TechCrunch Tokyoのデモブースチケット販売開始!スタートアップ向けお得チケットも

以前から告知しているとおり、今年も日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する。今日はスタートアップの皆さんのために用意したお得な「スタートアップチケット」と会場でブースを出展できる「スタートアップデモブースチケット」の発売を開始したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyoの主役は何と言ってもスタートアップの皆さんだ。僕たちTechCrunch Japan編集部はそんな皆さんと一緒にイベントを盛り上げていきたいと考えている。

TechCrunch Tokyoと聞くとピッチバトル「スタートアップバトル」を思い浮かべる人も多いと思うが、スタートアップが輝ける場所はステージの上だけに限らない。例年通り、今年もスタートアップのためのデモブースエリアを用意しているので、こちらもご検討いただきたい。

スタートアップデモブースチケットの価格は3万5000円(税込)。このチケットには2名分の2日通し券が含まれている。ただ、申し込み条件は創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業のみだ。ブースの仕様など詳しい情報はこちらを参考にしていただきたい。

TechCrunch Tokyoには起業家や投資家といったスタートアップ業界のコア層のみならず、TechCrunch Japanの読者に多いアーリーアダプター層も多く集まる。潜在顧客やユーザーなど幅広い層にアピールするにはデモブース出展はうってつけだ。デモブースでの出会いから法人顧客の獲得に繋がったという話もある、と付け加えておこう。

また、スタートアップチケットは創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップでフルタイムで働いている方であれば申し込めるお得なチケットだ。価格は、9月18日まで発売される「超早割チケット」と同じ1万8000円(税込)だが、スタートアップチケットはイベント当日までいつでもこの格安料金で購入できる。

チケット購入はこちらから

Teslaの内部告発者、破損バッテリーの証拠とされる写真をツイート

Teslaの元従業員で、同社を解雇された後に訴訟されているMartin Trippという人物が、破損しているとされるバッテリーの写真とTeslaのバッテリー工場の運用不備についてツイートした。CNBCが最初に報じた

自らの主張を裏付けるべく、Trippは破損した欠陥バッテリーセルを搭載した車両の識別番号の写真を投稿した。

「以前にも述べた通り、これらの主張は虚偽であり、Tripp氏は自ら発言した安全に関する主張の知識すら有していない」とTesla広報はメールでTechCrunchに伝えた。「破損したセルがModel 3で使用されたことはなく、掲載された識別番号の車両はすべて安全なバッテリーを搭載している。何よりも、Model 3でバッテリー問題は一度も起きていない」

あるツイートでTrippは、Teslaが廃棄物やスクラップをGigafactoryの屋外駐車場やトラックに保管しており、温度管理された倉庫で保管していないことの証拠だと主張する写真を載せている。

Teslaは6月にTrippに対して100万ドルの訴訟を起こし、TrippがTeslaおよびCEO Elon Muskを妨害する目的で情報を漏洩したと主張した。Trippはその後米国証券取引委員会に対して公式内部告発書を提出し、会社は投資家を欺き顧客を危険にさらしていると主張した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウドネィティブ環境のためのセキュリティベンダーTwistlockがシリーズCで$33Mを調達

世界がクラウドネイティブなアプローチへ移行していくに伴い、アプリケーションとそのデプロイのセキュリティを確保する方法も変わりつつある。クラウドネイティブ環境のセキュリティを提供するTwistlockが今日、Iconiq CapitalがリードするシリーズCのラウンドで3300万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家YL Ventures, TenEleven, Rally Ventures, Polaris Partners, およびDell Technologies Capitalも、このラウンドに参加した。これで同社の資金調達総額は6300万ドルになる。

Twistlockは、コンテナとサーバーレスのセキュリティという、困難な問題を解決する。両者はいずれも、本質的に短命な存在だ。それらは寿命が1秒の数分の一と短いので、問題が起きたときその追跡が難しい。同社のCEOで協同ファウンダーのBen Bernsteinによると、彼の会社は最初から、コンテナとサーバーレスコンピューティングがどれだけ短命でも、依然としてエクスプロイトされうる、という前提に立って、クラウドネイティブ環境を保護するためのセキュリティプロダクトを作っている。

Bernsteinは曰く、“寿命の長短は関係ない。むしろ重要なのは、それらの生き方が従来のコンピューターに比べて予測可能であることだ。従来のコンピューターは非常に長時間動くし、しかも多くの場合人間が使っているから、予測は簡単ではない”。

スクリーンショット提供: Twistlock

企業がクラウドネイティブな環境へ移行して、Dockerによるコンテナを使ったり、それらをKubernetesなどのツールで管理するようになると、デプロイ量の大きい、高度に自動化されたシステムを作ることになる。デプロイは自動化で簡単になるが、いろんな問題に対する脆弱性はそのまま放置される。たとえば悪者がコード注入攻撃でプロセスのコントロールを握ったりすると、誰も知らない間に大量の問題が起きていたりする。

Twistlockはそれを防ぐとともに、エクスプロイトがいつ起きたのかを顧客に認識させ、診断分析によりその原因を調べる。

それはサービスであるとはいえ、従来型のSaaSとは様子が違う。すなわちそれは同社のサーバーから提供されるサービスではなくて、顧客が使っているクラウド(パブリックまたはプライベート)にインストールされるサービスだ。今同社の顧客は200社あまりで、その中にはWalgreensやAetnaなど、誰もが知っている企業も含まれているが、顧客リストを公開することはできない。

2015年に創業された同社はオレゴン州ポートランドに本社があり、R&D部門はイスラエルにある。現在の社員数は80名だ。他社との競合についてBernsteinは、従来のセキュリティベンダーはクラウドネィティブをまだうまく扱えない、と言う。そして最近登場してきた若手スタートアップに比べると、少なくとも現状では、成熟度では自分たちが上だ、とも言っている。

“今はまだ、競争が激しくはないが、今後徐々にそうなるだろう”、と彼は述べる。今回得られた資金は、主にマーケティングと営業の拡充に充当して顧客ベースの拡大を図りたい。またクラウドネィティブのセキュリティも競合とともに技術が進化していくので、技術でもつねに先頭を走っているようにしたい、とBernsteinは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

売れ残り食品の再販マーケットを提供するKarma、1200万ドルを調達

ストックホルムのスタートアップであるKarmaは、地元のレストランや食料品店に対し、売れ残り品を割引販売するためのマーケットプレイスを提供している。そのKarmaが、シリーズAにて1200万ドルの資金を調達した。

出資をリードしたのはスウェーデンの投資ファームであるKinnevikで、アメリカのベンチャーキャピタルであるBessemer Venture Partners、アプライアンス機器メーカーのElectrolux、および以前から出資を行なっていたe.venturesも参加している。今回の調達により、合計調達額は1800万ドルとなった。

Karmaは、Hjalmar Ståhlberg Nordegren、Ludvig Berling、Mattis LarssonおよびElsa Bernadotteらによって2015年末に設立された。そしてその翌年、レストランや小売店で売れ残った食品を、消費者に対して割引販売するためのマーケットプレイスを提供するアプリケーションをリリースした。

消費者として利用するには、iOSないしAndroid版アプリケーションで場所を登録するだけでいい。取り扱い店および取り扱い商品が表示されるようになる。欲しいものをみつけたらKarmaアプリケーションを利用して支払いを行い、閉店までに商品を受け取れば取り引きは完了だ。お気に入りの店舗を登録しておいて、そこで新たな商品が販売開始されると通知を受け取るようにすることもできる。

KarmaのCEOであるStåhlberg Nordegrenによれば、「生産された食品の3分の1は無駄になっています」とのこと。「レストランや小売店での売れ残りを販売できるようになれば、食品の無駄を大いに減らすことができるのです。私たちはアプリケーションを通じて直接に食品を購入して持ち帰ることができるようになるのです。売り手側の立場で考えれば、無駄を減らして売り上げを増やすことができます。また消費者側からすれば、おいしい食品をより安く購入することができるようになるわけです。そしてもちろんゴミを減らすことによって環境への負荷も減らすことができるわけです」。

地元であるスウェーデンでサービスを開始し、これまでに1500件以上のレストラン、小売店、ホテル、ベーカリーなどがKarmaを利用するようになっている。従来は廃棄されていた食品が販売されるようになり、これまでに35万人の利用者がKarma経由で商品を購入しているとのこと。Ruta Baga、Marcus Samuelsson’s Kitchen、およびTableなどの有名レストランや、Sodexo、Radisson、Scandic Hotelsなどの有名企業、および大手スーパー3社も、パートナーとしてKarmaを利用している。

2月からはイギリスでもサービスの提供を開始しており、すでにロンドンの400件以上のレストランがKarmaを利用しているとのこと。地元でよく知られるAubaine、Polpo、Caravan、K10、Taylor St Barista’s、Ned’s Noodle Bar、およびDetox Kitchenなどが名を連ねている。

Ståhlberg Nordegrenによれば、Karmaをよく利用するのは25歳から40歳までの、若いホワイトカラー層なのだとのこと。オフィス街で働き、帰りに夕食をピックアップして帰るというスタイルが目立つのだそうだ。もちろん学生や高齢者層の間でも、おいしい食品を割安で入手できるということで話題になっているようだ。

調達した資金は、スーパーマーケット向けのプロダクト開発およびヨーロッパを皮切りとする新市場の開拓のために利用する予定であるそうだ。従業員は、ストックホルムに35名の従業員を抱えているが、2020年中頃までには5ヵ国150名程度にまで拡大していくプランを持っているとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

Cytera CellWorksは細胞培養を自動化してあなたの食卓に細胞から育てた肉を届けたい

Cytera CellWorksは、細胞培養の自動化によって、いわゆる“クリーンミート”産業を革命したいと願っている。そしてそれは、すべてが計画通りに行ったら、同社の製品がアメリカのすべての食料品店で買えるようになることを意味している。

でも、その日はまだまだ遠い。2017年にイギリスの二人の大学生Ignacio WillatsとAli Afsharが創ったCyteraは、ロボットを使用するオートメーションで細胞培養を構成し、 ペトリ皿でターキーの肉を育てたり、幹細胞を検査したりするようなときの培養過程を本格的な生産工程に乗せるつもりだ。

二人のファウンダー、イベントやスタートアップをやってきたWillatsと科学者のAfsharは、従来とは違うやり方でラボの構成を改良しようとしている。たとえば、GoProのカメラを全員が着用する、とか。二人はロンドンのインペリアル・カレッジで、ラボ(〜研究室)の自動化のためのイベントをやるつもりだったが、そこから友情が育ち、会社を作ることになった。

Afsharはこう言う: “当時、ラボの自動化はやや次善のアイデアだった。本当は、もっと強烈なインパクトのあるものを、やりたかったんだ”。

細胞レベルの農業(“細胞農業”)は、動物の細胞をラボで育てる技術で、すでにY Combinatorのこの夏のクラスに二社が入学している。つまりそれは、スタートアップの本格的な起業テーマになりつつある。もはや、人が眉に唾を塗るきわものではない。

ラボ製の食肉産業は、急激に拡大してきた。それは動物の細胞の生検を取って、それらをラボで育て、生きてて呼吸をしている動物ではないものから、肉を作ろうとする。過去2年間で、Memphis Meatsのようなスタートアップが雨後の筍し、ラボミートをレストランに提供してきた。完全植物性のマヨネーズで名を上げたHampton Creek(今はJust)でさえ、今はラボ育ちのフォアグラを作っている。

最初Cyteraは、ラボの一般的な自動化に関心があったが、世間の関心と今後の事業化の可能性から細胞培養の自動化に集中するようになり、名前も今のCyteraに変えた。すでに、著名な遺伝子治療企業など、将来性ありそうな見込み客も数社ある(まだ名前は公表できない)。

ラボの自動化は新しいテーマではなく、すでにいろんな業界が取り組んでいる。たとえば大手製薬企業は、投資額数十億ドルという大規模な機械化と電算化により、新薬発見過程を大規模に自動化している。そんな大企業が将来、食肉企業と組んで大規模なラボ製食肉生産を始めるかもしれない。現在まだそんな動きはないが、WillatsとAfshaは、大企業は小さなスタートアップと組んだ方が仕事が早いだろう、と見ている。

小にも大にも、それなりのトレードオフはあるが、でもCyteraが成功したら、そのころのあなたは、Cyteraのラボで作られた細胞を買った企業が培養した、鶏の胸肉を食べているかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

コンテンツリコメンデーションネットワークのRevcontentはPoynter Instituteを利用して個々の記事の真偽を判定

‘世界でもっとも急成長しているコンテンツ・リコメンデーション・ネットワーク’を名乗るRevcontentのCEO John Lempによると、同社は、虚偽の、あるいは人を惑わすような記事がたまたま同社のネットワークに載っても、それらからは一銭も収益を上げていない、という。

それを口だけで終わらせないために同社は、Poynter InstituteのInternational Fact Checking Networkが提供する事実チェック(fact-checking)を利用している。International Fact Checkingの二つの互いに独立のファクトチェッカーが、Revcontentネットワークがリコメンドしているある記事を虚偽と判定したら、その記事を指すウィジェットは削除され、記事に対する支払いはいっさい行われない(虚偽と判定される前に稼いだ額も含めて)。

ある意味でRevcontentのフェイクニュースや誤報との戦い方は、大手のソーシャルメディアのやり方に似ているようにも聞こえる。LempもTwitterと同様に、同社は真実の審判員ではありえない、と言い、またFacebookのように、センセーショナルで人を惑わす記事の投稿に伴う金銭的動機を取り去ることが重要、と強調する。

しかしLempによると、コンテンツリコメンデーションの存在意義は、パブリッシャーの個々のプラットホームへの依存を減らすところにある。そんな彼によると、巨大インターネット企業は“粗悪なネガティブPR”に反応してコンテンツを“恣意的に”取り下げている。それと対照的にRevcontentは完全に透明なやり方を採り、フェイクニュースの金銭的報酬は取り去るが人為的に誰かを黙らせることはしない。〔金銭的報酬のないサイトには載らなくなる。〕

Lempは過去に取り下げた記事を具体的に挙げないが、しかし最近の大事件はなんといってもInfowarsだ。今では誰も彼もが、Alex Jonesの極右的で世間に陰謀説を広めるサイトを締め付けている。そして最近の2週間では、関連のアカウントやコンテンツがかなり削除された。

Infowarsの一件はまた、個々の記事ベースでフェイクニュースと有効に戦うことの難しさを示唆した。それに対して、一貫して粗悪なコンテンツをポストしているパブリッシャーを切り離すことは、楽なのだ。

この問題についてLempは、Revcontentにはパブリッシャーをそのネットワークから完全に削除するオプションもあるが、それはあくまでも“最後の手段だ”、と言った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スウェーデンの避妊アプリNatural CyclesをFDAが承認、ただし完璧な避妊方法は存在しない

妊娠したくないの? FDAが認可した、そのためのアプリがあるのよ。FDAが今日(米国時間8/13)、スウェーデンのアプリNatural Cyclesに、避妊方法の一つとしてアメリカで売ってもよい、という許可を与えた

Natural Cyclesは一部のヨーロッパの国では妊娠を防ぐ方法のひとつとしてすでに使われている。でも、いわゆる‘デジタル避妊法’がアメリカで認可になるのは、これが初めてだ。

このアプリは、ユーザーの女性が提供するデータ、たとえば、体温や毎月の生理の周期などをアルゴリズムが利用する。そして各月のいちばん受胎しやすい日(何日から何日まで)を計算する。女性はその日にはセックスをしないようにするか、または避妊具を使用する。

生理の周期を調べて受胎しやすい日にちを判断する避妊方法は、かなり前から使われている。でもNatural Cyclesはこの古くからある方法に科学のひと味を加えて、アルゴリズムを改良した。そして15000名あまりの女性テスターたちの評価により、“ふつうの使い方”では6%のエラーレート、“完璧な使い方”では1.8%のエラーレートを達成した。

“完璧な使い方”とは、アプリが示唆する受胎危険日には防具を使わないセックスを絶対にしない、という使い方だが、それでも100人中1年に2人近くは妊娠する。つまりアプリが示唆する‘受胎危険日以外の日’は、‘絶対に100%妊娠しない日’ではない。でも、そのほかの避妊方法にも、それぐらいのエラーレートはある。たとえばCenters for Disease Control(CDC)によれば、コンドームのエラーレートは18%だ。

このアプリのメーカーはアメリカのFDAに効用を説得することには成功したが、しかしスウェーデンでは少なくとも一つの病院が、国のMedical Products Agency(MPA)と共に調査を開始した。同病院の記録では、Natural Cyclesを使っていた女性のうち37名が、望まざる妊娠をしているからだ。

FDAのCenter for Devices and Radiological Health(健康機器・器具および放射線医学部局)で女性の健康を担当しているAD Terri Cornelisonはこう言う: “消費者はますますデジタルの健康テクノロジーを使って自分のための健康情報を得ている。この新しいアプリはよく注意して正しく使えば有効な避妊方法を提供できる”。

ただしそんな彼女も、アプリのアルゴリズムにもそのほかの避妊方法にもエラーレートがあることを認める。そして、“完璧な避妊方法は存在しないことを、女性は知るべきだ。だからこのデバイスを正しく使っても計画せざる妊娠が結果することが、依然としてありうる”、と語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

台湾のFunNowはローカル向けクイック予約サービス――シリーズAで500万ドルを調達、アジアと日本の都市に展開中

最近の旅行ビジネスでは、AribnbやTripAdvisorなどの有力サービスが直前でも簡単にさまざまな予約を可能にするインスタント・ブッキングに参入しつつある。これは特にアジアで、香港のKlookなどのスタートアップが大成功を収めていることに刺激された面が大きいだろう。しかしインスタント・ブッキング・アプリがこう増えてはもうニッチは残っていないのではないか? 

実はFunNowはそう考えて方向を転換した。旅行者をターゲットにするのではなく、このサービスはローカルを対象とする。つまり都市の居住者に新しいアクティビティを楽しんでもらうのが目的だ。今日(米国時間8/13)、台北を本拠とするFunNowはシリーズAのラウンドで500万ドルの資金調達を行ったことを発表した。ラウンドのリーダーはAlibaba Entrepreneur Fundで、CDIB、 Darwin Venture、Accuvestが加わっている。資金は東南アジアと日本に事業を拡大するために用いられる。

FunNowは2015年に創立された後、昨年6月のエンジェル・ラウンドを含めてこれまでに650万ドルを調達したことになる。登録メンバーは50万人、3000社のベンダーが毎日2万種類以上のアクティビティーを提供しているという。共同ファウンダー、CEOのT.K. Chenは海外展開について「現在、香港、東京、大阪、沖縄、クアラルンプール、バンコクに注力している」と述べた。

今回のシリーズAで注目すべき点はAlibabaの存在だ。 Tencentが支援するライバル、Meituan-Dianpingが香港で株式上場を準備している中で、Alibabaの参加はFunNowのO2O能力(オンラインでオフラインサービスの予約、支払いを行う)を大きく強化したといえる。

Alibaba Entrepreneurs Fundは非営利法人で、将来Alibabaのエコシステムに貢献する可能性のあるスタートアップの育成を目的としている。Alibabaの各種O2Oアプリは中国でMeituan-Dianpingからできるかぎりシェアを奪うことを狙っている。ChenはFunNowとの協力はこの面でもシナジーを生むとしている。【略】

いかにAlibabaの参加があるにせよ、 FunNowが多数のインスタント予約アプリとどのように競争していく戦略なのかは誰もが興味を持つところだろう。この市場ではKlook、KKdayなどが有力だが、他にもVoyagin、GetYourGuide、Culture Trip、Peek、それにAirbnb自身のExperiences機能などが存在する。

Chenによれば、FunNowが現在もっとも力を入れているカテゴリーは直近のホテル等の予約だという。台北では一夜ないし数時間のホテル、温泉への滞在を提供している。マッサージその他の温泉における伝統的サービスやレストラン、バー、さらには音楽フェスティバルなどの予約もカバーするという。

Chenによれば、ツーリストというよりむしろローカル住民に楽しい時間を提供するという戦略はFunNowのユーザー・エンゲージメントを大きく高めており、毎月の粗収入の70%はリピート・ユーザーからのものだという。30%は最初に利用したユーザーだが、その60%は30日以内に戻ってきてさらに利用している。FunNowでは2018年の売上を1600万ドルに届くと予測しているが、これは2017年の3倍に上る。

FunNowのユーザーの平均年齢は若く、25歳から35歳が多い。「われわれはUberに似ている。ターゲットはレストラン、温泉、マッサージ、ホテル、イベントなど身近で楽しい活動を予約したいと考えている人々だ。われわれは消費者のその場の思いつきを重視している。われわれが仲介する予約の大部分が15分から」1時間後のものだ。データでいえば、FunNowの予約の80%は1時間以内のものだ」とChenは述べた。

FunNowではプラットフォームをローカル・ユーザー向けに最適化している。特許を取得したアルゴリズムによって予約をマーチャント・データベースのエントリーとリアルタイムで同期させ、オーバーブッキング、ダブルブッキングを防いでいるという。Chenによれば、ユーザーは自身の地理的所在地によって現在利用できるエントリーを閲覧できる。情報は0.1秒以内にリアルタイムでアップデートされるので、ユーザーはエントリーをクリックした後ですでにすでに誰かが予約していたという事態を防げるという。FunNowではサービスを提供するベンダーを事前に審査し、プラットフォームに加えた後も星印が3.5以下になるとリストから削除する。

将来KlookやKKdayといったインスタント予約アプリがターゲットをツーリストから地元居住者に拡大してくればライバルとなり得る。しかしChenは「こうしたスタートアップは拡大しつつあるツーリスト市場における半日から1日以上のツアーをターゲットにするはずだ」と考えている。

Chenは「こうしたスタートアップがローカル住民をターゲットすることになれば、マーチャントとなるホテルやレストランをひとつずつシステムに加えていかねばならないだろう。またそのシステムもマーチャントにとって使いやすくエラーの起きにくいものである必要がある。しかしマーチャントがひとたびわれわれのシステムを利用すれば、別のシステムを導入することは考えにくい。オーバーブッキングを避けるためには相互の調整を図る必要があるからだ」という。

「こうした点は先に動いたFunNowに大きな優位性があるが、われわれはテクノロジーをさらに改良していく。レストランなどはたとえ1分差であっても先着の客に席を提供してしまい、オーバーブッキングという結果をもたらす可能性がある。これは何として避けねばならない」とChenは語った。

〔日本版〕FunNowのサイトは日本語ページも用意している。日本でのサービスは今のところホテル予約がメインのようだが、台北のページでは食事、温泉、マッサージなどジャンルが多い。

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滑川海彦@Facebook Google+

農産物を長持ちさせるApeel Sciencesはフードロス問題に一役買う

自動運転車ロボティックパーソナルアシスタントがありふれたものになりつつある時代にあって、持続可能な食物供給や流通といった基本的需要を満たす必然性は過去のものと考えているかもしれない。しかし実際はそうではない。

国連食糧農業機関(FAO)によると、毎年、食糧用に栽培された食物の3分の1にあたる13億トンが失われたり廃棄されたりしている。米国のような工業化された国々では、結果として毎年6800億ドルの経済損失となっている。冷却システムのような標準インフラが整っていない国々でも同様に3100億ドルの損失となっている。

毎年何十億トンもの食糧が廃棄されているが、その大多数を占めるのが必須かつ栄養も豊富な果物や野菜、根菜類(ジャガイモやニンジンなど)で、毎年45%が廃棄されている。

フードロスの要因はいくつかあるが、米国においては“賞味期限”や“販売期限”がしっかり規則化されず、結果として気まぐれな消費者がまだ食べらるものを廃棄するようなことになっている。また、十分に工業化されていないような国々では冷蔵・冷凍の物流が十分でなかったり、あるいはそもそも存在していなかったりする。

こうした問題の要因は食品が簡単に腐ってしまうということにあり、これは陳列棚に置く期間と直に関わってくる。だからこそ、Apeel Sciences はこの分野に参入した。

カリフォルニア拠点のこのスタートアップは、農産物の鮮度を保ち、腐敗を遅らせる植物由来の物質を使って食品ロス問題に取り組んでいる。この物質では農産物に第二の皮をつくることになるのだが、使うにはApeelの保存パウダーを水で溶いて、それを生産物にスプレーするだけだ。

創立者でCEOのJames RogersがApeel Sciencesの設立をひらめいたとき、彼はカリフォルニア大学サンタバーバラ校で材料工学での博士号を取得しようとしていた。錆という、すでに科学の力で解決された問題を分析することで食品腐敗の解決策を見いだすことができると確信した。

「食品をダメにする要因は水分の減少と酸化だ」。RogersはTechCrunchに対しこう説明した。「この事実は、カーネギーメロン大学で冶金研究者として鉄について研究していたころのことを思い出させる」。鉄もまた腐敗しやすい。というのも、鉄は錆びるからだ。大気中の酸素に反応しやすく、それゆえに用途に制限がある。しかし冶金学者が鉄の表面を物理的に守るためにほんの少しの酸化バリアを施した。それがステンレススチールだ。

Rogersは、同様の手法で農産物の腐敗を遅らせることができないだろうか考えるようになった、と話す。

「新鮮な農産品の表面に薄いバリアをつくることで腐敗を遅らせ、これにより食糧飢饉に対応できないだろうか」。

Apeelは、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻の基金から10万ドルの支援を得て2012年に正式に設立された。保冷インフラが整っていない発展途上国での収穫後の農産物のフードロスを削減するのが目的だった。この問題に取り組むために、Apeelはケニアやウガンダといった国の農家が、保冷することなしに鮮度を維持したまま農産物を消費者に届けられるよう、セルフまたはハイブリッドの物流システムを構築した。

Apeelにとってはアフリカや南アジアが基盤だが、その一方で米国の農家ともパートナーシップを結び始めた。今年の5月と6月には、初めてApeelを活用した農産物のアボカドが米国小売のCostcoとHarps Food Storeの店頭に並んだ。

Apeelの農産物は遺伝子組み換えではないため(その代わり植物由来)、店頭で商品に特別な表示をする必要はなが、Rogersによると、Apeel農産物の入れ物にはそうしたことを表示しているという。

「我々はDNAレベルで操作をしているわけでもなく、遺伝子組み換えを行なっているわけでもない。しかし、消費者に対して真摯でありたいし、消費者にそのラベルに気づいてほしい。というのも、消費者がそのラベルに気づくことで、購入する農産物が高品質で長持ちし、廃棄することが少なくなるものであることを認識してもらえるからだ」。

Apeelによると、Harps Food StoreにApeelのアボカドが並ぶようになってから、Harps Food Storeのアボカド分野の利ざやは65%増加し、売上も10%アップした。

こうした成功例を経て、ApeelはViking Global Investorsが主導し、Andreessen HorowitzやUpfront Ventures、S2G Venturesが参加したラウンドで7000万ドルを調達した、と7月に発表した。

RogersはTechCrunchに対し、調達したこの資金をフードロス撲滅のための新たな手法の開発や研究に使う、と明らかにしている。モモやウメ、アンズといった核果類やアスパラガスに使用するスプレイもその中に入っていて、これまで同様に自然由来のものを模索する。「フードロスを解決するためにどんな物質を使えばいいのか特定し、そうした物質をどう抽出して人の役に立つようなものにするのかということを、自然のエコシステムから学ぶというのが我々の使命だ」と語っている。

イメージクレジット: Apeel Sciences

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(翻訳:Mizoguchi)

Federacyが目指す、スタートアップでも使えるバグ報奨金プログラム

Y Combinator Summer 2018クラスのメンバーであるFederacyは、とても小さなスタートアップでも、バグ報奨金プログラム(見つけたバグによって謝礼を支払う制度)を利用できるようにすることが使命だと考えている。

従来からあるBugcrowdやHackerOneなどが提供するバグ報奨金プログラムは、より大きな組織向けに提供されてきた。それはそれで意義のあるものだったが、双子であるWilliamとJames Sulinskiの2人は、市場にはギャップがあることを感じていた。すなわちそうしたサービスが重要な意味を持つ小規模な組織が閉め出されていることだ。彼らはバグ報奨金プログラムをつくり、外部のリサーチャーたちを知らずともプログラムに簡単にアクセスできるようにしたいと考えた。それがFederacy誕生の動機だ。

「プラットフォームを自由に設定できるようにして、驚くほどシンプルにすることで、最もリソースの厳しいスタートアップに対しても、価値を引き出す上で最大のインパクトを生み出すことができると考えています。そうすることで、現在はBugcrowdやHackerOneなどを介して、数百社程度の会社が採用しているだけの報奨金プログラムを、将来的には100万以上の会社が採用できるものへと広げたいと思っています」と、William SulinskiはTechCrunchに語った。

これは野心的な長期目標だが、現時点ではまだ着手した段階に過ぎない。実際兄弟は、2、3ヵ月前にY Combinatorに参加したときから、プラットフォームの構築を始めたばかりだ。一度動く製品を作ったあと、彼らは仲間たちを使い、知識のある友人たちをセキュリティ研究者と見立てて、テストを始めた。

彼らは先週初めて、Hacker News上でサービスを公開し、すでに120件以上の登録があったことを報告している。彼らの目標は、年末までに1000件の登録を集めることだ。そうなれば数の上で最大のバグ報奨金プラットフォームになると、Williamsは言う。

スクリーンショット提供:Federacy

現時点では、彼らはプラットフォームに参加する全てのリサーチャーを審査しているところだ。もちろんこのアプローチを永遠に続けることはできないと認識しているものの、少なくともプラットフォームを構築している初期段階では。彼らはアクセスに対するコントロールを手にしていたいと考えている。彼らは、リサーチャーたちがエコシステムにもたらす価値を認識しており、特に注意を払う予定だ。

「リサーチャーたちを尊敬し注意深く扱うことは本当に大切です。こうした人たちは信じられないほどスマートで貴重ですが、しばしば適切な扱いを受けていません。大事なことは、彼らが報告を行ったときに、きちんと対応することなのです」Sulinskiは説明した。

スクリーンショット提供:Federacy

将来的にも、兄弟はプログラムの構築とプラットフォームの開発を続けていきたいと考えている。彼らが持っている一つのアイデアは、クライアントが特定のリサーチャーとの関係をもち、その個人と契約したい場合には、手数料を得るということだ。また各報奨金のわずかな部分を収益として得ることも計画している。

典型的なYCの参加者とは異なり、兄弟は30代半ばと少々高齢で、20年以上にわたる職業経験を身に付けている。 片割れのJamesは、2013年にTwitterが3億5,000万ドルで買収したモバイル広告プラットフォームMoPubのエンジニアリング責任者だった。それ以前には、Facebookが2010年に買収したファイル共有サイト、drop.ioのインフラストラクチャの構築を手伝っていたこともある。Williamの方は、AccelGolfとPistol LakeのCEO、そしてSharehololicの創業メンバー兼プロジェクトリーダーを務めた。

幅広い経験を持ってはいたものの、兄弟はY Combinatorが彼らに提供した実用的なアドバイスに価値を見出し、その鼓舞する雰囲気に気が付いた。「先人たちが、このプログラムの中で作り上げてきた。素晴らしいものたちに対して、畏敬の念を抱かずにいることは難しいことです」とWilliamは語った。

[原文へ]
(翻訳:sako)

画像クレジット:Matt Anderson Photography / Getty Images

TechCrunch Tokyoの目玉「スタートアップバトル」今年も登壇企業を募集開始

TC Tokyo 2017のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した、空 代表取締役の松村大貴氏

11月15日、16日に開催するスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。今日はみなさんに、このイベントの目玉企画であるスタートアップバトルの応募開始をお知らせしたい。

スタートアップバトルは、創業3年未満のスタートアップがみずからのプロダクトやサービスをプレゼンするピッチバトルだ。壇上にあがる起業家たちの表情は真剣そのもの。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加するTechCrunch Tokyoでは、このピッチバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくないからだ。

例年、スタートアップバトルには100社以上のスタートアップから応募があり、その中から事前の書類審査を通過した約20社が本戦に進む。ファーストラウンドはイベント初日の11月15日に開催され、それを勝ち上がったスタートアップが2日目のファイナルラウンドでピッチを行う。もちろん、最終的に“優勝”という名誉を勝ち取れるのはたったの1社だけだ。

2017年のスタートアップバトルで優勝したのは、ホテル向け経営分析ツールを提供する空だった。彼らは今年7月には1億7000万円の資金調達も発表し、利用顧客数も1500社を超すなど、その後も順調に成長を続けているようだ。

ちなみに、空は7月の資金調達ラウンドでマネックスベンチャーズからも出資を受けているが、昨年のTC Tokyoで審査員を務めていたマネックスグループ代表取締役の松本大氏とイベント当日に話をしたことがきっかけになったのだとか。

正直、スタートアップが成功するための必要条件に「ピッチイベントでの優勝」が入っているかどうかは分からない。でも、スタートアップバトルへの参加によって生まれた“出会い”はあるはずだし、今年の出場を検討している画面の前のあなたにも、今日からそのチャンスの扉は開かれている。

みなさんの応募を心待ちにしている。

[応募資格]

  • 未ローンチまたは2017年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 創業年数3年未満(2015年10月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。

[書類審査員]

  • 有安伸宏氏 起業家・エンジェル投資家
  • 今野穣氏 グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー、Chief Operating Officer
  • 澤山陽平氏 500 Startups Japan マネージングパートナー
  • 西田隆一氏 B Dash Ventures ディレクター
  • 田島聡一氏 ジェネシア・ベンチャーズ ジェネラル・パートナー
  • 和田圭祐氏 インキュベイトファンド 代表パートナー
  • 吉田博英 TechCrunch Japan 副編集長
  • 木村拓哉 TechCrunch Japan 編集記者
  • 菊池大介 TechCrunch Japan 編集記者

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いよいよTechCrunch Tokyo 2018のチケット販売開始、今ならお得な「超早割チケット」が買えるぞ!

先日発表した通り、今年もスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する。そして今日、今の時点でTC Tokyoに参加したいと思っているコアな読者のみなさんのために、「超早割チケット」を販売開始したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyoは僕たちTechCrunch Japanが毎年開催している、日本最大級のスタートアップ・テクノロジーのイベントだ。今年で8回目の開催となり、昨年は約2500名が来場した。

ピッチバトルや展示ブースを通じて国内スタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外からの著名ゲストたちによる貴重な公演を見れる。多くの海外スピーカーによる登壇は、シリコンバレー発祥メディアの日本版が運営するTechCrunch Tokyoならではの特徴だ。

一般チケットの値段は4万円(税込)だが、本日発売の超早割チケットは半額以下の1万8000円(税込)だ。販売期間は9月18日までなので、このチャンスを逃さないでほしい。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言っても創業3年未満の新進気鋭のスタートアップがステージ上でピッチバトルを繰り広げる「スタートアップバトル」だ。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやTechCrunch編集部を中心としたメンバーが書類審査を行う。その書類審査をくぐり抜けたスタートアップだけが当日の本戦に進むことができ、11月の寒さを忘れるほどの熱いバトルをステージで繰り広げる。

また、TechCrunch Tokyoでは毎年、国内外のスタートアップ業界のコアにいるキーパーソンたちをお招きしている。昨年は海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。かつてはUber共同創業者のTravis Kalanick氏メルカリ代表取締役会長兼CEO山田進太郎氏もお招きしている。

今年の登壇者も続々と決まっており、随時発表していくので期待して待っていてほしい。近日中に大きな発表がある、と一言だけ付け加えておこう。

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複数のメッセージング上のコミュニケーションを統一するMessageBirdの仮想APIは企業への顧客の感度を良くする

アメリカのAccelとヨーロッパのAtomicoが投資しているアムステルダムのクラウドコミュニケーションプラットホームMessageBirdが今日(米国時間8/8)、企業が顧客たちと、彼らが選んださまざまなチャネルを横断して容易にコミュニケーションできるための、新しいプロダクトを発表した。

“Programmable Conversations”(プログラマブルな会話)、というすごい名前がつけられたこのプロダクトは、単一のAPIのような形をしているが、実際には複数のチャネルにまたがる顧客の対話を、単一の会話スレッドに統一する。製品の現状では、その‘複数のチャネル’は、WhatsApp, WeChat, Facebook Messenger, Line, Telegram, SMS, そして音声による対話だ。Programmable Conversationsの仮想APIからは、これらを単一の会話チャネルのように扱える。それにより企業は、顧客とのコミュニケーションの履歴を統一された形で見ることができ、カスタマサポートやそのほかの顧客対面部門では、つねに最新最先端の顧客サービス体制を維持できる。それはもちろん、顧客の満足や企業への好感度につながる。

別の言い方をすると、コミュニケーションのチャネルが多いと会話は断片化しがちだ。しかもそこに、複数のサポートスタッフが関与していると、サービスの質は必然的に低下するだろう。Programmable Conversationsは、この問題を解決しようとする。

MessageBirdのファウンダーでCEOのRobert Visによると、ますます多くの企業や、急成長しているスタートアップには、顧客が企業との会話に使用するチャネルを一方的に指定する贅沢が許されない。これまでのカスタマーサービスは専用の電話番号を使うだけだったが、昨今の、オンラインメッセージングやそのほかのコミュニケーションチャネルの相次ぐ出現と氾濫により、顧客がコミュニケーションに使用する方法の選択肢が爆発的に増えている。

しかし、企業が既存のCRMやビジネスプロセスにそれらすべてを統合しようとすると、開発時間が膨大になるだけでなく、複数のチャネルに対応するためにスタッフの増員が必要になる。

このたいへん重い重量挙げを、MessageBirdのProgrammable Conversationsがお手伝いする。複数のチャネルに分散している会話を一本化することは、企業自身の手に負える技術課題ではない。しかしProgrammable Conversationsの仮想APIを使えば、実装の初期費用と時間が節約できるだけでなく、今後のメンテナンスや必要なアップデートも容易になる。

Visによると、Programmable Conversationsはグローバル企業のコミュニケーション管理にも向いている。あるいは、今後グローバル化していく企業の、その過程を支えることができる。多様なメッセージングプラットホームへの対応だけでなく、地球規模での複数キャリアの統合も可能だ。

“その企業とのコミュニケーション体験が良かったら、顧客の満足度とブランドロイヤリティがアップする。しかもこの二つの要素は、今日の企業の生命線だ。今日の顧客は企業と、友だちや家族と同じように会話したいと思っている。自分の好きな時間に、好きなチャネルで、しかも相手がこれまでの会話の文脈を完全に分かっている状態でだ。Programmable Conversationsを使えば企業は、そのような現代的なコミュニケーション体験を容易に構築できるし、しかもデベロッパーたちを過負荷にすることもない”、とVisは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビジネスチャットのSlack、 さらに4億ドルを調達中――ポストマネーは70億ドル以上か

Slackはビジネスパーソンが社内、社外で共同作業をすることを助けるプラットフォームだ。手軽にチャットし何百というフォーマットのデータを簡単に共同利用できる。こここ数年の急成長は目をみはらせるものがあった。最近ではアクティブ・ユーザー800万人、うち有料ユーザー300万人というマイルストーンを達成している。このSlackが現在さらなる大型資金調達に動いている。

TechCrunchがつかんだところでは、Slackは新たなラウンドで4億ドルかそれ以上の資金調達を狙っている。ポストマネーの会社評価額は少なくとも70億ドルになるはずだ。この2資金を上乗せできれば、会社評価額は2017年の20億ドル以上ジャンプするだろう。Slackの前回のラウンドはSoftBankがリードし、51億ドルの会社評価額で2億5000万ドルを調達していた。

われわれは複数の情報源から新しい投資家であるGeneral Atlanticがラウンドをリードすると聞いている。新規投資家にはDragoneerも加わる可能性がある。他の投資家についてはまだ不明なところもあるが、PitchBookによればSlackの資本政策表にはすでに41社の株主が掲載されているという(Slackのブログのタイトルをもじって言えば「何人かが投資中…」というところだ)。またこのラウンドが実施中なのかすでにクローズされたのかについてもまだ情報がない。【略】

ビジネスチャット分野には強力なライバルも参入している。MicrosoftはTeamsを、FacebookはWorkplaceをそれぞれスタートさせている。Microsoftは今年に入ってすでに20万社の有料ユーザーを獲得しており、FacebookもWalmartのような巨大ユーザーを引き入れている。.

しかしSlackのボトムアップによるユーザー拡大戦略は、こうした巨大企業の攻勢に対しても有効なようだ。Slackはシンプルで使いやすいが、ライバルのプロダクトは多機能なだけに複雑だ。Slackはメッセージング機能を優先しあくまでライトなシステムを目指している。Slackが多くの企業にいつのまにか入り込むことに成功しているのはこうした特長によるところが大きい。【略】

テキサス州オースティン、2016年3月15日:SXSWのステージに登壇したファウンダー、CEOのスチュワート・バタフィールド。Flickrの共同ファウンダーとしても知られる。(撮影:Mindy Best/Getty Images)

Slackはまだ社員1000人程度で、そのプレゼンスからすれば比較的小規模な会社だ。同社は今年IPOはしないと発表している。今回のラウンドはライバルとの競争とさらなる成長を助けることになるだろう。

われわれはSlackに取材を試みたが、同社は「噂や推測についてはコメントしない方針だ」とのことだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

June、スマートオーブンの新モデル発表――599ドルに大幅値下げ、低温から高温までソフトウェアがベストの調理

2016年にJuneがスマートオーブンをリリースしたときは、機能について高い評価を得た一方で、ある重要な点で問題を指摘された。つまり値段があまりにも高かった。革命的なジューサーという触れ込みで多額の資金を調達して登場した後でひどい失敗に終わったJuiceroと比較された。ある記事は「シリコンバレーの悪いところの代表」とまで評した。

これは明らかに言い過ぎだ。機能に問題があったJuiceroとは違い、Juneのオーブンには期待すべき点が多数あった。しかし価格となると…。

そういう次第で、Juneのスマートオーブンの新モデルは価格に重点を置いている。今回も安くはない。しかしオリジナル・モデルの1500ドルという超高額な値札からすれば大幅に安くなった。第2世代のJuneのスマートオーブンは599ドルからだ。さらに今回は期間限定で1台100ドルの割引がある。高性能なオーブンを探しているなら今がチャンスかもしれない。

第2世代の製品は批判を受けて戦略を修正したように見えるが、共同ファウンダー、 CEOのMatt Van HornはTechCrunchの取材に答えて、「価格引き下げは当初からの計画だった」と述べた。

Van Hornは「〔この価格は〕外部からの影響ではない。当初からの計画だった。われわれの最初のオーブンはいわばTeslaロードスターのような製品だと説明してきた。今回のオーブンはModel Sだ」という。

Teslaとの比較が当を得ているかどうかはともかく、 Juneはオリジナルモデルでユーザーから貴重なデータを集めることに成功した。旧モデルは新しいモデルに道を譲って退場することになる。大幅に値下げされても本質的な機能は前モデルと変わりないという。

低価格のオーブントースターと599プラスのスマートオーブンの違いはどこかという質問に対して、Van Hornは「われわれのオーブンは、人々が普段オーブンで作っていなかったような料理を作ってみようと意欲をかきたてる製品だ。たとえば誰もステーキをオーブンで焼こうとしなかった」と答えてた。

私はGoogle Hangoutのビデオチャットで取材していたのだが、この時点でVan HornはJuneオーブンでステーキを焼き始めていた。

このスマートオーブンには100種類のレシピがプログラムされており、伝統的なオーブン料理と考えられているもの以外に多彩な調理が可能だという。コンベクションオーブンであるのはもちろん、スロークッカー、トースター、グリラー、保温器、乾燥機にもなる。パン生地の発酵や高温空気による揚げ物、エア・フライもできる。コンパクトで多機能なので狭いキッチンや大学の寮の部屋にも適している。テイクアウトを温めるのにも良い――もちろん600ドルの出費は痛いが。

このオーブンはカメラを内蔵しており、AIが食材を認識しレシピによって炭素繊維ヒーターが適切な温度まで予熱を開始する。Juneによれば平均的なオーブンに比べて3倍もスピーディーに調理ができるという。食材をAIが認識するという機能の実用性については正直私は懐疑的だが、レシピを探して延々とタッチスクリーンをスクロールする手間を軽減してくれるという効果はあるかもしれない。またオンボード映像はリモートで見ることができるので調理の仕上がり具合を専用アプリから確認できる。

それからこのオーブンはAlexaをサポートしている。

またこのオーブンのソフトウェアはWi-Fi経由で随時アップデートされる。つまり超高額の前モデルのオーナーも最新のソフトウェアをインストールできるわけだ。

599ドルにはオーブン本体に加えて専用オーブンパン、ロースト網、トレイが付属する。延長保証、3年分のレシピ・アップデート、それにエア・フライ用バスケット3個のセットは200ドルで別売となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがAndroidのグラフィクスドライバーをテストするGraphicsFuzzを買収

Googleが、Androidのグラフィクスドライバーのセキュリティと信頼性をテストするフレームワークを作っているGraphicsFuzzを買収した。この、XDA Developersが最初に気づいたニュースは、GoogleがAndroid 9 Pieのリリースを発表した、その同じ日にやってきた。

Googleはこのニュースを確認したが、詳細の発表はない。また買収の価額なども公表されていない。

GraphicsFuzzのチームは、協同ファウンダーのAlastair Donaldson, Hugues Evrard, およびPaul Thomsonから成り、今後Androidのグラフィクスチームに参加して、そのドライバーテスト技術をAndroidのエコシステムの全域に提供していく。

チームは今日(米国時間8/6)の発表で次のように説明している: “GraphicsFuzzは、ファジングテストメタモルフィックテストを併用する方法を開拓し、グラフィクスドライバーのテストを高度に自動化することによって、信頼性やセキュリティを損なうバグを、それらがエンドユーザーに影響を及ぼす前に早期に発見する”。同社はその仕事をロンドンのインペリアル・カレッジのコンピューティング学部で開始し、イギリスのEngineering and Physical Sciences Research Council(工学物理科学研究会議)とEUのTETRACOMプロジェクトから資金を得ている。

派手な買収案件ではないが、重要性は高い。Androidの分裂したエコシステムでは、グラフィクスドライバーは重要な部位のひとつであり、その不具合はスマートフォンやタブレットなどのユーザビリティーに直接響く。また不具合のあるドライバーは、セキュリティの弱点にもなりえる。GraphicsFuzzが使用しているファジングテストは、大量のランダムデータをプログラムに投じる手法で、グラフィクス以外のさまざまなソフトウェア開発でも、最近はますます多く利用されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビジネス向けの「Airbnb for Work」、全宿泊の15%を占める

企業の出張者はAirbnbのビジネスにとって重要な部分になりつつあることが最新ブログ記事でわかった。同社は2014年にスタートしたAirbnb for Workが2015年から2016年にかけて3倍に伸び、2016年から2017年に再び3倍増になったと報告した。事実、70万社以上の企業がAirbnb for Workに登録したとAirbnbは言っている。

Airbnbを出張に利用している企業の内訳を見ると実に多様で興味深い。大企業(従業員5000人以上)の利用者と、スタートアップやスモールビジネス(1~250名)の利用者がそれぞれ40%ずつで、Airbnb for Workの残りの20%は中規模企業が利用している。

2017年7月、Airbnbは同サービスのリスティングをSAP Concurで利用できるようにした。SAP Concurというのは多くのビジネス出張者が利用しているツールだ。Airbnbによるとこの統合はAirbnb for Workの成長に多大な貢献をしており、2016年から2017年にかけてConcur経由でAirbnbを利用した従業員数は42%増加した。さらに、ConcurのFortune 500企業ユーザーの63%が、ビジネス出張の宿泊にAirbnbを利用した。

Airbnbnが発見したある傾向は興味深い。同社によると、Airbnb for Workの宿泊の60%近くが複数顧客による利用だった。

「私達は共同作業のための広い場所を提供するとともに従業員一人ひとりがプライベートな空間を確保できるようにしている」とAirbnbのビジネス旅行全世界責任者のDavid Holyokeは言った。「こうすることで、より意義のあるビジネス旅行が可能になり、会社は多くの費用を節約できると考えている」。

ビジネス部門の著しい成長と、その可能性を踏まえて、Airbnbはビジネス旅行者向けに新機能を開発している。来週、Airbnbは、社員がAirbnbのリスティングを会社に特化したランディングページで検索できる新機能を提供する予定だ。

これは、たとえばGoogle社員はGoogle.Airnbn.comを開いて宿泊場所を探すことができるようになり、そこにはGoogleの好みにあわせて、たとえば会社の事業所に近い宿泊地や予算、その他の要素が盛り込まれている。

すでに成長は見られるものの、HolyokeはAirbnb for Workには成長の余地がまだまたあると考えている。Airbnb for WorkのリスティングはAirbnbの利用全体の15%にすぎないとHolyokeは言っている。

しかし、ブティックホテルやAirbnb Plusのようなアメニティー志向のリスティングの登場によって、出張者の間ではビジネスホテルに代えてAirbnbを使う風潮が高まってきた。

加えて、ビジネスにおける移動や移転が一段と重要になるにつれ、社員が新しい土地で家を買う前に居住する有用なツールになるとAirbnbは信じている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボストンエリアのスタートアップが、ニューヨークのベンチャー企業の数を追い抜く勢いに

【編集部注:著者のはTechCrunchの寄稿者である】

ボストンは、米国で2番目に大きいスタートアップ資金調達の中心地としての、旧来の地位を回復した。

ニューヨークの年間ベンチャー投資総額の後塵を、何年にも渡って拝し続けたマサチューセッツ州が、2018年に遂にリードを奪い返したのだ。ボストンのメトロエリアへの今年のベンチャー投資額は、これまでのところ52億ドルとなり、ここ数年のうちでも最も高い年間合計額になる予想が出されている。

現時点でのマサチューセッツ州の年初来の数字は、ニューヨーク市全体の数字よりも約15%高いものだ。このことは、今年ボストンのバイオテック重視のベンチャーを、これまでのところ、国内の様々な場所に比べて、シリコンバレーに次ぐ第2の地位に押し上げた。また、ニューイングランドのVCたちにとって、最新の数字は、地元の起業家たちの優れた才能についての、すでによく知られた観察を裏付けるものだ。

「ボストンはしばしば、『元』スタートアップの街だね、と片付けられてしなうことが多いのです。しかも、成功はしばしば見過ごされてしまい、サンフランシスコのそれほど成功はしていないけれど目立つ企業たちと同じような注意を引くことはありません」こうCrunchbase Newsに語るのは、ボストンのベンチャーファームであるOpenViewのパートナーであるBlake Bartlettだ。彼は、Amazonが10億ドルで買収したばかりのオンライン処方薬サービスのPillPackや、昨年10月に公開され現在株式総額が47億ドルになった中古車市場のCarGurusなどを、地元の成功例として挙げた。

また、ニューイングランドの猛烈な嵐の中で、地元のスタートアップたちの金庫の中には、新たな資金が積み上げられている。下記のグラフでは、報告されたラウンド数とともに、2012年以降の資金調達総額をみることができる。

競争が気になる向きに配慮して、過去5年分のボストンのスタートアップエコシステムとニューヨークの比較も示した。

資金を調達しているのは誰か?

ボストンが今年成功している理由は何だろう?単一の原因を突き止めることは不可能だ。ニューイングランドのスタートアップシーンは広大で、バイオテック、企業向けソフトウェア、AI、コンピューターアプリケーション、その他の分野に対して、とても豊富な専門知識を抱えている。

ただそのなかでも、最も多くを占めるのがバイオテックだということを指摘しないわけにはいかない。今年はこれまでのところ、バイオテックとヘルスケアがニューイングランドにおける投資資金の大部分を占めている。だがもちろん地元の投資家たちは驚いてはいない。

「ボストンはこれまでもずっとバイオテック世界の中心でした」と語るのはボストンとシリコンバレーに本拠を置くVCであるCRVのパートナーであるDylan Morrisだ。そのことによってボストンはこの分野において近年、資金調達とエグジットのブームの中核を担う拠点となっている。そこでは病気の診断と治療に対してより計算的な手法を使う方向に長期的な投資が移行しつつある。

さらに、MITの故郷であるこの街が、いわゆるディープテクノロジー(真に複雑なテクノロジーを使って真に難しい問題を解くこと)に関して、高い評価を得ていることは言うまでもない。それは巨額の資金調達ラウンドにも反映されている。

例えば、ボストンに拠点を置く企業の中で2018年に最大規模の資金調達を行ったModerna Therapeutics(mRNAベースの製薬会社)は、2回のラウンドで6億2500万ドルを調達した。Moderna以外には、巨額ラウンドが向けられたディープテクノロジーを持つ他の企業たちとしては、癌治療のためにT細胞の操作に焦点を当てたTCR2や、民生用ブロードバンド向けの世界初のミリ波バンドを使うアクティブフェーズドアレイ技術を開発するStarry(ボストンとニューヨークに拠点を置く)などがある。

他の分野にもいくつかの巨額ラウンドが見られる。例えばエンタープライズソフトウェアや、3Dプリント、そしてアパレルにさえそうした動きが見られるのだ。

ボストンはまたこうした超大規模資金調達ラウンドの恩恵を受けている。1億ドル以上を調達した多くのラウンドは、ベンチャー資金調達ランキングにおける都市の地位の上昇を助けた。これまでのところ、今年は少なくとも15社のマサチューセッツ州の企業がその規模の調達を成し遂げている。これは2017年には12社に過ぎなかった。

エグジットも行われている

ボストンの企業たちは、今年も活発なペースで、そしてしばしばそれなりの金額で、公開したり買収されたりしている。

Crunchbaseのデータによれば、今年少なくとも7つのメトロエリアのスタートアップが、1億ドル以上の公開価格で買収された。もっとも高値がついたのはオンライン処方薬サービスのPillPackだ。2番目に大きな案件は、S&P Globalに5億5500万ドルで売却された、大金融機関向けのアナリシスを提供するKenshoだった。

IPOも巨大だ。今年はこれまでに合計17社のベンチャーキャピタルによる支援を受けた企業が公開を行った。このうち15社がライフサイエンス系スタートアップだ。最大のものは、赤血球治療の開発を行うRubius Therapeuticsであり、それに続くのがサイバーセキュリティプロバイダーのCarbon Blackだ。

一方、過去数年間に公開された多くの地元企業は、公開以来その価値を大いに高めて来ている。Bartlettは、オンライン小売業者のWayfair(時価総額100億ドル)、マーケティングプラットフォームハブスポットHubSpot(時価総額48億ドル)、そして企業向けソフトウェアプロバイダーのDemandware(28億でSalesforceに売却)などを例として挙げた。

ニューイングランドが熱い(hot)

マサチューセッツ州で4月の極寒を体験した記憶を持つ私が、「ボストンが暑い(hot)」などというフレーズを口にするなんて新鮮過ぎる心持ちだ。しかし、天気の話は脇に置き、スタートアップの資金調達だけに話を絞れば、確かにボストンの風景には気温上昇が見えてきている。

もちろん、ボストンだけに限った話ではない。今年は超巨大なベンチャーファンドが、エリア全体に急増している。Morrisは南方向数時間の位置にある最大のライバルに対しても強気だ:「ニューヨークとボストンはお互いを嫌い合うのが大好きなのです。しかし、ニューヨークは素晴らしいこともやっています」と、バイオテックスタートアップのエコシステムを活性化するための努力を指摘した。

それでも現段階では、2018年はスタートアップにとってはボストンの年になりつつあると言ってしまっても間違いはないだろう。

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(翻訳:sako)

生産性ソフトではなくビジネスプロセスのレベルで中小企業のデジタル化を助けるTeamleaderが$22Mを調達

中小企業のデジタル化を助けるSaaS Teamleaderがこのほど、シリーズCで2200万ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはロンドンのKeen Venture Partners、これにPMVと、これまでの投資家Fortino CapitalとSage Capitalが参加した。

6か国に計1万近い顧客(主に中小企業)がいる、という、本社をベルギーに置くTeamleaderは、SaaSベースのプラットホームにより中小企業のビジネスプロセスのデジタル化を推進している。そのサービスには、CRMや営業支援、プロジェクト管理、時間管理、請求事務などが含まれる。

また最近立ち上げたTeamleader Marketplaceは、今後の同社の成長の核となる、と見なされている。これは顧客が、自分たちの好きな地元のSaaSツールをTeamleaderに統合できる、というサービスだ。これまですでに1000の統合をサポートし、とくにローカライゼーションに力を入れている。

Teamleaderの協同ファウンダーでCEOのJeroen De Witは語る: “ヨーロッパ全域のデベロッパーのための100万ドルのファンドまで作った。彼らに、Teamleaderの統合をやってもらいたいのだ。かなり思い切ったアイデアだが、うまくいっている”。

“このマーケットプレースのすごいところは、ヨーロッパ中のSaaS選手たちがわれわれの成長に乗っかれることだ。たとえばベルギーのCumul.ioは今、このマーケットプレースを通じてスペインに顧客を見つけている。それは完璧に、わが社のビジョンにも合うことだ”。

より広い視野で見ると、中小企業はそろそろデジタル化を恐れなくなっている。そしてどんどん、いろんなビジネスソフトウェアを利用するようになっている。“これらのツールは、お互いに寄り添って一つになり、統合化されたシステムとして機能する必要がある。そうでなければ、中小企業がそこから最大の価値を得ることができない”、と彼は言う。

今回得られた資金は、Teamleader Marketplaceに投じられるほかに、国際化のなお一層の成長とプロダクトロードマップの加速に充てられる。その中には、同社の言う“マルチローカルなアプローチ”が含まれる。そしてそのためには、Teamleaderのプロダクトを各国のニーズに合わせて微調整していく必要がある。そう、同社はまさに、ヨーロッパ的なスタートアップだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Mapsがついに#flatearth(地球平面説)の信者でなくなった

Google Mapsへ行ってズームアウトしてみよう。途中から、地図のパースが従来の平面地図から対話的な球体になる。最後までズームアウトすると地球が球体として表示され、大陸等のサイズは、それぞれ正しい。グリーンランドが、前みたいにアフリカの大きさになることはないし、すべてが実際の相対サイズだ。

平面地図では、大陸のサイズを相対尺度で表現できない。球体を無理やり平面にすると、存在しない平面が挿入されるからだ。それは、よく使われるメルカトル図法の地図でもっとも著しい。赤道あたりの陸地のサイズは正しいが、北極や南極では非現実的に巨大だ。

今度からデスクトップのGoogle Mapsでは、大陸などの地塊が正しいサイズで表示される。このアップデートはすばらしいが、でも地球が平面だと、子どものころはどこかに大きな氷の壁があってすべての生物が滑り落ちるのを防いでるはずだ、と確信していた。そして、広大で空虚な宇宙空間の中でぼくたちを支えている、あの大きな亀はどこへ行ったのだろう?

[3D球体モードではグリーンランドがアフリカのような大きさにならない]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa