すべての女性を起業家にするMeeshoの急成長にFacebookとGoogleも投資で対応

GoogleがインドのソーシャルコマースMeeshoに5000万ドルを投資することを検討している。情報筋によると、Meeshoは最近、5億7000万ドルの資金調達ラウンドを完了したばかりだ

別の情報筋によると、Googleはすでにインドで、半ダースあまりのスタートアップに投資しているが、Meeshoにはまだ投資していない。

Meeshoの初期の投資家はFacebookやB Capital、SoftBank、Sequoia Capital India、Y Combinator、そしてElevation Capitalなどだが、コマースサービスとしての特徴は、サプライヤー(メーカーや流通企業)とリセラーと顧客の三者を、WhatsAppやFacebook、Instagramなどのソーシャルメディアプラットホームの上で結びつけるところにある。提示されている製品をリセラーがサプライヤーから買い、それらを顧客に売るときにMeeshoがコミッションを得る。

このプラットホーム上では、リセラーの約80%が女性だ。最初から同社は、女性が無資本で自分のビジネスを始められることを目標にしている。その他のeコマース企業同様、昨年はパンデミックの深刻な被害を被ったが、今ではすっかり回復して、最近では月を重ねるごとに月間売上の記録を更新している。

最近のMeeshoの急激な成長は、インド最大のeコマースであるFlipkartの目にも留まり、真剣な検討が行われたようだ。同社は最近、ソーシャルメディア事業を立ち上げ、そこで仕事をしている二名が私にその情報をくれた。

創業者のVidit Aatrey氏の以前のインタビューによると、今年の4月現在でMeeshoを利用している起業家は1300万名、サプライヤーの数は10万を超えている。それ以降今日まで、同社は3倍に成長した。

舞台は世界で二番目に大きいインターネット市場であり、ここはeコマースがまだ、リテールに大きく食い込んでいない。しかしソーシャルコマースの市場は、昨年の10〜15億ドルから2025年には最大で200億ドルに成長する、とBernsteinのアナリストが先月言っている

その報告書によると、「ソーシャルコマースにはインド全体で4000万以上の小規模な起業家を力づける能力がある。今日では、ソーシャルコマースを使っているセラーの85%が、小さな、オフライン指向のリテイラーであり、彼らはソーシャルのチャネルを利用して新たな成長の機会を開いている」、とある。

Googleは、次の2年間でインドに100億ドルを投資すると公言し、すでにGlanceやDailyHuntなどに投資している。YouTubeは、今年の7月にソーシャルコマースのSimSimを買収した。今月(2021/10)初めにGoogleは、バンガローのネオバンクOpenに投資した

木曜日(米国時間10/21)に要求したコメントに、Googleはまだ応じていない。

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Getty Images

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インドのアマゾンではショッピングのページで新聞や雑誌記事を読める

インドでスーパーアプリになりたいという思いが募るAmazonが、ユーザーのこのショッピングサービスでの滞在時間がなるべく長くなるために、特集記事という新しいサービスをテストしている。

この米国のeコマース巨人は秘かに、そのショッピングアプリの上に「Featured Articles」(特集記事)という機能をローンチし、政治や行政、エンターテインメントやスポーツ、ビジネス、金融、書籍、食べ物など多様な話題の記事や解説と分析など載せたWebサイトもインドで開いた。記事は地元のメディアや雑誌から取られている。

同社がWebサイトで言っているところによると、一部には「Amazon独占」の記事もある。一部のKindleユーザーには通知を送って、エンゲージメントを誘っている。


画像クレジット: Himanshu Gupta

Himanshu Guptaが教えてくれたこの新機能は、同じくインドで、ショッピングアプリの中で無料のビデオストリーミングサービスを始めてから数日後のことだ。

この新機能の存在を認めたAmazonの広報によると、「顧客のための新しいエンゲージ機能の作成は今後も続ける。その取り組みの一環として今回は、事件や本、ビジネス、エンターテインメント、スポーツ、ライフサイクルなどの話題を扱った記事を読者に提供する」そうだ。

Amazonがインドで、ショッピングサービスに読み物を統合する試みは、今回が初めてではない。2018年には、Amazon Indiaはガジェットのレビューやランキング記事などを地元メディアから拾って載せ始めた。

関連記事: From India’s richest man to Amazon and 100s of startups: The great rush to win neighborhood stores(未訳、有料記事)

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Avishek Das/SOPA Images/Getty Images

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消費者に無農薬野菜を届け、インドの水危機と闘う垂直農業に賭けるUrbanKisaan

深刻な干ばつにより、インドの一部地域では河川や貯水池の水が流出し、世界第2位の人口を誇るこの国の5億人以上の人々が2030年までに飲料水を使い果たすと推定されている。

その兆候は、水の総供給量の大部分を消費している農場に見られる。インドで農民が作物を育てるのに苦労しているのは、依然として雨水に大きく依存しているからだ。ほかに手段のある農家は水の使用量はごくわずかな、とうもろこしに似たトウジンビエ(パールアワ)、ササゲ、ユウガオ、トウモロコシなど、基本的には米以外の作物を栽培するようになった。しかし、ほとんどの人はこのような事業展開は難しい。

また、野菜に使用される有害な化学物質のレベルは、長年の間に大幅に上昇している。

インド南部のテランガーナ州の州都・ハイデラバードに本社を置くスタートアップであるUrbanKisaan(アーバンキサーンス)は、TechCrunch Disrupt Startup Battlefieldに参加し、この2つの課題に対処する方法を見つけたと主張する。

ハイデラバードとバンガロールにあるUrbanKisaanのセンターでは、中から見ると宇宙船のように見えるが、作物を重ねて栽培している。

垂直農法は、欧米の一部の市場では勢いを増しているが、インドではまだ非常に新しい概念だ。このモデルにはさまざまな利点がある。

UrbanKisaanの共同設立者であり最高経営責任者であるVihari Kanukollu(ビハリ・カヌコル)氏はTechCrunchのインタビューで「弊社は作物を育てるために土壌や有害な化学物質を一切使用せず、従来の農場に比べて水の使用量を95%削減しています。水が流れ続け、何度も何度もリサイクルされるような水耕栽培システムを構築しています。より少ない水を使っているにもかかわらず、UrbanKisaanは30%以上の作物を生産しています」と説明する。「私たちのは少なくとも30〜40フィート(約9〜12m)の高さまで成長します。そして、そこには無限のループがあります」と続けた。

同氏は「レタスとバジルだけを栽培する他の垂直農業モデルとは異なり、UrbanKisaanは50種類以上の野菜を栽培する技術を考案した」と語る。

同社にとっての大きな課題は、レストランチェーンなどの企業を説得して購入してもらうことだ。「健康にいい野菜を提供しているにもかかわらず、企業は伝統的に栽培された作物を使いながら、数ドルの節約をしたいと考えています」と同氏は指摘する。

その意識に対抗するために、UrbanKisaanは消費者に直接販売しています。利用者はハイデラバードとバンガロールのUrbanKisaanのセンターにチェックインし、野菜の範囲を購入することができます。

Y Combinatorのほか、最近では南インドの人気女優であるSamantha Akkineni(サマンサ・アクキネニ)氏が支援しているこのスタートアップは、誰もが自宅で野菜を購入して育てることができる約200ドル(約2万1000円)のキットも販売している。

商業のバックグラウンドを持つカヌコル氏は、母親のために新鮮な無農薬野菜を買えないことに不満を感じた後、2018年にUrbanKisaanについてのアイデアを探り始めたという。

幸いなことに、彼は20年以上かけて農業を研究してきた科学者のSairam Palicherla(サイラム・パリケラ)氏と出会った。二人は最初の1年を研究と農家との交流に費やしました。

現在、UrbanKisaanには30以上の農場を展開している。「これらの農場はすべて最初の1カ月で黒字化した」とカヌコル氏は述べている。「現在、売上高は月平均110%で成長しており、平均請求額は過去6カ月で10倍になりました」とのこと。

また同社は、今後3カ月以内に月次経常収益15万ドル(約1570万円)を達成するポイントに到達することに取り組んでいる。

UrbanKisaanはここ数四半期、テクノロジースタックをさらに改善するために費やしてきた。カヌコル氏は「LED照明の消費電力を50%削減し、チューブ1本あたりの製造コストを60%削減した」ことを明らかにした。

同社は現在5人の農家と協力しており、すべての農家に提供できる実用的なモデルを見つける方法を模索している。また、畳み込みニューラルネットワークの上に集約された知能を開発し、収穫可能な農産物をリアルタイムで検出し、農場の欠陥を検出する。

UrbanKisaanはこれまでに約150万ドル(約1億5700万円)を調達しており、今後数四半期のうちにさらに多くの都市への進出を計画している。

画像クレジット:UrbanKisaan

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(翻訳:TechCrunch Japan)

グーグルが非熟練労働の求職を支援するKormoアプリをインドで立ち上げ、リモート面接も可能に

グーグルは米国時間8月19日、「求職アプリのKormo Jobsをインド向けに拡張し、非熟練労働者向けの仕事を探している数百万の人々を支援する」と発表した。これによって同社は、世界で2番目に大きなインターネット市場であるインドでの、マイクロソフト傘下のLinkedInの影響力を下げようとしている。

グーグルはKormo Jobsを2018年にバングラデシュで立ち上げた。昨年にはインドネシアへ拡張し、Google Play上で求職アプリ「Spot」として入手できるようにした。

同社によると、仕事がSpotで見つけられるようになってから、グルメサイトサービスを展開するZomatoやグーグルが投資しているバンガロール拠点の配達サービスのDunzoなど数多くの企業が、同プラットホーム上に200万以上の検査済み求人案件をポストした。

そしてグーグルによると本日、Google Play上のJobs SpotをインドでKormo Jobsに改名し、またそのスタンドアロンのアプリを重要な海外市場でも利用できるようにした。

Kormo Jobsでは、ユーザーが非熟練労働の人種、宗教などを問わないオープンコール(の求人を見つけられるだけでなく、新しいスキルを学んだり、容易に履歴書を作れたりする。

Kormo Jobsの地区マネージャーでオペレーション担当のBickey Russell(ビッキー・ラッセル)氏によると、このアプリには今後も投資を続け、新しい機能や求人を増やしていく。

ラッセル氏は、ブログに以下のように説明している。

パンデミックによって求人の様相も変わり、これまでとは違うスキルや経験を要する新しいサービスに需要がシフトしている。企業は規模を問わず、ニューノーマルのチャレンジに直面しており、求職者はこの変化に早く対応しなければならなくなっている。私たちは求職と求人を結びつけ、重要な機能を提供して、みなさまの生活の改善にお役に立てていることを、嬉しく思っている。たとえば今年の初めからはリモート面接を導入して、ソーシャルディスタンスをより確実にしている。

インドなどではグーグルの検索を利用した求人行為が少なくないので、同社はそんなニーズに専用アプリで応えようとしている。同社は米国で2017年に求職の便宜を充実させた検索エンジンを立ち上げ、その後対象地域を広げた。そして今月初めには、インドで仮想名刺機能を開始した。

グーグルが求人機能を充実させるのは、LinkedInに対抗するためだ。しかし後者は、新興市場に強くない。例えばインドでは、LinkedInのAndroid上の7月の月間アクティブユーザーは2400万人で、前年同期比では2200万人に増えている。これに対し、グーグルのインドのユーザーは約4億人だ。

しかしインドのような人口が膨大に多い国では、求職がやりやすいことが極めて重要だ。求職を助けるアプリは大歓迎である。しかもグローバルなパンデミックのおかげで、いまは失業率も記録的な高さになっている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国大手VCのLightspeedのインド拠点が約290億円規模のファンド組成、インド向けとしては最大規模

米国の大手ベンチャーキャピタルのインド拠点であるLightspeed India Partnersは米国時間8月17日、世界第2位のインターネット市場への投資を強化するため、2億7500万ドル(約290億円)の第3ファンドをクローズしたことを発表した。

「この新しいファンドはインド向けとしては最大規模で、Lightspeed India Partnersはこの地域の24社以上のアーリーステージのスタートアップ投資を進められるようになる」と同社パートナーのHemant Mohapatra(ヘマント・モハパトラ)氏はTechCrunchのインタビューで述べている。

2007年にインドへの投資を開始した同社は、過去1年間に2つの注目すべきイグジットを実施(未訳記事)した。格安宿泊施設を手掛けるスタートアップであるOyoとEdtechの巨人であるByju’sからの撤退で、合計で9億ドル(約950億円)以上のキャッシュリターンを得ている。

そのほかの主要な投資先としては、昨年27億5000万ドル(約2900億円)以上の評価を受けた企業間取引市場のUdaan(未訳記事)、10億ドル(約1060億円)以上の評価額で資本調達が進んでいるローカル・ソーシャルメディア・プラットフォームのShareChat(未訳記事)、SaaSスタートアップのDarwinBox(未訳記事)、Yellow Messenger(未訳記事)、OkCredit(未訳記事)などがある。

同地域に6社のパートナーを擁する同社は、2015年に1億3500万ドル(約142億円)のインド向け初の専用ファンドをクローズした。2018年には1億7500万ドル(約184億円)の同地域向け2本目のファンドをクローズした。同社はスタートアップにこれまで7億5000万ドル(約790億円)以上を投資している。

アーリーステージのスタートアップに投資を行っている同社のインド拠点は、レイターステージでいくつかの投資先スタートアップを支援するために、より大きな投資を行うために、Lightspeed本体との連携を継続している。投資の80%以上はインドのシードやシリーズAの段階にある企業だ。

「これは、当社の差別化の最大のポイントの1つです。これほどグローバルなプレゼンスを持つベンチャーキャピタルはそう多くはありません。グローバルファンドとのシナジーは今後も続くでしょう」とモハパトラ氏は述べている。Lightspeedは中国でも大きな存在感を示している。昨年、同社の中国拠点は5億6000万ドル(約590億円)のファンドを発表(未訳記事)した。

インドのLightspeedパートナー。写真に向かって左から、Bejul Somaia氏、Akshay Bhushan氏、Harsha Kumar氏、Dev Khare氏、Vaibhav Agrawal氏、Hemant Mohapatra氏(写真提供:Lightspeed)

Lightspeedは、今年初めにグローバルで40億ドル(約4220億円)のファンドをクローズした。同社は、インドでの積極的に投資先を探している数少ない米国のベンチャーキャピタルの1社だ。世界的な同業他社であるSequoia Capital(セコイア・キャピタル)は先月、インドと東南アジア向けに13億5000万ドル(約1420億円)規模の2つのファンドを発表した。Sequoiaのアーリーステージ投資のうち11件は、この地域で過去14年間にユニコーン企業に成長している。

モハパトラ氏は「インドのスタートアップのエコシステムはここ数年で成熟し、高い成長率を示し、大きな成果をもたらしている」と述べている。また、これまで以上に多くのイグジットが見られるようになっている。今月初めにByjuは、子供たちにプログラミングを教える創業18カ月のWhiteHat Jr.(未訳記事)を3億ドル(約316億円)で買収している。

インドのスタートアップ企業は昨年145億ドル(1兆5300億円)以上の資金を調達(未訳記事)しており、これはローカルコミュニティの記録となっている。ただし、新型コロナウイルスの感染蔓延は、ほかの市場と同様にインドでの資金調達の動きを減速させている。

モハパトラ氏は、同社の投資先スタートアップのごく一部が新型コロナウイルスの影響を受けていることを明らかにしたが、ほとんどのスタートアップは前進を続けており「ここ数カ月で事業展開が加速しているスタートアップもある」と指摘した。

「Lightspeedは、未来における最高の起業家と企業が出現するのは今だと考えています。強力な創業者は、インドのデジタルエコシステムの成長の追い風を利用して新しい未来を構築しており、Lightspeedはこれらの創業者を支援することに強く関与していく」と同社は声明で述べている。

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:Lightspeed Venture Partners インド 資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンがインド第3位の通信事業者の株式を2000億円以上で取得検討か

Amazon(アマゾン)はインドで急成長している通信市場の一端を手に入れるために、米国の同志であるFacebook(フェイスブック)と同じ道をたどろうとしているのかもしれない。

ロイターが匿名の情報源からの話として伝えたところによると、インドですでに65億ドル(約7080億円)を投資しているアマゾンは、インド第3位の通信事業者であるBharti Airtel(バハーティ・エアテル)の株式の5%を20億ドル(約2178億円)以上で取得する交渉の初期段階にあるという。

アマゾンにコメントを求めたが回答はなかった。一方のBharti Airtelは「我々は常にあらゆるデジタルおよびOTT企業と連携し、各社の製品、コンテンツ、サービスを我々の多くのお客様に提供するために深く関わっている。これ以上はお伝えする動きはない」と述べた。

Google(グーグル)がインド第3位の通信事業者であるVodafone Ideaの株式取得について交渉中(未訳記事)の模様であると報じられている中で、アマゾンはBharti Airtelに関心を持ったようだ。2020年4月にはライバルのフェイスブックがインド第1位の通信事業者であるReliance Jio Platformsの株式の9.99%を取得した。地元メディアの報道によると、Microsoft(マイクロソフト)もReliance Jio Platformsと交渉中で、20億ドル(約2178億円)の投資をする可能性があるという。

Vodafone Global GroupのMDで現在はAccloudのCOO兼パートナーであるAmit Pau(アミット・ポー)氏は、Facebookの出資はインドがテック大手にとっての新たな主戦場であることの表れだと語る。

「フェイスブックはJio Platformsとの連携によりインドのeコマース市場でアマゾンに狙いを定めて攻撃をしかけたが、これは世界最大級の企業が争う壮大な戦いの火ぶたを切ったものだ。インドの消費者はデジタル化によってより良いサービスを利用できるようになり、経済が発展するだろう」とポー氏。

米国の大手企業はこれまでに重要な海外市場であるインドの通信事業者と連携し、インドでの市場を拡大してきた。マイクロソフトはReliance Jioと連携してOffice 365を多くの中小企業に購入補助付きの価格で提供(未訳記事)している。グーグルはGoogle Cloudスイートに関してAirtelと同様の連携を続けている

インドのクラウド市場をリードしているアマゾンは、現時点では通信事業者との同様の取引はしていない。ただし過去にはBharti Airtelと連携(Business Today記事)していた。

画像:Manjunath Kiran/AFP / Getty Images(画像は加工しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)

グーグルがインドで人気の「Remove China Apps」をPlay Storeから取り去る

Remove China Appsは、ここ数週間でインドの人気アプリになった。しかし、その名のとおりのことをするこのアプリがGoogle Play Storeから取り去られた。

このインドで人気上位のアプリは5月の終わりごろから現在まで500万回以上もダウンロードされ、中国の企業が開発したアプリを容易に見つけて消せるが、Google Play StoreのDeceptive Behaviour Policy(虚偽の振る舞いに関するポリシー)に違反しているとして、このほどAndroidのメインのアプリストアから取り去られたようだ。

このポリシーでは、Google Play Store上のアプリは、ユーザーの事前の知識と同意なくユーザーのデバイスの設定やアプリの外部の機能を変えてはならない。またサードパーティアプリの削除や無効化をユーザーにそそのかしてはならない。

インド人の反中国感情は、最近のヒマラヤ方面の国境紛争を契機として肥大している。そこでインドのOneTouch AppLabsが開発したこのアプリがインドで人気になった。なにしろ両国は人口が世界で1位と2位なのでアプリの市場としても大きい。

インドのセレブたちの一部は最近、中国製のアプリを削除することを肯定している。ヨガのグルであるBaba Ramdev(ババ・ラムデフ)氏は週末のビデオによるツイートで、中国起源のアプリ数本を自分が削除するところを見せた。

自分のスマートフォンからTikTokを削除したインドの俳優のツイートに応えて与党BJP(インド人民党)のスポークスパーソンのNupur Sharma(ヌプール・シャルマ)氏は、「問題に関心のある一般市民が自ら模範を示したことを見るのはすばらしい。被害の大きいアプリは削除して当然である」と述べた。

中国の国営紙のGlobal Timesは米国時間6月2日に、業界のソースを引用しながら「インド政府が不合理な対中感情の継続を許すならば、両国関係が北京からの報復の連鎖を惹き起こす危機に陥るだろう」と報じた。

同紙の記事は「中国の一部のユーザーはRemove China Appsを笑いものにしており、インド人に自分のスマートフォンを捨てるように勧めている」と報じている。インドのスマートフォン市場では中国製が支配的であることを、当てこすっているのだ。

インドからのこのような対中感情が今後も持続するなら、インドを最大の海外市場としている中国のByteDanceやUC Browserにとって都合の悪いことになるだろう。数週間前にインドのコンテンツモデレーション努力に対して苦情を表明したTikTokは、週末にまた新たな議論を巻き起こした。人気クリエイターの1人が「TikTokにポストしたビデオが中国企業であるTikTokによって取り去られた」と主張したからだ。

「そのビデオは中国政府を批判している」と彼女。TikTokのスポークスパーソンはTechCrunch宛ての声明で「当プラットホームはユーザーと見解の多様性を歓迎する、レビュープロセスをより厳格化し、そのビデオを復帰した」と述べた。

4月にインドは海外直接投資のポリシーを修正し、世界で2番目に大きいインドのインターネット企業に投資しようとする中国の投資家に対し、従来よりも厳しい審査を行うとした。インド政府は他の近隣諸国からの投資に対しても同様の立場を取っており、「この措置が導入されたのはグローバルなパンデミックで苦しんでいるインド企業に対する『弱みに取り入るような企業買収』を抑止するためだ」と説明している。

インドのモディ首相は海外製品の排除と国産愛用運動の振興に非常に熱心であり「インドを自立的な国にして経済を活性化するためにも13億人のインド国民は国内製品に目を向けるべきである」と主張している。インドの内務大臣でモディ首相の親友の1人であるAmit Shah(アミット・シャー)氏は今週初めに、この国の強みは13億人の市民であり、彼らが「外国製品を買わないと決心すればインド経済は飛躍的に好転する」と述べた。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookがインドの女性のために新しい安全機能をリリース、他者を簡単にロックアウト

Facebookはインド国内で新しい安全機能を導入した。これにより、ユーザーは自分のアカウントを簡単にロックすることができるため、プラットフォーム上で友達ではない人が投稿を見たり、プロフィール画像やカバー写真を拡大したりダウンロードしたりすることができなくなる。

同社によれば、この機能は特に女性を対象にしていて、Facebook体験をより細かく管理できるようにするものだという。「インドの人びと、特に女性たちがオンラインプロフィールの保護について懸念を抱いていることを、私たちは深く認識しています」と声明で述べたのは、Facebookインドの公共施策責任者のAnkhi Das(アンキ・ダス)氏だ。

同社によれば、プロファイルをロックするために、数回のタップを行うだけで、複数の既存のプライバシー設定といくつかの新しい対策が、ユーザーのFacebookプロファイルに適用されるという。ユーザーがアカウントをロックすると、友達(FBフレンド)ではないユーザーは、写真や投稿(過去のものも新しいものも)を表示できなくなり、プロフィール写真やカバー写真のズームイン、共有、ダウンロードができなくなる。

「私たちは若い女性たちから、オンラインで共有することをためらっていること、誰かが自分の情報を悪用しているという考えに怯えていることをよく耳にします。Facebookがそうした心配について学び、彼女たちが望む体験を与えることができる製品を構築する努力をしているのを知って、私はとても幸せです。この新しい安全機能は、女性、特に若い女性に対して、自分を自由に表現する機会を与えてくれるでしょう」と声明で語るのは、ニューデリーに拠点を置く女性擁護グループ、Centre for Social Research(社会調査センター)のRanjana(ランジャナ・クマリ)氏だ。

ユーザーは、自分の名前の下にある“…”をタップし、その中にあるLock Profile ボタンと、直後に表示される確認ボタンをタップすることで、アカウントをロックすることができる。

木曜日の発表に先立ち、この機能は既にバングラデシュのユーザーが利用できるようになっていた、とFacebookの広報担当者はTechCrunchに語った。

この新機能は、Facebookが2017年にインドで行った、なりすましとの闘いに対する取り組みの延長線上にあるようだ。そのとき導入されたProfile Picture Guard(プロフィールピクチャーガード)と呼ばれる機能は、ユーザーが自分のプロフィール写真を、友達や友達リストに含まれていない人が拡大したり、共有したりできないようにするものだった

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(翻訳:sako)

Facebookも巨額出資するJio、新型コロナ症状チェッカーの結果を漏洩

新型コロナウイルスの流行が始まって以来、政府や企業はユーザーがCOVID-19の症状を特定するのに役立つアプリやウェブサイトの開発に取り組んでいる。

Reliance(リライアンス)の子会社でインド最大のセルネットワークであるJio(ジオ)は、コロナウイルスのさらなる拡散を防ぐためにインド政府が実行した全国的なロックダウンの直前に、コロナウイルス自己診断プログラムを3月下旬にローンチした。この症状チェッカーを使用すると、スマートフォンやJioのウェブサイトから症状をチェックして詩自分が新型コロナに感染していないかどうかを確認できる。

しかし、セキュリティの欠落により症状チェッカーのコアデータベースの1つがパスワードなしでインターネット上に公開された事実をTechCrunchが発見した。

Jioの新型コロナ症状チェッカー

Jioによる新型コロナウイルス感染症の症状チェッカー。データベースの1つがユーザーの回答を公開してしまった

セキュリティ研究者のAnurag Sen(アヌラグ・セン)氏は、データベースが最初に露出された直後の5月1日にそのデータベースを発見し、Jioに通知するようTechCrunchに報告した。JioはTechCrunchが連絡をとった後すぐにシステムをオフラインにしたが、他の誰かがデータベースにアクセスしたか否かは不明である。

「弊社は直ちに行動を起こしました」とJioの広報担当者Tushar Pania(トゥーシャー・パニア)氏は話す。「ロギングサーバーは、ウェブサイトのパフォーマンスを監視するためのものであり、COVID-19の症状があるかどうかを確認するためにセルフチェックを行う人々の限定的な目的のためのものでした」。

データベースには、4月17日からデータベースがオフラインになるまでの間の数百万件のログと記録が含まれている。サーバーにはウェブサイトのエラーやその他のシステムメッセージの実行ログが含まれていたが、ユーザーが生成した膨大な数のセルフテストデータも取り込まれていた。各セルフテストはデータベースに記録され、「自分」か親戚か、年齢、性別など、テストを受けたユーザーの記録が含まれていた。

このデータには、ユーザーのブラウザーバージョンやOSに関する断片的情報である個人のユーザーエージェントも含まれていた。ユーザーエージェントは通常ウェブサイトを正常にロードするために使用されるが、ユーザーのオンラインアクティビティの追跡にも使用できるものだ。

ユーザーは登録してプロファイルを作成することにより症状を長期にわたって更新できる仕組みだが、データベースには登録されたこれらのユーザーの個人の記録も含まれている。これらの記録には、ユーザーが抱えている症状、接触した人、健康状態など、症状チェッカーによって尋ねられた各質問に対する回答が含まれている。

一部の記録にはユーザーの正確な位置情報も含まれるが、この情報が記録されるのはユーザーが症状チェッカーにブラウザーまたはスマートフォンの位置データへのアクセスを許可した場合に限定される。

以下に編集を加えたものを掲載する。

露出したデータベースの編集版

露出したデータベースの編集版

我々が入手したデータのサンプル1つから、インド全国の何千人ものユーザーの正確な地理位置情報が見つかった。TechCrunchはデータベースにある緯度と経度の記録を使用して、人々の家を識別することさえできた。

ほとんどの位置データはムンバイやプネーなどインドの主要都市に集中しているものの、TechCrunchはイギリスと北米のユーザーも見つけている。

インドの電気通信大手にとって今回の露出はこの上なく危機的なタイミングだ。先日FacebookはJioのプラットフォームの10%近くの持ち分を取得するために57億ドル(約6100億円)を出資しており、Reliance子会社である同社は約660億ドル(約7兆円)と評価されているのだ。

Jioは我々からのその後の補足質問には答えず、また、症状追跡システムを使用したユーザーにセキュリティの欠落について告知するか否かについても回答することはなかった。

関連記事:Facebookがインド最大の通信事業者Jioに約6100億円を出資

Category:セキュリティ

Tags:Jio 新型コロナウイルス Facebook インド

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(翻訳:Dragonfly)
“新型コロナウイルス

Facebookも巨額出資するJio、新型コロナ症状チェッカーの結果を漏洩

新型コロナウイルスの流行が始まって以来、政府や企業はユーザーがCOVID-19の症状を特定するのに役立つアプリやウェブサイトの開発に取り組んでいる。

Reliance(リライアンス)の子会社でインド最大のセルネットワークであるJio(ジオ)は、コロナウイルスのさらなる拡散を防ぐためにインド政府が実行した全国的なロックダウンの直前に、コロナウイルス自己診断プログラムを3月下旬にローンチした。この症状チェッカーを使用すると、スマートフォンやJioのウェブサイトから症状をチェックして詩自分が新型コロナに感染していないかどうかを確認できる。

しかし、セキュリティの欠落により症状チェッカーのコアデータベースの1つがパスワードなしでインターネット上に公開された事実をTechCrunchが発見した。

Jioの新型コロナ症状チェッカー

Jioによる新型コロナウイルス感染症の症状チェッカー。データベースの1つがユーザーの回答を公開してしまった

セキュリティ研究者のAnurag Sen(アヌラグ・セン)氏は、データベースが最初に露出された直後の5月1日にそのデータベースを発見し、Jioに通知するようTechCrunchに報告した。JioはTechCrunchが連絡をとった後すぐにシステムをオフラインにしたが、他の誰かがデータベースにアクセスしたか否かは不明である。

「弊社は直ちに行動を起こしました」とJioの広報担当者Tushar Pania(トゥーシャー・パニア)氏は話す。「ロギングサーバーは、ウェブサイトのパフォーマンスを監視するためのものであり、COVID-19の症状があるかどうかを確認するためにセルフチェックを行う人々の限定的な目的のためのものでした」。

データベースには、4月17日からデータベースがオフラインになるまでの間の数百万件のログと記録が含まれている。サーバーにはウェブサイトのエラーやその他のシステムメッセージの実行ログが含まれていたが、ユーザーが生成した膨大な数のセルフテストデータも取り込まれていた。各セルフテストはデータベースに記録され、「自分」か親戚か、年齢、性別など、テストを受けたユーザーの記録が含まれていた。

このデータには、ユーザーのブラウザーバージョンやOSに関する断片的情報である個人のユーザーエージェントも含まれていた。ユーザーエージェントは通常ウェブサイトを正常にロードするために使用されるが、ユーザーのオンラインアクティビティの追跡にも使用できるものだ。

ユーザーは登録してプロファイルを作成することにより症状を長期にわたって更新できる仕組みだが、データベースには登録されたこれらのユーザーの個人の記録も含まれている。これらの記録には、ユーザーが抱えている症状、接触した人、健康状態など、症状チェッカーによって尋ねられた各質問に対する回答が含まれている。

一部の記録にはユーザーの正確な位置情報も含まれるが、この情報が記録されるのはユーザーが症状チェッカーにブラウザーまたはスマートフォンの位置データへのアクセスを許可した場合に限定される。

以下に編集を加えたものを掲載する。

露出したデータベースの編集版

露出したデータベースの編集版

我々が入手したデータのサンプル1つから、インド全国の何千人ものユーザーの正確な地理位置情報が見つかった。TechCrunchはデータベースにある緯度と経度の記録を使用して、人々の家を識別することさえできた。

ほとんどの位置データはムンバイやプネーなどインドの主要都市に集中しているものの、TechCrunchはイギリスと北米のユーザーも見つけている。

インドの電気通信大手にとって今回の露出はこの上なく危機的なタイミングだ。先日FacebookはJioのプラットフォームの10%近くの持ち分を取得するために57億ドル(約6100億円)を出資しており、Reliance子会社である同社は約660億ドル(約7兆円)と評価されているのだ。

Jioは我々からのその後の補足質問には答えず、また、症状追跡システムを使用したユーザーにセキュリティの欠落について告知するか否かについても回答することはなかった。

関連記事:Facebookがインド最大の通信事業者Jioに約6100億円を出資

Category:セキュリティ

Tags:Jio 新型コロナウイルス Facebook インド

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(翻訳:Dragonfly)
“新型コロナウイルス

シャオミやサムスンが新型コロナで停止していたインドでのスマホ生産を再開へ

Xiaomi(シャオミ)、Vivo(ビボ)、Samsung(サムスン)、Oppo(オッポ)、その他のスマホメーカーは、インド州政府からデバイス製造・組み立ての部分的再開が許可された。世界第2位のスマホ市場であるインドのデバイス製造プラントは2020年3月下旬から停止していて、国のロックダウンはまだ続いている。

スマホメーカーは、製造オペレーションを再開させる許可を得たと話したが、労働者数を制限しての操業など、いくつかの規制はまだ残っている(連邦政府は5月初めにスマホ生産再開を許可したが、規制を緩和できるだけ地域の状況が安全かどうかは最終的に州政府が判断する)。

連邦政府は5月初めに、スマホ生産再開を許可する数日前にロックダウンを2週間延長した。しかし、3月下旬に全土に厳重な外出禁止令を出してから停止していた経済活動を復活させるため、一部の規制を緩和している。

今週初め、連邦政府はeコマース企業や配車サービス会社に、グリーンゾーンとオレンジゾーンでの営業再開を許可した。これらのゾーンは新型コロナウイルス(COVID-19)感染が深刻でない地域で、全733地方のうち82%がグリーン、そしてオレンジとなっている。

Snapdragon 865で作動するスマホ Mi 10を含むさまざまなデバイスをインドで展開しているXiaomiは、需要に応えるための在庫は最大3週間分しかない、と5月初めに述べていた。

Xiaomiの副社長Manu Kumar Jain(マヌ・クマール・ジャイン)氏は5月8日、スマホメーカーとしてインドで2年にわたってトップシェアを占めている同社が、アーンドラ・プラデーシュ州にある契約企業Foxconn(フォクスコン)の施設で操業を再開すると述べた。

この件に詳しい情報筋は、Apple(アップル)の委託企業Wistron(ウィストロン)はバンガロールで操業を一部再開したとTechCrunchに語った。

インドで第2位のスマホメーカーであるVivoは、生産能力の30%で再開すると話した。同社の広報担当は「従業員3000人程度で生産を再開するだろう」と述べた。

Vivoと同様、Oppoもグレーター・ノイダにある施設で生産を再開し、従業員3000人がローテーションで作業すると話した。2018年に世界最大のスマホ工場をインドに開設したSamsungもその施設での操業を再開することを明らかにした。

「5月7日に工場は一部再開し、今後段階的に稼働率を上げていく。従業員の安全と健康が最優先事項であり、政府のガイドラインに沿った工場内の衛生とソーシャルディスタンシング(物理的距離の維持)を確認した」とSamsungの広報担当は話した。

新型コロナはいくつかの事業にかなり深刻な影響を及ぼしている。調査会社Counterpointによると、4月のインドでのスマホ販売はゼロだった。Counterpointはまた、インドのスマホ出荷台数は今年10%減を予想している。参考までに2019年のスマホ出荷は8.9%増、2018年は10%増だった。

上位スマホメーカーはすべて、インド政府の税優遇を受けるために自社プラントを設けるか、パートナー企業に委託してインドでスマホを生産している。

画像クレジット: Karen Dias / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インドの第1四半期スマホ出荷は4%増、年間見通しは10%減の予想

グローバルのスマホ出荷台数が停滞あるいは落ち込むなかで、インドは四半期ごとに成長し、この10年間で最も成長著しいスマホマーケットの1つとなっている。しかし世界第2位となったインドのスマホ市場でも、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が出始めている。

調査会社Counterpointが米国時間4月24日に明らかにしたところによると、インドのスマホマーケットは3月31日までの四半期で前年同期比4%増と控えめな成長となった。例年、スマホメーカー数社が新製品を投入し、アグレッシブな販促計画を発表する1月と2月にスマホの出荷は増える。

しかしCounterpointによると、3月の出荷は前年比で19%減となった。同社はインドのスマホ出荷台数は2020年には10%減となるとみている。2019年は前年比8.9%増、2018年は同10%増だった。

Counterpointはまた、2020年3月に発令されたインドのロックダウンが国内のスマホ産業をかなり低迷させていて、元に戻るには7、8カ月かかるかもしれないと指摘している。現在のところ、インド国内で販売が許されているのはグローサリー製品に限られている。

Counterpoint Researchでシニアリサーチアナリストを務めるPrachir Sing(プラチア・シン)氏は、インドにおいて新型コロナイスルによる影響は3月中旬まで比較的軽微だったと指摘した。「しかし、人々が今後の不透明性や完全なロックダウンを予想して貯蓄に走るようになってから経済活動が落ち込んだ。そして、ほぼすべてのスマホ製造が一時停止となった。その上、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の維持)の影響で、例えロックダウンが解除されても工場の生産能力は低いだろう」と述べている。

2020年第1四半期はインド国内で3100万台のスマホが出荷された。マーケットシェアをみると、中国スマホメーカーのXiaomi(シャオミ)がトップで30%を占めた。同社にとってもインド市場は過去2年以上にわたって最大のマーケットだ。

Vivo(ビボ)のシェアは2019年同期の12%から17%に増えた。かつてインドマーケットを席巻していたSamsung(サムスン)はマーケットシェア16%で今や第3位だ。Apple(アップル)はこのところの勢いを維持し、前年同期比78%増と力強い成長をみせた。価格が600ドル(約6万4000円)以上の高級スマホ部門の55%を占めている。

インド国内にある100カ所以上のプラントが1日に70〜80万台のスマホを組み立て・製造し、そうしたスマホの一部は海外に輸出される。しかしロックダウンにより製造は中止されており、2020年に業界は30〜40億ドル(約3200〜4300億円)超の損失を被る可能性がある。

「我々はよくインドと中国を見比べる。しかし中国の工場はあらゆるレベルでオートメーション化されているが、インドはそうではない」とCounterpointのシニアアナリストTarun Pathak(タラン・パサク)氏は今週初めに述べた。

スマホの売上が2月に38%減となった中国では既に回復がみられる。Xiaomiは2020年3月に、同社のスマホ工場が既に稼働率80%になっていることを明らかにした。Counterpointによると、2月の世界のスマホ出荷台数は14%減だった。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インドの大手配車プラットフォームOlaが新型コロナ対策で政府に協力

インドが国民を新型コロナウイルス(COVID-19)から守るために緊急体制をとる中、配車サービス大手のOlaが支援に乗り出した。同社テクノロジープラットフォーム機能のうち、リアルタイムの追跡とナビゲーション、そして群衆に対応する機能を連邦政府と州政府に無償で公開する。

すでにパンジャブ州政府と連携しているOlaは、同社のプラットフォームを政府や公共サービス機関のリアルタイムの戦略に役立つよう調整できるとしている。

同社のプラットフォームでは多くの車両と人を追跡でき、人がマスクを着用しているかどうかをセルフィーの写真で確認する機能もある。後者のセルフィーの機能は、Olaでは運転席に座っている人が登録済みのドライバーパートナーかどうかを認証するために使っている。同社は「最高レベルのデータのプライバシーとセキュリティを保証します」と強調している。

Olaによれば、パンジャブ州政府は同社のテクノロジーを使って野菜市場で170万人以上の農業従事者の生産物と車両の動きを追跡管理し、対人距離の基準が確実に守られるようにしているという。

このような機能は州政府にとって有用だろう。地元メディアの報道によると、多くの地域でここ数週間に、野菜市場内や食料品店の外に大勢の人々が集まってしまうことがあったからだ。連邦政府は2020年3月に、全土に対して人の移動を制限する命令を出している。

パンジャブ州では、Olaのプラットフォームは州政府がデジタルの移動許可証を発行するのにも使われている。インド各州の政府は、医療従事者や緊急の業務のために家から出なくてはならない人に対して許可証を発行している。

政府機関のPunjab Mandi Boardの秘書官でガバナンス改革特別秘書官のRavi Bhagat(ラビ・バガット)氏は声明で「現在の危機的状況において、Ola CONNECTSは市民全体の利益のために政府関係者が迅速に展開できる強力なプラットフォームだ」と述べた。

Ola Connectというのが、危機的状況を支援するOlaの最新の取り組みの名前だ。ここ数週間で、同社はドライバーパートナーのリース契約を放棄した。また、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたドライバーパートナーとその家族に対し、数百ドル(数万円)の支援をすることを明らかにしている。

Olaの共同創業者のPranay Jivrajka(プラネイ・ジブラージカ)氏は声明で「AI、追跡技術、配置とフローの管理にわたるOlaのイノベーションはすべて、CONNECTSプラットフォームに活かされる。我々は国のためにできる限りの方法で尽力する。先頭に立って新型コロナウイルスと戦っている多くの医師、医療従事者、最前線のスタッフのために、このプラットフォームを無償で提供する」と述べた。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドが中国からの投資に政府承認を義務付け、新型コロナ渦中での敵対的買収を予防

過去2年間に中国の投資家がインドのスタートアップに注ぎ込んだ金額は約60億ドル(約6500億円)に上ったが、今後中国から世界2番目のインターネット市場であるインドへの投資は、より厳しい審査の対象となる。

インド政府は4月18日に対外直接投資政策を変更し、国境を接する国からの将来のすべての取引に政府の承認を必要とする。以前は、パキスタンとバングラデシュのみが対象だった。

インド産業・国内通商振興局は、新型コロナウイルス危機による課題に取り組むインド企業に対する「この機に乗じた買収を防ぐ」ために措置を講じるとコメントした。

「政府は現在の新型コロナのパンデミックに乗じたインド企業の乗っ取りや買収を防ぐため、現在の外国直接投資政策を見直した」と同局は通達で述べている。新規制は「直接・間接保有を問わず、インド企業の現在または将来の外国直接投資の所有権移転」にも適用されると付け加えた。

規制変更前は、インド政府はほとんどの国と同様、現在禁止されている原子力、防衛、宇宙産業の取引にのみ介入していた。国によっては、当局が介入する典型的な取引として、特定産業の自国のプレーヤーに競争上の不利益をもたらすような海外からの大型投資が対象になる。

ネパール、アフガニスタン、ブータン、スリランカはインド企業への投資にほとんど関心を示さないため、投資家やアナリストらは中国狙いの動きだと見ている。

「中国企業が安く、経営不振に陥っている会社を買収しているという懸念が世界中で高まっている」。バンガロールの弁護士であるNikhil Narendran(ニキル・ナレンドラン)氏はTechCrunchに語った。

インドは、ここ数週間で外国直接投資規制を強化したり似たような対策を検討している豪州やドイツなどの国々に続こうとしているようだと同氏は述べた。

中国の巨大企業であるAlibaba(アリババ)とTencent(テンセント)は近年、インドのスタートアップにとって最大の投資家として存在感を高めている。中国ではさらに12を超える企業やベンチャーファンドが、インドでのスカウト活動を強化している。

金融サービス会社のPaytm(ペイティーエム)、eコマースの大手Flipkart(フリップカート)、ソーシャルメディアオペレーターのShareChat(シェアチャット)、フードデリバリー会社のZomato(ゾモト)など、インドの大型スタートアップのいくつかは中国のベンチャーキャピタルの投資を受けている。

インド最大の銀行であり、住宅ローンの貸し手でもあるHDFCは今月初め、中国銀行が同行の保有持分を1%以上引き上げたと述べた。インド国民会議の元党首であるRahul Gandhi(ラフル・ガンジー)は今月初め、与党政府に「国家危機のこの時期に外国企業がインド企業を支配すること」を防ぐ措置を講じるよう要請した。

政策の変更は、インドの主要な投資家らがスタートアップに対し厳しい時期を迎える準備をするよう警告したのと同じタイミングで行われた。投資家らは今月初めスタートアップの創業者達に、今後数カ月間はこれまで以上に資金調達が難しくなる可能性が高いと話した。

調査会社Tracxnの最近のデータは、インドのスタートアップがすでにプレッシャーに直面し始めていることを示している。

Tracxnによれば、インドのスタートアップは3月に79件で4億9600万ドル(約540億円)を調達したが、2月は104件で28億6000万ドル(約3080億円)、1月は93件で12億4000万ドル(約1330億円)だった。また、昨年3月は153件の取引で21億ドル(約2270億円)を調達していた。

インドは新型コロナの拡大を抑えるために先月、全土にロックダウンを命じた。だが他国と同様に、この施策にはコストがかかる。何百万もの企業やスタートアップが深刻な混乱に直面している。

先月末、100を超える著名なスタートアップ、VCファンド、業界団体が政府に対し、混乱に対処するため救済基金を設けるよう求めた

画像クレジット:Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

インドではロックダウンの影響でTinderやNetflixなど人気アプリが苦境に

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により世界中で多くの人が在宅を余儀なくされている中、米国などではコンシューマ向け、エンタープライズ向けの一部のアプリで新規ダウンロード数が急増している。しかし世界最大のオープンマーケットであるインドでは、状況が少し異なる。

調査会社のApptopiaから得た数値を基にTechCrunchが分析したところ、TikTok、WhatsApp、Truecaller、Helo、Vmate、Facebook、Google Pay、Paytmといった人気アプリの1日あたりのダウンロード数は、過去3カ月間と変わらないか減少している。

インド国内のほとんどの企業に在宅勤務が要請され、インド政府が当初は3月25日からの21日間、その後延長されて5月3日まで全土封鎖の措置をとっている現状で、アプリ内購入を提供している人気アプリの一部ではこの4週間で売上が急落した。

インド国内で、TikTokは1月の1カ月間で2160万回ダウンロードされたが、4月12日までの31日間では2020万回と減少している。同じ期間で見てみると、WhatsAppは1700万回から1200万回に、ストリーミングプラットフォームのHotstarは980万回から300万回に、 ByteDanceのHeloは1050万回から750万回に減少している。

Apptopiaによると、TikTokは2月のほとんどの日で70万回以上ダウンロードされ、89万1000回を記録する日もあった。それがこの1週間では、1日あたり45万回を下回っている。WhatsAppの1日あたりのダウンロードは、65万回から25万回を下回るところまで落ち込んだ。

新型コロナウイルスの検査で陽性と診断された人の近くにいたことを知らせるアプリで、インド政府が公開したAarogya Setuは、現在もインド国内チャートのトップで、1日に78万回以上ダウンロードされている。

インドのApp StoreとGoogle Play Storeで、マッチングアプリのTinderのアプリ内売上は、1月は54万7103ドル(約5900万円)だったが、3月13日から4月12日までの期間では31万9102ドル(約3440万円)に減少した。Netflixのアプリ内売上は、同じ期間の比較で28万5562ドル(約3080万円)から19万2154ドル(約2070万円)に減少した。LinkedInとYouTubeも同様の減少となっている。

アプリ内売上の増加で注目されるのがHotstarだ。17万3253ドル(約1870万円)から32万9675ドル(約3560万円)に増えている。ディズニーが4月はじめに、Hotstar上でDisney+のサービスを開始していた。

マーケティング調査会社のSimilarWebによると、食料品配送アプリで先週6000万ドル(約64億6000万円)を調達したBigBasketと、同じく食料品配送アプリのGrofersは大幅に成長している。Amazon、Flipkart、Snapdealは、ここ数週間で急ぎでない注文を停止したため、インドではAndroidのダウンロード数とアクティブユーザー数が減っている。

人気ビデオチャットアプリのZoomは、2月前半の1日あたりダウンロード数は9000回程度だったが、ここ数週間では50万回以上と急増した。アジア市場で人気のゲーム、Ludo Kingは、2月前半は15万回程度だったのに対し、ここ数日では45万回と大幅に増えた。

インドはスマートフォンユーザーが5億人近くいるモバイルファーストの国だが、人々が家にいるようになってデスクトップの使用も増加している。

SimilarWebの担当者はTechCrunchに対し、「インドではデスクトップではなくモバイルでウェブをブラウズするアカウントが常に圧倒的多数を占めている。しかし2月から3月にかけてデスクトップの使用が増え、トップ100のサイトの合計訪問数に対してデスクトップのシェアは1.6%増えた。1.6%というと小さいように聞こえるが、313億2000万の訪問数の1.6%であり、重要な意味がある」と述べた。

トップ画像:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

加熱するインドのモバイル決済市場で奮闘するスタートアップ

インドで最も収益のあるスタートアップ企業はPaytm(ペイティーエム)である。その創業者でありCEOのVijay Shekhar Sharma(ヴィジェイ・シェカール・シャルマ)氏は、最近の記者会見で以下の現実的な質問を投げかけた。

「デジタルモバイル決済対応の商業モデルについてどう考えるか。どのように収益を上げるか?」シャルマ氏が問いかけた相手は、国内でデジタル決済の革命をもたらしたUnified Payments Interface(UPI、統合決済インタフェース)の主要設計者の一人であるNandan Nilekani(ナンダン・ニレカニ)氏だ。

これは、多数の地元のスタートアップ企業および国際的な大手企業が答えを求める何十億ドルもの価値のある質問である。そのうち多くの企業は積極的に、小売業者へのサービス提供、融資商品やその他の金融サービス構築に焦点を移している。

2016年後半、現金に支配されていたこの国でニューデリー当局が多くの紙幣を無効にした。この突然の動きは、何億もの人々を数カ月にわたりATMに向かわせた。

PaytmMobiKwik(モビクイック)といった少数のスタートアップ企業にとって、この現金危機は、たった数ヶ月間で何千万ものユーザーを獲得できることを意味していた。

PaytmやMobiKwikの初期のシステムとは異なり、インドは銀行間での決済インフラを整備するために銀行と協力し、利用者と銀行間の仲介者としての「モバイルウォレット」の役割を果たすのではなく、ユーザーの銀行口座間で直接取引が行えるように働いた。

シリコンバレーの各社はすぐこれに注目した。何年にもわたって、Googleやその手の企業は、何億ものユーザーを擁する多くのアジアやアフリカ市場での決済行動を変えるように試行を重ねてきた。

例えば、パキスタンでは、ほとんどの人が電話通話やインターネットにアクセスするためのクレジット額を増やしたいとき、いまだに近所の店に駆けつける

中国は外資系企業に対して門戸を閉ざしているが、インドでは多くの米国大手企業が数十億ドルを投入して、さらなる数十億のユーザーを探している。これはほぼ自明なニーズだった。

「中国とは異なり、私達は国内外の中小企業と大手企業に均等な機会を提供してきた」とUPIの背後にある決済機関であるNPCIのCEOであるDilip Asbe(ディリップ・アスベ)氏は語った。

それゆえ、インドでの大いなる実験への参加レースが始まったのだ。投資家もこれに追従している。CBInsightsという調査会社によると、インドのフィンテックスタートアップ企業は昨年、27億4000万ドル(約2959億円)を調達した。ライバルの中国での調達額は36億6000万ドル(約3950億円)だった。

また、5億人以上のインターネットユーザーを擁する市場における賭けは、すでに成功し始めた。

非営利団体でボランティアとして決済インフラの開発支援を行ったことのあるNikhil Kumar(ニキール・クマール)氏は、あるインタビューで、「UPIをプラットホームとして見た場合、この種の成長はかつて見たことがない」と語った。

創設からちょうど3年後となる10月、UPIは1億人のユーザーを集めて、10億件を超える取引を処理した。それは、先月に国の最大の銀行が破綻したにもかかわらず、3月において12億5000万件の取引に達した以来、その成長が持続している。

「それはすべて、それが解決しつつある問題に行き着く。欧米市場を見ると、デジタル決済は主に個人が加盟店に送金することに焦点を合わせている。UPIはそれを実現するだけでなく、P2P決済や、幅広いアプリ間での決済も可能にしている。相互運用が可能なのだ」と、クマール氏は語った。彼は現在、中小企業が容易にデジタル決済を受け入れやすくするためのAPIを開発する、Setu(セツ)と呼ばれるスタートアップ企業で働いている。

2017年9月18日、GoogleのNext Billion Users担当副社長のCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏はGoogleのデジタル決済用モバイルアプリ「Tez」をニューデリーでリリース発表(写真:Getty Images via AFP PHOTO / SAJJAD HUSSAIN)

Google Payアプリは、6700万人を上回る月間アクティブユーザーを擁している。同社はUPIパイプラインが大変魅力的であることに気付き、米国でも同様のインフラを構築するよう推奨している。

8月、連邦準備銀行(FRB)は国内におけるより高速の支払に対応する、新たな24時間体制の銀行間即時グロス決済サービスの開発を提案した。11月、Googleは米国FRBにUPIのような即時決済プラットホームを導入するよう推奨した

「たった3年間で、UPIを通して流れる取引の年間ランレートは、約190億ドル(約2兆530億円)と見積もられた8億件の月間取引を含めて、インドの国内総生産の約19%になった」と、GoogleのGovernment Affairs and Public Policy担当副社長のMark Isakowitz(マーク・イサコヴィッツ)氏は書いた。

Paytm自身は、毎年Paytmを使って取引をする1億5000万人を超えるユーザーを集めた。当プラットホームは全体的に3億のモバイルウォレットアカウントおよび5500万の銀行アカウントを擁しているとシャルマは語った。

ビジネスモデルの追求

しかし、1億人を超えるユーザーが設置しているにもかかわらず、決済会社は、利益を上げるどころか損失を減らすために奮闘している。

昨年末のベンガルールのイベントにおいて、Google PayおよびNext Billion User Initiativesの責任者およびビジネスチーフであるSajith Sivanandan(サジット・シヴァナンダン)氏は、現在のインドでの国内規則では、Google Payはクリアなビジネスモデルなしで運営することを余儀なくされていると語った。

モバイル決済会社は、国内で版図を拡張する戦略として、ユーザーからはいかなる料金も取り立てなかった。政府からの最近の指令は、ユーザーと業者の間でUPI取引を利用することを促進するための決済会社への優待を終らせた。

Googleのシヴァナンダンは、すべての利害関係者に対して運営によるインセンティブを保証するために、「決済業者が利益を上げる方法を見つけること」を地元の決済機関に強く要請した。

今までに30億ドル以上を集めPaytmは、2019年3月末の会計年度に5億4900万ドル(約590億)の損失を報告した。

ソフトバンクとAlibaba(アリババ)によって支援された同社は近年、Paytm Mall、eコマースベンチャー、ソーシャルコマース、金融サービスツールであるPaytm Money、および映画・チケット発売のカテゴリーを含むいくつかの新しいビジネスへと拡張した。

今年、Paytmは加盟店へのサービスを拡充し、電卓とバッテリーパック装備のQRチェックアウト・コード表示スタンド、音声確認機能で取引を行えるポータブルスピーカー、およびスキャナ・プリンタ内蔵のPOSマシンなど新しいガジェットを発表した。

TechCrunchとのインタビューにおいて、シャルマはこれらの機器はすでに加盟店から相当な需要を獲得していると語った。同社は、これらのガジェットをサブスクリプションサービスの一環として提供しており、安定した収益の確保に貢献している。

賃貸、保険、および投資サービスを提供する同社のMoneyツールは300万人を超えるユーザーを集めた。この件に詳しい、今週会社を退職したPaytm Moneyのチーフ、Pravin Jadhav(プラヴィン・ジャダヴ)氏は語った。Paytmのスポークスマンはコメントを控えている(インドのニュース元であるEntrackrはその後の展開を初めて報告している)。

インドの決済市場の別の主要なプレーヤーであるFlipkart(フリップカート)のモバイル決済サービスPhonePe(フォンペ)は、現在1億7500万人を超えるユーザーと800万人を超える業者にサービスを提供している。同社の共同設立者およびCTOであるRahul Chari(ラウール・チャリ)氏は、「このアプリは、他のビジネスがユーザーにリーチするプラットフォームとして役立つ」とTechCrunchとのインタビューで説明した。そのアプリの不動産対象部分は削減されていないと彼は付け加えた。

しかし、スタートアップ企業が新しいカテゴリーへ拡大することは、現在、いっそうより多くのライバルに直面し、しっかりした足場を得るにはより多くの金銭が必要とされることを意味している。例えば、ソーシャルコマース分野において、PaytmはNaspers(ナスパーズ)の支援するMeesho(ミーショー)数社の新規参入企業が競合しており、強力な支援を受けているOkCredit(オーケークレディット)とKhataBook(カタブック)が現在の簿記市場をリードしている。

2カ月前に7500万ドル(約80億円)を集めたBharatPe(バラットペ)は、家族経営の店舗をデジタル化し、運営資金を提供している。そして、すでにユニコーン企業となったPineLabs(パインラブス)、そしてMSwipe(エムスワイプ)はそれぞれのPOSマシンで市場を満たした。

2017年2月4日土曜日、インドのベンガルールの道端にある屋台で、その店主がM-Swipe Technologies Pvt提供のMswipe端末を持って写真に納まっている(撮影:Dhiraj Singh/Bloomberg via Getty Images)

「彼らには選択肢がない。支払いは、現金化できるe-コマースや賃貸などのビジネスへのゲートウェイだ。Paytmの場合、同社の初期の賭けはPaytm Mallだった」とConvergence Catalystという調査会社の創立者かつチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コーラ)氏は語った。

しかし、Paytm MallはAmazon IndiaおよびWalmartのFlipkartという巨人との競争で奮闘した。昨年、Mallはオフラインからオンラインおよびオンラインからオフラインというモデルに転向し、顧客による発注は地元のストアからサービスを受けるようにした。また、会社は昨年eBayから約1億6000万ドル(約170億円)を獲得した。

以前に、Paytm Mallで働いていた上層管理者は、「そのゴールポストが長年の間に常に移動しているので、ベンチャーが成長すべく奮闘している」と語った。最近は車の所有者が高速道路料金を素早く決済できるFASTag(ファスタグ)というシステム販売に力を入れ始めている。事情に詳しい関係者は、企業の少なくともあと2人の上層部が離れようとしていると語った。

コーラは、現在100を超える企業が同じ観衆を追っている、インドのモバイル決済市場の力関係は、10年以上前からの国内通信事業市場を彷彿させると語った。

「テレコム市場に4〜5人のプレーヤーしかいなかった時は、高収益になるという彼らの期待はずっと高いものだった。彼らはものすごい勢いでスケーリングしていた。それらは世界で最低のARPU(約2ドル、約200円)とともに成長し、それでも高収益だった」

「しかし、参入者が一夜にして十数まで増加し、新しいプレーヤーがより手頃なプランを加入者に提供し始めた瞬間、収益性が不確定になり始めたのだ」と彼は語った。

それをしめくくるものとして、インドで最も富裕な人物によって経営されたテレコムオペレータであるReliance Jioが2016年に参入、世界で最安価の関税計画が実施された国内で、再度市場をひっくり返し、何人かのプレーヤーに市場を去るか、破産を宣言するか、資本を強化することを余儀なくさせた。

インドのモバイル決済市場は現在同様な経過をたどっているとコーラ氏は語った。

クレディ・スイスの試算では2023年までに1兆ドル(約108兆円)に成長するとされるインドのモバイル決済市場で、そのシェアを争う十分な数のプレーヤーがいなかったならば、インド国内で4億人を超えるユーザーを擁する最も人気のあるアプリWhatsAppが、数カ月以内にインドでモバイル決済サービスを展開することになる。

関連記事:WhatsAppの世界最大のマーケットであるインドのユーザー数は4億人

前述の記者会見では、ニレカニ氏はシャルマ氏およびその他プレーヤーに賃貸のような財務サービスに焦点を合わせるよう助言している。

不幸なことに、ニューデリーで先月から3週間のロックダウンが命じられることとなった新型コロナウイルスの感染拡大は、何百万人もの人々がこうしたサービスを利用する能力に影響を与えることになりそうである。

「インドは、1億を超えるマイクロファイナンス口座があり、街角で野菜の行商をしたり、モールで売られているサリーに刺繍をしたりするような、ギグエコノミーの労働者が毎週現金でサービスを提供している。労働者の4人に3人が、他人のため、または家族経営の会社や農場で気軽に働くことで生計を立てている。「長期のシャットダウンは、2兆1000億ルピー(285億ドル、約3兆750億円)の負債を返済する彼らの能力を損い、世界最大のマイクロファイナンス産業を危険な状態に追いやるだろう」とBloombergコラムニストであるAndy Mukherjee(アンディ・ムケルジー)氏は記している

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(翻訳: Dragonfly)

Uberが新型コロナでロックダウン中のインドで小売と提携し生活必需品を配達

Uber(ウーバー)はインドの一部で、小売企業の食料品や生活必需品の配達をサポートしようと、サービスを再開させる。同国では2週間前に、政府が国民13億人に対し3週間のロックダウンを命じた。

Uberは米国時間4月6日にデリー、ムンバイ、バンガロールでの生活必需品配達でFlipkart(フリップカート)と提携したと発表した。この数日前にはオンライングローサリーBigBasket(ビッグバスケット)、カルカッタに拠点を置くチェーンSpencer’s Retail(スペンサーズリテール)とも同様の提携を結んでいる。

Uber IndiaとSouth Asiaを統括する業務運営部長Prabhjeet Singh(プラブヒート・シン)氏は、提携によりUberは小売企業の配達をサポートできると述べた。Uberは他の都市でも顧客にサービスを提供すべく取り組んでいて、ロジスティックで助けが必要な企業との協業を受け入れているとのことだ。

「こうした提携は経済を動かし、また政府が新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を抑制するために出したガイドラインに沿って人々が外出を控えることを可能にする。そしてドライバーの収入機会を生み出している」とシン氏は付け加えた。

Uberは生活必需品配達ではコミッションは取らない、とした。通常ドライバーは売上の25%をUberに納めているが、今回の提携による配達ではドライバーは売上すべてを自分のものにできる。

先週Uberはスペイン、フランス、ブラジルの企業や店舗とグローサリー配達で提携した、と発表した。米国や英国では同社はレストランに課していた手数料を一時的に廃止している。ただし、一部のレストランは手数料なしを利用できないと苦情を言っている(Uberはインドで展開していたフードデリバリー事業を2020年初めにZomatoに売却した)。

BigBasketは先週、ベンガル、ハイデラバード、チャンディーガル、ノイダの顧客にサービスを提供するのにUberを使うと発表した。

配達員不足で倉庫に50万点以上の商品が滞留しているFlipkartやBigBasketにとって、Uber活用は助けとなるはずだ。

「Uberとの提携は、セラーからの必需品を顧客のもとに最短で届けるのに役立つ」とFlipkartの最高経営責任者Rajneesh Kumar(ライニッシュ・クマール)氏は声明で述べた。

Uberと同社のインドでのライバルOlaは2020年3月に、新型コロナウイルス感染拡大を封じ込めるために政府がロックダウンを発動する前にインドでの事業を停止した。

Uberはまた、緊急に移動する必要がある人向けのライドを再開するための「Uber Essential」というサービスの試験導入し、州当局とともに取り組んでいると述べた。

画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Image

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルはインド向けQ&AアプリのNeighbourlyを閉鎖へ

Google(グーグル)は2年前にムンバイでローンチしたQ&AソーシャルアプリのNeighbourlyを閉鎖すると、ユーザーに通知した。広報担当者もTechCrunchに対して、この発表を認めている。

このアプリはNext Billion Initiativeが開発したもので、生活や日常生活などについての実用的な質問の答えを、地域コミュニティが提供す場を与えることを目的としている。

アプリの立ち上げ時にグーグルはTechCrunchに対し、都市部への移住や短期賃貸、多忙な生活が地域コミュニティの活力を変化させ、簡単に情報を共有することが難しくなっていると伝えた。

アプリでは、さまざまな地域の言語による音声ベースでの質問の入力に対応している。

Googleはメールで、Neighbourlyはユーザーが100万以上の質問に対する答えを見つけるのに役立ったが、同社が期待していたほどの人気は得られなかったと述べている。アプリは5月12日にシャットダウンされるが、ユーザーによるデータのダウンロードには半年間の猶予が与えられる。

「我々は2018年にインドのムンバイで、Neighbourlyをベータ版としてローンチした。これは近所の人たちが身の回りの日常的な質問に対する答えを見つけられるような、便利なアプリを目指していた。また、これは世界の情報を整理し、どこからでもユーザーが利用できるようにするという、グーグルの使命に沿ったものだったが、製品は我々が期待していたほどは成長していない」と、グーグルの広報担当者はTechCrunchに伝えている。

グーグルはユーザーに宛てたメールの中で、Google MapsのLocal Guideを試すようにすすめている。

アプリの人気が低かったため、App AnnieやSensor Towerのようなサードパーティーのサービスは、このアプリのストアデータを持っていない。しかしPlay Storeのリストによれば、Neighbourlyのダウンロード数は1000万回を超えている。なおSensor Towerによると、今年の2月のダウンロード数は5000回未満だったという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ソフトバンク出資のインド格安ホテルチェーン「Oyo」が世界で5000人レイオフ

米国時間3月4日、インドで説立された格安ホテル仲介のスタートアップであるOyoは、世界で5000人のレイオフを実施すると発表した。支出を削減し収益性を向上させるためだという。

今回の人員削減により、Oyoの社員数は世界80カ国合計で2万5000人程度となる。Oyoの広報担当者はこの人員削減はOyoが1月に発表したリストラの一部だとして次のように述べた。

「OYOは2020年1月に発表したリストラをグローバルで実施中だ。中国における最近の施策もこれに沿ったものだ。中国はOYOの住宅供給事業の重要な市場だ。我々は界の数百万人の中所得層の人々に質の高い生活を提供するというコアなミッションを果たすために、何千ものOYOパートナーとの協力を続ける。新型コロナウィルスがもたらす困難な状況の中でも、善意にあふれ強靭な回復力がある中国社会をあらゆる方法で支援し続ける。パートナー、社員、顧客のすべてに対し、力強い協力に感謝したい」。

Bloombergの報道によれば、、レイオフは主としてOyoの中国におけるビジネスに関連するものだ。同社は中国で6000人の常勤社員の半数をレイオフする。インドや米国でも4000人の裁量労働契約の社員を「一時的に」解雇する。つまりビジネスが回復すれば一部は再雇用される計画という。

Ritesh Agarwal(リテシュ・アガルワル)氏 が創立し、ソフトバンクが巨額の投資をしているOyoはインド国外にも積極的に進出を続け、最近では世界最大のホテル宿泊仲介サービスとなることを目指していた。

急拡大の過程で同社は15億ドル以上を調達した。 昨年10月に26歳のアガルワル氏はさらに15億ドルの資金を求めており、うち7億ドルは個人として調達したことを発表した

しかし昨年、ソフトバンクが巨額を投じたもう1つのスタートアップ、WeWorkの経営悪化が劇的に明らかになった後、Oyoに対する視線も厳しくなっていた。

今年初めのNew York Timesの記事によれば、Oyoのパートナーとなったホテルの多くがOyoが契約条項を守らず、だまされたと感じており、深刻な財政状態に陥っているという。インドのビジネスメディア、The KenはOyoは非現実的な目標を示し、社員にかける圧力を増大させたことを詳しく報じた

Oyoは2019年3月31日を終期とする会計年度で、世界で9億5100万ドル(約102億3000万円)の収入があったものの3億3500万ドル(約360億3600万円)の損失があったことを明らかにしている。前年の損失は5000万ドル(約53億8000万円)だった。アガルワル氏は1月にブログに次のように書いている

「これらの意思決定の一部、ことに人員配置モデルの変更に関連する決定は困難なものだったが、Oyoのビジネスおよび2万5000人以上のOYO提携者の利益となる正しいものだったと信じる。我々は困難な時期を終わろうとしており、まもなくリストラは完了する。2020年以降は力強く安定した成長を続けることになるだろう」。

画像: Akio Kon/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インド最高裁が中央銀行による暗号通貨取引の禁止命令を覆す判決

インドの最高裁判所は4日、中央銀行が2年前に出した暗号通貨取引の禁止命令をひっくり返す判決を下した。多くの人が判決を「歴史的」と受け止めている。

インド準備銀行(RBI)は2018年4月に暗号通貨の取引禁止を命令した。銀行や他の金融機関が“バーチャル通貨に関連するあらゆるサービス”を行うことを禁止するというものだ。

当時、RBIはインドの金融システムを”囲って守る”ために必要な措置と述べた。また、Bitcoinや他の暗号通貨は金属でつくられておらず、また物理的に存在せず、政府によってスタンプも押されていないため、通貨として扱うことはできない、とも主張した。

中央銀行の2018年の通達は、暗号通貨取引サービスを提供するいくつかのインドのスタートアップや企業をパニックに陥れた。そしてそれらのほとんどが店じまいした。

今日の判決では、裁判長のRohinton F. Nariman(ロヒントン F. ナリマン)氏は中央銀行の通達は不適切として無効にした。

インターネット・モバイル協会といった取引団体を含む原告グループは、暗号通貨取引を許可しているだけでなく、独自のバーチャル通貨を立ち上げようとしている多くの国にインドは目を向けるべきだ、などと主張して中央銀行の通達に異議を申し立てた。

テック投資家のNitin Sharma(二ティーン・シャーマ)氏は、最高裁の判決は“歴史に残るもの”であり、この問題にようやく決着をつけることができた、と話した。

「インドの暗号通貨にとって歴史的な日だ。これでインドはブロックチェーン革命に参加できる」とBitcoin取引プラットフォームWazirXの創業者でCEOのNischal Shetty(二シャル・シェティ)氏は述べた。

画像クレジットAvishek Das / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi