東大発のソナスとJR東日本が鉄道架線の張り替え工事の信頼性確保に向け電化柱傾斜監視システムの本格運用開始

JR東日本と東大発ソナスが鉄道架線の張り替え工事の信頼性確保に向け電化柱傾斜監視システムの本格運用開始

JR東日本スタートアップは11月26日、東日本旅客鉄道(JR東日本)と東京大学発IoTスタートアップ「ソナス」が鉄道インフラ向け電化柱傾斜監視システムの本格運用を11月1日より開始したと発表した。同システムは、JR東日本スタートアップによるアクセラレータープログラム「JR東日本スタートアッププログラム2020」において協業を行ったもの。

同システムは、JR東日本の鉄道工事におけるニーズとソナスが持つ省電力無線技術によるシーズが合致し、JR東日本スタートアッププログラム2020で選定された。協業開始後は実際の鉄道電力設備を用いて、約3カ月のフィールド試験による通信品質・傾斜検測精度・作業効率などの検証を経て、同システムの短期間での運用を実現したという。

JR東日本では、鉄道の架線を張り替える工事を行う際に、工事の信頼性確保のため架線を支える電化柱の傾斜監視を必要により行っている。ただ、この従来のステムは、機器の運搬・設置に多くの労力を費やしており、終電後の深夜帯に作業を行う作業従事者にとって大きな負担となっているという。

ソナスが独自に開発した次世代IoT無線「UNISONet」(ユニゾネット)は、省電力ながら上下双方向での通信が可能。今回開発した電化柱傾斜監視システムではこの特徴を活かし、システム全体がきめ細やかに電源の入・切をコントロールすることで、小型電池での駆動を可能とし、機器の簡素・軽量化を実現したそうだ。これにより機器の構成品が5個から2個に削減され、従来システムと比較し機器の総重量比約90%の削減・約90%の作業労力を軽減し、短時間・容易に施工を行えるようになった。

ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

ソラコムは11月26日、無料でデバイスを貸し出し、IoTのセルフラーニングを支援する「自分で学べるIoT通信講座」を2021年11月25日から2022年2月28日まで実施すると発表した。デバイスの貸出期間は約3週間。事前登録制で、参加費は無料。参加条件は「SORACOM アカウントの作成が済んでいること」「IoT通信講座体験後のアンケートに答えること」の2点のみ。社会人・学生のどちらも対象としており、IoTの技術を学習したい方、IoTのアイディアを実現したい方の参加を呼びかけている。また専門家に質問できる「IoT相談室」も講座期間に合わせて開催する。

ソラコムでは、IoTシステムの開発を学ぶ方向けに、技術セミナーの開催をはじめ、IoTデバイスを購入できる通販サイト「SORACOM IoTストア」、利用シーンごとの開発手順書「SORACOM IoT DIY レシピ」を拡充し、セルフラーニングを支援している。また2021年7~8月には「IoT通信講座」を実施しており、200名以上の申し込みがあったという。今回そのIoT通信講座の第2弾を開催する。

​自分で学べるIoT通信講座では、初心者でも比較的学習を始めやすいデバイスを申込者に対して無料で貸し出す。今回貸し出し対象となるのは、GPSと温度・湿度・加速度を計測できるセンサーが一体となった「GPSマルチユニット」、Raspberry Piとウェブカメラがセットになった「簡易監視カメラキット」、Arduino互換マイコンボードと7種類のセンサーがセットになった「Grove IoT スターターキット」の3種類。申し込みの際に、このうちの1つを選択する。ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

これらデバイスは、学習用途に絞ったものではなく、実際にビジネスでも活用されているもので、例えばGPSマルチユニットは、車両の位置情報トラッキングや、運搬中の医療品・食品といった荷物の温湿度管理に役立てられているという。学んだ内容がビジネスにつながる可能性があるものとなるよう、配慮されている。

参加者は、ステップごとにわかりやすく開発方法を解説した手順書「SORACOM IoT DIY レシピ」を基に、自分で学習を進めることができる。ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

ソラコムは、IoTプラットフォームSORACOMを通じ、IoT通信とインターネットに「つなぐ」システム構築に必要なサービスを提供。SORACOMを利用することで、少ない初期費用でIoT活用のアイデアをスピーディに実現できることから、2万超の様々な業界・規模の顧客がビジネスの進化に利活用しているという。

「自分で学べるIoT通信講座」概要

  • 主催:ソラコム
  • ​参加条件など
    ・社会人、学生などの条件はない
    ・SORACOM アカウントの作成が済んでいること
    ・講座体験後のアンケートに答えること
  • ​参加費:無料(事前登録制)
  • 開催期間:2021年11月25日〜2022年2月28日
  • 申し込み自分で学べるIoT通信講座公式サイトの応募フォームより行う
  • 内容SORACOM IoTレシピを基に、参加者がセルフラーニングを行う
  • 必要機材:IoT DIY レシピの体験に必要となるPCは、参加者が各自用意

貸し出し期間、発送と返却方法

貸し出し期間としては以下4種類が設定されており、貸し出しデバイスは各期間の開始日に発送する。例えば、11月25日〜12月14日の貸し出しチケットを選んだ場合は、11月25日発送となる(地域によるものの、翌日・翌々日に到着予定)。なお、発送は平日に実施しており、休日は対応していない。ただし年末年始(12月29日〜1月5日)は発送している。

また返却は、貸し出し期間終了日まで行うに必要がある。11月25日〜12月14日の場合なら、12月14日必着の発送となる。この返却については、貸し出しデバイスに返送用着払い伝票を同梱しており、その伝票を使い返却する。

  • 2021年11月25日〜2021年12月14日
  • 2021年12月17日〜2021年1月7日
  • 2022年1月11日〜2022年1月28日
  • 2022年2月13日〜2022年2月18日
  • デバイスは各期間の開始日に発送
  • 返却は、貸し出し期間終了日まで行うこと。同梱の返送用着払い伝票を利用する

3種類の貸し出しIoTデバイス

貸し出し対象のIoTデバイスは3種類で、このうちの1つを選択する。デバイスの利用にはSORACOM SIMが必要になるが、全貸出デバイスに「IoT SIM 300MBパック」が添付される。同製品は、月額330円で300MB分のデータ通信料金が含まれているというもの。300MBを超えた場合は、500MBごとに110円の追加料金で利用できる。

GPSマルチユニットSORACOM Edition(バッテリー内蔵タイプ)スターターキット

GPSマルチユニットSORACOM Edition(バッテリー内蔵タイプ)スターターキット」は、ブラウザーの操作のみで、4つのセンサー(温度・湿度・位置情報・加速度)からのデータの収集から可視化までを体験できる製品。充電式の内蔵バッテリーにより、電源を入れるだけでどこでも使える。ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

IoT DIY レシピ例

  • IoTで温湿度の可視化:GPSマルチユニットを活用し、室内の温湿度をモニタリング。データ収集・蓄積サービス「SORACOM Harvest Data」、ダッシュボード作成・共有サービス「SORACOM Lagoon」を利用
  • IoTでアイスの食べ時をお知らせ:GPSマルチユニットを活用し、温度センサーで計測。任意のメールアドレスにメールで通知する。SORACOM Harvest Data、SORACOM Lagoonを利用
  • IoTで在席状況の自動更新:加速度センサーのデータを取得して活用。SORACOM IoT SIMによる通信管理、SORACOM Harvest、クラウドファンクションアダプター「SORACOM Funk」を使ったSlackへの通知連携設定(AWS Lambdaの機能を利用)などを学べる

IoT 体験キット〜簡易監視カメラ〜

IoT 体験キット 〜簡易監視カメラ〜」は、Raspberry Pi 3 Model B+と、USB型ドングル「AK-020」、USBカメラをセットにした簡易監視カメラキット。ウェブカメラと温度センサー、データ収集・蓄積サービス「SORACOM Harvest Data」により観察したいものを定点観測し、撮影データの蓄積や温度データの可視化を行える。ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

IoT DIY レシピ例

Grove IoT スターターキット for SORACOM

Grove IoT スターターキット for SORACOM」は、7種類のGroveセンサー、LTEモジュール搭載のArduino互換開発ボード「Wio LTE JP Version」(日本仕様モデル)がセットになったIoT体験キット。Groveセンサーは、はんだ付けをすることなくマイコンボードに接続できる(はんだ付けの知識は不要)。Arduino IDEを利用した開発が可能。ソラコムがIoTデバイスを無料で貸し出す「自分で学べるIoT通信講座」第2弾を2022年2月28日まで開催

IoT DIY レシピ例

  • IoTでジェスチャーシステム:Wio LTE JP VersionとGrove超音波距離センサーモジュールを活用。SORACOM Harvest Dataでジェスチャー結果を蓄積することで可視化する

IoTの専門家に質問できる「IoT相談室」(Zoomを利用)

冒頭で触れたように、講座の開催期間中には、IoTの専門家に質問できる「IoT相談室」が設けられる。Zoom ミーティングを利用する体裁になっており、各日程の参加用URLは、申し込み後のメールに記載している。

IoTシステムの構築をする上で、テキストだけでは解決しない疑問点がある場合に質問でき、各レシピの動作はIoT​相談室までに完了しておくことを勧めている。

「IoT相談室」日程

  • 2021年​12月2日17:00〜19:00
  • 2021年12月27日17:00〜19:00
  • 2022年1月20日17:00〜19:00
  • 2022年2月10日17:00〜19:00

Digi-Key、スマート農業などにフォーカスし即座にIoT展開ができる「プライベートLoRaWAN-in-a-Boxソリューション」

Digi-Key、スマート農業などにフォーカスし即座にIoT展開ができる「プライベートLoRaWAN-in-a-Boxソリューション」発表

電子部品ディストリビューター大手Digi-Key(ディジキー)は、おもにスマート農業、高精度農業プロジェクトにフォーカスした、即座にプライベートなIoTの展開ができるハードウェアとソフトウェアのセット「プライベートLoRaWAN-in-a-Boxソリューション」を発表した。Digi-Keyは、業界初となるこの製品の独占ディストリビューターとなる。

これは、オープン技術とアジャイル製造を提供するハードウェア開発企業Seeed Studio(シードステューディオ)による製品。買ってすぐに使えるLoReWAN(低電力広域ネットワーク)IoTセンサーおよびゲートウェイからなるハードウェアと、IoTデータ管理ソリューションを展開するソフトウェア開発企業Machinechat(マシンチャット)のソフトウェア「JEDI Pro Seeed Studio Edition」を統合したもの。「迅速なIoT展開と、ユーザーによるデバイスデータの完全管理を可能にする強化したセキュリティー機能を実現」するという。これにより開発期間が短縮され、技術的な複雑さとコストが低減される。

主な用途として、次のようなものが挙げられている。

  • データのロギングとモニタリングを必要とする社内または商用のIoTプロジェクト
  • スマート農業、温室モニタリング、造園、灌漑、および精密農業のユースケースシナリオ
  • 火災検知、冷蔵監視、畜産などの環境関連アプリケーション

「Seeed Studio SenseCAP LoRaWANソリューション」の特徴は以下のとおり。

  • LoRaWANプロトコルクラスAに対応
  • 超長距離のデータ伝送:見通しの良い場所で最大10km
  • 複数のISMバンドに対応:EU868、US915、AU915、AS923
  • イーサネットバックホールに対応。オプションでセルラーバックホールにも対応
  • 産業グレードの保護:エンクロージャーによる保護等級IP66。野外での利用可。-40°C~+70°C(SenseCAPセンサーは最大+85°C)で動作可能
  • 高い信頼性と安定性
  • センサーバッテリー寿命は3年以上

「Machinechat JEDI Pro Seeed Studio Edition」は、以下の特徴を備える製品としている。

  • 統合されたSeeed Studioデータ収集装置を使用し、Seeed StudioのSenseCAP LoRaセンサーからデータをインジェスト(Chirpstackのインストールが必要)
  • 統合されたHTTP APIサーバー、TCPセンサー、MQTTブローカーを使用し、ほぼあらゆるデバイスやセンサーからのデータを収集(インジェスト)
  • 折れ線グラフ、面グラフ、タイルグラフ、レーダーチャート、データグリッドチャートにより、リアルタイムや過去のデータを視覚化するダッシュボードを構成
  • 統合されたルールエンジンを使用してデータを監視し、電子メール通知やSMSを作動させるか、外部スクリプトを実行(電子メール通知にはSMTPサーバーが必要。SMSにはTwilioアカウントが必要)
  • デバイスやマシンがオンラインかどうかを監視
  • データ収集装置とアクションプラグインを通じ、ユーザーのカスタムビジネスロジックをIoTデータに適用
  • 仮想データセンサーにより、デベロッパーやインテグレーターはプロジェクト展開シナリオのシミュレーションが可能
  • ローコード:コーディングではなく設定にフォーカス
  • 統合データベースと管理されたローカルデータストレージにより、サービスとして実行するシングルアプリケーションバイナリー
  • SSLサポートとロールベースのユーザー管理による、ブラウザベースのユーザーインターフェース
  • 最大200デバイス・センサーをサポート
  • Windows、macOS、Linux、Raspberry Pi、BeagleBoneプラットフォームに対応

システムの中心となるゲートウェイ「SENSECAP LORAWAN GATEWAY」の価格は4万8674円(税抜)。その他、センサー類は1万2077円(税抜)よりとなっている。

IoT・AI遠隔点検のLiLzが石油化学プラントなどに対応する防爆形の低消費電力IoTカメラを開発開始

lilz

AIおよびIoT技術を活用したサービスの研究開発・提供を行うLilz(リルズ)は11月16日、巡回点検業務を効率化するサービスで使用するIoTカメラ「Lilz Cam」の防爆対応版の開発開始を発表した。石油化学プラントなどに対応するもので、製品名は「Lilz Cam 2-Ex」としている。

防爆とは、可燃性ガスに引火の恐れがある場所で、着火源にならないよう対策すること。防爆形機器は、国の防爆型式検定を受ける必要がある。Lilzでは、施設管理、上下水プラント、産業ガス・医療ガスといった分野で、設備保全のための巡回点検業務を効率化するサービス「Lilz Gauge」(リルズゲージ)を展開しているが、そこで使われているのが「Lilz Cam」だ。1日3回撮影で3年間連続動作するというLTE通信内蔵の低消費電力IoTカメラなのだが、これまで、防爆エリアには未対応だった。

そこでLilzでは、公的機関によって認証される「本質安全防爆構造」の「LiLz Cam 2-Ex」の開発に乗り出した。これにより、電源工事をすることなく、防爆エリアでの巡回点検の効率化が可能になるという。

「LiLz Cam 2-Ex」の概要

  • ガス防爆:Ex ic IIC T4 Gc
  • 粉塵防爆:Ex ic IIIC T135℃ Dc
  • 通信:LTE-M/Bluetooth Low Energy
  • 撮影解像度:5Mピクセル
  • 防水・防塵:IP65
  • 外径:149.5×123×25mm(最薄部は14.5mm)

猫専用IoTサービスCatlogのRABOが28億件を超えるイエネコ行動データを有する専門研究機関「Catlog総合研究所」設立

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」公開

首輪型デバイスやトイレで飼い猫の行動や健康状態を追跡できる「Catlog」(キャットログ)シリーズを展開するRABOは11月16日、Catlogを利用している猫から収集・蓄積した28億件(2021年11月時点)を超える行動ログデータや、体重や排泄のデータなどを活用する研究機関「Catlog総合研究所」の開設を発表した。

Catlog総合研究所は、室内飼育の猫、いわゆる「イエネコ」から収集したデータを有効活用するための研究所。すでに蓄積されているデータ量は世界最大級とのこと。そのデータは、猫1頭につき、属性・行動・排泄データ、飼い主のデータなどが含まれ、これらを組み合わせることで導き出される研究データは大きな価値をもたらすとRABOは話している。こうした猫ごとのデータを比較すれば、異変の検知や病気の早期発見にも役立つ可能性があるという。さらに、年齢やライフステージごとの行動情報を詳細に比較したり、属性データとかけ合わせることで個体に特化した統計データを導き出すことも可能になる。

Catlog総合研究所では、イエネコに特化した、「猫と飼い主が安心して暮らせる社会に役立つ有用な猫研究データ」のレポートを発表してゆくとのこと。その第1弾として、同研究所のアニマル・データサイエンティストでありバイオロギング研究者である渡辺伸一氏は、第17回日本バイオロギング研究会シンポジウムにて「1万匹のイエネコの行動をCatlogで見る」と題した発表を行った。そこで渡辺氏は、Catlogという統一したデバイスを使うことで膨大なデータロギングが可能になったと話している。また、イエネコと類似した特徴を持つ野生のネコ科の研究など、さまざまな研究に発展する可能性があるとも述べていた。

提供されるデータの例として、Catlog総合研究所は次のような情報を紹介している。

2歳未満の仔猫の運動時間は突出して長いため、この時期にたくさん遊んでやることが重要

2歳未満の仔猫の運動時間は突出して長いため、この時期にたくさん遊んでやることが重要

日が出ている時間から日没まで(日長時間)が短くなるほど、つまり冬になるほど猫の睡眠時間は長くなる

日が出ている時間から日没まで(日長時間)が短くなるほど、つまり冬になるほど猫の睡眠時間は長くなる

毛の長い猫ほど毛づくろいの時間は長い

毛の長い猫ほど毛づくろいの時間は長い

その他のデータは「Catlog総研 第1回レポーティング」で見ることができる

Neuronがレンタル用電動スクーターに危険な乗り方を検知する機能を試験的に搭載

マイクロモビリティシェア大手Birdの日本展開に向け、国内プラットフォームパートナーのBRJが4億円調達

電動スクーター(電動キックスクーター)のシェアリング事業を展開するNeuron Mobility(ニューロン・モビリティ)は、同社のスクーター「N3」に新しいオペレーティングシステムと追加の車載センサーを搭載し、危険な乗り方や軽率な乗り方をすると検知して警告や修正を行うアップデートを施した。シンガポールに本拠を置く同社は、今後6カ月の間、オーストラリア、カナダ、英国で約1500台の改良を施したスクーターを試験的に運用する予定だ。

Neuronの新型スクーターは、高精度な位置情報技術と迅速なジオフェンス検知により、急激なハンドル操作、横滑り、縁石跳び、タンデム走行、歩道走行などの危険な行為を検知すると、過ちを正したり、警告したりする。新センサーとIoT(モノのインターネット)は、このスクーターがさまざまな言語で乗り手に話しかけ、自らの行動を正すように導くことを可能にした。走行後には乗り手の安全性を評価したり、安全に乗るための教育資料をメールで送信することもできる。極端な状況下では「サービスエリアを出ているので、戻らないと電源が切れます」というような音声メッセージを発したり、シンプルにスクーターを減速させて停止させることも可能になった。

長期的には、すべての運転者に個別の安全性評価が与えられるようになる予定だ。Neuronでは、この評価によって安全な乗り方を奨励し、危険な行為が多い特定の運転者は安全教育の対象とすることで、そのような行為の繰り返しが防げることを期待している。

「しかし、この技術レイヤーが現実の世界で、現実にユーザーの手に渡ることで、実際にどのような影響があるでしょうか?」と、 NeuronのCEOであるZachary Wang(ザカリー・ワン)氏は、TechCrunchに語った。「それが今回の試験の焦点です。何千台ものスクーターを調査し、多くの自治体と協力して、どこで線を引くべきかを、検討したいと考えています。都市のニーズに最も適した方法でこの技術を導入するためには、どのようにすればいいかを研究したいのです」。

このような種類の運転支援システムを導入している電動スクーター事業者は、Neuronだけではない。Bird(バード)は最近、位置情報を利用した歩道走行検知技術を、ミルウォーキーとサンディエゴで数百台のスクーターに搭載した。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は、夏にNavmatic(ナヴマティック)を買収し、同社の高精度測位ソフトウェアを導入することで、危険な運転行為を検知し、スクーターをリアルタイムで停止させることができるようになった。

Spin(スピン)、Voi(ヴォイ)、Helbiz(ヘルビズ)などの企業も、スクーター用の先進運転支援システム(ADAS)を試験的に導入しているが、これらのシステムでは、車両に取り付けられたカメラとその他のセンサーを使用して、乗り手の行動や駐輪に関して同じ様な判定を行う仕組みだ。

これらの企業と比べると、Neuronは確かに少し遅れているものの、この種の技術を公開している企業の中で、純粋に自社で開発しているのはNeuronだけだろう。Birdの位置情報は、スイスの企業でワイヤレス半導体や高精度の測位モジュールを製造しているu-blox(ユーボックス)との提携により実現したものだ。また、SpinとHelbizはDrover AI(ドローバーAI)と、VoiはLuna(ルナ)と提携し、各々のコンピュータビジョンモジュールを開発している。

Neuronでは、正確な位置情報を得るために、多数の衛星コンステレーションからの電波を利用して高精度な地理空間測位を行うマルチバンドの全球測位衛星システム(GNSS)を実装している。また、新たに搭載された加速度センサーと6軸ジャイロセンサーは、車両の走行速度、加速度の大きさ、旋回角度、傾斜の有無などを検出し、乗り手が危険な運転をしているかどうかを判断する。同時に測位ソフトウェアと連動して、より正確な位置情報を取得する。

迅速なジオフェンス検出では、これらのデータをクラウドではなくエッジコンピューティングを用いてローカルかつ迅速に処理することで、10cmレベルの精度を実現していると、Neuronは述べている。

「私たちはこの12カ月間、これらの技術をすべて束ねる作業に取り組んできました。1つの機能を実現するためには、多くのセンサーを追加する必要があり、情報をローカルに処理するためには、その前に位置を知ることができなければならないからです」と、ワン氏は語る。

Neuronの新技術の機能は、すべてのスクーターに同時に搭載されるが、すべての機能が同時にテストされるわけではない。例えば、オタワのような都市では、電動スクーターは車道か自転車専用車線しか走ることができないため、そこで重視されるのは歩道を検知する技術だ。一方でオーストラリアでは、電動スクーターも歩道を走ることが義務付けられており、Neuronの高精度な位置情報技術は、指定された駐車場に関連して試用されることになるという。

Neuronは現在、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、韓国の23市場で事業を展開しているが、今回の試験的運用はカナダのオタワ、オーストラリアのブリスベンとダーウィン、英国のスラウで行われる予定だ。

画像クレジット:Neuron Mobility

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウミトロンがAIスマート給餌機「UMITORN CELL」を活用し「くら寿司」の養殖事業と協業

愛媛県宇和島市のくら寿司委託生産者に実験導入された「UMITRON CELL」

愛媛県宇和島市のくら寿司委託生産者に実験導入された「UMITRON CELL」

AI・IoT・衛星リモートセンシングなどを駆使して持続可能な水産養殖に取り組むスタートアップ「ウミトロン」は10月28日、くら寿司傘下のKURAおさかなファームと協業して、スマート給餌機「UMITRON CELL」」(ウミトロンセル)を使った養殖事業を支援すると発表した。

UMITRON CELLは、生け簀で泳ぐ魚のリアルタイム動画を見ながら、遠隔で餌やりが行えるスマート給餌機。AIが魚の食欲を判定し、餌の量や与える速度を最適化することで、労働負荷を軽減し、無駄な餌やりをなくして海の環境を守ることができるというもの。従来よりも少ない餌量でも、適切なタイミングで給餌することで、出荷時のサイズや品質を保ちながら短期間で魚を育成できるという。すでに、近畿、四国、九州地域を中心に、真鯛、シマアジ、サーモントラウトなどの養殖に導入されている。

くら寿司が100%出資するKURAおさかなファームは、回転寿司チェーン業界では初となる、水産専門の子会社。自社養殖と委託養殖を行う。委託養殖された魚は、くら寿司が中長期契約で全量を買い取り、店舗で提供される予定だ。「くら寿司の先端技術と水産業界のノウハウを結集して、持続可能で国際競争力のある水産経営モデルの創出」を目指している。

ネクイノがトイレで生理用ナプキンを無料で受け取れるデバイスを開発開始、2022年3月から提供スタート

ネクイノがトイレで生理用ナプキンを無料で受け取れるデバイスを開発開始、2022年3月から提供スタート

オンライン診察でピルを処方するアプリ「スマルナ」(Android版iOS版)を運営するネクイノは10月20日、女性用トイレにおいて、専用アプリをインストールしたスマートフォンをかざすだけで生理用ナプキンを受け取れるデバイスの開発をスタートしたと発表した。女性の経済的な負担軽減やジェンダーギャップ解消に向け、より本質的な女性の課題解決を目指す。2022年1月以降のβ版を用いた実証実験、同年3月からの提供開始を予定している。

ネクイノは、同事業において、トイレというプライベートな個室空間の特性を活かし、画面を通して双方向のコミュニケーション接点を実装するという。

  • 女性の課題解決に有益な情報提供:女性の生活を豊かにするために役立つ情報を届けることで、広告モデルの事業を成立させる。訴求した情報に関心が高い場合は、QRコードなどを通じて製品使用までつながるUXを提供
  • 女性の生声を社会に届ける「意見箱」:特定の課題や広告の製品に対し、YES / NOで答えられるアンケートを設け、企業の研究開発に役立つフィードバックを得ることを目指す。同機能は広告モデルのプレミアムプランとして事業化を図る

ネクイノでは、これまで教育機関との連携によるオンライン保健室×生理用品無料提供プロジェクトを実施するなど、自由に生理用品を使える環境と気軽に相談できる機会の提供を行ってきたという。生理用ナプキンは、その性質上、突如として必要となるケースを防ぐことができず、元来から解決が望まれていた大きな課題の1つとなっている。ネクイノはフェムテックを通し、女性の生き方をより豊かにすることに貢献するため、同取り組みに参画し、顕在化している女性課題に向き合い、フェムテック市場の活性化を推進する。

また同事業の本格化に向けて、ネクイノは幅広い業種の施設を運営する企業・自治体との対話を最重視するという。女性の生声を蓄積してきた商業施設や公共施設から課題共有を受け、これまでネクイノが解析してきた性に関する大量のデータを掛け合わせることで、トイレ空間における本質的で持続的な課題解決を目指す。

同プロダクトはIoTデバイスとして開発するため、クラウドを通じて持続的にサービスをアップデートしていくことが可能。トイレの利用者や、施設からのリクエストを定期的に集約し、様々な共創パートナーと本質的なサービス拡張を継続する。また、スマルナのサービス開発を通して培ってきた強みを同事業と連結させることで、よりスマートな「オンライン診察」のきっかけを提供することを視野に入れているという。

Hmcommと岡本工業がAI異音検知プラットフォームFAST-D応用し多軸自動旋盤のドリル破損を音で検知するシステム開発

Hmcommと岡本工業がAI異音検知FAST-Dを応用し多軸自動旋盤のドリル破損を音で検知するシステム開発

産業技術総合研究所(産総研)発スタートアップとして音声処理技術の研究開発を行うHmcomm(エイチエムコム)は10月20日、ビル配管工事や金属旋削加工などを手がける岡本工業と共同で、精密金属加工に使用する多軸自動旋盤のドリルの破損を、AI異音検知プラットフォーム「FAST-D」で検知するシステムの自社内導入を目的とした開発と、金属加工業者向け販売を目指したセンシングシステム開発の開始を発表した。

これまで岡本工業では、精密金属加工事業で使用する多軸自動旋盤機のドリルの破損を、振動や画像で検知する試みを重ねてきたが、なかなかうまくいかなかった。そこで、Hmcommのノイズ処理技術や音響処理技術を使ったところ、初めて有用なデータが取得できたという。そこで使用された「FAST-D」は、AI異音検知の学習モデルの作成や管理が自動的に行えるHmcommのクラウドサービス。Hmcommの知見をもとにした機械学習アルゴリズムにより、短期間に異音検知を現場導入できるというものだ。

Hmcommと岡本工業がAI異音検知FAST-Dを応用し多軸自動旋盤のドリル破損を音で検知するシステム開発

今後はこのシステムにIoTを組み合わせ、ドリルの破損が検知されるとPLC経由で停止信号を発して速やかに機械を停止させる仕組みを構築し、2022年春には製品化して販売することを目指し、実証実験を行うとしている。

AI異音検知とは、機械やモノ、生物が正常稼働している場合の音と、異常な状態になっている場合の発する音を機械学習させることで、安定的なモニタリング、異常発見、予兆検知などに役立てる技術。人が音を聞いて正常か異常かを判断する場合は、判断基準があいまいでバラツキが発生するケースや、熟練の技が必要になるなどの課題があるが、異音検知により人手によらない定量的な分析が可能となる。

音による異音検知は、工場インフラの異常検知、機械音検知、非破壊検査をはじめ、足音や防犯、ヒトの発する音や動物の鳴き声など、幅広い業種・業態で利用可能という。

Hmcommと岡本工業がAI異音検知FAST-Dを応用し多軸自動旋盤のドリル破損を音で検知するシステム開発

クリエイティブジャパンが大学・高専生対象の「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」詳細を発表

クリエイティブジャパンが大学・高専生対象の「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」詳細を発表

ITソリューションやクラウドソリューションなどを手がけるクリエイティブジャパンは10月18日、日本全国の大学、高専の学生を対象としたIoTおよびエッジAIの実用化のためのアイデアコンテスト「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」の詳細を発表した。このコンテストで、学生の技術教育支援を通じてエンジニア育成に貢献し、日本のIoTとエッジAIの技術発展と普及を目指すとしている。

IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021は、クリエイティブジャパンのグループ会社であるクレスコと共同で開催される。具体的には、ソニーセミコンダクタソリューションズ製IoT用ボードコンピューター「SPRESENSE」(スプレッセンス)と、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するLPWA無線通信規格「ELTRES」(エルトレス)を利用した、IoTおよびエッジAIの実用化のためのアイデアを募集する。

アイデアが一次審査を通過すると、応募チームには、クリエイティブジャパン製「ELTRESアドオンボード」、最大4カ月の「ELTRES」IoTネットワークサービス、クラウド上でデータ解析できる「CLIP Viewer Lite」の無償利用、ソニーのボードコンピュータ「SPRESENSE」と拡張ボードをセットにしたIoT・エッジAI開発キットが無償で提供される(20セットを予定)。

クリエイティブジャパンが大学・高専生対象の「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」詳細を発表

Spresense用ELTRESアドオンボード

これらの機材やサービスを使ってアイデアの実験を行ってYouTube動画で結果を発表し、二次審査の結果を待つという流れだ。

「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」概要

  • 集内容:SPRESENSEとELTRESを利用したIoT・エッジAIの実用化を目的としたアイデア(一次審査)。優秀なアイデアの組は二次審査に進める。二次審査では、提供されたIoT・エッジAI開発キットを使ってアイデアの実現に向けた実験を実施し、その結果をYouTube動画で説明する
  • スケジュール
    アイデア募集期間:2021年11月1日〜11月30日午後8時のタイムスタンプまで
    一次審査発表:2021年12月上旬
    実験結果発表締め切り:2022年3月1日午後8時のタイムスタンプまで
    二次審査発表:2022年3月中旬
  • 参加資格:日本国内の大学、高等専門学校に在籍する学生(個人またはチーム)
  • 参加費:無料
  • 申し込み方法:申し込み情報をメールで期限までに提出(詳細を参照

賞品

  • 一次審査:一次審査を通過した20組には「ELTRESアドオンボード」、「ELTRES」と「CLIP Viewer Lite」の最大4カ月の無料利用権、「SPRESENSE」、拡張ボードを授与
  • 二次審査:最優秀3組には金賞、銀賞、銅賞が、それ以外のチームには特別賞が贈られる。
    金賞(1組):ソニー・デジタルカメラ「VLOGCAM ZV-1」
    銀賞(1組):ソニー・ワイヤレス・ノイズキャンセリング・ステレオヘッドセット「WF-1000XM4」
    銅賞(1組):ソニー・ワイヤレス・ネックバンドスピーカー「SRS-NB10」
    特別賞:ソニー・ワイヤレス・ポータブルスピーカー「SRS-XB13」

混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況配信

マップ型混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況を配信

AIとIoTを活用して施設の空き状況・混雑状況を地図上に表示するサービス「VACAN Maps」を運営するバカンは10月15日、第49回衆議院議員総選挙において、埼玉県内44自治体、東京都目黒区内、群馬県桐生市の期日前投票所の混雑情報を同サービスを通じて提供することを発表した。なお、県単位での導入は埼玉県が初となる。

VACAN Mapsは、専用アプリをダウンロードすることなく、スマートフォンやパソコンのインターネットブラウザでレストランやカフェ、トイレ、観光地、避難所などの空き情報をリアルタイムで調べることができるサービス。混雑状況の検知方法は、環境や予算に合わせ「店舗・施設に設置されたボタン型IoTデバイスを店員・施設スタッフが操作」「カメラで取得した施設内状況のデータをAIで自動判定」「スマートフォンなどから直接入力」など、さまざまな方法から選択できる。

今回の衆院選の期日前投票所では、投票所の職員が専用IoTデバイスを操作することで混雑情報を更新。空き状況は「空いています」「やや混雑」「混雑」の3段階で表示される。混雑を可視化し住民に情報を届けることで、当日投票時に比べ投票所が少ない期日前投票の混雑緩和、密を避ける環境づくりをサポートする。混雑情報のほか、投票所の場所や投票日などのデータも地図上に掲載されるため、投票率の向上につながる効果も期待される。サービスの提供は期日前投票に合わせて開始される。

マップ型混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況を配信

埼玉県内の対象となる自治体

川越市、熊谷市、行田市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、蓮田市、坂戸市、幸手市、日高市、吉川市、ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、川島町、鳩山町、横瀬町、皆野町、長瀞町、杉戸町、松伏町(計44自治体)

DevOps SaaSプラットフォームを提供するEsperが需要に応え、早くもシリーズCで約66億円を獲得

画像クレジット:Esper / Esperの創業者ヤドゥ・ゴパラン氏とShiv Sundar(シブ・スンダー)氏

DevOps SaaSプラットフォームである「Esper(エスパー)」は、カテゴリーの構築を進め、接続されたデバイスの数が増える中、需要を先取りするために新たな資金調達に挑むこととなった。

シリーズBで3000万ドル(約33億4000万円)の資金調達を発表してからわずか5カ月後、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導するシリーズCで6000万ドル(約66億8000万円)というさらに大きな資金調達を行った。シリーズBのリード役であるScale Venture Partners(スケール・ベンチャー・パートナーズ)、Madrona Ventures(マドローナ・ベンチャーズ)、Root Ventures(ルート・ベンチャーズ)などの既存の投資家も参加している。この投資により、Esperの資金調達総額は1億ドル(約110億円)に達した。

関連記事:IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

共同創業者でCEOのYadhu Gopalan(ヤドゥ・ゴパラン)氏はTechCrunchに対し、現在すでに数十億台のIoTデバイスが存在しており、毎年指数関数的に増加していると述べている。この成長は、技術革新と、特に世界的なパンデミックの中で、技術革新を行うことを最優先する企業よってもたらされている。

「その理由は、リモートで新たな用途を顧客に提供するための代替手段を必要としているからです。この傾向は、デバイスがクラウドに接続されるようになったときから始まっています。企業がクローズドなソリューションからクラウドに移行し、優れた顧客体験を提供したいと考えるようになったことが重要です。私たちは、その課題を解決しています」と彼は付け加えた。

Esperを使用することで、企業はこれらのデバイスやカスタムアプリをリモートで拡張、管理、保護、更新することができるようになる。ゴパラン氏によると、DevOpsの手法は今や標準的なオペレーションとみなされているそうだ。

しかし同氏は、この業界は「本来あるべき姿からまだ10年ほど遅れている」と指摘しており、それこそがEsperが取り組んでいるニーズだという。

遅れているとはいえ「モノのインターネット(IoT)」は誰もが追いつける速度に減速しているわけではない。2027年には1兆1000億ドル(約122兆円)の分野になると予測されており、IoT接続されたアクティブなデバイスの数は2025年に309億台に達すると予想されている。そのうち企業側には、旅行、レストラン、倉庫で使用されるタブレット、医療機器、フィットネス機器、店舗内キオスクなどのデバイスが含まれる。

現在、シアトルを拠点とするEsperは、200社以上の有料顧客と、2000人以上の開発者がプロダクト開発のために同社のプラットフォームを利用している。収益の伸びは2020年の4倍を目標にしており、人員も2021年は4倍に増やしたとゴパラン氏は述べている。

Esperが需要に応えるために行っていることの一部を紹介すると、Esperは、企業が100台のデバイスから無料で登録して始められるようにし、プラットフォームの機能を確認できるような仕様にしている。また、パートナー企業と協力して、他のチャネルも構築している。

「用意されているものはもちろんですが、私たちは潜在的なお客様に、その機能を体験していただいてから、本格的な導入を検討していただきたいと考えています。これにより、お客様は機能やその違いを実感することができます。もし継続することになった場合、同じツールを使うことができ、切り替えの必要もありません」と同氏は付け加えた。

これには新しい資本も関係してくる。Insightが積極的にアプローチを進めたため、Esperは「当社の軌道を加速させ、市場の成長をより早く予測するために、彼らと提携する機会に飛びつきました」とゴパラン氏は語る。

同氏は、今回の資金調達は、より多くの顧客を獲得するために活用したいと考えている。同社はこの分野ではリーダー的存在だが、常に改善の余地があり、Esperはマーケティングとパートナーシップを通じてそれを実現していくと説明している。

同社の次のステップは、製品の開発を継続し、顧客体験とカスタマーサポートを向上させることだ。

「近い将来、何百万台ものデバイスが単一のまとまりとして存在するようになり、それらのデバイスをどのように管理するのか、現在行っていることとどのように違うのかをお客様がイメージできるようにしなければなりません。我々は、この分野のリーダーであると自負しており、我々が構築しているカテゴリーは、ミッションクリティカルなデバイスに対応しています。お客様は、継続的に動作し、継続的に改善していくことを必要としており、我々はそれを可能にすることができます」とゴパラン氏は付け加えた。

[ 原文へ

(文:Christine Hall、Akihito Mizukoshi)

ソニーSpresenseなどIoT機器の利用を想定した学生対象アイデアソン・ハッカソンがオンライン開催、エントリー受付中

ソニーSpresenseなどIoT機器の利用を想定した学生対象アイデアソン・ハッカソンがオンライン開催、エントリー受付中ソニーセミコンダクタソリューションズは10月1日、IoTデバイスの利用を想定した、社会解決や生活改善のためのアイデアを提案し共創する「Sensing Solution アイデアソン・ハッカソン 2021」のオンライン開催を発表。10月1日からエントリーの受け付けを開始した。対象は、日本国内の大学等に在籍する学生(大学・大学院、短期大学、大学校、専門職大学、専門学校、高等専門学校本科4年生以上)、1名以上5名以下のチーム。参加費は無料。

今年のテーマは「IoTがひらく未来」。「IoTデバイスから得られる⾳声、画像、位置情報といったデータやAIなどの最先端の技術を活⽤することによるイノベーティブな提案を幅広く募集」する。技術的アプローチだけでなく、インタラクティブアートやエンタテインメントによって生活を豊かにさせるアイデアも「大歓迎」とのことだ。

概要は以下のとおり。

アイデアソンの課題

2021テーマ「IoTがひらく未来」に即したアイデアの提案

SPRESENSEなど、2021年10月時点で実在するIoTデバイスを想定し、アイデアを実現する方針までを提案テンプレートに記述して提出。

ハッカソンの課題

1次審査:2021テーマ「IoTがひらく未来」に即したアイデアの書類審査

SPRESENSEで実現可能なアイデアを提案テンプレートに記述して提出。1次審査通過チームには、Spresense開発キット2セットを無償貸与。

Spresense開発キット内容(*の使用は任意)
・Spresense メインボードCXD5602PWBMAIN1
・Spresense 拡張ボードCXD5602PWBEXT1*
・Spresense カメラボードCXD5602PWBCAM1*
・Mic&LCD KIT for SPRESENSEAUTOLAB-001*
・その他ケーブル・SDHCカード

2次審査:デモンストレーション動画による審査(アイデアの実装を含む)

1次審査で提案したアイデアをSpresenseメインボード(1台以上)を用いて実装。実装した制作物のデモ動画を提出。

スケジュール

アイデアソンの提案申し込み期間は10月1日から10月31日まで、ハッカソンは10月1日から10月15日までとなっている。発表会・表彰式(オンライン開催)は12月19日。

アイデアソン審査基準

提案の独創性:独創的な発想であり⼈に感動を与えられる作品なのか?
提案の社会的必要性:いかに⽣活を豊かにするか。⼈を幸せにするか?
作品の実現性:実在する機器などにより、アイデアの実現に向けた方針が述べられているか?
IoTデバイスによる実現の適合性:IoTデバイスの利用ならではの提案となっているか?

ハッカソン審査基準

提案の独創性:独創的な発想であり⼈に感動を与えられる作品なのか?
提案の社会的必要性:いかに⽣活を豊かにするか。⼈を幸せにするか?
作品の実現性:実在する機器などにより、アイデアの実現に向けた方針が述べられているか?
Spresenseの適合性:Spresenseの特徴を活かした提案となっているか?

副賞

ソニー製品が購入できるギフト・ポイントが贈られる予定。

アイデアソン
・最優秀賞:10万円相当
・優秀賞:5万円相当
・審査員特別賞:3万円相当

ハッカソン
・最優秀賞:20万円相当
・優秀賞:10万円相当
・審査員特別賞:5万円相当

詳細および申し込みはこちらから。問い合わせはこちらのフォームから

このイベントは、ソニーセミコンダクタソリューションズとSensing Solution アイデアソン・ハッカソン 2021実行委員会によって主催される。

税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

スイッチサイエンスは9月30日、同社ウェブショップにおいて、M5Stackの新製品「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」シリーズの販売を開始した。直販価格は6512円(税込)。

M5Stack Tough ESP32 IoT開発キットは、Wi-Fi/Bluetoothデュアルモードを利用可能なEspressif ESP32チップセットを搭載した、M5Stackの防水型組み込みコントローラー。耐紫外線のケース設計など屋外設置に向け設計されたIoT開発キットで、防水型M12コネクターを接続できる(ただし、浸水に対する保護機能はないため、ケースを水没させないよう呼びかけている)。このほか、ネジ止め、マグネット、粘着テープなど多様な設置方法を想定したものとなっている。

  1. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  2. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  3. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  4. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  5. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

また、最大クロック周波数240MHzのデュアルコア低電力Xtensa 32bit LX6マイクロプロセッサーを採用。また8MB PSRAM、16 MBフラッシュメモリーを搭載している。ディスプレイ部は、2.0インチHD IPSディスプレイパネル+高感度静電容量式タッチスクリーン。豊富な周辺機器と拡張用インターフェイスも備えている。

  • ESP32-D0WDQ6-V3:240MHz dual core。600 DMIPS、520KB SRAM。Wi-Fi/デュアルモードBluetooth
  • フラッシュメモリー:16MB
  • PSRAM:8MB
  • 入力電圧:USB(5V @ 500 mA)、RS485 DC入力(12V @ 1A)
  • インターフェース:Type-C×1、GROVE×4(RS485/I2C/GPIO/UART)
  • IPS LCD:2.0インチ@320*240、ILI9342C、フルカラーディスプレイ、最大輝度853nit
  • タッチパネルドライバー:CHSC6540
  • スピーカー構成:NS4168 16ビット I2Sアンプ+1Wスピーカー
  • RTCクロック:HY8563
  • PMU:AXP192
  • USBチップ:CH9102、USB-TTL シリアルポート
  • TFカードスロット:メモリカード最大16GB
  • アンテナ:3D WiFi/BLEアンテナ
  • シェル素材:耐紫外線プラスチック
  • 正味重量:108g
  • 総重量:139g
  • 製品サイズ:58×76×41mm

税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

スイッチサイエンスは9月30日、同社ウェブショップにおいて、M5Stackの新製品「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」シリーズの販売を開始した。直販価格は6512円(税込)。

M5Stack Tough ESP32 IoT開発キットは、Wi-Fi/Bluetoothデュアルモードを利用可能なEspressif ESP32チップセットを搭載した、M5Stackの防水型組み込みコントローラー。耐紫外線のケース設計など屋外設置に向け設計されたIoT開発キットで、防水型M12コネクターを接続できる(ただし、浸水に対する保護機能はないため、ケースを水没させないよう呼びかけている)。このほか、ネジ止め、マグネット、粘着テープなど多様な設置方法を想定したものとなっている。

  1. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  2. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  3. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  4. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

  5. 税込6512円の防水型「M5Stack Tough ESP32 IoT開発キット」が販売開始

また、最大クロック周波数240MHzのデュアルコア低電力Xtensa 32bit LX6マイクロプロセッサーを採用。また8MB PSRAM、16 MBフラッシュメモリーを搭載している。ディスプレイ部は、2.0インチHD IPSディスプレイパネル+高感度静電容量式タッチスクリーン。豊富な周辺機器と拡張用インターフェイスも備えている。

  • ESP32-D0WDQ6-V3:240MHz dual core。600 DMIPS、520KB SRAM。Wi-Fi/デュアルモードBluetooth
  • フラッシュメモリー:16MB
  • PSRAM:8MB
  • 入力電圧:USB(5V @ 500 mA)、RS485 DC入力(12V @ 1A)
  • インターフェース:Type-C×1、GROVE×4(RS485/I2C/GPIO/UART)
  • IPS LCD:2.0インチ@320*240、ILI9342C、フルカラーディスプレイ、最大輝度853nit
  • タッチパネルドライバー:CHSC6540
  • スピーカー構成:NS4168 16ビット I2Sアンプ+1Wスピーカー
  • RTCクロック:HY8563
  • PMU:AXP192
  • USBチップ:CH9102、USB-TTL シリアルポート
  • TFカードスロット:メモリカード最大16GB
  • アンテナ:3D WiFi/BLEアンテナ
  • シェル素材:耐紫外線プラスチック
  • 正味重量:108g
  • 総重量:139g
  • 製品サイズ:58×76×41mm

UVC殺菌システムR-Zeroが「目と耳」となる室内の占有センサーCoWorkrを買収、「職場にとってのOS」を作る

パンデミック渦に誕生したバイオセーフティ企業のR-Zeroは2021年7月下旬、室内の占有センサーを開発する企業であるCoWorkrの買収を発表した。人々が職場に戻り、ワクチンが広がりを見せる今、新型コロナウイルスの出現によって生まれた企業たちはパンデミックの次の段階を見据えて適応し始めている。R-Zeroにとって今回の買収は、同社の焦点のシフトと言えるだろう。

2020年4月に設立されたR-Zero。同社は主に病院グレードのUVC殺菌システム、つまり特定の種類のウイルスを中和できる照明の開発に注力していきた(詳細は後述)。企業が建物内を除菌する方法を求めて奔走する中、同社は2億5650万ドル(約282億円)の評価額で合計5880万ドル(約65億円)の資金を調達。R-Zeroは現在、複数の矯正施設、Brooklyn Nets、Boston Celtics、サウスサンフランシスコ統一学区など、約1000の民間および公共部門の顧客を抱えている。

CoWorkrは2014年に設立され、Crunchbaseによると総額約20万ドル(約2200万円)のシードファンディングを調達している。

CoWorkrの買収により、R-Zeroは職場の人員と清掃の両方を管理するモノのインターネットのようなセンサーネットワーク開発を計画していると、R-Zeroの創業者であるGrant Morgan(グラント・モーガン)氏は話している。単に空気や物の表面を消毒するだけではなく、公共スペースにおける人(およびウイルスやバクテリア)の流れを管理する事に重点を置いていくようだ。

「職場のOSのようなモノです。健康と生産性を核とした室内環境の構築と維持を支援するツールを作っています」とモーガン氏はTechCrunchに話す。

CoWorkrの共同設立者であるElizabeth Redmond(エリザベス・レドモンド)氏とKeenan May(キーナン・メイ)氏は引き続きフルタイムで勤務することとなっており、企業の不動産関連の取り組みを運営し、IoT能力を開発していく予定だ。

「我々はお客様と多くの時間を過ごし、お客様の取り組みを理解できるよう努めてきました。中でも特に商業用不動産に対して注力しました」とレドモンド氏はTechCrunchに話している。

「大半の企業がハイブリッドな働き方に移行しているため、占有率情報はとても必要とされています。私たちがR-Zeroに加わったのは、ハイブリッドワークの未来、そして商業不動産の未来がどうなっていくのかという点が非常に注目されているためです」。

CoWorkr買収前のR-ZEROの主力製品はUVCライトの「Arc」というもので、これは清掃員が退社した後のオフィススペースに持ち込めるホイール付きの長方形のライトである。また、居住空間で使用可能な製品として提供されていた、同じくUVC光で除菌するエアフィルター「Arc Air」もある。

2020年半ばにUVCライトが脚光を浴びたのにはいくつかの理由がある。1つには共同スペースを消毒するための強力な手段だと考えられたこと、そしてもう1つには企業が新型コロナに対して技術的なソリューションを用いると一定のインセンティブが受けられたことなどが挙げられる。

UVCライトは何十年も前から病院で使用されており、スキャナーなどの表面を除菌したり、UVエアダクトに挿入して空気を除菌したりするために活用されてきた。研究によると、UVCは空気中のインフルエンザウイルスを不活性化することができるとされており、また限られた証拠しかないものの、UVCはウイルスの外側のタンパク質コーティングを破壊することで、SARS-CoV-2その他のコロナウイルスも不活性化できるという研究結果もある。

これらのライトは実際にパンデミック渦でも活用されていた。例えばニューヨーク都市交通局は、毎晩地下鉄車両を消毒するために100万ドル(約1億1000万円)相当のUVCライトを購入。2020年3月に可決されたCARES法は、企業や公的機関がUVライトなどの清掃サービスを購入する際に、政府の融資を利用できるようにするものだった。

しかし、消費者向けのランプの中には批判的な意見も存在した。1つは長時間照射すると目を傷つけたり、火傷をしたりする可能性があること。またUVC消毒に関するあるレビュー(UVC消毒会社と関係のある2人の科学者によって書かれたもの)では「性能に関する非科学的な主張」が広まっているとの厳しい評価がなされている。

一方で第三者機関によるテストを行なったところ、R-ZEROのArcは一般的な風邪のコロナウイルスと、表面に付着したノロウイルスの代替ウイルスの2種類のウイルスを99.99%減少させることが確認されている。また、大腸菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても99.99%の除菌効果があったという。

UVCライトの殺菌技術としての有用性については賛否両論あるものの、この業界が消え失せてしまうことはないと複数のアナリストが指摘している(例えばLGはUVベースのクリーニング分野に参入したところだ)。William Blairの商業サービス株式アナリストであるTim Mulrooney(ティム・マルルーニー)氏は、ワシントン・ポストに対し、人々の衛生に対する考え方が「パラダイムシフト」していると伝えている

2020年に行われた世論調査によると、衛生管理は従業員と顧客の両方にとって最重要事項であることが示唆されている。Deloitteが3000人を対象に実施した調査では、従業員の64%が共有スペースの定期的な清掃を重要視していると回答し、顧客の62%が毎接客ごとに表面を清掃して欲しいと回答している(新型コロナウイルスは表面接触では感染しにくいと考えられているのにも関わらずである)。

ワクチン接種の増加が、今後のオフィス衛生に対する認識にどのような影響を与えるかはまだわからない。しかしモーガン氏は、企業(および従業員)は身近な細菌の存在をパンデミック前よりも意識し、オフィス内の人の流れを管理することも含め、その蔓延を抑制する方法を模索し続けるだろうと考えている。

R-ZeroはCoWorkrを買収したことでUVC殺菌だけでなく、占有管理にも力を入れることになったわけだ。

モーガン氏はCoWorkrのセンサーをR-Zeroの「目と耳」と呼んでいる。R-Zeroは居住空間の空気清浄度に対応したUVCベースの2つの製品を発表する予定で、CoWorkrのセンサーを使って「完全な自動化」を実現していくという。

例えばCoWorkerのバッテリー式熱センサーを使えば、従業員はオフィスのどの部屋が使われているかを知ることができる。その情報をもとにUVベースのエアフィルターやその他の清掃用品を活用することができるという。

この情報をもとに、その日の晩にその部屋をより徹底的に掃除するよう清掃員に指示することができ、逆に一日中誰も触っていない部屋は掃除しなくてもよいことになる。

「お客様はすぐにROIを高めることができ、30〜40%の人件費を削減しています」とモーガン氏は話す。

パンデミックの「傷跡」が癒えることはまだなく、人々は今後も依然として衛生的な職場環境を求め続けるだろうと同社は考えている。

「ほぼ100%、お客様はこれを長期的な投資として考えています」とモーガン氏はいう。

画像クレジット:R-Zero

原文へ

(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備群向けに、低侵襲・低コスト・簡便に週次GA(糖化アルブミンによる週次平均血糖)を在宅測定できるIoT血糖モニタリングサービス「GlucoReview」を開発するProvigateは、総額9億1000万円の資金調達を発表した。引受先はSparx Group、ANRI、Coral Capital。

調達した資金により、GAセンサーの量産化開発、臨床研究、製造販売承認の準備を進める。まずはクリニックや薬局向けの血液GA測定システムの製造販売承認を目指し、並行して家庭向けの開発も加速する。人材採用や、生産パートナー・販売パートナーなど業務提携・資本提携先の探索も進めているという。

2015年3月設立のProvigateは、糖尿病の発症・重症化予防のためのバイオセンサーとアプリの開発を進めるスタートアップ。東京大学病院との連携のもと、週次GA測定×アプリによる血糖モニタリングの社会実装・世界標準化の実現を目指している。低侵襲・低コスト・簡便に週次GAを在宅測定できる本体・使い捨てカートリッジ・アプリを提供することで、1~3カ月の通院間隔中の在宅自己血糖管理を力強くサポートするサービスを提供するという。

Provigateによると、糖尿病の発症・重症化予防の重要な要素の1つは、日常的な血糖モニタリングという。しかし、ほとんど重症患者にしか使われていないそうだ。これは、現在の自己血糖モニタリングデバイスが「痛い」「高い」「難しい」という課題を抱えていることに加え、大半の糖尿病患者に対して保険適用外であることも要因の1つとしている。国によって割合は異なるものの、例えば日本では1000万人の糖尿病患者の9割程度は自己血糖測定が保険適用ではないと推察できるそうだ。

つまり、糖尿病患者の大半は1~3カ月に1度の通院時にしか血糖を測定しておらず、日々変動する血糖を測定することなく血糖管理をしようとしているのが、今日の糖尿病患者の大半ともいえるという。

そこでProvigateでは、糖尿病患者・予備群の方に、低侵襲・低コスト・簡便に使える在宅血糖測定の手段を提供する事を目指しているとした。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

Provigateが注目するのは、血糖の管理指標の1つであるグリコアルブミン(糖化アルブミン、GA)。GAは日本で開発され普及したバイオマーカーであり、直近1~2週間の平均血糖や食後高血糖の変化をよく反映することが知られているそうだ(Endocrine Journal 2010, 57 (9), 751-762)。主に病院や献血時検査で使われ、年間に約1200万回(うち約300万回は献血時GA検査)ほど測定されていると推定されるという(臨床病理 2018(66):37-48、臨床検査 2019(63):1406-1413)。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

現在、GAはマイナーなバイオマーカーであり、平均血糖指標のスタンダードであるHbA1c(糖化ヘモグロビン)の補助的な診断指標との位置付けという。今日の糖尿病診療では通院間隔が1~3カ月であることもあって、糖尿病の長期的な状況を診断するにはHbA1cが優れており、レスポンスが早いGAは、例えば治療の開始時や治療薬を変えた時など、短期的な血糖の改善を見たい場合や、透析患者等HbA1cが安定しない症例に限られているそうだ。

しかしGAは、数日~1週間程度の血糖改善にレスポンス良く応答するため、週次で測定したときに初めてその真価を発揮するはずとしている。Provigate・東京大学医学部附属病院・陣内会陣内病院の研究チームは、このGAの本質的な特徴から週次平均血糖指標としての可能性に改めて着目し、GAをHbA1cの代替診断指標ではなく、家庭での「行動変容指標」として再定義した。

GAを用いれば、一般的な血糖計(SMBG)のように数時間おきに指先から採血をする必要はないとしている。近年急速に普及してきた連続血糖計(CGM)のようにセンサー針を皮下に留置する必要や、数カ月に1度通院してHbA1cなどの血液検査を受けるのを待つ必要もないという。

Provigateによると、GAであれば、週に1度の在宅測定で週次血糖変動をモニタリングし、過去1週間の生活習慣を振り返るだけでよいとしている。測定頻度が週1で良く、直近数時間の血糖値で大きく上下することなく、直近1週間の行動変容を反映して数値が滑らかかつ鋭敏に変化するので、低侵襲・低コスト・簡便な血糖測定の手段となることが期待されるそうだ。HbA1cが病院で測定する「期末テスト」であれば、GAは家庭で週次の生活習慣の努力成果を計測する「小テスト」のような役割を持つとしている。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

【コラム】物理的セキュリティにおける「IoT」の過去、現在そして未来

Axis Communicationsが1996年のアトランタオリンピックの後に最初のインターネットプロトコル(IP)カメラをリリースしたとき、初期の混乱がある程度存在した。コネクテッドカメラはその当時市場が求めていたものではなく、多くの専門家が必要かどうかを疑問視していた。

もちろん今日では、従来のアナログカメラはほぼ全面的に段階的廃止へと追い込まれており、組織がIoTデバイスのもたらす大きな利点を認識するようになったことを反映している。しかしその技術は、初期の頃は大きなリスクと感じられていた。

それ以来状況が変わったと述べることは、劇的に控えめな表現になるであろう。「モノのインターネット(IoT)」の成長は、物理的セキュリティが進化してきた過程の一端を象徴している。コネクテッドデバイスは標準的なものとなり、録画されるビデオの枠を超えたエキサイティングな新しい可能性を切り開いた。IPカメラの改良や広範な普及といったさらなる進展は、アナリティクスの改善、処理能力の向上、オープンアーキテクチャ技術の成長など、追加的なブレークスルーを後押ししている。IPカメラが最初に発売されてから25周年を迎えた今、この業界がどこまで来たのか、そしてこれからどこに向かうのかを考えてみる価値はあるだろう。

技術の改良がIPカメラ台頭の到来を告げる

現在のIPカメラを1996年に発売されたものと比較するのは、ほとんど滑稽とも言える。当時は確かに革新的だったが、これらの初期のカメラは17秒に1フレームしか処理できなかった。今日のものとはかなりの差がある。

だがこの欠点があった一方で、物理的セキュリティの最先端にいる人々は、IPカメラがどれほど壮大なブレークスルーをもたらすかを理解していた。つまり、カメラのネットワークを構築することでより効果的な遠隔監視が可能になり、この技術を拡張できれば、さらに大規模なシステムを配備して別々のカメラグループを結びつけることが可能になるだろうということだ。初期のアプリケーションとしては、油田、空港の着陸帯、遠隔地の携帯電話基地局の監視などが含まれていただろう。さらに良いことに、この技術は、まったく新しいアナリティクスケイパビリティの世界を開くポテンシャルを有していた。

もちろん、その無限のポテンシャルを現実のものにするには、より優れたチップセットが必要だった。革新的であろうとなかろうと、初期のこの種のカメラの限られたフレームレートでは、従来の監視アプリケーションに広く採用されるほどの有効性は望めなかった。この問題を解決するのに多大なリソース投資を必要としたが、ほどなくこれらのチップセットが改良され、IPカメラは17秒に1フレームから1秒に30フレームの性能を持つようになった。フレームレートの低さはもはやIPカメラを避けてアナログカメラを選ぶ理由にはなり得ず、開発者はこのデバイスのアナリティクスのポテンシャルを探り始めることができるようになった。

おそらく最も重要な技術的飛躍は、組み込みLinuxの導入であろう。これにより、IPカメラは開発者の観点からより実用的なものになった。1990年代は大半のデバイスが独自のオペレーティングシステムを使用していたため、開発に困難をきたしていた。

企業内でさえ、プロプライエタリシステムは開発者が特定の技術について訓練を受ける必要があることを意味しており、時間と費用の両面のコストが企業に生じていた。Wind Riverオペレーティングシステムなど、業界内で標準化が試みられたが、最終的には失敗に終わっている。それらはあまりにも小規模で、その背後には限られたリソースしか置かれてなかった。さらに、より優れたソリューションとしてLinuxがすでに存在していた。

Linuxは広範囲の利点をもたらしたが、その中でも特に大きかったのは、オープンソースコミュニティの他の開発者とのコラボレーションである。これは2つの方向に走る1つの道筋だった。ほとんどのIPカメラにはLinuxを実行するのに必要なハードディスクがなかったため、デバイスがフラッシュメモリチップをハードディスクとして使用できるようにする、JFFSとして知られるハードウェアが開発された。この技術はオープンソース化されており、現在は3世代目だが、今でも広く利用されている。

圧縮技術も同様の課題を呈しており、90年代後半から2000年代前半にかけてのデータ圧縮モデルはビデオにはあまり適していなかった。当時、ビデオストレージでは個々のフレームが1つずつ保存されていたため、データストレージは悪夢のような状況に陥っていた。幸いなことに、H.264圧縮方式がビデオを念頭に置いて設計され、2009年に普及が進んだ。

その年の終わりまでに、IPカメラの90%超と大部分のビデオ管理システムがH.264圧縮方式を使用するようになった。圧縮機能の向上により、メーカーのビデオ解像度も改善された点を注記しておくことが重要である。この新しい圧縮方式が登場するまで、ビデオ解像度は60年代のNTSC/PAL以降変化することはなかった。今日ではほとんどのカメラが高解像度(HD)で録画できるようになっている。

  • 1996年:最初のIPカメラがリリース。
  • 2001年:ビデオモーションを検知するエッジベースのアナリティクスが登場。
  • 2006年:最初のダウンロード可能なエッジベースアナリティクスが利用可能になる。
  • 2009年:フルHDが標準のビデオ解像度に; H.264圧縮が主流になる。
  • 2015年:スマート圧縮がビデオストレージに革命をもたらす。

アナリティクスの成長

アナリティクスは、必ずしも「新しい」技術というわけではない。IPカメラの黎明期にも顧客はさまざまなアナリティクスケイパビリティを求めていた。しかし、この技術は飛躍的な進歩を遂げている。今日の高い基準からすると古めかしく思えるかもしれないが、ビデオモーション検出はIPカメラに搭載された最初期のアナリティクスの1つだった。

顧客が必要としていたのは、特定のパラメータの範囲内で動きを検出して、木が風に揺れたり、リスが通り過ぎることで誤アラームが発生しないようにする方法だった。この種の検出および認識技術のさらなる改良により、物理的セキュリティの多くの側面が自動化され、疑わしいアクティビティが検出された場合にアラートをトリガーし、それが人間の注意喚起につながるようにした。人間の可謬性の問題を解決することで、アナリティクスはビデオ監視をリアクティブツールからプロアクティブなツールへと変化させた。

信頼性の高い動きの検出は、今でも最も広く利用されているアナリティクスの1つである。誤アラームを完全に排除することはできないものの、近代的な改良を経て、潜在的な侵入者を検出する信頼性の高い方法として機能するようになっている。オブジェクト検出も人気が高まっており、自動車、人、動物、その他のオブジェクトを分類する能力の向上が進んでいる。

ナンバープレート認識は多くの国で普及しており(米国ではそれほどでもないが)、犯罪行為に関与する車両を特定するためだけでなく、駐車場での認識のようなシンプルな用途にも利用されている。車のモデル、シャツの色、ナンバープレートの番号といった詳細情報は、人間の目では見逃されたり、認識できなかったりする可能性が高い。しかし、モダンアナリティクスにより、データは容易に参照できるようにカタログ化され、格納される。ディープラーニングのような技術の出現は、ラベリングとカテゴライズの改善によるパターン認識とオブジェクト分類の機能向上を特徴としており、アナリティクスのこの領域におけるさらなる前進を促すだろう。

アナリティクスの台頭は、セキュリティ業界がオープンアーキテクチャ技術を採用した理由を浮き彫りにすることにもつながる。簡単に言えば、単一のメーカーでは顧客が必要とするすべてのアプリケーションに対応することは不可能だということだ。オープンアーキテクチャ技術を使用することで、メーカーは、特定のユースケースに合わせてデバイスを特別に調整することなく、顧客が自身に適したソリューションを追求できる環境を整えることができる。病院は患者の苦痛の兆候を検出する音声分析の追加を検討しているかもしれない。小売店は人数の集計や盗難の検出にフォーカスする可能性がある。法執行機関が発砲の検知に重点を置くことも考えられる。これらのアプリケーションのすべてが同じデバイスモデル内に組み込まれ得るのだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、物理的セキュリティデバイスとアナリティクスの両方に興味深い新たな用途が生まれたことにも注目する必要がある。ただし、発熱の測定に対するサーマルカメラの使用など、一部のアプリケーションについては高い精度での実装が難しいことが判明している。医療業界の間ではカメラの使用が大幅に増加したが、こうした精度の問題に変化が生じる可能性は低い。病院は病室内におけるカメラの利点を見出しており、安全な環境を維持しながら、医療専門家が患者をモニタリングし、患者と通信することを可能にするビデオおよびインターコム技術を活用している。

クロスライン検出のようなシンプルなアナリティクスでも、転倒リスクのある患者が指定されたエリアから出ようとする場合のアラートを生成でき、事故や全般的な障害を低減できるポテンシャルがある。このようなアナリティクスが今日ではわずかな言及でしかないという事実は、物理的セキュリティがIPカメラの黎明期からどれほど進んでいるかを浮き彫りにしている。

セキュリティの将来を見据える

つまり、今日のトレンドを検証することで、セキュリティ業界の将来を垣間見ることができる。例えば、ビデオ解像度は確実に向上し続けるだろう。

10年前、ビデオ監視の標準解像度は720p(1メガピクセル)であり、さらにその10年前はアナログNTSC/PAL解像度の572×488、すなわち0.3メガピクセルであった。今日の標準解像度は1080p(2メガピクセル)で、ムーアの法則を定石通りに適用すると、10年後には4K(8メガピクセル)になることが見込まれる。

これまでと同様、高解像度ビデオが生成するストレージの量が制限要因となっているものの、Zipstreamのようなスマートストレージ技術の開発が近年大いに貢献している。高解像度ビデオを可能にするスマートストレージとビデオ圧縮のさらなる改良が期待できるだろう。

サイバーセキュリティはまた、メーカーとエンドユーザーの双方にとって大きな懸念となりつつある。

先頃、スウェーデンの大手小売業者の1社がハッキングのために1週間閉鎖された。他企業も安全性の低いデバイスを使い続ければ同じ運命をたどるだろう。どのようなソフトウェアにもバグが含まれている可能性があるが、これらの潜在的な脆弱性を特定して修正することにコミットする開発者とメーカーだけが信頼できるパートナーと見なされ得る。世界全体にわたって、サイバーセキュリティの改善を義務づける新たな規制が政府により可決される可能性が高くなっている。カリフォルニア州の最近のIoT保護法は、業界が期待し得ることを示す早期の指標となるだろう。

最後に、倫理的な行動がより重要になり続けるだろう。顔認識のような技術が悪用されることなく、どのように使用されることを想定しているかを示すガイドラインを公表し、自社の倫理ポリシーを前景化し始める企業が増えている。

新しい規制が登場する一方で、規制自体は常に遅れをとっている。ポジティブな評価を得たい企業は独自の倫理ガイドラインに準拠する必要がある、ということを特筆すべきであろう。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて、倫理的な配慮を主要な懸念事項として挙げる消費者が増えている。今日の企業は、責任あるプロダクトの使用をどのようにブロードキャストし実施するかについて、強く検討する必要がある。

変化は常にすぐ近くにある

IPカメラが導入されて以降、物理的セキュリティは大きな発展を遂げた。ただし、そこで起こった変化の数々は、顕著ではあるものの、20年を超える年月をかけてもたらされたことを心に留めておくことが重要だ。変化には時間がともない、多くの場合、予想以上に時間がかかる。それでも、現在の業界の状況と25年前の状況を比較するとき、感銘を受けずにはいられない。技術は進化し、エンドユーザーのニーズもシフトしていく。業界の主要プレイヤーでさえ、時代に対応する能力に応じて現れたり消えたりしている。

変化は避けられない。しかし、今日のトレンドを注意深く観察し、それが今日の進化するセキュリティニーズにどのように適合しているかを把握することは、今日の開発者やデバイスメーカーが将来に向けた自らの位置づけを理解することに役立つ。パンデミックは、今日のセキュリティデバイスが、ほんの数年前には誰も予想しなかった方法で付加価値を提供できるという事実を浮き彫りにした。そして、オープンなコミュニケーション、信頼できる顧客サポート、倫理的な行動の重要性をさらに際立たせている。

私たちが将来に向かって進む中で、これらのコアバリューを優先し続ける組織は、最も大きな成功を収める組織の1つとなるであろう。

編集部注:Martin Gren(マーティン・グレン)氏はAxis Communicationsの共同創業者であり起業家、そして最初のネットワークカメラの発明者。

画像クレジット:Erlon Silva/TRI Digital / Getty Images

原文へ

(文:Martin Gren、翻訳:Dragonfly)

ラズベリーパイ財団が約49.3億円調達、低価格PCとIoTの需要に応える

結果的に、新型コロナウイルス感染症による都市封鎖は、ハードウェアハッキングの室内ホビーにとってありがたい状況となっている。低価格マイクロプロセッサーであるRaspberry Pi(ラズベリーパイ)の母体である英国拠点の財団は、4500万ドル(約49億3000万円)の調達ラウンドを完了したことを現地時間9月20日に発表した。

(非営利の)ラズベリーパイ財団の取引部門に対するこの資金注入は、評価額5億ドル(約547億6000万円、調達前)で実施されたことを共同創設者のEben Upton(エベン・アプトン)氏が確認した。

調達ラウンドは、ロンドン拠点のLansdowne Partners(ランズダウン・パートナーズ)と米国拠点の民間慈善団体The Ezrah Charitable Trust(エズラー・チャリタブル・トラスト)がリードした。

「Lansdowne PartnersとThe Ezrah Charitable Trustを初の外部株主として迎え、当財団の次の段階の成長を支援していただけいることを喜んでいます」とアプトン氏は声明で語った。「仕事やエンターテインメントのために私たちのPCを使ってインターネットをアクセスする消費者の需要が高まっていることに加え、Raspberry Piを革新的IoTに応用する世界中の産業企業からの需要はいっそう早く成長しています。この資金調達によって、将来の需要に答えるための規模拡大が可能になります」。

「新たに迎えた出資者は、財団の戦略に価値を加えて成長を推進するだけでなく、私たちのビジネスモデルの原理と精神を理解しています。誰もがハードウェアとソフトウェアのツールを利用できるようにして、消費者向けPC体験をわずか35ドル(約3830円)から提供し、世界中のさまざまなOEMと提携することが財団の目標です」。

調達した資金は、すでに充実しているPiマイクロプロセッサーの製品ラインをさらに拡大するために使う、とPi財団はいう。

マーケティングでの資金利用も計画されており、消費者(「自分で作る」PC)と産業(IoT)両分野が対象だ。

現在財団の取引部門は年間700万台以上のデバイスを出荷している。

これまでに100カ国以上に4200万台以上の(Piベースの)PCを出荷したと財団は語った。

「都市封鎖の中でRaspberry Piに対する関心が明らかに高まっています」とアプトン氏はTechCrunchに語る。「自宅で勉強するためのマシンを必要としている若者たちに機材を提供できることをうれしく思っています。また私たちは、すばらしい慈善的支援(特にBloomfield Trustによる)を受け、英国の恵まれない若者たちにキットを配布しています」。

「現在の持続する需要の増加は、主としてコロナ禍からの景気回復による企業顧客によるものです」。

「短期的には、需要に応じるための生産とサプライチェーンへの投資が中心です」と資金利用の計画を詳しく語った。「長期的には、この資金によってプロダクト開発への投資を拡大することができます。プロダクトが高度になるにつれ、開発には費用も時間もかかるようになるので、エンジニアを増員することが今後の成長の鍵です」。

Lansdowne ParternsのPeter Davies(ピーター・デイビーズ)氏が次のように付け加えた。「長年見守り評価してきたRaspberry Pi財団に投資できることを大変喜んでいます。同財団が最初の10年間に成し遂げた商業的、人間的影響は卓越しており、新たな資金を得た財団のさらなる成長を支援をすることを楽しみにしています」。

関連記事
ラズベリーパイ財団が8GBメモリー搭載のRaspberry Pi 4を発表
税込9790円、ラズパイ4内蔵のキーボード型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」「USキーボード」が発売開始
価格約1万1000円、Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表

画像クレジット:

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ「バカン」は9月2日、マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」(バカン マップス)において、2021年8月に国内人口15%をカバーするとともに(「導入自治体の人口合計÷国内の総人口」で算出)、全国で170超の自治体への導入を達成したと発表した。これにより、災害時には1万件以上の避難所の混雑情報をリアルタイムに可視化可能となった。

現在コロナ禍により、感染拡大防止のため人と人との間に距離を確保する社会的距離(ソーシャルディスタンス)や密の回避などが求められている。これら感染対策は災害時に開設される避難所も例外ではなく、距離の確保や体調不良者のゾーニングなどが重要となる。

一方で、そうした状況下では各避難所の収容可能人数が従来と比べ少なくなる可能性があり、一部の避難所に人が集中することを避け、分散して避難をすることが必要になる。

この課題を解決するため、多くの自治体において、マップ上で各種施設の空き・混雑状況を一覧表示できるVACAN Mapsの避難所への活用が進んでいるという。2020年8月の東京都多摩市導入以降、11カ月で1万件、170超の自治体が導入しており、2021年内には導入先が200自治体に増える見通しとしている。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

VACAN Mapsでは、PCやスマートフォンなどでアクセスすることで、アプリなどをダウンロードすることなく各避難所の位置や混み具合を確認できるようになっており、ユーザー情報の登録なども必要ない。地図上のアイコンと表示される文言から、「空いています(青)」「やや混雑(黄色)」「混雑(赤)」「満(赤)」の4段階で避難所の混み具合を確認できる。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化