グーグルはG Suite責任者に元マイクロソフトのバイスプレジデントを指名

Google(グーグル)はGmailやHangouts、Google Drive、Docs、Sheetsといったビジネスツールを含む、プロダクティビティと共同作業のためのバンドルことG Suiteの責任者として、Microsoft(マイクロソフト)のCortana(コルタナ)部門とOutlook部門のバイスプレジデントを務めたJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏を迎えた。

ソルテロ氏は米国時間10月21日に、「チームと協力して、世界中の人々の生活に大きな影響を与える製品を開発することは、本当に光栄だ」とツイートした。

ソルテロ氏は、5年前にMicrosoftがモバイルメールアプリケーションのAcompliを2億ドル(約220億円)で買収した後に移籍し、昨年末まで同社に在籍していた。彼のLinkedInのプロフィールは現在、2019年10月からG Suiteのバイスプレジデントに就任していると記載されている。

CNBCがGoogleからのメールとして報じた内容によると、ソルテロ氏はGoogle CloudでCEOを務めるThomas Kurian(トーマス・キュリアン)氏(Dianne Green:ダイアン・グリーン氏が昨年辞任し後任となった人物)の直属となる。

現在は広告&コマース担当シニアバイスプレジデントを務めるPrabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏が、以前はプロダクティビティのバンドルを担当し、Google AppsとGoogle Cloud担当バイスプレジデントを務めていた。しかし、Googleは今回G Suite専用のバイスプレジデントの地位を用意した。おそらくは、ソルテロ氏を次の大きな業界の動きに呼び込み、マイクロソフトと直接競合することになるだろう。

この動きは、マイクロソフトがユーザーを製品の単体購入からOffice 365のようなサブスクリプションベースのクラウド版に移行させようとしていることに呼応し、同社への対抗を意図しているようだ。

今年の夏、GoogleでCEOを務めるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はクラウド事業部門の年間収益予想が80億ドル(約8700億円)で、2018年初めの40億ドル(約4300億円)から上昇したと発表した。しかし、マイクロソフトのAzureクラウドには遅れをとっている。

ピチャイ氏は、Googleが今後数年間でクラウド製品の販売規模を3倍にする計画だと付け加えた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

セールスパーソンの悩みのタネ、手数料計算を自動化するSpiff

カナダ・ソルトレークシティーをベースとするSpiffは、世界中のセールスパーソンのコミッションを計算する新しいサービスを売り込んでいる。不必要な事務作業の終わりを求めている何百万人ものセールスパーソンに自社製品を販売するため、これまで600万ドル(約6億5000万円)の資金を調達した。

Spiffの経営チームは新たなラウンドで50万ドル(約5400万円)を手に入れた。これにはPeak VenturesやKickstart Seed Fund、Peterson Partners、Pipeline Capitalからの出資が含まれている。

「驚くべきことにインセンティブの報酬を管理するための効果的で近代的なSaaSソリューションは存在しない」とSpiffの創設者兼CEOのJeron Paul(ジェロン・ポール)氏は語る。「ほとんどの企業はExcelや何十年も前からある技術を使っているが、それはソフトウェアを装った見せかけのサービスにすぎない」。

Spiffのデータによると、90%の企業はコミッションを計算するのにスプレッドシートのみに依存しており、セールスパーソンが取引を終えた後にコミッションを知るまでに最大1カ月もかかることがある。

Spiffはすでに、Podium、Weave、Bitglass、Workato、Sendo、HireVue、Lucidなどのソフトウェアベンダーと提携し、数千件の取引を通じて毎月400万ドル(約4億3000万円)の計算を処理している。

ポール氏は2018年にSpiffをローンチするまで、事業の立ち上げと売却において長いキャリアを持っていた。同氏は以前、Capshare(カプシェア)をMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)の子会社に売却している。またScalar Analytics(スカラー・アナリティクス)や、Thomson Reuters(トムソンロイター)が買収したBoardlink(ボードリンク)を立ち上げ売却したという。

Spiffは、米国におけるコミッション市場はおよそ8000億ドル(約87兆円)で、インセンティブ報酬の市場は数兆ドル規模だと予測している。これは同社のソリューションによって対処しうる、顧客にとって大きくかつニッチな問題だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

古いMacもセカンドディスプレイ化してしまうLuna Display

Apple(アップル)が、最新のmacOS Catalina(カタリナ)にSidecar(サイドカー)を組み込んだことで、セカンドディスプレイ機能を提供する会社はどこもまんまとアップルに「シャーロッキング」されてしまった。正直に言ってこの機能は、最新のmacOSの中でも飛び抜けて最高のもの。すでに多くのサードパーティのデベロッパーが何十年にも渡って経験してきたように、最初に自分が開発した機能でも、いったんアップルに実現されてしまえばそれと競うのはかなり難しい。

Duet Display(デュエット・ディスプレイ)の場合、存在意義を確保するにはAndroidタブレットをセカンドディスプレイとして利用できるようにサポートを追加する必要があった。一方、Luna Display(ルナ・ディスプレイ)のメーカーであるAstropad(アストロパッド)は、ユーザーが古いMacを引っ張り出す方に活路を見出そうとしている。米国時間10月17日にリリースされるアップデートは、他のMacを利用できるようにする機能を、同社独自のドングルを利用した技術に追加する。

新しいLuna Displayでは、MacとMacを接続して、古いMacをセカンドディスプレイとして利用できるようになる。例えば、MacBookをMac mini、iMac、あるいは別のMacBookにワイヤレスで接続できる。たぶん、ほとんどのユーザーにとっては、シンプルにiPadに接続するより、使い勝手はよくないだろう。それでも、古いマシンを活用できることにはそれなりの意味があるはずだ。Astropadのために言えば、アップルが次のアップデートで、同じような機能を実現しないことを願うばかりだ。

Astropadの説明は以下のとおり。

例えば、職場のオフィスにiMacがあり、職場と自宅の間でラップトップを持ち運んでいる人なら、職場にいるときにはラップトップとiMacをペアリングして、両方のデバイスを活用できます。あるいは、主に自宅で仕事をしている人なら、ラップトップをiMacやMac Miniとペアリングし、快適なソファに座ったまま、デスクトップ型Macのパワーを利用することもできるでしょう。キッチンでおやつにありついている時でも、同僚がかわいい犬のGIFを送ってくれたら、乗り遅れることなく楽しめます。可能性は無限にあるのです。

メインのMacでは、El Capitan(エル・キャピタン)以降のmacOSを走らせている必要がある。セカンドディスプレイとして利用するMacは、Mountain Lion(マウンテン・ライオン)以降が対応する。接続には、有線またはWi-Fiが利用できる。Astropadでは、本日10月17日から数日間、Lunaを25%割引で販売する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AtlassianがJira自動化ツール開発のCode Barrelを買収

Atlassian(アトラシアン)は米国時間10月18日、Automation for Jiraを作っているCode Barrel(コード・バレル)を買収したことを発表した。このローコードツールはJiraのさまざまな部分をすっきりと自動化してくれるので、Jira Softwareのアドオンとしても、またAtlassianのマーケットプレースのJira Service Deskでも人気製品のひとつだ。両社は買収金額を公表していない。

【編集部注】Jiraとは。ソフトウェア開発を効率化するためのサービス。スクラムボード、カンバンボード、ロードマップ、アジャイルレポートなどの機能を備えるプロジェクト管理ツールだ。

シドニーに拠を置くCode Barrelは、AtlassianでJiraを作った最初の技術者のうちの2人、Nick Menere(ニック・メネール)氏とAndreas Knecht(アンドレアス・ネヒト)氏が創業した。今回の買収で2人は4年ぶりにAtlassianへ戻ることになる。

ほんのひと握りのデベロッパーたちがJiraを手がけていた2005年にチームに加わったメネール氏は「私とアンドレアスにとっては里帰りみたいなものだ。Atlassianで我々はソフトウェアとプロダクトの開発方法を学んだんだ。だから帰るところと言ったらそこしかない」とコメントしている。

Automation for Jiraはその名のとおり、Atlassianの課題(Issue)の中の何度も出てくるタスクを容易に自動化でき、プロジェクトの追跡サービスも提供する。Atlassianのプロダクト担当副社長であるNoah Wasmer(ノア・ワスマー)氏は「顧客のデベロッパーたちは日に日に、決まりきった日常的な仕事に縛られる時間が多くなっている。彼らはJiraをバックボーンとして多くのシステムと対話し、同じワークを繰り返し、しかもそれをさまざまなシステムに対して手作業でやっている。つまり、明日の世界を変えるようなクリエイティブな仕事とは言えない作業に、とてつもない時間を消費している」と語る。

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そんな重複的な作業を減らすには、言うまでもなく自動化が必要だ。AtlassianのマーケットプレースでCode Barrelのソリューションを見つけた6000社あまりの企業と、もともと同社と関わりの深い創業者たちという2つの側面から見てもAutomation for Jiraの買収は絶対に得策だ。

ワスマー氏が強調するのは、それが一種のノーコードツールなのでプログラマーでない人でもJiraを使ってスクリプトを作れることだ。Automation for Jiraを使えばタイムベースのルールをセットアップできるし、Jiraの中のトリガーでそれらを実行できる。しかも、SMSやSlack、Microsoft Teamsなどを使ってサードパーティ製品と統合できる。

当分の間Automation for Jiraは、Atlassian Marketplaceに残って売られ続ける。料金も前と変わらず、ユーザー10人までは1人月額5ドル、100人までが2.5ドル、もっと多ければもっと安くなる。Atlassianはこのツールの機能の一部をJiraに統合していくが、それに関しては今のところ何も発表がない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DatabricksがDelta LakeプロジェクトをLinux Foundationに移管

Apache Sparkのオリジナル開発者が創業したビッグデータ分析サービスであるDatabricks(データブリックス)は米国時間10月15日、データレイク(構造化データや非構造化データ、バイナリなどのファイルを含めて一元的に格納するデータリポジトリのこと)の構築に使われるDelta LakeオープンソースプロジェクトをLinux Foundationへオープンガバナンスモデルの下に移管することを発表した。同社は今年の初めにDelta Lakeのローンチを発表した。比較的新しいプロジェクトにもかかわらず、すでに多くの組織に採用され、Intel(インテル)、Alibaba(アリババ)、Booz Allen Hamilton(ブーズ・アレン・ハミルトン)などの企業からの支援を受けている。

画像クレジット: Donald Iain Smith / Getty Images

「2013年に、私たちはDatabricks社内で、SQLをSparkに追加する小さなプロジェクトを行っていました、それはその後Apache Foundationに寄付されました」と語るのはDatabricksのCEOで共同創業者のAli Ghodsi(アリ・ゴッシ)氏だ。「長年にわたって、多くの人たちが、Sparkを実際に活用する方法を変えてきました。そしてようやく昨年くらいからでしょうか、私たちが最初に想定していたものとは、全く異なるパターンでSparkが使われ始めていることに気が付き始めました」

彼によれば、そのパターンとは、企業がすべてのデータをデータレイクに投入し、このデータを使用してさまざまなことを行うというものだ。もちろん機械学習とデータサイエンスは明らかな応用パターンだ。しかも企業はまた、ビジネスインテリジェンスやレポートなど、従来はデータウェアハウスに関連付けられてきたことも行っているのだ。ゴッシ氏がこの種の利用法を指すために使う言葉は「Lake House」(レイクハウス)だ。Databricksは、Sparkが単にHadoopを置き換えたりETL(Extract、Transform、Load)に使われるだけでなく、上記のような目的にますます使用されるようになっていることを理解している。「私たちが目にしたこの種のレイクハウスパターンが、より頻出するようになってきたので、私たちはそれに倍賭けしようと考えたのです」。

本日リリースされたSpark 3.0は、プラグインなデータカタログをSparkに追加できる新機能に加えて、上記のようなユースケースの多くを可能にし、大幅にスピードアップしたものになっている。

ゴッシ氏によれば、Delta Lakeは本質的にはレイクハウスパターンのデータ層に相当するものだと言う。たとえば、データレイクへのACIDトランザクション、スケーラブルなメタデータ処理、およびデータバージョン管理のサポートをData Lakeは提供する。すべてのデータはApache Parquet形式で保存され、ユーザーは自分でスキーマを適用することができる(必要に応じて比較的簡単にスキーマを変更することもできる)。

Linux FoundationがApache Foundationをルーツに持つことを考えると、DatabricksがこのプロジェクトのためにLinux Foundation選択したことは、興味深い。「彼らと提携できることをとてもうれしく思っています」とゴッシ氏は口にして、同社がLinux Foundationを選んだ理由について以下のように語った。「彼らは、Linuxプロジェクトだけでなく、多くのクラウドプロジェクトを含む、地上最大のプロジェクトたちを運営しています。クラウドネイティブのものはすべてLinux Foundationの中に置かれています」。

「中立的なLinux FoundationへDelta Lakeを移管することによって、このプロジェクトに依存しているオープンソースコミュニティたちが、オンプレミスとクラウドの両方で、ビッグデータを保存および処理する技術を開発しやすくなります」 と語るのはLinux Foundationの戦略プログラムVPであるMichael Dolan(マイケル・ドーラン)氏だ。「Linux Foundationは、データストレージと信頼性の最新技術を向上させて業界の幅広い貢献とコンセンサスの構築を可能にするオープンガバナンスモデルを、オープンソースコミュニティたちが活用しやすくなる手助けをいたします」。

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(翻訳:sako)

Pixel 4に搭載されるGoogleの最新録音アプリはリアルタイムで自動文字起こし可能

米国時間10月15日に開催されたハードウェアイベントで、GoogleはAndroid用の新しいボイスレコーダーアプリを発表した。これは、リアルタイムの音声処理、音声認識、AIといった最新技術を利用して、人が話している最中に音声を聞き取ったテキストをリアルタイムで自動生成するもの。このような進化によって、スマホの録音機能がさらに便利に活用できるようになる。インターネットに接続していない状態でも録音をテキストに変換できる点にも注目だ。

この機能は、Otter.aiReason8、あるいはTrintなど、同様にAIを活用した文字起こし機能を提供する他社と、新たに競合することになる。Googleが説明したように、このアプリのすべての機能は、デバイス上で直接実行される。つまり、機内モードで使っている際にも、音声とともに正確な文字情報を記録することができる。

「会議、講演、インタビュー、その他保存したいものなら何でも、文字起こしできるわけです」と、Googleのプロダクトマネージメント担当副社長であるSabrina Ellis(サブリナ・エリス)氏は述べた。

このRecorderアプリは、今回のイベントでは、ステージ上でライブでデモされた。画面に表示された内容から見る限り、まったくエラーのないテキスト生成を実現していた。一般的な文字起こしアプリは、現実の環境では、バックグラウンドのノイズや、バンド幅の問題によってエラーを発生することが多い。このイベントのデモでは、おそらく音源に直接接続されていたものと思われるが、そうでない場合、つまりテーブルの上にスマホを置いた状態やノイズが多い環境で、Recorderアプリがどのように機能するか、そのあたりはわからない。

同アプリは、音声、単語、フレーズなどで検索できる高度な検索機能も備えている。検索結果は、検索条件に合致するすべての部分が再生バーの上でハイライト表示される。その部分をタップすれば、直ちに必要な部分の実際の音声を再生できるというわけだ。

現状では、Recorderが認識するのは英語のみだが、Googleによれば将来的にはさらに多くの言語のサポートを追加する予定だという。

このボイスレコーダーアプリも、Googleが音声処理とリアルタイムの文字起こしに関して、最近成し遂げた多くの成果のうちの1つに数えられる。同社はすでにこの春、オフラインで迅速に動作する新たな音声認識システムを導入していた。同社のスマートフォンであるPixel用のキーボードアプリ、Gboardとしてリリースされたものだ。またGoogle I/Oでは、アクセシビリティの改善策として、Androidでライブの文字起こしと字幕表示ができるアプリを発表していた。ボイスレコーダーアプリに同様の機能が追加されたのも、当然の流れだったと言える。

同アプリは、ほかのいくつかの新機能とともにGoogleの新しいスマートフォンであるPixel 4に導入される。なお、このアプリをそれ以外のデバイスに導入する予定についてGoogleは何も触れなかった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

サムスンがAndroid 10 One UIのベータ版を公開

予定していた10月初旬のリリースを延期した後、Samsung(サムスン)はAndroid 10で動作するOne UIのベータ版を配信した。Androidのスキンに相当するバージョン2.0は、最初のバージョンのベータ版(2018年11月にリリース)からわずか1年足らず後に登場した。そのコンセプトは初期バージョンに逆行するもので、Google(グーグル)のオペレーティングシステムをよりシンプルにしようとしている。

メーカー各社がAndroidに独自カスタムをほどそうとしているのは、たとえ時に見当違いだとしても、理解できる。Samsungの最初のOne UIの狙いは、ソフトウェアとハードウェアが完璧な調和で協力し、動作することだ。

One UIは主にこの分野で成功している。そして当然ながら、サムスンはそのロールアウトに慎重で、Android 10のリリース前に、再度パブリックベータ版の配信を選択している。「いくらかの」米国のGalaxy S10の所有者は、米国時間10月14日からパブリックベータプログラムにサインアップできる。なお、正式リリースは「数カ月後」に予定されている。つまり、多くのGalaxyスマートフォンからフィードバックを集めようとしているのだ。

サムスンによると、新機能は次のとおりだ。

  • 新しくよりスマートなアニメーションアイコンのレイアウトと、エッジライティングの改善
  • コンテンツ表示時に画面の明るさを下げ、バッテリー消費を節約する拡張ダークモード
  • 小型化したポップアップ、埋め込み式の読み込みインジケータ、必要なボタンのみの表示機能
  • アプリケーションを一時停止するフォーカスモード

サムスンのブログには、詳細な情報が掲載されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Twitter公式アプリのMac版がMac Catalystアプリとして復活

Twitter(ツイッター)の公式アプリが、Mac Catalyst対応アプリとして米国時間10月10日に公開された。6月にアップルがWWDCでMac Catalystを公式に発表した後、同社はこれを利用してアプリを開発するといち早く表明していた。Mac Catalystは、iPad用アプリをMac版に移植するためのアップルの新しいツールセットで、最新macOS Catalinaに搭載されている。

Mac Catalystは、iOSの開発者がMacのエコシステム向けのソフトウェアを簡単に作れるようにするものだ。開発者は、既存のiOSプロジェクトとソースコードをベースに、Macのネイティブの機能を追加し、タッチ操作をキーボードとマウスの操作に変更することができる。

TwitterはMac Catalystアプリとして登場が待ち望まれていた。Mac Catalystで作られるからという理由だけではない。Twitter社は昨年、Macのデスクトップクライアントを廃止し、デスクトップユーザーに対しTwitterのウェブサイトを使うようにと案内していたからだ。

ウェブではなくネイティブのアプリを使いたいMacユーザーは、TweetDeck、Twitterific 5、Tweetbot 3などの他社製アプリに乗り換えた。TweetDeckはソーシャルメディアの仕事をしている人やパワーユーザー向けのアプリだ。Twitterific 5とTweetbot 3は公式のクライアントアプリの代替に適しているが、有料で余分な機能が多い。

Mac Catalystの新しいTwitterアプリは無料で、Twitterプラットフォームのほかのアプリとエクスペリエンスが一貫している。コードベースを共有しているのでインターフェイスにはなじみがあり、ダークモードにも対応している。ただ、タイムラインがリアルタイムで更新されないことが、ユーザーから多く挙げられている不満のひとつだ。

ほかに不満として挙げられているのは、フルスクリーンで適切に表示されないことや、ツールバーが2段になっているのは収まりが悪いといったことだ。さらにデスクトップクライアントとウェブアプリの不自然な相違点もいくつか指摘されている。

とはいえ、デスクトップに公式アプリが復活したことは、全般に好評だ。指摘されている不満はこれから解決するかもしれないし、そう願いたい。

TwitterアプリはmacOS Catalinaでのみ動作する。おそらく、macOS Catalinaにまだアップデートしていないユーザーもいるだろう。アプリは無料で、Mac App Storeからダウンロードできる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleがモバイルコンテンツ高速化技術AMPをOpenJS Foundationに持ち込む

モバイルのウェブをスピードアップするGoogle(グーグル)のプロジェクトであるAMPは、やや批判もあったが、一貫してオープンソースであるにもかかわらずGoogleの影がつきまとっていた。しかし米国時間10月10日にGoogleは、AMPフレームワークがOpenJS Foundationに加わると発表した。このLinux Foundation傘下のグループは昨年、Node.jsとJSの両ファウンデーションの合併により誕生した。OpenJS Foundationは現在、jQuery、Node.js、webpackなどの本拠地で、AMPはこのファウンデーションのインキュベータ事業に加わる。

Googleのような大企業は、安定に達したオープンソースのプロジェクトをファウンデーションに寄贈する傾向がある。今年で4歳になるAMPプロジェクトもまさにそのケースに相当し、Googleによると今ではそれは、3000万以上のドメインで数十億のページの制作に使われている。昨年GoogleはAMPの開発を監督するTechnical Steering Committee(技術的方向性委員会)を立ち上げたが、その委員会はプロジェクトをOpenJS Foundationに持ち込むことで合意していた。

そのTechnical Steering CommitteeのメンバーMalte Ubl(マルテ・ウブル)氏が本日の発表声明で次のように述べている。「今年で4年になるAMTがその旅路の次のステップに進むことは極めて喜ばしい。このところ私たちは、AMPに最良の家を与えることを考えていた。OpenJS Foundationに決めたのは、当委員会の多様なメンバーのお世話をするために最適の場所だからだ。このステップは、オープンな統治に向かうこの前のステップの次の一歩であり、これにより透明性とオープン性に一層フォーカスできるようになる」。

Googleによると、JavaScriptとその関連技術の振興を目標とするOpenJS Foundationは、「ウェブのコンテンツにユーザーファーストのフォーマットを提供する」AMPのミッションと相性がいい。また同社によると「同ファウンデーションではプロジェクトのアイデンティティと技術的フォーカスを維持でき、またAMPの統治モデルはすでにJS FoundationとNode.js Foundationからの影響でできたことを強調したい」という。

Googleは今、OpenJS Foundationの最上位の会員種別であるプラチナ会員であり、AMPプロジェクトのサポートを継続するとともに、AMPにフルタイムで関わるエンジニアを数名起用する。

関連記事:Node.jsとJSが合併の意向を共同発表、JavaScriptコミュニティーの統合を図る

画像クレジット: Google

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AdobeのCreative Cloudアプリが外観を一新

Adobe(アドビ)はここ数年、製品ラインアップとクラウドベースのサービスを拡大してきたが、そのコアとなる他のアプリをダウンロードするデスクトップアプリのCreative Cloudには、やや制限が見受けられた。そして米国時間10月10日に同社は、Creative Cloud Librariesや検索機能、コンテンツの管理機能をさらに統合し、完全に再設計されたCreative Cloudアプリを発表した。これにより、このアプリはただのインストーラーではなく、Creative Cloudアプリを横断して作業するためのコマンドセンターとなる。

このアップデートのロールアウトの方法は少し変わっている。本日からフランスとドイツで、明日には日本で始まる。米国およびその他の地域の顧客は、来週中にはデスクトップでこの機能が使用できるようになる。

以前と同様にこのアプリの中核的な機能は、Creative Cloudの他のツールのインストールの支援だ。これは変わっていない。しかし以前のバージョンとは異なり、アセットのプレビューを表示する新しい全画面管理ツールによりライブラリの内容をより簡単に確認できるようになった。またAdobeによるとライブラリの共有も容易になったという。

Creative Cloudアプリには、さまざまなCCアプリの使い方を学ぶためのTutorial Hubも用意された。これは最近アドビが注力している取り組みだ。例えば、最新のCCバージョンのLightroomにも、チュートリアルが組み込まれている。

PCにインストールしたフォントを管理することもできる。ただ残念なことに、以前と同じくインストールしたいフォントを検索して指定するには、ウェブアプリを使う必要があるようだ。アドビがこの比較的に基本的な機能をアプリに組み込んでいないことは驚きだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがペアレンタルコントロールにアプリごとの時間制限を追加

米国時間10月8日、Microsoft(マイクロソフト)はペアレンタルコントロールのソフトウェアに、アプリやゲームごとの利用時間の制限を設けた。この点でアップルとグーグルに差をつけられていたが、追随した形だ。マイクロソフトは、Windows 10とXbox One、そしてAndroidではMicrosoft Launcher経由でスクリーンタイムを制限できるようにしていた。しかし競合他社とは異なり、子供が特定のアプリやゲームに費やす時間を制限する機能はまだ実装していなかった。

これまでのコントロール機能で制限していたのは、画面を見ている時間の合計だけだった。保護者は、その時間の使い方は子供に任せるか、デバイスレベルで制限するか、どちらかを選ぶことができた。例えばXboxの使用は1時間だけで、PCはもっと長時間使っていいというような制限だ。

しかし、スクリーンタイムをすべて非生産的で不健康なものとして管理するのは、現在のトレンドではない。中毒性が高く子供の時間を食いつぶしてしまうアプリやゲームを制限し、その一方で教育に役立つツールにはあまり制限を設けないという方向になっている。

ティーンエイジャーやその少し下の世代では、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアアプリが問題になりやすい。さらにその下の世代ではRoblox(ロブロックス)やFortnite(フォートナイト)といったバーチャルな世界に「入りびたる」ものに熱中して時間を使ってしまう。これはかなり深刻な問題だ。モバイルゲームは、ガチャのようなギャンブル性のある方策で子供たちを引きつけようとしていると非難されている。フォートナイトは、スロットマシンのようなメカニズムと変動制の報酬が子供の脳に悪影響を及ぼし、中毒性があるとして、訴訟を起こされている。

問題となりそうなアプリ自体を制限するのでなければ、子供は設定されたスクリーンタイムのすべてを夢中になっているアプリやゲームに費やしてしまうだろう。

アップルはiOS 12ですでにアプリごとにスクリーンタイムを制限できるようにしていた。グーグルは9月にファミリーリンクソフトウェアをアップデートし、新しいAndroidデバイスにプリインストールして、同様の機能を実現している。

今回のアップデートで、マイクロソフトでも同等のことができるようになった。

アプリやゲームの制限を保護者が設定すると、Windows 10、Xbox、Microsoft Launcherが動作しているAndroidデバイスのすべてにわたってその制限が適用される。つまり子供は、デバイスを変えても決められた時間以上はゲームをすることができない。

保護者は、例えば週末は平日より長く使えるようにするといった設定もできる。

この機能を使うには、保護者はファミリーグループと子供用のマイクロソフトアカウントを作成する必要がある。

この設定を有効にすると、制限時間の15分前に警告が表示され、さらに5分後に警告される。子供は「あともうちょっとだけ」とおねだりしがちなので、保護者は自分のAndroidスマホでメールかMicrosoft Launcherの通知を見て、時間の延長を許可するかどうかを簡単に決められるようになっている。

アプリごとの時間制限は、マイクロソフトのファミリー設定でプレビュー機能として公開されている。

マイクロソフトは発表の中で次のように説明している。「我々の最終的な目標は、アプリやゲームを制限する機能を、家族ごとに異なるニーズに応じて柔軟にカスタマイズできるツールにすることだ。何が子供に最適かを知っているのは保護者だ。テクノロジーがその代わりになれるわけではない。しかし我々は、このようなツールが適正なバランスを保つために役立つことを願っている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleの初心者向けコーディングクラスのGrasshopperがデスクトップ向けにも登場

Google(グーグル)は米国時間10月8日、初心者にプログラミングを教えるためのツールのGrasshopperがウェブベースのアプリとして、デスクトップでも利用できるようになったと発表した。Grasshopperは2018年にArea120からAndroidとiOS向けのモバイルアプリとしてローンチされ、それ以来数百万人によりダウンロードされたという。

デスクトップの大画面かつキーボードから利用できるようになったことで、デスクトップアプリによるコードの学習は、モバイルアプリよりもずっと簡単になった。例えば、デスクトップアプリではインストラクションやコードエディタ、結果のエリアを並べて表示できる。

Googleはさらに、Grasshopperに変数、演算子、ループなどの基本的なトピックの基本クラスに、2つの新しいクラスを追加した。新しいクラスは 「Using a Code Editor」 と 「Intro to Webpages」 で、HTMLやCSS、JavaScriptについてさらに学べる。

なぜ「Using a Code Editor」のクラスが有用なのかというと、最初のコースでのコーディング作業のほとんどは手作業でコードを入力するよりも、短いコードをクリックして正しい順序に並べることが多いからだ。

すべてのコースを修了すると、ユーザーは簡単なWebページを作成できるようになり、さらにCodecademyなどの他のプラットフォームでより難しいコースを受講できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleがスピーカーやスクリーン間で動画や音楽の移動を容易にする機能を発表

Google(グーグル)は米国時間10月8日、Google アシスタントとスマートホームデバイス間で、いろいろな部屋を歩き回りながら音楽や動画を簡単に持ち運べる、細かいが気のきいた機能を発表した。

Stream transferでは、Google アシスタントに音楽を別のスピーカーに移動させるように指示したり、 スピーカーグループが適切に設定されていれば、そのスピーカーとテレビへと移動させられる。使い方は「ヘイグーグル、寝室のスピーカーに音楽を移動させてくれ」というだけだ。またボイスコマンドのほかにも、Google HomeのアプリやNest Home Hubのタッチスクリーンも利用できる。

これは、Chromecast対応のスピーカーやディスプレイで再生できる、あらゆるメディアで動作する。

Googleがこのような機能を導入するのに、これほど時間がかかったのは驚きだ。しかし、同社は家庭に十分なデバイスが存在するのを待つ必要があったのかもしれない。「たくさんのユーザーが複数のテレビ、スマートスピーカー、およびスマートディスプレイを所有しているので、部屋から部屋へ移動する際にメディアを簡単にコントロールできるようにしたいと考えていた」と、Googleは発表の中で伝えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

いよいよ登場したmacOS Catalinaの目玉はやはりSidecar

ここ数年、Apple(アップル)がmacOSに施してきたアップデートは控えめなものだった。それも当然かもしれない。Facebookがボタンの配置を変えるたびに、ネット上で大騒ぎになることを思い出すまでもなく、UXデザイナーにとって、変更は少しずつ、微妙なものに保つことが肝要となっている。最近では、OSの設計についての全般的な哲学も、どちらかと言うと操作性の改善を目指すものが中心となり、大きな変更にはゆっくり時間をかける傾向が強くなっているように思われる。

消費者に対して毎年オンラインでアップグレードを提供するという規範は、Appleが率先して常態化させたもの。そのためもあってか、macOSのアップデートは、目新しさを維持するためには、いささか控えめなものになり過ぎたきらいがある。正直なところ、それ自体ははまったくかまわない。毎年のように登場するラップトップの新モデルが、華やかな新車だとすれば、OSは、運転中にずっと安心して握っていられる、できのいいハンドルのようなものだからだ。

Catalinaは、最近のmacOSのアップデートとは異なった傾向を見せていて、目立つ内容が多くなっている。底流する精神は変わっていないとしても、日常的に利用するアプリの中には、根本的な変更が加えられたものもある。それによって、普段の使い方が変わってくるのはもちろん、将来のデスクトップ用OSの進化の方向性に影響を与えるものもありそうだ。

最も目立った変化は、iTunesが鳴り物入りで廃止されたこと。その名前自体は、あちこちに名残として存続しているものの、基本的にCatalinaではiTunesの出番はない。このアプリが18年続いたというだけでもすごいことだが、かつて強大な勢力を誇ったアプリの足跡は、Apple Musicに引き継がれる。しかしこの新しいOS上の音楽再生機能は、疑いなくAppleの巨大な収益を生む装置として、有料コンテンツ再生の方向に大きく舵を切ったものとなっている。

それと同じ流れで、Mac用のTVアプリも登場し、今後登場するApple TV+とArcadeのためのお膳立ては整えられた。さらに、いくつか新しいアプリも登場して、Catalinaの公式リリースを祝っている。たとえばPodcastは、デスクトップアプリとして独立したものとなった。とはいえ、少なくとも今のところは、Appleがそこから直接収入を得るような仕組みにはなっていない。それよりAppleにとっては、この急速に主流になりつつあるメディアについて、「ポッドキャスト」という名前を付けるきっかけとなったのは自分であると主張することの方が重要だったのだろう。

一方、Catalystの登場は、将来のMacアプリの種が蒔かれたことを意味する。Apple純正のニュース、株価、ボイスメモ、ホームのような、iPadから移植したアプリに続き、同社はすべてのiPadデベロッパーにCatalystを公開した。iPadアプリを、macOS用に簡単に移植できるようにするためだ。良かれ悪しかれ、この動きは、2つのOSの間の境界を、広い意味で曖昧にするもの。しかしAppleにとっては、これはむしろ実利を重視した動きだったのかもしれない。というのも、iOSの人気が高まるにつれて、Mac用アプリの開発は逆に停滞してしまっていたからだ。これは、こうした状況を打破するためのシンプルな解決策と言える。

アクセシビリティについても、進化した音声コントロール(英語版のみ)など、いくつかの歓迎すべきアップデートが加えられた。また、セキュリティ面でも機能強化が図られている。

ただし、この記事を書くにあたって、私がもっとも強い興奮を覚えたのは、Sidecarだった。私に言わせれば、これはAppleが新機能のリストの中に仕込んだ隠し玉だ。もちろん、これがMusic、TV、あるいはArcardeのように、万人受けするアプリではないことは十分に理解しているつもりだ。ちょうど私は、TechCrunchがサンフランシスコで開催したイベントから戻ってきた ばかりで、余計にそう感じるのかもしれないが、Sidecarは、生産性に関して本物の革新をもたらすものだ。

すべての注意事項を無視して、私はCatalinaのベータ版を、メインの仕事用マシンにインストールした。もちろん、自分で何をしているのか、分かっているつもりだ。もし出先でベータ版が落ちてしまえば、打つ手がなくなってしまうことも含めて。この記事では取り上げてないソフトウェアの問題にも遭遇したが、それはあくまでベータ版でのことと考えている。意外にも、最新版のiPadOSとCatalinaのゴールデンマスターの組み合わせでも、うまく動かない機能があった。しかし、最終版のリリースまでには、すべてスムーズに動作するようになるはずだ。

言うまでもなく、Sidecarも一種の「シャーロッキング」であることには違いない。つまり、昔からAppleがよくやってきたように、元はサードパーティが開発した機能を、自らのOSに組み込んでしまったものだ。そして、この類の機能の場合、ほとんどのユーザーにとって、OSがネイティブでサポートしたもの対抗するのは非常に難しい。ただし、アートの領域で、Apple Pencilのようなものに繊細なタッチを求める人なら、DuetやLunaを検討してみる価値はあるだろう。しかし私のように、iPadを出先でセカンドディスプレイとして使って、表示面積を確保したいというだけの人なら、Sidecarで十分だ。

この機能を有効にするには、関連するすべてのアカウントにサインインするだけでいい。ワイヤレス接続に関する機能がオンになっていることも確認して、ドロップダウンメニューから接続するデバイスを選択する。メインのmacOS画面を、ミラーリングによってそっくりiPadに表示するか、iPadを外部モニターとして、拡張デスクトップモードで使うかも選択できる。ミラーリングの場合には、iPadの画面をタッチスクリーンとして使ったり、Pencilによる入力装置として機能させることもできるというメリットがある。これは、アーティストにとって魅力的だろう。たとえばWacomのような、プロ用のタブレットの代わりに使える可能性もある。

私にとって、セカンドディスプレイは重要だ。外部モニターをつないで、作業スペースが拡がると、それだけで安心できる。複数のウィンドウを同時に開いたままにしておくのもずっと簡単になる。メインのデスクトップでPagesとChromeを使いながら、iPadでSlackを開いておけば、かなりの時間の節約になる。

細かいことを言えば、Sidecarとディスプレイの設定が別々になっているのは、ちょっと面倒に感じる。たいていの場合、私はiPadのある側に座って作業することになる。使用中に、そのまま左右を入れ替えることができれば、もっといいのだが。一方、仮想的なサイドバーが表示されるのも面白いが、ミラーモードの場合には、どうしても余計なものに感じられる。

それはともかくとして、やはりSidecarは、記憶にある範囲でmacOS最高の新機能だと思っている。

私はiTunesがなくなったことは、さほど気にしていない。Appleが、そうすることに決めた理由は、よく理解できる。正直に言えば、むしろ今までそうなっていなかったことの方が驚きだ。私は以前からSpotifyのユーザーで、Apple Musicに乗り換えるつもりもない。Spotifyは、サポートするデバイスの種類が多いのも気に入っている。とりわけApple Musicへの乗り換えは、ユーザーを常に「無料試用」に駆り立てる策略に乗ってしまうことのように感じられる。

ミュージックアプリは、iTunes同様、ローカルに保存された曲の再生も可能だ。しかし、ストリーミングサービスを利用すれば、デジタル音楽の所有権という概念も過去のものとなる。私のアパートのどこかには、何百ギガバイトもの音楽データを保存した、古いハードディスクが埃をかぶっている。いつかまた聴きたくなることもあるだろうと思っていたが、正直に言って、その機会はますます遠ざかっているように感じられる。

Podcastアプリの基本は、iOS版のアプリを使ったことのある人には自明のものだろう。非常にシンプルな作りで、Musicと同じように、聴きたいものを発見することに焦点を合わせている。これをApple Musicから分離させたのは、AppleはこのカテゴリにSpotifyのような巨額の投資をしようとは考えてないことを示しているのだろう。そして今のところ、少なくともその必要はなさそうだ。Appleは、すでにこの分野で非常に有利なスタートを切っているのだから。

Apple TVも、うまくリフレッシュされた。これも、同様に発見に焦点を合わせている。しかし、長期的に見てAppleにとってずっと重要なのは、このアプリが、来月に登場する予定のApple TV+の土台を築くものだということ。HBO、Showtime、Starzなどのプレミアムチャネルがここに統合され、ケーブルテレビを解約して、ネットに乗り換える人の着実な受け皿となる。また、あらゆる対象年齢のコンテンツを取り揃えた、キッズ専用のセクションが登場するのも素晴らしい。

確かにArcadeは、Macがもっと本格的なゲームシステムになるための条件として、誰もが期待するようなものではないだろう。また、そのタイトルの大部分は、モバイルデバイスで遊ぶことを前提に設計されている。とはいえ、月額4.99ドル(約533円)というサブスク料金を考えれば、デスクトップでも遊べるのはかなり魅力的だ。すでに、ゼルダの伝説のイミテーションであり、オマージュでもあるOceanhorn 2が、仕事中の気分転換に適しているかどうかなど、盛んに話題になっている。

写真アプリは、iOS版の主要な機能を多く取り入れている。機械学習によるAIによって、最高のショットを選んでハイライト表示してくれる。また写真は撮影した日/月/年で分類される。写真のプレビューは大きく、ライブフォトやビデオの再生も可能となった。

より実用的な面について言えば、iOSデバイスとの同期とバックアップ機能についても、嬉しいアップグレードが施された。iTunesがなくても使えるようになったのだ。こうした機能に、Finderから直接アクセスできるようになったのは、確かに意味深い変更と言える。そもそも、そこにあるべきものだったのだ。iTunesの中から使えるようになっていたのは、初期のiTunesとiPodを組み合わせて使っていた時代の名残に過ぎないと感じられるものだった。それが、今やFinderサイドバーから直接利用できるようになった。

これまで同様、Macユーザーに対してmacOSの最新バージョンへのアップデートを勧めない理由は何もない。もちろん、それが無料だというのも、それを後押しする要因の1つだ。今回のアップデートは、記憶する範囲では、かなり革新的なものであり、ほとんどの新機能は待ち望まれていたものだ。すでに述べたように、個人的な理由で、Musicだけは愛用することにはならないだろうが、Sidecarは大歓迎だ。

macOS Catalinaは、すでにすべてのユーザーが利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを計るツール「Continuous Insights」

Harness(ハーネス)のCEOで共同創業者であるJyoti Bansal(ジョーティ・バンサル)氏は、ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを計るツールがないことに日頃から不満を感じていた。Harnessは継続的デリバリーをサービスとして提供するツール(Continuous Delivery as a Service)だが、同社の最新製品であるContinuous Insightsは、彼のその不満を解消し管理職が自分のチームのパフォーマンスを正しく知るためのツールだ。

バンサル氏によると、以前から測定なくして改善なしという管理のための格言がある。そしてContinuous Insightsは、エンジニアリングの実効性を計る方法だ。彼は 「人々はソフトウェアのデリバリー工程の良否を知りたがるし追跡調査もしている。Continuous Insightsは、そのためのツールだ」と説明する。

彼によると、パフォーマンスのビューが何週間も何カ月ものデータを引っ張り出さなくても得られるツールはこれが初めてだ。「現在のパフォーマンスを知るためのデータはどうやって得るのか。ソフトウェアのデリバリーはどれだけ速いのか。どこにボトルネックがあるのか。これらに関しては現状では十分な可視性がない。Continuous Insightsは、エンジニアリングのチームがソフトウェアのデリバリーのパフォーマンスを明確に測定し追跡することを、カスタマイズ可能なダッシュボードによって極めて容易にした」と彼は主張する。

Harnessは、DevOps Research and Assessment(DORA)が彼らの本であるAccelerate日本語訳)で定義している4つの重要な測度を計る。それらは、デプロイの頻度、リードタイム、平均回復時間、そしてエラーの変化率だ。バンサル氏は「これらの数字の良い組織はイノベーションの能力でもほかより勝っている」と主張する。逆にこれら4つの測度の悪い企業は市場の後尾を走ることになる。

ContinuousInsights 2

画像提供: Harness

バンサル氏によると、これら4つの領域の測定は、パフォーマンスを調べる方法であるだけでなく、数値を上げることがチーム間の競争になるとゲームの要素が入ってくる。エンジニアリングがもっともデータドリブンな組織だ。といくら言っても、彼によるとこれまではそのためのツールを欠いていた。彼は、Harnessのユーザーが、やがてこの種の厳格さをエンジニアリングに導入することを期待している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

カナダの持ち株会社TinyがJavaScriptプラットフォームMeteorを買収

テクノロジー企業に投資する持ち株会社であるカナダのTiny(タイニー)は10月2日、JavaScriptを中心に据えたオープンソースのアプリプラットフォームであるMeteor(メテオ)の買収を発表した。Dribbble、Flow、Unicorn HuntなどはTiny傘下の会社だ。

Meteorは2011年創業。しばらくは開発者が熱い視線を送っていたが、近年競合するテクノロジーが台頭しつつあり、その勢いはわずかに停滞していた。

Meteorが開発者に約束しているのは、アプリケーションのフロントエンドとバックエンドの両方をJavaScriptアプリとして開発できることだ。Meteorはアプリ管理用のホスティングサービスであるGalaxyも提供する。

Meteorの創業者であるGeoff Schmidt(ジェフ・シュミット)氏は、GraphQLを大規模に実行するためのプラットフォームであるApollo GraphQLに引き続き注力する。

シュミット氏は「面白い状況だった。ApolloとMeteorという2つの素晴らしい製品が、いわば同じ屋根のもとに住んでいた。Apolloが急速に成長し始めたので、時間と資金はまずApolloに使うことが常に正しいと思っていた。時間が経つにつれ、2つの製品を異なる屋根の下に置く必要性がはっきりしてきた。Meteorにも経営資源が回ってくるし成長に必要なスペースも与えられる」と語った。

Tinyは、MeteorとGalaxy、開発者コミュニティへの投資継続を約束した。Meteorの経営をTinyに移行する間、TinyとApolloも密接に連携し「プラットフォームに関する深い知識とTinyの野心的な計画を組み合わせる」という。

もちろん将来の姿はまだわからないが、Tinyには買収企業を浮揚させた比較的良好な実績がある。シュミット氏はまた「近くMeteorやGalaxyに大きな変更を加える予定はない」と述べた。

同氏は「多くの買い手候補と話をしたがTinyと仕事をすることになった。Tinyグループの強みであるデザインとコミュニティが理由だ。Meteorの真の存在価値は開発者の経験とコミュニティ、人々が手が届かないと思っていたことを支援することだ。Tinyはその使命を果たすのに最適の経営資源を備えている」と説明した。

画像クレジット:Daniel Pludowski / EyeEm / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

KongがInsomniaを買収し、API開発のためのKong Studioを提供

米国時間10月2日、APIとマイクロサービスのプラットフォームのKong(コング)は、オープンソースのAPIデバックツールとして人気のInsomnia(インソムニア)を買収したことを発表した。この買収の成果として、RESTとGraphQLのエンドポイントの両方に関してAPIの設計、構築、メンテナンスをするツール「Kong Studio」をすでに提供している。Kongは5月にシリーズCで4300万ドル(約46億円)を調達したことを発表していた。

KongのCEOで共同創業者のAugusto Marietti(アウグスト・マリエッティ)氏は私に対し、同社はプラットフォームを拡大し、ライフサイクル全体にわたるサービスを提供したいと語った。これまではランタイムに集中してきたが、これからは開発者がサービスの設計とテストもできるようにしていきたいという。「我々は、オープンソースのAPIテストプラットフォームとしてInsomniaがナンバーワンであると判断した。Insomniaを我々のポートフォリオに加えることで制作前の部分が強化され、Kong Studioを構築できると考えた。Kong StudioはInsomniaの別の一面と言えるもので、APIの設計に役立つ」と同氏は述べた。

Insomniaは2015年に個人開発者のGreg Schier(グレッグ・シアー)氏のサイドプロジェクトとしてスタートした。シアー氏は2016年にそれまでの仕事を辞めてフルタイムでInsomniaに専念、その後2017年にオープンソース化した。同氏によれば、現在、プロジェクトには100人のコントリビュータがいて、ツールは「数十万人の開発者」に利用されている。

マリエッティ氏は、オープンソースのプロジェクトと、有料のInsomnia Plusのサービスの両方がこれまでどおり運営されると述べている。

Kong StudioとInsomniaの買収に加え、Kongは「Kong Enterprise 2020」と名づけたエンタープライズサービスの最新バージョンも発表した。このバージョンでは新たにREST、Kafka Streams、GraphQLに対応した。さらに、GraphQLに対応しGoでプラグインを書けるようになったKong Gateway 2.0も登場した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoogleのAction Blocksは認知障がい者のスマホ利用を手助ける

米国時間10月2日にGoogleは、新しいアクセシビリティツール「Action Blocks」を発表した。Googleアシスタントの助けを借りて、複数ステップからなる操作を行うショートカットを作れる。その点ではiOSのショートカットなどとさほど変わらないが、Googleはこれを認知障がいをもつ人々のアクセシビリティ機能として使うことを主体に考えている。

「最近スマートフォンでライドシェアリングを予約した人なら、いくつものステップを踏まなくてはならなかったはずだ。スマートフォンをアンロックし、目的のアプリを見つけ、何枚か画面を進めて、目的のオプションを選び、テキストボックスに住所を入力する」と。GoogleのアクセシビリティソフトウェアエンジニアのAjit Narayanan(アジット・ナラヤン)氏は言う。「それぞれのステップでアプリは、使用者が読み書きができて、試行錯誤でものを見つけ、選んだことを覚え、一定期間集中を切らさないことを前提としている」。

Googleの調査によると、重度の認知障がい、例えば、進行性認知症、自閉症、ダウン症などの患者の80%はスマートフォンを使っておらず、こうした障壁が理由のひとつだとわかった。

BedtimeStory 1

Action Blocksは、実質的にはGoogleアシスタントのコマンドを並べたものなので、アシスタントのできることなら何でも、電話をかけることもテレビ番組を見ることもこのツールを使ってスクリプトにできる。Action Blockを設定したら、ショートカットを作成し、ホーム画面にカスタムイメージを置くことができる。

現時点でAction Blocksを利用するには、GoogleのTrusted Testerプログラムに登録しなければならない。将来一般公開されるかどうかはわかっていないが、公開されれば、いろいろな人たちがこの機能を使いたいはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ディスプレイ拡張のDuetがAndroidタブをサポート

Sidecarは素晴らしい。ここ数年でApple(アップル)が導入するソフトウェアの中でもお気に入りだ。しかし、この機能がmacOS Catalinaへ搭載されることは、競合製品を開発していたアプリ開発者にとって破壊的なニュースでもあった。我々は以前、Duet DisplayとAstropadにそれぞれの製品への影響について尋ねていた。

Duetの創設者でCEOのRahul Dewan(ラーフル・デワン)氏は当時、「今夏にいくつかの大きな製品をリリースするが、我々は多様であるべきだ」と語っていた。そして、Androidタブレットとの互換性はかなり優先順位が高かったようだ。数カ月間のベータテストを経て、米国時間10月2日、その機能のリリースが発表された。

「我々のユーザは頻繁に、Androidへの対応を要求しており、また今年からは新しいプラットフォームへと製品を拡張できるように、DuetのAndroidへのリリースに取り組んできた」とDuet Displayは伝えている。「我々は何百人ものユーザーを対象に非公開なベータテストを実施し、できるだけ多くのAndroidデバイスで動作する製品を作ろうとしてきた」。

Android版はiPad版と同様に動作し、Androidタブレットをセカンドディスプレイとして使用できる。つまり他のことはおいておいて、はるかに廉価なノートPC用のセカンドスクリーンが入手できるのだ。アプリでは、有線とワイヤレスの両方が利用可能。現行ユーザーは、MacまたはWindowsのデスクトップ版アプリを最新バージョンにアップデートしておく必要がある。

小規模な開発者がSidecarのようにネイティブサポートされた機能に対抗するのは難しいが、Duetが戦いを続けるのはいいことだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Impalaは単一の標準APIでホテル業界全体をカバーしたい

ロンドンのImpala(インパラ)は、ホテルのデータとの対話をもっと容易にできるようにしたい。そこで同社は、ホテルのレガシーなシステムの上に、あらゆるものを現代的なREST APIで標準化する層を作っている。

そのImpalaがこのほど、シリーズAで1100万ドル(約11億8400万円)を調達した。投資家はStride.VC、Xavier Niel/Kima Ventures、DST GlobalのパートナーであるJerry Murdock(ジェリー・マーロック)氏、そしてこれまでの投資家たちだ。同社はこれまで、シードラウンドで175万ドルを調達している。

基本的にImpalaが望んでいるのは、Stripe(決済API)やTwilio(通信API)、Plaid(フィンテックAPI)などのようにシンプルであることだ。ほんの数行でデベロッパーはImpalaを利用でき、詳細に立ち入る必要はないものに。

ホテル業界はこれまでProperty Management Systems(PMS)というものを使って、部屋や部屋のタイプ、料金、税などなどを管理してきた。

Impalaの共同創業者でCEOのBen Stephenson(ベン・ステファンソン)氏葉「各ホテルはそういう古いシステムに固執しており、その上にオープンなAPIを自ら作る気などない」と語る。

そこでホテル業界でプロダクトを作っているデベロッパーは、現状では各社ばらばらに異なるホテルシステムに接続するために、大量の統合化作業を強いられる。そしてImpalaはそういう違いの大きいホテルシステムの上に標準的なAPIを被せて、プロダクトは一度だけ一つだけ作ればそれで終わりという状態にしたい。

例えば、いろんなホテルの空き室の数を知りたければ、どんなホテルに対しても同じAPIを呼び出して問い合わせできる。1つのホテルでも複数のホテルでも、管理は同じように容易になり、ホテルのシステムと対話するアプリやウェブサイトや内部的サービスの構築も1つのコードで実現できるようになる。

今度得た資金で同社は、そういう統一APIで対応できるホテルシステムをもっと増やしたいと考えている。今は8種類のシステムをサポートしているが、Impalaがホテル業界の普遍的な言語になるためには普遍的なサポートが鍵だ。

Impalaは、直接予約(ダイレクトブッキング)のAPIも作っている。現状では、ブッキングデータを手作業でBooking HoldingsやExpedia Groupのウェブサイト(Booking.com、Priceline、Agoda、Kayak、Expedia、Hotels.com、HomeAway、Trivagoなど)にアップロードしているホテルが多い。チャンネルマネージャーを使っているところもある。

チャンネル・マネージャーはホテルと、そういうホテル情報・予約サイトを仲立ちして、予約情報を1回だけ送ればすべてのサイトにアップロードしてくれる。「でも売り手側からすれば、新しいオンラインセラーを立ち上げたとすると、すべてのチャンネルマネージャーとコネクトしなければならないのだ」とステファンソン氏は言う。

同社の直接予約APIは、ExpediaやBooking.comと新たに競合しようとする者にとってハードルを低くする。また、ホテルの部屋を自分で売らなくてもいいという、新しいタイプの業種の参加も可能にするだろう。そしてたとえば、シティガイドやカンファレンスや音楽フェスティバルなどのWebサイトから直接、部屋を予約できるようになるかもしれない。

それらはBooking.comへの埋め込みではなく、ImpalaのAPIを利用してホテルを直接予約し、コミッション(手数料)を低く抑えられるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa