AuroraがUber ATG従業員の大半にオファーを送るも、研究開発ラボは対象外

自動運転車企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)が、Uber(ウーバー)アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(Uber ATG)の自動運転部門の買収を発表したちょうど一週間後の12月17日に、その従業員の75%以上に対してオファーを送ったことが、合併後の統合計画に詳しい情報筋から伝えられた。

同情報筋によれば、研究開発を行っていた約50人の従業員を擁するUber ATGトロントは、オファーの対象にはなっていないという。また、Uber ATGの研究開発チームを率いていた(未訳記事)Uber ATGのチーフサイエンティスト、Raquel Urtasun(ラケル・ウルタスン)氏も対象外だ。Uber ATGのCEOであるEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏が、取引が完了した時点でオーロラに入社しないことは既に確認されていた。トロント大学の教授で、カナダ政府からMachine Learning and Computer Vision領域で”Canada Research Chair”に指名されており、同時にVector Institute for AI(ベクター・インスティチュート・フォーAI)の共同創業者でもあるウルタスン氏が、Auroraに移るかどうかはこれまでは不明だった。ウルスタン氏は、自動運転車のための機械認識の第一人者と考えられている。

Uber ATGで働く1200人のうち850人以上が、Auroraの共同創業者でCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏からメールでオファーを受けたという。TechCrunchが見ることができたメールの抜粋では、アームソン氏は、誰を選ぶかの決定は難しいと述べている。同氏は、この決定は、重複する領域、相対的な影響力、管理報告など、Auroraの具体的なビジネスニーズに基づいて行われたと書いていた。

Auroraはこのオファーについてコメントをしなかったが、Uberのトロントオフィスが、統合される会社に含まれないことは認めた。また、Uberの広報担当者も、トロントのR&DラボがAuroraに合流しないことを認めた。

「長期的な成長と成功に焦点を当てた独立系企業として、どこに、どのように資源を使うかを熟慮しなければなりません。私たちのミッションを果たすために、私たちは研究開発チームを別個に持つのではなく、開発プロセスとエンジニアリング業務に研究を織り込んでいます」と、Aurora社の広報担当者は電子メールの声明文に書いている。「私たちはラケル・ウルタスン氏と彼女のチームを心から尊敬しています。彼らがこれまでATGチームと業界全体の両方に与えてきた影響は驚くべきものです。彼女と彼女のチームはAuroraには合流しませんが、私たちは彼らの素晴らしい成功を願っています」。

もしオファーを受けたUber ATGの従業員が、全員申し出を受け入れれば、Auroraは2倍以上の規模になる。買収が発表される前には、Auroraはパロアルト、サンフランシスコ、ピッツバーグ、テキサスにあるオフィスに約600人の従業員を擁していて、Uber ATGはピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントにオフィスを構えていた。

AuroraとUberは、複雑な合意に達する前に何ヶ月も協議を重ねてきたが、合併後の企業の価値は100億ドル(約1兆円)となる予定だ。AuroraはUber ATGに現金は支払わない。Uber ATGは、昨年トヨタ、デンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1034億円)の投資を受け、72億5000万ドル(約7498億円)と評価されていた。現金の代わりに、UberはATGの株式を手渡し、4億ドル(約414億円)をAuroraに投資する。これにより米証券取引委員会への提出書類によれば、合体した会社の株式の26%を保持することになる。Uber ATGの株主はAuroraの少数株主となる。

今回の買収が発表された時点で、アームソン氏はTechCrunchに対し、今後60日間は2つのチームをまとめ「最初の製品を市場に送り出すのを加速させる技術は何かを冷静に検討し、それを増幅させていきます」と語った。

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画像クレジット:GettyImages
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(翻訳:sako)

MotionalとLyftが提携し2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)とHyundai(現代自動車)の40億ドル(約4140億円)の合弁企業であるMotional(モーショナル)は、Lyft(リフト)の配車ネットワークを使って完全ドライバーレスのロボタクシーサービスを2023年に米国の主要都市で立ち上げる計画だ。

Motionalが、ロボタクシーサービスの立ち上げ時期を具体的に示したのは初めて。LyftはラスベガスでMotionalのパートナーだったが、LyftがMotionalの商業化計画で主要パートナーとなると言及があったのも初めてのことだ。

今回の発表に先立ってネバダ州は2020年11月に、Motionalに完全ドライバーレスつまり運転席に誰も乗っていない車両の公道テストを許可していた。

MotionalとLyftが提携して3年になる。この提携は当初、2018年CESテックショー期間中にLyftのネットワークの自動運転車両で乗車を提供するという、1週間ほどの試験プログラムとして始まった。

MotionalとLyftの提携は、現代自動車との合弁会社設立よりも前に結ばれた。当時、MotionalはAptiv Autonomous Mobility Groupとして知られていた。常に人間のセーフティードライバーが乗り込んで展開されてきた実験は期間が延長され、現在も続いている。このプログラムでは2020年2月時点で、Aptiv(現在のMotional)の自動運転車両を使って10万回超の有料の乗車があった。

乗車回数が増えるにつれ、Aptivのラスベガスでの投資は拡大した。同社は2018年12月、自動運転車両を収容し、ソフトウェアとハードウェアシステムのR&D、認証、マッピングを専門とするエンジニアリングチームを置くために、13万平方フィート(約1万2000平方メートル)のテクニカルセンターをラスベガスに開所した。

Motionalは米国時間12月16日の発表について、提携の「飛躍的進歩」と表現する。ロボタクシーサービスは現代自動車の車両プラットフォームをベースにした次世代の車両を使用する。完全ドライバーレス走行、リモートでの車両アシストのために車両にはセンサーやコンピューター、ソフトウェアが搭載される。現在BMW 5シリーズとChrysler Pacifica Hybridミニバンを使用しているMotionalは、車両が「かなり」増えるだろうと話した。

ロボタクシーサービスをどの都市で展開するか、展開する車両の規模など詳細は明らかにしなかった。Motionalはボストン、ラスベガス、ピッツバーグでテストを行っている。Lyftとのロボタクシーサービス提携が初期に立ち上げられた都市以外でも展開される、とMotionalは明言した。ただし、Lyftが唯一のパートナーではない。2020年初め、Motionalはオンデマンドシャトル企業のVia(ビア)と2021年上半期に米国の都市で一般向けにシェアリングロボタクシーサービスを立ち上げることで契約を結んだ。目的はオンデマンドのシェアリングロボタクシーの青写真を描き、こうしたドライバーレスの車両が大量輸送機関に統合できるかを確かめることにある、と両社は述べた。

「この提携は、ドライバーレステクノロジーにおける我々のグローバルリーダーシップの証となります。我々は交通機関イノベーションの最先端にいて、ロボタクシーを研究から道路へと動かしています」とMotionalの会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は声明文で述べた。「目的は安全で信頼できる、そしてアクセスしやすいドライバーレスの車両を作るだけでなく、そうした車両を大規模に展開することにあります。これを実行するためにLyftと提携します」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:MotionalLyftロボタクシー自動運転

画像クレジット:Motional

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(翻訳:Mizoguchi

フォードの新型EV「マスタング・マックE」に初試乗、第一印象はがっかり

これは2021年型Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)スポーツSUVのレビューではない

数週間前、私はこのフォードが間もなく発売するEVに、2時間という短い時間のみ乗ることができた。わずか数時間ほど運転しただけで結論を出すのは気が引ける。マックEにはもっと時間が必要だし、フォードがこの記事を読んだ後、私はおそらく長期テストの列の最後に並ぶことになるだろう。

私がマックEと短い時間を過ごしている間に、1つのことが明らかになった。マックEはマスタングと呼ばれるべきではないし、SUVと呼ばれるべきではない。

マックEをマスタングのSUVと呼ぶことで、フォードは実体のない体験を顧客に売り込もうとしている。これは意味論による議論ではない。マックEは、伝統的な作法に則ったスポーティSUVではない。それはAudi E-Tron Sportback(アウディ・イートロン・スポーツバック)やTesla Model X(テスラ・モデルX)を見ればわかるだろう。これらはマックEに欠落しているいくつかの重要な特性を備えている。マックEが小さく、ゆるく、締まりがなく感じるのに対し、これらのSUVは頑丈で、骨太で、パワフルだ。

気になる点はいくつかある。私はヴィークルダイナミクス(車両の運動性能)に疑問を感じた。スロットルは不快感を覚えるし、リアエンドはトラクションを維持するのに苦労している。航続距離(一度の満充電で走れる距離)はライバル車に比べて劣っており、AWD(4輪駆動)バージョンはテスラの競合モデルより80kmも短い。電気自動車において、運動性能や航続距離よりも重要なことが他にあるだろうか?

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初期の印象

数週間前、私は2021年式マスタング・マックE AWDに乗って、ミシガン州南部の慣れ親しんだルートを回った。自動車ジャーナリストなら、誰もがこの地域をミシガン州の地獄と呼ぶことを知っている。だが、そんな名前とは裏腹に、原生林の広葉樹が並び、クルマが息を吹き返すような緩やかなワインディングロードが続く素敵なエリアだ。幹線道路を降りて、砂利道でちょっとしたスリルを味わうのも楽しい。しかし、このエリアはマックEには優しくなかった。

短時間のテストだったが、いくつかの印象が残っている。

マックEは、安物のクロスオーバーのようにガタガタと走る。乗り心地やハンドリングに自信も安心も感じられない。「マスタング」という名前がついていても、マックEはマスタングのようには走らない(冗談は置いといて、最新型のマスタングは素晴らしいクルマだ)。マックEは、コーナーに飛び込んで安全に立ち上がることを期待できるようなクルマではない。ボディは大きく傾き、後輪はだらしなく滑り、マスタングという名前に対する敬意は失われてしまう。

アクセルは過敏で微妙な調整がやりづらい。ペダルに足を乗せるだけで、マックEは前方に飛び出す。アクセルペダルを戻すと積極的に作動する回生ブレーキと相まって、マックEの運転には慣れが必要だ。パワートレインは気力が感じられない。電気自動車には洗練させるための修練が必要だ。電気モーターは滑らかに、そしてドライバーの予想どおりにパワーを供給する必要がある。威圧することなく、ドライバーに興奮と自信を感じさせなければならない。難しい公式であり、最初から正解を導き出せる自動車メーカーはほとんどない。

運転してすぐに、AWDのマックEのハンドリングの酷さに困惑させられた。最近のEVは、運転しても安定しているが退屈なものが多い。しかしマックEは違う。リアエンドは乗用車にしては元気が良すぎる。かといってスポーティな性格というわけでもない。これでは単に粗雑で無頓着なだけだ。普通の交差点を曲がるだけで簡単にタイヤが滑ってしまう。アクセルペダルを踏み込んで車輪を回転させようとすると、後輪が空転しないように頻繁にトラクションコントロールが作動する。

マックEをスポーティなクルマと言い張ることで、フォードは自らの技術力以上のものを顧客に期待させようとしているのだ。だが、ドライバーがマックEの性能面に向き合うと、緩みが生じてしまう。私がマックEに試乗していた時、普通にコーナーを回っているのに後輪が予想外の挙動をしたり、車幅が広すぎると感じることが何度かあった。これはスピードが上がるとさらに誇張される。AWDシステムが雪や氷にどれだけ対応できるかも気がかりだ。私が試乗中に、砂利の上で何度か苦労したからだ。

試乗後、フォードのエンジニアにオーバーステアがあまりにも強いことについて尋ねると、彼は「ああ、そんな運転をした場合にはね」と答えた。それが引っかかったのは、私は自分のせいではないと思うからだ。私はミシガン州アナーバー周辺で、マックEを特にアグレッシブに走らせたわけではない。しかも路面は乾いていた。それなのに、私の短いドライブの間に、何度かトラクションコントロールが作動した。そんなことはあってはならないはずだ。

マックEは、真っ直ぐ走る分にはずっと良かった。加速は速い。アクセルペダルを床まで踏み込むと、マックEは後ろ足で路面を蹴り、勢いよく前方に飛び出す。テスラより速いかって?それはない。だが、それでもこの価格帯のクルマの中では一番速いし、信号が変わって発進する際に隣車線のクルマを置き去りにすることは容易だろう。

マックEには3つのドライブモードが用意されている。標準モードとエコノミーモードでは、粗雑で扱いにくい印象のあるパフォーマンスモードよりも、より洗練された秩序に基づいてパワーが供給される。どのモードでも、積極的に回生ブレーキを利用して、いわゆる「ワンペダル走行」(ブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの開閉だけで加減速をまかなう走り方)が可能だ。

航続距離もマックEで考慮すべき要素の1つだ。EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離は、テスラ Model Y(モデルY)のAWDバージョンが326マイル(約524.6km)であるのに対し、マックEのAWD仕様は最大270マイル(約434.5km)に過ぎない。

今回のような短いテストでは、マックEのバッテリーが現実の路上でどのくらいの距離を走れるかについて、判断を下すことはできない。それにはもっと長い時間、日常的にマックEと過ごし、街中と長距離の両方を含む様々な状況で実際に走らせる必要がある。私が報告できるのは、2時間のドライブの結果だけだ。その際に私は、1kWの電力で平均2.7マイル(約4.3km)の距離を走行した。クルマを返却した時、あと112マイル(約180.2km)の距離が走行可能と表示されており、バッテリー残量は56%だった。私が試乗したのは、容量88kWhのエクステンド・レンジ・バッテリー(標準バッテリーは68kWh)を搭載したAWDモデルだったが、EPAとフォードによると、このバージョンのマックEは1度の充電で270マイル(約434.5km)の距離を走行できるとされている。

マックEの価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)からと競争力がある。AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、オプションを付ければさらに高くなる。米国の購入者のほとんどは、7500ドル(約77.7万円)の税額控除を受けることができる。テスラ Model 3(モデル3)は3万7990ドル(約393.4万円)から。ロングレンジAWDのModel 3は4万6990ドル(約486.7万円)から、クロスオーバーのModel Y(モデルY)は4万9990ドル(約517.7万円)からだ。

競合他社にも不利な面がある。テスラのModel 3とModel Yは、クラストップの航続距離を誇る斬新なクルマだが、製造品質に疑問が残るなど、欠点がないわけではない。他にもPolestar 2(ポールスター2)のような素晴らしいクルマはあるが、航続距離が短く、価格も5万9900ドル(約620.4万円)からと高い。

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マックEのインテリアは素晴らしい。だが、それで驚くことはなかった。フォードはそのクラスで最も美しいインテリアをいくつか作っているからだ。マックEの車内もとても素敵だ。

ほとんどのEVと同様に、フォードは伝統的な自動車の部品を現代的な同等品に置き換えるという大きなステップに踏み出した。メーターパネルの代わりに、小さな細長い液晶画面がドライバーの前に装備されている。高級感があり効率的だ。センタースタックには、メディアの再生や空調コントロール用の大型LCDスクリーンが設置されている。スクリーンの下部には回転するノブが取り付けられており、物理的な操作で音量調節が可能だ。私はこのボリュームノブがとても気に入った

シートも問題なさそうだ。私は2時間しか座っていないが。

車内は少し窮屈だが、小型クロスオーバーとしては許容範囲。ドライバーはコマンダーポジションと呼ばれる高い位置に座るので、これがこのSUVを選ぶ理由になるかもしれない。大人2人が座れる後部座席は、街中を巡る小旅行には最適だが、足元のスペースが不足しているので、長時間座っていたいとは思わない。

マックEの車内にはいくつかの楽しい装備も見られるが、私にはそれよりも運動性能に対する不満の方が大きかった。オーナーは自分のスマートフォンをクルマのキーとして使用でき、よくできたロードトリップマップのアプリを使ってドライブ前にナビゲーションルートを設定しておくことができる。ドアはボタン操作で開閉可能。それによってドアノブのないすっきりしたエクステリアを実現している。フォードはさらに、無線アップデートでハンズフリー運転機能も追加するという。しかし、これらの項目はほとんど重要ではない。残念な味のケーキを食べたとき、誰がその飾り付けを気にするだろうか?

長すぎて読む気がしない人へ

私はマックEに乗れることに興奮し、楽観的な気分で短い試乗に臨んだ。だが、私のこのクルマに対する第一印象は悪かった。私にとって、このフォード・マックEは、電気自動車の楽しさを、慣れ親しんだ車名と伝統ある自動車メーカーを通じて、大衆に届ける存在であるはずだった。私はミシガンに住んでいるフォードファンであり、地元の誇りを持ってマックEの開発を見てきた。それなのに、がっかりだ。

現時点では、私は自分の第一印象に基づき、消費者がフォード・マスタング・マックEを購入する前に、競合他車を試すように勧めすることしかできない。私はこのクルマがテスラよりも十分に買う価値があるとは思えない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Dottがロンドンとパリで自転車シェア事業開始、電動スクーター以外にもサービス拡大

Dottは、ヨーロッパのいくつかの都市で利用できる電動スクーターサービスでよく知られている。その一方で同社は電動自転車にも取り組んでおり、2021年3月にロンドンとパリで自転車シェアリングサービスを開始したいと考えている。

Dottは現在、ロンドンでは事業を行っていない。つまり、今回のロンドンでのローンチは同社にとって16番目の都市でのものとなる。

自転車はDottがデザインしたもので、ポルトガルで組み立てられる予定だ。一枚板のアルミニウムで作られたカラフルなフレームが中心となり、溶接は一切使用されていない。また発泡タイヤの採用により、パンクに強くなっている。

写真のように、フレームに組み込まれているためチェーンは見えない。バッテリーは交換式でDottが行うことができ、車両を充電ステーションに持っていく必要がない。また、ジオロケーションシステムも内蔵されている。

「このヨーロッパ製の自転車は、すべての人をモビリティにアクセスできるようにするという私たちのミッションに沿って設計されいます。当社のマルチモーダル(電動自転車・電動スクーター)サービスには、取り外し可能なバッテリー、安全な充電システム、経験豊富な専門家による操作、体系的な修理とリサイクルが含まれています」と、共同ファウンダーでCOOのMaxim Romain(マキシム・ロマン)氏はリリース文で語った。

Dottは、Uberとの契約(未訳)の一環として2020年5月にJumpを買収したLimeと競合することになる。Boltもまた、いくつかの都市で自転車シェアサービスを運営している。

もちろん、DottはロンドンのSantander CyclesやパリのVélib’のような、従量課金制のドッキングステーション式自転車レンタルスキームと競合することになる。Vélib’はパリだけでも現在40万人の加入者を抱えており、これは補助金によるサービスなので、価格面での競争は難しいだろう。

関連記事:マイクロモビリティで脱自動車を目指すパリ、バルセロナ、ロンドン、ミラノ

カテゴリー:モビリティ
タグ:Dott電動自転車

画像クレジット:Dott

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Dottがロンドンとパリで自転車シェア事業開始、電動スクーター以外にもサービス拡大

Dottは、ヨーロッパのいくつかの都市で利用できる電動スクーターサービスでよく知られている。その一方で同社は電動自転車にも取り組んでおり、2021年3月にロンドンとパリで自転車シェアリングサービスを開始したいと考えている。

Dottは現在、ロンドンでは事業を行っていない。つまり、今回のロンドンでのローンチは同社にとって16番目の都市でのものとなる。

自転車はDottがデザインしたもので、ポルトガルで組み立てられる予定だ。一枚板のアルミニウムで作られたカラフルなフレームが中心となり、溶接は一切使用されていない。また発泡タイヤの採用により、パンクに強くなっている。

写真のように、フレームに組み込まれているためチェーンは見えない。バッテリーは交換式でDottが行うことができ、車両を充電ステーションに持っていく必要がない。また、ジオロケーションシステムも内蔵されている。

「このヨーロッパ製の自転車は、すべての人をモビリティにアクセスできるようにするという私たちのミッションに沿って設計されいます。当社のマルチモーダル(電動自転車・電動スクーター)サービスには、取り外し可能なバッテリー、安全な充電システム、経験豊富な専門家による操作、体系的な修理とリサイクルが含まれています」と、共同ファウンダーでCOOのMaxim Romain(マキシム・ロマン)氏はリリース文で語った。

Dottは、Uberとの契約(未訳)の一環として2020年5月にJumpを買収したLimeと競合することになる。Boltもまた、いくつかの都市で自転車シェアサービスを運営している。

もちろん、DottはロンドンのSantander CyclesやパリのVélib’のような、従量課金制のドッキングステーション式自転車レンタルスキームと競合することになる。Vélib’はパリだけでも現在40万人の加入者を抱えており、これは補助金によるサービスなので、価格面での競争は難しいだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Dott電動自転車

画像クレジット:Dott

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

アマゾン傘下のZooxがドライバーレスの電動ロボタクシーを初披露、最高時速120km

6年前、Zoox(ズークス)は壮大なミッションを掲げて静かにスタートした。自動運転ソフトウェアとオンデマンドライドシェアリングアプリから車両の運用管理、乗客を運ぶ型破りなクルマまで、ロボタクシーサービスのあらゆる部分を作って商業化することだ。

そしていま、複数年の努力のベールがついに剥がされる。2020年始め、Amazon(アマゾン)に買収されたZooxは、一から作った電動自動運転ロボタクシーをお披露目した。キューブ風の車両にはセンサーが満載され、ハンドルはなくムーンルーフで乗客4人を最高時速75マイル(120km)で運ぶことができる。クルマは両方向に走行可能で四輪操舵。Zooxは、狭いスペースでバックすることなく方向転換することができるための機能だという。つまりは密集した都市環境のことだ。

座席は4人がけ対面式の対称構造で、列車で見かける光景に似ている。搭載する133kWhのバッテリーは、1回の充電で連続16時間の走行が可能だとZooxはいう。しかしZooxは、バッテリーの航行距離は明らかにしていない。

車の内外にはほかにも、双方向車両用のエアバッグシステム、乗客を包み込むキャリッジシーティングなど優れたデザイン要素が詰まっている。Zooxは4つの座席すべてが衝突安全保護基準の5スター相当だという。車両にはカメラ、レーダーに加えて270度視野のLiDARが四隅すべてに設置されており、左右と後方の歩行者、自転車その他路上の物体を常時監視できる、とZooxはいっている。

Zoox L5、完全自動運転全電動ロボタクシーの車内(画像クレジット:Zoox)

ZooxのCTOであるJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏は、クルマを一から作ったことで会社は乗客の安全を考え直し、受け身の姿勢から先を見越した対策へと転換できたと語った。「そこには我々自身によるエアバッグデザイン、車全体の冗長性のあるハードウェア、独自のセンサー機構、そして潜在的危険を検知、緩和するカスタムAIスタックなど新しい安全対策が含まれています」とレビンソン氏は語り、この車が連邦自動車安全基準(FMVSS)の主要な衝突テストに合格したことを付け加えた。

まだわかっていないのは、ZooxがFMVSSから車両の運用認可を受けたのかどうかだ。この種の国の基準は、いくつか特定の機能を備えることをメーカー要求しており、操舵ハンドルもその1つだ。Zooxの車両にはついていない、なぜなら無人で走るように設計されているからだ。2020年始めに無人デリバリーのスタートアップであるNuroは、連邦政府から無人運転の特例を受けた最初の企業となった。

米国運輸省国家道路交通安全局に承認されたその適用除外は、Nuroの低速電気自動車であるR2に与えられたもので、地域のレストラン、食料品店などのデリバリーサービスに用いられる。Nuroの車両にもハンドルはないが、商品の配達専用に設計されており人間は乗せない。

この最後で重要なハードルが残ってはいるものの、車両の完成は会社にとって大きな節目だ。Zoox CEOのAicha Evans(アイシャ・エヴァンス)氏は、これは自動運転ライドシェアリング運用に向かう同社の旅にとって重要な一歩だと語った。

Zooxは現在専用車両を使って私道でテスト中だが、いずれ公道に出る予定だとメールで語っている。「これは重要な一歩です。Zooxは路上に出るクルマがすべて、完全にテストされ、入念な検査を受け、みなさんが使うための準備が整っている状態にしたいのです」と広報担当者はメールで語っている。「Zooxはまだ商業ライドシェアリングサービス開始に向けた旅の途中です」。

Zooxはアマゾンの独立子会社として運営されており、現在ラスベガスやサンフランシスコ、フォスターシティで試験している。同社はロボタクシーサービスのあらゆる面を扱うことが目標で、最終的には荷物配送にも進出する可能性があると、エヴァンス氏がBloombergのインタビューで語っている。

  1. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox L5 Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  2. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  3. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  4. Zoox Fully Autonomous Vehicle Interior

    Zoox L5 Fully Autonomous, All-electric Robotaxi Interior
  5. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox L5 Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  6. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  7. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  8. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  9. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  10. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  11. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox L5 Fully Autonomous, All-electric Robotaxi
  12. Zoox Fully Autonomous Vehicle

    Zoox Fully Autonomous, All-electric Robotaxi

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ZooxAmazonロボタクシー

画像クレジット:Zoox

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドの配車サービスOlaが世界最大のスクーター工場を同国に建設するために約340億円投資

インドで配車サービスを提供するOlaは米国時間12月14日、同国のタミル・ナードゥ州政府と覚書に調印したことを明らかにした。同社は電気自動車で新たな取り組みを開始するにあたり、同州政府との間で「世界最大のスクーター製造施設」を南インドに設立する。

ソフトバンクが支援するOlaはこの工場の設立に約3億2700万ドル(約340億円)を投資することで約1万人の雇用を創出し、年間200万台の電気自動車を生産する初期能力を達成すると述べた。

事情に詳しい関係者によると、Olaは今後2四半期に複数の市場で電動二輪車の発売と拡大を計画しているという。2019年に同社からスピンアウト(未訳記事)したOla Electricは、2020年にアムステルダムに拠点を置くEtergoを買収(未訳記事)した。オランダでは交換可能な高エネルギーバッテリーを搭載したスクーターが配備されており、最大240kmの走行が可能だ。関係者によると、同社は同様の車種の生産を拡大する計画だという。

Olaはタクシーのように運転手が運転する二輪車ビジネスを2016年に開始し、インドでは30万人以上の人々が生計を立てている。インドで最も価値のあるスタートアップの1つである同社はここ数年、サービスを全国の小さな都市や町に拡大すべく、二輪車ビジネスに大きく賭けている。(自動車に比べて、二輪車と三輪車ははるかに手頃な価格でユーザーに提供され、混雑した交通の中でもより速く走ることができる)。

Olaは声明の中で、新工場はインドの電気自動車のエコシステムを改善し、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカなどの市場の顧客にサービスを提供すると述べた。

「世界最大のスクーター工場を設立する計画を発表できることに興奮しています。これはOlaにとって重要なマイルストーンであり、共有型と所有型のモビリティを横断した持続可能なモビリティソリューションに世界を移行させるという私たちのビジョンの実現に向けて、急速に前進している私たちの国にとって誇れる瞬間です。また工場は、世界で最も進んだ製造施設の1つになるでしょう。この工場は世界市場に対応する世界クラスの製品を生産する、インドの技術と才能を示すものとなります」と、Olaの会長兼グループCEOのBhavish Aggarwal(バヴィッシュ・アガワル)氏は声明で述べた。

関連記事:インド最大のライドシェアサービス「Ola」が2輪車サービスに本格参入

カテゴリー:モビリティ
タグ:Olaスクーターインド

画像クレジット:Ola

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

Uberがドライバーと配達員への新型コロナワクチン優先接種を全米50州の知事に要望

パンデミックの中、多くの人たちがライドシェアリングやデリバリーのドライバーに依存していることを踏まえ、Uberはドライバーへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの優先接種を要望している。米国時間12月10日、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、全米50州の知事に書簡を送り、ドライバーと配達員がエッセンシャルワーカーとしてワクチンを優先的に接種できるよう依頼した。

「過去9カ月の間に、彼らは地域のライフラインになりました」とコスロシャヒ氏が書簡で述べている。「医療従事者を病院に運び、自宅に隔離されている人たちに食事を配達し、地元レストランの事業継続を助けています」。

また、コスロシャヒ氏は書簡の中で、ドライバーと配達員の仕事は必要不可欠になったと主張している。だからUberは彼らにワクチンを「早く簡単に無料で」届けたいのだと同氏は書いている。また、Uberはワクチンに関する情報共有にも協力しており、有資格者にワクチン接種を促している。

コスロシャヒ氏はまた「9カ月間最前線で社会を動かし続けてきた後、私たちは全50州の知事に対し、ドライバーと配達要員が早期にワクチン接種を受けられる優先措置をお願いしています」とTechCrunch宛の声明で語っている。「Uberは自らのテクノロジーとロジスティックの専門知識とリソースを活かし、私たちのプラットフォームで働く人たちを保護し、ワクチンをできるかぎり早く効果的に、人々へ届けるためには、できることは何でもする所存です」。

コスロシャヒ氏の州知事宛書簡に先立ち、UberはCenters for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)に書簡を送り、医療従事者以外のエッセンシャルワーカーをワクチンの優先接種対象に含めることを主張している。

Uberによる労働者のために主張は、ライドシェアリングのドライバーと配達員をどう分類するかに関する進行中の戦いの最中に起きている。Uberが長年、ドライバーは従業員ではないと主張しているのに対して、多くのギグワーカーは自分たちが個人事業主に分類されるのは誤りであり、従業員が受ける多くの労働者の権利を得る資格があると訴えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMの子会社Cruiseが運転手なしの自律走行車公道テストをサンフランシスコで開始

SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Honda(ホンダ)、T. Rowe Price & Associates(ティー・ロウ・プライス)から支援を受けているGMの子会社で、自律走行車を手がけるCruise Automation(クルーズ・オートメーション)は、サンフランシスコの公道で、同社が完全なドライバーレス車と表現する車両の走行テストを開始した。

サンフランシスコのサンセット地区で、同社初の公道におけるドライバーレス走行を行ったCruiseのDan Ammann(ダン・アマン)CEOは、それを「ひどく退屈なもの」そして商業サービスへの「謙虚な一歩」と呼んでいる。

「走行自体は非常に自然で、予測可能でした。従ってそれは一種の退屈であったといえます。しかし、すべてが正しく行われました」と、アマン氏は米国時間12月9日に記者団との電話会見で語った。「そして私達の目標は、その同じ経験をできるだけ早く、安全に、多くの人々が利用できるようにすることです。それは無人運転のクルマに乗れるようになることかもしれないし、あるいは自動運転の配達を実現することかもしれません」。

12月9日に、最初の走行試験の様子を収めたビデオを公開した。サンフランシスコのサンセット地区を走るクルマの運転席には誰も乗っておらず、安全のために助手席に人間のオペレーターが乗っていたことを、ビデオは示している。

Cruiseの完全自律走行車のテストは、限定されたエリアで行われており、そこは間違いなくサンフランシスコの中でも単純な環境の1つだ。下のビデオを観ればわかるように、テストは夜、あまり混雑していない地域で行われた。とはいえ、それは2019年末までに商用サービスの開始(未訳記事)を目指していた同社の進歩を示すものである。

業界の中には助手席に安全オペレーターを乗せていることや、「より簡単な」ジオフェンスで制限された狭いエリアで始めたことを取り上げ、但し書きが必要だと指摘する声もある。Cruiseによると、これはほんの始まりに過ぎず、最終的にはドライバーレスのテストエリアを拡大し、時間をかけてより複雑な環境を追加していき、安全のためのオペレーターを車両から取り除くことも視野に入れているという。

「我々はこれが技術競争であると同様に、信頼競争であることを認識しています」と同社の広報担当者であるMilin Mehta(ミリン・メータ)氏は電子メールで述べている。「それを考えると、自律走行の許可証の使用を始める際には、助手席に安全のためのオペレーターを乗せることになるでしょう。このオペレーターは緊急時に車両を停止させることができますが、標準的な運転操作にはアクセスできません。最終的には、この安全オペレーターは完全に取り除かれることになります」。

Cruiseは2020年11月、5台の自律走行車を使ってドライバーレステストを開始した。同社の他の車両は、人間のドライバーを乗せて通常のテストに使用され、その一部は地域のフードバンクに物資を届けるために使われる予定だ。

カリフォルニア州で自律走行車のテストを規制する機関であるカリフォルニア州陸運局は10月、サンフランシスコ市内の特定の道路で、運転手なしで5台の自律走行車をテストする許可をクルーズに発行した。クルーズは2015年より、人間のドライバーを運転席に乗せて自律走行車のテストを行う許可を得ている。

クルーズは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から、州内で自律走行車による乗客輸送を行うための許可を得た。しかし、適切な許可を得た企業がドライバーレス車両を利用した乗客に料金を請求できるように、CPUCが規制を修正したのは11月に入ってからだった。

許可証を取得するためのハードルは以前よりも高く、現在では政府の承認を得るためのプロセスも必要になっている。業界の中には、不必要な官僚主義が加わり事業の展開を2年以上遅らせる可能性があるという主張もある。

政府の承認手続きは別にして、CPUCのウェブサイトの情報によると、CPUCの許可を得るためには、クルーズは30日間ドライバーレス走行をテストしたというデータを提出しなければならないという。

AutoX、Nuro、Waymo、Zooxもカリフォルニア州でドライバーレス車をテストする許可を得ている。Waymoは同社が「完全自律モード」と表現している機能を、カリフォルニア州の公道で、人間のドライバーを運転席に乗せずにテストしているが、まだ人間のオペレーターを車両から外すには至っていない。

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タグ:CruiseGM自動運転カリフォルニア

画像クレジット:Cruise

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロモビリティで脱・自動車を目指す欧州4都市

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、欧州全域で都市の変革を促す触媒の役割を果たしている。市当局が、市民の健康を危険にさらすことなく、あるいは過剰な交通量により渋滞を招くことなく、いかにして都市の機動性を管理するかに力を注いでいるためだ。

いくつかのケースで都市再生のための短期的および長期的な解決策になると見られているのが、マイクロモビリティとローカルコマース(地元経済)だ。この記事では、歩道や自転車専用レーンについて、さまざまなペースで見直しや再生に取り組む4つの大都市(パリ、バルセロナ、ロンドン、ミラノ)の政策を紹介する。

パリの「15分シティ」構想

パリでは毎年、大気汚染のために約2500人が天寿をまっとうすることなく亡くなっている。ヨーロッパのほとんどの都市と同様に、公害の最大の原因は自動車の交通量にある。

過去20年間にわたり一貫した政策が施行された結果、大気汚染は徐々に軽減されてきた。これは長くて険しい道のりであり、その一歩一歩がまた新たな課題を生んでいる。

この20年間にパリ市長を務めたのは、Bertrand Delanoë(ベルトラン・ドラノエ)氏Anne Hidalgo(アンヌ・イダルゴ)氏の2人のみだ。つまり、その長い任期によってもたらされたいくつかの変革と長期的な構想が論議を呼んでいる。

パリ市当局と自動車との間には、長い対立の歴史がある。20年近く前、バス専用レーンの設置は他の車のスペースを減らすとして、大きな議論を呼んだ。今日では、そのレーンの撤去を求める者はいない。

そのため、同じことが何度も繰り返されているのは、少し皮肉な話だ。例えば、パリのアンヌ・イダルゴ市長は2016年にセーヌ川右岸からの車の通行を禁止した。この決定には、多くの政敵や自動車愛好家から批判の声が上がった。今年の初めの市政選挙では、候補者の誰一人としてセーヌ川右岸について言及しなかった。もはや論点にすらならなかったのである。

しかし、パリ市の政策は自動車の禁止だけに焦点を当てているわけではない。官民を問わず多くの取り組みが行われているパリは、欧州各都市にとってモビリティ実験場のような存在となっている。パリでの取り組みが上手くいけば、その取り組みは他の都市でも再現される可能性があるからだ。

パリがモビリティの実験に適している理由は2つある。1つ目は、人口密度が世界で29番目の大都市であることだ。19世紀後半にGeorges-Eugène Haussmann(ジョルジュ=ウジェーヌ・オスマン)氏が始めたいくつかの急進的な都市化計画は、ほとんどが環状道路に並ぶ7階建ての建物という、同市の近代的な都市計画の基礎を築いた。

パリ市の境界は、100年が経過しても変わっていないため、他の大都市に比べると、比較的小さい方だ。例えば、サンフランシスコは米国の基準では小さな都市だが、面積ではパリよりも大きい。

2つ目の理由は、パリは(何事もなければ)多くの観光客を惹きつけることだ。2019年には、3800万人の観光客がパリを訪れた。これらの観光客は、普通にツーリストらしい行動をとることが多い。つまり一日中、街のあちこちを移動するのだ。

モビリティ改革の原動力「ヴェリブ」

パリ市長アンヌ・イダルゴ氏とヴェリブの自転車(画像クレジット:Loïc Venance / AFP / Getty Images)

 

地下鉄、地方鉄道、バス、路面電車などの公共交通網が発達していることに加え、他の交通手段も登場している。2005年、リヨン市は、市内に点在する駅のサービス網をベースに、公費の助成により自転車をシェアするサービスVélo’v(ヴィロヴ)を導入した。

その2年後には、パリ市がVélib’(ヴェリブ)と呼ばれる同様のサービスを導入した。ヴェリブが交通機関に与えた影響は計り知れない。サービス開始からわずか数年後、加入者は数十万人に達し、利用回数は1日あたり10万回を超えた。

欧州や米国の他の都市も後を追い、独自のバイクシェアリングサービスを導入している。しかし、ヴェリブほどの成功には至っていない。成長の過程で多少の苦悩はあったものの、ヴェリブは現在40万人以上の加入者を抱えている。2020年9月4日の時点で、同サービスの利用回数は1日あたり20万9000回にのぼる。使用されている自転車は約1万5000台だ。つまり、1日1台あたり14回近く利用されていることになる。

ヴェリブがニューヨークのCiti Bike(シティ・バイク)やロンドンのSantander Cycles(サンタンデール・サイクルズ)よりも成功している理由は、ヴェリブがはるかに安いからだ。乗り放題付きの標準的なヴェリブの会員費は月3.70ドル(約390円)だが、これに対して、ロンドンのサンタンデール・サイクルズの会員費は年間90ポンド(約1万2600円)なので、月約10ドル(約1050円)の計算になるし、ニューヨークのシティバイクは月15ドル(約1560円)だ。ヴェリブの会員費が安いことは明白である。

そして、これはすべて政治的な意図によるものである。ヴェリブは政府から助成を受けているサービスだ。しかし、ヴェリブが財政に与える影響はそう単純な話ではない。走る車が減ることは、道路の維持費を削減する。さらに、公害の低減や自転車で身体を動かすことは、市民の健康促進と、公共医療体制への負担の軽減につながる。

自転車シェアリングサービスでは、サービス網の密度を高めて利用率を高めることが重要であり、それは公的資金がなければ上手くいかない。一定規模のサービス網を整備できれば、サービス網の拡大と新規利用者の獲得という好循環を続けていくことができる。

マイクロモビリティの激戦市場

画像クレジット:Romain Dillet / TechCrunch

 

多くのスタートアップが、独自のドックなし方式自転車シェアリングサービスで、収益性の高いこの市場に参入してきた。Gobee.bike(ゴービー・バイク)、oBike(オーバイク)、Ofo(オッフォ)、Mobike(モバイク)、そして最近ではBolt(ボルト)が、パリの路上に何千台もの自転車を配備していた。しかしその後、それらはすべて閉鎖されてしまった。現在でも残っているのはLime(ライム)の子会社となったJump(ジャンプ)のみだ。

しかし、自転車は、フランスで「ソフトモビリティ」と呼ばれる交通手段の一つに過ぎない。フリーフローティング(何処にでも停められる)方式の原動機付きのスクーターサービスを運営するCityscoot(シティスクート)もフランスのスタートアップで、同社のサービスも1日に数万回利用されている。

さらに、スクーター(電動キックボード)がある。一時期、あまりにも多くのスクーターのスタートアップがあった。Bird(バード)、ボルト、Bolt Mobility(ボルトモビリティ、ウサインボルトが起業)、Circ(サーク)、Dott(ドット)、Hive(ハイブ)、ジャンプ、ライム、Tier(ティア)、Voi(ヴォイ)、Ufo(ユーエフオー)、そしてWind(ウィンド)。彼らは皆、面白い響きの名前を持っていたし、同じ名前(ボルト)を持つ2つの別会社もあった。それに、いくつかの会社を忘れているかもしれない。

画像クレジット:Romain Dillet / TechCrunch

 

このことも、パリがマイクロモビリティのスタートアップにとってやはり魅力的な都市であることを示している。観光客も多く、ある場所から別の場所への移動も簡単だ。

スクーターが都市空間を占拠していたため、パリ市行政はマーケットを規制しなければならなかった。現在パリでは、ドット、ライム、ティアの3社がシェアリング電動スクーターの運営許可を得ている。それぞれ5000台のスクーターを運営しており、現在は専用のドックが用意されている。

15分シティ構想

続いて、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏は、変革を加速させるいくつかの意欲的な計画を表明した。同氏は、今年初めの再選に向けたキャンペーンで、キーコンセプトとなる「15分シティ」という明確な複数年計画を打ち出した。

「15分シティは、分散型都市の可能性を示す構想だ。その中心にあるのは、都市の社会的機能を融合して、活気に満ちた周辺地域を作るというコンセプトである」と、パリ第一大学教授のCarlos Moreno(カルロス・モレノ)氏はBloomberg(ブルームバーグ)に語った

モレノ氏は、居住地域、ビジネス街、商業地域は原則として別の区域に分けるべきではないと考えている。それぞれの居住区は、職場、店舗、映画館、保健所、学校、パン屋などがある小さな街であるべきだ、というのが同氏の考えだ。

この「15分シティ」というコンセプトは、二酸化炭素排出量の削減だけでなく、近隣地域の活性化にもつながる可能性を秘めている。社会機能を優先すれば、道路をどう整備すべきかという点はすぐに明らかになるだろう。

15分シティは、多くの事が集約されたコンセプトである。突然、次の10年の都市計画のための強力なブランド力を持つ明確な政治的アジェンダが登場した、ということだ。

新自由主義的に言い換えれば、多くの政策が15分シティ構想から派生していく。パリでは車の所有率は比較的低く、60%を超える世帯が車を持っていない。さらに驚くべきことに、通勤者が車を使うことは極めて稀であり、9.5%に過ぎない

ここから2つの結論が導き出される。1つ目は、自動車はもはや優先事項ではないということだ。2024年には、パリでディーゼル車を運転できなくなる。2030年にはガソリン自動車も禁止される。

いくつかの幹線道路では「ソフトモビリティ」に主眼が置かれるようになった。コロナウイルスの大流行に起因するロックダウンを機に、パリ市は新しい自転車レーンを設置したり、道路の用途を変更したりして、モビリティの課題解決を加速させた。これは、Naomi Klein(ナオミ・クライン)氏が自身の著書で説明した、新自由主義的なショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)を模倣しているように感じる。しかし同時に、行政はグリーンイニシアチブに力を入れているのだから、”逆”ショック・ドクトリンのようにも感じられる。

例えば、リヴォリ通りはかつて、シャンゼリゼとバスティーユを結ぶ幹線道路だった。現在では、道路の3分の1がバス専用、3分の2が自転車やeスクーターの専用レーンとなっている。

リヴォリ通り(画像クレジット:Romain Dillet / TechCrunch)

 

2つ目は、パリ市がスペースを再生利用しようとしているということだ。パリにある自動車は、時間にして95%が駐車されたままだ。そのため、パリ市は駐車場の50%を撤去し、代わりに、いくつかの通りを庭園に変えたいと考えている。市庁舎前や、エッフェル塔とトロカデロ広場の間に新しい公園を造るという、さらに大規模な計画もある。

何十年にもわたる漸進的な変化は、すべてが劇的な変遷の下地となっている。パリでは、変革は少しずつ進み、そして突然、その目的を達成する。

画像クレジット:Romain Dillet / TechCrunch

 

バルセロナの「スーパーブロック」計画

スペイン第2の都市であるカタルーニャ州都バルセロナは、2013年、ひどい状態の街路空間を歩行者に優しいものに変え、自家用車の優先順位を下げることを目的とした新しい都市モビリティ計画を承認した。バルセロナは欧州で最も車両密度が高く、それが大きな問題となっている。

バルセロナ市当局の報告によると、車両密度は1平方キロ当たり約6000台で、大気の質や公衆衛生に悪影響を及ぼすことが明らかになっている。公式統計によると、交通公害は年間3500人の早死に原因となっており、1800人が心肺疾患で入院している。また、成人では5100人、子供では3万1100人が気管支炎を発症し、子供と成人合せて5万4000人が喘息発作を起こしている。

この公衆衛生上の危機に対するバルセロナ市の解決策は、近年の意欲的な歩行者専用道路化計画であり、「super islands(スーパーアイランド)」や「superblocks(スーパーブロック)」としても知られる「superilles(スーペリアレス、カタルーニャ語)」を作ることに重点を置いている。これは、いくつかの道路の機能を、車を運ぶことから近隣住民の生活を第一に考えることへの転換を意味する。

バルセロナ、ポブレノウ地区の初期のスーパーブロックの1つ(画像クレジット:Toni Hermoso Pulido / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license

 

ここ何年かで、数か所にスーパーブロックが設置された。グラシア区にあるようなスーパーブロックはすっかり馴染みの風景の一部となっているため、その効果に気付きにくいが、立ち止まって意識すれば、多くの歩行者が出歩いていること、車はその後ろを忍び寄るように徐行していること、また、歩道の端が段差もなく道路に溶け込んでいることに気付くだろう。

しかし、バルセロナは現在、Ada Colau(アダ・コラウ)市長が提唱するこの政策を、さらに広範囲に拡大することを計画している。今後10年間で、密集した中心部のアシャンプラ地区にスーパーブロックを整備し、より多くの緑豊かな(そして低速の)都市空間を創出しようとするものだ。そしてこれは、同市の中心部に位置し、以前のものと比較して規模が大きいことを考慮して、バルセロナ・スーパーブロックと名付けられた。

当然ながら、スーパーブロック構想はマイクロモビリティと相性が良く、自転車レーンのネットワークを市内に構築することは、都市モビリティ計画の重要な部分となっている。

バルセロナでは2007年から、赤い自転車が目印の、Bicing(ビシング)と呼ばれるドックあり方式自転車レンタルスキームを導入している。最近になって、普通の自転車に加えて電動自転車も導入され、パリの利用回数には及ばないとはいえ、地元住民の間では非常に人気がある(ちなみに、ビシングに加入するには地元で発行された身分証明書が必要であるため、観光客は利用できない)。

公式データによると、ビシングは2020年9月の時点で12万7000人を超える加入者を獲得しており、1か月あたりの利用回数は約130万回にのぼったという。

近年はeスクーターの所有者も急増しており、公道での個人利用を禁止する法律は特にないが、レンタル会社は規制に直面している。しかし、バードからボルト、ウィンドまで、スクーターのスタートアップ各社はあきらめていない。何とかして同市に参入しようと、規制を回避する方法を模索している。

既に歩行者と自転車が車よりも優先されているバルセロナ、グラシア地区の通りに停められた1対のWind社eスクーター(画像クレジット:Natasha Lomas / TechCrunch)

 

スーパーブロック計画は、自転車やマイクロモビリティの促進のみならず、街路を、「自動車のための」通路という用途から、人々が出会い、集まり、商売することを奨励する、緑豊かで快適な空間へと転換し、地元経済を活性化させることも目的としている。

バルセロナは、別の交通規制政策として、今年に入ってから排出ガス量に基づく車両の規制を開始し、古いガソリン車やディーゼル車のピーク時間帯の進入を禁止した(この規制は、来年から配送用車両にも適用される)。また、規制対象車両の所有者には、公共交通機関を3年間無料で使えるカードと引き換えに車を手放すように奨励している(つまり、既存の地下鉄、電車、バスのネットワークを利用するように人々を誘導している)。

歴史上の過ちを正す

スーパーブロックへの変換に伴い、バルセロナの都市計画担当者が解決を目指している、建築に関する歴史上の課題がある。

1856年にカタルーニャ人の土木技術者Ildefons Cerdà(イルデフォンソ・セルダ)氏によって考案されたアシャンプラ地区中心部のグリッド構造は、成長する都市の健全な拡張を目的とし、すべての住宅ブロック内に緑地を確保できるようにしていた。

しかしこの計画は、不十分な規制の下で推進され、地価と住宅価格の上昇の煽りを受けたこともあり、時間の経過とともに開発業者や投機家が緑地用地を別の目的で使うことを許してしまった。そのため、開放された公共スペースとして用意されていたブロックの隙間が食い尽くされ、その結果、セルダ氏が計画していたよりもはるかに密集した街になってしまった。そして(ガソリン車やディーゼル車が密集している限り)、散策するには騒がしく、汚染されていて不快な場所となっている。

バルセロナのスーパーブロックは、市行政の都市計画の遂行におけるこのような歴史的過ちを正そうとする試みである。あるいは「19世紀後半のバルセロナを近代化し、公衆衛生のためにより良い状態を造り上げること」と、市当局は語る。

これはまた、都市計画が公共の利益のため確実に機能するように、私的な経済的利害による不当な外圧を抑え、住民の健康、生活の質、地元経済を守るために、計画に応じた適切な規制が必要であることの教訓にもなっている。

バルセロナのスーパーブロック計画では、2030年までにアシャンプラ区にある61の道路の約3分の1が、歩行者専用道路の「緑の軸」に転換される予定だ。また、21か所の対角交差点に新しい公共広場が作られることになっている。

市当局は、この転換には時間がかかると見ており、住民の協力を得ることが必要だと考えている。しかし、市当局には、この計画を支持するデータがある。例えば、ポブレノウ地区をはじめとするスーパーブロック成功例がいくつかあり、転換後の交差点の1つで二酸化窒素の汚染が3分の1に減少した事例や、街路レベルでの商業活動が同様に増加した事例もある。

新しい街路モデルの詳細はまだ決定されておらず、来年、同市はモデルを選ぶためのデザインコンテストを開催する予定だが、夏季には街路の80%を樹木や植生で日陰にすることや、路面の少なくとも20%を舗装ではなく透水性のあるものにするなど、重要なパラメータが設定されている。

バルセロナのスーパーブロック都市構想が描く街路の進化(画像クレジット:Barcelona City Council)

「出歩きたくなるような空間、子供の自発的な遊びや快適な生活を促すような空間を創り出す必要があります。また、フェア、コンサート、その他のイベントなど様々な臨時の用途に対応できる柔軟なスペースを設計することが求められます。女性に優しく、子どもや高齢者を優先する視点を持って、サービスや地域商業を促進します」とプレスリリース[カタルーニャ語から翻訳]には書かれている。

市当局はその目的について、「住民のことを考えて設計された、健康的で、より持続可能な公共空間のモデルにより、社会的な関係を促進して地元の商業活動を活性化させ、子供や高齢者のニーズに焦点を当てること」、と説明している。

当局はまた、スーパーブロック全体で公共交通機関を利用しやすくすることも計画している。

最初の4つの道路(コンセル・デ・セント通り、ジローナ通り、ロカフォート通り、コンテ・ボレル通り)の転換作業は、2022年の第1四半期に開始される予定である。市当局は、この転換作業のために3780万ユーロ(約47億円)を支出することをすでに決めている。しかし、完全な転換を実現するには、さらに多くの公的資金が必要なことは明らかだ。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、規模は小さいが歩行者に焦点を当てた都市改造を加速させる機会となってきた。例えば、バルセロナ市当局は、ロックダウンのせいで街が比較的静かな間に、市内の自転車レーンのネットワークを拡大し、新型コロナウイルス感染症対策として緊急歩行者ゾーンを設置して屋外のスペースを拡大した。

また、バルセロナ市内の路上駐車場の一部は、市の要請によりパンデミックの間、カフェやバーの屋外テラススペースとして代用されている。

しかし、自動車交通が独占している不健康な都市インフラをリセットする必要性は、バルセロナ市が何十年にもわたって取り組んできた問題である。これまでも、地域イベントの開催時や週末に一時的に道路を閉鎖することを許可するなど、さまざまな政策で少しずつこの問題に対処してきた。

そのため、バルセロナの多くの住民にとって、健康的で商業的に活発な都市空間を作ることは、自動車が歩行者に道路を明け渡すことであると言っても過言ではない。そして2030年の「バルセロナ・スーパーブロック」は、全体のバランスを良い方向へと変えていくように見える

とはいえ、市の中心部を横断するいくつかの高速道路に対して何の措置も講じていないため、このプロジェクトは十分に急進的ではないという批判もある。バルセロナの自動車からの脱却はまだ、パリで計画されているものほど急進的とは言えないようだ。

バルセロナ、ポブレノウ地区の自転車専用レーンとバードのeスクーター (画像クレジット:Natasha Lomas / TechCrunch London’s Low-Traffic Neighbourhoods)

ロンドンの「低交通量区域(LTN)」規制

英国の首都ロンドンは2003年以来、市の中心部で渋滞料金の徴収を行っており、最も混雑する時間帯の道路利用を減らすために、その地域に進入する自動車の運転手から料金を徴収している。この政策により、ロンドンは欧州において、都市部における車両通行規制の先駆者となった。

しかし、この問題に関する国民的、および政治的なコンセンサスの欠如により、長期にわたって政策の展開が制限され、2010年末には、当時のロンドン市長Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)氏が西部拡張地域として知られるゾーンの一部を廃止したことで、政策の後退にさえつながった。

ロンドンの巨大な人口と無秩序に拡大した規模は、商業ゾーンがクラスター化している傾向があり、大規模な住宅地(所得によって分けられている場合が多い)から離れた場所に集中しているため、移動手段の問題は、人々や企業にとって意見が分かれる問題となるだろう。そのため、ロンドンが「自動車ゼロの街」になれないことは明らかだ。

しかし同時に、ロンドンは公共交通機関(バス、地下鉄、路面電車、市内鉄道)が非常に充実しており、車を使わなくても移動には事欠かない。自家用車を持つ必要もない。また、ここ数十年の間に、市内の自転車専用レーンのネットワークの拡充にも投資してきた。また、2010年からは、利用時払いのドックあり方式自転車の有料レンタルサービスが運営されており、2017年の時点で合計のべ1000万回利用されている。

しかしまた、車で埋め尽くされた道路と欧州北部の気候が、自転車で風雨に立ち向かおうとする人々の意欲をくじく可能性がある。

ロンドンのドックあり方式自転車レンタルサービス(画像クレジット:Elliott Brown / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license

 

さらに、英国の既存の規制も、eスクーターのような現代的な代替手段の採用を妨げてきた。しかし現在、この種のマイクロモビリティに街路を開放しようとする動きがあり、同市の交通規制当局は、スクーターのレンタル会社を対象とした試験運用の準備をしている。

車の使用を抑制するための断固とした政策の欠如は、間違いなく、数十年にわたってロンドンの空気を酷く汚染し、ひいては市民の健康に深刻な影響をもたらしてきた(2015年のある研究では、汚染に長期間さらされたことによる死亡者数は年間9500人にも上る可能性があることが示唆されている)。その一方、都市交通に関連した健康リスクに対する意識の高まりは、市当局が課徴金の適用により、有害物質を多く排出する車両が渋滞区域を通過することを抑止する政策の推進につながり、汚染レベルを低減させる効果として現れてきている

ロンドンの「超低排出ゾーン(ULEZ)」は来年、市内のより広い範囲をカバーするように拡大される予定だ。このように、都市部での車の利用をよりクリーンで無害なものにしていこうという取り組みは、一貫性が欠けてはいたものの、政府主導で多少なりとも持続的に行われてきた。

しかし、最近では、新型コロナウイルス感染症のショックが、住宅地の通り抜けを行政区や地域レベルで禁止しようとする草の根キャンペーンを誘発するという、より劇的な変化が起きている。

このような取り組みは、いわゆる低交通量区域(LTN)を適用することによって行われる。LTNの適用には、効果的に配置されたプランターや車止めポール、抜け道としての使用を防止するための時間的な通行制限など、交通量を低減するためのさまざまな措置が含まれる。

交通によって発生する騒音や汚染と隣り合わせの生活にうんざりしているロンドンのいくつかの行政区の住民たちは、新型コロナウイルス感染症に関連した移動制限を利用して、自宅近くの道路が抜け道として利用されることを抑制するチャンスをつかんだ。

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、7月下旬の時点で、ロンドンでは114のLTNの計画が進行中である。

ここでも意見の対立はあり、LTNを適用しても、抜け道を使う車が他の道路に移動するだけではないかという苦情を含め、反対意見も上がっている。

また、相対的に裕福な地域が不釣り合いに恩恵を受け、より貧しい地域を犠牲にしているという、社会経済的に重要な批判もある。

このような反対意見は、LTNがパンデミック後、比較的迅速に実施されたことが一因で発生している可能性もある。より参加型のプロセス、および多方面にわたるモニタリングと協議を行えば、このような反対意見は回避できるかもしれない。

しかし、LTNに住んでいる幸運な人々にとっては、その恩恵を無視することは難しい。ブルームバーグは、あるLTNで見られた街路環境の変化について、「今では、スピードを出して走る車の代わりに、通りには、車から降りて近所を探索するように呼びかけるストリートチョークや壁画、花、子どものイラスト入りの看板などがある」と報じている。

新型コロナウイルス感染症緊急対策の一環として、住民のためにより多くの街路スペースを作れるよう歩行者専用化されたダリッジ地区の交差点(画像クレジット:Richard Baker / In Pictures / Getty Images)

 

5月、ロンドンのSadiq Khan(サディク・カーン)市長は、来年再選された場合、2030年までにロンドンをカーボンニュートラルにすることを公約した。また「ストリートスペース」計画を発表し「ロンドンの街路を急速に変容させて自転車の10倍の増加と 徒歩の5倍の増加に対応する」ことを目的としたさまざまな政策を推進している。

この計画では、ロンドンでの市内移動で優先される方法として、徒歩や自転車と並んでスクーターの使用が明示的に奨励されている

ロックダウン規制の緩和後も依然として新型コロナウイルス感染症のリスクが残る現在、市民がロンドンの公共交通機関から離れ、車の利用に戻ってしまうことを避けることも、この政策を推進する動機の一部となっている。

カーン市長のストリートスペース計画はまた、LTNの支援を表明している。しかし、最終的には、ロンドンの交通を制限する権限は地方自治体(または中央政府)にある。市長の権限でできるのは、ロンドン市民が「よりクリーンで持続可能な交通手段」に切り替えるよう、市民を促す措置への取り組みを政府または自治区議会に「要請する」ことだ。

LTN関連政策にロンドンの中央当局が関わっていないことは、これらの「通り抜けできない地域」がロンドンで普及する範囲と速さを制限する可能性がある。

それでもなお、この取り組みは、ロンドン市民が住宅地の街路を安らげる場所として取り戻したいと考えていることを示す、興味深い動きである。

ロンドン市長のストリートスペース計画の一環として、プランターを置いて通り抜けを防止している(画像クレジット:Photo by Richard Baker / In Pictures / Getty Images. Milan’s Open Streets)

 

ミラノの「オープンストリート」計画

イタリアの北部工業地帯は、新型コロナウイルス感染症パンデミックの第一波の間、ヨーロッパで最も被害の大きかった地域の一つだった。ロックダウンの延長により、ミラノのような都市では、企業が閉鎖されて住民が屋内に閉じこもり、数か月の間、自動車が通りから一掃された。そして、その結果、汚染されていることで悪名高い地域の大気の質が顕著に改善された。

ミラノ当局は以来、、これを、スモッグで満ちた「いつもの生活」と強制的な決別する機会と考え、Strade Aperte(ストレイド・アペルテ、オープン・ストリートの意味)と呼ばれるモビリティ計画の下で、実験的に自転車専用レーンと歩行者専用ゾーンの市全体への拡大を推進している。これは、ロックダウンが解かれて都市生活が元に戻ったときに、ソーシャルディスタンスを確保できるようにインフラを適応させることを目的としている。

オープンストリート計画には、道路標識や速度制御のための構造的要素を取り入れることにより、ミラノの多くの道路で制限速度を50km/hから30km/hに引き下げること、また、年内に既存の自転車ネットワークを35km延ばすことなどが含まれている。

ミラノ市は、2008年にドックあり方式の自転車レンタルサービス、BikeMI(バイクミー)を開始した。

ミラノは、自転車レーンのネットワークを拡大することで、ロックダウン後の自転車利用を促進しようとしている(画像クレジット:Emanuele Cremaschi / Getty Images)

 

ミラノ市当局はこの計画について、「ミラノ2020適応戦略が予見しているように、現在の健康危機は、より持続可能で汚染のない移動手段を増やし、物理的な距離要件を尊重しながら、商業、レクリエーション、文化、スポーツのために道路や公共スペースを再定義することで、人々により多くのスペースを提供し、市の環境条件を改善することを決定する機会となり得る」と、同計画に関するある覚書に書いている

推進される政策を包括的に見ると、その方向性は、パリのビジョンと同じ目標、つまり「地域のサイズ」という概念と同じだ。つまり、すべての市民が、徒歩15分以内に、ほぼすべてのサービスに確実にアクセスできる街を作る、ということだ。

住民がウイルスと共に生きることを余儀なくされている今、これは戦略的な目標である。同時に、対策のいくつかは「一時的な」ものとして策定されている。

しかし、パンデミックが今のように急速な変化を促す触媒または大義として機能する前から、市当局は都市インフラを再利用して市民に健康面での利益、および環境面での利益をもたらし、人々を車から降ろして近所を自転車や徒歩で移動させることで地域の商業 を後押しする方法を探していた。

そのため、より騒がしく、汚染を悪化させ、遊び心のない道路に逆戻りすることを望む声が上がるとは考えにくい。

ミラノでも同じことが言える。都市交通の方向性は、車が庶民を支配し道路を他の場所へのデフォルトハイウェイとすることを許すのではなく、人々と地元密着型のマイクロモビリティのために開かれた公共空間として道路の在り方を再考することにある。Addio macchina(自動車よ、さらば)。

ミランの街をスクーターで走る(画像クレジット:Mairo Cinquetti / NurPhoto / Getty Images)

 

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(翻訳:Dragonfly)

EVメーカーRivianが独自の充電ネットワークをアクティブなレジャースポットにも展開する理由

人里離れた道をクルージングするドライバーは、これから数カ月の間に珍しい光景に出くわすかもしれない。都市部や幹線道路ではない、人気のない場所にRivian(リビアン)の充電ステーションが設置されているかもしれないからだ。

電気自動車メーカーのRivianは、ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の最初の納車に向けて、米国内に電気自動車用充電ステーションのネットワークを設計し、構築することに着手している。このネットワークには、高速道路に沿って設置される急速充電器が含まれる予定だ。これはTesla(テスラ)やElectrify America(フォルクスワーゲンがディーゼル排出ガス不正スキャンダルをめぐる米国規制当局との和解の一環として設立した事業体)が採用している戦略である。

だが、Rivianは電気自動車の充電設備展開計画に、業界では珍しい第2のレイヤーを追加しようとしている。同社はマウンテンバイクやハイキングコースからカヤックスポット、さらには人気のある登山用の岩場の近くなど、アクティブなレジャースポットの駐車場に数十台のEV充電器を設置する予定だ。オーナーがこれらのアウトドアアクティビティを楽しんでいる間に、彼らが乗ってきた電気自動車に電力を供給するというわけである。これはRivianの顧客基盤に向けた直接的なアピールであり、ブランドと電気自動車に対する信頼を築くために必要なものであると、Rivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏は充電、バッテリー、自動運転などについての幅広いインタビューの中で、TechCrunchに語った。

「私たちは、州間高速道路以外の場所にRivianの充電施設を造ることにワクワクしています。それによって、これまで充電の問題から電気自動車で行きづらかった場所、電気自動車が歓迎されなかった場所にも、行けるようになり、また行きたくなるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。「電気自動車のオーナーが自分の興味に応じて、目的地やそこまでの道のりを精選したドライブができる手段について、私たちは長い時間をかけて考えました。旅の途中で立ち寄って、2〜3kmあるいは7〜8kmほどのハイキングを楽しむことができるルートがあり、そのすぐ隣には充電ステーションがあるのです」。

「全部取り」アプローチ

Rivianの顧客向けネットワークは、ドライバーが必要とする高速道路沿いの急速充電器と、戦略的にスピードが重要でない目的地に設置された充電器を提供する2本立てとなる。そこで問題となるのは、スカーリンジ氏は「本当におもしろくて、やりがいのある不動産」問題と表現しているが、つまり人々が興味を惹かれるポイントを探り当て、どのルートのどこに充電ステーションを設置するか、最適な場所を特定することだ。

Rivianのネットワーク構築は、消費者のブランド認知度と不動産の知恵を試すだけのものではない。約60億ドル(約6250億円)を調達したこの電気自動車メーカーは、急速DC充電器を含む技術を自社で開発した。

「これについてはあまり話したことはありませんが、あの充電器、パワーエレクトロニクスモジュール、あるいはそれらの充電施設のバックボーンについて、我々は規模を拡大して展開しようと考えています」とスカーリンジ氏は語り、同社の急速DC充電器は約20分で最大140マイル(約225.3km)の走行が可能になると付け加えた。

このハードウェアとそれに付随する充電ソフトウェアは、Rivianのコンシューマー向けネットワークで最も目にすることになるだろう。しかし、このプラットフォームとその周辺のハードウェアは、フリートベース(複数の車両を用いる事業向け)製品にも使用されることになると、スカーリンジ氏はいう。

「商用バンを考えれば、充電器とディスペンサーは少し違うように見えるかもしれませんが、充電機能を構築するために使用されるこれらのパワーモジュールの心臓部は、まったく異なるアプリケーションにも同じように適用されます」と、彼は語った。「それが、当社が中核技術をすべて自社開発した理由の1つです。これによってフリートベースのB2B充電ソリューションと、Rivianの個人オーナーのための一般消費者向けアドベンチャー・ネットワークの両方を、構築することができるのです」。

体験をコントロール

Rivianは、R1TとR1Sを市場に出すために数年と数億ドル(数百億円)を費やしてきた。これまでに60億ドル(約6250億円)を調達しているが、その資金は技術開発や製造規模の拡大で簡単に消えてしまう。Rivianネットワークは、自動車メーカーがユーザーの所有体験全体をコントロールすることで信頼性を高めたいと考えているならば、必要な事業であるとスカーリンジ氏は主張する。

現在、ChargePoint、EVConnect、EVGo、Electrify America、Greenlotsなど、多数のサードパーティの充電会社が運営されている。従来の自動車メーカーは、電気自動車の展開に先立ち、これらの企業と提携し、戦略的な投資を行ってきた。しかし、スカーリンジ氏には、サードパーティのネットワークに完全に依存する気はない。

「問題は、決済プラットフォーム、稼働時間、パフォーマンス、充電器の予約機能など、充電の手間を省くために必要なことが、私たちの手ですべてコントロールできないということです」と、スカーリンジ氏はいう。「Rivianアドベンチャーネットワークでは、これらを私たち自身が100%コントロールすることができます。どのクルマが、どれくらい充電しているか、料金はいくらだったか、すべて私たちは知ることができます。充電器の設置場所についても、まさしく独創的になれるので、Rivian独自の特別な場所に設置することが可能です」。

開放それとも閉鎖?

Rivianネットワークは明らかにRivianの顧客のために構築されている。しかし、これが必ずしもテスラのスーパーチャージャーネットワークのようなクローズドな独自システムになるわけではない。

急速充電に使われる一般的なコネクタは、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)かCHAdeMO(チャデモ)の2種類だ。Rivianが採用している直流コネクタのCCSは、近年ヨーロッパや北米で普及が進んでいるオープンな国際規格である。

つまり、RivianのトラックやSUVはアダプターを使用しなくても、CCS対応ならどのサードパーティ製充電ステーションも使用することができるということだ。これは同時に、CCS規格を採用している他の電気自動車も、理論的にはRivianネットワークを使用できることを意味するが、ソフトウェアがその使用をブロックする可能性もある。

Rivianの電動ピックアップとSUVの最初の納車開始が予定されている2021年夏までに、いくつの充電ステーションがオープンするかについて、スカーリンジ氏は正確な数を明らかにしようとはしなかった。2021年には米国で数十カ所の充電ステーション(各ステーションには平均6つの充電コネクタがある)が建設予定であることに同氏は言及した。

「そのネットワークが構築されたら、非常に大きなバッテリーパックを持たなければというプレッシャーを取り除くことができるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。

Rivian R1TとR1Sには、一度の充電で300マイル(約483km)以上の距離を走れるバッテリーパックが標準装備されている。2022年1月には、R1Tに400マイル(約644km)以上の距離を走れるバッテリーパックが用意される予定だ。5人乗りおよび7人乗りのR1Sでさらに航続距離が長いモデルについては、生産開始後に発表されることになっている。Rivianは最終的に、より小さな航続距離250マイル(約402km)のバッテリーパックを搭載して価格を抑えたR1TとR1Sを発売することも計画している。

具体的な数字はなくても、Rivianの充電ステーションに対するスカーリンジ氏の希望と計画が、「数十」をはるかに超えることは明らかだ。

「ネットワークの規模は、一朝一夕にできるものではありません」と彼はいう。「米国全土をカバーするには数カ月、高密度にカバーするには数年の時間が必要です。2023年か2024年までには、確実に我々はそれを実現できているでしょう」。

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画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Uberは空飛ぶタクシー事業ElevateをJoby Aviationに売却、最後の夢の事業から撤退

Uber(ウーバー)は空飛ぶタクシー事業Elevate(エレベート)をJoby Aviation(ジョビー・エイビエーション)に譲渡した。同配車サービス企業は、主軸事業に専念して利益を出そうと、いくつもの壮大な構想の事業を売却してきたが、これが最後の1つとなる。

発表された取引は、UberがJobyに7500万ドル(約78億2000万円)を投資し、両社のパートナーシップを拡大するという合弁契約の中の一部だ。2019年に、完全電動垂直離着陸乗用航空機を開発しているUberとJobyは、UberのElevate事業のための車両パートナーとなる契約に署名している。Jobyは、空飛ぶタクシーサービスを2023年までに開始することを約束した最初のパートナーだった。

この7500万ドルの投資は、JobyのシリーズCラウンドの一環として2020年1月に投資され、これまで公表されていなかった5000万ドル(約52億1000万円)への追加投資だとUberは話している。現在までにJoby Aviationは、8億2000万ドル(約854億7000万円)を調達した。Uberは、このスタートアップに対して合計で1億2500万ドル(約130億3000万円)を支援している。

2021年の初めに締結が予定されているこの契約に従い、2つのパートナー企業は、それぞれのサービスを統合して互いのアプリに提供することに合意している。

「高度な航空輸送業は、環境と未来の世代に飛躍的な利益をもたらす可能性があります」と、UnberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は声明の中で述べている。「この契約により、私たちは、この分野の明白なリーダーであるJobyとのパートナー関係を深め、これらのテクノロジーのための市場作りを加速します」。

Jobyは数あるリーダーの中の1つと思われるが、Elevateはたしかに競合他社も利用するベンチマークを確立するなど、この新興産業の形作りに貢献してきた。

「Uber Elevateのチームは、この業界に重要な役割を果たしたばかりでなく、10年以上の経験を活かして大変に優れたソフトウェアツールを開発し、オンデマンドの移動サービスを可能にしました」と、Joby AviationのCEOであるJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート)氏は声明で語っている。「それらのツールと新しいチームメンバーは、私たちの商業サービスの開始を加速する上で欠かすことができません」。

1年前、Uberのビジネスモデルは「以上すべてのアプローチ」と分類できた。つまり、配車サービス、マイクロモビリティー、流通、梱包、食品宅配などを含むあらゆる形態の運送業から収益を上げる戦略だ。新型コロナウイルスのパンデミックとコスロシャヒ氏の収益重視の方針により、Uberはその冒険的な事業を処分し、Postmates(ポストメイツ)を買収(未訳記事)して配達サービスを強化する方向に急ぐこととなった。

現在ではUberは、2020年の一連の取引で手放したマイクロモビリティー、流通、自動運転車の手腕を保ったまま、配車サービスと配達に専念する企業となった。

JobyとElevateの合弁は、2020年結ばれたUberの別の2つの合弁とよく似ている。Uberは、マイクロモビリティーのスタートアップLime(ライム)への1億7000万ドル(約77億2000万円)の投資ラウンドを主導した。この取引の一環として、LimeはUnerのマイクロモビリティー事業Jump(ジャンプ)を買収。Jumpの従業員の大半にあたる400人を解雇した。今週の初めには、自動運転車スタートアップのAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、合弁契約を通じてUberの自動運転部門(ATG)の買収を巡る交渉に同意した。合弁後の両社の評価額の合計は100億ドル(約1兆422億7000万円)となる。

Limeと、そして今回のJobyとの取引と同じく、Auroraも最後の評価額が72億5000万ドル(約7555億5000万円)だったUner ATGに現金は支払わない。その代わりにUberは、AuroraにATGの株式持ち分を譲渡した上に4億ドル(約416億9000万円)を投資し、Auroraは合弁後の株式の26%をUberに渡すことが、米証券取引委員会の資料に記されている。

Uberによると、10月に同社はUber Freight(ウーバー・フリート)事業の株式5億ドル(約521億1000万円)分を、ニューヨークの投資会社Greenbriar Equity Groupが率いる投資家グループに売却した。この取引では、同部門の投資後の評価額を33億ドル(約3439億円)としている。Jump、Evelate、ATGの場合とは違い、Uberは、Uber Freightの株式の過半数は現在も持ち続けている。

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タグ:UberElevateJoby Aviation売却空飛ぶタクシー

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

テスラが5200億円相当の株式売却を申請、同社株価が過去最高値を記録後

Tesla(テスラ)は株は熱いうちに(そして時価総額が膨れ上がっているときに)打てとばかりに、投資家たちが同社株価を過去最高値に引き上げた後、50億ドル(約5200億円)相当の株式を売却する申請を提出した。

新たに発表されたこの希薄化資金調達イベントは、株価にそこそこの影響を与え、投資家がニュースを消化した時間外取引では株価が2.3%下落した。テスラの時価総額は6080億ドル(約63兆3000万円)であるため、この株式売却は会社価値の1%以下という意味だ。

テスラはGoldman Sachs、Citi Group、Barclays、BNP Paribas、BofA、Credit Suisse、Deutsche Bank、Morgan Stanley、SG Americas SecuritiesおよびWells Fargoと交渉していると、12月8日に米国証券取引委員会に提出された書類にある。同じ書類には、テスラがこの株を「時折」「市場価格で」売却するつもりだと書かれている。テスラは、売却した株式の「総額の最大0.25%、最大1250万ドル(約13億円)の手数料」を銀行に支払うと語った。

テスラは以前にも資金調達のために株式市場に目を向けたことがある。同社が株式売却の蛇口を開くのはこの3カ月で2度目だ。2020年9月にテスラは50億ドルの株式を「時折」売却するとSEC申請資料に書いている。

米国の電気自動車メーカーは第3四半期を営業キャッシュフロー24億ドル(約2500億円)、フリーキャッシュフロー14億ドル(約1460億円)弱で終えた。テスラの9月四半期末の現金および現金同等物残高は145億ドル(約1兆5100億円)という巨額で、これはテスラが現在の利益を下支えするよりも市場の勢いに乗じる方を選んだことを示唆している。しかし、テスラがベルリンとオースチン近郊の工場など資本集約的建設プロジェクトを数多く抱えていることを忘れてはならない。営業経費も時間とともに増加している。第3四半期にテスラは、営業経費が12億5000万ドル(約1300億円)だったと報告し、前年同期の9億3000万ドル(約970億円)の34%増だった。

Google Financeによると、テスラ株の52週間安値は67.02ドル(約6978.83円)。一方、52週間高値は648.79ドル(約6万7558.83円)で、これは米国時間12月7日に記録された価格だ。おいしいところをすくい上げる時が来たようだ。

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タグ:Tesla

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberが自動運転部門Uber ATGを売却、購入したAuroraの企業価値は1兆円超え

Sequioa Capital(セコイア・キャピタル)とAmazon(アマゾン)が出資する自動運転車のスタートアップ、Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Uber(ウーバー)の自動運転部門(Uber ATG)を買収する契約で同社と合意した。複雑な契約の結果、合併後の企業価値は100億ドル(約1兆400億円)に達する見込みだ。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わない。Uber ATGは2019年にトヨタ、DENSO(デンソー)、およびSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund(ビジョンファンド)から10億ドル(約1040億円)の出資を受けた後、企業価値が72億5000万ドル(約7550億円)になった。代わりに、UBerがATG持ち株をAuroraに譲渡し、4億ドル(約420億円)を出資する。その結果Uberは合併後企業の26%を保有することになると米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料に書かれている。忘れている人にために書いておくと、UberはUber ATG株の86.2%(完全希薄化ベース)を保有している。Uber ATGの株主は、Auroraの少数株主になる。ちなみに契約が完了すると、Uberと既存ATG株主およびAuroraに継続雇用されるATG従業員を合わせると、Auroraの約40%(完全希薄化ベース)を保有することに注目されたい。

Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は新たに拡張したAuroraの取締役に就任する。

2017年創業のAuroraは完全自動運転用ソフトウェアスタックの開発に注力する企業で、人間のドライバーが運転しなくても車両が高速道路や市街地を走ることのできるテクノロジーに基づいている。AuroraはGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceなど著名なベンチャーキャピタルや投資運用会社、メーカーなどの注目を集めた。理由の一部は創業者であるSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、およびChris Urmson(クリス・アームソン)氏が揃って自動運転業界で豊富な経験をもつベテランだからだ。

アームソン氏はGoogle(グーグル)の自動運転プロジェクトがスピンアウトしてAlphabet(アルファベット)傘下のWaymoとなる前の責任者だった。アンダーソン氏はTesla Model Xと同社のオートパイロットプログラムの開発・製造責任者として最もよく知られている。カーネギーメロン大学准教授のバグネル氏は、Uberの自律研究の立ち上げを支援し、ピッツバーグのAdvanced Technologies Center(先進技術センター)で自律・認知チームを率いていた。

Auroraはまず自動運転トラックを市場に出す計画だ。しかしアームソン氏は、同社がロボタクシーなど他の自動運転スタックのアプリケーションも追求を続けていると付け加えた。Uber ATGとの契約によって、Auroraは人材と運用可能な設備を手に入れる。しかし、契約はほかにも重要な意味が2つある。Uber ATGの出資者、特にトヨタとの関係構築、そしてUberとの提携による巨大ライドシェアリングプラットフォームの活用だ。

「私たちがこの会社をつくるとき念頭に置いていたのはスケールに合わせて作ること。誰もが最高の仕事ができる環境を作ろう、ということです」とアームソン氏は12月7日のインタビューで語った。「そしてそれから素晴らしいチームを探して引き入れる。これは才能とテクノロジーを組み合わせる方法の一つであり、今回はつながりを得ることもできました」。

この発表はTechCrunchの11月の記事を裏付けるとともに、ピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントで操業している1200人のビジネスユニットであるUber ATGが、自分より小さなライバルと合併するという紛れもない大事業の幕開けである。

Uber ATGの社員全員がAuroraに合流するかどうかは明らかになっていない。Auroraでは600人の従業員が働き、サンフランシスコ・ベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州モーズマンに拠点がある。少なくとも幹部の1人、Uber ATG CEOのEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏は加わらない。

アームソン氏は、会社とそれぞれの技術の統合は急がず進めることを強調した。

「今後60日間に私たちが行う最もおもしろいことの1つは、2つチームを1つにすることです」とアームソン氏はいう。「その後、我々が市場に出す最初の製品を加速するテクノロジーは何かを少し冷静に見極め、既存のAuroraチームのものであれ、新しいAuroraチームで作られるものであれ、それを強化して推し進めます。それがアイデアでもコードでもハードウェアでも、市場に出す時間を早めるものであれば」。

会社は人材とテクノロジーの評価をできるだけ早く行う、とアームソンは語った。

Uberの自動運転車の歴史

Uberにとってこの取引は、会社がコアビジネスであるライドシェアリングとデリバリーに焦点を絞りつつある中、未だにスピンオフも売却もしていなかった金のかかる最後の部門を際立たせた。この1年間に、Uberはシェアードマイクロモビリティー部門のJumpを手放し、成長はするも未だ利益を上げていないロジスティクス部門のUber Freightの株を売り、Postmatesを買収した。Uberは、同社の無人空中タクシー事業のUber Elevateの買収を交渉中とも報じられている。

Uber ATGは長期的な金銭的利益が約束されている事業の1つだが、多くの痛みと論争と初期費用が、設立したほぼその瞬間から生まれ出た。

2015年初め、Uberは自動運転車への取り組みを開始し、カーネギーメロン大学のロボティクス研究所との戦略提携を発表した。この無人自動車テクノロジーを共同開発する契約は、Uberが研究所から何十人という研究者や科学者を引き抜く(WSJ記事)という結果になった。1年後、Uberは自動運転トラックのOttoを買収した。グーグルの花形エンジニアだったAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏とグーグルのベテラン社員であるLior Ron(リオ・ルロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏の3名が設立したスタートアップだ。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とルロン氏に対して2件の仲裁請求を行った。Uberはいずれの仲裁の当事者でもなかった。仲裁はうまくいったが、それとは別にWaymoが2017年2月に企業秘密窃盗と特許侵害でUberを訴えた。裁判まで行ったが2018年に和解したその訴訟で、Waymoはレヴァンドフスキー氏が企業秘密を盗み、その後それがUberによって使用されたと主張した。

裁判が終わりUberは開発を加速したが、そのほぼ直後に自動運転試験車の1台が、非常用運転手が運転席にいる状態で死亡事故を起こし、2018年3月に歩行者に衝突して死に至らしめた。業界全体が一時停止し、Uberはテストをすべて中断した。

Uberは2019年春にUber ATGを別会社化した。トヨタ、自動車部品メーカーのデンソー、およびソフトバンクのVision Fundから10億ドルの資金を調達した後のことだ。このスピンオフに関しても、Uberは金のかかる事態に直面する。Uberは11月、ATGおよび「その他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)で2020年9月30日までの9カ月間に3億300万ドル(約315億6000蔓延)の純損失を計上した。Uberは、ATGおよび「その他のテクノロジープログラム」の取り組みで4億5700万ドル(約476億円)の研究開発費が発生したとS-1書類に書いている。

Auroraの価値とは?

Uber ATGを悩ましてきた数々問題の傷跡をよそに、アームソン氏は同社には価値ある資産となる人材といくつかの興味深いテクノロジーがある、と主張する。

「自動車向け次世代ハードウェアを設計するために彼らが行なっていることは非常に興味深いものです」と同氏はいう。「ソフトウェア面で彼らは、予言および予言を認知システムと組み合わせる実に面白いアイデアを持っています」。

この契約に詳しいある人物は、Uber ATGには貴重で有能な中級レベルと初級レベルのエンジニアが在籍しているため、Auroraにとって特に魅力的な買収だと語った。

これはAuroraにとって初めての買収ではないが、最大で最も複雑であることは間違いない。2019年にAuroraは、モンタナ州ボーズマン拠点のLiDAR(ライダー)企業であるBlackmore(未訳記事)とシミュレーションのスタートアップである7D Labsを買収した。Auroraは自社の「no jerks(悪党はいない)」ポリシーと企業カルチャーを喧伝しつつ、何百という新しい人たちを吸収しようとしている。

合併後の統合には数カ月や数年かかることがあり、技術的あるいは戦略的な進捗を遅らせかねない。アームソン氏の考えは違うようだ。

「むしろ、目標実現を加速します」と彼は語った。

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タグ:UberUber ATGAurora売却自動運転

画像クレジット:Aurora

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中古EVバッテリーのコンディションレポートを提供するRecurrentが3.6億円を調達

シアトルを拠点とするスタートアップのRecurrentは米国時間12月8日、電気自動車用バッテリー分野で車両履歴レポートを提供するCarfaxになることを目指し、350万ドル(約3億6000万円)の資金調達を完了したと発表した。

バッテリーシステムは電気自動車の最も重要な部分であり、中古電気自動車の市場が拡大するにつれ、バッテリーの寿命と航続距離に関する独立した検証により自動車購入者の決定に役立つとRecurrentは述べている。

投資家にはWireframe Ventures、PSL Ventures、Vulcan Capital、Prelude Ventures、Powerhouse Ventures、Ascend.VC、米国自動車協会(AAA)ワシントン支部などが参加している。

Wireframe VenturesのマネージングディレクターであるPaul Straub(ポール・ストラウブ)氏は声明で「中古車販売は、少なくとも新車販売の2倍になっています。Tesla Model 3の発売から3周年を迎え、すべての自動車メーカーに電気自動車が急速に導入されたことで、中古EVの販売は大きく伸びようとしています」と述べた。「強力なデータとテクノロジーの優位性を持つ企業が、これらの取り引きに信頼性と透明性をもたらすには適切なタイミングです」。

Recurrentによると、この資金は中古電気自動車購入者向けのサードパーティーによるコンディションレポートや、現在の電気自動車所有者向けのバッテリー分析統計を改善するための継続的な製品開発に投資するために使われるという。

Recurrentは現在、同社のサービスを利用している2500人の電気自動車運転手からボランティアで、車両のバッテリー情報を毎月収集している。

「業界に市場主導の機会があるのは明らかですが、私たちは特にバイデン政権の政策がEV導入に与える潜在的な影響に興奮しています」と、Powerhouse Venturesの創設者でマネージングパートナーのEmily Kirsch(エミリー・キルシュ)氏は声明で述べた。「私達はEUにおける有利な政策が大きな影響を与えていることを見てきました。米国でも同様に加速する可能性があると考えています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Recurrent電気自動車バッテリー資金調達

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

カーボンオフセットを推進するドイツの自動車サブスクプラットフォームfnn.autoが25.2億円調達

所有する代わりにサブスクリプションで自動車を提供し、カーボンオフセットを推進するFinn.auto(フィン・オート)は、シリーズA投資ラウンドで2000万ユーロ(約25億2000万円)を調達した。Tier Mobility(ティア・モビリティー)にも出資しているWhite Star Capitalと、Zalando(ザランド)の共同創設者Rubin Ritter(ルービン・リッター)氏、David Schneider(デイビッド・シュナイダー)氏、 Robert Gentz(ロバート・ジェンツ)氏が今回このラウンドに新規に参加している。以前からの投資者も全員参加した。

この資金は、設立1年に満たず、自動車サブスクリプションをわずか1000件販売しただけの時期にもたらされた。同社は、Deutsche Post AG(ドイツポスト)とDeutsche Telekom AG(ドイツテレコム)とも提携している。

同様のサブスクリプションサービスは、 Drover(ドローバー)、LeasePlan(リースプラン)、Wagonex(ワゴネクス)といったプロバイダーを通じて数多くの自動車メーカーからも提供されている。

英国に拠点を置くスタートアップDorverは、5つのラウンドを通じて合計4000万ドル(約4160万円)を調達した。最新のシリーズB投資ラウンドには、Shell VenturesとCherry Venturesも参加している。さらに、Audi on Demand(アウディ・オン・デマンド)、BMW、Citroën(シトロエン)、DS、Jaguar Carpe(ジャガー・カルペ)、Land Rover Carpe(ランドローバー・カルペ)、Mini(ミニ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Care by Volvo(ケア・バイ・ボルボ)といったブランド自動車メーカーによるサービスも存在している。

デジタルで推進されるサブスクリプションサービスには、従来型の自動車販売モデルを崩壊させる潜在力があり、常に新しいスタートアップが市場参入を果たしている。

finn.autoのモデルは、環境意識の高いミレニアル世代に訴えるものとなっている。サブスクリプション1件ごとに、同社はその車両の二酸化炭素排出量をオフセットする。つまり、利用者はカーボンニュートラルなかたちでクルマに乗れるということだ。現在同社は、純電気自動車の車種も増やし、ClimatePartner(クライメットパートナー)と組んで、一部地域の気候保護や開発プロジェクトを支援している。

ミュンヘンを本拠地とするこのスタートアップで重要な役割を果たしているのが、車両管理工程と顧客対応の自動化だ。つまり、こうしたサブスクリプション関連の作業を、ずっと簡単かつ安価で行うこgとができる。

Finn.autoのCEOであり創設者のMax-Josef Meier(マクス・ヨーゼフ・マイヤー)氏はこう話す。「このような高い手腕を持つ投資家に参加してもらえたこと、そして以前からの支援者である投資家のみなさんが今回のラウンドで信頼を固めてくれたことに、大変にうれしく感じています。自分のクルマで移動することは、インターネットで靴を買うのと同じぐらい手軽なものとなります。私たちはすでに、豊富なブランドの自動車を取り揃えていますが、どれも私たちのプラットフォームで、わずか5分で柔軟なランタイム環境からオンライン注文いただけます。その後も、車をご自宅の玄関先までお届けする利便性を誇ります」。

White Star CapitalのジェネラルパートナーであるNicholas Stocks(ニコラス・ストックス)氏は「自動車販売分野には、時代遅れの顧客体験を全体的に洗練させる、また自動車業界のAmazon(アマゾン)になるという大きなチャンスがあります。その点において、利便性、柔軟性、価値、持続可能性を提供するFinn.autoは、投資対象として秀でています」と付け加えた。

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タグ:Finn.autoサブスクリプションカーボンオフセット

画像クレジット:finn.auto

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(翻訳:金井哲夫)

電動モペット配車サービスRevelがオースティン撤退、根強い自動車文化に敗北

電動モペット配車サービスのRevel(レベル)は米国時間12月4日、今月中にテキサス州オースティンでの配車サービスを終了すると発表した。

同スタートアップのCEOであり共同創設者のFrank Reig(フランク・レイグ)氏は、この撤退の判断の責任を、公共交通機関と並んでマイクロモビリティー・サービス全体の利用者を減らしてしまった新型コロナのパンデミックに丸ごと被せることはしなかった。レイグ氏はむしろ、オースティンに「深く根付いた」自動車文化との兼ね合いだと言及した。さらに新型コロナの影響で、人々はますます自動車に依存するようになってしまった。同サービスは、12月18日にオースティンから撤退する。

「オースティンでRevelの展開を始めるときから、厳しいことになるとわかっていました」とレイグ氏はTwitter(ツイッター)に投稿された声明で述べている。「私たちの他の市場に比べて都心の密集度が低いことに加え、ここに深く根付いた自動車文化に食い込むことが、とくに新型コロナの間は困難であると認識しました」

同社にコメントを求めたがまだ返事がない。TechCrunchでは返事があり次第、この記事を更新する予定だ。

Revelは、2018年、フランク・レイグ氏とPaul Suhey(ポール・スヒー)氏によって創設された。ニューヨーク市ブルックリン区での試験プログラムからスタートし、後にクイーンズ区、ブロンクス区、マンハッタン区の一部に拡大した。2019年10月にIbex Investors主導のシリーズAラウンドで276万ドル(約2億8800万円)を調達(未訳記事)したおかげで急速な成長路線に乗っていた。このエクイティ投資には、新たにToyota AI Venturesが参加し、さらにBlue Collective、Launch Capital、Maniv Mobilityからの資金も加わった。

Revelは、事業開始から18カ月でオースティン、マイアミ、ワシントンD.C.に進出。1月には、カリフォルニア州オークランドでサービスを開始し、7月にはサンフランシスコでの営業許可を取得した。

この1年はRevelにとって厳しい年となったが、それは新型コロナのパンデミックのせいだけではない。7月28日、ユーザーが数件の事故で亡くなったことから、同社はニューヨークでの事業を自主的に終了させた。その後、アプリの新機能による安全性強化策などを盛り込んだ同社の事業再開計画をニューヨーク市が認可し、4つの区で3000台強のモペットを投入したサービスの再開にこぎつけた。Revelでは、運転教習動画、安全確認テスト、さらにヘルメットをかぶったことを証明する自撮り写真の提出を求める機能、第三者からも違反を通報できるツールなどを追加している。

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タグ:ライドシェア、Revel

画像クレジット:Ron Adar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転ユニコーンAutoXが中国初となる無人ロボットタクシーのテストを深センでスタート

中国・深センの住民たちは、米国時間12月3日から真の意味での無人運転車を目にしている。Alibaba(アリババ)、MediaTek、Shanghai Motorsの支援を受けるスタートアップAutoXは、深センのダウンタウンに25台の無人運転車を配備し、中国で初めてとなる安全のための運転手や遠隔操作員の担当者なしで公道を自律して走る無人運転車のテストを行う。

AutoXの広報担当者は、まだこのロボタクシーは一般には公開されていないとTechCrunchに語っている。

このマイルストーンは、AutoXがカリフォルニア州からドライバーレステスト開始の許可を得てからわずか5カ月後のことであり、WaymoとNuroに続くものだ。

また中国が深センから上海まで規制上のハードルをクリアにし、補助金をアピールし、5Gインフラを整備することで自動運転車のスタートアップを誘致しようとしているのは、同国がスマートドライブ産業において米国の都市と同等にしたいと考えていることを示している。

その結果、各々の都市には、深センのAutoXとDeeproute.ai、広州のPony.aiとWeRide、蘇州のMomenta、そして北京のBaiduのApollo fleetなどといった企業が事業を展開することになっている。自動運転車のメーカー各社は、従来の自動車メーカーと密接に協力して、自社の車をよりスマートにし、将来の輸送に適したものにしようとしている。

「私たちは地方自治体から支援を得ています。深センでは自動運転車の法制化が急速に進んでいます」とAutoXの担当者は語っている。

ドライバーをフロントから、オペレーターをリモートセンターからなくすという決定は、中国で最も人口の多い都市の1つで行うには大胆な動きのように思える。AutoXは、XCUという独自の車両制御ユニットを装備しており、それは中国の都市の複雑な道路シナリオを処理するために必要な処理速度と計算能力を有していると主張している。

「『XCU』は、このような状況に対応するために何層にもおよぶ冗長性を提供します」とAutoXは、万が一マシンが故障した場合の車両の反応を尋ねられたときに答えた。

同社はまた、過去数年間に100台のロボットタクシーを使って、中国で最も密集した都市部を「何百万マイルもの距離」も走行した経験から学んでいると強調している。ライバル企業もまた、研究開発とパイロットテストに多額の投資をする一方で、自動運転アルゴリズムをトレーニングするために走行距離を積極的に稼いでいる。AutoX自身は、これまでに1億6000万ドル(約166億3000万円)以上を調達している。

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タグ:AutoX自動運転ロボタクシー中国

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新型EVフォードマスタングMach-Eを体験、まずはタッチスクリーンの「ボリュームノブ」に感心

2021年型フォードマスタングMach-Eには巨大なタッチスクリーンが搭載されており、その下部にはボリュームコントロール用の大きなノブがある。私はこれがとても気に入った。タッチスクリーン上に、物理的なノブが備わっているのだ。それをひねって!回す!ひねるとカチッと手応えがある。このノブはタッチスクリーンのスライダーバーよりもはるかに使い勝手がよい。私は他の自動車メーカーに、フォードの先導に従うことを強くお勧めしたい。このノブは驚くほどシンプルなソリューションだ。

このノブの裏にはタッチスクリーンが感応する小さな帯が仕込まれており、ノブを回すとその部分がスクリーン上でドラッグされる。人間がタッチスクリーン上のスライダーを指で触れて操作したかのように、システムを騙すのだ。私が知る限り、このノブはスクリーンに接着されたプラスチックのパーツに過ぎない。

フォードがマスタングMach-Eに搭載したシステムは、巨大なタッチスクリーンと優れたユーザーインターフェースの間の幸せな妥協点である。ユーザーは回転するノブの恩恵を受けることができるが、フォードはそのために物理的な部品を追加で製作したり設置したりする必要がない。私の経験によれば、ボリュームのコントロールには知覚できるようなラグはなく、非常にうまく機能する。回転させれば音量を変更できるし、中央のボタンを押せばオーディオをミュートできる。思った通りに操作できるというのは、優れたデザインである証だ。

オーディオの音量は、回転するノブやダイヤル、ホイールで操作するべきである。議論の余地はない。

自動車メーカーは長い間、何度となくこれに替わるボリュームコントロールを導入してきたが、私はまだシンプルなノブより使いやすいものを見たことがない。

BMWは車内でジェスチャーコントロールを採用している。センタースタックの上に手を置き、片方の指を突き出して空中に円を描く。確かにこれはちゃんと機能する。私はいくつかの点でこのジェスチャーコントロールを良いと思う(未訳記事)が、しかし音量を変えるために指を回していると、馬鹿みたいに感じる時がある。

他にキャデラックなどの自動車メーカーは、音量をコントロールするためにタッチ感応式のスライダーバーを採用してきた。しかし、そのほとんどの自動車メーカーは、いくつかの理由からこのデザインを放棄してしまった。コントロール用のタッチスライダーはダッシュボードの表面に埋め込まれていることが多く、触れてもユーザーにフィードバックを返さない。また、システムの反応も遅いことが多く、イライラするばかりでちっともおもしろくない。

ありがたいことに、最近のほとんどのクルマには、メインのボリュームノブのほかに、ステアリングホイールにオーディオのコントロールが装備されている。回転するホイール式もあれば、上下ボタンを押して操作するものもあるが、私は明らかに回転ホイール派だ。

車内にタッチスクリーンが普及し始めると、より多くの自動車メーカーがボリュームのコントロールを画面上のスライドバーで行わせようとした。多くの場合、物理的なボタンよりもタッチスクリーンを使う方が安価だからだ。しかし、操作性は決して優れているわけではない。現在、ほとんどの自動車メーカーはインタラクティブなコンテンツを画面に表示し、音量とミュートのためのノブをダッシュボードの別の場所に設置するようになっている。

2021年型フォード マスタングMach-Eは運転するとどうだったかって?それは数日後まで話すことはできない。

ところでこの記事では、私に割り当てられた1カ月分の「ノブ」という言葉を消費してしまったことに留意していただきたい。全部で14回もこの言葉を使ってしまった。申し訳ない。

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タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Boltが第4世代キックボードを発表、事故や危険走行を検知するセンサーを搭載し安全性重視

Boltは配車サービスでよく知られているが、同社は欧州の45都市で電動キックボードサービスも運営している。そしてBoltの社内ハードウェアチームが設計した新モデルの電動キックボードは、安全性に重点を置いている。

写真を見るとわかるように、新モデルは重量19kgの大型キックボードで、平均的な自転車より重い。航続距離40kmのバッテリーを搭載し、車体は主にアルミニウムでできている。

Boltによると、新車両はモジュラー設計のおかげで最大60カ月は使用できるという。またBoltは車体全体を交換しなくても、部品を交換できる。

車両には事故や危険な走行を検知するセンサーが搭載されている。利用者が落下するか、または急ブレーキをかけた場合、Boltは警告を発することができる。さらに車両は危険なライディングパターンも認識する。音声と視覚的な警告を組み合わせて、何をすべきか、あるいは何をしてはいけないかを利用者に伝えることができる。

統合ダッシュボードは歩行者エリアで乗車していることや、低速エリアで乗車していることをアラートで通知する。また、駐車可能エリアかどうかも確認できる。Boltによれば、歩行者や低速エリアに入るとフロントライトを点滅させる予定だ。

最新のeスクーターと同様に、車両を移動させなくてもバッテリーが交換できる。着脱式のバッテリーは、スクーター本体の交換よりもはるかに効率的だ。

数週間前、Boltはキックボード事業を拡大する計画を発表し、2021年には100以上の都市でサービスを運営する計画だ。これにより、ヨーロッパの都市で13万台もの電動キックボードや電動バイクが展開される可能性がある。同社の2021年における野心的なロードマップが達成できるのかどうかに注目が集まる。

画像クレジット:Bolt

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タグ:Bolt電動キックボード

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter