Google、健康医療関連情報もナレッジグラフで提供開始

Googleはセマンティック検索を進化させ、検索用語により深く関連する内容を通常の検索結果よりも前に表示するといったサービスを強化しつつある。そしてこの度、健康関連の検索についてもセマンティック検索の機能を取り入れることを決断したようだ。

Googleによると、Googleプロダクトからの検索のうち、20件に1件は健康関連のものであるらしい。

具体的には健康関連の検索について「ナレッジグラフ」を表示していくという話で、こちらのブログでアナウンスされている。GoogleのプロダクトマネジャーであるPrem Ramaswami曰く、病気の症状を入力する際には医療的な情報を求めている人が多く、そのニーズに対応しようとしているのだとのこと。

一般的な症状や治療法などに加え、緊急を要する症状なのか、伝染の可能性はあるのか、とくに気をつけなければならない年齢はどのくらいなのかなどといった情報も提供していきます。いくつかの症例については協力機関から入手した詳細なイラストで症状を解説します。まずナレッジグラフ経由で基本的な情報を入手すれば、その後に検索すべき内容や、医者に問い合わせるべき内容をわかりやすく把握できると思うのです。

Ramaswamiによれば、Googleは「複数の医師」と協力し「役立ちそうな情報を丁寧に集めている」とのこと。「協力してくれる医師たちや、ウェブ上にあるさまざまな医療系サイトからの情報を集めたもので、集約して情報を提示するナレッジベースの内容についてもGoogle社内の医師やメイヨークリニックによって精査しています」ということらしい。

健康関連の情報については、Googleで検索してみても、間違った情報ばかりが表示されるという悪評もあった。Googleとしては、そうした評判に対抗して、正確な情報を提供できるような仕組みを整えようとしているのだろう。

そしてもちろん、健康関連というのは今後のデジタルサービス(とくにモバイル分野)において主要な戦場になるという見込みもあるのだろう。この分野に早い段階から注力することにより、スタンダードとしての地位を獲得したい狙いもある。医者にいって「ネットでも調べてみたのですが」などと言っても、現在はほとんど相手にされないという状況だ。そういう状況が近く変わるのかもしれない。

(もちろんGoogleのこのサービスは医療行為の代替を目指すものではないと強調している。利用者の知識を「深める」ためのものであるとのこと。ただしそうは言ってもGoogleは最近、ライフサイエンス分野に深い関心を示してはいる。そうした中、提供される情報も「医療行為」に近いものとなっていくことは考えられる)

当初は一般的な症例を案内する程度のものとなるが、それはほんのはじまりに過ぎないと言えるだろう。医療界の百科事典的な存在として機能していきたいという狙いがあるはずだ。今後もさらに医療健康系に力を入れてWebMDなどが存在感を示している領域にも進出していくことになるだろう。

現在のところは英語のみの対応だ。しかしRamaswamiは次のようにも言っている。

取り扱う病状の範囲を広げるだけでなく、多言語対応も進めていきたいと考えています。凍傷やテニス肘、あるいは麻疹の症状について、世界中の人々にGoogleアプリケーションを通じた情報提供を行なっていく予定です。

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(翻訳:Maeda, H


Google I/O 2015カンファレンスは5月28日、29日に開催―チケットは去年につづいてクジ引き

昨年、GoogleはI/Oカンファンレンスに参加するために重要な資格を一つ追加した―クジ運の強さだ。膨大な数の申し込みが殺到するので、参加希望者はチケットを買うためにまずクジを引かねばならない仕儀となった。.

賛否はともあれ、この仕組は今年も維持される。

先ほどGoogleはI/0 2015カンファレンスについて最初の情報を発表した。

  • 開催期日は5月28日と29日の2日間。会場は例年どおり、サンフランシスコのMoscone Center West
  • チケットの購入申し込みは3月17日午前9時(太平洋時間)から2日間。ただし慌てるには及ばない。なぜなら―
  • Googleは「チケット購入のチャンスを得る人々をランダムに選ぶ」としているからだ。

Google I/Oのチケットはこれまでも一瞬で売り切れた。その理由のひとつはGoogleがチケットの料金以上の「おみやげ」を気前よく配るからでもある。たとえば昨年は全員に1つどころか2つもAndroid Wearスマートウォッチを配った(プラス、おそろしくよく出来たボール紙のVRシステム、Google Cardboardも)。

まだチケットの料金については発表がない。昨年は900ドルだった。

画像:Maurizio Pesce/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Googleのセキュリティー診断を受けて、Google Driveの2GB無料ストレージをもらおう


Safer Internet Day[インターネット安心デー]の今日(米国時間2/10)、豪華な食事でこの日を祝うことはなくても、不正侵入に襲われるのは大メディア企業だけでないことを覚えておくにはよい機会だ。Googleのセキュリティー設定をチェックするモチベーションを少しでも上げるべく、同社は来週中にセキュリティー診断を実施したユーザーに、2GBのストレージを無料で追加する。

私もたった今やったところだが、実にシンプルでわかりやすかった(Google広報いわく「私のママにもわかった ― それはオンラインセキュリティーでは珍しい!」)。ウィザードに従って、アカウント復旧情報、最近のアクティビティー、アカウント権限、パスワード、二段階認証設定等を確認していくだけだ。

何の問題も見つからないことも多いだろうが、私の場合は、1年以上使っていないいくつかのアプリからのアカウントのアクセスを無効にした。

完了すると、セキュリティー設定を一覧できるページが表示され、今月中には、あなたのGoogle Driveアカウントに2GBのスペースが追加される(ただしGoogle Apps for WorkまたはGoogle Apps for Educationのユーザーは対象外)。これは[昨年11月にChromebookユーザーに贈られた]1テラバイトの無料ストレージではないが、ちょっと嬉しいボーナスであり、しかも永久に使える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


GoogleはHTTP/2を優先してSPDYのサポートを終了へ

Googleが今日、‘Google版のHTTP’とも言えるSPDYのChromeブラウザにおけるサポートを2016年の前半までに終える、と発表した。HTTPの次のバージョンHTTP/2の規格策定作業がすで相当進んでいるので、Googleも独自のソフトウェアを捨ててそちらを採用することにした。ChromeのメインリリースがHTTP/2をサポートするのは数週間後、と言われる。

HTTP/2は今のHTTP 1.1に対し重要な改良をいくつも加えている。長年お役に立ってきた HTTP 1.1も、それが90年代後半に策定されてから今日までのあいだにWebが大きく変わり、とくに、複雑なページや、ストリーミングなど大型コンテンツの読み込みの遅さ、遅れが目立ってきた。今日のWebサイトはコンテンツが大型化しただけでなく、非常に複雑にもなっているので、わずか1ページの読み込みにサーバへのリクエストを数百回も行い、同時に数十もの接続を開き保持することすら、珍しくない。

SPDY(“スピーディ”と発音する)は、ストリームや優先度設定(prioritization)、プロトコルネゴシエーションといった新しい機能をHTTPに持ち込み、ブラウザが多くのファイルをサーバにリクエストする場合のやりとりの回数を減らした。またSPDYはHTTPのヘッダを圧縮してオーバヘッドを減らしているが、その機能はHTTP/2にもある

HTTP/2はSPDYを踏み台にしてスタートし、最終形もGoogle色を多く残している。HTTP/2はこの数年間でSPDYに数々の変更を加えたが、それでもHTTP/2のプロトコルにはSPDYの考え方がそのまま生かされている。たとえばSPDYのストリームの概念も、その典型だ(HTTP/2のストリームは、多重化が加わるなど、SPDYに対しやや改良が加えられているが)。

HTTP/2はこれからほぼすべてのブラウザがサポートすることになるので、Googleとしても独自プロトコルに固執する理由はない。SPDYは、HTTP/2にその方向性を提供したが、現時点ではもはやGoogleのやるべきことは残っていない。将来、HTTP/2に対し不満が出てきたら、またGoogleの出番があるかもしれないけど。

GoogleのエンジニアChris BentzelとBence Békyは、次のように述べている: “オープンなスタンダードであるHTTP/2の策定過程に貢献できて幸甚である。その策定と実装の過程には業界の幅広い参加が得られたので、今後の広範な採用を期待したい。また弊社は、インターネットの基盤的なプロトコルの今後のさらなる進歩により、より高速でより安全なインターネットを多くの人びとに提供していきたい”。

同社はサーバのデベロッパに対して、同社の方向性に従うこと、これからはもっぱらHTTP/2のみを実装することを、推奨している。またTLSに関しても、そのHTTP/2バージョンでセキュアなhttps接続を支えるALPNへの準拠を、求めている。ブラウザと違ってGoogleのサーバは、まだ当分SPDYをサポートすると思われるが、しかし長期的にはやはりSPDYのサポートを完全に終了するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、写真バックアップサービスのOdyseeを買収、チームはGoogle+に合流

Googleは、近々Google+の写真サービスに、オフラインおよびプライベート共有機能を追加するつもりかもしれない。同社は、Odyseeを買収した。iOSおよびAndroidの写真をパソコンに自動バックアップするアプリだ。ユーザーは自動的に友達と写真を共有することができる他、他のサービスと統合するためのAPIもある(詳しくは本誌のこの記事を参照)。同アプリは2月23日にサービスを閉鎖し、開発チームはGoogle+に合流して「人々に愛されるすばらしい製品づくりに集中する」。

買収のニュースは、Odyseeホームページに掲示され、アプリのユーザーには通知が送られた。そこにはユーザーへの感謝の意と共に、サービス終了プロセスの詳細が説明されている。具体的には、Odyseeのバックアップ作業は2月23日で終了し、すでに同サービスを通じてバックアップされた写真とビデオはダウンロード可能なアーカイブとして利用できる。

この買収がGoogleにとって大きな意味を持つことは間違いない。

GoogleがGoogle+とは独立した単体の写真サービスを提供するかもしれないという噂は以前から渦まいていた。オフラインの保存や写真共有オプションを追加することは、Googleの写真サービスの競争力を高め差別化をはかる上で理にかなっている。オンライン写真サービス分野には、Facebook/Instagram、YahooのFlickr、Dropbox等多くのライバルがひしめき合っている。

加えて、Google+の一部としてであっても、Googleクラウドへ ― その意味ではDropboxやiCloud等いかなるクラウドベースサービスへも ― これ以上データを預けることに慎重な人々が多いことを考えれば、写真機能にオフライン機能を追加することには意味がある。

Odyseeは、Raghavan MenonとShiva Javalagiが共同設立したNimbuzが作ったアプリで、Facebook経由あるいは専用アカウントでログインできる。昨年Sarah Perezがアプリを紹介した記事にもあるように、ファウンダーは2人ともネットワーキング、アルゴリズム、キャッシング、および組み込みソフトウェア等の経験を持っている。

Odyseeで興味深いのは、「多くのビデオを撮影し、フル画質で保存したい人々のために作られた」サービスとして、保存先のストレーを任意のクラウドではなく、ユーザー自身のパソコンへとシフトしたことだ。その一方でキャッシング機能も開発し、パソコンがオフラインの時や、遅いネットワークからでも写真をアクセスできるようにしている。

「Odyseeは最近アクセスした写真やビデオの複製を高画質でオンラインに保持している。Odyseeはアクセスされる可能性の低い写真やビデオ(プログラムで予測する)は、InstagramやFacebookと同様に低画質で持っている」と同社のFAQに書かれている。「すべては何らかのバージョンがオンラインにある」

他人とのシェアに関しても独自のアプローチをとっている。Odyseeには家族や親しい友達からなる独自の「follower and followingネットワーク」があり、「非Odyseeユーザー」にはURL経由でシェアできる。

他の多くのアプリと同じく、Odyseeはフリーミアム方式をとっている。最初の1年間は無料で、その後は年間5ドル。ファウンダーらは、ユーザーが300万人に達したらビジネスを継続できると予測している。

アップデート:Googleは買収の事実を認めたが、それ以上は語らなかった。「私は買収のニュースおよび彼らがGoogle+チームに加わることを認める。それ以上話せることはない」と広報担当者がメールで語った。

Odyseeサービスのビデオを下に、その下にお別れメッセージを貼ってある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Googleの新アルゴリズム「ピジョン」の全て

ローカル検索に関するアルゴリズムとして登場したGoogleの「ピジョン」(鳩)アルゴリズム。日本ではまだ適用されていないようですし、国土も広くローカル検索が進化している米国と違い、重要性がまだ薄いかと思い、これまでSEO Japanで取り上げてきませんでしたが、サーチエンジンランドでまとめ記事が出ていたのでここに紹介したいと思います。今後重要性が増していくことは間違いないローカル検索、いずれこのアルゴリズムも適用されていくと思います。そうなる前に、まずはこの記事でGoogleの新アルゴリズム、そしてGoogleのローカル検索に対する考え方を理解しておきたい。 — SEO Japan

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ローカル検索は重要だ。今までも、そして、今後も重要な存在であり続ける。移動が多い人であっても、ローカル検索の結果を軽視するべきではない。 

Googleの最新のローカルアルゴリズムは、具体性および正確性を一段とレベルアップさせている。今回の投稿では、このアルゴリズムのアップデートに関して、知っておくべきことを全て伝える。

1. 2014年7月24日に導入されたピジョン

昨年の7月24日、Googleは新たなローカル検索アルゴリズムを導入した。バリー・シュワルツはその日の夜にSearch Engine Landでこのニュースを伝え、その後、「ピジョン」と命名した。

Mozはアルゴリズムの変化に関するレポートで、このアップデートを次のように描写していた。

Googleは、このアップデートで、一部のローカルの結果を大幅に変え、さらに、検索エンジンが場所の手掛かりに対処 & 解釈する仕組みに修正を加えたことで、ローカルSEOを大いに揺るがした。そのGoogleは、ローカルアルゴリズムとコアのアルゴリズムの結びつきをより密接なものにした、と主張している。

8月1日、ピジョンはアップデートされたようだが、Googleは認めていない。

2. Google マップの検索 & ウェブ検索の双方の結果に影響が出る

Googleの検索とGoogle マップの検索は、時折異なる検索結果を表示することがある。ピジョンが導入された後、この傾向に変化が見られるようになった。ピジョンはウェブ検索とマップの検索の結果に一貫性をもたせる。

3. ローカルの結果は従来のウェブランキングシグナルに密接に関連する

ピジョンアルゴリズムにより訂正されたローカルの結果は、Volume Nineがレポートの中で説明しているように、「Google ウェブ検索のページのランク付けに似ている」。

Search Engine Landは「ピジョンはローカルの結果を通常のウェブランキングシグナルにより密接に結びつける」と指摘している。

新しいローカル検索アルゴリズムは、サイトのウェブ検索のランキング能力と密接に絡み、スペルミスの是正、類義語、および、ナレッジグラフ等の機能に加え、多数のランキングシグナルを活用する。

4. ピジョンはYelpを指定した結果の精度を改善する

ローカルレビューサイトのYelpは、検索結果で同社のサイトが明らかに軽視されているとして、2014年の中ごろGoogleに抗議した。Yelpは、検索エンジンのユーザーがクエリの中で具体的に「Yelp」を求めているにも関わらず、GoogleのレビューがYelpのレビューよりも上位に掲載されるととして、Googleを批判していた。

ピジョンはこの問題を解決し、現在、Yelpを指定するクエリは、Googleのレビューよりも上位に表示されるようになっている。

5. ピジョンはその他のローカルディレクトリに対する検索結果の認識も改善する

引き上げてもらったローカルレビューサイトはYelpだけではない。Urbanspoon、OpenTable、TripAdvisor、Zagat、Kayak等のサイトもまたピジョンのリリース後、検索結果で目立つようになった

「サンフランシスコ レストラン」のような一般的なクエリでも、つまり、レビューやレビューサイトを指定しなくても、このタイプの結果が返される可能性がある。基本的に、ピジョンはディレクトリとディレクトリのリスティングを重視していると言える。

6. ピジョンはGoogleがリリースしたアップッデートの中で規模が最も大きい

Mozcastのデータには、アップデートが行われた後、大きな変動が記録されている。以下のグラフには、ローカル(通常のリスティング)、カルーセル、そして、ワンボックスにおける変化が記されている。image00

7. 距離 & ロケーションのランキングパラメータが改善された

Search Engine Landは、「Googleがピジョンの導入により距離とロケーションのランキングパラメータが改善されたと述べた」と指摘している。距離 & ロケーションのランキングパラメータが何なのかは良く分からないが、具体性が高まったことにより、どうやら「インフォーマルスペース」(周りとの境界が曖昧な空間)と呼ばれる密度の高い地域に影響が及ぶと見られている。

昨年アンドリュー・ショットランドは、「インフォーマルスペース」および「地域アルゴリズム」を記事の中で取り上げていた。

ローカル検索のデータの世界では、地域は「インフォーマルスペース」と呼ばれることがある。つまり、標準的な境界線が存在しないと言うことだ。従って、地域の範囲の定義は、人によって異なる。その結果、Google等のサービスは、地域を適切に反映させることに苦労する。

ピジョンがリリースされる以前、このような密度の濃いスペースに対するローカルの検索結果は解析が困難であった。現在、ピジョンが具体性をレベルアップさせたことにより、精度が増している。それでは、この精度の改善により、どんな影響が現れるのだろうか?私は次のように推測している。

ピジョンは、地域を検索するための従来のクエリ、および、同じ地域を検索するための口語調のクエリに対して、より精度の高い結果を返す。

地域は、話しかける相手によって、複数の異なる名称で呼ばれる可能性がある。例えば、地図を必要とする不慣れな人が、場所 Aを訪問し、地図に書かれているように「アップタウン」と呼ぶ。しかし、地元の住民は、「アップタウン?聞いたことがないな。ここはトラックビルだよ」と言う。1つの場所に2つの名前が存在する。どちらの呼び方が正しいのだろうか?今回のアルゴリズムのアップデートにより、どちらも正しくなった。

ピジョンは検索された地域の少し外側のエリアの結果も提供する。

都市でカフェを探していると仮定する。地図が定義する別の地域の「境界」に近づいてきた。

ラテが飲みたいだけであり、境界線の策定など知ったことではない。そのため、「ソーホー カフェ」で検索をかけ、ソーホーの公式の範囲から外れたリトルイタリーの結果が表示される。ソーホーの場所によっては、リトルイタリーは目と鼻の先だ。

この例は、ピジョンが土台を置く明確に限定されていない具体性、および、ロケーションベースの直観を物語っている。ショットランドは、「無限のアルゴリズムの知識を持つGoogleは、地域のような小さな検索の領域を見ると、より安定した一連の結果を提供するため、ユーザーに指摘された領域の外側の結果も見せたくなる」と表現していた。

ピジョンは地域に特化したキーワードを使い、地域に言及するビジネスを優先する。

具体性が強化されたため、地域のビジネス(会社、店舗)は、ソーシャルメディアのプロフィール、言及、そして、Google+のプロフィールを、市や地区の名前だけでなく、市や地区の領域内の具体的な場所を反映させることを意識して最適化に励むことで、より上位にランク付けしてもらえるようになるだろう。従って、ハイパーローカルの重要度がより高くなったと言える。

8. 結果の組み合わせが行われ、多くのローカルの検索結果が変化した

ピジョンの導入後、一部のサイトはランキングを上げていたが、その一方で、ランキングを下げるサイトもあった。Search Engine Landの読者のコメントを幾つか紹介する。

  • ショーン M — 複数のクライアントのためにレポートを実施したが、検索クエリの結果において全てのクライアントがランキングを上げていた — 大きな変化も見られた。
  • リンダ B — SEOのリサーチを行うために私がチェックしているローカルの結果の全てで、大きな変動があった。
  • ジム K — 歯科医院を営むクライアントの結果をチェックしたところ、ローカルのリスティングが姿を消していた。
  • ロバート — Google+のリスティングが大打撃を受けた。以前は1位だったが、表示されなくなってしまった。地域で複数の店舗を展開しているが、私達の代わりに検索結果に表示されるようになったのは、店舗を持たないビジネスのウェブサイトだ。何と言うことだ…。
  • ニコ — 現実の世界のことを全く理解していない最低のアルゴリズムだと思う。残念だ。
  • ジェームズ — メインの検索フレーズに対する地図のセクションが消えた。ただし、州の略称、または、州の名前をそのまま入力すると再び地図が掲載されるようになる。
  • ジェイソン — 地域のレストランに対するSEOを軽く実施してみた。三週間前にレストランが完全に検索結果から姿を消していた。しかし、本日、州、市のレストランの検索結果で、1ページ目の3位に突然復帰した。出入りが激しい分野ではあるが…
  • ブライアン — クライアントのサイトの結果が大きく変化した。これほど大きな変化を見るのは久しぶりだ。

勝つ者もあれば、負ける者もある。アルゴリズムの変更はこのような結果を導く。

9. 一部の特定のタイプのビジネスはランキングを下げた

Search Engine Landに寄せられた大量のコメント、および、ダレン・ショウによる地道な作業の結果を参考にする限り、一部のビジネスのタイプは、ピジョンによるダメージを受けていると言える。ショウがランキングを落としたと特定した分野/テーマを挙げていく。

  • mold removal(カビ 除去)
  • dui lawyer(飲酒/麻薬専門 弁護士)
  • dui attorney(飲酒/麻薬専門 弁護士)
  • real estate/realtors(不動産/不動産仲介)
  • emergency plumber(緊急 配管)
  • commercial * (塗装、工事、改築等) — 基本的にcommercialの後に続くクエリは全て

10. ローカルのセクションが減る

ピジョンがもたらした変化の中で特に目立つのが、ローカルのセクションの減少だ。Whitesparkを運営するダレン・ショウは23%減少したと報告し、Mozcastでは60%の減少を記録していた。この大幅な減少に対してマイク・ブルーメンソールは有益な意見を提供し、また、7パックにおける減少も指摘している。

11. スパムが検索結果に表示された

アルゴリズムの変更が行われた直後、検索結果の上位にスパムが表示されていると言う苦情が寄せられていた。また、ピジョンがリリースされた後、Expediaはホテル扱いされていた。

当然だが、今回のアルゴリズムのアップデートはスパムを狙っていたものではない。そのため、一部のスパムが紛れ込む可能性はある。ピジョンに関する見解を多数提供していたバリー・シュワルツは、「あらゆるアルゴリズムの導入に共通することだが、バグ、予想外の結果、そして、関連性の低い結果を完全に避けることは不可能だ」と指摘している。

また、ローンチ後、継続的に改善が行われている。この点もあらゆるアルゴリズムの導入に共通することだ。事実、ピジョンが展開されてから、スパムレポートは徐々に消えていった(Expediaの問題も解決された)。ピジョンは、品質の高い結果のみを表に出すことで、安定化に成功したようだ。

12. ピジョンは世界各国に展開されているわけではない

2014年7月4日にローンチされたピジョンは、アメリカに限定されていた。昨年の12月、イギリス、カナダ、オーストラリアに展開されていった。この記事を書いている時点で、その他の地域にはリリースされていない。

結論

この件に関しては、本のタイトルで「グローバルなバーチャルな世界において、場所は今まで以上に重要になった」と断言したジョン A. クエルチとキャサリーン E. ジョクスの考えを私は支持する。

サンフランシスコに行き、テルアビブの同僚と会話を交わし、ロンドンのクライアントのウェブサイトを調整し、パースとニューヨークの業者とテレビ会議を行うような生活をしている者であっても、ローカル検索の重要性を理解する必要がある。

ピジョン(どんな呼び方をしても構わない)は、ローカル検索を推進する。これは良い傾向だ。皆さんのビジネスは、今回のローカル検索の改良により、どのような影響を受けただろうか?

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Everything You Need To Know About Google’s Local Algorithm, Pigeon」を翻訳した内容です。

アルゴリズム自体はまだまだ調整途中にあるようにも思えますが、スマホの普及やGoogle Now等もあり、ローカル検索のアルゴリズム改善は今後、ある程度一息ついたスパム対策以上にGoogleにとっての大きな課題なのかもしれません。記事にもあった、人によって距離感の概念が違う「インフォーマルスペース」の問題をどう解決していくかは興味深いですね。クリック・閲覧履歴もベースにできるでしょうが、スマホの場合は最終的には過去の滞在場所・移動履歴等も考慮されるようになると、驚く程に適格すぎる結果が出てきそうで怖いような嬉しいような。またそこにセレンディピティ的要素も考えないといけない所が検索の難しさ。もしかすると、いつも同じラーメン屋やコンビニばかり行く人にはセレンディピティは必要ないと考えるのかもしれませんが。。。Googleの進化、想像するだけでワクワクしますね。SEO屋としては死にそうですけど。 — SEO Japan

Chromecastを持ってる? Googleが6ドルくれるって

Chromecastは小物のデバイスだけど、今やすでに大物だ。一つだけ望むこと(*)があるとすれば、Googleがそれを持ってる人たちに、ランダムにお金をくれたら、いいよね。

(*冗談はさておき、5GHzのWiFiをサポートしてほしいな。)

でもGoogleは今日(米国時間2/6)、本当にお金をあげると言ったのだ!

Android Authorityの記事によると、GoogleはChromecastのオーナーにGoogle Playのクレジットを6ドルくれる。ただし、合衆国だけ、のようだけど。〔訳注: 原文のコメントによると、イギリスでは5ポンド、ドイツなどEU諸国では6ユーロのクレジットがもらえる。カナダも、あり。〕

どういうことかというと、ヴァレンタインデーの週末に、あなたはその6ドルを使って、甘い甘い恋愛映画を見れる。ほかのことでもよい。たとえばあなたのClash Of Clansの村をもっと大きくする、とか。

このお小遣いをもらえる条件は簡単だ:

  • Chromecastと同じネットワークに接続していること。
  • iOS/AndroidのChromecastアプリを開く。
  • 画面をタップして”Check For Offers”ボタンを見つける(上右の三点ボタンに隠れているはず)。
  • あなたのChromecastのシリアル番号をGoogleに教える。
  • 以上!

ラップトップからこのリンクへ行ってもよい。

Chromecastsを複数台持ってる人は、一台につき一回ずつ、このクレジットをもらえるらしい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleにツイートのリアルタイム検索が戻ってくる!


Twitterは決算日前夜にGoogleと極めて大きな提携契約を交わしたようだ。Bloombergによると、両社はTwitterのリアルタイムツイートを、「今年の前半」にGoogleの検索結果に含める契約に合意した。

この提携によってGoogleは、Twitterの “fire hose”[消防ホース=全ツイートデータ]を再びアクセスできるようになる。検索のライバル、YahooとMicrosoft Bingは既にこれを享受している。TwitterとGoogleは同様の契約を2009年に交わしたが、2011年には更新しなかった。その結果Googleは、ツイートをインデックスするためにTwitterのサービスをクローリングしなければならなくなった ― 時間のかかるプロセスである。今回の契約条件の下、ツイートは投稿された直後から、Googleの検索結果で見られるようになる。

この提携は、いくつかの意味で非常に大きい。Bloombergの情報源によると、契約には広告収益に関する条項はないが、Googleが「データ・ライセンシング」収益を支払うとしている。これは、Twitterが昨年1600万ドルから4100万ドルへと伸びた収益科目であり、Googleが加わった今、さらに成長することが期待できる。

そして、今週Twitterは広告事業を拡大し、プロモーテッド・ツイートがサードパーティーのアプリやサイトにも表示されるようになった ― 最初はFlipboardおよびYahoo Japan。つまり同社はTwitterに登録していないユーザーの収益にも注力している。Googleの検索結果ページに目立って表示されるようになれば、同社のビジネスは著しく促進される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


YouTubeがマルチアングル(複数カメラアングル)ビデオの実験を開始

YouTubeが今日(米国時間2/4)、再生中に視聴者が別のアングルのカメラに切り替えられる、という、ちょっとしたおもしろい実験を開始する。このマルチアングルビデオは今はあくまでも実験なので、わずか1本のビデオしか実装していない。

試してみたい人は、Madilyn BaileyのYouTubeチャネルへ行く。彼女はYouTube上で人気のあるインディーアーチストで、とくにカバー曲がよく知られている。YouTubeのチームはこの前のYouTube Music Nightで彼女の演奏を撮り、マルチアングルのビデオを作った。

YouTubeによると、そういうビデオは、YouTube技術陣の努力により、今や一見自動的に作られるが、しかしそこに込められている技術は誰もが簡単にスケールできるようなものではない。

実は数年前から、こういうことをトライしたスタートアップが数社いる。Marc Cubanと500 Startupsが支援したアプリSwitchcamことStreamweaverは、このようなビデオをクラウドソーシングした。それらのアプリはどれも離陸できず、Switchcamは消滅した。今では、そんなビデオをまともに作っているところといえば、インターネットビデオの大御所、YouTubeだけだ。

YouTubeの広報の話では、YouTubeはこのところ“ビデオをもっと没入的かつ対話的にする”ことに取り組んでいて、今回の実験もその一部だ。ただしこの総合的な実験には、YouTubeに認められたユーザしか参加できない。ひまとやる気のある人は、ここで申し込むとよい。

一方Madilyn Baileyとしては、YouTubeからこの実験のオファーがあったとき、躊躇(ちゅうちょ)しなかった。彼女は、大意として、“オンラインコミュニティとの対話性を高めることは大好きで、視聴者の自由度が高まり自分の視聴経験を個人化できるこのような試みはとってもクリエイティブだと思う”、とメールに書いている。“オーディエンスの参加性が高まれば、私もハッピーだから!”、だそうです。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


検索エンジンでYahooがじりじりアップ―Google、モバイルを除くシェアで75%を割る

2014年第4四半期の決算が期待を下回った Googleだが、もうひとつの問題が浮上した。検索エンジン市場でYahooがじりじりとシェアをアップさせ、その分Googleがダウンした。モバイルを除くアメリカの検索エンジン・シェアでGoogleが2008年以来初の75%割れを記録した。一方、Yahooはbingを抜いてアメリカの検索エンジンとして第2位となった(デスクトップ、タブレット、スマートフォンを含む)。

下で詳しくみていくが、ある意味、大海の一滴のような変化ではある。それでもStatCounterのレポートによれば、YahooがFirefoxのデフォールト検索エンジンの地位を獲得したことがはっきりと結果を生んでいるのは注目だ。過去3ヶ月でYahooはアメリカにおけるFirefoxブラウザ上の検索シェアを3倍に伸ばした。

Yahooは2014年11月に10%だったFirefoxでの検索シェアを28%に伸ばした。これに対してGoogleは64%にダウンした(デスクトップ、ゲーム機、タブレットを含みスマートフォンを除く)。

Yahooのこの小さな成功は、YahooがSafariブラウザのデフォールト検索エンジンの地位を狙ってAppleに働きかけているという情報を考えるとき興味深いものになる。Safariのデフォールト検索エンジンはGoogleだが、今年で契約が切れる

YahooとMicrosoftの検索エンジンでの提携は、今年で10契約の折り返し点を迎える。Yahooは検索ビジネスの強化を目指して“契約内容の改定”を申し入れているという情報がある。おそらくはYahoo独自のテクノロジーを注入し、Yahooにとって売上をアップさせる内容としたいのだろう。.

検索市場全体からすると依然、Googleの圧倒的優位は揺らいでいない。

まずFirefoxはGoogle Chromeに比べてはるかにシェアが小さい。アメリカではChrome、Internet Explorer、iPhone、Safariについで5位にすぎない。

またGoogleが75%を下回ってといっても、それはモバイルを除外した数字だ。モバイルを含めたGoogleの検索シェアは78%ある。しかし2014年11月のGoogleのシェアは79.79%だったから、やはり1%ポイント低下している。

デスクトップ、タブレット、ゲーム機に限ればなるほど、過去3ヶ月でbingとYahooのシェアは増加し、その分Googleが減少している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Googleの2014年Q4:EPS 6.88ドル、売上145億ドル共に予測を下回る


Googleは今日(米国時間1/29)の取引時間終了後に第3四半期の決算を報告し、総売上181億ドル、トラフィック獲得コストを除いた(ex-TAC)売上145億ドル、非GAAP 1株当たり利益(EPS)6.88ドル、GAAP EPS 6.91ドルだった。

ウォール街のウォッチャーらによる予測は、非GAAP EPS 7.13ドル、売上148億ドルだった。今四半期で注目されていた数値の一つが売上成長率で、これは前四半期に過去5年間で初めて対前年比成長率20%を割ったためだ。今回Googleのex-TAC売上は、前年同期と比べて7%しか増えておらず、投資家を心配させる可能性が高い。

Googleは、同四半期の平均クリック単価が対前年比8%下がったことも報告したが、有償クリック総数は14%増加した。

この決算報告書で重要なもう一つの分野は総支出額だ ― Googleの2014年Q3の運営費用の利益に対する割合は1年前より増えており、これは人員増加が一因だ。今四半期の運営予算は67.8億ドルで、前年の50.3億ドルより増えている。

基本的にGoogleは、巨大な広告部門から売上を分散させるべく、他の事業を成熟させることに今後も力を入れていく。例えばこの四半期にGoogleは大きな投資を行ってYouTubeの製品体系を変更したが、これによって今後同事業における利益率を上げることができるかもしれない。

これでGoogleの会計年度も終了し、2014年通年の売上は660億ドル、基本EPS 21.37ドルとなった。2013年はそれぞれ555億ドル、19.41ドルだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Google、向こう24時間Inbox招待キャンペーン実施中―MicrosoftのiOS版Outlookのローンチに対抗

GoogleはGmailチームが開発した新しいモバイル・メールアプリ、 Inboxについて、向こう24時間に申し込んだ場合、即刻招待すると発表した。これはGmailの公式アカウントでツイートされ、次いでInboxサイトのプロフィールにも掲載された。

inboxへの招待希望者は、東部時間で今日の正午から明日の正午〔日本時間1月30日午前2時から1月31日午前2時まで〕の間に、個人のGmailアカウントからからinbox@google.comに空メールを送信すればよい。折り返し招待メールが届くはずだ。

24時間というのはinboxの招待キャンペーンとしては最長で、また2015年にはいって最初のキャンペーンだ。これまでinboxは招待ベースで徐々にユーザーを拡大してきており、申し込みをしてもいつ招待されるかは不明だった。しかし向こう24時間以内に申し込めば間違いなしにすぐ招待される。

もうひとつ興味深いのはタイミングだ。たまたま今日(米国時間1/29)はMicrosoftがOutlook for iOSをリリースした日だ。このアプリはMicrosoftが2014に買収したサードパーティーのGmailアプリのデベロッパー、Accompliのプロダクトをベースにしている。Outlook for iOSは無料で、早くもiOSのモバイルGmailアプリとしてベストだと賞賛されている(実際、オリジナルのAccompliアプリとほとんど変わっていない)。

Inboxはモバイル環境でのGmailの使い勝手を向上させる努力の一環だが、優秀なサードパーティー・デベロッパーを買収したMicrosoftによっていささか先を越された感があった。いずれにせよ、今回の招待キャンペーンはInboxを実地にテストしてみる絶好のチャンスだ。

〔日本版〕引用されたツイートはPST(太平洋時間)、記事本文の時間は東部時間(EST)なので紛らわしいが、矛盾しているわけではない。念の為。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Amazonが企業向けのメールとカレンダーのサービスWorkMailでMicrosoftとGoogleに挑戦

Amazonが今日(米国時間1/28)、WorkMailというプロダクトをデビューさせた(Forbes誌より)。それはメールとカレンダーのサービスで、主に企業利用をねらっている。サービスはAmazon Web Servicesの上で動き、使いやすさとセキュリティでトップシェアのMicrosoftと次位Googleに勝とうとしている。

WorkMailはOutlookなど既存のメールクライアントソフトと互換性があり、企業がそれまでのMicrosoft Exchangeのメールサービスから乗り換えるのも容易だ。Wall Street Journalの記事によると、WorkMailのメールは送信時に暗号化され、受信側でAmazonが管理するキーにより解読される。ユーザは自分のメールが保存されるAmazonのサーバの地理的位置を指定できるので、NSAの手と目を逃れたいと考えているヨーロッパのユーザには便利だろう。

料金は1インボックスあたり月額4ドルで、競合他社と変わらないが、ただしGoogleとMicrosoftが提供している、Office文書の作成などのおまけ的機能はまだないようだ。

本来バックエンドサービスだったAWSの上でエンドユーザ製品を展開するのは興味深いが、しかし元々はAWSの提供機能の一環としてメールサーバ/クライアントがあり、Amazonはあくまでもそのレイヤの復活と位置づけているらしい。Exchangeからの乗り換えを意識しているようで、インタフェイスはデスクトップのOutlookふうやモバイル上のネイティブのメールクライアントふうを、そのまま残している。ただしWorkMailには、もっと機能が豊富なWebメールとしての顔もあり、それ用のソフトウェアなど不要で利用できる。

Amazonは2015年Q2のローンチを予定しており、その際にはやはりAWSベースの企業向けクラウドストレージサービスWorkDocs(元Zocalo)の抱き合わせ特典もある。WorkMailは月額4ドルでインボックスの容量50GBだが、あと2ドル出すとZocaloのストレージが200GB提供される。プレビューはすでに提供されているので、ここでユーザ登録するとよい。

AWSはいよいよ、クラウドコンピューティングのバックエンドを超えて、エンドユーザ向け完成製品も提供していくようだ。とりあえずWorkMailで、企業世界にそのことを知らしめたいのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleがDockerのプライベートなリポジトリとしてGoogle Container Registryを提供開始

Googleの今日(米国時間1/23)の発表によると、同社のCloud PlatformのためにGoogle Container Registryをベータでローンチした。このサービスによりデベロッパは自分たちのDockerコンテナのプライベートなリポジトリをホストし共有し管理できる。

Dockerにはデフォルトでパブリックなイメージレジストリがあり、デベロッパはそれらのイメージから、ベーシックで簡素なUbuntuマシンや、すでにWordPress、mongoDB、Hadoopなどさまざまなサービスがセットアップされているサーバなど、何でも素早くインストールできる。しかし企業の多くは、自分のコンテナをパブリックなレポジトリへパブリッシュすることに関心がなく、自分でプライベートなリポジトリを設けるか、クラウドサービスのQuay.ioなどを利用したりする。そこで今回のGoogle Container Registryは、Googleのクラウドコンピューティングプラットホームを使っている企業のためにプライベートリポジトリの場を提供するものだ。

それはGoogleのCloud Platformのプロジェクトだから、例によってベータのときには無料ですべてのデベロッパが利用できる。

Googleは、次のようなアドバンテージを挙げている:

  • アクセス制御(セキュリティ): このレジストリサービスは、ユーザのプライベートイメージを、ユーザのGoogle Cloud Platformプロジェクトの一環であるGoogle Cloud Storageからホストする。したがってデフォルトでは、そのプロジェクトのメンバーだけがそのプライベートイメージにアクセスできる。それは、Google Cloud SDKのコマンドラインからセキュアにイメージをプッシュしプルすることになる。そしてコンテナのホストVMは、特段の努力不要で、セキュアなイメージにアクセスできる。
  • サーバサイド暗号化: ユーザのプライベートイメージは自動的に暗号化されてからディスクに書き込まれる。
  • 高速で信頼性の高い展開: ユーザのプライベートイメージはGoogleのCloud Storageに保存され、弊社のデータセンターでキャッシュされて、Google Container EngineのクラスタやGoogle Compute Engineのコンテナ向けに最適化されたVMsへ、Google Cloud PlatformのAndromedaベースのネットワークファブリックにより展開されていく。

Googleは早くからDockerに賭けている。もともとGoogleは、自分のインフラの中核としてつねにコンテナを使ってきたからだ。同社はまたKubernetesのようなオープンソースのプロジェクトに重点投資し、昨年11月にはコンテナ専用のContainer Engineサービスをローンチした。

その昨年11月には、AmazonがEC2のContainer Serviceをローンチした。しかしAmazon自身は今のところレジストリサービスを提供していない。ユーザは、サードパーティのDockerレジストリを、どこのものでも利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


ビッグデータプログラミングを単純化するGoogleのCloud DataflowがClouderaの協力でApache Sparkに統合

Googleの今日(米国時間1/20)の発表によると、同社はHadoopのスペシャリストClouderaとパートナーして、Googleのデータ処理プログラミングフレームワークCloud DataflowをApacheのクラスタ化データ処理エンジンSparkに統合する努力を開始する。

デベロッパがGoogleのCloud Dataflowを使うと、低レベルのクラスタのことを気にする必要なく、データ処理パイプラインを開発しモニタできる。例によってGoogleは次のように強調する: このデータ処理SDKはインターネット上で大規模なデータ集合を処理するための同社の内部的ツールから生まれたものである。データ処理のタスクはいつも同型であるとはかぎらないので、クラウドやオンプレミスを使い分けながらいろいろなデータ処理エンジンを使う必要がある。しかしCloud Dataflowというプログラミングインタフェイスを使えば、理想的には、データアナリストはパイプラインがその上で動くアーキテクチャの違いを気にすることなく、同一のシステムを使ってさまざまなデータ処理パイプラインを作れる。

GoogleがクラウドサービスとしてのDataflowを発表したのは昨年の夏だが、それはインフラがGoogle自身のプラットホーム…Compute EngineCloud Storage、およびBigQueryだった。しかしちょうど1か月前に同社はこのサービスのJav SDKをリリースして、デベロッパがそれをほかの言語や環境に統合できるようにした。そして今回はClouderaの協力によりそれと同じことを、SparkをデータエンジンとするオープンソースのDataflowとして実装しようとしている。それによりデベロッパはCloud Dataflowを、自分たちのローカルマシン上、(まだ非公開アルファだが)Googleのクラウドサービス上、そしてSparkの上でも使えるようになる。

Googleは今日の発表の中で、こう述べている: “Dataflowを利用するプログラムはデータをより有効に利用できるようになり、しかもその便宜を、クラウドやオンプレミスなど多様な環境で享受できる”。

SparkバージョンはGitHub上で入手できる。Clouderaはそれを、試験と実験に限定される“育成プロジェクト”と見なしている。本番利用のリスクは、デベロッパの自己責任となる。GoogleもDataflowをアルファと見なしているので、SDKは今後変わる余地がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


変化を受け入れること、それがSEO業界の掟

SEO Bookから変革を続けるSEO業界の今について、Googleの歴史を紐ほどきながら考察した記事を。前回の記事はGoogle批判の応酬で読みづかれてしまった人も多いと思いますが、今回はよりシンプルでストレート、SEO関係者には是非読んでほしい価値ある内容です。 — SEO Japan

SEOは以前から変化が頻繁に起きる業界であった。しかし、ここ1、2年は、変化の頻度が高まり、また、規模が大きくなった気がする。2003年にフロリダアップデートが行われたが、それ以来、半年に1度はフロリダ級の変更が加えられているように思う。

Googleが根本的なシステムをアップデートする度に、戦略を調整して、対応しなければならない。残念ながら、予告が行われることはなく、フェアなゲームとは言い難い。

調整から戦略へ

SEOを実行するサイトがスタンダードな法則に従っていた時期があった。Web Position Gold(ソフトウェア)を覚えている方も多いのではないだろうか?

Web Position Goldが登場したのは、SEOが一連の反復可能 – 大部分において技術が要求される – ステップで構成される時代であった。キーワードをページに加える、十分な頻度でキーワードを繰り返す、少数のマークアップを確認する、そして、「理想」のページと比較する、ウェブにアップロードする、リンクを幾つか加える、少しの間待つ、ウェブランキングレポートを実行する…それでSEOを語ることが出来た。とりわけ競争が激しい分野を除き、このステップを踏んでいれば、上位にランクインすることが可能であった。

しかし、この取り組みは時代遅れになってしまったようだ。

現在、この全てのタスクを実行しても効果は見込めない。多少効果があったとしても、他にも多数の要素があり、個別のページのスコアに分離することは出来ない。信頼されているサイトで配信されれば、瞬く間に上位にランク付けしてもらえる。知名度の低いサイトで配信されれば、しばらくは誰にも見てもらえない状況が続くだろう。

2004年、株式を公開する前、Googleは投資家向けの文書を発行していたが、その中でSEO – 「インデックスのスパマー達」- を事業のリスクと位置付けていた。検索結果を操作する人達に対するGoogleの本音を知りたいなら、以下の文章に目を通しておこう:

Googleは、インデックスのスパマーの影響を受けやすく、その結果、ウェブの検索結果の完全性に損害が出る可能性がある。

「インデックスのスパマー」は検索結果を操作する手段を編み出す行為を継続しており、さらに、今後もこの取り組みを止めないだろう。例えば、Googleのウェブ検索テクノロジーは、ウェブページがリンクを張るウェブサイトの重要度に応じて、ウェブページのランク付けを行っている。そのため、インデックスのスパマーにより、まとめて複数のウェブサイトにリンクを張り、検索結果を操作する試みが行われてきた。Googleはこの問題を真剣に考慮している。なぜなら、ユーザーに適切な情報を提供することが出来るか否かは、Googleの成功を左右するためだ。この類の、そして、その他の類のインデックススパムを撲滅する取り組みが失敗すると、適切な情報を提供する点においてGoogleに対する信頼は低下してしまう。その結果、ユーザーのトラフィックが減り、ビジネスに損害が出ることになる。

SEOはAdwordsのビジネスモデルと競合する。そのため、Googleはアルゴリズムの仕組みを解明し、リバースエンジニアリングを行い、Web Position Gold等の簡易ツールを作る取り組みを「真剣に考慮」している。まずはフロリダをリリースし、その後、パンダ(日本語)、続いて、ペンギン(日本語)、そして、ハミングバードが送り出された。全て、ユーザーの検索体験を改善することが目的だが、その一方で、SEOを困難にすると言う(Google側の考えでは)嬉しい副作用も兼ね備えていた。

Googleのステートメントにおいて、「適切な情報を提供する」の部分が重要な鍵を握っている気がする。

技術的な作業からPRへ

SEOには常に技術的な作業が要求される。コードをチェックし、修正する。SEOは開発とデザインの要素、そして、SEOに与える影響を認識している。その上、ウェブサーバーの仕組み、さらに、時折スパイダーがインデックスに失敗するパターンを把握しておく必要がある。

しかし、フロリダアップデートが行われてからと言うもの、マーケティングの領域がより重要になった。SEOの技術的なタスクしか実施しないサイトは、鳴かず飛ばずで終わる。パンダやペンギン等の新しいアルゴリズムはユーザーの行動を測定する。Googleがページの情報の品質を特定しようと試みているためだ。また、ハミングバードはキーワードを入力する意図を解明しようと試みる。

その結果、キーワードベースのSEOが瀕死の状態を迎えた。Googleはキーワードのリファラーのデータを隠し、各種のアルゴリズムは、ユーザーの意図と(過去および現在の)行動を基に適切な情報を提供する。ユーザーを理解し、独自で、魅力的なコンテンツを持ち、そして、マーケットの地位を確立することが、あらゆるキーワードのマークアップよりも重要になった。多くのSEO業者が基盤とするキーワードのマッチングによるSEOでは、生き残ることが出来る可能性は低い。

また、小規模なサイトから焦点が移り、現在、ブランドを優遇する傾向が見られる。 ブランドが「ブランド」と分類されるだけではなく、大規模なPRアクティビティが行われているためだ。大きな会社は複数の広告およびPRキャンペーンを実施することで、・企業名に対する検索の量が多い、・製品およびサービスとのセマンティックな関係が見られる、・信頼されているメディアから頻繁にリンクを得ている等、Googleが好むシグナルを送ることが出来る。このシグナルはランキングに反映され、また、手動のペナルティーを科された小規模 & 弱いサイトと同じ行動を取っていても、猶予を与えてもらえる状況を作り出す。

ランキング

GoogleはPageRankツールバーに見切りをつけたようだ。

Googleは、今後、少なくともPage RankツールバーにおいてはPageRankの更新を行わないつもりだ。

一部の専門家がこの点に気づいていたが、既にPageRankツールバーは存在意義を失くしていたため、ほとんど反感を買わなかった。今でもPageRankツールバーに応じて、SEOの取り組みを調整しているSEO業者はいるのだろうか?そもそも、PageRankツールバーを重要視する理由が見当たらない。外部向けのPageRankの値はおおよその人気度を示唆するものの、当該のページからのリンクが得られるランキングとは異なる。その他に非常に多くの要素が絡んでくる。Googleが今でも内部のPageRankのデータを用いているとしたら、1997年にリリースされたものと比べ、遥かに複雑なシステムを用いているはずだ。

PageRankのスコアはオーソリティを表す。あくまでもGoogleは内輪ネタとしてPageRankを今まで使っていたのだろう。

しかし、トップ10に食い込んでいるかどうかの方が、遥かにオーソリティを示す目安として有益である。Googleは 上位にランクインしているページは十分にオーソリティを持っている。事実、重要なのは、ツールバーのPageRankの値、あるいは、第三者サービスの値ではなく、あくまでもGoogleでの結果だ。トップ 10入りしたページからのリンクは、その他の何よりもオーソリティの目安として有効だ。効果的なマーケティングを行いたいなら、業界を牽引する著名なサイトからリンクを得る、そして、関係を構築する取り組みがベストだ。これはPRと言ってもPageRankではなく、Public Relationsである。

PageRankの次に追放される運命にあるのはキーワード主導のSEOだ。キーワードのリファラーデータの非公表は、終焉へのカウントダウンの始まりであった。そして、ハミングバードが留めを刺した。キーワードは、– オーディエンスが存在するかどうか、そして、オーディエンスの規模を特定することが出来るため — 今でもリサーチを行うアイテムとしては有効だ。しかし、SEOは徐々にセマンティックの関係およびサイトの分類に左右されるようになってきた。キーワードをアピールするだけでは十分ではなく、ウェブページ、および、サイトはキーワード、そして、同様のキーワードと関連し、その関連性がはっきりと認識できる必要がある。大方、検索用語だけでなく、ユーザーの意図とマッチしていなければならない。多くの例外が存在するものの、ハミングバードに関して分かっていることを考慮すると、ユーザーの意図を無視することは出来そうもない。

ランキングを確認し、重要なキーワードを切望する行為は今後も行われる。しかし、ランキングは本当に大事な取り組みから注意をそらすデメリットがあった。接触範囲、そして、具体性の方が重要度は高い。すなわち、最大の価値はどこから得られるのだろうか?具体的なキーワードほど直帰率は低く、コンバージョン率は高い。直帰率が低く、コンバージョン率が高いと、よりポジティブなシグナルが生成され、エンゲージメントを重視しつつあるランキングアルゴリズムに送り込まれる。ビジネス上のメリットをもたらさないキーワードで上位にランク付けされても意味はない。

もちろん例外はある。しかし、これが現在の傾向だ。Googleはキーワードの用語にマッチするだけではなく、ユーザーの意図にマッチするページを求めている。接触範囲に関しては、顧客が姿を表す全ての場所に接触しておきたいところだ。

広義における検索

変化に対応するため、SEO業者は出来るだけ広い範囲で検索について考えるべきである。検索は情報を探す行為だ。検索エンジンでクエリを用いて、積極的に、自主的に情報を探すこともある。その一方で、ソーシャルメディアでの購読、そして、フォローを介した受け身的な検索が行われることもある。このようなアクティビティは検索戦略にどのように盛り込まれているだろうか?

検索エンジンに限定しているわけではないため、従来のSEOの定義とは異なるかもしれない。私は定義の中で情報を広い範囲で求める点を重視している。事実、ユーザーは情報を求めて、検索を行っている。先日、エリック・シュミットは検索におけるGoogleの最大のライバルはAmazonだと指摘していた。メカニズムとチャンネルは変わるかもしれないが、情報を探す行為に変わりはない。BuzzFeedの戦略の変化が良い例だ:

2011年、ジョーナ・ペレッティがHuffington Postを去り、BuzzFeedに専念していた頃、BuzzFeedはGoogleでランキングを落とした時期があった。同サイトはソーシャルメディアマーケティングとSEOの双方を活用してトラフィックを得ようと試みていた。しかし、SEO経由のトラフィック、つまり、Googleの検索結果から得られる無料のトラフィックは干上がってしまった。

接触、時事性、そして、(大抵の場合)新鮮さは重要だ。エンゲージメントも大事だ。情報を探す行為は、キーワードのテクニカルなマッチングと言うよりも、知識におけるアイデアのマッチングに当たる。BuzzFeedは重要なポイントから決して目を離さなかった。ユーザーが情報を探す手伝いをすることこそが、BuzzFeedの使命である点を分かっていたのだ。

インターネットはまだ生まれて間もない

まだ何も起きていないと言っても過言ではない。インターネットは生まれたばかりだ。タイムマシンに乗って30年後の世界に向かい、現在を振り返れば、2044年の人々の生活を動かす優れた製品の多くが、2014年の時点では存在しなかったことに気づくはずだ。未来の世界では、ホロデッキ、仮想現実コンタクトレンズ、ダウンロード可能なアバター、そして、AIインターフェースを駆使し、そう言えば「30年前にはインターネットが存在しなかったんだね」と昔を懐かしむようになる。

30年後も全く同じように情報を探す行為は実施されているはずだ。SEOを行う目的は情報をビジターの目の前に提示することだ。従って、SEOは生き残る。以前から、SEOと言う名称は妥当ではなく、大事なポイント、つまり情報を他のサイトよりも先に検索エンジンのユーザーに提示する取り組みから目を逸らす要因となっていた。

一部のSEOの関係者は昔のSEOとはかけ離れてしまったため撤退した。SEOを有効に行うには高額なコストが必要とされるようになりつつある。しかも、とりわけ小規模な業者にとっては十分な見返りを得られない可能性がある。しかし、この考え方は、大事な点を見失っている気がする。

オーディエンスは今も確実に存在する。ニーズは変わっていない。オーディエンスは情報を見つようとしている。ユーザーが情報を探すタスクを助けることがSEOなら、その真実を見落とすべきではない。「理由」を思い出し、「方法」を合わせよう。

今後の投稿では、その「方法」を具体的に探っていくつもりだ。


この記事は、SEO Bookに掲載された「The Only Thing Certain In SEO IS Change」を翻訳した内容です。

SEO関係者には身が引き締まる内容でした。最後の「オーディエンスは今も確実に存在する。ニーズは変わっていない。オーディエンスは情報を見つようとしている。ユーザーが情報を探すタスクを助けることがSEOなら、その真実を見落とすべきではない。」、これが全てですね。

しかしGoogleの投資家向け資料の内容は、もちろんGoogleにしてみるとそういうスタンスなのでしょうが、SEO会社としては今読んでもドキッとする内容ですね。実際、ほぼスパマーの駆逐に成功しているわけですが・・・。それにしてもWeb Position Gold、懐かし過ぎました。このソフトの存在を知っている人は一体今の日本のSEO関係者にもほぼいないと思います。気づけば年を取ったものです。。。(遠い目)。 — SEO Japan

Google Translateのモバイルアプリにリアルタイムの音声/街路標識翻訳が加わる

Google Translateは今すでに、海外で生活している人や、よく旅をする人にとって、たいへん便利なアプリケーションだが、今日(米国時間1/13)はそのモバイルアプリがさらにお利口になった。AndroidとiOSアプリの今回のアップデートでは、二つの気の利いた機能: リアルタイムの音声翻訳と街路標識の翻訳が加わったのだ。

街路標識(下図)については、GTには画像からの翻訳機能が前からあったが、今回のはリアルタイムで遅れがないし、オフラインでも使えるから旅行者にはとくに便利だ。

このビジュアルな翻訳は、GTアプリの中でモバイルデバイスのカメラをセレクトすると有効になる。そしてカメラを標識に向けると、その翻訳がすぐに画面に現れる。ただし、表示板の全体をカメラに写さないと、翻訳はできない。


リアルタイムの音声翻訳も、すごい。それぞれ相手の国語が分からない二人がいたら、このアプリは両者間の通訳を演ずることができる。

アプリ内のマイクをタップしてから、まず自分の国語で話す。その言語が認識されたら、マイクをもう一度タップすると、二人の会話を開始できる。リアルタイムでテキスト翻訳も併用するから、より優秀な通訳機能になる。

AndroidのGTアプリには前から音声翻訳の機能があったが、今やそれがiOSにもやってきた。ただしGoogleによると、Androidの方が“より速くてよりナチュラル”だそうだ。


なお、この‘瞬間的翻訳機能’には、まだ制限がある。今のところ対応言語は、英語⇔仏語|独語|伊語|葡萄牙語|露語|西班牙語のみ、である。仏語⇔独語、などはまだない。Googleは、徐々に言語は拡張する、と言っている。

Googleがついでに発表したGTの利用者データによると、毎月5億人が利用し、一日に10億件あまりの翻訳を行っているそうだ。

これらの数字もまたすごいが、iOSとAndroidアプリの両方に二つのとっても便利な機能が加わったのはありがたい。GTは今後さらに、巨大な怪物のようなアプリに育っていくのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleのクラウドモニタリングサービスをすべてのデベロッパが利用可能に

昨年Googleは、クラウドをモニタするサービスStackdriver買収し、その数週間後にはStackDriverの技術によるGoogle自身のクラウドモニタリングサービスの非公開ベータを立ち上げた。それから8か月後の今日(米国時間1/13)、GoogleのCloud Platformのユーザなら誰もが、そのサービスを利用できることになった

Google Cloud Monitoringと呼ばれるそのサービスは、名前が示すとおり、Google App EngineやCompute Engine、Cloud Pub/Sub、Cloud SQLなどを使っているアプリケーションのパフォーマンスデータや、容量や能力とアップタイムに関するデータを、デベロッパに提供する。またそれらのユーザアプリケーションが利用しているGoogle Cloud上のオープンソースのアプリケーション…MySQL、Nginx、Apache、MongoDB、RabbitMQなどなど…をモニタすることもできる。アプリケーションの動作がおかしくなったり、何らかの既定の閾値を超えそうになったら、Cloud MonitoringはメールやSMSやPagerDutyでアラートを送る。SlackやCampfire、HipChatのチャットルームにも送れる。またデベロッパが独自に取得しているモニタリングデータとCloud Monitoringからのデータを組み合わせて発表するためのAPIも提供している。

Googleによると、StackdriverのサービスをCloud Monitoringに取り入れる作業はまだ継続中なので、今後はもっと多くのGoogleのクラウドコンピューティング製品をモニタできるようになる。現在このサービスはベータなので、SLAや減価償却のポリシーは伴っていない。同様のモニタリングサービスをAmazon(CloudWatch)やMicrosoft(Azure内蔵)も提供しているから、Googleの参戦とともに、数多いサードパーティのクラウドモニタリングサービスはかなりやりにくくなるだろう。

なお、Googleに買収されるまではAWS上のクライアントを主にサポートしていたStackdriverは今もそのまま健在で、GoogleはそれをGoogle Platformに統合するだけでなく、独立のエンティティとしても今後投資を続ける、と言っている。

今日のこのニュースの一週間前にGoogleは、デベロッパが自分の本番稼働中のアプリケーションにパフォーマンスの問題を見つけるための、Cloud Traceと呼ばれる関連サービスのベータを発表した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


パンダとペンギンに生活を左右される日々の終わり

2015年も始まりましたが、昨年後半期待された?大型イベントといえばペンギンアルゴリズムのアップデートでした。予想以上に盛り上がらなかったのは想定の範囲内、といった感じだったかもしれませんが、そんな内容から改めてペンギン&パンダの最新状況を考える記事を。SEO業界を揺るがしてきた2大アルゴリズムの今とは。 — SEO Japan

google-white3-algorithm-seo-ss-1920

ペンギン 3.0(日本語)が登場してから数か月が経過した。「大きな影響を与えていない」、と言うのが大方の見方だ。事実、検索結果に変化が生じたのは1%に満たないとGoogle自身が報告している。

ペナルティーを受けたと主張するサイト全体で同じ様な結果が出ていた。私がマーケティングコンサルタントを務めるRankAboveでは、大量のデータを用いて分析を行っている。この中には、クライアントのデータもあれば、有益な情報を得るために、弊社自身が集めているデータもある。

ペンギンのインパクトを受けたサイトに対する、追跡中の25,000点近いキーワードにおいて、ほとんど変化は見られなかった。

Ranking Delta after Penguin

ペンギン 3.0後のランキングデータ

と言うことは、前回のアップデートが行われ、一部のウェブサイトを奈落の底に突き落とした時点から状況はほとんど変わっていないことになる。

ペンギン 3.0によって、窮地に陥った多くの小規模なオンラインビジネスが救われるのではないか、と言う期待があった。しかし、この期待を裏切る結果が出ている。今後も、過去の大きな変化と同じようなレベルの変化は生じない可能性が高い。ペンギン 3.0は安定期に入っており、新たな標準が確立されたと言えるだろう。

しかし、赦免を求めていたオンラインビジネスはどうなってしまうのだろうか?なぜか回復しなかったのだろうか?

ペンギン & パンダの仕組み

ペンギンとパンダのリリースによって、検索エンジン結果ページ(SERP)の再編成が行われた。これは必要とされていた変化であった。当時、ガラクタのようなページやスパムがSERPに蔓延していたためだ。そして、このようなウェブページは今も健在である。

ペンギンとパンダのアップデートはスパムの問題を解決するために行われた。不正をしているサイトの価値を低く評価することが可能なシステムを導入し、GoogleはSERPを揺るがした。その結果、様々な取り組みによって得た「妥当」なポジションを失うサイトが現れた。

最大の誤診であった可能性もある。しかし、実際に上位に値しないサイトもあった。つまり、不正な取り組みによって人為的に上位にランクインしていたサイトのことだ。

そのため、このタイプのサイトを運営しているなら、そもそも、人工的に到達したランクに戻ることが出来るなどと期待するべきではない。現在のペンギン後の位置こそが相応しい場所だと言える。

サイトがペンギンに捕まるとどうなるのかに関して、様々な推測が行われている。悪質なリンクによるメリットを全て失い、ペナルティーが新たに科されるのか?あるいは、SERPの本来あるべき位置まで落とされるだけなのだろうか?

Devalued Links vs Penalty Links

最新のアップデートによって、不正な手を用いたサイトは妥当な、粉飾されていない場所に落ち着いた、と私は見ている…追加のペンギンペナルティーが科されなければの話だが。

ペナルティーであれ、ペナルティーではないのであれ、サイトが被ったランキングの落下においては、その差はたいして重要ではないと思う。

実際の「ペンギンペナルティー」は幾つかの理由で、それほど大きな影響を与えていないと私は推測している:

  1. データを参考にする限り、SERPにおいて大きな変化が見られないため。
  2. ペンギンにつかまった大半のサイトはリンクプロフィールを整理したものの、ランキングはほとんど上がっていないため。

また、SERPにおける変化が少ない理由に関して、リンクの年齢と鮮度を考慮する必要もありそうだ。2012年より前にスパムリンクを日常的に構築していたウェブサイトは、新しい品質の高いリンクの獲得にほとんど時間を割いていなかったはずだ。

そして、2012年以降は、スパムリンクを整理する作業に力を入れ、新しい質の高いリンクを入手する取り組みはまだ行っていないのではないだろうか。要するに、過去2年間で被リンクのオーソリティは弱体化したのだ。簡単に言うと、2011年に得たリンクは、2014年に得たリンクほど価値が高くない。

Graph of Ranking Change Speculation

 

パンダとペンギンに生活を左右される日々に終止符

最終的に妥当なランキングに落ち着いたのではないだろうか。パンダとペンギンは2、3年間に渡ってSEO業界を揺るがしてきた。この2つのアルゴリズムのことを良く知る時間は十分にあり、また、過去の手法が効かなくなったことは明白である。

古いリンク構築の手法、そして、古い例レベルなコンテンツは効果がなく、求めている結果を得ることは出来ない。

リンク構築はマーケティングに過ぎない。ペンギンとパンダはこの点を私達に気づかせ、本来の検索エンジンによるリンクへの対応を反映させただけだ。

優れた、質の高いコンテンツを作る。その良質なコンテンツを基に、関連性があり、信頼のあるリンクを獲得する。このプロセスを繰り返し、鮮度を維持して、質が高く、有益で、価値の高いコンテンツをコンスタントに与えていく必要がある。

アルゴリズムのアップデートを気にする必要はない。(スパマーを除いて)その時期は終わったと言える。

これは新たな標準として確立されただけでなく、現実であり、そして、あるべき姿でもある。そのため、「回復しなかった」ことを嘆き悲しむのではなく、前向きな取り組みを行うべきだ。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Is This The End Of The Penguin & Panda Era Shakeups And Recoveries?」を翻訳した内容です。

パンダとペンギンに生活を左右される日々に終止符が打たれた、というのはSEOを長くやってきた方であれば既に何となく実感しているのではないでしょうか。検索ユーザーにもウェブマーケッターにもポジティブなこととも思いますが、かつてのトリック派には少し物足りない時代かもしれません 汗 だからこそのコンテンツマーケティングだったりするわけなんですけどね。我々も新会社まで作ってしまいましたし、SEOの形は変われどより地道に着実に努力していきたいと思います。– SEO Japan