LeapMind、エッジデバイス上でのリアルタイム動作と高画質を両立させた高精細AI画像処理モデル発表

LeapMind、エッジデバイス上でのリアルタイム動作と高画質を両立させた高精細AI画像処理モデル発表

ハードウェアとソフトウェアの両面で機械学習技術の開発を行うLeapMind(リープマインド)は1月31日、エッジデバイス上でリアルタイムで動作し、ノイズ除去によりスマートフォンレベルの高画質を実現したAI画像処理モデルを発表した。これまでエッジデバイスで挙げられてきた性能面と画質面の課題を同時に解決し、高性能・高画質・軽量化を実現するものとなった。

エッジデバイスでは、計算コストの高いAIによる画像処理は、リアルタイム動作が困難であるとされてきた。またAI画像処理においては、アナログ信号をデジタル化する際の精度を示す量子ビット数を小さくすると画質が低下するとされてきた。しかしLeapMindは、同社独自の「極小量子化」技術と、超低消費電力AI推論アクセラレータIP「Efficiera」(エフィシエラ)を組み合わせることで、動画カメラのリアルタイム動作を可能にし、「Pixel embedding」(ピクセル・エンベッディング)技術で高画質化を実現させた。

これにより、高価な高感度センサーや大型レンズを使わずとも、32bit浮動小数点モデルと同等の画質が得られるようになった。監視カメラや検査用カメラなど産業用カメラを高画質化できるため、物体認識や検査の精度が向上する。LeapMind取締役CTOの徳永拓之氏は、「低ビット量子化モデルによるAI画像処理技術の製品化は我々が調べる限りでは世界初です」と話す。

LeapMindはこのモデルの特徴を、Raw-to-rawによるノイズの低減と既存画像処理パイプラインへの影響の最小化、ディープラーニングベースのノイズ低減処理、センサー固有のノイズ再学習で最適化が行える学習済みモデルの提供、リアルタイム動作可能な軽量処理としている。

入力画像。左:ISO51200、1/800sec, F4.0で撮影。右:ISO102400、1/320sec、F8.0で撮影

入力画像。左:ISO51200、1/800sec, F4.0で撮影。右:ISO102400、1/320sec、F8.0で撮影

出力画像:32bit浮動小数点モデルの出力

出力画像:32bit浮動小数点モデルの出力

出力画像:LeapMindの極小量子化モデルの出力

出力画像:LeapMindの極小量子化モデルの出力

 

「地球上で最もプログラマブルな自動車」の実現を目指すウーブン・プラネット

2日間にわたってオンラインで開催された「TechCrunch Tokyo 2021」で、初日冒頭の「Keynote」セッションに登場したのが、ウーブン・プラネット・ホールディングスでソフトウェアプラットフォーム担当シニア・バイス・プレジデントを務めるNikos Michalakis(ニコス・ミハラキス)氏だ。

「Programmable Mobility」(プログラム可能なモビリティ)と題したこのセッションでは、

  • ウーブン・プラネットの戦略の概要
  • モビリティのプログラミングをよりオープンにするためのArene(アリーン)プロジェクト
  • ウーブン・プラネットが切り開こうとしているビジネスチャンス

の3点を取り上げるとミハラキス氏は述べ、Keynoteが始まった。

技術と投資にフォーカスするウーブン・プラネット

ミハラキス氏はギリシャで生まれ、米国に渡って電気工学とコンピュータサイエンスを学んだ。さまざまな分野のスタートアップやNetflixで働いた後、シリコンバレーのトヨタ・リサーチ・インスティテュートに入社。その後、東京のウーブン・プラネットに移った。

ウーブン・プラネットのビジョンは「Mobility to love, Safety to live」で、技術にフォーカスした2つの会社と投資にフォーカスした1つの会社で構成されている。

技術にフォーカスした会社の1つがウーブン・アルファで、イノベーティブなプロジェクトを推進している。ミハラキス氏のチームが取り組んでいるプロジェクトもここに含まれる。

もう1つがウーブン・コアで、自動車メーカーとサプライヤーが協力しながら自動運転や新しい車載電子プラットフォームを提供している。

そして投資にフォーカスしたウーブン・キャピタルは投資や協業を通じて、スタートアップだけでなく大企業ともパートナーシップを構築しているという。

モビリティは古典的な考え方と現代的な考え方が交差するところに生まれる

モビリティについてミハラキス氏は「自動車に関する古典的な考え方と、ソフトウェア、つまりウェブ、モバイル、インターネットといった現代的な考え方が交差するところに生まれるものです」と語る。

同氏は「(新しい技術ゆえに)モビリティ構築に必要なスキルを持つ人材は今のところいません」とし、ウーブン・プラネットは日本のモノづくりにおけるクラフトマンシップとシリコンバレーのイノベーションの考え方を融合させた文化を構築しようとしていると述べた。また、社内に「DOJO(道場)」を作り、新しいモビリティ・スキルセットを身につけた人材を育成しているそうだ。

快適にソフトウェアを開発できる環境を目指すAreneプラットフォーム

「私たちは地球上で最もプログラマブルな自動車を実現したいと考えています」とミハラキス氏はいう。それを実現するプラットフォームがAreneだ。

Areneのビジョンを、同氏は「開発者が快適に開発を行えるようにしたいのです。最適なツールとプラットフォームを提供し、イノベーションを実現できるようにするのです」と説明する。

このビジョンを実現するためのミッションについては「ソフトウェア開発をシンプルにし、開発頻度を上げて、車載コードをシームレスにアップデートできるようにします。また、そのために安全性が損なわれることもないようにします。これを実現できれば、自動車のプログラミングは誰でもできるものになると考えています」と述べた。

スマートフォンと同じように自動車のプログラミングができるようになる

自動車のプログラミングが誰でもできるとはどういうことか。ミハラキス氏は10〜15年前の携帯電話の状況と対比して説明する。

「かつては電話機をプログラミングできるのは電話機メーカーだけでした。しかし現在は誰もがスマートフォンをプログラミングできます。何千ものアプリケーションが利用可能で、何千もの開発者がこのプラットフォームに参入し新しいアイデアを生み出しています。それにより投資家たちの関心が高まり、利益が見込まれるアイデアには資金が集まるようになりました」と同氏は述べ、このようなポジティブなサイクルが生み出された結果、モバイルエコシステムが成長していると携帯電話の状況を位置づけた。

これと同じように「現在のところ、自動車のプログラミングを行えるのは自動車メーカーだけですが、将来は誰もが車のプログラミングをできるようになるべきです」とミハラキス氏はいう。

オープンな開発プラットフォームで開発者の参入を促し、自動車業界に影響を与える

ウーブン・プラネットの目的は「オープンな開発プラットフォームを構築して、そこでクラウドベースのツールやソフトウェア開発キットを開発者に提供すること」で、自動車の各機能にアクセスするためのVehicle APIも提供する。

ツールを提供するだけでなく「自動車自体についても再考する必要がある」とミハラキス氏はいう。現在の自動車は複数の異なる領域ごとにコンピューティングが活用され、各コンピュータが特定の機能を実行するための専用のものとなっている。これに対し、ウーブン・プラネットは複数のECU(電子制御ユニット)を横断するArene OSにフォーカスする。「アプリケーションがコンピューティング全体に作用していくようにする」と同氏は説明した。

こうした取り組みは業界に大きな影響を与えて「車載アプリ開発者」という職種が生まれる、起業家がモビリティ分野に参入する際の障壁が少なくなる、車載ソフトウェアをアップデートできることで自動車自体のLTV(顧客生涯価値)も高まると同氏は見ている。

アプリ、Arene OS、ECU、ハードウェアの概念図

新しいビジネスチャンスのアイデアは?

このプラットフォームにより「新しいビジネスチャンスが得られると考えています」とミハラキス氏は述べ「ともに考え、創造性を磨いていきましょう」と呼びかける。そして、ビジネスチャンスのアイデアをいくつか挙げた。

まず、アプリのパーソナライズ機能を構築すれば、カーシェアで誰が乗ったかに応じてアプリや構成をロードできるようになる。

また、企業のブランディングも考えられる。企業が実店舗からウェブ、モバイル、ソーシャルメディアにプレゼンスが求められるようになったのと同じで、モビリティにもプレゼンスが求められるようになるだろうという。その例として同氏は、ホテルの送迎車内でチェックインやシャンパンのサービスを提供できるかもしれないと述べた。

分散型アプリケーションの可能性もある。同氏は「すべての自動車に最先端のパワフルなコンピューティング能力とセンサーが搭載されているのを想像してみてください。データの力を活用したすばらしいアプリケーションを構築できるでしょう」と述べ、リアルタイムのマップ構築を例として示した。

そしてビジネスチャンスとして同氏は最後に、これまでにないハードウェアへの期待を挙げた。同氏は個人的に、マッサージチェアがあればいいなと思っているという。

エッジコンピューティングによるマップのイメージ

ミハラキス氏は「成功するものもあれば失敗するものもあるでしょう。結果はわかりません。それが起業というものです」と述べ「自動車のプログラミングをよりオープンなものにしていけば、アイデアを繰り返し実験し、より容易にできるように改良し、実験にかかるコストを低減し、アイデアをさまざまな方法で応用してみるといった活動を通じて、エコシステムを成長させる機会が得られると思っています」と強調して、Keynoteを締めくくった。

(文:Kaori Koyama)

ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「IoTテクノロジーの民主化」を掲げるIoT企業ソラコムは12月1日、IoTカメラ「S+ Camera」の新型モデル「S+ Camera Design」の発売を開始した。従来製品の約半分にスリム化され、公共施設などに設置しても違和感のない丸みを帯びたデザインになっている。ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「S+ Camera」シリーズは、Linuxベースの小型コンピューターとセルラー通信(LTE)を搭載したIoTカメラ。AIアルゴリズムをインストールすれば、用途に合わせたAIカメラソリューションが実現する。専用コンソールを使って映像を確認したり、AIアルゴリズムをリモートで更新するなどが可能。汎用マウントで簡単に設置が行える。

S+ Cameraは、商業施設の混雑度チェック、街中の交通量調査、電気や空調設備のモニタリング、工場や倉庫の入退室管理などに利用されているが、公共の場所で使われることを考え、厚さ5cmという、コンパクトで洗練されたパッケージに収めたのがS+ Camera Designだ。デザインは、プロダクトデザインを手がける日南とのコラボによるもの。 ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「S+ Camera Design」の特徴は次のとおり。

  • セルラー回線標準搭載:
    データの送受信にセルラー回線を利用するため、ネットワーク環境の構築が不要
  • アルゴリズムの遠隔更新:
    エッジ処理ができ、専用のコンソールからアルゴリズムを遠隔操作で更新可能
  • かんたん設置:
    電源に接続するだけですぐに利用できる。汎用マウントを利用すれば設置も容易
  • AIアルゴリズムをインストールして独自のAIカメラソリューションを実現:
    アルゴリズムはソラコムが提供する「リファレンス アルゴリズム」(無償提供)、自社で独自に開発できる「自社開発アルゴリズム」、パートナー企業が提供する「3rd party アルゴリズム」(有償提供)のいずれかが使える。

概要

  • 外形:164×50×187mm
  • 重量:305g(本体のみ)
  • F値:2.8
  • カメラ角度調整機構:縦横斜めのいずれか一方向に調整可能(手動)
  • 内容:本体、ACアダプター(ケーブル長3m)、汎用型マグネットマウント、SORACOM特定地域向けIoT SIMカード plan-D サイズ:マイクロ(データ通信のみ)、六角レンチ(角度調整用)、IMEIシール
  • 直販価格:4万9800円(税込。送料別)

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Spot AI、通常のセキュリティビデオからより多くの情報を得るプラットフォームの構築に約25億円調達

多くの企業がセキュリティを確保し業務を遂行していくために職場空間を監視しているわけだが、セキュリティカメラは、良くも悪くも、この監視の本質的な部分を担っている。現在、あるスタートアップが突如姿を表し、さまざまなカメラで撮影された映像をより有益なものにするテクノロジーのために資金調達を行っている。Spot AIは、使用されたカメラのタイプや品質に関わらずその映像を「読み取り」、必要とする人誰もがそれらの映像を言葉やカメラに捉えられた画像で検索できるようにするソフトウェアプラットフォームを構築した。

Spot AIは、2018年以来そのテクノロジーと顧客層を静かに構築してきた。同社は現在数百の顧客と数千のユーザーを抱えており、その中にはテクノロジーを他に先駆けて導入しているSpaceXや輸送会社のCheeseman、Mixt 、Northland Cold Storageといった会社も含まれる。

現在Spot AIは、より広い範囲に製品を出荷しており、2200万ドル(約25億円)の資金調達を開示している。このうち、2000万ドル(約23億円)のシリーズAは、Redpoint Venturesが主導しBessemer Venture Partnersが参画し、また前回の200万ドル(約2億円)のシードラウンドはエンジェル投資家のVillage GlobalおよびStanford StartX(同社の3人の創設者はここの出身である)によるものだ。その他の投資家も参画しているが、名前は公表されていない。

現在、多くの企業が現在レガシーテクノロジーを使用しており、それによってギャップが生み出されているわけだが、Spot AIは、そのギャップを埋めることに狙いを定めている。今日職場の監視には、膨大な数のセキュリティカメラ(2019年における推定では米国内だけで7000万台)が使用されており、通常は建物の入り口、オフィスビル自体、工場、その他のキャンパス環境などに設置され、人の動きだけではなく動きのない物体をも監視し、また機械、出入り口、部屋など、ビジネスで使用される場所の状態を追跡している。

問題は、それらのカメラが非常に古く、アナログ設定であることであり、またハードウェアが新しいか古いかにかかわらず、そうしたビデオで捉えられた動画は非常に基本的な性質のものだという点である。そうしたビデオは単一の目的のために設定されており、インデックス化もできず、古い映像は消去され、また必要な時に機能しないことさえある。実際、セキュリティカメラの映像というものは、日頃は無視されており、実際に必要があって映像を見てみると、その映像がひどいか、まったく役にたたないことに気づく(見たいものが映っていないことを発見する)、ということがままある。優れた機能を持ったものもあるが、それらは非常に高価で、テクノロジーに疎いアナログ企業にすぐさま広く受け入れられるとは考えにくい。

これに加え、セキュリティカメラは、ビデオ監視システムの多面的で重要な役割にも関わらず、非難を受けている。この非難は、公共の場でセキュリティカメラがどのように使用されているかや(公共の安全の名の下に、そこに設置され、人々が望むかどうかにかかわらず、人々が行うすべてのことのを静かに観察し記録している)、プライベートなセキュリティビデオ映像が記録された後、どのように流用されるかという、公私両面の理由で発生している。プライベートなセキュリティビデオ映像の流用に関しては、AmazonのRingが映像を警察を共有する、といった意図的なものもあれば、意図しないものもある(企業向けのビデオシステムを構築しているスタートアップVerkadaのビデオにハッカーがアクセスしてその映像をどこか別のところに投稿した事例を参考までに見て欲しい)。

関連記事:アマゾン傘下Ringが警察に映像を取得されたユーザー数についての情報開示を拒否

CEO兼共同創設者のTanuj Thapliyal(タヌジュ・タプリヤル)氏はインタビューで、Spot AIは、善良な意図を持って上記の市場に参入中であると語った。セキュリティカメラはすでに重要な役割を担っているのであり、問題となるのは、セキュリティだけではなく、健康と安全を確保し業務を正常に行えるよう、より良い、より生産的な目的のために、いかにしてセキュリティカメラを使用するかを考えることだ、というのが同社の立場だ。

「(これらのカメラで捉えられた)映像データをより有益なものにし、また職場のより多くの人がそのデータにアクセスできるようにすれば、監視というアイデアからビデオインテリジェンスというアイディアへとそれを変革できるのです。これにより、重要な判断を下せるようになります」とタプリヤル氏はいう。彼はRish Gupta(リシュ・グプタ)氏とSud Bhatija(サド。ブハチジャ)氏とともに同社を創設した。同社の基本姿勢は、すでに多くのカメラが設置されているのだから、それらのカメラをより効果的に責任ある形で使用する方法を見つける必要がある、ということのようだ。

Spot AIシステムは現在3つの部分から構成されている。最初の部分は、Spot AIがオプションとしてすべての顧客に無料で提供する カメラセット で、現在はSpot AIとの契約を終了しても顧客はこれを保持することができることになっている。これらのカメラは5MP、IPベースのデバイスで、ビデオフィードの品質をアップグレードするように作られている。ただし、タプリヤル氏によると、Spot AIのシステムは必要とあれば、あらゆるカメラの映像に対応可能である。

2つ目の部分は、配置されたすべてのカメラからの映像を記録するネットワークビデオレコーダー である。これらは映像を処理し、読み取りを開始し、分類するAIチップを搭載したエッジコンピューターで、Spot AIのシステムの3つ目の部分を通して映像を検索可能なデータに変換する。

3つ目の部分は ダッシュボードで、これによりユーザーは映像をキーワードやプロセスで検索し、また現在のストリームに対しフレームを作成しそのフレーム内で何か注意すべきことが起きた時(例えば、ドアが開いている、または誰かがある領域に入った、または期待されているようにあるものが機能していないといったことまで)、通知を受け取れるようにすることができる。

ビデオサービスのこの部分は、時間の経過とともにより洗練されていく、というのが重要なポイントである(事実、ステルスモードからGAへの移行時にさえ、機能が追加されている)。そこではインターネットに接続されたデバイスを監視するためにデザインされた数多くのIoTが役目を果たす一方、Spot AIの売りは、接続されたデバイスが関係しているかどうかに関係なく、接続されているものと接続されていないものが物理的な空間でどのように移動しているかに、より注意を向けることができる、という点である。

タプリヤル氏にVerkadaについて報告されたセキュリティ問題(2021年始めにあった悪意をもったハッカーが関与した事件、および数年前に遡るが、Verkadaの従業員がビデオシステムを悪用した件の両方)について尋ねてみた。Spot AIはVerkadaがターゲットにしているのと非常に近い市場をテーゲットにしており(さらに偶然両社はともにCiscoに買収されたWi-Fiテック企業Merakiとつながりがあり、どちらも創設者はMerakiの元社員である)、Spot AIが同様の問題をどうやって回避するのか、考えざるを得なかったのだ。Spot AIの顧客もおそらく同じ質問をするだろう。

この質問に対し、タプリヤル氏は次のように答えた。「Verkadaはハードウェアを販売している企業で、彼らのクラウドソフトウェアは Verkadaのハードウェアでしか機能しません。またそれらはとても高価で、カメラ1台で数千ドル(数十万円)します(Spot AIの場合、設置費用は2200ドル(約25万1000円)からだが、カメラは無料)。またVerkadaは、アクセスコントロール、環境センサーなど、建物のセキュリティ向けのハードウェアを多く販売しています。それらは凄いソフトウェアを備えたすごい製品です」。

しかし「当社はハードウェアビジネスをしているわけではありません。私たちは映像へのアクセスや使用を容易にすることに注力しており、カメラハードウェアはお客様が望めばすべて無料で差し上げています。当社の狙いは、当社のサービスを通してお客様に映像からより多くの価値を得ていただき、それを足がかりとして、お客様からソフトウェアサブスクリプションを通じてより多くの仕事をいただく、ということです」。

またセキュリティについては、同社のコンセプトは他社とは大きく異なり「お客様間のアクセスをサイロ化し、システムへのアクセスに多重認証を必要とする」ゼロトラストアーキテクチャを中心に構築されている。

「他のテクノロジー企業のように、私たちは常に自社のサイバーセキュリティを見直し、問い直し、改善しています。私たちのゴールは、優れたウェブダッシュボードを提供し、お客様に適した最善のものを選んでいただくことです。例えば、映像のクラウドバックアップは、追加費用を払わなくてもお客様がオプトインできるオプショナルの機能です。この製品はサブスクリプションにすでに含まれているプライベートストレージやローカルストレージで機能します。これは、HIPAA要件を満たさなければならない医療関連のお客様に特に役立ちます」。

同社がセキュリティの問題に対応するための立場を取り、それにふさわしい製品を揃えているのはすばらしいことだ。このセキュリティ対応に実効性があるかは、実際試してみなければわからないし、またこれはビデオによる監視が悪用されることなく使用できるものであるという基本的な考え方に基づいている。多くの企業にとってこれは成功の見込みのないものかもしれない。とりあえず今指摘する価値があるのは、Spot AIは公共の安全や政府向けにビジネスを行うつもりはない、ということである。同社は私企業を対象に、彼らがセキュリティカメラへの投資と使用を再考してくれるチャンスに焦点を当てている。

事実、投資家に向けての主なメッセージは、Spot AIが非技術系の顧客も含め、できるだけ広い範囲の顧客を引きつけるに十分なユーティリティを備えたテックプラットフォームをいかに作成してきたかである。

「カメラを使用して日々の意思決定を行っている新規ユーザーや企業が殺到しています。レガシーベンダーが溢れかえっているこの業界では、Spot AIのソフトウェアに焦点を当てたモデルは、お客様にしてみれば、はるかに簡単な選択なのです」とRedpoint VenturesのMDであるTomasz Tunguz(トーマス・タンガス)氏は述べた。

また、Bessemer Venture PartnersのパートナーであるByron Deeter(バイロン・データー)氏は、次のように付け加えた。「本日、専有のAIカメラシステムにアクセスできるのは世界の最大手企業だけで、ほとんどの中小企業は取り残されています。Spot AIの使いやすいテクノロジーは、多くの企業(規模の大小に関わらず)による映像データの使用を促進するでしょう」。

画像クレジット:Spot AI

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療のエッジコンピューティング活用に関し共同実験

専門医による遠隔集中治療ソリューションを提供するT-ICU西日本電信電話(NTT西日本)は11月18日、「遠隔医療におけるエッジコンピューティング技術を活用した情報処理の実現方式」に関して共同実験を開始したと発表した。同実験の成果を生かし、ウィズコロナ・アフターコロナ時代を見据えたリモートワールド(分散型社会)を実現し、地域医療の人材不足といった社会課題の解決を目指す。実験期間は2021年11月~2022年2月(予定)。

共同実験では、実証実験に協力している病院からNTT西日本の閉域ネットワークを介して、サーバーが設置されているエッジコンピューティング拠点まで映像を転送する。T-ICUの技術でその情報処理を行い、モニタリングセンターからの医師・看護師などによる遠隔モニタリングを実現する。

共同実験では、遠隔モニタリングに用いる高品質な映像が病院からNTT西日本の閉域ネットワークへ転送できること、容体悪化の兆候に関してAIによる推論ができることを評価するとともに、エッジコンピューティング技術に必要とされる要件についても評価する。こうした取り組みを通じ、医療情報を電子的に管理する上で準拠すべきガイドラインを念頭に、今後遠隔医療を提供する際に必要となる要件や技術課題を把握することを目指す。

・T-ICU:遠隔ICU技術の提供、遠隔モニタリングに必要な情報処理技術の検討
・NTT西日本:エッジコンピューティング技術の提供、クラウド化にかかる要件の検討

同実証実験では基本的な動作確認と要件確認を行い、得られた知見を活かして新たな遠隔ICUサービスの実現について継続して検討する。T-ICUとNTT西日本は、同サービスにより、地域の人材不足など社会課題の解決を目指す。

2016年創業のT-ICUは、「Anywhere, we care. すべての病院に集中治療医を」をミッションに、遠隔ICUにおけるサポートサービスを実施。集中治療医・集中ケア認定看護師のチームを擁し、病院向けに専門性の高いサポートを提供している。

T-ICUは、遠隔相談システム「リリーヴ」を契約している病院からの相談に対応する一方で、院内での遠隔モニタリング支援するシステム「クロスバイ」を提供し、導入病院内での効率的な医療提供に貢献してきた。

リリーヴは、命に関わる重症患者診療を担う医療スタッフの不安に寄り添い、呼吸・循環管理、鎮静・鎮痛、感染症治療などの全身管理を最新の知見と豊富な経験で支援する遠隔相談システム。全国的に専門家が不足する重症患者診療の現場を、集中治療医・集中ケア認定看護師で構成されたメディカルチームが24時間365日サポートする。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療におけるエッジコンピューティング活用に関する共同実験

クロスバイは、ベッドサイドに配置した高性能カメラを利用した遠隔モニタリングシステム。患者の表情や顔色、呼吸様式の観察といった患者観察が可能。また、人工呼吸器を含む各種医療機器と接続することで、多面的な患者情報を院内の離れた場所に届けられる。新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病院での医療の提供、また医療従事者への感染防止策としても導入されているという。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療におけるエッジコンピューティング活用に関する共同実験

クロスバイ導入施設においては、重症患者への看護人員が不足する中、医療従事者によるモニタリングが常時実施されており現場の大きな負担となっているという。このような中、医療現場からT-ICUに対し、重症患者管理を専門とする集中治療医が不在となる夜間などの時間帯において、T-ICUが遠隔でモニタリングのうえ重症度に応じたアドバイスを提供してもらいたいという要望があるそうだ。ただ、この要望の実現には、モニタリングの際に発生するデータを低遅延かつセキュアに処理することが必要不可欠としている。

ソフトバンクがプライベート5G商用化のための研究施設「AI-on-5G Lab.」をNVIDIAと合同で開設

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

ソフトバンクは11月10日、5Gの仮想化無線ネットワークvRANとMECが融合した環境でAI技術などのソリューションの実証や技術応用を行う研究施設「AI-on-5G Lab.」を、NVIDIAと合同で開設すると発表した。これより、プライベート5G向けのソリューション開発や、完全仮想化されたプライベート5Gの商用化を推進するという。

vRAN(virtualized Radio Access Network)とは、モバイル機器とインターネットとをつなぐ親局の専用ハードウェアの仕事を汎用コンピューター内のソフトウェアで仮想的に行う仕組み。MEC(Multi-access Edge Computing)は、マルチアクセス・エッジコンピューティングの略で、端末の近くにサーバーを分散配置するネットワーク技法のことをいう。これらを利用することで、事業所などが独自の5Gネットワーク、つまりプライベート5Gを構築できるようになる。「AI-on-5G Labs.」は、そうしたシステムをAIで最適化・自動化し、普及を目指そうとしている。

またvRAN普及のメリットとして、通信機器を汎用サーバー上にソフトウエアで構成することによるコストダウンをはじめ、通信以外の様々なアプリケーションを構成する役割を同時に提供可能な点を挙げている。例えばプライベート5Gを導入している工場において、通信を行っていない夜間帯に、MECに集積された情報をAI学習するための資源として活用することで、工場の生産性向上を図れるという。

この研究施設では、ソフトバンクが2018年から共同研究を行ってきたNVIDIAのGPUなどのハードウェアが使われ、それを用いてvRANとMECの機能を統合し、さまざまな検証が行われる。具体的には、ソフトバンクが提供するプライベート5G上で、NVIDIAのハードウェア、基地局の仮想化、AI処理のミドルウェア、アメリカのネットワークソフトウエアプロバイダーMavenirが提供する仮想化無線信号処理ソフトウェアとコアネットワークのソフトウェア、台湾のFoxconnの物理的アンテナを用いて完全仮想化プラットフォームを構築する。これを使って、プライベート5Gのユースケースの商用化に向けた検証を行うとのことだ。

またソフトバンクは、「6Gに向けた12の挑戦」として、ベストエフォートからの脱却、モバイルのウェブ化、電波による充電などといった目標を示しているが、その中の「AIのネットワーク」の開発検証を「AI-on-5G Labs.」で行うと話している。

NVIDIAがエッジコンピューティング向け超小型AIスーパーコンピューター「Jetson AGX Orin」を発表

NVIDIAは11月9日、ロボットや医療機器などのAIエッジコンピューティング機器に組み込める超小型の「AIスーパーコンピューター」Jetson(ジェットソン)シリーズの新世代機種「AGX Orion」(オライオン)を発表した。

前世代のAGX Xavier(ゼイビアー)とフォームファクター(100x87mm)は同じながら処理速度は6倍、200TOPS(1秒間に200兆回の命令処理が可能)という性能を誇る。NVIDIA AmpereアーキテクチャーGPUとArm Cortex-A78AE CPU、次世代の深層学習セラレーター、ビジョンアクセラレーターを搭載し、複数の並列AIアプリケーション・パイプラインにフィードできるため、高速インターフェース、高速なメモリー帯域、多彩なセンサーのサポートが可能になっている。消費電力は15W。最大でも50Wとのこと。

ソフトウェアは、NVIDIA CUDA-Xアクセラレーテッド・コンピューティング・スタック、NVIDIA JetPack SDK、クラウドネイティブな開発ワークフローを含むアプリケーション開発と最適化のための最新のNVIDIAツールが利用できる。また、トレーニング済みのNVIDIA NGCカタログもある。

またJetsonには、85万人の開発者、Jetson搭載製品を製造する6000社以上の企業からなる巨大なエコシステムがあり、センサー、キャリアボード、ハードウェア設計サービス、AIおよびシステムソフトウェア、開発者ツール、カスタムソフトウェア開発といったサービスや製品が利用できる。これにより、「かつては不可能と思われていた自律動作マシンとエッジAIアプリケーションを開発および展開できるようになる」と、NVIDIAのバイスプレジデント、ディープゥ・タッラ氏は話している。

NVIDIA Jetson AGX Orinモジュールと開発者キットの発売は、2022年第1四半期を予定している。

Jeston AGX Orionモジュール仕様

  • AI性能: 200 TOPS (INT8)
  • GPU:2048基のNVIDIA CUDAコアと64基のTensorコア搭載、NVIDIA Ampereアーキテクチャー
  • GPUの最大周波数:1GHz
  • CPU:12コア Arm Cortex A78AE v8.2 64ビットCPU 3MB L2+6MB L3
  • CPUの最大周波数:2GHz
  • DLアクセラレータ−:NVDLA v2.0×2
  • ビジョンアクセラレーター:PVA v2.0
  • メモリー:32GB 256ビットLPDDR5 204.8GB/秒
  • ストレージ:64GB eMMC 5.1
  • CSIカメラ:最大6台のカメラ(仮想チャネル経由で16台)。16レーン MIPI CSI-2。D-PHY 1.2(最大40Gbps)| C-PHY 1.1(最大164Gbps)
  • ビデオエンコード:2x 4K60 | 4x 4K30 | 8x 1080p60 | 16x 1080p30(H.265)
  • ビデオデコード:1x 8K30 | 3x 4K60 | 6x 4K30 | 12x 1080p60| 24x 1080p30(H.265)
  • UPHY:2 x8(または 1×8+2×4)、1 x4、2 x1(PCIe Gen4、ルートポート&エンドポイント)。USB 3.2×3。シングルレーンUFS
  • ネットワーキング:1GbE×1、10GbE×4
  • ディスプレイ:1x 8K60 マルチモードDP 1.4a(+MST)/eDP 1.4a/HDMI 2.1
  • その他の I/O:USB 2.0×4、4×UART、3×SPI、4×I2S、8×I2C、2×CAN、DMIC&DSPK、GPIOs
  • 消費電力:15W | 30W | 50W
  • サイズとコネクタ−:100mm×87mm、699ピンMolex Mirror Mezzコネクター、一体型熱伝導プレート

経産省とNEDOがRISC-Vを利用した自動車走行画像認識をテーマに「第5回AIエッジコンテスト」開催

経産省とNEDOがRISC-Vチップを利用した自動車走行画像認識をテーマに「第5回AIエッジコンテスト」開催
経済産業省新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月25日、「第5回AIエッジコンテスト」について、SIGNATE(シグネイト)が運営するAI関連コンペティションサイトで開始したことを発表した。

これは「革新的なAIエッジコンピューティングの実現に向けた新しいアイデアの創出や、それらを担う人材の発掘・育成」を目的としたコンテスト。今回は、2020年度に実施した「第3回AIエッジコンテスト」のテーマ「自動車走行画像からの物体追跡アルゴリズムの開発」を発展させ、「RISC-V(リスク・ファイブ)搭載プラットフォームへのAIアルゴリズムの実装」をテーマとしている。つまり、第3回の開発編に対して、今回が実装編ということだ。

内容は、車両カメラで撮影した走行動画上で、予測対象となる物体(乗用車と歩行者)をバウンディングボックスで囲み、同一の物体に一意のオブジェクトIDを割り当て追跡するアルゴリズムを開発し、それをRISC-Vチップを搭載したターゲットのプラットフォームに実装するというもの。「ハードウェア・ソフトウェア(ネットワークモデルおよびシステム最適化)を含めたエッジコンピューティングを意識したハードウェアシステム開発」が課題になる。

実施期間は2021年10月18日から2022年2月15日。参加資格は特になく、個人、団体でも参加可能。参加者にはAvnet製開発ボードUltra96-V2 FPGAが提供される(書類審査必須。上限50名を予定)。これは、自費で購入して参加してもよい。参加者は、SIGNATEに会員登録を行い、コンテストページの「投稿」ボタンから物体追跡結果を投稿すると、リーダーボードに精度評価指標MOTA(Multiple Object Tracking Accuracy)の暫定評価がランキングで示される。最終的に、評価が0.6以上が入賞対象となる。

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ソシオネクストが深層学習を用いたSLAM処理を大幅に高速化、画像認識による自律制御がエッジ機器でも可能に

ソシオネクストが深層学習を用いたSLAM処理を大幅に高速化、画像認識による自律制御がエッジ機器でも可能に

SoC(システム・オン・チップ)の設計開発を行うソシオネクストは10月12日、自動運転車やロボットなど自律制御を行う装置に欠かせないSLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行う)処理に必要な時間を、従来技術の約1/60に短縮できる手法を開発したことを発表した。これは、東北大学大学院情報科学研究科システム情報科学専攻、岡谷貴之教授の研究ブループとの共同研究によるもの。

SLAMは、自動車などではLiDAR(ライダー:レーザーで画像検出と測距を行うシステム)を用いたものと、カメラ映像で行うVisual SLAMとに大別される。Visual SLAMは、安価なカメラで行えることと、画像処理技術が発達したことから応用が広がっている。さらに深層学習を使った画像認識技術の発展もこれを手伝っている。

しかし、深層学習による画像処理では、画像から抽出された3次元点群と観測データをすり合わせて画像の正確な3次元復元を行うバンドル調整(BA。Bundle Adjustment)という、膨大な計算処理が必要となる。そのため、エッジ機器のようなCPU処理能力に制約のある環境では、Visual SLAMは難しかった。

そこでソシオネクストの研究チームは、「グラフネットワーク(Graph Network。GN)を用いた推論による近似計算手法」を提案。これにより従来方式(g2o)と比較して「計算量を抑えた推論処理」が可能となり、処理時間は1/60となった。

ソシオネクストが深層学習を用いたSLAM処理を大幅に高速化、画像認識による自律制御がエッジ機器でも可能に

計算量が減ったことで、CPUの負担や、それにともなうシステムの消費電力も抑えられる。そのため小さなエッジ機器でも高度なVisual SLAM処理が可能となり、応用の範囲が大きく広がる。ソシオネクストでは、この新しい推論手法による処理効率の向上を、画像認識以外の新しい顧客アプリケーションへの応用も検討すると話している。

AIチップメーカーのHailoが約155億円調達、エッジデバイスにおけるAIモジュールの機会を倍増させる

世界的に半導体が不足するなか、AIチップ業界のスタートアップが、その技術に対する需要の高まりに対応するため、大規模な資金調達を発表した。スマートシティ、小売環境、産業用機器、次世代自動車システムなど、AIワークロード用にカスタマイズされたエッジデバイス用チップを製造しているHailo(ハイロ)が、シリーズCラウンドで1億3600万ドル(約155億円)を調達した。同社に近い情報筋にTechCrunchが確認したところ、今回の投資はHailoのバリュエーションを約10億ドル(約1140億円)とみているという。

このラウンドはPoalim EquityとGil Agmonが共同でリードした。Hailoの会長であるZohar Zisapel(ゾハー・ジサペル)氏、ABB Technology Ventures(ATV)、Latitude Ventures、OurCrowdの他、新たにCarasso Motors、Comasco、Shlomo Group、Talcar Corporation、Automotive Equipment(AEV)社も出資した。Halioの累計調達額は約2億2400万ドル(約255億円)になった。

約1年半前の6000万ドル(約68億円)のシリーズBに続くラウンドだ。同社は約1年前、Intel(インテル)やNVIDIA(エヌビディア)に対抗するHailo 8チップを搭載した最新のAIモジュールを発表した。

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共同創業者でCEOのOrr Danon(オア・ダノン)氏はインタビューで、最近、市場での関心が非常に高まっており、前四半期だけで、Hailoが取り組むプロジェクトの数が100件に倍増したと話した。今回のラウンドを受け、需要増加に応えて規模を拡大すると同時に、プロセッサーの用途にあわせたカスタマイズを継続する。

「現在、Hailo 8を市場に投入していますが、その効率の良さに人々は非常に喜んでいます」と同氏はいう。同社のエッジチップの独自性は、既存のリソースに適応してカスタムニューラルネットワークを動作させるよう設計されている点にある。そのため、同様のタスクを実行するためにデータセンターのコンピューターで必要とされる同等の処理能力より高速であるだけでなく、より少ないエネルギーで動作する。「私たちはこのサービスを拡大していきたいと考えています。そのために、ソフトウェアにも投資しています」と話す。

今回の資金調達は、2021年のチップ業界の複雑な状況の中で実施された。

パンデミックの影響で、一部の分野では旺盛な需要があったものの(例えば、コンシューマー環境では、活動が制限されている時期にユーザーはより良いデバイスへの乗り換えを始めた)、他の分野では活動が大幅に低下し(例えば自動運転車などの野心的なプロジェクト)、全体的に生産が大幅に減速した。

Hailoのようなエッジデバイスを扱う企業にとっては、より効率的でコスト効率の高いシステムをアピールするチャンスだ。ユーザー自身のニューラルネットワークや、TensorFlowおよびONNXなどの人気のある開発フレームワークと統合できることも後押しする。

ダノン氏によると、Hailoは自動車などの一部の分野で需要が軟化しているが、同社のビジネスの幅広さにより、全体的な需要は引き続き増加している。自動車分野は、一時期盛り上がり、その結果としてしばらく落ち込んでいたが、復調しつつある。

例えば、完全自動運転車を対象とするプロジェクトの数は減ったかもしれないが、半自動運転システムに取り組むプロジェクトはまだ数多くあり、それがHailoのビジネスにつながっていると同氏は話す。

「企業は今、現実的な展開を模索し始めており、現実的な課題に直面しています」と同氏はいう。「自動運転車に自動車専用の高速道路を走らせる必要はないかもしれませんが、それでも新しいタスクを学ぶ必要はあります」。

また、産業界や小売業界(エッジデバイスが、セキュリティシステム・自動レジ向けのコンピュータビジョンアプリケーションや、分析に使用されている)、さらには交通機関が今後もビジネスの主要な原動力となるスマートシティなどからも強い関心が寄せられているという。

投資家が同社に投資するのは、現在のビジネスのためだけでなく、今後のチャンスのためでもある。

「今後数年間で、AIは新たなビジネス価値を生み出し、これまでのユーザーエクスペリエンスを再構築する決定的な機能となるでしょう。AIベースの機能を市場に投入する能力は、企業の成功と失敗の分ける決定的要因となることが増えていきます」と語るのはMooly Eden(モーリー・イーデン)氏だ。同氏は、Intelに40年近く勤務し、直近ではイスラエル事業の社長を務めた後に退社した。現在はHailoの取締役を務める。「Hailoの革新的で超効率的なプロセッサー・アーキテクチャーは、従来のコンピューティング・ソリューションに挑戦し、新しいタイプのワークロードを処理する新しい種類のチップに対する需要増加に対応します」。

画像クレジット:Hailo

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがハイブリッドクラウドに全力、エッジ・オンプレミスのマネージドソリューション新ポートフォリオを発表

米国時間10月12日、Google(グーグル)は、同社の年次カスタマーカンファレンス「Google Cloud Next」において、ハイブリッドクラウドサービスの幅広いポートフォリオを発表した。これらのサービスでは、Googleのデータセンターネットワークのエッジ、パートナー施設、または顧客のプライベートデータセンターでコンピューティングを提供し、すべてを同社のクラウドネイティブ管理コンソールであるAnthosで管理する。

今回の発表の背景には、パブリッククラウドには必ずしも適さない特殊なワークロードを持つ顧客を取り込むという戦略があると、GoogleのIaaS担当GM兼VPのSachin Gupta(サチン・グプタ)氏は述べている。このようなニーズは、潜在的な顧客から絶えず聞かれていたという。

そのためには、合理的な代替案を提供することが必要だ。「パブリッククラウドへの移行を妨げるさまざまな要因があることがわかりました」とグプタ氏はいう。例えば、低遅延の要求があったり、処理しなければならないデータが大量にあったりして、そのデータをパブリッククラウドに移したり戻したりすることが効率的でない場合がある。また、セキュリティ、プライバシー、データの残留、その他のコンプライアンス要件がある場合もある。

このような背景から、Googleは純粋なパブリッククラウドではないさまざまな状況で機能する一連のソリューションを設計した。ソリューションは、Googleの世界各地のデータセンター、通信事業者やEquinixのようなコロケーション施設のパートナーデータセンター、あるいは企業のデータセンター内の管理対象サーバーの一部として、エッジに設置することができる。

後者については、Dell(デル)やHPEなどのパートナー企業が提供するサーバーであり、Amazon(アマゾン)が提供するOutpostsのようにGoogleが製造・管理するサーバーではないことに注意が必要だ。また、これらのマシンはGoogleのクラウドに直接接続されるわけではないが、Googleがすべてのソフトウェアを管理し、IT部門がクラウドとオンプレミスのリソースを一元的に管理する方法を提供するというところも興味深い点だ。これについては後述する。

ホスティングソリューションの目的は、コンテナとKubernetes、または仮想マシンを使用した、一貫性のある最新のコンピューティングアプローチだ。Googleは安全なダウンロードサイトを通じてアップデートを提供しており、顧客は自分でチェックすることも、サードパーティベンダーにすべてを任せることもできる。

このアプローチを支えているのは、数年前に発表した制御ソフトウェアであるAnthosだ。Anthosを使用することで、顧客は、オンプレミス、データセンター、パブリッククラウドなど、それがMicrosoft(マイクロソフト)やAmazonのような競合他社のクラウドでも、ソフトウェアがある場所でコントロールし、管理することができる。

Google Cloudハイブリッド・ポートフォリオ・アーキテクチャ図(画像クレジット:Google Cloud)

このようなアプローチは、Googleがハイブリッドの市場機会を利用して、クラウドの中で独自のシェアを開拓しようとしていることを示している。この分野はMicrosoftやIBMも開拓しようとしているが、Anthosを使ってすべてをつなぎ合わせながら、このような包括的なプラットフォームアプローチをとることで、とりわけ特定のワークロードをクラウドに移行できないような固有の要件を持つ企業において、Googleが支持される可能性がある。

Googleは、8月に発表された最新の四半期報告書において、クラウドインフラストラクチャ市場のシェアが初めて10%に達し、54%という活発な成長率を示した。市場シェアが33%のAmazonや20%のMicrosoftにはまだ遠く及ばないものの、少しずつ勢いを増してきていることがうかがえる。

関連記事:クラウドインフラ市場は2021年第2四半期も成長を続け、売上高は約4.6兆円に到達

画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

良い運転にご褒美、悪い運転にはリアルタイム通知を送るNetradyneの商業ドライバー向け安全性向上システム

Netradyne(ネトラダイン)は商業ドライバーの安全を向上させるためにカメラとエッジコンピューティングを使用するスタートアップである。今回シリーズCの資金調達で1億5000万ドル(約164億円)を達成した。CEOで共同設立者のAvneesh Agrawal(アヴニーシュ・アグラワル)氏によると、新鮮な資金が最新製品Driveri(ドライブライ)の強化につながる。

Agrawal(アグラワル)氏はTechCrunchに、良い運転には褒美を、悪い運転には運転手にリアルタイム通知を送るプロダクトに対する大きな自信を示し、現行の北米およびインドからヨーロッパへと、市場拡大に注力していると述べた。

2021年初めにネトラダインはそのハードウェアおよびソフトウェアを配送車にインストールするためAmazon(アマゾン)と提携を結んだ。このテクノロジー大手は、ドライバーの安全よりもスピードと効率を優先しながら、第三者企業を雇うことによって事故の法的責任を負わないようにしているとの非難を受けてきた。

他の会社には、それほどの道徳的に問題視される余裕がなかったのだろう。だからこそ、ネトラダインのサービスはフリート企業にとって妥当なのである。保険会社のAlera Group(アレラ・グループ)の報告書では、 2021年の商用車の保険料率は14.2%上昇することが予想されている。その大きな要因がスマートフォンに気を取られたドライバーによる死亡事故の増加だ。またその調査では、現代の自動車の修理費と医療費はインフレよりも速く上昇を続けている。費用削減を目指すフリート管理会社は、安全運転が約束される点に惹かれるのかもしれない。

「一部の統計によると、評決額が1000万ドル(約11億円)を超える「核兵器評決」は約500%増加しました」とアグラワル氏はTechCrunchに語る。「商業用フリート会社にとって、ドライバーと燃料に次ぐ最大の出費です。多くの商業保険会社が事業を撤退するか、リスクをフリート会社に押し付けています」。

アグラワル氏の話では、ネトラダインのサービスは需要が非常に大きく、契約者と年間経常収益は2020年に3倍増加した。基準値を明らかにしていないが、ネトラダインの今日の顧客数は1000人を上回るという。

ネトラダインはNational Interstate Insurance(ナショナル・インターステート・インシュランス)と、製品の助成金を払ってもらう合意を結んだが、本来のネトラダインの販売先はフリート会社だ。フリート会社の事故が減ることで、そのデータを保険会社に送り、請求額を交渉するのである。

ネトラダインはいかにそのカメラとソフトウェアにより運転が安全になるか平均を出していないが、アグラワル氏は製品を使用した企業2~3社の請求額が1年で最大80%減少したと述べた。

その仕組みは?

ネトラダインという名称は、サンスクリットで「ビジョン」を意味する「ネトラ」と、ギリシャ語で力の単位を意味する「ダイン」を組み合わせたものだ。アグラワル氏によると、純粋にビジョンを基にしたフルスタックシステムを構築したという。簡単な言葉にするとカメラだ。システムには2つのフォームファクターがある。D-210は小型から中型車両用に構築され、ドライバーと道路の両方を録画する内向きと外向きのカメラが特徴のデュアルダッシュカム。D-410は2サイドウィンドウビューを含めて360度撮影できる4つのHDカメラで、重量車に最適だ。

カメラは、急に割り込まれても正確に減速し前方の車と距離を空けられるドライバーから、メールを打つことに気を取られたドライバーまで何でも捉える。クラウドに接続したデバイスが車両に搭載され、デバイスのエッジでリアルタイムでコンピューティングを行う。ドライバーは「運転に集中していません」「減速してください」などのフィードバックや自動提案を受け取るのかもしれない。

「一番重要な点は、良い運転を追跡することです。それは当社がドライバーとの議論を変えたいと考えているからです」。アグラワル氏はいう。「ドライバーは罰せられることによく慣れており、ほとんどの場合、事が起きた後か顧客の苦情に基づきます。反対に、これは非常に積極的で前向きなのです」。

現在ドライバーへの報奨として、良い運転を続ける気になる、ちょっとしたドーパミン分泌を促す通知を行っている。ドライバーに授与されるドライバースターだ。これはポイント獲得を奨励し、仕事のための運転をゲーム化する試みで、ポイントはボーナスや他の報奨に換えられる。

「ドライバーはフリート企業の最大の資産です。これまでなら、フリート企業に最悪なドライバーが誰か尋ねたら、事故を起こし、顧客が文句を言ったドライバーを挙げたでしょう」。アグラワル氏はいう。「安全運転をするドライバーが誰か尋ねても、名前を言えない。しかし当社では事故を起こさなかったドライバーだけでなく、積極的に安全運転に取り組むドライバーも細かく特定しているため、フリート企業はそのようなドライバーに残留特別手当を設け、報奨金を与え、マネージャーやリーダー職に昇進さえることもできます」。

もちろん、ドライバーの行動にまつわるこのすべてのデータ収集にはもう1つ利点がある。アグラワル氏は彼の会社が1カ月分のデータでは7億ドル(約767億円)を集めたことについて、ドライバーのためのあらゆる潜在的なシナリオを特定するために分析している。そしてそれはすべてエッジで行われている。それにおける、またそれ自体の実験である。

「自動運転への投資は確かな可能性ですが、今の当社の関心事項ではありません」。アグラワル氏は述べる。

シリーズCラウンドはソフトバンク・ビジョン・ファンド2によりリードされた。既存の投資会社であるPoint72 VenturesとM12もラウンドに参加し、ネトラダインの資金調達総額を1億9700万ドル(約215億円)にまで増やした。アグラワル氏はTechCrunchに、年末までの目標収益を1億ドル(約109億円)とすると話した。

画像クレジット:Netradyne

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化推進

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化を推進

AI開発に欠かせないアノテーション作業の高速化を行うFastLabel(ファストラベル)は7月29日、中⼩企業向けエッジAIシステムを提供するフツパー(Hutzper)と7月より協業し、システム連携を開始すると発表した。高速アノテーションとエッジAI技術を組合せることで、目視検査業務の効率化を目指す。

FastLabelは、AIの機械学習に用いられる「教師データ」作成に必要なアノテーション(データに関連するメタデータを埋め込む作業)の高速化を行っている。AIの産業利用では、教師データの不足や品質の低さで十分な性能が発揮できず、「実用化のボトルネック」になっているという。「AI開発を10倍速くする」をミッションとするFastLabelは、教師データの作成、分析、管理を効率化し、精度を向上させるアノテーションプラットフォーム「FastLabel」を開発・提供している。

一方、フツパーは、「はやい、やすい、巧い、AIを」をミッションに、目視検査業務を効率化する画像認識エッジAI特化型SaaS「Hutzper Insight」(フツパー・インサイト)と、画像認識AIモデル開発「Hutzper Vision」(フツパー・ビジョン)を開発・提供している。どちらも2020年設立の新しい企業だが、大手から中小まで、国内の企業に貢献している。

この協業では、両社の技術を組み合わせて、データアノテーションをエッジAIの運用オペレーションに組み込み、継続的に教師データの蓄積が可能となる機械学習基盤MLOpsを構築する。MLOpsは、機械学習用のDevOpsといった意味合いで、「機械学習」(ML。Machine Learning)とソフトウェア分野における継続的な開発手法「DevOps」を組み合わせた造語。

具体的には、フツパーの技術で認識した画像データをFastLabel側に連携し、アノテーターによるアノテーション完了後のデータをリアルタイムでフツパー側に連携するというものだ。アノテーションの難易度やデータ量に応じて、内部で処理するか、外注するか、両方を組み合わせるかが選べるという。

フツパー代表取締役CEOの大西洋氏は、「FastLabelと連携することにより、弊社のはやい・やすい・巧いAIがさらに速くなりました」と話している。今後も、エッジとクラウド間での「AIモデルの最適運用」を追究していくとのこと。

またFastLabel代表取締役CEOの鈴木健史氏は、「両者の強みを活かして製造業へのAI導入をさらに加速させていきます」と述べている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:アノテーション(用語)エッジAI(用語)エッジコンピューティング(用語)MLOps(用語)機械学習 / ML(用語)製造業(用語)DevOps(用語)FastLabel(企業・サービス)フツパー(企業)日本(国・地域)

ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:衛星コンステレーション(用語)エッジコンピューティング(用語)カーボンニュートラル(用語)GEO / 静止軌道(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)耐量子計算機暗号 / PQC(用語)テラヘルツ波(用語)ドローン(用語)ネットワーク(用語)HAPS / 成層圏通信プラットフォーム(用語)HAPSモバイル(企業)Beyond 5G / 6G(用語)5G(用語)量子暗号(用語)量子暗号通信 / QKD(用語)量子コンピューター(用語)LEO / 地球低軌道(用語)日本(国・地域)

既存防犯カメラで来店客の店内行動を解析可能なエッジAI端末を提供する「AWL」が20億円調達

エッジAIカメラで来店客の店内行動を安価に解析する北海道大学発スタートアップ「AWL」が20億円調達

実店舗での客や従業員の動きを分析し、生産性の向上と業務の効率化に寄与するエッジAIソリューションを提供するAWL(アウル)は6月2日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額20億円の資金調達を発表した。引受先は、楽天キャピタル(楽天グループCVC)をリード投資家に、i-Lab4号投資事業有限責任組合、サツドラホールディングス、中国電力。累計調達額は26億6000万円となった。

AWLのエッジAIカメラソリューションは、画像処理端末「AWLBOX」を中心に構成されている。エッジAIとは、クラウドサーバーではなく端末の近くでAI処理を行うシステムのこと。AWLBOXの場合であれば、大容量になりがちな店舗内の撮影映像データをクライド側に送る必要がなく、クラウド側には個人を特定しない形で年齢・性別などの匿名化データのみが保存される。またこれにより、来店客のプライバシーを守ると同時に、個人情報を不用意に設置企業側社内に置くことがなくなる。AWLBOXは、来店客の属性分析、売り場や商品棚への立ち寄り、商品接触などの店内行動、さらに従業員の業務や働き方を可視化して分析することで、生産性と効率性の向上に役立てることができる。

AWLBOXは、店舗にすでに設置されている防犯カメラなどを利用して画像処理を行えるので、カメラを新設する必要がほとんどない。対応するカメラは2021年5月末時点で1万500種類。同社によれば「類似サービスと比較して1/10程度の費用感での導入が可能」だという。

現在、「数百店、数千店舗を展開するチェーンストア数社」も導入を検討しているとのこと。また、宿泊施設、交通機関、工場、建設現場といったさまざまな空間でのAI解析による可視化サービスも本格的に着手している。

AWLは、2016年に設立された(当時の社名はエーアイ・トウキョウ・ラボ)、北海道大学発のスタートアップ企業。世界17カ国から映像解析、機械学習、SaaSビジネスなどに優れた人材を集め、その多様性と技術力でAIの社会実装を目指している。今回調達した資金は、AWLBOXシステムと、小規模店舗向けのAWL Lite(ライト)の新機能開発、映像解析および機械学習技術に関する研究体制の拡充強化に使われる。また、事業拡大に向けた人材採用、大規模導入に対応するオペレーション・サポート体制の強化、映像解析技術を応用した新規事業開発も進めてゆくという。

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ホンダとベライゾンがドライバーの安全性向上に5Gとエッジコンピューティングの活用を検討

Honda(ホンダ)とVerizon(ベライゾン)は、5Gとモバイルエッジコンピューティング(MEC)が、現代のコネクテッドカーと将来の自動運転車の安全性向上にどう役立つかについて検証を行っている。

米国時間4月8日に提携を発表したこの2つの企業は、ミシガン大学にあるコネクテッドカーと自動運転車のための試験場Mcity(エムシティー)で、さまざまな安全シナリオを試験中だ。このベンチャーの目的は、5G接続とエッジコンピューティングの組み合わせをどのように使えば、自動車、歩行者、道路インフラ間の高速通信が可能になるかを研究することにある。要するに、高速通信により、衝突や危険を回避してより安全なルートを自動車が判断できるようにすることだ(TechCrunchはVerizonのVerizon Mediaの所有している)。

5Gのテストは、まだ予備研究の段階であり、ホンダはこの新技術を使った機能を製品に実装する予定はない。Verizonは、2021年中に少なくとも4つの都市で5G対応車の公道テストを計画していると、同社技術開発上級マネージャーでありこのプロジェクトのリーダーの1人Brian Peebles(ブライアン・ピーブルス)氏は話している。

この提携事業は、ホンダが2017年から開発を進めているSAFE SWARM(セーフスウォーム)車載AI技術の上に成り立っている。これには、C-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)通信が利用されている。その名が示すとおり、C-V2Xは、クルマとその他の道路利用者との通信を行うための標準技術だ。

以前にも、DSRC(Dedicated Short Range Communications)という同様の通信技術があったが、これは基地局を介してクルマ同士の通信を行うというものだった。一方、V2Xと5Gの組み合わせには、デバイス間の直接通信が可能になるという優位性がある。もちろん、FCC(米連邦通信委員会)も承認している。

「そもそも、V2Xは車両同士が対話をするものです」と、ホンダ先進技術研究部門の研究グループリーダーEhsan Moradi Pari(エサン・モラディ・パリ)博士はTechCrunchに話してくれた。「車両は、互いに現在位置、速度、その他のセンサー情報を提供し合い、各車両は他車との衝突しないかどうかといった脅威の査定を行います。この(5GとMECという)技術により、私たち全員が自身の情報をネットワークに提供することで、事故の恐れがないかどうかをネットワークが教えてくれるようになります」。

ホンダとVerizonは、この技術なら車載コンピューターよりもずっと速く通信を処理できるという前提に立っている。クルマに搭載されている非力なコンピューターにネットワーク処理を任せるのではなく、コネクテッドカー、歩行者、道路インフラで生成された情報を5Gネットワークに送信する。そうして、ネットワークのエッジで(つまりクラウド内ではなく)コンピューター処理をリアルタイムで行わせる。

センサーとソフトウェアに依存した車両では、ドライバーが何かにぶつかりそうになったと感知してからブレーキをかけることになるが、MECの場合は道路のずっと先で何が起きているかを確認しコミュニケーションをとることで、ほぼ未来を予測できる。そこが利点だ。

ピーブルス氏によれば、通信速度は際立っており、Verizonの5GネットワークからMECとの間の往復の遅延テストでは、50ミリ秒以下という成績が得られたという。

Verizonとホンダがテストを行った安全シナリオには、信号無視もあった。彼らは、スマートカメラ、MEC、V2Xソフトウェアからのデータを使うことで、赤信号を無視して突っ込んでくる車両を感知し、視覚的な警告メッセージをその交差点に近づきつつある他の車両に送ることに成功した。同様のシナリオを用いて、建物の陰に歩行者が隠れていることや、大音量で音楽をかけていてサイレンが聞こえないドライバーに緊急車両の接近を知らせるテストも行った。

「すべての道路利用者間の確実なアルタイム通信は、自動運転環境に極めて重要な役割を果たします」とパリ氏。「こうしたネットワーク接続を用いた安全技術により、潜在的な危険をはらむ状況をリアルタイムで感知し、ドライバーや自動運転システムに警告を発することが可能になります」。

この研究の初期段階には、人が運転する車の安全性を向上させる技術も含まれているが、ホンダとVerizonの提携関係は、将来の自動運転車の5G利用に向けた下地を作ることになる。このテストでコネクテッドカーの安全性が証明されたなら、やがてはより効率的なネットワークが生み出され、交通渋滞の緩和と、ひいては大気汚染の減少につながっていくはずだ。

「私たちの第1の目的は、クルマの安全と人の安全の向上です」とピーブルス氏はTechCrunchに語った。「米国内だけでも、年間4万2000人以上が交通事故で亡くなり、200万人が怪我をしています。人間が運転する時代から進化するためには、テクノロジーの重要性はさらに高まります。その移行は、安全で総合的なやり方、つまりすべてのものが協調して動くとった方向で進めなければなりません」。

現在公道で走行テストが行われている自動運転車は、5Gもエッジコンピューティングも必要としないものだ。自動運転車のメーカー各社も、5Gの可能性に注目しているが、彼らは今の技術をベースに車両を開発している。

5GとMECの組み合わせには、課題もある。これほどのレベルの相互接続性は、ハイウェイ全般と、すべての交差点にセンサーを配置して初めて機能する。5G対応の車両やデバイスは相互通信が可能だが、歩行者や道路インフラとコミュニケートするためには、スマートカメラがそれらの存在に気づき、その情報をネットワークで共有できなければならない。しかも、センサーは完ぺきではない。

これには巨大なインフラ投資が必要であり、さらに、必要なあらゆるセンサーの設置には、州、都市、地方自治体の住民の支持と協力が欠かせない。だが、1つのユースケースとして中国に目を向ける人もいるだろう。中国では、5Gネットワークへの早急な移行を国策にしており、同国の多くの自動運転車メーカーは、開発には、5G通信と高度な計算能力が極めて重要であることに気づいている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:HondaVerizonエッジコンピューティング自動運転5G

画像クレジット:Verizon

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

多拠点データの一元管理・AI解析プラットフォーム「Wisbrain」を提供するUltimatrustが3.4億円調達

多拠点データの一元管理・AI解析プラットフォーム「Wisbrain」を提供するUltimatrustが3.4億円調達

多拠点データの一元管理・AI解析プラットフォーム「Wisbain」を開発・提供するUltimatrust(アルティマトラスト。旧ジーマックスメディアソリューション)は4月5日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額3億4000万円の資金調達の実施を発表した。引受先は、リードインベスターのAbies Ventures Fund I、大日本印刷、山田俊一氏。

調達した資金により、工場・物流・鉄道・空港・農業など様々な分野において、高セキュリティかつ高精度のAI解析が可能な多拠点一元管理「Wisbrain AI監視カメラ」、より導入しやすい「AI-SHOT」を販売するとともに、初期投資を抑えた月額課金型料金プランの導入を促進する。1兆円近い市場規模の監視カメラ市場をターゲットに展開するという。また販売チャネル強化を目的に販売代理店の増強も目指す。

多拠点データの一元管理・AI解析プラットフォーム「Wisbrain」を提供するUltimatrustが3.4億円調達

Ultimatrustは、2015年設立以来「IoTからIoFへ~モノが繋がる時代から機能が繋がる時代へ~」をミッションとし、Wisbainを開発してきた。Wisbrainは、監視カメラなど多拠点・多デバイスからのデータを一元的に管理し、高精度AIにより解析が可能なシステムを短期間で構築できる、汎用的かつ拡張性のあるプラットフォームという。

例えば、空港や交通インフラ、複合商業施設、河川・沿岸監視、工場などの大規模施設や、拠点数やデバイス数が多く、正確性や精度が求められるような様々な分野に利用可能としている。また、各用途別のソリューションの拡充を図っているそうだ。

今回発売するWisbrain AI監視カメラは、Wisbrainプラットフォーム上で、監視カメラシステムを短期間・低価格で導入することを可能にし、導入後の保守も容易にするシステムという。

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ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

ワンストップでの現場実装と課題解決「映像エッジAIソリューション」を提供するEDGEMATRIX(エッジマトリクス)は3月23日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円を資金調達を実施したと発表した。引受先は、NTTドコモ、清水建設、SONY INNOVATION FUND (ソニー設立のCVC)、DGベンチャーズの4社。2019年8月のシリーズAにおける約9億円を加え、累計調達額は19億円となった。

2019年4月設立のEDGEMATRIXは、「映像エッジAI」のインフラ製品からプラットフォームサービスをエンドエンドに提供し、現場実装までをワンストップで提供できる体制を整えたスタートアップ企業。

調達した資金により、高精細映像などを現場(エッジ)でリアルタイムにAI処理するデバイス「Edge AI Box」新機種追加、「EDGEMATRIXサービス」新機能開発を行い製品サービスをさらに強化する。また、スマートシティやスマートビルディングにおける各種センサーとの連携開発を行うとともに、道路・鉄道などの公共施設や医療・福祉施設を含む社会インフラへのソリューション提供拡大、製品引き合いが増えているアジア市場から海外展開を加速する。

DGEMATRIXのEdge AI Boxは、街やビルを見守るIPカメラ映像などを現場でAI処理し伝送できる屋内と屋外用小型デバイス。深層学習ベースのAIなどの高速計算処理を行うNVIDIA製GPUとWiFi・LTE・5G通信モジュールを搭載し、カメラ接続などの豊富なインターフェイスを備えている。

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

EDGEMATRIXサービスは、現場設置の「Edge AI Box」からエンド・ツー・エンドで映像エッジAIを統合管理するプラットフォーム。デバイスの遠隔管理、設置場所を地図表示(マップビュー)する状態管理、現場からのAI処理済映像をブラウザーに多数同時表示する「エッジビュー」などのサービス管理、AIアプリケーションの配信・管理、パートナーが開発した汎用AIアプリケーションを選択購入できる「EDGEMATRIXストア」を提供している。

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

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顧客は、ストアアプリから月額課金のAIアプリを選択するだけで「映像エッジAI」を開始可能という。また、自社でAIアプリを開発する場合は、「EDGEMATRIX Platformサービス」によりプラットフォーム機能だけを利用できる。短時間で効率的な開発を行うための技術文書や画像処理用のソフトウェア開発キット「EDGEMATRIX Stream Toolkit」も提供している。

映像エッジAIソリューションでは、現地調査に始まり、顧客からの要望に応えるカメラ、周辺機器、AIアプリケーション調達や開発、設置工事、設定調整に至る「映像エッジAI」の現場実装と課題解決をワンストップで提供する。

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IoT・M2M関連のアプトポッドが8億円を調達、エムスリーと遠隔医療・ヘルスケア領域の協業も

IoT・M2M関連のアプトポッドが8億円を調達、エムスリーと遠隔医療・ヘルスケア領域の協業も

アプトポッドは3月15日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当および融資による総額約8億円の資金調達を発表した。引受先は、DBJキャピタル、みずほ証券プリンシパルインベストメント、エムスリー、きらぼしキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル。借入先は日本政策金融公庫。またエムスリーとは、遠隔医療・ヘルスケア分野への技術において、アプトポッドの技術の適用やサービス開発などを視野に協業を行う。

調達した資金は、以下投資・活動を行い、さらなる成長加速を目指す。

  • 急増するDX需要に向けた対応体制強化
  • 新製品開発などハードウェア事業の強化拡大
  • 遠隔医療・ヘルスケアといった新規分野進出のための研究開発
  • アプトポッドが開発したプロトコルの標準化活動など、自社プラットフォーム技術の啓蒙促進
  • アフターコロナ時代におけるグローバル展開準備

アプトポッドは、自動車分野、建機・重機・農機などの産業機械分野、ロボティクス分野を中心に産業IoTミドルウェア「intdash」(イントダッシュ)を核としたプラットフォーム製品・サービスを展開。intdashは、2018年のリリース以来、製造業を中心に約30社における50以上のDXプロジェクトで採用されているという。

IoT・M2M関連のアプトポッドが8億円を調達、エムスリーと遠隔医療・ヘルスケア領域の協業も

今後同社は、5G時代の高度なデータネットワーキングおよびプロセッシングの需要を見据え、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティングなどのあらゆるデータ処理ネットワークを構築するためのプロダクト開発と提供を目指している。

直近では、ハードウェア事業としてエッジコンピューティングブランド「EDGEPLANT」(エッジプラント)をリリースするなど、5G時代のDXに包括的に貢献するための総合的な製品・事業展開を行っている。

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2006年12月設立のアプトポッドは、産業IoTにおけるファストデータ(高速時系列データ)のスペシャリストとして、IoT・M2Mにおけるセンサー・ハードウェア技術、クラウド技術、グラフィカルなユーザーインターフェイス技術まで、ワンストップのテクノロジーを有するIoTソフトウェア・サービス企業。産業シーンにおける高速で大量なデータの収集、伝送、高度なリアルタイム処理、イベント処理を実現する包括的なフレームワークを提供している。

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中⼩企業向け検品・検査⼯程用エッジAIをサブスクで提供するフツパーが約1億円を資金調達

中⼩企業向け検品・検査⼯程用エッジAIをサブスクで提供するフツパーが約1億円を資金調達

中⼩企業向けエッジAIシステムを提供するフツパー(Hutzper)は1月20日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約1億円の資⾦調達を発表した。引受先は、ANRI、広島ベンチャーキャピタル、GA投資組合、ちゅうぎんインフィニティファンド、East Venturesの5社。

同社は、2020年4月創業時より提供している画像認識用エッジAI「Phoenix Vision」と、AI導⼊後の継続⽀援を行うシステム(SaaS)「Phoenix Insight」を展開。食品など、関⻄エリアの製造現場での検品・検査⼯程の⾃働化を中心に導⼊が進んでいるという。今回調達した資⾦は、Phoenixシリーズのさらなる機能開発や導⼊企業の拡⼤、またエンジニア職、セールス職などの採⽤強化を早急に進めていく予定。

2020年4月創業のフツパーは、「最新テクノロジーを泥臭く⺠主化する」というミッション掲げ、製造業向け画像認識エッジAIサービスをサブスクリプション形態で提供するスタートアップ。社名のフツパー(Hutzper)は、ヘブライ語の「חוצפה」(英語:Hutzpah)を基としており、日本語で近い表現は「⼤胆さ、粘り強さ」となるという。ガッツあふれる「フツパー」な創業メンバーからHutzpahのつづりをHutzperに変えて社名にしたそうだ。

フツパーの黒瀬康太氏によると、ハードウェアに関してはNVIDIAや沖電気などの汎用製品を利用。顧客の環境に合わせて採用しているという。これに同社AIを組み合わせて導入しているそうだ。

また、エッジAIに取り組む企業は同社以外にも存在しているが、AIの研究開発などに資金を集中的に投入していることから、大手顧客を対象とした高価なものになりやすいという。

黒瀬氏は、これに対して「はやい・やすい・巧い AIを。」をコンセプトとして掲げており、顧客に求められる水準を基にリーズナブルかつ現場で「使える」ものを重視しているとした。食品の外観検査など製造業における検品は人手不足が課題になっており、その解決を求めている中小企業が多いためだ。

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中小企業の場合多種多様な製品を手がけており、その業務に合わせて同社Phoenix Visionをカスタマイズする形で開発・導入を行っている。場合によっては、半ばフルスクラッチに近いこともある。しかしそれでも、同様のことを行っている企業およびシステムにおける価格帯の中でも安価という。黒瀬氏は「初期費用なし、またサブスクリプションモデルにより安く提供して、導入数を増やしている」と明かした。

また導入時点から人件費より安価になることを重視しているそうだ。中小企業にとって、検品業務は売り上げ増加に直接関連するものではなく、AIが関わるプロジェクトが人件費より高額となる場合、費用対効果を高めるため完全無人化などの必要が出てくる。しかし完全無人化しても、費用対効果を得るには数年がかりとなる可能性がある。

そのためフツパーは、顧客に対し「AI+人間」のハイブリッドを推奨している。例えば食品の検品の場合、従来3名で行っているのなら、AI+1名に切り替えるといった体裁だ。Phoenix Visionで高速に検品を行ってPhoenix Insightで不良品を指示し、1名の人間が取り除く作業を行うという流れを提案する。AIというとSFのようなイメージを持たれることもあるが、同社は「表計算ソフトやプレゼンソフトなどと同様に、AIもあくまで道具として使ってほしい」という。

中⼩企業向け検品・検査⼯程用エッジAIをサブスクで提供するフツパーが約1億円を資金調達

また、すでに画像認識AI技術はコモディティ化していることから、資金調達による人員増を行い、面を取りに行くこと(導⼊企業の拡⼤)を狙っている。黒瀬氏は、AIの機能よりも、SaaSのPhoenix Insight導入先において、表示方法・指示の出し方によって現場の方がどれだけ作業しやすくなるのか研究開発を進めたいとした。実際に現場に入り込まないと「良いシステム」「現場の役に立つシステム」に落とし込むのは難しいため、その分難易度は高いという。黒瀬氏は、「フツパーのR&Dは机の上ではなく、現場で行う」としていた。

同社は今後も引き続き、より多くの企業が⼿軽にAIやロボットを利⽤することで⼈⼿不⾜を解消できるような世の中を⽬指し、日本の産業や地域社会の発展に貢献していけるよう、「フツパー」の精神を持って事業拡⼤に取り組でいくという。

AI系スタートアップというと、著名企業や東京中心のイメージがあるが、同社は、製造業の多い関西や各地方の中小企業、その現場の課題解決に取り組むとしている。

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カテゴリー:人工知能・AI
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