バーチャル渋谷の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

渋谷区公認「バーチャル渋谷」の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

バーチャルシティコンソーシアム

KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジー、渋谷未来デザインの4社は11月9日、バーチャルシティコンソーシアムの発足を発表しました。KDDIが2022年春に展開予定のプラットフォーム構想「バーチャルシティ」などでの利活用に向けて、オープンな議論や調査研究を行い、ガイドラインの策定や情報発信に取り組むとしています。

同コンソーシアムでは、都市連動型メタバースをバーチャルシティと定義。「昨今、メタバースと呼ばれるインターネット上に構成される仮想空間での生活やビジネスが注目されており、バーチャルシティにおいては、実在都市と仮想空間が連動し、ともに発展していく新たなまちづくりを目指しています」とバーチャルシティ構想をアピール。一方で「バーチャル空間と実在都市の両方の視点から、ステークホルダー間の諸権利の整理やコンプライアンス指針の策定など、課題解決のための仕組みづくりが必要になります」とコンソーシアムの目的を説明しています。

なお、コンソーシアムの参加メンバーは、すでに渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」の運営にかかわっており、ここで得られた知見をもとに、今後の他都市や類似モデル展開などに向けて活動していくとのことです。

一定の成功を収めているバーチャル渋谷の事例を他の都市にも展開しやすくなるのであれば、今後メタバースを盛り上げていく一助となる可能性はありそうです。バーチャル渋谷の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

策定計画(予定)

  • 2021年11月:「バーチャルシティ」への期待感へ応える取り組みの構想。これまでの「バーチャル渋谷」の取り組みのスタディ。「バーチャル渋谷」におけるステークホルダーや法規制・権利などの整理。実在都市におけるステークホルダーや法規制・権利などの整理
  • 2021年12月:バーチャルシティ」と実在都市が連携するメリット・デメリット。「バーチャルシティ」上のコンプライアンスのあり方
  • 2022年1月:「バーチャルシティ」上のコンプライアンスのあり方(続き)。他都市展開にあたっての留意事項の整理。ガイドラインの骨子
  • 2022年3月:ガイドライン案

(Source:KDDIバーチャルシティコンソーシアムEngadget日本版より転載)

5〜15歳対象のオンライン読書教育「ヨンデミーオンライン」のYondemyが1億円調達、教材拡充・保護者向けアプリを開発

スマートニュース子会社スローニュースがノンフィクション特化のサブスク型サービス「SlowNews」で立花隆作品配信

児童向けオンライン読書教育の習い事サービス「ヨンデミーオンライン」を提供するYondemyは11月9日、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はXTech Ventures、D4V、W ventures、F Ventures。

調達した資金は、ヨンデミーオンラインへの開発投資と人材採用にあて、児童UX・保護者UXそれぞれの改善と組織体制の強化へと活用する予定。具体的には、児童向けウェブアプリにおける新機能開発や動画コンテンツなどの教材拡充、保護者向けウェブアプリの開発、今後の組織拡大を見据えた人材採用などへと投資し、事業基盤・経営基盤を強化することで、中長期的な成長を加速する。

ヨンデミーオンラインは、5~15歳を対象とした月額定額制のオンライン読書教育の習い事サービス。「児童それぞれの興味・読む力に寄り添った選書指導」「『本の楽しみ方』などが学べるチャット形式の対話型学習コンテンツ」「ゲーミフィケーションやコミュニティを活かしたモチベーション設計」の3点を特徴とする。

また同サービスの「AI司書ヨンデミー先生」では、好み・興味に合わせるだけではなく自然にステップアップしていけるように本を薦めるという。独自分析した1000冊以上の児童書データについて、ヨンデミー講師の選書ノウハウを再現した独自開発アルゴリズムにより活用しているそうだ。これにより、読む前の本を手に取るきっかけ作りから、読んだ後のコミュニティでの感想シェアや親子の会話まで、児童の読書体験サイクルを一気通貫で支え、習慣化をサポートする。

さらに、学校では教わることのない本の楽しみ方や感想の書き方を学べるレッスンを提供。レッスンは選択式のクイズ形式になっており、文字入力の必要がない上24時間いつでも受講可能。読書をより楽しくするため、読んだ本の表紙や獲得したバッジを蓄積することで読書へのモチベーションを高めるゲーミフィケーション要素も備える。ヨンデミー生同士による感想シェアにより、読書意欲を刺激すると同時に、新たな本との出会いも生み出すとしている。

2020年4月設立のYondemyは、「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」というミッションを掲げる、現役東大生によるスタートアップ。「読書を習う」という新しい文化を広めるとしている。習い事の選択肢として「読書」が当たり前にある社会を作ることで、読書教育を通じて日本中の児童を「自立した読み手」へと育て、1人1人の一生にとって読書がかけがえのない武器となることを目指す。

テレスペが平日の空室に悩むホテルなど1万室募集開始、2022年1月中旬公開の法人対象テレワーク個室予約新サービス向け

テレワーク・テクノロジーズは11月9日、空室に悩むホテルなどに上場企業テレワーカーを送客する新サービス「テレスペ」を2022年1月中旬より開始することを発表した。それに先駆け、本日よりホテル施設など1万室を募集している

上場企業専用の法人向け新サービスを2022年1月中旬スタート

テレスペは、上場企業専用の法人向けテレワーク個室予約サービス。利用側の上場企業法人会員6万人を確保しており、オフィス縮小による家賃のコストカット、全国の社員居住地近くに個室を提供する職住近接の実現など、人口減少社会における「上場企業総務部の新しい働き方導入」を支援する。

従来のホテルなどのテレワークプランは、ホテル側主導で空き時間を提供するプロダクトアウト型サービスであり、企業がオフィス代わりに利用するには難しい側面があった。そのため、個人の単発利用に終わり、市場として大きく成長することはできなかったという。

これに対してテレスペでは、実験を重ねて作り上げたマーケット主導型サービスとして提供を行う。ホテル側ではなく、利用する法人側と2021年3月より対話を開始し、利用側の希望に合わせたUX設計を行なったそうだ。法人社員が家の近くで丸1日、毎月2回反復して利用するというスタイルを想定している。コロナ禍をキッカケとしてオフィスを縮小した企業が、削減したオフィス経費で社員の自宅近くに「フレキシブルなオフィス」として使える場所を提供するものとなる。

ホテルなど施設側のメリット

テレスペの予約は、1週間前まで行なえないシステム(火曜日の予約は前週火曜日から予約受付)になっているほか平日の日中だけを利用するため、団体旅行や個人旅行といったホテルの本業を邪魔をしないという。1週間前に売れ残ってしまった部屋やドタキャンで空いた部屋だけを収益化するとしている。

またベッドとシャワーの利用NGという条件で掲載可能なので、ベッドメイキングの手間も必要ない。上場企業総務部もそうした利用法を希望しているとのこと。東京都心部に一極集中するシェアオフィスとは異なる経済圏を生み出し、将来的にはワーケーションや移住など地方との連携も視野に入れているという。

従来のレンタルスペースサービスと異なる4つの特徴

  • 利用が1日単位:1時間単位の時間貸しではなく、1日から数日の利用
  • 法人社員がリピート利用:個人は1回きりだが、法人社員はオフィス代わりに毎週利用
  • 6万人の利用登録:すでに6万人の登録がある。1日6000人の利用が見込める
  • 利用者は上場企業限定:1月中旬のサービス公開時は、利用者は上場企業社員のみ

さらに、ホテル以外の施設も募集しており、旅館、カラオケ、シェアオフィス個室、シェアハウス個室、空きマンション、ワークブース、飲食店の個室なども想定しているという。電源、Wi-Fi、机、良い椅子、ウェブ会議の声が漏れない程度の防音性を満たす個室であれば業種を問わず掲載可能。Wi-Fiや椅子などの手配をテレワーク・テクノロジーズ側が支援する用意もある。ただし、オープンスペースや天井が空いているなど個室ではないスペースは登録不可。1名用がメインとなる。

現在は、東京・神奈川を中心に全国主要都市での募集となる。首都圏南武線沿線、東横線沿線、川崎周辺などを重点エリアとしているものの、東京都以外なら利用したいという声もあるため、全国からの問い合わせを待っている状態とのこと。

テレワークプランの料金は、施設側が自由に設定することが可能。テレワーク・テクノロジーズ側としては、午前8時~午後7時までの1日プランで、3300円から7700円程度を想定している。テレスペへの掲載料は初期費用・月額掲載料は0円、手数料が予約金額の22%となる。ただし、2022年1月中旬のサービス開始前までに掲載完了した部屋については、2022年中の手数料が11%になる。

ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始

GaudiyがNFTや分散型IDなどブロックチェーンを活用しファン体験を統合する新規ゲームIPパートナーを募集

ブロックチェーンとエンターテインメントを結び付け、ファンコミュニティー事業を展開するGaudiy(ガウディ)は11月9日、コミックスマートと共同でブロックチェーンを活用したファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」(ガンマ!コミュニティ)正式版の提供開始を発表した。

Gaudiyは、マンガアプリ「GANMA!」(Android版iOS版)を介しマンガ家の育成やマンガコンテンツの配信などを行うコミックスマートと共同で、ファンが自主的にマンガ作者や作品を応援できる共創型のファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」ベータ版の開発と提供を行ってきた。そこでは、「漫画の新たな楽しみ方やファンと漫画の新しい関係性を、ファン主体で創っていくコミュニティ」として、ファン同士の交流や創作活動を促進すると同時に、新しいオークション方式による作品関連のデジタルアイテム(NFT)の販売といったファン体験の実験も行われた。

一般にNFTの販売では、設定価格から値段を下げてゆく「ダッ・チオークション」方式(競り下げ方式)が主流だが、わかりづらいなどの問題が多い。そこでGANMA!コミュニティでは、値段を競り上げてゆく方式をベースに、慶應義塾大学経済学部の坂井豊貴教授との共同研究で生まれた「Gaudiy-Sakai方式」を採用した。これは、事前入札期間を設け、参加者の需要に応じてNFTアイテムの発行枚数を決めるというというもの。価格と発行枚数を適切に調整できる「公正でユーザーフレンドリーな」方式だという。実際にGaudiy-Sakai方式のオークションでは、NFTになじみの薄い中高生も多く参加し、「作品のファンを楽しませる新しい体験を提供」できたとGaudiyでは話している。

ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始

そうした取り組みにより、新規ファンの増加、ファン同士の自発的なコミュニケーションの創出・活性化が見られ、「コミュニティ醸成における一定の成果」が確認されたことから、GANMA!コミュニティ正式版のリリースとなった。Gaudiyとコミックスマートは、今後も「マンガ業界の課題解決と新しいファン体験の創出」に務めてゆくとのことだ。

建築建材の総合検索サービスArch-LOGを提供する丸紅アークログが総額6.99億円の資金調達

建築建材の総合検索プラットフォーム「Arch-LOG」(アークログ)を提供する丸紅アークログは11月8日、第三者割当増資による総額6億9930万円の資金調達を完了したと発表した。引受先は長谷川コーポレーションと前田建設工業。調達した資金は、Arch-LOGのユーザービリティを向上させるための既存システムのバージョンアップをはじめ、建築・建設産業のDXにつながる各種機能のアイデアの実現、新機能開発などへ投資するとのこと。

Arch-LOGには、約120万点(2021年10月時点)の建築建材が登録されており、ガラス、石材、防水材といったカテゴリーや特定のメーカー名、キーワードなどで必要な建築建材を検索できる。さらに、複数のメーカー製品を比較選定することも可能なため、従来の膨大なカタログを手作業でチェックしていく必要がない。サンプル請求もワンクリックで行なえる手軽さを備えている。

また、Arch-LOGで選定した建材を用いたデジタルマテリアルボード作成機能や、高精細CG画像のリアルタイム生成が行なえるBIM(ビム。Building Information Modeling)レンダリング機能も搭載。施主や顧客へ3DCGでの使用提案ができるなど、ウェブベースでのプロジェクトの「見える化」を実現できる。これら機能によって、作業時間の大幅な短縮・生産性の向上が期待できるほか、紙カタログの削減によりSDGsにもつながるとしている。加えて、竣工前の企画から設計、施工に至るまでの進行管理、使用建材の各種データ(取扱説明書・耐用年数)など建物情報をデジタルベースで一元管理できる。

今後の予定として、竣工後も各製品の交換時期になると自動でアラートが鳴ったりメールでお知らせが届いたりすることで建物維持管理のメンテナンスや顧客へのリフォーム提案が可能になる「メンテナンスアラートサービス」、BIMと連動して設計から施工までのフローをシームレスにつなぐ「仕上表機能」を来期に実装するとのこと。

丸紅アークログは、プロジェクトの低い利益率や抵抗率、労働力不足などの課題を抱える建築・建設業界においてそれらの解決策となるデジタル化を進めるため、丸紅とログログが2019年6月に共同で設立。創業からの2年間で、Arch-LOGを全社的に活用することを目的に締結したアライアンスは、スーパーゼネコン5社を含めたゼネコンや設計事務所、デベロッパーなどの大手各社30社以上になるという。

産総研が地震計データからコロナ禍における人間活動の観測に成功、経済・余暇活動の縮小を可視化

産業技術総合研究所(産総研)は、首都圏に設置された地震計のデータから、新型コロナウイルス感染症が感染拡大した時期に人の社会活動が低下したことを明らかにした。これにより、地震計は地震動だけでなく、人間活動のモニタリングにも応用できることが示された。

産総研活断層・火山研究部門地震災害予測研究グループの二宮啓研究員と、九州大学地球資源システム工学部門の辻健教授、池田達紀助教による研究チームは、首都圏地震観測網の101台の地震計で得られた4年分のデータから新型コロナ発生後の変動を調べた。調査では、観測点ごとに振動の強さを示すパワースペクトル密度(PSD。Power Spectral Density)を計算した。それにより、次のことがわかった。

101台の地震計の設置場所と池袋の観測点(E.IKBM)

101台の地震計の設置場所と池袋の観測点(E.IKBM)

2020年4月、1回目の緊急事態宣言が出されたとき、PSDがもっとも大きく低下した。緊急事態制限が解除されると、平日のPSDは回復し始めたものの、日曜日はしばらく低いままだった。Go Toトラベルキャンペーンが始まって、平日、日曜日ともに例年の水準に戻った。第3波の到来で、日曜日のPSDは再び減少したが、2回目の緊急事態宣言時は、平日の日中のPSDは減少しなかった。そして2回目の緊急事態宣言が解除される前から、平日、日曜日ともにPSDが増加に転じた。

つまり、最初の緊急事態宣言の直後は、経済活動はすぐに回復したものの日曜日は余暇活動を控える人が多く、Go Toトラベル中も日曜日は多くの人が余暇活動を自粛していたと想像される。しかし2回目の緊急事態宣言時には、新規感染者数が減少したことからPSDが増加し、社会意識に変化が表れたと産総研では推測している。

地震計が観測する振動は、地震のような大きな揺れの他、風や海の波などの自然現象による振動や人の活動によるものもある。自然の振動は1秒に1回程度とゆっくりなのに対して、人間の活動に由来するものは1秒あたりの振動数が多いのが特徴だ。そのような人為的な振動は、地震観測の際には不要なノイズとして除去されるのだが、これを逆に活用しようという、今回のような研究も各方面で行われているとのこと。

人の活動由来の振動は、交通機関や工場などさまざまな要素が混在しているため、振動源の特定が難しい。また、曜日や季節による変動があるため、そうした要素の影響を取り除かなければ詳細なPSDの変化が掴めない。この研究でも、2017年4月から2019年3月までのデータで曜日と時間帯別にPSDの季節変動を計算し、それをコロナ禍の期間のデータから差し引いている。

ただ人為的な振動は局所的なものなので、狭い範囲を観測することで振動源が特定できる。産総研ではそれを応用して、「振動情報を用いた防犯システムや交通量調査など、人為的な振動を利用したモニタリングや物理探査」を進めるとしている。

アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供開始

アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供するアンドパッドは11月8日、建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」の公開を発表した。APIを活用した連携サービスを強化し、その第1弾となる外部サービス・パートナー12社もあわせて明らかにした。

ANDPADは、現場の効率化から経営改善までを一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス。国土交通省のNETIS (新技術情報提供システム) にも登録されており、2016年のサービスリリース以来13万社・33万人以上の建設・建築関係者に利用されている。

ANDPADアプリマーケットは、業務のデジタル化で効率化を図りたい建設会社と、DXに貢献するITサービスを提供する開発者をつなぐ建設DXプラットフォーム。部門によって異なるITサービスを導入することの多い建設業界において、ANDPADアプリマーケットを通じたデータ連携により業務効率化の推進を図る。ANDPADアプリマーケットとの連携サービスの第1弾として、顧客管理や経理・会計、遠隔臨場など、それぞれの課題に応じた12種類のサービスが提供される。今回発表されたANDPADアプリマーケットの連携サービス・パートナーは下記の通り。

連携パートナー・アプリ一覧(50音順)

  • 安心計画:見積システム「カンタン見積計画」
  • オービックビジネスコンサルタント:クラウド会計システム「勘定奉行クラウド」
  • コンピュータシステム研究所:住宅営業支援システム「ALTA Revolution」
  • シンカ:顧客接点クラウド「カイクラ」
  • セーフィー:クラウド録画サービス「Safie」(セーフィー)
  • セールスフォース・ドットコム:顧客管理ソリューション「Salesforce」
  • NEXT STAGE:現場施工品質監査システム「GenKan-NS」
  • freee:クラウド会計ソフト「freee会計」(今後連携予定)
  • 弁護士ドットコム:ウェブ完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」
  • ホームプロ:リフォーム会社紹介サイト「ホームプロ」
  • Box Japan:コンテンツクラウド「Box」
  • マネーフォワード:クラウド型会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」

また、ANDPADアプリマーケットの公開に合わせ、ANDPAD APIの提供も開始(開発者向けページ)。ANDPAD APIを通じてANDPADとサービス連携することで、より簡単なサービス提供を可能にする。アンドパッドは、今後は公開するAPIを拡げるとともに、より開発しやすい環境の整備を推進し、ANDPADアプリマーケットを通じて建設業界向けITサービスのエコシステムの形成を目指す。さらに価値のあるプラットフォームとなるよう開発を進め、業務効率化やコスト削減など、建設業界が抱える課題解決の実現に寄与したいという。アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供

SaaSやFinTechサービスのデータ連携が可能な財務会計領域iPaaS「ActRecipe」のアスタリストが5800万円調達

複数SaaSやFinTechサービスのデータ統合・連携が可能な財務会計領域特化クラウド「ActRecipe」(アクトレシピ)を提供するアスタリストは11月8日、第三者割当増資などによる総額5800万円の資金調達の実施を発表した。引受先はEast Venturesをはじめとする複数の投資家。調達した資金は、主にサービスの機能拡充や利用企業数拡大のために活用する。これにより、既存の契約企業やSaaSを利用している企業に新たな価値を提供し、アスタリストのさらなる成長につなげるとしている。

ActRecipeは、データ統合・内部統制に向けたiPaaS(integration Platform-as-a-Service。クラウド統合プラットフォーム)として2019年8月にサービスローンチ。2020年6月には電子決済代行業者の登録を完了したことで、銀行APIを通じてSaaSから銀行への自動送金や入出金明細の自動取得を行なう取り組みも開始した。

2013年11月設立のアスタリストは、「”Create time through innovation” (イノベーションによって時間を創る)」をミッションとするスタートアップ。ITの活用により企業の生産性向上や内部統制強化を支援する事業を行なっている。現在はActRecipeに注力しており、SaaSやFinTechサービスのさらなる活用とDXの推進を目指している。

 

リッジアイが衛星画像により軽石の漂着状況がわかるウェブアプリ公開、被害の把握や本土への漂着予測に活用

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を手がけるリッジアイが7.8億円を調達
「軽石ビューア」を使って確認した軽石の漂流状況(Sentinel-2 ©ESA)

「軽石ビューア」を使って確認した軽石の漂流状況(Sentinel-2 ©ESA)

衛星データとAIを駆使した開発・コンサルティングなどを行うRidge-i(リッジアイ)は11月5日、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で発生した軽石の漂着状況が衛星画像でわかるウェブアプリ「軽石ビューア」を公開した。

このアプリでは、中央のバーを左右にドラッグすることで、異なる日付の衛星写真を比較できる。比較したい画像の2つの観測日はそれぞれ指定が可能(観測データのない日もある)。地図はドラッグによる移動やズームが行える。海岸沿いの海上に薄茶色に見えるのが軽石だ。衛星画像は、欧州宇宙機関(ESA)のSentinel-2のものを利用している。

今後は、関東への漂着にも備え、関東地方に特化した「軽石ビューア」も公開予定のとのこと。

 

核融合科学研究所、核融合プラズマの乱流制御に新たな可能性を発見

核融合科学研究所、核融合プラズマの乱流制御に新たな可能性を発見

大型ヘリカル装置(LHD)の実験室内部。中心の丸い部分がLHD本体

大学共同利用機関法人の核融合科学研究所は、11月5日、日本とドイツのヘリカル方式の装置を使った世界初の比較実験で、核融合のプラズマ封じ込めの際の障害となる乱流の制御に、磁場構造が重要な影響を及ぼすことを明らかにしたと発表した。これは乱流制御に新たな可能性を示すもので、「従来にない磁場構造を持つ革新的核融合炉を目指した研究」に大きく貢献するとのことだ。

この研究は、核融合科学研究所の田中謙治教授、沼波政倫准教授、仲田資季准教授と、ドイツのマックス・プランク・プラズマ物理研究所のフェリックス・ワーマー博士、パブロス・サントポウロス博士らとの国際共同研究によるもの。核融合科学研究所は、ヘリカル方式の核融合を研究する世界最大級の実験装置、大型ヘリカル装置(LHD)を所有し、マックス・プランク・プラズマ物理研究所は、同規模のヘリカル方式の実験装置、ヴェンデルシュタイン7-X(W7-X)を所有している。

核融合は、超高温のプラズマを磁場で閉じ込めることで可能となるが、プラズマは2つの原因により拡散してしまう。ひとつは粒子の衝突、もうひとつが乱流だ。粒子の衝突による拡散は、プラズマを閉じ込める磁場の構造で低減できることがわかっているが、乱流による拡散については、まだわからないことが多く、制御は大変に困難とされていた。

そこで、同規模のヘリカル式実験装置を持つ核融合科学研究所とマックス・プランク・プラズマ物理研究所はそれらを使い、プラズマの体積、密度、温度をほぼ等しく揃え、磁場構造だけが異なるという条件で、世界初の比較実験を行った。それにより、衝突拡散はW7-Xのほうが格段に低く、乱流拡散はLHDのほうが数分の1と低いことがわかった。この結果は、日欧のスーパーコンピューターによる同条件のシミュレーションでも確認された。

核融合科学研究所、核融合プラズマの乱流制御に新たな可能性を発見

LHD(日本)とW7-X(欧州)。ねじれたドーナツの形をしたプラズマを磁場で閉じ込めている。プラズマの体積はいずれも30m3(立方メートル)だが、両者は磁場を形成するコイル(青色)の形状が異なる。LHDは乱流拡散が小さく、W7-Xは衝突拡散が小さいのが特徴。W7-Xの画像はマックス・プランク・物理学研究所提供

これらの実験装置の磁場構造が、それぞれ衝突拡散の低減、乱流拡散の低減に役立っていることがわかり、これらの長所を組み合わせることが「非常に有効」だという。現在、核融合科学研究所とマックス・プランク・プラズマ物理研究所は、LHDとW7-Xを発展させてプラズマの拡散をさらに低減させる磁場構造を、スーパーコンピューターを駆使して探求している。「このような革新的な核融合炉を目指した研究が、今回の成果をもとにさらに進展すると期待されます」と核融合科学研究所では話している。

高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する床・マット「ころやわ」のMagic Shieldsが1.4億円調達、量産体制を拡大

⾻折予防床材「ころやわ」開発・販売のMagic Shieldsが約4000万円を調達、量産性向上と事業拡⼤を目指す

高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する床・マット「ころやわ」のMagic Shieldsが1.4億円調達、量産体制を拡大


医療機関や介護施設において、高齢者の転倒による大腿骨の骨折リスクを軽減させる「転んだ時だけ柔らかい床『ころやわ』」を製造するMagic Shieldsは、第三者割当増資による1億4000万円の調達を発表した。引受先は、リード投資家のインクルージョン・ジャパン、またMonozukuri Ventures、信金キャピタル、グロービス。累計調達額は約1億8000万円となった。調達した資金により「ころやわ」の量産体制を拡大し、全国の病院・高齢者施設での普及と、転倒骨折ゼロを目指す。

2019年設立のMagic Shieldsは、自動車工学と医学をベースに新素材と構造「メカニカル・メタマテリアル」の研究開発、および製造・販売を行うスタートアップ。高齢者の転倒による骨折を減らすため、転んだときだけ柔らかい「可変剛性構造体」を使った「ころやわ」を開発。床やマットとして病院や高齢者向け施設へ提供している。高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する床・マット「ころやわ」のMagic Shieldsが1.4億円調達、量産体制を拡大

同社の「ころやわ」は、従来両立が困難とされていた「歩行安定性」と「衝撃吸収性」という2つの性質をあわせ持つ新素材・構造を採用。120施設を超える医療機関・介護施設で導入されており、「ころやわ」上での骨折は確認されていないという(2021年11月1日時点)。

また「ころやわ」は、歩行時の踵やつま先、杖・車いす使用時の沈み込みが少なく、へこまない硬さであり、「歩行時/車いす移動時の安定性」を実現しているとした。

椅子やベッドからの転落、車いすへの移乗や歩行からの転倒時には、大きく沈み込み、大腿骨の骨折リスクを軽減する「衝撃吸収性」を実現。転倒時には、フローリングに対して約半分に衝撃を抑え、骨粗鬆症の大腿骨骨折の目安荷重(221kgf)を下回るという。

内閣府「ワクチン・検査パッケージ」対応、playgroundが有観客イベントの感染対策をワンストップで支援するサービス提供

総合エンターテック企業のplaygroundは11月4日、有観客イベント運営における感染対策を支援する「イベント入場業務の感染拡大対策、ワンストップアウトソーシングサービス」の提供開始を発表した。

内閣府の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証事業および経済産業省のコロナ禍のイベント開催様式の実証事業で採択された、プロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」との実証実験では、全来場者にワクチン・検査履歴の登録を義務付け、「ワクチン・検査パッケージ」を基に合計1000名が入場したという。

なおこの「ワクチン・検査パッケージ」とは、「ワクチン接種歴およびPCRなどの検査結果を基に、個⼈が他者に⼆次感染させるリスクが低いことを⽰す仕組み」を指す(内閣官房「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた特設サイト」)。

playgroundの支援サービスは、「入場管理面」「イベント運営面」の双方から、新型コロナウイルスの感染対策を一気通貫でサポートするというもの。興行主側の専門知識やノウハウの不足、運営リソースの不足などの課題をクリアでき、様々なイベントの実施ハードルを下げてWith/Afterコロナ時代における有観客イベントの実現が可能になるという。

入場管理においては、playground独自の入場認証機能「MOALA QR」を搭載した電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」を利用。今回コロナ対策として、同伴者を含めた全来場者に対する来場者情報と「ワクチン・検査パッケージ」の登録を事前に行える機能を搭載したという。

まずイベント来場者は、playground提携のチケット販売各社でチケットを購入後、ウェブブラウザーで表示された電子チケット券面上において、本人確認用の顔写真・来場者情報・ワクチン接種履歴(または検査履歴)の3点を登録する。来場者は、この際発行された入場用QRコードを、スマートフォン(または紙印刷)でイベント会場に持参することになる。

イベント当日は、入場認証端末に顔とQRコードをかざす動作だけで、チケット確認・本人認証・発熱検知および「ワクチン・検査パッケージ」確認を1.5秒以内に終えられる。

興行主は全入場管理を1つの管理画面上で確認できるため、コロナ対策に向けた新たな人員拡充や設備追加、管理業務が不要となることに加え、蓄積した来場者データに基づくイベント後のアフターフォローやマーケティング活動に活かせるという。

またplaygroundによると、イベント運営支援の面において、感染対策における運営設計から、官公庁・医療機関などの関係各所とのコミュニケーション代行、抗原検査キットといった各種物品の仕入れ支援までワンストップでサポートする。playgroundは、専門業者として情報収集と対策を実施しており、日々変化する感染情報や政府方針、世論に対してタイムリーで最適な対応が可能であるとのこと。こうした部分をアウトソーシングすることで、イベント運営者はイベント本来の価値向上に集中できる環境を構築できるとしている。

2017年設立のplaygroundは、スポーツ・エンターテインメント業界に特化した技術開発、コンサルティング、SI事業を行なう総合エンターテック企業。エンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」の提供、コンサルティング・SIサービスの提供などを事業としている。

今、対応を迫られている気候変動リスクとは何か?ジュピター・インテリジェンスCEOとキャシー松井氏がわかりやすく解説

Jupiter IntelligenceのCEOリッチ・ソーキン氏

気候変動リスクへの対応が迫られている。2022年4月には東京証券取引所が「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編され、プライム市場に上場する企業は気候変動リスクを開示しなければならない。日本初のESG重視型グローバル・ベンチャー・キャピタル・ファンドであるMPower Partners Fund(エムパワー・パートナーズ。以下、MPower)でゼネラルパートナーを務めるキャシー松井氏は「投資家は投資先のリスクを評価して意思決定を行いますが、企業が気候変動リスクを開示しなければ『十分なリスク評価』は行えません」と話す。

気候変動リスクを予測・分析するプラットフォームを提供するJupiter Intelligence(ジュピター・インテリジェンス。以下、ジュピター)CEOのRich Sorkin(リッチ・ソーキン)氏と同氏が対談し、気候変動リスク対応の今後を語った。

「気候変動リスク」とは?

気候変動リスクはビジネスにおいてどう重要なのでしょうか?

ソーキン氏:エネルギーセクターを例に考えてみましょう。気温が下がり過ぎてしまうと、発電設備が停止してしまうことがあります。あまりに強い風が吹けば電線が吹き飛ばされてしまいます。水温が高すぎると、発電設備全般、特に原子力発電の冷却効率が下がります。洪水が起きればオペレーションが止まったり、送電が止まってしまいます。

米国では2021年2月「February Freeze」と呼ばれる現象が起き、テキサス州全域の送電網が2週間と3日にわたって停電しました。影響はメキシコにもおよび、一部サプライチェーンの停止も引き起こしました。こうした例は枚挙にいとまがありません。

MPower Partners Fundでゼネラル・パートナーを務めるキャシー松井氏

地球温暖化などによる気候変動は、エネルギー供給に影響します。さらに、どんなビジネスもどこかのプロセスで電力を使うので、無関係ではいられません。気候が工場や社屋、ロジスティクスに与える影響を考えれば、その重要性が極めて大きいことはご理解いただけるでしょう。

MPowerは9月中にジュピターに投資を行いました。ESGと気候変動リスクの関係をお教えください。

松井氏:少し前まで、ESGは「コンプライアンスの問題」とされていました。しかし今、企業の成長においてESGは避けては通れない課題です。世界的に規制が増加を見てもわかるように、環境への配慮が社会的に要請され始め、気候変動リスクの開示も求められています。

投資家は、投資先を決定する上で、企業のリスクを評価します。先ほどソーキンさんが話した通り、気候、天候がビジネスに与える影響は大きなものです。つまり投資家は、気候変動リスクの評価を抜きに十分なリスク評価はできないのです。企業が成長する上で、気候変動リスクを開示し、ESGにも配慮して投資家を惹きつけることは喫緊の課題なのです。企業、官公庁などの組織が気候変動リスクをより正確に把握し、リスクマネジメントすることの重要性は増すばかりです。

ジュピター・インテリジェンスのビジネス

ジュピターはどのようにしてスタートしたのでしょうか?

ソーキン氏:当社の創業は2017年ですが、ビジネスのアイデア自体は2016年頃からありました。気候変動の影響が大きくなり、2015年のパリ協定で設定した目標を各国が達成したとしても、状況の悪化は避けられないのだと、私は考えたのです。しかし、この事態が何を意味するのか、どうすればいいのか、明確な答えを持っている人はいませんでした。それにもかかわらず、企業、官公庁、NGOなどの意思決定者は行動を起こさなければならなかったのです。

そこで、気候変動による物理的な影響や、深刻化の進捗の具体的な割合、影響を受ける地域などをソフトウェアによってモデル化し、可視化しようと考えました。

創業から今までの間にコロナ禍があり、クライアント企業の状況も変わっていく中で、山も谷もありました。ですが、コロナが落ち着き始め、一度去ったクライアントが戻り、2021年には米国の国防総省とのコラボレーションが始まりました。また、もともと米国内の気候変動リスクの分析のために当社を活用していたクライアントが、ヨーロッパやアジア地域の会社資産の気候変動リスクの分析も任せてくださるなど、活躍の場を広げています。

松井氏:ジュピターは日本でも顧客を増やしています。2020年7月からはMS&ADインシュアランス グループ ホールディングスとMS&ADインターリスク総研と連携し「TCFD向け気候変動影響定量評価サービス」を提供しています。また、チューリッヒ保険やNASAなど、大きなクライアントを抱えています。MPowerは気候変動リスク分析ではジュピターがリーディングカンパニーだと考えて投資しています。

気候変動リスク分析とは

ジュピターはどのように「気候変動リスク分析」を提供しているのでしょうか?

ソーキン氏:当社では大きく分けて2種類サービスを提供しています。1つは、リスクに曝されている資産すべてをスキャンするサービスです。顧客層としては、1000万件の住宅ローンを保有する銀行や、世界中に工場を持つ製薬会社を想像してもらうとわかりやすいでしょう。このサービスでは、顧客は世界中に分散している自社の資産が気候変動によって受けるリスクを確認することができます。

もう1つのサービスは、資産の種類ごとにリスクを分析するサービスです。こちらはワクチン生産の施設や、発電所、軍の基地、ホテル、大きなオフィスビルなど「物理的な資産」を念頭に考えていただくとわかりやすいと思います。こうした物理的な資産は、特定の場所に存在し、その場所特有の気候変動リスクに曝されています。それを分析するのです。

ジュピターのサービスはどんな問題を解決するのでしょうか?

ソーキン氏:順を追って説明しましょう。誰かが何かを建てようとするとき、その建築物は想定されるリスクに耐えられるように設計されます。そのリスクは風だったり、洪水だったり、水を使う施設なら、水温だったりします。こうした想定リスクは、設計時点での「平均的な天候」を基に計算されています。

ここで、完成して10年経った発電について考えてみましょう。発電所の建設には時間がかかるので、完成の10年前くらいに計画が始まります。この発電所の計画時点で採用される想定リスクのデータは、過去10年ほどの平均データです。それを使って10年かけて発電所が建てられます。つまり、この発電所の完成時点における想定リスクは、20年前の想定リスクです。

リスクが変動しないのであれば、想定リスクのデータが古くても問題ありません。しかし、実際、20年もあればリスクも変動し、洪水のリスク、海面の上昇、風の状況などが変わります。さらに、この発電所はすでに10年使用されており、その間にリスクも刻々と変化しています。つまり、既存のやり方で想定リスクに対応しても、実際のリスクには対応できていないのです。

では、ジュピターはその問題をどう解決するのでしょうか?

ソーキン氏:私たちは今の気候、天候はもちろん、1年後、5年後、10年後と、それぞれのタイミングで気候と天候がどう変化していくのかを予測します。火災、風、水温などの予測データを活用することで、顧客はより洗練された設備を建設することができます。また、顧客がすでに保持している特定地域の施設や建物などの資産が将来的にどんなリスクに曝されているのかを知り、対策を練ることもできます。

企業に迫る「開示」の圧力

2022年4月には東京証券取引所が新しい3市場に再編され、プライム市場に上場する企業は気候変動リスクを開示しなければなりません。

松井氏:「気候や天候が企業にとって大きなリスクである」という認識は、世界的に急速に広がっています。金融庁も有価証券報告書による気候変動リスクの情報開示の義務化を検討しています。対象になるのは上場企業や非上場企業の一部など約4000社といわれています。

開示に関する規制が迅速に進んでいく一方、企業の情報開示のための体制が整っていないのもまた事実です。そのため、ジュピターのようなサービスを提供している企業が重要になってくるのです。

ソーキン氏:気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, 以下、TCFD)の提言をきっかけに当社のサービスを検討する企業も多くあります。TCFD提言は、企業等がビジネスに影響する気候変動のリスクと機会を把握し、ガバナンス、戦略、指標と目標について開示することを推奨するものです。

気候変動リスクに関する情報を開示するということは、リスクを理解することです。リスクを理解したら、企業は手を打たずにはいられなくなります。そのため、TCFDは自社の気候変動リスクに向き合うとても良いきっかけになります。

松井氏:どの企業も、どの業種も、規模に関わりなく気候変動リスク対応を行わなければなりません。気候は刻一刻と変わっています。日本だけでも深刻な自然災害が次々に起こっています。気候変動リスクを把握できていなければ、資産、人、地域に対するリスクも把握できていないということです。私たちのような投資家やステークホルダーは、投資先企業の全体像を見なければなりません。こうした背景があるからこそ、日本政府もカーボンニュートラルを急いでいます。

測れないものは管理できません。気候変動リスクの対策をするなら、リスクを把握することから始めなければいけません。これはもう選択の問題ではなく、避けられないことなのです。

ジュピターが日本でしようとしていることがあればお教えください。

ソーキン氏:日本は当社にとって非常に重要な市場です。私たちには、パートナーや顧客とコミュニケーションをとる日本担当のカントリーマネージャーが必要です。銀行、保険、電力、パブリックセクターに強い人材を必要としています。なぜかというと、私たちは「日本でビジネスをする米国企業」ではなく「日本の企業」としてこの国でビジネスを行いたいからです。興味のある人はぜひ、挑戦してもらいたいですね。

本日はありがとうございました。

CO2排出量算出・可視化クラウドのゼロボードが三菱UFJ銀行と協業、金融機関向けCO2データインフラ機能拡充など目指す

CO2排出量算出・可視化クラウドサービス「zeroboard」を開発・提供するゼロボードは11月5日、カーボンニュートラルの実現に向け、三菱UFJ銀行との協業について基本合意したことを発表した。三菱UFJ銀行の持つネットワークや総合金融グループとしての知見と、ゼロボードのクラウドサービスや辰炭素経営に関するノウハウをかけ合わせ、企業の脱炭素経営を後押しするソリューションを提供する。

具体的には、以下のような取り組みを進める。

  • 三菱UFJ銀行の顧客企業へzeroboardの提供
  • zeroboardのCO2排出量データ・サプライチェーンデータに基づく三菱UFJ銀行による金融ソリューションの開発・検討
  • 金融機関含めその他事業者までも含めたオープンかつインクルーシブ(包括的)なパートナシップの発展およびソリューションプラットフォームの共同開発・提供
  • アジアを中心としたグローバル製造業サプライチェーンのCO2排出量可視化・削減支援
  • CO2排出量以外の社会インパクト評価手法・可視化手段、ソリューション提供分野での初期検討

zeroboardは、企業活動により排出されたCO2量を算出したうえで、温室効果ガス(GreenHouse Gas)の排出量の算定と報告に関する国際基準「GHGプロトコル」における対象範囲区分(Scope1~3)を可視化できるクラウドサービス。Scope1は「自社の事業活動における直接的なCO2排出」、Scope2が「他社から供給された電気、熱・蒸気の使用により発生する間接的なCO2排出」。またScope3は「上記以外の事業活動に関わるサプライチェーンのCO2排出」を示す。

zeroboardでは、「サプライチェーンでの排出量や商品ごとのCO2排出量の算出」「CO2排出量の削減管理やコスト対効果のシミュレーション機能」「TCFDなどの国際的な開示形式に加え、国内既存環境法令にも対応するアウトプット」「専門的な知識を必要としないユーザーフレンドリーな操作性」などの機能を備えているという。

保険会社と保険代理店間を結ぶ情報プラットフォーム「ソリシター君」を展開するSEIMEIが3億円のシード調達


保険会社と保険代理店間を結ぶ情報プラットフォーム「ソリシター君」を展開するSEIMEIは11月2日、シードラウンドにおいて第三者割当増資による総額3億円の資金調達を行なったと発表した。引受先はJAFCO。調達した資金はソリシター君の強化のほかInsurTech領域での新規事業開発へあてる。具体的には、保険会社が外部ベンダーに求めるセキュリティー基準をクリアーするための開発費および追加機能開発と、それに向けた人材採用としている。

ソリシター君では、保険代理店が複数の保険会社の業務情報を一括で検索できる機能を無料で提供。また保険会社には、保険代理店募集人にダイレクトにアプローチできる広告配信プラットフォームを提供している。電話コミュニケーションが主流となっている保険会社ソリシター(営業)と保険代理店募集人のコミュニケーションコストの削減と業務効率を改善し、保険会社・保険代理店双方の売り上げ向上に寄与するという。β版をリリースした2019年9月から約2年で、バイラルとオーガニック検索流入のみで保険代理店の導入企業数が200社を突破、保険代理店募集人の9100名超が活用している。

2017年5月設立のSEIMEIは、「テクノロジーを活用し、50兆円保険産業の礎となる」をミッションとして掲げ、ソリシター関連事業における業務非対面化とDXを進めている。今後は全保険会社の公認システムになることを目指し、保険業界にとって必須のインフラサービスを構築していくという。

リコーのアクセラレータープログラムTRIBUS 2021、社内78件・社外117件の応募から参加11チームを選出

起業家向けシェアオフィスやコーポレートアクセラレーターなどを展開するゼロワンブースターは11月4日、リコーと共同運営するアクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」(トライバス)の参加11チームを発表した。これらのチームは、10月28日に開催された社内外の総合ビジネスコンテストから選出された。

「不可逆な世界でこれからの選択肢をつくる」をテーマとするTRIBUSの2021年の参加者は、社内起業家5チームと、スタートアップ企業6チーム。リコー社内から78件、社外から117件のビジネスアイデアの応募があり、その中から選ばれた。

募集領域は、以下7領域。
・事業活動を通じた社会課題の解決で、脱炭素社会と循環型社会を実現
・次世代太陽電池で作る「充電のない世界」
・認知機能の見える化と適切な介入で認知症の「未病」を改善する社会を実現
・働き方が変わる、働く場所が変わる、紙とデジタルの橋渡しで社会へ新しい価値を提供
・アナログとデジタルがシームレスにつながり、リアルを超えるUXの実現
・リアル×デジタル融合型の企業向けマーケティングサービス
・その他の事業領域(オフィス分野、HR、AI、ロボティクスなど)

アクセラレータープログラム期間中は、リコーグループとパートナー企業からの支援を受けて、ビジネスアイデアの検討や実証実験が行われる。成果発表は2022年2月17日を予定。パートナー企業には、2020年TRIBUS採択チームのグローバル・カルテット、CAMPFIRE Startups、KDDI、日本マイクロソフトが参加している。

採択チームと応募プランの概要は以下のとおり。

スタートアップ企業

  • APTO:AI開発でもっとも労力がかかるデータ作成を、安く、早く、大量に、高品質に行えるサービス
  • CALCU:次世代ダストボックス「CALCU」。食品廃棄の削減・最適化により、 事業利益の最大化をはかるIoTシステム
  • クリエ・ジャパン:様々なデータを基に1人1人に最適化した動画を自動で生成する動画DXサービス「PRISM」
  • JDSC:電力などのデータ×AIで、日常生活をしながらフレイル状態を検知し、高齢者の健康寿命延伸に挑戦
  • スマートショッピング:IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理・発注自動化ソリューション
  • ユニフィニティー:現場を便利にするアプリを簡単に作成する業務用モバイルアプリのノーコード開発プラットフォーム

社内起業家チーム

  • リコーテクノロジーズ:特殊環境における映像事業
  • リコージャパン:緑化による環境改善
  • リコーITソリューションズ:オンライン商談をAIで支援
  • リコーエレメックス:技術者と現場のマッチングを支援するサービス
  • リコー:スポーツ動画の活用に関するソリューション

介護保険外の訪問介護・家事・生活支援マッチングCrowdCareを運営するクラウドケアが総額1.1億円調達

介護保険外(自費)の訪問介護・家事・生活支援マッチングサービス「CrowdCare」(クラウドケア)を運営するクラウドケアは11月3日、第三者割当増資と融資による総額1億1000万円の資金調達を発表した。引受先はリード投資家のKII2号投資事業有限責任組合(慶應イノベーション・イニシアティブ)、またbasepartners2号投資事業有限責任組合(basepartners)。

調達した資金は、システム開発とカスタマーサクセスの強化に伴う人材採用、介護保険外サービスの認知度アップや依頼者獲得のためのマーケティング強化、首都圏以外へのサービス提供エリア拡大にあてる予定。これらの実現のため、今回初めて外部からの資金調達を行なったとのこと。

CrowdCareは、案件ごとに依頼者とヘルパーをマッチングして空き時間に働けるようにし、貴重な人材をシェアしていくという、シェアリングエコノミー型(クラウドソーシング)サービス。介護職として働いている方、介護の仕事から離れてブランクがある方、未経験の方も、隙間時間を使って自分のスキルや都合に合わせて働くことが可能としている。

治験・臨床研究文書の共有・管理クラウドを手がけるアガサが総額3.6億円調達、組織力とプロダクト強化

国立がん研究センターが8K腹腔鏡手術システムによる遠隔手術支援の有用性を確認

治験・臨床研究の文書をクラウド上で共有・管理するサービス「Agatha」(アガサ)を提供するアガサは11月4日、総額3億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのOne Capital、ダブルシャープ・パートナーズ、既存株主のモバイル・インターネットキャピタル、GMO VenturePartners。累計調達額は8億8000万円となった。今回調達した資金は、Agathaを一層強化するためのプロダクト開発・アガサの組織力強化に充当される予定。

Agathaは、医療機関と製薬企業の利用者が、治験・臨床研究の文書をプロジェクト単位で共有・保存・管理できるクラウドサービス。日本並びにグローバルで提供されており、日本国内では臨床研究中核病院の8割で利用実績がある。コロナ禍の影響で、治験・臨床研究の現場でも医療機関への訪問制限やリモートワークの実施が進んだことを背景に、従来の紙ベースでの業務を電子化して管理するシステムへのニーズが加速。国内利用者数は1万名以上増加している。

2015年10月設立のアガサは、医療機関、製薬企業、医療機器企業、CRO(医薬品開発受託機関)、SMO(治験施設支援機関)、臨床検査会社などにAgathaを提供することで、治験・臨床研究の効率化・省力化に貢献することをミッションに掲げるスタートアップ。

将来の日本の子どもが、日本の生活、文化、技術、医療が世界一と信じられる、誇りと感じられる世の中を作ること、そして日本中の研究機関から、新しい治療法や薬が創出される仕組み・基盤を作り、日本の技術や産業によって、世界中の人々の健やかな人生に貢献することをビジョンとしている。

ネコ車電動化キット「E-cat kit」・動力内蔵クローラ「CuGo」など手がけるCuboRexが約7500万円調達

タイヤ交換だけで農業用一輪車「ねこ車」を電動化するE-Cat Kitが広島県JA尾道市で販売開始

不整地で使える乗り物や運搬器具を製造開発するハードウェアスタートアップCuboRex(キューボレックス)は11月4日、プレシリーズAラウンドにて第三者割当増資による約7500万円の資金調達を完了させたことを発表した。引受先は、Open Network Lab、DRONE FUND、個人投資家らとなっている。これにより、シードラウンド以来の累計調達額は1億3000万円となった。

CuboRexは、ミカン農家や工事現場などで使用される一輪車、いわゆるネコ車を電動化するキット「E-cat kit」(イーキャット・キット)や、移動ロボットの開発を支援する動力内蔵クローラユニット「CuGo」を開発製造して販売しているが、こうした不整地に対応した機器による「不整地産業の課題解決」や、不整地対応ロボットの市場拡大を目指している。

今回調達した資金は、産業用サービスロボット事業の拡大、「E-cat kit」と「CuGo」の市場拡大と体制強化、研究開発においては資金不足になりがちな経営を安定させるキャッシュフロー基盤整備に充てられるという。現在、サービスロボット分野では、除草剤散布を自動で行う「除草剤サービスロボット」やプラント施設管理を省力化する「プラント施設管理ロボット」などのプロジェクトが進行している。

友人とのつながり・コミュニケーションを楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」のカウシェが総額約8.1億円調達

友人とのつながり・コミュニケーションを楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」のカウシェが総額約8.1億円調達

友人や家族などとコミュニケーションを楽しみながらグループ購入を行える「シェア買い」アプリ「KAUCHE」(カウシェ。Android版iOS版)を提供するカウシェは11月4日、第三者割当増資による総額約8億1000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのデライト・ベンチャーズ、SBIインベストメント、既存株主のANRI、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド。2020年11月発表の資金調達と合計した、これまでの総調達額は約10億円となった。調達した資金は、新規顧客獲得・既存顧客エンゲージメント向上のためのマーケティング強化、「カウシェ」のサービス開発のためのエンジニアや事業者開拓のための営業職など幅広い職種での採用強化にあてる予定。

KAUCHEは、ショッピングの醍醐味ともいえる「この商品、よくない?」「一緒に買おうよ!」といったコミュニケーションを、オンラインで実現するショッピングアプリ。商品を選び、割引価格での購入を決定後、その情報をSNSでシェア。その後友人や家族など、1人以上が同商品の購入を決めると「シェア買い」が成立し、定価から割引された価格で商品を手に入れられる(商品により割引率は異なる)。

またコロナ禍においてカウシェは、商品の売り先を失った事業者の販売拡大をサポートすべく、緊急事態宣言に合わせ、事業者への手数料を無料にするプロジェクトを実施。都心部だけではなく全国の事業者支援を見据えて、地方自治体と連携を行うなど、様々な取り組みを行ってきたという。その結果、「カウシェ」を利用する事業者数は、2020年9月のサービスリリース時と比べ、2021年10月には約8倍に拡大、また事業者ごとの平均売上も同比約4倍、流通取引総額(GMV)も約33倍へと伸長したそうだ。