【コラム】暗号通貨は送金の代替手段か、それとも付加的なものなのか?

ビットコインが誕生して以来、世界中の政府が暗号資産の導入、規制、さらには禁止を検討してきた。それ以来、暗号資産のエコシステムは、(何度も)月へ行ったり戻ったりしているロケット船のようなものだった。現在では、これまで以上に多くの人々がこのロケットに乗り込んでいるようだ。

また、このパンデミックの結果、あらゆる産業でデジタルプラットフォームへの大規模なシフトが見られた。世界の政治指導者たちも、自国の経済を同じ方向に向かわせるために、これに追随する措置をとっている。

最も新しい例としては、エルサルバドルがある。この国は、法定通貨としてビットコインを採用した最初の国になったことで話題になった(この動きはその後、市民から抗議を受けることとなった)。最初の発表で、同国の大統領は暗号資産を送金手段の競合として直接結びつけ、これによりエルサルバドルの低所得世帯が送金で受け取る金額が「毎年数十億ドル(数千億円)相当」増加すると言及した。

国境を越えた決済の流れの効果的な存在になるために、デジタル資産は、国境を越えたユースケースにかかわらず、すでにその導入能力を弱めている生来の課題を克服しなければならない。

個人が故郷の家族やコミュニティを支援するためにお金を送る行為である「送金」は、多くの国にとってGDPの重要な構成要素となっている。実際、世界銀行によると、2020年の世界の送金総額はおよそ7000億ドル(約80兆円)で、そのうち5400億ドル(約62兆円)は低・中所得国に送られたと記録されている。エルサルバドルはそのうちの60億ドル(約6890万円)近くを受け取った。一方、暗号資産は現在、世界の国境を越えた送金量の1%未満と推定されている。

では、暗号資産は送金手段の代替として有効なのだろうか?答えは、ノーだ。少なくともまだ現在のところは。

各サービスに対する需要は市場特有の話であり、リアルタイムでのデジタルと現金の払い出しオプションがあるにもかかわらず、受取人が依然として現金の方を選択することは珍しくない。送金を受け取る個人の多くは、商品やサービスの代金をデジタルで支払う能力がほとんどないため、これは驚くべきことではないだろう。その代わりに、彼らはMoneyGram(マネーグラム)のネットワークにある小売店や銀行などの実店舗を利用して、必要な資金を調達しているのだ。

デジタル通貨は確かに付加的な要素であり、暗号資産は間違いなく今後数年間で影響を与えていくことだろう。しかし、それには時間がかかり、メインストリームとして採用され、現金に依存し続ける何百万もの家庭が現金を置き換えるには、いくつかの逆風が吹いている。

まず1つに、正直言って、暗号資産を現地通貨と交換する際の複雑さを考慮すると、暗号資産による送金は、現状では現金よりも安く、速く、簡単な代替手段とは言えない。

エルサルバドルの場合、送金は同国のGDPの約4分の1を占め、約36万世帯が恩恵を受けている。暗号資産の売買は、送金プラットフォームを介した送金・受入よりもはるかに複雑なプロセスであることがわかっている。これらの世帯のすべてが、このまったく新しい決済システムをすぐに学び、適応する可能性は極めて低いだろう。

さらに、暗号資産で商品やサービスを購入するには、ほぼすべての状況で、デジタル資産を現地通貨に戻す必要がある。これは、日々の生活に必要な資金を迅速に入手するために送金を頼りにしている何百万人もの人々にとっては大変なことだ。

最近の顧客調査によると、送金者は主に食料(73%)、医療(59%)、住居(54%)など、生存と幸福のための基本的な費用をまかなうために送金していることがわかった。暗号資産は、このような多くの人々が即時性を求めて依存する生命線となるには、まだ早いのだ。暗号資産はほとんどの地域通貨と比較して特に変動しやすいため、20ドルがそのまま20ドルとして届くことを頼りにしている人たちの安全な避難所として頼りきることはできないのだ。ビットコインの価格推移を見れば一目瞭然だ。

最後に、米国を含め、多くの国がまだ暗号資産の取引 / 支払いに法的な道筋を認めていない、あるいは提供していない。大げさにいえば、2022年の年末年始のプレゼントはビットコインで支払うことになるかのように盛り上がっているが、通路の反対側には反対のアプローチを取っている国が何十とある。

国境を越えた決済の流れを効果的にするために、デジタル資産は、実用性の欠如、取引所の費用、複雑さ、変動性、地域通貨へのオン / オフランプの制限など、国境を越えた使用事例にかかわらず、すでにその採用能力を弱めている生来の課題を克服しなければならない。

暗号や暗号資産やデジタル通貨は、最終的には国境を越えた決済を効率化するのに役立つと私は信じている。個人的にも、投資として暗号資産を「保有」し、この業界の一翼を担うことは、とても楽しいことだ。しかし、多くの新技術がそうであるように、デジタル資産が世界的な送金の標準になるには、まだそれなりの障害が残っているのも事実だ。

開示:MoneyGramはステラとのパートナーシップに着手し、ステラネットワークに接続されたデジタルウォレットがMoneyGramのグローバルリテールプラットフォームにアクセスできるようになりました。

編集部注:本稿の執筆者Alex Holmes(アレックス・ホームズ)氏は、デジタルP2P決済の進化におけるグローバルリーダーであるMoneyGram Internationalの会長兼CEO。

画像クレジット:Olena Poliakevych / Getty Images

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(文:Alex Holmes、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米国憲法の原本をめぐるConstitutionDAOによる大胆でユニークな暗号資産入札は失敗に

米国憲法の原本は13部現存している。その1部がアートディーラーのSotheby’s(サザビーズ)のオークションに出品された。2021年11月半ば、ある自立型分散組織(DAO、Decentralized Autonomous Organization)が、インターネットの注目を集めた激しい入札合戦の末、その落札に敗れたことを発表した。それでも、インターネット上で出会った人々のグループであるDAOの大胆な台頭は、単一のミームとオークションで多くの人々を一度に暗号資産の世界に巻き込むという、ユニークなケーススタディだった。

Twitter(ツイッター)上では、同グループの一部のメンバーがライブのTwitter Spaces(スペース)チャットで誤って勝利宣言し、短時間の興奮が沸き起こった後、同グループは結局敗北したことが声明で発表された。その声明によると、同グループは「72時間以内にクラウドファンディングによる最高額の記録を破った」という。

あるオーガナイザーは、グループのDiscord(ディスコード)チャンネルで、文書の維持と管理に必要な予備費を継続的に確保するための十分な資金を調達できなかったために敗北したと述べている。同グループの説明では、ConstitutionDAOの参加者はガス代(取引手数料)を除いて返金を受けることができる。参加者にまだ与えられていないガバナンストークンがあるという事実を踏まえると、一部のメンバーがグループに残りたいと思った場合、金銭の返還はさらに複雑になる可能性もあるだろう。

アトランタ在住で金融関係の仕事をしているAustin Cain(オースティン・ケイン)氏とGraham Novak(グラハム・ノバック)氏は、Discordのチャットから始めてこの取り組みに着手した。現在では8000人以上のメンバーが参加している。ローンチから一週間もたたないうちに、このDAOは初期段階のDAOプラットフォームJuiceboxで4000万ドル(約46億2000万円)相当のETHを調達した。

この取り組みは、主にTwitter、そして膨れ上がるDiscordサーバーを介して展開されており、所有権の共有と透明性が原則となっているWeb3ユニバースの中で、コミュニティの取り組みがどのように見え、感じられるかを知るための窓のような存在になっている。DAOの構造がもたらすオポチュニティは広範な関心を呼び起こしている。DAOのトレジャリーが管理する価値は、一部の推計によると、現在60億ドル(約6930億円)を超えている。

先週、Daniel Monteagudo(ダニエル・モンテアグード)氏は、ある友人から、ETHを使って憲法を購入しようとしている人々との3分以内に始まるコールに参加したいかどうか尋ねるメッセージを午後7時57分に受け取った。同氏は見ていた映画を途中で切り上げ、コールに参加し、その運動を支援することにした。これまでに1000ドル(約11万5000円)を投じ、現在はConstitutionDAOのTwitterアカウントを運営している。

大部分のDAOとは異なり、ConstitutionDAOはトークンゲートではないため、コミュニティを求めてDiscordに参加する人は組織に投資する必要がない。例えばBored Apes Yacht Clubのように、会員制のコミュニティにアクセスするためには高価なNFTを買う余裕がなければならないのとは別物である。

「実に奇妙なことです」とモンテアグード氏は、これまでにGrimes(グライムス)氏を含む1万9000人を超えるメンバーが参加しているこのDAOプロジェクトの勢いについて触れ、次のように語った。「ただ、人々は特定の目標に向けて行動を起こすために巨額の資金を迅速に調達できることに興奮を覚えているのだと思います」。

サードパーティのダッシュボードを用いて、ConstitutionDAOのコントリビューターの13%がETHを初めて利用しているとモンテアグードは推計している。同プラットフォームによると、ConstitutionDAOに貢献した人の約44%は、自分の名義でのトランザクション数が40に満たないという。

人々を暗号資産へと駆り立てる魅了感は、劇場的に見えるかもしれないが、それはConstitutionDAOの刺激的な副作用である。人々に分散化されたコミュニティのインパクトと感触を理解する方法を与えると同時に、米国憲法が抽象的アート作品よりも優れているかもしれないというふうに、彼らの感情に訴えかけてくるものだ。

「DAOは、世界中から集まった大勢の人々が一緒に活動することを支援します。企業もこれを行うことができますが、設立には時間がかかる傾向があり、国境を越えて人々に報酬を支払うことは困難な場合があります」と同氏はいう。「DAOを使用すると、世界規模の組織を簡単に構築できます」。

新規ユーザーの多さはエキサイティングかもしれないが、それはまた、新しい暗号資産を教育する責任が誰かに生じることを意味している。例えば、初期の段階では、コントリビューターが自分の資金がどのように使われるかを正確に理解できるように、ConstitutionDAOチームはピッチを「憲法の一部を所有する」から「ガバナンストークンを取得する」に変更する必要があった。

「多くの人々、例えば3000人が暗号資産に参入した理由は憲法(の原本入手への参加)であると考えていますので、そうした人々がうまく暗号資産を利用していけるようにする責任を感じています」とモンテアグード氏は語っている。

Upstream(アップストリーム) の創業者Alexander Taub(アレクサンダー・タウブ)氏は「DAO」という言葉を完全に廃止したいと考えている。その代わりに同氏の会社は、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)のやり方に倣い、その構造に「collective(共同体)」という呼び名をつけた。

「私たちは車輪を再発明(不要あるいは冗長な準備を行うこと)しているのではありません。友達とお金をプールすることは長い間行われてきており、コミュニティに支払うことも以前から行われています」とタウブ氏はいう。その代わり、DAOは2つのうちの1つを望んでいる個人の賭けである、と創業者は続けた。お金を稼ぐか、コミュニティの中で所有権と透明性の感覚を得るかだ。後者の方が有望ではあるが「今はあまり研究されておらず、話題にもなっておらず、議論もされていない」ように感じられる。

これはUpstreamが先に、DAOs-in-a-boxを提供するプラットフォームを開発していることを発表した理由の一部である。同氏が構想している世界では、collectiveのメンバーが共通のETHウォレットに資金を寄付したり、資金の使用方法に関する提案書を作成したり、意思決定について投票したり、コミュニティ内でより多くの投票権を持つ代表者を選んだりすることができる。DAOを設定するためのフルスタックスポットを作ることで、ガバナンスとコンプライアンスがより明確になるとタウブ氏は考えている。

「Upstream collectiveは、多くの人々が初めてDAOに参加し、 MetaMask(メタマスク)ウォレットでEthereum(イーサリアム)を使い、それを快適に活用していける場となるでしょう」とタウブ氏。「一般的に言って、より多くの人がお金がどう動くかの未来を理解するのは良いことです。私たちはすでに隔たりを越えているのです」。

Upstreamは、DAO開発を加速させようと奮闘している複数のスタートアップのうちの1社にすぎない。Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ)は8月にDAOのツールビルダーであるSyndicate(シンジケート)を支援し、Utopia Labs(ユートピア・ラボ)は10月にDAOオペレーティングシステムのために150万ドル(約1億7300万円)を調達した。

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ConstitutionDAOのようなグループは、DAOの支持者たちに新しい構造を約束しているが、彼らは新規の暗号資産テクノロジーに対する一般的な批判を免れない。一部の人は、ConstitutionDAOを単なる見せかけの購入の1つにすぎないと見ており、文書の購入に費やされた数百万ドル(数億円)の代わりとなる用途が膨大にあると指摘している。

注目を集める仕組みは、NFTのような新テクノロジーの力を人々が理解するのに役立ってきたが、それだけが暗号資産の魅力ではないし、そうあるべきでもない。とはいえ、新しいテクノロジーの黎明期にはよくあることだが、暗号資産を使いこなせない人々にアピールするイベントは、不完全ではあるが教育に役立つ可能性がある。

DAOは、貴重な歴史的文書を入札するだけでなく、さまざまなユースケースを想定している。MirrorのようなクリエイターのDAOは、人々が自分の仕事を部分的に収益化することを可能にし、PieDAOのようなプロジェクトは、企業がするようにビジネス上の意思決定をするためにその構造を使用する。Uniswap(ユニスワップ)やAAVE(アーべ)など、ほとんどの有名なDeFi(分散型金融)融資プラットフォームはDAOによって管理されている。

1回限りの購入を目的に設立されたDAOの中には、その後、対象範囲を広げたものもある。例えば、PleasrDAOはもともとUniswap NFTのアートワークを購入するために設立されたが、その後DeFiに進出し、インキュベーターを立ち上げた。非常に多くの牽引力を得ており、豊富なリソースを集めていることから、ConstitutionDAOも容易に同じことができるだろう。

タウブ氏は、公共の利益になるようなDAOの長期的な利用の可能性を考えている。例えば、地方自治体では、市の住民が財務省の資金の使い方について直接投票することができる。しかしタウブ氏はまた、その新しさと、白人で男性であることで知られるWeb3コミュニティとのつながりを考えると、DAOにはまだまだ長い道のりがあることを認めている。

多くのDAOを支えているガバナンストークン構造が、個人の寄付額に基づいて投票権を割り当てていることは注目に値する。ConstitutionDAOは将来この構造を採用すると思われるが、現時点ではConstitutionDAOのDiscordチャットは誰でも利用できる。DAOは透明性と所有権を提供しているが、より大きな利害を持つことができない人々はグループの決定に対して同じレベルの発言権を持たないことから、DAOを民主的と呼ぶのは無理があるかもしれない。

また、他の新しいWeb3テクノロジーと同様に、DAOは正式な監督や規制がほとんどない状態で大規模な資本移転を促進する。自分たちが提供するコミュニティのビジョンに惹かれている人たちは、お金を失ったり、詐欺の被害に遭ったりすることに不安を抱くかもしれない。

DAOへの参加は、今日存在する規制のグレーゾーンを考えると、大きなリスクをともなう可能性がある。米国のほとんどの州では、DAOは具体的な法的構造によって規制されていないため、プロトコルの開発者と参加者は、規制を受ける企業の株主に比べて高い責任を負っている。

これらの障壁が克服されるまでは、DAOは、企業や社会の強固な構造に重大な脅威を与えるというよりも、むしろソーシャルグループやConstitutionDAOのようなニッチコミュニティを中心に据えている可能性が高い。しかし、インフラが整備されれば、ニッチなアイテムを購入したり、インターネットで楽しんだりする暗号資産に関心のあるユーザーのグループから、企業のように振る舞うものの、意思決定においてより機敏で包括的な役割を果たすことのできる本格的な共同体へと、DAOは変化するかもしれない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】Web3の根拠なき熱狂

2021年最もホットな新規テクノロジーの用語は間違いなく「Web3」と「メタバース」であろう。前者はブロックチェーンをベースにした分散型のウェブを指し、後者はインターネットと拡張現実および仮想現実を組み合わせたものである。ある時点で、これらの概念が融合する可能性がある。もちろん、その概念が何かに変わることがあればの話だが。

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突如として、2021年内のどこかからか、私たちはこれらの用語を所与のものであるかのように使い始め、そして私たちは誰もがその変化を内々に知っていた。ソーシャルテレフォンの巨大ゲームのように、ブロックチェーンは「Web3」になり、ARとVRは「メタバース」へと姿を変えたのである。

だが、ブロックチェーンのアイデアは何年も前から概念として存在していた。Bitcoin(ビットコイン)が2008年にデジタル通貨のアイデアのための台帳として利用することを決めたずっと前のことだ。

筆者がエンタープライズ分野でブロックチェーンの概念を取り上げ始めたのは2017年のことである。ある同僚が、ブロックチェーンは次の大きな要点になる、反論の余地のない記録を通じて信頼を確立する手段になる可能性があると指摘したのだ。最初は興味深かったが、問題を探す解決策として言及されることが多く、結局興味を失った。

筆者がエンタープライズにおけるブロックチェーンについて書いた2018年の記事には、以下のように記してある。

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現在、ブロックチェーンには過度な期待が寄せられている(ハイプサイクルの「過度な期待」のピーク)ため、同テクノロジーを真剣に取り合えないでいる人は多い。しかしそのコアとなるデジタル台帳テクノロジー自体には、ビジネスにおける信頼性の考え方を大きく変える力が秘められている。とは言え、まだブロックチェーンは黎明期にあり、エンタープライズ市場で受け入れられるにはまだ欠けているものがたくさんある。

当時、筆者はいくつかの有望なスタートアップについて書いた。IBMやSAPなどの大企業でブロックチェーンを担当している人たちと、ブロックチェーンベースのソリューションをエンタープライズに導入するアイデアについて話をした。実際、筆者自身もかなり興奮していたが、現実よりもハイプであることに気づき、先に進んだ。それが3年後に戻ってきたのである。そして再び、次の大きな要点となり、それに合わせて新しい名前が付けられた。

英国のエンジニアでブロガーのStephen Diehl(スティーヴン・ディール)氏は、Web3という名称は同じ問題を抱えた同じテクノロジーを再パッケージ化したものだと考えている。「Web3は本質的に、暗号資産に対する一般の人々の否定的な連想を、旧来のテック企業の覇権の崩壊に関する虚偽の物語に組み込もうとする、気の抜けたマーケティングキャンペーンである」と、ディール氏は2021年12月4日のブログ投稿に書いている

つまり同氏が言っているのは、Web3の提唱者たちは、分散化によってAmazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、Facebook(フェイスブック)などの大手インターネット企業の力が弱まり、ユーザーに還元される可能性があると主張している、ということである。しかしその可能性はあるのだろうか?

ペンシルバニア大学ウォートンスクールの教授で「The Blockchain and the New Architecture of Trust(ブロックチェーンの技術と革新~ブロックチェーンが変える信頼の世界)」の著者でもあるKevin Werbach(ケビン・ワーバック)氏は、このテクノロジーはハイプの域を出ていない可能性があり、現在のデジタル資産の人気は、まだビッグテックの脅威にはなっていないと述べている。

「Web3はある意味、さまざまなブロックチェーンや暗号資産関連のミームまたはマーケティングブランドであり、すでに存在していたものです。数年前のエンタープライズ向けブロックチェーンの波のように、Web3は普及という点では実際よりもはるかにハイプのレベルが高くなっています。多くの人々が暗号資産を取引してNFTを購入していますが、それは必ずしも、彼らが主要なテクノロジープラットフォームに代わる分散型の代替を採用していることを意味するものではありません」と同氏は語っている。

しかし、Linux Foundation(リナックス・ファウンデーション)の研究担当VPで、トロントにあるThe Blockchain Research Instituteに3年間在籍したHilary Carter(ヒラリー・カーター)氏は、Web3のハイプを受け入れるためのスケールの準備ができている、有望な一連のテクノロジーを見出している。

「Web3は、ブロックチェーンというイノベーションなしには存在することすらできなかったでしょう。初期の失敗によりこのテクノロジーが却下されることがあまりにも多かったため、その道のりは容易ではありませんでした。それでもこうした失敗が、イノベーションを推し進め、スケールのような問題に対処したのです」とカーター氏は筆者に語った。

数年前にブロックチェーンの報道で目にしたスケールと持続可能性に関する問題は、その後の数年間で解決されたと同氏は述べている。「これらの問題が解決されたことで、今日ではブロックチェーンのエコシステムが成熟し、国家は『中央銀行のデジタル通貨』の構築を進めています。これはおそらく、最大のスループットを必要とするユースケースでしょう」と同氏は話す。

確かに、金融機関はこのテクノロジーを受け入れている。Deloitte(デロイト)の年次ブロックチェーンサーベイによると、回答者の80%近くが、今後2年以内にデジタル資産が業界にとって重要になる、あるいはある程度重要になると考えている。また、パンデミックの中でデジタル変革が加速しており、それに対応してデジタル通貨の普及が進んでいるとの見方も根強い。

デジタル化が進む世界でのデジタル通貨というアイデアは、確かに理に適っているが、支持者らが示唆しているように、ブロックチェーンが現在のインターネットインフラを置き換えることを含め、幅広いユースケースをサポートできるというのは、飛躍が過ぎるかもしれない。

ディール氏はそうは思っていない。「計算ベースでは、ブロックチェーンネットワークは、置き換えるために設計されたと言われている極めて金権的で中央集権的なシステムと同じものになることでしか、拡張できない」と同氏は記している。

しかしカーター氏は、デジタル通貨とその他の用途の両方に余地があると考えている。「そうです。私はデジタル通貨とブロックチェーンの両方の実装が大幅に進歩すると見ています」と同氏は述べている。

ワーバック氏は、有望な例がいくつかあるが、全体的な概念としてはWeb3に懐疑的になる理由があると付け加えた。

DeFi(分散金融)のようなスクラッチから構築された新しいシステムは、レガシーファームの問題は抱えていないものの、スケーリングとマスアダプションの課題に直面しています。いわゆる『Web3』ソリューションの多くは、見かけほど分散化されていません。一方で他のソリューションも、マスマーケットに十分なスケーラビリティ、安全性、アクセス性をまだ示していません。それは変わるかもしれませんが、こうした制限がすべて克服されるとは言い切れません」と同氏は語っている。

そこが問題のところなのだ。Web3がマーケティングのスローガンであろうと、真のテクノロジートレンドであろうと、その背後には確かに多くの資金とテクノロジーが存在する。しかし、まだかなりの障害や課題が残っていることは明らかであり、Web3がそれらを克服し、最新のハイプサイクルに対応できるかどうかは、時が経つことで明らかになるだろう。

画像クレジット:Tolga_TEZCAN / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

NFTゲーム大手Dapper Labsの次なる挑戦はアバター用デジタルアクセサリープラットフォーム「The Warehouse」

100億ドル(約1兆1374億円)を超える取引量を記録したNFTの大ヒットイヤーが終わろうとしている中、昨今のNFTプロジェクトの開発者たちは、今日のドルを追いかけるか、明日のユーザーを追いかけるかというジレンマに直面している。

Dapper Labs(ダッパー・ラボ)は、NBAのトップショットをヒットさせた2021年の主流ブレイクアウトの1つを作った会社で、投資家に対し、後者に賭ける開発者を惹きつけることができると納得させようとしている。最近の時価総額が76億ドル(約8674億円)に達した同スタートアップは米国時間12月13日、その追求の成果の一部を提示し、スターのためのアバターを提供するスタートアップGenies(ジーニーズ)とのパートナーシップによるプロダクトを披露した。それは野心的なNFTストアで、ユーザーがアニメのアバターを作ったり、NFTのアクセサリーを身につけたりできるようにし、Web3デジタルアイデンティティのハブとして機能することを目指していく。

「The Warehouse」と呼ばれるこの新しいプラットフォームは、招待制の小規模なユーザーネットワーク向けにローンチされ、今後数カ月のうちに、徐々により幅広いユーザー層に提供される予定であると両スタートアップはTechCrunchに語った。

この新しいプラットフォームでは、ユーザーは、Geniesアプリ内で作成する3Dアニメのアバターに、DapperのブロックチェーンネットワークFlow(フロー)で作られるマスクや靴、バックパックなどのデジタルアクセサリーを装着することができる。Geniesによると、店舗の大部分のアイテムは20ドル(約2270円)未満で販売されるが、それは特に一次販売に限定されるという。これらの商品の所有者が個々のアイテムの二次販売の市場を決めることになる。The Warehouseではローンチ時に二次的なマーケットプレイスが有効化される予定はなく、Geniesのチームは、この取り組みがやがて、再販価値ではなくプロダクトへフォーカスするコミュニティを生み出すことを期待している。

画像クレジット:Genies

Geniesはすでに、同社のネイティブモバイルアプリ内でデジタルアパレルやアクセサリーを販売する試みを行っているが、この投機的事業にはブロックチェーンやNFT関連の要素は含まれていない。GeniesのNFTエコノミーへの進出は、Dapperという特定ブランドのブロックチェーンに対する賭けである。Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のようなネットワークほど分散化されていないかもしれないが、手数料の安さ、トランザクション能力の高さ、そしてクレジットカード処理やパスワードを忘れてしまうユーザーのようなWeb3「ラグジュアリー」に優しい開発者プラットフォームなど、切り離すことのできないユーザー利益の数々を提供するものだ。

Flowだけが、より安価な手数料とオンボーディングのしやすさを備えた消費者フレンドリーなブロックチェーンへの唯一の賭けではないことは確かだが、Dapperは将来の成功を約束して投資家から6億ドル(約684億9300万円)を調達した。Wax(ワックス)やSolana(ソラナ)のような競合するレイヤー1のチェーンでは、開発者がプラットフォームの強みとコインホルダーのウォレットを利用しようとしているため、ここ数カ月でネイティブのNFTプロジェクトからより多くの動きが見られている。ベンチャー投資家たちは2021年中に、Ethereumブロックチェーンを「ロールアップ」プロダクトでスケールしようとするいくつかの新たな暗号資産ユニコーンを立ち上げた。これにより開発者は、ネットワークのセキュリティを活用しながら、セカンダリーチェーン上での取引の処理とバンドルを進めることができるようになる。

2021年初めのNBA Top Shotの急成長はDapperに大きな注目を集め、月間取引額は2020年12月の100万ドル(約1億1400万円)弱から2021年2月には2億2500万ドル(約256億8300万円)近くに達した。最近においては、Top Shotのバイヤーとトランザクションのネットワークは最も顕著なライバルAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)よりもはるかに下に位置している。暗号資産アナリティクスを行うサイトCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Axie Infinityは2021年11月時点で、Top Shotの6万4000人に対して52万人を超えるユニークバイヤーを擁していた。Top Shotがその部隊を立ち上げて以来、NFT市場は爆発的に拡大している一方で、新たな高トラフィックプロジェクトの大半はEthereumを採用しており、そのネットワークを流れる何千億という流動的な暗号資産の活用を図っている。

画像クレジット:Genies

The Warehouseのローンチは、Dapperにとって特に大きな節目となる。Dapperは、Top Shotでの失敗から学びながら、開発者を惹きつけ、再び注目を集めることを期待している。Top Shotは拡大するオーディエンスへの対応に初期の段階から苦労しており、Dapperがますます多くのNFT Momentsを発行し続けることで、アーリーアダプターの一部は自分たちのNFTの価値を失い、フラストレーションを感じてきたという経緯がある。

「Genies WarehouseはNBA Top Shot以来最大のFlow向けリリースであり、同様の成功を期待しています」とDapper LabsのCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏は声明で述べている。

Geniesは今のところ知名度が高いわけではないが、同スタートアップの著名なパートナーは間違いなくその名を馳せている。何年も前から、アバターのスタートアップが現れ「デジタルアイデンティティ」のパイの一部を獲得しようとしてきたが、ゲームメーカーはサードパーティシステムの採用に興味を示さず、セレブたちはソーシャルメディアの影響力を分析するのに忙しくて、仮想世界のことをわざわざ考えることもなかった。

Geniesは、最近の記憶ではどのスタートアップよりも、ウェブの未来への明らかにニッチなビジョンを備えたプロダクトに対するセレブとのパートナーシップネットワーク構築に成功しているが、2021年はNFTをより熱心に公に受け入れたことで、投資家の間でシェアが高まっている。Geniesは先週、Universal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)と提携し、同グループのレコーディングアーティストのアバターやデジタルグッズをホストすることを発表した。Geniesはすでに、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)氏、J Balvin(J・バルヴィン)氏、Cardi B(カーディ・B)氏などの著名なミュージシャンやアーティストたちとパートナーシップを結んでいる。

2021年5月にGeniesは、Mary Meeker(メアリー・ミーカー)氏のベンチャーファンドBond(ボンド)の支持を獲得し、同ファンド主導で6500万ドル(約74億2200万円)のシリーズB資金調達を行っている。

関連記事:アバター作成スタートアップGeniesがNFT人気に乗じて約71億円調達

NFTはテック業界やベンチャー投資家クラスに受け入れられているものの、消費者においては、何年もの間ゲームの中で購入してきたものと同じように見える高価なデジタルアイテムが、どのようにオンライン体験に革命を起こすのかについて、依然として懐疑的な見方が存在していることを示すエビデンスが多くあるようだ。

チャットアプリのDiscord(ディスコード)は2021年11月、CEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏がNFTウォレットプラットフォームMetaMask(メタマスク)との統合のスクリーンショットをツイートしたことで、ユーザーから激しい反発を受けた。多くの批判的なものを含む何千ものリプライが殺到した後、シトロン氏はそれが単なる「社内コンセプト」であり、同社には「現時点で組み込む計画はない」こと、そして「Web3には多くの利点があるが、当社の規模で取り組む必要がある多くの問題もある」ことを明確にしたツイートを続けた。

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DapperもGeniesも、The WarehouseのデビューでNFT業界の重荷の一端を断ち切ろうとしている。

「これはアバターの1万プロフィール画像プロジェクトでも、NFTや暗号資産に文化を持ち込むものでもありません」とGeniesのCEOであるAkash Nigam(アカシ・ニガム)氏は語っている。「私たちはこれを、消費者に向けたメタバース全体に広がるデジタルアイデンティティを創造するための第一歩だと考えており、ウェアラブルな創造ツールを未来の消費者と才能ある人々に提供することを目指しています」。

画像クレジット:Iann Dior

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

Dapper Labsも支援するTiblesがドクター・スースのキャラをNFTトレーディングカードに

2012年、ブルックリンに拠点を置くモバイルアプリ開発のスタートアップ企業が、83年の歴史を持つトレーディングカード会社Topps(トップス)に仕事を依頼された。UCLAで経済学を専攻し、トレーディングカードをこよなく愛していた社長のErich Wood(エリック・ウッド)氏にとって、この仕事は楽しいだけでなく、彼の人生を大きく変えるものとなった。

その当時、Toppsは、メジャーリーグベースボール、ナショナルフットボールリーグ、スターウォーズとライセンス契約を結んでいた。当時の同社デジタル部門責任者に見出されたウッド氏の小さな会社は、これら3つの最初のデジタルトレーディングカードプラットフォームを構築するために招かれたのだった

このデジタルトレーディングカードはすぐに好評を博した。実際、ウッド氏によると、あまりにも上手くいったので、同氏は2016年、デジタル部門責任者だったMichael Bramlage(マイケル・ブラムレッジ)氏と一緒に、自分たちのデジタル収集品会社Quidd(クイッド)を設立することに決めた。

それから現在にまで早送りすると、ブラムレッジ氏はまだQuiddのCEOを務めているが、Quiddは2019年にAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)に買収され、現在は独立した子会社として運営されている。一方、ウッド氏は静かにTibles(ティブルズ)という新しい事業を13人で起ち上げており、
Cadenza Ventures(カデンツァ・ベンチャーズ)が主導するシード資金調達で300万ドル(約3億4300万円)を調達したばかりだ。このラウンドには、2021年初めに「NBA Top Shot(NBAトップショット)」で世界に旋風を巻き起こしたDapper Labs(ダッパーラボ)も、前回に続いて参加した。

関連記事:NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

興味深いことに、TiblesはQuiddとあまり変わらないように見えるが、Quiddはまだコレクターズアイテムを「オフチェーン」、つまり中央のサーバーに保管しているのに対し、TiblesはDapper Labsが開発したブロックチェーン「Flow(フロー)」のみで動作するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスを構築している(ちなみにQuiddは、ホームページ上で「間もなくブロックチェーンに移行する」と言っている)。

また、Tiblesがポップカルチャーやエンターテインメント系のブランドに特化しているのに対し、Quiddはスポーツに関するコレクターズアイテムも販売しているという違いもある。

だが、おそらく最も重要な点は、ウッド氏の話から推察すると、TiblesはQuiddや他のデジタル収集品マーケットプレイスとは異なり、既存の画像をデジタル化してNFTにするだけではなく、ブランドと協力して、オリジナルのライセンスを受けたアート、トレーディング体験、コミュニティを備えたエコシステムの構築を計画しているということだ。同社の究極的な目標は、デジタルでの収集体験を、物理的な収集体験と同じくらい本物にすることだという。

それが計画通りにうまくいくかどうかはまだわからないが、まずはその出発点としてTiblesは、同社とDr. Seuss Enterprises(ドクター・スース・エンタープライズ)、Dapper Labsが協力して制作する「Seussibles(スースィブルズ)」を発表した。これはTheodor Geisel(セオドア・ガイゼル)のファンが、ドクター・スースの生み出したキャラクターであるLorax(ロラックスおじさん)や、Grinch(いじわるグリンチ)、Horton the Elephant(ぞうのホートン)などのNFTを所有し、他のファンと交流できるというものだ。

ウッド氏の説明によると、このNFTはPokémon(ポケモン)カードのような5枚組のブラインドパックとして販売されるという。「ステッカー」と呼ばれるこれらのカードは「ステッカーブック」で閲覧でき、他のユーザーたちとお互いのコレクションを見せ合うことができる。

また、ファン同士の交流の場であるクラブハウスや、保有しているカードを交換することができるトレーディングエリアも用意される。

今のところ、すべてのパックの価格は同じで「限定版」のNFTはないが、Tiblesはファンにとってどのキャラクターが他のキャラクターよりも価値があるのかを知るために、人々がどんなふうに交換するかを調べるに違いない。

このスタートアップ企業のロードマップでは、当然のことながら、まずは雇用が優先される。また、TiblesはDapper Labsと緊密に協力して、より多くのコンテンツを生み出せるように、より多くのライセンス契約を獲得する予定だ(具体的な内容を聞かれたウッド氏は「ライセンス契約のロードマップは長い」「秘密だらけだ」と答えている)。

開発面に関しては、ウッド氏によれば、計画は非常に単純だという。Tiblesは「他のApple(アップル)アプリ内課金と同じように、誰もが簡単に購入できるようなユーザー体験を提供することに非常に注力している」とのこと。また、ウッド氏は、ユーザーがコミュニティに参加したり、共有したり、整理したり、交換したりすることを、非常に簡単にしたいと考えている。「私たちは、これを楽しいものにして、(その成功を)いくつかの異なるパブリッシャーやライセンス、異なる体験で再現することに力を入れています」。

確かに、ウッド氏はデジタル収集品市場における長年の経験から、ファングループごとに評価が異なる傾向があることを知っている。Dapper LabsとDr. Seuss Enterprisesとの契約は、カードのようなステッカーを中心とするものだが、他のクライアントのための将来のプロジェクトでは「動画やアニメーション、あるいはインタラクションになるかもしれません」と、同氏は語る。

共通しているのは、すべてが収集可能なウェブオブジェクトになるということだ。あとはプロパティ次第である。「私たちは、IP、ブランド、ファン、そして彼らが好むものを理解することに多くの時間を費やします」と、ウッド氏はいう。「そして、それがうまくいくことはほとんどありません」。

Tiblesの最近の資金調達は、2021年初5月に実施された119万ドル(約1億3600万円)のシードラウンドに続くものだ。

前回のラウンドを主導したDapper Labsに加え、CoinFund(コインファンド)とWarburg Serres(ウォーバーグ・セレス)が両ラウンドに参加している。

画像クレジット:Tibles

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

社会問題・難病支援を「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

ガイアックスは12月23日、NFTを通じたチャリティ・支援のサービス「Ribbo」(リボ)を2022年1月下旬より提供開始すると発表した。決済方法はクレジットカード。ブロックチェーンを用いたチャリティ・支援のプラットフォームは日本初となる取り組みという。

またRibboは、2022年1月下旬のサービスリリースまでにリボン販売者登録数「100」を目指しており、リボン販売者登録ページにおいて登録受付を開始している。記事掲載時点では、Ribbo導入予定団体は、ハートリボン協会HON.jp学習圏開発機構LeSDAこちねことなっている。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題や難病などに対し支持・支援を表明するシンボルとして身に着ける様々な色のリボンは、アウェアネス・リボン(Awareness ribbon。リボン)と呼ばれる。その代表例としては、乳がん撲滅の啓発を行う「ピンクリボン」が挙げられる。

ただ、これら活動においてグッズ販売など物販の売上から活動資金を得る場合、グッズ制作の初期投資や在庫リスクなど、活動資金を得るまでのハードルが高いという課題がある。例えば約2000円の価格で販売しているグッズでは原価だけで約1000円かかり、その他の費用も含めると得られる資金はほとんど残らないという事例が実際に発生しているそうだ。

その課題の解決策としてガイアックスは、ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータとして販売することで制作コストをほぼゼロに抑えられる、NFT体裁のリボンとしてRibboを実現した。

Ribboは、誰でも簡単にNFTリボンを作成・販売でき、支援を募ることができるサービス。「最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成」「リスク0で始められて売上の90%を受け取れる」「購入したNFTリボンで支援者の世界観を表現できる」という3つの特徴を備えているという。

初期費用はゼロで、販売手数料は金額の10%。NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また集まったお金は、毎月1度1カ月分の売上をまとめて指定の口座に振り込む。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

  • 最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成可能:Ribboでは画像と文字を選択することで簡単にオリジナルのNFTリボンを作成可能。発行したNFTリボンをその場ですぐに販売できる
  • リスク0で始められて売上の90%を受け取れる:初期費用はゼロで、NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また、販売手数料は金額の10%。NFTリボンの制作に初期投資を必要とせず、売り上げた際の90%を受け取れる
  • 購入したリボンで支援者の世界観を表現できる:過去購入したNFTリボンは、購入者自身だけでなくRibbo上で誰もが閲覧できる。同じNFTリボンを購入した人同士、同じ世界観を応援している仲間との新しい出会いが生まれるきっかけになるという

なお今回の取り組みは、ブロックチェーンを学びたい人のコミュニティ「Blockchain Biz Community」の企画から生まれたものという。スタートアップでブロックチェーンを使いたい、ブロックチェーンの技術を学びプロダクト開発を行えるようになりたい方を対象とするコミュニティとなっているそうだ。

アンドリーセン・ホロウィッツのケイティ・ハウン氏、暗号資産で同社が成功した道のりを語る

Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏がNFT(非代替性トークン)の支持者であるということは驚きではない。元連邦検察官で、現在はAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ / a16z)で強力な暗号化の実践を共同で先導しているこの人物は、少なくとも2018年にa16zがDapper Labs(ダッパー・ラブズ)を最初に支援したときからこの技術についてを学んでおり、今ではかなり貴重な存在となっている。

バンクーバーに拠点を置くDapper Labsは当時、CryptoKitties(クリプトキティ)と呼ばれる収集可能なデジタル猫ゲームで知られており、暗号コミュニティ外の人々を困惑させていた。2021年Dapperはブロックチェーン上でNBA Top Shot(NBAトップショット)という、スポーツファンがコレクション性の高いハイライトクリップを売買できるサービスを提供したことでブレイクしたが、むしろこれも全体の構想から見ればマイナーなユースケースであると、先に筆者が主催したサンフランシスコのイベントでハウン氏は話している。

広範囲をカバーした今回のインタビューで、ハウン氏は、現在集中しているNFTのユーザー層がこれから爆発的に増えると同氏が考えている理由を説明し、またNFTを収入源にしている比較的少数のクリエイターのみがNFTの恩恵を受けているという考えを否定した。また、a16zが導入した技術革新により、同社の暗号化投資の75%を占めるトークンを20%割引で購入できるようになった仕組みを説明し、さらには2019年にa16zが行ったように、すべてのベンチャー企業が登録投資顧問になるべきか否かというトピックについても話してくれた。以下では長さを調整するために編集を行っている。また、以下にフルインタビューを掲載している。

TC:a16zがNFTへのさまざまな期待について投資家に伝えていること、そして今後の筋道について。

根本的にNFTは、消費者やコンテンツ制作者にとって、インターネットのビジネスモデルを劇的に変えるものだと思っています。なぜ消費者にとって重要なのか?例えば今「Fortnite(フォートナイト)」のスキンを買ったとして、それなのに後にこのゲームがなくなったらどうでしょう。……しかしそれでは、自分のアイテムなどを別のプラットフォームに持っていくことができ、どこでも使うことができたとしたらどうでしょうか。これは消費者にとって非常に大きな力となります。消費者の手に直接パワーが戻るのですから。

また、コンテンツ制作者にとってもすばらしいことです。デジタル上の希少な商品であるトークンをプログラムすることで、今後のすべての取引において金銭的利点を得ることができるからです(そしてその過程で30%を取る中間業者を排除することができます)。これがクリエイターの経済にどんな影響を与えるか想像してみてください。今はデジタルアートに注目が集まっていますが、2022年の今頃は音楽の世界でどのような障壁が取り除かれるのかという話になっていると思います。

ハウン氏は現在、音楽関連のNFTに注目しており、シンガーソングライターのBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)を例にミュージシャンとNFTの間にどんな可能性があるか(場合によっては、すでに起こっているか)を話した。

ビリー・アイリッシュは当初インターネット上で一部のファンによって発掘されました。しかし、彼女を有名にした初期のファンたち、つまり彼女の本当のファンたちは、彼女のスターダムを共有できたでしょうか?まったくできていません。実際、彼女のスターダムを共有できなかっただけでなく、彼女がブレイクしたことで彼らの状況は悪化したと言えるでしょう。チケットの値段が上がり、スタジアムには長蛇の列ができ、コンサートは完売です。ところがもし、彼女を発見し、初期の彼女の成功に寄与した人々が、NFTやスマートコントラクトを通じて、ビリー・アイリッシュの成功に関連する何かを保有していたとしたらどうでしょうか。例えば、彼女がSpotifyに曲を録音した後に、関連するスマートコントラクトNFTを作成し、そういったファンにライブへの永久アクセス権を与えたり、彼女と一緒にツアーに参加したり、あるいは将来的に彼女のロイヤリティの一部を受け取れる権利を与えたりすることが考えられます。これで突然、レコード会社や弁護士、中間業者だけでなく、ファンも経済的な利益を共有することになります。

Twitch(ツイッチ)ではわずか1%のストリーマーが収益の半分を占めているというデータが流出したが、少数の人のみが経済的な利益を得ることができるようになっており、クリエイターにとっては、結局は現在と同じような経済状況になるのかというトピックについて。

2021年11月11日に開催されたStrictlyVCのイベントに登壇したケイティ・ハウン氏(画像クレジット:Dani Padgett)

これらのビジネスモデルは、まだ非常に初期の段階にあります。しかし、暗号化アーキテクチャの分散型システムについては、これで生計を立てられることがわかっており、このことはNFTですでに見られています。Beeple(ビープル)になって大金持ちにならなくても、生計を立てることは可能です。私はNFTをいくつか所有していますが、その中には、OpenSea(オープンシー)で買った、仕事を辞めてデジタルアートをプログラミングしている女性アーティストのものも含まれています。彼女はスマートコントラクトをプログラムしていて、私がこれらのNFTをあなたに販売したら、彼女はその販売額の一部を受け取ることができます。そしてあなたがそれを別の人に販売して、高い価格で評価されたら、彼女はその販売額からロイヤリティを受け取ることができるのです。

米国人の多くが生活費の支払いに苦しんでいる中、NFTは一部のお金に余裕のある購買層を中心に普及しているという認識を我々は持っている。この点についてハウン氏は、NFTが金持ちの道楽だと思われているのはもっともだが、この技術はまだ始まったばかりだと説明する。

NFTに関して言えばイノベーションの現状を、最終状態として判断しないことがとても重要だと思っています。おっしゃることはよくわかりますし、私自身もそういった現状を目にしています。しかしそれは物理的な世界でも同様で、ステータスシンボルという点では多くの米国人が苦労している一方で、高級車やロレックスを買える人がいるという状況が起きています。そのためデジタル界も大差ないでしょう。物理的な高級品があるように、現実の世界にも人々が所有したいと思う一般的な商品があり、そうしたより一般的な商品がデジタルの世界でも増えていくようになるのではないでしょうか。

ある時点から、話はa16zのディールフローに転換した。Coinbase(コインベース)とOpenSeaの2つの取締役会に在籍しているハウン氏は、そのおかげで暗号の世界で何が、誰が盛り上がっているのかをよく見ることができると説明する。

この世界の中心にいることができ、とても恵まれていると思います。私たちはエコシステムの最前列に座っていますが、それはChris Dixon(クリス・ディクソン)氏と私の2人が、長年にわたってCoinbaseの取締役を務めてきたからです【略】Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)も運営されていますが、【略】Coinbase Venturesに売り込みにこない暗号化プロジェクトはほとんどありません。私はOpenSeaでも現在役員を務めていますが、彼らは記録的な取引量を達成し、世界最大のNFTマーケットプレイスになった他、ベンチャー投資も行っています。このようにこの分野の大物たちとのつながりがあるだけで、彼らが取引をすることで、我々にも取引の流れが作られているのです。

当然暗号は非常にグローバルなものであり、現時点で我々はまさにグローバルな存在になっています。直近の暗号化ファンドでの投資のうち、少なくとも50%は海外からの投資だと思います。しかしだからこそ「CoinbaseやOpenSeaの役員を務めているから大丈夫」などと安心していてはいけないのです。多くの創業者がAndreessen Horowitzの名前を聞いたことがないような、さまざまな国の、さまざまなプロジェクトに対してオープンマインドでいなければなりません. . .私たちはここにいることが当たり前だと思っていますが、世界の他の地域の人々は私たちのことを聞いたことがないのです。私たちの価値を知らないのです。

場合によっては飛行機に乗らなければならないこともあります。Kiva(キヴァ)やMercy Corps(メルシー・コープス)のようなNGO、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)のような企業、Stanford(スタンフォード)やBerkeley(バークレー)のような大学やイスラエルのTechnion(テクニオン)大学をはじめとする世界中の多くの大学など、世界中の参加者に当社のプルーフオブステークシステムを委ねるデリゲートプログラムも開拓してきました. . . これまですばらしい取引が行われてきたからといって、それが今後も続くと期待して甘んじているわけではありません。暗号化投資家の市場は確実に拡大しています。

同社が店頭での直接取引を含むトークンへの投資を多く行っている理由についても話が出た。そのような取引において、a16zが何らかの優先的な地位を得ているのかどうか、またCoinbaseやOpenSeaのような従来の株式取引から会社がシフトしていった理由は何なのか、そして、こうした取り決めに反発し始めたのは、暗号化の創業者たち自身なのかどうかについても質問した。以下はそれに対するハウン氏の答えである(ハウン氏は株式取引が完全になくなったわけではなく、より多くのVCが株式取引を求めて競争を始めたために価格が高騰したのだと指摘している)。

もし優先的なレートを提供してくれる店頭窓口を知っているなら教えて欲しいものです。店頭の場合我々はその場で買っているだけで、特別な扱いは受けていません。どちらかというと. . .すべて店頭取引になってプロトコルの創設者は我々が投資家であることさえ知らないというような市場にはしたくないという意識が強いですね。

また、プロトコルが特定のベンチャーキャピタルの投資家を希望する場合もありますが、これは急速に変化しているので機敏に対応する必要があります。プロトコルの創設者が私たちの参加を強く望んでいた場合、実際に3年前、トークン環境の初期段階で私たちに割引をしてくれました。しかしこれは暗号化のエコシステムでは非常に不評でした。なぜVCの投資家がコミュニティよりも割安にならなければならないのか、と。

その懸念を払拭するために「それならロックアップをしてください。私たちは7年〜10年を見据えられる忍耐強い投資家であり、暗号化ヘッジファンドを運営しているわけではありません」と提案したわけです。例えばもし20%の割引を欲しいとしたら、その代わりに4年間、場合によってはそれ以上、それ以下の間ロックアップされることになるかもしれません。これは、私たちがさまざまなトークンディールにもたらした1つのイノベーションです。しかしロックアップと引き換えに割引を受けたプロトコルのため、私たちはたくさんの仕事をしてきたのです. .

この質問は重複するが、同氏がOpenSeaとCoinbaseの両方の取締役に就任していることについても質問が投げられた。その意図は、OpenSeaはNFTマーケットプレイスであり、暗号資産取引所のCoinbaseも最近NFTマーケットプレイスのようなものを作る計画を発表しているため、この2社が衝突しかねないのではないだろうか、というものだ。実際、CoinbaseのCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は先週の決算説明会で、NFTの市場は同社の暗号資産事業に匹敵するか、それ以上の規模になる可能性があると考えていると述べている。

ハウン氏はどのようにしてこの複雑な状況をやりのけているのか、さらにはCoinbaseがOpenSeaを買収するのではないかと質問すると、2つ目の質問に対しては首を横に振り、2社の衝突について次のように説明した。

それは悲観的な見方ですね。私は両者が衝突しているとは思っていません。まず第一に、Coinbaseがどのような計画を立てているかはまだ発表されていません。NFT分野で何かをすることを検討していると発表しただけで、それが何になるのかはまだわかりません。

ブライアン・アームストロングが数年前に言っていたことを覚えていますが、取引スペースに競合他社が参入し始めたとき、彼は「これはすばらしい」と言っていました。私は自分が何を見逃しているのか疑問に思ったところ彼は「これはパイが大きくなっている証拠です。大きなチャンスであり、他の人もそれに気づいているんです」と言ったのです。

同様にNFTの領域は非常に巨大なので、多くのプレイヤーが活躍できる余地があると思っています。私はこの領域で活躍する最先端の企業2社の役員を務められることを大変幸運に思っています。両社が衝突しかねないなどとは思いません。もちろん、もしそのような展開になったり、エコシステムがそのように進化したりした場合、元連邦検察官として私が対処しなければならないことになるでしょう。

暗号の創始者たちに注目されたければ、ベンチャー企業は登録投資顧問になる必要があるかどうかという質問についてハウン氏は明言を避けたものの、理に適っているのではとほのめかす。

暗号化専用ファンドはすべてRIAとして登録されています。今では多くのファンドが存在していますが、すべてRIAとして登録されているのです。規制状況が非常に不確実な今、トークンを保有したいのなら賢明なことでしょう。

画像クレジット:Dani Padgett

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

「誰かWeb3を見た人はいるか?」テスラ/SpaceXのイーロン・マスクと元Twitter CEOのジャック・ドーシーがWeb3を語る

「誰かWeb3を見た人はいるか?」イーロン・マスクとジャック・ドーシーがWeb3について語る

Handout . / reuters

元Twitter CEOのジャック・ドーシー氏と、テスラ/SpaceXのイーロン・マスク氏はともにBitcoinの信奉者ですが、月曜日にこの2人は「Web3」というキーワードで互いに意見を述べ合いました。

まず、Web3とは一体何なのかというところからですが、ざっくりいえば、次世代のインターネットの姿を漠然と現すために使われている単語ということです。2000年代中頃にはWeb 2.0という言葉がよく使われていましたが、Web3もそれと同じように、今の時点から見た将来のインターネットを指しています。

もう少し具体的に説明を付け加えると、Web3を考える人は現在のインターネットがGoogle(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Appleによって大半のデータやコンテンツを握られ、支配されすぎていると考えています。実際われわれはインターネット上に共有した膨大な量のデータやコンテンツをこれら企業に蓄積、利用させています。またその弊害として行きすぎたターゲティング広告の氾濫などといった問題も表れています。

そして、未来のインターネットとなるWeb3では、こうした集中、集約型のネットワークとは違う、分散型のネットワークを基本にブロックチェーン技術に基づくインターネットが利用されるようになるとよく言われ、企業や起業家らがWeb3となるような技術やその他仕組みを設計、構築しようとしています。

現在のところ、Web3はまだ漠然としたものであり、流行のNFTや暗号資産を支えるブロックチェーン技術によってそれが実現されれば将来のインターネットはイケてる感じになるだろうと人々は夢想している、と言う段階の話です。

イーロン・マスク氏は、月曜日に1995年に当時マイクロソフトCEOだったビル・ゲイツ氏が人気司会者デイヴィッド・レターマン氏とインターネットに関して話している場面を使ったTikTok動画をツイートし「当時ほとんど想像できなかったような現在の状況を考えると、未来はどうなっているんだろう?」と述べました。

そして「今のところ、Web3が本物、現実のものというよりはマーケティングのためのバズワードのようだが、10年後、20年後または30年後の未来はどうなっているんだろう。 2051年なんてクレイジーなほど未来にじゃないか!」と続けました。さらに翌日、マスク氏は「誰かWeb3を見た人はいるか?私は見つけられないのだが」ツイートしました。

これを見たジャック・ドーシー氏は「それはきっとa~zの間のどこかにあるよ」と返答しました。これはWeb3の理想を追う人たちに向けたちょっとした皮肉で、Web3はすでに早くからFacebookを支援していたベンチャーキャピタル企業のAndreessen Horowitz(a16z。aで始まりzで終わる)が管理下に置いているとの意味を暗に示しました。ドーシー氏の考えは最終的にWeb3がどんな形になるのであれ、それを所有するのはベンチャーキャピタル(VC)とそのリミテッド・パートナーシップ企業(LP)であり「彼らの支配から逃れることはできないだろう」とツイート、結局は呼び方を変えただけの中央集権方式なのだと主張しています。

このドーシー氏のツイートには、大量のいいねやリツイートが付きましたが、一方で「大間違いだ」「まったくもって同意できない」といった否定的なコメントもあります。まあ、まだマスク氏ですら見つけられていないものがどんな風になるのか、いったい誰にわかろうかという話ではありますが、今のインターネットと、皆が思う理想のインターネットの形が違うのは間違いなさそうです。

(Source:Elon Musk(Twitter)Jack Dorsey(Twitter)Engadget日本版より転載)

テック起業家がジョンソン英首相をパロディ肖像画NFTで風刺、収益をホームレス支援チャリティに寄付

NFT市場はクレイジーなものとなったが、NFTが莫大な価値を持つようになっても、猿やパンクのポン引き画像以外にも、NFTを使ってできることは増えてきている。

例えば、マンションがNFTとしてオークションにかけられるのも我々は見てきた。

関連記事:キエフのアパートが収集可能なNFTとして初オークション、ブロックチェーンスタートアップPropyが企画

そして最近は、慈善団体がこの熱狂状態からメリットを得て、新しいオーディエンスを惹きつけつつ、透明性のある方法で資金を調達しようとしている。

Binance(バイナンス)でも、Binanceチャリティ財団が設立したオープンプラットフォーム「NFT for Good」を立ち上げ、人々が自分のアートやクリエイティビティを社会的・人道的な問題を対象としたオークションに変換できるようにした。

NFTが資金調達のプロセスをゲーム化していることが、こうしたプロジェクトが成功している理由の一つだ。

同時に、暗号アートは、ダダイズムや風刺のリアリズム領域に入りつつある。2017年7月のICOで、最初の30分で3万ドル(約342万円)を調達したFUCKというイーサリアムのトークンを覚えているだろうか?今では、現在260.774イーサまたは104万ドル(約1億2000万円)の値がついている、NFTとしての世界で最もリッチな線(文字通り赤インクで描かれた線)がある。

NFTアートと風刺の世界は、NFTプラットフォームOpenSeaで公開されたばかりの新プロジェクト「Non Fungible Tories – The Boris Drop」でも融合している。

これは、英国のBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相を描いた8ビットパロディ肖像画のセットで、収益の52%(悪名高いBrexit、EU離脱投票の過半数と同じ割合)を、ホームレスを支援する英国の慈善団体に寄付するというものだ。

NFTシリーズでは、自らを「Pfeffel, a punk artist」と名乗るアーティスト(英国を拠点とするテック企業の創業者であることが、TechCrunchによって確認されている)が、ジョンソン英首相の最も有名な言葉を風刺している。

Pfeffel氏は「a clown, an oaf, a wager of culture war, and a pound-shop Churchill(道化師、愚か者、文化戦争の賭け人、1ポンドショップ[訳註:100円ショップのような意味合い]チャーチル)」へのトリビュートとして、ジョンソン氏の「Watermelon smile(スイカの微笑み)」「Letterbox(レターボックス)」、そしてジャーナリストの質問に答えずに冷蔵庫に隠れた瞬間などの名言をもとに、一連のNFTを作成した。

また、英国でパンデミックのロックダウンの最中に、No.10(官邸)でパーティーを開きチーズやワインをふるまっていたという、最新の論争も風刺している。この「2ビットの政治家の8ビット画像」はすべて初版となる。

Pfeffel氏は、クリスマスシーズンに英国の路上で生活するホームレスの人々を支援する慈善団体「Crisis at Christmas」に、NTFオークションの利益を寄付することを約束した。

確かにNFTのアーティストにとって、ジョンソン氏のネタはいくらでもある。

​​ジョンソン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックに関して「fuck business(ビジネスなんてクソ食らえ)」や「let the body pile up(死体を山積みにしてしまえ)」というような言葉を使ったことで有名になり、「配慮と良心のない」政治家としての評価が高まっている。また、英国の援助予算を削減し、同国は彼の任期中に欧州で最も新型コロナによる死亡率が高くなり、G7の中で最も深刻な経済不振に陥っている。

Pfeffel氏はTechCrunchに語った。「悪魔を懲らしめる方法のひとつは、彼を笑うことです。私のアートはジョンソン氏を笑い飛ばします。これらのNFTが、死体が山積みになっているのにパーティーを楽しんでいるように見える政府から忘れ去られた路上の人々の苦しみを、何らかの形で和らげる手助けになることを期待しています」。

オークションは、英国時間12月21日正午(日本時間12月21日午後9時)に開始され、大晦日の正午に終了する。

オークションの最新情報は、こちらのTwitterでご覧いただける

画像クレジット:Non Fungible Tories – The Boris Drop

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札

手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札double jump.tokyoは12月20日、メタバース連携を支援するNFT事業支援サービス「NFTPLUS」を通じプロデュースを行っている、手塚プロダクション初の公式NFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu」(手塚治虫のかけらたちより)において、シリーズ第1弾「鉄腕アトム」のデジタルアートNFTが120ETH(約5300万円)で落札されたと発表した。鉄腕アトムに続き「ブラック・ジャック」「火の鳥」の3種を現在企画中で、順次展開予定としている。

鉄腕アトムは、手塚治虫氏の漫画原稿で構成されたモザイクアートNFTとなっており、2021年12月18日にNFTマーケットプレイスOpenSeaで行われたオークションにおいて落札された。手塚プロダクションは、同プロジェクトのデジタルアートNFT(モザイクアート・ジェネレーティブアート双方)の純売り上げをユニセフと日本の子供のための組織に各10%寄付する。手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札

From the Fragments of Tezuka Osamuは、日本のマンガの礎を築いた手塚治虫のチャレンジャー精神を受け継ぎ、デジタルアートNFTという新たなジャンルで手塚作品やメッセージ性を魅力的に発信するというプロジェクト。手塚治虫の代表作品を題材に、「モザイクアートNFT」「ジェネレーティブアートNFT」の2形態でデジタルアートNFT作品を展開している。


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Z Fellowsが暗号資産関連の起業家を募集中、その熱量を重視し1週間のプログラムで約113万円提供

資本力は起業するための助けとなるかもしれないが、そもそも大きなことを考えるために必要な活性化エネルギーがなければどうだろう?Cory Levy(コーリー・レヴィ)氏は、後者の方が重要だと考えている。

創業者と投資家を円滑に結びつけるためのサービスを提供するFirst Text(ファースト・テキスト)を起業したレヴィ氏は2020年、そんな自分の考えを試すためにZ Fellows(Zフェローズ)を起ち上げた。このアクセラレーターでは、1週間のサバティカルプログラムを用意し、志の高い創業者には、上限10億ドル(約1130億円)の任意の株式として1万ドル(約113万円)の小切手が提供される。

「これまで最高のプログラムは、Y Combinator(Yコンビネータ)でもThiel Fellowship(ティール・フェローシップ)でもそうですが、学校を中退したり、離職してアイデアに取り組んだりと、高いコミットメントと人生の大きな決断を必要とするものでした」と、レヴィ氏は説明する。「そんなことをせずに、2、3日、あるいは1週間ほど費やすのならばどうでしょう。生活に大きな支障はあるでしょうか。気に入ればすばらしいし、気に入らなくても害や不都合はないでしょう」と、同氏はいう。

4つのコホートとともに、Z Fellowは、計算されたリスクと活性化エネルギーを、(予想通り)暗号資産の世界にもたらすというビジョンの拡大を発表した。

現在、応募を受け付けているこの新しい暗号資産に特化したアクセラレーターは、依然として従来のベンチャーキャピタルのチェックが付くものの、規制に対応する方法から、分散型の世界でテクノロジーを活用するための最善の方法まで、この分野における多くのノウハウについて、それぞれに合わせたプログラムが用意される。さらに10億ドル規模の暗号資産企業に関わっている創業者や投資家が、メンターシップや講演、毎日のスタンドアップに参加するという。

これは、さまざまな分野に焦点を当てた垂直型アクセラレーターの第1弾となる可能性がある。また、レヴィ氏はこれが、何十億ドル(数千億円)もの資金が投入され(そしてさらに何十億ドルもの資金が計画から調達される)暗号資産にとっては、その場しのぎ的なものであると考えている。同氏は、暗号資産インフラストラクチャ、NFT(非代替性トークン)、DAO(分散型自律組織)、DeFi(分散型金融)プロトコル、ゲームなどに取り組むスタートアップを探している。

Z Fellowsは、Y Combinatorほどの賛同者を必要としないため、品質保証が問題となる可能性はある。とはいえ結局のところ、起業の夢に手を出そうと思うなら、1週間のPTO、1万ドルの小切手、低リスクのチャンスに惹かれない人はいないだろう。現在、Z Fellowsの約3分の1は、女性、有色人種、移民など、過小評価されやすいグループ出身の起業家で占められている。

今のところ、創業者のレヴィ氏は、厳しい審査をするよりも、アイデアを試すように人々を促すことに重点を置いている。同氏は今でもすべての参加者を自分で面接する。資本が豊富な今日の環境において、Z Fellowsを際立たせているものは、期限を定めたフェローシップとメンターシップの特質であると、レヴィ氏は考えている。

「彼らは資金を必要としていないかもしれませんが、メンターシップや賢人たちのネットワークは、常に価値あるもの1つだと思います」と、レヴィ氏はいう。「それは、Web 2.0においてもWeb 3.0においても、当てはまることです」。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LINEが米韓で新組織「LINENext」設立、グローバルNFT市場サービス来春開始に向けて準備中

Zホールディングスの完全子会社で、メッセージングアプリを提供する日本の企業LINE株式会社(ライン、LINE Corporation)は、新組織「LINENext」を通じて、日本を除くグローバル市場で企業や個人がNFTを取引するためのマーケットプレイスを提供するため、2022年からNFTサービスを開始する。LINEは別途、日本市場に適合した「LINE BITMAX Wallet」を通じてNFT市場のベータ版を運用していると、LINEの広報担当者は述べている。

LINEは先週、グローバルなNFTエコシステムの拡大に注力するため、韓国と米国にLineNextを設立したことを発表した。

約100名の従業員を擁する韓国のLineNextでは、グローバルNFTプラットフォームの戦略・企画、米国のLineNextでは、NFTプラットフォーム事業の開発・運営を行っている。広報担当者によると、米国オフィスの従業員は55名だという。

LineNextはプラットフォームプロバイダーであるため「トランザクションの仲介手数料が主な収益源となり、将来的には他の追加収益源も予定しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。

LineNextは現在、約20社のグローバルパートナーと提携の可能性について協議していると同担当者は述べている。

LineNextの新しいグローバルNFTプラットフォームは、世界中の企業やクリエイターが市場を構築し、一般ユーザーがNFTを取引するためのコミュニティやエコシステムを構築することをサポートする。

LINENextのCEOに就任したLINEアプリ製品(およびLINEフィンテック企業)のチーフプロダクトオフィサーYoungsu Ko(コ・ヨンス)氏は、こう述べている。「NFTは、デジタル分野を変革し、コンテンツ、ゲーム、ソーシャル、コマースなどのあらゆる分野でユーザーエクスペリエンスを革新する、一種の技術インフラです。LINEはイノベーターとして10年以上の実績があり、アジアで最も人気のあるテック企業の1つとなっています。当社はグローバルパートナーとともに、エキサイティングな新分野であるNFTにおいても同じことを目指していきます。韓国オフィスはNFTプラットフォームのグローバル戦略、米国オフィスはNFTのビジネス面に注力します」。

LINENextは、メッセンジャーやブロックチェーンサービスを開発・成長させてきたLINEの豊富な経験を活かし、企業、クリエイター、ユーザーのNFT体験を変革することを目指している。

LINEは、2018年にLINE Blockchain Labを設立して以来、暗号資産「LINK」を発行し、暗号資産取引所であるLINE BITMAXを日本で、BITFRONTをグローバルで運営している。また、ブロックチェーンサービス開発プラットフォームである「LINE Blockchain Developers」を運営し、日本ではLINE BITMAX Wallet上にNFTマーケットのベータ版を開設している。

すでに130万件以上のNFTが、ZEPETO(ゼペット)や電通などさまざまなブロックチェーンパートナーによって発行され、知的財産やコンテンツ、ゲームなどが紹介されているという。

画像クレジット:screenshot / LineNext

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

NFTをふるさと納税の返礼品に活用する取り組みの推進に向け札幌拠点の「あるやうむ」が2100万円のシード調達

あるやうむは12月17日、シードラウンドにおいて、総額2100万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Skyland Ventures、林隆弘氏(HEROZ代表取締役Co-CEO)、佐藤崇氏(スマートアプリ創業者、エフルート創業者)。調達した資金は、ふるさと納税の返礼品にNFTを採用するソリューションを自治体に営業するための費用、NFTが返礼品となるポータルサイトの開発費用にあてる。

あるやうむによると、11月24日に「総務省告示百七十九号第五条第五号に沿うイラストのデータをNFT化してふるさと納税の返礼品としてよいか」という質問を総務省市町村税課に行ったところ、「そのイラストが総務省告示百七十九号第五条第五号に適合している場合は可能である」という回答を得たそうだ。

2020年11月設立のあるやうむは、「地域間格差の解消」をビジョンに掲げ、地方に眠る資源とNFTをつなげる北海道・札幌のスタートアップ企業。社名は「あるやうむ」は、アラビア語で「今日」という意味だという。

同社は、暗号資産やNFTへの関心・購買が強い方にふるさと納税の返礼品としてNFTを提供することで、自治体の税収増が見込めること、デジタルアートNFTの場合その自治体の観光資源をアートに盛り込むことで聖地巡礼需要を喚起し、交流人口の増加につなげられることなどを挙げている。

北京の裁判所がビットコインのマイニング契約を「無効」と判決

暗号資産投資家ならよく知っているように、中国はすべての暗号資産取引を違法とし、暗号資産マイニング活動も違法行為だと宣言している。最近出された、裁判所の判決は、ビットコインマイニング活動を可能な限り抑制するという政府の姿勢を改めて示したものだ。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

裁判所からの通達によれば、中国時間12月15日、北京の朝陽区の裁判所は、ビットコインマイニングからの支払いの遅延をめぐる契約紛争を審理し、サービス契約は「無効」であるとの判決を下した。

原告は、被告である契約したマイニング会社が、中国時間12月15日時点で約1800万ドル(約20億5000万円)相当の278.1654976ビットコインを支払わなかったために、法廷へ持ち込んだのだ。

告示によると、北京の裁判所がビットコインのマイニング契約を無効と宣言したのはこれが初めてだという。判決に続いて、裁判所は、事件で言及されたマイニングが行われたエネルギーの豊富な四川省の関係当局に、似たような他の活動を「パージ」するよう要請した。

裁判所の判決は、驚くことではないが、海外企業に中国の暗号資産会社との取引を思いとどまらせる可能性がある。中国はすべての暗号資産の取引、交換、投資を違法と見なしているが、多くの暗号資産会社は、海外の顧客にサービスを売り込みながら、依然として国内でエンジニアリングと運用を継続している。

中国は2019年という早い時期に暗号資産のマイニング禁止を検討し始め、2021年にはその実施を本格的に強化し始めた。9月には、中国の国家計画立案者である国家発展改革委員会から、暗号資産のマイニングは「エネルギーを大量に消費し、大量の炭素排出を生み出し、経済にほとんど貢献しない」との通達があり、そのような活動は「排除されるべきである」と述べられている。

問題となった署名済の契約は「社会および公共の利益を損なうため、無効である」と北京裁判所は述べている。そのため、それに関連する権利と利益は「法律によって保護されるべきではなく」、関係する当事者は彼らの行動の「結果を負うべきである」ということなのだ。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

画像クレジット:Sapphire / Getty Images

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

NFTとファッションを融合させたRTFKT、人はメタバースで何を大事にするのか

12月2日から3日にかけてオンラインで開催されたスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」。2日目午後2時50分から3時25分にかけて行われた「NFT & メタバース」のセッションでは、RTFKT(アーティファクト)共同創業者Benoit Pagotto(ブノワ・パゴット)氏が登壇し、最近話題のメタバースという世界を生きる中で、NFTという技術をどのようにファッションと融合させることに成功したのかついて解説した。モデレーターはOff Topicを運営する宮武徹郎氏だ。

また、RTFKTはイベント後の米国時間12月14日、Nikeに買収されている。

関連記事:ナイキが話題のNFTスタジオ「RTFKT」買収、TC Tokyo 2021にも登壇

デジタルとファッションの融合を実現したRTFKT誕生の経緯

RTFKTの共同創業者であるブノワ氏の経歴は興味深い。起業前は、欧州のeスポーツチーム「Fnatic」のブランディング、およびマーケティングの責任者として働き、それ以外にもDior、パリの高級コレクトショップcoletteなどのブランド戦略をも手がけてきた。好きなものは、アニメとゲーム、日本のサブカルチャーなど。

さまざまな要素が彼の中に混在し、RTFKTは、その発露ともいえるようなスタートアップ企業だといえる。

RTFKTが生まれたのは、ブノワ氏がZaptioことSteven Vasiley(スティーブン・ヴァジリー)氏、Chris Le(クリス・リー)氏とeスポーツ内で出会ったことがきっかけだ。

「学校にいるよりもゲーム内にいることの多いような人にとって、自己表現を行うには、どのようなスキン(ゲーム内で使うアバターの見た目)を持っているかが重要だ」とブノワ氏。「そこで、多くの人気スキンを作っていたクリスに連絡を取り、チームのためにゲーム『CS:GO』用のスキン制作を依頼したのが始まりだった」。

「当時、ストリート文化ではスニーカーが流行しつつあった。クリスはCS:GOのスキンに、実在ブランドのスニーカーを取り入れていた。ファッションとゲーム文化の融合。とても良いと感じた」(ブノワ氏)

その後、「フォートナイト」に登場するレイブンのスキンにアディダスのスニーカーYeezy 700を組み合わせた絵を、チームのInstagramに投稿したところ、かつてないほどの反響を得る。

「実在するブランドとゲームという異なる文化を融合させることで、個性的なものになる、と確信した」(ブノワ氏)

ブノワ氏のチームは、2018年に欧州チームとして数年ぶりに決勝進出を決めた。そして、決勝という晴れ舞台に立つ選手用に、赤いカスタムスニーカーを準備。残念ながら、優勝は逃したが「靴もかなり注目を集めた」とブノワ氏。「そこで、記念エディションとして翌年1月に、スニーカーと限定パーカーを製作。在籍企業がゲームスキン用NFT制作を始めていたので、それも同梱した。その初めての試みを通じ、僕たち3人はどんどん仲良くなっていった」。

やがて、3人の経験を持ち寄れば、誰にも真似できないブランドを作れるのではないかと思ったブノワ氏は、RTFKTの構想を立て、コンテンツを制作。Instagramに投稿したところ、好評だったため、事業化を計画する。

「それまで、ゲームと暗号技術をつなぐ真のブランドは存在していなかった。アニメ、ゲーム、レトロファッション、そしてNFT。情熱を注いだそれらを融合させ、未来のブランド像を示したかった。そして、ゲームに関連したファッションやキャラ、考え方をメタバースの中で広めていきたかった。それも非独占的に。それが創業に際しての理念だ」(ブノワ氏)

そして、それまでの仕事を辞め、2020年1月にRTFKTを立ち上げたのだ。

デジタル所有物は環境負荷を軽減する

そして2年目。ブノワ氏は、この1年を「自分たちほどたくさんの仕事をしたブランドはない」と豪語する。

2021年1月にはPCゲーマー向けにPCパーツやゲーミング周辺機器を開発・販売しているNZNXとバーチャルまたリアルでスニーカーを作るパートナーシップを締結した。それに先がけて紹介したゲームスニーカーの動画が反響を呼んだのはいうまでもない。

また、スニーカー界のレジェンドとも呼ばれ、ストリート系ブランドSTAPLEの生みの親であるジェフ・ステイプル氏とのコラボも実現した。

「個人的に気に入っているのは、PUNKS PROJECTだ」とブノワ氏はいう。「1万足の、それぞれユニークな(他とは異なる)スニーカーをCrypto Punksとともに作った」と振り返る。それぞれを異なるものにしたのは、以前にいた業界で目にしたことが関係している。

「高級ファッション業界で見てきたのは、大金をかけて没個性的になってしまっている人々だった。ヴィトンの鞄は高くても、世界中にゴマンとあるでしょう?」と問いかけた。

「1万足の完成品は、どれもクールで個性的。(Crypto)Punksの感性にマッチしたものだった」とブノワ氏。「送付方法は、TwitterのDMで。1対1ということもあり、毎晩2時まで作業していた」と振り返る。

「彼らと面識はないが、特別な一体感を感じた。これは前例のない功績だろう。とても誇らしく感じる」(ブノワ氏)

すべてのスニーカーは、当然NFTの技術を使っている。そのため、それぞれが一点物であり、デジタルであってもコピーできない。リアルなスニーカーと同じく、ユーザーはそれを「所有」している。

ブノワ氏は「デジタル物の所有はとても大切だ」という。「ゲームでスキンやキャラに大金を注ぎ込んでも、ゲーム機の世代が代わったり、ゲームそのものが終わってしまったり、アカウントが何らかの理由で停止させられてしまったりすれば、すべてが水の泡。ゲームの外に持ち出せなかった」と解説。

「しかし、NFTであれば、自分で所有できるため好きなときに交換できる。NFTに出会ったとき、真っ先にゲームでの活用を考えたのは、デジタル物を所有できる技術だと感じたからだ」(ブノワ氏)

人は、リアル世界でモノを所有することを重視するが「現実よりも仮想空間で長く時を過ごすようになれば、仮想空間でデジタル化されたものを持ちたいと思うようになるでしょう」とブノワ氏。「仮想生活が、現実以上に重要になりえる」という。

そして、仮想空間での生活の重みが増すことにより、フィジカルなモノよりデジタル化された所有物が増え、それは環境負荷を軽減させるものになると考えている。

さらに「メタバースでは人が区別されることのない世界。そこでの生活の創造性をグッと高めたいし、新興ブランドとしてその先鞭をつけるのが重要だと考えている」と語った。

「ファッション企業では、販売ありきで創造を行う。その流れを逆転させたい。たとえ無名でも、たとえ非常に若くても、斬新なものづくりをしている優れたクリエイターを起用していきたい。そして、利益を分かち合っていきたい。創造行為と権力の関係を変えていきたい」(ブノワ氏)

習うより使って学ぼう

11月に予約販売が始まった「Clone X NFT」についての話も行われた。Clone X NFTは、身につけるものではなく、アバターそのものを2万体制作するというプロジェクトだ。

思いついたのは、Crypto Punksとのコラボを発表したときだとブノワ氏はいう。「ファッションブランドには、あれが究極のプロジェクトだったが、キャラクターを作れば世界が変わる。ブランドがキャラクターを作れば、その特定ブランドから継続的に購入するようになり、ブランドの存在感に変化が生じるようになる」という計算だ。

人型の3D制作にはDaz 3Dを、アバターのデザインには「好きな要素を全部詰め込み」アニメの要素を組み込んだ。

ファッションコレクションも同時進行で制作していった。「150点ほど作ったので、コーディネートすることもできる」とブノワ氏。「デジタルで制作したそれらのファッションを、現実世界でも身につけたいと考える人が出ることだろう」。まさに、バーチャルとリアルの融合だ。

ブノワ氏は、これを「ファッションブランドの新時代の始まり。ブランドの礎、エコシステムの始まり」と位置づける。

なお、村上隆氏がClone X NFTにコラボするようになったいきさつについては、そもそも日本が好きで、日本のアニメ、ゲームなど日本文化を「世界一すばらしい」と感じている3人が、ファンである村上氏から、Instagramアカウントをフォローされたことに端を発しているとのこと。

「すぐにDMを送り、コラボを意識して連絡を交わした。そして、このプロジェクトが実現した」(ブノワ氏)

「NFTは新しい技術。使っているとクールに見えるため、『NFTって何?』と尋ねられることも多い。でも、僕は言いたい。知りたいのなら、使ってみようよ、と。それが最大の学びになる。NFTでデジタル物を所有するとはどういうことなのか。利益のこととは関係なく、ぜひとも(Clone X NFTの)アバターを使ってみて欲しい」とブノワ氏はいう。

音楽のNFT販売を支援するプラットフォーム「Sound.xyz」がa16zから5.7億円調達

2021年、私たちはNFT(非代替性トークン)がビジュアルアート販売の経済を揺るがす証拠を山ほど見てきたが、アート世界の別分野、たとえば音楽の経済をWeb3がひっくり返す、という動きはあまり見ることがない。

Sound.xyzは、ミュージシャンがNFTを通じて収益をあげるためのコミュニティを作ろうとしているスタートアップで、ミュージシャンたちを、いわゆる「web3 fold」(ウェブスリー・フォールド)と呼ばれる集団に導くための一連のツールを開発している。2021年12月、同社は最初の製品、Listening Parties(リスニング・パーティーズ)を公開した。アーティストが新曲のリリースにタグ付けされたNFTを販売できるようにするツールだ。

同社はAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードしたシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)調達したことをTechCrunchに伝えた。ラウンドには他に、Variant Fund、Weekend Fund、Scalar Capital、Flamingo、Packy McCormici、および21 Savageらが参加している。

同スタートアップは新進アーティストがNFTを活用し、自分たちの作品をより効率的に収益化できるようすることで、Spotifyなどのプラットフォームで得られるストリーム当たり1セント(約1円)以下の利益を乗り越えて欲しいと思っている。

「私たちはアーティストが自分たちの楽曲を新しい方法で収益化するためのツールセットを作っています」とSoundのCEOであるDavid Greenstein(デビッド・グリーンスタイン)氏がTechCrunchに話した。「私たちが解決したい問題は、『音楽を聴いてもらい、アーティストにお金が入るにはどうすればよいか?』です」。

スタートアップは、コミュニティに参加している数多くの「暗号化に理解のある」レコーディングアーティストたちとパートナー契約を結んだ。早期の作品は、数十曲の限定エディションNFTで、すぐに完売した。1万ドル(約114万円)分のNFTを売ることは、100万ドル(約1億1410万円)のセールスに慣れている業界にとって注目に値しないと感じるかもしれないが、同じ金額をSpotifyで稼ぐために数十万回のストリームが必要なアーティストにとっては大きな違いだとグリーンスタイン氏はいう。同社はアーティストの楽曲に結び付けられたNFTの需要を測定しているので、アーティストはコミュニティにさらにNFTをリリースするインセンティブがある。同社がNFTの販売手数料をとっていないことは注目に値する。

チームは他にも、NFT所有者がストリームにコメントを書いてアーティストに読んでもらう、といった機能も実験している。いずれは、ミュージシャンがファンのクラウドファンディングで新しい作品を作ったり、新しいプロジェクトに挑戦できるツールや、収集家が新しい作品を発見したり自慢するための新しいインセンティブモデルを作ろうとしている。

SoundはNFT音楽分野で唯一のプレイヤーではない。2021年11月、a16z Cryptoは、ロイヤリティをトークン化してファンに販売するNFT音楽プラットフォームであるRoyal(ロイヤル)に投資した。ブロックチェーンを利用した音楽ストリーミングプラットフォームAudius(オーディウス)は、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)とCoinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)らから、1350万ドル(約15億4000万円)以上の資金を調達た。

関連記事:NFT音楽著作権のスタートアップRoyalがa16z Cryptoの主導で63.1億円調達、前ラウンドからわずか3カ月

画像クレジット:Sound

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ6球団およびパシフィックリーグマーケティング(PLM)とメルカリは12月16日、2021年12月(予定)より、パ・リーグ6球団として初めてNFT事業で連携し、パ・リーグ6球団の名場面やメモリアルシーンをコレクションできる「パ・リーグ Exciting Moments β」の提供を開始すると発表した。試合映像を使ったNFT事業にスポーツリーグが参入するのは日本初の試み。まずは販売のみの機能提供となるが、2022年めどにブロックチェーンを活用したサービスの提供やコレクションの再販機能の提供など、ファン同士のコミュニティ活性化を目的としたマーケットプレイスの構築も検討する予定。パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ Exciting Moments βは、パ・リーグ6球団の記憶に残る名場面やメモリアルシーンを捉えた動画コンテンツを自分だけのコレクションとして保有できるパ・リーグ6球団公式のサービス。

初期ラインナップ「Series 1 – ’21 Season Best Players」は、2021シーズンで特に活躍した選手を中心に計18プレーを収録予定。シーンや選手に応じて、★の個数でレアリティが付いており、専用ウェブサイトで購入できる。通常の試合の公式映像は、ダウンロードなどは禁止されているが、購入したコンテンツの場合は、ダウンロードして購入者が自身で保有したり、サービス内機能を活用時のみSNSなどでシェアすることも可能。

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

初期ラインナップ「Series 1 – ’21 Season Best Players」の計18選手(予定)。かっこ内は初期限定販売数。初期販売においては、★1つの販売はない

昨今のコロナ災禍などにより、各球団は、主要な収益ポイントとなっているチケット販売・飲食販売・グッズ販売などの機会が大きく減少し、前年比半減近い売上となった球団があるなど、業界全体で厳しい事業環境が継続しているという。また、より中長期的な課題として、球場にファンが訪れることで生まれていた直接的なコミュニケーションの機会が失われることによるファンの減少などの可能性もある。

またメルカリは、2021年4月にメルコインを設立し、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行ってきた。

そこで今回、パ・リーグ6球団およびPLMとメルカリが連携することで、プロ野球ファンに対して、自分の好きなシーンを購入し、いつでも視聴でき、自分だけのコレクションとして保有できるサービスをスタートする。今後は、メルカリがフリマアプリ「メルカリ」で培ったマーケットプレイスの知見を活かし、2022年をめどにブロックチェーンを活用したサービスの提供やコレクションの再販機能の提供など、ファン同士のコミュニティ活性化を目的としたマーケットプレイスの構築も検討する予定。

パ・リーグ6球団およびPLMが持つ豊富で貴重なコンテンツとメルカリが持つマーケットプレイスの知見と技術力を融合し、新たなスポーツビジネス、ファンコミュニケーションの形を構築する。パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

ウータン・クランの幻のアルバムを手に入れたNFT投資家グループをアンドリーセン・ホロウィッツが支援

Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のアルバム「Once Upon a Time in Shaolin」や、Doge(ドージ)のオリジナル写真データのNFT(非代替性トークン)を購入した暗号資産集団に新しいメンバーが加わった。ベンチャーキャピタル会社のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)だ。

同社はTechCrunchに、PleasrDAOへの投資を行ったと述べている。PleasrDAOは、ブロックチェーンで連合したグループで、数十人の暗号資産投資家がチームを組み、ここ数カ月で高額なNFTを次々と購入している。このグループが購入したものには、4億円以上(正確には1696.9ETH)で落札した後、後に細分化して暗号コミュニティに販売した有名なDoge画像がある(現在の時価総額は100億円以上と見られている)。また、このDAOはEdward Snowden(エドワード・スノーデン)の作品に約5億5000万円(2224ETH)、ウータン・クランのアルバムに400万ドル(約4億5000万円)を払っている。

DAO(decentralized autonomous organization、自律分散型組織)とは、基本的にブロックチェーンの投票メカニズムを中心に形式的に組織されたグループで、意思決定や資本投資を行うというものだ。

A16z Crypto(アンドリーセン・ホロウィッツの暗号資産投資部門)によるPleasrDAOへの投資は、彼らが公に発表した組織タイプへの最初の投資というわけではない。

同社は10月、Friends With Benefits(FWB、フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)というDAOに投資を行い、これを1億ドル(約114億円)と評価している。Andreessen Horowitzは、PleasrDAOへの投資規模を明らかにしなかったが、評議員のSantiago Santos(サンティアゴ・サントス)氏は、このDAOの管理トークンに対する彼らの全体的な出資額が「5%未満」だと明言している。

他の多くの暗号資産グループと同様に、PleasrDAOはそれが形成されたとき、非常に特異な野心を持っていた。それは、デジタルアーティストによる作品に入札すること。この場合はpplpleasrの作品だ。この作品は、分散型取引所プラットフォーム「Uniswap(ユニスワップ)」のアニメーションビデオ広告だった。このグループは、暗号資産創設者のLeighton Cusack(レイトン・キューザック)氏がオークションへのリンクをツイートし「誰かこれに入札するクイックDAOを作りたい人はいませんか?」と尋ねたことをきっかけに、3月に結成された。同グループは最終的に310ETH(当時約5800万円)で落札し、購入代金はすべてチャリティーに充てられた。

「DeFiの最も賢い頭脳の多くがここにいる、これを本当におもしろい方向に持っていく機会がある、と私たちはすぐに考えました」。サントス氏はTechCrunchにそう語った。「時間が経つにつれて、もっと構造と階層が必要だと感じられるところまで、このDAOは成長したと私は思います」。

このグループはその後も投資を続け、ポートフォリオを充実させるとともに、支援できる新しいアーティストの発掘を目指している。サントス氏は、このグループがNFTの「メディチ家」になることを目指していると語る。それは「多くのデジタルネイティブアーティストが集まり、参加や発見ができる場所」だという。

「DAOはWeb3と暗号資産の最も純粋に近い現れ方です」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤーヤ)氏はTechCrunchに語った。

a16zは早くから暗号資産に取り組んできたが、この分野の創業者や開発者ネットワークの近くで活動するいわゆる「暗号ネイティブ」な投資ファンドの台頭により、a16zのような従来型の企業にはDAOのような新しいグループをより大胆に支援する必要性が生じてきた。Andreessen Horowitzは、方針や規制に関する懸念など、PleasrDAOを支援できる領域がたくさんあると見ている。DAOは現在、プールされた資本の規制されていない投資ファンドとしてグレーゾーンで運用されているように見えるからだ。

A16zのこのグループへの賭けは、多くの意味で、同グループがすでに大きく賭けているNFTへのレバレッジ賭けである。

A16zは2021年、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)や、大手NFTゲーム起業のSky Mavis(スカイメイビス)、NFT音楽プラットフォームのRoyal(ロイヤル)などに出資した。また、高価なNFTの買い取りに特化した1億ドルのベンチャーファンド「Meta4」にも参加している。これらの投資は、同社が2021年の夏に起ち上げた22億ドル(約2500億円)の巨大な暗号資産特化ファンドから行われている。

「NFTの可能性を過小評価することは簡単です」と、ヤーヤ氏はいう。「NFTが巨大化し、将来的にすべてのNFTの時価総額の合計が、代替可能トークンの時価総額よりも大きくなる可能性は十分にあります」。

関連記事:JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

画像クレジット:PleasrDAO

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

関連記事
Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収
CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

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画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi