グーグルが教員向けのコーディング教育リソース「Code with Google」を発表

Google(グーグル)は生徒がコードや既存のスキルを活かすのを助けるコンピューターサイエンスや、さまざまなプログラムを教える無料のカリキュラムを集めた、あらゆるレベルの能力の人に向けたCode with Googleを通じて、教育者向けに新しいコーディングリソースを提供する。

さらにCode with Googleのリソースは単なる学習にとどまらず、例えばサマープログラムやインターンシップ、レジデンシーなど、将来の奨学金プログラムも含む。

グーグルでエデュケーション&ユニバーシティリレーション部門のVPを務めるMaggie Johnson氏はブログ投稿にて、あらゆるレベルの教育においてコンピューター・サイエンスの重要性に対する認識は比較的高いものの、学生向けの体験型プログラミングを含むコースは驚くほど少なく、また一般的にこれらのリソースにアクセスできるのはより裕福な地域の学生に限られると述べている。

グーグルのCode with Googleは無料で、他の教育向けサービスと同様に、学校向けの手頃な価格のChromebooksと組み合わせることができる。グーグルはこの新しいリソースの公開とともに、100万ドル(約1億1000万円)のComputer Science Teachers Associationに対する助成も発表した。

グーグルがあらゆるレベルのスキルと専門教育レベルの生徒と教育者の両方に対して、無料のリソースと簡単に利用できるクラウドベースのソフトウェアを提供することは、教育戦略への取り組みとしては正しい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ソフト開発の分析プラットフォーム「Sourced」がエンタープライズ版を公開

Sourced(同社自身の表記では「source{d}」)は、開発者やIT部門向けにソフトウェア開発のライフサイクルを深く分析するプラットフォームを提供している。コードベースを分析し、利用されているAPIや開発者の生産性に関する情報などの指標を得ることができる。米国時間7月2日、同社はこのプラットフォームのエンタープライズ版を正式に公開した。これにはIT部門や経営陣がソフトウェアのポートフォリオや開発のプロセスを管理するための先進的なツールが多数含まれている。

SourcedのCEOであるEiso Kant(エイソ・カント)氏は次のように語っている。「Sourcedはアクション可能なデータをITのリーダーに提供するプラットフォームで、大規模なエンジニアリング組織のIT戦略を監視、測定、管理することができる。今回のSourced Enterpriseのリリースにより、エンタープライズにおけるソフトウェア開発のライフサイクル全体についてエンジニアリングを適切にオブザーブできるようになる。これは大きな進歩だ」。

ほかのエンタープライズ向けツールがそうであるように、Sourced Enterpriseもロールベースのアクセスコントロールなどのセキュリティ機能や専用サポート、SLAを提供している。IT部門はサービスをオンプレミスでもSaaSプロダクトとしても利用できる。

同社は、エンタープライズ版ではより大規模なコードベースを扱うこともでき、大きなデータセット上での複雑なクエリを数秒、あるいは相当大規模なデータセットでも数分で実行できるとも語った。こうした複雑で高度なクエリを作成するために、エンタープライズ版には多くのアドオンが含まれている。同社は「こうした機能を要望に応じて利用できる。アイデンティティマッチングやコード重複分析といった機械学習に依存することの多い課題を解決するのに役立つように作られている」としている。

サービスには広く使われているプロジェクトマネジメントツールやBIツールが統合されている一方、オープンソースのBIアプリケーションのApache Supersetも内蔵のデータ可視化ツールとして付属している。

こうしたデータ可視化機能は、Sourced Community Editionのプライベートベータでも利用できるようになった。

エンタープライズ版を公開前にテストしたオープンソースのCloud Foundry FoundationのCTO、Chip Childers氏は次のように語っている。「Sourced Enterpriseによって、Cloud Foundryのコードベースの進化、開発パターン、トレンド、依存関係がすべてダッシュボードにわかりやすく表示され、有用な知見を得られた。自社のコードベースとエンジニアリング部門がどうなっているかを本当に知りたいなら、Sourcedはぴったりだ」。

現在までにSourcedは、First VC、Heartcore CapitalXavier Nielなどから1000万ドル(約11億円)を調達している。

画像:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 13ベータにFaceTimeの視線補正機能を発見、ビデオチャットの対話性が大きく向上

Apple(アップル)はこの秋に一般公開予定のiOS 13のFaceTimeに視線を補正する機能を追加していることが判明した。 Attention Correctionと呼ばれる機能はiOS 13のデベロッパー向けベータ版で発見されたもので、FaceTimeを利用したビデオチャットの体験を劇的に改善する。一般向けベータ版は今週中に公開されるはずだ。

ビデオチャットで会話するときユーザーは画面を見つめているため、視線はカメラに向いていない。しかし新しい補正機能を使えば実際に相手の目を見ながら対話している効果を与える。

FaceTimeで会話するとき画面の中の相手の視線がずれているのが大きな違和感となっていた。我々は画面の中の相手を見ているので画面の外の小さな黒い丸、つまりカメラのレンズを見ていないからだ。

iOS 13でFaceTime Attention Correctionを発見した。これはすごい。テスト画像を添付した。(左が修正後、右が修正前)

今のところFaceTimeの視線修正機能はiPhone XSとXS Maxでのみ利用できるようだ。つまりアップルの最新のカメラテクノロジーを利用しているのだろう。iPhone XS、XS Maxには新しい画像プロセッサーに加えて強力なA12チップが搭載されている。このためHDRやポートレートモードの照明効果などビデオ画像処理全般にわたって現行モデルより改善されている。

今までの例ではiOSのベータ版に登場した機能はその後利用できるモデルが拡大されることもあれば、一般公開時には消えていることもあった。iOS 13でも秋の一般公開でこの機能がどうなるか予測するのは難しい。しかしFaceTimeを使ったビデオ通話はアップルのモバイルチャットの中心をなす重要な機能であり、視線修正はFaceTimeの利用体験の改善に極めて高い効果があるので、一般公開でも維持されることを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Chrome同期がオフでもさまざまなデバイスで使えるようになったGoogle Pay

Google(グーグル)によれば、Chromeのユーザーはオンラインショッピングでの支払いが簡単になったという。アプリのアップデートによって、Googleアカウントに保存された支払い情報に容易にアクセスできるようになったからだ。これまでは、Googleの同期オプションをオンにすることで、異なるデバイス上のChrome間で、この支払い情報を同期することはできた。今後は、デスクトップ版のChromeでGoogleアカウントにログインしていれば、Chromeの同期が無効になっている場合でも、「支払い情報を自動入力できるようになった」とGoogleは説明している。

この機能によって、最近ウェブ上の多くのサイトで使えるようになってきたGoogle Payが、さらに便利なるはずだ。ちなみにGoogle Payは、クラスプラットフォームの性格を名前に反映するために、昨年Android Payから改名されたもの。また、ほんの2週間前にGoogleは、Google PayのPayPalとの統合は、WebサイトやアプリでGoogle Payを受け付けるオンラインショッピングでも利用できるようになると発表したばかりだ。

今回有効になったオプションのおかげで、デスクトップ版のChromeを使用しているユーザーは、支払いの際に、Googleアカウントに保存されているクレジットカードを選択できるようになる。支払いを完了するには、カードのセキュリティコード(CVC)を入力する必要がある。購入後には、領収書が、より詳しい情報とともにGoogle Payから電子メールで送信される。

Googleアカウントに登録されているクレジットカードとデビットカードは、アカウント設定によって管理できる。これには、Googleアカウントの「お支払いと定期購入」→「お支払い方法」とたどればアクセスできる。

この機能を利用しても、Chromeの同期が自動的にオンになることはない。ブックマーク、履歴、開いているタブ、パスワード、自動入力、その他の設定などを複数のデバイス間で同期させたければ、手動で同期をオンにする必要がある。

Googleはまた、この新しい支払い方法を利用するために、改めてGoogleアカウントにログインする必要はないとしている。たとえばGmailなど、他のGoogleのサービスを利用していれば、ユーザーは自動的に自分のGoogleアカウントにログインしていることになるからだ。ただし、必要ならChromeでGoogleアカウントからログアウトすることもできる。あるいはChromeの「詳細設定」で「Chromeへのログインを許可する」を無効にすることも可能だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

中国では顔認識にも美顔フィルターを搭載へ、自分の顔が醜いと利用を拒否

中国の顔認識ソフトウェアは、正確なだけではダメなのだ。Alibaba(アリババ)傘下でQRコード決済サービスなどを展開しているAlipayは最近、ユーザーの外見がソフトウェアの成功の鍵であることを証明した。

米国時間7月2日、Alipayは中国語のソーシャルメディアであるWeibo(微博、ウェイボー)で、その決済アプリの「あなたのお顔で払いましょう」システムにビューティーフィルター(美顔フィルター)を加えたと発表した。1週間後には、Alipayの顔スキャンシステムを装備している小売店全店に、その機能が行き渡る。

AlipayはWeiboにこう書いている。「あなたは(自撮りアプリの)ビューティーカメラで撮ったのよりもずっと美しくなります。あなたご自身も感動されるでしょう」。

この新しい機能は、顔認識マシンは人の顔を醜くするという苦情への対応だ。ニュースポータルであるSina Technologyが行った調査によると、回答者の60%以上がこの決済方法では自分の顔がふつうのカメラよりも醜くなる、と答えている。美容を気にする人々は、スーパーマーケットの混みあったレジでコンピューターの大きな画面に自分の無愛想な顔が映ったらとっても嫌だろう。

中国では美容意識の高まりにより、香港に上場した美顔セルフィーアプリのMeitu(美图、メイツー)を捨てて、最近Nasdaqに上場して1億8000万ドルを獲得した整形手術のマーケットプレイスのSo-Young(ソヨン、新氧)へ行く人も増えている。

メッセージングの大手WeChatの決済アプリWeChat Payも、Alipayに追随して美顔認識を採用するだろうか?ビューティーフィルターは企業にとって、必須ではないが競争上無視できないツールだ。スマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)も最近Meituをマネて、セルフィーやステッカーやグラフィクスを重視した新機種を発売した。

Alipayの月間アクティブユーザーは10億を超えている。WeChatの決済アプリはそこまで行っていないが、3月には1日に処理するトランザクションが10億を超えたと発表した。

画像クレジット: Alipay via Weibo

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramの新機能はストーリーズから直接会話をリクエストできる

Instagram(インスタグラム)は、米国時間7月2日から、文字の書かれたステッカー機能が使えるようにした。そこをタップすることで、ストーリーズからすぐに友達やフォロワーと会話を始めることができる。この新しいステッカーは「チャット」という名前で、ストーリーを見ている人に、その投稿のDMグループに加わるようリクエストするためのもの。友達やフォロワーからのリクエストを実際に承認するかどうかは、投稿者が決めることができる。

Instagramのダイレクトメッセージは、ユーザーに対して1対1、または1対多のプライベートなメッセージ機能を提供している。この機能は、Instagramの競合になろうとしているSnapchatの挑戦を退けるために、あえてSnapchatと同様の機能を実装したもの。Instagramは5月に、このダイレクトメッセージ機能を独立させた専用アプリ、Directの開発を中止することを明らかにしていた。それでもInstagramとしては、ユーザーにとっての魅力を高め、Instagramのメインの共有機能との連携を向上させるために、アプリ本体のアップデートを続ける熱意を保ち続けているようだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Twitterがデスクトップ版の3コラムデザインをテスト中

Twitterが、よりシンプルにデザインし直されたデスクトップ版をリリースする予定だと発表したのは今年の1月だった。幸いなことに、それを今か今かと楽しみに待っていた人は、誰もいなかったようだ。それから6ヵ月後、Twitterがまだテスト中であることが確認できる。今だにTwitter.comのデスクトップ版の見た目をいじり続けているのだ。

最新のバージョンでは、Twitterのデスクトップは3分割されたコラムに表示され、トレンドは右側に、以前は上部にあったメニューとナビゲーション、それに自分のプロフィールへのリンクは、左側のコラムに配置されている。タイムラインは正面、真ん中のままだ。このような新バージョンは、今年のはじめにも限定的に公開されたらしいが、今ではより多くの人に展開されているようだ。ここここここに、カナダや、その他からスクリーンショットを送ってくれた人のツイートがある。

1月に限定公開されたバージョンは、2コラムのレイアウトだったが、範囲が限られていたため、多くの人は目にしていないはずだ。

Twitterの広報担当者は、Twitter.comに導入しようと考えている新たなインターフェースに対するフィードバックを得るために、現在、少人数のユーザーでテストしていることを認めた。それを、いつから広範囲に展開するかについては明らかにしてくれなかったが、「お楽しみに」ということだった。

スクリーンショットを見ればわかるように、現在テスト中の新しいインターフェースには、3つのコラムがある。この点はいつも不変だが、中央にはメインタイムラインが配置されている。その他の変更は、切り貼りして、その周囲に再配置したという感じだ。

今回、トレンドに関するすべてのアイテムは、以前の左側から右側に移動している。

そして「Home」、「Explore」、「Notifications」、「Messages」、「Bookmarks」、「Lists」、「Profile」、そしてもっと多くのオプションを表示する「More」が、1つのコラムにまとめられ、左側に配置された。

すでに数ヶ月前から、iOS版でも優先順位が下げられていた「Mentions」は、ここでも「More」の中に追いやられている。iOS版では、利用頻度が低いとして「Moments」の作成機能が削除された際に、Mentionsも目立たなくさせられていた。ここでMentionsの扱いを変える意味がわからないという人のために付け加えれば、Twitterの広報担当者は、それがなくなってしまうことはないと明言した。

その下には、プロモーションや広告、アナリティクス、TwitterのMedia Studio、設定とプライバシー、これまでのTwitterのインターフェースに戻す、といった機能へのリンクに加えて、ダークモードに切り替えるスイッチがある。

これまでのところ、この新しいデザインについて目にした反応には、あまり熱狂的なものは見当たらなかった。

「何が起きているんだ?という疑問に答えてもらいたい。この#NewTwitterのデザインについて!」と、ハッシュタグのコンセプトを創出したとされているプロダクトデザイナー、Chris Messina氏は書いている。そして「何だこれ?Google+なの?」と続けている。

「Twitter殿、私はこのウェブの新しい新しい新しい新しい新しい新しい新しい新しい新しい新しい新しいUIが好きではありません。元に戻してください」と書いているのは、Flipboardの編集者、Ken Yeung氏だ。

進行中のTwitterのテストモードは、プロトタイプのアプリtwttrによって、モバイルでも遂行されている。こうした動きは、Twitterを誰にでも使えるものにしようという大きな努力の一貫なのだ。少なくとも、より多くの人が、より多くの時間、Twitterを使ってくれるようにしようと考えている。

Twitterのユーザーインターフェースに関するさまざまな実験のポイントは、新しいユーザーにとってサイトを使いやすいものにすることが難しい、という長年の課題を解決することにある。もちろん、すでにユーザーとなっている人にとっても、より親しみやすいものにしなければならない。たとえば、スレッドまわりを改良して会話をたどりやすくするとか、ダークモードの導入に見られるように目に優しいものにするとか、荒らしに対処しやすくするとか、いろいろな方策が考えられる。

そうする理由は、単に使いやすいツールを提供するためだけではない。Twitterのさらなる成長を促すためだ。

Twitterの財務状況は、最近は割と好調だ。前四半期には収入も、1株当たり利益も、事前の予想を上回った。しかし、月間のアクティブユーザー数は減り続けている。これは同社にとって長年の課題となっている。しかし、他の指標に注目すると、収益化可能な日間のアクティブユーザー数は上昇している。これは一種の数字のマジックかもしれない。

今後のアップデートについてもフォローしていくつもりだが、読者の意見も聞いてみたいところだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

サムスンがBixby向けアプリストアをローンチ

Samsung(サムスン)はAIアシスタント「Bixby」のローンチの前に、いくつかの約束と重要な買収をおこなった。しかしBixbyのスタートは波乱含みで、現時点でもライバルとの差別化に苦しんでいる。

サードパーティーの統合は、サムスンがBixbyを真に差別化するために長らく約束してきた分野の一つだ。昨年11、同社はBixby Developer Studioを発表し、サード開発者に向けてAIアシスタントを公開すると約束した。またViv Labsの買収も、サード開発者との約束の一環だ。

Bixby Marketplaceのローンチは、プロセスにおける次のステップだ。ベンダーはBixbyに統合されるサービス(あるいはカプセル)をユーザーに提供できるようになる。ストアはアメリカやスペインでは米国時間7月1日に開始されれ、Google マップやSpotify、iHeartRadio、NPR、そしてYelpなどの主要アプリが提供されている。

これは良いスタートだが、主要開発者を惹きつけるのは常に難しい課題だ。よい兆候としては、ここ数年の多数のサムスンの主要製品でBixbyが利用できる。この数字は、テレビのような新たな家電製品へとBixbyが搭載されるにつれて、ゆっくりとではあるが着実に増加している。しかしながら、長らく待たれるスマートスピーカーこと「Galaxy Home」はまだ発売されていない。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

もうアップルのSidecarが手放せない


Apple(アップル)のmacOSと新しいiPadOSのパブリクベータの公開によって、ついにSidecarを自ら体験することができた。iPadをMacの外部ディスプレイとして利用できるようにする機能だ。私としても、iPadが登場したときから、こうなればいいのに、と思っていたことで、その望みがついにかなったというわけだ。

これらはまだベータ版のソフトウェアなので、当然ながらいくつかのバグに遭遇した。例えば、Macのディスプレイが点滅したり、再起動しなければならなくなったりもした。もちろん、これは問題ではない。ベータ版は、まだ完成品ではないのだから。しかし、Sidecarはすでに大変革を起こしつつある。将来は、おそらくこれなしてやっていくのは難しくなるだろう。特に出張中は。

Sidecarも「そのままでうまく動く」というAppleの精神にぴったりと適合しているので、設定はものすごく簡単だ。MacのOSが10.15 Catalinaになっていて、iPadOS 13 betaをインストールして、BluetoothとWi-FiがオンになったiPadが近くにあれば、MacのメニューバーにあるAirPlayのアイコンをクリックするだけで、ディスプレイのオプションが表示される。

そこでiPadを選択するだけで、SidecarがMacの拡張デスクトップをiPadのディスプレイに表示する。macOSのシステム環境設定では、通常の外部ディスプレイとして扱われるので、他の外部ディスプレイも含めて並べ方を変えたり、ミラーリングモードに設定することもできる。一般的な外部ディスプレイにできてSidecarではできないことの1つは、解像度を変更すること。ここは、デフォルトの1366×1024ピクセルのままとなる。これは、私がテストに使用した、第1世代の12.9インチiPad Proの場合だ。Retinaディスプレイのデバイスとしての解像度は2732×2048ピクセルだ。この設定が、iPadとして最も使いやすい標準的な解像度なのだ。そのため、ピクセルで構成された画像も、装飾的なフォントも、まったく自然に表示される。

Appleは、仮想Touch Barと「サイドバー」と呼ばれる新機能をデフォルトでオンにしている。そう、Sidecarにサイドバーがあるのだ。このサイドバーからは、Dockを開いたり、ソフトウェアキーボードを引き出したり、すばやくコマンドにアクセスしたり、といったことができる。これは、Mac側ではなく、iPad側を操作する際に特に便利だ。ドローイングのアプリにどっぷり浸かっている場合など、たとえば取り消しのようなコマンドが使いたくなった場合にもありがたい。Appleは、そのためのボタンをサイドバーに用意してくれているのだ。

Touch Barの内容は、2016年以降のMacBook Proが備えるハードウェアのTouch Barと基本的に同じもの。 このTouch Barは、お飾りの機能のようなもので、特にハードウェアの「esc」キーがないことを理由に、Touch Barのないエントリーレベルの13インチMacBook Proのほうがいいと声高に主張する人もいた。また、Sidecarを使用しているiPadでは、その最も優れた機能かもしれないTouch IDを利用することができない。それでも、Sidecarを写真やビデオの編集に使う場合には、アプリに特有のクイックアクションを可能にするサイドバーが自動的に呼び出され、すぐに使えるように準備されるは、見ていて感動的だ。

特に優れているのは、Touch Barもサイドバーも、簡単にオフにできるようになっていること。いずれもMacのメニューバーから簡単に操作できる。そうすれば、大きくて美しいiPadディスプレイをフルに表示用として利用できる。Sidecarは、この設定を憶えているので、次に接続したときも同じ状態で利用できる。

また、macOS Catalinaの新機能として、ウィンドウ左上にあるウィンドウをコントロールする3色のカラーボタンに、マウスホバーで表示するメニューが加わっている。そのメニューにより、フルスクリーン表示にするか、ウィンドウを画面の左半分、または右半分にタイリング表示するか、さらにSidecarを使っている場合には、そのウィンドウをiPad側に移動するか、あるいはiPadからMacに戻すか、といった操作が選べる。

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  2. Screen-Shot-2019-06-28-at-7.51.15-am

これによるウィンドウ操作は、かなりうまく機能する。元のウィンドウの設定も憶えていてくれる。たとえば、手動でサイズ変更してMacの画面の4分の1くらいの大きさにしたウィンドウを、いったんSidecarでつないだiPad側に移動してから、またMac側に持ってきた場合、しっかりと元のサイズと位置に復帰するのだ。このように複数のディスプレイ間でウィンドウを管理する機能が、純正のソフトウェアによってサポートされたのは間違いなく素晴らしいことだ。

私はSidecarを無線接続で使ってみたが、もちろん有線接続でも動作する。Appleによれば、どちらの接続でも、それによる性能の差はないはずだという。これまでのところ、無線接続でも、あらゆる期待を上回っていた。特に信頼性と品質の点で、競合するサードパーティの製品よりも優れていた。Sidecarは、iPad Proをキーボードケースに格納した状態でも機能する。その場合、Mac本体が離れたところにあっても、何の問題もなくiPad側のキーボードでキー入力を代用することができる。

Sidecarは、デジタルアーティスト用としても本当に優れている。Mac上でのスタイラス入力を最初からサポートするAdobe PhotoshopやAffinity Photoといったアプリでは、そのままApple Pencilによる入力が可能となるからだ。私は、こうした用途のために、MacにWacom Cintiq 13HDを接続して使っていた。そして今回、AppleのSidecarは、驚くほどうまく、その代替として使えることがわかった。それは無線接続が可能だからというわけでもないし、12.9インチのiPad ProであってもWacom製のデバイスよりは持ち運びに便利だから、というわけでもない。入力する際の応答の遅延がほとんどなく(実際、まったく認識できないほど)、Pencilの先端の位置が画面上のカーソルと一致するようにキャリブレーションする必要もない。上でも述べたように、Sidecarと専用の「取り消す」ボタンの組み合わせは、アーティストにとって生産性向上マシンのようなものだ。

このPencilは、Sidecarにおける唯一のタッチ入力手段となっている。この点は、これまでサードパーティ製のアプリを利用してきた人にとって、奇妙に感じられるだろう。それらのほとんどは、iPad上でのタッチ入力を、Macでもフルに利用できるようにしているからだ。Appleは意図的に、指によるタッチ入力ができないようにしたのだ。なぜなら、Macはそれを意識した設計になっていないからだ。実際に使ってみると、私の脳が期待した通りの動作が得られる。したがって、ほとんどのユーザーにとって、指による入力ができないことは、それほど問題にはならないだろう。

Appleは5K iMac以降のモデルで、長い間そのオールインワンのデスクトップの大きな魅力の1つだったターゲットディスプレイモードを省いた。その発表は、古くなったiMacを最大限に活用したいと考えていた人にとっては残念なものだった。しかしSidecarは、それを補って余りあるものだ。それによって、比較的最近のモデルなら、iPadの利用価値は、ほとんど倍増する。もちろん、追加された画面の表示面積を、有効に活用できる人なら、の話だ。その際、感圧式のApple Pencilを利用するかどうかは、さほど大きな要因ではない。出張や、オフィスの外で仕事をすることが多い人にとって、Sidecarは、まるでAppleのエンジニアリングチームと一緒になって、自ら設計したもののようにしっくりくるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Mozillaが最大2倍高速なAndroid版Firefoxをプレビュー

Mozillaは米国時間6月27日、再設計されたAndroid用Firefoxの最初のプレビュー版を発表した。最大2倍に高速化されているという。この新バージョンは、使いやすさを重視した、どちらかというとミニマリスト的なUIを装備している。また、Mozillaが提唱する新たなブックマーク機能、コレクションもサポートしている。さらにFirefoxならではのトラッキング防止機能も備え、デフォルトでオンになっている。やがてこのプレビュー版が、Android用Firefoxのデフォルトになるはずだ。

数年前、Quantumの導入によって、Firefoxチームはブラウザのコアとなるバックエンド技術に、いくつもの内面的な改革をもたらした。今は、MozillaのAndroid用ブラウザエンジンであるGeckoViewによって、それと同じようなことに取り組んでいる。そのチームが開発した技術を新たなブラウザに実装することで、「モバイル版Firefoxのユーザー体験を根本的に改革する」と、Mozillaは発表の中で述べている。

「現在、他のすべての主要なAndroid用ブラウザは、Blinkをベースとしているため、モバイルに関するGoogleの意図を反映したものとならざるを得ません。FirefoxのGeckoViewエンジンは、われわれ自身と、Firefoxユーザーの独立性を保証するものです」と、Firefoxチームは言う。「GeckoViewを利用してAndroid用Firefoxを開発することで、モバイルユーザーに提供可能なプライバシーやセキュリティといった部分に関しても、柔軟性が向上します」。

GeckoViewを搭載したFirefoxの初期バージョンは、「Firefox Preview」という名前のアプリとして、Android上でテストできるようになっている。Mozillaによれば、最終バージョンになる前には、ユーザー体験も今とはかなり変わったものになるはずだという。

Firefox Previewを初めて起動すると、Firefoxアカウントにログインするための画面が必ず表示される。また、テーマとして、明るものか、暗いものかのいずれかを選択する。時刻によって、テーマを自動的に変更するような設定も選択可能だ。プライバシー、その他についても最初に設定する。

かなり気に入ったのは、デフォルトでURLバーが画面の底辺近くに表示されるので、親指で簡単に操作できること。そのURLバー上で上向きにスワイプすると、共有機能とブックマークのアイコンが表示される。最初のうちは慣れが必要だが、すぐに自然なものに感じられるようになる。

正式なベンチマークはまだ実行していないが、これまでのAndroid上のFirefoxよりも、明らかにきびきびと、かなりスムーズに動作する。内蔵されたプライバシー保護機能も考えれば、これをAndroidのデフォルトブラウザーにするのに、躊躇することはないと思えるほどだ。今のところ、アプリがクラッシュしてしまうほどの不具合には遭遇していない。とはいえ、これはしょせんベータ版なので、そのあたりは人によって異なるだろう。

チームは、今年の後半を使って、Firefox PreviewをさまざまなAndroidデバイス用に最適化することに集中するつもりだ。しかし現時点でも、Android用の新しいモバイルブラウザとして、試してみる価値は十分にあるものとなっている。ときおり出会うことになるバグは気にしないというならだが。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

D-Waveがハイブリッド量子プラットフォームを公開

初期の量子コンピュータのスタートアップD-Waveが、新製品「D-Wave Hybrid」の一般提供を開始することを発表した。これはオープンソースのハイブリッドワークフロー・プラットフォームで、開発者は通常のコンピューティングと量子コンピューティングを融合したハイブリッド量子アプリケーションを作ることができる。D-Wave Hybridは、同社の量子コンピューティング・クラウドサービスであるLeapの一部を構成するソフトウェア開発キット、Oceanの一コンポーネントとして提供される。

量子コンピューターは、量子チップを制御するために伝統的コンピューターが必要なため、基本的にほとんどがハイブリッドシステムだ。本プラットフォームは、D-Waveが最近発売した2000Qファミリーハードウェアおよび将来のシステムで走るアプリケーションを開発するための環境を提供する。

D-Wave HybridやRigettiなどのライバルが提供する類似のツールは、量子コンピューターをコプロセッサーとして有効な場面で使うアプリケーションを作るという使い方が一般的だ。さらにD-Wave Hybridは、今はまだ比較的能力の限られている量子プロセッサーで処理できるように、大きい問題を小さな部品に分解するときにも役立つ。

「量子ハイブリッド開発では、伝統的コンピューティングと量子コンピューティングの能力をすばやく組み合わせることができる。実際、われわれの量子テクノロジーを使うアプリケーションのほとんどは、伝統的コンピューティングと量子コンピューティングのハイブリッドとして動作する。現在多くのプログラムでCPUとGPUが協調して動作しているのと同じだ」とD-Waveの執行副社長・最高製品責任者のAlan Baratz氏は言う。「われわれのアプローチは実践的だ。D-Wave Hybridは、現行の問題解決の知識をハイブリッドプラットフォームに適用することで、ユーザーが段階的に量子の力を利用できるようにしている。こうすることでわれわれは、顧客が真の企業利益を得られるサービスを開発できる」

同システムの初期ユーザーであるVolkswagenは、トラフィックフローの最適化やその他の最適化問題に関わるさまざまな小規模の概念証明にこのシステムを使っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Sidecarや新ミュージックアプリなどmacOS 10.15 Catalinaの注目点

Catalinaほど、2019年現在のApple(アップル)の状況を縮図のように反映しているものはないかもしれない。このmacOSの最新バージョンは、Appleにとっての過渡期に登場することになった。デスクトップOSとして、コンテンツに注力するというAppleの方針、クロスプラットフォームの互換性への継続的な追求、そしてクリエイティブなプロユーザーを改めてMacに惹き付けようという動きのショーケースのようだ。

もうかれこれ数年にもなるが、macOSはiOSに主役の座を明け渡したままとなっていた。しかし、AppleがiPhoneによって、そのカテゴリに革命を起こして以来初めて、スマホの売上にも陰りが見えはじめ、長く続いたモバイルの勢いにも衰えが感じられるようになってきた。同社は明らかに、Apple TV+によって見込まれる10億ドル(約1000億円)規模の売上に将来性を見出している。その一方で、Mac Proのように、長い間失望を与えてきた製品の復興によって、かつてのコアな客層を取り戻そうとしているようにも見える。

macOS 10.15は、詳しく述べるべき多くのアップデートを含んでいるが、新機能に限って言えば、大きく2つのカテゴリに分けられるだろう。

  • 新しいミュージックとApple Podcast(さようならiTunes)、Apple TVによるコンテンツの提供方法の変更。
  • iOSやモバイルデバイスとの連携の強化。もちろん、これはAppleが長年の推し進めてきたことだが、iOS/iPadOSアプリの移植を容易にするProject Catalystと、iPadをMacのセカンドディスプレイとして使えるSidecarは、今回のmacOSのアップデートの中でも最大のものと言っていいだろう。

ミュージック

ある年齢以上のAppleユーザーにとって、これはちょっと感傷的なものだろう。macOSのアップデートは、時間の経過を計るための最善の方法ではないとしても、それは毎年毎年、機械仕掛けのようにやってくる。iPod Classicが、ゆっくりと、そして静かに消えてなくなったように、iTunesの終焉も、Appleにとって、そしてデジタルミュージック全般にとって、重要な一時期が過ぎ去ったことを象徴している。

もちろんAppleは、何年も前にiOS版のiTunesをミュージックとPodcastに分割した。それによってiTunesの、この避けられない運命を予告していたのだ。正直なところ、Mac版のiTunesが、ここまで長く生き延びてきたのは、むしろ驚きだ。

「ユーザーはiTunesが大好きで、その機能も気に入っています。それでも、何度も耳にしてきたのは、iTunesにはもっとできることがあるんじゃないの?ということでした」と、副社長のCraig Federighi氏は、WWDCのステージで冗談めかして言った。その後、カレンダーとメールの機能も含んだiTunesのモックアップを見せた。これは大きな笑いを取った。エンジニアは、こうしたジョークが大好きなのだ。

Appleは、新しい、スリムになったMac版のミュージックを、ソフトウェアの肥大化との戦いの一環と位置づけている。それも確かにそうだが、ここでもっと重要なのは、デジタル音楽が、所有するものからサブスクリプションベースのサービスに移行したことの方だ。Apple Musicが前面に出て目立つ存在となり、AppleがSpotifyのようなサービスと戦い続けるための援軍としての役割を果たすことになる。

とはいえ、名前や目指すところが変わっても、このアプリは、そのアイコンからして、長年のiTunesユーザーにとって馴染み深いものとなっている。さらに、20年近くも使われ続けてきたソフトウェアの名前が完全に消えてしまうのではないかと思っている人も、心配は無用だ。iTunesという名前は実際には「iTunes Store」として残る。こちらは、Appleのストリーミングサービスに対して、伝統的なダウンロード販売を続けることになる。各社の音楽レーベルは、今後もそこで音楽の購入を促していくことになるのは疑いようがないが、「iTunes」という名前が、将来に渡ってmacOSの中に存在し続けるかどうかはわからない。

感傷的なものかどうかは別として、「iTunes」と「ミュージック」という名前を今後両方とも使い続けるようにしたことは、なにかとユーザーの混乱を招くことになるかもしれない。私自身、今でもときどきPodcastアプリのことをiTunesと呼んでしまうことがある。身についた習慣はなかなか抜けない。

ミュージックのユーザー体験の中心的な存在となるのが「For You」だ。これは、iTunesにもあった一種のホームページで、アプリからの提案、最近再生された楽曲、あるいは友だちからのおすすめ、などが組み合わされて表示される。こうした提案も、以前よりずっとダイナミックなものとなっている。ユーザーの好みに合わせてApple Musicをカスタマイズするようなものだ。

このアプリは、まずAppleのサービスにサインアップするように促してくる。私も、ご多分に漏れず長年のSpotifyユーザーなので、そうするつもりはない。これは、Appleのサービスに加入せずに、自分のデバイスに保存されている音楽コレクションを聴こうとしている人にとっては、うっとうしいだけだ。サイドバーにある「アーティスト」、「アルバム」、「曲」のアイコンを直接クリックするか、検索範囲を自分のライブラリに制限することで、これはほぼ解決できる。

Apple TV

macOS版のApple TVアプリは、iOS版のすぐ後に続いて大きなアップデートを受けることになる。Appleは、この秋に登場予定の10億ドル(約1000億円)規模のプレミアムなストリーミングサービス、TV+を準備するため、非常に明からさまな推進策をあらかじめ用意したわけだ。

Apple Musicと同様、ここでの大きな変化は、ほとんどコンテンツにある。今年の年末に向かってAppleにとってかなり大きなパラダイムシフトになると見られていることに対して、どのように準備がなされているかを、それが表している。しかし、みんながTV+の降臨を待っている間に、Appleはこのアプリに重要な機能を追加した。チャンネルだ。

今年初めごろにあったApple TVのイベントで発表されたチャンネルは、HBO、Show and Startといったプレミアムネットワークをアプリに直接統合する。これは、Netflix、Huluなどと直接競合することになる。さらにAppleは、ケーブルテレビに取って代わることももくろんでいる。正直なところ、ComcastやTime Warnerのような会社がそれなりに受け入れられているところから判断すると、そうしたこともさほど難しくはないのかもしれない。もちろん、人々がAppleに目を向けて、Appleのもくろみ通りに事が運ぶかどうかは、TV+が首尾よくNetflixを置き換えることができるかどうかにかかっているだろう。

最上部には、コンテンツが「Watch Now」「Movies」「TV Shows」「Kids」「Library」という5つのカテゴリーに分けられたタブがある。この表示はApple Musicとも似ている。検索機能は閉め出され、ライブラリもいちばん後ろのタブへと格下げされている。今のところ、ダウンロードとケーブルチャンネルが主体だが、将来的には、間違いなくこれがApple TV+の購読を促すためのものとなるだろう。おそらく、TV+には独自のタブも用意され、さらに「今すぐ観る」の中で推薦されるアイテムの中でも重要な位置を占めることになるだろう。

子供用のタブも用意されることになる。そこには、家族向けの作品が一堂に集められることになる。たとえば、ミッキーマウスやチャーリーブラウンといった、よく知られている作品から、2-4、5-7、8-10のように年齢別に分類された映画やテレビ番組が並べられることになるだろう。

Apple Podcasts

Podcastsは、長い間iOS上で独自のスタンドアロンアプリとして日の目を見てきた。そして今、デスクトップ上にも居場所を見つけることになった。新しいミュージックアプリと同様、PodcastsもiTunesからそれほどかけ離れたものとはなっていない。現在では、およそ70万もの番組がある。独立したアプリになるには、ちょうどいい頃合いだったのかも知れない。このアプリも、成熟するにつれて、独自の個性を持つものになるだろう。

iOS版と同様に、「今すぐ聴く」がメイン画面となっていて、番組を新しいものから順に表示する。このような表示方法は、最初にiOS版に実装されたとき、賛否両論を巻き起こした。番組がポストされた順番にポッドキャストを聞きたいという人にとっては、あまり嬉しくない設定だ。その結果、あらかじめ「ライブラリ」にダウンロードしたものを、下から上に向かって聴いていくことになる。

個人的には、番組をどのように並べるか、もう少し自由に設定できるようにしてほしい。このようなことにこだわりを持っているのは、私だけではないと信じている。

他のすべてのコンテンツのアップデートと同様に、目的のものをどうやって見つけるのか、ということがやはりもっとも重要だ。Appleは近年、編集者が番組をピックアップして紹介することに力を入れてきた。ユーザーに興味を持ち続けてもらうには、おすすめのものを取り揃えるのがもっとも有効、かつ簡単な方法であることを理解しているからだ。ポッドキャストが、Appleのような大企業に重要視され続けているのを見るのは嬉しいものだ。そもそも、ポッドキャストという名前自体、Apple製品の名前にちなんで付けられたものなのだ。

サイドバーによる同期

これは、今月初めのWWDC基調講演では、ほとんど注目されなかったものの、興味深い新機能だ。デバイス間でのメディアの同期は、伝統的にiTunesの領域だった。Appleは、iTunesを分割して、アプリ自体は引退させることにしたので、残った同期機能を直接Finderに組み込むことにしたというわけだ。

今や、Macに接続したiOSデバイスは、ドライブと並んでFinderサイドバーに表示されるようになった。そこから、iOSデバイスのソフトウェアが最新かどうかをチェックしたり、iPhoneのバックアップや復元を管理することができる。また、ストレージの残量、バッテリーの充電状態、といった情報をまとめて確認できる。

上の方にあるメニューには、ミュージック、ムービー、テレビ番組、ポッドキャスト、オーディオブック、ブック、写真を管理するためのオプションもある。こうしたことを、すべてFinderで管理するというのには、ちょっとした慣れが必要だが、一箇所にすべてまとまっているのはよいことだ。

写真

正直に言うと、Mac版の写真アプリは、私はほとんど使わない。実際、今回Catalinaをインストールするのに使った仕事用のラップトップでは、起動したこともなかったようで、最初に起動する際にインストールプロセスをたどる必要があった。それでも、macOS版をこれまでのものよりも魅力的にする機能が、iOS版から持ち込まれていることがわかる。

ユーザーは日、月、年ごとに写真を見ることができる。写真に位置情報が含まれていれば、コンテキストを考慮した表示が可能となる。たとえば、記念日ごとにまとめた表示などができる。Appleは、数年にまたがって子供の誕生日をハイライトする、本当に魅力的な表示機能を基調講演のステージでデモしていた。それれは、あたかもFacebookの記念日機能をより強力にしたような感じのものだった。

iOS版と同様に、AppleはAIを使用してベストショットを選び、他のものよりも大きく表示してくれる。その際、あまり見栄えのよくないもの(たとえば私がメモとして撮っておくホテルの部屋番号のようなもの)はスクロールから除外される。スクロール中には、Live Photosが自動的に再生され、よりダイナミックな体験が得られるようになった。

Sidecar

これは数々の新機能の中でも、間違いなくもっとも期待されているものだろう。私自身、いちばんワクワクしている。私はこれまで、LunaとDuetを両方とも使ってきた。数ヶ月前まで、このような機能をAppleが自社の製品に取り込むことになるとは思ってもみなかった。しかし、それは現実のものとなり、私は興奮を覚えている。サードパーティの製品は、それぞれ独自の方法でこうした機能を実現し、さまざまな効果を備えていた。

Sidecarでは、iPadをセカンドディスプレイとして利用できる。サードパーティの製品も、私は特に出張時にとても重宝していた。目的地に着いたら、すぐにiPadを取り出してスタンドに設置し、TweetDeckや、オンラインリソースの表示用として使う。その間、Mac本体のディスプレイは、原稿を書くために確保しておける。

関連記事:iPadをMacの外部モニター/液タブにするアップル純正Sidecarの脅威

こうしたことすべてが、Sidecarの拡張デスクトップを使ってできるようになった。しかもそれだけではない。ついに、公式なタッチスクリーン付きのMacが、ほとんど実現したのと同じようなものだ。さらにApple Pencilも使えるのだ。そのためには、iPadのディスプレイをミラーリングモードで使う必要がある。この効果は、Wacomのタブレットを使って、メインのMac画面に表示されているコンテンツの上に描画するようなもの。その際、負荷の重い演算処理は、すべてMac側で実行される。

この最後の部分は、Appleがこの機能のターゲットと考えているユーザー層を考えると、特に重要だ。確かに、Sidecarは頻繁に出張する人にとって便利な機能だ。しかし、本当のターゲットは、クリエイティブなプロフェッショナルなのだ。かつてAppleは、この分野で独占的な状態にあった。しかし、MicrosoftのSurfaceシリーズのような製品との競合が、徐々に激しくなってきていた。

この機能は、PhotoshopやMayaなど、スタイラスをサポートするプロ用のアプリと互換性がある。ちなみに、MacBookのTouch Barは、iPadのディスプレイの底辺部分に表示される。セカンドディスプレイ上では、以下に挙げるようなさまざまなタッチジェスチャもサポートされている。

  • カット:3本指で上向きに2回スワイプ
  • コピー:3本指で上向きにスワイプ
  • 貼り付け:3本指で下向きにスワイプ
  • 元に戻す:3本指で左向きにスワイプ
  • やり直し:3本指で右向きにスワイプ

この機能が特に優れているのは、有線接続でも無線接続でも使えること。多くのワイヤレス機器を使っているような場所では、有線接続の方が確実だ。Appleによれば、このシステムは、最大10メートル離れていても無線で使えることになっている。BluetoothとWi-Fiを組み合わせることで、遅れを最小限にして通信できるという。

私は地元のコーヒーショップで、この機能をちょっと使ってみることにした。今その状態でこの原稿を書いている。実際に、その応答性の良さは感動的なものだった。使ってみると、あちこち変更したくなる部分はある。たとえば、iPad上のタッチバー表示の明るさを調整できれば、根本的に使いやすくなるのだが。

アクセシビリティ

障がいのある人にとって使いやすいものにするための機能を、さまざまな企業が自社の製品に追加するのを見るのは、いつも嬉しいものだ。Catalinaの音声コントロールは、その最たるもの。私自身は、今のところ実生活でそのような機能にアクセスする必要はない。しかし、WWDCでの発表の際に使われたビデオに紹介されていた機能を実際に試してみた。

当然と言えば当然だが、この機能に慣れるのには、かなり時間がかかる。システムが提供できる能力の限界を知るのもたいへんだ。しかし、ちょっと試してみただけでも、一般的な入力方法が使えないユーザーにとって、これが状況を一変させるものになるであろうことは容易に理解できた。

試しに、私は「Open Messages(メッセージを開け)」から始めてみた。それから「Show Numbers(数字を表示)」と言うと、さまざまな機能に対して数字がオーバーレイ表示される。これは、Siriに「compose message(メッセージを作成)」と言う代わりに、たとえば「15」と言うだけで、その行にテキストを入力し始められることを意味している。もちろん、まだこの機能は初期段階であり、すべてのサードパーティ製アプリで使えるようにはなっていないといった制限もある。しかし、Appleがこのような機能を実現したことは喜ばしい。

今後数ヶ月の間に、さまざまな新機能を実際に使ってみた上での記事がいろいろ出てくるだろう。Catalinaのパブリックベータ版は米国時間の6月24に公開された。正式バージョンは今秋にリリースされる予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「Spotifyはアップル税の負担を誇張している」とアップルが反論

今年3月Spotify(スポティファイ)は、いわゆる「アップル税」およびApp Storeの制約の強い規定について欧州委員会(EC)に訴えた。その後アップルは、同社に対する反トラスト、反競争の主張に反論するウェブページを立ち上げ、 さらに最近CNBCで、アプリ承認プロセスの仕組みを詳しく説明するなどの対抗措置をとってきた。そしてこのたび、Apple(アップル)はECに自社の見解を示し、Spotifyが「アップル税」を支払っているのは有料定期購読者の1%以下に対してだけだ、と訴えた。

このニュースを最初報じたのは、Music Business Worldwide(MBW)およびドイツのサイト、Der Spiegelだった。

具体的には、アップルの提出資料によるとSpotifyが15%の「アプリ税」(収益分配)を払っているのは、同サイトの1億人の有料購読者のわずか0.5%だ。この収益分配の対象になったのは、2014~2016年の期間にSpotifyに入会し、アプリ内購入で定期購読した顧客だけだ。それ以降Spotifyはアプリ内での購読申し込みを中止した。

これはSpotifyのCEOであるDaniel Ek氏が3月に同社ブログに書いた、「アップルはSpotifyや他のデジタルサービスに対して、アップルの決済システム経由で行われた購入金額から「30%」の税を徴収している」という主張とは対照的だ。

またMBWは匿名筋の情報として、Spotifyはアプリ内購入で登録した顧客について、ディスカウントのために通常の15%よりも少なく払っていると報じている。Spotifyは「何も払いたくない」だけだと匿名筋はMBWに言った。

ただし、Spotifyの主張はアップル税に留まらない。

アップルはApp Storeの力を利用して、他の方法でもライバルを不利にしているともSpotifyは言っている。顧客と連絡をとることや、iOSユーザーにメールすることさえ制限している。SpotifyによるとアップルはiOSアプリのアップグレードまで妨害したと言う。3年前のことだ。一方アップルは、Spotifyをほかのデベロッパーと同じように扱っていると言い続けている。

2番目のポイントに関するアップルの反応は、最近のCNBC記事にも書かれている。「Bill」という名前で登場する「長年のアップル社員」は、「アプリのアップデートが拒否されたときSpotifyに電話をした」ときの話を明かした。電話をした理由は、Spotifyがユーザーにメールを送り、App Store以外の場所で直接Spotifyに支払うよう勧めていたためだった。

SpotifyによるEUへの申立て以外に、アップルは米国内でもApp Storeに関する訴訟を抱えている。

5月に米国最高裁判所は、アップルに対するApp Store反トラスト訴訟の継続を許可した。

そして6月には、App Storeの運用に関してアプリデベロッパー2社が、アップルの30%の手数料および価格の下2桁を99セントにしなければならないことを訴えた。

かつてアップルは、Spotifyの申し立てに対して自社ウェブ内で延々と反論した。主張の一部を以下に引用する。

長年App Storeを利用して爆発的にビジネスを拡大してきたSpotifyは、App Storeに一切貢献することなく、エコシステムの恩恵(App Storeの顧客からえられる膨大な売上を含む)をすべて維持しようとしている。さらに彼らは、人々の愛する楽曲を提供する一方で、アーティスト、ミュージシャンや作曲家たには僅かな報酬しか与えず、それらのクリエイターから訴訟される事態にもなっている。

【略】

アップルのやり方は常にパイを広げることにある。新しいマーケットプレイスを作ることで、われわれのビジネスのチャンスを広げるだけでなく、アーティストやクリエイター、あるいは大きなアイデアを持った「クレイジーな人」たちにもチャンスを作っている。それが我々のDNAであり、次の素晴らしいアプリのアイデアを育て、最終的に顧客を喜ばせる正しいモデルである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPadOSのプレビュー:ファイルシステムやマルチタスクなどプロの仕事用機能充実

MicrosoftがWindows 10でその概要を描いたPCとタブレット両用のオペレーティングシステムは、ハードウェアの設計者たちの間にコンバーチブルモデル(可換機)のブームをもたらした。それらはラップトップとタブレットの両方に使えて、着脱型のキーボードがある。

しかしiPadはひたすらもっぱら、その逆の道を歩んできた。iOSとmacOSの境界はProject Catalystで薄めようとしたが、タブレットというカテゴリーをあらためて再定義したAppleのタブレットはあくまでもモバイルファーストで、iPhoneのオペレーティングシステムのスケールアップしたバージョンが動いていた。それは同社とその製品との相性も良く、消費者から見てもシンプルで分かりやすい形だった。

関連記事: iOS 13に画期的新機能は少ないがクオリティ・オブ・ライフ改善が満載

しかしiPadの成熟とともに、消費者の求めるものも成熟した。最近のAppleはiPadと呼ばれる製品を嬉々として、企業と教育向けのラップトップ代替機と位置づけている。その姿勢はiPad ProとApple Pencilの登場で加速され、クリエイティブのプロが使う道具という説得力を増すとともに、さまざまな新しい機能がマルチタスキングに向かう道を作った。

iPadOSの登場は同社のタブレットの進化の、次の重要な一歩だ。デバイスにはすでに、大型化や計算能力の強化を促す機能が多くなっていたが、今回OSの名前そのものを変えたことは、iOSからフォークしたこのオペレーティングシステムが独立し自立したことを意味し、それとともに、生産性ツールという位置づけがますます大きくなっているこの製品にふさわしい、独自の機能が多数導入された。

今後iPadOSは、iOSがiPhoneのOSとしてアップデートされたら、同時にそれらのアップデートの多くをゲットするだろう。今回のそれらは、iOS 13のダークモードや、地図のアップデート、Photos(写真アプリ)のデザイン変更などだ。しかし改名された独立のOSであるiPadOSにふさわしい、タブレットならではの機能もたくさんある。

アップデートされたのは、まずホーム画面(Home Screen)。既存のレイアウトが単純に大きくなったのではなく、情報が増えた。画面上のアイコンは最初から30あり、6×5に並んでいる。アイコンはもちろん、今後ユーザーの使用により増えたり減ったりするだろう。

右にスワイプすると左に、新登場の日付時刻の下にリバーウィジェットが出る。このウィジェットには、カレンダー上のアポイントとか、天候、写真などの最寄り情報が出る。下へ大きくスワイプすると設定だが、これをホーム画面のデフォルトにすることもできる。

一方、このアップデートの主役と言えばマルチタスキングだ。第二の浮遊アプリを提供するSlide Overに、ドックからドラッグした複数のアプリを同時に動かす機能が加わった。画面中央へスワイプすると今開いているすべてのアプリが、カードの束のように表示される。アプリを上までスワイプすると、そのアプリが全画面になる。

もうひとつ重要なのは、ひとつのアプリで複数のウィンドウを開けることだ。これもマルチタスクに慣れているデスクトップのユーザーには当たり前のことだが、Pagesなどのアプリケーションでは、あるドキュメントの内容を、今書いてるほかのドキュメントに利用するなど、便利な使い方がいろいろある。

同社が、ファイルのアップデート以上の本格的なデスクトップ的ユーザー体験を今後も提供するのか、その明確なサインはない。今回の変更でユーザーは、自分のデバイス上でファイルシステムを前よりもっとコントロールできるようになった。これまで同社はそれを、よりシンプルなユーザー体験を提供するの名のもとに、ずっと隠してきた。でもそうすると、システムとの対話が不明瞭になるから、iPadをよりプロフェッショナルなマシンと位置づけるのなら、多くのことを明快にした方が良い。

関連記事: macOS 10.15 Catalina preview…Catalinaのプレビュー(未訳)

外部ハードディスクをUSB Cポートから使えるので、今後は大量のドラッグ&ドロップをしなくても済みそうだ。そうやってマウントしたドライブはFilesアプリのLocationsカラムに入る。Lightroomのように、SDカードやカメラからファイルを直接インポートできる。フォルダーのzip/unzipもFilesアプリの中でできる。download(ダウンロード)フォルダーがあるので、MailやSafariなどからダウンロードしたコンテンツにも直接アクセスできる。

iPadOSは今日から公開ベータで入手できる。iOS 13やmacOS Catalinaと一緒だ。最終バージョンは、秋になる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS 13に画期的新機能は少ないがクオリティ・オブ・ライフの改善が満載

デベロッパーの間で「クオリティ・オブ・ライフのアップデート」と呼んでいるのは「すでに動いている機能をさらに洗練させる」ことを意味する。地道な改良を積み重ねることが快適なユーザー体験を実現する道だ。iOS 13でAppleが力を入れたのもまさにそこだった。

一見して気づく派手な新機能はダークモードくらいだったが、これは悪いことではない。iOS 13はiOS 12より明らかに快適だが、その理由はさまざまな面でのクオリティ・オブ・ライフの改善にある。

以下はiOS 13ベータを実際に使ってみた感想だ。

ダークモードはゴージャス

ダークモードは快適だ。これはあらゆるアプリに適用可能なシステムレベルの改良なので実際にiPhoneで動かしてみないと実感しにくいかもしれない。いちばん簡単なのは画面をスワイプしてコントロールセンターを開き、輝度調整を長押しする。

マニュアルで起動する他に自動モードも設定できる。今のところ私のiPhoneでは夜になるとダークモードになり、朝になると解除される。朝夕の判定は現在地の日没、日の出時刻を使っているようだ。

Appleはノート、メール、メッセージ、Safariその他、自社提供のアプリについてすべてダークモードをサポートするようにアップデートした。こうしたアプリではダークモードはきわめて自然だ。

しかしサードパーティーのアプリの多くは残念ながらダークモードをサポートするアップデートを実施していない。しかし秋に正式版が公開されるまでにはポピュラーなアプリの大部分がアップデートされるものと期待している。

すでにアプリの設定でダークモードを選べるものも出ているが、Appleではいちいちマニュアルでダークモードをオンにしなくてもアプリがデフォルトでサポートするようになることを期待している。もちろんこの場合もアプリもアップデートが必要だ。

ハードよりレイヤーの改良

ダークモードを別にすれば、iOS 13は現行iOSと見た目はほぼ同様だ。 しかし注意深く観察するといくつかの点に気付くだろう。一つはアニメーションがスピードアップした。アンロック、アプリの起動と終了、スワイプ、通知のポップアップなどの動作が目につくほど高速化されている。

2つ目はFace IDの使い勝手の改善だ。ドラマティックというほどではないが顔認識が少し速くなっている。最新デバイスに買い換えなくもiOSのアップデートだけで高速化されるのはありがたい。

また新iOSではキーボードにスワイプ入力が追加された。キーボードのレイアウトもアップデートされ、3つのエリアに分割された。最上部は写真やリンクなど送信する重要な連絡先候補が表示される。

その下の部分には通常の連絡先やアプリを開くためのアイコンが並ぶ。さらに下にスクロールするとアプリごとに異なるアクションのリストにアクセスできる。

Siriの音声もこれまでより自然になった。またiショートカットも使い勝手が向上しSiriとの連携も密接化された。ショートカットはiOSにバンドルされてデフォールトでインストールされる。これはiPhoneでスクリプトやオートメーションを利用するために非常に便利だ。

音声起動のSiriショートカットがウィジェットになり、iOS 12以降「ヘイ、Siri、Citymapperで帰宅ルートを教えて」と命じてCitymapperを起動して乗り換え案内を参照できるようになった。iOS 13では Siriショートカットを起動するためのボタンが追加された。

さらに便利なのは一定の条件で自動的にショートカットを起動する設定ができるようになったことだ。たとえばCarPlayの位置情報やもっと手軽なNFCタグを使って特定の動作を実行させるシナリオを設定できる。たとえば、

  • CarPlayやBluetoothを利用したカーオーディオにiPhoneを接続すると自動的にプレイリストを再生する。
  • 機内モードに設定するとスクリーンの照度を落とし、省電力モードになる。
  • ベッドサイドスタンドにiPhoneを置くとPhilips Hueスマートライトを消灯する、等。

アプリのリファイン

Apple製アプリはすべてアップデートされた。その度合はアプリごとにさまざまだ。特に写真アプリには非常に大きな変化があった

写真: デザイン、機能ともまったく別物になった。これまでの平凡なグリッド表示ではなくメインタブの下に4つのタブが置かれ、ライブラリーの検索がはるかに効率的にできる。

「年」タブにはその年に撮影した写真がまとめられる。「月」タブではiOSがAIの力を借りて写真を同一イベントにまとめ、もっとも興味を集めそうな写真から表示する。その日に撮影した写真は「日」タブにまとめられる。なんらかの理由で同一の写真が保存された場合、重複分は自動的に隠される。

「すべての写真」タブには従来どおり延々と続くグリッドにカメラロールの写真がすべて表示される。e. Live PhotosやLive Videosはプレビューで自動再生される。私自身は自動再生は好みではないが、ユーザー間で要望が多かったのだろう。

カメラの改良はさほど大きなものではないが、ポートレートモードで人物の髪の切り抜き精度がアップした。また編集機能も多少改良された。

マップ: マップ・データが引き続き改善されているが、一般ユーザーは気づきにくいかもしれない。乗り換え案内がリアルタイム情報になり、場所のリストを友だちと共有できるようになった。もっともCitymapper、FlightLogger、Mapstrなどの専用アプリを代替できるところまでは行っていない。

Look Around機能が追加され、現地の写真が見られるようになった。これはGoogleマップのストリートビューに似た機能でAppleストリートビューといえば分かりやすい。私は土地勘のあるサンフランシスコのマップで試してみたが、単に360°パノラマというだけでなく、立体感の高い3Dにもなる。

メッセージ: 以前から要望が多かった機能がいくつか追加されている。プロフィールに名前、写真を表示できるようになった。私はデフォールトの灰色のそっけないアバターが嫌いなのでこれはありがたい。

ミー文字を表示できるデバイス(A9チップ搭載)であればステッカーで共有できる。検索機能も強化され、やっと実際に役立つものになった。アドレスや特定のメッセージをすばやく探して当てることができる。

ヘルス: デザインは変更されたが機能そのものにはさほど大きな変化はない。ただし新iOSでは生理周期のトラッキングと予測ができるようになっている。

プライバシーとセキュリティー

iOS 13はこの部門に力を入れている。特に注目は「Apple IDでサインイン」の機能だ。残念ながら私のベータ版にはこの機能が表示されないのでまだ実地に試していない。しかし同僚のSarah Perez記者が詳しく解説しているので参考にしていただきたい。

現在新たにサービスやアプリにアカウントを作る場合、メールアドレスを始め多数の個人情報の入力を求められるのが普通だ。「Googleでサインイン」や「Facebookでサインイン」もこれらのアカウントが持っている個人情報がどれほどサードパーティーに渡るの不明だった。これに対して「Appleでサインイン」の場合、Appleがランダムに個人情報を生成してアカウントを生成する。Appleはアカウントの継続利用に必要なユニーク識別子以外のデータを保存しないためプライバシーを侵害されるおそれが非常に少なくなる。識別子はiCloudのキーチェーンに保存される。

またiOS 13では位置情報に関するプライバシー・コントロールも強化されデフォルトでBluetoothのスキャンをブロックする。これはユーザー知らないうちにアプリが現在置情報をアップロードするのを防ぐため4だが、多くのアプリは自動的に周囲のBluetoothを探すよう設定されているので作動に問題が生じる可能性がある(略)。

その他

iOS 13には下記のような改善も含まれている。

  • アプリのアップデートの際、ファイルサイズが小さくなり、スピートがアップした。iOSはすべてのファイルをダウンロードするのでなく、当該デバイスに必要なファイルだけを要求する。
  • アーカイブ・ファイルをzip/unzipできる。
  • メールのフォントの種類、サイズ、色などをカスタマイズできる。インデントができ、ブレット付もリストを作れる。
  • 「iPhoneを探す」と「友だちを探す」が「アプリを探す」に統合された。まだ試したわけではないが、理論的には「友だちがどこかに置き忘れたデバイスを探す」こともできるはずだ。情報はすべてエンド・ツー・エンドで暗号化されているためのぞき見されることはない。

まだ試せていない機能

  • CarPlayが一新されたというが残念ながら私は自動車を持っていない。
  • セキュリティーカメラがHomeKit互換ならファイルをiCloudに保存できるという。
  • ARKitも改善されたらしい。
  • App Storeからカスタム・フォントをインストールしてアプリで利用できる。
  • 音楽アプリで歌詞をカラオケ・スタイルで同期表示できる。
  • リマインダーのデザインが改良されたというが、以前のリマインダーを使ったことがないので評価できなかった。新しいリマインダーの評判はいいようだから使ってみるべきかもしれない。.

全体としてiOS 13にフレッシュな空気感が漂っている。すべての機能が少しずつ改善され、使いやすくなっている。ドラスティックな変化はほとんどなかったが、iOSのプラットフォームとしての快適性は大いに向上したと思う。

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滑川海彦@Facebook

すべての人間を写真から消してくれるアプリが登場

人間嫌いでありながら元気な都市に住んでいる僕には、毎日不平のタネが尽きない。建物などそこに恒久的にあるものを撮ろうとすると、必ず群衆が写り込んでくるのなんかとくに嫌だ。でも、撮った写真から人間を削除するBye Bye Cameraアプリを使えば、その悩みもやっと解消する!

それはDo Something Goodに出品されているアートのつもりのアプリだが、ときどきアートには実用性がある。この創作グループ、中でもとくにアーティストのdamjanskiは、例えば人間を排除するCAPTCHAや、Googleの2つの会話エージェントによる対話など、デジタルのいたずらをいろいろ作ってきた。

今回にアプリについてdamjanskiがArtnomeに語っているところによるとそれは、「人間が絶滅した後の時代のためのアプリであり、自撮りや個人といった虚栄をすべての写真から取り去る」のだそうだ。幸いにも、犬は消えない。

でもアプリは人間が意図的に動かすのだから、人間が必要では? 世界から人間がいなくなったら、どうなるの? などと考えこんでもいいけど、幸いにしてこのアプリにはすべての人間を消滅させる気はない。

Bye Bye Cameraは、研究者向けに一般公開されているAIツールYOLO(You Only Look Once)を使っている。とても効率のいいオブジェクトクラシファイア(物を分類するソフトウェア)で、写真の中の人間の輪郭を素早く見つけて、Adobe(アドビ)なら「状況を生かした塗りつぶし」(context-aware fill)とでも呼びそうな機能のツールで、人間がいたところを背景で塗りつぶす。塗りつぶしはやや雑だが、確実に人間は消える。

楽しいプロジェクトだが、どこからか文句が来るかもしれない。人間性に関する議論を惹起したり、「誰でも使えるAI」の危険性、なんて話題にまで発展する可能性もありそうだ。

Bye Bye CameraはiOSのアプリストアで3ドルでダウンロードできる

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがMac用Microsoft To-Doをリリース

Microsoft(マイクロソフト)は2017年に、いずれは買収済のWunderlist(ワンダーリスト)を閉鎖し、独自のTo-Doアプリの開発にまい進すると発表した。それ以来、To-Doという名前のアプリを、Windows、iOS、Android、そしてウェブ上でリリースして機能を拡充させてきた。そして米国時間6月17日、ついにMac版もリリースした。

マイクロソフトは同日、To-DoアプリがMac App Storeで公開されたことを発表した。タスクの作成と管理、オフライン作業、リストの共有、タグの利用など、主な機能は最初からサポートしている。さらに、Microsoft Outlookと連携して、フラグが立てられた電子メールリストを取得できる。近いうちにはMicrosoft Plannerとも連携して、自分に割り当てられた項目を確認できるようになる。

Mac版では、特にキーボードショートカットが強化されている。例えば、「command」+「2」ではアプリのウィンドウをリストビュー用に最小化する。そこから「command」+「2」を押せば、リスト全体が見えるサイズにウィンドウを復元する。また、リストビュー上のタスクのテキストをクリックすれば、その場で編集することもできる。

マイクロソフトが、このネイティブなMacアプリを100%AppKit(アップル純正のアプリ開発フレームワーク)によって開発したと述べていることは注目に値する。

今月のアップルのWorldwide Developer Conferenceで同社は、Project Catalystと呼ばれる新しいツールセットを発表した。デベロッパーが既存のコードベースを活用してiPadアプリをmacOSに移植できるようにするものだ。これにより、アップルのMac App Store上のMacアプリが徐々に充実していくことが期待できる。複数のアプリを、同時にさまざまなプラットフォーム上でメンテナンスする作業が簡略化されるからだ。例えばTwitterは、米国時間6月14日に、Project Catalystを利用してMac版のアプリを復活させると発表した。

しかし、マイクロソフトは別の道を進んだことになる。同社は、この新しいアプリを、古いバージョンのmacOS(High Sierra以降)でも動作するものにしたいと考えたようだ。Project Catalystは、そうした古いmacOSはサポートしていない。

現状での大きな疑問は、このニュースがWunderlistにとって何を意味するのかということ。なんと言ってもWunderlistは、MacApp Storeで満点の5に近い4.9の評価を受け、仕事効率化カテゴリで21番目に人気のある無料アプリなのだ。

リリースの当日時点で、Microsoft To-Doのダウンロード数は急増し、Wunderlistよりも上に来ている。この記事の執筆時点(米国時間6月17日)では、同じ仕事効率化のカテゴリで11番に位置している。

マイクロソフトは以前、「Wunderlistの最も優れた部分をTo-Doで実現できた」という確信が得られるまで、Wunderlistを廃止することはないと約束していた。同社が当初課題として挙げていたのは、To-Doにリスト共有機能を追加することや、すべてのプラットフォームをサポートすることなどだった。これらは、今回のMac版のリリースで両方とも解決している。

今回のリリースに絡んで、Wunderlistの今後の計画について、何かコメントがあるかどうか、マイクロソフトに質問してみた。

「私たちは現在、Microsoft To-Doという新しいアプリに集中していて、Wunderlistの新機能には取り組んでいません」と、広報担当者は回答した。「Wunderlistのもっとも優れた部分をMicrosoft To-Doで実現したと確信できたら、Wunderlistを引退させる予定です」と付け加えた。

この文面は、基本的にマイクロソフトが数年前に発表したのと同じだ。従って今の状況を十分に説明するものにはなっていない。

新しいMac版のTo-Doは、すでにMac App Storeから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルがiOS 13、iPadOS 13のベータ版を一般公開

iOSやiPadOSが今後どうなるのか誰でも試してみることができるようになった。Apple(アップル)は先ほどiOS 13、iPadOS 13の最初のベータ版を一般公開した。

これらのOSはモバイルデバイスの2大陣営の一方であるiPhoneとiPadに搭載される。このバージョンは.現在デベロッパー向けに公開されているベータとは異なり、99ドルの有料デベロッパーアカウントを取得する必要がない。ただしあくまでベータ版だということに留意すべきだろう。

正式な安定版が公開されるのは今秋これまでの例だと9月だが、それまでの間もベータ版は数週間ごとにアップデートされる予定だという。一般のユーザーに実際の環境で利用してもらいフィードバックを収集するのはバグフィックスに非常に効果的な方法だ。

いつものとおり、アップルの一般向けベータのアップデートはデベロッパー向けベータのアップデートと同期しているはずだ。アップルはiOS/iPadOS 13のベータのv2を先週公開したところだ。今回の一般向けベータはデベロッパー向けベータのv2とほぼ同内容と考えていいだろう。

ただしベータ版は普段メインで使っているデバイスにはインストールしないほうがいい。各種のバグが含まれていることに加えて、いくつかの新機能はまだ作動しない可能性がある。レアケースだが、相性によってはベータ版はデバイスを文鎮化することもないではない。

私はデベロッパー版ベータを使っているが、まだバグが非常に多い。開けないサイトもあるし、作動しないアプリもある。

万一作動しなくなっても仕事や生活に支障ないiPhone、iPadを持っていて、いち早くベータ版を試してみたいなら、インストール方法は次のとおりだ。アップルのベータサイトを開き、コンフィギュレーションプロファイルをダウンロードする(Apple IDとパスワードの入力を求められる)。このファイルはiPhone、iPadにベータ版を正式版のアップデートと同様にインストールするようを指示する。

コンフィギュレーションプロファイルはデバイス上のSafariから入手することもできるし、AirDropを使って転送することもできる。再起動して「設定」アプリを開く。9月の正式版ではこうした手続は不要で自動的にアップデートが行われるはずだ。このときにベータ用コンフフィギュレーションプロファイルを削除できる。

ここでiOS 13の新機能について簡単に復習しておこう。デザインの変更では暗めの場所で見やすいダークモードが目立つが、これ以外にも全アプリ共通で使い勝手、感触が改善されている。写真アプリではギャラリー表示が可能になり、写真やビデオのオープレイ、高度な編集も可能人なった。

新バージョンの重要な変更点の1つはプライバシー全般の強化とSigh in with Apple(アップルでサインイン)のサポートだ。これにより個人情報をサイトやアプリの運営者に渡すことなくアカウントが作れるようになった。サードパーティーがBluetoothやWi-Fiからバックグラウンドで位置情報などを入手しようとすると、警告のポップアップが出る。Look
Aroundという新しい機能はアップルのマップにGoogleのストリートビュー的な現場写真を追加する。これは今のところ一部の都市のみカバーしているが、3D表示可能なので試してみる価値がある。

メール、リマインダー、メッセンジャーをはじめアップル製アプリ多数アップデートされている。リマインダーには各種の操作を簡単に実行できるツールバーが新設された。メッセージではユーザーのプロフィール写真が表示できる、アニ文字やユーザー独自のミー文字を共有できるようになった。メールはヘルスケアアプリでは生理周期をモニターする機能が追加されている。またデスクトップパソコンのようにファイルを操作できるようになった。Safariではサイトごとの設定機能が強化された。その他iOS 13の新詳細はTechCrunchのこの記事(英語)を参照いただきたい。NFC(短距離無線通信)のサポートについてはこちらに詳しい。

今回始めてアップルはiPhone向けと別個にiPad向けOSを発表した。iPadOSのリリースにより大画面を生かした複数アプリの表示や高機能なスタイラス、Apple Pencilのサポートなどタブレット特有の機能の追求が可能になった。またパフォーマンス面でもSafariその他のアプリがmacOS同等の能力を備えるようになった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビル・ゲイツが「生涯最大級の失敗」を語る

ベンチャーキャピタルのVillage Globalが最近主催した創業者向けイベントで、著名な投資家であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、Eventriteの共同ファウンダーでCEOであるJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏と対談し、企業の設立について、繁栄する企業を作って維持するためにはあらゆる場面で困難な決断に遭遇すると語った。

ハーツ氏はゲイツ氏に、ワークライフバランスに対する彼の考えについて、ゲイツ氏がかつて発言した「休暇が必要だとは思わない」という考えから変化があったかどうかを尋ねた。

ゲイツ氏の短い答えは、企業の初期段階では必要ない、特にソフトウェアプラットフォームを作っているときは、だった。ゲイツ氏はハーツ氏に、「私は、創業時には大きな犠牲を払うべきだという信念をかなり強く持っている。実現の可能性、すなわちプロジェクトが成功する確証を得るための技術的作業をしているときは特にそうだ」と語った。

実際ゲイツ氏は、目をそらしていたためにGoogleがAndroidを開発することを許してしまったことを今も悔やんでいる。それを「非Appleの標準プラットフォーム」と彼は呼び、「あれはMicrosoftが勝って当然のものだった」と言った。

対談の全容は下のビデオにあるが、仕事にすべてを捧げることの価値と初期段階のファウンダーがバランスを重視すべきかどうかに関する彼の回答を以下に引用した。

猛烈に働くことを礼賛しすぎたり神話化しすぎるということはあるかもしれない。私に関して言えば、私が週末の存在を信じていなかったのは本当だ。休暇の存在も信じていなかった。私は全員のナンバープレートを覚えていたので、先月誰の車が駐車場に出入りしたかを知っていた。誰にもこれを勧めないし、誰もが喜んでできることではないだろう。

30代になったとき、どうしてあんなことができたか自分でも想像できなかった。その頃から自然な行動をするようになり週末が大好きになったからだ。あと、そう、ガールフレンドは休暇が大好きだった。結果的にそれはすてきなことだった。今はたくさん休暇をとっている。二十歳の私は今の私にうんざりしている。飛行機はエコノミークラスしか使わなかったが、今は自家用機を持っている。

しかし、最初の何年かは仕事に対して熱狂的なチームであるのは良いことだし、いつまでそれを続けるかについては共通の理解が必要だ。人によって求めるものが違ってはいけない。

中には、健康や家族の事情を抱えるてい人もいるだろう。しかし私は、創業時には大きな犠牲を払うべきだという信念をかなり強く持っている。実現の可能性を確かめるための技術開発をしているときは特にそうだ。

知っての通りソフトウェアの世界、特にプラットフォームは、勝者総取りの市場だ。最大の失敗は、私の何らかの経営判断ミスが原因でMicrosoftがAndroidの立場になれなかったことだ。Androidは標準非Appleプラットフォームであり、Microsoftが勝つのが当然だった。

それはまさに勝者総取りだ。非Appleのオペレーティングシステムの座席は正確に1つだけだ。あの4000億ドル(約43兆円)は、G(Google)社ではなくM(Microsoft)社に行くはずだった。

私が驚いているのは、生涯最大の失敗をして、しかもあんな反トラスト訴訟を抱えながら、われわれの財産、つまりWindowsとOfficeが今も非常に強いということだ。もし、あれもうまくやっていれば、Microsoftは「ザ」カンパニーになっていただろう。しかし、まあしかたがない。

つまり、小さな違いが大きな違いに拡大する、という事情が当てはまるビジネスはそう多くない。たとえば、サービスビジネスには当てはまらない。しかし、ソフトウェアプラットフォームでは、本当に巨大だ。これは、毎晩「自分は大失敗するんじゃないか?」と心配するメンタリティーのせいでもある。そして、結局我々は超重要なもので大失敗してしまった」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixの社内ハッカソンで映像に合わせてスマホを振動させるハックが登場

Netflixの社内ハッカソン「Netflix Hack Day」では、さまざまな原石が生まれる。脳でコントロールするインターフェイス、寝落ちするとNetflixを終了するFitbitのハック任天堂のNESで動くNetflixアプリNetflixアプリをFace IDARKitで動かす方法などだ。今年のNetflix Hack Dayで社員は音声テクノロジーや触覚フィードバックなどに挑んだ。触覚フィードバックは画面のアクションなどに連動してスマートフォンが振動するというものだ。

触覚フィードバックを利用したこのハックはProject Rumble Pakと名づけられた。これは、ボールのバウンド、カーレース、オブジェクトの衝突や破壊などのアクションを振動で感じさせるモバイルゲームからヒントを得たものだ。

こうしたモバイルゲームと同じように、Project Rumbleでは番組や映画中のフライト、バトル、大爆発といったシーンを体感できる(Rumble Pakをオンにしてマイケル・ベイ監督のアクション映画を体感してみたい!)。このハックに取り組んだチームのHans van de Bruggen氏とEd Barker氏は、テレビアニメ「ヴォルトロン」の大爆発シーンを使って、スマートフォンが振動するデモを披露した。

このハックは、イマージョン社の技術を使ってNetflixのコンテンツと触覚の効果を同期させている。

次に紹介する「Voice of Netflix」は、Netflixのお気に入りのキャラクターの声で文章をしゃべらせるものだ。Netflixのコンテンツから単語を見つけるようにニューラルネットをトレーニングし、見つけた単語を使って新しい文をオンデマンドで読み上げる。

3つ目はTerraVision。ビジネスに結びつきそうな実用的なハックだ。

映画製作者が撮影したいロケーションのイメージに近い写真をインターフェイスにドラッグすると、ロケーション写真のライブラリからそれに近い結果を返す。このハックは、場所を認識するようにトレーニングしたコンピュータビジョンのモデルを利用してイメージ検索機能を実現している。

最後に紹介するのはアカデミー賞のスピーチが長すぎるときに流れるような「退席の音楽」を奏でる、ゆるいハック。誰かが会議室の予約時間をオーバーしているときに使える。

残念ながら、Netflixのハックの多くはハッカソンの域を超えない。しかし社員たちはさまざまな方法で現実のプロジェクトに刺激を与え、創造性を発揮し続けるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)