元Appleのデザイナーと元Twitterのエンジニアがチームを組んで、本日(米国時間5月30日)iOSカメラアプリHalideを発表した。iPhoneの写真撮影に新しいオプションが加わった。質の高い写真を撮るためのさまざまなハイエンドツールを提供することが基本アイデアだが、物理的なカメラのダイアルを操作するときのように、様々な機能がジェスチャーを使った体の記憶として馴染むように工夫されている。
アプリのウェブサイトでの説明によれば、新しいアプリのジェスチャーベースのコントロールスキームは「古いライカやペンタックスといった偉大なフィルムカメラのように、直感的で触覚的」を目指したものということだ。
現在iOS向けには、Camera+やCamera Awesomeのような数多くの代替カメラアプリケーションがあるが、これらは「プロのように撮影したい」多数のユーザーに向けてマーケティングされている傾向がある。一方Halideは、まず第一にパワーユーザーを念頭に置いてデザインされている。つまり、写真撮影をある程度理解していて、露出をすばやく変更したり、スワイプでピントをマニュアル調整するようなことをしたいと思う人には、大いにアピールするということだ。
とはえ通常のiOSアプリのような自動モードも組み込まれている。このことで、トリッキーなショットを撮ろうとするときには、手伝いの必要なこともある初心者iPhoneカメラマンでも、アプリを使用できるようになる。
しかし、この自動モードは”A”ボタンをタップすることで解除することができるようにデザインされており、ISO、ホワイトバランス、シャッタースピードなどの特定の値を調整することができる。また、フォーカスピーキング(フォーカスの当たっている部分を強調表示し、ユーザーがマニュアルでピントを変えることができるようにする)、詳細なヒストグラム、適応レベルグリッド、そしてJPGとRAWによるキャプチャなどのプロフェッショナルツールも含まれている。
Halideは、Ben SandofskyとSebastiaan de Withによって開発された。どちらもハイエンドの写真撮影に関する経験がある。Sandofskyは以前はPeriscopeのビデオ機能に携わり、HBOの”Silicon Valley”とShypの顧問を務め、TwitterでiPhone、iPad、Macアプリケーションの技術リーダーとして働いた。
一方de Withは元Appleのデザイナーで、Sony、T-Mobile、Mozillaなどを顧客としても仕事をしていたことがある。またNylas MailアプリをデザインしたサンフランシスコのデザインエージェンシーPictogramを経営していて、その他にもDoubletwistのデザインなどにも取り組んだ。彼は写真家でもあり、オートバイで旅行するときに写真を撮ることもよくある。
アプリの機能セット以外に、アプリを差別化しているものは、ジェスチャーベースのインターフェースだ。しかし、それらはタップでも利用できるので、すぐにすべてのジェスチャーを覚える必要はない。これにより、全体的な体験がより一貫したものとなり、新規ユーザーがアプリの機能にアクセスする方法を忘れることもない。
チームは、ジェスチャーベースのインターフェースはHalideを使いやすいものにしてくれるものだと考えている。たとえ経験の浅い写真家だったとしても。
「Halideの機能を楽しむには、露出補正、EV、あるいはマニュアルフォーカスなどの概念を理解する必要はありません」とde With。「だからこそ頑固な写真家だけではなく、なるべく多くの人びとに使って貰えることを期待しています」。
このアプリのもう1つの機能が「インスタントレビュー」だ。この機能では撮った写真を左右にスワイプすることで、ゴミ箱行きかお気に入りかをマークすることができる。またHalideで撮影した最後の写真を3D Touchでプレビューすることもできる。
ここ数年でiPhoneのセンサーが改善されて来たにもかかわらず、撮影経験自体が停滞していたことにチームが気が付いたことが、Halide開発のヒントになった。
「友人とハワイに行ったのですが、私は巨大なカメラを抱えてウロウロする奴でした」と、Sandofskyはどのように最初のアイデアを得たのかを説明した。「滝壺近くに行った時には、湿気が原因でカメラのセンサーが結露してしまったので、カメラ内部が乾燥するまで、1日撮影を止めなければなりませんでした」と彼は言う。「翌日は、iPhoneですべてを撮影しました。その当時、iOSには重要な機能が欠けていて、すべてのカメラアプリは問題を抱えていました。にもかかわらず、私はその小さなカメラの品質に感服しました。そして身軽になることで、どんなに旅を楽しむことができるようになったかを実感したのです」。
Sandofskyは、その旅行から自宅に向かうフライトの中で最初のプロトタイプを作成し、その後それをde Withに見せた。するとde Withがユーザー体験に関するさらなるアイデアを持っていることがわかったという。新しいカメラAPIが発表された昨年のWWDCの頃から、開発が正式に始まった。
そして1年後、アプリは発表の準備が整った。
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チームは、新しいアプリがデフォルトのカメラアプリを完全に置き換えるのではなく、ただのスナップ以上の素晴らしい写真を撮りたい時に備えられるようにしたい、と考えている。
このアプリの共同開発者たちはTechCrunchに対して、彼らが「情熱的副業プロジェクト」と呼ぶHalideは、自己資金で開発したものだと語った。
Halideは発売時には2.99ドルだが、来週以降は4.99ドルに値上がりする予定だ。もしそれがうまくいくようなら、チームは将来新しい価格体系を検討するかもしれないが、詳細には触れなかった。
このアプリは英語で提供されており、この後スペイン語、オランダ語、ドイツ語、フランス語へのローカリゼーションが計画されている。
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(翻訳:Sako)