FlatClubは一流大学の学生専用Airbnb―事業拡張のために150万ドルを調達

昨年、イギリスとアメリカの一流大学の学生と同窓生専用のAirbnb、FlatClubローンチした。対象となる大学はコロンビア・ビジネス・スクール、キングズ・カレッジ、INSEADなど。

このほど、FlatClubは150万ドルのエンジェル資金をColler CapitalのJeremy Coller、ロンドン・ビジネス・スクールのEli Talmor、BrandJourneyのDavid Wolfe、InterCapitalなどから調達した。

FlatClubは6-15%の手数料を宿泊者から徴収する。ホストには一切負担はない。平均滞在日数は1ヶ月近くになるという。Airbnbは平均数泊であるのとは大きく異る。FlatClubは当初ロンドンでスタートしたが、現在、登録ユーザー(ユーザーになるためにはリストに含まれる大学のメール・アドレスを持っている必要がある)は5万人で、宿泊設備は主に卒業生から提供されている。参加が認められる大学は、ロンドン・ビジネス・スクール、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、キングズ・カレッジ、ユニバーシティー・カレッジ・オブ・ロンドン(UCL)、ニューヨーク大学など世界で50校に上る。

FlatClubのホストは部屋提供の広告を表示する相手を、母校の卒業生のみというように選択できる。これによって信頼感が増す。部屋を見知らぬ相手に貸す場合、何よりも信頼感が重要だ。UCLの調査によれば、AirBnBのような仕組みの場合、「部屋を提供してもいい」と考える人の割合は平均10%だが、FlatClubモデルの場合は20%と倍増するという。

最大のユーザーグループはロンドン・ビジネス・スクール・クラブでメンバーは2000人にもなる(在学生、同窓生の合計の10%にあたる)。FlatClubによれば昨年、このコミュニティー内だけで25万ドルの宿泊費が支払われたという。

FlatClubはロンドン・ビジネス・スクールの卒業生、Nitzan YudanとTomer Kalishによって創立された。今回調達された資金で、向こう1年の間に、提供できる物件の数を現在の1万から3万位に増加させる計画だ。またアメリカとヨーロッパ大陸への進出を加速するために新たなネットワーク・テクノロジーも導入される。

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プレイヤーの身体を楽器化するiPhone用デバイスのAUUG

スマートフォンを片手に、まるでテックに目覚めたMr. Burnsのような格好になっている人を多く見かける。こうした姿勢を、本当に「スマート」に変えてくれるアプリケーションは無条件で素晴らしいものだと思う。おまけにそれが見た目もクールで素敵なサウンドマシンとして機能するなら言うことなしだ。

何の話をしているかと言えば、AUUG Motion Synthのこと。iPhoneないしiPod touchに取り付けるグリップで、アプリケーションと連動して身体の動きに応じたサウンドを生み出してくれる。本来はバンドなどで利用するのを想定しているのだろうが、たとえばダンサーや、子供たちに音階を教える音楽の先生などが使っても面白いと思う。プロダクトはKickstarterに登録されており、資金調達がうまくいけば4月からの出荷開始を予定しているそうだ。

AUUGの本体はアルミ製のグリップと伸縮素材のストラップでできていて、それにアプリケーションとクラウドが連携する仕組みだ。ワイアレスでPC上の音楽ソフトウェアをコントロールしたり、あるいはMIDIケーブル経由でハードウェアを操作することができる。開発したのは神経科学者であるJoshua Young率いるSGW Designworksだ。コンピュータから離れてプレイできる電子音楽環境の構築を目指しているそうだ。観客といっしょに盛り上がりながら、その場の雰囲気に応じた音楽を生み出す仕組みを提供したいと考えている。

このAUUGはそれ自体で音源となるものではない。iPhoneやiPod Touchで取得するモーションデータを信号として、外部のサウンドアプリケーションに伝達する役割を果たすものだ。AUUGのグリップはiPhoneの画面を8つに分割し、選択した音階の鳴らせるようにしている。アプリケーションからはwww.auug.comに接続し、プリセットを共有したり、あるいはオンラインフォーラムにアクセスすることができるようになっている。

詳細な情報およびAUUGで作成したサンプル音楽についてはKickstarterのページあるいはウェブサイトをご参照いただきたい。

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(翻訳:Maeda, H


予備キーデータのクラウド保管サービスを展開するKeyMe、複製鍵の1時間配達サービスを開始

8月にKeyMeというスタートアップの記事を掲載した。家の鍵をスキャンして、錠前屋で利用できる形式のデータとして保管しておくというものだった。鍵をなくしてしまったときには、すぐに新しいものを作ることができる。このKeyMeが、ニューヨーク在住者向けに、新しい鍵を1時間以内で届けるという新サービスを展開している。もはや鍵をなくして締め出されるということを心配する必要もなくなるわけだ。

鍵が届くまでの60分間、一緒に住んでいる相方が帰ってくるのをイライラと待ち続ける必要もなく、のんびりと近くのバーなどで過ごしていることが可能になった。

この新サービスを展開するため、KeyMeは車内に鍵を削り出すための機械を持っている錠前屋との提携を行っている。匿名性を担保するため(家の鍵を持っている他人に、正確な住所を教えることには少々問題があるだろう)、住所はだいたいのものしか伝えられない。鍵を準備して近くまできたときに持ち主に連絡し、そしてどこか別の場所で待ち合わせて鍵のやり取りを行う仕組みだ。

「自宅前での受け渡しでは問題になると思うのです」と、ファウンダーのGreg Marshも言っている。

このデリバリーサービスの提供はまずマンハッタンにて行われる。ニューヨーク州内では他4都市でも提供を開始する予定だとのこと。次に対応するのはボストンの予定で、最終的にはアメリカ中で提供していきたいと考えているそうだ。

Marshによると、8月にサービスを開始してから数万件の鍵データが登録されるようになったとのこと。しかも、その中で無視できない数の人が実際に鍵の複製を行っているとのことだ。

「10週間ないし14週間程度の間に、利用者の5%程度の人が閉めだされてしまったという話です。これだけの人が閉めだされてしまっているわけですから、KeyMeのサービスがきっと役立つだろうと思うのです」とMarshは主張している。

確かにそれなりのニーズがあるようだ。ニューヨークのセブン-イレブン5店舗(およびBed, Bath & Beyondも1店舗)には、KeyMeのデータに基いて鍵を作成する機械が設置されている。機械設置店舗は来年にはニューヨーク以外にも広げていく予定なのだそうだ。但し、ハードウェアを設置する必要があるわけで、規模拡大も爆発劇なペースでということにはならないようだ。

KeyMeは鍵の複製マーケットなどでのシェア獲得を目指して活動中だ。今のところは鍵データのクラウド保管サービスの規模拡大を重視していく方針だ。そちらのサービスであれば、利用者の居住地域によらないサービス拡大を目指すことができるからだ。

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(翻訳:Maeda, H


資産管理ツール「Moneytree」にPayPalやMasterCardの元日本代表がジョイン


個人向け資産管理ツール「Moneytree」を運営するマネーツリーは21日、PayPalジャパンの元代表であるジョナサン・エプスタイン氏が会長に就任したことを明らかにした。あわせて、三井住友ファイナンス&リース元役員を上級顧問に、MastarCard元日本代表をアドバイザーに迎えた。資産管理サービスは激戦区となりつつあるが、金融業界で名を馳せた人物を招聘することで会社の社会的信用を向上させる狙いがあるようだ。

Moneytreeは、複数の銀行口座やクレジットカード取り引きを一括管理し、全自動で入出金や利用明細を確認できるサービス。同様の個人向けサービスとしては、古くは2001年にサービスを開始した「MoneyLook」やNTTコミュニケーションズの「OCN家計簿」、最近では10月28日に5億円の資金調達を実施した「マネーフォワード」などがあり、入出金情報を自動取得できる金融機関数や家計簿機能などの強化で火花を散らしている状況だ。

マネーツリーの近況としては、10月15日にDGインキュベーションなどから1億5000万円の資金調達を実施。アプリ(現状はiOSのみ)はリリースから約半年で23万ダウンロードに上るという。同社のポール・チャップマン社長は、「資産管理アプリを提供する上で最重要視しているのは、いかに安心してサービスを利用できるかどうか」といい、今回の人事を通じて、「ユーザーにより安心してアプリを利用してもらえれば」とコメントしている。


8枚のクレジットカードに変身する電子カードのCoinが質問に答える

Y/Combinatorが支援するスタートアップが開発したCoinはクレジットカード型の電子デバイスで、Bluetoothで読取機と通信し、最大8枚のクレジットカードの役を果たす。先週の予約発売の開始と同時に大きな注目を集め、当初の目標5万ドルを40分以内に達成してしまった。

同時に、ユーザーはCoinを購入しようと考えているだけでなく、仕組をもっと詳しく知りたがっていることも明らかになった。そこでCoinは最初のリリースに含まれる機能について詳しく説明することにした。

その中でも重要なのは、カードの使用状況をモニタして不正な使用が疑われる場合にはユーザーに警告メッセージを送る機能だ。

たとえば、店舗やレストランで支払いをした場合、代金の決済のためにスワイプした直後に係員がクレジットカードのデータを盗むためにもう一度スワイプしたとする。通常、銀行やクレジットカード会社は、不正に入手したカード情報を使って現実に取引が行われるまで何もしない。

Coinは不審なスワイプが行われた瞬間にユーザーに警告するので、ユーザーはその場で不正があったかどうかチェックすることが可能だ。

またユーザーはウェイター、家族、他人などが勝手にカードの入れ替えができないようにひとつのカードをロックすることができる。 またCoinは携帯電話と接続していなくても作動する。

Coinは予約開始とともに殺到した質問に応えて、FAQをアップデートした。

そのうちのいくつかを紹介する。

Q. Coinを渡した相手が支払うカードの選択を間違って変えてしまうということはありませんか?
A. カード選択ボタンは意図的に押しにくくデザインされています。Coinを落としたり、握ったり、その上に座ったり、機械式の読み取り機にかけたりしても選択が変わることはありません。

Q. ペアになっている携帯の電源が切れたり、機内モードになっている場合でもCoinは使えますか?
A. 使えます。ただし携帯との接続が長時間切れたままの場合、Coinの作動が停止することがあります。この場合は再度アクティベーションを行ってください。

Q. Coinの安全性は?
A. Coinのユーザーデータを保護することはわれわれの最優先課題です。ユーザーに安心して使用してもらえるよう、われわれはストレージ内のデータについても通信(httpとbluetooth)についても、モバイル・アプリ、Coin本体双方で128bitまたは256bitの暗号化を行っています。またユーザーがCoinを置き忘れた場合、警告メッセージが発せられます。

ファウンダーのKanishk Parashar向こう24日の立ち上げキャンペーンの期間を通じて予約可能であり、数量の制限はないと請け合った。注文量が増えればOEMメーカーがCoinを優先してくれるようになるのでかえって好都合なのだそうだ。

ParasharはCoinが初めてのハードウェア・ビジネスだという。その前のスタートアップはSmartMarketというモバイル支払サービスだった。ところがこのアプリはダウンロード数は多いものの、実際の支払いに使われる回数が少なかった。そこでParasharは電子クレジットカード型のデバイスを考えついたのだという。

Coinについてさらに知りたい場合はこちらに

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ジョークか本気か?―AirBnBとデートサイトの混合で部屋とベッドをシェアするLoveRoom登場

まるきり見知らぬ他人を家に泊めるだけでもけっこうスリルがあると思うが、それでも刺激が足りない向きにAirbnbとデートサイトをミックスしたような、その名もLoveRoomというサービスが登場した(といっても現在はランディングページだけだ)。

噂によると、このスタートアップは最初は冗談半分で始まったらしい。ところがメディアの注目を大いに集めることになったのでファウンダーのJosh Bocanegraは本当にサービス開発することにしたという。

Forbesによると、誰か有能なプログラマーが見つかれば来年のバレンタインデーまでにベータ版を公開したいそうだ。

で、どんなサービスになるのか?

Mediumの記事によると、LoveRoomは「魅力的な人」と部屋だかベッドだかを 共有するのを助けるのだという。

メディアの大騒ぎのわりには実際のユーザー数はあまり期待できそうにない。Fast Companyによると、ベータ版のローンチに向けて予約登録したユーザーは50人ほどだそうだ。また予約者の90%は男性だという(プロフィール写真を要求したらその率はもっと高くなるだろう)。

さて、見知らぬ相手とベッドを共にする危険性だが、LoveRoomはゲストについてFacebookなどで調査する、友人に一緒に泊まってもらうなどの対策を勧めている。

私としては「Law & Order―性犯罪特捜班」にLoveRoomをベースにしたエピソードが近々登場するのではないかと楽しみなのだが。

読者はどうお考えだろうか?

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パーソナル・モバイル・セキュリティーのLookoutが企業向けサービスを開始―1ユーザー当たり月5ドル

今年の9月にに発表されたされたとおり、パーソナル・モバイル・セキュリティーのLookoutは、今日(米国時間11/19)、Lookout for Businessと呼ばれるビジネス・ユーザー向けの新しいサービスをローンチした。

これはLookoutとして、アメリカ企業社会に広がるBYOD (bring-your-own-device = 私用デバイスの持ち込み自由)のトレンドに対応する最初のプロダクトだ。企業IT部門は、私用を含め、ますます他種類のデバイスが自社ネットワークに接続するようになり、セキュリティー上の困難を抱えるようになっている。

Lookoutは従来、アンチ・マルウェアやプライバシー保護、紛失、盗難などの際のリモートデータ消去など一般の個人ユーザー向けセキュリティー・プロダクトに特化していた。しかしこれらはそのまま企業ユーザーにとっても必要な機能だ。

今回のLookout for Businessは社員の私物、企業所有双方のさまざまなスマートフォンやタブレットをマルウェアや不審なアプリなど多様な脅威から保護する。また紛失、盗難に対しても一般ユーザー版と同様、位置追跡やリモートデータ消去機能を提供する。デバイスの所有者と企業のシステム管理者の双方がデバイスのロック、データ消去をオンラインで実行できる。またデバイス所有者を保護するため、システム管理者がリモートデータ消去を行おうとする場合、デバイス所有者にも通知が行われる。

Lookout for Businessは従来のMDM(モバイル・デバイス管理)システムに比べて、セルフサービス的傾向が強い。たとえば従業員が新しいアプリをダウンロードしてデバイスにインストールすることができる。これは従来のMDMでは考えられなかった自由さだ。

このプロダクトの機能は基本的に個人版と変わらず、ただIT部門が管理者として全体を管理できる権能を与えられている点が新しい。システム管理者はダッシュボードから何台のデバイスがこのプロダクトの保護下にあるのか、どのような脅威がブロックされたか、現在どのようなプロセスが実行されているかなどをリアルタイムで把握できる。また管理者は所有者名、種類、機種などによってデバイスを検索できる。

ウェブサイトでは料金の詳細が分からなかったので取材したところ、「1ユーザーあたり月間5ドル」だという答えだった。

Lookout for Businessはローンチ時点で20社が利用している。個々の社名は明らかにされなかったが、地域の店舗からFortune1000の大企業まで含まれており、最大のユーザーは300台のデバイスを登録しているという。

Lookoutはビジネス市場に参入するにあたって、企業ITのコンシューマライゼーションに賭けるという大胆な戦略を取った。つまり 多くの企業で社員の半分がLookoutを利用するようになるまで待ち、それからIT部門による管理機能を追加することでビジネス版を開発した。これはIT部門による管理機能をまず作るトップダウン方式の従来のMDMシステムとは正反対の生き方だ。

Good、MobileIron、AirWatch、Zenprise、Symantecなど何年も先行して地盤を固めた既存のMDMサービスに対してLookoutがどこまでシェアを伸ばせるか注目だ。

Lookoutは最近5500万ドルの資金調達に成功し、国際展開、キャリヤやデバイスメーカーとの提携に力を入れていく方針だ。同社はSamsung、AT&T、Orangeなどと提携している。

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Snapchatでの写真共有件数はFacebookを上回っている(Facebook+Instagramと同程度)

Snapchatは、今や日々4億もの「snap」をシェアするサービスとなっている。CEOのEvan SpiegelがTechCrunchからの取材に対して明かしたものだ。

9月には、やはりEvan SpiegelがDisruptの壇上で、自動消滅写真共有サービスにおける写真共有件数が1日あたり3億5000万となり、6月の2億から成長を続けているとアナウンスしていた。サービスの成長ぶりには驚くばかりだ。

ちなみに、1日あたり4億枚という数字は、Instagramでの共有件数とFacebookでの写真共有件数をあわせたものに匹敵しているのだ。

Facebookには、10億人の利用者から、1日あたり3億5000万枚の写真がアップロードされるのだそうだ。そして1億5000万の利用者を抱えるInstagramでは、日々5000万枚の写真が共有されている。

但し、Snapchatの数字では「ブロードキャスト」分を複数カウントしているようである点には注意が必要だ。「ブロードキャスト」とは、1枚の写真を複数の受信者に対して送る機能だ。1枚の写真が複数回共有されているということで、複数分にカウントしているようだ。

プライベートに共有することができて、かつ時間がたてば消えてしまうというのは、確かに魅力的な機能であるようだ。FacebookやInstagramでは、基本的に投稿は公のものであり、いつまでもデータが残ることが基本的前提となっている。両者の特徴を見比べたとき、Snapchat方式を好む人が大勢いるのは、確かに考えられることではある。

それでもSnapchatの利用頻度拡大の速度はなかなかのものであることは間違いなかろう。Facebookから30億ドル程度の買収提案があったとか、あるいはかなり大規模な資金調達を近々行うらしいというにも確からしさを感じる。

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ランサーズの次なる一手は「社会人スキル」育成、ベネッセと提携で無料診断アプリ

クリエイターやエンジニア、ライターといったフリーランスに仕事を発注するクラウドソーシングサービス「Lancers(ランサーズ)」が15日、通信教育大手のベネッセと提携し、「社会的スキル」を診断する無料サービスを開始した。コミュニケーション能力やチームワーク力などのスキルを“見える化”することで、Lancers会員のキャリアアップを支援する。ベネッセはLancers会員の社会人との接点を持つことで、小中高生が中心の顧客基盤を拡大する狙いだ。


Lancersの特設サイトで質問に答えることで、「コミュニケーション」「バックアップ」「チーム志向」「モニタリング」「リーダーシップ」といった5分野のスキルを診断できる。質問は「自分からお手本を見せて指導する」「仕事が終わらないメンバーがいたら手伝う」といった合計72問を用意していて、「まったくない」から「とてもそうだ」までの6段階を選んでいく。

ちなみに、スキルの診断結果はLancers上には公開されないので、「背伸び」して答えて診断結果を良くしようとする必要もない。Lancersはスキルの診断結果に応じて苦手分野が同じ人が集まるSNSを公開していて、そこで成功・失敗体験談を共有したり、今後は能力を向上させるために適切な書籍(ベネッセ以外の書籍も含む)をレコメンドしていきたいのだという。

Lancersはこれまでも、デザイナーやエンジニアの登録会員に対して、IT関連の技術スキルがわかるテストを無料提供していて、合格した会員には、マイページでそのスキルを表現できるようにしている。今回のベネッセとの提携では、ITスキルとあわせて、クラウドソーシングで仕事をする上で必要だという「社会人基礎力」を会員に把握してもらいたのだと、ランサーズビジネス開発部部長の酒井佑介氏は説明する。

ベネッセとの提携は、クラウドソーシングでの発注の変化を見据えた戦略でもある。Lancersでは主に、発注者と受注者が1対1で仕事のやりとりをしているが、将来的には複数人で構成されるチームに仕事を発注するケースが増えると、酒井氏は見ている。例えば、ホームページ制作を発注する場合、Lancers上でディレクター、ライター、デザイナー、コーダーからなるプロジェクトチームを組むようなイメージだ。「お互いが非対面で仕事をするクラウドソーシングだからこそ、コミュニケーション能力やチームワークが必要になる」(酒井氏)。


TechCrunch Tokyo 2013:スタートアップバトル出場24社を紹介 – 優勝は指輪型デバイスのRing

3回目の開催となったTechCrunch Tokyo 2013は初の2日間を通してのイベントだった。今回は目玉企画のスタートアップバトルに予選から24社が登壇し、それぞれのプロダクトを紹介してくれた。

スマートフォンアプリ、Webサービスのみならず、ハードウェアや3Dプリンタを取り扱うサービスなどバラエティー豊かなスタートアップ達をイベントに来れなかった読者の皆さんにぜひご紹介したい。まずは決勝に進出した10社から。

Ring(株式会社ログバー):最優秀賞
スタートアップバトル最優秀賞に選ばれたRingは全く新しいウェアラブルデバイス(入力デバイス)だ。名前の通りリングの形状をしており、指にはめて利用する。Google Glassやスマートウォッチといったウェアラブルデバイスはディスプレイが付いていて、その上でアプリなどを動かすが、Ringは入力デバイスとして機能する。

例えば、テレビに向かって人差し指で「TV」と書くとテレビがONになったり、「$12」と書くと支払いが完了したり。会場では実際に電気をつけるデモを行ってくれた。

現在複数の企業とパートナーシップを結びプロダクト完成に向けて日々開発を続けている。2014年中の出荷を目指しており、1万円から2万円程度で販売する予定だそうだ。

planBCD(KAIZEN platform):審査員特別賞
planBCDはグロースハック系のサービスで、jsのコードを1行追加するだけで簡単にA/Bテストができる他、グロースハッカーのクラウドソーシングサービスとしても利用できる。

クラウドソーシングではKAIZEN platformが抱える200名以上のグロースハッカーが改善案を提出してくれる。それを実際にA/Bテストにかけて、効果があるか測定できる。βテストで20件ほど試したところplanBCDの提案は既存のデザインよりも71.4%の確率で改善したそうだ。スマートフォンに限ると今のところほぼ100%で改善できている。

年内にはグロースハッカーを500名にまで増やし、年明けには1,000人の確保を目指している。

flier(株式会社フライヤー):エボラブルアジア賞/kobo賞
flierは毎月20冊の本を選定し、要約文を送ってくれるサービスだ。毎年新たに出版される本の数は増えており、良書を見つけることは難しくなっている。flierから配信される要約文はA4サイズで5枚程度の分量で、ちょっとした時間で読み切れるようになっている。スマホやタブレットに最適化されており、雑誌感覚のインターフェイスとなっている。

すでに国内の大手出版社のうち17社と協業しており、コンテンツは全て利用許可を取っている。10月10日でのローンチ以降、IBMやJT、デトロイト・トーマツなどが採用しているという。書籍要約のニーズを持っているユーザーは世界で3,000万人以上と見込んでおり、平均単価1万円で3,000億円の市場規模があるそうだ。

Locarise Analytics(Locarise株式会社):アマゾンウェブサービス賞
先日のOpen Network LabデモデイFall 2013でも取り上げたLocariseは実店舗向けのGoogle Analyticsを提供する。来店客や店のウィンドウを見ている顧客の行動を取得/分析し、ウィンドウを見ていた人が店に入るコンバージョンレートや、店内の滞在時間、購入までの経路といった情報をダッシュボードにまとめて教えてくれる。

どのように情報を取得するのかというと、店舗側にセンサーを設置しておき、来店客が持っている端末のWiFi信号を定期的に受信している。この信号を処理することで彼らの行動をウォッチするそうだ。

WiFiをONにしているスマートフォン所有者だけの行動を分析するには偏りが出るのではないかという疑問もあるが、40%程度の顧客を分析できれば充分であるという。すでにサービスは稼働しており、数十店舗が利用している。

Ietty(株式会社ietty):KDDI賞
iettyは住みたい物件の条件をいくつか登録しておくと、ぴったりの部屋を教えてくれるサービスだ。賃貸市場の営業は店で来店者が来るまで待っている時間が長いため、人件費のうち1,200億円程度が無駄になっているという。iettyはこの1,200億円が投入されるようなプラットフォームを目指している。

ユーザーの条件を基に営業マンが最適な部屋を提案してくれるし、直接コミュニケーションを取れるため、わざわざ店に足を運ばずにすむ。6月から15社とβテストを開始しているが、他の賃貸情報サイトに比べると成約率は高いようだ。

xica adelie(株式会社サイカ):マイクロソフト賞
近年人間が扱うデータ量は増えてきた。Webサービスやアプリではもちろんだが、後ほど紹介するLocariseのようにオフラインでも様々なデータを取り扱うようになっている。しかしこれらのデータの統計を取り分析することは容易ではない。ツールの使い方を学習するにも時間がかかるし、専門家に外注するとかなりの費用がかかる。

そこでXICAはプロ向けではなく、素人向けの統計分析ツールを提供する。データを入力すると、重要なKPIに対してどのアクションがどのくらい影響を与えているのかを可視化してくれる。10日前に正式ローンチしてから5社が利用を開始し、さらに8社が利用することに決まっているそうだ。値段は1アカウント月額5万円となっている。

Money Forward クラウド会計ソフト(株式会社マネーフォワード):PR TIMES賞
マネーフォーワードは本誌でも何度か取り上げているし、クラウド家計簿サービスとして知名度は高い。昨年12月のローンチから月次平均43%で成長を続けており、数十万人のユーザー居るそうだ。

サービスを続けていく中でユーザーから多かった要望の1つが事業向けも使いたいとのことだったので、新しく事業向けのクラウド会計サービスを開発したという。基本的な会計機能の他に、レシートをアップロードすると自動で入力される機能や、これまでの収入/支出から将来のキャッシュフローを計算してくれる機能なんかもある。

マネーフォーワードとしては会計サービスとしてだけでなく、経営サポートツールとしても提供していきたいそうだ。

Rinkak(株式会社カブク):NTTドコモ・ベンチャーズ賞
Rinkakはもの作りを簡単にするためのプラットフォームだ。3Dプリンタが徐々に安くなってきたとはいえ、現状ではモノを作るためにはまだ大変な面も多い。商品の試作を作るのに高額な費用と時間がかかったり、製造時に最低ロット数を頼まなけらばならなかったりする。

Rinkakでは製造と販売と発送をサービス側が担当し、クリエイターはプロダクトをデザインすることだけに集中できる。3Dデータをアップロードすると、製造コストが自動で計算される。後はクリエイターは値段を設定するだけで商品を販売できるのだ。試作品は5,000円から1万円程度で作成できる。

すでにサービスは稼働しており、フィギュアやiPhoneケース、アクセサリーなどが集まっており、3Dプリンタでしか作れないデザインのものが多く販売されているようだ。

Virtual Cycling(株式会社キーバリュー)
Virtual Cyclingはエアロバイクを楽しくするサービスだ。フィットネスクラブに通ってもそのうち70%以上が退会してしまうそうだが、それは運動が単調でつまらなく、仲間が居ないからだという。

Virtual Cyclingはエアロバイクにデバイスを取り付けて、専用のゴーグルを使う。Google Mapsのストリートビューを使っており、自転車を漕ぐと世界中どこへでもいけるし、空を飛ぶことなんかもできる。デバイスの値段は2,000円から3,000円程度を予定している。

PlugAir(Beatrobo)
BeatroboはCDを新しいデバイス「PlugAir」に置き換えようとしている。CDは購入したらCDプレイヤーで再生できるように、PlugAirはスマートフォンのイヤホンジャックに挿して再生できるデバイスだ。

一昔前はCDプレイヤーやMDプレイヤー、そしてiPodなどのデバイスが音楽を再生するためのデバイスとして定着していたが、現在はスマートフォンが主流となっている。そこでスマートフォンに最適な楽曲供給源を目指そうとしている。

スマートフォンではiTunesなどから楽曲をダウンロードすれば音楽を聞くことはできるが、PlugAirではCDのように友達に貸しても聞けたり、CDジャケットのようにPlugAirをアーティストに合わせてカスタマイズしたりできる。友達にシェアした回数に応じて特典を設けるなど、独自の楽しみ方を模索中だ。第一弾としてはUniversal Musicと提携し、12月中に販売を開始する予定だ。

以下は予選に出場した14社。

ビザスク・フォー・ビジネス(株式会社walkntalk)
様々なビジネスの場で経験者のアドバイスが欲しいことは多々ある。そんな時にスポットで適切な人にスポットコンサルティングを頼めるサービス「ビザスク」のエンタープライズ版が「ビザスク・フォー・ビジネス」だ。こちらは秘匿性の高い案件なども発注できる。ビザスクは経済産業省から”多様な「人活」支援サービス創出事業」の委託先”として採択されている。

YAMAP(株式会社セフリ) 
このアプリは名前からも想像できるように、山(YAMA)のマップ(MAP)を提供する。単に山のマップを扱うだけではなく、登山では電波がないことも多いため、電波無しでも現在地を取得できる仕様になっている。登山人口は1,000万人ほど居るそうで、アウトドア市場全体を見れば3,300万人も居るこの市場に便利なツールを提供する。すでに1万ユーザーを獲得。

Relux(株式会社Loco Partners) 
100項目におよぶ独自の審査基準で宿泊施設を審査し、高品質な旅行体験を保証する宿泊予約サービス。チェックイン日と宿泊人数を入力すると最適な宿泊先を提案してくれる。現在のユーザーの予約単価は9万円ほどで、これは競合サービスよりも格段に高い。これまでの累計流通総額は1,500万円、年末までには4,000万円ほどを見込んでいる。

Dr.Wallet(株式会社Bear Tail)
このサービスに関しては本誌ではローンチ時KDDI∞Labo第5期採択時などにも取り上げたのでご存知の方も多いだろう。Dr.Walletはレシートをアップロードすると人力でデータ化してくれるクラウド家計簿サービスだ。8月19日のローンチ以降、10万ダウンロードを達成している。

StepUp.io(Benkyo Player LTD)
動画で何かを学ぼうとする人向けのツールを提供する。例えばダンスを学びたい時にパートごとに動画を簡単に切り分けてリピート再生することができる。料理や楽器といったカテゴリーの動画とも相性が良さそうだ。ビジネスモデルとしてはグループ機能や現在はYouTubeの動画に対応しているがユーザー独自のビデオをアップロード可能にする際に有料化を考えているという。

Cosmection(株式会社シンセレンス)
最も自分に合うコスメ商品を見つけてくれるサービス。化粧品は高評価のレビューの商品でも、自分の肌に合うとは限らない。Cosmectionではすでに使っている製品や同じ傾向にあるユーザーのデータを基に最適な品を提案してくれる。

PlayLife(株式会社プレイライフ)
遊びの体験を皆で共有し、より一層遊びを楽しくしようというのがPlayLifeだ。お気に入りの女子会スポットや、楽しかったプチ旅行の体験なんかを投稿して共有することはもちろん、サービス内で友達を遊びに誘うこともできる。

FunPicty(SODA株式会社)
FunPictyはドコモ・イノベーションビレッジ第1期デモデイに登壇した笑いがコンセプトのプラットフォームだ。面白写真アプリをいくつか保有しているSODAは短命で終わってしまうそれらの写真アプリからの画像を1つのプラットフォームにまとめることで新しい価値を生み出そうとしている。

・ゲームシスト(デジママジデ株式会社)
インディーズゲームの開発者向けのサービスで、一緒にゲームを作る仲間を集めて開発したり、ゲームをリリースできる。リリース後のマーケティングやアドバタイジングまでも面倒を見てくれる。

infogra.me Visualize Engine(インフォグラミー株式会社)
infogra.meは誰でも無料で簡単にインフォグラフィックを作るためのツールでデータを入力するとキレイなインフォグラフィックをすぐに作成してくる。インフォグラフィック作成サービスとしてはinfogr.amやvisual.lyなどが存在する。

Cumiki(Cumiki)
他人が書いたコードを読むのは大変である。途中からジョインしたり跡継ぎの人のためにノートを書くにしても面倒で更新に時間がかかってしまう。cumikiではコードをドラッグするとポストイットのようなポップアップが表示されそこへ簡単にメモできる。また、コードとメモが紐づいているので、元のコードがアップデートされた場合でも自動的に最新版を追跡して対応関係を保つことができる。

Revolver(株式会社リボルバー):レディー・ガガやオバマ大統領などは自らのための専用のSNSを構築している。最近では自分たち専用のSNSを作成する事例も増えてきているそうで、この需要に応えるべくRevolverは開発された。ユーザーは簡単に特定の人やテーマ、会社についての専用SNSを作成できる。

TSUKULINK(株式会社ハンズシェア) :東京オリンピックが決まり膨大な予算が投下される業界の1つである建築だが、現状はあまり明るくないようだ。賃金の低下や人手不足といった問題を抱えている。しかし、雪国では冬の間に雪の影響で仕事ができなく手が余っているなど地域や時期によって差があることも確かだ。そのような非効率な点をTSUKULINKではマッチングしてくれる。

cutty(株式会社アクトキャット)
美容師は約3年かけて技術を習得している。その技術を習得するためには練習が必要であり、そのためにカットモデルを探している。原宿や渋谷なんかで美容師がカットモデルを探しているのを見かけることは多いだろう。Cuttyではそんな悩みを解決すべくカットモデルと美容師をマッチングさせるサービスだ。全て無料で利用でき、美容室のクーポンなどでマネタイズする。


「大事なのはメディアに載ることよりも諦めないで続けること」Weebly創業者が語る成功の3つの秘訣

Weebly創業者のDavid Rusenko氏

11月11日、12日に開催されたスタートアップに関する日本最大規模のイベント「TechCrunch Tokyo 2013」。イベントの目玉の一つは海外の注目スタートアップの創業者が語る「ファウンダーストーリー」だ。そのうちの1社はWebサイト構築サービス「Weebly」。CEOのDavid Rusenko氏がサービスのローンチからこれまでの歩みを語った。

WeeblyはWebブラウザから誰でも簡単に高品質なサイトを作れるサービス。英語圏で特に人気を集めており、Weeblyで構築されたサイトの数は1500万に上るという。

最近、日本でもWeeblyで自分のサイトを作っている人を見かけるようになり、一気に盛り上がったサービスと思われがちだが、その歴史は意外と長い。ローンチは2006年2月のことだった。

当時、創業者の2人はペンシルバニアにある大学に通っていた。1日あたりの新規ユーザーは最も多くて12人。8カ月後、ネット掲示板にポストしたり、友人に声をかけたりしたが、それでも月間の新規登録ユーザーは最大30人程度だったという。

ベンチャーキャピタル「Y Combinator」のプログラムに応募したのは、なんと締め切り1時間前だったという。「2時間前に気づいて、ギリギリのタイミングだった」とDavid氏は明かす。

その1カ月後、米TechCrunchにWeeblyの記事が掲載され、アクセスが跳ね上がった。1000人ほどが新規に登録してくれた。同時期にY Combinatorから合格を告げる電話があった。David氏は共同創業者と一緒にサンフランシスコに行こうと思い立った。「でもパートナーの回答は『お母さんに相談しなきゃ』だったんだ(笑)」。だが結局、揃って大学を中退し、サンフランシスコに移り住むことにした。

メディアに掲載されるとアクセス数のグラフは上がる。しかし時間がたてば落ち込んでいった。1日に50〜60ユーザーの時期がまた続いた。2007年1月、サンフランシスコで2部屋のアパートを事務所代わりに借りた。まさに1日中、24時間プログラムをしていたが、David氏は「デスクからサンフランシスコベイが見られて、悪くない環境だった」と淡々と話す。

この頃、Weeblyの同時ログイン数はほとんど3人しかいなかったそうだ。「しかもそれは自分たちのことだったんだ(笑)。その数字が『4』になった時は興奮した」と楽しそうに振り返る。そして再びTechCrunchに取り上げられた。一時的にアクセスが上がったが、やはり再びまた下がっていった。

2007年4月、サービス開始から14カ月後、銀行に100ドルしかないという状況に陥った。「どうすればいいかわからなくなった」とDavid氏は打ち明ける。しかし、まもなく資金調達に成功。65万ドルの資金を得た。

5月にはNewsweek誌に取り上げられた。「非常に大きな瞬間だった。紙媒体とオンラインの2回大きな波が来た。でもやっぱりまた落ちていった。15カ月たっても、結局うまくいっていなかった」。

8月、TIME誌で2007年のベストウェブサイトに選ばれた。多くのユーザーが訪れたが、また去っていった。「ほとんど人を引きつけられていない18カ月間だった」とDavid氏は振り返った。

「たぶん多くの人は2〜3カ月で諦めるだろう。でも私達は1年半が過ぎても諦めなかった。そうしたら20カ月目に突然、数値が上昇し始めた。マーケットにフィットする製品になったんだ」

2008年7月、初めてちゃんとしたオフィスに引っ越した。しかし12月にはまた問題が起きた。「銀行の残高のグラフは下がる一方だった。経済的に悪い状態に近づきつつあり、かなり厳しい状況だった。膝を突き合わせて、来月の給料をどうしようかと話した」。

幸運にもこの危機を切り抜け、1月は黒字に転換した。それ以来、良い方向に進んでいるという。2010年2月、数字は激しく伸びていた。2006〜2007年にTechCrunchなどのメディアに取り上げられたのは「ちょっとしたことだった」(David氏)と思えるようになった。当時のアクセスの急増はいまやただの誤差のように見える。

2011年3月、サービス開始から約5年後にベンチャーキャピタル「Sequoia Capital」と契約。そして2013年11月現在、毎月1億4000万人がWeeblyで構築されたサイトを訪問している。これは米国のインターネット人口の25%が使っている計算だ。

Weebly創業を通して学んだ3つのこと

2006年2月から7年半余りが過ぎた。David氏がWeeblyの創業を通して学んだことは大きく3つあるという。

  • 途中でやめてしまったら絶対に成功しない

「まず一番重要なことは、やめてしまったら成功にはつながらない。ローンチ後2カ月ほど経ってうまくいかないと、「やめてしまおう」となることが多い。私たちの場合もそうだが、やはり一気に成功することはない。多くの企業がそういう道のりを辿っていると思う。Pinterestの創業者がよく言っていたが、彼も創業前に何年何年もアイデアを出し続けてきた。最終的には成功したが、苦しい時期もあったそうだ。でも、やめてしまっては成功しない。もちろん悪いアイデアをずっと煮詰めても仕方ないが、やはり悪い時期があってもやめてはいけないということだ」

  • 人が欲しているものを作ること

「起業するときはマーケットにフィットしているかどうか、自分たちが作ろうとしている製品を本当に一般の人々が使いたいと思うかが重要だ。これができないと最大のリスクになる。法人化するとか、特許を申請するとかよりも、まず最初に重要なのは、ユーザーに出してみて、ユーザーの受けはどうかということ。私たちの場合も、調子のいい時もあれば悪いときもあったが、ユーザーからいろいろなフィードバックが出てくるので、それを改善していった。その作業を続けることで、ある時点で本当に気に入られて、一気に成功に向かっていくはずだ」

  • でもアドバイスは聞くな

「Gmailの開発者が、常々こう言っていた。『アドバイスというのは、一般論を大袈裟に言っているだけであって、ある意味、非常に限定的なものだ』と。私は常にこれを念頭に置いている」

Weeblyで制作したサイトの例


ジャスティン・ビーバーも出資する、自分撮り写真交流アプリケーションの「Shots Of Me」

夕焼け? 風景写真? それともラテアート? これまでに撮った写真を見なおしてみると、誰も人物が写っていないことで、退屈に感じてしまうことも多いようだ。素人写真を満足気に公開して、コメント欄がひどいことになっているティーンたちも多い。そのような状況を変えようと、RockLiveはジャスティン・ビーバーからの出資を受けて、自分撮り写真をシェアするためのiOSアプリケーションであるShots of Meの提供を開始した。

スマートフォンの液晶画面側についたカメラで自分の写真を撮ったものを一般に「自分撮り写真」(selfie)と言うが、Shots of Meは、まさにこの「自分撮り写真」を扱うためのアプリケーションだ。Instagramで撮った写真のように、自分撮り写真を自分の友だちに公開したり、あるいはTwitterに投稿するようなことができる(Instagramへの投稿機能も実装予定)。他の人の自分撮り写真を眺めて愉しむこともできる。

すなわち、目指すところは「自分撮り写真のソーシャルネットワーク」なのだ。それだけかと思われるかもしれないが、うまく機能させるためにさまざまな工夫も凝らされている。

「狙い通りに若者たちが多く参加してくれていますよ。もちろん若者感覚を持つ年長者も使ってくれています」とRockLiveのCEOであるJohn Shahidiは言う。「女子高校生たちをターゲットにしたマーケティングには知識もありましたので、それを活かして大きな仕掛けを作りたいと考えたのです」とのこと。

頻繁に写真投稿を行う人たちを見ていてShahidiは気付いた。「人々は自分撮りを愉しむだけでなく、他の人の自分撮りを見ることも大いに楽しんでいるのです。これは昔からある楽しみのひとつで、いつまでも続く現象だといえます。一時は食べ物の写真などを交換するのも流行りましたが…」。Shahidiは語尾を濁したが、しかし言わんとするところは明らかだ。Instagramは食べ物など、無生物の写真をシェアして愉しむ目的で大ヒットした。フィルタを使って実物以上に面白く見せることが流行したりもした。しかし徐々に飽きられてしまいつつあるのではないかと言いたいわけだ。

しかし、もしその分析が正しいとしても、写真関連アプリケーションの世界は既に飽和状態なのではなかろうかと、疑問を持つ人も多いはずだ。確かにそうも言える。しかし友だちの笑顔を見る機会を増やすことには、多くの人が興味を持つのではないかと考えているわけだ。

自分撮り写真用Instagram

5人で運営しているRockLiveは、5月にShots of Meの開発にとりかかった。ついにそれが完成したというわけだ。iOS専用のアプリケーションを立ち上げると、Shots of Meでの友だちや、Twitterのコンタクトリスト経由で繋がっている人の自分撮り写真が画面いっぱいに流れてくることとなる。

カメレオンデザインと言うのだろうか、名前や場所、キャプションなどの情報は、スクロールするに連れて写真の色と同化していくようになっている。曇りガラスを通してみるような感じだ。アプリケーションについてShahidiはかなり強気の発言をしている。「私たちは一級のプロダクトを提供していきたいと考えています。スマートフォンに500ドルもつぎ込んでいるのです。その高級スマートフォンに似合うアプリケーションでありたいと考えています。メルセデスやフェラーリのような雰囲気を身につけたいのです」。これは少々言い過ぎであるようには思う。ただ、ナビゲーション部の色選択を行えるような工夫も随所に凝らして入る。

自分撮りのみを投稿するというルールを守ってもらうため、画面側にあるカメラしか利用できないようにもなっている。また、Snapchatと同様に、投稿する写真はShots of Meで撮影したものしか使えない。他で撮った写真をアップロードできなくすることで、今、現在の写真を共有して愉しむという効果も生んでいる。

Shots of Meの機能的なユニークさは、通常のソーシャルネットワークでは大切だと考えられている機能を省いている点にある。すなわち、コメントを付けることができないのだ。「誰もが、面白いと思って写真を投稿するのです。それについてあれこれ言うのは、せっかくの楽しさを台無しにしてしまうことも多いのです」と、Shahidiは説明している。

風景写真を投稿して、それをコメントで貶されるのも、もちろん悲しい出来事だ。しかし自分撮り写真というのは、どうも悪口を言われやすいものでもある。顔が悪いだのなんだのと、とくに感受性の強い10代の頃に言われたりすれば、相当に傷つくことは間違いない。したがってShots of Meでは、利用者間の交流にはダイレクトメッセージを用いることとしているのだ。初期のTwitterと同様に、フォローしている人とのみダイレクトメッセージで話をすることができるようになっている。おかげで交わされる意見はプライベートなものとなり、通りすがりの見知らぬ人から突然悪口を浴びるというようなことはないようになっているわけだ。

ジャスティン・ビーバーも認めるサービス

ジャスティン・ビーバーがShots of Meを気に入ったらしいことも大いにプラスに作用している。RockLiveおよびShots of Meを紹介されて、取り敢えずShahidiが言うところでは、「すごく気に入ってくれました。他の写真共有サイトにはいろいろ注文もあったようですが、ここについては本当に気に入ってくれたのです」とのこと。これはもちろんTwitterやFacebookなどのソーシャルネットワーク上で「気持ち悪いゲイ野郎」などと叩かれていることをふまえての発言だ。

「ジャスティン・ビーバーも、一般のソーシャルネットワークに存在するコメントシステムのことをすごく気にしているのです。自分が不快に思うというようなことだけでなく、それを読むティーンのことを考えているわけです。彼は、ファンのみんなが酷いコメントなどを読まなくても済むところで活動をしたいと思うと言っています。私たちは彼に出資を依頼したりはしませんでした。しかし、彼の方からぜひにと話をもちかけてくれたのです」とのこと。

RockLiveは既にShervin Pishevar、ボクサーのFloyd Mayweather、初期の頃のAppleで働いた経験を持つTom McInerney、およびNALA Investmentsから出資を受けていた。そしてNALAは、さらに多くの額を出資する方向で話を進めていた。しかしRockLiveは最終段階でBieberの出資を受けることを決めたのだった。110万ドルのセカンドラウンドのほとんどはジャスティン・ビーバーの出資であるようだ。

ちなみにこのRockLiveへの出資は、マネージャーであるScooter Braunを介さないものとしては初めてのものである様子。マネージャーとの共同でということであれば、いくつかのスタートアップに出資してきている。Shahidi曰く、ビーバーは「デューディリジェンスにも気を使っていて、何度も電話をかけてきて、数多くの質問をしてきた」のだそうだ。もちろんビーバーがさまざまな調査を経て出資したとは言っても、事業が間違いなくうまくいくというわけでもない。サービスの成長は、利用者の拡大にかかっている面があり、これがかなり難しいことであるのは他のサービスからもわかることだ。

あるいは、ビーバーにテック企業に投資する才覚があるわけはないという人もいるだろう。しかしこれは一方的にすぎると思われる。膨大なCDやコンサートチケットを売りさばいたということは、つまり若者の心とどこかで通じているとも考えることができるのだ。

他のフォトアプリケーションとの関係

いろいろな見方があるだろうが、自分撮り写真の多くは非常に楽しそうな表情をしていて、見ている側をも楽しくする作用がありそうだ。アートぶった見るに耐えない写真でフィードが汚されてしまうことも少ない。誰の心にもある、ちょっとした見栄を表現するためのプラットフォームとして、成長していくことになるかもしれない。自分撮りなどつまらないとか、失敗するに決っているという人も多いだろう。しかし大勢が自分撮り写真を撮って、どこかで公開しているという事実はある。自分撮りなど短命な流行に過ぎないという人もいるだろうが、しかし絵画および写真の分野で、ポートレートは長い長い歴史を持っているものでもあるのだ。

そのような観点からも、成長の可能性があるのは確かであろうと思われる。ただ、自分撮りに注力して、そしてコメントなどで場が荒れてしまうことを防止し、さらにジャスティン・ビーバーのお墨付きを得たということで、これが即ち他アプリケーションからも利用者を奪い取って成長していくことができることを意味するわけではない。

Shots of Meはまず、1億5000万もの利用者を抱えるInstagramを意識している。このInstagramは、今後の利用者獲得ということを考えると、非常に難しいライバルであると言える。さらに「普通」の写真を共有するにはFacebookやTwitterしか使わないという人もいて、自分撮り写真などを共有するにはSnapchatが最適だと考えている人もいる。そうした人の意識も変えていかなければならない。さらには、どういうサービスになるのかすらよくわからないSelfieというスタートアップも準備中であるようだ。

おまけに最近話題になっているFrontbackも強大なライバルとなり得る。これは背面カメラと前面カメラの双方を同時に使った写真を作って公開しようというサービスだ。8月にアプリケーションを提供し始めて以来30万ダウンロードを獲得し、さらに300万ドルの資金を新たに調達している。Frontbackは両面カメラを使った写真にその特徴がある。これまでに見たことのない写真が生み出されることになる。さらにはこちらのサービスでもコメント機能は排除されていている。こうしたサービスをすべて乗り越えていかなければならないとすると、Shots of Meの将来もなかなか厳しいものであると言わざるを得ないだろう。

但しShahidiは自信を持っているようだ。「写真は1枚撮るだけでもなかなか大変な作業なのです。Frontbackで撮影する自分撮りの部分以外を面白くするのはなかなか難しいことです。たとえばオフィスにいるとすれば、Frontbackで撮影しても風景部分は退屈なオフィスシーンになってしまうわけです」。

Shots of Meはビーバーの自分撮り写真を独占的に配信するようなチャネルになる可能性もないわけではないのだろう。そうなればTwitter上の4700万ものフォロワーや、Facebookの5700万人のファンの注目を集める可能性もある。そうした人のうち、1%の人を利用者として獲得できれば、あっという間にFrontbackを抜き去ることにもなる。

「Instagram以前から、フィルタ機能を備えた写真アプリケーションは数多く存在していました。しかしInstagramはフィルタを使った写真の共有についての第一人者としての地位を獲得しました。フィルタを使って面白い写真を投稿する人が大勢集まる場所だったからです」。Shots Of Meは自分撮り写真について、Instagram同様のきっかけを掴んで行きたい考えだ。「写真を見て、いろいろな出来事を思い出して楽しめるアプリケーションになるはずです。自分が何を感じていたのかを思い出すことができます。これは、自分の写っていない写真を眺めていても味わえない魅力であると思うのです」。

Shots of Meは、無料アプリケーションとしてiTunesストアに登録されている。

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(翻訳:Maeda, H


TechCrunch Tokyo 2012年の最優秀賞、スマート電動車イスのWhillがアメリカでいよいよ市販へ

元ソニー、オリンパス、トヨタのエンジニアらによって創立され、TechCrunch Tokyo 2012の最優秀賞を受賞したハードウェアのスタートアップ、Whillはスマートで洗練されたまったく新しい車イスをデザインした。同社の最初の市販モデル、Whill Type-Aがいよいよアメリカで予約受付を開始した。

Whillは現在500 Startupのアクセラレータ・プログラムに参加しており、170万ドルの資金を調達ずみだ。500 Startups以外の投資家にはItochu Technology Ventures、Facebook Japan、エンジニアのEric Kwan、SunBridge Global VenturesWingle Co.などが含まれる。現在シード資金の調達を完了中だ。

同社は昨年TechCrunch Tokyoに既存の車イスに取り付けて自走できるようにする電動アドオンのプロトタイプで参加した。東京モーターショーで展示し、アメリカ、日本、イギリスで市場調査を行った結果が、Whillは4輪電動駆動の完全に新しい車イスを開発することを決断した。またアメリカでの需要がもっとも高かったのでまずアメリカ市場を対象とすることにした。

まず開発チームはアメリカで150人の車イス利用者にインタビューし、ユーザーは機敏であると同時に安定性の高い装置を求めていることを知った。そしてもっとも重要な点は、車イスに伴うネガティブなイメージを払拭できるようなスマートな印象の乗り物が求められていることがわかった。

事業開発責任者の水島淳は、自動車、自転車、オートバイ、スケートボード、なんであれ乗り物というのは所有者をハッピーにするが車イスはダサイというイメージがつきまとう唯一の乗り物だと説明する。一般の認識がネガティブなのだ。

Whillの車イスはまず外観が未来的にデザインされている(CEOの杉江理は日産自動車のデザイナーだった)。Type-Aモデルがこれまでの電動車イスと根本的に異なるのは、左右のコントロール・ハンドルを押し下げることによって前進するという操作体系だ。これは自転車やオートバーのライディング姿勢に似ている。

「外観だけでなく、機能的にも操作体験を自動車、オートバイ、スケートボードなどに近づけようとした」と水島は説明する。単にイスの背にもたられた姿勢ではなく、走行中は前傾姿勢を取ることでユーザーはアクティブに見える。また乗り物を操縦しているという喜びを感じることができる。

Whillのコントローラーはジョイスティックのように片手で操作できる。Type-A以外の2モデルは備え付けのテーブルを利用したり走行していないときは楽な姿勢で背もたれによりかかれるという。

回転半径が小ささと走破性の高さを両立させたこともWhillの大きな特長だ。通常の車イスでは回転半径を小さくするためには前輪を小さくする必要がある。すると前輪が床の小さな突起や窪みに引っかりやすくなり、また砂利道などでは容易に埋まってしまう。

Whillチームは前後に回転するだけでなく左右にも動く特別な前輪の開発に成功した。これによってType-Aは回転半径をわずか71センチに収めながら7.5cmの障害物を乗り越えられる。

Type-Aの価格はまだ発表されていないが、水島は「最初の出荷分についてはアーリー・アダプター向け特典機能をつける予定だ」と述べた。Whillはアメリカで食品医薬品局から医療機器としての認定を受ける計画だ。そうなれば保険が適用になるし、他国への輸出も容易になる。製造に関しては台湾とメキシコの企業とOEMの交渉を進めている。将来のモデルには各種データの分析や通路の障害物、電池容量低下などををユーザーに警告するモバイル・アプリを組み込む予定だ。

水島は「われわれはモビリティ・デバイスのiPhoneを目指している。Type-Aはユーザーの移動に関して広汎な機能を備えている点で車イスのスマートフォンだ。将来、単なる車イスを超えて、他の乗り物が利用できない場面で一般のユーザーにも利用される省エネ移動手段としてWhillを普及させたい」と語った。

Whillの開発のきっかけは創業メンバーの障害者の友人が「車イスに乗るのが嫌で2ブロック先の食料品店にさえめったに出かけない」ということを知ったことだったという。「2ブロックばかり、健常者にはなんでもない距離だが、われわれの友人は大変な困難を克服しなければならなかった。このショックがチームにWhillの開発を決意させた」のだという。

Whillを試用したい場合はサイトを訪問すること。Type-Aは今月サンノゼで開催されるAbilities Expo San Joseでデモされる。また来年のCESAbilities Expo LAにも出展される。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


日本とアジアで急成長中のBitcasa、1100万ドルを調達〔CEOが本日TechCrunch Disrupt  Tokyoで講演〕

2011年のTechCrunch Disruptで最優秀賞最終候補に選ばれてデビューを飾ったクラウドストレージのBitcasaが日本を始めアジア地域で急成長している。

この嬉しい驚きに対応すべく、同社は700万ドルと予定されていたシリーズAラウンドを急遽1100万ドルに増額して調達した。このラウンドはHorizons VenturesPelion Venture Partnersがリードした。

この国際市場での成功は新任のCEO、CEO、Brian Taptichにとっても思いがけないものだった。TaptichがBitcasaのCEOに任命されたのはこの9月だ。Tapitchは私の取材に対して「われわれの容量無制限のクラウドストレージという特長がインターネットとモバイルのインフラの整備が進んだ地域のユーザーに受け入れられたのだと思う。Bitcasaは多様なコンテンツが複数のデバイスで共有され、そのユーザーが常にオンライン接続できるような環境に特に適している」と話した。

またTapitchは、「Bitcasaはクライアント側でブロック単位の暗号化を行うため、セキュリティーのレベルが高い。最近のNSAスキャンダルのためにユーザーのセキュリティーに関する意識が高まっていることも追い風になっているかもしれない」と付け加えた。Taptichは現在のユーザー数については明らかにしなかったが、ユーザーは順調に拡大しており、デベロッパー向けにAPIを公開することによってプラットフォームとして整備していく予定だと話した。

今回調達した資金は、国際展開に加えてプロダクト開発の強化にも当てられる。Taptichは「Bitcasaをユーザーがやりたいと思うことをすべて可能にするプラットフォームに育てたい。しかし現在はドキュメントの共有と共同作業に関する機能が未整備だ」と述べた。Bitcasaはこのギャップを早急に埋めていく計画のようだ。またサポートするデバイスをさらに拡充していくものと思われる。

〔日本版〕BitcasaのCEO、Brian Taptich氏は今日午前10時35分からTechCrunch Disrupt Tokyoで講演予定。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


口コミで急成長するFrontback。Twitterからのアプローチを退け、数百万ドルの資金調達を実施

Frontbackは、iPhoneの前面カメラと背面カメラの双方を使って撮影した写真を合成して、そしてシェアするためのアプリケーションだ。サービスの開始は8月だが、マーケティング費用を全くかけないまま、30万ダウンロードを達成してしまった。これはアシュトン・カッチャージャック・ドーシー、それに、ベルギーの首相らがFrontbacksを使った写真をTwitterなどに投稿して話題になったからだ。このFrontbackが、さらに次のステップに進んでいる。新たな調達ラウンドで300万ドルほどの資金を調達したのだ。また、このラウンドの前には、Twitterからの買収提案もあったのだとのこと。

Frontbackの共同ファウンダーであるFrederic della Failleは、調達額などを明らかにしていない(300万ドルほどというのは情報筋からの話だ)但し出資者はこれまでも出資してきたLerer Ventures、Index Ventures、そしてSV Angelで、ここに新たにCrunchFundのMichael Arrington(ファウンダー兼以前はTechCrunchの編集長も務めていた)、Fuel CapitalのChris Howard、Michael Birch、Charlie Cheever、そしてInitialized CapitalのHarj Tagger、Garry Tan、およびAlexis Ohanianなどのエンジェル投資家が加わっているそうだ。今回の資金調達は2012年6月に行われた91万ドルのシードラウンドに続くものだ。当時della Failleはソーシャルパブリッシングを提供するCheckthisを本業としていた。

Twitterでdella Failleにコメントを申し込んだが、断られてしまった。

「とくにお話することはありません」と、彼は言っている。「Aクラスの仲間たちと、素晴らしいプロダクトの開発に邁進しているところです」とのこと。

アプリケーションは、さらなる進化を遂げようと、数日前にアップデートされたところだ。アドレスブックを利用して友だちを探すことができるし、作成した写真はTwitterおよびFacebookに加えて、Tumblr、メール、およびSMSでも共有できるようになった。

友人からの最近のフィードのみ(スタッフのおすすめも下に表示される)を表示するパーソナライズド・フィードの機能も取り入れられている。フロントカメラと背面カメラのどちらが上にくるのかも設定でき、どちらのカメラで撮影するかの選択ができるようになった(すなわち両方共自分撮り写真にすることもできる)。また、未送信のデータを保存しておく機能も実装された。

機能追加により、利用者がより多くの時間をFrontbackとともに過ごし、そして投稿される写真の数が増えることを狙っているわけだ。

「無」からの急成長

Frontbackは、人気が急上昇するアプリケーションの特徴をすべて備えていたと言えそうだ。ファウンダーが従来の目的とは異なる道を選択して、そこでスタートアップの運命が大きく変わることの好例ともいえる。Frontbackのファウンダーは、もともとは写真とちょっとした投稿を簡単にシェアするためのCheckthisというサービスを運営していこうと考えていた。ベルギーで立ち上げられ、91万ドルのシード資金を手に、大きく成長するためにニューヨークに進出してきていた。

サービスがなかなか起動に乗らなかったからなのか(サービスはまだ提供されている)、それともdella Failleが勝負を賭けたいと願ったからなのか、della Faille自身による2013年3月のCheckthis投稿をきっかけに、Frontbackのサービスに注力していくこととなった。投稿された写真は、Williamsburgの住居兼共同作業スペースであったアパートで撮られたもので、ここからFrontbackが生まれることとなった。

#frontbackのアイデアはとてもシンプルなものです。それでいて、その瞬間をシェアするのにとても良いやり方だと思うのです。普通に撮った写真と、そしてそれを撮っている自分。今この瞬間に存在するすべてをみんなとシェアすることができるのです。何かしらの面白さが生まれるに違いありません。

この写真に説明などいらないとは思うけれど、敢えて書くならこんな感じ。「オレオレ。今はWilliamsburgのアパートにいるよ。ソファで寛いでいるところだ。オレの後ろにいるのは(よく探せば見つかるはず)PoutschのEtienne。何か仕事をしているらしい。

Frontbackを実現するためのアプリケーションを世に出すのに4ヵ月。資金も底を尽きかけていた。しかしアプリケーションは最初の一週間で20万ダウンロードを稼ぎ出し、拠点をサンフランシスコに移すこととなった。そしてFrontbackは次のInstagramなのかと言われるまでになった。

Frontbackを巡る状況は、サンフランシスコのDisruptでも大きく変わることとなった。ここでdella Failleは20万ダウンロード達成の事実と、瀕死の状況からの復活劇を報告した。そしてバックステージではどこかの部屋(きっとMike Arringtonの控室ではなかろうか)に閉じ込められ、そこでVCによる引っ切り無しの面会を受けることとなった。「誰もが何としてでも会おうとするという状況でしたよ」と言う人もいる。

こうした中でTwitterもFrontbackに興味を持ったというのも面白い話だ。IPOを成功させ、そしてエンゲージメントを高めたいと努力しているTwitterは、サービス開発や買収を矢継ぎ早に行うことで知られている。たとえばVineなども一例だ。またTwitterはメッセージング関連にも力を入れたがっているというもあり、Frontbackはこの面でもTwitterに寄与するものと考えられたのだろう。SMS経由ないし将来的に機能を拡張するDMにて、Frontbackの持つ仕組みを活用できると考えたに違いない。

またdella Failleと他のメンバーたちが、母国であるベルギーからわざわざ外国に出てきているというのも興味深い点だ。テック産業の隆盛はシリコンバレーに限るものではなくなりつつあるが(TechCrunchがベルリンでDisruptイベントを開催した理由もそこにある)、della Failleは「旧世界でチャンスをつかむのは、相変わらずとても難しいことなのですよ」と述べている。

「ヨーロッパでは、大きな夢は大言壮語として忌避されるような傾向もあります」とのこと。「誰もまじめに受け取ってくれないのです」。また、ヨーロッパでは細かい機能の開発が軽視されるようなところがあると思うとも話している。「Frontbackの機能を実現するのにいろいろと検討を行っていました。ヨーロッパにいれば、投資家からは写真が撮れれば良いのだから、さっさとリリースしろなどと言われたに違いないと思います」と話していた。

今後の成長を見据えて、iPad用およびAndroid用のアプリケーションも出てくるだろうと思われる。ただ、すぐにというわけではないようだ。今後もますますカメラ関連アプリケーションが登場してくる中で、Frontbackはベストでありたいと願っている。そして多くのユーザーを掴みたいと考えているのだ。「プロダクトのデザインが非常に重要になってくると思います。現在、デザイン面の検討に懸命に取り組んでいるところなのです」とのことだった。

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(翻訳:Maeda, H


株式上場を控えてビズ・ストーン、半生を語る―「ひどい失敗の連続が結局Twitterを生んだ」

サンフランシスコで開催されたNew Contextカンファレンスに登壇したビズ・ストーンは「最初の会社、そして二番目の会社、三番目の会社も私はしくじってしまった。スタートアップの生活というのはミスの連続だ」といささか居心地悪そうに告白した。ストーンは「今日は特に何も話す内容を用意してこなかった。それで私の最大の失敗のいくつかをお話しよう」と言った。実はその最大の失敗の一つがTwitterを生み、上場後はストーンに巨額の財産をもたらすことになっただったのだという。

「趣味と実益のためにミスを繰り返している」とこのTwitterの共同ファウンダーは言う。最近ストーンは動物愛護のためのNPOの運営とJellyという名前だけが知られているなぞめいたスタートアップの立ち上げに専念している。

ストーンのキャリヤと最初の大失敗はXangaというスタートアップから始まった。以下はビズ・ストーンの回想だ。〔カンファレンスでの講演とJosh Constine記者の独自インタビュー〕

企業文化

1999年ごろ、私はデザイナーとして働いていた。すると、大学の友だちの何人かが「おい、ウェブの会社をやろうぜ」と声をかけてきた。当時はインターネット・サービスの創生期で、その程度で十分詳しい話だった。そして作られたのがXangaというブログ・プラットフォームのパイオニアの1社だった。さいわいティーンエージャーの人気を獲得した。「ユーザーがどう感じているか」というフィードバックを直接知ることができるのが楽しかった。私はユーザーが他のユーザーの投稿を気に入ったことを表明できる(現在の「いいね!」に相当するような)ePropsという機能を実装した。

Xangaは急速に成長した。すると私の仲間はその仲間のコンサルタントを雇い入れ始めた。私はMITの近所にオフィスを構えてその優秀な卒業生をどんどん採用してすごいイノベーションをしようと考えていた。ところが新しく入ってきたコンサルタントたちはニューヨークに移らなきゃいけないと言い出した。

それならそれでユニオン・スクエアとイーストビレッジのあたりがいいと思った。そのかいわいは静かでいいレストランもある。ところがコンサルタント連中はノー、家賃が最低のポートオーソリティー・バスターミナル界隈でなければダメだという。

会社の文化は「ユーザーの感情」を考える方向からあっという間に外れていった。私はこの会社で働く意欲を失った。ある朝、「会社に行きたくないな」と妻に言った。

そこで私はXangaを辞めてしまった。これが最初の大失敗だ。私は若くてあまりにも未熟だった。私は会社の文化を変えるために全力を挙げなければいけなかったのだ。ここでの教訓は、創立時の企業文化はこの上なく重要だ、という点だった。プロダクトに注ぐのと同じくらいの注意を会社の文化を正しく育てることに注がねばならない。

企業の使命

私は結局母親の家の地下室に戻ってブログをやり始めた。作る側から書く側に回ってとても楽しかった。しかし何も作っていないのというのははやはり大きな間違いだと思うようになった。私のブログの名前は「ビズ・ストーン―天才」だった。この大ぼらが役にたったかもしれない。

ママの家の地下室でブログを書いているだけだったが、いかにも天才的なアイディアをいくつも持っているふうに装っていた。すると少し有名になって、本を書いてくれという話が来た。それから別のブログプラットフォームから誘いが来た。それがGoogleに買収されたばかりのBloggerだった。ファウンダーのエヴァン・ウィリアムズが連絡をしてきて、私はGoogleで働くことになった。

もちろんGoogleで働くことができたのは間違いではなかった。といってもたいしたことをしていたわけではない。あちこち歩き回ってみんなが何をしているのがのぞいていた。

ある男はそこら中にDVDレコーダーを積み上げた中で仕事をしていた。何をしているんだと尋ねると、世界中のテレビで放送されている番組を全部録画しているんだという。私はびっくりして、そりゃすごいね、とか何とか言って逃げ出した。別のところでは大勢でフットペダルで操作するスキャナーで本をスキャンしていた。これまでに出版されたすべての本をスキャンするプロジェクトだと聞いて、やはり仰天した。

Googleで学んだのはテクノロジーはたいていの難問を解決してしまうということだった。それはそれですごい。しかし、テクノロジーと人間は別物だということに後で気づいた。Googleの優先順位はテクノロジー第一、人間第二だ。しかし私は人間第一、テクノロジー第二というのが正しい優先順位だと思う。まず現実の人間について考え、それからテクノロジーの活かし方を考えるべきだ。

ここにいる聴衆の皆さんのほとんどテクノロジストだろう。多分他の人が気にいるだろうという理由では本当に一生懸命にはなれると思うのは大きな間違いだ。私がOdeoで学んだのは自分が好きになれない、情熱を燃やせないできないプロジェクトは必ず失敗するということだ。<

〔中略〕

Odeo

エヴァン・ウィリアズと一緒に車で家に帰る途中で私に天才的な(と思えた)アイディアが閃いた。

「エヴァン! Flashを使えばブラウザでユーザーの声を録音できるな? iPodが大人気だろう? ブラウザで録音した音声をMP3にコンバートしてRSSの添付ファイルにして配信したらどうだ?」と私は言った。

私はこれでラジオの民主化ができるじゃないかと夢想した。実はこのアイディアはpodcastとしてもう誰かが実行していた。しかし10分くらいはわれわれは自分たちは本当の天才だと思って興奮していた。

結局われわれはビデオ・ポッドキャストのプラットームをつくろうということになり、Googleを辞めてOdeoを作った。これは辛い時期だった。Googleはまさに勢いに乗っている時期だった。株価が高値を更新するのを見るたびに自分がどれほど損をしたのか思い知らされた。妻は「Googleを辞めるべきじゃなかった」と言った。

Odeoは大失敗だった。しかしそこから次の大成功が生まれた。

Odeoで最大の問題は自分たちのプロダクトを好きになれないことだった。セールトークはすばらしく聞こえた。しかしわれわれは自分で使いたいと思わなかった。これは実に貴重な教訓になった。

Twitterの始まり

いや、ニック・ビルトンの本(Hatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship, and Betrayal(Twitterの誕生―金、権力、友情、裏切りの物語)はまだ読んでいない。だから私のことをどう書いてあるかは知らない。しかし本に書いてもらうなんて光栄だ。リンカーン大統領になったみたいだ。もっとも私について書いてある部分は少ないと思う。いずれにしても派手な役回りではなかった。

ビルトンの本にどう書いてあるかは分からないが、Twitterの始まりはこうだった。

エヴァンはOdeoの取締役会に「ストーンと私はもうビデオポッドキャストには興味がない」と告げた。取締役会が新しいCEOを任命してくれればいいと思ったのだが、取締役会が投資した理由はエヴァンと私を見込んでのことだったから話がこじれた。そこでわれわれはObvious Corpという新会社を設立してOdeoを買収した。

われわれはTwitterという新しいコミュニケーション・ツールのごく初期のプロトタイプがやっとできた時期に、私はTwitterにとことん情熱を傾けていることに気づく経験をした。これはものすごく重要な教訓だった。

私はそのとき家を改装しようとしていた。カーペットを剥がして美しい木の床を出そうとしていたのだが、剥がしてみるとその下は美しい木の床なんかじゃなかった。すごい熱波が襲っていた。私が汗だくになっているときに携帯が鳴った。テキストメッセージでエヴァンからのツイートが来ていた。「ナパバレーでマッサージを受けた後ピノ・ノワールのワインを飲んでるところ」というのだ。エヴァンと私の状況があまりに対照的なので私は笑ってしまった。そしてこれだ、と思った。れこそ私が求めていたコミュニケーション・ツールだと悟ったのだ。

ベンジャミン・フランクリンは「人生においては間違いの方が成功よりずっと興味深い」と言っている。これは私の場合、間違いなくそのとおりだ。Xanga、Odeoはまったくの失敗だった。しかしそこからTwitterという大成功が生まれた。これからウォール・ストリートで取引開始のベルを鳴らすセレモニーに出るのだが、とても楽しみだ。

[画像:Kim Kulish/Corbis, PJ Media]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


機械と人力の”いいとこ取り”でサイトを外国語翻訳、「ワールドジャンパー」一般公開

機械翻訳は誤訳があるし、かといってプロの翻訳家に頼むとコストがかさむ――。外国語サイトを作ろうとする企業や店舗の多くは、こんな悩みに直面しているかもしれない。八楽(やらく)が運営するウェブサイト翻訳ツール「ワールドジャンパー」は、機械翻訳と人力翻訳の“いいとこ取り”をして、こうした課題を解決しようとしている。

ワールドジャンパー

対応言語は英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)。仕組みを簡単に説明すると、まず管理画面で翻訳したいサイトのURLを入力すると、機械翻訳ベースで外国語ページのHTMLが生成される。翻訳精度をさらに高めたい場合は、日本語1文字につき6円の「スタンダード翻訳」、1文字10円〜の「プロ翻訳」に申し込めば気になる箇所を修正できる。

スタンダート翻訳はクラウドソーシングを活用した人力翻訳サービスの「Conyac(コニャック)」や「Gengo(ゲンゴ)」などを利用する。プロ翻訳はこれらのサービスで翻訳した内容を、同社が抱えるプロの翻訳家がチェックしてから納品する。納期はスタンダード翻訳が1日程度、プロ翻訳が1〜2週間程度だという。

特筆すべき点は、翻訳者が修正したテキストを蓄積するデータベース「翻訳メモリ」の存在だ。ワールドジャンパーでは翻訳するサイトを読み込む際、自然言語処理技術を用いてすべてのテキストを解析し、翻訳メモリに収録されている「約300万文」(八楽)のテキストと照合。データベースと一致した場合、過去に翻訳者が修正したテキストを再利用し、機械翻訳によるテキストを差し替えている。会社特有の製品やサービス名を登録し、機械翻訳結果に反映する辞書機能も搭載する。

これらの仕組みにより、「単なる機械翻訳よりも翻訳精度が高くなり、翻訳コストがかかる人力翻訳の語数も減らせる」と、八楽代表取締役の坂西優氏は説明する。翻訳メモリは利用者が増えるほど充実するため、「翻訳コストはどんどん安くなる」。坂西氏によれば、新規でサイトを翻訳する場合、1〜2割程度のテキストが翻訳メモリに含まれているそうだ。

翻訳管理画面

ワールドジャンパーは2012年6月、法人向けの有償サービス(初期費用8万円、月額料金8800円)としてスタート。これまでにメーカーやIT、観光業など約100社の大企業に導入された実績がある。2013年5月には、ニッセイ・キャピタルや日本ベンチャーキャピタルなどから1億800万円の資金調達を実施している。

そして本日11月6日には、法人向けサービスを簡略化し、一般向けに初期費用と月額料金を基本無料とするサービスを開始。一般向けサービスで翻訳した外国語サイトは、八楽によってホスティングされる。外国語サイトは広告を掲載すれば無料だが、広告を非表示にして独自ドメインを利用する場合は月額880円に加えて、1ページビューあたり0.1円が発生する。

八楽は観光客を取り込みたい旅館や飲食店、商店であったり、在日外国人に情報発信したい自治体や病院、海外企業との取り引きを狙う中小企業を対象に、2014年4月までに1万サイトの導入を見込んでいる。

国際色豊かな八楽のメンバー


ジャック・ドーシーはSquare社内のすべてのミーティング記録、取締役会資料を全社員に公開

今日(米国時間111/5)、TwitterとSquareの共同創業者ジャック・ドーシーはGigaOm Roadmapカンファレンスに登壇したが、上場手続きの制限によりTwitterについて語ることはできず(*、 もっぱらSquareについて話した。

ドーシーは「Squareは単なる支払いサービスであるだけでなくアナリティクス・サービスでもある」と強調した。Squareのユーザー店舗は「先週売れたビスコッティの数」などの検索を自由にできる。それに対してまったくデータ利用ができない古臭いPOSシステムが多いのだという。

ドーシーはデータに関してアナリティクスと透明性を重視するのはSquareの企業文化でもあると強調した。スタートアップにはさまざまな企業文化があるが、Squareの企業文化はファウンダーの強い意図によって培養されたものだろう。

ドーシーはポール・グレアムのMaker’s Schedule, Manager’s Scheduleという社内会議の非効率に関するエッセイを引用し、マネージャーは会議を設定するのに気を取られるあまり、現実の仕事を忘れてしまうと指摘した。この点は多くの大企業で、いやAol傘下に入ったTechCrunchでさえもしばしば体験することだ。ドーシーは「こういう状態に陥ると社員は現実の仕事以外のことばかり考えるようになる」と述べた。ドーシーのSquare運営はこれと全く違う。

ドーシーは「秘密の会議」を追放するためにまず物理的にSquareのオフィスを風通しよくした。ほとんどがオープンスペースで、会議室はほんのわずかしかない。同時に、社員3人以上の会合では必ずメモを取り、600人の全社員に公開することが義務付けられている。さらにSquareの毎月の取締役会で使われたパワーポイント資料も社内に公開されている。驚いたことに、Squareの取締役会資料がTechCrunchにリークされたことはまだない。

「状況に素早く対応して行動できることによってわれわれが得た利益は計り知れない」とドーシーは言う。レガシー企業文化ではオーバー・マネジメントが飽くことなく繰り返され、企業官僚制があらゆる変化を妨害している。“ドーシーによれば「Squareで何かを秘密にしておくのは事実上不可能だ」という。Twitterに関する情報だけは秘密にされているようだが。

*) GigaOmのファウンダー、Om Malikとドーシーは事実、壇上でTwitterを話題にしなかったが 、Squareのコミュニケーション責任者、AaronZamost が私に話たところでは、Malikに話題にしないよう頼んだのは「セントルイス・カージナルスがワールドシリーズで負けたこと」だけだったそうだ。〔ドーシーはセントルイス出身〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ダックダイブ、ローカルガイドのマーケットプレイスMeetripをDonutsへ事業譲渡 – ローンチから1年2ヶ月で

昨年のTechCrunch Tokyo スタートアップバトルに出場したダックダイブは同社が運営するローカルガイドのマッチングサービス「Meetrip」をソーシャルゲームなどを手がけるDonutsの子会社であるDonuts Bangkokへ事業譲渡することを発表した。サービス開始から約1年2ヶ月での事業譲渡となる。なお、金額に関しては明らかにされていない。

Meetripは海外旅行者と旅行先の現地住民をマッチングするサービスで、現地住民がガイド役となり、単に観光スポットを見て回るだけでは味わえない体験を提供しようとするものだ。ガイドブックには載っていない地元の名店や現地の人との交流を楽しむことができる。

昨年9月のβ版ローンチ以降、Meetripに関してのニュースはあまり聞いていなかったが、ダックダイブのCEO貴山敬氏はFacebook上で今年8月末に過去最高の予約件数を更新し、9月はさらにその倍のペースを見込んでいるとポストしているから順調に成長しているようだ。

今後MeetripはDonuts Bangkokの拠点であるタイ・バンコクで運営されることになる。バンコクには年間1,600万人もの旅行者が訪れるそうで、バンコクで成長を加速させていきたいとのこと。

なお、ダックダイブには今年9月にクックパッドが買収したコーチ・ユナイテッド(Cyta.jpを運営)代表取締役の有安伸宏氏も共同創業者として参画しており、Cyta.jpで培ったCtoCマーケットプレイスのノウハウが活かされているという。