な市場である。

ビジネスという観点では、Airbyteはもちろんオープンソース製品を用意し、そして有料サービスを提供している。有料版のAirbyteには、通常のエンタープライズ向けのツールが含まれている。例えばSSO(シングルサインオン)などだ。そしてホスティングも。ということでかなり標準的なOSSではないだろうか?

お金の話に戻ろう。Crunchbaseのデータによれば、Airbyteは2021年初頭にシードラウンドを行っている。その後、5月にはシリーズA調達を実施した。その時点で、同社は2021年3000万ドル(約34億3000万円)以上を調達したが、これは大層な金額だ。

次に来た金額がまた見ものだった。Airbyteは今週、約15億ドル(約1715億4000万円)の評価額で1億5000万ドル(約171億5000万円)のシリーズB調達を行った。おもしろいことに、同社の現在の収益(年間経常収益、つまりARR)は100万ドル(約1億1400万円)未満なのだ。

私はツイッターで、同社がARRの1500倍の価値を生み出したと冗談を言った。このツイートはウケたようだ。

だがそれは中途半端な冗談に過ぎなかったことが判明した。Airbyteのニュースが出された後、収益はおそらく私が最初に考えていた線よりも、さらに下回っていたと聞いた。つまり実際にはAirbyteの評価額は、ARRの1500倍よりずっと多かったことを意味する。

事実上、それは無限大のようなものだ。それは驚くべきことであり、2021年にベンチャーキャピタルが常に目指していた地点だ。結局何を言いたいのかって?つまり次のとおりだ。

  • より大きな資金がスートアップのライフサイクルのますます早い段階に投入されるようになっている。これはより多くの資金を投入して、将来の人気企業に対して多くの取り分を確保するためだ
  • これは、これまで以上に多くのスタートアップがFOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)に基づいて巨額の資金を調達できるようになったことを意味している
  • その後、2021年になって、さらに多くのお金が流れ込むようになって、上記の2つの点(多額の資金投入、青田刈りの早期化)はさらに激化した
  • 現在シリーズBラウンドは数十万ドル(数千万円)単位のARRで行われていると耳にしたが、昔(2019年)はシリーズA調達を行うためには、最低でも100万ドル(約1億1400万円)のARRが必要だった
  • そしていまAirbyteの例を見ると、収益ベースと比較した場合には、企業の評価額には実質的な制限がないことがわかる

Airbyteはこの偉業をどのように達成したのか?私の勘では以下のようなものだ。オープンソース企業は、資金を調達しようとするときに、投資家の前にぶら下げることができる、単純に優れた一連の非収益指標を持っている。例えばオープンソースプロジェクトの利用状況と貢献情報などだ。なので、私の推測では、有料プランはまだ初期段階だとしても、Airbyteのコミュニティ内での利用率は非常に高いのだろう。

ではこのAirbyteラウンドは馬鹿げたものなのだろうか?そんなことは誰にもわからない!私たちが言えることは、収益の桁数がはるかに少ないにもかかわらず、投資家が数十億ドル(数千億円)の評価額の下で数億ドル(数百億円)の資本を同社に投入するのに十分なデータがどこかにあったということだ。

これはオープンソースのスタートアップにとって強気の材料ではないか?私はそう思っている。

そして最後に、Juna(ジュナ)だ。

先にJunaの創業者でCEOのPeter Arian(ピーター・アリアン)氏に会い、彼のスタートアップが何をしているのかについて話を聞いた。スタートアップが力を入れているのは、保険会社と協力して、性的にアクティブな人びとに低コストの性的健康診断を提供することだ。それは、若者に対して顧客直接取引と健康技術のハイブリッドモデルを適用し、若者が検査を受ける習慣を、受動的ではなく能動的に行うものへとシフトさせることを狙っている。

すべてを新型コロナウイルス感染症(COVD-19)のせいだというつもりもないが、最近はみんな検査を受けることに少し慣れているのではないかと思う。新型コロナ検査のやり方が変わっていないのら、それは鼻の奥を綿棒でつついて数分でお終いだ。現代生活の喜びとはこんなものだ。

Junaのやり方がスマートだと思う点は、もし私がもっと若くて結婚していなかったら使いたくなるようなクールな製品だということだけではなく、そのマーケティング戦略もすばらしいことだ。ソーシャルメディアを活用して注目を集めるブランドについてはよく耳にすることと思う。そう、JunaはTikTokをそのビジネスのために利用している

アリアン氏によると、同社のアクセスの順番待ちリストは毎月15〜20%の間で伸びており、かなり健全なようだ。Junaは2月のローンチを目指しているため、この先まだ順番待ちリストは長くなるだろう。おそらく、TikTokへの出費は続くのでは?

同社はある程度の資本を集めてはいるが、それはまだ完全には終わっていない。私はアリアン氏が資金調達ラウンドを行い、サービスをローンチしたときに再び話をきくつもりだ。検査はセクシーではないが、検査を受けた人たちのセックスはどうだろう?とか何とか。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

プログラミング不要のゲームエンジン「GDevelop」が約1.6億円調達、ゲーム開発をより身近に

GDevelopは、特定の開発経験がなくてもビデオゲームを開発できるゲームエンジンだ。2021年は「ノーコード」がかなりのトレンドとなったが、GDevelopはだいぶ前から存在している。

Florian Rival(フロリアン・リヴァル)氏は、オープンソースのサイドプロジェクトとしてGDevelopの開発を始めた。GitHubでの最初の公開バージョンは2014年にリリースされた。

リヴァル氏はGDevelopで、ゲーム開発を可能な限り身近なものにしたいと考えていた。GDevelopは、ウェブブラウザから起動することも、PCにインストールすることもできる。テンプレートから始めて、それを修正し、好きな時に試すことができる。

GDevelopは2Dゲームに特化しており、プレイヤーにとっても開発者にとってもより親しみやすいものとなっている。レベルデザインにおいては、オブジェクトをシーンにドラッグ&ドロップするだけでOK。

ゲームデザインに関しては、イベントタブからすべてのゲームメカニズムを見ることができる。すべては条件とアクションで記述される。例えば、プレイヤーがジャンプしていたら「ジャンプ」アニメーションでキャラクターを動かす。

GDevelopにはデフォルトでたくさんのアクションが用意されている。また、少し特殊なことをしたい場合には、ゲームにロジックを追加することができる拡張システムがある。また、開発者は、より高度なことをしたければ、自分でエクステンションを作ることもできる。エクステンションとは、条件とアクションのセット、つまりJavaScriptコードだ。

GDevelopは、WebGL、JavaScript、WebAssemblyなどのウェブ技術を活用してゲームをレンダリングする。ゲームをエクスポートする準備ができたら、ウェブ用にエクスポートしたり、Android用のゲームにしたりすることができる。平均して、GDevelopユーザーの半数がゲームをAndroidにエクスポートしている。

画像クレジット:GDevelop

何年もの間、GDevelopはいくつかの立派なメトリクスを得てきた。GDevelop のウェブサイトのショーケースページには何百ものゲームがある。GDevelopで作成されたゲームの中には、かなり人気のあるものもある。例えば「Vai Juliette」は、ブラジルのPlay StoreとApp Storeのトップ無料ダウンロードチャートで1位と2位を獲得した。これは100万以上のダウンロードを表している。

開発者によっては、GDevelopを使って複雑なゲームの制作に多くの時間を費やし、SteamやItch.ioでリリースしているケースもある。また、プロモーション用のゲームを作成し、新製品の発売をサポートするためにこのエンジンを使用するブランドもある。

「私の夢は、次のAmong UsがGDevelopを使って開発されることです」とリヴァル氏はいう。

これらの理由から、リヴァル氏はGDevelopを中心とした会社を作り、現在はゲームエンジンの開発にフルタイムで取り組んでいる。同スタートアップは最近、Seedcampが主導して140万ドル(約1億6000万円)の資金調達を実施し、ラウンドにはSecretfund、Kima Ventures、Ascension、Jabre Capital Partners、The Fund、Foreword.vcも参加した。また、Michael Pennington(マイケル・ペニントン)氏 、Ross Sheil(ロス・シェイル)氏、Emmanuel Nataf(エマニュエル・ナタフ)氏、Will Neale(ウィル・ニール)氏、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏など、数名のビジネスエンジェルも出資している。

6人のチームは、同社のオープンソースゲームエンジンがより良いものになるよう、イタレーションを続けている。収益化に関しては、GDevelopは商用エンジンをリリースしたいとは考えていない。MITライセンスのおかげで、ゲーム開発者はGDevelopを使って開発したゲームを100%所有することができる。

その代わりに同社は、GDevelopのユーザーにとって便利なサービスを考えている。例えば、GDevelopは、ゲームをリリースしてマネタイズするためのワンクリックエクスポートソリューションを提供することができる。

多くのモバイルゲーム開発者は、収益を得るために広告に依存している。しかし、ゲームに広告を統合するのは複雑な作業になり得る。開発者は、GDevelop独自の広告機能を使って広告を統合することを選ぶことができ、その場合、同社は広告収入の分配を受けることができる。

基本的に、GDevelopが人気を維持する限り、将来の開発をサポートするための収入源を作るさまざまな方法があることだろう。

画像クレジット:Igor Karimov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

オープンソースかつイーサリアム(Ethereum)ベースの分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」(Dev Protocol)を開発するフレームダブルオーは12月13日、ブロックチェーン技術を基盤とする分散型インターネット「Web 3.0」(Web3)の正しい理解と普及を図り、クリエイターの成功の一助となることを目的にコミュニティパートナーを開始したと発表した。オープンソース(OSS)のアルゴリズムライブラリー「The Algorithms」やCode for Japanなどの開発者コミュニティが参画を表明している。

DEVプロトコルは、2018年よりオープンソースとしてプロトコル開発を開始し、2020年のローンチ開始よりコミュニティとの共創を促進してきた。2021年9月からコミュニティ主導による「Web3 Community」がスタートしており、世界各地から300名を超えるOSS開発者が参加。Web3に関するナレッジ共有や経験を向上させているという。今回のコミュニティパートナーでは、これらのナレッジや開発体験をオープンにし、コラボレーションを促進して、OSSエコシステムにおけるプロジェクトの成長を加速することを目指す。

「Web3およびブロックチェーン技術がOSSに与える影響、変化に関するナレッジの共有」「Web3入門、Propertyトークンを活用した収益化、コミュニティガバナンスのサポート」「Web3開発者コミュニティのコラボレーション」といった取り組みを実施するという。

DEVプロトコルは、クリエイターの活動を証明し、持続可能性を実現するオープンソースの分散型ミドルウェア。「OSSのトークン化」(Propertyトークン。ERC-20準拠)、「セキュアな認証」(Khaos Oracle)、「持続可能なサブスクリプション」(Staking)といった機能を採用しているという。なお、ステーキング総額は2億5000万円超(2021年1月時点)となっているそうだ。

このうちPropertyトークンとは、プロジェクトのオーナーシップの証明・収益化・収益分配をブロックチェーン上で自動化できるものという。DEVプロトコルを使うと、Propertyトークンを発行することで自身のエコノミーを構築し、コミュニティを通じて成長させられるとしている。

またDEVプロトコルは、完全分散型、オンチェーンガバナンスのミドルウェアプロトコルのため、様々なDapps(Decentralized Apps。Web3アプリ)を開発して、誰もがエコシステムに参加できる。

コミュニティパートナー参加プロジェクト(抜粋)

  • The Algorithms:オープンソースのアルゴリズム・ライブラリー
  • Web3Community:Web3に特化したオープンソースコミュニティ
  • Microsoft For Startups:マイクロソフトのスタートアップ企業向けの支援プログラム
  • Experify:3Dプリント/3Dスキャンサービス
  • intlify:ソフトウェアの国際化におけるDeveloper Experience向上プロジェクト
  • Code for Japan:市民主体の社会課題へのアプローチやシビックテック活動を促進しているコミュニティ

iCloud、ツイッター、マインクラフトなどに使われているオープンソースのログユーティリティにゼロデイ脆弱性が見つかる

広く利用されているJavaログ出力ライブラリで見つかった問題の影響を受け、AppleのiCloud、Twitter、Cloudflare(クラウドフレア)、Minecraft(マインクラフト)、Steam(スチーム)など、数多くの人気サービスが、ゼロデイ脆弱性にさらされていることが報告されている。

膨大な数のアプリ、ウェブサイト、サービスで使用されているオープンソースのログユーティリティ「Apache Log4j」に発見されたこの脆弱性は、Alibaba(アリババ)のChen Zhaojun(チェン・ジャオジュン)氏が報告したもので、LunaSec(ルナセック)の研究者によって「Log4Shell」と名づけられた。Log4Shellが最初に発見されたのは、Microsoft(マイクロソフト)が所有するMinecraftだったが、LunaSecは、主なJavaベースの企業向けアプリやサーバーのほぼすべてにLog4jが「ユビキタス」に存在していることから「非常に多くのサービス」が悪意のある行為に対して脆弱であると警告している。このサイバーセキュリティ会社は、ブログ記事の中で、Apache Struts(アパッチ・ストラッツ)を使用している人は誰もが「おそらく脆弱である」と警告した。

これまでにLog4Shell攻撃に脆弱であることが確認されたサーバーを持つ企業は、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Cloudflare、Twitter、Steam、Baidu(百度、バイドゥ)、NetEase(ネットイース)、Tencent(テンセント)、Elastic(エラスティック)などだが、他にも数千とまではいかなくとも数百の組織が影響を受けている可能性がある。Cloudflareは、TechCrunchに寄せた声明で、攻撃を防ぐためにシステムを更新したと述べており、悪用された形跡はないと付け加えている。

NSA(米国家安全保障局)のサイバーセキュリティ担当ディレクターであるRobert Joyce(ロバート・ジョイス)氏は、同局が開発した無償でオープンソースのリバースエンジニアリングツール「GHIDRA」も影響を受けることを確認した。「Log4jの脆弱性は、NSAのGHIDRAも含め、ソフトウェアのフレームワークに広く搭載されているため、悪用される恐れが大きい」と、同氏は述べている。

ニュージーランドのCERT(コンピューター緊急対応チーム)や、ドイツテレコムのCERT、そしてウェブ監視サービスのGreynoise(グレイノイズ)は、攻撃者がLog4Shell攻撃を仕掛けるための脆弱なサーバーを積極的に探していると警告している。Greynoiseによると、約100の異なるホストがインターネット上でLog4jの脆弱性を悪用する場所をスキャンしているとのことだ。

HackerOne(ハッカーワン)のシニアセキュリティテクノロジストであるKayla Underkoffler(カイラ・アンダーコフラー)氏は、今回のゼロデイ脆弱により「世界の重要なサプライチェーンに対する攻撃において、オープンソースソフトウェアがもたらす脅威が増大している」ことが明らかになったと、TechCrunchに語った。

「オープンソースソフトウェアは、現代のデジタルインフラストラクチャのほぼすべてを支えており、平均的なアプリケーションでは528種類のオープンソースコンポーネントが使用されています」と、アンダーコフラー氏は語る。「2020年に発見されたリスクの高いオープンソースの脆弱性の大半は、2年以上前からコード上に存在していますが、ほとんどの組織では、サプライチェーン内のオープンソースソフトウェアを直接制御して、これらの弱点を簡単に修正することができません。しばしば資金が不足するこのソフトウェアを保護することは、それに依存しているあらゆる組織にとって急務です」。

Apache Software Foundation(アパッチ・ソフトウェア財団)は、Log4jのゼロデイ脆弱性を修正するための緊急セキュリティアップデートを米国時間12月10日に公開し、すぐにアップデートできない場合の緩和策も発表している。ゲーム開発会社のMojang Studios(モヤン・スタジオ)も、このバグに対応したMinecraftの緊急セキュリティアップデートを公開した。

画像クレジット:Busà Photography / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ビッグニュースに関するささやかなメモ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

なんて1週間だったのだろう。いや、本当に。もう12月後半も目前だというのに、どういうわけかニュースは起き続けている。ホリデイシーズンなのにこの多さとは!今回はまず始めに、先週の重要なニュースに関するいくつかのメモ、次にベクトル検索と、2021年のお勧め本についてお話しする。さあ始めよう!

  • 私たちが知るSPACの終焉:Trump Media SPAC(トランプメディアSPAC)を取り巻く煙スモッグレベルの濃さに達している。またBuzzFeed SPAC(バズフィードSPAC)の取引は、あらゆる手を尽くしたが失敗し、結局は世間の評判を落とし、その価値を半分近くまで下げただけに終わった。
  • 暗号資産 vs 従来の金融商品:宗教戦争の真っ只中に割り込むつもりはない、しかしテクノロジー市場は、暗号資産企業に資金を提供して育成する方法を真剣に決めていく必要がある。そしてその答はおそらくベンチャーキャピタルではないのかもしれない。先週私たちは、OpenSea(オープンシー)のIPOへの期待が、ユーザーから歓迎されるのではなく、軽蔑されている様子を見た。公開だって?トークンを発行して暗号資産の世界に留まっていればいいのでは?なぜなら、大量の従来資金がOpenSeaに流れ込んだので、それらの投資家は、デジタル硬貨ではなく、彼らに対する投資家たちにドルで返済する必要がある。これを解決する方法は?はっきりしない、だが私は、長期的には、暗号資産企業は完全に従来の金融レールから外れたものになるのではないかと思っている。そうならない理由はない。
  • SaaSの状況:これを書かなかったことをお詫びしたい、だがソフトウェアの評価額に関する最近の記憶の中でも最も急激なマイナスの動きの1つが見られた。確かに価格はまだ高いものの、以前ほどではない。現在過剰高値のユニコーンは注意が必要だ。
  • そして最後に、Instacart(インスタカート)は社長が辞任した:入社してからわずか数カ月後で、Instacartは注目を集めた人材を手放した。The Exchangeは、11月にInstacartについて少し書いている。パンデミックでの急増が落ち着いたあと、Instacartの成長率が元に戻ったことを示す報告に注目したのだ。ゆっくりではあるが、会社は今でも成長している。しかし、成長が遅いままでは、理にかなった価格で会社を公開することはできない。この先なにが待ち受けるのだろう?わからない。

会社をメディアにとりあげてもらう方法、そしてベクトル検索

テクノロジー分野での記者になることの最も良い点の1つは、未来を説明してくれる賢い人たちと時間を過ごせることだ。私たちが、すぐにはメタバースの住民になるわけではないものの、将来的なの意味での情報処理方法を変えるテクノロジーがここにはある。

Semi Technologies(セミ・テクノロジーズ)の共同創業者Bob van Luijt(ボブ・ファン・ラウト)CEOをご紹介しよう。この企業はWeaviate(ウィビエイト)を開発している。現在すでに多く存在するスタートアップと同様に、Semiは営利目的のOSS企業だ。簡単にいえば、同社はオープンソースプロジェクトWeaviateの上にビジネスを構築しているのだ。

ボブは数時間の時間を割いて、彼の会社、非構造化データの検索市場、Weaviateの仕組みについて話してくれただけでなく、TechCrunchの2021年分の記事をスクレイピングして小さなGUIに入れて、私が遊べるようにしてくれた。

ちなみに、これは記者にあなたの会社のことを気にかけてもらうためのすばらしい方法だ。これはお気軽な作業ではない、実に手間のかかる厚意で、相手の記者が基礎の基礎から知りたがっているような場合でも、初歩的な質問に忍耐強く答え続けることなのだ。

とにかく、ベクトル検索だ。Weaviateで可能になるのは、非構造化データをすばやく検索することだ。Microsoftの説明によればベクトル検索とは「深層学習モデルを使用して、データセットを意味のあるベクトル表現にエンコードします。ベクトル間の距離はアイテム間の類似性を表します」ということになる。

ボブは例を挙げて、これをもう少し簡単に説明してくれた。従来のデータベースでは、自由の女神がニューヨーク市にあり、エッフェル塔がパリにあることを示すデータを持っているだろう。しかし、こうしたデータを取得するには、対象を正確に検索をする必要がある。Weaviateまたは関連するソフトウェアを介したベクトル検索を使用すると、データベースの中になるフランスのランドマークについて、データを表示するように依頼することができる。そして、エッフェル塔のデータが取得される。

クールだよね、とても。ボブと彼のチームが親切にもセットアップしてくれたTechCrunchのポータルをいじくり回したが、私は彼らが提案した質問に最もこころ惹かれた。このようなものだ「Alex Wilhelmが外出中にTecCrunchニュースレターを書いたのは誰か?」率直にいえば、これはその曖昧さゆえに楽しい質問だ。どのTechCrunchニュースレターのことだろう?そして「外出中」とはどういう意味だろうか?結局、検索結果は、私が休みを取ってAnnaがニュースレターを処理していることを書いたちょっとしたテキストをこのコラムからなんとか見つけることができた。

とてもすばらしい。Semi Technologiesはかなり若い会社だが、私がずっと注目している会社の1つだ。それにはいくつかの理由がある。第1の理由は、オープンソースのスタートアップはクローズドコードの同業者よりも多くの場合興味深いからだ。そして、OSSテクノロジーを使用した構築を進めている創業者は、ビジネスに対するアプローチにやや余裕があることが多いし、個人的にボブが好きなことも理由だ。

Semiとの対話から書き起こした未整理の約3000語のノートを、もう少し一貫性のあるものに整理できたら、さらにお伝えする。

画像クレジット:Semi

本のお勧め2021

先週2部構成になったベンチャーキャピタルからの推薦図書リストにかなりの時間を費やした後、私たちは自分たちのお気に入りの何冊かをリストに追加しようとしている。もちろん、本の好みは絵画の好みと同じように個人的なものだが、2021年読んだもののうち最高だったもののいくつかを共有せずにはいられない!

Annaの2021年のお気に入りは以下のようなものだ:

フィクション:

「Born to be Mild:Adventures for the Anxious」Rob Temple(ロブ・テンプル)著

記録によれば、これは私が2021年に読んだ最初の本だったが、12カ月経っても本当に私を魅了してやまない。著者のRob Temple(ロブ・テンプル)はご存知かもしれない。陽気なソーシャルメディアアカウントを運営し、書籍シリーズである「Very British Problems」(ベリー・ブリティッシュ・プロブレム)の作者でもある。だがこの本はこれまでとは違うテイストだ。それは彼の不安との闘いと、自身のコンフォートゾーンから抜け出そうとした努力についての物語だ。それは感動的で、非常に親しみやすく、とてもおもしろい──あなたが私のようなSue Townsend(スー・タウンゼント)のファンなら、あなたもこれを気に入る可能性が高い。

ノンフィクション:

「How to Read Numbers:A Guide to Statistics in the News (and Knowing When to Trust Them)」 David Chivers(デビッド・シバース)、Tom Chivers(トム・シバース)著

これは私が今読んでいる本で、まだ読み切っていないという注意はしておくものの、とてもおもしろい本だ。それはメディアからの反発を招くかもしれないが、重要なポイントを提示している。私たちがニュースで目にする多くの数字は注意深く吟味される必要があるということだ。これは、ジャーナリストとニュース読者の双方にとってすばらしい読み物になる。読者が数字の読み方に精通すればするほど、分析の精度も上がっていく。

Alexの2021年のお気に入りには以下のようなものがある:

「The Salvation Sequence」Peter F. Hamilton(ピーター・F・ハミルトン)著

最高の空想科学小説(SF)は、私たちが住んでいる世界の上に宇宙船を登場させて充実した1日にしてくれるだけではない。実際、最高のSFは、経済学から人類、科学、物理学に至るまで、あらゆるものを再定義するのだ。2021年私が読んだシリーズ「The Salvation Sequence」は、まさにそのような本だ。経済学やエイリアンへの対処から、真の人間である意味や将来の政治まで、すべてがここに含まれている。とんでもない読み物だ。次の巻が出るのが待ちきれない、そうしたらこのすごいシリーズ全体をもう一度読み返すことができる。

「A Memory Called Empire」「A Desolation Called Peace」Arkady Martine(アーカディ・マーティン)

未来を描く方法は1つではない。マーティンが描くのは、文明と野蛮の概念が、芸術と帝国に衝突する未来だ。そして記憶に。そして隠された技術と戦争に。短い説明文ではとても説明しきれないが、マーティンがSF世界に構築したものは、科学というよりもアートに近いものという他はない。これは激賞に値する。

「Black Sun」Rebecca Roanhorse(レベッカ・ローンホース)

ファンタジー小説は、ヨーロッパの封建時代の歴史を背景に描かれることが非常に多い。登場する公爵が◯◯野郎だって?農奴たちに反逆させたほうが良いぜ!そんな感じだ。そして登場したのが「Black Sun」だ。これはまったく異なる方向にファンタジーをとり込んだ作品だ。南米ならびに中米の伝統に触発されたように見えるものの、本作はジェットコースター並のすばらしさである。必読だ。

「The Last Graduate」、Naomi Novik(ナオミ・ノヴィク)著

ノヴィクは本当にすばらしい作家だ。「Uprooted」(邦訳:ドラゴンの塔)と「Spinning Silve」(邦訳:銀をつむぐもの)はどちらも傑作だった。しかし、私の個人的な意見では、彼女の最高傑作は「A Deadly Education」だ。これは2020年後半に発売された。そして、その続編「The Last Graduate」へのカウントダウンが始まった。本が出るまでの日数を数えることはめったにないが、そうせずにはいられなかったのだ。そして「The Last Graduate」はすばらしい作品だった。今まで読んだことのない主人公に出会い、すべてが歯を持つ世界に入りたいなら、これらの本を読もう。それらを読めば、幸せを味わえるだろう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

MetaがAWSを戦略的クラウドプロバイダーに選定、Meta AIの研究開発やPyTorch利用企業のパフォーマンスを強化

MetaがAWSを戦略的クラウドプロバイダーに選定、Meta AIグループの研究開発やPyTorch利用企業のパフォーマンスを強化

Amazon Web Services(AWS)は米国時間12月1日、Metaが戦略的クラウドプロバイダーとしてAWSを選定したことを発表した。

MetaとAWSはこの5年間で連携する範囲を拡大してきた。今回の合意を基に、AWSは引き続きMetaが取り組む研究開発をサポートし、イノベーションの促進、サードパーティやオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティとのコラボレーションを支援する。

Metaは、AWSの実績あるインフラストラクチャと包括的な機能を活用し、既存オンプレミスのインフラを補完するとともに、AWSが提供するコンピュート、ストレージ、データベース、セキュリティのサービス利用を拡大し、クラウドにおけるプライバシー、信頼性、拡張性を実現するという。サードパーティ企業とのコラボレーションをAWS上で行うとともに、すでにAWSを利用している企業の買収支援にも活用する。

またMetaは、AWSのコンピュートサービスを活かし、Meta AIグループの人工知能の研究開発を加速させる。AWS上でOSSの機械学習フレームワーク「PyTorch」を活用する顧客企業のパフォーマンスを向上させ、開発者による人工知能と機械学習モデルの構築・トレーニング・デプロイ・運用の加速を目指す。

AWSとMetaは、機械学習モデルの大規模な構築、トレーニング、デプロイに向けて、PyTorchのパフォーマンスならびにAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)や、機械学習専用に構築された機能を提供するAmazon SageMakerなどのコアマネージドサービスとの統合において、さらなる最適化を進める。自然言語処理やコンピュータビジョンのための大規模な深層学習モデルを開発者が容易に構築できるよう、両社はAWS上でのPyTorch活用を促進し、AIアクセラレーターの分散システム全体で大規模なトレーニングジョブのオーケストレーションを可能にする。

また両社は、PyTorch上での推論のパフォーマンス、説明可能性、コストを向上させるネイティブツールを共同で提供。本番環境へのモデル展開を簡素化するため、PyTorchのネイティブなサービングエンジンであるTorchServeを強化し、学習したPyTorchモデルを容易に一括展開できるようにするという。これらのOSSへの貢献をベースにAWS上でパフォーマンスを最適化し、大規模な深層学習モデルの研究から本番環境までをより迅速に導入するための支援を展開する。

ZOZO研究所のマーケティング施策論文がAI分野の国際会議NeurIPS 2021で採択、 ZOZOTOWN実データとソフト実装公開

ZOZO研究所のマーケティング施策論文がAI分野の国際会議「NeurIPS 2021」で採択、 ZOZOTOWN実データとソフト実装公開

ZOZOグループの新規事業開発などを行うZOZO NEXTは12月2日、同社の研究機関ZOZO研究所の所員らが執筆したマーケティング施策に関する論文が、機械学習分野の国際会議「NeurIPS 2021」(12月6日から14日にかけてオンライン開催)の投稿論文を扱う一部門「Datasets and Benchmarks Track」で採択されたことを発表した。タイトルは「再現可能かつ実データに基づいたオフ方策評価に向けた大規模データセットとソフトウェアの構築」。NeurIPSは、ICML、ICLRなどと並ぶ、機械学習の分野で権威あるトップカンファレンスの1つ。

この論文は、ZOZO研究所研究員の松谷恵氏、コーネル大学に在学する齋藤優太氏、粟飯原俊介氏、イェール大学助教授の成田悠輔氏の共著。研究所では、深層学習などのAI技術を研究しているが、その一環として、ZOZOTOWNにおけるマーケティング施策の意志決定に活用するアルゴリズムの評価と検証を効果的・効率的に行うための研究に着手し、その手法の提案に至った。

これまでは、新しく開発した意志決定アルゴリズムを評価するには、実際のサービス環境に実装し、ユーザーの反応を見ることが必要だった。しかしそれには、膨大な実装コストが必要なことに加えて、動作実績のある既存アルゴリズムとの入れ替えなどによりユーザー体験が悪化するという課題がある。

これに対して、実サービス環境に実装しない形でアルゴリズムの性能を予測できる手法として、蓄積されたデータセットを利用する「オフ方策評価」が研究されてきたが、実用性の高いオープンなデータセットが存在していないために、研究は進んでいなかった。

そこで同研究所は、ZOZOTOWNで実際の推薦アルゴリズムで取得された2600万件の推薦データからなる大規模実データ「Open Bandit Dataset」と、その実装基盤となる独自開発のソフトウェア「Open Bandit Pipeline」を、論文発表にともないオープンソースとして公開することにした。これらを使うことで、他の研究機関でもオフ方策評価や意志決定アルゴリズムの性能評価が行えるようになる。

論文で提案された手法は、ZOZOTOWNのマーケティング施策にも実際に導入され、クリック率や購買率の向上に貢献しているとのことだ。

AWSがKubernetesクラスタを自動的にスケーリングするオープンソースツール「Karpenter」を公開

米国時間11月30日、Amazonはラスベガスで開催されている同社の顧客向けカンファレンスAWS re:Inventで、オープンソースの新しいKubernetesクラスタスケーリングツールであるKarpenter(カーペンター)を発表した。

クラウドコンピューティングの利点の1つは、必要なリソース要求に合わせて自動的にスケーリングできること、と少なくとも理論的にはいわれている。しかし現実には、Kubernetesクラスタの管理担当者は、サービス停止を防ぐために適切な量のリソースがあるかどうを注意深く監視していなければならない。

Karpenterは、そのクラウドコンピューティングの理想を現実にするために開発された。その利点について、AWSのChanny Yun(チャニー・ユン、尹 錫璨)氏は、新機能を紹介するブログを書いている。

「Karpenterは、変化するアプリケーション負荷に応じて適切なサイズのコンピュートリソースを割り当てることで、お客様のアプリケーション利用率とクラスタ効率を改善します。Karpenterは、アプリケーションのニーズを満たすリソースをジャスト・イン・タイムで計算する機能を提供しており、近々クラスタのコンピュートリソースを自動的に最適化してコスト削減、性能改善ができるようになります」とユン氏は述べている。

Karpenterは、Kubernetesの負荷を分析し、リソース制限のために開始できないポッドが必要としているリソースを特定する。次に、クラウドプロバイダーに情報を送り、それに基づいてコンピュートを追加あるいは削除してもらう。

ここで重要なのは、オープンソースツールであるため、KarpenterはAWSクラウドリソースに特化して作られているのではなく、あらゆるクラウドプロバイダーに対して内在するKubernetesクラスタに関する情報を送るのに使えることだ。Karpenterは、Kubernetesの負荷を判定するために、KubernetesのパッケージマネージャーであるHelm(ヘルム)を利用している。Karpenterが対象のプロバイダーでコンピュートリソースを自動的に設定するための許可も必要になる。

Karpenterは、Apache 2.0ライセンスの下で提供されるオープンソースツールで、すでに利用可能だ。

画像クレジット:Ron Miller / TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

どんな企業でもAIが使えるようになるツールを提供するH2O.ai、約1810億ドルのプレマネー評価で約123億ドルを調達

H2O.aiは、オープンソースのフレームワークと独自のアプリケーションを開発し、あらゆる企業が人工知能ベースのサービスを簡単に構築、運用できるようにするスタートアップである。AIアプリケーションがより一般的になり、テック企業以外の企業もAIを取り入れたいと考えるようになっていることもあり、同社への関心が一気に高まっている。そんなH2O.aiが今回、同社の成長を促進するために1億ドル(約122億8000万円)を調達。今回の資金調達により同社の価値は、ポストマネーで17億ドル(約1918億4000万円)、プレマネーで16億ドル(約1805億5000万円)となった。

今回のラウンドはシリーズEで、戦略的支援者であるCommonwealth Bank of Australia(CBA、オーストラリア・コモンウェルス銀行)がリードしている。CBAは同スタートアップの顧客でもあるのだが、今回の支援を利用して両者のパートナーシップを深め、新しいサービスを構築していく予定だ。今回の資金調達には、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)、Pivot Investment Partners(ピボット・インベストメント・パートナーズ)、Crane Venture Partners(クレーン・ベンチャー・パートナーズ)、Celesta Capital(セレスタ・キャピタル)などが参加。今回の資金調達を活用し、H2O.ai全体の製品をさらに充実させ、同社のH2O AI Hybrid Cloudプラットフォームの拡大を続けるために人材を採用することなどが計画されている。

顧客が戦略的支援者としてラウンドをリードしたのは今回が初めてではなく、2019年にはGoldman Sachsが同社シリーズDの7250万ドル(約81億8000万円)をリードしている。PitchBook(ピッチブック)のデータからも見られるように、H2Oの評価額は4億ドル(約451億3000万円)と評価されていた前回のラウンドから飛躍的に上昇しており、同社の成長率、そして同社が行っていることに対する一般的な需要の大きさがうかがえる。マウンテンビューに本社を置くH2O.aiは、これまでに2億4650万ドル(約278億円)を調達している。

関連記事:AI利用のハードルを下げるH2O.aiがゴールドマンサックスのリードで約77億円調達

直近2回のラウンドがいずれも、H2O.aiの顧客でもある大手銀行が主導しているという事実は、同スタートアップにとってのチャンスがどこにあるかを物語っている。以前、Workday(ワークデイ)に買収されたPlatfora(プラットフォラ)の共同創業者で、同社創業者兼CEOのSri Ambati(スリ・アンバティ)氏がメールで筆者に話してくれたところによると、現在同社のレベニューの約40%は、非常に広範で包括的な金融サービスの世界からもたらされているという。

「リテールバンキング、クレジットカード、ペイメントなど、PayPal(ペイパル)からMasterCard(マスターカード)までのほとんどすべての決済システムがH2Oの顧客です」と同氏。株式の分野では、債券、資産運用、住宅ローン担保証券などのサービスを提供している企業の数々がH2Oの技術を利用しており、MarketAxess(マーケットアクセス)、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)も「強力な」顧客であると述べている。

また、他の業種からのビジネスも増えているという。Unilever(ユニリーバ)やReckitt(レキットベンキーザー)、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)などの消費財、UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)などの物流配送、Chipotle(チポトレ)などのフードサービス、そしてAT&T(エーティーアンドティー)は「当社の最大の顧客の1つです」と話している。

同社の成功には新型コロナウイルスの存在もひと役買っている。

パンデミックを振り返り「製造業はサプライチェーンの混乱とデマンドセンシングにより、急成長を遂げました。我々はH2O AI Healthを立ち上げ、病院やプロバイダー、Aetna(エテナ)のような支払会社、製薬会社の顧客を支援したのです」と話している。

注目すべき点は、自社のワークフローにAIを導入して、自社の顧客にサービスを提供したいと考えている他の技術系企業との連携をH2O.aiが強化しようとしていることである。「バーティカルクラウドとSaaS ISVが最近の私たちの勝因です」。

同社は設立当初からH2Oと呼ばれるオープンソースのサービスを提供しており、現在では2万社以上の企業に利用されている。人気の理由の1つはその柔軟性にある。H2O.aiによると、同社のオープンソースフレームワークは、既存のビッグデータインフラ、ベアメタル、または既存のHadoop、Spark、Kubernetesクラスタの上で動作し、HDFS、Spark、S3、Azure Data Lakeなどのデータソースから、インメモリの分散型キーバリューストアに直接データを取り込むことができるという。

「当社のオープンソースプラットフォームは、お客様が独自のAIセンターオブコンピタンスとセンターオブエクセレンスを構築するための自由と能力を提供します。AIを山に例えると、私たちはお客様が山を征服するのを支援するシェルパのTenzing Norgay(テンジン・ノルゲイ)氏ようなものです」とアンバティ氏は同社のオープンソースツールについて話している。

エンジニアはカスタマイズされたアプリケーションを構築するためにこのフレームワークを使用することができるが、一方でH2O.ai独自のツールは、次に何が起こるかについてより良い洞察を得るために大量のデータを取り込むことで利益を得ることができる不正検知、解約予測、異常検知、価格最適化、信用スコアリングなどの分野においてより完成度の高いアプリケーションを提供している。これらのアプリケーションは、人間のアナリストやデータサイエンティストの仕事を補完するものであり、また場合によっては人間が行う基本的な作業を代替することも可能だ。現在、トータルで約45のアプリケーションが存在する。

将来的にこのようなツールを増やしていき、各分野の「アプリストア」でそれぞれの需要に合わせた独自の事前構築済みツールを提供していく計画だとアンバティ氏は話している。

H2O.aiの成長の原動力となっているトレンドは数年前から勢いを増している。

人工知能にはエンタープライズITの世界から大きな期待が寄せられている。機械学習、自然言語処理、コンピュータビジョンなどのツールをうまく活用すれば、生産性を向上させることができるだけでなく、企業にとってまったく新しい分野を切り開くことも可能となるからだ。長期的には、企業の運用コストやその他のコストを何十億ドルも削減することができるだろう。

しかし大きな問題として、多くの場合、組織にはAIを使ったプロジェクトを構築および遂行するための社内チームが不足していることが挙げられる。ニーズやパラメータの進化に伴い、インフラもすべて更新する必要があるのである。今やテクノロジーは企業のすべてに関わっているが、すべての企業がテック企業というわけではない。

H2O.aiは市場におけるこのギャップを埋めることを目的とした最初の、あるいは唯一のスタートアップではないが、他のスタートアップよりもこのタスクにおいて幾分か先を行っている。

Microsoft(マイクロソフト)やNVIDIA(エヌビディア)などの大手テック企業からの多額の資金提供と賛同を得て設立されたのがカナダのElement.AIだ。同社はAIを民主化してAIツールを構築・運用するためのリソースが不足していても企業がAIから恩恵を受けることができるようにし、AIを推進する多くのテック企業にビジネスを奪われないようにするというアイデアに取り組んでいた。同社はインテグレーションに重点を置いていたものの(AccentureのAIサービスのように)、コンセプトからビジネスへと大きくジャンプすることができず、最終的には2020年にServiceNow(サービスナウ)に買収され、企業向けのツールを構築する同社の取り組みを補完することになったのである。

アンバティ氏は、H2O.aiのビジネスのうちサービス分野はわずか10%程度で、残りの90%は製品によるものだと話しており、あるスタートアップのアプローチが成功し、別のスタートアップが失敗する理由を説明してくれた。

「データサイエンスやAIのサービスに魅了されるのは当然です。私たちの製品のメーカー文化に忠実になり、なおかつお客様の深い共感を築いて耳を傾けることが成功には欠かせません。お客様は当社のメーカー文化を体験し、自らもメーカーになる。私たちは継続的にソフトウェアをより簡単にし、AI Cloudを通じてローコード、再利用可能なレシピ、自動化を民主化してデータパイプライン、AI AppStoresを構築し、お客様が顧客体験、ブランド、コミュニティの改善に利用できるサービスとしてAIを提供しています」。

「私たちは単なる木ではなく森を育てているということが他社との大きな違いです。H2O AI Cloud、ローコードアプリケーション開発であるH2O Wave、H2O AI AppStores、Marketplace、H2O-3 Open Source MLは、すでにAIアプリケーションとソフトウェアの中核をなしており、私たちは顧客とそのパートナーや開発者のエコシステムと提携しています」。

これは投資家にも好評なプレーであり、ビジネスでもある。

CBAのCEOであるMatt Comyn(マット・コミン)氏は、声明中で次のように述べている。「オーストラリア・コモンウェルス銀行は、毎日収集される数百万のデータポイントという大きな資産を保有しています。H2O.aiへの投資と戦略的パートナーシップは、人工知能における当行のリーダーシップを拡大し、最終的には当行が最先端のデジタル提案や再構築された商品およびサービスを顧客に提供する能力を高めてくれることでしょう」。CBAのチーフデータ&アナリティクスオフィサーであるAndrew McMullan(アンドリュー・マクマラン)博士が、H2O.aiの取締役会に参画する予定となっている。

画像クレジット:Mario Simoes / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決を目指す

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決サービスの開発目指す

ハッカソンやアイデアソンの運営を行うHackCampは、総務省の委託事業「令和3年度地理空間情報を活用可能な人材の裾野拡大に向けた人材育成プログラムに関する調査研究の請負」の一環として「Geospatial Hackers Program 2021」をオンライン開催する(受講無料)。

これは、防災・観光・地域活性化などの有用なデータを可視化する技術「地理空間情報」の担い手育成を目的とした研修プログラム。自治体職員・NPO・市民団体・学生などプログラミング未経験者向け「初学者コース」と、プログラミング経験者向けの「技術者コース」とがある。動画教材を使い、実践的な学習をオンラインで行うというものだが、具体的な流れは、動画を使った自習(ハンズオン講習会の準備)、地理空間技術者によるハンズオン講習会、サービスプロトタイプ作りのための実践研修となっている。

講師は、実際に災害支援に参加した専門家である、高知県立大学の神原咲子特任教授(初学者コース)、静岡県建設政策課チーム(技術者コース)が担当する。実際に、「隣県で災害が発生した」という想定で被災地の課題解決に役立つサービスをチームで開発し、デモデーで優れたアイデアが表彰される。

「Geospatial Hackers Program 2021」概要

初学者コース

  • 対象者:プログラミング未経験者。自治体職員、NPO、市民団体、学生など。MS Officeが使える程度のコンピューターの知識が必要
  • 学習目標
    ・地理空間技術の概念とデータの種類を知る
    ・地理空間情報でできることを知る
    ・オープンデータを自分の力で地図に表現できる
    ・チームで1つのサービスを開発する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月8日9:30〜12:30
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」×オープンデータで避難所地図を作ろう

技術者コース

  • 対象者:プログラミング経験者。地理空間情報技術が未経験のエンジニアやプログラマー。シビックテックに興味のある技術者
  • 学習目標
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」を操作・活用できる
    ・ウェブ地図ソフト「leaflet」を活用したウェブ地図が制作できる
    ・点群データの概要と基本的な活用ができる
    ・アイデアを地図サービスに展開するプロセスを習得する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月9日9:30〜14:30
    ・Leafletを利用した、地震ハザードステーションJ-SHISによる地震情報の可視化
    ・静岡県による3次元の地理空間情報「VIRTUAL SHIZUOKA」の点群データを使ってみよう!

実践研修は東日本エリアと西日本エリアに分かれて行われる。

東日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月22日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月23日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月5日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月12日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月19日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

西日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月29日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月30日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月6日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月13日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月20日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

デモデー「Geospatial Hackers Program Demo Day」は2022年3月5日(予定。オンライン開催)となっており、各実践研修における参加者投票で、1位を獲得したアイデアについて発表・表彰を行う。

詳細はこちらから:https://ghp.connpass.com/

参加申し込みはこちらから:https://forms.gle/ctttEWi9FeDLqwc6A

OSSクラウド可視化サービスの商用化を進めるAutoCloudが約4.6億円を調達

AutoCloud(オートクラウド)は、米国時間11月22日、400万ドル(約4億5900万円)のシードラウンドを発表した。Animo Ventures(アニモ・ベンチャーズ)がリードし、Uncorrelated Ventures(アンコリレイテッド・ベンチャーズ)B Capital Group(Bキャピタル・グループ)Moxxie Ventures(モクシー・ベンチャーズ)が参加している。

AutoCloudは、CloudGraph(クラウドグラフ)オープンソースプロジェクトの商用版だ。オープンソース(OSS)と商用のハイブリッドな組み合わせは、市場を攻めるスタートアップの手法としてますます人気が高まっている。Hashicorp(ハシコープ)は最近、そのOSSコアの強みを部分的に活かして上場した。Jina.ai(ジーナアイ)は、ニューラル検索への商業的かつオープンソースのアプローチで3000万ドル(約34億4600万円)の資金調達を発表したが、これはさらにアーリーステージでの例である。

CloudGraphは、AWSやAzure(アズール)などの複数のクラウド事業者から利用データを取り込み、標準化し、GraphQL(「State of Javascript 2020」レポートによると、この技術自体が利用され、好意的な評価を受けている)を使ってクエリを可能にするOSSツールだ。

AutoCloudはCloudGraphの上に位置し、自動化されたデータ取り込み、セキュリティコンプライアンス、クラウドリソースのビジュアライゼーションを提供する。同社の共同設立者兼CEOであるTyson Kunovsky(タイソン・クノフスキー)氏は、TechCrunchに対し、同社の目標はHashicorpなどが行ってきたように、大規模なクラウドプラットフォームが苦手としている作業を回収し、その経験を改善することにあると述べている。

AutoCloudの創業チーム(画像クレジット:AutoCloud)

成功する可能性のあるすべてのOSSプロジェクトと同様に、その目標は、有用なものをオープンコードとして市場に提供し、一般に利用可能なものの上に商業ビジネスを構築することだ。AutoCloudの場合、それはSaaSモデルであり、トラッキングされた資産の数に応じて価格が設定されるようになっている。

同スタートアップは初期の段階にあるため、収益成長率や純ドル保持率など、従来の牽引力を示す指標がない。クノフスキー氏がTechCrunchに語ったところによると、彼の会社は主にCloudGraph自体に注力してきたが、OSSサービスの何百人ものユーザーがプロジェクトの「Readme」を通じてAutoCloudを見つけ、そのウェイティングリストに登録しているという。

AutoCloudは2021年末までに有料製品を発売する予定で、もうあと数週間だ。そのため、次に同社と話をするときには、収益の伸びや関連する指標について説くことができるだろう。

シカゴを拠点とするAutoCloudは、アルゼンチンやチリなど複数の地域にチームを置いているという点で、今日の一般的なスタートアップであるということは特筆すべきだ。

クノフスキー氏は、この会社に大きな情熱を持っている。AutoCloudは、クラウドのコマンドラインから、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)に変換したいと考えていると同氏は説明してくれた。それは簡単なことではない。

AutoCloudがマルチクラウドに対応していることを考えると、Amazon(アマゾン)やMicrosoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドチームが直接市場に参入する可能性は低いと思われる。しかし、他のクラウド事業者がそのうちに参入してくるかもしれない。その時には、CloudGraphプロジェクトが単独でどれだけ強くなっているかが、AutoCloudがより多くの既存のテック企業に対抗できるかできないかの重要な決め手となるだろう。

いずれにしても、AutoCloudのラウンドをあなたのOSSスコアカードに加えてみて欲しい。次の四半期か2四半期に必然的に資金再調達をするときには、さらに追加して欲しい。

画像クレジット:AutoCloud

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

位置情報テクノロジーのスタートアップGeolonia(ジオロニア)は11月15日、国連の「国連オープンGISイニシアチブ」(UN Open GIS Initiative)に参画し、同社が開発した地図デザイン編集ソフトウェア「Charites」(カリテス)を寄贈したことを発表した。

国連オープンGISイニシアチブは、国連活動支援局が平和維持活動の一環として行っている取り組み。国連活動に使用できるオープンソースのGIS(地理情報システム)の開発を目指している。そのプロジェクトのひとつに「国連ベクトルタイルツールキット」(UNVT)がある。地図が不整備な国や地域での国連の活動を支援するために、地理的状況分析やインフラ整備などに必要となるデジタル地図が使えるよう、関連するツールを揃えることを目的としている。

この活動に参画したGeoloniaのCharitesは、すでにオープンソースソフトウェアとして公開されているベクトルタイル地図デザインツール。これまでベクトルタイル地図のデザインには、膨大なJSONファイルの編集が必要であり、専門的な知識がなければ扱いにくいものだった。それに対してCharitesは、YAMLフォーマットを採用し、コードの記述が簡略化され、専門知識がなくてもデジタル地図の作成が可能になる。地図を海、線路、高速道路といったカテゴリーで分類でき、CSSを編集する感覚で、色、サイズ、ズームレベルなど、地図を見ながらリアルタイムでデザインが行える。

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

Charites(カリテス)の編集画面

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

地図をプレビュー表示しながら編集

また作成したデータは、MapboxMapLibreといった他の地図サービスにも反映できる柔軟性がある。こうした点が国連オープンGISイニシアチブから高く評価された。今後もイニシアチブのメンバーとして開発や協力を続けてゆくために、参画を決めたとのことだ。

CharitesはGitHubで公開されているため、誰にでも使える。日本語サンプルはこちら

オープンソースのクラウドインフラ可視化ツールを手がけるスタートアップ「CloudQuery」

開発者が複数のクラウドにコードをプッシュすると、どのインフラストラクチャを所有しているかを把握することが非常に困難になるため、通常はカスタムスクリプトを書くことが必要とされる。アーリーステージのスタートアップ起業であるCloudQuery(クラウドクエリ)は、これをもっと簡単にしたいと考え、その作業を代行するオープンソースのツールを開発した。同社は米国時間11月11日、350万ドル(約4億円)のシードラウンドを実施したと発表。このラウンドはBoldstart Ventures(ボールドスター・ベンチャーズ)が主導し、Work-Bench(ワークベンチ)、Mango Capital(マンゴ・キャピタル)、Haystack(ハイスタック)が支援した。

CloudQueryのCEO兼共同設立者であるYevgeny Pats(エフゲニー・パッツ)氏は、高いレベルでいうと「我々は、SQLで動くオープンソースのクラウドアセットインベントリー(ツール)である」と述べている。同氏は、以前起ち上げたスタートアップであるFuzzit(ファズィット)をGitLab(ギットラブ)に売却して、複数のクラウドプラットフォームで仕事をしていたとき、クラウド間のインフラをレイアウトしたり、すべてのピースがどのように組み合わされているのかを把握するのに苦労していたと語る。

さらに同氏が驚いたのは、そのために役立つオープンソースのツールが見当たらなかったことだ。HashiCorp(ハシコープ)のTerraform(テラフォーム)のように、インフラをコードとして書いている開発者が持っている種類の可視性を与えてくれるソリューションは存在しないように思われた。

そこでパッツ氏は、優れた起業家ならば当然やるべきことをやった。そのツールを作ることに着手したのだ。

「私が新たにCloudQueryを起ち上げて目指そうとしたのは、そのようなプラットフォームです。開発者がビジネスとセキュリティの目的を達成するために、新しいクエリエンジンを学ぶ必要がなく、知っているSQLを使って、ビジネスとセキュリティのロジックだけに集中できるようなエコシステムを構築したいのです」と、パッツ氏は説明する。

同社のツールは9カ月前に発表されたばかりだが、パッツ氏はこの問題を抱えているのが自分だけではないことを知った。すでに、Bloomberg(ブルームバーグ)、Salesforc(セールスフォース)、Zendesk(ゼンデスク)などの大手企業が導入し、スクリプトを書く多くの手作業に代わるツールとして使い始めている。

「(2021年の初めに)GitHub(ギットハブ)で公開してHacker News(ハッカー・ニュース)で発表したところ、3カ月も経たないうちに多くの開発者、DevOps(デブオプス)エンジニア、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)からかなりの支持と採用を得られたので、このオープンソース・プロジェクトの拡大と発展を続けるために、資金を調達してその機会を倍増させることに決めました」と、パッツ氏は述べている。

マネタイズの観点から、パッツ氏まず、コミュニティを構築したいと考えている。この製品が軌道に乗れば、オープンソースツールの使用にともなう複雑さを最小限に抑え、企業顧客向けにいくつかの特別な機能を提供するSaaSバージョンを構築する計画だ。

同社の従業員数は現在11名で、2022年の第1四半期までに14名に増やすことを計画している。オープンソースであるということは、コミュニティからの助けも得られるため、より無駄のない運営ができるということだ。また、パッツ氏によれば、完全なリモート企業であることは、より多様な人材を育成することに役立つが、雇用市場は厳しいため、よりチャレンジングであるという。

パッツ氏は、同社を完全なリモート企業として維持していく方針で、GitLabで働いていたときに学んだいくつかの教訓を、自分の会社で実践していくつもりだという。その1つが、適切なタイムゾーンでチームを構成することだ。世界中に人が散らばっていると、適切な時間にミーティングを行うことが難しくなるからだ。

画像クレジット:CasarsaGuru / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

UFD Tech

新型MacBook Proに採用されたM1 ProおよびM1 Maxは大幅な性能アップを実現していることから、暗号資産のマイニング(採掘)に使えないかと脳裏をよぎった人も少なくはないはず。それを実際に試してみた結果が報告されています。

海外掲示板Redditにも、同じ疑問を抱いた人たちがスレッドに集まっています。最初の「M1 Maxは55MH/sでETH(イーサリアム)を採掘できる?メモリの帯域幅はRX 6700 XTとRTX 3060 Tiの間だ」というお題をきっかけに「M1 Maxが40以上のMH/sを出せるなら、M1 ProではなくM1 Max MacBook Proを注文するよ」などの話題が盛り上がっています。

ちなみに「MH/s」とは暗号資産を採掘する速度であるハッシュレートの単位であり、1秒間の計算が100万回ということです。

さらに「考慮すべき事実は、最も効率的なSoCであり、専用GPUよりも電力消費がずっとずっと少ない。MacBookのリセールバリュー(買取や下取り価格)は基本的に市場で最も優れています(中略) SoCには、画面出力、超高速ビデオエンコーディング、暗号化、非常に強力なニューラルエンジンなど、特定の処理に特化した複数の専用プロセッサが搭載されています(中略)基本的には最も効率的な汎用CPUであると同時に、最も効率的なプログラマブルASICでもあるんだ」といったレスポンスもあり。

また「私は64GBのM1 Max 16(インチ)を持っていますが、ハイパワーモードで動作させたところ、ストックのethminer-m1バイナリで約10.25MH/が出ています。決して高速ではありませんが、非常に効率的で、1Wあたりのハッシュレートはおそらくとても良いでしょう」との声もあります。

そして実際にテストをして、数字を出している人もいます。YouTuberのUFD Tech氏はM1 Pro搭載Macで採掘をして、その電力効率の良さに驚いています。すでにM1 Mac向けに暗号採掘用のコンパイル済みバイナリソースコード)が配布されており、本動画ではそのインストール方法と使い方(今回はイーサリアム)が説明されています。

まず注意すべきは、バックグラウンドでのマイニングはしない方がいいということ。ちょっとしたWebブラウズでもマシンのパフォーマンスを落としてしまうので、Macを使わないときのみ実行したほうがよさそうです。

そうした注意を払った結果、M1 Proでは5MH/s以上の速度が出ており、総消費電力はわずか17W。Windows PCで同じ結果を出すためにははるかに多くの消費電力を必要とすることからも、十分にいい結果と言えそうです。

ただし電気代を差し引いた後の利益は、1か月あたりわずか12.82ドル、1日あたり約42セントにすぎません。もしも暗号資産マイニングのためだけにMacBook Proを買うとすれば、元を取るのに17年はかかる計算となります。購入から4~5年で下取りに出すとすれば利益はもう少し改善しそうですが、いずれにせよ小遣い稼ぎの域を出ることはなさそうです。

すでに購入している人は、Macを使っていないときにマイニングをしても害はなさそうではありますが、一攫千金は望むべくもないと思われます。4Kや8K動画編集などでM1 Max MacBook Proを24時間フル操業させている人は、今まで通り本来の業務に専念させておくのが賢明かもしれません。

(Source:RedditUFD Tech。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツールMultipassのM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境起動

Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表
Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツール「Multipass」のM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境を起動

Canonical

Linuxで最大のシェアを持つUbuntuの開発元Canonical社は9日(英現地時間)、M1チップ(系列)を搭載したMac上でクロスプラットフォームのLinuxを動作させる「最も迅速な方法」を発表しました。具体的には仮想マシン管理ツール「Multipass」(GitHub)がサポートされたということであり、これによりユーザーは1つのコマンドでM1 Mac上で仮想マシンイメージを起動し、わずか20秒でLinuxを実行できるとのことです。

アップル初のMac向け自社開発チップ「M1」は高性能かつ低消費電力が魅力ながらも、独自仕様のためmacOS以外のOSを動かすことが困難であり、Linux Kernelについても一応の動作が確認されてから、Linux Kernel 5.13 RCで正式サポートされるまで半年近くかかっていました。ついに10月には「基本的なデスクトップとして使える(GPUアクセラレーションはまだ使えず)」と宣言されながらも、今なおM1 Mac上で動かすまでは簡単な作業とは言えません。

そんななか、Canonical社はUbuntuこそが「M1 MacをLinuxコンピュータに変身させる最初のプラットフォーム」だと主張。今回のMultipassサポートに当たっても、プロダクトマネージャーのNathan Hart氏も自社が「開発者が市場にある他の選択肢よりも早くLinuxを使えるようにしたいと考えており、Multipassチームはその実現に貢献しています」と述べています。

Multipassの何が優れているかといえば、仮想マシン(VM)内のアプリを動かすにあたってコンテキスト(動作状態を保持する機構)を切り替える必要がなく、VM内のアプリをホスト端末(M1 Mac)から直接実行できるということです。

公式ブログによれば、Multipassの最新版1.8.0ではVM内のコマンドとホストOS上のコマンドを結びつけられる新機能「エイリアス」が利用でき、それにより「ユーザーはあらゆるLinuxプログラムをネイティブに近い状態で使えます」とのこと。例えばWindowsやMac上でDocker(仮想環境の構築ツール)を実行したい開発者にとって、エイリアスはその代わりになり得ると謳われています。

アプリやシステム開発から縁遠い一般人にとっては難解な話にも思えますが、要は「M1(あるいはM1 ProやM1 Max)搭載MacでLinuxの仮想マシン(サーバーなど)を構築してコマンド実行しやすくなった」ということです。

M1 Macの発売から約1年が経過し、アップルが全く仕様を明らかにしていないM1チップの分析がここまで進んだことは驚きとも思えます。が、上記のLinux KernelはGPUアクセラレーションはまだ使えず、今回のMultipassはそもそもグラフィック機能はサポートしておらず、いずれもM1チップを攻略しきっているとは言えません。

とはいえ、MacにゲーミングPC的なグラフィック機能を求めるのはコストパフォーマンスと見合っていない事実は、価格が数倍違うM1 Max MacBook ProとPS5のGPU性能が大差ないことでも再確認された感はあります。クリエイティブやソフト開発のプロ向け製品として、M1 Macは着実にシェアを伸ばしていくのかもしれません。

(Source:Ubuntu Blog。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

AIアプリケーションのためのストリーミングデータベースを構築するActiveloopが約5.7億円調達

Y Combinatorの2018年夏季から巣立ったActiveloopは、メディアに特化した人工知能アプリケーションのために特別に設計されたデータベースを開発している。米国時間11月2日、同社は 468 CapitalとCM Venturesがリードする500万ドル(約5億7000万円)のシード投資を発表した。これにはTribe CapitalとShasta Ventures、およびテクノロジー業界のさまざまなエンジェルたちが参加した。

同社の創業者でCEOのDavit Buniatyan(ダビット・ブニアティヤン)氏によると、同社は彼がプリンストン大学で行っていた研究から生まれた。そのとき彼は、AIのユースケースのために特別に設計された、画像や動画など非定型データのストリーミングデータベースが必要だと感じていた。同社はこの度、商用プロダクトのアルファバージョンを立ち上げている。

「私たちのAIのためのデータベースは、具体的には、データを極めて効率的に保存し、これを機械学習のアプリケーションや、コンピュータービジョン、音声処理、NLP(自然言語処理)などのモデルの訓練へストリーミングするレイターです」とブニアティヤン氏は説明している。

実用面では、ビデオやオーディオなどのデータをマシンが理解できる数学的表現に変換するためのオープンソースのAPIだ。さらにそのAPIでデータの異なるバージョンを追跡でき、そして最終的にはそれを、Amazon S3のようなにリポジトリに保存できる。

データがストリーミングで入手できれが、データサイエンティストやデベロッパーはこれまでのようにすべてのデータを手元のノートパソコンにダウンロードする必要もなく、それをモデルが使うために送ることもできる。Netflixでムービーを自分のところへストリーミングするのと同じで、自分のローカルマシンには何もダウンロードしない。

Activeloopの画像データベース(画像クレジット:Activeloop)

彼によると、このオープンソースプロジェクトには55名のコントリビューターがいて、コミュニティのメンバーはおよそ700名いる。そのプログラムはこれまでに30万回ダウンロードされた。

彼がデータをストリーミングしようと思いついたのは、プリンストンの神経科学研究所で大量のデータを扱っていたときだ。彼は、ファイルでは大きすぎると悟った。それをダウンロードするのは非実用的であり、むしろストリーミングするやり方を思いついて、それがActiveloopのベースになった。

現在、社員は15名だが、5〜6名の高度な技術者を求めている。彼が同社を創るときには、人材のダイバーシティをできるかぎり心がけた。たとえばエンジニアリング担当の副社長は女性だ。最近ではエチオピア出身のエンジニアを雇用しようとしたが、彼は結局断った。ブニアティヤン氏によれば、有能な人材であれば性別や人種や国籍などはまったく関係ないし、気にもしないという。

「人の出自や生まれつきなどはどうでもいい。重要なのは、我が社のミッションに貢献してくれるかだけです。私はこの会社をインパクトのある企業に育てたいので、そのための人材が欲しいのです」。

APIはオープンソースだが、この度アルファをリリースした商用プロダクトは、ストリーミングデータへのSQLクエリなど、いろいろな機能が加わっている。それらはオープンソースプロダクトにはない。同社はまだ売上を計上していないが、2022年の第1四半期には商用バージョンをリリースしたい意向だ。

画像クレジット:Activeloop

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

東京都主催のOSS共創プログラム「地域課題をハックする」がハッカソン形式で開催、東京都OSS公開ガイドラインも発表

東京都主催のOSS共創プログラム第1弾「地域課題をハックする」がハッカソン形式で開催、「東京都OSS公開ガイドライン」も発表

Tokyo OSS Party!!は10月27日、東京都と共に「テクノロジーを活用して」「オープンに」「楽しく」様々な地域課題を解決するためのイベント「Tokyo OSS Party!! 2021」の開催を発表した。開催期間は、11月20日から12月4日(オンライン開催)。参加応募は、「“地域課題をハックする” 共創プログラム〜Tokyo OSS Party!! 2021」、または「Tokyo OSS Party!! “地域課題をハックする” 共創プログラム 参加お申し込み」から行える。

同イベント内で作成したソフトウェアなど成果物は、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開をすることを前提としており、「Tokyo OSS Party!! 2021 参加同意書」の内容を確認・同意した上で応募するよう呼びかけている。

また同イベントでは、地域課題をハックするサービスの開発を行う共創プログラム「地域課題をハックする」をハッカソン形式で実施する。募集人数は50名程度(応募者多数の場合は主催者側で選考)。年齢・居住地・国籍不問。個人エントリーの場合は、参加フォームで「個人参加(チームビルディング希望)」を選択する。

同プログラムでは、各自治体が実際の地域課題と開発に役立つオープンデータが提供される。これを元に、エンジニアやデザイナー・プランナーなどサービス開発やウェブデザインのスキルを持つ人がチームを作り、アプリケーションを開発する中で、新たな地域課題解決に向けた可能性を探るとしている。提供予定課題は「防災ハザードマップに関する課題」で、その他順次調整中。

表彰チームのプロトタイプは、OSSとしてGithub上で公開しにすることを条件としており、社会全体に広がるムーブメントの火付け役となるプログラムでありたいと考えているという。東京都主催のOSS共創プログラム第1弾「地域課題をハックする」がハッカソン形式で開催、「東京都OSS公開ガイドライン」も発表

「東京都OSS公開ガイドライン」

東京都は、「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」制作の経験から、OSS化の利点を「都が保有する知的資産(ソースコード)を共有し、幅広く意見を聞くことで、OSS自体の自律的発展が可能」「また、この動きを全国に波及させることで、行政などが類似するシステムを構築する際の開発時間とコストの縮減に寄与」として捉えているという。

そのため、都全体でOSS化を推進していくべく「東京都OSS公開ガイドライン」を策定し、β版(0.1.0版。2021年11月1日現在)をGitHub上で公開した。Issue や Pull Request も受け付けているとのこと。

サイバーセキュリティのFlatt Securityが2億円調達、海外市場ターゲットのプロダクト「Shisho」開発を加速

サイバーセキュリティ事業やウェブエンジニアのための学習プラットフォーム「KENRO」(ケンロー)を提供するFlatt Securityは10月18日、第三者割当増資による約2億円の資金調達(一部借入を含む)を発表した。引受先はB Dash Ventures、フィンテック グローバル、事業会社1社。既存事業の収益と調達した資金により、海外市場を念頭に置いたセキュリティプロダクト「Shisho」(製品のβ版を提供中)の開発速度の向上を目指す。累計調達額は約4億5000万円となった。

Shishoは、グローバルで「組織内のプロダクト開発・運用業務とセキュリティ業務との分断の解消」を実現すべく開発されたプロダクト。技術的な核となる脆弱性の感知・修正エンジンをオープンソースソフトウェア(OSS)としてGitHub上で公開しており、製品のβ版の提供を10月6日より行なっている。

2017年5月設立のFlatt Securityは、サイバーセキュリティ領域を手がける東京大学発のスタートアップ。「セキュリティの力で信頼をつなげ、クリエイティブな世界を実現する」をミッションに掲げており、ユーザーのシステムに情報漏洩やデータ改ざんにつながる脆弱性がないかを調査する「セキュリティ診断」(脆弱性診断)やKENROを提供している。また、インターネット上で利用可能なソフトウェア・ハードウェアの脆弱性を調査する「脆弱性リサーチプロジェクト」を実施している。