Google、Android Wearを大幅アップデート。絵文字も手書き認識が可能に

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生まれながらのインターネット使いが大喜びしそうなニュースだ。これまで、自分が使いたい絵文字を見つけるのは非常に大変なことだった。この苦労を軽減しようと、Googleのスマートウォッチ用OSのAndroid Wearがアップデートを行ったのだそうだ。使いたい絵文字の大雑把な様子をスクリーンに描けば、Android Wear側で入力画像をスキャンして求められている絵文字を探し出すようになったのだそうだ。描いた絵文字(たとえばマルティーニグラス)に該当しそうな候補は複数表示され、その中からひとつを選んで利用することができる。

これは、本日開催されているGoogle I/Oにおいて行われているAndroid Wearのアップデートのアナウンス中に示された内容だ。新たなAndroid Wearでは、ローパワーモードにては白黒で表示することにより、情報を長い間にわたって表示するようなことができるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H

筋肉の動きを検知して、自動的に爪の出し入れが行えるDIYウルヴァリン・クロー

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昨年、ウルヴァrンの「爪」を作った人物の記事をご紹介したが、ご記憶だろうか。これをみて自分でもやってみたくなった人も多いはずだ。

本日ご紹介するのは、上の記事のものからすると「発展型」とも言えそうなものだ。迫力は(残念ながら?)薄れたように見えるが、しかし見るものを圧倒するギミックが搭載されている。筋肉の動きを検知して、自動的に爪が飛び出すようになっているのだ。

実のところ、腕の曲げ伸ばしを検知するセンサーがこのプロダクトの肝の部分だ。

センサーはMyoWareと名付けられ、展開中のKickstarterキャンペーンで既に目標額を調達している。

パッドを貼り付けて腕を曲げ伸ばしすれば、MyoWareが腕を曲げているのか伸ばしているのかを検知する(力の入れ具合も検知することができる)。仕組みとしては筋電計と同じだ。筋肉の動きをデジタル信号に変えて、これをArduinoに伝える。そしてプログラムやハードウェアなどに信号を送って思い通りの動作をするというわけだ。もちろん上のデバイスでは爪を飛び出させるという動きを行うようになっている。

MyoWareを開発したAdvancer Technologiesは、Makezine.comで作り方を詳細な作り方を公開してくれた。もちろん、デバイスの3Dプリント用データも公開されている。すぐにでも製作にとりかかることができるわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

老舗黒板メーカーとカヤックが生み出した新しい黒板「Kocri」はiPhoneとApple TVを利用

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政府が発表している「 世界最先端IT国家創造宣言工程表(2014年6月改定)」によると、教育環境のIT化に向け、2019年をめどに電子黒板の導入が進められているのだとか。

2014年6月に日本教育情報化振興会(JAPET)が発表した調査結果によると、電子黒板が学校に1台以上あるというのは全体の75.3%。それなりの普及率にも見えるが、全教室に設置しているというのはわずか4.6%(全教室に設置、全教室と特別学級への設置の合計)という数字。製品価格の高さが導入のボトルネックになっているという。

じゃあ手っ取り早く電子黒板の良さを取り入れるにはどうすればいいのか? 愛媛県にある1919年設立の老舗黒板メーカーであるサカワが出した回答は、既存の黒板と既存のガジェットを組み合わせるというものだった。同社は5月20日、カヤックとともに新しい黒板システム「Kocri」を発表した。

Kocriは画像ファイルや動画ファイルなどの教材を用意し、iPhoneに転送。その内容をApple TVにミラーリングし、さらにプロジェクターを通じて黒板に投影するという仕組みだ。まずは以下の動画をご覧頂きたい。

 

実際の授業では、アプリを通じて黒板に図形や五線譜などを投影。投影された図形に、チョークでの板書を継ぎ足すようなかたちで使っていく。投影には専用のアプリを利用。料金は5000円を想定するが、5月22日までに申し込めば無料になる。なお実際の提供は7月頃を予定している。

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サカワでは、カヤックとともに「みらいのこくばん」プロジェクトというものを進めてきた。その様子はTechCrunchの姉妹サイトであるEngadgetなんかでも紹介されている。Kocriはこのプロジェクトで得られた知見も数多くフィードバックされているそうだ。

現在Kocriのサイトでは前述のアプリの無料提供キャンペーンに加えて、機材一式の無料貸し出しも実施している。こちらの貸し出しも7月からスタートする予定だ。

Apple、やっとiPhone用Lightningドックを発売

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Appleがやっとユーザーの要望に応えた。以前から望まれていたLightningコネクタのiPhone用の公式ドックがついに発売された。このドックはiPhone 5以降、iPhone 6と6 PlusまでLightningコネクタを備えたすべてのiPhoneをサポートする。また従来のドックとは違って今後の新型iPhoneにも使えるはずだ。

これまでドックがそれぞれのiPhoneの筐体の形に合わせた凹みにはめ込むスタイルだったのに対して、新型ドックはLightningコネクタのピンがドックの上面に突き出たデザインなので、特定の筐体形状に制約されずにすむ。

新ドックの販売価格は、アメリカのApple Storeでは39ドルだが、国によって異なる(日本のAppleストアでは本体価格4500円)。ドックの本体は白いプラスティックの角丸の長方形だ。ドック上面のLightningピンに直接iPhoneを挿すデザインはケーブル接続に比べて破損の可能性が少ないだろう。

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新型Lightningドックの背面にはデータ交換と充電用のLightningポートと音声出力用のステレオヘッドフォンジャックが設けられている。iPhone用ステレオヘッドフォンを接続した場合、ボリュームと再生/停止の操作をサポートする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

E-inkディスプレイ搭載のYotaPhone、アメリカデビューに向けてIndiegogoキャンペーンを実施中

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ちょっと変わったスマートフォンに興味がある人は、ぜひIndiegogoのキャンペーンをチェックしておくべきだろう。スマートフォンにE-inkによるセカンドスクリーンを搭載するYota Deviceが、アメリカデビューのためのクラウドファンディングを開始したのだ。OSはAndroidで、この2画面スマートフォンの名前はYotaPhone 2という。

YotaPhone 2についてはTechCrunchでも何度も取り上げている。本誌記者のDarrell Etheringtonは「本物の驚きを感じさせてくれるデバイス」と称している。省電力のE-inkをセカンドディスプレイとして搭載することで、スマートフォンにおける「読む」という行為に革命をもたらすデバイスだとの評価だ。

YotaPhone 2に搭載されているディスプレイは2つで、ひとつはふつうの5インチAMOLEDディスプレイだ。異色なのは背面に搭載された4.7インチのE-inkディスプレイだ。E-inkの側もタッチスクリーンとして動作する。カラー画面に表示した内容を、常にオンにして利用できるリアスクリーン側に転送する機能も備えている。おしゃれなコンテンツがあれば装飾として表示しておけるし、もちろん何度もチェックするための情報表示としても有用だ。今夏には、Android 5.0となるLollipopにも対応する予定であるとのこと。

YotaPhone 2のアメリカデビューもまた、今年の夏を予定している。以前からいわれていた通り、まずはIndiegogoにてプレオーダーを受け付けることとなった。早期割引価格が500ドル(出荷時期は8月)でのスタートとなっている。目標調達額は5万ドル(訳注:訳出時、既に目標額の131%を調達済)で、集めた資金はアメリカ国内で販売するのに必要な認証作業のために用いるのだとのことだ。

通信キャリアからのOEM販売が望めないようなケースでは、クラウドファンディングによるプロダクトリリースは有用な試みであると言えるだろう。YotaPhoneがナンバーワンの人気を集めるようなことはあり得ないだろうが、しかしニッチに訴えかける魅力はもったデバイスであるとは思う。E-inkディスプレイの搭載を非常に便利だと感じるユーザー層は確かに存在するはずだ。

予定されているLollipop対応に伴い、YotaはYotaFitness、YotaRemote、YotaNotes、あるいはYotaSportsといった機能を実装し、さらにYotaHub、YotaCover、およびYotaEnergyといったサービスを提供することのなっているそうだ。また、Facebook、Twitter、Instagramなどのウィジェットも搭載予定で、さらにYotaPhone 2の機能を活かそうとする、BookMate、StayTunes、Psy(x) Audio、MusixMatch、Everypost、およびInstantなどのパートナーとの話もいろいろと進んでいるらしい。

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(翻訳:Maeda, H

視線追跡機能付きVRのFOVEがKickstarterキャンペーンを開始

FOVE」(フォーブ)はOculus VRのようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)に視線追跡機能を付加したものを開発している日本発のスタートアップだ。今回のKickstarterキャンペーンに伴い FOVEについてアップデートしておこう。

fove FOVEは仮想現実(virtual reality, VR)の第3世代といわれている。第1世代はユーザーを受動的な仮想空間へと導いた。 第2世代はハンドセットとモーションセンサーを使ってユーザー側から仮想空間側への単方向の制御を可能にした。第3世代は視線追跡機能を使ってユーザー側と仮想空間側の双方向の制御が可能となった。従来のOculus Riftなどのヘッドマウントディスプレイで3次元空間内を見るとき、奥行きがわからないという問題があった。例えば、ヘッドマウントディスプレイで3次元ゲームをするときにマウスで位置をポインティングする場合、マウスは元来2次元平面上の位置をポインティングするためのデバイスなので3次元の奥行きを ポインティングするときには困るわけだ。手前の物体を選択するのか、奥の物体を選択するのかに困る。 FOVEは視線追跡機能でこれを可能にしたヘッドマウントディスプレイである。ロンドンのMicrosoft Ventures Londonアクセラレータープログラムに採択されたり、3次元ゲームや医療での利用について熱い視線を受けている。

fove3エンジェル投資家と東京大学の産学連携施設「Intellectual Backyard」からプロトタイプが作れる程度の数千万円の資金を調達して開発を進めていたが、今回5月19日から25万ドルの資金調達を目指して349ドルの予約販売価格にてKickstarterで募集を開始する。

 

小島由香CEO・共同創業者は「我々の視線追跡機能は非常に繊細なユーザーの視線を読み取ることが可能で、それを仮想空間でのユーザーの意図や感情としてうまく変換することができる。この追加認識により、仮想空間内のオブジェクトを制御するだけでなく、人間と仮想空間とのコネクションをよりリアルなものにすることができ、多くのオーディエンスに資する一つの継目のない体験に仕上げることができた」とコメントしている。

ロックラン・ウィルソンCTO・共同創業者は「我々は視線追跡機能、方向センシング、ヘッドポジショントラッキングを最先端のディスプレイに融合することができた。ゲームの他にも我々は学校や研究機関と連携し、アイプレイ(目によるピアノ演奏をする)プロジェクトで身体障害者でもピアノを弾くことを可能にした」とコメントしている。

fove2FOVEは2015年Q3に開発者向けキットを出荷する予定。 FOVEプラットフォームはUnity、 Unreal、 Cryengineとコンパチブルとなっている。開発者が既存のコンテンツに難なくFOVEエコシステムを導入でき、また安定したサポートを提供する。Kickstarterキャンペーンに伴い、 FOVEはVRコンテンツのホスティングサイト「Wear VR」とのパートナーシップも同時にアナウンスしている。 FOVEユーザーは、Wear VRのVR app storeにアクセスが可能となる。

日本発スタートアップであり、視線追跡機能をヘッドマウントディスプレイに付加した FOVEがOculus VRのつくり上げた市場にどこまで食い込めるか注目しよう。

Hiroki Takeuchi / POYNTER CEO Ph.D

一日をまるごと記録するウェラブルカメラ新型発表―Narrative Clip 2は199ドルで予約受付中

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Narrativeは装着者の一日をくりかえし撮影し続けるカメラのスタートアップだが、ウェブサイトで第二世代の製品の予約受付を開始した。

Narrative Clip 2のカラーバリエーションは赤、白、黒が用意され、今年9月に出荷予定だ。価格は199ドルで、現行モデルも149ドルのまま販売が続けられるという。

同社のウェブサイトによれば、現行製品の撮影間隔が30秒の固定であるのに対し、新製品ではユーザーが設定できるようになっているという。

Narrative Clip 2

また画素数も5メガ・ピクセルから8メガ・ピクセルに強化され、Wi-Fiチップを内蔵するようになった。ホットスポットが利用可能な場合、写真はバックグラウンドでNarrativeのサーバに自動的にアップロードされるので、ユーザーは専用アプリをモバイルデバイスで開くだけで写真を見ることができる。また各種のソーシャル・ネットワークで共有することも可能だ。

Narrativeによれば、一回の充電で30時間作動するという。カンファレンスやコンサートの記録にも十分な時間だ(誰かがカメラに気づき、文句を言ってこなければだが)。カメラのクリップは交換可能なので、カメラが市場に出るとサードパーティーからいろいろなユースケースに対応したクリップが提供されるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コンピュータを乗っ取る悪魔のUSBを作ったSamyがコンビネーション錠を数秒で開くロボットを開発

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文房具店で数ドルで変えるようなコンビネーションロックは難攻不落のセキュリティー手段というのにはほど遠い。しかしそれにしてもこれは驚きだ。このツールを作ったのは、その昔MySpaceに壊滅的打撃を与えたSamyウィルスの作者で、60秒でコンピュータを完全に乗っ取る悪魔のUSBネックレスその他の危ないガジェットを多数開発しているSamy Kamkarだ。

Samyは最近、コンビネーション・ロックを最大8回の試行で解錠する方法を編み出したが、このロボット解錠ツールはその応用だという。ロボットがロックを自動的に解錠するようすはビデオの27秒あたり。その後、メカの詳しい説明が続く。

〔日本版〕こちらは作動原理。このタイプの安価なコンボ・ロックがわずか8回の試行で開く理由を後カバーを切り取って解説。たいへん巧妙なメカニカル・ハッキングだ。

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ピープホール利用ドアカメラPeepleがKickstarterに登場(149ドルから)―誰が来たかをスマホで確認

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Peepleは玄関のドアのピープホール(覗き穴)に取り付ける小型のカメラとセンサーだ。誰かがドアをノックするとPeepleのカメラが起動し、ユーザーのモバイルデバイスにビデオ画像が送られる。共同ファウンダーのChris Chuterによれば、Peepleは「ドアの死角をなくすデバイス」だという。

他の似たようなドアカメラと違うユニークな点は、Peepleはドアの内側のピープホールを覆うように取り付けられるというところだ。取り付けが容易であるだけでなく、ドアを改造する必要がないので賃貸住宅でも問題なく利用できる。また巧みなメカにより、ピープホールから直接覗くことも簡単にできる。

Peepleは先ほどKickstarterに登録され、5万ドルの資金を集めることを目標としている。

Peepleはまたドアへのノック、ドアの開閉とをモニターし、モバイルデバイスにそのログを記録できる。Chuterの小さい子供たちがいつのまにか外に遊びに出てしまったことがこのデバイスを開発するきっかけとなったという。ドアが内側から開かれた場合でもPeepleはスマートフォンに通知を送ってくる。

Peepleはデバイスとしては非常にシンプルだ。既存のピープホールに小型の円形の箱をかぶせるだけだ。デバイスにはカメラ、加速度計、バッテリー、Wi-Fiチップが内蔵されている。

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誰かがドアをノックするとカメラが起動し、Wi-Fiに接続し、画像とタイムスタンプが Peepleのサーバーに送信される。そこからユーザーの指定するモバイル・デバイスにプッシュ通知される。誰かがドアをノックしたときだけ作動するので、バッテリーは6ヶ月程度もつという。

Chuterは昨年テキサス州オースティンで開かれたTechCrunchミートアップのPeepleのプレゼンを行った。この時点では地元のハッカソンでデバイスのプロトタイプを完成させたばかりだった。その後、ChuterはHighway1というハードウェア・アクセラレータの支援を受けることに成功し、さらにTechCrunchのハードウェア・バトルフィールドでデモを行った。デモの模様は下のビデオで見ることができる。

〔日本版〕Kickstarterへのプレッジは149ドルで本体1台が入手できる。適合するピープホールとのセットも用意されている。

Peeple’s Hardware Battlefield Presentation

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Apple、Touch IDセンサーで指の動きを読み取りナビゲーションに利用する特許を申請

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AppleはiPhoneとiPadに用いられているTouch IDセンサーをもっと広範囲に利用する計画らしい。今日(米国時間5/14)、アメリカ特許商標庁から公開された特許申請書でAppleは指紋センサーでユーザーの指の動きを検出し、その入力をナビゲーションに利用するシステムについて詳細に述べている。

指で画面を覆うことなく、iPhoneのホームボタンの上で親指を滑らすだけで文書のページをめくったり、画面をスクロールしたりできたら便利だろう。これは今回の特許から考えられる応用の一例にすぎない。Touch IDセンサーはiPhone 6と6 Plusですでに「簡易アクセス」を起動するために利用されている。しかし今日の特許申請はさらに高度な応用を想定している。

Appleはディスプレイのロックや表示方向の変更など特許の応用範囲を相当広く例示している。またマルチタスク・アプリ間の切り替えなど現在マルチタッチ・ジェスチャーによっている機能の一部もTouch IDによる指の動きの検出で代替させることができるとしている。

今回の特許申請では、さらにこのテクノロジーを利用して、Macなどのデバイスに指紋センサーを外付けし、上記のような機能をもたせることが提案されている。Touch IDを装備したスマート・マウスやトラックパッドのアクセサリなどの登場はすでに一部で予測されていた。

またこの特許では感圧タッチトラックパッドに用いられているハプティック・テクノロジーによって指紋センサー入力にフィードバックを与える方法が述べられている。この触覚的フィードバックは音によるフィードバックの代わりに、あるいはそれと同時に用いられ、指の動きが指紋センサーによって正しく認識されたか、認識が失敗したかを伝えてユーザーの操作を助けるものとされる。

この特許申請を発見したMikhail Avadyに敬意を表する。

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Lilyから自撮り用の手軽なドローン登場―ユーザーの周囲を自動飛行する

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自撮り棒の氾濫に顔をしかめている読者には悪いニュースかもしれない。自撮りの追求はさらにいっそう高度な領域へと進んでいる。

アルゴリズムによって予め決められた軌道を飛行して美しい動画を撮影する業務用ドローンのテクノロジーはもっと手軽な価格帯の消費者向け製品に応用され始めた。家族や友達の集まりで全員を残さず撮影するのに誰かが自撮り棒を振り回す必要がなくなりそうだ。

Lilyが狙っているのがまさにこのマーケットで、ファミリー向けガジェットのイメージを確立しようとしてロゴマークもニコちゃんマークに似せてある。 このロゴマークはドローン本体にも印刷されており、どちらが正面か識別しやすくすると同時に、ドローンが笑いかけているような印象を与える。

Lilyのドローンは1080p、60fpsまたは720p、120fps(スローモーション)で動画撮影が可能だ。ただしLilyが差別化を図っているのは動画の画質ではない。このドローンは防水なのでプールサイドでも使える。また離陸と同時にユーザーの周囲を円を描いて飛ぶように設定されている。

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飛行時間は20分なので、よいシーンが撮れそうなチャンスを選んで飛ばすようにしたほうがよいだろう。飛行時間自体は他の入門ドローンとそう変わらないが、Lilyのバッテリーは本体に密封されていて取り外しができないので、いったん電力を使い果たすと充電されるのを2時間待たねばならない。ピクニック先ではちょっと困ったことになる。.

Lilyのドローンにはミニ・コントローラーが付属しており、手動で飛行の制御もできるが、通常はこのリモコンはユーザーの位置を示すビーコンの役割を果たし、ドローンはオートパイロットで飛ぶ。リモコンにはマイクが付属していて周囲の音やユーザーの音声による説明などを録音することができる。手にもつのにちょうどよいサイズで、いちいち見ないでも親指で各種のコントロールができるし、ポケットにも入る。.

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Lilyのドローンは今朝からこのスタートアップのウェブサイトで先行発売されている。最初の一月はキャンペーン価格で499ドル、その後の定価は899ドルになるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの自動運転カー、6年間のテスト走行で遭遇した事故は11件

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Googleはずいぶんと長い間、自動運転カーの実験を行なってきている。20台以上の自動運転カーを使い、6年にわたって試験走行を行なってきたのだ。自動運転を行った距離の合計も100万マイルほどとなっている。走行実験はいまでも続けられていて、1週間毎に平均で1万マイルほどの走行距離を積み上げているところなのだそうだ。

自動運転カーについて、気になるのはやはりその安全性だろう。GoogleのChris Urmsonによれば、Googleの自動運転カーはこれまでに11件の「軽微な事故」に遭遇しているのだとのこと。詳細についてはMedium上のブログ記事として公開されている。Urmson曰く、遭遇した11の事故のすべてにつき、責任は自動運転カー側にあるのではなく人間の側にあるのだとのことだ。

自動運転カーのプロジェクトをスタートして6年以上になります。170万マイルにおよぶ自動およびマニュアル走行にて、11件の軽微な事故(負傷者はいません)に遭遇しました。ただし、自動運転カー自体の問題で事故が発生してしまったことは1度もないのです。

Urmsonは、もう少し詳しい情報も記している。11の事故のうち7つは、後ろから追突されたものであるとのこと。「信号待ち中がほとんどですが、フリーウェイ走行中のケースもありました」とのこと。また側面をこすられたり、停止指示を守らない車にぶつかられたケースもある」そうだ。事故のほとんどはフリーウェイではなく市街地道路で起こったものである。

社会的にも、自動運転カーの安全性については活発に議論されている。たとえば自動運転カーに被害を最小限に抑えるための回避行動を行うためのプログラムを実装すべきだといったような議論もある。すなわち人的被害が避けられないとき、乗員の少ない方の車を犠牲にする判断(いいかえれば積極的に殺す側を選ぶ判断)を行えるようにする必要があるという話だ。

このように自動運転カーの安全性についてさまざまな意見が出る中、Googleは人間の運転手の方こそ危険なのだと主張している。人間が運転をしているのならば、その運転手に(安全に)広告を提示することはできない。Googleが人類を運転から開放しようとすることは、Googleのビジネス拡大にも直接につながっているわけだ。そうした意味からもGoogleは自動運転カーの普及に積極的で、今後も人間が運転する車の危険性を主張し続けていくのだろう。

もちろん今回もUrmanは人間が運転することの危険性をデータで示そうともしている。運転中にモバイル端末をチェックする(人間)ドライバーも多いのだそうだ。常に注意を怠らない自動運転カーの方がはるかに安全であるという主張だ。

運転中に他のことに気を取られているドライバーはとても多いのです。アメリカの昼間についてみても、あらゆる瞬間に66万ものドライバーが運転中に携帯端末をいじっているのです。自動運転カーの場合は、常に歩道を歩く人に注意をはらっています。本を読みながら、ときにはトランペットを吹きながら歩行している人の動きをチェックしているのです。少なくともこの点については、自動運転カーの方が人間の何倍も安全に気を使っているといって良いと思います。視界は360度に広がり、すべての方向について常に100%の注意をはらっています。最新のセンサー技術により、他の自動車、自転車、歩行者につき、サッカーフィールド2面分の範囲でチェックすることができるのです。

Urmanは、運転パターン(車線変更、信号に対する反応の様子など)データなどを大量に収集することで、事故につながり得る危険な状況を予見することもできるようになるかもしれないと述べている。

膨大なデータから収集した情報で組み立てる自動運転カーの操縦アルゴリズムにより、自動運転カーはもらい事故さえも避けることができるようになるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

「世界の農業変える」日本発のガジェットSenSproutがIndiegogoに登場

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今年のSXSWで注目を集めた、日本発の農業ガジェット「SenSprout」がIndiegogoでキャンペーンを開始した。

SenSproutは、センサーを使って土壌に含まれる水分をモニタリングできるガジェット。双葉の形を模していて、根っこに当たる部分には導電性のインクで電子回路を印字。これが土の中に含まれる静電容量を測定する。この数値の変化によって、土壌の水分がわかる仕組みだ。葉っぱにあたる部分にも同様の印字があり、葉に含まれる水分を検知する。

電子回路の印字には、昨年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルで優勝した「AgIC」のプリント技術を採用。家庭用のインクジェットプリンターに、市販されているAgICの銀ナノ粒子インクカートリッジを装着するだけで、専用紙に電子回路を印字できる。(Indiegogoでは印字済みのセンサーがセットになっている)。

もう片方の葉っぱには、土壌と葉っぱに含まれる水分量を表すLEDライトを搭載。水分が足りなければ赤、ちょうどよければ青、多すぎる場合は緑に点灯する。給電は単3電池が1本のみで、約1年使えるという。今後は水分量をBluetooth経由で送信し、PCやスマートフォンでも水分量を確認できるようにするそうだ。

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土壌の水分を計測するセンサーは既存製品も存在するが、開発元であるSenSproutの三根一仁社長は、「センサーだけで約40〜50万円、大規模な農地に導入するとなると1000万円ぐらいかかることが珍しくない」と指摘する。

一方、SenSproutは印刷技術を使って電子回路を作れるため、価格は早割で1ロットあたり45ドルと、低コストで製作できるメリットがあるのだという。

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三根氏はスタートアップ支援を手がけるインスプラウトの社長でもあり、SenSproutには彼とともにネット家電ベンチャーのCerevoを立ち上げたメンバーが名を連ねる。

例えば、東京大学で特任研究員として農業を研究する西岡一洋氏、同じく東大で電子情報学を教える川原圭博准教授。両名が土壌の水分計測に関する基礎技術を研究していて、これをSenSprout社で製品化したかたちだ。

国内のクラウドファンディングではなくIndiegogoに出した理由は、「干ばつ被害が深刻な米国西海岸など、海外需要の高さを見込んだため」と三根氏。主な用途は家庭菜園やハウス栽培を想定しているが、今後は根が深い農作物が植えられた土壌の水分をモニタリングする“プロ仕様”のSenSproutも投入したいという。

「世界の生活用水の7割は農業に使われている。例えば食糧危機になって今よりも2倍の農作物が必要になったとしても、それをまかなえる水がない状況。SenSproutがあれば水の使用をもっと効率化でき、世界の農業を変える可能性がある。」

SenSproutの三根一仁社長

SenSproutの三根一仁社長

バージョンアップよさらば―Windows10のリリース以降、Windowsはサービスになる

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Windows 10でMicrosoftは新しいソフトウェアモデルに移ろうとしている。Microsoftのデベロッパー・エバンジェリストのJerry Nixonは先週シカゴで開催されたMicrosoft Igniteカンファレンスで「Windows 10はWindowsの最後のバージョン」だと述べた。Telegraphの記事によると、Microsoftの広報担当者も「Windows 10のリリース以降、これまでのような派手なイベントとしてのメジャー・バージョンアップは廃止され、日常的に漸進的な改良が続くことになる」と、この趣旨を確認した。

こうした動きは多くの人々のパソコンに高速で信頼性の高いインターネット接続が普及していく過程で必然的に起きた変化だといえる。多くのソフトウェア企業はすでにアプリケーションをインターネットを通じて連続的、恒常的にアップデートするようになっている。しかしデスクトップ・パソコンのOSの主要メーカーであるMicrosoftがこのモデルに完全に移行することを決断した影響はソフトウェア市場に大きな影響を与えるだろう。

ソフトウェアの販売にこのモデルをすでに採用している有力ソフトウェア企業も多い。たとえばAdobeはすべてのソフトウェア製品をひとまとめにして、Creative Cloudという単一のサブスクリプション契約でユーザーに提供している。ユーザーは定額の料金を毎月支払うことで常に最新のバージョンのPhotoshopやIllustratorなどのAdobeのアプリケーションを利用できる。Adobeはこれらのソフトウェアを利用して作られたファイルをクラウドに保存し、ユーザーの複数のデバイスで同期するCreative Cloudストレージなどのサービスを提供することでさらに利便性を高めている。

Microsoftは、特にサティヤ・ナデラがCEOに就任して以後、 ソフトウェア販売企業からサービス企業への変身を加速させている。Windowsを常にアップデートが続く一連のサービスに変えるという決断はMicrosoftの提供するプロダクトの価値を高めるために重要な動きとなるだろう。 また何年かに一度のメジャー・アップデートではなく、恒常的に改良を続けていくというモデルは社内の開発リソースの利用の最適化にも貢献するだろう。また新テクノロジーの速やかな採用にも有利に働く。

Windowsのサービス化によって販売モデルがどう変化することになるのか興味深い。MicrosoftではWindows 10が利用できるデバイスはWindows 10の公式ローンチ後、1年間に限って無料でアップデートできるとしている。もしMicrosoftが今後もOSから収入を得ようとするのであれば、Windowsは現在のOffice 365を拡張したより広汎なプロダクト・バンドルの一環となるのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

フィットネス・モニターのパイオニア、Fitbitが1億ドルで上場申請―ソフトバンクも大株主

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Fitbitは先ほど、証券取引委員会にS-1上場申請書を提出した。

この申請書によれば、ウェラブル・フィットネスデバイスのメーカーは上場によって市場から1億ドルの資金を調達する計画だ(この金額は今後変更される可能性がある)。上場先はニューヨーク証券取引所で、銘柄のティッカーシンボルはFITとなる。

Fitbitの販売累計は2080万台で、昨年1年で1090万台が販売された。その他明らかになった数字。

  • Fitbitの2014年の売上は7億4540万ドル。2013年の2億7110万ドルから大幅にアップ
  • 2014年末のアクティブ・ユーザーは670万人。2013年の同期は260万人
  • 2014年の純利益は1億3180万ドル。2013年は5160万ドルの赤字
  • Foundry Groupが28.9%の株式を保有。True Venturesが22.4%、SoftBankが5.6%(われわれのCrunchBaseによればFitbitの調達資金総額は8000万ドル)。

Fitbitは2008年のTechCrunch50カンファレンスで最初の製品、Fitbit Trackerを発表した。Fitbitは現在フィットネスとヘルス関連のウェアラブル・モニターを6種類販売している( これらのデバイスは歩数を計測して消費カロリーを計算したりする)。またデバイスと連動するウェブとモバイルのアプリを開発しており、バーチャル・コーチなど有料サービスも提供している。

申請書でFitbitはライバルとの競争が極めて激しいことを認めており、Appleウォッチの登場についても触れている。Fitbitは自社の優位点として知名度、製品の多様性、バッテリー駆動時間の長さ、センサーの信頼性、ウェブとモバイル・アプリの優れたユーザー体験、確立された販売チャンネル、マーケティングのノウハウなどを挙げている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Oculus Rift、いよいよ今年後半に予約開始、来年初めに市販―独自ゲームも開発中

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Oculus Riftはいよいよ消費者向けバージョンの出荷準備に入っている。だが消費者は製品を箱から取り出しただけではバーチャル・リアリティーの世界に入ることはできないようだ。

Oculusの共同ファウンダー、Nate Mitchellは現在ニューヨークで開催中のTechCrunch Disruptに登壇し、消費者向けOculus Riftが今年後半に予約受付を開始し、2016年の第1四半期に出荷される予定だと明かした。しかしOculusには「最新のコンピュータゲームをプレイできるパソコンが必要」だとMitchellは付け加えた。

Oculus Riftはモンスター級のゲームマシンが必要というわけではない。Mitchellは「クレージーなハイエンドマシンが必要なわけではない」という。今年のCESのプレスイベントのデモで用いられたマシンには市販価格600ドル程度のnVidia GTX 980グラフィックカードが用いられていた。

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価格についてMitchellは「われわれはできるだけ手の届きやすい価格にしたいと努力している」と語った。しかしハイエンドの体験を届ける製品であるため、昨年Oculusが開発に協力したSamsungのバーチャルリアリティーヘッドセット、Gear VRよりかなり高価になるのは避けられないようだ。

Mitchellは「われわれはVRを2つのカテゴリーで考えている。ハイエンドはRift、ローエンドははSamsung Gear VRのような製品だ」と述べた。Samsung Gear VRは200ドルで、これに表示用のスマートフォン(649ドルかそれ以上)を必要とする。

Riftの販売経路についてMitchellは小売店を重視しているとして次のように語った。「われわれはOculus.comで予約を受け付けることになるだろうが、販売チャンネルでは小売店舗が重要な役割を果たす。というのも、Riftの購入にあたっては店頭での試用が重要だからだ。着用してみなければ異次元の体験であることが実感できない。何千万という人々がRiftを購入するようになるためには実際に手に取って試すことができる店頭での販売が不可欠の要素になる」

Mitchellはそれ以上の具体的な話には踏み込まなかったが、司会のJosh Constine記者が「それではBest Buyのような量販店にRiftのトライアルコーナーが出現するのか?」と尋ねたとき満足気な笑みを浮かべたように思えた。.

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さいわいOculusでは消費者向けデモにも使えるようなクールなゲームをすでに開発しているという。Mitchellによれば、Oculusは密かに社内で独自ゲームを開発していた。 Oculusは小人数の開発チームよって 昨年デモが公開されたHero Boundを始め、いくつかのタイトルを開発している。また外部のデベロッパーとOculusが共同開発するゲーム、さらにはサードパーティーのデベロッパーがまったく独自にOculusプラットフォーム上で開発するゲームも順次登場するという。

しかしあまりに暴力的だったりユーザーに船酔いを起こさせるようなゲームが野放しになっては消費者を遠ざけてしまうだろう。

Mitchellによれば、少なくとも市販の当初は、Rift向けゲームの公開にOculusの審査、承認を必要とすることになるという。しかしOculusはエコシステムのオープンさを重視しており、サードパーティーがコントローラーなどの周辺機器を開発することを認めるという。

あとひと月に迫ったE3ゲーム・カンファレンスでOculusはさらに新しい発表とデモを行うはずだ。Oculusが長らくSFの世界の存在だった高品位のバーチャル・リアリティーを万人のものにする日が近づいている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple Watch出荷遅れの原因はタプティック・エンジンの部品の不具合によるものとWSJがスクープ

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Apple Watchは出荷が始まっているが、そのペースは予想より遅い。今日(米国時間4/29)、Wall Street Journalに掲載された記事によれば、この遅れの原因は主として、Apple Watchの〔ユーザーがタップすると振動してフィードバックを与える〕タプティック・エンジンの部品で、ある特定の納入業者からの製品に欠陥が発見されたことによるものだという。記事を書いた若林大介記者のツイート(下記)によれば、「これはリコールではない。われわれの知るかぎりAppleは欠陥のある製品を出荷していない。だがこの不具合のため、部品供給がタイトになっている」という。

この件に関してわれわれはAppleに取材したが、Appleは「憶測や噂にコメントしないのがわが社の確立された伝統だ」としてコメントを避けた。

先週のAppleの四半期決算発表では部品供給について特にコメントはなかったものの、CEOのティム・クックは「現在需要が供給を上回っており、解決に全力を尽している。しかし、われわれは先週末までに予定より多くのウォッチを出荷することができた」」と述べていた

出荷前に不具合が発見されたということであればユーザーはハードウェアの問題を心配する必要はないだろう。しかしこれほど人気の高い製品の出荷がスケジュールよりも大幅に遅れている原因が思いがけないところにあったことがわかったのは興味深い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソニーPlayStationのモーフィウスを試してみた―VRヘッドセットがいよいよ何百万の家庭に現れそうだ

2015-04-24-sonymorpheus

今週、私はPlayStationの研究開発上級ディレクター、Richard MarksからProject Morpheusと呼ばれるソニーのバーチャル・リアリティー・ヘッドセットのデモを見せてもらった。

デモは2回あり、最初のパートはヘッドセットの能力の概要がわかるイントロだった。表示された情景を見回すと、頭の動きを検知して情景も動く。またDualShock 4コントローラーのモーション・センサーとタッチパッドを使った入力を試した。ここではPlayStationのキュートなロボットたちを操作した。

ソニーのVRで優れているのは位置対応オーディオ機能だ。ゲーム内で音の出るアイテム、たとえば携帯電話を動かすと、ヘッドフォンから出る音がそれに応じて動く。

PlayStation Project Morpheus

Sony clearly understand the importance of sound when immersing a player in a scene.

2番目のデモは、伝統的なゲーム形式だった。最初のシーンではブロートーチを持った恐ろしげな男が出てきて脅し文句を言う。どうやら薄暗いガレージに閉じ込められているらしい。つづいてフラッシュバック・シーンになり、PlayStation Moveコントローラー(Wiiコントローラーに似ているが、PS4のカメラが正確に位置をトラッキングできるよう上部に明るい色のランプがついている)を握って古風なデスクの引き出しを開けるとピストルと弾倉がある。ちょっとしたパズルを解いてピストルをゲットすると、シーンは一転してアーケードの一人称シューティング・ゲームになる。私が今まで体験した中で最高に激しく、興奮させられるゲームだった。

このゲームではつっ立っていると敵の弾丸に当たりそうになる。私はデスクの陰に隠れた。普通のゲームならコントローラーを操作するところだが、私は中腰に伸び上がってデスクの上に顔を出して敵を確認した。ピストルの狙いをつけるクロスヘアは表示されない。その代わり、手にしたピストルのサイトを使って狙う。

ライバルのVRヘッドセットが強力なコンピュータや表示のためのスマートフォンを必要とするのに対して、ソニーのヘッドセットはPS4で駆動される。最新のPlayStation は基本的に2013年ごろの中位のゲーム・パソコンと同等の能力だから、パフォーマンスに何か問題が出るだろうと私は予想していた。Oculus Dev Kitも含めて、VRヘッドセットはPlay Stationに接続した場合より、GPUを搭載したパソコンに接続した場合の方がはっきり速かった。VRヘッドセットでは頭の位置のトラッキングにレンダリングが追いつかなかったり、フレーム落ちしたりすると船酔いのような吐き気のもとになる。

PlayStation Project Morpheus

The headset is bulky, but distributes its weight comfortably around the top of your head. You can also use any headphones you’d like.

しかし、VRシーンのサイズを小さくし、照明も巧みにレンダリングの負担を抑えるようにデザインされているせいで、PS4のVR体験は非常に快適だった。他のVRヘッドセットでは装着者が見ている情景を他の人が見ることができなかったり、あるいはステレオ視のための左右分割画像をそのまま表示したりするのに対してソニーはPS4が接続されたテレビにフルスクリーンで通常のゲーム同様に表示する。

最初のデモは毎秒120フレームでレンダリングされている。これは私が見た他のVRデモに比べて格段に高速だ。そのため動きは非常に自然で、PlayStation 4のカメラによる正確なモーション・トラッキングと合わせて極めて説得力のある快適なVR体験となっていた。

PlayStation Project Morpheus

I can see how it looks, but you don’t feel like an absolute dork as you play.

TechCrunchの同僚、Greg Kumparakが1年前に書いているが、PlayStationが5年も前からMoveコントローラーで積んできた経験は没入的環境の構築のために非常に大きな優位性をもたらしている。ValveとHTCのヘッドセットも両手に持ったコントローラーをトラッキングする方式で、まずまずの結果を出している。Oculusは専用のコントローラーが付属しないので、デベロッパー・コミュニティーはコントローラーや装着者の手をカメラで追うなどさまざまな方式を試している。しかしソニーの方式はこうした試行錯誤を一挙の飛び越して、標準的なVRコントロール・パッケージの地位を確立するかもしれない。コントローラーが一つであればデベロッパーは時間と資源を大いに節約できるわけだ。

一方でOculusは座ったままでゲームをプレイすることを主として考えているため、接続ケーブルはあまり問題にならない。しかしHTC ViveやソニーのMorpheusの場合、立ったり歩きまわったりする(もちろん限定された範囲だが)ため、ケーブルにつまづくという問題が起きる可能性がある。デモではMarksがケーブルを邪魔にならないように持ってくれた。HTCのViveのデモでは私はケーブルが足にからまないようにするハーネスを装着した。この問題がさして深刻なハードルになるとは思えないが、「VRゲームでケーブルに躓いて転ぶ」という事故が「WiiのコントローラーをTVに投げつけてしまう」という事故にとって代わるかもしれない。

2000万台以上のPS4がすでに家庭にあることを考えると、ハイエンド・パソコンを必要とするライバルに比べて、ソニーははるかに大きな潜在顧客層を持っていることになる。ソニーはMorpheusでこれまでのVRヘッドセットが持っていたハード、ソフトの問題点をほぼすべてクリアしたと感じた。最大の課題は、なんといってもコンテンツだ。ソニーが人気ゲームを揃えることができれば、VRヘッドセットが何百万という消費者の居間に現れることだろう。ソニーはMorpheusを来年出荷する予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

超音波で直腸の動きを検知、排泄タイミング予測デバイスでTriple Wが資金調達

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排泄タイミングのお知らせがスマホに表示されるIoTデバイスを提供しようという日本人チームによるスタートアップ、Triple W(トリプル・ダブリュー)は、この4月末にニッセイ・キャピタルやアイスタイルキャピタルから資金調達をしたことをTechCrunch Japanに明らかにした。金額は非公開だがハードウェアスタートアップのシード投資としては大きめのようだ。

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さて、排尿や排便といった排泄タイミングを予測できるということで、それが一体なんのビジネスになるのかと思う人もいるだろう。米国サンフランシスコのバークレーを拠点に起業した中西敦士CEOによれば、以下の需要があるという。

  • 脊椎損傷患者:脊椎損傷のために便意を感じられない 10万人(日本)
  • 介護事業:高齢者の排泄介助は介護の柱の1つ。急に排泄を要求されても介護士は困る 600万人(日本)
  • 過敏性腸症候群:便が出るかどうかの判断にストレスを感じる 1200万人(日本)
  • 更年期女性:軟失禁 排尿のタイミングに困る 800万人(日本)
  • 育児:乳幼児のオムツ替えのタイミング
  • 女性:女性の48%が便秘に悩んでいる 4000万人(日本)

このように多くの人が排泄関連で困っている。これら需要に対し排泄予知ウェアラブルD Freeは、お腹に貼付けるタイプのデバイスから腸に照射した超音波をセンサーで検知し、そのデータを機械学習することで排泄タイミングを予測するデバイスを開発している。

超音波を使ったコンシューマー向けデバイスは、主にkHz帯が中心に使われているが、より詳細な部位を検知できるMHz帯のデバイスは少なく、今回のデバイスでは医療向けと同様のMHz帯を使用している。センサー情報はクラウド上で機械学習し、排泄タイミングを予測するというが、予測のためのロジックはまだ開発途上のようだ。白鳥病院外科 部長 山川 俊紀氏(日本大腸肛門病学会)がアドバイザーとなっている。市場規模としては、介護等でのオムツの市場規模1700億円、排泄関連の薬の市場規模1000億円があり、これらに匹敵する規模であるという。

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デバイスの価格としては、4月24日からREADYFOR(レディーフォー)(クラウドファンディング)で2万4000円で募集開始するという。

デバイス開発で難しかった点は、直腸の膨らみを超音波センサーでひろえるかを確かめるときや、デバイスをどうやってお腹に装着するか、という点という。なぜデバイスをお腹に貼るのかというと、最も正確に膀胱・直腸の変化を捉えることができるからだそうだ。ただし、パンツ一体型やクリップ型、超音波振動子以外は万歩計のようにズボンに引っ掛けるタイプなど、利用シーンによって使い分けることも考案中という。またお腹に貼るのは、デバイス背面にジェルパッドを貼り付けることで腹部に貼れるようにしたそうだ。腹部とデバイスの間に空気が入らないようにするためでもある。

中西氏は、米国University of BerkeleyビジネススクールMBT(Management and Business Track)コースに留学中、バークレイ市内で引越しをしたときに荷物を抱えたまま便意を催し大変困った経験からこのサービスを考えたという。MBTコースでは4カ月間、Draper Nexusというベンチャーキャピタルでインターンを行った。このときDraper Nexusの Mitch Kitamura氏とスタートアップのディスカッションをしたときにこのサービスについて話したという。このようないきさつのため米国と日本にオフィスがある。

日本支社代表の小林氏は中西氏とは大学同期で、かねてからスタートアップの際にはいっしょにやりたいという話をしていて立ち上げ後にジョインした。他にもオリンパス工業でもともと内視鏡関連のエンジニアだった人物、ソフトエンジニア兼PM、マーケティング担当など6名が在籍する。

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どうしてIoTのようなものづくりに敢えて挑戦するのか中西氏にきいてみた。彼は以前、青年海外協力隊に参加して、フィリピンでマニラ麻の販売量を増やすためマニラ麻を使ったジーンズをつくったことがあるそうだ。そのときに、ものづくりを通じて人助けができることに喜びを感じたという。今回のデバイスの筐体は3Dプリンタでプロトタイプを作ってあるそうだ。

サービスの今後の展開としては、総合健康管理ツールを目指すようだ。排泄の情報は、その人の食事、運動、メンタルの指標となり得る。これを病気の早期発見や、生命保険のフェアバリューとして使うことができるという。

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D Freeが、これから実際の市場で普及するのかどうかといったことは未知数だ。ただ、一般に思われている以上に排泄にまつわる悩みを抱える人は多いし、これは場合によっては人間の尊厳にかかわる深刻な問題だ。米国で流行っているものをコピーして日本にもってくるということはしたくなかったという中西氏だが、あまり前例を聞いたことがない排泄検知ウェアラブルというジャンルで日本のチームでどこまでこの問題を解決できるのか注目だ。

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Matternet、スイスポストとの協力により、今年の夏よりドローンによる郵便物配送実験を開始

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スイスで郵便業務を行うSwiss Postが、配送システムとしてのドローンの開発を行なっているMatternetのシステムを使って、ドローン配送に取り組む予定なのだそうだ。今年の夏にも実証実験を行うことにしているとのこと。「法規制面や運用上の問題点を明らかにし、ドローンを活用する上での技術面およびビジネス面での課題を明らかにする」ことを目的としている。

実証実験段階ではあるわけだが、ともかく郵便物をロボットが配送するような時代になってきたわけだ。

Matternetが提供するONEという名前のドローンは、1度の充電で重さ1kgの荷物を20kmの距離まで運ぶことができる。薬や資料、あるいは機械のパーツなどの配送で試してみたい考えだ。

MatternetはAndreas RaptopoulosおよびPaola Santanaが設立した企業だ。Raptopoulosの、空を飛ぶ車を作ってみたいという夢から生まれてきた。NASA Ames Laboratoryで開催されたシンギュラリティ・ユニバーシティにサマープログラムに参加したのち、活用範囲の広い小型クワッドコプターの開発を行うMatternetを設立をしたのだった。Flextronics、Scott Banister、およびNasなどからシード資金として220万ドルを集めている。

Matternetはこれまでにも、ハイチにおける配達困難地域に対して薬や生活用品などを配送する実証実験を行なっている。今回はスイスにて何種類かの実験を行いたい考えだが、既に他社の追随を許さない飛行経験を持っているといえる。

「配送ソリューションに、弊社のプロダクトを組み込む形で参加したいと考えていました。そんなときに話をしにきてくれたのがSwiss Postです。その結果生まれたシステムについては、技術面ではすべて弊社が担当し(ドローン、離着陸施設、バッテリー、充電ステーション、クラウドソフトウェア等)、その運用をSwiss Postに任せる考えです」とRaptopoulosは言っている。

「クアッドコプターというのは、乗り物に関わる発明品として、内燃エンジンにまさるとも劣らない史上最大級のものだと思うのです。技術的には非常にシンプルでありながら、今後3年ないし5年でますます発展していくソフトウェアによって、さまざまな応用可能性が開けているのです。天候やGPSの状況によらずに安定して飛行し、また障害物を検知して避けるための技術なども磨かれていくこととなり、10年以内にはいっそう便利なツールとして各所に広がっていくことでしょう。“software eats xxxxx”というような言い回しが流行ったことがありました。クアッドコプターの世界では、まさにソフトウェアの進化がドローンの輸送部門への進出にまっすぐ繋がっているのです」。

迅速な配達がほとんど不可能な地域にも、都市部並みの商品配送を行えるようにする可能性を探ることが実験の目的だ。自律的に動作する安全なドローンを何台か飛ばすことで、自律的で安全な、そしてもちろん迅速な配送システムを構築しようとしている。

Raptopoulos曰く「時代の曲がり角にきているのです」とのことだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H