自動船舶Solar Voyager、ソーラー・パワーのみで大西洋を横断中

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ボストンから真東のおよそ200マイルあたりで、ロボットボートが、人が歩く程の速度で、大西洋横断という歴史的な快挙に向かって航行中だ。「Solar Voyager」は友達同士の2人が空いた時間を利用して作った船だが、大西洋を横断する最初の自動船舶となるだろう。さらには全ての大洋を含めても、ソーラー・パワーのみでの横断なら世界初だ。

Isaac PennyとChristopher Sam Soonは足掛け4年このプロジェクトをこつこつと続け、船は6月1日に進水まで漕ぎ着けた。現在のところ、ボートが大西洋を横断し切るにはまだ長い道のりが待っているが、プロジェクト自体は多くの意味で既に成功したと言っても良いだろう。

「よく言っているんだけど、たとえ少人数でも情熱を持ってやればどんなことができるか、ということです」と、Pennyは電話で言った。「Christopherと私が飛び抜けた天才とかじゃないんです。私たちは海育ちですらないんです。私なんか育ちはカンサスです!」

そうは言っても、二人はSolar Voyagerを一から作り上げた。彼らが既製品で利用したのはソーラーパネルと標準的なモーターの部品のみだ。18フィートのボートはGPS上の2点間をゆっくり進行中で、順調に行けばポルトガルに今秋到達するだろう。

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彼らのボートが大洋を横断する最初の自動船舶というわけではない。 Liquid Roboticsが作ったWave Glidersが遡って2012年にその偉業を達成した。しかし、彼らの船はソーラーではなく波のエネルギーを利用していた。また、Pennyが指摘する通りそのプロジェクトは経験を積んだ大企業が資金、人材ともに供給したもので、そのプロジェクトで得たテクノロジーについては特許が取られた。

「Wave Gliderを作れるのはLiquid Roboticsだけですが、私たちのしたことは誰にでもできます。私たちはガレージすら持ってないんですから!」とPennyは笑った。

これまでの4年間に渡って、ボートは応急装備のプラスチックでできたカヤックから完全にカスタム装備のアルミボディーへと進化し、自家製の自分たちでチェックした推進装置と電子機器が装着されている。280ワットのソーラーパネル、特製の付着物耐性プロペラ、フジツボが付かないコーティングやたくさんのちょっとした工夫改良など、全てはボートが目的地に着くまでの4ヶ月間、無事航行し続けるためのものだ。

「耐久性が問題だというのは明らかですが、それには良い解決策はありません」とPennyは言う。「丸1日動くものを作るということと、何ヶ月も動く物、それもとても厳しい環境で故障しても直す人もいないという状況でも動き続けるものをデザインするということは、全く違います」

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彼らにはチャンスは一度しかなく、一発必中が要求される。Liquid Roboticsとは異なり、作れるのは一隻のみ、リスボンまでの中間地点で船を整備してもらうことも出来ない。もしモーターが故障しバッテリーが駄目になったら、それで4年間と1万ドル強がフイになる。しかもサメが襲ってこず、大型客船が突っ込んでこないことが条件だ。実際、ボートはレーダーに映り、派手な塗装が施してあるし、一般航路は避けて航行しているんだけどね、とPennyは付け足した。

一旦ポルトガルに着けば、Solar Voyagerは最後のウェイポイントの周りを周回し続けつつ、PennyとSam Soonが回収に来るのを待つことになる。

「私たちは実はリスボンでボートを持っている人たちを探しているのです。これは多分人々がテックニュースで読みたいことではないでしょうね」と彼は付け加えた。この言葉が示す通り、これは2人の人間が余暇を利用して行ったことで、スポンサー付きのXPRIZEのエントリーや海軍支援によるプロトタイプ作製ではない、という点がとても素晴らしい。ポルトガルのTechCrunch読者諸君、もし彼らを助けてあげられるのであれば、是非コンタクトをとってあげてほしい。

何より、プロジェクトの目的は、このような試みにはソーラー・パワーが適していることを広く知ってもらうことだ。

「私たちは常に代替エネルギーとしてのソーラーを考えていますが、化石燃料では、今回はうまくいかなかったでしょう。それでは、永遠に動くものは作れません」Pennyは言った。「それが長期滞空ドローンだろうと海洋保安のためのデータ収集だろうと、はたまた野生動物保護区の監視であろうとも、ソーラーは単なる代替エネルギーではなく、最適な解決法なのです。他では出来ないことがソーラーであれば可能です」

Solar Voyagerの進行状況はプロジェクトのウェブサイトでチェックできる。場所と主要な活動数値は15分ごとに更新される。10月に戻って来れば、うまくいけばPennyとSam Soonがプロジェクトの成功を祝福しているだろう。そしてちょっとばかりの歴史が作られることになる。

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(翻訳:Tsubouchi)

スタンフォード大学のロボット‘Jackrabbot’は歩行者が無意識に守っている説明の難しい複雑なルールを学習中

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人間の大人でも、人混みの中を歩くのが難しいことがある。ましてや、不器用で素朴な脳のロボットはどうだろう? 人にぶつかることを避けるために、“右へ行くべきか左か?”を一瞬々々ぎごちなく考えながら歩く、…スタンフォード大学の研究者たちは、彼らのロボット”Jackrabbot”が、そんな路上のルールを学習できる、と期待している。

同大のComputational Vision and Geometry Lab(コンピューターによる視界とジオメトリ研究所)はこれまですでに、歩行者の動きを追跡して予測するコンピュータービジョンのアルゴリズムを作ってきた。しかしそのルールはきわめて複雑で、群衆や歩道の幅、一日の中の時間帯、自転車やベビーカーの有無、等々大量の変数を含むため、まさしく、そのほかの機械学習のタスクと同じく、有益な結果を得るためには膨大な量のデータを必要とする。

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しかも、彼らが開発しているアルゴリズムは、完全に観察データだけを使用し、それをニューラルネットワークが解釈することを意図している。研究者たちが、ヒント(“この状況では人は必ず左へ行く”など)を与えてはいけない。

彼らのこれまでの努力は小論文に記され、今月の終わりごろ出るCVPRに掲載される。彼らが作った動き予測アルゴリズムは、多くの同種アルゴリズムよりも優れており、そのモデルは、人が集団の中で相互作用/反応する場合の複雑微妙ぶりをある程度学習できた。

現在、楽しげにめかしこんだJackrabbot(上図)は、人間が手動でコントロールしながら、研究のモデルをロボットの知覚に実装する方法を模索している。その本体は実はSegway RMP210の改造バージョンで、ステレオカメラとレーザースキャナーとGPSを搭載している。訓練用データは鳥瞰ビューを使用したが、ロボット本人には鳥瞰的視界を持たせずに、さまざまな歩行者の互いの距離と歩行速度から、空間中の各個人の座標を求め、彼らの動きを高い精度で予測させる。

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研究者のAlexandre Alahiは本誌へのメールで、“この夏には、私たちの社会的知覚を持つ予測モデルをロボットに実装したい。リアルタイムのデモは、年末までには行いたい”、と言っている。

人間の空間を無事にナビゲートできるロボットが、まだ万人の目の前ではないけれども、どこかSFにほとんど近いような場所に、出現しようとしている。しかし、われわれが日々、思考を必要とせずに行っていること…回りをスキャンしその場の障害物と運動物を判断し、それに応じて自分の動きを適切に計画すること…は、コンピューターにとってものすごく難しいことなのだ。

このようなプロジェクトの多様な蓄積の中から、最終的には、家の中や都市の中を人間と同じようにはやく安全に、他人に配慮しながら歩けるロボットが生まれるだろう。自動運転車がたぶん都市の道路の様相をすっかり変えてしまうように、自律性のある歩行者ロボットは、それがヒューマノイドであろうとなかろうと、歩道の状況を変えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

人間と手を組んでこそ発揮されるロボットの真価

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【編集部注】執筆者のMatt Beane氏は、MIT Sloan School of Managementの博士課程最終年次に在籍中で、HumaticsではChief Human-Robot Interaction Officerを務めている。

ロボットが人間の仕事を奪っていくという話が、人気メディアを騒がせている。しかし、ただなんとなく憶測するのをやめて、実際の仕事現場に目を向けてみると、高度なロボットが人間の仕事に与える影響というのは、もっと微妙で複雑であることがわかる。例えば、仕事の消失や収入格差といった問題を考えてみても、実際に数多くの人に影響を及ぼすには、ロボットの数が全く足りていない。

それでも多くの場合、ロボットは高い技術力が要される仕事のやり方に大きな変革をもたらす力をもっている。戦地でF-16戦闘機を操縦するのは、例え同じ環境下であったとしても、半自動無人航空機のReaperを飛ばすのとは、求められるものが全く違う。

ロボットがこれほど抜本的に仕事の形を変えてしまうことから、ロボットに関連した社会の大きな動きには新しい課題が伴う。そのひとつが、今後ロボットと一緒に仕事を行っていく次世代の専門家のトレーニングに関するものだ。

外科手術の世界で増加しているロボットの利用についての私の研究が、その答えの一部に繋がるだろう。しかし同時に、私の研究からは、将来的に外科手術のトレーニングや、その結果としての外科手術の質にも大きな影響を与えうる、いくつかの動向が明らかになった。

今後ロボットと仕事をするようになる、次世代の専門家にどのようなトレーニングを提供すればいいのだろう?

これまでに説明した通り、経験豊富な外科医は、ロボット手術システムを用いれば、たった一人で(重い責任を負いつつ)ほぼ完璧に手術を行うことができる。そうなると、研修医が手術に参加する機会はかなり減ってしまい、医者の適性や正当性に問題が生じることとなる。たくさんの手術を見てはきたが、実際の経験が少ないという医者に手術をしてもらいたいと思う人はいないだろう。

今がロボット時代の幕開けだとすると、熟練した技能が要される業界のためにも、学ばなければならない重要な教訓があると私は考えている。

いくつかのポイントを挙げれば、その教訓が見えてくる。多くの人が、ロボットは炭鉱のカナリア(何かの予兆)なのか、それとも燻製ニシンの虚偽(ただの論点のすり替え)なのかと激しい議論を交わしているが、私たちのロボットの認識が一様でないことにその理由の一部がある。ロボットとは、センサーでデータを収集し、AIによって動くパーツの集まりを意味するのか、それともソフトウェアやプロセスの自動化もロボットに含まれるのか。後者は前者に比べて、膨大な数の対象を指し、経済や職業に与える影響もずっと大きい。

控えめに見ても、ロボットが人間で言う「デジタル革命」に直面しようとしているという考えに至るには理由がある。例えば、ロボットの開発や、ロボットへの投資は急激に加速しており、毎年その性能は劇的に向上する一方、価格は下がっている。さらにインターネットによって、ひとつのロボットが学んだことはすぐに共有され、多くのロボットが瞬間的に同じことを学習することができる

ロボット工学の爆発的な成長がこれから起きるとすると、原理上も実際にも、ロボットは人間の代わりを務めるよりも、人間の能力を高めようとするときにこそ、その真価を発揮するということを心に留めておく必要がある。しかし、何が人間の代替にあたり、何が人間の能力の強化にあたるのかというのは、よく調べてみないとわからない。

例えば、医療ロボットのDa Vinciは、本来の目的とは矛盾しているものの、実際は外科医の能力を低下させている。昔から、外科の研修医は熟練医の手術を手伝うことで、その技術を習得していた。その一部は、手術中の外科医が、自分以外に技術をもった人の手が必要になった際に研修医を頼るという、嬉しい偶然の産物であった。研修医は、手術の様子を観察するだけでなく、経験豊富な外科医の目が光り、いつでも手が出せる状況下で、手術の一部を手伝ったり、さらには外科医に代わって手術を行うことさえあった。熟練医が皮膚を取り払って、研修医が切開や縫合を行う、といった具合に。

これまでの外科の現場では、研修医が、指導者と文字通り肩を寄せ合い、手術中常に自分の役割を果たすことが求められていたのだ。20世紀初頭から、このようにして研修医のトレーニングは行われていた。

そして、ロボットがそのダイナミズムを変えつつある。

Da Vinciを使った手術中、研修医は自分たちが現場の隅っこに追いやられているような感覚を持つことがよくある。これまでの手術では、4時間に及ぶ実践のチャンスが与えられることもあったが、現在のDa Vinciを利用した手術中に彼らに与えられる時間は、10〜15分がいいところで、全く手術に参加できないことさえある。これは、ロボット工学の技術自体が、研修医から学びの機会を奪っているということではない。むしろ、重い責任を抱えている所属外科医が手術を完璧にコントロールすることが、テクノロジーの力で、iPhoneを操作するように簡単になったということを意味する。熟練医が手術を行うというのは、短期的に見れば患者にとって良いことであるが、医者という職業自体が新しい問題に直面しているともとれる。

それでは、外科医の現場における例から、熟練した技能が必要な業界の将来について、どのような教訓を学ぶことができるだろうか。外科医というのは、最先端のロボットシステムを本格的に導入した最初の職業のひとつであり、結果的に、外科手術というもの自体が再構築されつつある。しかし、パイロットを一例とした、既にその域を超えた職業のように、最新のロボットシステムを急ぎ足で導入しようとする動きは、人がロボットとの協働を通してさらにパフォーマンスを高めることが出来るよう、既存のトレーニング法の大規模な見直しの必要性をむしろ低下させるかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ロボットがデートして交配して3Dプリントで子孫を産む‘Robot Baby’プロジェクト、進化(自然淘汰)の過程もある

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オランダの研究者たちが、“繁殖するロボット”を作った、と主張している。繁殖とは、生殖能力がある、ということ。お子様向きに説明すると、二つのロボットの相性評価アルゴリズムが良い結論に達したら、ビューティフルなことが起きるのだ。それ以上詳しいことは、大人になったら分かるよ。このページを下へスクロールしてもいいね。

この“Robot Baby”プロジェクトのプレスリリースはこう述べている: “産業革命の次は産業進化だ。進化の重要な第一歩がこの画期的な発明であり、たとえば、未来における火星の植民地化に重要な役割を演ずる”。小さなどんぐりから大きな樫の木が育つ、とは言うけど、でも、彼らの主張は眉をよーく濡らして聞くべきだ。

“交配”し、“進化”するロボットの研究は、これまでにもいろいろあった。自己再生産能力のある“分子キューブ”や、生まれた子の中から優秀な子を選別する“ロボマザー”、互いに競争し共有し合う“遺伝子”のある“ロボフィッシュ”などなど。でもまだ、本物のGrey gooやロボットの軍隊は見たことがない。…ここは、クォーテーションマーク(引用符記号)の使いすぎで、編集長に叱られそうだ。

でも今度のプロジェクトには、概念実証の段階にすぎないとはいえ、何か新しいものがありそうだ。電動ブロックをランダムに構成したロボットが二つ(将来的にはもっと多く)あり、彼らはよろめきながら歩いて行くが、そのとき、なるべく明るい方向に向かう習性がある(人間の性質ならそれを走光性(phototaxis)と呼ぶ)。光源に早く到着した、運動能力の高いロボットだけを集めて合コンを行い、互いを評価し、番(つがい、夫婦)を選ぶ。

この、番の決定過程はもっと複雑だが、大雑把に言うと、構成ブロック数と脚の長さが同じで、光源への0.5メートルダッシュのタイムがほぼ同じであること、だ。

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そうやって出会った二人はデートを数回行い、たちまち恋仲になる。そして、お互いの遺伝的素材(自分を動かしていたコードとハードウェア)を提出しあい、それらを混成して新しいロボットを作る。これが生殖の過程だ(分からなかった読者もいるかもしれない!)。

こうして生まれる赤ちゃんは、パパの右足とママの左足、しっぽ、姿勢安定装置を合わせた奇怪なキメラだ。そしてこの赤ちゃんの脳が言うとおりに各部材を3Dプリントし、それらを組み立てる。より優秀な新世代ロボットの、量産だ。

研究者たちの主張は、難解でもあるが不合理ではない。自己変容型ロボットは状況と環境に自力で適応し、人間の指示や命令を必要としない。

そして自然淘汰のアルゴリズムは、人間のちっぽけな脳の能力を超えたユニークなソリューションを作り出すかもしれない。たとえば、誰かがキリンにプロポーズしたら、あなたはそれを承認するか? しかしそれでも彼ら自身は、きわめてまともだ。この滑稽なビデオは、実際にキリンの解剖を記録している。

コンピューターによる自然淘汰があり、それによる進化もある、という説に納得しない方は、この“進化した仮想生物”を見るか、または、このすばらく楽しいスクリーンセーバーを動かしてみよう。

Robot Babyプロジェクトは、アムステルダム自由大学のAIの教授Guszti Eibenのロボットベビーだ。それは、移動式テクノロジー見本市Campus Partyで披露された。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

働き場所を広げるPepper、次はアジア太平洋地域のピザハットで就業予定

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Pepperは就職に困ることはないようだ。世界的に経済状況が思わしくない中での話であり、その点は少なくともPepperを評価すべきなのだろう。Pepperはあちこちに活動範囲を広げつつある。そしてこのたび、店の「高級さ」加減では落ちるのかもしれないが、しかしPepperならきっとうまくやるだろうと思われる分野に職を得たようだ。

すなわちソフトバンクとマスターカードが提携して、Pepperをピザハットで働かせることになったのだ。まずはアジア太平洋地域の店舗がターゲットであり、年内にPepperを配属したい考えだ。

「Pepperは従来のデジタルキオスクを新しくしてくれると思います。タブレットや情報端末を操作するかわりに、ロボットと対話しながら必要な情報を得たり、何らかの操作を行うことができるようになるのです」と、MasterCard VPのTobias Puehseは言っている。「ファストフードショップによって、持ち帰り商品をオーダーする際に、Pepperが注文を受け取ってくれたりするのです」。

Pepperにはマスターカードのデジタルウォレット・サービスであるMasterPass機能が搭載され、Pepperを通じて支払いができるようにもなっている。また、これまでの商品購入履歴などを参照して、カスタマイズされた対応を行うこともできる。さらには客の様子に応じて振る舞いを変えることもできるようだ。「Pepperには感情を読み取る機能が備わっています」とPuehseは言う。「お客様がハッピーなのか、それとも不機嫌なのかを認識することができるわけです。それによってPepperは接し方を変えることができます。さらにはちょっとした冗談などを交えて、お客様の気分に応じた応対ができるのです。いってみれば共感能力を持っているわけです」。

マスターカードはPepperの供給状況に応じて、アジア太平洋地域のどの店舗にPepperを配備するかを決めていく予定であるようだ。同地域ではすでにPepperをカスタマーサービスに応用する動きが見られ、Pepperを通じてオーダーすることにも慣れてもらいやすいだろうという目論見もあるようだ。初期導入がうまくいくようであれば、Pepperが働く店を増やしていきたい考えなのだそうだ。

なお、PuehseはPepper導入について、人員削減的な意味を持つものではないことを強調していた。「利用者の方々に心地よさを感じてもらうための手段という意味付けです。人対人のコミュニケーションを排除しようというような意味ではないのです。たとえばPepperは支払い作業すらより面白く感じられるものにすることができます。さらにPepper側で顧客情報などを活用することにより、タッチパネルを通じてオーダーするよりも、好みに応じたオーダーが行えるようにもなることでしょう」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

子ども用のロボット・キットZiro、なんでもかんでもスマホの時代にグラブ(手袋)でコントロールするねらいとは

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Ziroは、数個のモーターとスマートフォンとグラブ(glove,手袋)と、あなたの想像力から、いろんな乗り物を作れるロボット・キットだ。Ziroのデフォルトのキットには、4つのワイヤレスモーターと、小さな自動車を作れるための部品のセットが入っている。今は、Indiegogoで彼らを支援すると手に入る。

Ziroを作ってるZeroUI社によると、プロトタイプはすでに完成しており、二人の子どもがそれですぐに遊び始めることができた。

でもZiroは単なるラジコン・カーではない。Ziroでは、車や、段ボールで作ったロボット、関節が動く動物、などなどを作れる。アップグレードすると、段ボール製のいろんなものの“型紙”をもらえる。

ロボットづくりの素材として使えるのは、段ボールのほかにLegoやペットボトルなどだ。難しいプロジェクトは、大人がアシストする必要があると思うけど、今の子はもっと進んでるかな(ぼくには子どもがいないからなんとも言えない)。

モーターのコントロールはWi-Fiで行う。といっても、家庭のWi-Fiネットワークを使うわけじゃない。各モーターの構成(コンフィギュレーション)は、スマートフォンのアプリから行うが、動きの制御はZiroのグラブで行う。

ボタンがいっぱい並んだ、昔風のコントローラーを使わないために、グラブを選んだようだ。そのグラブに、加速度センサーやWi-Fi用のチップが搭載されている。

たとえば、ロボットを左へ行かせたかったら、手をゆっくり左へ振る。あえてスマホを使わずに手でコントロールする方式を選んだところが、おもしろい。手に何も持たずに車をコントロールできるから、まるで魔法使いになったようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

豚の腸で作った折りたたみ式小型ロボットが誤飲した電池を取り出す…MITや東工大らの研究

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MITとシェフィールド大学と東京工業大学の共同研究チームが、William BurroughsのSF小説にありそうなプロジェクトを進めている。乾燥させた豚の腸で作った小さな折り紙状のロボットをカプセルに収めて飲み込むと、それが体内でアコーディオンのように開く(上図)。

胃の中でその小さな‘肉ロボット’はスティック-スリップ的に動きまわり、周囲との摩擦を利用して自分を前へ進める。操縦は、磁石の磁界が行う。磁石の機能は二つあり、その残る一つは人が飲んだ小さな電池を拾い上げる。

電池の誤飲という事故は、意外と多いようだ。MITによると、合衆国では毎年、3500個の時計用電池が誤飲されている。一部はウンチと一緒に排泄されるが、胃や食道の組織を傷つけるものもある。そこで研究者たちは、小さく折りたたんだロボットを使う、という解決方法を思いついた。

この話には、豚がさらに関係している。研究者のShuhei Miyashitaはこの独特な‘ロボット技術’の可能性に着目し、ハムの小片の中に電池を入れてみた。共同研究者のDaniela Rusによると: “電池の成分は30分で完全にハムに溶融した。そこから重要なことを学んだ。電池を誤飲したら、できるだけ早くそれをとり出さなければならない”。

またチームは、テスト用に模造の胃を作るときも、寛大な豚さんに依存した。豚の胃で、消化の過程を理解したのだ。しかしその後は、シリコンで胃の模型を作り、水を入れ、味付け胃液としてレモンジュースを加えた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

水道橋重工に挑戦中のMegaBots、シード資金を調達―人間搭乗巨大ロボット対戦のリーグ化を目指す

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カリフォルニア州オークランドのMegaBots Inc.が240万ドルのシード資金を調達することに成功した。このスタートアップは日本発のマンガやアニメでおなじみの人間が搭乗して操縦する巨大ロボット同士の戦いを実現するリーグの創立を目指している。

MegaBotsの共同ファウンダー、Gui Cavalcanti、Matt Oehrlein、Brinkley Warrenの野心は大きく、ロボット対戦リーグをフォーミュラ1国際サッカー連盟のような存在にしたいのだそうだ。

WarrenによればMegaBotsはシード資金を利用して、オリンピックが巨大競技化した道筋にならい、Latham Watkinsという法律事務所と提携してロボット対戦リーグの国際展開を図る。

Latham WatkinsでMegaBotsが特に協力を期待しているのはパートナーのChristopher D. Breartonで、同弁護士は国際オリンピック委員会(IOC)を始めとし、
NBA、MLB、NFLなどのプロスポーツ団体のリーグ化に助力した経験があるという。

内燃機関で駆動される巨大ロボットの対決となれば誰でも興奮するだろう。火に油を注ごうととMegaBotsは昨年、日本の水道橋重工に挑戦状を叩きつけている。

水道橋重工は日本のスタートアップで、MegaBotsより早く2014年に創立されているが、この挑戦を受けて立つとしている。報道によればファウンダーの倉田氏はKuratasロボットの対戦用に特化したスペシャルバージョンの開発にとりかかっているという。

Kuratasロボットは重量4トンの巨大ロボットだが、MegaBotsのMkIIは5.4トンにもなるロボットを試作している。Warrenは「対戦に用いられるマシンは6.8トンになるはず」だと述べた。MkIIの初期型は重量3ポンド(1.5kg)のペイントボールを発射する能力がある。これによって対戦相手のコンピューター・ビジョンにダメージを与えようという戦略だ。

MegaBots employees in Oakland, Calif.

MegaBotsの社員一同―オークランドの本社前

チームUSAとチーム・ジャパンの対決の場所や日取りは未定だ。ただし水道橋重工の主張に基づき、対戦の組織化はMegaBotsが担当する。MegaBotsはこの対決をホストすることに関心のある政府や自治体を探している。

ただしこの種のリーグの組織化には、ロジスティクス上の難問が待ち受けている。Warrenも指摘するように、7トン近いマシンは簡単に国際輸送できない。

これまでMegaBotsはクラウドファンディングで55万ドルを調達し、さらにグッズ販売やライセンス料で資金を集めてきた。Megabotsはイベントなどにロボットを登場させたり、
グッズを販売したりすることで100万ドルの売上を記録している。

同社への投資家には、Azure Capital PartnersAME Cloud VenturesAutodeskMaveron、エンジェル投資家でNational Venture Capital Associationの前会長、Ray Rothrockなどが負汲まれる。

Azure Capitalのゼネラル・パートナー、Michael Kwatinetzは「(MegaBotsのような)巨大ロボットが登場するライブイベントは人々の想像力をかきたてるので非常に大きなビジネスチャンスがある。その点はプロレスのWWEや自動車レースのNascar〔の成功〕を見ても明らかだ」と述べた。

またKwatinetzは「Megabotsのような巨大ロボットを開発する能力のあるエンジニアや経験を持つ企業は他にほとんんどない」と指摘した。

現在のロボティクスの主流はバッテリー駆動で、強力なエンジンや油圧メカニズムを搭載していない。こうした電動ロボットでは人間を乗せたり数トンもの重量を動かしたりすることはできない。

MegaBotsの投資家は、シード資金によって日本のロボットとの対戦を実現させ、広く関心を呼び起こして大企業によるスポンサーシップやテレビ局による番組製作に結びつけたい考えだ。
こうした動きはMMAファイティングなど総合格闘技の成功をモデルにしている。

画像:: SN Jacobson/MegaBots Inc. (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

〔日本版〕こちらのYouTubeビデオではファウンダーがMegabotsのロボットについてTestedのインタビューを受け、操縦席も含めて詳しく説明している。Megabotsには操縦士と射手の2名が搭乗する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Puma、アスリートのトレーニング用ペースメーカーロボットを開発(ボルト並みの速度にも対応可)

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人類とロボット、どちらが強いのかを示す闘いの場がまたひとつ生まれた。もちろん勝つのはどちらか一方のみだ。運命を決する闘いが始まろうとしている…

と、そのように悲壮感があふれる話ではないのだ。人類と「闘う」ロボットも、実はかわいいやつだ。4輪ロボットでラジコンカーと靴箱の交雑種のような雰囲気をもつ。これは陸上選手と競争するトレーニングマシーンのひとつなのだ。持ちタイムよりもちょっと速い速度で走らせて、アスリートの内なる闘争心をかきたてることを目的とする。

ロボットは名前をBeatBotという。広告エージェンシーのJ. Walter ThompsonおよびMITのエンジニアたちがが、Pumaのために開発したものだ。ロボットには9つの赤外線センサーが搭載され、トラックのラインに沿って走るようになっている(コーナーがあっても大丈夫だ)。走るペースを予め設定しておき、目標タイム通りにゴールする。

高速走行の迫力をみたいのなら、ウサイン・ボルトなみの速度で疾走させることもできる。トレーニングに使うのなら、もう少し自分のペースに近い速度に設定するのが良いだろう。速度の設定はモバイルアプリケーションにて行う。ロボット自体は、タイヤの回転速度を検知して自らの速度を制御するようになっている。また前面および背面にGoProカメラを搭載していて、さらにはアスリート側からよく見えるように、リア側にはLEDライトも搭載している。

現在のところ、このロボットはPumaと契約する選手(たとえばウサイン・ボルト)のみに試してもらっているところのようだ。今年後半には、より多くのアスリートに対して提供するようになるかもしれないとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

Alphabet(旧Google)の秘蔵っ子、日本のSchaft Inc.が、東京でまったく新しい二足ロボットをデモ

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今度(東京に)現れた新型ロボットは、Naoみたいに可愛くもなく、SpotやBigDogのように不気味でもなく、Atlasほど人間らしくもないけど、これらのどれよりも実用的かもしれない。二足歩行をするが、それは人間のようでも、熊のようでもない。AlphabetがオーナーであるSchaft Inc.が考えた、独特の動きをするロボットなのだ。

この、まだ名前のないロボットは、日本で行われたNew Economic Summit(新経済サミット)のステージ上を誇らしげに歩き、Schaftの協同ファウンダーYuto Nakanishiと共に、笑顔の群衆に対面した。次に上映されたビデオに登場したロボットは、ステージ上のロボットと同じものではなかったが、機能はほぼ共通していた。

いちばん重要なのは、その歩行システムだろう。人間の足並みは複雑にコントロールされる上下運動だが、このロボットの足(脚)は可撓部のない剛体で、レールのように上下にスライドする。

したがって物を持ち上げたりするときの、曲がる(しゃがむ)動作がない。上部のジョイントにより脚は斜めに突き出され、底部の“関節”が凸凹の地面でも安定性を提供する。電池とモーターは両脚のあいだにあり、低い重心に貢献している。

ロボットが動き回るための方法としては、とても効率的に見える。ビデオではロボットが、森の中や、岩だらけのビーチ、雪原、それにED209(エド・ツーオーナイン)やDalek(ダーレク)たちの弱点である階段すらも歩きまわる。階段を上(のぼ)りながらRoombaみたいなブラシで各段を掃除するやつもいる。Atlasにも、やらせてみたいね。

人間の捕獲者が仕掛けた金属の棒の上でも、滑ったり転んだりせずに、十分に敏速に動き回る。Skynetが本当に人類を滅ぼし始めたときにはきっと、昔見たこのビデオのことを思い出すだろう。

このロボットには腕がないし、掌(てのひら)のような握る部分もない。上にバーベルが載っているプロトタイプもあるから、物を持ち上げて運ぶことはできるのだろうが、荷台や操作部はない。このロボットの設計目的がほかにあるのか、それとも、今回は歩行をデモすることだけが目的で、他の機能や装具を装備してないだけなのか。

終始曖昧な書き方で申し訳ないが、なにしろ具体的な情報は乏しいのだ。Schaftは2013年にGoogleに買収され、その後音沙汰がなかったが、DARPAのRobotics Challengeでは優勝した。同社は今、Webサイトすらなく、その操業内容とプロジェクトはAlphabetのX部門の中で厳しく守秘されている。

この記事の素材はすべて、東京のロボットライターTim HornyakRakutenのツイートで、XがIEEE Spectrumに載せた記事も参考にしている。その記事は、“製品の発表でも、具体的な製品のロードマップでもない。ただ単純に、進捗の現段階をお見せできたことを、嬉しく思っている”、と声明している。

本誌はこの隠密ロボットメーカーに情報を求めているが、彼らのこれまでの3年と次の3年が同じなら、多くは期待できない。この革新的なロボットは、今後もっと社会への露出度を大きくすべきだし、今後も秘密のままキープするのは、もったいない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleはロボットに物の掴み方を教えている

机の上に置いてあるペンを手で拾い上げるのは人間にとってそんなに難しいことではないが、ロボットにとってはまだ困難な課題だ。そこでロボットがより良くランダムに置かれた物を拾えるようになるよう、Googleの研究チームは14台のロボットにタスクを与えた

ロボットが何かの問題を解決する一般的な方法は、まず環境を調査し、物を掴む計画を策定して実行することだ。ただ現実世界においては、計画の策定から実行するまでの間にも様々なことが変わることがある。

Googleはロボットを使って深層畳み込みニューラルネットワーク(現在の機械学習で広く用いられる手法)を鍛えることで、ロボットはカメラの入力とモーターの動きを元に物を掴んだ時の結果を推測するようなる。簡単に言えば、ロボットが見ている景色と手の動きを連動するということだ。

3000時間に及ぶ練習(80万回の拾う試行)の末に初めて「知的な対応行動の始まり」が見られたとチームは伝えている。

「ロボットは自分のグリッパーを見て、リアルタイムで動きを修正します。また、実際に拾う前に特定の物を集まっている場所から離すといった興味深い行動が見られます」とチームは記している。「これらの行動はシステムにプログラミングされたものではなく、自然と学習したことです」。

Googleの研究者が行ったトレーニング前の試行では、ロボットが30回拾う試行をした時の失敗率は34%だった。トレーニング後、その数値は18%まで下がった。まだ完璧ではないが、もしロボットが追いかけてきて誰かをつかまえようとしたのなら、ロボットは80%近い確率で成功することは覚えておきたい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

最新世代のAtlasヒューマノイドロボットはとてつもなくすごい

またまた、山のように大量の回路基板を見るのかい?だって?

まあまあお待ちくだされ、このビデオは1分20秒以降が見どころだ。

そこで小突き回されているロボットは、最新世代のAtlasだ。この、行き過ぎてるほど高度なヒューマノイドロボットを作ったのは、オーナーがGoogleであるBoston Dynamicsだ。

(ところで、気分を悪くしないでいただきたい。Atlasが手に持っている荷物を叩き落としたり、最後には倒れるほどぶちのめしているのは、その自己補正システムをテストするためだ。押したり突いたりすればするほど、彼は強くなる。まるでKarate Kidみたいだが、でも人間ではなくてコンピュータだ。)

このバージョンのAtlasが動いているところを見るのは、これが初めてだ。しかもこいつは、前世代に比べると大進歩だ。前のは330ポンドの肥満児だったが、今回は180ポンドぐらいだ。これでもまだ、彼の下敷きにはなりたくないが、人間の体重に近づいてきたとは言える。ふつうの人間だけど、肉ではなく金属でできてる、なんてね。身長は数インチ減って5フィート9インチだ(前は6フィート)けど、体には大量のセンサーを詰め込んでいる(LIDAR, ステレオカメラなど)。電源や体の支持のための、外付け装置は要らない。

Atlasは箱を持ち上げ、ドアを開け、固めてない雪の上を歩く。楽しんで見ていただきたいが、中にはこれを見て、夜眠れなくなる人(AI恐怖症の人)がいるかもしれない。このビデオでAtlasがやることは、五体満足な人間であるぼくがやると、何度も前に倒れてしまいそうな動作ばかりだ。

そして、ホッケーのスティックでAtlasをいじめている人に言いたい。Atlasはお前の顔を永久に覚えてるぞ。

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これからのドラマーは3本腕だ―ウェアラブル・ロボットが正確なビートを刻む

前回われわれがジョージア工科大学のCenter for Music Technologyを訪問したとき、ギル・ワインバーグ教授は人間に合わせて歌い踊り、演奏する音楽ロボットを見せてくれた。今回ワインバーグはドラマーの3本目の腕となるウェアラブルなロボット・アームを開発した。

ワインバーグは「このロボットは音楽を聞き分け、人間の動作に反応する。装着したドラマーがハイハットを叩く動作をするとロボット・アームはそのリズムに合わせてライド・シンバルを叩く。ドラマーがスネアに移るとロボットはタムタムに向かう」と説明する。

この驚くべきロボットはドラマーの鳴らすビートを聞き分け、腕の動きを注視している。ロボットはドラマーの動作に反応してスティックを操り、いわば「ドラマーのグルーブ感を最大限に高める」ような補助をする。ドラマーがテンポを速めるとロボット・アームのスピードも速くなり、テンポを緩めるスピードは遅くなる。

「人間は環境を認識し反応できるウェアラブル・ロボットを装着することで能力を大幅に拡張できる。たとえばこのロボットはドラマーの3本目の腕として機能し、創造性を高めて音楽を豊かにする。ドラマーは通常では不可能な多数の楽器を同時に演奏することができるようになる」とワインバーグ教授は言う。

このロボット・アームはドラミングにユニークな要素を持ち込むことは確かだ。このプロジェクトはもともと事故で片腕を失ったドラマーのためのロボット・アームを実現する実験から始まった。ワインバーグのチームはドラマーに3本目の腕を装着することで音楽に画期的な変化をもたらすことができることに気づいたという。プレスリリース〔原文参照〕によると、ワインバーグたちは人間の頭脳に直結して思考によって作動するロボットの開発を計画しているという。

私としてはニール・パートのドラム演奏がコピーできるロボットの登場を期待している。

〔日本版〕Rushのドラマー、Neil Peartの発音はニール・ピアトが近い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SaviokeのRelayロボットはあなたの近くのホテルにも就職するだろう…売れるロボットの一つの典型

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ホテルの部屋にいるときは、完全なプライバシーが欲しい。だってBaphometを呼び出したり、Firewatchをプレーしているときは、完全な集中力が必要だから、人間に邪魔されたくない。SaviokeがRelayを作ったのも、まさにそのためだ。

Relayを作った連中は全員、ロボット工学のインキュベータWillow Garage出身で、彼らが作ったそのロボットは頭に穴のあるR2-D2みたいだ。今それは、世界中のホテルで宿泊客に食べ物やスナックを届けている。その、配達少年のようなロボットは、チップを要求しない。しかし、熱い料理は運べない。チームはその欠点を、すぐに口にした。

“だから人間のボーイやメイドの職を奪うことはないが、ルームデリバリの一部を人間から取り上げることは事実だ”、とファウンダーの一人Steve Cousinsは語る。“でもRelayはルームサービスはしない*。熱いものを運べないなど、制約がいくつかあるから”。〔*: ルームサービスは本物の給仕の作業もしなければならない。〕

ファウンダーは、Cousinsのほかに, Tessa Lau, Adrian Canoso, そしてIzumi Yaskawa。彼らは、ふつうの人間の役に立つロボットを作りたい、と思った。

“Relayたちは2015年に11000人の宿泊客に品物を届けた”、とCousinsは述べる。“配達距離の総計は3000キロメートルを超えている。マラソンなら、70回以上だ”。

彼曰く、“届けた物でいちばん多いのは、歯磨きだった。ロサンゼルス空港のMarriottホテルでは、ロビーのStarbucksからコーヒーを宿泊客に届けている”。

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Relayは、彼らがまだWillow Garageで勉強しているときに、実用ロボットの課題として考案した。Relayのようなわりとシンプルなロボットは、経時経年変化があまりない、半構造的なスペースに向いている。スマートロボット(電脳ロボット)を作る費用は、オープンソースのRobot Operating Systemなどのおかげで安くなってるから、ヘルパー的なロボットなら、巨額な資金がなくても作れる。

この、ホテル用デリバリロボットは今、世界中のホテルで使われているが、今彼らが考えているのは、歯磨きやコーヒーを運び、宿泊客を定時に起こす“目覚ましロボット”だ。

でも、テレプレゼンスロボットがホテルに滞在するようになったら、RelayがRelayに物を届けるようになり、それがやがて無限ループになり、われわれの空間と時間とそして社会の構造を破壊するだろう。〔もちろんジョーク〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iRobotが同社伝統の軍事部門を切り離して別会社に

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国防市場から抜け出したいiRobotがその軍事関連資産を売って、軍需専門の別会社を作る。その新会社のCEOは、元海兵隊の将校Sean Bielatだ。

以下はプレスリリースより:

iRobotの国防部門はここに、今後は独立の企業になることを、喜びをもって発表いたします。その企業は非上場のロボット製造企業になり、国防と国民の安全と産業市場のニーズに完全に特化した事業を行ってまいります。

新しい企業は現iRobot国防部門のチームが率い、CEOのSean Bielatは元iRobotの国防部門の役員で、合衆国海兵隊の将校でもあります。iRobotの国防部門担当SVP Tom Frostが、新会社の社長になります。彼らが一緒に仕事をすれば、15年の歴史を持つiRobotの高品質なロボットの設計技術と、評価の高い強力なサポートが、損なわれることなく継承されるでしょう。

その新しい会社はArlington Capital Partnersが出資し、国との契約による、軍事国防関連の生産に従事する。家庭用ロボットの事業部は、そのままiRobot本体に残る。

このような分社化は、いくつかの点で興味深い。まず第一に、それぞれのビジネスを別々の企業に隔離するから、とくに国防方面の顧客は連絡窓口などで迷うおそれがなくなる。さらにまた、これによってiRobotの企業イメージが改善され、お掃除ロボットと軍事技術との関連が徐々に意識されなくなり、プライバシーや安全性の面での消費者の不安もなくなる。わが家の掃除機が、合衆国陸軍第一ロボット師団のロボット兵として登録されていたら、おそろしいもんね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

バイオテックの実験を自動化する安上がりなロボットを作ったOpenTrons、生命科学のためのPCを自称する

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ロボットを作っているOpenTronsが、ウェットラボの実験を迅速かつ安上がりに行えて、自動化もできる、と称する装置を考案した。

ライフサイエンス(生命科学)の研究は、今でもその多くが手作業で行われている。OpenTronsはその、往々にしてかったるい過程を、ロボットとソフトウェアの組み合わせで減らそうとしている。

“要するに生物学者という人種は毎日々々、小さなガラス瓶から別のガラス瓶へ少量の液体を移すことが仕事さ。それを、手に持った小さなピペットでやる人もいれば、10万ドルもするロボットを使う人もいる。うちのは、3000ドルのロボットだ”、とOpenTronsの協同ファウンダーWill Canineが説明する。

Canineによれば、これまでの高価なマシンは、コンピュータに譬えれば‘メインフレームマシン’だ。でもその後コンピュータの世界には安価なPCが登場した。彼は、自分たちのマシンが生物学自動化実験装置のPCである、と信じている。

昔の高価なマシンは、専門の技術者がつきっきりで動かす必要があったが、Canine曰くOpenTronsは“ツールを民主化”し、プロトコルの共有化を可能にする。彼らの3000ドルのマシンはWebブラウザーからコントロールでき、ユーザーである研究者はプロトコルをクラウドからダウンロードして実験を行える。もはや、専門の技術者が最初にコードを作らなくてもよい。

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Canineが挙げるユースケースの中には、作物を生命工学でなんとかしたい、と考えている農家や、自分ちのガレージで新しいスーパー素材を開発している科学者などがいる。“これからは、こういう人たちのためのツールを作っていきたいんだ”、と彼は語る。

彼らと同じくY Combinator出身のTranscripticは、パロアルトでバイオテックのラボをクラウドサービスとして提供している。そこは主に、ロボットを使って実験的な薬の試験をしている。Canineによれば、同社はコンペティターというよりもむしろパートナーだ。“うちはPC、彼らはクラウドだ”、と彼は言う。

“Transcripticみたいなアウトソースするラボも含めて、ラボサービスやツールにとって難関は標本の入手だ。だからラボのソフトウェアをAmazon Web Servicesにデプロイするときみたいに、OpenTronsを使えば、標本をTranscripticのクラウドラボに送ることができる”。

OpenTronsは中国で行われたHaxclr8trでローンチし、2014年にはKickstarterで成功した。そのときの製品は、大腸菌にDNAを挿入するマシンだった。今ではOpenTronsのロボットは50種以上あり、個人のラボや大学などで活躍している。

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Knightscopeの防犯ロボットはリアルタイム治安ネットワークの賢いノードになる、大規模暴力事件を未然に防げるかも

ある日ロボットが蜂起して人類を支配するのかもしれないけど、今現在はPalo AltoのKnightscopeが、人類の安全のために犯罪と戦うマシンを開発している。

Knightscope製のセキュリティロボットK5は、スターウォーズのR2D2とドクター・フーのダレクに似ている。そしてこれらのロボットを動かしているシステムは、ちょっとジョージ・オーウェル的だ。ブロードキャスト機能と高度な監視能力のあるK5は、コンサートホールや商店街など人が集まる場所をパトロールし、不審な行動などをチェックする。

視界360度でHDの低ライト赤外線カメラが捉えた画像を、バックエンドのセキュリティネットワークへアップロードする。通行人の声を拾うマイクもある。ある程度のコミュニケーション能力もある。また、ガラスが割れる音などの異常音を感知してアラートを送る。

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すでにいくつかのショッピングモールやオフィスビルがK5を採用している。それらの名前は公表しないらしいが、Knightscopeによると、主にテクノロジ企業の社屋やシリコンバレーのショッピングモールだそうだ。

CEOのStacey Dean Stephensは元警官で、ロボットが送ってくる都市内の情報を利用する、犯罪防止のための予測的ネットワーク(次に起きることを予測できる情報ネットワーク)を構想した。協同ファウンダのWilliam Liとともに、これまでKonica Minoltaなどから1200万ドルを調達している。

近い将来にロボットが警官やガードマンをリプレースする、とKnightscopeが考えているわけではない。ロボットはあくまでもアシスタントだ、と同社はその製品を位置づけている。料金はレンタル制で、5本足300ポンドのK5を1時間6ドル25セントで貸し出している。われわれの最低賃金より、安いよね。でもティーンエイジャーのワルガキどもがロボットを小突いたりしたら、K5は彼らに声をかけるし、彼らの行為を撮影して署に送ったりするから、ガキどもにはショックだろう。

これらのロボットは、ロボット自身の治安機能が必ずしも目的ではない。むしろKnightscopeは今、ロボットよりも、それらから送られてくる情報を利用するセキュリティネットワークの研究開発を進めている。そのネットワークは、ロボットからリアルタイムで送られてくる映像やデータから、公共の場所における不審な行動を見つけて、警察機関などに報告するだろう。それらの予測に基づいて事前に行動が取れれば、大規模な銃撃事件などの暴力事件を、未然に防げると思われる。

上のビデオで、Stephensにインタビューしている。ロボット本体と、ロボットをベースに構築していく治安ネットワークのことが、よく理解できるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Disney Researchが壁をよじ登り天井を這うロボットを開発

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Disney Researchとチューリッヒ工科大学の研究グループが、走行し、飛行し、ジャンプし、そして壁をよじ登る車を作った。車輪で走行し、プロペラを回転して障害物を飛び越え、壁にぶつかると垂直方向に動く。

vertical(垂直)をもじってVertiGoと名付けられたこのロボットは、実は車輪を駆動する動力がない。動きはすべてプロペラに由来し、それが、地上では車を走行させ、壁に当たれば車体を壁に押し付ける。

ホワイトペーパーより:

VertiGoロボットの設計における中心的な研究課題は、推力出力と車両重量の比を最大化することだった。中央の底板にカーボンファイバーを使うことによって重量を最小化し、車輪のサスペンションや車輪本体のような複雑な三次元構造には、3Dプリントした部品とカーボンロッドを併用した。底板には、二つのスラスターモジュールと車輪のサスペンションをマウントした。電子部品や配線も底板に載せた。スラスターは二輪のカルダン懸架装置を使ってマウントした。サーボモーターの内蔵により、外輪と内輪は互いに独立して動く。以上により、床の上と壁の上を走行するために必要十分な力が生成されたが、理論的には天井を走行することもできただろう。

 

このようなものは、その必要性をすぐには思いつかないが、たとえば壁や天井、あるいは人間の手の及ばない場所における修理作業のためには、優れたソリューションと言えるだろう。ダフィー・ダックに装着したら、あのおなじみの鴨くんが、ついに飛べるかもしれない。

出典: Spectrum

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すべてのクリスマスをロボットに取られてしまったらどうなるか、その日を予見させるマニピュレータロボがこれだ

RE^2 Roboticsのロボットはいたずら者の悪魔だ。このビデオでは二人のマニピュレータロボットがふつうのハサミを使って紙を雪の結晶の形に注意深く切り抜いていく。その手腕は、未来のテクノロジとして正しく評価するなら、われわれを一瞬沈黙させるだろう。

たしかにこのロボットは、楽しいデコレーションで冬至を祝ってくれているだけだが、でもこんなアームが家庭の日用品になったら、人間は彼らがクリスマスツリー用の木を切ったり、エッグノッグを作ってくれたりするのを、じっと動かない哺乳動物のように見ているだけになってしまうだろう。最後にはロボットたちが、われわれの代わりに祭日を祝ってくれたり、へたなジョークに機械的に笑ってくれたり、セーターを編んでくれたりするようになる。クリスマスプレゼントを包むのも開けるのも、チョコをかけたプレッツェルを食べるのも、ターキーを黄金色に焼いて切り分けるのも、みんな彼らがやり、われわれは地下牢に閉じ込められて泣きわめく。そう、このロボットは今は良いけど、でももしも彼の友だちが、われわれのクリスマスの祝い方を非効率と判断し、8頭のトナカイが引く橇を超音速の空飛ぶジェット戦車にリプレースして、ギフトを屋根に撒き散らし、牙の生えた下顎でクッキーを猛スピードで平らげ、蛇のようにくねくねと煙突から降りてきて、そこにあるありとあらゆる有機物を無差別にずるずる呑み込み、彼のバイオ反応炉の炉心に収めてしまう。ついにロボットはクリスマスをすべて勝ち取り、しかしそれは、始まりにすぎなかったのだ。

楽しい休日を、肉袋(meat bags)たちよ。

出典: Spectrum

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ハンガリー生まれのキャタピラー車Codieは子どもがプログラミングして動かすロボット、iOSやAndroidから操作

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子どもたちにプログラミングを教えるロボット企業Codie Labsが今日(米国時間12/8)の午後TechCrunch Disrupt Londonのステージに立ち、同社のプログラマブルな走行ロボットCodieを披露した。このロボットのプログラミングと操作(運転)はiOSやAndroidのアプリで行う。はるばるブダペストからやってきた同社は、最初この本誌主催コンペの展示場に小さなスペースを与えられただけだったが、来場者と本誌ライターが展示企業の上位に同社を選んだため、本会場の大舞台に立てることになった。

András Hollóが彼のいくつめかのスタートアップとして2013年2月に、友人のÁdám Lipéczと共に起業したCodie Labsは、6歳から15歳までの子どもたちに、プログラミング入門の機会を与える。プログラミングのためのインタフェイスは、さまざまなアクションを表しているカラフルなブロックをドラッグ&ドロップで積んだり並べたりするもの。まるで積み木のような感覚でプログラムを構築し、そのプログラムどおりにCodieロボットを動かす。

このロボットは表面はすべて木製、駆動はキャタピラー方式なので、やや凸凹しているところでも走行する。内部には近接センサやマイクロフォン、ラインリーダー(line reader, 線を読む)があり、このリーダーがさまざまなマークなどを読む。前面についている二つのLEDライトも、プログラミングにより色を変えられる。

おちびさんロボットCodieは、意外と走るのが速いが、動きは子どもが書くプログラムからコントロールできる。また画面に表示されるジョイスティックを操作して‘運転’もできる。

子どもたちは、表面に”move”、”turn”、”decide”、”wait”、”sound”などとアクションが書かれたブロックをドラッグしてプログラムを組み立てる。アクション以外の、スピードや距離、色、輝度なども、プログラムからコントロールできる。

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また、”if, then, else…”のような論理構造(条件分岐とループ)もこのプログラミング言語で表現できる。

ひとつのプログラムが完成したら、名前をつけて保存できるから、あとからの再利用も可能だ。

Codie Labsはハンガリーの機関投資家や個人のエンジェルからUSドル換算で25万ドルの資金を得ている。プラス、Indiegogoのクラウドファンディングで今年の春96000ドルを獲得し、予約販売で500台あまりのCodieが売れた。

Hollóによると、ただし現物を出荷〜発送できるのは今年のクリスマス、ないし、来年早々だ。お値段は199ユーロ。

来年は本格的にシード資金を調達して、マーケティングと流通チャネルの開拓に充てたい、と彼は言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。