ペアプロの有無まで紹介するITエンジニア特化の人材サービス「Forkwell Jobs」運営のgroovesが2.2億円調達

TechCrunchで2年半前に紹介したエンジニア向けのソーシャルサービス「Forkwell」を手がけるgrooves(当時はforkwell事業のために新会社garbsを設立していたが、合併)が総額2億2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。既存株主の日本ベンチャーキャピタルと三井住友海上キャピタルからの第三者割当増資に加え、一部は日本政策金融公庫の資本性ローンでの調達となっている。

最近では10億円前後をエクイティで調達するスタートアップも多いが、grooves代表取締役の池見幸浩氏は、「株式を希薄化しても問題ないという起業家もいるが、僕はデット(融資などの他人資本)で資金を獲得できるならそれがいいと思っている」と語っている。実際今回の調達は日本政策金融公庫の本店(3000万円超、3億円以内の案件を担当)が担当しているとのことで、億単位でデットファイナンスを実施していると見て間違いなさそうだ。

さて前述のforkwellは登録ユーザー1万人で、109万人いると言われている日本のエンジニアの1%も取れていないのでまだまだこれからというところだが、これと連携するエンジニア採用支援サービスの「Forkwell Jobs」、中小規模の人材エージェントをクラウド化(同社は「クラウド化」と呼んでいるが、「ネットワーク化」のほうが分かりやすいかもしれない)して、最適な人材の採用を効率化する中途採用支援サービスの「クラウドエージェント」が好調だそうだ。今回の調達では、各種サービス開発に向けた人材確保などを進める。

前者のForkwell Jobsは、例えばペアプログラミングをするしないといった「コード品質への取り組み」や「使用するバージョン管理ツール」「使用するプロジェクト管理ツール」などなど、その会社の開発環境をこと細かに紹介するエンジニア特化の採用支援サービス。採用する側にもエンジニアとしての高いレベルが求められることもあって、「人材募集案件の4割はお断りしている状況」(池見氏)なのだそうだ。後者は特にエンジニアに特化しているわけではないが、複数のエージェントから最適な人材を一括で探すことができるため、ユーザーのニーズは高い。金額に関しては非公開ということだったのだけれども、すでにかなりの売上を達成して事業の黒字化を達成しているそうだ。


インフィニティ・ベンチャーズが3号ファンド設立、中国出資ではリクルートと連携

インフィニティ・ベンチャーズLLP(IVP)は11月6日、3つめのファンドとなる「Infnity e.ventures Asia III,L.P.」を設立したことを明らかにした。

ファーストクローズの金額は約3200万ドル(1ドル110円換算で約35億円)。ファンドに出資するのはリクルートホールディングス、大和証券グループ本社、サミーネットワークス、ORSO、ミクシィ、ユナイテッドなどの法人のほか、個人経営者など。IVPは2009年に1号ファンドを立ち上げているが、これにはKDDIやミクシィが出資していた。IVP共同代表パートナーの小林雅氏によると、「当時に比べて、規模の大きい事業会社において新規事業開拓のニーズが増えている」とのことで、事業会社による出資が多くなっている。

また10月に上場したばかりのリクルートホールディングスもファンドに出資するが、今後はリクルートグループで海外に特化投資に特化したコーポレートベンチャーキャピタルである「合同会社RGIP」などとも連携して中国での投資を進める。今後IVPでは海外の大口投資家なども含めて、2015年前半に1億ドル規模までファンドを拡大するとしている。

IVPはこれまで、1号ファンドからの累計調達額は約1億2800ドル(1ドル110円換算で約141億円)で、これまで国内外合わせて40社以上に投資をしている。投資金額に対して投資先のバリュエーション(評価額)は3倍だそう。小林氏にもう少し詳しい話を聞いたところ、これまでのイグジット事例として最も大きいのは1号ファンドで出資したグルーポン・ジャパン。

2012年末にクロージングした2号ファンドでは、企業名は非公開とのことだがすでに一部の株式を売却しているほか、中国で決済事業を手がけるYeahkaやアプリ解析のApp Annieをはじめとしてバリュエーションが100万ドル超の企業が4社ほどある状況。「現時点で大きなイグジイットは無いが、含み益は見えている」(小林氏)。3号ファンドでもこれまで同様に日本と中華圏での投資に注力する。


エンタプライズOpenStackのリーダーの座をねらうMirantisが$100Mの巨額を獲得

Mirantisは数年前に、当時まだ無名だったOpenStackに乗り、その後は、各年ごとに高くなるその人気の波に乗ってきた。そして今日(米国時間10/20)同社はシリーズBで1億ドルの資金を調達し、エンタプライズOpenStackのリーダーの地位を目指す旅を、これからも続けて行くことになった。それは、同社の今後の前進のための、十分な額と言えるだろう。

1億ドルはどんな企業にとっても大きいが、同社はしかもオープンソースの企業であり、それまでの二回のラウンドで計2000万ドルしか調達していない。今回のラウンドを仕切ったのはInsight Venture Partners、これにAugust Capitalおよび既存の投資家Intel Capital、WestSummit Capital、Ericsson、SAPが参加した。Insight Venture Partnersの専務Alex Crissesが、Mirantisの取締役会に加わる。

OpenStackは、IaaSを展開するためのオープンソースのプラットホームだ。4年前にRackspaceとNASAの合同プロジェクトとして始まり、IaaSのプロプライエタリな商用プロバイダAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどに対するチェック役のオープンソースプロジェクトとしてスタートした。その後順調に成長して、コミュニティとリッチなエコシステムと活気あるサプライヤーネットワークが形成された。後者にはエンタプライズソフトウェアにおける超大手たちも加わっている。

Mirantis自身は言わないが、同社はEnterprise LinuxにおけるRed Hatと同じようなリーダー的な位置を、OpenStackの世界でねらっているようだ。言い換えるとそれは、OpenStackの企業向けの顔だ。しかしエンタプライズOpenStackはHP、IBM、Cisco、それに、そう、Red Hatなどが大きなパイの分け前をねらっている市場だから、それらに伍していくためには大きな資金が必要だ。たとえば2週間前にRed Hatは、クライアント/サーバから、OpenStackをベースとするクラウドコンピューティングに軸足を移す、と発表した

しかしCEOのAdrian Ionelは競争にひるんでいない。むしろ彼は、OpenStackの世界における自社の優位性を固く信じているように見える。彼によると、OpenStackのルーツを継承して真のオープンソースを提供しているのはMirantisだけである、と。しかも彼によると同社は、OpenStackの実装と運用に関してHPやRed HatやCiscoのチームを指導している立場である。“彼らが好打者だとは思わないが、体がでかいことは確かだね”、と彼は皮肉っぽく言っている。

Ionelは、Mirantisが唯一の本物のOpenStackベンダだ、と自負している。同社よりもさらに本物があるとすれば、オープンソースのソースコード本体、それだけだ、と彼は言う。そして彼によると、多くの顧客は特定のベンダの特定のアーキテクチャに閉じ込められることよりも、ピュアな実装を望んでいる。大手ベンダを選べば、必ずプロプライエタリなものがくっついてくる、と彼は警告する。

Ionelによると、同社は大きな展開で実際にテストされた唯一のOpenStack実装系であり、136社の顧客の中にはWells FargoやOrange、DirectTV、Ericssonなどの有名企業もいる。EficssonはMirantisに投資もしている。彼によると、今回の大きな資金が得られたのは、投資家たちも同社の今後の長寿を信じているからだ。“うちもいずれ、VMwareぐらいのサイズの会社になるだろうね”、と彼は言っている。昨年の月商は100万ドルだったが、今では週の売上が100万だ。つまり、文字通りの急成長である。投資家たちが飛びつくのも、当然かもしれない。2016年にはIPOを検討したい、とも言っている。

そもそもMirantisは、やったことのすべてをオープンソースとしてOpenStackプロジェクトへ還元しているし、またOpenStack本体のアップデート等に100名あまりの技術者を提供している。今社員数が600名で、420名が技術者だから、その中の100名提供は、すごい。

そしてもちろん、今回得た1億ドルは人員増にも使われる。Ionelは、もし資金が得られなかったとしても、エンタプライズOpenStackのリーダーを目指す道を進むことは変わらない、と言っている。お金は、あるにこしたことはないが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


位置情報ベースのモバイル広告を展開するAdNearが1900万ドルを調達–国内からはグローバル・ブレインが出資

グローバル・ブレインは10月15日、同社が運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を通じて、シンガポールおよびインド・バンガロールに拠点を置くAdNear Pte. Ltd.への出資を実施したと発表した。Adnearはスマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォームを提供している。

グローバル・ブレインの投資額は非開示。今回のラウンドでAdNearは、オーストラリア最大の通信事業者であるTelstraのほか、既存株主のSequoia Capital、Canaan Partnersからも資金を調達。その総額は1900万ドルとなっている。日本ではあまり知られていないAdNearだが、同社は2012年にインドでスタート。同年にはSequoia Capital とCanaan Partnersから630万ドルの資金を調達している。

同社が手がけるのは、スマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォーム。スマートフォンの位置情報をもとにユーザーの職業や年収、趣味・趣向などを推定し、特定の属性に限定して広告を配信したり、ジオフェンスを用いた広告配信(地図上に仮想的な境界線を設定して、そのエリア内に入ったユーザーに対して広告を配信する)をしたりしている。

Adnearの発表によると、同社では現在5億3000万人のユーザープロファイルを保有しているそうだ。特定の時間毎に位置情報を取得することでユーザーの属性を推定するのが特徴で、すごく大ざっぱに言えば、例えば朝は住宅地にいて、平日昼間は大学のエリアにいる、週末には住宅地や都心部にいるようなユーザーであれば「週末は都心部で遊ぶこともある大学生」だと判断するというような仕組みだそうで、20日もあればかなり精度の高いプロファイルがつくられるのだそうだ。

事業を展開するのはアジア太平洋地域。これまでにP&GやAudi、Unilever、BMW、Vodafoneなどのグローバル企業や、トヨタ自動車、ソニーなどの日本企業がクライアントになっているという。グローバル・ブレインでは今後、AdNearの日本進出支援も進めるとしている。


スペースマーケット、CAVとみずほキャピタルから約1億円の資金を調達

TechCrunchでもローンチ時からご紹介しているスペースマーケット。最近ではInfinity Venture Pertnersが主催するIVS(Infinity Ventures Summit)のLaunchpadで準優勝、B Dash Venturesが主催するB Dash Campのピッチアリーナで優勝、サイバーエージェント・ベンチャーズ主催のRising Expo 2014でも優勝。さらには僕も運営を少しだけお手伝いしているSkyland VenturesとトーマツベンチャーサポートのイベントであるStartup Pressでも、ジャーナリストの田原総一郎氏が最優秀プレゼンとして選出するなど、国内で開催されるスタートアップのプレゼンコンテストを席巻している。

そんなスペースマーケットが、10月14日サイバーエージェント・ベンチャーズとみずほキャピタルを割当先とした総額約1億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達をもとに経営基盤の強化を図るとともに、サービスの本格展開に向けて採用を強化していくという。

スペースマーケットでは現在800のスペースを取り扱っているそうだ。最近では東京・新宿のスタジオアルタ、東京都の猿島(同社いわく「初の“島”物件」とのこと)、帆船なども利用できるようになっている。現在もインターン、社員含めて積極的な営業で利用スペースの拡大を進めている。

またシナジーのある事業者と提携を進めているという。一例だが、会社のミーティングのためにスペースを借りたのであれば弁当やケータリングが必要になるが、これをスペースとあわせて予約できるようなサービスを目指すのだそうだ。スペースマーケットではすでに複数社と提携に向けて話をしているとのことで、年内にもサービスが始まる予定だ。


Dockerアプリケーションの運用管理を助ける視覚化ツールStackEngineが$1Mを調達

今日(米国時間10/1)100万ドルのシード資金を獲得してステルスを脱したテキサス州オースチンのStackEngineのプロダクトは、企業のITスタッフなど、dev(開発)よりもむしろops(運用, operation)側の人たちにDockerのコンテナを管理する方法を提供し、Dockerのインスタンスをコントロールする能力の一部をオペレーション側に与える。

同社のファウンダBob QuillinとEric Andersonは、CopperEggやHyper9、VMwareなどでオペレーションサイドにいた人たちだが、そんな彼らにも、急速に人気を拡大しているDockerは気になる存在だった。先月Dockerは4000万ドルの資金を獲得して、デベロッパたちの関心がなお一層高まっていた。

簡単に言うとDockerは、アプリケーションのためのLinuxコンテナを作る方法を提供するオープンソースのプロジェクトだ。アプリケーションが単一のサーバ上の一枚岩的なアプリケーションではなく、複数のサーバに分散するようになると、そういう現代的なアプリケーションをより効率的に展開しアップデートするための方法が必要になる。Dockerはまさにそれを、デベロッパに与える。

デベロッパが望むとおりの構造と機能を持つDockerは、デベロッパたちのあいだで、たちまち人気者になった。しかしStackEngineの協同ファウンダQuillinが指摘するように、その人気には、Dockerのコンテナを管理するオペレーションスタッフのための管理ツールの、開発が伴っていなかった。そんなギャップを機会としてとらえたのが、StackEngineだ。

“デベロッパたちがDockerを抱えて前進するための重要な活動はいろいろ行われていたが、現代的な管理をサポートするツールやソリューションがなかった”、とQuillinは説明する。

アドミンのためのツールとしてはPuppetやChef、そのほかのオープンソースのソリューションなどをつぎはぎして間に合わせる方法はあった。しかしDockerに関しては、何百何千ものDockerのインスタンスから成る大規模なアプリケーションの運用を管理できるほどの、高度な商用のソリューションがなかった。StackEngineは、それをねらった。

彼らは、オペレーションサイドがDockerの管理をすぐに理解できて、コンテナがVMwareの仮想マシン群や複数の(ベンダや場所の異なる)クラウドに分散している場合でも、もっとも効率の良い分散状態を実現して、それらの日常管理を自動化できるツールを作ろう、と思い立った。

StackEngineを使うと、スクリプトを書いてコンテナの始動、停止、移動などができるし、コンテナのホストや個々のコンテナに関する情報を視覚化できる。特定の情報だけをフィルタして見るのも、ワンクリックでできる。名前を指定して個々のホストやコンテナを検索できる。コンテナを複数のクラウドや仮想マシンのどこへでも配置して、動かすことができる。

プロダクトは現状でまだアルファだが、来月には公開ベータ、そして年内には一般公開にこぎつけるつもりだ。過去数か月、自己資金だけでやってきたが、Silverton PartnersやLiveOak Venture Partnersから100万ドルを調達できた今は、開発のピッチを早められそうだ。

かねてからDockerの周辺では、さまざまなツールの開発が行われているが、同社のように、すでに実働しているコンテナアプリケーションの、運用レベルの管理に特化したツールは珍しい。もちろん今では他社も同様のことをやっていると思われるが、こうやっていろんな企業が寄ってたかって、いろんなツールをすぐに作っていけるのも、オープンソースの大きな魅力とメリットの一つだ。DockerとStackEngineの例が、まさにそうであるように。

写真クレジット: (c) Can Stock Photo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マーク・アンドリーセン、スタートアップのバーンレートが過大と18回連続ツイートで警告

シリコンバレー最有力のベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitzの共同ファウンダー、マーク・アンドリーセンは得意の連続ツイートでスタートアップのバーンレート〔ベンチャーキャピタルから投資された資金をスタートアップが支出する速さ〕が過大だと強く警告した。先週、ベンチャーキャピタリストのBill Gurleyがした発言に同意して、アンドリーセンは「自分も憂慮している」と述べた。

ツイートでアンドリーセンは「スタートアップはぴかぴかのオフィスや大量の採用などに金を使いすぎている。これらは成功の見掛けを与えるだけで、砂上の楼閣だ」と厳しく批判した。アンドリーセンは(名前こそ挙げなかったものの)こうしたスタートアップはやがて「泡と消える」と断言した。

アンドリーセンは連続18ツイートを「憂慮している」と締めくくった。

〔日本版:アンドリーセンのオリジナル・ツイートは原文参照。現在もTwitter上で活発な議論が続いている。アンドリーセンが高いバーンレートを批判する理由は数多いが、その一つは安易な人員採用の弊害だ。「すべての問題を新たな採用で解決する安易な態度を生む、採用するのは簡単だがレイオフするのは難しい、社員が増えれば内部コミュニケーションが煩雑になり意思決定が遅くなる」などの点を挙げている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


DockerがシリーズCで$40Mを調達、実際に使うのは来年再来年という絶好調の余裕

今ホットなDockerは、どれぐらいホットなのか? あまりにもホットなので、VCたちは同社が今使う予定のない資金までも、あげちゃうのだ。今日(米国時間9/16)同社が発表した4000万ドルの資金調達も、CEOのBen Golubによると、その金に手を付けるのは早くて来年の終わりごろだそうだ。

というか、細身で経営効率の高い同社は、今年の初めに獲得した1500万ドルがまだ十分に残っているのだが、でも、くれるというものは断らない主義なのだ。Golubによると、今回の投資によって市場は、同社の安定性と今後の長寿を理解したはずだ、という。

“これを使うのは来年遅くか、または再来年の初めだ。でも手元にこれだけあれば、今年中に思い切ってスケールできるし、市場には、あせって会社を売るつもりはない、という信号を伝えることができる”、と彼は説明する。資金の使い方にも、長期的な視点で臨む、ということだ。

彼曰く、“本物の起業家なら誰でも、最後まで自分でやるつもりで会社を作る。うちは、コミュニティからも投資家からも社員からもしっかりした支持と支援があるから、完全に自力で会社を育てることができる。投資家たちも早めの出口を望んでいない。彼らも、会社の中身をしっかり作っていくことに関心がある”。

同社が資金の賢い使い方をできる理由の一つは、経営がリーン(lean, 痩身, 無駄がなく引き締まっている)であることだ。営業やマーケティングはパートナーたちがやってくれるし、しかも彼らのやることを完全に信頼できる。開発の主力もコミュニティにあり、今やコントリビュータの数が600名に達している。さらに同社のアプリケーションストアにはDockerをラップするアプリケーションが35000本あり、それらの豊富なツールがコアプロダクトを一層充実させている。

こういうコミュニティ依存のやり方ではコントロールが行き届かないことをGolubも認めるが、それでも短所よりは長所の方がずっと大きい。結果について議論するのは、まだ早すぎる。“ある意味でうちは、パートナー営業とコミュニティ開発というモデルの正しい形とその成功事例を作り、そのやり方のリーダーにならなければならない。オープンソースの世界では何もかも自分でコントロールすることはありえないが、でもコミュニティの多様性と圧倒的なパワーが持つメリットは、完全なコントロールができないという小さなデメリットを大きく上回っている”、と彼は説明する。

Docker本体に関しては同社が全コードの80%を作り、筆頭メンテナの役を担っているが、コミュニティがそれに高い付加価値をつけ、また同社の中核的なデベロッパに対して現用チェックを提供している。多用な利用現場からのチェックだから、同社のデベロッパたちがひとりよがりになることが、防がれているのだ。

Golumによると、会社の方向性に対してコミュニティから異議が出たときは、間違っているのはだいたい会社の方だ、という。彼によると、コミュニティは企業内ではやれないようなエッジケース(未実証最先端ケース)にも取り組める。同社の技術者は最小限の数しか確保していないから、社内ではできないほどの大きなスケールでのテストも、コミュニティならできる。

今回のシリーズCのラウンドはSequoia Capitalがリードし、これにBenchmark Capital、Greylock Partners、Insight Ventures、Trinity Ventures、Yahoo!のファウンダJerry Yangらが参加した。Dockerの累積調達額は6500万ドルに達する。Dockerの前身であるdotCloudは、8月にcloudControlに売った

Dockerが作っているのは、現代的なアプリケーションのためのデリバリコンテナだ。Golubが指摘したように、5年前までは、一枚岩的で一台のサーバの上で動くアプリケーションが長年支配していた。しかし今では、それが完全に変わっている。アプリケーションは複数の部位で構成され、それらが多くのサーバに分散し、サーバの所在も頻繁に変化する。Dockerのコンテナは、そういうアプリケーションの各部位を“ドックに収容する”という意味であり、デベロッパたちがそのような分散アプリケーションを作って展開するのに適したツールだ。

Golubによると、それはデベロッパがデベロッパのために作ったプロダクトであり、そのモデルがこれまでのところ効果を発揮している。ユーザとデベロッパがそれぞれ別集団でないこのやり方は、Dockerの現状を見ても、確かに有効なようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


これまでになかったのが不思議―150万ドルを調達したEnvoyはiPadの来客入館管理アプリ

会社を訪問するとロビーの受付で来客簿に記入して担当者を呼んでもらう。このプロセスにイノベーションが必要だとは誰も思いつかなかった―Envoyの登場までは。

Googleで4年、Twitterで3年、インフラのエンジニアとして働いた後でLarry Gadeaは昨年11月にEnvoyを創業した。これはiPadベースの来客入館管理システムだ。Twitterを辞めた後、Gadeaは他のテクノロジー企業に勤める友人を頻繁に訪問するうちにこのアイディアを得たのだという。

Airbnbに行くと古臭いクリップボードに名前を書くようになっていたが、GoogleとAppleには自前の入館管理システムがあった。「GoogleとAppleはさすがだな」とGadeaは感心した。「しかし待てよ。どうしてAirbnbには専用システムがないのだ? それにAppleとGoogleがわざわざ人手を割いて本業とは関係ないシステムを開発したということは、入館管理というのはよほど重要な業務なのだろう」とGadeaは気づいたという。

そこでGadeaは4人の仲間(Teng Siong Ong,、Ben Angel,、Kamal MahyuddinWells Riley)を集めて来客管理システムの開発にとりかかった。最初のアプリは昨年App Storeに登録され、19.99ドルの売り切り方式で販売された。今回EnvoyはビジネスモデルをSaaSに改め、一建物当たり99ドルのベーシック・コース、249ドルのプレミミアム・コース、 499ドルのエンタープライズ・コースが用意された。本日からサービスが一般公開され、受付が開始されている。

べーシック・コースは、NDA(秘密保持契約)への署名、入館証の印刷、来客の顔写真入りでSMSとメールによる面会相手への通知、などの機能が用意されており、来客人数無制限だ。

もちろん、タブレットにはSign In for iPadやReception for iPadなどの来訪者管理アプリが存在する。しかしGadeaは「そういうアプリもあるが、入館管理専門に真剣に取り組んでいるのはわれわれだけだ」と自信を見せる。

現在、来客管理アプリではHID GlobalのEasyLobbyが有力だが、Envoyはロビー受付のハードウェアにiPadを用い、洗練されたUIを提供することで対抗していく考えだ。

GadeaはEnvoyをCRMとビッグデータ収集の分野にも拡張していく野心を抱いている。これにはシード資金を投資したのがMarc Benioffであることも影響しているかもしれない。EnvoyはBenioffに加えてAdam D’AngeloJeremy StoppelmanRazmig HovaghimianYishan WongHarj TaggarAlexis OhanianGarry TanBlake Krikorianemil Shah、 Tobi Lutke、Yun-Fang JuanBobby GoodlatteKent LiuTammy NamJavier Olivan、Ali Rosenthalから総額150万ドルのシード資金を調達している。

Gadeaは「受付担当者がいない、あるいは人数10人以下の会社は当面ターゲットにならない。また病院やクリニックの受付はHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠する必要があるため、今後の課題となる」と述べた。

Envoyには現在250社の有料顧客があり、黒字化間近だという。顧客には200人の社員を擁する産業用大容量送風ファンのメーカー、Big Ass Fansも含まれている。サービスのローンチ当初はこのBig Ass Fansが最大のユーザーだったという。現在、Envoyのユーザー企業のうち30%はハイテク関連以外だ。「われわれのユーザーには石油精製、教会、金融機関、学校、工場、倉庫、なんでもありだ」Gadeaは自慢する。

「入館管理のようなサイドプロジェクトにリソースを割いて内製するよりもEnvoyのようなこの分野専門に真剣に取り組んでいる会社のシステムを利用するほうが得策と考えた」とBoxのシステムエンジニアのJohn Allenはいう。BoxもEnvoyのファンだ。.

テクノロジー系企業では他にLyft、Pixar、Jawbone、Yelp、PalantirがEnvoyを利用している。そしてとうとうAirbnbもユーザーに加わった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


縁の下の力持ちでいい–DeNA原田氏が描くベンチャー投資戦略

ソーシャルゲームのプラットフォーマーとして君臨していたディー・エヌ・エー(DeNA)。2013年3月期までは好調な売上を達成した同社だが、直近の決算発表ではゲーム事業の売上減が続いている。だがそれを甘んじて受け入れる同社ではない。急ピッチでゲームの次の柱となる事業を模索している。8月6日の決算でも、新事業や投資についての説明があった。

同社では遺伝子検査の「MYCODE」や電子コミックの「マンガボックス」、動画ストリーミングの「SHOWROOM」といった事業を展開。また一方では、事業シナジーを狙ったベンチャー投資にも積極的な姿勢を見せている。2014年1月には社内に戦略投資推進室を設置。その動きをさらに加速させている。

DeNAのコーポレートサイトで開示しているのはゲーム動画共有プラットフォームを手がける米Kamcordやカップル向けアプリ「Between」を開発する韓国VCNCだけだが、クラウドソーシングサービス「Any+Times」のエニタイムズ、中高生向けIT教育のライフイズテック、駐車場の持ち主と一時利用者のマッチングサービス「あきっぱ」を手がけるギャラクシーエージェンシー、鮮魚流通サービス「八面六臂」の八面六臂、バイラルメディア「CuRAZY」のLAUGH TECHなどさまざまなスタートアップに出資しているのが分かる。

同社の投資事業について、元ミクシィ取締役であり現在DeNA戦略投資推進室 室長を務める原田明典氏に聞いた。

–改めてDeNAの投資スタンスを教えて下さい。

原田氏(以下敬省略):戦略投資なので、事業シナジーがベースになります。ですがDeNAもある意味ではまだまだベンチャー。次のコアとなる新事業を作り続けています。

そのため、戦略投資といってもゲーム事業とのシナジーだけを考えてやるわけではありません。ヘルスケアやマンガなどの領域でも投資をやっていきます。基本的には「ネットかつコンシューマー向けのモノ全部」です。マイナー投資をやる場合もあれば、マジョリティーを取る場合もあります。ケースバイケースです。

立ち上げをサポートするような投資もやりますし、ユーザー規模がある程度大きくなって、DeNAでサポートできることが見えてきたものにも投資します。VCNCやKamcordのように、すでに比較的ユーザーも多くなっているサービスのビジネスをどう成長させるかということも支援しています。

DeNAでは自社でもさまざまな分野の新事業を手がけています。そこ(新事業の方針)に乗っ取ったサービスであればM&Aもあり得ると思っています。ただし、M&Aに関しては、戦略投資推進室を設置した1月からの実績は今のところありません。

–投資する事業領域についてはどうお考えですか。

原田:内部的にはいろいろと(目標を)持っているのですが、詳細は社外に公表していません。大きくはプラットフォームやコミュニケーション、リアル産業変革という領域になります。

こう言ってしまうと「何でもアリ」というように聞こえてしまうかも知れませんが、モバイルやスマートフォンの登場によってチェンジするもの、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアの普及後だからこそ成立するバリューに投資したいと考えています。

例えばPinterestやInstagramといった画像SNSはまだ日本ではそこまで普及していません。ここで海外で流行しているのと同様のサービスを持ってきてもはやりません。スマートフォンがはやっていないときにメッセージングサービスを持ってきても成功は難しい。環境の変化を見て、今から旬になるものを考えています。それで今の旬が何かというのは今は話せないのですが。

–ポートフォリオは一部しか公開していません。これまでの投資件数や投資額について教えて下さい。

原田:契約、入金前の段階の会社も含めて国内外で20〜30社というところです。ほぼ毎週ペースで投資の意思決定を実施しています。投資先が公開せず、DeNAの業績への影響が軽微なものについては、ステルスで(発表せずに)投資しています。前述の通り規模感はいろいろあるので、小さい金額であれば数カ月のデューデリジェンスをして……というのではなく、素早く関係構築するようにしています。投資額はアーリーステージで1000万円程度からです。大きい案件になると当然交渉もありますので、今後に期待頂ければと思います。

ベンチャー投資で重要なのは起業家のマインドです。我々は事業とチームの相性がよければ投資したいと思いますが、一方で投資を受ける側がファイナンスについてどう考えているかというとさまざまなケースがあります。投資についても今日明日で考え方が変わることがあります。なので先方の状況に合わせていかに対応できるか、柔軟さを維持できるようにしています。M&Aも同じです。ジャンルによってはスタートアップとしてやるより、(M&Aして)マスプロモーションやマーケティングで勝負する方がいいこともあります。

最近はスタートアップがマスに出て勝負するまでのリードタイムが短くなっている傾向にありますし、そういうところでバトンタッチ先を探している場合もあります。DeNAには社内のリソースもありますし、グロースステージの支援をするのは得意です。

–投資先がVCではなくDeNAに資金を求める理由をどうお考えですか。

原田:海外のプレーヤーは分かりやすいですね。彼らは日本やアジアに参入したいというニーズがあります。先日もKamcordは国内でゲームデベロッパー向けに勉強会を開催しましたが、資料1つとっても(自分たちだけで)日本向けに作るのは難しい。またBetweenのVCNCも国内のマーケットを分からないところがありました。例えばデザイン1つとっても、韓国は「かわいい系」でシリコンバレーは「クール系」が主流。日本はその中間といった国ごとのトーンがあります。そこでUIやデザインのトーンをチューニングするお手伝いなどもしています。

自社の新事業であるマンガボックスやMYCODEは、初期投資も大きく、スタートアップとは違う戦い方をしています。同様にこれまでプロダクトで勝負してきて、(マーケティングなどで)ぐっとスケールするときにお声がけ頂けると我々も支援しやすいと思っています。

一方で「これから起業する」という方もいます。そういう場合、インキュベイトファンドや川田さん(DeNA創業者の川田尚吾氏でエンジェル投資家)などのインキュベーターを紹介して、共同で投資することが多いです。例えばですが、創業期のオフィスを選ぶ場合であっても、「渋谷駅から南東50mくらい、築30年の物件の坪単価」といった具体的な情報を彼らは理解してています。

キャリアなんかもグロースステージの支援をすると言っていますが、私もキャリアに居た経験から(筆者注:原田氏はNTTの出身だ)すると、ネットベンチャーに対してキャリアができることは限られてきています。2005年頃にはもう公式サイトからのリンク、i-modeの規制緩和といったことしかできなくなっていました。あとはいかに料金を下げるかでしょうか。キャリアが手伝えることは世界的に減ってきています。なので、こういう(DeNAのような)クラスのネット企業が支援すれば、かつてのキャリアのように貢献できることがあるのではないでしょうか。

また、どれだけ「縁の下(の力持ち)」になるかがポイントになると思っています。DeNAが投資することがマイナスにならないように考えて、あまり前に出ないようにしています。例ですが、(ジャニーズ事務所の創業者である)ジャニー喜多川さんなどはメディアには出ず、徹底してタレントを輝かせていますよね。私も表に出てパフォーマンスをするのは違うと思っていますし、得意ではありません。

タレントプロダクションの話をしたので続けますが、実はプロダクションに学ぶことはいろいろあります。例えば楽曲提供1つとっても「このチームだからこのプロダクトだった」ということをよく考えていますよね。Snapchatだってスタンフォードの学生がやっていなければここまではやらなかったのではないでしょうか。私が「週末起業で作りました」といって提供していたら、「サラリーマンのチャットなんて使いたくない」となっていたかも知れません。どういうタレントがどういう事業をやるかを考えるのは重要ですよね。

–DeNAではどういう起業家やチームを求めているのでしょうか。

原田:人と事業との組み合わせで投資をします。日本にない事業、フロンティアタイプの事業であれば、右脳的なセンスというか直感的なセンスが必要で、エグゼキューション(実行、実現)力はその次です。

一方でそこそこ市場が見えていて、フォロワー戦略でも勝てる、実行力勝負をするという場合、エグゼキューション力が大事になります。そうなるとリードしている人と事業の相性、事業のフェーズというところを見ます。

例えばGunosyの木村さん(木村新司氏)やFablicの堀井さん(堀井翔太氏)、笠原さん(ミクシィ創業者の笠原健治氏)などもそうですし、DeNAの投資先で言うとVCNCのジェウク(パク・ジェウク氏)は学習力と実行力があります。プロダクトファーストではありますが、カカオトークなど競合サービスからもよく学習しています。このあとはマーケティング勝負です。スタートアップにはプロダクト勝負でいけるフェーズと、(競合が追いついてきて)プロダクト勝負ではなくマーケティング勝負になるフェーズがあります。ここで彼らがギアチェンジできれば、チームとして面白くなるでしょう。

–投資している地域について教えて下さい。

原田:(日本のほかは)ベイエリアが中心になります。USでの投資には、リサーチの目的もあります。単純にグロースしている会社をM&Aすると1、2ビリオンドルになるので、“ヘビー級の勝負”をするのはこれからですね。

米国を担当するのは、元カカクコムの安田(安田幹広氏)です。実は守安(DeNA代表取締役社長の守安功氏)と安田と私の元COOトリオで投資事業をやっています(筆者注:守安氏はDeNA、安田氏はカカクコム、原田氏はミクシィでそれぞれCOOを務めていた時期があった)。投資対象としては、自分たちで作れない、かなわないというようなサービスを見ています。安田はコマースが得意ですし、ソーシャルであれば僕、ゲームだと守安というように分担しています。

–投資は別として、原田さんが一番興味を持っているテーマを教えて下さい。

原田:シェア、シェアリングエコノミーです。地球の資源は有限で、それをなるべく共有化するものが一番興味あります。

コミュニケーションサービスをやっている中でシェアという概念に出会いました。ITよりもっとリアルな——既存の産業の中で——共有によって変わっていくものごとに興味を持っています。

最近ではIoTというテーマもよく挙がりますが、私は(世の中と)少し考えが違っていて、「いかにモノを最小化にとどめるか」ということこそがIoTなのだと思っています。専用機を増やすのではなくて、「これだけ最低限あればいいよね」というものを提供するということです。

IoTのバックボーンにIoL(Internet of Legacy)という考えがあると思っています。レガシー産業の専用機なんかもう必要ないのではないでしょうか。例えば駐車場で(発券したり、車をロックするような)専用機は必要ありません。投資先のあきっぱのようなサービスがあればいいでしょう。リクルートやSquareが手がけるレジサービスもPOSや専用機を必要としません。彼らはハードウェアをミニマイズしています。


スマートニュースがグリー、Atomico、ミクシィなどから約36億円の資金調達

ニュースリーダーアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースは8月8日、グリー、外資系ベンチャーキャピタルのAtomicoをリードインベスターとした総額約36億円の資金調達を実施したことを明らかにした。出資比率などは非公開。引受先はグリーとAtomicoのほか、ミクシィ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、エンジェル投資家のWilliam Lohse氏(米Ziff-Davis Publishing元President)、川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、その他となっている。

ニュースリーダーアプリと言えば、「Gunosy」を提供するグノシーが、直近(3月、6月)にKDDIなどから合計24億円の資金調達を実施したことを明らかにしており、テレビCMを含めた大々的なマーケティングを展開。テレビCMによると、現在450万ダウンロードを突破しているという。またグライダーアソシエイツの「Antenna」もテレビCMや交通広告を展開している。それ以外にも、LINEの「LINE NEWS」やユーザベースの「NewsPicks」、JX通信社の「Vingow」などさまざまなサービスが提供されており、その覇権争いも激化している。

スマートニュースも7月末に400万ダウンロードという実績を発表しており、8月からはテレビCMを展開している。広告代理店関係者から6月に「資金調達すればすぐにもテレビCMを作成することになるだろう」といった話を聞いていたし、7月には複数の関係者から「すでに一部の資金が着金して、テレビCMの制作に入った」という噂も聞くことがあった。スマートニュースはバリュエーション(評価額)を公開していないが、200億円超のバリュエーションで資金調達を進めていたとの噂もある。

AtomicoはSkype創業者であるニクラス・ゼンストロームが手がけるベンチャーキャピタル。日本拠点では、元Skype日本代表の岩田真一氏が投資や投資先のビジネスマッチングなどを手がけている。ソフトバンクとガンホー・オンライン・エンターテイメントによるフィンランドのゲーム開発会社Supercellの買収のアレンジなども手がけている。この出資をきっかけに世界進出を進める。またグリーとはゲーム等の事業で、ミクシィとはネイティブ広告ネットワーク分野での業務提携を行うとしている。かつては国産SNSの競合とも言われたグリーとミクシィが1社に出資するのは、芸者東京エンターテインメント以来となるはずだ。

なお、スマートニュース創業メンバーであり、取締役を務めていた鈴木健氏が6月18日付けで共同代表に就任している。TechCrunchではこのあと鈴木氏らスマートニュースのメンバーに取材をする予定だ。


クラウドワークスがリクルートを割当先とした第三者割当増資–理由は資金ニーズより事業シナジー

クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスは8月8日、リクルートホールディングスの投資子会社である合同会社RSPファンド5号を割当先とする第三者割当増資を実施した。金額は非公開だが、数千万円程度と見られる。

同社はこれまでサイバーエージェント、電通といった事業会社のほか、ベンチャーキャピタルなどから約14億円を調達している。今回の調達は資金ニーズありきの資金調達というよりは、事業シナジーを狙ったもののようだ。

クラウドワークスは2014年7月までに会員登録数19万8000人。累計約3万6000社が発注。登録された仕事の予算総額は142億5000万円を突破。月間契約額も増加しているという。

クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏によると、今回の増資を契機にリクルートグループ全体でのクラウドワークスの利用を促していくという。あわせて、クラウドソーシングを活用したリクルートグループの新規事業も検討する予定だ。

ところでリクルートグループと言えば、2013年にオーストラリアのクラウドソーシングサービス「Freelancer.com」のM&Aに関する話題があった。今回の資金調達をきっかけにクラウドワークスがリクルートへのバイアウトを狙っているか吉田氏に尋ねたところ、「原則はIPOを目指す。ただし、リクルートとのシナジーを考えると、資本提携の比率を増やすといった選択肢は考えられる。だが100%のM&Aについては現段階ではあり得ない」ということだった。


中高生向けIT教育のライフイズテックが3.1億円を調達–リクルートやDeNA、キッザニアとの協業も

中高生向けのプログラミングキャンプ「Life is Tech!」を展開するライフイズテックが8月4日、総額約3.1億円の資金調達を実施したことをあきらかにした。引受先はジャフコやEast Ventures、Mistletoe(孫泰蔵氏の投資会社)といったベンチャーキャピタルや個人投資家のほか、キッザニアを運営するKCJ GROUPやディー・エヌ・エー、リクルートホールディングスといった事業会社が名を連ねる。

Life is Tech!は、春休みや夏休みの3〜8日間を利用した短期集中型の「キャンプ」、1年間毎週通学して学ぶ「スクール」、インターネットを通して学ぶ「オンライン」の3つの形態で、スマートフォンアプリの開発や動画制作などを学ぶプログラムを運営している。これまでの5000人の中高生がプログラムに参加しており、今夏のプログラムにも約1300人が参加する予定。ちなみに参加者の約8割がパソコンやスマートフォンをほとんど触ったことがない初心者なのだそう。また全体の約4割がリピートして再びプログラムに参加するという。そしてさらに驚くのは、すでにここから2人の学生起業家が生まれているということだ(もちろん実績としてはこれからだけれども)。

同社はこれまでにサイバーエージェントから出資を受けており、小学生向けプログラミング教育事業を展開するジョイントベンチャーのCA Tech Kids社も2013年5月に共同で設立している。

日本のIT教育を全部やっていきたい

ライフイズテック代表取締役社長の水野雄介氏

これまでもLife is Tech!や受託でのプログラミング教育イベントの運営などを展開してきたライフイズテックだが、代表取締役社長の水野雄介氏は、「Life is Techだけでなく、日本のIT教育を全部やっていきたいと思った」と調達の意図について語る。同社が今回の調達で重視したのは協業。そのため、引受先にはVCに加えて複数の事業会社の名が連なる。KCJ GROUPとは、中高生向けのアントレプレナーシップ教育プログラムを展開する予定であるほか、DeNAやリクルートでもそれぞれ新事業について検討中だという。

協業に加えて、オンライン教育の強化やグローバル展開(すでにシンガポールで一度Life is Tech!を開催しているそうで、10月には現地法人を設立する)、学習管理システムの開発および販売なども進める。また、「Life is Tech! Stars」と題して、プログラム卒業生の起業家やAO入試合格者などを紹介しているのだが、将来的には卒業生への投資を含めた支援を検討しているという。「ITの世界でヒーローを生み出す仕組みを作りたい」(水野氏)。「IT教育全部」と聞くと最初はちょっと大げさとも思ったのだけれど、すでに東南アジアではすでにプログラム開催の打診を複数受けていたり、ニーズは明確に感じているそうだ。

ちなみに水野氏、慶応義塾大学大学院在学中に、2年間高校の物理非常勤講師を勤めたのち、人材コンサルティングに務めていた経験を持つ。学校教育から抜け出して、自身で教育のあり方を模索する中でLife is Tech!のプログラムにたどり着いたそうだ。

スタッフ育成、紹介も事業の柱に

実は今回の取材は、Life is Techのプログラムが開催されていた東京大学の中で行っている。そのため水野氏に話を聞く前に、プログラムの様子を見ていたのだけれど、これが非常に活気があるものだった。ある中学1年生の男の子は、前回「席替え」のためのくじ引きアプリを作っていたそうだが、現在はサーバサイドと連携した、ノートや写真の共有アプリを作っていた。もちろん今すぐこのアプリがヒットするかどうかは別の話だが、ここまで手がけられるものかと驚かされた。

また、プログラムでは4〜5人の中学生に対して1人の大学生がスタッフとして付いて指導を行っていたのだけれど、すでにこのスタッフの競争率は3倍(年間100人ほど採用するとのこと)になっているのだそうだ。そしてスタッフに採用されると60時間の研修を受ける必要があるとのことで、クオリティ管理には徹底している。そのためスタッフの学生に興味を持つ企業も多く、新卒としてスタッフの大学生を企業に紹介するといったケースもあるという。


女性特化型の会員制転職サービス「LiB」運営会社がCAVとEastから7000万円を調達

女性特化型の会員制転職サービス「LiB」を運営するLiBは7月17日、サイバーエージェント・ベンチャーズおよびEast Venturesを割当先とした、総額7000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。調達した資金をもとに人材確保やサービスの開発を進める。

LiBは年収400万円以上の女性に特化した転職支援サービス。5月にサービスを開始しており、現在の20代後半から30代前半の女性を中心に3000人以上の会員が登録している。ユーザーの登録や利用は無料だが、今後は有料化ないし有料オプションの提供も検討しているという。

会員登録の際に、仕事でのキャリアを重視する「キャリアアップモード」と、生活と仕事のバランスを重視する「ワークライフバランスモード」の2つの働き方を選択できるのが特徴。働き方にあわせて、提携するエージェントが会員に仕事を紹介する。基本的に紹介するのはフルタイム・正社員のみ。業界はコンサルティングから金融、人材、広告と幅広いそうだ。将来的にはダイレクトリクルーティング(採用したい企業側から会員に対して声を掛けるリクルーティング)の仕組みも導入していく。

会社は4月に登記したばかり。代表取締役の松本洋介氏はトレンダーズの出身で、他の創業メンバーもこれまで人材ビジネスに携わっていた人物が中心になっているという。

会員制転職サービスを展開するビズリーチも5月に女性特化の「ビズリーチ・ウーマン」を開始したばかり。こちらはビズリーチ同様にダイレクトリクルーティング、かつ幹部候補などハイクラス人材が中心になるのに対して、LiBでは、ミドルクラスの人材が中心になると説明している。

LiBではまた、資金調達にあわせてリサーチ部門の「LiB総研」を設立。会員のハイキャリア女性を対象にした調査レポートを作成するほか、企業向けの勉強会なども開催していく予定。


バイラルメディアCuRAZY運営会社が1億円調達、独自コンテンツ制作に注力


思わず友人にシェアしたくなるような、バズを生みやすい動画や画像、まとめなどを中心にコンテンツをキュレーションして提供し、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアでの拡散を狙うブログメディアである「バイラルメディア」が国内で急増している。米国ではBuzzFeedUpworthyがその代表例だが、国内でもCuRAZYViratesWhatsをはじめとして、数多くのバイラルメディアが登場している。サイバーエージェントも10のバイラルメディアを立ち上げるとしており、SpotLightなどに注目が集まっている。

これらのバイラルメディアは、ソーシャルメディアでの「シェア」によって短期間で大きなトラフィックを生み出すことに成功しており、例えばViratesなどは、スマートフォンアプリを含めるとすでに2000万ページビュー(PV)を達成していると聞いているし、今回取り上げるCuRAZYも1900万PV(CuRAZYは現状アプリがないのでウェブサイトのみの数字)を達成したそうだ。ただ純粋にバイラルメディアと今までのメディアのPVを比較できる訳でもないし、むしろPVという指標自体が意味をなさなくなってくるのではないかという話もバイラルメディアの運営者からも聞いている。

さてそんなCuRAZYを運営するBitGatherが7月9日、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)、ディー・エヌ・エー(DeNA)、Skyland Venturesを割当先とする、総額1億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。あわせて、社名を「LAUGH TECH」に変更。ライター陣を拡大するほか、データ解析などを強化し、「笑いを科学する」をコンセプトにしたメディア運営を進めるという。

独自コンテンツで差別化狙う

BitGather代表取締役の伊藤新之介氏に話を聞いて印象的だったのが、最近バイラルメディア間でネタの「かぶり」が起きているということだ。僕も国内のバイラルメディアを読んでいてなんとなく感じていたし、ほかのバイラルメディア運営者からも「あのメディアは露骨にネタをパクっているのではないか」と具体的なサイト名まで聞くこともあった。

そういった状況を打破するためにも、CuRAZYでは独自コンテンツの提供を進めるという。正直バイラルメディアは読んでいて楽しいものが多いけれども、結局のところ既存メディアや他人のアップロードした動画が中心なのが現状。なので、独自コンテンツを作るという動きは1人の読者としても楽しみだ。

伊藤氏いわく、例えばBuzzFeedは(1)コストをかけた調査報道(2)まとめやクイズといった記事(3)今日本で主流となっている動画や画像を中心にしたトラフィックを生むコンテンツの3層構造になっているそうだ。だが国内でバイラルメディアと言われているのは(3)のコンテンツがほとんど。CuRAZYでが日本ではあまりない(1)の調査報道ができるまでの体制作りを進めたいと語る。「編集者4人、その編集者の方針に会わせて動くキュレーターが20人程度の体制を作りたい」(伊藤氏)。このあたりの話はViratesも語っていたののだけれども、調達で一足先にその体制を整えつつあるようだ。

また、社内で利用しているアナリティクスツールを強化し、国内外のウェブメディアに関するソーシャルでの反応などを解析できるサービスとして提供することを予定する。今夏にはスマートフォンアプリも提供する予定で、アプリにはこの解析サービスのアルゴリズムを使って、ソーシャルメディアで反響の大きいコンテンツを紹介する機能なども導入することを検討している。バイラルメディアのGunosy、SmartNewsといったところだろうか。

CuRAZYは現在、PVは前述の通り1900万で、UUは500万ほど。スマホ利用率は80%に上る。シェアされるソーシャルメディアはFacebookが8割以上(残りはTwitterが中心)、メインのユーザー層は30〜40代の男女が半々程度だという。今後は独自コンテンツを武器に、年内1000万UUを目指すとしている。すでにバナーや記事広告も展開しているそうだが、この1年については、マネタイズよりもユーザーの拡大に注力するそうだ。「ユーザーはまだ捕まえきれていない、『暇なときに立ち上げるアプリ』という立場に持っていってユーザーをしっかり捕まえないと意味がないと考えている」(伊藤氏)


スマホゲームのgumi、WiLなどから合計50億円の資金調達

子会社エイリムが手がける「 ブレイブフロンティア」も好調なスマートフォンゲームデベロッパーのgumiがまた大型調達を実施している。同社は7月4日、WiLが運営するファンド等を割当先とする第三者割当増資で総額50億円を調達したと発表した。

同社の発表によると、WiLのほか、セガネットワークス 、ジャフコ 、B Dash Ventures、新生企業投資、グリー、三菱UFJキャピタル、DBJ キャピタルに加えて、個人投資家が出資しているとのこと。また複数の業界関係者から聞いた話を総合すると、WiL単体で20億円程度の出資がなされているようだ。

gumiはこれまで公開されているだけでも40億円超の資金調達を実施しており、今回の調達をあわせると約100億円を調達したことになる。


小型環境センサーのCubeSensors、70万ドルを「ビットコイン」にて調達

今やビットコインの姿はどこにでも現れるようになってきている(見えないが)。そして当然の流れながら、ファンディングにも利用されるようになった。スロベニアのハードウェア系スタートアップで、小さな環境センサーを開発するCubeSensorsがシードラウンドにて70万ドルを調達した。資金調達自体はよくある話だが、これが暗号通過(ビットコイン)により為されたのだ。出資したのはビットコインの最大規模の取引所であるBitstampのファウンダーだ。

今回の出資をうけ、CubeSensorsでは支払い手段としてビットコインも受け付けるようにするとのこと。まずはスロベニア国内で対応するそうだ。現在のところプロダクト(Cubes)は売り切れの状態ではあるが、今回の調達資金も投入して、次の生産をすすめていくことにしているようだ。

BitstampのファウンダーはNejc KodričおよびDamijan Merlakだ。現在はイギリスに拠点をおくが、もともとはスロベニアで起業した。

CubeSensorsは2年間にわたって自己資金での運営を続けてきた。数ヶ月前に売りだしたセンサー(Cubes)はすぐに売り切れた。1月に行ったTechCrunchハードウェア・バトルフィールドにも登場した。ビットコインにより出資を行うという話は、まだあまり聞いたことがない。2つのスロベニア(発の)企業がビットコインを通じて協力しあうというのは、なかなか面白い話だ。双方ともに、ビットコインが多いに気に入ってもいるのだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


GunosyがKDDIなどからさらに12億円を調達、テレビCM中心にプロモーションを継続

Gunosy代表取締役共同最高経営責任者の木村新司

テレビCMでもよく目にするようになったニュースアプリ「Gunosy(グノシー)」。サービスを提供するGunosyは、年始にもKDDIから推定12億円の資金調達を実施し、そのほとんど広告宣伝費として投下したとも聞いていた。そんな同社が6月23日、KDDIとジャフコ、B Dash Venturesがら総額12億円の資金調達を実施したことを明らかにした。いずれも追加投資となる。

Gunosyによると、テレビCM開始前で200万台後半だったというダウンロード数は、今月末には400万ダウンロードを突破するまでに成長。当初放映していたウルトラマンを起用したCMの評判はイマイチだったようだが、現在は評判もいいそうだ。「秒単位でCMとダウンロードを解析している」とのことで、CPI(インストールにかかる費用)を考慮すると、「ビジネスとして成立する状況」(Gunosy取締役CFOの伊藤光茂氏)だという。またビジネス面について少し聞いたところ、すでに広告事業で月次で億単位の売上があるのだそうだ。

今回の調達の主目的も「広告宣伝」とのこと。今後も引き続き国内でテレビCMを中心にしたプロモーションを展開するほか、4月に開始した海外事業のプロモーションも進める。

2月以降、アプリを刷新してニュースの“パーソナライズ”から“メジャー化”を進めてきたGunosyだが、CM効果もあって好調だ。一方で競合と言われることの多い「SmartNews」を手がけるスマートニュースについても、資金調達をしたのち今夏にもテレビCMを展開するという噂も聞こえてきているし、すでにグライダーアソシエイツの「Antenna」もテレビCMと交通広告を展開している。


3Dプリント作品プラットフォーム運営のカブクが2億円を調達して海外進出へ

直近ではクラウドワークスが参入を発表したが、「モノづくり」もスタートアップが盛り上がりを見せている分野の1つだ。6月6日にサイバーエージェント・ベンチャーズ、ニッセイキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズを割当先とした約2億円の第三者割当増資を実施したカブクも、そんなモノづくりに挑戦する1社だ。

カブクが運営するのは3Dプリント技術を使ったものづくりマーケットプレイス「rinkak(リンカク)」だ。rikakは自身でアップロードした3Dデータで作成したアイテムを販売できるプラットフォームだ。陶器や金属、ラバーやプラスチック樹脂など多様な素材を使って、アイテムの製造や販売ができる。

rinkakuでは、製造だけでなく、梱包から配送までパートナーが担当するため、ユーザーはデータをアップロードするだけで販売が可能。販売価格の30%が手数料となる。

アップロードされているデータ数は数千件とのことだが、現在18金やプラチナを使ったアイテムも製造できるそうで、最近では「m0ment」という名称でアクセサリーのプライベートブランドも開始している。データをアップロードするのは著名クリエーターから美術系の学校に通う学生まで。さらには「オアシス銅像ファクトリー」やアイドルグループ「アイドリング!!!」メンバーの3Dフィギュア(販売終了)など、タイアップ、コラボレーション案件も増えている。「これまでポートフォリオすら作れなかった学生などにも評判がいい。モノづくりはプロだけのモノでなく、『世の中ごと』にはなりつつある。これを加速したい」(カブク代表取締役 CEOの稲田雅彦 氏)

カブクでは今回の調達資金により開発体制を強化するとしている。今夏をめどに、多言語対応のほか、海外発送や海外クリエーターの商品販売といった海外展開を強化するほか、スマートフォン対応についても進めていく予定だ。