iRobotが芝刈りロボット「Terra」の発売を無期延期

iRobot(アイロボット)は米国時間4月28日の四半期決算報告で、同社の芝刈りロボット「Terra」の発売を無期延期したことを発表した。Roomba(ルンバ)のメーカーでもある同社は、待望のホームロボットの2020年の発売を断念した。

当然のように同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響による不確実性を理由に挙げている。具体的には「市場の現状」だという。同社広報がTechCrunchに送った声明は以下のものとなる。

他の多くの消費者向けテクノロジー会社と同様、iRobotも新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、市場開拓と製品開発の優先順位を再考しなければならなかった。市場の現状を踏まえ、iRobotはロボット芝刈り機 Terraの2020年発売を中止し、中核事業やその他の戦略への取り組みを優先する必要に迫られた。iRobotは今でも芝刈りロボットの大きな可能性を信じており、Terraの発売は中止するものの、時期が来たときには発売の可能性を再評価するつもりだ。この決定は、iRobotがこの景気停滞を乗り越え、消費者向けロボットのリーダーとして、継続的に利益を生む会社として成長することを確かにするものだ。

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無期延期の理由が、どれほど世界のサプライチェーン問題によるもので、どれほど単なる需要不足のためなのかはわからない。人と人との接触を減らして感染リスクを回避するロボットやAIの発達によって、新型コロナウイルスはオートメーションへの関心を高めた。しかし、多くの人々が自宅で過ごす時間が増えたことで、1000ドル(約10万7000円)近い商品は消費者が景気刺激策に投じる対象でなくなる可能性が高い。

この「優先順位の変更」は、ビデオ会議ロボットのAvaを数年前にスピンオフされた会社として興味深い洞察だ。新型コロナ危機は、長い目でみればリモート学習の現実性を認識した人々の役に立つ製品開発を探求する理由になるかもしれない。

iRobotは今後について具体的なことは言及していないが、このような無期限の延期は、同社の次期看板製品にとってよい兆候とはいえない。例え究極の理由がパンデミックだとしてもだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITが筋肉でロボットをコントロールするシステムを開発、ドローンをジェスチャーで正確に操縦

MITの計算機科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab、CSAIL)が、今手がけている筋肉の信号でデバイスを制御するプロジェクトをビデオで披露した。彼らの最新の成果ではドローンを完全かつ細かく制御でき、手と腕のジェスチャーだけを使って複数の輪を通り抜けることができた。これは、デバイスをバイオフィードバックでコントロールし、別途ジェスチャー認識のための光学系などを必要としないだけでなく、細かい明確な制御ができるので、遠隔制御の応用領域を大きく広げることができる。

この研究グループも、さまざまな利用分野を展望している。たとえば、複数のロボットのコラボレーションの産業分野への応用だ。もう一つの領域がドローンの操縦で、現実世界での用途に大きな利点をもたらす。例えば、パイロットがVRで大きな視界を獲得できれば、ドローンの複数の編隊をコントロールすることも可能だろう。これでたとえば、大きな建設現場の測量を一人でできたりするだろう。あるいは人が行くのが困難なオフショアのプラットホームなどで、遠隔の機器装置を検査できる。

ロボットと人間のシームレスな対話は、ロボット工学の究極の目標の1つだ。人間は自分の動作や環境を効果的に扱うことを直観的にできるから、ロボットを制御したりロボットと一緒に仕事をするときもそうありたいと願う。人間が環境と対話するときは、思考と行為が基本的には並列で生じているが、機械や遠隔のツールが相手のときはその滑らかさと直観性が翻訳過程で失われ、ロボットの学習過程や訓練は急峻な学習曲線になる。

人間と一緒に安全にコラボレーションで仕事ができるロボットの研究開発は、ロボティクスでなくコボティクス(Cobotics、協働ロボット)と呼ばれる。これは、人とロボットの対話をもっと自然で直観的に、そして究極的には安全にするための研究開発の進歩から生まれる。この分野でのMITの研究は、大規模な仕事でも訓練やプログラミングが少なくてすむ未来の工業用ロボットに結実するだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Boston Dynamicsの四足ロボが病院内を闊歩、新型コロナの遠隔医療で活躍

この2週間、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のロボットであるSpot(スポット)は、地元のBrigham and Women’s Hospital(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院)の廊下を歩きまわっている。遠隔医療は会社の初期の主要製品リストには載っていなかったが、Boston Dynamicsは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが生活のすべてを奪う存在になったことで方向転換した多くのテック企業に仲間入りした。

同社によると、3月初め以来同社のテクノロジーを遠隔医療に利用できないかという問い合わせが複数の病院から寄せられたという。

「Boston Dynamicsの下に届いた働きかけや、命を守る個人防護具(PPE)の世界的欠乏を踏まえ、当社はこの数週間に病院からの要望の理解を深め、当社のSpotロボットを使ったモバイルロボティック医療の開発に注力してきた」と同社は書いている。「その結果生まれたのが、緊急医療テントや駐車場などの特殊環境下で、パンデミックに対応する現場スタッフを支援する歩行型ロボットだった」。

iPadと双方向無線を搭載したSpotはモバイル遠隔会議システムとして利用されており、感染力の強いウイルスを拡散するリスクを負うことなく医師が患者を診察することができる。これは比較的簡単な仕事であり、多くのロボティック会社が積極的に取組んでいる分野だ。

多くの医療施設にとっては価格の壁があるものの、Spotの四足歩行は車輪システムがアクセスできない場所にロボットが訪れる可能性を開く。モジュール化されていることで、将来別の作業を遂行できる可能性を常に秘めている。Boston Dynamicsは、体温、呼吸数、脈拍、酸素飽和度などの生体信号を検知するシステムを搭載する検討を進めていると言っている。

将来は、ロボットに紫外線照射器を背負わせてモバイル消毒ステーションにすることもできるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Y CombinatorのW20デモデーに参加したスタートアップ(ハードウェア、ロボット、AI、開発者向けツール)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する懸念が高まる中、Y Combinator(Yコンビネーター)はこれまで慣れ親しんできた2日間にわたる米国サンフランシスコでの会合からイベントの開催方式を切り替え、デモデーのウェブサイトを通じて、招待された投資家とメディアにクラス全体を同時公開する方法で開催することを決定した。

さらに驚きなのが、投資家の動きが加速してきた事実を受け、YCがデモデー開催日を1週間前倒しにしたことだ。このため、デモデーのウェブサイトに録画したプレゼンを掲載するというプランは変更せざるをえなくなり、各事業は代わりにスライドに事業概要、今後の見通し、チームの経歴などの説明をまとめてプレゼンを行った。急速に進化する投資環境と相まって、この新たなスタイルがこのクラスにどのように影響するかは今のところはわからない。

プレゼンやウェブサイトのほか、場合によっては以前の記事から収集した情報をもとに、我々が集めたそれぞれのクラスの各事業のメモをまとめてみた。

読みやすさを優先し、全事業をすべて羅列するのではなくカテゴリー別にまとめている。これらの企業は、ハードウェア、ロボット工学、AI、機械学習、開発者用のツールを手掛けている企業である。そのほかのカテゴリー(バイオテック、コンシューマー、フィンテックなど)に関してはこちらから読むことができる。

AIおよび機械学習

Datasaur
自動修正、自動提案、キーボードのホットキーなどを使用して、人間がマシンデータのデータセットをより正確かつ効率的にラベル付けできるようにするためのツール。個人のデータラベラーは無料、20名以下のラベラーからなるチームには月100ドル(約1万1000円)、それより規模の大きいチームには個別の使用料が適用される。

1build
建設会社向けの、データによる作業費用自動見積もり。ユーザーが作業計画をアップロードすると、1buildは正確な入札額を「数分で」準備できるとしている。同社は、60万ドル(約6600万円)を超える収益を予測しており、Amazon、スターバックス、セブンイレブンなどの大企業の見積もりは完了していると述べた。

Zumo Labs
ゲームエンジンを用いて、コンピューターのビジョンシステム向けに、事前にラベル付けされたトレーニングデータを作成する。同社は、現実世界の写真やビデオからデータを収集するのではなく、データを合成することにより、より迅速で安価に、またプライバシーの問題なく、大量のデータセットを作成できると述べている。

Teleo
既存の建設機械を改造して、オペレーターが遠隔操作できるサービスを提供。Teleoは3ヶ月前の創設以来「完全に機能する遠隔操作ローダー」を作ってきたと述べ、建設会社に、一台につき毎月定額で料金を課す予定でいる。この企業の共同創設者はHardware Engineeringの元責任者であり、またLyftのProduct Managerのディレクターでもあった。どちらの会社もGoogleのStreet Viewチームに関与していた。

Turing Labs Inc.
石鹸やデオドラントなどの消費者向け製品について、様々な配合率を試す自動化されたシミュレーションテスト。研究開発チームにとって、家庭用製品や化粧品に関する作業は、数ヶ月に及ぶことがある。Turingは、このプロセスを支援するAIエンジン(薬の開発に使用されるのと同様のAIエンジン)を開発し、数ヶ月を数日に短縮する。Turingはすでに世界でも有数のCPG企業と取引を行っている。Turingについて以前書かれた記事はこちら

Segmed
SegmedはAIによる医学研究のためのデータセットを構築している。研究者がそれぞれ個別に病院や画像施設と提携する必要を省き、Segmedがこれらの組織と提携して(現在50以上)データの標準化、ラベル付け、匿名化を行う。

Ardis AI
Ardis AIは、人間と同じように文章を読み理解するテクノロジーである、汎用人工知能の構築を目指している。Ardis AIは、ニューラルネットワーク、記号推論、新たな自然言語処理技術とを組み合わせることで、データの抽出やラベル付けを行うチームを雇用することを望まない企業にサービスを提供可能。

Agnoris
Agnoris はレストランの店頭でのPOSデータを分析し、価格設定、デリバリーメニュー、スタッフ配置の変更について提案を行う。Agnorisは、レストランの場所ごとに年間3600ドル(約39万円)で、利益を20%上げることができると述べている。同社は、創設者がレストランを開業した際、そのレストランが繁盛したものの損失がでていたため、マージンを改善するための機械学習ツールを構築し、現在、そのソフトウェアを飲食店に販売している、という経緯がある。

Froglabs
太陽光や風力を使ったエネルギー生産、配送の遅れ、人員不足、販売需要、食糧が入手可能かを予測するために、天気予報AIを企業に提供している。何ペタバイトもの気象データを処理して、企業における物流の中断を防ぎ、経費の節約につなげる。同社は、インターネットビーム気象バルーンを使ったProject Loonを立ち上げた古参Google社員によって設立され、現在はeコマース、小売、ライドシェア、レストラン、イベント企画会社と取引している。

PillarPlus
PillarPlusは建設プロジェクトの青写真設計段階を自動化するプラットフォームである。同プラットフォームは、建築家または請負業者から設計を取得し、機械、火、電気、配管の詳細を綿密に計画し、部品コストやプロジェクトコストを推定する。これらのステップには本来なら数ヶ月の作業を必要とする。

Glisten
Glistenはコンピュータービジョンと機械学習テクノロジーを用いて従来のものより優れたより一貫性のあるデータセットをeコマース企業向けに開発している。最初の製品は、希薄な製品データを取り込み充実させるAIベースのツールである。Glistenについて以前書かれた記事はこちら

nextmv
Nextmvにより、顧客は独自の物流アルゴリズムを自動で生成することができ、輸送用車両を最適化し、内部でルートを管理できる。

Visual One
動きを検出するセキュリティカメラは、必ずしも有害とは言えない動きを誤検知することがある。Visual Oneは、検出した特定の動きだけを「読み取る」、ホームセキュリティと一体になったAIプラットフォームを構築した。ユーザーはアラートをカスタマイズし、気になる動きに関する通知のみを受けるようすることができる。同社のソフトウェアで、家具にダメージを与えるペット、荷物を持ち去ろうとしている泥棒、幼児の危険な行動などをチェックできる。Visual Oneについて以前書かれた記事はこちら

PostEra
ここでのアイデアは「サービスとしての医療化学サービス」である。PostEraのプラットフォームを用いると、従来の研究開発室で行うよりも高速かつ低コストで分子を設計および合成できるため、創薬プロセスで新しい組み合わせをテストするために必要な研究時間を短縮できる。

ハードウェアおよびロボット工学

Cyberdontics
ロボット工学は、da VinciのメーカーであるIntuitiveなどの企業のおかげで、すでに手術に革命をもたらしている。Cyberdonticsは同様のことを口腔手術で行うことを意図し、まずは費用や時間がかさむ治療の1つであるクラウンをターゲットにしている。同社は、ロボットを使用すると、通常2時間の治療を15分で行うことができ、費用はたった140ドル(約1万5000円)で済むとしている。

Avion
Avionはアフリカの奥地の人々に焦点を当て、ドローンを用いた配送システムを構築している。中央ハブに接続された中長距離を飛ぶ医療用ドローンを使用する計画だ。当該ドローンはハイブリッドの自律型で、垂直離陸機能を備えており、5 kgの荷物を150kmまで運ぶことができる。

SOMATIC
トイレ清掃業は「つまらなく」「汚い」仕事とされ、自動化が待たれる主要な業種である。Somaticは、VRを介してトイレを掃除するように訓練された大型ロボットを製作している。ロボットはトイレ表面にスプレーを掛けて拭き、またドアを開けたりエレベーターで昇降する能力がある。SOMATICについて以前書かれた記事はこちら

RoboTire
車のサービスショップの待合室に座ったことのある人なら誰でも、そのプロセスにどれほど時間がかかるかを知っている。RoboTireは、タイヤ4本にかかる待ち時間を60分から10分に短縮することを約束している。同社は米国の複数箇所でこのテクノロジーのパイロット版を開始している。RoboTireについて以前書かれた記事はこちら

Morphle
古くなったアナログ顕微鏡に代わるシステムとして設計されたMorphleのシステムは、画像処理を向上させるためロボットオートメーションを用いている。同スタートアップ企業のシステムは高価なシステム以上に高解像度の画像を処理し、失敗率もはるかに低い。Morphleはインドの研究所に当該システムの販売を始めている。

Daedalus
DaedalusはOpenAIの元エンジニアによって創設され、CNCを手始めとして、人間によるプログラミング無しで工業用ロボットを運用できる自律ソフトウェアを製作している。同社は金属加工市場における生産性を最大5倍改善できると予測している。

Exosonic
Exosonicは大音量の衝撃音波を出さない、地上を飛行可能な超音速民間航空機を製造している。同社の目標は3時間でサンフランシスコとニューヨーク市を飛ぶ飛行機を作ることである。同社のCEOはロッキード・マーティン社でNASAの低爆音のX-59航空機製造に携わった経験を持つ。Exosonicは現在主要な航空会社と国防総省の2つのグループからの趣意書に加えて、米空軍との間に30万ドル(約3300万円)の契約を結んでいる。

Nimbus
Nimbusは、連続的に起業を行ってきたシリアル起業家によってミシガン州アナーバー市に設立された。同社は都市トランスポーテーション向けの次世代車両プラットフォームを製作している。創設者であるLihang Nong氏は、かつて燃料注入システムを開発するPicoSprayを立ち上げた人物である。現在「より快適な乗り心地を確保しながら、スペースとエネルギーの点で今現在の自動車よりも数倍の効率性を持つ自動車を実現できるか」という疑問に答えようとしている。

UrbanKisaan
UrbanKisaan はインドに拠点を置く垂直式農業事業を行う企業であり、家庭に予約購入による生鮮食品を提供している。同社の積み重ねられた水耕テーブル式農場は、従来の農場のわずか1%の土地しか必要としないため、都市近郊で運営でき、しかも農薬を必要としない。健康的な食品を求める中産階級が増えつつある市場において、UrbanKisaanは農場から直接家庭に届けるシステムによって、品質と利益をコントロール可能である。

Talyn Air
SpaceXの元エンジニア2名が、乗客および貨物用の長距離飛行で垂直離着陸機能を持つ電動式航空機(eVTOL)を開発した。同スタートアップ企業は、離陸と着陸の際に特製の翼付きドローンで中空に留まることの可能な電動式固定翼航空機を開発した。創設者によると、このアプローチにより当該航空機は競合他社航空機の3倍である350マイル(560km)を飛行することができる。

開発者向けツール

BuildBuddy
2人の元Google社員が、GoogleのBazelソフトウェア上にオープンソースのUIと機能セットを構築することで、「Googleスタイル」の開発環境を全ての人に届けたいと考えて創業。同社は、このソリューションによって構築時間が最大10倍スピードアップすると述べている。個人の開発者は無料で使用できるほか、チームの規模や必要な機能に応じて1人あたり4ドル(約440円)から49ドル(5400円)までの使用料が適用される。

Dataline
広告ブロックツールを使用しているユーザーからの分析データを、ウェブサイトに収集させることを意図している。同社は、広告ブロッカーを使用しているほとんどのユーザーが注意を払っているのはディスプレイ広告やクロスサイトトラッキングであり、ファーストパーティによる分析は「付随的な被害」として打撃を受けると述べている。Datalineは、サブドメインで実行される「スマートプロキシ」として機能することにより、ほとんどの広告ブロックシステムを回避する(現時点では、おそらく)。

Cortex
最新のオンラインソフトウェアアプリケーションの多くは、無数の独立した目的別のツール、つまり「マイクロサービス」により駆動されている。Cortexはアプリのマイクロサービスを監視し、1つが故障した場合に適切な人物(Datadog / Slack / PagerDutyなどに接続する)に自動的に通知する。

apitracker
ウェブサイトが正常に読み込まれているように見えても、それを機能させるために使用されているAPIに問題があり、はっきりとはわからない形で問題が発生している場合がある。Apitrackerは…APIを追跡する。Apitrackerは使用されているAPIを監視し、そのうちの1つに不具合が発生した時点で警告を発し、それらの全体的な性能についてのインサイトを提供する。

Freshpaint
Freshpaintの「自動追跡」システムは、サイト全体のすべてのページビューとクリック数などを収集し、開発チームが各イベントの手動トラッカーを作成することなく、Google AnalyticsやFacebook Pixelなどのツールに遡及的に割り込ませることができる。ベースプランは月毎のユーザーが3000人未満のサイトでは無料、最大50000人のサイトは300ドル(約33000円)、それ以上のサイトは個別の価格が適用される。

Datree
企業はDatreeを用いてコードベースのルールとセキュリティポシリーを設定し、それらのルールを確実に守った上で、コードをマージすることができる。開発者一人に付き28ドル(約3000円)(個人/オープンソースプロジェクトは無料)の使用料が課されており、現在までに最大で23000ドル(約250万円)の収益を上げた。Datreeについて以前書かれた記事はこちら

fly.io
ユーザーに物理的により近いサーバーにアプリを展開し、レンテンシーを低減し、ユーザーエクスペリエンスを改善する。アプリの人気が特定の都市で高まった場合、Flyがそれを検出し、それに応じてリソースをスケーリングする。

Sweeps
Sweepsは一行のコードを用いて、ウェブサイトが使用しているサードパーティーのツールをより効率よく読み込むことにより、ウェブサイトを40%高速化できると述べている。同社チームは、Sweepsのテクノロジーによりスピードが改善されるだけでなく、SEOも改善されるとしている。

Orbiter
OrbiterはSlackと組み合わされたリアルタイムの自動監視およびアラートシステムで、より優れた顧客サービスと収益管理を保証する。

Release
製品のリリースは一筋縄ではいかない。Release はステージング管理ツールキットを提供している。このツールキットはプルリクエストがあるたびにステージング環境を構築し、より速く/より協調的な開発サイクルを可能にする。

Signadot
Signadotは近年のスタートアップ企業が自らのアプリケーションやサービスを駆動するのに使用しているマイクロサービスを監視し管理するソフトウェアであり、エンドユーザーに明らかになる前に問題にフラグをたてることが期待されている。

Raycast
Raycastは開発者および開発者が使用する多くのツール向けユニバーサルコマンドバーである。ユーザーはJira、GitHub、Slackなどのアプリを統合し、フォームやタスクを完了するために「超人的」なアプローチをとることが可能だ。チームは、エンジニアがエンジニアリングと無関係の作業を迅速にこなすのを支援する方法として当該ツールを提案している。

Cotter
Cotterは電話番号ベースのログインプラットフォームを構築している。同社の創設者によると、このプラットフォームは、SMSベースのOTPの利便性を備えたワークフローでユーザーのデバイスを認証するもので、セキュリティの問題も無い。同スタートアップ企業は、電子メールの利用が少なく、ログイン方法として電子メールの利便性が低い開発途上国の顧客をターゲットとして考えている。

ditto
Dittoの創設者は、製品やワークフローを説明するのに使用するコピーをチームがより入念に計画できるよう、言葉向けのFigmaを作りたいと考えている。スタンフォード大学のルームメイトであるJolena Ma氏とJessica Ouyang氏により制作されたコラボレーションツールは現在の80社を超すユーザーに使用されている。

Scout
GitHubワークフロー内における機械学習実験向けの継続的統合および展開ツールキット。

ToDesktop
ToDesktopはデスクトップアプリケーションの公開ニーズを自動化するサービスを設計してきた。当該サービスはWindows、Mac、Linuxで使用でき、ネイティブインストーラー、自動更新、コードサイニング、クラッシュレポートを提供する。開発者向けのインフラストラクチャや構成は必要としない。

DeepSource
DeepSourceは開発者がPythonやGoにおけるバグリスク、アンチパターン、パフォーマンス問題、セキュリティの欠陥をチェックするためのコードレビューツールである。

Flowbot
FlowbotはPythonでのコーディングのための自然言語、オートコンプリート検索ツールである。これは、Python開発者が、自分が考えている正確な機能を思い出せないときに、平易な英語で入力できるようにするツールである。Flowbotはドキュメントを掘り下げ、コンテキストを検討して、開発者が探していると思われるコードを見つける。

PostHog
PostHogは開発者にユーザーが実際にどのように彼らの製品を使用しているかを理解できるようにするソフトウェアサービスである。これは、オープンソースプログラマー向けの製品分析ツールキットである。

非接触型配送の需要の高まりに応えて、Starship Technologiesが自律ロボットをより多くの都市で運用開始

自律配送スタートアップのStarshipTechnologies(スターシップ・テクノロジーズ)は、昨年8月に公表された4000万ドル(約43億4000万円)の資金調達ラウンドに続く拡張計画の一環として、アリゾナ州テンペでロボット食品配送サービスを開始した。

Skypeの共同創業者であるAhti Heinla(アフティ・ハインラ)氏とJanus Friis(ヤヌス・フリス)氏によって2014年に創業されたStarship Technologiesは、2021年の夏の終わりまでに100の大学に拡大する計画を含め、この1年で商業サービスを強化してきた。

現在、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、既存のレストランが閉店を余儀なくさせられ、ギグエコノミーワーカーたちにさらなる重圧がかかっている中で、Starship Technologiesはその成長を加速する機会を得た。

COVID-19パンデミックの中で追加された新しい地域は、テンペだけではない。Starshipは、3月下旬にはワシントンDCで食料品の配達サービスを追加し、カリフォルニア州アーバインにも拡大した。また、2018年から営業を行っている英国では、ミルトンケインズへサービスエリアを拡大した。同社は、今後数週間でさらに都市を追加する予定だと述べている。

「非接触型配送の需要はここ数週間で急激に拡大しています」と声明で語るのは、Starship Technologiesで事業開発を率いるRyan Tuohy(ライアン・トゥーイ)氏だ。「より多くの人たちが自宅でより多くの時間を過ごしながら、地元のビジネスをサポートする方法を探していますから、私たちはテンペのコミュニティに役立てることを楽しみにしています。私たちのロボットは5か国で自律配送を行っています。私たちのロボットが、すべての人の暮らしを少しでも楽にできることに感謝しています」。

20ポンド(約9キログラム)まで運ぶことができる同社の自律型ロボットは、人びとが直接訪問することなく食料品や食品を入手する方法を模索している中で、新しい顧客基盤を見つけることができた。ユーザーは、Starship Deliveriesアプリの中で、配送先をドロップしたピンで指定して注文を行う。ロボットの現在位置は、インタラクティブマップを使ってチェックできる。ロボットが到着すると、ユーザーは通知を受け取り、ロボットに対面してアプリを使いロックを解除できる。通りを横断し、縁石を登り、夜間に移動し、雨でも雪でも運用できるこのロボットは、Starshipによって遠隔モニターされている。必要に応じて人間のオペレーターがロボットを制御できる。

テンペでのデリバリーサービスは、最初の段階では30台以上の自律オンデマンドロボットを使用し、毎日午前10時30分から午後8時30分まで、いくつかのレストランや住宅地を含む限定地域で運用される。このサービスエリアは、アリゾナ州立大学から約2マイル(約3.2キロメートル)のところにある。地元の住民はアプリを使用して、Fate Brewing Company、Tempe City Tacos、Venezia’s Pizza of “Breaking Bad”といった3つの有名店から注文することができる。

Starship Technologiesによれば、すぐにテンペ内でのサービスエリアを拡大し、より多くのレストランや食料品店を追加するとのことだ。

また、COVID-19によって大学は閉鎖されているものの、Starshipは、留学生や大学院生が居住する米国内の複数の大学キャンパスでの配送サービスは継続していると述べている。

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画像クレジット: Starship
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(翻訳:sako)

Googleの研究でロボット犬の小走りが簡単に

ロボットが優れていればいるほど、その設計の際に参考にされたオリジナルの動物の方が、はるかに優れていることが多い。その理由の一部は、犬のように歩く方法を犬から直接学ぶことが難しいためだ。だがGoogleのAIラボによるこの研究が、その学習をかなり簡単にしてくれるだろう。

カリフォルニア大学バークレー校との共同研究であるこの研究の目的は、対象(模範的な犬)から、軽い小走りや方向転換のような「敏捷な行動」を、効率的かつ自動的に四足歩行ロボットに取り入れる方法を見つけることだった。この種の研究はこれまでも行われてきたが、研究者のブログ投稿が指摘しているように、確立されたトレーニングプロセスを実施するためには「しばしば多くの専門家の洞察を必要とし、多くの場合、望ましいスキルごとに時間のかかる報酬調整プロセスを伴う」ことがあった。

もちろんこのやり方はうまくスケールアップすることはできず、動物の動きがロボットによって十分に近似されることを確実にするためには、手動調整が欠かせなかった。どんなに犬っぽいロボットであっても、実際には犬ではない。そして実際の犬の動き方はロボットが動くべきやり方とは異なっている可能性があり、そのことでロボットが倒れたり、ロックしたり、その他の失敗が引き起こされる。

Google AIプロジェクトは、通常の手順に制御されたランダム性を追加することで、これに対処している。通常は犬の動きがキャプチャされて、足や関節などの重要なポイントが注意深く追跡されている。そうしたポイントは、デジタルシミュレーションの中で、ロボットの動作として近似される。ロボットの仮想バージョンは、犬の動きを自分自身で模倣しその過程で学習を行う。

そこまではまあ上手くいく。だが真の問題は、そのシミュレーションの結果を使用して実際のロボットを制御しようとするときに発生する。現実の世界は、理想化された摩擦法則などがを持つ2D平面ではないからだ。残念ながらそれが意味することは、修正されていないシミュレーションベースの歩行では、ロボットが地面に転倒してしまう傾向が出るということなのだ。

これを防ぐために、研究者たちは仮想ロボットの重量を増やしたり、モーターを弱くしたり、地面との摩擦を大きくしたりして、シミュレーションで使用する物理パラメータにランダム性の要素を加えた。これにより、どのように歩くかを記述する機械学習モデルは、あらゆる種類の小さなばらつきや、それらがもたらす複雑さを考慮しなければならなくなり、それらを打ち消す方法も考えなければならなくなった。

そうしたランダム性に対応するための学習を行ったことで、学習された歩行方法は現実世界でははるかに堅牢なものとなり、目標とする犬の歩き方をまあまあのレベルで真似ることができ、さらには方向転換や回転のようなより複雑な動きも、人の手による介入なしに、少しばかりの追加の仮想トレーニングで行うことができるようになった。

当然のことながら、必要に応じて手動で微調整を動きに追加することもできるが、現状ではこれまで完全に自動で行うことができたものよりも、大幅に結果は改善されている。

同じ投稿に記載されている別の研究プロジェクトでは、他の研究者グループが、ロボットに指定された領域の外を避け、転倒したときには自分で起き上がるようにさせながら、自律的に歩くことを教えたやり方を説明している。これらの基本的なスキルが組み込まれたロボットは、人間の介入なしに連続してトレーニングエリアを歩き回り、その結果かなり満足できる歩行スキルを習得できた。

動物から敏捷な行動を学習することに関する論文はこちらで読める。また、ロボットが自律的な歩行を学習することに関する論文(バークレー大学とジョージア工科大学との共同研究)は、こちらで読むことができる。

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(翻訳:sako)

飲食店の未来が東小金井に出現、コネクテッドロボティクスの蕎麦茹でロボが実戦配備へ

コネクテッドロボティクスは3月16日、JR東日本の中央線・東小金井駅の改札内にある駅そば店「そばいち」に、同社が開発した蕎麦茹でロボットを期間限定で配備した。

4月15日までの約1カ月間、独自チューニングされたアームロボが茹でた蕎麦を食べられる。営業時間は朝7時から22時まで。

今回の取り組みは、同社がJR東日本スタートアップが実施した「JR東日本スタートアッププログラム2019」に採択されたことで実現したもの。JR東日本スタートアップと同じJR東日本のグループ会社で、JR東日本の駅構内の飲食店などの運営を手掛ける日本レストランエンタプライズを加えた3社での実証実験となる。

蕎麦を茹でる工程。3食の蕎麦を同時に茹でられ、交互に計6食の蕎麦を茹でることが可能だ

茹でた蕎麦のぬめり取りと水切りの工程

日本レストランエンタプライズが運営するそばいちは、注文が入ったら店舗で生蕎麦を茹でて提供するスタイル。

コネクテッドロボティクスが開発した蕎麦茹でロボットは、茹でる、湯切りする、ぬめりを取る、冷水で締める、水切るするという蕎麦の調理工程を流れ作業で処理。一度に6食ぶんの蕎麦を茹でることが可能で、1時間あたり40食程度の処理が可能という。なお、茹で上がった蕎麦につゆを入れて薬味や天ぷらをトッピングする作業については人力となる。ちなみに店舗内にはフライヤーも設置されており、こちらもその場で揚げるシステムだ。

蕎麦は基本的には券売機で食券で購入する。現金のほかもちろんSuicaなどの交通系ICカードでのキャッシュレス決済も可能だ

コネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOによると「東小金井駅は弊社から近いこともあり、実証実験の場として選ばれた」とのこと。「生蕎麦を茹でるというそばいちの調理方法が弊社開発のロボットとマッチしました。これまでそれほど気にしてなかったのですが、食べ比べてみると茹でおきした蕎麦とはまったく違いました」とまずは味の感想を語ってくれた。現在、蕎麦店だけでなくラーメン店などからも問い合わせが来ているそうで、「ラーメン、特にとんこつラーメンの場合は麺の硬さを選べますが、それこそがロボットが得意とする部分です」と沢登氏。

蕎麦の茹で時間は飲食スペースに設置されたディスプレイで確認できる。茹で上がったあとにつゆやトッピングを投入をスタッフが担当する

駅そば店は朝早くから夜遅くまで稼働時間が長いことからメンテンスの頻度について質問したところ「メーカーによりますが汎用アームロボットは4〜5年の連続稼働を想定して開発されており、実際には10年ぐらいは大きな故障もなく使えることが多い」とのこと。なお、今回の蕎麦茹でロボットの導入コストは明らかにされていないが、以前の取材で沢登氏は「RaaS(ロボットをサービスとして提供)として提供する場合、1年間のコストはアルバイトの1人分の人件費程度」と語っていたことを踏まえると、安定した蕎麦茹でスキルを備えたロボットが最低でも5年程度、通常運用であれば10年稼働することによって、人手不足の解消に貢献することは間違いないだろう。

そばいちでは、生蕎麦から茹でるため調理に時間がかかる。取材時は稼働していなかったが、店内のディスプレイで購入した蕎麦の出来上がりが確認できる。こちらは蕎麦茹でロボットと直接連動しているわけではない

同社の佐藤泰樹COOもラーメン店でのロボット展開に期待を寄せる。「チェーン展開しているラーメン店の多くはとんこつラーメン店で、専用の麺茹でロボットとなると麺の茹でより時間が重要になってくる」としたうえで「問題はバリカタです」とのこと。店舗によって茹で時間は異なるが、一般的に「粉落とし」「ハリガネ」「バリカタ」などは茹で時間が数秒から十数秒と短いため、麺茹でロボットにとっては克服すべき課題の1つとのこと。またとんこつラーメン店では替え玉の需要が高いが「替え玉の場合は、麺茹でのあと麺を畳むように丼に入れ、ラーメンのタレをかけるまでの工程を自動化したいという要望もあり、超えるベきハードルは多い」とのこと。

今回の蕎麦茹でロボットの実戦配備については「蕎麦茹で以外の店舗作業のロボット化についても要望が多いのですが、展示会などでのデモンストレーションだけでなく、実際の飲食店で本格稼働するロボットをいち早く世に出したかった」と語る。

ちなみに同社開発のロボットはすでに飲食店2店舗に実戦配備されている。2018年7月に長崎県のハウステンボスにある飲食店、2019年10月に千葉にあるイトーヨーカドー幕張店に、たこ焼きロボットのOctSheff,ソフトクリームロボットのレイタがともに稼働中で、期間限定ながら蕎麦茹でロボットが導入されるのは今回が初だ。そのほか、大手企業のたこ焼き工場に配備されている機体もある。

JR東日本スタートアップの柴田 裕社長は今回の実証実験について「駅構内といっても郊外の飲食店は人手不足が深刻です。今回の実証実験で運用上の問題点などをチェックして本格稼働につなげていきたい」と語る。「一昨年にはサインポストと無人コンビニエンスストア、昨年はShowcase Gigとセルフオーダーなどの取り組みを続けてきました。JR東日本沿線では郊外や観光地の駅構内・隣接の飲食店は、対策を打たないと近い将来に人手不足で閉店になってしまうところもあります。この問題をロボットが補うことで多くの店舗の閉店を回避したい」と今回の実証実験について期待を寄せていた。

今後の蕎麦茹でロボットの配備計画は未定としたうえで「そばいちは現在8店舗あり、ほとんどの店舗が東小金井店と同じキッチンレイアウト」とのこと。ロボットのサポート・メンテナンス体制などの課題もあるが、本格導入が決まればまずは系列店舗に配備されるかもしれない。ちなみに今回、東小金井駅のそばいちに配備されたアームロボットは壁に取り付けられおり、事前に壁の補強工事などを実施したとのことだが、既存のキッチンスペースを拡張することなく配備が完了したとのこと。

米配送大手DHLは配送業務にLocus Roboticsの運搬ロボ1000台を導入予定

ロボティクスは物流企業が業務の時間を短縮できることから、配送や倉庫で大きな成果を上げている。その最も顕著な例はおそらくAmazonで、米国各地の同社の配送センターには現在20万台以上のロボットが配備されている。

Amazonが当日配送、翌日配送に移行したため、競合他社やパートナーは対抗策を求め、その多くは他社のロボティクスを取り入れている。米配送大手のDHLもロボティクス企業に期待を寄せてきた。同社の北米部門は、350カ所の施設でロボティクスと自動化に3億ドル(約320億円)を投資する計画を2018年11月に発表していた。

2017年以来のパートナーであるマサチューセッツのLocus Robotic(ローカス・ロボティック)は、その恩恵を受けている。DHLは今週、合計1000台のLocusBotsをLocus Roboticから調達し、配備することを決めた。投資額の大きさやDHL全体の規模からすればごくわずかのようにも思えるが、ロボットを配備する施設は来年には2カ所から12カ所へと拡大する。当然、DHLはこれまでの試験導入はうまくいったと語っている。

DHLの小売輸送事業プレジデントを務めるJim Gehr(ジム・ゲーア)氏は発表の中で「DHLサプライチェーンがライフサイエンスとリテールの部門で初めてLocusのソリューションを実装し、大きな成功を収めた。一部の顧客の業務において、生産性は最大で80%向上した。そこで、Locusの極めて柔軟なAMR(自律型協働ロボット)ソリューションの活用を複数の分野の顧客に拡大することにした。我々はこれからもLocusと協力して、生産性の向上、業務量増加への対応、米国全土の顧客のサプライチェーンについて継続的な改善を図っていきたいと考えている」と述べた。

Locus Roboticsは、2018年にDHLが投資を発表した時点で提携する計画を立てていた25社のロボティクス企業のひとつだ。Locus Roboticsは、2019年4月にシリーズCで2600万ドル(約27億円)を調達した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

VRで事前学習してから作業する公共トイレ用掃除ロボ

オートメーションにおける3つの「D」について聞いたことがあるだろう。Somatic(ソマティック)のロボットは、そのうちの2つを容易にクリアしている。「Dangerous」(危険)については少々無理があるかもしれないが、このロボットは一般に「Dirty」(汚い)とか「dull」(苦痛)と考えられている仕事を取って代わることに特化している。

なぜかニューヨークに拠点を置くこのスタートアップは、UCバークレー大学で開催されたTechCrunchの「Robotic + AI」カンファレンスのステージ上で、実質的にステルス状態からカミングアウトした。最初のプロダクトは、大型公共トイレ用の掃除ロボットだ。ちなみに同社は、チームは少人数で地理的に離散しており、恒久的な居場所を探している。

CEOのMichael Levy(マイケル・レヴィ)氏は、この装置を「小型冷蔵庫の前面にロボットアームをつけたもの」となぞらえる。CTOのEugene Zesoba(ユージン・ゼソバ)氏とふたりで会社を共同設立したレヴィ氏は、祖父のレストランで長年叩き上げた経験に基づき、トイレ清掃ロボットを開発することを思いついた。

「若い頃は実にいろいろな仕事をした。レジ係になりたければトイレ掃除から始めなくてはいけない、と祖父に言われた」とレヴィ氏は言う。「トイレが適用分野として最適なのは、あらゆるものが床に固定されていること。モノの動きはすべて予測できる。1994年以降に作られたトイレはすべてADA(米国障害者法)に準拠している。ロボティクスにとってありがたいことに設計は規格化されている」。

ほとんどの公共トイレの設計が固定化されていることは、ロボットが一度学習するだけでよいことを意味している。現在開発チームは遠隔で作業を行い、トイレのVRシミュレーションを使って、どこに薬剤をスプレーしてモップをかけるか、吸引し、乾燥させればよいかをロボットに教えている。チームはこの作業を、愛情を込めて「史上最悪のビデオゲーム」と呼んでいる。すべて準備が整ったら、ロボットはライダーなどのさまざまなセンサーを用いてトイレの中を動きまわる。

ロボットはトイレの清掃を終えると充電し、必要に応じて薬品を補給する。1日に約8時間の清掃が可能で、ドアを開けたりエレベーターに乗ってビルの中を移動することもできる」とレヴィ氏は言う。

主要なターゲットは空港、カジノ、オフィスビル、その他大型のトイレのある場所だ。ロボットは月額約1000ドルでリースされ、事前のトライアル期間もある。Somaticにはすでにいくつか顧客がついており、FAANG(Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Netflix(ネットフリックス)、Google(グーグル))の中にもすでにロボットが清掃している会社がある。

初期モデルの開発では、5万ドル(約536万円)のブートストラップ型ファンドの支援を受け、そこにSomaticが30万ドル(約3200万円)を追加し、うち15万ドル(約1600万円)はアクセラレーターのSOSVから調達した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボストン・ダイナミクスがOTTO Motorsと提携して倉庫自動化ビジネスに参入


技術系ロボティクスの最大手Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、倉庫の無人化とロジスティクス技術を開発する OTTO Motors(オットー・モーターズ)と新たな共同事業を行うことを発表した。

この1年間、 Boston Dynamicsは自社のロボットであるHandleや、コンピュータービジョンシステムのPickを通じて、不気味な動物ロボット制作から、より実用的な倉庫オートメーション技術の開発へとシフトしてきた。

米国時間3月3日、同社はOTTO Motorsと提携してロジスティクス分野を自動化する概念実証をビデオで紹介した。

これは、画期的なロボティクスのイノベーションを生み出すだけでなく、収益を生むことに焦点を当てる、という全社的取り組みの一環であり、1月に新たなCEOを指名したことに続くものだ。

関連記事:Boston Dynamics appoints its first-ever new CEO

「実質的にほとんどの社員は私が雇った。積極的に会社を成長させることが今の大きな課題だ」とBoston Dynamicsの新CEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は当時TechCrunchに語った。「経営チームに新しい人材を入れることが2019年の主要な目標だった。同時に、設定した目標を達成するために技術チームに貪欲な競争心を与えることにも力を入れた。そのためには、最先端のロボティクス技術を磨くだけでなく、ロボットを製品化し販売、サポートができるような組織に変える必要がある」

ロボットを製品にして販売することは、OTTOとの提携の中核をなすものだと製品技術担当副社長のKevin Blankespoor(ケビン・ブランケスプール)氏はいう。

「異種ロボットの集団で配送センターを構成することで、倉庫オートメーションのより柔軟なソリューションを提供する、という概念実証のデモをつくった」とブランケスプール氏が声明で語った。「我々の顧客が期待する能力に応えるために、倉庫アプリケーション向けにHandleの機能を拡張し、OTTO 1500など他のロボットとの相互作用を最適化した」

OTTO Motorsのような倉庫の自動化やロジスティクス技術を長年開発してきた会社にとって、Boston Dyanmicsとの提携はきわめて自然な動きだ。

「Boston Dyanamicsのような最先端ロボティクス会社といっしょに仕事ができることを大いに喜んでいる」とOTTO MotorsのCTO・共同ファウンダーであるRyan Gariepy(ライアン・ガリエピー)氏は語った。「それぞれの分野のリーダーとして、我々は持っている技術をまったく新しいアプリケーションの世界に応用することができる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「ロボット」という言葉は人造人間による人類滅亡をテーマにした100年前の戯曲の中で生まれた

最大の山場は、ロボットが反乱を起こし、彼らを製造した工場を占拠する第3幕に訪れる。エピローグの前に人類はほぼ絶滅する。その待遇に業を煮やし、ロボットたちは彼らの創造主を殺めてしまう。たったひとり人間を残して。彼は同僚の労働者だった。

自分たちの繁殖を可能にする人間をひとりも残さなかったため、この判断は、最終的に彼ら自身をも破滅に追いやることにならないか。そうなるだろう。しかし、1対のロボットに人間性を見いだした最後の生き残りの男性は、聖書に語られている最初の男女と彼らを重ねる。それは、幕間にほぼ完了する人類の絶滅を目の前にした希望の兆し。2体のロボットが舞台を去ると、生き残りの男が最後の言葉を口にする。「アダム……、イブ」

その70年後に発表された別の教訓的なSF作品の台詞を借りるなら「Life finds a way」(生命は生きる道を自ら見つける)だ。

これは、寓話に人工の恋人たちを織り込んだある戯曲の最後の教訓だ。その戯曲とは、100年前に出版された(そして99年前の先月に初上演された)、チェコの作家カレル・チャペック作「R.U.R」(ロッサム万能ロボット会社)だ。「ロボット」という言葉をSF界に、そして日常の言葉として広めたことでよく知られる作品だ。初期のSF小説には確固たる政治思想を吹き込んでいた彼の作品は、ノーベル賞に7回ノミネートされているが、中でもこれは重要なひとつになっている。

チャペックが使った「ロボット」という言葉は、古代教会スラブ語の「robota」(ロボタ)が語源になっている。これは、「強制労働」転じて「労働者」と訳すことができる。「この単語は、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語、チェコ語にも同語源語があります」と、歴史学者 Howard Markel(ハワード・マーケル)氏は、2011年に米ナショナル・パブリック・ラジオのインタビューで解説している。「これはまさに、借地人が地代を強制労働や奉仕で支払わされていた中央ヨーロッパの農奴制の産物です」

ロボットと強制労働を結びつける考え方は、そしてそれに伴いロボットが反乱を起こすというイメージは、少なくともロボットという言葉が生まれた時代に遡る。つまり「人間を皆殺しにしろ」は、アニメ「Futurama」(フューチャーラマ)のベンダーが初めて言ったことでも、Boston DynamicsのBig DogのYouTube動画のコメントで初めて書かれたわけではない。そうではなく、その名を与えられ初めて世間一般が知ることとなったロボットが、不当な搾取にあえぐ労働者の手に力を取り戻そうとしたときだ。必要とあらばどんな手段も辞さない覚悟で。

人類のロボティクスの起源は、数世紀前にあると一般に認識されている。ギリシャ神話やユダヤの伝説に登場するゴーレムといった古代文化だ。だが、チャペックこそが現在でも使われてる言葉を私たちに残してくれた人物だ。

もちろん、チャペックのロボットは現代私たちが関わっているロボットよりもずっと人間的だ。むしろそれは「人の形をした」という意味のギリシャ語に起源を持つ古い言葉「アンドロイド」と表現したほうが通じるかも知れない。R.U.R.のロボットは、人工の肉体から作られた生命体だった。最後には、彼らが地球を受け継ぐ。

「芝居が幕を開けると、そこはその当時から数十年先の世界で、工場はすでに、秘密の製法で作られた何万、何百万もの、魂も意欲も感情も持たない人造の労働者、生きるカラクリで満ちている」と公式の「ストーリー解説」には書かれている。「彼らは優れた能力を持つ労働者で、働くこと以外に取り柄がない。未熟と熟練の2つの階級に分かれていて、必要に応じて、労働者には特別な訓練が施される」。

おおよそ西暦2000年が舞台となっているこの戯曲は、「ブレードランナー」や、その話の元にもなった題材よりも数十年も前に、人間性とは何かという問題と格闘していた。彼らが抹殺した創造主である人間の灰の中からではあるが、ピノキオと「オズの魔法使い」のブリキ男との間のどこかで、なんとか人間性らしきものを獲得しようとするロボットを描いている。おそらく、1920年の基準ではハッピーエンドだったのだろう。

ロボティクスについて詳しく知りたい方は、3月3日にカリフォルニア大学バークレー校で開かれるTechCrunchのイベントへチェックしてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

三菱電機が提携するRoboTireのロボットは10分で4本ものタイヤを交換する

ある日、サービスステーションの待合室で苦痛の時間を過ごしていたVictor Darolfi(ビクトール・ダロルフィ)氏はふとひらめいた。「俺はAmerica’s Tiresに3時間もいる。工場でのタイヤ着脱にロボットを使おう」と創業者のダロルフィ氏は説明する。「サービス業界にロボットを導入してはどうだろうか」と。

これがベイエリア拠点のロボティクス企業RoboTire(ロボタイヤ)の始まりだ。同社はSpark RoboticsでCEOを務めていたダロルフィ氏が2018年10月に設立した。そして今、最新のY Combinatorスタートアップ群の一角としてステルスモードで登場する準備が整った。RoboTireは車のタイヤを即座に交換する能力を実現しており、すでに業界の関心を集めている。

「タイヤ4本の取り外し・取り付けを10分でできる」とダロルフィ氏は説明する。「人間がタイヤ4本の交換作業をすると通常60分はかかる」。もっと早く交換できる人はいるかもしれないが、1日8時間その作業をすることはできない。

三菱電機との提携のもと、現在のところ25万ドル(約2800万円)のシステムをデザインしている。サービスセンターやディーラー、その他のアウトレットに貸し付けることを想定し、パイロット事業では、早く試したい人のために、同社はタイヤ1本あたり5〜7ドル(約550〜780円)でサービスを提供する。最終的にプロダクトを本格展開するときには10〜15ドル(約1100〜1700円)になる見込みだ。

RoboTireは、このロボットが1カ月あたり1万ドル(約110万円)ほどを稼ぎ、2年で元が取れると予想している。ブリヂストンのようないくつかの有名企業と協議している一方で、カリフォルニア州・サンカルロス拠点のToole’s Garagemがパイロット事業を行う最初のパートナー企業になっている。

RoboTireは2019年2月に17万ドル(約1885万円)を調達した。その後、YCに加わる前、Type One VenturesとBackend Capitaによる100万ドル(約1億1000万円)のシードラウンドをクローズした。

自動車業界や製造業界に多くの人材がいるものの、就業機会が乏しいダロルフィ氏の地元、デトロイトでシステムの製造と組み立てを計画している。

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(翻訳:Mizoguchi

iRobotが掃除ロボ最新モデル「ルンバ s9+」を発表、米国発売から遅れること9カ月

アイロボットジャパンは2月19日、掃除ロボットの最新モデル「ルンバ s9+」を発表した。発売日は2月28日で税別価格は16万9800円。一部のアイロボット認定販売店アイロボット公式ストアにて販売される。本体パッケージには、Clean Baseや交換用フィルター、交換用コーナーブラシ、交換用紙パックがそれぞれ1個付属する。

関連記事:iRobot最新の掃除ロボとモップロボはデバイス間通信によりシンクロ掃除可能に

s9+はアルファベットのDの形に似た形状となっており、丸みを帯びていないフラットの部分が前面になる。D形になったことで壁際の掃除でのゴミの取り残しが軽減される s9+の正面に向かって左下には、30mmほどの5本のブラシが備わっており、正面下に設けられた吸入口にゴミを集める仕組みだ。

昨年発表されたi7+と同様に、専用ゴミ箱のClean Baseが用意されており、ルンバが集めたゴミをClean Baseが吸い出して溜め込み、Clean Baseの上のフタから簡単に捨てることができる。

また、床拭き掃除ロボットの「ブラーバジェットm6」との協調掃除を可能にする「Imprintリンク」も搭載する。具体的には、ルンバとブラーバがクラウドでつながっており、ルンバで掃除を終えると、ブラーバーが水拭きする。s9+の発売を記念して、ブラーバジェットm6のセット製品を税別21万9800円で3月31日までの期間限定で販売する。なお、別々に購入すると税別23万9680円なので2万円程度割引となる。

家の間取りをマッピングして最適なパターンで掃除できる「Imprintスマートマッピング」機能も搭載する。専用のスマートフォンアプリを利用することで、進入禁止エリアを設定できるほか、外出先からルンバをコントロールすることも可能だ。

前モデルのi7に比べてブラシ幅が30%広くなったほか、内蔵ブラシ(デュアルアクションブラシ)は、汚れやほこりを掻き出すゴム製のブラシとそれらを掻き込むが逆に回転することで、AeroVac搭載のルンバ600シリーズに比べて、吸収力が40倍に高まったという。ブラシ幅を30%広くできたのは、移動するための車輪を後部にブラシの取り付け位置を最前面に移動したことで実現した。

同社は今年設立30周年を迎え、ロボット掃除機の累計販売台数は3000万台を突破。国内での販売実績は明かされなかったが、ルンバe5は15カ月連続数量シェア1位、ルンバ s7+は11カ月連続金額シェア1位、売上は金額比でプラス205増を達成したとのこと。

s9+は米国発売から9カ月遅れての発売となるが、同社CEOのコリン・アングル氏によると「地域によって市場投入の時期を変えている」と語り、日本法人の代表執行役員社長の挽野 元氏によると「米国やドイツで先行販売して、そのフィードバックを反映するために日本投入の時期が遅れた」とのこと。

コネクテッドロボティクス渾身の食洗機ロボを初披露、自動蕎麦ゆでロボは3月中旬に駅そば店に導入決定

コネクテッドロボティクスは2月18日から21日までの4日間、千葉の幕張メッセで開催されている「国際ホテル・レストラン・ショー」に出展し、同社開発のさまざまなロボットを展示している。

たこ焼きロボットの「オクトシェフ」

TechCrunchではもはやおなじみの、たこ焼きロボットの「オクトシェフ」、ソフトクリームロボットの「レイタ」、コンビニエンスストア向けのホットスナック調理ロボットの「Hot Snack Robot」の改良版などの動きを実際に確かめられる。

ソフトクリームロボットの「レイタ」

同社は「調理をロボットで革新する」をミッションに掲げる2014年2月設立のスタートアップ。単純だが過酷な作業をロボットに任せることで、スタッフがクリエイティブな仕事に注力できるように、さまざまなロボットを開発している。ロボット自体は汎用のアームロボットを使うのが特徴で、AIや画像認識などによって飲食店内の各種作業に最適化した動きを実現する。

コンビニエンスストア向けのホットスナック調理ロボットの「Hot Snack Robot」

今回の目玉は、業務用厨房機器の総合メーカーのタニコーと共同開発した「どんぶり食洗ロボット」と、3月中旬にJR東小金井駅の駅そば店に導入される「そばロボット」。どんぶり食洗ロボットは、タニコーの既存の食洗機をベースにコネクテッドロボティクスが独自設計したカスタム品だ。

テクノロジー満載のどんぶり食洗ロボット

どんぶり食洗ロボットは、同社の画像認識技術でどんぶり、小皿、汁椀、コップという4種類の食器を識別し、アームロボットに取り付けられた吸盤で各種食器を食洗機のラックに収納していく。食器はすべて裏返しにして置く必要があるが、重ねてもOK。スタッフは下膳した食器を洗い場まで持って行き、残飯などを取り除いた状態で食洗機レーンに放置するだけで、あとはロボットに作業を任せられる。

ロボットはアームの先端に搭載されている吸盤を使って各種食器を水を張ったシンクに付けていく。このシンク内は水の流れがあり、汚れが落ちやすくなっている。

また、どんぶりはシンク内に設置されている回転ブラシ、汁椀は同様にシンク内に設置されているシャワーで大きな汚れを落とせる。そのあと食器は食洗機のラックに移されていき、ラックがいっぱいになればそのラックをロボットアームが食洗機に押し込むという流れだ。アームには、吸盤のほか、ラックを食洗機へ押し込んだり、食洗機から引き出したりするためのパーツも備わっている。

洗浄を終えた食器は、もう1本のアームロボットによって食洗機からラックごと引き出され、洗浄前と同様に画像を認識しながら各食器を決められた場所に移動する。洗い終わった食器の移動が終了したらアームロボットが食洗機側にラックを戻すと、もう一方のアームロボットが再び動き出すという仕組みだ。ラックの配置場所は2本のアームロボットの操作で循環するようになっているので、洗い場から食器がなくなるまでロボットは働き続ける。

どんぶり食洗ロボットには、同社が開発した高度な画像認識・AI技術が導入されており、食器と特性するためのマーカーなどは不要だ。食器の汚れなども認識し、シンクで予備洗いするなど芸が細かい。このロボットを導入することで、30分で20〜30人分の食器を洗浄できる。同社によると、最大12種類の食器を認識することが可能とのこと。今後チェーン店での実証実験を進めていくそうだ。

東小金井駅への実戦配備間近のそばロボット

そばロボットは、JR中央線・東小金井駅構内の駅そば店「そばいち nonowa東小金井店」への試験導入が決定している。そばいちは、JR東日本のグループ企業である日本レストランエンタプライズが運営する店舗で、店内で生そばを茹でるのが特徴だ。コネクテッドロボティクスで1本のアームロボットで、茹で、ぬめり取り、水締め、水切りの4つ動作を実現。生そばから茹でるため、茹で麺機に投入してから100秒待ってぬめり取り用シンクにつけ込み、その後、水締め用のシンクに移動、最後に軽く水切りをして一連の工程を終える。その後は、スタッフが再度水切り後、そばつゆを入れたり、天ぷらをトッピングすれば完成となる。

このロボットでは1時間に40杯のそばを茹でられる。同社によると、そばロボット自体は1時間に80杯を作る能力があるとのこと。

また一度茹でられている冷凍そばや、事前に茹でたそばを茹で麺機で温めるだけの駅そば店であれば、茹で時間を短縮できるほか、ぬめり取りの工程を飛ばせるので短時間でさらに多くのそばを作れるそうだ。

そのほか、同社のブースでは従来に比べて安価なアームロボットを利用したビールサーバーロボも展示されている。

Googleが開発を中止した自律動作する運搬用電動6輪車ロボ、スピンオフのCartkenから復活へ

短命に終わったGoogle Bookbot(グーグル・ブックボット)を開発したチームが、後継ロボットを復活させようとしている。BookbotはGoogleのインキュベーター制度であるArea 120(エリア120)で開発されていた実験的プロダクトだった。Googleはグループの収益性を改善するため赤字のプロジェクトを多数閉鎖した。このため開発を行っていたエンジニアはスピンオフして独自に宅配ロボットの開発を始めた。

2019年創立のステルススタートアップであるCartken(カートケン)が開発したのは歩道を進む宅配ロボットだ。同社共同創業者にはBookbotを開発したエンジニアに加えて、現在Googleショッピングとして提供されているサービスの運営責任者だったロジスティックス専門家も加わった。

Area 120は有名なGoogle Xプログラムなど、ムーンショットと呼ばれる野心的事業に比べれば地味だったが、小人数のチームが短期間で新しいプロダクトを開発する場所として作られた。2016年からArea 120ではクラウドソースの乗り換えアプリ、教育向けビデオプラットフォーム、スモールビジネス向けバーチャル顧客サポート、絵文字利用ゲームなど10数件のアプリやサービスが生まれている

BookbotはArea120から最初に生まれたプロダクトで、2018年に自立的に作動する電動6輪車の開発を始めた。2018年後半、地元のマウンテンビューではGoogleと協力して配送プログラムの実験を開始することとした。Area120のBookbotは2019年の2月から週1回マウンテンビュー市図書館で書籍の処理を行った。

書籍運搬に加えてBookbotはAmazon(アマゾン)やStarship Technologiesなどの同様の各種配送業務ができた。下の写真がこのGoogle Bookbotだが、高さ82センチで各種のセンセーを備え、自立作動に加えて必要な場合は人間による遠隔操縦も可能だった。積載重量は22キロ、歩道を最大時速7.2キロ程度で進むことができた。

Bookbot image from website

Google Bookbot(写真:Google)

ユーザーが図書館のウェブサイトから本を返却したいと知らせるとBookbotはユーザーの家まで自立走行し、家に到着するとチャットで着いたと知らせることができた。ユーザーがBookbotの荷物棚の蓋を開き、本を入れるとロボットは図書館に戻りそこで図書館の職員が内容をチェックした。

Googleの開発チームのリーダー、Christian Bersch(クリスチャン・バーシュ)氏が、当時、SilconValley.comの語ったところによると、パイロットプログラムは9カ月続くはずだった。「我々はこのロボットが現実の環境でどのように動くのか確かめているところだ。どんな問題があるるかをチェックした」ということだった。

マウンテンビュー市の図書館システムの責任者、Tracy Gray(トレイシー・グレイ)氏がTechCrunch に語ったところによると、Bookbotが歩道に姿を現したとき人々は大喜びしたと言う 。「(Bookbotを)見た人はみんなクールだと思ってカメラを取り出して写し始めた。これという事故もなかったし、技術的な問題もなければいたずらで壊されるというようなこともなかった」という。

最大の問題はユーザーの反応でもなく技術的な課題でもなく、Googleそのものだった。Bookbotの実験は当初の9カ月の予定を大幅に下回った。パイロットプログラムは6月の終わりにあっけなく幕を閉じた。4カ月も経っていなかった。Bookbotロボットがマウンテンビュー市で実際に稼働したのはわずか12日に過ぎなかった。ロボットは100回近く走行し、36人のユーザーにサービスを提供したという。

Bookbotは図書館システムにとってもユーザーにとっても大変役に立っていにも関わらず、グレイ氏はArea 120がなぜBookbotプロジェクトを中止したのか、まったく理由を告げられなかった。今もGoogleこの件についてコメントしようとしない。

しかしBookbotプロジェクトが葬られたたのはGoogleの戦略変更の時期と一致していた。Bookbotが放棄される1月前、Googleはオンライン・マーケットプレイスと宅配サービスのGoogle ExpressをGoogle Shoppingに統合した。つまりリテール分野ではAmazonやWalmart(ウォルマート)のような巨人に対抗できないことを認めたわけだ。リテール分野への熱意が薄れるにつれ、Googleはロボット配送システムに対する興味も失った。

しかしこれがBookbotの最期ではなかった。 Linkedinの記録をチェックすると、Bookbotプロジェクトが棚上げされた翌月の7月にバーシュ氏はJake Stelman(ジェイク・ステルマン)氏をはじめとするArea 120でロボットを開発していたエンジニアとともにGoogleを去ったことがわかる。10月にははCartkenが創立された。チームには、Amazon、Google Expressでリテールビジネスのマネージャーを務めていたRyan Quinlan(ライアン・クィンラン)氏も加わった。

Cartkenの運営は現在でもステルスモードであり、Googleと同様に同社はこの記事へのコメントは避けている。しかし同社は韓国のシリコンバレー視察団に対し「AI利用により自動走行可能な宅配ロボットを開発した」と語っている

Cartkenのサイトには「自動走行宅配ロボットを低価格で提供できる」とあり、初期バージョンは商品の戸口ヘの配送、いわゆる「ラストワンマイル」をターゲットにしたものだ。ステルス企業らしく、一部しか写っていないが、マットブラックのBookbotタイプの車輪移動ロボットには蓋があり前後にライトが装備されているようだ。

今のところGoogle、CartkenともにGoogleがスタートアップを支援しているのか、Area 120由来のテクノロジーが利用されているのかなどについて明らかにしていない。

GoogleはWaymo(ウェイモ)のように自動走行車メーカーをグループ内の企業として独立させている一方、Googleの自動走行プロジェクトの元責任者Chris Urmson(クリス・アー、ムソン)氏らがGoogleを離れて立ち上げたAurora(オーロラ)は今や25億ドル(約2746億円)に評価される企業となっている。ソフトバンクが支援する宅配ロボットのNuroは先週、公道を走行することを許可されて注目を集めているが、これもGoogleのエンジニア2人が創立した会社だ。

ただしGoogleから独立したチームがすべて順調というわけではない。2016年にGoogleを離れて独自の自動走行ロボットによるロジスティクスの改革を目指したAnthony Levandowski(アンソニー・レバンドフスキー)氏は創立したOttoをUberに買収させたものの、企業秘密をめぐる歴史的な法律紛争に巻き込まれ現在も訴訟が続いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クラウドロボティクスプラットフォーム開発のRapyuta Roboticsは“物流ロボのサブスク化”を目指す

Rapyuta開発の倉庫用の“協働型”ピッキングロボット

クラウドロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」を提供するRapyuta Robotics(ラピュタ・ロボティクス、以下Rapyuta)は2月17日、物流倉庫大手の日本GLPのグループ会社で配車支援サービス「配車プラス」提供のモノフル、ならびに産業用ロボットなどの製造を行う安川電機と資本業務提携を締結したことを発表した。リードインベスターはモノフル。また、Rapyuta Roboticsは同日、物流施設の自動化に向けた「RaaS(Robot as a Service)」提供のプラスオートメーションとのパートナーシップ構築についても併せて発表している。

Rapyutaはチューリッヒ工科大学からスピンオフした大学発ベンチャー。2014年7月設立の同社はEU出資の研究プロジェクト「RoboEarth」出身チームにより日本で創業された。

もともとはドローンのプラットフォームを開発していたが、市場が未成熟だったため、ピボット。現在の主軸は物流だ。Rapyutaの代表取締COO、クリシナムルティ・アルドチェルワン氏は、EC市場が急成長、物流の仕組みが複雑化、そして慢性的な人手不足から、「ロボットによるオートメーションのニーズが非常に高まってきている」と話す。「だが、現場のニーズにオートメーションの技術が追いついていないというのが現状」(アルドチェルワン氏)

同氏いわく、既存のソリューションは、「スケーラビリティ」と「柔軟性」が欠けている。そのような課題の解決のためにRapyutaが開発しているのが、rapyuta.ioだ。

rapyuta.ioを使えば、自律移動ロボットや自動フォークリフト、ロボットアームなど、多種多様、かつ複数のロボットを、クラウドから一括管理し、協調制御や、ロボットナビゲーションなどを行うことができる。その他、ロボットソリューションの効果計測シミュレーションや、ソフトウェア・アップデートを含めたリモートメンテナンス機能もある。

rapyuta.ioの最大の利点は、インフラ構築の手間が省けることにより、すぐにロボティクスソリューションの開発を始められること。そして、サービスやデバイスのカタログが用意されていることにより、オープンエコシステムによるソリューション開発が可能で、「ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中出来る」ことも強みだ。その件に関して、アルドチェルワン氏は「今後はエコシステム構築に注力していきたい」と言う。

「ロボットは、様々なハードウェアやソフトウェアの組み合わせでできる塊。1社で全て作ることは難しい。だから、色々な人が参加して、交換できるようなエコシステムは大事。ハードウェアの開発者やソフトウェアの開発者が、自分のハードウェアやアプリを入れる。それをエンドユーザーが使えるようにしていきたい」(アルドチェルワン氏)

Rapyutaでは倉庫用の“協働型”ピッキングロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)の開発も行い、商用化を進めている。同社いわく、既存倉庫に何も手を加えなくても導入できる点が特徴だ。

本日発表されたモノフルとの提携、そしてプラスオートメーションとのパートナーシップ構築の狙いは、大きな初期投資が必要とするため大企業しか利用することが出来なかったロボティクスによるオートメーションを、サブスク化し、提供すること。「将来的にはAMRのみならず、フォークリフト、アーム、AGV(無人搬送車:Automated Guided Vehicle)などの幅広いタイプのロボットを扱うレンタルサービスを提供することを視野に入れています」(Rapyuta)

また、安川電機の提携では、プラットフォームに接続されるロボットの種類を増やし、「複数ロボットの連携ソリューションなどの新たな付加価値を生み出すこと」を目指す。加えて「両社の提携により、柔軟性が高く優れたソリューションを人的資源及び財務的な余力が限られている中小企業も含めた幅広いお客様に利用されることを期待しています」(Rapyuta)

Rapyutaは2015年1月にCYBERDYNE、フジクリエイティブコーポレーション、ブイキューブ、そしてSBIインベストメントを引受先とするシードラウンドで3.51億円、2016年9月にSBIインベストメントと社名非公表の事業会社1社を引受先とするシリーズAラウンドで10億円を調達したことを明かしている。

安価な市販素材でMITがソフトロボットの皮膚となる触覚センサーを開発

MITのCSAILのチームが、ソフトロボット製のロボットアームに触覚を持たせるための「皮膚」を設計し、そのデモを披露した。その経過は今週のIEEE Robotics and Automation Lettersに載っているが、研究者はソフトロボットの本体に、妨害電波を遮断するために使われるシールド素材で作った柔軟性のあるセンサーをかぶせた。シールド素材には圧抵抗効果があるので、折り曲げなどの動きをセンスできる。

通常は剛体であるその素材で切り紙のようなものを作り、それをレーザーでカットして鎖(くさり)状に組み立てると、上図のように伸ばしたり曲げたりできるようになり、ロボットの形状に付着して一緒に動くようになる。電磁シールド材は市販品なので、ソフトロボットという成長分野に低コストで触覚を導入できる。

CSAILのDaniela Rus氏が、この研究を発表するリリースでこう言っている: 「ご自分の体を考えてみましょう。目を閉じても皮膚からのフィードバックで世界を再構成できます。それと同じ能力を、ソフトロボットに持たせたかったのです」。

研究者はニューラルネットワークを作ってこの人工皮膚からの結果を処理し、信号とノイズを分離した。そしてそのデータを、従来的なモーションキャプチャーシステムで補強した。今後CSAILは、人工皮膚のための新しい構成をいろいろ探求し、またニューラルネットワークも改良したいとしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

建設現場用スキャンロボ開発するバルセロナ拠点のScaled Roboticsが2.4億円超を調達

産業用ロボットは高価だが、建設現場の作業ミスはもっと高くつく。ビルの建設では数ミリの誤差が積み重なって寸法が合わなくなり、修正に莫大なコストと時間がかかるという事態が起きることがある。建設作業のモニターがロボティクスの大きなターゲットになっているのはそうした理由からだ。数多くのスタートアップがこの新たなフロンティア市場に参入しようと努力を続けている。.

先ごろTechCrunchがベルリンで開催したスタートアップイベントのTechCrunch Disruptのピッチコンテスト「Startup Battlefield」の優勝者でスペインのバルセロナに本拠を置くScaled Roboticsもその1社だ。米国時間2月3日、同社はシードラウンドで200万ユーロ(約2億4200万円)のベンチャー投資を受けたことを発表した。今回のラウンドは、Norwegian Construct VentureとPropTech Fund Surplusがリードした。同社はこれ以前に100万ユーロ(約1億2100万円)のプレシード資金を調達している。

ロボティクス事業への投資のうち、最近大きな部分を占めるようになったのが建設作業だ。昨年あたりから、Built、Toggle、Dustyなどのスタートアップがベンチャーラウンドで投資を受けている。大手のBoston Dynamicsも小型4脚ロボットのSpotにLIDARセンサーを搭載し、商用ロボットとして多様な作業に対応できることをアピールしているが、建設現場もターゲット分野の1つだ。

Scaled Roboticsのロボットは4輪式だが姿勢が低く安定している。上方に伸びた首部分にはレーザースキャナとカメラが搭載され、SLAMテクノロジーにより自動的に建設現場の3Dマップを作製し、設計図をベースにしたモデルと照合し差異がないかチェックする。誤差はセンチ単位で記録される。ロボットは移動能力が高く、さまざまな場所に自走可能だ。現場作業員はこれまでのように三脚にレーザースキャナーを載せた重いツールを担いで歩き回る必要がなくなる。

共同創業者でCEOのStuart Maggs(スチュアート・マグス)氏は資金調達を発表したプレスリリースで「Scaled Roboticsが開発したこのロボットは建設現場の状態をリアルタイムで詳細に記録できるだけでなく、その現場に関連する情報および進捗状態に関する情報を一元的に保存するデータベースとしても活用できる。世界の13兆ドル(約1424兆円)の建設市場においてこのプロダクトはこれまで不可能だったようなリスク管理、安全性の向上に役立つカギとなるというビジョンを抱いている。Surplus InvestとConstruct Ventureという有力な投資家がロボティクスと人工知能により建設現場を変革するというわれわれのビジョンを共有して今回のラウンドが実現できたことは非常にうれしい」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ハンバーガーのパテを自動でひっくり返すAI調理ロボットFlippyのデザインが新しくなった

世界で最も人気の調理ロボFlippyの開発元であるMiso Robotics(ミソ・ロボティクス)は、バーガーをひっくり返したり、フライドポテトを揚げたりするロボットのデザインを新しくする。

ロボットアームの据付けデザインを一新し、キッチンの床から伸びるのではなく、調理を行う場所の上にあるフードから伸びるようになっている。

デザインが新しくなったFlippy。フライステーションの上部に据え付けられている

同社はマクドナルドやバーガーキングといったファストフードレストランにこのロボットシェフの設置を開始しようとしている。デザインの一新はスペースの節約や効率化アップが目的だ。

今回の動きは、Miso Robotics以外のスタートアップも、ピザからバーガーまで調理のオートメーション化を試みている中でのものとなる。野心的なピザ調理用ロボットメーカーのZume(ズーム)は最近、従業員の多くを解雇しなければならなかった。バーガーの調理をオートメーション化しているレストラン、Creatorは立ち上げから2年経つが、まだサンフランシスコ1カ所でのみの展開に留まっている。

それとは対照的に、Flippyは現在、ドジャースタジアムとアリゾナ・ダイヤモンドバックス・チェイススタジアムで使用されており、さらにMiso Roboticsに投資しているCali Groupが支援するレストランでも導入が進んでいる。

投資に関していえば、ソーシャルメディアでプロモーションビデオが10億回超視聴されているのを原動力にして、Miso RoboticsはSeedInvestでクラウドファンディングキャンペーンを展開している。そこで3000万ドル(約33億円)を調達できるかもしれない。

Miso Roboticsの共同創業者でテクノロジー責任者のRyan Sinnett(ライアン・シネット)氏は、新デザインがファストフードレストランでの導入を後押し、このファストフード業界で問題になっている人手不足の解消に役立つかもしれないと考えている。

「新しいデザインで、業界は食材コストや労働コストを節約し、店舗の効率を高めることができる」とシネット氏は話した。「このロボットの導入が、いかに利益率の改善に貢献するかをアピールしたい」

シネット氏によると、最終的にはロボットをレストランに無料提供し、使用料を徴収する方式を目指す。ロボティクス・アズ・ア・サービスのモデルはすでに物流業界で人気だ。オートメーション化を進めることで倉庫は利益率を改善しているが、これまでのところレストラン業界にロボットはそれほど浸透していない。

Flippyの新デザインは今のところまだプロトタイプで、カリフォルニア州パサデナにあるMiso Robotic本社内のテストキッチンでフライドチキンやオニオンリング、ポテトフライを調理している。シネット氏は、ロボットは今後認証を受け、2020年後半にも提供されるという。

同社はすでにCaliburgerと初の契約を交わしている。Caliburgerはバーガーをひっくり返すロボットを使った事業が今後5年間で1100万ドル(約12億円)規模になると見込んでいる。

「この新デザインはキッチンの80%に導入できる」とシネット氏は話す。「キッチンで料理することは何を意味するのかを考えながらシステム全体をデザインした」

Flippyは何を調理すべきかを確認する視覚の問題、そして異なるメニューのアイテムにどう優先順位をつけて対応するのか、複数のオーダーの対応といったスケジュールの問題も解決する、とシネット氏は話している。

画像クレジット: Miso Robotics

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(翻訳:Mizoguchi

Boston Dynamicsが四脚ロボ「Spot」のSDKを発表

この1年はBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)にとって1992年の創立以来、最も重要な節目の年だった。オーナーがGoogle(グーグル)からソフトバンクに変わり、商用化をアグレッシブに追求する姿勢となった。小型の四脚ロボットであるSpotを市販すると同時に大型の2輪ロボットのHandleの発売も準備している。すでに報じたように新しいCEOも就任したところだ。CEOの交代は創立以来これが最初だ。

新しいマーケティングの一環にはBoston DynamicsがGitHubにアップロードしたSpotのSDKが含まれる。SDKは1月24日からダウンロード可能になる。これはSpotの普及に向けて非常に大きな一歩だ。同社では以前から好評していたとおり、近々Spotプラットフォームを利用して商用プロダクトを発売するという。

同社のバイスプレジデントであるMichael Perry(マイケル・ペリー)氏はTechCrunchに以下のようなコメントを寄せた。

このSDKはロボティクス専門家でない人々でもSpotのソフトウェアを容易に開発できるようにする。これによりユーザーのニーズに適合したカスタムアプリケーションが多数開発される、Spotが有益なミッションを果たすことを助けると期待している。デベロッパーは我々のEarly
Adopter Programに参加し、ロボットのリースを受ける必要がある。ただしSDKの閲覧は自由だ。既存のアーリーアダプターも開発したソフトウェアをオープンソース化できる。Early
Adopter Programに参加したデベロッパーはSDKを利用してロボットの動作をカスタマイズできる。またセンサーから取得したデータの分析ツールも提供される。新たなペイロードを実装することによりSpotプラットフォームの有用性は一段と高まる。

我々のクライアントの1社であるHoloBuildeでは、SDKを用いてSpotを同社の既存のアプリに組み込むことに成功した。これにより、建設現場の技術者はスマートフォンからSpotに移動の道筋を指示する。Spotは指示に従って歩き、周囲を360°撮影する。他の応用例では、カスタマーはVRテクノロジーを利用しSpotを操縦する。

Boston DynamicsではこれまでにもTechCrunchの例年のRobotics+AIカンファレンスで多数の応用事例をデモしてきた。応用例には上でも触れられている建設現場での工事のモニタリングがある。障害物を乗り越え階段を登り降りし、自らドアを開けるなど他のツールにはないSpotのユニークな能力はこうした場面で極めて役に立つことが実証されている。別のビデオで州警察がSpotを訓練に利用している。


Boston Dynamicsの創業者で元CEOのMarc Raibert(マーク・レイバート)氏は私の取材に対して以下のように語った。

「ロボットが職を奪うとか軍事利用されるとか叫びたがる人々がいるが、我々はそういう説には断固反対する。我々はロボットの兵器化などには興味ないし、捜査機関からは不審物を検査するためにロボットが非常に役立っているという報告を得ている。これは警察官の生命に関わる問題であり、我々が強い関心を抱いている分野だ。.いずれにせよ(さまざな利用法がありえるのは)すべての新テクノロジーに共通することだ。我々は(人類の福祉を増進する)良き目的に役立つよう開発を続けtいる」。

Boston DynamicsがSpotのソフトウェアのSDKを発表したことでそうした良き目的を実現するのが大きく効率化された。


アーリーアダプターの一人が人気番組「怪しい伝説」のホストを長年務めたAdam Savage(アダム・サヴェッジ)氏だ。昨年のクリスマスにはSpotを屋外でテストし、子供のようにはしゃいでいる動画を公開した。

サヴェッジ氏はSpotを収めたケースに腰掛けて登場する。以前からSpotをテストしてきたというが、このビデオではケースを開いてSpotを起動し、屋外のテストに連れ出している。石の山や階段などを作った大掛かりな実験で、見ているほうではロボットを壊してしまわないかとハラハラした。Spotのサイズは大きめの犬程度だが価格は自動車1台ぶんくらいするのだ。サヴェッジ氏は今後もSpotについての計画を持っているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook