Twitterが「良いボット」を示す新ラベルのテストを開始

Twitter(ツイッター)は米国時間9月9日、アカウントが自分のプロフィールにラベルを追加して自らがボットであることを明らかにする新機能を発表した。この機能は、ニュースや公的機関の発表などをリツイートするボットのような自動アカウントと人間が運営しているアカウントを利用者が識別しやすくするために作られている。ただし、人間のふりをして誤情報やスパムを拡散することもある「良くないボット」を利用者が識別できるようには作られていない。

Twitterはボットにラベルを付けることを何年も検討してきた。

2018年にTwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は米上院情報委員会のヒアリングで、ユーザーにはTwitterプラットフォーム上で自分はボットと話しているのか人間と話しているかを「知る権利」があると考えているのかと質問された。ドーシー氏はツイートの背景をもっとわかるようにする必要があることに同意し、可能な範囲でボットの識別について検討しているとした。ただし同氏は、TwitterのAPIを利用しているボットに比べると、スクリプトで人間のように見せかけているボットは特定が難しいことも指摘した。

2020年にTwitterはついに計画を固め、人間が運営しているアカウントと自動化されているアカウントをユーザーが区別できるようにする新機能を今後導入すると述べた。2021年5月に同社がアカウント検証システムを開始したときに、憧れの青いバッジ以外にアカウントを区別する方法、つまりボットのラベルがまもなく登場するはずだとユーザーは思い出した。

関連記事:Twitterボットと追悼ユーザーが2021年に「新しいアカウントタイプ」に

画像クレジット:Twitter

Twitterは今回の発表で「良いボット」であることを示す新しい「自動アカウント」のラベルは500以上の開発者アカウントで利用できるようになると述べた。対象となる開発者アカウントは、Twitterの開発者全体にこの機能が広く公開される前にテストをしてフィードバックを提供する。当面はテストであるため、ラベル付けは必須ではない。

ただしTwitterは2020年に開発者向けポリシーを更新し、アカウントはボットか、何のアカウントで誰が運営しているかについてアカウントのプロフィールまたは経歴で示すように開発者に対して求めている。アカウントのラベルがあれば、開発者はこうした情報を経歴に書くより簡単にこのポリシーに準拠できるようになる。

TwitterはTechCrunchに対し、今回の実験結果に応じて、この機能を広く公開したら自動アカウントを運営する開発者全員に対してラベルを必須にするかもしれないと述べた。

画像クレジット:Twitter

念のために書いておくと、Twitterは良いボットを運営している人をまったく問題視していない。自動化によってアカウントから有用で関連性のある最新情報、あるいは楽しい情報が提供されていることを理解しているからだ。Twitterは今回の発表の中で同社お気に入りのボットのいくつかを称賛してさえいる。公共サービスアカウントの@earthquakesSF、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新情報を提供している@vax_progress、議会に提出された最近の100本の法案について進行状況を知らせるボットの@last100bills、アクセシビリティをテーマにしたボットの@AltTxtReminder、そしてメトロポリタン美術館のドローイングとプリントの部門からパブリックドメインの作品を紹介する@met_drawingsやおかしな新作絵文字を紹介する@EmojiMashupBotのように独自のやり方で価値を提供しているものが取り上げられた。

ここに挙げたボットはすべて初期のテストに参加する。

Twitterは、消費者のアカウントがIFTTTのような他社製ツールを使ってリンクなどのコンテンツを投稿するような自動化についてもあまり懸念していない。

Twitterのポリシーには「利用者が自らのアカウントで行った行為の責任、またはアカウントに関連付けられているアプリケーションが自動的に実行した操作の責任は、最終的に利用者本人が負うことになります。サードパーティーアプリケーションにアカウントへのアクセスまたは利用を許可する際には、そのアプリケーションの詳細を十分に調べて、どのような動作をするのか把握してください」と記載されている。さらに、ユーザーは自動化を利用する場合でもTwitterのガイドラインに従わなくてはならないと書かれている。

Twitterは最近、怒涛の勢いで新機能を公開している。ここ数日で、コミュニティ絵文字リアクション横幅いっぱいの写真と動画、フォロワーの「ソフトなブロック」を公開した。

同社は自動アカウントのラベルを広く公開する前のテストをどの程度の期間実施するかについては言及していない。

関連記事
ツイッターがついに「コミュニティ」機能導入、簡単に共通の関心事でつながれるように
ツイッターがツイートへの絵文字リアクションをトルコで試験
ツイッターがディスプレイいっぱいの写真・動画表示をテスト中
ツイッターが「ブロックせずにフォロワー解除」する機能をテスト中
画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

スマホを使った観光向け交通関連サービスHoraiのscheme vergeが2.2億円調達、事業者向けにHorai for Bizを開発

スマホを使った観光向け交通関連サービスHoraiのscheme vergeが2.2億円調達、事業者向けにHorai for Bizを開発

「都市の再発明」を目指すアーバンエンジニアリング企業scheme vergeは9月10日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約2億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家の環境エネルギー投資、また山口キャピタル、サムライインキュベート。累計調達額は約2.9億円となった。

また、今後のスマートシティ領域への展開を見据え、松尾豊氏(東京大学教授・人工知能学会理事)および大口敬氏(東京大学教授・次世代モビリティ研究センター長)をアドバイザーに招聘し、最新の知見を取り入れた事業開発・プロダクト開発を推進する体制を整えた。

2018年7月設立のscheme vergeは、多様化・個人化が進む観光客のニーズに応えることに特化した、スマートフォンを使った交通関連サービス「Horai」を開発。2019年には瀬戸内のアート巡りを海上モビリティの面から支援するHoraiアプリ(Android版iOS版)をリリースしており、ユーザーは、写真から好みのアートサイトをアプリ内で選び、島をめぐる旅程を手軽に作成できるようにしている。移動手段にはフェリー・旅客船が表示されるほか、乗り合い海上タクシーの予約も可能。国土交通省の「新モビリティサービス推進事業」「日本版MaaS推進・支援事業」に採択されるなど、MaaSやスマートシティ構築、あるいは観光DXのソリューションとして採用されているという。

また、Horaiの開発を通じて構築したシステムを展開することで、三重県伊勢市や神奈川県三浦半島、長崎県五島列島など様々な地域におけるMaaSの構築にも活用されており、「スーパーシティ」事業においても「連携事業者候補」に全国5つの自治体で採択されている。

調達した資金は、プロダクト開発体制の強化と、各地での事業開発を推進するための人材採用・体制強化を中心に投資する予定。具体的には、観光・飲食・小売などローカルビジネス向けに、複数業態・事業をまたいだワークフロー構築や顧客管理の電子化が行える事業者向けプラットフォーム「Horai for Biz」の開発を進めており、MaaSや観光DXを進めるうえでの課題解決に役立てるとしている。

Horaiアプリにおいても、「エンドユーザー(観光客)の使いやすさに寄り添ったUIUXの改善」「ローカルサービス(訪問先)のさらなる掲載数増」「旅程作成アルゴリズムの大幅な精度向上」によって、大幅な改良に取り組む(今冬リニューアル予定)。

また、主な資金使途であるプロダクト開発とは別に、scheme vergeの核である「アーバンエンジニアリング」の確立に向け、建築情報スペシャリストやデータサイエンティストを含めたプロフェッショナルサービス体制への投資を進めているという。東京大学杉山将研究室や建築情報学会、Agoopなど様々なバックグラウンドをもったメンバーを集めており、学生・社会人を問わず広く採用を行っている。

これら採用に加え、アドバイザーに就任した松尾豊氏と大口敬氏と連携して、データ利活用に戦略的に取り組み、AI・ディープラーニングの社会実装に関する知見と、交通・都市マネジメントに関わる知見を掛け合わせることで、「エリアマネジメント」や「不動産利活用」の最適化とノウハウ可視化に取り組む。

一部エリアにおいては、実際にビーコンやスマートロック、予約管理システムを前提とした施設の運営・プロデュースや、それらからのデータを用いた複数施設の開発・運営計画の立案などが進展している状況という。

さらに、瀬戸内や大阪など、ビジネスの現場にブランチを形成し、各地のエリア課題を調査しながら、解決のロードマップを設定する体制も構築。これにより、スマートシティ・スマート社会・スマート観光の領域において、「様々なシステムを導入するだけでなく、地域(エリア)全体として既存・新規のデータ利活用に戦略的に取り組みたい」といった問題意識をもった顧客と共同で、エリア課題の解決・新規価値創出に取り組むとしている。

ツイッターがツイートへの絵文字リアクションをトルコで試験

Twitter(ツイッター)は現地時間9月9日、トルコで期間限定のTweet Reactions(ツイート・リアクション)の試験を開始した。トルコのユーザーは❤に加えて 、 、 、 を使ってツイートにリアクションできるようになる。しかし2015年にハートマークの意思表示がお気に入りマークのスターに取って代わったときのカオスを思い出せないのなら…こちらを読んでほしい

Twitterは2020年にダイレクトメッセージに絵文字リアクションを加えたが、今回試験するのは同じ絵文字ではない。ツイートのやり取りでFacebook(フェイスブック)のような方法を受け入れるとすればどのように反応するか、どのような絵文字を使いたいか、Twitterが3月にユーザーに調査したことを受けての今回の試験発表だ。調査で提案された絵文字には「同意」や「意義あり」のボタン、「嫌い」のボタン、Redditのような賛成と反対があった。しかしTwitterはユーザーが否定的な絵文字が返ってくることを懸念していることが調査で浮かび上がったことに気づいた。

関連記事:Twitterがフェイスブックのような「ハート」や「顔」の絵文字リアクション導入を検討中

Twitterが3月に調査した一連の絵文字(スクリーンショット:@WFBrother on Twitter)

「『不満』や『怒り』も人々がツイートを読むときに感じる一般的な感情で、一部の人はツイートに対して意見の不一致を表明したがりますが、当社はこれらの絵文字リアクションは今のところ使いません」とTwitterはプレスリリースで述べた。「当社の目的は常に、公での健全な会話を促進することであり、現在の絵文字のセットがどのように会話に影響を与えるのか様子をみたいと思います」。

2015年にリアクションを加えたFacebookと異なり、Twitterは調査で提案された「怒り」のリアクションをテストしていない。これはおそらく、ユーザーのネガティブな反応に関するためらいのためだろう。しかしそれでも、だ。もしあなたが悪意ある「ざまーみろ」的な反応を受け取ったことがないのなら、大したものだ。そして、絵文字リアクションなしにTwitterで論争が起こらないわけでもない。

画像クレジット:Twitter

絵文字リアクションが人々の感じていることを示す簡単な方法になり、望むらくは公的な会話の改善された表現と参加につながってほしい、とTwitterは話す。

Twitterは先週小さな変更を加えていて、今回のテスト内容は最新の機能にすぎない。関心事ベースのコミュニティや、フル幅の写真やビデオ、そしてフィードに突如現れる新しいセーフティ機能に気づいた人もいるかもしれない。今回の試験に関しては、追加の絵文字リアクションをテストする際に同社は引き続きコミュニティからのフィードバックを考慮する、と述べた。ユーザーの反応に基づき、テストを他の地域に拡大するかもしれない。

トルコのユーザーはこの機能をiOS、Android、ウェブで試すことができ、数日以内にトルコ全国で展開される。

関連記事
ツイッターがついに「コミュニティ」機能導入、簡単に共通の関心事でつながれるように
ツイッターがディスプレイいっぱいの写真・動画表示をテスト中
ツイッターが「ブロックせずにフォロワー解除」する機能をテスト中

画像クレジット: Twitter

[原文へ]

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Microsoft(マイクロソフト)は、インドのOyo(オヨ)と「複数年にわたる戦略的提携」を締結し、協力して「次世代」の旅行・ホスピタリティ製品および技術を共同開発することとなった。

米国時間9月9日の発表は、7月下旬のTechCrunchの報道を裏づけるものだ。TechCrunchは、MicrosoftがOyoへの投資を交渉中であり、南アジア市場で最も価値のあるインドのこのスタートアップ企業に自社の技術を提供する方法を検討していると報じていた。

関連記事
マイクロソフトがインドのホテルチェーン「Oyo」に投資へ
IPOを控えたソフトバンク出資のインド発ホテルチェーン「Oyo」にマイクロソフトが出資

Microsoftは報道発表の中で、Oyoに対しても戦略的な株式投資を行ったことを確認したが、金額については明らかにしていない。2021年8月の規制当局への提出書類によると、MicrosoftはOyoに500万ドル(約5億4900万円)を投資していた。この投資により、Oyoの評価額は96億ドル(約1兆550億円)となる。

Oyoは、クラウドベースのニーズに対応するためにMicrosoft Azureに切り替え「中小規模のホテルや家庭用の店舗を運営する愛用者に利益をもたらす」ソリューションを共同開発するとしている。「この提携の一環として、Oyoは、Oyoプラットフォームを利用する旅行者向けに、プレミアムでカスタマイズされた室内体験などのスマートルーム体験を開発していきます。MicrosoftのAzure IoTを利用したこの体験には、IoTで管理されたスマートロックやバーチャルアシスタンスに加えて、到着・出発のデジタル登録やセルフのKYC(Know Your Customerの略、本人確認)でサポートされたセルフチェックインが含まれています」。と同社は語る。

Microsoftインドの社長であるAnant Maheshwari(アナント・マヘシュワリ)氏は「Azureのパワーと、Oyoが開発した技術と製品スタックを組み合わせることで、旅行とホスピタリティにおけるイノベーションを加速できることを楽しみにしています。どのようにMicrosoftのクラウドが、Oyoのようなデジタルネイティブに力を与え、業界の変革とイノベーションを加速させ、パンデミック後の時代の課題を未来のチャンスに変えていくのかを見るのは刺激的です」と述べている。

Oyoは、インド、東南アジア、ヨーロッパ、米国に展開する世界最大級のホテルチェーンとして台頭してきたが、積極的な拡大を追求する中で「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長に傷をつけてしまった。

ホテルオーナーとの関係を改善することを誓った矢先、パンデミックが到来。これを受けてOyoは成長を鈍化させ、2021年初めには世界各国でロックダウンが実施される中、世界中で数千人の従業員をレイオフした。

関連記事:ソフトバンク出資のインド格安ホテルチェーン「Oyo」が世界で5000人レイオフ

パンデミックは、創業7年目のスタートアップに「サイクロン」のように襲いかかったと、CEOのRitesh Agarwal(リテシュ・アガーワル)氏は7月にBloomberg TVに語っている。「何年もかけて作ったものが、たった30日で60%以上も崩れてしまったのです」と述べ、株式公開を検討するかどうかは決めていないと付け加えた。

Airbnb(エアビーアンドビー)に支えられたOyoは、7億8000万〜8億ドル(約857億〜878億9000万円)の資金を持っており、すべての事業の「月次損失」を400万〜500万ドル(約4億3900万〜5億4900万円)に抑えていると、アガーワル氏は最近のオンラインカンファレンスで述べた(同社は、2020年12月には約10億ドル[約1098億円2200万円]の銀行残高があった)。

7月、つまり前述のカンファレンスでアガーワル氏が発言した後、Oyoは6億6000万ドル(約724億8200万円)の負債を受けたと発表した。この件に詳しい人物によると、その負債は以前の負債の返済に充てられたという。

Microsoftとしては、Oyoは同社が国内で行ってきたいくつかの戦略的投資の中で最も新しいものだ。同社は南アジア市場において、ニュースアグリゲーターであり短編動画プラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、電子商取引大手のFlipkart(フリップカート)、物流SaaS企業のFarEye(ファーアイ)など、数多くのスタートアップ企業を支援してきた。

関連記事:GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ツイッターが「ブロックせずにフォロワー解除」する機能をテスト中

Twitter(ツイッター)は米国時間9月7日、自分のフォロワーをブロックせずに解除できる機能を、ウェブ版でテストしていると発表した。Twitterユーザーには、フォロワーを完全にブロックすることなく、自分のツイートを見られないようにしたいと思うときがある。ブロックしてしまうと、そのフォロワーが自分のページに直接アクセスした場合、ブロックされていることが明らかになり、問題が生じるリスクがあるからだ。現在、この機能をテストできる一部のユーザーは、自分のプロフィールからフォロワーの一覧を表示し、解除したいフォロワーを選び、フォローボタンの横にある3つのドットのボタンをクリックして、ドロップダウンメニューから「このフォロワーを削除」を選択すればよい。今のところ、すべてのユーザーがこの機能を利用できるわけではない。

より簡単にフォロワーリストの管理ができるようにしています。現在はウェブでテスト中。ブロックせずにフォロワーを解除。

ツイッター・サポート

これまで、ユーザーは「ソフトブロック」と呼ばれる方法を用いてきた。それはまず、フォロワーを解除したいユーザーを一度ブロックし、それからブロックを解除するというやり方だ。こうすると、そのユーザーは自分のフォロワーリストから削除される。今回テストされている方法では、自分のフォロワーリストからしか削除できないので、あなたが特に人気の高いツイーターである場合、何千人もの名前をスクロールして探している人を見つけることは困難かもしれない。しかし、アプリ研究者のAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルッツィ)氏によると、Twitterは、自分のフォロワーリストだけでなく、相手のプロフィールからフォロワーを解除する機能も開発しているとのこと。

#Twitter は、相手のプロフィールから直接フォロワーを解除するオプションに取り組んでいます 。

アレッサンドロ・パルッツィ

Twitterは、ウェブの安全性に焦点を当てたユーザー体験のアップデートに継続的な投資を行っていることを示している。先週には、このフォロワーを解除する機能を含め、一連のプライバシーツールに取り組んでいることを明らかにしていた。Twitterは他にも、30日、60日、90日を経たツイートのアーカイブ化や「いいね」を押したツイートの非表示、会話からの離脱などの可能性についても提案している。これまでも、Semiphemeral(セミフェメラル)のようなサードパーティ製のプログラムを使えば、古いツイートを自動的に削除したり「いいね」を取り消したりできたが、これらの機能がTwitterアプリ自体に組み込まれていれば、ユーザーは外部の開発者とデータを共有することなく、自分のデジタルプレゼンスを、より簡単にコントロールすることが可能になる。

関連記事
ツイッターがついに「コミュニティ」機能導入、簡単に共通の関心事でつながれるように
ツイッターがディスプレイいっぱいの写真・動画表示をテスト中
ツイッターが悪口や嫌がらせを自動的に除外する「セーフティーモード」のテストを開始
Twitterが有料サブスク「Super Follows」を米国で開始、数週間内にグローバル展開
画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Google Workspaceにいつでも会話の履歴、内容などすべてを確認できるSpaces、withコロナのハイブリッドワーク環境に対応

オフィスに戻る人もいれば、リモートで働く人もいて、スタッフの勤務地は昨今、少し複雑なことになっている。このようなハイブリッド環境に対応するため、Google(グーグル)はGoogle Workspaceにさらなる変更を加え、すべてのユーザーにGoogle Chatの中でSpacesを提供開始した。

Spacesはカレンダー、ドライブ、ドキュメントなどのWorkspaceツールと統合され、ユーザーがどこにいても、会話の履歴、内容、文脈をすべて確認できる、よりハイブリッドなワークエクスペリエンスを提供する。

関連記事:G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

Googleの製品管理担当シニアディレクターであるSanaz Ahari(サナズ・アハリ)氏は、米国時間9月8日のブログ記事で、同社の顧客はSpacesを「リアルタイムおよび非同期コラボレーションのためのセントラルハブのようなものにすることを望んでいました」と書いている。「Eメールチェーンを始めたり、ビデオ会議をスケジュールする代わりに、チームはSpacesを使い直接集まってプロジェクトやトピックを進めることができます」とも。

以下は、Spacesで使えるようになった新機能の一部だ。

  • 受信トレイ、チャット、Spaces、ミーティングなど、すべてを1つのインターフェイスで管理できる
  • Spacesとそこに含まれるコンテンツは、人々が見つけて会話に参加できるように発見可能にすることができる
  • チームのナレッジベース内での検索性が向上
  • Spaces内のすべてのメッセージに返信することができる
  • コミュニケーションをモニタリングするためのセキュリティおよび管理ツールの強化

従業員は、カレンダー上の特定の日に、バーチャルと対面のどちらでコラボレーションを行うかを指定できるようになった。また補完的にGoogle Meetでは、モバイルとデスクトップデバイスの両方で同僚と通話できる。

画像クレジット:Google

また11月には、すべてのWorkspaceユーザーがGoogle Meetのコンパニオンモードを利用して、個人デバイスからミーティングに参加し、会議室内のオーディオやビデオを利用できるようになる。また、2021年後半には、英語からフランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語へのライブ翻訳キャプションが利用できるようになり、今後さらに多くの言語が追加される予定だ。

さらにGoogleは、Google Meetのハードウェアポートフォリオを拡充し、2つの新しいオールインワン型ビデオ会議デバイス、サードパーティ製デバイス(Logitechのビデオバー、Appcessoriのモバイルデバイス用スピーカードック)を加え、CiscoのWebexとの相互運用性を提供する。

また、Googleはこれらのニュースにあわせ、5つの一般的なハイブリッド会議に関するベストプラクティスが掲載されているワークスペースハンドブックを発表した。

画像クレジット:Nicolas Economou / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがパーソナライズできるニュースサービス「Microsoft Start」を提供開始

米国時間9月7日、Microsoft(マイクロソフト)はニュースをパーソナライズして読める独自のサービスを開始した。Microsoft Startという名称で、ウェブサイトとモバイルアプリの両方で利用でき、さらにWindows 10と11、ブラウザのMicrosoft EdgeといったMicrosoft製品とも統合されている。フィードにはニュース提供元からのコンテンツがユーザごとの関心に応じて組み合わされて表示されるという。このカスタマイズのシステムは、ニュースを提供しているAppleやGoogle、そしてFlipboardやSmartNewsなどの人気アプリとの闘いにプラスに働くだろう。

Microsoftによれば、このプロダクトはMSNやMicrosoft Newsといったオンラインとモバイルの顧客向けサービスのレガシーの上に作られているという。ただしMSNを置き換えるものではない。MSNは引き続きサービスを提供し、MSNとMicrosoft Startは社内での新たな競合となる。

Microsoft Startを利用するには、スタンドアローンのウェブサイトであるMicrosoftStart.comにアクセスする。このサイトはGoogle ChromeとMicrosoft Edgeで利用できる(Safariでは利用できない)。またはiOSかAndroidでモバイルアプリのMicrosoft Startをダウンロードする。

Microsoft Startは、Windows 10のタスクバーとWindows 11のウィジェットでもニュースやトピックの表示に利用される。Microsoft Edgeでは新規タブのページにも表示される。

画像クレジット:Microsoft

ぱっと見たところ、Microsoft Startは他のオンラインポータルとよく似ている。さまざまな提供元からのニュースが集められ、天気、株価、スポーツなどのウィジェットもある。記事を読むためにクリックすると、Microsoftのドメインでホストされているシンジケート化バージョンが表示される。上部にはナビゲーションバー、見出しの下には絵文字のリアクションボタンも用意されている。

個別の記事ではなくホームページを見ているときも、絵文字でニュースにリアクションできる。

絵文字のセットはFacebookのものと似ている。ただしFacebookで問題視されている笑い顔は、考えている顔に置き換えられている(Facebookの笑い顔は、例えば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のような悲しい出来事を記したストーリーに対しても、大っぴらに投稿をばかにしたりしたり人をあざ笑ったりするのに使われているとして批判されることが増えている)。

Microsoftは絵文字にもう1つ変更を加えた。ホームページでストーリーに絵文字でリアクションすると、トップ3の絵文字ではなく自分が付けた絵文字だけが表示される。

画像クレジット:Microsoft

オンラインのウェブポータルに集められるニュースコンテンツはあまり動的でないことが多いが、Microsoft Startのフィードはさまざまな方法でユーザの関心に応じて調整される。

「パーソナライズ設定」ボタンをクリックすると、ニュースやエンタメ、スポーツ、テクノロジー、マネー、投資、トラベル、ヘルスケアなど多くのカテゴリーから興味のあるものを追加したり削除したりすることができる。あるいは、カテゴリーやトピックを検索してもっと細分化されたもの、もっとニッチなものを設定することもできる(「子育て」ではなく「中学生の子育て」のように)。これはFlipboardの最近のアップデートで、ユーザが同様に選択することにより「For You」フィードという自分専用のメインページを作れるようになったことを思い出させる。

Microsoft Startのフィードをブラウズする際に「このような記事を増やす」「このような記事を減らす」をクリックしてさらにフィードを調整できる。時間をかけてユーザがコンテンツを調整していくことでフィードはどんどん洗練されるとMicrosoftは説明する。このようなカスタマイズにはAIと機械学習の他、人間による調整も活用されていると同社は説明する。

フィードには他のオンラインポータルと同様に広告が掲載される。下へスクロールすると点々と広告が入り、サイト名の横に緑色の「PR」バッジが付いている。大半は製品広告で、ニュースコンテンツとは関係がないようだ。MicrosoftはMSNを継続しており、Microsoft Startは他の多くの製品と統合されているため、Startが始まったことでMicrosoftが広告を掲載できるスペースは増えている。

iOSアプリのプライバシーラベルを見ると、他社のアプリやウェブサイト間でユーザをトラッキングするのにIDが使われる。これに対してGoogleニュースはトラッキングをしていない。Microsoft StartもGoogleニュースも、位置情報、ID、検索履歴、使用状況データ、ユーザコンテンツなど「ユーザに関連づけられたデータ」は多数収集している。ウェブサイトについては、Microsoft全般のプライバシーステートメントにリンクしているのみだ。

ウェブサイト、アプリ、統合は公開が開始されている。iOSでは以下のQRコードをスキャンするとApp Storeのページへ移動できるが、Androidでは原文記事制作時点で古いアプリにリンクしていたようだ。

関連記事
買収を続けるツイッターが今度は定額制ニュースアプリBriefのチームを「アクハイヤー」
SmartNewsの新型コロナ「ワクチンアラーム」日本で提供開始から1週間でユーザー数100万人を突破
中国人起業家が作ったローカルニュースアグリゲーター「News Break」が米国で大人気
画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッターがディスプレイいっぱいの写真・動画表示をテスト中

Twitter(ツイッター)は、より視覚的に没入感のあるユーザー体験の構築する方法を最新のテストで模索している。

フルワイドで表示される画像と動画は、同社が最近関心を示している方向性をさらに追究するものだ。Twitterは2021年初めに大画像の導入とトリミングコントロールを2つのモバイルアプリに導入した。多くの写真家やビジュアルアーティストは、Twitterが作品の共有によりフレンドリーなったと喜んでいた。

iOSでテスト中。
タイムラインの幅を超えたエッジ・トゥ・エッジのツイートで、写真やGIF、動画をより輝かせることができます。

Twitterは、2021年3月に写真と画像プレビューの大きな改善を初めてテストし、その2カ月後に大々的に展開したが、このテストプロダクトが定着するかどうかは、短い時間軸で判断する必要があった。

これまで左にかなり大きな余白ができていたのが、今回のテストでは、左から右へとフレームいっぱいにツイートが表示されるようになった。この変更により、画像や動画のサイズが大きくなり、フィードでの見栄えが良くなっている。また、ユーザーのプロフィール写真の右側にツイートが不必要に押し込まれることがなくなり、よりすっきりとしたモダンなデザインになっている。

この機能をテストするにあたり、Twitterは、従来のようにテキストだけで会話をするのではなく、写真や動画を使って会話して欲しいと考えている。結果は我々ユーザーの勝ちのようだが、Twitterのデザインがどう変わっても、必ずそれをけなすヘイトツイートを触発するのだ。そのうちみんな、表示が変わったことも忘れてしまうんだけどね。

関連記事
Twitterが表現を台なしにする「勝手な切り取り」減らす大きな画像表示とトリミングコントロールを実装
Twitterが画像プレビューの改良と写真トリミングの削減をテスト中
画像クレジット:Twitter

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米Huluがオンデマンドサービス月額料金を10月8日から約110円値上げ

2020年のLive TVサービス値上げに続き、Hulu(フールー)は今、再度の値上げを準備中だ。10月8日からオンデマンドプランのHulu、Hulu with No Adsの価格を上げる。しかし2つのLive TVプランで月額10ドル(約1100円)を超える前回の値上げと違って、今回の値上げ幅はわずか1ドル(約110円)だ。

つまり広告が入るバージョンは月額5.99ドル(約660円)から6.99ドル(約770円)に、Hulu with No Adsは月額11.99ドル(約1320円)から12.99ドル(約1430円)にアップする。この新料金は既存会員と新規会員のどちらにも適用される。10月の値上げは同社のLive TVサービスや、HuluがDisney+とセットになっているプランには影響しない(Disneyは2019年にComcastの持分を買収してHuluを完全子会社化した)。

今日ではHuluはDisney+とESPN+とともに月額13.99ドル(約1540円)で提供されている。HuluのライブTVのマーケットに含まれていない人にとって、Hulu独立サービスの価格でのわずかな変動ではセットサービスが魅力的なものに映るかもしれない。

Huluのオンデマンドサービスは同社の会員数の大部分を占めている。2021年8月に発表されたDisneyの会計年度第3四半期決算では、Huluのオンデマンドのビデオサブスクの会員数は前年同期比22%増の3910万人に達した。その一方でLive TVサービス(オンデマンドサービスを含む)の会員数はわずか同9%増の370万人にとどまった。合計でHuluの会員数は同21%増の4280万人だった。

関連記事:Disney+の第3四半期の契約者数は予想を上回る1億1600万人、アジア市場が下支え

しかしながらこの数字はDisney+よりも緩やかな成長だ。Disney+の会員数は2020年第3四半期の5770万人から、2021年第3四半期には1億1600万人へと大幅に増加し、前年比成長率は100%を超えた。

Disney+のESPN+を含め、同社の消費者直接取引事業の会員数は第3四半期末までに計1億7400万人近くになった。

しかし、Huluは会員数でDisney+の後を追っているが、ユーザー1人あたりの月間事業収入(ARPU)ではDisney+を上回っている。

第3四半期にARPUは、Disney+ Hotstar会員との混合割合が前年同期よりも増えたために、4.62ドル(約510円)から4.16ドル(約460円)へと減少した、とDisneyは述べた。一方、HuluのオンデマンドサービスのARPUは11.39ドル(約1260円)から13.15ドル(約1450円)へ増加し、Live TV サービス(+SVOD)は68.11ドル(約7510円)から84.09ドル(約9270円)へと成長した。

Huluのオンデマンド事業には、使用権が与えられたコンテンツと、新作品「Nine Perfect Strangers」「Only Murders in the Building」「Vacation Friends」のようなオリジナルのプログラムが含まれる。同社はまた、9月1日に何千ものHotstar Specialsとボリウッドのヒット作品を加えたばかりだ。

関連記事
米HuluでライブTVにバイアコムCBSとの契約合意で14の新チャンネル追加
米Huluがみんなで一緒に楽しむ共同視聴機能Watch Partyを正式にローンチ
Huluが米国でのLive TVサービス料金をさらに約18%値上げ、12月18日から
画像クレジット:Hulu

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアの自動車テックAutochekがROAM Africaからのオンライン自動車販売Chekiのケニアとウガンダ事業を買収

ナイジェリアの自動車テック企業であるAutochek(オートチェク)は、現地時間9月6日、Ringier One Africa Media(ROAM、リンギアー・ワン・アフリカ・メディア)からCheki Kenya(チェキ・ケニア)とCheki Uganda(チェキ・ウガンダ)を非公開の金額で買収することを発表した。

声明によると、Autochekは今後数週間のうちに取引を確定する予定だ。今回の買収により、Autochekは東アフリカへの進出を完了し、約1年前にChekiからナイジェリアとガーナの事業を最初に買収したのに続くものとなる。

Chekiは2010年に、ケニアのディーラー、輸入業者、個人販売者向けのオンライン自動車販売事業を開始した。ナイロビに本社を置くChekiは、その後、ナイジェリア、ガーナ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエに事業を拡大した。

その後2017年にROAMに買収され、Jobbermanのようなネットワーク内のオンラインマーケットプレイスやクラシファイドの仲間に加わった。

ROAMのウェブサイトによると、Chekiはまだタンザニア、ザンビア、ジンバブエで事業を行っている。しかし、これらの市場はかなり不活発なため、実質AutochekはChekiの主な事業をすべて完全に買収したといっていいだろう。

Chekiのケニア市場は、双方にとってワクワクする市場だ。この子会社には70万人のユーザーがいて、毎月1万2000台以上の車両を掲載している。また、過去2年間で前年比80%の成長を遂げているとのことで、Autochekの地域拡大計画にとって貴重な資産となっている。

AutochekのCEOであるEtop Ikpe(エトプ・イッペ)氏は「Cheki Kenyaは、常に最重要部門のような存在でした。ナイジェリアとガーナの買収を完了した当時は、このようなことを意識していたわけではありませんでしたが、実現したことはすばらしいことです」とTechCrunchの取材に語っている。

ケニアでは、ナイジェリアやガーナに比べて、自動車金融におけるクレジットの普及率が高い。東アフリカでの普及率は27.5%であるのに対し、西アフリカ全体市場では5%だ。そのため、Autochekが東アフリカ市場を楽観視しているのも納得できる。今回の買収に先立ち、創業1年の同社は、ガーナやナイジェリアと同様の戦略で、ケニアのいくつかの銀行と共同で、クルマの所有者に資金を提供する試験的な取り組みを行った。今回の買収は、この市場における当社の地位を確固たるものにするものだとイッペ氏は述べている。

Chekiがすべての主要市場で事業を1年以内に売却したことから、4つの事業体の業績が悪かったためにROAMは適切な買い手を早く見つけざるをえなかったのではないか、と考える人もいるかもしれない。

しかし、CEOのイッペ氏は、窮地に追いやられたことによる売買の憶測については否定した。今回の買収が立て続けに行われたのは、Chekiが運営していたクラシファイドモデルが、より現代的な取引モデル(Autochekやアフリカの主要な自動車メーカーが採用している)に移行する必要があることを双方が理解していたからだと述べている。そのため、今回の取引をChekiにとって必要な移行であると捉えている。

イッパ氏は過去にRingier(合併前のROAMの1部門)との関係を築いており、Ringierが最終的に買収したクラシファイド型取引会社であるDealDey(ディールディ)を経営していたため、Autochekに会社を売却することは難しい決断ではなかったと、イッパ氏はTechCrunchに語っている。

「彼らにとっては長期的な戦略であり、私たちのビジネスモデルを信じてくれているのだと思います。そして、私たちが将来的に何かを成し遂げられるという希望を持っています。また、このビジネスと従業員にとって適切な場所を見つけてあげるということでもありました」と述べている。

ROAMのClemens Weitz(クレメンス・ヴァイツ)CEOは声明の中で「世界中で、デジタル自動車プラットフォームの新たな進化が見られ、深い専門性が求められています。特にアフリカでは、Autochekこそが、これまでにない消費者体験を生み出すための、最高のチームと専門知識を持ったプレイヤーであると考えています。ROAM Africaにとって、今回の売買は単に良い取引だったというだけではありません。我々の他の事業の戦略的なシナリオにさらに集中することができるようになります」と述べている。

Autochekの東アフリカへの進出はMoove(ムーブ)、Planet42(プラネット42)、FlexClub(フレックスクラブ)などの自動車関連企業が投資家から注目されている最中のことで、アフリカ大陸では柔軟な自動車金融のニーズが高まり続けている。

この大陸で最も重要な自動車金融市場は、間違いなく南アフリカだ。他の自動車会社も何らかの形でこの市場に進出しているが、Autochekもこの市場での事業拡大を計画している。その理由は明らかだ。

南アフリカは、大陸の中でも自動車ローンの普及率が最も高い、最良の市場だ。競争は激しいように見えるが、イッパ氏は、他社とは異なる市場に合わせたサービスを提供する機会が存在すると考えている。

「当社のプラットフォームの良さは、多様性があることです。例えば、我々は小売りやB2Bのアプローチが可能です。ダイナミックなたくさんのやり方ができるのです。だからこそ、すべての地域に進出することを目標とするのは当然のことだと思っています。東と西に進出しましたが、北と南のアフリカでも同じようでありたいと思って活動を続けていきます」と述べている。

Autochekによると、この目標を達成するための資金調達を現在行っており、年内には完了する予定だ。

画像クレジット:Autochek / Autochek

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Akiito Mizukoshi)

バングラデシュの小売店のDXを進めるコマースプラットフォームShopUpが同国最大規模となる約82.5億円調達

バングラデシュの小規模店舗のデジタル化を進めているスタートアップのShopUp(ショップアップ)は、南アジア市場でも最大規模となる新たな資金調達ラウンドで7500万ドル(約82億5200万円)を調達した。

Peter Thiel(ピーター・ティール)氏のValar Ventures(バラール・ベンチャーズ)がShopUpの7500万ドル(約82億5200万円)のシリーズBラウンドを主導した。このラウンドには、Prosus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)の他、既存の投資家であるFlourish Ventures(フローリッシュ・ベンチャーズ)、Sequoia Capital India(セコイヤ・キャピタル・インディア)、VEON Ventures(VEON ベンチャーズ)も出資している。今回の新たな投資により、同社の累計調達額は1億ドル(約110億円)を超え、ValarとProsusにとっては、1億人以上のインターネットユーザーがいるバングラデシュでの初めての取引となる。

バングラデシュでは、隣国のインドと同様、小売全体の95%以上が近隣の店舗で行われている。バングラデシュには約450万店の小売店があるが、そのほとんどがデジタル化されていない。

インド、パキスタン、その他のアジア諸国と同様に、バングラデシュでもこれらの小規模店舗は多くの課題に直面している。在庫選択のための大規模な目録を持たず、良質な価格設定や迅速な配送のための交渉をすることもできない。また、これらの小規模小売店では、売上全体の3分の2以上が、現金やデジタル決済ではなく、クレジットで処理されているため、大規模な流動性リスクに陥っている。

ShopUpはこれらの課題を解決しようとしている。同社は、フルスタックの企業間商取引プラットフォームを構築し、在庫を確保するための卸売市場、物流(顧客へのラストマイル配送を含む)、運営資金など、多くの核となるサービスをこれらの店舗に提供している(インドの多くのスタートアップ企業と同様に、ShopUpは銀行やその他のパートナーと協力して運営資金を提供している)。

ShopUpの共同創業者兼CEOのAfeef Zaman(アフィエフ・ザマン)氏は、同社はこの1年間で、提供するサービスを拡大し、バングラデシュ国内での普及を進めてきたとTechCrunchのインタビューで述べている。例えば、バングラデシュ最大のメーカー、生産者、流通業者と提携し、小規模店舗へ在庫の確保と供給をしているという。また、その物流サービスは、すでにバングラデシュで最大のものとなっている。

ShopUpは、他の企業と同様にパンデミックの影響を受けたが、国が開かれ始めたことで、回復の兆しが見えてきたという。全体として、この1年間で事業は13倍以上に成長したとのことだ。

「ShopUpのリーダーシップチームは、過去12カ月間、強力な実行力を発揮してきました。バングラデシュの十分なサービスを受けていない小規模事業者向けに作られた3つの製品で2桁の成長を遂げ、明らかに市場のリーダーとなりました。バングラデシュのような急成長を遂げているフロンティア経済圏では、小規模事業者が経済の主な原動力となっています。オンライン経済への移行を迅速に進めるために、製品の連携したエコシステムを構築するというアフィエフ氏のビジョンに協力できることをうれしく思います」とValar Venturesの創業パートナーであるJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏は声明の中で述べている。

ザマン氏によると、この1年間で、バングラデシュのこうした小規模店舗の間でテクノロジーの導入が加速しているという。「彼らは今、複数のネットサービスを利用しています。ShopUpだけでなく、メッセージや暗号資産なども利用しています。今後もこの傾向は続くでしょう」。

ダッカに本社を置くこのスタートアップは、技術者やエンジニアの大部分が暮らしているベンガルールにオフィスを構えており、今回の新たな資金は、チームの拡大のために投入される予定だ。ザーマン氏は、今回の資金調達の一環として、従業員のストックオプションの数を3倍に増やしたことを明らかにした。

「今回の投資は、過去10年間で最も急速に成長している経済圏の1つであるバングラデシュへの参入を意味しています。ShopUpは、細分化された市場の中で、小規事業者のさまざまなニーズを解決するために、強い実行力を発揮してきました。何百万もの小売業者に力を与え、彼らが国の経済成長に参加できるようにするというShopUp の取り組みを支援できることをうれしく思います」。とProsus Venturesのインド投資部門責任者Ashutosh Sharma(アシュトシュ・シャルマ)氏は語っている。

画像クレジット:ShopUp

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

10億件以上の配送実績を持つインド物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryが約84億円調達

インドの物流サービス企業であるDelhivery(デリバリー)は、今後2四半期以内に予定されているIPOを前に、さらに1人の著名な投資家から支援を取り付けた。Lee Fixel(リー・フィクセル)氏のAddition(アディション)だ。

グルガオンに本社を置くDelhiveryは、Additionが同社に7640万ドル(約84億円)の出資を行ったことを規制当局に届け出た。市場情報会社のTofler(トフラー)が明らかにしたこの申請書によると、今回の新たな投資はシリーズIラウンドの一部であるという。Delhiveryはこれまでに、Additionの投資額のみを公開している。

10年前に設立されたこのスタートアップ企業は当初、フードデリバリー会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じて、物流市場における需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

今回の新たな投資は、Delhiveryが2億7700万ドル(約304億6000万円)の資金調達を完了させ、またそれとは別にFedEx(フェデックス)の子会社が1億ドル(約110億ドル)を同社に投資したことが発表されてから、数カ月後に行われたものだ。Delhiveryは2021年前半に、今後6~9カ月以内にIPO申請を行うことを検討していると述べていた。

関連記事
インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達
FedExがインドの物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryに約110億円投資

Delhiveryのネットワーク 画像クレジット:Bernstein

Delhiveryはインド最大の物流企業の1つである。同社のプラットフォームは荷主、エージェント、そして陸路輸送ソリューションを提供するトラック事業者を結びつける。Delhiveryによれば、そのプラットフォームはブローカーの役割を軽減し、(Delhiveryにとって最も人気のある輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用して、24時間体制のオペレーションを可能にするという。

このようなデジタル化は、インドの国家経済を長年にわたって停滞させてきた物流業界の非効率性に対処するために非常に重要である。インドでは、需要と供給の計画と予測が不十分であることから、輸送コスト、盗難、損害、遅延が増加していると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストがインドの物流市場について2021年8月発表したレポートの中で指摘している。

Delhiveryの公式ウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しているとのこと。配送の最後の一歩を受け持つ配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられており、時間を節約しながら1日に何度も配達を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは2021年前半に述べていた。このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約44億円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

インドのスタートアップエコシステムで有名なリー・フィクセル氏は、インドに可能性を見出した最初の国際的投資パートナーの1人だ。同氏が過去10年の間にTiger Global(タイガー・グローバル)を通じて行ったFlipkart(フリップカート)への投資は、この世界第2位のインターネット市場におけるスタートアップエコシステムの成長スピードを加速させた。

それに加えて、フィクセル氏が2020年設立したベンチャー投資会社のAdditionは、すでにインドに注目し始めており、ソーシャル・ネットワークのPublic(パブリック)やネオバンクのJupiter(ジュピター)にも出資している。

フィクセル氏はまた、個人的にもインドのスタートアップ企業に出資を続けている。同氏は現在、ベンガルールを拠点とするコーヒーチェーンのThird Wave(サード・ウェーブ)を支援するための交渉を行っていると、関係者2人が語っている。

関連記事:ローカルに繋がるインドのビデオSNSアプリPublicが44.6億円調達、半年で評価額は2倍強に

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「CoeFont Cloud」と小学館が協働し声優・森川智之さんの音声フォントを採用したAI音声合成オーディブックの試聴版公開

「CoeFont Cloud」と小学館が協働し声優・森川智之さんの音声フォントを採用したAI音声合成オーディブックの試聴版公開

東京工業大学発のAI音声合成スタートアップYellstone(エールストン)は9月7日、人の声をフォント化して音声合成を行うプラットフォーム「CoeFont Cloud」(コエフォント・クラウド)を利用し、小学館と協働でAI音声合成オーディブックの試聴版を作成したと発表した。

第1弾は、「鬼滅の刃」産屋敷耀哉(うぶやしきかがや)役やトム・クルーズの吹き替えで知られる声優・森川智之さんの合成音声によるオーディオブック「なぜ”ブブカ”はスポーツでもビジネスでも成功し続けるのか」(小学館:セルゲイ・ブブカ著)。特設ページにおいて、期間限定で一部を無料公開している。「CoeFont Cloud」と小学館が協働し声優・森川智之さんの音声フォントを採用したAI音声合成オーディブックの試聴版公開

CoeFont Cloudは、最短15分の収録で、その人の声を音声合成用の「フォント」に変換し、それを使ってテキストの読み上げが行えるというサービスを行っている。今回は、森川智之さんが約2時間かけて収録した音声からAI音声合成を行い、「なぜ”ブブカ”はスポーツでもビジネスでも成功し続けるのか」の第1章のオーディオブック試聴版(約31分)を完成させた。

Yellstoneは、2021年4月に、デジタルキャラクターや著名人の声でテキストの読み上げができる「CoeFont Studio」をリリースした。リリース3日目にして5万人のユーザー数を獲得した。CoeFont Cloudはそれを発展させて、自分の声のフォントを作って読み上げができるようにしたサービスだ。

森川智之さんは、今回の試みについて「……この技術革新が不安な影も落とすのではと感じる方も多いのではないでしょうか。人工知能は黙っていても学習していきます。技術の進歩は日進月歩です。それならば、誰もが参加でき、その進歩の礎となり、みんなが見守りながらオープンスタイルで育てていくAIの音声合成」というYellstonの考え方に賛同したとのこと。

さらに、「私の音声サンプルによるAI音声合成は、まだまだ発展途上、点数を付ければ45点。細部にわたる表現力が課題で、100点には遠く及びません。しかし、これに皆さんが参加することによって、AIが学習を重ねていけば、より理想とする表現に近づくことは間違いありません」と述べている。

必要なファイルが見つけられないストレスを軽減させるPlaybookの「デザイナー」向けクラウドストレージを

Jessica Ko(ジェシカ・コ)氏がGoogleの、次いでOpendoorデザイン責任者であった時、彼女は部下たちがDropboxからアセットを探すのに彼らの時間の90%を費やしているのに気がついた。

多くの場合、彼らは古いバージョンのものしか見つけられないか、または探しているものを見つけられないでいた。また、さらに悪い場合には、別のアセットを間違って手に入れていた。

「それは非常に混沌としたプロセスでした」と、コ氏は回想する。「だれもがシステム内へアクセスし、何かに手を加えたりフォルダのストラクチャーを変えてしまうことができたために、大変なことになっていたのです。しかし他の選択肢がないために、そうした状態が続いていました」。

コ氏によると、Opendoorの規模が拡大するに連れ、問題はまずます大きくなっていったという。

「デザイナーはストレスを抱えて辞めていきました。Dropboxは今もこの問題を解決できていません。Googleドライブも優れた代替手段とはいえません。デザイナーは最も多くファイルを扱い、常にファイルを交換しています」。

ファイルストレージやファイル共有の問題に起因する不満やストレスに加え、適切なアセットが見つけられないこともエラーに繋がり、それは金銭的な損失にもつながっていた、とコ氏はいう。

「私たちは、新しいバージョンのものを見つけられないために、写真を撮ったり、デザインを再度作成しなければならず、そのために多くのお金を使いました」。

また、アセットにアクセスする必要があるのは、なにもデザイナーだけではない、という問題もある。財務チームもセールス用のプレゼン資料を作成したりするために常にアセットにアクセスする必要がある。

そこで2018年、コ氏は彼女を悩ませていたこの問題を、現在のデザインワークフローとプロセスに適したファイルストレージを作ることで解決すべく、Opendoorを離れた。より簡単な言葉で言えば、彼女はDropboxやGoogleドライブに替わる「デザイナーにより構築されたデザイナーのための」新しいクラウドストレージを構築したいと考えたのだ。

2020年初め、コ氏(CEO)はAlex Zirbel(CTO、アレックス・ザーベル)氏 と組んでサンフランシスコに拠点を置くPlaybookを立ち上げた。これを彼女は問題を解決するための「デザイナー向けDropbox」と説明している。そして米国時間8月26日、同社は突然姿を表し、Founders Fundが主導するシードラウンドで400万ドル(約3000万円)を調達したことを発表した。資金調達後の評価額は2000万ドル(約22億円)である。

この資金調達には、Abstract、Inovia、Maple、Basis Set、Backend、Wilson Sonsiniや、Opendoorの共同創設者兼CEOのEric Wu(エリック・ウ)氏、Gustoの共同創設者Eddie Kim(エディ・キム)氏、SV AngelのBeth Turner(ベス・ターナー)氏といった、多くのエンジェル投資家が参画している。

手短に言えば、Playbookは、組織のメディアライブラリ全体を数分で自動的にインポート、タグ付け、分類できるということを売りにしている。

立ち上げ後、Playbookがまず着手したのが、アセットのフォルダの管理方法を再考し、フォルダの下にサブフォルダを配置することだった。そして、同社はファイルの共有方法を変えようることに取り組んだ。

「現在、本当に多くのことがメールやSlackを通して行われているため、バージョンコントロールが一層難しくなっています」とコ氏はTechCrunchに語った。そこでPlaybookはファイルをさまざまなチャンネルを通して送るのではなく、当事者全員がアクセスできるストレージシステムを構築してきた。

「何年もの間、これらのアセットはファイルキャビネットのようなものに放り込まれてきました。しかし、今日、アセットの共有は、フリーランサーや下請け業者といったさまざまな関係者が関わるものになりました。そのため誰がこれらのファイルやバージョンの管理をするかはとても複雑な問題になりつつあります」。

Playbookは4TBの無料ストレージを提供している。これはコ氏によると、無料バージョンのGoogleストレージの266倍、Dropboxの2000倍に当たる。これでユーザーをひきつけ、ストレージ容量がなくなることを心配せずにオールラウンドのクリエイティブハブとしてこのプラットフォームを使ってもらいたいという狙いがある。また、ファイルを自動的にスキャン、整理、タグ付けし、ファイルやフォルダを視覚的に簡単に参照できるようにした。

画像クレジット:Playbook

Playbookが3月にデザインコミュニティに対しベータ版を公開したところ、2カ月で1000人のユーザーを獲得した。登録者数はその後も伸び続けたため、新たなユーザーに対処するために同社はベータ版を閉じなければならないほどだった。

現在、約1万人のユーザーがデータ版に登録している。初期のユーザーには個人で活動するフリーランサーからFast、Folx、Literatiといった企業のデザインチームが含まれる。

コ氏によると、9人の社員を擁する同社は、収益化をはかり、エンタープライズ版を出す前に(2020年になる可能性が高い)、製品を「適切なもの」にすることに力を注ぎたいと考えている。

当座Playbookは、フリーランサーのニーズに的を絞っている。同社はパンデミック後にはフリーランサーが爆発的に増えると考えており、そのためには「クラウドストレージはよりスマートになる必要がある」と確信している。

「私たちはまずフリーランサーが感じている問題を取り上げ、ボトムアップ式にこれを解決したいと考えています」とコ氏はTechCrunchに語った。

また、現在Playbookがフリーランサーに焦点を当てている背景には、 彼らが仕事の請負先にPlaybookを紹介してくれるだろう、というマーケティング上の戦略もある。

「彼らがPlaybookを通しクライアントにアセットやファイルを渡すと、クライアントはこれを採用する傾向があります」とコ氏は語る。

Playbook は現在、320万件のアセット管理に使用されており、毎月「登録を待っている人が何百人もいる」とのことである。

ザーベル氏は今後、画像スキャン、シミラリティ、コンテンツ検出、プレビュー、長期的なクラウドストレージ、そして数々のインテグレーションに進出することを考えている、と述べた。

「クラウドストレージのクリエイティブな側面に注目すると、興味深い技術上の課題がたくさんあります」。

Founders FundのJohn Luttig(ジョン・ルティグ)氏は、2020年に初めてコ氏やザーベル氏に会った際、Founders Fundが今まで見たことのないレベルで「彼らがファイル管理に関し深い理解と考えを持っていることが明確でした」と語った。また彼の見解では、Dropboxが2007年に立ち上げられて以降、クラウドストレージにおけるイノベーションはほとんど起こっていない。

「Playbookのプラットフォームは最新のデザイン、コラボレーションの原則、人工知能を取り込んだもので、これを用いることでファイル管理をはるかに早くしかも簡単に行うことができます。Playbookにはデザインの世界に深く関わってきたという強みがあり、ユーザーの視点でファイルシステムを再考する、という意味で同社は非常によいポジションにいると考えます」とルティグ氏はメールで伝えてくれた。

同氏は、Playbookはコンピュータービジョンやデザインの最新の進歩を活用し「今までのものよりもずっと優れた、ファイルを管理し共有するための製品を構築する」能力がある、と語った。

関連記事
17歳で開発、ディズニーも使うベクターデザインツール「Vectornator」が約22億円調達
デザインを自動でコードに変換するノーコードツールAnimaが約20億円のシリーズAを調達
ウェブ向けクリエイティブの制作・改善をAIとデータを活用し実現する「AIR Design」のガラパゴスが約11億円調達
画像クレジット:Playbook

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

コロナ後のインバウンドをにらみホテルのDXを加速させる韓国と日本を拠点を置くH2O Hospitality

パンデミックは、接客業の非接触、スタッフレス運営への要求をいっそう高めた。無人ホテル管理会社のH2O Hospitality(エイチ・ツー・オー・ホスピタリティー)は、その追い風を受けて3000万ドル(約33億円)の調達ラウンドを完了した。韓国と日本を拠点とするスタートアップは、宿泊予約、客室管理、フロントデスク業務などのフロントエンドとバックエンドを自動化する。同社は新たな資金を得て事業の拡大を続けていく。

今回のシリーズCラウンドをリードしたのはKakao Investment(カカオ・インベストメント)で、Korea Development Bank(KDB、韓国開発銀行)、Gorilla Private Equity(ゴリラ・プライベート・イクイティー)、Intervest(インターベスト)およびNICE Investment(ナイス・インベストメント)も参加した。他に東南アジアのジョイントファンドであるKejora-Intervest Growth Fund(ケジョラ・インターベスト・グロース・ファンド)も参加していることから、H2O Hospitalityが東南アジア市場に特に焦点を当てていることがわかる。H2O Hospitalityは2020年2月にシリーズBラウンドで700万ドルを調達し、Samsung Ventures(サムスン・ベンチャーズ)、Stonebridge Ventures(ストーンブリッジ・ベンチャーズ)、IMM Investment(アイエムエム・インベストメント)、Shinhan Capital(シンハン・キャピタル)らが参加した。

関連記事:日本の民泊仲介サービスH2O Japanがサムスンなどから7億円超を調達

H2O Hospitalityは2021年と2022年に韓国と日本でさまざまなタイプの宿泊施設を追加して事業を拡大する予定で、2022年第4四半期には同社の東南アジア浸透戦略の一環としてシンガポールとインドネシアにも進出する計画だ、と同社の共同ファウンダーでCEO、John Lee(ジョン・リー)氏はいう。

「現在H2O Hospitalityは、いくつかの国際ホテルチェーン企業と、韓国、日本以外でのデジタルトランスフォーメーションと事業運用の提携について話し合っています」とリー氏がTechCrunchに語った。

H2Oは同社の顧客チャンネルソリューションと非接触チェックインシステムをアジア各国の顧客ニーズに合わせて進化させるために、研究開発に投資していくつもりだ。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後にも、ホテル・デジタル・トランスフォーメーションで成功しリードしていくためには、それぞれの宿泊施設と状況に合わせたシステム開発とカスタマイズが必要です」とリー氏がメールのインタビューに答えた。

H2O Hospitalityは、2015年にCEOのジョン・リー氏が設立し、そのご買収と拡大を繰り返してきた。たとえば2017年には日本に進出して宿泊管理会社をいくつか買収した。2021年、H2Oは自社のテクノロジーとESG(環境・社会・ガバナンス)の競争力を高めるために、非接触ホテルソリューション企業のImGATE(イムゲート)とローカル・クリエイターのスタートアップ、Replace(リペレース)の韓国企業2社を買収した。

現在同社は東京、大阪、ソウル、プサン、バンコクにホテル、旅館、ゲストハウスなど約7500の宿泊施設を運用している。

H2O Hospitalityの情報通信技術(ICT)ベースのホテル管理システムは、チャンネル管理システム(CMS)、設備管理システム(PMS)、客室管理システム(RMS)、施設管理システム(FMS)などを使ってホテル業務の自動化とデジタル化を可能にしている。

同社の統合ホテル管理システムは、ホテル業務の運営費固定分を50%縮小し、売上を20%上昇させることが可能だと同社の声明に書かれている。

「新型コロナウイルスは宿泊業界に最も強い打撃を与え、そのために多くのホテルが固定費を減らしたいと考えましたが、現在の運営フローでは不可能でした」とリー氏は語った。「デジタル・トランスフォーメーションが必要だったのです」。

新型コロナが未だに旅行業界の大部分を凍結している今、パンデミックがH2Oにどう影響を与えているかを質問したところリー氏は、パンデミック前、H2Oの売上は最大30%増加していたが、新型コロナ後は5~15%に落ちたと答えた。最近の売上拡大要因は、顧客の効率を改善するために同社が作ったツールによる。例えば自動ダイナミックプライシング(ADR)ツールや、オンラインとオフライン、国内、国外の旅行代理店の多様なセールスチャネルなどがある。

リー氏はさらに、H2Oに多くの施設が加入しており、それが最近18カ月間の売上増に貢献していることを指摘した。H2Oの事業はアジア唯一であり、このため2020年8月以来多くの施設所有者が加入し始めている、と同氏は説明した。

「パンデミック中に加入したホテルはすべて収支が改善し、財務損失を取り戻しつつあります」とリー氏は言った。

現在世界に1640万の客室があり、年間5700億ドル(約62兆5889億円)を生み出している、とリー氏はいう。H2Oは世界中の宿泊施設をデジタル化できると信じており、会社の主要目標はホテルブランドを作ることではなく、ホテルオーナーがよりよい方法で自分の施設を運用できるようにすることだと彼は言った。

リー氏は、現在のホテル運用プロセスは「2G携帯」とよく似ていて、スマートフォンに切り替わる前の状態であり、H2Oはすべてのホテル運用を「スマートフォン」にする、と説明した。

「これは(接客)業界にとってごく自然な変化であり、それは携帯電話ユーザーが2Gからスマートフォンに移行したのと同じことです」とリー氏は言った。

韓国と日本では、国内需要は高まりつつあるものの、残念ながら国境を越えるインバウンドツーリズム市場は未だに停止している。

「両国(韓国と日本)ともワクチン接種が進んでいるので、インバウンドツーリズム市場は1年以内に復活すると信じています」とリー氏は言った。

Kejora-Intervest Growth Fundのマネージングディレクター、Jun-seok Kang(ジュン・シュー・カン)氏はTechCrunchに次のように語った。「ホテルのデジタル・トランスフォーメーションに新しい波がやってくることはパンデミック以前からわかっていました。しかし、新型コロナ遷移を早めたことは間違いありません。H2Oがホテル市場の転換に成功すると私たちは信じています」。

関連記事:NYのトップホテルMint House、新型コロナの影響でそのおもてなしビジネスに変化

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook

専門家の知識をサービスとして顧客に提供するLynkに、UBSインベストメント・バンクが投資

84万人以上の専門家を擁し「Knowledge-as-a-Service(サービスとしての知識)」プラットフォームを提供しているLynk(リンク)は、今年初めに発表されたシリーズBの資金調達に加え、さらにUBSの投資銀行部門から500万ドル(約5億5000万円)を追加調達したことを、米国時間9月1日に発表した。これにより、今回のラウンドによって調達した資金の総額は2900万ドル(約32億円)となった。

この戦略的投資では、初めてUBSがLynkにプライベート・エクイティ投資することになる。現在3500万ドル(約38億5000万円)の資金を調達しているこのスタートアップ企業は、2020年にUBSを顧客に加えた後、5月にはUBSとの提携を発表し、この大手銀行のリサーチアナリストや機関投資家の顧客が、Lynkのデータベースやツールを利用できるようになった。

最高経営責任者のPeggy Choi(ペギー・チョイ)氏によって2015年に設立されたLynkは、機械学習アルゴリズムを使って、ユーザーと専門家をプラットフォーム上でマッチングさせる。同社の目標は、金融機関や政府機関などの顧客と、通常はオンラインや従来のコンサルタント会社では見つけられないような専門家を結びつけることだ。同社は、ニューヨーク、香港、シンガポール、ムンバイ、上海、トロントにオフィスを構えている。

今回の資金調達の一環として、LynkはUBSグループとの協業を拡大する予定だ。UBSインベストメント・バンクのグローバル・マーケット・チームは、既に機関投資家の顧客にLynkを提供しており、Lynkもまた、UBSグローバル・リサーチのトップアナリストを、環境・社会・ガバナンス(ESG)、評価・会計、中国の産業動向などの分野の専門家として、同プラットフォームに迎え入れている。

関連記事:

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Luis Alvarez / Getty Images
原文へ
(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがApple Newsを提供するニュースパブリッシャーのアプリ内購入の手数料を引き下げ

米国時間2021年8月26日、Apple(アップル)は、Apple News(アップルニュース)アプリに参加し、一定の条件を満たすサブスクリプション制の報道機関に対し、App Store(アップストア)で認定された自社アプリ内での購入にかかる手数料を15%に引き下げられる、新しいプログラムの開始を発表した。通常、Appleのサブスクリプションベースのアプリケーションのモデルでは、App Storeにおける最初の1年間は30%の標準手数料率が適用され、2年目には15%に下がる。しかし、同日発表されたAppleの新しいNews Partner Program(ニュースパートナープログラム)では、プログラムに参加する報道機関の手数料は初日から15%になる。

ただし、このプログラムへの参加条件には、Appleにとって有利ないくつかの注意事項がある。参加資格を得るためには、報道機関はApple Newsでのプレゼンスを維持し、コンテンツをApple News Format(アップルニュースフォーマット、ANF)で提供しなければならない。ANFとは、Mac(マック)およびiPhone(アイフォン)などのAppleのモバイルデバイス用に最適化されたJavaScript Object Notation(JSON)形式のことで、Apple Newsの記事を作成するために使用される。通常、報道機関のウェブサイトやCMS(コンテンツマネジメントシステム)にあるニュース記事を、Apple NewsがサポートするJSONフォーマットに変換するためには、ちょっとした設定が必要になる。WordPress(ワードプレス)やその他の主要なCMSでは、そのプロセスを容易にするためのプラグインが用意されている。

一方、既存のApple Newsの4つの市場(米国、英国、オーストラリア、カナダ)以外に本社を置く報道機関は、代わりにRSSフィードをAppleに提供することで、プログラムへの参加資格を満たすことができる。

App Storeにおいて15%の手数料が適用されるパートナーアプリは「プロが執筆したオリジナル」のニュースコンテンツ配信に使用されなければならず、Appleのアプリ内購入システムを使用して自動更新可能なサブスクリプションを提供する必要がある。

画像クレジット:Apple

報道機関がApple Newsへの接続を確立するためには、ある程度の初期作業が必要だが、ほとんどの主要な報道機関がすでにAppleのプラットフォームに参加している点は注目される。つまり、それらの報道機関は、自社アプリにかかる手数料削減のために、これまでに加えて作業をする必要はない。しかし、このプログラムは、報道機関の広範なビジネスにおける財務的な効果を高めることから、Apple Newsのエコシステムに継続して参加することを後押しする働きもある。

この点については、報道機関の間でも意見がわかれるようだ。付帯条件なしでApp Store手数料の減額を望む報道機関もあるだろう。

一部の報道機関では、Apple Newsのエコシステムに縛られることで、自身のビジネスに対するコントロールを失ってしまうのではないかと心配しているところもある。例えば2020年、New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は、Appleが同社が望むような読者との直接的な関係を認めないため、読者を同社のアプリやウェブサイトに誘導したいとして、Apple Newsとの提携を解消すると発表した。

しかしAppleは、報道機関のビジネスを邪魔するものではないと主張するだろう。同社は、報道機関がコンテンツを収益化するペイウォールの仕組みを提供し、加えて販売した広告から得られる広告収入を100%確保できるようにしている(もし、すべてを売り切れない場合や、同社に販売を代行してもらいたい場合は、同社に手数料を払う代わりに広告収入の70%を確保する)。さらに、Apple News+(アップルニュースプラス)サブスクリプションサービスの場合、サブスクリプション収入の分配率ははるかに高いが、これは「ボーナス的な収入」だと主張することもできる。なぜなら、報道機関自身が獲得できなかった顧客に対して、Appleがサービスを販売するからだ。

Appleの新しいNews Partner Programの開始は、AppleがApp Storeビジネスをどのように管理しているかについて規制当局監視しているで行われた。最近では、米国および韓国などの主要なApp Store市場において、反競争的な問題を解決することを目的とした法案が提出されている。

関連記事
英競争当局がアップルのApp Store独禁法調査を開始
モバイルアプリのアプリストア支配の打破で上院が新法案
グーグルとアップルのアプリ内決済ルール強制を禁じる韓国の法案の最終採決が延期に

このような市場の変化を察知したAppleは、すでにApp Storeの手数料を調整することで、Epic Games(エピックゲームズ)との間で係争中の訴訟のような反トラスト法違反の苦情や訴訟から身を守る対策を講じていた。2020年、AppleはApp Store Small Business Program(アップストア・スモールビジネスプログラム)を開始し、アプリ内購入の手数料を30%から15%に引き下げたが、これは収益が100万ドル(約1億1000万円)までの開発者に限られていた。

このプログラムは小規模な報道機関の助けにはなったかもしれないが、一部の大手報道機関がまだ不満を持っていたことは明らかだった。2020年11月に小規模ビジネス向けの手数料引き下げが発表された後、AP(エーピー)、New York Times、NPR(エヌピーアール)、ESPN(イーエスピーエヌ)、Vox(ヴォックス)、Washington Post(ワシントン・ポスト)、Meredith(メレディス)、Bloomberg(ブルームバーグ)、NBCU(エヌビーシーユー)、Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)などを代表とする報道機関の業界団体「Digital Content Next(デジタル・コンテンツ・ネクスト、DCN)」は、その翌月に権利擁護団体でありロビー組織である「Coalition for App Fairness(アプリ公平性のための連合、CAF)」に参加した。

関連記事:「アップル税」に抵抗、米主要ニュース配信元がアプリの公平性を求める団体CAFに加入

これらの報道機関は、以前からApple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏に手数料の引き下げを求める書簡を送っていたが、収益の分配については、分配額の大きさ以外にも不満を持っていた。サブスクリプションについては、アプリ内購入としてAppleのサービスの利用を強いられることも望んでおらず、この「Apple税」によって消費者向けの価格を上げざるを得ないとしている。

これらの報道機関が、Apple News Partner Programの開始に対して、どのような反応を示すかはまだわからない。

このプログラムは、App Storeの料金を下げる方法を提供するものではあるが、Appleのプラットフォームとそのルールに対する報道機関の広範な不満を解消するものではない。それどころか、料金の引き下げが、報道機関をAppleのエコシステムにさらに閉じ込めてしまうプログラムに結びつけられている。

また、Appleは同日、善意の意思表示として、3つの主要なメディア関連の非営利団体への支援を再開すると発表した。Common Sense Media(コモン・センス・メディア)、News Literacy Project(ニュース・リテラシー・プロジェクト)、Osservatorio Permanente Giovani-Editori(オッセルバトリオ・ペルマネンテ・ジョーバニ・エディトリ)だ。これらの非営利団体は、公平で独立したメディアリテラシープログラムを提供しており、Appleは、人々がスマートかつ積極的にニュースを読むことができるようにするという、大きな目標の実現に向けて重要な働きをしていると考えている。同社はまた、他の団体によるメディアリテラシープロジェクトについても後日発表するとしている。しかし、コミットメントの資金規模は明らかにしておらず、また、過去にこのような団体に対して提供した金額についても言及していない。

Appleのサービス担当上級副社長のEddy Cue(エディ・キュー)氏は、声明の中で「Apple Newsのお客様に、報道機関パートナーからの信頼できる情報を提供することは、当初からの優先事項だった」と述べている。そして「10年以上にわたり、Appleは、お客様が当社の製品やサービスを介してニュースコンテンツを楽しむためのさまざまな方法を提供してきた。世界数十カ国では数百のニュースアプリがApp Storeから入手できる。また、報道機関がコンテンツを紹介するためのツールを提供し、何百万人ものApple Newsユーザーにすばらしいサービスを提供するためにApple News Formatを作成した」と同氏は付け加えた。

本プログラムの詳細および申請書は、News Partner Programのウェブサイトから入手できる。

Japan編集部注:Apple Newsは本記事公開時点である2021年9月現在、日本未対応

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

純粋に「写真を楽しむ」だけの写真共有アプリGlassは有料だが公開前から人気、iOS版リリース

Instagram(インスタグラム)はそのフォーカスを買い物、ビデオへと変えてきており、同社の製品責任者Adam Mosseri(アダム・モセリ)氏は6月に「もはやInstagramは単なる写真共有アプリではない」と発言したときはニュースになった。しかしソーシャル写真共有エクスペリエンスを求めているフォトグラファーはどうすればいいのか。

Facebook(フェイスブック)とPinterest(ピンタレスト)でプロダクトデザイナーを務めたTom Watson(トム・ワトソン)氏によると、フォトグラファーはしばらくの間、ソーシャルネットワークに欠いていた。だからこそワトソン氏は、共同創業者のStefan Borsje(ステファン・ボルシュ)氏とともに、フォトグラファーのためのサブスクリプションベースiOSアプリ「Glass(グラス)」を開発した。

「私は常に写真を愛してきました。Flickr(フリッカー)がYahoo(ヤフー)に買収されたのは、私にとっては悲しい出来事でした。私はオタクのような写真コミュニティが大好きなのです」とワトソン氏はTechCrunchに語った。「そして写真コミュニティはモバイル分野に入り込むためにInstagramを手に入れました。しかしFacebookがInstagramを買収したときに私はFacebookにいたのですが、必然的に今日のような事態になるだろうということは目に見えていたはずです」。

広告が入る無料のソーシャルメディアに慣れている人にとって、アプリに月額料金を払うというのは馴染みがないかもしれない。Glassは月4.99ドル(約550円)あるいは年29.99ドル(約3300円)かかるが、14日間の無料トライアルができる。それでも、Glassはお試しする人のApp Store決済情報をすぐに確認するので、トライアル期間が終わる前にGlassを削除することを忘れるかもと懸念する人は利用をためらうかもしれない。しかしこのモデルは意図的だ。ワトソン氏とボルシュ氏は、メンバー5人だけのチームで、ベンチャー資金や広告収入なしにアプリを構築しようとしている。チームはフォトグラファーのコミュニティに応えたいだけなのだ。

「ソーシャルサブスクモデルで何か違うことを始め、ベンチャー資金なしに自力で展開したかったのです」とワトソン氏は話した。「ベンチャー資金を受け入れて、はるか遠くに行くと何が起きるかという例を過去に目にしてきました。大規模展開するためにフォトグラファーコミュニティからどんどん離れていきます」。

画像クレジット:Glass

アプリを開いた瞬間から、Glassが写真そのものに注力しているのがわかる。フォトグラファーをフォローすると、気を散らすものを最小限に抑えるよう投稿が画像のフィードに表示される。写真がスクリーンいっぱいに表示され、写真を右にドラッグすると誰が投稿したのかを確認できる。画像をクリックすると、キャプションやその写真がどのように撮影されたのかについての情報が表示される。コメントを通じてソーシャル活動ができるが、写真に対する「ライク(好き)」はない。これは意図的なデザインだが、一部のユーザーはたとえ後のブラウジングのために画像をブックマークするのに役立つだけだとしても「ライク」ボタンを求めている、とワトソン氏は話す。今後数週間以内に、Glassは写真のカテゴリーなどのディスカバリー機能を立ち上げる。また、ユーザーが機能をリクエストしたり、他のユーザーのアイデアに意思表示したりできるフィードバックフィードバックボードも設ける。もしGlassが提案を追求することを選択すれば「進行中」と表示される。

まだ開始段階にすぎないが、GlassはEXIFデータ提供によってすでに自らをInstagramやVSCOから切り離している。EXIFデータは、Glassが惹きつけたい「写真オタク」にとってキャンディのようなものだ。EXIFデータはフォトグラファーがどのカメラを使ったのか、写真のISO、絞り値、シャッタースピード、焦点距離を示す。こうしたデータとコミュニティ感覚は、Flickrが初期に人々を惹きつけた要素だったが、Yahooが最大1テラバイトのデータを無料ユーザーに提供したとき、コミュニティというより個人的なアーカイブになった。そしてSmugMugが2018年にYahooからFlickrを買収したとき、無料ユーザー向けの写真は最大1000枚のみとし、有料プランにアップグレードしなければ無料ユーザーの写真を削除するかもしれないと警告してサービスを限定的にしようとした。

Glassはまた、アプリでさまざまな画像サイズを扱えるようにすることでフォトグラファーにアピールしている。最大アスペクト比は16:9で、これは標準のカメラ写真のサイズに対応する。しかしInstagramでは、四角の画像モチーフから移行した後ですら、大半のカメラからトリミングなしに縦写真を投稿することはできない。VSCO同様、Glassも各ユーザーのフォロワー数を表示しないが、コメントを見ることはできる。何人のフォロワーを抱えているかを見ることはできなくても、自分のアカウントを誰がフォローしているかはわかる。

「これは安全のために重要だと考えました。もし誰かがあなたをフォローすると、あなたはそのフォロワーが誰なのかを知る必要があり、ブロックできなければなりません」とワトソン氏は話した。「我々は最初からブロックしたり報告したりする機能を構築したかったのです」。

同氏は、これまでのGlassアプリのダウンロード数を共有するのは却下したが「反応に極めて満足している」とのことだ。同アプリは8月にウェイトリストを設け、9月1日からすべてのiOSユーザーへ提供を開始した。ウェイトリストの目的は熱狂を生み出すためではなく、むしろユーザーエクスペリエンスをスムーズなものにし続け、負荷がかかりすぎないようにするためだった。8月にウェイトリストが始まったとき、ワトソン氏はGlassが毎日数百もの招待状を送っているとTechCrunchに語った。

「私は長い間インターネットを利用してきました。そしてかつては心地よくて安全な場所があるという風に感じていました。このサブスクモデルをとることで、写真サービスが再びそういう風に感じられる場所になることを願っています」と話した。

関連記事:テストを経てInstagramが「ショップ」タブ内の広告をグローバルで開始

画像クレジット:Glass

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

amptalkは9月6日、オンライン商談自動化ツール「アンプトーク」の発売を9月1日より開始したと発表した。また2021年5月、ジェネシア・ベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルより、シードラウンドにおいて約1億円の資金調達を実施したと明らかにした。調達した資金は、今後のプロダクト開発・販売の為の人材の採用に活用する予定。

2020年5月設立のamptalkは、「データによって価値あるアドバイスを」作り出すことをミッションとし、「昨日まで世界になかったチャンスを」作り出すことをビジョンに、「人」だけではできなかったことを成しとげ「人」がより効率的に働ける世の中を作ることを目指すスタートアップ企業。

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

アンプトークは、Zoom商談の録画を自動で取得して書き起こし、Salesforceに自動入力するというツール。営業担当者は商談の記録などの付加業務の負担が減り、商談に集中できるようになるという。

また、アンプトーク独自のシステムで商談内容を自動解析することで、誰が・何を・どれくらい話したのかを可視化可能。これにより営業のトッププレーヤーと他プレーヤーの差を明らかにすることで、育成指導やナレッジシェアの工数を減らしながらスキルを改善、受注率の向上につなげられるとしている。Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

北欧発「企業向けマーケットリサーチのNetflix」を目指すStravitoがシリーズAで約16.2億円調達

マーケットリサーチやインサイトは企業にとってフルに活用されていない資産であることが多い。通常、コンテンツを見つけるのが難しく、重複が多かったり、情報がうまく使われていなかったりする。

スウェーデンのスタートアップ企業であるStravitoは、社内外のデータソースを一元化し、この種の資産のための「SpotifyかNetflix」のようなものを作ることで、はるかに使いやすく、消費しやすくできるという。

Stravitoはこのたび、Endeit Capitalが主導して1240万ユーロ(約16億1700万円)のシリーズAラウンドを調達した。既存投資家であるHenQ、Inventure、Creadesからも追加投資を受けていることからすると、同社は明らかに何かをつかんでいるようだ。現在までに、Stravitoは総額2010万ユーロ(約26億2000万円)を調達している。

マーケットリサーチのベテランとiZettleの元社員らによって2017年に設立されたStravitoの顧客には、ビールで知られるCarlsberg(カールスバーグ)、Edwards Lifesciences(エドワーズライフサイエンス)、Pepsi Lipton(ペプシ・リプトン)、Danone(ダノン)、Electrolux(ABエレクトロラックス)、Comcast(コムキャスト)などが名を連ねている。

Stravitoの共同創業者兼CEOであるThor Olof Philogène(トール・オロフ・フィロゲネ)氏は次のように述べている。「世界最大級の企業にとって、一元化され、吟味されたインサイトを使って、変化し続ける顧客の行動を理解し、それに対応することがかつてないほど重要になっています。Stravitoのテクノロジーとプラットフォームは、企業がリサーチを利用してより優れた意思決定を行うことを迅速かつ容易にします」。

筆者との通話で、同氏はこう付け加えた。「当社は、検索技術と優れたデザイン、それらすべてを組み合わせ、直感的で高度に自動化されたクラウドサービスを提供することにより、これらの大企業が社内外のデータソースを一元管理し、そこから必要な宝を引き出せるように支援しています」。

Endeit CapitalのパートナーであるJelle-Jan Bruinsma(ジェル=ジャン・ブルインズマ)氏はこう述べている。「Endeit Capitalは、常に次世代の国際的なソフトウェアスケールアップ企業を探しており、Stravitoは、数十億ドル(数千億円)規模のマーケットリサーチおよびデータ業界の水準を高めるすばらしい仕事を通じて、北欧の中で際立っていました」。

画像クレジット:Stravito

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)