テスラの全電動ATVがCybertruckのイベントでサプライズデビュー

米国時間11月22日のCybertruckの初舞台は、Tesla(テスラ)のCEO Elon Musk(イーロン・マスク)氏にとって決して、まったく無難なプレゼンテーションではなかったが、でも彼の「One More Thing」は鮮やかだった。それは、Teslaが未来のピックアップトラックとペアで作った、全電動の全地形対応車(ATV)だ。

この電動ATVについてステージで十分に説明されず、主に同社のEVトラックであるCybertruckのボディーとアクティブサスペンションが積載荷重にどう対応するかのデモのために利用された。とはいえ電動ATVは本格的な自動車であり、テスラはATVがCybertruckから充電できることを強調した。

このATVの価格や発売日は明かされなかったが、デモのドライバーは実際にステージでそれを運転してCybertruckのボディーに乗ったので、すでに完動品であることは確かだ。本命のCybertruckと同じくボディーのデザインはたくさんの交差する面と角(かど)があり、塗装がマットな黒なのでステルス爆撃機のATVバージョンのようだ。

過去にマスク氏が電動オートバイについて語ったときは、彼はむしろ電動アシスト自転車に関心があったので否定的だった。2018年の株主総会でも、オートバイは予定にないと言い、同じ年に自転車の構想を広めようとした。

しかしATVはかなり違う自動車で、路上の使用よりもむしろ、娯楽や便利グッズのような位置づけだ。テスラ自身は、どんな使われ方を想定していただろうか。CybertruckのATVエディションなら、かなりの需要がありそうだが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボットの日常化を目指すAlphabetのXがゴミ分別ロボットを公開

Alphabet(アルファベット)の、かつてGoogle Xと呼ばれていた子会社、X(エックス)は、野心的な“新たな挑戦”に取り組むことを専業としている。商品開発ではなく、SFの話だと思われそうなテクノロジーの応用方法の研究だ。そのひとつに、オフィスのゴミを分別するロボットがある。

エックスは他のアルファベットの子会社とは違い、何をしているかを、ある程度進展するまでは公言しない。そんなエックスが、「この数年間」頑張ってきたEveryday Robot Project(日常ロボットプロジェクト)がそのレベルに達したと発表した。プロジェクトリーダーのHans Peter Brondmo(ハンス・ピーター・ブロンドモー)氏は、11月22日のMediumの記事でそれを語り、このプロジェクトの意味や、何を目指しているのかを説明した。

ブロンドモー氏は現在のロボティクスを、実用化はされているが、専門教育を受けた決められたコンピューター・オペレーターが、特別な場所で専門的な目的のためだけに使えるものだった1950年代から60年代のコンピューターとを比較している。そこで彼らの挑戦だが、コンピューターの時代と同じように、ロボットの時代を招こうというものだ。言い換えれば、普通の人たちが日常的にロボットと暮らし関われる世界を築こうとしている。

それは、みなさんが思う以上に平凡で複雑なチャレンジだ。ロボットは、私たちが日常的で当たり前と感じているものすべてを備えなければならない。周りを人々が歩き回ったり、あるときは角に置かれていたゴミ箱が翌日は消えていたり、家具があちらこちらに移動したり、気象条件が変化したりと、日常生活で私たちがまったく当たり前であり、それでいて毎日の予測が難しいあらゆる物事だ。ロボットは、特定性と正確性が高い仕事を得意とする。とくにプログラミングにおいてはそれが顕著だ。

日常ロボットプロジェクトは、それを踏まえ、実際の人間が日常生活で本当に便利だと感じるロボットを作ろうと即座に決意した。その鍵となったのが、「プログラムすること」ではなく「教えること」だとブロンドモー氏は言う。つまり、Google AIのチームと共に、まずは研究室で、次に外の世界で研究を進めているということだ。そして今回、その段階に達したロボットの詳細が発表された。エックスのオフィスで出たゴミを分別をするロボットだ。

このロボットは、シミュレーションや強化学習など、さまざまな技法で訓練され、実際に廃棄物汚染の度合いを、およそ20パーセントから5パーセント未満にまで低減することができた(たとえば、所定のゴミ箱に間違ったゴミを入れてしまったら、そのゴミ箱の中身全体がリサイクルされることなく埋め立てられてしまう)。公的機関からグリーンな職場と認定されたビルで働いたことのある人なら、全般的な影響力として、どれほど素晴らしいことかわかるだろう。

大きなオフィスから出たリサイクルゴミが埋め立てに回されてしまう量を減らせることとは別に、今回の成果によって、ほぼすべての人にロボットを日常化するといエックスの究極の目標が実現可能であることが証明された。私たちが毎日持ち歩いているスマートフォンを一般化されたコンピューターの姿とするなら、ロボットがごく当たり前の相棒になる日までにはまだ遠い道のりがあるものの、その方向に一歩踏み出したと言える。

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(翻訳:金井哲夫)

iPad用Photoshopのロードマップを発表、「被写体を選択」は今年中に実装

Adobe(アドビ)は、iPad用Photoshopのリリースに関してかなりの批判を浴びた。多くのユーザーが期待していたほどの機能がそろっていなかったというのがその主な理由だ。多く野ユーザーは、このiPadOS用の最初のバージョンがデスクトップ版のPhotoshopと同じように、フル機能を備えたものになると思っていたのだろう。

アドビとしては、基本的にiPad用のPhotoshopの開発中のバージョンをとりあえずリリースし、その後すこしずつ機能を追加するつもりであるとずっと主張してきた。そして今回、ようやくこの製品のロードマップについて、具体的な予定を明確にした。これでユーザーの不満をなだめることができるかもしれない。

2019年にはもうあまり時間が残っていないが、それでもアドビは今年中にiPad版のPhotoshopにいくつかの機能を追加する予定だ。それらによって日常的な操作体験が改善されるはずだ。まず、「被写体を選択」の機能を実装する。これは、重要な選択ツール「マジックワンド」を省略したことによる問題に対処するのに役立つだろう。数週間前のAdobe MAXでデモした「被写体を選択」機能は、アドビのSensei AI技術と連携して、選択ボックスの中の「被写体」を自動的に選択するもの。すでに、Photoshopのデスクトップバージョンでは利用可能となっていて、驚くほどうまく機能している。画像を合成したりする際に、オブジェクトをすばやく抽出してマスクしたり、移動したりすることができる。この機能だけでも、iPadでうまく機能すれば、プロのクリエーターにとって、かなり効果的なツールになるに違いない。

今年中のリリースを目指しているもう1つの機能は、iPad版Photoshopに最初から組み込まれていたAdobe Creative Cloud用のクラウドドキュメントシステムの、高速化と最適化が施されたバージョンを導入すること。これにより、クラウドドキュメントとして保存されたPSDファイルのアップロードやダウンロードが高速になる。また、プラットフォームをまたいだ作業も、より快適になるはずだ。

2020年に目を向けると、さらに多くの機能がiPad版のPhotoshopに搭載される予定となっている。たとえば、「境界線を調整」ブラシといった重要な要素が追加される。これは髪の毛や毛皮など、細かなテクスチャのあるオブジェクトを精度良く選択できるようにする機能だ。デスクトップ版と同様のクリエイティブな画像合成作業を、iPad版でもできるようにしてほしいと考えている人にとっては、非常に重要な機能の追加となる。また2020年には、色調を調整するためのトーンカーブや、レイヤーベースの非破壊的な調整ツールも追加される。さらに、感圧式のブラシや、キャンバスの回転機能も、iPad版のPhotoshopに追加される予定だ。すでにアドビが、デジタルペイントアプリFrescoで実現しているのと同様のものとなる。

2020年に予定されている機能のうち、iPad版をデスクトップ版にさらに近付けることになるものとしては、PhotoshopとLightroomの連携が挙げられる。これにより、LightroomでRAWファイルを編集し、そのまま直接Photoshopに切り替えて、連続したワークフローの中で、さらに編集を加えられるようになる。

これらが、アドビが来年中にiPad版のPhotoshopに付け加える機能のすべてというわけではなさそうだ。実際に同社は、公式のユーザーフィードバックツールを使って、ユーザーに機能の追加と改善に関するフィードバックを提供するよう求めている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITがソフトロボティクスの制御を最適化する新手法を開発

ソフトロボットの特定のタスク実行を最適化する新たな方法をMITの研究チームが開発した。タスクの実行はソフトロボティクスにとってかなりの難題だ。というのもフレキシブルなボディを持つロボットは、基本的にいつでも無数の動きができるからだ。それゆえに、可能な限りベストな手法で何かをするようにソフトロボットをプログラミングすることは途方もない作業となる。

そうしたプロセス全体を簡単で計算もさほど複雑でないものにするために、あらゆる方向に動けるロボットを効率的なものにし、動きを最適化するのに使われる代表的な低次元モデルのプロセスをシンプルにする手法を研究チームが開発した。これは環境物理学と、ソフトロボットのような形状の柔らかい物体が実際にあらゆる状況で曲げられるという自然な方法に基づいている。

これまでのところ、開発を手がけたMITのチームはシミュレーションでしかデモを行っていない。しかしこのシミュレーションでは、今日使われている複雑な手法に比べるとプログラムされたロボットの動きのスピードと精度という点においてかなりの改善が見られる。実際、2Dと3Dのデザイン、4つ足の物理的デザインで行われた多くのシミュレーションテストで、研究者らは3万ものシミュレーションに対応する最適化を示すことができた。この数字はかつて400だった。

なぜこれが重要なのか?ソフトロボットに良い動きをさせるために必要な間接的処理の量を大幅に抑制するからだ。これは現実生活への応用として実際に使用できるようにするには大事な要素だ。もし水中での損壊評価や修理といった極めて有用なことをするためにソフトロボットのプログラミングにかなりの処理能力と時間を要するなら実際に展開するのは無理がある。

研究チームは将来的には最適化手法の現実世界でのテスト、さらにはソフトロボットのフルスケール開発を望んでいる。

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(翻訳:Mizoguchi)

テスト中に爆発したSpaceXのStarship Mk1は次世代機へのステップになるか

SpaceXのStarshipのプロトタイプMk1は、米国時間11月20日、テキサスでの初期テスト中に爆発をともなう失敗に見舞われた。動画を見れば実際に何が起こったかを確認できるだろう。基本的には極低温テスト中に蓋が吹き飛んだというもの。これは機体が実際の使用環境で遭遇するような極低温に耐えられるかを確認するための標準的なテストだ。SpaceXに限らず、ロケットを製造する場合には、このような初期段階でのテストを地上で、制御された比較的安全な条件で行うのが普通だ。その理由は、まさにこういうことが起こりうるからだ。そうは言っても、これがSpaceXの楽観的なスケジュールを遅らせる可能性があることは否定できない。

計画の次のステップとしては、SpaceXがStarship Mk1から学んだことを糧として、次の世代のプロトタイプ宇宙船、Starship Mk3に進むことだと考えられる。「ちょっと待って、Mk2を飛ばしてない?」と思うかもしれない。そんなことはない。SpaceXは、フロリダの別の施設で今回破壊されたMk1と並行して、すでにMk2を製造中なのだ。

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、YouTuber(ユーチューバー)のEveryday Astronaut(エブリデイ・アストロノート)氏が、Starshipのテストの次のステップに関してTwitterで質問したのに対し、SpaceXはMk3に向けて前進する、Mk1の価値は主に「製造上の先駆者」となることだったとし、「実際に飛ばす機体の設計はまったく異なる」とすぐに答えている

これはこれまでとは異なった見解であり、今まで議論されてきたStarshipの開発に関する話とは違っている。これまでの話では、Startship Mk1と同Mk2は、高高度テスト飛行用の機体として設計されたものであり、先の尖っていないスケールダウンされたデモ機「Starhopper」(スターホッパー)の成功に続くべきものだった。Starhopperは、1基のRaptor(ラプター)エンジンを搭載したもので、SpaceXのテキサスのサイトで、何回か低高度の上昇と着地を繰り返した。

ただし宇宙開発事業は、特に打ち上げについてはスケジュールが流動的なものになりがちだ。またSpaceXは、その野心的な目標のほとんどについて非常に楽観的なスケジュールを設定している。それについては、マスク氏と、SpaceXの社長兼COOであるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が公言してはばからない。それでも同社は、来年早々にもStarshipのプロトタイプによって軌道飛行を実現することを目指していると述べていた。この不都合なテスト結果が、そのスケジュールに影響するかどうかは、これからじっくりと見定める必要があるだろう。

SpaceXは、本日のテストに関して次のような声明を発表した。

今日のテストの目的は、システムを最大限に加圧することだったため、このような結果をまったく予期していなかったわけではありません。負傷者はいませんでした。また、これは深刻な後退につながるものでもありません。

イーロン(Elon)がツイートした通り、Mk1は製造のための貴重な先駆者として機能しましたが、実際に飛ばす機体の設計はまったく異なるものになります。同じ設計のテスト機は飛ばさないという決定はすでになされており、チームはすでに軌道周回用に設計したMk3の製造に集中しています。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Sonosが音声アシスタントのスタートアップSnipsを買収、ローカルの音声制御機能導入か

Sonos(ソノス)はその四半期業績報告書の中で、音声アシスタントスタートアップのSnipsを3700万ドル(約40億円)で買収したことを開示している。11月20日にこれを報告したのはVarietyだ 。Snipsは、恒常的に音声データをクラウドへと送り込むのではなく、基本的にローカルで動作するスマートデバイスアシスタントを開発してきた企業。この買収によりSonosは、プライバシーを気にする顧客向けの音声制御オプションを提供できるようになり、汎用スマートアシスタントよりもさらに音楽制御に的を絞ることが可能になる。

SonosはAmazonならびにGoogleと提携し、彼らの音声アシスタントたちと連携してきた。スマートスピーカーであるSonos BeamやSonos Oneといった最近の機種に対してもそのサポートは提供されている。しかし、どちらも機能させるためにはアクティブなクラウド接続が必要であり、最近は、ユーザーから収集したデータの取り扱い方法について、消費者および消費者保護グループから厳しい目を向けられていた。ユーザーが自身のデータ共有を管理できるように、Sonosは追加機能を提供していたが、今回Sonos CEOのPatrick Spence(パトリック・スペンス)氏は、Varietyからのインタビューに対して、同社が独自の音声機能を構築する際にできることの1つは「プライバシーを念頭に置いて開発することです」と述べている。

特に、Sonosがマイクハードウェアを完全に省いたSonos OneであるSonosOne SLをこの秋に発売したことは注目される。マイク無しのSonos Oneバージョン2に、彼らが可能性を見つけたという事実は、少なくない数の利用者が、いかなる情報も製品からサーバーへと渡さないオプションを欲していたということを示唆している。スペンス氏はまた、Sonosは音声アシスタントのパートナーたちと競争しようとはしていないことを急いで指摘した。ただ彼らの構築するものはより音楽に対して焦点を当てたものになるということなのだ。

ローカル機械学習が、曲のスキップ、再生の一時停止、音量の調整(および保存されたプレイリストの再生などのさらに高度な機能)などのコマンドを、クラウドサービスに接続することなくいかに処理できるかは想像することができるだろう。スペンス氏が想定しているのは、まずは基本的なコントロールを提供できるようなものを提供し、その上で顧客の好みに応じて、より多くの機能を備えたいずれかの音声アシスタントを有効にできるオプションのようだ。

その一方で、音声アシスタントたちとのパートナーシップはSonosにとって有益であることが引き続き証明されている。IKEAとの提携により、初日には3万台のスピーカーが販売され、同社はその収益も報告している。これは、特にこのカテゴリでは、1日ぶんとしては多い数字だ。

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翻訳:sako)

微小重力環境でバイオテックの基盤を作る新種の宇宙企業Luna

トロントに拠点を置くスタートアップであるLuna Design and Innovation(ルナ・デザイン・アンド・イノベーション)は、経済状況が変化し続けるこの巨大産業に次々に生まれては優位に立とうとする宇宙スタートアップを代表する企業と言える。CEOを務めるAndrea Yip(アンドリア・イエップ)氏が創設したLunaは、商用化された宇宙での新しい機会(それは何かまだ誰にもわからないが)から多くを得る立場にあるバイオテクノロジー企業の挑戦に火をつけようと目論んでいる。

「私はこれまで、医療業界の公開企業と非公開企業で、製品やサービスのデザインと改革に専念してきました」とイエップ氏はインタビューの中で私に話してくれた。「私は数年間、製薬会社で働いていましたが、製薬と宇宙とデザインが交わるところで仕事ができる道を本気で探そうと、2017年末に製薬業界を離れました。人類の医療の未来は宇宙にあると信じたからです」。

イエップ氏はその信念を現実のものにしようと、今年の初めにLunaを設立した。宇宙にしかない研究環境を利用可能にして、バイオテクノロジー分野にチャンスを与えることが狙いだ。

「私たちは、宇宙を研究プラットフォームだととらえ、その宇宙プラットフォームが、地球での医療上の問題の解決に寄与すると信じています」とイエップ氏は説明する。「なので私にとって、バイオテクノロジー分野と製薬分野に宇宙への道を拓き、そこを研究開発と画期的な発見のための研究プラットフォームとして使えるようにすることが、きわめて重要なのです」。

国際宇宙ステーションでは、製薬とバイオテクノロジーの実験を数多く受け入れてきた

NASAの宇宙活動は、乳房生検に使われるデジタルイメージング技術、子宮内の胎児の成長をモニターするトランスミッター、脳腫瘍手術のためのLEDなど、数多くのものを生み出すきっかけを与えた。また宇宙での医薬品の研究開発は、ずっと以前からMerck(メルク)やP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)といった大手製薬会社が手を染めており、国際宇宙ステーション(ISS)で実験が行われてきた。今ではSpaceFarma(スペースファーマ)などの企業がミニ研究室をISSに設置して、クライアントの実験を代行している。しかし、利用されていない機会がまだまだ多い業界であり、イエップ氏によれば、可能性が山ほどあるという。

「残念ながらそこは、今のところ、ほとんど利用されていない研究プラットフォームだと思っています」と彼女は言う。「一部の物理学的現象と生命科学的現象は、宇宙、つまり私たちが微小重力ベースの環境呼ぶ場所では、異なる振る舞いを見せます」。

【略】

「例えばがん細胞は、微小重力下に短期間いた場合と長期間いた場合とでは、転移の仕方が変わることがわかっています。そのため、そうした種類の見識を得られるだけでも、またなぜに挑戦して理解するだけでも、たくさんの新発見が解き放たれ、がんの実際のメカニズムを理解できるようになります」。

【略】

そしてそうした見識を得ることが、新薬のよりよいデザイン、地上でのよりよい治療機会に、実際につながってゆくのです」。

Blue Originのロケット「New Shepard」 写真提供:Blue Origin

微小重力環境でのバイオテクノロジーの研究は、一部ではすでに行われているものの、「このイノベーションにおいては、私たちが最初の結論です」とイエップ氏。さらに、今後10年程度の間に旧態依然とした既存の大手製薬会社を破壊するのは、宇宙での研究開発にいち早く積極的に投資を行なった企業だと考えを述べた。

Lunaの役割は、宇宙での研究のための効果的な投資となる、最良のアプローチとバイオテクノロジー企業を引き合わせることだ。その目的のために早期に実現した成果として、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏の商用宇宙ロケットを打ち上げる企業、Blue Origin(ブルー・オリジン)との間でチャンネルパートナーという役割を獲得したことがある。この契約は、LunaがBlue OriginのNew Shepard(ニュー・シェパード)ロケットのセールスパートナーになることを意味し、Amazonの創設者であるベゾス氏のこのロケット企業のために、低軌道での宇宙実験をどうしたら実施できるか、またなぜそれが必要なのかを潜在顧客と考えてゆくことになる。

それは短期的な展望であり、この地球上にもっとも強いインパクトを与える方法を模索するためのものだ。しかし、もっと先の未来が握っているバイオテクノロジーの可能性は、現在の宇宙産業の針路を考えることで開花し始める。それは、NASAの次なるステップや、スペースXなどの民間企業による他の惑星の有人探査などだ。

「私たちは、2024年の月再着陸についても話し合っています」とイエップ氏は、NASAのアルテミス計画を示唆しつつ語った。「今後数年で火星に行くことを、私たちは考えています。そこには、私たちのために発見しなければならないものが大量にあります。そしてそれは、巨大なチャンスでもあります。他の惑星で何が発見できるのか、本当にそこへ人を送り込むのかは、まだ誰にもわかりません。なので私たちは、そのための準備と、必要な能力の構築に着手するのです」

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(翻訳:金井哲夫)

NASAが月への荷物運搬業務の入札企業リストにSpace XやBlue Originを追加

NASAはCommercial Lunar Payload Services (商業月ペイロードサービス、CLPS)プログラムの契約の入札に参加できる企業のリストに新たに5社を追加した。リストには以前の選定プロセスで選ばれた9社がすでに掲載されていて、ここに今回SpaceX、Blue Origin、Ceres Robotics、Sierra Nevada Corporation 、Tyvak Nano-Satellite Systemsを加えた。これら企業はすべて、月面へペイロードを運ぶNASAの案件に応札できる。

これは基本的に、Astrobotic Technology、Deep Space Systems、Draper Laboratory、Firefly Aerospace、Intuitive Machines、Lockheed Martin Space、Masten Space Systems、Moon Express、OrbitBeyondに加わった5社がNASAのミッションで月着陸船を建造して飛ばせることを意味する。NASAとの契約を受注するためにリストにある企業は競うことになる。契約には、NASAのアルテミス計画を支援するためのリソースや物資の月への運搬が含まれる。アルテミス計画では2024年までに人間を月に送ることを主要目標に掲げている。

「ローバーやパワーソース、そしてNASAが月で水を探すのに使うVIPER (Volatiles Investigating Polar Exploration Rover)のような化学実験のためのもの」を含む重いペイロードの運搬を行える企業が選ばれている。こうした機材は宇宙飛行士が月面で暮らしたり働いたりしながら月面に永久的に存在できる環境を確立したり、月居住を現実のものにする主要研究のために使用される。

Blue OriginのBlue Moonランダーのコンセプト

NASAは、コストを抑制し、また計画をスピーディーに実行に移すために自前で行うのではなく、企業と契約することを選んだ。そしてこうした企業がトータルコストを下げるためにNASAの機材と共に商業ペイロードを同時に運搬することを期待している。企業は2028年11月までの契約総額が26億ドル(約2800億円)となるこの案件に入札し、NASAはコストやテクニカル面での実行能力、いつ実現できるかといった点に基づいて1社を選ぶ。

Blue Originの創業者であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は今年の国際宇宙会議で、エンド・ツー・エンドの着陸システムのためにDraperやLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)と提携する、と発表している。一方のSpaceXは、アルテミス計画の2024年月着陸をサポートするため、次の宇宙船Starshipを早ければ2022年にも月に着陸させる目標を掲げている。

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(翻訳:Mizoguchi)

初の宇宙旅行会社Virgin Galacticが最初の乗客に対し宇宙飛行士準備事業を開始

Virgin Galactic(バージンギャラクティック)が、同社の「宇宙飛行士準備事業」(Astronaut Readiness Program)を開始した。それは最初、Under Armour(アンダーアーマー)のグローバル本社で行われる。Under ArmourはVirgin Galacticのパートナーとして、同社の宇宙飛行士が着る公式の宇宙制服を作っている。初めてお金を払って宇宙を旅する旅人たちは、同社の最初の地球外への旅でその宇宙服を着る。

宇宙飛行士準備事業は、Virgin Galacticの旅客が同社の軌道外宇宙船VSS Unityに乗って旅する前に必ず受けなければならない準備的課程だ。そこではVirgin Galacticのチームメンバーによるガイダンスと教育が行われる。先生はチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏やチーフパイロットのDave Mackay(デイブ・マッケイ)氏らだ。この二人は、Virginが2月に行ったデモ飛行で宇宙へ行ったから、彼らの相当な量の経験と専門知識だけでなく、同社の有料宇宙観光客が乗るのと同じ実機に乗った経験に基づく知見もシェアできる。とくにモーゼス氏は、宇宙船の正しい乗り方も教えるだろう。

Under Armourは、旅客が着る宇宙服以外でも協力する。まず、宇宙飛行士は準備段階でどんな栄養を摂り、どんなフィットネスやって宇宙の旅とアドベンチャーに備えるべきか。これらに関しては、Virgin Galacticの専属医療チームも旅客に個別にコンサルする。Virginの顧客はNASAの宇宙飛行士のような厳しい肉体的フィットネスを強いられることはないが、でも同社によると旅路における旅客の健康と元気を確保することにはフォーカスする。

Virgin Galacticの初期の顧客は、ボルチモアで行われるこのような訓練プログラムに参加するだけでなく、今後同社がこのプロセスの開発と磨き上げを行なっていくための貴重なデータも提供する。

Virgin Galacticのプレスリリースはこう言っている: 「今週のボルチモアからのフィードバックを利用して、そのモデルをベースに構築していきたい。これまでも弊社は、宇宙飛行を待っている者と経験者の両方にとって、教育訓練とコミュニティのベストの形を共に議論してきた」。

同社のこのSpaceShipTwoには、すでに600名の顧客の搭乗申し込みがある。そのカーゴジェットをカスタマイズした軌道外宇宙機は、1人25万ドル(約2700万円)のチケットで90分の飛行を行う。有料顧客のためのその最初の飛行は、来年の前半を予定している。

画像クレジット: Virgin Galactic

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXが有人宇宙船Crew Dragon打ち上げシステムの噴射テストを完了

SpaceXは、有人宇宙船カプセルCrew Dragonの打ち上げ脱出システムのスタティックファイアリングテスト(射点に固定したロケットを噴射する)を行ったと発表した。これは、同社にとって必須のテストであり、去る4月のテストでは爆発を起こして宇宙船が破壊されたことから特に注目を集めていた。調査の結果SpaceXとNASAは、試験失敗の原因を突き止め修正し、今日のエンジン噴射につながった。

今日のテストは前回よりずっとスムーズに進行したようで、計画された時間一杯テストは続き、現在同社の技術者とNASAチームはテストの結果と得られたデータを検討しているとSpaceXは語った。成功と認められるために必要な基準をテスト結果が満たしていれば、有人飛行システムの機内テストに移ることができる。Crew DragonがNASAの宇宙飛行士を乗せて飛び立つために必要な次のステップだ。

緊急脱出テストは、実際の有人ミッションの緊急時にSuperDracoの脱出システムがどのような振る舞うかを調べる重要なステップで、実際には誰も乗っていない。NASAは商業パートナーに対して、安全確保のため緊急時に有人カプセルを宇宙船から安全な距離まですばやく移動できることを示すよう要求している。イーロン・マスク氏は、予定通り進めば早ければ12月中旬に緊急脱出テストを行いたいと語った。

重要なテストがすべて計画通り進めば、来年の前半には最初の有人飛行ミッションを遂行できるとNASAとSpaceXは楽観視している。同じく商業有人飛行を請け負っているボーイングも同社のStarliner有人カプセルプログラムを同じようなスケジュールで進めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Lyftが長距離EV200台をドライバーにレンタル

ライドシェアリングのLyftは、長距離走行が可能な電気自動車(EV)200台をコロラド州のドライバーにレンタルすると本日発表した。これは同社のExpress Driveプログラムの一環だ。Express Driveは、同社のドライバーにレンタカーを提供するプログラムで、これまでの長期リースなどの仕組みに代わるものだ。Express Driveのメンバーは走行距離無制限で保険、保守、ロードサービスなどのサービスを受けることができ、最低1週間からレンタルできる。

200台の新しいEV(今回提供するのはすべてヒュンダイ系列のKia(起亜自動車)の車だとLytfは言っていた)は12月に提供を開始する予定で「コロラド州における1回のEV提供としては最大数」と同社は言った。この時期にプログラムを開始したことには経済的理由もある。コロラド州のJared Polis(ジャレド・ポリス)知事は5月に、ライドシェアリング会社のレンタルプログラムに対して、州が消費者向けに行っているのと同じレベルのインセンティブを与える法案に署名した。補助金は1台につき最大5000ドル。

こうしたEV投入はライドシェアリング経済のあらゆる面にいい効果を与える。ドライバーの運用コストが減ることがまず挙げられる。Lyftによると、これまでシアトルとアトランタで行ったEV導入ではドライバー1人当たり平均70~100ドルのコスト削減に成功している。都市にとっても住民にとっても、路上を走る車の排出ガスが減ることは明らかな利点だ。ライドシェアリングなどのサービスが実際に路上の車を減らせるかどうかはまだわからないが、この種のプログラムによって普及が加速され、都市内のEV比率が上がれば全員の勝利だ。

多数のEVによる運用が開始されることは、電気事業者が充電ステーションを充実させるインセンティブにもなる。その結果消費者が利用できるインフラストラクチャーができれば、EV全般の普及を後押しする。Lyftは「Lyft保有者の電化は毎年進めていく」と言っているので、他の都市でもEV導入が進むことが期待できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードの電動SUVはMustang Mach-E、11月17日から予約開始

Ford(フォード)はMustang(マスタング)に連なる次期電動SUVの正式名称を公表した。この車両は11月17日にロサンゼルスにて正式に発表される予定で、その名称はMustang Mach-Eとなり、公式発表後にオンラインから500ドル(約5万4000円)のデポジットにて予約できる。

予約システムには限定となる「First Edition」 の車両が含まれ、発売イベントでその詳細が明かされる。希望すればデポジットは全額が返金され、一方でそれを支払った場合には納車前に車のオプションが選択できる。なお、予約プロセスでは希望のフォードディーラーを選択し、最終的に車を引き取ることになる。

フォードによるこれまでのティーザー画像は、クロスオーバースタイルの電動SUVを示唆しており、またEPAレーティングにて最低でも300マイル(約480km)、150kWのDC高速充電器なら10分間で約47マイル(約76km)の充電、FordのEV充電器ネットワークによる2年間の無料充電を含む、いくつかのヒントをウェブサイトに載せている。

下は、これまでFordが公開した車両のヒントと画像で、おそらく想像と既存のMustangとのギャップを埋められるだろうが、11月17日にはすべてが明らかになる。TechCrunchもファンの期待に応えるため、続報を届ける予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ミニジャック接続も可能なAirFly ProはAirPodsのアクセサリに理想的

TwelveSouthは優秀なガジェットメーカーで、さまざまなニッチに巧みに対応するプロダクトを多数発売している。最近発売されたAirFly Pro(54.99ドル)はBluetooth経由でオーディオソースを送受信できるオーディオトランスミッターだ。3.5mmヘッドフォンジャックを備えているので利用範囲が非常に広い。

メーカーのサイトとAmazonだけでなくAppleストアでも発売されるのは理由がある。AirPods Proのアクセサリとして理想的なのだ。たとえば飛行機のエンターテインメントシステムのように有線接続しかできない場合でもAirPods Proで音楽を楽しめる。

AirFly ProはAirPods ProだけでなくBluetoothヘッドフォンならすべて接続できる。ただしノイズキャンセリングでも音質でもAirPodsで最も効果的に作動するようだ。iPhoneを利用するユーザーは機内その他有線接続のオーディオシステムに接触する機会が多いだろうから理想的だ。ただしAirFly
ProはProというだけあってさらにいくつかの便利な機能を備えている。

このプロダクトはTwelveSouthとして最初の入力、出力双方が可能なオーディオストリーミングデバイスだ。たとえばAux入力ジャックしか備えていないカーオーディオでもiPhoneから音楽を流せる。AirFly ProはBluetooth機能がないオーディオシステムでもミニジャックが接続できればBluetoothによるオーディオ信号を入力することができる。

AirFly Proにはもうひとつ、オーディオ共有という便利な機能がある。2組のヘッドフォンを接続して2人が同時に同じ音楽を聞くことができる。この機能自体は最近のiOSのアップデートによりAirPodですでにサポートされているが、AirFlyの場合はiPhoneだけでなくBluetoothヘッドフォンすべでサポートされる。カップルで旅行する場合などたいへん便利な機能だろう。

AirFly Proを実際にテストしてみたが、つくりはしっかりしており、信頼性にも問題なさそうだった。ペアリングなどの設定操作も簡単で3.5mmミニジャックのキャップにはキーチェーンリングがつけられるので携帯に便利だ。充電はUSB-C経由でUSB-A、USB-C変換ケーブルが同梱されている。内蔵バッテリーで16時間以上作動するので電源がなくてもフライト中に音楽を楽しむには十分だろう。自宅でiPadを使っている場合でもオーディオトランスミッター機能は便利だ。

TwelveSouthではAirFly Proと同時にAirFly DuoとAirFly USB-Cをリリースしている。Proとの違いはワイヤレス入力機能が省略されている点だ。ただしバッテリー作動時間は4時間長くなる。USB-Cモデルは3.5mmジャックがなくUSB-C端子のみ備えたオーディオデバイスが利用できる。これらのモデルはPro同様、2組のヘッドフォンが共有できる。Duo、USB-Cとも価格はProより5ドル安く49.99ドルだ。

【Japan編集部追記】AirFly Proは日本のアップルオンラインストアでは税別6180

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滑川海彦@Facebook

ロケット・ラボの新しいRosie the Robotは、ロケット製造を大幅にスピードアップさせる

宇宙開発スタートアップのRocket Lab(ロケット・ラボ)は、フレキシブルなロケット打ち上げ能力の構築を目的としており、創設者兼CEOPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、その目標にむけた最新の進歩を披露している。部屋サイズの製造ロボットこと、Rosieだ。

Rosieは、Rocket LabElectronロケットの炭素複合材部品の加工を任されている。これはロケットの飛行準備を整えることに関係しており、Beck氏によると通常は「何百時間もかかる」プロセスだ。では、Roseiではどれくらいかかるのだろうか。

12時間あたり1機のロケットを製造できる」と、Beck氏は動画で語っている。その中には「あらゆる印をつけたり、機械加工をしたり、ドリル加工したり」といった作業が含まれている。

 

 

この重要な新しいオートメーションツールは、高度にカスタマイズされたハンドメイドのものを、反復可能で迅速な製造工程に変える。これは、小型衛星を運用する顧客に高い頻度での打ち上げを提供するという、Rocket Labの目標を達成するために必要な要素だ。同社のニュージーランドの発射施設は最近FAA(連邦通信委員会)のライセンスを取得したが、72時間おきにロケットを発射することが認められたため、その野望の展開の助けになる。

Rosieのような革新的な技術にくわえて、Rocket Rabはロケットエンジンの部品に3Dプリント技術を使用しているため、従来の製造方法では数週間かかっていた部品生産が1日で完了する。同社は現在、ロケット回収のための野心的な計画にも取り組んでおり、ミッションごとに新規のロケットを製造する必要がなくなるため、高頻度での打ち上げ能力の提供に役立つはずだ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが来年計画している有人の商用宇宙飛行をiOSとWebのアプリで疑似体験できる

商用の有人宇宙飛行を目指しているNASAが、モバイルアプリとWebアプリケーションでその簡単なシミュレーションを提供している。来年行われるその商用飛行にはSpaceX Crew DragonとBoeing Starlinerが使われるが、シミュレーションはその両方を疑似体験できる。

アプリはその飛行の各過程を順に追っていく。それは宇宙船の選択に始まり、ミッションのタイプを決め、乗員を選び、打ち上げ、ドッキングと進む。それぞれの部分に関するある種の教育が目的で、あらゆる細部がリアルなフライトシュミレーターではない。しかし国際宇宙ステーションへのドッキングは自動と手動の両モードがあり、手動はかなり難しくておもしろい。

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Crew DragonとStarlinerの両方とも、そして打ち上げ用ロケットに関しても、とても詳しい情報がある。あなたがその中から乗員を選ぶ10名の実在する宇宙飛行士については、人物像と履歴の情報がある。アプリをiPhoneで試したが、打ち上げ準備の部分にちょっとバグらしきものがある以外はとくに問題ない。その部分では、ブースターや乗員用カプセルなど、宇宙船の打ち上げの各要素が詳しく分かる。

この「Rocket Science: Ride 2 Station」と名付けられたアプリは無料でダウンロードでき、現在はiOS用がある。Webアプリケーションはここだ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空飛ぶバイク開発のJetPack Aviationがプロトタイプ製造へ約2億円調達

空飛ぶ車は、それはそれでいい。しかしその代わりにバイクがあるというき、なぜ車を使うだろうか。YCが投資しているスタートアップJetPack Aviationは世界初の空飛ぶバイクでその疑問に答えたいと考えている。このバイクはスター・ウォーズファンなら喜ぶ「Speeder」という名称の1人乗りの空飛ぶ乗り物だ。そしていま、JetPackは、シードラウンドで200万ドル(約2億円)を調達した。投資家にはDraper Associates、Skype共同創業者のJaan Tallinn氏、YC、Cathexis Ventures、そのほかエンジェル投資家らが含まれる。この資金はSpeederの初の機能試作品の開発にあてられる。

今年3月にJetPackSpeederの計画を明らかにした。計画では、完全に安定した乗車体験となり、パイロットによる操縦と完全自動操縦のどちらにも対応する。垂直に離着陸でき、トップスピードは時速643キロに達する。ローターシステムの露出はなく、VTOLやヘリコプターよりもオペレーションは安全で簡単になる。同社は5分もかからずに燃料を補給できるとしていて、これは電動車両の充電よりもずいぶん短い。

SpeederはJetPackにとって初の空飛ぶ作品ではない。 CEOで創業者のDavid Mayman(デイビッド・メイマン)氏が率いる同社はすでにジェットパックを作っている。メイマン氏自身が個人向けのジェットパックのデモンストレーションを幾度となく行い、FAA(連邦航空局)の認証も得ている。加えて、米海軍の特殊部隊と短距離の部隊移動用としてのCARADA合意も結んだ。ジェットパックはまた、サイエンス・フィクションのような多くの機能も搭載している。時速160キロのトップスピード、スーツケースサイズという持ち運びのしやすさなどだ。

そうした過去の実績に照らし合わせ、今回調達した200万ドルは「初のフルスケールのプロトタイプのデザインから製造に至るまでをカバーする」と話すメイマン氏を、私は同じような主張をする他の誰よりも信用する。

その理由の一つとして、Speederは他のVTOLデザインよりも短期的に実現可能なことが挙げられる。VTOLはバッテリーベースのフライトシステムよりもタービン推進力に頼っている。メイマン氏に言わせれば、「これは現在のバッテリーエネルギーの密度がほとんどの電動VTOLにとって実用化するにはあまりにも低すぎるから」で、変革が起こるには楽観的に見積もっても5〜10年ほどかかる。それに比べ、Speederはかなり近い将来、救急サービスや軍が素早く荷物を運ぶ(消費者マーケットに移行する前に使用が想定されている)のを実現させることができるはずだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleがシティと提携して当座預金口座サービスを来年から提供

テック大企業が銀行業務や個人金融サービスに参入する動きが相次いでいるが、Googleはその最新ケースとなる。同社は消費者に当座預金口座サービスを提供する準備を進めている。最初にWall Street Journalが報じ、それによると来年にも開始する見込みだ。GoogleはこのプロジェクトをCacheと呼んでいて、当座預金口座を提供するために銀行、そして信用組合と提携する。口座に関する金融・コンプライアンスなどの業務は銀行が受け持つ。

GoogleのCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は新たなイニシアチブについてWSJに語っていて、すでに金融プロダクトを展開している他のテック企業よりも、Googleが金融機関パートナーを消費者の真正面に据えることを模索する、と明らかにしている。たとえば、Apple(アップル)はApple CardというクレジットプロダクトでGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と提携しているが、クレジットカードは間違いなく主にアップルのプロダクトとして扱われている。

では、実際の金融業務の多くを従来の金融機関に任せるのなら、テック企業はなぜあえてこの分野に進出するのだろうか。預金口座にアクセスすることで、Googleは明らかに多くの貴重な情報や顧客の行動に関する知見を得ることができる。預金口座は日々の金融状態を示す。Googleはまた、基本的な金融サービスに加えてロイヤリティ・プログラムなど、消費者と銀行の両方にとってお得なプロダクトを提供するつもりだ、と話している。またセングプタ氏によると、サービス利用料を課すかどうかまだ検討中だ。もし課さなければ、既存のほとんどの当座預金口座よりメリットは大きい。

GoogleはすでにGoogle Payを提供していて、Google Walletでは個人間で送金できるなど、単に支払いを追跡する以上の機能を有している。一方、Appleを含むライバルもまた支払いプロダクトを導入していて、Appleはつい最近、Apple Cardでクレジット業界に参入した。Facebookもまた今週初めに自前のデジタル支払いプロダクトを導入した。それから、今年初めにはパートナーと共にLibraという独自のデジタル通貨を構築する考えを示した。

Googleが組む当面の金融機関は、Citigroup(シティグループ)とStanford Federal Credit Unionだ。WSJの報道によると、これら金融機関にとっては、日々の暮らしをオンラインツールで管理するデジタルに詳しい若い世代の顧客を開拓して引きつけるのが狙いだ。セングプタ氏のコメントからするに、金融機関はGoogleが多量のデータを扱い、価値を付加したプロダクトに変える能力からもメリットを得ることができる。しかしGoogleの幹部はまた、広告のためにGoogle Payのデータを使っておらず、広告主とデータの共有も行なっていないと話していた。それでも、日々の暮らしにおいてセンシティブな部分にGoogleがアクセスできるよう消費者を説得するのは、難航するかもしれない。特に、テック大企業を取り巻く現在の政治的、社会的状況を考えた時には簡単なものではなさそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Techstarsが米国、オランダ、ノルウェーの軍や国防省と共同で商業宇宙産業向けアクセラレーターをローンチ

Techstarsは、宇宙開発に特化したStarburstプログラムの第一段階に続いて、米空軍、オランダ国防省、ノルウェー国防省、ノルウェー宇宙センターと共同で、新しいバーチャルアクセラレータープログラムを実施している。これはTechstars Allied Space Acceleratorと呼ばれ、商業宇宙産業におけるスタートアップ支援に特化している。

他のTechstarsのプログラムと違って、このプログラムでは企業は13週間のプログラム期間中に、物理的なハブを中心にする必要がない。ほとんどが遠隔地で実施され、プログラムの政府機関のスポンサーを1週間に3回訪問し、バーチャルな指導とガイダンスで補われる。

Techstarsはすでに、Techstars Air Force Acceleratorを通じて米空軍と協力した経験があり、この新しいプログラムによって起業組織や、国際的なパートナーと協力する機会を得ることができる。このような産業界との協力は、商業宇宙産業が国境や国際協力に対してどのように活動するかという点に関して、より明確で広く受け入れられたルールを確立するのに役立つだろう。

この最初のプログラムは2020年6月から9月まで実施され、米国時間11月13日から申し込みが始まり、新規申し込みの締め切りは2020年3月3日までとなっている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Disney+はすでに1000万人以上の加入者を獲得している

Disney(ディズニー)が有料の会員制ストリーミングサービスことDisney+をスタートさせたが、これには問題がなかったわけではない。アクセス過多により、最初の数日間は何時間もコンテンツにアクセスできないケースもあった。しかしディズニーは米国時間11月12日の火曜日のローンチ以来、1000万人のユーザーがサインアップしたと発表した。

これは、非常に短期間で多くの購読者を獲得したことになる。市場を見回すとNetflixは最近、1億5800万人の加入者を獲得したが、それは幅広いグローバル市場で何年もかかった数字だ。Disney+は米国、カナダ、オランダを含む世界のいくつかの市場でのみローンチしている。Netflixは米国だけでの時代にはるかに少ない加入者数でスタートし、初めてストリーミングサービスを提供し始めた2007年の会員数は738万人だった。

Disney+は米国の顧客に数カ月前からアカウントの事前予約を提供していたため、今回の契約者数は潜在的な需要というよりは、マーケティング的な意味もある。また、Verizon(ベライゾン)の契約者には、1年間無料でサービスが提供される。それでも、まったく新しいストリーミングサービスとしては非常に印象的なデビューであり、Disneyが将来のリリースやマーケティング活動を通して視聴者を増やすための確かな基盤でもある。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

HBOの前CEOがApple TV+の番組制作で独占契約締結か

The Wall Street Journalによると、HBOの最も高く評価されているTVシリーズの制作を指揮した人物が、まもなくApple TV+で番組を制作する可能性があるという。

AT&Tに買収された昨年2月までHBOの会長兼CEOだったRichard Plepler(リチャード・プレプラー)氏は、Apple(アップル)の新しいオリジナルのコンテンツストリーミングサービスにおける、独占的なプロダクション契約を締結しようとしていることが報じられている。

HBOが「Game of Thrones」を含むいくつかの大ヒット作品を放送した間の6人のCEOのうちの一人で、同社に30年近く在籍していたプレプラー氏は、間違いなくアップルの取り組みに影響を与えるだろう。Apple TV+のローンチ時のオリジナル番組としては、Jennifer Aniston(ジェニファー・アニストン)とReese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)による「The Morning Show」や「Oprah’s Book Club」といったものがある。

これはプレプラー氏がHBOを去った後に設立した制作会社であるRLP&Co.とアップルの間に結ばれることになるだろう。同氏がApple TV+のためにどのようなプロジェクトに取り組んでいるかの証拠はないが、アップルによるオリジナルコンテンツ企業という新たな目標を考えれば納得できる話であり、また同社はこれまで大規模な予算と知名度の高いプロジェクトに注力しているが、HBOが制作してきた番組のような反響はまだない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter