マクアケ、ふるさと納税型のクラウドファンディング「Makuakeガバメント」を開始

クラウドファンディングサービスを運営するマクアケは5月15日、地方自治体向けふるさと納税型クラウドファンディング「Makuakeガバメント」を開始すると発表した。

地方自治体の活性化を目的として2008年度から始まった「ふるさと納税」。地方自治体に寄付をすることで、寄付金の一部を所得税や住民税から控除できたり、地域の特産品をお礼としてもらえることなどが特徴だ。しかし、実際には寄付金の使い道ではなく返礼品ばかりが注目されてしまい、自治体のあいだで行き過ぎた返礼品競争が起きてしまうなどの問題が指摘されていた。

そのような背景のなか、マクアケは返礼品ではなく寄付金の使い道にフォーカスしたふるさと納税を目指し、Makuakeガバメントを開始した。

Makuakeガバメントで自治体を支援するユーザーには、通常のふるさと納税と同じく返礼品が贈られるほか、寄付金額の一部が所得税および住民税から控除される。最大の特徴は、Makuakeガバメントでは通常のクラウドファンディングのように、サイト上にあげられたプロジェクト毎に寄付できることだ。そのため、自分が寄付したお金の使い道を明確に知ることができる。

これまでにも、自治体が抱える問題を解決する手法としてクラウドファンディングに着目する例はあり、各自治体が独自にクラウドファンディングを立ち上げる「ガバメントクラウドファンディング」という言葉も生まれた。

しかし、すべての自治体が必ずしもPRやマーケティングに長けているわけではなく、結局は返礼品の魅力を前面に打ち出さざるを得ないという例もあったようだ。そのため、マクアケがこれまでに培ったPR面でのノウハウを自治体が活用できることも、本サービスの魅力の1つだとMakuke取締役の坊垣佳奈氏は話す。

Makuakeガバメントは本日よりサービスリリース。現時点で予定されているプロジェクトは以下の4つだ。坊垣氏によれば、それぞれ数百万円規模がゴールとして設定される見込みだという。

  • 岡山県西粟倉村:河川環境の再生に関するプロジェクト(6月末開始予定)
  • 京都府宇治市:宇治橋通り商店街の活性化に関するプロジェクト(6月初旬開始予定)
  • 北海道下川町:スキージャンプ選手の育成に関するプロジェクト(5月中開始予定)
  • 北海道紋別市:「オホーツクとっかりセンター」の施設改修に関するプロジェクト(6月中開始予定)

マクアケ取締役の坊垣佳奈氏

ロンドンを離れずに月を作る ―― ただしユーザーによるちょっとした組立作業は必要

ハードウェアを作ることは簡単なことではない。特にグローバルな製造インフラストラクチャの活用を拒否して、ロンドンのアパートの一室で全てを製造し、地元で手に入る労働力と材料だけを使おうとするときには、ますます難しいものとなる。しかし、この方法こそ、成功したKickstarterプロジェクトであるMoonのクリエイターたちが行った方法であり、彼らに後悔はない。

2016年に、私はMoonのプレゼンを目にした。これは私たちの衛星(月)の正確な複製で、実際の月の満ち欠けに合わせるように、その周りをLED群が回転するというものだ。クールなアイデアだと思ったが、その時は記事にすることはなかった。その代わりに、わたしはクリエイターの1人であるAlex du Preezに、将来このクラウドファンディングで作られた自家製ハードウェアの挑戦について、話す機会を持ちたいと依頼していたのだ。

このプロジェクトは成功し、2万5000ポンドの目標を上回る、14万5393ポンドを獲得した。そしてチームが最初の生産のまとめを行い、2回めの生産の準備を行っていた昨年末に、Alexと私は話をする機会を持つことができた(なお2回めの生産もちょうど最近終了したばかりである)。

これは実に興味深い、クラウドファンディング・ハードウェアプロジェクトのケーススタディである。単にMoonチームが、なんでも地元調達で済ませる、普通ではない選択をしたということだけではなく、月の樹脂成形そのものから、その台座や電気仕掛けに至る、あらゆることが参考になる。

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「その当時、私たちはそれらを正しく作っていることを確認したいと考えていました。私たちは工場での試作に、多くのエネルギーとお金を注ぎ込んではいなかったのです」とdu Preezは言った。「Kickstarterのキャンペーンの多くが、中国の製造工場に直接依頼されていることは知っていました。でも私たちはそうすると、製品の品質が大幅に落ちるのではないかと心配したのです」。

せいぜい隣町より遠くない場所から、全てを調達したという気分の良さに加えて、主要な利点は、関係する人びとと直接対話し、問題について直接説明したり一緒に取り組んだりすることができたことだ。

「電車に乗れば、彼らを訪ねることができるのです」とdu Preez。「例えば、この製品の腕の部分である曲がったパイプですけど、この部分だけでも私たちはパイプ加工会社を3回訪れて、担当者たちと直接話し合いました」。

もちろん彼ら自身も何もできない人びとではない、このプロジェクトを行った3人は以前にもクラウドファンディングプロジェクトの立ち上げを支援したことのあるデザイナーやエンジニアたちなのだ。ただ今回のプロジェクトは、初めて自ら企画したものだった。

「おそらくOscar(Lhermitte。プロジェクトリーダー)は、このプロジェクトの企画から製造に、2年から3年間は費やしていることでしょう」とdu Preez。「このアイデアを思いついた彼は、NASAに連絡してマップを作るための地形データを手に入れました。彼は技術的そして工学的な知見を求めて、私たちに声をかけてきたのです」。

英国内で全てを行うという決定は、ハードウェアへの要求の厳しさから、なかなか簡単には下されなかった。チームの基準は厳しかったのだ。その立派な成功(20万ドル超え)にもかかわらず、ユニークで高精度な電子機器をゼロから作り上げる事例は、まだ珍しいのだ。

全体の作業がロンドンの小さなアパートのスペースを使い果たしてしまったので、チームは様々な工夫を行わなければならなかった。

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「これらの製品を生産していたのが、この台所程度の小さな部屋の中だったのです」とdu Preezは思い出すように語った。「倉庫のような場所ではありませんでした。私たちが借りていたのは2階ですが…建物には大量の材料が届いていました。膨大な金属とかですね。それを運び上げるのは半日がかりでした。そして大量の箱なども届いて場所全体が満杯になりました。

彼らは、市場や深センからの既製品を使うという誘惑に抵抗し、その代わりに問題を解決するために、彼ら自身の創意工夫(と、近隣の呆れるほど専門特化した職人たち)に頼った。

「最も難しかったことの1つは、使われるそれぞれの部品が異なるプロセスで製造されているということです」と彼は言う。「プラスチックケースに収まっている電子機器を作るなら」たとえば防犯カメラや安価なAndroid携帯電話を作る場合などだが「開発と運用を、はるかに素早く行うことができます」。

明らかに最も重要なのは、月の球体自身だ。これまでに誰も、これほどのものを作ったことはなかった。そのため彼らはそのやり方を、自分たち自身で見つけなければならなかったのである。

「それはかなりの大きさなので、ひとかたまりの中身の詰まった固体として成形することはできません」とdu Preezは説明する。「もしそうしたら、送るのには重すぎるでしょう。それに材料が変形して、凹んでしまいます。ということで、私たちが行ったことは月の表面の地形を逆転させたような型を作って、その中に液体を注ぎ込むことでした。液体の硬化を行いながら、その型を回転させます、乾燥していく際に内側の表面が樹脂できちんと覆われるようにします。

試作段階でこれを行うために、彼らは「木と、自転車部品と、そしておそらくミシンのエンジン」を使った応急処置の解をひねりだしたと、彼は語った。「コストを抑えるために、それらを一箇所に集めなければなりませんでした。私たちの材料とコンセプトがうまく働くかを確かめるために、試行を行ったのです。もしこの方法が上手くいくことがわかったら、より良いものへと改善して行けば良いのだということはわかっていました」。

そして好運に恵まれ、彼らは適任者に巡り合うことができた。

「バーミンガム在住のこの人物が、私たちの試作機械に相当するものの工業版を所有していたのです。彼は型を作ることができて、一日中回転させるためのこの大きな金属枠も所有していたのです」とdu Preezは語る。「彼の仕事の品質は本当に素晴らしいものです」そしてもちろん、そこは列車で短時間で着ける場所なのだ ―― いずれにせよ中国広州への移動に比べれば。

細部への注意、特に球面の品質に対するこだわりがMoonの出荷の遅延に繋がった。最終的には当初の予定より、4ヵ月遅れることとなった。

Kickstarterのプロジェクトである以上、遅れはもちろん予想されていたことではあったが、du Preezは、バッカー(支援者)たちの反応に(友好的なもの非友好的なものを問わず)驚いたのだという。

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「反応は極端に2つに分かれたように思います。私たちには541人のバッカーがいました。私の見るところ月が手に入らないことで、失望したのは2名だけだったと思います。彼らは怒っていました。それこそ頭から湯気を出す程に怒っていたのです」と彼は言った。

「しかし、公の場で私たちを罵倒した人たちはいませんでした。彼らはただ現状をチェックしていたのです。バッカーから電子メールを受け取った際に、きちんと返信を送れば、バッカーたちは理解を示してくれるように見えます。私たちが着実に進んでいる限り、人びとはそれを受け入れてくれたのです」。

とはいえ、4ヵ月の遅れはそれほど酷い遅れとは言えないだろう。Moonよりも遥かに多額の資金を集め、出荷が何年も遅れたり、そもそも出荷そのものが中止になったものさえ存在している(実際の話、私はそうしたものの幾つかに出資していた!)。Du Preezは、支援者たちの信頼を損なわないようにしたいと考えている、クラウドファンディング候補者たちのために、いくつかのアドバイスを語った。

「価格付けを理解することは本当に重要です。誰が製造するのかから始まり、出荷に至るまでを良く考える必要があります。Kickstarterを始めたあとのゲームプランがないなら、かならず厄介な状況に陥ることでしょう」と彼は語った。「私たちはKickstarterを始める前に、部品表を作成し全ての経費計算を済ませていました。そして、その製品が上手く行くことを示す、何らかの概念証明(プルーフオブコンセプト)のようなものが必要です。いまでは非常に沢山の素晴らしいハードウェア開発プラットフォームがあるので、そうした証明を行うことは、今ならとても簡単だと思います」。

彼らの仕事に対する、細部への気配りと明白な誇りは、永続的なビジネスへとつながった。同社はアダム・サヴェッジ、マーク・ハミル、そしてMOMAなどから注目を集めている。一方2回目の生産である250個は終了し、チームはこれらのラインに沿って他のプロジェクトを検討している最中だ。

チームのプロジェクトを追跡したり、自分用のユニットを注文したり(まあ、早期割引を頼みたかったと考えるかもしれないが)する場合にはMoon専用ウェブサイトへ

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(翻訳:sako)

セサミストリートが初めてKickstarterを利用、自閉症児のブックに出版資金を募集

Juliaはセサミストリートの初めての自閉症のキャラクターで、彼女のミッションは同じ障害を抱える子どもたちの気持ちを和らげ、自分と同じような子がほかにもいることを、理解してもらうことだ。彼女は小さなかわいいマペットだが、今では自分のKickstarterページを持っている。

資金集めの目標額は75000ドルで、目的はJuliaとそのお友だちが登場するコンテンツと無料の絵本を作ることだ。今10000ドルに達しているが、急速に増えている。100ドルを寄付するとJuliaのけばけば人形をもらえるし、もしも15万ドルに達したら新しいJuliaブックの印刷版が作られる。目的は、自閉症児へのいじめを減らすことで、セサミストリートのスタッフと専門家が協力して、Juliaの冒険をめぐるコンテンツやブックを作っている。

セサミストリートのチームより:

Juliaのテレビ初出演はたくさんのメディアで取り上げられ、ソーシャルメディア上では何百万もの人びとの目と心に刻印された。でも最大の成功は、自閉症のコミュニティやその周辺等から大きな反応があったことだ。親たちは、Juliaのおかげで自閉症の子どもたちがたくさん遊ぶようになった、と言っている。先生たちは、遊びに参加する児童生徒が増えた、と報告している。あるお母さんは、最初のJuliaのブックを使って娘に、彼女も自閉症なのよ、と説明した、と言っている。すると、その娘さんは、“だったら私もすごいのね、そうでしょ?”、と応えたそうだ。

セサミストリートがKickstarterで募金をするのは、これが初めてだけど、結果はすばらしい。このような、コミュニティへの呼びかけは、そもそもクラウドファンディングが発明された最初の目的だし、すてきな活動のためにお金が集まることは、本当にグレートだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

文字を音声に変換する視覚障がい者向けスマートグラスの量産に向けたクラウドファンディングが開始

eng-logo-2015視界に入った文字を読み上げるスマートグラス「OTON GLASS」のクラウドファンディングが始まりました。

OTON GLASSは、文字認識・音声再生機能を備えたスマートグラス。内蔵カメラ、画像認識用クラウド、スピーカーからなり、OTON GLASSをかけた状態で読みたい文字の方を向いて、テンプル部分のボタンを押して使います。

内蔵カメラが撮影した写真をクラウドにアップロードし、クラウド上の画像認識エンジンが抽出した画面内の文字列を音声データに変換することで、スピーカーから音声が流れる仕組み。使用時にはネットワーク環境が必要です。

同等の機能はスマートフォンなどでも実現可能ですが、本機が眼鏡型であることのメリットは「読み上げる対象の方を向く」という自然な所作によって、「文字を読む」ことができる点。文字認識の際にスマートフォン内蔵カメラを用いると、アプリの立ち上げや撮影のための動作を必要とするため、煩雑かつ不自然な動きになってしまうほか、両手が塞がることから、最終的にスマートグラスという形に落ち着いたといいます。

現在、視覚障がい、読字障がい、低視力者などに向けて、一般販売の準備を進めているとのこと。製品自体は実用化一歩手前の段階であり、今回のプロジェクトでは、実際にOTON GLASSを必要とする人々に製品を届けるための活動資金を募っています。障がいを持つ人々にOTON GLASSを実際に使ってもらうことで有用性を立証し、福祉機器として低価格で普及させる第一歩とする見通し。

支援額としては5000~1000万円までを用意。20万円につき1人に届く計算です。バッカー(支援者)へのリターンは、最少額の5000円でサンクスメールとオリジナルステッカー、1万円からは活動報告の冊子、2万円からはコミュニティイベントへの招待、10万円からは当事者のOTON GLASS体験会見学への招待、40万円からは本機モックの進呈、1000万円で本機特別版ワーキングモデルの贈呈を行います。2019年2月頃より順次リターンの送付を行なう予定。

OTON GLASSは開発の過程で、視覚障がい者の支援施設や眼科医などと共同研究を行っており、一部施設で導入が始まっています。また今回のプロジェクトは、目標金額を達成しない場合でも集まった支援金を受け取れる「All-in方式」を採用しており、集まった金額分だけ確実に当事者の元へ製品を届けられる見込みです。

スマートグラスといえば、視界の情報を拡張するAR用途で使われるイメージですが、OTON GLASSは頭の動きに追従することで「視界上の文字情報」を「音声」に変換する福祉機器として開発されています。用途を「読字」に限定し、視覚の代わりに聴覚を用いることから、いわゆる人工視覚のように電極などを用いることなく、きわめて低い侵襲性で、当事者に対して一定の利便性をもたらすことが可能です。

Engadget 日本版からの転載。

ICOで34万7000ドル集めた会社、直後に雲隠れ

Confidoなる会社がカスタマイズされたCFD〔差金決済取引商品〕を売って小規模なICOを行った。これは「安全かつtrustlessな(中央集権的発行権限を必要としない)暗号通貨」による払い込みという宣伝だった。ICODropsによればこの会社は目標の40万ドルに近い金を集めとたんにキャッシュを握ったまま消えた。会社のドメインは放棄されたらしく、サーバーには何も残っていない。

ファウンダーは元eBay社員のJoost van Doornという人物らしい(画像参照)。DoornのRedditのConfidoフォーラムへの投稿によると、「われわれは契約から生じる法的な困難に直面している。われわれが署名した契約について弁護士は法的に問題なくリスクも最小限だと保証していた。ここで詳細を明らかにすることはできないし、するつもりはないが、弁護士は間違っていた。大問題になっている」ということだ。

このICOについてのフォーラムのモデレーターは「Joostの性格から考えられないこと…自分にも事情はまったく分からない」と述べている。【略】

ICOあるいは「トークンによる資金調達」は現在大ブームだが、私が取材したファウンダーの多くが深刻な―といっても今回ほどドラスティックな結果をもたらしてはいないが―法律的トラブルに遭遇していた。ファウンダーはICOの手続きを法律的、論理的、セキュリティー的に詳細に見直すことを迫られているようだ。関連する暗号通貨の額、法律や金融の諸規則、財務運営手続きの複雑さなどを考えあわせると、ICOにこういう事故がもっとたびたび起こっていないのが不思議なくらいだ。

今日(米国時間11/21)の時点では会社の創立チームに対してまったく連絡が取れない。トークンはクラッシュ直前に1ドルまで上昇したが、その後無価値になってしまった。ファウンダーが雲隠れ前に集めた37万4000ドルはKraft& Wurgaft, P.C.のエスクロに入っているようだ。

このICOを実施したTokenLotの共同ファウンダー、Eli LewittはMotherboardのインタビューに対して「とんでもないインチキだ」と答えている。.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

社名変更で「加速するタイミング」、クラウドファンディングのMakuakeは地方と世界を目指す

左からマクアケ取締役の木内文昭氏、代表取締役社長の中山亮太郎氏、取締役の坊垣佳奈氏

「もともとクラウドファンディングは『募金サイト』のイメージが強かったり、一部のアーティストやクリエーターの認知はあるが使われる領域が狭かったりした。だが、アイデアの善し悪しに絞って、腹をくくってやってきた結果で伸びてきたのがこの数年。ここでブランドを加速するタイミングだと判断した」

そう語るのは、クラウドファンディングサービス「Makuake」を運営するマクアケ代表取締役社長の中山亮太郎氏。同社は10月1日に社名をサイバーエージェント・クラウドファンディングからマクアケに変更したばかり。10月6日にはiOSアプリもリリースした。プッシュ通知や検索機能を提供することで、購入者の利便性を高める。

2013年8月にスタートしたMakuakeは、これまで約3000件のプロジェクトを掲載。1000万円を超える大型の資金調達の事例は60件以上、中には1億円を越えるプロジェクトも存在している。同社がサービスを開始する以前から、「CAMPFIRE」や「Readyfor」といったクラウドファンディングサービスはあるが、今では各社がそれぞれ特徴のあるプロジェクトを掲載している。

その中でMakuakeが得意とするのは、ガジェットや文具、職人の作り上げた小物、新型飲食店の会員権など、今までになかった「モノ」が中心だ。プロジェクトにお金を払うのは、6割が既存ユーザー。そのプロジェクトだけのファンではなく、珍しい商品を買う場として利用しているユーザーが増えてきているのだと同社は見ている。「企画をして、クラウドファンディングをして、(量産で)生み出して、事業が回っていくというプロセスは大体3年ほどかかる。それがMakuake上で一周した」(中山氏)

ソニーの事例を契機に大企業との連携も加速

大手メーカーとの連携も積極的に進めている。そのきっかけともなったのは、ソニーの新規事業創出プログラムから生まれた電子ペーパーウォッチ「FES Watch」。2014年に発表されたFES Watchのプロジェクトは、追加販売も合わせると2000万円以上を集めた。現在は「Makuake Incubation Studio」を立ち上げ、大手企業のR&D部門などが持つ技術をプロダクトに落とし込み、Makuakeでの販売まで行うというコンサルティング事業も展開している。

「FES Watch」のプロジェクト

このMakuake Incubation Studioからは、シャープや東芝、JVCケンウッドなどとのプロジェクトが生まれている。「企業の人は今、新しいモノを生み出すときに悶々とした気持ちを抱えている。例えば20代、30代向けのガジェットを出すのに、60代の役員では分からないことだってある。以前は寄付の印象も強かったので『大企業のくせにクラウドファンディングを使うのはけしからん』とも言われたが、ここ1年はなくなってきた」(マクアケ取締役の木内文昭氏)。Makuake Incubation Studioは事業面でも手数料以外のビジネスとして同社の成長を担っているという。

ビジネスの話をもう少しすると、同社は2016年度の同社の決算は当期純利益が5900万円の赤字。今期の見通しについては非公開としたものの「銀行からの借入も可能。健全な状況」とのことだった。8月にはプロサッカー選手本田圭佑氏率いるKSK Angel Fundからの投資も受けている。「(本田氏に)会った瞬間に『1兆円規模になると思う』と言われた。(今後の子会社上場について)可能性は閉ざしたくない。さまざまな調達方法を考えている。親会社もいるし、事業は回っているので銀行借入も可能だ」(中山氏)

今後は地方のプロジェクト立ち上げ、海外展開も

そしてMakuakeは現在、地方のプロジェクト立ち上げにも力を入れているという。全国75行を超える金融機関と連携・提携して、地域の製造業者や飲食業者などのプロジェクト発掘、支援を行っているという。1億円以上を集めた折りたたみ式電動ハイブリッドバイク「glafit」のプロジェクトを手がけたのも、和歌山県発のバイク関連用品メーカーだったりする。「技術を持っていて、BtoBだけではなくBtoCでもプロダクトを作りたいという話や、いいモノだけど売れないのでリブランディングしたいという話など、マーケティングやプロモーションがうまくいってないけれどもいいモノというのはすごくある」(マクアケ取締役の坊垣佳奈氏)

「glafit」のプロジェクト

米大手クラウドファンディングサービスの「Kickstarter」も日本でサービスを開始したが、「そんなに意識はしないが、海外のサービスが日本にやってくるというのは市場があると判断されているということ、よいニュースだ。そこは歓迎している。だが(クラウドファンディングは)日本にとってとても重要なインフラ。これをしっかり国産でやっていかないと、国にとってもよくないなと思っている」(中山氏)。そう語る一方で、Makuakeの海外展開についても進めていくという。「日本のメーカーの研究開発技術は高いが、まだまだ生かし切れていない。Makuakeでやっているのは、日本のすごい技術をマーケットに出していくこと」「プラットフォームが自分の都合で海外に出ていっても受け入れられにくい。世界の人が(日本語のMakuakeを)翻訳してでも欲しいモノが必要。そんなモノとセットでグローバル展開をしていく」(中山氏)

アーティストとファンを繋ぎ安定した収益化を支援するPatreonが、大規模な資金調達を行った模様、評価額は4億5000万ドルか

アートが共有され、無料でストリーミング配信されるこの時代に、Patreonはコンテンツ制作を職業へと転換するという新しい希望を与えてくれる。このサービスは、イラストレーター、コメディアン、ゲームメーカー、そしてミュージシャンたちがPatreonを使用して、ファンたちからの自身の作品に対する特別アクセスと引き換えに、サブスクリプション方式で月々お金を払ってもらうというものだ。取引に際して、Patreonが徴収する手数料は、わずか5%に過ぎない。

5万人のクリエイターが登録されており、100万人のサブスクライバーたちが、コンテンツを早期に独占的に見るために月平均12ドルを支払っている。その結果Patreonは、2017年には1億5000万ドルをクリエイターに支払っている。これが意味することは、規模は倍増しているものの、Patreonは750万ドルしか収益を挙げていないということだ。

しかし投資家たちは、もし十分な数のアーティストがサインオンして、ファンを惹きつけることができれば、Patreonは新しいクリエイターエコノミーの柱として成長することができると考えている。TechCrunchは、3つの情報源から、Patreonが大規模なシリーズC資金調達ラウンドを終了したことを知った。そのうちの2つの情報源によれば、スタートアップの価値を約4億5000万ドルと評価し、Index Venturesが主導役ではないもののラウンドに参加していたと語った。Patreonはこの件に関するコメントを拒否した。

得られた現金は、クリエイターたちのマネタイズを助ける他の大きなプラットフォームたちと、競い合う筋肉を付けるために使われるのだろう。そうした競合相手には、YouTubeやFacebookの新しいオリジナルビデオのためのWatchタブ などが含まれる。YouTubeとFacebookはアーティストたちに訴求する巨大なユーザーベースとチームを持っているが、彼らはクリエイターたちのコンテンツを使って得た広告収入の55%しか作者に対して支払っていない。Pateronが95%を支払うことを、またファンからの直接的な支払いは、広告の視聴によるものよりも何倍も多い収入をもたらすことが、マーケティングを通して認知されれば、Patreonは広く受け容れられるだろう。

クリエイティブ層への資金提供

音楽家でビデオ作家のJack Conteは、作品から十分な収入を得ることに苦労してきた、またKickstarterのような一度切りのクラウドファンディングプラットフォームのプロジェクトでは、アーティストが創作に集中するために必要な資金が得られないこともわかった。そこで彼は「2013年に、クリエイティブ層への資金提供をミッションとするPatreonを共同創業した」と、先の6月に語ってくれた。「 広告だって?それだと十分じゃないんだ。アートを支える財政的な仕組みの中で、消費者からの支払いが、より大きな部分を占めなければならない」。

Patreonは、Thrive Capitalが主導した2016年1月のシリーズBまでに通算4710万ドルを調達していた。シリーズBにも参加したIndexはシリーズAにも参加していた。しかし大量の資金注入はプラットフォーム内のクリエイターたちの信頼度を押し上げることになるだろう。もし彼らがPatreonの資金がすぐに尽きることはないと知っていれば、おそらくプラットフォーム上の長期的なサブスクライバーの獲得に、より熱心に動いてくれるだろう。

より深いポケット(潤沢な資金という意味)は、Patreonがクリエーター用のボーナスツールスイートを開発することを可能にし、その一部に対して更に課金することもできるようになるだろう。「私たちのプロダクトへと注ぎ込むことのできる、新しい収入源を生み出す機会は色々考えることができるね」とConteは私に請け合った。彼は、例えばイベントチケットや商品を販売すること、クリエイターがファンの動きを理解してコミュニケーションすること助けるといったことを口にした。これによって、iTunesやSpotifyに比べると、わずかなものに見える5%の手数料の上に、Patreonの取り分を増やしていくことができるだろう。

イラストレーターのWLOPは、Patreonにおけるサブスクライバーたちにウォーターマークのない4Kサイズのアートを提供している。

その利点として、Patreonはプラットフォーム上でどのような種類のコンテンツが収益化されているかについては、比較的寛大だ。エロティックな絵画、アダルトゲーム、マリファナ関連のニュースやエンターテインメントなどは、みなPatreon上でサブスクライバーたちを魅了している。これらの多くはそもそもFacebookやYouTube上では許可されていないし、PewDiePieのスキャンダルを受けたYouTubeの厳しい広告規制(黙示録apocalypseにかけてadpocalypseと呼ばれている)の対象になるものや、今週発表されたFacebookの新しいルールに抵触するものから、広告収益を得ることもできない。

政治評論家集団のChapo Trap Houseは、Patreonで月に1万8000ドル以上の収益を得ている

しかしこれは両刃の剣だ。Patreonは、右派の政治評論家たちが差別的な発言を通じて資金を調達していることを知っている。それはオルタナ右翼クラウドファンディングサイトHatreonのようなものの誕生につながる。より多くの資金はより多くの注目を集めることになり、Patreonは「汚らわしいものを排除した自由スピーチ」という厳しい綱渡りを強いられることになるだろう。その自らの規則の中で何が正確には許されるのかを決め、そしてその規則を運用していくことはとても難しそうだ。

これまでのところPatreonは、資金提供先の新しいクリエイターを、ユーザーが発見することには、あまり力を注いで来なかった。すなわち、その収益を伸ばしアーティストを支援するための大きなチャンスがあるということだ。しかしそれはまた、課題も生み出すことだろう。Patreonは既に人気のあるクリエイターをどれほど増やすべきだろうか?(おそらくそうした人たちはサイトを占有するかのように目立つかもしれないが、より大きなコンバージョン率を期待することもできる)。また誰にスポットライトを当てるべきかの決定をサイトが行なった場合、もしそうしたクリエイターたちが他人を傷つけた場合には、Patreonを脆弱なものにしてしまう。

しかし、それらはミッションとしてもビジネスとしても、リスクを取るに値するものだ。コンテンツの配信はオンラインで行われている。ビデオ制作者やIndiegogoの発明家であるクリエイターたちは、安定した収入源を求めているのだ。広告プラットフォームは限定的で、しみったれていることが明らかになり、何より十分な現金を手に入れることができない。自動化は古い職業を脅かす。インターネットはニッチなアーティストとニッチな観客をつなぐことができる。また、好きなクリエイターとの間に絆を築く新しい方法によって、消費者は自分が好きなアーティストへのアクセスを増やす意欲がますます高まっていく。

Patreonはこうした流れのまさに中心に存在している。すべてのアーティストが飢えなければならない訳ではない。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

日本版Kickstarter正式ローンチ――「北斗の拳」全巻がまるごと楽しめる電子書籍も登場

クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterは9月13日、日本版のKickstarterを正式ローンチしたと発表した。日本版のKickstarterは従来のKickstarterのウェブサイトから言語選択をすることでアクセスできる。URLは”https://www.kickstarter.com/japan”だ。

今回日本版が正式にローンチしたことで、日本の銀行口座、身分証明書を使ってプロジェクトを公開することが可能になる。資金の提供者は日本人に限らず、世界中から資金を集めることができるのも魅力の1つだ。

支援に利用される通貨は日本円で、現在はVisa、MasterCard、American Expressのクレジットカードを利用して決済することが可能だ。

なお、Kickstarterはプレスリリースの中で、運営はニューヨーク州にある米国本社が行い、別途日本オフィスを開設する予定はないとしている。カントリーマネージャーには元Facebookの児玉太郎氏が就任したことが5月に発表されている。

記事執筆現在、プラットフォーム上には647個のプロジェクトが公開されている。その中でも僕が面白いと思ったのが、マンガ「北斗の拳」全巻をまるごと楽しめる電子書籍「全巻一冊 北斗の拳」だ。

これはあくまでも電子書籍なのだけれど、外からの見た目は紙のマンガ本そのもの。A5サイズの単行本を開いた中に2つのスクリーン(7.8インチ)が搭載されていて、そこにマンガが表示される仕組みだ。スクリーンを囲む部分は紙でできている。

下の画像にある矢印ボタンを押すことでページのめくり、地球マークを押すことで作品中の言語を切り替えることが可能だ。日本語と英語の2か国語に対応している。画像で見る限り、マンガの描写も非常にくっきりしていて鮮明だ。

日本版Kickstarterがローンチしたことで、これから世界でも話題になる日本発プロジェクトがたくさん増えてくることに期待したい。TechCrunch Japanでも面白いプロジェクトを見つけ次第、読者のみなさんに紹介していきたいと思う。

Lomographyの新製品Squareでアナログ写真を楽しもう

クラウドファンディングプロジェクト(特にハードウェア)の結果は予測しづらいということもあって、TechCrunchではKickstarterのキャンペーンを扱うことはあまりない。しかしLomographyの新しいインスタントカメラは紹介せずにはいられない。私は直近のAutomatというプロジェクトでも同社を支援し、製品は大変満足のいくものだった。Squareと呼ばれる今回のカメラもAutomatと同じくらい楽しそうで、しかも新しいカメラではAutomatよりも大きなフォーマットで写真が撮れるという話だ。

Squareのレンズ部分は蛇腹式で折りたためるようになっており、Polaroid SX-70と似た雰囲気を持っている。折りたたみ式のデザインでなければ、カメラのサイズはかなり大きくなっていただろう。小型化がテーマだったAutomatでは、本体をできるだけ小さくするためにInstax Miniが採用された。MiniはMiniで使っていくうちにいいなと思えるようになったが、やはりフィルムはもう少し大きくてもいいなというのが正直なところだった。一方SquareではInstax Squareが採用されているため、カメラ自体もAutomatより大きくならざるを得なかった。

しかしLomographyは蛇腹式のレンズを採用することで、Squareの巨大化をうまく防いだのだ(しかも蛇腹は強化ゴムで作られているので破損の心配はいらないとのこと)。Automatはカメラ自体のつくりもよかった(数年前に購入したLomographyのDiana F+とインスタントバックよりもよっぽどよい)ので、Squareにも大いに期待している。

AutomatやSquareは使うのも楽しく、実物を見れば誰もが欲しくなるようなカメラだ(経験上これは誇張ではない)。といっても、インスタントカメラで何を撮るのかといえば、昔も今も変わらず何か馬鹿げたことをやっている自分たちの様子なのだろう。

フィルムカメラを触ったことがないという人も心配無用。ゾーンフォーカス(近く、中間、遠くといった感じで被写体との距離に合わせてフォーカスする方法)の基礎さえつかめば、すぐに写真を撮りにいける。多重露光やリモートシャッターといった機能も搭載されているが、私は99%ベーシックなスナップ機能しか使っていない。写真自体はどこかかわいらしい落ち着いた色をしているが、プライマリーカラーは浮き出るような発色具合だ。

ひとつだけ言えるのは、Instax SquareがInstax Miniよりもかなり高いということだ。Amazonを見てみると、Instax Squareのカートリッジ(10枚入り)は14ドルもするが、Instax Miniならツインパック(20枚入入り)でもSquareより安く、まとめ買いするとさらにその価格差は広がる。さらにInstax Miniはさまざまなところで売られているが、Instax Squareを取り扱っているお店はあまりない。なので、フィルムにはある程度お金がかかると予め心の準備をして、セール時にはまとめ買いするようにしよう。

このプロジェクトには、既に目標額の2倍の資金が集まっているため、カメラが作られないという心配はない。価格的にはアーリーバードが129ドル、その後に続く通常のプレオーダー価格が149ドルと179ドルに設定されており、最終的な小売価格は200ドル前後になるようなので、購入に悩んでいる人はタイミングも考えた方がよさそうだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Luna DisplayでiPadをワイヤレスRetinaディスプレイ化――タッチ操作にも対応

ワイヤレス外部ディスプレイには、ラグや画質、接続の安定性など、まだまだ実用上の問題がたくさんある。しかし、iPadをペンタブ化するAstropadというアプリの開発元が、高品質で簡単に使え、頼りがいのあるワイヤレス外部ディスプレイを作るのは不可能ではないということを教えてくれた。Kickstarterプロジェクトとしてはじまった彼らの新製品Luna Displayは、近日中に販売開始予定だ。

Luna DisplayはUSBメモリとほぼ変わらないくらいの大きさで、Mini DiplayPort(Thunderboltポートにも対応)とUSB−Cポートに対応した2種類のモデルがある。そしてこのドングルとiPad用アプリがWi-Fi経由で連携し、データのやりとりを行うという仕組みだ。

iPad用のディスプレイアプリは、Astropadを含めワイヤレスでMacと接続するものが多い中、なぜLuna Displayは物理的なドングルという形をとったのか? その理由は極めて単純で、Macのグラフィックカードにアクセスするためだ。このドングルは、接続されたMacのグラフィックハードウェアの能力を最大限活用(Metalもサポート)し、ソフトウェアだけでは不可能なレベルのパフォーマンスを実現している。つまり物理的なデバイスのおかげで、Retinaディスプレイを最大限活用し、動画を含むさまざまな種類のメディアを高解像度でiPad上に表示できるのだ。

今回私がレビュー用に受け取ったものはプロトタイプだったため、販売開始までにはさらに手が加えられるものと思われるが、その性能は目を見張るほどだった。実は私は長い間iPadをセカンドディスプレイとして使っており、これまでは満足のいく性能を引き出すために、iPadとMacを有線接続してAstropadの競合にあたるDuet Displayのアプリを使っていた。

Luna DisplayならRetinaディスプレイの解像度を最大限活用できる

Luna Displayの素晴らしい点は、ワイヤレス接続にもかかわらず画質でDuet Displayに勝っているということだ。誤解のないように言うと、Duet Displayも決して悪くはない。しかしLuna Displayの再現性は、ワイヤレス接続では考えられないほど高く、YouTubeなどの動画コンテンツも十分楽しめるレベルだ。

正式なリリース前のソフトウェア・ハードウェアということもあり、ウィンドウを動かしたときやアニメーションや動画コンテンツの視聴時には、画面の一部がピクセル化することもあったが、これも気になるほどではなかった。まだ本プロダクトはベータ段階にあり、アプリもAppleのTestFlight経由で入手したものだということも付け加えておきたい。

上述の問題を除けば、タッチ操作への反応も良好だった。Windowsを搭載したタッチスクリーン対応のマシンが既に多く登場していることを考えると、Macユーザーの中にはこの機能を求めている人もいるだろう。Luna Displayは指を使ったスクロール、ピンチオープンでの拡大、さらにはApple Pencilにさえ対応しており、私が想像していたよりも操作性は遥かに良かった。Astropadによれば、デジタルデザイナー向けに作られたAstropadアプリの機能も、そのうちLuna Displayに導入されるようになるとのこと。

総括として、Luna Displayは携帯性に優れた外部ディスプレイソリューションであり、特に単なるセカンドディスプレイではなく、高い色再現性を誇る外部Retinaディスプレイを求めている人にはうってつけのプロダクトだ。グラフィックの分野ではiPad Proが高い評価を得ているが、iPad Proを即座に外部ディスプレイに変換し、緊急時にはタッチスクリーン式のMacとしても使えるというのは、本当の意味でのゲームチェンジャーだと言える。

Lunac DisplayのKickstarterプロジェクトは現在も継続中で、59ドルでUSB-CもしくはMini DisplayPort対応のドングルをひとつ購入できる(2018年5月出荷予定)。その他にもドングルに加えてAstropad Studioを1年間利用できる99ドルのアーティストバンドルなど、さまざまなオプションが準備されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

クラウドファンディングで開発を持続できたeペーパータブレットreMarkableがついに8月29日に発売

紙の単純性と多用途性をテクノロジーの力で再現したい、という願いは今でも健在だが、それを実現したデバイスはまだない。でも、reMarkableでそれが変わるかもしれない。この ユニークで意欲的なタブレットは、紙にできることをもっと上手にやることをねらっている。そのアイデアが4年前に提案され、クラウドファンディングに載ってから1年近いが、チームはついに最初の製品を8月29日に発売する

reMarkableを、金だけ取って消えてしまう幽霊プロジェクトだ、と思った人も多かった。でもチームは諦めることなく、集中力を維持し、そして幽霊とはほど遠い意外な結果をもたらした。

まだ開発途上の製品なので、最初の製品を受け取った人たちも、今後の忍耐が必要だ。ぼくもテストするとき、そのことを忘れないようにしよう。でも、チームが長年心血を注いだ核心部分は、感触と基本的な機能だ。製品が届いたらすぐに、報告記事を書こう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

資金難の公益訴訟をクラウドファンディングするイギリスのCrowdJusticeがアメリカに進出、$2Mのシード資金を獲得

公益訴訟をクラウドファンディングするスタートアップCrowdJusticeが、米国進出に際して200万ドルのシード資金を調達した。

First Round CapitalとVenrockがそのラウンドをリードし、Bessemerおよびこれまでの投資家Kindred Capitalが参加した。同社は、JustGivingの最初の投資家Bela HatvanyとJustGivingの会長Jonathan McKayを支援者として挙げている。

元国連の弁護士Julia Salaskyが2015年にロンドンで立ち上げたCrowdJusticeの事業は、訴訟費用を得ることが困難な事案にKickstarterモデルを持ち込むことだ。より一般的には、そのねらいは、司法にアクセスして社会の変化のために法を利用することを、誰にでもできるようにすることだ。Salaskyによると、今どこよりもそれを必要としているのがアメリカだ、という。

しかもそれは言葉だけではない。CrowdJusticeのファウンダーは12月に実際にニューヨークに引っ越した、と聞いている。実質的に会社を大西洋の向こう側へ移したのだ。イギリスでの操業は、“そこそこやれていた”というのに。

話題になった利用例としては、Brexitに対する“People’s Challenge”〔仮訳: 人間からの異議申し立て〕がある。それは最高裁における勝訴で、EU離脱は議会の議決が必要、とした。また最初のアメリカの事案は、トランプの移民の入国禁止に対する異議申し立てだ。

今日(米国時間5/30)のアメリカでのシード資金調達と時を同じくして、新たな募金キャンペーンが始まった。それは、カナダのスタートアップPirate JoeのファウンダーMike Hallattに対する巨大企業Trader Joeからの訴訟〔“商標盗用”〕で、Hallatの弁護費用を捻出するためだ。

Hallattは車で米加国境を越え、Trader Joeの品物を大量に仕入れ、それに利ざやを付けてバンクーバーの自分の店で売っている。Trader Joeは、カナダに店舗がないにも関わらず、Hallattの事業をやめさせようとして何度も訴訟を試みている。

Salaskyはこう声明している: “法律を誰もが利用できるようにすることが、今ほど重要な時は過去になかった。力のある者もない者も、権利を擁護し守り、あるいは行政の責任を問うことが、できなければならない。CrowdJusticeにおける私たちの目標は、訴訟の準備と資金調達に革命をもたらし、正義へのアクセスに格差をなくし、それを民主化することである。それが、ゴリアテ(巨人)に挑むダビデ(小柄な若者)であっても、あるいは行政を糺す非営利団体であっても、私たちは人びとに法へのアクセスを与えたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Turing Tumbleは巧妙なメカニカル・コンピューター―Kickstarterの教育玩具は大人も楽しめる

近頃はなにもかもエレクトロニクス化されてしまったが、それだけにTuring Tumbleのようなボードゲームは楽しい。

プログラマーでミネソタ大学教員でもあるPaul BoswellはTexas Instrumentsの電卓で遊べるゲームを開発したことで有名だが、 今回はAlyssa Boswellと協力して Turing Tumbleという純粋にメカニカルなコンピューターを作り上げた。ボード上で何種類かの小さな部品を正しく組み合わせることによってさまざなパズルを解くことができる。

Boswellはこれまでもプログラミングを学ぶためのゲームをいくつも開発してきた。ミネソタ大学でコンピューティングを教えている際、他の面では優秀だがプログラミングがいっこうに理解できない科学者を大勢発見した。このフラストレーションがコンピューティングの仕組みを説明するおもちゃを開発する動機になったという。

「プログラミングができる化学者や生物学者は珍しい。実のところどんな分野でも珍しい。そうでないのは計算機科学者くらいのものだ。しかしそれでは困る。私は長年学生にプログラミングを教えてきた。その間、学生であれ教授陣であれ、すばらしいアイディアなのに適当なプログラムが書けないためにプロジェクトを諦めてしまうという事態を繰り返し見てきた」とBoswellは言う。

Turing Tumbleは非常にシンプルは構成だ。ボードのてっぺんからビー玉が転げ落ちる。ボードには格子状に多数の穴が開いており、そこに論理部品をはめ込む。ビー玉が最下段まで落下してフリッパーと呼ばれる部品を押し下げると新しいビー玉が供給され、以下同様にサイクルが続く。

「プレイヤーは6種類の論理部品を利用して論理パズルを解く。 Bitは中でも重要な部品だ。ビー玉が落ちてくるたびにこの部品は反対側に向きを変える。この部品は左向きがゼロ、右向きが1を表す。Gear bitは特に面白い部品だ。Gear bitはBitとほぼ同様の機能だが、名前の通り歯車で、他の歯車と組み合わせることができる。ビー玉が一つの歯車を動かすと次の歯車に動きが伝わる。この部品があるためにボードは全体として『チューリング完全』な機械となる」とBoswell。

こうした理論は表に現れず、見たところはメカニカルなパズルゲームというのが重要な点だ。付属の冊子には51のゲームが紹介されており、子どもたちは遊びながらXORなどの論理回路を組み立てることができる。

このプロジェクトはBoswell夫妻の自己資金がまかなわれる予定で、現在Kickstarterで4万8000ドルの資金集めを行っているところだ。

「メカニカル・コンピューターを調べ始めたところ、1960年代に作られたDigiComp IIという玩具に行き当たった。これは落下するビー玉を動力とする計算機で非常に巧妙だった。私はDigiCompから多くの作動原理を借り、自分のアイディアを付け加えて独自のメカニカル・コンピューターをデザインした。3Dプリンターのおかげでプロトタイプを作成することができた」という。

これは素晴らしい教育玩具だが、もしかすると他のコンピューターがなんらかの理由で全滅したときには計算機として実用になるかもしれない。そんな日が来ないとはいえないだろう。

〔日本版〕Kickstarterのページによれば、プレッジ額は一口399ドルで4万8000ドルの目標に対して3万4875ドルがプレッジされている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいクリエーター・マーケット、Patreonが急成長――有料メンバー100万、アーティスト5万

ファンが自分の好きなアーティストに直接支払いをするというPatreonの新しいアイディアはホッケースティック型の急成長を生んでいる。PatreonがTechCrunchに述べたところによれば、この1年で月間アクティブ・ユーザー数は倍増し100万人に達した。またアクティブなアーティスト数も5万人を数えたという。

予測によれば2017年には通年換算で1億5000万ドルをアーティストに支払えるものとみられる。Patreaonの手数料は5%なので売上に換算すると750万ドルとなる計算だ。2014年から現在までの支払い額のトータルは1億ドルだ。

Patreonのアーティストはビデオグラファー、ミュージシャン、ライター、イラストレーター、アニメーター、ポッドキャスター、ゲームメーカーなど多彩だ。次に述べるように他のアートのマーケットプレイスの運営にさまざまな制限があるのに比べて、Patreonのクリエーターは比較的安定した支払いを受けることが可能となっている。

YouTubeのビデオグラファー、PewDiePie〔人種的差別的発言をしたなど〕のスキャンダルで広告主は問題のあるコンテンツに広告が掲載される危険性を警戒するようになった。YouTubeは一部のチャンネルから広告を引き上げるなどの対策を取っている。YouTubeのスター側からいえばこれは収入のダウンを意味する。 Vineはビデオ共有を中止した。Snapchatはクリエーターを無視している。広告収入を分配せずこのプラットフォームでのマネタイズを認めないこと、また Instagramの猛攻もあってSnapchatのページビューは減少している

Instagramは広告収入を分配しないが、Facebookはビデオクリップに広告を挿入する場合一部のビデオ制作者に対し収入の55%を分配するシステムを取り入れた。ただしまだ小規模だ。広告収入の分配は再生1回ごとに0.10ドルから0.0005ドルと少額であり、クリエーターの生活を支えるためには膨大な視聴回数を必要とする。

しかしPatreonのメンバーは月5ドルを好きなクリエーターに支払う。つまりクリエーターにとっては広告モデルと比較してファン1人当たり50倍から1万倍も有利だ。クリエーターはビデオクリップ、イラスト、コミックなどの作品を毎月発表する。またプレミアムを支払うファンに対してはサイトの閲覧などさまざまな特権を提供する。2016年には35人のクリエーターが15万ドル以上の収入を得たという。また2万5000ドル以上の収入があったクリエーターは数千に上る。

Patreon自身は4700万ドルのベンチャー資金を調達している。これには2016年1月にThrive Capitalがリードした3000万ドルのシリーズBラウンドが含まれる。 【略】

広告モデルでないことが幸いして、Patreonはサポートするコンテンツに関してかなりの自由がきく。ポルノグラフィー的作品も許容されているが、この表現の自由を広く認める態度は明らかに問題のあるコンテンツも掲載されることになり、批判も起きている。PatreonのビジネスはSteadyのようなライバルより優位にある。またKickstarterやIndiegogoといった大きなクラウドファンディング組織では基本的に映画作品などの一発勝負のプロジェクトが中心となるため、Patreonが脅かされることはないようだ。

結局インターネット上のコンテンツ制作におけるトレンドの変化がPatreonに対する追い風となっている。

ネット上の大規模なコンテンツ配布はアーティストとファンの関係を分断した。過激だったりニッチだったりするため、一部のクリエーターのコンテンツは映画、テレビ、ラジオ、新聞などのメインストリーム・メディアでは決して配信されない。さまざまなオンライン・ツールの進化はクリエーターがスタジオ、レーベル、出版社などの傘下に入らずにコンテンツを制作できる道を開いた。一方で熱心なファンは作品を直接購入することによってクリエーターの生活を支えたいと考えるようになった。

ファン、クリエーターの人数が増えるごとにPatreonのネットワーク効果は増大する。クリエーターが増えれば好みのジャンルのアートを発見することが容易になり、ファンが増えればクリエーターがこのプラットフォームを利用するメリットが増える。こうしたメカニズムがPatreonにキュレーションメディアとしてのパワーを与えている。5%という低額の手数料であっても規模が拡大すれば、他のチャンネルから拒否されたクリエーターとファンを結びつける安定したチャンネルとして有利なビジネスの運営が可能になるわけだ。

[画像:: Ben Adams via Patreon homepage]

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ディープラーニングで蜂たちを致死的な害虫から救う養蜂家作のアプリBeeScanning

Makoto Koike(小池誠)のディープラーニングによる胡瓜(きゅうり)選別機のことは、今では誰もが知っている。世界中のホビイストたちが、機械学習を利用して彼らの問題のソリューションをハックしている。先日は、スゥエーデンの養蜂家で発明家のBjörn Lagermanが、エンジニアたちと研究者たちのチームに助けられて、BeeScanningというアプリを作った。このアプリは、スマートフォンで撮ったふつうの写真に巧妙なコンピュータービジョン技術を適用して、蜂のコロニーに危険な害虫(ミツバチヘギイタダニ, Varroa)の兆候を見つける。

蜂に寄生して文字通りその命を吸い取ってしまうそのダニは、蜂と養蜂家の悪夢だ。放置すると、コロニー全体がやられてしまう。だから継続的な監視が必要だが、これまでのダニ発見方法は時間がかかってたいへんだった。でも早期に発見して退治しないと、彼らは指数関数的に増殖してしまう。

そこで、機械学習の知識と技術が役に立つ。蜂の背中の色は黒だが、ダニは赤い。オブジェクト認識のアルゴリズムを使えば、蜂の画像中に害虫を素早く見つけられる。

彼のグループは今、世界中の10000の蜂のコロニーから40000の画像を集めている。それらの画像でモデルを訓練したら、手作業で害虫の数を数えたデータと突き合わせてベンチマークする。その面倒で時間のかかる処理には、蜂をアルコールで洗ってダニを分離する作業も含まれる。

BeeScanningは養蜂家がダニを素早くチェックする方法だが、同時に研究者のコミュニティにとっては、その害虫を研究するための新しいツールでもある。Lagermanは、今の化学薬品を使う処置には長期的な持続性がない、抵抗性のある蜂を見つける方法も必要だ、と強い口調で語る。

BeeScanningはごく最近、Kickstarterに登場した。来月はとりあえず5000ドル、長期的には35万ドルの募金が目標だ。お金の最初の用途は、データベースを作って一般の関心を高めること。Lagermanは12月が締め切りのEuropean Innovation Programなど、サードパーティからのサポートも期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロックンロールキッズ向けLoogギターに新モデル登場

Rafael Atijasという音楽講師の運営するギターメーカーがニューヨークにある。名前をLoogという。売り出しているのは、3歳以上の子供をメインターゲットとした3弦ギターだ。小さな頃にプレイしていたうちの子供たちによれば、Loogは簡単で楽しい楽器であったとのこと。

今回Kickstarterに登場した新モデルは、3歳以上向けのMiniと、8歳以上向けのProだ。Miniの方はウクレレサイズのギターとなっている。Proの方はアコースティックモデルと、ニッキー・シックス(Nikki Sixx)ないしジョン・メイヤー気分で楽しめる(もちろん練習は必要だ)エレキモデルが用意されている。

Kickstarterキャンペーンは始まったばかりだが、すでに目標額の倍以上の金額を調達している。ギターの出荷予定は6月だ。完成品として納入されるので、手に入れればすぐにロックンロールを楽しむことができる。

「12歳の頃に、バンドを始めようと思ったんだ。当時はギターの弾き方すら知らなかったけどね。そして、ギターを習うのには遅すぎるだろうと考えていたね。これから習ったら一生かかると思ったわけさ。弦の本数が少ないベースのほうが簡単なんじゃないかと考えたりもしたね。たぶんそのときから、頭の中にLoog Guitarのアイデアが生まれたんだと思う」と、Atijasは言っている。以来、彼は子供向けに、より小さくて練習も簡単なギターを生み出そうとしてきた。頭にあったのは、弦が少なければ練習も簡単に違いないというアイデアだったわけだ。

「初心者の子供相手に考えたプロダクトだけに、値段はおさえてあるよ。ただデザインは凝っているつもりだ。弾いて楽しくなけりゃ楽器じゃないからね」とのこと。

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ギターにはアプリケーションおよび暗記カードがついてくる。カードはギターのコードを覚えるためのものだ。カラーバリエーションも用意され、Miniの価格は59ドルから、そしてProの方は159ドルとなっている。なお、アコースティック版の方のProは129ドルだ。

The Devil Went Down To GeorgiaやWhile My Guitar Gently Weepsなどに興味を持つお子さんをお持ちなら、Loogギターを渡せばきっと才能を開花させるのではないだろうか。

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(翻訳:Maeda, H

LEGOドローンのFlybrixがクラウドファンディングを行わなかった理由―、ハードウェアスタートアップのジレンマ

Flybrixは、子どもがLEGOブロックを使って組み立てられるドローンを2015年に発表した。その当時、共同ファウンダーであるAmir Hirsch、Robb Walters、Holly Kasunの3人は、クラウドファンディングを通じた資金調達の賛否について議論していた。KickstarterやIndiegogo上で資金を調達した、PebbleOculusScanaduといったスタートアップのような露出を求めていた彼らだが、同時にクラウドファンディングを行うハードウェアスタートアップに対して、疑いの目を向ける消費者が増えているというのがネックだったのだ。

Kickstarterの依頼を受けてペンシルベニア大学が行った研究では、Kickstarter上で資金調達を行ったプロジェクトのうち、9%が支援者に対する”リワード”を提供できなかったとされている。Kickstarterはこの独自調査の結果を2015年3月に発表したものの、Indiegogoをはじめとするその他のクラウドファンディング・プラットフォームに関しては、そのような数字が明らかにされていない。少なくとも、各社は利用規約の中に、プロジェクトが資金調達に成功しても、支援者がその見返りを受け取れない可能性があることを明記している。

Flybrix共同ファウンダーの1人のKasunは、クラウドファンディングの世界では、成果物を提供できなかったハードウェアキャンペーンほど、怒りに満ちた反応を生み出すものはないと語っている。ユーザーは芸術的なプロジェクトには寛容なようだが、CoolestのクーラーボックスKreyosのスマートウォッチが、時間通りに(またはそもそもプロダクト自体が)届かなかったときには怒り狂っていた。ドローンも決して例外ではない。

FlybrixがLEGOドローンキットの製造を開始する準備ができるまでに、Torquing GroupのZano Nanoドローンや、AirDroidのPocket Droneといったプロジェクトが失敗に終わっていった。1万2000人に及ぶ支援者が集まったZanoプロジェクトに関しては、一体何が起きたのかを解明するため、Kickstarterは調査ジャーナリストまで雇っていた。

当時Lily Roboticsも、カメラ付き自動追尾型ドローンを予定通りに出荷できずにいた。するとその後すぐに、サンフランシスコ地方検事局が同社を虚偽広告の疑いで起訴したのだ。投資家からも1500万ドルを調達していたにも関わらず、結局Lilyは今年シャットダウンすることとなった。

このような前例もあってか、Flybrixはクラウドファンディング・キャンペーンを完遂するためには、プロトタイプの段階をこえて、サプライヤーがきちんと発注分の製造をこなせるかサプライチェーンを試さなければいけないと判断した。「絶対的な数字ではありませんが、1000ユニット製造すれば、統計的に見て十分なサンプルが得られるので、小さなロットで発生しそうな問題を発見・解決することができます」とKasunは話す。

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クラウドファンディングなしで初期のコストをまかなうため、Flybrixは約100万ドルをシードラウンドで調達した。その一方で共同ファンダーの3人は、クラウドファンディング・キャンペーンに対する反応をもって、消費者の需要の一部だけでも見せることができれば、もっと簡単にシードファンドを調達できていただろうと語っている。

そうは言っても、クラウドファンディングを行わずに、限られた数の消費者の手元に最初のドローンを届けるというのは、最善の判断だったと同社は感じている。2016年9月にFlybrixは一般向けにもドローンの販売を開始し、自社サイトから直接製品を販売している。結果的に同社は、KickstarterやIndiegogoに頼らず、求めていた露出を得ることができた。

公式ローンチから90日の間に、Flybrixは190万ドル分のドローンを販売できたのだ。そして今日までに8000ユニットを出荷している同社は、ディストリビューターの助けを借りずに、現在学校や行政機関から大型の発注を受けている。さらに墜落に強い同社のドローンは、テック系の製品を中心に扱うPao Altoのb8taという店舗でも販売されている。

「私たちの最初の製品は、Appleのコンピューターほど洗練されてはいません。しかし私たちは長い間、ドローンという小さな空飛ぶロボットを使って、Appleのように教育市場に入りこもうと考えてきました。最終的には、もっと大きな一般消費者市場にも進出していければと考えています」とFlybrixのCOOは話す。

今後Flybrixは、新たに資金を調達し、新しいキットの開発やモバイルアプリの機能拡充、同社のドローンを組み込んだカリキュラムの考案に取り組もうとしている。将来的にクラウドファンディングを行うかどうかについては、まだ決まっていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

あなたの車をハックできる小さなArduinoボードMacchinaがKickstarterで資金募集中

IKEAの家具も、ユーザーがハックして改造できる。ビデオゲームも、ハックして友だちに自慢できる。そして今Kickstarterに出ているMacchinaを使えば、自分の車にいろんなトリックを教えられる。たぶん、法に触れない範囲でね。

大きさが分かるためにバナナを置いた

Macchinaは、車に挿入する小さなデバイスだ。そのこと自体は、別に新しくもない。Automaticが、前からやっている。でも、Macchinaが産んだちっちゃな神童は、車のECUの読み書きができる。だから、ボンネットの下の暗い神秘の空間で起きていることが分かるだけでなく、何かを変えることもできる。ただし、車に関して無知な人が数値をいじることだけは、絶対におすすめできないけど。

MacchinaはArduino Dueを使っている。だからコードのサンプルはたくさんある。

“これは初心者とプロフェッショナルの両方にとって、すばらしい開発プラットホームだ”、とMacchinaは言っているけど、上で述べたように、何かを大きく変えるためには、事前に十分な知識が必要だ。なお、ハードウェアもソフトウェアもオープンソースで提供されている。

このデバイスは総合的なプラットホームとして設計されており、いろんなペリフェラルに接続できる。ブレークアウト基板を使ってBluetoothやWi-Fi、Ethernet、セルネットワークなどにも対応できる。

車の周辺装置を完全にカスタマイズできるという点では、これはとってもエキサイティングなプロジェクトだ。お値段もそんなに高くはない。Kickstarterではすでに、目標額25000ドルの5倍近く集まっている。だから、きっとうまくいくだろう。Kickstarterのハードウェアプロジェクトは当たり外れがあるけど、でもこれは気になるプロジェクトだよね。

〔訳注: 日本の道交法等では問題になる可能性もありえます。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

いつでも、どこからでもペットと一緒に遊べるPebby登場

かわいいペットたちは、愉しみをみつけるのがとても上手だ。人間もこうだったら世の中はもっと平和になるのになどと考えてしまう人も多いだろう。Kickstarterに登場したばかり(訳注:そしてあっという間に目標額を達成した)のPebbyで遊ぶ犬をみると、あらためてペットたちの平和な世界をうらやんでしまう人もいるに違いない。

単純に紹介すれば、Pebbyはスマートフォンでコントロールすることのできる「ボール」だ。ペットは動きまわるボールと楽しく遊びまわるし、また飼い主はボールをうまく動かしてペットの場所を移動させることなどもできる。ボールはWiFiでネットワークに繋がっていて、1度の充電で90分動作させることができる(スタンバイ時間は15時間)。

このPebbyには2つのモードが備わっている。ひとつは、先に述べたようにリモードでコントロールするモードだ。またペットにとりつけるスマート首輪と連携させることもできるようになっている。こちらのモードでは、首輪をつけたペットを追いかけたり、あるいは逆に遠ざかったりという動きを自動で行わせることができる。

また、ペットがPebbyで遊びはじめたら飼い主に通知するような機能も備わっている。また首輪連動モードでペットの動きを記録しておき、フィットネストラッカーのように使うこともできる。首輪に内蔵されている電池は8日ないし12日間動作するのだそうだ。

さらに双方向のマイクや、720pの広角カメラも搭載されている。世界中のどこにいても、ペットの様子をチェックしたり絆を深めたりすることができるようになるわけだ。レーザーやLED、およびスピーカーも内蔵されていて、外装も交換可能となっている。

遊び終えたら、アプリケーションからワイヤレス充電器まで運ぶこともできるようになっている。市場価格は248ドルの予定だが、Kickstarterでは早期割引で124ドルから入手することができるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H

Pixel 2.0 Arduinoボードには1.5インチのOLEDスクリーンが載ってるからウェアラブルのゲーム機なども作れる

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この小さなPixel 2.0は要するにArduinoボードに1.5インチという小さな128×128のカラーOLEDスクリーンをくっつけたものだ。このままでウェアラブルに応用できるし、このArduinoボードから直接スクリーンにアクセスできる。これまでのような、後からスクリーンを半田づけして、うまくいくよう神様にお祈りする電子工作からの卒業だ。

このちっちゃいかわいいボードはKickstarterで75ドル、発売は6月だ。完全にオープンソースだから配線図を詳しく見られるので、いろんな応用製品を作れる。SDカードのスロットがあるからゲームやビデオなどのデータを保存できるし、Arduino SDKを使えばスクリーンのグラフィクスをプログラミングできる。

すでに目標額の5000ドルは突破しているから、製品化はほぼ確実だ。

これは、ボストンのRabid Prototypesが作ったPixelボードのバージョン2だ。同社のNeutrinoと呼ばれるハイスピードなArduinoボードには、ライトやモーターなど、もっといろんなDIY要素が載っている。昔のアーケードゲームがこのPixelで動けばめっちゃ楽しいだろう。画素密度も、そんなにちゃちくはない。今すでに、不安な要素はない、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))