魚や羽虫の大群でお互いの衝突がないのはなぜか?、それを真似るHondaのSafe Swarm技術は高度な安全運転を実現する

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Hondaは自然に見習って今よりも安全な安全運転を実現しようとしている。とくに今回同社がCESで披露したSafe Swarm〔仮訳: 安全な群れ〕と呼ばれる技術的コンセプトは、魚の群れの行動を模倣する。Safe Swarmは、それ専用の短距離通信規格を用いて車両間通信を行い、人間運転者をアシストする。

Safe Swarmは、車が拾った状況情報を、運転者が気づくよりもかなり前に、近くの車に渡す。車はお互いに情報を交換し、ほぼリアルタイムで数マイル先の車まで伝わる。そうすると運転者はより早くより確実に、問題を回避できる。

これと似た技術に取り組んでいる自動車企業は、ほかにもある。たとえば自動運転システムを開発しているMobileyeのREMシステムは、専用のセンサーを搭載した車同士が交通情報や道路情報をリアルタイムで共有し、またADASなどの自動運転系にも情報を伝える。それは、運転者からの入力を必要としない、完全に自動化されたWazeにちょっと似ている。

これは、すぐには実際の生産に結びつかない技術の、ひとつの例だが、車間通信がこれからの成長技術であることを示している。自動運転車は、Safe Swarmのようなものがあれば大いに助かるだろう。しかし自動運転車が普及する前の、今の時点でも、多くの生命を救う可能性を持っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Nvidiaはそのドライブコンピューターに運転助手機能を搭載しようとしている

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昨年の初めNvidiaは、AIスーパーコンピュータとして機能し、車に自動運転の能力を与える強力なシステムを編み出した。しかし、より安全な自動運転を実現するための、かなりの進歩は見られたものの、私たちが車を信用して全てを任せられるほどのレベルには、まだ遠く及んでいないようだ。

そこで「運転助手(Co-Pilot)」の登場だ。Nvidiaは、そのXavierドライブコンピューターに、運転手が運転を行う際にその補助を行う、新技術のAIアシスタントを焼き込もうとしている。そのAIアシスタントは、カメラやマイクなどを含む、あらゆる車内と車外のセンサーからのデータを取り込み、車内や周辺で何が起こっているのかを把握する。そしてそれは、何かに反応する必要があるときに、声あるいは可能な他の手段を通じて、運転手に通知を行う。

「AIが常時稼働しているだけで、車には信じられないほどの知覚能力が与えられます」。と語るのは、Nvidia CEOのJen-Hsun Huangだ。「私たちは、AI自身が運転したり、人間のために周囲に注意を払ったりすることになると考えています」。自動運転を行っていないときでも、それは周囲への注意を怠りません。例えば地図が変更されているとか、あまりに歩行者が多いといった理由で、AIが自動運転の安全性に確信が持てないときでも、それは状況への意識を完全に保ち、運転手のために注意を払い続けるべきです」。

今のところ、これはまだ少々新奇なアイデアもしくは研究プロジェクトのように見える。Nvidiaは、この技術を内蔵し、それをサポートするために必要なすべてのセンサーを備えた車を作るために、この先も複数の製造業者と提携する必要がある。ということで、私たちはこの技術が広く受け入れられたとき、そして受け入れられたとして、物事がどうなるかを正確に知ることはできない。そしてその実現は容易なものではないだろう。トヨタ研究所(Toyota Research Institution)の長Gill Prattは、私たちは完全自動運転からは「ほど遠い所にいる」と述べている。

同社は現在、ヨーロッパにおけるトラック業界のサプライヤであるZFと提携している。Hsunは、Nvidiaのドライブコンピュータを搭載した自動車を開発しているAudiとの協業と同様に、BoschもまたNvidiaのドライブコンピュータを採用すると語った(近日中に更に追加される予定だ)。

同技術の発表が行われたCESのステージで披露された1つの例は、近くの車線にオートバイが走っていた場合だ。もし運転手が完全な注意を払っていなかった場合には、運転手の視界に入っていないオートバイの前に車線変更しないようにするために、迅速な注意喚起が必要となるだろう。またこの技術は、運転手の顔を見ることで、どこを見ているのか、またどのような表情をしているのかを検知することができる。

「AIが注意を払うことになります、おそらくAIはあなたがいらいらしていて、停車して一休みすることが必要であることを検知することでしょう、そうした機能の提供も現在のAIネットワークなら可能です」とJen-Hsun Huangは語った。

このためには、NvidiaがGPUを構築する際に多くのリソースを投入したような強い活力が必要である。 Nvidiaは、多くのAI処理が、通常のプロセッサよりもGPUの方が得意な計算能力を必要とすることから、自身が有利な位置にいることに気付いている。それが昨年Nvidiaの株価を3倍に押し上げた原動力なのだ。

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(翻訳:sako)

Toyota Research Instituteのトップによると完全な自動運転車の実現はまだまだ遠い先の話

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世の中のみんなが未来の完全な自動運転車に注目している中で、Toyota Research InstituteのCEO Gill Prattは、それは想像以上に複雑であり、ゆっくりとしか進まない、と述べる。

Prattによると、SAEの“Level 5”に相当する完全な自動運転は、“実現が近いとは到底言えない”。Prattは、完全な自動運転に到達する時期についても、同社は何一つ目標や想定を持っていない、と何度も語った。それは、彼が今日(米国時間1/4)のCESの会場で、新しいコンセプトカーConcept-iを披露したときのスピーチで語られた。

Prattはこう語る: “人類は歴史的に、機械の欠陥による傷害や死亡に対する許容度がゼロである。AIのようなすばらしい機械ですら、欠陥を免れることはできない。今はまだ、Level 5に近いとすら言えない。これからも多くの年月とテスト走行等を必要とし、シミュレーションと現実世界の両方でテストを重ね、Level 5が要請している自律性を完璧に実現しなければならない”。

もちろん、彼の発言は全然意外ではない。Teslaのオートパイロットのような最新の自律運転機能ですら、限られた状況での利用を前提しており、あくまでも運転の補助機能でしかない。しかもそういう条件の中ですら、人間運転者がたえず周囲に気を配っていなければならない。したがってそれは、、危険が生じそうなときに運転者に警告し、それを未然に防ぐための技術、と位置づけなければならない。

しかし彼のような業界内部からの懸念表明は、自律的車両でUberなどのエンドユーザーサービスをサポートしようとしたときにぶつかる問題やトラブルも、反映している。Uberのような企業は乗客の送迎において、一定の限られた状況をよく定義実現できるとしても、より確実な自動運転の実現にはもっと長い時間を要するのならば、安全要件のすべてを満たすためにはそんなに早く人間運転手をゼロにはできないことになる。これが自動運転車を売りたい自動車メーカーと、そのエンドユーザーサービスであるUberのような企業との間に横たわる、大きな問題だ。Uberも、まだ当分は、人間運転者が頼りだ。

Concept-iは運転者のビヘイビアを学習し、“Yui”と呼ばれるAIエージェントが活躍する。AIは運転者との関わりを持ち、周囲に対する運転者のコンスタントな注意を支援する。Toyota Research Instituteが今行っている二つの研究開発のうち、そのひとつであるGuardianは、運転者の素早い反応/応答を必要とする状況で彼/彼女をアシストし、もうひとつのChauffeurは、自動運転の研究開発努力の一環だ。

AIと運転者との関わり、エンゲージメントは、単純に車内でYuriに話しかけることで実現する。それにより運転者の注意喪失を防ぐ。たとえばテキストメッセージを読んだり書いたりという注意喪失状況は、それらをYuriがやってくれることによって、防げるだろう。でも、そんな状況のデータが今後たくさん集まれば、危険な状況への理解が深まり、自動運転の前段階である拡張運転体験(augmented driving experience)の改良に資するだろう。

今、および近い将来、メーカーはLevel 4の自動運転を目指すが、その広範な実用化には数十年を要するだろう。Prattは、そう言う。現時点の最大の課題のひとつは、運転者が絶対に既存の自律システムを過信しないようにすることと、しかし運転中にテキスティングを始めるぐらいは(適切に)信頼することだ、とPrattは語っている。

〔訳注: Toyota Research Instituteの発足時に、“目的は自動運転車の開発ではなくて、事故ゼロ車の研究開発”、と宣言されている。関連記事日本語)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

フィアット・クライスラーとGoogle、Androidを車載システムに統合へ―CESでデモ展示

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今日(米国時間1/2)、FCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)はAlphaebetの新会社、Waymoが協力を進めていることを発表した(Waymoは以前のGoogle自動運転車事業部)。

GoogleはWaymoを通じて、自動運転テクノロジーだけでなくAndroidを利用した車載システムもFCAに提供する。Androidベースのシステムは標準的車載機器をコントロールし、インターネットに接続して情報やエンターテインメントを乗員に届ける。 FCAの新しい車載システムはUconnectと呼ばれ、Android 7.0がベースとなる。新システムはAndroidアプリと互換性があるのはもちろん、エアコンその他の車載デバイスを動かし、地上波ラジオ局を受信するなどきわめて多機能だという。.

GoogleとFCAの協力はAndroid Autoを含めて非常に広範囲となるはずだ。Android Autoは操作がシンプルでドライバーの注意力を補ってくれるドライバー・フレンドリーなレイヤー化されたAndroidシステムだ。表示には車載ディスプレイまたは所定のマウントに挿入されるスマートフォン(自身の電源で作動)が利用される。Googleは検索事業の巨人だが、自動車産業への進出に高い優先順位を与えることにしたようだ。今回の動きはGoogleが自動車メーカーの車載システムに自社のテクノロジーを基本的なレベルで組み込もうとしてることの現れだ。

FCAのプレスリリースによれば、GoogleのAndroid Engineeringの責任者Patrick Bradyは「われわれはAndroidをすべての機能が備わった本当の意味でのターンキー車載システムにする。これは自動車自身のシステムと安全性を確保しつつシームレスに結合したものになるだろう」と述べている

フィアット・クライスラー側にとってGoogleとAndroidは非常に魅力的な機能と柔軟性を提供する。つまり自動車メーカーとしての車載システムの独自性を失うことなくユーザーにAndroid互換性を提供することができるわけだ。

FCA の電気工学の責任者、Chris Barmanはリリースで「Uconnect車載システムはAndroidをベースにすることで、ユーザーが見慣れたUIを通じてシンプルな操作が可能になり、Androidエコシステムに含まれるすべてのアプリがそのまま利用可能になる」と述べている。

自動車メーカーが車載システムの独自性やコントロールを保持できるというのはGoogleがもつ大きな優位性だ。AppleもCarPlayを通じて車載システムへの進出を図っているが、Appleがブランドはもちろん、UIのルック・アンド・フィールを含めてCarPlayに対するコントロールを手放すとは考えられない。対自動車メーカーにかぎらず、iOSや最近のOS
X/macOSを含め、Appleはこれまでサードパーティーに基本ソフトウェアの改変を許したことはない。

なるほど、自動車メーカーはUIの専門家ではないので、ルック・アンド・フィールのデザインを任せることは理想的な解決策とはいえない。過去の例をみても、不細工なUIが作られるリスクが多いにある。しかし自動車メーカーはドライバーの注意を散漫にしないよう当局が設けた厳しい規制に従わねばならない。つまり自動車メーカーが車載システムのUIデザインの主導権を外部のソフトウェア・メーカーに完全に譲り渡すことはないだろう。ここで述べたような安全上の理由に加えて、ユーザー体験の主導権を手放したくないというメーカーとしての理由もあるだろう。

GoogleのAndroid OSに対しての柔軟性が車載システムでのシェアを獲得する際の切り札となる可能性がある。さまざまなレベルの自動運転システムが普及するにつれて、ドライバーの車内での時間は根本的に変化するだろう。インターネット企業にとってさらに価値の高いものになるはずだ。今週ラスベガスで開催されるCESでAndroidと統合されたUconnectがデモ展示されるという。私もCESに行くので実地に試してみたい。しかし現時点でのユーザー体験のレベルとは別に、FCAとの提携はGoogleにとって非常に有効な一手となったと思う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動運転車のためのリアルタイム道路状況地図技術でHereとMobileyeが協働

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自動運転の分野ではこのところ、複数の企業による共同開発という傾向が多く見られるようになった。Nokiaからスピンアウトした地図スタートアップHereは、コンピューターヴィジョン用のチップやカメラなどを作っているMobileyeと協働し、自動運転技術の重要な要素であるマッピングサービスのサポートで、コラボレーションしていくことになった。

両社がパートナーシップを発表したのは木曜日(米国時間12/29)で、この提携により、クラウドソースなデータを利用してリアルタイムで最適ルートを見つけ、地図上に表示するMobileyeのRoadbookと、Hereの地図サービスHD Live Mapを重ね合わせたようなサービスを提供していく、とされた。これにより自動運転車は、HDの地図の上に車載のセンサーからの情報をオーバレイで表示して、今まわりに何が見えるかを知らせるだけでなく、これから先の路上に何があるか、という情報も絶えずアップデートしていくことができる。

このパートナーシップの一環として、MobileyeはHereのOpen Location Platformを利用し、またHereは、MobileyeのREM技術で道路状況のリアルタイムモニタを行っている車両の、センサーから得られる生データにアクセスする。これによりHereのHD Live Mapのアップデートがさらに高速化することが期待され、実際のリアルタイムの運転状況を自動運転車により適格に反映させることができる。

地図は自動運転の重要な要素であり、このパートナーシップによって両社は、自動運転車やフリートサービスを展開しようとする企業にとって、より魅力的なサプライパートナーになれるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Teslaのオートパイロットがレーダーの超人的視力で高速道路の多重衝突を避ける(ビデオ)

Teslaは現行オートパイロット・システムと来るべき自動運転テクノロジーは安全性を大きく高めると頻繁に主張している。しかしTeslaのこうした機能が実際に乗員の生命を守るところを見る機会はこれまでほとんどなかった。

エンベッドしたビデオではTesla Autopilot 8.0ソフトウェアが緊急時に作動するところが見られる。このシステムはレーダー・テクノロジーを用いており、ドライバーの視界を妨げる障害物の向こう側を見通すことができる。

このビデオではTeslaの前面衝突警告システム(警告音を発して前方の障害物と衝突する可能性があることをドライバーに知らせる)が作動するのは直前の車が衝突に巻き込まれる前だ。Tesla Model Xはなぜこれほど素早くブレーキングを開始できたのだろう? 高速道路上で黒いSUVが突然停止し、その直後を走っていた赤い小型車が避けきれずに追突している。〔ビデオを観察すると、SUVはその前方を走っていた車に何らかの理由で追突して急停止したもよう〕。

通常ならこの事故はModel X自身を含めて大規模な多重衝突に発展しそうな好例だった。しかしドライブレコーダーの映像が示すとおり、Teslaはドライバーに危険を警告すると同時にドライバーの反応より早く急ブレーキを作動させている。その結果、Tesla Model Xは多重衝突の十分手前で停止した(さいわい事故は物損にとどまり、乗員は無事だった)。

これまでにもTeslaのドライバーは急加速で追突を避けるビデオなど安全性を示すビデオをいくつか公開している。TeslaのCEO、イーロン・マスクは2017年末までに完全自動運転機能を実験に移したい意向だ。Teslaではこの機能は車の安全性をさらに向上させるものと期待している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

空飛ぶ車実現の鍵を握る自動運転車とドローンのテクノロジー

Cartoon illustration of a flying car passing above other land vehicles

【編集部注】執筆者のTony AubeはOsmoのリードデザイナー。

幼い頃は、日曜朝のアニメチャンネルを兄弟で見ながら、宇宙家族ジェットソンの再放送で一家が空飛ぶ車で空を走り回る様子を眺めていた。当時はサイエンス・フィクションの黄金期で、ハリウッドは、ブレードランナー、バック・トゥ・ザ・フューチャー、スター・ウォーズ、フィフス・エレメントといった映画で溢れていた。そしてこのような映画の影響で、私たちは夢のようなテクノロジーで溢れた未来がいつか訪れると信じていた。

今周りを見てみると、当時の未来像に含めれていた、たくさんのものが既に実現したように感じる。道を歩いている人のポケットの中には高機能の通信機が入っており、地球上の誰とでもすぐにコミュニケーションがとれる。人間の遺伝子情報は全て解明され、世界中のほとんどの情報を指先で集めることができるばかりか、火星を侵略しようとさえしている。ここまで技術が進歩しているにも関わらず、何かが欠けている気がしないだろうか。まだ空飛ぶ車が誕生していないのだ。空飛ぶ車を作るのがそんなに難しいはずはないだろう。

空飛ぶ車の忘れ去られた歴史

信じられないかも知れないが、空飛ぶ車の誕生から既に70年以上が経っている。1904年にJules Verneが発表した小説Master of the Worldの中に空飛ぶ車が登場して以来、技術者は何世代にも渡ってその実現に向けて努力を重ねてきた。1940年にはHenry Fordが、飛行機と自動車を組合せた乗り物がそのうち誕生すると予言していた。当時の飛行機と自動車は、機体の価格が低下する一方、技術力は向上し、普及率も上がってきていた。そのため、近いうちに車と飛行機を組合せた乗り物が登場すると思われていたのだ。Fordの予言は正しく、彼の予言から数年後に、航空エンジニアのTed Hallが世界初の完全に機能する空飛ぶ車を完成させた。

70年前に作られたこのビデオには、実際に空を飛んでいる車の様子がおさめられている。機体は乗用車と取付可能な翼からできている。当時の航空機大手だったConvairが支援していたこのプロジェクトの中で、彼らは66回もテスト飛行を成功させていたため、あとは微調整を加えれば商業的な成功は目の前だと考えられていた。しかし1947年に行われたテスト飛行中、着陸時に衝突事故が起き、それ以後Convairはプロジェクトから手を引くことになった。そして、危険すぎると判断されたこのプロジェクトは、Hallの空飛ぶ車を一家に一台という夢とともに、最終的には消えてなくなってしまった。

それ以来、幾度となく空飛ぶ車の開発プロジェクトが立ち上げられたが、プロトタイプの段階を越えるようなものは生まれなかった。しかし、空飛ぶ車のアイディアに関して注目すべきなのが、誰も諦めないということだ。挫折や失敗が繰り返されているにも関わらず、どの世代のエンジニアも空飛ぶ車のアイディアの虜になり、その状況は今でも変わっていない。

究極的に言えば、空飛ぶ車が実現しない理由はテクノロジーやコストの問題ではない。

今日でも、TerrafugiaAeroMobilMoller Internationalといった企業が、この夢の実現に向けて動いている。彼らの名前は聞いたこともないかもしれないが、3社とも実際に動くプロトタイプを既に完成させている。

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AeroMobil 3.0というぴったりな名前が付けられた、AeroMobileの最新のプロトタイプ。

それじゃなぜ空飛ぶ車は世界中を飛び回っていないのか?

前述の通り、空飛ぶ車に必要なテクノロジーが誕生してからは既に何十年も経っており、今日でも空飛ぶ車の開発を行っている企業が存在する。それではなぜ、未だに車が空を飛んでいる様子を目にしないのだろうか?

一言で言えば、それは人間のせいなのだ。

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以前の記事でも触れた通り、人間というのはひどいドライバーだ。アメリカでは、車が関連する事故で年間3万人が命を落としており、8710億ドルものお金が消えてなくなっている。あなたの周りで運転が1番下手な人を思い浮かべてみてほしい。次に、その人が2トンの重さを持つ死のマシンに乗って、空を飛び回っている様子を想像してみてほしい。どんな気持ちがしただろうか?

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空飛ぶ車が一般に普及すれば、間違いなく世界中の建物で死亡事故が起きるだろう。現代の建築物は、(常に発生している)普通の車の衝突事故には耐えられるように設計されているが、空飛ぶ車は想定されていない。さらに、空中ではちょっとした衝突事故が起きるだけで、衝突した車と衝突された車の両方が地上に落ちる可能性がある。空飛ぶ金属の塊がいつ自分の頭の上に降ってくるかもわからないような世界には誰も住みたくないだろう。

究極的に言えば、空飛ぶ車が実現しない理由はテクノロジーやコストの問題ではない。空で何かを操縦するにあたって、ほとんどの人間はあてにならないという事実こそが、本当の理由なのだ。

ドライバーレステクノロジーの登場

ここから空飛ぶ車の議論は面白くなってくる。私たちは既に自動車に関して、あてにならない人間の問題を自動運転技術で解決した。

自動運転車は現実のものだ。大手テック企業は軒並み自動運転車の開発に力を入れており、街がGoogleカーのような自動運転車で溢れるのも時間の問題だ。自動運転車は素晴らしいアイディアである一方、その後継候補である自動飛行車には魅力では勝てない。

「どうすれば、空飛ぶ車を操縦できるほどコンピューターが賢くなれるのか?」と疑問に思うかもしれない。

どうやら、路上を走る車よりも空を飛ぶ車用のドライバーレステクノロジーの方が、簡単につくれらしい。空中には歩行者もいないし、くぼみもない。工事現場もなければ、その他のコンピューターが判断に迷うような障壁も空中には存在しないのだ。これこそ、ドライバーレステクノロジーがまず航空機に導入され、既に何十年間も航空業界で利用されている理由だ。センサーや演算能力、AIといったテクノロジーの発展に伴い、最近ではパイロットの必要性さえ問われている。今日のパイロットは、1フライトあたり平均3.5〜7分しか飛行機を操縦しておらず、以前は弁護士や医者と肩を並べていた給与に関しても、現在アメリカのパイロットの初任給は最低で時給10.75ドルまで下がってしまっている。自動化によって、タクシーやトラック運転手の仕事がなくなってしまうという議論が至る所でされているが、パイロットも例外ではない。

ここまでをまとめると、安全性が空飛ぶ車の主な問題点で、ドライバーレステクノロジーがそれを解決できるかもしれない。それでは、誰がその研究を行っているのだろうか?

いつもの顔ぶれ

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シリコンバレーに拠点を置く3人の著名人は、近年空飛ぶ車に強い関心を持っており、現在全員がドライバーレステクノロジーの開発に注力している。さらに3人とも豊富な資金力を持っているほか、世界トップクラスのエンジニアの力を借りることができ、これまでにも不可能と思われていたことを可能にした実績がある。Travis Kalanick、Larry Page、Elon Muskがその3人だ。

先月公開した98ページに及ぶ白書の中で、Uberは空飛ぶ車の未来に関するビジョンを説明している。この文書(概要はこちら)には、今後10年のうちにグローバルなオンデマンドのシェア航空サービスを提供するため、Uberがビジネスをどのように展開していくかについての具体的な計画が記載されている。要するに彼らは、ドライバーレスの空飛ぶ車用のUberアプリをつくろうとしているのだ。

UberそしてTravis Kalanick以外に、Larry Pageも空飛ぶ車にはかなり興味を持っている。これまでに彼は、1億ドル以上ものお金を、空飛ぶ車の開発に力を注ぐZee.AeroとKitty Hawkという2社のスタートアップに密かに投資してきた。Zee.Aeroは現在ホリスター市民空港でプロトタイプのテストを行っており、変わった見た目の乗り物が離着陸する姿を見たと報告している人もいる。Kitty Hawkの動きは謎に包まれているが、とても興味深いことに、以前Googleで自動運転車プログラムのトップを務めていたSebastian Thrunがこの会社の経営に関わっている。

Uberはドライバーレスの空飛ぶ車用のUberアプリをつくろうとしているのだ。

Muskはと言えば、どうやら彼は空飛ぶ車のアイディア自体そこまであてにしていないようだ。誤解しないでほしいのが、彼は空飛ぶ車をつくるのが難しい考えているわけではなく、ハイパーループのようにもっと効率的に都市間を移動する手段があると信じているのだ。しかし、長距離移動手段としてMuskが推奨しているのが、電気飛行機だ。いくつかのインタビューの中で、Muskは次なる大きなアイディアとして超音速電動ジェットのことを話していた。すでに彼は電気飛行機のデザインを終えているため、このまま競合が登場しなければ、またMuskは新たな会社を立ち上げて超音速電動ジェットを現実のものにしてしまうかもしれない。

面白いことに、これらのプロジェクトの機体のデザインには共通点がある。UberもPageもMuskも、電動で人間を運ぶことができ、地面に対して直角に離着陸できるような機体を考えているのだ。特に最後のポイントが重要だ。

人間用ドローンとして知られるVTOL機

ここまでに紹介した空飛ぶ車は、せいぜい飛行機と車が奇妙に組み合わさった高価な乗り物としか捉えられない(車と飛行機の良い点が潰されてしまっている)、と思う人もいるだろう。もともと車と飛行機は全く別の目的を持った乗り物であるため、単純にふたつを組み合わせただけでは上手くいくはずもない。突き詰めれば、飛行機と車を別々に購入した方が良いくらいだ。

このような設計上の問題を解決するために、空飛ぶ車は車か飛行機のような見た目をしていなければならない、という固定観念をまず捨て去る必要がある。以前公開した記事の中でも、人は旧来のソリューションを新たなテクノロジーに応用しようとする悪い癖があるということや、なぜ全く新しいプロダクトには新しい設計上のアプローチが必要かということに触れていた。これこそ、VTOL機の構造を空飛ぶ車に採用すべき理由なのだ。

VTOL機とは垂直離陸機(Vertical Take Off and Landing vehicles)のことを指している。要するに、今日のドローン革命を起こしたテクノロジーを使って、将来人間を運べるような空飛ぶ車をつくることができるかもしれないのだ。翼や車輪のことは一旦忘れ、宇宙家族ジェットソンが乗っているような空飛ぶ車や、DJIのドローンを人間が乗れるように大きくしたものを思い浮かべてみてほしい。

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CES 2016で公開されたEHang 184は、数あるプロトタイプの中でも注目の機体だ。

もしも、ドライバーレステクノロジーが空飛ぶ車実現の鍵を握っているとすれば、ドローンのテクノロジーは、機体を大量生産できるように簡素化する上で重要な役割を担っている。

飛行機の翼を車に取り付けるというアイディアは、見た目以外にもさまざまな問題を抱えている。翼を使って飛ぶためには、乗り物が水平方向に離陸する必要があり、これは危険なだけでなく、プロセスも煩雑になる上、離陸時に広大なスペースが必要になる。翼を垂直スラスタに替えるだけで、機体は素早く空高くへと舞い上がることができ、そうすれば燃料も節約できる。このように設計を行えば、主翼や尾翼、エレベーターといった、飛行機の中で最も危険とされる可動部を乗り物に搭載しないですむのだ。その結果、もっとシンプルで安全かつ大量生産しやすい機体が生まれる。

空飛ぶ車は車か飛行機のような見た目をしていなければならない、という固定観念を捨て去らなければいけない。

設計上重要な別の点として、電気モーターが挙げられる。これは単に環境に優しいだけでなく、VTOL機の動力源としては電気が一番理にかなっているのだ。電気モーターであれば、可動パーツの数を抑えられ、内燃エンジンよりも簡単につくることができる。また、電気モーターの方がずっと燃費が良く、メンテナンスも簡単で、飛行中に壊れる可能性も低いほか、内燃エンジンのように衝撃で爆発することもない。さらに電気を利用すれば、複数のスラスタを別々にコントロールすることもできる。そのため、もしも複数あるスラスタのうちどれかが故障しても、それ以外が直ちに浮力を補正し、無事に着陸することができる。そして最後に、電気モーターは騒音面でも内燃エンジンに勝っている。これこそ、VTOL機とヘリコプターの違いを生んでいるポイントだ。前述の白書の中でUberは、VTOL機の離陸時のノイズは、街の環境音と変わらない程度の大きさで、飛行中にはほとんど音が聞こえないはずだと推測している。

毎日の飛行通勤

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出典: Shutterstock

渋滞にひっかかっているときに、大きな赤いボタンを押して空に浮かび上がり、他の車を飛び越えていければと思ったことはないだろうか。渋滞の解消という夢を空飛ぶ車が実現しようとしている。

超高層ビルが都市部の限られた土地を有効利用しているように、都市部で空を飛ぶ交通機関が発達すれば、空の3次元空間を有効活用して地上の渋滞を解消できるかもしれない。― Jeff Holden, Uber CPO

これまでにも述べている通り、渋滞は大きな社会問題のひとつだ。アメリカだけでも、渋滞のせいで年間1240億ドルが無駄になっている。そして、交通渋滞の主な原因のひとつがインフラ不足だ。私たちが利用している高速道路は、今日の車の台数を想定してつくられてはいない。しかしVTOL機を利用すれば、この問題も解決する。VTOL機が一般に普及すれば、道路や線路、橋、トンネルの必要性がかなり減ることになる。これは環境に優しいだけでなく、公共事業に投じられるはずだった何千億ドルものお金の節約にもつながるのだ。

さらに、インフラに依存しない交通機関を利用することで、時間の節約もできる。電車やバスや車は、必ずしも効率的とは言えない限られた道順をたどってしか移動することができない。また、旧来の交通手段には、車両事故や工事などで道が遮断される可能性が常につきまとう。一方、空飛ぶ車であれば、最短距離で一直線に目的地まで到達することができる。さらに、地面と垂直に離着陸できれば、空港や滑走路など、現代の飛行機が離着陸するのに必要なスペースもいらなくなる。家のそばで離陸して、目的地のすぐとなりに着陸すればいいだけなのだ。繰り返しになるが、必要とするインフラの量が減るほど時間は節約できる。

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Uberは白書の中で、VTOL機の最初のユースケースには、長距離通勤が最適だと記している。VTOL機の大量生産が実現すれば、最終的には車を所有するよりもVTOL機を利用した方が安くなるとUberは考えているのだ。例えば、車だと2時間12分かかるサンフランシスコからサンノゼまでの道のりも、20ドルの料金を支払えばVTOL機に乗って15分で移動できるようになるかもしれないのだ。

空飛ぶ車実現への道

空飛ぶ車の実現にはまだまだ時間がかかる。前述の白書の中で、Uberも空飛ぶ車の実現までに解決しなければいけない主な課題を明示していた。まず、ドライバーが必要ないとしても、空飛ぶ車は連邦航空局の規制に準拠しなければならず、承認までにはかなりの時間がかかることが予想される。さらに安全面やコスト面の問題もまだ残っており、バッテリー周りのテクノロジーも追いついていない。Uberは、いかにこのような課題を解決し、10年以内にVTOL機を一般普及させるかについても白書の中で述べている。

著書「From Zero to One」の中でPeter Thielは、私たちはもう革新的な世界に住んではいないと述べ、物議を醸した。産業革命の結果、電気や家電、超高層ビル、自動車、飛行機といったさまざまなイノベーションが誕生した一方、現代のイノベーションのほとんどは、ITや通信の世界に留まっていると彼は主張しているのだ。Thielの指摘通り、ライフスタイルが1950年代から不思議なほど変わっていないという事実に、私たちはスマートフォンのせいで気づいていないだけなのかもしれない。

しかし私は、少なくとも交通の分野ではその現状が変わろうとしていると主張したい。自動運転車やハイパーループ、再利用可能な宇宙ロケットといった最近のプロジェクトを見る限り、イノベーションは未だに生まれ続けている。そして、かつて自動車が地上交通の敷居を下げたように、オンデマンドで共有型の空飛ぶ車によって、空中移動が身近なものになろうとしている。このテクノロジーによって、将来的には誰もが、今よりも快適に速く、安く、安全でより環境に優しい手段で移動できるようになるのだ。

空飛ぶ車の実現に向けた道のりは長いかもしれないが、そんなことは問題ではない。だってMarty、私たちがこれから行こうとする場所には、道など必要ないのだから。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Volkswagenの今度のEVは未来の自動運転を完全に意識、ハンドルがどこかへ隠れてしまう!

Volkswagen Showcar NAIAS Detroit 2017

Volkswagenは、今年の初めにパリのモーターショーで披露したI.D.コンセプトカーの系列を拡張した新しいコンセプトカーを、1月にデトロイトで行われる北米国際オートショーで正式に発表する。今日同社は、そのコンセプトカーの“予告編”をリリースして、その車種の詳細をいくつか垣間見せた。それにより、その設計が、将来の自動運転車を完全に想定していることも分かる。

今回I.D.系列に新たに加わる車種はフル・エレクトリック、ハイブリッドでない完全な電気自動車(EV)で、同社のModular Electric Drive(MEB)がベースだ。この新しいプラットホームをVolvoも使用して、そのEVラインを今後10年間で30車種以上に広げる計画だ。

この新しいコンセプトは、パリのオートショーで紹介されたI.D.よりも未来志向のようだ(I.D.は、MEBをベースとする最初の量産車両になる、と同社は言っていた)。新しいコンセプトカーの設計は完全に自動運転を前提しており、ステアリングホイールはあるけれども、VWのロゴのあるボタンを押すと、ダッシュボードの中へ格納され、運転者がくつろげる空間を作る。

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その設計/デザインはまるで、人間が運転しなくなった時代の車はどうあるべきか、をヴィジョンしているようだ。実際に“ポスト人間運転”の車が路上を走るようになるのは、もっと未来の話だが、今現在の消費者向け自動車に自動運転車の技術を部分的に導入するVWの考え方は、やはりおもしろい/興味深いと言える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アメリカの一般消費者の見解: 「自動運転車は人間運転者よりも優秀」

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企業向けのさまざまなサービス日本)を提供しているPwCが、自動車技術の未来に関する最新のアンケート調査の結果を発表した。そしてそれによると、アメリカ人は、自動運転車や配車サービス(ride hailing, 流している車を呼ぶこと)、カーシェアリングサービスなどの概念を、徐々に受け入れつつある。たとえば回答者の66%が、自動運転車は平均的な人間運転者よりも優秀だ、と考えている。

その調査は、アメリカ国内で16歳以上の1584名に対して行われ、交通の未来について質問をした。それによると、新しいテクノロジーの受容は年齢よりもその人のテクノロジー観に依るところが大きく、また人びとは、派手な宣伝文句などよりも実用的な技術を求めている。

21歳から49歳までをカバーするジェネレーションXとジェネレーションYの人たちがいちばん、新しい自動車技術に熱心な関心を持っている。50歳以上と20歳以下の層は、自動車技術にそれほど関心を持っていない。

興味深いのは、お金を払ってでも利用したいと考えている技術の上位三つがどれも、事故や犯罪や災害など緊急事態に関連していることだ。全体で2/3以上の回答が集まったそれら三つは、完全で網羅的な車両追跡、車両の遠隔停止、そして運転者制御(運転者の運転権を奪う)システムだ。これらに比べると、ジェスチャーによる制御や、スマートフォンの完全な統合などは、ずっと下位である。

Uberのようなライドシェアリング*の利用は、徐々に普及が進んでおり、回答者の37%が、一度以上は利用したことがある、と答えている。一度も使ったことがない、と答えた回答者も、その55%は、試してみたい、と答えている。でもUberさん、気をつけた方がいいよ。回答者の74%が、“ライドシェアリングは経済を阻害しない”、と答えているが、しかし72%が、その業界には“規制が必要”、としている。カーシェアリングは、これらと趣(おもむき)がやや異なり、Zipcarやcar2goなどの利用経験者はわずかに23%、“試してみたい”もわずかに37%だ。〔*: ride-share == ‘便’の共用、相乗り…しかし実態は一人/一グループの利用が多いので、ride hailing(車を呼ぶこと、配車をリクエストすること)が言葉として定着しつつある。car-share == 車本体の共用、運転は利用者自身がする。インスタント・レンタカー、みたいなもの。〕

自動運転車に関しては、もっぱら安全性が心配されている。車がハックされる、という懸念もある。しかし一方では肯定的な見方も多くて、自動運転車は高齢者には好適で、高齢者本人が運転するより事故が少ない、と期待されている。つまり自動運転車は安全性が心配だけれども、法規の遵守や衝突事故の少なさでは優(まさ)っているだろう、と見なされている。

自動運転車には何も利点がない、という回答は13%ある。また、自動運転車の中で拡張現実のディスプレイなどのハイテク機能を利用するとき、プライバシーの一部を放棄してもよいか、という問いには、60%がノーだ。安全性が心配と答えた回答者のうち、全回答者の53%に相当する人びとが、“自動運転車は怖い”、と答えている。われらがロボットの君主たちには、まだまだ克服すべき課題が多いようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

カルフォルニアを諦めたUberの自動運転車がアリゾナに出発

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カリフォリニア州の陸運局(DMV)がUberの車両登録を撤回したことを受けて、同社はVolvoのXC90 SUVにセンサーを取り付けた自動運転テスト車をアリゾナ州に移すことを決めた。UberのスポークスパーソンがTechCrunchに話してくれたところによれば、テスト車を載せた運搬用のトラックは現地時間22日の朝にアリゾナ州に向けて出発しており、「今後数週間以内には」同州への配備が完了する予定だ。アリゾナ州知事のDoug Duceyはこれを全面的にサポートしている。

Ducey知事は22日朝、Uberによる自動運転車のテストをサポートするとツイートした。これは正式な表明というわけではないが、Uberのオペレーションをカリフォルニア州からアリゾナ州に移してほしいという気持ちの現れだといえる。アリゾナ州の都市スコッツデールでは、今年のはじめからGMも自動運転車のテストドライブを開始している。現在はWaymoと呼ばれる、Googleの自動運転車プロジェクトもアリゾナ州で活動している。

カルフォルニア州のDMVはUberに対し、自動運転車のオペレーションを行うのであれば許可を取るようにと命令していたが、Uberはそれを無視してオペレーションを続けるという方針を発表していた。そんな中、Uberは現地時間21日にカルフォルニア州DMVと同州司法長官と会見している。その会見の結果、DMVはUberが運用する自動運転車の車両登録を撤回すると決めたのだ(合計で16車両)。

その後、カリフォルニア州DMVはもう一度Uberを招いて許可を申請するプロセスを完了させようとしたが、Uberはそうする代わりにアリゾナ州にオペレーションを移すことを決め、それはすぐに実行された。

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Uberの主張とは、同社の自動運転車にはドライバーを同乗させる必要があり、カルフォルニア州DMVが定める自動運転車の定義には当てはまらないというものだったが、同社は今もその主張を崩していない。

UberはTechCrunchにセミ自動運転トラックの「Otto」に搭載された自動運転車の写真を提供してくれた。

今後情報が入り次第、記事をアップデートする。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Uberはサンフランシスコでの自動運転パイロット事業を中止、自動車局が車両の登録を撤回したため

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Uberが、サンフランシスコにおける同社の自動運転パイロット事業の中止を確認した。それは、今日(米国時間12/21)行われた三者協議の結果だ(Uber、カリフォルニア州自動車局、司法長官事務所)。自動車局は、Uberがパイロット事業で使っていた16台の自動運転テスト車両の車両登録を撤回した。

自動車局によると、車両の登録を撤回すると同時に、Uberには許可プロセスを完了するようすすめた。一方Uberは、当面、ほかのところでそれらの車両を展開するつもりだ。Uberは、次のように声明している:

自動車局がわれわれの自動運転車の登録を撤回したので、カリフォルニアにおける弊社の自動運転パイロット事業を中止した。今、これらの車を再び展開できるところを探しているが、今でもカリフォルニアには100%コミットしており、より現実性のある州の規則を開発する努力を、今後は一層強化していきたい。

Uberは12月14日に、サンフランシスコにおける自動運転のVolvo X90 SUVのアップデートを開始し、この地域でランダムに選んだuberXの顧客にサービスを提供した。自動運転車を公道でテストする企業に州が発行する許可を、同社は求めなかった。その論拠は、現段階では完全な自動運転車ではないから、そのような許可は必要ない、というものだ。

最初のうちUberは、規制当局の異議にも関わらずそのパイロット事業を続行したが、自動車局とカリフォルニア州の司法長官事務所は、同社がサービスの提供を続けるかぎり、差止め命令などの法的措置に直面するだろう、と述べた。

Uberは今、同社のAdvanced Technology Groupのあるピッツバーグでも自動運転技術のテストを運用している。今年の初めに始まったそれらのテストは、Ford Focusに自律センサーや車載用コンピューターを装備した改造車を使用し、今後も続けられる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Waymoが自動運転車技術の協力に関してホンダと正式な交渉を開始

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元Googleの自動運転車プロジェクトだったWaymoは、商用契約を締結する準備ができていることを示すことに時間をかけたりはしない — アルファベットが所有するこの自動運転技術会社は、Waymoの自動運転ソフトウェアとセンサーをホンダ車に搭載するための正式な交渉を開始した。

ホンダは、水曜日(日本時間)のプレスリリースを通じて、両社の潜在的な協力関係のきっかけとなる交渉に関する発表を行った。ホンダは、Waymoの現在の試験車両群に参加することを狙った車両を開発するために、Waymoエンジニアと協力して作業するエンジニアを参加させる予定である。

ホンダはこれを、2020年ごろに高速道路で顧客に自動運転を提供する予定の、自社による「現在進行中の」試みと並行する位置付けで進める。ホンダはWaymoとのタイアップが、ホンダが既にシリコンバレー研究所で行われている研究と栃木で行われているエンジニアリングの努力と合わせて「ホンダの研究開発陣に、完全自動運転車を市場に提供するための、完全に異なるアプローチを探求する機会を提供するだろう」と述べている。

Waymoはまた、ホンダの競合相手であるFCA(フィアット・クライスラー)から100台のテスト用クライスラー・パシフィカ・ミニバンを入手し、それらをその試験車両群に配備する予定を発表したばかりである。ホンダとのこの新たな潜在的なパートナーシップが、もしこの正式な交渉段階を超えて進展すれば、それはこの先自動車メーカーに自動運転の技術を提供する重要な立場になる可能性があることを示している。

今月初めにWaymoが正式に発表を行ったが、同社はOEMへに対する自動運転技術の潜在的なパートナーおよびサプライヤーとしての地位をアピールするために相当な時間をかけてきた。BlackBerry、Delphi、Mobileye、そしておそらくはこの先Nvidiaなどとの競争もあるが、2009年にGoogle Xで開始されたこのプロジェクトは、真のレベル4とレベル5の自律性(人間の介入を必要としない自転車、ペダルやステアリングホイールなどさえも不要なもの)を当初から狙っていたために、テクノロジーパートナーとしての魅力という点で明らかに高い評価を得ることができている。

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(翻訳:Sako)

2016年度のUberの赤字は30億ドルに拡大へ―収入も拡大中

FILE - In this Dec. 16, 2015 file photo a man leaves the headquarters of Uber in San Francisco. Uber and advocates for the blind have reached a lawsuit settlement in which the ride-hailing company agrees to require that existing and new drivers confirm they understand their legal obligations to transport riders with guide dogs or other service animals. The National Federation of the Blind said Saturday, April 30, 2016, that Uber will also remove a driver from the platform after a single complaint if it determines the driver knowingly denied a person with a disability a ride because the person was traveling with a service animal. (AP Photo/Eric Risberg, File)

The Informationその他の情報によれば、 Uber赤字は昨年の22億ドルからさらに増え、2016年は30億ドルになるという。Uberといえばすでに確立された世界的なブランドというイメージが強いが、ビジネスとしての収益性には分かりにくい点が多い。

ドレイクやウィズ・カリファといったヒップホップのスターは歌詞で始終Uberに言及している。ハリウッドのビッグネーム、ウィル・ファレルはUberのドライバーをテーマにしたコメディを製作し、主演することも決まっている。

Bloombergの推計によれば、リムジン、タクシー配車サービスのパイオニアは2016年の純収入は55億ドルで昨年の20億ドルから大幅にアップしている。こういった金額や伸び率は普通なら驚くべき数字のはずだが、30億ドルの赤字が予想されるということはUberは1ドルの収入を得るたびに1.55ドルを支出している計算になる。

Uberの広報担当者は財務情報に関してコメントしないとしている。

Uberの赤字がどこから来ているのかだが、少なくとも次ような支出先がある。自動運転車の開発、食品配達ビジネスの拡大、ドライバーと社員の人件費、訴訟多数、ロビー活動、等々。Uberではここ昨年コスト削減のために報酬体系の見直しを行ったが、それでも人間のドライバーに対する支払いは大きなコストセンターになっている。

ドライバーへの支払の他に、Uberはライバルとの競争にも多大の費用を必要としている。つまりインセティブ、ボーナス、広告、ドライバー側アプリの改善などだ。またUberは契約者ではなく雇用者であることの確認を求めるドライバーのグループを始めとして多数の訴訟にさらされている

またUberは外部のパートナー企業に運転のためのナビゲーションを頼らなくてもすむよう、数億ドル地図テクノロジーの開発につぎ込んでいるという。

今年、Uberは引き続き企業買収を行ってきたが、特に 人工知能のスタートアップ、Geometric Intelligence自動運転トラックのスタートアップ、Ottoの買収が目立った。自動運転とロジスティクスの分野でもリーダーになろうとする戦略的投資なのだろう。

しかしこうした買収の一方で、20116年の下半期は配車回数が減少傾向だ。もっともこれはUberが中国でライバルとの競争を諦めたことから予想されたことだった。Uberは中国での事業を最大の地域的ライバルであるDidi Chuxing(滴滴出行)に売却し、両社を統合した会社の持ち分を得るという戦略に転じている。しかしこれは世界的にみてUber自身による配車回数の減少という結果をもたらしている。ただし中国市場から撤退したことにより、リソースを他の有望分野、料理の配達のUberEATSサービスを世界50都市に拡大するために振り向けることが可能になった。

ビジネスの観点からすると、一番重要なのは、ピッツバーグ、最近ではサンフランシスコにおける自動運転タクシーの実験だろう。将来、自動運転車が実用化されれば、Uberは膨大な人間のドライバーを必要としなくなる、少なくとも大幅に減少させることができる。株主はUberがこの分野に投資することを引き続き支持するだろう。

ただ同時に、スマートフォン配車ビジネスに多数のライバルが参入中だ。これによりドライバーの採用と引き抜き防止のための費用は大幅に上昇した。またGoogleはWaymoという新会社を設立し、自動運転テクノロジーの全面的なビジネス化を図ろうとしている。

ところが、Uberの内外のライバルはアメリカのLyft、インドのOla、東南アジアの Grab、ヨーロッパのGettを含めて、ほとんどが非公開企業であるためビジネスの内情をUberと正確に比較することが非常に難しい。しかし配車サービス事業に詳しい情報源によればUberはライバルのLyftなどより賢明な支出を行っているという。両社の財務内容に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによれば、顧客サービスのための割引やドライバーへのインセティブを含めて、Lyftのコストは1配車ごとにUberより50%も高いという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Hyundaiの自動運転車が目指すのは「手頃な価格」

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自動車メーカーのHyundaiは、同社も自動運転車をめぐる競争に喜んで参加することを表明した ― しかし、彼らのアプローチは他社とは異なる。個人が所有するクルマにも搭載することが可能なテクノロジーを一般の人々にとって手頃な価格で提供するというアプローチだ。

Hyundaiの自動運転テクノロジーがデビューしたのは今週のことだ。同社は1月に開催されるCESに先がけ、ラスベガスの公道で同社初となる自動運転車の試乗会を開いている。Hyundaiが今回使用したテスト用の自動運転車は、2016年に販売を開始したIONIQをベースに開発されている。同社のプロトタイプはノーマルのIQNIQと驚くほど似ている ― 他社の自動運転車に搭載されているような「大きな冠」、つまり、上部にある大きなセンサーが無いのだ。

だからといって、Hyundaiのクルマは目隠しをして走行しているという訳ではない。このクルマにはフロントガラスの裏に4つのカメラが搭載されている。その他にも、クルマの前方と左右を感知するLiDARユニット、前面に設置された中長距離レーダー、クルマの後部を感知するレーダーなどが搭載されている。それでも、たとえばUberの自動運転車などと比べれば、かなり少ない装備だといえる。このHyundaiのアプローチには意味がある:センサーから入るインプットの量が少なければ少ないほど、それを処理するコンピューターの性能は低くて済む。そして、最終的にはシステム全体のコストも下がるというわけだ。

センサーから入るインプットの少なさを補うために、このクルマはダウンロード可能な高精度のマップデータを利用している。つまり、Hyundaiの自動運転車を公道で走らせるためには、その地域のマップデータが事前に作成されている必要がある。だが、Engadgetの記事によれば、マップデータをダウンロードしたHyundaiのクルマは歩行者などの障害物を軽々と避けることができたという。少なくとも、ラスベガスの試乗会ではそうだった。

他社では、自動運転テクノロジーをVolvoのような高級車に搭載するハイエンドのオプションとして位置づけていることが多い。その一方で、Hyundaiのアプローチが上手くいけば、安価なクルマにも自動運転のテクノロジーを搭載することが可能になるかもしれない。

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Hyundaiによれば、同社がこれまで取り組んできた先進運転支援システム(ADAS)が同社の自動運転テクノロジーの開発に寄与しており、2019年から2021年までには搭載するセンサーの標準化を目指すとしている。しかし、完全な自動運転車が誕生するまでには、まだ越えるべき障害が多く残されている ― 技術的な問題はもちろん、規制に関する問題や、そもそも人々に受け入れられるのかという問題もある。だから、一般の人々が自動運転車を利用するのは、まだ先の話になるだろう。

それでも、Hyudaiは将来的なマスプロダクションを視野に入れている。特に、自動運転車に搭載されるLiDARユニットなどのコストが下がってこれば(その兆候はすでにあるが)、それを達成できる可能性は大いに高まることだろう。富裕層だけでなく、一般の個人でも手の届くテクノロジーを開発することは、高潔な目標であるとも言える。TeslaのModel3を見ると、同社もHyundaiと同じ目標を達成することを目指しているように感じる。しかし、自動運転テクノロジーを安価に、かつ大規模に提供するという点においては、Hyundaiのアプローチに軍配が上がるのかもしれない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Uberの自動運転車はサイクリストを危険にさらす、と自転車愛好家グループが警告

車のオンデマンド配車で巨大企業になったUberは先週、州の許可なしで公道上の自動運転車のテストを行い、論議を招いた。

本日(米国時間12/20)Uberは、自転車愛好家たちが、その試験車両には右折時の“右フック”(巻き込み)問題があり、サイクリストを重大な危険にさらす、と警告したため、火に油を注ぐ結果となった。

このシナリオでは、車両が自分の車線から右折しようとするとき、自転車用車線に合流してから安全に右折を完了するのではなく、曲がり角でサイクリストを妨害することもありえる。

San Francisco Bike Coalition(サンフランシスコ自転車連盟)によると、これが、自転車と自動車の接触事故の主な原因の一つであり、今年の初め、Uberのためにビデオでコンサルティングしたときにも指摘した事実である:

この種の方向変えは、重傷や死亡に結びつくような自動車と自転車との接触事故の、主な原因の一つとして知られている。それはまた、われわれが職業的運転者に提供しているすべての交通安全教育において注意を喚起している、危険な行為である。その教材には、この秋というごく最近の時期にUberのためにコンサルティングしたときの、ビデオも含まれる。

The Guardianの記事によると、Uberはこの問題を知っているが、その自動運転車両の稼働を継続した。その場しのぎの策としてUberは、自転車専用車線のある道路で右折するときには人間運転者が運転するよう、命じていたという。

この“右フック”問題が大きく報じられるよりも前にカリフォルニア州の司法長官Kamala Harris(州選出の上院議員にも選ばれている)は、州自動車局の特別許可が得られるまでUberのテストを中止するよう要求した。

Uberは、Self-Driving Coalition for Safer Streets(より安全な道路のための自動運転連盟)の創立メンバーだ。本誌TechCrunchは、この記事のアップデートのために、同社と連盟にコメントを求めている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

これがWaymoのテクノロジーで走る自動運転車クライスラーパシフィカだ

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新たに生まれたアルファベットの子会社Waymo(先日までGoogleの自動運転車プロジェクトだった)に、新しいラインナップが加わった: 100台のクライスラーパシフィカハイブリッドミニバンだ。車載コンピューター、センサー、テレマティクスで構成されたWaymoのテクノロジーを用いて完全自動運転行うことを目指し、フィアット・クライスラーによって製造された車両である。新しい100台の車は、来年早々に開始する公道でのより多くのテストのために、現現在のWaymoの他の自動運転車両に加わる。

これらの車両はWaymoとFCA(フィアット・クライスラー)の緊密なパートナーシップによって作られたもので、ミシガン州のエンジニアリングサイトに両社のエンジニアリングチームが集まり、さらにFCA側はミシガン州チェルシーとアリゾナ州ユッカで、Waymo側はカリファルニアのWaymo自身のテスト施設で行った開発プロセスを通してテクノロジーのテストが行われた。

使用されたクライスラーパシフィカは消費者が購入可能な2017年の量産モデルに基いているが、Waymoのテクノロジーにより良く適合させるために、シャーシだけではなく電装系、パワートレイン、そして構造に変更が加えられている。この結果、アルファベットが単にクライスラーの車両を購入して市販車に自分たちで改造を行うよりも、より緊密な統合が可能になった。それでもFCAによれば、プロジェクトの最初からサービスを開始できる段階までにかかったのはわずかに6ヶ月だったということだ。

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    Autodesk VRED Professional 2017 SR1

WaymoのCEOであるJohn Krafcikはブログ記事で、ミニバンフォームファクターを搭載したPacificaをテスト車両に追加することで、自動運転車の範囲内で沢山の車種と乗客ニーズをよりよく表現できるようになったと指摘している。プロトタイプのプライベートテストは、既に実際に200時間以上過酷な天候に晒すなどの様々な範囲のテストを行っていると、Kirkはブログ記事で述べている。

ブルームバーグの最近の報告によれば、WaymoはFiat Chryslerと協力して、半自動運転のクライスラー・パシフィカを利用した相乗りサービスを、来年の早い時期から一般に提供するらしい。先の100台の車はフィアット・クライスラーとアルファベットによってテスト用に使うことが発表されていたものだが、何らかの大掛かりなサービスを開始するためにはもっと沢山の車両が必要になるだろうと、レポートには記載されている。

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(翻訳:Sako)

Uberはサンフランシスコにおける自動運転車のオペレーションを停止せず:陸運局への反抗

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Uberはサンフランシスコでの自動運転車のオペレーションをやめるつもりはない。カリフォルニア州のDepartment of Motor Vehicles(DMV、陸運局)からオペレーションの停止命令を受けたのにもかかわらずだ。

DMVは、Uberが自動運転車のテストドライブを行う際にはあらかじめ許可を取る必要があると主張する一方で、Uberはそれに対し、問題となっているクルマは「真の自動運転車」とはまったく別物であるため、許可を取るは必要ないと反論している。

Uberの自動運転車チームを率いるAnthony Levandowskiは、「自動運転車の規制に対するカルフォルニア州陸運局の法的な解釈の仕方に、私たちは謹んで反対いたします。特に、Uberがサンフランシスコで自動運転車のテストをする際には許可が必要だという点には同意できません」とコメントしている

Levandowskiは、9月中旬からピッツバーグで、そして今週からサンフランシスコでオペレーションを開始したUberの自動運転車を、Teslaの自動運転テクノロジーと比較して説明する。彼の主張とは、Teslaの自動運転車が公道を走るときには許可が必要ないのにもかかわらず、運転席にエンジニアを座らせているUberの自動運転車で公道を走る際に、なぜ許可が必要なのかというものだ。

「真の自動運転車」とは、人間による干渉や監視なしで走行できるクルマのことを指すとLevandowskiは主張しているのだ。「私たちはTeslaによる自動運転車の定義は正しいと思っています。そして、Uberの自動運転車はTeslaのクルマと変わりありません。私たちのクルマは人間のオペレーター抜きでは走行することができないのです。そうである以上、このクルマを自動運転車とは呼べないのです」と彼は語る。

もちろん、DMVはこの主張に同意していない。Uberの自動運転車が赤信号で停止しなかった様子がドライブレコーダーによって目撃されたことを受けて、当局はUberにオペレージョンの停止命令を出している。DMVはUberに宛てた手紙の中で、オペレーションを停止しなければ「差止請求を含む法的措置を取る」と忠告している。

DMVが考えるTaslaとUberの違いとは?Teslaのオートパイロット・モードでは、運転手はハンドルに手を置いておく必要がある一方で、Uberのエンジニアは自動運転車のハンドルから数インチ離れたところに手を浮かせている。また、Teslaのクルマを運転している最中にハンドルから手を話すと、音声と文字による警告が発せられるようになっている。警告を無視したまま走行を続けると、クルマは自動的にスピードを落とし、ハザードランプが点灯する仕組みだ。

今年の夏、Uberは自動運転車のテストドライブにジャーナリストを招待しているが、その際にはオペレーターがハンドルに手を置いておく必要はなかった。

Teslaは今後も完全な自動運転車の開発を目指すと発表してはいるものの、同社のクルマはまだテスト段階である ― さらに、同社はDMVからの許可も取得済みだ。

Levandowskiによれば、このDMVに対する反抗は「どの段階において自動運転車によるオペレーションが許可されるのかという原則に関わる問題、そして、非常に似たタイプのテクノロジーに対してルールが不規則に適用されているという重要な問題を」提起するものだという。

自動運転車に対する規制は州によってバラバラなのにもかかわらず、なぜUberは明らかに同社を受け入れていないカリフォルニア州でのオペレーションにこだわるのか。それに対するLevandowskiの回答は、Uberのエンジニアは、自分たちの成果を自分たちが住む街で見るという功労に値する人々だからである、というものだった。

「私たちが創りあげたテクノロジーが、自分たちが住む街、そして自分たちが働く街で動いているところを見たいのです」と彼はいう。

Levandowskiによれば、DMVから停止命令を受けたUberの自動運転車は、これからも乗客をのせてサンフランシスコの道を走り続ける。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

GMが自動運転車のテストと製造をミシガン州で開始

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GMのCEOであるMary Barraは、シボレーボルトを建設するミシガン工場で自動運転車の次世代の製造を開始する予定であることを発表した。また、デトロイト市街の公道で車両をテストする予定だと、GMは述べた。GMは既に、カリフォルニア州サンフランシスコとアリゾナ州スコッツデールの両方で、今年初めに買収したCruiseの自律システムを使って、自動運転車をテストしている。

ミシガン州でのテストは、企業や組織による公道の自動運転車のテストを拡大できる法律の法律に、州知事Rick Snyderが署名したことによって進められることになった。これにより、技術の準備が整い次第、消費者が自動運転車を購入し使用することもできるようになり、Uberや自動車メーカー自身が運営する乗車提供業者が自動運転車を利用することも可能になっている。

BarraはLinkedInの記事で、大量の雪や相当に寒い気温を含む「広範囲の道路、天候、気候条件」のことを挙げながら、ミシガン州は既存の試験都市と比較して実際の試験条件に関してさまざまなバリエーションを提供していると説明している、彼女は彼らのテストエリアが、現在彼らの車が走っている都市の 「砂漠の熱[…]から混雑した通りまで」のすべてを網羅していることにも注意を促している。9月の時点でCruiseは、SFとスコッツデールを合わせて、約30台の自動運転車を使って試験を行っていた。

ブログ記事でBarraは「安全性、利便性、生活の質」を向上させる可能性を秘めた、顧客へのメリットのために、GMは自動運転車の未来にコミットしていると述べている。Barraは、米国運輸省からの2015年の統計を引用し、交通関連の死亡者数が3万5千人を超え、そのうちの90パーセントが人的な運転者の間違いによるものであることを示した。

デトロイトで開かれた記者会見でCNBCが取材したBarraへのインタビューで、Barraは自動運転技術を開発している他の企業と比べて、GMが優位性を持っていると考える理由を説明した。

「私たちは、車を真に理解し、路上にそれを走らせ、安全で高品質な車を作り上げてきた100年の歴史を誇っています」と彼女は記者団に語った。「自動運転、電気化、接続性を考えたとき、私たちは消費者の皆さまに特別なサービスを提供できると考えています」。

Barraは、GMの自動運転システムのために100人以上がシリコンバレーで働いている一方で、ミシガン州オリオン湖の近くで来年の早い時期に稼働する予定の次世代組立施設での新しい製造のために、シリコンバレーのチームはミシガン州に本拠を置くチームと「シームレスに働いている」と述べた。オリオン工場は、GMが現在Cruise自動運転車のベースとして使用しているボルトEVを組み立てている場所だ。

「今日の仕事の世界では、場所はそれほど重要ではありません」とGMの自律的なエンジニアリング活動の分散的な性質についても、彼女は付け加えた。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Uberの自動運転車サービス(無許可)が初日に信号無視、州から停止命令

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Associated Pressによると、Uberはカリフォルニア州当局から、少なくとも自動運転車両の公道上での試用を認める州の許可が得られるまでは、自動運転車の使用をやめるよう、命令された。州自動車局が発表した声明によると、Uberはそのような許可を求めるものと期待されていたが、しかしUberは、その車両が完全な自動運転でなく、運転者が常時同乗しているので認可は不要、と申し立てていた。

今回のサンフランシスコにおける自動運転のパイロットプログラムは、今年の初めに同社がピッツバーグで行った試験的サービスの拡張である。今回使用したVolvoのXC90 SUVは、Uberの自動運転テスト車両の三世代目のバージョンだ。

Uberは以前から、許可を申請するつもりはない、と言っていた。しかしその許可項目は、カリフォルニア州自動車局が、公道上で自動運転車両を運用しようとするサイトに対して詳細に記述している要件の集合なのだ。

州の規制当局がこのようにUberに対して停止を命ずるよりも前に、カメラは、Uberの車両の信号無視らしき動きを捉えていた。しかしその時点では、詳しい状況が不明、とされていた。たとえば赤信号を無視して走行したときの運転者が人だったかコンピューターだったか、なども分かっていなかった。Uberは本誌に対して、この問題を、“あくまでも安全性最優先で調べる”、と言っている。

Uberの自動運転車の試験運用は、まる一日を経ないうちに最初の事変を記録され、州の停止命令を食らったことになる。Uberにはその初期から、地元の規制当局に逆らって事業の目的を達成するという強運があるが、今回も、そのひとつになるのかもしれない。

本誌は今、Uberとカリフォルニア州自動車局の両方にコメントを求めている。何か得られ次第、この記事をアップデートしたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber、サンフランシスコで自動運転タクシーの実験開始―〔アップデート〕州当局が中止命令

2016-12-15-ubercar-taxi

Uberは今週火曜、サンフランシスコで 自動運転車に実際に乗客を乗せるタクシー営業の小規模な実験を開始した。Uberが自動運転による実車営業の実験を行うのはサンフランシスコが2都市目だが、カリフォルニア州の規制当局は快く思っていないようだ。州の運輸車両局(DMV=Department of Motor Vehicles)は自動運転車を州道で走らせる際にテストを行い、合格した相手に許可を出している。

DMVの自動運転実験テストに合格した車種のリストには20社が掲載されているが、Uberはその中に入っていない。DMVは「申請してテストを受けるべきだ」としているが、Uber側は「実験の内容に照らしてその必要はない」と主張している。

カリフォルニア州DMVの声明は「 〔自動運転車の走行実験にあたって〕実施各社の責任ある態度を要望してきたが、実験者が常に責任ある態度を取ると想定することは不十分であるかもしれない」と述べ、Uberがテスト手続きを行うよう強い態度で要求している。【声明は原文参照】

これに対してUber側は、実験の本質からみてDMVの許可を得る義務はないという立場を崩していない。つまり「自動運転車」といっても運転席にはドライバーが乗っており、ハンドル付近に手を置いて、不調があればただちに運転を取って代われる体制であるため、本質的には「人力による通常のタクシー営業である」という立場だ。

UberはTechCrunchの取材に対して今回の実験でDMVの許可を受ける考えがないことを確認した。またブログ記事に掲載された同社のAdvanced Technology Groupの責任者、Anthony Levandowskiのコメントの一部を以下のように引用した。

しかし根本的な問題はこうだ。いつ、またどのようにして企業は自動運転車テクノロジーを実際に運用すべきか? われわれにはこの点に関して独自のアプローチがある。多くの州ではこのテクノロジーに交通安全を大きく改善する可能性を見ている。またいくつかの州や都市は複雑な規制がイノベーションを不当に遅らせる状況に気づいている。ピッツバーグ市、アリゾナ州、ネバダ州、フロリダ州はこの面で特にリーダーの役割を果たし、プロ・テクノロジーであることを明らかにしている。われわれは当社の本拠であり世界経済に果たす役割も大きいカリフォルニア州が同様の見解に立つことを希望している。

Uberが運営地の規制当局と衝突するのはこれが初めてではない。これまではアメリカ国内でも国外でも規制との戦いで勝利を収めることが多かった。ただし今回の紛争の結果がどうなるかはもちろんまだ不明だ。

〔日本版〕カリフォルニア州はUberの自動運転タクシーの実験に対して中止命令を出したという。TechCrunchの続報

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+