LINEがAI基盤「Clova」を発表、今夏にはスマートスピーカーも発売——さらに「Gatebox」も子会社化

スペイン・バルセロナで開催中のモバイルカンファレンス「Mobile World Congress(MWC) 2017」。そのキーノートにも登壇したLINEが3月2日、クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」を発表した。今後はClovaを搭載したアプリ「Clova App」を提供するほか、初の自社デバイスとなるスマートスピーカー「WAVE(ウェーブ)」を今夏にも日本と韓国で発売する予定だ。今冬にはスマートディスプレイ「FACE(フェース)」の提供も控えるという。

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WAVE(左)とFACE(右)

そのほか、ソニーモバイルコミュニケーションズやタカラトミーをはじめとしたメーカーとのパートナーシップを提携。さらにはバーチャルホームロボット「Gatebox」を開発、展開するウィンクルと資本業務提携を実施して子会社化している。

まずはClovaについて。このプラットフォームは、LINEと韓国NAVERの共同開発プロジェクト。(1)LINEが持つ、チャットをベースとしたコミュニケーション技術、(2)NAVERが持つ検索技術、(3)LINEとNAVERが持つ豊富なコンテンツやサービス、(4)LINEとNAVERが持つ数多くのユーザーベースとビックデータ——をベースにした、「量・質ともに兼ね備えた学習データを使用することができる良質でスマートなAI」(LINE)だとしている。

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LINEが公開した図を確認して欲しいのだが、Clovaの中核は「Clova Interface」と「Clova Brain」の2つで構成されている。人間の五感にあたるのが「Clova Interface(音声認識の「Clova Voice」画像認識や顔認識の「Clova Vision」などを含む)で、人間の頭脳にあたるのがClova Brain(自然言語理解や言語翻訳処理、レコメンドエンジン)だ。

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またClovaでは、Clovaとデバイスやアプリケーションをつなぐ「Clova Interface Connect」、Clova Brainの機能を拡張する「Clova Extension Kit」なども備える。当初はClovaにつなぐアプリやデバイスを自社開発するが、今後はパートナーとの共同開発、サードパーティーへのプラットフォーム開放を計画しているという。

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なお冒頭に触れたとおり、LINEは今回の発表に合わせてバーチャルホームロボット「Gatebox」を手がけるウィンクルと資本業務提携を実施。過半数の株式を取得し、同社を連結子会社化することに合意したことも発表している。

Gateboxを手がけるウィンクルを子会社化

GateboxについてはTechCrunchでもこれまでお伝えしているが、好きなキャラクター(一部では「俺の嫁」なんて表現も見かけるが)とコミュニケーションを取れる、バーチャルホームロボット。2016年1月に構想を発表し、12月に予約販売を開始している。29万8000円という価格ながら、予約販売開始から5日間時点で販売台数が200台を超えたことでも話題を集めている。今後はClovaを活用したサービスの開発を進めるとのことで、このGateboxやWAVEが、米国における「Amazon Echo」——スマートスピーカーの領域を席巻することになるのかも知れない。

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AirbnbによるペイメントサービスTiltの買収が確定―、狙いは人材獲得との噂も

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AirbnbによるソーシャルペイメントサービスTiltの買収話に決着がついた。TechCrunchでは先月この件を報じていたが、ようやく全てが正式に決まったという確認がとれた。

私たちが入手した情報によれば、Tiltの投資家には1200万ドルが現金で支払われる。しかし、Airbnbが現金と株式で支払った従業員の引き留め費用を考えると、買収総額はさらに数千万ドル以上高くなる。CEOのJames Besharaを含め、サンフランシスコで勤務している社員の多くは会社に残るよう引き留められたが、それ以外の地域で働いている社員のほとんどは買収を機にTiltを去ることになった。

AirbnbはTiltの資産を取得し、今のところはアプリもそのまま運営していく予定だ。しかし情報筋の中には、買収額のほとんどが人材の引き留めに使われていたことから、これは企業ではなく人材の買収(acqui-hire)だという人もいる。

サービスをシャットダウンしてしまうよりはマシとはいえ、これまでに6000万ドルもの資金をつぎこんできた投資家にとって、この結果は喜ばしいものではないだろう。Andreessen HorowitzやSV Angel、Reddit共同ファウンダーのAlexis Ohanianといったシリコンバレーのビッグネームは、Tiltがモバイルコマース市場のリーダーになると信じていたのだ。

2012年に設立されたTiltは、ソーシャルペイメントの草分け的存在だ。同社は個人間の支払いよりもグループからの集金に重きをおいていたが、PayPal傘下のVenmoやSquare Cashとも共通点があり競合関係にあった。さらに何らかの「活動」から人を動かす「信念」まで、さまざまな目的のクラウドファンディングを行う場としても利用されているため、Tiltは急成長を続けるGoFundMeの代替サービスのような存在でもある。

そんなTiltを買収したAirbnbの動きには納得がいく。というのもの、同社は既に宿泊施設の貸し出しビジネスをある程度成長させ、次は旅行業に進出しようとしている。そして最近Airbnbは、旅行予約サービスとシナジーのありそうなペイメント業界の優秀な人材を集めているのだ。

Airbnbでプロダクト担当ヴァイスプレジデントを務めるJoe Zadehは、声明の中で以下のように説明する。「AirbnbとTiltはどちらも、人と人を結びつけるようなコミュニティ重視のプロダクトをつくる、というビジョンを掲げています。さらにTiltのチームは、旅行のかたちを変えようとしている私たちの取り組みにぴったりと合うような経験や専門性を持っています。両社で力を合わせて、団体旅行を再定義し、宿泊先や旅行先でのアクティビティ、現地にいる人をつなげ合わせる新しいプラットフォーム『Trips』をつくりあげていきます」

300億ドルの評価額を誇るAirbnbは、その影響力を使って規模の小さなスタートアップの買収を進めている。最近ではLuxury Retreatsを買収し、昨年はChangeCoinやTrip4realを買収していた。さらに、同社はResyをはじめとする複数のスタートアップにも投資している。

Airbnb自体は恐らくどこかに買収されるには評価額が高すぎるため、IPOの可能性に関する噂が飛び交っている。最終的な目標としては同社も株式上場を考えているものの、どうやら今年中のIPOはなさそうだという話を私たちは聞いている。

取材協力:Matthew Lynley

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

学生向け求人サイトのWayUpがLooksharpを買収 ― SEOを強化

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WayUpが同社初となる買収を行った ― 同社が買収したのは、彼らと同じようなサービスを手掛けるLooksharpだ。

両社はともに、大学生や卒業したばかりの学生向けの求人サイトを運営している。しかし、wayUp共同創業者兼CEOのLiz Wessel氏によれば、WayUpとLooksharpは、ある特定分野で補完的な関係にあるという。

彼女によれば、鍵となるのはサーチエンジン最適化だ ― 結局、職を探す若者が最初に行うのは「検索」なのだ。WayUpに掲載された学生のプロフィールはGoogle検索の上位に表示されることも多い一方で(LinkedInよりも上位に表示されることもある)、Wessel氏によれば、SEOに関してはLooksharpの方が一枚上手だったという。

そんなこともあり、両社はパートナーシップ提携に向けた協議を始め、それが結局今回の買収へとつながったようだ(WayUpとLooksharpが「似たような顧客ベースを持っていた」ことも理由の1つだ)。

「私がLiz(と共同創業者のJJ Fliegelman氏)に初めて会ったとき、私たちはともに、学生の就職活動のあり方を変え、企業が学生を見つける方法も変えたいと願っているのだということに気がつきました」とLooksharpのMaguire氏は語る。「私たちは両社ともに、大学や教授に売り込みをするのではなく、顧客に直結する企業を創ることによって生まれる変化を信じています。そのため、パートナーシップによって実現できる将来図を描くことは簡単でした」。

WayUpは買収金額などの詳細を公表していない。Looksharpはこれまでに1000万ドルを調達しており、その出資者には500 Startups、Artis Ventures、Kapor Capital、Subtraction Capitalなどが含まれる。一方で、WayUpがこれまでに調達した金額の合計は約900万ドルだ。

Wessel氏によれば、WayUpは今年1年を通してLooksharpのプラットフォームを同社に統合していくという。加えて、(Maguire氏を含む)5人のLooksharpのメンバーはWayUpに移籍することになる。これにより、WayUpの従業員総数は50人となった。

ところで、WayUpはSEOだけに専念しているわけではない。Wessel氏は、ユーザーの能力に適した職を自動でおすすめするWayUpのリコメンデーション機能についても言及していた。求人サイトを利用するユーザーのうち、面接まで進める人々の割合は業界平均で2%。その一方でWayUpが23%という数字を達成しているのはそのためだ、と彼女は語る。

「WayUpはすでに、人と仕事とをつなぐ方法とは何かを知っています。私たちに必要なのは、より多くの『人』だけなのです」とWessel氏は語る。「それを達成するための方法の1つがSEOなのです。(中略)それによって私たちの成長は加速するでしょう」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Magic Leapがスイスを拠点とするDacudaの3D部門を買収 ― ヨーロッパ進出は同社初

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AR分野のスタートアップであるMagic Leapは、これまでに14億ドルを調達しているものの、いまだにプロダクトをリリースしていない。そんな同社は、コンピュータービジョンとディープラーニング事業の拡大とヨーロッパへの進出を狙い、同社2度目となる買収を行ったことが確認された。

Magic Leapは、チューリッヒを拠点とするコンピュータービジョン分野のスタートアップ、Dacudaの3D部門を買収したことが明らかとなった。Dacudaがこれまでに注力してきたのは、コンシューマー向けのカメラで利用する2Dおよび3Dイメージングのアルゴリズムだ(カメラだけではなく、カメラが搭載されたデバイスであればどんな物にも適用可能)。「ビデオを撮るのと同じくらい簡単に3Dコンテンツをつくる」ということだ。

DacudaはWebサイト上の短いプレスリリースで今回の買収を発表している。それによれば、Dacudaの3Dチームは全員Magic Leapに移籍し、創業者のAlexander Ilic氏はMagic Leap Switzerlandを率いることになるという。

「Dacudaは無事、当社の3D部門をMR分野のリーディング企業であるMagic Leapに売却しました。Dacudaの3Dチームは全員Magic Leapに移籍し、同社初となるヨーロッパでのプレゼンスを築いていきます。Magic Leapがチューリッヒにオフィスを持つことで、コンピュータービジョンとディープラーニング分野におけるリーダーシップをさらに強化することができます。そして、これからMagic Leap Switzerlandを指揮するのは当社の創業者、Alexander Ilicです。Peter WeigandとMichael Bornの指揮のもと、DacudaはSunrise、Crealogix、Unisys、SITAなどの顧客とともに、プロダクティビティ分野のソリューションに再度フォーカスしていきます」。

以上をご覧になると分かるように、この2社が具体的にどのように協働していくかという点は言及されていない。だが、この買収が最初に噂された先週(Dacudaのブログに3D部門の売却を示唆するポストが投稿され、LinkedInのプロフィールを「Magic Leap所属」と変更する従業員がいた)、Tom’s Hardwareは、この買収によりDacudaが開発した技術によってMagic Leapが1部屋分のスケールをもった6自由度(6DoF)トラッキングを手掛けるようになると予測した(3D環境におけるイメージキャプチャーセンサーを向上する)。

Magic Leapがヨーロッパに進出するのはこれが初めてのことだ。だが、それよりも重要なのは、同社が拠点とするスイスはコンピュータービジョン分野の研究開発において非常に評価が高い国だということである。

スイスにはAR/VR技術に取り組むスタートアップや学術機関が多く存在する。特に、コンピュータービジョンやディープラーニングの分野ではそれが顕著だ。そのため、Magic Leapがスイスでのプレゼンスを持つことで、同国のAR/VRシーンにダイレクトに入り込むことができる。

(このエコシステムに着目する大企業も多い。2015年にAppleによって買収されたモーションキャプチャーのfaceshiftも、チューリッヒ出身のスタートアップだ)。

今回の買収により、Magic Leapは良いタイミングで、人材強化とスイスのエコシステムへのコネクション作りを達成したと言える。ご存知の読者もいるかもしれないが、つい先日、Magic Leapのプロダクト情報役員の離脱、そして同社のテクノロジーとハードウェアがあまり良い状態ではないとするレポートリークするという事件があった。それにより、少なくとも短いタームでみた場合、Magic Leapは本当に45億ドルのバリュエーションに見合う価値を生み出せるのかという疑問が残ることとなった。

今回、買収金額などの詳細は明らかになっていない。Dacudaの創業は2009年で、CrunchBaseによれば、同社はこれまでに金額非公開の資金調達ラウンドを実施。それに加えて、Kickstarterを利用したクラウドファンディングによって54万2000ドルを調達している。この資金は、同社が2014年に発表した「PocketScan」と呼ばれる手持ちスキャナーの開発費用に充てられている(このプロダクトは過去にTechCrunchでもカバーしている)。

また、この買収について明らかになっていないことがもう1つある。それは、Dacudaの3D部門がこれまでに獲得したパートナーシップの行く末だ。

例えば、同社は昨年10月、スイスを拠点にAR/VRを手掛けるMindMazeとのパートナーシップを締結している。「MMI」と呼ばれる新しいプラットフォームを構築するためだ。MindMazeの説明によれば、このプラットフォームは「モバイルベースの没入型アプリケーションとソーシャルVR向けに開発された、世界初のマルチセンサリング・プラットフォーム」だという。また、同社は今後「位置トラッキングとマルチレイヤー・インタラクションの分野でGoogleのdayDream Viewがカバーしきれていない部分にアプローチするため、全世界のユーザーにテクノロジーを提供していく」としている。TechCrunchは現在、今回の件についてMagic Leapに問い合わせしている最中だ。彼らから何らかのコメントが得られれば、記事をアップデートしていく。

Magic Leapが他社を買収するのは今回で2度目となる。1度目は、同社が2016年に買収したイスラエルのサイバーセキュリティ企業、Northbitだった。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

メルカリがブランド特化フリマアプリ「スマオク」運営のザワットを買収

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メルカリが、2月17日付けでフリマアプリ「スマオク」を運営するザワットの発行済全株式を取得し完全子会社化したことを明らかにした。金額等は非公開。

スマオクは、中古ブランド品に特化したスマオクはブランド品に特化したスマートフォン向けのオークションサービスとしてスタート。現在ではブランド品からアニメグッズまで幅広いアイテムを取り扱うフリマアプリとなっている。毎晩21時には、リアルタイム通信での「フラッシュオークション」を行っており、人気を博しているという。

メルカリでは今回の子会社化により、「Eコマース分野におけるC2C事業のさらなる発展・拡大に取り組んで行きます。両社それぞれの顧客基盤やノウハウを活かし、メルカリ及びスマオクの更なる発展と新しいサービスの創造を目指して参ります」とコメントしている。

ザワットは2011年の設立。同年12月には「○○を売りたい」「○○を買いたい」「○○について教えて欲しい」といった「お願い」を解決するC2Cサービスを「Wishscope」をリリースした(2016年8月にサービス終了)。2013年11月にはスマオクをリリースし、以後同事業に注力してきた。

メルカリによると、今後もザワットの代表取締役の原田大作氏をはじめとして全員がメルカリに参画。今後も同じメンバーでスマオクの運営を行うとしている。

Walmartがアウトドア用品大手のMoosejawを5100万ドルで買収

Female hiker looks out above fog bank, mtns

Walmartは現地時間15日、アウトドア用品大手のMoosejawを約5100万ドルで買収すると発表した。買収費用はすべて現金で賄われる。ミシガン州マディソンハイツに拠点を置くMoosejawは、オンラインで大きなプレゼンスをもつとともに、ミシガン州をはじめとするアメリカ中西部に10の実店舗をもつ。Walmartによれば、同社による他の買収先と同じく、Moosejawは今後も独立した経営を維持される。そして今後、両社が互いに補完し合うようなブランドを開発していくという。

Walmartは、先月もオンラインの靴販売店であるShoeBuyを買収している。さらに、それ以前の昨年夏には30億ドルのjet.comの買収もあった。今回から加わるMoosejawをはじめ、Walmartは傘下にいくつかの独立ブランドをもつ。jet.comが買収していたHayneedle.IncやSam’s Clubなどがその例だ。

Moosejawは先日、Internet Retailerが発表した「2017年に『ホットな』小売店100」にも選ばれている。しかし、Walmartが注目したのはMoosejawのビジネスカテゴリーと、同社の業界との関係性だ。それに加えて、Moosejawは若い顧客を引き込むためのソーシャルメディア戦略に長けているという点も挙げられる。

Moosejawの買収によりWalmartは、アパレルというオンラインショッピングで人気のカテゴリーに新たなエントリーポイントを獲得することとなった。Patagonia、the North Face、Marmot、Arc’Teryxなど400のブランドから発売される12万以上のSKUが新たにWalmartに加わることとなる。Moosejawは服やアクセサリーの他にも、登山、ハイキング、キャンプ、スノースポーツ、ヨガ、水泳、サイクリングなどに使われる装備品も取り扱っている。

comScoreの調査によれば、2015年にはじめて、服とアクセサリーがオンラインショッピング最大のカテゴリーとなった。そして、今後そのカテゴリー内の競争が激しくなっていく。

Amazon Fashionというアパレル専門ストアももつAmazonは、ファッションカテゴリーの拡大を急速に進めている最中だ。また同社は、いくつかのプライベートレーベルブランドを通してファッションアイテムの販売もしている。Amazonが独自ブランドのトレーニングウェア女性用下着の販売をはじめるという報道もあった。加えて、Amazonがイギリスで独自のファッションブランドを立ち上げるというニュースもある。

Robert Wolfe氏とDavid Jaffe氏が1992年に創業したMoosejawは、現在350人以上の従業員を抱えている。今回のディールは2月13日午後に締結。Moosejaw CEOのEoin Comerford氏および同社の役員は、今後Walmartの北米向けEコマースチームに加わることになる。Moosejawの従業員たちは今後もミシガン州を拠点に活動を続けるが、Comerford氏はScott Hilton氏が率いるWalmartのアウトドア用品チームの監督を務める予定だ。

Moosejawの実店舗も通常通り営業を続けていく。しかし、同社はその収益の大半をオンラインから得ている ― その割合は85%にものぼるそうだ。

「WalmartのEコマースチームに加わることができ、とてもワクワクしています。そして、彼らのアウトドア用品ビジネスを率いることができるチャンスを楽しみにしています」とComerford氏は話す。「MoosejawとWalmartの新しい関係により、ブランドパートナーのためにマーケットプレイスを運営するという私たちのビジネスはユニークなポジションを獲得することになります。ただし、これまでMoosejawで取り扱ってきたブランドをjet.comやWalmartで取り扱うかどうかは、各ブランドの裁量次第です」。

Jet.comと同じく、Moosejawは独立したコンシューマー向けブランドとして経営を続けていく。しかし、これらのブランドを統合することでWalmartは恩恵を受けてきた。Jet.comとWalmartは、それぞれがもつ倉庫やサプライチェーンを統合することで、今年1月から商品を2日以内に届ける手数料無料のサービスを開始することが可能になった。

Mossejawとのケースでは、同社がこれまでに培ってきたトップブランドとの良好な関係性を引き継ぐことができる。これは、Walmartがそれらのブランドの商品をWalmart.comやJet.com、そしてShoeBuyなどのストアで取り扱うための交渉力につながるだろう。

「バックエンドでは広範囲な統合が行なわれることになります」と、WalmartのスポークスパーソンであるRavi Jariwala氏は今回の買収が与える影響について説明する。「より大きくなるスケールを利用することで、配送コストやクレジットカード利用料、各種取引にかかるコストなどを圧縮することもそれに含まれます」と彼は加えた。

またJariwala氏は、Jet.com傘下であるHayneedleの独立性を維持したことは成功だったとした上で、Moosejawに関しても同様の方針だと語った。

「それが、私たちが再現しようとしているモデルです」と彼は話す。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ソフトバンク、Lyftなどの株式を保有するFortress Investment Groupを33億ドルで買収

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ビジネス戦略およびポートフォリオ投資の拡大を目指し、日本のソフトバンクが新たな買収を発表した。本日、ソフトバンクは33億ドルでFortress Investment Groupを買収すると発表した。Fortless Investment Group(以下Frotress)は、LyftやZestFinance、Xapo、Jawboneなどの株式を保有する投資会社だ。

ソフトバンクとFortressが関わりをもつのはこれで2度目となる。ソフトバンクはこれまでに1000億ドル規模の投資ファンド「Vision Fund」を新たに創設している(Appleも同ファンドに10億ドルを出資)。そして、そのVision Fundを指揮するのが元FortressのRajeev Misra氏なのだ。

この発表の前にも、ソフトバンクによるFortress買収の可能性を伝えるニュースが報じられていた。

この買収は、ソフトバンクの壮大な投資戦略の一部である。同社はこれまでに、Nikesh Arora氏による指揮のもとでテック企業へのアグレッシブな投資戦略を打ち出していた。しかし、Arora氏が同社を離れ、イギリスのARMを240億ドルで買収した後、その投資戦略のスピードは衰えていた。

ソフトバンクCEOの孫正義氏によれば、今後FortressはVision Fundに「寄り添うかたちで」協働していくものの、主要人物であるPete Bringer氏、Wes Edens氏、Randy Nardone氏による指揮のもとでFrotressの独立した経営は維持されるという。

「Fortressの素晴らしいトラックレコードが彼らの優秀さを物語っています。彼らのリーダシップ、幅広い専門知識、ワールドクラスの投資プラットフォームからソフトバンクは恩恵を受けることができるでしょう」と孫氏はプレスリリースの中で語る。「この買収によって、ソフトバンクグループ、そして間もなく確立されるであろうVision Fundプラットフォームのケーパビリティを即座に拡大することが可能です。また、サステイナビリティのある長期的な成長を可能にするための広範かつ統制された投資戦略である『ソフトバンク2.0』を加速させることにもつながるでしょう」。

「ソフトバンクは孫正義氏の指揮のもとで急成長してきた非常に素晴らしい企業です」とFortress共同会長のPete Bringer氏とWes Edsens氏は語る。「シェアホルダーに大きな価値を提供ながら、当社がソフトバンクの一員となって素晴らしい未来を築くという合意に達することができたことに喜びを感じます。私たちはこれから、巨大なスケールとリソースを持ち、パフォーマンスとサービス、そしてイノベーションにフォーカスするという当社の企業文化と同じカルチャーをもつソフトバンクに加わることになります。これは私たちの投資家やビジネスに多大な恩恵を与えるでしょう。当社の先行きをこれほどまでに楽観視できたことは過去にありません」。

ソフトバンクによれば、今回の買収はFortressの特別委員会および取締役会から全会一致で承認されたという。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

PayPal、キャッシュ支払サービスのTIO Networksを2.33億ドルで買収へ

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PayPalは支払サービスの有力企業、TIO Networksを2億3300万ドルのキャッシュで買収することで同社と合意した。TIO Networksは公共料金などの請求書をドラグストア・チェーンのRite Aidなどの店頭で支払えるようにするサービスだ。今回の買収によりPayPalは一挙にこの分野への参入を果たした。

この買収により、PayPalは給料日から給料日までぎりぎりの生活を強いられている北米の人々に対するサービスが可能になる。こうした人々の多くは銀行口座を持っていないためクレジットカードが利用できない。PayPalのCOO、Bill ReadyはTechCrunchの取材に対し「われわれはこうした〔恵まれていない〕人々に対してデジタル時代への橋渡しをしたい」と語った。

TIO NetworkをPayPal本体にどのように統合するのか、具体的な計画はまだ明らかではない。しかしキャッシュによる支払いをデジタル支払サービスに統合しようというのは以前からのPayPalの目標だった。開発チームはキャッシュをオンライン支払にあてる手続きを簡単に行えるPayPal Cashというシステムを発表している。

昨年TIOは6万5000箇所の支払いコーナーで1400万人の顧客の70億ドルの支払を処理している。

TIOはカナダのバンクーバーを本拠とする会社でドットコム・バブルの時代にトロント証券取引所に上場した。最近の時価総額は買収金額を25%程度下回っている。PayPalは最終的に1株2.56ドルという条件を示した。買収の完了は今年中となる。

PayPalは今やオンライン支払の世界的な巨人であり、PayPalサービス以外にもモバイルのピア・ツー・ピア資金移動アプリ、Venmoなど数多のくサービスを傘下に持っている。またUberやAirbnbの支払を処理して大成功を収めたBraintreeも買収している。

PayPalがeBayからスピンオフしたのは2015年で、企業規模はすでにeBayを追い越している。時価総額は510億ドルで、株価は昨年21%上昇した。

画像: PayPal

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

富裕層向けサービスの拡充を狙うAirbnbーLuxury Retreatsの買収を検討中か

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設立当初のAirbnbは、ホテルの代わりに空いているソファーやベッドを安く貸りられるというサービスにフォーカスしていたが、高所得者向けサービスの拡充も大々的に進めており、今まさにその動きをさらに加速させようとしている。情報筋によれば、現在同社はLuxury Retreatsの買収話の大詰めに入っており、買収額は2億ドル近くなると言われているのだ。なおLuxry Retreatsは、Airbnbと似たサービスを提供しており、高級住宅を主に扱っている。

Bloombergが最初にこの話を報じ、そのときは買収額は3億ドルを下回るくらいだと言われていた。

あるソースによれば、Airbnbは「高級住宅の分野で豊富な経験を持つ、Luxury Retreatsの才能あふれるチームに強い興味を示しており、彼らの高級住宅に関する類を見ない強さは、Airbnbの強みと相互補完関係にある」。Luxury Retreatsが扱う物件の中には、フランシス・フォード・コッポラが保有するイタリア・プーリア州のヴィラや、リチャード・ブランソンのネッカーアイランドも含まれている。

Luxury Retreatsの買収は、できればIPO前にユーザベースや収益源の多様化を進めたいという、Airbnbの目的にもかなっている。なおAirbnbのこれまでの調達資金総額は30億ドル近く、昨夏には300億ドルの評価額で8億5000万ドルの調達を申請していた

関係者からの情報以外にも、この話を裏付ける別の証拠がある。私がLuxury RetreatsのCEO兼共同ファウンダーであるJoe Poulinに、何か話を聞けないかメールを送ったところ、なぜかAirbnbの広報担当者から返信が返ってきたのだ。私はAirbnbにはコンタクトしていないのにだ。

ちなみに彼からのコメントには「私たちは常に、Luxury Retreatsのユーザーに新しいオプションを提案しようとしていますが、現在発表すべき事項はありません」と書かれていた。

カナダのモントリオールに拠点を置くLuxury Retreatsは、これまでに1600万ドルの資金調達を行っている。また、2015年に行われた1100万ドルの資金調達を報じたときにも触れたが、同社は既に何年間も黒字をキープしている。

Airbnb式の宿泊施設探しに対する、消費者の興味を上手く利用したばかりか、Luxury Retreatsは富裕層を狙ったサービスでビジネスを展開してきた。

「シェアリングエコノミーの爆発的な人気をうけ、私たちは期待通りのサービスを一貫して提供するということに商機を見出しました」とPoulinは資金調達時に話していた。

富裕層をターゲットにしているサービスとしては、最近AccorHotelsに1億7000万ドルで買収されたOneFineStayや、Index VenturesやGoogle Venturesの投資先で、高級宿泊施設のフラッシュセールをメンバー限定で提供しているSecret Escapes、さらにHomeAwayのサブブランドで、Luxury Retreatsに名前の似たLuxury Rentalsなどがある。

しかしLuxury Retreatsは、先述のどのサービスとも少し違っている。というのも、彼らは物件(Poulinは”キュレーション”と呼んでいる)を入念にチェックし、掲載する物件にさまざまな条件を儲けているのだ。Airbnbもサービスの品質向上にむけて、同じような仕組みを導入しようとしている。

「サイト上にたくさん物件を載せればOK、というわけにはいきません」とPoulinは話す。「私たちの秘密は、他のサービスよりも厳しく物件をコントロールしていることにあります。Luxury Retreatsのサービスは本当の意味でのP2Pではなく、全ての物件は認証を経ています。さらに富裕層向けの市場でも、シェアリングエコノミー系のサービスは求められています。高級感というのは、販売されるものではなく、届けられるものなんです」

物件の所有者のニーズに応じて、同社は20%もしくは「場合によってはもう少し多い」手数料をとっている。実はこの数字は、Airbnbや他の競合サービスが設定している種々の手数料を足し合わせたものとそこまで変わらない。Airbnbは5%前後を物件の所有者からとり、さらに6-12%を利用者からとっている(クリーニング費用を除く)。

現在Airbnbは、Luxury Retreatsの他にも、クラウドファンディングプラットフォームのTiltを5000万ドル以上で買収しようとしていると言われている。

興味深いことに、昨年末トルドー政権を代表して、在米カナダ大使がAirbnbに対して、カナダへの投資を行い雇用創出に貢献して欲しいとアピールした後に、今回の買収話が浮上した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

KDDI、高級宿泊予約サイト「Relux」運営のLoco Partnersを子会社化へ

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数日前にグリーが3ミニッツを買収したニュースをお伝えしたが、また1つ、スタートアップのイグジットに関するニュースがあったようだ。KDDIは2月7日、会員制の宿泊予約サイト「Relux」を運営するLoco Partnersと株式譲渡契約を締結したことを明らかにした。今後は2月末をめどにLoco Partnersの過半数の株式を取得し連結子会社する予定だ。

Loco Partnersは2011年9月の設立。代表取締役の篠塚孝哉氏は、2007年にリクルート旅行カンパニーに新卒入社。大手宿泊施設の企画やマーケティングを担当したのちに起業した。Loco PartnersはこれまでリクルートホールディングスやKDDIなどから出資を受けている。

同社が手がけるReluxは、日本から厳選した一流の旅館やホテルを掲載した宿泊予約サイト。宿泊施設の品質に加えて、満足度や最低価格の保証、会員限定特典などを特徴としている。最近では外国語対応や海外代理店、宿泊予約サイトなどとの連携を実施。インバウンド需要への対応を進めてきた。

ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー事業を強化 ― 米ヒューレット・パッカードがSimpliVityを6億5000万ドルで買収

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Hewlett Packard Enterprise(HPE)は本日、データマネジメント・プラットフォームのSimpliVityを6億5000万ドルで買収したと発表した。なお、買収費用は現金で支払われた。

「ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー」という分野にフォーカスする企業は数多くあるが、SimpliVityもその1つだ。まるでバスワードのような響きの単語だが ― 実際にバズワードでもある ―、その中心にあるアイデアは非常にしっかりとしたものだ:ハイパーコンバージド・システムとは、演算、ストレージ、ネットワークを単一のシステムにまとめたものを意味する。

SimpliVityの旗艦プロダクトは、OmniCubeと呼ばれるハイパーコンバージド・インフラストラクチャーを採用した装置だ。それに加えて同社は、Lenovo、Dell、Cisco、Huaweiのサービス向けにソフトウェアを提供している

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HPEが今回買収で狙うのは明らかに、SimpliVityのプラットフォームを取り込むことによってHPEがもつ既存のインフラストラクチャー、オートメーション、クラウドサービスを拡大することだ。

「今回の買収によって、HPEが提供するソフトウェアのケーパビリティを拡大できます。また、この買収は顧客にシンプルなHybrid ITを提供するという私たちの戦略と一致するものでした」と語るのは、Hewlett Packard Enterprise CEOのMeg Whitmanだ。「クラウド化が進むなか、安全で、高い回復力をもち、オンプレミスなインフラストラクチャーを求める顧客が増えてきています。まさにそこが、私たちがフォーカスする分野なのです」。

SimpliVityの創業は2009年。同社はこの数年間で4回の資金調達ラウンドを実施し、合計で2億7600万ドルを調達している。それらの調達ラウンドをリードしたのは、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Accel Partners、DFJ Growth、CRV、Waypoint Capitalなどの投資家だ。2015年のシリーズDにおける同社のバリュエーションは10億ドルだったことを踏まえれば、今回の買収金額である6億5000万ドルという数字が投資家にとって巨大な利益を生み出したという訳ではなさそうだ。

HPEに話を移すと、同社は最近、事業の一部を売却したことが報じられている。例えば、昨年9月にHPEは同社のソフトウェア部門のほとんどを合計約88億ドルで売却している。また、11月にはOpenStackとCloud Foundry関連のアセットをSUSE(Micro Focusの子会社)に売却している。おそらく、同社は事業売却によって得たキャッシュを利用して今回の買収を行うことで、ハイパーコンバージド分野への参入とポジションの強化を狙っているのだろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

FitbitがPebbleに続き、高級スマートウォッチのVectorを買収

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なんとも早いエグジットだった。この新しいスマートウォッチブランドは他とは違う製品を提供するため、昨年3月に登場したばかりだ。中央ヨーロッパ、ルーマニアの優秀なエンジニア、ロンドンのビジネスに優れた人材、そしてCitizenの元役員が立ち上げたのがVectorだ。Vectorは「お手ごろなラグジュアリー」という新たなスマートウォッチの分野を切り開いた。

そのたった1年後、Vectorはウェアラブルのグローバル企業Fitbitに買収された。買収額は非公開だ。VectorのファウンダーでCTOのAndrei PitisはTechCrunchに対し、この買収は同社のソフトウェアプラットフォームとデザインチームの獲得が目的だったと話す。だがこの買収により、Fitbitがラグジュアリースマートウォッチの分野に進出することはないようだ。

この買収が示唆するのは、Fitibitはウォッチ、ウエアラブル、フィットネスデバイスにおける優秀な人材を獲得する施策を続けているということだ。昨年11月、FitbitはスマートウォッチのパイオニアPebbleを買収し、エンジニア人材をFitbitに吸収した。VectorにもPebbleと同じ運命が待ち受けている。Vectorは少額しか調達していないが、ハードウェアとソフトウェアの優れたインテグレーションと魅力的なデザインで注目を集めた。

オンラインの声明でVectorは「私たちの独自の技術とFitbitの体験やグローバルコミュニティーから得られるノウハウで、新たに素晴らしいプロダクト、機能、体験を制作していきます」と伝える。

Vectorのスマートウォッチは、e-InkのLCD画面を搭載し、30日のバッテリー寿命とiOS、Android、Windows Phoneでコントールできるスマホアプリの開発で、この業界に新風を吹き込んだ。また、Vectorは独自のスマートウォッチのOSを開発し、開発者にAPIを開放した。開発者はそれを使って、独自のアプリやウォッチフェイスを作ることができる。ウォッチ自体の見た目もいい。LCD画面は近くで見ても本物のウォッチみたいに見える。ステンレスのケースに強化ミネラルガラスを搭載し、50m防水であることを考えると良い品物だ。色はローズゴールド、シャンパンゴールド、ステンレススチール、ブラックプレイテッド(黒メッキ)があり、ベルトは革、ステンレス、スポーツ用のストラップもあった。

Pitisがルーマニアで創業したVectorは、昨年ローンチするまでの2年間、ステルスで開発を行っていた。資金はGecad fundからシードラウンドで調達した200万ドルだけだ。Pitisは ClevertaxiとI-Rewindのエンジェル投資家であり、ブカレストのTech AngelsとInnovation LabsをBogdan Iordacheとともに創業した経歴を持つ。

Pitisはウォッチ業界の精鋭チームを集めていた。Joe Santana(有名ウォッチブランドTimexの前CEO)、デザイナーディレクターにSteve Jarvis(TimexやNikeのFuelBrandのプロジェクトでクリエイティブリーダーを務めた)。COOのRon Spencerは、FossilとBulovaでもCOOも務めた。

Vectorは、以後Vectorの名前を冠した新製品が登場することはないとしたが、既存のプロダクトと関連するソフトウェアは引き続き利用できるという。だが、その開発も停止する。Vectorは、カスタマーへの今後の対応を記した包括的なFAQをリリースしている。

カスタマーサポートチームはヘルプページやメール(support@vectorwatch.com)で対応し、保証は維持するという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

エンタープライズソフトのAtlassianがプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収

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今日(米国時間1/9)、エンタープライズソフトのAtlassianはプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収した。この取引の大部分(3億6000万ドル)はキャッシュ、残りはRSU〔制限付き株式〕とオプションとなる。買収の完了は2017年3月17日となる見込み。

これはAtlassianの18回目の買収となる。またAtlassianのプレジデント、Jay Simonが先週私に語ったところによれば、同社として過去最大の買収だということだ。Atlassianの他の買収同様、Trelloは企業としてもサービスとしても従来どおり運営が続けられる。当面、Trelloの現行ユーザーには影響はない。

TrelloのサービスはTechCrunch Disrupt Battlefield in 2011で発表され、その後2014年にFog Creek Softwareからスピンアウトして独立の企業となった。今回の買収でAtlassianは成長最速のプロジェクト管理サービスを傘下に収めることになる。 Trelloはユーザー数1900万で、100人弱の社員は全員がAtlassianに所属することになる。Fog Creekからスピンアウトする際、TrelloはBoxGroup、Index Ventures、Spark Capitalなどから1030万ドルの資金を調達している。

Organizing, assigning, and tracking tasks for a team is time consuming. Trello brings more productivity to your individual and team projects. It shows all of the projects from the entire team in a single glance. Assigning projects is easy, just put them in the assigned person’s or team’s list and when completed drag it to the completed list. Each “card” or task can be commented on and links can be added. Trello works across multiple devices and uploads files from Dropbox or Google Drive.

「われわれはたいへん興奮している。Trelloのプロダクトはブレークしている。すごい勢いだ」 とSimonsは私に語った。

TrelloのプロダクトがAtlassianのエンタープライズ生産性ソフトウェアに適合するサービスだ。Atlassianは、最近デベロッパーだけでなく一般のエンタープライズにもターゲットを広げている。例えば、Atlassianの中核的ソフトウェア、JIRAシリーズのプロジェクト管理サービスはTrelloのサービスによく似たホワイトボードのカンバン方式をオンライン化したKanban board機能を提供している。これはもちろんJIRAシリーズのソフトウェアのごく一部の機能にすぎないものの、プロジェクト管理に必要なのはこうしたカンバン方式の視覚化ソフトだけだという企業も多い。JIRAはフル機能の生産性ツールであり、レポート作製機能や、こうしたツールを独自サーバーによりオンプレミスで運営するエンタープライズ版も提供されている。

AtlassianはMarketplaceというブラグインのデベロッパー向けのストアを運営しており、Trelloがpower-upsと呼ぶプラグインも順次このMarketplaceに登場することになるだろう。また両社とも伝統的な企業向けセールス手法よりフリーミアム・モデルや口コミ(WOM)を重視するなどマーケティングのアプローチに共通性があることも注目すべきだろう。

Simonsは私の取材に答えて、「われわれの会社文化はよく似ている。両社とも月間アクティブ・ユーザ1億人を目指すという大目標に向かって進んでいる」と述べた。この目標を達成するためAtlassianは顧客ターゲットを従来のソフトウェアのデベロッパーから他分野に拡張している。今回の買収を伝えるAtlassianのプレスリリースが財務、人事、法務マーケティング、セールスなどの部門でTrelloが高い人気を得ていることを強調しているのはそういう理由によるものだろう。Trelloのユーザーの50%はテクノロジー以外の部門の人員だという。

将来の見通しについてSimonsは「AtlassianはTrelloの発展を助けることを約束している。AtlassianはTrelloがスケールアップするために十分なりソースを振り向ける」と語った。

Atlassianの第2四半期の決算発表は1月19日の予定だ。その機会に買収についてさらに詳しい情報が明かされるものと思われる。またAtlassianがTrelloのサービスを自社プロダクトに統合していく計画についても発表があるはずだ。

〔日本版〕restricted shareないしrestricted stcokは報酬、賞与の一種として発行される株式。譲渡が可能となる期日などの制限が付される。発行日以降に株価が下がっても権利が無価値となることがないなどストックオプションと異なる点がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DJIがスェーデンの名門カメラ・メーカー、ハッセルブラッドを買収

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DJIは2016年にスウェーデンを代表するカメラメーカー、ハッセルブラッドの少数株主になった。このとき両社はハイエンドのドローン・カメラの分野で協力していくことを発表した。DJIがドローン空撮のテクノロジーを、ハッセルブラッドがカメラを提供するという仕組みだ。

最近のLuminous Landscapeの報道に基づいてTechCrunchが独自に取材したころによれば、DJIはハッセルブラッドを買収した。直接の買収契約ではないが、DJIはハッセルブラッド社の株式の過半数を取得したという。時代を象徴する出来事の一つだ。

ハッセルブラッドは1941年の創立で、一時は市場でもっとも進歩したカメラとして知られていた。NASAが60年代に宇宙での活動を記録するカメラとして採用したことは有名だ。アポロ計画で撮影された印象に残る月面写真の数々はハッセルブラッドのカメラで撮影された。一方、DJIは急成長を続ける商用ドローン市場の最大手で、ベンチャーキャピタルが支援する非公開の中国企業だ。

ハッセルブラッドのカメラは高品質で知られるものの、一眼レフ・ボディーが数千ドルから4万ドルという一般ユーザーにはとうてい手が届かない価格だ。そこでDJIがどうやってハッセルブラッドの品質を維持してカメラを製造するつもりなのか、どのようにハッセルブラッドのテクノロジーを利用するつもりなのかについて興味が持たれる。

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DJIは当面ハッセルブラッドを独立企業として従来どおり運営を続けさせるようだ。しかしハッセルブラッドのカメラはDJIのドローン・ハードウェアに簡単に組み込めるものなのか? それともDJIはハッセルブラッドのカメラ・テクノロジーを利用して、Phantomタイプでまったく新しいカメラ・ドローンを内製するのだろうか? どちらにしても成功すれば両社にとって大きなメリットがあることになる。

ともあれ、DJIのカメラは非常に高品質だ。ドローン・カメラとしては世界でトップかもしれない。しかしDJIはプロ写真家が好むような高級なブランド・イメージに欠けている。ハッセルブラッドの買収はブランド価値の面でDJIに好影響を与えるはずだ。また―商業的にはニッチ市場だが―超高級カメラのテクノロジーを自由に利用できることになる。

残念ながらハッセルブラッドの超高級カメラに特化した戦略はうまくいっていない。同社は最近ビジネス的に失敗を繰り返しており、何度も所有者が変わった。最近の例でいえば2011年にヨーロッパのファンド、Ventizzが買収している。今回の買収でハッセルブラッドは中国だけでなくアメリカやアジアにも強力な拠点を持つ強大なメーカーを親会社にすることになった。

両社と直接ビジネスを行っている業界情報源が買収を確認しているものの、DJIは従来から外部にほとんど情報を出さないことで知られている。DJIの広報担当者は「DJIとハッセルブラッドの提携について新しいニュースはない。われわれは引き続き提携を続け、世界最高のイメージング企業を目指している」とだけコメントした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Glu MobileがPlain Vanilla Corpを750万ドルのバリュエーションで買収

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Kim Kardashian、Hollywood and Nicki Minaj、The Empireなど、著名人をテーマにしたゲームを開発するGlu MobileがアイスランドのPlain Vanilla Corpを買収したことがSECへの提出書類により明らかになった。Plain Vanillaはソーシャル・トリビアゲームのQuizUpを開発する企業だ。

この買収の内情に詳しい情報源によれば、買収時のPlain Vanillaの評価額は免除されたGlu Mobileへの債務額を含め750万ドルだったという。

Plain Vanillaに出資した投資家にとって、この買収は悲しいニュースだったことは間違いない。言ってみれば、Plain VanillaはGlu Mobileに「盗まれた」ようなものだったのだ。

アイスランドを拠点とするPlain Vanillaは、2013年にSequoiaやTencentなどからシリーズBで2200万ドルを調達している。Crunchbaseによれば、同社の合計調達金額は4000万ドルであり、獲得したユーザー数は数千万人にものぼる。

ソーシャル性とモバイルゲームの要素を組み合わせたQuizUpは、友人やマッチした対戦相手とテーマに沿ったトリビアクイズを楽しむというゲームだ。

また、QuizUpではユーザー自身がトリビアクイズを作成することもできる。教育者やトリビアファン、そして自社製品をクリエイティブに宣伝したいという企業をターゲットに設けられた機能だ。

昨年、Plain Vanillaは企業の社員教育にQuizUpを利用できるソフトウェアをローンチしている。それに加え、同社は放送局のNBCと共同で、視聴者とのインタラクティブな要素にQuizUpを利用した全10エピソードのテレビ番組を製作すると発表していた。

もちろん、このようなプロダクトの開発と維持にはコストがかかる。今年1月、Plain Vanillaは公開企業のGlu Mobileに約束手形を発行して資金援助を受けていた。資金の返済ができない場合、Glu MobileはPlain Vanilla本体およびQuizUp関連の資産を買収できるというオプション付きの約束手形だ。

そして今年8月、NBCとの共同テレビ番組がキャンセルされたと報じられ、十分な資金もなく、新しい出資者も見つけられないPlain VanillaとQuizUpがGlu Mobileによって買収される可能性が濃厚になった。

Plain Vanilla CEOのThor Fridrikssonは今回の件について多くを語っていない。彼は一言、「Gluが私の子供を可愛がってくれることを願っています」と語ったのみだ。

QuizUpへの出資に加わった投資家からのコメントは、まだ入手できていない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

脳トレアプリPeakの開発元が仏出版社Hachetteに株式の過半数を売却

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予想外の大ヒットを記録したアプリPeak(楽しみながら認知能力を高めるサブスクリプションベースのゲームアプリ)の開発元が、株式の過半数をフランスの出版社Hachette Livreへ売却した。ロンドンを拠点とするBrainbowが開発したPeakは、これまでに1500万以上のダウンロード数を記録しており、2014年にはAppleによってベストアプリに選ばれたほか、Google Play上では2015、2016年のベスト自己啓発アプリに選出された(さらにEuropasのアワードも受賞)。

Brainbowは、株式売却に関するMedium上のポストでも売却額については触れていないものの、Brainbowおよび同社のサービスであるPeakは独立した形で残り、Hachetteに全てが吸収されてしまうわけではない。

Peakは主要な市場で黒字を記録していたことが分かっており、これが売却の目玉になっていたのは明らかだ。というのも、本の出版に比べてデジタルゲームの方がよっぽど儲かるビジネスなのだ。

電子書籍事業が低迷する中Brainbowの買収を決断したことから、Hachetteはデジタル分野でビジネスが伸びていることをアピールしたいと考えているはずだ。また、Peakのサブスクリプションモデルも、Hachetteにとっての魅力であったことは間違いない。

さらに、成功をおさめたゲームの開発元が出版社に身売りするようになったということが、ヨーロッパにおけるシリーズB資金調達の難しさを物語っている。実はBrainbowはシリーズBのタームシート取得まで進んでいたが、Hachetteとの契約条件の方がよかったために、今回の結論に至ったのだろう。

Brainbowは、Itamar Lesuisse、Sagi Shorrer、Gerald Goldstein、Xavier Louisの4人によって2012年の終わりに設立された。

「私たちは、Hachette Livreグループに加わることを大変嬉しく思っていますし、特に彼らのグローバルな流通網やコンテンツとのシナジーを活用していくのを楽しみにしています。今回の合併によって、数々の賞を受賞したPeakや、今後開発されることになる新たなプロダクトがもっと効率的に世界中へ広がることになると思っています」と彼らは話す。

Hachette LivreのCEO兼会長のArnaud Nourryは「Hachette UKが2016年6月にNeon Playを買収した後、Hachette Livreのモバイル戦略の次の一歩としてBrainbowの買収を考えていました。才能溢れる専門家である共同ファウンダーの4人は、Hachette Livreに新たな力をもたらしてくれることでしょう。彼らを私たちのグループに迎えることができ、大変光栄です」と話す。

Lagardère SCAの100%子会社であるHachette Livreは、一般・教育書籍の市場における世界第3位の出版社で、2015年の売上額は22億600万ユーロだった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Spotify、SoundCloud買収から手を引く

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結局、多くの人が期待していたデジタル音楽企業2社の合併は実現しないようだ。何ヶ月にも及ぶ話し合いの結果、SpotifyはSoundCloudの買収を諦めたと、本件に詳しいSpotifyの内部関係者は語った。

今年の9月には、両社の間で買収に関する「話が進行している」とThe Financial Timesが報じていたが、その後続報を目にすることはなく、先週この話自体が無くなってしまったことがわかっている。前述の関係者は、SoundClound買収によるIPO準備への悪影響を危惧して、Spotifyが最終的には買収から手を引いたと話す。

Spotifyは、公式には2017年中の株式公開を明言していないが、上場に紐づいたインセンティブが含まれる資金の調達など、それを裏付けるような情報が飛び交っている。関係者によれば、「IPOを行うかもしれない年に、ライセンシングの問題を増やしたくなかった」ため、SpotifyはSoundCloudの買収に踏み切れなかったようだ。これは、音楽レーベルとの交渉に伴う複雑なプロセスや金銭的なコストのことを指しており、SoundCloudにとってはとても重要な問題だ。というのも、クリエイティブやインディーアーティスト、リミキサーから愛されているSoundCloud上には、他のサービスよりもかなり多くの楽曲が登録されているのだ。

SpotifyとSoundCloudの両社は、本記事の公開段階ではコメントを求めるリクエストに応じていないが、返事を受け取り次第、情報をアップデートしていきたい。

実はSpotifyは過去2年間で、今回の件を除いて2回ほどSoundCloudの買収を諦めていたとThe Financial Timesは報じている。その際には、買収提示額が障害になっていたようだ。SoundCloudの買収には、Spotifyの広告ネットワークやユーザーベースの拡大以外にも、資金豊富な競合が音楽サービスに力を入れる中、Spotifyのポジションを強化することが期待されていた。Spotifyのユーザー数は今年の夏に、1億人を突破(うち4000万人が有料ユーザー)したが、競合もその背後に迫ってきている。Apple Musicは、ローンチから18ヶ月しか経っていないにも関わらず、購読ユーザー数が今週2000万を突破した。また最近Amazonも、Musc Unlimitedをアメリカ以外では初めてイギリス、ドイツ、オーストラリアで公開していた

SpotifyのIPOは、来年のテック業界でアツいとされる上場案件のひとつだ。スウェーデンに本社を置くSpotifyは、今年の3月に10億ドルをコンバーティブル・デット(転換社債)で調達しており、当時の記事内で以下のように説明されていた通り、契約書には2017年中にSpotifyが上場することで転換価格が同社にとって有利になるような条件が設定されていた。

もしも成績が悪ければ、攻撃的な内容の条文にもとづいて、Spotifyは多額のお金を失うことになる。

TPGとDragonnerは、最終的なIPO時にSpotifyが設定した株価から、20%割り引いた価格で債権を株式へと転換することができる。そして、もしもIPOが来年(2017年)中に起きなければ、割引率は6ヶ月ごとに2.5%ずつ上昇していく。

さらにSpotifyは、年間5%の金利を支払わなければならないばかりか、この年利も上限の10%に達するまで、半年ごとに1%ずつ上昇する。そしてTPGとDragonnerによる最終的な株式の売却は、IPOから90日目以降となっており、これはSpotifyの従業員や投資家に対して設けられている、180日のロックアップ期間よりも短い。

SoundCloudの買収話がなくなったということは、SpotifyのIPOへの野心を表すと共に、音楽ファンにとっては、残念ながら音楽ストリーミング業界の2大巨頭の同盟が、少なくともこの段階では発足しないということを表している。Spotifyが、上場企業としてSoundCloudの買収に向けて再度動きだすかどうかについては、今後の様子を見ていくしかない。

もちろん、これはSpotifyだけの話ではなく、2016年に大きく進化したSoundCloudのビジネスにもかかっている。

SoundCloudの年間売上は前年同期比で一気に43%増加し、ほぼ2800万ドルに到達したと推定されている。今年から導入された月額9.99ドルの有料サービスが成長の大部分を支えているが、同社の最終利益は設立からずっと赤字のままだ。ベルリンを拠点とするSoundCloudの最新の財務報告書によれば、2014年は4400万ドルの赤字で、監査人のKPMGが2016年はじめに、事業を継続するには追加資金が必要だと警告するほどであった。有料サービス導入によって、SoundCloudの財政状態がどのように代わったのかは、今後明らかになっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Microsoft、$26.2B〔3兆円〕でのLinkedIn買収の完了を発表

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MicrosoftのLinkedIn買収は今週に入ってEC〔欧州連合〕からの承認を受けた。これを受けて両社は今日(米国時間12/8)、Microsoftによる262億ドル〔2兆9800億円〕でLinkedIn買収が公式に完了したこと発表した

Microsoftがこのプロフェッショナル向けソーシャルネットワークを買収しようとしている情報は6ヶ月前から報じられていた。

社内向けメモでLinkedInのCEO、Jeff Weinerは両社が共同できる分野を挙げ、同時にそれ以外の分野では両社は従来通り独立して運営されることを述べている。このメモは記事末にエンベッドした〔原文参照〕。

現在LinkedInは4億人の登録ユーザーを持ち、専門職向けソーシャルネットワークとしては世界最大だ。ユーザーはLinkedInを通じて同業ないし同様の企業の人々との交流を図っているが、同時に求人、求職のチャンネルとしても利用している。今週、われわれが報告したように、LinkedInはこの分野における「支配的地位」を保っているため、Microsoftは いくつかの点でECに譲歩せざるを得なかった。つまりLinkedIn以外の他のソーシャルネットワークがMicrosoftのプラットフォームを通じてOfficeプロダクトなどを利用するを妨げないようにすることを認めた。

Microsoftがこうした条件を飲んだということが、MicrosoftのLinkedI買収における意図の一部を示している。簡単にいえばMicrosoftはLinkedInのユーザーにMicrosoft製品を売り込み、さらに企業に関して人事管理のような重要分野でのMicrosoftのソフトウェアの利用を促進することが狙いだと思われる。

Microsoftはこれまで特定のソフトウェア・プラットフォームと無関係な独立したソーシャルネットワークとは無縁に近かった。もちろんYammerとSkypeには多額の投資をしており、こうしたプロダクトがエンタープライズ・ユーザーのコミュニケーションを効率化できるよう努力していた。今後Microsoftがこうした努力をLinkedInの買収でどのように発展させていくのか注目だ。

TechCrunchではこの件に関してさらに取材中だ。【LnkedInの社内向けメモは原文参照】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

KDDIが総額800億円でビッグローブを買収ーー通信事業の土管化を防げるか

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KDDIは本日、インターネット接続サービスを提供するビッグローブを買収したことを発表した。KDDIはビッグローブの全株式を総額約800億円で買収し、2017年1月を目処に完全子会社化する予定だ。

1986年に創業したビッグローブは、インターネットやモバイルの接続サービスを展開している。2016年9月末時点で、インターネット接続サービスには200万人以上、モバイル事業では約40万人のユーザーを保有しているという。

大手通信事業者KDDIは、auのケータイやスマートフォンで3858万契約があり、固定通信サービスも904万契約に上る。ビッグローブの子会社化で、それぞれの顧客基盤や事業ノウハウを生かした事業展開を実施する。また、KDDIが進める「au WALLET」や「au WALLET Market」などの決済サービスや物販事業も両社のシナジーを活かし、事業拡大を行う計画だという。

今回の買収は、通信事業者の自社サービスの土管化への危惧が深まっていることを示しているのかもしれない。4G回線が広まり、たいていの場所で安定した通信が可能になり、回線の品質という面では通信事業社は他社との差別化が難しくなっている。それに日本でもFacebookやHulu、Netflixといったインターネット経由で良質なサービスを提供するOTTサービスはすっかり市民権を得るようになった。通信事業者はこのような状況を打破するため、事業に付加価値を加えたり、土管を通るサービスやコンテンツを獲得したりすることを考えているようだ。

アメリカでも似たような通信事業者による企業買収が起きている。今年7月、大手通信事業者のVerizonがYahooの買収を発表した。VerizonによるYahoo買収も、Yahooのメディアと広告事業でVerizonの通信事業に活かすためだった。また、Verizonの競合となるアメリカの大手通信会社AT&Tも今年10月、854億ドルでCNNやWarner Brosなど大量のコンテンツを有するTime Warnerの買収を発表している。

TwitterがモバイルアプリのYes, Inc.を買収し、同社のCEOがプロダクト部門VPに就任

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143。この数字は、Twitterの新しい文字制限数でもなければ、同社がここ数年間で新しく雇い入れたプロダクト部門のリーダーの数でもない(近い数だが)。この数字は、その役割を担うためにTwitterが新しく任命した男が、過去9年間でツイートした数の合計だ — この数字の中には、彼がこの新しい役職に就任したことを認めてつぶやいた2件のツイートも含まれている。その内の1件のツイートは、Jack Dorseyによって熱狂的にリツイートされている。

この役職は今年の夏から空白となっており、これまでに数人の候補者の名前が挙がっては、消えていた。新しい競合が生まれ、ユーザーの不満が高まるなか、同サービスの将来の方向性が定まらなかったのだ。直近でこの役職に就任していたJeff Seibertは、今年の6月に古巣であるTwitterの開発者プラットフォーム「Fabric」のチームに舞い戻っている。

これから新しくプロダクト部門のバイスプレジデントに就任するKeith Colemanは、今回Twitterが買収した従業員7人のモバイルアプリ企業、Yes, Inc.のCEOを務めていた人物だ。彼は過去に、Googleと呼ばれる小規模のスタートアップでプロダクト・マネージャーを務めていたこともある。

彼以外の6人の従業員もまた、Twitterのプロダクト部門やデザイン部門に配属されることが決まっている。一方で、Yesはこの環境の変化を踏まえ、来週にも同社のサービスを停止する予定だ。サービス停止によって空いた時間で、Colemanはこれから彼が率いるプラットフォームに触れてみることができるだろう。前任のツイート数に追いつくには、残り約6100ツイートだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter