スマート義肢の‘スマート’機能を靴下状のウェアラブルにして超低コストを実現

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義肢の未来が足早にやってくる。3Dプリント、新しい素材、そしてセンサーの内蔵が、古き日のそっけない木とプラスチックに代わりつつある。でも未来はどれも、平等には行き渡らない。そこで、高価な新しい義肢に手が届かない人たちのために、オーストリアの研究者たちが、センサーを取り付けた衣料品で無脳な義肢をスマート化(有脳化)する方法を提案している。

リンツの応用科学大学が開発したそのproCoverと呼ばれる製品は、ACMのUIST(User Interface Software and Technology)カンファレンスで紹介され、最優秀論文の一つに選ばれた。

その論文の序文には、こうある: “感覚をエミュレートできる義肢の開発は、昨今ますます多くの研究者たちが、関心を持ちつつある。しかしながら、この分野における優れたイノベーションの多くが、多くの人びとにとって手の届かないままでありがちである。われわれのビジョンは、既存の義肢に後付けできる、センサーを装備した安価なウェアラブルにより、この落差を填めることである”。

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彼らのソリューションは、義肢のユーザーの多くが、ふつうの手足のようにソックスやグラブを着用することから発想されている。だったら、そのソックスをスマートな素材で作ればよいではないか。そこから、彼らのproCoverは誕生した。伝導性素材の層が圧電抵抗の層をサンドイッチすれば、脚や足首全体をカバーする感圧性のグリッドが作られる。

それを、ユーザーが必要とするときに振動モーターのリングに接続する。脚のある部分が圧力を受けると、その部分のモーターが、それぞれ異なる周波数で振動する。別のバージョンとして、義肢の膝(ひざ)を曲げたときの角度を伝えるものもある。

それは多方向的な柔軟性があり、圧力や位置をローコストで感知できる。フィードバックの機構も非侵襲性(体内に入らない)なので、手術は不要だ。

プロトタイプの初期の実ユーザー実装テストでは、デバイスは構想どおりに機能し、有用性に富むフィードバックが得られたが、ユーザーの実態に応じてのカスタマイズの必要性が明らかとなった。センサーなどの配置位置や、フィードバックの強度などは、カスタマイズが容易だ。またフィードバックを、振動ではなく圧力の増加で表す方法も考えられる。

チームの次の課題は、ソックスの構造をもっと単純化することだ。そして義手のユーザーのためのグラブも、作らなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

子どもが描いたクレヨン画をドレスにプリントしてくれるPicture This Clothing

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人間は、おかしな世界に住んでいる。クレヨンの鮮やかな色で描かれた絵も、端の折れた画用紙の上の二次元の世界では長生きできないが、今度やっと、それにふさわしい人生が与えられたのだ。グロテスクでかわいいぬいぐるみ人形を作るか、または、これからご紹介する新しいサービスでは、すばらしいドレスを作ってもらうのだ。

Picture This Clothingは、MartianCraftのJaimee Newberryが立ち上げたスタートアップだ。彼女は今朝それを、Twitterのツイートで発表している

もちろん、CafePressでシャツをオーダーすれば何でもプリントしてもらえる。でもはっきり言って、そんなのは全然おもしろくない。シャツよりドレスだよ! 膝から肩まで、全面プリントだよ! 背中にも、同じ絵がプリントされるんだ。

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まず、サイズを指定する。それからテンプレートをダウンロードしてプリントする。そして絵を描く。絵が完成したらその写真をアップロードする。そうすると、二週間後にドレスが送られてくる。とくにこの、猫がスクーターに乗ってる絵はいいね(右図、写真の右上部にあるのがオリジナルの絵を描いたテンプレート)。ロックを鳴らして、猫と一緒に踊りたくなってきたよ。

人間(主にその絵を描いた子ども)だけでなく、BarbieやKenなど、お人形用のドレスも作ってくれる。ふつうの形のドレスなら、なんでもOKだ。ただしMattelなんかの関連企業ではないから、ご安心を。

ファウンダーのNewberryは、ドレスがうまくいったら、ほかの物にも広げる、と言っている。その子専用のプラスチックコップとか、ね。

彼女は曰く、“まだこれは概念実証の段階である。今は2〜12歳の女の子のドレスだけだけど、でもこれが好評なら、もっといろんなものに手を広げていきたい。今朝立ち上げたばかりだけど、反響はとっても良い!”。

あなたの子がドレスに関心がなければ、おもちゃに絵をプリントしてくれるBudsiesImaginablesもある。包装紙や旗、などなどをプリントしてくれるサイトもあるよね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

パーキンソン病患者の状態を終日チェックするウェアラブル(+補助アプリ)XEED、徐々に投資家の関心が集まる

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物のインターネットや、とくにウェアラブルは、その誇大な約束にまだ達していないと思うが、パーキンソン病で苦しんでいる人たちの助けにはなるようだ。ペンシルベニア大学工学部の二人の学生が、その可能性を追究するために会社を興した。会社の名前を、XEEDという。

その二人、Sade ObaとAlfredo Munizはヒューストン出身、子どものころからご近所同士で、大学に入る前から、テクノロジーを保健医療方面に活かすことに関心があった。パーキンソン病の治療にウェアラブルが使えるのではないか、という考えは、大学入学後に芽生えた。Obaは機械工学、そしてMunizは電気工学専攻だ。

“二人ともロボット工学を主に勉強しているので、家庭用の移動するスマートホームロボットに関心が向いた”、とObaは言う。“しかし最初に作った製品があまり受けなかったから、専門家にアドバイスを求め、センサーの数を大幅に減らして、人の動きを追跡する用途に特化した”。

パーキンソン病には、間欠的な震えが伴う。それは薬や物理療法でコントロールできるが、震えがいつ起きるか分かればもっと良いし、また患者の、病院へ行くこと以外の行動も知りたい。

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XEEDのブレスレットふうのウェアラブルはユーザーの手足を終日チェックし、震えが起きる時間や震えの強さを知り、またユーザーの自発的な動きの範囲も分かる。そのデータは介護者がアクセスするだけでなく、スマートフォンのアプリに送られて、いろんなアドバイスをしたり、またユーザーが自分の症状改善の進歩を知ったりする。

Obaは大学で作ったビデオの中で、“患者はスマホアプリの情報から、日常の生活や活動の何をどう変えるべきかを理解する”、と言っている。

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データは、患者個人と物理療法士と医師が利用するが、蓄積されてデータベースに入ると研究者のためにも役に立つ。

“今は三つ目のプロトタイプを設計している段階だ”、とMunizは言う。“プロトタイプは50作り、それを小さなグループで2週間テストする。実際に彼らはどんな着け方をするのか、LEDの表示は役に立っているか、充電を忘れることはないか、アプリのどこをどう変えるべきか、などなどをチェックするんだ”。

だんだん完成に近づいているようだが、最終的にはFDAの認可が必要だ。そのお役所では、彼らの製品が医療補助具として評価される。本格生産までまだ道のりは遠いが、小規模な研究はもちろん続けられる。

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二人は昨年、大学の起業支援制度“イノベーション学長賞”により、20万ドルの資金を獲得した。だから、まだまだ当分、研究開発を続けられる。

“数社の投資家も関心を示しているから、ピンチになったら頼ろうと思う”、とMunizは語る。“でも今は、NSFNIH(SBIR)の助成金が欲しいね”。

XEEDは、地元のパーキンソン病リハビリセンターとパートナーしている。今月の終わりごろには、支援などに関してMichael J. Fox Foundationとの話し合いを持つ予定だ。〔Michael J. Foxはパーキンソン病の闘病生活で有名。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

このタトゥーのようなディスプレイは極薄の電子回路保護膜“Eスキン”(E-skin)でできている

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まるでStar Trekに出てきそうだが、バンドエイドよりも薄いフィルムを腕に貼ると、数秒後にそれは、心拍や血糖値などなどに反応してライトアップする。そして数日後には、はがれる。それが、東京大学の研究者たちの目標だ。彼らが発明したのは極薄の“Eスキン”(電子皮膚)で、それが可撓性の電子回路を保護して、皮膚上のディスプレイのようなものを可能にする。

もちろん、皮膚に貼り付ける電子回路は前にもあったし、伝導性のインクで描くやつもあった。しかし回路基板の厚さが1ミリもあれば、可撓性に限界がある。Takao Someya(染谷隆夫)とTomoyuki Yokota(横田知之)が率いるこの研究は、その厚さを大幅に減らす。

このEスキンは、スマート(電脳)なプラスチックラップじゃないか、と冷たく言われるかもしれない。シリコンオキシニトライド(Silicon Oxynitrite)とパリレン(Parylene)の層が極薄の基板を包み、その上に同じく薄くて可撓性のOLEDディスプレイと感光性ダイオード
を載せる。これが皮膚面に広がり、皺にも沿うが、密封性が良いので数日は保(も)つ。それまでの厚いデバイスは、数時間しか保たなかった。

上図のディスプレイは、概念実証である。まだ電源は体温や可撓性電池ではなくて、電極を要する。そしてもちろん、まだ何も読むことはできない。

ペーパーの付録のニュースリリースでSomeyaは、“ディスプレイを体に付着できて、人間の感情や、ストレスと不安の程度を表せたら、どんな世界になるだろうか?”、と問うている。ペーパーは金曜日(米国時間4/15)にScience Advancesに載った

気持ち悪い、と思う人も多いかもしれない。でも、医療や消費者製品の分野には、本格的な応用製品がいくらでもありえる。研究は、われわれをそこに連れて行くことを、目指している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

犬が自分が撮った写真を自動的にFacebookにポストする装具、冗談だが現実に必要かも

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見どころは犬のお顔

Facebookの問題は、犬の写真が多いことではない。犬自身が撮った写真がないことだ。やっとこの災悪に取り組む人が現れたが、残念ながらそれは広告代理店だ。この記事はちょうちん記事ではないけれども、そうであってもおかしくはない。

その“Posting Tail”、と名付けられた、かなり滑稽なプロトタイプデバイスを名犬のために作ったのはSaatchi & Saatchi Madridという会社。しっぽのところのセンサーをRaspberry Piが読み、しっぽの振り方をモニタするが、同社によると、ふつうのしっぽ振りと、興奮時のしっぽ振りを区別するそうだ。興奮を検出するとお尻に装備しているカメラが写真を撮り、それを直ちにモバイルのデータ用のドングルでFacebookへアップロードする。

犬は人間ではないから、犬のアカウントとページを作りたくなるだろう。しかし猿のセルフィー(自撮り写真)の先例が示しているように、犬には著作権がないから、ヴァイラルに得られた収入はすべて飼い主のものだ。

今はまだ1台しかないが、スペインの読者ならPedigree.esに申し込むと、1週間貸してくれる。

この製品自身はかなり冗談だと思うが、こういうものを実際に欲しい飼い主は少なくないだろう。ペットのウェアラブルを作ってる企業がすでに数億ドルで買収されたし、Petcubeのようなデバイスも人気を集めつつある。ソーシャルメディアのプラットホームが実際に犬の背にマウントされるのも、時間の問題だ。しかもそれには、十分に意義がある。

この、すさまじくアホなアイデアを、そのうち実際に製品化してあげるよ、とあなたの名犬に約束してあげよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

データは金鉱であり地雷である

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データサイエンスと医療関連分野で仕事を始めてから5年になる。私はウォートン大学で生物学とマーケティングを学び、膵臓がんの研究をした。そして今私が言いたいのは、テクノロジーとその利用環境が驚異的に進んだにもかかわらず、医療分野はおよそついて行くことすらできていないことだ。

今やどの会社もテラバイト単位の〈データ〉を扱っていると言っている。しかし、スタートアップからFortune 500企業まで、ベイズ統計を導入してユーザーレベルのデータの力を活用している会社を見たことがない。彼らは統計あるいはコンピューター科学の教育を受けた人たちであり、会社の収益を高めるために給料をもらっている人たちなので、そうするためのインセンティブは膨大だ。

これはベイズ理論が著しく複雑であるとか新しいという話ではない ― 名前はややこしそうに聞こえるかもしれないが。ベイズは1761年に死んだ。もしわれわれがテラバイトのユーザーレベル 〈データ〉を持っているなら、なぜプッシュ通知の一つ一つが私の魂を射止めないのだろうか?なぜ、どのウェアラブルにも一日中座っていると心臓病になる時期がわかる健康管理システムが付いてこないのだろうか?

それは、データの収集はほんの第一段階にすぎないからだ。データマイニング[採掘]とは実に適切な用語だ:膨大な量のテクノロジーと人手を注ぎ込み、エンジンをぶん回し、深く堀り進んだ挙句たぶん何一つ見つからない。100%の人々がある行動を示すことを知り、局所的に最適化しようとした結果、そもそもそんな機能を持つべきでないことに気付く。

例えば、脱水症状問題の答えは1時間毎に水を飲むためのプッシュ通知を受けることだろうか?それとも子供の頃に学校が健康的習慣を促進すべきなのだろうか。テクノロジーは毎日何十億ドルも広告に費し、私に炭酸飲料やビタミン水を飲まそうとする ― 実際に体が必要とするものの代わりに。こうした問題は、いずれも〈データ〉の問題ではない。

今データにできること、それは人々の意識を高めることだ。私は10歩しか歩かずドスンと座ってNetflixを見るだけの日があることなど知らなかった。しかし今は、 FitbitStrava(ランニング追跡アプリ)とiOS 8 HealthKitを使って運動を記録し元に戻すべく戦っている。

同じことはVessylにも言える。テクノロジーを駆使したクールなアクセサリーで、1日に飲んだ水の量を追跡する。私がTechCrunch Bostonのピッチオフでしゃべった時、Neumitraという会社は、ストレスレベルをリアルタイムで追跡するものすごいリストバンドを作っていた。

コストはさておき、われわれは臓器を3Dプリント(データ量は多くない)できる時点より手前にいるが、自分の健康を管理しない言い訳ができる時点は過ぎている。テクノロジーの進歩の速さ(Microsoft Word)と対応する医療の進歩(電子カルテ)から判断する限り、正確なバイオマーカー(生体指標)が出来るよりずっと前に、われわれはその特異点を越えているだろうから、賭けをするならそのつもりで。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watch速報―予約は4/10から、出荷は4/24から、価格は349ドルから1万ドル以上まで

今朝(米国時間3/9)、Appleは昨年9月に予告した腕時計タイプのウェアラブル・デバイス、Apple Watchの詳細を発表した。Apple Watchの機能やデザインについてはすでに大量の情報が出回っているが、公式に全貌が明らかになったのは当然、今回が始めてだ。Apple Watchが世界でもっとも人気あるスマートウォッチになることは疑いない。

予約受け付けは4月10日、出荷は4月24日〔日本も同一スケジュール〕から、価格はモデルにより349ドルからなんと1万ドル以上までさまざまなバリエーションが用意される。

バリエーション

Apple WatchはこれまでのAppleのプロダクトと大きく異なり、バリエーションが圧倒的に豊富だ。消費者がモデルを選択しやすいよう、製品はApple Watch Sport、Apple Watch、Apple Watch Editionという3つのコレクションに大別される。すべて角型だが、それぞれのコレクションに38mmと42mmの2サイズが用意される。材質、仕上げ、バンドは非常に多様だ。

Apple Watch Sport

Apple Watch Sportはケースは酸化皮膜処理されたアルミニウムで、スペースグレーとシルバーの2種類のフィニッシュが選べる。このデザインは現行iPhone 6、6 Plusにいちばん近い。カバーのガラスもiPhone同様、特別なイオン加工により強度を高められている。このスポーツ・モデルは柔らかい仕上げのプラスティックのバンドが付属する。バンドは5色用意される。

スポーツ・モデルは3つのコレクションの中では一番安い価格帯となる。プラスティックのバンドは好みが分かれるだろうが、Appl Watchは全モデルがバンド交換式なので、ユーザーは後から好みのバンドに換えることができる。

Apple Watch Sportは38mmモデルが349ドル〔42,800円〕、42mmモデルが399ドル〔48,000円〕。

Apple Watch

Apple Watchは中間価格帯のコレクションだ。ケースはステンレスで、鏡面仕上とマット仕上げのスペースグレーが選べる。ガラスはサファイアクリスタルでスポーツ・モデルに比べていっそう硬度が高い。バンドはスポーツと同じプラスティック、各種バックルを備えたレザー、ステンレスリンク、ミラネーゼリンクが用意される。

Apple Watchの価格はバンドによって異なり、38mmモデルは549ドル(66,800円)から1049ドル。42mmモデルが599ドル〔71,800円〕から1099ドルとなっている。

Apple Watch Edition

Watch Editionはサファイアクリスタルのガラスにローズまたはイェローの18金ケースとなる。価格は他のコレクションよりはるかに高い。 Watch Editionにはケースにマッチする18カラットの金製を含め、専用のバンドが各種用意される。Apple Watch Editionの価格は1万ドル以上〔日本サイトでは128万円モデルから〕となる。

プレインストール・アプリ

Apple Watchにはきわめて豊富な機能が用意されており、カスタマイズのオプションも膨大だ。ディスプレイにはアラーム、天気予報、日の出、日没、クロノグラフ、ストップウォッチ、日程などが対話的アニメーションで表示される。

Appleはデフォールトの「文字盤」デザインをいくつか用意しているが、ユーザーはそれぞれをタッチ方式で簡単に好み合わせてカスタマイズできる。またデフォールトの表示機能には株価モニターも含まれる。

またApple Watchにはデフォールトでカレンダー、地図、リマインダーがインストールされている。腕をちらりと見れば次のアポイントメントがわかる。またミーティングへの招待をApple Watchから承認することもできる。次のアポイントメントに向かって移動中ならターン・バイ・ターンのナビゲーションも表示される。

もちろんサードパーティーのアプリがさらなる機能を提供するはずだ。Appleは今回のプレスイベントでUberを呼ぶアプリ、ホテルの部屋のドアの鍵を操作するアプリ、WeChatでチャットするアプリ、Instagramの写真を表示するアプリなどをデモした。.

デジタル竜頭の横に設けられた大きなボタン(サイドボタン)を押すとひんぱんに連絡する相手がサムネールで表示され、簡単にApple Watch内からメッセージを送ったり通話したりできる。またウォッチの表面に絵や記号を描いて相手に送るスケッチ機能もある。

Apple Watchではメッセージや通話を受信することができるが、いったん上げた腕をそのまま下ろせば無視することもできる。Apple Watchはメッセージや通話の受信時に状況に応じて柔軟に対応を変える「コンテキスト反応」機能を装備しているためユーザーがiPhoneをポケットから引っ張りだす回数を大幅に削減できるという。マイクとスピーカーを内蔵しているので、Apple Watchで音声通話が可能だ。メールの件名で対応を判断することもできる。全体としてiPhoneの利用を時間のかかる重要なタスクに限ることができるだろう。

機能

Apple WatchにはiPhoneの機能と重複するというよりもウェアラブルのメリットを生かし、スマートフォンを補完する機能が豊富に組み込まれている。現行のiPhoneやiPadに組み込まれていないセンサーなどはその一例だ。

Apple Watch独特の機能には、ユーザーが表面をタップすると相手にそのタップが伝わる機能、内蔵された心拍モニタから得られた拍動を相手と共有すハートビート機能などがある。アクセサリとの接続はBluetoothで、デジタル竜頭を回転させることでオプションが選択できる。これによって狭いディスプレイの有効活用が図られている。

バッテリー駆動時間

Appleがバッテリー駆動時間で苦労しているという噂が流れていたが、今回のイベントでAppleは「通常の使用で18時間もつ」と発表した。もちろんこれは利用方法によって大きく変わるはずだが、Appleは「一日もつバッテリー」と呼んでいる。

〔日本版〕Appleの日本サイトですでに詳しい紹介が行われている。予約注文は4月10日から、発売は4月24日から。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ティム・クック曰く、Apple Watchは4月に発売


Apple Watchは4月から一般販売が開始される、とApple CEO Tim Cookは語った。Cookは今日の2015年Q1収支報告会見で、この目標とする発売予定時期を明かした。昨年9月にApple Watchが初めて発表されたとき、発売時期は「2015年初め」と説明されていた。

Apple Watchの発売日は、発表以来あらゆる噂の対象となり、最近では3月という報道もあった。Cookが実際の発売日を多少でも明らかにしたことは、通常は未発売製品の確実な発売日を決めないAppleらしからぬ行動だが、何ヵ月も前にこのハードウェアの予告発表をしたこと自体、既に標準的手順から外れていた。

しかし、Apple Watchのより具体的なスケジュールを決めることによって、噂された3月にこのウェアラブルが登場しなくても誰も驚かないことが約束される。さらにデベロッパーがソフトウェアの適切なリリース時期を決めるのにも役立つ。Watchのプラットフォームをターゲットにしたいデベロッパーは、今のところバーチャルシミュレーションだけが頼りで、デッドラインも設定されていなかったが、4月という出荷時期が発表されたことで明確な目標が出来た。

AppleがApple Watchを事前発表した決断の裏には、デベロッパーをプラットフォームに引き入れたいという事情もあったので、今回の発表はその点でも有効だ。製品発表にまつわる通常に秘密性もこのケースには必要ない。昨年の事前発表によって既にWatchへの期待は広く抱かれている。

「私は毎日使っているが、とても気に入っていて、これなしでは生きられない」とCookは会見で語り、同製品に対する彼自身の興奮を表した。さらに彼は、Appleはもっと早く出荷したかったのではないかというアナリストの質問に答えて、4月という時期はAppleが定義した「2014年初め」の範囲内であることを強調した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


新しい「ドライ」心電センサーが、ウェアラブル医療機器への道を開く


ノースカロライナ大学の研究者らが、「ドライ」心電センサーを開発した。患者の心臓の状態を高精度で監視し、長時間装着することが可能だ。従来の心電センサーは、患者の皮膚との間に濡れたゲル物質を介在させる必要があり、長時間装着することができなかった。新型のセンサーは皮膚に装着され、情報を携帯デバイスに送信することによって、心臓の挙動をより詳細、高精度に監視する道を開く。

「過去数年間、他にもドライ電極が開発され、中にはウェット電極に対抗する可能性を示すものもあったが、われわれの新しい電極は、既存のドライ電極の殆ど ― あるいはすべて ― よりも信号品質が優れている」と、同大学機械・宇宙工学部准教授のDr. Yon Zhuは語った。「さらに、われわれの電極は頑強であり、それはポリマーの中に細いワイヤーを組み込んでいるからだ」

センサーは現行の心電計と互換性があるが、移動する患者にも利用できるため、ポータブル機に最適だ。価格が安いため貼ったまま忘れてしまってもよい。「センサーの原材料費は既存のウェットセンサーと変わらないが、製造プロセスを改善してさらに全体コストを下げる方法を検討している」とZhuは言った。

これは、ウェアラブルの世界にとって興味深い参入だ。Bluetoth塔載の低電力デバイスを、半恒久的な心電計と接続することによって、運動能力や心臓に障害のある患者が、自分の限界や潜在能力を知る手助けができる。従来のウェット電極と異なり、本当にウェアラブルなので、長時間、就寝中でも着用したままでいられる。本システムは、銀製ナノワイヤーのメッシュをポリマーで包むことによって作られており、大きさは25セント硬貨(約24 mm)くらいだ。

via Eurekalert

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」発表、だがそれは想像とちょっと違った

SXSW 2013にて「Telepathy One」が発表されてから1年半、2014年6月には創業者であり代表を務めていた井口尊仁氏の退任騒動も起こった(現在井口氏は同社のフェローという肩書で活動している)が、Telepathyがその製品の詳細を発表した。Telepathyの日本法人であるテレパシージャパンは12月18日、ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」を発表した。同日よりデベロッパー向けの申し込みも受け付ける

Telepathy Jumperはこれまでのデモ機やモックアップにあったように、メガネ状(厳密には耳から後頭部、反対側の耳までをぐるっと回りこむデザインになっている)のウェアブルデバイスではない。カメラやディスプレイ、マイクを備える「ディスプレイユニット」と、バッテリーや操作ボタンを備えた「パワーユニット」をケーブルでつなげた形状で、ケーブル部を首にかけて使うのだという。医者が首からかけている聴診器をイメージすると分かりやすいかもしれない。

ちなみにモニタ部を目の前に固定する場合、専用のアタッチメントが必要となる。アタッチメントのデータはオープンソースとして公開。自身の頭部のサイズに合わせてデータを加工した上で、3Dプリンターで打ち出して利用する。

アタッチメントをつけてTelepathy Jumperを耳にかけたところ

ディスプレイユニットには、qHD(960×540)のディスプレイ、500万画素・オートフォーカスのカメラ、2つのノイズキャンセリング機能付きマイクなどを備える。パワーユニットには操作用のボタンのほか、1000mAhのバッテリー、8GBのメモリなどを備える。OSはAndroid 4.2で、ネットワークはBluetoothとWiFiを利用できる。実際にデモ機を使用させてもらったところ、ディスプレイは非常に明瞭。周辺の光が強い環境でもはっきり見ることができた。ただ、デモ機はモニターに映像を流しているだけだったので、聴診器型(便宜上こう呼んでおく)であるメリットがイマイチ分からなかった。2015年3月に法人向けに販売を開始し、来夏をめどに一般向けの販売を進める。なお価格は未定。

一般向けの販売に合わせて提供予定のアプリケーションも2つ紹介した。1つは、他のユーザーが見ている(カメラで撮影している)景色をあたかも目の前の景色のように閲覧できる「Eye Connect」、もう1つはユーザーが持っている特技などを、Telepathyを使って他のユーザーに教えたり共有したりできる「Talent Buzz」だ。Telepathy Jumperは「共創」をテーマにしているとのことで、そのテーマに沿ったアプリとなる。また仕様の詳細などは明らかにされなかったが、サードパーティーによるアプリケーション開発も検討する。

「以前から開発していた」という聴診器型デバイス

これまでのデモ機でメガネをイメージしていたこともあって、その形状には驚いたのだけれど、テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏によると、「ユーザーテストで分かったのは、常にディスプレイが目の前に必要ではないこと」なのだそう。このような気付きから、これまでもメガネ型のデバイスと並行して聴診器型のデバイスも研究・開発していたそうだ。

実はTelepathy Jumperのバッテリーの容量は現在主流となっているスマートフォンの半分程度。そう考えると素人目にもメガネに仕込むにはちょっと大きいように感じる。実際以前にも複数の関係者から「メガネサイズでバッテリーの容量を確保するのは難しいのではないか」という話を聞いていた(が、今回の形は想像していなかったのでびっくりした)。なので、バッテリーの容量確保のためにメガネの形状を諦めたのではないかとも鈴木氏に聞いたが、あくまでメガネという形状での不便を解決するために現状の形になったという説明だった。たしかに普段使うメガネの上に、さらにメガネ型デバイスはつけていられない。

テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏

すでに日立ソリューションズなど複数社での試験利用も始まっている。両手が自由に使えるウェアラブルデバイスは、工事や建築から製造、病院など、さまざまなビジネス現場でニーズがあるのではないかという話は各所で聞く。「聴診器型」である必要性はさておき、Telepathy Jumperのニーズもそこにあるはずだ。

また、鈴木氏は同日の会見でのプレゼンの中で「利用シーン」として東京ディズニーランドの写真を使用しており、質疑では同施設との関係について記者から質問が飛んだのだけれども、「数社とどのようにビジネスが構築できるか話をしている。ディズニーランドはまた後日ということでお願いしたい。(対応は)広報に任せます」(鈴木氏)とだけ回答していた。

ともかく、かつて代表だった井口氏が語った「2014年に届けたい」というスケジュールにはギリギリ間に合わなかったが、少なくとも2014年中にその姿が明らかにされた。この発表について井口氏がどう思っているかも鈴木氏に聞いたが、「海外にいて、ここ(会見)に来る前には話をしていないので心境は分からない」とのことだった(ただし、Telepathyのミーティングなどには参加しており、西海岸の情報などを共有してくれているそうだ)。


Intel、Google GlassパートナーのLuxotticaと提携してスマートグラス分野への参入を画策中

Intelは、本気で(顔面)ウェアラブル市場への参入を目指しているようだ。次バージョンのGoogle Glassに搭載されるチップを提供予定であるとの話も入ってきた。それに加えて、Google GlassのパートナーでもあるLuxotticaと提携するとのアナウンスも発表されたのだ。ちなみにLuxotticaはOakley、Persol、Armani、あるいはCoachなどのブランドの眼鏡を手がけているメーカーだ。今回の提携によって今後、複数年にわたってリサーチや開発などを共同で手がけ、今後のスマートグラスの普及に道筋をつけたいとしている。

どのような役割分担で、どのような行動をしていくのかということについての詳細は明らかになっていない。しかし、2015年にはLuxotticaおよびIntelの共同作業に基づくプロダクトをリリースしようという考えであるとのことだ。Intelの狙いとしては、ウェアラブル分野でぜひとも主導権を握りたいということがある。大いに普及した「モバイル」プロダクトでは主役の座をQualcommなどに奪われたこともあり、その轍を踏むまいとして具体的な行動に移ってきているのだ。

スマートグラスが今後どのようなポジションを占めるようになるのかは、未だいっさい不明の段階ではある。しかしIntelとしては、ともかくモバイル分野で陥ってしまった大失敗は避けたいという考えがあるわけだ。モバイルの重要性を見損じていたという反省があるのは間違いない。Luxotticaの関わるブランドの影響力を考えても、Intelの積極的な動きが市場に何らかの影響を及ぼすことは間違いない。

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(翻訳:Maeda, H


このスチームパンクなブレスレットで、テトリスをプレイしよう


Keven Batesは、Arduboyというプログラマブル名刺を作った男だが、次のプロジェクトは、最高にクールなブレスレットの中に詰め込まれている。この銅でできた回路基板むき出しの(当然水濡れ禁止)ウェアラブルは、小さな液晶画面でテトリスをプレイできる。ブレスレットの左右をタップして移動したブロックが、複数に分割された画面を上から下へ落ちてくる。スコアも残る。

このブレスレットは現在プロトタイプだが、Batesはこれに3Dプリント部品を加え、本物のウェアラブルらしくして、見た人がショックを受けないようにする予定だ。ブレスレットには小さなコンピュータが塔載されていて、完全にプログラマブルだ。誰か腕Angry Birdsを作らないかな?

via Giz

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


暖房付きスマートインソール? 次はいったい…

つながってアプリで制御できる日常製品に、はたして限度はあるのだろうか。正常心とスマホのバッテリー寿命は〈ある〉と言いたいかもしれないが、近々スタートするKickstarterプロジェクトは〈ない〉と言っているようだ。このつながって暖房するインソールは、ランナーの足を暖めながら歩数を計測する。

Digitsoleという名前のその商品は、初めて見る「スマート・インソール」ではない。Googleは2013年3月のSXSWで、つながって、喋るシューズをアートプロジェクトとして披露した。最近では、Bluetooth対応シューズ/インソールのLechalが登場し、足の触覚にフィードバックして地図を見ることなく道案内をしてくれる。さらには、ランナーの足が地面とどのように接触しているかを正確に分析し、リアルタイムで触覚フィードバックを返して走り方を調整できる、スマート・ソックスまで現れた。実用的かといえば、そう、かもしれない。

そして今、つながる加熱インソールが出てきそうだ。専用Android/iOSアプリをスワイプするだけで、最高40℃まで1回の充電で最長8時間暖めることができる。充電は後端のUSBポート経由で行う。

足の指を甘やかすためのアプリ? 世界で最初の実は問題でない問題の一つにも聞こえる。それでも、凍てつく寒さの中を走るしもやけがちな人にとっては、天の恵みに感じられるかもしれない。

オンデマンドの足暖房に加えて、Digitsoleの袖の中、いや靴下の中には他に2つ機能がある。歩数と消費カロリーを ― 同社曰く ― ウェアラブル・フィットネス・アームバンドより正確に測定する。なぜなら、Digitsoleは両方の足にあるので、何歩走ったかを正確に知っているからだそうだ。

Digitsoleを作ったフランスの開発者たちは、暖房インソールの夢を実現すべく、Kickstarterで4万ドルの調達を目標にしている。果たして彼らは、ファンシーなBluetoothフットウォーマーのために99ドルを手放そうという人たちを十分な人数説得して、1月の寒さに間に合わせることができるだろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


スマートウォッチの盤面は矩形にかぎる(円形はノー!)

スマートフォン界隈は今、円形のウォッチの話題で盛り上がっている。今年の初めにLGとSamsungが両社の初のAndroid Wearスマートウォッチを発表したとき、評論家たちの反応は冷ややかだった。それは彼らの心が、円形のMoto 360に傾いていたせいでもある。その後この二社からは、せっかく発売した矩形のウォッチの話があまり聞かれなくなり、みんなが今だにMoto 360を待ってる中で、今度は当のLGが円形ウォッチG Watch Rでこの騒動に加わってきた。

そのG Watch Rは、LG自身の画像では、すごく良い。ふつうの機械式ウォッチみたいだ。スペックによると画面の解像度は今のG Watchよりやや高いぐらいだから、この画像は少々あやしいかもしれない。

LGが製品のデザインに真剣なのはよろしいけど、でも一般的には、円形ウォッチにそれほどのめり込む気持ちにはなれない。盤面が円いと、いかにもウォッチらしく見えるが、ウォッチではなくAndroid Wearという多芸なシステムを載せたスマートウォッチとして見ると、円形の盤面にはかなり問題がある。

円形のウォッチは時間を見るための機械式ウォッチとしては良くても、スマートウォッチは時間を表示するだけでなく、ほかにもいろんなことをする。たとえばAndroid Wearの得意技(わざ)である通知は、画面が円いと見づらい。円形の盤面に通知が表示されると、無駄なスペースが多くなり、通知そのものは円の下半分に表示されるので、ちょっとおかしな感じだ。

しかも、スマートウォッチは電池が小さくて電池寿命が短いことを忘れるべきではない。電池寿命を節約するために、時間だけを表示しているときには画面をやや暗くした方がよい。しかしこのとき、矩形のウォッチなら文字を大きくできるので、時間をすぐ読めるが、円形では文字を大きくすることが難しい。しかも、円形ウォッチで文字を大きくしたら、逆に非常に見づらくなるだろう。

今のLG Gウォッチでも、使いやすいなと感じるのは盤面の文字(数字)が大きい機種だ。腕を振って画面を明るくせずに、薄暗い画面のままで時間がすぐわかるスマートウォッチは、円形の機種の中にはない。G WatchはディスプレイがOLEDになるので、かなり良くなるとは思うけど、たぶん抜本的解決にはならないだろう。

来週ごろMoto 360の最終製品バージョンが出るらしいから、その円形の盤面でも、これらの問題をチェックしてみたい。

円形の盤面よりは、矩形で曲面(もしくはフレキシブル)のスクリーンなら、腕のカーブにフィットするからスマートウォッチに向いているだろう。それに、時間を見るためにだけウォッチが必要な人には、ほかにも選択肢いろいろたくさんある

異論反論はご遠慮なく、コメントとしてお寄せいただきたい。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アルツハイマー病患者のためのウェアラブルでYbrainが$3.5Mを調達

アルツハイマー病患者のためのウェアラブルを作っている韓国のYbrainが今日(米国時間8/27)、Stonebridge Capitalが率いるシリーズAの投資ラウンドで350万ドルを調達し、調達総額が420万ドルになった、と発表した。協同ファウンダのSeungyeon Kimが本誌に語ったところによると、資金は同社のウェアラブル製品の臨床試験と製造に使われる。

同社は2013年に、California Institute of Technology(カリフォルニア工科大学, カルテック)で学んだ神経科学者Kyongsik Yunと、Samsung出身の技術者たちによって創業された。

Ybrainは今、韓国のSamsung Medical Centerで臨床試験を行っている。

Kimによると、同じくウェアラブルデバイスを作っているSoterix Medicalが、Ybrainの至近で直接の競合企業である。PfizerやNovartisなどの製薬企業は間接的な競合企業だ。彼によるとYbrainは、ウェアラブルの健康器具でアルツハイマー病のための臨床試験を行っている唯一の企業だ。

Ybrainのウェアラブルデバイスは一種のヘッドバンドで、前面に二つのセンサがあり、それらが2ミリアンペアの電子的信号を発して脳を刺激し、アルツハイマー病の症状を抑える。患者は自宅にいながら、このデバイスを一日に30分、週に5日装着する。このヘッドバンドは、軽度の認知症に対しても有効である。

これまでの臨床試験によると、同社のウェアラブル製品は、アルツハイマー病に対する従来の投薬治療よりも20ないし30%は効果が高い。“それが投資家を前向きにした”、とKimは語る。

臨床試験が終わり、合衆国のFDAや韓国のKFDAが承認すれば、同製品はオンラインあるいは病院で買えるようになる。

Stonebridge CapitalのアナリストFortune Sohnは、声明文の中でこう言っている: “アルツハイマー病のエキスパートの多くが、新薬の登場は2025年以降になる、と予測している。Ybrainの世界で初めての、アルツハイマー病患者のためのウェアラブルは、優れたソリューションになるだろう”。

[出典: BeTech]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


“活動量計もどき”はいらない–オムロンが30億円規模のベンチャー投資

京都府京都市に本社を置く大手電機メーカーのオムロンが、7月1日付で投資子会社のオムロンベンチャーズを設立。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として、2016年までの3年間で30億円規模のベンチャー投資を実施することを明らかにしている。

オムロンと言えば、コンシューマ向けの健康医療機器から制御機器や電子部品、車載電装部品などさまざまな事業を展開している。時価総額ベースで1兆円近い大企業がこのタイミングでベンチャーと組むことを決めた理由はどこにあるのか。

実は日本最古の民間VC設立にも関わったオムロン

実はオムロンは、日本最古の民間VCの設立にも関わっているそうだ。オムロン創業者で当時の代表だった故・立石一真氏が、京都経済同友会のメンバーとともに1972年に立ち上げた「京都エンタープライズディベロップメント(KED)」がそれだ。同社は日本電産などへの投資を行い、1979年に解散している。ちなみにKEDの設立から約2週間後、東京ではトヨタ自動車などが出資する日本エンタープライズ・デベロップメント(NED)が設立されているそうだ。

オムロンベンチャーズ代表取締役社長の小澤尚志氏

最近では通信キャリアだってテレビ局だってCVCを立ち上げているが、オムロンもそんな流れを受けているのだろうか。オムロンベンチャーズ代表取締役社長で博士の小澤尚志氏に率直に聞いたところ、「(オムロンベンチャーズを)立ち上げる中で知ったのだが、案外世の中ではやっていたとは知らなかった」と語る。

オムロンでは、2011年から10年間の長期経営計画「VG2020」を掲げており、その中でも2014年以降では「地球に対する『新たな価値創出』へつながる新規事業づくりに取り組む」としている。この経営計画の中で、ベンチャー投資の可能性を模索していたのだそうだ。

「オムロンは『ソーシャルニーズの創造』を掲げてきた会社。世の中で解決しないといけない課題を技術というよりはコアバリューとして提供してきた。例えばオムロンが世界で初めて提供した自動血圧計。これによって、これまで病院に行って看護師を必要としていた血圧測定が、家庭にいながら実現できるようになった。これは健康状態を手軽に見られる、より長く健康に生きたいという課題を解決しようとしたもの」(小澤氏)

オムロンは「課題解決のための会社」と語る小澤氏。もちろん自社に技術があればそれは活用するが、技術がなければ世の中の別の場所から獲得してくることもいとわないという考えだという。「本質的には、持っている要素技術でどんな課題を解決できるかを考えるのではなく、まず先に課題とその解決方法を考えている」(小澤氏)

しかしそうは言っても大企業の中でイノベーションを起こすのは難しいのは小澤氏も認めるところで、「いいモノを安く作るのは得意だが、新しいモノを作るのはなかなか大変」と語る。そこでオムロンベンチャーズを立ち上げ、速いスピードで投資し、協業できる体制を作る狙いがあるという。

オムロンベンチャーズは、ファンドを組成せず、オムロングループの資本をもとに投資を行う。対象とするのは「安全・安心センシング」「ライフサイエンス」「ヘルスケア」「ウェアラブルデバイス」「IoT」「環境・エネルギー」「農業関連」といった分野。オムロンベンチャーズがオムロングループ各社の新規事業のニーズをヒアリングし、協業の可能性のあるスタートアップを中心に、数千万円から数億円程度の出資を行う予定だ。すでにセンシングや農業関連の分野では具体的な話が進んでいるとのことで、第1号案件については、早ければ9月にも決定する予定だ。

モノづくりのノウハウをスタートアップに開放

小澤氏によると、今後は加工機や成形機など、自社グループの設備に関しても投資先に開放することを検討しているそうだ。「例えばfoxconnのようなEMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託生産サービス)がハードウェアベンチャーを助けているところがある。我々もハードウェアを安く製造できるノウハウや検品のノウハウなど、一通りの『モノづくり力』を持っている。そしてグローバルなネットワークもある。逆にベンチャーマインドやそのスピード感、テクノロジーは弱い。ならば我々がやるべきなのは、自分たちの能力やアセットをシェアすることだ」(小澤氏)

例えばスマートフォンアプリであれば、ここ数年のクラウドの普及によってスケールのための課題はある程度解決されたかも知れない。だがモノづくりとなるとQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)が求められる。その課題を解決するパートナーとしては最適だと小澤氏は語る。

ハードウェアのQCDまでケアできる連携体制と聞けば、ハードウェアスタートアップにとっては期待が高まるかも知れない。実際、ハードウェアスタートアップ関係者から、部品の調達や組み立てに苦労したという話を聞くことは多い。

しかしこの取り組み、M&A先の発掘のための施策にも見えなくもない。小澤氏も「本音を言うとそれがないわけではない」と可能性については否定しないが、あくまでM&Aありきという話ではないと続ける。「M&Aは場合によりけりだと思っている。パートナーという距離のままのほうがいいケースとよくないケースがあると思っている。グループに入った瞬間、大企業のしがらみだってあるはずだ」(小澤氏)

「活動量計もどき」のウェラブルデバイスはいらない

さて、オムロンベンチャーズの投資領域には「ウェラブル」とあるが、オムロンと言えばこれまでにも歩数計や活動量計など、(今時のウェアラブルデバイスとは方向が異なるが)ヘルスケア関連のウェアラブルデバイスを提供してきたメーカーだ。どういうスタートアップと連携する可能性があるのか、改めて聞いてみたところ、小澤氏は以下のように語った。

「血圧、活動量、睡眠時間については、(デバイスを)持っているのでもういいんじゃないかなと思っている。だがこれらのデータを使ってアプリを開発してもらう、さらには身体的な情報だけではなくて、意思やメンタルに関する情報までを取得しないと総合的な健康というのは見ることができないと思っている。活動量計もどきのウェラブルには正直興味がなくて、もっと先を一緒に考えたい」


Google Glass、ついに海外展開を開始

水曜日にマウンテンビューで開幕するI/Oデベロッパー・カンファレンスを目前に控え、Googleは現実拡張ウェアラブルデバイスであるGoogle Glassの国外販売を開始した。

これは4月にアメリカでの販売を招待制から、オープンなものに切り替えたのに続く措置だ。徐々に世界中の利用者に向け提供されていくことになるのだろう。

今回オープンとなったのはイギリスでの話で、これでマウンテンビュー風音声コントロールヘッドアップディスプレイを英国人も操作できるようになる。かなりの額(£1,000)を必要とはするが、Googleパワーを常に身に付ける人間カムコーダーとして活躍できるようになるわけだ。但し、知人をちょっとびっくりさせたいというだけならば、もう少し安い方法を考えた方が良いとは思う。

Google Glassの販売はGoogle Playにて行われる。依然としてExplorer Editionと呼ばれる早期体験希望者向けのベータ版という位置付けではある。Amazon Fire Phoneより高額で、利用する確かなメリットがなければなかなか手を出しにくいプロダクトではあるだろう。

それでも目の前に情報を投影させる機能を使うことにメリットが有ると考える人は、タンジェリンやスカイなどを含む5色から選ぶことができる。好みのフレームおよびシェードが同梱される。

(尚、ダイアンフォンファステンバーグのデザイナーフレームの販売も開始されたが、こちらは今のところアメリカ国内のみでの販売となっている。)

イギリス人向けGoogle Glassアプリケーションとしては、ガーディアン(Guardian)のものがある。最新ニュースやヘッドラインをGlassで確認することができる。また音楽検索アプリケーションのShazamや、フィットネスをゲーム化して楽しむZombies, Run!などは必携アプリケーションかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Telepathy CEOの井口尊仁氏が退任–詳細は続報にて

数日前から関係者の間では噂になっていたのだが、ウェアラブルデバイス「Telepathy One」を開発中の米Telepathy CEOである井口尊仁氏が退任したことが、関係各社への取材で分かった。

井口氏はTechCrunch Japanが手がけるスタートアップ向けイベント「TechCrunch Tokyo 2013」(当時僕はまだスタッフではなかったのだけど)にも登壇して、2014年内にもデバイスの提供を目指していると語ってくれていた。

TechCrunch Japanでは現在、日本にいるTelepathyのメンバーへのコンタクトをしている。詳細については追ってレポートする。


文字通りウェアラブル(”着る”)なカメラNewViewWearなら撮(ってる/られてる)ことを意識しない

Elvis Costelloに、“Watching the Detectives”(探偵を見張る)というヒット曲がある。探偵を見張ることは実際には難しい。でも、いつでもonでいつでも撮影中のウェアラブルカメラNewViewWearなら、あなたはどんな凄腕の探偵でも”shoot, shoot, shoot”(撮る、撮る、撮る)できるし、彼がどこへ隠れようとしても “red dogs under illegal legs”(赤犬を連れた不法侵入者)であることがばれる*。〔*: これらは”Watching the Detectives”の歌詞の一部。〕

ライフキャスティングの人気がなくなったのは、それがちょっと気持ち悪いからだが、NewViewWarは無視できない。一見ただのシャツだが、中に常時onのカメラが隠れている。今Indiegogoで10万ドルを募集しており、出資すると小さなカメラと、撮影用の穴の開いたシャツをもらえる。カメラは、三回タップして目の前で起きた事象…5分間の過去…を記憶させたり、あるいは一日中撮りっぱなしにして、寝る前にその日一日をじっくり振り返ることもできる。

シャツとカメラのセットで199ドルだが、撮影モードは、連続撮影、ループ撮影、自動撮影から選ぶ。時間差撮影もできる。1080pのカメラとしては最小のサイズだし、一回の充電で数日使える。microSDカードでストレージを増量できる。

ビジネスでも私生活でも、人との対話を記録しておくことが今後重要になるにつれて、こんなデバイスの利用が増えるだろう。それはまるで、自分専用のInstagramが常時onになったようなものだが、いずれロシア人がダッシュボードカメラとして利用するようにもなりそうだ。でもそうなると、裸で運転は禁物です。冗談はさておき、これが今後どんな使われ方をするか、興味津々だ。自分が誰かに撮られていることがわかったら、あなたならどうするかな?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Tobiiの新しいメガネは、視線追跡研究を進歩させる

視線追跡のプロであるTobiiが、最新の視線追跡分析のために作ったメガネとソフトウェア、Tobii Glasses 2を発表した。様々な状況、場所で「実世界の凝視データをリアルタイムで取得する」ために作られたTobii Glasses 2は、軽量(45グラム)で邪魔にならず、ユーザーの凝視データを1080pのHDで記録する。システムは、追跡用メガネ、撮影データをメモリーカードに保存できる小型記録ユニット、およびTobii Glasses Controllerソフトウェアからなる。

ウェアラブルデバイスの話題があふれる昨今、消費者ではなく研究者に焦点を合わせた新製品が発表されることは、ある意味で新鮮に感じる。

同社にとってこれが初めての視線追跡メガネではないが、前作と比べて新モデルは少しスリムになった。改訂されたソフトウェアには、使用者の視界をライブで見る機能が追加され、True Viewと呼ばれるHDシステムでは視線の移動を再現することができる。

一度でも製品開発か広告(デジタルでもそうでなくても)業界で働いたことのある人なら、この道具が調査の至宝であることがわかるだろう。視線追跡は、様々な種類のソフトウェアおよびハードウェアシステムのデザイン方針を決定する際、極めて重要な価値を持っている。

これと同じような製品による、実に説得力のあるユースケースを以前本誌で紹介したことがあるが、Tobiiの構想も非常に魅力的だ。小売店のショッピング体験はもちろんのこと、アスリートが標的を見る方法を追跡したり、運転者が案内に従って走る時など応用は無限だ。

同社は、サイネージ、シミュレーター、コントロールパネル、モバイル機器、社会調査、グループダイナミックス等における利用の可能性も挙げている。

これは、企業向け製品である消費者向けではない。Tobii Glass 2の価格は1万5000~3万ドルで分析パッケージは別売り。注文は今日から受け付け、出荷は2014年10月からの予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook