仕事用アプリをコマンドやショートカットで使いやすくするSlapdashが約4億円を調達

コロナ禍がテクノロジーに与えた最も顕著な影響の1つは、リモートワークが急激に広がって生産性ソフトウェアが爆発的に使われるようになったことだ。しかしいくつもの新しいソフトウェアの使い方を学び、どのデータがどこで公開されているかを把握しなくてはならないため、働く人の生産性にとっては逆効果になっていることもあるだろう。カレンダーを操作し、情報を表示し、リンクをクリックしてブラウザを開き、そこからネイティブアプリにリダイレクトされて、Zoomの通話が開くといったよくあるタスクは当たり前になっているかもしれない。

Slapdashはユーザーがクラウドアプリで公開されているデータを見つけたりアクションを実行したりする1つ1つの作業にかかる時間を秒単位で削り、パフォーマンスを最大にしたいという欲求を実現させようとする製品で、仕事用ソフトウェアの世界で新しいニッチを開拓しようとしている。リモートワークの急増で台頭してきた統合重視のソフトウェアはほとんど、SaaSアプリが錯綜する中でワークフローの可視化や見た目の整理に重点を置いている。Slapdash創業者のIvan Kanevski(イワン・カネフスキー)氏は、エンジニアがすばやく情報にたどり着けるようにするツールを作って、テックワーカーがこのツールをワークフローに統合することを期待している。

SlapdashはTechCrunchに対し、シードラウンドでS28 Capital、Quiet Capital、Quarry Ventures、UP2398、Twenty Two Venturesから370万ドル(約4億300万円)を調達したと述べた。このラウンドに参加したエンジェルにはPatreon、Docker、Zyngaなどの共同創業者がいる。

画像クレジット:Slapdash

カネフスキー氏は、低レイテンシーのコマンドラインインターフェイスによる操作を推進したSuperhumanのような人気アプリの成功と肩を並べることを目指すと同時に、Facebookなどの企業で用いられている洗練された社内向けツールのようにもしたいと語った。同氏はFacebookで6年近くソフトウェアエンジニアとして働いていた。

Slapdashのコマンドラインウィジェットは、インストール後にどこにでも表示することができ、すばやく操作できるキーボードショートカットも表示される。ここからSlackやZoom、Jiraなどおよそ20種類のインデックス化されたアプリの項目を探せる。コマンドラインの利用に加え、デスクトップアプリのファイルやアクションをまとめるフォルダを作ったり、タスクをすぐにこなせるようにオリジナルのキーボードショートカットを設定したりすることもできる。このアプリはMac、Windows、Linux、ウェブブラウザーで利用できる。

カネフスキー氏は「我々はSlapdashに接続するアプリにとって代わろうとしているわけではありません。我々がドキュメント編集やプロジェクト管理のツールを作っているようには見えないでしょう。中立的なプラットフォームであることが我々の哲学だからです」と語る。

同社は、ユーザーが無料で最大5つのアプリをインデックス化し、最大10のコマンドとスペースを作れるようにしている。それ以上が必要なら月額12ドル(約1300円)の有料プランに移行する。エンタープライズには価格設定をカスタマイズするようだ。同社はこのツールをスタートアップにとって欠かせないものにしたいと考えており、カネフスキー氏も個人ユーザーにとってこのアプリは有用性が大きくスケールアップする上での明らかな資産であると見ている。

同氏は「規模の大きい組織にソフトウェアを展開するとしたら、使う人たちに喜んでもらいたいと考えるでしょう。我々はそのような個々の小さなレベルでも楽しくて役に立つものを作っている自信が大いにあります」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Slapdash資金調達ワークフロー

画像クレジット:Slapdash

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

ワークフロープラットフォームのMonday.comが新バージョンを発表

米国時間2月4日、Monday.comは同社の柔軟なワークフロープラットフォームのバージョン2を発表した。このバージョンで、顧客はMonday上でもっと簡単にカスタムアプリを作ることができる。

画像:GettyImages

共同創業者でCEOのRoy Mann(ロイ・マン)氏は、同社の製品はさまざまな目的に使えるきわめて柔軟なワークフローツールで、主に中規模の企業をターゲットにしていると語る。同氏は「プロセス管理、ポートフォリオ管理、プロジェクト管理、CRMの管理、ホテル運営、R&Dの管理と、やりたいことは何でもこのツールでできる。やりたいことを組み立てるブロックを我々が提供しているからだ」と述べている。

バージョン2.0では、ブロックを組み立ててあらゆる組織やチームのニーズに合うカスタムアプリを作れるコード不要の環境を提供している。ワークフローのエレメントを使って、Monday内のプロセスを組み立てることも、ほかのアプリやサービスと統合することもできる。

実際に、新バージョンには100を超える自動化のレシピとコード不要のカスタムオートメーションがあらかじめ作られている。ほかのアプリとの統合も50種類以上用意されている。これらを使ってプロジェクトマネージャーはコーディングをしなくてもかなり高度なワークフローを作成できる。

企業がホテルを運営するカスタムアプリを構築する例。スクリーンショット:Monday.com

また、同社はMondayのプラットフォームを、このプラットフォーム上で動作するアプリを作りたい開発者に公開している。マン氏によれば、これはまだ始まったばかりで、ゆくゆくは開発者が作ったアプリのマーケットプレイスを開設する計画だという。

マン氏は「まず(プラットフォームを開発者に対して)ベータとして公開する。(当初は)開発者自身と開発者の顧客が使用するが、その後ほどなくしてアプリを(マーケットプレイスに)公開する計画だ。これは明確な方向性だ」と語る。

同社の年間経常収益は1億2000万ドル(約132億円)、顧客数は10万。これまでひっそりと事業を進めてきた。マン氏によると、従業員は370人で拠点は主にイスラエル、これまでに2億7300万ドル(約300億円)を調達した。直近の投資は昨年7月の1億5000万ドル(約165億円)で、評価額は19億ドル(約2090億円)と非常に高かった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GDPRなどの規制に企業が準拠できるよう手助けするHyperproof

多くの企業が、GDPR、ISO、Sarbanes Oxleyといった規制に準拠するにはどうすればいいのかを理解しようとしている。そして、それについて活動を始めようとするだけも、大きな課題に直面している。米国ワシントン州ベルビューにあるスタートアップ、Hyperproofは、より組織的な方法でコンプライアンスを達成できるようなワークフローを構築して、企業を手助けする新製品を発表した。

画像クレジット:TarikVision / Getty Images

同社の共同創立者兼CEOであるCraig Unger(クレイグ・ウンガー)氏は、ほとんどの企業がコンプライアンスの複雑さに手を焼いているという。そこには、多くの異なった種類の活動が含まれていて、多くの場合、通常はコンプライアンスに関与していない従業員の協力が必要となる。

Hyperproofは、企業がコンプライアンスに関する活動を1カ所に集約できるような場所を提供したいと考えている。「現実的には、コンプライアンス担当者が『ここが仕事をする場所です』と言えるような唯一の場所というものはありません。それは、CFOに対するSAPシステム、セールスまたはマーケティング責任者に対するCRMシステムのようなものです。Hyperproofが目指すのは、まさにそれなのです」とウンガー氏は説明した。

彼に言わせれば、現在のほとんどの企業は、かなりその場しのぎ的な方法でコンプライアンス対応を行っている。スプレッドシートなどのツールを利用してタスクを追跡し、電子メールによって必要な情報を要求しているのだ。Hyperproofは、そうした作業すべてを1つのプログラムにパッケージ化する。コンプライアンスのどの領域に対処するのかを指定すると、Hyperproofがそのコンプライアンスのフレームワークに必要なすべての要件を備えたワークスペースを構築してくれる。

ウンガー氏によれば、ここまでくれば、あとはすべてのタスクを1つのワークフローに入れ、このコンプライアンスのフレームワークに関する活動を単純化して整理するだけだという。また、スプレッドシートをインポートして、Hyperproof内にその情報を取り入れたり、そのプログラムの中で任意の言語によって要件を記述することも可能となっている。

「プログラムを定義して準備が整ったら、電子メールを送信することで、組織の他のメンバーとの共同作業を開始できます。返信は証拠として扱われ、このデータコレクションに関する追跡調査可能な変更不可の記録としてHyperproofに取り込まれます」とウンガー氏は説明する。もし監査を受けた場合には、監査人に仕事の内容を示す中心的な場となるわけだ。

同社はこれまで、こうしたワークフロー部分の構築に注力してきた。しかし今後は、自動化機能とAPIを追加して、他のシステムに直接接続し、多くの作業を自動化したいと考えている。最初のリリース時の目標は、企業にコンプライアンスのためのフレームワークのワークフローを提供すること。そして将来、その上に実績を重ねていくことを目指している。

同社は昨年設立され、彼らが拠点を置くシアトル地域の23人のエンジェル投資家から300万ドル(約3億2800万円)を調達した。実は、ウンガー氏は元マイクロソフトの社員であり、ワークフローを扱うスタートアップ、Azuquaの創立にも関わっている。Azuquaは、今年Oktaに5250万ドル(約57億4300万円)で売却した

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Dropbox、e署名とワークフローのHelloSignを2.3億ドルで買収

今日(米国時間1/28)、 DropboxHelloSignを買収することを発表した。HelloSignは電子署名と軽量のドキュメント・ワークフロー・サービスを提供するスタートアップで、買収価格は2億3000万ドルだったという。

Dropboxのエンジニアリング担当副社長、Quentin Clarkは「この買収は単にDropboxのサービスに電子署名機能を追加するだけでない」という。2017年にHelloSignが追加したワークフロー機能が買収の本当の鍵だったという。ClarkはTechCrunchの取材に対して次のように述べた。

HelloSignのユニークな点は、APIやワークフロー製品への投資が、われわれの長期的な方向性と非常によく一致している点にある。Dropboxに機能が増えるというのに留まらず、幅広いビジョンの下にわれわれの事業を拡張していくために役立つ。現在のDropboxソリューションの核心はストレージ機能だが、われわれは長期的にこれを拡大していくビジョンを持っている。

Dropboxが昨年追加したエクステンション機能もこの文脈で見る必要がある。実際にHelloSignはDropboxエクステンションのローンチ時点で機能を提供した企業の1つだった。。 Clarkによると、同社は引き続きDropboxソリューションの拡張をサードパーティーに求めていくが、今日の買収により他社との提携を必要としない独自機能が提供され、すでにエクステンションを介してDropboxに連携されているという。
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インテグレーションのスピードアップ

Deep Analysisのファウンダー、プリンシパルアナリストのAlan Pelz-Sharpeは、この市場を長年モニターしてきたベテランだが、「HelloSignがエクステンション・サービスのパートナーであることが重要。買収した企業を本体に統合することが通常の場合よりはるかにスピードアップされる。また大企業以外の企業では大部分の文書がオフラインで個別処理されている。HelloSignが不動産、保険、顧客社員関係などの一般的なソリューションに加えて、すでにDropboxの既存のエクステンション機能を備えている。このためHelloSignの各機能がDropboxの事業拡大にすばやく利用できることを意味している」という。

Pelz-Sharpeは、買収金額からするとDropboxがこうした能力を強く欲していたことが推定できると付け加えた。「財務指標からすると非常に高い価格だがこうした急成長分野における有望スタートアップの買収としては不合理な金額ではない。同時にここまで価格がアップしたことは他にもHelloSignの買収に意欲的な企業があったことがほぼ確実に推定できる」と述べた。

HelloSignのCEO、Joseph Wallaは、同社のブログ記事でこう述べている。

Dropboxのメンバーとなることで、HelloSignが上場大企業のリソースにアクセスできるようになり、これまでよりいっそう広い市場に参入できるようになる。Dropboxと連携させることで、幅広い顧客によりシームレスなドキュメントワークフローを提供し、われわれのソリューションのインパクトの拡大を劇的に加速することができるだろう。

HelloSignは独立を維持する

元Box、元EMC Documentumで現在はHelloSignのCOO、Whitney Bouckは「われわれは後も独立したブランドとして運営される」と述べた。つまりHelloSignはDropboxファミリーのメンバーとなるが、運営形態は現状のままということだ。またClarkはHelloSignの社員全員がDropboxで雇用されることを保障するのが買収条件の一環だったと示唆している。【略】

エンタープライズワークフローを専門とするConstellation Researchのアナリスト、Alan Lepofskyは、「HelloSign買収でDropboxは有力なエンタープライズ向けワークフローツールを獲得したわけだが、エンタープライズのドキュメント管理に高い実績、ノウハウを持つWhitney Bouckをスカウトできたのも大きなボーナスだ」と述べた。また 「これはもちろん人材獲得のための買収ではないが、Dropboxは、エンタープライズ向けにサービスを拡大する事業分野ですでにリーダーと認められているWhitney Bouckを獲得することにも成功した。Bouckは彼女の以前の雇用者であるBoxとの競争でDropboxに大きな助けになる可能性がある」 とLepofskyはTechCrunchに述べた。

DropboxのClarkは、「現在のエクステンションとは別にHelloSignの機能ををDropbox本体にバンドルしていくかは具体的に説明するには時期が早すぎる」と語った。しかしClarkはHelloSignが独自の顧客を持つ独立ブランドとして運営されていても、両社それぞれのプロダクトを統合する方法を見出すだろうと期待してると述べた。

HelloSignはサンフランシスコを本拠として2011に創業したスタートアップだが、これまでに1600万ドルしか資金調達を行っていない。今回の買収は投資家には大きなリターンを約束するものだし、もちろんHelloSignにとっても理想的なエグジット(現金化)となった。

買収手続きは2019年第1四半期中に完了できる見込みだという。通常どおり、規制当局による承認を必要とする。


(日本版)恋人がデートに契約文書とスキャナー、携帯発電機を持ってやってきた。なんでスキャナー? HelloSign使えば? というCM(音に注意) DropboxのHelloSignエクステンションを利用すれば契約書をDropboxに保存して関係者の電子署名を求めることができるという。

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滑川海彦@Facebook Google+

GitHubからワークフロー自動化ツール、Actions登場――独自サービス提供の第一弾

最近Microsoft傘下に入ったGitHubは長らくオープンソースのコード共有と保管のためのサービスと考えられてきた。今日(米国時間10/16)、同社はGitHub Actionsを発表し、独自のサービスを開発、提供する路線の第一歩を踏み出した。 デベロッパーはActionsを利用することで、単にこのプラットフォームにコードを保存したり同僚と共有したりするだけでなく、実行することが可能になる。

これはAWSのライバルとなるようなクラウドというより、IFTTTに近いがもっとフレキシブルなサービスだ。Actionsはワークフローそのものを自動化して効率化を図りたいデベロッパーのニーズに応えるものだ。

これはGitHubの事業にとって重要な転換点だ。事実、GitHubのプラットフォーム責任者、Sam Lambertは私の取材に対して「GitHubの歴史上最大のシフトだ」と答えた。LambertはこのサービスをiOSのショートカットに例えた。ただしはるかに多機能で強力だという。「ショートカット・アプリと似ているが比べものにならないくらいフレキシブルなサービスがGitHubにホスティングされ、誰でもこのコンテナの中で自由にパーツを組み合わせて効率的な独自のワークフローが作成できるところを想像して欲しい」とLambertは述べた。

GitHubのユーザーはActionsを使って 継続的デリバリー・システムを構築できる。GitHubでは多くのユーザーがActionsによるパイプラインを作るだろうと期待している。実際ユーザーもこのプロジェクトについて聞いたときそう思ったに違いない。今日のGitHubの発表によれば、Actionsは「ソフトウェアのビルド、パッケージ、リリース、デプロイ、アップデートという一連の流れを大きく効率化する。またどんなプログラミング言語にも対応する。GitHub上で開発された場合でもと外部のシステムの場合でも、コードを自分では実行する必要はない」という。しかしこれはほんの手始めに過ぎない。Lambertはこう強調している。

継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)はActionsのユースケースのほんの一部だ。たしかにその面で役立つが、Actionsはそれ以上のものだ。これはDevOps全体に革命を起こすものだとと思う。なぜならActionsを用いることでこの種のものとして最高のアプリケーション、フレームワークのデプロイメントのサイクルを構築できるからだ。ActionsはGitHubでプロジェクトを共有する場合のデファクト・スタンダードになるだろう[…]オープンソースで実行していたすべてができる。DevOps方式の開発ワークフロー・エコシステムのすべての部分に適用できる。

つまり、誰かがリポジトリで「緊急」というタグを使った場合、Twilioを使ってメッセージを送信するという仕組みを作ることができる。レポジトリを検索する一行のコードを書いてgrepコマンドで実行することもできる。その他どんなコードでもいい。レポジトリ内のコードをActionに変換するためにはそのためのDockerfileを書いてGitHubで実行できるようにしさえすればいいからだ。 Lambertによれば「Dockerファイルさえあれば、Actionsでビルドし、実行し、ワークフローに組み込むことができる」という。Dockerfileを使いたくない場合はワークフローをビルドするためのビジュアル・エディタも用意される。

GitHubのプロダクト・エンジニアリングの責任者、Corey Wilkersonによれば、Actionsはすでに多くのGitHubレポジトリで利用されているという。 Actionsは現在はまだベータ版で限定的公開だが、GitHubには9600万のプロジェクトがあるのですぐにたいへんな数のActionsが生まれるだろう。【略】

将来は(Lambertはそうなることを期待しているが)多くのGitHubユーザーがActionsで作成したワークフローをGitHubのマーケットプレイスで販売することになるかもしれない。現在はまだ可能ではないものの、GitHubはこのオプションの可能性を真剣に検討している。Lambertは「エンタープライズ向けツールを開発、販売する(これはSales Forceがやっている)予定がないデベロッパーもActionsによるワークフローの販売でマネタイズができるようになるはずだ」と考えている。

GitHubはデベロッパーに対してActionsを順次公開していく予定だ。デベロッパーはこちらからActionsに登録できる。【略】

GitHubではまたLearning LabでデベロッパーがGitHubを学習するのを助けるための新しいコースを3種類リリースした。また大規模な企業向けのプライベートなLearning Labも用意されている。

GitHub Enterpriseのユーザーにとってもっとも興味深いのは、管理者が個々のプログラマーの公開プロフィールに開発したプロジェクトを表示できるようになったことかもしれない。デベロッパーのコミュニティーではGitHubが事実上、履歴書として機能していることを考えると、このオプションが与える影響は大きい。

その他の発表はセキュリティーの強化に関するものが中心だった。たとえばGitHub Security Advisory APIはコードをスキャンしデベロッパーが脆弱性を発見することを容易にする。またJavaと .NETのプロジェクトには新たな脆弱性のアラート機能も追加された。 【略】

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滑川海彦@Facebook Google+

簡単にワークフローを構築して実行できるZenaton

フランスのスタートアップZenatonは、AccelとPoint Nine Capitalの主導で235万ドルを調達した。Slack Fund、Kima Ventures、Julien Lemoine、そしてFrancis Nappezも参加している。同社は、アプリケーションの最も面倒な部分、つまり非同期ジョブとバックグラウンドタスクの管理を引き受けようとしている。

1つのデータベースを使用したシンプルなWebベースのサービスを開発するのはとても簡単になってきているが、様々なイベントに基づいてタスクをさばくワークフローを構築しスケールアップしていくことは、いまでも大変だ。

ときには、バックグラウンドタスクが失敗し、あなたのワークフローが機能しなくなったことに気づくまでに何日もかかることがある。中には、非常に多くのリソースを必要とするワークフローが存在することで、そうした定期実行ジョブやパフォーマンスの急上昇を処理するために、より多くのRAMが必要となって、サーバー代がとても高額になってしまうこともある。

さらに、多くの中小企業では、非同期ジョブを追加することで大きな利益を得ることができる。たとえば、メールリマインダを送信することで、顧客離れを防ぐことができる。電子商取引のウェブサイトを運営しているならば、ちょっとしたアクセサリーを並べて表示して、顧客の「合わせ買い」を誘うこともできる。またユーザーがアプリを通じてレストランを見つけた後、数時間後にレビュー投稿をリクエストすることもできる。

「私たちはこうしたことをとても簡単に行えるように頑張っています。開発者はZenatonをワーカーのサーバー上にインストールするだけです。それで完了です。特に、バックグラウンドジョブ用のキューイングシステムを維持する必要がなくなり、定期的なジョブ実行を行うcronも、一時的な状態を保存するためのデータベースの移行も不要になります」と共同創業者でCEOのGilles Barbierは語った。Barbierは以前The Family働いていたが、ZenatonはThe Familyのポートフォリオの一部である。

Zenatonは既に大きなクライアントと連携し、数百万のワークフローインスタンスを処理している。もし1ヶ月に処理するタスク件数が25万件以下なら、無料でZenatonを試すことができる。それ以上になる場合には、プランは月額49ドルから始まり、ワークフローにどれだけのRAMを使いたいかによって支払い額が決定する。

今のところ、ZenatonはPHPとNodeアプリケーションに統合することができるが、同社はPython、Ruby、Javaを始めとするより多くの言語にも取り組んでいる最中だ。まだ若いプロダクトであることは明らかだ。

しかし、それは有望なスタートを切ったように思える。もし小規模な開発チームならば、Zenatonを使ったWaaS(workflow-as-a-service)アプローチを採用する意味はあるだろう。

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(翻訳:sako)

GoogleがApache AirflowによるワークフローオートメーションツールCloud Composerをローンチ

Google Cloudgが今日(米国時間5/1)、Cloud Composerの最初の公開ベータを立ち上げる。それは、Apache Airflowプロジェクトをベースとするデベロッパーのためのワークフローオートメーションツールだ。

通常、ITチームは必要に応じて独自に自動化ワークフローを作るが、それは、さまざまなツールと、いつも動くとは限らないBashスクリプトを寄せ集めた混乱になりがちだ。AirflowとCloud Composerは、ワークフローを作ってオーケストレーションするための標準化された単一の方法をチームに提供する。

Googleによると、この新しいツールはPythonをデフォルトの言語として使用し、これによりチームは、オンプレミスのさまざまなツールや複数のクラウドにまたがるワークフローを構築できる。またオープンソースのプロジェクトなので、ワークフローを複数のプラットホームに亙っても使用できる。Google Cloud Platformに深く統合されているサービスだが、ロックインはない、とGoogleのチームは言っている。

“Cloud Composerでは、Google Cloud Platformの長所とAirflowを結びつけたかった”、とCloud Composerのチームが今日の発表で書いている。“Airflowの最良の機能をそのインストールや管理に要するオーバヘッドなしで提供できるサービスを作ろうと思った。余計な作業に時間を取られなくなれば、もっと重要なもの、すなわちワークフローに多くの時間を割けるようになる”。

Airflow、そしてその拡張であるCloud Composerでは、さまざまなタスクとそれらに期待する結果を、Directed Acyclic Graph(DAG, 有向非循環グラフ)というもので定義する。これらは、標準的なPythonのファイルで、ワークフローをその細部まで定義している。完全なドキュメンテーションは、ここにある。

Googleによると、同社はAirflowのコミュニティにも積極的に参加している。そしてすでに、相当数のプルリクエストを貢献している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

キャッシュマッチングと債権回収作業の効率を、機械学習で最大70%向上させるRimiliaが2500万ドルを調達

現在大企業では、キャッシュマッチングと、債権の回収という仕事を行なうために、大規模な会計チームを必要としている。これは大きく手作業に依存する作業だ。一部のERPベンダー(特にSAP)はこのための独自のモジュールを持っているが、この世界の大規模なプレイヤーとしては、ドイツ国内とSAPのエコシステムに焦点を当てたHanse Orgaや、米国のHighRadiusBilltrustなどが挙げられる。しかし、こうした仕事の大部分は機械学習で実行可能なものだ。ということで、会計士たちは要注意だ、何故なら新顔がやってきて仕事を奪い取るかもしれないのだ。

Rimiliaは、プロセス全体をほぼ自動化しながら、キャッシュマッチングと債権回収の質とスピードを向上できると主張している。そしてその拠点はシリコンバレーでもなく、ロンドンでもない。2008年にブートストラップして以来、収益を上げて経営してきたが、今回成長資金として2500万ドルを調達した。このラウンドは、ロンドンを拠点とするファンドであるKennet PartnersEight Roads Venturesによって、主導されたものだ。両ファンドとも成長資金ラウンドでは知られた存在だ。

調達資金は、ヨーロッパと米国で拡大するために使用される。またこの調達資金の一部を使ってチーム規模を倍にする計画もあり、かつ経験豊かなSAASプレーヤーであるKarl Campbellを取締役会のチェアマンに迎えた。

Rimiliaの主力製品であるAlloc8 Cashは、機械学習を使用して、請求書と受け取った支払いの照合を行い、必要とされる手作業を軽減する。もう1つの製品であるAlloc8 Collectは、どの顧客の支払いに着目すべきかの優先度付けを行う予測分析を用いて、未回収の債権残高を管理する。Rimiliaは、どちらの製品も効率を最大70%向上させると主張している。

Avis、日立、Santander、そしてTravis Perkinsを含むヨーロッパと米国各地に広がる顧客のために、同社は現在英国のBromsgrove中部イングランドの本社に、70人以上の従業員を雇用している。

取締役会に加わる予定のKennet PartnersのディレクターであるHillel Zidelは、次のように述べている「Rimiliaは外部資金を調達しないまま、設立以来急速に成長してきたブートストラップの成功例です。各企業は、インテリジェントな自動化への投資の優先順位をますます高めています。私たちRimiliaがオートメーション分野のグローバルリーダーになる絶好のチャンスを握っていると確信しています」。やはり取締役会に参加するEight Roads Venturesの欧州本部長であるDavor Hebelは、次のように述べている「Rimiliaは、中部イングランドに設立され本物の問題を解決している、英国テクノロジーシーンの隠された宝石です」。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: GMUTLU/ISTOCK

ワークフローオートメーションのWorkatoが1000万ドルのシリーズAを公表

この日はスタートアップであるWorkatoにとって、記念すべき日となった。なにしろ1000万ドルのシリーズAを公表し、同時にワークフローオートメーションプラットフォームであるTuringの最新版の発表を行なうこともできたからだ。

このラウンドは、Storm Venturesの主導により進められ、戦略的投資家たちであるSalesforce VenturesとWorkday Venturesが参加した。設立4年の同社は、これで合計1600万ドルを調達した。

Workatoは、さまざまなSaaSアプリケーションとAPIの接続を可能な限り自動化することで、企業のワークフローの統合を簡単にするものだ。これでSalesforceとWorkdayがそのようなコンテキストの中で、同社を投資対象にふさわしいと判断した理由がわかるだろう。

SaaSアプリケーションの魅力の1つは、単体ですぐに使えることだが、アプリケーション間の連携やワークフローを構築しようとする場合には、事態はやや複雑になる。WorkatoのCEOであるVijay Tellaは、そうしたときには、たとえ単純なツール間連携だとしてもIT部門への依頼が発生するのだと語る。

しかし彼は、それは独立性を求めているエンドユーザーにはふさわしくないと言う。またIT部門も、マーケティング、セールス、ファイナンス、その他の部門のナレッジワーカーたちに、開発者スキルを必要とせずに、必要な統合を構築するためのツールを提供したいと考えている。

よって同社はWorkatoを開発して、可能な限り自動化を行い、ツール間の論理的なフローを提案することで、そうしたエンドユーザーたちが、ワークフローをより簡単に構築できるようにしたのだ。このソリューションでは、基礎となる機械学習アルゴリズムに基づいて、そうした提案を対話形式で行っていく。ユーザーがニーズに合わせてそれらのレシピを調整すると、システムは学習して、より完全なものを提供するようになる、とTellaは語る。

Turingのベータ期間中、Tellaは、レシピの55%が自動作成され、ユーザーに対して提案という形で提示されたと述べた。提案の形式はユーザーが諾否を与えるか、いくつかのオプションを与えることで調整されるようなものだった。

どのようなプロセスも、絶対確実というわけには行かないので、レシピがシステム連携の途中で何らかの理由で失敗した時には、機械学習を用いて自己修復(もしくは少なくとも可能な対応を提案する)を行う。こうした手段の一部には、レシピフローをコードではなく平易な言語で表示することも含まれている。このことにより、ユーザー自身による修正および再実行が可能になる。

Workatoによれば、最初の1週間で顧客の78%が製品を使えるようになると主張している。Workatoが、そのまま使えるたくさんの典型的な統合レシピを、SalesforceやWorkday向けだけでなく(それだけでも驚きだが)、ZendeskやSlack、その他沢山のサービスに対しても用意していることはとても便利だ。

同社は、その製品が、Box、IBM、Cisco、Ideo、Credoなどを含む、2万1000を超える組織で使用されていると報告している。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: ADE AKINRUJOMU/GETTY IMAGES

工場のためのアプリプラットフォームTulipが1300万ドルを調達


大規模なOEMの工場内ではロボットと自動化の時代が始まっているが、こうした工場の中で働く実際の人間たちは、ほとんどテクノロジーから忘れられて来た。しかし、工場エンジニア、オペレーター、そしてマネージャーたちのためのソフトウェアプラットフォームのTulipが、すべてを変えようとしている。

その目的を達成するために、TulipはNEAの主導したシリーズAで1300万ドルを調達した。ラウンドにはPitango Venture Capitalやその他の既存投資家たちも名を連ねている。また契約の一部として、NEAパートナーのDayna Graysonが、同社の取締役会に加わる予定だ。

ロボットやオートメーションの登場によってメーカーが製品を作る方法が変わったとしても、こうした工場で働く人たちが、工場内プロセスを詳細化したりデバッグしたりするために使っているのは、原始的なツールである場合が多い。例えばクリップボードやストップウォッチ、そしてExcelのスプレッドシートなども使われているが、こうしたものはリアルタイムとは言い難く、洞察を自動的に引き出すこともなく、単に手動で貴重なデータを集めているだけだ。

そこがTulipの狙う場所だ。

Tulipは、プロトコルに関係なく、センサー、カメラ、およびその他のIoTハードウェアたちが、中心的なバックエンドシステムの中で相互に通信できるようにするソフトウェアプラットフォームを提供する。このタイプのソフトウェアに慣れていない人びと(工場のオペレータやエンジニアたちなど)は、様々な”If/Then”(もし〜ならば〜する)部品を、プラグアンドプレイすることができる。こうすることで工場フロア内の問題になっているエリアに関する鳥瞰イメージを得て、課題を素早く修正することが可能になる。

Tulipを通じて、メーカーはインタラクティブな作業指示、自動データ収集、品質管理、監査、マシン監視、トレーニングを実装することができる。

たとえば、Tulipを使えば、フロアマネージャーたちは、フロアを見回りつつオペレーターやエンジニアたちの肩越しに覗き込むことなしに、データ収集と洞察に集中することができる。特定のワークベンチや特定のツールに取り付けられたセンサーや、組立ライン上のカメラが、全体プロセスの中で何が起きているかを自動的に検知することが可能だ。このことによりマネージャーたちは、手作業によるデータ収集/入力なしに、プロセスを洗練する作業が助けられる。

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CEO兼創業者のNatan Linder(MITでのインターフェイスの研究からスピンアウトしてTulipを構築した)はこう語る「私たちはこうしたオペレーター、エンジニア、マネージャーたちが、情報に基づく合理的な動きをすることができるようにしているのです」。「そして更には、Tulipはリーダーボード(順位表)の仕組みを使って、従業員たちが自分のパフォーマンスについて動的に知ることができるようにしています、このことが仕事を一種のゲームに変えるのです」。

Tulipによれば、グローバルメーカーのJabilに於ける最初の4週間の導入実績値で、生産性は10%以上上がり、手動の組み立て作業による品質問題は60%減少したとのことだ(なおこの分析はDeloitteによって行われたものである)。

同社は完全な価格表を公開していないが、作業台単位のSaaSモデルで顧客に課金する。

Tulipは、新しい調達資金を利用して、プロダクト、デザイン、そして研究チームを成長させ、顧客サポートを強化する予定だ。

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(翻訳:Sako)

自動車修理店自身が、ユニークで使いやすいショップ運営ソフトを作り上げた


ハイブリッドカーへの注力で知られるサンフランシスコのLuscious Garageは、その真の特徴を隠している、それは人びとへの注力だ。創業者のCarolyn Coquilletteは2007年にサンフランシスコにオートショップを開店した、そして上のビデオからも分かるように、室内装飾からそれが占める空間に至るまでが、メカニックの現場に期待されるものとは大きく異なっている。そしてそれは店舗を運営するソフトウェアにも及んでいて、Coquilletteが訪問中に紹介してくれた。

Coquilletteにとって、オートショップの空間配置や対人関係といった部分を変えるだけでは十分ではなかった;サービスを追跡し、在庫を管理し、顧客とコミュニケーションする部分も大規模なオーバーホールを必要としていたのだ。典型的なショップバックエンドソフトウェアは、本質的に石器時代の遺物である、特に顧客がスマートフォンの上に持っている平均的なソフトウェアに比べればその差は大きい。

Coquilletteは改善の必要性を、Luscious Garageにとってだけの機会と捉えず、仕事を管理し、在庫を扱い、顧客が容易に理解できる方法で伝達を行うことのできる優れたソリューションを探している、他のオートショップにとっての機会でもあると捉えたのだ。当初構築したカスタムショップ管理プラットフォーム「Hyspace」を手本に、Coquilletteはそのシステムを、更に成熟した、それ自身独立して似たようなバックエンドの近代化に挑んでいる他の店舗でも使えるようなものへの転換を図った。

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リード開発者Tyler Olmsteadを擁するチームと共に、Hyspaceは2013年に全く新しいコードベースを使って書き換えが始まり2014年にはMVP(minimum viable product:必要最小限の機能を持った製品)が発表された;Shop-Wareは2015年1月にフル機能搭載のショップ管理プラットフォームとして正式デビューを果たした。

そのウェブベースのインターフェイスは、さまざまなプラットフォーム上で使用するためのナビゲートしやすく、視覚的に魅力的で、動的なもので、スタッフに向けた在庫やワークフロー管理と同様に、顧客向けの作業承認と作業履歴のコミュニケーション、そして統合された帳簿管理のためにQuickBooksとの統合も果たしている。Coquilletteは私に、車に必要なサービスが何か、それが何故必要なのかを顧客に対して明らかにする過程で、システムがコミュニケーションという観点から正確に何ができるのかを示した ‐ Shop-Wareは、そのわかりやすい報告機能のお陰で、間違いなく消費者とサービス提供者の間のより強い長期に渡る信頼関係を構築する手助けをしてくれるものだ。

顧客にとって、カーショップに対する指示は困難に思える仕事である、特に顧客が技術的な専門知識を持っていない場合には。Shop-Wareによって、Coquilletteはその過程をはるかに簡単なものにした。一方スタッフメンバー同士のコミュニケーションや、一般的な作業もはるかに容易になっている。Slak同様に、このShop-Wareは、自身のビジネスの追求のためににテクノロジーツールを構築する際に「自らの手で作り上げる」アプローチが、最後には他の多くの人も使うようになる何かを生み出すことを示す、良い例である。

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(翻訳:Sako)

「複雑さの頂点」を乗り越えよう

Different colored wires coming together to create a ball in mid air on white background

【編集部注】Tom GoodwinHavas Mediaの戦略イノベーション担当のシニア副社長。

実質的にほぼすべての会社はデジタルへの転身方法を誤っている。まるでそれがチャンスではなく、厄介事であるかように、我々は距離を置いて、それを視界の端に置いている。もし会社を成功させるなら、これまでに目にした最も素晴らしいツールキットを使って、可能性の周りに再構築を行う必要がある。

ここで、テクノロジーが私たちの生活とビジネスに及ぼしてきた膨大な変化の話をしよう。私たちはこれまでに起きた大規模な変化を称賛している。アプリケーションからフライトを予約して、携帯電話からタクシーに支払い、そして店舗を提供するタブレットの中で買い物をすることができる。しかし私たちは実現されたこと、変化したことを賛美しているだけで、本当に可能だったこと、まだ起きていない変化を称賛しているわけではない。私は、私たち皆が自分たちの無為を反省すべきときだと思っている − より真剣に考えて、より大きいリスクをとり、そして新しい世界を受け入れるべき時だ。

テクノロジーは中心にも周縁にも適用することができる。そして歴代の経営者たちは、意識的にせよ無意識的にせよ、それを新しいユニットの中やイノベーション研究室や、様々な方法で周縁に小さくばら撒いてきた。新規なものは、実際のところ軽んじられてきたのである。まるでそれが彼らを脅かす考えであるかのように。新しい考えは上手くやりすごすための何かであり、その周りに考えを巡らせるためのコアではなかったのだ。彼らのビジネスを未来に向けて推し進めるために可能性を解き放つことではなく、まるで引退に向かう緩やかな下降が彼らの目的であるかのようだ。

私たちがAirbnb、Uber、Facebook、Amazon、Snapchat、Slack、TeslaもしくはBlue Apronといったものを称賛するとき、話題となるのは、彼らがビジネスのコアに如何に新しいテクノロジーと振る舞いを取り入れたかということだ ‐ 彼らは初めからテクノロジーを取り入れたのだ。

彼らのために新しいテクノロジーは、働くための新しいカンバスと、熱情とともに描くことできる新しい道具を提供したのだ。そうした企業は、世の中を善くするべく、テクノロジーの時代に育ち、CEOやマネジメントチームによって率いられている(彼らは知っているもの全てにチャレンジを挑ませる子供たちを持っていることが多い)。あなたが世間一般の通念が実際にどれぐらい間違っているか悟るのは、あなたが7歳の子供にタブレットの上で、なぜ実際は「TVを見て」いるのではないのかという理由を説明しているときだ。

より真剣に考えて、より大きいリスクをとり、そして新しい世界を受け入れるべき時だ。

マクルーハンの「我々は道具を形づくる、そして次に道具が我々を形づくる」という言葉は正しかった。しかし私たちの多くがこの言葉の後半に抵抗した。私たちは新しいコードを使って新しいチームが作った新しいアプリケーションを使って、私たちのフライトを予約することができる、それにもかかわらずデスクトップのウェブサイトは大惨事のように見える。会社内の組織間の軋轢を公にし、うまく動作しないシステムと顧客の要望を反映しないレガシーなシステムとパッチを表しているのだ。

私たちが空港に到着すると、ことはもっと悪くなる。私たちは担当者が青いDOSのようなスクリーンに向かって果てしなくタイピングする音を聞かされる。あなたのフライトを変更するのに、15分間のタイプと数本の電話が必要だ。これは、ひび割れを新しいビジュアルデザインで覆い隠し、過去に作られたプラットフォームに依存しつつ拡張が行われた、ハイブリッドであることを意味している。

あなた自身に問いかけるべき疑問はこれだ:「もし自分の会社を今作るなら ‐ 人々がどのようにテクノロジーを使い、デバイスが何を可能にするかを知っていて、人々が(単にミレニアル世代だけではなく)どのように振る舞い今日と明日の生活から何を期待しているかを知っている今なら ‐ それは現在あるものに似通っているだろうか?」

ホテルの受付は大きいデスクトップコンピュータを置くような大きい据え付けのユニットだろうか?レンタカー会社はその場所に位置するままだろうか?それは35種類の車を用意するだろうか?システムは今のように動くのだろうか?小売り店舗に、あるいは「クラスでのベスト」であるロジスティクスとウェブサイトのどちらに投資すべきだろうか?ミレニアル世代がソーシャルメディアの方を好むとき、コールセンターに大規模に投資するべきだろうか?患者の記録やその他のものを、紙の上に記録したいだろうか?注文を処理するためにFAXを必要とするだろうか?
あなたのデータは10の異なったサーバー上に保持されるだろうか?あなたのすべてのスタッフはデスクトップコンピュータを持っていて、キュービクルで働いて、そしてそれぞれが机の上に電話を置いているだろうか?

会社を受け継ぎ未来を作り出す新しい世代が、現在のCEO世代と交代するとき、巨大な変化が訪れる。考慮するべき組織的な原則の1つはこれだ:「私たちは古い考えとやり方を、最高の技術で粉飾しようとしているのだろうか?それとも現在可能なものの周りに新しいやりかたとシステムを打ち立てようとしているのだろうか?」

新しい技術と新しいシステムと考えが、あなたの会社をどのように変容させ、それを軸にどのように機能するかを考えよう。

自分たちの考えの中に閉じこもるのは容易だ。もしアカウントマネージャーにタブレットを与えて、それで仕事をやれと言っても、それは無理だろうと私たちは考えてしまう。彼らはパワーポイントを作り、週報をエクセルで用意する必要があるからだ。私たちはタスクレベルで運用することに慣れている、しかしワークフローを管理しアイデアを伝達していくことこそが彼らの仕事だと私たちが気付いたならば、リアルタイムオンラインダッシュボード、共有ワークスペース、そしてクラウドでホストされたプレゼンテーションが、ただその機能を果たすだけでなく、仕事を何倍も容易にすることに気がつくだろう。

私たちは「複雑さの頂点」 − 古いものと新しい世界システムのハイブリッド − に居る。Slackを使い、電子メールを送る。請求書を送るために、果てしなくJavaをダウンロードする。会議でWhatsAppを使い、オフィスで電子メールを使う。一体いくつのファイル共有システムが?一体いくつの会議電話ソフトウェアの形式が?さらにいくつのアドオンが?

もしあなたが、まだ2、3年以上働くつもりなら、そしてもしあなたの目標が違いを生み出し、ビジネスを未来へ推し進めることであって、安楽な引退に向かっているのではないのなら、私はあなたに1つの提案をしたい:「新しい技術と新しいシステムと考えが、あなたの会社をどのように変容させ、それを軸にどのように機能するかを考えよう」

もしたやすく手に入ること、反射的に手に入ることばかりに手出しするのなら、あなたはあなたの会社、あなたの株主、そしてあなたの従業員を混乱の被害を受けやすいままにしておくという意味で、実際に害を為しているのだ。未来を再構成するか、ただ待っているのか ‐ 私の答は明らかだ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: PM IMAGES/GETTY IMAGES

いろんなツールを一つのワークフローへと統合するBuilt.ioのFlow、数週間の工程を数時間に短縮

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Built.ioのFlowは、複数のアプリケーションやサービスやツールを、一つのワークフロー、まさにFlowへと統合するドラッグ&ドロップ方式のツールだ。それは今は亡きYahoo PipesやIFTTTみたいに、たとえばSalesforceとMarketoをくっつけて営業の過程を自動化する。今日同社がローンチしたFlowの大型アップデートにより、さらに強力な統合が容易にできるようになった。

企業の世界では、統合がサードパーティにとってビッグビジネスにもなっている。デベロッパーとはいっても、さまざまな既存のサービスをくっつける仕事ばかりやってるショップも、少なくない。Built.ioによると、Flowを使えば、数週間かかるそんな工程が数時間に短縮される。

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Flowは昨年、一般公開でローンチしたが、Built.ioのCEO COO Matthew Baierによると、今やこんなサービスの機が熟しているのだそうだ。彼が考えるその理由は、APIというものの普及だ。今やどんなサービスでもAPIを公開しているから、顧客の求める多様な統合が相当やりやすくなっている。もうひとつの要素が、物のインターネットの成長だ。彼によると、これからは、何と何をくっつけたい、というニーズが爆発的に増大するから、Flowのようなサービスの出番も増えるはずだ。

こんどのニューバージョンでは、Flowのデータベースにまだ載ってないサービスでも、顧客企業が比較的容易に、統合のためのエンドポイントを構築できるようになった。このActivity Builderという新しい機能によって、社内的なプライベートなAPIでも統合に加えることができる。

Flowのもうひとつの新しい機能は、複数のサービス間のデータマッピング(データ変換)だ。典型的な例が、SalesforceとMarketoだ。この両者は、ユーザーインタフェイス中のまったく同じ欄でも、違う名前で呼んでいる。またFlowが今日(米国時間7/11)ローンチしたTrigger Testerは、ダミーデータを使って、リアルタイムイベントによる統合を容易にテストできる。

Built.ioは最初Flowを、企業の営業部門に売ってきたが、今日からは月額29ドルの会費制により、誰でもクレジットカードでFlowを利用できる。これにより、営業にかぎらず、さまざまな部門でFlowを利用した統合が行われるようになるだろう(同社はそれを“一般市民インテグレーター”(citizen integrators)と呼んでいる)。この月額制のプランでは、統合できるのは5つのアクション、5つのトリガ、そして15分のスケジュールだが、今圧倒的に多いのは二つのサービスをつなげる、というニーズだ。だから5つという制限でも、十分なのだ。

試してみたい人は、ここへ行ってみよう。本誌読者は、無料で試用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Trelloに対抗、Microsoftの新たなプロジェクト管理ツール「Planner」が正式ローンチ

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Microsoft Officeのラインナップに、 新たな仲間が加わった。Microsoft Plannerだ。これは仕事の計画を視覚的に整理するためのソフトウェアで、タスクのアサイン、ファイル共有、チャットなどチームが協働するための機能を備えている。昨年の秋に初めて概要が紹介されたこのアプリは、プロ向けソフトウェアであるAtlassianのJIRA CoreやTrello、Asanaといったスタートアップが提供する簡単に使えるツールがひしめく分野へと参入する。

TrelloのようにPlannerでも「Boards(ボード)」を使って、仕事の管理を行う。各ボードの中には個別の「Cards(カード)」があって、それぞれに締切を設定したり、添付資料を付けたり、カテゴリー分けやチャットができるようになっている。何のカードかを一目で判別できるよう、カードに書類や写真を設定することもできる。カードは「Buckets(バケツ)」と呼ばれるカラム内で整理する。バケツには色分けや優先順位を付けることが可能だ。

このソフトウェアのもう1つ重要な要素が「Hub(ハブ)」だ。このハブでは、仕事全体の進捗を確認することができる。誰が計画通りに仕事を進められていて、誰が遅れているかを確認し、そこから自分のタスクや課題を絞り込んで確認することができる。

Microsoftが提供するこのサービスが他の競合サービスより魅力的な点は、Microsoftプロダクトと連携することだ。すでにMicrosoft Officeの一連のプロダクトや関連サービスを使用している企業に訴求することができるだろう。例えば、PlannerはOffice 365 Groupsと連携しているので、PlannerでのやりとりはOutlook 2016、ウェブ版Outlook、モバイルでもOutlook Groups Mobile Appsから見ることができる。

PlannerはOneNoteとも連携している。全てのプランに対して、OneNoteのNotebookが割り当てられると同社はいう。ソフトウェアはOfficeとも連携するので、ユーザーはカードにWord、Excel、PowerPointの書類を添付することができる。これらの書類はSharePoint Onlineのドキュメントライブラリに保存され、オフラインでも利用可能となる。

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Microsoft Officeのサービスの1つであることから、Plannerは企業がすぐに活用できるツールになっている。大手企業が要求する技術的な要件とサポートを備えている。例えば、複数回余計にバックアップを行う機能、素早い復旧、そしてHIPAA、FISMA、ISO27001の基準を満たし、EUの基準にも準拠したモデルも提供する。

Microsoftは前からProjectというプロジェクト管理ツールを提供してきたが、多くの人はそれは複雑すぎて、ニーズに対して過剰なツールであると感じていた。Projectを完全に使いこなすためにはユーザーがいくらか使い方を学習する必要があったため、多くがExcelやTrelloといった新しく登場したソリューションに流れていた。

しかし、他のプロダクティビティアプリがMicrosoft Officeの利益を生み出すプロダクトの認知度を脅かすようなことがあれば、同社は何かしらのアクションを取ってきた。MicrosoftはYammerWunderlistSwiftKeySunriseAcompliを買収し、Slackの買収も検討した。Trelloの場合は、買収の代わりに自社でサービスを構築した。

MicrosoftはPlannerでカスタマーの負担が軽く、簡単に使いこなせるツールとして提供し、SharePoint Tasksの代わりに位置付ける。Plannerの最初のデビューより随分と前にSharePoint Tasksは撤去されていた(Tasksのページは、1年ほど前からPlannerのウェブサイトに遷移するようになっていた。Plannerの正式発表より前からだ)。

Microsoftは、次の数週間で該当するOffice 365のカスタマー( Office 365 Enterprise E1-E5、Business Essentials、Premium、 Educationのサブスクリプションプランに加入しているカスタマー)にPlannerを展開していくという。Plannerが有効になると、これらのカスタマーはOffice 365のランチャーに自動で表示されるようになるという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

AtlassianがBitbucket Cloudを利用するデベロッパーのための継続的デリバリサービスBitbucket Pipelinesをローンチ

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Atlassianが今週、うまいアブサンを飲ませる、ぼくのお気に入りのバーの近くで、例年のデベロッパーカンファレンスをやっている。キーノートで数々の新製品やアップデートが発表されたが、どれも、デベロッパーの人生をすこし楽にしてくれる(協力的にもしてくれる)ものばかりだ。

AtlassianがBitbucket Pipelinesをローンチ

新しいツールでいちばん重要なのが、Bitbucket Pipelinesだろう。Atlassianは最近、同社のGit関連サービスをすべてBitbucketの名の下(もと)に統一し、そしてPipelinesのベータバージョンのローンチにより、AtlassianがホストするBitbucket Cloudサービスに継続的デリバリサービスが導入されることになる。そうなるとデベロッパーは、コードを自分たちのBitbucketリポジトリにプッシュしアップデートしていくビルドとデプロイのワークフローを容易に自動化できる。

ベータの期間中Bitbucket Pipelineは、誰もが無料で試用できる。

これまで、AtlassianのツールはつねにWebから提供された。しかし同社は今日初めて、チームコラボレーションサービスConfluenceと、ソフトウェアチームのための同社のプロジェクト管理サービスJIRA Softwareの、ネイティブアプリケーションをローンチした。

さらに今日Atlassianは、Open API Initiativeへの参加を表明した。この、APIの形や作り方を標準化しよう、というねらいのコンソーシアムには、Apiary, Apigee, Google, IBM, Mashape, Microsoft, PayPalなどなどが参加している。

また今日ローンチされたConnect for JIRA Service Deskは、サードパーティのデベロッパーが、JIRAに埋め込めるアドオンを作れる、というサービスだ。そしてAPIのドキュメンテーションを作るための社内的なツールRADARがオープンソースになった。これは当然ながらOpen API Initiativeの仕様に従っている。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slackの上を全ワークフローが流れていく…アプリケーションを統合するチャットボットWorkbot

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2016年が始まった今、Slackのようなエンタプライズチャットアプリケーションが、にわかにホットなコモディティになってきた。そしてチャットの世界で今いちばん賑やかな議論が、チャットクライアントにいるままでほかの仕事もできることだ。Workatoが今日(米国時間1/25)発表したチャットボットWorkbotは、まさにそれをやる。

チャットボットはチャットプラットホームに統合される小さなプログラムで、高度な機能を比較的簡単なやり方で提供する。Workbotは、それをユーザが使えば100あまりのエンタプライズアプリケーションをアクセスしコントロールできる。SalesforceのCRM記録、Quickbooksの経理会計情報、Zendeskのカスタマサービスにおける対話などに、Slackの中から直接、アクセスできる。

Enterprise 2.0ツールの問題点は、それがまったく別のアプリケーションであるため、忙しい社員が意識を、今やってる仕事からそっちへ切り替える必要があることだ。そこでWorkbotでは、社員が同僚とSlackでディスカッションしているときでも、その状態のまま顧客情報などに直接アクセスできる。あるいは、いちいち指示しなくても情報を自動的にボットから得られる。

Workatoに投資しているStorm VenturesのパートナーAnshu Sharmはこう語る: “YammerやSalesforce Chatterなど、初期のコラボレーションツールは、たしかにメールをしなくていい、など、最初の好印象が醒めると、目の前にあるのは、自分で意識して世話をしなければならない新たなフィードなんだ”。

WorkatoのWorkbotなら、チャットクライアントの中から必要なエンタプライズアプリケーションと直接に対話できる。しかもその流れを、ある程度自動化できる。Amazon Echoなどと同じく、情報を得るためにはある種の言語が必要だが、’customer info’のようなシンプルな省略語を使ってタイピングの量を減らすこともできる。

Workato inside Slack.

Slackの中のWorkbot。スクリーンショット提供: Workato

 

このツールは、三つの仕事をする。まず第一に、Slackの中で、さまざまな顧客情報ソースから取り出した完全な顧客情報を見せる。ただし単なる統合化ツールではなくて、サポートチケットのプライオリティや顧客の位置、これまでの請求書、などの情報を使ってデータを選り分けることができる。三つ目は、顧客にトリガを設定しておき、特定の顧客の情報とそれに関するメッセージをSlack内のWorkbotに自動的に表示できる(例:「この人は使えるサポートチケットがあと二つしかない」)。

Workatoは、エンタプライズのアプリケーション統合化を専門にしている企業だ。高価で複雑なエンタプライズワークフローや統合化のツールを使うのではなく、Workatoのやり方は技術知識のないユーザでも自分で統合化を作れるような、単純なプロセスを作り出す。その“レシピ”をまとめるやり方は、消費者向けのIFFTに似ている。

メッセージングツールの中でエンタプライズアプリケーションの統合化をトライするのは、同社のこれが初めてではない。Microsoft Outlookの中のメールとアプリケーションの統合化は、過去にいろんな企業がやっている。

さらに、今世紀の初めには、エンタプライズのインスタントメッセージングクライアントを仕事の中心に据える、という試みがあったが、実を結ばず短命に終わった。

またFacebookは消費者向けにMessengerの中で、同様のことをトライしている

Workatoは、HipChat用Workbotの非公開ベータを、発表している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。