もっともハードコアなLinuxディストリビューションDebianを作ったIan Murdockが42歳で死去

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Ian Murdock(Debianの’ian’)が、月曜日(米国時間12/28)に、サンフランシスコの自宅で死亡していた。死因はまだ分かっていない。〔警察の虐待説。〕

Murdockは、このオープンソース活動の中心人物だった。彼のDebianプロジェクト – とDockerへの貢献 – は、新しい時代を拓(ひら)いた。1993年に発表され1996年にリリースされたDebianの名は、当時の妻Debraと彼自身の名前との合成だ。彼がパーデュー大学(Purdue University)の学部学生だったときに作られたDebianは、その後、ソフトウェアパッケージの作成とインストールを簡素化するapt-getツールなどにより、オープンソースソフトウェアの世界に大きな貢献をもたらした。

MurdockはSun Microsystemsに入社し、その後Linux FoundationのCTOになった。いちばん最近では、Dockerに籍を置いた。DockerのCEO Ben Golubは、次のように述べている:

“Ianを知り、彼と一緒に仕事ができたわれわれは、とても幸運であった。彼の深い思考力と情熱と豊富な経験は、彼と仕事をする誰にとっても驚異だった。彼の輝かしい才能は、私たちの多くにとってインスピレーションの源泉になった。彼の死は、彼と触れ合うことのできたすべての人にとって大きな喪失である”。

死の詳細は確認されていないが、Twitterのログによると、Murdockは警察と口論し、帰宅してから最後のツイートをポストした。その後削除されたそのツイートには、彼が12月28日に自殺する、と書かれていた。

Debianの現在のチームも、彼を追悼している:

“DebianはIan Murdockの死を深く哀悼いたします。彼はFree Open Source Software(FOSS)のゆるぎなき支持者であり、父であり、息子であり、そしてDebianの’ian’でした。

IanはDebianプロジェクトを1993年の8月にスタートし、同じ年の終わりごろに最初のバージョンをリリースしました。その後のDebianは世界のための普遍的なオペレーティングシステムになり、組み込みデバイスから宇宙ステーションに至るまでの、あらゆるものを動かしました。

Ianはとくに、ディストリビューションの作成とコミュニティの文化に力を入れましたが、それは倫理的にも技術的にも正しいことでした。リリースはディストリビューションが完全に完成したときにのみ行われ、ソフトウェアの自由に関するプロジェクトの断固たる姿勢は、フリーなオープンソースの世界の、黄金律となりました。

正しさをつねに追究したIanの献身が、Debianとその後の年月における彼の仕事を導きました。彼はつねに、可能なかぎり最良の未来を目指していました”。

詳しい情報が得られ次第、この記事を更新する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

未来の高度な人工知能技術の私蔵化を防ぐ非営利団体OpenAIがそうそうたる創立メンバーでスタート

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今日(米国時間12/11)、非営利の人工知能研究団体OpenAIの創立が発表された。そのトップは、Googleの研究員Ilya Sutskeverだ。前日には、Facebookが同社のAIハードウェアをオープンソース化した。

その存在理由は、こう説明されている:

目標はデジタルインテリジェンスの高度化をできるかぎり人類全体の利益に資する形で推進すること。それが、経済的(financial)な利益目的に制約されないことだ。

グローバルな支払い決済サービスStripeのCTOだったGreg Brockmanが、OpenAIのCTOになる。このほか多くの著名人が名を連ねており、中でもY CombinatorのSam Altmanと
Tesla/SpaceXのElon Muskが共同で理事長になる:

この団体の創立メンバーは、世界のトップクラスのリサーチエンジニアとサイエンティストである: Trevor Blackwell, Vicki Cheung, Andrej Karpathy, Durk Kingma, John Schulman, Pamela Vagata, そしてWojciech Zaremba。Pieter Abbeel, Yoshua Bengio, Alan Kay, Sergey Levine, およびVishal Sikkaはアドバイザーとなる。OpenAIの共同理事長は、Sam AltmanとElon Muskだ。

資金提供者は、Altman, Brockman, Musk, Jessica Livingston, Peter Theil, Amazon Web Services, Infosysおよび YC Researchで、寄付額の合計は10億ドルだ。Muskが公共的なAI研究に出資するのは、AIがSkynetになってしまうのを防ぐため、といわれる。OpenAIへの出資や理事長就任も、そのねらいの延長だろう。

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速報:Apple、 Swiftプログラミング言語をオープンソース化

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Appleの OS XとiOSプラットフォーム向けプログラミング言語、Swiftはオープンソース化された。利用にはApache Licenseが適用される。つまり、Swift言語を利用して開発を行った場合、アプリのパッケージ・マネージャーを含むすべてのソースコードが公開され、自由に編集、コンパイルできなければならない。ただ新しいプログラムにアトリビューションを付加する必要はない。

AppleではSwift言語の今後の利用に関してさまざまなプランを用意しており、新しく作られた swift.orgで順次公開中だ(ただしこのサイトは現在ダウンしているようだ)〔日本の環境からは時間はかかるもののオープンできた〕。

言語の開発者、Chris Lattnerは、2010年からSwiftに取り組んでいた。Appleが一般公開したのは2014年のデベロッパー・カンファレンスの場だった。 Lattnerは当初の開発のヒントを「Objective-C、Rust、Haskell、Ruby、Python、C#、CLU、その他ここには挙げきれない多数の言語に負っている」と述べている。デベロッパーはSwiftを用いてデスクトップだけでなくiOSアプリも作成できる。オープンソース版は従来通り、Linuxバイナリーが含まれる。またファイルやフォルダーを指定してプログラムを走らせるためのコマンドライ・ツールも用意されている。

Swift言語は今日(米国時間12/3)から利用可能になった。誰でも、どんなプラットフォームを用いてもよい。Appleとしてはおおいに興味深いオープンソース化の動きだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WordPress.comがオープンソース化して過去最大のアップデート―Macアプリも公開

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昨日米国時間11/23)、WordPressのウェブホスト版のWordPress.comが過去最大のアップデートを受けた。親会社のAutomatticがCalypsoと名付けた今回のアップデートで、WordPress.comは事実上、ゼロから作り直された。まず最大の変化から紹介していこう。

第一に、 WordPress.comは、WordPressコアから完全に独立した。 WordPress.comはウェブサイトの管理者向けインターフェイスとなり、WordPressコアだけでなく、他のサードパーティのアプリのウェブサービスやアプリもコントロールできるようになった。WordPress.comは投稿の取得、新規投稿、写真のアップロード、その他あらゆる処理をREST APIを通じて処理する。

第二に、WordPress.comチームはまったく新しい開発環境に乗り換えた。これまではPHPとMySQLを使っていたが、新しいスタックは全面的にJavaScriptとAPI呼び出しが採用された。つまりユーザーがウェブサイトを訪問すると、サーバーは即座に大部分がブラウザ内で作動するWordPressクライアントを割り当ててくれる。

新しいWordPress.comはシングルページ・アプリケーションだ。このインターフェイスにはローディングしなければならないスクリーンがほんのわずかしかない。したがってパソコンだけでなく画面の小さいスマートフォンや非力なタブレットでも十分軽快に作動する。もし現在、ユーザーがWordPressの管理者バックエンドを使っているなら、これからも直接そのバックエンドにアクセスできる。しかし同時に、WordPress.comを使うことも可能になった。WordPress.com、ジェットパック・プラグインを使ったセルフサービス・ブログ、またはWordPressのVIPサイト(TechCrunchはこれだ)のいずれかを使っているならこのオプションが利用できる。

最後に、新しいサイトは完全にオープンソース化され、 ソースコードはGitHubから手に入ることを付け加えおく必要がある。ユーザーはソースコードを調べて必要に応じてフォークさせ、再利用することができる(当然だがGNU GPL v2に示された条件を守る必要がある)。

開発チームはさらに、WordPress.comにアクセスするための新しいMacアプリも提供している。いろいろな意味でこのMacアプリはSlackのデスクトップ・アプリに似ている。最新のウェブ・テクノロジーとデスクトップのいいことを合わせ持っており、WordPress.comのウェブサイトでできることはほぼ全部できる上に通知など付加機能もある。Windows版、Linux版のアプリは開発中だ。

私はMacアプリをダンロードして短時間だが試してみた。WordPress.comに馴染みがあれば、アプリを開いただけで操作方法はすっかり分かってしまうだろう。実際そっくりなインターフェイスだ。それでもMacのドックにアプリのアイコンが表示されるのは安心感をさそうものがある。

WordPress.comの親会社であるAutomatticがこれほど膨大な手間のかかる作業に取り組むことにした理由は使ってみればわかる。新しいWordPress.comはローカルで作動する最新のウェブ・アプリのように感じる。つまり新興のライバルであるMediumのように軽快なのだ。

私はTechCrunchの一部のライターのような WordPressのパワーユーザーではないが、それでも新しいWordPress.comがクリーンで効率的な記事執筆のプラットフォームだということは見てとれた。インターフェイスは現在ウェブ上で記事を書いている人々の大部分に魅力的だろう。

現在、世界のウェブサイトの25%はWordPressで動いているという。これは決してささいな数ではない。 WordPressはもはや最近生まれた元気いっぱいのスタートアップではなく、ウェブの巨人だ。しかし今日のアップデートでAutomatticは依然として環境の変化とライバルの動向に敏感であることを示した。WordPressの将来にとってこれはよいことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HPのOpenStackプラットホームHelionがバージョン2.0にアップ、構成デフォルトとセキュリティを充実

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誰もが知ってるように、HPはそのパブリッククラウドビジネスに終止符をうち、そっちはAWSやMicrosoftやGoogleに譲る、と言っている。その代わり同社は今、プライベートとハイブリッドのクラウドに専心しつつある。プライベートクラウドといえば、今のところ唯一の現実的なオプションがOpenStackだから、同社はHelion OpenStackと名づけた独自のOpenStackプラットホームを1年前から提供している。そして今日同社は、そのOpenStack商用/エンタプライズディストリビューションのバージョン2.0を発表した

HPのクラウド担当SVP Mark Interranteによると、HPがパブリッククラウドビジネスから脱退したことは、同社がこれからプライベートとハイブリッドのクラウドに大きく注力していくことを意味する。“それは、いよいよ焦点が絞られてきたということであり、最良のプライベートクラウドを顧客に提供し、ハイブリッドの管理を加速し、我が社のクラウドのハイブリッド的資質をより強力に打ち出していかなければならない”、という。

Helion OpenStack 2.0はOpenStackの’Kilo’リリースの実装だが、最新リリースは今月初めに出た’Liberty’だ。しかし、プロダクション向けには最新リリースを採らないとする保守的な姿勢が、この世界の標準慣行でもある。そこでHO 2.0には、Kiloリリースの新機能がすべてあるとともに、HP独自の新しい機能もいくつか盛り込まれている。

Interranteによると、HPのチームはOpenStackの標準リリースに独自のキュレーションを加え、穏健妥当な構成デフォルトをセットし、内部および外部の脅威に対するセキュリティを強化している。またバグフィクスに関してはできるかぎり最新リリースからバックポートしているが、最新リリースの新機能はバックポートしていない。

KiloリリースにHPの独自の仕事を加えたHelion OpenStack 2.0には、ダウンタイムののないローリングアップグレードや、アプリケーションを中断しない継続的パッチ管理、アドミンインタフェイスの改良によるログとモニタリングの中央集中化、といった機能がある。またネットワーキング機能はHPのDistributed Cloud Networkingサービスを統合して分散データセンター環境を管理できる。このほか、Nuage NetworksのVirtualized Services Platformもサポートしている。

そしてさらに、HP独自の機能としてユーザインタフェイスのあるインストーラや、ロードバランサ、ファイヤーウォール、VPN SaaSなどがある。opsコンソールもHP独自で、クラウドの状態をオペレータがモニタし、現状や問題点をよく理解できるようにしている。

Interranteと彼のチームによると、顧客はセットアップのカスタマイズよりも構成の自由を求めている。そこでたとえば新しいHelionのLifecycle Management(ライフサイクル管理)サービスを利用するとクラウドのレイアウトを指定でき、僅かな作業でそのインストールをリプレイできる。

HPのOpenStack担当エンジニアは210名おり、そのサブプロジェクトのチームリーダーが8名いる。またこのプロジェクトのTechnical Committeeには3名が参加している。

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OpenStack Foundationがクラウドアドミンの資格認定事業を発表、分かりやすい構造理解のため視覚化ツールをローンチ

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二年に一度行われるOpenStack Foundationのカンファレンスで、OpenStackによるクラウドを管理するアドミンの資格認定プログラムが発表された。

OpenStackは多くのサブプロジェクトで構成されているので相当複雑であり、このソフトウェアフレームワークを使ってクラウドを構築しようとする企業にとってはとくに、有能なアドミニストレータを見つけるのが難しい。

数年前に当Foundationは教育訓練のマーケットプレースを立ち上げ、そこにRedHat、MirantisなどのベンダやLinux Foundationのような団体が提供するコースを陳列した。Foundationの事務局長Jonathan Bryceは今日のキーノートで、このコース紹介は非常にうまくいったが、しかしそれでもまだ、十分な数の有能な人材は育っていない、と述べた。

今回の資格認定事業は、Foundationが多くの企業(Canonical, Cisco, HP, Mirantis, Rackspace, SuSEなど)の協力を得て開発したもので、これがOpenStackアドミンの基準になることをねらっている。

認定が欲しいアドミンは、まず地球上のどこからでも受けられる認定試験を受ける。最初の試験は同FoundationとLinux Foundationの協力により、2016年に行うが、その試験勉強のためのコースはおよそ20社の教育訓練プロバイダから提供される。受験料などは現段階では未定だ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierが今日の記者会見で語ったところによると、今後はデベロッパをはじめ、OpenStackのエコシステムを構成するそのほかの主要ロールについても、このような資格認定方式を導入するそうだ。

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OpenStack Foundationは今日(米国時間10/26)、資格認定〜教育訓練事業のほかに、Project Navigatorという情報閲覧ツールをローンチした。このサービスもやはり、OpenStackの複雑性対応の一環で、ナビゲータは今のOpenStackを構成するおよそ25あまりのサービスやサブプロジェクトの一つ々々について情報を提供する(それらの成熟度、パッケージング、ドキュメンテーションなど)。Project Navigatorは、OpenStackが最近行った‘構造改革’の成果を前面に打ち出している。それは構成サブプロジェクトを「コア」(コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ)と、そのほかの「オプション」の二つに分ける、という構造だ。

“サブプロジェクトを「コア」と「オプション」の2グループに分けた目的は、OpenStackによるクラウドの構築とデプロイを単純化するためだ”、とCollierは述べる。“Project Navigatorはその単純化された構造を分かりやすく視覚化して表現し、ユーザがOpenStackクラウドの構築に取り組むとき、必要な部位の選択を容易にできるようにすることが、ねらいだ”。

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Open Compute Projectのスイッチハードウェアの自由で多様な構成を支える共通プラットホームOpen Network Linux

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Big Switch NetworksFacebookとNTTが今日(米国時間10/7)、Open Compute Project(OCP)のスイッチハードウェアのために、Open Network Linuxと呼ばれる統一的なオペレーティングシステムを共同開発することを発表した。

舌を噛みそうな名前だけどこのプロジェクトは、FacebookのようなWebスケールの企業でも、あるいはそのほかの企業でも、とにかくOpen Compute Projectのオープンソーススイッチを利用する企業を助けることが目的であり、技術者たちはこのプラットホームをベースとして、スイッチの転送(forwarding)アルゴリズムを、自分の用途や考え方に合わせて構成していく。

これまで、このOCPプロジェクトはいろんな部位のばらばらな集まりで、エンジニアがそれらを縫い合わせる必要があった。Open Network Linuxはこれらの部位をひとつにまとめ、自由な組み合わせと構成で使えるようにする。また無用に複雑な部分を簡素化する。

このプロジェクトの始まりは18か月前にさかのぼり、そのときはBig Switch Networksがスイッチ用OSの最初の部分をOCPに提供した。Big Switchの協同ファウンダKyle Forsterは、“スイッチOSは複雑怪奇な野獣だ”、と言っている。それには二つの大きな部位があり、それらはプラットホームのコードと、転送エージェント(forwarding agent)だ。OCPのスイッチのハードウェアの設計は、Facebookが提供している。

なるべく簡単に言うと、プラットホームは、Linuxという名前が示すようにベースとなるオペレーティングシステムのコードで、その上でスイッチを作り上げているさまざまな部位を構成する…フロントパネルのLED、環境センサ、ファンのドライバ、などなど。そしてBig SwitchのCTO Rob Sherwoodによると、エンジニアはこのベースコードの上で転送エージェント部位を作っていくが、スイッチがネットワークと対話するときの方式はエージェントが独自に定義する。

そしてそこに、企業による違いや差別化要因ができる。プラットホームのコードが安定すれば、エンジニアはそれが無事に使えることを単純に期待するが、転送エージェントは別だ。“パケット転送エージェントに関しては、誰もが独自の考え方を持っている”、とSherwoodは述べる。

今日の発表によって、これからは誰もが自分好みのエージェント部位を作り、それをスイッチソフトウェア全体のスタックにプラグインできる。三社のパートナー…Big Switch Networks、Facebook、NTT…は今週後半に、この能力をデモする。そのとき見せるのは、転送エージェントの三種類の参考実装だ: FacebookのFacebook Open Switch System(FBOSS)、NTTのL3 Routing、そしてBig Switch NetworksのOpenFlow

これらの参考部位は、エンジニアが自分のエージェントを作り始めるときのたたき台になる。将来的には、オープンソースのプロジェクトとして寄贈されるものもあれば、プロプライエタリにキープされるものもあるだろう、とSherwoodは語る。

Open Compute Projectとは?

Facebookがハードウェアの内製を志向したときにOpen Compute Project(OCP)という第三者機関を作り、そこに設計やソフトウェアをコントリビュートする、という方式を選んだ。その最初のものが、Facebookのトップオブラック(top of rack)スイッチ、別名The Wedgeだ。

OCPには二つのねらいがある。ひとつは、大企業がその公共性を意識して、Webスケールのハードウェアの創造から学んだことを、広く共有すること。もうひとつは、Facebookの外部のエンジニアたちからの貢献を期待することだ。

Big Switch Networksは、OCPのハードウェアに関心があるが、それらをインストールしたり実装するスキルや人材のいない企業を、助ける役目だ。

たしかに特殊で複雑なプロジェクトだが、しかし基本はあくまでもオープンソースのプロジェクトであることだ。オープンソースという基盤の上で企業がソリューションを構築していく。OCPはその過程を助ける。オープンソースのコードが基盤にあれば、エンジニアたちは各自が勝手に車輪を再発明する必要がなく、しかしその上に咲く花の部分では、自由な創造と差別化を追究できる。

このプロジェクトも、まさにそうだ。

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オープンソースのGitコラボレーションプラットホームGitLabが$4Mを調達、オンプレミスユーザが10万社を超える

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GitベースのオープンソースのデベロッパコラボレーションプラットホームGitLabが今日(米国時間9/17)、Khosla VenturesからシリーズAで400万ドルを調達したことを発表した。

Y Combinatorで孵化した同社は、そのサービスを無料のコミュニティエディションと、無料のSaaSバージョン、そして有料のエンタプライズエディションで提供している。同社によると、今回の資金は成長の加速とグローバルなオペレーションの拡大に充てられる。また、中国や日本の企業とのパートナーシップも検討している。

GitLabのCEOで協同ファウンダのSytse “Sid” Sijbrandijによると、現時点で新たな資金調達を行ったのは、今の勢いを維持するため、資金が本当に必要になったとき、それが手元にあり、調達努力に時間を取られたくないためだ。先月のキャッシュフローはプラスだったが、“Khoslaは成長を維持するための優れた機会を提供してくれた”、という。

Gitは今や、多くのデベロッパチームにとってコード管理ツールの定番だ。そのGitをホスティングするサービスとしてはGitHubがいちばんよく知られているが、この分野はコンペティタが多い。それぞれが他にない独自性とユーザインタフェイスを打ち出し、Gitを主にSaaSで提供している。たとえばAtlassianは、無料と有料両方のGitホスティングサービスを提供している。

GitLabはオープンソースのソリューション集合を提供していることが、他のコンペティタにない特性だ。Khosla VenturesのVinod Khoslaも、今日の声明でこの点を強調している: “GitLabへの投資はいわば既定の路線だ。未来はオープンソースのソリューションにあり、GitLabは、今の市場でもっとも人気の高いオープンソースのコードコラボレーションプラットホームとして、未来へ向かう道をリードしている”。

またSijbrandijは、ユーザの選択を挙げている: “ソースコードがオープンで改変可能だから、それを自社のサーバの上で動かしたり、GitLabを自社独自のソリューションのベースとして利用することができる”。

同社によると現在、10万あまりの企業や団体がGitLabをオンプレミスで使っており、その中にはNASAやCERN、Alibaba、SpaceX、O’Reilly、IBM、Expediaなども含まれる。有料サービスに関しては、数百社の企業がEnterprise Editionを利用しており、その多くはFortune 500などに含まれる大企業だ。

GitLabは、サービスの次のアップデート(バージョン8.0)を、来週9月22日にローンチする、と発表した。このアップデートでディスクの使用量を50%減らし、コードをマージするプロセスが従来よりも相当速くなる。また継続的インテグレーションをGitLab自身がサポートし、インタフェイスを改良、そして”reply by email”機能によりモバイルデバイスからのコメントが容易になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookのオープンソース「React Native for Android」でクロスプラットフォーム開発が簡単になる

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Facebookは自社のエンジニアチームが同じコードでiOS、Android、ウェブのインターフェイスを製作できるようにするため、React JavaScript ライブラリを構築した。Facebookは、開発において強力な効果を発揮するそのツールを誰もが利用できるようオープンソースにした。今回の React Native For AndroidはReact三部作の最終章を飾るものだ。

FacebookはReactを2013年にオープンソースにし、今年の初めに開催したF8 カンファレンスReact Nativeを公開した。Android版の公開で、Reactを使ったことのあるエンジニアは、全ての主要プラットフォームでの開発ができるようになった。スタートアップから大手テクノロジー企業まで、これまでより少ないエンジニアの数で仕事をこなすことができるようになる。また、それぞれ異なるコードを用いるiOSとAndroidの開発に専門の開発者を採用する負担も軽減できる。それは結果的に新しい機能の開発を速く行い、iOS版のリリースからAndroid版を製作するまでにかかる時間を短縮することにつながるだろう。

Facebookは本日、@ScaleカンファレンスReact Native For AndroidのオープンソースGitHubに公開したことを発表した。@Scaleカンファレンスでは、Facebook、Twitter、Google、Box、Pinterest、Microsoftといった企業の役員や開発者、総勢1800名が集まり、開発やインフラ環境を整えるために何ができるかについて共に検討する。参加企業はこれまでに累計で4500のオープンソースプロジェクトに貢献してきた。

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何故オープンソースにするのか?

何故FacebookがReactのような強力なテクノロジーを公開するのか疑問に思うかもしれない。非公開にしておくことで、競合である他のソーシャル企業より、開発において優位な立場を維持できるだろう。FacebookのエンジニアマネージャーであるTom Occhinoは、3つの理由を私に説明した。

  1. コミュニティーへの貢献:「機能面からバグの発見に至るまで私たちはコミュニティーからとても意味のある恩恵を受けてきました」。
  2. 採用:「Facebookのような大きな企業を支えているテクノロジーを学ぶことに関心がある人がいます。彼らは、このような製品を構築するチームに参加したいと思っています」。
  3. エンジニアの入社研修:「Facebookに参加するエンジニアが、Facebookのフレームワークを既に理解していることで、Facebookでの仕事をすんなり始めることができます」。

つまり、Facebookはオープンソースにすることで、失うものより得るものの方が多いということだ。また、これはFacebookが彼らの世界をつなぐという理念に沿う、利他的な取り組みでもある。「Facebookだけで全てのソフトウェアを構築することはできません」とOcchinoは言う。「私たちができることは、開発者のミッションを進めるためのツールを提供することです」。

一回学べば、何でも書ける

クロスプラットフォーム開発の最終目標は「一回学習すれば、何のコードでも書ける」ことだが、ウェブ、iOS、Androidの基本構造の違いがそれを阻んでいた。しかし、Reactは要素を概念化した3つのプラットフォームにまたがるレイヤーを置くことで、Reactを学べば、どのプラットフォームでもアプリを書けるようになる。

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例えば、今年の初めにFacebookはAds ManagerのiOSとAndroidのネイティブアプリを開発した。Reactを使用したおかげで、予定していた期間の半分で開発することができたという。当初の予定は18ヶ月間だったが、FacebookはiOSアプリを5ヶ月、それを元にAndroid版を3ヶ月で製作した。

このテクノロジーによりFacebookはウェブだけのプラットフォームの時代に培った、常にコードを書いてアプリに適応し、新しい機能を検証するMove Fast(速く動け)の理念を取り戻している。モバイル時代に適応した際、Facebookはエンジニアチームにウェブ、iOS、Androidの各専門家を入れて、分けなければならなかった。

FacebookのエンジニアマネージャーであるOlivia Bishopは、Reactなしでは「素早く機能改善するのは難しいのです。変更を行うたびにリコンパイルして、検証するデバイスに入れなければならないのですから」と話した。Reactではコードを再利用することができるので、開発時間の短縮につながる。

React Nativeを使い慣れるほど、コミュニティーはリーン・スタートアップの方法論をより簡単に実行できるようになるだろう。クロスプラットフォーム対応を諦めたり、新しいOSを検証することを躊躇ったりすることなく、全ての開発者は上手くいくものを素早く検証することができるようになる。また、Reactに何か問題あることを発見した場合は、Facebookのためにそれを修正することもできる。

「オープンソース化は、進化や風化といった長期間のプロセスに似ています。年月が経ってもソフトウェアが適切なものであることを保証し、オープンソースへの投資は報われるでしょう」とFacebookのエンジニアディレクターのAdam Woffは結論付けた。ソフトウェアを企業内に留めておくことは、危険な停滞を招くという。「時間が経過すると、それは資産であるソフトウェアスタックを破壊し、企業を傷つけます」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

サービスの新機能の実装において、そのための機械学習モデルをアジャイルに作っていくための汎用ツールキットFeatureFuを、LinkedInがオープンソース化

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LinkedInが今日、同社の内部ツールFeatureFuをオープンソースにする、と発表した。このツールキットはデベロッパが、統計的モデルや意思決定エンジンを作る際に必要となる機械学習モジュールの構築に利用される。

そのねらいは、サービスのさまざまな機能を作るための、いわば”機能工学(feature engineering)”まわりの知識や技術を、同社の外部のデベロッパが利用できるようにすることだ。機械学習をベースとする機能工学とは、身の回りのさまざまな現象に関する詳細な知識を利用して、機械学習のモデルを構築することだ。

LinkedInによると、同社の関係提案機能のような大規模なリコメンデーションシステムの多くが、少なくとも二つのチームによって管理されている。ひとつはオフラインのモデリングを担当する部分、もうひとつはオンラインの機能提供/モデル評価を担当する部分だ。このことから生ずるさまざまな問題を、FeatureFuは解決しようとする。

LinkedInのシニアソフトウェアエンジニアBing Zhaoは次のように述べる: “大規模なリコメンデーションシステムは、安定性を欠く脆弱なシステムが多い。FeatureFuを使えばそういうシステムの上でもクリエイティブでアジャイルな開発ができ、新しい機能の実装にこれまでのように数週間〜数か月もかからない”。

これまでのやり方では、機能の作り方をすこし変えただけで、ほかのチームに大量の仕事が発生したり、ほかの機能やモデリングの実験が困難になったりした。

FeatureFuは、Exprと呼ばれる小さなJavaのライブラリを使用する。それを利用すると、デベロッパは既存の機能集合に手を加えることなく機能の変更や新規実装ができるようになる。Zhaoはこのシステムの利点を、“オンラインの機能生成フレームワークへ一度デプロイしたら、その後のさまざまな派生的機能も、機能本体のコード変更を必要とせずに、簡単に実装できるようになる”、と説明する。

ではなぜ、LinkedInはこのツールをオープンソースにすると決めたのか? それはZhaoによると、“会社であるソフトウェアが必要になったら、まず既存のオープンソースのプロジェクトに使えるものがないか、探す。それがなければ、自分たちで作る。企業やプロダクトの重要な差別化要因となるソフトウェア以外は、オープンソースにした方が多くの人たちの利益になる”。

Zhaoは、FeatureFuが今後あちこちで採用されることを期待している。“FeatureFuは多くの機械学習システムのための共通技術になりうる。これを使うと機能制作の工程がよりアジャイルになり、しかもアジャイルは、機械学習アプリケーションが成功するための重要な鍵のひとつだ。だからわれわれは、自分たちの作品を業界と共有したい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google曰く: 営業力でもコネでもない、これからのエンタプライズ戦略の主力はオープンソース

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GoogleでKubernetesやGoogle Container Engineなどのプロダクトマネージャを担当しているCraig McLuckieが、今日(米国時間8/26)行われたOpenStack Foundationの例年行事Silicon Valley Eventで、こう述べた: “Googleはエンタプライズ企業ではないが、エンタプライズのニーズを知るための努力はしている”。

今や誰の目にも分かるように、Googleは同社のクラウドプラットホームのエンタプライズユーザを増やすべく、懸命の努力をしている。しかし同社には、伝統的なエンタプライズコンピューティング企業が持つ強力な営業部隊がないし、Microsoftなどが長年かけて築いてきた、企業世界とのコネもない。

そんなものの代わりにGoogleは、今後もっともっとオープンであることに、賭けようとしている。そしてオープンソースのソフトウェアをもっと多くリリースすること。それが、エンタプライズに食い込む契機になるだろう。“Googleは、オープンがソフトウェア構築のベターな方法であると認識している”、とMcLuckieは述べる。“オープンソースのコミュニティがイノベーションを引っ張っている。その能力は感嘆に値する”。

彼によると、オープンであることは顧客のためにベターなプロダクトを作り出すだけでなく、(継続的インテグレーションにおいて)より速いインテグレーションサイクルが可能になる。さらに、他社を巻き込んだオープンソースプロジェクトでは、その他社のDNAをプロダクトが吸収できる。

その典型的な例がKubernetesだ。Googleで孵化したそのコンテナ管理/スケジューリングツールは、今では急速に、多くのコンテナアーキテクチャの標準コンポーネントになりつつある。Googleは最近そのコードをCloud Native Computing Foundationに寄贈したので、今後はRed Hat、Docker、IBM、VMWare、Huawei、Twitterなどの企業グループが開発していくことになる。つまり、ますますそれは、オープンソースコミュニティのものになる。

Googleは企業が、自分のワークロードを複数のクラウドやコンテナ間で移動できるようになることを期待しているが(クラウドと言っても主に自分のクラウドだが)、そのような技術の主軸となるのがKubernetesだろう。今後ますます多くのパートナーが採用すれば、確実にそうなる。

McLuckieはスピーチのあとのインタビューで、Googleは同社のインフラストラクチャスタックのそのほかの部分もオープンソースにしていく予定だが、何を、ということは現段階では言えない、と述べた。しかしこれだけでも、Googleがオープンソースを本気でエンタプライズ戦略の中心に据える気であることが分かる。

今後の積極的な攻めの基本戦略として、Googleの“秘密のソース”をオープンソース化していくべきだ、というMcLuckieらの説に、最初のうちはインフラ担当のSVPたちやGoogle Fellowで彼のボスであるUrs Hölzleらは納得しなかったが、今ではそれが、全社的なコンセンサスになっている。

今や、あの、プロプライエタリの古い怪物Microsoftでさえ、多くのコードをオープンソース化しつつある。しかもそれには、十分な理由がある。

“オープンソースでソフトウェアを構築しない者は、そうである者に対し競争上の不利を背負うことになる”、とMcLuckieは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ファイルシステムのないオブジェクトストレージのためのKineticハードディスクをLinux Foundationのもとで共同開発へ

2年前にSeagateが、アプリケーションがハードディスクに直接、Ethernetで接続して、キー-ヴァリューペア(key-value pair)のデータでオブジェクトを保存する、という新しい技術発表した。これによりファイルシステムやファイルサーバのオーバヘッドがなくなるため、一台のハードディスクに大量のデータを詰め込めるし、I/Oの速度も上がる。その後SeagateはOpenStackのオブジェクトストレージSwiftとRiakのためにこの技術によるディスクを作り、最近ではToshibaが、同じ技術によるハードディスクを発表した。

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そしてこのたび、ハードディスクの大手三社(Seagate、Toshiba、Western Digital)とCisco、Cleversafe、Dell、DigitalSense、NetApp、Open vStorage、Red Hat、およびScalityらがLinux Foundationと合同で、SeagateがKinectと名づけたこのタイプのハードディスクを共同で開発していくことになった。

そのKinect Open Storage Projectが、Linux Foundation Collaborative ProjectによるKinectディスクの開発を支えていくことになる。その目標は、“次世代の、Ethernetを利用するストレージデバイスによる、オープンソースのオブジェクトストレージを提供すること”、となっている。

このプロジェクトは、Ethernetによる通信と、ディスク上のキー-ヴァリューストア(store, 保存〕技術を組み合わせたものだ。プロジェクトは、APIと、オープンソースのライブラリと、これらKinectベースのディスクとインタフェイスするためのシミュレータを管理する。

SeagateはこのKinectプロジェクトを立ち上げたときに、ファイルをベースとする古いシステムは、オブジェクトベースのシステムに急速に置き換えられていく。とくに、データセンターにおいて、と主張した。

同社はこう言う: “新しいパラダイムはオブジェクト指向である。画像も、ムービーも、eコマースもWebのデータも、検索もゲームも、そしてそれらすべてのアーカイブもオブジェクトであり、その多くが非定型データから成り、書き込まれたり読み出されたり削除されたりするが、決して変更はされない。したがってそれらは、キー-ヴァリューストアの理想的な候補だ”。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、Kinectプロジェクトはオープンソースプロジェクトの教科書的な例だ、と言う。パートナーたちは全員、互いにコンペティタだが、ソフトウェアではなくハードウェアで競合する。そしてソフトウェアベンダのメンバーたちが、ハードウェアを管理するための共通のツールをオープンソースで提供していく。

“もしもこのプロジェクトを単一の企業が運営していたら、ある時点でガラスの天井にぶつかっただろう”、と彼は言う。しかもZemlinによれば、必要なソフトウェアの量は、とうてい一社で書けるような量ではない。今回、グループでパートナーになっている各社は、プロジェクトを管理するための中立的なプレーヤーと、一堂に集まってプロジェクトに投資していくための場を必要とする。そしてこの二つをLinux FoundationのCollaborative Projectsが体現し、この形は、近々に、この種のオープンソースプロジェクトのスタンダードになっていくだろう、とZemlinは述べる。

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メインフレームのLinux化を目指してOpen Mainframe ProjectをLinux Foundationが立ち上げ

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2015年の今、誰もが、メインフレームはコンピューティングの初期の遺物だ、と思うだろう。しかしその巨大マシンは今でも、大企業や大きな組織で大規模な計算作業をこなしている。

そして、メインフレームの不死鳥ぶりを証明するかのように、Linux Foundationが今日(米国時間8/16)、メインフレームコンピュータを使っている企業を助けるオープンソースの取り組みとして、Open Mainframe Projectを立ち上げた。

この事業は、今でもメインフレームマシンの最大のメーカーであるIBMが音頭取りだ。今日の同じ日に同社が、Canonicalとのパートナーシップによるメインフレーム上のUbuntu Linuxを発表したことは、決して偶然ではない。

Linuxがすでに15年間、メインフレーム上で動き、メインフレーム上のLinuxの使われ方も多様化し、ユーザのコミュニティも育っていることを知ったあなたは、驚くかもしれない。Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinが今日の発表声明で述べているように、今回のプロジェクトは、今でも成長を続けている需要への対応でもあるのだ。

このOpen Mainframe Projectにより、参加企業は一連のオープンソースツールの開発を共同して行い、メインフレーム上のLinux技術についても交流を深めていく。また各社が抱える問題についても、そのほかのオープンソースプロジェクトと同じように、共同で解決に取り組む。

“Open Mainframe Projectは、顧客とベンダとサービスプロバイダが一堂に会する場所を与える”、とIBM SystemsのゼネラルマネージャRoss Mauriは語っている。

IBMはすでに、25万行ノードコードをLinuxコミュニティに寄贈している。

Pund-ITの主席アナリストCharles Kingによると、初期のメンバーは、すでにメインフレームコンピューティングに深く関わっている企業、すなわちIBM、BMC、CA Technologies、そしてMarist Collegeだ。

IBMを筆頭とするメインフレーム企業は、メインフレームの導入費用と運用費用の両方を下げることによって、メインフレームのユーザを増やしていきたい意向だ。“今後の共同活動によってどれだけ新規のメインフレームユーザが増えるか、そこが焦点だ”、とKingは語る。

メインフレーム勢力がとくに望んでいるのは、新しい世代のデベロッパたちが関心を持ってくれることだ。そのためIBMは、クラウドサービスLinuxOneへのアクセスを無料にし、同社が開発したメインフレームシミュレーションツールを提供して、メインフレーム上のアプリケーションの開発を支援していく。またデベロッパが作ったメインフレームアプリケーションの、モバイルアプリケーションやハイブリッドクラウドアプリケーションとの接続性〜相互運用性についても、試験や調整を支援する。

結果について今から云々することはできないが、Kingが思い描くベストケースのシナリオは、このオールドスタイルのコンピューティングプラットホームを、一部のLinuxデベロッパが、おもしろい、と思うようになることだ。

この努力が、メインフレームへの新しい、若い、関心を育てるか、それはまだ未知数だが、プロジェクトの創始メンバたちは、そうなることを心から祈っている。

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GoogleがAndroidの実験的前衛的アプリをオープンソースで展示するAndroid Experimentsを開設

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Googleが今日(米国時間8/12)、Android Experimentsを立ち上げた。これは、同社のChrome Experimentsのモバイルアプリ版、のようなものだ。

Chrome Experimentsと同じく、Android Experimentsの目的も、最先端の新しい技術やデザイン、およびインタフェイスを使っているアプリをここに‘展示する’ことだ。そのギャラリー、Android Experiments Galleryに登場するアプリはすべてオープンソースで、デベロッパがその内部を詳細に知ることができる。

すでにおよそ20の実験作品があり、それらはAndroid Wear用の斬新な文字盤、Androidタブレットが駆動する簡易壁掛けプロッター(作図器)IOIO Plotter(上図)などだ。後者はフリップチャートの制作などに使う。

Googleによると、今そこにあるアプリは、Android SDKやNDK、Android Wear、IOIOボード、Cinder、Processing、OpenFrameworks、Unityなどを使って作られている。“どのプロジェクトも、日常使っているデバイスで何かもっとおもしろいことができないか、という挑戦の産物だ”、と、GoogleのデザイナーRoman NurikとGoogle Creative LabのRichard Theが言っている。Nurikの作品Muzeiも、ギャラリーにある。

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自分の作品を展示したいデベロッパは、今日からでも提出できる。

ここの実験的作品は、Google Playからではなく、このサイトで検索してダウンロードできる。

Androidの可能性を追究した前衛的な作品が、いきなりアプリストアではなく、それら専用の場所に登場するのは、なかなかおもしろい。しかもすべてオープンソースだから、ほかのデベロッパたちがそれらから学ぶことができる。すでにオープンソースのアプリケーションは多くあり、オープンソースのフレームワークを使ってアプリケーションを作っているデベロッパも少なくない。でも、モバイルの世界はまだまだこれからだ。オープンソースがもっと普及し、勉強の障壁がなくなれば、アプリ開発への参入者も大幅に増えるだろう。

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IBMがApache Sparkプロジェクトに3500名を投入、未来に生きる道はオープンソースしかないと悟る

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IBMが今日(米国時間6/15)、オープンソースのビッグデータプロジェクトApache Sparkに3500名の研究員を割り当てる、と申し出た。また併せて同社は、同社の機械学習ツールIBM SystemMLのオープンソース化を発表して、それをビッグデータと機械学習の最先端の地位に押し上げたいという意図を鮮明にした。

この二つの技術はIBMが最近志向している、クラウドとビッグデータとその分析技術、およびセキュリティを軸とする自己変革戦略の一環だ。今日の発表と並行してIBMは、Sparkを同社の分析プロダクトの核とすることと、企業等のSparkプロジェクトを支援する商用サービスDatabricksとも協働していくことを誓った。

Sparkは、ビッグデータを処理するエンジンとしては世界最速を自称している。

IBMアナリティクス部門の製品開発担当VP、Rob Thomasはこう言う: “Sparkはビッグデータ分析のオペレーティングシステムだ、と考えたい。将来的には、ビッグデータを利用するときには誰もがSparkを使うようになるだろう。Sparkを使うと、データへのユニバーサルなアクセスができるからだ”。

Thomasによると、Sparkはその成長のペースがオープンソースの歴史上最速にはやかったため、IBMも注目せざるをえなかった。これまでの数年間、Sparkを使ってきたが、昨年Apacheのプロジェクトになってから、一層、注目度が高まった。

DatabricksサービスとIBMとの仲は、まだほんの数か月だが、彼らは機械学習がこのApacheプロジェクトの弱点だと聞かされて以降、IBMの機械学習技術に深く関わるようになった。

こういう場合のIBMのやり方として、単に3500名の研究員を投入するだけでなく、もっと全面的な関わりになる。同社は、同社のPaaS Bluemixの顧客に、今ではアプリケーションの重要素材としてSparkを使わせている。

さらに同社の10あまりの研究部門がSpark関連のプロジェクトに取り組んでおり、近くサンフランシスコにSpark Technology Centerというものをオープンしてデータサイエンス振興のためのコミュニティの形成に取り組み、Sparkを利用する各種のアプリケーションを作っていくとともに、Spark本体の開発も加速する。

IBMのプロジェクトには教育の部分があるのがふつうだが、今回もその例外ではない。IBMの発表によれば、同社はAMPLabやDataCamp、MetiStream、Galvanize、MOOCのBig Data Universityなどと協働して、Sparkを使いこなせるデータサイエンティストを最終目標として100万名育成する。立派な目標だけど、今現在データサイエンティストは、世界中からかき集めても最大で25万人ぐらいしかいないという説もあるから、遠大な目標でもある。

IBMはこれら一連の活動を慈善事業として行うわけではなく、ビッグデータが今後の同社のビジネスの重要な核になる、と信じているからだ。それが全面的に活性化できるための、多様な要素からなる基盤を今から築いておきたい。しかもオープンソースのプロジェクトに本気でコミットすることで、オープンソースのツールを使ってビッグデータや機械学習に取り組んでいる多くの企業との良好な関係形成を図れる。それによりIBMには、コンサルティングなど、そのほかのビジネス機会も開ける。

IBMはお金持ちだから、SparkやOpenStackのようなオープンソースプロジェクトにそのリソースを投ずることによって、会社の体質そのものをリフレッシュし、未来の新しいビジネスに向かう道を築きたいのだ。

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PistonをCiscoが、Blue BoxをIBMが買収、OpenStack市場の整理統合が進む

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Ciscoが今朝(米国時間6/3)、プライベートクラウドとOpenStackの専門企業Piston Cloud Computingを買収した、と発表した。同社は昨年秋にはMetacloudを買収しており、このようにOpenStackのスタートアップを大企業が買収することによる市場の統合化が、始まっているように見える。

CiscoだけでなくIBMも最近、OpenStackによるプライベートクラウドサービスBlue Boxを買収している。OpenStackの支配をめぐる大企業間のタタカイが、いよいよ熾烈になってきたようだ。

OpenStackは明らかに成熟期を迎えており、成熟期を示す現象の一つとして、スタートアップたちのドミノ倒しが始まっている。そしてOracleやIBM、HP、EMC、などの大企業が、これらの企業の価値に着目して、OpenStackという成長市場の、なるべく大きな分け前を手中に収めようとしている。OpenStackの技術は人材が乏しいから、必然的に、自社で新たに部門を作るよりも、すでにあるものを買う、という選択になるのだ。

そしてCiscoやIBMなどの企業は、必要とする人材だけでなく、貴重な関連知財も入手する。

OpenStackは今年で6歳になるオープンソースのコンピューティングプラットホームで、最初はAmazonのクラウドコンピューティングサービスの急成長に対する対抗勢力として構想された。OpenStackでは、パブリックな、あるいはプライベートなクラウドを作る方法も最初からオープンであり、基本機能であるコンピュート、ストレージ、およびネットワーキングをはじめ、今日の現代的なクラウドコンピューティングプラットホームが必要とするサービスがすべて揃っている(顧客先の実装はプライベートクラウドが多いが)。また、Hadoopやコンテナなど、このところ使われる機会の多いソフトウェアパッケージを、その上で容易に動かすためのさまざまな方法も提供している。

OpenStackは最近とくに、関心と利用が広がったため、大企業の目にとまることになり、彼らもその市場に参戦してきた。大企業は複雑なプライベートクラウドを求める顧客を多く抱えているので、OpenStackのまさにオープンな技術に、開発の効率化や低費用化などの機会を見出そうとしている。そこでたとえばOracleは先月、廃業したNebulaから40名の技術者を拾い上げ、自社のOpenStack部門の増強を図った。EMCが昨秋CloudScalingをさらったのも、類似の例の一つだ。

皮肉なことに、Pistonの協同ファウンダで最初のCTOだったJoshua McKentyは、OpenStackの初期の支持者だったが、最近では“このプロジェクトは心を失った”と嘆き、隔年で行われるOpenStack Summitにも行かなくなった。彼がそう感じた理由は、プロジェクトの企業化だ。その彼が今回は、その憎むべき企業化に自ら手を貸したのだ。

Pistonのメインのプロダクトは、OpenStackのためのオペレーティングシステムCloudOSだ。それの主な利点は、サーバのクラスタ群をあたかも単一のリソースプールのように管理できることだ。Mesosphereが、そうであるように。

Blue BoxはOpenStackをベースとするマネージドクラウド(管理サービスつきのクラウド)のプロバイダで、IBMは同社のハイブリッドクラウド戦略を加速する方法の一つと見なしている。戦略というのは、IBMはいずれ、ハイブリッドクラウド市場を支配するつもりだからだ。Blue Boxの買収により、顧客はデータとアプリケーションを、複数の互いに異なるクラウド環境にまたがって、デプロイできるようになるだろう。

OpenStackプロジェクトの成長とともに、そのまわりにスタートアップたちの大きなエコシステムが形成された。しかしこれらの企業にとっては、エコシステムそのものの成長と充実が遅いため、その利用はまだあまり活発でない。

今年バンクーバーで行われた最新のOpenStack Summitでは、ComcastやWalmartのような優れた実装例が紹介されたが、でもまだ、OpenStackに関しては、小規模な試用、実験、あるいは様子見、という段階の企業が多い。OpenStackは、構造が大きくて複雑なため、実装が難しいのだ。

スタートアップから見ると、エコシステムの成長のペースは遅い。だからその反作用として、大企業への吸収も避けられないだろう。この休眠状態に耐えられるのは、OpenStackがメインの収益源ではない企業だけだ(たとえばOpenStack以外で稼いでいるストレージやネットワーキングの企業)。そのほかの、OpenStackをメインでやってきた企業、たとえばMirantisなどは、市場が十分成熟するまで持ちこたえることができず、今にも買収されそうな瀬戸際に立っている。

CiscoやIBMのような大企業は、この、実装〜実採用のペースの遅さから漁夫の利を得ようとしている。停滞している企業をさっさと買い上げて、自分たちのOpenStackショップを作るのだ。しかしそうやってビッグネームがOpenStackづいてくれば、小さなスタートアップしかいなかった時代に比べて、採用のペースが大きく上がることも期待される。

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BQとCanonicalが第二のUbuntuフォーンをローンチ…ニッチ市場が定着か

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LinuxディストリビューションUbuntuを提供しているCanonicalが今日(米国時間6/2)、スペインのメーカーBQとのパートナーシップにより、第二のUbuntuフォーンをローンチする、と発表した。そのBQ Aquaris E5 HDの基本仕様は、今のAndroidハイエンド機と肩を並べるものではないが、同じBQによる最初のUbuntuフォーンよりは、やや仕様がアップしている。

初代Ubuntuフォーンは、ディスプレイが4.5インチ540×960と平凡、RAMは1GB、プロセッサはMediaTek A7で、人びとの買う気をそそるとは言いがたい製品だった。今度の二代目は、同じくMediaTekのクワッドコアプロセッサと、わずか1GBのRAMという仕様だが、そのほかの点では、いくぶん良くなっている。

ディスプレイは720×1280、最大輝度380cd/m2だから、かなり良いが、それでもまだ完全なHDディスプレイではない。13mpxのリアカメラ(フロントは5mpx)も、前の8mpxよりはハイスペックだ。フラッシュはデュアルフラッシュで1080pの録画が可能、そして二つのSIMをサポート。

発売は当面ヨーロッパのみで、小売価格は199ユーロ90セントだ。

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初代機と同じく、E5も最初からAndroidバージョンがある。その性能は最新のMoto G 4Gと肩を並べるから、悪くはない。Androidフォーンの仕様としては、Huawei Ascend G740などの同価格帯の製品とほぼ同じだ。

Canonicalのモバイル担当VP Cristian Parrinoがこう言っている: “新しいオペレーティングシステムを市場に持ち込むためには、現状を打破しようとするパートナーの強い意思が必要だ。BQは果敢なイノベーターであり、同社がUbuntuで背負ったリスクはすでに報われている。ヨーロッパにおけるこの第二のデバイスのローンチは、両社にとってすばらしい進歩の印(しるし)だ”。

モバイルの市場は競争が熾烈だから、新しいオペレーティングシステムをローンチするためにはまさしく、冒険を恐れないパートナーを必要とする。Canonicalの取り組みと似た立場にあるのが、MozillaのFirefox OSだろう。Androidはローエンドでも強いから、CanonicalやMozillaのようなマイナー勢力が食い込むのは至難の業だ。

Canonicalの今の立ち位置では、一部のオープンソース信奉者をファンにすることはできても、遠くない未来にモバイルUbuntuをメジャーに押し上げることはありえまい。来年が、‘携帯もLinux’の年にならないかぎり。

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CanonicalがCephやOpenStack Swiftと組んでソフトウェア定義ストレージAdvantage Storageをローンチ

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Canonicalは今でもLinuxのディストリビューションUbuntuで有名だが、しかし最近の同社は、OpenStackを中心とする企業向け有料サービスで稼ごうとしている。カナダのバンクーバーで行われたOpenStack Summitで、CanonicalのファウンダMark Shuttleworthが、同社の最新のプロダクトUbuntu Advantage Storageを披露した。

Canonicalはこのサービスを、”ソフトウェア定義のストレージサポートサービス”と呼ぶ。企業が自分用のストレージサービスをコモディティハードウェアのクラスタ上にデプロイし、そのサポートサービスをCanonicalが提供する(デフォルトではLevel 1)。そのために同社は、ソフトウェア定義ストレージに関する既存のサービスCephやストレージモジュールOpenStack Swift、NexentaEdge、それにSwiftのベースであるSwiftStackなどとパートナーする。

Advantage Storageが既存の企業向けストレージサービスと異なるのは、ストレージの物理的容量ではなく、企業が実際に使っている容量に基づいて課金されることだ。レプリカやリダンダンシーやバックアップに関しては、課金されない。Shuttleworthは今日(米国時間5/18)のOpenStack Summitで、“オンプレミスのOpenStackの料金をパブリッククラウド並にしたい”、と語った。

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Canonicalのファウンダ(趣味は宇宙飛行)Mark Shuttleworth。

CanonicalにはOpenStackクラウドの設営サービスBootStackがあり、今回のストレージサービスの料金は、ユーザ企業がすでに独自にクラウドをデプロイしているか、それとも新規にCanonicalに発注するかで、異なる。

また売上は、このサービスの基盤となっているCephやSwiftなどと分有する。

“弊社は世界最大のオープンストレージクラスタのサポートを提供しており、そしてこれからは、その提供物を顧客の実際の使用に基づいて課金することにより、新規顧客が利用を開始しやすいようにする”、とShuttleworthは述べる。“管理と統合を完全に自動化することによって、小さなクラスタの場合ですら、最初の日から第一級のユーザ体験をご提供できる”、という。

ついでにShuttleworthは、Canonicalのハイパーバイザ製品LXDについて簡単に触れた。彼はこのプロダクトを“lightervisor”(軽量ハイパーバイザ)と呼び、同社による最近のベンチマークではLinuxのKVMのハーパーバイザよりも大幅に高性能だった、という。具体的には、新しいインスタンスのローンチがKVMよりも94%速く(約2倍)、レイテンシは57%少なかった。

彼はまた、LXDをDockerのようなコンテナ技術と比較する報道が多いが、両者は完全に併用可能である、と述べた。LXDは仮想マシン技術であり、Dockerのようなプロセスコンテナではないからだ。

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OpenStackクラウド設営サービスのAnsibleがCiscoやCSC、HP、Rackspaceなどとパートナーして大幅アップデート

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IT自動化サービスAnsibleが今日(米国時間5/18)、HPやRackSpace、CSC、Ciscoおよびオープンソースのコミュニティとパートナーシップして、OpenStackによるクラウドの展開と管理を容易化するサービスを提供して行く、と発表した。

オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今やきわめて強力だが、その実装と展開はきわめて容易とは言いがたい。このプラットホームは構成部位の数が多くて、それらをシームレスにまとめて構成するのが難しい。AnsibleはOpenStackクラウドの管理サービスをすでに部分的に提供していたが、これからはこれらのパートナーとの協働で、その過程をさらにシンプルにしていく。

その新しいサービス名”Simple OpenStack Initiative”によりAnsibleの既存のOpenStackモジュールが改良され、またそのほかのOpenStack関連プロジェクトも、ITユーザの使い勝手を中心に見直しが行われる。それらがすべて、Ansibleのオープンソースプラットホームと同社の商用サービスAnsible Tower(AnsibleのUI)に統合される。

Ansibleはすでに多くの点で、OpenStackを構成しオーケストレーションする際のデファクトスタンダードだが、今ではPuppetや、CanonicalのMAASJujuのツールなど、コンペティタも現れている。セットアップしたいクラウドのタイプに合わせて、サービスやツールを選ぶ時代になりつつある。

OpenStackは複雑なシステムだから、競合はむしろ、そのエコシステムを強力に前進させる契機になりえるだろう。

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Microsoftが.NETをオープンソースにしてLinuxとMacにポート

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昨年11月にMicrosoftは、これまでWindowsオンリーだった.NETプラットホームの中核的機能の一部をLinuxとMacに持ち込む、と発表した。今日(米国時間4/29)同社のデベロッパカンファレンスBuildで同社は、LinuxとMac OS X用の.NET Coreランタイムの完全な形のプレビューを披露した。

さらにMicrosoftは、Windows用.NETフレームワークの完全な形のリリースキャンディデート(リリース候補)を、デベロッパが即使える状態で発表した。

しかしもちろん最大の呼び物は、Windows以外のプラットホーム向けに.NET Coreがリリースされたことだ。Microsoftのデベロッパ部門担当VP S. “Soma” Somasegarによると、これからのMicrosoftは従来のようにデベロッパにWindowsを使わせるのではなくて、Microsoftがデベロッパが今使っているものに合わせていく。.NET Coreももちろん、そういう動きの一部だ。

Microsoftによると、.NETをクロスプラットホームにするのは、そのエコシステムを大きくすることから、メリットを得たいからだ。同社は最初の発表の直後に、.NETをクロスプラットホームにし、しかもオープンソースのプロジェクトとしてそうする、と述べた。そのための推進組織としてMicrosoftは昨年、.NET Foundationを立ち上げた。

オープンソースの世界で活発に振る舞うMicrosoftの姿を、異様と感じる人もいるかもしれないが、実は最近のMicrosoftは、いろんなオープンソースプロジェクトに積極的にコードを寄与貢献している。

.NETフレームワークの発表の前にも同社はすでに、Roslyn .NET Compilerプラットホームをオープンソースにした。今年の初めにMicrosoftが、オープンソース担当の子会社MS OpenTechを閉鎖したのも、これからはオープンソースプロジェクトへの取り組みをMicrosoftの本体内に位置づけるためだ。

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