クロスチェーンインフラを手がけるRouter ProtocolにCoinbase Venturesなどが出資

暗号資産の分散型取引所や、レイヤー1とレイヤー2のブロックチェーンソリューション間における通信を容易にするクロスチェーンインフラストラクチャを構築しているスタートアップ企業が、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)から支援を受けることになった。

シンガポールに本社を置くRouter Protocol(ルーター・プロトコル)は米国時間12月10日、戦略的資金調達ラウンドを実施し、Coinbase Ventures、Alameda Research(アルマダ・リサーチ)、Polygon(ポリゴン)、Woodstock(ウッドストック)、Wami Capital(ワミ・キャピタル)、QCP、De-Fi Capital(ディーファイ・キャピタル)、Maple Block(メープル・ブロック)、TeraSurge Capital(テラサージ・キャピタル)、Wintermute(ウインターミュート)、Shima Capital(シマ・キャピタル)、および複数の起業家から、410万ドル(約4億7000万円)を調達したと発表した。同社は2020年のシードラウンドでも、48万5000ドル(約5500万円)を調達している。

近年、同様の問題を解決しようとするレイヤー1ブロックチェーンネットワークが急増している。これらのレイヤー1プロジェクトが支持を集めると、好みのブロックチェーンの上にレイヤー2ソリューションを構築している開発者コミュニティを引き寄せることができる。

Router Protocolの創業者兼CEOであるRamani Ramachandran(ラマニ・ラマチャンドラン)氏は、TechCrunchによるインタビューに「ブロックチェーンは都市のようなもので、無限に拡張することができますが、接続インフラを構築しない限り、誰もそこに行こうとはしません」と語った。「このようなブロックチェーンが続々と登場してきましたが、しかしそれらの間には接続性がありません。それがRouter Protocolの発端になりました」。

2020年設立されたRouter Protocolは、これらのレイヤー1ブロックチェーンネットワークの多くが今後も運営され、さらに多くのブロックチェーンネットワークが参入してくると確信している。同社が提供するサービスは、開発者が流動資産をチェーン間でシームレスに移動させることを可能にする。「おそらく約50ほどのブロックチェーンが存在し、50の異なるコミュニティと独自のエネルギーを持っています」と、ラマチャンドラン氏は語る。

「レイヤー1のスケーリングソリューション、つまりこの世界のPolygon(ポリゴン)や、Aave(アーベ)やSolana(ソラナ)のような 『Ethereum(イーサリアム)キラー』、そしてTerra(テラ)やAlgorand(アルゴランド)のようなEVM以外のプレイヤーが、さまざまな観点から登場してくるでしょう。それに加えて、この分野には豊富な資本が存在しています。これらのプレイヤーはみな、莫大な軍資金を持っています。誰も10億ドル(約1135億円)以下の話はしていません。この戦いはすぐには終わらないでしょう」。

Router Protocolが提供するも1つのサービスはDfynで、これはPolygonの上に構築されたUniswap(ユニスワップ)やPancake Swap(パンケーキ・スワップ)のような分散型取引所だ。「Dfynと呼ばれるたくさんの空港ターミナルがあって、これらのDyfnネットワークを結ぶ航空路線があるようなものです。しかし、それらは他の空港にもつながっています。それが、このモデル全体の美しさです」。

ラマチャンドラン氏は、2022年にはクロスチェーンソリューションが普及すると予想しているという。「例えば、あなたがSolanaブロックチェーン上にいて、Ethereumを売りたいと思っているけれど、Binance Smart Chain(バイナンス・スマート・チェーン)の方がはるかに良い価格が見られるとします。Routeを利用すれば、ワンクリックでBinance Smart Chainの最高値を取得し、それをあなたのネイティブブロックチェーンであるSolanaに戻すことができるのです」と同氏はいう。

現在、Router Protocolで最も利用されているユースケースはトレーディングだが、ラマチャンドラン氏は、将来的にはさらに多くのアプリケーションが登場すると予想している。「境界を越えて会話ができるようになれば、トレードだけでなく、借りたり貸したり、クロスチェーンガバナンスを行うことができます。例えば、Sushi(スシ)には15のチェーンがあり、15の異なるコミュニティが存在します。これらのチェーンでコミュニティ投票を行うには、15の異なるスナップショットを行う必要があり、まるで悪夢のようです。それを我々が解決できるのです。あるチェーンから借りて、別のチェーンで貸すことができるのです」と、同氏は語った。

Router Protocolは、今回調達した資金を製品提供の規模拡大のために投入し、また複数のセキュリティ監査に投資することも計画しているという。

「ブロックチェーン同士を効果的に通信させることは、今後のDeFiにとっての聖杯であり、Router &Dfynのチームと協力し、この問題を解決する彼らのユニークなアプローチをサポートできることをうれしく思います」と、QCP Capitalの共同創業者であるDarius Sit(ダリウス・シット)氏は、声明の中で述べている。

「我々は、多目的かつアプリケーションに特化したいくつかのブロックチェーンにまたがる将来のWeb 3.0の活動を予想しています。RouterのXCLPは、チェーンをまたいだ流動資産の流れを可能にする重要なクロスチェーン・インフラストラクチャ・ソリューションとなるでしょう。我々は、この方向性に対するRouterチームの取り組みを支援し、サポートできることに喜びを感じています」。

画像クレジット:Router Protocol

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

オープンソースかつイーサリアム(Ethereum)ベースの分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」(Dev Protocol)を開発するフレームダブルオーは12月13日、ブロックチェーン技術を基盤とする分散型インターネット「Web 3.0」(Web3)の正しい理解と普及を図り、クリエイターの成功の一助となることを目的にコミュニティパートナーを開始したと発表した。オープンソース(OSS)のアルゴリズムライブラリー「The Algorithms」やCode for Japanなどの開発者コミュニティが参画を表明している。

DEVプロトコルは、2018年よりオープンソースとしてプロトコル開発を開始し、2020年のローンチ開始よりコミュニティとの共創を促進してきた。2021年9月からコミュニティ主導による「Web3 Community」がスタートしており、世界各地から300名を超えるOSS開発者が参加。Web3に関するナレッジ共有や経験を向上させているという。今回のコミュニティパートナーでは、これらのナレッジや開発体験をオープンにし、コラボレーションを促進して、OSSエコシステムにおけるプロジェクトの成長を加速することを目指す。

「Web3およびブロックチェーン技術がOSSに与える影響、変化に関するナレッジの共有」「Web3入門、Propertyトークンを活用した収益化、コミュニティガバナンスのサポート」「Web3開発者コミュニティのコラボレーション」といった取り組みを実施するという。

DEVプロトコルは、クリエイターの活動を証明し、持続可能性を実現するオープンソースの分散型ミドルウェア。「OSSのトークン化」(Propertyトークン。ERC-20準拠)、「セキュアな認証」(Khaos Oracle)、「持続可能なサブスクリプション」(Staking)といった機能を採用しているという。なお、ステーキング総額は2億5000万円超(2021年1月時点)となっているそうだ。

このうちPropertyトークンとは、プロジェクトのオーナーシップの証明・収益化・収益分配をブロックチェーン上で自動化できるものという。DEVプロトコルを使うと、Propertyトークンを発行することで自身のエコノミーを構築し、コミュニティを通じて成長させられるとしている。

またDEVプロトコルは、完全分散型、オンチェーンガバナンスのミドルウェアプロトコルのため、様々なDapps(Decentralized Apps。Web3アプリ)を開発して、誰もがエコシステムに参加できる。

コミュニティパートナー参加プロジェクト(抜粋)

  • The Algorithms:オープンソースのアルゴリズム・ライブラリー
  • Web3Community:Web3に特化したオープンソースコミュニティ
  • Microsoft For Startups:マイクロソフトのスタートアップ企業向けの支援プログラム
  • Experify:3Dプリント/3Dスキャンサービス
  • intlify:ソフトウェアの国際化におけるDeveloper Experience向上プロジェクト
  • Code for Japan:市民主体の社会課題へのアプローチやシビックテック活動を促進しているコミュニティ

インドのレイヤー2ブロックチェーン「Polygon」への投資をVCが検討中

Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インド)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)をはじめとする数多くの投資家が、Ethereum(イーサリアム)互換ブロックチェーンネットワークを構築、接続するためのフレームワークを運営するPolygon(ポリゴン)へのトークン購入を通じた出資を検討している、と本件に詳しい3つの筋から情報を得た。

投資家らは5000万から1億5000万ドル相当のトークンを購入しようとしている、と匿名を条件に情報筋は言った。この種のトークン取引では一般的だが、投資家はコインをやや割引された価格で購入できる(過去1カ月間のMATICの平均価格に対して20%割引、と私は聞いている)。

交渉は進行中のため、条件は変わるかもしれない。先週は誰からもコメントがなかった。

Polygonは以前Matic(マティック)の名前で知られていた会社で、最も人気のあるレイヤー2ソリューションとしての地位を確立してきた。同社の時価総額は140億ドル(約1兆5900億円)以上で、1日に750万件以上の取引を処理し、数千の分散型アプリが高額な手数料を払うことなくEthereumを決済レイヤーとして使用することを可能にしている。

Polygonは、Aave(アーベ)、Sushi Swap(スシ・スワップ)、Curve Finance(カーブ・ファイナンス)といった代表的優良プロジェクトを擁し、最大級のデベロッパーエコシステムを作り上げてきた(一部のレイヤー1のブロックチェーンと比べても引けを取らない)。

画像クレジット:Polygon

この数年、南アジア市場の著名ベンチャーキャピタルの支援を受けることに苦闘してきたインド拠点のPolygonにとって、1件の投資が同社に対する投資家の認識を変えるだろう(インドの多くのVCも、数四半期前までWeb3分野を積極的に追いかけていなかったことも注目に値する)。さらにPolygonは、弱気サイクルの際に初期出資者の一部が資金の返還を求めたという事例が少なくとも1件ある、と状況に詳しい人物2名が言っていた。

同社はいくつかの投資家に資金を返還し、生き延びた。「それはPolygonチームのテーマの1つです。彼らの忍耐強さはレベルが違います」と元従業員の1人は言った。

Polygonは2021年、起業家で投資家のMark Cuban(マーク・キューバン)氏の支援を受け、Ethereumの支配が続くことに期待する何十というサイドチェーンやロールアップネットワークの1つとして、Polkadot(ポルカドット)やMulticoin Capital(マルチコイン・キャピタル)とA16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の出資を受けているSolana(ソラナ)など、多数のレイヤー1プロジェクトがひしめく中、この生まれたばかりで急成長中のデベロッパー・エコシステムでの成功を伺っている。

2021年、暗号資産ポッドキャストのBanklessで、Polygonの共同ファウンダーであるSandeep Nailwal(サンディープ・ナルワール)氏は、現在のWeb3デベロッパーエコシステムはEthereumを中心に回っており、ネットワーク効果はなくならないと期待していると語った。同じポッドキャストでナルワール氏は、もう1人の共同ファウンダーであるMihailo Bjelic(ミハイロ・ビェリック)氏とともに、Polygonは今後も提供サービスをさらに拡大してブロックチェーン基盤を作っていくつもりだと語った。

画像クレジット:Polygon

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フィナンシェとコインチェックがIEOによる資金調達に向けた契約を締結、2022年夏までに実現を目指す

フィナンシェコインチェックは11月29日、IEO(Initial Exchange Offering)による資金調達を実現するための契約を締結したことを発表した。この契約のもと、2022年夏までに実現を目指す。

IEOは、企業やプロジェクトがユーティリティトークンを活用した資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)のひとつ。特徴としては、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査およびトークンの販売を行う仕組みとなっており、資金を調達できるだけでなく、トークンを活用することでコミュニティの形成・強化がしやすいことが挙げられる。

実現の暁には、すでに100以上の個人や団体のトークンの発行・販売、企画・運用を行っているフィナンシェが「フィナンシェトークン」の発行を担い、コインチェックが2021年7月に提供を開始したIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」において販売を担当する予定。コインチェックにとっては、今回のIEOは第2号案件となる。

今回のIEOにより発行されるフィナンシェトークンは、クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を利用して発行したクラブトークンやNFTを横串に活用するプラットフォームトークンとする計画だという。また同IEOにより、フィナンシェでは調達した資金の一部をFiNANCiEおよびNFT事業のさらなる拡大にあてる予定。

フィナンシェトークンは、記事執筆時点ではホワイトペーパーなど詳細は公開されていない。イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で発行され、FiNANCiEユーザーへのインセンティブ付与やエコシステム全体におけるガバナンス参加を促すという。FiNANCiEで発行されているコミュニティトークン同士をつなげ、長期的なトークン価値を向上させるためのプラットフォームトークンとして、FiNANCiEエコシステムにおける「ユーザー主体の運営」の実現を目指すそうだ。

フィナンシェは、2019年1月に設立された「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をミッションに掲げている企業。ブロックチェーン技術を活用したNFT事業やFiNANCiEを展開しており、トークン(FTおよびNFT)の発行、企画・運用により新しい価値を生み出すトークンエコノミーの実現を目指している。現在は湘南ベルマーレやアビスパ福岡といったプロサッカークラブをはじめ100名以上の発行者(個人、クラブ、プロジェクト)のトークンの発行・販売・企画・運用を行っている。

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

UFD Tech

新型MacBook Proに採用されたM1 ProおよびM1 Maxは大幅な性能アップを実現していることから、暗号資産のマイニング(採掘)に使えないかと脳裏をよぎった人も少なくはないはず。それを実際に試してみた結果が報告されています。

海外掲示板Redditにも、同じ疑問を抱いた人たちがスレッドに集まっています。最初の「M1 Maxは55MH/sでETH(イーサリアム)を採掘できる?メモリの帯域幅はRX 6700 XTとRTX 3060 Tiの間だ」というお題をきっかけに「M1 Maxが40以上のMH/sを出せるなら、M1 ProではなくM1 Max MacBook Proを注文するよ」などの話題が盛り上がっています。

ちなみに「MH/s」とは暗号資産を採掘する速度であるハッシュレートの単位であり、1秒間の計算が100万回ということです。

さらに「考慮すべき事実は、最も効率的なSoCであり、専用GPUよりも電力消費がずっとずっと少ない。MacBookのリセールバリュー(買取や下取り価格)は基本的に市場で最も優れています(中略) SoCには、画面出力、超高速ビデオエンコーディング、暗号化、非常に強力なニューラルエンジンなど、特定の処理に特化した複数の専用プロセッサが搭載されています(中略)基本的には最も効率的な汎用CPUであると同時に、最も効率的なプログラマブルASICでもあるんだ」といったレスポンスもあり。

また「私は64GBのM1 Max 16(インチ)を持っていますが、ハイパワーモードで動作させたところ、ストックのethminer-m1バイナリで約10.25MH/が出ています。決して高速ではありませんが、非常に効率的で、1Wあたりのハッシュレートはおそらくとても良いでしょう」との声もあります。

そして実際にテストをして、数字を出している人もいます。YouTuberのUFD Tech氏はM1 Pro搭載Macで採掘をして、その電力効率の良さに驚いています。すでにM1 Mac向けに暗号採掘用のコンパイル済みバイナリソースコード)が配布されており、本動画ではそのインストール方法と使い方(今回はイーサリアム)が説明されています。

まず注意すべきは、バックグラウンドでのマイニングはしない方がいいということ。ちょっとしたWebブラウズでもマシンのパフォーマンスを落としてしまうので、Macを使わないときのみ実行したほうがよさそうです。

そうした注意を払った結果、M1 Proでは5MH/s以上の速度が出ており、総消費電力はわずか17W。Windows PCで同じ結果を出すためにははるかに多くの消費電力を必要とすることからも、十分にいい結果と言えそうです。

ただし電気代を差し引いた後の利益は、1か月あたりわずか12.82ドル、1日あたり約42セントにすぎません。もしも暗号資産マイニングのためだけにMacBook Proを買うとすれば、元を取るのに17年はかかる計算となります。購入から4~5年で下取りに出すとすれば利益はもう少し改善しそうですが、いずれにせよ小遣い稼ぎの域を出ることはなさそうです。

すでに購入している人は、Macを使っていないときにマイニングをしても害はなさそうではありますが、一攫千金は望むべくもないと思われます。4Kや8K動画編集などでM1 Max MacBook Proを24時間フル操業させている人は、今まで通り本来の業務に専念させておくのが賢明かもしれません。

(Source:RedditUFD Tech。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

将来、DiscordにNFTと暗号資産ウォレットが登場するかもしれない

Discord(ディスコード)はすでに、NFT(非代替性トークン)のコミュニティの事実上の拠点となっているが、さらにこれらのつながりを大幅に深めることを計画しているかもしれない。

米国時間11月8日、Discordの創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏が、Discordが人気の暗号資産ウォレットサービスのMetaMask(メタマスク)や、多くのモバイル暗号資産ウォレットが基盤としているオープンプロトコルであるWalletConnect(ウォレットコネクト)と統合されている様子を示すスクリーンショットをツイートした。シトロン氏は、本当は「これは大変なことになるだろう」を意味しているNFTのツイッター用語である「probably nothing(おそらく大したことじゃない)」を用いて、以下のようなツイートを行った。

現段階でのウォレットのサポートは、純粋に予備調査的なものに思える。シトロン氏は、この仮の暗号資産統合がどのように機能するのか、Discordが暗号資産統合の検討にどれほど真剣に取り組んでいるのかについては詳細を提示せず、同社もまた具体的な説明を拒んでいる。

Discordの広報担当者はTechCrunchに対して「私たちはいつでも、提供するコミュニティを改善できるものを探求し実験し続けています」と語った。そしてこのスクリーンショットは最近行われたハッカソンでのものだと付け加えた。

Discordがソーシャルチャットアプリに暗号資産機能を追加することに興味を持っているという想像はまだ仮説段階かもしれないが、もし同社がEthereum(イーサリウム)への対応を行うのであれば、その計画は単なる支払いにとどまらない可能性が出てくる。また、Discordは最近、NFTについての考えに関する調査をユーザーに対して行った。

2021年Discordは、何千ものNFTプロジェクトの自然発生的な拠点となった。それらのプロジェクトの多くは、専用のDiscordサーバーを通じて、フォロワーと連絡を取り合い、最新情報を送り、売上や市場の動きを追跡している。また、NFTの配布イベントをコーディネートする際にも、Discordが選ばれている。イベントでNFTが「鋳造」され、支援者たちに販売または配布された後、それらは最終的にOpenSea(オープンシー)などの取引プラットフォームに送られる。その際、多くの場合には、大幅な値上げが行われる(ご存知のように、通常はJPEGが対象だ)。

Discordは、Ethereumやその他のデジタル通貨での支払いを念頭に置いているだけかもしれないが、シトロン氏がMetaMaskのサポートをほのめかしたことは、NFTを中心としたより野心的な計画を示唆している可能性もある。Ethereumのようなコインは、基本的な支払いや取引に使用することができるが、この暗号資産は、Ethereumのブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて追跡・取引される、ほとんどのNFTの技術的バックボーンとしても機能している。

Discordは抜け目のない経験豊富な企業であり、人びとが自分のデジタルアイデンティティを表現するためにNFTをどのように利用しているかをよく理解していると思われる。Discordはテキストとボイスのチャットアプリで、ユーザーのアイデンティティは主にどんなアバターを選んだかで表現されている、これは現在NFTが注目していることだ。すでにTwitter(ツイッター)やDiscordでは、NFTに精通したユーザーたちが、最もレアな(そしてしばしば最も高価な)NFTを選んで、PFP(プロフィール画像)として使用している。MetaMaskがサポートされれば、Discordは、ユーザープロフィールにリンクされたギャラリーにNFTを展示したり、所有権がブロックチェーンによって担保された「認証済み」のアバター画像を選択したりする場所になるかもしれない。

特に、急成長を遂げているWeb3.0の分野で同社はその足場を活用できる立場にある。なおWeb3とは分散化、デジタルグッズ、所有権に基づく仮想IDなどで定義されると多くの人が予想しているインターネットの次の段階である、しかし、Discordは現状でも有利な材料を持っている。

ツイッターでは、シトロン氏のツイートと、同社が実施した「DiscordとWeb3.0」に関するアンケートが相まって、賛否両論が巻き起こった。多くのアカウントからDiscordユーザーに対して、DiscordがNFTに全面的に乗り出すのではないかという懸念を理由に、月額料金で機能特典を提供しているプレミアムNitro(ニトロ)サブスクリプションをキャンセルするよう呼びかけが行われた。「Nitroサブスクリプションを解約してやったぜ。@discordはクソ、NFTもクソ」とつぶやいたツイートには1万近くの「いいね!」がついた。

また、シトロン氏のツイートには、Discordの芽吹きつつある暗号資産計画が、詐欺やスパムでコミュニティサーバーを圧迫している結果になっていることを嘆く声も多数寄せられている。シトロン氏は、Discordが、NFTの交換や販売を中心とした多くのサーバーなどで横行するいい加減な行為に対処するために、新たなチームを設立したことを伝え、一部のTwitterユーザーを安心させようとした。「スパムとセキュリティは、この世界における当社の最優先事項です」とシトロン氏は書く。「最近、具体的な対処チームを立ち上げました。詳しくは追ってお知らせします」。

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画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

【コラム】イーサリアムはプライバシーの基準も変える

イーサリアムは世界で最も人気のあるデジタル契約コンパイラーで、多くの人によって管理されているものの、誰かが所有しているわけではない。イーサリアムが普及している要因の1つで最も興味深いのは、おそらくイーサリアムが描く未来だろう。イーサリアムは、今後所有権、価値の創造、そしてこれが最も重要であるが、プライバシーに関する現在のインターネットの基準を変えていくだろうと思われる。

どのような変化が今後起こるのだろうか?

イーサリアムでは、アプリを開発できるだけでなく、写真、音楽ファイル、ビデオ、お母さんのお気に入りのかぼちゃパイのレシピ(他にも日々生み出されるさまざまな可能性があるが)など、デジタルなものなら何でも一意に有償で所有、交換、保管できる。

多くの人々がインターネットはさまざまな保護によって階層化されると予想してきたが、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ-リー)氏の言葉の言い換えになるが、結局は基盤となるテクノロジーを誰もが利用できるようにすることで、その受容と有用性が大幅に向上することがわかった。

イーサリアムとWeb 3.0の出現によって、インターネットが単にプライベートであるというだけでなく、オープンで透明性のあるものである、という概念が生まれ、状況が変化しつつある。

イーサリアムのこれまで

2013年、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、イーサリアムのアイディアを思いつき、イーサリアムは2年後に開発されサービスの提供を始めた。このプラットフォームは、インターネットにアクセスできる世界中のだれもが、永続的なアプリケーション(分散型アプリ、またはdAppsとして知られる)を開発できるように設計された。この分散型アプリは誰もが使えるが変更はできないもので、厳密な整合性を備えたオープンソースソフトウェアである。これらのアプリの基本機能はスマートコントラクトと呼ばれ、デジタル契約を可能にする。

つまり、言い換えると、もはや仲介者を通して財務サービスや法務サービスを行う必要がないということである。イーサリアムは基本的に証書保管代理人、公証人、IDをチェックする銀行の出納係、または住宅ローンの原資産所有者を必要とせず、それらを一瞬のデジタル取引に置き換えてしまう。

この非常に貴重な機能によりイーサリアムは、現在多くの競争者の先を行く最も有名な暗号資産そしてブロックチェーンの1つとなった。ビットコインの価格は最近史上最高値を記録し、イーサリアムの周辺は大いに沸き立っている。

これに関連する概念であるWeb 3.0は、これらのピアツーピアのブロックチェーンを用い、ユーザーが仲介者なしに、データを取り扱い、価値を保存し、エンティティとやりとりする、といったことを可能にする、未来のインターネットと目されている。

イーサリアムの現在

イーサリアムが法務、財務、契約締結などの基本インフラになるにつれ、その強みや弱みを理解することが財産の所有と譲渡の基本的な性質になるだろう。

Stephen Hawking(ステファン・ホーキング)氏の「基礎的コンピュータープログラミングは学ばなければならない必須のスキルである」という言葉をこの状況に即して言い換えれば、イーサリアムでのスマートコントラクトの基礎を学ぶことは、基本的な法務スキルや財務スキルになるだろう。

現在イーサリアムで最も注目を集めているアプリケーションはNFT(non-fungible tokens:代替不可能なトークン)である。NFTは比較的新しいものであるが、価値の保存だけでなくデジタルな一意の所有権を主張するものとして、消費者、アーティスト、投資家に人気である。

NFTは、操作、変更、複製ができない、つまり代替不可能であるため、インターネット上であらゆるデジタル(ファイル)を所有または取引することができる。Ape、Kitty、Punkを巡りソーシャルメディア上で騒ぎが起こっているが、それらはすべて、高価なデジタルアートにファンが群がる急成長中の現象に関連している。

このテクノロジーの1つの使用例として予測されるのが、惑星間のマイニングである。地球を本拠地にしている企業は、社員が実際に訪れることがほとんどない小惑星の鉱業権を売買する必要がでてくるだろう。

他に予想される使用例としては住宅ローン、不動産購入、イベントチケット販売、音楽祭、ファイルストレージ、ゲーム(例えばAxie InfinityはプレイヤーがNFTに基づくゲーム世界でしっかり生計をたてることができるという証拠である)などがある。

可能性は無限であり、日々好奇心がありエネルギーに溢れたコミュニティによってアイディアが生み出されている。

今後のイーサリアムの課題

この基盤となるテクノロジーに規制が追いついてきている現在、多くの人がそれを制御する試みを目にすることになるのか確信を持てないでいる。暗号戦争で長年たたかわされてきた議論には暗号化を抑制または損なう要求がともなっていたが、それと同様に、イーサリアムの「変化しない性質」に変更を加えると、その重要な特性である「永続的整合性」が損なわれる可能性がある。

イーサリアムの不変性とそれが広く受容されている状況との間には、潜在的な対立が存在する可能性がある。つまり金融規制当局が何らかの形でその展開に対して所有権を得たりまたは管理しようとするかもしれないということである。これらの規制当局が「広くつながったノードの領域を、その真の価値である分散性自体を損なうことなく慎重に管理するにはどうしたらよいか」という疑問にどう答えるか大変興味深い。

このテクノロジーが直面するその他の課題や限界はと言えば、パフォーマンスの持続可能性ではないかと思われる。イーサリアム上にアプリなどを作成する際、ガス代といわれる料金が必要になるが、近年この料金が上昇しており、プラットフォームの処理時間が遅くなっていることが知られている。イーサリアム2.0は非効率性を解消できると考えられているが、すべての取引を保存し計算するために最適化されたブロックチェーンにおいて、スピードを維持し続けるにはどうしたらよいのだろうか?

セキュリティも課題の1つであり、広く悪用されているわけではないもののイーサリアムには脆弱性の問題があることが知られている。Poly Networkは「契約呼び出し間の脆弱性」に起因するハッキングがあったことを2021年報告している。

スマートコントラクトは作成するには複雑な機能であるため、ネットワークに展開する前に十分な監査が必要である。イーサリアムのセキュリティもパスワードを必要としない、非対称暗号化に基づいて構築されている。量子コンピューティングが最終的に非対称暗号化標準を混乱させる可能性は多いにある。

私たちは、イーサリアムやブロックチェーンがいかに存続し続け、それを私たちがメタバースへ、そしてそれを超えて維持していけるのかに興味がある。

編集部注:本稿でAshley Tolbert(アシュリー・トルバート)氏とTarah Wheeler(タラ・ウィーラー)氏によって述べられた見解は両氏の個人的見解であり、両氏が関係する団体の見解ではありません。アシュリー・トルバート氏は、情報セキュリティの研究者およびエンジニア。タラ・ウィーラー氏はハーバード大学ケネディスクールオブガバメントのベルファーセンターサイバープロジェクトフェローで、情報セキュリティ研究者。

画像クレジット:Prostock Studio / Getty Images

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(文:Ashley Tolbert、Tarah Wheeler、翻訳:Dragonfly)

ワンクリックで暗号資産の空売りが可能な「Beta Finance」

あらゆる暗号資産(仮想通貨)の貸し借りと空売りをワンクリックで行うソリューションを開発した分散型金融プロトコルのBeta Finance(ベータファイナンス)は米国時間10月29日、プライベートおよびパブリックのローンチパッド投資ラウンドで575万ドル(約6億6000万円)を調達したと発表した。

プライベート投資ラウンドでは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導し、ParaFi Capital(パラフィ・キャピタル)、DeFiance Capital(デファイアンス・キャピタル)、Spartan Group(スパルタン・グループ)、GSR、Delphi Digital(デルファイ・デジタル)、Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)も参加した。

Allen Lee(アレン・リー)氏が設立したBeta Financeは、ユーザーがより簡単に暗号資産をショート(空売り)して価格変動に対抗できるようにし、またリスクヘッジのための別の手段を提供しようとするスタートアップだ。

既存のDeFi(分散型金融)プロトコルは、ごく限られた成熟した暗号資産の借り入れと空売りにしか対応しておらず、大多数のトークンはユーザーがアクセスできないようになっている。

Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーン上に構築されているBeta Financeは、この非効率性を解消するために、より幅広い選択肢と機能性を提供する初のユーザーフレンドリーなプロトコルであると自らを称している。

そのワンクリックソリューションによって、技術的なノウハウを持たないトレーダーでも、あらゆるトークンのショートポジションを管理・更新することが可能になる。関連するすべてのトークンの情報がインターフェイス上で直接入手でき、それを判断材料とすることができる。

「ユーザーは、既存の金融市場で無視されている、最もボラティリティ(価格変動性)が高い資産の多くをショートすることができるため、ボラティリティを相殺してリスクをヘッジし、より健全なリターンを得ることができます」と、Beta Financeは述べている。

「空売りは、DeFiプロトコルに欠けていた金融インフラの重要な部分であると考えています」と、リー氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「DeFiが伝統的な金融に取って代わるためには、空売りのようなツールを構築することが必要であると、私たちは確信しています」。

自社で発行した仮想コイン「BETA」がBinance(バイナンス)で取引されているBeta Financeは「カテゴリーを定義するプロトコルになる可能性を秘めている」と、Sequoia IndiaのプリンシパルであるPieter Kemps(ピーター・ケンプス)氏は声明で述べている。

Beta Financeによると、同プラットフォームの立ち上げから最初の1カ月の内に、1万人以上のユニークアドレスに対して、1万件以上の入金、1000件の借り入れ、500件のショートポジションを処理したとのこと。このプロトコルはロックされている総額の平均が1億9500万ドル(約223億円)を超えたと、同社では述べている。

「Betaは、ワンクリックショートの先駆者であることに加えて、プロトコルをローンチしてからわずか1週間後には、NFDトークンの空売りを可能にしてNFT(非代替性トークン)をショートした最初のプロトコルとなるなど、安全性を保ちながら多様な資産(ボラティリティの高いものを含む)に対応できる能力をすでに証明しています。DeFiエコシステムの今後において、Betaは重要なステークホルダーになることを、私たちは楽観視しています」と、ケンプス氏は述べている。

Beta Financeは、今回調達した資金を、製品提供の幅を広げ、より多くの人材を雇用するために活用すると、リー氏は述べている。

画像クレジット:Beta Finance

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SFをテーマにしたNFTカードゲーム「Parallel」が急成長中、投資家の注目も高まり約570億円調達

Ethereum(イーサリアム)エコシステムの暗号資産投機家にとって、NFT(非代替性トークン)が保有資産を多様化するためのホットなスペースとなっていることは周知の事実である。これを、質の低い芸術作品を騙されやすい人に売り込む絶好の機会と考える人がいる一方で、NFTベースのゲームは一般に拡がる運命にあり、早い段階で仕組みを利用することができた製品が利権を得ると考える人もいる。

イーサリアムのブロックチェーンをベースにしたSFカードゲーム「Parallel(パラレル)」は、他の暗号資産プロジェクトよりも急激に成長を遂げている。投資家もそれに気づいており、このプラットフォームは、暗号資産専門VCのParadigm(パラダイム)から5億ドル(約570億円)の評価額を得て5000万ドル(約57億円)を調達したと、TechCrunchに語った。これまで同社には、YouTube(ユーチューブ)の共同創業者であるChad Hurley(チャド・ハーリー)氏、Focus Labs(フォーカス・ラボ)、OSS Capital(OSSキャピタル)、Yunt Capital(ユント・キャピタル)などが出資している。

「最高の暗号資産ゲームは、ファーストパーティのコンテンツを超えて、プレイヤーや開発者のコミュニティを刺激し、ゲームそのものを構築するものになるでしょう。我々は、Parallelのユニークなアプローチと初期の熱狂的なコミュニティに感銘を受け、彼らの次の成長段階を支援できることをうれしく思います」と、Paradigmの共同創業者であるMatt Huang(マット・ファン)氏はメールで語った。

Parallelは、世界的なエネルギー危機を解決しようとする終末論的な試みの後、人類が宇宙から脱出するというファンタジー系ストーリーをベースにしている。CryptoPunks(クリプトパンク)などの高い価値が付けられたドット絵的な他のNFTプロジェクトとは異なり、Parallelのアートスタイルはリアリズムを重視したものになっている。

Parallelが今後リリースする予定のNFT(画像クレジット:Parallel)

このSF NFTカードゲームは、NFTへの投機が急増した2021年8月に最初のパックをリリースすると、すぐに人気に火が着いた。暗号資産情報を追跡しているCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Parallelの取引量は1億500万ドル(約120億円)に迫るという。同タイトルに含まれる「Masterpiece(マスターピース)」カードの1つは、110万ドル(約1億2500万円)相当のイーサリアム暗号資産で販売された。9月の売上は1100万ドル(約12億5000万円)を超える程度で収まったものの、このように大きな金額が動いた月は、NFTプロジェクトの長期的な価値に大きな影響を与える可能性がある。というのも、その間に購入された希少な品を長期的に保有することで、オンチェーンで鋳造(発行)される新しい資産の価格基準を安定させることができるからだ。

何千人もの技術に精通した投機家が、大金持ちになるためにシステムを破壊しようとすることほど、システムのストレステストになるものはない。その結果、NFTの「ドロップ」は、ありとあらゆる悪夢のようなシナリオに悩まされてきた。独自のドロップシステムを構築してきたParallelにとって、今のところ順調に進んでいるものの、数日後に迫った次のドロップは、カードの潜在的な価値が高まっていることもあり、どれだけスムーズに進むかに人々の注目が集まっている。

このプロジェクトのゲーム要素は、実際にはまだ存在しておらず、初期の資金はそれを構築するために使われている。Parallelは、NFTの売上に対して10%のロイヤリティを徴収し、その半分がゲーム内の賞金として保持され、残りは会社の収益となる。これはコアプラットフォームにとって将来的により大きな収益をもたらす可能性があるが、ゲームのエントリーポイントが数千ドル(数十万円)に膨れ上がると、この「ゲーム」としての性質はまったく違ったものになってしまう。希少性で投資家を惹きつけつつ、新規ユーザーにも優しい市場のバランスをとることは、NFTゲームプロジェクトが取り組まなければならない大きな課題となっている。

画像クレジット:Parallel

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Twitchで活動するゲーム配信者の動画クリップをNFTで取引するマーケットプレイス「Eternal」

NFT(非代替性トークン)の世界では全体的に、インターネット上の記憶を1つの大きなゲームにしようとしているらしい。もちろん、参加するには多額の現金が必要だ。6月には柴犬「Doge(ドージ)」のオリジナル画像が400万ドル(約4億4500万円)で落札され、4月にはカエルの「Pepe(ぺぺ)」のオリジナルコミック画像が100万ドル(約1億1100万円)で落札されるなど、人々の中からミーム億万長者が誕生している。JPEG画像を数億円で売買するというのは奇妙な現象だが、平均的なインターネットユーザーに、NFTというものが気にかける価値があると思わせるには十分だった。

Eternal(エターナル)は、インターネット上の歴史をゲームにしたいと考えているが、中でも「ゲームストリーマーの人気クリップ」という、非常に特殊なウェブの断片に焦点を当てている。そのユーザーインターフェイスは、見た目も機能的にもデジタルトレーディングカード「NBA Top Shot(NBAトップ・ショット)」によく似ており、それを使ってユーザーは、Eternalと提携しているゲームストリーマーのネットワークから、連続したクリップのパックを購入することができる。このマーケットプレイスは、Jeffrey Tong(ジェフリー・トン)氏とDerek Chiang(デレク・チャン)氏が設立したスタートアップ企業のZelos Gaming(ゼロス・ゲーミング)によって構築されている。同社はクロスプラットフォームのバトルパス(2020年TechCrunchでも紹介した)の構築から、EternalでNFTのワイルドな世界に取り組むことに方向転換したというわけだ。

このスタートアップの支援者名簿には、多くの暗号投資会社や著名人が名を連ねている。最近の資金調達ラウンドでは、NFX、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)、Gary Vaynerchuk(ゲイリー・ヴェイナチャック)氏、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)、Arrington Capital(アリントン・キャピタル)などが、450万ドル(約5億円)を出資している。同社のチームは以前、Y Combinatorの支援を受けていた。

サイトのデザインを見れば一目瞭然だが、現時点では「Top Shotゲームストリーマー版」のようなプラットフォームになっているものの、チームはこのプラットフォームを今後どのように進化させるかということについて、大きなアイデアを持っている。NBAや選手会との契約を実現したTop Shotとは異なり、esportやTwitchなどにはそれに相当する包括的な組織がないため、Eternalはストリーマーやストリーマーネットワークとのパートナーシップをかなり複雑に織り交ぜて、ビジネスを他に奪われないようにする必要がある。Eternalは、主にTwitchの上位0.05%で活動する人気ストリーマーに焦点を当てているという。

ストリーマーは、Twitchなどのプラットフォームですでに人気を集めているトップクリップや、自分のソーシャルメディアからの動画を販売し、ゲームプレイにおけるその瞬間を、ブロックチェーン上に「永遠のもの」にすることができる。同社では、新進気鋭のストリーマーと広く知られた著名人を組み合わせることで、より多くのクリエイターの認知度を高め、その「一片を所有」し、彼らの成功に利害関係を持つユーザーのネットワークを構築することができると期待している。

画像クレジット:Eternal

同社CEOのジェフリー・トン氏は「Top Shotはすばらしいモデルだと思いますが、Eternalはクリエイターにまったく新しいマネタイズの方法を提供することができるという点でも優れています」と、TechCrunchの取材に語った。

ファンとクリエイターの間に密接な関係を築くことは、NFTの世界にエキサイティングな意味合いをもたせるものとして早くから期待されていた。投資家が自分の投資を紹介し、その過程でクリエイターを後押しすることになるからだ。しかし、ユーザーのクリエイターへの投資額が数千円や数万円程度に留まる小規模な場合と、数百万円から数億円にもなる場合とでは、このような関係がどのように変化するかはわからない。

Eternalのプラットフォームにおける最大の長所は、Dapper LabsのFlow(フロー)に基づいて構築されていることだ。これは一般消費者向けアプリに適したブロックチェーンで、ユーザーが実際に通過する参入時のフローを構築する際に、複雑さ(および少しの分散化)を低減したものだ。

Ethereum(イーサリアム)のエコシステムの外に出て、米ドルで取引するということは、暗号化に恵まれたNFT信者の巨大なネットワークから離れることを意味するが、それは同時に、潜在的にはるかに多くの消費者にアプローチできることも意味する。同社は、最終的には来年までにEternalをより多くのブロックチェーンに組み込みたいと考えているが、クロスチェーンでの操作は、今すぐには難しいようだ。

Flowのチェーン上には、今のところ活発なマーケットプレイスは非常に少ないが、Eternalには初期の勢いがある。Cryptoslam(クリプトスラ)によると、このマーケットプレイスでは2021年の夏に約30万ドル(約3340万円)の取引が行われたという。

画像クレジット:gorodenkoff / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版開始、K-1やYouTuberヒカルさんが出品ほか漫画家・東村アキコさんも予定

NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版開始、立ち技格闘技K-1やYouTuber・ヒカルさんが出品ほか漫画家・東村アキコさんも予定

GMOインターネットグループのGMOフィナンシャルホールディングスの連結会社「GMOアダム」は8月31日、NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版の提供を開始した。立ち技格闘技K-1やYouTuber・ヒカルさんはじめ、総勢36名の漫画家・イラストレーターによる作品などの多くのファンを持つデジタルコンテンツ計1192点の出品・販売がすでに行われている。また今後は、漫画家・東村 アキコさんの作品の出品も予定。近日中に一般のアーティストを含む、より幅広い方が出品する形で正式版を提供する予定としている。

Adam byGMOは、NFTを活用したコンテンツ流通革命の支援を目的とした、真正性と安全性の高いデジタルコンテンツの決済・流通を実現する、NFT出品・購入のためのプラットフォーム。Ethereum(イーサリアム)による決済ほか、口座振り込みやクレジットカード払いに対応するなど複数の決済手段を備えており、暗号資産の扱いに慣れていない方でもNFTコンテンツを購入しやすいよう配慮している。

また作品購入の都度、NFTコンテンツの作者・クリエイターにロイヤリティを還元する仕組みを採用しており、クリエイターのファンは「Adam byGMO」で作品購入を行うことで、応援するクリエイターへの支援も行えるとしている。

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

Coinbase Global(コインベース・グローバル)の日本法人Coinbase(コインベース)は8月19日、世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」を同日ローンチすると発表した(関東財務局長 登録番号 第00028号)。

同社は「暗号資産取引のグローバルスタンダード」を掲げ、世界最高レベルの安全性、初心者でも簡単に使える操作性とともに、暗号資産の取引を開始する。取引可能な暗号資産は、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XLM(ステラ)で、さらに取り扱い資産を増やす予定。また今後は、トレーダーや機関投資家向けのサービスなどを展開し、ビジネスを拡大していく方針としている。

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

日本においては、世界基準のセキュリティやコンプライアンス基盤に加え、日本最大級の口座保有数を誇る三菱UFJ銀行をパートナーとして迎え入れており、三菱UFJ銀行の口座を持つ利用者は、インターネットバンキングを通した入出金が可能となっている。

Coinbase Globalは、2012年にアメリカ・サンフランシスコで創業以来、世界各国でサービス展開を広げており、現在100カ国以上で暗号資産の購入・売却・管理を行える暗号資産取引所を展開している。2021年4月14日にはナスダック市場に直接上場し、フィンテック業界を中心に注目されている。世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Coinbase(企業)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)三菱UFJ銀行日本(国・地域)

イーサリアムデベロッパーの迅速な分散型アプリ開発をサポートするTenderlyが約17億円調達

暗号資産(仮想通貨)は2021年にかなり受け入れられつつあるが、まだ極めて初期段階にあるこの分野の熱意がますます多くのデベロッパーやユーザーを引き込むにつれ、ブロックチェーンインフラのスタートアップは過熱している。

ベンチャーキャピタリストの注意を引いている最新の暗号資産スタートアップはTenderly(テンダリー)だ。同社はEthereum(イーサリアム)デベロッパーが分散型アプリケーションを動かすスマートコントラクトを監視・テストするためのデベロッパープラットフォームを手がけている。同社のCEOであるAndrej Bencic(アンドレイ・ベニシック)氏は、Accelがリードした1530万ドル(約17億円)のシリーズAをクローズしたとTechCrunchに明らかにした。本ラウンドには既存投資家も参加した。セルビア・ベオグラードに拠点を置くTenderlyは、Point Nineがリードした2021年初めのシードラウンドで330万ドル(約3億6000万円)を調達している。

Tenderlyのこれまでの目的は、ユーザーが問題を見つけて苦情を言うというシーンで、ユーザーがこれらのバグを積極的に発見できるようにする代わりに、駆け出しのブロックチェーンデベロッパーがコントラクトエラーを見つけ出せないままにしないことだった。TenderlyのVisual Debuggerはすでに「何万もの」イーサリアムデベロッパーに使用されているが、同社はより多くのデベロッパーがイーサリアムネットワークで頭を抱えたり、惑わされたりすることなく開発できるようにするツールセットに引き続き取り組みたいと考えている。

「Tenderlyは起業当初から我々自身が抱える問題の1つのソリューションでした」とベニシック氏は話す。「イーサリアムや類似するネットワークからの情報の抽出・観察をできるだけ簡単にしたかったのです」

ベニシック氏は、デベロッパーが使いやすさを損なうことなくこれまでよりも早くプロダクトを世に出すのを自社プロダクトでサポートできればと願っている。

これまでにTenderlyの顧客の大半は、ブロックチェーンベースのコンピューティングの世界に飛び込むことを目指す、分散型金融にフォーカスした比較的小さなスタートアップだった。Tenderlyは小さな会社で、セルビアを拠点とする14人のチームだ。今回調達した資金はグローバル展開の拡大、エンジニアリングの構築、他の地域での採用に役立つ、とベニシック氏は語る。

暗号資産の価格上昇はこれまで、ブロックチェーン業界におけるデベロッパーの取り込みとかなり密接に関係していた。なので、ビットコインとイーサリアムの下降気味の価格修正が、現在進む新たなデベロッパーのブロックチェーン受け入れの不安定化につながるという懸念がある。とはいえ、暗号資産の世界では変動性は少しも珍しいものではなく、多くのデベロッパーがその干満の波に乗ることは経験のほんの一部にすぎないことを学んでいる。

「弱気相場の中でenderlyの大半を構築しました。そして我々が気づいたのは、価格が懸念するようなものになっても、テックに興奮している人は通貨が上下しようがテックに興奮しているということです」とベニシック氏は話した。

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画像クレジット: Tenderly

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTカードゲームとウォレットのHorizon Blockchain Gamesはブロックチェーンの大衆化を目指す

Horizon Blockchain Gamesは、その名のとおりブロックチェーン上にゲームを開発している企業であり、そのためのツールも提供している。

同社は米国時間7月29日、新たに450万ドル(約4億9000万円)を調達したことを発表し、調達総額は1300万ドル(約14億3000万円)強になった。

Horizonの最初のゲーム「Skyweaver」は、デジタルトレカのゲームで、ブロックチェーンを利用してプレイヤーに、バーチャルカードのリアルな所有権を与える。他のプレイヤーに勝ったら、そのカードは売ったり交換したりシステムから取り去ったり、ストレージに置いたりできる。

以前、Horizonについてこう書いたことがある。

Horizonは2つの事業に並行して取り組んでいる。1つ目は「Arcadeum」というイーサリアムベースのプラットフォームを構築してゲーム内のアイテムを扱うことだ。アイテムのインスタンスを取得したら、そのアイテムを実証できるかたちでプレイヤー間で交換、販売、贈与できるようにする。プレイヤーが所有したアイテムはそのプレイヤーのもので、使用、交換、販売をすることができる。Horizonが取り上げることはできない。ゆくゆくはこのプラットフォームを他のデベロッパーが利用できるように公開する計画だ。

もう1つは、自社でのゲーム開発だ。「SkyWeaver」というデジタルトレーディングカードゲームは、同社を成長させるものであるのと同時にプラットフォームの見本でもある。

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上の「Arcadeum」では「Sequence」と改名され、統合を簡単に行えるウォレットシステムとして、ブロックチェーンの複雑さにおさらばすることを狙っている。同社は、ユーザーがそれを使ってブロックチェーン上でデジタルグッズを買ったり保存したりすること、その際ユーザーやアプリのデベロッパーはブロックチェーンについて何も考えないことを期待している。Horizonの共同創業者であるMichael Sanders(マイケル・サンダース)氏によると、改名は全体的なフォーカスを広げるために行った。「Arcadeum」内の「Arcade」は、ゲーム関連であることを示すが、同時に、デジタルゲームのバーチャルグッズからNFTアートなど、あらゆる種類のデジタルアートの管理を助ける。

Horizonのチームは「Web3」をサポートするために開発したとよくいう。最近この言葉を何度も聞かされた。私の理解力の範囲内で手短にいうと「Web3」はオンラインでしかも分散化されたアプリやサービスやゲームがブロックチェーン(この場合はEthereum)を軸に構築され、個々のユーザーが自分のデータをより完全にコントロールできるようになる、という新しいカテゴリーのことだ。イーサリアム財団のウェブサイトに、そのコンセプトの解説がある。

Skyweaverの対戦(画像クレジット:Horizon Blockchain Games)

Horizonは当初、2020年にはSkyweaverをさらにオープンにするつもりだった。しかし、それは今朝ですら非公開ベータで、オープンになるのは2021年後期の予定だ。サンダース氏によると、現状でプレイヤーは6万6000人ほどいる。

今回のラウンド(「プレシリーズAラウンドSAFE」)には、CMT Digital、The Xchange Company、BITKRAFT Ventures、Khaled Verjee(ハレド・ヴェルジー)氏、Zyshan Kaba(ザイシャン・カバ)氏などが出資しているとのこと。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Horizon Blockchain GamesトレーディングカードNFTゲーム資金調達Ethereum

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「ガス代」排除に向け、複数のブロックチェーンに対応を計画

NFT(非代替性トークン)オークションのマーケットプレイスであるOpenSea(オープンシー)にとって、この2021年は激動の年となっている。2021年初めにNFTがどこからともなく爆発した時、このスタートアップ企業はニッチな分野で非常に有利な立場にあった。それ以来、OpenSeaはユーザーベースを拡大し、売上総額を急増させ、さらに多くの投資家から資金を提供されている。

OpenSeaは2021年3月に、資金調達額2300万ドル(約25億3000万円)でシリーズAラウンドを完了したことを発表したが、それから約4カ月後、アンドリーセン・ホロウィッツが主導するシリーズBラウンドでさらに1億ドル(約110億円)を調達し、評価額は15億ドル(約1650億円)に達したとTechCrunchに語った。今回のラウンドには、Cootue(クートゥー)、CAA、Michael Ovitz(マイケル・オーヴィッツ)氏、Kevin Hartz(ケヴィン・ハーツ)氏、Kevin Durant(ケヴィン・デュラント)氏、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏などが参加した。

夏の初めに成層圏から下落したにもかかわらず、広範なNFT市場はまだ活気に満ちており、OpenSeaは引き続き活発な動きを見せている。2021年6月の売上高は1億6000万ドル(約176億円)で、7月はこの数字を超える勢いだと、CEOのDevin Finzer(デビン・フィンザー)氏はTechCrunchに語っている。

同社の成長を阻む障害となった1つの要因は、そのマーケットプレイスの基盤となっているEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンに特有のインフラ問題だった。イーサリアムブロックチェーンは、間もなくネットワークの大型アップグレードが予定されているが、NFTブームに追いつくのに苦労しており、時に高額な「ガス代」をユーザーに負担させることがある。アイテムの生成や取引に必要なこれらの手数料は、この数週間に大きく下落したが、OpenSeaは長期的なスケーラビリティを目指すため、さらにいくつかのブロックチェーンをプラットフォームでサポートすると発表した。

同社はまず、人気の高いレイヤー2のイーサリアムブロックチェーンであるPolygon(ポリゴン)に対応する。Polygonは、よりエネルギー効率の高い構造を持っているため、OpenSeaはこのブロックチェーン上のクリエイター、バイヤー、セラーのガス代を完全に排除することができる。ガス代がなくなれば、OpenSeaにとっては、ゲームやイベントの分野でNFTの将来性を見出すなど、野望を拡大できる勝算が高くなると、フィンザー氏は語っている。

OpenSeaは、Polygon以外にも、Dapper Labs(ダッパーラボ)のFlowブロックチェーンや、Tezos(テゾス)との統合を計画しているという。

複数のブロックチェーンにまたがって運用するということは、各ネットワークのサポートレベルが異なるプラットフォーム間で運用する消費者にとって、いくつか頭痛の種となる可能性がある。また、NFTの投資家の中には、イーサリアムよりも実績の乏しいブロックチェーンで商品を購入することに躊躇する人もいる。新しいブロックチェーンは、長年の間にサポートを失うかもしれないと心配だからだ。

しかし、全体としては、今回のユーザーフレンドリーな変更は、より広くNFTのコミュニティに受け入れられるのではないかと思われる。NFTコミュニティでは、新たな関心が爆発的に高まったことでシステムがストレスを受けており、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスの改善が必要であることを認識しているからだ。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTOpenSeaa16z資金調達Ethereum

画像クレジット:Sheila Creighton / EyeEm / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

国内初IEOの「Palette Token」が開始から6分で調達目標金額9.3億円を突破、コインチェック「Coincheck IEO」発表

国内初IEOの「Palette Token」が購入申し込み開始から6分で調達目標金額9.3億円を突破、コインチェック「Coincheck IEO」発表

コインチェックは7月2日、日本初のIEO(Initial Exchange Offering)プラットフォーム「Coincheck IEO」において、7月1日より購入申し込みを開始した「Palette Token」(PLT)が、開始から6分間で申し込み金額の総額が調達目標金額9億3150万円を突破したと発表した。Palette Tokenは、HashPort子会社Hashpalette(ハッシュパレット)発行によるもの。申し込み金額の総額が調達目標金額を上回ったことから、抽選(申し込みの順番は関係ない)での販売となる。

Hashpalette代表取締役の吉田世博氏は、「Paletteは今回のIEOを起点に、日本発のグローバルなNFT特化ブロックチェーンとして成長しいく所存です」とコメントしている。

「Palette Token」(PLT)関連スケジュール

  • 7月1日 12:00:購入申し込み開始
  • 7月15日 18:00:購入申し込み終了
  • 7月20日 順次:抽選およびPalette Token受渡し
  • 7月27日 12:00:取引所においてPalette Tokenの取扱いを開始

IEOは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産交換業者(取引所)が支援するという仕組み。企業・プロジェクトなどの発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組み「ICO」(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルとなっている。

コインチェックのCoincheck IEOでは、企業やプロジェクトなどが発行したユーティリティ・トークンの審査・販売をコインチェックが行う。

HashpaletteのPalette(ホワイトペーパー)は、オープンソースの「Quorum」(GoQuorum。GitHub)を基盤とするコンソーシアム型プライベートチェーン。Quorumは、ブロックチェーン企業Consensys(コンセンシス)が手がけているもので、ブロックチェーンネットワークへのアクセス権限を管理可能なほか、許可を得た特定の企業によって運営できるようになっている。

Palette Token(PLT)は、Ethereum上で発行するERC-20規格準拠の暗号資産。クロスチェーン技術(他ブロックチェーンとの接続機能)を用いてPaletteチェーン上でも利用できるようにしているという。同社は、Paletteについてエンターテインメント領域に特化したNFTプラットフォームとしており、PLTは「コンセンサスノード運営報酬」「スマートコントラクトの発行手数料(GAS)」「NFT売買の決済」といった用途の支払いに使用できるユーティリティ性の高いトークンと位置付けている。なおNFTの発行には、EthereumのERC-721規格と同様の仕様として実装した「PRC721」規格を用いるという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)暗号資産 / 仮想通貨(用語)ERC-20(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Quorumコインチェック(企業・サービス)Hashpaletteブロックチェーン(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日提供開始、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

コインチェックは6月24日、IEO(Initial Exchange Offering)プラットフォーム「Coincheck IEO」の提供を7月1日に開始すると発表した。またその第1弾として、HashPort子会社Hashpalette(ハッシュパレット)発行の「Palette Token」(PLT)の購入申し込みを7月1日より実施すると明らかにした(購入申し込み参加には暗号資産取引所の口座開設が必要)。IEOによる資金調達は、国内初の試みとなる。同日、HashpaletteがPaletteのホワイトペーパー(PDF)を正式公開した。

  • 7月1日 12:00:購入申込み開始
  • 7月15日 18:00:購入申込み終了
  • 7月20日 順次:抽選およびPalette Token受渡し
  • 7月27日 12:00:取引所においてPalette Tokenの取扱いを開始

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

IEOは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産交換業者(取引所)が支援するという仕組み。企業・プロジェクトなどの発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組み「ICO」(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルとなっている。

コインチェックのCoincheck IEOでは、企業やプロジェクトなどが発行したユーティリティ・トークンの審査、また販売をコインチェックが行う。Coincheck IEOにより、日本の暗号資産投資家が国内外の有望なプロジェクトに参加できる環境を提供することで、暗号資産・ブロックチェーン関連のプロジェクトを支援し、暗号資産市場の発展に貢献するとしている。

オープンソースのブロックチェーン「Quorum」を基盤とする「Palette」と、ERC-20規格の暗号資産「Palette Token」(PLT)

HashpaletteのPaletteは、オープンソースの「Quorum」(GoQuorum。GitHub)を基盤とするコンソーシアム型プライベートチェーン。Quorumは、ブロックチェーン企業Consensys(コンセンシス)が手がけているもので、ブロックチェーンネットワークへのアクセス権限を管理可能なほか、許可を得た特定の企業によって運営できるようになっている。またPaletteは、Quorumで利用できるコンセンサスアルゴリズムのうち「プルーフ・オブ・オーソリティ」(Proof of Authority、PoA)を採用しており、信頼できる複数企業による安定した運⽤を行うとしている。

Palette Token(PLT)は、Ethereum上で発行するERC-20規格準拠の暗号資産となっており、クロスチェーン技術(他ブロックチェーンとの接続機能)を用いてパレットチェーン上でも利用できるようにしているという。同社は、Paletteについてエンターテインメント領域に特化したNFTプラットフォームとしており、PLTは「コンセンサスノード運営報酬」「スマートコントラクトの発行手数料(GAS)」「NFT売買の決済」といった用途の支払いに使用できるユーティリティ性の高いトークンと位置付けている。なおNFTの発行には、EthereumのERC-721規格と同様の仕様として実装した「PRC721」規格を用いるという。

Palette Token(PLT)の用途例

  • 発行されたNFT(Non-fungible token)の購入費
  • Paletteにおけるノード運用報酬の支払い
  • Paletteコンソーシアムメンバーへの委任
  • スマートコントラクトやNFT発行の手数料

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)暗号資産 / 仮想通貨(用語)ERC-20(用語)ERC-721(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Quorumコインチェック(企業・サービス)Hashpaletteブロックチェーン(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

LayerX Labsと東京工業大学とのEthereum 2.0関連共同研究がインターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞

LayerX Labsと東京工業大学とのEthereum 2.0関連共同研究がインターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞

すべての経済活動のデジタル化を推進するLayerX(レイヤーエックス)は6月21日、研究開発組織LayerX Labs(レイヤーエックス・ラボ)と東京工業大学情報理工学院の首藤研究室との共同研究に関する学術論文「Saving attackのブロックチェーンコンセンサスに対する影響」が、電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会の「インターネットアーキテクチャ最優秀研究賞」を受賞したと発表した。

2018年に創設されたLayerXは、ブロックチェーン技術で業務や生産をはじめとした経済活動の摩擦を解消し、「この国の課題である生産性向上」の実現を目指している。2021年1月には、請求書の受け取りから会計、支払い処理までを自動化するクラウド型経理DX支援システム「LayerX インボイス」をリリースした。

LayerX Labsは、「デジタル通貨」「スマートシティ」「パブリックブロックチェーン」をテーマに、行政、各国の中央銀行、大学、民間企業と連係しブロックチェーンなどの技術の実用化に向けた研究開発を行う組織として、2020年8月に設立された。

今回、インターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞した研究は、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関するもの。「Ethereumの次期バージョンであるEthereum 2.0におけるコンセンサスアルゴリズムに対する攻撃やその緩和手法の分析・評価」が行われている。首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレーター「SimBlock」と、LayerX執行役員兼LayerX Labs所長の中村龍矢氏が提案し、Ethereum 2.0の仕様に採用された研究とが結びついたものだという。

東京工業大学情報理工学院、首藤一幸准教授は、「ブロックチェーンが示した価値のインターネットという可能性、そして、まずはDeFi(分散金融)として始まったDAO(自律分散組織)という人類社会の未来。それらを産み、育んでいるEthereumを主な対象とした、学術らしい強固な貢献」と自負している。

論文の詳細:

タイトル: Saving attackのブロックチェーンコンセンサスに対する影響
著者: 大月 魁(東工大)・中村 龍矢(LayerX)・首藤 一幸(東工大)
掲載誌情報: 電子情報通信学会 技術研究報告, Vol.120, No.381, IA2020-37, pp.15-22

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Ethereum 2.0DAO / 自律分散型組織(用語)電子情報通信学会 / IEICE(組織)DeFi / 分散型金融(用語)東京工業大学(組織)LayerX(企業)LayerX Labs日本(国・地域)

曖昧だから良い? 米国の暗号資産規制がイノベーションを取りこぼさないワケ

曖昧だから良い? 米国の暗号資産規制がイノベーションを取りこぼさないワケ

Photo by Jon Sailer on Unsplash

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

暗号資産取引所に上場するコインの数は日本の数倍。機関投資家や上場企業による積極的なBitcoin(ビットコイン)投資で今年の強気相場を牽引する。「コンテンツ大国」であるはずの日本よりも先に、アーティストやミュージシャン、スポーツ選手、セレブがデジタルアート販売やバーチャルリアリティ(仮想現実)のインフラ整備を目的としてNFT(ノン・ファンジブル・トークン)のブームを作る。そして、著名電気自動車メーカーCEOが有名なテレビ番組に出演して柴犬がトレードマークの「Dogecoin」(ドージコイン)について語る……。

上記は、2021年に入って米国の暗号資産業界が成し遂げたアチーブメント(実績)の一部です。5月はBitcoinをはじめ暗号資産マーケットは大幅に調整しましたが、米国市場に悲観ムードはあまり見られない印象です。「投機」や「ハッキング」といったネガティブなイメージから脱却できない日本とは雲泥の差で、暗号資産に対する温度差は激しいのは明らかだと思います。

一体なぜなのでしょうか?

もちろん様々な理由が考えられますが、その1つには、暗号資産を含めて新たなイノベーションに対する規制について、日米間で考え方に大きな違いがあるからと考えています。

日本は暗号資産大国だった

驚くことに実は、数年前まで日本は暗号資産のメッカでした。

Bitcoin創設者(または創設グループ)の名前がSatoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)であることに関係しているかどうかは定かではありませんが、Bitcoinの開発者や熱狂的なサポーターが国内外から東京に集まっていました。ニューヨーク・タイムズの記者であるナサニエル・ポッパー氏が2009年~2014年にかけて世界中のBitcoin関係者に直接取材して書いたルポタージュ「デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語」(ISBN:978-4-532-17601-3)では、東京が重要な舞台として登場します。ハッキング事件が起きるまで世界一のBitcoin取引高を誇った取引所Mt.Gox(マウントゴックス)は、東京に拠点を持っていました。実際、2018年頃までは、円建てのBitcoin取引高が全体の50%以上を占めていました。

何を隠そうクラーケンCEOであるJesse Powell(ジェシー・パウエル)も日本に魅了された1人です。当時、ハッキングを受けたMt.Goxを支援するために、たびたび東京を訪れました。

しかし、現在、東京は暗号資産のメッカとはとてもいえなくなってしましました。シェアの半分以上を占めていた円建てのBitcoin取引高は、7%未満まで落ち込みました。Bitcoin投資だけではありません。DeFi(分散型金融)やNFTブーム、ステーブルコインの台頭といった暗号資産の技術が基盤となるイノベーションについていけず、米国から大きく出遅れてしまっています。

イノベーションを定義できるのか? 日米規制の違い

突然ですが、読者の皆さんは、暗号資産やブロックチェーンの領域にかかわらず、今後、どのようなイノベーションが出現して世の中を変えていくのか完璧に予想することができますか?

どんな著名な起業家や経済学者、歴史学者であっても、答えは「NO」だと思います。また、最先端の研究に携わっている人でも、自分の分野以外のイノベーションを予測することは不可能でしょう。

それにもかかわらず、法律でイノベーションの形を厳格に定義して、基本的には、「その定義に合うイノベーションだけを認める」「定義に合わないものは認めない」といった杓子定規な運用をしている国があります。日本です。

消費者保護・マネロン対策の面では評価されている日本の規制

暗号資産の分野に関していえば、日本では、2017年の4月に資金決済法が改正され、暗号資産が法的に定義され、暗号資産を取り扱う事業者は仮想通貨交換業(現在は暗号資産交換業)としての登録が義務付けられました。この暗号資産規制は、日本が世界に先駆けて導入したものであり、導入当初は、事業者に金融機関並みの投資家保護やマネーロンダリング(マネロン)対策(AML)、テロ資金供与対策(CFT)などを求めたことが暗号資産市場に制度的な安定性を与えるものだと、おおむね好意的に評価されていました。

ただし、2014年のMt.Gox事件以降も、日本では2018年のコインチェック事件をはじめとして、巨額暗号資産の流出事件が相次ぎました。そしてこうした事件が起こる度に当局は事業者に対する規制を強化しており、現行の規制水準は、セキュリティに関するものを中心に一部金融機関の水準を上回っているのではないかと思います。

日本の法律と規制は、イノベーションを進めるという観点からは難点が多い

一方で、現状の規制では、暗号資産の商品性や技術的特殊性がほとんど考慮されていないなど課題が多いのも事実です。具体的には、日本では資金決済法で暗号資産の定義がきっちりと決められているため、定義に当てはまらない場合は、たとえイノベーションとして世界を変えるほどのプロダクトであっても、いくら海外で暗号資産として流通していても、日本国内ではそれが認められません。「やって良いこと」を毎回事前に決めてしまう日本の法律と規制は、イノベーションを進めるという観点からは難点が多いのではないかと感じています。

米国では、必要最低限の事項をリトマス試験紙のように判定し、最初から法令でがちがちに縛ることはしない

対照的に米国では、法律は「原則(プリンシプル)ベース」です。新しいイノベーションに基づくサービスが出てきた時、「すでに存在するサービスに該当しないか?」「犯罪に使われないか?」「詐欺ではないか?」「マネーロンダリングに使われないか?」など、必要最低限の事項をリトマス試験紙のように判定し、最初から法令でがちがちに縛ることはしない、というのが基本スタンスです。

例えば、2013年に米連邦捜査局(FBI)はBitcoinを使った決済を導入していたインターネット上の闇サイト「Silk Road」(シルクロード)の創業者を麻薬取引や詐欺、マネロンなどの罪で逮捕・起訴しました。また2019年、ニューヨーク州南部地方検察局は、北朝鮮で開催されたカンファレンスに参加して暗号資産に関する知識を提供したとしてEthereum Foundation(イーサリアム財団)の関係者を逮捕しました。

米国では、上記のように要所要所で取り締まるべきところは厳格に取り締まっていますが、基本的に、個別具体的なプロダクトやサービスレベルでは原理原則を守る限りは見守る方針があるようです。逆に言えば、企業やスタートアップは原理原則を守りながら新たなイノベーションにチャレンジすることが可能となっていると思います。

さらに米国では国レベルでも規制当局の数が多いこともあり、暗号資産の定義はバラバラです。米証券取引委員会(SEC)は「証券」、米商品先物取引委員会(CFTC)は「コモディティ」、米内国歳入庁(IRS)は「財産」と独自に定義づけをしています。現在の暗号資産はいまだ黎明期にあり、暗号資産というイノベーションが今後どのように進化していくのか、その全貌が把握できない中では、この曖昧さや統一感のなさが逆に柔軟性につながっているのではないかと感じています。

イノベーションを取り込む議論を!

暗号資産のイノベーションは、日進月歩ならぬ「秒進分歩」で進んでいます。日本国外では、DeFi(分散型金融)やステーブルコインといった既存金融サービスをブロックチェーン上で実装する動きが活発化しています。

DeFiの例としては、暗号資産の貸借取引(暗号資産を貸出して報酬を得る取引)のプラットフォームがあります。ここでは、暗号資産を貸出して報酬を得たい人と暗号資産を借入れたい人のマッチングばかりか、貸出・借入と報酬の授受も自動化されています。伝統的な金融では、証券会社、短資会社、証券金融会社、証券取引所といったプレイヤーが複雑に絡み合って成立している貸借取引の世界をプログラム上で実現し、さらに仕組みの改善を恒常的に行っている点は、私のような証券業界に長くいた人間からすると驚きに値します。

ステーブルコインは、法定通貨などを裏付けとして、ブロックチェーン上で発行されるもので、日本円や米ドルといった既存の法定通貨にペッグするように設計されています。こうしたステーブルコインの代表例には、テザー(USDT)やUSDC(USDコイン)があり、暗号資産市場で国際取引を行う際に、銀行を用いた国際送金の代替として活発に利用されています。銀行の国際送金は、資金の到着まで数日必要であり、手数料も高額ですが、ステーブルコインはこうした課題をブロックチェーン上で解決しています。

日本の暗号資産に関する法令が立法当時にどこまでイノベーションを意識していたか定かではありませんが、DeFiやステーブルコインの例を出すまでもなく、暗号資産におけるイノベーションは今後も加速度的に進化していくでしょう。

イノベーション、技術革新には不可逆性があります。つまり、一度誕生したら、過去にさかのぼって消すことはできず、それとうまく付き合っていくほかないのです。この点を念頭におくと、日本の暗号資産に関する法令・規制がイノベーションを取り込むという観点において、投資家の利益になっているか、国際競争上不利な状況になっていないか、法的により柔軟な対応は可能かどうかなどなど、議論を進めていく必要があるのではないかと感じています。

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タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Elon Musk / イーロン・マスク(人物)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)金融庁クラーケン / Kraken(企業・サービス)コインチェック(企業・サービス)Jesse Powell / ジェシー・パウエル(人物)ステーブルコイン(用語)テロ資金供与対策 / CFTDeFi / 分散型金融(用語)Dogecoin(用語)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Mt.Gox(企業)マネーロンダリング防止 / AML日本(国・地域)

急進的なイーサリアムの起業家たちが「DIY性的暴行証拠収集キット」を再定義、支持も非難も受ける野心的なLeda Healthのプロジェクト

投資家たちは彼らを「ディスラプティブイノベーター」(古い価値を破壊し、新しい価値を創造する革新者)と称する。ノースカロライナ州司法長官のJosh Stein(ジョシュ・スタイン)氏は、彼らを「悪質な詐欺師」と表現する。一方、Leda Healthの共同創業者であるMadison Campbell(マディソン・キャンベル)氏とLiesel Vaidya(リーゼル・ヴァイディヤ)氏は、自らを性的暴行被害者の擁護者だと考えている。

Ethereum(イーサリアム)を使用して反体制的ユースケースに取り組んでいるフェミニストたちにとって、Leda Healthの性的暴行被害者のためのDIY証拠収集キットは極めて野心的なプロジェクトだ。これまでのところ16名の連邦議会議員がLeda Healthの発売予定のキット非難しており、ミシガン州のDana Nessel(ダナ・ネッセル)司法長官は「臆面もなく#MeToo運動を利用して金銭的な利益を得ようとしている」と述べている。ニューハンプシャー州ユタ州は、まだ発売前であるLeda HealthのDIYキットをほぼ禁止に近い状態にした。しかし、キャンベル氏とヴァイディヤ氏はこうした動きを受けても躊躇することはなかった。

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キャンベル氏自身も被害者であり、暴行を受けた後すぐに警察に行かない理由を知っている。彼女の場合、トラウマと格闘し、名乗り出ようとする頃には、その声は無力なものになっていただろう。

「あらゆる州において、レイプキット失われています」とキャンベル氏はいう。「性的暴行の被害者が私に連絡をしてきて、この製品は自分の人生を変えてくれるかもしれないと言ってくれたことが、私を前進させ続けている理由です」。

キャンベル氏によると、同スタートアップは2021年秋にこれらのキットの提供を開始し、複数の大学と提携してベータ版を展開する計画だという。この自宅採集キットを補完する支援サービスとして、ライセンスを受けたファシリテーターが運営するセラピーやTransformative Justice(変革的正義)グループが用意されている。

「私たちは企業間取引(Business to Business、B2B)の会社になることを計画しています。大学や企業、軍隊などのパートナー向けです」とキャンベル氏は述べた。「私たちの目標は、最終的に教育機関が学生たちを救済するための製品やサービスの費用負担を行うことです。これが有用であるかどうかを示す多くのケーススタディが必要なこと、そしてそれが難しいことはわかっています【略】説明責任や境界線についての損害を訴えた人々との修復作業を含めて、損害のサイクルを終わらせようとしています」。

医療機関への無料の治療サービスやリソースの提供から始めるのは、簡単なことのように思えるはずだ。しかし、これらのキットは法執行機関や関連診療所が管理するレイプキットよりも法廷での有効性が低いため、被害者に誤った希望を与えてしまうと批判者は主張している。一方で、毎年何万ものレイプキットが警察によって検査されない状態にある。

ヴァイディヤ氏は、Leda Healthのイーサリアムを利用したモバイルアプリは、キットに収集された証拠をタイムスタンプするブロックチェーン技術を使用して、被害者に自分のアカウントを記録する選択肢を提供し、被害者の手に力を取り戻すものだと述べている。

「承諾の証明をビジネスにするものではありません。リソースの提供をビジネスにしているだけです」とヴァイディヤ氏は続けた。

カリフォルニア州リバーサイド郡のJohn Henry(ジョン・ヘンリー)地方検事補は、この種の商品は初めてだろうと語る。理由の如何にかかわらず、すぐに法執行機関に訴えることをためらう被害者に対して、これが助けとなるかどうかを判断するのは時期尚早だという見解を同氏は示している。タイミングも重要な要素の1つだ。被害後すぐに病院に行けなかった場合、生物学的証拠を収集することはできない。

「看護師や警察は、質問すべき内容や、どこでフォローアップすべきか、どのような情報が重要なのかについて、一定の経験と訓練を積んでいます。それは一般市民が持ち合わせていない知見です。私は検察官として、法執行機関や医療関係者による陳述や追加調査を考慮していきたいと思います」とヘンリー氏は述べた。「キットが規制やベストプラクティスと相反する方法で収集されていても、容認できないものではありません。しかし、陪審員はそれを十分に勘案する必要があります【略】証拠が存在しない場合とは対照的に、ある種の証拠の有用性は存在し得ると思います。Leda Healthが良いアイデアなのか悪いアイデアなのかについて、決定的な意見を述べることは現時点ではできません」。

どのような種類のレイプキットであっても、単独では有罪判決や追放措置を導くことはできず、広範な調査の一環として使用されるツールに過ぎない。それでも、被害者が自分のデータを管理するという考えに対し、激しい反発が起きている。

「2019年に、私たちのオフィスに不法侵入がありました」とヴァイディヤ氏は語る。「また、私たちに刑務所行きを求めるソーシャルメディアへの投稿に潜在的な投資家が関わっていたことも記録しています」。

現在も2人は日常的なオンラインハラスメントを受けているとキャンベル氏は言い添えた。

「2019年以降、会議やオフィスから自宅へ帰るのにUberを使用しています。弁護士から地下鉄に乗らないようにと言われたからです。後をつけられるかもしれません」。

物議を醸しているこのキットは、目立たない箱の中にビニール袋、綿棒、説明書が入っており、すべてにQRコードが記されている。ユーザーはLeda Healthのアプリをダウンロードして情報を入力し、破れたショーツなど暴行の証拠になるものを個別のZiplocの袋に保存する。

「ブロックチェーンはアカウンタビリティ(説明責任)を創出します。こうした記録は変更できないからです」とヴァイディヤ氏はいう。「データにアクセスできるのは私とおそらくもう1名の社員だけで、データは暗号化されています【略】時間とプロセスに関するアクセスロックが存在し、法的権限による強制を受けた場合には、データにアクセスできる可能性があります」。

Leda Healthは、複雑なイーサリアムのソフトウェアサポートの大部分をブロックチェーンのスタートアップDeqodeに委託している。DeqodeのエンジニアShivam Bohare(シバム・ボハレ)氏によると、Leda Healthのシステムは、Coinbase Venturesから投資を受けたBlocknativeと、イーサリアムの共同創業者Joe Lubin(ジョー・ルービン)氏が部分的に所有するスタートアップInfuraが提供するイーサリアムのインフラサービスを利用しているという。暗号化されたデータとプロファイルは特定のユーザーアカウントにアタッチされており、セルフカストディ(自己保管・自己管理)のトークンにはアタッチされないため、このアプリのブロックチェーンのアスペクトはすべて内部で発生する。ユーザーはイーサリアムについて何も知る必要はない。

「ユーザーデータへのアクセスは、厳重な認証により保護されています」とボハレ氏は説明する。「データがクラウドにアップロードされた後は、Leda Healthの管理者からの適切な承認がない限り、ユーザー自身のデータにアクセスすることはできません」。

警察によって管理されるキットとは異なり、被害者は弁護士や当局に引き渡すまでキットを物理的に保持することができる。自身のケースが、システムの中で失われる何千ものケースに埋もれてしまうことを懸念するには及ばない。またこのDIYキットは、アプリ内に保存された記録とともに、集団セラピーセッションのような法廷外でのメディエーションにも利用できる。

「米国の裁判システムにおいて、自己収集された証拠は極めて一般的な性質のもので、許容性などの問題について定期的に分析されていることを人々は忘れがちです」と、Leda Healthで顧問弁護士を務めるJiadai Lin(ジアダイ・リン)弁護士は指摘する。

実際、カリフォルニア州モントレー郡で2020年4月、パンデミック対策として開発された暫定的なプロセスの下で、別の民間企業が提供したレイプキットが使用されたことが報告されている

「被害者は自身の身体に関する情報を自らの条件で収集する権利を持つべきであり、起業家はイノベーションに挑む姿勢を持つべきであると私は考えます」とリン氏はいう。「この製品を禁止しようとする立法上の動きは、過度に制限的なものだと思います。そのことが、Leda Healthを支援しようという気持ちをさらに強くしています」。

批評家たちは、同スタートアップの起業家的アプローチを貪欲な機会主義と評している。ハーバード大学ロースクール出身で、ハーバード法律ビジネス協会の共同会長を務めたこともあるRomeen Sheth(ローメン・シェス)氏のようなLeda Healthの投資家たちは、営利戦略がすでにこの分野で活動している非営利団体を補完すると考え、このスタートアップに投資してきた。これまでのところ、Leda Healthはおよそ200万ドル(約2億1770万円)を調達している。

「どの業界においても、ディスラプティブイノベーションは快く受け入れられるものではありません。既存の企業がその精神で活動を開始することはないでしょう」とシェス氏はいう。「私はユーザーを最優先する製品やサービスには前向きです【略】現状維持ではなく、前進への投資に関心を抱いています。Leda Healthは自らの精神を定義しています。その取り組みを通じて、性的トラウマやセクシャルハラスメントを抱えることが恥ずべきものでないことを示し、苦痛やトラウマが取り除かれることを願っています」。

キャンベル氏とヴァイディヤ氏はプロトタイプの開発を終え、Leda Healthではすでに、ライセンスを受けたセラピストが率いる性的暴行被害者支援グループの提供を開始している。

「現在2つのグループが活動中で、5月からはさらに5つのグループが活動を開始します」とヴァイディヤ氏は述べている。

好感を持つか否かは別として、ブロックチェーンに精通した起業家たちが、特に女性に対するサポートが著しく不足している現状に挑戦していることは紛れもない事実だ。

「報告不足、大量のキットの未処理、全般的なサポートサービスの欠如などを含む現状維持に関わる代償は、性的暴行被害者にとって大変大きいものです。Leda Healthは、革新的で低リスクのソリューションが存在することを実証しています」と投資家のDuriya Farooqui(ドゥリヤ・ファルーキ)氏は語る。「また、暴行被害者がすぐに通報しない理由の1つとして、レイプキットで証拠を収集する手続きが侵襲的に感じられ、それ自体がトラウマを助長する可能性があることが挙げられます。Leda Healthが望むのは、選択肢を提供することです」。

カテゴリー:フェムテック
タグ:Leda HealthEthereum

画像クレジット:Leigh Cuen

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)