Candeeが空間音響技術のクレプシードラと業務提携、立体的でリアルな音質の動画コンテンツをライブ配信

Candeeが空間音響技術のクレプシードラと業務提携、視聴環境に左右されにくいその場にいるかのような音質の動画コンテンツをライブ配信

ライブ配信や動画制作を中心にデジタルマーケティングを手がけるCandeeは7月19日、空間音響技術のイノベーターであるクレプシードラとの業務提携を発表した。これにより、視聴環境に左右されにくく、その場で聴いているかのような音質の動画コンテンツの提供・ライブ配信を実現する。両社は、検証用の動画コンテンツを複数制作し、今後はライブ配信やVR動画での検証・制作も行う予定。

2015年2月設立のCandeeは、「おいしい、共感をつくる。」をミッションに掲げ、設立以来3万5000本以上のライブ配信や動画制作について、企画から配信までワンストップで手がけてきた。その中で同社は、空間音響という、より人間の聴覚体験に近く、より立体的でリアルな音の再現が可能となる技術に着目し、同動画コンテンツやライブ配信での可能性について検討を重ねてきたそうだ。

2020年2月設立のクレプシードラは、独自の空間音響収録・再生技術およびAIなどを用いた新規開発技術(特許出願済み)により、圧倒的なクオリティの空間音響体験を提供するイノベーター。「Creativity for All. Create a Culture.」をミッションに掲げ、空間音響に関する高い技術力と専門性を通じて、新しい文化創造を追求している。同社の空間音響技術は、様々な現場で取り回しが良い独自マイクで録音が可能で、360度あらゆる方向からの音の到来や遠近感までも表現し、従来の2chステレオにはない空間を感じられる音響体験を提供可能という。

クレプシードラでは、空間音響の技術を生かし、企業・クリエイターとコンテンツを受け取るユーザーが一体となった新しいエンターテインメント文化の創出を目指していることから、両社の創造的な志向とニーズが一致し協業に至ったとしている。

動画制作・ライブ配信実績のあるCandeeと、クレプシードラの持つ人間の聴覚体験をリアルに再現する空間音響技術とが協業することで、動画・ライブ配信を通して、まるで自分がその場・その世界に居ると「錯覚」するような、ユーザー体験を視聴者に届けることを目標とし、実現するという。例えば、プロ野球のバッターボックスでホームランを打った時のバットの音や、実際にアーティストのライブをその場で視聴している音など、限られた人しか体験しえない主観の音を、動画・ライブ配信を通じ提供する。

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ライブビデオストリーミング会社LiveUの買収をPE大手Carlyleが正式に認める

米国時間7月19日にお伝えした、LiveU(ライブユー)の売却が間近に迫っているというニュースに続き、米国時間7月20日には同社とその買い手であるCarlyle(カーライル)がその取引を正式に認めた。LiveUは世界の約3000の主要メディアに採用されているライブストリーミング・ハードウェアおよびソフトウェアの大手開発会社である。

売り手は、2年前にLiveUを2億ドル(約219億円)で買収したFrancisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)で、Carlyleと同じプライベート・エクイティ(PE)企業だ。LiveUとCarlyleは、今回の売却条件を明らかにしていないが、有力な情報筋によれば、4億ドル(約438億円)以上だと伝えられている。Carlyleは、投資資金はCarlyle Europe Technology Partners(カーライルヨーロッパテクノロジーパートナーズ、CETP)IVによって提供されると発表している。同ファンドはヨーロッパと米国のミドルマーケットテクノロジーに焦点を当てて投資を行うファンドだ。LiveUはイスラエルに本社を置いているが、今回の買収はCarlyleにとってイスラエルでの初のハイテク企業買収となる。

LiveUの評価額が2年間で2倍になったのは、現在のメディアの状況を反映したものでもある。特に、動画はコンテンツや情報の消費の中心であり、その存在感は高まる一方だ。このため動画の撮影・送信方法を改善するツールを開発する企業が注目されているのだ。

またパンデミックも動画市場を活性化させた別の要素だ。LiveUは、今回の東京オリンピック大会の数千時間におよぶイベントの録画・配信に使用される予定だ。東京大会では、多くの重要なイベントが無観客で行われるため、これまで以上にライブビデオコンテンツへの依存度が高くなるだろう。

そのことはまた、LiveU自体が成長し、その地位を確固たるものにしていることにも由来している。最近では、同社は英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partners(ガーランド・パートナーズ)を買収し、同地域の顧客とより直接的な関係を築き、ビジネスを拡大しようとしている。

同社は、映像を撮影するカメラなどの機器だけでなく、それを送信するためのエンコード機器、そして素材を受け取って利用するハードウェアまでの、垂直統合型の提案を行う。

また、高品質な映像を撮影し伝送するために不可欠なデータ圧縮を行うソフトウェアを開発し、携帯電話や衛星などのさまざまなネットワークを組み合わせて動作させている。

要するにこれは非常に奥行きのあるシステムであり、部分的にも、全面的にも採用することが可能なのだ。そしてこの柔軟性と信頼性により、3000社を超えるメディア企業が顧客として名を連ねており、スポーツイベントや大規模なニュースイベントなどの注目度の高いイベントや、日常的なビデオ報道にも使用されている。

FranciscoはLiveUを資産として比較的早く手放したが、Carlyleはより戦略的な計画を持っているようだ。Carlyleは「メディアテック分野での深い経験を活かして、LiveUの成長への熱望を支援したい」と述べている。同社はすでにDisguise(ディスガイズ)、NEP、The Foundry(ザ・ファウンドリ)、Vubiquity(ビュービクイティ)、BTI Studios(BTIスタジオ)、The Mill(ザ・ミル)などの隣接業務企業に投資している。また、LiveUは、同社が連携プレーを継続するための役割を果たすようだ。

LiveUは声明の中で「Carlyleは、高品質なライブ映像配信の需要が急速に高まっていることを利用しつつ、M&A活動や有機的な成長を通じて、LiveUの市場での地位をさらに強固にすることを目指します」と述べている。同社によれば、5Gが広く普及することでその傾向が加速するという。

LiveUの共同創業者であるCEOのSamuel Wasserman(サミュエル・ワッサーマン)氏は「Carlyleと提携することで、LiveUのグローバルな事業展開とサービスの拡大を図ることが可能になり、大変うれしく思っています。今回の買収は、LiveUにとって重要な節目であり、当社の事業に対する強い信頼を示すものです」と述べている。「Carlyleは、メディアやテクノロジー分野での実績に加え、グローバルなネットワークを活用することで、業界の深い専門知識を提供してくれるでしょう。ここ数年のFrancisco PartnersとIGP Capitalのサポートとパートナーシップに大いに感謝しています」。

CETPのアドバイザリーチームの責任者であるMichael Wand(マイケル・ワンド)氏は「Carlyleは、急速に成長している革新的で破壊的なメディアテクノロジー企業に投資してきた実績を持っています。今回急速に成長している市場の最前線にいるLiveUと提携できることを本当にうれしく思っています」と述べている。「LiveUチームとのパートナーシップにより、新しい分野への進出、ターゲットを絞ったM&A、特にライブコンテンツの需要が急増しているライブスポーツに対する主要メディア放送局との関係強化などを通して、彼らの成長をサポートしていきます。高品質のリアルタイムビデオコンテンツへの移行が進んでいること、他の伝送技術と比較した場合のボンディングセルラー技術(複数の電話回線を束ねて伝送速度を上げる技術)のコスト面での優位性、セミプロやノンプロのスポーツなどのこれまで日の当たらなかった分野にライブ放送を導入する機会などは、LiveUに大きな成長の可能性を提供できると考えています」。

関連記事:PE大手Carlyleがライブ放送・ストリーミング技術のLiveUを438億円超で買収すると関係筋

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

ライブビデオストリーミング会社LiveUの買収をPE大手Carlyleが正式に認める

米国時間7月19日にお伝えした、LiveU(ライブユー)の売却が間近に迫っているというニュースに続き、米国時間7月20日には同社とその買い手であるCarlyle(カーライル)がその取引を正式に認めた。LiveUは世界の約3000の主要メディアに採用されているライブストリーミング・ハードウェアおよびソフトウェアの大手開発会社である。

売り手は、2年前にLiveUを2億ドル(約219億円)で買収したFrancisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)で、Carlyleと同じプライベート・エクイティ(PE)企業だ。LiveUとCarlyleは、今回の売却条件を明らかにしていないが、有力な情報筋によれば、4億ドル(約438億円)以上だと伝えられている。Carlyleは、投資資金はCarlyle Europe Technology Partners(カーライルヨーロッパテクノロジーパートナーズ、CETP)IVによって提供されると発表している。同ファンドはヨーロッパと米国のミドルマーケットテクノロジーに焦点を当てて投資を行うファンドだ。LiveUはイスラエルに本社を置いているが、今回の買収はCarlyleにとってイスラエルでの初のハイテク企業買収となる。

LiveUの評価額が2年間で2倍になったのは、現在のメディアの状況を反映したものでもある。特に、動画はコンテンツや情報の消費の中心であり、その存在感は高まる一方だ。このため動画の撮影・送信方法を改善するツールを開発する企業が注目されているのだ。

またパンデミックも動画市場を活性化させた別の要素だ。LiveUは、今回の東京オリンピック大会の数千時間におよぶイベントの録画・配信に使用される予定だ。東京大会では、多くの重要なイベントが無観客で行われるため、これまで以上にライブビデオコンテンツへの依存度が高くなるだろう。

そのことはまた、LiveU自体が成長し、その地位を確固たるものにしていることにも由来している。最近では、同社は英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partners(ガーランド・パートナーズ)を買収し、同地域の顧客とより直接的な関係を築き、ビジネスを拡大しようとしている。

同社は、映像を撮影するカメラなどの機器だけでなく、それを送信するためのエンコード機器、そして素材を受け取って利用するハードウェアまでの、垂直統合型の提案を行う。

また、高品質な映像を撮影し伝送するために不可欠なデータ圧縮を行うソフトウェアを開発し、携帯電話や衛星などのさまざまなネットワークを組み合わせて動作させている。

要するにこれは非常に奥行きのあるシステムであり、部分的にも、全面的にも採用することが可能なのだ。そしてこの柔軟性と信頼性により、3000社を超えるメディア企業が顧客として名を連ねており、スポーツイベントや大規模なニュースイベントなどの注目度の高いイベントや、日常的なビデオ報道にも使用されている。

FranciscoはLiveUを資産として比較的早く手放したが、Carlyleはより戦略的な計画を持っているようだ。Carlyleは「メディアテック分野での深い経験を活かして、LiveUの成長への熱望を支援したい」と述べている。同社はすでにDisguise(ディスガイズ)、NEP、The Foundry(ザ・ファウンドリ)、Vubiquity(ビュービクイティ)、BTI Studios(BTIスタジオ)、The Mill(ザ・ミル)などの隣接業務企業に投資している。また、LiveUは、同社が連携プレーを継続するための役割を果たすようだ。

LiveUは声明の中で「Carlyleは、高品質なライブ映像配信の需要が急速に高まっていることを利用しつつ、M&A活動や有機的な成長を通じて、LiveUの市場での地位をさらに強固にすることを目指します」と述べている。同社によれば、5Gが広く普及することでその傾向が加速するという。

LiveUの共同創業者であるCEOのSamuel Wasserman(サミュエル・ワッサーマン)氏は「Carlyleと提携することで、LiveUのグローバルな事業展開とサービスの拡大を図ることが可能になり、大変うれしく思っています。今回の買収は、LiveUにとって重要な節目であり、当社の事業に対する強い信頼を示すものです」と述べている。「Carlyleは、メディアやテクノロジー分野での実績に加え、グローバルなネットワークを活用することで、業界の深い専門知識を提供してくれるでしょう。ここ数年のFrancisco PartnersとIGP Capitalのサポートとパートナーシップに大いに感謝しています」。

CETPのアドバイザリーチームの責任者であるMichael Wand(マイケル・ワンド)氏は「Carlyleは、急速に成長している革新的で破壊的なメディアテクノロジー企業に投資してきた実績を持っています。今回急速に成長している市場の最前線にいるLiveUと提携できることを本当にうれしく思っています」と述べている。「LiveUチームとのパートナーシップにより、新しい分野への進出、ターゲットを絞ったM&A、特にライブコンテンツの需要が急増しているライブスポーツに対する主要メディア放送局との関係強化などを通して、彼らの成長をサポートしていきます。高品質のリアルタイムビデオコンテンツへの移行が進んでいること、他の伝送技術と比較した場合のボンディングセルラー技術(複数の電話回線を束ねて伝送速度を上げる技術)のコスト面での優位性、セミプロやノンプロのスポーツなどのこれまで日の当たらなかった分野にライブ放送を導入する機会などは、LiveUに大きな成長の可能性を提供できると考えています」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

PE大手Carlyleがライブ放送・ストリーミング技術のLiveUを438億円超で買収すると関係筋

コンテンツに関してはストリーミングが何より肝心になってきている中、世界中のどこからでもライブ配信できる技術を開発している企業の1つが買収されることになった。LiveU(ライブユー)は、ライブ中継やブロードキャスト映像をキャプチャして配信するための衛星 / セルラーハードウェアおよびソフトウェアを提供しており、3000以上の大手メディア企業に採用されているが、プライベートエクイティ投資会社であるCarlyle(カーライル)に4億ドル(約438億円)以上で買収されることになったと、複数の関係筋がTechCrunchに語った。

LiveUはイスラエルに拠点を置いており、取引は地元メディアによって進んでいると報じられていた。TechCrunchの情報筋によると、この買収はクロージングの最終段階に入っており、早ければ米国時間7月19日か20日にも発表される可能性があるとのこと。LiveUの広報担当者はこの記事へのコメントを控えており、Carlyleの広報担当者からはコメントを得られなかった。

注目すべき点は、ここ2年の間にLiveUが買収されるのは2度目だということだ。同社は以前、Francisco Partnersという別のPE企業に2億ドル(約219億円)で買収されている。

25カ月で2倍以上になった評価額の急上昇は、動画コンテンツへの関心が大きく高まっていることが一因だ。

少し前までは、テレビの限られたチャンネルでしかライブビデオを観ることはできなかった。それが今では、ライブやそれに近いもの、あるいはオンデマンドの動画が、あらゆる場所で観られる。オンデマンドやライブストリーミングの映像は、アプリ(放送専用のもの、またはYouTubeやFacebookなど他のコンテンツと一緒に提供されるもの)やウェブサイトで観ることができ、テレビだけでなく、スマホやタブレット、PCでも観ることが可能だ。今日では、人々に情報を提供したり楽しませたりするための主要なメディアとなっており、IPトラフィック全体の80%以上を占めている。

そのため、映像を撮影して配信するプロセスを、より簡単に、より安く、より高い品質で実現する技術を開発している企業が注目されるのは当然のことだ。(LiveUは、テニス選手権からDerek Chauvin〔デレク・ショーヴィン〕被告の裁判まで、多くの注目を集める報道に使用されている)。

もう1つの理由は、LiveUが買収によって規模を拡大したことにあるようだ。2021年初め、LiveUは英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partnersを非公開で買収し、同地域の顧客に近づくことに成功した。ある情報筋によると、この統合により、LiveUが買収されるための道筋ができ、その評価も上がったとのことだ。

Carlyleと同時期に他の買い手がいたかどうかは定かでないが、Carlyleは2020年、かなり積極的に買収やグロースステージ投資を行っている。2020年は、新型コロナウイルスのパンデミックとそれにともなう消費者や企業の行動の変化を受けて、資金の動きが激しい年だった。

同社の欧州(特に英国)における他の買収事例としては、英国のハイブリッドワークスタートアップである1eを2億7000万ドル(約295億円)で買収した他、ゲーム会社のJagexを約5億3000万ドル(約580億円)で買収した。また、韓国のMaaSスタートアップであるKakao Mobilityへの2億ドル(約219億円)の出資も行っている。今回のLiveUは、イスラエルでの最初の案件になると思われる。

イスラエルは、こうした活動の大きな恩恵を受けている。テルアビブを拠点とするベテラン投資銀行家でスタートアップアドバイザーでもあるAvihai Michaeli(アビハイ・ミカエリ)氏は、2021年の最初の6カ月間に同国内のスタートアップがまとめて110億ドル(約1兆2039億円)を調達したと見積もっており、それは7月19日の時点ですでに120億ドル(約1兆3133億円)にまで拡大している。PE企業は常連客であり、イスラエルでのエグジットに関しては「内部から改善して、さらに高い価値で売却する」というのが常套手段だという。他の例としては、Francisco Partnersが2021年2月にMyHeritageを約6億ドル(約657億円)で買収している。

さらなる情報が得られれば、この記事を更新する。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

StreamlabsがTwitchクリップをTikTok / Instagram / YouTubeに共有できる新ツール「Crossclip」を発表

今やユビキタスなライブストリーミングソフトウェアとなったStreamlabsの開発元が、ストリーマーがゲームのハイライトをTwitch(ツイッチ)以外のプラットフォームで共有するための新しい方法を発表した。Streamlabsは、この新しいツールを「Crossclip」と名付け、現在、iOSアプリと軽量のウェブツールとして提供している。

Crossclipを使えば、クリエイターはTwitchのクリップを、TikTok(ティックトック)、Instagram リール、YouTube ショート、Facebook(フェイスブック)ビデオに適したフォーマットに簡単に変換することができる。クリップのURLを入力し、出力フォーマット(ランドスケープ、バーチカル、スクエア)とあらかじめ用意されたレイアウトを選択するだけで、Twitchから共有したいスニペットを簡単に適応させることができる。

Crossclipでは、クリップの長さをクロップしたり、背景の一部をぼかしたり、フレームをさまざまな場所に配置するレイアウトを選択することができる(例えば、フェイスカムビューとストリームビューを一緒に並べて縦向きに表示するなど)。

Crossclipのコア機能は無料だが、プレミアムサブスクリプション版(月額4.99ドル / 年間49.99ドル、月額約550円 / 年間約5500円)を購入すると、ブランドロゴのウォーターマークが取り除かれ、1080P・60fpsでのエクスポート、より大容量のアップロード、レイヤーの追加が可能になり、編集内容が処理キューの先頭にプッシュされる。

Twitchで発見されるのは難しい。確立されたストリーマーは簡単にオーディエンスを増やすことができるが、スタートしたばかりのユーザーは、数少ない視聴者がたまに挨拶に来るだけの孤独な「Stardew Valley(スターデューバレー)」のセッションを何度も延々と続けなければならない。Crossclipのアイデアは、このプロセスの苦労を減らすよう、ストリーマーがサブコミュニティやタグなど、コンテンツを発見しやすい機能がより充実している他のソーシャルネットワークでオーディエンスを構築しやすくすることだ。

Streamlabsの製品責任者であるAshray Urs(アシュレイ・ウルス)氏は、TechCrunchにこう語った。「クリエイターにとって、自分のコンテンツをより発見しやすくすることは大きなメリットです。最も人気のあるTwitchストリーマーを考えてみると、彼らは非常に人気のあるYouTubeチャンネルを持ち、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、TikTokに積極的に投稿していることに気づくでしょう。さまざまなプラットフォームでコンテンツを共有し、オーディエンスを構築していなければ、自分の状況をより難しくしていることになります」。

ウルス氏は、TikTokのアルゴリズムによるディスカバリー機能を利用して視聴者を増やすクリエイターが増えていると指摘している。TikTokが最近追加した3分間のより長い動画フォーマットは、ゲーマーやTwitchストリーマーなど、TikTokの活用に興味を持つさまざまなクリエイターにとって有益なものだ。

既存のオーディエンスを持つユーザーにとってもCrossclipは使いやすく、ゲームのハイライトやJust Chattingクリップを、フォロワーを増やしたい場所で簡単に共有することができる。平均的なクリップの変換には2~3分かかり、ワンクリックで簡単に処理できる。似たような機能を持つツールはいくつかあり、独立系ウェブツールであるStreamLadderが最も有名だが、Streamlabsは同じアイデアをさらに改良し、モバイルアプリを追加している。

現在はLogitech(ロジテック、日本法人はロジクール)の傘下にあるStreamlabsは、ここ数カ月でいくつかの便利な製品をリリースしている。同社は2021年2月には、チップ機能を組み込めるリンクインバイオ(link in bio)ツール「Willow」を発表した。Streamlabsは2021年5月、あらゆる種類のゲームコンテンツの新興ハブとなったTikTokとの関係を深め、中核となるライブストリーミングプラットフォームStreamlabs OBSにTikTokでの「ライブ配信開始」機能を追加した。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

ネットを介して番組や映画を「一緒に視聴」するアプリ開発スタートアップに投資家も注目

2020年の新型コロナウイルスが流行した際には「Netflix Party(ネットフリックス・パーティ)」という無料のブラウザ拡張機能が人気を博した。これを使えば、自宅に閉じ込められた人々が、遠く離れた友人や家族とつながって、同じNetflixの番組や映画を同時に視聴できる。さらに画面右側のチャットで、一緒に見ている動画について語り合うこともできる。

後にTeleparty(テレパーティ)と改名したこの会社はまだ創業したばかりだが、他にシード資金を調達した2つの若い会社と競合している。1社はロンドンで2020年12月に設立された新興企業で、7月初めにCraft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)の主導でラウンドを終えたばかりだ。もう1社はベイエリアに拠点を置く創業4年目の会社で、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)を含む未公開のシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達している。

多くの投資家がバーチャルイベントや教育テック企業資金を提供しており、人々がオンライン上でより多くのことを一緒に行えるような、一種のマルチプレイヤーブラウジング体験を開発することには、まだ大きなチャンスがあると、両社は考えている。スポーツ観戦や映画鑑賞はもちろん、将来的には医師と一緒にレントゲン写真を見ることさえ可能になるかもしれない。両社は、特に若いユーザーにとって、誰かと一緒にウェブサーフィンをする機会が増えることは必然だと述べている。

両社のアプローチはやや異なっている。Craft Venturesが見込んで220万ドル(約2億4200万円)のシードラウンドを行ったGiggl(ギグル)は、2020年創業したロンドンを拠点とするスタートアップで、ウェブアプリによってユーザーをバーチャルセッションに招待する。これらのセッションは「ポータル」と呼ばれ、ユーザーは友人を招待して一緒にコンテンツを閲覧したり、テキストチャットや音声通話をすることができる。ポータルは、友人のみで集まるプライベートな部屋にすることも、誰でも参加できるように「パブリック」に設定することも可能だ。

Gigglは、19歳のCPO(最高製品責任者)であるTony Zog(トニー・ゾグ)氏を含む、一緒に育った4人のティーンエイジャーによって設立された。最近LAUNCH(ローンチ)アクセラレータープログラムを卒業したばかりだが、すでに約2万人のユーザーが毎月アクティブにサービスを利用しており、ダウンタイムを最小限に抑え、コストを削減するために、独自のカスタムサーバーを用いたインフラを構築し始めている。

同社のさらに大きなアイデアは、あらゆる種類の状況に対応できるプラットフォームを構築し、それらに応じて課金することだ。例えば、ウェブサーフィンをしているときや、Apple Worldwide Developers Conference(アップル世界開発者会議)のようなイベントを一緒に見ているときには無料でチャットできるが、さらにプレミアムな機能を有料で提供したり、コラボレーションの方法を模索している企業にはサブスクリプション販売することも計画している(Gigglが現在提供しているサービスのデモは下の動画で見ることができる)。

Hearo.live(ヒアロ・ライブ)は、500 Startupsや多数のエンジェル投資家に支援された、もう1つの「マルチプレイヤー」スタートアップだ。この会社は、Sony Worldwide Studios(ソニー・ワールドワイド・スタジオ)で13年間エンジニアリングディレクターを務め、一時期はElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)の一部門でCTOを務めていたこともあるNed Lerner(ネッド・ラーナー)氏が発案した。

Hearoは、Gigglのようにユーザーが何でも一緒に見ることができるわけではない。そういう意味ではより狭い戦略をとっている。その代わり、ユーザーはNBC Sports(NBCスポーツ)からYouTube(ユーチューブ)、Disney+(ディズニー・プラス)など、米国で見られる35以上の放送サービスにアクセスでき、すべてのユーザーが同じオリジナルのビデオ品質で視聴できるように、データの同期化が行われている。

Hearoはサウンドにも力を入れており、例えばユーザーたちがバスケットボールのプレーオフを一緒に見ながらコメントする場合など、複数のオーディオストリームが同時に生成される際に、参加者全員がノイズの多いフィードバックループに見舞われることがないように対策も講じている。

実際に、Hearoの小さなチームが開発したエコーキャンセラーなどの「特別なオーディオトリック」によって、ユーザーは「ノイズやその他のものに邪魔されることなく」体験を楽しむことができると、ラーナー氏はいう。なお、ラーナー氏は「Clubhouse(クラブハウス)にできることは、ほとんどすべて私たちにもできます」と語っている。「ただ、正直に言って、人が単に座って話しているだけなんて、大したことだとは思わなかったので、ご覧のように他のことに力を入れているのです」。

Gigglと同様に、Hearoとラーナー氏はサブスクリプションモデルを想定している。また、最終的にはスポーツ放送局と広告収入を分け合えるようになることを見越しており、そのためにEuropean Broadcasting Union(欧州放送連合)とすでに協力しているという。Gigglと同様、Hearoのユーザー数は、iOS、Android、Windows、macOS用のアプリのこれまでのダウンロード数が30万件、月間アクティブユーザー数が6万人と、一般的な基準からすると控えめな数字に留まっている。

このことは「オンラインで一緒に見る」ことが、果たして大きな商機になるのかという疑問を投げかけている。そしてその答えは、HearoとGigglが注目に値する技術を持ち、収益を上げる道筋を用意していても、まだ明確にはなっていないようだ。

「一緒に視聴」体験に注力しているのは、これらのスタートアップ企業が最初というわけではない。シリアルアントレプレナーのRichard Wolpert(リチャード・ウォルパート)氏が設立したアプリ「Scener(シーンナー)」は、200万人のアクティブな登録ユーザーを擁し「すべてのスタジオと最良かつ最も活発な関係を築いている」と述べている。しかし、このアプリは自らをバーチャル映画館として販売しており、その使用目的は少々異なる。

2013年に創業したRabbit(ラビット)は、人々が同じコンテンツを同時に見たり、テキストチャットやビデオチャットをすることを可能にした。Gigglが構築しているものに近いと言えるだろう。しかし、Rabbitは結局、暗礁に乗り上げてしまった。

ラーナー氏によると、Rabbitは他人の著作物をスクリーン共有していたため、同社のサービスに対する料金を請求することができなかったからだという(基本的には「個人的な金銭的利益のためでなければ、ある程度の海賊行為は許される」とラーナー氏は述べている)。しかし、新型コロナウイルスの流行が遠のき、人々が物理的な世界により積極的に関わるようになった今、このようなサービスに大きな需要があるだろうかと疑問に思うのは当然だろう。

しかし、他の人はいざしらず、ラーナー氏は心配していないようだ。同氏は、他の場所よりも携帯電話で動画を視聴する方がはるかに快適だと感じている世代がいることを指摘する。また、画面を見ている時間が「孤立したもの」になっていることに言及し、いずれは、それが「仲間と一緒に過ごす理想的な時間」、つまり一緒のソファでゲームを見るようなものになると予測している。

その予測には根拠となる前例がある。「この20年の間に、ゲームはシングルプレイヤーからマルチプレイヤーになり、ゲームの中にボイスチャットが登場して、人々が実際に集うようになりました」と、ラーナー氏はいう。「モバイルはどこにでもあり、ソーシャルは楽しいものです。同じことが、他のメディアビジネスにも起こると我々は考えています」。

Gigglのゾグ氏は、このトレンドが彼の会社にも有利に働くと考えている。「コロナ禍が終息すれば、人々がより頻繁に会うようになることは明らかです」と、同氏はいう。しかし、現実の世界における交際は、インターネット上の至るところですでに行われているオンライン交際の「代用にはならない」と考えている。

さらに、Gigglは「オンラインで一緒の時間を過ごすことが、現実の生活で一緒にいるのと同じくらい良いことだと思えるようにしたい」と考えていると、ゾグ氏は付け加えた。「それがGigglにおける最終的な目標です」。

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画像クレジット:Pavlo Conchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初期YouTubeも支えたオンラインビデオプラットフォームの老舗JW Playerは今もビジネスの最前線にいる

JW Playerは、オンラインビデオテクノロジー市場の草分け的存在である。YouTubeの最初のビデオプレイヤーを、Googleが同社を買収して自前のものを築き上げるより以前に支えていた会社だ。一から技術を構築することなく、またビデオやその視聴を通して生成される顧客データから利益を得る可能性のある企業に頼ることなく、ビデオを自社のオンラインエクスペリエンスに取り込みたいパブリッシャーなどに向けて、1対多のビデオストリーミングツールを提供している。このビジネスモデルを通じて、長期にわたって利益を生み出してきた。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるオンラインビデオの需要の高まりを背景に、この1年で力強い成長を遂げた同社が、このほど1億ドル(約110億円)という大規模な資金調達ラウンドを発表した。

資金はLLR Partnersという単一の投資家によるものだ。JW Playerの評価額は公開されていないが、10億ドル(約1100億円)にはまだ達していないものの、急速に近づいていることは間違いなさそうだ。同社はこの業界では比較的控えめな存在であるにもかかわらず、大幅な成長を記録しようとしている。

JW PlayerのCEOで共同創業者のDave Otten(デイブ・オッテン)氏(同社の名前は初期の技術を開発したもう1人の共同創業者Jeroen Wijering[イェルーン・ウィジェリング]氏に由来する)は、TechCrunchのインタビューに対して、同社のビデオストリーミングのトラフィックは2020年の1年間で200%近く上昇し、ライブストリーミングは400%増加したと語った。

現在、JW Playerを利用してビデオを配信しているアプリケーションやサイトは60万以上あり、そのうち約1万人がプレミアムユーザーだ。残りは無料でソフトウェアを使用している層であるとオッテン氏は説明する。

これはJW Playerが長年にわたり収益性を維持してきたバランスとして申し分ないものだと同氏は語っている。同社のツールを利用する顧客には、Sesame Street、TIME、Hearst、Insider、IMDb、Chelsea Football Clubなどが含まれる。

画像クレジット:YouTube

JWがYouTubeに力を入れていた初期の頃(上のスクリーンショット)からかなり時間が経っているが、先行企業が後になってイノベーションを起こすのは遅きに失する例が多いのとは対照的に、JWは、自社がビデオの先行企業であったという事実が今後の展開の予測に遅れをとることを意味するものではないと期待している。

JW Playerの現在の製品課題は、顧客の課題である収益化を反映するものだ。

多くの企業が自社のコンテンツにペイウォールを作り始めているが、ビデオカタログにも同様のことをしようと模索しており、JW Playerはそのパートナーになることを望んでいる。そのためのオファリングとして、サブスクリプションサービスへのさらなる投資に加えて、ビデオをパーソナライズするための、そしてビデオ利用に関する膨大なデータを蓄積し、収集を続けることで広告機会を提供するための新しいツールセットに力を注いでいる。

JW Playerは、後者のビジネスにおいて強力なカードを手にしている。JW Playerの無料バージョンを使用する人々は、ビデオがどのように見られているかについての多くのインサイトを同社が収集するのに貢献しており、同社に「対価」をもたらしている。

同社が今後一層注力していくことになるもう1つの分野は、ライブビデオとオンデマンドビデオだ。2021年5月には、これらの分野のスペシャリストで、英国に拠点を置くVualtoを買収した。VualtoはDRMソリューションの開発も手がけており、すでにJW Playerのプラットフォームに統合されている。

オンラインの全トラフィックのうち、ビデオが占める割合は実に80%に達しており、人々は概して1日2時間以上ビデオを見ていることになる。その一部は、YouTubeやFacebook、Instagram、TikTok、Snapchatなどのビッグプラットフォームに必然的に流れることになるだろうが、JWのような企業の助けを借りながら、他の企業がその中で自分たちのスペースを開拓する大きな機会は残されている。

LLR PartnersのパートナーであるDavid Reuter(デイビッド・ロイター)氏は声明の中で次のように述べている。「JW Playerは、創業者であるイェルーン・ウィジェリング氏が2008年にYouTubeのオリジナルビデオプレイヤーを作成して以来、デジタルビデオのイノベーションの最前線に位置してきました。現在では、デジタルビデオエコシステムにおいて、テクノロジー、広告、データ分析に関する最も包括的なプラットフォームを提供しています。同社はそのプラットフォームを拡張し、数々のブランドがビデオのホスティング、ストリーミング、収益化を行う方法を継続的に向上させています。私たちは、このようなJW Playerのチームと提携するのを楽しみにしています」。

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タグ:JW Player動画動画配信資金調達サブスクリプション

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

韓国裁判所がNetflixに不利な判決、ISPによるストリーミングサービスへの帯域幅使用料徴収の道をひらく

韓国での裁判はNetflix(ネットフリックス)の敗北、同国ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の勝利となった。ISPはトラフィックを食い尽くすストリーミングプラットフォームから帯域幅使用料金を徴収する権利を得た。判決は控訴される可能性が高い。なぜなら事実上これは、市場の爆発的な伸びにあわせ新世代のストリーミングサービスにISPとの価格交渉を強いるものだからだ。

Korean Economic Dailyの報道によると、裁判所の決定は「自分たちで解決せよ」とする公式見解ほど規範的なものではない。しかしストリーミングサービスを彼らが数年来戦ってきた特別な帯域幅使用料から保護するものでもなかった。

2020年にNetflixは、ISPであるSK Broadband(SKブロードバンド)に同プラットフォームが使用する帯域幅の使用料を要求する権利はないと主張する裁判を起こした。2014年前後に勃発した訴訟と同様の内容だ。

当時ISP各社は、ストリーミング・サービスは法外な量の帯域幅を消費しているので、提供側コストを補償する支払いをすべきだと主張した。一方ストリーミングサービス側は、自分たちはすでに帯域幅の利用料金を払っているユーザーの要求を満たしているだけであり、ISPは同じものに課金して「二重稼ぎ」しようとしていると反論した。

厳密には現実はもう少し複雑であり、結局Netflixは、膨大なデータを高速で安定して配信するために必要なインフラストラクチャーを維持するための相互接続費用なるものを払うことになった。Netflixはこれを「高速レーン」税のようなものだと述べたが、その後の説明はなく同社はそれを事業運営のコストとして計上したと見られる。

Netflix広報担当者は、SKが要求していた料金は、世界中どこのISPとの契約にも見られないものだったとTechCrunchに説明した。同社は過去に相互接続その他の費用を払ってきたが、現在はブロードバンド・ロバイダー各社と別の方法を検討中であり、コンテンツ配信を高速化するローカル・キャッシング・インフラストラクチャーを構築することでISPの通行料を回避しようとしていると広報担当者は言った。NeftlixはSKの要求について、何人のユーザーや何テラバイトのトラフィックに対して何ドル / 何ウォン支払うなどの詳細は明らかにしなかった。

「現在裁判所の見解を慎重に検討しているところです。当社は今後も引き続き、SK Broadbandと協力して共通の顧客にサービスを提供し、私たちのOpen Connectサーバーに投資していきます」とNetflixが声明で語った。

韓国では他国と比べてこの問題が解決しておらず、爆発的に成長していることから、ストリーミングサービスは自分たちの成功に比例した料金を払わないことを望んでいるものと思われる。その結果がこの訴訟だ。しかし、裁判所の最新の決定はボールを相手コートに返し「手数料を払うかどうかは両当事者間による交渉で決める必要がある」とした。

これはブロードバンドプロバイダーにとって朗報だ。なぜなら交渉結果が何であれ、これまでのゼロよりは大きいからだ。どういった種類の金額を要求可能なのかは完全な謎である。なぜなら業界の変化があまりにも速いからだ。そしてこの判決は世界最大級の企業(貪欲な韓国市場で大儲けしている)にとって不利であることから、再燃することはほぼ間違いないだろう。一方この国の消費者にとってはストリーミングの価格が上がる可能性が高い。消費者の反発を引き起こす実証済みの方法だ。

この問題は米国その他の地域でも解決にはほど遠く、民主党主導となったFCC(連邦通信委員会)の下、強力なネット中立性ルールの新たな後押しがあるかもしれない。Netflixは当初のネット中立性推進の議論の中でこの種の料金を違法であると主張したが、最終的にその考えを捨てた(後日ルールが撤廃さればそもそも意味がなくなる)。ISPが何を課金できて何を課金できないか誰が払うべきかの議論は今なお全世界で進行中だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:韓国Netflix動画配信ISP裁判

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

五輪前に米サービス「YouTube TV」が月額約2200円のアップグレード発表、4K対応とオフライン視聴を可能に

東京でのオリンピック開催まで1カ月を切った今、YouTube TVなどのコードカットサービスは、夏のスポーツ観戦を目的とした新規加入者を獲得しようとしていいる。しかし、Simone Biles(シモーネ・バイルズ)選手が重力に逆らう姿を見たいかどうかにかかわらず、YouTube TVの最新のアップグレードではオーディオとビデオの改良によりプロダクトが強化された。

米国時間6月28日、YouTube TVは、オフラインでのダウンロード、5.1ドルビーオーディオ、およびスポーツのライブ視聴を容易にする機能を備えた「4K Plus」アドオンパッケージを発表した。同社はこれらの機能を2021年2月に予告していた

YouTube TVはすでに高価なストリーミングサービスの1つで、月額64.99ドル(約7190円)であることを考えると、ケーブルTVの代わりにYouTubeを選択しても、あまり節約にはならないかもしれない。Hulu + Live TVは同価格だが、Disney+とESPN+を加えるアドオンオプションがあり、そうすると合計で月額72.99ドル(約8070円)になる。しかしこれからは、YouTube TVで映像の質(と毎月の請求書)をワンランクアップさせたい場合、月額19.99ドル(約2210円)の追加料金で4Kストリーミングを有効にできるようになり、月額の合計は84.98ドル(約9400円)になる。

また「4K Plus」アドオンパッケージでは、DVRで番組をダウンロードしてオフライン視聴することが可能になる。現在、月額64.99ドル(約7190円)のスタンダードパッケージではそれができない。サブスクライバーはこのパッケージを1カ月間無料で試すことができ、その後1年間は月額9.99ドル(約1100円)、そしてその後19.99ドル(約2210円)に値上げされる。これは、YouTube TVが何年にもわたって継続的に行ってきた価格の引き上げとほぼ同様だ。

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一方、5.1ドルビーオーディオ機能はすべてのYouTube TVメンバーに無料で提供される。この機能は、ユーザーからの「最大の要望」の1つだったと、同社はブログで述べている。今後数週間のうちに、これらのサラウンドサウンドオーディオ機能は一部のデバイスに導入される予定だ。

また、スポーツ番組のアップグレードも追加料金はかからない。その中の新機能では、DVR録画を見ているときやライブで追いつこうとしているときに、キープレーや特定のハイライトシーンにジャンプすることが可能になる。これにより、1時間遅れで視聴し始めた場合でも、試合中の重要な場面を見て、それからすかさずライブに切り替えることができる。また、YouTube TVでは特定のスポーツを検索してDVRに追加することができ、保存容量に制限はない。例えば、シモーン・バイルス選手の床運動を絶対に見逃したくないという場合にも、情報を逃さないようにすることが容易になる。また、五輪期間中はアプリ内で各国のメダル数を確認することもできる。

オリンピックが近づくにつれ、他のコードカットサービスもライブスポーツの提供を強化することが予想される。月額9.99ドル(約1100円)の「Paramount+ Premium」プランでは、サッカーの国際試合を幅広く配信しているが、オリンピックについての情報はまだない。それでも、このサービスはYouTube TVよりもはるかに安価で、すでに4K、HDR、Dolby Visionを提供している。YouTube TVは2020年10月時点で300万人の加入者がいたが、2021年第1四半期のアップデートは行っていない。Huluは2021年3月時点で、オリンピックも放送する予定の「Live TV」サービスに410万人の加入者がいた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube TV動画配信サブスクリプション

画像クレジット:YouTube TV

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

新たなテックに懐疑的なFTCがアマゾンのMGM買収を審査するとの報道

Amazon(アマゾン)によるMGMの買収は、Amazonに対する批判で有名なLina Khan(リナ・カーン)氏が新たに委員長となったFTC(米連邦取引委員会)の精査を通過しなければならないとThe Wall Street Journalが報じた。84億5000万ドル(約9300億円)の合併は止められそうにないが、今回のような買収で複数の業界を統合する巨大企業に対するアプローチを、FTCがどのように見直すかを示す初期の指標になるかもしれない。

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この買収案は2021年5月に発表された。MGMの4000本の映画と1万7000本の番組がAmazonのライブラリーに加わることは、プライム・ビデオにとって強力な加勢となりそうだ。プライム・ビデオは、Amazonの店先と同様、顧客がオンデマンドメディアを利用する際のデフォルトの手段となることを目指している。

権利が持ち札を変え、企業が戦術を変えると、ストリーミングを取り巻く状況も刻々と変化する。Netflix(ネットフリックス)がオリジナルコンテンツに注力し(Amazonも負けてはいない)、Disney(ディズニー)が独自の定番作品を持つ中で、他の企業は番組や映画のコレクションをバラバラに入手し始め、それがストリーミング業界における収益性の高いロングテールを形成している。

しかし、規制当局の間では、MGMのようなコンテンツ会社がAmazonのようなプラットフォームに所有されるべきかどうかという正当な疑問がある。映画やテレビの独立したプロデューサーであるMGMは、独自のライセンス契約を結ぶことができ、同種の企業と直接競合することができる。しかし、Amazonの子会社になると、おそらくかなりの部分で小売・ウェブの大手企業の社内制作会社になり、製品の良し悪しによってではなく、複数の業界にまたがる帝国の一部として競争に臨むことになる。

先に任命されたばかりのFTC委員長リナ・カーン氏は、後者のビジネスモデルを先頭に立って批判してきた人物だ。同氏の有名な論文「Amazonの独占禁止の逆説」によると、Amazonは、ウェブホスティングにおけるAWSのようなある業界での優位性を利用して、まだ始まったばかりの配送サービスのようなあまり成功していない他の部門を補強していると主張している。前者の支えがなければ後者が失敗してしまうのであれば、Amazonは市場支配力によって可能となる反競争的行為を行っている可能性がある、というのが(大まかな)主張だ。

そうした市場での力と行為が異なる分野に存在するために、最近の反トラスト法の教義の下では(消費者にとって価格が上昇しない限り)Amazonに言い訳の余地があったが、カーン氏はこの論文でその教義に挑戦することを目指した。そして今、国内で最も強力な規制当局の1つとして、同氏はその形を直接変える機会を与えられている。

このような大規模な取引は常に連邦当局が審査するが、今回はFTCが担当すると言われている。おそらくFTCが別件でAmazonに対する反トラスト調査の役割をすでに担っているからだ。FTCはまた長年にわたって何度も揉めてきたFacebook(フェイスブック)も担当しており、FTCの執行パートナーである司法省はGoogle(グーグル)とApple(アップル)の調査を担当している。FTCはコメントを控え、調査の有無については明らかにしないとしている。

今回のケースでは、AmazonによるMGMの買収が阻止される可能性は低いと思わる。この分野では実際に競争が行われており、MGMは独自の道を歩むことができていないため、売却はほぼ避けられないだろう。しかし、それでも審査は行われ、FTCがこの種の合併に対するアプローチをどのように変えるのかが明らかになると思われる。

今回の取引が軽いタッチで承認されたとしても、新しい教義が適用される機会となることは十分に考えられる。例えば、表向きは無関係な市場におけるAmazonの独占的な地位が、これまでのFTCの監督下においてよりも大きな役割を果たすことになるかもしれない。これは、今後のより包括的で積極的な審査の舞台となるかもしれない。また、カーン委員長が明確な可能性として述べているように、過去に承認された合併をひっくり返すことになるかもしれない。

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タグ:AmazonMGMFTC買収動画配信

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

スピルバーグ監督の映画会社AmblinがNetflixと契約、年間複数の新作映画を制作・配信へ

180度転換したかのような動きで、Steven Spielberg(スティーブン・スピルバーグ)監督が長年率いる映画製作会社Amblin Partners(アンブリン・パートナーズ)は、Netflix(ネットフリックス)向けに年に数本の新作映画を製作する契約を結んだと発表した。この契約はNetflixの躍進を反映したものであり、議論の余地はあるかもしれないが、伝説的な映画監督が、家庭での視聴を第一級市民とする映画界の新秩序を受け入れたことを意味する。

今回の契約はプレスリリースで発表されたが、AmblinとNetflixの幹部が語った社交辞令以外の詳細は明らかにされなかった。確かなことは、AmblinがNetflix向けに「年間複数の新作長編映画」を制作するということだけだ。

スピルバーグ監督はプレスリリースの中で「テッド(Netflixの共同CEO兼コンテンツ最高責任者であるTed Sarandos、テッド・サランドス氏)と私がパートナーシップについて話し合い始めた時から、新たな物語を新たな方法で観客に届けるすばらしい機会だということがはっきりしていました」と述べている。

数年前、Netflix作品をアカデミー賞から除外することを推し進めていると報じられたスピルバーグ氏にとって、それらの新たな方法はそれほどすばらしいものではなかった。

「テレビフォーマットにコミットした途端、テレビ映画になってしまう」と同氏は2019年3月にITVに語っている。「私は、いくつかの劇場で1週間に満たない期間(上映され)、形だけの資格を与えられた映画が、アカデミー賞のノミネート資格を得るべきではないと考えています」とも。

しかし、最終的にはその意見を推すことはなかった。スピルバーグ監督は誤解されていたのか、考えを変えたのか、あるいは空気を読んだのか、その後、自分の立場を改めた。彼はむしろ「劇場体験」を大切にし、守りたいのだと語っているが、これは現代のブロックバスターの先駆者の1人として理解できる。

Netflixにとっては、スピルバーグ作品を得られるという保証はないが、Amblinの作品を安定的に入手できるという点で当然ながら大きなメリットがある。一方のAmblinは、より伝統的な映画製作と配給を担うUniversal(ユニバーサル)との長年のパートナーシップを継続していくとのこと。Amblinは以前にもNetflixなどのストリーミングサービス向けに番組や映画を制作・配信しているが、今回の提携はこれまでで最も重要なものだ。

おそらくスピルバーグ監督とAmblinに、ストリーミングプラットフォームは消滅するどころかさまざまな意味で業界の未来であることを示唆したのは、新型コロナだったのではないだろうか。「劇場体験」が潜在的なスーパースプレッダーイベントであり、人々が自宅で「プレミア」を見る(そしてそのためにお金を払う)ことに完全に満足している世界では、柔軟に対応して物事が立ち直ることを願った方がいいのかもしれない。

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タグ:NetflixSteven Spielberg映画Amblin Partners動画配信

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Aya Nakazato)

ネットフリックスが実写版「カウボーイビバップ」今秋配信、音楽担当はTVアニメ版と同じ菅野よう子氏

ネットフリックスが実写版「カウボーイビバップ」今秋配信、音楽担当はTVアニメ版と同じ菅野よう子氏

©サンライズ

Netflixが、現在開催中のオンラインイベントGeeked Weekで、実写版『カウボーイビバップ』を今秋に配信することを明らかにしました。また音楽を担当するのはTVアニメ版とおなじ菅野よう子氏であることも明かされています。

Netflix版『カウボーイビバップ』は2018年に製作が発表されたものの、主人公スパイク役のジョン・チョーの負傷によって撮影が中断、その後新型コロナウィルスのパンデミックでさらに制作が遅れる状況になっていました。

ただ、撮影地のニュージーランドは感染対策のため厳しい出入国制限をしつつもいくつかの映画・TVドラマ撮影クルーの入国を許可し、今年3月には無事に撮影が完了したことはお伝えしたとおり。その後2か月ほどを経て、やっと具体的な配信時期が見えてきたことになります。

またNetflixはこの番組のサウンドトラックに菅野よう子氏を起用したことも明らかにしました。Netflixは菅野よう子氏が「Netflixの実写版のためにオリジナルの音楽を制作します」と述べており、今作でもTVアニメ版の印象的な楽曲だけでなく新しいトラックで我々を楽しませてくれることになりそうです。

(Source:NetflixEngadget日本版より転載)

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タグ:エンターテインメント(用語)動画配信(用語)Netflix / ネットフリックス(企業・サービス)

Paramount+が月額約550円の廉価サブスクを間もなく開始、オンデマンド競争が激化

記憶すべきiCarlyロボットを観るのに月9.99ドル(約1100円)も払いたくないなら、そうしなくてもよくなる。Paramount+は、広告が入る月4.99ドル(約550円)のエッセンシャルプランの提供を米国時間6月7日に開始する。

若干安いこのプランはこちらもコマーシャルが入るCBSオールアクセスプランに代わるものだが、ローカルCBS局にもアクセスできる。もしあなたが現在月5.99ドル(約660円)のプランを購読しているなら、継続できる。しかし6月7日から新規購読は受け付けない。

エッセンシャルプランはCBSオールアクセスプランとどう違うのか? エッセンシャルプラン購読者はMarquee Sports(NFL、UEFAチャンピオンズリーグ、欧州リーグの試合を含む)、CBSNのブレーキングニュース、そしてParamountのすべてのオンデマンドの番組と映画にアクセスできる。ここには、BET、Comedy Central、 MTV、Nickelodeon、Smithsonian ChannelといったViacomCBSが所有するチャンネルのコンテンツも含まれる。しかしローカルテレビ局CBSの番組は対象外となる。なのでもしこの条件が呑み込めないのなら、あなたは今週末にCBSオールアクセスプランを購読することになるかもしれない。

既存のプレミアムプラン(月9.99ドル)ではコマーシャルが入らず、4K、HDR、Dolby Visionをサポートする。他のストリーミング同様、プレミアムの購読者だけがモバイルダウンロードを利用できる。

いずれのプランもペアレンタルコントロールを利用でき、最大6人が視聴できる。Paramount+は今回ウォッチリストを持っていない。しかしそれはこの分野において競争力のあるベースライン機能となっていて「ウォッチリストが登場するかどうか」ではなく「いつ登場するか」というだけの話だ。

参考までに、Netflixのベーシックなプランは月8.99ドル(約980円)だが、視聴は1度にスクリーン1つのみだ。これは家族や友人とアカウントを共有するのを難しくしている。Netflixのスタンダードプランは13.99ドル(約1500円)で、Paramount+よりも少し高い。

今週初め、HBO Maxは低価格で広告が入る、月9.99ドルのサブスクプランを発表した。WarnerMediaとDiscoveryの合併も人気のストリーミングサービスに大きなな影響を及ぼすかもしれないが、コンテンツライブラリーという点で、あるいはストリーミングアプリと組み合わせると、今後どのような競争になるのかはまだわからない。

究極的には、消費者はコンテンツ、価格、ユーザーエクスペリエンスなどを含む鍵を握るさまざまな要因に基づいてどのサービスを使うかを決める。コンテンツに関しては、Paramount+は新プランが始まる6月7日に、新規購読者の獲得を目指して主要作品を発表する計画だ。しかし低価格のプランは話題の映画を必ずしも気にかけていない人にも訴える。そうした人々は、Netflixにないプログラムへのアクセスを提供する現在利用中のストリーミングサービスへの安価なアドオンを求めている。

Paramount+を所有するViacomCBSは、第1四半期にParamount+、Showtime OTT、BET+で購読者を計600万人増やし、グローバルユーザー数は3600万人になったと述べた。新規購読者の大半はParamount+で獲得した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Paramount+動画配信サブスクリプション

画像クレジット:Paramount+

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウォルマートが(誤って予定より早く)低価格FHDストリーミングスティックと4Kプレイヤーを公開

Walmart(ウォルマート)は、自社ブランドの低価格なAndroid TVストリーミングスティックの商品リストを発売前に誤ってウェブサイトに掲載してしまい、併せて近日発売予定の4Kストリーミングデバイスも見つかってしまうというアクシデントに見舞われた。TechCrunchがウォルマートに確認したところ、これらの製品は来週、店舗とオンラインで正式に発売されるとのことだが、ウェブサイトでは予定よりも少し早く公開されてしまったようだ。

この低価格ストリーミングスティックは、米連邦通信委員会(FCC)の認証リストに記載されていたことから、その存在が2021年初めにリークされていたものの、ウォルマートのオンラインストアに掲載されていた価格が、24.88ドル(約2740円)という驚異的な安さだったために人々の注目を集めた。これは、ウォルマートのパートナーであるRoku(ロク)の製品を含め、他のストリーミングスティックに匹敵する、あるいはそれらを下回る低価格だ。

Rokuは現在、ウォルマート専売の製品ラインを製造しており、その中で最も安いプレイヤー「Roku Express 4K(ロク・エクスプレス4K)」は34.99ドル(約3860円)という価格で販売されている。一方、Google(グーグル)のエントリーモデルであるChromecast(クロームキャスト)は29.99ドル(約3300円)、Amazon(アマゾン)のFire TV Stick(ファイヤーTVスティック)で最も安いFire TV Stick Lite(ファイヤーTVスティック・ライト)は24.99ドル(約2750円)となっている。

ウォルマートのストリーミングスティックは、同社の電子機器ブランド「onn.」から発売されるもので、この種の低価格デバイスに期待される仕様に沿った製品になっている。FHD(フルHDという意味、つまり1080p)、Dolby Audio(ドルビーオーディオ)に対応し、Android TVスタイルのリモコン(電池付属)、HDMI延長ケーブル×1、ACアダプター×1、USB-マイクロUSBケーブル×1が同梱される。

画像クレジット:Walmart

オペレーティングシステムとして搭載されているAndroid TVは、一般的なテレビを簡単にスマートテレビに変身させることができ、動画配信サービス各社のストリーミングアプリを利用したり、Googleアシスタントを使って声でテレビを操作することが可能になる。スマートフォンなどから写真やビデオ、音楽などのコンテンツをテレビに「キャスト」する機能も備えている。ユーザーはAndroid TVのインターフェースから70万本以上の映画やテレビ番組にアクセスできる。

付属のリモコンには「Googleアシスタント」ボタンの他「YouTube(ユーチューブ)」「Netflix(ネットフリックス)」「Disney+(ディズニープラス)」「HBO Max(HBOマックス)」の専用ボタンが用意されている。

ウォルマートのスティックは、リビングルームの大画面に使うようなものではないかもしれないが、子ども部屋やゲストルームにあるような(つまり最高のスペックがそれほど必要ではない)重要度の低いテレビに付加するのに適していると言えるだろう。

一方、ウォルマートは4K Android TVストリーマーの「onn. UHD Streaming Device(オンUHHDストリーミング・デバイス)」という製品で、ストリーミング市場のハイエンドにも対応する。こちらも予定より早く発表されてしまった。価格は29.88ドル(約3290円)となっている。

画像クレジット:Walmart

全体的なコンセプトは変わらないが、4Kストリーミングへのアップグレードを手頃な価格で提供する製品と言える。

ウォルマートのonn.ブランドでは現在、テレビ、ヘッドフォン、ポータブルスピーカー、タブレット、その他のアクセサリーなど、さまざまなデバイスを取り扱っている。Rokuもこのonn.ブランド向けとして、Smart Soundbar(スマート・サウンドバー)とWireless Subwoofer(ワイヤレス・サブウーハー)の低価格版を製造している。

ウォルマートは、この新しいストリーミング機器を、来週から店舗およびオンラインで販売開始するための準備中であることを認めた。ウェブサイトでは現在、在庫切れまたは一部のデバイスのみ在庫ありとなっているが、実際には十分な在庫が用意されていることを同社は保証している。なお、これらの製品は「テスト」販売ではない。

ウォルマートによる新デバイスの公式スペックは以下の通り。

onn. FHD Streaming Stick

  • Android TV OS
  • 内蔵のChromecast機能を使用して、Chromecast対応アプリをテレビにキャスト可能
  • 最大でフルHDの解像度でストリーミング再生が可能、ドルビーオーディオ対応
  • Googleアシスタントを搭載し、テレビの操作やコンテンツの検索が可能
  • Netflix、Youtube、Disney+、HBO Max、Hulu、Prime Videoなど、お気に入りのストリーミングアプリにアクセス可能
  • WiFi:2.4 GHz/5 Ghz 802.11 a/b/g/n/ac
  • 入力:AC 100-240V 50/60Hz
  • 出力:DC 5V/1A

同梱品

  • FHD TV Streaming Stick ×1
  • リモコン(電池含む)×1
  • HDMI延長ケーブル ×1
  • ACアダプター ×1
  • USB-マイクロUSBケーブル(1.5m) ×1
  • クイックスタートガイド ×1

onn. UHD Streaming Device

  • Android TV OS
  • 内蔵のChromecast機能を使用して、Chromecast対応アプリをテレビにキャスト可能
  • 最大4K超高精細解像度のストリーミングが可能、ドルビーオーディオ対応
  • Googleアシスタントを搭載し、テレビの操作やコンテンツの検索が可能
  • Netflix、Youtube、Disney+、HBO Max、Hulu、Prime Videoなど、お気に入りのストリーミングアプリにアクセス可能
  • WiFi:2.4GHz/5GHz 802.11 a/b/g/n/ac MIMO
  • 入力:AC 100-240V 50/60Hz 250mA
  • 出力:DC 5V/1A

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Walmart動画配信Android TV

画像クレジット:Walmart

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンのオーバーザトップ事業IMDb TVやTwitchなどが好調、総視聴者数1億2000万を突破

Amazonの広告入り無料ストリーミングサービスIMDb TVに、モバイルアプリが登場した。Amazonは同社初の、広告主向けプレゼンテーションNewFrontsでニュースを発表し、そこでは同社のオーバーザトップ(独自配信)のストリーミングサービスIMDb TVやTwitch、Thursday Night Footballのようなスポーツ中継、Amazonのニュースアプリなど全部合わせると月間ユーザーが1億2000万を超えたという。

このオーバーザトップビジネスであるAmazon OTTは、IMDb TVではコンテンツと並行して、Twitchではゲームのストリーミングで、スポーツ中継ではAmazonのPrime Videoのストリーミングや同社の3Pネットワーク、そしてブロードキャストアプリで、それにFireTV用のAmazonのNewsアプリでそれぞれ、どこにでも広告が入る。

Amazonによると、特にIMDb TVは視聴者数が前年比で138%増加したという。

広告入りのサービスは、2020年ストリーミングサービスの視聴を押し上げたのと同じく、パンデミックのために伸びたと思われるが、その他の無料で広告入りのストリームであるFoxのTubiやViacomCBSのPluto TV、RokuのThe Roku Channelがライバルになる。しかしAmazonはRokuのハブのように、IMDb TVを自社のメディアデバイスを売り込むために利用し、無料のストリームコンテンツへのアクセスのしやすさを訴えている。

そのため今日では、IMDb TVの大半がFire TVで視られているが、Amazonによると、最近数カ月ではRoku、ChromecastとGoogle TV、ゲーム機PlayStation 4、Xbox One、Series X、LG Smart TV、NVIDIA、Sony Android TV、TiVo Android TVなど、さまざまなデバイスでも視られるようになっている

これまではIMDbアプリの小さなセクションで、サービスのコンテンツをスマートフォンでも視られたが、今後はモバイル専用アプリが使える。AmazonによるとiOSとAndroidの両方に対応しているそのアプリは、今夏に登場するという。

Amazonはまた、広告主たちに対して、IMDb TVの現在のユーザーベースについて報告している。視聴者の62%は18歳から49歳までの層、アプリで過ごす平均時間は5.5時間だという。

本日のNewfrontsプレゼンテーションでは、IMDb TVのモバイル専用アプリだけでなく、その他の発表も行われた。

まずIMDb TVの今後の番組だが、予定になかったものは「Luke Bryan:My Dirt Road Diary」「Bug Out」。以前からの予定にあるものは「Blessed and Highly Favored」「Greek Candy」「Primo」「The Fed」「The Pradeeps of Pittsburgh, PA」となる。音楽デュオTeganとSaraの思い出「High School」は、IMDb TVのオリジナルシリーズとして改作された。IMDb TVはまた、新作の犯罪ドラマ「Leverage:Redemption」と、警察ドラマ「On Call.」も発表した。

一方、IMDb TVの親会社であるAmazonは、Thursday Night FootballのNFLとの契約を拡大し、2022年のシーズンからは、翌年だけでなく11シーズン放送する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonIMDb TV動画配信

画像クレジット:IMDb TV

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ストリーミングメディアソフトメーカーPlexが広告付きストリーミングと事業拡大のため54.6億円の資金調達を実施

ストリーミングメディアソフトウェアメーカーのPlexはレンタル、購入、サブスクリプションコンテンツへの事業拡大に向けて、既存の投資元であるIntercapから5000万ドル(約54億600万円)の増資を行ったことを米国時間4月14日に発表した。今回の資金調達は、Plexにとって2014年以来初めてのものであり、Plexの初期のシード投資家や過去の買収時の株主からの株式およびオプションの購入、および初期の従業員の流動性確保のために一部が使用される。調達した5000万ドル(約54億600万円)のうち、1500万ドル(約16億2200万円)は新たな成長資金として活用される。

今回の資金調達(厳密にはPlexのシリーズC)による評価額は公表されていないが、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)やNexstar(ネクスタ―)など、継続している既存の投資家にとっては、比較的希薄化は低く済んだということだ。一方、初期の投資家の中には、株式の10倍以上のリターンを得ることができた人もいた。

今回のラウンドの一環として、Intercapの会長兼CEOであるJason Chapnik(ジェイソン・チャプニック)氏が会長として取締役会に参加し、Intercapの社長であるJames Merkur(ジェームズ・メルクア)氏も取締役会に参加した。今回の資金調達を含め、Plexはこれまでに6000万ドル(64億8900万円)以上の資金を調達している。

これまでPlexが資金調達に慎重だったのは、PlexのCEOであるKeith Valory(キース・ヴァロリー)氏がいうように「本当にその必要がなかったから」だ。つまり、同社は単独で利益を上げてきた

しかし、近年のPlexの状況は変化している。Plexは、映画やテレビ、音楽、写真などをユーザーのホームネットワーク上で整理するソフトウェアを提供することで、ホームメディアの愛好家を対象としてきたが、2017年に低価格のDIYストリーミングTVサービスを開始したことで、より大きな市場であるインターネットメディアに移行する人々を本格的に狙うようになった。その後Plexは、広告付きの無料ストリーミングサービスを展開し、2020年はViacomCBS(バイアコムCBS)傘下のPluto TV(プルートTV)のようなライバル企業に対抗して、広告付きのライブTV配信サービスを開始した。

現在、Plexは193カ国で2万本以上の無料オンデマンド映画や番組、150以上の無料ライブTVチャンネルを提供しており、パーソナルメディアライブラリやストリーミング音楽、ポッドキャストなどのコンテンツにもアクセスできる。

Plexは、提供するサービスの種類を増やすと同時に、Plexを初めて利用する人にとっての参入障壁を低くした。ユーザーはアカウント登録をせずに広告付き動画やライブ・リニア・ストリーミング・サービスにアクセスでき、これはPlexのビジネスモデルに影響を与えている。

画像クレジット:Plex

「これは例えば、RokuやFire TV、Vizioなどのデバイスの検索機能に組み込まれるようなデジタルマーケティングを対象としています。またサーチエンジンマーケティングやFacebookなど、デバイス上のデジタルマーケティングプログラムを利用して、ユーザーに視聴を開始してもらうこともあります」とヴァロリー氏はいう。「このタイプのデジタルマーケティングと事業のための顧客獲得コストが、実に効率的であることが分かりました。その結果、マーケティングへの投資から本当にすぐに利益を得ることができました」と付け加えた。

このモデルを基に、Plexは事業の拡大と新たな分野への進出のための資金調達を検討した。

新たな分野にはサブスクリプションコンテンツの管理やレンタル・購入の提供なども含まれており、Plexは2020年のロードマップの中で、2020年に登場する可能性があるとも話していた。しかし、その後新型コロナが発生した。ストリーミング自体は成長し、特に4月から6月、7月にかけては広告付きの動画が増えたものの、Plexの一部の社員は新型コロナ流行の影響を他の人よりも強く受けた。また、Plexはインフラの準備にもっと時間が必要だった。

Plexは現在、これらの取り組みを2021年中に開始するための準備を進めており、おそらく最初は動画レンタルかサブスクリプション・アグリゲーターのどちらかを提供することになるだろう(Plexによると、両方が同時に構築されているため、どちらが先にスタートするかは不明とのことだ)。

Plexは、AmazonやAppleがPrime VideoチャンネルやApple TVチャンネルで行っているようなサブスクリプションの販売だけを考えているわけではない。Plexは、ユーザーがお気に入りのストリーミングアプリ(他のサービスでは利用できない有名ブランドも含む)にアクセスできるようなディープリンク技術も検討している。これにより、PlexはReelgoodのようなサービスの競合相手となる可能性があるだろう。Reelgoodでは、ユーザーが視聴しているコンテンツを追跡し、個々のアプリ内だけでなく、すべてのストリーミングアプリでお勧めのコンテンツを得ることができる。

一方、Plexの動画レンタル(および購入)市場は、他のサービスと同じように、ユーザーがストリーミングできなかったコンテンツをお金を払って視聴する機会を提供するものだ。

双方のアイデアは「すべてのメディアニーズに応えるワンストップショップになる」というPlexの大きな目標に合致している。

「私たちは常に、かなり大胆なミッションを掲げています。自分の好きなコンテンツを手に入れるために、20種類のアプリを使用する必要はありません。1つの場所に行けば、すべてのことができるようにするべきなのです」とヴァロリー氏は語る。

画像クレジット:Plex

Plexは、この分野と広告サポート事業の両方で成長を促進するために、今回の資金を利用して現在100人いるチームを拡大し、マーケティング部門やマネタイズ部門、開発面での投資を行う予定だ。

「確かに、パフォーマンス、成長のためのマーケティング、そしてエンゲージメントの強化という点では、まだまだやるべきことがあります。この事業は非常に急速に成長しており、これまでのところ、広告型動画配信サービスで新規ユーザーを獲得するための力をつけるという点ではかなり上手くいっています。課題は山積していますが、今までにつけた力は、製品全体のTOFU(トップオブファネル)やエンゲージメントの向上につながると考えています」とヴァロリー氏はいう。

Plexのラウンドを主導したIntercapは、長期的な視野に立っており、特にストリーミングの世界で現在起こっている断片化は、最終的にPlex自身の成長に役立つと述べている。

チャプニック氏は「コンテンツプロバイダー、クリエイター、そして消費者は、多くのストリーミングメディアサービスが爆発的に増えたことによるツケを払っていて、業界は、その体験を可能な限り楽しくするための信頼できる方法を必要としています。Plexは、常に新しいメディアの課題を解決する最前線にいて、この問題を解決するための準備が整っていると信じています。彼らは将来のTV会社になるでしょう」と語った。

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タグ:Plex資金調達動画配信

画像クレジット:Plex

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

Netflixオリジナル作品が第93回アカデミー賞で7部門を受賞

非常に奇妙な第93回アカデミー賞授賞式ですべてが締めくくられ、終わってみるとNetflix(ネットフリックス)がリリースしたオリジナル作品が7つのオスカー像を獲得していた。

同ストリーミングサービスの受賞内容は「Mank(マンク)」が2部門(美術賞と撮影賞)「Ma Rainey’s Black Bottom(マ・レイニーのブラックボトム)」が2部門(メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞)「My Octopus Teacher(オクトパスの神秘:海の賢者は語る)」の長編ドキュメンタリー賞「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」の短編アニメ賞、そして「Two Distant Strangers(隔たる世界の2人)」の短編映画賞となった。

一方、Amazon(アマゾン)の「Sound of Metal(サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~)」は音響賞と編集賞を受賞し、Facebook(フェイスブック)のOculus StudiosとEA傘下のRespawn Entertainmentは、共同制作した「Colette(コレット)」により短編ドキュメンタリー部門で初のオスカーを獲得した。

この年はパンデミックにより映画館が閉鎖または収容人数を減らして運営しており、映画芸術科学アカデミーは授賞式の延期や受賞資格の変更を余儀なくされた。また、劇場公開作品とストリーミング作品の区別も実質的になくなった。例えばSearchlight Pictures(サーチライト・ピクチャーズ)は、作品賞を受賞した「Nomadland(ノマドランド)」を劇場とHulu(フールー)で同時公開した。

Netflixは合計36部門にノミネートされ、最も多くノミネートを受けたスタジオとなり、中でも「マンク」が最多部門のノミネートを獲得した作品となった。また、同社の7部門での受賞は、2020年の2つの受賞から大きく前進している。

前評判でも「ノマドランド」が作品賞の最有力候補と見られていたが、それでも、Netflixの経営陣には落胆する理由があった。ほとんど前例のないことだが、式典の夜の最後の賞は作品賞ではなく「マ・レイニーのブラックボトム」での演技が評価された故Chadwick Boseman(チャドウィック・ボーズマン)の受賞が広く予想されていた主演男優賞だったのだ。そのため、(出席していなかった)Anthony Hopkins(アンソニー・ホプキンス)が「The Father(ファーザー)」で受賞したときには、かなりがっかりくる夜の終わりとなった。

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タグ:Netflixアカデミー賞動画配信

画像クレジット:Gisele Schmidt / Netflix

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

Netflixが今四半期の成長鈍化は制作遅延による「コンテンツ不足」のためと説明

Netflix(ネットフリックス)は、2021年第1四半期に400万人の新規加入者を獲得し、同社の総加入者数が2億760万人となったことを、同社の最新の業績報告書で発表した。

新型コロナウイルス感染症流行によって世界中の視聴者が自宅に閉じ込められることになった2020年の同時期には、Netflixは空前の成長率(1577万人の純新規加入者数)を記録していたため、前年同期比でこの最新の四半期が残念な結果となることは必然だった。だが、この数字は、Netflixが予測していた2億1000万人という加入者数にも届かなかった。

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動画ストリーミングサービスの市場は確かに競争が激しくなっているが(Disney+の加入者数は最近1億人を突破した)、Netflixは今回の伸び悩みが「競争の激化」のせいというよりも、新型コロナウイルスの影響で制作が遅れたため、オリジナル番組や映画の公開数が減少したという単純な事実に起因すると見ている。

「有料会員数の伸びが鈍化した原因は、2020年に新型コロナウイルスの影響で新規加入が大きく前倒しされたことや、新型コロナウイルスによる制作の遅れからコンテンツの品揃えが薄くなったことにあると、私たちは考えています」と、Netflixは述べている。「2021年の下半期は、大ヒット作品で新シーズンが再び始まることや、エキサイティングな映画のラインナップが加わることで、好調になると私たちは引き続き予想しています。短期的には、新型コロナウイルスによる不確実性が拭えませんが、長期的に見れば、世界中でストリーミングの台頭がリニアTVに代わるエンターテインメントの明確なトレンドとなっています」。

Netflixでは、停滞は「予想どおり」で、主な課題は新規ユーザーの獲得であると言及している。また「第1四半期前半は、「Bridgerton(ブリジャートン家)」「Lupin(Lupin/ルパン)」「Cobra Kai(コブラ会)」の効果もあり、近年と同様の成長軌道をたどっていたが、3月に成長率が低下した」と同社は述べている。

新型コロナウイルスによる制作の遅延は、第2四半期のリリーススケジュールにも影響を与えるため、Netflixは新規加入者数を100万人と控えめに予測している。話題作のリリースは2021年の下半期に再び活発化する見込みであり「ブラジルとインドを除くすべての主要市場で」制作が再開されたと同社は言っている。

会社の財務状況については、売上高は前年同期比24%増の72億ドル(約7788億円)となり(これは予想通り)、希薄化後1株当たり利益は3.75ドル(約405.6円)だった(アナリストは2.97ドル[約321.3円]と予想していた)。この発表後、Netflixの株価は時間外取引で11%以上下落している(米国東部時間午後4時33分現在)。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Netflix新型コロナウイルス動画配信

画像クレジット:Sam Wasson / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

動画配信ソフト「OBS」がNVIDIAの音声ノイズ除去機能を取り込み、キー打鍵音やマイクのホワイトノイズなど低減

動画配信ソフト「OBS」がNVIDIAの音声ノイズ除去機能を取り込み。キー打鍵音やマイクのホワイトノイズなど低減

RyanKing999 via Getty Images

子どもたちの「将来やりたい職業ランキング」に毎度ランクインするようになった”ユーチューバー”ですが、そのYouTuberやその他プラットフォームのストリーミング配信者がよく使っているのが、OBS Studio。OBSはOpen Broadcaster Softwareの略で、アップロード動画の録画にもライブ配信にも無料で使える優良ソフトウェアです。

このOBSの最新ベータ版(v.27 Beta)にて、以前はRTX Voiceと呼ばれていたNVIDIAのAIオーディオノイズリダクション技術が利用可能になりました。

RTX Voiceに対応するグラフィックスボードを搭載したPCが必要ですが、これによりOBSは配信中のキーボード打鍵音の低減、マイクのホワイトノイズやその他の様々な雑音を自動的に排除するようになります。

またこれらは、すべてOBSネイティブでサポートするようになるのもポイント、外部ソフトとの連携ではないため、配信者は複数のソフトウェアを切り替える手間が軽減されます。

ただし、元はNVIDIAの技術なのでOBS単体だけでなく、NVIDIA Broadcast Audio Effects SDKと最新のGeForce Game Readyドライバーの導入が必要です。

少々面倒そうですが、セットアップのしかたはNVIDIAのブログ記事に記されています。一度やってしまえばあとはかんたんなので、対応する環境をお持ちなら導入しない手はありません。

NVIDIAのGame Readyドライバーにはほかにもゲーム『Mortal Shell』でのレイトレーシングとDLSSのサポート、『Valorant』のReflex遅延低減設定などいくつかのアップグレードが含まれています。さらに2021年のLG製テレビなど、G-SYNC対応ディスプレイ6機種のサポートが追加されました。

(Source:NVIDIANVIDIA Developer。Coverage:OBSEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:NVIDIA(企業)OBS Studio / Open Broadcaster Software(製品)動画配信(用語)YouTuber / ユーチューバー(用語)YouTube / ユーチューブ(製品・サービス)ライブ配信(用語)

「フォートナイト」のゲームプレイがHousepartyを通じて友人たちに配信可能に

人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」のメーカーであるEpic Games(エピック・ゲームズ)が2019年に買収したソーシャルビデオアプリ「Houseparty(ハウスパーティ)」は、これら2つの資産を統合する新たなステップを発表した。同社によると、ゲーマーはフォートナイトのゲームプレイを、Housepartyで直接ライブストリーミングすることが可能になるという。この機能によって、ユーザーはHousepartyの部屋にいる最大9人の友人と、ゲームプレイを共有できるようになる。

今回の機能追加は、2020年11月にHousepartyに導入された「Fortnite Mode(フォートナイトモード)」に続くものだ。このモードでは、フォートナイトのプレイヤーがゲーム中に友人のライブ映像を見ることができるビデオチャット機能が追加された。今回の発表はそれとは逆に、プレイヤーがゲームの映像をHouseparty内で友人に配信できるというものだ。これによって友人たちは(自分自身がフォートナイトのゲーマーではない人も含めて)、プレイヤーのゲームプレイの様子を視聴したり、プレイヤーと交流したりすることができる。

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この新機能を利用するには、フォートナイトプレイヤーが「Fortnite Mode Streaming(フォートナイトモードストリーミング)」を有効にし、Housepartyに接続する必要がある。プレイヤーがゲームプレイのストリーミングを開始すると、Housepartyに登録している友人たちに、ゲームプレイが視聴可能になったことが通知される。

フォートナイトプレイヤーは、自分のストリームを誰が見ているかを、画面上に重ねて表示される「ウォッチャー数」のグラフィックで確認できる。ゲーマー側では画面の中央左に小さな目のアイコンが表示され、Housepartyで視聴しているユーザー側は動画画面の左上に目のアイコンが表示される。

ライブストリーム中も、プレイヤーとそのフレンドは、通常通り視聴とチャットを行うことができる。

フォートナイトプレイヤーが自分のゲームプレイをライブストリーミングしたくない場合は、フォートナイトのプライバシー設定からいつでも変更できる。その場合も、フォートナイトモードを使用して引き続きビデオチャット機能を使い続けることは可能だ。また、保護者の方は、フォートナイトのペアレンタルコントロールで、フォートナイトモードやその他のプライバシー機能のオン/オフを切り替えることができる。Epic Gamesは、支払い情報を含む個人情報は配信からブロックされることを強調している。ただし、フォートナイトモードを有効にすると、ロビー、メニュー、自分のゲームプレイのすべてが配信される。

Housepartyは当初、友人たちがビデオチャットを通じてオンラインで仮想的に「たまり場」を作る方法として人気を得たが、Epic Gamesが12億5000万ドル(約1380億円)という巨額の資金調達を行った直後、同社に売却された。今のところHousepartyは、フォートナイトとの統合が進んでも、他のソーシャル機能を廃止したりはしていない。今回の新機能の導入によって、Housepartyは、Twitch(ツイッチ)やFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)など他のプラットフォームで行われているような、ユーザーが必ずしもファンのために配信するのではなく、友人に向けて配信しているような、よりカジュアルなライブストリーミングの需要も取り込める可能性が出てきた。

なお、この新機能では、ライブストリームの映像を後から書き出して他の場所で公開できるような記録機能は提供しないとのことだが、フォートナイトにはすでにリプレイを保存する機能が備わっている。

フォートナイトのゲームプレイとHousepartyの連携は、現時点ではPC版とPlayStation(プレイステーション)版(PS4とPS5)のみで利用できる。Epic Gamesは、他のプラットフォームにも提供されるかどうか、いつ頃その予定があるかということについては言及していない。iOS(アイオーエス)、Android(アンドロイド)、Chrome(クローム)のHousepartyユーザーは、ライブストリームを視聴することが可能だ。

以前に開始されたフォートナイトのビデオチャット機能も、PCとPlayStationのみでサポートされていた。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:FortniteHousepartyEpic Games動画配信ゲーム実況

画像クレジット:Epic Games/Houseparty

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)