TableauがAIで分析を高速化するツールを公開

Tableau(タブロー)はSalesforceに157億ドル(約1兆7000億円)で買収されると今年6月に発表されたが、そのずっと前から今秋のアップデート版を開発していた。米国時間9月18日、同社はAIで分析を高速化する「Explain Data」という機能など新しいツールをいくつか発表した。

Tableauの最高製品責任者であるFrancois Ajenstat(フランソワ・アジェンスタッド)氏は「Explain Dataは、データ上で何が起きているかを自動で明らかにし説明する。これによりユーザーは、何が起きたかを理解する段階から、なぜそれが起きたと思われるかを理解する段階へと進むことができる。我々は、先進的な統計エンジンをTableauに組み込んだ。このエンジンが起動すると、ユーザーの代わりにデータをすべて自動で分析する。そして、あるデータポイントの動きに最も関連があると考えられる要因を説明する」と説明する。

この機能のメリットは分析の自動化によってユーザーが時間を節約できること。「先入観を排除して適切に分析し、自動化を活用してデータをより深く見ることにつながる」とアジェンスタッド氏は補足する。

画像:Tableau

同氏は、ユーザーがこれまですべて手作業で分析していたことを考えると、これは大きな進歩だと語る。「人間はあらゆる組み合わせを試してすぐれたインサイトを得ていたかもしれないが、それは手作業だった。これからはこのエンジンを使ってほとんどのことを自動化し、インサイトを見つけることができる」とコメントしている。

この機能には大きな利点が2つあると同氏は言う。AIドリブンであるため、有意義なインサイトをこれまでよりずっと短時間で得られるということと、データを厳密に評価できるということだ。

Tableauは新しいカタログ機能も発表した。これはデータのソースを示す「パンくず」、つまりデータのある位置を提供するもので、ユーザーはデータの出所がどこなのか、関連性があるのか信頼できるのかを知ることができる。

さらに同社は新しいサーバ管理ツールも発表した。大企業全体にTableauを広く展開している場合に、集中管理しやすくするツールだ。

これらの機能はすべて、すでにTableauの顧客に提供されている。

画像:metamorworks / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Googleのペアレンタルコントロールアプリ、ファミリーリンクがより実用的になった

GoogleのペアレンタルコントロールソフトであるFamily Link(ファミリーリンク)が米国時間9月18日、久々の強力なアップデートにより、親がデバイスそのものではなくアプリごとにスクリーンタイムを制限したり、必要に応じてスクリーンタイムを前よりも容易に延長できる機能が加わった。これらの機能は今春のデベロッパーカンファレンスGoogle I/O発表され、Family Linkがもっと完全なペアレンタルコントロールとスクリーンタイムの管理のツールになった。

最も単純なスクリーンタイムの管理方法は子供にデバイスを渡さないことだが、それはあまり現実的でない。親としての私たちは、子供に世界を知ってほしいし、またテクノロジーとの健全で中毒性のない関係を築いてほしい。一部のアプリは、その意図的設計により、子供が長時間我を忘れて没入するように作られている。このネット中毒の問題は、大人にもある。

AppleやGoogleなどのプラットホームメーカーは長年、ユーザーのアプリ中毒に揃って手を貸してきた。彼らはサードパーティのデベロッパーの成功と、それによって得られるお金を歓迎した。彼らに人気のデバイスがジャンクフードのデジタル版だと見られるようになり、彼らもそのことを理解するようになったのはごく最近だ。中毒は激化する傾向がある。でも健康に悪いことは確かだから、制限すべきだ。またもちろん、それは仕事の邪魔にもなる。そこで最近では、スクリーンタイムの管理とデジタルの健康と幸福(Well-Being)という考え方が生まれてきた。

Family Linkも完全なシステムではないが、Android 10以上では最初から組み込まれるうになった。Androidのそれ以前のバージョンなら、単独のアプリとしてGoogle Playからダウンロードできる。

family link

これまでは、デバイスの「ベッドタイム」を設定したり、アプリごとのアクティビティを調べたり、1日の制限時間を設けたり、デバイスの位置を地図上で見てFamily Linkからベルを鳴らしたりはできた。一方で悔しいほど欠けていたのは、子供のスクリーンタイムをもっと細かく定義する方法だ。

現在、教育的なアプリもたくさんある。フラッシュカードもあれば学習案内があり、Kindleの本もある。でもこれまでの大まかで画一的なスクリーンタイムでは、子供がそんな教育アプリからも締め出されることがある。私自身も親だが、子供を完全にスマートフォンから(電話機能以外は)締め出してしまうFamili Linkの1日単位の制限にはためらいを覚える。例えば私への連絡の常套手段であるSMSを制限時間内には使えない。それでは困る。

しかし今回からはアプリ単位の制限となり、個々のアプリの使ってもいい時間を指定できる。子供からの私へのメッセージが不能にされることはない。

逆に、TikTokやYouTubeやモバイルゲームなどは、1週間の許容時間を厳しく設定できる。それに家事のお手伝いが子供のスクリーンタイムにぶつかることはないし、逆にのめり込みがちなお気に入りアプリのRobloxなどの時間は家のお手伝いに当てたい。

しかし、アプリごとの設定は親の手作業が多くなる。私は細かい設定が好きだから気にならないが、「モバイルゲーム」などのカテゴリーごとに設定したい親も多いだろう。今後のアップデートでは、ぜひそれを実現してほしい。

bonus time

今回のアップデートでは、「ボーナスタイム」を指定できる。スクリーンタイムの1回限りの延長だ。

例えば、子供が何かをやってる途中にスクリーンタイムが時間切れになりそうであと数分欲しいというときには、スクリーンタイムの設定を変更しなくても時間を延ばせる。スクリーンタイムの時間切れは、あと15分、5分、1分で警告が鳴るから子供はそれを聞いて親に延長を頼めばいい。

これらのアップデートは本日から、AndroidやiOSのどの機種でもFamily Link(ファミリーリンク)サービスで利用できる。親は自分のAndroidまたはiOSデバイスで設定でき、子供はAndroidまたはChromeデバイスを使える(9月19日現在、日本語版はまだアップデートされていないようだ)。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

都市のデータ収集ツールのReplicaがSidewalk Labsから独立

Sidewalk Labsが作ったReplicaは、都市部における人の動きをマッピングするデータ収集ツールだ。このReplicaが会社として独立した。Sidewalk Labsは、Googleの親会社であるAlphabetが所有するスマートシティテクノロジー企業だ。

新会社のReplicaを率いるのはNick Bowden(ニック・ボーデン)氏で、同社は米国時間9月12日にシリーズAで1100万ドル(約11億9000万円)を調達したことも発表した。このラウンドではInnovation Endeavors、Firebrand Ventures、RevolutionのRise of the Rest Seed Fundが投資した。今回の資金は、現在13人いる従業員の増員、新しい都市への拡大、テクノロジーへの投資にあてられ、Replicaの成長を加速させる。

ReplicaとSidewalk Labsの関係は継続される。Sidewalk LabsとInnovation EndeavorsがReplicaの取締役会に加わる。

Replicaの本社はカンザスシティで、エンジニアリングのオフィスはサンフランシスコに置かれる。そして、さらにいくつかの地域で事業を始める計画だ。同社はすでにカンザスシティ、ポートランド、シカゴ、サクラメントと連携しており、年内にさらに連携する都市が増える。

Replicaのツールは、2年前に始まったModel Labというプロジェクトから生まれた。Model Labは、都市が抱える問題を解決する方法としてのモデリングを研究するプロジェクトだ。Replicaのツールは、一部のプライバシー擁護者からは怒りを買っている。Replicaは、最初のうちは世界中の公的機関と話をして、そこで使われているデータやプロセス、ツールを知ることに集中した。

その結果、次のようなことがわかった。同社によれば、公的機関は交通と土地活用の関連や相互依存性を理解するために必要な情報をすべて持っているわけではない。したがって都市内の人の動きに関する全体像を完全には把握しておらず、公的機関は土地をどう活用するか、どんな交通機関がどこに必要かを決定できる状況になっていない。Replicaのプランニングツールは、こうしたことを踏まえて作られた。

ボーデン氏は次のように書いている。「誰が、どんなふうに、なぜ通りを利用しているかといった疑問に答えることは、交通網を作り、効率的で持続可能な土地活用を考える上で不可欠だ。しかし都市計画のために現在利用できるリソースは、都市部での人の動きを分析するには不十分だ」。

Replicaのモデリングツールは、個人を特定しないモバイルの位置情報データを使って、人々がどのように、いつ、なぜ移動しているかの全体像を公的機関に提供する。移動のモデルは、人口統計データのサンプルを使って作成された人工的な集団と照合され、実際の人口を統計的に幅広く表す新しいデータセットが作られる。その結果、プライバシーに配慮しつつ、公的機関にとってはきわめて有用なモデルになるとボーデン氏は言う。

ボーデン氏は米国時間9月12日に公開したブログで、プライバシーに関する懸念を鎮静化しようとしている。ブログでは、データは「個人を特定しない」、つまり個人の位置情報データは特定されないことを強調している。Replicaは個人の移動に関心を持っているのではなく、モデリングツールは移動パターンを発見し理解するために使われるという。

ボーデン氏はこう書いている。「このため、我々は個人を特定しないデータのみを使用する。その後このデータは、移動の行動モデル、つまり基本的には特定の場所における移動を表すルールのセットをトレーニングするために使われる」。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

オープンソースのライセンス管理ツールのFOSSAが9億2000万円を調達

多くの企業内の開発者がオープンソースを利用するようになっていることに伴い、企業がライセンス要件を遵守することの重要性が増している。セキュリティを保護するためにオープンソースのコードをアップデートする必要もある。こうした課題を解決するのがFOSSAだ。米国時間9月16日、同社はシリーズAで850万ドル(約9億2000万円)を調達したと発表した。

このラウンドはBain Capital Venturesが主導し、Costanoa VenturesとNorwest Venture Partnersが支援した。FOSSAによると、これまでの調達額の合計は1100万ドル(約11億9000万円)となった。

FOSSAの創業者でCEOのKevin Wang(ケビン・ワン)氏は、同社はここ1年半、企業が規約を守って安全にオープンソースの利用を拡大できるようにするツールの構築に集中してきたという。オープンソースの利用の増加は、開発者にとっても規模の大きい企業にとっても全般によいことだと同氏は語る。オープンソースのコミュニティで生まれている革新を利用できる一方で、企業はコンプライアンスを確実にしなくてはならない。

ワン氏は「企業はオープンソースの活用をまさに始めたばかりで、我々はそこを支援する。企業がオープンソースを大規模に利用するにあたり、その利用を管理するプラットフォームを提供する」と説明する。これには3つの要素がある。1つ目は、社内で使われているオープンソースや他社のすべてのコードの追跡。2つ目は、ライセンスとセキュリティポリシーの遵守。そして3つ目は、レポート機能だ。「我々は、オープンソースを大規模に利用することから発生する大量のレポート作成とコンプライアンス業務を自動化する」(ワン氏)。

FOSSAが企業相手に力を入れ始めたのは比較的最近だ。もともとは2017年に、開発者が自分のプログラム中で個人利用しているオープンソースを管理するツールとしてスタートした。ワン氏は、規模の大きい企業でも同じような機能が役に立つというところに大きなチャンスを見いだした。企業は、無数に使われているオープンソースのライセンスを正しく使うためのツールを求めていた。

ワン氏は「企業内でのさまざまな使われ方や本当に複雑でミッションクリティカルなコードベースを、全体にわたって大規模に管理できるツールがないことに気づいた」と語る。しかも、ツールがすでにあるとしても、十分に活用されていないか全体をカバーできていなかったという。

FOSSAは2017年にシードラウンドで220万ドル(約2億4000万円)を調達したと発表し、それ以降、従業員数は10人から40人へと成長した。今回の資金調達で会社は急速に成長し、従業員数はさらに増えるだろう。ワン氏によると、同社の収益と顧客数は前年比で3倍になったという。今回の資金で製品と市場を拡大し、成長を加速させるとみられる。

画像:scyther5 / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

インスタとIGTVに投稿スケジューリング機能を導入

Facebookは、米国時間9月16日に、アムステルダムで開催されているIBC(International Broadcasting Convention、国際放送会議)のセッションで、ビデオクリエーターとパブリッシャー向けの各種アップデートを発表した。その中には、Facebookのライブビデオのブロードキャスト機能であるWatch Party(ウォッチパーティ)、Creator Studio(クリエイタースタジオ)のアップデートが含まれている。細かく見ていくと、ツールの増強、機能の拡充、分析の改良などがある。

中でも目立っているのは、ライブブロードキャストの準備と生放送のための機能強化、Watch Partyイベントの効果的な活用方法、ビデオのパフォーマンスを追跡測定する新たな方法、そしてこれまで待ち望まれていたInstagram/IGTVコンテンツを最長6カ月前からスケジューリングするためのオプションなどだ。

ライブビデオ

ライブビデオに関してFacebookは、Facebook上で実際にライブで放送している人たちからのフィードバックに耳を傾けた。そしてリクエストの多かった機能を、プロフィールではなくFacebookページで利用できるよう、現在展開しているところだという。この変更は、Facebookのライブ放送機能を、たとえばYouTubeのようなプラットフォームに代えて、あるいはそれらに加えて利用したいと考えているプロのブロードキャスターの要求に応えるもの。

パブリッシャーは、LiveのAPIを利用して、ライブ放送について「リハーサル」機能が使えるようになった。この機能が利用できるのは、ページの管理者と編集者だけだが、新たな制作環境やインターラクティブな機能をテストしたり、実際の視聴者に公開する前に、フォーマットを確認したりすることができる。Facebook上で、月に何百時間ものライブをブロードキャストしているQVCも、この機能をテストした。新しいワークフローとフォーマットを試してみたかったからだ。

パブリッシャーでは、ライブビデオの最初と最後の部分をトリミングすることもできるようになる。また、以前の上限が4時間だったのに対し、その2倍に相当する最大8時間ものライブをブロードキャストすることが可能となった。

この時間の延長は、例えばすでにNASAが活用し、8時間にわたる宇宙遊泳をブロードキャストしている。また、ライブスポーツ、ニュースイベント、あるいはTwitchのようなゲームのブロードキャストに対しても、余裕のある時間枠となっている。

おそらく最も注目すべきことは、ライブのブロードキャスターはFacebook以外の視聴者も対象に放送する必要があるということを、Facebookが認識したことだろう。今後パブリッシャーは、複数のストリーミングサービスに対して同時にブロードキャストすることを可能にするアプリを利用できるようになる。これもLive APIの同時放送機能を利用したもの。

同社によると、ライブビデオ機能は、最近Facebook Liteでも利用可能になったという。

Watch Party

Facebookはさらに、同時視聴機能であるWatch Partyについてもいくつかの新しい機能を発表した。これには、Facebookページで事前にパーティーをスケジューリングして予告する機能、パーティに参加しなかった人も放送後にビデオを楽しめる「リプレイ」のサポート、ブランドのコンテンツでビジネスパートナーにタグを付ける機能、さらに新しい分析機能が含まれている。

分析機能としては、2つの新しい測定指標がCreator Studioに追加された。Minutes Viewd(視聴分数)と、Unique 60s Viewers(Watch Partyで少なくとも60秒間視聴したユニークなユーザーの総数)だ。これらは、リーチやエンゲージメントといった、既存の指標を補完するもの。

Live Commenting(ライブコメント)機能は、Watch Partyでホスト自らがコメントをライブで表示できるようにするもの。これも全世界的に利用可能となった。

Creator Studio

そして最も大きなアップデートが、Creator Studioに組み込まれた。パブリッシャーは、これを使ってFacebookとInstagramの両方に対してコンテンツを投稿し、管理し、収益化し、評価することができる。

Creator Studioのダッシュボードには、もうすぐLoyalty Insights(ロイヤルティのインサイト)に新しい視覚化レイヤーが追加される。クリエイターは、どのビデオに視聴者が戻ってくるかを計測することで、忠実なファンが見たいのはどのビデオなのかを把握することができる。

新しいDistribution(配信)指標は、ページの各種指標の履歴の平均に基づいて、個々のビデオのパフォーマンスに点数を付けるもの。その指標には、1分再生数(動画が1分以上再生された回数)、平均視聴時間、リテンション(持続率)といったものが含まれる。この機能は、今後数カ月の間に展開される予定だ。これにより、ビデオのパフォーマンスがわかりやすい数字で把握できるようになる。

Creator Studioは、さらに13の言語について、自動キャプション付け機能のサポートを追加する。内訳は、アラビア語、中国語、ドイツ語、ヒンディー語、イタリア語、マレー語、ロシア語、タガログ語、タミル語、タイ語、トルコ語、ウルドゥー語、ベトナム語だ。これ以前には、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の4言語が、すでにサポートされていた。

InstagramとIGTVのスケジューリング

そして最後に取り上げる機能は、パブリッシャーとクリエイターが、Instagramのフィードと、IGTVのコンテンツを、最長6カ月前から、スケジューリングして公開できるようになるというもの。Facebookによれば、あと数カ月のうちには、InstagramのフィードとIGTVの下書きと編集機能も利用できるようになるという。

これらの機能は、今回の発表の前に非公式に発見されたことが報告されていて、Instagramの管理者やインフルエンサーのコミュニティをにぎやかにしていた。実は、昨年のInstagramのAPIの更新によって、先にサードパーティのアプリケーションによるスケジューリングは可能となっていた。ただし、純正アプリによる機能は、そうしたAPIを使ったサードパーティの機能に比べると、制約の少ないものとなっている。

この機能は、現在、Facebookページのすべてのクリエイターとパブリッシャーに公開されている。これまでは「近日公開」のように表示されたり、実際には動作しない状態となっていたものだ。ストーリーのスケジューリングについては、まだ実現されていない。しかし、今後いつの間にか追加されたとしても驚くには値しない。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ウォルト・ディズニー・スタジオが映画製作をクラウド化 、Azureと提携

最近では、あらゆるものがクラウドに移行しているようにも思える中、映画制作が取り残されているのはなぜなのか?米国時間の9月16日、ウォルト・ディズニー・スタジオは、Microsoft(マイクロソフト)と今後5年間の提携を発表した。コンテンツ制作をAzureクラウドに移行する方法を模索するための、イノベーションラボの設立に関するもの。

このプロジェクトでは「Walt Disney StudioLAB」という名前の実験的なワークスペースを設ける。そこではディズニーのスタッフが、さまざまなワークフローのクラウドへの移行を試してみることができる。ここには、映像制作ソフトウェアの会社であるAvid(アビッド)も一枚噛んでいる。

このような3社が協力して動くことで、創造的なクラウドベースのワークフローが生み出されることが期待されている。それにより、この高名な映画制作会社であるディズニー・スタジオのイノベーションサイクルを加速できるはずだ。大企業はどこも、コアとなるビジネスの種類に関係なく、革新する方法を模索している。ディズニーも例外ではないということ。

映画制作には、非常に膨大なコンピューティングリソースが必要となるため、クラウドは、そのための最適なモデルと考えられる。シーンのレンダリングやSFXの追加など、必要に応じてリソースのスケールを増減することができるからだ。ディズニーのCTOであるJamie Voris(ジェイミー・ヴォリス)氏が言うように、そうしたプロセスを効率的なものにすれば、コストを下げ、製作期間を短縮することができるはずだ。

「今回のマイクロソフトとのイノベーションを目指した提携により、私たちのプロセスの多くを最適化することができるでしょう。それにより、私たちの才能のある映像作家が自分の得意なことに集中できるのです」とヴォリス氏は声明の中で述べている。これは、一般的に大きな組織が求めているのと同様の、クラウド化のための価値提案となる。日常的なタスクを自動処理に任せることで、市場導入までの機関を短縮しようというわけだ。

この提携は、すでにマイクロソフトがAvidと結んでいる協力関係の上に成り立つもの。そこでは、Azure上でAvidのソフトウェアソリューションを利用し、映画製作会社向けにクラウドベースのワークフローを開発することに取り組んできた。ディズニーは、そこに独自の要件を追加する。そして、5年間のパートナーシップを通じて、より近代的なクラウドコンテキストの中で、必要なワークフローを最適化することを目指している。

画像クレジット:Chris Pizzello/Invision/Getty Images

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

IBMがCloud FoundryとRed HatのOpenShiftを合体へ

ハーグで行われているCloud Foundry SummitでIBMは米国時間9月11日、Red HatのOpenShiftコンテナプラットホーム上のCloud Foundry Enterprise Environmentを披露した。

これまでは、オープンソースのPaaS(Platform-as-a-Service)であるCloud Foundryのエコシステムと、Red HatのKubernetesを軸とするOpenShiftは、互いにずっと競合と見なされていた。そしてどちらのツールも、アプリケーションの開発とデリバリを現代化したいと願うエンタープライズの顧客を奪い合ってきた。しかし最近では、いろんなものが変わった。技術面では、Cloud Foundryはアプリケーションデプロイメントのオプションとして、またアプリケーションのコンテナ化およびCloud Foundryそのものを動かす方法としてKubernetesを採用し始めた

またビジネス面では、IBMがRed Hatを買収したため変化が起きた。IBMは長年、ファウンデーションのトップレベルのメンバーとしてCloud Foundryを支援し、Red Hatは独自のプラットホームを支えてきた。しかし買収が完了した今では、IBMがCloud FoundryをRed Hatのプラットホームに持ち込もうとしているのも不思議ではない。

現状でそれはまだ技術的実験にすぎないが、IBMはこれを同社が完全にサポートするプロジェクトに変えて、Cloud FoundryのユーザーにアプリケーションをOpenShiftにデプロイするオプションを与える。一方OpenShiftの顧客は、自分たちのデベロッパーにCloud Foundry体験を与えるかたちになると考えるのが妥当だろう。

本日のこの発表の前にCloud Foundry FoundationのCTOであるChip Childers(チップ・チルダース)氏は私にこう言った: 「これもまた、両者が良好に協働できることの証明だ。Cloud Foundryのコミュニティが持参するのはデベロッパー体験であり、一方IBMはその偉大なる商業化の履歴が物を言う」。

Cloud Foundryにはその初期ほどの賑やかさはないが、今でも依然として大企業で最も多く使われている開発プラットホームだ。Cloud Foundry Foundationが最近行ったユーザー調査によると、すでにそれを使っている企業は、さらに継続して、今後もっと多くの開発ワークをこのプラットホームへ移したい意向だ。そしてsource{d}のコード分析によると、プロジェクトは毎月5万コミットあまりというペースで継続している。

image024

コミットの推移

Cloud Foundry Foundationの理事長であるAbby Kearns(アビー・カーンズ)氏は「企業がデジタル化へと突き進み、デベロッパーがクラウドネイティブの環境でイノベーションを起こそうとしているときには、ある1つのことが極めて明快だ。それは、彼らがCloud Foundryに、未来を築くための立証済みでアジャイルで柔軟性に富みもちろん快速のプラットホームとして向き合うということだ。この調査では、Cloud Foundryがエンタープライズの全体にわたって提供するアンカーが、デベロッパーによる新興技術の構築とサポートと最大化を可能にしていることも、あらためて強調された」と語る。

なお今週のSummitでは、VMwareに買収されるPivotalがPivotal Application Service (PAS) on Kubernetesを、初期のCloud Foundry支援者であるSwisscomがそのCloud FoundryベースのApplication Cloudの大型アップデートを、それぞれローンチした。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AmazonのDynamoDBにマシン効率で勝るScyllaDBとは?

オープンソースのデータベースはたくさんあるが、NoSQLのScyllaDBは、ほかならぬAmazonのユーザーを惹きつけることによって自らを差別化しようとする。米国時間9月11日に同社は、Amazonの顧客の同社製品への移行を促進するためにAmazonのDynamoDB用のマイグレーションツール(移行ツール)を発表した。

大胆な策だが、でもScyllaはフリーでオープンソースのプロダクトとその有料バージョンを軸としながら、常に大物プレーヤーのあとを追う性癖がある。この前は、分散NoSQLデータベースCassandraのユーザーをScyllaDBに移行させるためのツールを作った。

CEOのDor Laor(ドオール・ラオール)氏によると、DynamoDBの顧客は今やコードをほとんど書き換えずにScyllaDBに移行できる。「今日DynamoDBを使ってる人でも、その同じドライバーと同じクライアントコードを使える。というより、クライアントコードは1ビットたりとも変える必要がない。アクセスを、Scyllaが動いている別のIPアドレスにリダイレクトするだけだ」とラオール氏は言っている。

AmazonのDynamoDBのユーザーがわざわざScyllaDBに移行する理由な何だろう。同氏によると、ハードウェアをもっと効率的に使っているので高速かつ安価な体験を提供するからだ。ゆえに、同じワークロードを少ないマシンでしかも高速に動かせる。もちろんコスト低減に寄与する。

同社はシリーズCのエクステンション(追加)としてEight Roads Venturesがリードするラウンドにより2500万ドルを調達した。これまでの投資家Bessemer Venture PartnersとMagma Venture Partners、Qualcomm Ventures、そしてTLV Partnersも参加した。これでScyllaの調達総額は6000万ドルになる。

同社は創業から6年めで、今の顧客にはComcastやGE、IBM、Samsungなどがいる。ラオール氏によるとComcastはCassandraを400台のマシンで動かしていたが、Scyllaでは同じワークロードをわずか60台で動かせたそうだ。

ラオール氏のデータベース歴は長いが、それはCassandraやDynamoDBなど個別の製品を使うというレベルではない。彼によると「主な目標はデフォルトのNoSQLデータベースになることだ。ビッグデータやリアルタイムのワークロードを抱える人たちが、真っ先にScyllaDBを考えるようにしたい。そうやって、デフォルトになれるだろう」とのこと。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

現実さながらのフェイク映像を簡単に作れる「Xpression」が2.3億円調達、次世代CG技術の開発加速へ

動画や静止画に映っている誰かの顔を乗っ取り、あたかも本人が実際にしゃべっているような映像をスマホから簡単に作れる——。そんなちょっと不思議だけど、ワクワクする体験を手軽に楽しめる「Xpression」というiOSアプリを知っているだろうか。

ユーザーがやることは素材となる動画や静止画を選び、スマホのカメラに向かって喋りかけるだけ。そうすれば自身の顔と素材に映る人の顔を入れ替え、現実さながらの映像をリアルタイムで生成することが可能だ。

たとえば有名人のスピーチ動画を使って本人からビデオレターが届いたような“サプライズ映像”を作ることもできるし、前もって撮影しておいた友人の動画を使って“その友人が絶対に言わなそうなこと”を言っている映像を作ったりもできる。

このプロダクトを手がけるEmbodyMeは、ディープラーニングを用いた映像生成技術などを開発する日本のスタートアップだ。同社は9月12日、複数の投資家を引受先とする第三者割当増資とNEDOの助成金により総額で約2.3億円を調達したことを明らかにした。

EmbodyMeでは調達した資金を活用してコア技術の研究開発を進める計画。「AIで目に見えるあらゆるものを自由自在に作り出す」というビジョンの下、ゆくゆくは次世代コンピューターグラフィックスの中心を担うような存在を目指していきたいという。

同社では過去にもインキュベイトファンドから9000万円、日本政策金融公庫の資本性ローンによる融資で4000万円を調達していて累計調達額は約3.6億円となった。なお本ラウンドの投資家は以下の通りだ。

  • DEEPCORE
  • インキュベイトファンド
  • Deep30
  • Techstars(米国の有名アクセラレータの1つ)
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • 漆原茂氏

現実と区別がつかないリアルな映像をスマホから簡単に生成

Xpressionは冒頭でも触れた通りスマホから簡単にフェイク映像を作れるアプリだ。

EmbodyMe代表取締役の吉田一星氏によると、数年前に話題になった「Face2Face」など近しいコンセプトの研究はあるものの、プロダクトとして実用化しているものはまだない状況。既存の研究とは映像を生成するのに必要な素材や処理時間、動作環境などにおいても大きな違いがあるという。

「類似研究は17時間分の同じ人のビデオを用意した上で、約2週間の前処理時間が必要。なおかつリアルタイムでは動かないといった点が課題になっている。自分たちの技術は静止画や短いビデオでも問題なく、前処理は全く必要ない。さらにモバイルでもリアルタイムに動かせるのが特徴だ」(吉田氏)

実際のところXpressionはどのような技術で成り立っているのか。具体的には以下の3つのディープラーニングモデルを同時に動かすことで、リアルタイムで現実に近いコンテンツを生成している。

  • カメラ越しにユーザーの顔の形状と表情を3Dで推定するモデル
  • 素材となる動画や静止画から、3Dで顔の形状と表情を推定するモデル
  • 口の中など映像として存在しない箇所を画像生成し補完するモデル

表情を推定する技術(3D Dense Face Tracking )においては、従来使われてきた技術が70点以下の2Dのポイントを推定するのに留まっていたところ、Xpressionでは5万点以上の3Dのポイントを推定できる仕組みを構築。より詳細な表情認識を実現する。

同様の技術自体はAppleも保有しているが、3Dセンサーを使っているためハイエンドなiOSマシンが必要。Xpressionの場合は一般的なカメラがあればどのマシンでも動かせるのがウリだ。

また「存在しない箇所を画像生成する」モデルについては近年言及されることも増えてきたGAN(Generative Adversarial Network : 敵対的生成ネットワーク)を活用。吉田氏によると「静止画だけでなく動画を生成でき、モバイルでもリアルタイムに動かせるのは他にはない特徴」だという。

これらに加えて、機械学習の学習データを集める仕組みとして50台のカメラと偏光LEDライトを保有し高精度な3Dフェイシャルモデルをキャプチャできる設備も整えた。

米国の有名アクセラに採択、「ミーム」文化に合わせた新アプリも

EmbodyMe代表の吉田氏は前職のヤフー時代から、スマホのインカメラを使ってキャラクターや他の人物になりきれる「怪人百面相」や自分の分身となるアバターを生成し動かせる「なりきろいど」を開発してきたエンジニアだ。

2013年ローンチの怪人百面相は「Snapchat」や「SNOW」に搭載されているフェイスエフェクト機能のようなもの、2015年ローンチのなりきろいどはVTuberになれるアプリに近い。これらの技術をいち早くプロダクト化してきた吉田氏を中心に、EmbodyMeには先端技術の開発に携わった経験を持つエンジニアが集まっている。

EmbodyMe代表取締役の吉田一星氏

2018年にローンチしたXpressionは、同社が現在取り組む基盤技術を実用化したプロダクトの1つという位置付け。同サービスに関する論文はSIGGRAPH Asia Emerging Technologiesに採択されるなど、技術的な観点でも注目を浴びている。

現時点のアプリダウンロード数は非公開だが、海外比率が約7割と海外ユーザーの利用も多い。今年に入って米国の著名アクセラレータープログラム「Techstars」にも採択され、現地のプログラムに参加。ポジティブな反響も多かったようで、年内を目安にコミュニティ要素などを加えて大幅にバージョンアップしたアプリ(サービス名は同じ予定)を公開することも計画している。

「米国には大きな『ミーム』文化があり、大雑把に説明すると日本における『ボケて』のようなアクションが大規模に行われていて、いろいろな人が同じネタをパロディ化してYouTubeなどに投稿することが広がっている。(Xpressionは)その文化にすごく合致するので、ユーザーが面白い動画を投稿したり、楽しめるようなコミュニティを作っていきたい」(吉田氏)

近年、特に海外ではディープフェイク技術がフェイクニュースなどに使われる可能性も懸念されている。Xpressionもその性質上、悪用される恐れもあるが、電子透かし技術(対象となる映像が自分たちの技術で作られたのか判別できる技術)などを取り入れながら対策をする方針。著作権についても企業と組みクリアにした形で、より多くの素材を使える仕組みを作っていきたいという。

狙うは次世代コンピュータグラフィクスの中心を担う存在

EmbodyMeのメンバー

現在EmbodyMeは基盤技術の研究開発に軸足を置いている段階で、今回の資金調達もそれを加速させることが大きな目的。「アプリは技術のショーケース的な意味合いもある」と吉田氏が話すように、会社としては今後同サービスに限らず、自社技術を用いた別領域のプロダクト開発も検討していく。データを集めながら基盤技術を育てていくことが狙いだ。

たとえばXpressionの技術を使えば「事前に自身のスーツ姿や仕事スタイルの映像を撮影しておくことで、パジャマやすっぴんの状態でも“ちゃんとした格好に見える”ビデオ会議ツール」なども実現可能。動画広告用のクリエイティブ作成やVTuber用のアプリなどエンタメ領域、AIスピーカーと絡めた映像生成ツールなども同様に基盤技術の活用方法として考えられるそうで、すでにプロトタイプの開発が進んでいるものもあるという。

また日本政府がXpressionの技術を使ってG20サミットのプロモーション映像を制作した事例など、他社と共同でプロジェクトに取り組むケースも生まれている。同アプリとほぼ同じものをスマホSDKとして提供する、コア技術の一部を提供するなど座組みは都度異なるが、引き続き他社とタッグを組むことによる技術のアップデートも視野に入れていく。

吉田氏いわく現在は「研究としても初期段階で、自分たちの将来的な構想を踏まえても10%ぐらいまでしか到達していない状況」なのだそう。まずは声や文字だけから表情を動かせる技術、その次は頭部や体全体を動かせる技術などへ少しずつ技術を拡張していくことを目指すが、最終的に見据えているのは「コンピュータグラフィックス(CG)領域での挑戦」だ。

「CGは90年代にアニメーションやゲーム領域で商業的にも大きく成功したが、2020年代にかけてディープラーニングの発展などにより従来とは全く違う形で映像や画像を生成できる技術が生まれ、今までのCGを置き換えていくと考えている。あらゆる人がものすごく簡単にどんな映像でも作れる時代がきた時に、いち早くプロダクトを出して中心的なポジションにいたい」(吉田氏)

アップルが健康調査のためのResearchアプリを米国で年内にリリース

アップルはApple Watchユーザー向けのResearchアプリを新たにリリースする。これは、Apple Watchとその多くのセンサーやヘルスケアアプリから収集されたデータを共有することで、ユーザーが健康調査に個人的に貢献できるようにするアプリだ。米国時間9月10日のイベントで、新しいApple Watch Series 5や健康に関する最新の研究ともに発表された。

ユーザーがApple Watchを通じてデータを共有し貢献できる例として、アップルはミシガン大学、WHO(世界保健機関)、ハーバード公衆衛生大学院、NIH(米国立衛生研究所)、米国心臓協会、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携した最新の研究をいくつか紹介した。

研究テーマには、音が聴覚に与える長期的な影響、月経周期をもとにした不妊症と骨粗鬆症のスクリーニング、活動と運動が健康全般に与える影響などがある。

これまで、アップルとのパートナーシップを通じて健康に関する研究に参加したいユーザーは、その研究専用のアプリをiOSデバイスにインストールする必要があった。新しいResearchアプリは、参加できる研究がまとめられたポータルになる。

アップルは、研究への参加に際し「どのデータを共有するかはユーザー自身が決める」と説明し、また個人を直接特定する情報にアップルは一切アクセスできないとして、ユーザーのデータのプライバシーを尊重することを約束している。

Researchアプリは年内に米国でリリースされる予定だ。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

マクドナルドがApprenteを買収し、ドライブスルーに音声技術を導入

McDonald’s(マクドナルド)はファストフード体験を再発明すべく、テクノロジー企業の買収にさらに力をいれている。米国時間9月10日、同社は多言語での音声注文を自動する会話エージェントを開発するスタートアップのApprente(アプレンテ)を買収したと発表した。

これがファストフードのドライブスルーに適しているというのが、まさにマクドナルドの幹部が考えだ。実際、同社は既にApprenteの技術を一部地域でテストしており「より早く、より簡単に、より正確にオーダーをとる」とされている、音声ドライブスルー(ロボットフライヤーと一緒に)を開発している。

マクドナルドによると、この技術はモバイルやキオスクでの注文でも利用できるという。これにより待ち時間が短縮されるだけでなく、より少ないスタッフで店舗を運営できるようになるかもしれない。

今年初めに同社は、天気や店舗の混み具合にもとづいてカスタマイズされたドライブスルー体験を提供することを目的に、3億ドル(約320億円)以上でオンラインパーソナライゼーションのスタートアップのDynamic Yieldを買収した。また、モバイルアプリ開発会社のPlexureにも投資した。

マクドナルドは現在、シリコンバレーを拠点とするApprenteチームが設立チームとして参加し、Apprenteの共同創設者であるItamar Arel(イタマル・アレル)氏がバイスプレジデントとなる、新しいグループのMcD Tech Labsを創設することで、テクノロジーへの投資を倍増させようとしている。またマクドナルドは、エンジニアやデータサイエンティスト、その他の技術専門家を雇用してチームを拡大すると伝えた。

「テクノロジーのインフラとデジタルの可能性の構築は、Velocity Growth Planの基本であり、高まる顧客の期待に応えると同時に、クルー(従業員)がよりシンプルかつ楽しく顧客にサービスを提供できるようにします」と、マクドナルドの社長兼CEOのSteve Easterbrook(スティーブ・イースターブルック)氏は声明で伝えた。「Apprenteの才能あるチームと彼らが開発した技術は、当社のGlobal Technologyチームが統合されるMcD Tech Labsのベースとなり、イノベーション文化をさらに前進させる」

Apprenteは2017年に設立され、AME Cloud VenturesやMorado Ventures、Pathbreaker Ventures、Point72Ventures、Greylock Partners、StageOne Venturesなどから合計480万ドル(約5億2000万円)を調達したと、Crunchbaseは伝えている。なお、今回の買収の金銭的条件は明らかにされていない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがTo Doアプリの新版をリリース、元アプリWunderlistの創業者の心中は複雑

Microsoft(マイクロソフト)は数年前、人気が高かったiOS用To DoアプリのWunderlist(ワンダーリスト)を買収した。Wunderlistから最高の機能を取り出して、独自の生産性向上のためのリスト管理アプリを開発し、より多くのモバイルユーザーに届けるためだ。以前にもMicrosoftは、これと同様の手法を使っている。後にモバイルデバイス用のMicrosoft Outlookになったメールアプリ、Acompliを買収したことだ。

Wunderlistの場合には、Microsoftは単にアプリのブランドを変更するのではなく、「Microsoft To Do」という新しいアプリを開発した。このTo Doが出てからも、何年にも渡ってWunderlistは生き延びている。それもあって、Wunderlistの創立者は、買い戻すことができないか検討しているのだ。

Wunderlistを開発した6Wunderkinderの創立者、クリスチャン・リーバー(Christian Reber)氏は、最近になって、 MicrosoftがTo Doアプリの新バージョンをリリースするのを機に、Microsoftからアプリを買い戻したいと考えていることをツイートした。

そのツイートによると、リーバー氏は、Wunderlistの再取得を真剣に検討していて、もしできるなら、オープンソースにして無料アプリにしたいと考えているという。彼はさらに、今後開発してアップグレードに加えたいと考えている機能のリストもツイートしている。例えば、共有フォルダーや、 複数チーム間のコラボレーションのための機能、といったものだ。

リーバー氏は、けっして負け惜しみを言っているわけではないだろう。彼はただ、彼のWunderlistについての計画がうまくいかなかったことが悲しいのだと言っている。ただし、Microsoftが買収してくれたこと自体には感謝しているとも。

それはそうとして、Wunderlistというアプリが破棄される予定であることに耐えられないのだろう。

Microsoftは、数年前からWunderlistはなくすつもりであることを明らかにしている。ただしその期限は、Wunderlistのユーザーが納得できるだけの競争力を持つアプリが開発できるまで、先送りにすると言ってきた。

Microsoftは、米国時間9月9日に、Microsoft To Doの新たなアップグレードを公開した。これは、Wunderlistの破棄が近づいていることを示唆している。

今回のアップグレードでは、選択可能な背景の種類を増やし、より洗練されたルック&フィールを実現している。その中には、Wunderlistで人気があった、ベルリンのテレビ塔のテーマも含まれている。

さらに新バージョンには、ユーザーが実行すべきタスクを、アプリがユーザーに対してスマートに提案するスマートリスト機能と、パーソナライズ可能なデイリープランナーも含まれている。このアプリは、iOS、Android、Windows、Macなど、幅広いプラットフォームをサポートしている。

そしてついに、Outlook、Microsoft Planner、Cortana、Android上のMicrosoft Launcherなど、他のMicrosoft製のアプリとも統合された。ユーザーが望めばAlexaとも連携する。

今回のアップデートで、Microsoftはユーザーに、こうした機能を利用するためには、WunderlistからTo Doへ移行することを促している。

にもかかわらずMicrosoftは、Wunderlistの寿命が尽きる日を明らかにしていない。ちなみにApp Annieのデータによると、買収されてから4年以上が経っているのに、Wunderlistは米国のApp Storeで、今でも「仕事効率化」でトップ100のアプリに入っている。これは注目に値する。

Microsoftに、Wunderlistに関する計画の詳細を明らかにするつもりがあるか、またリーバー氏のリクエストに応えるつもりがあるのかどうかを尋ねてみた。

「Wunderlistの最良の部分をMicrosoft To Doに組み込むことができ次第、Wunderlistを破棄します。私たちは、Microsoft To Doがさらに便利で、直感的かつ親近感のあるものになることを楽しみにしています」と、Microsoftの広報担当者は回答した。ただし、リーバー氏のツイートに関するコメントは拒否した。

Sensor Towerのデータによると、Microsoft To Doは、最初に登場してから世界で約580万回インストールされている。その同じ期間に、Wunderlistのほうほ約1000万回もインストールされているのだ。

リーバー氏によれば、彼は以前からMicrosoftに何度もレターを書いてきたが、今回、それを公のものとするためにツイートしたのだという。彼がTechCrunchに語ったところによれば、彼の申し出は本当に真剣なものであり、買い戻しの価格も交渉次第で柔軟に考えているという。「可能性は低いのですが、私はまだあきらめていません」と彼は締めくくった。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルがmacOS Catalinaを10月にリリース

夏のベータテストの後、Apple(アップル)はまもなく次期macOSバージョンことmacOS Catalina(カタリナ)をリリースする。ただし、Appleの更新されたウェブサイトによればリリースは10月だ。いつものように、アップデートはMac App Storeから無料でダウンロードできる。

このバージョンではメディアの取り扱いが大幅に変更されている。すべてにiTunesを使う代わりに、MusicやPodcasts、そしてTVというそれぞれの役割を分担するアプリが導入される。

MacユーザーはPhotosの大幅アップデートにも気がつくだろう。これはiOS 13から多くの機能が移植されており、写真を日付けや月、年で選別された状態で閲覧できる。また、最高の写真を探すのにAI(人工知能)が利用される。

iPadをMacのセカンドディスプレイとして利用するには、これまでDuet DisplayやLuna Displayなどのアプリが必要だったが、macOS Catalinaでは標準機能で実現可能になる。AirPlayのメニューを開き、デスクトップの拡張としてiPadを選ぶだけだ。この機能はSidecarと呼ばれる。

Appleはまた、アクセシビリティ機能も強化している。例えば、音声を使ってアプリを開いたり、ドロップダウンメニューをクリックしたりとアプリを利用するのがより簡単になる。

さらに興味深いことに、新しいバージョンのmacOSではiPadアプリをデスクトップ向けに移植するProject Catalystという仕組みがある。TwitterやGameloft、Atlassianといったいくつかのデベロッパーは、すでにこの機能を利用することを表明している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

iOS 13は米国時間9月19日にリリース

Appleプレスリリースで、iOS 13は米国時間9月19日に利用可能になると発表した。たとえ新しいiPhoneを購入する予定がないとしても、多くの新機能を手に入れることができる。

だがそれで終わりではない。iOS 13.1が米国時間9月30日に利用可能になるのだ。Appleは、ショートカットオートメーションや純正の「マップ」アプリ内でETA(到着予測時間)を共有する機能などのiOS 13.0の機能が十分に安定していなかったため、土壇場でそれらを削除する必要があった。それが、iOS 13.1がiOS 13の直後にリリースされる理由だ。

いつものように、iOS 13は無償でダウンロードすることができる。iPhone 6s以降、iPhone SE、または第7世代iPod touchを持っているならiOS 13をインストール可能だ。

watchOS 6も米国時間9月19日にリリースされる。残念ながら、iPadOS 13のリリースは米国時間9月30日となる。また、別のプレスリリースによれば、tvOS 13も米国時間9月30日にリリースされるようだ。

iOS 13の新機能について簡単に説明する。今年はダークモードに加えて、すべてのアプリがQOL(クオリティ・オブ・ライフ)のアップデートで改善されたように感じる。写真アプリは、ライブ写真とビデオの自動再生、スマートなキュレーション、より没入感のあるデザインを備えた、新しいギャラリービューを備えている。

このバージョンでは 「Sign in with Apple」(Appleでサインイン)と呼ばれる新しいサインアップオプションや、Bluetooth、Wi-Fi、そしてバックグラウンドロケーション追跡に対する同意を得るために多くのプライバシーポップアップを行うことで、プライバシーも非常に重視されている。また純正の「マップ」には、Look Aroundと呼ばれる、Googleストリートビューに相当する印象的な機能が搭載される。この機能は、ほんのひと握りの都市でしか利用できないが、すべてが3Dになっているので、周りを見回して(look around)見ることをお勧めしたい。

多くのアプリケーションがアップデートだれている。例えば新バージョンの「リマインダー」「連絡先」のアプリと共有するプロフィール写真を設定できる「メッセージ」アプリ、テキストの書式設定オプションが改善された「メール」アプリ、月経周期の追跡が可能な「ヘルスケア」アプリ、デスクトップのような機能を備えた「ファイル」アプリ、新しいウェブサイトの設定メニューを備えたSafariなどだ。iOS13のさらなる詳細については私が書いた別のプレビューを参照してのしい。

iPadに関しては、Appleが初めてiPad用のiOSを、iPadOSという新しい名前で呼ぶことになる。マルチタスクが改善され、Apple Pencilはよりきびきびと感じるはずだ。そしてSafariはmacOS上のSafariと同じくらい強力になっている。

関連記事:iOS 13に画期的新機能は少ないがクオリティ・オブ・ライフの改善が満載

[原文へ]

(翻訳:sako)

VivaldiブラウザーがAndroidにやってきた

Vivaldi(ヴィヴァルディ)は、自分のブラウザーを思い通りにカスタマイズしたいと考えている上級者向けの製品であると、自らを位置付けてきた。そうした方針のもと、なんとかデスクトップ市場での地位を確かなものにすることができた。ただこれまではモバイル領域に進出していなかった。今回のAndroid向けVivaldiのリリースにより、その状況も変わるだろう。ちなみにこのブラウザーは、元OperaのCEOだったJon Stephenson von Tetzchner(ヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナー)氏が共同創立した会社の手になるもの。Vivaldiは、デスクトップ版の見た目、使用感、速度を維持しつつ、その強力な機能のすべてをモバイルに持ち込もうとして身動きが取れなくなるようなことは避けている。

私自身はたいていの場合、デスクトップとモバイルで同じブラウザーを使うのがいいと思っている。ブックマークが同期できることが、その主な理由だ。ちなみにVivaldiの場合、ブックマークの同期にGoogleのサーバーは使っていない。それによってトラッキングされるのではないかと心配する人もいるからだという。私が、これまでVivaldiを使ってこなかった主な理由は、デスクトップ版しかなかったこと。本当はVivaldiは、まさに私のようなユーザー向けのブラウザーだったのに。モバイル版の登場で、それも変わるはずだ。

このブラウザーのインターフェースは、全体的に非常に直感的だ。Vivaldiチームは、すべての標準的なUI(戻る、進むの各ボタン、タブの切り替え、URL入力兼検索フィールド)を画面の下部に配置している。これには感謝したいくらいだ。画面上部のアドレスバーとメニューも、もちろん利用できるが、これだけスマホの画面が大きくなっていることを考えると、ほとんどの操作が片手でできるブラウザーはありがたい。

機能について見てみると、Vivaldiは、スピードダイヤル、ブックマークといった基本をすべて押さえた上で、モバイル版ブラウザーには通常は見られないような高度なタブ管理機能を備えている。たとえば、タブのクローンを作成する機能、ページ全体、または表示領域のみのいずれかを選んで撮れるスクリーンショット機能などがある。いろいろな検索エンジンを切り替えて使うことの多い人には、アドレスバー上でのショートカットが便利だ。たとえば、「d」キーによってDuckDuckGoに切り替えるといったことができる。また、ページ内の本文だけを読みやすく整えて表示するリーダービューなど、最近のモバイルブラウザーが備えている機能は、たいてい網羅している。

モバイル版だけでなく、デスクトップ版も含めて、Vivaldiにもう少し期待したい領域は、トラッキングに対する保護機能だ。そのあたりは、最近のFirefoxのリリースが注力している分野であり、MicrosoftのChromeベースの新しいEdgeブラウザーでさえ、トラッキングをブロックする機能をデフォルトで有効にしている。少なくとも現バージョンでは、Vivaldiはまだトラッキング保護機能を標準装備していない。その点は、デスクトップ版ではそれほど問題にならない。拡張機能をインストールすることで対処できるからだ。しかしモバイル版については、Vivaldi自身の手で、もう少しなんとかしてもらいたい。

全体として、Android上のVivaldiは、乗り換えを検討する価値のある製品だ。とにかく高速で使いやすい。もしすでにデスクトップ版のVivaldiを使っているのなら、悩む必要はない。そうでなくても、試しに使ってみる価値は十分にある。ついでに、デスクトップ版をいっしょに試してみるのもいいだろう。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルが反トラスト捜査を受けてApp Storeのアルゴリズムを修正

Apple(アップル)が、App Storeを使って自社製品の競争を優位にしていることは周知の事実だ。TechCrunchをはじめいくつもの報道が数年来この問題を指摘してきた。例えば、自社アプリをランキングチャートの第1位にしたり、 iOS機能と競合するアプリを禁止したり、検索で自社アプリをライバルより上に表示したりしてきた。そして国内外での反トラスト捜査やさまざまな反競争訴訟を受け、AppleはApp Storeのアルゴリズムを修正し、検索結果に表示される自社アプリの数を減らした。

米国時間9月9日にこの変更を報じたThe New York Timesは、アプリランキングの詳しい分析結果をAppleに提示した。

検索ワードによっては、ライバルより前に14種類のApple製アプリが表示されたこともあった。ライバルが上位にランクされるのはApp Storeの検索広告を買ったときだけだとも記事は指摘している。

これは、App Storeを反競争の告発から遠ざけようとしている現在のAppleにとってよくない兆候だ。

去る5月にAppleは、同社がサードパーティ製アプリとの競争を歓迎していることを示すために新しいApp Storeウェブサイトを立ち上げた。そこには、Appleのどの内蔵アプリにも、対応するライバルアプリがApp Storeにあることが説明されていた。

しかし、消費者にとってアプリがストアにあることと見つけられることは別の話だ。

AppleはNew York Times(ニューヨークタイムズ)に対して、この1年にApp Storeでの検索で、必ずしも有力ではないApple製アプリが上位に表示されていたことを認めた。ただし、アルゴリズムを操作したためではないと説明した。自社アプリが上位に来る主な理由としてAppleは、アプリに人気があるから、あるいはよく使われる検索ワードに対応しているためだと語った。また、検索アルゴリズムの中にアプリをメーカー別にグループ化する機能があり、そのためにAppleのアプリが予想以上に高いランキングになっている可能性があるとも付け加えた。

Screen Shot 2019 09 09 at 11.29.20 AM

New York Timesのグラフは、月毎の検索結果の上位に表示されたApple製アプリの平均件数を示している。

Appleは、6月にアルゴリズムを変更し、Apple製アプリが特別扱いされていないようにしたと言っている。しかし、ニューヨークタイムズによるとApp Storeの責任者であるPhlip Schiller(フィリップ・シラー)副社長とApple製アプリを数多く指揮しているEddy Cue(エディー・キュー)上級副社長は、この変更で問題は完全には修正されていないことを認めている。

問題は、Apple製アプリは人気が高いのでそうでないかのようにアルゴリズムを調整しなくてはならなかったことだとAppleは言う。しかし、それが真実かどうかは、Appleが検索、ダウンロード、アクティブユーザー数などのデータを公表していない以上、第三者が検証すること不可能だ。

Apple製アプリはApp Storeを出ていく時なのではないか?

NYTの記事や、アルゴリズム変更の効果のなさを考え合わせると、そもそもAppleのアプリをApp Storeのランキングや検索結果に載せるべきなのか、もし載せるならどう載せるべきかという問題が生じる。

公平を期して言うと、これはAppleに限った問題ではない。現在Googleも同じ問題に直面している。最近、人気アプリBasecampのCEOは、Googleの有料検索広告は「ゆすり」であり、本来検索結果のトップに来るべきBasecampをトップに表示する唯一の方法は広告を買うことだと指摘した。ちなみにライバルも広告を買うこと可能であり、中にはBasecampをキーワードにしているものまである。

同じことはApp Storeにも言えるが、ウェブ全体の広告と比べればスケールは小さい。それはAppleの問題のほうが解決しやすいということでもある。

例えばAppleは、自社製アプリ専用のダウンロードセクションを提供し、App Storeをサードパーティー製アプリ専用にすることもできる。

この種の方法は、ランキングや検索結果におけるAppleの反競争的行為に関する問題を除去する効果もある。しかし、Appleはこの案に反対するかもしれない。ユーザーはApple製アプリを簡単に見つけてダウンロードできるべきであり、App Storeがそのための場所だからだ。しかし現在のApp Storeには、アプリのレビューや開発者のインタビュー、アプリのヒントやサブスクリプション・ゲームサービスのApple Arcadeなどさまざまなセクションがあるので、アプリの「マーケットプレイス」をサードパーティーに解放しても、Apple製ソフトウェアを披露する場所はほかにもあるはずだ。

マーケットプレイスの外に置くだけでもいい。

例えばこんなやり方がある。ユーザーが削除したAppleアプリを再インストールしたり、プリインストールされていないApple製アプリをダウンロードしたいときは、専用のAppleソフトウェアダウンロードページに行く。このページへのリンクはApp StoreアプリやiOSの設定アプリにある。

そのセクションの理想的な場所は、現在のApp Storeの検索ページかもしれない。

Appleは検索画面を変更して、検索結果がAppleアプリのみを返すようにするチェックボックスを作ることもできる。これはAppleソフトウェアをダウンロードしたいというユーザーの意図的行為を示すものであり、「音楽」を検索したユーザーがSpotifyやPandoraなどのライバルより前にAppleの自社製アプリを目にする現在の状況とは異なる。

あるいは、Appleは単にこのページに自社アプリのリストを表示するか、検索画面に専用ページへのリンクを置くこともできる。

以上は1つのアイデアのバリエーションをいくつか示したにすぎない。App Storeの反競争的状態を緩和する方法はほかにもたくさんある。

あるいは、Appleは「You Might Also Like」(「その他のおすすめ」)セクションを自社製アプリの表示に含めることもできる。サードパーティ製アプリはすべてそうなっている。

Image from iOS 1

Apple MusicのApp Store詳細ページ

このセクションは、同じ検索クエリにマッチする他のアプリを、アプリの詳細ページそのものの中で紹介するものだ。ところがAppleのアプリには「More by Apple」(アップルのその他のApp)セクションしかない。つまり、検索トラフィックと消費者の関心を自社内に閉じ込めようとしている。

Image from iOS

Spotifyの App Store詳細画面

あるいは、検索結果で(上位に表示された場合でも)自社製アプリのスペースを小さくすることも考えられる。そうすることで、ライバルのアプリにも注意が行くようにしつつ、Apple製アプリを探しているユーザーにも対応できる。

しかし結局のところ、AppleがApp Storeのデザインに反競争対策を盛り込めなかったことを踏まえると、AppleがApp Storeをどうするかは、規制当局に任されることになるのかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが差分プライバシーライブラリのオープンソースバージョンをローンチ

Google(グーグル)は米国時間9月4日、同社の主要プロダクトで使っている差分プライバシーライブラリ(参考:日本語ブログ記事)のオープンソースバージョンをリリースした。デベロッパーはこのライブラリを使って独自のツールを作り、社内社外に個人を特定できる情報を明かすことなく、集積されたデータを利用できる。

同社のプライバシーとデータ保護部門のプロダクトマネージャーであるMiguel Guevara(ミゲル・ゲネヴァラ)氏は「あなたが、都市計画のプランナーや、中小企業の経営者、ソフトウェアデベロッパーなど、どんなお仕事をしていても、データから有益な知見が得られれば仕事の質を向上し、重要な疑問に答えが得られるようになる。しかし強力なプライバシー保護がないと、あなたは一般市民や顧客、そしてユーザーの信頼を失うリスクを負う。差分プライバシーによるデータの分析は道義にかなったアプローチであり、企業などの組織が多くのデータから学べると同時に、それらの結果から絶対に個人のデータが識別されたり、特定されないようにする」とコメントしている。

Googleの注記によると、このApacheライセンスによるC++ライブラリは、スクラッチから作ることが通常は困難な機能にフォーカスし、デベロッパーが必要とする標準的な統計関数が多く含まれている(計数、和、平均、分散、などなど)。さらに同社は、このライブラリに「厳密なテスト」のための補足的ライブラリが含まれていることを強調している。差分プライバシーを正しく得ることは、難しいからだ。その他PostgreSQLエクステンションやデベロッパーの仕事をサポートするレシピ集なども含まれている。

最近では、同じ文の中に「Google」と「プライバシー」があると、思わず注目してしまう。それも当然だ。Googleの社内にはこの問題をめぐって相当な軋轢があるのだろうけど、でも今回のオープンソース提供は疑問の余地なくデベロッパーの役に立つし、デベロッパーもユーザーも、人びとのプライバシーを侵す心配なく、彼らが作るツールでデータを分析できるようになる。差分プライバシーはかなり専門知識を要する技術だから、これまでは手を出さないデベロッパーが多かった。でもこのようなライブラリがあれば、差分プライバシーを実装しない言い訳がなくなる。

画像クレジット: Bloomberg/Getty Images

関連記事:Appleは差分プライバシー技術を利用して個人データに触らずにSafariの閲覧データを収集
参考記事:一般人が差分プライバシーを理解するためのスライド

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Android 10のジェスチャーやダークテーマの利用法

Googleが今朝からAndroid 10を配信中というニュースはすでに掲載済みだが、アップデートの目玉機能、ダークテーマとジャスチャーナビゲーションを利用するためには設定の変更が必要だ。利用の手順を簡単にまとめてみた。

アップデート

「設定」→「システム」→「詳細設定」→「システムアップデート」と進みアップデートのバナーをタップする。アップデートの際にアプリの最適化も実行されるため、アプリ数によって.30分から1時間くらいかかる。アップデート時には電源を接続しておくほうがいい。「再起動時の自動アップデート」ではアップデートされない場合があるようなので「設定」からアップデートするほうが安全だ。

ダークテーマ

Android 10で最大の注目機能の1つだが、UIデザイン要素であり正確にいえばモードではない。設定時刻になると色調が変わる「夜間モード」と紛らわしいがまったく別物。「設定」→「ディスプレイ」→「ダークテーマ」をオンにする。ダークテーマを利用するとサポートしているアプリはすべて自動的にダークテーマとなる。ただし今のところサポートしているアプリは少ない。ロック画面、ホーム画面を黒にしたい場合は「設定」→「ディスプレイ」→「壁紙」の「カムアライブ」から「バースト、ミッドナイト」など黒系の壁紙を選ぶ。

ジェスチャーナビゲーション

 

このオプションを有効にすると、「戻る」と「ホーム」の2ボタンが表示されなくなる。「設定」→「システム」→「操作」→「システムナビゲーション」と進む。「ジェスチャーナビゲーション」と「2ボタンナビゲーション」のオプションが表示される。それぞれ使い方が表示されているので「ジェスチャーナビゲーション」を選ぶ。

ジェスチャーは、「ホーム」(画面下部から上にスワイプ)、「切り替え」(下から上にスワイプ長押し)、「戻る」(左右エッジからスワイプ)の3種類。 画面下部から上にゆっくりスワイプするとアプリ一覧画面になりアプリの切り替えができる。縮小ウィンドウが表示されたら左右スワイプでアプリ間を移動するのは現行と同様。すべてのアプリを右に移動すると左側に「すべてクリア」が表示される。

記事にもあるように操作のタイミングで望みの動作行われないことがある。またアプリ内「←」アイコンが表示されていることもある。この場合アイコンのタップでもスワイプでも「戻る」動作となる。

セキュリティ・位置情報・広告

「設定」→「セキュリティ」からセキュリティアップデート、Google Playのアップデートが可能になった他、位置情報のコントロールも強化されており、「設定」→「位置情報」から利用できる。「設定」→「プライバシー」→「詳細設定」→「広告」から広告IDのリセットやターゲット広告からのオプトアウトなどができる。

ライブキャプション

Lardinois記事にあったように、まだライブキャプションは来ていないがこれがAndoroid 10で一番重要な機能かもしれない。もともとは聴覚にハンディキャップがある人々にコンテンツを漏らさず伝えたいというところから開発が始まったようだ。しかし我々にとっては英語のスピーチをワンタッチでテキスト化できるわけで応用範囲が広い。精度、信頼性、対応範囲など実際にテストみないと実用性は正確に判斷できないが、YouTubeの自動テキスカ技術のレベルなら期待できそうだ。こちらは改めてテストするチャンスがあるかもしれない。

滑川海彦@Facebook

Google、Android 10をリリース、日本でも配信中

GoogleがAndroid 10の配信を開始した。手持ちのスマートフォンがGoogleからのOSアップデートのダウンロードとインストールをサポートするならすでに利用できる状態だ。今のところこの機能を持つのはGoogle自身が発売するPiexl 3が中心となる。ただし多くのAndroidデバイスはベータ版をサポートするので、ベータ版時代に10をインストールしたユーザーもいるだろう。

最近のAndroid OSの開発は非常にオープンになっているので、機能についてはすでに広く知られている。ここ数回のアップデート同様、一見しただけでは最新版がインストールされているかどうか判別しにくい。もちろんAndroid 10にもさまざまな改良が加えられているが、最も重要なアップデートはデフォルトでは見えない位置に隠れている。

誰もが一番興味を持っていたのはダークテーマ(モード)だろう。Android 10のダークテーマは十分期待に応える出来栄えだ。これにより夜間のデバイス利用が快適になるだけでなく、OLEDディスプレイの電力消費も抑えられる。ダークテーマはGoogleフォトやカレンダーなど多くのアプリが自動切り替えサポートしている。ただしどのアプリがサポートしているかとなるとややランダムで健康アプリのFitはダークテーマをサポートしているが、Gmailはまだしていない。

もう1つの目立つアップデートはジェスチャーによるナビゲーションだ。この機能はオプションで、ユーザーは慣れ親しんだ3ボタンのナビゲーションを使い続けることができる。新しいナビゲーションはAndroid 9(Pie)で提供が開始されたオプションをさらに改良したものだ。Android 9よりもジェスチャーに正確に反応するようになるなど効率性、快適性が高まった。特にジェスチャーによるアプリの切り替え処理が高速になった。

エッジから左右にスワイプすることでアプリを切り替えることで「戻る」ボタンそのものが必要なくなったている(設定アプリの「システム」から変更する)。スワイプのタイミングによってはナビゲーションドロワーが引き出されることがある。実は「ことがある」と書いたもののこれはかなりイライラさせられる経験だ。うまく行くときもあればうまく行かないときもある。プライバシーとセキュリティ関連のアップデートもいくつかある。位置情報データの設定がきめ細かくなった。広告設定も以前よりいくらか目立つデザインになっている。

Google Playアプリがアップデートされ、重要なバグフィックスやセキュリティ機能のアップデートがGoogle Playストアから直接プッシュ配信できるようになった。つまりAndroid OS全体をアップデートしなくてもパッチを導入できるわけだ。Android OSのアップデートのサイクルは遅いのでこれは重要な新機能だ。Googleではシステムをモジュラー化してコアとなるOS部分とセキュリティやプライバシーを管理する部分を切り離していく戦略だ。

あと2つの重要な新機能はまだベータ版のままで、一般に配信されるのはもう少し待つ必要がある。ひとつはフォーカス・モードで不要なアプリを隠して当面の作業に集中できるようにする。これはまだベータ版のみだ。デバイスの利用時間をモニターするデジタルウェルビーイング系の機能だが私の場合、たいして生産性の向上には寄与しそうない。

もうひとつの目玉はあらゆるビデオ、オードィオのコンテンツに自動的に字幕を付加するLive Caption機能だが、こちらは秋にPixel向けに公開されるという。こちらはさざまなユースケースが考えられるの期待大だ。

もうひとつAndoroid 10からは折り畳みデバイスがサポートされるようになった。

以上簡単に見てきたが、あくまでアップデートのごく一部に過ぎない。パフォーマンス、使い勝手の向上のためにさまざまな改良が行われtいる。ただしほとんどのユーザーは特に新バージョンを意識することなく現行Androidの延長として利用を続けられるだろう。ダークモード、ジェスチャー・ナビゲーションなどの大きなアップデートもオプションなので利用するためには積極的に選択する必要がある。しかしこうした漸進的改良はモバイルOSのアップデートにあたってきわめて適切な方向だ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

次期Apple Watchは睡眠トラッキング機能を搭載か

次のApple Watchに搭載されるかもしれない機能の詳細が取り沙汰されている。睡眠トラッキングだ。Apple(アップル)が睡眠トラッキング機能に取り組んでいるとBloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じ、その機能がどんなものになりそうか9to5macが取り上げた。

新機能は次のApple Watchでお目見えするかもしれない。新たなデバイスは来週開かれるAppleのiPhoneイベントで発表されるかもしれないし、秋のイベントでの発表になるかもしれない。すでに販売されたデバイスでこの新機能が使えるかどうかは定かではない。

睡眠をトラッキングするのに別途ハードウェアが必要なわけではない。Apple Watchを手首につけるだけだ。Apple Watchは内蔵の加速度計を使ってユーザーの動きを追跡する。Appleはまた、心拍センサーも活用する計画だ。興味深いことに、ノイズを収集するのにマイクを使うかもしれない。

朝起きるとユーザーはiPhoneの「ヘルスケア」アプリで睡眠の質をチェックできる。9to5macによると、Apple Watch用の新しい「Sleep」アプリも展開される見込みだ。

スマホの目覚まし機能を活用するとき、AppleはアラームをApple Watchにも反映させるようだ。なので、アラームはまずApple Watchで鳴り、iPhoneはバックアップとなる。また。Apple Watchでのアラームはバイブレーションのみにするということも可能なようだ。この機能は起床時間が異なるカップルには特に使い勝手がいいものだろう。

バッテリーの持ちに関しては、就寝前にユーザーにApple Watchを充電することをリマインドする通知を送ることが想定される。Apple Watchのバッテリーは小さいのですぐに充電できる。ものの数分で十分なバッテリーをチャージできるだろう。

睡眠トラッキング機能は新iPhoneとは特にうまく連動するはずだ。噂ではAppleは新iPhoneにワイヤレスでバッテリーを融通する機能を加える。つまり、Apple WatchをiPhoneの背面に置くだけで直接充電できることを意味する。

もしあなたがApple Watchを長く愛用しているのなら、Appleはあなたを新たなApple Watch購入へと誘導し、専用の睡眠トラッカーとして使用させることができるかもしれない。そうすれば就寝前にApple Watchを別のものに付け替えるだけでいい。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)