インドの人工衛星破壊で400あまりの破片がさまざまな軌道上にばらまかれた

NASAのアドミニストレーターを務めるJim Bridenstine氏によると、インドが最近実施した軌道上防衛能力のデモンストレーションにより、400あまりの破片がさまざまな軌道内に散乱し、国際宇宙ステーションやそのほかの配備物を危険にさらしている。彼は米国時間4月2日に行われた市民参加の集会で、「こわい、とってもこわいことだ」と述べた。

先週敢行されたそのテストでは、インドのロケットが高度約300キロメートルに打ち上げられ、前からそこに置かれていた人工衛星に当たって破壊した。それは、1月に打ち上げられたMicrosat Rだと思われる。ナレンドラ・モディ首相はそのテストについて、誇らしげにこう述べた。「インドの優秀な科学者たちの素晴らしい能力と我が国の宇宙計画の成功が示された」。

世界中の宇宙関係者たちからの反応はそんなに温かいものではなく、一部はその行為を宇宙の軍用化に向かう一歩と非難し、またBridenstine氏らはもっと現実的な警告を発した。

彼はこう言った。「意図的に軌道上にデブリフィールド(Debris Fields,、残骸界)を作ることは人間の宇宙飛行と両立しない」。

「その一度のイベントによる400片のデブリを軌道上に認識した。われわれが今調べているのは10センチ以上の大きな破片約60個のみである。60個のうち24個は、国際宇宙ステーションの遠地点の上にある」。

これらの破片のほとんどはすぐに大気圏内で燃え尽きてしまうが、大きなものは追跡できるし、必要なら回避もできる。しかし、「これらのこと全体が悪しき前例になる」とBridenstine氏は示唆する。「どこかの国がやったら、他の国もやろうという気になるだろう」。

まさに彼の言うとおりだからこそ、今回インドはやったのだ。つい最近の2008年に米国もロシアもそして中国もすでにそれをやってしまった。だから米国にも責任の一端はある。でも、デブリを軌道上に送り込んでISSを危険にさらすようなことは、単純に良くない考えだ、と全員が合意するだろう。

インド宇宙研究機構のアドバイザーTapan Misra氏はIndian Expressに、6カ月以内にデブリはすべてなくなる、今回のミッションはいかなるリスクも生じないよう細心に計算されている、と述べている。彼によると、中国による今回と同様の迎撃ミッションは高度が今回の3倍近くあり、大量のオブジェクトを作り出したので、長年経った今でも探知の対象になっているそうだ。

軌道上のデブリは深刻な問題であり、今後打ち上げが増えるとともに問題も悪化する。しかしRocket Labのような一部の企業は事前対策を取ろうとしている。同社はなんと、宇宙銛(もり)という、打ち込んで後で回収できる装備を設計している。それは理論としてはたいへんクールだが、むしろ、そんなものが必要にならないことを願いたいね。

画像クレジット: AFP/Arun Sankar/Getty Images

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オポチュニティの最後の火星パノラマ写真は素晴らしすぎて言葉がない

火星探査車オポチュニティは、公式には永久にオフラインになったが、その科学と画像の遺産は存続する。そしてNASAは米国時間3月13日、あのロボットがその後塵の毛布に包まれていく前に送ってきた最後の、完全に近いパノラマをシェアした。

火星の表面にこれまで5000日(地球日ではなく火星日で)以上いたオポチュニティは、その最後をエンデバークレーターの中、その東縁にあるパシビアランスバレーで迎えた。生存の最後の1か月彼は、自分のまわりを規則正しく撮影し、多くの感動的なパノラマにまた一つを加えた。

パノラマカメラ「Pancam」は、撮影をブルー、グリーン、ディープレッド(深紅色、近赤外線色)の順にフィルタをかけて行い、354の画像で多様な地形や自分の一部、そして谷を踏み歩いた軌跡を拾う。下の画像をクリックすると完全な注釈つきのバージョンを見られる。

それは、人が望みうる火星の風景画像としてこれ以上のものがありえないほど完璧で、細部の違いまで詳細だ。色を加工しているので、この世のものとは思えぬ独特の美しさがある(元の色のバージョンはここにある)。そしてそのため、この探査車の最後のショットだという切なさが胸を打つ。彩色は実は完成していない。左下にあるモノクロの部分は、これから彩色する箇所だ。

厳密に言うとこれは、探査車が最後に送った画像ではない。あの致命的な塵の嵐が迫ってくるとき、オポチュニティは最後のサムネイルを送ったが、本体画像は送られなかった。それは、日没寸前の太陽の画像だ。

塵の雲が完全に太陽を覆い、オポチュニティが漆黒の闇に包まれたことは最後の送信でわかる。

上の画像中にある閃光やドットは、すべて画像センサーのノイズだ。本当は完全な闇で、その嵐の規模が全惑星サイズであることから考えると、数週間は続くだろう。

オポチュニティは、とてつもない幸運に恵まれた。設計寿命の何十倍も長持ちして旅をし、チームの最長予測すら超えた。しかも最後の日まで美しくて価値あるデータを取り続けたことは、その設計と制作が堅牢かつ細心であったことの証明だ。

画像クレジット: NASA/JPL

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衛星通信技術の再構築を目指すUbiquitilinkは地上技術(端末技術)に着目

地球世界に高速インターネットをもたらす軌道ネットワークの建設にますます多くの企業が競うように参入しているため、通信衛星の数は年々倍増している。しかし、宇宙旅行会社Nanoracksを創始したCharles Millerが率いるUbiquitilinkは、別の道を行こうとしている。通信衛星技術全体の中の、地上部分に彼は着目したのだ。

Millerの直観を、多くの投資家と通信大手企業が支持し、投資も行っている。彼によると、今の通信衛星の世界で人びとは、正しい問題ではなく間違った問題を解こうと競っている。人工衛星のコストをいくら下げても、彼らが望む革命は訪れない。むしろ、彼の考えでは、この業界の前途は“ユーザー端末”を完全に作り変えることにある。今、地上局と巨大アンテナに支配されているその部分を。

彼は言う: “世界のデジタル格差を解消するために千の衛星と億のユーザー端末を作らなければならないとしたら、コスト最適化の効果が高いのはどっちだ?”。

もちろん、衛星の低価格化も決して無意味ではないが、彼には一理ある。衛星ネットワークがこの惑星のほぼ全域をカバーしたとき、それにアクセスするデバイスが一台何千ドルもしたり、一部の国などの補助でできた高度なハブの近くになければならないとしたら、どうなるのか? 格差は解消しない。

この惑星上には今、何十億もの携帯電話がある、と彼は指摘する。しかしモバイルのインターネット接続を享受できているのは、その10%にすぎない。でも数億単位の信号の届かない人たちにサービスを提供するのは、簡単だ。そのために、タワーを増設する必要もない。もしそれがビジネスとして有効な解なら、通信企業はとっくにやっていただろう。

むしろMillerの計画は、電話機に新しいハードウェアとソフトウェアの組み合わせを装備して、“圏外”にさまよい出たときにも、もっとも基本的な通信機能を確保できるようにすることだ。彼によると、それは一人あたり5ドル足らずでできる。

彼はその技術の詳細を明かそうとしないが、でもベーパーウェアのたぐいではなさそうだ。Millerと彼のチームは宇宙と通信技術のベテランたちだ。それに、ベーパーウェアをテストするために衛星を打ち上げる人はいない。

Ubiquitilinkはすでにプロトタイプがあり、その試験運用が来月始まるし、あと二基の衛星打ち上げも予定している。Millerによると、地上テストはすでに成功しており、本格的な事業としての関心を集めている。

“数年間ステルスでやってきたが、その間に22社のパートナーと契約した。うち20社は数十億ドル規模の企業だ”、と彼は語り、20社の多くは通信企業だ、と言う。社名は挙げない。同社はまた、試験に関して、アメリカも含む5か国の政府の認可を得ている。

最初はMillerの自己資金で始まった企業だが、すぐにBlazar Venturesがリードするプレシードラウンドを調達した。通信インフラストラクチャのNeustarからの間接的投資もあった。その後のシードラウンドはUnshackled Venturesがリードし、RRE VenturesとRise of the Rest、そしてOne Way Venturesが参加した。これで同社の総調達額は650万ドルになり、衛星打ち上げとシステムの試験をまかなえる。そのころには彼らも、技術の詳細をもっと明かすことができるだろう。

“Ubiquitilinkは通信技術における最大の機会を具現している”、とUnshackledの創設者パートナーManan Mehtaは語る。彼の言葉によると同社のチームは、“熱狂的に集中している”そうだ。

創業3年にして衛星通信技術をその根本から作り変える、と称する彼らの技術は興味津々だ。当然ながら疑念も少々あるけど、でもMiller以下の人脈は本物だ。今後数か月の試験の過程で、より詳しいことが分かってくるだろう。

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Rocket Lab、超小型衛星10基をまもなく打ち上げ(ライブ中継あり)

Rocket Labの商用ロケット “It’s Business Time”の(大きく遅れた)デビュー打ち上げから1ヶ月、同社が宇宙に運ぼうとしている次の顧客はNASAだ。今夜(米国時間12/12)午後8時打ち上げ予定のロケットは、NASAの小型衛星打ち上げ教育プログラム(ELaNa)XIXの一環として超小型衛星10基を運ぶ。

これはRocket LabにとってはじめてのNASA専用打ち上げであるだけでなく、新世代短期ターンアラウンド小型ロケットの特長を活かしたNASAのプロジェクト、”Venture Class Launch Services” の下で行う初の打ち上げとなる。

「NASA Venture Class Launch Serviceは、新しいロケット打ち上げ会社の市場進出を促進し、成長する小型衛星市場向けに未来クラスのロケット開発を可能にするために立ち上げられたNASAの革新的取り組みだ」とELaNa XIXのミッションマネージャー、Justin Treptowが Rocket Labのプレスリリースで語った。

今夜の打ち上げにはNASA研究員らの衛星4基、および全米のさまざまな大学、研究機関の衛星6基が搭載される。NASAのSpaceflightサイトに プロジェクトのわかりやすい概要とロケットの技術的詳細が掲載されているので興味のある方は参照されたい。各衛星はElectronロケットに適切な高度に連れていかれたあと、それぞれの道を進んでいく。

打ち上げ機の名前は “This One’s For Pickering” で、元JPL(ジェット推進研究所)所長で米国発の人工衛星Explorer Iの開発チームを率いたサー・ウィリアム・ピカリングに因んでいる。サー・ピカリングの生地ニュージーランドは、Rocket Labの拠点で今回の打ち上げが行われる場所でもある。

発射は西海岸時間8 PMちょうどに行われ、搭載された装置は打ち上げ後1時間弱に切り離される。打ち上げのライブストリーミングはRocket Labのウェブサイトで見られる

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国際宇宙ステーション(ISS)の新型ロボットは宇宙を浮遊するAlexaみたいでヤバイな

Cimonをご紹介しよう。3Dプリントで作ったこの浮遊するロボットは、AirbusがGerman Space Agency(ドイツ宇宙局)のために作ったものだ。彼は6月から国際宇宙ステーションのクルーだが、Gizmodoによれば、彼の活躍が一般公開されるのはこれが初めてだ。

実はこの、IBM Watsonで動いている浮遊する顔型ロボットは、宇宙における人間と機械の対話を研究する役目を担う、ものすごく高価なAmazon Echoを思わせる。下のビデオは主に、CimonとEuropean Space Agency(EU宇宙局, ESA)の宇宙飛行士Alexander Gerstとの対話を映している。

Gerstが彼の“好きな曲”をリクエストすると、CimonはKraftwerkの“Man Machine”をかける。すると宇宙飛行士は彼と‘握手’する。そしてロボットに、ビデオを撮るよう要求する。Cimonはそれにも成功するが、明らかに曲の中断にとまどっているようだ。二人の共同作業チームの、ちょっと荒っぽい出会いでした。

“彼の最初の出番には満足している。CimonのデベロッパーとAlexanderは二人とも、Cimonがまた仕事に戻ってくることを期待している”、とESAは言っている。“このHorizonsミッションの現段階では今後のセッションは予定されていないが、宇宙飛行士とロボットアシスタントとのすばらしいコラボレーションの始まりを告げたと言える。人工知能の、宇宙におけるあり方の好例だろう”。

次回は、ものごとがもっとスムーズにいくと良いね。絶対にやってはいけないのは、宇宙ロボットを怒らせることだぞ。

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イーロン・マスクの秘密の屋根裏部屋、NASAのSpaceX立入検査を呼ぶ

Elon Muskが9月のラジオインタビューで口走ったマリファナとの関わりは、彼の信奉者たちを離れらせただけでは済まなかった(人工知能やソーシャルメディア、発明、宇宙などにまつわる 興味深い会話もあった)。

Washington Postによると、NASA当局はMuskの屋根裏部屋話を喜んではいられず、CEOの派手も悪ふざけを受けてSpaceXとBoeingの安全審査を命じた。

NASA の有人探査担当副長官William GerstenmaierはWashington Postのインタビューに答えて、審査は来年開始されBoeingおよびSpaceX両社の「安全カルチャー」を調査すると語った。

ロケットそのものの安全性ではなく、この審査では従業員の労働時間、薬物ポリシー、リーダーシップおよび経営スタイル、従業員の安全への懸念に対する会社の対応などに目を向ける、Post紙は伝えている。

審査の指揮を執るのはNASAの安全ミッション保証部で、これまでに同様の審査を行ってきた部門だ。

NASA当局者によると、審査手順は「かなり踏み込んだ」もので、会社が活動している全所在地にわたり、あらゆる地位の従業員から数百回もの聴き取りを行う可能性がある。

2014年に有人宇宙飛行復活のために両社が受託した68億ドルの契約が危機にひんしている。SpaceXは同プログラムでNASAから26億ドルを受け取り、残りがBoeingに渡った。

両社ともに、NASA宇宙飛行士を軌道に送り込む有人システムのテスト中につまづきがあった。Boeingは宇宙船の断熱材とパラシュートシステムのテストと、緊急中止プロセス中に起こる可能性のある推進剤漏出への対応が必要だ。

SpaceXもパラシュートシステムに問題を抱えている。

SpaceXはPost紙に送った声明で、「これまでNASAと共に成し遂げてきたすべての仕事に大きな誇りを持っており、アメリカに有人宇宙飛行を取り戻す日を楽しみにしている」と言った。

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火星の日の出が音楽になった

アングリア・ラスキン大学のDr. Domenico VicinanzaとDr. Genevieve Williamsの二人が、火星探査車Opportunityがとらえた5000日目の日の出を“音化”した。その音楽は、赤い砂丘の向こうに昇る太陽と、この惑星の大気を貫く光を見る体験を、音で表現している。

美しい。

彼らのリリースより:

研究者たちは、画像を構成するすべての画素を左から右へスキャンし、その明度や色の情報と標高を組み合わせたデータを音に変えた。彼らのアルゴリズムは、その一つ一つの成分に特定のピッチとメロディーを割り当てた。

静かなゆっくりとした和声は暗い背景の結果であり、明るくてピッチの高い音は、曲の中ほどで、明るい日輪から作られた音だ。

車輪が複数ある小さなロボットのおかげで、砂の上に太陽が昇る火星の日の出を見物でき、しかもそのすばらしいブレークスルーを音で聞けるという経験は、人類が暗い場所へ向かっていることを忘れさせる。次のブレークスルーではたぶん、火星にオーケストラを送って、本物の楽器でこの曲を演奏できるだろう。

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SpaceXの衛星星座Starlinkは1000基あまりの通信衛星を超低軌道で運用する

同社がFCCに提出した申請書類によると、SpaceXが計画している通信衛星コンステレーションStarlinkは、最初の計画よりもずっと低い軌道に、少なくとも1000あまりの衛星を配備する。これによって宇宙ゴミが減り、同社の地上ユーザーに高品質な信号を提供できる。

Starlinkが計画している1584基の衛星は、同社が計画している4409基の約1/3に相当する。軌道は地表からわずか550キロメートルの高さで、多くの通信衛星はその倍以上の高さの軌道を回っている。静止衛星の軌道は、その20倍以上の約58000キロメートルだ。

この距離なら、軌道縮小も速く、数年後には大気圏に落下して燃え尽きる。しかしSpaceXは泰然としている。それどころか申請書類には、低軌道には“正常運用時と、そして万一の異常時でさえ、いくつかの魅力的な特長がある”、と書かれている。

まず第一に、低軌道では何でも地球に速く落ちて軌道上に散らからないから、宇宙ゴミの問題がほとんどない。第二に、信号の送受の所要時間が短くて、pingの時間は15ミリ秒程度だ。そして500キロメートル以下ならビーム通信の拡散も少ない。

一方、大気抵抗が大きいから最適高度を維持するためにいろんなことをしなければならない。一つの衛星の、惑星上のサービス範囲が狭い。でも数が多いから、その問題は回避できる。

今回の決定は、同社が今年初めに打ち上げたテスト衛星“Tintin”からの実験データに基づいている。“SpaceXが学習したことにより、上述の、よく知られていて有意義な利点を獲得しつつ低高度で運用することの不利を軽減できる”、と同社は書いている。

この変更は、衛星通信がさらに広く普及したときに競争上の有利になると思われるが、Starlinkの鳥たちがどんどん落ちてくるようになると、維持管理費が高くなるだろう。低軌道は確かにリーチが容易だが、売上が損益分岐点に達するのはそれほど容易ではないだろうな。

Starlinkの最初の本番稼働は来年初頭を予定しているが、そのタイムラインもやはり、ちょっと無理かもしれない。でもSpaceXは、無理に挑戦する企業だ。

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ソユーズロケットが事故から復活。来月初めにISSへの有人ミッション実施

10月、幸い死者は出なかったものの大きな注目を集めたソユーズロケット有人飛行ミッションの事故は徹底的な調査が終わり、米国、欧州、ロシア各国の宇宙開発機関はこの歴史ある発射システムの利用に前向きだ。ロスコスモス(ロシア連邦宇宙局)は、12月3日に国際宇宙ステーションへの有人飛行ミッションが発射されると発表した。事故からまだ2ヶ月も過ぎていない。

Nick Hague、Alexey Ovchininの両宇宙飛行士が軟着陸したその事故以来、あらゆる宇宙開発は速く実行する必要があることが明らかだ。ソユーズは現存する唯一の実績ある有人発射システムであり、もし長期間停止することがあればISSはすぐに空き家になってしまう。

幸いロスコスモスは事故の原因究明を優先的に行い、本日(米国時間11/1)調査結果を発表した。

ストラップオンブースター(ブロックD)の一つが、分離異常によりコアステージ(ブロックA)の燃料タンク部分に先端が衝突したためにその結果減圧が起きロケットの姿勢制御が効かなくなった。

分離の異常は、ブロックDの酸化タンクを切り離すためのノズルのふたが、分離センサーピンの変形(曲がり角度6度45分)のために開かなかったことが原因だった。バイコヌール宇宙基地で行われたストラップオンブースターをコアステージ(パケット)に取り付ける際に損傷したものだ。

つまり、ブースターのひとつが外れなくなりステージの分離が正しく行われなかった。事故の状況は本日ロスコスモスが公開した映像で見ることができる。 私が作った関連部分のGIF動画を下に貼った。

カプセルの中では、あらゆるものが横倒しになったに違いない。

問題は調査員によって突き止めらられ、影響を受けた可能性のあるロケットは除外され、すでに別のソユーズロケット(異なるモデル。非常によく似た名前のロケットがいくつかある)が飛び立っている。

さらに重要なことに、当局がこの説明に十分自信を持っており、2つのミッションがすでに計画されている。11月16日の貨物ミッションと12月3日の有人ミッションだ。

ロシアのOleg Kononenko飛行士とNASAのAnne McClain飛行士、カナダ宇宙局のDavid Saint-Jacques飛行士が搭乗予定。彼らは最近の事故のために神経質になっているのか、十分すぎる検査のおかげでむしろ緊張が少ないのか? おそらく両方が少しずつだろう。

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「スペースペン」、50周年を迎える

スペースペンのことは誰もが知っているだろう。NASAが無重力で使える究極のペンを作るために数百万ドルの開発費をかけた結果、この驚くべき道具が出来上がった。いや、違う。事実はといえば、1966年にあるボールペンメーカーが作った——しかしそれが軌道に乗ってスペースペンの運命を全うしたのは1968年10月のことだった。

そのペンを作ったのはペン職人のPaul Fisherで、彼は100万ドルの私費を注ぎ込みそのAG-7反重力ペンを作った。ご存知かもしれないが、そのイノベーションは加圧されたインクカートリッジとゲルインクによって、方向、温度、そしてもちろん重力の有無によらず確実にインクを送り出すしくみだった。

FisherはそのペンをNASAに送った。もちろんそこは、ものごとが微小重力下で働くかどうかを間違いなく心配する唯一の組織であり、そのペンを大いに気に入った。実際、間もなくしてロシアでも使われるようになった。

Walt Cunningham、Wally Schirra、Donn Eiseleの3人は、1968年10月11日に打ち上げられたアポロ7号ミッションにこのペンを持っていき、その後軌道上で11日間使い続けた。

ペンの50周年記念エディションが、裕福で金製品を愛する人たちのために作られた。価格は500ドルで限定500本、「金色の窒化チタン張り真鍮」製で、ケースにはCunningham飛行士のことばが入った記念プレートがついている。

「50年前、初めて宇宙を飛んだスペースペンと共にアポロ7号に乗った。私はこのペンを信頼し、今でも地球上で信頼できる唯一のペンだ。

うん、いい話だ。宇宙飛行士たちが生涯これを供給され続けるのであればの話だが。

Fisher Space Penに乾杯! 半世紀にわたり使われ続けポップカルチャーに支持された、独創的でシンプルで信頼あるアメリカングッドデザインの代表例だ。

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日本のHayabusa 2ミッション、遙かなる小惑星の地表に到達

これまで聞いたことのない最高にクールなミッションが大きな節目を迎えた。日本の小惑星探査機Hayabusa 2が目的地のRyuguに到達し、小惑星表面に探査ロボット2台を送り込んだ。近いうちにHayabusa 2自身も着陸し、Ryuguのサンプルを地球に持ち帰る! うそだろ? これは驚きだ!

Hayabusa 2は、ご想像の通り、同じく小惑星のサンプル採取ミッションを務めた初代Hayabusaの後継だ。つまり、一連のプロセスには前例がないわけではないが、小惑星採掘がすでに実現間近なことに驚かれた向きもあるかもしれない。

しかし、これも想像できるだろうが、この2回目のミッションは初回よりも高度だ。第1回目の余勢と教訓を得たHayabusa 2は、さらに多くの機器を備え、目的地での滞在期間もずっと長くなる予定だ。

その目的地は地球と火星の間に軌道を持つ小惑星、Ryuguだ。Ryuguは「C型小惑星」に指定されており、これは水および有機物質が相当量存在すると考えられていることを意味している。すなわち、地球外生命の可能性やこの(あるいはそれ以外の)太陽系の歴史を学ぶうえで大いに期待されているターゲットだ。

Hayabusa 2は2014年後半に打ち上げられ、その後数年をかけて慎重にこの小惑星の安定軌道に乗せられた。この夏ついに、到達した。そして今週には地表55メートル(!)まで近接し、持参した4基の着陸機のうち2基を着地させた。下の動画は着陸機が小惑星に向かって降下していく様子だ:

着陸機 “MINERVA”(トップ写真にレンダリング画像がある) は地表面をホップ(飛び跳ねる)ように作られており、重力が小さいため一回の跳躍は15分程度持続する。地表の写真を撮影し、温度を測定し、(どこであれ)着地した場所の全般的調査を行う。

アップデート:本稿執筆時点で、ローバー2基は無事着陸していたが、小惑星の裏側にいたため母船との連絡が取れなかった。現在は通信が可能になり、素晴らしい画像も送られてきた。

[この躍動感あふれる写真はRover-1Aによって9月22日の11:44 JSTに、Ryugu表面を跳躍中に撮影された。左半分がRyuguの表面で、右側の白い部分は太陽光による。]

送り込まれるのを待っているのは、もう1基のMINERVAと、新開発のMASCOTだ。MASCOTは多くの科学機器を搭載しているが移動能力は小さい。小惑星の磁気的性質をより詳細に分析し、表面上の鉱物を非侵襲的に検査する。

ビッグニュースは来年やってくる。Hayabusa 2自身が「小型のインパクタ(衝突装置)」とともに小惑星表面に着陸する。インパクタは「人工クレーターを作る」ために使用され、Ryuguの地下物質を採取する。こいつがすごい。要するにこれは巨大な弾丸であり、2キログラムの銅製円盤が爆発物の前面に装着されていて、爆発時には秒速2km、時速約7200kmで目標に向かって発射される。

試験中のHayabusa 2のインパクタ。標的を打ち抜き、試験場の反対側のがれきに衝突した。

探査機は衝撃による表面の変化を観察し、他のクレーターの起源に光を当てて表面の性質の分析に役立てるだけでなく、自身が着陸し、露出された「新鮮な」物質を採取する。

全体的にみて、これはとてつもなく興味深いミッションであり、日本のNASAにあたるJAXAが独自に築き上げた業績だ。小惑星採掘会社の連中はHayabusa 2を固唾をのんで見守っているに違いない。数年後には、彼ら自身の探査機を打ち上げるかもしれないからだ。

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SpaceXのBFRに乗って月を周回飛行する最初の民間人乗客はYusaku Maezawa(前澤友作)だ

日本人の億万長者で起業家のYusaku Maezawa(前澤友作)が、SpaceXのBig Falcon Rocket(BFR)で月の周回飛行をする初の民間人になる。その24万マイル(約39万キロメートル)の旅は、早くも2023年に決行される予定だ。

月曜日(米国時間9/17)にロサンゼルス近くのSpaceXの本社で行われたイベントで、彼は大声で興奮と喜びのスピーチを語った: “ぼくは月へ行きたいんだ!”。

SpaceXがBFRの…今後の長期に亙る…テストと開発に成功したら、Maezawaは1972年にアメリカが行ったアポロ計画以来初の、月旅行の乗客になる。月に行ったことのある人は、わずか24名だ。SpaceXによると、旅程はおよそ1週間で、月面から125マイル(約200キロメートル)の至近距離に達したら月旅行を終えて地球へ帰還する。

Muskは、発表後の記者会見で、“彼は最高の冒険家だと思う”、と語った。

Maezawaはこれまでの人生で、ありとあらゆることに挑戦してきた。今の彼は、起業家であり、ミュージシャンであり、デザイナーであり、アーチストであり、美術蒐集家であり、そしてオンラインのファッションリテイラーZozotownのCEOだ。

彼は曰く、“これはぼくの一生の夢です。子どものころから月が好きで、月を見るだけでいろんなことを想像します。月はいつでもそこにあって、ぼくにインスピレーションを与え続けています”。

Maezawaによると、彼は6人から8人のアーチストを同行して、彼らに宇宙や月に刺激された作品を作ってほしい、という。彼はそのプロジェクトを、#dearMoonと呼んでいる。“彼らの傑作がぼくたち全員の中のドリーマーにインスピレーションを与えるだろう”、と彼は語る。まだ同行者を具体的には決めていない。たぶん、ミュージシャンとフォトグラファーと絵描きと建築家の混成チームになるだろう、と言っている。

BFRがMaezawaを宇宙に送り出すまでにSpaceXには、やるべきことと、調達すべき資金がたくさんある。現在は、SpaceXのリソースのわずか5%がBFRに投じられている。BFRの開発費用は、50億ドルと見積もられている。

MaezawaもMuskも、まだ彼の“運賃”を明かさない。でもMuskは、これは本物の商契約であり、彼は“大金を”払っている、と言う。

BFRはまだ、できていない。Muskによると、成功の鍵は売上、中でもとくに有料顧客の数にかかっている。BFRは定員100名だが、最初の飛行では備品等の量も多いので旅客の数は10名強が妥当、という。

Muskは木曜夜のツイート(米国時間9/13)で、新しいBFRの設計を前触れした。“SpaceXはBFRによる月周回旅行の世界初の民間人乗客と契約した”。これはSpaceXが発表する三度目のBFRの設計だ。Muskは月曜日(米国時間9/17)の夜、“これはBFRの概略構造設計としては最終作だ”、と言った。

その月曜夜にMuskは、BFRの詳細をさらに明かした。月曜日に見せた設計ではBFRは長さ118メートルの二段式再利用可能な宇宙船で、100トンの荷重を火星へ運べる。

SpaceXはまだ、BFR宇宙船の“グラスホッパー”試験を来年行なう計画だ。そのあと2020年に、高高度高速飛行を行なう。

BFRはBig Falcon Rocketの頭字語ではないのかもしれないが、とにかく、持続可能な惑星間宇宙船として設計されている。いずれそれは、SpaceXのそのほかのロケット、Falcon 9やFalcon Heavyなどをリプレースするのだろう。

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宇宙船の液体極低温化技術や空中回収でNASAが$44Mの助成金をBlue Originらに

NASAがアメリカの宇宙企業数社と、総額4400万ドルの巨額なパートナーシップを結んだ。Blue Origin, Astrobotic Technology, United Launch Alliance(ULA)などの各社が、宇宙利用の安全性と効率性を探求する複数のプロジェクトで、それぞれ最大1000万ドルを受け取る。

その10種類の懸賞金はNASAの言う“転換点となる”技術を対象とし、将来性はきわめて高いが、地上または飛行時のデモに資金を要する。言い換えるとそれらは、研究室を出て実用レベルに達したものでなければならない。

ULAがここでは大きな勝者で、三つのプロジェクトに計1390万ドルを受け取る。内1000万ドルは、月面着陸船を単純化し改良する液体燃料の極低温化管理システムに向けられる。残りは、長期間のミッションのための極低温液体プロジェクトと、最大8000ポンド(3632キログラム)までの、帰還船の空中回収のデモンストレーションに充てられる。帰還船は帰還の直前まで軌道を定常速度で周回していたものでなければならない。三つのうち、最後のがいちばん‘安い’プロジェクトだなんて、信じられないね!

1300万ドルをもらうBlue Originも、着陸船の極低温液体管理システムを探求する。どうやらNASAは、月の表土に執着関心があるようだ。残りの額は、月面着陸を容易にするための一連の高度なセンサーの試験に充てられる。同社はこれら二つのシステムを、100キロメートル上空のNew Shepard機上でテストする。

もう一社Astrobotic Technologyにも1000万ドルが行く。こちらはBlue Originと同じく、Terrain Relative Navigation(地形照合航法, TRN)のための一連のセンサーを開発する。これは着陸船に“地形の安全性の判定”という知性を与える技術で、着地直前の具体的な状況下で、実観測により、安全性を確保する。

Mars 2020 Roverは、独自のTRNシステムを使用するが、今回の資金はより高度な方式を対象とする。でも下図のGIF画像を見れば、TRNの概念を理解できるだろう。

今回のNASAの研究資金提供事業では、これら以外のプロジェクトも対象になっている。詳細を知りたい方は、このパートナーシップの発表ページへ行ってみよう。

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米軍の中に宇宙軍ができる、国防長官の反対を押し切って

【抄訳】
大統領のDonald J. Trumpは米軍の中に宇宙軍(Space Force)を作るつもりだ。この驚愕の発表は、ホワイトハウスでこのほど再召集された宇宙評議会(Space Council)の三度目の会議で行われた。

“空軍とは別に、それと同格なものとして宇宙軍を持ちたい。それには十分な理由があり、きわめて重要だ”、と大統領は言った。

昨年議会がこのアイデアを初めて提案したとき、国防長官のJames “Mad Dog” Mattisは、軍に新しい部門を作ることに反対した。

議会の第一党が昨年、宇宙戦を専門とする、軍の6番目の部門を作るという説を最初に流した(残念ながらエイリアンの昆虫の侵入日本語Wikipedia)は防げないようだが)。そのときMattisは直ちに、そのアイデアを激しく非難した。

議会における宇宙軍構想のリーダーの一人である、オハイオ州選出共和党議員Mike Turnerに宛てた書簡で、Mattisは述べている:

省の複合的戦闘機能を統一すべく努力しているこのときにあたって、宇宙の作戦に狭くて偏ったアプローチを提示しかねない単独の部門を加えることを、私は望まない。

どうやら大統領は、その後の数か月で考えを固めたようだ。

Trumpは今や、“軍の6番目の部門としての宇宙軍の設立に必要なプロセスを直ちに開始するよう、国防総省とペンタゴンに指示している”。

【中略】

“アメリカを守るためには、宇宙にアメリカのプレゼンスがあるだけでは不十分だ。われわれは宇宙に、アメリカの支配力を持つ必要がある”、と大統領は言った。

【後略】

〔訳注: さまざまな‘宇宙セレブ’が招かれているSpace Councilに、テクノロジー界隈から参加しているのは、今のところ、Jeff BezosのBlue OriginのCEO Bob Smithのみ。〕

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米商務省、新組織「SPACE」で商用宇宙開発を効率化

米国商務省は、宇宙事業に携わる企業の増加に対応するための規制状況改善の一環として、複数の部門を統合して新たな組織とすることを提案した。その名は、Space Policy Advancing Commercial Enterprise Administration(SPACE Administration)だ。

トランプ政権は先週発表した声明で、国による宇宙開発の管理を整備する計画を示唆したが、詳細はほとんど語られなかった。Space Policy Directive 1(宇宙政策大統領令1)は月と火星のミッション遂行を目的とし、Directive 2は、維持管理目的が中心だ

管理業務の一環として、ウィルバー・ロス・ジュニア商務省長官は「商務省内で商用宇宙飛行活動を管理、規制する『ワンストップ・ショップ』を作る計画の推進」を命じられており、同氏は意欲的に取り組んでいるようだ。

「本省だけで6つの局が宇宙産業に関わっている。企業のニーズに応じた統一組織を作ることで宇宙関連事業の協調を推進できる」とロス長官は言う。「企業が衛星打ち上げの指示を仰いだ場合、新たな宇宙管理部門は、リモートセンシング、経済開発、データ購入政策、GPS、スペクトラム政策、貿易推進、宇宙交通管理など、様々な宇宙関連活動を紹介できる」

こうした組織変更の一部は以前から検討されていたため、関連部門にとって驚きではない。むしろ歓迎しているかもしれない。宇宙規制は部門間メモとお役所仕事の山からなり、ロケット・衛星産業における米国のリーダーシップは、この規制のおかげではなく、にも関わらずというべきだろう。

部門の統合は出発点だが、混沌とした規制を整備する組織変更だけでは済まない。この新しい管理部門は議会により恒久的に設置される必要があり、予算と監督部門の割り当ても必要だ。そして、あらゆる政治部門を横断する宇宙政策の同期、重複排除、その他の改善は、季節単位ではなく年単位の取組みになるだろう。

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Orbital ATK、ISS向け重量物運搬ロケットを打ち上げへ(日本時間5/21夕方)

東海岸で早朝に起きた人は、3トン以上の貨物を国際宇宙ステーションに運ぶロケットの打ち上げを見られるかもしれない。東海岸時間5月21日(月)4:39(日本時間17:39)にバージニア州ワロップス島のNASA施設から打ち上げ予定のミッションは、天気がよければOrbital ATKにとって9回目のISSへの貨物輸送になる。

ロケット、Antaresの打ち上げは昨年11月以来で、当初は今日に予定されていたが、検査と天候の好転を優先して延期された。宇宙船には、補給物資、部品、装置のほか、ISS科学研究のために設計された小型衛星、CubeSatが3基積載される。CBSによると、量子物理学の研究のひとつとして「原子を絶対零度より10億分の1度高い温度まで冷却する実験」が行われる。

東海岸で早起きして見晴らしのよいところにいる人は空を見上げてみよう。Space.comの 説明によると、始めは流れ星のようだったものが彗星のように大きくなり、発射から4分半後頃にはロケットの噴煙が太陽光を受けて光り輝く。

この打ち上げは同社がNASAと契約したISSミッション11回のうちの1回で、あと6回追加される可能性がある。SpaceXは現在20回のミッションを契約している。

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NASAの惑星探査衛星TESSが星だらけの最初の試験画像を送ってきた

先月NASAが打ち上げた衛星TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)は、何千もの星の中に地球に似た太陽系外惑星を探すことが目的だが、このほど最初の試験画像を送ってきた。それはとりあえずざっと撮ったもので“科学品質”のものではないが、それでもミッションの規模を伺わせるに十分だ。TESSが調べる領域は、この画像がとらえている領域の400倍の広さだ。

上図はケンタウルス座周辺のスターフィールドだが、2秒間の露出で20万あまりの星をとらえている。TESSにはこのような画像を撮るカメラが4基あり、それらをすべて同時に使い続ける。27日かけて二つの軌道を通り、宇宙のそれぞれ異なる領域を観察する。

下図は、中央のカメラだ:

これらのスターフィールドの高解像度の画像を繰り返し撮ることにより、地上のチームはわずかに暗くなる星(恒星)を見つけ、その星と太陽系の間を惑星が通過したことを検出する。この方法は類似のKeplerミッションに比べてはるかに多くの星を観察でき、比較的狭い視界でも、暗くなる星だけに着目することによって、今後調べる対象となる何千もの太陽系外惑星の証拠を見つける。

TESSはやっと昨日(きのう)、月からの重力アシストをもらって、最終軌道に接近できた。5月30日の最後のエンジン噴射によりその操作を終了し、その作者たちが設計したきわめて偏心的でまだ試されたことのない軌道に乗る。

軌道に到達し、すべてのシステムが良好なら、TESSが地球にもっとも接近する二週間おきの機会に、新しい画像を送ってくる。初めての、完全に調整された利用可能な画像、通称“first light”は、6月の予定だ。

画像クレジット: NASA

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SpaceX、NASAの宇宙望遠鏡を軌道に送り出す

SpaceX は、NASAの新しい太陽系外探査望遠鏡を地球高軌道に送り出すことに成功した。今後は月の重力補助を受けて軌道に乗りミッションを開始する。一方、地上ではFalcon 9の第一段ロケットがドローン船 Of course I Still Love Youへの着陸に成功した。

これは今年8回目の打ち上げで、SpaceXがFalcon 9の第一段 —— 人工衛星を大気圏外へと加速させたロケットの一部 —— を軟着陸させたのは計24回目だ。最終的な計画では、落下するロケットを「巨大キャッチャーミット」で捕獲するとElon Muskは言っていたが、ボートに乗ったミットは現在太平洋上にるが、今回の打ち上げは大西洋だった。

The rocket shortly after landing on Of Course I Still Love You. The ship’s feed cut out when the rocket landed.

回収したロケットは検査、再調整の後に、次のISS再補給ミッションで再利用される予定だ。しかしこの世代のFalcon 9は近々使い果たされる。SpaceXは第5世代のFalcon 9(ブロック5)をまもなく打ち上げる。これまでの2~3回よりも多く利用できるように再利用性を改善するためにさまざまな工夫がなされている。新世代ロケットの最初の打ち上げは来週計画されている。

2段目の噴射も無事に進みTESSは軌道に乗った。あとは月から必要な重力アシストを得られるようにNASAが軌道を微調整するだけだ。多少時間はかかるが、その後(数週間から数カ月以内)人工衛星からデータがやってくる。

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イーロン・マスク、今度は風船とバウンスハウスでロケットを回収か

Elon Musk は日曜日(米国時間4/15)夜に、SpaceXの上段ロケットの新しい回収方法をTwitterで発表した。風船 —— Muskの表現を直接引用すると “giant party baloon” —— がロケットの一部を空気で膨らませたバウンスハウスへと運ぶ。これは冗談ではない。

他の誰がこのアイデアを提案したとしても無視されただろうが、最近のElon Muskは狂気のアイデアを現実にする術を持っている。

SpaceXが初めてロケットを打ち上げたのは、ついこの間の2012年だったが、その後ロケットはどんどん大きくなっていった。そして今年SpaceXは、高速ボートと巨大な網でロケットの一部を捕獲する方法を試みた —— ただしまだ成功はしていない。

ロケットの回収に風船が使われるのはこれが初めてではない。伝説のプログラマー、John Carmack のロケット会社が、2012年に風船を使ってロケットの本体とノーズコーンを取り戻そうとした。計画どおりには進まず、 当時の関係当局によると、ロケットはニューメキシコ州のSpaceport America敷地周辺に「ハードランディング」した。

SpaceXの自動着陸ロケットや巨大ネット船と同じように、目的は部品を再利用してロケット打ち上げコストを削減することだ。この最新計画がいつ実施されるか明らかではないが、将来SpaceXが少なくともテストしてみる可能性は高い。

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SpaceXがFalcon 9の50回目の打ち上げとミッションに成功、重量6トンの通信衛星を軌道へ運ぶ

SpaceXがFalcon 9ロケットの50回目のミッションを打ち上げた。搭載したのは静止衛星ペイロードとしてはこれまで最大のHispasatユニットで、そのサイズは都市バスぐらいある。

打ち上げは今朝(米国時間3/5)フロリダ州ケープカナベラルから行われ、計画通り進行してHispasat 30W-6をそのターゲットの静止遷移軌道に配達した。そのStandish衛星は重量が6トンあり、この宇宙企業のこの種の衛星向けとしては新記録となった。

これは、Falcon 9ロケットにとって大きな節目となる。このロケットは、最初のバージョンがSpace Xのためのサービスを2010年に開始した。Space Xはまた最近、初めて同社のFalcon Heavyを打ち上げ、さらに次世代の打ち上げ機BFRを目指している。BFRは、語呂合わせで‘big f*cking rocket’と呼ばれることもある。

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