暗号資産の分散型取引所や、レイヤー1とレイヤー2のブロックチェーンソリューション間における通信を容易にするクロスチェーンインフラストラクチャを構築しているスタートアップ企業が、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)から支援を受けることになった。
シンガポールに本社を置くRouter Protocol(ルーター・プロトコル)は米国時間12月10日、戦略的資金調達ラウンドを実施し、Coinbase Ventures、Alameda Research(アルマダ・リサーチ)、Polygon(ポリゴン)、Woodstock(ウッドストック)、Wami Capital(ワミ・キャピタル)、QCP、De-Fi Capital(ディーファイ・キャピタル)、Maple Block(メープル・ブロック)、TeraSurge Capital(テラサージ・キャピタル)、Wintermute(ウインターミュート)、Shima Capital(シマ・キャピタル)、および複数の起業家から、410万ドル(約4億7000万円)を調達したと発表した。同社は2020年のシードラウンドでも、48万5000ドル(約5500万円)を調達している。
近年、同様の問題を解決しようとするレイヤー1ブロックチェーンネットワークが急増している。これらのレイヤー1プロジェクトが支持を集めると、好みのブロックチェーンの上にレイヤー2ソリューションを構築している開発者コミュニティを引き寄せることができる。
Router Protocolの創業者兼CEOであるRamani Ramachandran(ラマニ・ラマチャンドラン)氏は、TechCrunchによるインタビューに「ブロックチェーンは都市のようなもので、無限に拡張することができますが、接続インフラを構築しない限り、誰もそこに行こうとはしません」と語った。「このようなブロックチェーンが続々と登場してきましたが、しかしそれらの間には接続性がありません。それがRouter Protocolの発端になりました」。
2020年設立されたRouter Protocolは、これらのレイヤー1ブロックチェーンネットワークの多くが今後も運営され、さらに多くのブロックチェーンネットワークが参入してくると確信している。同社が提供するサービスは、開発者が流動資産をチェーン間でシームレスに移動させることを可能にする。「おそらく約50ほどのブロックチェーンが存在し、50の異なるコミュニティと独自のエネルギーを持っています」と、ラマチャンドラン氏は語る。
「レイヤー1のスケーリングソリューション、つまりこの世界のPolygon(ポリゴン)や、Aave(アーベ)やSolana(ソラナ)のような 『Ethereum(イーサリアム)キラー』、そしてTerra(テラ)やAlgorand(アルゴランド)のようなEVM以外のプレイヤーが、さまざまな観点から登場してくるでしょう。それに加えて、この分野には豊富な資本が存在しています。これらのプレイヤーはみな、莫大な軍資金を持っています。誰も10億ドル(約1135億円)以下の話はしていません。この戦いはすぐには終わらないでしょう」。
Router Protocolが提供するも1つのサービスはDfynで、これはPolygonの上に構築されたUniswap(ユニスワップ)やPancake Swap(パンケーキ・スワップ)のような分散型取引所だ。「Dfynと呼ばれるたくさんの空港ターミナルがあって、これらのDyfnネットワークを結ぶ航空路線があるようなものです。しかし、それらは他の空港にもつながっています。それが、このモデル全体の美しさです」。
ラマチャンドラン氏は、2022年にはクロスチェーンソリューションが普及すると予想しているという。「例えば、あなたがSolanaブロックチェーン上にいて、Ethereumを売りたいと思っているけれど、Binance Smart Chain(バイナンス・スマート・チェーン)の方がはるかに良い価格が見られるとします。Routeを利用すれば、ワンクリックでBinance Smart Chainの最高値を取得し、それをあなたのネイティブブロックチェーンであるSolanaに戻すことができるのです」と同氏はいう。
現在、Router Protocolで最も利用されているユースケースはトレーディングだが、ラマチャンドラン氏は、将来的にはさらに多くのアプリケーションが登場すると予想している。「境界を越えて会話ができるようになれば、トレードだけでなく、借りたり貸したり、クロスチェーンガバナンスを行うことができます。例えば、Sushi(スシ)には15のチェーンがあり、15の異なるコミュニティが存在します。これらのチェーンでコミュニティ投票を行うには、15の異なるスナップショットを行う必要があり、まるで悪夢のようです。それを我々が解決できるのです。あるチェーンから借りて、別のチェーンで貸すことができるのです」と、同氏は語った。
Router Protocolは、今回調達した資金を製品提供の規模拡大のために投入し、また複数のセキュリティ監査に投資することも計画しているという。
「ブロックチェーン同士を効果的に通信させることは、今後のDeFiにとっての聖杯であり、Router &Dfynのチームと協力し、この問題を解決する彼らのユニークなアプローチをサポートできることをうれしく思います」と、QCP Capitalの共同創業者であるDarius Sit(ダリウス・シット)氏は、声明の中で述べている。
「我々は、多目的かつアプリケーションに特化したいくつかのブロックチェーンにまたがる将来のWeb 3.0の活動を予想しています。RouterのXCLPは、チェーンをまたいだ流動資産の流れを可能にする重要なクロスチェーン・インフラストラクチャ・ソリューションとなるでしょう。我々は、この方向性に対するRouterチームの取り組みを支援し、サポートできることに喜びを感じています」。
画像クレジット:Router Protocol
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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)