ハッカーLapsus$はOkta侵入前にSitelのパスワード一覧にアクセスしていた

TechCrunchが確認したまだ報じられていないコンピューター侵入の新たな詳細をつづっている文書によると、Lapsus$のハッカーは2022年1月に顧客サービス大手Sitel(サイテル)のネットワークに侵入し、その数日後に認証大手Okta(オクタ)の内部システムにアクセスするのに漏洩した認証情報を使用した。

ハッカー集団Lapsus$が約2カ月前にOktaの内部アプリとシステムにアクセスしていたことを明らかにするスクリーンショットを公開し、顧客は3月22日にOktaの1月のセキュリティ侵害を知った。Oktaはブログ投稿で侵害を認め、その後、同社の法人顧客のうち366社、つまり顧客ベースの約2.5%が侵害の影響を受けていることを認めた。

今回の文書は、Sitelの侵害に関するこれまでで最も詳細な説明で、これによりハッカーは後にOktaのネットワークにアクセスすることができた。

Oktaは、シングルサインオンプロバイダーとして、世界中の数千の組織や政府機関に利用されており、従業員はメールアカウントやアプリケーション、データベースなど、企業の内部システムに安全にアクセスできるようになっている。

独立系セキュリティ研究者のBill Demirkapi(ビル・デマーカピ)氏が入手し、TechCrunchと共有した文書には、ハッカーが最初にSitelのネットワークに侵入してから1週間以上経った1月25日に送られたSitelの顧客とのやり取りや、インシデント対応企業Mandiant(マンディアント)がまとめた3月17日付のSitel侵入に関する詳しいタイムライン(Oktaと共有されたもの)などが含まれている。

文書によると、Sitelは2021年に買収したOktaの顧客サービス会社Sykesが所有する古いネットワーク上のVPNゲートウェイでセキュリティインシデントを発見したという。VPN(仮想プライベートネットワーク)は、企業のネットワークにリモートアクセスするために悪用される可能性があるため、しばしば攻撃者のターゲットとなる。

タイムラインには、攻撃者がリモートアクセスサービスと一般公開されているハッキングツールを使用してSitelのネットワークを侵害して入り込み、Lapsus$がアクセスできた5日間にネットワークへの可視性を深めていった様子が詳細に記されている。Sitelは、自社のAzureクラウドインフラも侵害されたと述べた。

タイムラインによると、ハッカーは1月21日未明にSitelの内部ネットワーク上の「DomAdmins-LastPass.xlsx」と呼ばれるスプレッドシートにアクセスした。このファイル名からして、スプレッドシートにはSitel従業員のLastPassパスワードマネージャーからエクスポートされたドメイン管理者アカウントのパスワードが含まれていることがうかがえる。

約5時間後、ハッカーは新しいSykesユーザーアカウントを作成し、組織への幅広いアクセスを持つ「テナント管理者」と呼ばれるユーザーグループにそのアカウントを追加し、後に発見されてロックアウトされた場合にハッカーが使用できるSitelのネットワークへの「バックドア」アカウントを作成したと思われる。Oktaのタイムラインによると、Lapsus$のハッカーはほぼ同時期にOktaのネットワークに侵入していたようだ。

タイムラインでは、ハッカーが最後にSitelのネットワークにアクセスしたのは1月21日午後2時(協定世界時)で、パスワードのスプレッドシートにアクセスしてから約14時間後だった。Sitelは攻撃者を締め出そうと、全社的にパスワードのリセットを行った。

Oktaは3月17日付のMandiantの報告書を受け取った後、Sitelの侵害についてもっと早く顧客に警告しなかったことで批判にさらされている。同社の最高セキュリティ責任者David Bradbury(デイビッド・ブラッドベリー)氏は、同社が「その意味を理解するためにもっと迅速に行動すべきだった」と述べた。

本稿掲載前に連絡を取った際、Oktaはコメントできなかった。SitelとMandiantは記事の内容に異論はなかったが、コメントを控えた。

Oktaはここ数カ月でLapsus$ハッキング・恐喝グループに狙われたいくつかの有名企業の1社にすぎない。Lapsus$グループは、12月にブラジルの保健省を標的にしたサイバー攻撃で同国民のワクチン接種情報など50テラバイト分のデータを盗み出し、ハッキングシーンに初めて登場した。それ以来、このグループはポルトガル語圏の企業数社Samsung(サムスン)、NVIDIA(エヌビディア)、Microsoft(マイクロソフト)、Oktaなどのテック大手を標的とし、Telegramチャンネルの数万人の購読者にアクセスや盗んだデータを売り込み、一方で被害者の盗んだファイルを公開しない代わりにしばしば変わった要求を突きつけてきた。

英国の警察は先週、事件に関連する7人を逮捕したと発表したが、いずれも16歳から21歳の若者だった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

毎秒1.7ペタビット、既存技術の7倍の容量を可能にするマルチコアファイバーによる光海底ケーブルの5つの基盤技術を確立

毎秒1.7ペタビット、既存技術の7倍の容量を可能にするマルチコアファイバーによる光海底ケーブルの5つの基盤技術を確立

KDDI総合研究所は3月28日、1本の光ファイバーの中に複数のコアを持つマルチコアファイバーで大容量化した光海底ケーブルの実用化に向けた各種技術の開発と実証を行い、基盤技術を確立したことを発表した。これにより、アジア域をカバーする3000km級の光海底ケーブルを、既存システムの7倍(毎秒1.7ペタビット程度)に容量を拡大できるという。2020年代半ばの実用化を目指す。

KDDI総合研究所、東北大学住友電気工業古河電気工業日本電気(NEC)、オプトクエストの6機関は、総務省の委託研究として大容量光海底ケーブルの研究開発を行っている。5Gサービスの普及に伴うモバイルデータ通信の増加やデータセンター間の通信需要の増大などを背景に、国際通信の回線需要が増大しているが、それに対応するためには海底ケーブルにより多くの光ファイバーを通す必要がある。しかし、光ファイバーの本数を増やせばケーブルの外径が大きくなり、敷設が困難になる。そこで、1本のファイバーで複数の通信が可能となるマルチコア(多芯)ファイバーを使い、外径はそのままで容量を増やす技術が求められてきた。上記の6機関は、世界に先駆けてその基盤技術を確立し、実証を行った。

このシステムは、5つの基盤技術で構成されている。その第1が4つのコアを持つ光ファイバーだ。2020年11月に古河電気工業とKDDI総合研究所が開発した技術で、コア間の信号干渉を抑えることで損失は世界最小級となる1kmあたり0.155dB(デシベル)を実現し、クロストーク(混線)は100kmでマイナス60dBを達成。毎秒109Tbit(テラビット)の信号を3120km以上伝送でき、毎秒56Tbitの信号を1万2000km以上伝送できることを実証した。

第2の技術は、このマルチコアファイバーを収容した光海底ケーブルだ。2021年10月、NEC、OCC、住友電気工業は、マルチコアファイバーを32芯収容した海底ケーブルを開発し、水中で長距離の伝送試験を行った。ケーブルにした状態でも、マルチコアファイバーの光学的特性に大きな変化はなく、良好な伝送性能を得ることができた。

第3は、マルチコアファイバーの統制評価技術。マルチコアファイバーの依存損失とクロスオーバーの評価を行う波長掃引法と、損失、クロストークの長手分布を評価するOTDR法という2つの技術を開発した。

第4は、空間多重型高密度光デバイス。4コアファイバー用アイソレーター内蔵Fan-in/Fan-out(ファンイン/ファンアウト)デバイス、4コアファイバー用Fan-out付きTAPモニターデバイス、4コアファイバー用O/E変換器付きTAPモニターデバイスの3種類の光増幅装置を開発し、1つの複合機能デバイスに集約した。これにより、世界最高水準の低損失と小型化を実現させた。

第5は、マルチコア光増幅中継方式。シングルコア光増幅器をベースに作られた従来のマルチコア光増幅器は、コアの数だけ増幅装置が必要であり、コア数が増えればそれだけ大型化するという課題があった。新しく開発されたマルチコア光増幅器は、1つの増幅装置で複数のコアを一括して増幅できるクラッド励起方式を採用し、体積を従来の半分程度に収めることに成功した。

これらを統合することで、既存システムの7倍となる毎秒1.7ペタビットほどの容量拡大が可能になることが確認されている。今後は、マルチコアファイバーの量産化技術の開発、長期信頼性の検証、運用保守技術の開発を進め、2020年代半ばの実用化を目指すとしている。

アップルがiPhone SEの生産をウクライナ侵攻とインフレ懸念で20%削減との報道

チップ不足が続く中、Appleの最新決算報告では、同社が予想を上回る成果を上げたことが明らかになった。他のほとんどの市場が縮小する中、AppleはiPhoneの販売台数で9%の伸びを記録している。サプライチェーンに関わる場合、最大手であれば有利になる多くある。

しかし、Appleのような巨大企業でさえ、世界情勢の影響を受けないわけではない。パンデミックの初期には、Appleは不確実性を理由にガイダンスを提供することを行わなかった。ここ2年間の世界の状況を考えれば、それはおそらく正しい行動だろう。そして現在、最新のiPhone SEは、世界的な問題の「パーフェクトストーム」のようなものになりつつある。

Nikkei Asiaが事情に詳しい情報筋からの話として報じたところによると、AppleはiPhone SEの生産を20%削減するという。ウクライナ侵攻とインフレのワンツーパンチのため、少しは消費者が減るだろうとは考えられていたのは間違いないが、その数字の大きさは同社の最新スマホにとって驚きだった。この落ち込みは、同四半期で200〜300万台に相当する。

2022年3月初め、Appleは隣国ウクライナへの侵攻を受けて、ロシアでの販売を停止することを発表した。同社は当時「我々は状況を評価し続け、取るべき行動について政府と連絡を取り合っている。我々は平和を求める世界中の人々とともに行動します」。

Appleにとって最大のライバルであるSamsung(サムスン)をはじめ、他の多くの主要な消費者向けハードウェア企業が同様の行動をとっている。両ブランドとも、日常的に米国内のスマートフォン市場シェアのトップ5にランクインしている。

世界的なチップ不足は、広範なインフレ問題とともに、依然として購買決定に影響を及ぼす要因だ。スマートフォンのような非必需品に分類される製品の販売数には、必ずこうした経済的な懸念が関係している。少なくとも、ユーザーが旧型の端末を長く使うようになるという効果はある。

SEへの影響とともに、AirPodsの注文数も2022年全体で約1000万と大幅に増加したという。一方、iPhone 13の生産台数減少は、季節的な需要の変動によるところが大きいとされている。

TechCrunchは、Appleにコメントを求めている。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【3月29日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はSpotifyが言論弾圧を受けロシアでのサービスを停止

【3月29日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はSpotifyが言論弾圧を受けロシアでのサービスを停止

掲載記事のうち、3月29日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:Spotify、言論弾圧を受けロシアでのサービスを停止へ


CNN、ABC、BBCなどの西側報道機関は、最大15年の禁固刑を科すことができるこの法律を受けて、ロシア国内での放送や事業を取りやめた。Spotifyは主に音楽ストリーミングプラットフォームだが、政治や時事問題を取り入れたポッドキャストへの投資をこのところ増やしており、その方向性はすでに多くの論争を巻き起こしている。

第2位:元TikTokコンテンツモデレーター2人が「精神的トラウマ」で提訴


TikTokのコンテンツレビュワー2人が、TikTokから不快な動画を削除するというひどい心痛をともなう作業に従事する中で、適切なサポートが受けられなかったとして同社を提訴した。NPRが最初に報じたこの訴訟は、米3月24日に連邦裁判所に起こされた。

第3位:知らない送信者からのメールに寄付を求めるGatedでメール削減


もしあなたが最近、電子メールの山に埋もれたことがないとしたら、電子メールのアカウントを持っていないか、マーケティング担当者がまだ気づいていない若い人かのどちらかだろう(彼らはいずれ気づく)。このような状況を打開するため、ベイエリアを拠点とする設立10カ月のGatedというスタートアップが登場した。

第4位:米国がサウジの石油施設と米国の原子力発電所をハックしたロシアのスパイ4人を起訴


米司法省は、同国の原子力発電事業者やサウジアラビアの石油化学施設といった重要なインフラを標的とした数年にわたるハッキング活動で、ロシア政府職員4人を起訴したと発表した。

第5位:D2Cの注文処理サービスを代行する仏Bigblueが18.3億円調達


フランスのBigblueが、1500万ドル(約18億3000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。同社は、D2Cブランド向けのオーダーフルフィルメントプラットフォームを運営している。これによりD2Cブランドは、Bigblueに物流に関するあらゆることをアウトソースすることができ、製品やマーケティングに集中できるようになる。

画像クレジット:Brands&People on Unsplash
TECHCRUNCH
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BIGBLUE

衛星データ解析によるソリューション提供や小型SAR衛星の開発・運用を行うSynspectiveが119億円のシリーズB調達

衛星データ解析によるソリューション提供や小型SAR衛星の開発・運用を行うSynspectiveが119億円のシリーズB調達

2022年3月1日に2機目の小型SAR衛星打上げ成功

衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は3月29日、シリーズBラウンドとして、第三者割当増資および融資による119億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、損害保険ジャパン、野村スパークス・インベストメント、シンガポールPavilion Capital Pte. Ltd.など。累計調達額は228億円となった。

調達した資金は、主に小型SAR衛星の開発・製造・打上・運用、量産施設の準備、衛星データソリューションの開発とグローバル展開などにあて、さらなる事業拡大を目指す。

2018年2月設立のSynspectiveは、小型SAR衛星の開発・運用と衛星による観測データを活用したソリューションサービスの提供をワンストップで行う企業。2026年前後に、小型SAR衛星30機からなるコンステレーションを構築することで、広範囲、高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指す。

ハイパースペクトル衛星画像提供するPixxel、衛星コンステレーションの打ち上げに向けて約31億円調達

軌道上から撮影する人工衛星画像は、新しい宇宙産業で注目されている分野の1つだが、それには(人間の)目に見えるもの以上のものがある。Pixxel(ピクセル)は、地球のハイパースペクトル画像を提供する衛星コンステレーションの打ち上げに向け2500万ドル(約31億円)を調達した。ハイパースペクトル画像は、通常のカメラでは見えないあらゆる種の細部を明らかにすることができる、より広いスライスの電磁スペクトルだ。

基本的に、地球を数キロ上空から見下ろすことができるということは、あらゆる可能性を提供する。しかし、研究室では基本的なデジタルカメラ以上のものが必要なのと同じように、軌道上の画像もまた基本的なもの以上が必要だ。

研究室でよく見かける別のツールが分光器だ。これは、物体や物質に放射線を当て、どの周波数がどれだけ吸収されたか、あるいは反射されたかを記録するものだ。すべての物には異なるスペクトルの特徴があり、例えば同じ鉱物の2つのタイプなど、密接に関連した物質であっても互いに区別することができる。

ハイパースペクトル画像は、これと同様の処理をカメラで行ったもので、宇宙からこれを行うことで、1枚の画像から地域全体のスペクトルの特徴を見つけることができる。米航空宇宙局(NASA)などの機関は、惑星観測のためにハイパースペクトルを使用しているが、Pixxelはこれまでの研究を基に、ハイパースペクトルをオンデマンドで提供する人工衛星コンステレーションを打ち上げようとしている。

Pixxelの衛星のCGレンダリング画像

創業者でCEOのAwais Ahmed(アウェイス・アーメッド)氏は、他の新興の宇宙産業と同様、小型化の技術力と頻繁かつ安価な打ち上げの組み合わせが、このビジネスを可能にしたと語る。アーメッド氏は、NASAのおかげであることを率直に認めたが、Pixxelは税金で開発された技術を単に再利用しているわけではない。EO-1ミッションとHyperionハイパースペクトルデータセットを初期の市場調査だと考えてもいい。

「Hyperionの解像度は約30メートル(1ピクセルあたり)ほどで、科学的な目的には最適です。しかし、5メートル程度まで下げないと、私たちがやっていることには意味がありません」とアーメッド氏は説明した。

Pixxelの衛星コンステレーションは、2022年後半の打ち上げ時には6機と決して多くはないが、約48時間ごとに地球の大部分で5メートルの解像度を提供できるようになる。すでに試験衛星がサンプル画像を送っており、来月には第2世代の衛星が打ち上げられる予定だ。量産型はより大きく、撮影画像の質と量を向上させるべくより多くの機器が内蔵されている。

アーメッド氏によると、テスト衛星から送られてくる画像だけでなく、最終的に提供されるデータに対して、すでに数十の顧客を抱えているとのことだ。これらの企業は、農業、鉱業、石油・ガス産業など、広大な土地の定期的な調査が事業にとって重要である場合が多い。

5メートルの解像度は、小さなスケールでは失われたり平均化されたりしてしまうような地形を捉えるのに有効だ。大陸をマッピングするのであれば、30メートルの解像度はやりすぎだが、湖の縁に有害な化学物質がないか、田畑が乾燥状態かどうかをチェックするのであれば、できる限り正確に把握したいと考えるだろう。

画像クレジット:Pixxel

ハイパースペクトル画像では、可視光線がメタンなどの排出物を通過したり、まったく異なる物質が同じような色に見えることから、より多くのことを明らかにすることができる。湖の端が黒く変色している場合、それは藻類か水面下の棚かそれとも工業製品の流出か、「青」と「紺」だけだと判断が難しい。しかし、ハイパースペクトル画像は、はるかに多くのスペクトルをカバーしていて、人間には直感的に理解しがたい豊かな画像を生成する。鳥や蜂が紫外線を見ることで世界の見え方が変わるように、1900ナノメートルの波長を見ることができれば、世界がどのように見えるのか、我々には想像するのは難しい。

このスケールを示す簡単な例として、NASAが提供するこのチャートは、3つの鉱物の波長0〜3000ナノメートルのスペクトルの特徴を示している。

Robert Simmon / NASA

見てわかるとおり、テーブルはたくさんのことを意味している。

「何百もの色を使って遊ぶことができるのです。特定の栄養素を含む土壌で、それが飽和状態なのか、そうでないのか見るのに役立ちます。ハイパースペクトル画像では、こうしたことが滑らかなスペクトルのわずかな変化として表れます。しかし、RGBでは目に見えません」とアーメッド氏は話した。

Pixxelのセンサーは、通常のカメラが赤、青、緑の3色しかとらえられないスペクトルを、数百の「スライス」として収集する。衛星はさらに有用なスライスをいくつか持っており、マルチスペクトル画像と呼ばれるものを作成している。しかし、何十、何百ものスライスを組み合わせると、より複雑で特性を伝える画像を得ることができる。上のチャートでは、スライスの数が多いほど、カーブの精度が高くなり、より正確である可能性が高いことを意味する。

軌道からのハイパースペクトル画像を追求している企業は他にもあるが、現在データを送信している稼働中の衛星を打ち上げた企業はなく、Pixxelが行っている5メートルの解像度とスペクトルスライスの範囲を達成した企業もない。そのため、この分野ではいずれ競争が起こるだろうが、Pixxelのコンステレーションは先陣を切ることになりそうだ。

「当社のデータの質は最高です。しかも、より安価な方法でそれを実現しています」とアーメッド氏は話す。「最初のコンステレーションを通じて資金を完全に調達しています」。

2500万ドルのシリーズAはRadical Venturesがリードし、Jordan Noone、Seraphim Space Investment Trust Plc、Lightspeed Partners、Blume Ventures、Sparta LLCが参加した。

調達した資金はもちろん衛星の製作と打ち上げに使われるが、顧客がゼロからハイパースペクトル分析スタックを構築する必要がないよう、Pixxelはソフトウェアプラットフォームにも取り組んでいる。今あるものを再利用するだけではダメだ。このようなデータは文字通りこれまでなかったものだ。そこでPixxelは「モデルや分析を組み込んだ汎用的なプラットフォーム」を構築しているのだと、アーメッド氏は語った。しかし、まだ公にできる段階ではない。

宇宙関連に付き物の不確実性にもよるが、Pixxelは2023年の第1四半期か第2四半期の運用開始が見込まれている。

画像クレジット:Pixxel

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagram、ハッシュタグを通し社会運動を支援しやすくなる最新機能をテスト中

Instagram(インスタグラム)は、ユーザーがハッシュタグを通じて社会運動を発見し、直接支援することを容易にする新機能をテストしていると、米国時間3月28日発表した。特定の社会運動に関連するハッシュタグを検索すると、新しいオプションを通じてそれらを支援することができるようになる。

ハッシュタグのページにアクセスしたら「Support(支援する)」を選択することにより、その運動についてさらに詳しく知ることができる。「Spread the Word(言葉を広める)」ボタンも用意されており、DMでハッシュタグページを友人と共有することができる。さらに「Create a Fundraiser(募金キャンペーンを作成する)」ボタンで募金活動も始められるようになり、より簡単に支援活動を行えるようになるとしている。

「本日より、Instagram上で社会運動を見つけ、支援しやすくするための新機能のテストを開始します」と同社は、この発表についてブログ記事で述べている。「ハッシュタグは以前から、人々がInstagramで新しくサポートしたい活動を発見する場となっていましたが、今回、特定の運動に関連するハッシュタグを検索すると、それを支援するオプションが表示されるようになりました。人々はしばしば、理念に関して声を上げ、それらを高め、コミュニティを1つにするためにInstagramにやってきます。彼らはInstagramで耳にしたテーマをサポートすることを熱望しており、行動を起こすための新しい方法を常に探しています。これらのアップデートにより、より簡単にそれを実行できるようになります」。

同社は、#BlackLivesMatter、#womensrights、#climatecrisisなど、Instagramでポピュラーな運動に焦点を当てたハッシュタグを選択して新機能を展開していく。Instagramは、NAACP(全米黒人地位向上協会)、GLAAD(グラード、LGBTの人々のイメージに関するメディアモニタリングを行うNGO)、AAJC(アジア系米国人の公民権を擁護するNPO)、Hispanic Heritage Foundation(ヒスパニックヘリテージ財団)、Illuminative(米国社会における先住民の認知度を高め、否定的な見方を覆すことを目的としたNPO)など複数の組織と協議し、初期のハッシュタグのリストを選定したという。Instagramは今後も各方面団体と協力し、機能を強化していく予定とのこと。

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

ドローンを使って森林をモニタリングするTreeswiftが約5.9億円のシードラウンド調達

過去10年間で、ドローンは森林モニタリングの重要なツールになりつつある。自然のバランスを大きく崩すことなく、多くのデータを一度に収集できる、迅速で効果的な方法だからだ。2020年にペンシルバニア大学のGRASP(General Robotics, Automation, Sensing and Perception)研究所からスピンオフして設立されたTreeswift(ツリースイフト)は、その可能性を推進するために活動してきた。

共同創業者のSteven Chen(スティーブン・チェン)氏、Elizabeth Hunter(エリザベス・ハンター)氏、Michael Shomin(マイケル・ショミン)氏、Vaibhav Arcot(ヴァイバヴ・アーコット)氏は、ドローン群と林業に関する専門知識を結集し、フライスルーで広範囲のデータを収集できるシステムを構築した。搭載カメラやセンサーで収集された情報は、森林減少のモニタリング、二酸化炭素回収の測定、森林火災の防止など、さまざまな用途に活用することが可能だ。

「私たちのミッションは、自然界のためのデータエコシステムを構築することであり、森林の林冠の下から重要なデータを取得することでそれを達成します」と、このスタートアップのCEOであるチェン氏はリリースで述べている。「より透明性が高く検証可能、かつ正確な地球の姿を底辺から観るのにTreeswiftの技術が役立つと期待しています」。

今週、同社は、それにふさわしく、シードラウンドを発表した。Pathbreaker Venturesが主導したこの480万ドル(約5億9400万円)の資金調達で、累計調達額は640万ドル(約7億9200万円)になった。

画像クレジット:Treeswift

「Treeswiftのソリューションは、これまで不可能だった方法で自然界を測定することができます」とPathbreaker VenturesのRyan Gembala(ライアン・ジェンバラ)氏はいう。「商業林業や二酸化炭素回収などに大きな影響を与えるでしょう。彼らの技術導入から得られたデータは、今後数十年にわたり自然ベースのソリューションとマネジメントにおける最大のチャンスの基盤となると考えています」。

フィラデルフィアを拠点とする同スタートアップの主要製品は「SwiftCruise」で、樹木単位でメトリックを収集することができるハードウェアとソフトウェアの組み合わせのソリューションである。この情報は、搭載された機械学習(ML)アルゴリズムによって処理され、クラウドベースのデータダッシュボードに収集される。これは、従来、衛星や飛行機の画像で収集されていたものよりも、より詳細な画像である。

画像クレジット:Treeswift

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

衛星コンステレーション構築を目指すアークエッジ・スペースがシリーズA追加クローズとして約6.3億円調達

衛星コンステレーション構築を目指すアークエッジ・スペースがシリーズA追加クローズとして約6.3億円調達超小型衛星の開発・運用などを手がけるアークエッジ・スペースは3月29日、シリーズA追加クローズとして6億3500万円を調達したと発表した。引受先は、新規株主のスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー、シンガポールのPavilion Capital、既存株主のインキュベイトファンド、三井住友海上キャピタル。

同社は、シリーズAラウンドとして、リード・インベスターのインキュベイトファンド、またリアルテックファンド、三井住友海上キャピタルを引受先として、約17億円の調達を2022年1月に実施している。シリーズAラウンドにおける調達額は累計23億円となった。シードラウンドからこれまでに調達した資金調達は累計総額で約27億円となっている。

今回の調達した資金は、採用などにより衛星開発体制の構築・強化を加速させ、すでに着手しているSDGs対応向けのIoT通信、地球観測、海洋VDES衛星などの6U衛星コンステレーションの構築を確実に実現する。また2025年をめどに、月面活動にむけた衛星コンステレーション構築に必要となる超小型衛星の開発・実証に取り組む。衛星コンステレーション構築を目指すアークエッジ・スペースがシリーズA追加クローズとして約6.3億円調達

The EVERY Companyが卵由来でない卵白で作ったマカロンを米国発売、分子レベルで成分把握・人工酵母を利用し再現

The EVERY Companyが卵由来でない卵白成分で作られたマカロンを米国発売、分子レベルで成分把握・人工酵母など利用し再現

Kimberly Tsai / Business Wire

米国で、鶏卵由来でない卵白で作られたマカロンが発売されました。これは鶏卵の卵白とほぼ同じ成分ものを、人工酵母を使って作り出すmicrobial precisionと呼ばれる技術を使用しています。

この技術は牛乳や卵といった動物性食品の成分を分子レベルまで分析、それと同様のものを微生物を利用して作り出します。たとえば、今年はじめにはこの技術を使って牛乳を使わずに作り出された乳成分を使った乳製品が米国で発売されました。

The EVERY Companyと称する企業は、過去数年かけて卵白に含まれるタンパク質を人工酵母で作り出す研究をしてきました。

ニワトリを必要としない卵白が作れるということは、コストが充分に安価になればその分タマゴが必要なくなり、さらにはニワトリを飼育するための養鶏場設備が必要なくなり、そこでの活動で産生される温室効果ガスの排出を減らすことが可能になって、持続可能性が高まると考えられます。

The EVERY CompanyのArturo Elizondo CEOによると、人工酵母で作り出される卵白はその機能や性質も本物とそっくりになるため、泡立ててメレンゲにしたり、中華麺、パン、パスタ、プロテインバーに至るまで加工する際の様子なども本物と同様に、また風味を損なわずに扱えるとのこと。ただし、あくまで性質は本物の卵白と同じになるため、卵アレルギーを抱える人には不適であることに注意が必要です。

同じ方法で卵白タンパク質の生成に取り組んでいるのはThe EVERY Companyだけではなく、今年初めには、フィンランド大学の研究チームが、人工の菌類から卵白の主要な成分であるオブアルブミンの生産に成功したと発表し、この方法であれば養鶏によるタマゴの生産に比べて温室効果ガスの排出を半分に抑えることができると推定していました。

microbial precision方式の卵白成分の生産を拡大しようとすれば、さらに多くの研究や生産設備が必要になります。しかしThe EVERY Companyはそれが食品の製造方法を変える方法になると楽観的に構えており、Elizondo氏も「我々の食料システム、ひいては世界を真に変革する技術だと信じている」と述べ、将来の世界の食糧供給を様変わりさせることになると強調しました。

もし本当にこの技術が普及していくなら、将来的に養鶏業者は新たな職探しをしなければならなくなるかもしれません。一方、これから人類が目指して行くであろう月や火星などでの生活においてこの技術が利用できるようになれば、大量のニワトリを連れて行くことなく、なにかと用途の多いタマゴの成分を使った食品を現地生産できるようになるかもしれません。ただ、オムライスやタマゴかけご飯好きとしては、卵白だけでなく、タマゴの黄身の部分も作れる技術がはやく確立して欲しいところです。

ちなみに今回の鶏卵を使わないマカロンは、パリ発祥で現在はサンフランシスコとパロアルトを拠点とするフレンチマカロン専門店Chantal Guillonとの協力で作られました。Trip Advisorなどで見たところ、本場フランスの味を提供する店として非常に人気が高いとのことです。

(Source:The EVERY Company(Business Wire)。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

フリーランサーのマーケットプレイス「Malt」がコンサルタントのマーケットプレイス「Comatch」を買収

フリーランサーのマーケットプレイス業界に、統合の時期がきている。フランスのスタートアップ企業であるMalt(モルト)は、コンサルタントや業界の専門家に特化した競合マーケットプレイスのComatch(コマッチ)を買収すると発表した。Comatchはもともとドイツで始まった会社であるため、Maltはこの買収でドイツ市場も倍増させることになる。買収の条件は非公開だが、株式と現金の混合対価で行われる。

Maltは、フリーランスの開発者、デザイナーなどの技術者と、人材を求める企業をマッチングするマーケットプレイスとしてスタートした。これまでに同社はかなりの資金を調達し、欧州の複数の国々にわたり34万人のフリーランサーを集めている。

当初はフランス市場に限定されていたMaltだが、ここ数年でドイツ、スペイン、ベルギー、オランダ、スイスに拡大した。4万社の企業が1人または複数のフリーランサーを見つけるためにMaltを利用している。

同社のクライアントには、Unilever(ユニリーバ)、Lufthansa(ルフトハンザ)、Bosch(ボッシュ)、BlaBlaCar(ブラブラカー)、L’Oréal(ロレアル)、Allianz(アリアンツ)などが含まれる。このように、多くの大企業がMaltを利用したことがあるのだ。

Maltは、新しいプロジェクトが立ち上がった時に足りない分野を埋めることができる高スキルのフリーランスの仕事に特化している。現在では、開発者だけでなく、マーケティングやコミュニケーションの専門家、グラフィックデザイナーなどにも機会を提供するようになっている。

Maltのようなプラットフォームを使うことは、特にフリーランスとしてスタートしたばかりで、潜在的な顧客との大きなネットワークを持っていない場合に有益だ。また、Maltは経営上の事務処理にも役立つ。フリーランサーはMaltから直接クライアントに請求することができ、もちろん、Maltはわずかな手数料を受け取る。

Comatchもほぼ同じビジネスモデルを踏襲しているが、こちらは特に経営コンサルタントや業界の専門家に焦点を合わせている。Maltはこれまで、特に経営コンサルタントをターゲットにしていなかった。つまり、この買収によって同社は新しい業種に参入することになる。

「Comatchは、ビジネスコンサルティングのマーケットプレイスの分野におけるチャンピオンです。Maltの『コミュニティファースト』のアプローチを共有し、才能を製品やビジネスの中核に置いて、仕事の未来に対する我々のビジョンを実現する仲間として、両社の高いスキルを持ったフリーランサーの2つの世界を1つにすることを我々は熱望しており、そうなることに興奮しています」と、Maltの共同創設者でCEOを務めるVincent Huguet(ヴィンセント・ユゲー)氏は声明で述べている。

Maltは欧州で最も頼りになるフリーランサーのマーケットプレイスになりたいとも考えている。Comatchは9つの市場で1万5000人のフリーランサーを集めており、両社はCAC40とDAX40に選ばれる企業の80%と取引している。ComatchはMaltに興味深い外部成長の機会を提供することになる。

この買収後に関して、Maltはいくつかの野心的な目標を掲げている。2024年までに10億ユーロ(約1360億円)のビジネスボリュームを見込んでおり、2022年末までに150人の従業員を新たに雇用する予定だという。

画像クレジット:Malt

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)a

コンピュータビジョンチームに合成データを提供するDatagenが約61.7億円のシリーズB資金調達を実施

イスラエルで設立されたDatagen(データジェン)は、コンピュータビジョン(CV)チームのために合成データソリューションを提供するスタートアップ企業だ。同社はその事業の成長を促進するため、5000万ドル(約61億7000万円)のシリーズBラウンドを実施し、これまでの資金調達総額が7000万ドル(約86億4000万円)を超えたと発表した。今回のラウンドは新たに投資家となったScale Venture Partners(スケール・ベンチャー・パートナーズ)が主導し、パートナーのAndy Vitus(アンディ・ヴィータス)氏がDatagenの取締役に就任した。

テルアビブとニューヨークにオフィスを構えるDatagenは「実世界の環境をシミュレートすることによってわずかなコストで機械学習モデルを迅速に訓練し、AIの進歩を推進する完全なCVスタックを構築している」と、ヴィータス氏は述べている。このパロアルトに拠点を置くVCは「これはCVアプリケーションの開発とテストの方法を根本的に変えるだろう」と予測する。

11カ月前にDatagenが1850万ドル(約22億8000万円)を調達したシリーズAラウンドを支援した投資家たちも、この新たなラウンドに参加した。その中にはVCのTLV Partners(TLVパートナーズ)とSpider Capital(スパイダー・キャピタル)が含まれる。シリーズAを主導したViola Ventures(ヴィオラ・ベンチャーズ)も、今回はその成長部門であるViola Growth(ヴィオラ・グロース)を通じて参加した。さらに、コンピューター科学者のMichael J. Black(マイケル・J・ブラック)氏や、Trevor Darrell(トレバー・ダレル)氏、NVIDIA(エヌビディア)のAI担当ディレクターであるGal Chechik(ガル・チェチック)氏、Kaggle(カグル)のAnthony Goldbloom(アンソニー・ゴールドブルーム)CEOなど、AIやデータ分野の高名な人物も倍賭けを決めている。

投資家の名簿はもっと長くなる可能性があると、DatagenのOfir Zuk(オフィール・ズク)CEOはTechCrunchに語った。このラウンドは数週間前に終了したが、同スタートアップは、確認が取れていない数名の名前とともに「クローズを延期した少しの余地」を残しているという。

シリーズA以降のDatagenの主なマイルストーンの1つは、ターゲットユーザーが初期のフィードバックで要求したセルフサービス・プラットフォームの構築だったと、ズク氏は語る。これによってDatagenは、顧客がCVアプリケーションのトレーニングに必要なビジュアルデータを生成するための、より拡張性の高い方法を提供することができるようになった。

Datagenのソリューションは、フォーチュン100社や「ビッグテック」企業を含む、さまざまな組織内のCVチームや機械学習エンジニアに使用されている。その用途は多岐にわたるが、中でも特に加速している分野が4つあるとズク氏はいう。AR/VR/メタバース、車内および自動車全般、スマート会議、ホームセキュリティだ。

車内への応用は、Datagenが行っていることをより良く理解するための好例といえるだろう。これはつまり、乗員がシートベルトを着用しているかどうかなど、車内の状況を意味する。乗員やクルマの形状はさまざまであるため、そこでAIが活躍するわけだ。最初に現実世界から作成した3Dモーションキャプチャをベースに、Datagenの顧客は、例えばエアバッグの展開する位置を正確に決めるためなどに必要な膨大なデータを生成することができる。

Datagenは、ビジュアルデータに特化しているものの、特定の分野に縛られているわけではない。もし、小売業やロボット工学のユースケースが軌道に乗れば、倉庫のモーションキャプチャなど、特定の現実世界のデータを収集するだけでよい。その上のアルゴリズムや技術は、分野にとらわれないとズク氏はいう。

20年以上の歴史を持つ企業向けVCのScale Venture Partnersは、すでに自動車運転シミュレーション・プラットフォームのCognata(コグナタ)に投資しており、シミュレーションデータの分野に関しては強気だ。ズク氏も同様で「合成データは現実のデータを凌駕しつつある」という言葉でまとめた。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Anna Heim、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Spotifyが買収したPodzの技術を活用した新たなポッドキャスト発見機能をテスト導入

Spotify(スポティファイ)は2021年夏、ポッドキャストへの投資を加速させるため、ポッドキャスト発見プラットフォームであるPodz(ポッズ)を、証券取引委員会の提出書類によると約4940万ドル(約61億円)で買収した。現在、Spotifyは、ユーザーが気に入るかもしれない新しいPodcastを見つけるのを助けるために、このスタートアップの技術を活用した機能をテストしていることを、同社は認めた。

Podzはもともと「初のオーディオニュースフィード」と呼ぶもので、ポッドキャスト発見の問題を解決しようと試みていた。つまり、これは、TikTok(ティックトック)のようなソーシャルアプリで普及している形式と同様に、さまざまな番組からの60秒のオーディオクリップを、縦方向のフィードでスクロールしてユーザーに見せるものだった。同社の技術が興味深いのは、フィード用のクリップを独自に制作するために、ポッドキャストの制作者に頼らないことだ。代わりに、10万時間分の音声を学習させた機械学習モデルを使って、紹介するクリップを自動的に選択するのだ。

当時、Spotifyはこの買収を、アプリ上でより優れた、よりパーソナライズされたポッドキャスト発見体験を構築し、拡大するための手段であると宣伝していた。今回のテストでは、そのような機能がどのようなものかを初めて見ることができる。

プロダクトデザイナーであり、テクノロジーのアーリーアダプターでもあるChris Messina(クリス・メッシーナ)氏は、Twitter(ツイッター)アカウント@SleepwellCapによって初めて明らかになったこの機能のテストについてツイートし、動画を投稿した。ここで、新しい体験が実際に行われている様子を見ることができる。

専用の「Podcasts」ボタンをクリックすると、垂直方向のフィードに移動し、オーディオクリップを再生しながら番組のカバーアートを見ることができる。また、音声クリップは聞きながら文字起こしされ、クリップ内の単語が強調表示される。再生ボタンで番組を続けて聴くことができ、さらに「+」ボタンでアプリの「Your Episodes(あなたのエピソード)」リストにエピソードを追加することができる。

これはあくまでテストであることを考えると、この機能は一般公開前に変更される可能性があることに注意する必要がある。また、この機能は、Spotifyが、このようなオプションをユーザーがどのように利用するかを理解し、今後の製品開発に役立てるためのものである可能性もある。つまり、あなたのSpotifyアプリで、すぐに同じようにオーディオクリップの縦型フィードが見られるという保証はない。

Spotifyは、この体験を通じてPodzの技術をテストしていることを確認したが、発売日や計画については明言しなかった(Podzが機械学習で動いていることを考えると、Spotifyはローンチ前にもっとデータを集めてサービスを改善したいのかもしれない)。

「Spotifyでは、ユーザー体験を向上させるために、日常的に多くのテストを行っています」と、広報担当者は述べた。「これらのテストの中には、私たちの幅広いユーザー体験への道を開くことになるものもあれば、重要な学習としてのみ機能するものもあります。現時点では、これ以上お伝えすることはありません」。

Podzは、人々が好きそうなPodcastをもっと見つけられるようにするための新しい方法を構築しているいくつかのスタートアップの1つだった。多くのPodcastは30分以上あり、番組の内容やホストの個性をすばやく簡単に把握することが難しく、この新しい番組の発見という課題を克服するのは困難だった。

Podzの解決策は機械学習技術に頼ることだったが、他のスタートアップも異なるアイデアを追求している。例えば、Kayak(カヤック)の共同創業者であるPaul English(ポール・イングリッシュ)氏の新スタートアップであるMoonbeam(ムーンビーム)は、TikTokにヒントを得たアプリで、機械学習技術をブレンドした人間による編集キュレーションに依存している。垂直方向のフィード形式は、ポッドキャストに隣接するアプリでも使われている。たとえば番組というより音声ストーリーに近い99秒の音声クリップを提供するRacket(ラケット)や、Facebook(フェイスブック)のSoundbites(サウンドバイト)でも使われている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Apple TV+が「コーダ あいのうた」でストリーミングサービスとして初めてアカデミー作品賞を受賞

Apple TV+がNetflix(ネットフリックス)を抑え、前者の「CODA(コーダ あいのうた)」がアカデミー賞授賞式で作品賞を受賞し、ストリーミングサービスとして初の快挙を成し遂げた。

さらに「CODA」で主人公の父親役を演じたTroy Kotsur(トロイ・コッツアー)氏が助演男優賞を受賞し、男性ろう者の俳優としては初、ろう者の俳優としては「CODA」の共演者であるMarlee Matlin(マーリー・マトリン)氏の1986年の「Children of a Lesser God(愛は静けさの中に)」での受賞以来、2人目となった。脚本・監督のSian Heder(シアン・ヘダー)氏は脚色賞を受賞した。

これら3部門でのアカデミー賞は、2019年末にサービスを開始したApple TV+にとって初の受賞となる。

Wall Street Journalの報道によると、Apple(アップル)は、Child of Deaf Adult/s(CODA、映画のタイトルの由来となった、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どもを指す概念)であるEmilia Jones(エミリア・ジョーンズ)氏が演じるRuby(ルビー)が、家業の漁業に加わる予定だったが、音楽の道に引き込まれていくというストーリーを描く「CODA」のオスカーキャンペーンに推定1000万ドル(約12億3600万円)を費やしたという。

Appleは、Apple TV+で現在ストリーミング配信されている「CODA」の配信権に2500万ドル(約30億8900万円)を支払い、同作は劇場でも限定公開された。同部門の他の候補には、Netflixの「The Power of the Dog(パワー・オブ・ザ・ドッグ)」が含まれていた。Netflixは過去数年の間、Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)監督の「The Irishman(アイリッシュマン)」やAlfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン)監督の「Roma(ROMA/ローマ)」などで、いくつかの作品賞にノミネートされてきた。

Netflixはこれまでアカデミー賞の最高賞を獲得することはできなかったものの、監督賞(「ROMA/ローマ」のキュアロン監督「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のJane Campion / ジェーン・カンピオン監督)、助演女優賞(「Marriage Story / マリッジ・ストーリー」のLaura Dern / ローラ・ダーン氏)、外国語映画賞(「ROMA/ローマ」)、短編アニメ賞(「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」)など、合計116回ノミネートされ15部門で受賞した実績を持っている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Den Nakano)

マッチング系アプリの決済に関するオランダにおけるアップルの罰金総額が約68億円に

出会い系アプリの決済方法に関してオランダで独占禁止法上の命令を受けたApple(アップル)に対する罰金の額は、継続的なコンプライアンス違反で規制当局が10回連続で毎週500万ユーロ(約6億8000万円)を科して5000万ユーロ(約68億円)となり、(現時点では)最大額に達した。

しかし、消費者市場庁(ACM)は現地時間3月28日、Appleが前日に直近の提案を修正したことを受け、修正提案は「出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずだ」と述べ、より前向きにとらえている。

完全な詳細を受け取り次第、当局は市場のフィードバックを求め、提案が受け入れられるかどうか早急に決定すると述べた。しかし、その評価にどれくらいの時間がかかるか、また修正案自体の詳細については、何ら情報を提供していない。また、修正案が受け入れられないと判断された場合、Appleはさらなる罰則を受ける可能性があるとも警告している。つまり、すでに数カ月に及ぶこの騒動は、まだ終わらないかもしれない。

Appleによるこれまでの提案は、当該開発者に不合理な摩擦をもたらすとしてACMによって拒否された。

3月28日発表された声明の中で、オランダの規制当局は次のように述べている。「ACMはAppleの今回の措置を歓迎します。修正された提案は、App Storeの利用を希望する出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずです。最終的な条件についての提案を受け取った後、ACMはそれを市場参加者に提出し、協議を行う予定です。ACMはその後、Appleがこれらの確定条件を実施する際に、出会い系アプリにおいて代替の支払い方法が可能であるべきというACMの要件を遵守しているかどうか、できるだけ早く判断を下す予定です」。

「先週末までは、AppleはまだACMの要件を満たしていませんでした。そのため、10回目の罰金を支払わなければならず、Appleは最大5000万ユーロの罰金を支払わなければならないことになります」と付け加えた。「Appleが要件を満たしていないという結論に達した場合、ACMはAppleに命令遵守を促すために、定期的な罰金支払いを条件とする別の命令(今回はより高い罰金となり得る)を科す可能性があります」。

TechCrunchはAppleに対応を問い合わせている。

ACMの命令は2021年までさかのぼるが(しかしAppleによる法廷闘争により、報道は制限された)、オランダの出会い系アプリが希望すればデジタルコンテンツのアプリ内販売を処理するのにApple以外の決済技術を使用できるようにするというACMが命じた権利の付与をめぐる世論戦は1月から続いている。

この件は、ACMがこのような命令を出す権限を与えられている欧州の小さな1つの市場内のアプリのサブセットという、ほとんど滑稽なほど小さなものに見えるかもしれない。一方で、デジタル市場法(DMA)として知られる汎EUデジタル競争法の改正が進行中で、ビジネスユーザーに対するFRAND(公平、妥当、差別のない)条件、相互運用性要件の組み込み、自己参照のような反競争的行為の禁止など、ゲートキーパーである大手の「すべきこと」と「すべきでないこと」といった領域における行動基準を前もって定義することで、近い将来、最も強力なプラットフォームがEU圏内でどのように活動できるかを再構築しようとしている。

つまり、ACMの命令は、今後予想されるEUの大きな要求の縮図を垣間見せている。

DMAはAppleのApp Storeにも適用される可能性が高い。そのため、オランダのケースはEU内で高い関心を集めているが、これは少なくとも今秋以降、欧州委員会がゲートキーピングプラットフォームの事前監視に切り替える際に、執行上の大きな課題を突きつけるものだからだ(EU機関は先週、DMAの詳細について政治的に合意したが、正式な採択はまだ先だ)。

市場改革の下では、欧州委員会が科すことのできる罰則の規模はかなり大きくなり、違反が繰り返される場合には全世界の年間売上高の20%にも達する。したがって、プラットフォーム大手にとっては無視できない体制となりそうだ。

もう1つの重要な変化は、DMAが積極的に行動し、EUの競争規制当局が変更を命じる前に数カ月あるいは数年かけて遵守していないことをを証明する必要がなく、最初から遵守を求めるようになることだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ、新型コロナによる都市封鎖で再び上海工場を閉鎖

Tesla(テスラ)は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者急増を受け、Gigafactory(ギガファクトリー)上海工場を閉鎖する。閉鎖は今月2回目だ。Volkswagen(フォルクスワーゲン)とGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)は3月28日、上海の事業には影響がないと発表した。

Teslaの24時間稼働工場は、上海がロックダウン(都市封鎖)されるのにともない、3月28日から4日間、生産を停止する。同社は3月中旬にも、新型コロナ感染者増加で同工場を2日間閉鎖した

ギガファクトリー上海は世界最大のEV(電気自動車)工場で、毎日約2000台を生産している。そのほとんどは、中国の消費者とドイツや日本など同社にとって重要な市場向けのModel YとModel 3だ。工場の閉鎖は、世界的なサプライチェーンの逼迫と相まって、同社がこのほど予告したマスタープラン・パート3の妨げとなる可能性がある。このマスタープランでは、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が「極限」サイズまで事業拡大する戦略について説明するとツイートしている。

中国の新型コロナ新規感染者の大半は上海で報告されていて、ほとんどのケースが無症状だという。地元政府は3月28日、大規模な検査を行うために2段階のロックダウンを開始した。ギガファクトリーは第1段階のロックダウンの影響を受ける地域にあり、このロックダウンは4月1日まで続く。

Teslaは3月15日、欧州初の工場としてベルリンに50億ドル(約6160億円)を投じた施設を開所した。

同社はまた3月28日に米証券取引委員会に提出した書類で、株主への配当を行うために株式分割を行う意向を発表した。同社は年次株主総会で「株式配当の形で当社普通株式の分割を可能にするために【略】普通株式の発行可能総数を増加させる」提案を行う予定だ。

同社は2020年8月に1株を5分割した。

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

求人検索エンジンIndeed(インディード)の日本法人Indeed Japanは3月24日、国際女性デー(3月8日)に合わせて、IT技術関連職におけるジェンダーギャップに関する実態調査を行ったと発表、その結果を公表した。日本企業におけるIT技術者の女性比率が非常に低いことの背景が示唆されると同時に、男性優位の職場でのデメリットばかりでなく、実際に技術者として働く女性のメリットも見えてきた。

情報サービス産業協会(JISA)の「2020年版情報サービス産業基本統計調査」によると、日本のIT企業で働く技術者の女性比率は21.1%と低い。OECDの「図表で見る教育2021年版」では、日本の高等教育機関の新規入学者で、工学、製造、建築を専攻する女性は16%と、OECD加盟国の中で最下位となっている。この実態調査は、そうした男女格差をなくしたいと考えるIndeedの活動の一環として実施された。

調査は、職場の男女比、就職前のジェンダーギャップ、就職後のジェンダーギャップ、IT技術関連職での女性のメリットについて、IT技術関連職に就く20代から40代の男女それぞれ721人(計1442名)を対象に行われた。職場またはチームの男女比は、もっとも多い21.2%が男性7割。全体として、6割以上は男性の割合が73.2%だった。また女性のみの職場も4.7%あった。

高校時代において、IT技術職は「理系の人が就く仕事」だと考えていた人が男女とも差がなく約60%だった。また最終学歴での理系と文系の比率では、理系は男性が約50%、女性が約30%だった。

就職前に、IT技術関連職は「男性のほうが活躍しやすい」と考えていた人は、「あてはまる」と「ややあてはまる」を含め、男性が約39%、女性が約54%。また、プログラミングに興味があった人、IT技術職に興味があった人は、どちらも1割ほど女性が低かった。「男性の方が女性よりも、早い段階から現在就いている仕事とそれに関連する技術に興味を持ち始めていた傾向が高い」とIndeedは話している。

就職後、性別によるメリットを感じた人は男女ともほぼ同数だったが、内容には下の表のように違いが出た。

反対に性別によるデメリットを感じた人は、男性が約26%なのに対して女性は約37%と多くなっている。特に女性の場合は、昇進しにくい、給料が安い、仕事をまかせてもらえないなど、裁量権に関する不満が多く見られた。

仕事での困りごとでは、1位はどちらも急ぎの仕事が多いこと、2位は長時間残量の常態化と同じだが、女性の3位である「本職以外の仕事を割り振られる」という点には性差が感じられる。

しかし、女性のメリットについてはポジティブな面が現れた。育児との両立のしやすさについて、約49%が子育てに関連する休暇を申請しやすいと答え、約40%が子育てを理由にした勤務時間の調整がしやすいと答えている。また約42%は、産休、育休などの長期休暇から戻ってきても復職しやすい、未就学児童がいる場合に業務上適切な配慮をしてもらえると回答した。Indeedでは「女性がキャリアを考える際、(中略)両立しやすさという面において、IT技術関連職は1つの選択肢になるのではないでしょうか」とコメントしている。

最後に、女性が活躍することで生まれるメリットについて調査したところ、男女とも約6割が、多様な働き方が許容されるようになる、多様な視点で事業の開発や推進ができると答えた。「女性が増えることで多様性がもたらされることに期待を持つ人は多い」とIndeedは言う。

女性が職場にもたらすメリットとしては、30代の情報通信関連の男性は、「考え方が違うのでアプローチを変えて取り組むきっかけとなりやすい」と肯定的な考えを述べている。また女性としてのメリットについて、40代の情報通信関連の女性は、「年齢を重ねると女性は転職や就職をしづらいが、IT職は事務職と比べ給与は高いのと需要が長いので、即戦力としてとってもらえるので、転職しやすくなる」と話している。

この調査結果を踏まえてIndeedは、「今後も仕事探しや就業における男女格差を含むあらゆる不公平やバリアを無くしていくための活動にも尽力してまいります」と述べている。

日本原子力研究開発機構、原子力施設の耐震安全性を詳細な3Dモデルで解析する手法を標準化して公開

日本原子力研究開発機構、原子力施設の耐震安全性を詳細な3Dモデルで解析する手法を標準化して公開

日本原子力研究開発機構は、原子力施設を3次元モデル化し、地震の揺れに対する影響を詳細に解析する手法を整備。実測データとの比較によりモデル化方法の妥当性を確認し、耐震解析手法の精度向上を実現した。さらに、この手法を標準的な解析要領にまとめ、外部専門家の確認を経て公開したと3月25日に発表した。

原子力施設の3次元モデルを用いた耐震解析には、国際原子力機関(IAEA)が、柏崎刈羽原子力発電所7号機原子炉建屋を対象に2007年の新潟中越地震の実測データを用いて実施した国際ベンチマーク解析「KARISMAベンチマーク解析」があるが、解析者による結果のばらつきが大きく、観測記録との差が大きいという問題がある。そのため、モデル化方法と解析方法を標準化し、耐震安全性の信頼性向上が求められてきた。

同機構の崔炳賢副主任研究員ら研究グループは、3次元詳細モデルによる耐震解析手法に関係する複数の重要因子を特定し、それぞれの詳細モデル化の方法を明確にした。この手法を用いることで、原子力施設の耐震安全性の評価手法の1つである、地震を原因とする確率論的リスク評価に必要な、建屋の局部応答も表現できる。つまり、重要機器や配管が設置されている建屋の床や壁といった局部の振動が再現され、建屋の揺れが精緻化された。これにより、「局部から始まる建屋のより現実的な損傷評価が可能」となり、建屋、機器、配管などの損傷確率を示す地震フラジリティー評価手法の高度化が期待できるという。この解析結果を実際の観測記録と比較したところ、再現性が向上していることが確認され、このモデル化方法の妥当性が明らかになった。

重要機器の設置位置などの建屋の注目部位(床や壁)のフラジリティ評価のイメージ

研究グループは、こうした3次元詳細モデルを用いた耐震解析の手法、考え方、手順、技術的根拠などを取りまとめ、国内初となる標準的な解析要領を整備した。これを利用することで、解析者ごとの解析結果のばらつきが抑えられる。また、プラント公開情報をもとに、この標準的解析要領の手順に沿ったモデル化と解析を行い、解析事例として整備した。そしてこれを適用事例としてまとめ、外部専門家の確認を経て、標準的解析要領とともに公開した。

スタートアップ特化のクラウド型バックオフィスサービスを展開するWORK HEROが1.4億円のシード調達

シード・アーリーフェーズのスタートアップを中心に、コーポレート専任担当がいない企業に向けたオールインワンのクラウド型バックオフィスサービス「WORK HERO」を提供するWORK HEROは3月23日、シードラウンドとして、第三者割当増資による総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はCoral Capital、East Ventures、ニッセイキャピタル。調達した資金は、人材採用およびサービスの開発・広報にあてる。

WORK HEROは、経営者・コアメンバーが事業に専念できるよう、経理・労務・税務・総務といったバックオフィス業務をオールインワンで引き受け、運用するサービス。顧客の事業内容とバックオフィス状況をヒアリングしたうえで、ベストプラクティスの業務フローを設計し、運用を代行する。各種SaaSツールの設計やメンテナンス業務も含めて対応するほか、専門家や社員との窓口代行も行うため、リソースの限られているスタートアップが、新たにコーポレート専任担当を採用せず利用を開始できるという。顧客企業は、経営資源を戦略策定やプロダクト開発などコア事業の成長に必要な業務に集中できるとしている。

WORK HERO代表取締役CEOの大坪誠氏は、自身が携わった30社以上のスタートアップの多くにおいて、すべての経営者がバックオフィス業務に課題を感じていたものの、リソース・ノウハウ不足から手を付けられずその成長を妨げてしまっているケースを数多く目の当たりにしたという。高いポテンシャルや強い個性を持つ経営者・企業が、その本領を発揮できていない状況が社会にとって大きな損失だと強く感じ、WORK HEROを2018年9月設立したとしている。

ウクライナ・マリウポリのレトロPC博物館がロシアによる侵攻により破壊、500以上の歴史的コレクションが失われる

ウクライナ・マリウポリのレトロPC博物館がロシアによる侵攻により破壊、500以上の歴史的コレクションが失われる

Club 8-bit

ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、現地にあるレトロPCとビデオゲームを集めた個人運営の博物館「Club-8bit」が戦火により破壊されたと報じられています。500を超えるレトロPCやゲーム専用機など、15年近くにわたり集められたコレクションが爆弾により失われたとのことです。

このレトロPC博物館はマリウポリにあり、ドミトリー・チェレパノフ(Dmitry Cherepanov.)氏により運営されていました。今回のニュースはウクライナのコンピュータとソフトウェア博物館(Software and Computer Museum/所在地はキーフ)のTwitterアカウントにより報じられ、オーナーのチェレパノフ氏は無事だそうです。

しかしチェレパノフ氏はFacebookで、博物館だけでなく自宅も失ったと述べています。「マリウポルのコンピュータ博物館はもうないんだ」「15年間集めてきたコレクションから残されたのは、博物館の(Facebook)ページ、ウェブサイト、ラジオ局での思い出の断片だけだ」とのことです。

米Gizmodoは2019年に博物館にてチェレパノフ氏に取材していましたが、そこではソ連圏が独自のPCを作っていた頃からコンピュータを集め始めていたと語られています。

コモドール64やMacintoshといった西側のマシンのみならず、広く知られていないが歴史的には貴重な価値があったソ連圏の遺産まで失われてしまったわけです。

チェレパノフ氏は10年以上にわたってこれらのPCを収集・修復しており、自らのPC博物館を「1980年代のPC革命の広い範囲を見ることができる魅力的なものです」と語っていました。

自宅とコレクションが破壊されて以来、チェレパノフ氏はPayPal口座を開設し、同氏やウクライナの他の人々を支援するための寄付を受け付けています

ロシアによるウクライナ侵攻は現在進行中であり、すでに数千人の死者や負傷者を出しています。また300万人以上が国外への脱出を余儀なくされ、大規模な難民危機も広がる一方です。世界各国はロシアに対する経済制裁をしだいに強化していますが、これ以上掛け替えのないものが失われないよう、一刻でも早く戦火が終わることを祈りたいところです。

(Source:Software and Computer Museum(Twitter)。Via KotakuEngadget日本版より転載)