グーグルのピチャイ氏CEOはAIの危険性から目をそらして欲しいと思っている

Alphabet(アルファベット)とGoogle(グーグル)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏もまた大手テック企業のキーパーソンとして、公にはAIの規制を求めているが、同時に議員に対しては、AI技術で可能になることを極力制限しない緩めのフレームワーク導入を働きかけている。

ピチャイ氏は1月20日のFinancial Timesの論説で、「人工知能を規制すべき」という目を引く見出しで呼びかけた。しかし、同氏が論説で暗に示したのは、技術者が普通にビジネスを続けられず、また万人に影響を及ぼす規模でAIが利用できないなら、人類にとってのリスクがかえって高まってしまうということだ。グーグルのトップは次のように主張した。「AIは数十億人の生活をより良くする力を秘めている。最大のリスクはそれが達成できないことだと思う」。だから、人類にとって実際には最も安全な選択肢として「厳しい制限はしない」という枠組みを求めている。

また論説では、AIの負の側面については軽視している。そうした負の側面がもたらす影よりも、AIが解き放つ利点の方が大きいと同氏は示唆する。単純に「潜在的な負の影響」を技術進歩に必要かつ避けられないコストとして描いている。

顔認識などの非常にリスクの高い技術の使用が民主主義社会で本当に許されるのかについては正面から問わずに、むしろリスクのレベルを管理することが重要だと指摘している。

「内燃機関は、人々が自分の住む地域の外へ旅行することを可能にしたが、多くの事故を引き起こすことにもなった」とピチャイ氏は述べ、歴史を急に引っ張り出して自説を擁護しているが、燃焼機関のために発生する甚大な気候コストと存続の脅威に直面している数え切れないほどの地球上の絶滅危惧種については無視している。

「インターネットは誰とでもつながり、どこからでも情報を入手することを可能にしたが、誤った情報が広まりやすくもなった」と同氏は続ける。「ここから得られる教訓は、うまくいかない可能性があるとすれば何か、よく考えておく必要があるということだ」。

「よく考えておく」の意味は、テクノロジー産業が「副次的損害」(目的を果たすためにはやむを得ない損害)だと解釈する事態を覚悟するということだ(偽情報やFacebookの場合、副次的損害というのは民主主義という肉をターゲット広告というミンチ機に投入することのようだ)。

一方、ピチャイ氏のAIリスクの議論でまったく触れていないことがある。それは独占するパワーが集中することだ。人工知能は独占集中のパワーを極めて巧みに強化する。

これなどは面白い。

もちろん、近年、研究部門全体のブランドを「Google AI」に変更したり、以前、軍事兵器テクノロジーへAIを利用するプロジェクトに関して一部の従業員から非難されたりした大手テック企業であれば、可能な限り緩く抽象的なAI「規制」を設定するよう議員にロビー活動を行ったとしても驚くにあたらない。

ゼロ規制よりも、使える馬鹿が作った法律のほうが優れている。彼らは「イノベーションかプライバシーか」といった二者択一の、業界主導の誤った論理に騙される。

ピチャイ氏の論説による介入のタイミングは戦略的だ。米国の議員らは大手テック企業が求める「イノベーションに優しい」ルールに迎合しているように見える。そんなルールの下でなら、大手テック企業のビジネスはやりやすくなる。今月ホワイトハウスのCTOであるMichael Kratsios(マイケル・クラトシオス)氏はBloomberg(ブルームバーグ)の論説で、「AIのイノベーションと成長を不必要に妨げるような、負担が重く先制攻撃的で厳重なルール」に強く反対した。

一方、新しい欧州委員会は、AIと大手テック企業の両方についてより強固な方針を打ち出した。

同委員会のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)大統領は、テクノロジーの変化に対応することを政策上の優先事項に掲げ、大手テック企業を規制していく方針を明らかにした。また、就任後最初の100日以内に「人工知能の人間的および倫理的意味合いに関する欧州の協調的アプローチ」を発表することを約束した。同氏は2019年12月1日に就任したため、期限は迫りつつある。

先週リークされた汎EU AI規制に関する欧州委員会提案の草案を読むと、比較的軽いタッチのアプローチに傾いていることがわかる(ただし、欧州における軽いタッチは、トランプ大統領のホワイトハウスに比べかなり関与や介入の度合いが強いことは明らかだ)。ただし規制案によると、公共の場での顔認識技術の使用を一時的に禁止するという考えが浮上している。

規制案は、一時的使用禁止によって「個人の権利が特に技術の不正使用の可能性から保護」されると予想されるものの、これは「技術の開発と普及を妨げる可能性のある広範囲にわたる措置」であるため、既存のEU法の規定(EUのデータ保護フレームワークであるGDPRなど)を適用したり、現行の製品安全および責任に関する法律に必要な修正を加えるなどの対応が望ましいとしている。

委員会がAIの規制に乗り出すにあたり、どちらの方向に進むのかまだはっきりしないが、軽いタッチのバージョンであっても、ピチャイ氏が望むよりはるかに面倒になることが予想される。

論説で同氏は「分別ある規制」と表現するものを求めている。「分別ある規制には、特にリスクの高い分野で想定される悪影響と社会的機会のバランスを取る均衡的アプローチが必要になる」

「社会的機会」が意味するところは、AIが実際に利用される分野に厳しい法的制限が課されても、Googleがスパイしている豊富な「ビジネスチャンス」が頓挫することはないということだ。Googleは健康から輸送まであらゆる業種やセクターで、AIの利用を推進してサービスの質を高め、莫大な規模の収益を狙っていると考えられる。

「さまざまなセクターでニーズに応じた実装を可能にしつつ、幅広いガイダンスを提供する規制が実現可能なはずだ」。ピチャイ氏は守るべき「原則」と適用後の「レビュー」に関して優先順位を設定することにより、AIというスパイスの流れを維持しようとしている。

FTの編集者がテクノロジーのイメージで説明するよう試みているにもかかわらず、論説は顔認識について、「悪用」の懸念にごく短く触れるにとどめている。ここでピチャイ氏は再び、その性質上極端に権利に敵対する技術に関する議論として再構成しようとしている。

もちろんこれは、顔が公共のスペースを通るたびに、ブラックボックスマシンがIDをアルゴリズムで推測できるといった固有のリスクを意図的にわかりにくくしている。

こんなシナリオの下ではプライバシー保護は望めない。テクノロジーの用途によっても異なるが、他にも多くの権利が危険にさらされる。そのため、実際には、顔認識の使用には個人的および社会的リスクが伴う。

しかし、ピチャイ氏は議員に瞬きさせようとしている。同氏は、そのようなテクノロジーがもたらす強力な固有のリスクに議員が目を向けることを望んでいない。議員に注目してほしいのは「悪意」があり「負の側面」を持つAIの使用例や、「本当に懸念」すべき「悪影響」があるケースだけだ。

だから同氏は「原則や規制に基づきAIを利用するアプローチ」を再び強調する。とりわけ、AIの利用が許される規制に重点を置く。

ここで技術者が最も恐れるのは、人工知能が絶対に利用できないケースを規定するルールだ。

倫理と原則は、ある程度変更可能な概念だ。大手テック企業は、PRとして、自分たちに都合の良い倫理や原則を主張することに慣れている。自前の「ガードレール」を自分自身のAIの運用に適用したりする(だがもちろん、有効な法的拘束力はない)。

同時に、Googleのようなデータマイニング大手は、データ保護に関する既存のEUルールの下でも十分戦える。たとえば、ユーザーインターフェイスに、クリックやスワイプによって気づかずに権利を放棄してしまうような紛らわしいパターンを埋め込んでおくなどの手段がある。

だが、ある特定種類のAIの利用を禁止すると、ゲームのルールが変わる。それは市民社会が運転席に座ることになるからだ。

先見の明のある規制当局が、特定の「危険な」AIの利用について少なくとも一時停止する内容を含む法律を求めている。顔認識技術や、Googleが以前取り組んでいた無人機ベースの自律兵器などがその例だ。

そして禁止措置ということになれば、プラットフォームの巨人たちが自分たちの意向にあわせて単純に曲げることは極めて難しいはずだ。

画像クレジット:Andrew Harrer / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

クラウド上でAndroidアプリを動かすCanonicalのAnbox Cloud

Linuxの人気ディストリビューションUbuntuのCanonicalが、米国時間1月21日、クラウドサービスAnbox Cloudの立ち上げを発表した。企業はこのクラウドプラットホーム上でAndroidを動かすことができる。

Androidは、Anbox Cloudの上でゲストオペレーティングシステムになり、コンテナ化されたアプリケーションを動かす。これにより独自のエンタープライズアプリケーションやゲームサイトなど、さまざまなユースケースが期待されている。

Canonicalのクラウドサービスは、GoogleがChrome OSの上でAndroidアプリを動かせるようにしていることと似ているが、実装はまったく異なり、コンテナマネージャーLXDをベースとし、コンテナのプロビジョニングやデプロイの自動化などのためにJujuMAASといったCanonicalのプロジェクトを多数利用している。同社は発表声明で 「LXDのコンテナは軽量なので、仮想マシン上のAndroidエミュレーションと比べて、少なくとの2倍のコンテナ密度が得られる。ただし実際には、ストリーミングのクオリティーやワークロードの複雑さによって異なる」と述べている。

なお、Anbox自体はCanonicalとUbuntuの幅広いエコシステムから生まれたオープンソースプロジェクトだ。Anboxは2017年にCanonicalのエンジニアであるSimon Fels(サイモン・フェルズ)氏が立ち上げ、完全なAndroidシステムをコンテナで動かす。これによりユーザーは、Androidのアプリケーションを、どんなLinuxベースのプラットホーム上でも動かすことができる。

しかし、その意味は何だろうか? Canonicalの主張によると、Anbox Cloudを利用することで企業はモバイルのワークロードをクラウドへオフロード可能になり、それらのアプリケーションを社員のモバイルデバイスへストリームできる。またCanonicalによれば、5Gの普及により多様なユースケースが生まれるが、それに貢献するのは大きな帯域よりもむしろレイテンシーの低さだという。

Canonicalのプロダクト担当ディレクターStephan Fabel(ステファン・ファベル)氏は 「5Gのネットワークとエッジコンピューティングの普及により、多くのユーザーが、自分の好きなプラットホーム上で、超リッチなAndroidアプリケーションをオンデマンドで利用できるようになる。企業は高性能で高密度のコンピューティングをどんなリモートデバイスにも提供できるようになり、しかもその際の電力消費といった経費はきわめて低い」と発表で述べている。

Canonicalはエンタープライズ以外に、ゲーミングおよびゲームのストリーミングにも重要なユースケースを展望している。スマートフォンはますます強力になりつつあるが、それでも結局のところ、クラウド上のサーバーには敵わない。そこにCanonicalは目をつけている。

Canonicalが挙げるもう1つの重要なユースケースが、アプリのテストだ。デベロッパーはこのプラットホームを利用して、何千台ものAndroidデバイス上でアプリを並列させてテストできる。ただしAndroidのエコシステムは分裂が激しいため、重要なテストはエミュレーションでなく実機上で、となるかもしれない。

Anbox Cloudをパブリッククラウドで動かすことはできるが、CanonicalはエッジコンピューティングのスペシャリストをPacketとパートナーにして、それをエッジ上やオンプレミスでホストする。このプロジェクトのハードウェアパートナーは、AmpereとIntelとなっている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Huaweiは失ったGoogleマップの代わりを求めてTomTomを頼る

Googleのソフトウェアとサービスへのアクセスを失ったHuawei(ファーウェイ)は、当然ながら困り果てた。中国のハードウェア大手は、AndroidやGoogle Play Storeなどへのアクセスの喪失に対応すべく非常事態計画を練ってきたが、しかしながらGoogleの製品は、競合他社であるスマホメーカーの多くと同様に、デバイスに搭載するソフトウェアの中核を形成していた。

HuaweiはGoogleに対抗しうるソフトウェアスイートを再構築するために、超ビッグネームを頼った。オランダの地図ソフトウェアの大手TomTomが、同社のナビゲーションとマッピング、交通情報へのアクセスの提供に合意した。ロイターの記事によると、Huaweiはその情報を使って独自のアプリケーションを構築することができる。

TomTomはこの契約を認めたが、それ以上の情報提供はない。ハードウェア企業の後退がマッピング企業の収益機会になった、というところだろうか。Huaweiのグローバルなスマートフォン市場はかなり大きいため、TomTomにも大きな取引だろう。同社は以前、AppleMapsに情報を提供していた。

Huaweiは米国による制裁で米国製のソフトウェアやコンポーネントにアクセスできなくなっていた。同社はAndroidのライバルとなる代替OSを自力で作ってきたが、HarmonyOSは見たところかなり非力だ。また、Huaweiが独自でGoogleマップの代わりとなるシステムを作っているという噂も流れているため、今回のTomTomとの契約は、同社の一時しのぎだと見なしがたい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleがインド第3位キャリアAirtelと組んで、AWSとAzureを追撃

AWSやMicrosoftにとってクラウドサービスの新たな主戦場になりつつある成長著しい海外市場。Googleは、同社クラウドサービスの顧客ベースを拡大すべく、インド第三位の通信事業者であるAirtelとパートナーシップを結んだ。

Google Cloudによる米国時間1月20日の発表によると、このパートナーシップは即日発効し、Airtelは中小企業に対して、同社ICTポートフォリオの一環としてG Suiteを提供できるようになる。

Airtelはインドに3億2500万あまりの契約ユーザーを持ち、2500社の大企業と50万あまりの中小企業やスタートアップにサービスを提供している。両社はこのパートナーシップの財務的詳細を明かしていない。

Google CloudのCEOであるThomas Kurian(トーマス・キュリアン)氏は、「G Suiteのコラボレーションと生産性ツールをAirtelの企業向けデジタルサービスと組み合わせれば、多くのインド企業のデジタルイノベーションを加速するだろう」という。

2019年8月にはインド最大の通信事業者、Reliance Jioが同様の契約をMicrosoftと結び、中小企業にクラウドサービスを販売していくことになった。この10年契約では、数百万の顧客にサービスを提供する、となっている。

クラウド市場のマーケットリーダーであるAWSは、通信事業者とのこのような契約を以前は交わしていたが、現在は結んでいない。10年前にはきわめて一般的に行われていたキャリアとの契約は、大手テクノロジー企業がインドで新規ユーザーを獲得するための常套手段だった。それはインドおける、クラウド採用の歩みの1つの段階を表している。

インドでは、過去10年間で5億人がネットを利用するようになった。また中小企業や商店経営者もデジタルツールやストレージサービスを使い、オンライン決済を利用するようになっている。ロビー集団、Nasscomによると、インドのクラウド市場の規模は3年後の2023年には70億ドルになるそうだ。

AmazonとMicrosoftとGoogleは、他の多くの市場と同様、インドでもクラウドの顧客獲得をめぐり激しく争っている。業界筋によると、お互いに機能面において傑出した違いがないため、見込み客の契約残高や決済残高をクラウドベンダーが肩代わりすることで顧客として取り込もうとしている。

そして最近では3社ともに、中小の商店主がWeb上で存在感を出せるようになるためのツールや教育訓練を提供している。Amazonは先週、インドにある約1000万の商店のオンライン化を助けるために10億ドルを投資する、と発表した

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Chromeブラウザに統合メディアコントロール機能が加わる

Google(グーグル)のChromeブラウザに搭載された統合メディアコントロール機能は、1つのウィジェットから現在のタブにあるすべてのオーディオとビデオソースをコントロールできる。この機能を使えば、お気に入りのウェブベースの音楽ストリーミングサービスで次の曲に移動したり、バックグラウンドで再生されているYouTubeビデオを開始/停止したり、タブを探さなくても複数のタブで再生されているメディアを切り替えたりできる。革新的な機能ではないが、たしかに便利だ。

この統合メディアコントロール機能は、昨年からChromebookユーザーに対して有効になっていたが、現在はデスクトップのプラットフォームを問わず、すべてのChromeユーザーに正式機能として提供されている。

この機能は多くのメディアで動作するようだが、確認した限りではYouTubeやYouTube Musicのようなグーグルのサービスでは、サムネイルつきのより広範囲なコントロールオプションが表示され、一方でSpotify(スポティファイ)の場合は戻る、次の曲にスキップ、一時停止の3つのコントロールしか表示されなかった。

統合メディアコントロールを利用するには、どれかのタブでメディアを再生し、アドレスバーの右側にポップアップ表示される、新しいアイコンをクリックするだけでいい。

1月16日にプレビュー版が公開された、Microsoft(マイクロソフト)の新しいChromiumベースのEdgeブラウザは、プレリリース版から引き続きメディアコントロール機能を備えているが、まだ安定版はリリースされていない。Firefoxブラウザは現在、同様の機能は搭載されていない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Amazonがインドの小企業のデジタル化促進のため約1100億円を投資

インドは今週、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を反トラストの調査で迎えた。さらにまた、ふだんは互いに競争している小規模商業主たちが全国から何千人も集まって、eコマースの巨人の搾取的と言われるやり方に抗議した。しかし、Amazon(アマゾン)の創業者でありCEOのベゾス氏は、同社にとって最も重要な海外市場への愛をそんなことでは失わなかった。

1月15日のカンファレンスでベゾス氏とAmazon IndiaのトップであるAmit Agarwal(アミット・アガルワル)氏は、この米国の巨人が中小企業のデジタル化を促進するためにインドに10億ドル(約1100億円)を注入すると発表した。アマゾンはこれまでインドに約55億ドルを投資している。

ベゾス氏によると、同社はまたインドの生産品の輸出にも着目している。それはニューデリーのMake in India(地産地売)キャンペーンへの協賛でもある。Amazonが扱う量は、2025年に100億ドルと彼は想定している。

同氏は「今後の5年間で、Amazonは累計10億ドルをインド全域の市町村の零細企業に投資し、これまでなかったほど多くの顧客増大をみなさんのために実現したい」と語った。そして「この計画では、現在のアマゾンのグローバルな展開を利用して、2025年までにインドからの100億ドルの輸出を作り出したい。この投資によって何百万という多くの人々が未来のインドの繁栄に与れるようにし、それと同時にインドの豊かで多様な文化を表している『Make in India』製品を、全世界に紹介したい」と続けた。

インドでは最近の10年間で5億近い人々がインターネットに接続した。しかし、全国の何万もの都市や町や村に散在する小規模な企業はまだオフラインだ。GoogleやFacebook、Microsoftなども近年はこれら小企業がウェブ上に出店してデジタル決済を受け入れるよう、支援しツールを提供している。

Amazonが主催した「Amazon SMBhav」カンファレンスは、SMBが中小企業(Small and Medium Business)を表しているとともに、smbhavはヒンズー語で「できる、可能」という意味だ。開会時に上映されたビデオでは、インドの貧しい商人や職人たちがアマゾンのeコマースプラットホームに参加して事業を拡大する様子が映し出されていた。

同社の役員の一人によると、アマゾンはインドで50万社を超える売り手を集めておら、その中の数千の業者が世界中の12カ国のAmazonのマーケットプレースで商品を販売している。

しかし、カンファレンスの会場からわずか10マイル(16km)離れたところでは、多く業務がアマゾンを違った目で見ていた。

インドの業者が多数集まってアマゾンの搾取的なやり方に抗議(画像提供:Manish Singh / TechCrunch)

この国の6000万を超える販売業者を代表する業界団体であるConfederation of All India Traders(CAIT、全インド商業者連盟)によると、抗議活動をインドの300都市で組織した。連盟の代表によると、同団体はアマゾンとFlipkartが採用している搾取的な価格設定と反競争的な行為を世の中に知らしめたいという。

ベゾス氏とアガルワル氏は、抗議活動や反トラストの調査に言及しなかった。ここには、世界最大の途上国市場の将来がかかっている。NasscomとPwC Indiaの報道によると、インドのeコマース市場は今後3年間で1500億ドル成長すると言われている。

ベゾス氏もカンファレンスで「21世紀はインドの世紀だと私は予言したい。最も重要な同盟関係はインドと米国の関係だと思う。それは、世界最古の民主主義と世界最大の民主主義の関係だ」と語る。

1月13日にインドのCompetition Commission(競争委員会)は、アマゾンとウォルマートが保有するFlipkartに対する反トラスト調査を開始し、eコマースの二大大手がスマートフォンのベンダーと組んで排他的な協定を結び、一部の売り手を優遇していないか調べることになった。

その調査はアマゾンとFlipkartにとって最新の規制による逆風であり、特にFlipkartは2018年にインドでウォルマートに過半数の株を160億ドルで売却している。昨年、米国上院議員は外国企業が自分の子会社から在庫を売ることを禁じているニューデリーを批判した。その禁制によってAアマゾンとFlipkartは突然、そのマーケットプレースから数十万品目を取り去ることになった。

CAITのスポークスパーソンはTechCrunchに「会員の商業者たちはインドの反トラスト監視当局による調査を歓迎している」と述べた。今日の新しい抗議活動は、近年この業界団体が組織した複数の活動の1つにすぎない。先月は数千名の抗議者が、eコマースの担い手たちへの同様の懸念を表明した。

本日、一部の抗議者は「アマゾンとジェフ・ベゾスとフリップカートは帰れ!」と声を上げた。CAITの全国レベルの理事長Sumit Agarwal(スミット・アガルワル)氏はTechCrunchのインタビューで「Amazonの大幅値引きが小規模商業者の成長を妨げているので、政府の介入が緊急に必要だ」と述べた。

業界の推計では、eコマースはこの国の小売業の売上の約3%を占める。

画像クレジット:Anindito Mukherjee/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルはChromeでのサードパーティCookieのサポートを2年以内に段階的に廃止

Google(グーグル)は米国時間1月14日、今後2年以内にChromeでのサードパーティ製Cookieのサポートを段階的に廃止する計画を発表した。こうしたCookieは、通常はウェブ上のユーザーを追跡するために使われる。そのサポートをグーグルが廃止すること自体は驚きでも何でもない。というのも、同社はすでに「プライバシーサンドボックス」など、Chromeのプライバシーに対する配慮を強化すると発表していたからだ。しかし、この攻撃的とも言えるタイムラインは初耳であり、他の業界をも巻き込んだ議論に発展する可能性もある。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

「これは、ウェブの規格を再設計するという、グーグルの戦略です。プライバシー保護を標準機能にするためです」と同社Chromeエンジニアリング担当取締役のJustin Schuh(ジャスティン・シュー)氏は述べた。「サードパーティ製のCookieについては、あれこれ取り沙汰されていますが、追跡メカニズムの1つであることは確かです。そして単に追跡メカニズムの1つなだけですが、多くの人が注目しているものであるため、特にこれを名指しで取り上げているのです」。グーグルのチームは、他にもフィンガープリンティングの防止などに取り組んでいる。

今年2月から、同社はクロスサイトトラッキングを制限するための手法も、いくつか実装する予定だ。新たなSameSite(セイムサイト)ルールを施行し、サードパーティのものとしてラベル付けされたCookieには、HTTPS接続でのみアクセスできるよう強制する。この新たなSameSiteルールについて、グーグルは過去数カ月にわたって一部のChromeユーザーでテストしてきた。そのルールは若干複雑だが、全体的な考え方としては、他の人にもCookieを使わせたい開発者は、そのことを明示的にラベル付けする必要があるというもの。

ただし、そのような措置をはるかに超え、グーグルは今後2年間でChromeからサードパーティ製Cookieのサポートを完全に削除する予定としている。しかし、それは広告業界と出版社にとって非常に大きな変化をもたらすことになる。そうした会社は、ウェブ上のユーザーを、良くも悪くも、追跡するマーケティング担当者の能力に、たいていは依存しているからだ。それに対するグーグルの解決策が「プライバシーサンドボックス」というわけ。理想的には、ユーザー自身の情報と、ユーザーのブラウジング履歴を可能な限り秘匿しながら、引き続き広告業者は関連性の高い広告を表示できるようになる。

しかし、実際にこれがどのようなものになるのか、まだよくわからない。多くのアイデアはまだ流動的なのだ。ただし、シュー氏によれば、グーグルとしてこれを単独で実行することは望んでおらず、これをウェブ規格とするためのプロセスを踏む予定だという。同氏は、来年あたりから同社が試行を開始し、広告業者と出版社には、この開発中の新しいシステムに移行を開始してもらう計画を明らかにした。

とはいえ、これは大がかりな変更となるため、グーグルが何らかの抵抗に遭遇するのは間違いないだろう。「私たちの提案すべてについて、全員が賛同しているとは言いません」とシュー氏は認めた。「しかし、いたるところで提案のいくつかは非常に好意的に受け取られています。そうでないものついては、代替案を受け入れる用意もあります。それが、プライバシーとセキュリティを重視したものであればですが。つまり、私たちが期待しているのと同じレベルの予測可能性を持っていればという条件です。というのも、私たちは現在のウェブに一時しのぎの対策を施したいとは考えていません。ウェブのアーキテクチャを修正したいのです。それ以外に選択肢はないとも考えています」。

しかしそのためには、他のブラウザーベンダーを含め、グーグル以外の企業や人も参加する必要がある。シュー氏は、その可能性について楽観的なように見える。それがユーザーにとって、最大の利益となるから、というのもあるだろう。「ウェブを分断したくありません」と彼は言う。「ブラウザーごとに異なることに対し、模索しながら個別に対応しなければならないという状況にしたくはないのです。仮に個々のブラウザーが詳細部分で違うことを選択していたとしても、一定レベルの一貫性が必要です」。

現在では、MozillaのFirefoxなど、Chromeの多くの競合ブラウザーは、多くのサードパーティCookieを単にブロックするという、かなり強行なアプローチを採っている。グーグルは、それではウェブが損なわれてしまうとして、業界に対して回避策を見つけるよう促すしかないとしている。

同社の最近のすべてのプライバシーについての提案と同様、この提案について業界がどう反応するかを見るのは興味深い。広告エコシステムにおけるグーグル自身の役割を考えると、同社はこの問題を正しく解決して、ウェブ上の広告エコシステムを健全に保つことに、経済的利害があるのは明らかだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleがモバイル検索をアップデート、結果ページからのショッピングが簡単に

2019年秋にGoogleショッピングを大改訂したのに続き、Googleは米国時間1月15日にモバイル版Google検索のショッピング体験を変更した。これからは衣類、靴、アクセサリーなどを検索したとき、表示されるのはさまざまな商品やショップへのリンクだけではない。Googleは新しいセクションをつくり、ウェブ中の店舗から人気の高い商品を選んで表示する。ユーザーはそこからフィルター、閲覧ができる。

例えば、「ランニングシューズ」とか「女性向けレザーベルト」とか「ワイドレッグパンツ」などを検索すると、選ばれた商品が新しいビジュルガイドに表示される、とGoogleは説明する。ユーザーはその中から、スタイル、ブランド、サイズなどで絞り込み、画像を見ることができる。それぞれの商品の下には、在庫数や最安価格も表示される($199+など)。

この変更によって、ある特定の商品を売っている店をすべて見つけたいというときは特に便利になる。これまでは簡単にはできなかったことだ。

探していた商品が表示されたら、スクロールするとカスタマーレビューをまとめて読むことができる。買うと決めたら、行きたい店のリンクをクリックするだけだ。

この機能にはGoogleの検索インデックスが使われていて、そこには100万店以上のオンライン店舗の商品が整理、登録され定期的に更新されている。新しいショッピング機能は小売店による有償広告ではない、とGoogleは説明する。小売店は認められた商品をこのセクションに無料で掲載できる。

一連の変更は、GoogleがAmazonにないものすべてが見つかる頼りになるプラットフォームになるために、オンラインショップのためにショッピング体験をいかによくできるかという大きな取組みの一環だ。今週同社が、スタートアップのPointyを1億6300万ドル(約180億円)で買収して、実店舗の店内在庫管理を支援しようとしているのも同じ流れだ。

同社はGoogleショッピングのウェブページも改定し、ユーザーの購入傾向や履歴に基づいてパーソナライズされた目的ページとして、価格トラッカーや地元店舗、オンラインショップ両方の新しいショッピングのやり方を追加した。ただし、衣類やアクセサリーをオンラインで探している人たちの多くにとって、Googleショッピングは第一の目的地ではない。使うの通常のGoogle検索だ。今回の新機能もそれに対応するために作られた。

新機能は本日から今週いっぱいをかけて段階的に公開され、モバイル端末のみが対象だとGoogleは説明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleアカウントのセキュリティキーとしてiPhoneも使えるように

半年以上前にGoogle(グーグル)はAndroidスマホをセキュリティキーとして使えるようになる、と発表した。その機能がiPhoneにもやってくる。

Googleは、ジャーナリストや政治家といった常にリスクを抱えるユーザーが、YubicoGoogle Titan keyのような物理的セキュリティキーを使わなくても追加のアカウントへアクセスできるようにし、そしてそうしたユーザーにセキュリティセーフガードを提供できるよう、iPhoneをセキュリティキーとして使えるようにすると発表した。

2段階認証はオンラインアカウントを保護するベストな方策の1つだ。一般的にコードやスマホへのノーティフィケーションを用いる。セキュリティをさらに高める追加のレイヤーとなり、最も洗練されたリソース豊富なハッカーでもアカウントへの侵入が難しくなる。ハードウェアのキーはより強固だ。Googleのデータでは、セキュリティキーは2段階認証において最も優れたもので、スマホに送られるテキストメッセージのような他のオプションを上回ることが明らかになっている。

リスクを抱える人がアカウントを安全に利用できるようにする取り組みの一環として、iPhoneをセキュリティキーとして使えるようにするとGoogleは述べた。外国からの干渉が懸念される、きたる2020年米国大統領選を特に意識している。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Kubernetesのバグ褒賞金制度は多数のセキュリティ研究者の参加を期待

Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が米国時間1月14日、Kubernetesの初めてのバグ褒賞金事業(bug bounty)を発表した。Kubernetesは、最初Googleが作ったコンテナオーケストレーションシステムで、現在、至るところで使われている。このバグ褒賞金制度はCNCFとGoogleとHackerOneが共同で運営し、賞金額は100ドル(約1万1000円)から最高1万ドル(約110万円)までとなっている。

KubernetesにはすでにProduct Security Committee(セキュリティ委員会)があり、Google自身のKubernetesセキュリティチームが委員になっている。もちろん実際にコードをチェックするのは、外部も含めもっと多くの人びとだ。褒賞金制度ではもっと多くの新たなセキュリティの研究者の参加が期待されており、コードを調べ、バグ調査など行っている人を報いるものになっている。

Googleでコンテナのセキュリティを担当しているプロダクトマネージャーMaya Kaczorowski(マヤ・カツォロフスキ)氏は「Kubernetesにはすでに強力なセキュリティチームとセキュリティへの対応能力があり、最近のKubernetesセキュリティ監査によってそれはさらに強化されている。現在のKubernetesは、過去に例がないほど強力で安全なオープンソースプロジェクトだ。バグ褒賞金制度が立ち上がったことで、セキュリティに対する実践力が上がり、また、すでにバグの検出という重要な仕事をしている研究者たちに報いることができる。今後はもっと多くのセキュリティ研究者が参加して、コードを見る目が増えることを期待したい。Kubernetesのセキュリティ問題の洗い出しとバグ発見活動のバックアップに、財政的支援が加わったことになる」と言う。

褒賞金の対象は、GitHubのリポジトリにあるKubernetesの主要部位すべてだ。チームが特に重視しているのは、認証関連のバグと、故意や不故意による特権(プリビレッジ)のアップ、そしてkubeletやAPIサーバーのリモートコード実行バグだ。CNCFが特に強調するのは、研究者たちがKubernetesのサプライチェーンの全体をよく見ること。この事業と制度の詳細は、ここで確認できる。

関連記事: How Kubernetes came to rule the world…Kubernetesはどうやって世界を支配したのか(未訳、有料記事)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが実店舗のネット活用を支援するスタートアップPointyを買収へ

Googleは、実店舗で販売を行う小売業者と密接な関係を作り、電子商取引の世界に参入するという長期目標を掲げているが、どうやらその計画が少し進展したようだ。検索エンジン大手である同社は、アイルランドのダブリンに本拠を置き、実店舗の小売業者を支援するハードウェアとソフトウェア技術を開発するスタートアップPointyの買収に乗り出した。その技術とは、特に取り扱い商品を細かく陳列するネットショップを開設していない店舗を対象に、大きな手間をかけることなく、商品をネット上で見つけやすくするためのものだ。

どちらの企業も買収額は公表していないが、ある情報筋によれば1億4700万ポンド(約210億円)とのことだ。

Googleは1時間以内に公式発表をすると言っていたが、情報筋から得た話の詳細を探っている間に、Pointyはすでに自社サイトでそのニュースを公開していた。現在は「習慣的な買収完了条件」の交渉中で、数週間以内に契約は完了するという(Googleの買収に関するブログ記事はこちら)。

Pointyは買収後も事業を続ける。「私たちは、Googleの資産とリーチの支援を受けて、今後もよりよいサービスが構築できることを楽しみにしています」と同社は書いている。だが、この計画に誰が残るかは不明だ。

情報筋は、この買収は「よい結果」だったと話している。なぜならPointyには「唯一無二」の製品があり、市場に比較対象がなかったからだ。さらにPointyは、小さなスタートアップにしては非常に多くのトラクションがあり、アメリカでは、特定分野の実店舗小売り業者の10パーセントほどと取り引きをしている(その中にはペットとオモチャの小売業者が含まれている聞いている)。

Pointyは創設6年目の企業で、さまざまな投資家から2000万ドル(約22億円)の資金を調達している。投資会社にはFrontline Ventures、Polaris、LocalGlobe、個人投資家には、以前はGoogleマップの開発を取り仕切り、その後、Facebookで検索エンジンや企業向けの製品の開発を行っていたLars Rasmussen(ラーズ・ラスムーセン)氏が名を連ねている。

Pointyは、CEOのMark Cummins(マーク・カミンズ)氏とCTOのCharles Bibby(チャールズ・ビビー)氏によって共同創設された。注目すべきは、カミンズ氏にとって今回がGoogleへの2度目のイグジットであることだ。彼が最初に立ち上げた会社Plink(プリンク)は、Googleがイギリスで最初に買収した企業だった。

Googleにとって、Pointyはカミンズ氏のスタートアップを前にも買収したことがあるという以上の既知の仲だ。この検索エンジン大手が実店舗を経営する小売り業者のためのツール開発をPointyが強く後押ししたことで、両者は2018年から一緒に活動していたのだ。

当時、Pointyの主軸製品は企業の販売時点管理、つまりバーコード読み取りユニットに接続するハードウェアだった。これを使えば、商品の販売時にバーコードを読み取るだけで、その商品が(販売数も含め)インターネットにアップロードされる。その後も、商品が売れるたびに読み取られたバーコードから在庫数が更新される。Pointyは入荷に関しては関知しない。長期的な販売パターンから、ほぼ正確に在庫数を割り出せるアルゴリズムを使用しているためだ。

一般の利用者は、その商品を検索すると、Googleの検索結果(ナレッジパネルの「◯◯を見る」やGoogleマップ)で、または広告にその詳細が示されるようになる。目的は、これらのリストを通じて該当する商品を、Pointyでそれをアップした店で買ってもらうチャンスを高めることだ。お客さんを店に導き、他の商品も買ってもらえればなおいい。

この装置の価格は700ドル(約7万7000円)ほどだが、特定メーカーのPOSに組み込める無料アプリも提供されている。Clover、Square、Lightspeed、Vend、Liberty、WooPOS、BestRx、CashRx POSのシステムなら、ハードウェアを必要としない。

2018年、Pointyと最初に提携したGoogleの狙いは、検索ポータルの電子商取引ツールとしての機能を高めることにあったのだが、なかなか実現しなかった。一方Amazonは、実店舗との連携を順調に強め、インターネットで買い物をする人が最初に見るサイトというGoogleの地位を大きく脅かした。

あれから2年。こうした課題は、Amazonの躍進によってますます大きくなるばかりだ。GoogleがPointyの引き込みに熱心だった理由は、恐らくそこにある。だが今、その技術を深く取り込み発展させる準備が整った。

Pointyも、小売業者との緊密さを少しだけ高めることができ、何が売れるか、何を多く仕入れるべきかといったインサイトを店舗に提供できるようになった。だが、インターネット上にリストアップされる商品の実際の売買にまでは、手を出さず、あくまで店舗とそこを訪れて直接商品を買いたい客との取り引きに任せていた。Pointy(と独自に小売り事業を目指すGoogle)がそこでどのような展開を見せるか、未来のドアは大きく開かれている。

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(翻訳:金井哲夫)

Googleクラウドに小売業向けに特化した新サービス

Googleは小売業向けの大規模なカンファレンス、NRF 2020でeコマース市場向けのプロダクトを発表した。Googlクラウドプラットフォームはヘルスケアやライフサイエンス、製造業、金融サービス、エネルギー産業など各種のバーティカルな分野に特化したプロダクトに力を入れてきた。

AWSのライバルとしては当然だが、以前から小売業もこうしたターゲットの1つだった。現在、Googleクラウドの小売業のカスタマーにはアパレルチェーンのKohl’s、DIYやリフォームのLowe’s、フランスのスーパーであるカルフールなどがある。

今回、Apigee APIプラットフォームを利用した小売業向けAPIであるAPI Management for RetailやAnthos for Retailといった既存プロダクトに対する新機能の追加などのアップデートなどが発表された。Anthos for RetailはAnthosプラットフォームを利用してストアの運営やロジスティクスの効率化、現代化を図ろうとする企業をターゲットにしている。またGoogle検索をベースにしたリテール向け検索プラットフォームであるSearch for Retailは、通販アプリに組み込むことによりユーザーの製品検索ヒット率を大きく向上させるという。

さらに Googleはまた新たな顧客を獲得するためにRetail Accelerationプログラムなどをスタートさせた。これは例の入念な信頼性確保のプラットフォーム、Customer Reliability Engineeringサービスに基づくものだ。ショッピングは特定の日に集中する傾向があるが、このサービスはピーク時を予測し企業側で事前に対処することを可能とすると同時にオンライン処理の負荷を分散してダウンを防ぐ。

ただし最も興味深いプロダクトはGoogle Cloud 1:1 Engagement for Retailだろう。Googleはこのプロダクトは「多額の初期投資を必要とせず、効率的なデータ駆動型オンラインショッピングを構築するための設計図でありベストユースケース集」だとしている。その狙いは小売企業を助けることだ。Googleのビッグデータプラットフォームを利用して、小売企業が顧客をより深く理解しエンゲージメントするために、顧客からのニーズを理解するためにパーソナライズされ、レコメンドされたオンラインショッピング・サービスを作成する手助けをすることだ。

また、ショッピングニーズの事前予測により仕入れの最適化を図り、通販企業のロジスティクスを改善する機能も新しく発表された。

今回、重点が置かれたのリテール向けサービスだが、これが成功すれば他のバーティカルにも同様のソリューションが導入されるはずだ。われわれはGoogleがクラウドビジネスでも数年以内にAWSに次ぐナンバー2の地位を得ること目指して注力していると考えている。そのためには大企業、特にまだクラウド戦略を確立していない通販企業をユーザーとして獲得することが強く求められるだろう。

画像:Getty Images

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滑川海彦@Facebook

グーグルがIBM Power Systemsを自社クラウドに統合

Google Cloudがプラットフォームに移行する企業を増やそうとしている中、企業が簡単にレガシーなインフラやワークロードをクラウドに置き換えたり移行したりできる必要がある。これらのワークロードの多くは、Powerプロセッサを搭載したIBMのPower Systems上で稼働しており、これまでクラウドベースのPowerシステムを提供しているベンダーは実質的にINMだけだった。しかし今回グーグルはIBMと提携して、IBM Power Systems on Google Cloudをローンチすることで、この分野に参入しようとしている。

「既存のインフラストラクチャを近代化し、ビジネスプロセスを合理化するためにクラウドを検討している企業には、多くの選択肢がある」と、Google Cloudのグローバル・エコシステム担当副社長のKevin Ichhpurani(ケビン・イチプラニ)氏は述べている。「一部の組織はクラウドを採用するために、レガシーシステム全体を再構成している。しかし他の多くの企業は、クラウドの柔軟な消費モデル、スケーラビリティ、人工知能、機械学習、アナリティクスなどの分野での新たな進歩から恩恵を受けながら、既存のインフラを引き続き活用したいと考えている」。

多くの企業がSAPやOracleのアプリケーションやデータベースに基づくミッションクリティカルなワークロードにPower Systemsのサポートを利用していることを考えると、グーグルによるPower Systemsのサポートは明らかにこの分野に適している。これにより、アプリケーションやインフラストラクチャを再設計することなく、ワークロードを段階的にクラウドに移行できる。Power Systems on Google Cloudは明確にGoogleのサービスや課金ツールと統合されている。

これはエンタープライズ向けのサービスであり、価格は公開されていない。Powerベースのサーバコストを考えると、分単位の格安な価格が存在しない可能性がある。

IBMは自前のクラウドサービスを提供していることから、グーグルと組んで自社サーバーを競合他社のクラウドに導入するのはいささか奇妙だ。もちろん、Powerサーバーをもっと売りたいのだろうが。一方で、より多くのエンタープライズワークロードを自社プラットフォームに移行させることを使命としているGoogle Cloudにとって、今回の動きは理にかなっている。グーグルが取り除くことのできるあらゆる障害は同社を有利にし、企業がそのプラットフォームに慣れるにつれ、他のワークロードを持ち込む可能性が高い。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

GoogleとClimaCellが高解像度天気予報をまずはインドで提供開始

気象テクノロジーの会社のClimaCell(クリマセル)は、気象データを収集し、天気予報モデルを構築する数多くの革新的なアプローチを採用している。米国時間の1月7日、Google Cloudと提携して、新しい高解像度予報モデルを提供することを発表した。その最初のモデルは、インドに焦点を合わせたものだが、すぐに他の地域にも拡大する予定だ。ClimaCellとGoogleは、Google Cloud Public Datasetsプログラムを通じて、予報を無料で利用できるようにする。

このモデルでは、2kmの解像度、15分の時間間隔で、48時間後までの予報を提供できる。また、ClimaCellの他の気象情報の基盤としても機能し、洪水、大気質なども予測可能となっている。

「民間企業が、本格的で実用的な数値気象予測モデルを、1国の全領域に対して継続的に提供し、最大48時間先までの高解像度の天気予報を供給するのは、歴史上初めてのことです」と、ClimaCellの共同創業者でCEOのShimon Elkabetz(シモン・エルカベッツ)氏は述べた。「このこと自体が歴史的なマイルストーンであるのはもちろん、私たちはそれを完全に無料で提供するのです。他の人たちとも協力して、誰もが気象データに無料でアクセスできるようにします」。

同社によれば、地元の気候と地理的な条件の微妙な違いに対応するため、このようなローカルなモデルが必要だという。また今後は、他の地域に向けて、このモデルをカスタマイズする予定となっている。

このモデルは、パブリックなデータセットとして提供されるので、誰でも使用できる。もちろん、この予報がどれほど良いものになるかは、まだわからない。ただしClimaCellは、この1年ほどの間に、かなり良い評判を築き上げてきた。また、Delta、JetBlue、Unitedといった航空会社を含み、多くの大企業が顧客となっている。さらに、一般ユーザー向けのフリーミアム型のモバイルアプリも提供している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTubeが子供向けコンテンツでのターゲット広告とデータ収集の制限を開始

YouTubeは、同社とクリエイターが子供向けコンテンツから収集できるデータの中味を公式に制限し始めた。これは、2019年9月に1億7000万ドル(約184億円)という多額の罰金が科せられたことを受けて、同11月に約束された措置だ。子供用のコンテンツが、同社にとって膨大な利益を生むものだったことを考えると、これは同社と、大手クリエーターにとって、大きな財政的打撃となる可能性がある。

主な変更は、2019年11月に発表されたように、子供向けであると判断された、あるいはそう申告されたすべてのコンテンツについて、視聴者は無条件で子供と見なされるようになったこと。有料会員制のYouTube Premiumユーザーであることが確認されている場合でも、YouTubeはそのユーザーを10歳の子供とみなして、ユーザーデータの扱いが制限されることになる。

(関連記事:グーグルとFTCの和解で示された子供のプライバシーの価値はわずか181億円

これには多くの理由がある。そのほとんどは、法的責任を回避すること。同社が、子供向けのコンテンツを見る人はすべて子供であると仮定することは、一種の安全策だが、残念な結果をもたらすこともある。

データ収集の削減は、ターゲット広告がなくなることを意味する。ターゲット広告は、通常の広告よりもはるかに大きな価値を生み出すもの。その結果として、子供向けコンテンツを作成しているすべての人にとって、大きな収入の減少をもたらす。たとえば、現在YouTubeでトップの収益を上げているクリエーター、Ryan Kaji(ライアン・カジ))氏(彼自身も子供だ)も例外ではない。

また、クリエーターが得られるはずの視聴者のインサイトも制限されることになる。これは、視聴者層を理解し、測定値を改善したいと考えている人にとって、非常に重要な情報だ。エンゲージメントを増進させるコメントや通知なども無効になり、チャンネルにとって損失となる。

Googleとしては、「クリエイターがこの新しい状況に対応するのを支援し、ファミリーコンテンツというエコシステムをサポートすることにコミットしています」と表明している。ただし、本当にその思惑どおりにできるのかは不透明だ。すでに多くの人が、システムは明快ではなく、これがYouTubeの子供向けチャンネルの死につながる可能性があると、不満を述べている。

これでポリシーが公になったので、これがクリエイターにどのような打撃を与えるのか、それを緩和するためにGoogleは実際に何ができるのか、じきに確かなところがわかるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SonosがGoogleを提訴、スマートスピーカー技術に関する特許侵害の疑いで

Sonos(ソノス)は、同社が長年にわたり繰り返し行ってきたという交渉に続き、Googleに対して同社のスマートスピーカーに関連する特許侵害の疑いで訴訟を提起した。Sonosによれば、Amazonも同様に同社のIP(知的財産)を侵害しているものの、技術の巨人相手では1つの戦いだけで手一杯になってしまうと述べている。

ロサンゼルスの連邦地方裁判所および米国国際貿易委員会に提起された訴状によれば、スピーカーが互いにワイヤレスで通信および同期することを可能にする技術を含む、5件の特許侵害の疑いで、同社は特にGoogleを非難している。SonosはThe New York Timesに対して、AmazonとGoogleの両方が現在「約100件」の特許を侵害していると語った。

Sonos CEOのPatrick Spence(パトリック・スペンス)氏はTimesに掲載された声明の中で、「Googleは露骨に、そして故意に当社の特許技術をコピーしています」と述べている。「過去数年間にわたって繰り返されてきた多大な努力にもかかわらず、Googleは互いの利益となるソリューションに取り組む意欲を示していません。訴訟する以外の選択肢はないのです」

私たちはGoogleとAmazonにコメントを求めた。

GoogleとAmazonは、数年前からハードウェアの世界に飛び込んでおり、その中でもインターネットに接続されたスピーカーが、最も力を合わせた取り組みの1つだ。両社は、プラットフォームを作り上げて行く過程で、マルチルームオーディオ機能の追求を始め、それがSonosの領域へと飛び込むこととなった。この訴訟は、GoogleとSonosのビジネス関係を複雑にする。Google AssistantはSonos製品上で利用できる音声アシスタントの1つであり、ユーザーは自分の声で質問したり、音楽ライブラリを制御したりすることができる。

タイムズのレポートによれば、GoogleとSonosの間にはこれまでかなりのやり取りがあり、SonosはGoogleに技術ライセンス料の支払いを求めている一方で、Googleからの反論はSonosもGoogle知的財産を使用しており、Sonosから提案されたライセンス料の支払いはGoogleにとって満足のいくものではなかったというものだ。

Googleに関して言えば、同社のスポークスマンは、両社が交渉の最中であったことを強調した。「長年にわたり、両社の知的財産権についての多数の継続的な会話を、Sonosと行ってきましたが、誠実に交渉を続ける代わりに、Sonosがこれらの訴訟を起こしたことに失望しています。私たちは彼らの主張に異議を唱え、しっかりと反論していきます」。

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(翻訳:sako)

CES 2020のGoogle発表は昨年同様、スマートアシスタント中心

CESが開幕した。Googleのスマートアシスタントもニュースを伝えるのにおおいそがしだ。そのGoogleは、2020年もやはり目立っていた。2019年のように遊園地をまるごと作るほどの派手な登場ではなかったものの、ラスベガス・コンベンション・センターの正面に巨大な2階建てのブースを設けており、ご覧のとおりすべり台もついている。

2019年と同様に、2020年もGoogleがCESで力を入れているのはAI利用のスマート音声デバイス、つまりGoogleアシスタントまわりだった。

それでは新しいプロダクトをみていこう。

  • ウェブページ読み上げ: 重要な記事を読まねばならないが、一日中スマートフォンとにらめっこしているヒマはないということがよくある。Androidデバイスのユーザーは「OK Google、このページを読み上げて」と命じることができるようになる。アシスタントはたちどころにニューラルネットワークで自然な音声を生成し、人間のような自然さで記事を読み上げてくれる。ページに無数に散らばっている「なんとかで共有」や「トップに戻る」といったボタンにわずらわされることはない。Googleによれば、やがてアシスタントは読んでいる箇所をハイライトし、自動的に表示のスクロールもするようになるという。ただしこの機能が実装されるのは読み上げ機能より後になるかもしれない。
        • 動作の予約: 1回限りの操作を予約できるようになる。「OK Google、午後6時に明かりを点けて」などと命じることができるとのことだが、、今までこれができなったのが驚きという気もする。
        • ふせん: ポストイットに何かメモして、手帳や冷蔵庫などの頻繁に目にする場所に貼ることは誰もやっているだろう。Googleはこれをスマートディスプレイでもできるようにする。「OK Google、 『荷造りを忘れるな』とメモを貼って」などと命じると、ロックスクリーンにそのメモがずっと表示される。

        • 短縮ダイヤル: こちらはベビーシッター向けにポストイットに重要な電話番号を書いて冷蔵庫に貼っておく、といった作業の代用を目指している。 スマートディスプレイに電話番号を登録し、ロックスクリーンに表示させておくことができる。誰でも番号をタップし、あるいは音声コマンドでその番号に電話ができる。
        • 通訳モード: 2019年のCESで発表された通訳モードだが、いよいよスマートディスプレイでも利用できるようになる。スマートディスプレイの前に2人の人物がそれぞれ異なった言語で話すとスマートアシスタントが音声で通訳してくれる。Googleは多くの企業がこの機能を利用するようになると期待しており、事実、HSBC銀行やその他の機関が利用を始めている。ラスベガス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、日本、カタールにあるいくつかのホテルが利用を始めたということだ。我々もAmerican Airlinesの例を紹介している。こちらは英・西・中・日・独・韓・仏語を話すNestをラウンジで稼働させるためトレーニング中だ。
        • おっと、それからプライバシーだが、 Googleアシスタントは「OK Google」、「Hey Google」などのセンテンスで始まるコマンド類を除いて言われたことを一切記憶しないことになっているが、テレビから聞こえてくる会話などがアシスタントの録音機能を起動してしまうケースがたまにある。なにか会話していて突然アシスタントに「すみません、お役に立てそうもありません」と言われて驚いたことがある読者もいるだろう。これは会話中の何かがアシスタントの注意を引いたものだ。何か録音されていると感じたら「OK Google、今言ったことは忘れて」などと命じればよい(音声コマンドでアクティビティを削除する方法はこちら)。
        • 以上、いずれも便利そうな機能だが、Googleはロールアウトの正確なタイミングを発表しておらず、「近く」使えるようになるという。

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          滑川海彦@Facebook

インターネット分断時代にあってGoogleの影響力は急速に失われつつある

さて、1月2日になってMediumで今度はテック企業の幹部が怒りの辞任発表を行った。Ross LaJeunesse(ロス・ラジュネス)氏が1月2日に投稿した内容がそれだ。同氏は、Google(グーグル)の国際関係の元責任者で、同社で10年以上にわたりさまざまな役割を務めた。同氏は、Googleが人権重視の企業であろうとする志を失いつつあると非難し、技術と資本主義の未来について一連の問いを投げかけた。

重要なのは、米国を代表する会社がこれほど劇的に変わってしまうということが一体何を意味するのか、という問いだと思う。社会的影響や責任よりも、成長と利益に報いる企業文化がもたらした必然的な結果だろうか。米国の連邦政府を覆う腐敗に関係があるのか。「強い男」のリーダーが世界中で権力を握り、そこでは「正しい」か「間違っている」かに関する問いが無視され、私利私欲と利権が優先される、そういう世界的な傾向の一部なのか。最後に、「かつては」素晴らしかった米国の会社が、世界中の何十億人ものユーザーに関する大量のデータを管理すると、我々一人一人にどう影響するだろうか。

投稿全体が興味深い。Googleの中国事業、Project Dragonflyにおける検索検閲の危機、Google Cloudのサウジアラビアのアプリ、同氏のGoogle HRとのやり取りについて触れている。

これは一種のマニフェストだが、ラジュネス氏が共和党の現職Susan Collins(スーザン・コリンズ)氏の対抗馬としてメイン州の上院議員選挙で民主党予備選に出馬していることを考えれば、おそらく驚くべきことではない。同氏の巨大テック企業に対する批判は、ミズーリ州の共和党上院議員のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)氏とも似ているために、魅力的な政治戦略にもなっている。

議論の中心にある重要な問いに焦点を当てたい。グーグルには、技術が社会に与える影響に関して、「善良」または「邪悪」になる能力はあるのか。世界中の国々で、人権の観点から違いを作り出せる影響力があるだろうか。筆者の答えはこうだ。同社が持っていた大きな影響力は、残念ながら極めて急速に失われつつある。

筆者は、文字どおり何年もの間、インターネットがさまざまな影響圏に分断されることについて取り上げてきた。中国のような国だけでなく、ロシア、イランなども、インターネットのネットワークとアプリケーションをより正確にコントロールし、インターネットの本来の開放性と自由​​の精神に覆いを被せ、この通信媒体を鉄拳の管理下に置く。

分断が進めば、グーグルShutterstockNBAのような企業は、筆者が「権威主義の足かせ」と呼ぶ状況に直面する機会が増える。インターネットをコントロールする国々に協力して現地のルールに従うのか、単に撤退するのか。その選択は自国の市場にも派生し深刻な影響を及ぼす。

企業には選択の幅が与えられているわけだ。Shutterstockは天安門広場での抗議の写真に対する中国の方針を変えるつもりはない。Googleが中国で検索エンジンを立ち上げるつもりがなく、憂うべきサウジアラビアの女性の権利を変えようとしないのと同じだ。

影響力を持つには、企業の製品やサービスが市場で独占状態にあり、独裁政権が企業の提示する条件を受け入れざるを得ないほど独占が進んでいることが必要だ。言い換えれば、極端な力関係の差による「てこ」が要る。独裁政権に対し「ノー。ふざけるな。どうなるか見ておけ。我々は人権を尊重する。この問題にお前に選択肢はない」と言える能力だ。

テック企業が認識しつつあるのは、グーグル、Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)といった巨大企業でさえ、権威主義的な国々でてこなどというものはまったく持ちあわせていないということだ。中国の下請業者を通じて何十万人もの労働者を雇用しているアップルでさえ、中国で目立った変化を起こすことはもうできない。イランは、その国での政治的抗議の激しさを和らげるために、一定期間インターネットを閉鎖した。ロシアは先週、いざとなったら使用不能にできるか確認するためインターネットの遮断をテストした。あらゆる国がスイッチを切るだけで「技術」をオフにできるなら、そもそも巨大企業がてこを持っていると言えるのか。

企業が持つパワーが縮小する傾向に対して、テック企業、特に米国のテック企業は十分に対処しきれていない。もはや企業の意思決定に選択の余地はない。中国には独自の検索エンジンがあり、米国の親会社、究極的には米国の方針に煩わされない独自の携帯電話エコシステムがある。Azureがサウジアラビアから撤退すれば、代わってAlibaba Cloudが喜んでそのスペースに踏み込み、金を稼ぐことになる。

ラジュネス氏がGoogleに対し、同社の価値を明文化するよう社内で要求したときの様子について、同氏がコメントしている。

私の解決策は、全社に適用される正式な人権プログラムの採用を提唱することだった。そのプログラムでは、国連の人権宣言がうたっている人権に関する原則の遵守をGoogleが公約し、製品設計のさまざまな局面で製品およびエンジニアリングチームが内部レビューを受けるメカニズムが導入され、主要な製品の発売と市場参入の際に人権への影響を評価することが義務付けられる。

より良い製品設計レビュープロセスが世界の人権改善に貢献するという楽観的な世界感は、慰めにしかならないかもしれない。問題は以前よりはるかに単純だ。人権に関する内規や何らかの市場参入審査プロセスは不要だ。市場に参加するのか、しないのかの二択だ。権威主義的な国で製品やサービスを立ち上げ、避けて通れない人権侵害の問題と同時に、自国市場で消費者からの抗議に対処するか、価値を堅持し、蜃気楼の中に見える独裁政権下での将来の利益を無視して立ち去るかだ。

だから筆者は最近、GoogleとNBAはただ立ち去るべきだと主張した。筆者の信念は変わらない。筆者がShutterstockに対し、中国を去って同社のより開放的で自由な価値に立ち返るよう呼びかけたのも同じだ。もはや米国のテック企業は、10年前と同じように人権問題にくさびを打つことはできない。インターネットは分断され、データの国家主権が高まっており、関わるか逃げるかの二者択一になる。究極的には、私はラジュネス氏の側につく。企業は去るべきだ。それ以外にほとんど選択肢はない。

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(翻訳:Mizoguchi)

元Googleのポリシー責任者が人権を軽視した社内事情を揶揄

Google(グーグル)の国際関係責任者だったRoss LaJeunesse(ロス・ラジュネス)氏は、2019年に退社するまで10年以上にわたり、政府とポリシーに関する問題に取り組んできたが、かつてのGoogleの「悪に染まるな」という企業理念を達成できていないことを非難する新生(元)グーグラー(Google社員)となった。

現在最も注目すべきは、ラジュネス氏がその主張を掲げ、共和党スーザン・コリンズ氏に対抗して、米国上院議員選挙にメーン州の民主党から立候補しようとしていることだ。その長いブログ記事で、彼は(よりよく、より公平な世界を築く)Googleに入社し、そしてとうとう退職した理由を述べているが、言うなればこれは新年にあたって「禊ぎ」を行ったようなものだ。

このブログ記事は、長年Googleに勤めてきたことで、選挙運動中に直面するであろう厳しい質問を予期して受け流せるようにすることを意図している。そのため、例えば「Googleのような巨大ハイテク企業が、政府の監視の外で比較的自由にやれた時代は終わった」というような、あからさまに政治的メッセージが込められている。

それでも、この記事はGoogleにとっては気まずいものだ。とはいえ、企業文化や多様性に対する態度から製品開発における倫理感など、一連の問題に対する現役社員たちの運動ほどではないが。

ラジュネス氏によれば、(名前は伏せたものの)経営陣たちは、全社を挙げた人権プログラムを導入すべきという彼の提案を、懸命に拒否してきたという。その提案とは「国連人権宣言に準拠した基本的人権の原則を守ることをGoogleが公的に約束し、製品とエンジニアリング・チームに、製品開発要素を内部審査できるメカニズムを提供し、ローンチまたは市場投入される主要製品のすべてに対して人権影響評価を行うことを正式化する」という内容だ。

「私が人権プログラムを推奨するごとに、経営陣は拒否のための言い訳を伝えに来た」とラジュネス氏は暴露している。さらに、結果として彼は、Googleの中国市場への復帰を目指す検閲付きの検索プロジェクトに関連するポリシーの議論から外されるようになったという。

コードネームを「ドラゴンフライ」という異論の多いこのプロジェクトは、米国議会が疑問を呈した後に中止されたとラジュネス氏は述べている。それは、強大なハイテク企業に有効な制限を加えることができるのは政治による監視だけだという、ブログ記事全体を通した主張を裏付けている。2020年に米国で行われる選挙に向けて、すでにこの問題は絶え間なく鳴り響いている。

彼は以下のように書いている。

当初、(Google経営陣は)人権問題は個別のプロジェクトにするのではなく、製品チームが扱うべきだと言っていた。しかし、製品チームは業務としての人権問題の対処法を教育されていない。私が再度、経営陣のところへ行きプログラムの導入を訴えると、会社の法的責任が増加するのは困ると彼らは言い出した。私たちは、そうした懸念には根拠がないと断言する外部の専門家の意見を伝えた。この時点で、私の同僚の一人が、突然、ドラゴンフライを議論する部門に異動となった。人権を基本とするアプローチを一環して擁護してきた私は、ドラゴンフライをローンチすべきか否かの話し合いから外されてしまった。そのとき、会社は事業や製品に関する意思決定に基本的人権の原則を採り入れる気は一切ないのだと悟った。そのときGoogleは、さらなる利益や株価の上昇を追求するのではなく、まさに人権擁護を確約すべきときだったにも関わらずだ。

Googleにコメントを求めると、広報担当者から、ある女性広報担当者名義の声明が送られてきた。「私たちは、人権擁護団体や運動への揺るぎない支援を約束してます。この約束は、すでに広く報じられ、多くのメンバーを苦しめているポリシー部門の再編とは無関係であり、そこからは何ら影響を受けません。この再編の一環として、ロスには地位と給与の水準を保ったまま新しい役職が提示されましたが、彼は拒否しました。私たちは、ロスが政治の世界で願望を叶えられるよう祈っています」。

ラジュネス氏のブログ記事には、Googleの職場習慣についても書かれていた。いじめや人種差別的な偏見が日常化していたという。

経営陣が積極的に多様性の問題に対処しようとしていた間においてすらだ。職場の習慣に変化はなかった。先輩社員からいじめられ怒鳴りつけられた若い女性社員たちは、デスクで泣いていた。全体会議では、私のボスはこう話していた。「これで、お前らアジア人もマイクの前に立てるようになった。質問をしたいとは思わないだろうが」。別の全体会議では、ポリシー部門全体がいくつかの部屋に分けられ、「多様性訓練」に参加するように言われた。私は「ホモ」と名付けられたグループに入れられた。そこではグループのメンバーが「女男」とか「両刀遣い」などという偏見的な言葉を叫び合う。有色人種の同僚たちは、その近くの「アジア人」と「茶色人」の部屋にグループ分けされた。

この件についても、私たちはGoogleに問い合わせている。返答があれば更新情報を掲載する予定だ。これは明らかに、元Google社員で、元雇い主を公に非難することで築かれる政治的資本があると信じ上院議員を目指す元Google社員による「テックラッシュ」(巨大ハイテク企業への反発)の時代の兆候だ。

「どのように選挙を行うか、どのように子どもたちを楽しませ教育するかといった、私たちの日常におけるこれらの企業の役割は、影響力を持つ株主たち(特にGoogle、Amazon、Facebook、Snapの場合は仲良しの同僚であったり創業者であったりするが)を儲けさせるためだけに業務を行う経営陣の手に委ねるには、あまりにも大きすぎる」とラジュネス氏は、その矛先をFAANG全体にも向けつつ書いている。11月の投票までに、巨大ハイテク企業のお菓子箱からさらに何が飛び出すか楽しみだ。

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(翻訳:金井哲夫)

Amazonが本社の敷地に収容300名弱のホームレスシェルターを建設

巨大テクノロジー企業がますます大きくなるに伴い、ホームレスの人たちを助けろという業界の指導者たちの声も高まっている。高い給与水準に並行して生活費がかつてないほど高騰している地域では、とくにそうだ。例えば2019年1月には、Facebook(フェイスブック)とChan Zuckerberg Initiativeがそのほかの人びとと共に作ったグループであるPartnership for the Bay’s Future(ベイエリアの未来のための連携)は、数億ドルを投じて庶民に手の届く住宅を増やし、サンフランシスコ周辺の5つの主な郡で低所得居住者の保護を強化しようとしている。一方Microsoft(マイクロソフト)は昨年1月の発表で、高い家賃のために低所得や中所得の人びとが逃げ出しているシアトルとその郊外地区を再び多くの人びとが住める場所にするために5億ドルを拠出すると約束した。

Mary’s Placeのファミリーセンター(画像提供: Amazon)

Amazonも過去にCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、ホームレス解消のために20億ドルを拠出し、同じ資金で教育などの行政サービスが行き届いていない地区にモンテッソーリ的な就学前教育施設を建設すると2018年の9月にTwitterで発表した。

しかし今回Amazonは、ホームレス救援事業のバーを他社に対して相当高く上げた。同社はシアトルの本社内のスペースにホームレスシェルターを作る。それは、ワシントン州で最大の家族向けシェルターになる。

Business Insiderが米国時間12月30日朝にこのニュースを報じている。そのシェルターのひと晩の収容人数は275名で、家族には個室が提供され、ペットを連れてきてもいい。業務用キッチンもあり、そこでは1年に60万食の食事を作れる。

その施設は新年の第1四半期にオープンし、長年Amazonとパートナーしている非営利団体Mary’s Placeとの提携事業の一環になる。同団体は2016年以降、Amazonのキャンパスにあるトラベロッジ・ホテルの外に、シェルターを運営している。Business Insiderの記事によると、その新しい施設には各年400家族向けのベッドと毛布が用意され、Amazonは施設のオーナーであるだけでなく、今後10年間、またはMary’s Placeが必要とする間、日常経費や修繕費、セキュリティ費用なども負担する。

ホームレスはシアトルのあるキング郡だけでも12500名と言われているが、Business InsiderによるとAmazonのシェルターは微々たる救いであるだけでなく重要な意義もある。それはAmazonが、自分の本社の敷地にシェルターを建設するからだ。

私たちの知るかぎり、ここまでやったテクノロジー企業はほかにない。この決定はまた、増加しているホームレス人口への支援策をめぐる他の都市の、あいまいな姿勢を際立たせる。記憶に残る1つの例は、3月にサンフランシスコ市長London Breed(ロンドン・ブリード)氏が、湾岸道路沿いの駐車場に市の7000名あまりのホームレス住民のうち最大200名を収容する案を述べたとき、周辺住民が反対の声を上げたことだ。その案は後日実現したが。

ニュースサイトのVoxによると、Microsoftの昨年の5億ドルの約束などの企業努力に対しては、賞賛と不満の2つの声がある。不満派は、そういう活動が受け取る無料のパブリシティを問題にしている。Amazonも、2018年の税前利益110億ドルに対して国税を一銭も払っていない。同社はまた2018年に、一般市民に手の届く住宅のために資金を調達しようとしている大企業に課税するなら、シアトルでの建設をやめると市を脅したことがある。

9150億ドルという世界最大の時価総額を誇るAmazonが、それにふさわしいことをしているか。これは確かに今後の探究を要するテーマだ。今や「世界を食べている」と称されるそのほかのテクノロジー企業にもれは言える。しかしそれでも、Amazonのような企業が会社の中心にホームレスシェルターを作ることは、肯定的に受け入れるべきだし見習ってもいいだろう。

Mary’s Placeの執行ディレクターであるMarty Hartman(マーティ・ハートマン)氏はBusiness Insiderに「1つの事業で解決する問題ではない。企業だけでは解決しない。団体でも政府でも解決できない。財団でもだ。全員が力を合わせる必要がある」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa