FedExがインドの物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryに約110億円投資

世界の企業がインドでのプレゼンスを拡大しようとしている中で、物流大手FedEx(フェデックス)の子会社FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)はインドのスタートアップDelhivery(デリバリー)に1億ドル(約110億円)を投資する。

IPOを数四半期内に控えているグルガオン拠点のDelhiveryは、7月16日に発表した今回の投資の2カ月弱前に2億2700万ドル(約250億円)を調達した。同社の評価額は現在30億ドル(約3300億円)だ。

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取引の一環として、DelhiveryとFedEx Expressは長期的な商業協定も結ぶ。FedEx Expressはインドの国際輸出入サービスにフォーカスし、DelhiveryはFedExに加えてFedEx Expressの国際プロダクトやサービスをインドマーケットで販売し、インド中でピックアップと配達サービスを提供する。FedExはインド国内事業に関連する特定のアセットをDelhiveryに移す。

「我々の目的は、インドとグローバルの企業、そして消費者に我々のネットワークへのユニークなアクセス、そしてテクノロジーとエンジニアリングの能力を通じて新たなプロダクトと機会をもたらすことです」とDelhiveryの共同創業者Sahil Barua(サヒル・バルア)氏は声明文で述べた。

Delhiveryはフードデリバリー会社として始まったが、2300超の市町村と1万7500の郵便番号区域をカバーするロジスティックサービスへとシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じてロジスティックの需給システムをデジタル化しようと試みているいくつかのスタートアップの1社だ。

画像クレジット:Bernstein

Delhiveryのプラットフォームは荷主、代理店、そして道路輸送ソリューションを提供している運送業者をつなげる。プラットフォームはブローカーの役割を減らし、Delhiveryで最も人気の輸送手段であるトラック輸送のようなアセットをより効率的なものにし、24時間営業を保証する、とDelhiveryは話す。

インドの経済発展を長らく妨げてきたロジスティクス産業の非効率性を解決するのにデジタル化は不可欠だ。稚拙な需給の計画と予測によってコストや窃盗、損害、遅延などが増えている、とBernsteinのアナリストは2021年6月にインドのロジスティックマーケットについてのレポートで書いた。

Delhiveryのウェブサイトによると、これまでに10億件を超える配達を行い「インド最大のeコマース企業や主要企業」と協業している。ウェブサイトにはまた、同社が1万を超える顧客と協業してきた、ともある。配達のラストマイルのために、同社の配達員は2平方キロメートル以下のエリアが割り当てられ、これにより配達員は配送回数を1日に数回に抑えて時間を節約できる。

インドのロジスティクスマーケットの獲得可能な最大市場規模は2000億ドル(約22兆円)を超える、とBernsteinのアナリストは指摘した。Delhiveryは2020年後半、パンデミックでより多くの人々がオンラインで買い物するようになり、増大する需要に対応するために車両台数を増やすべく、2年以内に4000万ドル(約44億円)超を投資する計画だと話していた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

地図アプリや口コミサイトの一括管理、口コミのAI解析で店舗の問題点を把握できる「口コミコム」などを運営するmovは7月16日、3億3000万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capital、SMBCベンチャーキャピタル。これにより、累計調達額が約4億円となった。また、7月1日より元弁護士ドットコム取締役CSOの渡邊陽介氏が社外取締役として着任した。

調達した資金は、マーケティング活動への投資、営業・開発部門の採用活動、カスタマーサクセスを中心とした人材採用にあてる。

口コミコムは、Google マップなどの地図アプリや口コミサイトでの店舗情報を整理し一括更新できると同時に、口コミをAI解析して店舗の問題点を把握し業務改善に活かせるというサービス。正式リリースから半年で利用店舗は1万店舗強に到達しており、飲食店や商業施設、小売店だけでなく自治体とも連携しているという。地図アプリや口コミサイトの店舗情報に関する更新作業による業務負担の低減をはじめ、口コミの収集・分析により店舗運営における課題解決の可視化が可能な点が評価されているとした。

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

店舗側は、口コミコムに店舗情報を登録することでGoogle マップなどの地図アプリにお店が新たに表示されるようになるほか、不適切な写真への削除対応や口コミへの返信も一覧画面から対応可能。Google マイビジネスの投稿も一括配信できる。また、星の数、接客や身だしなみなど店舗の問題点を店舗別、エリア別、立地別、頻出ワード別、フランチャイジー別など様々な視点で分析可能としている。

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ネットワークインフラの購入調達をウェブで現代化したLightyear

今やあらゆるものがオンラインに置かれているが、ネットワークそのものの調達は頑なまでに昔ながらの対面や電話による交渉で行われている。ニューヨークのアーリーステージのスタートアップLightyearは2020年、これを変えようと、米国時間7月15日はRidge VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1310万ドル(約14億4000万円)を調達したことを発表した。

ラウンドに参加したのは、Zigg Capitalと多くの個人投資家だ。同社は2020年10月に370万ドル(約4億1000万円)のシードラウンドを経ており、総調達額は1680万ドル(約18億5000万円)になる。

CEOで共同創業者のDennis Thankachan(デニス・サンカチャン)氏によると、同社はネットワークのリソースの新しい調達方法を提供することによって新たな顧客を獲得している。それは、従来の対人交渉に比べてずっと優れた方法だ、という。

「Lightyearを立ち上げたのは2020年ですが、それは遠距離通信のインフラストラクチャをウェブで買うという、新しいやり方のための初めてのツールです。エンタープライズが長年やってきたことを変えるのは困難なことです。通信事業のこれまでの現状は透明性がゼロで、ウェブでやることなど何1つなく、大企業には交渉のレバレッジがあるはずなのに、大型ベンダーに任せきりにしていました。そんな調達体験は極めて貧しいものであり、だから多くのエンタープライズが、私たちが市場に提供したものを見て歓喜しました」とサンカチャン氏はいう。

Lightyearはオンラインのマーケットプレイスを作って、企業とベンダーが価格などをめぐって対話できるようにした。そこでは、両者が商談締結のために必要なあらゆる情報を得られるようにする。あらゆる決定が、情報に基づく決定になる。同社は2020年10月以来、プロダクトの改良に多くの時間を投じ、基本的な要求を構成したり、見積もりを得られるようにして、Lightyearが購入意思決定の支援をしている。

そして今では、サンカチャン氏によると、そのソリューションは非常に多くのサービスを構成し、サービスの導入管理を助け、導入における遅延とエラーの量を減らすなど、各サービスの全ライフサイクルをカバーする。しかも同社はネットワークの在庫調査と管理を助けて、全サービスグループのリニューアルを自動化する。

それによって同社は、この前のラウンドからわずか9カ月で4倍に成長し、関係するベンダーの数は10月の400社から500台の半ばまで増えている。また、社員数が倍増して約20名になった。

サンカチャン氏によると、自分が有色人種なのでダイバーシティとインクルージョンには特に気を使う。「私も白人ではないため、過去に別の仕事では差別がありました。無視されたり差別されることの感覚は自分もよく知っています。だから多くの人びとに機会を平等に提供することによって、これまでこういう問題に無頓着だった通信業界にも新しい文化を築きたい」と彼はいう。

ラウンドをリードしたRidge VenturesのパートナーであるYousuf Khan(ユースフ・カーン)氏がLightyearの取締役会に加わる。以前CIOだった彼は、Lightyearのやり方には訴求力があると語る。

そのカーン氏は「CIOとしてグローバルなテクノロジー企業を指揮してきた者から見て、ビジネスのインフラストラクチャの購買のあり方を変えようとしているLightyearのやり方は、とても新鮮なものに映ります。私がCIOだったとき、Lightyearがあればよかった」と語る。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

StreamlabsがTwitchクリップをTikTok / Instagram / YouTubeに共有できる新ツール「Crossclip」を発表

今やユビキタスなライブストリーミングソフトウェアとなったStreamlabsの開発元が、ストリーマーがゲームのハイライトをTwitch(ツイッチ)以外のプラットフォームで共有するための新しい方法を発表した。Streamlabsは、この新しいツールを「Crossclip」と名付け、現在、iOSアプリと軽量のウェブツールとして提供している。

Crossclipを使えば、クリエイターはTwitchのクリップを、TikTok(ティックトック)、Instagram リール、YouTube ショート、Facebook(フェイスブック)ビデオに適したフォーマットに簡単に変換することができる。クリップのURLを入力し、出力フォーマット(ランドスケープ、バーチカル、スクエア)とあらかじめ用意されたレイアウトを選択するだけで、Twitchから共有したいスニペットを簡単に適応させることができる。

Crossclipでは、クリップの長さをクロップしたり、背景の一部をぼかしたり、フレームをさまざまな場所に配置するレイアウトを選択することができる(例えば、フェイスカムビューとストリームビューを一緒に並べて縦向きに表示するなど)。

Crossclipのコア機能は無料だが、プレミアムサブスクリプション版(月額4.99ドル / 年間49.99ドル、月額約550円 / 年間約5500円)を購入すると、ブランドロゴのウォーターマークが取り除かれ、1080P・60fpsでのエクスポート、より大容量のアップロード、レイヤーの追加が可能になり、編集内容が処理キューの先頭にプッシュされる。

Twitchで発見されるのは難しい。確立されたストリーマーは簡単にオーディエンスを増やすことができるが、スタートしたばかりのユーザーは、数少ない視聴者がたまに挨拶に来るだけの孤独な「Stardew Valley(スターデューバレー)」のセッションを何度も延々と続けなければならない。Crossclipのアイデアは、このプロセスの苦労を減らすよう、ストリーマーがサブコミュニティやタグなど、コンテンツを発見しやすい機能がより充実している他のソーシャルネットワークでオーディエンスを構築しやすくすることだ。

Streamlabsの製品責任者であるAshray Urs(アシュレイ・ウルス)氏は、TechCrunchにこう語った。「クリエイターにとって、自分のコンテンツをより発見しやすくすることは大きなメリットです。最も人気のあるTwitchストリーマーを考えてみると、彼らは非常に人気のあるYouTubeチャンネルを持ち、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、TikTokに積極的に投稿していることに気づくでしょう。さまざまなプラットフォームでコンテンツを共有し、オーディエンスを構築していなければ、自分の状況をより難しくしていることになります」。

ウルス氏は、TikTokのアルゴリズムによるディスカバリー機能を利用して視聴者を増やすクリエイターが増えていると指摘している。TikTokが最近追加した3分間のより長い動画フォーマットは、ゲーマーやTwitchストリーマーなど、TikTokの活用に興味を持つさまざまなクリエイターにとって有益なものだ。

既存のオーディエンスを持つユーザーにとってもCrossclipは使いやすく、ゲームのハイライトやJust Chattingクリップを、フォロワーを増やしたい場所で簡単に共有することができる。平均的なクリップの変換には2~3分かかり、ワンクリックで簡単に処理できる。似たような機能を持つツールはいくつかあり、独立系ウェブツールであるStreamLadderが最も有名だが、Streamlabsは同じアイデアをさらに改良し、モバイルアプリを追加している。

現在はLogitech(ロジテック、日本法人はロジクール)の傘下にあるStreamlabsは、ここ数カ月でいくつかの便利な製品をリリースしている。同社は2021年2月には、チップ機能を組み込めるリンクインバイオ(link in bio)ツール「Willow」を発表した。Streamlabsは2021年5月、あらゆる種類のゲームコンテンツの新興ハブとなったTikTokとの関係を深め、中核となるライブストリーミングプラットフォームStreamlabs OBSにTikTokでの「ライブ配信開始」機能を追加した。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

パンデミック後に向けバーチャルコンサートのプラットフォームを構築するFlymachineが約23億円調達

コンサートやライブイベントが対面の世界に戻ってきたとき、ハイテク業界の多くの人は、パンデミック時代に存在したイベントのバーチャル化の機会が当面失われてしまうのではないかと考えている。

サンフランシスコを拠点とするFlymachine(フライマシーン)は、デジタル音楽業界の聖杯を求めて、ライブコンサートやパフォーマンスの魔法をライブストリーミングで実現する方法を探している。同社は、ビデオチャットで交流するというパンデミック時代の消費者の習慣と、デジタルの多様化を必要としている業界とを組み合わせることで、自社のバーチャルコンサートを音楽ファンの生活に浸透させたいと考えている。

このスタートアップの野望は安くはない。同社はTechCrunchに、計画を推進するために2100万ドル(約23億円)の資金を投資家から調達したと話した。この資金調達はGreycroft PartnersとSignalFireが主導し、Primary Venture Partners、Contour Venture Partners、Red Sea Ventures、Silicon Valley Bankが参加した。

バーチャルコンサート業界では、一部の人々が期待したほどには、ロックダウン(都市封鎖)から大きな恩恵を受ける瞬間はなかった。Spotifyはバーチャルイベントの実験を行った。一方、Waveのようなスタートアップは、VCから多額の資金を調達し、本物のパフォーマーをデジタルアバターに変えて、よりデジタルネイティブなコンサートを実現しようとしていた。アーティストの中には、Zoomでのライブを受け入れたり、Odaのようなライブコンサートのサブスクリプションを提供するスタートアップと一緒に活動する人もいたが、大物アーティストのメインストリームでのヒット作はほとんどなかった。

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Flymachineブランドのバーチャルコンサートを実現するために、同社は「生」のライブに参加する人々をバーチャルな参加者に変えようとしているのではなく、通常はライブをスキップしなければならない人々に魅力的な体験を提供したいと考えている。そのバーチャル参加者が、会場から遠すぎたり、ベビーシッターを確保できなかったり、(ライブでの盛り上がりでファン同士がぶつかり合う)モッシュピットに興味がなかったりしても、Flymachineは同社が作る「バブル」に参加する人が十分に存在していると期待している。同社は「夜を家で楽しむことと、外で楽しむこと」の境界線を曖昧にしようとしているからだ、とCEOのAndrew Dreskin(アンドリュー・ドレスキン)氏は語った。

Flymachineの戦略は、ニューヨークのBowery Ballroom、サンフランシスコのBimbo’s 365 Club、シアトルのThe Crocodile、ナッシュビルのMarathon Music Works、ロサンゼルスのTeragram Ballroomなど、米国内の有名なコンサート会場とのパートナーシップを構築し、そうした会場で行われるショーの一部を家庭の視聴者向けにライブストリーミングすることを中心に据えている。同社のチームは音楽業界に深く根ざしている。ドレスキン氏はTicketfly(Pandoraが買収)を創業した。共同創業者のRick Farman(リック・ファルマン)氏はBonnarooやOutside Landsなどの音楽フェスティバルを開催するSuperflyの共同創業者でもある。

画像クレジット:Flymachine

実体験に関して言えば、筆者は本稿執筆前にショーの1つ(上の写真)を体験する機会があった。Flymachineは、近くにいる仲間と曲に合わせて大声でシャウトするという体験を非常にうまく再現した。同社の世界では、これは「プライベートルーム」でショーに参加し、他の友人たちが自宅からビデオチャットバブルでライブストリーミングを行う形となる。これがよくできていて、実際のコンサートからあまり気が散らないようになっているが、いざというときには友達や音楽の音量を調整することができる。

多くの米国人がワクチンを接種し、コンサート来場者の多くが通常の生活に戻る準備をしていることを踏まえると、Flymachineのプラットフォームの登場が2021年初めになったことが、時機を逸する結果になったと思われるかもしれない。だが、創業チームは新型コロナによって更に可能性が高まった長期的な機会を見据えている。

「人々が家に閉じこもっている間に、私たちのプロダクトを売り出そうと躍起になっていたわけではありません。私たちのプロダクトが今後の社会の基盤となると知っていたからです」とドレスキン氏はTechCrunchに語った。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:バーチャルイベントFlymachine資金調達音楽ライブストリーミング

画像クレジット:FlyMachine

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが購入したトークンで1話ずつ読み進めていく連載小説プラットフォーム「Kindle Vella」を米国で開始

Amazon(アマゾン)は2021年6月に約束したとおり、アプリ内課金で連載小説の各話を読み進めていく「Kindle Vella(キンドル・ヴェラ)」ストアを起ち上げた。この新しいプラットフォームは、読者が新しい小説を発見するための方法であると同時に、作家がKindle Direct Publishing(Kindle ダイレクト・パブリッシング)サービスから収益を得るための新しい方法でもある。

Kindle Vellaは、その名前から想像するのとは違い、アマゾンの電子書籍端末「Kindle(キンドル)」では利用できない。ウェブブラウザでAmazon.comにアクセスするか、KindleのiOSアプリ(Androidアプリは今のところ対応していない)でのみ利用可能だ。当初は、英語で物語を出版している米国在住の作家のみに限定される。

1話(エピソード)あたりの語数は600〜5000語程度で、最初の3話は無料で読むことができる。それ以降の話を読み進めるためには「トークン」を支払わなければならない。トークンの価格は、200トークンで2ドル(約220円)、1700トークンで15ドル(約1650円)。後者で約34本程度のエピソードを読むことができるが、1話を読むために必要なトークンの数は語数によって異なり、語数が多ければ多いほど費用がかかる。

一方、著者は収益の50%と、アプリのソーシャルメディア的な機能による人気度に応じたボーナスを受け取ることができる。読者は作品をフォローして新しいエピソードの公開時に通知を受けたり、気に入ったエピソードに「いいね」をつけたり、その週の好きな作品に「Fave(お気に入り)」を付けたり(トークンを購入して読み進めた作品に限る)、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアで共有したりすることができる。読者とのつながりを高めるために、著者はエピソードの最後に読者に直接語りかけて「ストーリーの洞察や舞台裏のコンテンツを共有することができます」と、アマゾンは書いている。

アマゾンは、3カ月前にVellaを作家たちにオープンして以来「何千人もの作家」が「数十にわたるジャンルで、何万本ものエピソードを」公開しているという。作家たちも興味を持っているようだ。ベストセラー作家のAudrey Carlan(オードリー・カーラン)氏は「私はこれまで30冊近くの小説を出版してきましたが、この新しいフォーマットで『The Marriage Auction(結婚オークション)』を書くという冒険を楽しんでいます」と、声明の中で述べている。このフォーマットが流行るかどうかは読者次第だが、あなたも試しにここからVellaにアクセスしてみてはいかがだろうか。

【編集部注】本記事はEngadgetに掲載されたもの。著者Steve Dent(スティーブ・デント)は、Engadgetの編集者。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonAmazon Kindleアプリ電子書籍アメリカ

画像クレジット:Amazon

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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

WhatsAppがスマホなしで動作するマルチデバイス機能をテスト

Facebook(フェイスブック)傘下のインスタントメッセージサービスであるWhatsAppが、ついに重要な機能の改善を公開する。長年にわたってユーザーからの要望のトップだったと同社が認める機能だ。

米国時間7月14日、WhatsAppは新しいマルチデバイス機能に関して限定的なパブリックベータテストを公開すると発表した。

このアップデートにより初めて、登録済みのスマートフォンの電源が切れていてもインターネットに接続していなくても、WhatsAppを最大4台のデバイスで利用できる。WhatsAppの広報担当者はTechCrunchに対し、この複数のデバイスの中に別のスマートフォンを含めることはできないと述べた。

WhatsAppはブログの投稿で「各コンパニオンデバイスはWhatsAppに独立して接続します」と説明している。

全世界で20億人以上に使われているWhatsAppは、すでに複数デバイスでの使用をサポートしている。1人のユーザーが、例えばウェブブラウザやコンピュータのデスクトップアプリから同時にサービスにアクセスできる。しかし現在は複数デバイスで使う際にスマートフォンがインターネットに接続している必要がある。

WhatsAppは次のように説明している。

スマートフォンがすべての処理をする必要があるため、コンパニオンデバイスの速度が落ち、特にスマートフォンの接続が不安定な場合やバッテリー残量が少ない場合、アプリのプロセスがスマートフォンのOSによって強制終了された場合に頻繁に接続が切れます。また、一度に1台のコンパニオンデバイスしか動作しません。例えばPCでメッセージをチェックしながらPortal(Facebookのビデオ通話デバイス)で通話をすることはできません。

WhatsAppの新しいマルチデバイスアーキテクチャではこうした制限が取り除かれます。スマートフォンを信頼できる情報源にする必要がなくなると同時に、ユーザーのデータをシームレスかつセキュアに同期しプライバシーを守ります。

米国時間7月14日に公開されたホワイトペーパー(PDF)で、WhatsAppはこの機能の仕組みを概説し、公開までにこれほど時間がかかった理由を示している。

同社は複数のデバイスを使ってもエンド・ツー・エンドの暗号化を維持してメッセージが同期される新しいテクノロジーを開発してきたとし、これは市場では今のところほとんど実現されていない離れ業だという。

画像:WhatsApp

同社は次のように説明している。「これを実現するために、我々はWhatsAppのアーキテクチャを再考し新しいシステムを設計して、スタンドアローンのマルチデバイスエクスペリエンスでありながらプライバシーとエンド・ツー・エンドの暗号化を守っています。個々のメッセージが確立されたペアワイズ暗号化セッションを利用して各デバイスで別々に暗号化されます。メッセージが配信された後はサーバーに保管されません」。

広報担当者によれば、この機能によってユーザーのためのクラウドバックアップに変更はないという。担当者はさらに「メッセージや他のアプリのデータをユーザーのデバイス間で同期するメカニズムは、クラウドバックアップからは独立しています」と補足し、ホワイトペーパーにプロトコルが詳しく説明されていると述べた。

この機能を全ユーザーに公開する時期について具体的な日程は計画されていない。同社はTechCrunchに対し、この機能をまず既存のベータユーザーに公開すると述べた。今後数カ月でアプリの安定版を利用する一部のユーザーに対し、許可を得てベータ機能を公開する計画だ。

@WhatsAppに期待されるセキュリティをすべて実現しています。我々はデータを同期しつつエンド・ツー・エンドの暗号化を維持する新しいテクノロジーを開発しました。メッセージの履歴、連絡先の名前、スターを付けたメッセージなどをデバイス間でシームレスに同期できます。詳しくはこちら。

近いうちに「リンクされたデバイス」画面にベータに参加するオプションが表示されます!

これはWhatsAppが現在開発している多くの機能の1つだ。同社はiPad専用アプリや2020年に導入した消滅モード機能にも取り組んでいる。現在はメッセージが7日間で消えるように設定できるが、この機能を拡張して写真やビデオを1回だけ表示できるようにする計画だ。

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タグ:FacebookWhatsAppメッセージングアプリ

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Manish Singh、翻訳:Kaori Koyama)

音声SNSのClubhouseにテキストベースのメッセージ機能「Backchannel」登場

Clubhouse(クラブハウス)にダイレクト・メッセージ(DM)が導入されることはわかっていたが、米国時間7月14日、ついにその新機能が実装された。この音声に特化したアプリに、テキストベースのチャット機能が追加されたのだ。Clubhouseの新しいDMシステムは「Backchannel(バックチャンネル)」と呼ばれ、ユーザーから要望の多かった、音声ソーシャルメディアの舞台裏で会話を始める方法を提供する。

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Backchannelは、1対1のメッセージのやり取りの他、グループチャットも可能であり、声のみによるソーシャルネットワークにかなりの実用性をもたらす。Speaker(スピーカー)たちは事前に打ち合わせしたり、ルームを運営しながらメッセージングでライブを調整することができる。また、リスナーからテキストによる質問を受け付けることも可能になる。リスナーの中には、その方が気が楽だという人も多いだろう。

帽子は?被っている。
マイクは?入っている。
メッセージは?ダイレクトに。

意図せずに5回もリークしてしまいましたが、ここで私たちの愛するエンジニアリングチームが新しいClubhouse Backchannelを紹介します

現時点では、Backchannelを通じてリンクを送ることはできるが、画像や動画を送ることはできない。しかし、他にも新機能がもうすぐ追加になるようだ。また、このメッセージシステムには、知らない人からのメッセージを承認するまで保留しておくメッセージリクエストのエリアもある。今のところ、ClubhouseのDMは、知り合いや知り合いになりたい人とのチャットに焦点を当てたものになっている。ルーム全体のチャット機能はないので、あくまでも主となる活動は、依然として音声ベースのルームに集中することになる。

このメッセージングシステムは、ClubhouseのiOSおよびAndroidアプリですでに利用可能となっている。DM……ではなくBackchannelを始めるには、プロフィールページにある小さな紙飛行機のアイコンを探すか、あるいはメインメニューから右にスワイプしてBackchannelのページを表示させる。ただし、1つだけ注意すべきことがある。まだメッセージを削除することはできないようなので(コピーや報告はできる)、Backchannelする際には必ず、本当にこのメッセージを送信しても良いかどうかを確認しよう。

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タグ:音声ソーシャルネットワークチャットClubhouseアプリ

画像クレジット:AP Photo/Mark Schiefelbein

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがFTCのリナ・カーン委員長を独禁法違反訴訟から除外するよう要求

Facebook(フェイスブック)がAmazon(アマゾン)の仲間に加わって、反トラストのタカ派であるLina Khan(リナ・カーン)氏が突然FTCの委員長になったことに警戒を示し、氏を同社に関するすべの決定から外すよう要求した。その主張はAmazonの場合とほぼ同じで、就任前のカーン氏のプロフェッショナルとしての意見が、このような企業は反トラストのルールに違反しているという、あまりにも過激なものだった、と両社は述べている。

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今回はFTCに提出された書簡をWSJが入手したが、FTC自身はコメントを断っている。書簡でFacebookは、カーン氏の最近数年間の学術的刊行物や他のメディア上の記事は、すべてが積もり積もって、氏を同社に関する決定から排除すべき根拠になる、と述べている。現在、Facebookに陳情書のコピーを求めているため、届き次第この記事をアップデートしたい。

WSJの記事によると、陳情書では次のように述べられている。「カーン委員長は一般的に公表される声明の中で一貫して、弊社自身が認めていない行為でFacebookを非難するだけでなく、その行為が反トラストの侵害に該当するという彼女の信念を述べてきた。新しい委員がすでに事実と法に関する結論を描き、ターゲットを事前に違法者と見なしているとき、デュープロセス(適正手続)はその個人が自己を除外することを要求している」。

FTCとカーン氏には、FacebookとAmazonからの除外要求に応じる能力がない。彼女は自分の指名議事の中で、このような除外要求があった場合にはケース・バイ・ケースで解決するとと述べている(金銭的ないし個人的関心なら自動的な除外になる)。おそらく彼女は今すでに、部内の倫理専門家と相談しているのではないだろうか。

たしかにカーン氏は、自らの政策の立ち位置を多くの記事や論文で発表してきた。その多くは、反トラストの規制当局が自分たちの法的権力の解釈と実行においてあまりにも保守的で、また、今日隆盛を極めている巨大テクノロジー企業の監督においてはあまりにも甘いと論じている。競合他社を買収したり、価格を人為的に下げて市場に圧力を加えたり、顧客データの収集と利用に関して虚偽を述べたりといった行動は、見逃されたり過小な罰で済まされていた。

特に彼女は、下院が2020年秋発行した反トラスト報告書で顧問弁護士を担当している。1966年から1970年までの事件ではAmazonとFacebookの圧力でFTCの委員が、彼が参加した議会の調査の間に「偏見」で除外された。たしかにそれは、訴えを取り上げるための有望な契機にはなるが、状況は決して当時と同じではない。私は法律家ではないがそんな私から見ても、今やいかなる訴えも、具体的な申し立ても事前審理すら為されず、ただFacebookやApple、Google、Amazonなどはすべて独占であるか、または市場に対する力を持っているという一般的な風説があるだけだ。そのため下院の2020年の報告書も、彼らにとっては痛くも痒くもない。

むしろ下院の報告書が見つけたメインの事項は、既存の法と規制が不備があり、いかなる訴訟もありえないということだ。確かにカーン氏はここ数年、まさにこのことを屋根の上から叫んできた。でもその結論は法律の問題であり、FTCの仕事ではない。まだ書かれてもいない法律が定義している反トラストの訴訟をカーン氏が事前審理することは、おそろしく難しいだろう。

カーン氏のFTCは、同委員会が抱えていたFacebookに対する反トラストの訴件の一部が棄却され、彼女の就任直後という初期にやや躓いたが、しかしそれは彼女のせいではない。それは、Facebookがソーシャルメディアを独占的にコントロールした、という訴件に十分な証拠がないため、判事がFTCにもう一度出直せと告げたものだ。それに対しカーン氏の意図は、補足文書を提出するか、または負けを認めて来年か再来年の別件のために力を結集するかのどちらかだろう。しかしいずれにしても、彼女に対して言われている「偏見」の問題を解決してから決定を発表するのがベストだ。なお、除外要求が現在行われている訴訟に影響を及ぼすか、という推測をFTCは断った。

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しかしFTCは、バイデン大統領の大統領命令という形で、ホワイトハウスから明示的な支持を得た。大統領令が優先的に取り上げているのは「支配的なインターネットプラットフォームの、特に若い競合他社の買収や連続的な合併、データの集積、『無料』のプロダクトによる競争、そしてユーザーのプライバシーへの影響」だ。これでカーン氏もおそらく前述の法的チャレンジに対してあまり痛みを感じないだろう。

AmazonとFacebookが提出した陳情は、同社自身がひとかけらもリスクを負わない(訴訟ではない)ものであり、単純に除外の挑発という外部的チャンスに賭けている。だから、陳情という形になっているのであり、それは彼らが今後必然的に独占的慣行をFTCとカーン氏から訴えられた場合に備えるパン屑でもある。法的反動は予測が難しいが、通常は訴状が最初からテーブルの上にあった方が後から持ち出すよりも良いというわけだ。

カーン氏の委員長着任により、FTC自身も改革が必要であり、Facebookのような企業を相手にできるだけの強さが必要だ。そして、これが、今後の長い々々勝負の最初の一手にすぎないことは、誰の目にも明らかだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookFTC独占禁止法アメリカ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトが新リモートデスクトップサービス「Windows 365」リリース、Azure Virtual Desktopがあるのに

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間7月14日、Windows 365提供を開始した。これは、企業の従業員がクラウドからWindows 10のデスクトップに簡単にアクセスできるようにするためのサービスだ(Windows 11は一般公開後に利用可能)。本サービスは、ゲームのストリーミングのようなもので、デスクトップ向け。2021年8月2日にビジネスユーザー向けに提供される。

いささか不可解なプレスリリースで発表されたWindows 365は、長い間期待されていたもので、実際のところ既存のリモートデスクトップサービスを進化させたものにすぎない。

Microsoftはすでに従業員がクラウド上のWindows PCにアクセスできるオプションである「Azure Virtual Desktop」を提供しているではないか、と思うかもしれない。しかしながらWindows 365は、はるかに使いやすく、Azureクラウドで完全なAzure仮想デスクトップ環境を構築するような複雑さはないという違いがあるようだ。

Microsoftは、新たな仮想デスクトップサービスを提供するのではなく、Azure Virtual Desktopをより使いやすくすることはできなかったのだろうか?Azure Virtual Desktopはエンタープライズ向けのサービスであり、デフォルトで企業の既存の複雑なインフラにうまく対応しなければならない。パンデミックの影響で、代替手段が少なかった中小企業はAzure Virtual Desktopを利用するようになったが、今回の発表により、Microsoftは多くの点においてAzure Virtual Desktopの管理があまりにも困難だったと認めたことになる。一方、Windows 365は、ある意味でフラッシュな製品であり、ベーシックなサブスクリプションサービスでも利用できる。

「Microsoftは、豊富な仮想化の経験を持ち、より多くのカスタマイズと柔軟性を求める組織のために、Azure Virtual Desktopの革新も続けています」と同社はいう。少なくとも、同社が「Windows Virtual Desktop」を「Azure Virtual Desktop」に改名した理由はわかっている。これは非常に混乱を招くものだった。

画像クレジット:Microsoft

またSatya Nadella(サティア・ナデラ)CEOが「Cloud PC」と呼ぶ「新しいハイブリッド・パーソナル・コンピューティング・カテゴリー」について語っている。これが具体的に何を意味するのかは不明だが、新しいカテゴリーであることは間違いない。

「アプリケーションがSaaSによってクラウド化されたように、私たちは今、OSをクラウド化することで、企業のみなさんにより高い柔軟性と安全な方法を提供し、場所を問わず、従業員の生産性と接続性を向上させます」とナデラCEOは本日のプレスリリースで説明している。

それってただのシンクライアントじゃないのか?そうかもしれない。しかし、ここではハードウェアの話をしているのではない。どこからでもアクセスできるクラウド上の仮想化されたOSの話をしている。これは以前からあるカテゴリーだ。

「Microsoft 365のコーポレートバイスプレジデントであるJared Spataro(ジャレド・スパタロ)氏は「ハイブリッドワークは、今日の組織におけるテクノロジーの役割を根本的に変えました。従業員たちがこれまで以上に分散しているため、企業は多様性、シンプルさ、セキュリティを向上させた優れた生産性体験を提供する新しい方法を必要としています」という。「クラウドPCは、あらゆるデバイスをパーソナライズされた生産性の高い安全なデジタルワークスペースに変えるエキサイティングな新しいカテゴリーのハイブリッドパーソナルコンピューティングです。本日発表されたWindows 365は、デバイスとクラウドの境界線を曖昧にすることで可能になることの始まりに過ぎません」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftAzure Virtual DesktopリモートワークハイブリッドワークWindows 365

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:衛星コンステレーション(用語)エッジコンピューティング(用語)カーボンニュートラル(用語)GEO / 静止軌道(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)耐量子計算機暗号 / PQC(用語)テラヘルツ波(用語)ドローン(用語)ネットワーク(用語)HAPS / 成層圏通信プラットフォーム(用語)HAPSモバイル(企業)Beyond 5G / 6G(用語)5G(用語)量子暗号(用語)量子暗号通信 / QKD(用語)量子コンピューター(用語)LEO / 地球低軌道(用語)日本(国・地域)

顧客紹介マッチングサービス「Saleshub」が1億円調達、「つながりマッチング」機能も正式リリース

企業と個人をつなぎ商談を設定すると報酬をもらえる顧客紹介マッチング「Saleshub」が1億円調達、「つながりマッチング」機能も正式公開

企業と知り合いを結び付けて商談を設定すると報酬がもらえる顧客紹介マッチングサービス「Saleshub」(セールスハブ)を運営するSaleshubは7月14日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億円の資金調達を発表した。引受先は、インキュベイトファンドをリード投資家に、SMBCベンチャーキャピタルが加わっている。これで累計資金調達額は約2億5000万円となった。調達した資金は、ポーター新規登録拡大のためのマーケティング施策、エンジニアやカスタマーサクセスなどのポジションを中心とする採用強化、新規登録サポーターを個別に支援する「Saleshubコンシェルジュ」チーム構築などのカスタマーサクセス体制の強化にあてる。

Saleshubは、サポーターと呼ばれる個人の登録会員が、企業や事業が求める顧客を紹介したり、事業を個人に紹介して商談を設定するサービス。サポーターは、自分の友人や知り合いを「つながり」として登録。企業は顧客候補「アタックリスト」を公開しておく。これら情報を基に、サポーターは顧客(個人)と企業を引き合わせ、商談のアポイントメントを取り付けるというものだ。うまく商談が設定できれば、サポーターには報酬として「ご協力金」が支払われるので、ちょっとした隙間時間の副業となる。

2017年6月の提供開始以来、累計登録企業数は2700社、累計サポーター数は2万5000人、「つながり」の登録者数は累計1万件に到達。アタックリストの登録数は60万件、累計紹介提案数は2万件、累計マッチング件数は52万件を超えた。

「つながり」と「アタックリスト」を基にした自動マッチングを可能にする「つながりマッチング機能」

この「つながり」と「アタックリスト」を、テキスト解析などを使って自動マッチングする「つながりマッチング機能」がベータ版として試験提供されていたが、7月14日に正式リリースとなった。サポーターは、「つながり」を登録するだけで、その人たちを求める企業が自動的に推薦される。試験運用中の直近3カ月での平均マッチング率は97%にも上ったという。

同時に、サポーターのマッチング体験の向上などを支援する「サポーター応援プログラム」も開始する。これは、サポーターがSaleshubを副業として本格的に取り組む際の不安や悩みの相談に応じ、きめ細かいサポートを行う「Saleshubコンシェルジュ」の導入と、内容に応じた「ご協力金」の適切な設定基準となるガイドラインを策定するといったものだ。

今後は、2022年春ごろまでに「つながりマッチング」の100万件突破を目指して、開発運営を進めてゆくとのこと。

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Instagramが最近見たコンテンツをストーリーに再共有するテストを実施

Instagramは、ユーザーが気に入ったコンテンツを自分のストーリーにどう再共有するかを変える新しい機能のテストを実施する。

一部のユーザーにだけ表示されるこのテストでは、ユーザーがアプリのストーリーズを見ているときに、自分が最近閲覧したコンテンツが表示される。このコンテンツは新しい再共有のステッカーのもとに集められ、自分でストーリーを作成するときにステッカーのトレイに表示される。最近1時間に見た投稿とリールが、最近作成した投稿とともにここに表示される。

Instagramの広報担当者はこのテストについて「ユーザーは再共有されたコンテンツに対して魅力や個性、楽しさをあまり感じない傾向にあることがわかっています。新たにテストをしているこの機能によって、ユーザーが自分が気に留めた事柄をもっと意図的に、計画的に共有して欲しいと考えています」と述べた。

ステッカーから再共有されたコンテンツは既存のストーリーを背景としてその上に表示されるので、パーソナライズを促進する可能性がある。現在はユーザーがリールの投稿を自分のストーリーに追加する際に、そのコンテンツはシンプルな背景の上に単独で表示される。新しい再共有のステッカーを使うと、再共有する際にコンテンツを自分の文脈に引き寄せて、投稿に活気を感じさせることができる(単なるリツイートよりもコメント付きリツイートの方がフィードで強さを感じられるようなものだ)。

このテストがアプリに確実に実装されると決まっているわけではないが、Instagramは新しい再共有の機能に関するフィードバックによって、再共有の投稿の質が上がるかどうかを観察する。反射的に共有するよりも実際に見たことに気をつけるようにする機能なので、ストーリーからの再共有が増えるかもしれないし、少なくとももう少し思慮深く再共有するようになるだろう。

Instagramは常に新しい機能のテストをしている。テストした機能が最終的な製品になるとは限らないが、アプリをどう変えるか、そして日常的にInstagramを使っている10億人を超える人々の行動をどう変えるかについての同社の考えがテストによって伝わってくる。

Instagramが最近実施したテストには他に、「いいね」を非表示にするテストや、アルゴリズムによってフィードに「おすすめ投稿」を混在させる機能がある

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Instagram

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Kaori Koyama)

Twitterにツイート後にリプライできるユーザーを制限できる新機能

Twitter(ツイッター)の宇宙に、すばらしい写真や動画を投稿し、リプライの洪水に悩まされるのに疲れた人を、今度のTwitterの新機能が救ってくれるかもしれない。

米国時間7月13日から、すべての人がツイート後、それぞれのツイートにリプライしてもよい人を指定できるようになる。これまでは、ツイートを作成したときにリプライしてよい人を制限できたが、投稿後はその指定を変更できなかった。

Twitterでは、どのようなツイートがあなたが望まない関心を惹くか、わかるのがいつも遅すぎる。そこでこの新機能は、リプライをフォローしている人や有意義なツイートの中で言及されていた人だけに制限できる。ミュートボタンが役に立たないこともあるからだ。

Twitterは2020年8月に、このソーシャルネットワークの上で「有意義な会話」を盛んにして、ツイートしてもいじめられない安全な場所であることを感じられるために、リプライを制限する機能を加えた。ウェブ上のプロダクトを研究するJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は、その機能の今回の機能拡張を6月に発見していた

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スタートアップ向け株主総会電子化ツールや投資家向け未上場株式管理クラウドのケップルが約4.7億円を調達

スタートアップ向け株主総会電子化ツールや投資家向け未上場株式管理クラウドのケップルが約4.7億円を調達

起業家と投資家を支援し「世界に新たな産業を創造する」を理念に、VC・事業会社向け未上場株式管理クラウド「FUNDBOARD」、スタートアップ・中小企業向け株主総会電子化ツール「株主総会クラウド」などを提供するケップルは7月14日、第三者割当増資による約4億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先には、SuMi TRUSTイノベーションファンド(三井住友信託銀行CVC)をリード投資家に、SBIインベストメント、SMBCベンチャーキャピタル、ストライク、辻・本郷ビジネスコンサルティングが参加している。

ケップルは、FUNDBOARD、株主総会クラウドの他に、スタートアップの適正な企業価値の算定やファンドの決算を支援するサービス、CVCの立ち上げ・運営の支援なども行っている。2018年12月には日本経済新聞社と資本業務提携を結び、共同でスタートアップのデータベースを運営。2021年1月には、三井住友信託銀行と資本業務提携を結び、同行のノウハウやネットワークを活かした企業のオープンイノベーション支援を行ってきた。

今回調達した資金は、既存事業の拡大と新規事業の創出に使われる。

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Discordがネット上の有害コンテンツとハラスメントに真剣に取り組むためAIソフトウェアSentropyを買収

オンラインチャットプラットフォームのDiscord(ディスコード)はSentropy(セントロピー)を買収する。AIを利用してオンラインハラスメントやヘイト発言を検出、削除するソフトウェアを開発している会社だ。

現在Discordは、発言の管理に「マルチレベル」のアプローチをとっており、社内の人力監視チームと有志のモデレーターと管理者の力で個々のサーバーの基本ルールを作っている。ユーザーを守り、コンテンツ管理ポリシーを整備することに特化したTrust and Safety(信用と安全)チームは、2020年5月時点でDiscordの労働力の15%を占めている。

Discordは、Sentropyの独自製品を既存のツールキットに組み込むとともに、同社の経営陣も迎え入れる。契約条件は明らかにされていないが、この買収は有害なコンテンツとハラスメントに真剣に取り組むことが正しい行動であるばかりでなく、ビジネスにもなることを示す証だ。

「Trust and Safetyチームの技術とプロセスは競争優位性のために使うべきものではありません」とSentropy CEOのJohn Redgrave(ジョン・レッドグレイブ)氏が合併を発表するプログ記事で述べた。「誰もがデジタルでもリアルでも安全でいる権利があります。モデレーターたちはこのオンラインで最も困難な仕事を、効率よくかつ悪影響なくこなすためのツールを与えられるべきです」。

Discordは危険なコンテンツに真剣に向き合うことに関して、必ずしも良い評判を得ていない。リアル世界の暴力と結びついた極右グループが、同プラットフォームに居着いていたこともある。Discordがヘイトや過激思想を厳しく取り締まるようになったのは、バージニア州シャーロッツビルで開かれた極右集会「ユナイト・ザ・ライト・ラリー」で反人種差別運動家のHeather Heyer(ヘザー・ハイヤー)氏が亡くなった後のことだった。

2018年2月、Discordは白人至上主義者とネオナチ・グループを追放してプラットフォームを浄化し、ルーツであるゲーミング事業から主流ソーシャルネットワークへと成長するための道を歩み始めた。現在Discrodは1億5000万人の月間アクティブユーザーを擁し、あらゆるコミュニティにとって居心地の良い場所という地位を確保しつつ、コアユーザーであるゲーマーたちを掴み続けている。

レッドグレイブ氏が自社とDiscordの自然なつながりについてブログで詳しく述べている。

Discrodはソーシャルネットワークの次世代を担う会社です。そこは、ユーザーが販売される商品ではなく、コネクティビティーとクリエイティビティーと成長のエンジンである世代です。このモデルでは、ユーザープライバシーとユーザーの安全はプロダクトの主要な要素であり、後付けではありません。このモデルの成功は、次世代のTrust and Safetyをあらゆるプロダクトのために開発することにかかっています。私たちはこの責任を重く考え、Discordの規模でDiscordの資源と人材とともに働くことで私たちの影響力を高められることを謙虚に受け止めています。

Sentropyは、オンラインハラスメントと虐待を発見、追跡、駆逐するためのAIシステムを擁して2020年夏静かに開業した。その後同社は1300万ドル(約14億4000万円)の資金を調達し、Reddit(レディット)の共同ファウンダーであるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏と彼のVC会社であるInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)、King River Capital(キング・リバー・キャピタル)、Horizons Ventures(ホライゾンズ・ベンチャーズ)、Playground Global(プレイグラウンド・グローバル)らの著名な投資家が出資した。

Sentropyは、同社のソフトウェア製品であるDetect and Defend(ディフェクト・アンド・ディフェンド)を使用している既存の企業ユーザーに9月末までサービスを提供する。同社の消費者向け無料ダッシュボードのSentropy Protectは7月初めに閉鎖された。

関連記事:Sentropyがソーシャルメディア上の攻撃から人々を守るツールをローンチ、Twitterを皮切りに展開

Sentropyの製品はソーシャルネットワークに依存しておらず、特定のプラットフォームに特化したソリューションではないと考えられている。Discord傘下に入った後も、安全なオンライン空間を作るための知見を広くインターネットで共有していくつもりのようだ。

「私たち自身のコミュニティを守るために開発したベストプラクティスとテクノロジーとツールをインターネット全体で共有する最善の方法を、Discordとともに考えていくことをとても楽しみにしています」とレッドグレイブ氏は言った。

Discordの未来は明るい。同社は2021年4月、評価額100億ドル(約1兆1050億円)といわれたMicrosoft(マイクロソフト)による買収提案を固辞した。現在Discordは自立に満足しているようで、そう遠くない将来のIPOも計画している。

関連記事:Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DiscordチャットツールビデオチャットSentropy買収

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokのライバル、最大60秒の動画を投稿できる新サービス「YouTube ショート」が日本を含む100か国以上で利用可能に

TikTokのライバル、最大60秒の動画を投稿できる新サービス「YouTube ショート」が日本を含む100か国以上で利用可能に

YouTube

YouTubeは7月13日、短い動画を投稿できる新サービス「YouTube ショート」が、日本を含む100か国以上で利用可能になると発表しました。

YouTube ショート自体はまだベータ版という位置付け。2020年にインドで最大15秒の動画サービスとしてスタートしましたが、その後米国など26か国で提供されていました。

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日本でも以前から視聴は可能でしたが、今後は複数の動画をつなぎ合わせるマルチセグメントカメラ、楽曲を追加する機能、速度の設定などを含む動画作成ツールが利用可能になります。

また、YouTube ショートのグローバル展開にあわせ、動画の特定のポイントにテキストを追加したり、自動でのキャプション追加、最大60秒までの動画投稿、ギャラリーからのクリップ追加、フィルター機能が追加されます。

なお、いまのところYouTube ショートはパートナープログラムの収益対象外となっていますが、収益化する方法は検討しているとのこと。その一つとして、YouTube ショートファンドが発表済みです。これは2021年から2022年にかけて、再生数の多いYouTube ショート動画のクリエイターに対して合計1億ドルの報奨を送るというもの。

YouTubeによると、YouTube ショートのグローバルでの再生回数は1日当たり65億回を超えているとのこと。一方で、TikTokは動画の時間を最大3分まで延長しています。今後も同様のサービスが増えていけば、最適なショート動画の長さに関して知見が得られていくのかもしれません。

(Source:YouTubeEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google / グーグル(企業)ショートビデオ(用語)TikTok(製品・サービス)YouTube ショート(サービス)日本(国・地域)

フランスがグーグルに650億円の罰金、記事使用料交渉で命令に従わず

コンテンツ使用対価の支払いに関するメディアとの協議で重大な違反が認められたとして、フランスはGoogle(グーグル)に5億ユーロ(約650億円)の罰金を科した。コンテンツ使用での対価支払いは、著作隣接権をニューススニペットにも拡大したEU新デジタル著作権指令で求められている。

制裁金は、Googleが2020年10月に発表したニュース対価総額10億ドル(約1110億円)の半分を上回り、この規模はかなりのものだ。Googleは自社プラットフォームに表示される「高品質のコンテンツを制作してキュレートする」ためにメディアに対価を支払うと述べていた。

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当時、Googleのそうした動きは、コンテンツを「ショーケース」する幅広い権利をGoogleに与える取引条件を受け入れるようメディアに迫ることで、コンテンツ再使用のためにメディアに対価を支払う法的義務を小さくしようという意図があったようだ。

フランスの監視当局はいま、声高にその慣行に制裁を科した。

ロイターによると5億ユーロという額はGoogleがフランスのメディアに払うとすでに同意した額をかなり上回り、このことも注目に値する。ロイターは2021年2月、Googleが今後3年にわたって7600万ドル(約84億円)を支払うことで121のメディアと契約を交わした、と報じた。

フランスの競争当局は7月13日、メディアの保護されたコンテンツの表示の対価を支払うためにメディアと誠実に協議するようGoogleに命じた2020年4月の決定に関して、同社が数多くの命令に従わなかったとして制裁金5億ユーロを科すと発表した

当初、GoogleはフランスでGoogle Newsに表示していたリンクとともにコンテンツのスニペットの表示を停止することで著作隣接権を回避することを模索した。しかし監視当局は、それは支配的な地位の乱用だととらえ、Googleに対し法律の回避をやめて誠意を持ってコンテンツ再使用の対価を払うためにメディアと交渉するよう命じた。

ただ、Autorité de la Concurrence(フランス競争委員会)はGoogleがこの命令に関して取った対応について快く思っていない。

多くのメディアが、交渉は誠実なものではなかった、Googleは支払いを知らせるのに必須の鍵となる情報を提供しなかった、と競争委員会に苦情を申し立てた。

雑誌出版社組合(SEPM)、出版社団体Alliance de Presse d’Information Générale(APIG)、フランス通信社(AFP)は2020年8〜9月に苦情を申し立て、監視当局による調査が始まった。そして7月13日の重大違反の発表に至った。

もしGoogleが監視当局の命令に反し、2カ月以内にメディアに必要な情報すべてを提供しなければ、1日あたり最大90万ユーロ(約1億2000万円)という罰金を追加で科すこともあり得る。

調査についての詳細を説明するプレスリリースの中で、競争委員会はGoogleが著作隣接権を「別の資産価値をともなわない付随するもの」として組み込むことを求めて、メディアとの協議の中でPublisher Curated Newsと呼ぶ提携のもとに「Showcase」というグローバルの記事ライセンスプロダクトを一方的に押し付けることを模索したと述べた。

競争委員会の調査によると、メディア側は著作権報酬の交渉は拒否されたとして対応することを求めている。

競争委員会はまた、Googleが保護されたニュースコンテンツの表示で発生する収入の範囲に関して、協議の幅を「不当に」狭めたとした。Googleはメディアにニュースコンテンツを表示するGoogle Searchページからの広告収入のみが報酬支払いのレベル決定で考慮される、と伝えていた。

他のGoogleサービスからの収入とコンテンツに関連する非直接的な全収入の排除は著作権法違反であり、先のコンプライアンス命令に反するものだと当局は判断した。

Googleはまた、政治および一般情報証明を持たないコンテンツを排除することで、著作隣接権に関する法律の範囲を「故意に制限した」。この点について監視当局は知的財産に関する基準の「誠意のない」解釈としてとらえた。

そして監視当局は、Googleがサードパーティのメディアによって使用された場合、そのコンテンツに関する支払いから通信社を排除しようと模索したことも確認した。「フランスの議員は通信社を含める必要性についてかなりはっきりとした考えを示してきました」と指摘することで、当局はGoogleのこの試みが2020年4月の命令に従わないものと強調した。

その他には、Googleは「報酬の透明性ある評価」のために「部分的」で「不十分」な情報をメディアに提供しただけだったとも指摘した。さらには、命じた期限のわずか数日前まで情報提供を遅らせ「遅い」とも非難した。

当局の調査は、著作権法で保護されているコンテンツがいかにGoogleのプラットフォームで表示されるかという点での中立の義務に関連する別の命令のコンプライアンス問題を強調している。これについて監視当局は次のように述べている。「Googleが導入した戦略はこのように、メディアにShowcaseサービスの契約条件を受け入れ、保護されたコンテンツの現在の使用に特に関連する交渉を放棄するよう、強く促してきました。これは、提案された条件を受け入れた競合相手より見劣る表示と支払いを行っているという違反に基づく差止命令の対象でした。ゆえに、Googleは保護されたコンテンツを自社のサービスで表示することに交渉が影響しないようにする必要な方策を取ったと主張することはできません」。

別の命令は、著作隣接権のためにメディアに支払った対価を相殺することで支配的な地位の利用をGoogleに模索させないようにするものだった。

これに関して監視当局は、Googleのプラットフォームでの表示のためにShowcaseがメディアにコンテンツのスニペットの制作だけでなく「大量のエキス」と全記事すら求めていると指摘し、このアプローチについても問題視した。

GoogleはShowcaseプログラムの参加を、Subscribe with Google (SwG)という別のサービスとリンクさせていることもわかった。これはGoogleが著作隣接権に関する交渉を、自社の収入につながり得る新しいサービスのサブスクと結びつけられるようにしている。

「極めて深刻な慣行」と糾弾している小見出しの下で、当局はGoogleの「意図的で念入り、かつ組織的な遵守しない戦略、そしてすでに数年にわたって展開している著作隣接権の原則とは「逆の戦略」の継続、そしてEUとフランスの法律に織り込まれた後に「著作隣接権の具体的な範囲をできるだけ最小化することを模索したこと」を非難した。

Googleは、メディアへの支払いを「可能な限り回避あるいは制限する」ための口実としてShowcaseを使い、と同時にサブスクやプレスタイトルなど、さらなる収入確保につながり得るメディアの新たなコンテンツへのアクセスを入手する機会として著作隣接権にかかる交渉を使うことを模索し、コンテンツ対価を国レベルで交渉するメディアの能力をなくすためにグローバル戦略を使うことを検討した、と当局は主張する。

「罰金5億ユーロの制裁は、確認された反則の重大さと、Googleが著作隣接権についての法律の正当な適用をさらに遅らせた行為を考慮しています。これはメディアや通信社のコンテンツの価値をさらに考慮に入れることを目的としています。当局は命令の適切な遂行について非常に神経を尖らせていて、不履行は過料につながります」と競争委員会の委員長Isabelle de Silva(イザベル・デ・シルバ)氏は声明で述べた。

5億ユーロの罰金と、もし当局の指示を無視し続けた場合、その慣行が1日ごとに科せられる罰金につながるという警告は、商業取引の詳細がフランスでは認められないことをGoogleに知らしめている。

「コンプライアンス」の利己的バージョンを形成しようという試みはおそらく当局からのさらなる制裁につながる。これは最近、Googleの広告事業の数多くの相互運用性の要件に適用され(2億6800万ドル、約296億円の罰金を科した)、メディアからの苦情に対処している。

Googleがフランスで著作隣接権問題に関して同意していることは、商業取引で少なくとも他のEUマーケットで達成できるものに対する基準を設けることだろう。EUマーケットでは著作権延長法も適用される。

フランス当局の制裁に関する声明で、Googleは調査の結果に失望を表明し、メディアとの交渉は誠意を持ってあたったと主張した。

「決定に非常に失望しています。当社はプロセス全体を通じて誠実に対応してきました。罰金は当社の合意を図る努力、ニュースがいかにGoogleプラットフォームで機能しているかという現実を無視しています。Googleはこれまでに著作隣接権に関する合意を発表した唯一の企業です。当社はまた、AFPとの合意をまとめるところでもあり、この合意にはグローバルライセンス契約、AFPの出版物の隣接著作権に対する報酬も含まれています」。

Googleは、当局の決定が「主に」2020年5〜9月に行われたフランスでの交渉に関するものであるとも指摘し、同社がそれ以降も「ソリューション」を見つけるためにメディアや通信社と引き続きやり取りしていると主張した。

その例として同社は、Alliance de la Presse d’Information Généraleと結んだ2021年1月のフレームワークエンゲージメントを指摘した。Googleはまた、Le MondeやCourrier International、L’Obs、Le Figaro、Libération、L’Expressなどを含むフランスの他のメディアとの合意も挙げた。

Googleはまた、AFPとのグローバルライセンス提携を結ぶことができるという自信も繰り返し示した。この提携に関してGoogleは、AFPの出版物の隣接著作権の対価も含めたい、と述べた。

フランス競争当局の「フィードバックを考慮し、当社のオファーを適応させる」と話し「当社の目的は変わりません。正式契約で物事を前に進めたいと考えています」と付け加えた。「CPPAPに認められている出版物をカバーすることで、『オンラインプレスサービス』として当社はすでにIPGを超えてメディアや通信社と関わっていて、我々の取り組みを評価する立場の独立したサードパーティを持つという申し入れを繰り返し、これにより事実についての議論をベースとできます」。

Googleが近年フランスで科された主要な罰金には、前述の広告テックの不正使用に関する先月の2億6800万ドル、2020年12月の同意なしのCookie使用に対する1億2000万ドル(約133億円)、2019年12月の不透明で一貫性のない広告ルールに対する1億6600万ドル(約184億円)、2019年1月のプライバシー違反での5700万ドル(約63億円)などがある。

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EU以外ではオーストラリアがこのほど、商業取引条件に同意しなかった場合、メディアのコンテンツ再使用に関してGoogleとFacebookにメディアとの強制仲裁を求める法律を成立させた

いかにパワフルなテックプラットフォームを制御し、インターネットによるデジタル出版への移行で収入面で打撃を受けてきた従来のメディア企業の持続可能性を確かなものにするかに議員たちが取り組むなかで、オーストラリアの法律は世界中からかなり注目された。

たとえば英国の競争・市場当局は、戦略的な市場支配力を使ったプラットフォームの乱用に積極的に競争当局が取り組めるようにするために英政府が前もって規制体制を整えるのに取り組んでいる中で、商業取引条件の交渉がうまくいかなかった場合の強制仲裁というオーストラリアの安全装置を「道理に適った」アプローチと表現した。

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オーストラリアの法律が採択されるのに先立ち、Googleはもし議会がそのまま法案を通せばオーストラリアでのサービスを停止せざるを得ないかもしれいないと警告し、加えてプロダクトの質を下げたりプロダクトを有料としなければならないかもしれないと示唆した。結局、Googleはオーストラリアでのサービス提供をやめなかった。

同社はまた、EUのニュースコンテンツのスニペットをカバーするためのデジタル著作権の拡大計画に対し、積極的なロビー活動を展開した。そして2019年にはニュースに決して支払わないと誓っていた。

それから数年後、コンテンツのライセンスを得るためにメディアに支払う10億ドルを発表した。しかしGoogleの他のジャーナリズムに便乗した広告事業のための最終的な請求書は10億ドルよりも大きな額になるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フランスGoogleメディア著作隣接権

画像クレジット:Vincent Isore

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

物議を醸すWhatsAppのポリシー変更、今度はEUの消費者法違反の疑いで

Facebookは、WhatsAppのユーザーにポリシーのアップデートを5月15日まで受け入れなければアプリが使えなくなるなど、議論の多い利用規約変更を認めるよう強制していることで、EUの消費者保護法の複数の違反で告訴されている。

EUの消費者保護総括部局であるBureau Européen des Unions de Consommateurs(BEUC、欧州消費者機構)は現地時間7月12日、その8つの会員組織とともに、欧州委員会(EC)と、ヨーロッパの消費者保護機関のネットワークに訴追状を提出したと発表した

同機関のプレスリリースでは「この訴追状は、WhatsAppのポリシーのアップデートを受け入れるようユーザーに迫る、度重なる、執拗で強圧的な通知に対する初めての対応である」と述べられている。

「通知の内容と性質、タイミング、頻度はユーザーをいわれなき圧力の下に置き、彼らの選択の自由を毀損している。したがってそれらは、EUの不公正な商習慣に関する指示に違反している」。

最初に表示されるWhatsAppの新しいポリシーを受け入れる必要性に関する通知は、何度も繰り返されるため、サービスの利用を妨害することになると告げたが、後に同社はその厳しい締め切りを撤回した

それでも同アプリは、アップデートの受け入れを迫ってユーザーを困らせ続けた。受け入れない、というオプションはなく、ユーザーはそのプロンプトを閉じることはできるが、再度、再々度のポップアップを停止することはできない。

BEUCの訴追状は、次のように続いている。「さらに本訴追状は新しい利用規約の不透明性と、WhatsAppが、変更の性質を平易にわかりやすく説明できていないことを強調している。WhatsAppの変更が自分のプライバシーに何をもたらすのかを、消費者が明確に理解することが不可能であり、特に自分の個人データがFacebookやその他の企業の手に渡ることに関し記述が不明確である。このような曖昧さがEUの消費者法への違反を招いているのであり、企業は本来この法に従って、明確で透明な契約条項と商業的コミュニケーションを提示しなければならない」。

同機関が指摘しているのは、WhatsAppのポリシーのアップデートが依然としてヨーロッパのプライバシー規制当局から精査されていることだ。それ(まだ捜査中であること)が、同機関の主張によると、ポリシーをユーザーに押し付けるFacebookの強引なやり方が極めて不適切である理由の1つだ。

この消費者法に基づく訴追状は、BEUCが関与しているもう1つのプライバシー問題、EUのデータ保護当局(DPAs)が捜査しているものとは別だが、彼らに対しても捜査を早めるよう促している。「私たちはヨーロッパの消費者当局のネットワークとデータ保護当局のネットワークの両者に対して、これらの問題に関する密接な協力を促したい」。

BEUCは、WhatsAppのサービス規約に対する懸念を詳述した報告書を作成し、そこでは特に、新しいポリシーの「不透明性」を強く攻撃している。

WhatsAppは未だに、削除した部分と追加した部分に関して極めて曖昧である。結局のところ、何が新しくて何が修正されたのかをユーザーが明確に理解することは、ほとんど不可能である。新しいポリシーのこのような不透明性は、EUの不公正な契約規約に関する指示(Unfair Contract Terms Directive、UCTD)の5条に違反し、またEUの不公正な商習慣に関する指示(Unfair Commercial Practices Directive、UCPD)の5条と6条に照らして、それは誤解を招き不公正な慣行である。

WhatsAppの広報担当者はこのような消費者訴追状に対するコメントとして、次のように述べた。

BEUCの行為は、弊社のサービス規約のアップデートの目的と効果に対する誤解に基づいています。弊社の最近のアップデートは、WhatsApp上の企業に多くの人がメッセージングする際のオプションを説明しており、弊社のデータの集め方と使い方に関するさらなる透明性を提供するものです。このアップデートは、弊社のデータをFacebookと共有する能力を拡張するものではなく、世界のどこにいても、ユーザーが友だちや家族とやり取りするメッセージのプライバシーには何ら影響が及ぶものではありません。このアップデートをBEUCに説明し、多く人にとっての意味を明らかにする機会を歓迎したい。

BEUCの訴追状に対するコメントを欧州委員会(EC)に対しても求めたので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

【更新】ECの職員は、次のように述べている。

本日、EUの消費者権への複数の侵犯によりWhatsAppに対して訴追状を提出したヨーロッパ消費者機関(BEUC)からの、警報を受け取りました。

欧州委員会はBEUCと各国の消費者機関から数週間後に提出されるすべての要素を細心に検討し、この件に関するさらなる捜査の必要性と、その結果としての共同消費者保護(Consumer Protection Cooperation、CPC)の規制が予見しているような協調行為の可能性を評価します。

協調行為はCPCのネットワークが定期的に行なうもので、その目的はこの単一市場において消費者の権利を一貫して強制していくことです。

私たちは、すべての企業が、EUではEUのデータ保護のルールに適合するサービスを提供することを期待しています。

GDPRの下では、ルールの監督と強制は各国のデータ保護当局が担当します。そして必要な協力はEuropean Data Protection Boardから提供されます。

欧州委員会は、この問題を密接に追尾していきます。

このWhatsAppポリシーアップデート問題は、以前からEUとヨーロッパ各国が着目しているため、今回の苦情提出は最新の反感表明にすぎない。例えば1月にはイタリアでプライバシーに関する警告が出され、その後の5月にドイツで緊急措置が取られた。それはハンブルグのデータ保護当局が、WhatsAppのユーザーデータの処理を禁じたことがきっかけだ。

関連記事:ドイツ当局がFacebookに対し物議を醸している「WhatsApp」の利用規約を適用しないよう命令

2021年初めには、EUでFacebookのデータ規制を指揮しているアイルランドのデータ保護委員会が、サービス規約の変更は当地域のユーザーに影響を及ぼさないとするFacebookの確約を了承したような雰囲気があった。

しかし、ドイツのデータ保護当局は不満だった。そしてハンブルグはGDPRの緊急時対応を持ち出し、それはアイルランドという一地域の問題ではなく、国をまたぐ訴えであり懸念であると主張した。

そういう緊急措置は期限が3カ月だ。そこでEuropean Data Protection Board(EDPB)は本日、緊急措置に関するハンブルグのデータ保護当局のリクエストを総会で議論すると確認した。総会での決定によっては、ハンブルグのデータ保護当局の介入が、今後も長続きすることになる。

一方では、ヨーロッパの規制当局が力を合わせてプラットフォームの強大な力に対抗しよう、という気運も芽生えている。たとえば各国の競争促進当局とプライバシー規制当局は共同で仕事をしていこうとしている。つまり国によって法律が異なっていても、独禁やデータ保護の専門知識や能力は個々のサイロに封じ込められるべきではない、という考え方だ。個々にサイロ状態であれば、リスクが行政の執行を邪魔し、インターネットのユーザーにとって衝突し相矛盾する結果を生むだろう。

強力なプラットフォームを鎖につなぐだけでなく、そのパワーを規制するために力を合わせるという考え方は、大西洋の両岸で理解されつつある。

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タグ:FacebookWhatsAppEUヨーロッパBEUCプライバシー個人情報

画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg/Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチング「お金の健康診断」が1.6億円を調達

お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチングサービス「お金の健康診断」が1.6億円を調達

お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチングサービス「お金の健康診断」を展開する400F(フォーハンドレッド・エフ)は7月13日、SPV(特定企業やプロジェクトへの投資の目的で専用ファンドを立ち上げて資金供給を行う手法)などを用いた第三者割当増資を実施、1億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、シードスタートアップ投資を中心に行うSkyland Ventures。

お金の健康診断は、居住地域、年齢、年収、家族構成などの質問に答えると、同地域、同年代の人との比較による家計状況が判断され、それをもとにファイナンシャルプランナーや金融仲介業者からのお金に関するアドバイスがもらえるというサービス。資産運用、老後資金の準備、住宅の購入などに役立てることができる。ユーザーは、チャットを通じて専門家に気軽に相談できる。質問に答えることでお金の悩みを明確化し、自分にぴったりの「お金の相談相手」が見つかると400Fは話している。

400Fは、2017年11月に、おかねのデザインの100%子会社として設立されたが、2018年11月に「お金の健康診断」を正式リリースし事業モデルが確立し売上げが急成長したのを受けて、2020年7月にMBO(マネジメント・バイアウト:事業部門が自ら部門を買収し独立する手法)による独立を果たした。この1年で「お金の健康診断」の月間ユーザー獲得数は10倍に、獲得単位は1/10になるなど大きく成長している。今回の資金は、製品の開発とマーケティングの強化、人材採用、サービス価値向上にあてられる。

400Fは、何かと気が重くなるお金の話をプロの専門家にチャットで相談できるウェブマガジン「オカネコ」も提供している。400Fという社名は、ゴッホが生前に唯一売れた作品「赤い葡萄畑」が400フランだった逸話に由来している。後に名画として価値が急上昇したことから、無限の可能性を持ち続ける企業を目指すという意味があるという。

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