開催まで1週間を切ったTechCrunch Tokyo、LINE元代表・森川氏が語る動画ビジネスと“シンプル”な組織論

開催までいよいよ1週間を切ったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」。タイムテーブルも今週発表しているが、また新たな登壇者をご紹介する。

1日目の11月17日午後のセッションに登壇するのは、LINE元代表取締役社長CEOで現在はC Channelの代表取締役を務める森川亮氏だ。

森川亮氏

森川亮氏

森川氏は筑波大学を卒業後、日本テレビに入社。MBAを取得したのちソニーに入社。さらに2003年にはハンゲームジャパンに入社することになる。そして2007年に同社の代表取締役社長に就任。同社は社名変更やグループ会社との合併などを経て今のLINE株式会社となった。

そんな森川氏だが、2015年3月にLINEの代表取締役社長を退任。4月にはC Channel株式会社代表取締役に就任し、動画事業を展開すると発表した

TechCrunchでの取材を通して僕がこの春以降感じていたのは「動画関連スタートアップの隆盛」。C Channelの発表と時を同じくして、オンライン動画関連のビジネスが大きく成長してきた感がある。YouTuberのキャスティングや動画メディアを展開する3Minute、動画広告プラットフォームのオープンエイトをはじめとして、メディア・広告・制作など動画に関わるあらゆる領域のプレーヤーが生まれている状況だ。本セッションではその中におけるC Channelの立ち位置やこの半年弱での成長などを森川氏に聞いてみたいと思う。

また森川氏と言えば、LINEの代表退任後に複数のスタートアップの外部取締役に就任したほか、母校・筑波大学でも起業志向の学生を支援するなどしている(11月11日には担当する自由科目の「筑波クリエイティブ・キャンプ」の起業プラン発表会も開催された)。こういった場を通じて、経営者としての経験を若き起業家、そしてその候補生に伝えているのだという。そのノウハウは5月に発売された同氏の著書「シンプルに考える」でも触れられている。

このセッションでは、そんな森川氏の経営哲学や組織論などにも触れたいと思っている。自らスタートアップする起業家だけでなく、組織の中でビジネスを組み立てる事業家、そして若きビジネスマンや学生まで、幅広い人に同氏の話を聞きに来て欲しい。

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Airbnbの安全対策に問題提起する、ある父親の死の物語

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ジャーナリストのZak Stoneは、テキサス州でAirbnbに宿泊している間に起きた父親の死について、興味深く、かつ示唆に富む記事を書いた。

Stoneによると、家族でサンクスギビングの休暇旅行に出かけた先で、彼の父は庭のブランコに乗った。するとブランコが結ばれていた木の幹が二つに折れ、「直後に脳機能が停止」し、搬送先の病院でStoneの父は最終的に生命維持装置を外され死亡した。

それは胸が張り裂けるような話であり、もしStoneの記事が、Airbibの家主を全面的に非難するものであっても、私には十分理解できる。しかし、彼はジャーナリストとしてこれに向き合い、会社は宿泊客の安全を守るためにもっと出来たのではないかという厳しい質問を投げかけ、問題の複雑さを受け入れた。

Stoneは、少なくとも他に1名、Airbnbレンタルで死んだ客がいることを知った ― カナダ人の旅行者で、滞在した台湾のアパートの一室は一酸化炭素で満たされていた。

Airbnbや他の「共有経済」会社に共通する弁解は、個々のサービス提供者の責任を彼らが負わないことだ ― そこはつながりを提供する市場であり、この場合は客とホストをつなぐ。しかし、Stoneはこう反論する。

もちろんプラットフォームは、中立的なテクノロジーの断片ではない。そこには市場の価値が組み込まれ、利益は最大に法的責任は最小になるよう戦略的にデザインされている。こうした曖昧性に乗じる企業は、消費者にリスクをもたらす。特に彼らが取り扱うのは人間の体験であり、自らがホストする法的に曖昧な活動に挑戦することで、プラットフォームの存在意義を訴えてきたNapsterやTumblr等が扱うような単なるデータや音声ではない。

Stoneはこうしたアプローチを、アパートよりずっと厳しい安全基準の下で運営されているホテルと対比する。また、Airbnbにとって宿側との関係は完全な受け身ではないことも指摘する ― 会社がプロの写真家を手配して、宿の紹介ページに魅力的な写真が載るようにしている。

「皮肉なことに、施設の写真を撮り宣伝するという平凡な仕事をうまくこなせないシロウト主人に、もてなしで最も大切な、宿泊客の安全と命を守ることが求められている」と彼は書いている。。

ともあれ、問題は他にもたくさんあるので、是非記事を読まれたい。私はAirbnbにコメントを求め、次の回答を得た。

このような事態が起きたことを知り、大きな衝撃を受け心を痛めている。その宿泊客とその家族のことは引き続き私たちの心に留められている。安全より大切なものはない。6000万人以上の宿泊客がAirbnbに滞在し、驚くほど事故が少ないことを誇りに思っている。あらゆる業界、あらゆるコミニティー、そしてあらゆる都市が安全問題に取り組み、完璧な実績を持つ者は誰もいないが、それがわれわれの目標であり、誰にとってもより安全なコミュニティーにするために、できる限りの努力を続けていく。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

十億円を捨てて起業―、マネックス証券創業者の松本大CEOがTechCrunch Tokyo登壇

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matsumoto-photoいよいよ来週の11月17日、18日に迫ったTechCrunch Tokyo 2015だが、国内ゲスト登壇者をもう1人ご紹介したい。マネックス証券の創業者で、現在マネックスグループの代表執行役社長CEOを務めている松本大(まつもと・おおき)氏の登壇だ。

Fintechが盛り上がりを見せる日本のスタートアップ界だが、マネックス証券は、その草分け的存在と言える。マネックス証券が創業したのは、まだFintechなんていう呼び方がなかった今から16年前のこと。1999年のマネックス創業当時、インターネット接続はめんどうで高かった。電話回線をインターネットに流用するダイヤルアップ接続が一般的だったために、電話料金が安くなる夜間以外は、電話料金を気にしながらにネットを利用するのが一般的だった。今じゃ信じられないけど、必要のないときにはPCはネットに繋がってなかったのだ。ネットというのは「よいこらしょ」という感じで繋げ、それから利用して、そして用事が済んだらそそくさと「切断」するものだった。

そんな時代に松本氏は「オンライン証券」という業態で創業した。個人がインターネットを使って株式をはじめとする金融商品の売買をする時代が必ず来る、という信念があったという。

あと半年待てば受け取れたはずのプレミアム報酬は数十億円とも

いくら時代が動くという直感があっても行動に移せない人が多いだろう。まして、それなりの待遇で会社勤めをしていたら迷うのが普通だ。松本氏の場合、それなりの待遇などではなかった。起業時に捨てた待遇は文字通り破格だった。外資系金融業界でスピード出世をした松本氏は、1994年に史上最年少の30歳という若さでゴールドマン・サックスのゼネラル・パートナーに抜擢されている。1998年に退社してマネックスを創業する決意をしたタイミングというのは、実はゴールドマン・サックスは上場を間近に控えていた。実際同社は1999年5月に上場を果たしていて、松本氏がゼネラル・パートナーとして受け取れたはずのプレミアム報酬は10億円以上とか数十億円と言われている。ここは守秘義務があるから松本氏自身が過去に正確な数字を口にしたことはないが、関係者や当時の報道からすると二桁億円以上だったのは間違いなさそうだ。

翌年の春に上場が控えていて、個人としては莫大な報酬を受け取れることがほとんど確定していた。なのに、なぜその半年前の1998年の秋に松本氏は、それを捨ててまでゴールドマン・サックスを去ってマネックスを創業したのか。

松本氏自身は、この決断の背景にあったのは「タイミング」と「クレダビリティー」の2つだとしている。

1999年10月というのは株式委託売買の取引手数料が自由化されたタイミング。1996年に始まった金融ビッグバンという大きな金融制度改革の流れにおける、千載一遇のチャンスでもあった。当時の松本氏には、個人金融資産の行き先が銀行と郵便貯金に異常に偏りすぎていて、日本経済が歪んでいるという強い問題意識があった。そういう問題意識を抱えたまま、金融の専門家として何もしないという選択肢はなかったのだろう。規制緩和のようにゲームのルールが変わる時というのは、たった半年の参入タイミングの差で勝敗が付くことがある。たとえ半年でも待てなかった、ということだ。

「クレダビリティー」というのは信じるに値するかどうかのことだ。ビジネスマン、あるいは一人の人間として、どれだけ人から信用されるかこそが最も重要だと考えたということ。口でいくら日本経済や個人資産の問題を指摘し、「あるべき論」を展開していたとしても、やるべきタイミングを逃し、やるべきだと言ってることをやらないようでは、しょせんその程度と思われる。逆に、目の前の莫大な報酬を捨ててでもゼロから起業したとなれば、その覚悟は言葉で説明しなくても周囲に伝わる。クレダビリティーというのは作り上げていくのに年単位の時間がかかるのに対して、崩れるときは一瞬。長い目で見れば、目の前の利益を捨ててでも守るべきモノがあるというのは傾聴に値する話だ。

スタートアップ創業期の話でいえば、松本氏はこんなことも言っている。自分たちが守るべき理念は最初から作れ、組織やビジネスができてからと後回しにするなと。創業期はカオスになりがちだし、売上もまともに立たずに必死にもがくもの。そうした中、オレたちはこの一線だけは守るのだというのを最初から決めておかないと、より大きて強いものに降参したりすることが起こり得る。心当たりのある人はいないだろうか? 立ち上げ期の溺れるような環境にいたことがある人なら心当たりの1つや2つはあるだろう。「受注するしかないよ……、だって売上どうすんの!?」「でも、これをやるためにオレたち集まったんじゃないよね?」「だってしょうがないじゃん!」「そもそも倫理的にマズくね?」「じゃあ、お前はほかにどうするって言うんだッ!」。

ぼくは松本氏にTechCrunch Tokyoに登壇していただくにあたって聞いてみたいことがたくさんある。創業期、成長期を経て、現在マネックスグループとしてアメリカや中国へとビジネスを広げつつある拡大期にある。多段ロケットのように異なるステージを駆け抜けてきた起業家、経営者としての松本氏のストーリーや、それぞれの段階における洞察もお聞きしたいし、創業から16年が経過してみて結局個人金融資産は動かなかったんじゃないですか、問題は実は解決できてないんじゃないですか、ということも是非聞いてみたいと思っている。いくら「貯蓄から投資へ」といったところで過去にそれほど大きく動いてこなかったのは、何かもっと本質的な問題があるからではないのか。

同じくFintechの文脈でいえば、証券会社とユーザーの間にある本質的な利益相反についても聞ければと思っている。金融商品取引プラットフォームというのは、その性質上プラットフォーマーにはトランザクションを増やすインセンティブが強く働く。証券会社の売上である手数料収入というのは、預かり資産残高に売買回転率を掛けたものだから、回転率を上げれば上げるほど売上はあがる。一方、回転率を上げてパフォーマンスが確保できる個人投資家などほとんどいないだろう。投資信託にしても金融庁が指摘するとおり日本では投信の保有期間が平均2年程度と短く、何かがおかしい。リスクの高いジャンク・ボンド債が人気商品として上位にランクし、証券会社の売上は伸びていても個人投資家のパフォーマンスは良くない。日本の証券会社はユーザー利益に主眼など置いていないのではないか。こういう構造的問題は、霞が関と金融村の阿吽の呼吸のようなクローズドな環境でルール決めをやっているから解決が難しいのではないか。と、そんなことも、最近ぼくがFintechや「霞が関ハック」が必要なスタートアップ領域で気になっていることの1つだ。

ちょっと紹介がFintech寄りになってしまったが、松本氏には起業論や組織論、仕事論といったことも話していただければと思っている。マネックス証券の創業時にはソニーを巻き込み、設立記者会見では当時ソニー社長だった出井伸之氏が舌を巻くほどの演出を仕込むなど痛快なエピソードも多い。大企業や官庁とうまく付き合っていきたいスタートアップの人たちには参考になる話もあるだろう。日本で生まれて世界に羽ばたきつつあるマネックスグループの祖、松本大氏の生の声を来週のTechCrunch Tokyoへ、ぜひ聞きに来ていただければと思う。

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エンジェル投資家の役割ってどんなこと? TechCrunch Tokyoでコロプラ千葉氏とコーチ・ユナイテッド有安氏に聞く

スタートアップのエコシステムには、起業家だけでなく、彼らに資金や知見を提供する支援者がいるのは周知の通り。起業家が外部から資金を調達して事業のアクセルを踏む際に投資をするのは、ベンチャーキャピタルだったり事業会社だったりさまざまだ。

コロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎

コロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎

そんな支援者の中には「エンジェル投資家」と呼ばれる人たちがいる。TechCrunchの読者ならご存じかも知れないが、彼らは創業期のスタートアップに対しての投資を行う個人投資家たちだ。

一度自ら立ち上げた会社を上場させるなり売却するなりして利益を得た元起業家・元経営メンバーなどが、次の世代の起業家に対して資金を提供し、アドバイスを行い、人脈を紹介するというケースが多い。スタートアップ企業に投資をするだけでなく、ベンチャーキャピタルの手がけるファンドに対してLP出資するなどして、間接的に投資するケースも少なくない。ちなみにエンジェルという呼び名は、演劇業界における出資者からついているのだとか。

日本のネット領域では、ディー・エヌ・エー共同創業者の川田尚吾氏、ネットエイジ創業者の西川潔氏、現在クックパッド代表執行役兼取締役を務める穐田誉輝氏なんかの名前が挙がることが多い。ほかにも上場・事業売却した経営者らが若き起業家に支援をしているなんて話はちらほら聞くが、ここ数年のIPOやバイアウトによるイグジットで比較的若いエンジェル投資家が増えているのは確実な流れだ。

しかし、国内のエンジェル投資家がメディアなどに出て自分たちの存在をアピールすることは少ない。例えば僕たちがスタートアップの資金調達のニュースを書くときにも、「ベンチャーキャピタルの○○社および個人投資家などから資金を調達した」といった表現をすることがあるが、この「個人投資家など」は名前を非公開にしているエンジェル投資家であるケースも多い。クローズドな場を除いて大々的に自身の投資について語ることは少ない。

開催まで1週間弱となったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」では、そんなエンジェル投資家をテーマにしたセッションを開催する予定だ。

コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の

コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の

このセッションにはコロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎氏と、コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の2人が登壇する。いずれも本業では経営陣としての手腕を振るう一方、エンジェル投資家として積極的に若い起業家を支援している人物だ。

千葉氏は新卒でリクルートに入社したのち、ネット黎明期の2000年にサイバードに入社。様々なモバイルビジネスに関わったのち、2009年にコロプラ立ち上げに参画。同社を上場まで導いたのち、新卒採用や人材育成といった面で同社の成長を支えてきた。最近では子会社のコロプラネクストを通じて学生起業家への支援も積極的に行っているほか、個人でも多くのスタートアップに投資をしている。

一方の有安氏は新卒でユニリーバ・ジャパンへ入社したのち、2007年にコーチ・ユナイテッドを設立。語学や楽器レッスンのマーケットプレイス「サイタ」を運営してきた。2013年には同社をクックパッドへ売却。継続して事業を行いつつ、個人や「Tokyo Founders Fund(ノボット創業者の小林清剛氏や元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏ら経営者8人によるファンド)」での投資活動を行っている。

セッションではエンジェル投資家として活躍する2人に、その実態を語ってもらえればと思っている。投資を始めた理由やそのスタンス、支援したい起業家の人物像、支援の手段や本業との兼ね合いまで、いろいろ話を聞ければと思っている。興味がある人は、是非ともイベントに遊びに来て欲しい。

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ビジネスSNS「Wantedly」がいよいよオープン化、3つの機能が外部サイトでも利用可能に

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏(中央)とOpen APIを担当した相川直視氏(左)、坂部広大氏(右)

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏(中央)とOpen APIを担当した相川直視氏(左)、坂部広大氏(右)

ウォンテッドリーの提供するビジネスSNS「Wantedly」。6月に発表していたプラットフォームのオープン化がいよいよスタートした。同社は11月9日よりOpen APIの提供を開始。すでに発表されていたサイバーエージェント、クックパッド、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の4社に加えて、採用管理システムを提供するジャパンジョブポスティングサービス、ワークス・ジャパン、イグナイトアイがローンチパートナーとしてOpen APIの導入を実施。また、本日よりすべての企業に機能を開放する。ウォンテッドリーでは年内に100 社の導入を目指す。

Open APIを利用することで、Wantedlyのサイト外であっても同サービスの機能を利用できるようになるが、今回提供されるのは「話を聞きに行きたいボタン」「会社フィードボックス」「フォーム自動入力ボタン」の3つの機能だ。Wantedlyの会社アカウントを作成し、自動生成されたJavaScriptを一行ホームページに挿入すれば、これらの機能を外部サイトに導入できるようになる。これによって従来の応募フローには乗って来なかった潜在転職者や、採用のフローが面倒で離脱してしまうような転職者とも出会えることが期待できる。

Wantedly には、「本選考へのエントリ-」というかっちりしたものエントリーフォームではなく、カジュアルに企業へ遊びに行きたいという意思を表示する「話を聞きに行きたいボタン」がある。これまでWantedly内のクライアント企業各社のページでのみの利用できたこの機能が、外部サイト(例えばクライアント企業のコーポレートサイトなど)にも設置可能になる。

VisitButton

「話を聞きに行きたい」ボタンのイメージ

「会社フィード」は、Wantedly上に日々の会社の様子を投稿して情報を更新できる機能。ユーザーは気になる会社フィードをフォローすることで、最新の企業情報を受け取ることができる。この会社フィードを外部サイトに表示するのが「会社フィードボックス」だ。

「会社フィードボックス」のイメージ

「会社フィードボックス」のイメージ

「フォーム自動入力ボタン」は、Wantedly上にプロフィールを登録するユーザーが、ワンクリックでその情報をほかのサイトのプロフィール入力フォームにコピーできる機能。例えば転職希望者がWantedlyで興味のある企業を見つけ、話を聞きに行ったあとでその企業の選考に正式にエントリーする場合、企業のエントリーページにこのボタンが設置されていれば、ワンクリックで情報を入力できるようになる。今まではコーポレートサイトにWantedlyの自社ページのリンクを用意するケースが多かったそうだが、今後はWantedly上の更新情報が直接コーポレートサイトなどから閲覧できることになる。

Wantedlyの月間ユーザー数は60万人。クライアントは1万2000社にまで拡大した。ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏によると「もともと4000社くらいまではスタートアップが中心だったが、その領域はほぼ取り切って、そこからは中小企業や大企業、病院、学校、行政など利用企業の裾野が広がっている状況」という。

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル登場チームはこの12社だ

昨年は家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

昨年は家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

いよいよ再来週に迫ってきた「TechCrunch Tokyo 2015」。その目玉企画の1つが、100社以上がエントリーした一次審査を勝ち抜いたチームが自社プロダクトをプレゼンで競い合う「スタートアップバトル」だ。昨年は800人規模の会場で立ち見が出るほどの盛況ぶりだったが、今年は昨年同様かそれ以上の盛り上がりが予想される。11月18日の決勝大会に出場する12チームのプロダクトを手短に紹介しよう。

SmartHR(株式会社KUFU )
社会保険・雇用保険の手続を自動化するクラウド型ソフト。

Popcorn(クービック)
渋谷や恵比寿、六本木をはじめ都内中心に、当日予約できるサロンが見つかるアプリ。

One Tap BUY(株式会社One Tap BUY)
4タップで有名企業の株式を買えるアプリ。日本初のスマホ専門証券会社を設立準備中。

キャスタービズ(株式会社キャスター)
人事や経理などの事務作業をオンライン秘書に依頼できるサービス。

シェルフィー(シェルフィー株式会社)
店舗を出店・改装したい人と、デザイン・施工会社をつなぐプラットフォーム。

TANREN(TANREN株式会社)
動画を主体とした研修システム。属人的になりがちな社内教育を共有化できる。

WATCHA(株式会社WATCHA)
自分の好きな作品をもとに、オススメの映画、ドラマ、アニメを教えてくれるアプリ。

WealthNavi(ウェルスナビ株式会社)
世界中の機関投資家や富裕層が利用する国際分散投資をサポートする資産運用サービス。

BONX(チケイ株式会社)
スマホと接続して使えるウェアラブルトランシーバー。アウトドアでの利用を想定している。

SHOPCOUNTER(株式会社COUNTERWORKS)
物販やイベント用のスペースを貸し借りできるマーケットプレイス。

mijin(テックビューロ株式会社)
自社またはパートナー間のみ利用可能なブロックチェーン構築プラットフォーム。

VIDEO TAP(株式会社オープンエイト)
延べ4000万UUの女性向けプレミアムメディアを束ねるスマホ動画アドプラットフォーム。

以上の12社が、11月18日(水)に開催するスタートアップバトルに登場する。バトルの開始前には、家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」を発表して昨年王者に輝いたAgICの清水信哉さん、同じく昨年のバトルに出場したダイエット家庭教師アプリ「FiNC」の溝口勇児さん、後付型スマートロック「Akerun」を手掛けるフォトシンスの河瀬航大さんが登場し、プロダクトのアップデートを語ってもらう予定だ。

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「gumiショック」からの復活は? TechCrunch Tokyoでgumi代表の国光氏に聞く

いよいよ開催まで2週間を切ったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」。また新たな登壇者について紹介したい。今回登壇が決まったのはgumi代表取締役社長の国光宏尚氏だ。

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

国光氏率いるgumiは2007年の創業(当時の社名はアットムービー・パイレーツ)。当初は自社でSNS「gumi」を提供していた。

実はこのgumi、mixiやDeNA、GREEなどよりも早くオープン化を実施した先進的なSNSだったりするのだが、早すぎるオープン化は当時ユーザーに受け入れられなかった。その後同社はSNSからソーシャルゲームの開発へと事業をシフトするが、これまでに資金繰りに苦戦し、3度倒産の危機を迎えたのだという。

そんな苦労の末に2014年12月、見事東証マザーズ市場に上場するが、今度は上場から2カ月半で業績予想の下方修正を発表。2015年4月期の業績が営業利益13億円の黒字から4億円の赤字になると発表。追い打ちをかけるように無担保での30億円の銀行借入や韓国子会社での横領事件などがあきらかになったこともあって「gumiショック」なんて揶揄され、市場の投資家から厳しい批判を受けた。

今日時点の株価を見てもまだ上場時の価格には遠い状況だが、10月に完全子会社化したエイリムの新作タイトル「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は好調のようだし、以前決算説明会などで発表していた新作タイトルなども続々リリースの予定。さらにはこれまで立ち上げてきた海外拠点での展開も加速するとしている。復活の準備は整ってきたようだ。

TechCrunch Tokyoではそんな国光氏に、上場後の振り返り、そしてgumiの今後の展開について語ってもらう予定だ。取材や講演の場ではことあるごとに「(総合エンターテインメント企業として)ディズニーを目指す」と語っていた国光氏。そのディズニーへの道に向けた新しい話もあるかもしれない。興味がある人は是非とも同氏のセッションを見に来て欲しい。

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エニーカラーの「hi!」は、恋人だけじゃなく友達探しにも使えるマッチングサービス

エウレカの「pairs」やネットマーケティングの「Omiai」をはじめとして、国内でも勢いを増しているマッチングサービス。この領域に新たなサービスが登場した。エニーカラーは11月5日、マッチングSNSアプリ「hi!」を公開した。App Storeより無料でダウンロードできる。

hi!はFacebookアカウントでログインし、ユーザーが自分の趣味や興味のある話題をタグとして登録。そのタグの情報をもとにして、人工知能(AI)で親和性の高いユーザーをレコメンド(またAIか…と思うかも知れないが、非公開ながら学術機関と連携してアルゴリズムを研究しているとのことだ)。その中から気に入ったユーザーに対して「いいかも」のボタンをタップしていき、お互いが「いいかも」を押した時点でマッチングが成立し、テキストやスタンプによるメッセージを送りあうことができる。

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サービスの利用は基本無料。いいかものタップもソーシャルゲームのように時間経過で自然回復する(10回分まで)が、それを追加購入する場合のみ料金(5回分で120円)がかかる。

hi!はレコメンドの範囲を異性だけでなく同性にも広げられるのだが、同性の友人探しにも利用されているという。サービスは10月からオープンテストを行っているが、その際には約3割が女性同士でマッチングしており、「趣味の合うママ友が見つかった」なんて事例もあったそうだ。

プロダクトのトーンも全体的に柔らかい雰囲気を出しているが、「生活をスパイスアップ(より面白く豊かなものにすること)することがテーマ。いかに女性ユーザーが安心して使ってくれるかを考慮している」(エニーカラー代表取締役の津倉悠槙氏)とのこと。いきなり「恋人探し」と意気込まなくても、気軽に趣味の合う友人を探すところからサービスを利用してもらうことでサービスの拡大を狙う。

今後は、リアルイベントなども開催してユーザー間の交流を図る。11月20日には神奈川県・川崎市で第1回の公式オフ会を開催する予定だ。

エニーカラーは2014年10月の設立。代表の津倉氏はエイベックス、Amazonで勤務後に米国でMBAを取得。その後帰国してコンサルティングファームやギルト・グループの立ち上げ、さらにはバンドのプロデュースなど、エンタメ・ITの領域でのビジネスを手がけてきた。同社は起業にあたり複数の個人投資家らから資金を調達しているほか、2015年8月にはベンチャーユナイテッドから資金を調達している。金額は非公開だが数千万円とみられる。

開催まで残り10日、TechCrunch Tokyoハッカソンはテーマ自由、チーム歓迎!

すでに告知させて頂いた通り、東京・渋谷のヒカリエで開催予定のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」に付随する形でハッカソンを行う。イベント本編は11月17日(火)・18日(水)だけど、ハッカソンはその直前の14日(土)、15日(日)にお台場で開催する。

2014年のTechCrunch Tokyoハッカソン

今年は審査員として、デザイナーでエンジニアでもあるコイニー・プロダクトストラテジストの久下玄氏、そして角川アスキー総合研究所所長で元「月刊アスキー」編集長の遠藤諭氏をお呼びしている。また特別参加エンジニアとして、昨年同様にIT芸人masuidriveことトレタCTOの増井雄一郎氏にもチーム参加いただくことになっている。

テーマは自由、プロトタイプ持ち込み可

これまでにTechCrunch Japanでは何度かハッカソンを開催してきたが、今回は少しルールが異なる。まず、参加資格はエンジニアかデザイナーであること。企画・ビジネスサイドの人には、今回ご遠慮いただいている。最近増えている「起業するためにコーディングを覚えた」というような人は歓迎だ。

今回はチームビルディングの時間を設けないのでチームでの参加が必須となっている。ただし、チームメンバーが1人というのはオッケー。1人で会場へ来てモクモクとハックして何かのプロトタイプを作るというのもチーム扱いで歓迎したい。実は2014年のTechCrunch Tokyoハッカソンで登場した「CFTraq」(クラウドファンディング・トラック)も1人チームの作品だ。

多くのハッカソンはテーマを設けるが、今回のTechCrunch Tokyo 2015 Hackathonでは、「TechCrunchに載ってもおかしくないようなもの」というモヤッとした方向性だけを設定したい。そのアイデアなら投資したいという事業性がほのかに感じられたり、ハックそれ自体が面白いなどといった作品を期待したい。作るのはハードウェアでもソフトウェアでもオッケーだ。

IoTであればモジュールの持ち込み、ソフトウェアなら自作ライブラリの利用など、プロトタイプレベルのものは持ち込み可としたい。いきなり何かのハードウェアモジュールを使うとなると、動作検証とか習作を作るだけで週末が終わる可能性があるので、ハッカソンの週末で一気に作り上げるのに必要な要素は、あらかじめ準備していただけると良いと思う。

ルールとして、もう1つ。サービス系、インフラ系のAPI提供スポンサーにご協力いただけることになっているので、いずれか1つAPIを利用してほしい。面白いサービスAPIもあるし、クラウドインフラや決済がある。サービス化の部分でAPIを組み込むと活かせるのではないかと思う。

APIスポンサー
楽天、KDDIウェブコミュニケーションズ、kii、アプレッソ、さくらインターネット、構造計画研究所、株式会社ぐるなび、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、PR TIMES、Microsoft、NTTドコモ、IBM

今回のハッカソンには優勝賞金のようなものはないが、各種スポンサー賞が用意されるほか、ハッカソン参加者は全員TechCrunch Tokyo本編にも無償招待させていただく。そして昨年同様にハッカソン発表作品の中から5作品(チーム)は、TechCrunch Tokyo 2015のセッションで各4分間のライトニングトークをしていただく予定だ。

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資料を軸にしたBtoBマッチングサービス「Boxil」運営のスマートキャンプが1.5億円の資金調達

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ビジネス向け資料を軸にしたBtoBビジネスマッチングサービス「Boxil(ボクシル)」を提供するスマートキャンプ。同社は11月4日、グリーベンチャーズ、ベンチャーユナイテッド、アーキタイプベンチャーズを引受先とした合計1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。またこの発表とあわせてサイトをリニューアル。クラウドサービスに特化した資料共有・BtoBマッチングサービスを展開する。同社はこの調達をもとにマーケティングおよび人材の確保を進める。

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏

Boxilのリリースは2015年4月。スマートキャンプは以前から資料作成特化のクラウドソーシングサービス「SKET」を展開していたが、そこで制作した資料を実際に掲載し、実際に売上向上やコスト削減に繋がるような場所を作ることを検討する中でBoxilの提供に至ったという。

Boxilではサービス提供企業がアップロードした資料(おもに営業資料)をダウンロードして閲覧できるという、よくあるホワイトペーパーサービスと同等の機能に加えて、専用のチャットで直接サービス提供企業の担当者とやりとりを行うことができるのが特徴だ。チャット上で直接受発注までに至るケースも多いという。サービス開始から半年弱、現在約200社が法人登録しており、商談発生件数は1000件以上(ただし成約数については確認できなかった)。

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今回の調達に合わせたリニューアル以降、Boxil上に掲載できる資料をクラウドサービスに限定する。「クラウドサービスがBoxil上で高いマッチング率だったこともあるが、特にクラウドサービスは機能が細分化されており、メリットが分からない、セキュリティに不安があるという声が多い。大企業への導入は進んでいるが、本来導入すべき個人や中小企業ではまだ導入が進んでいない。また単価が安いこともあって営業担当を多く置けない状況」(スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏)

将来的には資料のダウンロードやチャットだけでなく、レーティングやレビューの機能も導入することで、「クラウドサービスの価格コムにを目指す。クラウド未導入の個人事業主から中小企業経営者240万社がターゲットになる」(古橋氏)という。すでに海外ではG2 Crowdのようなクラウドサービスに特化したレビューサイトが存在する。

SECの新ルールで、株式クラウドファンディングがさらに近づいた

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平均的消費者、即ち非「高純資算者」が小規模な調達ラウンドで投資できるようにするアイデアは、6月以来検討されてきたが、先週発表された新たなルールによって、米国はいよいよ真の株式クラウドファンディングに近づいた。リリース全文はここで読めるが、要するに、新たな形態の投資へのドアは開かれた。

会社は、12ヵ月の期間中に最大100万ドル ― 近代の投資標準から見て大きい額ではない ― を調達できるが、資金は純資産10万ドル以下の個人からもやってくる。その個人は「2000ドルまたは年収の5%」を12ヵ月の間に投資することができ、それ以上金を持っている人は年収の10%を投資できる。「クラウドファンディングを通じて10万ドル以上の証券」を買うことはできない。

新たなルールでは、いわゆる監査要求が削除された。これはスタートアップに支払い能力があることを確認するために設けられていたもので、要求によってさらに約4万ドルの費用が加わり、最も安定したスタートアップ以外に投資家が接触する機会を明らかに阻害していた。

株式クラウドファンディングは、端的に言って、世界で最も新しく最も興味深い資金調達システムだ。すでに海外ではかなりよく知られているが、これまでSECはその拡大に対して非常に用心深かったので、今回の改訂は米国における真の株式クラウドファンディングシステムへの最大の一歩だ。では平均的スタートアップにとって、それはどんな意味を持つのか?まず、多くのスタートアップが現金を得る際に直面する、ネットワーク作りの障壁を取り除くことによって、ベンチャーキャピタルの重要性を減少させられる。しかし、金額を100万ドルで頭打ちにすることによって、SECは実質的に一つの信号システムを作っている ― 最大の調達者は伝統的VCファンドの興味を多く引けるが、小さな調達者は選択肢不足に悩まされる。

新ルールはJOBS法(「スタートアップやスモールビジネスが広い範囲の潜在投資家から資金を調達し、投資家に新たな投資機会を与える」ために作られた法律だ)の一環であり、同法の最初の成果の一つだ。

最終的に株式クラウドファンディングは、おそらく早期段階スタートアップが資金調達する主要な方法になるだろう。ほぼあらゆる人々 ― 友達から、衆愚、家族、オンラインファンに致るまで ― を巻き込むことで、人気のスタートアップは堅実なシード資金の調達が可能になり、それを元手にさらなる成功を目指せる。この裁定は90日以内に発効する ― IndiegogoのCEO Slava Rubinのような人々が、「株式クラウドファンディングがわれわれのビジネスモデルでどんな役割を演じるかを探究する」には十分な期間だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ホームページ作成サービス「ペライチ」運営のホットスタートアップがニッセイから4900万円の資金調達

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ホームページ作成サービス「ペライチ」を手がけるホットスタートアップ。同社は11月2日、ニッセイ・キャピタルを引受先とした4900万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとにサービスの機能追加・改善を進めつつ、プロダクトのスケールを検証するための施策を行う。

ペライチは会員登録をし、テンプレートを選択して写真やテキストを用意するだけで簡単にホームページを作成できるサービスだ。

この領域ではJimdoStrikinglyWIXなど海外発のサービスが先行しているし、日本語対応もしている。日本のスタートアップが提供するペライチの強みはどこにあるのだろうか? ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏に聞いたところ、「うまい、安い、早い(それぞれホームページが美しい、価格設定が安価、手早くできる、という意味だ)」が同社の強みだそうで、中でも「『早い』がユーザーに受けている。価格設定については海外サービスを意識しているし、無料でも使えるが、それ以上にシンプルなUIが評判だ」(橋田氏)とのことだった。リテラシーの低い層をターゲットにしており、「ほかのサービスではホームページが作れなかったがペライチで作ることができた」なんていうユーザーの声もあったそうだ。

ペライチの編集画面

ペライチの編集画面

これまでに公開されたホームページは1万ページ以上。ユーザーの属性は「モノではなくサービスを提供する事業者が15〜20%程度、次にEC。そのあとにリアル店舗やイベントの告知などが続く」(橋田氏)という。

ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏

ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏

ホットスタートアップは2014年4月の設立。橋田氏は新卒でNTTデータに入社してSEになるも、1年半で退社。その後は知人の会社社長の依頼で同社のウェブサイト(オーダースーツのサイトだったそうだ)のディレクションを担当。そこからウェブディレクターを目指すことになる。

未経験ということもありウェブディレクターとしての就職には苦戦したが、最終的にデータ入力や入札情報の検索サービスなどを展開するうるるに入社。そこでプログラマーとして正式なデビューを果たす。

「大学でも新卒の会社でも、プログラミングがまったく面白くなかったし、挫折した。うるるのCTOに『自分で作りたいモノを作れるようになればいいから、エンジニアを目指してみればいい』と言われてチャレンジした。半年でアウトプットが出ずにバイトに降格しても諦めずに続けて、その後社員に戻って仕事を続けた」(橋田氏)

「コーヒーミーティング」でスタートアップを知り、その後起業へ

橋田氏に転機が訪れたのは2011年。リクルートグループが手がける開発コンテスト「Mashup Awards」に参加。さらにはそのイベントを取り仕切っていた山本大策氏(後にレレレを創業)が提供する「コーヒーミーティング」で出会った人々を通じて、スタートアップについて知ることになったのだという。そしてインキュベイトファンドの起業育成プログラム「Incubate Camp」の4th(2012年開催)、5th(2013年開催)に参加。5thでプログラムの審査員らから反響のあったペライチで起業するに至った。その後社員3人プラス外部デザイナーという体制でペライチの開発を進めている「チームができて安定した。みんな特徴が違っていてバランスがいい」(橋田氏)

TechCrunch Tokyo CTO Nightの登壇CTO 8人が決定! 参加者は引き続き募集中


すでに告知させて頂いたとおり、11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催予定のTechCrunch Tokyo 2015の中で「TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWS」を開催する。初日17日の夕方4時スタートで、参加は申し込みが必要だがチケットは無料なので、どしどし申し込みをして来場してほしい。

今年も昨年に引き続き、表彰制度の「CTO・オブ・ザ・イヤー」を開催する。以下の8社のスタートアップ企業のCTOに登壇いただいて、5分の発表と3分の質疑によるピッチ・コンテストを行う。審査するのは技術によるビジネスへの貢献度で、「独自性」、「先進性」、「業界へのインフルエンス」、「組織運営」について評価対象とする。

今年の登壇企業の8人のCTOは以下の通りだ。

2015年のCTO Night登壇者

  • BASE株式会社 (PAY.JP) 藤川真一CTO
  • Increments株式会社 (Qiita) 高橋侑久CTO
  • 株式会社トランスリミット (Brain Dots) 松下雅和CTO
  • 株式会社トレタ (トレタ) 増井雄一郎CTO
  • 株式会社VASILY (iQON) 今村雅幸CTO
  • 株式会社フォトシンス (AKERUN) 本間和弘CTO
  • 株式会社ソラコム (SORACOM Air) 安川健太CTO
  • 株式会社エアークローゼット (airCloset) 辻亮佑CTO

すでに発表済みだが、今年の審査員は以下の方々にお願いしている。

2015年のCTO Night審査員

  • グリー 藤本真樹CTO
  • DeNA 川崎修平取締役
  • クックパッド 舘野祐一CTO
  • はてな 田中慎司CTO
  • サイバーエージェント 白井英 SGE統括室CTO
  • アマゾン データ サービス ジャパン 松尾康博(ソリューションアーキテクト)

昨年のCTO Nightは発表テーマも方向性も多様で、コンテストというよりも「CTOライトニングトーク祭り」といった感じで盛り上がったのだった。今年もまた和気あいあいとやれればと思う。CTO Night終了後は、そのままTechCrunch Tokyo 2015の交流会と合流するかたちとなっているので、ほかのスタートアップ企業のCTOが何を考えていて、何を悩んでいるのかなんかを話す場所、エンジニアを一本釣りするリクルーティングする場として活用していただければと思っている。

TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWSお申し込みはこちらから→

ラボ型オフショア開発などを手がけるエボラブルアジアが約6.5億円の資金調達

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エボラブルアジアは10月29日、Fenox Venture Capitalおよびヒトトキインキュベーター(日本たばこ産業(JT)とヒトメディアの合弁ベンチャーキャピタルだ)から第三者割当増資と株式譲渡により総額約6億4000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

エボラブルアジアは2007年の設立。オンライン旅行事業やオフショア開発事業などを展開。今回調達した資金をもとにこれらの事業拡大に注力する。

同社はベトナム・ホーチミンに子会社を立ち上げ、プロジェクトごとに一定期間の仕事量を補償してエンジニアを確保する「ラボ型」と呼ばれるオフショア開発なども手がけている。

このラボ型オフショアでは、成果が出たエンジニアチームを発注元の会社が買収したり、エボラブルアジアと合弁会社を作るかたちで独立性を高めたりする、というスキームもあると聞く。ヤフーが4月に立ち上げたベトナムの開発子会社も、同社のラボ型オフショアで開発していたチームがベースになっているそうだ。

話題のIoTスタートアップ、ソラコム創業者の玉川憲氏もTechCrunch Tokyoに来て話すぞ!

IoT関連のスタートアップは増えているが、今年いちばん話題をかっさらったのは9月末にサービスを一般公開したソラコムだろう。ソラコムは、AWSのエバンジェリストだった玉川憲氏が2015年3月にAWSを退職して設立したスタートアップ企業で、創業直後に7億円という大型のシードラウンドで資金調達をしたのも注目を集めた。そのソラコム創業者の玉川憲氏が11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催予定のTechCrunch Tokyo 2015に登壇していただけることとなったのでお知らせしたい。

ソラコム創業者で代表の玉川憲氏

ソラコムが提供するのはソフトウェア的に制御可能で安価なMVNOサービス「SORACOM Air」だ。

SORACOM Airは、アマゾンがクラウドで果たした役割をモバイルネットワークで果たそうとしているように見える。AWSは、従来専用ハードウェアを用意しなければ実現できなかったサーバー、ネットワーク、ストレージといったものを仮想化して、いつでも好きなときに好きなだけ組み合わせて使えるようにした。API経由で制御できることで、それまでの常識とは異なるシステム構築を可能にして、小さく始めて大きく育てられる高いスケーラビリティや、高い可用性、柔軟性を実現した。

クラウド同様にSORACOM Airは「小さく始められる」サービスだ。従来通信サービスを含んだ「ソリューション」の開発・提供となると、まずSIMカードを数百枚単位で買ってきてというのがスタート地点だった。それがSORACOM Airなら1枚のSIMカードによるプロトタイプからスタートできるようになっている。また、SORACOM AirではAPI経由で制御可能としている。きめ細かに通信サービスを制御することで、従来は採算性が取れなかった新しいビジネスを構築できる可能性も感じられる。詳しくは、9月末に掲載した記事「ソラコムがベールを脱いだ、月額300円からのIoT向けMVNOサービスの狙いとは?」をみてほしいが、ソラコム創業者の玉川氏は、「かつてAWSがでてきて、その結果、InstagramやDropbox、Pinterest、Airbnb、Uberといったサービスが出てきたみたいに、ソラコムのようなプラットフォームによって、きっと面白いIoTが出てくるんじゃないかなと思います」と話している。

ソラコムは、提供する製品自体も注目だが、スタートアップ企業としての立ち上げ方も目を引いた。大型資金調達やメディアを使った大々的なローンチ発表もそうだし、ローンチ時にパートナー制度を開始して多くのハードウェアメーカーやシステムベンダーを巻き込んでいること、そもそも特定業界を中から見ている腕の立つエンジニアでなければ見つけられない起業アイデアをつかんだことや、半年ほどで専用ハードウェア相当の機能をクラウドで実装してしまったことなんかは鮮やかな垂直立ち上げだったというほかない。製品リリース後もリレーブログ開発者イベントの開催などの開発者を巻き込むB2Dも、もともと技術者コミュニティーを盛り立てるエバンジェリストだった玉川氏の面目躍如といった感じで「手慣れたもの」という印象すらある。

まだ大きく成長するのかどうかは分からないが、ソラコムがいまもっとも各方面からの注目が集まっているスタートアップであることは間違いない。TechCrunch Tokyo 2015のステージ上では、大手企業を飛び出して起業することや、チームやプロダクトの作り方、SORACOMの詳細と応用可能性、IoTの未来など、ざっくばらんに語っていただこうと思っている。

玉川氏は東京大学大学院機械情報工学科修士卒で、日本IBMの基礎研究所でキャリアをスタート。Amazon Web Servicesへの移籍前にはカーネギーメロン大学でソフトウェア・エンジニアリングとMBAの2つの修士号を取得している。

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車の健康診断を実現するスマートドライブの「DriveOn」、Makuakeで先行販売を開始

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車速やエンジン回転数といったデータ情報を取得するために自動車に備え付けられた「OBD-IIコネクタ」。そのコネクタに専用のデバイスを接続し、BLEでデータをスマートフォンのアプリに飛ばし、さらにアプリ経由でクラウドに保存。自動車の“健康診断”ができるサービスが登場している。

海外では「AUTOMATIC」「Dash」などいくつかのサービスがあるが、日本でこの領域に挑戦しているスタートアップがスマートドライブだ。デバイスで得られる情報をもとに燃費などを確認できるだけでなく、急加速や急ブレーキを判定して「危険運転」を知らせてくれるところから、将来的には渋滞や事故の予測・回避までを目指すという。そんな同社が10月28日、その専用デバイスである「SmartDriveデバイス」とサービスを組み合わせた「DriveOn」の先行販売をサイバーエージェントクラウドファンディングのクラウドファンディングサイト「Makuake」上で開始した。デバイスの価格は7500円から。商品は2015年12月にユーザーの手元に届く予定だ。

SmartDriveデバイス

SmartDriveデバイス

スマートドライブの設立は2013年10月。これまでにベンチャーキャピタルのANRI(シード)や産業革新機構(シリーズA:マイルストーン達成で最大6億6000万円)から資金を調達している。総務省主催の新事業創出支援プログラム「I-Challenge!:ICTイノベーション創出チャレンジプログラム」の1号案件に採択されているほか、アクサ損害保険との業務提携も実施。次世代型保険の共同開発に向けたトライアルも行っている(ドライバーの運転特性に応じて保険料が割引される「テレマティクス保険」の開発をしているのだろう)。

スマートドライブ代表取締役の北川烈氏によると、同社はすでに保険会社やディーラーなどの法人向けには試験的なサービスを進めているのだという。だがそれではせっかくのプロダクトも限られたユーザーしか利用できない。そこで2016年からは一般販売も予定しているそうで、今回それに先駆けてMakuakeで先行販売するに至った。

将来的にはECだけでなく家電量販店や自動車用品店などの店舗販売、保険のほかディーラーやガソリンスタンド、整備工場などを通じたBtoBtoCモデルでの販売も予定している。エンタープライズ向けのソリューション開発も進めているそうで、2016年以降は商用車やバス、タクシー、トラックなどもターゲットにプロダクトを開発していくという。

医療機器からペットの健康まで―イスラエルのヘルス・テクノロジーに世界の多国籍企業の関心が集中

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イスラエルの数多くの小さなヘルス関連スタートアップが集める世界の大企業の関心は恐ろしいほどだ。スイスやアメリカ生まれの多国籍製薬会社や医療企業はイスラエルのハイテク・ブームから利益を得ようと試みている。イスラエルのヘルス・テクノロジー自体、世界的な医療テクノロジーのイノベーションの需要に牽引されている。その結果、イスラエルは投資家の注意を強く引き付けるようになっている。

Israel Advanced Technology Industries〔イスラエルの高度テクノロジー産業〕の2015年の報告によれば、同国のライフ・サイエンス企業は2014年に14億ドル以上の資金をNASDAQで集めている。

つまり、2014年に行われたバイオテク関連の上場73件のうち、約1割、7件はイスラエル企業だった。さらにこの報告に引用されているVenture Capital(IVC) Research Centerによれば、 8億100万ドルの資金がイスラエルの167社のライフ・サイエンス関連企業に投資された。これは前年に比べて55%の増加だ。

多国籍企業の一部はイスラエルでスタートアップの買収に力を入れているが、同時にAbbott Labs、Philips、 Carestream Johnson & Johnson他の有力企業は現地にR&Dセンターを開設している。

特にこの数ヶ月、わが国のヘルス関連スタートアップへの関心が高まる傾向が見てとれる。

この10月だけでも、この記事のタイトルを裏付けるような動きがあった。たとえば、今月初旬Boston Scientific Corporation (NYSE: BSX) はある種の心臓弁膜症に対して人工心臓弁を提供するイスラエルのスタートアップ、MValve Technologies Ltd.に対する追加投資を完了したことを発表した。.

もう一つ大きな動きとしては、スイスの巨大製薬会社、Novartis (NOVN: VTX)が、イスラエルの幹細胞治療研究企業、Gamida Cellに最大1500万ドルの投資をすると発表したことが挙げられる。2014年にNovartisはGamida Cellに3500万ドルを投じて15%の株式を取得している。Novartisの投資は最大で6億ドルに達する可能性がある。

Cukierman & Co. Life Sciencesの社長、Dr. Laurent Choppeは次のように証言する。

こうした〔投資などの〕動きは、イスラエルの現地で起きているイノベーションのトレンドをはっきりと証明するものだ。現在、わが国のスタートアップに対して外国企業は最初期から投資を行っている。過去には外国からの投資はもっと後の段階で行われるのが普通だった。たとえば、Novartisの2回目の投資がこのことをよく示している。イスラエルのバイオテクはすでに世界的なブランドとなったといえるだろう。さらに、イスラエルの国家最高技術責任者(Israel’s Chief Scientist)もスタートアップの発展に多大な貢献をしてきた。 今やわれわれは過去の努力の成果を刈り取る時期に至っている。

イスラエルのテクノロジーR&Dのレベルの高さは世界の注目を集めている

去る9月には、 Johns Hopkins大学テクノロジー・ベンチャーズがイスラエルのヘルスITのインキュベーター、 Luminoxとの間で段階的契約に調印した。また同月、アメリカの医療機器メーカー、 ZOLL Medical Corpはうっ血性心臓障害を早期に発見するテクノロジーを開発しているイスラエルのスタートアップ Kyma Medical Technologies Ltdを買収した。9月初旬にはワシントンDCに本拠を置くアメリカのべんチャーキャピタル、 eHealthVenturesが脳障害を治療するテクノロジーを研究しているテルアビブのスタートアップ、 Intenduに投資したと発表した。

Choppe博士によれば、さまざまな多国籍企業がイスラエルに大きな組織を置き、有望なスタートアップに目を配って必要なら即座に投資ができる態勢を整えているという。

大企業傘下のベンチャーキャピタルがイスラエルを訪問する頻度が増えている。この点は過去からはっきり変わった点だ。こうした大企業本体はイスラエルでずっと前から商業的に運営されているが、最近はイスラエルにおける初期のスタートアップのモニタに力が入れられている。

イスラエルのライフ・サイエンス系産業は多様だが、中でも医療機器の分野は抜きん出ている。 Israel Advanced Technology
Industriesの調査によると、全ライフ・サイエンス産業の53%、725社が医療デバイスを扱っており、バイオテク・製薬が2位を占め、23%、317社、ヘルスケアITが20%などとなっている。

こうした大きな分野の確立にともない、消費者とこのようなテクノロジーを結びつける下位分野の起業も活発になっている。.

9月にテルアビブに本拠を置く Archimedicxがオンライン医療検索エンジンを世界に公開した。この検索エンジンを利用すると、特定の疾病、症状をもつ患者はそれに対応した専門医療施設を容易に発見できるという。この検索エンジンは現在世界の主要な300病院を症状や疾患の種類に応じてランクづけしている。「われわれのアルゴリズムは世界の主要病院を特定の疾患は必要とされる特殊な処置ごとにランキングできる。対象となる病院がわれわれと提携していなくてもランキングは可能だ」とArchimedicxのCMO〔最高医療責任者〕のGuy
Klajmanは言う。

2015年初頭に起業したテルアビブのスタートアップ、 Somatixは、人間の手の動きをモニタし、喫煙のような独特の動作を検出して健康に有害な行動を防止するのに役立つフィルタリング・アルゴリズムを開発した。

イスラエルのスタートアップはこうした人間の医療に関して努力を払っているだけでなく、一部はペットの健康という多少競争相手の少ない分野にも進出している。たとえば、 PetPaceはペット用の首輪で、無線で健康情報その他ペットの行動をモニタする。.

人間からペットまで、イスラエルのスタートアップはヘルス分野、メディカル分野まで幅広い。このエコシステムは患者から医療機関、ヘルスケア提供者、デバイス・メーカー、ヘルス・ソフトウェア・ベンダー、R&D組織のすべてをカバーしている。

このイスラエルのイノベーションのレベルの高さはすぐに世界的多国籍企業の注目するところとなった。現在のトレンドが継続するなら、 2015年はイスラエルのヘルス・テクノロジー産業にとってまたも記録破りの年となるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

マイケル・ジョーダンやマーク・キューバンも出資する、スポーツ界のビッグデータ企業「Sportradar」

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本稿執筆はKatie Roof

マイケル・ジョーダンも、そしてマーク・キューバンも、スポーツ界における「ビッグ・データ」関連事業の勝者はSportradarとなるだろうとふんでいる。Sportradarはスイス発のスタートアップだが、米国でも存在感を増しつつあるところだ。上に名前をあげた2人はRevolution Growthの主導したラウンドにて4400万ドルを出資しており、新たに用意されたアドバイザリーボードの地位にも座ることとなった。

成長も急な同社は、さまざまなアプリケーションを開発しており、また最近になってNFL、NASCAR、およびNHLなどとも契約を締結した。取り扱うデータはファンタジースポーツでも利用され、またソーシャルメディアでも活用されるようになってきている。スポーツくじを購入する際にも、データを利用する人が増えてきている。

「Sportradarは、スポーツ界におけるデータビジネスの主導的地位を狙っているのです」と、マーク・キューバンは言っている。「社内のデータサイエンティストも素晴らしい人材が揃えられています」とのこと。

ワシントンでいくつかスポーツチームを所有し、またRevolution Growthの共同ファウンダーであるテッド・レオンシス(Ted Leonsis)もSportradarの取締役に名を連ねている。「ウォール街と同様に、スポーツもまたデータで語り得るものなのです」とレオンシスは言っている。「プレイヤーやチーム、ないしリーグに関するリアルタイムの情報を求めている人は、世界中にあふれているのです」とのこと。

Sportradarの集めたデータは、スポーツチーム自身が自らの強化のために使うことも考えられるし、またファンタジー・フットボールに熱中する人も、ここからさまざまなヒントを得ることができるだろう。数多くのデータを扱い、DraftKingsやFanDuelに熱中する人がぜひとも手に入れたいと考えるデータで溢れている。またスポーツ団体が、競技の魅力を訴えるためのアプリケーションを制作する際に利用するというケースもあるだろう。

Sportradarによれば、48競技で行われている325,000のゲームについてライブ情報を入手しているのだとのこと。GoogleおよびYahooもSportradarから情報を入手している。ちなみに競合としてはStatsの名を挙げることができよう。

Sportradarには1000名の開発者がおり、各スポーツに関する専門家がいて、ヨーロッパのプライベートエクイティ投資会社であるEQTも資金を提供している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

スマホ動画広告のオープンエイトがTBSなどから8億円調達、テレビ連動のサービスも

VIDEO TAPのイメージ

VIDEO TAPのイメージ

女性特化のメディアネットワークを持つスマートフォン向け動画広告サービス「VIDEO TAP」を運営するOPEN8(オープンエイト)がテレビ局を含んだ大型の資金調達を実施した。同社は10月27日、アイスタイル、エキサイト、ジャフコ(ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合)、TBSイノベーションパートナーズ(TBSイノベーション・パートナーズ1号投資事業組合)を割当先とした総額8億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

VIDEO TAPは2015年4月のリリース。@cosmeやウーマンエキサイトなど女性系のプレミアムメディアをネットワーク化しており、ユーザーの女性比率は90%以上、月間ののべユニークユーザーは4000万人以上を誇る。

ユーザー属性が明確なネットワークだということもあって資生堂やコーセーといった化粧品メーカーからトヨタやキリンNetflixなどナショナルクライアントの案件も多数獲得しており、半年での売上は8000万円(ネット計上)に上るという。

「クライアントによっては、DSPも使わないしリターゲティングを否定するということもある。それらブランドリフトよりブランドセーフティーを考えているから。我々はプレミアムメディアをネットワーク化していることが強み。動画の完全視聴率も高い」(オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏)

とはいえ当然ブランドリフトにも貢献しているそうで、マクロミルを利用した自主調査によると、VIDEOTAPで動画に接触したユーザーは、非接触ユーザーと比較して商品認知比率で27%向上、購入意向比率で37%向上したという実績があるそうだ。

ちなみにVIDEO TAPはバナー型に画面占有型といくつかのフォーマットを用意しているが、画面占有型の動画広告に関しては媒体によってはユーザーからのクレームもあったこともあるそうで、高松氏によるとフリークエンシーコントロール(適切な頻度での広告表示の調整)のチューニングを続けているとのこと。

テレビ連携型の商品や動画ネイティブ広告を展開

オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏

オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏

スタートアップ投資に積極的なテレビ局であるTBSグループだが、動画広告の会社に出資するのは今回が初めて。オープンエイトでは今後、TBSグループのもつリソースと連携して新たな動画広告事業や通販メディア事業、動画メディア事業等の開発・推進を目指すという。その第1弾の施策として、テレビ番組とスマートフォン向け動画の連携サービスを開発する予定だ。TBSグループで制作したインフォマーシャルをウェブ上で二次利用する取り組みを行うという。

また今後は動画のネイティブ広告を展開する予定だ。@cosmeおよびウーマンエキサイトと協力し、インフィード広告と動画記事広告をセットにしたサービスを11月下旬から展開する。将来的にはコンテンツマッチング型の動画広告配信の仕組みを提供する予定だという。

同社ではニュースアプリ「Wanpick」を提供している。2015年度のグッドデザイン賞を取ったアプリだが、はっきり言って現状そのアプリ自体がビジネスになっているわけではない。しかしながらこのアプリでニュースをピックアップするため、オープンエイトでは1日15万記事の言語解析をしているのだという。今後はその仕組みを流用して、コンテンツマッチングの技術もブラッシュアップしていくとしている。

ちなみにオープンエイトは、11月17日、18日に開催するTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストで、18日午後の決勝戦に登壇予定だ。

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全米卵協議会、無卵マヨネーズ代替品 “Just Mayo” のHampton Creekに陰謀を企てた疑い

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American Egg Board[全米卵協議会(AEB)]は、連邦法に反して公的資金を使い、Hampton Creekの卵不使用マヨネーズ代替品 “Just Mayo” の販売を阻止しようとした疑いがある。USDA[米農務省]が調査を開始した。

Hampton CreekはAEBを、Whole Foods食料品チェーンでの販売行為を妨害しようと企てたとして訴え、情報公開法(FOIA)に基づきAEB幹部間で交わされた決定的証拠となる一連のメールを入手した。AEBのCEO Joanne Ivyは、同スタートアップについて「危機的状態であり重大な脅威」と指摘するメールを、AEBのPR会社であるEdelmanに送った。メールには、AEBが危機と認識する状況への対応についてPR会社の協力を求めていることも書かれていた。

やりとりは数年の期間にわたっており、Hampton Creekが最初の製品を発売する前にも遡る。AEBは独立請負人を通じてWhole Foodsと接触し、Hampton Creekの製品を発売前から販売しないよう工作したと見られている。

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「Whole Foodsがわれわれの側についた場合のPR効果を想像してほしい」、とマーケティングディレクターのElisa Malobertiは、2013年12月に他の役員へのメールに嬉々として書いた。結局Whole Foodsは “Just Mayo” を販売した。

このところHampton Creekに好意的に報道はなく、ここで一種の「ダビデ対ゴリアテ」的物語が必要になったように思われる。TechCrunchを含め、多くの人々がこのスタートアップ内のデータとプロセスに疑問を呈している。FDAは最近Hampton Creekに対して、同社が “Just Mayo” 製品を心臓に良くコレステロールを含まないという事実と異なるブランディングを行ったと指摘した。

しかしきな臭い話もある ― AEBはFDAに密告し、定義上マヨネーズではない製品に “myao” と名付けているとHampton Creekを訴えた(そして負けた)Unileverとも手を組んでいた可能性がある。AEBが送ったメールの一通は、Hampton Creekの “Just Mayo” のラベルについてFDAに異議を申し立てており、別の一通にはAEBがUnileverを助ける隠謀について書かれている。

Hampton Creekのファウンダー、Josh TetrickはこれらのメールをThe Guardianに持ち込み、AEBを監督するUSDAに調査を要求した。ユタ州選出のMike Lee上院議院も、報告書を見てUSDAのTom Vilsak長官に調査を依頼した。

「全米卵協議会が、シリコンバレー拠点の食品会社、Hampton Creekの人気菜食主義者向けマヨネーズ代替製品、’Just Mayo’ の市場需要を減少させるキャンペーンを取りまとめるという反競争的行為を犯し、連邦法に違反している疑いがあることがわかった」とLeeはVilsack宛に書いた。

USDAはこれらの申し立ての調査に着手した。同省は、AEBのメールとは距離を置いてきたことをTechCrunch宛のレターで語った。

法律に基づき、USDAはあらゆる研究推進プログラムを監督し、全米卵協議会もその一つだ。USDAの農業マーケティングサービス(AMS)は各団体を日々監視し、会計説明責任、プログラムの完全性、および利害関係者の公正な扱いの保全に務めている。AMSは協議会の大量の資料および議事録を承認しているが、協議会員あるいは事務員、その他USDA職員の全Eメールの内容を事前に承認することはない。

AMSは全米卵協議会に関わる問題について綿密な不服審査を遂行している。そこには大量の資料が関与しているため、AMSは迅速に審査を完了する予定ではあるが、完全な審査にはしばらく時間がかかるだろう。AMSは協議会の人事問題についてはコメントしない。

USDAは農業を強く支援しており、適切な規則の範囲内で製品の宣伝も行い、あらゆる適切な農業活動を保護、推進する公平な環境を確立することに尽力している。AMSは、商業的製品の競争を限定するいかなる行為も許容しない。 ― UADA広報官

一連のメールが一部の怒りを買ったのは間違いない。Josh Tetrickを「消せ」というジョークまで飛びだしたほどだ。

卵協議会のCEOは調査後に辞任した。Ivyは今年末に離職す予定だが、USDAは彼女が早期退職を選んだと説明している。それはUSDA監査が理由なのか? AEBはコメントしていない。質問はすべてUSDAに振り向けられた。

USDAのSam Jones広報官は、Joanne Ivyが早期退職したことしか認めていないが、「理由はよくわからない」と語った。Jonesはさらに、USDAは協議会の人事問題にはコメントしない、と付け加えた。

Hampton Creekの規定違反を指摘しようとするあまり、AEBは自らの規則を踏み外したのかもしれない ― 公的資金についても。卵協議会の設立を認めた法律には、「卵協議会が収集した資金は、いかなる形であれ、政府の方策あるいは行動に影響を与える目的で使ってはならない」と書かれている。

AEBのメールは現在USDAが審査中であり、後日追加情報が得られるはずだとJonesは言っている。情報公開法によって入手されたメール全文はここをクリックすれば読める。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook