Amazon AWSのクラウドコンピューティングサービスEC2にFPGAインスタンスがお目見え、ビデオや機械学習ではGPUより強力

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AmazonのクラウドコンピューティングサービスAWSが今日、FPGA(field-programmable gate array)を使用する新しいインスタンスタイプ F1を発表した。FPGAはその名のとおり、ユーザーが現場でプログラミングできるゲートアレイで、アプリケーションの目的に合った特殊な構成もできる。そのため、場合によっては、従来のCPU/GPUの組み合わせを上回る高速が期待できる。

これらの新しいインスタンスは、AWSのUS Eastリージョンでは今日からプレビューで可利用になり、一般供用は年末頃からとなる。料金はまだ発表されていない。

まだそれほど広く普及しているわけではないが、最近のFPGAは価格も手頃になり、プログラミングも容易になった。そろそろ、もっと多くのサービスで使われるようになりそうだ。今回のようにクラウドからFPGAを提供することになると、多くのデベロッパーによる実験的な利用も拡大するだろう。

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“つねに、いろんなものを自分で試してみて、それから一般ユーザーに提供している”、とAWSのCEO Andy Jassyは述べている。

新しいF1インスタンスは、HDや4Kのビデオ処理やイメージング、および機械学習で、GPUに代わって使われることになりそうだ。たとえばMicrosoftは、同社のAIサービスのバックエンドをすべてFPGAで構成している。一方Googleは、自家製専用チップという、高価な路線を選んでいる。FPGAは途中でプログラムを書き換えられるから、アプリケーション内でコンテキストの切り替えが容易にできる。たとえばある時点で未加工の画像を処理していたが、その次にはFPGAをディープラーニング向けに再構成して、その画像を数ミリ秒で分析する、といったことができる。

AWSと共にこのF1インスタンスをテストした企業のひとつNGCodecは、VR/AR処理のためのRealityCodecコードをこれらの新しいインスタンスに移行したが、移行はわずか4週間ほどで完了した。理想としては、これまで手元のデバイスで駆動することが当然だったVR/ARのヘッドセットの、駆動と複雑なビデオ処理を、クラウドからできるようになるかもしれない。NGCodecのファウンダーOliver Gunasekaraによると、コーデックに使ったケースでは、FPGAがGPUよりも優勢だった。エンコーディングには大量の意思決定過程があり、GPUはそれらをCPUにやらせる場合が多いからだ。またこの種のシナリオでは、電力効率もFPGAの方が良い。

Amazonは、Xilinxのチップを使っている。最後に残った、独立系の大手FPGAメーカーだ。新しいインスタンスのスペックは、次のとおり:

  • Xilinx UltraScale+ VU9P, 16nmプロセスで製造。
  • 64 GiBのECCで保護されたメモリ, 28ビット幅のバス上(4つのDDR4チャネル)。
  • CPUへのインタフェイスはそれ専用のPCIe x 16。
  • 論理成分数は約250万。
  • 約6800のDSP(Digital Signal Processing)エンジン。
  • デバッグ用のVirtual JTAGインタフェイス。

しかしFPGAのプログラミングは今でも難しいし、Amazonがそれを容易にするツールを出す気配はない。でも、開発キットはあるだろうし、デベロッパーがこれらの新しいインスタンスを使い始めるために利用できるマシンイメージ(Amazon Machine Image)も提供されるだろう。

NGCodecのGunasekaraによると、Xilinxも、CやC++のような共通言語でFPGAをプログラミングできるためのツールを、多少提供している。同社は、F1インスタンスのためのデコーダーを、それらのツールを使って設計したようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSのSnowball Edgeは100TBのストレージとコンピューティング機能を提供する

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Amazonのストレージ・コンテナSnowballは広い層に利用されている。同社の今日のre:inventカンファレンスでは、そのメジャーアップデートが発表された。同じ日にあのとんでもない化け物AWS Snowmobileが発表されて、影が薄くなってしまったが、Snowballではコンピューティングの機能に加えて、ストレージを100テラバイトまで増設できる。

今回のアップデートで提供されるSnowball Edgeでは、各デバイスから直接に、データに対する基本的なアナリシスができる。これは、リアルタイムのインサイト(洞察)が必要とされる現場作業にとって、理想的だ。昨年のモデルと同じく、満杯になったデータを直接AWSのデータセンターに送って利用できる。

AWSを仕切っているAndy Jassyによると、たとえばGeneral Electricは、同社のウィンドファームでコンピュテーション機能を利用している。そのウィンドファームでは各タービンのリアルタイムデータを集めて、異状を分析する。クラウドをフルに利用できない船舶や航空機でも、集めたリアルタイムデータに対し、同じことができる。そういうところでは、インサイトに加えてデータのセキュアなバックアップも要請される。

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Snowball Edgeでは万全のセキュリティのために、データを三種類の方法で暗号化する。またクラスタリング機能により、ひとつのエンドポイントに複数のデバイスが接続し、アクセスできる。サポートはS3やNFSのエンドポイントからの、データ保存とアクセスに対しても適用される。接続性が改善されたため、100TBのデータ転送が19時間で終わる。

EdgeはPythonで書かれたAWSのLambdaファンクションをサポートする。このファンクションに関しては課金の計画がないが、デバイス本体は利用料金が300ドルだ。これは、10日で完了するデータ転送の料金である。それを過ぎると、1台一日あたり30ドルが追加課金される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産(そして人材)を買収

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SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。

今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。

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SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。

SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。

SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。

しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。

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AWSがパートナーをサポートする多彩な新事業をローンチ、とくにIoTと金融サービスを重視

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Amazonのクラウドコンピューティング部門であるAWSが今週、今年のre:Inventデベロッパーカンファレンスをラスベガスで行っている。そのメインイベントに先立って同社は今日(米国時間11/29)、AWSのツールやサービスを売っている同社のエコシステムパートナーのためのキーノートを開催した。そのキーノートで同社は、パートナー事業の大幅な拡張と、ソフトウェアやAPIやそのほかのサービスをAWSのマーケットプレース(AWS Marketplace)で売りたいベンダのための、新しい機能もいくつか発表した。

AWSが発表した新しいパートナー事業はいくつかあり、ひとつは公共部門へ売っていきたい企業向け、もうひとつはAWSのサービスを使おうとする顧客企業を支援する立場のパートナーだ。それらAWSのサービスとは、Redshift, Lambda, Kinesis, Machine Learningなどなどだ。さらに加えてAWSとVMwareは、2017年に統合パートナーシップ事業を発表し、またAlexaのスキルを作っている企業だけのためのパートナー事業も開始される。

これらのパートナー事業に参加した企業は、市場開発のための資金や、さまざまなマーケティング素材、自分のマーケティング素材をブランド化できるたものバッジなどにアクセスでき、場合によってはPartner Solutions Finderでフィーチャーされる(大きく扱われる)。これらの事業はテクノロジー系企業と、コンサルティング系企業の両方を対象とする。

さらにまた、AWS上でIoT金融アプリケーションを立ち上げるユーザー企業を支援する能力のあるパートナーのための事業もある。これらの新しい事業は、マイグレーションやストレージ、DevOps、セキュリティ、ビッグデータなどに注力していくそれらの企業のための既存の事業に加わる形になる。

今回Amazonは、中でもとくにIoTソリューションをAWS上で充実していくことに大きな関心があるようだ。今日のキーノートではAWSのJames Hamiltonが、わざわざ、インターネットに接続された自分のボートを、未来志向の企業にできることの例として挙げたほどだ。これら新しいパートナー事業に参加できる企業の要件を、Amazonは詳細なリストにまとめている。たとえばIoT企業に関しては、これがそのリストだ。

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AWSがストレージの料金を値下げ、コールドストレージはデータ取り出しに新たなオプションを提供

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Amazon Web Services(AWS)が今日(米国時間11/22)、一部のストレージサービスの大幅値下げを発表した。また、コールドストレージサービスGlacierを利用するデベロッパーのために、新しい機能をいくつかローンチした。

新しい料金のうち、デベロッパーにとっていちばん気になるのはS3だろう。それはAWSのメインのクラウドストレージサービスだが、これまでの6種に代わって0-50TB; 50-500 TB; 500+TBの3種になる。そして多くのリージョンにおいてS3の料金は、約20%下がる。

AWSのコールドストレージサービスGlacierは、あまり使わないデータを安全に保存しておくための場所だが、こちらはさらに大幅な値下げが行われる。すなわちNorthern Virginia, Oregon, Ireland(アイルランド)の三つのリージョンでは、データ1GBあたり月額0.004ドルとなり、従来より43%の値下げだ。

Glacierのユーザーにとってもっと重要なのは、二つの新しいデータ取り出しオプションが加わったことだ。Glacierのセットアップは時間がかかるので、ユーザーはデータをすぐにダウンロードできない。それがコールドストレージの安い理由でもあるのだが、ユーザーはまさに“コールドな”ストレージとしてしか使えない。そこでAmazonは今度の新しい二つのオプションのひとつにより、特別料金でデータを早く取り出せるようにした。新しいオプションのもうひとつは、Glacierのデフォルトである3〜5時間より遅くてよければ、同じ料金でもっと多くのデータを保存できる。

最初の‘迅速(expedited)’オプションは、保存が1GBあたり0.03ドル、データ取り出し一回あたり0.01ドル払うと、1〜5分でダウンロードできるようになる。AWSによると、このオプションを有効に使えるのはGlacierに100TB以上のデータがあるユーザー、そのほかのユーザーにとっては従来からあるS3 Infrequent Access storageの方が良い、ということだ。Glacierのデフォルトの標準リクエスト料金は1GBあたり0.01ドル、1000リクエストあたり0.050ドルだ。

AWSは何でも分かりにくいが、この迅速取り出しには実はタイプが二つある。オンデマンドと、配備済み(provisioned)取り出しだ。オンデマンドは、上に述べたルールの方式だ。そして配備済み取り出しは、1ユニット100ドルで、毎5分間に3回までの迅速取り出しを、最大150MB/秒のスループットで行える。事前配備をしてない場合は、迅速取り出しはそのキャパシティがあるときのみ、リクエストに応じる。

Glacierからのデータ取り出しの時間が気にならないユーザーには、新たに‘バルクオプション’というものがある。それは時間が5〜12時間かかるが、費用は1GBあたり0.0025ドル、1000リクエストあたり0.025ドルだ。

これらの新し取り出しオプションを、GoogleのColdlineストレージサービスと比べるとどうだろう? こちらは、1GBあたり月額0.007ドルで保存、取り出しは1GBあたり0.05ドルだ。一部のリージョンではAWSの新しい料金体系より高いが、Googleの場合はデータへのアクセスが多くの場合リアルタイムだ。

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デベロッパーのためのクラウドスキル体験学習プラットホームQwiklabsをGoogleが買収

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Googleが今日(米国時間11/21)、Qwiklabsを買収したことを発表した。そこは、クラウド環境の運用に習熟したい、そしてクラウド上で動くアプリケーションを書きたい、という人たちのための体験学習プラットホームだ。

2012年にローンチしたQwiklabsこれまでもっぱら、Amazon AWS関連のスキルを教えてきた。AWSはいわばこの市場を支配している勢力だから、それも当然だ。Amazon自身も同プラットホーム上のデベロッパーたちに、自分のペースで勉強できるサイトとして、Qwiklabsを推奨している

Googleによると同社は今後Qwiklabsのプラットホームを利用して、“Google Cloud PlatformG Suiteを含む同社のすべてのクラウドプロダクトに関する、もっとも包括的で効率的で楽しい教育訓練を提供して、多くの人びとの定着を促進していきたい”、ということだ。

Qwiklabsはこれからも従来どおりの会員制学習サービスを提供していく、と言っているから、AWS向けのプログラムは継続するようだ。今後もまだAWSコースが増えていくのか、それはよく分からない。またGoogleのスポークスパーソンによると、この件に関して具体的に発表することはない、という。QwiklabのGoogle Cloudコースに関しても、いつから始めるなどの具体的な発表はまだできないそうだ。

Qwiklabsによると、これまで50万人あまりの人たちがそのプラットホームをのべ500万時間以上利用してAWSを勉強してきた。またCrunchBaseによれば、同社はこれまで外部資金を導入しておらず、今回の買収に関してはその価額などの詳細は公表されていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Dropbox Businessが企業ユーザーのためのセキュリティを多面的に強化、ソフトウェア管理のオンプレミス並を目指してSymantecとパートナー

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最近のDropboxは、同社のDropbox Businessプロダクトに力を入れていて、今日は同社の企業向け製品を大企業によりアッピールするための広範なアップデートの一環として、セキュリティベンダSymantecとのパートナーシップを発表した。

Dropboxの企業プロダクト担当部長Rob Baesmanによると、今回アドミンツールをアップデートする理由は、ユーザーに一定のコントロール能力を提供するとともに、企業が今すでに使っているセキュリティツールを併用できるようにするためだ。しかも全体の使い勝手は、Dropboxの消費者製品並に使いやすいものでなければならない。

Dropboxがその企業用バージョンをローンチした2014年には、すでに消費者ユーザーが2億7500万いた。今では全ユーザー5億のうち、20万が企業顧客だ。もちろん企業プロダクトをローンチするときも、消費者間における人気をうまく利用するつもりだったのだが、しかし実際にはいろんな問題にぶつかった。

企業のIT部門の多くが、Dropboxの消費者製品はセキュリティに問題がある、と見ていた。彼らは、社員たちが自分個人のアカウントで会社の仕事をシェアすることを嫌った。一方社員たちは、会社にいないときにはもっと簡単に素早くファイルにアクセスしたい、と願っていた。モバイル化がどんどん進んでいる中で、楽に仕事をしたいという彼らの願望を非難するのは無理だ。

企業世界に商機あり、と見たDropboxは、Dropbox Businessを立ち上げた。今日(米国時間11/16)の発表はそのプロダクトのさらなる成熟を表すもので、とくに、パートナーシップとより高度な管理機能によって、Dropbox BusinessをITにとってより魅力的な製品にしようとしている。彼らIT部門が、会社におけるDropboxの利用を強力に制御し、管理するためのツールを、提供するのだ。

今のDropboxは30以上のセキュリティ関連パートナーシップを結んでおり、それらは、データ喪失防止(data loss prevention,DLP)や、エンタープライズモバイル管理(enterprise mobility management, EMM), アイデンティティとアクセスの管理、データの移行(マイグレーション)、eDiscoveryとアナリティクスなど、多岐にわたる。それらの中で今日とくにスポットライトを当てたのがSymantecで、Symantecの企業顧客担当VP Peter Doggartを講演者として招いたほどだ。

Symantecとのパートナーシップは、エンタプライズ顧客がDropbox Businessを安全に使えるようにするとともに、クラウド上のソフトウェアに対するコントロールを、これまでの自社のオンプレミスソフトウェアに対するのと同じぐらいに厳しくするためだ。“長年オンプレミスのDLPを使ってきた顧客は、それとまったく同じポリシーをDropboxに対して適用して、クラウド/オンプレミスの統合を真に強力かつ堅牢にしたいのだ”、とDoggartは説明する。

また、Dropbox自身のネットワークアドミンツールも強化され、企業のネットワークの上でDropboxの企業トラフィックと個人トラフィックを厳密に区別し、管理できるようになった。また、社員による公私混用を認めない企業では、そういう設定もできる。

このようにDropboxは、企業のIT部門の心をつかもうと努力している。20万社の企業顧客は、数として多いように見えるが、しかし5億の消費者ユーザーに比べると大海の一滴だ。今日のようなセキュリティ強化策の発表は、同社が企業分野でのプレゼンスを、もっともっと大きくしていきたいという、願いと努力の表れだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VMwareがついにクラウドサービスを提供、しかもAWSとのパートナーシップのもとで

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AmazonのAWS部門とVMwareが今日(米国時間10/13)晩(おそ)くサンフランシスコでパートナーシップを発表する。しかしVMwareが誤って、今日の発表声明をポストしたために、今日の午後を待たなくても、内容が分かってしまった〔下にその英文の全文〕。

AWSとしては、エンタープライズの顧客獲得でなお一層優位に立ちたい。一方VMwareは、仮想マシン技術におけるリーダーシップを失いたくない。そこでVMwareとAWSは、VMwareのソフトウェア定義データセンターのソフトウェアを、‘VMware Cloud on AWS’という呼び名で、AWSへ持ち込むのだ。

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これにより、VMwareのインフラストラクチャソフトウェア、vSphere, VSAN, NSXなどがAWS上で動くことになる。そのサービスは現在、テクノロジープレビューの段階で、2017年の初頭には招待制のベータへ移行する。ベータの終了は、2017年半ばを予定している。

サービスの運用と販売とサポートはAWSではなくVMwareが行うが、ストレージ、データベース、アナリティクスなどの周辺的サービスはAWSを利用する。

発表声明の中でAWSのCEO Andy Jassyはこう述べている: “顧客の要望でつねに多いのが、既存のデータセンターへの投資とAWSを、より容易に両立併用したい、というものだ。多くの企業がすでにVMwareを使って仮想化を行っているが、このたびVMware Cloud on AWSが提供されることによって初めて、既存のVMwareツールをAWS上で使うことにより、一貫性があってシームレスなハイブリッドIT環境を運用できる。そのためのカスタムハードウェアの購入や、ソフトウェアのリライト、運用モデルの変更などは、いっさい必要ない”。

今日の発表イベントで両社は、初期の顧客を数社紹介した。その中にはWestern DigitalやSyscoがいる。

両社は、これがあくまでも共同で構築したサービスだ、と強調し、“両社からの技術、運用、および営業の各面における大きな投資の成果だ”、という。それはAWSが用意し、“この目的のために特製した”、専用のインフラの上で動く。VMwareのCEO Pat Gelsingerも今日、このサービスの構築における両社の緊密な協働を強調し、これがVMwareのメインのパブリッククラウドソリューションになる、と持ち上げた。

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VMwareのMark Lohmeyerは、今日の発表声明でこう書いている: “現在はテクノロジープレビューであるVMware Cloud on AWSは、VMwareのエンタープライズ級のソフトウェア定義データセンターのソフトウェアをAWSのクラウドに載せ、顧客がvSphereベースのプライベート/パブリック/ハイブリッドの多様なクラウド環境を横断して、どんなアプリケーションでも動かせるようにする。それをVMwareがオンデマンドの柔軟性に富むスケーラブルなサービスとして運用、管理、および販売し、併せて顧客は、デベロッパーツールやアナリティクス、データベースなど、AWSのサービスを利用できる”。(この発表文は、その後削除されている〔後述〕。)

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企業が自前のデータセンターとパブリックなクラウドサービスの両方を利用する、いわゆる“ハイブリッドクラウド”を、MicrosoftやIBMなどは重視しているが、Amazonはその市場をほとんど無視してきた。

VMwareはこれまで、企業のオンプレミスのデータセンターの多くを支配してきたが、それらの企業のハイブリッド指向を支えるパブリッククラウドサービスが自分にはない。一方AWSは、そのサービスのオンプレミスバージョンを提供していない。この二つの企業がタッグを組むのは、きわめて理にかなっている。

VMwareも発表声明の中で、このパートナーシップが可能にするハイブリッド方式を強調し、“データセンターとAWSのクラウド両者間における、VMの完全な互換性と、ワークロードの全面的なポータビリティを実現する”、というメリットを述べている。

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なお、AWSはすでに、仮想マシンを管理するためのVMware vCenterの部分的サポートを提供している。そのおかげでvCenterのアドミンはかなり前から、VMwareの仮想マシンを管理するときと同じソフトウェアを使って、AWS EC2のクラウドコンピューティングインスタンスを管理できている。既存の仮想マシンをEC2に移動させることが比較的容易なのは、このサービスがあるおかげでもある。

今日の発表に先立つ一連のメールでIBMは、VMwareとIBMはすでにチームを組んでおり、そのパートナーシップは2月に発表した、と述べている。しかし内容豊富なのは、今回のAWSとのパートナーシップだろう。

VMwareがブログで勇み足した発表はいったん削除されたが、今日の午後、AWSのプレスカンファレンスがスタートすれば再掲されるだろう。以下が、そのブログ記事の全文だ:

〔以下、英文ママ(主要な概要は上記記事で紹介されている)〕

By Mark Lohmeyer, Vice President, Products, Cloud Platform Business Unit, VMware
Today, VMware and AWS are announcing a strategic partnership that brings the two leaders in Enterprise IT together to deliver a vSphere-based cloud service running on AWS. This service will make it easier for customers to run any application, using a set of familiar software and tools, in a consistent hybrid cloud environment.

The Power of VMware on AWS

Currently in Technology Preview, VMware Cloud on AWS, will bring VMware’s enterprise class Software-Defined Data Center software to the AWS cloud, and will enable customers to run any application across vSphere-based private, public and hybrid cloud environments. It will be operated, managed and sold by VMware as an on-demand, elastically scalable service and customers will be able to leverage AWS services such as developer tools, analytics, databases, and more.
This jointly architected service represents a significant investment in engineering, operations, support and sales resources from both companies. Designed to deliver a great customer experience, the service will be optimized to run on dedicated AWS infrastructure purpose-built for this offering. It will deliver the power of VMware’s SDDC infrastructure software across compute, network, and storage (with vSphere, VSAN, and NSX) while providing access to advanced AWS services, backed by an integrated customer support experience. Invite-only betas are expected to start in the beginning of 2017 with availability expected to be in the mid-2017 time-frame.

Customer Benefits

Customers can realize significant benefits from this service that combines the best of VMware and AWS, including:
  • Best-in-class Hybrid Cloud Capabilities: Enterprise class application performance, reliability, availability and security with the best-in-class VMware technologies, all optimized to run on AWS, the leading public cloud provider.
  • Operationally consistent with vSphere: With VMware Cloud on AWS, your private data center integrated with the AWS public cloud can be operated using the same vCenter UIs, APIs and CLIs you already know. There’s nothing new to learn, and with vCenter Enhanced Linked Mode, you will have a single pane of glass for managing on-premises and VMware Cloud resources on AWS.
  • Operated and supported by VMware: The service will be operated, sold and supported by VMware. All software components of the service will be fully certified and supported by VMware.
  • Seamless integration with AWS Services: Virtual Machines running in this environment will have access to leverage AWS’s broad set of cloud-based services including storage, database, analytics and more. This will enable a new set of solutions only possible with VMware environments co-existing on the same infrastructure as AWS cloud-based services.
  • Seamless workload portability: Full VM compatibility and total workload portability between the datacenter and the AWS cloud. No complex and time consuming application re-platforming is required. Whether you want to use the cloud as your disaster recovery site, migrate a whole data center, or simply burst to the cloud – you can be confident that your applications will just work.
  • Elastically scalable: The service will let you scale capacity according to your needs. You can scale capacity up and down by adding or removing hosts.
  • No patching or upgrades: The service will remove the burden of managing the software patch, update and upgrade lifecycle for the user. Operating “as a service” means that VMware will take responsibility for ensuring that your environment is always up to date. This means more time to focus on what matters to your business.
  • Subscription-based consumption: Customers will be able to purchase dedicated clusters that combine VMware software and AWS infrastructure, either on-demand or as a subscription service.
If you would like to learn more, please check out additional details at
If you are interested in applying for the beta, please fill out this interest form.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホ対応クラウド経費精算サービス「Dr.経費精算」、税制改正に対応したタイムスタンプ版を公開

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経費精算に悩まされるビジネスマンや経理担当者にとっては、2016年度の税制改正は朗報と言える。領収書保管に関する規制が緩和され、早ければ2017年の1月1日から、スマホのカメラで撮影した領収書が税務書類として認められるようになるからだ。これにより、各従業員が領収書を受け取って社外でスマホで撮影したデータが経費精算に使えるようになる。領収書の原本を従業員から集め、台紙に貼ってとじ、7年間物理的に保管するといった手間や空間コストの削減にもつながる。

ただし、保管する領収書データには解像度や色階調などのほかに「領収書の受領後3日以内に“タイムスタンプ”を付与すること」という要件がある。タイムスタンプは、電子文書がその時点で存在していたこと、その時刻以降に改ざんされていないことを電子的に証明するものだ。この要件を企業が個別に満たすためには、日本データ通信協会が認定する時刻認証サービス事業者と契約し、事業者の提供するAPIなどを利用したタイムスタンプシステムを自社で構築しなければならず、いささかハードルが高い。

この動きにいち早く対応したのが、クラウド経費精算サービス「Dr.経費精算」を提供するBearTailだ。BearTailではスマホアプリに対応した国産の経費精算システムでは国内初となるタイムスタンプ付与機能がついた「Dr.経費精算タイムスタンプ版」を8月29日に発表。同日から利用申し込みを開始した

Dr.経費精算タイムスタンプ版は、Dr.経費精算コーポレートプランをベースに、タイムスタンプ機能を追加。タイムスタンプには、セイコーソリューションズの時刻認証サービスを利用する。Dr.経費精算ですでに提供している2000人のオペレーターによる領収書入力代行、クレジットカードや交通系ICカードの利用明細自動取得といった機能との組み合わせにより、一連の経費精算業務を自動で、かつモバイルで完結することができる。領収書をはじめとするデータはすべてクラウド上に保管される。

スマホで撮影した領収書データを税務書類として利用するためには税務署への申請が必要だが、BearTailでは申請書類や添付資料、備え付け資料などのテンプレート提供も予定。また、導入に当たってのコンサルティングサービスで、企業の希望に応じて申請代行なども実施するという。

BearTail代表取締役の黒﨑賢一氏は「無駄な時間を省き、豊かな時間を作るという我々のミッションを、当面は“領収書の管理”という軸で突き詰めていく。世界的に見ればSAPの一員となったConcur(コンカー)が経費精算サービスの分野でNo.1だが、日本では我々のサービスを経費精算のスタンダードとなるようにしていきたい」と話す。

Dr.経費精算タイムスタンプ版の料金は、ユーザー1人あたり月額1080円から。2017年5月までにコーポレートプランとタイムスタンプ版の合計で1000社の利用を目指す。

AWSのElastic File Systemが正式運用に(一部地域のみ)

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一年以上前、AmazonのAWSクラウドコンピューティング部門は、Amazon Elastic File System (EFS)をベータ公開すると発表した

既にAWSは、様々なクラウドストレージサービスを、S3、Glacier、Elastic Block Store等の製品として提供しているが、EFSの背景にある考え方は、AWSユーザーに多くの企業が使用している企業内ストレージサーバーと同等の機能を持つ、シンプルなストレージシステムをAmazonクラウドのEC2インスタンス向けに提供することだ。

「多くのAWSユーザーから、スケーラブルで管理しやすいファイルストレージの要望を受けている」とAWSのチーフエバンジャリスト、Jeff Barrが今日の発表で言った。「顧客の中には、数多くのウェブサーバーやコンテンツ管理システムを使って、共通ネームスペースや企業の部門別ファイル構造を活用しているところもある。あるいは、HPCビッグデータアプリケーションを使って、巨大ファイルを数多く作成、処理、削除しているために、ストレージの容量やスループットの要件が時と共に大きく変化する企業もある」。

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EFSは、ファイルに必要にストレージに応じて自動的に規模を拡大縮小する。標準のNFSv4プロトコルを使用しているため、殆どの既存アプリが利用できるはずだ。Amazonによると、ストレージ量に上限はなく、標準あるいは “max I/O” の2種類の性能モードがある。後者は高速スループットに最適化されている代わりに、ファイル操作の遅延が大きくなることがある。

現在同サービスは、AWSの米国東および西地区、ならびにEU(アイルランド)地区で利用できる。料金は、データ1ギガバイト当たり、米国地区で月額0.30ドル、アイルランドで0.33ドルだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WordPressホスティングサービスのMedia TempleがAWS上でサービスのエンタープライズバージョンを展開

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Media Templeが今日(米国時間5/17)、新たにエンタープライズクラスのWordPressホスティングサービスを立ち上げる。ここで興味深いのは、この今やGoDaddyがオーナーである企業が、AWSの上でサービスをホストすることだ。

つまりこのプロダクトには、同社の(mt) Oneによるきめ細やかなWordPress運用サービスと、サポートサービスのCloudTech Premier、およびAmazonのクラウドコンピューティングサービスのスケーラビリティが組み合わされている。

Media Templeのようなホスティング企業が自前のサーバーではなくAmazonのプラットホームからサービスを提供するのは奇妙に思えるかもしれないが、実は同社はすでに、AWS上の管理サービスを伴うクラウドホスティングを、前から提供している

Enterprise WordPress by MT

MediaTempleのプロダクトマネージメント担当シニアディレクターBrendan Fortuneによると、“Media Templeのサーバーも悪くはないけど、仮想プライベートサーバーではできないことがAmazonの技術ならできる、という場合もある”、という。たとえばAmazonのサーバーレスコンピューティングサービスLambdaとか、EC2 Container Serviceによるロバストなコンテナサポートなどだ。Fortuneによれば、Amazonのコンテナ管理サービスを利用した方がMedia TempleもWordPressのデプロイを、ニーズに応じて迅速にスケールアップ/ダウンできる。

そしてそれは同時に、ユーザーに安心感を与える、ということでもある。たとえばユーザーは専用のアカウントマネージャーを持ち、いろんな問題を解決できるとともに、ユーザーとMTが共にプロアクティブに仕事ができる。WordPressのインストールそのものはMedia TempleのCloudTechのチームが行うが、そのときモニタリングシステムを使ってインストールの過程を見守ることもできる。

セキュリティ問題の監視やWordPressインストールのパッチの自動化などはMedia Templeが本来的に提供するが、同時にAmazonのDDoS防御システムCloudFrontの利用もできる。

ただしユーザーへの課金に、AWSの料金が直接現れることはない。Media Templeとしてのプランは2つあり、ひとつは月額2500ドルのエンタープライズ標準プランで、サイトは5つ、クラウドストレージは1TB、月間最大1.5TBまでのCDN利用、コンテナを使用するEC2インスタンスは最大10まで、AmazonのRDSデータベースの利用、などがセットとなる。

もうひとつの、“最大パフォーマンスプラン”は、カスタムメイドのプランなので、料金はその構成によって異なる。

料金を見てもこの新しいエンタープライズホスティングサービスが、巨大企業までは行かない中〜大企業をねらっていることが分かる。一見高い料金のようだが、従来の同社の、管理サービス付きWordPressホスティングサービスPagelyも、ハイエンドのプランではこれぐらいの料金になる。

Fortuneによると、AWS以外にAzureやGoogle Cloud Platformなども検討したが、チームが比較的よく知っている技術であることと、AWSのコンテナサービスを使いたい、というところからAmazonに決まった。

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クラウド管理者の需給ギャップを解消するためにOpenStack Foundationが公式の技能検定試験とそのための準備の機会を提供開始

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今や誰もが知っているように、優秀な技術者を見つけるのは相変わらず難しい。OpenStackクラウドの管理のような、複雑で高度に専門的な技能となると、なおさらだ。そこでOpenStack Foundationは今日(米国時間4/25)、人材の社会的在庫を増やし、またITのアドミンたちが自分のOpenStackスキルを実証できるためのプログラム、OpenStackアドミニストレーターの技能検定事業を、オースチンで行われているデベロッパーサミットで初めて立ち上げた。

OpenStack Foundationの理事長Jonathan Bryceが、今日の発表声明でこう述べている: “テクノロジーの大きな変化が起きるときはいつもそうだが、クラウドコンピューティングも企業に、技術者の技能再習得と、企業文化および業務過程の再定義を要請している”。検定試験に合格した、有資格のOpenStackアドミニストレーターが多数輩出するようになれば、OpenStackを採用した企業や団体におけるクラウドアドミニストレーターの需要が満たされ、順調に成長していけるだろう。

最初の試験は、今週のOpenStackカンファレンスで行われる。OpenStack Foundationが言ってるように、LinkedInは最近、”Cloud Computing”を”hottest global skill of 2015(2015年において需要がトップだったスキル)に掲げた。またIndeedのデータによると、OpenStackの求人数は2015年に前年比で倍増した。

OpenStack Foundationは、試験のための準備と試験の開催の両方を提供していくために、Canonical, Hewlett Packard Enterprise, Linux Academy, Linux Foundation, Midokura, Mirantis, PLUMgrid, Rackspace, およびSUSEなどとパートナーした。

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サーバーが何台あっても足りないDigitalOceanが$130Mの資金を銀行融資に仰ぐ

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DigitalOceanは、ユーザーにとっては低料金で気軽に利用できるクラウドホスティングプラットホームでも、そんなサービスを作るためには相当なお金が要る。同社はこれまで1億2000万ドルあまりを調達し、そのほかにも随時、銀行からの融資を仰いで、その成長を支えている。

クラウド(雲)という言葉は曖昧だが、その実態はサーバーの集合だ。サーバーは、買うのもデータセンターの一部を借りるのも、安くはない。

今同社は、12のデータセンターを利用して70万のユーザーに常時、仮想プライベートサーバーを提供しているから、同社が管理するラックキャビネットの数は膨大だ。

DigitalOceanの全ユーザーがブートしているクラウドサーバーの数は1300万に達する。中にはサービスをもはや提供していないサーバーもあるが、とにかくすごい数であることは確かだ。

そんな同社にとって、クレジットラインの利用には二つの意味がある。第一に、DigitalOceanは今でも同社のインフラストラクチャへの投資額が大きいこと。既存のユーザーがサーバーをアップグレードしたりリプレースすることも多いし、同社自身がインフラの規模を拡大することもある。

第二に、DigitalOceanは小さなデベロッパーにとってありがたいプラットホームだが、でも、営利企業として、超大手のAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどと伍して大型クライアントを獲得していくためには、インフラの充実努力がコンスタントに必要だ。そしてそのためにはもちろん、お金が要る。

でも、今日のようなスタートアップ環境の中で、大金を貸してくれる銀行〔banks, 複数形〕を同社が見つけられていることは、たいへんめでたい。つまり銀行も、投資家たちと並んで、同社の将来性をポジティブに評価している、ということだ。

〔訳注: タイトルにある融資獲得累計額$130M(1億3000万ドル)の件は、本文中にない。〕

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OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

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OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

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MicrosoftのマイクロサービスプラットホームAzure Service Fabricが一般公開へ

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Microsoftが今日(米国時間3/31)、Azure Service Fabricから“プレビュー”のラベルを外した。それは、ステートフルとステートレスの両方のDockerベースのマイクロサービスを、クラウドとオンプレミスで動かすサービスだ。

Service Fabricは、Microsoft自身もAzureの中核的インフラストラクチャの多くを駆動するために使っており、一般のデベロッパーはこれをMicrosoftの次世代PaaS技術の上で利用することにより、高度にスケーラブルなサービスを構築できる。

このサービスの基本的な考え方は、デベロッパーをアプリケーションのコードに集中させ、オーケストレーションやスケーリングはすべてMicrosoftが面倒見る、というものだ。デベロッパーはService Fabricを使って、自分のコードをパッケージし、デプロイするが、その際、それらを支えるサーバーのアーキテクチャをまったく気にする必要がない。今日のキーノートでMicrosoftは、リアルタイムマルチプレーヤーゲームのAge of Ascentのデベロッパーたちが、Service Fabricを利用してそのマイクロサービスを、必要に応じてスケールアップ/ダウンできるところを見せた。

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そのService Fabricが今日から一般公開されるので、MicrosoftはそれをLinuxとWindowsの両方のサーバーでサポートする、と約束どおりの発表をした。どちらの実装も今はまだプレビューだが、それによりデベロッパーはツールをハイブリッドなデプロイ環境でも利用でき、AWSなどほかのクラウド上のランタイムも使えるようになる。

さらにMicrosoftは、Service FabricのプログラミングフレームワークをLinux上でオープンソースにする。

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MicrosoftはAzure Service Fabricを、この前のBuildデベロッパーカンファレンスで初めて発表した。ということは、それをSkypeやCortanaなどで、すでに内部的には使っているにもかかわらず、一般供用までには相当の時間をかけたことになる。

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Google、音声認識APIを公開。Nuanceと直接対決へ

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Googleは同社の音声認識APIをサードパーティーデベロッパーに開放し、Nuanceをはじめとする音声認識会社と直接競合しようとしている。デベロッパーを引き込むために、アプリは当初無料で提供され、後日有料になる予定だ。

このサービスについては数週間前から噂されていた。Googleは今日(米国時間3/23)、同社のクラウドユーザーカンファレンス、NEXTで正式に発表した。そこでは機械学習に関する最新状況も発表され、中でも新しい機械学習プラットフォームが注目される。

Google Cloud Speech APIは、80言語以上に対応し、どんなアプリケーションからでもリアルタイムストリーミングあるいはバッチモードで利用可能で、アプリケーションが「見る、聞く、翻訳する」ためのAPI一式を提供する、とGoogleは言っている。これは、Googleアプリの音声検索やGoogleキーボードの音声入力で使用されているものと同じニューラルネットワーク技術に基づいている。他に、騒音環境やリアルタイムで使うための興味深い機能がある。

Googleの一手は業界全体に大きな影響を与えそうだ ― 特にNuance。Nuanceは長年業界最高の音声認識を提供していると考えられており、間違いなくこの種のサービスの中で最大だ。スタートアップ企業を含めNuanceの顧客の中には、Googleに乗り換えるところもでてくるだろう。GoogleのAPIは現行サービスより優れた体験を提供するだけでなく、低価格で提供される。

デベロッパーの関心を早く集めるために、APIは完全無料で提供される。いずれは有償化されるだろうが、低価格の利用プランが用意される可能性は高い。Googleは今後業界を支配する立場に立った後、値上げするかもしれない。

Googleはこれまで自社の音声技術を限定的に提供してきた。例えばデベロッパーはJavaScriptでChrome APIを呼び出すことが可能で、そこから音声認識APIが呼ばれる。Googleは2015年のGoogle I/OVoice Interaction APIを発表しており、Androidデベロッパーはアプリに音声操作を追加することができる。しかし、音声認識APIの直接アクセスを開放したことはなかった。

音声認識APIの公開は、Nuanceやの音声認識プロバイダーに影響を与えるだけでなく、Appleに対する攻撃と見ることもできる。同社のバーチャルアシスタントSiriの音声認識能力は、Google製と比べて影が薄い。デベロッパーがSiriの技術をアプリで使うためのAPIもまだ提供されていない。

Googleが音声技術に大きく力を入れようとしていることを示す兆候は数多く見られる。例えば同社は去る2月に、Googleドキュメントの編集と書式設定を音声で行えるようにしたことを発表した。

イベントで新しい情報が入り次第続報の予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MongoDBの管理サービスMongoLabが名前をmLabに変えて新分野への進出を目指す

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MongoLabは長らく、MongoDBデータベースをデプロイし管理するためのデファクトのサービスだったが、今では同社がこの市場をほぼ支配してしまったので、事業を新たな分野へ拡張することになった。まだ新しいプロダクトはローンチしていないが、そのために同社は社名を、MongoLabからmLabに変えることになった。

mLab - Logo

MongoLab/mLabのCEOで協同ファウンダーのWill Shulmanによると、彼のかねてからの計画でもMongoLabはあくまでも、二段階プランの最初の部分だったそうだ。

その計画では、最初に構築するサービスはNoSQLのムーブメントに乗って主にJSONサービスを提供すること。それは、明らかにうまくいった。MongoLab/mLabはこのほど、4回めの黒字四半期を迎えた。今では同社は約25万のデータベースのデプロイをAWS, Azure およびGoogle上で管理している(圧倒的に多いのはAWSだ)。

“MongoDBのホスティングでは、ほかのプロバイダに比べ、有料ユーザーはうちがいちばん多い”、とShulmanは語る。“MongoDBそのものの有料ユーザーよりも多いぐらいだ”。

これらのユーザーのサービスの多くがMongoLabmLabを、彼らのJSONベースのアプリケーションのバックエンドとして利用している。“当時は、何もかもサーバーサイドだった”、とShulmanは語る。“今はポリクライアント(poly-client, 複数クライアント)の時代で、サーバーサイドの開発といえばAPIやデータサービスぐらいだ”。

今ではMongoLabmLabのユーザーの約70%がMongoを使って、自分たちが必要とするデータサービスを手作りしている。

同社の今後の計画をShulmanは詳しく述べなかったが、明らかにmLabのプランは、デベロッパーが自分のデータベースをベースとするAPIを作ることを助ける、サービスだろう。

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Box KeySafeは、中小企業の暗号鍵管理を容易にする

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Boxは今日(米国時間2/4)、新しいサービスBox KeySafeを発表した。暗号鍵の管理を容易にして、暗号化は必要だが、BoxのハイエンドサービスであるEnterprise Key Managementは複雑すぎる、という中小規模企業(SMB)を対象にしている。

規制の厳しい業界では、クラウドへの移行を望みながらも、セキュリティーとガバナンスの要件のために思いとどまる企業が多い。昨年Boxは、Box Enterprise Key Managementを開発してセキュリティー障壁を取り除く第一ステップを進めた。

これによって投資銀行やエネルギー会社、医療組織等の大企業は、Boxのサービスを利用しつつ、暗号鍵を厳密に管理することが可能になる。それは大型のITチームを擁する大型組織にとっては良いソリューションであったが、Amazon Web Server上に専用の暗号鍵管理サーバーを構築するのに何週間もかかるなど、中小企業の手には届かなかった。

Box CEOのAaron Levieによると、同社は法律事務所や銀行等から、同じ機能は欲しいが複雑な管理部分には関わりたくないという声が集まった。

そこで今日発表されたサービス、Box KeySafeの開発に至った。これはエンタープライズ版に似ているが、専用の暗号鍵サーバーを必要としない。代わりにBoxは、その管理コンポーネントをAmazon Web Serviceのクラウドサーヒスとして設定することで、一週間かかっていた設置時間が約1時間に短縮された、とLevieが説明した。

大企業と同しようにデータを管理したいが、大企業並みの要件を求められて利用をためらってきたSMBが多いことから、これは重要である。Boxのようなクラウドサービスの利用を控えてきた会社も、暗号鍵管理システムがあれば使えるようになる。こうしてBoxサービスの市場を拡大する可能性が生まれることで、同社が低調な株価を取り戻すのを助けることになるかもしれない。

KeySafeのしくみは貸金庫に似ている。開くには2種類の鍵が必要だ。Boxが一つの鍵でファイルを暗号化する。顧客は自ら管理するもう一つの鍵でそれを暗号化する ― 暗号化操作は監査可能なレポートに記録される。Boxがコンテンツを正しく管理している証拠を顧客が要求した場合、このデータポイントを見せればよい。

法律的視点で見ると、もし政府や警察当局がBoxにやってきて、特定のファイルを見せるよう要求した場合、Boxはファイルのオーナーを紹介する。なぜなら暗号鍵を持っていてBoxに保管されているコンテンツへのアクセスを管理しているのはオーナーだからだ。Boxは、銀行が持ち主の鍵がなければ貸金庫を開けられないのと同じように、暗号化されたデータを見ることができない。

また、この暗号鍵管理機能はBoxのデベロッパー版の一サービスとして提供される。そこには様々なBox機能がサービスとしてデベロッパーに提供されているため、Boxのコンテンツ管理やセキュリティー、暗号鍵等を、積極的にBoxを使うことなく自社アプリに組み込むことができる。

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労務管理クラウド「SmartHR」運営のKUFUが資金調達、あわせて社労士法人を立ち上げ

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2015年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2015」。その目玉企画である、創業3年未満・サービスローンチ1年未満のスタートアップ限定のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で優勝したKUFU。労務クラウドサービス「SmartHR」を提供する同社は1月27日、East VenturesおよびDGインキュベーション、Beenextの3社を引受先とする第三者割当増資資を実施したことをあきらかにした。金額や出資比率は非公開だが、数千万円程度と見られる。同社は今回の調達をもとに開発やサポートの体制を強化する。

またKUFUではこれにあわせて、SmartHRの運営に携わる社会保険労務士(社労士)の 海野慶子氏が「社会保険労務士法人スマートエイチアール」を立ち上げたことを明らかにしている。

これまでにも紹介している通りだが、SmartHRは社会保険や雇用保険など、労務に関わる手続きを自動化するサービスだ。各種の手続きに応じて、画面上のフォームに必要事項を入力していけば、書類を自動作成できる。総務省が提供する電子政府「e-Gov」の外部連携APIと連携することで、今冬にもウェブから役所への申請も可能になる予定だという。料金は従業員数にあわせて月額980円から。以前、サービス開始から3カ月半の導入企業数が200社以上と聞いていたのだが、現在その企業数は480社にまで増加。売上も月次約170%のペースで成長しているという。

例えば税務会計ではfreeeやMFクラウド会計といったクラウドサービスが登場し、税理士がこれらのサービスに対応していくという動きがあるようだが、SmartHRの登場によって、社労士でも同様の動きがあるという。つまり、社労士の仕事を奪うのではなく、社労士の仕事をクラウドサービスでサポートするということだ。実際従業員数50人以上の企業の多くが社労士とアカウントを共有してSmartHRを利用しているという。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏によると、最近は社労士から「社労士事務所向けの管理画面を作って欲しい」という要望も届くのだそうだ。最近ではサポートにも注力しており、実績をサイト上で公開するなどの取り組みも行っている。また社労法人スマートエイチアールでは、社会保険労務士の視点からSmartHRの導入を支援していく。今後はKUFUと協力してSmartHRの改善を図っていくほか、社労士向けの機能の提供も進める。

KUFUでは今後、SmartHRで対応する手続きを拡充。さらに人事情報管理システムの強化を進める。同社は2016年内に3000社、2017年内には2万社の導入を目指すとしている。

Apple Music、登録者数1000万人を突破

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Apple Musicの登録者が1000万人を越えた。Financial Timesが報じた。この数字は、10月にCEO Tim Cookが明らかにした有料購読者数650万の50%増であり、成長の速さを示している。

Appleは昨年6月にこの音楽ストリーミングサービスをスタートし、3ヶ月間の無料トライアル期間を設けた(Android版Apple Musicは11月に公開された)。登録を解除しなかったユーザーは、月額9.99ドルを払って有料購読者になる。

同じくデジタル音楽プラットフォームであるSpotifyは、現在2000万人以上の有料メンバーを持っている。両サービスとも同じような価格で無制限のストリーミングを提供している ー Spotify Premiumの料金は月額10ドル。

これもオンライン音楽サービスのPandoraには月間アクティブユーザーが7800万人いるが、有料購読者はわずか390万人だけだ。しかし、サービス内容は根本的に異なり、Pandoraはカスタマイズされたラジオを聴くことに焦点を絞っている。

これまでAppleはデジタル音楽の世界で競争力を維持するために様々な試みを行ってきた。ストリーミングサービスがiTunesのビジネスを奪いはじめた今、Apple Musicはオンラインリスニング分野の牙城を守るための方策のひとつだ。

Appleは2014年にBeats Electronicsを30億ドルで買収し、同年秋にBeatsの名前を冠したサービスを閉鎖した。

Appleは、コメントの要求に返答していない。

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