スペースXが「米国のほうき」でさらに48基のスターリンク衛星を打ち上げ

SpaceX(スペースX)のStarlink(スターリンク)ミッションがまた1つ、高く高く遠くへ飛んでいった。米国太平洋標準時3月9日の午前5時45分、フロリダ州ケープカナベラルの宇宙軍施設第40発射施設からFalcon 9(ファルコン9)ロケットが打ち上げられ、地球を周回してインターネットを提供しているSpaceXの2000基に及ぶ衛星群に、新たに48基の衛星が追加された。

今回の打ち上げはブースターにとって4回目で、ミッション開始から数分後に大西洋に浮かぶ無人のドローン船「A Shortfall of Gravitas(厳粛さが足りない)」に着陸した。

2022年に入ってから7つのStarlinkミッションに加え、他の3つのミッションも打ち上げているSpaceXにとって、今回の飛行は目新しいものではなかったが、打ち上げのシークエンスにおいて、おもしろい一節が含まれていた。

「米国のほうきを飛ばし、自由の音を聞く時が来ました」と、SpaceXの打ち上げディレクターは打ち上げの「ゴー」を出す前に呼びかけた。

このコメントは、ロシアの国営宇宙機関Roscosmos(ロスコスモス)を率いるDmitry Rogozin(ドミトリー・ロゴージン)氏が先週、両国間の緊張が高まる状況を受けて、米国へのロシアのロケットエンジンの販売を禁止した後に述べた嫌味にちなんでいる。同氏は国営放送で「何か他のもの、自分たちのほうきにでも乗せて飛ばせばいい」と語っていた。

Falcon 9はSpaceXが開発したMerlinエンジンを搭載しているが、米国の他のロケット(United Launch AlliancesのAtlas VとNorthrop GrummanのAntares)はロシアのエンジンを搭載している。ULAは今後の打ち上げに十分なエンジンの在庫があると発表しているが、Northrop Grummanは、禁輸措置が同社のミッションにどのような影響を与えるかについて声明を出していない。

いずれにせよ、米国のロケット打ち上げの大半を占めるのはSpaceXであり、9日の打ち上げが示したように、同社のほうきも好調だ。

SpaceXの次の打ち上げは、Starlinkのミッションではなく、有人ミッションだ。3月30日に打ち上げられる予定のAxiom-1ミッションは、国際宇宙ステーション(ISS)への初の民間飛行となる。SpaceXは、すでにNASAのクルーを4人ISSに送り込み、民間人だけのクルーがCrew Dragonカプセルで数日間地球を周回したInspiration 4ミッションも行っており、有人ミッションの分野ではかなりの経験を積んでいるといえる。

画像クレジット:SpaceX / Flickr under a CC BY-NC 2.0 license.

原文へ

(文:Stefanie Waldek、翻訳:Den Nakano)

数千年にわたり損なわれていた古代ギリシャの碑文の完成をAIが支援

古代ギリシャ語の研究者にとって、頼りとする原文が数千年前のものという古さゆえに、修復不可能なほど損傷しているというようなことはよくある。DeepMind(ディープマインド)が開発した機械学習モデル「Ithaca(イサカ)」が、歴史家にとって新しい強力なツールになるかもしれない。失われた単語や文章の位置と書かれた年代を驚くほど正確に推測する。AIの珍しい応用例だが、その有用性が技術分野以外でも発揮されることを証明している。

不完全な古文書は、劣化した物質に関するさまざまな分野の専門家が関わる問題だ。原文は石、粘土、パピルスに刻まれている。アッカド語、古代ギリシャ語、リニアA言語で、食料品店の請求書から英雄の旅まで、あらゆることが書かれている。いずれの文書にも共通するのは、数千年の間に蓄積された損傷だ。

文字が磨り減ったり、ちぎれたりしてできた空白は「欠落」と呼ばれ、短いものでは1文字、長いものでは1章、あるいは1つの物語全体が欠落していることもある。欠落を埋めるのは簡単でも不可能でもないが、その間のどこからか始めなければならない。ここでIthacaの出番となる。

Ithaca(オデュッセウスの故郷の島から名づけられた)は、古代ギリシャの膨大なテキストで訓練されており、不足している単語やフレーズが何であるかだけでなく、それがどのくらい古いものか、どこで書かれたかも推定できる。ただ、それだけで叙事詩の全巻を埋めることはできない。これは、この種のテキストを扱う人たちのためのツールであり、解決策ではない。

「Nature(ネイチャー)」誌に掲載された論文では、ペリクシア時代のアテネの勅令を例にとって、その有効性を実証した。紀元前445年に書かれたと考えられているこの勅令は、Ithacaのテキスト分析によれば、実際には紀元前420年前後のものであり、より新しい証拠と一致している。大したことには聞こえないかもしれないが、もし権利章典が実際には20年後に書かれたとしたらと想像してほしい。

画像クレジット:DeepMind

テキストそのものについては、専門家による1回目の結果は、正解が約25%だった。決して優秀とは言えない。もちろん、テキストの復元は午後のお遊びではなく、長期的なプロジェクトであることは言うまでもない。しかし、人間とIthacaの組み合わせでは、すぐに72%の精度を達成することができた。これは他のケースでもよく見られることだ。究極的には人間の精度の方が高いものの、行き詰まりを素早く排除したり、出発点を示唆したりして、プロセスを加速できる。医療データの場合、AIがすぐに気づくような異常を人間は見落としがちだが、最終的に詳細に気づき、正しい答えを見つけるのは人間の専門知識だ。

Ithacaは、手元に欠落の多い古代ギリシャ語のテキストがあれば、このサイトで簡易版を試せる。また、そこで提示されている複数の例から1つを使って、空白がどのように埋められるのかを見ることもできる。長い文章や、10文字以上欠けている場合は、このColabノートブックで試してみてほしい。コードはGitHubのこのページで公開されている。

古代ギリシャ語はIthacaがはっきりと結果を出せる分野だが、チームはすでに他の言語についても懸命に取り組んでいる。アッカド語、デモティック語、ヘブライ語、マヤ語はすべてリストに載っており、今後さらに増えると期待される。

「Ithacaは、人文科学における自然言語処理と機械学習の貢献の可能性を示しています」と、このプロジェクトに携わったアテネ大学のIon Androutsopoulos(イオン・アンドラウトソプロス)教授は話す。「この可能性をさらに実証するためにIthacaのようなプロジェクトがもっと必要ですが、それだけでなく、人文科学とAI手法の両方をよく理解している将来の研究者を育てる適切なコースや教材も求められます」。

画像クレジット:Image Credits: Wikimedia Commons under a CC BY 2.0 license.

[原文へ]

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

【3月11日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシア国営TVサイバー攻撃、2位はSpotifyとDiscordがダウン(復旧済み)

【3月11日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシア国営TVサイバー攻撃、2位はSpotifyとDiscordがダウン(復旧済み)

掲載記事のうち、3月11日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:ハッカー集団アノニマス、ロシア国営TVなどの配信チャンネル乗っ取りウクライナでの戦闘映像流す


ロシアがウクライナへの侵攻を開始した直後、AnonymousやCyber Partisanといった世界的ハッキンググループはロシアの銀行やニュースソース、ロシア軍が移動に利用したとされるベラルーシの鉄道網などにハッキング攻撃を仕掛けています。

第2位:【復旧】SpotifyとDiscordがダウン


SpotifyとDiscordが両方ともダウンしているようだ。

第3位:アップルの新27インチStudio Displayはほぼ本体のないiMac


Appleは米国時間3月8日、プロセッサー、高品質スピーカー、マイクアレイ、高品質カメラ、3つのUSB-Cポート、Thunderboltによる96W給電機能を詰め込んだ1599ドル(日本での価格は税込19万9800円)のディスプレイを発表した。そう、もちろんディスプレイもついている。

第4位:トランジスタ以来の大発明?Menlo Microsystemsのスイッチはあなたが触れる全デバイスの電力供給を変える


電気技術者でなければ、この会社の技術革新がどれほど大きなものかを理解するのは難しいだろうし、この技術がどれほど重要なものになるかを誇張して話すことも難しいだろう。このスイッチは、ある種の回路を100倍小さく100倍効率的にするという、非常に大きなインパクトを持っている。

第5位:【レビュー】iPhone SE(第3世代)「Touch IDよ永遠に、Face IDよ無縁に」

Appleは、地球全体に広がるぜいたくなビックリハウスの格安チケットを提供し続けることを、ありがたくも決断した。それはiPhone SE(第3世代)。もしこの有益な商品が販売中止になっていたら、私はiPadに乗り換えるかAndroidに戻るしかなかった。なぜなら、代わりになるべきiPhoneには醜い切り欠きとFace IDが必ず付いてくるからだ。

画像クレジット:
Brands&People on Unsplash
Apple
Menlo Microsystems

Netflixは「栄光のグランプリ」でF1を台無しにしたたのか

2021年のF1に注目していた人なら、Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー「Formula 1:Drive To Survive(Formula 1:栄光のグランプリ)」の最新シーズンはきっとすごいことになると知っている。

うれしいことに、もう間もなくだ。「栄光のグランプリ」シーズン4が3月11日に公開される。Netflixは米国時間3月9日に予告編を公開した。

さて、話はここからだ。

「栄光のグランプリ」はF1に大きな影響を与えた。スポーツに同じぐらいの影響を与える番組は、もしあるとしてもごくわずかだ。

The Guardianによれば、2021年にF1の総合視聴率は40%以上上昇し、米国でこれまでに最も多くF1が視聴された年になった。同サイトによれば、2021年にF1ファンは世界で7300万人増えたと推計されている。

米国人にとってモータースポーツといえばNASCARだったが、2022年にはマイアミがF1のカレンダーに追加され米国で2レースが開催されるほどの熱狂となっている。まさにマイアミらしく、コースレイアウト付近にはビーチクラブもあるようだ。

NetflixのドキュメンタリーシリーズとF1人気を短絡的には語れない。ただ、因果関係ではないにしても、少なくとも相関関係があることはまちがいないだろう。

しかし、このコインには裏面がある。私自身はNetflixのドキュメンタリーシリーズに引っぱられた新米のF1ファンだが、古くからのF1ファンに共通する思いがあることに気づいた。Netflixの番組がF1をダメにしている、というのだ。

説明のために、2021シーズンを簡単に振り返ろう。

メルセデスAMG・ペトロナスはここ10年近くF1の覇者だ。このチームは2020年まで7年連続でコンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ(チームとしての成績)とドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ(ドライバーごとの成績)の両方でタイトルを獲得した。

予定されている大幅なレギュレーション変更に備え、メルセデスはリソースとエネルギーの大半を2022年シーズンに集中させることを決め、ライバルであるレッドブル・レーシング・ホンダがタイトル争いに加わる余地が生まれた。そして実際にそうなった。

レッドブルのファーストドライバーでF1界の悪ガキとも呼ばれるMax Verstappen(マックス・フェルスタッペン)と、ドライバーズチャンピオンのタイトルを7回獲得し多くの記録を保持するメルセデスのSir Lewis Hamilton(サー・ルイス・ハミルトン)はシーズンを通して互角に戦い、多くのレースで1位と2位を分け合った。

最後の4レースを残してハミルトンはドライバーズポイントで遅れをとっていたが、まずはそのうちの3レースで勝った。2021年ドライバーズタイトルの行方は最終戦のアブダビに持ち越された。F1でここまでもつれるシーズンはまれで、ことにメルセデスが絶対王者となってからはそうだった。

最終戦のほとんどの時間帯でハミルトンが先行するが、レッドブルでフェルスタッペンのチームメイトであるCheco Perez(セルジオ・ペレス、愛称が「チェコ」)がハミルトンの頭を押さえ、フェルスタッペンがオーバーテイクするチャンスを作る。セーフティカーが2回入り(1回はバーチャル、もう1回はリアル)、フェルスタッペンはフレッシュタイヤに交換、一方のハミルトンとメルセデスはトップを維持するために古いタイヤのままコースにとどまる選択をした。

(セーフティカーはコース上の障害物などのアクシデントが解決するまでの間に導入される。セーフティカーが入っている間、ドライバーはスピードを落とさなくてはならず、オーバーテイクは禁止されている)

ここで驚きの展開となった。

2回目のセーフティカーはクラッシュによるものだった。規則では、セーフティカーが入っている間に周回遅れの車はセーフティカーを追い越し、実際の順位の通りに並ぶことになっている(周回遅れやタイヤ交換のピットインのために順番が入り乱れることはよくある)。さらに規則では、周回遅れの車がすべて正しい順位に並んでからセーフティカーは次の周回の終了時点まで走り、レース再開となる。

FIAレースディレクターのMichael Masi(マイケル・マシ)はこのルールを無視し、トップのハミルトンと2位のフェルスタッペンの間にいる車にだけアンラップを指示した。さらに、1周早くセーフティカーを退かせた。

つまり、レースはセーフティカー先導のまま終わるべきだった。その終わり方は興ざめではあるが規則通りだ。しかし、そうはならなかった。

フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンは最終ラップでやすやすとハミルトンを抜き去ってこのレースに勝ち、そしてドライバーズタイトルを獲得した。

Netflixから入った新しいファンをとどめておくために運営が演出したのだと感じるF1ファンがたくさんいても不思議ではない。さらにいうと、ハミルトンとフェルスタッペンを拮抗させるためであるかのように思われる「疑問のある」判断は2021シーズンでこれが初めてではなかった。

何であれスポーツの公平性への干渉をうかがわせることがあれば、古くからのファンが動揺するのはもっともだ。

レッドブル・レーシングのChristian Horner(クリスチャン・ホーナー)代表(ちなみに妻はスパイス・ガールズのジンジャー・スパイス)といった人々は、せいぜいが見当違い、ひどい場合には女性に対して嫌悪感を持ちつつも、Netflix効果を享受しているようだ。

前述したように私は「栄光のグランプリ」がきっかけとなったまさに新しいF1ファンなので、確かに見方は偏っている。しかし私はF1が魅力的で複雑でアドレナリンが出るスポーツであることを知った。そういうふうにオーディエンスを魅了するものは、おそらく良いものだと思う。

私はストーリーをおもしろくするためにルールを調整したり曲げたりするのが正しいと考えているのか。断じてそれはない。私はそんなことが確かに起きたと言っているのか。それについてはまったく手がかりを持っていない。

私はただ、3月11日に始まる「栄光のグランプリ」最新シーズンを大量に摂取し、そのエネルギーを2022年のF1にそのまま注ぎ込むつもりだ。ご一緒にいかがですか?

画像クレジット:Netflix

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

RPAソフト市場の成長は2023年から横ばいになるとフォレスターが予測

2021年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は大人気で、マーケットリーダーのUiPathが大きな評価額で上場し、また大きな安定企業が小さなベンダーの買収を始めるなど、話題も多かった。しかしそれでも、RPAは以前から常によりインテリジェントでノーコードな方法へと移行していく前にレガシーのプロセスを扱う、過渡期的な自動化ソリューションと考えられてきた。

Forrester Researchの最新データもそんな説を支持し、RPAの市場は2025年に65億ドル(約7560億円)に達するが、しかしその頃から企業はAIを本格的に導入したオートメーションのソリューションへ移行していくため、RPAの成長は横ばいになると予想している。

RPA市場に関する最新の報告で、同社は次のように述べている。「2021年のすごい成長は2022年も続くと予想される。それはパンデミックを契機とする自動化の需要や目下進行中のデジタルトランスフォーメーションの事業によるものだ。しかし2023年以降は、成長率は横ばいになっていくだろう」。

2018年の報告書は、2019年の市場を11億ドル(約1280億円)と予想しているため、2025年の65億ドルという予想は確かに大きいが、しかしSalesforce1社の直近の四半期の売上が70億ドル(約8143億円)であるため、それに比べればまだかなり小さい。

複雑なソリューションの実装を助けるサービスの市場は、RPAのソフトウェアの売上に比べて相当堅調な成長が予想されている。Forresterによると、RPA関連のサービスの売上は2025年に160億ドル(約1兆8614億円)に達して、それらに実装を助けてもらうRPAソフトウェア本体の売上のほぼ3倍になる。サービスとソフトウェアを合わせれば、2025年は250億ドル(約2兆9085億円)という、はるかに大きな市場規模になる。

画像クレジット:Forrester Research

ForresterのアナリストであるLeslie Joseph(レスリー・ジョセフ)氏による、サービスの売上の定義は「サービスのベンダーが、プロダクトに関するコンサルティングや開発、実装、メンテナンス、サポートなどのサービスを提供して得る売上」だ。サービスベンダーとは、AccentureやIBMやEYのような、システムインテグレーターやコンサルティングやアドバイスを提供する企業だ。彼らが、RPAソフトウェアのパートナーやリセラーのこともある。

Forresterの予想では、これまでRPAソフトウェアへ行っていたお金の一部が広義のAIオートメーションソリューションへ行くようになる。なお、RPAの「R」はロボティクスだが、それは本当の意味のAIではない。この場合のロボットとは、一連の高度な手作業に多くを依存していたタスクをを完遂する、スクリプトのようなものだ。それと比較するとノーコードのオートメーションによるソリューションは、ワークフローを容易に作れて、おそらくコンサルティングの助けが要らないものだ。AIがタスクをインテリジェントに実装する方法を提供し、これまでのように本格的で高度なコーディングによって定義された一連のワークを次々こなしていくのではなく、データに基づくステップを踏んでいく。

UiPathが2021年に350億ドル(約4兆707億円)の評価額で、IPOの前の最後のプライベートな資金調達として7億5000万ドル(約872億円)を調達したとき、投資家たちは熱狂したが、しかしそれでもこの下落が起こっている。米国時間3月9日の同社の時価総額は150億ドル(約1兆7438億円)ほどで、2021年は年間を通してソフトウェア企業が株式市場で不振だったことを考慮に入れたとしても、確かに急落だといえる。

一方、SAPがSignavioを買収し、ServiceNowがIntellibotを買収、そしてSalesforceがServicetraceを持っていくといった重要な整理統合もあった。RPA専業ベンダーのトップスリーの1つであるBlue Prismは、Vista Equityのパートナーたちからの申し出を断った後で、SS&Cからの16億ドル(約1860億円)を受け入れた。この取引は今月後半に完了すると予想されている。

RPA市場について2021年に5社の投資家にアンケートした際、特にRPAという技術の有意性が長期的にはいかにして担保されるかを聞いた。投資家たちの答えは、市場が今後も継続的に大きくなる、というものだったが、Forresterが正しければ、顧客が最新のAIによるオートメーションサービスを求めるにともなって、市場は変わっていくかもしれない。

画像クレジット:Sean Gladwell/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルのArt & Cultureプラットフォームがアップデート、マリのトンブクトゥの文書、芸術品、音楽が追加

Google(グーグル)は、西アフリカの歴史家と協力して、マリに関する現代美術、文化、史跡のデジタル化に取り組んできたが、米国時間3月10日、Google Art & Culture(GAC)でデジタルライブラリーが公開され、これらのアイテムが世界中で探索できるようになった。

「Mali Magic(マリ・マジック)」と呼ばれるこのプロジェクトには、デジタル化された原稿ページが4万件以上、9つの遺産のストリートビュー、13世紀に建てられた世界最大のアドベ建築であるジェンネ・モスク(泥のモスク)の3Dモデルや注釈付きツアーが含まれている。

また、マリのシンガーソングライターFatoumata Diawara(ファトゥマタ・ディアワラ)がこのプロジェクトのために制作した、マリの文化遺産を紹介するオリジナル音楽アルバム「Maliba」も収録されている。

「(写本は)単なる歴史的な重要資料ではありません。西アフリカのマリという国の遺産の中心であり、アフリカにおける文字による知識と学問の長い遺産を象徴し、現代の問題に立ち向かう過去の行動からグローバルな学習を促す可能性を秘めています」と、トンブクトゥ(マリの都市)から写本を密輸したことで知られる「バッドアスな司書」で、Googleプロジェクトの協力者でもあるAbdel Kader Haidara(アブデル・カデル・ハイドラ)氏は述べている。

トンブクトゥは昔から、遠い場所の婉曲表現として使われてきた。しかし、このマリの都市は、中世の時代、サハラ砂漠を横断するキャラバンルートの重要な交易拠点であり、その歴史から学問の重要な中心地であったことはあまり知られていないようだ。この活発な歴史が、この都市に写本、音楽、モニュメントなどの芸術をもたらし、アフリカの交易、教育、宗教、文化の歴史を垣間見ることができるようになったのだ。

「マリの都市トンブクトゥは、人権、道徳、政治、天文学、文学の分野における豊かな学問を生み出し、何千もの写本に記録されています。2012年、この古代の知識が過激派に脅かされたとき、地元コミュニティはこれらの宝物を保存するために時間との戦いに挑みました。この遺産は、今世界中の人々が探索できるようになりました」とGoogle Arts & Cultureのプログラムマネージャーでデジタル考古学者のChance Coughenour(チャンス・クーヘナー)氏は述べている。

このライブラリーは、ウェブ上およびGoogleとApple(アップル)のストア上のアプリケーションを介して利用可能だ。2011年に80カ国、2000以上の文化施設の宝物、物語、知識を収集するデジタルプラットフォームとして開始されたGoogle Arts & Cultureは、世界中の博物館や遺産を少しずつ記録してきた。

アフリカからは2015年に南アフリカのロベン島博物館が初めてライブラリー化され、2019年にはケニアのナイロビ国立博物館がそれに続いている。ナイジェリアのアフリカン・アーティスト・ファウンデーション、レレ・アート・ギャラリー、芸術文化センターのテラ・カルチャーが、南アフリカのウィッツ大学のオリジンセンターと同じ2020年に追加された。マリのコンテンツが加わったことで、9世紀にわたってアフリカの学者によって書かれたデジタル化されたページ数は40万を超えることとなった。

Google Arts & Cultureプラットフォームは、歴史的な文書や芸術品のアーカイブとして機能するだけでなく、2021年のアップデートでは、ペットの写真と美術館にあるアート作品をマッチングさせるなど、ユニークな機能も備えている。

画像クレジット:Google/Passion Paris

原文へ

(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Kodiak Robotics、Ceva Logisticsを顧客に迎えた自動運転トラック貨物輸送の商業運用を発表

自動運転トラック輸送のスタートアップ企業であるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、Ceva Logistics(シーバロジスティクス)と提携し、ダラス・フォートワースとオースチン間およびダラス・フォートワースとオクラホマシティ間で、自動運転走行による貨物輸送を行うと、米国時間3月9日に発表した。KodiakにとってCevaは、初めて公に発表した顧客となる。

これは、Kodiakの技術を公道でテストするための実証実験や試験的な契約ではない。CevaはKodiakの有料顧客の1つであり、Kodiakは事業を継続するための収益を得る。Kodiakは11月に1億2500万ドル(約145億円)のシリーズB資金を調達したばかりだが、Waymo(ウェイモ)やAurora(オーロラ)といった競合と比べると資金が圧倒的に少なく、この分野ではまだ小さなプレイヤーの1つだ。

Cevaとの提携は、Kodiakが商業化への道をさらに進むということを示すだけでなく、Cevaの貨物業務に関する貴重な洞察をKodiakにもたらすことになると、Kodiakの共同創業者でCEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏はTechCrunchにメールで語った。

「これには、Kodiak Driver(コディアック・ドライバー)を、Cevaの既存インフラに最も効果的に統合する方法についての洞察も含まれます」と、バーネット氏はいう。「パートナー企業と貨物輸送を行うことは、物流業界の顧客が実際に望む製品を作り上げるために、非常に重要であると私たちは考えています」。

自動運転システムの背後にある技術は、公道で展開する準備がすでに整っているか、ほぼ整っている。ほとんどの業界の専門家たちは、貨物輸送が自動運転技術にとって最初の大規模な商業用途になると考えている。そのため、物流会社、荷主、輸送業者との提携をめぐり、業界では争奪戦が始まっている。

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転トラック輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)は、2022年1月にJ.B. Hunt(J.B.ハント)を同社の完全自動運転貨物輸送の最初の顧客とすることを発表し、続いて翌2月にはC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)と提携して試験運用を開始することも発表した。Auroraは自動運転トラックのテストを行うためにFedEx(フェデックス)と契約した他、Uber Freight(ウーバー・フライト)の顧客のために貨物の運搬も始めている。

「顧客と一緒に仕事をすることで、私たちはロジスティクスビジネスを深く理解し、彼らやその他の企業とシームレスに事業を展開することができます」と、バーネット氏は語っている。「私たちの顧客は高い要望を持っています。現実世界のシナリオで貨物輸送を行うということは、最適な時間帯や最適なルートを選んで運行することができません。そのため、当社のシステムはより強固なものになります」。

米国内における自動運転輸送のほとんどは、テキサス州で行われている。オクラホマ州では、州議会が完全自動運転車の公道における無人運転走行を認める法案を、先日可決したばかりだ。KodiakとCevaは同州で率先して自動運転による公道走行を始める企業となる。

もっとも、KodiakのトラックはまだWaymoやAuroraと同様に、運転席に人間の安全オペレーターが乗り込み、常に運行を監視することになる。ドライバーはルートの高速道路部分を自動運転モードで運行する。Kodiakはいかなるポリシーの離脱も行わないため、特定の定められた状況では、人間が介入して手動でトラックの運転を引き継ぐ必要はないだろう。

「私たちは、Kodiak Driverが高速道路で遭遇する状況に対応できると期待しています」と、バーネット氏は述べている。「人間のドライバーは、必要と感じた時にはいつでもシステムを解除する権限を持っています」。

2021年11月以来、Kodiakはダラス・フォートワースとオースティン間の200マイル(約322km)の貨物レーンで、Cevaのために毎週荷物を輸送している。この提携は2022年2月、ダラスのCeva施設とオクラホマシティの配送地点を結ぶ、州間高速道路35号線をオクラホマ州へ向かうルートにも拡大された。Kodiakによると、どちらのルートでも、長距離トラック用に作られたコディアックの自動運転トレーラーヘッドが、荷物を詰めたCevaのトレーラーを引っ張るという。

「Cevaでは、イノベーションとはビジネスに影響を与える新しいアイデアの実行であると定義しています。Kodiakとのパートナーシップは、特に現在のサプライチェーン危機や進行中のドライバー不足の観点から、当社の顧客にさらなる事業価値を提供することになるでしょう」と、Cevaの北米事業部で社長兼マネージングディレクターを務めるShawn Stewart(ショーン・スチュワート)氏は、声明で述べている。

Kodiakは、Cevaのために運行している2つのルートに加え、2019年からダラスとヒューストンの間で、そして2021年からダラスとサンアントニオの間で、毎日貨物輸送を行っている。同スタートアップは韓国のコングロマリットであるSKとも戦略的パートナーシップを結び、同社の技術をアジアで展開する可能性を探っているところだ。また、少数株主であるBridgestone(ブリヂストン)とは、幅広いパートナーシップの一環として、スマートタイヤ技術のテストと開発を行っている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Strong Computeは機械学習モデルのトレーニングを「100倍以上高速化」できると主張する

ニューラルネットワークのトレーニングには、市場で最も高速で高価なアクセラレータを使ってさえも、多大な時間がかかる。だから、多くのスタートアップ企業が、ソフトウェアレベルでプロセスを高速化し、学習プロセスにおける現在のボトルネックをいくつか取り除く方法を検討していることも、不思議ではないだろう。オーストラリアのシドニーに拠点を置くスタートアップで、最近Y Combinator(Yコンビネーター)の22年冬クラスに選抜されたStrong Compute(ストロング・コンピュート)は、学習プロセスにおけるこのような非効率性を取り除くことによって、学習プロセスを100倍以上高速化することができると主張している。

「PyTorch(パイトーチ)は美しいし、TensorFlow(テンソルフロー)もそうです。これらのツールキットはすばらしいものですが、そのシンプルさ、そして実装の容易さは、内部において非効率的であるという代償をもたらします」と、Strong ComputeのCEO兼創設者であるBen Sand(ベン・サンド)氏は語る。同氏は以前、AR企業のMeta(メタ)を共同設立した人物だ。もちろん、Facebook(フェイスブック)がその名前を使う前のことである。

一方では、モデル自体を最適化することに注力する企業もあり、Strong Computeも顧客から要望があればそれを行うが、これは「妥協を生む可能性がある」とサンド氏は指摘する。代わりに同氏のチームが重視するのは、モデルの周辺にあるものすべてだ。それは長い時間をかけたデータパイプラインだったり、学習開始前に多くの値を事前計算しておくことだったりする。サンド氏は、同社がデータ拡張のためによく使われるライブラリのいくつかを最適化したことも指摘した。

また、Strong Computeは最近、元Cisco(シスコ)のプリンシパルエンジニアだったRichard Pruss(リチャード・プルス)氏を雇用し、すぐに多くの遅延が発生してしまう学習パイプラインのネットワークボトルネックを除去することに力を注いでいる。もちろん、ハードウェアによって大きく違うので、同社は顧客と協力して、適切なプラットフォームでモデルを実行できるようにもしている。

「Strong Computeは、当社のコアアルゴリズムの訓練を30時間から5分に短縮し、数百テラバイトのデータを訓練しました」と、オンライン顧客向けにカスタム服の作成を専門とするMTailor(Mテイラー)のMiles Penn(マイルス・ペン)CEOは語っている。「ディープラーニングエンジニアは、おそらくこの地球上で最も貴重なリソースです。Strong Computeのおかげで、当社の生産性を10倍以上に向上させることができました。イテレーション(繰り返し)とエクスペリメンテーション(実験)の時間はMLの生産性にとって最も重要な手段であり、私たちはStrong Computeがいなかったらどうしようもありませんでした」。

サンド氏は、大手クラウドプロバイダーのビジネスモデルでは、人々ができるだけ長くマシンを使用することに依存しているため、彼の会社のようなことをする動機は一切ないと主張しており、Y Combinatorのマネージングディレクターを務めるMichael Seibel(マイケル・サイベル)氏も、この意見に同意している。「Strong Computeの狙いは、クラウドコンピューティングにおける深刻な動機の不均衡です。より早く結果を出すことは、クライアントから評価されても、プロバイダーにとっては利益が減ることになってしまうのです」と、サイベル氏は述べている。

Strong Computeのベン・サンド氏(左)とリチャード・プルス氏(右)

Strong Computeのチームは現在、依然として顧客に最高のサービスを提供しているが、その最適化を統合してもワークフローはあまり変わらないので、開発者はそれほど大きな違いを感じないはずだ。Strong Computeの公約は「開発サイクルを10倍にする」ことであり、将来的には、できる限り多くのプロセスを自動化したいと考えている。

「AI企業は、自社のコアIPと価値がある、顧客、データ、コアアルゴリズムに集中することができ、設定や運用の作業はすべてStrong Computeに任せることができます」と、サンド氏は語る。「これにより、成功に必要な迅速なイテレーションが可能になるだけでなく、確実に開発者が企業にとって付加価値のある仕事だけに集中できるようになります。現在、開発者は複雑なシステム管理作業のML Opsに、最大で作業時間の3分の2も費やしています。これはAI企業では一般的なことですが、開発者にとって専門外であることが多く、社内で行うのは合理的ではありません」。

おまけ:下掲の動画は、TechCrunchのLucas Matney(ルーカス・マトニー)が、サンド氏の以前の会社が開発したMeta 2 ARヘッドセットを2016年に試した時のもの。

画像クレジット:Viaframe / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルのメッセージアプリがiMessageのリアクションに対応、新機能でアップルに挑戦

米国時間3月10日に、Google(グーグル)は、同社のデフォルトのメッセージングアプリを大幅にアップグレードすることを発表した。ほとんどのAndroid携帯にプリインストールされているメッセージアプリは、今回のアップデートで多くの新機能を獲得することになる。最も顕著なのは、iMessageの「背面タップ」が絵文字の反応として配信されず、別のメッセージとして送信されていた長年の問題に対処することだ。この問題は、AndroidとiPhoneユーザーの間のチャットを混乱させ、乱雑にし、あまりにもうるさいものにしている。

他のアップデートは、返信を忘れたメッセージに返信することを思い出させるナッジ、ビジネスと個人的なメッセージのための別々のタブ、お祝いしたい誕生日のリマインダー、Googleフォト統合を介するより鮮明なビデオのサポート、絵文字マッシュアップの拡張セットなどが含まれている。

アップデート後は、iPhoneユーザーからのリアクションが、Android上のテキストメッセージに絵文字として送信されるようになる。iMessageと同様にライク、笑い、混乱、興奮などの絵文字のリアクションがメッセージの右側に表示される(Androidでは、右下に表示)。この機能は、まず英語に設定されたAndroidデバイスで展開されるが、他の言語でも順次展開される予定だ。

画像クレジット:Google

これらの改良されたリアクションは、メッセージアプリのベータユーザーにはすでに提供されていたが、Googleはまだ一般にいつ提供されるようになるかについては述べていなかった。しかし、どの絵文字を使うかについてのAndroidの解釈は、iPhoneと若干異なることがテスターによって指摘されていた。例えば、Androidでは「ハート」のリアクションが「ハートの目をした顔」の絵文字になる。また、iMessageの感嘆符のリアクションは「口を開けた顔」の絵文字になる。

また、Googleは、ビデオ共有のエクスペリエンスを向上させるために、メッセージアプリにGoogleフォトを統合する。最新のRCS規格では、Android端末を持つ人同士で高品質のビデオを共有することができるが、iMessageはRCSをサポートしていないため、同じビデオをiPhoneの人と共有するとぼやけて表示される。そこで、Googleフォトを経由して動画のリンクを送信することで、iPhoneユーザーも同じように高画質で動画を視聴できるようになる。この機能は、後に写真にも対応する予定だ。

この追加機能は、ビデオの品質に関してAppleを恥じ入らせることで、業界標準を採用するように仕向けることを目的としている。

Googleはこれまで、AppleがRCSをサポートしないという決定について非常に大きな声を上げてきた。RCSを採用すればGoogleがAppleのiMessageとよりよく競争できるようになるというのがその主な理由だ。しかし、AppleがiMessageを安全性の低い古い規格であるSMSに戻したことで、自社の顧客にあまり良いサービスを提供できていないと指摘するGoogleは間違ってはいない(これは、Appleが主張するようなプライバシー重視の企業としては、奇妙な選択だ)。

サポートの欠如はまた、メッセージングの際にさまざまな矛盾を引き起こす。例えば、他のiPhoneユーザーにテキストを送る際、iMessageユーザーはタイピングインジケータを見たり、既読レシートを使ったり、高解像度のメディアを見たりすることができる。iMessageがRCSをサポートしていれば、Androidユーザーとのコミュニケーションでもこれらの機能が使えるはずだが、Appleはそうしないことを選択したため、自社の顧客にとって劣った体験になってしまっている。

Appleは、SMSを「より悪い」体験にすることで、エコシステムをロックインすることができるため、ある程度は利益を得ている。しかし、このような決定によって、iMessageはグローバルなメッセージングチャンピオンになることに失敗したと批判する議論もある。世界中のユーザーがWeChat(ウィーチャット)、Messenger(メッセンジャー)、Telegram(テレグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などのサードパーティのメッセージングアプリに移行したのは、AppleがAndroidに対抗しない、あるいは現代のメッセージングの基本機能に追いつくことさえしないことを選択したことも一因となっているのだ。

一方、Google場合は、ユーザーのプライバシーを保護するための努力が必要なものの、少なくとも消費者の利便性という点では、メッセージのアップグレードは、デフォルトのメッセージングアプリがどのように機能し得るかについての基準を上げている。それでも、以前同社散漫なメッセージング戦略の場合のように、さらに別のアプリを展開するのではなく、たった1つのアプリに着実な改善を見るのは良いことだ。

画像クレジット:Google

AppleがSMSを使い続けていることに関連する問題の解決に焦点を当てた上記の修正に加え、メッセージはアプリ内でメッセージを個人用とビジネス用のタブに自動的に分類するようになり、必要なメッセージをより簡単に見つけることができるようになった。さらに、乱雑さを減らすために、ワンタイムパスワードのメッセージは24時間後に自動的に消えるように設定することも可能だ。この機能はインドですでに提供されており、今回、米国でも提供される。

このアプリはまた、テキストに返信するのを忘れているのを知らせたり、友人の誕生日を思い出させることによって、より良い関係を維持するのに役立つ(連絡先アプリに誕生日情報を保存した場合にのみ有効)。このナッジは、まず世界中の英語圏のユーザーに対して展開される。

メッセージで送信されたYouTubeのリンクには、会話中にビデオのプレビューが表示されるようになった。

ついにGoogleは、Gboardキーボードに搭載されている、2種類の絵文字をマッシュアップして自分だけの絵文字を作ることができる機能「Emoji Kitchen」をアップデートした。この機能では、2000種類以上の絵文字がステッカーとして利用できるようになり、選択の幅が広がった。Gboardのデバイス上での文法訂正機能も、Pixelデバイスで最初に開始された後、すべてのAndroidに提供される。

画像クレジット:Google

メッセージアプリの新機能は、Androidウィジェット、Google TV、Googleフォト、Nearby Share、Android Auto、アクセシビリティ機能などの改善を含む、今回配信される他の多くのGoogle製品のアップデートにおけるハイライトの1つだ。

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッター、ロシアのユーザーがインターネットブロックを回避できるTorサービスを開始

Twitter(ツイッター)は、ウクライナ侵攻後のロシアでブロックされた数日後、Tor(トーア)オニオンサービスを起ち上げた最新の大手テック企業となった。このサービス開始により、ロシアのTwitterユーザーは、国全体で情報の流れを妨げている政府のインターネットブロックを回避できるようになる。

米国時間3月8日に発表されたこのプロジェクトの背後には、Torネットワークに長く携わってきたサイバーセキュリティ研究者Alec Muffett(アレック・マフェット)氏がいる。Twitterの新しいTorサービスは、マフェット氏が開発した、ウェブサイト所有者が数分で自分のサイトのドメインに「.onion」URLを追加できるEnterprise Onion Toolkit(エンタープライズ・オニオン・キット、EOTK)というツールをベースに、Twitterの「並外れた生産要件」に合わせてカスタマイズされたバージョンとなっている。

「これはおそらく、私が今まで作成した中で最も重要かつ待望されたツイートです」と、マフェット氏はツイートしている。「Twitterに代わって、彼らの新しいTor Projectオニオンサービスを発表できることを、大変うれしく思います」。

マフェット氏によると、このソーシャルメディアプラットフォームのTor版は、同氏がFacebook(フェイスブック)のTorサービス開始を手伝った2014年から、ゆっくりと開発が進んでいたという。Facebookは2016年の時点で、Torブラウザーを使って同プラットフォームにアクセスする人の数が、100万人を突破したと発表している。

Torネットワークは「オニオンルーター」とも呼ばれるもので、インターネットトラフィックを暗号化し、世界中にある何千ものサーバーを経由することで、ユーザーに匿名性と、監視や検閲からの自由を提供する。

Twitter in the Tor browser.

TorブラウザでTwitterを閲覧したところ(画像クレジット:TechCrunch)

TwitterがTorサービスを開始したのは、ロシアが情報の自由な流れを弾圧し続ける中、同国の通信規制当局であるRoskomnadzor(連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁)によって同ソーシャルネットワークのサービスがブロックされているようだと報道されてから、わずか数日後のことだった。この報道を受け、TwitterはTechCrunchに対し、ロシアのユーザーが同社のサービスに「ますますアクセスしにくくなっている」ことを認め、調査を行い完全なアクセスを回復するよう取り組んでいると述べていた。

Twitterは、Torサービスのタイムリーな開始が、ロシアにおける明らかなブロックと直接関係があるかどうかについては言及を避けたが、Twitterの広報担当者は、ユーザーがよりアクセスしやすいサービスを提供するための取り組みは、同社にとって「継続的な優先事項」であると述べ、Twitterがサポートするブラウザに、現在はTorが含まれていることも指摘した。

TwitterのTorバージョンのアドレスは次のとおり。twitter3e4tixl4xyajtrzo62zg5vztmjuricljdp2c5kshju4avyoid.onion

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社がロシアでのクラウド販売を停止

ウクライナでの戦争が続く中、Exxon(エクソン)、Visa(ビザ)、McDonald’s(マクドナルド)、Coca-Cola(コカ・コーラ)などさまざまな企業がロシアでの販売を停止している。Adobe(アドビ)、Apple(アップル)、PayPal(ペイパル)といったテック企業も、ここ数週間のうちにこれに加わっている。

我々はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、IBM、Cloudflare(クラウドフレア)といった世界トップクラスのクラウドインフラストラクチャベンダーに、ロシアのウクライナ攻撃に対する各社の対応を問い合わせた。各社とも、公開ブログ記事をそのまま伝えたいメッセージとして共有したが、Google Cloudだけは例外で、自社の立場を表明する簡単な声明をTechCrunchに送っている。

AWSは3月4日のブログ記事で、ロシアに同社のデータセンターはなく、方針としてロシア政府とは取引していないことを示した。また、ロシアの顧客はいるが、いずれも本社はロシア国外にあるとし、販売停止には至らなかったと述べていた。しかし3月8日、同社はブログ記事を更新し「ロシアとベラルーシにおけるAWSの新規サインアップを停止した」と変更した。

Microsoftもロシア向けの販売停止という措置をとった。「本日、ロシアにおけるMicrosoftの製品およびサービスの新規販売をすべて停止することを発表します」と、Brad Smith(ブラッド・スミス)氏はこの措置を発表した3月4日のブログ記事で書いている。その中にはAzureのインフラサービスも含まれていると思われる。

3大クラウドインフラベンダーの最後を飾るGoogleについては「現時点では、ロシアではGoogle Cloudの新規顧客を受け入れていないことが確認できています。引き続き、動向を注視していきます」と述べている。

IBMも同様の立場をとっており、Arvind Krishna(アルヴィンド・クリシュナ)CEOが書いた3月7日のブログ記事で、ロシアでの販売を停止することを発表している。「先週のウクライナ戦争に関する発表に対し、多くの方からご意見をいただきました。まず、はっきりと申し上げておきたいのは、当社はロシアでのビジネスをすべて停止したということです」とクリシュナ氏は投稿の中で述べた。

Cloudflareは純粋なクラウドインフラベンダーではなく、ロシアやウクライナを含む世界中の数百のデータセンターを通じて、安全なインターネットアクセスの提供を支援している。インターネットプロバイダーである同社は、ロシアでのサービス停止を求める声がある中で、同国でのインターネットを維持することが重要だと考えている。

「さらに、ロシア国内におけるCloudflareの全サービスを停止するよう求める声も複数寄せられています。当社はこれらの要請を慎重に検討し、政府や市民社会の専門家と議論を行いました。それらの専門家と協議した結果、ロシアに必要なのはインターネットアクセスの拡大であって、縮小ではないというのが我々の結論です」と同社はブログで書いている

今週発表されたIDCのレポートによると、これらの措置をとるクラウド企業が受ける経済的影響は、おそらくわずかなものであろうということは注目すべき点だ。「IDCは、ロシアとウクライナのICT支出が急減し、ゆっくりと回復すると予測していますが、この減少による世界的な影響は幾分限定されています。この2カ国を合わせても、欧州の全ICT支出の5.5%、世界の1%を占めるに過ぎません」と同社は報告している。

画像クレジット:Ralwel / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Den Nakano)

なぜ27インチの新Studio DisplayはApple TVではないのか?

Apple(アップル)はついに、熱狂的なAppleファンのコミュニティの多くの人が求めていたもの、つまり最低価格が5000ドル(約58万円)もしない純正のディスプレイを発表した。新しい27インチのStudio Displayは1600ドル(日本での価格は税込19万9800円)で、これはまだ多くの人がモニターに払える金額よりもずっと高いものだが、それでも大半の人にとっては歓迎すべき新製品だろう。Appleは、現在4K Apple TVを動かしているチップよりもずっと強力なA13チップを丸ごと1つ搭載しさえしている。

そこで疑問が生じる。なぜStudio DisplayはApple TVではないのだろうか?

Studio Displayはすでにチップを搭載している。オンボードストレージは欠けているかもしれないが、それを追加するのは、tvOSといくつかのメディアアプリを実行するのに必要な量としてはかなりの作業になる。また、すでにこのようなことを行っている他企業の例もある。Samsung(サムスン)のMシリーズのSmart MonitorにはスマートTVモードがあり、ひどい自家製ソフトウェアが搭載されている。

筆者がTechCrunchのSlackで上記の疑問を投げかけたところ、それがなぜ意味をなさないのか、いくつかの穏やかな見解が返ってきた。例えば表向きはApple TVのすべての機能を持ち、他にも多くのことができるMacにStudio Displayをつなげているからというものだ。

しかしながら、実際のところmacOSのネイティブApple TVアプリは、ちょっとダメだ。Netflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどを利用するには、ブラウザを使ってそれぞれのサイトに個別にアクセスする必要があり、簡素化されたホーム画面にアプリをインストールするよりもはるかに不便で、エレガントでもない。繰り返しになるが、Samsungがハイブリッド型スマートTVモニターのラインナップを作り、さらに時間をかけてモデルを追加していったのには理由がある。

加えて、Studio Displayは実際、テレビ単体としてかなり魅力的な買い物になることは間違いないだろう。そのデザインは際立っており、大半のモダンなテレビのデザインをはるかにしのぎ、たとえばSamsungのFrameやSerifのラインナップのように、リビングに置くと映える高価格帯のテレビの中でも群を抜くものだ。

これはストレッチゴールのようなものだが、Studio Displayはウェブカメラ、スピーカー、マイクを内蔵しているため「Apple TV殺し」にもなり得る。ゆったりと座って行うビデオ会議のための、すばらしいヘッドレスのZoom(またはそれに相当するもの)マシンになるかもしれない。

しかし、それは少し先の話だ。tvOSと、どんな種のアプリやサービスをサポートするかで再アーキテクチャを必要とするだろう。Appleは、興味深いA13チップの搭載により、このモニターに基本的に追加コストなしでApple TVの機能を追加し、消費者はそれを利用することも、ただ通常のモニターとして使うこともできたはずだ。

完璧な世界では、将来のファームウェアの更新はtvOSを含め、購入後にこれを実現する。現状では、Studio DisplayはApple TV用のOSやアプリを合理的に実行するためのストレージをまったく(あるいは十分?)搭載していないと思われる。少し惜しい気がする。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Meta「Quest 2」VRヘッドセットのフィットネストラッキングがついにApple「ヘルスケア」と連携

FacebookのMeta(メタ)のOculus Quest 2ヘッドセットは、「Beat Saber」や「Supernatural」のようなソフトウェアを使ってカーディオエクササイズをする人々がいるため、ハイテクエクササイズ機器として驚くほど大きなニッチを切り開くことに成功した。しかし、VRヘッドセットのスタンドアローンという特性上、その体験には限界があった。

米国時間3月10日、Metaは、Oculus Moveのワークアウトデータを新しくAppleの「ヘルスケア」と同期させること、さらにOculusモバイルアプリでヘルス統計へのアクセスを提供すると発表した。以前は、活動時間、消費カロリー、ゴール / プログレスを含むヘルスデータは、ヘッドセット内でのみ閲覧可能だった。

Metaは、長年にわたってプライバシーに関する問題で必ずしも好意的に思われていないため、ヘッドセットから電話や「ヘルスケア」アプリへの動作データのエクスポートは厳密にオプトインによるものであり、このデータは広告推奨には使用されないと明記している。

これは同ヘッドセットにとってかなり控えめな(そして長い間待ち望まれていた)アップデートだが、頻繁に使用するユーザーの多くにとっては、ついに自分のデバイスにやってきたことを喜ぶ機能だろう。

最近のConnect基調講演で、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、ワークアウトデバイスとしてのQuestの人気を特に強調した。

ザッカーバーグ氏はその際こう述べていた。「みなさんの多くは、すでにQuestを使って健康維持をしていますが、まったく新しい方法でワークアウトをすることができます。Peloton(ペロトン)のようなものですが、自転車の代わりに必要なのはVRヘッドセットだけで、ボクシングのレッスンから剣の戦い、ダンスまで何でもできるのです」。

関連記事:ザッカーバーグ氏がフィットネス機器としての「Quest 2」を紹介、「Pelotonのようなものだ」

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Den Nakano)

グーグル、ロシアでPlayストア課金とYouTubeの決済を停止

Google(グーグル)は、ロシアの銀行に対する西側の制裁措置に関連した「決済システムの混乱」を理由に、ロシアでのモバイルアプリストアPlayでの課金を停止し、YouTube(ユーチューブ)ユーザー向けの決済サービスを一時停止している。

ロイター通信が先に報じたこの事態は、ロシアのウクライナ侵攻と、それに続くロシアの銀行に対する制裁をきっかけに、欧米がプーチン大統領の欧州での戦争に対する経済的対応を選択したことに起因している。

Android開発者向けウェブサイトのサポートノートで、GoogleはPlayの課金停止を認め、こう書いている。

「決済システムの混乱のため、当社は数日内にロシアのユーザーのためのGoogle Playの課金システムを一時停止する予定です。これにより、ユーザーはロシアでGoogle Playを使用してアプリやゲームの購入、サブスクリプションの支払い、デジタル商品のアプリ内購入を行うことができなくなります。無料アプリは引き続きPlayストアで利用できます」

別のノートでは「最近制定されたPlay開発者に対する国際制裁」に関して、Googleは次のように述べている。

「当社は、適用されるすべての制裁および貿易コンプライアンス法を遵守することを約束し、最新のガイダンスを引き続き監視しています。影響を受ける地域のユーザーは、無料アプリのダウンロードを含め、引き続きGoogle Playを利用することができますが、購入することはできません」

また、FAQ(よくある質問とその回答)では、制裁を受けた地域の既存のサブスクリプションは、請求サイクルの終了時にキャンセルされることをPlayの開発者に警告している。

「状況は急速に進展しているため、このページに戻ってきて最新情報をチェックすることをお勧めします」と付け加えている。

YouTubeの広報担当者は、ロシア国内での支払いベースのサービスの「一時停止」を認め、以下の声明をTechCrunchに送ってきた。

「当社は最近、ロシアですべてのGoogleとYouTubeの広告を一時停止しました。追加措置として今この一時停止を、ロシアの視聴者向けのYouTubeプレミアム、チャンネルメンバーシップ、スーパーチャット、商品販売を含むすべての収益化機能に拡大しています」

支払いベースのYouTubeサービスの停止が米国太平洋標準時3月9日午後1時時点でロシアで実施されたとTechCrunchは理解している。YouTubeプレミアム会員、チャンネル会員、スーパーチャット、スーパーステッカー、商品販売に影響を及ぼしている。

今回の措置は、以前発表されたロシア国内でのGoogleのサービスに対する制限を拡大するものだ。

同社は3月4日、同国における自社の広告販売の停止を発表した。ただし、ロシア人向けの広告販売を完全に打ち切ったわけではなく、その時点では、同国の事業者がロシア国外で配信される広告を購入することは引き続き許可すると述べている。

現在、PlayとYouTubeでの決済を妨害している銀行制裁によって、Googleがロシアでの残りの広告販売を停止せざるを得ないかどうかは確認されていない。ロイター通信によると、ロシアのYouTubeチャンネルは、広告や有料機能を通じて国外の視聴者から収入を得ることができるため、完全に遮断されるわけではないとのことだ。しかし、西側の制裁が厳しくなるにつれ、ロシア人が外国企業との間で決済を行ったり、支払いを受け取ったりすることはますます難しくなっているようだ。

ここ数日でApple(アップル)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Microsoft(マイクロソフト)といった他のハイテク大手も、ロシアでの販売や事業を停止する同様の措置を取っており、プーチン大統領のウクライナでの戦争に対する抗議としてロシアを事実上ボイコットしたり同国から撤退したりする多国籍企業の増えつつあるリストに加わっている。

また、ロシア政府が支援する国営メディアのRussia TodayとSputnikに対するEUの制裁に対応して、Googleなどが2社のYouTubeチャンネルアプリのジオブロックを発表するなど、テックプラットフォームはロシアの偽情報への対応を調整する措置も取っている。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、ウクライナのAndroid携帯に空襲警報機能を追加

Google(グーグル)は米国時間3月10日、ウクライナのAndroid携帯電話向けに、迅速な空襲警報システムの導入を開始すると発表した。この新機能は、ロシアによる今なお続くウクライナへの侵攻を受けた同社の最新の措置だ。

「悲劇的なことに、ウクライナの何百万人もの人々は現在、空爆警報に頼って安全な場所に避難しようとしています。ウクライナ政府の要請を受け、そして同政府の協力を得て、当社はウクライナのAndroid携帯電話向けに迅速な空襲警報システムの展開を開始しました」と、グローバルアフェアーズ担当社長のKent Walker(ケント・ウォーカー)氏はこの発表に関するブログ記事で述べた。

ウォーカー氏によると、同社のシステムの展開はウクライナの既存の空襲警報システムを補完するもので、ウクライナ政府によってすでに配信されている警報に基づいている。

Googleのエンジニアリング担当副社長Dave Burke(デイブ・バーク)氏は一連のツイートで、このシステムは、同社が地震警報用に構築した低遅延警報メカニズムを活用していると説明している。また、バーク氏はこのシステムが3月10日から展開されており、今後数日間でウクライナのすべてのAndroid携帯電話を対象とする予定だと述べている。

TechCrunchは同システムの詳細についてGoogleに問い合わせており、回答があり次第、この記事を更新する。

同じブログ投稿でGoogleはまた、同社がプラットフォーム全体で多くのロシア国営メディアのレコメンデーションを制限する取り組みを継続することを発表した。同社はまた、ロシアにおける商業活動のほとんどを一時停止している。

「ロシアでのGoogle広告を一時停止するという先週の発表に続き、当社はロシアにおける商業活動の大部分を一時停止しています。ここには、ロシアに拠点を置くすべての広告主を対象にした、当社の世界中のプロパティとネットワークでの広告、クラウドの新規登録、当社サービスのほとんどの決済機能、ロシアのYouTube視聴者向けのマネタイズ機能などの停止が含まれます」。

Googleによると、検索、Gmail、YouTubeなどの無料サービスはロシアで引き続き展開されている。同社は今後も動向を見守るとしている。

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

JR秋葉原駅を再現した世界初のメタバース・ステーション「Virtual AKIBA World」が3月25日11時頃オープン

世界初のメタバース・ステーションとなる「Virtual AKIBA World」が3月25日にオープン、スマホから体験可能

「Virtual AKIBA World」外観(画像は開発中のもの)

VRイベント「バーチャルマーケット」など、VRサービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは3月8日、業務提携を結んでいる東日本旅客鉄道(JR東日本)、ジェイアール東日本企画(jeki)とともにオリジナルのバーチャル空間「Virtual AKIBA World」(VAW。バーチャルアキバワールド)を発表した。開業日時は3月25日11時頃(メンテナンスは隔週木曜10時~15時)。利用料は無料。PC・スマートフォンで体験可能。

VAW(バウ)は、世界的なコンテンツ集積地である秋葉原駅とその周辺をバーチャル上に再現した、オリジナルの空間。改札を通過したり電車に乗ったり秋葉原駅周辺を歩いたりなどを体験できる。来訪者同士のコミュニケーションも楽しめるという。

またVAWは、HIKKYが独自開発した技術「Vket Cloud」により、アプリなどのダウンロードを行うことなく、URLリンクをクリックするだけでスマホから手軽にアクセスできる。JR東日本の強みである駅や車両というリアルの場から、QRコードなどを介してバーチャル空間にシームレスに遷移でき、リアルとバーチャルが融合したかのような感覚が得られるとしている。

JR秋葉原駅を再現した世界初のメタバース・ステーション「Virtual AKIBA World」が3月25日開業

バーチャル空間でのホーム、車両と広告イメージ。「共創」の第一歩として、NTTドコモとVAW内での連携を開始する。さらに、今後のXR領域の発展に向けた取り組みを推進

JR東日本との連携により、リアルの駅空間でXRの世界観を体験できるスペースを造成することも予定している。リアルとバーチャルの融合を加速させ、両方のユーザーの往来を活性化しクライアントにバーチャル上での広告展開と販売機会の提供を行っていく。例えば、リアル空間に出稿した駅広告がバーチャル空間ではよりダイナミックに表現されたり、バーチャル空間で購入した商品がリアル空間でシームレスに受け取れたりと、JR東日本だからこそ実現できる新しい日常の創造を目指す。

VAW開業時には、ほかにも以下のような様々な展開を予定している。

山手線31番目の駅「シン・秋葉原駅」

日本を代表する「ヒーロー」4作品によって構成された企画「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」(SJHU)とコラボレーションし、コラボ期間中はバーチャル秋葉原を「シン・秋葉原駅」と呼称。バーチャル空間上にVAWオリジナルデザインのグラフィックと各キャラクターが登場し、来場者を出迎える。

秋葉原駅(リアル)に、バーチャル空間への「ゲートウェイ」設置

秋葉原駅改札内の1F改札内イベントスペースに、「VAWゲートウェイ」を期間限定で設置。中央のLEDパネルにはVAWの期待感を高める動画が流れ、横に設置されたQRコードからVAWへアクセス可能となる。設置期間は3月25~31日。

利用者同士のコミュニケーションスペース 「オフ会ルーム」

VAWの機能として、入場者同士がコミュニケーションを取れる空間「オフ会ルーム」を実装する。仲間とルームを作成したり、オンラインの飲み会の代わりとしてVAWで集合したりと、リアルで集まっているかのような感覚が味わえる。

VAW内の機能拡充とともに、限定入場券をNFTで配布する計画も

VAWは、機能を拡充し、限定入場券をNFTで配布するほか、来訪者同士の交流の深度化やイベントの活性化を図るという。将来的にはバーチャル空間内でのお買い物体験や、購入した商品を駅で受け取れるなど、リアルのサービスとの連動によるこれまでにない体験の実現を目指すとしている。

画像クレジット:
©TTITk「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」コラボ VAWオリジナルキービジュアル

プレステ版Robloxが登場しそう、PlayStationコンソールのソフトウェアエンジニアを募集中

Roblox(ロブロックス)の新しい求人情報は、Sony(ソニー)のゲーム機に進出するという同社の緩やかな計画が、かなり現実に近づいていることを示唆している。この求人では、PlayStation用のRobloxアプリを開発するPlayStationコンソールのシニアソフトウェアエンジニアを募集している。

この求人には、このポジションが「ターゲットプラットフォームとの統合、ユーザーインターフェースの適合、パフォーマンスの最適化など、アプリケーションのすべての部分」を含む「世界中の何百万人ものユーザーに使用されているゲームエンジンをSony PlayStationプラットフォーム向けに構築しサポートする」と記載されている。

RobloxのCEOを務めるDavid Baszucki(デイビット・バシュッキ)氏は、Nintendo Switchとソニーの PlayStation、Oculus Questがいずれも長期的に「Robloxにとって完全に理に適っている」と述べ、2021年の追加プラットフォームに関する同社の拡張ビジョンを示唆していた。

「今、みなさんが見ているのは、私たちが信じられないほどスマートフォンに焦点を当てていることです。これは、信じられないほど難しいフォームファクターであり、その没入感を得るには最も難しいフォームファクターだと考えています」とバシュッキ氏は決算説明会で述べている。「しかし、これらはすべて合理的なプラットフォームであり、同時に、我々がそれらのリリース日を共有することはないでしょう」と述べた。

PlayStationで発売されることは、Robloxのコンソールデビューを意味するものではない。PCでよく知られているかもしれないが、Robloxは2016年初頭にXbox Oneで発売され、Microsoft(マイクロソフト)の最もプレイされたゲームトップ50のリストに今でもランクインしている。また、Robloxはモバイルでも人気があり、iPad向けゲームの最高売上高チャートでは、「原神」を抑えて定期的に上位にランクインしている(これは並大抵のことではない)。

この求人情報は、採用動向データ会社のRevealEra(リビールイーラ)によって最初に発見されたもので、週5回の無料ケータリングランチと「無制限のスナック」が付いてくるという、給料が下がるインフレの時代には計り知れない恩恵があることに注目したい。

RobloxはPlayStationの展開時期についてコメントを避け、同社が「熱心に採用中」であることだけを強調した。

画像クレジット:Simon Dawson/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

トマトが熟れる際の遺伝子発現を深層学習で予測、遺伝子編集で果実のデザインも可能に

トマトが熟れる際の遺伝子発現を深層学習で予測、遺伝子編集で果実のデザインも可能に

岡山大学は3月8日、AIを使ってトマトが熟れるときに重要となる遺伝子の働きを予測する技術を開発したと発表した。また、「説明可能なAI」(XAI。Explainable AI)と呼ばれる技術を用いてAIの判断の根拠を探ることで、重要なDNA配列の特定も可能にした。その配列を編集すれば、果実の特徴に関する緻密なデザインも可能になると期待される。

果実の色や甘さや香りなどは、数万にもおよぶ遺伝子発現(遺伝子の働き)の組み合わせによって決まる。遺伝子発現は、プロモーターと呼ばれる領域に転写因子というタンパク質が結合して調整されているが、プロモーターのDNA配列には複数のパターンがあり、遺伝子発現は転写因子の複雑な組み合わせによって変化する。そのため、全ゲノム配列の情報がわかっていても、予測はきわめて難しいという。

そこで、岡山大学学術研究院環境生命科学学域(赤木剛士研究教授、増田佳苗氏、桒田恵理子氏)、農業・食品産業技術総合研究機構筑波大学大学院生命環境系九州大学大学院システム情報科学研究院からなる共同研究グループは、深層学習を用いた遺伝子発現の予測と、そこで重要となるDNA配列の特定を試みた。まずは、分子生物学で標準的に使われるモデル植物シロイヌナズナの、転写因子が結合するDNA配列情報のデータベースをAIに学習させ、3万4000以上あるトマトの全遺伝子のプロモーターの転写因子が結合するポイントを予測させた。次に、トマトが熟れる過程の全遺伝子発現パターンを学習させることで、遺伝子発現の増減を予測するAIモデルを構築することができた。

さらに、「説明可能なAI」を用いて、そのモデルで「AIが判断した理由を可視化」することで、予測した遺伝子発現の鍵となるDNA配列を「1塩基レベル」で明らかにする技術を開発した。このDNA配列を改変した遺伝子をトマトに導入すると、AIによる予測と同じ結果が得られた。つまり、トマトのゲノム情報の複雑な仕組みをAIが正確に読み解いたことになる。

この技術は、トマトの食べごろの予測に限らず、果実の色、形、おいしさ、香りなど、様々な特徴に関する遺伝子の発現予測にも応用できるという。また、予測した遺伝子の発現に重要なDNA配列を特定する技術を使えば、遺伝子編集により最適な遺伝子発現パターンを人工的に作り出して、自由に果実のデザインができるようになるとも研究グループは話している。

栄養価不足などを調べられる即時尿検査サービス開発のユーリアが5500万円調達、6月の製品リリース目指す

栄養価不足などを調べられる即時尿検査サービス開発のユーリアが5500万円調達、6月の製品リリース目指す

尿検査キットと専用アプリで栄養価不足などを調べる「即時尿検査サービス」を開発中のユーリアは3月10日、第三社割当増資により約5500万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、ミレイズ、秀インターなど。

調達した資金は、2022年6月のサービスリリースを目指し、研究開発およびシステム開発の強化、それに伴う人材の採用を強化にあてる。またまずは今春、スポーツチームやアスリートに向けた検査キットのリリースを予定しているという。

ユーリアは、「すぐわかるを、もっと身近に」をビジョンに掲げ、尿検査で体の状態を即時に解析することを目的に、東京大学との共同研究により起ち上げられたヘルスケア領域スタートアップ。独自バイオマーカーの研究による解析・計測技術、検出したデータをモニタリングするスマートフォンアプリを開発している。

現在開発を進める尿検査サービスでは、尿中の成分に応答するバイオマーカーを編み出し、検査キットとスマートフォンアプリを使い3ステップでアミノ酸やビタミン、ミネラルなどの成分を検出できるという。誰もが「低コスト・簡便・迅速」に尿から体の状態をモニタリングできる世界を実現するとしている。栄養価不足などを調べられる即時尿検査サービス開発のユーリアが5500万円調達、6月の製品リリース目指す

台湾Gogoroが電動バイク用交換式全固体電池パックのプロトタイプ発表、容量はリチウムイオン式の1.47倍

台湾Gogoroが電動バイク用交換式全固体電池パックのプロトタイプ発表、容量はリチウムイオン式の1.47倍

Gogoro

電動スクーターの開発販売とバッテリー交換ステーションの運営している台湾のGogoroが、世界初となる電動二輪用交換式全固体電池を発表しました。現在はまだプロトタイプの段階ですが、Gogoroは「将来的に商用製品に発展させることを楽しみにしている」と述べています。

電気自動車などで使用される大容量の充電式バッテリーは、その容量の大きさからリチウムイオン電池が主流になっていますが、可燃性電解液を使用するため熱や変形などによって発火のリスクが高い問題があります。一方全固体電池は電解液ではなく固体の電解質を使用して電極間を接続するため、先に挙げたリスクが小さく、小型軽量化、高エネルギー密度化できると期待される次世代の充電池です。

Gogoroが同じ台湾のProLogium Technologyとの提携により開発したという全固体電池式(プロトタイプ)は内部にリチウムセラミックを使用したもので、Gogoroの電動スクーター用交換バッテリーパックと互換性を持たせて設計されています。そしてその容量は従来のリチウムイオン式の1.7kWhに対して2.5kWhとされ、1.47倍の容量アップを果たしています。

Gogoroは台湾だけでもすでに1万か所以上のバッテリー交換ステーションを設置しており、45万人を超える人々がサービスを利用しているとのこと。台湾の電動二輪車の95%がGogoroのバッテリー交換システムを使用しており、全体のバッテリー交換回数は累計2億6000万回を超えているとのこと。

まだ試作段階ではあるものの、台湾でこれほどに浸透したシステムで利用可能になれば、より大容量かつ安全、航続距離も伸びるであろう全固体式へのシフトはあっという間に進むものと考えられます。

またバイク向けで実用化・普及すれば、バイクよりも航続距離延長と軽量化の需要が高い電気自動車向け全固体電池の実用化にもGogoroとProLogium Technologyの技術が大きく寄与する可能性もあるかもしれません。

電気自動車向け全固体電池の実用化にはまだ数年の期間が必要と言われており、世界各国の自動車メーカーやベンチャー企業などが材料や内部構造を工夫して最適解となるもの生み出すべく開発競争を繰り広げています。

(Source:GogoroEngadget日本版より転載)