Netflixはそれでも広告を入れないと宣言

思惑やら投資家からの圧力止む気配がないが、それでもNetflixは収益増加の手段としての広告主体のビジネスモデルは導入しないと、米国時間1月23日にNetflixのCEOであるReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は明言した。第4四半期の収支報告会にて、Google、Amazon、Facebookと競合することになるインターネットの広告事業に「楽に儲ける」方法などないとヘイスティングス氏は語り、広告を収益の柱とする選択肢を否定した。

ヘイスティングス氏は「GoogleとFacebookとAmazonは、膨大なソースから集めた大量のデータを統合しているため、インターネット広告において絶大な力を誇っています。それには経費がかかりますが、広告のターゲッティング効果と効率が上がります。そのため、これら3つの企業は、インターネットでの広告事業をこれからも牛耳ってゆくものと私は考えます」と説明する。

広告事業の規模を50億ドルから100億ドルに成長させるには、既存の広告業者から事業を「引き剥がす」しかないと、彼は話を続けた。そして、Amazon、Google、Facebookからインターネット広告事業を盗むのは「かなりの冒険」であり、「ぼろい商売ではない」とヘイスティングス氏。

「私たちには、もっとずっとシンプルなビジネスモデルがあります。ストリーミングと消費者の喜びにひたすらフォーカスするこです」と彼は言う。

CEOはまた、広告事業には参入しないというNetflixの戦略的決断には、ユーザーの個人情報を収集している周囲の企業への批判という点において、良い面があると指摘している。それに対抗しようとすれば、Netflixも加入者の個人情報をもっとたくさん収集しなければならない。それは「ユーザーからの搾取だ」と彼は断定し、我々がやりたいことでとは違うと話した。

「私たちは何も収集しません。私たちは、ただ加入者をハッピーにすることだけを考えます」とヘイスティングス氏は述べた。

もちろん、鵜呑みにはできない。Netflixは、オリジナル番組の継続か打ち切りかの判断に視聴者の個人情報を利用している。また全体的な視聴傾向から、新番組のゴーサインを出して続けさせるか否かの判断もしている。さらに、Netflixのサービスをユーザーがどう利用するかを観察し、ホーム画面にユーザーが好みそうな内容を表示させている。

同社はこの四半期に、Choose to watch(視聴を選択)と呼ばれる新しい視聴率の指標も導入した。少なくとも2分間、意図的に番組や映画を見た人の数をカウントするというものだ。この時間は、FacebookやGoogleのYouTubeのものよりもずっと長いが、テレビがそうしているように、番組を最後まで視聴した人の数を知るには、あまりよい方法ではない。

とはいえ、こうした視聴率調査の規模は、どれも巨大ハイテク企業の個人データ収集活動とは比較にならない。ヘイスティングス氏はコメントの中でそれを指摘している。

「私たちのモデルで、現実に大きな収益、大きな利益、大きな時価総額が得られるのは、戦略的に弱い立場をとっていること、つまりビッグスリーと競合するインターネット広告事業に晒される必要がないからです」と彼は言う。

広告を入れないビジネスという企業のスタンスをNetflixのCEOが再三訴えるのは、これが初めてではない。2019年第2四半期、Netflixは株主に送った手紙の中で、広告を入れないことが総合的なブランドプロポジションの一部であると投資家たちに念を押している。

「私たちが広告枠を販売するという思惑を目にしたときは、それはウソだと撥ね付けてください」と手紙には書かれている。

アナリストたちは、もしNetflixが広告入りの階層をサービスに採り入れたなら、年間収益は10億ドル(約1100億円)以上増えると見積もっている。

Netflixに広告を入れろとの圧力が増している背景には、ストリーミング界全体の状況の変化もある程度関係している。

現在Netflixは、Disney+とApple+という2つの大手ストリーミングサービスによる新たな競争に直面している。どちらも、視聴者を獲得するための無料プロモーションでローンチを支援している。さらに今後数カ月のうちに、Netflixは、モバイルストリーミングサービスQuibi、ワーナーメディアのHBO Max、NBCUのPeacockといった新しい競争相手を迎えることになる。株主への手紙では、いくつかの階層を設けたビジネスプランについて説明されていた。有料テレビの加入者向けの無料層、広告なしのプレミアム層、そして、広告が入る層などだ。

こうしたサービスが、先週、投資家たちに発表されたが、高評価だった。

HuluやCBS All Accessなど、他のテレビストリーミングサービスも、収益の一部を広告に依存している。その一方で、広告を柱とするサービスも台頭し始めている。RokuのThe Roku Channel、AmazonのIMCb TV、TUBI、ViacomのPluto TVなどだ。

しかし、広告を入れないというNetflixの決断は、広告がないことが重要なセールスポイントだと見ている加入者にしてみれば、喜ばしいニュースだ。

画像クレジット:Ernesto S. Ruscio/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

NBCとSnapchatが東京五輪コンテンツ制作で提携

Snapchat(スナップチャット)とNBC Olympicsは、米国のユーザー向けのオリンピックコンテンツ制作で再びタグを組む。今回は、今夏開催される東京五輪のものだ。2社は2016年のリオ五輪と2018年の平昌五輪でもコラボしている。平昌での冬季五輪では4000万人超の米国ユーザーにコンテンツを提供し、この数はリオ五輪から25%増となった。

加えて、そうしたユーザーの95%は35才以下だった。

多くの人が購読型の有料テレビや従来の放送局の視聴をやめ、Netflixのようなオンデマンドストリーミングサービスを利用するコード・カッティングの時代にあって、若い世代に視聴してもらうことは難しくなりつつある。これは広告主の視聴者へのアクセスを制限し、NBCの収支に影響を及ぼす。

この問題を改善するのにSnapとの提携が役立つ。というのも、テレビをさほど、あるいは全く観ない若年層のファンにアクセスしたい広告主から広告を出してもらう方法としてNBC Olympicsを提供できるからだ。今日では、米国の13〜24才の90%がSnapchatを利用している。そして2億1000万人がSnapchatを毎日使用している。

Snapとの提携による、競技に関するカスタマイズされた新たなコンテンツの独占セラーだ、とNBC Olympicsは話す。

今年はこれまでよりも多くのコンテンツを扱う。五輪開催前と開催期間中に、4つのデイリーSnapchat番組で70超のエピソードをリリースする計画だ。この数字は2018年に提供したエピソードの3倍となる。

そして今回初めて、2つのデイリーハイライト番組をSnapchat向けに制作する。これはほぼリアルタイムでアップデートされる見込みだ。この番組にはオリンピックでのその日の必見シーンが含まれる。

加えて、2つの台本なし番組が期間中に放送される。それぞれ1日あたり2つのエピソードを扱う。1つは、平昌五輪でデビューした「Chasing Gold」で、米国選手団をフォローする。もう1つは、Snapchatユーザー向けに精選された最も心に残る場面のデイリーリキャップで、今年初めての試みだ。どちらもNBCUniversal Digital Labがプロデュースする。

今回の提携ではまた、五輪期間中にSnapがデイリーのOur Storiesを精選する。こちらは以前の五輪でも行なった。Storiesにはファンからの写真やビデオ、そしてNBC Olympicsからのコンテンツが含まれる。

「Snapのオーディエンスがオリンピックゲームを好きなことはわかっている」とNBC Olympics会長のGary Zenkel(ゲーリー・ゼンケル)氏は声明文で述べた。「2つの五輪での成功を受け、提携を次のレベルにもっていき、より多くのコンテンツやSnapchatユーザー向けの番組を制作することを楽しみにしている。Snapchatユーザー向けのコンテンツは、若年アクティブ層へのアクセスを模索している多くのNBC Olympics広告主に直接恩恵をもたらすはずだ」。

しかしオリンピックのコンテンツが視聴できるのはSnapchatだけではない。NBCとTwitterは、限定されたライブのイベント放送やハイライト、デイリーオリンピック番組をストリーミングすることですでに提携している。NBCがSnapchatの代わりにTwitterを選んだのか、提携が発表された時点では明らかではなかった。そして今日、そうではなかったことがはっきりした。実際、Snapとの提携はこれまでよりも大規模だ。

これより前に、NBCUはNBCやNBCSN、オリンピックチャンネルなどでも放映される2020年東京五輪の広告売上として12億ドル(約1300億円)超を期待していると述べている。

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(翻訳:Mizoguchi

モバイル・ショートビデオのTikTokは2019年に急成長するも収益化に苦闘中

Sensor Towerのレポートによれば、ダウンロード数でも収入でもTikTokは2019年のモバイルアプリの星だった。中国のByteDanceのアプリであるため最近米政府の規制が厳しさを増し、米海軍では使用が禁止されるなどしているが、 現在までのダウンロード数は16.5億回、しかもその44%が2019年に集中している。 つまり昨年1年だけで、7億3800万以上のアプリがインストールされている。

問題は収益性で、TikTokでは各種の実験を繰り返しているがまだ十分な利益を上げていない。もちろん2019年には収入の伸びも著しく1億7690万ドルを得ている。これはそれまでの全収入、2億4760万ドルの71%にあたる額だ。ApptopiaのレポートはTikTokの四半期収入は5000万ドルに上ると報じていた

2019年のTikTokのダウンロード数は2018年から13%アップして6億5500万回となった。2019年の第4四半期はクリスマス休暇を含んだ期間だったこともあり、TikTokとして過去最高の時期となり、2億1900万回のダウンロードがあった。これはそれまでの最高記録だった2018年の第4四半期に比べて6%のアップだった。Sensor Towerのデータによれば、昨年TikTokはゲーム以外のアプリの世界ランキングで、App StoreとGoogle Playの双方でWhatsAppに次ぐ2位となった。

しかしTechCrunchでも紹介したHowever, App Anniieの「モバイルの現状」レポートによれば、Facebook Messenger、 Facebook本体、WhatsAppに次ぐ4位となっており、Sensor Towerの順位とは一致しない。

順位はともあれ、TikTokのダウンロード数が2019年に大きく伸びたことは間違いない。これは主としてインドで人気を得たことが大きい。Tiktokは今年には入ってインドで短期間だが禁止されたが、同市場はTiktokの総ダウンロード、3億2300万回の44%を占める大市場となっている。同時いこれは2018年の27%増だ。.

TikTokの母国、中国では収入の大半はiOSユーザーからのもので、2019年には1億2290万ドルだった。これは収入の69%を占めており、米国のユーザーからの収入である3600万ドルの3倍以上だった。3位の英国の支出は420万ドルにとどまった。

ただしこうした数字も Facebookの660億ドル以上という年間収入に比べるとごく小さい。またTwitterのように小型のネットワークと見られるサービスでも数十億ドルの収入がある。ただし公平にいえば、TikTokはまだビジネスモデルの実験段階にあるスタートアップだ。2019年にTikTokyは, フィード中にネイティブビデオ広告を表示したり、 ハッシュタグ・キャンペーンを行ったりしている。またソーシャルな投げ銭システムにも手を染めている。.

しかし今のところこのチップシステムで、意味のある収入を得ているのはごく少数のクリエーターに過ぎない。 TikTokがYouTubeに追いつくためには優秀なクリエーターにとって魅力のあるサービスになる必要があるのでクリエーターの収入を確保するのは重要な課題だ。

収益化ではTikTokが問題を抱えている理由は、Facebookなどの先行ソーシャル・ネットワークと比べてTikTokにはユーザーの個人データの蓄積が乏しい点が大きい。広告主は、趣味、過去の行動、デモグラフィーなどのデータから適切なターゲティングができず、Tiktokの広告メディアとしての価値をアップすることを妨げている。そこでブランドはTikTokの保持するデータに頼らず、TikTokで人気のあるインフルエンサーと直接提携して広告を配信するなどの手段を取っている。

TikTokは黒字化の達成に至っていないが、ユーザーエンゲージメントでは優秀な成績を挙げている。App Annieのデータによれば、利用時間は2019年に対前年比210%の伸びを示し、トータルで680億時間となっている。TikTokがモバイルユーザーの注目を集めていることは間違いないが、問題はこの注目をいかに収益に結びつけるかだ。

TechCrunchはこの点についてTikTokにコメントを求めたが、回答は「我々は統計を外部に発表していない」と確認するものだった。というわけでTikTokの現状についてはサードパーティーの推定に頼るしかないようだ。

画像:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

App Annieが2019年のモバイルアプリをレポート、総売上13兆円超、ダウンロード2040億回

2019年のモバイルアプリの利用状況についてのレポートが発表された。ダウンロード総回数は新記録となる2040億回で対前年比6%のアップ、2016年と比較すると45%アップ。売上はアプリ本体価格、サブスクリプションなどのアプリ内課金を含めて1200億ドル(約13兆2000億円)だった。ユーザーは平均して毎日3.7時間を費やしていた。

この数字は「モバイルの現状」(State of Mobile)と題するApp Annieのレポートによるものだ。以下、いくつかのトレンドと将来予測をハイライトしてみよう。

同社によれば、2019年のモバイルアプリの利用拡大は主としてインド、ブラジル、インドネシアなどの人口の大きい新興市場の急成長によるものだという。これらの市場のダウンロード数は2016年と比較してインドが190%、ブラジルが40%、インドネシアが70%アップとなっている。中国の成長は80%だった。一方、米国におけるダウンロード数の伸びは5%と鈍化している。

しかし成熟市場のユーザーがアプリのダウンロードを止めたわけではないのはもちろんだ。対前年比の伸び率が低下したに過ぎない。 成熟市場には依然巨大なダウンロード数があり、2019年には米国だけで123億回、日本で25億回、韓国で20億回のダウンロードが記録されている。App Annieのダウンロード回数には再インストール、同一アプリのアップデートは含まれていない。

2019年のアプリストアのユーザーの支出総額は1200億ドルで2016年の 2.1倍。やはり支出の過半数はゲームに対するものだった(72%)。トレンドとしてはサブスクリプションの普及が注目された。ゲーム以外のアプリでの昨年のサブスクリプションは支出総額の28%を占めたが、これは2016年の18%と比較して大きなアップだった。

実際、サブスクリプションは多数の非ゲームアプリの主要な収入源となっている。たとえば米国における iOSアプリのトップ250タイトルの売上の97%はサブスクリプションによるものだった。また94%のタイトルがサブスクリプションを利用していた。AndroidアプリのPlayストアでは売上の91%がサブスクリプションで、トップ250タイトルの79%がサブスクリプションを利用していた。

なかでもデートアプリのTinderやビデオ番組のストリーミングのNetflix、Tencent Videoなどでは2019の消費者支出の伸びはサブスクリプションによることが数字ではっきり示された。

ゲーム、サブスクリプションともに消費者の支出では、米国、日本、韓国、英国などの成熟市場が大きな割合を占めている。ただし市場規模からいえば、中国が世界の支出の40%と圧倒的だ。

2019年のトレンドとしては、各種のIoT(モノのインターネット)やスマートデバイス向けモバイルアプリが目立つようになった。IoTコントロールアプリのトップ20のダウンロードは1億600万ダウンロードだった。また1996年以降に生まれたいわゆるZ世代の1アプリ、1カ月の使用時間は3.8時間にもなっている(ゲーム以外のトップ25アプリの平均)。モバイル広告の売上は2019年実績が1900億ドルだったが、2020年には2400億ドルに達するものと予測されている。

ゲームアプリの売上は非常に大きいのでレポートでも詳しく扱われている。モバイルゲームに対するユーザーの支出はMac/Windowsゲームの2.4倍、ゲーム専用機ゲームの2.9倍だった。2019年のモバイルゲームの売上は他のプラットフォームのゲームの総額より25%も大きかった。App Annieは今年は1000億ドルの大台に乗るものと予測している。

パズルやアーケードを筆頭とするカジュアルゲームはダウンロード回数では2019年のトップだった。シューティングや ロールプレイングなどの本格的ゲームはダウンロード回数の18%を占めるだけだったが、ゲーム時間では55%を占めてジャンルのトップだった。Androidのアクション系ではシューティングゲームのPUBG Mobileが利用時間のNo. 1で、パズルのAnipop がカジュアルゲームのトップとなった。

本格的なゲームの売上はゲーム売上の76%を占め、カジュアルゲーム(18%)、 オンラインカジノ(6%)を大きく引き離した。

2019年では2017年に比べて500万ドル以上の売上を得たゲームの数が17%増えている。売上1億ドル以上のタイトル数は同期間に59%も増えている。一方、従来型のゲームとはタイプが違うタイトル向けにiOSゲームではApple Arcadeが開設されている。ただしこのストアの売上は外部からはまったくモニターできない。このストアはApp Annieの将来に問題を引き起こすかもしれない。

App Annieはこのほか、フィンテック、ソーシャルなどのバーティカルも調査している。フィンテックアプリのユーザーベースの伸びは伝統的なバンキングアプリの伸びを上回っている。ショッピングアプリのダウンロードは対前年比で20%増加して54億回となっている。ストリーミングでは2019年のコンテンツ視聴セッション数は2017年に比べて50%増加した。またモバイルの総利用時間のトータルのうちの50%はソーシャルネットワークなどのコミュニケーションアプリが占めた。

2019年に世界で210%の急成長を達成したショートビデオサービスのTikTokは特に注意深く検討されている。ただし全利用時間の8割は中国内のユーザーによるものだった。

2019年にモバイルアプリに強い影響を受けたビジネスは、ライドシェア、フードデリバリー、デート、コンテンツストリーミング、ヘルスケアとフィットネスだった。

同社が注目した点には、オンライン通販を専門とするショッピングアプリが物理店舗の企業のショッピングアプリに比べて1ユーザー1カ月あたりで3.2倍も利用されていることだ。App Annieのレポートにはこのほかさらに詳しい分析が載っている。

App Annieではまたアクティブユーザー数、ダウンロード数、売上をキーにした2019年トップアプリのリストを作っている。 ゲーム以外のアプリのエンゲージメントでは依然、Facebookグループのアプリが上位を独占している。世界のアクティブユーザー数ではトップがWhatsApp、以下Facebook本体、Facebook Messengerが続き、4位がWeChat、5位が再びFbグループのInstagramという結果だった。

ただし消費者の支出となると2019年ではTinderがトップ、Netflix、Tencent Video、QIYI、YouTubeなどエンタテインメント系アプリが続いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeがユーザーのコメント履歴を見せる新機能の提供を開始

昨年9月、YouTubeはプロフィールカードという新機能のテストを開始した。ユーザーが公にしている情報や最近のチャンネルでのコメント履歴を表示するというものだ。過去のコメントにアクセスしやすいようにすることでクリエイターが自分のファンをより簡単に特定できるようにするとされている。そして今回、YouTubeはこの機能をまずはAndroidで一般に提供する。

ユーザーが「コメントを開拓したり、他の人とつながりを構築したり、そしてYouTubeを全体的により利用しやすいものにしたりするのをサポートできれば」とYouTubeは説明する。

プロフィールカードを使うには、コメントした人のプロフィール写真をタップするだけ。すると、その人のカードを見ることができる。ポップアップカードには名前、プロフィール写真、サブスクリプション、購読者の数、最近のコメントなどが表示されている。全ての情報はYouTube上でおおっぴらになっているものだが、プロフィールカードは1カ所に集められている。

もしあなたがコメントした人のチャンネルをすでに購読しているなら、プロフィールカードには上記のものが表示される。そうでなければ、赤い「購読」のリンクをクリックしてコメントした人をYouTubeでフォローできる。

はっきりさせておくと、表示されるコメント履歴はユーザーのYouTube上での全コメント履歴ではない(それも面白そうだが)。プロフィールカードは、あなたがカードを見るためにクリックしたときに視聴しているチャンネル上のコメントを表示する。コメントした人のチャンネルへのリンクも下のほうに表示される。

YouTubeは、この新機能はコミュニティメンバーとつながり、チャンネルで最もいいコメントをした人を見分けるのに役立つとしている一方で、トロル(ネット荒らし)を特定するのにも役立つ。チャンネル上でコメントした人の履歴を確認できることは、例えばクリエイターやモデレーターが同じユーザーからのコメントを非表示にすべきかどうか、あるいはそのユーザーが「承認されたユーザー」リストにふさわしいかどうか判断するのに使える。

この機能のテストが昨年秋に始まった時、フィードバックは概ね良好だった。一部では積極的にコメントすることで自身のチャンネルのプロフィールを有名にできるとみる向きもあった。しかし最近のフィードバックでは、コメントが表示されないようオプトアウトする選択肢を求める声もあったようだ。

この機能は現在Androidで利用でき、将来的には他のデバイスでも提供される。プロフィールカードはYouTubeで利用できるようになった変更の1つだ。同様に新しい機能としては、iOS端末上の購読フィードでのオプショナルトピックがある。この機能を使うと購読者は、購読しているものに「今日」「見てないもの」「ライブ」「投稿」「続きを見る」といったトピックでフィルターをかけやすくなる。

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(翻訳:Mizoguchi

Googleがモバイル検索をアップデート、結果ページからのショッピングが簡単に

2019年秋にGoogleショッピングを大改訂したのに続き、Googleは米国時間1月15日にモバイル版Google検索のショッピング体験を変更した。これからは衣類、靴、アクセサリーなどを検索したとき、表示されるのはさまざまな商品やショップへのリンクだけではない。Googleは新しいセクションをつくり、ウェブ中の店舗から人気の高い商品を選んで表示する。ユーザーはそこからフィルター、閲覧ができる。

例えば、「ランニングシューズ」とか「女性向けレザーベルト」とか「ワイドレッグパンツ」などを検索すると、選ばれた商品が新しいビジュルガイドに表示される、とGoogleは説明する。ユーザーはその中から、スタイル、ブランド、サイズなどで絞り込み、画像を見ることができる。それぞれの商品の下には、在庫数や最安価格も表示される($199+など)。

この変更によって、ある特定の商品を売っている店をすべて見つけたいというときは特に便利になる。これまでは簡単にはできなかったことだ。

探していた商品が表示されたら、スクロールするとカスタマーレビューをまとめて読むことができる。買うと決めたら、行きたい店のリンクをクリックするだけだ。

この機能にはGoogleの検索インデックスが使われていて、そこには100万店以上のオンライン店舗の商品が整理、登録され定期的に更新されている。新しいショッピング機能は小売店による有償広告ではない、とGoogleは説明する。小売店は認められた商品をこのセクションに無料で掲載できる。

一連の変更は、GoogleがAmazonにないものすべてが見つかる頼りになるプラットフォームになるために、オンラインショップのためにショッピング体験をいかによくできるかという大きな取組みの一環だ。今週同社が、スタートアップのPointyを1億6300万ドル(約180億円)で買収して、実店舗の店内在庫管理を支援しようとしているのも同じ流れだ。

同社はGoogleショッピングのウェブページも改定し、ユーザーの購入傾向や履歴に基づいてパーソナライズされた目的ページとして、価格トラッカーや地元店舗、オンラインショップ両方の新しいショッピングのやり方を追加した。ただし、衣類やアクセサリーをオンラインで探している人たちの多くにとって、Googleショッピングは第一の目的地ではない。使うの通常のGoogle検索だ。今回の新機能もそれに対応するために作られた。

新機能は本日から今週いっぱいをかけて段階的に公開され、モバイル端末のみが対象だとGoogleは説明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Huluが視聴者による広告の選択や広告主と対話が可能なシステムを2020年に導入

Hulu(フールー)は、今年からいくつかの新形式の広告を出す準備を進めている。視聴者が注文をつけられる広告と、もうひとつは広告主と対話ができる広告だ。それには、スマートフォンで直接情報を送る方法と、QRコードを使う方法がある。数カ月後には、オリジナル番組に製品をデジタル挿入して広告機会を強化する方式を導入することも検討している。

これらの新形式広告は、よりユーザーフレンドリーな広告を作るための新しいアイデアに躊躇なく挑戦し、すでに革新的な広告エクスペリエンスを導入しているHuluの中でも後発に属する。たとえば去年、Huluは、視聴者がストリーミングを中断したときにだけ表示されるポーズ広告を取り入れた。先月は、新しい「一気見広告」を開始した。視聴者がドラマを一気見しているとHuluが感知したとき、企業が広告抜きのエピソードのスポンサーになれるというものだ。

こうした広告エクスペリエンスの目標は、できるだけ視聴者の邪魔をせずに広告を出す方法を見極めることだ。2020年、Huluは同時に、視聴者との関わり合いを高める広告にも力を入れる。

これから開始される選択式の広告(自分で筋書きを選ぶアドベンチャーゲームの広告板みたいなもの)の場合、視聴者は、そのブランドの広告の中から見たいものを選ぶことができる。たとえば、旅行代理店の広告の中でスキー休暇の広告だけ、あるいはビーチでの短期休暇の広告だけを見ることができる。しかも、それらのオプションはリモコンで選択できる。

さらにHuluは、視聴者が興味のあるブランドと対話できるようにするトランザクション広告も展開する。現在は、ビュー数の80%がテレビ画面での視聴となっていて、大きなテレビ画面でのやり取りを好まない視聴者が多い。むしろ、コンピューターやモバイル機器を使いたがる。この場合、視聴者が広告主の詳しい情報を知りたいとき、Huluはその情報を視聴者のスマートフォンに送信する。これは、Huluのユーザーアカウントに登録されている電話番号や電子メールアドレスを使って行われる。もちろん視聴者の承諾を得たうえでだ。または、広告に示されるQRコードをスマートフォンでスキャンすれば、即座に情報が得られる。

広告主が提供するその情報には、たとえば、そのウェブサイトへのリンク(小売業者のショッピングサイトなど)が盛り込まれている。「これは、視聴者第一のお約束に立ち戻るものです。つまり、できるだけ邪魔されず、より深い関わりが持て、機能的であることです。これにより、視聴者のエクスペリエンスと広告主のROIの両方を確実に高めることができます」と、Huluの広告プラットフォーム部門副社長 Jeremy Helfand(ジェレミー・ヘルファンド)氏は、先週、CES会場で交わした会話の中で述べていた。

これらの新しい広告形式は、Huluがその広告エクスペリエンスに関して打ち出している4つの大きな課題を具体化したものだ。ひとつはシチュエーション。ポーズ広告や一気見広告のように、視聴者の行動に寄り添うもの。ひとつはチョイス。視聴者が広告を選べるようにするもの。ひとつはトランザクション。視聴者がブランドとやり取りできるようにするもの。そしてもうひとつが物語との融合だ。スポンサーとの統合性を高め、ブランドと番組とを融合させて境目のないエクスペリエンスをもたらすというものだ。

Huluではすでに、物語と広告との融合をいくつか試しているが、この手法をさらに一歩進めたいと考えていると、ヘルファンド氏は話していた。「ポストプロダクションにより、ブランドを番組の中に溶け込ませる時代が来ると私たちは考えています」と彼は言う。つまりHuluは、デジタル技術でオリジナルドラマにプロダクト・プレースメントが行えるということだ。

「Hulu Kitchenの料理番組で実施されるのを、私たちは大いに楽しみにしています。理論的には、KitchenAidのミキサーをテーブルの上に置くことができます。実際にそこには存在していないにも関わらずです」と彼は言う。これは、Huluオリジナルの新しい料理番組シリーズのことだ。人気料理人Chrissy Teigen(クリッシー・テイゲン)、David Chang(デイビッド・チャン)、レストランチェーンのEater(イーター)が登場する。

デジタルな手法で映像にオブジェクトを挿入するこの広告技術はすでに存在するが、Huluがそれを自社開発するか、その技術ですでに事業展開している企業を買収またはパートナーにするかは、まだ決めていない。

「コンテンツに含まれるメタデータを読み出し、同時にコンテンツの映像をスキャンする必要があります」とヘルファンド氏は説明してくれた。「私たちはコンテンツを認識する作業を重ねてきました。Hulu内部ですでに進められているのですが、それには、広告に限らず、数多くの目的があります。また、サードパーティー企業も数多くあります。それを行うためだけの広告業界も存在します。私たちは、パートナー探しも並行して行っています」と彼は話す。

優先度が低い分野には、かつてHuluが約束していた広告付きのダウンロードがある。Huluは、広告が入るオフラインでの視聴ではなく別のモデルを考えている。それは恐らく、スポンサー付きダウンロードだ。だが目下のフォーカスは、スポンサー付きダウンロードではなく、ここで紹介した新しい形式の広告のほうにある。

「私たちは常に視聴者のエクスペリエンスのこと、いかにしたら最高の視聴エクスペリエンスをお届けできるかを考えています。そして、視聴者が広告に関与できるようにしたいという強い思いがあります。消費者には選択権があります。広告が入らないエクスペリエンスを望むか、広告に支えられたエクスペリエンスを望むか。もし、視聴者が広告に支えられた検索エクスペリエンスを選択した場合には、広告なしの場合と同じだけ快適なものにしなければならないと考えています」とヘルファンド氏は話していた。

画像クレジット:Lars Niki / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

2019年Q4に米国で最もダウンロードされたDisney+アプリ

2019年第4四半期におけるアプリのトレンドを調べたSensor Towerの最新データで、米国の消費者はDisney(ディズニー)の新たな家族向けストリーミングサービスDisney+に強い関心を示したことが明らかになった。米国で11月半ばに提供が開始されたDisney+は、同四半期中に3000万回以上ダウンロードされた。この数は、その次にダウンロードが多かったTikTokの2倍超となる。

ダウンロード総数はAppleのApp StoreとGoogle Playの合計で、App Storeで1800万回、Google Playでは1200万回超だった。第4四半期で最もダウンロードされたアプリであったのに加え、Disney+はApp StoreとGoogle Playの両方でダウンロード最多だった。

App Storeでは、4四半期連続でYouTubeがダウンロード数トップの座をキープしていたが、2019年第4四半期はDisney+がYouTubeとTikTokを抑えてダウンロード最多となった。またDisney+は、Google Playでも大きな記録を打ち立てた。1四半期で米国でのダウンロード数が1000万回を超えたのは2017年のFacebook Messenger以来のことだ。

売上高に関しては、Disney+は最初の30日で5000万ドル(約55億円)超を売り上げ、他のビデオオンデマンドストリーミング(SVOD)のHBO NOWや Showtimeを上回った。また12月にDisney+は、HBO NOWの米国における最高月間売上高よりも多く売り上げた。HBO NOWでは「Game of Thrones」の最終シーズンが放映された月に売上高は急増したが、その月よりも多かった。

第4四半期のDisney+の売上高は、米国におけるSVOD全体の売上高の16%を占めた。11月半ばのサービス開始だったことを考えると驚くべき数字だ。また、Disney+の12月の売上高がNetflixのこれまでの最高売上高の71%に達したことも注目に値する。

加えて、Disney+の米国における3000万件ものインストール数は、2019年通年でのHuluとAmazon Prime Videoのものよりも多い。

とはいえ、サービスを立ち上げた第4四半期のSVODダウンロードの34%をDisney+が占めたものの、他のSVODアプリのダウンロード数も対前年同期比で12.5%、対前年比で4.7%成長した、とSensor Towerは指摘する。これは、Disney+が他のストリーミングサービスのシェアを奪っているのではなく、マーケットが拡大していることを意味するようだ。

Disneyのブランドはパワフルだが、その一方でサービス開始のタイミングも功を奏した。米国のストリーミングマーケットを少しずつ着実に開拓してきたNetflixと異なり、消費者はすでにストリーミングサービスに親しんでいて、新たなストリーミングアプリを喜んで試す状態にある。またDisney+は、人々がエンターテインメントアプリやゲームにより時間を費やすホリデーシーズンに先駆けてサービスを開始した。さらにインストール数を増やそうと、いくつかの販促も実施した。1つは1年間無料というVerizon(TechCrunchの親会社だ)とのもの。もう1つはGoogleとのもので、Chromebookオーナーに3カ月無料サービスを提供し、Disney+、ESPN+そしてHulu3つ合わせて1カ月12.99ドル(約1400円)へとディスカウントした。

サービス開始から2カ月たった現在、App StoreとGoogle Play合わせて世界中のインストール数は4100万近くに達し、消費者の支出は推計9720万ドル(約107億円)だ。

売上高の数字は驚異的で、最初の30日間で5330万ドル(約59億円)を売り上げ、2カ月目は4390万ドル(約48億円)だった(この数字には米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダのものが含まれている)。

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(翻訳:Mizoguchi

App Storeのクリスマスイブから大晦日までの売上は1550億円超の新記録

米国時間1月7日午前にApple(アップル)は、サービス事業部門の年末の総括を発表した。具体的には、App Store、Apple Music、iCloudに加えて、2019年に始まったApple Arcade、Apple TV+、Apple News、およびApple Cardの実績を報告した。中でも同社が強調したのがホリデーシーズンの記録を作ったApp Storeで、週当たり155カ国から5億人以上がサイトを訪れた。現在までにApp Storeデベロッパーは累計1550億ドル(16兆9246億円)を売り上げたと同社は伝えた。

驚くべきなのは、この売上の4分の1が昨年だけで達成されていることだ。

さらにアップルは、App Storeの多忙だったホリデーシーズンについて述べ、クリスマスイブから大晦日までの間に顧客が使った金額は14億2000万ドル(約1550億円)に達し、2018年を16%上回ったことを発表した。2010年の元日だけで3億8600万ドル(約42,1億円)が費やされた。これは2019年より20%多く、1日の売上の新記録だった。

同社は昨年の無料、有料のアプリとゲームのトップ10も発表し、YouTube、Facetune、マリオカート ツアー、Minecraftがそれぞれのカテゴリーでトップを占めた。一方Apple Arcadeはゲーム数を100タイトル以上に伸ばした。

App Store以外のサービス事業について、同社はいくつか大きな実績について語ったが、売上データは公表しなかった。

例えば、Apple Musicリスナーの50%以上がiOS 13のリアルタイム歌詞表示を試した。同社は、Apple TV+の番組が初年度にゴールデングローブ賞とSAG(映画俳優組合)アワードにノミネートされたことにも言及した。また、Apple Newsが米国、英国、およびカナダで合計1億人以上の月間アクティブユーザーを達成したことも語った。

ポッドキャスティングに関してアップルは、現在Podcastアプリには155カ国で80万以上のタイトルが登録されていることも報告した。ちなみに主なライバルであるSpotifyのタイトル数は50万以上だ。

2019年にApple Payは、世界で150カ所以上の競技場、野球場、アリーナ、エンターテイメント施設で非接触チケットでの入場を可能にし、上海、北京、東京、モスクワ、ロンドン、ニューヨークの各都市では公共機関をApple Payで利用できるようになった。今年はさらに、ワシントンDC、深セン、広州、仏山の各都市および米国のいくつかの大学が加わる予定だ。

セキュリティー面では、iCloudユーザーの75%以上が2要素認証を有効にしていると同社は語った。

「2019年はアップルのサービスビジネスにとって史上最大の年だった。いくつかのワクワクする体験を新たに届ける一方で、ユーザーのプライバシーとセキュリティーを守る基準を定めた」と同社のインターネット・ソフトウェア&サービス担当上級副社長が声明で述べた。「アップルは新しい10年を、驚くべき意欲と当社のサービスを熱烈に支援する顧客への感謝をもってスタートし、世界最高のクリエーター、作家、ジャーナリスト、デベロッパーたちと引き続き働くことを楽しみにしている」。




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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PopSocketsがポップグリップを付けたまま使えるワイヤレス充電器を発売

米国ラスベガスで開催されているCESで、PopSocketsがポップグリップユーザーの大問題を解決する新しいマストアイテムを発表した。米国時間1月7日に発表されたのはPopPower Homeワイヤレス充電器で、中央に穴が空いているのでiPhoneやAndroidスマートフォンの背面にポップグリップを付けたままワイヤレスで充電できる。

ポップグリップを付けていると一般的なワイヤレス充電器は使えなかったが、この形ならモバイルデバイスを水平に置いてワイヤレスで充電できる。これまでポップグリップユーザーは、ケースやスワッパブル・ポップグリップをはずしてワイヤレス充電するか、ケーブルをつないで充電するしかなかった。

新製品のPopPower Homeは、この問題を解決する。厚さ5ミリ以内のケースを付けたままでも動作し、背面にポップグリップを付けていない携帯電話やAirPodsのWireless Charging Caseも充電できる。Wireless Charging Caseにカバーが取り付けられていても動作する。

PopPower HomeはNucurrent製でQi EPP(Extended Power Profile)の認証を受けており、最大15Wでモバイルデバイスをワイヤレスで高速充電できる(多くのワイヤレス充電器は5〜10Wだ)。PopSocketsによれば、充電にかかる時間は携帯電話のブランドやモデル、ケースの厚み、バッテリーの消耗によって異なるという。

発売時点では、PopPower Homeはアップルとサムスンの高速ワイヤレス充電モードに対応する(PopSocketsはTechCrunchに対し、ワイヤレス充電ができるPixelにも今後対応すると説明している)。

使い方は、PopPower Homeにケーブルを接続し、携帯電話などのデバイスを上に置くだけだ。ポップグリップが中央の穴に収まるように置く。側面のLEDで充電中であることがわかる。

ポップグリップと同様に、ワイヤレス充電器にもナイトブルーム、マウンテンスケープ、マットホワイト、コズミッククラウド、カーボネイトグレーなど、多くのデザインがある。

残念ながらこの充電器を使えるのは標準のポップグリップのみで、金属製のグリップ、PopGrip Mirror(日本の同社サイトでの名称はPopMirror)、PopGrip Lips(日本の同社サイトでは未発売)には対応しない。

PopPower HomeはPopsockets.com限定で、60ドル(約6500円)で販売されている。ワイヤレス充電器は20ドル(約2200円)以内の製品が多いので、それに比べると高い。しかしポップグリップユーザーにとっては携帯電話を置くだけで充電できて便利だ。

発売開始時には3種類のデザインしかないが、1月中にはほかのデザインが追加される。

現時点ではバンドル販売はないものの、早ければ2月にはAmazonに登場する模様だ。

価格は高いが、PopSocketsはすでに多くのユーザーを獲得しているのでこの新製品は成功するだろう。同社はこれまでに1億6500万個のグリップを販売しているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

「アレクサ、ガソリン代払って」コマンドが米国の1万カ所以上のGSで利用可能に

車にガソリンを入れるのは、それほど難しいことではない。しかしAmazon(アマゾン)は、ボイスコマンドを利用することで、それがもっと簡単になると考えている。ガソリンスタンドの計量器の横に車を止めたら、「アレクサ、ガソリン代払って」と言えばいいのだ。米国時間の1月7日、Amazonは、ExxonMobil(エクソンモービル)、Fiserv(ファイサーブ)と連名で、音声指示によるガソリン給油について発表した。今年の後半には、米国の1万1500以上のExxon(エクソン)とモービル(Mobile)のガソリンスタンドで利用可能になる。

Amazonによると、Alexa(アレクサ)を利用してガソリン代を支払う機能は、まずはAlexa対応の車、Echo AutoやAlexa対応のモバイルデバイスを持っている顧客から利用可能になるという。

顧客は計量器の横に着いたら「アレクサ、ガソリン代払って」と言うだけで使い始めることができる。するとAlexaは、ガソリンスタンドの位置と計量器の番号を確認する。

支払い自体は、Amazon Payを使って処理される。その支払情報も、顧客の通常のAmazonアカウントに保存される。Fiservの電子商取引の技術によって、ガソリンの計量器を稼働させ、安全な支払いが実行されるよう、トークンの生成も円滑に進行する。

このような、Alexaを利用した給油体験が、支払カードを計量器に直接セットするより、大幅に早くて簡単かどうかは定かではない。どちらかと言うと、ちょっと回りくどいような感じもする。しかし、これは便利だと感じる人もいるだろう。計量器が認証されて給油可能になるまで、車の外で処理の進行を待つ代わり、車の中に居ることができるのだから。

特に寒い冬の日には、ありがたいものに感じられるかもしれない。また、女性など、計量器の横に一人でいるのが心配だという人には歓迎されるだろう。夜間やよく知らない場所など、安心できないような状況でガソリンを入れる場合には特にそうかもしれない。

「私たちは、ガソリンスタンドに新しいテクノロジーと、素晴らしい体験をもたらすことにワクワクしています」と、エクソンモービルの米国燃料マーケティングマネージャーであるEric Carmichael(エリック・カーマイケル)氏は声明で述べた。「私たちは、消費者をあっと言わせるような、使いやすさと安全性を両立させるテクノロジーを開発し、探求してまいります」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AmazonのFire TVが月間アクティブ4000万人突破でRokuをリード

Amazonは米国時間1月6日、同社のFire TVプラットフォームに現在、4000万人以上ものユーザーがいることを発表した。2019年5月に発表した3400万人から増加しており、Rokuが昨年11月に2019年Q3決算で報告したアクティブ・アカウント3230万人を上回っている。

Rokuの「アクティブ・アカウント」は、過去30日間に一度でもストリーミングしたユーザーを指すが、1つのアカウントは同じ世帯で複数の人数が共有している場合もあるとRokuは言う。しかし同じことはFire TVにも言える。Fire TVもRokuも、異なるアカウントに切り替えてパーソナライズされたホーム画面やウォッチリストを作ることは容易ではない。

2019年にFire TVが3400万ユーザーを喧伝したとき、Rokuをアクティブ・アカウントで500万人リードしていた。月間4000万アクティブとなった現在、その差は770万人へと広がった。しかし両社は常に僅差でユーザー数を争っており、Rokuの決算が発表されるとAmazonのリードは縮まる。おそらくその時点でRokuは数百万ユーザー上乗せしてくると思われ、両プラットフォームの激しい戦いは続く。

RokuとFire TVのライバル関係は激しく、Rokuが無料の映画とTVハブのThe Rock Channelを出せば、Amazonは子会社のIMDbが無料のストリーミングサービス、IMDb TVをFire TVの機能として提供している。Rokuは独自のボイスコントロールプラットフォームを開発中であり、Fire TVがバーチャルアシスタント、Alexaを使ってつながるTVを制御できるというAmazonの優位性に対抗しようとしている。

また、Rokuがどのストリーミングサービスにもアクセスできる中立プラットフォームとして好評を得ているのに対して、Amazonもライバルのストリーミングサービスのサポートを充実しつつあり、最近ではYouTubeYouTube TVApple TVアプリが加わった。

Fire TVの月間アクティブユーザー4000万人は、新しいニュースだったが、Amazonが米国時間1月6日に発表したAlexaの利用状況はそうではなかった。現在10万個以上のAlexa互換スマートホーム製品があり、9500ものブランドから発売されている。Alexaデベロッパーの作ったスキルは10万件を超え、何百という製品がAlexaを内蔵している。こうしたデータは毎年恒例となっている2019年秋に行われたAmazonのAlexaイベントで詳しく発表された。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LuminaryがAlexaデバイスでサブスクベースのポッドキャストを開始

「ポッドキャストのNetflixを作る」ことをミッションとするLuminary(ルミナリー)が、サービスの有料会員を獲得する新たな方法を試している。同社が米国時間12月17日に立ち上げたのは、EchoスピーカーなどのAlexaデバイスで、音声コマンドを使ってポッドキャストのコンテンツをストリーミングできるスキルだ。加えてLuminaryは、Alexaの音声操作でサブスクリプションを提供する最初のポッドキャストサービスになる。

リスナーはAlexaに「Start My Free Luminary Trial」(ルミナリーの無料トライアルを始めて)と呼びかけることで、Luminary Premiumへの1カ月の無料アクセスができるようになる。あるいは「Alexa, Subscribe to Luminary」(アレクサ、ルミナリーを申し込んで)と言えば米国内で月額7.99ドル(約880円)のサブスクリプションをスタートできる。

この施策については反対する人もいて、ポッドキャスト番組をLuminaryから取り下げるケースも多く見られたが、同社は生き延びた。Luminaryのライブラリは成長し、米国時間12月17日の時点で有料の独占ポッドキャストが40種類ほどある。その中には、Trevor Noah、Lena Dunham、Martina McBride、Russell Brand、Team Coco、The Ringer、Roxane Gay + Tressie McMillan Cottomといった大物の番組も含まれる。

これまでLuminaryは、ポッドキャストのネットワークであること、ネットワークの外も含めて一般的にポッドキャストを放送するアプリであることの二股をかけていた。LuminaryのiOSアプリでもAndroidアプリでもウェブアプリケーションでも、有料会員は同社のオリジナル番組だけでなく、そのほかの好きな番組を聴ける。でもAlexaに限っては有料会員のみが対象だ。ただし上記のように1カ月の無料トライアルはある。また独占番組のサンプル回もサインアップする前に聴ける。

有料会員になれたら、Alexaのスキルを使って有料番組を前回停止したところから聴けるし、自分の好きな番組のストリーミングだけでなく、推奨番組を教えてもらえる。Echo Showのように画面のあるAlexaデバイスではアートの作品や説明が映し出される。

音声アプリを設計したのは同社とパートナーしたニューヨークのデジタルエージェンシーのRAINで、ここは音声と会話的AIが専門。そしてLuminaryの初めての音声プラットホームのローンチを手がけた。

Luminaryがデビューしたのは今年の初めだが、すでにそのサブスクビジネスは1億ドル近い投資を得ている。しかし、「無料で広告入りの一般公開番組をLuminaryの有料サービスに惹き寄せるための餌として使っている」と怒っているポッドキャスト制作者も多い。またLuminaryは、完全で正確なアナリティクスをポッドキャストの発行者に送っていなかった(これは後日改めた)。また、大手メディアの一部は番組の取り下げを求めた。具体的には、SpotifyのGimletとParcast、The New York TimesのThe Daily、The Joe Rogan Experience、Endeavour Audio、PodcastOne、Barstool Sportsなどだ。

Spotifyは自分が投資した企業が独自の独占ライブラリを育て、サードパーティのアプリから広告なしで配布されているのだから頭にくるのも当然だ。しかしLuminaryが予想しなかったのは、そのアプリを自分のコンテンツの配布方式の1つとしか見なさないポッドキャストの多さだ。つまりOvercastやPocket Casts、AppleやGoogleのポッドキャストアプリのように。

今回AlexaスキルをローンチしたことによってLuminaryは、有料サービスに注力しやすくなった。ポッドキャストが広告に依存するのでなく、クリエイターが自分の作品に金を払ってもらえる。同社はAlexaをローンチした理由として、スマートスピーカーはモバイルデバイスとPCに次いで3番目に多く、ポッドキャストの聴取に使われているからだと語る。

ちょうどAmazon(アマゾン)も、Alexaデバイスでのポッドキャスト聴取に投資を増やしている。り同社は先週、Echoデバイス上のAppleとSpotifyのサポートを加えたのだ。さらに今では、ユーザーは自分のデフォルトのポッドキャストサービスを指定できる。Luminaryのユーザーは、そんなデバイス内蔵の便利さを享受できない。代わりにユーザーは「Alexa, Open Luminary」(ルミナリーを開いて)と言う必要がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾン傘下のドアホンメーカー「Ring」が行方不明児の捜査に協力

Amazon(アマゾン)傘下のRingは、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)と協力して、Ringのコミュニティーアプリ「Neighbors」に行方不明の子供たちのポスターを掲載する。Neighborsは地域の犯罪のニュースや安全に関わる事象を地域コミュニティーで共有するための無料アプリで、Ringのドアホンやカメラのユーザーに限らず誰でも利用できる。

NCMECは24時間のホットライン(1-800-THE-LOST)を開設して米国内の行方不明の子供を探すとともに、アンバーアラート(公衆メディア経由の緊急警報)やソーシャルメディアへの投稿を通じて行方不明者の情報を共有している。Ringとの提携によって、NCMECは数百万人からなるアプリのコミュニティーを通じて広範囲の人々とつながることができる。コミュニティーにはRingのビデオドアホンのユーザーがいるので、NCMECで共有できる重要情報を持っている可能性がある。

Ringによると、最近このしくみによって米国ニューメキシコ州アルバカーキで行方不明の子供が家族と再会した。ただしこのケースに誘拐は関係していない。いなくなった14歳の少年はフットボールの試合の後、父親に拾ってもらうのを待っていたが場所を間違えていた。携帯電話も自宅の電話番号もなかったため、助けを求めることができなかった。家族は警察に届け、RingのNeighborsアプリに迷子通知を掲載したところ、アプリユーザーのひとりが少年を見つけて両親に連絡した。

NCMECは今回の提携によって、すでにNeighborsアプリで行われているような情報交換を正式なものにすることを考えている。メンバーの誰かが見たことを拡散したり、上の事例のように自分の子供が行方不明になった親が助けを求めるケースなどだ。

Ringによると、NCMECの行方不明児のポスターは、関連地域のメンバー全員に公開される。捜索に役立つ可能性のある情報を持つ人に通報を促す投稿も行われる。

FBIによると、2018年に警察に届け出のあった子供の行方不明事例は42万4066件だった、とRingは付け加えた。

この提携は、Ringの世間におけるイメージを払拭する必要があるタイミングに発表された。

Amazon傘下の同社は、 警察との関係で批判を受けて議会による調査まで行われたほか、顔認識技術の利用にまつわる計画についても問題になった。最近では、RingのドアホンからWi-Fiパスワードがハッカーに流出したことも発覚した。Ringは二要素認証などによる高度なセキュリティーを必須にしていなかったため、ユーザー名とパスワードを入手したハッカーが侵入し全米のユーザーを攻撃する事件も起きた。

一連の事件をきっかけに、複数の消費者団体やプライバシーグループがRingのカメラに対する製品警告を発信し、RingのNeighborsアプリがデバイスの位置情報などの非公開情報を共有していたことも指摘した。

こうした深刻な問題を抱えながらも、RingのNeighborsアプリのアクティブユーザーは増え続けている。Sensor Towerによると、これまでに米国ではNeighborsが700万回インストールされている。Ringのドアホンは現在世界中で1000万台以上設置されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPalがオンライン決済の中国GoPayの買収を完了、海外オンライン決済サービスとしては中国初

PayPal(ペイパル)は12月19日朝、GoPay(Guofubao Information Technology)が発行する株式の70%を買収したと発表した。これにより、PayPalは中国でオンライン決済サービスを提供する初の外国企業による決済プラットフォームとなる。株式の買収は中国人民銀行に9月30日に承認されていて、このほどクローズした。ディールの詳細は非公表だ。

GoPayはオンライン決済とモバイル決済のライセンスを保有し、主にeコマースやクロスボーダーコマース、観光などの業界向けの決済プロダクトを提供している。PayPal同様、GoPayも顧客がオンラインショッピングをする際に小売がウェブサイト上で支払いを受け付けられるようにする。中国の決済マーケットは、AliPayやWeChat Payなどeウォレットプロバイダーを含む地元企業が主導しているが、PayPalがサービスを展開する余地は残されている。中国では毎年、電子決済が数十億ドルではなく、数兆円規模で行われている。

Frost & Sullivanの予測によると、モバイル決済だけみてもマーケットは2017年の29兆9300億ドル(約3300兆円)から2023年には96兆7300億ドル(約1京580兆円)へと年21.8%ペースで成長することが見込まれている。これは部分的にはeコマース需要の増加による。アクティブモバイル決済客の総数は2023年までに9億5600万人に達するとも予想されている。中国マーケットではまた、クロスボーダー決済も増加していて、特にeコマース、旅行、海外教育などの部門で顕著だ。2016年には6兆6600億ドル(約730兆円)に達した。

米国の金融機関は長い間、中国進出に苦心してきた。2018年に中国中央銀行は外国の決済サービス企業に門戸を開くと述べていたが、承認は遅々としていた。2018年11月なってようやく、American Express(アメリカン・エキスプレス)が中国でのクレジットカード決済サービス展開が許可された初の米国企業となった。VisaとMastercardも同様に参入を試みている。

「この歴史的な買収を完了させることができうれしく思う。これでダイナミックな中国マーケットに参入できる」とPayPalの会長でCEOでもあるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏は買収クローズに関する声明文で述べた。「弊社にとって重要なステップであり、中国の金融機関やテクノロジーのプラットフォームの強力なパートナーとなることができる。中国のeコマースと決済エコシステムの成長に貢献することを楽しみにしている」。

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(翻訳:Mizoguchi)

YouTube MusicがSpotifyに対抗して3つの新プレイリストを追加

YouTube Musicは、3種類のパーソナライズされたプレイリストを導入することで、Spotify、Apple Musicといったサービスの要素を取り込もうとしている。その3つのプレイリストとは、SpotifyのDiscover WeeklyをパクったようなDiscover Mixと、New Release Mix、そしてYour Mixだ。Discover Mixについては、以前のテスト中に出回ったことで、すでに発見されていた。現在では3つすべてのプレイリストが世界中のYouTube Musicユーザーに提供されている。

これらの新しいミックスを導入する同社の計画は、この秋のTechCrunch Disrupt SF 2019で発表されていた。YouTubeの最高製品責任者、ニール・モハン(Neal Mohan)氏は、機械学習と人間のキュレーションを組み合わせることで、提供する音楽サービスを改善する計画について話していた。

Discover Mixは、SpotifyのDiscover Weeklyに非常によく似ている。ユーザーが、新しいアーティストや好きな音楽を見つけられるよう、手助けすることに焦点を当てたもの。ユーザーが、これまでに聴いたことのない曲や、好きなアーティストの曲ながら、あまり知られていないものを紹介してくれる。しかし、競合の音楽サービスと異なるのは、このプレイリストは、YouTube MusicとYouTube、両方の聴取データの履歴を活用して作成されること。

このミックスは、毎週水曜日に更新され、リスナーに毎週50曲を提供する。

New Release Mixは、名前から想像できるように、ユーザーのお気に入りのアーティストや、ユーザーが気に入りそうだとYouTubeが考える他のアーティストによる、すべての最新リリースを取り上げるもの。これは、ほとんどの新曲のリリースと同様、毎週金曜日に更新されるが、必要に応じてそれ以外の日に曲が追加されることもある。

最後のYour Mixは、ユーザーのお気に入りの音楽と、まだ聴いたことのない、好きそうな曲を組み合わせたプレイリスト。中身は、普段の聴き方の傾向によって選ばれる。このミックスは、定期的に更新され、常に最新の状態に保たれる。

もちろん、YouTube Musicを長い時間聴けば聴くほど、ミックスは良いものになる。しかしYouTubeによれば、ユーザーが設定で自分の好きなアーティストを選んだり、実際に数曲を聴くだけで、すぐにパーソナライズされたミックスの提供が可能になるという。

このようなプレイリストの登場は、現在Googleがストリーミング音楽サービスに熱心に投資するようになっていることと無関係ではない。この秋には、YouTube Musicは、Google Play Musicに代わって、新しいAndroidデバイスに付属するデフォルトの音楽アプリになった。そして最近の報告によれば、Spotifyの主要市場であるインドでは、遅れて参入したにもかかわらず、YouTube MusicはSpotifyやJioSaavnより優位に立っているという。

新しいプレイリストは、iOS、Android、およびウェブ版のYouTube Musicで、すでに利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Whiskの人工知能レシピアプリは食材を宅配してくれる

料理のレシピを紹介するウェブサイトやアプリが急増しているが、作りたい料理を組み合わせたり探したりが、ここ数年難しくなってきている。レシピのサイトは、広告やら長たらしい個人的な話で埋め尽くされ、今の利用者は買い物リストを作って店に買いに行よりネットで食材を揃えたいという事実を多くのアプリは無視している。米国時間12月17日、Whisk(ウィスク)という企業が、新しい形の食事のプランニングとレシピ検索のサービスを開始した。集めたレシピの整理も行えるほか、Walmart(ウォルマート)、Amazon Fresh、Instacart(インスタカード)など、さまざまな食材宅配業者で簡単に材料を購入できる。

Whiskは、収益を3倍に伸ばし、収益性と月あたり5億件を超えるレシピのインタラクションを生み出す力を備えるようになった今年の3月、会社そのものが今年の3月にSamsung NEXT(サムスンネクスト)に買収されている。

そして今、Whiskはウェブサイト、モバイルアプリ、音声アシスタントなどに対応する新しいクロスプラットフォーム・エクスペリエンスを提供するまでになった。すべては、食事のメニューやリストの共有、そして買い物を楽に行えるようにするためだ。

誤解のないように説明しておくが、Whiskは一般的なレシピサイトとは違う。ほかで見つけたレシピを保存してくれる手段だ。レシピサイトの散らかりっぷりは最悪。メディアの注目は集めたが、ユーザーからは悲鳴が出ている。また、好きなレシピをPinterestでピンにしている人が大勢いるが、その管理にうんざりした私は、メモアプリにそのテキストと写真をコピーしている。だがWhiskは、今の私のやり方を再考させてくれた。

Whiskのサインアップは、FacebookやGoogleでログインしたくない場合も、メールアドレスか電話番号で簡単に行える。あとは、ウェブ上で見つけたレシピのURLを加えていくだけだ。

Piterestのようなサイトの場合は、リンクが自分のアカウントに保存され、簡単に見られるようになる。だが、Whiskはそれだけではない。そのサイトから重要な情報を抽出し、再構成してくれるのだ。たとえば、レシピのタイトル、写真、材料、所要時間などが、Whiskのレシピ用の記入フォームのそれぞれ適切な場所に配置される。

私が試したところでは、残念ながら作り方の説明が漏れてしまっていたが、そこだけ後からコピーして貼り付ければ済むことだ。説明を書き加えたり、メモを入れたり、自分の好みに合わせて材料を足したり変更したり削除したりもできる。レシピには、元の場所へのリンクを含め、直接保存もできるが、Whisk上で作ったレシピ集への追加もできる。

実際に料理を作るときには、余計な話や広告を一切省いて、レシピだけを見ることができる。

公正を期すために言えば、このやり方でレシピを保存する場合、単純に“Pin It”ボタンを押すだけよりも手間がかかる。Whiskが写真を抽出してくれない場合もある。また、レシピのYoouTube動画へのリンクなど、料理方法以外の詳しい情報を後から追加したくなることもある。

しかし、レシピを追加する際に、数分間の余計な手間をかけることで得られる恩恵も大きい。レシピを整理するだけでなく、Whiskは、スマートテクノロジーを駆使して食事のプランニングも手伝ってくれるのだ。追加されたレシピには、小さな写真アイコンで認識できるようになるのだが、Whiskは各レシピの栄養面を計算して、“Health Score”(健康スコア)を付けてくれる。

この処理は、材料、組み合わせ、日持ち、味、カテゴリーなどのマッピングを行うWhiskの自然言語型深層学習アルゴリズム“Food Genome”(フード・ゲノム)が担当する。今では、Whiskのエコシステムは月に5億件のインタラクションがあると、同社は話している。

Whiskはまた、ボタンをクリックするだけで人数分に合わせた材料の分量に変更できる。頭の中で材料の計算をしなくても(あちこちググらなくても)いいのだ。

材料を買い揃える段階では、ボタンをタップするだけで買い物リストが作られる。必要に応じて材料を個別に加えたり、外したりもできる。このリストはSMS、電子メール、またはURLで共有して、他の人が見たり編集したり、これに従って買い物を頼んだりもできる。Whiskの音声アプリを利用すれば、またはBixby、Alexa、Googleアシスタントのユーザーならば、手を使わずにリストにアイテムを追加できる。

そして、自分の地域で利用可能なオンライン食品宅配業者から、注文したい店を選ぶ。これこそWhiskが他の競合レシピアプリと一線を画す機能だ。ほかのアプリは、往々にしてこの最後のステップを見落としている。

現時点では、Whiskは世界の29のオンライン食品宅配業者に対応している。米国ではWalmart、Instacart、Amazon Fresh、PeaPod。イギリスでは、Tesco、Ocado、Waitrose、ASDA、Amazon Fresh。その他の海外市場では、GetNow、Woolworths、REWEなどが使える。

「米国人のおよそ半数が、今でも紙にペンで買い物リストを書いています。それなのに、ほとんどの人が料理のアイデアをデジタルメディアから得ています」とSamsung NEXTのWhisk製品責任者Nick Holzherr(ニック・ホルチエ)氏は、アプリ立ち上げの際の声明で述べている。「新しくてより健康的な食事関連のコンテンツをインターネットで探し回るのに、何時間も費やされています。しかし、7つから9つの同じレシピのデータが繰り返し出て来るだけです。オンラインとオフラインとの間に根本的な断絶があります。Whiskは、そこをつなげることができます」と彼は話す。

同社はまた、2025年には、米国人の70%がインターネットで買い物をするようになると指摘している。インターネットで買い物をする人が増えれば、一部の食品小売業者からアフィリエイト料も入るようになり、Whiskはこのサービスによる収益を増大させることだろう。

本日からWhiskは利用できるChromeの拡張機能として、またAndroidAlexaGoogleアシスタントBixbyで利用できるようになった。iOS版は間もなく登場する。

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(翻訳:金井哲夫)

InstagramはAIにより悪質なキャプションにも注意を与える

今年7月にInstagram(インスタグラム)は、悪質と思われるコメントが投稿される前に警告する機能を発表した。先回りして警告するこの機能を、今度はキャプションにも拡張する。今回のこの新機能では、ユーザーが投稿に付けるキャプションを書くと、これまでにいじめと報告された文言に類似していないかどうかをインスタグラムのAIが検知する。

ただし悪意のある発言の公開を阻止するわけではない。書いた言葉を考え直すようにとちょっと注意を促すだけだ。しかし前述の機能が公開された後は、コメント欄でのいじめが減っている。

この新機能が実装されると、ユーザーが悪質と思われるキャプションを書いた場合に「このキャプションは以前に報告されたものと類似しているようです」と通知が表示される。この通知を見たユーザーは、文言を編集するか、ボタンを押して詳しい情報を見るか、無視して投稿することができる。

オンラインでのいじめの減少だけでなく、インスタグラムはユーザーに対し、どういうことが禁止されているか、どういう場合にルール違反でアカウントが無効化されるおそれがあるかを知らせることも狙っている。


今回の新機能でネガティブな、あるいは暴力的なキャプションの投稿を阻むことはできないが、インスタグラムはオンラインでのいじめの被害者を救う機能をこれまでに数多く導入している。例えばユーザーは、個々のポストについてコメントをオフにする、フォロワーを削除する、コメントをフィルタリングする、アカウントをミュートするといったことができる。今年はぎりぎりのコンテンツのランクを下げる対策も開始した。これは利用禁止には至らないもののボーダーラインに近づいているアカウントに対して適用されるもので、暴力的な、あるいは有害なコンテンツを投稿して注目を集めようとする理由がほとんどなくなる。

こうした対策が遅すぎたのは、10億人を超えるインスタグラムユーザーにとっては不幸なことだ。偽情報を調べるための投稿のファクトチェックは、世界的には米国時間12月16日に始まったばかりだ。

現在のソーシャルメディアプラットフォームのほとんどがそうだがインスタグラムも、誰かを傷つけたい人がサービスをいかに悪用するかに目を向けて慎重に設計されたものではなかった。むしろテクノロジーがほんとうに誰かを傷つけることに、インスタグラムなどのプラットフォームは後から気づいた。ソーシャルメディアプラットフォームは、さまざまな視点や体験を考慮した労働力の構成に現在も苦心している。

いじめと思われる発言に注意を促す新機能は歓迎だが、インスタグラムができてからこの機能が実装されるまで10年もかかったのは残念だ。AIが進化して来年のどこかのタイミングでこうしたツールはもっとパワフルで実用的になるかもしれないが、こうした機能はシンプルな形であっても何年も前に実現し年月をかけて進化してもよかったはずだ。

インスタグラムは、この機能は一部の地域から徐々に公開し、世界的には「その後数カ月のうちに」と展開すると述べている。つまり2020年ということだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが米ABCと提携、「News」アプリ内で米大統領選挙ニュースを提供

Apple(アップル)は12月16日、2020年米大統領選挙のニュースをApple Newsアプリ内で提供することについて米ABCと提携すると発表した。このコラボは2020年2月7日にニューハンプシャーで開催される民主党の候補者討論会を皮切りに始まる。そして2020年米大統領選挙期間中、Newsアプリ内でABC Newsのビデオ、ライブストリーミング、FiveThirtyEight投票データ、インフォグラフィック、分析などを展開する。

「スーパー・チューズデー、共和党と民主党の全国大会、選挙討論会、投票日、そして2021年大統領就任式もカバーする」とアップルは表明している。ABC News、Apple News、そしてWMUR-TVはまた予備選挙開始後に最初に開催される2月の討論会でも提携する。

アップルがNewsアプリの中で米国の選挙に関する特集を組むのはこれが初めてではない。同社は2016年の物議を醸した選挙の後に選挙ニュースの提供を始めた。その選挙では、GoogleTwitter、そしてFacebookなどを含むテック大企業が自社のネットワーク上で展開されたロシアによる選挙介入で議会での尋問や調査に直面した。

ほどなくしてApple Newsは米中間選挙のセクションの展開を開始し、その後、2018年11月6日にリアルタイムでの選挙結果ハブを展開した。直近では、2020年民主党候補と討論のガイドを加えた。

信頼できるニュースプラットフォームに対する需要は、Newsアプリにおけるアップルの最優先事項だ。そしてアップルはABCが今年4つのエドワード・R・マロー賞を受賞したことにも言及している。ABCはまた、2020年大統領選に関するものとしてはこれまでで最も視聴された討論会を主催した。この討論会は今年9月に開かれ、ABCとUnivisionで1400万ビュー、オンラインビデオで1100万ビューがあった。

一方、FiveThirtyEightは統計分析、データ可視化、それから最新の投票追跡や候補の推薦、資金調達といった政治と選挙に関するレポートで知られている。「質の高いニュースや信頼できる情報へのアクセスはいつのときでも重要だが、特に選挙の年はそうだ」とApple Newsの編集長であるLauren Kern(ローレン・カーン)氏はコラボレーションに関する声明文で述べた。「毎日Apple Newsを利用している数百万のユーザーに、2020年の選挙という大きなニュースについての幅広い報道、そして信頼できる分析を提供するためにABC Newsと提携できることを誇りに思う」。

「今度の選挙は近代史の中で最も重大なものの1つだ。Apple Newsとの新たな提携では、我々のワールドクラスの政治ジャーナリズムをこれまでよりもさらに多くの人に届けることになる」とABC News会長のJames Goldston(ジェームズ・ゴールドストン)氏は話す。「2020年を通して率直な情報や知見、コンテクストを提供することで、より多くの人に主要な問題や候補者、イベントをより深く理解してもらうことができるはずだ」。

選挙ニュースでの提携に先立ち、Apple NewsはAxios、Politico、The Washington Post、Fox News、CNN、The New York Times、CBSなどさまざまなメディアと手を組んでいる。

今回アップルが報道パートナーとしてABCを選んだのは注目に値する。アップルはこれまで、ABCを所有するDisney(ディズニー)と近しい関係にあった。これはひとえにDisneyのCEO、Bob Iger(ボブ・アイガー)氏がアップルの共同創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と親しく、ディズニーがジョブズ氏の会社Pixarを2006年に買収したことによるところが大きい。しかしDisney+のライバルであるApple TV+をアップルが立ち上げたことで、2社が競合関係にあるとしてアイガー氏はアップルの役員を辞任した。ただ、2020年の選挙報道での提携が示すように、2社は今後もときどきは協業できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

App Annieが2010年〜2019年のアプリとゲームの総合トップ10を発表

モバイルアプリの分析企業であるApp Annieは、2019年のモバイルアプリ、ゲームのトップ10に加えて、2010年代のアプリ、ゲームの動向をDecade in Reviewとして発表した。

こには2010年から2019年までの10年間で最も人気があったアプリとゲームがトップ10としてリストアップされている。ダウンロード数の上位をFacebookグループが占めたのは意外ではないだろう。ダウンロード回数のトップはFacebook本体、以下Messenger、WhatsApp、Instagramと4位まで独占した。ちなみにゲームのダウンロード数トップは、インドでの大ヒットのおかけで、Subway Surfersだった。

このレポートの対象はiOSとGoogle Playのデータであり、中国の独自ストアなどサードパーティからのダウンロードは入っていない。しかし世界的なトレンドを把握するには問題ないだろう。

ゲーム以外でこの10年間の最多ダウンロードアプリがFacebookのものだったというだけでなく、Facebooはそれらのアプリ、Facebook、Messenger、WhatsApp、Instagramを現在も運営している。独占の体制の威力をいかんなく示したといえるだろう。一方、Facebookの直後に続く5位にランクインしたのはSnapchatだ。 Facebookが数十億ドルを用意して買収を図ったのはもっともだった。

Skypeが6位、Twitterが10位に入り、コミュニケーションとソーシャルメディアがこの10年のダウンロード数のトップ10のうち7つを占めた。


ゲームを別にすると、ビデオストリーミングと音楽関係のアプリがユーザーの支出のトップ分野となった。1位は Netflixだったが、Pandora Musicが3位、Tencent Videoが4位に入っている。

2019年の売上トップとなったTinderも2位につけたが、この10年のトータル売上のトップはやはりNetflixだった。4位に日本のLINE、これにiQIYI、Spotify、YouTube、HBO NOW、Kwaiが続いた。

【略】

ゲーム分野の売上チャートのトップはSupercellのClash of Clans、3位がCandy Crush Sagaだったがダウンロード数でもランクインしたのはこの2タイトルだけだった。ゲーム売上では日本勢が目立ち、ミクシィのモンスターストライク(2位)、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのパズル&ドラゴンズ(4位)、ソニーのFate/Grand Order(5位)だった。

以下、Tencentの王者栄耀(Honour of Kings)、NetEaseの夢幻西遊(Fantasy Westward Journey)、Niantic/任天堂のPokémon GOと続いた。

売上トップ10のタイトルの多くは各年度末のチャートでもトップ10に入っているが、順位は必ずも比例していない。近年人気にかげりが見えるタイトルもある。

例えば、この10年の売上リストでトップのClash of Clansは2019年のチャートでは8位だ。「ゲーム・オブ・スローンズ」のヒットで8位に入っているコンテンツストリーミングのHBO NOWはシリーズが終了したことで2019年のランク入りは逃している。一方ユーザー側のトレンドとしてはTikTok、Likeeのようなショートビデオへのシフトがみられる。これらは2019年のダウンロード数でそれぞれ4位、7位7を占めている。

【Japan編集部追記】ゲームのダウンロード数のチャート画像は記事内にない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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