ジェフ・ベゾス、「来週新しいKindleハードウェアを発表」とツイート

2016-04-05-kindle

電子書籍のeリーダーというのは昨今では最高にホットなガジェットというわけではなくなった。しかし私を含む一部のユーザーにとっては生活の欠かせない一部だ。ジェフ・ベゾスは「幸福なる少数者」であるわれわれeリーダーの熱烈なファンに向けてKindleの新しいハードウェアが来週にも発表されるとツイートした。

読者諸氏にお知らせ。Kindleリーダーの新しいフラグシップモデルを発表する準備がほぼ整った。8世代目となる。詳細は来週。

リリースのタイミングが前例を踏襲していない点は注目だ。 Kindleハードの発表はこれまで9月が多かった。なるほどペーパーホワイトのアップデートが出たのは去年の6月だったが、4月というのはこれまでなかった。

さて、新Kindleはどんなeリーダーになるのか? eリーダーについてはNate Hoffelderが詳しい((水彩画が描けるKindleのエープリルフールにはすっかり騙されてしまった)は、少なくとも新しいバッテリーケースが用いられると言っている。しかし具体的なスペックについてはほとんど分かっていない。

改良が必要と感じられる分野は割合に少ない。画面解像度の向上はタイポグラフィの改良を意味するので常に歓迎だ。ストレージ容量の拡大もいい。しかしMicroSDカードのスロットが追加されると本気で考えているユーザーはいないだろう。マーカーで線を引いたりテキストで注釈したるするインタフェイスが改良されれば、特に学生などにとって朗報だ。

私の希望は画面の色が紙の書籍のような温かみを感じさせるようになることだ。LEDフロントライトは有用な機能だが、色が冷たく感じられるのが私には以前から気になっていた。
一方、ハードのデザインが大幅に変更されるということはありそうにない。

それより、外観からはわかりにくい機能のアップデートが積み重ねられるというほうがありそうだ。AlexaなどAmazonの新しいサービスとの連携も実現が期待できいる。Amazonによるプレスイベントは予定されていないので、新製品は来週いきなり発表されることになるのだろう。

ただし現行KindleはAmazonでバーゲンになっている。機能は必要十分だし、この価格ならもちろんたいへんにお得だ。浮いたお金で(私のように)Koboを買う,というのもよい考えだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Tesla Model 3の発表会で撮った写真、14枚―まずこれで予習しておこう

dsc_00051.jpg

今夜、Tesla Model 3の発表会に行ってきた。今回Teslaは奇妙なルールを設けていた。「大きなカメラは禁止」とぃうのだ。スマートフォンがいいが、ズームレンズが付けられる本格的なカメラの持ち込みは禁止だという。

正確な理由は不明だ。私は会場で誰かれとなく心当たりを尋ねてみたが、どうやら確からしいという説は「Model 3はまだ完成車ではない」というものだった。つまり細部のフィニッシュは完全ではなく、今後変更の余地があるというものだ。会場の照明は暗く、スマートフォンのカメラの暗所での性能はご存知のとおりなので写真を撮るのにはひどく苦労させられた。

Tesla自身が発表した写真を別にすれば、細部まで見定められるModel 3の写真は今のところ出回っていない。そういう次第で、以下の14枚の写真は私自身と同僚によるModel 3の実写ではあるが、描写はいまいちなのでご了承いただきたい。

普段なら多数の写真はまとめてスライドショーにするところだが、システムはギャラリーに写真を取り込むときにサイズを下げてしまうので、1枚ずつ掲載することにした。

(Model 3のスペックについてはわれわれの記事を参照)

photo2

レッドだ!

プレゼンに使われた車はシルバーだったが、右手にレッド塗装も1台あった。

デザインのコンセプトはModel Sに似ているが、単にSを縮小しただけではなかった。フロントエンドは全く異なる。この角度からだとScion FRSあるいはスバル BRZにやや似ている(フロントエンドはそれだけ目立つわけだが、ともあれゴージャスだ)。

photo3

ホィール!!

この点は後でさらに掲載。

photo4

フロントエンド

Model Sと同様、「フロントグリルなし」だ。実車を見るとかなりシュールな感じがする。まるで誰かがクレイモデルにフロントグリルを刻み忘れたみたいだ。少し離れると非常にクールだ。

photo5

ドア・ハンドル

これまでのTesla同様、Model 3のドア・ハンドルも走行中はボディー内に隠されていて外からは見えない。Model 3の場合はSよりさらに強くカーブしている。

photo6

「予約数」

プレゼンの後でステージに表示されたライブの予約受付状況に関心が移った。イーロン・マスクが登壇したときにはカウンターは11万台前後だった。つまりまだ誰も実車を見ていないうちにそれだけの予約があったわけだ。40分後、プレゼンが終わった後で数字は15万台に跳ね上がっていた(カウンターの表示はそこで終わった)。

ちなみに15万台というのはTeslaが2015年に販売した車の総数の3倍だ。

photo6

最後にもう1枚赤い車を…

photo7

シルバー!!

シルバー・モデルのサイドビュー

photo8

そして…

少し違う角度から。逆光でレンズのフレアが目立つ。

photo12

すでテストドライブが可能だが…

残念ながらModel 3は(Teslaの社員以外)、まだ誰も実車を運転できていない。言うまでもなくテストドライブの申し込みが殺到している。

photo14

ホィール!

さすがのTeslaでもホイールはあるべき位置にある。

photo13

ルーフ

脚立なしにルーフの写真を撮るのは難しかったが、造形はたいへん美しい。巨大な一枚のガラスで、フロントのサンバイザーが取り付けてある支柱と運転席・助手席の頭上を横切る支柱だけがわずかに視線をさえぎるだけだ。サンルーフに似ているが、視界ははるかに広い。Model Sのゴージャスなパノラマビューが後部座席まで拡大された。昼間や星空の下での夜などファンタスティックだろう。.

photo16

再びフロント

ドライバー席と助手席の間に大型のタッチスクリーンが設置されているのが見える。Model Sのものと似ているが、こちらは縦置き1715インチではなく横置き15インチだ(いずれも対角線長)。

photo18

スクリーンの別角度

ドライブ・システムのインターフェイスは納入車両では若干変更されるかもしれない。現状ではやや荒削りだった。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

さよならWindows Phone―Build 2016でMicrosoftは自社スマートフォンを無視

2016-04-01-windowsphone

MicrosoftのBuild 2016に出席してすべてのキーノート講演を聞いた。そこで非常に大きな話題が抜けているのに気づいた。Windows Phoneはほとんど無視されていた。実際、Microsoftの登壇者はあらゆるセッションでこの話題を意識して避けているように思えた。どうやらモバイル分野ではMicrosoftはリングにタオルを投げ込むつもりのようだ。

AndroidでもiOSでもかまわない。われわれはどちらにも対応している。

— Microsoft Buildのプレゼンター

たとば、Visual Studioを使った開発に関するセッションで、講演者がXamarinが無料になると発表して会場から大喝采を受けたときのことだ。続いて講演者は、「このプラットフォームがすべてのスマートフォン・プラットフォームをカバーしているのはすばらしいことだ」と述べた。

講演者は「AndroidでもiOSでもかまわない。われわれはどちらにも対応している」とだけ言うと次の話題に移った。 この2項目のリストは短かすぎると思った読者はいるだろうか? プレゼンターはBlackBerry、Symbian OS、Tizen、Sailfish、Palm OSを例に上げなかった。何よりWindows Phoneが言及されなかった。

Showing off a key partnership with BMW at Build 2016... That's not a Windows Phone.

Build 2016でBMWとの重要な提携が発表され …はいいが、それはWindows Phoneではないぞ?.

Windows Phoneが無視されたのはこのキーノート・セッションだけではない。今年のBuildカンファレンスの全セッションでWindows Phoneの名前を聞くことはまずなかった Surfaceはもちろん大いにプッシュされた。Xboxももちろんだ。Windows 10、 IoTその他話題は多岐にわたったが、Windows Phoneは?  このGIF画像が状況の巧みな要約になっていると思う。.

A Starbucks and Outlook demo. Finally! A Windows 10 device! Oh, wait, no.

StarbucksとOutlookのデモ。ついにWindowsデバイス登場かと思いきや、またまた iOS。

Build 2016のデモでBMWは全面的にiOSデバイスを使っていた。Starbucksも同様だ。もし私が何度か居眠りしていたのでないとすれば(その可能性は十分ある)、今年のBuildのすべてのキーノートでWindows Phoneは1度もステージに登場していなかったと思う。

プレゼンターがWindows Phoneに興味を失くしているらしいのと同時に、他のMicrosoftスタッフも誰一人としてこのデバイスを使っていなかった。昨年Microsoftが「われわれはスマートフォン・ビジネスでの努力を倍増させる」と言ったのを真に受けてLumiaを買ったユーザーにはお気の毒なことだ。もっともWindows Phoneをデスクトップ・コンピューターに変えるとも言っていたから、ある意味でそれは実現されつつあるとも言える。

いずれにしてもMicrosoftはAmazonという本をいくらか真面目に読んだとみえる。つまりモバイル分野はiOSとAndroidが戦うにまかせておき、自分たちが本当に付加価値を生める分野に集中すべきだという教訓だ。Microsoftの場合、AzureのクラウドキャプションボットのテクノロジーMicrosoft Inkのエレガントなインターフェイスで素晴らしい仕事をしている。認知科学を応用したサービスもBuildで発表された。

さよなら、Windows Phone。よく知り合う機会がなくて残念だった。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、iOSを9.3.1にアップデート―URLタップでiPhoneがクラッシュする問題を修正

2016-04-01-safari-ios

この対応は素早かった。iOSの重大なバグが報道されてからわずか数日でAppleは修正版のiOS 9.3.1をリリースした。アップデートはiPhone版、 iPad版ともバグに対応ずみだ。アップデートの説明は当然ながらきわめて簡潔だ。「Safariその他のAppでリンクをタップした後にAppが応答しなくなる問題が解決されます。」〔Apple日本サイトの表示〕とだけある。

どういうことだったのか振り返ってみると、まず多くのユーザーがAppleのフォーラムで不調を訴えた。一部のURLをタップするとSafariその他のアプリがクラッシュするという問題だ。原因はそうしたサイトのデベロッパーがiOS 9の新機能であるユニバーサルリンクを不正に利用しようとしたことにあることが判明した。このバグはiOS 9.3だけでなく、それ以前のiOS 9にも同様の被害をもたらした。

iOS 9でAppleはURLの処理にユニバーサルリンクというまったく新しい仕組を導入した。たとえばYouTubeのようなデベロッパーがドメイン名をAppleに登録し、ユニバーサルリンクに対応させると、ユーザーがリンクをタップしたときに、Safariをバイパスして直接アプリが起動するようにできる。

そこでiOSデバイス上でyoutube.com/somethingsomethingというようなリンクをタップすると、iOS 9はSafariではなくYouTubeアプリでコンテンツを表示する。これはなかなか便利は機能だったが、問題はこの機能を悪用するデベロッパーが出たことだった。

たとえばBooking.comのデベロッパーはアプリを多くの、というよりほとんど無数のドメイン名に関連づけた。正確にいえばBooking.comアプリはタップされるたびに2.4MB分のドメイン名を読み込もうとする。バックグラウンドのswcd〔共有ウェブ認証デーモン〕プロセスはこのディープリンク・データをユニバーサルリンクとして処理しようとしてオーバーフローに陥る。言い換えれば、Appleはユニバーサルリンクのデータサイズに上限を設けるのを忘れていた。一部のデベロッパーはこの点を悪用しようとしたわけだ。

Appleが素早く対応したのはもちろん良いことだ。しかし同時にユニバーサルリンクというのはきわめて初期段階のテクノロジーであり、Appleは最適化のために今後も努力する必要があることも明らかになった。iOSデバイスのユーザーはできるだけ早い機会に「設定」を開き、「ソフトウェア・アップデート」から新しいiOSをインストールするようお勧めする。

〔日本版〕日本のユーザーもiOSデバイスから9.3.1へのアップデーがト可能になっている。

File Mar 31, 7 02 18 PM

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceXが国際宇宙ステーション向けにBigelow社のゴムボート式居住区を打ち上げる

2016-03-30-bigelow-beam

国際宇宙ステーション(ISS)への次回の物資補給に際して、SpaceXはBigelow Aerospaceが製作した膨張式の居住区を打ち上げる計画だ。4月8日に予定されているFalcon 9ロケットには「ビゲロー拡張式活動モジュール(Bigelow Expandable Activity Module, BEAM)が折り畳んだ状態で搭載される。宇宙ステーションの適切なノードに固定され、空気によって膨らませることができれば、ISSに新しい居住区が追加されることになる。

The space station's Canadarm placing BEAM onto Node 3 / Courtesy of NASA

ISSのロボットアームがBEAMをNode 3に取り付ける(想像図) / NASA

SpaceXのDragonカプセルは打ち上げから数日後にISSにドッキングする。つまり4月の中旬にISSのロボット・アームがBEAMモジュールをつかみ、Dragonの荷物室から引き出してISSのノード3に取り付ける。BEAMの膨張作業は5月の終わりか6月初めに予定されている。正確な日時はクルーの作業日程より決定される。完全に膨張するとBEAMの内部空間は折り畳まれた状態の10倍になる。

Illustration of NASA's TransHab design / Image courtesy of NASA

INASAの当初のTransHab宇宙居住区のデザイン(キャンセルされた) / NASA

Bigelow Aerospace社は15年前にRobert Bigelowによって創立された。BigelowはBudget Suites of Americaというリゾートホテル事業で財をなした。NASAはTransHab in 2000という膨張式宇宙居住カプセルを開発していたが、議会の財政緊縮策によってキャンセルを余儀なくされた。このときBigelowはゴムボート式に膨らませる宇宙コテージの特許をNASAから買い取った。

しかし膨張式宇宙モジュールのアイディアはこれよもずっと早く、60年代初期にすでに生まれていた。事実、NASAの最初の通信衛星、エコー1号はこの風船デザインの産物だ。しかし当時のテクノロジーで得られる素材は通信衛星はともかく、居住区に用いられるような水準にまったく達していなかった。

NASA's first communications satellite, Echo / Image courtesy of NASA

NASAの最初の通信衛星、Echo-1 / NASA

その後の目覚ましい発達により、有人の宇宙任務に耐える素材が現れた。Bigelow Aerospaceは、観光客み魅力的な軌道上の宇宙ホテル建設のために設立された。同社は2006年にGenesis 1、 2007年にGenesis 2という実証用無人モジュールの打ち上げに成功した。両モジュールとも現在も軌道を周回中だ。

残念ながらBigelow Aerospaceは時代に先んじ過ぎていた。居心地よく滞在できる完璧な宇宙ホテルの製造と打ち上げに成功したものの、肝心の人間を軌道上に送る事業は予想どおりに拡大せず、室料を払ってホテルに滞在する顧客は現れなかった。そのため今年に入って150人のBigelow Aerospaceの社員のうち30人から50人がレイオフされた。民間有人宇宙旅行を可能にする機体は2017年から2018年にならなければ実用化しないと予想されている。

そこで当面Bigelow AerospaceはNASAとの契約に活路を見出している。同社は2013年にBEAMモジュールをISSに提供することを含む1780万ドルの契約をNASAと結んでいる。

BEAM inflation on the ISS / Image courtesy of NASA

ISSに取り付けられたBEAMが膨張する/ 画像: NASA

一見すると膨張式居住区は微小なデブリの衝突で風船のように「パチンと弾ける」のではないかと不安になる。しかし居住区は最新の柔軟な素材による多重構造となっているため、こうしたMMODと呼ばれる微小天体および軌道周回デブリ(MMOD)に対して十分な盾としての能力がある。

NASAのBEAMプロジェクトの代表の一人、Rajib Dasguptaは「今回のISSでのテストは、BEAが将来の有人宇宙ミッションで利用できるかどうかを決める重要なステップとなる」と述べた。【略】

BEAMのISSでのテストとは別個にNASAはBigelow AerospaceとB330膨張式モジュールの実験に関する契約を結んでいる。NASAはこのモジュールが月および火星への有人宇宙飛行に役立つことを期待している。

Bigelow Aerospace's B330 module with 330 cubic meters of internal space / Image courtesy of Bigelow Aerospace

Bigelow AerospaceのB330モジュールは330立法メートルの内部空間を持つ/ 画像:Bigelow Aerospace

〔日本版〕記事中に写真が掲載されているエコー1号通信衛星は1963年11月に翌年の東京オリンピックの世界中継の準備のために太平洋を越えたテレビ映像の中継実験を行った。この最初の中継でケネディー大統領暗殺のニュースがNHKを通じて放映され、日本の視聴者に大きな衝撃を与えた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ご注意! 新しいiPad ProのデュアルSIMについてAppleの意図を知っておこう

2016-03-24-ipadprosim

Appleが新しい9.7インチのiPad Proを発表したとき、ひとつの技術的問題が目を引いた。Appleのサポートデスクに寄せられた質問の大半がこの問題に関するものだったという。つまりApple SIMが内蔵になったという点だ。 AppleはiPad Air 2でAppleはApple SIMを発表した。これは一般的なSIMカードの形状だが再プログラム可能だった。ユーザーはデバイス上の設定から世界に何十種類もあるキャリヤを自由に選択できた。

Appleにとっての利点は明白だ。プログラマブルSIMならどんなキャリヤとも互換性がある。無線ネットワークがデバイスのサポートする規格を採用してさえいればよい。Appleは世界中でただ1機種を発売するだけですむ。

しかし問題はApple SIMが従来のSIM同様、取り外して交換できるという点だった。一部のキャリヤはユーザーが書き換えできないようにしたプログラムしたSIMを取り付けて販売し、結果的にAir 2を自社ネットワークにロックしてしまった。そこで新しいiPad ProではSIMを内蔵させるという対策が取られたわけだ。では内蔵SIMが再プログラムされるとどんなことが起きるのかというのが大きな疑問となる。その答えは簡単にいえばこうだ。

  • Verizon版のiPad Proの場合、内蔵SIMは無効化される。VerizonのiPad Proを海外で使うには現地で利用できるキャリヤの物理的SIMカードを装着する必要がある。
  • AT&TのストアでiPad Proを買った場合、内蔵のApple SIMは有効。ただしアメリカ国内、国外ともAT&Tネットワークにロックされる。しAT&Tのストアから直接購入せず、他の経路からデバイス入手し、後でデバイス上の設定から内蔵SIMにAT&Tをプログラムした場合、アメリカ内外ともにアンロック状態となる。つまりAT&Tから買った場合はSIMはロックされ、国外で使う場合もAT&Tが定めたローミングを利用することになる。後でAT&Tを選択した場合、 内蔵SIMはロックされておらず、後でキャリヤをAT&T以外に変更することができる。
  • 他のアメリカのキャリヤはロックをかけていない。T-Mobileは安全だ。しかし日本ではキャリヤ独自のストアから購入したデバイスはそれぞれのネットワークに接続するようプログラムされている。他の日本のキャリヤに変更することはできるが、海外のキャリヤには変更できない。〔この点についてはAppleサイト参照〕。
  • AT&TとT-Mobileは内蔵のApple SIMに対応している。AT&Tのデバイスに新たにT-Mobile SIMを装着すれば内蔵SIMは上書きされ、T-Mobileが利用できるようになる。Wただし、T-MobileのSIMを抜くとAT&T接続に戻る アップデート:ユーザーはSIMを抜き差しする必要はない。どちらのキャリヤもデバイスの設定から携帯ネットワークを選択できるようになっている。

以上からは、さほどすばらしいニュースだとは感じられないかもしれない。しかし後でキャリヤを変更するユーザーにとって非常に有利な点が一つある。新しいiPad Pro 9.7インチはデュアルSIMだ。つまり内蔵のApple SIMに加えて筐体右側面〔日本版注〕にSIMスロットが設けられており 内蔵SIMがAT&Tにロックされていても他のキャリヤのSIMカードを挿入して利用できる。つまり内蔵のApple SIMのロックと関係なく、他所で購入した他のネットワークの物理的SIMカードを使うことによって、ロックを無効化できるということだ。このデバイス自体はどのキャリヤに対してもロックさせることはできない。

やっかいな問題を巧みにかわしたといえそうだ。こうしたテクニカルな話題を紹介するのは、Appleは今後発売されるデバイスでも内蔵SIMを利用する可能性が高いと考えたからだ。もちろんAppleがキャリヤを説得して自社へのロックを止めさせることができれば理想的だ。しかそのようなユートピア的夢想が簡単に実現するとは思えない。

依然としてわかりにくい話ではあるが、この説明でいくぶんなりと混乱が収まることを願っている。

〔日本版〕 新iPad Proのnano SIMカードのトレイはホームボタンを下部に縦に保持したときの右サイト(長辺)の下部にある。実機が出荷されていないので日本での対応状況にははっきりしない点もあるが、SoftBankの新iPad Proは内蔵SIMを利用せず、物理的SIMカードを挿入してSoftBankのネットワークに接続するタイプという。海外での利用などについてはAppleサイトのSIMの解説を参照。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のWhillのまったく新しい電動車いすModel MがFDAの認可により合衆国で保険対象の医療器具となる

whill-model-m-hero

日本のWhillの、新しいタイプの電動車いすModel Mに、合衆国の食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)の認可が下(お)りた。これによりModel Mは、医師が医療器具として処方でき、保険の対象にもなる。

Whillはこれまで、日本の通信大手NTT DoCoMoのVC部門などから1285万ドルを調達している。同社は以前、Type-Aと呼ばれる移動装具を、FDAの認可を求めずに売っていた。

Whillの製品は車輪が特許を取得していて、全方向に正確な方向転換ができ、移動能力に優れ、凸凹道や斜面でも容易に操作できる。Model Mにはいくつかの新しい機能があり、中でも腕を支持する機能や、軽いハンドル、調節可能な背中の支持機能などは、医療器具として欠かせない。

協同ファウンダーでCEOのSatoshi Sugieは発表声明の中で、Whillを作ろうと思ったのは、障害者の友だちがこれまでの車いすで苦労しているのを見たからだ、と述べている。彼によると、FDAの認可が得られたことによりこれからはModel Mを、合衆国の680万人の移動装具ユーザーや医療の専門家たちに売っていける。

“Model MへのFDAの認可は、われわれのチームと、合衆国のヘルスケアシステムの中におけるわれわれの顧客の両方にとって、重要な節目だ。われわれは合衆国の医師たちと協力して、Model Mを患者にとって車いすの新しい現代的な選択肢として提供していきたい”。

同社のチームにはこれまでNissanやSony、Olympusなどにいた技術者やデザイナーがおり、彼らは自動車のデザインをヒントにして、もっと魅力的な電動車いすを作ろうとしている。彼らの目標は、移動装具を使用することに伴いがちなスティグマ(stigma, 恥・汚点の意識)をなくすことだ。Model Mの市場価格は、13995ドルだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

小さくなったiPad Proをさっそく使ってみた(ビデオ)

既存プロダクトの改良版についての話が主だったこともあり、本日のAppleイベントについて少々さびしく感じた人はいるかもしれない。しかし、いろいろなプロダクトが小型化するという噂はまさに本当だった。もっとも多くの注目を集めたのはiPhone SEだったかもしれない(ファーストインプレッションはこちら)が、デザイナーやアーチスト、ないしApple Pencilの可能性に興味を持つ人たちにとっては、新しくなって小さくなったiPad Proこそ、もっとも注目したくなるデバイスだっただろう。

O92A1521

イベントのさなか、TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarinoがさっそく新iPad Proを使ってみたので紹介しておきたい。動作の様子については冒頭のビデオを見ていただくこととして、特徴的なスペックについて列挙しておこう。

  • 画面サイズは12.9インチから9.7インチとなった。
  • 内部パーツについては従来のiPad Proをもとに、新しいものも若干加えられている。
  • 4つのセンサーを備えたTrue Toneディスプレイを搭載していて、周囲の状況に応じたカラー調整が行われる。
  • これまでで画面反射がもっとも低く抑えられていると同人に、もっとも明るいディスプレイとなっている。
  • 「Hey Siri」機能に対応するとともに、もちろんApple Pencilにも対応している。
  • キーボードなどとの接続にはSmart Connectorを採用。
  • 小型化して、高い携帯性をもたせることでコンピューティングの未来を切り開く(Appleの発表より)。
  • カラーバリエーションはシルバー、ゴールド、スペースグレイ、ローズゴールドの4色。
  • 価格は599ドルからで、新しく用意された256GB版は899ドルとなっている。

iPad Pro 9.7 - Smart Keyboard - 3

上のビデオで、小型iPad Proの使い勝手を多少なりとも感じてもらえるとおもう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

iPad Airの後継機は9.7インチiPad Pro―Appleの考えるコンピューターの未来

2016-03-22-ipadpro97

Appleはさきほどクパチーノの本社キャンパスで開催された.プレスイベントでiPad Air 2の新しい後継機を発表した。この機種の内容はiPad Airの発展というより小型版のiPad Proであり、Appleもそのとおり、iPad Proと名づけている〔iPadは今回iPad Proの12.9インチと9.7インチの2モデルに再編された〕。

フィル・シラー上級副社長が新しいiPadを発表するのに先立ってCEOのティム・クックは「iPadはコンピューティングの未来を体現するものとして完璧だとわれわれは確信している」と語った。

現行iPad Air 2の発表は2014年10月だったから、今回の新しい iPadはメジャー・アップデートとなる。 ディスプレイが9.7インチである点は現行モデルと変わらないが、それ以外はゼロから作りなおされている。

新しいディスプレイは光の反射が40%も削減され、25%も明るい。カラーの発色も改良されている。 500Nit〔cd/m2〕のディスプレイはこれまでのiPadでもっとも明るい。小型版のiPad ProはiOS 9.3で新設されたNight Shiftにことに良く適合している。日が沈む頃になると自動的にディスプレイは黄色みを帯びた暖色系の表示になる。新iPad Proには4チャンネルのアンビエント光センサーが設けられ、これまでより正確に周囲の光を分析してモニターのホワイト・バランスを調整する。

  1. ipadpro10-applepencil_pr-print.jpg

  2. ipadpro10-smartkeyboard_pr-print.jpg

12.9インチ版と同様、新しいiPad Proは大きな音響空間を備えたスピーカー4基を内蔵しており、音量、音質ともに良くなっている。この陰にはiPad ProがA9Xチップの採用がある。これによりLTE、802.11ac Wi-Fiの接続も高速化された。iPhon 6sと同じ12メガピクセルのカメラを搭載し、4kビデオを撮影する能力がある。この点では現行の大型版iPad Proを上回る性能となっている。ということは残念ながらボディーの平面からやや出っ張るということだ。

また新iPad用に大型版に似たスマート・キーボードカバーも発表された。現行大型版に比べるとキーはやや小ぶりになっているが、大型版と同じスマート・コネクターが採用されているのでいちいちペアリングしたり重電したりする手間は省ける。

  1. 0062.jpg

  2. 0063.jpg

  3. 0065.jpg

  4. 0066.jpg

  5. 0068.jpg

  6. 0071.jpg

今日のイベントで、新しいiPad ProはApple Pencilをサポートすることが判明した。またUSBカメラやカード・リーダーなどのLightningアクセサリを接続して写真を転送することもできる。9.7インチ版のiPad Proにはシルバー、ゴールド、スペースグレイ、ローズゴールドの4色がある。厚さは6.1mm、重量はWi-Fi + Cellularモデルが444g。

新モデルは価格がやや高くなっており、599ドルからだ。これは最安のiPad Air 2より100ドル高い。しかしメモリーは16GBではなく32GBが搭載される。749ドルで128GBのストレージとなる。今回初めてiOSデバイスに256GBモデルが登場したが、こちらは899ドルだ。これらはいずれもWiFiモデルで、LTE接続モデルの価格については不明だ。iPad Air 2のエントリーモデルの場合399ドルだ。12.9インチのiPad Proでも256GBのモデルが選べるようになった。 9.7インチiPad Proの出荷は4月上旬からだという。

iPad Pro

「〔9.7インチは〕当初からもっとも人気の高いiPadのサイズだった」とフィル・シラーは語った。Appleは9.7インチのiPadをこれまでに2億台売っている。iPad AirをiPad Proと改名することによりAppleはより多くのユーザーに新モデルへ買い替えてもらいたいようだ。

今回AppleがiPadのようなメインストリームの製品を値上げしたのは微妙な戦略といえる。直近の四半期にiPadの売上は前年同期比で25%ダウンしている。Appleが新製品をiPad Airとしなかったのは対前年比で大幅に低下した数字をいつまでも公表したくなかったからではないかという疑いも残る。しかしタブレット製品の頭打ち感はAppleに限った現象ではなく、トレンドというべきものだ。

AppleiPadを独自のカテゴリーと独自のエコシステムの製品にしようと努力している。またiPhoneとiPadの差異を収入源としたい。今回のiPad Proの発表でApple はiPadこそ今回の未来なのだというはっきりしたメッセージを市場に向けて発した。新iPadはこの流れに基いてデザインされた製品であるのは間違いない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Nikeのイベントで「自動的に締まる靴紐」を試してみた―便利なアプリも発表

ここ数日、私はNikeの最新テクノロジーのデモ・イベント、Innovation for Everybodyで長時間過ごし、Nikeの人々にいろいろと話を聞く機会があった。

注目を集めたアイテムはいろいろあったが、なかでも筆頭はHyperAdapt 1.0の「自動的に締まる靴紐」だろう。上のビデオで私が実際に履いてテストしてるのでご覧いただきたい。

Nikeではだいぶ前から『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のシーンを再現するというアイディアを温めており、Nike Magsで数量限定版のパワー靴紐を紹介したときには、主演スターのマイケル・J. フォックスがフィーチャーされていた。このHyperAdapt製品は、世界初の量産市販される自動靴紐になる予定で、夏休みまでには出荷される。

nike2

数分だが私もこの靴紐を試してみた。足首が自然に締まっていくのはたいへん面白かったが、同時に非常に自然なフィーリングだったのには驚いた(靴紐が締める強さを調整するときにたてる独特のサウンドも印象的)。締まり具合はデフォールトの設定ぴったりちょうどよかった。ビデオで私が強さ調整ボタンを押しているのはあくまでテストだ。

Nikeはこのイベントで新しいNike+アプリも発表した。Nikeのあらゆる製品やサービスの入り口になるアプリだ。NikeのNikki Neuburgerは「Nikeが提供するあらゆる可能性を手に入れるためのアクセス・ポイント」と表現した。ユーザー別にカスタマイズされたコンテンツのフィード、オンライン・ショップ、最寄りのショップの案内、エキスパートへの相談、その他のNikeサービスが利用できる。

〔日本版〕ビデオの0:20あたりからデモが見られる。紐はジョギングシューズに予めセットされており、ユーザーが立ち上がるとセンサーが感知してマイクロ・モーターで靴紐を締めていくようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、Boston Dynamics売却の可能性が浮上―二足ロボットが怖すぎて評判を傷つける?

2016-03-18-stop-making-me-feel-bad-for-a-robot

Googleの親会社、Alphabetはロボット開発の子会社の一つ、Boston Dynamicsに満足していないということだ。 Bloombergの記事によると、Alphabetの幹部は「Boston Dynamicsは、向こう数年のうちに大きな収益を生み出す可能性はほとんどないうえに、いっしょに仕事をしづらい相手だ」と考えているという。トヨタ、アマゾンは工場や倉庫業務で利用するためにBoston Dynamicsの買収に興味を示すかもしれいない。

しかし、いっそう興味深いのはGoogleの社内向けメールの内容だ。それによると、 Google自身がBoston Dynamicsに少々脅えているらしい。われわれは皆、先月公開されたBoston Dynamicsのビデオを見ているが、興奮させると同時に恐怖を呼び起こすような内容だった。人型二足歩行ロボットが何度倒されてもそのつど自力で起き上がるようすはまさにターミネーターだった。

2013年12月にGoogleはBoston Dynamicsと他の一連のロボット・スタートアップを買収した。その目的は、Google社内にロボット工学のエンジニアリング部門を立ち上げBoston Dynamicsと協力させるることだった。だがそれ以来ほとんど何も起きていない。.Googleは、レプリカントと呼ばれるプロジェクトで、誰でも入手可能なロボットをできるだけ速く出荷するはずだった。ところがAndy Rubinが去るというリーダーシップの変更に加えて、Google社内のロボット工学エンジニアとBoston Dynamicsのエンジニアの間で深刻な衝突が起きたためにこれは不可能になった。

Googleは社員数万人が働く大企業であり、こうした問題が会議で取り上げられたり部内のメールで議論されたりすれば、情報はいずれ外部に出てくる。すべてのGoogle社員はこのことを知っており、BloombergのBrad StoneとJack Clarkは情報を耳打ちされた。Bloombergにリークしたのは レプリカントやBoston Dynamicsには直接関係していないGoogle社員だろう。

Google Xの広報ディレクター、Courtney Hohneは 部外秘のメールで、「テクノロジー・メディアは興奮しているが、報道にはいくぶんの恐怖が混じっている。〔Boston
Dynamicsのロボットは〕人間の仕事を奪うレベルに達しているとして、ネガティブな意見が出始めた」と書いた。するとこのメールは公開性の高いGoogleフォーラムに転載され、結局Bloombergの記者が入手に成功した。

Hohneはこの後、 「われわれはGoogle内でBDの立場が本当はどうなっているかついて新たなメディアの大騒ぎを引き起こしたくない」と述べている。

Googleのロボット事業部のディレクター、Aaron Edsingerは、「Boston Dynamicsと仕事をすると『レンガの壁』〔のような秘密主義〕に突き当たることが多い」と述べた。報道によればレプリカント・プロジェクトは去る12月に閉鎖され、Googleのロボット・エンジニアは現在他のGoogle Xプロジェクトに取り組んでいるという。

Boston Dynamicsのエンジニアについていえば、彼らは現在新しい買い手が現れるのを待っているところだろう。

原文へ


(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

電動ジンバル内蔵の4Kスマート・アクションカメラ、REVL ArcがIndiegogoで発進

2016-03-18-revlarc

Y Combinatorの2016年冬クラスのメンバーだったREVLが、スマート・アクションカメラ、Arcをリリースした。アクションカメラにおける2つの最悪な問題、ぐらぐらする不愉快な映像と編集にひどく手間取ることを解決しようとする製品だ。

REVL Arcは、.元NASA、シコルスキー、HPのエンジニアによって開発された4Kカメラで、電動ジンバルを内臓しており、撮影時に常に水平を保つようになっている。水深10フィート〔3m〕までの防水性があり、Wi-FiとBluetooth接続能力がある。バッテリーは4Kで90分の撮影が可能だ。

Arcの内蔵センサーは撮影時の高度、スピード、回転などを記録している。編集アプリはセンサーのデータに基いて撮影された活動を分析し、映像のどの部分がもっとも興味を持たれそうか判断する。例えば、ユーザーがスキーをしているところを1時間撮影したとすると、編集アルゴリズムはセンサーのテレメトリーデータを使って退屈な部分をカットし、スキーヤーがジャンプしたり水平回転したりしているエキサイティングなクリップを選び出してユーザーに推薦することができる。

スマート編集はREVLの専用アプリで実行される。アプリは撮影、編集、共有という流れを最大限スピードアップすることを狙いとしている。また編集アプリは、Snapchatのフィルターからヒントを得たのかどうか、ユーザーが高度その他のテレメトリーデータをビデオの上にスーパーインポーズする機能がある。

YCに加えてBill Tai、James Lindenbaum、Googleマップの共同ファウンダー、Lars Rasmussenらの投資家が総額200万ドルのシード資金を投じている。

REVL Arcは今日(米国時間3/17)、Indiegogoでプロジェクトをスタートさせた、出荷は2016年12月になる予定。

〔日本版〕Indiegogoのページによれば、向こう72時間に限り1台349ドルのプレッジで予約が可能。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ウェアラブルは次のレベルへ―かわいいデバイスでハトが大気汚染をモニター

2016-03-17-plume-labs-air-report-pigeon-patrol

ウェアラブルデバイスは次の段階に進む準備ができたようだ。Plume LabsDigitasLBiは面白い実験を行うために協力した。ラッシュアワーのロンドンの大気の状態を調べるために小さなバックパックを背負ったハトが上空を飛び回ってサンプルを集めるというアイディアだ。

パブで酩酊しているときに思いついたというわけではないらしい。とにかく現在そのデバイスを装着した10羽のハトがロンドンの空を飛び回っている。実験はあと3日続けられるそうだ。

このエアー・パトロール隊員のハトは特別に作られた小さなパックを背負う。これはごく軽くて、羽根一本くらいの重さだ。このパックで採取された大気はオゾン、二酸化窒素、その他大きく変化する微量成分を分析される。ハトの飛行記録も記録される。それになんといってもかわいい。

ただしこのハトはそのへんにいるハトではない。エンジニアのチームはBrianの協力を得て、この任務に適したレース用ハトを借りだした。また獣医がハトの健康状態を定期的にチェックしている。ロンドン在住の読者はTwitterでハトの位置をモニターできる。また居住地区の最新の大気の状態を知ることもできる。

Plume Labsは以前から大気汚染の予測を手がけてきた。Plume Air ReportはiOSとAndroidのアプリになっており、都市部の大気汚染の最新情報と24時間後の予測を知ることができる。カバーしている都市は全世界数百にもなる。大気汚染版の天気予報アプリと考えればいいだろう。

チームは現在、既存の気象予報サービスから得られるオープンソースのデータを利用しているが、今後はウェラブルデバイスを利用したデータ収集を行いたいとしている。ハトの大気汚染調査員はおおいにマーケティングに寄与しそうだが、同社ではクリップで止められる小型の大気採取パックを開発している。このパックは、残念ながらハトではなく、人間用だ。

ロンドン・インペリアル・カレッジはPlume Labsと提携して大気を調査するE-Plumeというプロジェクトを計画している。ロンドン居住者100人が大気採取パックを装着して汚染のパターンをモニターすることになる。いわば

Plume Labsの共同ファウンダー、CEOのRomain Lacombeは私の取材に対して「このプロジェクトはいわば『大気汚染調査版の』Waze』だ」と説明した。さらに正確な情報が得られれば予報も精度を増すことになる。

Plume Labsは資金集めのためにクラウド・ファンディングを始めた。支援者はチームが今年予定している大気汚染調査のための各種の実験に協力することが求められる。

〔日本版〕Plume LabsのiOS/Androidアプリは東京始め日本の13都市をカバーしている。かなり多くの情報へのアクセスを求められるが許可しなくても大気情報は表示される。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Xbox Liveのマルチプレイヤー・ゲームがPS4とのクロスプラットフォームをサポート

2016-03-15-xboxone

現在、Xbox OneとPlayStation 4にはほとんど機能上の差異はない。しかし大きな違いもある。XboxのゲームのプレイヤーはXboxとWindowsパソコンのゲームのプレイヤーしか相手にできない。Microsoftがマルチプレイヤー機能に制限を設けてきたためだ。

しかしここにきてMicrosoftは、ゲームのデベロッパーはXboxだけでなく、他のゲーム専用機やパソコンを含めたクロスプラットフォームのマルチプレイヤー・ゲームを開発できるようになったと発表した

つまりCall of DutyやFIFAのようなゲームの次のバージョンではプレイヤーは XboxとPS4双方のユーザーと対戦できるということだ。そうなるかどうかは今後はデベロッパーの選択にかかってくる。

オンライン・マルチプレイヤー・ゲームとして最初に成功を収めたのがXboxだったせいもあり、これまでMicrosoftはクロスプラットフォーム性を厳しく制限してきた。PlayStationがネットワーク対応になったのはPlayStation 3からだった。

ところがMicrosoftはXbox OneでPS4に遅れをとることになってしまった。今やPS4の方がオンライン・プレイヤーの数が多く、Microsoftは負け犬化していた。

クロスプラットフォームのマルチプレイヤー・ゲームを許可することでMicrosoftはこれからゲーム機を買う層にXbox Oneを売り込めるようになった(こういうユーザーの友人の多くはすでにPlayStation 4を持っている)。またクロスプラットフォーム化することであまり人気のないゲームも十分プレイヤーを確保できるようになり、Xbox Oneのゲーム・タイトル数も増えるはずだ。

クロスプラットフォームをサポートする最初のマルチプレイヤー・ゲームはRocket Leagueになるはずだ。Rocket LeagueはPlayStation 4とWindowsパソコン間のクロスプラットフォームをサポートしている。また先月、Xbox OneとWindowsパソコンの間でクロスプラットフォームが可能なバージョンが発表されている。今後のバージョンではXbox OneバージョンとPS4パージョンが統合されることになるだろう。ただし2つの異なるネットワークにおけるハンドル名の衝突をどう解決するかは今のところ不明だ。

Microsoftのオンライン・ゲーム・フレームワークを利用するWindowsオンライン・ゲームは OS Xのような他のOSを利用することも可能になる。なおXboxプレイヤーは対戦相手を他のXboxユーザーだけに限ることもできる。しかしどういうユーザーがどんな理由でそんな制限を利用するのかは不明だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ParaZero SafeAirはドローンを軟着陸させるパラシュート―完全自動でバッテリー切れにも対応

2016-03-15-parazero

ドローンは高価なガジェットだが、残念ながらいずれ必ず墜落する。イスラエルのスタートアップ、ParaZeroはこの問題に解決策を提案している。パラシュートだ。 ParaZeroのSafeAirはドローンのトップに取り付けるカプセルで、射出式パラシュートを内蔵している。作動は1秒以内で、非常に低い高度でもドローンを安全に着陸させることができるという。

ParaZeroではこのパラシュートはユーザーからのコマンドなしに自動的に作動するとしている。つまりドローンがビルの向こう側に回りこんで見えなくなったとたんにバッテリーが切れるというような状況でも自動的にパラシュートが開くわけだ。

SafeAirはエアバッグのドローン版といえるだろう。当面ターゲットとするユーザーはホビーイストで、市場に最初に出るSafeAirは3DR Solo用だ。ParaZeroはこれまでもDJIと協力してきた。将来はホビー市場だけでなく、プロ市場にも対応させたいという。

ParaZeroは 2012年に航空安全の専門家チームによって創立された。 ParaZeroのCEO、Eden AttiasはTechCrunchの取材に対して「われわれはホビー向け小型ドローンから数百キロもある商用大型ドローンまですべてに対応させていく」と語った。ParaZeroでは世界初の実用的有人マルチコプターMartin Jetpackのパラシュートも手がけている。

giphy (2)

Attiasはドローンの将来についてこう語った。「将来、われわれの生活にドローンが大きな役割を果たすようになることは明らかだ。空中撮影、宅配、ホビーなどあらゆる応用が考えられる。そうなればドローンの機能として自身を墜落の衝撃から守ると同時に地上の人々や施設にダメージを与えないような安全性を組み込むことが最優先となる。SafeAirは自動車のエアバッグ同様確実に作動する信頼性の高さからしても、この用途にもっとも適したソリューションだと信ずる。われわれのシステムはバッテリー切れなどドローンの飛行継続に致命的な支障が生じた場合、完全自動で作動する。さらに重要な点だが、作動が高速であり、広範囲に安全を保障する」。

ParaZeroでは3ヶ月前から業務拡大のための資金を募集中だ。 ともあれ、重く、高価なドローンを飛ばすユーザーはクラッシュの際の自他の安全を確保するためのなんらかのシステムを必要としているこは間違いない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Appleから3/22〔日本では3/22〕のプレスイベントの招待状―新iPadと小型iPhoneが発表されるはず

2016-03-11-appleinvitation

さきほどAppleからクパチーノのApple本社で開催が予定されているプレスイベントの招待状が届いた。このイベントは今月の後半、3月21日(月)〔日本時間3月22日(火)〕に開催が予定されている。招待状には例によって謎いめいたひとこと、“Let us loop you in.”だけが書かれていた。

このイベントはすでに数週間前から大きな話題になっている。われわれは何が発表されるかについてもいくつか情報を得ている。ともかく噂によれば、Appleはこのところ新しいiPhoneの開発を行ってきた。新iPhoneはiPhone 5sと同じサイズの4インチのディスプレイを装備するが、チップとカメラは新しいものになるといいう。

iPhone 5se(special editionの頭文字)になるのか、大文字のiPhone SEか、またその他なのか、名称に関してははっきりした情報がない。ただしiPhone 6s/6s Plusのシリーズに加わることはなさそうだ。

iPhoneの次に用意されているのが新iPad Airだ。昨年の秋、AppleはiPad miniをアップデートし、大型のiPad Proを発表した。このときにはiPad Air関連のアップデートはなかった。9.7インチ・ディスプレイのタブレットのアップデートにはもう少し時間がかかるようだった。

ただし注意すべきなのは、今回発表されるはずの新iPadはApple Pencil、キーボード・カバーと連動するスマート・コネクターをサポートするはずだという点だ。つまりiPad Air 3というよりiPad Proの9.7インチ版という性格となるだろう。

そして問題のApple Watchだ。“Let us loop you in”という招待状のメッセージはどうもApple Watchを示唆しているように思える。しかしわれわれの編集長、Matthew Panzarinoは今回はApple Watch 2の発表はないと主張している。Appleは少なくとも、新しい時計バンドは発表できるだろうし、有名なファッション・ハウスとの提携も発表されるだろう。

もうひとつ何かあっただろうか? これはその場にならなければわからない。TechCrunchとしては次回のイベントに取材チームを送りやすくなったのは助かる。Appleはこの種のプレスイベントをいつも火曜日に開催してきたが、3月21日は月曜日だ〔前日が日曜日のため月曜はニュースの本数が少ない〕。Appleが月曜を選んだのは22日の火曜にはApple対FBIの訴訟でf最初の口頭弁論が予定されているからだ。

〔日本版〕プレスイベントが従来通り現地朝の開幕であれば、日本時間では22日の明け方となる。Let us loop you in.は「あなたを内輪のサークルに入れるお手伝いができます」というような意味。ただしloopには文字どおり「輪」という意味もあり、これは手首に巻く腕時計をイメージさせる。ただしPanzarino編集長はリンク先記事にもあるように、このプレスイベントでApple Watchがアップデートされるという可能性には否定的。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Kantar、世界のモバイルOSの四半期のシェア発表―中国でのiOS成長はやや減速

2016-03-10-iphone-6s-plus-3

Kantar Worldpanel Comtechは恒例の世界のモバイルOS市場の調査結果を発表した。これによると、対象期間である今年1月を終期とする四半期で、中国都市部におけるスマートフォン市場でのiOSのシェア拡大は減速している。

KantarはAppleのOSの成長減速について、価格に敏感になってきた中国の消費者が〔大規模なバーゲンが行われる〕2月の旧正月を目前してして購入を手控えているのも一因だと分析している。

前回成長が減速したのは2014年の後半だったが、Appleは現在でも中国のスマートフォン売上の25%を占め〔Android各機種の合計が73.9%〕、依然としてもっとも人気の高いスマートフォンのブランドだ。

Kantarによれば、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 6は中国都市部でもっとも売れている機種だという。

l昨年のこの時期に、専門家は四半期の世界最大のスマートフォン・メーカーはAppleであることを報告した。そのため中国のモバイル市場が全体としてやや成長を減速させる中でもAppleは市場シェアを守ることに成功した。この成長の減速に関して、昨夏、Gartnerのアナリストは中国市場に飽和の兆候があると述べている。

一方、中国で売上2位のHuawei〔華為〕はAppleとの差を縮めつつある。Kantarによれば、Appleと同時期にHuaweiは24.3%のシェアを獲得することに成功している。昨年度中に8000万台を販売するという大胆な目標を掲げていた3位のXiaom〔小米〕は10.2ポイントもシェアを落としている。

Kantarによれば、Huaweiはヨーロッパでも好調で、Androidで2位となり、シェアを昨年同期の5%から今期は14%に伸ばした。Huaweiは来月、スマートフォンのフラグシップ機種を発表する予定だ。

〔日本版〕Kantarの調査によれば、世界の大市場でAppleのiOSのシェアが高いのはアメリカ(39.1%で2位)、イギリス(38.6%で2位)、日本(50.3%で1位)。逆にブラジルではAndroidのシェアが92.4%と高い。Kantarの世界地図に表示されたアイコンをクリックするとその国でのシェアが表示される。画面下部のスライダーを動かすと時系列で以前の統計を見ることができる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

‘すべての児童生徒をテクノロジー・リテラシーにしたい’、littleBitsの新教材キットをニューヨーク市教育局が採用

本誌TechCrunchではみんな、littleBits好きだ。昨年4420万ドルを調達した同社は、子どもたち(と大人たち)にプログラミングとエレクトロニクスを教え、学んだスキルで彼らがクリエイティブになれるための、さまざまなキットを提供している。

同社は今日(米国時間3/8)、同社の最初のSTEAMキットを発売した。STEAMは、STEMに”Arts and Design”(アートとデザイン)を加えた新造語で、既製の基礎学科に、さらに発明やデザインというクリエイティブ要素を加えた概念だ。今はまだ予約販売の段階で、価格は299ドル95セント、発送は4月22日だ。

このキットは同社のGizmos & Gadgetsなどと違ってもっぱら学校教材をねらっており、これをクラスで利用してみたい先生たちのためのコースも、すでにある。

キットには72ページのInvention Guide(発明ガイド)が含まれていて、それを参考に児童生徒は自動運転車の自分独自のバージョンや、日常の習慣を追跡する装置、物を投げるアームなどなど、いろんなプロジェクトに取り組める。

このキットを構成するパーツは19点、中には、ライト、温度センサ、ブザー、サーボモータ、LEDなどがある。アクセサリは49種、USBアダプタや、ホィール、サーボマウントなどだ。

large_1e9073af-9f17-45e4-aed4-19261bc42ff0

300ドルもするこのキットは、家庭でlittleBitsを始めるためのキットとしてはたぶん適していない。99ドルのベースキットが、そのためには最適だろう。しかし学校では、何でも入っているこのキットが、何でもトライできて楽しめる教材として適している。

littleBitsのファウンダーでCEOのAyah Bdeirが、今日の発表声明の中で言っている: “すべての児童生徒たちに、テクノロジーのリテラシーと問題解決能力と自分の発明を実際に作れるための技能を持ってもらいたい。それは、障害者を助けるデバイスでもよいし、アーケードゲームや新しい家庭用品でもよい。私たちは先生たちと一緒になって、技術的素質のあるなしを問わずクラスの全員がSTEMやSTEAMの技能を身につけ、斬新な作品やみんなが楽しめる作品を作り出せるための方法を、提供していきたい”。

同社によると、ニューヨーク市の教育局がこのキットを、今年の夏に行われる2〜5学年のための市主催STEM事業のために採用した。

2016-03-08_0952

[原文へ
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Heroから薬の服用を促すハイテク・ガジェット登場―飲み忘れなどの事故を防げる

ニューヨーク市のスタートアップ、Heroはありきたりの プラスティックの薬の整理容器をハイテク・ガジェットで一新させようと狙っている。

Heroのチームがデモしてくれたが、私が試したところでも、ビタミンその他のサプリの錠剤をガジェットに入れるのは簡単だった。ユーザーが毎日どの時間に何をどれだけ飲むかというような処方をガジェットに入力するとHeroは時間がくるとアラームを鳴らすと同時に処方どおりの種類と量の薬が出てくる。

共同ファウンダーのKut AkdoganとKal Vepuriは2人ともヘルスケア関連企業で働いた経験がある。Akdoganは大手のヘルスケアデバイスのメーカーに勤務したことがあり、世界的コンサルティング・グループのBain & Coに勤務し、栄養食品のスタートアップ、Almondを起業した。

「医薬品業界はユーザー体験に関する限りまだ石器時代にいる」とAkdoganは語った。

Hero Cartridges

薬を処方どおりにきちんと飲んだかどうかを覚えているのは非常に難しい。指示どおりに薬を服用しなかったことは、なんと12万5000人もの死亡の原因となっている。アメリカのヘルスケアが被る損害額は1000億ドルから2890億ドルにも上るという。なるほど薬の飲み忘れを防ぐためのディスペンサーは市場に数多く出ている。しかしAkdoganはそうした製品は一般消費者のことをよく考えて作られていないと主張する。Heroガジェットはその点ユーザーフレンドリーであり、使い方も簡単だ。

Akdoganは「Heroを使うのはコーヒーメーカーを使うのと同じくらい簡単だ」と言ったが、私もそう思う。 比喩にコーヒー眼メーカーが出てきたのはAkdoganが毎朝コーヒーを飲むからだ。「毎朝コーヒーを飲もうとしてコーヒーマシンのボタンを押すと機械が音を立て始める。それで万事OKだとわかる。 医療関連機器となると、こういう自然な感覚をまったく欠いている。

そういうわけでHeroのピルケースはカラフルに色分けされている。また薬の錠剤やカプセルを出すときに機械は快い音を立てる。

また実用性、安全性の面から、Heroは錠剤を放出する前にかならずユーザーにそれでよいかどうかを尋ねる。 旅行から帰ってきたら床一面に錠剤が散らばっていたというような大惨事を避けるためだ。AkdoganによればHeroは同時に10種類の薬を保管し、正しく服用を促すことができるという。

またHeroには薬の飲み忘れを家族やヘルパーなどにスマートフォンを通じて伝える機能もある(AkdoganはHEROはHIPAA基準に準拠しており、プライバシーは適切に守られると強調した)。

Heroはもう一人の共同ファウンダー、Vepuriの会社、Brainchildが単独で資金を提供している。HEROは現在、399ドルで予約受付中で(市価は999ドルの予定)、夏の早い時期に出荷できるようにする計画だ。基本機能だけのアプリは無料だが、高度な機能を必要とする場合はプレミアム版を利用する必要がある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

画像:Hero

Google、スマートフォンをポケットに入れたまま支払いができるPOSシステムの実験開始

2016-03-03-android-pay

今日(米国時間3/2)、Googleは今までより簡単に店舗で支払いができるパイロット・プログラムを開始した。ユーザーはポケットのスマートフォンをいちいち取り出す必要がないという。

このプログラムはHands Freeと呼ばれる。アプリはAndroid版とiOS版がある。基本的には支払い能力があるスマートフォンとPOSレジをスマートフォンの各種センサー〔Bluetooth、Wifiなど〕を用いて接続するというものだ。POSレジは顧客がスマートフォンを持っていることを最初から認識しており、顧客は支払いを行うときにHands Freeを用いる。実験はサンフランシスコ南部の店舗で今日から開始された。

Googleの上級プロダクト・マネージャーのPali Bhatは「これまで店舗での支払いには面倒な点が多かった」と述べた。

hands free 3

ユーザーが店に入ると専用POSレジはモニター・エリア内に新たなスマートフォンが存在することを認識する。システムはあらかじめHands Freeに関連づけられたクレジットカードからの支払いの準備をする。ユーザーは店のキャッシャーにI’ll pay with Googleと言い、同時に姓名の頭文字を告げる。キャッシャーがそれを打ち込むだけで支払いは完了だ。なおキャッシャーが支払いを行うのが本人かどうかどうか確認する手段も提供される〔専用POSレジにはカメラが装備されており、顧客の写真がGoogleプロフィールと一致するか判定する〕。【略】

どこかで聞いたことがあるシステムだと感じた読者もいるだろう。スマートフォンをポケットから出さずに支払いを行うシステムのパイオニアはSquareだった。Squareの場合はスマートフォンを携帯した顧客が入店したことを認識するためにジオフェンシング・テクノロジーが用いられていたが、Bhatは「Googleの実験はこの点では異なる」と述べた。しかし基本的な原理は同じだ。目的は支払い手続きをできる限り簡便にすることにある。ただしGoogleはSquareのシステムの真似をしているわけではない。Googleは非常に真剣だが、これを普及させるとなると、いかにGoogleであっても相当の難事業だろう。

一方ではAndroidとApple Payが非常によく似ていることを考えると、Appleが Googleの方式に追随するかも関心がもたれる。Squareのシステムは必ずしも成功とはいなかったが、Googleの例を見ると、実装に問題がなければ、こうしたシステムにも一定のニーズがあるらしい。

ただし普及には2つの困難な側面がある。一つはまず店舗を説得して対応POSレジを設置させねばならない。次に支払いに利用するユーザーを増やさねばならない。GoogleにはPOSレジのメーカーがAndroidスマートフォンとの接続に利用できるAPIがある〔ので前者は比較的容易だが〕、ユーザーのスケールアップは困難な事業となるだろう。【略】

Googleでは今回のプログラムは「あくまで実験だ」としている。サンフランシスコ南部地区限定なのはそのためだ。Googleの目的はこうしたシステムに対するユーザーのフィードバック収集にあるという。実験には同地区のマクドナルドとパパ・ジョンズ・ピザのチェーン店が参加している。

〔日本版〕この実験はAndroid Payとは独立のもので、Hands Freeに別個にクレジットカード情報を入力し、支払いの関連付けを行う必要がある。ユーザーはAndroid版とiOS版アプリが利用できる。専用サイトのFAQに作動方法などについての詳しい解説がある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+