Apple Watch、2015年スマートウォッチ市場の過半数を占める

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ウェアラブル市場への遅い参入にもかかわらず、Appleは販売台数でトップの地位を築いたことが今週のJuniperの最新調査でわかった。Apple Watchは2015年のスマートウォッチ販売台数の50%以上を占めたと同調査は報告している。さらに印象的なのは、Apple Watchが発売されたのは昨年4月になってからだという事実だ ― 即ち、1年に満たない期間に市場の過半数を獲得したことになる。

一方、スマートウォッチプラットフォームのライバル、Android Wearは、Huawei、Motorola、Sony、ASUS、LG、Fossilその他多くのメーカーに採用されているにもかかわらず、2015年の市場シェアはわずか10%以下だった。

またSamsungのTizenベースのGear S2は、評判は上々だが、11月の発売以来の販売は好調とはいえない、と同報告書は言っている。

「その他のスマートウォッチは、殆どが低価格、低機能の機種で、Martian、X、Razer等の小規模メーカーの製品だ。Razerは最近、Nabu Watchを発売した」と、Juniperが詳細報告の中で付け加えた(ちなみに、Nabu Watchはスマートウォッチと呼べるかどうか微妙なところで、メーカーでさえこれを「スマート」機能付きデジタルウォッチと説明している)。

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スマートウォッチ市場におけるAppleの存在は、ライバル会社の競争をもいっそう困難にしていることが、今週のFitbitの暴落からも見てとれる。

フィットネストラッカーメーカーの同社は、CESでスマートウォッチ、Fitbit Blazeを発表したが、Appleと競争しようという大胆さを直ちにウォール街から咎められた。発表のほぼ直後、Fitbit株は18%下落し、ハイエンドにApple、対極にPebble等の既存スマートウォッチメーカーが控える市場での、Fitbitの競争力に対する投資家の不信が露になった。

Fibtitの株価は今週も下がり続け、ホリデー後の高値からわずか数週間で史上最安値をつけた(以前の高値は、FitbitアプリがApp Storeのトップに踊り出たニュースによる ― これはホリデー期間の販売が好調であったことを示している可能性が高い)。

しかし、Appleが市場シェア52%でリードしているからといって、スマートウォッチ市場が確立したと言うにはほぼ遠い、ともJuniperは言っている。

「現在スマートウォッチは、市場を待っているカテゴリーの一つ」とJuniperの調査アナリスト、James Moarは言う。「新しい機種は洗練された外観と微妙に異なる機能を持つが、全体的機能や用途を変えるような大きな変更はない。スマートウォッチの機能が確立すれば、それを欲しいかどうかを決めるのは消費者であり、テクノロジー企業が購入理由を増やすことではない」

言い換えれば、市場の将来は消費者の手にかかっている ― 腕に着けたテクノロジーが自分の生活に侵入する必要を感じるか否かだ。

Juniperの発見は、IDCによる以前の調査とも一致している。IDCの調査でAppleは、2015年のスマートウォッチ分野をリードし、Android Wearが大差の2位だった。具体的には、Appleのシェアを61.3%、Androidを15.2%と予測していた。

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IDCはPebbleについて、AndroidとApple watchOSの両プラットフォームに市場を浸食されるだろうが、消えることはないと予測している。ちなみに、SamsungのTizenは、Androidスマートフォンとの互換性およびアプリ選択肢の大きさから、業界の「ダークホース」と目されている。

またIDCは、ウェアラブル端末市場が2016年に1.111億台となり、2015年の8000万台から44.4%増えるとも予測している。

JuniperとIDCの報告書は主としてスマートウォッチに集中しているが、Appleのシェアはウェアラブル市場全体でも拡大している。IDCの昨年8月の調査は、Appleは全世界ウェアラブルのナンバー2で、Fitbitを目前に捕えつつあるとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

あなたを自動的に追尾するカメラドローンLilyが予約販売で巨額$34Mを売り上げ

自動運転ドローンLilyは、まだ発売されてないのに、予約販売で6万台、3400万ドルもすでに売れている(2015末現在)。

初日で120万台売れたApple Watchの予約販売にはかなわないが、とにかくLilyがただ者ではないことをうかがわせるには、十分だ。

この小さな空飛ぶロボットはとてもかわいいデザインで、丸い体に付いている青いLEDが、目で微笑んでいる。直径10.29インチ高さ3.22インチの体躯に1080pのHDカメラを載せ、50フィートの上空を飛ぶ。

Lilyは、あなたをどこまでも追い続けるビデオカメラマンのロボットだ。空中に放り投げたときから撮影を開始し、被写体がプールに入ることもありえるから、防水だ。

小さな追跡装置がLilyを誘導し、特殊な技術でつねにベストショットを捉える。

しかし、Lilyをドローンと呼んではいけない。協同ファウンダでCEOのAntoine Balaresqueは、CESが行われているラスベガスのCourtyard Marriottホテルのロビーで、このドローンカメラのデモを見せてくれたが、そのとき彼は“これはカメラだよ”と言って、私の言葉を訂正した。それを聞いてFAAのお役人は、どんな顔をするだろうか? 無人の航空機であるこのデバイスは、やはりFAAの規制に従うべきだ(だってこれはドローンなんだもの)。

ドローンの、というか自動飛行カメラのLilyは、今でも800ドルという比較的リーズナブルなお値段で予約販売をしている。同じくカメラ内蔵の自動飛行ドローンHexo+は、1350ドルもする。Lilyも、この夏正式発売されると1000ドルになる。

Lilyのユニークな機能と、予約販売の大成功についてCEOに話を聞いたので、上のビデオをご覧いただきたい。この楽しい上空ホバリングカメラは、そのうち本誌TechCrunch TVの撮影クルーも使うかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

珍しいことにAppleがiPhoneとApple Watchの抱き合わせ販売でディスカウント(一部のストアのみ)

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Appleはときどき学生割引やクリスマス商戦の特売はやるけど、一般的に安売りはしない企業だ。

だから、珍しい。今Appleは実験的に、iPhone 6sや6s PlusとApple Watchの抱き合わせ販売で、50ドルの値引きをやっている。

これはMacRumorsの特ダネだが、要点はこうだ:

  • これをやっているストアはカリフォルニア州の一部(Burlingame, Chestnut Street, Corte Madera, Hillsdale, SF, Stonestown)とマサチューセッツ州の一部(Boylston Street, Burlington, Cambridge Side, Chestnut Hill)のみ。オンライン(ネット販売)はなし。気になる人は、お近くのApple Storeに電話してみよう。
  • 値引きが適用されるのはiPhoneとApple Watchを同時に買う場合のみ。ただしiPhoneを買ったばかりの人(14日以内)は、返品してまた買う、という手はある。
  • ハイエンドのApple Watch(EditionとHermès)は対象外。

売出期間は10月30日から11月15日まで。

なぜこれをするのか? たぶん新規顧客を取り込むための誘い水だろう。

スマートフォンを売るだけでも、売上利益とその後のアプリやiCloudの売上などを期待できるが、こんな特売企画でウォッチも同時に買ってもらえたら、単なるお金の利益だけでなく、おそらく終生のAppleファンというでっかいメリットが得られる…という皮算用。

Apple Watchを使い慣れたら、その状態のままで今後、携帯だけをAndroidスマホに乗り換えることは、ちょっと想像しづらい。Android Wear+Androidスマホのセットに乗り換える動機は見当たらないから、終生のAppleファンにならざるをえない。しかもApple Watchを着けた腕は誰の目にもよく見えるから、歩く広告塔だ。

それが50ドルなら、安いね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Facebook Messenger、Apple Watchアプリが正式公開

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9月のAppleイベントのキーノートで、Facebook MessengerがApple Watchにやってくる、ただしそのためにはwatchOS 2にアップデートすること、とAppleは言った。今それが公開された。

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これで音声クリップ、いいね!、スタンプ等をApple Watchから送信できるようになった。私の経験から言うと、Apple Watchが最もうまく機能するのはこの種のちょっとしたやりとりだ。誰か相手を選んで行動起こす必要が生じた途端、物事は面倒になる。watchOSにできることは山ほどあるが、バージョン2は、製品が出荷された時より何光年も先へ進んでいると私は言いたい。

Apple Watch版Messengerが最初に発表された時、本誌のJosh Constineはこう言った:

Facebook Messengerの普遍性が高くなればなるほど、ネットワーク効果は強固になる。友達がFacebook Messengerからメッセージを送ってくるたびに、あなたはFacebookエコシステムに近づいていく。彼らがSMSや他のアプリ(WhatsAppを除く)からテキストメッセージを送ってくるたびに、あなたは遠ざかっていく。Apple Watchのユーザー基盤が比較的小さいにもかかわらず、Facebookにとって重要である理由はそこにある。

そういうことだ。

Apple Watchのサポートに加えて、iOS版Facebook MessengerはSpotlightと統合され、iPadでのマルチタスクにも対応した。Spotlightの統合は非常に大きい。これでMessengerの連絡先やメッセージ内容を、アプリを開かずに検索できるようになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、watchOS 2の配信を開始

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AppleがついにwatchOS 2をリリースした。アップデートは一般に公開されている。またOTAアップデートにも対応している。ただしアップデート用のサーバーの準備は順次整えられているとのことで、まだアップデートが有効になっていないというケースもある。スムーズなダウンロードを実現するために、キューシステムを採用しているせいもあるのだろう。

本来、このwatchOS 2は9月16日にリリースされるはずだった。しかし予想外のバグの影響でリリースを遅らさざるを得なかった

「watchOS 2の開発中に発見されたバグについて、修正に思ったよりも時間がかかってしまったのです」と、Appleのスポークスパーソンは言っていた。「スケジュールを延期せざるを得ませんが、まもなくリリースできるものと思います」とのことだった。そして今日を迎えたというわけだ。

Apple Watchが登場してまださほど時間も経っていないが、しかし今回のOSアップデートにはさまざまな機能追加が含まれている。ネイティブのアプリケーションを開発することができるようになり、またプログラム中からあらゆるセンサーにアクセスできるようにもなっている。乗り換え案内にも使えるようになり、Siriがさらに便利になっている。またウォッチフェイスも新しいものが用意されていて、サードパーティー製のコンプリケーションも可能となった。ナイトモードも場合によっては便利だし、また天気や予定を確認するための「タイムマシン」機能も使いやすい。watchOS 2についてはこちら(英文)でもレビューしているのでご参照いただきたい。

アップデートの方法についても記しておこう。iPhoneからWatchアプリケーションを起動して「一般」から「ソフトウェア・アップデート」を選んで行うことができる。アップデートを行うかどうかのプロンプトが表示されるはずだ。

watchOS 2へのアップデートは「絶対」のものだと思う。アップデートすれば、これまでのOSがベータ版であったかのように感じるはずだ。Appleとしては、このwatchOS 2こそが、リリースしたかったものであるはずだ。動作もはやく、また開発者にとっても便利な機能が満載されている。

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(翻訳:Maeda, H

Apple WatchとiPhoneの双方を、同時に充電できるPod Pro

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身の回りにテック・ガジェットが増え続けていく中、すべてを充電しておくことが難しくなりつつある。Apple Watchの購入をためらっている人の中には、充電が面倒だからと考えている人も多そうだ。しかし、そうした問題を解決してくれるプロダクトも出てきつつある。

このたびNomadがアナウンスしたのがPod Proというバッテリーパックだ。Apple WatchとiPhoneの双方を、同時に充電することができる。「世界初」のものであるとのことで、デザインもなかなかおしゃれだ。どうやっても格好良くはならない充電ケーブルはポッドの中にしまう形になっている。そしてそのポッド自体はApple Watchを充電するパワーマットとなっているのだ。

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これがあれば旅行に行くのにApple Watchの充電器を別にもっていく必要もなくなる。充電が切れてApple Watchが単なる腕輪になってしまうこともなくなるというわけだ。スマートフォンとスマートウォッチの双方に使うものなので、持っていくのを忘れる可能性も低くなるだろう。

Pod Proの容量は6000mAhで、これでiPhoneおよびApple Watchを2回ずつ充電することができる。先日のAppleの発表を受けて、ストラップなどのサードパーティー製品がいろいろと登場してきているところだ。Apple Watchの人気はまだまだ衰えていないとのことで、またWatchOS 2にも期待が集まっている。

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Pod Proの価格は99ドル99セントとなっている。但し現在は79ドル99セントでのプレオーダーを受け付け中だ。出荷予定は10月30日となっている。またBest Buyの店舗でも取り扱うそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

調査結果:Apple Watchユーザーの80%がすでにApple Payを使っている

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どうやら、ガジェットに何十万ドルものお金をつぎ込む人々は、ガジェットを使ってさらにお金を使うのも好きらしい。

かつてAppleが言及したこともある調査会社、Wristlyが今日(米国時間8/18)発表した感嘆符満載のレポートによると、Apple WatchはApple Payサービスの普及に驚くべき貢献をしている。1000人を対象にした調査データによると、Apple Watchを所有する消費者は、Apple Payを利用できる小売店で優先して買い物している。

調査によるとWatchオーナーの19%が、購入当日にApple Payを試し、ユーザー全体の80%が同サービスを利用したことがある。利用頻度も極めて高く、Apple Watch/Payユーザーの78%が、毎週1回以上サービスを利用している。

まだ飛び込む決心のつかない20%のオーナーが挙げた第一の理由は、Apple Payが自分の銀行をサポートしていないことだった。非ユーザーをさらに分析した結果Wristlyは、「Apple WatchユーザーのうちApple Payを使う可能性がないのはわずか約5%」であるとしている。

これはさほど驚くべきことではない。Apple Watchに飛びつこうという人々は、Appleエコシステムにかなり深く入り込んでいて、そこで提供されるものはなんでも使う尽くそうとするからだ。それでも80%はかなり驚くべき普及率だが、私はiPhoneユーザー全体におけるApple Payの普及率データも見てみたい。

真に驚くべきは、Apple Watchユーザーが他の支払い方法をおいて、Apple Payを使いたがっているという本調査の指摘だ。調査結果によると、Watchユーザーの62%が、Apple Payを採用している店舗を他の店舗よりも好み、86%が、買い物をする際Apple Payの対応状況を積極的に調べている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

先月の腕時計販売額が10%も下落したのはスマートウォッチのせい?

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NPDの調査によると、Apple Watchの発売をうけて、アメリカの時計売上が2008年以来最低の水準になっているのだそうだ。7月の腕時計の売上額は3億7500万ドルで、これは昨年比で11%の下落となっているのだとのこと。

この下落幅は、2008年の経済危機の中でのものに匹敵するものなのだそうだ。

ただし、売上額の大幅減少の原因がAppleにあるというのは言い過ぎであるだろう。しかしPebble、Motorola、Fitbit、そしてAppleなどが次々にスマートウォッチを発表していることが、ファッションウォッチ市場に影響を与えていることは間違いないものと思われる。

もともと、夏は腕時計メーカーにとって厳しい季節ではある。卒業記念にロレックスをというシーズンでもない。まとまった祝日もなく、免税商品をかいまくる旅行者もやってこない。いずれにせよ、売上成績が落ち込む時期ではあるのだ。

さらに加えて、メーカー側が消費者の動向に応じた細かなモデルチェンジなどに気乗り薄であるらしいこともある。ローエンド機種ではSwatchのSistem 51が人気を集めたりもしているが、多くの時計メーカーはホリデー販売の依存する低価格なファッションウォッチ市場から撤退しつつもあるのが現状だ。

すなわち、そもそも腕時計業界は停滞期にあるわけだ。今ではFossilとFitbitに悩んだときに、テックに親しんだ若者たちはFitbitを選ぶ時代だ。腕時計にいろんな価値を見出していた年代には受け入れがたいことかもしれないが、腕時計業界は大きく変化しつつあるのだ。

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(翻訳:Maeda, H

何にでもApple Watchアプリを作る必要はない

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Appleは、FacebookやGoogleやSnapchatといった人気アプリがまだApple Watchアプリを作っていないことを憂慮すべきなのか?それが最近のNew York Times記事で提起された疑問であり、Appleの新ウェアラブルに「待ち」の姿勢で臨んでいるデベロッパーがどれだけいるかを詳しく書いている。

しかし、正しい質問は〈アプリはどこにある〉ではなく、〈そもそもアプリは必要か〉だろう。

私は個人的に、FacebookをApple Watchで見ようとは思わない ― もっと大きな画面のiPhoneが近くにあればなおさら。Facebookの通知をもらいたいとも思わない。誰かが私をタグ付けしたり友達になったり写真をシェアしたことを知ることに緊急性はない。

私はFacebookを必要としない。いや、私は何のApple Watchアプリも必要としない。

この一週間で、私がApple Watchの「アプリ」画面を見たのは1度 ― 数時間前のテキストメッセージのスレッドを見た時。それ以外に私がApple Watchと対話するのは、通知およびたまにグランス(文字盤を上にスワイプすると出てくるウィジェット風のツール)だ。

しかし、これをほぼ毎日着用するようになって数ヵ月、グランスでさえあまり見なくなった。せいぜいアクティビティーのグランスをランニングの後に見たり、天気予報を見たり、Appleマップを使う時くらいだ。ニュースの見出しやTwitterのトレンドをグランスで見ることはなくなってきた。もし、Facebookがアプリやグランスを作っても、多分使わないだろう。

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Apple Watchは、従来の意味の本格的「アプリ」プラットフォームにはならない、と言ってもよい。それはアプリがないという意味ではない ― App Annieによると、現在iTunes App Storeには7567本のApple Watchアプリが掲載されている。

しかしApple Watchが登場したのは、既に山ほどのアプリがユーザーのスマートフォンに溢れている時だった。人々はスマホ利用時間の85%をアプリに費しているが、日常的に使用するサードパーティーアプリはわずか5本であることが、最近の調査でわかった。人々はそれぞれのお気に入りを選択済みで、それ以上受け入れる生活の余裕はない。

一方で、モバイルアプリのエコシステム自身は成長を続けている。アプリストアには150万近いアプリがあり、新規参入者がユーザーを見つけることは困難になり、長期間注目を引き続けることはさらに難しい。

しかも、未だに恐ろしい早さで新アプリが出てくるため、最近のアプリは爆発し、立ち消え、そして初期の魅力が失せるにつれて崩壊する一発屋のようになっている(例えば、一時は将来を約束され400万ドル近いベンチャー資金を得たFrontbackの最近の終焉。あと、まだFlappy Birdをプレイしている人っているの? Foursquareはまだ終っていないの? )。

つまり、スマートフォン、タブレットに次ぐ第3のモバイルアプリエコシステムに対する需要は高くない。今ユーザーが必要としているのはWatch〈アプリ〉ではなく、行動を起こすための〈情報〉だ。

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今の優れたApple Watchアプリは、通知によってその約束を果たしている。通知はユーザーの状況や行動のコンテキストを把握して意味のある情報を提供する。あるいは緊急な出来事 ― かかってきた電話やテキスト ― について教えてくれる。Uberがやってくる。雨が降りそうだ。フライトが遅れている。上司がSlackで呼んでいる。Apple製アプリ注入版Google Nowのようだ。

優れたアプリは、小さな画面でコンテンツを見て回るようなノンビリ体験でもない。そこは退屈した時に時間を潰す場所ではない。

結局私がApple Watchで一番よく使う「アプリ」は、iPhoneアプリの大画面に対応したものではなく、今も毎日iPhoneで受け取っている通知スパムのサブセットだ。あまりに多くのアプリメーカーが、ユーザーの引き止めを通知に頼るあまり、多くのiPhoneユーザーは、「通知を無視」する習慣に陥っている。

たしかにiPhoneが鳴ったみたいだけど、本当に何か意味があったのだろうか?しかし、重要なアプリだけを正しく設定すれば、Apple Watchのアラートは意味を持ってくる。

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ユーザーがApple Watchアプリに興味を失う理由の一つは、実際に使おうとした稀な瞬間に、立ち上がるのがあまりに遅いことだ。しかし、もしこれが瞬間的に起動したとしても、ユーザーの行動や興味が大きく変わることはないと私は思う。

Appleは、watchOS 2でネイティブWatchアプリの開発を可能にすると言っている。そうなればアプリはもっと強力で高機能になり、懸念をいくつか解消するかもしれない。しかし、前進するとしてもごくわずかだろう。標準アプリ以外にユーザーの欲しがるアプリがどれだけあるのか私にはわからない ― 何しろiPhoneで定常的に使うアプリでさえ5~6種類なのだから。

そして、watchOS 2アプリが登場したとしても、ユーザーがしょっちゅうアプリ画面を見に行くようになるかどうかは疑問だ ― 代わりに、行動すべき情報があれば通知を見るだろう。

これは、Apple Watchが約束されたプラットフォームでないとか、Apple Watch自身が売れないとか言っているのではない(実際売れている)。それは間違いなく魅力的で実用的なハードウェアであり、日々の生活に容易にフィットする。

ただ、もっと大きな疑問は、果たして〈誰もが〉欲しがる商品かだろう。今のところ、その答はノーだ。

今のApple Watchは未だに好奇の対象だ。友達や家族、レジの店員や見知らぬ人たちまでもが、私の手首を見ては感想を求める。「気に入ってるか? 私も買っ方がいいのか?」と彼らは知りたがる。しかし、iPhoneとは違い、私には心から「イエス!」と答えることができない。

Apple Watchは世界を変えるものではない。不可欠のアプリや利用場面はない。それはあなたのデジタルライフスタイルの素適なアクセサリーであり、実際に便利だ。見た目も美しい。素晴らしい時計であり、健康モニターであり、運動測定器だ。iPhoneをバッグに入れておけるのも好きだ。受信したテキストに「OK」や「YES」ボタンで返信できるのが嬉しい。ディック・トレーシー風に電話したことだって1~2度ある。

でも、Facebookアプリはいらない。

Apple Watch版Snapchatを欲しいとは思わない。

お気に入りのiPhoneアプリでApple Watch対応を待ち焦がれているものは一つもない(どうせ今は、やったと言うためにやっているだけだ)。

おそらく、何にでもApple Watchアプリが作られることはないだろう。おそらく、その必要も。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watchの販売台数は低レベル?!

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アナリストを抱えるCanalysがApple Watchの動向についての推計を発表している。そのレポートによると、Apple WatchがリリースされたQ2期間にて、出荷台数は420万台であったとなっている。

この数字は以前から市場に投入されていたウェアラブル(たとえば、価格もより安いFitbitや他社製のスマートウォッチ)の販売台数を上回るものだ。ただしAppleブランドのデバイスとしては、かなり低い台数にとどまっていると言わざるを得ない。昨年段階では、Apple Watchの初年度販売台数を3000万台以上と予測していたアナリストもいた。

またSlice Intelligenceはデジタルレシートのデータを解析して、Apple Watchは販売日に米国内で100万台がプレオーダーされたという調査を発表してもいた。ただし、それから5月半ばまでの間で、プレオーダーの数が250万台程度に留まり、強い購買行動は見られないというレポートも発表している。

Canalysは、発表がQ4のホリデーシーズンをシーズンの後になったことがスタートダッシュを妨げた面もあるだろうとしている。また初期におけるサプライ側の遅れも販売台数の伸びという側面からは障害と考えているようだ。そして、ウェアラブルを活用するためのアプリケーションの登場が、今後の動向を鍵を握っていると結論づけている。

Apple Watchの動向には、他にも多くのアナリストが注目している。たとえばFortuneはさまざまな予測をまとめた記事を発表している。予測の中で最も少ないのは285万台で、最多が570万台となっている。27の予測の中、平均は400万台となっているようだ。

そのうちのひとつ、Piper JaffrayのGene Munsterは、予測範囲の中で中間程度の値を示している。Q3での売上台数を300万台程度とし、この値についての評価をツイートしてもいる。曰く、不満を感じている投資家もいるようだということと、また、この低ペースはAppleの販売戦略(小売店で扱わない方針、など)にもよるのだろうと推測している。Piper JaffrayによるとApple Watchは徐々に広がり、そして2017年にブレイクするのではないかとのこと。2016年に1400万台、そして2017年には4000万台が売れるのではないかと予測している。

いろいろな意見があるが、ともかくApple Watchのような、新しく登場したばかりのジャンルについては予測が非常に難しいということはわかる。また、Apple Watchの普及は、iPhone以上にアプリケーション次第ということもあるのかもしれない。Apple Watchのアプリケーション環境は、いまのところまだ整い始めたところという段階で、これについては今後に期待せざるを得ない。さらには、Apple Watchは単独で用いるようなデバイスではなく、iPhoneと協調させて利用するようなシーンが想定されてもいる。それもまた販売ペースを下げる要因となっていることだろう。もちろん高めの価格設定が足かせになっている面もあるはずだ。消費者は慣れ親しんだアプリケーションをすべて利用できるiPhoneのためにお金をとっている面もあるはずで、Apple Watchの導入に二の足を踏む人も多い様子だ。アプリケーションが質量ともに充実する前は、まずiPhoneの利用者にむけて、Apple Watchのメリットを積極的に伝えていく必要があるだろう。

なお、全体の売上については本日(米国時間7月21日)中にも業績レポートが公開されるはずだ。ただしApple Watchのセールスに関する詳細なデータが発表されるとは思えない。CEOのTim Cookは昨年秋、競合のこともあり詳細なデータは明らかにしたくないのだと述べている。Apple Watchの販売データは,Pod、Beatsアクセサリー、Apple TVなどを含む「other products」(その他プロダクト)の欄に混入される見込みで、結局ウェアラブル分野がどの程度貢献しているのかの詳細はわかならないままになりそうだ。今後の動向についてアナリストは、まだまだ「推理」を積み重ねることになっていくのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

Reserve Strapは、Apple Watchのバッテリー寿命を30時間延ばすことを約束する

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Reserve Strapは、同社製Apple Watchバッテリーバンドの最終仕様をつい先ほど発表し、バッテリー寿命を30時間延長することを謳っている。Reserve Strapは11月初めに出荷予定で、価格はかなり驚きの249.99ドルだ。

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Reserve Strap

「特殊熱硬化性弾性シリコンバンド」(笑)は、Apple Watchと同等の防水能力を有し、ホワイト、グレイ、ブラックの3色がある。38 mmおよび42 mmいずれのWatch用ベルトも、バッテリー寿命を「48時間機能する」よう拡張する。

Reserve Strapは、Apple Watch用に作られた初めてのバッテリーバンドであり、多くのユーザーが挙げるバッテリー寿命に関する懸念、特に1回の充電で1日以上使用できない点に答えるものだ。

Reserve Strapは、Appleのバンドデザイン・ガイドラインに完全準拠しており、Apple Watchの保証にも違反しない。ストラップはApple Watchの隠し診断ポートを利用して、時計とバンド両方のシームレスな充電を可能にしている。ただし残念ながら、両方同時に充電するためには、バンドのMicro USBポートを使う必要があり、Watchのマグネット式充電器は使えない。

Appleは、サードパーティー製ベルトをオープンにサポートすることを発表してユーザーを驚かせたが、Reserve StrapのようにApple Watchの隠し診断ポートを活用するデバイスメーカーに対する反応は未だになく、同社のデザインガイドラインでも具体的に使用を許可していない。

そのなせる仕事を考えると、Reserve Strapは驚くほど高価であるが、最高1万ドルにもなるデバイスのバッテリー寿命を大幅に延ばすためなら、大枚をはたく価値があるユーザーもいるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watch、2週間以内に店頭販売を開始

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AppleはApple Watchの一部モデルを2週間以内に店頭で販売開始すると、今日のプレスリリースで発表した。また6月26日から新たにイタリア、メキシコ、シンガポール、韓国、スペイン、スイス、および台湾の7ヵ国でApple Watchが発売される。

また5月に発行されたApple Watchの全注文分も、2週間以内に顧客の元に届けられる ― 但し42 mm スペースブラック・ステンレスモデルは除かれ、同機種はこれまでも予約客に届くのが最も遅かった。Appleのオペレーション担当SVP、Jeff Williamsはリリース文で、同社は既存注文の多数の未処理分をようやく捌き始めたと説明しており、おそらくそれが販売国の拡大を可能にしたのだろう。

Appleが「一部」モデルのみ2週間以内に小売店鋪で販売すると言っていることから、おそらくスペースブラックを近々見ることはないだろうが、果たしてどのモデルを試着して持ち帰れるのかは気になるところだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

私が今もApple Watchを使っている理由

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私はTechCrunchの常駐腕時計オタクとして、今使っているオメガやセイコーやJLCをApple Watchに代えるつもりがあるかどうか、しょっちゅう尋ねられる。

そして私は、代えた。本当に。私はApple Watchを手に入れて以来毎日これを着用し、次に機械式を身につけるのがいつなのかわからない。長年、どのスマートウォッチも良くできているが必要ではない、と言い続けてきた私にとって、これはこの世で一番言いたくないことだが、ついに私はこのピカピカの安物に屈服した。理由はいくつかある。

通知の扱いが適切

私はいくつかのAndroid WearやPebbleを使ってみた。MartianやGeak等のデバイスも試したが、どれもスマートウォッチのなすべきことができていない。私が行動することも無視することもできる通知をよこすことだ。Pebbleはそのゴールに一番近かったが(そして私はあの会社が大好きなのでカラーPebbleを予約した)、SaumsungやAppleのスマートウォッチの優れている点の殆どを欠いていた ― ワークアウトのモニターや単純な「アプリ」等。

だったら、なぜFitbitやSppedmasterを持たないのか?それは、Apple Watchは、その両方の目的を一つのパッケージに収め、Speedmaster並みの仕事をするからだ。

美しい

私は腕時計がどうやって作られているかを知っている。いくつか機械式時計を修理したこともあるし、時計工場も何度か見学した。数多くのスイス企業がモンラッシェを飲みながら、Appleがいかにうまくやったかを語り合っているに違いない。Appleはスチール製のケースに曲面とクリスタルを加え、スイスのどの工場よりはるかに安い価格で作ることに成功した。
大変人気のあるレッセンスType 3を思い浮かべてほしい。これと2500ドルのスイスアーミー・アルピナッハ・オートマチック・クロノグラフ(恐らくオモチャ以外の機械式クロノグラフで最も安い)との違いは、ケースと文字盤だ。あのケースを作るためには多くの高給な人々と多くの時間が必要だったが、Appleエンジニアほど高給な人はいなかったと私は思う。

要するに、3万4000ドルのレッセンス最大のセールスポイント ― 柔らかく有機的にさえ感じるケースと文字盤のスタイル ― が、携帯電話を作っている会社によって改善され量産されているのだ。私は、正真正銘の芸術作品であるレッセンスをApple Watchと比べるつもりなど毛頭ないが、製造という観点から見て違いは殆どない。

ちなみに、Apple Watchのバンド交換システムはそれほど斬新だと思わない。ジャガー・ルクルトやカルティエは同じ押しボタン方式を何年も前から使っている。Appleが盗んだのだ!

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私の他のウェアラブルを置き換える ― そしてスマートフォンを

上に書いたように、Apple Watchは私のFitbitに取って替わった。歩数計を身に付けるなど無駄だと主張する向きも多いが、私は自分が一日中動き回り楽しんだことを知りたいのだ。しかも、私への通知やヘルスデータがスマホではなく手首で見られるこは驚くべき利便性だ。

確実な通知のおかげで、私は携帯電話を取り出すより腕を見るようになり、思っていたのと違うメールを見るためにアプリを操作することもなく、前を向いている時間が長くなった。

私はクロノグラフ文字盤を使っているが、私の興味を引きつけておくのに十分な日々の情報を与えてくれる。今やApple Watchを着けていないと寂しさを感じ、気がつくとベル&ロスの文字盤をスライドしている自分がいる。

新しい

腕時計は欲望をかき立てる。本気でコレクションしていた2004~2006年頃、私は常に60台の腕時計を持っていた。時計コレクターは、ほぼ無限に新しい時計を探し続けるという欲望を持っている。そんな新しもの好き癖は決して健全ではなく、多くの場合、長くは続かない。

多くの時計コレクターは20台くらいに落ち着き ― 経験からわかる ― 新たに追加するために時計を売買する。しかし、Apple Watchはそんな新し物好き欲を長時間満足させだろう。時計とは、所有者から永遠に称賛されるアイテムだ。

かつて私は、時計を分解し隅々まで部品やしくみを観察したり、ガラス裏ブタの向こうでテンプが往復するのに合わせて秒針が動くところを見て感動したことを覚えている。Apple Watchは、あの同じ感動をソフトウェアを通じて与えてくれる。これは新しいもの中毒患者にとって明らかに危検だ。

いつか機械式に戻るかって? かもしれない。私は信頼できる機械式時計の価値を知っているし、時計作りの歴史や起源も知っている。私はかつて時計が人類最高の偉績であったことを知っているが、テクノロジーがこの百年だけでも複数回にわたって時計業界に打撃を加えたことも知っている。

偉大なるメーカーたち ― ロレックス、オメガ、ブレゲ ― は1970年代終りまで裕福なバブルの中に存在していたが、セイコー、カシオ、テキサスインスツルメントらによる極めて現実的手段によって殆ど破壊された。最初のクォーツ時計は車1台くらいの値段だったが、電子メーカーが部品の量産に成功して以来、価格はドル、いやセント単位にまで下がった。スイスの時計産業は高級品へと移行することによって対抗し、その結果多くの人々にとってスイス腕時計はホビーを超える価格になった。

スイスはどうなっているのか?

今私はスイスを心配しているか? イエスでありノーだ。スイスは長年その栄誉を拠りどころにして平均的消費者を無視してきた。私が2004年にWristWatchReviewというサイトを開いたのは、困惑を感じたからだった。GQやEsquire等のページを開くと、モデルがプラダのジャケット(900ドル、ゼンガのシャツ(400ドル)、ブライトリングの時計(2万ドル)等を身に着けていた。ジャケットに900ドル払う人が裕福すぎることは暗に理解できたが、腕時計が当時デトロイトの好地で家一軒買えるほどの値段であることは理解できなかった。

時計メーカーが決して教えなかった ― そして今も教えない ― こと、それは21世紀の時計作りが、四輪馬車を作ったり、ゼラチンシルバープロセスで写真を現像するのと同じくらい道理にかなっていることだ。とはいえ、月の光の下で馬車に乗ることや、生まれたばかりの赤ん坊の美しくプリントされた写真より素晴らしいものなどあるだろうか?

テクノロジーは、時計作り技術の大部分をハンダ付けロボットと低賃金工場労働者で置き換えた。だからこそ、私は時計愛好家として、時計作りの歴史、尊厳、そして大切さを世界と共有することが重要だと考えるようになった。

しかしスイスはそれを理解していない。例えば、Speedmaster Professional。スイスはこれを初めて月へ行った時計として宣伝している。しかし、この名高いSpeedmaster Proが重要なのは月へ一度行ったからではなく、現存する最も読みやすく信頼性の高い機械式クロノグラフの一つだからだ。

1950年代60年代の偉人たちはそれを身に着けていた。われわれには初期のクロノグラフの作者や使用者たちに対して、情報時代を切り拓いてもらった恩がある。それは独自のデザインと機械技術の時代に作られた、驚くべき作品である。

スイスは死んだ馬を見つけては鞭を入れ続けている。私の愛する時計メーカーの一つ、ウブロは、事実上1種類の時計を並べ替えながら売っている。ロレックスは前世紀から殆ど変わっていない(ただしロレックスおたくにこれを言ってはいけない)― 価格を除いて。この退屈で鈍感な倫理は何十年も彼らの間で通用している ― クオーツ危機が起きた後でさえ。一種類の時計とその微妙なバリエーションを繰り返し作り続け、値札に際限なくゼロを加え続ける、なぜならコレクターがそれを払うから。これは正気な消費者に対する侮辱であり、いわゆる「良い」時計は、魅力よりも非常識さを感じさせる。

「ヴィンテージ時計はアナログ時代の最も優れた化石である。一つひとつが小さな世界であり、小さく機能的なメカニズムは微小で謎めいた動く部品の集まりだ。動く部品!その結果これらの時計は、ある意味で、生きている。彼らには鼓動がある」とウィリアム・ギブソンは15年前に書いている。「彼らは、タマゴッチのように、『愛』に反応し、通常それは特別な専門技術者による高価な仕事を通じてなされる。まるで古代の蒸気機関トラクターやヴィンセントのバイクのように、時計は事実上どんな崩壊状態からでも苦労して復元される」

私は彼に全面的に賛成する。純機械的なものには魔法のようなものが漂い、それは専門家が習得に一生かかるほど複雑である。この量産ハードウェアと容易な対話の時代に、それは何かを意味している。

しかしサイバネティック予言者のギブソンでさえ、もう一つの、はるかに心引かれるタマゴッチを予見することはできなかった。Apple Watchは同じようには愛に反応しないが ― それは冷たく、計算されている ― デザインと欲求、テクノロジーとファッション、単一性とつながり等の奇妙な融合を通じて愛を生み出す。そしてそれらの融合こそ、スイスが警戒すべき理由なのである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watch、初のOSアップデートが公開

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Appleは、Apple Watch初のソフトウェアアップデートを公開し、Watch OSの最新バージョンは1.0.1となった。このアップデートは一般的バグ修正と性能改善に加え、iOSおよびOS Xに最近のアップデートで追加された新しい絵文字の表示がサポートされた。

Apple Watchのソフトウェアを更新するには、Appleのナレッジベース項目に詳しく書かれている手順を見るか、以下に示す簡単なステップに沿えばよい。

  1. Apple Watchを充電器につなぎ、50%以上充電され、iPhoneがWi-Fiに接続されていることを確認する。
  2. iPhoneでApple Watchアプリを起動し、マイウォッチタブを開き、一般 -> ソフトウェアアップデートをタップする。
  3. 必要ならiPhoneとApple Watchのパスコードを入力する。
  4. Appleロゴの進行インジケーターが表示され完了したら、Apple Watchが再起動する。

このアップデートには、Siri、標準アクティビティー測定(時折、立っているのにスタンドが必要だと言うことがある)およびカロリー消費計算の改善に加えて、アウトドアワークアウトでの距離およびペース測定の改善、およびサードパーティーアプリのサポート向上等が含まれている。

さらにAppleは、新たに7つの言語をサポートし、ブラジルポルトガル語、デンマーク語、オランダ語、スウェーデン語、ロシア語、タイ語、およびトルコ語が追加された。

私のApple Watchは無事アップデートに成功した後、問題は見られず新たな絵文字も正しく表示された。アプリ全般の性能も安定したように感じるが、新バージョンのOSをしばらく使ってから続報する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

“Workflow” は、ウォッチアプリの未来を予感させる

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Apple WatchもAndroid Wearも、実用的な通知機能のおかげで一部のユーザーに大きな価値を提供している。しかし、Apple Watchを数週間使ってみて、殆どのアプリはどうすれば自分が腕の上で便利になれるかをまだ理解していないことがわかってきた。

発売日までウォッチを手に入れられなかったデベロッパー(殆どがそうだろう)にとって、iPhoneアプリをWatchKit SDKの制約下に圧縮するのが早道だと思うのは当然だろう ― 余分な機能を削り、あるいはForce Touch経由メニューの下に隠す。

Workflowは、元来iPhoneまたはiPad上で頻繁に起きる作業を自動化するためのアプリだが、そのApple Watchアプリは小さなフォームファクターに特化して作られている数少ない例だ。

WorkflowユーザーはiPhone上でアクションのレシピ(写真をN枚撮り、1枚のGIFにまとめ、X、Y、Zに送る)を作り、ホーム画面ボタンまたはiOSのAction Extensionを生成して、いつでもワンタッチでそのタスクを実行できる。

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2.99ドルのWorkflowはiPhoneのパワーユーザーにとってキラーアプリの一つだ。しかし、そのApple Watchアプリは、Apple製に限らずあらゆるスマートウォッチにおけるアプリのあり方を示すものだ。

Workflow for Apple Watchのインターフェースは、アクションを示すメニューやアイコンからオプションを選ぶのではなく、「動詞」に凝縮されている。Uberで家に帰る、あるいは次の予定の場所へ行きたい。歩いて帰宅する途中、ルームメイトに到着予定時刻を伝えたい。BARTが混雑しすぎてスマホを見ることができないかもしれない ― 心配無用、ポケットの中のiPhoneに差したヘッドフォンでPocketに保存した記事を読むことができる。

覚えるべきジェスチャーもフィードにダウンロードすべきコンテンツもない。ワンタッチで複数の指示をスマホに送れるWorkflowは、WatchKitアプリのパラダイムにぴったりのアプリだ。そして、目的地や記事を選ぶ必要がある時は、アプリのギャラリーで事前に用意しておいたワークフローが、ユーザーが選ぶであろう選択肢を示してくれる。

今後数ヵ月間、殆どのデベロッパーが、スマートウォッチアプリをデザインする上で最も重要なのは「ワンタッチでユーザーの役に立つにはどうするか」であることに気付くだろう。今後スマートフォンのカメラ、LTE、GPS、画面サイズ、バッテリー寿命等が重要になっていくにつれ、ユーザーがスマホで行うアクションは、手首を上げて1~2回スワイプしてボタンを1~2回タップするより長くかかることを、デベロッパーは認識しておく必要がある。

Workflowの欠点を見ると、Appleがサードパーティーデベロッパーにネイティブ機能を公開すればアプリがもっと良くなることがわかる。ワークフローの中には、自動テキストメッセージの受信者を選ぶ時のように、Handoff経由でiPhoneのMessagesアプリでステップを完了する必要のあるものがある。Appleが省電力のためにBluetoothを切断しているのでWatchからの起動が遅く、記事の表示が一時停止することもある。こうした小さなフラストレーションの源は、AppleがWatch上のリソースキャッシング等を開放することで解消されるはずだ(数週間後にWWDCで見られることを願う)。

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Google、初のApple Watchアプリ「ニュース&天気情報」を公開

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Apple Watchには、既に数多くのサードパーティーアプリケーションからなるエコシステムが作られている。4月の発売直後には3500種類のアプリが揃い、Facebook、Instagram、Twitter、Evernote等の大物をはじめ数多くが名を連ねた。しかし、Appleの新プラットフォームにアプリのない目立った存在がGoogleだった。今日それが変わった。GoogleはiOS版Googleニュース&天気情報をアップデートしてApple Watchに対応した。

Apple Watch版Googleマップほど魅力的ではないが、この動きはGoogleが自身のスマートウォッチプラットフォームであるAndroid Wearとライバル関係にあるという理由でApple Watchを無視してはいないことを示している。これはGoogleが今後他の製品もApple Watchに載せるかもしれないことを意味するだけに期待がもてる。

Googleニュース&天気情報アプリは、Apple Watchの様子を見るには手頃な第一歩であり、既にApple Watchに参入しているNPR、CNN、NYT等の主要ニュースサービスと似ている。

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ニュース&天気情報はiOSアプリとしても比較的新しい。はじめにAndroid版が作られ、その後iOS版が出たのは昨年秋だった。6万5000種類のメディア ― ウェブ版Googleニュースと同じ ― の見出しが「テクノロジー」「スポーツ」「ファッション」等のカテゴリー別に表示される。ユーザーは、ニュースセクションをパーソナライズしたり、地元のニュースと天気を見ることもできる。

今日(米国時間5/12)、アプリはアップデートされ、数あるGoogleのモバイルサービスの中で最初にApple Watchをサポートした。多くの競合アプリと同じく、ユーザーはApple Watchの小さな画面を左右にスワイプしてヘッドラインを見る。現在約10件の見出しをスクロール表示することが可能で、下にスワいプして写真を見ることもできるが、NYTのApple Watchアプリとは異なり、記事の全文はもちろん抜粋すら読むことができない。記事の続きをiPhoneで読むためのHandoffもサポートしていない。

ただし、見出しをフォースタッチ(Apple Watchの画面を強く押し込む)することによってSafariのリーディングリストにニュースを保存できる。
全体的に見てこのアプリはごく基本的なもので、Apple Watchにインストールされた数あるアプリの中から探し出して起動するというより、「グランス」(Apple Watchの簡易アプリ)として使うべきだろう。他のWatchニュースアプリと比べて、あえてこれを推奨することは難しいが、現時点では完成したスマートウォッチニュース閲覧体験というより、一つの実験と見るべきだろう。

本誌はGoogleに、このニュースを踏まえた将来のApple Watch戦略についてコメントを求めており情報が入り次第続報する予定。

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フォルクスワーゲンのApple Watchアプリは、未成年ドライバーにスピードの出し過ぎを警告する

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ドイツの自動社メーカーVolkswagenは今日(米国時間5/5)、同社のモバイルサービスの一環としてApple Watchアプリを提供すると発表した

VWのCar-Netサービスは、2014モデルイヤー以来同社モバイルアプリに様々な「スマート」機能を提供してきた。エアコンのリモート設定、窓の閉め忘れや駐車した場所の確認、燃料・バッテリーの監視などすべてがiOSおよびAndroidアプリで利用できる(正直に言うなら、両プラットフォーム共デザイン要素はかなり奇妙だ)。そして近々、新たなiOSアプリのアップデートによって、腕の上にもやってくる。

いずれの機能も気が利いているが、「必須」と呼べるものではない。ちょっと気を引いたのが、スピードや境界の警告が腕に送られることだ。自分が10代のドライバーだった頃(スマートフォンによる超接続時代の直前)を思いだすと、両親は私が午後の殆どをどこで過ごしていたかも、両親が寛大にも与えてくれた何トンもの金属の塊を、私が責任を持って転がしているかどうかも全く知らなかった。

Car-Netアプリがあれば、家族内の特定のドライバーがスピード制限を越あたり、一定の地域境界を越えた時にアラームを鳴らすことができる。スマートフォンにそれが載っているだけでも親にとっては感激だが、携帯電話の通知は容易に見逃がされてしまう。

Apple Watchなら話は違う ― ポイントは通知を最重要なものだけに限定することだ。ユーザーがその努力をすることを前提にすれば、Car-Netのメッセージは十分目立つ。もしうるさすぎるようになったら、おそらく安全運転について子供たちとじっくり話し合うか、彼らの居場所を監視しなければならないときだろう。

他に便利そうな機能としては、Apple Watchを使ったリモート解錠(2016年モデル以降)だある。もちろん、ドアをアンロックしたりトランクを開けたりする手段はすでにあるが、Apple WatchのApple Payによって、荷物や幼な子を抱えて列に並んでいる時にiPhoneやサイフを取り出さずに済むようになったのと同様、コートのポケットやバッグのキーを探す必要を取り除くことは、日常のフラストレーションを取り除くはずだ。

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Apple、サードパーティー製バンドを作るための “Made for Apple Watch” プログラムの詳細を発表

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もしあなたが、Apple Watch用のサードパーティー製バンドを作ろうと思っているなら、そのための正式な方法についての情報が公開された。Appleは今週、「Made for Apple Watch」プログラムの詳細を公式サイトで発表し、標準に合致した留具(lug)の作り方や、Apple自身がアクセサリーメーカー用に留具を提供することに関する情報を公開した。

Appleはこれまでも、Apple Watchのベルト作成をサードパーティーに開放しないと示唆したことはなかったが、これでプログラムの概要が確認された。これは「Made for iPhone(MFI)」等Appleの他の「Made for」プログラムと同じく、Apple自身によらない他社製品が一定の基準を満たすことを確実にするものだ。MFI認証の取得は少々厄介であり、MFIデバイスで使用するチップ内蔵LightningコネクターをAppleがすべて提供するようになってからは特にそうだ。

今回Appleは、留具部品をメーカーに提供するだけでなく、メーカー自身で部品を作る選択肢も用意している。そのためには極めて用途の限定された譲渡不可能なライセンス契約が使用される。サードパーティー製部品に対するAppleの基準は高いに違いないが、Appleから供給を受けるにせよ、自社開発するにせよ、そのコスト優位性や困難さは未だに不明だ。

これでアクセサリーメーカーは、様々なタイプのベルトを作ることが可能になり、Apple Watch Sportバンドやレザーリンクバンドのようにストラップ自身に留具を組み合んだり、クラシックレザーバンドのような伝統的構造にすることもできる。

Made for Apple Watchプログラムが軌道に乗るまでには時間がかかると思われるので、認証済みサードパーティー製バンドが今すぐ市場に出回ることはないだろう。MFI認証Lightningアクセサリーが数多く出回るようになったのはかなり後だったが、あの場合の方が部品の複雑性は高かったに違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

手首にタトゥーのある人はApple Watchの心拍センサを狂わせる

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Appleが同社のApple Watchのサポートページを更新して、手首にタトゥーのある人が着けると問題があることもありえる、と述べている。この変更が加えられたのは、タトゥーがこのスマートウォッチの心拍計測機能の邪魔をしたり、またそのほかの問題の原因にもなっている、という報告がユーザから相次いで寄せられたためだ。Appleは、タトゥーに使われているインクなどで皮膚の様相が変えられていると、心拍センサの性能にその影響が及ぶことがある、と言っている。

具体的には、タトゥーのインクや絵柄や色彩によってセンサからの光が妨害されると、センサの正しい読みが困難になる、というのだ。つまり、暗い色のタトゥーが皮膚表面の広い面積を覆っている人は、小さくて明るいタトゥーの人より影響を受けやすいのだ。

タトゥーに関するパラグラフが加えられたのは、Apple Watchの心拍センサの動作を詳しく説明しているページで、センサの性能やその値の正しさに影響を及ぼす要素を述べている部分だ。古いWebサイトのコピーを保存しているInternet Archiveで、そのページの前のバージョンを見ると、タトゥーに関する記述はない。それは、Apple Watchの4月のローンチの前に公開されたページだ。

つまりAppleは、ユーザからのフィードバックによって問題を認識したのだ。YouTubeに、その現象のビデオをポストした者もおり、マスコミはそれに飛びついた。

 

手首のタトゥーがApple Watchの光センサに影響を与えることは、それほど意外ではない。ユーザは、Apple Watchを手首にややゆるく着けることを推奨されている。Appleは、“しっかりと、しかし締め付けないように(snug but comfortable)”、という言い方をしている。Appleの説明は:

Apple WatchはグリーンのLED光源と感光性の半導体を使って、手首を流れる血液の量を測定します。心臓が脈打つと、手首の血流が増えて、半導体が吸収するグリーンの光の量も増えます。脈と脈のあいだでは、血流は少なくなります。Apple WatchはLEDの光を1秒間に数百回点滅させることによって、心臓の毎分の脈動数、つまり心拍を、計算します。

この種の技術に問題があることは、前から知られている。たとえば、数か月前にはRedditのユーザが、Fitbitの心拍モニタ HRの精度に問題がある、と述べている。2014年のCNetの記事も、当時の心拍モニタ製品が皮膚の色素沈着で狂うことがある、と指摘している。

iFixが4月にポストした分解記事によると、Apple WatchはAppleが主張している以上の高度なセンサを搭載している。その記事は、Appleの心拍モニタは実際にはプレチスモグラフであり、その外観と動作からはパルスオキシメーターのようだ、しかしそれでもAppleは、血液の酸素濃度を計測するとは主張していない、と述べている。広告でそれを強調しないのは、FDAの規制があるからだ、とも。

その、高級なセンサをもってしても、手首のインクがセンサの読みの邪魔をするという問題を、避けられないのだ。

Appleが推奨している対策は、Bluetoothで通信する胸バンドのような外付けの心拍モニタとApple Watchをワイヤレスで接続することだ。それは、ちょっとかっこわるいソリューションだが、スポーツ選手や自己計測マニアの人にとっては、十分に使える方法だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa