マネーフォワード、クラウド型でも郵送に対応する請求書管理サービス

基幹システムを導入する予算がない個人事業主や中小企業にとって、請求業務は一銭の利益も生み出さないにもかかわらず、毎月多くの時間を費やさなければならないルーチンワークだ。国内には、クラウドを使って請求業務を効率化するサービスとして「MakeLeaps」「Misoca」があるけれど、クラウド会計ソフトのマネーフォワードが20日、同分野に参入した。

請求書といえば手入力で作成してから、印刷・捺印した上で郵送するのが一般的。これに対してマネーフォワードが開始した「MFクラウド請求書」は、クラウド上でロゴや社印付きの請求書を作成・送付できる。取引先を一度登録すれば、それ以降は選択するだけで請求書の作成が可能だ。請求書をPDF化してメール送信する機能も備える。

既存のサービスとの違いは、クラウド会計ソフト「マネーフォワード For BUSINESS」の会計データと連携している点だ。例えば、請求書を送付すると自動的に会計ソフトで売掛金の仕訳を作成したり、入金時に会計ソフト側で消し込み処理を行うと請求書サービスのステータスも自動的に入金済みにな

クラウド型の請求書作成サービスは紙でやりとりするのに比べ、作業時間が短くなるだけでなく、紛失リスクもなくなる。とはいえ、いきなりクラウド化するのは「商習慣的に抵抗がある」という声もあるかもしれない。そんな企業に対しては、6月上旬をめどに請求書の印刷・封入・郵送を有償で代行するサービスを開始する。当面はベータ版として、代行サービスを除く全機能を無料で提供する。


DSP事業のフリークアウト、マザーズ上場へ


リアルタイムに広告枠を取引するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)「FreakOut」などを手がけるフリークアウトが19日、東京証券取引所マザーズ市場への上場が承認されたことを明らかにした。上場は6月24日を予定している。上場に伴い53万株を公募し、22万株を売り出す。オーバーアロットメントによる売り出しは11万2500株。

フリークアウト代表取締役社長の本田謙は、2005年にコンテンツマッチ広告に特化したブレイナーを創業。2008年にはヤフーへ売却し、同社の開発部長として勤務。ヤフー退職後の2010年10月、国内唯一の専業DSPとしてフリークアウトを創業した。2012年2月には3億5000万円2013年3月には5億円の資金調達を実施していた。

2013年9月期の売上高は21億6246万円、経常利益は2億5164万円、純利益は8675万円。


1クリックで給与計算、専門知識いらずのクラウド会計「freee」に新機能


5〜30人の従業員を抱える中小企業の85%は給与事務を社内で手作業で処理していて、そのうち半数は経営者自らが作業をしている――。クラウド会計ソフトのfreee(フリー)が中小企業の経営者300人を対象にしたアンケートで明らかになった。freeeによると、給与計算にかかる時間は従業員1人あたり平均月28分かかっていて、経営者の大きな負担になっていると指摘する。そんな給与関連事務が1クリックで完了するという「クラウド給与計算ソフトfreee」のベータ版が5月19日にリリースされた。毎月、それなりの時間と労力を費やして給与計算ソフトやExcelを使っている中小企業に向けたサービスだ。

従来の給与計算ソフトは、給与計算や税務などの知識が必要だったり、給与明細などの書類を紙で管理することが前提だった。そのため、必要な情報を探して給与関連事務が完了するまでには、多くの時間とコストがかかっていたと、freeeは指摘する。こうした給与計算ソフトを使っていない企業の中には、ガイドブックを片手に電卓を打ちながら給与を計算して、さらに給与明細を印刷して封入して従業員に手渡しをする――といった光景が毎月繰り広げられている。

これに対してクラウド給与計算ソフトfreeeは、給与の知識がほとんどなくても使えるのが特徴。従業員自身が勤怠情報を入力すれば、あとは自動で給与額の計算、給与明細の発行・配布、社会保険や年金などの支払いに関する書類が1クリックで作成できる。

例えば、税金や社会保険料の計算は複雑なことに加え、法改正があるためミスが起きやすいところだが、freeeでは、入力された給与情報をもとに自動的に計算する。法改正で税率・保険料率が変更する場合にも、クラウドサービスであることから自動的に対応することが可能で、ソフトの買い替えやアップデートも不要というわけだ。このほかにも、計算された給与や税金・保険料は「クラウド会計ソフトfreee」に取引として自動で反映されるため、給与計算の結果を会計データとして転記する手間を省くことができる。

現時点では無料のベータ版として一部機能のみが提供されていて、以下の機能は今後追加される予定だ。

 ・従業員が給与計算に必要な基礎情報や勤務時間を直接入力する
 ・給与明細をオンラインで確認する
 ・所得税計算高計算書や源泉徴収票を自動作成する

今年後半にリリースする正式版では、従業員3人分までの給与計算が可能な基本プランが月額1980円、従業員1人追加するごとに月額300円がかかる予定。クラウド会計ソフトfreeeと同じアカウントで給与計算ソフトfreeeも利用できる。すでに7万事業者が導入しているクラウド会計ソフトと同様に、従業員30人以下のスモールビジネスを対象にクラウド給与計算ソフトを普及させる考えだという。


シリコンバレーの外にスタートアップエコシステムを作ること

先日、ヨーロッパのスタートアップがシリコンバレーで資金を調達するべきではない理由という記事を紹介しましたが、ではシリコンバレー以外でスタートアップシーン、時にエコシステムとして機能する環境をつくることは可能なのでしょうか?カナダのモントリオールで起業家兼投資家として活躍する筆者が自身の経験を踏まえた記事ですが、まさにそんなエコシステムを作ろうと頑張っている東京を中心とした日本にとっても気づきがある内容の記事。 — SEO Japan

ここしばらく、スタートアップコミュニティを築くことに関わってきた。モントリオールでは、起業家の朝食イベントを始めたし、NextMontrealをローンチし、スタートアップ/創設者にアドバイスすることに時間を費やしたし、イベントで話したりもした。それはとても楽しかったが、相当な仕事量だった。そして今、私はHalifaxにいる。今も色んなことをやっているが、そのアプローチは異なる。最近では、個人により焦点を合わせ、成功するために必要な条件を持っていそうな人を探して、彼らに倍掛けするのだ。それは、何よりもまずスタートアップの成功によってスタートアップエコシステムは成功するのだという信念に基づいた、より個人を中心としたアプローチだ。スタートアップ―実際には、創設者/起業家―が、全ての中核なのだ。

起業家はたくさんのサポートを必要としている。それこそが、コミュニティが大きな役割を果たす場所だ。そして、Halifaxではいくつか素晴らしい活動を目にしている。幸運にも、まだ私は、真の成長にしばしば伴う数多くの馬鹿げた虚勢は目にしていない。(Halifaxを“北のシリコンバレー”だと宣言した人はまだいないのだ…少なくとも私の前では。)

最近、ケンタッキー州Louisvilleに行って、リーンアナリティクスと起業家精神について話した。私はその街をほとんど見ることはなかったが、たくさんの人に出会った。とてもフレンドリーで、とても活気があって、この地域の優れたスタートアップをサポートするために尽くしている人達だ。あるプレゼンテーションで、私は、シリコンバレーの外にスタートアップエコシステムを作るために必要なことについて話をした。そのプレゼンテーションは、以下に埋め込んである。

私が共有した多くのアイディアが、Louisvilleや他の場所で起こっている。それは良いことだ。

大部分の起業家は、今いる場所が自分のスタートアップを経営するのに相応しい場所だからそこにいるわけではない(シリコンバレーやニューヨークやその他いくつかの場所以外は)。

彼らがそこにいるのは、彼女や彼氏やパートナー、家族やその他無関係なこと(でもとても重要なこと!)が理由だ。それはそれでよい。その事実を受け入れ、起業家をサポートし彼らを成功させるために、自分の地域で自分にできる最大限のことをするのだ。世界の中で自分のいる小さな場所がスタートアップを築くのに最高の場所であるかのようなふりをしないこと…それは違うのだ。

このプレゼンテーションを見ると、私が“人を引き止めないこと”を提案しているのが分かる。それは、自分の街や地域に人を地理的に結び付けておこうと図らないことに関連している。私はいつも、“その人自身が自分が成功する可能性が一番高いと考える場所に行かせてあげるのだ”と言っている。人々は優秀な人材を失うことを恐れるため(そして実際にそうなのだが)、反対に合うだろう。でもどうだろう:あなたは、自分の街を囲む難攻不落のドームを作って、残りの世界が存在しないふりをすることはできない。これは『トゥルーマン・ショー』ではない。もしくは、新しいスティーブンキングのテレビ番組(実際に街を覆った不思議なドームのようなものに関する話)ではない。

起業家は、世界が存在するということを知っている(少なくとも知っているべきだ)し、あなたは、決して、決して、決して、創設者やスタートアップの最大の利益にならないことをしたり提案したりすることはできない。もしあなたが、あるスタートアップがシリコンバレーやトロントやニューヨークやその他の場所に移転すべきだと分かっているのなら、彼らにそう伝えるのだ。頭脳流出を恐れてそうしないことは、恥だ。長期的に見ると、良いことよりもより多くの損害を与えている。

シリコンバレーの外でスタートアップコミュニティを作ってサポートするために、あなたにできることはたくさんある。

起業家に焦点を合わせるのだ。内部から作ること、自分の力を尽くすことに焦点を合わせるのだ。子どもたちにコードを教える。簡易化した共有可能な書類を作る(例:合併書類、雇用契約書、タームシートなど)。コミュニティとして警笛を鳴らす(ただしやり過ぎないこと!)。

起業家が参加する必要もある。

ただ座って指をパチンと鳴らして、みんながあなたの助けに走ることを期待しないこと。あなたは、コミュニティに貢献しなければならない。自分の場所を選ぶのだ。いくつかのイベントで話をし、経験の少ない起業家に指導をし、高校に出向いて起業家精神について子供たちを興奮させるのだ。全てのイベントに参加しないこと(私たちは、人づきあいのいい人を必要としているのではない)。シリコンバレーに行き、そこで何が起きているのかを体験し、そのエッセンスと文化の一部を持って帰るのだ。そして、あなたが勝った時には再投資するのだ。エンジェルになり、あなたの後に続いている起業家たちにお金と時間を戻すのだ。

ほぼどんな場所でも成功するスタートアップを築くことができることは分かっている。私たちは、場所よりも、起業家の勝利を手助けすることに焦点を合わせる必要があるのだ。彼らが勝つ時、みんなが勝ち、エコシステムが姿を現す。


この記事は、Instigator Blogに掲載された「Building Startup Ecosystems Outside of Silicon Valley」を翻訳した内容です。

プレゼン資料の17ページ目のエコシステムの地図はナルホドと思う内容でした。エコシステムにはまずは成功したスタートアップが必要とはその通りと思いますし、日本を見ていても成功したスタートアップの起業家がエコシステムの道筋を築きつつありますよね。言葉の問題もあり、大半の起業家にとって日本が「自分が成功する可能性が一番高いと考える場所」でもありますし、市場自体もそれなりにありますから、独自のエコシステムは十分にできそうな気はしますが、世界を変えるような、「Big Vision」を持った起業家や事業は出にくいデメリットもある気もまたします。もちろん、小さい成功の積み重ねに大きな成功も出てくると思いますし、実際、日本からも世界を変える野望やビジョンを持った起業家は出てきていると思いますし、5年後10年後の世界が楽しみですね。ちなみに過去に紹介したドイツ東南アジアフィリピン)のスタートアップ事情はこちらから。 — SEO Japan [G+]

自動家計簿「マネーフォワード」のユーザーはカード利用回数が増えるらしい

自動家計簿サービス「マネーフォワード」を使ってみると、クレジットカードや電子マネーの出金履歴を自動入力してくれる便利さのあまり、極力現金払いを避けたくなるほどだ。うちの編集部の西村賢にいたっては、外出先ではドコモの電子マネー「id」しか使いたくないと言い張っている。我々以外にもこうした人は多いようで、カードの利用回数が月間10回未満のユーザーの場合、マネーフォワードにクレジットカードを登録した後は、カードの利用回数が平均1.7倍に増えるなど、日頃の現金支払いをカードに切り替える傾向があるのだという。さて、そんなマネーフォワードが16日、クレディセゾンとの業務提携を発表した。

これに伴い、クレディセゾンが発行するセゾン・UCカードの利用明細データをマネーフォワード上に自動保存するサービスを開始する。セゾン・UCカードの確定済みのウェブ利用明細は過去3カ月分のみ閲覧可能だが、マネーフォワード上では1年間閲覧でき、月額500円のプレミアム会員であれば無期限で閲覧できる。明細の閲覧期間が短すぎて気づいたら消えていた、なんてこともなくなりそうだ。7月には、クレディセゾンのネット会員IDでマネーフォワードにログインできるようにする。クレディセゾンのサイトで最も閲覧数が多い「カード利用明細ページ」では、「過去1年分のカード利用がチェックできる家計簿サービス」というキャッチコピーを掲げてマネーフォワードに誘導している。

金融機関のサービスといえば、各社が独自開発したものをユーザーに届けているわけだけれど、マネーフォワードのような専業ベンチャーと提携することで、サービスレベルと開発スピードが上がるメリットがありそう。クレディセゾンとしては、こうしたサービスが充実することで、紙の明細書をウェブに切り替える会員が増え、紙や郵送コストを削減することも見込んでいるようだ。クレディセゾンから「お墨付き」をもらったかたちのマネーフォワードだが、今後は他のクレジットカード会社や銀行、電子マネーとの提携も視野に入れている。

マネーフォワードは銀行や証券、クレジットカード、電子マネーなどのサイトにログインするIDとパスワードを登録するだけで、自動的に入出金情報を入力してくれるサービス。入出金情報は「食費」「日用品」「交通費」といった項目に自動で分類される。現金払いのぶんは別途、手入力が必要になるけれども、対応している約1400社の金融機関の入出金履歴をマネーフォワード上で一括管理でき、家計簿を付けるのが楽になる。

5月12日にはiPhoneアプリをフルリニューアルしている。デザインを一新し、従来は10個以上に分かれていたメイン機能を4つのタブにまとめて見やすくしたり、面倒な手入力についてもタブからすぐに使えるようにした。通信面ではバックグラウンドで処理する割合を増やすことで、体感速度を大幅にアップさせたという。Android版のリニューアルは未定。現在のユーザー数は明らかにしていないが、夏までに100万ユーザーを目指す。


TechCrunch School第4回は5月29日開催–テーマは「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」

1月から開催しているイベント「TechCrunch School」。3月に開催した第3回「スタートアップ企業のマーケティング戦略」は、天候にこそ恵まれなかったが100人超に参加頂くことができた。

そして5月29日木曜日の夕方6時から、これまでと同じく東京・秋葉原(末広町)で第4回となるイベントを開催する。今日から参加申し込みの受け付けを開始したのでお知らせしたい。

今回のテーマは「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」。前回はスタートアップ企業のマーケティング担当者やCMO、起業家などを対象にしたが、今回は大企業から中小企業までに勤めつつ、スタートアップを立ち上げたい、スタートアップに参画したいと考えている人。大企業からの内定を得ているが、スタートアップに参加することを考えている学生、さらにはそういったスタートアップにに挑戦したい人たちと出会いたい、一緒に働きたいと考えているスタートアップの起業家や人事担当者らを対象にしたい。

今回はゲストスピーカーとして、KAIZEN Platformの共同創業者でCEOの須藤憲司氏、freee代表取締役の佐々木大輔氏、みんなのウェディング代表取締役社長の飯尾慶介氏の3人をお呼びしている。

須藤氏は、新卒でリクルートに入社。マーケティングや新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室を立上げ。リクルートマーケティングパートナーズで最年少の執行役員として活躍したのちに退職し、KAIZEN platformを創業した

リクルート時代から広告の最適化に取り組んできた同氏だが、KAIZEN platformでは、A/Bテストの実行と、テスト向けのクリエイティブ制作のクラウドソーシングを組み合わせた「planBCD」を展開している。また最近では元グーグルで、広告営業部門の立ち上げ、業界営業部門の立ち上げと責任者、広告代理店事業の責任者を歴任した小川淳氏や、グリーおよびGREE Internationalで、ゲームやアドテクノロジー分野のプロダクトマネジメントを手がけた瀧野諭吾氏などの参画を発表。さらに500万ドルの大型調達を実施して米国を中心に展開を本格化するとのこと。イベントでは、大企業とスタートアップの違いから、優秀な人材の“口説き方”までを聞いていきたいと思う。

またfreee佐々木氏は、大学在学時よりインタースコープ(経営統合を経て、現:マクロミル)にてリサーチ集計システムや新しいマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は博報堂、CLSA キャピタルパートナーズを経て、ALBERTの執行役員に就任。その後2008年にGoogleに参画し、国内のマーケティング戦略立案やGoogle マップのパートナーシップ開発、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括を担当したのちに退職。2012年7月にfreeeを創業した。

2013年3月にサービスを開始したfreeeだが、現在のユーザーはすでに7万事業者以上。Windows XPのサポート期間終了や消費税率の変更なども追い風となりその数はさらに増加中だという。また直近には8億円の資金調達も発表し、機能強化やアジア進出についても準備しているという。以前、佐々木氏に起業の経緯を聞いた際、前職で中小企業との接点があったことからその課題を知ったのがきっかけだと語っていたが、イベントでは、Googleを飛び出して起業した理由や、過去の経験がスタートアップにどう生きているかについて聞いていきたい。

飯尾氏は、1999年にトーハンに入社。子会社直営店舗の店長、スーパーバイザー職などを経て、2006年にディー・エヌ・エーに入社。ECアドバイザー職を経て、社長室の新規事業としてウェディング情報の口コミサイト「みんなのウェディング」の立ち上げに携わる。その後、Mobageのオープンプラットフォーム立ち上げなども経験したのち、2010年10月にスピンオフ。みんなのウェディングを設立。同社は2014年3月に東証マザーズ市場に上場した。

「大企業の新規事業を持ってスピンオフして、上場を目指す」というIT系スタートアップはそう多くない。例えばこれが社内の事業として展開していたのであれば、このスピードでの上場を実現できていなかったのかもしれない。飯尾氏には、大企業から出て自らのサービスに注力した意味やその成果、さらにはスピンオフで得た経験や知識について聞いていきたい。

前回に引き続き、今回のパネルディスカッションでは、会場でのみ聞ける「オフレコタイム」を設ける予定だ。プレゼンテーションの模様は記事や動画でも紹介する予定だが、会場に来て頂いた人たちに限定して、登壇頂く起業家の生の声を届けたい。

今回は1人3000円の有料イベントとなる。19時半以降の交流会では食事とドリンクも用意するので、是非早めにお申し込みをいただければと思う。

TechCrunch School #4
起業志望者注目!
「大企業から飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
【開催日時】 5月29日(木) 17時半開場、18時開始
【会場】 東京・末広町 3331 Arts Chiyoda 3331 Arts Chiyoda地図
【定員】 100名程度
【参加費】 3000円
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
18:00〜18:05 TechCrunch Japan挨拶
18:05〜18:50 講演セッション
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
18:50〜19:30 パネルセッション「僕らが大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
パネラー:
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
西村賢(TechCrunch Japan編集長)
19:40〜21:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

「マネタイズは来年以降に」–BASEがグローバル・ブレインから3億円調達、元ペパボ福岡支社長も参画

「当初は今夏にもマネタイズを始める予定だったが、2014年中は考えないことにした。市場自体がまだまだ大きくなる」——ネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE代表取締役社の鶴岡裕太氏はこう語る。同社は5月15日、グローバル・ブレインから約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

「30 秒でネットショップを作ることができる」をうたうBASEだが、出店店舗数は楽天超えの(楽天は約4万2000店舗。もちろん性質も異なり単純比較はできないが)8万店舗を達成。月間の流通総額は非公開ながら、「すでに億単位にはなっている」(鶴岡氏)とのことだ。直近では大型のクライアントも出店をはじめたほか、百貨店とのリアルイベントを開催するなどしている。

しかし一方でマネタイズはほとんど進めていない。もちろん決済会社の手数料はユーザーから取得するものの、同社としてのサービス利用料などは取っておらず、オプションサービス群を提供する「BASE Apps」でもほぼ収益を出さずにサービスを提供している状況だという(余談だが、ブラケットの「Stores.jp」は、オプションサービスでも利益を出していると聞いている。世間で競合とは言われているが、ビジネスモデルは違うようだ)。

そのためBASEでは、当初2014年夏にも各種手数料やオプション、業種特化型のテンプレート販売などで収益化を検討していたとのこと。しかし今回の調達を決定して、この予定を2015年以降にずらした。2014年はサービス拡大のために注力するという。「マーケットにはいろんなプレーヤーががいるが、BASEを含めてみんな成長している状況」(鶴岡氏)。今後はBASE の開発やサポート人材の拡充、PRの強化のほか、多国語対応を進めて海外進出も視野に入れる。今回の増資に伴ってグローバル・ブレインの深山和彦氏が社外取締役に就任する。

またBASEでは、元GMO ペパボ取締役で福岡支社長の進浩人氏をCOO に迎える予定。鶴岡氏によると、進氏はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」やハンドメイド作品のCtoCプラットフォーム「ミンネ」など、GMO ペパボのEC関連事業の立ち上げを手がけてきた人物とのこと。


子どもを軸にした家族の交流を実現するクローズドSNS「Famm」–「Pairy」のTimersが提供

カップル向けのクローズドSNS「Pairy」を提供するTimers。同社は5月14日、子どもがいる家族向けのクローズドSNS「Famm」を公開した。まずはiOSアプリのみ提供し、6月にもAndroidアプリを提供する予定だという。App Storeにて無料でダウンロードできる。日本語のほか、英語や中国語、韓国語、スペイン語の5カ国語に対応しており、全世界でサービスを提供する。

Fammは夫婦間でのメッセージ、子どもの写真の共有を中心とした家族向けのクローズドSNSだ。あらかじめ夫婦と子どもの情報を登録しておけば、写真をアップロードしておけば、日付や月ごとに自動で整理してアルバムで閲覧できる。また、毎月の写真を自動的に編集して「コラージュ」と呼ぶ成長記録が作成される。メッセージ機能には無料のスタンプなども用意する。また、メールアドレスを登録した親戚などへの写真共有機能なども備えるほか、誕生日や記念日などのリマインド機能も備える。写真のアップロードは50枚まで同時に可能だ。ほかに家族向けのクローズドなSNSと言えば、国内では「wellnote」、海外では「23Snaps」がある。

Pairyのリリース時より、家族向けサービスの提供を予定していると公言してきたTimers。代表取締役社長の高橋才将氏は、サービスの開発にあたって子どもを持つ家庭にヒアリングを続け、家族間コミュニケーションの実情を知ったのだという。「どこの家庭も、子どもが生まれると子ども中心のコミュニケーションになる。またどれだけ忙しくても写真撮影は欠かさない。しかし一方で、撮影した写真は整理することも加工することもほとんどなくただ保存するだけ。そうであれば、僕らは子どもの写真を撮影してアップロードするだけで、自動でアルバムになったり、整理される機能を提供すればいいのではないか」(高橋氏)

アプリは、Pairyの開発経験を生かしながらも、自動化、シンプル化にこだわった。「例えば写真にタグをつけるということも考えたが、そういった機能も最終的にすべて外している」(高橋氏)

今後はスタンプの追加や動画投稿への対応、ストレージの追加、フォトブックの提供といったプレミアム機能でのマネタイズを検討しているが、時期については年末から2015年をめどにしている。「マネタイズ面では、投資家などからもカップル向けより家族向けのほうがいいのではないかと言われていた。ただPairyを開発し始めた2年前では、まだスマートフォンの普及を考えても家族向けは早かった。このタイミングだからこそ」(高橋氏)

今回のリリースは、ピボットではないと高橋氏は語る。「将来的には(ピボットの)可能性がないわけではないが、PairyのユーザーとFammのユーザーはコミュニケーションの形が違うので、同時に使うサービスではない。より広い層を狙っている」(高橋氏)とのこと。同社は2013年1月にインキュベイトファンドや伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、East Venturesから総額約1億円の資金調達を実施しているが、その資本をもとに人材を確保し、Pairyについても開発を続けているという。

Pairyのダウンロード数は現在数十万件。国内で100万ダウンロード間近のBetweenを追う形となっているが、「リリース期間の10カ月の差、そしてグローバル展開で競合にアドバンテージがあるが、これからひっくり返していきたい。我々が目指すのは、ユーザーが課金しても使いたくなるサービス」(高橋氏)と語ってくれた。最近ではグロースハックにも注力しており、直近数カ月のダウンロード数も好調にのびているという。


ターゲットは非IT系、Wantedlyが連絡帳アプリ「CONTACT」公開

iPhoneで連絡先を管理している人が感じる不満のひとつが、標準搭載のアプリ単体ではグループ分けができないことだろう。こうしたニーズもあってか、連絡帳をグループ化するiPhoneアプリは100以上存在する。ソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが14日に公開したiPhoneアプリ「CONTACT(コンタクト)」もその1つ。FacebookやWantedlyと連携することで、これらのサービスに登録している会社名から連絡先を探せるのが特徴だ。

アプリをインストールするとiPhoneの連絡先が表示され、仕事、友人、家族などとグループ分けが可能。グループのアイコンは120種類以上あり、連絡先をアイコンにドラッグ&ドロップするだけで直感的にグループ分けできる。

ウェブ業界では「連絡はメッセンジャーで十分」という人もいるだろう。そんな人にはFacebookとの連携機能が刺さるかもしれないと、ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子は言う。Facebookは会社名で友人を検索できないが、CONTACTでは「社名は思い出せるのに名前が出てこない……」といった人も社名で探せるほか、連絡先をタップすればそこからFacebookメッセンジャーでやりとりできるようになっている。さらに、WantedlyのプロフィールにTwitter、Google+、GitHubの情報があれば、それらも情報も連絡先に反映される仕様となっている。

ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子

前述の通り、iPhoneの連絡先アプリは山ほどある。ではなぜ、ウォンテッドリーは今さら連絡帳アプリを投入したのか? こう尋ねると仲暁子は、その理由を次のように話した。「既存の連絡帳アプリのほとんどはデザインが洗練されていなくてダサいんですよ。UIも直感的じゃない。私も連絡帳アプリを使っていなかったんですけど、有料版アプリ並みの機能を洗練させればニーズはあるし、私もこれだったら使う」。

最近はウォンテッドリーの顔として講演や取材対応、自社採用に注力してきた仲暁子だが、CONTACTは久々に開発の陣頭指揮をとったプロダクトなのだという。主なターゲットは「ウェブ業界以外のユーザー」。従来はWantedlyと接点がなかったユーザーを確保しようとしているようで、今秋までに15万ダウンロードを目指す。本業のソーシャルリクルーティングサービスは約2800社、約9万人が利用していて、企業数は約230社、ユーザー数は6000〜8000人ペースで毎月伸びているそうだ。


ネイル写真共有「ネイルブック」が5000万円調達して、ゆめみからスピンアウト

2000年創業で大企業向けにB2Cのマーケティング・ソリューションを提供している「ゆめみ」から、新会社が1つ巣立った。ゆめみの新規事業として2011年4月にスタートした「ネイルブック」は、日本最大というネイル写真共有サービスだ。そのネイルブックの事業を担当するチームが、新たに「スピカ」という新会社を4月1日に設立して運営を継続。そして今日、インキュベイトファンド、ソラシード・スタートアップスを引き受け先とする第三者割当増資を実施して、総額5000万円の資金調達を実施したことを発表した。代表取締役には、ゆめみの取締役だった國府田勲氏が就任している。

ネイルブックはモバイルのカタログアプリで、4月末現在で2000店舗以上のネイルサロンが掲載されている。今日までに日本語・中国語・英語に対応するiPhoneアプリのダウンロード数は75万を数え、DAUも17万と活発なコミュニティとなっているという。ネイル写真の投稿数は約40万枚。投稿写真の58%はプロのネイリストによるものだそうで、プロの投稿にはネイルサロンが紐付いている。

ユーザーは気になるネイルデザインを検索することで、流行のネイルデザインやネイルサロンの情報や評判をチェックできる。ネイルブックによれば、新規にネイルサロンを訪れる新規顧客の6割は「ネイルアートがイメージと違った」「ネイリストの接客態度がひどかった」などの不満をもつといい、ネイルブックでは今後も「ユーザーがずっと通いたいと思えるサロンに出会う」という体験を増やすことに尽力していくという。これまであまり可視化されてなかった評判情報が集まるという意味で「美容業界の食べログ」というような存在かもしれない。これまでも紙ベースの専門雑誌も存在していた市場とはいえ、特に個人経営のサロンなどは集客に苦労していたということだ。

口コミ情報の集約により、良質な個人経営サロンに送客ができる、いわゆるO2Oサービス。登録2000店舗のサロンのうち、約500店舗はネイルブック上の「サロン会員」だそう。サロン会員に対して今は無料で詳細な店舗情報掲載やアクセス解析サービスを提供しているが、これを「サロン公式アカウント」として有料サービスとしていくことも検討しているという。


カップルアプリ「Between」提供の韓国VCNC、グローバルブレインと500Startupsから調達

カップル向けアプリ「Between」を提供する韓国VCNCは5月12日、グローバル・ブレインおよび500Startupsから資金調達を実施したことを明らかにした。VCNCは2月にディー・エヌ・エー(DeNA)からも資金を調達したと発表しており、今回の発表でシリーズCの調達をクローズする。調達額は非公開だが、数億円とみられる。同社は今回の調達をもとに、API開発に向けた人材強化と、グローバル展開に向けた各国でのパートナー拡大を進めるとしている。

Betweenは、チャットや写真、カレンダーなどの機能を通じて、恋人と2人きりでのコミュニケーションを実現するアプリ。5月時点で世界730万ダウンロードを達成。400万ダウンロードを誇る韓国では、BetweenをプラットフォームとしたEC事業の展開も開始した。国内でも5月中にも100万ダウンロードを達成する見込みだという。

また最近では台湾でもスタッフを採用。そのほか東南アジアにも積極的にサービスを展開しているそうだ。シンガポールでは、この半年でユーザー数が約2倍になったという(ただし実数は非公開なので、2倍と言ってもどこまで大きいかというと判断がつかないところもあるが)。ともかく、今回の調達によって、すでに法人を設置している日本での展開を強化するほか、さらに米国市場も視野に入れていくという。

国内を見れば、同じくカップル向けアプリ「Pairy」を提供するTIMERSが、かねてから提供を公言していた家族向けアプリ「Famm」のティザーサイトを4月末に公開。そのユーザーの対象範囲をカップルから、家族にまで広げようとしている。VCNC Japan代表の梶谷恵翼氏にBetweenの今後について尋ねたところ、「家族向けのサービスとなると、また求められるものも違ってくる。まずはカップルのプラットフォームを作ることに注力する」とのことだった。


ヨーロッパのスタートアップがシリコンバレーで資金を調達するべきではない理由

米国はもちろん日本でもヨーロッパでもスタートアップ起業と投資が盛んになってきていますが、日々話題になる新たな投資ディールを見ていると、10億は当たり前、100億以上の投資も定期的に行われるシリコンバレーは規模が一桁違うな、と思ってしまうことも多いですよね。だからといって米国外のスタートアップがシリコンバレーで投資を募ろうと考えることは正しいのでしょうか?ヨーロッパでVCを運営する筆者が語るヨーロッパのスタートアップがシリコンバレーで資金を調達するべきではない理由。ヨーロッパを日本として読んでみても納得できる部分があるかもしれません。 — SEO Japan

seed funding

アンドレイ・キスカは、 プラハのCredo Venturesの共同経営者である。


ヨーロッパのスタートアップは、米国のスタートアップと比べて、調達可能な資金は少ない。それでも、投資家から、多くのメリットを得ることが出来る。それでは、シリコンバレー外部で、資金調達を行う方が良いと私が思う理由を説明していこう。

最近投稿した、ヨーロッパの投資の規模と評価を分析した記事には、予想通り、多くの反応があった。スタッツを見る限り、ヨーロッパのスタートアップが、シリコンバレーで資金調達を行う決断は、…一見すると、とても論理的に見える。

しかし、私はこの決断には同意できない。シード、もしくは、シリーズ Aの段階にある大半のヨーロッパのスタートアップにとっては、米国での資金調達は、理に叶っているとは言えない。最悪の場合、スタートアップを滅ぼしてしまう可能性もある。

セルフプロモーション

米国のスタートアップの現状を表すスタッツを幾つか紹介する — Clinkleは、2500万ドルのシード資金を獲得した(このアプリは、まだリリースされていない)。GitHubは、Andreesen Horowitzから1億ドルのシリーズ A資金を調達した。

このスタッツをヨーロッパのシードおよびシリーズ Aの金額と比べてみよう — Trustevは、ヨーロッパで最大規模のシードのラウンドで、300万ドルを獲得した。GitHubの投資は、シリーズ Aのヨーロッパ全体の投資額を上回る規模である。このようなデータを見ると、ヨーロッパのスタートアップが、シリコンバレーでの資金調達を望みたくなるのは、致し方ないのかもしれない。

シリコンバレーが得意とする取り組みの一つに、セルフプロモーションが挙げられる。ヨーロッパの人達は、毎日、米国のテックブログを閲覧し、1000万ドル越えのシリーズ Aが、シリコンバレーであたかも毎日行われているかのような錯覚を覚える。

米国内のシリーズ Aを分析したニキル・バス氏の記事は面白い。この分析データを見れば、現実とイメージがいかにかけ離れているかが分かるはずだ。シリーズ Aの投資の平均は、600万ドルであり、中央値は300万ドルである。これは、私が分析の中で取り上げた「貧しい」中央および東ヨーロッパのラウンドの投資額とほぼ同じである。

また、トム・トゥンガス氏が提供しているスタッツにも注目してもらいたい: 米国のシリーズ Aで資金を調達することが出来るのは、シード段階のスタートアップの20%に過ぎない。実に幻滅させられるデータである。

シリコンバレーに移れば、800万ドル以上のシリーズ Aの資金を調達することが出来るのではないかと望んでいるヨーロッパの起業家に対して、このデータが伝えようとするメッセージは、明白である — 夢のまた夢と言えるだろう。

投資額の規模が大きい理由

100 – 200万ドルの違いであっても、資金調達を求めて米国に向かう価値はあると主張する人達がいる。確かに、米国の投資の平均、そして、中央値は、ヨーロッパよりも多い可能性が高い。しかし、米国のスタートアップが、ヨーロッパのスタートアップよりも高額の資金を得る合理的な理由がある — それはコストが高いためだ。

シリコンバレーで、技術者のヘッドハンティング会社として名高いJobspring Partners社のスコット・パーセル氏は、2013年にシリーズ A以上のスタートアップのシニアエンジニアの年収が16万5000ドルだと明かしていた

月に4000ドル貰っていれば高給取りの部類に入るチェコのスタートアップと比べると、笑わずにはいられなくなる。

多くのヨーロッパのスタートアップが、米国に移住することを望み、シリコンバレーに対して、ヨーロッパが持つ大きな強みを諦めてしまうことは残念で仕方ない — それは、シリコンバレーの技術者の給与のほんの一部の額で、世界レベルの製品を作り上げる技術者を雇うことが可能な点である。

平均的な投資の規模(米国の300-600万ドル vs 東部よぶ中央ヨーロッパの100-300万ドル)と技術者の人件費の平均(米国の16万ドル vs チェコの3万 – 5万ドル)の違いを比較すると、ヨーロッパの投資家は、米国の投資家よりも実は気前が良いと言うことも出来る。

なぜなら、平均の投資の規模は、米国の方が2倍ほど大きいものの(中央値はさらに低い)、技術者の人件費の平均は(初期段階のスタートアップのバーンレートの大半を占める傾向がある)、ヨーロッパと比べて、3-5倍高いためだ。

米国の優良大手機関からシード/シリーズ Aを調達するな

データが自分達に圧倒的に不利であることを理解しながら、それでもシリコンバレーで資金調達を行うことを決めた起業家を、私は大勢知っている。なぜ、そこまでしてシリコンバレーでの資金調達を望むのだろうか?シリコンバレーの有名なベンチャーキャピタルは、ヨーロッパの投資機関では太刀打ちできない経験とコネクションを持っていると、シリコンバレー進出を望む起業家は口を揃えたように言う。

ある程度までは、この指摘を否定するつもりはない。しかし、米国の資金調達の旅から帰って来た起業家達をこの目で見た経験から言わせてもらうと、大半のヨーロッパのスタートアップにとって、シード資金、さらには、大半の場合、シリーズ A資金と言えども、アメリカの大手投資機関から受ける方針は、理に叶っているとは思えない。根拠は3つある:

まず、資金調達のプロセスは、スタートアップのファウンダー達が望むよりも長く、高額の資金が必要になり、しかも、このプロセスが実際に投資につながるケースは少ない。多くのヨーロッパの起業家は、シリコンバレーに足を運び、1ヶ月後、または、2ヶ月後には、SequoiaやAndreesen Horowitzから小切手を貰って帰国することが出来ると考えている。ネットワーキングイベントで出会った幹部候補と10分間会話を交わして、ポジティブなフィードバックをもらうと、起業家達は、すぐに資金を調達することが出来ると考えてしまうのだ。

3-6ヶ月後になっても、契約を締結することは出来ない。なぜなら、ベンチャーキャピタルは、米国内でコンセプトが受けることを証明するよう何度も求めるためだ(これは、投資する心構えが出来ていないことを、丁寧に伝えている)。

そもそも、シード/シリーズ Aの段階のスタートアップが、CEO/共同設立者が3-6ヶ月間も地球の裏側にいる状態で、生き残ることは出来るのだろうか?このような資金調達のプロセスが、スタートアップを完全に崩壊させなくても、一番重要なポイントを大きくぼやかすはずだ — それは最高の製品と会社を作る取り組みである。

次に、優良な大手ベンチャーキャピタルは、大抵、チーム(または、少なくとも一部)を米国に移すことを求める。役員会議、または、チームの会議に参加するために、何度もヨーロッパに足を運ぶ時間がないためだ。

その結果、チームを分断しなければいけないため(チームの一部はヨーロッパに残り、一部は米国に移る)、スタートアップに大きなストレスがもたらされる。さらに、移住のプロセス(査証、オフィス、管理等)は、数ヶ月間におよび、さらなる悩みをスタートアップに引き起こす。

3つ目の根拠は、最も悲しい。分の悪さをどうかにして克服し、米国の有数のベンチャーキャピタルから資金を調達することに成功し、さらに、チームの移動を完了したとしよう。そして、有名な投資機関に大勢の顧客を紹介してもらい、製品に対する定期的なフィードバックを受け、会社作りに関するアドバイスを受ける準備が整ったと仮定する。

しかし、その後、何の音沙汰もなくなった。そこで、ベンチャーキャピタルに電話をかけると、あまりにも忙しくて、次に会えるのは、1週間後、もしくは、2週間後になると言われる — 実際に電話を繋いでもらえたらの話だが。すると、再び悪夢の計算が忍び寄ってくる — 当該の投資機関は、10億ドル以上を動かし、100社以上の会社に対応している。投資機関を運営する10名そこそこのパートナーは、この100社以上の会社に時間を割り当て、さらに、1日に幾つか投資の機会を確認しなければならない。

それでは、300万ドル(会社が投資した資金の0.3%)を投資した会社に対して、どれほどの時間を割くことが出来るのだろうか?GitHubやClinkle等のポートフォーリオのセクションに含まれている場合は、なかなか時間を割いてもらえないはずである。

シリコンバレーに進出するべき時

誤解しないでもらいたい — ヨーロッパにも、シードの段階、そして、シリーズ Aのレベルでアメリカの投資機関から資金を調達し、満足している会社は存在する。しかし、巧みなかじ取りを求められることは多い。

私は何を隠そうシリコンバレーの投資機関を人一倍愛しており、ヨーロッパの会社に莫大な価値をもたらすことが出来ると確信している。米国で資金調達を行う上で重要なポイントは、タイミングである。

個人的には、ヨーロッパのスタートアップには、まずはヨーロッパで製品を改善し、ビジネスモデルを証明してから、米国に進出してもらいたいと思っている。シリーズ Aの資金の一部を米国でのオフィスの設立に使い、現地で顧客と契約を結び、そして、徐々に米国の投資機関との交渉に乗り出すと良いだろう。

その後、潮時が来たら、シリコンバレーの優れたベンチャーキャピタルからシリーズ B、そして、Cの資金を獲得し、世界制覇に貢献してもらうのだ。

ここまで来れば、スタートアップを支援する機運が米国の投資機関の間でも高まり(役員会議のためにヨーロッパに足を運ぶほど)、ヨーロッパのシードおよびシリーズ Aの投資家は、投資への見返りに満足するはずだ。そして、起業家は、西洋諸国を、一歩づつ、征服することに胸を躍らせるだろう。


この記事は、The Next Webに掲載された「Why European startups shouldn’t fundraise in the Silicon Valley」を翻訳した内容です。

中途半端にシリコンバレー進出するリスクは確かにありますよね。記事にもあるようにある程度自国で経験と実績を積んでからの進出であれば可能性もあると思いますし、日本のスタートアップ、ベンチャー企業でも同種のやり方で頑張っている所もあると思いますが、「大成功」といえるケースはまだまだなないのですかね。世界各地でインターネット&起業ブームが巻き起こっていますが、まだまだシリコンバレー&米国市場はインターネットの世界において強力な位置にありますし、今後5年10年でシリコンバレーで大成功する日本企業がでてくることを期待したいです。 — SEO Japan [G+]

500 Startupsの最新デモデーから日本にも関係のありそうな5社をご紹介

5月8日(米国カリフォルニア時間)、500 Startupsがデモデーをマウンテンビューで開催した。これまで500 Startupsはマウンテンビューでアクセラレータープログラムを実施してきたが、今回デモデーに参加したスタートアップは、500 Startupsとして初めてサンフランシスコで実施したアクセラレーター・プログラムに参加した面々だった。

1000社以上の応募の中から選ばれた29社がプレゼンテーションを行ったが、今回は、日本の皆さんにも関係がありそうな企業にしぼって何社か紹介をしよう。

Remark

Remarkは、動画生成のための共同作業のための環境を提供する。全米だけでも25万人の動画関連のプロフェッショナルがいると言われている中で、彼らとのコラボレーションは主にEmailや電話などを使って非常に骨の折れる作業だった。Remarkは、米国企業に限らず、日本企業にとっても、コンテンツマーケティングのための動画や、急拡大している動画広告市場に向けても、効果的な動画生成環境を提供してくれることは間違いない。こういったクリエイティブな労働力に関してもクラウドソーシングが重要になっていく中で、非常に強力なツール、協働環境を提供してくれる。既にTEDやGeorge Town大学が導入している。

SoundBetter

SoundBetterは、ミュージシャンのための音楽制作に関わる仕事のクラウドソーシングを提供する。音楽制作には、楽曲自体を作ってレコーディングをした後にも、ミックスやマスタリングといったポストプロダクションが必要になるが、SoundBetter上で、これらの専門家を探してクラウドソースすることが可能だ。創業者のShachar Giladはミュージシャン、プロデューサーとしての経験と、AppleやWaves Audioのソフトウェア開発にも携わった経験があり、楽曲制作者とその周辺の支援者の両方の立場から、現場の課題を解決するためにSoundBetterを創業した。日本からもSoundBetter経由で5000人のプロフェッショナルに仕事を依頼することができるし、逆に、日本にいながらも、世界中から投稿されている5万件以上の(例えば、ハリウッドの)楽曲制作に関するプロジェクトに携わることができる。

Shippo

Shippoは、1つのシンプルなAPIで、イーコマースの配送を簡単に低コスト化する。既に、150万パッケージの配送を受注していて、2014年のランレート(今年のこれまでの売り上げから通年の売り上げを予測したもの)は、100万ドルを想定している。また、eBayのグループ会社であるエンタープライズ向けイーコマースプラットフォームのMagentoとの統合を発表し、Magento上で製品を販売するセラーは、背後にあるShippoのAPIのおかげで、何も気にすることなくDHL、UPS、FedEx、US Postal Service等から最安値の配送オプションが選択されるようになっている。通常のUS Postal Serviceで依頼した場合26.65ドルかかる配送料が、5.82ドルとなり78%をセーブすることができる。日本製品のブランド価値は高いので、例えば、日本から海外向けに発送する販売業者やイーコマースサイト運営業者には、強力なツールとなることは間違いない。

EquipBoard

EquipBoardは、ミュージシャンなどのセレブリティが使用している楽器やツールなどを見つけて購入することができるサイトだ。僕も子供の頃にギターを弾いていたので、大好きなミュージシャンが使用するギターや、エフェクター、シールドなどを雑誌の写真を隅から隅まで凝視して、いくつもの楽器屋を回ったことを覚えている。僕は今でも、大好きなサッカー選手のはいているスパイクや、プロのサイクリストが使っているホイールやサイクルコンピュータをいつも一生懸命Googleで調べている。EquipBoardは、このようにセレブリティやアスリートのファンが集う場所でもある。これからスポーツやファッション等にも分野を拡大していくとのことで、大いに期待している。

WhalePath

WhalePathは、ビジネスのためのオンデマンドのリサーチをクラウドソーシングで提供している。毎年、ビジネスのリサーチには、240億ドルもの費用が投じられている。WhalePathでは、より一般的で、時間もかかり、高コストな既存の大手リサーチ会社よりも、3倍早く、半分のコストで、100%カスタマイズしたリサーチを提供する。このために、すでに200人以上のハーバード大学やスタンフォード大学、UCバークレー等の修士および博士取得者に直接仕事を依頼できるようにしているのみならず、AfterCollegeを通じて、300万人いると言われている同様の卒業生にもアクセスできるようにしている。2014年は、100万ドルのランレートを見込んでおり、パナソニックやオラクルのような大手企業も既に採用している。WhalePathは、日本に関する需要が拡大すれば、リサーチャーを日本からも募ることを検討しているとのことなので、今後、日本企業が米国や英語圏での調査を依頼するときに便利であるのみならず、米国企業が、日本のリサーチャーに日本語でしか見つけることができないリソースをもとにしたリサーチを依頼できるようにもなっていくかもしれない。

なお、全社のリストはここから参照できる。

(情報開示:筆者はAppSocially Inc.として、500 Startupsの6期生のプログラムに参加している。今回はTechCrunchの記者としてデモデーに招待された)


電子書籍を月毎の定額で提供するOyster、提供書籍数が50万超となり、Android版も提供開始予定

提供する電子書籍について、月額9ドル99セントで読み放題のサービスを提供しているOysterの提供電子書籍数が50万冊を超えたとのことだ。昨年9月に10万冊からスタートしたサービスだが、順調に規模を拡大しているようだ。

また出版者との提携関係も拡大し、HarperCollinsは1万冊以上の書籍を提供するようになっているとのこと(Jess WalterのBeautiful Ruins、Gretchen RubinのThe Happiness Project、あるいはNeil GaimanのAmerican Godsなども提供中)。さらにMcSweeney’s、Chronicle Books、Grove Atlantic、そしてWileyなどとも新たに提携することになったとのことだ。

規模拡大への意図がうかがえる話であるが、しかしOysterが目指すのは「大量の本を提供する」ことではない。Oysterが利用者に提供したいと考えているのは「最近出版された、人気のある書籍」なのだそうだ。Oyster(およびその競合)のサービスは、しばしばNetflixと比較される。そのNetflixの場合も、不満の声は見られる本数についてのものではないことがほとんどだ。多くの人が見たいと思う人気作品が提供されているかどうかということが、最大の関心事となっている。

Oysterでは新刊がすぐに提供リストに入れられないケースもあるが、共同ファウンダー兼CEOのEric Stormbergは、出版から3ヵ月程度のうちに提供を開始できるように心がけていると述べている。

現在の利用者数などについては教えてもらえなかった。しかし提供される本の範囲を拡大し、また新たな出版社との提携も進めているというのは、逆にいえば読者数についても順調に拡大しつつあるということなのだろう。

競合であるScribdEntitleについても質問してみた。これに対しStormbergは「Oysterとしては人気の書籍を提供し、そしてより良いエクスペリエンスを提供していくまでです」と回答してくれた。

品揃えのについては、Oyster内で人気の100冊を見た場合、そのうち半数は競合他社では提供されていないものなのだそうだ。「そうした点をみても、私たちが人気作品を広く提供しており、そしてそれが利用者にアピールしていることをご理解いただけると思います」とのことだった。

Oysterは現在iOSデバイス版のみが提供されているが、年内にもAndroid版をリリースする予定にしているとのことだった。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Instagramの「タグ」を利用にしたフリマサービスを米国で展開する10sec、藤田ファンドから1.6億円を調達

サイバーエージェントが3月に開催した「スタートアップ版あした会議」。これは、サイバーエージェント内で開催されているビジネスプランコンテストである「あした会議」のスタートアップ版となる。

書類と面接による事前審査を通過した創業2年以内のスタートアップに対して、サイバーエージェントの経営陣や子会社の経営者がアドバイザーとなり、2日間でサービスのブラッシュアップに取り組むというものだ。優秀プランには最大3億円の投資がなされるとされていたが、最終的に5社が投資検討の対象となり、うち2社への投資が発表されている。

1社目はファッションECアプリ「melo」運営のGorooに

まず1社目は、スマホアプリ「melo」を5月2日に公開したGorooだ。同社はサイバーエージェントから2000万円の資金を調達したことを4月25日に発表している。

Gorooの手がけるmeloは、大手通販サイトからネット展開のみの小規模ブランドまで、200以上のウェブサイトに掲載されている商品を横断して閲覧したり、お気に入りの商品を投稿したりできるというもの。興味を持った商品は、直接当該サイトにアクセスして購入することができる。10代から20代の女性にターゲットを絞ってサービスを提供する。

Goroo代表取締役の花房弘也氏は、「ネットで服を買うのが楽しくないのは『チャネルが限られている』という理由から。BASEやStore.jpのようなプラットフォームが登場し、個人で運営するような規模のファッションサイトは今後増えると思うが、そういったサイトが食っていけるような世界を作りたい」とサービスへの思いを語る。今後は各ECサイトへの送客トラフィックを拡大し、ツール提供などでのマネタイズを検討する。

10secは「Instagram」をプラットフォームにコマースを展開

そして5月8日、スタートアップ版あした会議発のスタートアップとして2社目の投資先として発表されたのが、10sec(旧Instamall)だ。同社はサイバーエージェントから1億6000万円の資金を調達した。ちなみに、今回の出資はサイバーエージェント代表取締役である藤田晋氏の名を冠した投資案件を指す「藤田ファンド」としての出資になるそうだ。実は藤田ファンドというのは、サイバーエージェント投資事業本部の投資案件の中でも、グロースステージのスタートアップへの大規模な投資に限定されているそうだ。これまでの実績で言えば、BASEやクラウドワークス、スマートエデュケーションなどへの投資がそれにあたる。

話を戻そう。10secの手がける「10sec」(現在米国からのみ利用可能)は、画像共有サービスの「Instagram」を利用してCtoCコマースを実現するプラットフォームだ。ユーザー登録をすれば、「#10sec」というハッシュタグを付与してInstagramに投稿した写真の商品を10sec上に出品して販売できる。投稿時に「○○$」とコメントを入力していれば、それがそのまま商品の販売価格として表示される。商品の購入には、出品者の指定の金額で購入する「Buy」と、値引きの交渉をして出品者がそれを受け入れた場合に購入できる「Offer」の2つの手段を用意する。出品者が価格を設定せずに出品した場合は、「Best Offer」と呼ぶ入札制度も導入する。サービスは現在手数料無料で提供しているが、将来的には出品者から10%の手数料を徴収する予定だそうだ。

安全な取引に向けて、エスクローサービスも導入。購入者が決済(stripeを採用)をしたのち、出品者が商品を送付し、出品者が受け取り完了の処理をする、もしくは送付から10日が経過した時点ではじめて出品者に入金がなされる仕組み。物流などは現在出品者に手段をゆだねるが、今後は自社、もしくはパートナーとともに提供する考えもあるという。

10secは、インキュベイトファンドが主催するインキュベーションプログラム「インキュベイトキャンプ 5th」の卒業生。インキュベイトファンド代表パートナーの赤浦徹氏を通じて、同社から合計2300万円の出資を受け、米国に限定して2013年11月よりほぼノンプロモーションでサービスを提供してきた。10sec「1年半ほど前から、Instagramで『#forsale』『#buy』といったハッシュタグを使ってフリマアプリのように商品を販売しているユーザーが居るのに気付いた。だがInstagramで写真を撮って出品しても、売買をサポートするツールもなかった」——代表取締役CEOの正田英之氏はサービス提供のきっかけについてこう語る。僕も確認したが、#forsaleタグがついた写真は270万件以上も存在している。

10secでは、今回調達した資金をもとにマーケティングと人材採用を進める。すでに設立済みの米国子会社にマーケティング担当者を置くほか、サービスを開発する日本法人のエンジニア採用を進める。また、5月にはiOSアプリをクローズドベータ版として公開。6月から7月頃の正式リリースを目指すという。同社では当面米国でサービスを提供するとのことで、日本でのサービス展開については「すでにメルカリやLINE MALLもいるレッドオーシャン、そのまま勝負をすることはない」(正田氏)とのことだ。

ところで、サイバーエージェントとしては、日本でサービスを展開せず米国でのみサービスを展開するスタートアップに投資する意義はあるのだろうか? サイバーエージェント投資事業本部 本部長の宮崎聡氏は「どこで事業を展開するかは意識しておらず、グローバルでやった方が伸ばせる座組みなのであれば、そんな会社に出資する。資金を用意してアクセルを踏めばユーザーを取れるのであれば、そこに資金とノウハウを注入したい。また、米国であれば、我々が子会社設立の時にぶち当たった壁も理解しているのでアドバイスできるし、ネットワークもある」と、語ってくれた。

同社が将来的に考えるのは、Instagramだけではなく、さまざまなソーシャルメディアと連携したCtoCプラットフォームの構築だという。たとえばFacebookもPinterestもタグを付与して写真をアップロードできるので、これをすべて10secの出品のプラットフォームにする。また逆に、10secに出品した写真をさまざまなソーシャルメディアに掲載して、10secへの集客を図るというものだ。もしこの構想が実現すれば、全世界のソーシャルメディアユーザーが、CtoCの出品者、購入者たりえる世界がやってくることになる。もちろんそのためには、クロスボーダーでの物流や決済など、課題もたくさんあるのだけれども。

正田氏(左)と宮崎氏(右)


SEOビジネスを製品化するレバレッジ手法

日本のSEO業界といえば、大半のリンク中心のサービスベンダーか少数のコンサルベンダーにわかれていましたが、GoogleのSEO取締り強化やコンテンツマーケティングの普及に伴い、その図式も大分崩れてきました。今後のSEOビジネスのあり方に関して悩んでいる方も多いのではと思いますが、今回はSEO Bookによるサービス中心のSEOビジネスを製品化してレバレッジを図ろうというSEO業者向けの記事を。 — SEO Japan

クライアントにサービスを提供しているなら、「サービス」から「製品」を作ろうと試みた際に、私が直面した問題と同じ課題に悩まされているのではないだろうか。製品がデジタル形式で提供されるこの業界では、「製品」と「サービス」と言うワードは、どちらも同じように扱われることが多い。

SEO、あるいは、その他のデジタルマーケティングサービスに対する価格設定は、人気の高いトピックの一つではあるが、最適な価格を明確に答えることが出来る人は少ない。

価格設定に関して、明確、もしくは、半明確な答えがあるとは私は思っていないが、ビジネスの多くの領域を自動化し、容易に管理するための明確な進路を決めることは出来る、と私は確信している。私はこの取り組みをビジネスの「製品化」と呼んでいる。

始めにすること

製品によっては、価格設定を簡単に行うことが出来るものもある。時間(コンサルティング)を売っているなら、当然ながら、時給制を採用することが可能だ。実は、SEOコンサルタントの「未来」は、既に到着していると私は思っている。多くのSEO業者は、次のようなデジタルの領域に進化している:

  • テクニカルSEO
  • CRO(コンバージョン率の最適化)
  • 競合者分析
  • 分析
  • 広義のオンラインマーケティング戦略および実施

有料検索、eメールマーケティング等、その他の領域も存在するが、上述した領域は、SEO業者がそれぞれのサイト、そして、クライアントのサイトで行ってきた取り組みのほとんどを網羅している。クライアントにサービスを提供し、そして、エージェンシーを始める人が増えるにつれ、一から出直すことが重要になる。.

大きなエージェンシーを運営しているなら、分析の面で大きな違いはあるが、ここでは、一般的なフリーランサーと小さなエージェンシーに焦点を絞って、話を進めさせてもらう。それでは、私が推薦する手順を紹介していく(マーケットやブランドのメッセージ等を既に特定していると仮定し、ここでは価格設定/製品のみを取り上げている):

  • 維持可能な純利益を特定する。基本となる収益を幾ら入手したいだろうか?
  • 求めるスタッフの人数、および、予想される下請けのコストを基に、受け入られる利鞘を特定する。
  • 純利益を達成するために必要な粗利益を特定する。

この方針を採用する理由

純利益は、個人的にとても重要であるため、私は上述した取り組みを行う。量が増える度に、利鞘が薄くなるような、デジタルマーケティング業界のウォルマートにはなりたくない。

例を用いて、この考え方を説明していく。まずは、次のシナリオを想像してもらいたい:

ロードアイランドでの酪農業を引退し、新たに会社を作って、年に150万ドル稼ぎたい。

この場合、会社に所属する唯一のメンバーとして、自営業者税の支払いが求められるため、従来のW-2「従業員」のカテゴリーよりも、多くの税金を支払わなければならない(ここでも出来るだけ状況をシンプルにするよう心掛けている)。公認会計士は、会社の状態に応じて、様々な選択肢を調査するものの、基準となる収益を特定する点に関しては、基本の計算は同じである。

「収益」のみにこだわると、全体像を見ることが出来ない。短期、中期、そして、長期においてビジネスを運営する上で欠かせないのは、健全な利鞘である。それでは、再び例を挙げて、説明する:

ジャックが運営するSEOエージェンシーは、2011年に100万ドルの純利益を得た。総売上は500万ドルであった。2012年、この会社は150万ドルの純利益を上げ、総売上高は、1000万ドルであった。

一方、ジルが経営するSEOエージェンシーは、2011年、50万ドルの純利益を得た。総売上は200万ドルであった。2012年、ジルの会社は、150万ドルの純利益を上げ、総売上は、400万ドルであった。

この場合、利鞘を基本的な計算((純利益/総売上)で割り出すと、次のような結果になる:

  • ジャックの2011年の利鞘は20%であった。
  • ジャックの2012年の利鞘は15%であった。
  • ジルの2011年の利鞘は25%であった。
  • ジルの2012年の利鞘は38%であった(純利益はジャックと同額)。

1000万ドルの15%は、必ずしも恥ずかしい数字ではないが、現在のウェブマーケティングの状況下では、私ならジルのケースを望む。利鞘38%は、競合者への対応、アルゴリズムの変更、そして、値上がりする質の高い人材を確保するために必要なコスト等を考慮すると、全体的なビジネスの存続性を確保する上で有効に働く。

この例では、年間150万ドルを「稼ぐ」点だけに執着すると、考えを誤る可能性が高い。すべてのスタッツを計算して初めて、望む利鞘を割り出し、価格モデルにある程度フィットする「製品/サービス」を「考案」する作業に取り掛かることが出来る。

製品を作る

SEO業者の関係者の多くは、様々な領域に身を置き、直接関与している。少なくとも、ほとんどのSEO業者は、具体的に参入して、「ボタンを押す」方法を知らなくても、特定のタイプのサービスを実行する「方法」を心得ている。

SEO業者は、すべてのタイプのサービスを網羅しようとする傾向が見られるものの、まずは、コアの強みを調べ、製品として提供する上で、何が最も理に叶っているのか特定すると良いだろう。これからビジネスを始めるなら、白紙の状態から、この取り組みをスタートさせることが出来るが、特に大きな違いはない。

やがて、直接的、間接的なものを含め、幾つかのタイプのコストに遭遇することになる。ここでは、分かりやすさを優先し、フリーランサー、または、一人で事業を行うと仮定する。その場合、サービスを売る際に、2つの主なコストが存在する:

  • 直接的なコスト(タスクを完成させるために、外部の業者を利用することで発生するタスク)
  • 間接的なコスト(自分自身の人件費、オフィスの利用料、保険、ツール、マーケティングのコスト等)

正確に利鞘を特定する上で、マーケティングをプロジェクトの一環としてコストに含めるべきか否かに関しては、賛否両論がある。私は賛成派だ。コストとして計上することで、具体的な数字をより正確に出す効果が見込めるためだ。

製品を以下の領域に絞ったと仮定しよう:

  • テクニカルなSEOの評価
  • SEOの競合者分析の評価
  • コンバージョンの最適化
  • コンテンツマーケティング

その場合、次のツールを用意していると考えられる:

  • Screaming Frog SEO Spider(米国では、約158ドル/年の利用料を支払う)
  • Majestic SEOの購読料金(シルバープランの年間購読料金は588ドル)
  • Ahrefsの購読料金(プロの年間購読料金は約948ドル)
  • Visual Website Optimizerの購読料金(スモールビジネスプランの年間購読料金は約588ドル)
  • 競合者分析、コンテンツマーケティング戦略の計画および実行、SEOの評価を実施するために利用するRaven SEO Tools(年間1188ドル)
  • 接触、および、その他のリンク候補調査作業に用いるBuzzstream(年間1188ドル)

他にも加えることが可能なツールはあるが、上述したツールを使えば、品質の高い製品を作り上げることが出来る。ツールに費やす年間のコストは4,658ドル、そして、月間のコストは389ドルになる(四捨五入)。

必要と見なしたその他のコストにも、同じ公式を当てはめることが出来るが(年間および月間のコストの金額)、ここでは、分かりやすく「その他のコスト」に389ドル支払うと仮定する。

知識 + ツール = 勝利

ツールは、2部構成の数式の1部分である。知識を持っていない状態では、ツールは役に立たない。知識の取得にも、様々なコストが必要になってくる:

  • テストサイトを作る
  • カンファレンスに参加する
  • メンバーシップサイトに登録する

知識を獲得するためのコストは、個人個人で大きく異なる。 上の全てのコストが合理的だと考える人もいれば、1つ、または、2つのみだと考える人もいるだろう。迷ったら、自分が持っているスキルに関連する選択肢を検討し、自分のビジネスにとって合理的なコスト(年間)を特定すると良いだろう。特定したら、この金額を先程推薦したツールのコストに足す。

製品リストを分類する

次に、提供している、そして、製品化している各種のタイプのサービスを詳しく見ていく。自分の人件費と外部の業者に費やすコストではなく、自分の人件費だけで済む可能性が高い。しかし、コンバージョンの最適化とコンテンツマーケティングには、恐らく、自分自身の人件費に加え、次のようなコストが加算されていくだろう:

  • ユーザーテスト
  • コンテンツの作成
  • コンテンツのデザイン
  • プロモーション支援
  • インタラクティブなコンテンツのプログラミング

製品を作る際、私は以下の表を利用する:

  • GIは総収益
  • 税金はGI x (税率)
  • NIは純利益
  • GMは粗利益(E2/B2)
  • NMは売上純利益率(G2/B2)

この例では、150ドルを時給に設定し、評価を40時間に推定している。直接的なコストと価格を調節し、求める利鞘を導き出すことが出来る。

間接的なコストに関しては、現在のプロジェクトに分散することが出来る点を覚えておいてもらいたい。

つまり、時折、価格表を見直し、現在のクライアントのリストを基に間接的なコストを修正することが出来る。この例では、現在、クライアントは抱えておらず、私のサイトは収益は上げていないため、この評価は、利鞘に対して、すべての間接的なコストを使い果たすことになる。

しかし、それぞれのビジネスに都合が良いように製品を作ることが可能である。通常、私は自分のビジネスに有効な基準を見つけるようにしている。先程仮定した領域では、私なら各セクションからサブ製品を作る試みを行うだろう:

  • サイトのサイズと範囲に応じた評価(合計のページ数、eコマースサイト、動的かどうか等)
  • 現行の作業の合計時間に応じたコンバージョンの最適化、および、初回の評価およびフィードバックに対する複数の異なる価格
  • 各種のアセットに分類する必要があるスケールに応じたコンテンツマーケティング(動画、インタラクティブなコンテンツ、インフォグラフィック、レポート等)
  • 現行の作業に必要な時間数に応じたSEOの競合者分析、および、初回のリサーチ(または単発の概説)の範囲に応じた各種の価格

各サービスにそれぞれ多くの変数があり、ここで全てをリストアップすることは出来ないが、概念は同じである。マーケットから始め、ターゲットのマーケットの「大半」を網羅する「取り組み」に分類すると良い。

より効率良く仕事を管理する

自分自身の時給を間接的なコストとして挙げたのは、稼ぎ出したい金額を手に入れる上で、月に働く基準となる時間数を設定するためである。獲得したい金額と働きたい時間数を組み合わせると、最低の時給額を導き出し、求める収益に応じて、調節して、最適な価格を打ち出す際に役に立つ。

特定の製品を作る際に時給を用いると、特定の製品に必要な時間数を簡単に割り当てることが可能になる。各製品に時間数を割り当てる際は、次のように、仕事量を管理する上で効果的な複数の取り組みを実施することが出来る:

  • 新しいプロジェクトの見積もりを行う際に、現行のプロジェクトを基に、新しいプロジェクトに対する余裕があるかどうかすぐに判断することが出来る。
  • 事前に多忙が予想され、外部の支援を必要としていることが分かっているなら、提案の中に追加のコストを含め、事前に外部の支援を得る準備を進めることが出来る。
  • プロジェクトを引き受け、合計の時間数が必要な時間に足りている、または、超過していることが分かれば、後のプロジェクトで調整を行うことが出来る。

各製品に必要とされる時間数を割り当てることで、仕事量を管理し、ピークの時間を円滑に過ごすことが出来るようになる。サービスに対する需要のピーク、そして、谷間の期間は確実に生じるため、ストレスを抑え、より多くの利益を得られるようにピークを過ごすことが出来れば、金銭面において、深い谷間を作らずに済むかもしれない。

製品化が有効に働くその他の領域

すべてのプロジェクトを個別に見積もる作業は、この上なく面倒だと私は感じる。

見積もりを終えた後、署名する必要のある契約書、手配する必要のある請求書、そして、達成する必要のあるタスクのプロセス等が現れる。

販売中の製品があるなら、遥かに自動化を行いやすくなる:

  • 送信する提案書のテンプレート
  • 契約書類
  • 請求書の手配
  • CPM/PMシステムへの新たなクライアントの案内
  • 完了し、割り当てる必要があるタスク
  • 会計ソフトで記録するクライアントごと、もしくは、仕事ごとの分野と仕事の設定

時間のかかるプロセスではあるが、サービスを製品化すると、様々な領域でビジネスの役に立つ。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Productizing Your SEO Business」を翻訳した内容です。

SEOに関わらずウェブマーケティング関連のサービスベンダーには事業をスケールさせる上で参考になる点が多い記事だったと思います。製品化というか、サービスを上手くシステム化できると様々な面で効率化が可能ですし、結果事業を成長させるきっかけになりますよね。私自身もSEOではコンテンツマーケティングやインフォグラフィック、CROではLPOに励んでいますが、日々勉強することばかりです。。 — SEO Japan [G+]

今年のTechCrunch Disrupt NYの勝者は・・・・・・Vurb

それは長く苦しい道だったが、ついにDisruptバトルフィールド勝者の栄冠に輝く時が来た。今年の一団は本当にすごかった。27のスタートアップが壇上でプレゼンを行った。ファイナリストの6組は、Boomerang CommerceISI TechnologyMimiMinkShowKit、そしてVurbだった。複数のハードウェアスタートアップに革新的ビジネスモデルや優れたエンジニアリングを含む驚くべき人々だ。しかし、Disruptカップを持ち帰れるのは1組だけ。

スタートアップ各社が、その前でデモを演じてみせたファイナル審査パネリストは、 John Borthwick (Betaworks)、Roelof Botha (Sequoia Capital)、Chris Dixon (Andreessen Horowitz)、Marissa Mayer (Yahoo)、Brian Pokorny (SV Angel)、そしてFred Wilson (Union Square Ventures)の面々だ。

そして、TechCrunch Disrupt NY 2014バトルフィールドの勝者をここに発表する。

最優秀賞:Vurb

Vurbは、ウェブおよびモバイル用のコンテキスト型検索エンジンだ。検索クエリを入力すると、必要な物すべてが検索エンジンを離れることなく手に入る。現在の検索対象は、場所、映画、およびメディア。近く、人、スタートアップ、その他の検索も加える予定だ。例えば、映画を検索すると、予告編、上映時間、レビュー、Netflixでその映画を見るためのリンク、IMDbスコア等が表示される。

Fred Wilsonが少々厳しいコメントを壇上で送った。「これは実に厄介な問題で、誰も解決できないし、いずれ君たちを潰すだろう」と彼は言った。しかし、どうやら他の審査員を説得することには成功したようだ。

Vurbの詳しい記事はここで読める。

情報開示:Vurbのシード出資者の一つはCrunchFundであり、この初期段階VCファンドを共同設立したMichael Arringtonは、TechCrunchのファウンダーでもある。

次点:ISI Technology

ISIテクノロジーは、賢い温水器、Model 1を作っている。見映えはよくないが、実用的だ。このデバイスは、一定温度を保ったお湯を即座に永久に提供する。WiFi接続機能を持ちスマートフォンアプリもある。

これは、温水器のNestと呼べるものだ ― ISI Techonologyは巨大な市場に挑戦している。さらに、今持っている温水器を拡張あるいは強化することもできる。Model 1の価格は399ドル。

本誌の詳しい記事はこちら

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


“スマート雑誌”の実現を目指すダイマーズラボの「Favlis」

ダイマーズラボが提供する「Favlis」。2014年1月にiOS向けにサービスの本格提供を開始していたが、5月になってアプリを刷新した。アプリはApp Storeから無料でダウンロードできる。

Favlisはもともと店舗情報や書籍、CD情報などのブックマーク共有サービスとして2013年にクローズドベータ版サービスをスタートした。しかし正直なところ、利用してみた僕も使い方に迷うところがあるサービスだった。

だが2014年に入ってからは、ウェブメディアやブログなどから、同社にて独自にキュレーションしたレストランやイベントなどの情報をピックアップして配信する仕組みにそのサービスをピボットさせている。

情報は午前と午後に分けて1日40〜60件程度配信される。詳細を見る場合は元サイトにアクセスする仕組みだが、Favlisの特徴はその情報のすべてに位置情報を持たせていることにある。これによって、元サイトで店舗の詳細な情報を読みつつ、興味を持てばその情報をブックマークし、それを地図やリスト形式で閲覧することができるようになっている。

この仕組みを聞くと、「tab」を思い出すのだが、ダイマーズラボ代表取締役の長野英章氏は、「tabがユーザーがピックアップした情報を共有するもの。一方でFavlisは、キュレーションされた情報を知ることができるもの」と、サービスの違いを説明する。

ピボットしてからまだ4カ月程度なので、正直なところ情報数が多いとは決して言えない状況だ。しかし毎日ウェブメディアやブログの記事と店舗情報がセットで送られてくるため、「今まで知らなかったけれども、読んで興味を持った」というような店舗に出会うことは少なくない。ユーザーからの評価の高い飲食店を探すのであれば食べログやRettyがあるが、Favlisはニュースのように毎日プッシュで情報が送られてくるのも強みだ。

最新版のアプリでは、検索機能を追加。駅名やキーワードをもとに、Favlisでこれまでに紹介された店舗、イベントなどの情報を検索できるようになった。

長野氏は、Favlisを「スマート雑誌」として世に広めたいと語る。「雑誌をやウェブメディアのコンテンツはすばらしいし、それぞれ独自の視点でピックアップした情報であること自体に価値がある。ただそれが時間とともに過去のモノになってしまう(フロー型のコンテンツであるという意味)。これを何とかしたい」(長野氏)

Favlisで紹介するメディアやブログは基本的にRSSの利用許諾を取得、もしくは取得の打診をしているが、使用不可となった場合はコンテンツを削除しているそうだ。今後はFavlisから各サイトへの送客数などを増やし、メディアと共同での有料コンテンツ販売や広告なども展開したいとしている。


【動画】”今夜のライブ情報”をキュレーションする「LIVE3」創業者の手島氏に聞く

創業メンバーの3人ともミュージシャンだというスタートアップの3.0 Incが4月初旬にリリースした「LIVE3」 は、イベント直前に売れ残っているチケットを探せるモバイルアプリだ。手島恭平氏自身の言葉だと、「今夜、なにする?」を解決するアプリということになる。

「ちょっと空き時間が3時間できたというときに、いま何をやっているか、それを見つける手段はない。1本通りの裏に入れば面白いイベントがあるかもしれないが、こうした情報はグーグルでも見つからない」という。

LIVE3を起動すると、自分がいる場所の近辺で行われているライブや演劇などのイベント情報が見つかる。現状のLIVE3では肝心の決済ができないが、狙いとしては、その場ですぐにチケットを購入したり、友人と情報をシェアできるということだ。

LIVE3は、2つの点で面白い。

1つは、実はイベントなど興行を行う「チケットを売りたい側」には、売れ残りチケットという大きな課題があり、ここを購入者とうまく結びつけているという点。アーティストのブランドイメージにもかかわるため、24時間以内に売り切らないと意味がないチケットだからといって値下げをして大っぴらに売るわけにはいかない。LIVE3はクローズドなコミュニティなので、これまでになかった販売チャネルとして機能するという。

もう1つは、LIVE3と似た「YPlan」というアプリがロンドンで爆発的人気となっていて、700万人のロンドンっ子の1割が毎日起動するほどの社会現象となっているという点。高校生時代にイギリスに留学していたという手島氏によれば、もともとロンドンには、その日の夜のミュージカルや芝居のチケットを安く売る街頭のスタンドに行列する文化があったという。

東京とロンドンとでは地理的条件に似たところがあるが、果たして日本で「直前チケット」の二次流通市場は根付くだろうか? その方策は? イベント興行を手がける企業との事業提携の計画は? TechCrunch JapanではTechLunchのゲストとして、手島氏に話を聞いた。以下の動画は、サービス概要と狙いのプレゼン(3分)と質疑応答(6分)だ。


開発者のためのGoogle Docsを自称するCodeanywhere、Disrupt NYでも大人気

プログラマーのためのGoogle Docsを自称するCodeanywhereがなかなかの人気だ。どこからでも、いつもと同じ開発環境を利用できるようにしようとするサービスだ。Disrupt NYのStartup Alleyで、観客の投票によるベストカンパニーに選ばれ、共同ファウンダーのIvan BurazinおよびVedran Jukicが、先ほどプレゼンテーションを行った。

このアイデアを思いついたのは、自分のPCがなくても、いつもと同じ環境でプログラム開発が行えないものかと考えたからだった。また開発と言わないまでも、問題点の修正を行うだけであっても、自分の環境一式を持ち歩かないといけないことに疑問を感じたこともあった。そのアイデアを推し進め、出先のPCからウェブ経由で利用できるようにしたのみならず、iOSおよびAndroid版のアプリケーションも提供している。

運営にあたっているのは2名の共同ファウンダーに5名のエンジニアだ。これまでに63万5000ドルの資金を調達しているそうだ。Burazinによれば、日々新たに400名が登録していて、利用者数は20万を超えており、先週のログイン者数は5万人程度になるのだそうだ。

料金はフリーミアムモデルを採用していて、有料版は月額5ドル(年間登録では50ドル)となっている。これによりFTP、FTPS、ないしSFTPサーバーを好きなだけ利用することができる。来月中にはオフラインモードで利用できるようにする予定で、Githubなどとの連携も深めて行きたいとのことだ。

訳注:Codeanywhereの「Features」ページでは以下の機能について説明が掲載されています。

  • ブラウザ内から利用できるコードエディタ
  • ファイルエクスプローラー
  • Dropbox、Github、Driveなどとの連携
  • SSHターミナル
  • リビジョン管理

原文へ

(翻訳:Maeda, H