フォルクスワーゲンが 電気自動車のID.3投入に先駆けて家庭用EV充電システムを発売

Volkswagen(VW、フォルクスワーゲン)は電気自動車(EV)IDファミリーのマーケット投入に先駆けて、家庭充電デバイスの販売を開始した。

ID.3はIDを冠する初のEVで、欧州でのみ販売される。ID.3 1stとして知られるローンチエディションを予約した顧客は2020年6月17日から注文できる。VWは今週、ID.3 1stの納車が9月に始まると話していた。

つまり少なくとも今のところ、Wallboxという家庭用充電デバイスが欧州8カ国でのみの販売となることを意味する。VWは3つのバージョンのWallboxを製造していて、価格幅は399ユーロ(約4万8000円)〜849ユーロ(約10万3000円)だ。ここには設置費用は含まれない。

全バージョンとも充電容量は最大11キロワットで、 固定型のType 2充電ケーブルを備え、DC残余電流保護機能を搭載している。

Charger ConnectとID. Charger Proという2つのプレミアムモデルは、2020年後半に発売される見込みだ。これらは、Teslaオーナーにはお馴染みのインターラクションや分析ができる追加のソフトウェアが搭載される。ID. Charger Connectでは顧客は充電プロセスを管理するためにスマホをリンクさせることができる。ID. Charger Proではコネクティビティ機能に加え、商業使用のための電気メーターも付いている。VWによると、このメーターは運転者に電気代を請求するのに使用できる。

ID.3は、VWの全電動IDブランドの最初のモデルで、2025年までに年間100万台のEVを販売するという野心的な計画の第1弾となる。ID.3は欧州限定だが、IDブランドの他のモデルは北米でも販売される見込みだ。

画像クレジット:VW

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(翻訳:Mizoguchi

ユナイテッド航空が米国内の空港に無接触型チェックインキオスクを導入

新型コロナウイルス(COVID-19)関連の制約が徐々に緩み、米国では旅行者が増え始めている中で、ユナイテッド航空が全米で219基の無接触型チェックインキオスクを導入すると発表した。この新しいチェックイン方法は、同社がパンデミック時のさまざまな旅行対策として進めているCleanPlus戦略の一環だ。

旅行者が自分のスマートフォンや印刷されたパスをスキャンすると、このデバイスは手荷物タグと搭乗券を自動的にプリントアウトする。最初のシステムはオーランドとボストン、ダラス/フォートワース、およびシカゴに設置され、その後さらに20基のキオスクが加わる。

これにより、ユナイテッド航空がチェックインキオスクを運用している米国のすべての空港にこのシステムが導入される。米国内空港およびそのほかの国際空港への導入は来月になる。

同社のそのほかの新型コロナウイルス対策としては、列に並ぶ乗客の人数の制限や、機内での消毒剤の使用許可、機内食に包装された製品を採用、バー領域から座席を排除、社員の検温の義務化などがある。先月TSA(運輸保安局)は、 メモリアルデーの週末に帰省する旅行者のために同様の安全対策を実施した。

画像クレジット:ユナイテッド航空

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動スクーターシェアのSpinが欧州に進出、まずはドイツからスタート

Spin(スピン)はドイツでスクーターシェアリング事業を開始した。米国企業のSpinにとって、欧州に進出する最初のステップとなる。

2018年に約1億ドル(約107億円)でFord(フォード)に買収されたSpinはドイツのケルンでサービスを開始し、数週間以内にドルトムントやエッセンでも展開する計画だ。Spinによると、米国でもサービス展開都市を拡大していて、まずはアトランタから開始する。同社は詳細を明らかにしなかったが、その他の都市でも展開される予定だ。

Spinの欧州進出は、新型コロナウイルス(COVID-19)が経済に大打撃を与える前の今年初めから計画されてきた。2020年初め、電動スクーター企業にとって欧州は格好の夏季サービス競争地にみえた。LimeやBird、Circ、スウェーデンのスタートアップVoi、そしてドイツのスタートアップTierを含む欧州、米国拠点の企業はマーケットシェアを争っていた。Voiは欧州40都市でサービスを展開し、Tierは56都市に拡大していた。アムステルダム拠点のDottも参戦してた。そうした中でSpinは今年2月に欧州進出を発表した。

その後すぐに欧州と北米で新型コロナウイルスの感染が拡大し、マイクロモビリティにブレーキがかかった。パンデミックにより多くのスクーターやバイクのシェアリング企業がサービスの一時停止、あるいは撤退すら余儀なくされた。

電動スクーターのスタートアップはいま、欧州に戻りつつある。欧州は米国よりも電動スクーターが浸透していて、経済性もいい。

Spinはまずはドイツの一部で開始する。というのも、最近同社とYouGovが実施した調査で、電動スクーターがドイツで人気の交通手段になりそうであることが示されたからだ。ドイツで行われた調査の対象者の50%近くが通勤や近所へのちょっとした移動の手段として1人乗りの乗り物をすでに使用しているか、使用する計画だと回答した。

「混んでいない環境で通勤する必要性が高まるにつれ、マイクロモビリティが世界中でかなり受け入れられている」とCEOで共同創業者のDerrick Ko(デリック・コー)氏は声明で述べた。

Spinはドイツ以外にも進出する計画だと述べた。同社はフランスのリヨンとパリでの営業許可を申請し、バーミンガムやリバプール、ロンドン、マンチェスターといったいくつかの英国の都市での電動スクーターレンタル試験プログラムの提案書を提出した。

同社は許可されていた米国のいくつかの都市でオペレーションを続け、新型コロナウイルスのパンデミック中はヘルスケアワーカーに無料乗車を提供した。そして今月、14都市でサービスを再開し、現在は25都市で展開している。

「Spinスクーターはレジャー活動のためというより、ユーティリティとしてこれまで以上に使用されている」と会長で共同創業者のEuwyn Poon (エオウィン・プーン)氏は声明で指摘した。「公共交通機関はサービスをカットしていて、Spinはそこをサポートしようとしている」

プーン氏によると、4月以降、新規デイリーアクティブユーザーは毎週平均34%増えている。スクーター使用時間も44%増え、5月には1回あたり24分と過去最高を記録した。

画像クレジット: Spin

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(翻訳:Mizoguchi

マスク氏の「Semiトラック大量生産」メモでテスラ株価が1000ドル超え

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏がメモの中で、3年近く前に発表した電動大型トラック(クラス8)のTesla Semiについて「『全力を尽くし』て大量生産を開始するときだ」と述べた。

従業員向けのメモについてはCNBCが最初に報じた。TechCrunchもこの短いメモを確認したが、大量生産がいつ始まるかなどの詳細は書かれていなかった。マスク氏はメモが事実であることをTwitter(ツイッター)で認めた。

漠然とした内容のメモと、メモを認める「イエス」という言葉はウォール街にとっては十分なものだった。テスラの株価は米国時間6月10日朝に6%超上昇し、1000ドル(約10万6960円)を超えた。米国東部時間午前10時50分時点で1009.84ドル(約10万8000円)だった。同社の時価総額は今や1870億ドル(約20兆円)超となった。

「Tesla Semiは限定的に生産されてきた。これにより、デザイン面で多くの点を改善できた」とマスク氏はメモで述べた。バッテリーとパワートレインはネバダ州スパークスにある同社のギガファクトリーで生産される。マスク氏はトラックそのものがどこで生産されるのか言及しなかったが、他の作業はおそらくネバダ州以外で行われる、とメモに記した。

メモ全文は以下のとおりだ。

Tesla Semiを大量生産すべく、全力投球するときだ。これまで限定生産されてきたが、これによりデザイン面で多くの点を改善できた。バッテリーとパワートレインの生産はネバダ州のギガで行われ、その他のほとんどはおそらく他州でとなる。ジェロームと私はこの素晴らしいプロダクトをマーケットに投入するためにあなたたちと共に働くことを楽しみにしている!

最終組立てがどこで行われるかTwitterで聞かれたマスク氏は「いずれわかる」と答えた。

Tesla Semiは2017年11月にデビューしたとき、大評判となった。発表の際、マスク氏はSemiがModel X、Model S、Model 3のような走りになると約束した。またこのトラックには驚くべきスペックが備わっていた。そのうちの1つが、フル積載状態で時速65マイル(105km)で走行したときの航続距離が500マイル(約805km)というものだ。

SemiはすぐさまModel 3の影に隠れた。Model 3は数カ月も生産が追いつかなかった。そしてModel Yがデビューし、生産が始まった。そのうちSemiはTeslaの決算報告から姿を消した。

今年初めの第4四半期決算で、同社はそれまでの数カ月で初めてSemiについてアップデートし、「今年台数限定で生産する計画だ」と述べた。

その後同社は直近の四半期決算発表の中で、Semiの生産・販売時期を2021年に後ろ倒しにすると明らかにした。当初の目標から2年遅れとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

テスラのライバルで時価総額3兆円のNikola、水素電池搭載ピックアップトラックの予約を受け付け

米国6月4日に上場した米国アリゾナ拠点のスタートアップNikola Motor Company(ニコラ・モーター・カンパニー)は、水素燃料電池を搭載する電動ピックアップトラックの予約受付を今月下旬に開始する。このトラックはFord(フォード)のF-150と競合するものだ。

「水素燃料電池搭載ピックアップトラック「Badger」の予約(またはプレオーダー)は6月29日から受け付ける」とNikola Motor創業者で会長のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が米国6月9日にツイートした。

同社は当初、水素を活用したクラス8(大型)電気トラックのデザイン・開発・生産と、北米中に水素ステーションインフラを構築することに注力していた。2014年の創業以来、同社は水素を活用した電動のビジョンをパワースポーツに、最近ではピックアップトラックに広げてきた。同社は今年2月に、バッテリー電動式と燃料電池式のピックアップトラックBadgerを用意すると初めて詳細を明らかにした。

Nikola Motorはまだ製品を1つも展開していない。工場すらまだない。同社はアリゾナ州クーリッジに工場を準備中だ。整地され、建物の建設が年内に始まる、とミルトン氏はTechCrunchとの最近のインタビューで述べ、今夏にも始まることを期待しているとも付け加えた。

大胆なビジョンを持つもののプロダクトがまだなく、ましてや売上などないにもかかわらず、Nikola Motorの時価総額は9日の市場終値では286億3000万ドル(約3兆円)だった。Nikolaの時価総額は同日、一時フォードを超えた。

NikolaはVectoIQとの逆さ合併を通じて上場会社になった。VectoIQはGM(ゼネラルモーターズ)の前副会長、Stephen Girsky(ステファン・ガースキー)氏が率いる、上場している特別買収目的会社だ。6月4日のデビュー以来、同社の株価は急上昇し、上場時の37.55ドル(約4025円)より112%超高い価格で取引され、9日は79.73ドル(約8540円)でひけた。

狙いを定めているのはフォードとテスラ

「我々はフォードのF-150のマーケットを追いかける。TeslaのCybertruckも競合相手になる」とミルトン氏はTechCrunchに語った。同氏はまた、同様に電動ピックアップトラックを計画しているRivian(リビアン)とは競合しないとも述べた。

「RivianはトヨタのTacomaのように小型トラックで、建設業界において、あるいはフォードF-150、自営業や建設業にフォーカスしている大型のピックアップトラックマーケットとは競合しない。どちらかというとRivianはアウトドアでのレクレーション活動に使われる消費者モデルだ」

Nikola Motorによると、Badgerは航続距離600マイル(965km)、906馬力・980lbft(1329Nm)など、目が飛び出るほどのスペックだ。バッテリー駆動の電動バージョンはフル充電で300マイル(約482km)走行し、燃料電池を搭載してアップグレードすれば距離を倍に伸ばすことができる。2022年に生産が始まる見込みだ。

ただ、ミルトン氏によるとNikolaは自前でBadgerを生産しない。OEM企業と提携する計画で、今年後半に相手企業が明らかにされる予定だ。

画像クレジット: Nikola Motor

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(翻訳:Mizoguchi

NSXはタイヤ付きのすばらしいスマホホルダーだ

アキュラのNSXは、ものすごい馬力を発生するハイブリッドパワートレーンを搭載した爽快なスポーツーだ。しかし、これは車の性能を語る記事ではない。この車の最大の機能のひとつである、スマホホルダーの紹介だ。今や、ほとんどの人にとってスマートフォンは体の一部として必要不可欠なものとなり、車ももっと統合を進めなければならないという現実に自動車メーカーが気づくべきときにある。

専用のスマホホルダーの採用は、自動車メーカーがようやくカップホルダーを採用したのによく似ている。こんなジョークがあった。熱いマクドナルドのコーヒーを置ける場所をユーザーに提供できるようになるまで、自動車メーカーは何十年も要した。

NSXには、ドライバーの視線を直接遮ることなく、それでいて操作が可能なスマホホルダーが装備されている。ホルダーはセンターコンソールに設けられ、スマートフォンは縦に置く。これならスマホをすぐに手に取り、またすぐに元に戻せる。

長い間、自動車メーカーは、一部のドライバーだけが使う物としてスマートフォンを見てきた。これは現実離れしたスタンスだ。運転中にスマホをいじれば交通違反になる地域は多いが、それでもスマホをナビゲーションやメディアに使う人は大勢いる。自動車メーカーの対応は、せいぜいラジオの下かセンターコンソールのシフトレーバーの後ろに汎用のポケットを設けるぐらいだった。

スマホホルダーの対応に遅れた理由はいくつかあるが、そのひとつに、車両の開発は何年間にも及ぶが、スマホはもっとずっと短いサイクルで新機能が追加されたり形状が変わるという問題がある。自動車メーカーは、スマホのような家電製品がどう変化するかを予測し、現在のものだけでなく5年先のものにも対応できるよう車をデザインしなければならないという難題を抱えているのだ。

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NSXの性能に関しては、簡単な概要しかお伝えできない。この車を72時間使わせてもらったが、そんな短い時間運転しただけで、この車の結論を出すのは気が引ける。加速は猛烈だが、ボディ剛性は平均的だ。ステアリングにはムラがあり、あるときは重かったり、あるときは敏捷だったりと安定しない。日常のドライブなら我慢できるが、コース上では問題が多いだろう(実際にコースでは走っていないが)。

エンジン音には失望した。標準の走行モードである「Sport」では、エギゾーストが錆び付いたサターンのような音がする。「Sport+」モードと「Track」モードでは少し音は改善されるが、それでもまだむきだしの感情が伝わってこない。

全体として、NSXのドライビングダイナミクスについてはよくわからない。NSXと過ごした短い時間に、私は曲がりくねった田舎道とハイウェイの長い直線を走った。それでもまだ結論が出せない。ある意味、それが私の結論なのかもしれない。NSXは17万9000ドルという価格に相応したすばらしい車だが(日本では2420万円より)、ドライビングダイナミクスの点でポルシェ911ターボやアウディR8やAMG GT Rを上回る何かを提供してくれているだろうか?私にはわからない。しかし、すばらしいスマホホルダーが搭載されていることだけは確かだ

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(翻訳:金井哲夫)

フォード製新型SUVのエスケープPHEVはトヨタRAV4 Primeを迎え撃つ

SUVでは初となるFord(フォード)製プラグインハイブリッド(PHEV)仕様の2020年型Escape(エスケープ)は、EPA推定航続距離37マイル(60km)、ガソリン等価換算燃費100MPGe(42.5km/L)と、トヨタの新型RAV4 Primeと対抗する性能を見せている。

Toyota RAV4 Primeは推定航続距離42マイル(68km)、94MPGe(40km/L)だ。トヨタは2019年11月のロサンゼルスオートショーで同モデル初のプラグインハイブリッド車を発表した。米国ではこの夏にディーラーに登場する。

EscapeはRAV4 Primeを価格面でリードしている。RAV4 Primeの価格が3万9220ドル(約424万円)なのに対して、Escapeの基本価格は3万4285ドル(約371万円)とフォードはいう。しかし、トヨタのプラグインハイブリッドは302馬力、0~60mph加速5.7秒と、Escape PHEVの209馬力を性能で上回っている。実際、RAV4 Primeはトヨタのラインアップ中で最も強力な4ドア車だ。

EscapeのEVのみの航続距離37マイルという数字は、フォードのハイブリッド技術の進歩を表している。これより小型のFord Fusion Energiプラグインは、Escapeより11マイル少ない。

「初代のEscapeは世界初のハイブリッドSUVであり、新開発のEscapeプラグインハイブリッドは、テクノロジーと効率で当社がどこまで達成しているのかを示すものだ」とフォードの製品開発・調達最高責任者であるHau Thai-Tang(ハウ・タイタン)氏は声明で語っている。

Escape PHEVは、フォードの115億ドル電動化計画の一環だ。Escape PHEVは、2.5Lサイクルハイブリッドエンジンと、14.4kW/hリチウムイオンバッテリーを搭載する第4世代ハイブリッド推進システムを採用している。

Escape PHEVには4つのモードあって、ドライバーは電動パワーをどう使いたいかによって選ぶことができる。どれがいいか考えたくない人はAuto EVモードにすれば、ガソリンと電気のどちらで走るかを車が決めてくれる。EV Nowモードでは電力のみになる。EV Laterモードは全面ガソリン走行に切り替えて、後のためにEV走行距離を残す。そして新設のEV Chargeモードは走行中バッテリー充電を続けて後のためにEV距離を残す。

プラグインハイブリッド車なのでAC充電ポートがついている。ドライバーは110Vのレベル1チャージャーで10~11時間かけて充電するか、推定3.5時間で充電できる240Vのレベル2チャージャーを使える。そのほか、アダプティブクルーズコントロールや車線中央維持、衝突回避操舵支援、音声操作ナビゲーションシステムなどの先進運転支援システムも標準搭載している。

プラグインハイブリッドは、EscapeトリムレベルのS、SE Sport以外のモデルで提供するとフォードは説明する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電動航空タクシーのLiliumがBaille Giffordから38億円を調達、評価額が1000億円超に

ほとんどの空の便が地面に拘束され休止している今、航空輸送の大きなブレイクスルーを目指すドイツのスタートアップであるLilium(リリウム)が、そのサービスの構築にさらなる資金を調達した。タクシーのようなフリートを編成し街から街へ乗客を運ぶことを目的とした、完全電動の垂直離着陸航空機を開発する同社は、3500万ドル(約38億円)の追加投資を獲得した。

この資金は、2020年3月にLiliumが調達を発表したばかりの2億4000万ドル(約260億円)という投資ラウンド(未訳記事)の追加拡張投資なのだが、注目すべきは、このスタートアップの資本政策表に今話題の高名な企業が新規参入している点だ。Tesla、SpaceX、Sporufy、Airbnbなどを支援するスコットランドのベンチャー投資企業Baillie Gifford(ベイリーギフォード)だ(3月のTechCrunchの記事では、この260億円はTencent、Atomico、Freigeist、LGTといった従来の投資家からのものとお伝えした)。

Liliumの最高商業責任者であるRemo Gerber(リモ・ガーバー)博士はインタビューの中で、さらに多くの投資家をラウンドに招くよう交渉中だと明言していた。これは、我々がさる情報筋から2019年に入手し、4億ドル(約430億円)の追加調達を目指していると伝えた話(未訳記事)と一致する。

現在のところ、Liliumの調達額はトータルで3億7500万ドル(約410億円)となり、同社に非常に近い情報筋が確認したところによると、評価額は10億ドル(約1080億円)を超えるという。それにより同社は、航空業界参入を目指す企業としては、もっとも資本金が多く評価額が高いものとなった。

今回の追加拡張投資は、長期戦を覚悟しつつも短期的な数多くの変化に対応しなければならないLiliumにとって絶妙なタイミングだった。旧型試作機がメンテナンス中に炎上する(electrek記事)など技術的なつまづきの後、原因究明のために計画が一時停止していたが、最初の商用サービス開始への道筋を外れることはなかったとガーバー氏はいう。ただし、それはまだ5年先の2025年の話だ(計画では、最初は人間のパイロットが操縦し、自動航行「航空機」で運行されるのは10年後となる)。

だが一方では、多くの企業が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる世界経済低迷の打撃に備えるために、さまざまな業界の活動が全体的に鈍化し停滞している。その中には、Liliumにとって重要な3つの業界も含まれる。航空、製造、旅行だ。

ガーバー氏によれば、今回の資金投入はこの機を活かすものであり(投資企業にBaillie Giffordが加わったことは大きいと彼は指摘する)、同時に、今後の不確実な時代に何が起きても対応できるようLiliumの財政を強化するものだという。同社には現在450名の従業員がいるが、世界中で数百万人もの人々が失業する中、1人の解雇者も出していない。デザイン部門の大多数の人たちは自宅で作業をしており、またLiliumには広大なスペースがあるため、社会的距離を確保しつつ製造が行えるよう設備を整え、次の開発段階に対応させるとガーバー氏は話している。

とはいえ、都市部に渋滞を引き起こす自動車や、通勤経路が入り組み、その他の乗り物では採算が合わない鉄道などの交通機関に取って代わる空飛ぶ乗り物の実用化を目指す、将来の競合相手も数多い。

その中には、やはりドイツのスタートアップであるVolocopter(ボロコプター)も含まれる。そこもまたタクシーのような新しい空飛ぶ乗り物とサービスの開発を行っており、2020年2月には940万ドル(約10億円)の投資を獲得している。さらに、既存のヘリコプターを使って大金を支払えるごく限られた人向けに空飛ぶタクシーサービスを展開するBlade(ブレード)やSkyryse(スカイライズ)の他にも、Kitty Hawk(キティーホーク)、eHang(イーハング)、Joby(ジョビー)、Uber(ウーバー)などが名を連ねている。Kitty Hawkは、つい先週、その壮大な自動飛行プロジェクトを廃止(未訳記事)し、この分野での活動を活発化するために、自動飛行プロジェクトに資源と重点を移すことにした。

安全対策、設計の信頼性、乗り物としての効率性を最重要視するのは、これらメーカーだけではない。規制当局もそこに注目している。だが、規制に関しても進歩の兆しが見えている。例えばイギリスでは2020年5月に革新的な航空輸送用の航空機を開発する企業をより多く支援する取り組みを英国政府が発表(gov.ukプレスリリース)、した。革新的な産業を支援し、未来の運輸業界に、より持続性の高い形態を構築するという同政府の政策目標の一環だ。

Liliumは、スコットランドのエジンバラから参入を助けてくれるBaillie Giffordの力を借りてイギリス、さらにヨーロッパ以外の世界における事業展開の好機を狙っている。「私たちはLiliumで画期的な輸送手段を開発しようと情熱を燃やす並外れた人々を支援できることを、大変に喜ばしく思っています」とBaillie Giffordの投資マネージャーMichael Pye(マイケル・パイ)氏は声明の中で述べている。「まだ初期段階ではありますが、このテクノロジーは低炭素な未来に意味深い多大な利益をもたらすものと確信しています。そして私たちは、数年後のLiliumの進歩を大変に心待ちにしています」。

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(翻訳:金井哲夫)

WHILLが羽田空港で電動車椅子を使った搭乗口までの自動運転システムを導入

WHILLは6月8日、羽田空港第1ターミナル内において同社開発のパーソナルモビリティ(電動車椅子)を利用した自動運転システムを導入したことを発表した。

これまで羽田空港では、第2ターミナルでドライバーが同乗する電動カートが運行されており、長距離の歩行が難しい乗客や子供連れの乗客が利用できたが、同社によるとドライバーが同乗せずに一人乗りの車椅子を使った自動運転システムは世界初とのこと。

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通常の車椅子介助サービスでは、介助スタッフが車椅子を押す必要があるため、乗客と十分な距離を保つことは難しかった。電動車椅子を使えば乗客が自分で運転できてスタッフは不要になるが、利用後に車椅子をスタッフが回収する必要があるほか、操作に慣れない乗客の誤操作などのリスクがあった。

一方、同社の自動運転システムでは介助スタッフが不要なうえ、乗客に操作は不要、利用後は自動運転で所定の場所に車椅子を戻せるため、ソーシャルディスタンスを確保でき、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の拡大防止に役立つとしている。

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この自動運転システムは海外では、ダラス・フォートワース国際空港(米国)、ジョン・F・ケネディ国際空港(米国)、ウィニペグ国際空港(カナダ)、アブダビ国際空港(アラブ首長国連合)などでべ11回におよぶ実証実験の実績があり、これまで通算400人近くの乗客や空港関係者が利用したとのこと。今後同社は、羽田空港第1ターミナルだけでなく国内外の空港、施設での早期導入を目指す。

WHILL自動運転システムの導入概要は以下のとおり。

  • 導入開始日:2020年6月8日
  • 導入場所:羽田空港第1ターミナル ゲートエリア内、保安検査場B近くに設けられた待機場所(WHILL Station)から3〜7番ゲートまで
  • サービス内容:乗客を「WHILL自動運転システム」により搭乗口まで送り届ける。往路は運転を必要としない自動運転モードで運行され、利用終了後は無人運転でWHILL Stationに返却される仕組み
  • 利用対象者: 羽田空港第1ターミナルを利用する、長距離の歩行に不安を感じる乗客

Cowboyの電動自転車の新製品はベルト素材をゴム&ガラス繊維からカーボンに変更

電動自転車メーカーのCowboy(カウボーイ)が、新製品となるCowboy 3を発売した。比較的小さなアップデートだが、新規の顧客を開拓する効果はありそうだ。当初の注文分は7月の終わりには配送される予定。Cowboy 3の価格は、前任機からやや上昇して、2290ユーロ、または1990ポンド(約27万3500円)となっている。

Cowboy 3の外観は、昨年私がレビューしたCowboy 2(未訳記事)と比べて大きくは変わらない。フレームはアルミ製の三角形で、薬のカプセルのような形のライトを内蔵している。ハンドルバーは、相変わらずマウンテンバイクのように、完全にまっすぐなものだ。

前世代のモデルと大きく異なるのは、ゴムとガラス繊維でできていたベルトを、カーボン製ベルトに変更したこと。耐久距離は3万kmに延びている。

これまでのモデルと同様、モーターによるアシストをコントロールするためのギアやボタンはない。ペダルを踏み始めると、モーターアシストが自動的に作動する。

ただし、新しいバージョンではギア比が変更され、少し低くなった。つまり、信号で止まったりした後、楽に再スタートできる。その半面、最高速度の点では不利になるはずだ。というのも、モーターによるアシスト機能が働くのは法律に定められた一定の速度までで、それ以上のスピードは人間の足が頼りとなるからだ。

ホイールとタイヤも微妙に変更されている。これまでの既製品のPanaracerタイヤの代わりに、パンク保護層が入った特注のタイヤを採用した。リムも大きくなっている。

サドル、油圧ブレーキ、ブレーキパッドは変更されていない。Cowboy 3は、相変わらず取り外し可能なバッテリーを搭載している。これは、VanMoofや、最近登場したGogoro Eeyoなどの電動自転車はがいまだに採用していない特徴だ。総重量は16.9kgで、現状では、3色が用意されている。ブラックと濃さの異なる2種類のグレーだ。

既存のCowboyのオーナーも含めて、新しいアプリのダウンロードも可能となり、いくつかの新機能が利用できるようになった。たとえば、自動ロック解除をオンにしておけば、アプリを起動した状態でなくても、スマホを持って自転車に近付けば、自動的にロックを解除することが可能となる。

また盗難検出機能では、自転車が動かされると、すぐにユーザーに通知が届く。さらに衝突を検出すると、緊急連絡先に通知する機能や、空気の品質を計測して表示する機能も利用できるようになった。

関連記事:A bike lover’s take on the Cowboy e-bike

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazon Airが貨物機を12機追加し地上運用を拡大

Amazon(アマゾン)は米国時間6月4日、Amazon Airに12の新しい貨物機を追加した、これによって所有する貨物機は80機以上になった。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック時による輸送需要の増加も追加が行われた理由の一因である。

改造されたボーイングの航空機767-300が、Air Transport Services Groupからリースされた。Amazonは、新しい貨物機の1機は今月にも輸送を開始し、残りは来年到着すると述べている。

また、同社はAmazon Airの地上ネットワークを拡大しており、今月からはテキサス州オースティンのオースティン・バーグストローム国際空港と、プエルトリコのサンフアンのルイス・ムニョス・マリーン国際空港に地域のエアハブを運用し、今年の夏にはフロリダ州のレイクランド・リンダー国際空港、来年にはサンベルナディーノ国際空港を開港すると述べている。また来年には、シンシナティ/ノーザンケンタッキー国際空港に新しい中央アマゾンエアハブをオープンする。

発表の中で、Amazon Global Airの副社長である Sarah Rhoads(サラ・ロード)氏は、「Amazon Airは、私たちが直面している現在とそれ以後の環境の両方で、お客様への迅速なデリバリーを確実にするために重要なものです」と語る。

Amazonは、配達の速度を上げ、サードパーティのロジスティクスプロバイダーへの依存を減らすために、2016年に自社ブランドの貨物機の運行を開始した。たとえば昨年、FedExがAmazonとのエクスプレスデリバリー契約の終了を発表した後、AmazonはAmazon Airを拡大(未訳記事)した。

在宅避難命令を受けている多くの米国人は、オンライン注文をAmazonに頼っている。同社はパンデミックに関連した需要を満たすために17万5000人の臨時雇いの労働者を投入しており、そのうち約12万5000人が今月中にフルタイムに移行する予定(未訳記事)だ。

しかし、同社はまた、労働者たちの安全性についても監視されている。先月末の時点で、Amazonの倉庫作業員8人が新型コロナウイルスで死亡した。同社は、従業員の何人がウイルス陽性であるかを明らかにしていないが、もし同僚がCOVID-19検査陽性となった場合には、ソーシャルディスタンス手法を強制し、同じ施設内の他の人びとに対して警告を行なうと述べている。13の州の司法長官(AG)たちは連名で、労働者の保護を強化するようアマゾンに要請した。

関連記事:米国13州の州司法長官がアマゾンとホール・フーズに新型コロナ禍の労働環境について公開書簡

画像クレジット: Stephen Brashear (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

Birdが買収したスクーターシェアCircの中東事業を停止、スクーター1万台を処分

Bird(バード)は、1月に買収したマイクロモビリティスタートアップのCirc(サーク)が管理する中東のいくつかの都市でのスクーターシェアリング事業を停止した。メディアとの接触を認められていないために匿名を条件に語った複数の業界筋によると、Circの従業員約100人が解雇され、Circのスクーター1万台ほどがリサイクルのために、UAE(アラブ首長国連邦)拠点のサードパーティー企業に送られた。

Birdが「オペレーションの一時停止」と呼ぶ事業停止は、米国ロサンゼルス拠点の同社が欧州のライバル買収を発表し、事業拡大計画を明らかにしてから6カ月もたたずしてものとなる。Circの中東事業を全て停止するというBirdの決断は、バーレーン、UAE、カタールに影響が及ぶ。

8000〜1万台のCircのスクーターがEnviroServe(エンバイロサーブ)に送られた。同社は電化製品やその他の製品をリサイクルするUAE拠点の会社だ。複数の情報筋はTechCrunchに語る際に対し匿名を希望し、そのうちの1人によるとCircのスクーター約1000台が新品だった。

Birdは声明の中で、中東からの撤退ではないと述べた。「オペレーションの一時停止」で、秋に戻ってくる計画だとした。Birdはまだ自前のサービスをテルアビブで展開している。

「Birdは現在テルアビブでサービスを提供している。中東の他の地域はこの時期かなり暑くなり、オペレーションを一時的に停止している」と電子メールによる声明で述べた。「一時停止している間を利用して、中東で使われていたCircの古いスクーターのパーツを責任を持ってリサイクルする。スクーターはかなり傷んでいて、もはや我々の品質基準を満たさない。こうしたスクーターの売却または再利用は究極的には安全問題や責任問題につながりかねない。これは購入する側もしくは利用するかもしれないライダーにとってフェアではなく、倫理的に問題でもある。今年後半に中東地域でさらに範囲を広げてサービスを再開することを楽しみにしている」。

ベルリン拠点のTier Mobility(ティア・モビリティ)を含む数社が、ドバイやそのほかの中東の都市から撤去されたCircブランドのスクーター購入を申し出た、との情報をTechCrunchは入手した。情報筋2人によると、こうしたオファーをBirdは断ったとのことだ。

過去2カ月間、米国、カナダ、欧州、そして今や中東で数万台ものスクーターや自転車が処分された。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの間のコストを削減しようと、マイクロモビリティ企業がマーケットから撤収している。明るい赤色をしたJUMPの自転車が処分されて山積みになっているところを映した写真やビデオが先月Twitter(ツイッター)上で拡散し、自転車推進者や都市プラナー、業界ウォッチャーの間で広く批判や怒りをかった。自転車の処分は部分的には、Lime(ライム)とUber(ウーバー)間の複雑な契約の影響によるものだ。先月LimeはUberがリードする投資ラウンドで1億7000万ドル(約185億円)を調達した。ディールの一環として、Uberは2018年に2億ドル(約217億円)で買収したJUMPをLimeに押し付けた。JUMPの全従業員400人は解雇され、そして米国だけで自転車とスクーター少なくとも2万台が処分された。JUMPの自転車が通りから撤去され、リサイクルに回されたというニュースはカナダでも報じられた。

Tier Mobility(ティア・モビリティ)のCEOで共同創業者のLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏は、JUMP自転車の購入を申し出た。また、Birdにも声をかけた。

「持続可能なモビリティにはお構いなく、結果ありきだった」とロイシュナー氏は最近のインタビューの中でスクーターや自転車を処分するという決定について語った。「この業界が取るべき手法ではなく、だからこそ私は声を大にして言わなければならない」。

中古電化製品で欧州のマーケットリーダーであるreBuyを以前立ち上げたロイシュナー氏は「適切に、そして安全にスクーターを一新して消費者に販売することはできる」と述べた。Tier Mobilityは自社の車両を新しいものに替えた後、古い電動スクーターを一新して消費者に売った。

Circは2019年1月にシリーズAラウンドで5500万ユーロ(約67億円)を調達(未訳記事)して一躍有名になった。ベルリン拠点の電動スクータースタートアップである同社は、ブランドを改める前はFlashという名称だった、Delivery HeroとTeam Europeの創業者であるLukasz Gadowski(ルーカス・ガドウスキ)氏によって設立された。

Circは素早く欧州中に拡大し、その後中東にも進出した。同社は、ステルスモードから突然登場して6カ月もたたないうちに7カ国21都市でサービスを展開(未訳記事)した。そして、その後も拡大路線を続けた。しかし他のスクーターシェアリング企業と同様、Circも停滞に直面した。同社は昨年11月に各地域のオペレーションやベルリンの本部で人員を削減(未訳記事)した。従業員の解雇は「シーズンを通じてのユーザーの変動、『経営から得たこと』、そしてバッテリー交換可能な電動スクーターへの移行によるものだ」とガドウスキ氏は当時TechCrunchに語っていた。

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(翻訳:Mizoguchi

フォード向け自動運転技術開発のArgo AI、フォルクスワーゲンの投資を受け欧州進出へ

米国時間6月2日、Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ、VWグループ)はFord(フォード)の自動運転車向けにバーチャルドライバーシステムや高精細の地図を研究開発していた米国ピッツバーグのArgo AIに対し、26億ドル(約2800億円)の戦略的投資を完了する。Argo AIは2017年にステルスを脱し、フォードから10億ドル(約1080億円)の支援を受けている。

この投資によってArgo AIは、フォードとVWグループという2つの顧客を持つグローバル企業になり、米国とヨーロッパで操業することになる。もちろん、一挙に従業員数が増える。VWグループが2017年に自動運転車の技術開発のために立ち上げた子会社であるAutonomous Intelligent Driving(AID)(Fortune記事)はArgo AIに吸収され、AIDのミュンヘンオフィスはArgoのヨーロッパ本社になる。

投資の完了により正規に操業を開始するこの統合された本社は、Argo AIの従業員数を1000名あまりに増員する。同社のオフィスは、ミシガン州デトロイトとカリフォルニア州パロアルト、およびニュージャージー州クランビュリーにある。また、テキサス州オースチンとフロリダ州マイアミとワシントンD.C.には地図制作と試験用に、公道を走る自動運転車の車隊がある。

Argo AIはフォードが製造する自動運転車向けに、バーチャルドライバーシステムと高精度の地図を開発しており、今回の投資でそのミッションがVWグループにも拡張されるわけだ。今回の投資の条件として、Argo AIの自動運転車技術の開発費用はフォードとVWグループが分担することになる。

Ford Autonomous VehicleのCEOを務めるJohn Lawler(ジョン・ローラー)氏はブログの記事(Medium記事)で「安全でスケーラブルで信頼性のある自動運転サービスを構築することは、ささやかな仕事ではない。また安上がりな仕事でもない」と語っている、

2年前にフォードは「2023年には自動運転車事業を構築するために新たに作ったLLC(リミティッド・ライアビリティ・カンパニー、有限責任会社)に40億ドル(約4310億円)を支出する」と発表した。そのLCCであるFord Autonomous Vehiclesは、フォードの自動運転システムの統合、自動運転車の研究と先進的なエンジニアリング、AV輸送サービスネットワークの開発、ユーザー体験、ビジネス戦略、事業開発チームなどで構成される。

同氏は「『費用の分担』によって自動運転車へのフォードの全体的な支出が減るわけではない」と強調している。Ford Autonomous Vehicleによると、むしろ費用はTaaS(トランスポーテーション・アズ・ア・サービス)のソフトウェア開発と、その最終的な自動運転サービスを担う車隊の編成や運用に回される。投資の分有にもかかわらず、フォードとVWグループの2社は自動運転車のサービスでは連携しない。

フォードのモビリティーパートナーシップ担当副社長でもあるローラー氏は、「米国の自動車メーカーは、独自の自動運転サービスの構築においても独立性と激しい競争を維持するだろう」と述べている。Argo AIの取締役会の構成は、VWグループから2名、フォードから2名、同社から3名となる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

京急アクセラレーションプログラム第3期の参加企業10社が決定、with/afterコロナの事業共創が始まる

京浜急行電鉄は6月2日、スタートアップとのオープンイノベーションにより新規事業の創出を目指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」(京急アクセラレータープログラム)の第3期の参加企業10社を発表した。

同プログラムは、独立系ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと2018年から共同開催しているが、今年は新型コロナウイルスによる社会情勢の変化に伴ってプログラムの内容を一部変更したうえで実施する。具体的には、事業共創期間を半年程度延ばすほか、実証実験の期間も社会情勢に応じて柔軟に対応していくとのこと。各種ミーティングはフルリモート、例年9月ごろに開催するデモデイの日程や開催方式についても変更の可能性がある。

第3期の事業共創の募集テーマは以下のとおりで、2019年12月10日を募集を開始し、2020年2月3日に締め切りまでに92社の応募があった。なお、募集後に新型コロナウイルスの感染拡大で国内、国外とも社会情勢が大きく変わってしまったことを受け、withコロナ、afterコロナに関連する事業共創を優先していくという方針が加えられた。

  • 沿線地域にこれまでにない新しい体験を付加するもの
  • 既存事業領域をデジタル・テクノロジーでアップデートするもの

第3期プログラム参加企業は以下のとおりだ。

AIトラベル
法人向け出張予約・管理・分析可能なクラウド型サービスの開発提供

Elaly
人気家具ブランドの商品を月額500円から利用できる定額利用サービス

COUNTERWORKS
リテール向けスペースのオンラインマーケットプレイスの企画・運営

Carstay
キャンピングカーを通した「移動」「宿泊」などを検索・予約・決済を提供

SEQSENSE
自律移動型ロボット及びその関連製品の開発製造

シナスタジア
XRエンターテイメントの提供自動運転車におけるヒューマンマシンインタフェース開発

JX通信社
自然言語処理/機械学習等の技術で報道機関/一般消費者にニュース関連サービスを提供

scheme verge
SaaSを基盤とした旅程作成・予約アプリ、 事前決済・簡易認証プラットフォーム開発

Mira Robotics
警備・清掃が可能な双腕ロボットおよびシステムの開発

Liberaware
狭小空間の点検・警備・計測を行う産業用小型ドローンIBISの開発・提供

シンガポール拠点の電動スクーターシェアBeamが28億円調達、韓国や豪州で事業拡大

電動キックスクーターのシェアリングサービスを提供しているシンガポールのマイクロモビリティ・スタートアップであるBeam(ビーム)が2600万ドル(約28億円)を調達した。韓国、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランド、台湾で事業を拡大する計画だ。

Sequoia IndiaとHana Venturesが創業2年半のBeamのシリーズAラウンドをリードし、RTP Global、AppWorks、Right Click、Cherubic、RedBadge Pacificといったアジア太平洋地域の投資家も参加した。Beamの広報担当がTechCrunchに語ったところでは、同社がこれまでに調達した資金は累計3240万ドル(約35億円)だ。

インドのBounce(バウンス)とYulu(ユル)のように(未訳記事)、Beamも前述の5つのマーケットで電動キックスクーターのシェアリングを展開している。人々は素早く動き回ることができ、かつコストもさほどかからない交通手段を求めていて、アジアでは電動スクーターとガソリンで走るスクーターが人気を集めている国もある。

スクーターのシェアリングはいくつかのマーケットで展開されているが、往々にしてスクーターは通りに無造作に乗り捨てられる。だがほかのスタートアップと違ってBeamはアプリを通じてあらかじめ決められた場所に駐車するよう動機付けをしている。

「新しいテクノロジーを使って、街の中にスクーターが散乱するのを減らすことができることをうれしく思う。これにより、業界でもトップのスクーター保持率をさらに高め、運営コストを減らすことができる。そして何よりも、通りを美しく保てることでコミュニティに貢献できる」とBeamの共同創業者でCEOのAlan Jiang(アラン・チアン)氏は話した。

どれくらいのユーザーを引きつけているのか明らかにしなかったが、Beamは今回調達した資金をサービスエリア拡大やエンジニアリングに注ぎ、また既存マーケットでのさらなる成長にも活用する、としている。加えて、第3世代の電動キックスクーター「Beam Saturn」の展開を“加速”させる。Saturnはバッテリー交換式で、構造が改良されているとのことだ。

Sequoia Capital Indiaのマネジングディレクターを務めるAbheek Anand(アブヒーク・アナンド)氏は「当局との協力関係、テクノロジー、交通分野における知見により、Beamはアジア太平洋地域で優位に立っている」と述べた。

今回の資金調達は、アジアの多くの若い企業、特に交通分野の企業が資金確保に苦戦している中でのものとなる。Beamはライダーの懸念を和らげるべく、新型コロナウイルスの感染を抑制するための徹底したクリーニングやオペレーションを実施している、と話した。

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(翻訳:Mizoguchi

トヨタからRAV4初のプラグインハイブリッド車が430万円を切って米国で今夏登場

昨年11月にトヨタ自動車が、クロスオーバーSUVに分類される2021年型RAV4 Primeを発表したときに大きな注目を浴びたのは、新型車が一見矛盾する2つのゴールを達成したからだ。それはトヨタにとって最も燃費のいい最もパワフルな車だった。

そしていま、基本仕様価格が4万ドル(430万円)を切ることで称賛を受けている。米国時間5月29日にトヨタは、シリーズ初のプラグインハイブリッド車であるRAV4 Prime SEの最安基本価格が3万9220ドル(約422万円)になることを発表した。これは配送手数料1120ドル(約12万円)を含んだ価格だ。

このプラグインRAV4は、全輪駆動とスポーツ仕様サスペンションを備える。メーカー推定の純EVモード航続距離は42マイル(67km)と他社のプラグインSUVを上回る。トヨタは混合航続距離は1ガロンあたり94マイル(40km/リットル)相当であることも発表した。EPA(米国環境保護庁)の公式データはまだ得られていない。

新型車は4気筒2.5リッターのガソリンエンジンを搭載し、電動モーターと合わせて302馬力を出力、0-60マイル(時速約100km)を5.8秒程度で加速する。

プラグインRAV4は2車種用意される。トヨタはRAV4の全モデルにアクティブセーフティー(予防安全)システムとして、歩行者を検知する衝突回避システム、全速度範囲動的レーダークルーズコントロール、操舵支援付き車線逸脱警告、自動ハイビーム、車線維持支援、道路標識支援などを装備している。

低価格版のSEには、18インチ塗装済みアルミホイール、暖房付きフロントシート、パワーテイルゲート、3kw車載充電器、Amazon Alexa対応の8インチタッチスクリーンを備え、GoogleのAndroid AutoおよびAppleのCarPlayに対応する。後方左右からの接近車警告付きブラインドスポットモニターなどの高度な支援機能もいくつか搭載している。

1665ドル(約18万円)のアップグレードで「ウェザー&ムーンルーフ」パッケージを購入すれば、加熱ステアリングホイール、雨検知ワイパー、解氷機能などが追加される。

高級車のXSEは4万2545ドル(約460万円)からで、ツートンカラー仕様で黒のルーフと選んだ色を組み合わせられる。19インチのツートンカラー・アルミホイール、パドルシフト、ワイヤレス充電、9インチタッチスクリーンなど高級感を醸し出している。

もちろんアップグレードもいくつかあり、ダイナミック・ナビゲーションとJBLスピーカーシステムを加えるマルチメディアシステムが一例だ。XSEの最高級アップグレードは5760ドル(約62万円)で、ウェザー、オーディオのほか、ヘッズアップディスプレイ、パノラマムーンルーフ、デジタル・リアビューミラー、サラウンドビュー・カメラ、4ドアキーレスエントリーなどのプレミアム機能を追加できる。

RAV4 プラグインハイブリッド車は、この夏に米国内のディーラーに登場する予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクがリードするラウンドでDiDiの自動運転開発子会社が540億円調達

中国の自動運転分野の競争が過熱している。中国でUberのような配車サービスを運営するDiDiは5月29日、自動運転子会社による5億ドル(約540億円)という巨額調達を発表した。中国の自動運転業界で行われる1回の資金調達としては最高額となる。今回のラウンドは既存投資家であるソフトバンクがリードした。同社はUberにも出資してきたスタートアップ支援企業だ。

本ラウンドはソフトバンクの2つ目のビジョン・ファンドを通じてのもの。1つめのビジョン・ファンドがWeWorkへの投資に失敗したことなどから巨額の損失を出した(未訳記事)ため、2つめのビジョンファンドは資金調達が進んでいないとされている。

中国最大の配車サービスプロバイダーであるDiDiはかなりの量の交通データを持っており、にロボタクシー開発において明らか優位だ。ロボタクシーは長期的にはドライバー不足問題を解決するかもしれない。しかし同社がこの分野に進出したのは遅かった。2018年、北京で行われた自動運転車テストの走行距離ランキングで同社は第8位で、検索大手Baiduにははるかに及ばない。Baiduは2018年のテスト走行距離の90%超を占めた(未訳記事)。

それ以来、DiDiはBaiduに追いつこうとかなり積極的に取り組んできた。昨年8月に同社は設立3年の自動運転部門を、R&D、バリューチェーンを伴うパートナーシップの構築、未来的テクノロジーの政府への売り込みに専念できるよう、独立企業としてスピンオフ(未訳記事)した。今やチームは中国と米国に計200人のスタッフを抱える。

とある業界観測筋は「ロボタクシーは必要な操作スキル、テクノロジー、政府のサポートがすべてそろったときにのみ現実のものとなる」と筆者に語った。

Didiは業務の効率化で有名だ。安全で快適な乗車の確保はなかなかの成果だ。同社の経営陣はAlibaba(アリババ)の有名なB2Bセールスチームの出身で、同チームは地上作戦能力があることから「アリババの鉄の部隊」としても知られる。

テックを受け持つ子会社のCEOはBaiduの技術マネージャーだったZhang Bo(チャン・ボー)氏、テクノロジー最高責任者は自動運転ソフトウェア会社のAptivから昨年移ってきたWei Junqing(ウェイ・ジュンチィン)氏だ。

自動運転子会社はまた、Didiのモビリティ業界における幅広いリーチの恩恵も受ける。たとえば、Didiのスマート充電ネットワーク、車両メンテナンスサービス、保険プログラムを自動運転車両にも活用すべく取り組んでいる。

今回調達した資金で同社の自動運転子会社は安全性を向上させることができる。2件の死亡事故を起こした後、安全性は同社が最も注力するところとなった。またR&Dやロードテストを通じて効率性も高められる。そして資金調達は企業間協力を深め、中国内外でのロボタクシー展開を加速させることにもつながる。

このところ同社は「D-Alliance」のもとに相乗作用を求めて既存車メーカーとの協業を進めている。D-Allianceには31社超が名を連ねる。いくつか挙げると、The Lincoln Motor Company(リンカーン)、日産、Volvo(ボルボ)、 BYDの車両に自動運転技術を搭載した。

同社は中国の主要3都市とカリフォルニアでの公道テストのライセンスを取得済みだ。自動運転車両を使っての配車サービス利用客ピックアップを上海で数カ月のうちに開始することを目標としている、と同社は昨年8月に語った。昨年8月時点で中国と米国でのロードテストの走行距離は30万kmに達している。

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(翻訳:Mizoguchi

イリノイの工場再開でRivianのアマゾン向け電動配送バンの生産は計画どおり実行

Amazon(アマゾン)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、Ford(フォード)が支援する電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる一時閉鎖が解除されたのを受けて、米国イリノイ州ノーマルの工場を再開させた。

一般消費者向け電気自動車R1TとR1S、それにアマゾン向けの電気配送バン10万台を生産することになっているこの工場は、従業員が段階的に戻って来ることになり再始動した。工場閉鎖の後の段階的再開ではあるが、アマゾンが5月28日に発表した声明によれば、アマゾン向けの配送トラックの生産スケジュールに変更はないとのことだ。

アマゾンは昨年9月、2040年までに炭素排出量をゼロにするという「気候変動対策に関する誓約」(The Climate Pledge)の一環として、Rivianに電気配送バン10万台を発注した。この電気バンを使った宅配は、最初の予定どおり2021年にスタートする。「2022年には早くも1万台の電気バンが走り回ることになり、10万台すべてがそろうのは2030年になる」と5月28日に発表した声明でアマゾンは述べている。

Rivianは、R1TとR2Tの生産開始は2021年に先延ばしした。当初は、その電気ピックアップと電気SUVの生産と出荷を2020年後半に予定していたのだが調整された。Rivianでは、以前からR1Tが先でR1Sはその後と決めている。

新型コロナウイルスのパンデミックによって部材の供給が制限され、同社はスケジュール変更を余儀なくされたためだ。しかしRivianは、R1TとR1Sの生産と出荷の時期を近づける努力をしている。

今のところ同社は、工場の内外での作業に力を注いでいる。新型コロナ禍が起きる前は、およそ335人の従業員がRivianの工場で働いていた。現在は116人が出勤しているが、残りの従業員も次第に呼び戻す予定だ。Rivianは、1人の従業員もレイオフせず、すべての従業員に給料を払い続けてきた。

およそ109人の建築請負作業員も工場に戻り、内部での作業を再開した。工場の外では、その他の120人から140人の建築作業員も、工場を約24万平方mから約28万平方mに拡張する工事を再開した。

RivianのCEOであるRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏によると、同社は4段階の新たな安全対策を導入したという。体温チェックが実施され、従業員には防護服と防護具が配布されている。

「車両のエンジニアリングとデザインの部門では、作業スケジュールを予定どおり進めるためのデジタル管理の方法を開発した」とスカーリンジ氏は話していた。

“新型コロナウイルス

画像クレジット:Amazon/Jordan Stead

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(翻訳:金井哲夫)

テスラ取締役会がイーロン・マスク氏の832億円以上の報酬を承認

Tesla(テスラ)の取締役会は、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏に数十億ドルが支払われる空前の報酬パッケージの第1回ぶん(7億ドル以上の価値)を支払う重要財務事項を承認した。同社が5月28日に米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類による。

この決定によって同氏は第1回ぶんとして約169万株を大幅な割引価格で購入する権利を得た。同社株の5月28日の終値805.81ドルに基づくと、価値は7.75億ドルになる。同氏はこのストックオプションを1株当り350.02ドルで購入できる。

「この説明書の日付をもって、この報酬の12回分割の1つが授与・行使可能となり、マスク氏の行使価格は1株当り350.02ドルで、同氏が権利を行使して購入した株式には最低5年間の猶予期間が適用される」とSEC提出書類に書かれている。

この報酬計画は2018年に株主総会で承認され、2030万株の購入権が169万株ずつ12回に分割された。購入権はテスラの時価総額、売上および調整後利益(株式による報酬などの一時的費用を除く)が決められたマイルストーンに達した場合、12回に分けられて有効になる。

取締役会と株主がこの計画を承認した時点で、同氏は新株が発行されなければ理論的に560億ドル近くを手にすることができた。しかし、昨年テスラは27億ドルの株式と転換社債を売却したことを当時ロイターが報じた

ストックオプションの1回目を手にするには、テスラが時価総額6カ月平均1002億ドルに達し、年間売上200億ドルまたは調整後EBITDA 15億ドルを達成しなくてはならない。次回を受け取るためには、テスラが時価総額 500億ドルを上積みし、売上350億ドルまたは調整後EBTDA 30億ドルを達成しなければならない。

取締役会は時価総額と売上のマイルストーン達成を承認した。もう1つのマイルストーンである調整後EBITDA 15億ドルも達成されたが、取締役会による正式な承認が必要になるとSEC提出書類に書かれている。

Tesla SEC May 2020

画像クレジット: Screenshot/SEC filing

マスク氏がストックオプションを行使するためには、取締役会がそれぞれのマイルストーンの達成を承認する必要がある。12回すべてを行使するためには、テスラの時価総額が6500億ドルに達しなければならない。

同氏はこれまでに給与を受け取ったことがない。代わりに、株主の承認を得て、株式ベースの報酬制度を選んだ。前の株式報酬制度で同氏は、2012年に約7800万ドル相当のストックオプションを受け取ったが、テスラが生産台数と時価総額のマイルストーンを達成したあとに与えられたものだった。

2018年のCEO報酬制度は、マスク氏が次の10年間テスラに所属することを保証しただけでなく、重点が置かれているのは時価総額と売上であり、必ずしも利益ではない。

提出書類によると、テスラの定時株主総会は7月7日に予定されている。

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電動スクーターのGogoroが電動自転車ブランドEeyoを発表、まずは米国で発売

SmartScooter(スマートスクーター)で知られるモビリティ企業Gogoro(ゴゴロ)は5月28日、新しい電動自転車ブランドEeyoの詳細を発表した。2つの軽量モデルはともに内蔵型ハブであるSmartWheelで作動する。Gogoroがデザインしたこのハブには、モーター、バッテリー、センサー、スマートコネクティビティ技術が統合されている。

EeyoはGogoroが米国で展開する初の商品となる。同社は9年前に元HTC幹部によって設立された。電動自転車は米国と同社が拠点を置く台湾で7月に、その後欧州でも発売される。

顧客30万人超を抱えるGogoroのSmartScooterと専用の充電ステーションは台湾の街ではよく目にするものだ。軽量の充電式バッテリーを含め、同社が開発した技術はヤマハやスズキ、Aeon、PGOが製造するスクーターにも使用されている。GogoroはEeyoの技術もこれまで同様に製造パートナーが利用できるようにする計画だ。

Gogoroの共同創業者でCEOのHorace Luke(ホレイス・ルーク)氏は「アジアや欧州の多くの都市ではスクーターが広く使われているが米国ではそうではなく、そのため米国で展開する初の商品としてSmartScooterの代わりにEeyoを作ることを決めた」とTechCrunchに話した。

チームは1年前にEeyo立ち上げを計画し始めたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の最中に展開するプロジェクトになるとは思いもしなかった。パンデミックによって電動自転車に対する新たな需要が生まれたが、その前に「マーケットはすでに急速に拡大していた」(PR Neswswire記事)とルーク氏は語った。

「現状では公共交通機関の使用は減少していて、人々はかなり警戒している。そのため動き回るのに別の手段を模索している。多くの街に坂道がたくさんあり、通勤時間は長く、道路が通行止めになっていたりして、車はかつてのように効率のいいものではなくなった。そのため電動自転車の需要は大きく、マーケットは爆発的に大きくなっている」とルーク氏は話した。

同社は「人力と電気のハイブリッド」をつくるというアイデアで約3年前にEeyoに取り掛かった。

「我々が作ったものに実際に乗るまでは『人力と電気のハイブリッド』は『電動バイク』の素敵な呼び方のように聞こえるかもしれない」と同氏は言う。「このプロジェクトを進めるのにかなりの時間がかかった。実用性とパワーアシストに注力するのではなく、我々は異なるパラダイムを構築したかった。『グローサリーストアに行くのに電動自転車を使う必要がある』というのは普通ならエキサイティングなことではないが、いかに軽快でエキサイティングなものにするかにフォーカスしたかった」。

Eeyoの初の電動自転車モデルとなる1と1sは特定のユーザーを思い描いてデザインされた。坂道のような手こずる道にも対応できる、機敏で速く走れる自転車を求めている都市居住者だ。「私が18才のときに抱いていたのと同じフィーリングを与えてくれる、そして『汗をびっしょりかかずにどこへでも行ける、そんな自転車が欲しい』とチームに言い続けてきた。顧客が自転車に乗ることに興奮と喜びを覚えるようにしたかった」。

Eeyo 1sと1の重さはそれぞれ26.4ポンド(約12kg)と27.5ポンド(約12.4kg)で、通常45〜50ポンド(約20〜23kg)する多くの電動自転車より軽い。カーボンファイバー製のフレームはライダーが自転車を肩に担ぐことができるようにデザインされている。ハブにチャージャーを差し込んで、あるいはスタンドチャージャー(オプション)に置いて充電できる。

バッテリーや充電ステーションを含め、GogoroのSmartScooterで使われているテクノロジーの多くが同社のエンジニアによってデザインされた。EeyoのキモとなるテクノロジーのSmartWheelも社内で開発された。

「パフォーマンスを支えるメカニズムのSmartWheelは我々のイノベーションだ。ハブベースのモーターで、バッテリーとセンサー、コンピューターシステム、モーターシステムを内蔵している」とルーク氏は説明した。同社のインテリジェント・パワー・アシスト・システムも搭載している。ここにはライダーがどれだけハードにペダルをこいでいるかを感知し、自転車がアシストすべきパワーを計算するトルクセンサーが使われている。

SmartWheelはまた、Eeyoアプリとも接続する。スマホを自転車に設置すると、ライダーはアプリでスピードやペダリングパワーをモニターできるようになる。SmartScooterの自動アップデートと同様、無線でファームウェアとソフトウェアを更新する。

Eeyo 1sと1どちらのモデルもSmartWheel、カーボンファイバーのフレームとフォークを使っている。そして2つの走行モードを備える。「スポーツモード」ではライダーのペダリングに反応し、フル充電で走行できる距離は40マイル(約64km)だ。「エコモード」ではアシストの強さを制限することでバッテリーを温存し、走行できる距離は55マイル(約88km)に延びる。

Eeyo 1sは「ウォームホワイト」1色のみで、シートポストやハンドルバー、リムはカーボンファイバーでできている。価格は4599ドル(約49万円)だ。一方のEeyo 1はクラウドブルー」と「ロブスターオレンジ」の2色から選べ、シートポストやハンドルバー、リムは合金製で、3899ドル(約42万円)となっている。

Gogoroは自らを、車両製造だけでなく電動車両や車両シェアリングのテクノロジーを開発するモビリティプラットフォーム事業者だと考えている。ルーク氏によると、同社はSmartWheelを含む電動自転車テクノロジーを他のメーカーが使えるようにしたいと考えている。というのも、Gogoroはスクーター事業ですら「フリーサイズ」アプローチとっていないからだ。それがヤマハやスズキ、Aeon、PGOと協業する理由でもある。

パートナーとの協業は、さらに電動車両を広めて大気汚染を減らすというGogoroの目標に向けた取り組みを進めることになる。

「変化を起こすための時間は限られていて、共に取り組む仲間がいればかなりのインパクトになる」とルーク氏は付け加えた。「他のメーカーはよりレジャー向けの実用性にフォーカスしたものを作る。その一方で我々はスポーツ性や機敏性、楽しさにフォーカスしている」

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(翻訳:Mizoguchi