MITの自動操船ロボは複数の船の自動編隊が可能に

完全自動操縦のロボット船、ここで駄洒落を言うなら「ロボート」を作る努力がMITで続いている。今回彼らが試みたのは、個々の船が自分の位置を自分で変えて、全体として船隊の形を自動的に変える能力だ。

この前TechCrunchが「ロボート」を見たときは、ふつうの航行ができるほどの自律性は持っていたし、複数の船がお互いをつかまえて基本的な形の船隊を作ることができた。しかし今度は、相手をつかまえて接続するだけでなく、相手から離れて違う形の船隊を自力で作れる。

自動編隊を実現するロボートのために研究者たちが考えたアルゴリズムは、ロボット船がお互いから離れて、他船に衝突しない航路をたどり、他の船と再接続して別の形の船隊を作るまでの過程を、すべて自分で計画する。彼らはそれを、シミュレーションとMITのプールの両方で見せてくれたが、そこでは上図のような矩形の平底船のロボットが、自分たちを直線状や矩形、そしてL字形にさえも編成した。

つまり彼らはテトリスの基本形をマスターしたのだが、でもそれは、ロボット船が自分たちの力で、いろんな形とサイズの橋や海に浮く台座、はしけなどになれるための、重要なステップだ。容易に海上作業ができるようになれば、都市再開発の仕事もはかどるだろう。

船隊の形を自由に変える能力には、「ワーカー」と「コーディネーター」という2つのタイプのロボット船が貢献している。両者が組み合わさることによって船隊の形が決まり、そのときGPSと測定器のあるコーディネーターが、お互いの相対的な向きや移動速度を決める。ワーカーにはアクチュエータがあって、船全体の操縦を助ける。コーディネーターはお互いに協調しながら、現在の並び方を常時チェックし、目標とする形と比較する。比較に基づいて各船に動きの指示を出し、新しい隊形を達成する。

実験に使われたロボット船は90cm×45cm程度の大きさだが、今後はその4倍になる。でも、船が大きくなってもアルゴリズムは変わらない。アルゴリズムが一定であることは、今後巨大な実用船を作って動かす場合などにとても重要だ。その当面の目標は、アムステルダムのネモ科学博物館の60mの運河の上を、歩いて渡れる浮橋を来年作ることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITは色々なデバイスに同時に高品質のビデオストリームを配信する方法を開発

画像:Getty Images/aurielaki

自宅ネットワークの接続状況と世帯の規模にもよるが、ビデオストリーミングはまったく悲惨な状態になることもある。バンド幅には上限があるからだ。みんながそこに群がって、できるだけ多くのデータをもぎ取り、カクカクした映像にならないようにしたがる。同時に要求される複数のストリームにバンド幅を分配するやり方をコントロールする新たな手法があれば、世界に平和をもたらすかもしれない。山ほどのデバイスが1つの接続を共有して、すべて同時にビデオをストリーミングしようとしているような状況に対処できるとしたら。

MITのコンピュータ科学とAI研究室(Computer Science and Artificial Intelligence Lab)の研究者は、「Minerva(ミネルバ)」と呼ばれるシステムを開発した。バッファリングに起因するカクカクを防ぎ、ストリームがダウングレードされてしまうことによるギザギザを最小限にとどめようというものだ。NetflixやHuluのようなストリーミングサービスには、基本的に大きな効果が見込めるという。特に、一軒の家に住む複数の家族が同時にビデオを観ようとしている場合に有効だ。ただし、このシステムの基盤となっている技術は、一軒の家に限らず、近隣の家庭、さらには地域全体など、より広範囲にも適用できる。理想的な状態に届かないストリーミング環境の問題を緩和する効果が期待できるのだ。

Minervaは、1つのネットワークからストリーミングを受け取ろうとするさまざまなデバイスの、それぞれ異なるニーズを考慮する。たとえば、フルHDさえ表示できないディスプレイの古いスマートフォンと、4KのApple TVを同列に扱うようなことはしない。またMinervaは、コンテンツの性質も考慮する。たとえば、スポーツのライブ中継を高品質で観ようとすれば、子供向けのアニメのTV番組などとは比べものにならないほど、多大なバンド幅を要求する。これは重要なポイントだ。

というわけで、ビデオは、実際のニーズに従って視聴者に分配される。けっしてどんなデバイスにも均等に割り振られるわけではない。さらにMinervaシステムは、ストリームの配信中にも変化するニーズに対応して、分配する速度を最適化し続ける。

実際の環境でのテストでMinervaは、720pが1080pになったのに相当するほどのビデオ品質の向上を、全体の3分の1ほどの時間、実現できた。再バッファリングの必要性も、ほぼ50%近くまで低減できた。これは、実際にビデオストリーミングのコンテンツをシームレスに連続再生することを考えた場合、非常に大きな改善と言える。こうしたことを、ネットワークのインフラに対する根本的な変更なしに実現できるという点も優れている。つまり、ストリーミングのプロバイダーは、ユーザー側には何の変更も加えることなく、このシステムを採用し、導入できるというわけだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITがバッテリー無しでデータを送信できる水中センサーを開発

MITは、バッテリー不要でほとんど電力を必要としない水中センサーと通信システムを作った。これは水中「モノのインターネット」の実現に寄与するものであり、海水温度や水中生物のリアルタイムモニタリングが、電池交換の必要なく可能になるとMITは言っている。もしそれが可能になれば、遠い惑星の海中に水中センサーのネットワークを張り巡らすこともできるかもしれない。

MITの研究チームが開発した同システムは、水中に向けて音波を送信する発振器を使用し、それをセンサーシステムに内蔵された受信機が受けとると微小なエネルギーが発生する。センサーはそのエネルギーを使って返信する、あるいは返信しない。それが1または0の信号になり、バイナリー通信ができる。システムが動作するために必要なエネルギーは、発振器から送られる音波に含まれる力だけだ。

このシステムが発見されたきっかけは、少々意外なものだった。MITメディアラボのFadel Adib(ファデル・アディブ)准教授は共同研究者のひとりと一緒に自然ドキュメンタリーシリーズの「Blue Planet」を観ていたとき、地球の海には研究されていない部分が沢山あることを知り、同時に、それを解決するためには海洋汚染の元になるバッテリー電源センサーは使えないと考えた。

要するにこのシステムは、ピエゾ電気共振器という100年以上前からマイクロフォンなどに使われている装置を使って、音波を受けるとそれに反応して変形するか、波形を維持して反射するかを、対応するセンサーの状態に応じて決定する。そうやって返信されたバイナリー信号を収集し解析する。

研究チームの次の目標は、これが長距離でも動作し、他のセンサーと協調して同時に通信可能であると示すことだ。究極的には、音声や低解像度の画像も送信できる可能性があり、そうなれば遠隔監視システムにとって画期的な進歩になる。それは人類が未知の世界の科学研究や調査を行う上で特に重要だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITの人まねロボがボトルキャップチャレンジに成功

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)には、人間の上腕二頭筋の動きを観察して、その動作を真似できるロボットがある。大きくて扱いにくそうなものを持ち上げようとする人を手伝うなど、実用的な用途はいろいろある。しかし、今流行りの、あのチャレンジにも応用できそうだ。

CSAILは、このロボットをRoboRaise(ロボレイズ)と呼んでいる。今回、人間の相棒から教えを受けて、ボトルキャップチャレンジをやってのけた。このところ、セレブも含めて多くの人の間で流行っている、アレだ。ペットボトルのキャップに狙いを定めて正確無比なキックを繰り出し、キャップだけを回転させて、うまく取れたかどうかをビデオで拡散するというもの。

RoboRaiseは、実はキックはできない。なぜかと言えば、そう、腕しかないからだ。それでも、このロボットがどんなにうまく人間の動きを真似できるかを示す素晴らしいデモには違いない。そのソフトなロボットハンドは、ボトル本体に触れることなく、見事にキャップだけを回転させて外すことに成功した。ロボット自身も、自分の能力をかなり気に入っているようだ。ディスプレイに表示された誇らしげな笑顔がそれを物語っている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITの人まねロボがボトルキャップチャレンジに成功

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)には、人間の上腕二頭筋の動きを観察して、その動作を真似できるロボットがある。大きくて扱いにくそうなものを持ち上げようとする人を手伝うなど、実用的な用途はいろいろある。しかし、今流行りの、あのチャレンジにも応用できそうだ。

CSAILは、このロボットをRoboRaise(ロボレイズ)と呼んでいる。今回、人間の相棒から教えを受けて、ボトルキャップチャレンジをやってのけた。このところ、セレブも含めて多くの人の間で流行っている、アレだ。ペットボトルのキャップに狙いを定めて正確無比なキックを繰り出し、キャップだけを回転させて、うまく取れたかどうかをビデオで拡散するというもの。

RoboRaiseは、実はキックはできない。なぜかと言えば、そう、腕しかないからだ。それでも、このロボットがどんなにうまく人間の動きを真似できるかを示す素晴らしいデモには違いない。そのソフトなロボットハンドは、ボトル本体に触れることなく、見事にキャップだけを回転させて外すことに成功した。ロボット自身も、自分の能力をかなり気に入っているようだ。ディスプレイに表示された誇らしげな笑顔がそれを物語っている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITが作った小さな歩くモーターは自分たちを自分で組み立てて複雑なロボットになる

未来のロボットは少しずつ「ウォーリー」的ではなくなり、「蟻の大群を迎えるボルトロン」のようになるだろう。MITのNeil Gershenfeld(ニールガーシェンフェルド)教授と彼の学生たちが作った歩行するモーターを見ていると、そう思わずにはいられない。このモーターは、磁石とコイルとわずかな構造部品の寄せ集めにしか見えないが、前後に歩くことができ、複雑な機械の歯車を左や右に回すこともできる。

この小さな動く微生物はそれだけでもすごいが、仲間や他のロボット部位と組み合わさると真価を発揮する。それがガーシェンフェルド教授らの狙いだ。同じ材料から他の重要部位を組み立てることはすでにできたが、今後はそれらの重要部位をそれら自身が自動的に組み立ててもっと大きな構造物を作り、仕事ができるようにしたい。

micro robots 2

これらの小さなロボットはギア(歯車)も動かせる。それらをもっと大きく作り、より現実性のあるシステムにするには、そのことが重要だ(画像クレジット:MIT)

つまり、小さな歩くモーターとその仲間を彼ら自身が自分で組み立てると、あるときは農業用ロボットのシステムの一部になり、別のときには災害救助ロボットになる。そこまで行くのはまだまだ先の話だが、ガーシェンフェルド教授はすでにMITの大学院生Will Langford(ウィル・ラングフォード)と一緒に、回路を自動的に作る3Dプリンターを作っている。これを未来に延長すれば、デジタルの青写真を入力すれば完全に機能する高度なロボットを作れるようになるだろう。

静的な部品の組み立てを自動化するのではなく、この微小ロボットのように、部品自身が自分たちを自分で自己組み立てする。それが最先端のロボティクスという馬の鼻先にぶら下げた人参だ。映画「ターミネーター」に出てくるT-1000のような高度な能力は、部品ロボットに対して適正な行動制限を設定できれば可能だろう、という期待もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

誰でもAIの威力を利用できるようにするMITの対話型機械学習予測ツール

もうすぐ、強力な予測ツールを開発するのに何も特別なものは必要なくなる。ごく普通のタッチスクリーンデバイスと、自由にアクセスできるデータさえあればいい。MITとブラウン大学の研究者による新しい実験は、「Northstar」と呼ばれる対話型データシステムに、「機械学習モデルを即座に生成する」能力を追加することに成功した。既存のデータセットに適用して有用な予測を生成できる。

研究者が示した例としては、医師がこのシステムを利用し、患者の医療履歴から、特定の疾患にかかる可能性を予測するというものがある。また、事業主が過去の売上データを使用して、より正確な予測ができるようにするというものもある。いずれも手作業による煩雑な分析は必要なく、迅速に処理できるものだ。

研究者はこの機能を、Northstarシステムの「仮想データサイエンティスト(VDS)」と呼んでいる。この名前は、人間のデータサイエンティストに取って代わるもののような印象を与えるが、人材がすぐに確保できないような状況では、実際にそれも可能だろう。一般的な医師の診療所に、専門のデータサイエンティストがいるわけでもないし、ほとんどの中小企業が、そうした人を常に雇っておけるわけでもない。さらに、個人経営のコーヒーショップや小売業者も、普通はこうした機能を利用することはできないだろう。

このツールは、進化し続ける自動機械学習技術を利用して新たに開発されたもので、AI技術を利用できる人の数を増やすのに役立つ。

Northstar自体は4年以上かけて開発されたもの。複数のプラットフォーム上で動作する。まず空白のキャンバスを提示し、ユーザーがデータセットをアップロードすると、独自のインターフェイス上に箱として表示される。ユーザーは、それらの箱をキャンバスの真ん中あたりにドラッグしてから、箱と箱の間に線を引いて接続する。それにより、あらかじめ選択したアルゴリズムに従って、互いに組み合わせて処理すべきものであることを指示するわけだ。

たとえば、患者の代謝率のデータセットと年齢のデータを持ってきて組み合わせることで、それらの2種類の要因から特定の疾患が発生する頻度を予測するといったことが可能になる。このように、仮想データサイエンティスト機能を使用することで、複数の入力を組み合わせたAIベースの予測分析を生成することが可能となる。

研究者はこのVDSシステムを設計する際に、自動化された機械学習として、これまでで最も速く動作するアプリケーションとなるようにした。それも、このシステムを誰でも使えるものにするためには重要なポイントだ。というのも、このデジタルのホワイトボードで作業しても、その結果が得られるのに何時間も待たされるのでは、とても実用的とは言えないからだ。今後は、エラーの報告機能を改善することにしている。専門家ではないユーザーにとって、単に使いやすいだけでなく、何かおかしくなったときに、どこで間違えたのかをはっきりと示すことができるようにする。次に使うときには、そこを修正できるようにするためだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

小型商用核融合炉を開発するボストンのスタートアップが約54億円を調達

25年間におよぶ研究の末、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは、核融合商用化への扉の鍵を手に入れたようだ。

Commonwealth Fusion Systemsは、その研究の成果だ。消費者にクリーンで安定した電力を届けるために太陽のパワーを制御するという、数十年間にわたる研究開発の上にこのスタートアップは成り立っている。彼らはこのほど、米国で最も資金力のある民間投資家たちから、商用化を推し進めるための5000万ドル(約54億円)の追加投資を受けた。

同社はその技術を発表し、イタリアのエネルギー企業Eni、世界でもっとも裕福な男女によって設立された投資コンソーシアムであるBreakthrough Energy Ventures、そしてMIT自身の未開拓分野の技術を対象とした投資手段The Engineから、最初に6400万ドルの資金を集めている。

今回は、Steve Jurvetsonが創設した投資企業Future Ventures、Khosla Ventures、Chris SaccaのLowercase Capital、Moore Strategic Ventures、Safar Partners、Schooner Capital、 Starlight Venturesが参加している。

Commonwealth Fusion Systemsは2014年、核融合の経費削減を目指す学生の課題として始まった。このクラスは、当時MITのPlasma Science and Fusion Center(プラズマ科学および融合センター)主任だったDennis Whyteが教鞭を執っていたのだが、そこでARC(Affordable、Robust、Compact:手頃な価格で頑丈でコンパクトの略)と彼らが呼ぶ新しい融合炉技術が考案された。それでも数十億ドルという値札が付く、投資家も尻込みしたくなる規模の技術だった。

そこで彼らは製図台に戻り、エネルギー利得を生む(投入したエネルギーより出力されるエネルギーが上回る)必要最低限の核融合炉の検討を始めた。

エネルギー利得は、ほとんどの核融合炉技術において、もっとも難しい課題となっている。核融合を成功させた研究所やプロジェクトはいくつかあるが、それを維持しつつ、投入エネルギーよりも多くのエネルギーを引き出すことは、難題のまま残されている。

欧州のITER核融合炉は、200億ドル(約2兆1500億円)をかけた多国籍プロジェクトだが、2045年に達成予定の発電量の、いまだ60パーセントのあたりに留まっている。北米に目を戻すと、TAE TechnologiesとGeneral Fusionの2社が核融合パワーを安価に生み出す研究を行っている。イギリスでは、First Light FusionとTokamak Energyがそれぞれ独自の方法で核融合発電に取り組んでいる。

Commonwealth Fusion Systems(CFS)の最高責任者であるBob Mumgaard(ボブ・マムガード)氏の目からはかは、すべてが計画通りに進んでいるように見えている。順調だ。「CFSは民間核融合を実現させ、本質的に安全で、世界的にスケーラブルで、カーボンフリーで、無限のエネルギー源を供給するための軌道に乗っています」と彼は声明の中で述べている。

CFSの専門家たちは、可能なかぎり小型の核融合炉を2025年までに完成させることにしてるが、それは核融合反応を閉じ込めておくためのMITが独自に行ってきた磁石技術の研究によるところが大きい。実際、資金の大半は、CFSが核融合反応を閉じ込める完全な磁石技術の構築に向けられている。最終目標は、熱として、または蒸気でタービンを回して発電して、50メガワットを生み出させることだ。

環境に多大なリスクのある原子炉と違い、核融合発電所は、通常の工業施設とほぼ同じ区分になるだろうとMumgaardは言う。「核融合度のハザードプロファイルは、これからも工業施設(のカテゴリー)に留まります。法律はありますが、核融合炉を実際に作った人がまだいないので、前例がないのです」

マムガード氏は、200メガワット級の融合炉も思い描いている。それなら、風力発電ファームや太陽光発電所に置き換えることができる。

「前進と、何を目指すのかの両方を対比させて、常に監視しておく必要があります」と彼はいう。「電力網において二酸化炭素排出量を劇的に減らせる手段をまだ手にしていないというのが、一般の人々のほぼ一致した意見です。再生可能エネルギーも含め、最大の利得を生むものとは、実用規模で最も利得の高いものとは、1カ所につき数百メガワットの電力を生み出せる方式を意味します」。

マムガード氏によれば、再生可能エネルギーだけでは現代の大都市圏の需要を満たすことはできないという。「現代のライフスタイルを支えるための電力として、凝縮されたエネルギー源を求める声が強いのです」。

この問題に対する人々の意見は、次第に分かれつつある。とりわけ、エネルギー政策を考える団体の中で噂されていたグリーン・ニューディール政策を支持するサンライズ・ムーブメントの賛同者で、核エネルギーに反対する人たちの間にも分裂が起きている。しかし、エネルギーの専門家の大半は、混合型のアプローチを提唱し、ゼロエミッションを実現するためには(それが科学コミュニティの最終ゴールでもあるが)、核エネルギーをそこに加える必要があると指摘している。

「私たちは、この20年間、核融合に適切なクリーンエネルギーへの投資機会を探ってきました」と、Future Venturesの最高責任者であるSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏は声明の中で述べている。「核融合をビジネスに転換できる企業を求めいましたが、ついにCommonwealth Fusion Systemsと出会いました。彼らのアプローチを支えるハードサイエンスは、彼ら自身と加えてこの分野の世界中のリーダーたちによって実証されています。高度なエンジニアリングによって、CFSは太陽周期のパワーを制御する力を得ようとしています。それは世界を変え、あらゆる問題が改善されるクリーンなベースロード電力の時代を招くものです」

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(翻訳:金井哲夫)

MITが人種に関係なく乳がん発症を5年前に予測できるAIツールを開発

MITのコンピューターサイエンス・AIラボは、乳がんを発症の5年前に予測できる深層学習ベースの新たな予測モデルを作り出した。このプロダクトを手がける研究チームは、他の似たようなプロジェクトでは往々にして白人患者が大半を占めるデータを元にしているために人種の偏りがあることを認識していて、今回のモデルは白人女性、黒人女性のどちらでも同じように正確な結果が出るよう「よりバランスのとれた」データを活用している。

「それが鍵だ」とMITはブログ投稿に書いている。というのも、黒人女性の乳がん死亡例は白人女性よりも42%も多く、それには主に黒人女性は最新のがん検知技術を十分に利用できていないという要素が関係しているとされている。MITは今回の技術の開発は、深層学習モデルの向上の恩恵をあまり受けていないマイノリティの健康リスクをより正確に評価することが目的だ、と話す。アルゴリズムの偏見の問題は多くの産業研究でみられ、この分野でAIを展開しようとしているテック企業が今後リリースするプロダクトですら同様だ。

マサチューセッツ総合病院の患者6万人(マンモグラフは計9万)のマンモグラフと患者の結果(その後のがんの発症)をベースに訓練された今回のMITツールは、データから深層学習を使って一見してそれとはっきり分からない、そして医師でも識別できないパターンを特定する。仮説に基づくものではなく、リスク要因についての知識を備えていることから、結果はこれまでのところ特に予測や診断前の発見でかなり正確なものとなっている。

全体的に、このプロジェクトは個人が正しいスクリーニングプログラムを受けられるようヘルスケア専門家をサポートし、そして診断の遅れに伴う悲しい結末をなくすためのものだ。MITはまた、人種間のギャップや低い精度など似たような問題を抱える他の病気の検知を改善するのにこの技術が活用されることを願っている。

イメージクレジット: MIT

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(翻訳:Mizoguchi)

MITはロボットに人間的な感覚を持たせるシステムを開発

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)の研究者は、人間にとっては当たり前だと思われていること、視覚と触覚など、複数の感覚をリンクさせる能力をロボットに持たせる新たなシステムを開発した

CSAILが作成した新しいシステムには、触覚を利用して見ることを学んだり、その逆に、視覚を利用して触れることを学んだりする予測AIが含まれている。それはかえって混乱を招くように思われるかもしれないが、実は人間が毎日のようにやっていることを真似したに過ぎない。たとえば、物の表面の状態や材質を見て判断することで、もし触ったらどのような感触が得られるかを予測することができる。柔らかいのか、ザラザラしているのか、あるいはぐにゃぐにゃしているのか、といったことだ。

またこのシステムは、触覚、つまり接触による入力を取り込んで、それがどのように見えるかを予測することもできる。ちょうど外からは中が見えない穴の空いた箱に手を突っ込んで、手に触れた物体が何なのかを当てる遊びのようなものだ。

このような例を挙げても、こうしたシステムが実際にどのように役立つのかを明確にすることはできないかもしれない。しかし、CSAILが提示している例を見れば、それも明らかになるはずだ。研究チームは、ロボットアームがついたシステムを使って、オブジェクトそのものは見せずに、それがどこにあるのかを予測させ、感触によってそれが何であるかを認識させた。こうした能力によって、スイッチ、レバー、あるいは取り上げようとしている部品に触ることで、それが正しいものか、そうでないかを判断させることができる。これは、ロボットを補助的に使って作業する人間のオペレーターにとって有用であることは想像できるだろう。

このタイプのAIを利用すれば、たとえば薄暗い環境でも、高感度のセンサーを必要とせずに、効率的かつ効果的にロボットを動かすことができるはずだ。そして、また別の感覚のシミュレーション技術と組み合わせることで、一般的なシステムのコンポーネントとして利用することが可能となるだろう。

画像クレジット:Willyam BradberryShutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ロボットが人間の動きを予測するためのより良い方法をMITが開発

工場や建設現場で、人間とロボットが一緒に作業することは、非常に大きな可能性を秘めている。しかし、特にロボットが大型でパワフルな工業用である場合には、人間に対しての信じられないほどの危険性もあわせ持っている。

ドイツのロボット大手ABBによって製造されたYuMiのような製造機械などをはじめとして、「コロボティックス(協調ロボット)」を現実のものにするために、多くの努力が注がれている。だが、MITの研究者によって作成された新しいアルゴリズムは、人間とロボットが一緒に働くことを、さらに安全にするために役立つ。

自動車メーカーのBMWとの共同作業を通して、現在の製品ワークフローを観察していた研究者たちは、ロボットが工場内の人間に注意を払う際に、過剰なほど用心深いことに気が付いた。ロボットたちは自分の動線上を横切ろうとする人間が、実際にその行動を行う遥か前から待ちに入ることによって、生産に使えたかもしれない時間を失っていたのだ。

今回研究者たちが開発したのは、ロボットが人間の動線を予想する能力を大幅に改善するソリューションである。通常なら、あまりはっきりしなくても人間になんとなく似たものの前では停止してしまうロボットたちを、人間が歩く流れの周りに回避させながら、動作を継続させるのだ。

研究者たちは、通常行われるような(比較的一貫した移動経路を予測する場合にはとても優れている)音楽や音声処理に対するアルゴリズム予想を借用することは避けて、その代わりに、以前に収集した参照軌跡の大きなライブラリを使用してリアルタイムの軌跡データを参照する「部分軌跡」方法を案出した。

これは人間の動きを予測するより優れた方法だ。たとえ同じアクションを何千回も繰り返している工場労働者であったとしても、人間の動きは一貫性がなく頻繁に止まったり動いたりしているからだ。

これは潜在的な消費者アプリケーションの可能性も秘めている。研究者たちによれば、家庭内の人間のうごきでもこの手法を使った方がより良く予測できると言う。例えば、そのことは長期的観点から眺めた場合の老人ケアなどの役に立つだろう。

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(翻訳:sako)

都市インフラを自律的に構築するMITのロボットボート

MITの研究者たちは、新しい自律型ロボットのボートのプロトタイプを作成した。嬉しいことに、その名は「Roboats」(ロボート)だ。これらはボルトロンスタイル(日本では「百獣王ゴライオン」というアニメだった)のように、お互いに組み合わされて新しい構造を作り上げることができる。

新しい構造としてはより大きな船になることもできるが、MITはもう少し創造的に考えている。彼らが思い描いているのは、一群のロボットたちがオンデマンドで組み合わされて都市のインフラを生み出すことだ。例えば、コンサートのステージや、歩行者用の橋、さらには屋外マーケットなどが想定されている。

ロボットはもちろん自律的に運行される水上タクシーやフェリーとしても機能することができる。これはアムステルダムのような環境では特に役に立つかもしれない。それこそが、MITのチームがアムステルダムのInstitute for Advanced Metropolitan Solutions(先進メトロポリタンソリューション研究所)と提携した理由だ。センサー、潜行可能エンジン、GPS、カメラ、そして小さなコンピューター頭脳を装備したロボートたちは、現在は、予め決められた道筋をたどることができる。だが新しい3Dプリントされたプロトタイプのテストでは、より多くのことを達成できる自律性のレベルが達成された。

新しいテストでは、カスタムラッチシステムに焦点が当てられた。非常に高い精度のもとに、このラッチシステムは特定の箇所同士をミリメートル単位で接続することができる。相手と正しく接続することを確かにするために、トライ&エラーアルゴリズムに基いた自律的プログラミングが採用されている。MITが採用した、アムステルダムでの最初のユースケースは、夜間のゴミ収集である。住民や店舗のオーナーたちが残したゴミを、素早く簡単に取り除くことができる、運河の小さなはしけとして利用するのだ。

長期的には、どのような追加構成が可能なのかを見極めようとしている。例えば人間を乗せることができるより大きなプラットフォームや、見かけは恐ろしいがラッチ機構を改善する「イカが獲物に巻き付くように鈎をしっかりと掴む、タコのようなゴム製の腕」などだ。

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(翻訳:sako)

MITのリサイクルロボットは「触覚」で材料を識別する

RoCycleは、もちろん「Recycling Robot」の略で、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)が発表した最新技術だ。このピック&プレイス・ロボットは独自にセンサーを組み合わせることで、物体の材質の違いを識別してリサイクル処理の前に分別する。

Rethink RoboticsのBaxterをベースに作られたこのシステムは、テフロン製ロボットハンドと物体の大きさと硬さに基づいて材質を識別する内蔵センサーからなっている。ただし、まだ完璧ではない。

仕組みは以下のとおりだ。

ロボットハンドがまず内蔵の「歪センサー」を使って物体の大きさを推定し、次に2つの圧力センサーを使って物体をつかむために必要な力を測定する。これらの数値と、さまざまな材質の物体の大きさと硬さに基づく較正データを利用することで、物体がどんな物質からできているかを推定する(触覚センサーには導電性もあるので、電気信号の変化から金属も識別できる)。

同大学は、静止した物体の識別では85%の精度を得られたと言っている。この数字は、物体がベルトコンベアーなどの上を動いているときは63%へと大きく低下する(この方がこのシステムが使われるであろう現実世界のシナリオに近い)。誤認識の大部分は、アルミニウムやスチール製の缶に貼られている紙が原因だ。

研究チームはセンサーを増やして改善しようとしている。また、このテクノロジーは既存のシステム、たとえば磁石を使って金属を選別したり、視覚情報で材質を識別するシステムと組み合わせて利用することもできる。CSAILは、今後の実験で視覚情報システムと組み合わせる計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

しぼんだ風船で物をつかむMITのロボットハンドは自重100倍の重さを持ち上げる

生物からヒントを得たソフトなロボットは、ロボット工学の中でももっともエキサイティングな分野だ。それらは、障害物に挟まれても壊れずに搾(しぼ)られたり、自分のまわりの世界に形を合わせることのできるマシンだ。MITのCSAILとハーバードのWyssの共同プロジェクトは、彼らのこれまでの研究成果を利用して、デリケートなオブジェクトを扱うことができ、自重の100倍の重さのものを持ち上げることのできる、ソフトロボットのグリッパー(gripper, 物を掴み上げる機能部位)を開発した。

グリッパー本体は折り紙からアイデアをもらった骨格構造をしていて、それを布やしぼんだ風船で包んでいる。それは最近チームが別のプロジェクトで、ローコストの人工筋肉を設計したときに採用したやり方だ。コネクターがグリッパーをロボットの腕に取り付け、真空装置が空気をグリッパーから吸い取って、オブジェクトのまわりにぴったり貼りつかせる。

Soft Roboticsの商用グリッパーのように、このデバイスは柔らかいので、複雑な視覚システムがなくてもいろんなオブジェクトをつかめる。また、つかむとき、デリケートなオブジェクトに傷をつけない。

MITのDaniela Rus教授がニュースリリースの中でこう言っている。「これまでの荷造りロボットはごく一部のオブジェクトしか扱えなかった。とても軽いオブジェクトや、箱や筒のような形状によくなじむオブジェクトだ。でもわれわれのMagic Ballグリッパーでは、ワインの瓶やブロッコリー、ぶどう、卵などさまざまなオブジェクトを、掴んで持ち上げて置くことができる。言い換えると、重いオブジェクトと軽いオブジェクト、デリケートなオブジェクトと頑丈なオブジェクト、定型的なオブジェクトと形がさまざまなオブジェクト、これらの両方をつかめるのだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITがインリュリン内服カプセルの実験に成功、糖尿病患者の福音を目指す

2型糖尿病でインリュリン投与を必要とする患者は現在のところ注射に頼るほかない。内服可能なインリュリンカプセルは糖尿病医療における聖杯だった。この点でMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究グループが重要な一歩を進めたようだ。これは乾燥インリュリンを詰めたブルーベリーの実サイズのカプセルだ。

患者がカプセルを飲み込むと、水分で砂糖の円盤が溶け、フリーズドライされた針状のインリュリンがスプリグで射出される。針は胃壁に刺さるが、胃の粘膜には痛点がないため、患者が痛みを感じることはない。その後、インリュリンの針は溶けて吸収される。

重要なのはカプセルが飲み込まれた後、胃の中で正しい姿勢を保つ点だ。実はこのカプセルの形状はカメの甲羅にヒントを得たのだという。MITのブログによれば、こうだ。

自動的に胃壁に正対するカプセル形状はヒョウモンガメの甲の形状からからヒントを得た。このカメはアフリカに生息し、甲は急傾斜のドーム型をしているため、ひっくり返されても起き上がることができる。胃の中のような複雑な状況でもカプセルが正しい姿勢を取れるよう研究グループはコンピューター・モデリングによってこの形状を研究した。

現在研究グループは豚でテストを繰り返し、 3ミリグラムのインシュリンの投与に成功している。処方箋を得て薬局で購入可能になるまでどのくらいかかるかについてはまだ情報がない。

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滑川海彦@Facebook Google+

MITのロボットはAI学習でジェンガがプレイできる

ロボットに自律的にジェンガをプレイさせるのは非常に複雑な作業であることがわかった。なにしたくさんの不確定な要素がある。MITの研究者はABB IRB 120ロボットハンドをベースに積み木からブロックを抜くポピュラーな家庭向きゲームに取り組んでいる。

ロボットにはソフトな素材のグリッパーとセンサー、また微妙が動作が可能な手首関節、積み木のタワーを倒さずにどのブロックを抜けるか判断するための外部カメラなどが組み込まれた。

このロボットは、ブロックを押すときにそのブロックを抜くのが安全そうか触覚フィードバックで判断することができる。通常ロボットに新しい動作を行わせるときには数千回の試行を繰り返すが、このロボットの場合は300回だった。MITのAlberto Rodriguez准教授はこう説明する。

チェスや囲碁などのゲームは完全に知的な認知処理だが、ジェンガというゲームをプレイするには、触って試す、ブロックを押したり引いたりするなどの物理的操作のスキルの習得が必要になる。これを当初からシミュレートするのは非常に困難なので、ロボットは実物のジェンガをプレイすることによって実世界で戦略を学ぶ必要がある。重心、安定性などに関する既知の物理学的ルールと常識を活用して比較的少数の実験から適切な戦略を学ばせることがポイントだ。

なるほどこのロボットは一部の操作では非常に巧みに動作できるようになったが、経験豊富な人間のプレイヤーに対抗できるところまでは来ていない。ことに難しいのは相手プレイヤーを妨害するために重要なブロックを抜いてタワーの安定性を低下させることだ。ロボットはまだ有効な妨害戦略を考え出せるレベルにはなっていないという。

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滑川海彦@Facebook Google+

オブジェクトをシンプルな部分的形状の集まりとして捉え、精度の高い3Dモデルを作る

空間領域構成法(constructive solid geometry, CSG)と呼ばれる技法を使用するシステムによりMITの研究者たちが、オブジェクトを分解してそれら個々の構成要素を3Dモデルで表現することに成功した。いわばそれは、複雑な物体に対するリバースエンジニアリングだ。

そのシステムを紹介するペーパー“InverseCSG: Automatic Conversion of 3D Models to CSG Trees”を、Tao Du, Jeevana Priya Inala, Yewen Pu, Andrew Spielberg, Adriana Schulz, Daniela Rus, Armando Solar-Lezama, そしてWojciech Matusikらが共著している。

Tao Duは3DPrintingIndustry誌の記事でこう述べている: “高レベルでは、問題は三角形メッシュをシンプルなツリーにリバースエンジニアリングすることだ。オブジェクトをカスタマイズしたければ、それを構成する元の複数の形の、それらの寸法やお互いの組み合わさり方にアクセスできるのが理想的だ。しかしすべてを一つの三角形メッシュへと組み合わせてしまえば、そこにあるのは三角形のリストだけで、個々の形の情報は失われている。でも、それらのメタデータを回復すれば、ほかの人たちがそのデザインを容易に変えることもできる”。

その処理は、オブジェクトをシンプルな剛体の集まりに切り分けて、それらを合わせれば複雑なオブジェクトが作れるようにする。現在の3Dスキャンは不完全だから、オブジェクト全体のメッシュモデルはオブジェクトの不完全な表現にしかならない。しかしこのように、より単純な形状のメッシュ的集まりとしてオブジェクトを表現できれば、より正確なスキャンに近くなる。オブジェクトの形を変える処理も、やりやすい。全体一括スキャンではなく、小部分分解スキャンとその再合成をするのだ。

“われわれのアルゴリズムは堅牢だから、言葉では言い表せないような奇妙な形のオブジェクトやその変更〜カスタマイズでも正確に表現できる。その例を、実際に示した。また、われわれの方法は変項(パラメータ)の集まりで表現されるCSGプログラム(parameterized CSG programs)を返すから、それによりエンドユーザーが3Dメッシュの構造を理解したり編集したりできるようになる”、とDuは語る。

このシステムは、オブジェクトを構成している要素的な形状を見つけて、それらの形を変える。これによって、ほとんどどんなオブジェクトでも、以前(全体一括スキャン)に比べてずっと高い精度で再現およびカスタマイズできるようになる。それはハードウェアをハッキングしてその形や大きさや安定性を理解するための、とってもクールな方法だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ガラスを3DプリントするシステムをMITの研究者たちが完成

溶けたガラスのロープをエンドレスに吐き出すマシンは、この言葉だけを見ると不気味かもしれないが、MITの連中はまさにそれを完成させた。3D Printing and Additive Manufacturingに載ったペーパーで、研究者のChikara Inamura, Michael Stern, Daniel Lizardo, Peter Houk, そしてNeri Oxmanらが記述しているガラスの3Dプリントシステムは、熱い素材を完全にコントロールして最終製品を作ることができる。

彼らのG3DP2と呼ばれるシステムは、“3域温度コントロールシステムと4軸モーションコントロールシステムをデジタルに統合した、溶融ガラス用の新しいAM*プラットホームであり、その生産能力と信頼性はすでに産業用の実用レベルに達している。製品の精度と再現性は高く、それらも、これまでガラスでは不可能だったレベルだ”、という。〔*: AM, additive manufacuturing, 付加(的)製造技術…3Dプリントのこと。〕

このシステムは、溶けたガラスを収めた加熱ボックスと、オブジェクトをプリントする温度制御されたボックスを使用する。可動性のプレートが、プリントの進行とともにオブジェクトを下へ下へと下げていき、プリントヘッドはその上で動く。このシステムが興味深いのは、そのまま即、装飾や建築用に使える透明なガラス構造物を作ることだ。研究者たちは溶融ガラスを押し出すシステムに細心の注意を払い、不純物や構造上の問題がない状態でガラスが冷えて固まるよう工夫した。

“将来的には、ガラスの優れた素材特性(透明性、強度、化学的安定など)とこのAM技術を組み合わせることによって、新しい形の多機能なビルディングブロックを作れるようになるだろう”、と彼らは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AIと3Dプリントを使って写真の絵画を再現できるようになった

MITのコンピューターサイエンス・人工知能ラボの研究者が、写真から絵画を再現するシステムをつくりだした。この技術を使うと、博物館やアート好きの人が、お気に入りの絵画の写真を撮って絵の具のような仕上がりのコピーをプリントできる。

RePaintと呼ばれるこのプロジェクトでは、それぞれの絵画とまったく同じ色を再現するために機械学習を活用していて、階調表現を使って何千もの色を出力できるハイエンドな3Dプリンターでプリントする。

研究者はエドガー・ドガやサルバドール・ダリの残された作品をとらえる、より良い方法を見つけた。彼らは開発した“色トーニング”という特殊な技術を使った。この色トーニングでは、3Dプリンターと、まるでキットカットバーの中にあるチョコレートとワッフルのような薄いレイヤーの中に入った10種類の透明インクが使用される。そして研究者たちはこの方法に、“階調”という何十年もの歴史がある手法を組み合わせた。これにより、連続階調というより、かなりたくさんの小さなインクのドットでイメージがつくられる。こうした技術により色のニュアンスをとらえることができる、と研究チームは話している。

「もしあなたが絵画の色をギャラリーで目にしたもののように再現したら、家では異なる色に見えるかもしれない」と研究者のChangil Kimは語る。「我々のシステムはどんな照明状況でもうまくいき、これまでの試みよりずっと素晴らしい色の再現能力を備えている」

残念なことに、プリントできる大きさはせいぜい名刺サイズ。また、このシステムではマットな仕上がりや複雑な表面テクスチャにまだ対応できていない。しかし研究チームはアルゴリズムと3D出力技術の改善に取り組んでいて、最終的にはポーカーで遊んでいる犬の絵を3Dプラスティックに再現することができるようになるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi)

可動部品のないこの飛行機はイオン風に乗って飛ぶ

飛行機はそれが発明されたときから、可動部品を使って空気を押すことにより、飛行した。グライダーや気球は飛ぶというより浮かぶものだが、動力による飛行はもっぱらプロペラ、すなわち“押し進める(propel)”部品が頼りだ。しかし今日(米国時間11/21)それが変わり、世界初の“ソリッドステートな”(固体状態の)航空機が、“イオン風”を生成して可動部品まったくなしで飛ぶ。

SFみたいだ、と思ったそこのあなた、まさにそのとおり、それはSFなのだ。これを作ったMITのStephen Barrett〔航空学と宇宙航行学の准教授〕は、Star Trekからヒントを得た、と言っている。

BarrettはMITのニュースリリースで言っている: “遠い未来の飛行機は、プロペラやタービンがないだろう。それはむしろ‘Star Trek’に似ていて、青く輝きながら無音で滑空する”。

彼は説明する; “大学に職を得たとき、これを研究する良いチャンスだと思った。そして物理学の中に、それを可能にするものを探した”。

彼は、彼のチームの航空機を飛ばせるための原理を‘発見’しなかった…それは、1世紀も前から‘知られて’いた。ただし、それを飛行に応用して成功した者はいなかった。

その単純な原理では、陰電気で荷電した強力な電源があると、それらはその電荷をまわりの空気に放電し、それを“イオン化”する。そしてそのとき、それはその電源から流出し、正しくセットアップされた近くの“コレクター”の表面に向かって流れる(Nature誌にもっと詳しい説明がある)。チームのペーパーも今日(米国時間11/21)同誌に載った

それで一体何をしているのか、というと、マイナス電気を帯びた空気を人間が指定した方向へ流しているのだ。この現象は1920年代には知られていて、60年代にはそれを利用して何かを推進(押し進める)することが試みられた。でもそのときの電気エネルギーの利用効率は、わずか1%だった。それは、あえて穏やかな言い方をすれば、非効率だった。

実は、Barrettらのシステムもそれとあまり変らず、入力エネルギーのわずか2.6%が推進に使われただけだ。でも彼らは、現代の最新技術、CAD(コンピューター支援設計)と、超軽量素材を利用できた。そしてチームは、一定の重量(軽さ)と翼長のある航空機なら、大きな推進力さえ生成できれば飛行は理論的に可能である、と判定した。この結論に達するまでに、彼らは数年を費やしている。

何度も修正し(何度も墜落し)てたどり着いたのが、幅5メートル、重量2.5キログラムの複翼機だ。それは、数回離陸に失敗したあと、約10秒間飛んだ。テストに使った部屋がもっと大きければ、もっと飛べたと思われるが、ふつうに滑空した場合よりもずっと長い時間/距離飛べたということは、概念実証として十分だ。

Barrettは曰く: “推進系に可動部品のない飛行機が飛行を持続したのは、これが初めてだ。これにより、まだ誰も探求しなかった、もっと静かで、機械的に単純で、排気のない航空機の可能性が開けた”。

チームの全員も含めて誰もが、これが近い将来プロペラやジェットエンジンを置換するとは考えていない。でも、静かで機械的に単純な推力機構の用途は、たくさんある。たとえばドローンの微調整や軟着陸にも使えるだろう。

まだやるべきことは大量にある。でも目標はソリッドステートな飛行機械を発明することであり、彼らはそれには成功した。残っているのは、その実用工学だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa