【コラム】即日配送サービスがパンデミック後に生き残るためにはスピードだけでは不十分

スピードと利便性を中心としたまったく新しいeコマースの時代が到来した。ビジネスリーダーたちは、より迅速な配送サービスのため、配送能力の強化を優先事項とする必要に迫られている。

PwC(ピー・ダブリュー・シー)が2021年6月、8500人以上の消費者を対象に実施した「世界の消費者意識調査」では、オンラインショッピングの最も重要な要素として「迅速で信頼できる配送」を挙げており、eコマースの世界では配送サービスがますます重要になっていくことが明らかになった。

消費者が即日配送(および同時間配送)サービスモデルに慣れてきた今、配送オプションに対する消費者の期待は高まる一方だ。

実際、モバイルアプリのインテリジェンスプラットフォームであるSensorTower(センサータワー)の最新レポートによると、2021年1月と2月、上位のフード配送アプリは成長を続け、インストール数は前年同期比で14%増加した。しかし、DoorDash(ドアダッシュ)、Uber Eats(ウーバーイーツ)、GrubHub(グラブハブ)は、ユーザー数が増加しているにもかかわらず、利益が出ていない。では、ビジネスリーダーは、どうすれば消費者の期待に応えるスピードと高い収益性を兼ね備えた配送モデルを構築できるのだろうか。

課題:配送アプリが収益性を高めるには、スピード以外の何かが必要だ

競争力を維持するために、配送アプリはサービスを見直し、提供するサービスの幅を広げている。

Uberの食料品・新分野担当グローバルヘッドのRaj Beri(ラジ・ベリ)氏は「アマゾンは『ネクストデーデリバリー(翌日配送)』を推進している。当社は、『ネクストアワーコマース(1時間商取引)』を推進する」と5月に述べている

しかし、配送プロセスの高速化が、必ずしも収益につながるとは限らない。さらに重要なことは、迅速な高速配送を実現しても、宅配サービス全体として優れた顧客体験を提供できなければ顧客のロイヤルティは獲得できないということだ。

配送アプリや、配送サービスを提供しようとしているeコマース企業が直面している主な課題は、顧客にとってのスピードや利便性だけでなく、顧客体験におけるすべての側面を考慮した基盤を構築することだ。例えば、食品を配送する場合、配送を担当する業者は、食品を安全に取り扱い、汚すことなく配送しなければならない。温かいもの、冷たいものにかかわらず、配送中の温度を維持し、注文どおりのものを届ける必要がある。

ソリューション:即日配送には高度なテクノロジープラットフォームが不可欠

あらゆるものが「Uber化」し、消費者の期待が劇的に高まっている昨今、配送ビジネスで利益を上げるためには、配送アプリとドライバーの集団だけでは不十分だ。即日配送サービスを確実に遂行するためには、注文を受けてから顧客の手元に届くまでの間に、いくつものステップが滞りなく行われなければならない。また、商品が複雑であればあるほど、配送プロセスも困難なものとなる。

即日配送サービスを実現すると同時に収益性を高めるためには、顧客の期待に応えるためのテクノロジーを考慮した配送アプリが必要となる。それは、単にユーザー数を増やすためにアプリをデザインするだけではない。優れた顧客体験を提供する即日配送モデルが真に成功するためには、カスタマージャーニーにおけるさまざまな側面を一元的に管理し、顧客の視点でシームレスに見せることができる高度なソフトウェアプラットフォームが必要だ。

収益性の高い配送サービスは、人工知能システムとロボット工学を駆使した自動化システムによって構築される。そのためには、アプリのデザインやユーザー数の増加よりも、まずテクノロジーが重要となる。それ以外の配送ビジネスモデルでは、本末転倒となってしまう。

Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)は、テクノロジーをビジネスモデルの中核に据えることで、配送プロセスを完成させ、全体的な顧客体験を大幅に向上させたブランドだ。その転機となったのは、同社が自らを「ピザを販売するeコマース企業」と定義した時だった。同社は、データ活用に力を入れ、ロボット工学テクノロジーに基づくプラットフォームを導入し、配送プロセスにスピードと効率をもたらす電子配送システムを実現した。そして2021年4月には、ヒューストンの一部の顧客を対象に、ロボットカーNuro(ニューロ)による配送サービスを開始した。

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グラブハブもまた、ロボット機能を配送プロセスに組み込むための取り組みを行っている。最近の報道によると、同社は、ドローンのようなロボットを配備した自動運転ユニットを導入し、大学生に食品を配送することを発表した。このプログラムは、今秋に米国の特定の大学キャンパスで展開される予定で、配送時間の短縮と、できればコストの削減を目指している。

このようにテクノロジーを重視することは、配送アプリの世界ではもちろんのこと、新たに台頭してきた「ネクストアワーコマース」の領域で競争しなければならない企業にとっても重要だ。アプリを開いて商品をクリックし、決済を行って配送の予約をするまで、そしてさらにその先まで、カスタマージャーニーのすべての要素をつなぐことができるテクノロジープラットフォームに投資することが、収益性の高いビジネスモデルを成功させる鍵となる。

即日配送:これから目指すところ

誰もが携帯電話でアプリを開き、何でも欲しいものを1時間以内に届けてもらいたいと願う世の中では、ビジネスリーダーは、自社開発であれ、他社との提携であれ、配送アプリそのものに注目したくなるものだ。しかし、アプリだけに注目するのは、即日配送モデルに対する近視眼的な見方といえる。

その代わりに、ビジネスリーダーは広い視野で、カスタマージャーニーのあらゆる側面を考慮する必要がある。顧客はどのように自社のビジネスに関わっているのか。顧客はどのように自社の商品を探し、どのように見つけているのか。注文を完了するには何が必要で、注文を届けるためにはどのような条件が満たされる必要があるのか。また、注文がスムーズに行われ、顧客の満足を得るためには、注文後に何が必要なのか。

配送アプリとの提携に成功している企業もあるが、これには自社のブランドの評判を、顧客と接する最前線の従業員の役割を果たす他社に委ねるというリスクがともなう。また、既存のeコマースモデルに配送サービスのオプションを追加している企業もある。その場合、既存のテクノロジースタックに統合できるサードパーティのソフトウェアを利用する。残念ながら、この方法には限界があり、複数のコンポーネントを含む規制対象のビジネスには適用できない。

即日配送サービスでシームレスな顧客体験を実現する唯一の方法は、テクノロジーをビジネスの中心に据えた独自のソフトウェアプラットフォームを構築することだ。そうすることで、主要なプロセスを自動化し、配送モデルにスピードと利便性を持たせることができる。また、注文を迅速化するロボットシステムの統合、ビジネスの成長を促進する人工知能プロトコルの組み込み、ビジネスの拡大に合わせた配送モデルのスケーリングも可能となる。

新時代のeコマースで成功するために

「ネクストアワーデリバリー」というキャッチーなフレーズが消費者の支持を得ることは間違いないが、それが利益の向上につながるかどうかは不透明だ。即日配送サービスを中心に収益性の高いビジネスモデルを構築してきた企業のCEOである筆者は、配送システムを支えるテクノロジーに自動化、人工知能、あるいはロボット工学が欠けている場合「ネクストアワーデリバリー」というサービスが収益を向上させるかどうかについては懐疑的だ。

確かに、企業は即日配送での競争を余儀なくされるだろう。しかし、パンデミック以降に明らかになったもう1つの確かな事実は、この新しいeコマースの時代には、スピードだけでは満たされない、消費者の期待の高まりがあるということだ。顧客の満足度は、アプリで注文した商品が顧客のもとに届くまでの時間だけで決まるものではない。

配送サービス市場で成功するには、ビジネスリーダーはいくつかの観点で自問自答してみることだ。即日配送を実現するためには、自社のビジネスのどの部分が必要か。注文方法は直感的か。顧客は注文や配送の状況を確認できるか。届けた商品が正しいことを確認できるか。顧客の期待に応えているか。

そして、最も重要なことは、そのビジネスが、商品の検索、購入から即日配送、さらにその先まで、カスタマージャーニーと配送モデル全体をサポートできるテクノロジープラットフォームの上に構築されているかということだ。これらの質問に「イエス」と答えたビジネスこそが、パンデミック後の世界で成功すると信じている。

編集部注:Cary Breese(ケアリー・ブリーズ)氏は、デジタル薬局NowRxのCEO兼共同創業者。

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画像クレジット:Henrik Sorensen / Getty Images

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(文:Cary Breese、翻訳:Dragonfly)

「頭痛のないヘッドレスコマース」Shopistryは5年後のeコマースの主流を目指す

Shopistryの共同創業者ジャファー・ハイダー(画像クレジット:Shopistry)

カナダのShopistryは、ヘッドレスコマースというコンセプトを、いわば逆立ちさせたいと考えている。米国時間8月16日にこのeコマースのスタートアップは200万ドル(約2億2000万円)のシード資金調達を発表して、今後も同社のツールキットや統合化、サービス、そしてマネージドインフラストラクチャの開発を続け、オンラインのブランドの成長を支えていくと発表した。

Jaafer Haidar(ジャファー・ハイダー)氏とTariq Zabian(タリク・ザビアン)氏は、2019年にShopistryを始めた。これまでのハイダー氏はeコマースやクラウドソフトウェアで多くのエグジットとベンチャー投資を経験してきた連続起業家だ。Shopistryのアイデアがひらめいたとき、彼はベンチャーキャピタリストとして仕事をしていた。ザビアン氏は、オンライン三行広告のマーケットプレイスOLXのゼネラルマネージャーだった。

Shopistryを利用して顧客は、誰でもアクセスできる個人化されたコマース体験を作れる。ハイダー氏の予想では、5年後にはヘッドレスが優勢なアーキテクチャになっているだろうという。ただし彼は「ヘッドレス」ではなくて「modular(モジュラー)」という言葉を好んで使う。

ハイダー氏は、TechCrunchの取材に対して次のように答える。「それはモジュール構造のシステムなのです。それを私たちは『頭痛のないヘッドレス』と呼んでいます。フレームワークを使ってAPIを容易に管理できるからです。一般的に、スタートアップを立ち上げると資金の半分は事業を継続することだけに使われてしまいます。彼らはShopifyのようなマーケットプレイスを使って技術的な部分を支えますが、私たちも同じことを行いますが選択肢の幅がもっと大きい。私たちは、一枚岩のシステムではないのです」。

現在、同社のプロダクトは次の5つとなる。

  • Shopistry Console:ブランドは自分に合ったスタックだけを使えばよいが、いつでも、プラットフォームを変えずに変更できる。ShopifyとSquareなど、複数のeコマース管理ツールや、決済プロバイダー、アナリティクス、マーケティング手法などをサポートしている。
  • Shopistry Cloudはパフォーマンスやデータ管理や複数サービスのオーケストレーションなどを支えるマネージドインフラストラクチャー。
  • Shopistry StorefrontとMobileでウェブとモバイルアプリのストアフロント(店頭)を管理する。
  • Shopistry CMSは、データドリブンでヘッドレスの顧客管理システムで、1つ作れば複数のチャネルに対応できる。
  • Shopistry Servicesは、デザインや技術の支援を要するブランドのためのサービスだ。

シードラウンドの投資家は、Shoptalkの創業者Jonathan Weiner(ジョナサン・ワイナー)氏やHatch LabsのAmar Varma(アマール・バルマ)氏、Garage Capital、Mantella Venture Partners(MVP)、そしてRaiven Capitalだ。

Mantella Venture Partnersの共同創業者でゼネラルパートナーのDuncan Hill(ダンカン・ヒル)氏は、声明で次のように述べている。「MVPが大事にしたい企業は、複雑なものを単純化して、高度な技術を持つ大手リテイラーが実証したイノベーションを大量の中小リテイラーに提供し、彼らの競争力を強化する開発者です。Shopistryのチームと技術は、eコマースの進化の次の段階でメジャーなプレイヤーになれるでしょう。疑問の余地なく、エキサイティングです」。

Shopistryはすでに、HonedやOura Ringなどのリテイラーのeコマースのプレゼンスを、彼ら自身が大きな技術チームを抱えなくても管理できるようにしている。

シード資金を求める前までは、ハイダー氏とザビアン氏は成長性の良いブランドと協力して約2年間、そのインフラストラクチャを構築していた。ハイダー氏によると今度の資金は、インフラの開発の継続と、営業とマーケティングのスタッフの獲得に当てたいという。

ハイダー氏によると、現状のShopistryはまだ数字として発表できるほどの成果はない。ただし顧客ベースは伸びているため、2022年には成長を報告できるだろう。ハイダー氏が今考えているのは、Shopistryのプラットフォームのバックエンドの柔軟性と統合部位を増し、もっと多くの他のプラットフォームをサポートしていくことだ。

ハイダー氏は付け加えた。「第4四半期にはもっと大きなローンチとして、市場開拓の視点にフォーカスしたい。また『アフター・ザ・セール』、売った後のフォローアップも重要だ。そして、バックオフィス(事務、会計など)の部分でも、すばらしい体験を作りたい。ユーザーはもっぱら自分のストアフロントのメンテナンスに集中して、その他の裏方部分は、データの管理も含めてうちに任せて欲しい」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopistryeコマースカナダヘッドレスコマース資金調達

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンがマーケットプレイスで販売された欠陥製品にも自社で補償を行うと発表

Amazon(アマゾン)は米国時間8月10日、Amazonマーケットプレイスを通じて第三者から販売された欠陥商品の問題に対処するため「A-to-Z保証」として知られる返品ポリシーを大幅に変更することを発表した。これまでは、Amazonマーケットプレイスで販売された欠陥商品が原因で、物的損害や人的被害が発生した場合、アマゾンは購入者に、販売者に対して申し立てを行うように指示してきた。しかし、今回よりアマゾンは、1000ドル(約11万円)以下の賠償要求であれば、販売者が費用を負担することなく、アマゾンが直接購入者に補償額を支払うと述べている。1000ドルという金額は、マーケットプレイスで販売される商品の80%以上をカバーするという。

また、1000ドルを超える場合でも、アマゾンが有効であると認める賠償要求に対して、販売者が補償を拒否したり、反応しない時には、アマゾンが1000ドル以上の補償に踏み切ることもあるとしている。

アマゾンはこれまで長年にわたり、Amazonマーケットプレイスで販売された製品に対する責任を回避しようとしてきた。アマゾンは、これらの取引を仲介するプラットフォームに過ぎず、欠陥製品による損害賠償が発生した場合に責任を負う当事者ではないというのが、同社の主張だった。長年、多くの米国の裁判所これを認めてきたが、中には認めない裁判所もあり、問題を複雑にしてきた。最近では、カリフォルニア州の上訴裁判所が、アマゾンのウェブサイトで販売されたた第三者の製品によって消費者が損害を被った場合、アマゾンが訴えられる可能性があるとの判決を下した。この訴訟は、2015年に母親が息子のために購入したホバーボードに欠陥があり、顧客の手に火傷を負わせ、火事を引き起こしたというものだった。

アマゾンのマーケットプレイスは成長するにつれて、不良品や消費者からの苦情をどのように処理するかということがますます問題になっている。調査会社のMarketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)の推計によると、現在、アマゾンのマーケットプレイスには630万人の出品者がいて、そのうち150万人が活発な取引を行っているという。

この状況は最近ヤマ場を迎えることになった。米国消費者製品安全委員会(CPSC)が2021年7月に、アマゾンを訴えたのだ。この委員会は、Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)で販売されている潜在的に危険な製品を回収する責任を、アマゾンに負わせることを目指している。訴状で名指しされた製品には「警報が鳴らない欠陥のある一酸化炭素検知器2万4000台、子どもが火傷をする危険性のある可燃性繊維の安全基準に違反した多数の子ども用寝巻き衣類、消費者を電撃や感電から守るために必要な浸漬保護装置を付けずに販売された約40万台のヘアドライヤー」が含まれていると、連邦政府機関である同委員会は述べている。

訴訟の一環として、CPSCはアマゾンがFBA(フルフィルメント by Amazon)プログラムを利用してこれらの製品を販売していることを挙げ、アマゾンも介入し返金に応じるよう求めた。CPSCは、アマゾンが自社倉庫に商品を保管し、在庫を持ち、仕分けして出荷することで、手数料を得ていることを指摘。また、これらの商品を購入する消費者は、アマゾンから購入していると「当然ながら信じる」可能性があると主張している(この件に関するアマゾンの声明は、こちらで読むことができる)。

そして今回、アマゾンはマーケットプレイスを通じて販売された不良品に関する消費者からのクレームに、対応すると発表した。購入者はこれまでのように販売者に連絡を取るのではなく、アマゾンカスタマーサービスを通じてクレーム処理を開始できるようになる。

アマゾンは9月1日より、購入者からのクレーム情報を受け付け、販売者に通知してクレームに対応できるようにする。販売者が対応しない場合は、アマゾンが介入して自らの費用で顧客の問題に対処し、その一方で販売者への追及を別途行う。また、アマゾンが有効と判断したクレームを販売者が拒否した場合、アマゾンは顧客に補償を行う。

アマゾンでは、既存の不正検知システムを用いるとともに、外部の独立した保険金詐欺の専門家と協力して、顧客からの賠償請求の妥当性を分析するという。この第一段階の販売者保護機能が提供されることで、販売者は「根拠のない、軽薄な、または乱暴なクレーム」に対処しなくて済むと、アマゾンは説明している。また、Amazon Insurance Accelerator(アマゾン・インシュアランス・アクセラレータ)という新しいサービスも導入し、販売者に製造物責任保険を、選ばれた信頼できるプロバイダーから提供できるようにする。

アマゾンは、この新しい方針が、自社のマーケットプレイス事業の運営方法に影響を与える可能性のある新たな規制を回避するために役立つと考えているようだ。今回の発表において、アマゾンは「お客様を守るために、当社の法的義務や他のマーケットプレイスサービスプロバイダーが現在行っているレベルをはるかに超えた取り組みを行っています」と述べているが、これは明らかに、さらなる規制を牽制するためのメッセージである。

アマゾンによると、この変更はまず米国で実施されるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazoneコマースマーケットプレイス訴訟アメリカ

画像クレジット:Adrian Hancu / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Instagramショップに広告機能が追加されeコマースますます本格化

Instagramは最近ますます、eコマースに力を入れている。今度はInstagramショップに広告機能であるAds in Instagram Shopが加わった。同社によると現在はこの新しいフォーマットをテスト中で、単一の画像と画像のカルーセルの両方を利用できる。現在一部の米国の広告主だけが利用できるが、数カ月後には他の市場にも広まる。

同社が Instagramショップを導入したのは2020年のことで、これにより親会社のFacebookは、Instagramを単なるソーシャルプラットフォームで友だちと会ったり、お気に入りのブランドをフォローするだけでなく、オンラインのショッピングの目的地にしようとした。もちろんショッピングであるため決済機能もある。そして当然それは、消費者とつながることを求めるブランドが、さらに広告費を支出するため、Facebookの広告モデルにも寄与する。

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同社によると、Instagramのその他の広告プロダクトと同様、Ads in Instagram Shopもオークション的な形だ。そもそもショップがモバイルだけの機能だから、その広告もモバイルだけだが、ユーザーが広告を目にする頻度はInstagramを訪れる頻度や、そこでショッピングをする人の数次第だ。この点に関して同社は、消費者の感情をモニタして、広告とコンテンツの調和を図る計画だ、と言っている。

Away、Donny Davy、Boo Oh、Clare paint、JNJ Gifts、DEUX、そしてFenty Beautyなどが、現在、この広告プロダクトのテストに参加しているひと握りの米国の広告主となる。これらのブランドはInstagramのユーザーがよく買い物をする、美容、インテリア、ペット関連、旅行など人気カテゴリーのブランドをカバーしている。

一般的な広告展開の日程は明らかでないが、なにしろ数カ月後には米国以外の広告主でも、この新しい広告形式を使えるようになるという。

Instagramショップタブは。近年のInstagramの新機能の中では議論を招いたものの1つだ。下の列の、人気のあった「アクティビティ」タブ(ハートボタン)をショップタブが追放する形になったからだ。アプリが前よりもずっと商業的になり、一部のユーザーを遠ざけた。今日は、Instagramの元々のクリエイティブのコミュニティが、Instagramが写真共有のルーツから離れて、TikTokのクローンであるReels(リール)などを追加してきたことで、今後の対応を検討しているとの報道もある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instagrameコマース広告FacebookInstagramショップ

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

eコマースマーケティングのBluecoreはシリーズEで評価額が約1100億円、上場も視野に

パンデミックで、しかもロックダウンなら、およそあらゆる小売企業がオンラインのプレゼンスを作らなければならないし、しかも速くそれをする必要があった。大量の人びとがオンラインで買い物をするようになると、その体験を個人化することがなお一層重要になる。そのため、eコマースのマーケティングを個人化するプラットフォームであるBluecoreにとって、パンデミックは大きな転換期となり、今日は10億ドル(約1102億3000万円)の評価額によるシリーズEの1億2500万ドル(約137億8000万円)を発表する運びとなった。

これまでの投資家であるGeorgianがこのラウンドを仕切り、その他の既存の投資家FirstMarkとNorwest、そして新規の投資家Silver Lake Watermanが参加した。同社によると、これで同社の総調達額は2億2500万ドル(約248億円)になる。

BluecoreのCEOで共同創業者のFayez Mohamood(ファイズ・モハモッド)氏によると、これまでのリテールの行動範囲といえば、もっぱら多くの人流を物理店やウェブサイトに向けることだった。しかし多くの企業がオンライン化するにともなって、顔のない人流ではなく、個々の顧客との対話の仕方が重要になってきた。

モハモッド氏は次のように説明する。「この変化は本物であり、Bluecoreは今や、リテールに特化したマルチチャネルの個人化プラットフォームです。私たちは特に、基本的に3つのタイプのデータを結びつける。まず、顧客のアイデンティティ。そしてショッパー(買い物客)のビヘイビア。そして最も重要なのが、リテイラーの商品カタログだ。そしてそれを使って、さまざまなチャネルで個人化された体験を発動していきます」。

同社が創業されたのは2013年だが、その頃から個人化という概念を重視し進化させてきた。モハモッド氏によると、パンデミックでデジタルへの移行が決定的になり、そこは同社の土俵だ。そしてこの大きな流れがあるために、今回の調達を決意した。

「個人化は常に重要だったが、リテイラーがそれから得る価値はデジタル化の拡大とともに大きく加速されました。そしてそれは誰にとっても、収益のより大きな部分を占めるようになっています。特に2020年はその重要性が決定的になりました」とモハモッド氏は語る。

同社の成長は加速し、雇用も増えた。2020年5月にはBluecoreの従業員は236名だったが今は300を超え、年内に400を超えそうだ。モハモッド氏によると、会社が大きくなればなるほど、ダイバーシティとインクルージョンの重要性が増す。従業員たちが、彼らが仕える顧客のダイバーシティを反映していなければならないからだ。

「それは役員レベルから始まります。今私が誇りに思うのは、うちの役員チームが男女ほぼ半々であることです。私たちには、中心的な従業員を代表する委員会があって、常にダイバーシティと平等とインクルージョンをチェックしている。多様性と包容性のある職場といっても、考え方や発想のレベルだけでなく、毎日のアクションがそうなることが何よりも重要です。OKRって、そういうことだよね」とモハモッド氏は語った(OKR、具体的な成果と結果を重視する目標管理手法)。

今度のシリーズEで評価額が10億ドルになり、モハモッド氏の視野には上場がある。しかしそれは喫緊の目標ではなくて、今後もあくまでも利益より成長を追求していく。「私たちの考え方は、まずブランドの力というものがあって、それに支えられてプロダクトの改善や多様化に向けた投資が可能になります。そしてそれによって私たちの市場性が上がれば、上場も無理なく可能です。しかし私たちは、利益よりも成長を追っていくため、非上場のままの方が動きやすいかもしれません」とモハモッド氏はいう。

そして、手元に1億2500万ドルもあれば、そっちを選ぶ自由も十分にある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bluecore資金調達eコマースマーケティング

画像クレジット:krugli/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

年間ユニークユーザー数1580万人の後払い決済サービス「NP後払い」をテレビ通販「ショップチャンネル」が導入

年間ユニークユーザー数1580万人の後払い決済サービス「NP後払い」をテレビ通販「ショップチャンネル」が採用

ネットプロテクションズは8月4日、ジュピターショップチャンネルが展開するテレビ通販「ショップチャンネル」に「NP後払い」決済サービスを8月1日から導入したと発表した。EC受注と電話受注への同時導入という。専門チャンネルを持つテレビ通販会社の電話受注に「NP後払い」が導入されるのはこれが初めてとのこと。

NP後払いは、クレジットカードの情報登録が不要で、商品受け取り後に支払いができるサービス。ネットプロテクションズの調べによると、ネットショッピングで後払いを望む人は全体の約20%ほどいるとのこと。そのニーズに応えるべく、2002年、未回収リスク保証型という形でリリースされた。NP後払いは、年間流通金額3400億円、導入企業7万社以上、年間ユニークユーザー数は1580万人(2020年4月1日~2021年3月31日におけるNP後払い利用者のうち、氏名・電話番号の双方が一致する利用者)にのぼるという。年間流通金額は前年比約16%の成長率を誇り、2021年3月までの累計利用件数は2億8000万件を突破した。

また、NP後払いで培った与信ノウハウとオペレーション力を企業間取引向けに展開した「NP掛け払い」サービスを2011年に開始。こちらも年間流通金額が前年比約27%の成長を見せている。さらに、実店舗でも利用可能で、1カ月の買い物をまとめて後払いできるサービス「atone」(アトネ)を2017年に開始、2018年には台湾でスマホ後払い決済「AFTEE」(アフティー)をスタートさせている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:後払い販売 / BNPL(用語)決済 / 決済サービス / 決済システム(用語)ジュピターショップチャンネル(企業)ネットショッピング / eコマース(用語)ネットプロテクションズ(企業)日本(国・地域)

アマゾンはデベロッパー向けツールと機能のリリースでAlexaの復活を狙う

Amazon(アマゾン)は、過去1年間にスキル数がさらに減少し、サードパーティの音声アプリデベロッパーが関心を失いつつあることを受けて、Alexa音声プラットフォームを活性化しようとしている。現地時間7月21日に開催されたデベロッパー向けイベント「Alexa Live」では、デベロッパーコミュニティに向けて多数の新機能とツールが発表され、新ツールのリリースとしては最大規模のものになった。新機能の中には、すでにAlexaデバイスを所有しているユーザーに向けてAlexaスキルの発見・利用を促すものや、デベロッパーがスキルを利用して収益を得られる新ツール、再びユーザーの日常生活にAlexaを取り入れてもらうことを後押しするアップデートなどがある。

当初小売業者が期待していた、音声ショッピングプラットフォームとしてのAlexaは、期待外れだったかもしれない実際にスマートスピーカーを使ってAmazon.comの商品を購入したAlexaのユーザーはほんのわずかだった。しかし、Amazonは当日「数千万台」のAlexaデバイスが毎週「数十億回」使用されていて、90万人以上の登録デベロッパーが13万以上のAlexaスキルを公開していると言及し、今でもAlexaの普及状況とデベロッパーコミュニティはかなりの規模を維持していると発表している。

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それでも、Amazonは、ユーザーが使いたいスキルを見つけやすいようにするという、音声のみのデバイスでは難しいとされる課題をまだ克服していない(Alexa Showのようなスクリーン付きのAlexaデバイスが発売されたことで、多少改善されたが)。

Alexaユーザーの大部分は、スマートホームのコントロール、音楽の再生、アラームやリマインダーの設定、リストの作成など、最も基本的な機能しか使っていない。つまり、Amazonはまだ大ヒットといえるような音声アプリを生み出していないのだ。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、同社はこの問題を解決するために、デベロッパーが自分が開発したスキルのウィジェットを作成する方法を導入する。ユーザーはこのウィジェットを使ってEcho Showなどのスクリーン付きAlexaデバイスにスキルを追加することができる。さらに、デベロッパーは「Featured Skill Cards(注目のスキルカード)」を構築できるようになる。Featured Skill Cardsはホーム画面上でスキルをローテーションで表示し、宣伝する機能だ。

Amazonのソリューションは、アプリを発見してもらうという点だけを見れば、Alexaをよりモバイルデバイスに近いものにするものだ。スクリーン付きのAlexaデバイスを持っているユーザーには便利かもしれないが、音声のみで操作できるプラットフォームであるはずのAlexaの将来にとっては良い兆候ではない。

スクリーンが付いていないAlexaデバイスでは「アレクサ、お話を聞かせて」「アレクサ、ゲームをしよう」「アレクサ、ワークアウトをしたい」などの一般的なリクエストにAlexaが応答する際、デベロッパーが開発したスキルを提案するようになる。また、スキルの利用履歴に基づくユーザーごとのおすすめスキルの提案の他にも、新たに導入される「コンテクスチュアル・ディスカバリー(コンテキストに基づく発見)」では、自然言語やフレーズを使って、スキルを探せるようになる。もちろん、Amazonはこれまでもスキルの提案方法の開発に取り組んでいたが、大きなスキルエコシステムに影響を及ぼせるものではなかった(中にはユーザーを困らせるような試みもあった)。

Amazonによると、デベロッパーが自分が開発したスキルで収益を上げる方法も拡大しているという。

すでにAmazonは、消耗品有料サブスクリプションスキル内購入などのツールを提供しているが、今回、新たにスキル内購入の一環として「Paid Skills(有料スキル)」に対応する。Paid Skillsでは、ユーザーはスキルが提供するコンテンツを利用するために1回のみ料金を支払う。さらに、スキル内購入の対象地域にインドとカナダが追加される。

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デベロッパーの収益源になるAlexaのスキル内購入機能が日本を含む国際展開へ

これまでのところ、スキル内購入はまだ大きな収益を上げるには至っていない。2019年のレポートによると、最初の10カ月間におけるAlexaスキルの収益は140万ドル(約1億5000万円)にとどまり、アマゾンの目標である550万ドル(約6億6000万円)には遠く及ばなかった。購入方法が1つ増えたからといって、どのぐらいの変化があるかは不透明だ。

Amazonは、デベロッパーの収益額については言及せず、デベロッパーのスキル内購入での収益が前年比で「2倍以上」になったと語るだけにとどめた。

Amazonは今後、デベロッパーコミュニティを活用して、小売サイトでの販売を促進しようとしている。

新しい「ショッピングアクション」機能では、デベロッパーは自分のスキルの中でAmazonの商品を販売することができる。例えばSFゲーム「Starfinder」では、ロールプレイングゲーム内でテーブルトップ版の購入をユーザーに提案している。デベロッパーは商品を紹介してアフィリエイト収入を得ることもできる。

音楽やメディアに関連するスキルのデベロッパーは、新しいツールを利用してユーザーにより楽しい体験を届けることができるようになる。iHeartRadioが開発した、DJがAlexa経由で曲のリクエストを受け付ける「Song Request Skill」はその一例だ。ラジオやポッドキャスト、音楽プロバイダー向けの、ユーザーにインタラクティブな体験を提供するスキルの開発期間を短縮できるツールもある。

スキルをより実用的で便利なものにするための新機能もある。

画像クレジット:Amazon

例えばレストランはFood Skill APIを利用して、ピックアップやデリバリーのスムーズな注文を実現することができる。新しい「Send to Phone(スマホに送信)」機能では、デベロッパーは自分のスキルをモバイルデバイスと連携させて、外出する際に家の鍵をかけるように促すスキルのような、イベントベースのトリガーやプロアクティブな提案を実現できるようになる。Amazon傘下のWhole Foods(ホールフーズ)は、2021年後半に登場する店頭受け取りサービスに、これらの機能を利用する予定だという。

また、洗剤や電池といった一般的な日用品を再注文できるAlexaの補充サービスが、交換部品にも拡大され、他の家庭用機器やスマートホーム機器との連携が強化される。サーモスタットメーカーのCarrier(キャリア)やResideo(レシデオ)はエアフィルターの補充に、Bissell(ビッセル)は掃除機にこの機能を利用する。

一方、煙探知機、一酸化炭素探知機、水漏れ探知機などの安全機器メーカーは、Alexaのセキュリティシステム「Alexa Guard」と連携して、モバイル機器に通知を送ることができるようになる。

デベロッパーのスキル開発をサポートするための新しいツールも導入される。また、デベロッパーはAlexa Entities(アマゾンが独自に開発した、ウィキペディアのような一般的な知識をまとめたもの)を利用できるようになる。独自の発音をサポートする新しいツールや、これまで米国のみで提供されていた「Alexa Conversations」の自然言語機能も利用できるようになった(現在、英語圏ではライブ版、ドイツではベータ版、日本ではデベロッパープレビュー版が利用可能)。さらに、既存のツールキット(Alexa Voice Service、Alexa Connect Kitなど)の地域的拡大に焦点を当てたツールや、ユーザーごとのウェイクワードを可能にしてスマートホーム機器との相互運用性を向上させるツールなど、大量のツールが導入されている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

スマホ1つで作れるEC向けARサービスのカシカ、見る側は専用アプリ不要

AR(拡張現実)技術は10年以上前に登場したが、近年は大手スマホベンダーが特に力を入れ始めている。このような中、AR市場の拡大を見据え、商機をつかもうとしているのが、2017年5月に創業したカシカだ。

カシカはEC向けに商材をAR(拡張現実)化するサービス「カタチスペース」などを展開するスタートアップで、2021年7月から法人向けにカタチスペースの定額制プランを始めている。

そもそもARとは何か。カシカの奥健太郎代表は「カメラ映像にCGデータを重ねて表示する技術です。カメラの画面越しに見える風景に、実際には存在しないCGデータを重ねて表示することで、目の前にはない物体が見られるようになります」と説明した。

これまでにも何度かARブームはあった。直近では2016年に「ポケモンGO」、2019年には「ドラゴンクエストウォーク」などが世間を騒がせた。しかし、一般にはまだ浸透しているとは言えない状況だという。「問題点の1つは、ARを体験するには専用アプリが必要なことです。ARを見るためにアプリをインストールしなくてはいけないというハードルがありました」と奥氏は話す。

ただ、AR技術は日々進化している。近年ではアプリをインストールしなくてもARを見ることができる「ウェブAR」が登場し、海外ではアプリ開発なども進んでいる。ARについては、特にApple(アップル)が推進しているという。

アップルは2020年に、高精度のARカメラ機能LiDARセンサーをiPhone 12 Proに搭載している。2021年6月に行われたAppleのイベントでは、iPhone、iPadで撮影するだけで3Dデータを作ることができるmacOS機能「Object Capture」を発表。これにより、小売り向けに商品の3Dモデルが作れるようになるという。なお、Googleにおいても、スマホ版Googleマップの道案内機能でAR対応を進めるなど、AR推進の波は大きくなっているのだ。

「国内ではARを取り入れた展開が遅れていると言えるかもしれませんが、将来的にはAR撮影できるカメラを標準搭載したスマホが当たり前になると考えています」と奥氏は話した。

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専用アプリ不要で、手軽にARを見ることができる

各プランの3Dスキャン・AR化は、カシカが開発した無料の「カタチスペース」(iOS版のみ)アプリで撮影・アップロードするだけ。また、SNSやECサイトへの共有用QRコードやURLの生成もできる。

奥氏はカタチスペースアプリについて「iPhone X以上に対応しており、iPhone・iPadの顔認証でロック解除機能が付いているインカメラや、背面に2つ以上レンズが付いている機種でARの撮影ができます」と説明した。なお、アプリによる撮影でAR化できるのは物体の片面だけだが、背面も含めた360度を3Dデータ化する場合は専門チームによる3Dスキャン「カタチスキャン」(別途追加費用)などで対応する。

ECサイト訪問者はスマホからサイト上のQRコードなどを読み込むだけで、AR化した商品イメージを確認できる。専用アプリをインストールする必要はなく、ブラウザから、iPhone、androidからARを見ることができるのだ。

また、コロナ禍でいわゆる「巣ごもり需要」が高まったことで、ECサイトは活況となっており、ARを活用できる機会は増えている。しかし、課題もある。

ECサイトで買い物をする時、サイト上の商品写真や動画、サイズ表記、色見本などの概要情報だけでは、商品を具体的にイメージすることは難しい。「ECサイトの返品率はリアルのおよそ2倍で、20%が業界標準となります。最も多いのはアパレルで29%、次いで家電が16%となっています。業者側にかかるコストは検品返品にともなう人件費も加わり、大きな負担になります」と奥氏は述べた。

EC事業者側はカタチスペースアプリによって手軽にARを作成可能で、サイト訪問者は専用アプリ不要でARを見ることができるため、画面越しでは伝えづらい大きさや質感、形状を簡単に伝えられるようにした。「プロ」プランでAR表示中の画面から商品決済ページへ直接進むこともできるという。自宅から商品確認や設置シミュレーション、購入までのフローをスムーズに実現し、商品到着後にイメージとの齟齬(そご)をなくす手助けをする狙いだ。

また、EC事業者側はコスト面でもメリットがあるという。「商品の3Dモデル製作費用やAR表示するための専用アプリ・ECサイト開発費用など、見積もりで100万円以上かかることも少なくありません。我々はすでにAR化するアプリを開発しています。3Dモデルを作るという作業ではなく、スキャンするだけであり、AR表示するところまでシステム化して一貫して提供できます。高品質のARを利用したい場合に、月額の費用に加え、専門チームの3Dスキャンによる費用が追加されるだけなので、EC事業者側は予算組みをしやすいと考えています」と奥氏は説明した。

奥氏は「2021年内にカタチスペースを30社に導入し、売上を1000万円、2024年までに500社に導入し、5億円の売上を目指します」と意気込む。

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タグ:AR / 拡張現実カシカ日本eコマース

ウォルマートがAdobeと提携し自社のeコマーステクノロジーを他の小売業者に提供

Walmart(ウォルマート)は、実店舗を中心とした小売事業から、対面販売とオンラインショッピングを融合したビジネスへの転換を図るために投資してきたソフトウェアや小売テクノロジーを、初めて他の小売業者にも提供すると、米国時間7月28日に発表した

ウォルマートは、新たに提携を結んだAdobe(アドビ)との戦略的パートナーシップを通して、Walmart Marketplace(ウォルマート・マーケットプレイス)へのアクセスや、さまざまなオンラインおよび店舗におけるフルフィルメントやピックアップに関するテクノロジーを、Adobe Commerce Platform(アドビ・コマース・プラットフォーム)に統合する。

これらテクノロジーは、Adobe Commerceと(アドビが買収した)Magento Open Source(マジェント・オープンソース)のどちらの顧客も利用できるようになると、アドビは述べている

これはつまり、ウォルマートは数千もの中小規模の小売業者に、世界最大級の小売業者が事業運営に使用しているのと同じツールを、実質的に利用できるようにさせるということだ。

この提携により、アドビの顧客である小売業者は、商品を受け取れる店舗や時間をオンラインで表示することができ、カーブサイド(道路の路肩)や実店舗内など、複数の受け取り方法を提供することが可能になる。店員にモバイルツールを供給して、注文の受け取りや商品選択の確認、代替品の取り扱いなどができるようにしたり、商品を注文した顧客がカーブサイドに到着する時間を店員に知らせるなど、受け取り注文に関して顧客とのコミュニケーションを図るさまざまなツールを利用することができるようになるわけだ。

また、今回の提携によって小売業者は、ウォルマート・マーケットプレイスに自社の商品を配給して販売することもできるようになる。

この提携は、小売テクノロジーによる新たな収益源を提供し、ウォルマートの収益に貢献することを目的としているだけでなく、ウォルマートがAmazon(アマゾン)とオンライン小売の覇権を争う上での新たなツールとして機能する可能性もある。

小売業者は、Adobe Commerceプラットフォームを利用して、ウォルマート・マーケットプレイスに商品を掲載し、全米各地に2日で商品を配送するウォルマートのフルフィルメント・サービスを活用することで、これまでよりも広い顧客を相手に商売できるようになる。

そしてウォルマートにとっては、これまでアマゾンに大きく水をあけられている、マーケットプレイスで販売可能な商品数を増やすことができる。

ウォルマートのマーケットプレイスは、第三者機関の推計によると、新型コロナウイルス感染流行の影響によるオンラインショッピングの急増により、2020年には推定7万人の出品者数を抱えるまでに成長した。これは2019年に比べて2倍以上の増加だ。Marketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)のデータによると、現在ウォルマートのマーケットプレイスの出品者数はさらに増えて10万人を突破しているとのこと。一方、アマゾンのマーケットプレイスは、全世界で推定630万人の総出品者を数え、そのうち150万人が現在アクティブに活動していると推定されている。

ウォルマートがマーケットプレイス事業を拡大する上で問題となっている可能性があるのは、売り手にとっての使いやすさに関することだ。ウォルマートのマーケットプレイスは、アマゾンに比べてはるかに使いづらく、プラットフォームで販売が承認されたかどうかについて、ウォルマートから返事が来るまで何カ月も待たされるという苦情が、多くの中小販売業者から寄せられている

アドビとの提携は、このような問題の解決に役立つ可能性がある。

アドビは、他のチャネルソリューションを単一の統一された拡張機能に統合することにも取り組んでおり、顧客の小売業は、アカウント設定やカタログの編纂が容易な統合されたツールを使用して、アマゾンを含む複数の販売チャネルで販売することができる。

ウォルマートが自社の小売テクノロジーを他の企業に提供するのは、これが初めてだと同社は述べている。また、この新しいパートナーシップがどのような収益をもたらすかということについては、まだ予測していないとのこと。しかし、アマゾンも最近は、AIやコンピュータービジョンを活用したキャッシャーレス決済「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」システムのような、斬新な小売イノベーションの投資収益率を最大化することを追求している。ウォルマートの動きはこれに続くものと言えるだろう。

「Scan & Go(スキャン&ゴー)などのチェックアウト技術や、AIを活用したスマートな代替品推奨機能、ピックアップ&デリバリーなど、あらゆるアイデアの中心には、人々が金銭的負担を減らし、より良い生活を送るための手助けをするという私たちの中核的な使命があります」と、ウォルマート・インクの最高技術責任者および最高開発責任者を務めるSuresh Kumar(サレシュ・クマーシュ)氏は、声明の中で述べている。そして「コマースエクスペリエンスを提供するアドビの強みと、当社の比類なきオムニカスタマーの専門知識を組み合わせることで、私たちは他の企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることができます」と続けた。

両社の発表によると、米国においてアドビの顧客の小売業者は、2022年初頭からウォルマートのテクノロジーを自社のストアフロントに統合できるようになるとのこと。価格やその他の詳細については、導入時期が近づいたら発表される予定だ。

今回の発表は、チャネルパートナーとしてアドビと提携することで技術の再販に役立てるというものだが、ウォルマートには小売業者を直接対象とするGoToMarket(ゴートゥマーケット)チームもある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartAdobeeコマース小売

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Shopifyの第2四半期売上高は前年同期比57%増、新型コロナでeコマースが好調

カナダのeコマース大企業Shopify(ショッピファイ)は現地時間7月28日、第2四半期決算を発表した。Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)の決算発表後の時間外取引と同じく、同社の株価は予想を上回る決算内容に対して控えめに反応している。

Shopifyの2021年第2四半期の売上高は11億2000万ドル(約1228億円)で、前年同期比57%増だった。同社のサブスクプロダクトの売上高は同70%増の3億3420万ドル(約366億円)で、その一方で販売サービスの総収入はボリュームが増えたことで同52%増の7億8520万ドル(約861億円)に達した。

投資家らは売上高10億5000万ドル(約1151億円)を予想していた

Shopifyはまた、巨大な利益も計上した。実際、総売上高11億2000万ドルからGAAPで純利益8億7910万ドル(約964億円)を生み出した。どうやって可能にしたのか。とんでもない額の収益は、部分的には株式投資に関連する7億7800万ドル(約853億円)もの含み益によるものだ。しかしそうした収益がなかったとしても、同社の2億8460万ドル(約312億円)という修正後純利益は前年同期の1億2940万ドル(約141億円)の2倍超だ。同社の1株あたり利益は含み益なしで2.24ドル(約245円)で、予想されていた97セント(106円)を大きく上回った。

決算発表後、同社の株価上昇率は1%にも満たない。

テック大企業の決算が予想を上回ったことに対する控えめな反応を考えると、主要テック企業の第2四半期決算が予想を上回ると投資家が見込んでいたことが明らかになっている。テック企業の決算が予想を上回るのはそれぞれの発表前に織り込み済みだった。

Shopifyの四半期決算の残りの数字はいずれも大きなものだ。2021年4〜6月の同社の流通取引総額(GMV)は422億ドル(約4兆6310億円)で前年同期比40%増だった。この額は予想を10億ドル(約1097億円)超上回った。そして同社の月次経常収益(MRR)は同67%増の9510万ドル(約104億円)だった。

Shopifyの成長は続くと思われている。年換算売上高を算出するのに第2四半期決算の売上高を使うと、同社の評価額は現在の総収入の43倍となる。これは、投資家のお気に入りであるリカーリングソフトウェア料から売上を生み出す企業にとってアグレッシブだ。その代わり、投資家は同社のGMVベースのサービス売上高と従来型のソフトウェア収入の組み合わせに対し事実上の最高額を支払うことに満足しているようだ。

eコマースの成長が続いていることでマーケットが強気であることを考慮して欲しい。

Shopifyの競合相手で同じく公開企業であるBigCommerce(ビッグコマース)の8月上旬の決算発表への反応がどのようなものになるのか興味深いところだ。Shopifyの決算を受けてBigCommerceの株価は3%以上上昇した。Shopifyに対するマーケットの反応を考えると皮肉かもしれない。もちろん、市場は平等ではない。

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タグ:Shopify決算発表eコマース

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

食品・日用品チェーンストアEC「垂直立ち上げ」プラットフォームStailerの10Xが15億円調達、2年で流通総額10倍以上を目指す

食品・日用品チェーンストアEC「垂直立ち上げ」プラットフォーム「Stailer」の10Xが15億円調達、今後2年で流通総額10倍以上を目指す

生鮮食品・日用品など多店舗運営(チェーンストア)小売事業者向けに「垂直立ち上げ」によるEC化を行うプラットフォーム「Stailer」(ステイラー)を展開する10X(テンエックス)は7月28日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約15億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のDCMベンチャーズとANRI。これにより累計調達額は約21億円となった。

10Xは、創業者で取締役CEOの矢本真丈氏が、メルカリ在籍中の同僚だった共同創業者・取締役CTOの石川洋資氏を誘って2017年6月に設立した。矢本氏は東日本大震災で避難生活を送っていたときに「火を入れた料理」に感動したことと、育休中に家族の食事を作ってきた体験から、献立アプリ「タベリー」事業を立ち上げ、そこに食材を注文できる機能を付けたことをきっかけに、ネットスーパー「タベクル」を立ち上げた。これらの事業は今は終了しているが、その経験がStailerの基礎となった。

Stailerは、スーパーマーケットやドラッグストアなどを多店舗展開を行う小売・流通事業者を対象に、「ECやドライブスルーなどの顧客体験の実現と、そのサプライチェーンの構築」を支援するプラットフォーム。エンドユーザー向けのモバイルアプリ、店舗向けのピック&パック、在庫管理システム、配送業者向けのオペレーティング・システム、分析ツールなどをフルセットで提供する。2020年5月にサービスを開始しており、すでにイトーヨーカドーをはじめ、ライフ、薬王堂などが利用している。Stailerで提供されたネットスーパーアプリの利用者翌月継続率は約70%。1カ月の平均購入額(ARPU)は約2万円と高い定着度を見せている。

食品のEC化率が物販全体の中でも低く、しかも急成長する欧米や中国に比べて立ち遅れている日本市場を、10Xは「大きな成長ポテンシャルがある」とポジティブにとらえている。今回の資金調達で、ソフトウェアエンジニア、事業開発、コーポレートなどの幅広い職種で人材を募集し、組織拡大、チェーンストアECの物流機能の拡張、顧客獲得に投資を行い、Stailerの展開を加速するとのこと。さらに、「事業シナジーの高い企業やソフトウェアプロダクト開発に強みのある企業」への出資やM&Aも積極的に検討し、「生鮮食品や日用品をオンラインで購入する体験を当たり前にするべく、Stailerプラットフォームの流通総額について、今後2年で10倍以上を目指します」と話している。

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タグ:グローサリー / grocery(用語)小売(用語)、・食品 / 食料品 / 食材 / 食品加工(用語)10X(企業)ネットショッピング / eコマース(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

D2Cブランドやクラフト商品など、通常の卸では入手しにくい独自性の強い商品を簡単に仕入れられる業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」(オロシー)を運営するスペースエンジンは7月21日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先には、SIG Japan Fundをリードインベスターに、Light Street Capitalパートナーのガーラブ・グプタ(Gaurav Gupta)氏、STRIVE、G-STARTUP、そして既存投資家のCoral Capital、ANOBAKA、Plug and Play Japanが参加している。2018年創設以来の累計調達額は3億4000万円となった。

事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

通常の問屋では扱わない個性的で高感度な商品を、大手小売店舗・地方の個人商店・EC事業者に提供するorosyは、商品提供のほかにも、契約書作成や口座管理、時間のかかる仕入れ作業などを代行し、支払いを1本化してくれるというサービス。現在は、取り扱い商品1万点、利用店舗は500店にのぼっている。今回の資金は、「海外事例を知る投資家から知見を得る」ための取り組み、「orosyの事業成長の核であるテクノロジー強化に向けたエンジニア採用」「サービス認知拡大のためのマーケティング」に使われるという。

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さらに成長するインドのeコマースを動画やクリエイターの力でサポートするSimsimをYouTubeが買収

米国時間7月20日、GoogleがオーナーであるYouTubeは、ソーシャルコマースのスタートアップSimsimの買収を発表した。両社は買収の価額などを公表していないが、情報筋によると、買収に際してSimsimの評価額は7000万ドル(約77億円)ほどだった。

創業2年のSimsimは、本日の発表前までにおよそ1700万ドル(約18億7000万円)を調達し、2020年のシリーズBでは5010万ドル(約55億円)と評価されていた。

グルガオンに本社のある同社は、インドの小企業が、ビデオやクリエイターの力を活用してeコマースに移行する努力をサポートしている。その社名と同名のアプリは、プラットフォームとして各地の小企業や店舗、インフルエンサーと顧客を結びつける。

Simsimを初期から支援しているGood CapitalのRohan Malhotra(ロハン・マルホートラ)氏によると「特定のオーディエンスに的を絞って成長し、楽しい体験を提供して常連客になってもらい、信頼を築いて高額商品を買わせ、メッセージングを個人化してコンバージョンを促進するには、マイクロインフルエンサーの利用が最も効果的です。消費者対象のソーシャルプラットフォーム(Facebook、YouTube、Instagramなど)のような、広告を収益源とする経営がインドでは成り立ちにくいため、どうしても商取引を統合したプラットフォームになりがちです。インドで新たにインターネットユーザーになる人たちは、売り手が主導する対話的な体験を必要とし、この市場の慣行であるオフラインのコマースのネット版を求めることになります」という。

マルホートラ氏も買収の価額などは明かさず、またSimsimのCEOも米国時間7月19日に提出した買収に関する質問には応じなかった。

しかしSimsimの共同創業者であるAmit Bagaria(アミット・バガリア)氏とKunal Suri(クナル・スリ)氏、そしてSaurabh Vashishtha(サウラブ・ヴァシシュタ)氏は、共同声明で次のように述べている。「Simsimを始めたときのミッションは、インド中のユーザーがオンラインで簡単に買い物できるようにすることでした。そのためには、信頼されているインフルエンサーが作ったコンテンツのパワーにより、売り手やブランドが商品を展示し販売できなければなりません。今回、YouTubeとGoogleのエコシステムの一員になったことにより、Simsimのミッションをさらに強力に推進できます」。なお、バガリア氏とヴァシシュタ氏は以前、Paytmに在籍していた。

彼らによると「今後のSimsimを作っていく上で、技術や顧客へのリーチ、クリエイターのネットワーク、そして企業文化において、ここにまさるエコシステムは他にありません。YouTubeの一員になることが待ち遠しいし、世界で最も賞賛されているテクノロジー企業の中でSimsimを開発し続けていけるのは本当にうれしいことです」という。

YouTubeにとっては、このビデオストリーミングの巨人がインドの小企業と小売業を助けていくことにより、従来よりも強力な方法で新たな顧客にリーチできる。YouTubeのアジア太平洋担当副社長Gautam Anand(ゴータム・アナンド)氏が、ブログでそう述べている。

このビデオストリーミングサービスは、インドだけでも月間アクティブユーザーが4億5000万を超えるが、さしあたってSimsimを変える意図はなく、Simsimのアプリがそのまま使える状態を続ける。そしてアナンド氏によると「YouTubeのビューワーにSimsimをどのように見せていくか、そのやり方を検討したい」とのこと。

以前から、Googleはさまざまな形でインドに地歩を築く努力を続けているが、7月20日の発表はその最新の動きだ。これを含めてGoogleのインドへの投資は、向こう2年間で100億ドル(約1兆1000億円)に達する。Googleは他にも、インドのスタートアップGlanceとDailyHuntを支援しており、いずれもショートビデオのアプリだ。

「YouTubeには2500を超えるクリエイターがおり、サブスクライバーは100万を超えています。また、インドで最初にローンチしたYouTube Shortsの成功により、私たちはYouTubeの最良の部分をインドに持ち込むことにコミットしており、新世代のモバイルファーストのクリエイターたちがスタートしやすい環境を作って、クリエイターのコミュニティを大きくしていきたい」とアナンド氏はいう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTubeインドeコマースSimsim買収クリエイターGoogle

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

配送センターや倉庫用のロボットを作っている企業に、彼らの顧客企業が自動化を図る理由を尋ねてみると、異口同音に労働力不足や作業のスピードアップを挙げる。しかし迫りくる本当の真実は、ひと言に要約される。「Amazon(アマゾン)」だ。そして、最悪の危機を感じているのが小企業であることは事実だが、このオンラインリテールの市場支配に対して免疫のある者は1人もいない。スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)でもだ。

米国時間7月13日は、このリテール大手の仲間がロボティクスの最新のパートナーシップを発表し、マサチューセッツの自動化企業Symboticとチームを組むことになった。本日の発表で両社はこれまでの協力関係をさらに拡大して、ウォルマートの25の流通センターをロボット化、「数年後」に完了する。

2017年のパイロット事業では、Symboticの自律型ロボティクスプラットフォームをウォルマートのフロリダ州ブルックスビルの流通センターに導入して、仕分けや棚卸し、荷降ろしの増量を狙った。

今回のプレスリリースではウォルマートのサプライチェーン担当執行副社長のJoe Metzger(ジョー・メッツガー)氏は次のように述べている。「今日行われているDXは顧客の習慣の進化にともなうものであり、小売業界の形を変えつつあります。現在と未来の顧客に奉仕するためには、私たちの事業が社員たちに正しいツールと教育訓練を提供し、顧客が求める品物を彼らがそれを欲するときに、比べられないほどの利便性で提供できなければなりません。私たちは今、その過程をエンド・ツー・エンドまで最適化するために、サプライチェーンに対する前例のないほど大規模な投資を行っています」。

ウォルマートはここ数年間、ロボットのパイロット事業に熱心で、一部を実際に採用しようとも考えていた。しかしながら前にも述べたように、現在のところその結果にはムラがある。最も目立つのは、Bossa Nova Roboticsのケースだ。同社のロボットは在庫管理用に採用されたが、突然、契約を打ち切られた。もちろんパイロット事業だったが、小さなスタートアップにとって打撃は大きい。

それに比べると、Symboticには実績がある。同社の顧客には、ウォルマート最大の競合他社であるTargetがいる。ウォルマートには、ロボティクス部門としてKiva Systemsを買収したAmazonのように、独自にスタートアップを買収する手もあったと思われるが、彼らとの関係の現状を見るかぎり、それはハードルが高いようだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:WalmartSymbotic倉庫eコマース

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

最短90日で新製品誕生、ハードウェアスタートアップのモノづくりを支援するプラットフォーム「Gembah」

Gembah(ゲンバー)のミッションステートメントは、驚くほどシンプルだ。オースティンを拠点とするこの会社は「新製品を生み出すための参入障壁を大幅に下げ、製品イノベーションを民主化する」ことを目指しているという。少なくともその点では、クラウドファンディングからアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)まで、過去10年ほどの間に登場したさまざまなスタートアップの取り組みとそれほど違わない。

同社が提供するのは、製品づくりのプロセスを通してユーザーを手引きするために設計されたプラットフォーム / マーケットプレイスで「最短90日」で成果が出ることを約束している。このフォーラムは中小企業と工場、サプライチェーンの専門家、デザイナー、エンジニアなどを結びつけ、プロセスの迅速化を支援する。ハードウェアのスタートアップ企業を起ち上げようとした経験のある人なら誰でも知っていることだが、このように新たな製品を世に出すためのプロセスを手際よく運ぶことは非常に難しい。

Gembahはそのビジョンを加速させるために、シリーズAラウンドで1100万ドル(約12億1400万円)の資金を調達した。この投資ラウンドは、地元のアーリーステージ専門ベンチャーキャピタルであるATX Venture Partners(ATXベンチャー・パートナーズ)が主導し、Silverton(シルバートン)、Flexport(フレックスポート)、Brett Hurt(ブレット・ハート)氏、Jim Curry(ジム・カリー)氏、Dan Graham(ダン・グラハム)氏が参加した。

画像クレジット:Gembah

これは、2020年4月にSilvertonが主導して328万ドル(約3億6200万円)を調達したシードラウンドに続くもので、同社の資金調達総額は1475万ドル(約16億2800万円)に達している。

Gembahによると、昨今の新型コロナウイルス感染流行は、同社のビジネスモデルにとってむしろ好材料になったという。ハードウェアのスタートアップ企業が、従来の販売チャネルよりも自宅からアクセスしやすいオンライン販売モデルに目を向けるようになったからだ。同社によると、2020年には収益が500%増加し、2021年は3倍になる見込みだという。この1年半の間に業界に影響を与えたいくつかの大規模なサプライチェーンの問題に直面しながらも、見事な成長を遂げている。

現在、Gembahは300のアクティブな顧客を抱えているが、まだ収益性を達成できていないため、今回のラウンドによる資金調達を行った。「当社の顧客のほとんどがeコマース企業であるため、eコマースの加速的な成長の恩恵を受けています」と、同社の共同創業者でCEOを務めるHenrik Johansson(ヘンリック・ヨハンソン)氏は、TechCrunchに語っている。「サプライチェーンからの影響はある程度受けていますが、グローバルなサプライチェーンがより複雑になり、多くの企業が中国以外の国へ多角化を図ろうとすれば、その変化を乗り越えるための支援が必要になります。Gembahはその移行を支援することができます」。

今回のラウンドで調達した資金は、同社のエンジニアリングチームの増強に充てるという。Gembahは現在、米国で55名、アジアやメキシコなどその他の地域で19名の従業員を擁している。新たに増やす人員は、マーケットプレイス、サプライチェーンのワークフロー、機械学習能力の向上に重点的に取り組むことになる。また、同社はグローバルなネットワークを拡大し、マーケティングやUI / UXの分野でも雇用を進めていく予定だという。

「Gembahはグローバルなeコマースの成長を利用して企業を支援しようとする真のイノベーターです」と、ATX Venture PartnersのChris Shonk(クリス・ションク)氏は声明で述べている。「Gembahのマーケットプレイスは、まったく新しい血を持つクリエイターの市場参入を可能にすることで、実質的に限りない起業家精神の解放を約束するものです」。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Gembah資金調達eコマースクリエイター

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

印EC大手Flipkartが評価額4兆円超で新たに約3973億円調達、ソフトバンクが3年ぶりに株主に復帰

Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。

今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。

12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。

「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。

「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。

新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。

Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。

ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。

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両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。

​​世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。

近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。

Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。

Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインドeコマースソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

韓国eコマース大手のCoupangが日本に続いて台湾に進出

台北で配達をするCoupangのライダー

2021年6月に初の海外市場として日本でサービスの試験運用を始めた韓国eコマース大手のCoupangが、今度は台湾に進出した。同社が台北市中山区でサービスを開始したことで、住民はアプリから商品を注文し、午前8時〜午後11時にオンデマンドで配達してもらえる。配達手数料は19ニュー台湾ドル(約75円)。

Coupangはサービスをテストし、台湾での配達インフラについて今後さまざまなモデルを評価する。注文できる商品は食品、飲料、生活必需品、ペット用品で、日本でのサービスと似ている。台北ではCoupangの現時点での最も直接的な競合は、ドラッグストアなどの小売店やレストランから配達をしているUber EatsやFoodpandaだ。Coupangは今のところ配達担当者を店舗やレストランに向かわせるのではなく直接注文を処理しているのが大きな違いだ。

今後Coupangが商品のカテゴリーを広げていくと、24時間配達をしているMomoやPChomeなどのeコマースプラットフォームとも競合するだろう。Coupangは韓国のeコマースプラットフォームで膨大な商品を取り扱っている。生鮮食料品のRocket Freshや食事のCoupang Eatsといったサービスも展開している。

2010年に創業されたCoupangは、2021年3月にニューヨーク証券取引所での上場に成功した。韓国におけるeコマースのマーケットリーダーとなり、配達のスピードとリテンションレート(顧客がどの程度の頻度で戻ってきて購入するか)で「Amazonを超えようとするAmazon」と国際的にも評価されている。

韓国でCoupangが10年前に創業したときには自社のロジスティクスのインフラに相当な投資をしたが、現在では他社とも連携している。日本や台湾でどのような事業モデルを選択するかはまだ決まっていないようだ。同社は次にどこのマーケットに進出するかを明らかにしていないが、シンガポールでオペレーション、小売、ロジスティクスの責任者を募集していた

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Coupangeコマース韓国台湾デリバリー

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

ポルシェ、ヤマハが電動モビリティのオンライン販売を行うRidepandaに出資

電動マイクロモビリティのオンラインディーラーであるRidepanda(ライドパンダ)が、375万ドル(約4億1600万円)の資金調達を発表した。この資金は、同社のeコマースおよびB2Bソリューションを発展させるため、エンジニアリング、プロダクト、デザインの各チームの増強に使用される予定だ。また、同社は配送業者や、電気自動車を購入した従業員に通勤手当を支給する企業との戦略的パートナーシップを強化したいとも考えている。

2020年は電動アシスト自転車や電動スクーターの販売が急増した。Bicycle Associationは、新型コロナウイルスが2020年1月から10月までの間に英国のサイクリング経済に与えた影響を詳しく調査しているが、そのリポートによると、電動アシスト自転車の販売台数は2倍以上に膨れ上がったことが明らかになった。Deloitte(デロイト)は、2023年には電動アシスト自転車の販売台数が全世界で4000万台を超え、220億ドル(約2兆4000億円)以上を生み出すと予測している。電動マイクロモビリティの選択肢増加にますます追い風が吹いている市場において、Ridepandaの事業は、一般消費者向けと商用(配達業務やレンタル事業)向けの両方で、電動アシスト自転車、電動キックスクーター、電動スクーターの販売を牽引する可能性がある。

「自動車による移動の60%は5マイル(約8キロメートル)以内です。その程度の移動であれば、もっと良い方法があると、私たちは考えています」と、Ridepandaの共同創業者でCEOを務めるChinmay Malaviya(チンメイ・マラヴィヤ)氏は、TechCrunchに語った。「電気自動車は1つの解決策ですが、私たちが提供する車両は、もっと安く、より扱いやすく、より手軽に乗れて、より実用的で、渋滞にも強く、収納しやすく、駐車しやすく、充電しやすく、環境にやさしく、健康にも良いので、より楽しく乗れると思います」。

サンフランシスコを拠点に米国48州に出荷しているRidepandaは、Segway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)の電動キックスクーターから、Aventon(アヴェントン)の電動アシスト自転車、Niu(ニウ)の電動オートバイまで、さまざまな電動軽車両を提供している。2019年の創業以来、同社は販売した車両の台数を明らかにしていないが、マラビヤ氏はTechCrunchに「4桁の数字」だと語った。

共同創業者でCTOのCharlie Depman(チャーリー・デップマン)氏によると、電動アシスト自転車が最も人気があり、電動キックスクーターがそれに続くという。電動スクーターにはまだ成長の余地があるが、このカテゴリの販売が伸びない理由の1つは、現在も解決されていない新型コロナウイルスの影響による部品供給不足の問題があるためではないかと、デップマン氏は考えている。

Ridepandaは、サイトに掲載している各車両を事前に審査し、すべてのパーツが高品質で修理や交換が容易であることを確認している。故障した電動キックスクーターを従来の自転車店に持ち込んで、苦い経験をした人なら、その有益性が非常によくわかるだろう。

Ridepandaのサイトにアクセスすると、洗練されたレコメンデーションエンジンが、都市部での通勤や郊外でのレジャーなど、それぞれのユーザーの用途に合った最適な乗り物を選ぶのを手伝ってくれる。

「当社のお客様の5分の1は、当社のサイトを訪れたときに、自分がどんな種類の乗り物を求めているのかを知らないのです」と、デップマン氏はTechCrunchに語った。「当社では、お客様のユースケースや好みの機能に応じて、ランク付けされたおすすめの車種を紹介します。そこからそれぞれの車種のページに移動すると、当社についての詳しい説明や、メンテナンスプランやロードサイドアシスタンスなどを提供しており、安心して所有していただくことができます。基本的には自動車を所有するのと同じくらい簡単ですが、普通はこのようなインフラの多くは、電動軽車両を所有するためには用意されていません」。

車両は顧客に直接配送され、顧客は自分で組み立てるか、訓練を受けた技術者が家に来て自宅で組み立てるかを選択できる。

同社では、今回調達した資金によって、このような受注から納車までのフルフィルメントプロセスの自動化や「PandaCare(パンダケア)」アプリによるアフターサービスの構築など、ユーザーと直接関わるアプローチを改善していきたいと考えている。

PandaCareは、メンテナンスやロードサイドアシスタンス、延長保証など、すべてのサービスを提供する当社のフラッグシップディーラーシップです」と、デップマン氏は語る。「理想としては、このアプリを使ってすべてのサービスにアクセスできるようになることです。例えば、メカニックを呼んで自分の車両の修理をしてもらったり、あるいは予防的なメンテナンスの必要を、オーナーや当社に通知することで、車両の寿命を伸ばすこともできるでしょう」。

Ridepandaは製品面でも、地域に合わせてパーソナライズすることを目指している。このような電動軽車両を取り巻く法規制は州によって違い、購入時に支給される補助金も州ごとに異なるからだ。

2021年2月、オレゴン州選出のEarl Blumenauer(アール・ブルーメナウアー)議員は、Electric Bicycle Incentive Kickstart for the Environment(環境のための電動アシスト自転車奨励金導入)法案を提出した。これは新しい電動アシスト自転車を購入する際に、30%の還付可能な税額控除を行うというものだ。この法案はまだ議会を通過していないが、もし可決されれば、これをきっかけに購入を検討する人は増えるだろう。それにともなう販売増加の促進に一役買いたいと、Ridepandaは望んでいる。

マラヴィヤ氏によると、Ridepandaはサンマテオ郡の電力会社であるPeninsula Clean Energy(ペニンシュラ・クリーン・エナジー)と提携し、地域の電動アシスト自転車奨励金を展開することで、低所得者層が購入時に利用できるようにしているという。

「私たちは、技術的なパートナーとして、また消費者にとっては、これらの奨励金をや補助金をシームレスに統合することで、その利点を簡単に利用できる精選されたプラットフォームとして、当社がどのような役割を果たすことができるかを、非常に楽しみにしています」と、マラヴィヤ氏は語っている。

マラヴィヤ氏によれば、2020年のシード資金調達の延長となる今回の375万ドルのラウンドは、Porsche Ventures(ポルシェ・ベンチャーズ)、Yamaha Motor Ventures(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ)、Poeza Ventures(ポエザ・ベンチャーズ)が主導し、Lime(ライム)の共同創業者であるエンジェル投資家のToby Sun(トビー・サン)氏と、シリコンバレーのVCであるGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)が参加したという。

「これらのパートナーシップから私たちが得られるものはたくさんあります」と、マラヴィヤ氏は語る。「ヤマハからは、ディーラーシップやサプライチェーンの管理から、実際に自転車やスクーターを提供するまで、どのようにやっているかを学ぶことができるでしょう。ポルシェも同じです。ポルシェはハイエンドの電動アシスト自転車も発売しましたが、ディーラーシップや製品へのアクセス、さらにはブランディングの面でも協力できることを楽しみにしています。Proezaからは、サプライチェーンに関する専門知識を得られることを非常に期待しています。また、これらの企業について重要なこととして、ポルシェの本社はドイツにあり、ヤマハは日本、Proezaはラテンアメリカにあることも挙げられます。私たちが米国以外の地域に進出する際には、大きな助けとなるでしょう」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ridepanda資金調達電動キックスクーター電動自転車eコマース

画像クレジット:Ridepanda

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

子どもがCEOになって実際にオンラインショップを経営、様々なことも学べるプラットフォーム「Mighty」

子どもたちがある年齢に達するまで、充実したプログラムは学校、スポーツ、キャンプなどに限られており、お金を稼ぐ機会はほとんどない。

しかし現在、 創業1年のロサンゼルス拠点のMighty(マイティ)というスタートアップが、子ども向けのShopify(ショッピファイ)のようなプラットフォームを構築し、子どもたちに新たな選択肢を提供しようとしている。同社は、GOOD誌を創刊した創業者のBen Goldhirsh(ベン・ゴールドハーシュ)氏と、Etsyに5年近く在籍し、Sidewalk Labsのアドバイザーを務めたDana Mauriello(ダナ・マウリロ)氏が率いていて、フィンテック、EdTech、エンターテインメントが交わるところでサービスを提供しているとファミリーにアピールする。

よくあることだが、コンセプトは創業者自身の経験から生まれた。コスタリカに住んでいたゴールドハーシュ氏は、生徒6人という小さな学校に通う2人の娘のことが心配になり始めた。勉強が米国の学校に比べて遅れをとっているのではないかと懸念し、ソフトウェアプラットフォームであるKhan Academy(カーン・アカデミー)を使って放課後に勉強させ始めた。しかし、娘たちの反応は決して良いものではなかったという。

「彼女たちは、『ふざけないでよ、お父さん。学校から帰ってきたばかりなのに、また授業を受けさせる気なの』という感じでした」。

どうすればいいのかわからず、同氏は子どもたちが作っていたブレスレットをオンラインで販売することを勧めた。そうすれば、必要な数学のスキルを身につけることができるだけでなく、起業資金やビジネスプラン(それを書かせた)、マーケティングについても学ぶことができると考えたのだ。この「プロジェクトベースの学習」が成功したことを友人に話すと「うちの子にもやってくれないか」と頼まれるようになったという。

ゴールドハーシュ氏はマウリロ氏がEtsyに入社する前に運営していたクラウドファンディングのプラットフォームに投資していた。時が経ち、ゴールドハーシュ氏とマウリロ氏は、今はまだベータ版のスタートアップMightyの舵取りをし、Mightyは3000人の「CEO」のホームになっている。

この関心は驚くべきものではない。子どもたちは、歴史上最も多くの時間をオンラインで過ごしている。かつて子どもたちを雇っていたような実社会的なビジネスの多くは、規模が縮小している。ベビーシッターや街角でのクッキー売りを除けば、高校以前に仕事を見つけるのは困難だ。米労働省の公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)では、14歳以上を雇用の対象としているからだ。それでも、多くの雇用者は、若い従業員は割に合わない仕事をしているのではないかと心配している。

投資家はこれがかなり堅実な考えだと思っている。Mightyは最近、Animo Venturesがリードする650万ドル(約7億2200万円)のシード資金を調達した。ラウンドには、Maveron、Humbition、Sesame Workshop、Collaborative Fund、ファミリーオフィスのNaHCO3などが参加した。

しかし、子ども向けのプラットフォームを構築するのは難しい。まず第1に、11歳の子どもたちの多くは、自分のビジネスを長期にわたって維持するために必要な粘り強さを持ち合わせていない。ゴールドハーシュ氏は、このビジネスを「21世紀のレモネードスタンド」に例えているが、午後の終わりに消滅しないビジネスを運営するというのとはまったく異なる命題だ。

ゴールドハーシュ氏は、どんな子どもでも、自分のビジネスに「努力」しなければならないとか、一定の軌道に乗せなければならないということを聞きたがらないとを認める。だが、起業家精神が旺盛で、継続的に活動している人もたくさんいると話す。実際、ゴールドハーシュ氏は、今回のシード資金によって、若いCEOたちを満足させるためにやるべきことがたくさんあるという。

例えば、多くの人が不満に思っているのは、自分の手作りの商品をMightyで売ることができないことだ。その代わりに、帽子やトートバッグ、ステッカーなど、自分でカスタマイズしたアイテムを販売してもらい、それをMightyの現在の製造パートナーであるPrintfulが製造し、最終顧客に発送する(Mightyユーザーは、Mighty同様に売上の一部を受け取ることができる)。

また、Mightyは、ナショナルジオグラフィックでも販売を行っているインパクトマーケットプレイスのNovicaと提携し、世界の職人が作った商品を販売することもできるようになった。

最初の段階では、できるだけ摩擦の少ないプロセスを導入することを考えていたが「顧客たちは怒りました。私たちにもっと多くを要求してきました」とゴールドハーシュ氏は述べた。同氏によると、Mightyは今後、小規模な起業家が自分で作った商品を販売できるようにする他、現在はサポートしていないサービスも提供していく予定だという。

収入源としては、売上高に基づく取引手数料の徴収に加えて、まだ公にする準備は整っていないがサブスクリプションサービスを導入することを計画している。

全体的に興味をそそられるが、MightyはShopifyのような既存のプレイヤーとの競争に勝たなければならないかもしれない。また、Mightyがやろうとしていることに対して、子どもの擁護者とまではいかなくても、親たちが反発することも考えられる。結局、起業というものは、気分を高揚させたり、意気消沈させたりするものだ。それは、一部の人が幼い年齢の子どもを乗せたがらないかもしれないローラーコースターだ。

しかし、マウリロ氏は、今のところそのようなフィードバックはないという。例えば、Mightyは最近、若いCEOたちがお互いに励まし合ったり、営業のヒントを交換したりできるオンラインコミュニティを立ち上げ、彼らはそこに積極的に関わっているという。

また、マウリロ氏は、スポーツや楽器を習うように、Mightyでお店を作ることで学べることがあると主張する。ストーリーテリングや売り方もそうだが、重要なのは、若い顧客が「失敗しても立ち直って、またチャレンジすればいい」ということを学んでいることだと同氏は話す。

ゴールドハーシュ氏は「『思っていたよりも難しい』と感じている子どもたちは絶対にいます。ただサイトを立ち上げてお金が入ってくるのを見ていればいいというわけではありません。それでも、子どもたちは、自分たちが目にする成功が、自分たちで稼いだものだという事実を気に入っていると思います」と付け加えた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MightyCEOオンライン学習eコマース子ども

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

Shopifyが売上高1.1億円以下のデベロッパーへのアプリストア手数料を免除

AppleやGoogle、そして直近ではAmazonなどの動き同様に、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は米国時間6月29日、同社のアプリマーケットプレイス、そして新しいShopify Theme Storeでデベロッパーに課す手数料を下げると発表した。同社のUnite 2021カンファレンスで、Checkout、API、デベロッパーツール、フレームワークなどへのアップデートを含む他のデベロッパー関連のニュースとともに発表された。

Shopifyのアプリデベロッパーパートナーは2020年に、2018年と2019年の合算を上回る2億3300万ドル(約260億円)を売り上げた。これは部分的には新型コロナウイルスパンデミックとそれにともなうeコマースへの急速なシフトによるものだと同社は話す。今日では、Shopifyのアプリストアでは6000超のアプリが提供されていて、販売事業者は経営のために平均6つのアプリを使っている。

Shopifyはアプリデベロッパーの売上にかかる手数料を、同社のプラットフォームでの年間売上高が100万ドル(約1億1050万円)以下であれば20%から0%に下げると話す。このベンチマークはプラットフォーム上で毎年リセットされ、売上高が100万ドル前後のデベロッパーにさらに稼ぐ可能性を提供する。そしてShopifyの売上高シェアが適用されると、その取り分は「余分の」売上の15%となる。つまりデベロッパーは100万ドルを超えた分の売上の15%だけを手数料として払うことになる。

同じビジネスモデルがShopifyのTheme Storeにも導入され、デベロッパーは7月15日から申し込める。

ShopifyのアプリストアとTheme Storeは別事業であり、売上高100万ドルというメトリックはそれぞれ別に適用される。新しいビジネスモデルは8月1日から展開され、アカウント情報をパートナーダッシュボードで提供して登録しているデベロッパーが利用できる。

これまでよりもデベロッパーフレンドリーなビジネスモデルはShopifyにとっては売上減を意味するが、さらにイノベーションと開発を促すことが見込まれるため、売上減の影響が「かなり大きなものになる」とは考えていない、と同社は話す。

Shopifyのアプリストアへの変更は、デベロッパーに課す手数料をめぐるアプリストアマーケットにおけるシフトに続くものだ。

2020年、アプリストア運営に対する規制当局の監視が厳しくなる中で、Appleは新しいプログラムのもとに零細事業者に課すアプリストア手数料を減額すると発表している。年間最大100万ドル稼ぐデベロッパーはアプリ内購入で払う手数料は15%に抑えられる。その後、GoogleAmazonも似たような動きを見せた。たとえばGoogleの場合、デベロッパーが稼ぐ最初の100万ドルでは15%の手数料を取る。Amazonはまだ20%と高い手数料を徴収しているが、特典としてAWSクレジットを付けている。

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AppleとGoogleは特に、こうした変更がアプリストア独占疑いでの独禁法調査から自社を守るのに役立つことを望んでいて、一方で自社のアプリ経済に参加する良い理由をデベロッパーに提供している。

モバイルはさておき、Microsoftは2021年、ライバルへの圧力を強める手段としてEpic GamesのWindows Storeでのゲーム販売の手数料を12%とすることに同意した。新しいWindows 11 Storeの大規模なアップデートでは、アプリにかかる手数料は15%のままだが、デベロッパーは独自の決済プラットフォームを使うことができる。

これまで、マーケットの大方はアプリとゲームの販売の手数料を下げることにフォーカスしてきた。Shopifyのアプリプラットフォームは他のものと異なる。eコマース事業を促進するのに使われるアプリを扱っている。出荷や配達、マーケティング、マーチャンダイジング、ストアデザイン、顧客サービスなどに関するものだ。これらは消費者向けのアプリではないが、アプリストアで販売されている。

デベロッパーの事業への変更は6月29日開催のUnite 2021で発表された大きなニュースである一方で、それはShopifyが発表したプラットフォームに関する一連のアップデートを打ち消しはしない。

主なアップデートは次の通りだ。Netflixが最初にテストしたShopifyのLiquidプラットフォームへの、よりフレキシブルでカスタマイズ可能なアップデートであるOnline Store 2.0のデビュー。すばやい対応のためのカスタムストアフロントへの投資。Hydrogenというカスタムストアフロント構築のための新しいReactフレームワーク。OxygenというShopifyでのHydrogenストアフロントをホストする方法。プロダクトと類似プロダクト、カスタムコンテンツでのMetafieldsのサポート。これまでよりも迅速なSpotify Checkout。Checkout Extensions(デベロッパーによって構築されるカスタマイゼーション)。従来より簡単でパワフルなShopify Scripts。サードパーティ決済ゲートウェイのCheckoutへの統合のためのPayments Platform。ストアフロントAPIへのアップデート。

Shopifyはまた、新たにいくつかの事業メトリクスを共有し、たとえば2020年4億5000万人超がShopifyで決済を行い、流通取引総額は1200億ドル(約13兆2640億円)だったと明らかにした。アプリデベロッパー、テーマビルダー、デザイナー、代理店、専門家などを含むShopifyパートナーの2020年の売上高は125億ドル(約1兆3815億円)と前年比84%増で、これはShopifyプラットフォームの売上高の4倍だった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopifyeコマースアプリ

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi