自動運転車もオープンソース化でカスタマイズの自由度を強調、ステルスを脱したOSVehicleはモジュール構造のホワイトレーベル車を提供

OSVehicle(Open Source Vehicle)はY Combinatorが支援するB2Bの自動運転車企業で、多量の業務用車両を抱える顧客企業に‘ホワイトレーベル’(納車時ノーブランド)の車を複数台作って納める。

‘EDIT’と名付けられたその自動運転車は、顧客がすぐに使い始められる状態で納車される自動運転電気自動車で、モジュール構造なのでデザインは可変、ホワイトレーベルなので顧客が完全に自己ブランド化できる。

1年のステルス期間をようやく脱した同社は、顧客である自動車利用企業が仕様をカスタマイズできる自動運転車が、製品の基本コンセプトだ。自動運転のためのハードウェアや、インターネット接続、ソフトウェアのコード、航続距離、ルックスなど、何でもカスタマイズできる。モジュール方式の利点は、そういうカスタマイズが通常の半分ぐらいの工期と、約1/6の費用でできることだ。

顧客は、自分の国と自分の業種(例:タクシー会社)に合った車を、短期間で確保できる。フードデリバリ、ライドシェア、などなど業種に合わせたカスタマイズが、車の特定のブランドにまったく邪魔されないのだ。言い換えると、ブランドに合わせたカスタマイズではなく、完全にアプリケーションに合わせたカスタマイズが可能だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Windows 10のBashシェルはUbuntuだけでなくFedoraやSuSE上でもサポート、デベロッパーの要望に対応

Microsoftの昨年のデベロッパーカンファレンスBuildで最大の驚きは、同社がUbuntu系LinuxサブシステムをベースとするBashシェルのサポートを、Windows 10に組み込もうとしていることだった。その機能はWindows 10 Anniversaryアップデートのリリースとその後の数か月で広範囲に実装され、その後のアップデートも頻繁に行われたが、Ubuntuがベースであることは変わらなかった。しかし今日の同社の発表では、これからはOpenSuSEFedoraのサポートも加わることになる。

デベロッパーがWindows 10の設定メニューで“developer mode”を有効にし、Linuxのサポートを指定すると、デベロッパーはWindows Storeへ行って三つのLinuxシステムのどれかのサポートを、クリック一つでインストールできる。なお、このインストール手続きは、以前のそれに比べると新しくて大幅に使いやすくなっている。さらにまた、Linuxの三つのフレーバーをすべて並行的に動かすこともできる。

MicrosoftのWindows Developer Platform担当VP Kevin Galloによると、Bashと競合するほかのシェルのサポートはリクエストが多くなくて、しかしUbuntu以外のそのほかのディストリビューションのサポートは、リクエストがとても多かった。最近のMicrosoftのお題目は“デベロッパーがいるところでデベロッパーに会う”(meeting developers where they are)だから、そのほかのLinuxベンダーと協働して、彼らのディストリビューションもサポートすることにしたのだ。

Bashシェルが三つあって、それぞれがWindowsデスクトップの上で並行に動く複数のLinuxフレーバーの上で使えるなんて、なんだかけったいではあるけど、たぶん最近のMicrosoftとデベロッパーの関係は、そのほかの面でもこんな具合なのだろう。オープンソースのエコシステムは最近の数年間で、かなり様変わりしたのだ。


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Red Hatがコンテナ化アプリケーションを開発するためのクラウドIDE、OpenShift.ioを立ち上げ

Red Hatが今日(米国時間5/2)、OpenShift.ioを立ち上げた。それは同社としては初めての、本格的なクラウドベースのデベロッパーツールだ。その名が示すように、OpenShift.ioは、Kubernetesをベースとする同社のコンテナ管理プラットホームOpenShiftを使用し、クラウドネイティブでコンテナを利用するアプリケーションの構築に必要なツールを提供する。それらは、チームコラボレーションのためのサービス、アジャイルプランニングのツール、デベロッパーのワークスペース管理、コーディングとテストのためのIDE、モニタリング、そしてもちろん、継続的インテグレーションとデリバリのサービスだ。

方向性はやや違うが、これはいわば、MicrosoftのVisual Studio Team ServicesのRed Hatバージョンだ。しかしRed Hatがここでやっているのは、fabric8, Jenkins, Eclipse Che, それにもちろんOpenShiftといった既存のオープンソースプロジェクトをひとつのサービスにまとめて、主にコンテナベースのアプリケーションにフォーカスした体験を提供することだ。

OpenShift.ioは中でもとくに、チームのコラボレーションを重視し、そのためのさまざまな開発方法論や哲学をサポート、そしてソースコントロールシステムを提供している。またプロジェクトマネージャーやビジネスアナリストなど、チーム内のノンプログラマーがプロジェクトの状態を追えるためのツールも、充実している。

Red Hatでプロダクトとテクノロジーを統轄するPaul Cormier社長が、今日のブログ記事で述べている: “Red Hatは、クラウドネイティブと従来型の両方のアプリケーション開発に取り組むための、オープンで自由度が高く安全なツールを、標準的ツールをベースとする全体的に斉合性のあるプラットホームとして提供している。今日私たちはご覧のように、Red HatのコンテナプラットホームOpenShiftを利用してコンテナ化されたアプリケーションを構築するための、クラウドベースのフレームワークを立ち上げる。それは、今日の類似製品の中でもっとも総合的な、エンタープライズ向けKubernetesプラットホームだ”。

Red Hatは今日、OpenShift.ioのほかに、Red Hatおよび同社のISVパートナーたちのすべてのコンテナ関連製品の、セキュリティや安定性などを調べて評価できるContainer Health Indexを発表した。またもうひとつ今日ローンチしたRed Hat OpenShift Application Runtimesは、マイクロサービスのための、構築済みのコンテナ化ランタイムの基盤群だ。これらのランタイムには、Node.js, Eclipse Vert.x, WildFly Swarmなどのサポートが含まれる。

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Facebookが最初のCaffeに大きな柔軟性を持たせたディープラーニングフレームワークCaffe2をオープンソース化

今日(米国時間4/18)FacebookはCaffe2をオープンソースにした。それは、最初のCaffeに次ぐディープラーニングフレームワークで、そのCaffeはカリフォルニア大学バークリー校で始まったプロジェクトだ。Caffe2は、効率的にデプロイできる高性能な製品を作ろうとするデベロッパーに、大幅な柔軟性を与える。

FacebookがCaffeのコミュニティにエンゲージするのは、これが初めてではない。10月にはCaffe2Goを発表したが、それはいわば、モバイルのCPUとGPU向けに最適化されたCaffe2だ。そもそも、名前の中に‘Caffe2’がある。そのときCaffe2Goが注目されたのは、リリース時期がたまたまStyle Transferと一致したからだ。

もうひとつ注目すべきは、同社が最初のCaffeのエクステンションをリリースしたことだ。それによってCaffeが、大きなオーディエンス向けのサービスを構築しているデベロッパーにとって、魅力的になった。Facebookは従来、リソースをそれほど必要としないディープラーニングのプロジェクトには、研究用途向けに最適とされるTorchライブラリ〔2015年にオープンソース化〕を使ってきた。

でも最近のテクノロジー企業はどこも、自社の機械学習フレームワークはスケーラビリティが優れている、と強調するようになった。Caffe2の開発リーダーYangqing Jiaは、MXNetと、スケーラビリティをめぐるAmazonの主張 をどう思っているだろうか。彼は比較のためのベンチマークにあえて言及しないが、しかしそれはベンチマークが無意味だからではなく、そもそも機械学習アプリケーションの性能は実装に大きく左右されるし、また学習モデルの質にも依るからだ。しかもそれらにはほぼ必ず、“DIY的な”バラつきや変動がつきまとう。

Caffe2のリーダーYangqing Jiaと事業開発のリーダーAlex Yu

“フレームワークというものには多かれ少なかれ必ずスケーラビリティの問題がつきまとうが、そんな中でCaffe2は、頭一つぐらい他を抜いていると思う”、とJiaは説明する。

Facebookは、Caffe2とPyTorchの両方に多くのリソースを注いでいる。今日の発表には、ハードウェアとデバイスとクラウドのレベルでのパートナーシップが伴っている。Caffe2の事業開発を統轄するAlex Yuは、どのカテゴリーでもパートナーとしてマーケットリーダーをねらった、と言っている。たとえばハードウェアではNvidiaやIntel、デバイスではQualcomm、クラウドではAmazonとMicrosoft、といったぐあいだ。この中にGoogleの名はないが、Google Cloud Platformとのパートナーシップも、今後無視されることはありえない。

Caffe2はリリースの前から、Facebook内部で大々的にデプロイされてきた。また、元のCaffeと同じく、デベロッパーコミュニティの育成にも力を入れる。CaffeからCaffe2へのモデルへの変換は、ユーティリティスクリプトで簡単にできる。ドキュメンテーションとチュートリアルはFacebookが提供、そしてCaffe2のソースコードはGitHub上にある。

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プライバシーへの不安が高まる今、15分で自分専用VPNサーバーを立ち上げてみた

インターネットプロバイダーが利用者の個人情報を広告主と共有できるようにする法案を、議会が通過させたために、皆が(当然ながら)プライバシーに関する不安を抱いている。ただ、あなた自身のプライバシーを守ることは重要だが、だからといってVPNサービスに登録して全てのトラフィックをVPNサーバーを通さなければならないということではない。

VPNを使っても匿名性は保たれない

さて、ではVPNとは一体なんだろう?私は既にVPNを解説する記事を書いているが、そこではVPNを映画のカーチェイスに喩える簡単なコンセプトを使って説明した。

簡単に要約するならば、コンピューターや携帯電話をVPNサーバーに接続すると、サーバーとあなたのデバイスの間に暗号化されたトンネルが確立されるということだ。このトンネルの中で何か起きているかは、たとえあなたのインターネットプロバイダーでも知ることができない。

にも関わらず、それであなたが魔法のように匿名化されたというわけではない。あなたのすべてのインターネットトラフィックを見ることができるVPN会社に対して、リスクを移管しただけのことだ。実際のところ、その大多数があなたのデータを既に、詐欺師と広告主たちに売り渡している。

これが私がVPNサービスに登録することをお勧めしない理由だ。彼らは信頼できない。

補足しておくなら、今や多くのサイトがセキュアなコネクションをユーザーのブラウザーとウェブサイトの間に確立するために、HTTPSを利用している。TechCrunchももちろんそうだ。可能な限り多くの場所でHTTPSを利用することを確実にするために、HTTPS eveywhere拡張をインストールしておくべきだ。

しかしVPNもときどきは役に立つ。公衆ネットワークからのアクセスがブロックされているウェブサイトにアクセスしたいこともあるだろう。あるいは中国を旅行しているときにGmailアカウントにアクセスしたいこともあるかもしれない。そうした場合には、大切なのはVPNを使いながらリスクを最小化するということだ。

独自VPNサーバーのセットアップ

議会が大失敗をやらかす前に、Wozが私の以前のVPNの記事にコメントしてくれたように、あなた自身で独自VPNサーバーを運営することも可能だ。

しかしもし、家庭の回線接続が不安定だったり、家からのアップロード方向の速度が遅い場合には、とても実用的には利用できない。

そこで私はAlgo VPNを少々試してみた。これはクラウド内のVPNを、開発に関してあまり知識はなくても、わずかの時間で設定させてくれるスクリプト群だ。その結果、Trail of Bitsによるこのアプローチに、私がとても感心したことを書かなければならない。

私はDigitalOceanのサーバー、Amazon Web Serviceのインスタンス、そしてScalewayのサーバー上にVPNサーバーを設置してみた。そして、その設置後数分で、上記すべてのVPNサーバーに、私のMacとiPhoneから接続することができた。

Algo VPNがVPNインストールプロセスを自動化してくれるので、サーバーに対してSSH接続を行って込み入ったコマンドラインを実行する必要はないのだ。

まず必要なものをインストールするために、手元のコンピュータ上で3つほどのコマンドラインを実行する。その後、DigitalOceanのようなクラウドプロバイダにサインアップして、そのターミナルの中でAlgo VPNセットアップを実行する必要がある。この記事を公開したあとで変更があるかもしれないので、ここにはインストールプロセスの詳細を書くことは控えるが、必要なことは全てGitHub上の公式リポジトリで説明されている。

DigitalOceanでは、独自のサーバーを作成して設定する必要はない。Algo VPNは、DigitalOceanのAPIを使用して、サーバーの作成から設定までの全てのことを行ってくれる。

セットアップウィザードの終了時に、ローカルハードドライブ上にいくつかのファイルが置かれる。例えば、MacOSの場合、その生成された構成プロファイルをダブルクリックすると、VPNサーバーをネットワーク設定に追加した上で、そのVPNサーバーへの接続が行われる。macOSとiOSの上でネイティブ動作するので、別途VPNクライアントをインストールする必要はない。

簡単にまとめよう:

  1. DigitalOceanのような、クラウドホスティングプロバイダーの上に、アカウントを作成する。
  2. Algo VPNをローカルコンピュータ上にダウンロードして、unzipなどで展開する。
  3. このページのコマンドラインを実行して必要ファイルをインストール。
  4. インストールウィザードを実行する。
  5. configsディレクトリに置かれる構成プロファイル(configuration profile)をダブルクリックする。

使い捨てのVPN

自分自身のVPNを運営しているからといって、インターネットで更に安全になったというわけでもない。今度は、リスクがトンネルからクラウドホスティングプロバイダーへ移動したということだ。

例えばMicrosoft AzureのインスタンスでAlgo VPNを使用している場合でも、もしNSAがあなたを邪悪な人だと考えたならば、彼らはMicrosoftに対してあなたに関する情報を問い合わせることができる。Microsoftはあなたの支払い者情報を持っているからだ。

しかしAlgo VPNには元気付けられるものが備わっている。使い捨てVPNを設定できるのだ。数分で新しいVPNサーバーを起動して、その新しいVPNに接続することができるのだ。終了と同時にインスタンスを削除してしまい、このVPNが存在しなかったようにすることができる。

こうしたサービスは1時間あたり大体0.006ドルほどのチャージだったり、様々なボーナスで更に安く利用できることが期待できる。なので、VPNサービスと契約するよりも遥かに安いものとなる。そして、VPNサーバーを他のVPNユーザーと共有することもないので、遥かに良いパフォーマンスを得ることもできる。例えば、私の設定したAWS VPNサーバーからは、素晴らしいネットワーキング性能が得られている。

Algo VPNは、DigitalOcean、AWS、Microsoft Azure、そしてGoogle Cloud上でのセットアップを簡単にしてくれるが、私は他のホスティングプロバイダーでも利用できるかどうかを見るために、Scalewayでも設定してみた。そして、それは最小のUbuntuクラウドサーバー上で完全にうまく動作した。

もし少しでも技術的な知識を持っているなら、商用のVPNサービスを登録する理由はないと思う。Algo VPNを使ったのでそう思うようになった。私は自分自身では当局に自分のデータを渡すことはないと信じている(まあ当然だ)。私は世界のAmazonたちやGoogleたちが私のプライバシーのために戦ってくれるとは必ずしも信じてはいないが、私のホスティングデータをサードパーティの広告会社や、詐欺師たちに売ることはないだろうと思っている。彼らの消費者向けサービス内の私の個人情報に関しては、あまり安心してはいないが、それはまた別の記事のトピックとすることにしよう。

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(翻訳:Sako)

Uberがオープンソース化していたデータ視覚化ツールが、地図以外の視覚化にも対応した

知らない人もいると思うが、Uberは社内で使っているデータ視覚化フレームワークdeck.glをオープンソースとして公開している。このツールは、昨年の11月にオープンソースライセンスを介して、誰でも利用できるようになった。そして今回幾つかの重要なアップデートが施され、それぞれのデータを魅力的なビジュアル表現に変換する興味深い方法を探しているグループや個人たちにとって、より便利なものになった。

「このライブラリの背後にある主要なアイデアは、大規模なデータ資産を探求し視覚化するために設計されたWebGLベースのフレームワークだということです」と説明するのは、Uberのデータビジュアライゼーションの責任者であるNicolas Garcia Belmonteだ。そもそもこのツールが存在している理由を以下のように語る。「コアビジネスから想像できるように、私たちは大量の地理空間情報を扱っていますが、そこで私たちは大量のデータを地図上にビジュアライズしているのです」。

Uberは社内でこのツールを様々な目的に使用している。例えばその配車ビジネスから収集される大量の蓄積データから得られる洞察を生み出す手段として、乗車と降車体験のビジュアル化を行うといったことだ。Belmonteによれば、プロジェクトのオープンソース化は、外部の人たちが、場合によっては非常に大規模になるそれぞれのデータセットを、視覚化し探索することをできるようにするための手段ということだ。

本日(米国時間4月6日)公開されたフレームワークへのアップデートによって、その適用範囲は地図に限定されたものではなくなり、機械学習のビジュアルなデータセットや、ネットワークのトラフィックなどを含む、さらに抽象的なユースケースを扱えるようになった。チームはまた使いやすさにも焦点を当てている。新しいデモプロジェクトを用意するだけでなく、より良いドキュメンテーションによって、開発者にとっての敷居を大幅に引き下げている。

Uberのデータビジュアライズソフトウェアのもう一つのユニークな利用方法は…Minecraftのビジュアライズだ。

BelmonteとUberによれば、deck.glはオープンソースの世界では並ぶもののない、リッチで柔軟なツールだ。私は彼らに、ライブラリの能力を考えれば、それ自身はUberのコアビジネスからは少々離れたものではあるものの、有償化を考えたりはしないのかと尋ねてみた。

「個人的に、私はオープンソースを強く推進したい派なのです。私はオープンソース化が私たちのビジネスを、多くの方法で助けてくれると考えています。そしてそれらの方法は誰かに単にソフトウェアのお金を払ってもらうよりも、より価値のあるものにすぐになるでしょう」とBelmonteは語った。「これは、開発者たちに手を差し伸べて、どのような創造性を発揮して貰えるかを見るための試みという位置付けですね」。

既にユーバーは、3Dインドアスキャンで集められた点を詳細に視覚化する例や、機械学習アプリケーションの視覚的な部分従属プロット(Partial Dependence Plots)を示す例を用意している。

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(翻訳:Sako)

UbuntuのCanonicalがスマートフォンから撤退、デスクトップはUnityからGNOMEに戻る

人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalは、スマートフォンやタブレットでモバイルの世界に進出したい、という願いを持っていた。今やUbuntuで動くスマートフォンを買うのは(少なくともアメリカでは)容易ではないが、しかしここ数年、さまざまな機種が出たり消えたりを繰り返した。そしてCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthの今日(米国時間4/5)の発表によれば、同社はスマートフォン事業への投資を終了する。

さらに、Ubuntuに関しては、18.04のリリースからGNOMEデスクトップに戻り、独自に開発していたUnity8デスクトップ環境を捨てる。

そしてCanonical自身は今後、クラウドとIoTに注力する。ただし、“数百万もの人びとが依存しているUbuntuデスクトップへの情熱と投資と責任感は今後も継続することを強調しておきたい”、とShuttleworthは書いている。“弊社は世界でもっとも使いやすいオープンソースデスクトップの生産を継続し、既存のLTS〔長期サポートバージョン〕のメンテナンスも怠らず、多くの商業的パートナーと協力してそのデスクトップを配布し、それに依存している企業顧客をサポートし、そしてそれらの上でイノベーションを志向する何百万ものIoTとクラウドのデベロッパーたちを喜ばせたい”。

今やパブリックとプライベートのクラウドの大半がLinuxの上で動いており、またその多くがUbuntuを使っている(もちろんRed Hatなどとの競合もある)。最近行われるクラウド関連のカンファレンスに、何らかの形でのCanonicalのプレゼンスがない、ということは一度もなかったと思う。同社はLinuxのディストリビューションがいちばん有名だが、UbuntuやOpenStackやコンテナを(多くの場合Kubernetesを伴って)自社のデータセンターで使う大企業顧客向けにサポートすることからも、収益を得ている。同社は数字を発表していないが、売上の大きな部分が、このようなエンタープライズ・サポートであり、しかもそれは急速に成長し利益も大きい分野だろう。

IoTの世界では、Ubuntu Coreと同社のSnapsコンセプト(サンドボックス化したアプリケーションをどのLinuxディストリビューションでもインストールし動かせる)が、徐々にユーザーを増やしている。たとえば先日のMWCでは、Shuttleworthが私を連れて、Canonicalのブースと、Snapsを使っているサードパーティ全社のブースを訪問した。このようなSnapsの人気には、Shuttleworth自身がかなり興奮していたようだ。

“究極の選択は、企業の成長に寄与している分野に投資することだ”、とShuttleworthは書いている。“それらは、デスクトップとサーバーとVMを提供するUbuntuそれ自身、弊社のクラウドインフラストラクチャ製品(OpenStackとKubernetes)、クラウドオペレーションの能力(MAAS, LXD, Juju, BootStack)、そしてSnapsとUbuntu CoreによるIoT路線だ”。

Unity8については、公平に言っても、多くのUbuntuユーザーがその消滅を悲しいとは思わないだろう。それを好きなユーザーも一部にはいるけど、なんといってもGnomeはLinuxのデスクトップ環境として長年、もっとも人気が高い(しかもこのところ、どんどん進化している)。分派行動で実装が多様化〜分裂していることもないから、デベロッパーにとっても使いやすいはずだ。

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Cloud Foundryがクラウドネイティブのスキルを涵養するためデベロッパー資格認定事業を開始

Cloud Foundryは大規模なオープンソースプロジェクトで、企業はこれを利用して自社専用のPaaSをホストし、自分のデータセンターやパブリッククラウドでクラウドアプリケーションを動かす。同社は今日(米国時間3/29)、そのためのデベロッパーを育成するため、“Cloud Foundry Certified Developer(Cloud Foundry認定デベロッパー)”事業のローンチを発表した。

Cloud Foundry Foundationはこれを、“世界最大のクラウドネイティブデベロッパーの資格認定事業”、と呼ぶ。その成否を今から云々することはもちろんできないが、すでにDell EMC, IBM, SAP and Pivotal(Cloud Foundryのインキュベーター)などが支援している。同社はLinux Foundationとパートナーして、そのeラーニングインフラストラクチャから資格認定事業を提供していく。〔*: クラウドネイティブ, 既存の何かをクラウド化するのでなく、最初からクラウド上で動くものとして開発すること。〕

目に見える資格認定があれば、デベロッパーはオープンソースのクラウドに関する自分のスキルを他に示すことができる。この事業は、現在Cloud Foundryをサポートしている大手のパブリッククラウドプラットホームすべてを対象とする。それらは、Huawei, IBM, Pivotal, SAP, Swisscomなどだ。

約4時間で終わる300ドルの試験は、Cloud Foundryの基礎、クラウドネイティブなアプリケーションのセキュリティ、アプリケーション管理とコンテナの管理などをカバーし、また、JavaやNode.js、Rubyなどで書かれたシンプルなアプリケーションの書き換えも試験に含まれる。範囲がきわめて広いと思われるが、でもこれだけの分野で有能なデベロッパーなら、仕事を見つけるのも早いだろう。

Cloud FoundryのCTO Chip Childersが今日の発表声明で言っている: “企業はクラウドネイティブなアプリケーションを構築し管理できるデベロッパーを必要としており、そしてデベロッパーは仕事が必要だ。弊社はそこにある大きなギャップに着目し、デベロッパーとエンタープライズの両者が必要とするものを提供することを、弊社の機会と認識している”。

この事業の立ち上げは、必ずしも意外ではない。Childersはすでに昨年の11月に、これを今準備中、と語っていた。

この資格認定事業は今はベータで、一般供用は6月13日からになる(その日はCloud FoundryのSummit Silicon Valleyカンファレンスの初日で、そこでデベロッパーは個人でこの試験を受けられる)。

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Cloud Native Computing Foundationが抱えるプロジェクトと会員を大幅増、最新コンテナ技術の教育/人材育成にも注力

人気続伸中のコンテナオーケストレーションサービスKubernetesや関連のオープンソースプロジェクトを管理提供するCloud Native Computing Foundation(CNCF)が、例年のデベロッパーカンファレンスを今日(米国時間3/29)から開催し、それを機に、DockerとCreOSのプロジェクト(containerdとrkt)を仲間に加えたことを発表した。

Dockerのcontainerdは同社のコンテナランタイムで、Dockerのコンテナ管理およびオーケストレーションサービスの中核的部分だが、Dockerとしては標準的なコンテナライフサイクル管理の機能を、コンテナの実行を担当するDocker Engineから切り離したかったため、ランタイムを別立てにした。しかし多くの企業ユーザーは、Dockerを使うことを通じて同時にcontainerdも使っている。DockerのPatrick Chanezonは今日からベルリンで始まったカンファレンスのキーノートで、同社がcontainerdをCNCFに寄贈することに決めたのは、その正しい世話役として中立的な機関を探していたからだ、と語った。

一方CoreOSのrkt(‘ロケット’と発音する)は、Linuxのクラスターのための同社のコンテナエンジンだ。containerdと違ってデーモンではなく単一の実行プログラムであり、Kubernetesなど、ほかのコンテナプロジェクトとの統合がねらいだ。CoreOSは最初、rktをDocker Engineの競合製品としてローンチし、同社独自のコンテナ形式を前提していた。でも今では、スタンダードに準拠したコンテナエンジンになっている。

CNCFのディレクターDan Kohnは、こう言う: “Kubernetesなどのコンテナオーケストレーションにとっては、rktのような信頼性の高い、コミュニティベースのコンテナランタイムの方が便利だ。うちのような単一の機関の下にrktのようなコンテナランタイムと、コンテナクラスターの管理システムKubernetesの両方があると、業界に堅実なエンドユーザーソリューションを提供できる。それは巨大な便益だ”。

CNCFの新しい会員も発表された。Linux Foundationが管理しているすべてのプロジェクトと同様に、CNCFの場合も会費が資金源だ。まず、Dellが大型のプラチナ会員になり、年間37万ドルを提供する。そのほか、Cisco, CoreOS, Docker, Google, Huawei, IBM, Intel, Red Hatなどもプラチナ会員だ。SUSEは年会費12万ドルのゴールド会員、HarmonyCloud, QAware, Solinea, TenxCloudはシルバー会員だ(会費は社員数により7000から50000ドル)。

Dell EMCのテクノロジー担当VP Josh Bernsteinが、今日の入会ご挨拶でこう述べた: “今日の環境では、オープンソースがアジリティの鍵だ。環境が、ソフトウェアが求める迅速な変化と進化を支えなければならないからだ。CNCFに参加することにより弊社は、変化の促進にさらに深くコミットでき、エンタープライズITの戦略の核として、ソフトウェアをオープンでアクセス性と利用性の良いものにしていける”。

なお、CNCFは今後、Kubernetes Certified Administrator Exam(Kubernetes認定管理者試験)のカリキュラムを、オープンソースのライセンスで無料提供する。このところオープンソースの世界は、いろんな認定事業がトレンドになっている。OpenStackやCloud Foundryのようなオープンソースプロジェクトも、CNCFと同様の人材枯渇を解消するために、認定事業を検討している(Cloud Foundryの認定事業については別記事あり)。それらは、企業の既存社員の教育〜レベルアップだけが目的ではなく、明確なカリキュラムに基づいた事業により、新しい人材のプールを作ることもねらいだ。

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Googleが同社のオープンソースプロジェクトをすべて一箇所にまとめたサイトをオープン、関連ドキュメントも充実

Googleが今日(米国時間3/28)、同社のオープンソースプロジェクトをすべて一箇所にまとめたサイトを立ち上げる。

これらのプロジェクトのコードは今後もGitHubと、Google自身がホストしているgitサービス上にあるが、この新しいサイトの機能はそれらのための中央的ディレクトリ(目録)だ。しかもGoogleのプロジェクトを陳列するだけでなく、Googleがソースコードをオープンにする場合のGoogle独自の“やり方”を開示することも目的だ、という。

Googleの社内におけるオープンソースのやり方については、すでにいろんなドキュメントが公開されているから、今さら何を、という部分もあるが、Googleの今日の発表声明はこう言っている: “弊社のポリシーと手続きは、われわれ自身の長年の経験と、そこで学んだことを反映している。オープンソースへの弊社独自の取り組みが、誰にとっても正しいとは限らないし、むしろいろんなやり方があって当然だから、これらのドキュメントを‘ハウツー・ガイド’としては読まないでいただきたい”。

現在これらのドキュメントがカバーしている話題は、Googleが新しいプロジェクトをリリースするときのリリースプロセスに関する情報や、プロジェクトへのパッチを提出するやり方、そして同社がサードパーティのオープンソースプロジェクトを社内的に利用するときの取り扱い方、などだ。

最近GoogleはKubernetesやTensorFlowをオープンソースにして、そのまわりに大きなエコシステムをすでに作り出し、成功しているから、これらのドキュメントを詳しく読めば、大いに参考になることだろう。とくに、今後自分たちのプロジェクトやツールをオープンソースにしていきたい、と考えている企業にとっては。

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CoreOSのKubernetesデプロイサービスTectonicがAzureとOpenStackをサポート

CoreOSはたぶん今でも、Linuxのディストリビューションとしていちばんよく知られていると思うが、でも今やそれは、同社の多様なサービスへの、敷居の低い入り口にすぎない。今同社のビジネスの核になっているのは、KubernetesをベースとするコンテナデプロイサービスTectonicだ。これまでTectonicは、KubernetesをベアメタルとAWSにインストールし管理していたが、今日から(米国時間3/23)は、AzureとOpenStackをサポートする。この二つのプラットホームのサポートは、現在、プレビューである。

具体的には、近くオープンソースのCoreOS Tectonic Installerというものが提供されるので、ユーザーはそれを使ってKubernetesのクラスターをAzureやOpenStackの上にセットアップする。ここにGoogleのCloud Platformが欠けていることが目立つが、それも今後十分な需要があればきっとサポートされるだろう。

以前と同様、Tectonicは10ノードまでのデプロイは無料だ。同社のサービスを利用してどうやってKubernetesのクラスターをセットアップするのか、同社は初心者のための実地演習チュートリアルを数種提供している。

CoreOSのもうひとつのメインサービスQuayは、エンタープライズ向けのコンテナレジストリだが、Kubernetesベースのアプリケーションをサポートするために拡張されたQuayもある。そのレジストリには、複数のコンテナイメージのほかに、アプリケーションの構成ファイルなども収まる。

“新しいレジストリプラグインを使うと、Helmが直接Quayと対話して、アプリケーションの定義を取り出し、それを使って必要なイメージに構成を適用し、アプリケーションを成功裡にデプロイする”、と同社は今日の発表声明で述べている。“これらはすべて、App Registryと呼ばれるコミュニティのAPI仕様で行われるので、Kubernetesのエコシステムはより高度なツールとより信頼性の高いデプロイパイプラインを開発できる”、という。

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LinkedInが、インターネットトラフィックをモックする、社内テストツールFlashbackをオープンソース化

現在は Microsoftによって所有されている、プロフェッショナルのためのソーシャルネットワークLinkedInが、社内で自社の作業のために作成したツールの1つを、誰でも使えるようにオープンソース化した。同社は本日(米国時間17日)、開発者テストのためにインターネットトラフィックのモッキング(テストなどの目的のために実際の動作を模倣して動作すること)を行う、Flashbackツールのオープンソース化をアナウンスした。公開は二条項BSDライセンスの下で行われる

ブログ投稿の中で、LinkedInはFlashbackを、新しいコードを広くデプロイする前に行う、信頼性やスケーラビリティそしてスピードのテストを行うために用いてきたと述べている。その動作する様子の例はここから見ることができる。

FlashbackはBetamaxに基いている。といってもこれは古いビデオの規格名ではなく、「ウェブアプリケーションから呼び出されるHTTPコネクションを横取りして、あとで再生する」ことで、ウェブサービスとREST APIのモック動作を行い開発者テストを行わせるまた別のツールの名前だ (”Betamax”という名前は、RubyのVCR ライブラリに触発されたものだ)。

作者であるLinkedInのエンジニアのShangshang FengYabin Kang、そしてDan Vinegradたちがブログの記事に書いた主要な特徴は、Flashbackが独立した環境で動作するということである。これに対しBetamaxや類似のプロキシは動作のためにインターネット接続を必要とする。

「Flashbackはテストを目的として、ウェブサービスやREST APIなどの、HTTPならびにHTTPSリソースをモックするために設計されています。そしてそれはHTTP/HTTPSリクエストを記録し、以前に記録済のHTTPトランザクションを再生します。これは私たちが「シーン」を呼んでいるものですが、このことによりテストを完了するためにインターネットへの外部接続をする必要はなくなるのです」と彼らは書いている。

インターネットへの接続を要求しないツールを彼らが作成した理由は、彼らがBetamaxを用いていた最中にいくつかの問題に遭遇したからだ。この問題の中には、LinkedInのテスト環境がセキュリティ上の理由でインターネットアクセスを行わないという事情や、彼らのコードがOAuthやOpenIdなどの複雑なHTTPベースのインタラクションを必要とする認証プロセスを使う場合があり、それがBetamaxの再生機能では上手く動作しないというものが含まれていた。

LinkedInが、当初自社の目的のために開発したコードを外部に公開するのはこれが初めてではない。例えば2015年には、機械学習モデルを構築するためのツールキットFeatureFuの公開も行っている。

LinkedInがFeatureFuをオープンソス化した理由は、それが最早会社にとって「ビジネスを差別化するもの」だと見なされなくなったからだ。今回も、同様の理由だと思われるが、LinedInがツールを公表した際に、開発者コミュニティから各自のプロジェクトで使いたいという要求を受けたことも事実だ。

LinkedInはFlashbackをオープンソース化する一方で、その機能拡張も継続して行う。それはLinkedInが4億6500万人のユーザーへ向けて行う仕事の一環として取り組むものかもしれない。

「将来的には、FTPやJDBCなどの非HTTPプロトコルもサポートできたらと思っています」と彼らは書いている。「そしてツールの利用者たちにもMITMプロキシーフレームワークを使って、独自のカスタマイズプロトコルを導入できる柔軟性を提供できたらと思います。私たちは非Java言語のサポートを容易にするために、Flashback設定APIの改良を続けます」。

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(翻訳:sako)

デベロッパーが直面する難題、オープンソースのライセンス管理を助けるFOSSAが$2.2Mのシード資金を獲得

Shot of a young programmer working in a dimly-lit office. All screen content is designed by us and not copyrighted by others, and upon purchase a user license is granted to the purchaser. A property release can be obtained if needed.http://195.154.178.81/DATA/i_collage/pi/shoots/783867.jpg

FOSSAは、デベロッパーのために、オープンソースのライセンスの管理という面倒な仕事を助けたい、と願っている。その同社が今日(米国時間2/23)、220万ドルのシード資金の調達を発表した。また、その社名と同名のプロダクトが、今日から公開ベータで提供されることも発表した。

今回の投資はBain Capital Venturesがリードし、Salesforceの会長でCEOのMarc Benioff, YouTubeの協同ファウンダーで元CTOだったSteve Chen, Skypeの協同ファウンダーで元CTOのJaan Tallinn, Clouderaの協同ファウンダーでCTOのAmr Awadallah, Tinderの協同ファウンダーでCMOのJustin Mateen、というオールスターメンバーが参加した。

これらの個人たちは、オープンソースのライセンス管理が重要かつ困難な仕事であることを、十分に理解している人たちのようだ。FOSSAの22歳のファウンダーKevin Wangによると、今時(いまどき)のプログラムは一連のオープンソースおよびサードパーティ製の部品で組み立てられる傾向があるが、しかしその一つ々々に独自の権利要件がある。それらすべてと正しくつき合っていくことはデベロッパーにとって大変な仕事であり、しかも既成のソリューションは乏しい。というか、今はほとんどの人がスプレッドシートを使って手作業でライセンス要件をチェックしている、とWangは述べる。

“今年はすでに2017年だが、私たちは未だに、自分が何を作って何をリリースしたのかをよく知らない。デベロッパーは、自分のコードのコントロールを握っていない”、と彼は語る。

彼のプロダクトはこの問題を、すべてのコードを自動的に分析することによって解決するようだ。そのシステムはライセンス要件を見つけて、問題があれば修復を提供する。追跡のためのツールとしてJiraや、Slackなどを推薦することもある。報告は正しい法律用語で書かれているが、Wangによるとそのためにオープンソースの法務ソフトを利用し、また詳細情報や著作権情報は自動的に生成する。

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写真提供: FOSSA

同社への投資ラウンドをリードしたBain Capital VenturesのマネージングディレクターSalil Deshpandeによると、この分野でエンタープライズ級のソリューションを見たのは、これが初めてだそうだ。“現代のソフトウェア開発のトレンドは、スピードの向上とリスクの増大の両方を抱えている。ライセンス管理の自動化はもはや、あればいいねの段階ではなく、なければ危険の領域だ”、と彼は声明文で述べている。

今やコード中に正しい権利情報が書かれていないと、コードの無断使用で訴えられることすらある。Wangは自分のソリューションが完璧だとは言わないが、開発チームが手作業で正しい完全なコンプライアンスをやるのはほとんど不可能だ、と述べる。一つのソフトウェアが、サードパーティ製のプラグインやライブラリを何百も使っているからだ。“そして結局は、責任を顧客に押し付けることになる。でも私たちは、最小の努力で実現できる、できるかぎりのコンプライアンスを提供していきたい”、とWangは語る。

FOSSAは2014年に創業し、今では10名弱の社員がいる。シード資金は、技術者と営業の増員、そしてマーケティング努力に充てたい、とWangは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Udacityが自動運転車シミュレーターをオープンソース化、Unityで実装されている

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自動運転車には、人間の脳に代わって自動車を運転するソフトウェアが必要だ。そこでオンライン教育のUdacityは、その分野のナノ学位(nanodegree)を設けている。その学科の教材の一つとして自動運転車シミュレーターがあるのだけど、同社はこのほどそのシミュレーターをオープンソースにした。ゲームエンジンUnityの知識や経験のある人なら十分理解できるし、新しいシーンをロードしたり、新しい仮想テストコースを作ったりできる。

自動運転車のソフトウェアに関する教育は、その多くが仮想環境で行われる。教育を実車でやるのは費用的にも、また規制という点でも難しいからだ。しかも、そのための安全な環境を確保するのも難しい。大きな投資をして実際に自動運転車を作るところならともかく、Udacityのような総合教育機関の手には余る、大きすぎる課題だ。

Udacityは自動運転車ナノ学位の教材の一環としてオープンソースの自動運転車を一台作っているが、そのコードは世界中の何百人もの学生たちから提供され、オープンソースのライセンスで利用できる。その詳細は昨年9月に発表されたが、使用車は2016年型Lincoln MKZだ。この車種が選ばれたのは、自動運転ソフトウェアやそのコンポーネントの世界で広く利用され、それらを自動運転ソフトウェアのデベロッパーのために売っている企業もあるからだ。

今回シミュレーターをオープンソースにしたのも、そういったオープン化努力の一環だが、この大きくて複雑な問題に取り組んでいる人びとに、さらに基礎的なツールが提供されることになるだろう。Grand Theft Auto Vのようなシミュレーションツールも、自動運転ソフトウェアの試運転には十分使える仮想環境を提供する、と実証されているが、ツールは多いほど良い。しかもUdacityのファウンダーSebastian Thrunは、以前Googleで自動運転車プロジェクトを指揮していた人物なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DreamHostの新しい簡易WebサイトビルダーRemixerはOpenStackとKubernetesの上で 動くコンテナアプリケーションだ

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Webサイト作りとWordPressホスティングの老舗DreamHostが今日、新しい、より簡略なWebサイトビルダーRemixerを立ち上げた。ユーザーは、単純でメンテナンスの楽なWebサイトを、HTMLのコードすら1行も書かずに作れる。この新しいプラットホームは、DreamHostの従来のホスティングプランのどれにも含まれることになる。

こういうGUI方式のWebサイトビルダーを使ったことのある人は、Remixerに親しみをおぼえるだろう。まず、提供されているテーマの中からどれかを選ぶ(現在は13、今後はもっと増える)。画像をアップロードしたり、あるいはInstagramやFacebookなどなどからインポートできる。オーディオやビデオをSoundCloud, YouTube, Vimeoなどからインポートすることもできる。そのほか、類似のサービスと同様に、地図、コメント欄、フォームなどを数クリックで加えられる。こういったいろんな部品は、70種用意されている。

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また、60万種類の自由に利用できる画像やグラフィクスを提供しているから、そこから選んでもよい。

DreamHostは長年、ホスティングサービスとして知られているが、近年ではOpenStackのエコシステムにおける重要なプレーヤーだ。OpenStackは、大企業や通信企業、ホスティング企業などがAWSのようなクラウドコンピューティングサービスを自前で(自分とこのデータセンターで)運用できる、オープンソースのプロジェクトだ。実はRemixerは、OpenStack + コンテナ管理サービスKubernetesの上で動いている。つまりこのアプリケーション、というかサービスは、マイクロサービスの集合としてKubernetesが管理するクラスターの上で動いている。そしてそれらがさらに、OpenStackが動かすDreamComputeクラウドプラットホームの上で動くのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

The Cloud Native Compute Foundation(CNCF)が倒産したRethinkDBのソースコードを取得

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珍しいニュースだ。Cloud Native Compute Foundation (CNCF)が今日(米国時間6日)、RethinkDBの著作権と資産をコード込みで取得し、それをLinux Foundationに寄付したことを発表した。RethinkDBは、ベンチャーキャピタルからそのオープンソースデータベースに対して、およそ1220万ドルの資金を調達していたが、2016年10月の時点で倒産した。CNCFは、今回の取引のために2万5000ドルを支払ったと述べている。コードはApacheライセンスの下で利用可能になる予定だ。

CNCFは、Linux Foundationが支援するプロジェクトで、データベースよりもコンテナ(Kubernetesが最も有名なプロジェクトだ)に注力している。よってRethinkDBをLinux Foundationへ移管し、自ら保守は行わないということは特に不思議ではない。RethinkDBはすぐにクラスタリングが使えるという点が注目に値する。ということで、CNCFとRethinkDBのミッションには既に重なる部分もあるのだ。CNCFのメンバーに名を連ねるのは、Cisco、Docker、Google、CoreOS、Intel、IBM、RedHat、Samsung、そしてMesosphereといった企業だ。

典型的なケースでは企業自身がLinuxやApacheのような組織にコードを寄付することになる。2万5000ドルという金額は、ここに関わる企業たちにとってはもちろん大金という訳ではないが、Linux Foundationに聞いたところ、破産後ではRethinkDB自身にコードを寄付する決定はできなかったということだ。

私がこのことについて、CNCFのエグゼクティブディレクターであるDan Kohnに尋ねると「RethinkDBは著作権をもう持っていなかったのです」という答えが返ってきた。「Rethinkにお金を貸していた者がいて、担保を設定していたのです。担保を設定していた者が著作権も所有していました。この者に2万5000ドルを支払い、著作権と資産を購入したのです」。

以前の運営母体では、RethinkDBはGNUアフェロ一般公衆ライセンス (version 3)を使用していた。それに対してLinux Foundationは、ライセンスの制限によって、プロジェクトに寄与する会社は殆どないだろうと主張していた。このことは、RethinkDBの会社自身がプロジェクトのコアコントリビューターの間は大きな問題とはならなかったが、会社が倒産した後は、コードはほとんどGitHubの上に残されることになった。

「CNCFは、少しの寄与で莫大な投資を救済できる機会だと見たのです」とKohn。「RethinkDBは数百万ドルにも及ぶ価値を生み出し、様々なプロジェクト、企業、そしてスタートアップで利用されています。今やソフトウェアは、Apacheライセンスの下で利用可能になりました。RethinkDBコミュニティは自分自身で、将来の道筋を定義するチャンスを得たのです」。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: LAUREN METCALFE/GETTY IMAGES

Google、iOS向けChromeをオープンソース化

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今日(米国時間1/31)、Googleは「Chrome for iOSをオープンソース化プロジェクトであるChromiumに追加した」と発表した

ChromeのiOS版ではレンダリング・エンジンにGoogle自身のBlinkではなくAppleのWebKitを使う必要がある。このためGoogleはこれまでChrome for iOSのソースコードをChromiumベースとしていなかった。基本的に同一のブラウザで2つの全く異なるレンダリング・エンジンを使うのは非常に面倒な問題を引き起こす可能性があった。

そのためここ数年、GoogleのChromeチームはソースコードに修正を加え、Chrome for iOSをChromiumベースとする努力を続けてきた。この作業がやっと終了し、デベロッパーはChromiumのレポジトリのソースコードからiOS向けChromiumをコンパイルできるようになった(もちろんOS XとXcodeが走る環境が必要)。

Googleは「これによりChrome for iOSを利用する開発のスピードが大きく加速される」としている。これはコードをChromiumにチェックインする際に自動的に行われるテストがすべてChrome for iOSコードにも適用されるとこからくる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWSのディープラーニングフレームワークMXNetがApacheソフトウェアの一員になる、対TensorFlow戦略の一環

Connecting lines, computer illustration.

Amazon Web Servicesの推奨ディープラーニングフレームワークMXNetが今日(米国時間1/30)、Apache Incubatorに加わった。このインキュベータに受け入れらることは、オープンソースのプロジェクトがApache Software Foundationの一員になるための第一歩だ。

Apache Software Foundationは、何千人ものデベロッパーによる、世界中のさまざまなオープンソースプロジェクトのメンテナンス努力を支えている。今後はMXNetも、Apche流儀の実績豊富なオープンソース方式を採用し、またApacheのコミュニティにアクセスできる利点も享受していく。

MXNetは、デベロッパーによるディープラーニングモデルの構築を助ける、今や数多いフレームワークの一つで、それらを使えることによってデベロッパーは、ユースケースごとに‘車輪を再発明’することを避けられる。さまざまな機械学習方式の中でもディープラーニングはとくに、大きなデータ集合からパターンを掘り出す処理に向いている。

それらの中でMXNetの差別化要因は、多様な言語に対応していることだ。デベロッパーはC++とPythonという主軸言語のほかに、R, Scala, MATLAB, JavaScriptなども使える。

MXNetのもうひとつの特長が、スケーラビリティだ。昨年Amazonがこのフレームワークの内部的利用と対外的推奨をを決めたとき、画像認識アルゴリズムを動かすGPUの数が多くなると、ほかのフレームワークに比べてスループットが良い(速い)、と言っていた。ただ速いだけでなく、MXNetは‘拡張効率’が良くて、GPUの台数増加率の85%の高いスループット向上が得られる、という。〔例: GPUの台数を2倍(200%)にすると、スループットは1.85倍に向上する。〕

しかしディープラーニングのフレームワークの中でMXNetは、ユーザー数の多さではGoogleのTensorFlowなどの後塵を拝している。AmazonがMXNetを推奨フレームワークにすることを決めたのは、デベロッパーたちの関心を高める意味もある。AWSはMXNetを機械学習コミュニティの人気者に育てるべく、コードとドキュメンテーションで尽力している。今回Apache Software Foundationの一員になったことも、この目標の実現に貢献するだろう。

Blue - TensorFlow, Yellow - Theano, Red - MXNet, Green - DL4J

青: TensorFlow, 黄色: Theano, 赤: MXNet, 緑: DL4J

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Cyanogen Inc.の実質倒産でCyanogenModは新たに‘Lineage’へフォーク

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クリスマスの休暇もそろそろ終わる、と思っていたら、Cyanogenのファンにはジェットコースターのような急変が待っていた。昨日(米国時間12/23)Cyanogen Inc.は突然、CyanogenOSのサポートを打ち切る、と発表し、短い声明で“すべてのサービスとCyanogenがサポートしてきたナイトリービルドが”年内に中断される、と告げた。

今日(米国時間12/24)発表された“A Fork in the Road”と題するポストでは、CyanogenMod(CM)を作ってきたチームが、その前の発表が結果的に自分たちのプロジェクトに“とどめを刺した”、と認めた。チームはこう述べている:

“インフラが使えなくなっただけでなく、われわれCMを作ってきたコミュニティはCMの将来の方向性について何も決められなくなった。ファウンダーのSteve Kondikの個人的リスク負担により、彼のビジネスおよび夢として始まったこの資産およびブランドは、何らかのサードパーティ法人に売られることになるだろう。グループを維持して、自力でインフラストラクチャを再構築できたとしても、その後のCMの開発は、ブランドがいつか売られるかもしれないという懸念の暗雲の下(もと)で行われることになる。”

しかし、昨日のそっけない発表にはコミュニティの多くが不意を突かれたとしても、チーム自身は懸命に生き残り策をさぐっていたようだ。数週間前にはCyanogen Inc.がだしぬけに、協同ファウンダーでTwitterハンドル@cyanogenの保有者であるSteve Kondikと絶縁し、そのとき、Lineageという言葉が浮上してきた。

そして今や、Lineageは正式の名前になった。CyanogenModのチームは今では、社名〜ブランド名を変えただけだ、と言い張っている。“最近のCMはプロフェッショナルなクォリティーと信頼性を十分期待できるまでに成長してきたが、元々それは、草の根的なコミュニティのの努力である。今回のフォークは、CMのそんなルーツへの回帰だ”、と彼らは声明している。

Lineageのソースコードは今GitHubで入手できるが、来年、企業としてのより正式な存在になれば、それにふさわしい形になるものと期待される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

KickstarterがそのAndroid/iPhoneアプリのコードをオープンソース化…公益法人化を契機に

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クラウドファンディングのトップサイトKickstarterが、そのアプリケーション開発過程を開示しようとしている。今朝(米国時間12/14)同社は、その技術系のブログ上で、AndroidとiOSのネイティブアプリのコードをオープンソースにし、同社の目標であるスタートアップ支援の一環とする、と発表した。

同社によると、この考えがひらめいたのは、昨年の9月に同社が公益法人になったことが契機で、広い意味でのデベロッパーコミュニティに何かを還元していくという、企業としての大きな社会的視野を持つべき、と考えた。

コードは今日から、同社のGitHubレポジトリで提供され、アプリのエンジニアリングとデザイン両面の、内部的仕組みや構造に、それらに関心のある人たちがアクセスできるようにする。

今日のローンチに先駆けてKickstarterのエンジニアBrandon Williamsは本誌にこう語った: “チームとしてのわれわれは、かなりユニークな仕事をしている、とかねてから感じていた。でも、エンジニアが自分の仕事を互いに共有できる機会は、そうめったにあるものではないからね”。

オープンソース化してとくに有益と考えられるのは、Kicstarterのアプリが、関数型プログラミングの手法で書かれていることだ。その開発過程やプロトタイピングの過程が目で見て分かることは、かなり参考になるだろう。

とくに同社は、次のような点を強調している:

  • Screenshotsディレクトリには500近いスクリーンショットがあって、すべての言語やデバイス、つねに真であってほしいエッジケース状態などのさまざまな画面を収めている。たとえば、Kickstarter上で支援者がフランス語のプロジェクトを見ていたり、クリエイターがドイツ語のダッシュボードやiPadのページを見たりしている。
  • われわれはSwift Playgrounds〔参考記事〕を使って反復型(iterative)開発とスタイリングを行っている。アプリケーションの主な画面の多くに、それに対応するプレイグラウンドがあって、そこで多様なデバイスや言語やリアルタイムのデータを見られる。われわれのプレイグラウンドのコレクションを、ここで閲覧できる。われわれはビューモデルを、副作用を隔離し、 アプリの中核的部分に取り組んでいくための、軽便な方法として使っている。
  • われわれはこれらを、入力信号を出力信号に純粋にマッピングするためのものとして書いている。テストは、ローカライゼーションのテスト、アクセシビリティのテスト、イベント追跡のテストなど、いずれもしっかりと行っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))