アマゾンのFire TVのユーザーが3400万人に達した

アマゾンのFire TVは、ライバルのストリーミングプラットフォーム、Rokuとの差を広げている。1月にラスベガスで開催されたCESでアマゾンは、Rokuのアクティブユーザーが2700万人であるのに対しFire TVのユーザーは3000万人を「優に超えた」と発表した。それからおよそ4カ月経った今週、Fire TVのアクティブユーザーは3400万人と発表された。一方のRoku今月発表した収益報告書によると、2019年第1四半期にアカウントベースで200万増えて、アクティブアカウントは2910万だという。

アマゾンのFire TVに関する最新の数字は、米国時間5月14日にFire TVのGM兼マーケティング・成長・エンゲージメントのグローバルヘッドであるJen Prenner氏が「リビングルームの覇権争い。スティック、ボックス、スマートTVプラットフォーム」と題したPay TV Showのパネルディスカッションで明らかにしたものだ。

アマゾンは、Fire TVは米国、英国、ドイツ、インド、日本で売り上げが加速し、ストリーミングメディアプレイヤーのプラットフォームのトップになったとも主張している。

アマゾンがCESでユーザー数を発表したときには、その数字の根拠に疑問があった。Rokuは通常、過去30日間に同社のプラットフォームでストリーミングを利用した「アクティブ」なアカウントを数えている。一方アマゾンはCESの時点で「アクティブ」の定義は示さず、一般的な言い方でユーザー数を語っていた。

これに対し、今回のコメントでアマゾンは「アクティブユーザー」について言及した。これはユーザー数の合計ではないという。

Rokuは、同社のアクティブアカウントは複数の人(つまり複数のユーザー)が家族として1アカウントに数えられている可能性があるとしている。これは、Fire TVの最新の数字を見る上で注目すべきポイントだ。Fire TVデバイスには、アマゾンの1人のユーザーのアカウント情報が登録されている。セットアップ後に複数の人がそのデバイスを使う可能性はもちろんある。複数の人がいちいちプロファイルを切り替えるのでない限り、Rokuと同様にアマゾンも各人のデータを追跡することはできない。アマゾンは、Rokuが「アカウント」を測定しているのとまったく同じ方法で「ユーザー」を測定していると認めた。

昨年、Rokuは米国のストリーミングプレイヤー市場をリードしていたが、Fire TVは世界的に成長しているようだ。現在、Fire TVは世界中多くの国で販売され、プライムビデオのコンテンツをストリーミングで楽しむことができる。一方のRokuが販売されているのは米国、カナダ、英国、フランス、ラテンアメリカの一部の国などに限られている。しかも昨年、Rokuではメキシコで海賊版のコンテンツにアクセスできてしまうという問題があり、それが10月に解決されるまで販売を停止せざるを得なかった。

Fire TVの成長の背景には、アマゾンがハードウェアデバイスをしょっちゅう大幅に割引して販売しているということもある。年末商戦でFire TV Stickはベストセラー商品になっていた。デバイスを低価格で販売すれば市場を獲得できる。しかも最近では、Alexaを最も低価格で利用できるデバイスとしてFire TVを購入するケースもあるようだ。

今年、アマゾンはFire TVで利用できるコンテンツとAlexaの機能の拡充に取り組んでいる。コンテンツに関しては、まずYouTube、その後YouTube TVとYouTube KidsをFire TVで利用できるようにすることで4月にグーグルとついに合意した。同社は、今年後半にはDisney+とApple TV+にも対応する予定であるとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ポッドキャストのリスナーがボイスメッセージを残せる機能をAnchorが公開

Spotifyは2月にAnchorを買収した。これはSpotifyにとっては有効な手だった。気が利いていて急速に成長しているAnchorは、Spotifyがポッドキャスト事業を構築するのに大きな役割を果たすだろう。とはいえ、大規模な買収の後でもAnchorは自己満足に陥ることなく、自社のサービスの強化を続けている。

Anchorは、ポッドキャストを始めるハードルを下げる優れたツールを提供している。同社は最近、興味深い機能を追加した。リスナーが番組提供者に対して、ボイスメッセージで音声フィードバックを送れるというものだ。

この機能を使うには、以前はAnchorアプリが必要だった。現在はアップデートされて、番組のプロフィールにあるリンクをクリックすると最長1分間のフィードバックを録音することができるようになっている。フィードバックがあると番組提供者に通知が送られ、Anchorアプリかダッシュボードからオーディオファイルにアクセスできる。Episode Builderを使うとオーディオファイルを番組に直接追加できる。

リスナーはサインアップしてログインしないとメッセージを残すことはできない。Anchorは、これは匿名性を減らす試みであり、実際の人物とメッセージを紐づけることで多少なりとも責任を持たせるものであるとしている。

この機能はすでにCasey Neistat & Candace Poole’s Couples TherapyやPopular Science’s The Weirdest Thing I Learned This Weekなどの一部のポッドキャストで利用されていたが、現在はリスナーのエンゲージメントを推進する方法を求めているすべてのユーザーに公開された。親密でありながら一方通行になりがちなメディアには、好ましい機能追加だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

中国検索大手Baiduが上場以来初めての四半期損失を計上

【抄訳】
中国のGoogleと一般的に思われているBaidu(百度)は5月16日に、本年第1四半期(1〜3月)の決算報告を発表した。近年同社は人工知能などの次世代技術への支出が多く、その成果がマスマーケットにまだ届いていないので、それはあまりうれしくない結果だ。

同社は、3月31日に終わる四半期に4900万ドル(約54億円)の損失を計上し、それは2005年に上場した同社の初めての損失の四半期になった。同社の前年同期の純利益66億9000万人民元(約1062億円)に対し、今四半期は3億2700万人民元(約52億円)の純損失となっている。

Baiduは中国最大の検索サービスで、PC時代には巨額の広告収入を獲得した。しかし消費者の関心が、リコメンデーションによるコンテンツ発見など、新形式のモバイルサービスに向くに伴い、Baiduの魅力は薄れた。

決算報告は、2005年以来同社に奉仕してきた検索部門の上級副社長を務めるXiang Hailong氏が辞めたことを、発表している。この巨大検索企業は今や、メインの事業を検索ではなく“モバイルビジネス”と称している。

Baiduの売上は241億人民元(35億ドル、約3830億円)で、前年同期比では15%増加した。

【後略】

画像クレジット: Bloomberg/Contributor

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

上場後初のPinterestの決算は好調、売上高は222億円

Pinterest(NYSE:PINS)は米国時間5月16日、公開企業として初の決算となる第1四半期の結果を発表した。共同創業者でCEOのBen Silbermann氏率いるPinterestは、2019年3月31日までの3カ月間で2億200万ドルを売り上げ、損失4140万ドルを計上した。この売上高は市場予測の2億ドルを上回り、前年同期の1億3100万ドルから大きく成長した。しかしながら、損失は予想のおおよそ3倍超で1株あたり32セントの損となった。

デジタルピンボードのPinterestは4月に上場し、ニューヨーク証券取引所での初日、株価は25%上昇した。その後の株価の動きは順調で、木曜日は8%アップの1株あたり31ドルで時価総額は167億ドルとなった。

「IPOは重要なマイルストーンだった。しかし我々の目標に変化はない」とSilbermann氏は発表文で述べた。「ファッションから家庭装飾、旅行やフィットネスに至るまで、生活のあらゆる面で人々が刺激的なアイデアを発見するのを手伝いたい。我々がうまくやっていることはQ1の結果に見て取1れる。今後もPinterestの浸透と影響力を成長させ続けることを楽しみにしている」。

PinterestはIPOで7500万のクラスA株を売って14億ドルを調達し、時価総額を126億ドルとした。この時価総額の数字は、シリーズH時の123億ドルよりわずかに大きい。PinterestはIPOでの時価総額が少なくなって“undercorn”というみっともないタイトルをつけられるのを最も懸念していた。

Pinterestは2018年12月31日までの1年間の売上高が7億5590万ドルで、2017年の4億7280万ドルから増えたことを明らかにしていた。一方の損失は、2017年の1億3000万ドルから昨年は6290万ドルに縮小した。2021年までの黒字化を予想している同社は、2019年の売上高として10億5000〜10億8000万ドルを見込んでいる。

IPO後のPinterestの株価は、LyftUberのものとは対照的だ。Lyftの株価は初日に21%上昇したものの、その後低迷している。公開企業として初の決算報告が先週発表されたが、四半期の売上高は7億7600万ドル、損失は11億4000万ドルだった。ここには8億9400万ドルの株式型報酬や関連する給与税経費が含まれている。売上高は市場予測7億4000万ドルを上回ったものの、IPO関連経費のために損失はかなり膨らんだ。

Uberは、株価が下がり続けるという先週の悲劇的なIPOで苦しんだ。この配車サービス大手は以前のプライベートマーケットでの時価総額は720億ドルとされていた。先週、公開価格は45ドルとし、時価総額は824億ドルだった。そして木曜日、1株あたり43ドルで取引を終え、時価総額は725億ドルとなった。

Pinterestの刷新的なデジタル広告ビジネスはウォールストリートには配車サービスよりも魅力的にうつっている。本日、予測を上回る売上高を発表したのに加え、Pinterestはユーザー数の成長も明らかにした。月間アクティブユーザーは2億9100万で、2018年Q1から22%増となった。グローバルユーザー数も増え続けていて、昨年は29%も成長した。ただ、米国が主要マーケットであることに変わりなく、米国マーケットにおけるARPU(ユーザーあたりの平均売上)は41%増の2.25ドルだった。

Pinterestの「いいヤツ」的イメージとこれまでの低い成長率により、さえない公開企業となるだろうと予測した懐疑論者をPinterestははねつけた。本日、Pinterestの時価総額は公開前は10億ドル超の差があったLyftを超えた。

Pinterestがどれくらい好調を維持し続けられるかは今後明らかになる。

イメージクレジット: Spencer Platt / Staff / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトとソニー、ゲーム界の二巨頭がAzureクラウドをベースに提携

この20年間、ソニーとMicrosoft(マイクロソフト)のゲーム部門は全面戦争状態にあった。両者は価格で、ゲーム機で、ゲームソフトで、特別ボーナスで常にがっぷり組んで相手を叩き潰そうとしてきた。しかし発表された覚書によれば、両者はこれまでの行きがかりを一時棚上げし、カジュアルなクラウドゲームによってGoogleがゲーム市場を席巻するのに備えようとしている。

具体的内容についてはまだほとんどわかっていない。しかし米国時間5月16日に公表されたソニーの吉田憲一郎社長とMicrosoftのサティヤ・ナデラCEOが握手している写真をフィーチャーした公式覚書には、両者がMicrosoft Azureをベースとしてクラウド化で提携したことが明記されている。

両社は将来のクラウドソリューションに関して共同で開発を進めることとした。両社のゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスをMicrosoft Azureがサポートしていく。これに加えて、両社はMicrosoft Azureのデータセンターをベースとするソリューションをソニーのゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスに適用する可能性を追求する

ソニーがゲームその他のオンデマンドサービスで他の多数のクラウドを利用できることは疑いない。実際、 Playstation Nowはその例だ。しかしここ数年のうちにゲーム界を激震が襲うことが予想されている。これはインターネットの浸透により消費者の多くがいわゆるコードカッターとなってケーブルテレビを解約しはじめたことと比較できる。Netflixなどのストリーミングサービスの躍進により、これまでテレビ番組や映画の視聴で圧倒的な勢力を誇っていたケーブルテレビ企業は一気に苦境に追い込まれた。ゲーム企業がこうしたクラウド化に対応するためには巨額の資金とノウハウを必要とする。

最も警戒すべき挑戦者はなんといってもGoogleだ。今年3月、GDCで発表されたStadiaゲームストリーミングサービスは、Googleの技術力、資金力、世界的認知度に加えて、検索とYouTubeという入り口を押さえている。これまでGoogleはゲームではさほど強くなかったが、今後は別だ。ブラウザでゲームを検索し、好みのゲームを発見すれば文字通り5秒後にそのブラウザ内からゲームがプレイできるというのは脅威だ。しかもこういうことができるのは現在Googleしかない。

これだけでも容易ならぬ暗雲だが、Microsoftとソニーに手を握らせることになった理由は他にもあるかもしれない。Switchの世界的大成功による任天堂の復活はその1つだ。「いつでも、どこでも、誰とでも」をキャッチフレーズとし、据え置き、携帯両対応でインターネットとモバイル接続に強く依存するSwitchは従来のゲーム専用機を時代遅れにしつつある。Apple Arcadeもあまり魅力が感じられないお仲間だが、正直こちらは誰も気にしていないようだ。

ソニーとMicrosoftの間には秘密のホットラインがあり、「休戦。まずGoogle Stadiaを撃滅。できればNvidia(エヌビディア)も」というようなメッセージがやり取りされたのだろう。

もっとも、想像をたくましくする必要はない。ソニーの吉田憲一郎社長は発表でこう述べている。

Microsoftとソニーはある分野では激しく競争してきたが、長年にわたってもっとも重要なビジネスパートナーの1つでもあった。今回のクラウド開発における両社のジョインベンチャーはインタラクティブなコンテンツのサービスを前進させる上で極めて大きな役割を果たすだろう。

世界的テクノロジー企業であるソニーはストリーミングサービスを手がける技術力もノウハウも持っている。しかしクラウドサービスをゼロから自前で立ち上げるより、すでに地位を固めているMicrosoft Azureの上で展開するほうが有利であるのは明らかだ。

MicrosoftにしてもAzureにソニーのような巨大企業を迎え入れることができればハッピーだ。ともあれソニーとMicrosoftがゲーム分野でライバルだったことはGoogleという両社のゲームビジネスの存立にかかわる脅威に比べれば何ほどのこともない。Microsoftもソニーと戦い続けるよりパートナーとなることが有利と見たはずだ。

ライバルと手を組むという複雑な関係ではソニーのほうが経験を積んでいる。ソニーは以前から撮像素子を始めとするカメラテクノロジーを多くのスマートフォン、デジタルカメラのメーカーに提供してきた。これはソニー自身のプロダクトとバッティングするわけだが、単に売上だけでなく、顧客メーカーからさまざまなノウハウのフィードバックを受けることがソニーが映像業界において不動の地位を確保する上で役立ってきた。

画像業界といえば、両社はソニーの撮像素子とMicrosoftの人工知能を統合した新しいテクノロジーの開発に向かっている。プロダクトとしてはロボティクス、自動運転車となる可能性が高い。この分野の競争は激烈だが、今のところ両社ともにこれというプレゼンスがない。提携の背後にはこの事情を変えていこうという野心もあるかもしれない。

画像:Christian Petersen / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

名刺管理サービスのSansanが東証マザーズ上場承認、6月19日上場へ

名刺管理サービスを提供中のSansanは5月16日、東証マザーズへの上場が承認されたことを発表した。上場日は6月19日に予定されている。

同社は個人向けの「eight」や法人向けの「Sansan」といった名刺管理サービスを主軸としつつ、最近では他企業への投資や人材採用サービスもスタートさせるなど事業拡大を進めてきた。資金調達も積極的で、2017年8月には42億円、2018年12月には30億円、累計では100億円を超える資金を集めている。調達先には、未来創生ファンド、DCM Ventures、Salesforce Ventures、日本郵政キャピタル、T. Rowe Price Japan Fund、SBI インベストメントなどが名を連ねる。

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マイクロソフトがBing検索の重要アルゴリズムをオープンソース化

米国時間5月15日、Microsoft(マイクロソフト)11は、Bing検索サービスが検索結果をユーザーにすばやく返す技術の主要部分をオープンソース化したことを発表した。このテクノロジーをオープン化することによって、デベロッパーが小売業など他の巨大データ検索が行われる分野でも同様の体験を提供することを同社は期待している。

今日オープンソース化されたのは、収集したデータをより有効に活用するために同社が開発したライブラリーと、Bingのために作られたAIモデル

「ほんの数年前まで、ウェブ検索はシンプルだった。ユーザーがいくつか単語を入力し、結果ページをめくっていく」と同社が発表リリース文で言った。「今日では、その同じユーザーが携帯電話で撮った写真を検索ボックスにドロップしたり、端末に物理的に触れることなくAIアシスタントに質問している。さらに、それらしい答の書かれたページ一覧ではなく、具体的な答えを期待して質問をするユーザーもいる。

オープンソース化されたPythonライブラリーの中核をなす空間分割ツリーグラフ(SPTAG)アルゴリズムを用いることで、Microsoftは数十億件の情報をミリ秒単位で検索することができる。

ベクトル検索自体はもちろん新しいアイデアではない。Micrsoftはこのコンセプトをディープラーニングモデルに応用したこと。開発チームはまず、事前訓練済モデルのデータをベクトルにエンコードした。それぞれのベクトルは単語またはピクセルを表現している。次に新しいSPTAGライブラリーを使ってベクトルインデックスを生成する。検索クエリがやって来ると、ディープラーニングモデルがテキストや画像をベクトルに変換し、ライブラリーがインデックスから最も関連の深いベクトルを見つける。

「Bing検索では、検索エンジンがインデックスした1500億件以上のデータをベクトル化することで、伝統的キーワードマッチングを改善した」とMicrosoftは言う。「ベクトルは1つの単語や文字からウェブページの断片、検索クエリ全体、その他のメディアまで多岐にわたる。ユーザーが検索すると、Bingはインデックスされたベクトルをスキャンしてベストマッチを返す」

ライブラリーは現在MITライセンスの下で利用可能で、分散ベクトルインデックスを構築、検索するためのツールもすべて提供されている。 このライブラリーを利用するための詳細情報やサンプルアプリはここで入手できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

京都を拠点とする農業スタートアップの坂ノ途中が総額6億100万円を調達

京都を拠点として持続可能な農業の普及を目指すスタートアップである坂ノ途中は5月16日、第三者割当増資により総額6億100万円の資金調達を発表した。調達額は累計で約8億4700万円となる。

引受先は、農林漁業成長産業化支援機構、Impact and Innovation、セラク、ナントCVC投資事業有限責任組合、京信イノベーションC投資事業有限責任組合、京都大学イノベーションキャピタル、NECキャピタルソリューション、みずほキャピタルなど。今回の資金調達により、生産者との連携強化、有機農産物のオンラインマーケット拡大、そして東南アジアのコーヒー事業の活動にあてる予定とのこと。

今回の資金調達は、農林水産省から認定を受けた取り組みに関わるもので、大半を出資する農林漁業成長産業化支援機構は、農業の6次産業化事業を支援するために設立された官民ファンドだ。

坂ノ途中は、新しく農業に就く人材をパートナーとした野菜中心のECを展開。現在、9割が新規就農者だという。同社が販路を担うことで参入障壁を下げつつ、付加価値のある有機野菜の栽培に特化することで持続可能な農業を目指す。具体的には今回の資金調達により、栽培管理システム、農作業アシスト機器、自社便やネットワーク物流便の拡大などを計画しているほか、旗艦店出店などによる集客の強化、需要の安定化に取り組むとのこと。

同社は有機農産物の生産者とバイヤーのマッチングサービスも運営している。2019年5月現在、424件の生産者と224件のバイヤーが登録している。こちらも資金調達により、2019年に受発注機能、将来的には請求・決済機能も組み込みたいとしている。

調達した資金は2016年にラオスでスタートした、コーヒー事業の拡大にも使われる予定だ。現在、ミャンマーとフィリピンにも進出しており、2019年にはタイ、イエメ ン、バリ、ネパール、中国と産地を広げる計画とのこと。同事業では、各地域のニーズに合わせて栽培方法や精製プロセスの見直しと高度化、資金面や販路構築をサポートしている。

過激主義コンテンツ排除のグローバル文書に米国は署名せず

暴力や過激なコンテンツのオンライン配信を抑制するために政府や企業が取り組むことを盛り込んだグローバル文書「クライストチャーチ・コール」に署名する国々の輪に米国は加わらない。

「米国は現在この文書に署名する状態にないが、我々はコールでうたわれている全体的な目標達成のサポートを続ける。政府や産業、社会がインターネット上のテロリストコンテンツに立ち向かい続ける」とホワイトハウスの声明文には書かれている

クライストチャーチ・コールは、インターネットプラットフォームから暴力や過激なコンテンツの配信を排除することを目的に、ニュージーランドとフランスの外相が草案を書いた拘束力のない合意文書だ。こうした動きは、3月にクライストチャーチで51人のイスラム教徒が殺され、その殺人の様子のビデオと犯人の声明がオンラインで拡散したことが発端となっている。

この合意文書に署名することで、企業はモデレーションプロセスの改善と、テロリストのコンテンツが広まるのを防ぐために取り組んでいる内容についての情報を共有する。一方、調印した国の政府はソーシャルネットワークにおける有害なコンテンツを禁止する法律を通じてガイダンスを提供する。

すでにTwitter、Microsoft、Facebook 、そしてGoogleの親会社である Alphabetが、フランス、オーストラリア、カナダ、英国の政府とともに文書に署名した。

クライストチャーチ・コールは、テクノロジーが社会組織を傷つけているという問題をいかに解決するか、政府当局がとっているステップと一致している。G7メンバー国は今日、有害なコンテンツと戦い、プライバシーを保護し、より優れたテック企業の監視を確かなものにする幅広い規制を協議するために会合を開いた。

ホワイトハウスは、プラットフォーム上の過激で暴力的なコンテンツの流れを止めるための行動に起因して起こり得る言論の自由へのリスクを懸念しているようだ。

「オンラインのテロリストのコンテンツと戦う努力を率先して続ける一方で、表現の自由と報道の自由も尊重し続ける」と声明文には書かれている。「さらには、テロリストの主張を負かすための最良のツールは実りの多い言論であることも支持している。このように、我々はテロリストのメッセージを打ち負かす主要な手段として、信用できるオルターナティブ・ナラティブを推進することの重要性を強調する」。

署名した国や企業はすでに、暴力的なグラフィックやヘイトスピーチがプラットフォーム上で増えにくくするために取り組んでいる。

昨夜、Facebookは一度違反行為を行った後にライブストリーミングのルールを破ったユーザーを追放する方針を導入した。

クライストチャーチ殺人事件は、白人主義のヘイトグループやテロリスト組織が地球規模で暴力を広めるためにいかにオンラインプロパガンダを使ってきたかを示す最新の例だ。実際、カリフォルニア州パウウェイで先月起きたシナゴーグ襲撃事件の犯人は、クライストチャーチ事件の犯人がオンラインで公開した襲撃を説明する書き込みを参照していた。

拘束力のないコミットメントを、グローバルのコミュニティが#BeBestにすることを保証しようと取り組んでいる国々のグループに米国を加えることができないホワイトハウスに対する批判がすでに起こっている。

イメージクレジット: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP

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(翻訳:Mizoguchi)

AmazonのAlexaに全世界的なトラブルが発生、現在は復旧

Alexaに何かをリクエストしたら、「I’m having some trouble, please try again later」(今問題がありますので後でもう一度お試しください)という答をもらった人、それはあなただけじゃないわよ。複数のユーザーが。Amazonの音声アシスタントに接続の問題があることを報告している。Down Detectorのサービス停止追跡ページによると、問題は世界中で起こっていて、ユーザーからの報告は(米国東部時間5月15日19時(日本時間5月16日午前8時)ごろから始まった。

Jordan McCrea:Alexaが落ちてるよ。どうしたんだ?
Jordan McCrea:Alexaが落ちてるよ。どうしたんだ?
Amazon Help:詳しく教えていただけますか?Alexaが落ちてるとは、接続しないのか、それとも答がないのか?よく調べてからもう一度ご連絡ください。
Jefferson James:ここでも落ちてるよ。うちにある複数のデバイスがどれも「I’m having some trouble, please try again later」と言うだけさ。

本誌は今Amazonに問い合わせているので、情報が得られ次第この記事をアップデートしたい。

アップデート:Amazonのスポークスパーソンは本誌TechCrunchに「今日の午後起きた問題でAlexaの顧客の一部がサービスと対話できなくなった。現在ではAlexaのサービスは正常に稼働している」と語った。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アリババのQ4は売上高51%増で再び成長を確保

Alibaba(アリババ)にはいつものことだが、この中国のeコマース大手は過去3年で最も低い成長率と精彩を欠いた第3四半期から復活してきた。第4四半期(1〜3月)の決算は、売上高が前年比51%増の935億元(139億ドル)だった。

Baronsによると、この数字はアナリストの予測915億元を上回った。そして純利益は233億8000万元(34億8000万ドル)だった。

Alibabaは自社を中国消費者のゲートウェーと位置付け、成長を続けている。買い物客数を測るメトリックであるモバイルでの月間ユーザー数は3月に7億2100万人に達し、3カ月間で2200万人増え、過去1年で1億400万人増えた。年間アクティブユーザー数は18%増の6億5400万人で、2018年の流通総額は対前年比で19%アップした。

続いている米中貿易戦争にもかかわらず、Alibabaは中国の輸出頼りの経済から国内消費への移行に理想的な額の資金を注入してきた、と経営執行役会長のJoe Tsai氏はアナリストとの電話会見の中で主張した。

「中国は中国消費者の需要に応えるべく、これまで以上に外国企業マーケットを開放している。中国消費者へのスケール展開とアクセスにおいて我々は無敵の存在だ」と彼は語った。

決算発表に伴う会見で、CEOのDaniel Zhang氏は今回の好決算はコンバージョンレートの改善のため、と説明した。よりたくさんのレコメンデーションやビデオコンテンツを盛り込んだ新しいアプリインターフェースのおかげで小売商品の投入やユーザー(買い物客)数が増えた。

成長の大きな要因は、農村部の消費者だ。実に、年間アクティブ消費者数の増加の70%超が大都市以外のところに住む人たちだとTsai氏は述べた。そして第3、第4、第5の都市における消費額は来年、これまでの3倍の7兆ドルになると予測されている。農村部の消費者にフォーカスしているPinduoduoを含むライバルがいるにもかかわらず、Alibabaはこうした消費の大部分を取り込むことができると考えている。

ユーザーの増加には、Alibabaが事業を幅広く展開し、そうした事業間でトラフィックを起こす能力を備えていることも貢献している。例えば、TencentがサポートしているMeituan Dianpingとし烈な競争を展開しているフードデリバリーサービスのEle.meの全注文の30%は、AlibabaのオンラインコマースアプリTaobaoとeウォレットAlipayを経由している。

中国外に目を向けると、東南アジア専門のLazadaと国際注文専門のAliexpressで昨年、累計1億2000万人の買い物客数を記録した。しかしAlibabaはこれらのサービスについて詳細は明らかにしていない。

Alibabaにとってクラウドは成長の大きな柱だ。しかしビジネスが大きくなるにつれ、成長は先細りとなりつつある。

IDCによると、マーケットシェア42.9%と中国のクラウドサービスのトップのAlibaba Cloudは76%増収となり、売上高は77億3000万元(11億5000万ドル)に達した。Alibabaは中国のトップ企業の半分超にクラウドサービスを提供しているとしている。

主事業のオンライン小売以外では、Alibabaは実在店舗販売にも投資を続けている。所有するスーパーマーケットチェーンのFreshhippo(前Hema)の店舗数は135店に達し、一方ライバルのJD.comが展開する7Freshは15カ所以下での運営だ。デジタルエンターテイメントもAlibabaにとっては投資が先行している事業だ。ただ、ここでもやはりAlibabaは、かつて業界のパイオニアだったビデオストリーミングサービスYoukuのユーザー数は明らかにしていない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Twitterがワクチンデマ拡散を防ぐ新検索機能をローンチ

米国や他の国ではしかの流行が悪化するなか、Twitterはユーザーがワクチンに関する信頼できる情報源を見つけるのに役立つ検索ツールを導入する。また、ワクチンに関する誤った情報へとユーザーを導く検索用語のオートサジェストも停止する。

TwitterでTrust and Safety部門のバイスプレジデントを務めるDel Harvey氏はブログ投稿にて、「Twitterは病気や予防におけるワクチンの重要性を理解しており、重要な公衆衛生の情報の普及におけるTwitterの役割を認識しています。私達は、健康とウェルビーイングを高める信頼できる情報を見つける手助けをすることが、重要だと考えています」

ユーザーがワクチンに関するキーワードを検索すると、Twitterのパートナーによるリソースに誘導する表示が登場する。米国では、合衆国保健福祉省のウェブサイトとなるVaccines.govだ。また、ピンどめされたTwitterのパートナーのツイートも表示される。

ワクチン情報は米国だけでなく、カナダや英国、ブラジル、韓国、日本、インドネシア、シンガポール、スペイン語圏のラテンアメリカ諸国において、TwitterのiOSとAndroidアプリ、モバイルサイトに登場する。

Harvey氏によれば、Twitterのワクチン情報ツールは、昨年同社がローンチした自殺・自傷防止防止ツールにも似ている。さらに同社は、数ヶ月以内に他の公衆衛生問題に関する同様の機能も提供する予定だ。

今週はじめの米疾病管理予防センターの発表によれば、米国でははしか患者が839人に増加した。さらに今年に入ると23州にて感染が報告されており、また患者の大半(約700人)はニューヨーク州で報告されている。

ソーシャルメディアはワクチンに関する誤った情報の拡散の防止に注力していないと批判されており、またはしかの感染が増加し始めているので、対策が始まった。たとえばYouTubeは今年はじめ、すべてのアンチワクチン動画を無効にすると発表しており、FacebookはアンチワクチンのコンテンツのNews Feedでのランクを下げ、Instagramでは隠し始めている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleの旅行プランニング機能がGmailと統合されて便利になった

Googleは米国時間5月14日、ウェブ上の旅行プランツールの重要な改良を発表した。昨年モバイルで同様のツール集をローンチした同社は本日、ウェブ上のgoogle.com/travelで、過去のすべての旅の情報を見られるほか、検索をフライト、ホテル、パッケージの3つのどれかに容易に切り替えられるようになったことを発表した。

これでやっと、Googleの各種旅行サービスがひとつの傘の下に収まることになる。GoogleがITAを買収したのは9年前だから、もっと早くてもよかったという気はするけどね。

Google Tripsが、新しいサイトのランディングページになり、ユーザーの現在の予約情報や目的地に関する情報がまとめて表示される。その情報をGoogleの検索やマップに持ち込むこともできる。そのためにGoogle.com/travel(略してGoogle Travelと呼ぼう!)は、ユーザーのGmailの受信トレイから確認のメールや受領通知などをもらって、ユーザーの旅のタイムラインを作る。

これでウェブとモバイルの両方で機能がそろったから、どんなデバイスからでも自分の旅のプランにアクセスできる。ただし前と同じく、Googleのサービスの上で予約はできないので、ここからさらにエアラインやホテルの予約システムへ行って予約を完了することになる。

フライトやホテルの検索エンジンは前と同じだが、前はフライトとホテルのパッケージを買うこともできた。ただしそれは、うまく隠されていた。今度からは最初に料金表が出て、ホテルやフライトの検索へ行く。

発表声明では「目標は旅行のプランニングを単純化することで、そのために必要な情報を早く見つけられるようにし、別のデバイスの上で何をどこまでやったかも、正確に分かるようにした。今後はGoogleマップとGoogle検索とgoogle.com/travelを全部合わせて、旅行の計画や実行を支援していきたい」と言っている。

残念なことにGoogleは、今はなきInboxの便利な機能であるTrip Bundlesを、Inboxの閉鎖時に約束していたのにまだGmailに移植していない。それが実現するまでは、今回大改造されたGoogle Travelで十分間に合うと思うけどね。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonのジェフ・ベゾス氏がPrime Air空輸ハブの起工式に突然登場

Amazonはいろんなものになりたがっているが、その中で今一番わかりやすいのが、米国の運送業の中枢を自分でコントロールしたいという野望だ。ユーザーが望むものなら何でも24時間以内に届ける取り組みは、陸と海と空のすべてにわたる物の移送を必要とする。

米国時間5月14日に同社は、中でも空輸にかける意欲を拡大し、シンシナティ市のケンタッキー州側郊外に300万平方フィート(約28万平方m)のPrime Air空港を建設する起工式を行った。それがどんだけの広さかというと、100機のカーゴジェットを駐機できる。Amazonもまだそれだけの輸送機を持っていないが、このハブは同社のロジスティクスの大きな構想を実現するための施設になる。

AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のツイートによると、Amazonはこれに15億ドルを投資する。そしてこのハブは2000の雇用を作り出すそうだ。

[ホイールローダーの運転は素敵だよー!]

現場での発表は画期的なイベントにふさわしく儀式のような催しになり、多くのカメラマンや派手な服装のセレブたちが集まった。ベゾス氏自身も予告なく登場し、フロントエンドローダー(ホイールローダー)の運転席に飛び乗り、集められた土砂の大きな山にまた少しの泥を足した。

その光景は、前世紀までのロジスティクスの王者であるFedExやUPSの廃位を狙うAmazonが、彼らの傷口に塩をすり込むというか、その顔に泥を塗る所作でもあった。

Amazonは年内にテキサス州とオハイオ州にもPrime Airのハブを作る予定だが、まだまだFedExらとの差は大きい。Amazonは数ダースの飛行機を毎週数百回飛ばしているが、FedExとUPSは数百機で数千便を運航している。

1つだけ確かなのは、AmazonはFedExやUPSの中核的事業を侵食しているが、その逆が起きる懸念はないことだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleクラウドが日本で2番目のリージョンを大阪に開設

米国時間5月14日、Googleはクラウドの大阪リージョンを運用開始すると発表した。日本で2番目、アジア太平洋で7番目のクラウドリージョンだ。これで同社は全世界で20リージョンをユーザーに提供することになった。それぞれに3か所以上のゾーンがある。

大阪リージョンは東京リージョンに次ぐ日本で2番目のクラウドリージョンであり、地元顧客に低遅延のサービスを提供するためとGoogleは言っているが、東京と大阪の距離は十分近いので大きな違いはないと思われる。しかし日本でビジネスを進めるうえで、2カ所の地理的に異なるリージョンを持つことは、冗長性を高めて災害時の復旧対策に役立てるという大きな意味がある。

「国内に2つのリージョンを持つことで、ITおよび企業の災害復旧に必要な分散型で安全なシステム基盤を提供し、事業継続性を高めることが可能になる」とGoogle CloudでCEOを務めるThomas Kurian氏が本日の発表文でコメントしている。

アサヒグループホールディングの執行役員でIT部門ゼネラルマネジャーを務める知久龍人(ちく・たつひと)氏は「GCP大阪リージョンの正式運用開始心待ちにしておりました。弊社は以前よりBigQueryを始めとしたGCPのサービスを活用して参りました。大阪リージョンの開設により、さらなるシステムの可用性向上、ビジネスの継続性実現に取り組んでいきたいと考えています」と語った。

なお、Azureも現在日本で2つのリージョンを提供しているが、AWSは現時点で 1リージョンしか持っていない。

競合他社と同じく、Googleもデータセンターを全世界に拡大し続けている。Kurian氏によると同社はこれまで全世界インフラストラクチャーに470億ドルを費やし、新たなデータセンターの建設やセンター間を結ぶ専用線などを作ってきた。Googleは今年中に、ソウル、ソルトレイクシティ、およびジャカルタに新しいリージョンを展開する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アドビのCommerce CloudはMagentoにAmazonとGoogleを統合

Adobe(アドビ)がMagentoを16億ドル(約1760億円)で買収し、Adobe Commerce Cloudを立ち上げてから、まだ2、3カ月しか経っていない。米国時間5月13日、MagentoのImagine 2019カンファレンスで、同社はいくつかのアップデートを発表した。プラットフォームのカバー範囲を同社のサービスを利用する中小企業にも拡げることを狙ったものだ。

AdobeがMagentoを買収した際には、同社のサービスを利用していた中小企業の多くはAdobeが既存の大企業に注力するようになるのではないかと心配した。つまり、それ以前からAdobe Experience Cloudを利用していたような企業のことだ。今回の一連の発表は、さまざまな面でこうした懸念を打ち消すことを目指したものとなっている。

中でも、Magentoユーザーにとって最も重要な2つのニュースは、Amazon、およびGoogleとの新たな統合機能だ。

まずAmazonについては、業者は直接MagentoのバックエンドからAmazonの在庫を自動的に管理し、メンテナンスすることができるようになった。Amazon Sales Channelに適合した値付けルールを設定し、複数のAmazonアカウントを使って複数のAmazonブランドを管理し、さらにAmazonの製品データにアクセスすることも可能だ。

この新機能は、すでにMagento Marketplaceで入手できる無料の機能拡張を導入することで、すべてのMagentoユーザーが利用可能となってる。

「多くのブランドや業者にとって、Amazon内にストアを構築するのは簡単なことではありません」と、Adobeのコマースプロダクト&プラットフォーム担当副社長であるJason Woosley氏は述べている。「そのためは、運用上の課題のあれこれに適切に対処しなければなりません。新しいプラットフォームを導入し、チームのメンバーがその使い方をマスターして、管理、維持の方法を学ぶ必要もあります。もしチームの仕事量が限界を超えてしまったら、新たなスタッフを雇うか、そのままではビジネスの目標を達成できないロードマップを考え直す、といったトレードオフも必要となるでしょう」。

一方GoogleについてもMagentoは同日、Google Shoppingとのネイティブな統合機能を、やはり無料の機能拡張としてリリースした。これにより、Magentoの管理者はMagentoのダッシュボードからGoogle広告を管理し、Google Merchant Centerアカウントを運用できるようになる。さらに、Magentoから直接Googleのマーケティングキャンペーンも管理できるようになる。ここでも、Magentoを利用している業者は、すでに使い慣れたツールを使って他のプラットフォームまでも操作できるようになるのがポイントだ。これまでは、複数のサービスの間を行ったり来たりしながら、それらが同期して動くよう苦労していた。

さらにAdobeは、PWA(Progressive Web Application)Studioも発表した。これは、高い技能を持ったMagentoユーザーが、アプリ同様に使えるオンラインストアを構築することを可能にするもの。現状では、支払いオプションとしてPayPalのBraintreeをサポートしている。Woosley氏は、特に新興市場においては、多くのMagentoユーザーにとって、PWAこそ進むべき道であると期待しているという。

画像クレジット:Bogdan Vija/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonは社員に300万円相当の資金と3カ月ぶんの給料を与えて自営配送企業を育てる

Amazonプライムで翌日配達をするというニュースに続いてAmazonは米国時間5月13日、同社の配達サービスのパートナー事業としてDelivery Service Partnerプログラムを拡大した。Amazonに在籍中の社員が、独自に自分の手荷物配送企業を始められるための奨励事業を展開することになった。昨年始まったこのパートナー事業は、参加者がAmazonの配送配達技術にアクセスでき、実習訓練に参加し、車両のリースや保険などを安く利用できる。社員の場合はさらに1万ドルの奨励資金が付く。

創業資金1万ドルのほかに社員は、軌道に乗るまでの生活資金として、Amazonを辞めたときの給与の3カ月ぶんをもらえる。

Amazonによると、昨年人びとは自分の配送企業をわずか1万ドルの資金で立ち上げることができた。その時点では、退役軍人には既存のスタートアップ支援事業の一環としてその1万ドルを後払いしていた。

今度の奨励事業では同じことをAmazonの一般社員に対して行い、それプラス給与額の3カ月ぶんが付く。かなり手厚い奨励策だ。でもAmazonは配達時間の半減という、思い切った野望を持っているから、これぐらいは当然かもしれない。

配達パートナーになりたい社員は、側面にAmazonのスマイルロゴが描かれているAmazon特注のブルーのデリバリーバンをリースでき、燃料や保険、ブランド入のユニホームも割引料金で提供される。

このパートナー事業の前にはAmazonは、Amazon Flexというクラウドソースの労働力に頼って安い配送コストを確保していた。しかしそういういわゆるギグワーカーたちは、ガソリン価格の変動や保険がないこと、自前の小さな車両しか使えないなどの悪条件により、労使双方にとって不安定性が大きかった。

一方デリバリーパートナーの方は、順調に成長して年俸30万ドルを稼ぎ、車両を40台も持つというところも出てきた。Amazonの昨年の予測では、これらの小企業が全米で数万人のドライバーを雇用する、とされた。

しかしそれは、推計ではなく事実だった。Amazonの今朝の発表では、この2018年6月にスタートしたパートナー事業は、今では200社を超える小企業が参加し、計数千名の地元ドライバーを雇用している。今年は参加企業がさらに数百増えるだろううという。

この社員奨励事業は、Amazonの倉庫における自動化の拡大と時期的に一致している。自動化によって、一部の倉庫労働者が職を失うのだ。今朝のロイターの記事によると、Amazonは現在数千人の労働者が担当している受注品の箱詰め作業を自動化する。こんな人たちの一部も、次の職としてデリバリーパートナー事業がいい候補になるだろう。

Amazonにとって、社員たちを新しい企業に移行させるためのこの投資は、長期的には会社の利益になるだろう。なぜなら同社は現在、USPSやUPS、FedExなどへの依存から卒業して、自分でコントロールできる自前のデリバリーネットワークを持とうとしているからだ。そして短期的には、翌日配達を米国のプライムのデフォルトにするために8億ドルを投じると言われているから、それはデリバリーパートナーにとっても利益になる。

この社員奨励事業は米国に次いで英国、さらにスペインで展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スウェーデンがアサンジ被告の暴行事件捜査を再開

スウェーデンの検察当局は、Wikileaks創設者のJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)被告が2010年に起こした女性暴行事件の捜査を再開した。

当局は今日、アサンジ被告に対し欧州逮捕状を発行すると発表し、ウプサラ地方裁判所に令状を申請した。事件はエンヒューピングで起こったとされている。

スウェーデン検察当局は以前にもこの暴行事件を捜査しようと試みたが、アサンジ被告が2012年にロンドンにあるエクアドル大使館に逃げ込んだ後に逮捕状を取り下げていた。

アサンジ被告による別のスウェーデン人女性に対する2件目の暴行事件の捜査は時効の関係で再開されない。

Wikileaks創設者はエクアドルが政治亡命保護を却下した後、ロンドンにあるエクアドル大使館で先月逮捕された。その後アサンジ被告はすぐに、2012年に保釈条件を破ったとして有罪となった。サウスウォーク・クラウン裁判所の裁判官は今月はじめにアサンジ被告に禁錮50週を言い渡した。そして被告はいま、英国のベルマーシュ刑務所で服役している。

スウェーデンの次席検事Eva-Marie Persson氏は米国時間5月13日、欧州逮捕状とすでに米国が要請している身柄引き渡しをどのように扱うかは英国当局が決めると話した。

この判断は英国の裁判所次第となり、犯人引き渡しの要請で対立がある場合は内務大臣のSajid Javid氏がアサンジ被告をどこに送るか最終的に決めることが考えられる。

先月、英国の警察に身柄を拘束されるやいなや、Wikileaks創設者は米国からの要請でも再逮捕された。米国は、密告者チェルシー・マニングによる軍機密情報のWikileaksへの漏洩に関係する機密コンピューターへのハッキングの容疑でアサンジ被告の送還を模索している。

「アサンジ容疑者が米国に送還されることになるかもしれない手続きが英国で進められている事は認識している。欧州逮捕状と、米国からの送還要請が対立するようなことになれば、英国当局が優先順位に基づいて決定する。どうなるかは予想できない。しかしながら、私の考えではスウェーデンでの事件は英国において同時に進められる」とPersson氏は声明文で述べた。

捜査の再開については、Persson氏は「状況が変わった」と述べるにとどめた。

「ジュリアン・アサンジがエクアドル大使館から出てきたために、この事件をめぐる状況は変わった。これにより事件の捜査を前に進めるという見解だ」。

Persson氏はまた、アサンジ被告が釈放されるまで25週間服役しなければならないことを英国当局が伝えてきたことも明らかにした。

アサンジ被告に対する捜査再開は「かなりの捜査が行われることになる」ことを意味するとPersson氏は付け加えた。これは、アサンジ被告が英国の刑務所にいる間にスウェーデン検察当局が尋問する可能性を示唆している。しかしそのためにはアサンジ被告が面会に協力することに同意しなければならないだろうとの見解もPersson氏は示した。

「私の考えでは、容疑者との面会が必要だ。欧州逮捕状に基づき、英国で服役しているアサンジ被告に面会を申し込むことが必要不可欠になるだろう。しかしながらそうした面会は被告の同意が必要だ」とPersson氏は述べた。

Wikileaksの編集責任者であるKristinn Hrafnsson氏はスウェーデンが暴行事件の捜査を再開することについて声明を出し、その中でスウェーデンが「かなりの政治的圧力を受けて動いていて、そしてこの事件はこれまでずっと誤って扱われてきたと主張している。

Hrafnsson氏はまた、アサンジ被告がエクアドル大使館に逃げ込んで7年間も籠城していたにもかかわらず、捜査回避を模索したことを否定した。そして新たな捜査は「ジュリアンが身の潔白を証明するチャンスだ」とも述べた。

保釈条件違反の判決に先立ち、アサンジ被告は英国の法廷で読み上げられた声明の中で「私が行ってきた行為の中で私から無礼な振る舞いを受けたと感じる人に率直に」謝罪し、逃亡しようと決断したことを悔いているとも述べた。

「アサンジは常に進んでスウェーデン当局の質問に答えていた。また6年間にわたり繰り返し質問に答えるよう言われていた。アサンジがスウェーデンの取り調べを回避したというメディアが展開する主張は嘘だ」とHrafnsson氏は書いていて、アサンジが英国で服役中にスウェーデン当局の面会を断るという選択はしないことをほのめかしている。

先月、英国の議員70人で構成する超党派グループは内務大臣宛に、検察が送還を要求するであろう(今、実際に要求している)スウェーデンにアサンジ被告を送ることを認める「擁護行動」を求める書簡を提出した。

書簡では内務大臣に「性的暴力の被害者の側に立ち、アサンジの事件が適切に捜査される」こと、そして原告のために「適正な手続き」がその後に続くことを要求している。

議員たちはまた、この暴行事件の時効が2020年8月であることも指摘した。これは、この事件を裁判に持ち込むために残された時間が少ないことを意味し、それゆえに米国からの送還要請よりもスウェーデン検察に優先順位が与えられるべきと主張している。

アサンジ被告は米国への送還に抵抗している。送還手続きは何カ月もかかるという見方がある一方で、Guardianによるとアサンジ被告は5月2日にあった裁判所での審問でビデオリンクを介して米国への送還には同意しないと語った。

イメージクレジット: Jack Taylor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

YouTubeのBumper Machineは6秒CMを自動的に作ってくれる

2016年に「Bumper」という6秒間の広告フォーマットを導入したYouTubeは、機械学習を使って長い広告を6秒間に圧縮する新しいツールを提供する。

90秒のビデオを6秒のメッセージに圧縮するのは少々無茶に思えるかもしれない。実際、GoogleのYouTubeおよびビデオグローバルソリューションズの担当副社長であるDebbie Weinstein氏は、Bumper広告が最初にアナウンスされたとき、広告主の間に「6秒間で本当にストーリーを伝えられるのか?」という懐疑的な声があったことを認めた。

しかしWeinstein氏は、「我々は時間とともにクリエイティブが制約を好むことを知った。歴史的に30秒間に制約され続けたものがやがて15秒になり、いまやさまざまなメディアフォーマットに合わせて制約を受けている」

広告主によっては、Bumperを長いバージョンのティーザーとして使うかもしれない。あるいは、30秒CMを一連の6秒クリップに分けて作る方法がこのフォーマットによって生まれるかもしれない。

そして現在YouTubeがアルファテスト中のBumper Machineがベータテストを経て一般公開されれば、広告主は長いビデオからナレーションや人物、ロゴ、商品などの「キーエレメント」を抜き出してBumpを作れるツールが手に入る。結果は必ず「ラスト2~3秒の行動喚起」で終わるとWeinsten氏は言った。

ちなみに初期のテストでフードデリバリーのGrubHubが13秒のCMを基にBumper Machineを使って作った6秒バージョンがこれだ。

Weinstein氏はBumper Machineについて「業種や規模によらずあらゆる広告主」が利用できると言う。小さな広告主はできるだけ時間と手間をかけずにBumperを作るために使うかもしれないし、大規模なブランドや代理店はこれを「足がかり」にして、そこからアイデアを練り上げたりインスピレーションを得るために使うこともできる。

いずれにせよWeinstein氏は、自動作成されたBumperを広告主がそのまま掲載するとは思っていない。「ある程度の人間によるレビュー」は常に必要だという考えだ。

「機械が3つか4つの候補を出す。どれが一番か、全部が素晴らしいのか、少し手を加えるのかは人間が決める」と彼女は言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

“1000部読み手がいれば本が出せる”出版クラウドファンディング「EXODUS」始動

CAMPFIREと幻冬舎の共同出資により、「クラウドパブリッシング」事業を提供しようと2018年3月に立ち上げられたエクソダス。2017年12月の設立発表から1年以上動きがなかったエクソダスだが、5月13日、ついにクラウドファンディングを使った出版プログラム「EXODUS(エクソダス)」が始動した。

満を持してスタートしたEXODUS。記念すべき第1号プロジェクトでは、駐車場シェアリングの「akippa(アキッパ)」を運営するakippaの代表取締役社長、金谷元気氏がプロジェクトオーナーとなり、営業会社からITスタートアップに転身した、金谷氏自身の起業ストーリー出版を目指す。

エクソダスは、出版不況の背景にあるのは若者の活字離れではなく、「本の情報が的確に届かない、欲しい本があってもすぐ買えない」ことにあると考えている。「1万部売れることが見込めないと本が出せない」と言われる出版界。クラウドファンディングの活用により、1000部読み手がいれば出版できる仕組みを構築し、本を最適な読者に届けようというのが、エクソダスの狙いだ。

EXODUSは一般ユーザーから、フリーライターや出版社、編集プロダクションなどの業界に属する企業までを対象とした出版プラットフォームを目指している。CAMPFIREはクラウドファンディングのノウハウを、幻冬舎は企画力や編集力、宣伝力をそれぞれ提供し、持ち込まれた出版アイデアを「本」にする支援を行っていく。

CAMPFIREは2011年のクラウドファンディングサービス開始以来、現在までに2万1000件以上のプロジェクトを掲載、支援者は述べ121万人以上、流通金額115億円に達している。クラウドファンディングの「CAMPFIRE」「polca」といったサービスのほか、金融サービス「CAMPFIRE Bank」、コミュニティウォレット「Gojo」、プロジェクトメンバー集めのプラットフォーム「tomoshibi」などを運営する。5月6日にはシリーズCラウンドで総額22億円の資金調達を実施したことも明らかにしている。