すまない、Oculus。HoloLensを買うことにしたよ

今週、マイクロソフトのHoloLens Dev KitOculus Riftの両方が顧客への発送を開始したことで、頭に取り付けるヘッドセット同士の闘いは煮えたぎっている。

最新鋭のテクノロジーを愛するものであれば、その両方のテクノロジーを待ち焦がれているのではと思われるかもしれないが、実はそうではない。HoloLensは私に、Oculusが与えてくれなかったものを与えてくれた。それは、言いようもない歓喜とともに未来にむかって跳躍するような感覚だ。

AR vs VR

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HoloLensを装着すると、まるでヘッドバンドに取り付けられた重たいサングラスを着けているようだ。それだからこそ、着けている事を簡単に忘れてしまうという事実はとても興味深い。

この2つのデバイスは、フランケンシュタインの人造人間実験のように頭にスクリーンを取り付けるという点では似ている。だが似ているのはそこだけだ。これらのデバイスを比較するうえで最も重要なのは、この2つはまったく違った用途を持つという点だ。Oculusの仮想現実(VR)は、物語を観たり、ゲームをしたり、または鉄のような度胸を持っている人であればジェットコースターを1つか2つ楽しんだりするためのものだ。

その一方でHoloLensは拡張現実(AR)の典型だ。このデバイスは、本質的には大やけどの失敗をしたGoogle Glassのハイテク版のようなものだ。だが、Google Glassはコンピューターが馴染めないところにまで、それを無理取り入れようとした一方で(ゴホンゴホン)、HoloLensの使われ方は少しちがう。あの不運なメガネとは違って、HoloLensは「いつでもどこでも」装着するためのものではないのだ。

600ドルというOculus Riftの価格は、HoloLens Dev Kitの3000ドルと比べるとかなり安いが、後者のヘッドセットにはコンピューターが搭載されている。逆に言えば、グラフィック処理も難なくこなす高機能のゲーミングコンピューターとRiftを接続する必要がある。Riftを動かすために差額分の2400ドルを費やす必要はないが、費やそうと思えば簡単だ。そう考えると、この2つの実質的な価格の差はなくなる。

しかし、問題はお金の事ではない。単純に、私にはOculusの価値が理解できないのだ。映画はシェアする体験だが、顔の周りにマスクを取り付けた状態ではそれもできない。私にはゲームをする時間もない。それに、「Henry」のような物語は確かにVRでしか得られない体験ではあるものの、それは必ずしも私が探し求めているような体験でもない。しかも、それに2500ドルかそれ以上ものお金を費やさなければならないとしたら、なおさらだ。

HoloLensを顔に装着して異世界へとつなぎこまれる時も、私の頭にはそんな考えがあった。絶対に気に入らないと思っていたのだが、それは間違いだった。私は夢中になった。言葉にできないくらい夢中になったのだ。このテクノロジーは、自分を現実世界から隔離したいのではなく、このテクノロジーを使って自分の生活を高め、向上させ、そしてその名の通り拡張したいと考えている人には最適なものだ。

マイクロソフトはHoloLensのデモで、ARは現実世界の中で、社会的で協同的なものになり得ることを示した。もっと重要なのは、それを装着しているということさえも忘れてしまうということだ。

はるかに自然な体験

現実にデータが被さった世界に、あなたがどれだけ早く慣れることができるのかということを説明する方法はない。始めてそのデバイスを装着してから、ものの20分以内にはそれが普通なことのように感じる。「自然」と言ってもいいかもしれない。

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写真の赤い部分はスピーカーになっていて、耳に向けられている。イヤホンなどを装着しないので、このデバイスは興味深いほど拡張世界の体験を阻害しない。

ある時、私たち6人は皆HoloLensesを装着して、同時に同じ3Dモデルを見ていた。マイクロソフトの専属担当者が歩いてきて、「それでは、エネルギー・ポータルはどこにあるでしょうか?」と尋ねてきた。私は彼の方を向いて顔をしかめ、こいつはいったい何を言っているんだと不思議に思った。

「ここにあるじゃないか」と私は鋭い口調でそう言って、指をさした。その時私は、彼はHoloLensを装着していないので、当然ながらどこにそのポータルがあるのか分かるはずがないことにはっと気がついた。私が、なぜARがVRよりはるかに理にかなった製品なのかという理由に気がついたのは丁度その時だ。たとえ視界に何だかよく分からないものが浮かんでいたとしても、現実世界にいることはとても自然なことだ。完全に人の手で作られた世界にいることは、そうではない。

HoloLensが常に直面するであろう問題は、それを装着している人が誰にも見えない物を見ているとき、その人がとても滑稽に見えてしまうことだ。BuildカンファレンスでのHoloLensのデモンストレーションがその例だ。

そう、このビデオの中でHoloLensesを装着している人はとても愚かな人に見える。それを避ける方法はない。だが一度装着したら、見た目など、どうでもよくなってしまう。

留意すべき重要な点は、このデバイスはGoogle Glassと違って、周りに人がいる時に装着されることを意図して製作されたものではないということだ。そのために存在するのではない。オフィスだとか、むしろデザインスタジオのようなコントロールされた空間のなかで現実世界と対話するときに装着するものなのだ。

私にとってこのテクノロジーの魔力とは、現実世界と拡張された世界が交差しているということだ。私はどこか遠いワンダーワールドに没頭することにはまったく興味がない。でも、自分の周囲の世界を変えられるキットが3000ドルだって?その話、のった。

Buildでは、まるで未来が突然に、予告もなく押し寄せてきたようだった。納得した。VRは確かにすてきなものだが、これまでのところ誰からも、それが何のためにあるのかという説得力のある説明を聞いたことがない。ARはそれとはまったく別の話しだし、その物語の次章では何が見られるのか、待っていられない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website / Twitter

分解レポートでわかったOculus Riftの修理しやすいデザイン

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新しいカテゴリーのガジェットが登場した時、先進的デバイスが必ずしも良いデザインでないことは理解できる。あるいは分解、修理が難しいことも。幸いなことにそれは、Oculus最初のVRヘッドセット製品にはあてはまらないようだ ― iFixitの分解レポートによると、それはエレガントなエンジニアリング作品で、特殊なネジや封印シールでユーザーを困らせることもない。

Oculus Rift CV1(Consumer Version Oneだそうだ)は、私が試したバージョン ― 数年前の初期プロトタイプ(ガムテープで包まれていた)とコード名Crystal Coveのプロトタイプ ― から大きく改善されている。分解レポートはいくつかの形でそれを証明している。

重要なのは、ユーザーが交換したくなる可能性のいちばん高いもの ― ヘッドホンとフェイスパッド ― が簡単に取り外せて、カスタム交換パーツの作成も明らかに可能であることだ。

さらに奥を見ると、Oculusが作成したカスタムディスプレイと光学システムが誇らしげに姿を見せる。非球面フレネルレンズとデュアル456ppi OLEDディスプレイは顔のわずか数センチ前の画像を、限りなく広がる無限の深さのように感じさせる。もちろんそれはアイデアにすぎない ― 仕事を完結させるのはソフトウェアエンジニアと環境デザイナーだ。

hMFPrdHTerWYNFtM様々な頭の大きさに合わせ、不完全な目測に対応し、できるだき多くの人々が快適に使えるために、数多くの小さな工夫がこらされている。工業デザイナーはこの美しく実現されたメカニズムと省スペースの技に感動することだろう。

iFixitのrepairbility(修理しやすさ)スコアが7なのは、あらゆる部分が簡単に交換できるわけではないことを表しているが、壊れたり劣化しやすい部品の殆どは容易に交換できる。エルゴノミクスとアクセスしやすさの両方を備えたデバイスを作ったOculusに拍手。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Riftはすばらしいけど、たぶん買うべきではない

Oculus Riftの今日までの旅路は長かった。

遅れに次ぐ遅れの日々。そして消費者はやっと今日(米国時間3/28)、Riftの消費者製品を実際に手にすることができるようになった。その仮想現実ヘッドセットは、これからOculusが頑張って予約ぶんを製造発送していくが、これまでの予約受付ぶんだけで7月までかかるそうだ。

長時間、寝食を忘れてRiftに文字通り‘没頭した’ぼく自身の経験から言えば、たしかにすごいと感じたけど、多くの人びとにとって良い投資ではない。上のビデオを見ると、599ドルの価値に対する、ぼくの疑念がご理解いただけると思う。しかも実際に使用するためには、本体以外にも買うべきものがある。

まだご覧になってない方は、ぼくが書いたOculus Riftの長編レビューをお読みいただきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

初めてのOculus Rift、開封の儀をご覧あれ

Riftが来た!Riftが来た!

数年にわたるプレリリースデベロッパーキットの蓄積を経て、バーチャルリアリティーヘッドセット、Oclulus Rift初の消費者向け製品が、今日(米国時間3/28)午前から到着し始めた。

Lucasと私はこの数日間Riftに時間を費やしてきた(Lucasの完全レビューはこちら)ー そして、最近めったに開封の儀はやっておらず、風邪で鼻が詰まってほとんどしゃべらなくなっていた私だが、今回はやる価値があると考えた。それは、実によくできた箱で、山ほどのお楽しみが詰まっていた。

このクレイジーで新しい未来への第一歩を、われわれと一緒に体験しようではないか。

(追伸 ー ビデオの最後に出てくる謎のツールの正体が分かった。ヘッドホンを取り外すためだった)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

仮想現実ヘッドセットOculus Riftが予約開始―価格599ドル、出荷開始は3月

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だいぶ待たされたが、仮想現実のOculus Riftが予約の受け付けを開始した。Oculusの発表によればヘッドセットの価格は599(プラス送料)と判明した。

われわれの編集長、Matthew Panzarinoがすでに1台発注しているのでこの価格は間違いなさそうだ…

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イギリスでの販売価格は499ポンドとなる。Oculuによれば、当初、発送先は20ヵ国〔日本を含む〕とされ、また数量も限定される。出荷は4月という〔アップデートあり〕。予約受付はこちらから

注意点として、Oculusの仮想現実世界を体験するためにはまずOculus対応のWindowsパソコンが必要だ。Macユーザーは新たにWindowsパソコンを購入しなければならないので予算が膨らむ。Oculusでは対応パソコンを‘Oculus Ready’と呼んでおり、 Windows 7 SP1 64bitないしそれ以降が必要とされる〔日本語版:さらにビデオカードなどの条件もあるのでサイトの注意を熟読のこと〕。近くOculus ReadyパソコンとRiftがバンドルされた製品がOculusから出荷される予定で、2月に予約受け付けが開始される。価格は1499ドル。

これも今朝確認された点だが、Riftの第一陣の出荷は3月だ。これまでOculusでは製品の出荷開始は2016年第1四半期中としていた。それからすると3月中の出荷というのはぎりぎりスケジュールどおりということになる。アップデート — Oculusでは予約の第一陣は売り切れたと発表した。これからRiftを予約すると製品の入手は5月になる。そうであっても2016年第一四半期に「出荷が開始される」という約束は守られたわけだ。

またこの「第一陣」の数量に関して有益な情報は何も手に入らない。今のところ、Riftの人気、実際の需要などに関して推測する手がかりはまったくない。OculusではVR〔拡張現実〕コミュニティーには大勢のマニアがいるとしている。

すでに確認されているとおり、Oculus Touchコントローラーによってユーザーはヘッドセットに表示される世界を手元で操作できる。仮想現実のアイテムを拾い上げるなどができるようなるわけだ。ただしTouchの出荷はRiftより遅れるという。

コントローラーの予約のための手順はこうだ。まずRiftを予約し、支払手続きに進むとOculusアカウントへの登録を求められる。TouchコントローラーはOculusアカウントに登録した会員だけが予約できる。(Oculusでは実際にアイテムが出荷されるまでユーザーからの支払いは受け取らない仕組みだとしている)。

Oculusではこれ以前に「Touchコントローラーは2016年の下半期に入手可能となる」としていた。つまり「没入的かつ相互作用可能な拡張現実」を実際に体験できるのは今年後半になってからということだ。拡張現実というのはずいぶん人を待たせるものらしい…。ともあれ、Riftの当初のユーザーはバンドルされているXbox Oneのコントローラーでできる操作内容で我慢しなければならない。なおゲームも2本バンドルされている。

アップデート: Oculusのファウンダー、Palmer LuckeyはTwitterへの投稿で予約に伴う処理の遅延や混乱について多少の説明を試みた。問題の原因はクレジットカード詐欺を試みるグループだという。

さてバーチャル・リアリティーを体験するのに600ドルは高いだろうか? この点が判明するにはもう少し時間が必要だ。一般消費向け製品のこの価格はデベロッパー向けキット(350ドル)に比べて相当に高額だ。もちろんTwitterで価格が高すぎると不平を言うユーザーを見つけるのは簡単だ。しかし、これは私の勘にすぎないが、ガジェットがメインストリームに入れるかどうか決めるのは価格ではないと思う。ともかくLuckey自身もそういう意味のことを言っている。

ちなにみ600ドル出すとこういうものが買える。

  • フラグシップモデルのスマートフォン1台
  • 低価格8Androidスマートフォン6台以上
  • Samsung Gear VRが6台
  • Apple Watche2組弱
  • Fitbit Zipトラッカー10台
  • Facebookの株式、6株弱(現行価格で)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Olucus、初期Kickstarter支援者にRiftヘッドセットを無料でプレゼント

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FacebookがOculusを20億ドルで買収したとき、Kickstarterの支援者たちが怒ったのを覚えているだろうか? KickstarterでOculusを支援した人たちは、全員デバイスキットを手に入れたが、買収からは何も得られなかった。今日(米国時間1/5)Oculusは、初期のKickstarter支援者は最終製品版を1式無料で受け取ることを発表した。

支援者たちがバーチャルリアリティーの最も熱狂的なアーリーアダプターに違いないことを考えると、これは会社として賢明な行動だ。初期のデバイスキットを手にしたKickstarter支援者は約7000人なので、会社にとっては微々たるものだ。新デバイスのプロモーションにはすばらしい方法だ。

支援者の中にはデベロッパーもいるかもしれない。デバイスキットを試しただけで忘れてしまっていた人もいるだろう。バーチャルリアリティーの現状を知ることが、彼らにもう一度VRゴーグルで遊んでみようというきっかけを与えるかもしれない。

Oculus Riftには、”Eve: Valkyrie” と “Lucky’s Tale” というRift専用に作られた全く新しいVRゲームがついてくる。

ちなみに、Riftの予約は明日から始まる。同社はこの製品を2016年Q1に出荷する予定だ。最終的な小売価格はまだ発表されていない。

Via Engadget

CES 2016

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Riftヘッドセット、いよいよ予約受付開始へ〔日本時間1/7(木)午前1時から〕

A man tries out the Oculus Rift virtual reality headset at the Oculus booth at the Electronic Entertainment Expo on Wednesday, June 11, 2014, in Los Angeles. (AP Photo/Jae C. Hong)

長い道のりだった。いかにガジェット好きであろうと、頭に何かを被る必要があることを一般消費者に納得させるのは容易なことではない。今やOcculus Riftを装着すれば脳のシナプシスを最大限に興奮させるスリルに満ちたまったく新しい体験が提供される。

今朝の(米国時間)のOculusの発表によれば、消費者向け仮想現実ディスプレイ、Oculus Riftヘッドセットの予約は太平洋標準時で1月6日(水)午前8時〔日本時間1月7日(木)午前1時〕から受付が開始される。昨年末、同社は「開発は順調に進んでおり、製品は目標通り2016年第1四半期に出荷される」と確約していた。

ただし、今回出荷されるRiftの詳細なスペックが明らかになるのはもう少し先になる。 Oculusは依然として発表内容を細かく調整しており、購入に当たって重要となる要素、たとえば価格などはまだ発表されていない。離陸しつつある仮想現実マーケットでRiftがどれほどのシェアを獲得することになるのかは、予約開始を待たなければ予測が難しそうだ。

重要な点については口が固いOculusだが、ユーザーの期待をかきたてる方法は知っている。デベロッパー向けRiftキットは350ドルだったが、消費者バージョンの価格はもっと高いらしい。すくなくともRiftのファウンダー、, Palmer Luckeyがほぼそういう意味のことを述べている。Luckeyの「おおむねその範囲」という価格が正確にいってどの範囲に収まることになるのかは水曜日を待たないと分からない。

価格はともあれ、消費者向けRiftにはゲームが2本、無料でついてくる。PlayfulのLucky’s TaleとCCPのEVE: Valkyrie.の2作だ。

TechCruchチームは今週開かれるCES会場でRiftの実機をテストできるはずだ。フォロー記事に期待していただきたい。

画像: Jae C. Hong/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Oculusのファウンダー曰く:Riftの出荷は「目標通り」2016年Q1

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Oculus Riftについて最も多い質問は、「いつ手に入るのか?」であり、同社のファウンダーは、辛抱強く待っている人々に最新状況を伝え続けている。

ファウンダー、Palmer Luckeyが発信した一連のツイートによると、Riftは来年Q1の出荷目標に向かって進んでいるようだ。

[嬉しいニュース:製造は順調に進んでいて、すごいRiftのQ1出荷は予定通り]
[予約分は新年早々にやってくる。ストレスのない休日を楽しんでくれ。予告なしに出荷することはない]

この前にデベロッパーには、ハードウェアの早期製品が送付される旨のメールが届いている。いよいよVR時代の始まりだ。

この最新情報は重要だ。なぜなら、市場、会社(Facebook!)、ファン、そしてバーチャルリアリティー全般に興味のある人たちにとって、将来のプランはOculus初の消費者向け製品の発売にかかっているからだ。同社は独自タイトルも発表し、それは楽しみではあるのだが、VRコミュニティーは、Oculusが勝手に行動して自分たちが開発するオープンプラットフォームがなくなることを恐れた。それは起きそうにない。

最近 LuckeyはOculusの計画についてGameinformerのインタビューに答え、ゲーム業界が多大な努力でVRの発展を支えてくれていると言った。

ゲーム業界は、VRでやっていることの発祥の地ともいえるため、VRに必要な基盤をすべて作ってきた。われわれは高いフレームレートで動くゲームエンジンを使える。山ほどの3Dオブジェクトをレンダリングできるゲームエンジンもあり、その描写は非常に高速で写真のようにリアルだ。もしそれらがなければ、そしてもしゲーム業界がなければ、今のVRはあり得なかった。

その大変な努力は、まだまだ多くの物がやって来ることを意味している。そしてどうやらOculusは、消費者市場でHTCのViveをあっさり打ち負かしそうだ。それは、FacebookとOculusにとって実に大きい勝利となるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Flickr、Gear VRで360度パノラマ写真体験を提供

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Flickrに置かれた150億枚の写真を、私たちはいつでも見ることができるが、ただ静止した写真を見る以上の、世界に飛び込んでいくような体験のアップグレードは何年も行われていなかった。

今日(米国時間12/9)、YahooはOculusのSamsung Gear VRを使った新たなFlickr体験を発表した。チームによると、ユーザーがここ数年の間にアップロードした「何万枚もの」360度写真を、今日からは完全没入型VR体験で見ることができる。

ホリデーシーズンに向けて、SamsungのGear VRの販売を促すアプリの数々に、嬉しい仲間が加わった。

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Samsung Gear VRで初めてFlicrアプリを開くと、Flickrの360度写真トップコレクションが一覧表示される。好きな画像を選べば、あなたはすぐに知らない場所と時間に移動できる。フィンランドの輝く夜空のオーロラから、アリゾナ州コロラド川のホースシューベンドまで、初めてFlickrの360度写真を見た人は、Samsung Gear VRを外したくなくなる。

雰囲気はこんな感じ…だが、専用ギアを付ければ顔を動かして周囲を見られる:

今すぐOculusストアに行ってGear VRを買いに、Flicrアプリをインストールして試してみよう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バーチャルリアリティーが、子供たちを病院の外へ連れ出す

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このビデオを紹介するにあたって、私には、バーチャルリアリティーがもたらす驚くべき可能性の一つだという以外に言葉が見つからない。UploadVRが最初に報じたC.S. Mott Children’s HospitalはOculus Riftを使い、Game Start SchoolおよびMott Golf Classicの協力を得て、退屈な病院の中から子供たちを別の場所へと連れ出す。遥かかなたの地へ。ゲームの中かもしれない。とにかく重要なのは、子供たちを「病院の外」へ連れていくことだ。

これは非常に個人的なことだが、私がVR(仮想現実)とAR(拡張現実)に強く関心を抱いたのは、今年カリフォルニア大学サンフランシスコ校で幹細胞移植を受けたときだった。私は身動きがとれないまま部屋で何週間も過ごした。その話はいずれ書くつもりだが、どうかこの子供たちが生涯忘れられないスリルを味わうところをしばし見てほしい。何より重要なのは彼らが一瞬だけでも病院のベッドから抜け出られることだ。

最初に、一人の子供がこう叫ぶ、「ぼくは世界の頂上にいる!」

喜びの涙歓迎。

バーチャルリアリティーは生活に浸透しつつあるが、これはゲームプレイやボクシング観戦を没入的にするよりも重要だ。これは人生を変えるかもしれない、いや変えるだろう。こうした幸せがどこの子供病院でも、いつでも実現できることを想像してほしい。そして、医師が手術をバーチャルに練習できるようになることを。なんとも素晴らしいことではないか。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Riftの発売日に提供されるコンテンツはVRゲームRock Band VR、すでに予告編あり

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Oculusからの重大な発表が、何であるか分かった。それは、今夜(米国時間12/3)ロサンゼルスで行われたThe Game Awardsのステージで共有された。

その発表は、同社のVRヘッドセットRiftの発売スケジュールやお値段ではなかった。それは、“2016年のQ1”になるしかないようだ。

しかし、23歳のOculusファウンダでRiftを発明したPalmer Luckeyが発表したのは、 HarmonixとのパートナーシップによるVRゲームRock Band VRだ。そのときの彼の短いステージには、まさにロックバンドDragonForceがいたんだけど。なお、ゲームの発売は2016年の早め、だそうだ(ということはRiftも?)。

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これがThe Game Awardsにおける、その発表だ:

そして予告編:

Rock Bandを前から知ってる人は、どんなのか想像できるだろう。プレーヤーは、バンドの奏者になりきってプレイする。予告編でちらっと見たかぎりでは、よくできてるし、まさにVRならではの没入的(immersive, イマーシブ)だ。

“実際に満員の聴衆がいて、自分が本当のロックスターになった気になれるのは、とってもすばらしい体験です”、とLuckeyは述べた。

ステージ上でLuckeyは、両社のチームはかなり前から協働している、Riftのローンチ(いつのことやら)では、ほかのゲームも発表される、と言った。今のところは、Rock Band VR はVRゲームとして完成度がとても高そうだから、ぼくも絶対に買いたい。ギターをプレイしているぼくが、だせぇアホに見えても、かまわないよ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Samsung Gear VR、AmazonとBest Buyでは売り切れ

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Samsung Gear VRの最新消費者向けモデルを予約していなかった人は、お気に入りのオンラインショップで買うのがちょっと大変かもしれない。

AmazonBest Buyは、いずれもバーチャルリアリティー用品の豊富な在庫を謳っているが、現在それぞれ「一時的に在庫切れ」および「オンラインでは売り切れ」と表示している。

Amazon:

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Best Buy:

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一番確実なのは、直接Samsungのサイトから買うことだろう。忍耐強くない人は(私のように)、翌日配達を指定できる。

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SamsungとOculusにコメントを求めているので、回答があり次第続報する予定。両社とも、昨日の発売時点で何台デバイスが用意されているかを明らかにしていないので、私としてはまだ「僅少」とは言えない。

アップデート:Samsungの広報から以下の声明が届いた:

Gear VRがレビュワーや熱心な購入者から圧倒的な支持を得ていることを大いに喜んでいる。注文に応じられるよう最大限努力している。

あなたも買うべきか? 本誌のレビューをチェックされたい。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculusファウンダー、「仮想現実の普及の最大の障害はインターネットのケーブル接続」と警告

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一見奇異な発言に思えるかもしれない。しかしよく考えてみれば当然の警告だ。読者の母親はインターネットに(煩わしく、時に危険でさえある)有線で接続している間は仮想現実の世界に飛び込むことはしないだろう。

Oculusのファウンダー、パーマー・ラッキー(Palmer Luckey)は仮想現実(VR)に関するSamsungとの提携のイベントでそのことを警告した。つまりモバイル化がVR普及のカギになるという。

Oculusから発表された最新のガジェットは好評で、TechCrunchのJosh Constine記者はこう書いた。

新しいOculus Gear VRは従来より22%軽く、装着感もずっと良い。ヘッドセットのトラックパッドはこめかみ辺りに来るが、これも位置が適切だ。ユーザーが自然に指を伸ばすとトラックパッドにタッチすることができる。

Oculusのファウンダー、Palmer Luckeyは今日(米国時間11/1)、 伝統的パソコン対モバイルVRの問題について:こう述べている。

〔今後長期間にわたり、ケーブル接続はVRビジネスにとって普及の最大の障害になる。パソコンがモバイル接続にならなければモバイルVRの成功もない。〕

〔VRのソフト、ハードを開発するときは、ユーザー行動の限界を認識することが必須だ。本当のユーザーはケーブル接続を楽にしてくれる都合のいい奴隷など持っていない。〕

〔長年にわたって奴隷となってケーブルをさばき、VRの実現に努めてきた私が言うのだから間違いない!〕

実は私〔Olanoff記者〕はこの問題に関して仮想現実ビジネスのリーダーたちと幾度も話し合ってきたが、これは全員一致の意見だ。VRをメインストリームに持ち込もうとしてGoogleは段ボール製のVRセットを配ったり、SamsungはGear VRを製作したりしている。パソコンに有線接続されたVRは無線接続の場合より強力だ。しかしGear VRを利用した体験からしても VRはモバイル接続の方がはるかに快適だ。私はOculus devkit以外のデバイスでVRを体験しようとは思わない。

もちろん私は熱狂的なゲームファンではない。ゲームに関してはソニーが開発中のPlaystation VRが重要だろう。このあたりは古典的な「ニワトリが先かタマゴが先か」問題となっている。

しかし仮想現実がメインストリームに受け入れられるためには、モバイル化はやはりカギだ。現状では一般ユーザーはVRヘッドセットを装着してみて「おお、いいね」などと感心するものの、5分も経てばデモの体験は忘れられてしまう。こうした反応を示すのがLuckeyの言う「本当のユーザー」だ。VRはこういうユーザーが自発的に戻ってきて継続的に利用してくれるようにならなけれいけない。

デベロッパー、投資家ともにLuckeyが指摘した点が、VRデバイスをデザインする上でも大量生産の立ち上げに投資する上でも重要だということを認識する必要がある。この無線化をリードするのは、個人的にはLuckeyが創業し、今やFacebookの傘下にある Oculusではないかと考えている。

画像: n/a/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいOculus Riftとタッチコントローラーを近くで見てきた

本日(米国時間6/11)本誌は、ついに公開されたOculus Riftの消費者向けVRヘッドセットを間近で見る機会を得た。さらに、仮想環境とのやりとりをずっと簡単にする、Oculus自身の設計による独自の入力装置、Oculusタッチコントローラーも初めて見ることができた。

報道陣は新ハードウェアを使うことはおろか触れることさえできなかったが、ぎりぎりまで近づいて、同社がこの最終デザインに何を盛り込んだのかを詳しく見てきた。外観に派手さはなく、これはデベロッパーモデルを購入したりKickstarterで支援した熱狂的ファン以外に向けて販売することを意識したものだろう。

Oculusはイベントの中で、布地で覆われた外観、手にも頭にも軽く感じられる本体、ヘッドセットおよびコントローラーのエルゴノミクス的配慮等、より大衆向けにデザインされたと見られるハードウェア要素を強調した。装着の方法でさえ、誰でも知っている野球帽の被ぶり方を模倣した取っつきやすいデザインになっている。

上のビデオで、今日発表されたばかりのヘッドセットやコントローラーの詳しい解説をご覧あれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculusが(このままではMS HoloLensに負けるので)VRに現実世界を重ねるSurreal Visionを買収

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Oculus VRがこのほど、 Surreal Vision買収して、後者の、仮想環境中に外部の現実世界の3D画像をリアルタイムで作り出す技術を、利用させていただくことになった。その仮想環境が遠隔地のVR像であれば、いわゆるテレプレゼンスの錯視も作り出すことができる。

Surreal Visionがシェアしている情報によると、それによってOculusはその技術の幅を、混成現実(mixed reality, 仮想現実と実現実のハイブリッド化)にまで広げることになる。MicrosoftのHoloLensではVRと目の前の実現実がデフォルトで混成されるが、Oculus Riftにはそれがなかっただけに、今回の買収はOculus VRにとって、その多様な商用実用化市場への展開にとって、きわめて重要だ。Surreal VisionのOculusにおける目標は、仮想環境中に外界を完全かつ継続的に捕捉して再構成することだ。しかも両者が、完全に一体化してユーザに区別がつかない形で。

このハイブリッド技術で作り出されるテレプレゼンスは、非常にスケールの大きいものも可能だ。自分が、快適なオフィスにいたまま、火星で行われる会議に出席することもできる。遠い外国にいる知人などを、ここに居ながらにして訪ねることもできるだろう。

Surreal Visionのファウンダは、リアルタイムの情景を再構築する技術でPhDを取った、辣腕の技術者たち三名だ。彼らはイギリスからワシントン州RedmondのOculus Researchにテレ通勤することになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

視線追跡機能付きVRのFOVEがKickstarterキャンペーンを開始

FOVE」(フォーブ)はOculus VRのようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)に視線追跡機能を付加したものを開発している日本発のスタートアップだ。今回のKickstarterキャンペーンに伴い FOVEについてアップデートしておこう。

fove FOVEは仮想現実(virtual reality, VR)の第3世代といわれている。第1世代はユーザーを受動的な仮想空間へと導いた。 第2世代はハンドセットとモーションセンサーを使ってユーザー側から仮想空間側への単方向の制御を可能にした。第3世代は視線追跡機能を使ってユーザー側と仮想空間側の双方向の制御が可能となった。従来のOculus Riftなどのヘッドマウントディスプレイで3次元空間内を見るとき、奥行きがわからないという問題があった。例えば、ヘッドマウントディスプレイで3次元ゲームをするときにマウスで位置をポインティングする場合、マウスは元来2次元平面上の位置をポインティングするためのデバイスなので3次元の奥行きを ポインティングするときには困るわけだ。手前の物体を選択するのか、奥の物体を選択するのかに困る。 FOVEは視線追跡機能でこれを可能にしたヘッドマウントディスプレイである。ロンドンのMicrosoft Ventures Londonアクセラレータープログラムに採択されたり、3次元ゲームや医療での利用について熱い視線を受けている。

fove3エンジェル投資家と東京大学の産学連携施設「Intellectual Backyard」からプロトタイプが作れる程度の数千万円の資金を調達して開発を進めていたが、今回5月19日から25万ドルの資金調達を目指して349ドルの予約販売価格にてKickstarterで募集を開始する。

 

小島由香CEO・共同創業者は「我々の視線追跡機能は非常に繊細なユーザーの視線を読み取ることが可能で、それを仮想空間でのユーザーの意図や感情としてうまく変換することができる。この追加認識により、仮想空間内のオブジェクトを制御するだけでなく、人間と仮想空間とのコネクションをよりリアルなものにすることができ、多くのオーディエンスに資する一つの継目のない体験に仕上げることができた」とコメントしている。

ロックラン・ウィルソンCTO・共同創業者は「我々は視線追跡機能、方向センシング、ヘッドポジショントラッキングを最先端のディスプレイに融合することができた。ゲームの他にも我々は学校や研究機関と連携し、アイプレイ(目によるピアノ演奏をする)プロジェクトで身体障害者でもピアノを弾くことを可能にした」とコメントしている。

fove2FOVEは2015年Q3に開発者向けキットを出荷する予定。 FOVEプラットフォームはUnity、 Unreal、 Cryengineとコンパチブルとなっている。開発者が既存のコンテンツに難なくFOVEエコシステムを導入でき、また安定したサポートを提供する。Kickstarterキャンペーンに伴い、 FOVEはVRコンテンツのホスティングサイト「Wear VR」とのパートナーシップも同時にアナウンスしている。 FOVEユーザーは、Wear VRのVR app storeにアクセスが可能となる。

日本発スタートアップであり、視線追跡機能をヘッドマウントディスプレイに付加した FOVEがOculus VRのつくり上げた市場にどこまで食い込めるか注目しよう。

Hiroki Takeuchi / POYNTER CEO Ph.D

Oculus Rift、いよいよ今年後半に予約開始、来年初めに市販―独自ゲームも開発中

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Oculus Riftはいよいよ消費者向けバージョンの出荷準備に入っている。だが消費者は製品を箱から取り出しただけではバーチャル・リアリティーの世界に入ることはできないようだ。

Oculusの共同ファウンダー、Nate Mitchellは現在ニューヨークで開催中のTechCrunch Disruptに登壇し、消費者向けOculus Riftが今年後半に予約受付を開始し、2016年の第1四半期に出荷される予定だと明かした。しかしOculusには「最新のコンピュータゲームをプレイできるパソコンが必要」だとMitchellは付け加えた。

Oculus Riftはモンスター級のゲームマシンが必要というわけではない。Mitchellは「クレージーなハイエンドマシンが必要なわけではない」という。今年のCESのプレスイベントのデモで用いられたマシンには市販価格600ドル程度のnVidia GTX 980グラフィックカードが用いられていた。

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価格についてMitchellは「われわれはできるだけ手の届きやすい価格にしたいと努力している」と語った。しかしハイエンドの体験を届ける製品であるため、昨年Oculusが開発に協力したSamsungのバーチャルリアリティーヘッドセット、Gear VRよりかなり高価になるのは避けられないようだ。

Mitchellは「われわれはVRを2つのカテゴリーで考えている。ハイエンドはRift、ローエンドははSamsung Gear VRのような製品だ」と述べた。Samsung Gear VRは200ドルで、これに表示用のスマートフォン(649ドルかそれ以上)を必要とする。

Riftの販売経路についてMitchellは小売店を重視しているとして次のように語った。「われわれはOculus.comで予約を受け付けることになるだろうが、販売チャンネルでは小売店舗が重要な役割を果たす。というのも、Riftの購入にあたっては店頭での試用が重要だからだ。着用してみなければ異次元の体験であることが実感できない。何千万という人々がRiftを購入するようになるためには実際に手に取って試すことができる店頭での販売が不可欠の要素になる」

Mitchellはそれ以上の具体的な話には踏み込まなかったが、司会のJosh Constine記者が「それではBest Buyのような量販店にRiftのトライアルコーナーが出現するのか?」と尋ねたとき満足気な笑みを浮かべたように思えた。.

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さいわいOculusでは消費者向けデモにも使えるようなクールなゲームをすでに開発しているという。Mitchellによれば、Oculusは密かに社内で独自ゲームを開発していた。 Oculusは小人数の開発チームよって 昨年デモが公開されたHero Boundを始め、いくつかのタイトルを開発している。また外部のデベロッパーとOculusが共同開発するゲーム、さらにはサードパーティーのデベロッパーがまったく独自にOculusプラットフォーム上で開発するゲームも順次登場するという。

しかしあまりに暴力的だったりユーザーに船酔いを起こさせるようなゲームが野放しになっては消費者を遠ざけてしまうだろう。

Mitchellによれば、少なくとも市販の当初は、Rift向けゲームの公開にOculusの審査、承認を必要とすることになるという。しかしOculusはエコシステムのオープンさを重視しており、サードパーティーがコントローラーなどの周辺機器を開発することを認めるという。

あとひと月に迫ったE3ゲーム・カンファレンスでOculusはさらに新しい発表とデモを行うはずだ。Oculusが長らくSFの世界の存在だった高品位のバーチャル・リアリティーを万人のものにする日が近づいている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


なぜ今バーチャル・リアリティーなのか?

Oculus RiftがKickstarterでブームを巻き起こすことに成功して以来、ずっとくすぶり続けている批判がある。それは「なぜバーチャル・リアリティーが今度はうまくいくと考えねばならないのか?」というものだ。

ある意味でもっともな疑問ではある。過去何十年にもわたって大衆向けVRガジェットをつくろうとして失敗した試みが無数にあるからだ

「以前に非常に優秀な人々が同じことをやろうとした。それらはすべてうまくいかなかったのに、Oculusやその仲間がうまくいくという理由は何だ? 1955年に誰も Virtual Boyを欲しがらなかった。なぜ2015年にRiftを欲しがるようになるのか?」というわけだ。

しかしこうした考えは重要な(そして後からは自明に見える)点を見逃している。つまりそれを現実に可能にするテクノロジーが登場したことを考えていないのだ。

20年前の一般向けVRはこの程度だった

Oculusヘッドセットを可能にした個々のテクノロジーを観察してみよう。きわめて高精細度の液晶ディスプレイ、マイクロサイズのジャイロスコープ、位置トラッキングが可能なカメラ、3D環境をリアルタイムで処理できるコンピュータ(Oculusの場合は互換性のあるGear VRスマートフォン)。

これらの要素はすべて他の分野、特にスマートフォンとビデオゲーム・コンソールのおかげで一般消費者に十分手の届く価格で提供されるようになった。

わずか10年前でさえ、1080p以上の高精細度ディスプレイをVRヘッドセット用に製造できるメーカーがあっただろうか? もちろんノーだ。そんなレベルのディスプレイは禁止的な価格になっていただろう。しかもそんなデバイスはこっけいなほど巨大な外部バッテリーを接続しなければ作動しなかっただろう。

具体的に、たとえば、5.5インチ、4K、120コマ/秒のディスプレイで考えてみよう。 2003年にほぼ同様の画素数のディスプレイは8400ドルもした。しかもリフレッシュ・レートはわずか毎秒12コマだった。しかも消費電力はデスクトップ・コンピューター並だった。

現在のOculusのデベロッパー・キットはSamsung Galaxy 3の1080pディスプレイ を利用しており、毎秒75コマ表示できる。Gear VRはGalaxy Note 4の1440pスクリーンを採用しており、リフレッシュ・レートももっと速い。これが進歩というものだ。!

Samsung Gear VRはスマートフォンですべてのVR体験を処理する。つまりスマートフォンが新世代になればVR体験も向上する

リアルタイムのコンピュータ・グラフィックス能力の進歩もVR体験を成立させるために欠かせない要素だ。研究によれば、没入感を得るためには必ずしも非常にリアルな画像を表示する必要はないが、ただし動きが非常にスムーズであることが必須だという。つまり、たとえば周囲を見回そうとして顔を動かしたときに、表示の反応が一瞬でも遅れるとユーザーの没入感を損ねるだけでなく、深刻な船酔い症状を引き起こすことになる。その対策はといえば、強力なハードウェアとコードの最適化しかない。そしてそれこそゲームのハードメーカー、ソフトのデベロッパーがこの何十年も取り組んできた課題だ。

こうした進歩はバーチャル・リアリティーの世界の外で起きたが、その成果を投資家とアーリー・アダプターが納得するような仕方で初めてパッケージ化することに成功欧したのがOculusだった。今やバーチャル・リアリティーはOculus HQだけには限られない。ハード、ソフト、インターフェイスやアクセサリーを含めた新たなエコシステムが形成されつつある。前世代のVRが大学の研究室に閉じ込められていたのとは大いに事情が変わっている。

試みにGooglで“virtual reality Kickstarter”と検索すれば、新たなコントロール・メカニズムからアプリケーションまでありとさまざまなVRプロジェクトが次から次に生まれていることが分かるだろう。Oculusその他のVRイベントに行けば、驚くほど多数のデベロッパーに出会うはずだ。彼らそれぞれに「これこそ正しいやり方」だと信じるアイディアで、部屋中に設置したカメラや全方向に移動できるトレッドミルやWiiコントローラーの改良版などをデモしている。

半年後にはこうしたデベロッパーが何がうまくいき、何がうまくいかないか、多くを学んでいるだろう。過去半年についても同じことがいえる。これはOculusがKickstarterに登場する前から続いてきた動きだ。 バーチャル・リアリティーの世界はこれまでにない速さで動き始めている。

画像: South Park

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Oculus、新プロトタイプ、Crescent Bayを発表―ヘッドトラッキングは360度、ヘッドフォンつき

Oculusは昨日(米国時間9/20)開催されたConnectカンファレンスライブ中継)で、新しいプロトタイプ、Crescent Bayを発表した。私は幸運にもこのプロトタイプを短時間実際にテストしてみる機会に恵まれた。Crescent Bayはフレーム速度が向上し、ヘッドトラッキングが360度となり、ヘッドフォンが一体化されている。重量も大きく軽減された。

OculusはまたOculus PlatformをSamsung VRにも開放することを発表した。これはバーチャル・リアリティー・アプリとコンテンツのマーケットプレイスで、バーチャル・リアリティーをメインストリームのユーザーに届けるチャンネルとなることが期待されている。詳しくはわれわれの記事を参照。

CEOのBrendan Iribeは「DK1プロトタイプからDK2へも大きなステップアップだったが、DK2からCrescent Bayへのステップアップも同じくらい大きい」と述べた。とはいえ、このモデルもまだ消費者向け製品ではない。しかしまた一歩製品版に近づいたことは確かだ。

ただしCrescent Bayはデベロッパーキット(DK)ではなく、将来のOculusはこのようになるという「機能紹介プロトタイプ」という位置づけだ。OculusはDK2を発表する前にも Crystal Coveという機能紹介プロトタイプを発表している。そういうわけでCrescent Bayはそのままでデベロッパー向けに発売開始されるわけではないようだ。デベロッパー向けにはこの後DK3(に相当する)製品が提供されることになるのだろう。

Crescent Bayでは後方向けにカメラが増設され、ユーザーの頭の位置を360度追跡できるようになった。装着ユーザーは制約なしに周囲あらゆる方向を向くことができる。ヘッドトラッキングと高性能ヘッドフォンのおかげで、臨場感はさらに向上した。 Oculusはメリーランド大学で開発されたRealSpace3Dという高性能VRオーディオテクノロジーのライセンスを受けている。

Oculusはまたゲーム・エンジンのUnityと契約し、無料版、有料版のUnityのユーザー全員に対してOculusをサポートしていくことを発表した。

アップデート:実際に使ってみた

私はCrescent Bayのデモで、実際に装着してみることができた。Oculusは写真、ビデオの撮影を許可しなかったが、誰かがこっそり写真を撮ることに成功して私に送ってくれたので何枚か掲載しておく。以下、簡単に使用感をレポートする。.

10分間のデモで、私はティラノザウルスと遊んだり、高層ビルのてっぺんに座ったり、ポリゴンフィールドの怪物を見たり、シムシティーの上空を飛んだり、顕微鏡サイズに縮められて巨大なダニを見上げたり、SWATチームが巨大なメカと戦ったりするのを眺めたりできた。

新しいヘッドセットは驚くほど軽く、首への負担はまったくなかった。ゴーグル部分はプラスチックぽくてフィット感は最上とはいえなかったが、軽量なわりにしっかりした作りに思えた。Samsung Gear VRの視野は周囲に黒いフレームが見えてしまうので双眼鏡を覗いているような感じだが、 Crescent Bayの視野ははるかに広い。ただしCrescent Bayも下側に隙間があって床が見えてしまう。これは没入感をやや損なう結果となっている。

グッドニュースは頭の位置をモニタするモーショントラッキングの速度と精度がぐっと上がったことだろう。デモで私は鏡の前に立たされ、素早く動いてみるように言われた。私がどれほど速く動いても宙に浮いた私の映像に遅れは感じられなかった。

Crescent Bayのモーショントラッキング・カメラはデスクトップのパソコンではなく壁に設置されているため、ユーザーはどの方向へも1メートル弱動けるようになった。残念ながらまだティラノザウルスから走って逃げることはできないが、左右に身をかわしたり、体を縮めて上にやり過ごしたりすることはできる。

モーショントラッキングの基準となるLEDライトがDK2では前方にだけあったのに対しCrescent Bayでは後方にも設置されている。

Crescent Bayでも依然として欠けている重要なパーツは、移動したりコマンドを入力したりするには必須となる専用のゲームパッドないしコントローラーだ。今回のOculus Connectカンファレンスで発表されるという噂もあったが、空振りだった。しかしOculusの経営陣もコントローラーが必要だという認識で一致したということで、やがてこの問題も解決されると期待したい。

Oculus Wants To Win PC and Mobile VR

OculusのCEO、Brendan Iribeは「Oculusのデベロッパー・キットは世界130カ国に10万セット出荷された」と発表した。Iribeは「SFが好きならOculusはまさにその聖杯だ。いよいよ長年の夢が実現するときが来た。高度なバーチャル・リアリティーが実用化の時期を迎えている。Oculusの使命はゲーム、エンタテインメント、コミュニケーションに革命を起すことだ」と述べた。

昨夜、Oculusは DK1のデベロッパー・キットのソースコードをすべてGithubにアップロードし、オープンソース化したと発表した。これによってデベロッパーはOculusのデザインを深く学び、独自に改良を加えることができるようになる。Oculusのハードウェアを使わない独自のプロダクトを開発することも可能だ。

 

2014年はOculusにとって波瀾万丈の年となった。Kickstarterで250万ドルを集めた後、ベンチャーキャピタルから9340万ドルの資金を調達し、さらに直後に20億ドルでFacebookに買収された。買収の直後にはKickstarterの出資者やデベロッパーの一部から感情的な反発を受けたものの、Oculusの今後について、Facebookの傘下に入ったことは信頼性を増すことであって下げることではないとバーチャル・リアリティーのコミュニティーを納得させることができたようだ。

Crescent BayとPlatformをベースにデベロッパーがどのような新しいプロダクトを開発するか楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+